総務委員会速記録第十七号

平成十九年十二月十三日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長酒井 大史君
副委員長鈴木 隆道君
副委員長花輪ともふみ君
理事小磯 善彦君
理事松村 友昭君
理事林田  武君
後藤 雄一君
山口 文江君
遠藤  守君
尾崎 大介君
菅  東一君
倉林 辰雄君
吉野 利明君
大沢  昇君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長大原 正行君
儀典長多賀 敏行君
次長河島  均君
理事政策部長事務取扱前田 信弘君
企画調整部長川澄 俊文君
秘書部長長谷川 均君
企画調整担当部長小林  清君
特命担当部長鈴木 賢二君
調整担当部長角南 国隆君
参事中村 信一君
国政広域連携・首都調査担当部長吉田 長生君
自治制度改革推進担当部長中村  靖君
参事中村 長年君
総務局局長押元  洋君
危機管理監中村 晶晴君
理事島田幸太郎君
理事中井 敬三君
総務部長岳野 尚代君
参事和久井孝太郎君
行政改革推進部長松崎  茂君
情報システム部長紺野 秀之君
首都大学支援部長松本 義憲君
主席監察員齋藤  進君
行政部長中西  充君
多摩島しょ振興担当部長松本 栄一君
都区制度改革担当部長森 祐二郎君
参事廣瀬 秀樹君
総合防災部長石野 利幸君
企画調整担当部長鈴木 省五君
勤労部長野口 宏幸君
統計部長金子  優君
人権部長田村 初恵君
国体推進部長笠井 謙一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十六号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十七号議案 東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十八号議案 東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十九号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十号議案  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十一号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 知事本局関係
報告事項(質疑)
・地方分権改革の推進に向けた提言について

○酒井委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○酒井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査及び知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十六号議案から第百九十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○菅委員 では、第百八十六号議案の給与に関する条例の一部を改正する条例についてお尋ねをいたします。
 地方公務員の給与につきましては、公務員人件費改革の中で一層の適正化が求められているとともに、国民の厳しい視線が注がれております。
 都においては、これまで、都財政状況や社会経済情勢を踏まえた上で、人事給与制度について先駆的な取り組みをしてきたことにつきましては、大変評価をいたしております。
 ただ、今後とも東京都が日本の首都として存在感を発揮し、都民の負託にこたえていくためには、不断の取り組みが必要である、こういうふうに思っております。こうした観点から、何点かお尋ねをいたします。
 まず、今回の見直し内容についてでありますが、職員の給与については、都民の理解と納得を得る観点からも、国、他団体、民間との均衡を考慮して定めるものだと考えております。
 とりわけ給与水準については、基本的には人事委員会勧告を踏まえて対応すべきものだろうと思います。そこで確認のためにお伺いいたしますが、今回の改定で給与のベースはどうなるのか、国や他団体の状況とあわせてお尋ねをします。

○野口勤労部長 国では、人事院勧告で月例給につきまして〇・三五%のプラス勧告が行われ、また地方公共団体では、都道府県政令市のほとんどでプラスまたは据え置きの勧告が行われる中で、東京都と横浜市のみがマイナス勧告となっております。
 都におきましては、人事院勧告を踏まえまして、例月給でマイナス〇・〇七%引き下げます。これは三年連続でベースダウンとなるものでございます。
 なお、特別給につきましては、年間〇・〇五月分引き上げることとしております。

○菅委員 昨今の社会経済状況を見ますと、内閣府の最新の月例経済報告では、景気は、ここのところ一部に弱さが見られるものの回復していると見ておりますけれども、日銀の景気判断では、企業ごとの業績回復の度合いに差が生じており、とりわけ輸出を担う大企業に比べ中小企業や非製造業を取り巻く経営環境は極めて厳しい状況が続いているという見方をしております。
 一律的なベースアップについては、既に企業横並びの構図が一層崩れてきており、また各企業とも、厳しい国際競争を背景として、絶えざる経営改革を行っているのが実態であろうかと思います。
 今回の勧告内容は、こうした民間の厳しい状況を踏まえた結果であり、給与水準の問題については理解ができます。
 ところで、都政は、「十年後の東京」の実現やオリンピック招致など、山積する重要な課題に的確に対応していかなければなりません。そのためには、スリムで効率的な執行体制の確立を急ぐ必要があり、給与構造についても不断の見直しを進めていく必要があろうかと思っております。
 今回の給与改定で、給与構造につながるような取り組みは含まれているのか、この点についてもお伺いをしておきます。

○野口勤労部長 菅委員ご指摘のとおり、今回の改正に当たりましても、給与構造改革を一層進めていく観点から、年功的、一律的な給与構造を見直す改革を行っております。
 具体的には、例月給のマイナス改定の中で、若手職員の引き下げは抑制する一方、高齢職員の引き下げは一層強めることにより、年功的な給与の伸びを抑制いたします、いわゆる昇給カーブのフラット化を進めますとともに、職責の違いを給与に反映させるため、若手管理職の引き下げを抑制しております。

○菅委員 全国的に見ても厳しい給与改定の中で、都として工夫しながら給与構造の改革を進めているということでありますから、こうした取り組みは不断に進めていただきたい、こういうふうに思っております。
 さて、民間企業においては、二〇〇七年度問題といわれているとおり、団塊の世代の大量退職を迎え、企業経営に大きな影響を及ぼしているといわれております。
 都においても例外ではなく、質量を含めたマンパワー不足が都政運営に一時でも支障を来すことがあってはならない、こう思っております。そのためには、いわゆる少数精鋭の体制を強化していくことが不可欠でありまして、一人一人の職員の能力や資質を高め、さらなるレベルアップを図っていくことが極めて重要である、こう思っております。
 職員の士気を高め、都庁の組織力を強化していくことの必要性については、我が党としても、かねてから指摘をさせていただいたところであります。
 都では、平成十八年度に昇給制度の見直しを実施し、職員の仕事ぶりをきめ細かく処遇に反映する仕組みを構築した、こういうことは承知をしております。こうした職員一人一人のやる気を引き出していく取り組みは、さらに進めていく必要があると考えますが、今回の給与条例の見直しを契機として、こうした観点から給与制度に関して具体的に見直した制度があるのかどうか、この点についてもお尋ねしておきます。

○野口勤労部長 都は、これまでも、職責能力、業績を重視する観点から、給与構造制度の改革に取り組んでまいりました。菅先生ご指摘のとおり、昨年度から新たな昇給制度を導入したほか、民間におけるボーナス査定に当たる勤勉手当の成績率の制度もいち早く導入しているところであります。
 今年度におきましては、勤勉手当の支給月数がふえることや、民間におけるボーナス査定の動向を踏まえまして、勤勉手当に係る成績率の仕組みをこれまで以上に拡充することといたしました。
 具体的には、成績率が適用される職員の範囲を拡大いたしますとともに、課長補佐、係長級におきましては、成績上位者と下位者とのボーナスの差額を、従来と比較し二倍程度拡大するものでございます。

○菅委員 勤勉手当、いわゆるボーナスが増した分を一律に支給することなく、頑張った職員を適正に処遇するという見直しは大変評価できると思いますが、依然として民間企業との差があるのではないか、こういうふうに思われてなりません。引き続き、仕事に対し日々努力をし成果を上げた職員については、きちんと評価をして、しっかりと処遇していく仕組みの拡充に努めていただきたい、こういうふうに思います。
 いずれにいたしましても、限られた人材で最大限の組織力を発揮し、都政のさまざまな課題に果敢に立ち向かっていかなければならない、こういうふうに思います。そのためには、人事給与制度の改革を着実に進めることによって、都政を支える気概を持った職員を育成していくとともに、活力のある効率的な執行体制につなげていくことが重要である、こうふうに思います。
 今後とも、仕事の内容や職責に応じた処遇を実現し、給与制度の見直しを一層進めることを求めて、私の質問を終わります。

○遠藤委員 私からは、第百九十一号議案でございます東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例についてお伺いをいたします。
 まず、質疑に入る前に、確認のために、この特殊勤務手当の定義と現在の支給状況についてご報告いただきたいと思います。

○野口勤労部長 特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務、その他著しく特殊な勤務に従事する職員に対しまして、勤務の実績に応じて支給する手当でございまして、知事部局等におきましては、職員の給与に関する条例及び東京都職員の特殊勤務手当に関する条例で規定しております。
 知事部局等における特殊勤務手当の支給状況でございますが、手当の種類は十三手当、平成十九年度予算額は十九億円でありまして、病院に勤務する職員を初め、全体の約四割に当たる職員がこの手当を受給しております。

○遠藤委員 今、知事部局で十三手当、平成十九年度の予算ベースで十九億円、そして職員の四割がこの手当を受けていると、こういう報告でございました。
 この特殊勤務手当につきましては、昨年の第一回の定例会におきまして、私が一般質問に立たせていただきました。その際、職員にとって真に必要のある手当は残しつつも、必要性の薄れた手当というものは思い切って廃止するなど、大胆に見直すべきである旨の提案をいたしました。これを踏まえて、都は、昨年、この特勤手当の総点検を実施し、見直しを行いました。
 そこで、この昨年度の見直しも含めまして、これまでの見直しの具体の成果についてご答弁いただきたいと思います。

○野口勤労部長 ご指摘いただきましたとおり、都におきましては、これまでも特殊勤務手当の必要性や支給額等につきまして適宜見直しを実施してきております。
 遠藤委員ご指摘の平成十八年度の見直しについてでございますが、総点検を実施した結果、知事部局において、全十四手当のうち一手当を廃止し、また十二手当で支給額を減額または支給範囲を縮小するなどの見直しを行いまして、予算額ベースで約二億五千万円の削減をいたしました。
 なお、他任命権者の教育委員会事務局職員、学校職員、警視庁職員、消防庁職員に係る手当の見直し分を含めますと、財政効果は約三億四千万円でございます。
 また、この十年間で申し上げますと、知事部局で平成九年度に四十一種類あった手当を、現在十三手当にまで削減したことになります。見直しの効果につきましては、この間で約十九億五千万円削減したところでございます。

○遠藤委員 以前は四十一の手当があったものが、十三手当までに削減し、そしてトータルで十九億円超を削減したと、こういうことでございます。
 都では、都民の目線、そして納税者の視点に立った不断の見直しによって、手当そのものを、今申し上げたとおり、またご答弁いただきましたとおりスリム化をしてまいりました。財政上の効果も上がったわけでございます。こうした取り組みは、我が党としても高く評価をいたすものでございます。
 ところで、今回の見直しの内容は、このようなこれまでのスリム化の流れに反するというか、やや逆行するような形で新しい二つの特殊勤務手当を新設するというものでございます。これまでには、基本的な手当は削減、この方向で見直しを行ってきた中で、今回新たに手当を新設する背景または趣旨をご答弁いただきたいと思います。

○野口勤労部長 今回の見直しの背景といたしましては、地域医療を担う医師の不足や診療科の偏在が全国的に深刻であり、都立病院につきましても臨床医師の確保が喫緊の課題となっていることから、その対策が求められていること、とりわけ産科においてその傾向が顕著であり、その背景に、医療訴訟の増加に象徴されますように、医療行為を伴う分娩業務の困難性が高まっているという状況がございます。
 見直しの趣旨でございますが、指導医業務手当につきましては、来年四月より、都立病院に新しい専門臨床研修システムとなります東京医師アカデミーが創設されることに伴いまして、ここで研修医の指導に当たる指導医においては、総合診療能力と高い専門性を兼ね備えた若手医師の計画的な育成と確保のために、指導業務に相当の専門性や困難性が求められることから、当該業務に従事した場合に新たに支給すべき手当を新設するというものでございます。
 次に、異常分娩業務手当につきましては、先ほど申し上げましたとおり、帝王切開や吸引分娩等、近年、医療行為を伴う分娩業務の困難性が一層高まっていることにかんがみ、こうしたリスクの高い分娩業務に従事した場合に支給すべき手当を新設するというものでございます。

○遠藤委員 見直しの背景として、都立病院における医師不足がますます深刻化しているという状況をご説明いただきました。
 都立病院が高水準な行政的な医療を都民に安定的に提供していくためには、それにふさわしい有能な、また有為な人材を確保するということは、論をまたないわけでございます。
 そうした意味で、来年度から開設される予定の東京医師アカデミーが、都独自に質の高い若手医師を育成確保するシステムとして機能していくためには、指導に当たる医師の力量に負うところが大きいわけでございまして、指導医の業務の困難性、これに着目し、この困難性を適正に評価する、そしてそこに特勤手当ということで手当てをするということは、意義深いことであると思うわけでございます。
 また、産科をめぐる状況につきましては、昨今の妊婦の救急受け入れ拒否の実態を挙げるまでもなく、医師不足の中で特に深刻でございます。訴訟リスクや、または勤務の困難性の増大、この辺のところは、新聞紙上を見ても毎日のように何らかの形で取り上げられているということで、こうしたことから産科医自体が減少していることは事実であって、地域の拠点となるべき都立病院においても、業務実態にふさわしい処遇を確保しようという当局の趣旨は理解できるところでございます。
 我が党としても、質問の冒頭に指摘しましたとおり、手当をただ削減すればよいということではなくて、真にその必要性があって、都民の理解と納得を得られるものであれば、それに応じた処遇は妥当である、このように考えております。こうした観点から、今回は、特殊勤務手当の新設とはいえ、適当な見直しであると考えております。
 ただ、今回の見直しについては理解をいたしましたけれども、臨床医師の確保という角度から改めて考えてみますと、民間や、または他の公立病院と比較して、そもそも現在の都立病院の医師の処遇が適正なのかどうかという点もあるかと思います。
 さらにいえば、給与面に限らず、例えばことし八月に地方公務員育児休業法が改正されて、新たに育児のための短時間勤務制度が創設をされましたけれども、都においても、具体的にこの制度化を進めて、仕事と子育てを両立できる働きやすい環境を整備するなどの抜本的な方策を講じていくべきであると考えます。この点については、さきの代表質問でも我が党が主張させていただいたとおりでございます。
 いずれにいたしましても、真に優秀な人材を確保していくには、こうした勤務条件において、さらなる改善が必要であると思いますが、この点について見解をお伺いいたします。

○野口勤労部長 遠藤委員ご指摘のとおり、私どもといたしましても、都立病院の中核を担うすぐれた臨床医を確保するため、医師の業務実態を適正に評価し、それにふさわしい処遇が必要であると考えております。
 こうした観点から、民間病院等の実態も踏まえつつ、例えば人材確保に直接資するような処遇の見直しや勤務条件の改善について、現在、具体的な検討を進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、職員の勤務条件につきましては、国や民間、他団体との均衡を考慮しつつ、都民の理解と納得を得られる観点から鋭意検討を進めてまいります。

○遠藤委員 今、給与面に限らず、さまざまな具体な検討をしているということでございますので、医師不足、本当に深刻でございます。ぜひともこの検討のペースを速めていただいて、早急に結論を出していただきたいと思います。
 都立病院医師の確保、人材確保につきましては、都立病院総体としての体制づくりが肝要でございます。
 我が党も、こうした観点から、これまで、都立病院における二十四時間院内保育の実施や、また産科につきましては助産師の積極的な活用等々を指摘し、都でもそれぞれ対応いただいております。
 そうした意味では、医師アカデミーの創設を含め、現在病院経営本部が取り組んでいる施策の充実が一層重要であると思います。その上で、近年激務となっている勤務医の実態を考えますと、総務局といたしましても、医師の適正な処遇の確保、こうした観点から医師の勤務条件の面での改善が必要と考えます。
 今後も、病院経営本部等関係部局と密接に連携をとりながら、ぜひとも都立病院の体制づくりの後押しとなるような見直しを求めて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○松村委員 六議案は、いずれも労使協議で最終的に合意を見たものなので賛成するわけですが、百九十号議案について意見を述べたいと思います。
 その前に、一つだけ確認の意味で伺いますけれども、都内の民間事業所の正規の勤務時間は、一日当たりどのぐらいになっておりますか。

○野口勤労部長 平成十九年人事委員会報告によりますと、都内民間事業所におけます平均所定労働時間数は、一日単位で七時間四十分、一週間単位では三十八時間二十九分となっております。

○松村委員 この議案は、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例ですが、提案理由にも書かれているとおり、休息時間の廃止及び休憩時間の見直しをするものです。
 見直しの第一点は、休息時間を廃止するものです。これまで四時間の勤務時間に対して十五分の休息時間があり、その休息によって気分を転換し、一休みすることで業務能率を向上させてきた経過の中で位置づけられていたものです。長時間労働や精神疾患で病気休暇等を取得する職員が減少しない都庁の中にあって、その休息時間の廃止は職員の労働環境の悪化をもたらさないのか、危惧するところです。休息時間を廃止したとしても、業務を円滑に効率よく進めるための手休めは、今後とも必要だと考えるべきです。
 第二点は、拘束時間が十五分延長になることです。このことに対しては、育児、介護のみならず、透析などの通院、通学などさまざまな要因により、拘束時間の延長反対についての悲鳴ともいえる声が職場から上がっていることを当局は踏まえるべきです。
 労働時間短縮が歴史的流れであるのに、低賃金とあわせ、長時間労働が子育てを困難にし、少子化の大きな要因となっています。たとえ十五分であっても、実質的な労働時間の延長は時代の流れに逆行するものです。
 今、答弁いただきましたけれども、東京都人事委員会の調査結果によっても、都内の民間事業所の正規の勤務時間は一日当たり七時間四十分です。私が聞いたところによると三十八分となっておりましたけれども、四十分と。雇用主としての都がまず行うことは、一日当たりの労働時間を十五分間短縮することだということを強く意見として申し上げたいと思います。
 なお、自治体が行う都民サービスの提供は、マンパワーに負うところが大きいわけです。職員の給与などの処遇とあわせて、住民福祉増進を図るという本来の役割を果たす職員体制がしっかり確保されていなければなりません。
 ところが、石原都政八年間で一万二千人の職員定数を削減し、非正規職員や安上がりの民間企業委託をふやしてきました。この結果、さまざまな問題が起きていることは、本定例会でも我が党は指摘してきたところなので繰り返しませんが、行革プログラムによるこれ以上の職員削減はやめるべきだということも申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○酒井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○酒井委員長 これより知事本局関係に入ります。
 報告事項、地方分権改革の推進に向けた提言についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○菅委員 それでは、地方分権改革の推進に向けた提言についてお尋ねをいたします。
 地方分権については、これまで都議会では、我が党の提案により設置された行財政改革基本問題特別委員会におきまして、中長期的な視点から都政のあるべき姿を検討し、平成十六年に報告書をまとめたと、こう伺っております。その後も、現在に至るまで真摯な議論を重ねてきておると。
 一昨日、我が党の代表質問でも、現行の地方自治制度のもと、国が全国画一的な関与を続けており、このままでは東京の優位性が失われ、世界的な都市間競争に敗れるという強い危機感を表明したところであります。
 今回のこの資料第2号の七ページを見ましても、平成五年の国会決議からこれまで十五年間も地方分権の議論が行われているにもかかわりませず、この国の形を変える抜本的な分権改革はいまだに実現していない、こういう現状が示されております。
 七ページの下の方には、国が定めている保育所の施設基準について、乳幼児がみずから施設のよしあしを判断できないから全国一律のルールが要ると、驚き、あきれ果てるような回答を国はしております。
 抜本的な改革の実現にはほど遠いこうした状況のもとで、今回、国の地方分権改革推進委員会に対して都が行った提言のねらいについて、まず伺っておきます。

○中村自治制度改革推進担当部長 これまでの地方分権改革では、国が権限と財源を手放そうとしなかったことから、国と地方の役割を明確に区分し、その役割に応じて財源を配分するという重要かつ本質的な議論にまでは踏み込めず、不十分な形で終わってきたと考えております。
 現在行われている地方分権改革推進委員会の調査、審議に対しても、各省は消極的な姿勢を崩しておりません。こうした各省の姿勢にくさびを打ち込み、局面を打開するため、現在各省と渡り合っている地方分権改革推進委員会に対して、抜本的な改革を促す提言を行い、その審議を後押しし、地方分権改革の推進を図ろうとしたものであります。

○菅委員 全国知事会あるいは市長会からの要望に対して、国の各省はゼロ回答という極めて消極的な姿勢であります。こうした霞が関の抵抗を封じ込めることが分権改革への第一関門である、こういうふうに思います。
 各省の抵抗を打ち破るために、都の提言では、国の関与を一たん白紙にして検討すること、こういうことにしておりますが、具体的にはどのような手だてを講じるべきと考えているのか、お尋ねをします。

○中村自治制度改革推進担当部長 これまで国の関与の見直しに当たっては、地方が行う事業にもかかわらず、地方の側が廃止すべき関与を説明し、国がその是非を判断する方法をとってまいりました。
 これに対して、今回の都の提言では、すべての関与を一たん白紙にした上で、挙証責任を逆転し、国の側が存続すべき関与を説明し、地方がその判断を行う方法に転換するよう提言いたしました。地方分権の原則に立った方法を講じることにより、国の関与が大幅に縮小されることを目指しているところでございます。
 こうした考えは、先月十六日に出されました地方分権改革推進委員会の中間的な取りまとめにも生かされていると考えております。

○菅委員 今のご答弁で、国側に関与の説明責任を持たせる、こういう手法は確かに発想の転換である、こういうふうに思います。
 このほか、国が分権に抵抗する背景として、権限を移譲しても地方はやっていけるのかという、地方の行政能力に対する不信感も大分あるのではないか、こういうふうに思います。これに対して、今回、都の先進的取り組みを具体的に示した上で、国から権限を移譲されれば、都はより質の高い行政を行うことができると、はっきりと宣言したことは評価をしたいと思います。
 十一月九日に国の地方分権改革推進委員会に都が提言した後、十六日にはこの分権委員会から中間的な取りまとめが出されたとのことであります。
 前回、理事者側から、国の取りまとめについては、都の提言におおよそ沿ったものになっていると説明がありました。具体的にはどのような点が評価できるのか、この点についてもお尋ねをしておきます。

○中村自治制度改革推進担当部長 先ほどの答弁で申し上げた国の関与の見直しについて、すべての事務について国の義務づけ、枠づけを検証し、存続させる理由のないものは原則廃止すべきとした点、また条例によって国の定めた基準を上書きできるよう条例の制定権の拡大を図るとした点などは、これまでの分権改革の議論に見られなかった内容が示されたと考えております。

○菅委員 さきの代表質問では、国の制約に縛られ、大都市が直面する諸課題に取り組むのに限界がある、こういうのが実情であると述べたところでございますけれども、分権委員会の中間的な取りまとめでは、大都市の視点がどの程度盛り込まれているのか、この点についてもお尋ねをしておきます。

○中村自治制度改革推進担当部長 中間的な取りまとめでは、大都市制度については、大都市がみずからの区域を超えて周辺自治体とともに広域的な取り組みを必要とする状況にあるとして、大都市制度についてそのあり方を検討すべきとしております。
 一方、この中では、大都市について政令指定都市を含めた広い意味合いで用いており、東京を初め個別の都市については言及されておらず、首都東京における自治制度のあり方については、都区制度を含めて具体的な記述はございません。

○菅委員 分権委員会の中間的な取りまとめは、都の提言におおむね沿った内容とはいえ、大都市制度のあり方、特に都区制度のあり方について具体的な記述がなされておりません。
 都区制度については、現在、都区のあり方検討会で議論されている最中でありますし、総務局所管でもあるのでここでは詳細な質疑は行いませんけれども、東京都から今後の都区制度について明確な方針を打ち出していくべきではないか、こういうふうに述べておくにとどめます。
 また、権限の問題と同時に、車の両輪である財源の問題も極めて重要な課題であります。来年度の法人事業税の税制改正案は、東京の活力の維持と地方の窮状にかんがみ、国家的見地に立った知事の苦渋の選択と考えますが、この間の法人二税をめぐる動きは、数字合わせの近視眼的議論が先行して分権の視点が欠如していた、こういうふうに思わざるを得ません。権限にふさわしい財源を確保するためには、こうした刹那的な議論ではなくて、この国の将来を見据えた抜本的な税財政制度の改革が必要であると思います。
 今回の提言では、税財政制度についてどのように考えておられるのか、この点についてもお尋ねをします。

○中村自治制度改革推進担当部長 地方みずからの権限と責任で行政を行うためには、それに見合った財源の確保が不可欠でございます。
 今回の提言では、権限と財源は車の両輪であり、地方が真に自立できる税財政制度の確立を強く求めております。その際には、受益と負担の関係が明確な地方税を地域の財源の根幹に据え、充実させていくことを最優先すべきと提言しております。

○菅委員 分権改革の推進に向けては、税財政制度のあるべき姿を構築することが極めて重要である、こういうふうに思います。また、分権の全体像をつかむ上では、国と直接向かい合っている事業局の実態を踏まえた検討も必要ではないか、こういうふうに思います。
 関係各局との調整を十分行い、地方分権を確実に進めていくべきだと考えますが、どうでしょうか。この点についてもご答弁願います。

○中村自治制度改革推進担当部長 地方分権改革は、国と地方のあり方を抜本的に変える改革であり、国と地方の役割分担を明らかにし、地方が真に自立するための権限移譲の実現や、権限に見合った財源を確保できる税財政制度の確立が不可欠であります。
 こうした抜本的な改革は、都政のあり方全般にかかわるものであることから、全庁にわたる横断的、総合的な取り組みが必要であります。今後、関係各局と十分連携を図りながら、地方分権の取り組みを進めてまいります。

○菅委員 国の分権委員会では、来年春以降、具体的な指針の勧告を順次行い、新たな分権一括法案について平成二十二年春までに国会提出を目指している、こういうことであります。
 こうした国の動きもにらみながら、首都東京を維持発展させ、次世代に引き継ぐ観点から、今後も積極的に分権改革の提言や意見の発信を行っていくべきと思いますが、最後に知事本局長に決意のほどを伺って、質問を終わります。

○大原知事本局長 先生ただいまご指摘のとおり、国の地方分権改革推進委員会は、来年の春以降、順次勧告を行うという予定にしております。新たな分権一括法の制定に向けました論議が本格的に動いていくということであろうと思います。
 こうした流れを踏まえますと、ともすれば抽象的になりがちな分権改革の論議というものを、首都東京の発展、それから都民生活の向上につながる具体的な姿としてこの東京から提示をしていくということが非常に重要であろうかと思います。
 都議会におかれましても、これまで行財政改革基本問題特別委員会を中心にさまざまな角度からご議論いただきまして、東京の将来像を展望しながら中長期的な視点での自治制度改革のあり方を示していく、この重要性を常々ご指摘、ご指導をいただいているところでございます。
 今後、大都市経営や都民本位の行政運営といった視点からさらに私ども検討を深めまして、東京から自治のあるべき姿を示します東京発自治論というものを展開していきたいと考えております。
 引き続き議会でのご議論、ご指導をいただきながら地方分権改革の推進に努めてまいりたい、このように思っております。

○松村委員 我が党は、地方分権の推進は、住民の福祉の増進と地域の活性化を図る上で喫緊の課題となっていると一貫して主張し、その実現に努めてきました。しかし、三位一体改革として行われたことは、必要な税財源の移譲は一部にとどめられ、公立保育所運営費補助などの国庫補助負担金及び地方交付税の削減が実施されるなど、地方自治体に新たな税財政負担を押しつけるものでありました。
 今日、地方自治体の困難の原因は、第一に、住民のための仕事を地方が六割受け持っているのに対し、その財政は四割しか保障されていないことにあります。
 本来、地方分権の推進は、このような逆転を解消し、地方自治体が自主的、自立的に行財政運営を行うことが不可欠であります。また、憲法が保障する国民の生存権、基本的人権にかかわるナショナルミニマムを財政的に保障することが引き続き国の責務であることも論をまたないことは当然です。
 以上、我が党は、こうした立場に立って引き続き地方分権の推進に全力を尽くすものであります。
 そこで、この冊子について、こうした立場に立って幾つかの点でただしたいというふうに思います。
 まず、二ページ、基本的な考え方、この丸がついたこれについては、もちろんこの立場が必要であります。国と地方の役割分担を明確に区分し、地方が担う事業についてはみずからの判断と責任で住民ニーズにこたえていくことができるようにすると。また、現在、地方は多くの行政サービスを提供しているけれども、みずからの権限と財源で行えないと。そして、三つ目の丸には、地方の事業に対する瑣末な国の関与、こういうことはやはりなくしていかなければならないと。
 そこで、ちょっと伺いますけれども、国の関与はなくしていかなければなりませんということですけれども、それでは一切なくせという立場なのかどうか、ちょっとこの考え方について伺います。

○中村自治制度改革推進担当部長 先ほども申し上げましたけれども、関与については、一たん白紙にした上で見直していくべきだと提言をしてございます。
 ただ、それについては、必要な国家的見地にかかわるような関与、そういうものについては一定程度存続すべき場合もあり得るというふうに考えております。

○松村委員 私は、その点では、何と何が、必要な--国の役割分担の中で、特に冒頭私どもの立場を述べましたけれども、当然、憲法が保障する国民の生存権とか基本的な人権、後でちょっと国庫補助負担金のところでも伺いたいんですけれども、そういうナショナルミニマムについては、国の関与というよりも、国の責任としてきちんと位置づけられて、もっと関与をふやしてといいますか、重大な責任を問わなければならないと思うんです。
 もちろん、今、私ども、国直轄事業負担金なんていう、国が一方的に事業の計画から立てて東京都にこれだけ払えと、それが終わった後の事務費だけじゃなくて管理費まで持たされているという、こんなやり方については、これは全国の知事会もこの点では一致しているんですけれども、どうやら最近の石原知事はちょっと、東京都にとっては必要な例えば圏央道などもありますから、トーンが当初の就任のときよりもダウンして、原則的にはなどといい始めて、全国の知事会、知事と足並みがそろっておりませんけれども……。
 そういう国直轄事業負担金などということは、直ちに廃止を全国の知事会と一緒になって進めるべきですけれども、やはりナショナルミニマムといった、国がやるべき、言葉は関与ですけれども、当然国が自治体と一体となって住民福祉の増進の立場からやらなきゃいけないんですね。ここがやっぱりおろそかにされていると。
 そういう点では、何か関与という言葉で、一切国の役割まで免罪するというような、危惧がというか、あるんですよね。その点をもっとはっきり都民に対して、こういう考え方を明らかにしていこうというんですから、きちっとそういう点を盛り込むべきというか、明らかにすべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○中村自治制度改革推進担当部長 関与と財源というのは、別に論じられるべき問題であるというふうに考えております。
 瑣末な関与が、いわゆる縛りなり何なりが問題となっているわけでございまして、それが押しなべて必要であるかのような議論というのは成り立たないのではないかと思います。ですから、今回については、一たんすべての関与を白紙にした上で厳選すべきだと。要するに、小さい関与は縮小されるべきだという形になってございます。その辺のところをご理解いただければと思います。

○松村委員 だから、そういうのは私ども嫌というほどありますよ、そういう関与というのは。そして、それに伴って、例えば学校をつくった場合のさまざまな超過負担なんかだって、ほおかぶりしているというようなことも含めて、今までも電柱一本動かすのにそういう規制がかかっているとかいろいろな議論も私たちやってきたから、そういうことはわかるんですよ。そういう瑣末な国の支配というか、関与は当然廃止しなければならないということは一致しているんですけれども、それでは、国がやるべきというか、そのことも同時にはっきりさせなければ、言葉じりじゃないけれども、そういうことをとらえて原則廃止といったら、力関係で、幾らでも今まで国が負うべきそういうものですら、ああ、そうですかと、関与しないんですねといって、なくなっちゃうおそれを、都民や私は--私もそういう危惧を抱くんですから、こういう文章を明らかにするには、きちっとしたことを明らかにし、書くべきだと思います。
 そこで、もう一つ、三ページのところで、その流れからいって、国庫補助金なんですね。この国庫補助金も廃止して、一般財源として何でも使えるようにというか、地方が使うんだということですけれども、国庫補助、これは一切廃止するんですか。この文言だと、そのように書いてありますけれども。

○中村自治制度改革推進担当部長 住民に対し受益と負担の関係を明確にするという観点から、地方が行う事業については地方税で賄うことが基本であると考えております。
 国の補助金を受けて事業を行うと、事業内容につきまして国の画一的な細かな交付基準に従う必要があるなど、地方の自主性、自立性を阻害しているということは論をまたないと思います。
 そこで、こうした補助金は廃止し、一般財源として地方に移譲すべきであるという考えでございます。

○松村委員 国庫補助金でも、国庫補助負担金や支出金だとか、さまざまなそういうのがあるんですよね。ですから、例えば国庫補助金について、石原知事も、義務教育費、生活保護費、そういうのは当然残すべきだということです。だから、それだけかと、私たち、この間も議会で--じゃあ、義務教育と生活保護費だけでいいのかと。
 やっぱり我々は、私どもの立場からいえば、国がナショナルミニマムとして持つべきものは、高齢者医療費とか児童手当だとか保育所運営費、介護保険事務費、軽費老人ホーム事務費、障害者福祉費など多数あるわけですよ。ですから、国庫補助を廃止して、それらは全部やるんですか、そんなことにはなりませんよね。
 国庫補助金は廃止して一般財源化するというんですけれども、国が責任を負うべき国庫補助金、またそれに伴うどういう事業の財源かをきちっと明記し、それ以外は廃止するとか、そういう書き方をしなければおかしいんじゃないでしょうか。

○中村自治制度改革推進担当部長 国庫補助金とここで書かれておりますものは、国庫支出金には国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金とございまして、ここでいっているのは、そこのところにおける国庫の補助金でございます。
 国がいわゆる責任を持たなきゃいけない部分、生活保護費等ございますけれども、それについては国庫負担金という形になってございます。その国が負うべきものについては、当然存続されるべきと考えておりますし、ですから、ひもつきというような、いわゆる国庫補助金については全廃すべきだと、こういうふうにいっているわけでございます。
 それと、国庫補助金を廃止したときに、その財源をそのまま国に差し上げますと、そういうふうにいっているわけではなくて、要するに、ここの中でいっているのは、権限と財源は密接不可分であるという形になってございますから、その国庫補助金が削減されれば、一般財源として地方に来るというのは当然のことだというふうに思いますので、ご理解をお願いしたいと思います。

○松村委員 こういう事例、なかなか一般論でしかいわなくて、私は具体的に、そういう書き方だったら、国庫補助負担金、それは国のシビルミニマムとして、画一的、全国一律的といったって、その土台のベースは必要なんですよ。それがまだ低過ぎる。きちっとやった上で、東京都が独自の、かつては保育所事業においても都基準というのを設けて手厚くしたと。今はそれが逆になっていますから、後でもちょっと触れますけれども、私はそちらのおそれの方を強く感じているんです。
 もう一つは、公園を例に挙げたいんですけれども、都から国への補助の要望の中にも、例えば公園のそういう補助をもっとふやせと。公園用地費については、現在の二分の一を三分の二にすべきだという要望を出していますよね。そういう兼ね合いではどうなんですか。

○中村自治制度改革推進担当部長 この冊子は、すごく細かく学術論文的に書くという形ではなくて、都民、一般の人にわかりやすい形。というのは、関与が国から多いんだとか、国庫補助金の本来的なものとして、地方の行政なりをゆがめてしまう、住民ニーズに合わないものになってしまう、そういうところを問題にしてございまして、補助金のあり方そのものを問題にしているというところをご理解いただければと思います。

○松村委員 だから、そういう瑣末なとか、国の支配や干渉というものをなくしていくというのは、それは基本的にいいんですよ。でも、どちらかといったらそれは、そういう制度があって、それがまだ不十分だと。しっかり国の果たすべきナショナルミニマムの点からも求めなきゃいけないし、それをもっと拡充させていくと。余りにも低過ぎるわけですよね。
 そういうことをやはり私はきちっと前提にしながら、そしていろいろな、運用上できない--独自の自治体の裁量の余地とか、いろいろなのがないというのは、私は運用上の問題も多分あると思うんですよ。それはきちっとそういうことをやめさせていくということは、できると思うんですよ。そしてまた、やらなければいけない問題ですけれども。やはりこういうふうに、今、書き方の問題というだけじゃないんですね。根本的な考え方において、特にこれを都民に示すという意味ですから、やっぱり都民が安心できて、そうかと、そういう地方分権の推進かというものに当然していかなければならないと思うんです。
 私はなぜそのように聞くかというと、現実に東京都政がやっていることをごらんください。改めて、ここ所管局じゃないから認証保育についてはいいませんけれども、石原都知事がこれを目玉にしておりますよね。今までは、保育というのは、家庭を中心としながらも、子育て支援というのは少子化社会に見られるように非常に困難だと。だから、国や自治体、また社会も応援していこうということになっていると思うんですね。
 ところが、石原知事、保育にはお金がかかると、いみじくも我が党の質問で、予算委員会でもいいました。そして、そういう分野まで、今まで国のささやかな全国の基準しかつくってなかった、東京都はこれまで都民のニーズ、要望にこたえて都基準を設けてやってきたんですよ、手厚くというか。ところが、財政危機だ、財政難だと。もっと入れない方々がいるから、とりあえず入るようにするためだと。
 これを補完的に認証保育でやるならいいけど、お金がかかる公立保育所というか、公的保育を区市町村がやるものについては用地費補助まで減らして打ち切り、そしてそういう保育にしたから今どういう問題が起きているのかということを本定例会でも私ども出したんです。
 だから、国が土台としたベース--義務教育、それから生活保護、保育所とか、介護だとか、そういうものをきちっと国に求めて、その上に、都が独自の、東京都の都民ニーズに基づいて上乗せていくというならば、私ども大いに賛成、結構ですよ。
 しかし、そこもはっきりしないと。言葉だけは、国の関与、国庫補助を廃止して、その分の財源をこちらに持ってきて自由裁量で使えるものにしろといった結果、都民の必要な施策はどんどん切り捨てながら--ここにも、職員の問題と歳出削減の取り組み、わざわざ九ページに、その事態の数字、グラフで明らかになったら、本当にびっくりするような形になっているというふうに思うんですけれども、逆に、そういうものを歳出削減を行ったといっても、それは全部今まで国が、そういうふうに使っちゃだめなんですよ、これはこういう補助だから公園整備ですよ、義務教育ですよ、何々ですよというふうにあったものを外しちゃうんだと。それで、その財源が自由裁量で使えて、東京都政ができるようにするんだといったら、今の石原知事などに任せたら何に使うのか。オリンピック、大型開発と。冗談じゃないですよといいたい立場なんですよ。
 そして、あなた方がこういう冊子をつくって都民に知らせるんだったら、そうじゃありませんよともしいうんだったら、きちっとそういうことを明らかにして、都民と一緒になって真の地方分権を求めるという立場でしょう。やはりそういうのが違うから、本冊子の中でも明らかにできないで、もっと使える財源、補助を外してくれば、もっともっと、今、石原知事がいうような都市間競争に打ち勝つ、そういう基盤整備づくりだけに使われるということになりはしないかと。この点について、私の危惧に対する明確なお答えをいただきたいと思います。

○中村自治制度改革推進担当部長 地方自治体は、行政サービスの提供に当たって、最少のコストで最大の効果を得るように努める責務を負っているものでございまして、地方分権の実現のために行革努力を否定なさるようなことはいかがなものかというふうに存じます。

○松村委員 やはり私は、この間やってきた行革実行プログラムは、総務局所管だから皆さん方答えられると思うんですけれども、もう事務事業質疑の中でやりましたから繰り返しませんけれども、やっぱりこの職員定数削減にしろ、こういう歳出削減の取り組みにしろ、しっかり検証して、本来の地方自治体が果たすべき住民福祉の増進の立場から、都民サービスがどうなったのかということを検証すべきだと思うんです。
 小さな政府とか、それから規制緩和、官から民ということがどういう事態をこの日本や東京でもたらしたかと。私は繰り返しこの間もいってきたけど、既に諸外国というか、ヨーロッパのサッチャー改革で始まったものから含めて、いろんな形は違えて、世界でも新自由主義という新しい取り組みやったんです。
 そういう方向が行き詰まった、今のグローバル化したやり方の中では行き詰まったんで、これを新たな転換をしようということで、小さな政府とか、やはり規制緩和や官から民という流れは、どこでも世界の大きな都市も含めてやってきたんです。その結果がどうだったかといったら、これは間違っていたというか、違うというので、みんな今反省して、これからはやっぱり方向を変えているんですよ。それを見なければいけないの。
 何かもう日本は、十年おくれで始めて、小泉構造改革の前後からですよ、やってみた結果だって、今でも貧困や格差とか、ワーキングプアだとか大変な事態が出てきていること、これは明らかなんじゃないでしょうか。
 改めて私は、今までのこの石原都政になった八年間でもいいですよ、きちっと検証する。その上に立って、何が地方自体にとって必要なのか。もちろん国のそういう支配や関与はありましたよ。逆に、地方分権といいながらも、独法化だかといろんなものは、全部国のやり方に従っているのが皆さんじゃないですか。一方、どんどん従いながら--今、部長さんは税源の話だけをしているんだというんですが、それにとどまらないんです。
 税財源は、冒頭に述べたように、六割の仕事をしながら四割しか来てないという、きちっとこの逆立ちを正すべきだということは一致しているんですよ。一緒になって取り組むためにも、また全国の自治体とも力を合わせるためにも、東京ひとり勝ちだとかいろんなことじゃなくて、やはりそういう点を明らかにしながら、逆立ち財政を正さなければならない、それがあくまでも前提だということを強く申し上げて、終わります。今後とも質疑を続けるということを申し上げて、終わります。

○山口委員 国の法人事業税の再配分の動きに対して、石原知事を初めとして四都府県の知事は、地方分権に逆行するものであり、筋が通らないと、対決姿勢をあらわにしてきました。税の本筋や自治の観点から反対するのは当然のことです。
 しかしながら、ここに来て、石原知事と福田首相のトップ会談で、東京都の法人事業税約三千億円を国に差し出す方向になってしまいました。
 そもそも東京富裕論が出てくる背景としての東京と他の自治体との格差の進行は、東京への集中を加速させて地域のコミュニティーを破壊し、自治体に対する財源移転の怠慢と自治体を隷属させるような交付税措置であり、挙げて国策の失敗にほかなりません。
 都は、国に対して地方に税財源の大幅移譲を行い、地方の努力と創意工夫を促すよう求めていくべきと考えています。
 地域の活性化を一つの目標として、最大の自治体である都が、国に対して地方分権の推進を提言していくということは、大変評価をしております。
 二〇〇〇年の地方分権一括法以来の国の取り組みについて、都はどのように総括をしているのか、初めに伺います。

○中村自治制度改革推進担当部長 資料2号の七ページを見ていただくとよくわかるんでございますけれども、そのトピックの中にも示してございますけれども、平成十二年に施行されました地方分権一括法では、機関委任事務が廃止されたものの、権限や財源の移譲はほとんどなく、大きな課題が残されました。
 その後の国の三位一体の改革では、税源移譲はなされたものの、権限拡大を伴わない国庫負担金の削減や五・一兆円もの地方交付税の削減が行われるなど、数字合わせの議論に終始し、今日の地方の疲弊を生じさせたというふうに考えております。
 このように、これまでの地方分権改革では、中央省庁の抵抗などによって、国と地方の役割分担を明確に区分し、その役割に応じて財源を配分するという重要かつ本質的な議論にまでは踏み込めず、不十分な形で終わってきたと考えております。

○山口委員 分権改革が遅々として進まなかったのなら、これまでのやり方を変えていかなければ、流れを変えることはできないと思います。
 今回の提言や冊子は、これまでの地方の大きな足かせとなってきた国の関与をターゲットにしています。国の関与を一たん白紙にして検討することとした提言一のやり方はもっともなことですが、実際にやるとなると実効性が担保されるのでしょうか。また、その後最低限残る国の関与とは何なのか、伺いたいと思います。

○中村自治制度改革推進担当部長 都から提言しました、関与を白紙にして検討するという趣旨は、国の地方分権改革推進委員会の中間的な取りまとめにも生かされ、分権改革は一歩前進したものと考えております。
 具体的には、すべての自治事務について国の義務づけ、枠づけを検証し、存続させる理由のないものは原則廃止すべきとしてございます。この方法は、これまでの、地方の側が廃止すべき関与を説明し、国がその是非を判断する方法よりも、関与の廃止が進むものと考えております。
 地方分権改革推進委員会における検討が着実に進めば、国の関与は、制度の根幹的部分に加わる規定など、国家的見地から真に必要なものに限られていくと考えてございます。
 今後、分権改革においてすべての自治事務を都の主張したとおりゼロベースで検証がなされていくかを見守り、必要な働きかけをしてまいります。

○山口委員 国が行うべき役割は、外交、防衛、司法や最低限の規定整備に限定していくべきであり、この考え方に立って、国と地方で同様の事務を行っている、いわゆる二重行政についても積極的に解消し、地方に権限移譲すべきです。
 国ではなく地方が行うとされた仕事について、都道府県と市区町村の振り分けの基本的な都の考え方を伺います。

○中村自治制度改革推進担当部長 地方が行うとされた仕事の割り振りについてでございますが、住民に最も身近な基礎的自治体は、包括的に住民サービスの提供を担うものと考えております。
 一方、広域的自治体は、基礎的自治体の区域を超える行政需要に対応する課題の解決、高度に専門的な見地から実施すべき取り組み、さらに基礎的自治体では実施が困難な事業の補完などを担うものと考えております。

○山口委員 今、基礎的自治体は、包括的にサービスを提供する主体であるとの答弁がありましたが、できる限り住民に身近な地域へと権限や財源を移していくという方向で、役割分担については見直すべきだと考えております。六つの提言も、この基本的な方向で強力に推進していくべきと考えております。
 その際、全国知事会や都内の市区町村との足並みをそろえて国に働きかける必要があると考えますが、どうでしょうか。

○中村自治制度改革推進担当部長 都は、全国知事会において、その一員として地方分権改革の検討に加わり、知事会はそれを取りまとめ、国に対してさまざまな要望を行ってまいりました。今後とも、知事会を通じて、各県と連携しながら国に働きかけを行ってまいります。
 また、都内の区市町村につきましては、都は、区市町村からの要望も受けまして、国に対して地方分権を強く求めてまいりました。今後とも、区市町村の要望をも踏まえながら、国に積極的に働きかけてまいります。

○山口委員 今後、都のこの提言を踏まえて、中期的な展望を持って具体的にどういうふうに分権を進めていくかということにつきましては、先ほど知事本局長の方から、新たな新分権一括法の成立に向かいまして、東京都も国の動向を踏まえつつ、都民本位の観点、大都市経営の観点から効率化の観点、さらに検討を深めて積極的に国に働きかけていくという答弁をいただきましたので、最後に意見だけを述べさせていただきたいと思います。
 分権改革の次なるステップは、改革を市民や基礎自治体に基点を置いて考えていくべきと考えております。都は、世界最大の自治体としてそれを行い、推進していく力と義務があると考えられます。
 私たち生活者ネットワークは、分権の推進を、自分たちのまちのあり方は自分たちで決めるという原則に基づいた法的整備の必要性を、国には自治基本法を、自治体においては自治基本条例制定をと提案をしてきました。こうした自己決定のルールの整備を、東京や首都圏の自治を考えるときにあわせて検討していく必要があるのではないでしょうか。
 今後の地方分権推進に当たっては、こうした観点からも、他の団体とも連携を図り、より大きな力で国を突き動かして、分権改革をぜひ実現していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わりにいたします。

○酒井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十三分散会

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