総務委員会速記録第七号

平成十九年六月二十二日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十五名
委員長大津 浩子君
副委員長西岡真一郎君
副委員長倉林 辰雄君
理事鈴木あきまさ君
理事東村 邦浩君
理事古館 和憲君
後藤 雄一君
西崎 光子君
伊藤 ゆう君
神林  茂君
宇田川聡史君
上野 和彦君
三原まさつぐ君
遠藤  衛君
田中  良君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長大原 正行君
儀典長多賀 敏行君
次長河島  均君
理事政策部長事務取扱前田 信弘君
企画調整部長川澄 俊文君
秘書部長長谷川 均君
企画調整担当部長小林  清君
特命担当部長鈴木 賢二君
調整担当部長角南 国隆君
参事中村 信一君
国政広域連携・首都調査担当部長吉田 長生君
自治制度改革推進担当部長中村  靖君
参事中村 長年君
総務局局長押元  洋君
危機管理監中村 晶晴君
理事島田幸太郎君
理事中井 敬三君
総務部長岳野 尚代君
参事和久井孝太郎君
行政改革推進部長松崎  茂君
情報システム部長紺野 秀之君
首都大学支援部長松本 義憲君
主席監察員齋藤  進君
行政部長中西  充君
多摩島しょ振興担当部長松本 栄一君
都区制度改革担当部長森 祐二郎君
参事廣瀬 秀樹君
総合防災部長石野 利幸君
企画調整担当部長鈴木 省五君
勤労部長野口 宏幸君
統計部長金子  優君
人権部長田村 初恵君
団体推進部長笠井 謙一君

本日の会議に付した事件
 知事本局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十一号議案 政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例
 総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十二号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十三号議案 住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例
・第百三十四号議案 東京都恩給条例の一部を改正する条例
・第百三十五号議案 雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十六号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・行財政改革実行プログラム実施状況報告及び追加実施計画の選定(平成十八年度)について
・第二次都庁改革アクションプラン実施状況報告について
・東京都地域防災計画(平成十九年修正)について
・平成十九年度に予定している主な防災訓練について

○大津委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、知事本局、総務局関係の付託議案の審査及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより知事本局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十一号議案を議題といたします。
 本案は既に説明を聴取しておりますので、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○西岡委員 第百三十一号議案、政治倫理確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例について伺ってまいりたいと思います。
 さきの本会議におきます代表質問、我が会派、都議会民主党からの代表質問における知事の答弁では、資産公開制度は、公選の職にある者がその資産を公開することでみずから襟を正すとともに、職務遂行に当たっての公正と公職者自身の高潔を明らかにし、もって政治倫理を確立することを目的とするものである。副知事については都議会の同意をいただき、特別秘書、参与は、都民の信託を受けた私の責任で任命したものであり、私のもとで公正に職務を遂行している。したがって、公選の職ではない副知事などを資産公開の対象とする必要はない旨の答弁を行いました。
 確かに、この条例のもととなった政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律は、国会議員を対象とし、都道府県及び政令指定都市の議会の議員、並びに都道府県知事及び市町村長--特別区の区長も含まれます--の資産などの公開についても、法に準じて必要な措置を講じていることを求めております。
 結果として、公選の職にある者を対象としているが、公選の職ではない者を対象とすることを禁じているわけではないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○長谷川秘書部長 政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律は、国会議員の資産の状況等を国民の不断の監視と批判のもとに置くため、国会議員の資産等を公開する措置を講ずること等によりまして、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発達に資することを目的としており、その対象者は、国会議員や地方公共団体の首長等の公選職のみとなっております。
 対象者の拡大につきましては、政治倫理の確立というこの法律の目的を実現するために、国が公選職にある者のみを対象としたことの意義を考慮すれば、法律の根拠なしに、副知事等の非公選職について資産を公開するのは困難であると考えております。

○西岡委員 困難というご答弁をいただきましたが、都議会の同意を得たり、知事の責任で任命したからといって、自動的に職務遂行に当たっての公正性が確保されるわけではないと思います。都職員から副知事や特別秘書などになられた方は、長年の公務員生活の中で、公平公正な職務執行の訓練を受けておられるわけですけれども、民間から登用される方の公平公正な職務執行については、まだこれは未知数だと考えます。
 選挙によると任命によるとを問わず、自治体の重要な意思決定に関与する権限を持って、その裁量権が大きいため、重い政治倫理責任を負う者は、条例の適用対象とすべきであると考えます。
 例えば、地方自治法では、公正な政治運営、行政執行の確保のため、兼業禁止規定を置いておりますけれども、その対象者はどういう職にある者か、伺います。

○長谷川秘書部長 地方自治法の当該規定は、地方公共団体の公正な運営を確保するために、特定の職にある者が当該地方公共団体との間において請負関係に立つことを禁止しているものでございます。
 具体的には、議員、首長、副知事、行政委員会の委員等がその対象者となっております。

○西岡委員 対象者は、議員、首長に含めて副知事、行政委員会の委員などが含まれるということでありましたが、それらの方々は法に抵触すれば職を失うことになると思いますけれども、いかがでしょうか。

○長谷川秘書部長 対象者が当該規定に該当すると判断された場合は、失職または解職されます。いわば資格要件、欠格条項のようなものでございます。

○西岡委員 失職または解職というご答弁でございます。
 一方、地方自治法では解職請求が認められておりますけれども、その対象者はどういう職にある者になっておりますでしょうか。

○長谷川秘書部長 国にはない地方自治に特有の制度である直接請求の一つでございます議員や首長等の解職請求は、住民自治の徹底を期するために、直接民主主義の原理に基づく権利として住民に認められているものでございます。
 国会議員の資産公開法とはその趣旨が異なるとは思いますが、その対象者は、議員、首長、副知事等でございます。

○西岡委員 こちらの対象者は、議員、首長に含めて副知事も含められているということでありました。
 こうした地方自治法の規定を参考にするならば、政治倫理確立のための資産公開条例である以上、条例の対象は、知事にとどまらず、副知事、教育長、場合によっては公営企業管理者を含めることも検討対象になると思いますけれども、いかがでしょうか。

○長谷川秘書部長 地方自治法は、憲法第九十二条の地方自治の本旨に基づき、地方公共団体の組織や運営の大綱を定め、あわせて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的として、昭和二十二年に定められたものでございます。その中で、地方行政の公正、適正な運営を図るための仕組みが整備されております。
 一方、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律は、昭和六十三年のいわゆるリクルート事件以降相次いだ汚職事件を受けまして平成四年に制定されたものであり、政治倫理の確立と、それによる民主政治の健全な発達を目的としております。このように、地方自治法と国会議員の資産公開法は、法律の制定の目的も経緯も全く異なっております。
 また、我々公務員は、職務遂行の公正性を疑われることがあってはならないわけでございます。そのため、副知事等については、一般職と同様の服務規程もあり、それに違反すれば懲戒処分もございます。欠格条項や請負行為の禁止規定などとあわせ、現行法制下で住民の厳しい監視のもとに置かれております。
 公選職ではない副知事等が公選職と同様に資産公開すべきということにはならないと思います。

○西岡委員 非公選職である副知事が、公選職と同様に資産を公開すべきということにはならないというふうにはっきりとご答弁されたわけですけれども、本当にそのような答弁をされて大丈夫なんでしょうか。私にはちょっと理解ができないんですね。
 というのは、地方自治法の、地方公共団体の健全な発達を保障するという目的と、資産公開法上の民主政治の健全な発達というのは、これは重さではかるべきものではなくて、ほぼ全く同等の、大変重要な目的を共有しているというふうに思いますね。そういう意味で、今のご答弁はどうしても理解ができないところであります。
 一方、他府県や政令市の中にも、対象を既に拡大している例があると思いますし、事実あります。
 どうした事例があるのか、東京都の現状把握を伺いたいと思います。

○長谷川秘書部長 全国の都道府県及び政令指定都市のうち、川崎市及び仙台市において副市長の資産の公開が条例で定められております。

○西岡委員 今のご答弁で、実例がありますよね。そして、実は、都道府県と政令市だけ聞きましたけれども、同僚議員の調査によりますと、都道府県や政令市のみならず、つくば市などを中心といたしまして、既に九つの自治体でも、副市長等が資産公開の対象を拡大しているという実例もあるわけですね。
 そうであるならば、少なくとも副知事を対象に加えることには何の問題もないと考えるわけですけれども、ご見解はいかがでしょうか。

○長谷川秘書部長 今ほどお話し申し上げました川崎市と仙台市においては、副市長の資産が公開されておりますけれども、川崎市においては、昭和六十三年に市の助役が、いわゆるリクルート事件により解職されたことを契機といたしまして、また仙台においては平成五年に市長が収賄容疑で逮捕されたことを契機として、それぞれ条例で定められたものと聞いております。
 資産公開制度は、個人のプライバシーに属する事項を公開する例外的な制度であるため、実施に際しては、公開により得られる公益が個人のプライバシーに明らかに優先されると判断されることが必要でございます。
 また、副知事は、服務規程、欠格条項、懲戒処分など、議員、市長などの公選職にはない規定が課せられており、副知事の職務遂行の公正性は十分に担保されていると考えております。
 したがいまして、法律の根拠なしに、そのプライバシーに属する資産について公開するような状況にはないものと考えております。

○西岡委員 汚職が契機になっているということ、またさらに法律の根拠を重視するという発想は、平成十二年以前、機関委任事務のもとでの発想ではないのかなと思わざるを得ないんですね。自治体の立法権というものがあるんだと思っています。
 この資産公開条例での資産の公開という個人のプライバシーと、副知事などの権限、裁量権が自治体に及ぼす影響とを比較考量するならば、資産の公開が明らかに優先されるのではないかと私は考えます。
 地方自治法と資産公開法というのは、目的、制定の経緯などが全く異なるなどということをおっしゃっておりますが、兼業禁止、請負行為の禁止は何のためなのか。公正な運営の確保、解職請求という直接請求権を行使するためには、必要な情報が公開されてなければならないとは考えないのでしょうか。
 また、私自身は、政治任用や副知事の民間登用というものは、積極的に推進をしていい取り組みだと考えています。
 先ほども述べましたけれども、都職員から副知事や特別秘書などになられた方は、長年の公務員生活の中で、公平公正な職務執行の訓練を受けておられるわけですけれども、民間から登用される方の公平公正な職務執行については、これは全く未知数でありますね。
 とりわけ、副知事のこの間の更迭やトーキョーワンダーサイトを初めとした一連の事態を経験した今日では、新たな民間副知事を登用するには、さらにここでもう一度新しい制度を構築しておく必要があると思っております。
 川崎市や仙台市の条例の制定は、いずれも汚職事件を契機とすると答えられましたけれども、汚職事件が起きてから考えるのではなくて、起きることのないよう、その防止策として公開制度を構築させておくべきだと考えますし、これはだれが副知事になろうとも、常にこういう制度は担保しておく必要があるというふうに考えます。
 日本の首都、世界の東京として、これから十年先の東京を目指して頑張っていくわけですけれども、情報公開についても先進都市である必要があると考えております。
 以上、最後に見解を申し上げましたけれども、平行線の答弁に終わっております。
 最後に、何かありましたら、ご答弁いただきたいと思います。なければ結構です。

○長谷川秘書部長 繰り返しになりますけれども、私どもが把握している副市長の資産が公開されている川崎、仙台については、いずれも汚職事件を契機として条例が定められたと聞いております。
 資産公開制度につきましては、個人のプライバシーと、公開によって得られる公益を比較考量することがやはり必要だと考えております。
 一方で、副知事につきましては、先ほど申しましたように、服務規程だとか欠格条項だとか、いろいろな規定が課されておりまして、職務遂行については公正性は十分に担保されていると考えております。
 したがいまして、法律の根拠がなくて、そのプライバシーに属する資産について現時点では公開するような状況にはないというふうに考えております。

○田中委員 今、やりとりして、伺いましたけれども、基本的に、我々の考えを一つ申し上げておきたいと思いますけれども、この資産公開条例は、かれこれ十三、四年前にさかのぼるお話でありまして、当時、私が一期生のとき、日本新党で当選をして、議員提出議案として上程をいたしました。そして、この総務委員会に付託をされて、一年間議論をしたという経過があります。そのときは、ちなみに私の上司は自民党の古賀先生が政調会長でありまして、一緒に素案をつくったということが、これは事実で、私の拙著にもその経過は詳しく書いてありますので、関心のある方は図書館でお読みをいただければ、印税は、既に廃版になっていますので私に入ってきませんが、そういう経過です。
 同時に、当時我々が条例案を出したときに、公明党さんも条例案を出したと。当時、大木田さんが政調会長でした。それから、社民党--当時は社会党と、たしか生活者ネットの統一会派、これも条例案を出した。三案が総務委員会に付託をされて、私は実は答弁席に座ってその答弁をした思い出がございます。
 その三案の違いは、私どもは、今、西岡副委員長から議論がありましたけれども、基本的には、公の権力行使というものと、それが公正公平に行使されて、私物化されていないということを積極的に都民に理解していただく一つの方法として、こういう方法があるのではないかということで、例えば対象範囲も、特別職、あるいはもしかしたら公営企業の管理者も入れていたかもわかりませんが、ちょっとそこはもう忘れましたが、知事に限らず、その要職にある方、つまり要するに権力の意思決定、公の意思決定にどういう影響力を行使するかということを勘案してその対象者をとらえるべきではないかというのが、対象者の選び方についての基本的な理念なんです。
 それから、もう一つの論点は、公開すべき資産の内容、どこまで公開するかということで、資産というと、これは現金だけではなくて、美術品だとか、自動車だ、あるいは船舶だ何だとかと、いろいろなものがある、その資産の公開をどうするかということです。ざるにならないように厳密に捕捉をしようとすると、今の資産公開条例だと、例えば預金についても、普通預金は除外されているわけで、そういうところも捕捉しないと本当の意味では正確な資産というのはわからないという、資産の内容というのが一つの観点。
 もう一つは、その資産の内容を、それが正確かどうかチェックをする、問題があるとかないとか提起されたときにそれをチェックをする、そういう機関を設置するべきか否か。設置するとしたら、どういう構成で設置するか。大体そういう三つの、資産公開という制度上の議論する観点というのがあって、それで、三案出された中で、それぞれの案にそれぞれの特徴があった。私の記憶では、日本新党の案と社会党の案は非常に近いものであったというふうに思いますけれども、今の現存する条例の基本の形は、実は国の示したモデル条例案であって、それを具体的に提案されたのが、たしか公明党さんの案で、結果的には、それが、今、形になっているというのが経過なんです。
 したがって、今の議論で、平行線ということで終わりましたけれども、あくまでその意思決定、公の意思決定が重ければ重いほど、そこにかかわる影響力のある立場の方々の、ある意味では倫理性、高潔性というものを資産の面から見たときに、都民に対して積極的に信頼を得るための公開制度ということが、あるべき考え方ではなかろうかというのが基本の理念でございます。
 そこは、今お考えを伺いましたけれども、東京都というのはミニ国家ともいわれるぐらい大きな予算規模を持っているし、やっている事業内容も相当の幅の広いものであるし、そういうことを勘案したときに、これからの時代の中で、今おっしゃったようなことがどこまで通用するかどうかというのは、ぜひ今後の検討課題にしていただきたいというふうに思います。
 それから、今般、改めて私どもとして、代表質問でもこの条例について言及をさせていただいたのは、石原知事が三期目を迎えたわけでありますけれども、石原都政の最大の特徴の一つは、私は人事にあるというふうに思っています。それは、石原さんの、ある意味で個人的なブレーンというふうにいってもいい過ぎではないと思いますけれども、そういう方々を都政のさまざまなところに公的にかかわりをさせるという人事を実際に行ってきた、これは石原都政の最大の特徴だというふうに私は思います。
 で、いわゆる政治的任用というか、いわゆる一般の公務員の方々がそのまま特別職についていくというような形は、従来からどこでも行われていることでありますけれども、そうじゃない、石原さん流の、いわゆるその政治指導者のブレーンを、具体的に東京都庁でいえば庁内に登用して、そして行政運営に当たっていくという形、こういう政治手法そのものを、頭から私は否定するつもりはありません。
 日本の地方自治制度というのは、大統領型だというふうに分類をされますけれども、そういう政治制度の議論でいえば、ある意味で大統領的な知事の象徴というようなスタイル、これが石原さんのスタイルだろうと。そのことを全部否定するつもりはありませんが、しかし、そのことは、同時に、行政組織運営に、能力があるかないか、ある意味で未知数の方を主要なポストに重用するということは、その分、成功もするかもしれないけれども、失敗をするというリスクも大きく背負うということに私はなるだろうと。
 したがって、私は、そういう意味で、同時にそういう政治手法、人事手法というものが活用される時代であるならば、それに並行して、そういうリスク回避、あるいは透明性、信頼性の確保の新たな時代に合った制度設計というものを並行して考えていくという発想が必要なんじゃなかろうかということを考えてきたわけです。
 それがすべてではありません。資産公開がすべてなどということは、そんな狭い了見でいうつもりはないけれども、一つの形として、こういう制度を活用して、そういう制度設計の中に組み込んでいくということは、東京都のこの大組織の運営ということを将来考えるならば、私は前向きにむしろ考えていく必要があるのではないか。
 特に、我々がこの問題を提起したときには、民間登用ということは、随分知事は選挙後いわれていましたけれども、具体的な案件としてはまだ上がっていなかった。その時点で我々は提起をしましたが、たまたま偶然、その直後に副知事の同意案件は出てきました。そういうことを勘案したときに、私は、積極的に皆さんの方からそういう新たな提案があってしかるべきではないか、こういう考え方で申し上げてきたわけなんです。
 そのことは、今すぐここで結論をというつもりはありませんが、たまたま出されてきた方は、いってみれば、常に役所に対して情報公開を強く求める発言なり行動なりをされてきた方だという印象が強いわけで、そういう方を出されてきたら、同時に、出されてきたなりの皆さんの制度設計というものは、あってもいいのではないかという期待をしていたわけですが、そういう意味で質疑をさせていただきましたけれども、今後の検討課題として、ぜひ皆さんに受けとめていただきたいということを申し上げて、ご所見を賜りたいと思います。

○大原知事本局長 公務の公正性を担保しなければいけないということにつきましては、特別職であろうと、一般職であろうと、選挙で選ばれようと、そうでなかろうと、みんな共通だろうと思います。
 公正性を担保する手段として、選挙で選ばれる人たちについては、資産公開という手法が法律で決められております。それから、選挙で選ばれるわけではない副知事以下につきましては、服務規律があり、服務上の監督、上司が厳しく監督をしております。
 それから、特に副知事についていえば、任命した知事は、いつでも副知事の首が切れるという非常に強い任命権を持って監督をしているわけでございます。
 そういった手法がございますので、十分副知事の職務の公正性は担保されていると思います。
 ただいまご指摘のあったテーマにつきましては、重要な課題だとは認識をしておりますが、現時点で、副知事以下について資産公開をする必要はないのではないかというふうに考えております。

○田中委員 それも一つのお考えだとは思いますが、例えば皆さん方からご提供いただいた資料の中に、アメリカではどうであるかということも伺いましたけれども、アメリカでは、例えば高級官僚といわれる人たちまでそういう対象になっているというようなことも仄聞をしております。
 したがって、皆さんの考え方が果たして世界的なレベルの水準でいつまで受け入れられるものかどうかということは、ぜひ課題としていただきたいということを申し上げて、終わります。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。

○大津委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百三十二号議案から第百三十六号議案までを議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○鈴木委員 それでは、第百三十三号議案、住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例について質問をさせていただきます。
 この住基ネットについては、国の年金記録問題への対策として、年金の加入記録との照合に活用することが検討されるなど、最近何かと話題となっているところです。
 したがって、今回は、住基ネットの基本的な仕組みや現状などの確認もさせていただきながら、条例案の内容を何点か聞いてまいりたいと思っております。
 そもそも住基ネットとは、各種の行政事務の基礎となっている住民基本台帳を住民の利便性の向上や行政の効率化を図るために全国的なネットワークを図ったものでありますが、平成十四年八月に一次稼働して、翌年の八月の本稼働を経て約五年間たったわけですが、私自身は特に問題なく稼働しているというような認識を持っております。
 この住基ネットの導入によって、都民は、パスポートなどの申請の際に住民票の写しを提出する必要がなくなり、それによって、交付手数料の負担や、区市町村の窓口まで出かけて行く手間がなくなった、不要となったということなど、行政サービスの向上に大いに役に立っているというふうに認識をしております。
 総務省が公表している住基ネットの利用状況を見ますと、平成十七年度の実績で、国の行政機関等における利用が年間約三千万件、都道府県等での利用が約三百六十万件に上るなど、年々増加をしている傾向にあります。
 また、昨年十月からは、厚生年金や国民年金などの現状確認事務にも利用が開始されるなど、今後さらに利用範囲が拡大していく見込みであるというふうに聞いております。
 これ以外にも、住基ネットは、公的個人認証サービスの電子証明書の発行や有効性の確認にも活用され、その発行枚数も年々増加しているなど、行政サービスの向上に不可欠なものとなっております。
 しかしながら、いまだに住基ネットに接続をしていない団体が存在をしており、その住民はこれらのサービスを受けることができない状態が続いているわけです。また、国や都道府県を相手とする住基ネット訴訟も全国各地で審理をされていると聞いております。
 こうした状況の中で、今回、東京都が住基ネットを活用する事務を新たに定める条例案を提案しているわけでございますが、そこで何点か伺ってまいりたいと思います。
 まず、今回の条例案の提案趣旨と内容についてお伺いをしたいと思います。

○中西行政部長 住基ネットの本人確認情報といわれます氏名、住所、生年月日、性別、住民票コード及びこれらの変更情報につきまして知事が利用、提供できる事務は、住基法の別表に規定があります事務に限定されておりますが、この別表に定める事務に加えまして、住基ネットを活用するためには、法第三十条の八に基づいて知事が条例に事務等を定める必要がございます。
 都は、住基ネットの利用拡大を図り、都民サービスの向上と行政事務の効率化をさらに進めるため、知事が利用、提供する事務を条例に規定することといたしました。

○鈴木委員 住基法の別表に定める事務のうち、現在、都において住基ネットを利用している事務にはどのようなものがあるのか。また、先ほども若干全国のあれ出ていますけれども、都においてどれぐらい利用されているのか、お伺いをいたします。

○中西行政部長 住基法の別表に規定している事務のうち、旅券法に基づくパスポートの発給や、恩給法に基づく年金の支給に係る現況確認などの事務に利用しております。
 平成十八年度における都の利用件数は、約六十一万件でございます。

○鈴木委員 都道府県全体で約三百六十万件ということですから、約六分の一にもなっているわけです。
 今でもかなりの実績だと思いますが、東京都は、今回条例を新設して、これをさらに拡大をして、都民サービスや行政事務の効率化を図っていきたいということであろうと考えます。
 それでは、今回条例に規定した事務はどのような基準で選んだのか、お伺いをいたします。

○中西行政部長 住基ネットの本人確認情報を利用する事務の有無について、各局に意向調査を実施いたしまして、所管局から利用希望があった事務のうち、住民サービスの向上や行政事務の効率化が図られるものを対象としております。
 選定に当たりましては、端末の設置が可能であるかどうかやセキュリティー対策等を総合的に勘案をいたしまして、利用環境が整った事務について条例に規定することといたしました。

○鈴木委員 事務の選定に当たって、セキュリティー対策を勘案したという今答弁がありましたが、今回この条例を制定することによって、利用者が拡大するわけですが、都としてどのようなセキュリティー対策を講じるのか、具体的にお伺いをしたいと思います。

○中西行政部長 基本的には、これまでの対策で対応が可能であると考えております。
 ただし、主税局など特に操作者の多い局につきましては、念のため利用者の拡大に対応したセキュリティー対策を講じる予定でございます。
 このため、東京都情報公開・個人情報保護審議会の住民基本台帳ネットワーク部会における意見を踏まえまして、これまで利用課の課長としておりましたセキュリティー責任者を部長級に引き上げて組織的な管理体制の強化を図るほか、これまで利用課で管理をしておりましたICカードと端末を総務部門で管理することとし、さらに端末やカード管理簿などの抜き打ち調査の実施や操作者研修、監査の充実など、チェック体制の強化を図ることなどによりセキュリティーレベルの確保を図ってまいります。

○鈴木委員 セキュリティー責任者を部長級に引き上げてというように、情報を管理する側の責任を明確にするということは、都民に理解を得る上で大事なことだというふうに私は考えております。条例が制定された後は、セキュリティー対策をしっかりとやってもらいたい、そのように要望しておきたいと思います。
 さて、今回の条例で事務が規定されることによって、さらに都民サービスの向上が図られていくことと思いますが、住基ネットに参加していない団体もあり、これらの団体の住民によっては、条例が新設されても、特に関係がない話になってしまうわけですね。
 杉並区や国立市、この二団体が住基ネットに参加していない中で条例を制定することについて、東京都はどのように考えているんでしょうか。

○中西行政部長 住基ネットは、すべての住民の本人確認情報が記録されていることが前提となったシステムであり、住基法第三十条の五の規定により、区市町村長は、住民票の記載等を行った場合には、当該住民の本人確認情報を都道府県知事に通知することとなっております。 住基ネットに接続していない杉並区や国立市は、住民の本人確認情報の更新データを都に通知しておらず、現在、違法状態にございます。
 現在、杉並区と国立市の住民は、他の自治体の住民が受けられるサービスを受けられない状態にあり、都としては大変遺憾に思っております。
 しかし、これらの住基ネットに接続していない団体のためにその利用が制限されてしまうことは、住基ネットに接続している団体の住民が受けられるべき利益を損なうものでございます。
 都としては、住基ネットのメリットを生かし、さらなる住民サービスの向上等を図るため、利用範囲を拡大していきたいと考えております。

○鈴木委員 今お伺いをしてみると、そこまではっきりおっしゃってなかったんですが、杉並区は、都に対して訴訟を起こしていて、一審で都が勝訴したにもかかわらず現在二審で係争中だと聞いていますし、国立市は、四月に市長が交代をしても引き続き住基ネットに不参加を表明しているということで、本当に杉並区民や国立市民、本来受けることのできる行政サービスのメリットを受けられないでいるわけで、本当に遺憾ですね。ね、田中先生。
 それでは、住民サービスの向上を図るために条例を提案したということが、条例で事務を規定することによって、具体的に都民にはどのようなメリットがあるのか、お伺いします。

○中西行政部長 これまで都民の皆様が各種の申請や届け出の際に要していた住民票の写し等の提出が不要となりますので、区市町村の窓口に出かける手間が省けるほか、手数料負担も軽減されることとなります。
 また、納税通知書などが現住所不明で都に戻ってきた場合に、これまでは区市町村に住民票の写しの発行を請求しておりましたが、これらの手続や郵送料が不要となることから、行政事務に要する経費の節減が図れることとなります。

○鈴木委員 各申請の際に、一々住民票の写しを区市町村窓口に取りにいくというのは、この厄介さは、だれもが経験をしているところです。
 今回、条例案に規定している事務や、今の答弁のように行政事務にかかわる経費の節減が図れるということを聞くと、行政側のメリットが多くて、都民側の、都民のメリットは少ないようにも思えるのですが、その点はどのようにお考えになっているんでしょうか。

○中西行政部長 例えば恩給条例による年金の支給事務につきましては、住基ネットを活用することによりまして、該当する都民が住民票の写しを取得する必要がなくなります。
 また、納税通知書等の返戻調査につきましても、住基ネットを活用することによって迅速に住所を確認することができるため、より早く新しい住所へ通知書等を送付することが可能となるなど、都民の皆様へのメリットも十分あると考えております。

○鈴木委員 今回条例で規定する事務について、住基ネットを活用することによる経費面での削減効果はどの程度見込まれているのか。その辺ちょっと具体的にお伺いをしておきたいと思います。

○中西行政部長 都が区市町村に対し住民票の写しを請求する作業時間にかかる人件費や郵送料のほか、区市町村が住民票の写しを発行する作業時間にかかる人件費等を一定の仮定のもとに算出いたしますと、行政側の経費削減見込み額は、約一億二千万円となります。
 これらの事務に住基ネットの利用に伴います端末リース経費やサーバーの保守経費等の費用の増を約四千万円と見込みますと、区市町村も含めまして約八千万円の減が見込まれるところでございます。

○鈴木委員 単年度でも約八千万円の削減が見込まれるということで、これは本当に大きなことだというふうに思いますね。
 最後ですけれども、行政事務の効率化が図れるような事務ばかりではなくて、直接都民サービスの向上につながるような事務に、もっとこの住基ネットを活用すべきというふうに私は考えますが、都はどのように考えているのか、ぜひこれは局長から答弁をしていただきたいと思います。

○押元総務局長 住民サービスの向上と行政の効率化を進めるためには、ITを積極的に活用した行政運営が求められており、住基ネットは、これを実現する上で必要不可欠な基盤であると認識をしております。
 都は、これまでも、パスポートの発行事務などに住基ネットを活用して都民サービスの向上を図ってまいりました。
 今回、条例を制定いたしまして、住基ネットの活用範囲をさらに拡大をしてまいりますけれども、ただいま鈴木理事ご提案の趣旨を踏まえまして、今後も、各局において住基ネットの利用可能な事務をさらに精査をいたしますほか、区市町村において必要性の高い事務にもこの住基ネットのシステムを提供できるように、住基ネットを所管する私ども総務局として、積極的に各局また区市町村の方に働きかけを行いまして、都民サービスの向上に努めてまいりたいと存じます。

○鈴木委員 今、局長から決意を話していただきましたけれども、これは総務局なので、本当でしたら生文さんに聞かなきゃいけないんですけれども、旅券・パスポートの申請のご案内という、これ、ごらんになったことありますかね。
 たまたま私の娘が夏休みに海外に行くものですから、ついてこの新宿の下に行ったんですけれども、今まで、住基ネットを活用してパスポートを取得する場合には、住民票を持ってこなくても、住民票の写しを持ってこなくてもいいんですよね。ところが、このパスポートの申請のご案内には、住民票の写し、次の方は申請日前六カ月以内に発行された住民票が必要です。で、この住民基本台帳ネットワークシステムに参加していない杉並区、国立市--平成十八年十二月現在--に住民登録している方、これは、杉並区、国立市の人は住民票が必要ですよと書いてあるのね。これは行政上はそうなんだと思うんですね、明確に。ところが、こういうことを考えますと、住基ネットを活用しているんだからパスポートの申請に当たっては住民票の写しは必要ないんですよというふうに、むしろこれはやっぱり変えるべきだと思うのね。ですから、ぜひこれは総務局長から、生文の方の局長にいっておいてください。
 それで、最後に、石原知事は、東京都の強みは現場を持っていることで、現場感覚をスピーディーに行政サービスに生かせることだというふうに常々述べていますが、今後も区市町村において必要性の高い事務にも提供することができるよう、さらに研究と区市町村への働きかけを強めていただきたいと思います。
 いずれにしても、この住民ネットを稼働させるのは人であり、東京都職員であります。つまり都民の情報を管理している責任は重く、高いモラルが必要とされるわけです。
 東京都としても、公務員としての規範意識のさらなる向上に努めていただきたいと思います。
 以上、私の質問を終わります。

○西岡委員 先ほど、新設条例に伴いまして、その効果やさまざまなメリットについていろいろと議論があったところでありますので、重ならないように、私からは、住民基本台帳ネットワークシステムの安全面などについて何点かお伺いしてまいりたいと思います。
 住民基本台帳ネットワークシステムは、稼働当初、個人情報保護法を初めとする法制度が整備されてなかったことから、運用に不安を抱く住民も多かったなと認識をしております。
 また、一方では、今も話がありましたけれども、住基ネットに参加してない団体もあるわけであります。
 こうした状況の中で、東京都は住基ネットを活用する事務を新たに定める条例案を提案しておりますけれども、この間、住基ネットのシステムからの情報漏えいではないものの、住民基本台帳の情報が外部に流出したとの報道がなされているなど、安全性の徹底が求められているところであります。
 そこで、東京都の住基ネットシステムの安全性について伺ってまいります。
 住基ネットを運用するに当たっては、法令などに定められた基準に基づいて、制度面、技術面及び運用面のそれぞれにおいて必要な安全確保措置が講じられていると聞いておりますが、とりわけ住基ネットシステムの不正アクセスの対策が大変心配をされているところでありますが、その現状はどうなっているのか、伺ってまいります。

○中西行政部長 住基ネットへの不正アクセスは、外部からのものと内部からのものとに分けられるかと思います。
 まず、外部からの不正アクセスを防止するためには、専用回線の使用や通信データの暗号化、ファイアウオールの設置や、IDSと申しますが、侵入検知装置の常時監視などの対策を講じております。
 また、内部から住基ネット端末の不正利用を防止するためには、ICカードを活用いたしまして、利用者を限定して配布することで対応しております。

○西岡委員 今、さまざまな対応策が答弁されたわけですが、特に内部の不正利用防止といっても、それは実際に住基ネットを利用できる職員を限定しているんだと思いますけれども、住基ネットを利用する職員が不正な行為を行えないようにすることが大変重要だと考えておりますが、この職員の不正を防止するためにどんな対策を講じているのか。これは大変重要なところだと思いますので、ご答弁いただきたいと思います。

○中西行政部長 住基ネットの業務端末の利用者は、住基法の第三十条の三十一によりまして、その事務に関して知り得た本人確認情報に関する秘密または電子計算機等に関する秘密を漏らしてはならないと規定されております。万一この規定に違反して秘密を漏らした者は二年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられるなど、地方公務員法の規定にございます一年以下の懲役または三万円以下の罰金よりも重い罰則となっております。
 また、業務端末の操作者に対する研修については、操作技術に加えまして、法令等の遵守に関する知識を習得させるなど、安全確保対策を講じているところでございます。

○西岡委員 厳しい措置が講じられているということでありました。
 また、最近では、この分野にかかわらず、例えば仕事の持ち帰りですね。いろいろな情報を持ち帰って自宅で仕事をする。その過程の中において、その情報を、何らかの形で忘れてしまったり、落としてしまったり、そういったことによっていろいろな情報がはんらんをしてしまうという、善意ですよね、悪意ではないんですけれども、善意が裏目に出てしまうというような結果もあるわけでして、こういった点も含めて、ぜひ慎重に対応していただきたいと思っております。
 また、それでは、実際に住基ネットを利用する端末機の設置場所とその利用規定は一体どういう形になっているのか。
 この端末機の設置場所については、答弁できない場合が当然あろうかと思います、委員会の場ですから。その辺ご配慮いただいて、ご答弁いただければと思います。

○中西行政部長 住基ネットシステムのセキュリティー確保の観点から、端末機の設置場所について公表することはできませんが、住基ネットを利用する各部署に業務端末へのアクセス等を管理するセキュリティー責任者を置きまして、責任者の目の届く場所に端末を設置するなど、適切に対応しております。
 また、端末の利用に当たりましては、住基ネット稼働当初に定めました東京都住民基本台帳ネットワークシステム運用管理規程によりまして、利用等に係る禁止事項の徹底や盗難防止対策等の措置を講じるなど、システムの適切かつ確実な運用及びセキュリティーの確保に努めているところでございます。

○西岡委員 ぜひ今後とも、大変重要な分野であると思いますので、都庁挙げて、この分野についてきちっとした対策が講じていかれますように、切に要望させていただきたいと思います。
 関連して、二点だけ伺いたいんですが、住基カードについて伺いたいと思います。
 私ももちろん住基カード持っておりますが、住基カードは、転入転出手続の簡素化や公的な身分保障などを目的として、希望者に対して区市町村が交付しているものであり、平成十五年八月から交付されていますが、なかなかそのサービスが、この条例が東京都から新設条例でできて、これからいろいろとサービスの拡大が行われていくことによって若干変わってくるのかもしれませんけれども、交付枚数がなかなか伸びていないと聞いておりますが、東京都における住基カードの取得率というものが今どんな状況になっているのか、一応参考に伺っておきたいと思います。

○中西行政部長 住基カードは、転入転出手続の簡素化や公的な身分証明とすることなどを目的といたしまして、住民の申請に基づいて区市町村が発行するものであり、これまでの発行枚数は、発行を開始いたしました平成十五年の八月から十八年度末までの三年八カ月間分の累計で、全国で約百四十一万枚、都では約二十一万枚発行しております。
 これを十八年三月末現在の住民基本台帳人口で割り返しをいたしますと、全国で一・一一%、都では一・六九%という状況になっております。

○西岡委員 全国でも都でも一%台ということで、意外に少ないんだなというふうに思いました。
 そこで、この住基カードをめぐっては、実は、当初、予測はしていたのかもしれませんけれども、大変厄介な事例、問題が発生しているということを知りました。この住基カードの不正な作成ですね。そして、不正な取得が後を絶たないというふうに聞いております。この住基カードの不正作成や不正取得が、実際にこれは報道されているところもありますけれども、いろいろな分野に悪用されていると伺っておりまして、こういった住基カードの悪用ですね、不正作成、不正取得に対して、東京都はこれまでどんな対策を講じてきているのか。また、どんな事例で悪用されているのか、把握しているところで簡潔にご答弁いただければと思います。

○中西行政部長 これまでに起きた事例といたしましては、他人になりすまして住基カードを取得し不正に資金融資を受けた事例のほか、銀行口座の開設や携帯電話の契約に悪用していた事例などが報告されております。
 これに対して、国は、これまで以上に本人確認を徹底するよう通知したところでございます。
 また、都といたしましても、区市町村に対して注意を喚起し、本人確認の徹底を図るよう要望してきたところですが、引き続き万全の対応を図るよう区市町村の担当課長会の場などでさらに周知を図ってまいります。

○西岡委員 この交付枚数をふやしていくことも必要であろうかと思いますけれども、こうした不正取得による不正行為が後を絶たないようであれば、いつまでたっても住基カードの信頼性が高まらないと思います。
 今の段階では、基本的に、区市町村の窓口で、住基カードの申請者が本人であることの確認を厳格にしていただくしか方法はないようであります。
 また、一方で、住基カードの仕組みというか、カードそのものが防止されるような技術を生み出すことも大事なのかなというふうにも考えますけれども、東京都といたしましても、区市町村に対して、不正取得の防止に向けた本人確認の厳格化を改めて周知徹底していただくことを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○東村委員 それでは、質問が重複しないように、先ほど鈴木理事がかなり何点か、セキュリティーの問題も、拡大の問題も、今、西岡副委員長も聞かれていましたので、聞きたいことは何点かはしょりまして、これだけということにして質問したいと思います。
 私は、今回、都の区域における都条例で定めるものを、新たに条例として設定したことは大賛成です。
 というのは、この住基ネットの問題、一つはセキュリティーと利便性、効率性という相反関係にあるんでしょうけれども、セキュリティーさえしっかりしておけば、これほど便利なことはない。
 ただ、私は一点残念なことは、今回の対象事務、期待をしていたんですけれども、福祉保健局が入ってないんですね。やっぱり福祉保健局が、私、一番必要だろうと思っているんです。高齢者の人がわざわざ、特に八王子は広いものですから、面積も広いし、場所もそんなにとれるところないですから、高齢者の人が一々一々住民票をとって、そしてまた都に申請をするというのは、これほど大変なものはないと思います。また、福祉保健局は子どもも扱っております。また、さまざまな資格を取るときの住民票の取得も福祉保健局あるんですけれども、なぜこの福祉保健局が今回入ってこなかったのかということに、非常に残念な思いなんですけれども、ぜひとも今後は、こういった弱者の人というんですかね、本来こういうサービスを受けられれば一番恩恵をこうむるところこそ、こういった事務の対象に私はすべきだと思います。
 先ほど鈴木理事からも話が出ていましたけれども、どちらかというと行政の効率性の面ばかり、うがった見方をするかもしれないんですけれども、行政の効率性のところばかりがクローズアップされていまして、やっぱりこういう住民サービスがこの住基ネットを使うことによって本当に利便性を受けるんだよ、その上でセキュリティーがしっかりしていれば大丈夫なんだよということを周知していけば、恐らく国立の市民も、杉並の区民も、声を上げてくると思います。まだまだどちらかというと行政側が利便性を享受してるんじゃないか、こういう面が強いものですから、ここをぜひとも総務局長の立場で、先ほど各局に働きかけるという話がありましたけれども、まずは福祉保健局からぜひともやっていただきたい。このことについて見解を伺いたいと思います。

○押元総務局長 ただいま東村理事からご指摘のありました福祉分野でございますが、子どもからお年寄りまでの都民生活に直結をするサービス、あるいは障害者の方々への支援、さらに、今お話しありました各種の資格試験受験の際の利便、あるいは許認可事務など、福祉保健の分野というのは業務が広範囲にわたっておりますので、こうした分野において、より一層の手続の簡略化を図るということは、都民の利便性の向上に大きく貢献するものと考えております。
 したがいまして、今後は、都民生活に直結いたしますサービスにも積極的に拡大をしていくよう、住基ネットを所管する総務局として、各局に対しまして強く働きかけをしてまいります。

○東村委員 その上で、セキュリティーの問題で、先ほど西岡副委員長が、内外ともにセキュリティーどうなっているのかという話をされました。特に内部職員のセキュリティーの問題について質問されて、かなり厳重にやられているという話が、もうちょっと突っ込まれるのかなと私は思ったんですけれども、お話がありました。
 私がちょっと心配しているのは、国の年金記録の問題、基礎年金番号を導入して一人一つの番号に統合するといった問題も、これは恐らく当時準備をしてきたと思うんですね。現に、平成八年の参議院の本会議でも、当時の厚生大臣が、徹底した対策を講じて万全を期してまいりたいという、かなり明快な答弁をされました。
 ただ、実態を調べたら、三億の記録を統合するのに、はがきを出して返ってきたのは九百万枚しかなかったと。普通は、そこで次のアクションを起こすんでしょうけれども、アクションを起こさなかったという、こういった問題もありました。
 よもや東京都は、国みたいなことはないと思うんですけれども、最終的に、この年金の統合問題も、任に帰していた部分も結構あるわけなんですね。こういうことを考えたときに、先ほど罰則規定をきちっと設けているから大丈夫だという話があったんですけれども、非常に任に起因する部分というのは怖い部分があるんだなということを、私は一連のいろんな流れの中で痛感しているわけなんです。
 ぜひともそういった意味で、こういったセキュリティーの問題は、性善説に立つということも大事なことなんですけれども、やはりそこをどうチェックしていくかということもしっかりやっていかないと、罰則があるから大丈夫だという発想は、これは性善説に立っているわけでありまして、その辺をきっちりセキュリティーを確保していただければ、今加入していないところも恐らく入ってくださるでしょうし、裁判の訴訟なんかはほとんど行政側が勝っていて、セキュリティーには問題ないということが出ているんですけれども、もう一度、決して安心することなく、今、国でああいう問題が起きているということは、東京都は大丈夫だよという発想ではなくて、もう一度手綱を引き締めて、東京都の中もそういう問題が起きない体制を、ぜひとも総務局長を中心として確立していただきたいということを申し述べまして、質問を終わりたいと思います。

○古館委員 それでは、第百三十三号議案、住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例について何点か質問いたします。
 最初に、住民基本台帳ネットワークシステムのそもそものねらい、目的は何なんでしょうか。

○中西行政部長 いわゆる住基ネットは、住民基本台帳法に基づきまして、各区市町村における住民基本台帳のネットワーク化を図り、全国共通の本人確認ができる仕組みを構築するものでございます。
 その目的は、住民が行政機関に提出したり、行政機関が公用のために区市町村に対して行っていた住民票の交付請求を不要とするなど、住民負担の軽減や行政事務の効率化を進めるものでございます。

○古館委員 今、住民基本台帳のネットワーク化を図って、氏名とか生年月日、性別、住所、この四情報ですね。それで、全国共通の本人確認って、これ自体が、住民が別に全国共通で何か必要かということになると、そんなに切実というか、身近なものでもないですよね。別に全国共通でむしろ迷惑だという人の方が多いかもしれないですよね、この面でいいますと。だから、この本人確認というのを一元的に管理するシステム、これ自体にさまざまな議論があるというのは、私はうなずけるんですよね。
 それから、住民サービスの向上と行政事務の効率化という、これがふれ込みなんですけれども、この法律ができたときから、このプライバシーの基本にかかわる個人情報が流出したり、不当に利用されているというのは、これまでの各会派の方の質問の中でも出ているとおりなんです。
 そこでお尋ねしますが、今回条例として出されている住民基本台帳ネットワークシステムについて、現在四十七都道府県ありますけれども、その進捗状況はどうなっているんでしょうか。

○中西行政部長 ご質問のありました条例を定めている道府県は、平成十九年六月現在、十三県でございます。

○古館委員 四十七都道府県の中で十三自治体と。ですから、今回、東京がこういう形で入るということになりますと、住民基本台帳ネットワーク化で、都道府県の中で十四番目になると、こういうことだということですね。
 そこで、先ほど、私と同じ質問だったので、自治体が発行している住民基本台帳カード、この交付率についてということで聞こうと思ったら、それぞれ全国平均も一%台で、それから東京都も一%台と。ですから、これ自体、そんなに国民が待ち望んでいるということではないということは、この一%台ということが何よりも物語っているんだということは、やっぱりきちんと認識する必要があると思うんですね。ここは、だから質問しません、今わかりましたので。
 そこで、住基ネットのシステム導入の条例化というのを、私は急ぐ必要なんかないと思っているんですけれども、なぜこんなに急ぐんですか、東京都として。

○中西行政部長 住基ネットは、平成十四年の八月に一次稼働して以来、約五年にわたりまして安定的に稼働し、パスポートの発行などさまざまな都民サービスの向上に寄与してまいりました。
 一方、他府県では、先ほど申し上げましたとおり、本年六月現在で十三の県について条例が制定され、より広範囲の事務に住基ネットの本人確認情報が活用されております。
 現在、行財政システム全般にわたります改革に取り組んでいる都といたしましても、昨年の七月に策定をしました行財政改革実行プログラムにおきまして、住基ネットを利用する事務等を定める条例の提案を明確化するとともに、庁内における利用ニーズ等の調査などを実施してまいりました。
 このようなことから、今回、住基ネットの本人確認情報を利用する条例を定め、住基ネットを利用する事務等を拡大していくものでございます。

○古館委員 東京都の、今回十三事業ですよね。住民個々人からすると、多くの方々が住民基本台帳のネットワーク化というのを急いでしなきゃならないという緊急性を感じていないということは先ほど述べました。むしろ自分の個人情報が全国ネットワーク化されるということに不安を感じていると。
 この点について、ちょっと済みませんが、質問するよといってないんだけれども、この点についての不安感というのは、やっぱりあるんじゃないですか。いかがですか、その点。

○中西行政部長 個々人によりまして考え方が違うところはあるかと思いますが、住基ネットにつきましては、セキュリティー対策が非常に厳重に定められておりますので、大方の国民の方からはご信頼をいただいて運用してきていると思います。
 また、この五年間で、これといった住基ネットを原因とする情報流出等の事故は起こっておりません。

○古館委員 結局、東京が起きるとか起きないとかということもさることながら、全国的に同一のいわゆるネットワークというか、そういう形になっていくわけですよね。だから、そういう意味でいうと全国規模なんですよ。
 実際に、マスコミなんかでは、ある有力マスコミですが、山口市とか、あるいは愛媛県の愛南町などで、住民の個人情報がインターネット上に大量流出したと、こういうことが明らかにされたんですね。
 それから、同じマスコミの解説では、各自治体間で財政だとか人的な格差があると。こういう中で、住民基本台帳ネットワークシステムというのが、全国同一の安全水準というのを維持してネットワークで結ぶ電子自治体の難しさと、こういうのを改めてこの問題は浮き彫りにしているんだと、こういうふうにある大きな新聞の解説でいっています。
 また、同様にこの新聞では、より課題の多い人的な問題による流出を十分検証してこなかったツケが今回ってきていると、こういうふうに指摘をしているんですね。
 そこでお尋ねをしますけれども、住民基本台帳ネットワークシステムについて、東京都として住民の意見やニーズについて把握したことがあるでしょうか、いかがですか。

○中西行政部長 まず、住基ネットの導入に当たりましては、国が平成六年に有識者によります住民基本台帳ネットワークシステム懇談会を立ち上げ、住民記録システムのネットワーク構築等に関しまして検討を行い、その結果をもとに住民基本台帳法の改正案を作成いたしました。その際にはパブリックコメントを行いまして、幅広い国民の意見を募り、検討結果に反映させているところでございます。
 一方、今回の条例提案に当たりましては、先ほども申し上げましたが、都は、昨年七月に発表した行財政改革実行プログラムにおきまして、住基ネットを利用する事務等を定める条例を提案することを既に明らかにしたところでございます。

○古館委員 簡単にいえば、答えになっていないんですけれども、有識者会議で、その際にパブリックコメントと。
 ただ、私が聞いたのは、東京都としてということと、東京都のやったことは、昨年の七月に策定した行財政改革実行プログラムで、こういう事務のこの方針を明確にしたんだよということであって、私が質問した住民の意見やそういう意味でのネットワークシステムのニーズについて把握したということはいいがたいなということだけ指摘をし、今後、やはりそういう努力はしていただきたいということは、これでは要望にさせていただきたいと思います。
 兵庫県では、本人確認情報の提供、利用及び保護についてという形で条例をつくっているんですね。私、兵庫県のを取り寄せたんです。そうしたら、東京都の場合は六条で終わっているんですね。だから、基本的なこと書いただけなんですよ、東京都の条例は。
 ところが、兵庫県の場合は、十一条まであるんですね。その中に、安全確保についてというのが、きちんと条文化されているんですよ。そのことについて承知しているかということと、この安全確保に関する第八条では、その一で「知事は、本人確認情報の漏えい、滅失及びき損のおそれがあると認めるときには、直ちに調査を行い、又は国の機関若しくは法人、他の執行機関、県の区域内の市町の執行機関、他の都道府県の知事その他の執行機関又は他の都道府県の区域内の市町村の執行機関に対し、報告を求めるものとする。」など、四項目にわたって安全確保対策というのをこの条例の中にきちんと盛り込んでいるんですね。
 都として、この安全確保条項というのを今回なぜ設けなかったんでしょうか。

○中西行政部長 まず、兵庫県の条例につきましては存じ上げております。
 都におきましては、住基ネットのセキュリティー対策といたしまして、平成十四年の八月の一次稼働時に、法令等に基づいた緊急時の事務処理体制等を規定をいたします住民基本台帳ネットワークシステム東京都緊急時対応計画を既に策定をしております。
 この中で、セキュリティーを侵犯する不正行為や障害の脅威度に応じた厳格な基準を定めまして、万一の緊急時にはシステムの停止等の措置も講じることができるよう、非常に詳細に厳格に運用しているところでございまして、改めて条例化する必要はないと考えているところでございます。

○古館委員 私は、これはこれで一つの独立した条例だと思うんですよね。だから、そっちの方でこうやってますというんじゃなくて、やっぱりこれは、自分たちのこの住基台帳のネットワークシステムがどうなっているのか、住基カードの問題とか、自分のプライバシーの問題とかにかかわる中身であって、むしろそこのところは慎重であってしかるべきなんですよね。しかも、どこかに書いてあったからそれで済むという話にしてはならない問題なんですよ。
 そこの問題についてはいかがですか、もう一回話聞きたいんですが。

○中西行政部長 先ほどご答弁申し上げました住民基本台帳ネットワークシステム東京都緊急時対応計画でございますが、これの根拠になっているのが、東京都住民基本台帳ネットワークシステム運用管理規程という訓令でございます。
 万が一職員が先ほど申し上げました対応計画に反するような行為を行った場合は、訓令に基づく計画でございますので、当然その職員の責任を問うことも可能でございます。そういう意味で、この訓令、計画ということで、いわゆる条例と同じような規範としての機能はあるものというふうに考えます。
 なお、私どもが対応計画で定めております内容につきましては、兵庫県が条例で定めているよりも一段と厳しい内容になっております。

○古館委員 そういう形で、今、訓令といいましたけれども、私はこれ以上ちょっと今やる気はないんですが、訓令ということと、条例上の中に盛り込むということでは、全く違う性格を持っているということだけ述べて、やっぱりこの問題が、恐らくいやが応でも決まるんでしょう。だけども、その場合に、どうしたら本当に都民の情報の安全というのを確保していくのか、二重三重の意味で、それこそそういう意味でのセキュリティーが必要なんだということを強く指摘をしておきたいと思います。
 最後に、行政機関の個人情報保護法は、官庁による個人情報の目的外の使用も、相当な理由があればよいと、こういうふうに行政機関の個人情報保護法の中で触れているんですけれども、これは個人情報が使われていくというおそれがあるということじゃないかと思うんですが、その点についての認識をお伺いしたいと思います。

○中西行政部長 行政機関にはさまざまな個人情報が集まってまいりますが、個人情報の利用につきましては、私ども非常に厳しい守秘義務が課されておりますので、そういった一定の制約の中で、法令に従って事務処理をしているものでございます。

○古館委員 これは来週の月曜日に私どもの態度表明はしたいと思いますけれども、やっぱり拙速さを避けるべきであるというふうに考えています。
 やっぱり住民基本台帳のネットワークシステム、先ほどからいってますけれども、住民の間からまだ認知もされていないなと。しかも、住民基本台帳カードの発行も一%台という形ですから、私は、この問題については拙速さを避けるべきだということだけ申し述べておきます。
 以上です。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○大津委員長 次に、報告事項、行財政改革実行プログラム実施状況報告及び追加実施計画の選定(平成十八年度について)外三件を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○神林委員 報告事項にございます行財政改革実行プログラムについて、何点か質問いたします。
 先日、私は、報道番組におきまして、省エネ請負人の取り組みが放映され、成功報酬契約の厳しい条件下において、すべての施設で二割から三割程度の省エネが実現できるとの発言がございました。
 一方、都においては、都有施設の省エネについては、電力経費その他のコスト縮減や地球環境保全の見地から、喫緊の課題として、さまざまな取り組みを推進していると思います。
 例えば都庁舎の夏季二十八度空調設定や定時全庁一斉消灯、さらに副都心エリアの地域冷暖房や中水道など、多面的に実施しております。
 このような観点から、行財政改革実行プログラムに掲げる施策を見てみますと、内部管理コストの見直しの中に、ESCO事業などの推進という項目があります。
 まず、初めに、簡略で結構でございますので、確認の意味で、ESCO事業とはどのような取り組みなのかをお伺いいたします。

○松崎行政改革推進部長 ESCO事業のエスコ、ESCOでございますが、これはエナジーサービスカンパニーの略称でありまして、省エネルギーを企業活動として行う民間事業者のノウハウを活用して、施設のCO2排出量及び光熱水費の縮減と設備機器の改修を行う事業でございます。
 ESCO事業者が、設備機器の改修とともに、機器を効率的に運用するための運転監視、メンテナンス、エネルギー使用状況の計測、検証を行いまして、発注者の委託を受けた光熱水費の縮減額を保証することが大きな特徴でございます。

○神林委員 エネルギーサービスカンパニーでございますか、余り何でもかんでも頭文字で出しちゃいますと、本当の意味がわかりづらい面が多いとは思いますが、その部分について今議論しようとは思っておりません。
 ESCO事業については、行財政改革実行プログラムにおいて、ESCO事業の効果を検証しつつ、順次実施していく旨が計画に掲げられております。
 そこで、本委員会に報告された同プログラムの実施状況によると、これまで都立病院で実績があるようですが、平成十八年度の取り組み内容とその効果については具体的にどのようになっているのでしょうか。
 また、あわせまして、この事業のトータル的な収支をどのように見込んでいるのか、伺います。

○松崎行政改革推進部長 平成十八年度からESCO事業を導入いたしました都立広尾病院では、省エネルギー率二七・〇%、CO2削減率二八・五%、光熱水費削減額、年間で八千二百六十万円といった効果がございました。
 また、都立大塚病院及び墨東病院におきましては、事業者の選定や公募など、ESCO事業導入に向けた取り組みを行っているところでございます。
 事業のトータル的な収支につきましては、都立広尾病院の場合、ESCO事業に係る改修工事費を同事業のESCO導入による光熱水費の縮減額で割り返しますと、約六年間で工事費を回収できる見込みとなっておりまして、同病院の主な設備系の減価償却期間が約十五年となっておりますことからも、本ESCO事業は効果的な仕組みとなっているものと考えております。

○神林委員 ただいま答弁にあったとおり、十八年度の効果を見ますと、ESCO事業は、都有施設の保全、維持管理においてコストの縮減と地球温暖化対策の両面で効果が出ており、十分実効性のある取り組みと考えられます。
 私が調査したところによりますと、都有施設は約二万施設あるそうです。これらの施設は、運用形態や使用実態に違いはあるにしても、また建築の特徴や設備の状況などが多様であることから、すべての施設に導入するというわけにはいかないとは思いますが、そこで、今後ESCO事業を推進していく上で、どのような課題があるのか、伺います。

○松崎行政改革推進部長 ESCO事業を導入するに当たりましては、一般に、二十四時間三百六十五日稼働している施設など、エネルギー使用量が多い施設が適しているとされております。
 しかし、このような施設でありましても、施設そのものに大規模改修が予定されておりましたり、設備機器の耐用年数が相当期間残っているものなどにつきましては、同事業導入のメリットが発揮されにくいことが指摘されております。
 そこで、ESCO事業の実施に当たりましては、施設の特性や設備の状況などを踏まえることが必要であるとともに、今回都立病院で実施をいたしました同事業の効果について十分に検証をした上で、今後、所管局におきまして都における取り組み方針を策定することといたしております。

○神林委員 今、所管局において都における取り組み方針を策定すると、こういうご答弁がございましたけれども、十分期待しているわけでございますが、私が先日見た報道番組での安全器による熱放出の改良とか、あるいは水銀灯などへの反射板の活用、エアコンに気流循環装置を設置したり、あるいは空調システムをセンサーでモーター出力を調整するなど、省エネ技術は、ほとんどの都有施設でも容易に導入可能であると私は判断させていただきました。
 また、先般、平成十九年の五月でございますが、都では、省エネ東京仕様二〇〇七を策定し、都の施設を最高水準の省エネ仕様に転換し、CO2削減に向けた取り組みをさらに進めることと聞いております。
 そこで、まず隗より始めよの言葉にもあるように、今後は、都有施設の維持管理など、ESCO事業で得られた民間ノウハウをさらに発展させるとともに、新たな省エネ仕様を積極的に都有施設に適用していくなど、広く他の範となる先駆的な省エネ対策の推進を通じてしっかりとコスト削減を図っていただくよう、ここで要望しておきます。
 次の部分に入りますけれども、このような内部管理コストの縮減に関して、私は、昨年の第四回都議会定例会の一般質問でも取り上げましたが、都のような巨大組織は、往々にして組織としての一体感の醸成が難しく、縦割りの形態になりがちであることから、局の垣根を越えて重要課題の解決に取り組めるよう、局間連携を強化していくことが重要であります。
 そして、都庁の仕事自体の進め方、いわゆる業務プロセスを見直していくことで、業務の一層の効率的執行を図り、都民サービスの質を向上させていくことが必要であります。
 そこで、行財政改革実行プログラムでは、総合調整機能の強化として、局の枠を越えて主要課題に対して機動的かつ柔軟に対応し得る体制を整備するとしています。
 現在、都では、幾つかの課題で、副知事をトップとする横断的戦略組織を立ち上げ、活動を始めていると聞いていますが、都庁の仕事自体の進め方を見直し、業務の効率化を図ることについてもそのような機動的な体制が必要であります。
 こうした中、行財政改革実行プログラムにおいても、IT化による業務運営の効率化という項目の中で、全庁的な都のIT執行体制を見直すとしていますが、どのように見直しを行ったのか、お聞きいたします。

○松崎行政改革推進部長 IT化は、業務運営の効率化を図る上で重要なツールでありまして、これまで都庁においてもIT化に取り組んできたところでございますが、知事部局や公営企業局など、任命権者ごとに個別にIT化を進めてきた傾向がございます。
 このため、副知事級の情報統括責任者を設置しまして、業務改善を踏まえた都庁のIT化全体の最適化を図ることといたしました。
 さらに、情報統括責任者のもと、IT業務改革会議を設置し、業務改革と連動した今後のIT戦略の方向性を示すための全庁横断型の戦略会議として位置づけるなど、都庁のIT執行体制を再編したところでございます。

○神林委員 今、答弁の中に、情報統括責任者に副知事が就任し、ということがございましたけれども、このもとで全庁横断的にIT戦略推進していく体制が整備されたということは、昨年から出ております「十年後の東京」にも示された総合的施策を推進していくためにも、時宜を得た取り組みとして評価をさせていただきます。
 それでは、この新たなIT執行体制のもとで、業務改革に向けて具体的にどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○松崎行政改革推進部長 IT業務改革会議につきましては、四月二十三日に第一回会議を開催いたしまして、情報システムの見直し等、都政情報の提供等の充実、業務改善マネジメント力の強化、これら三つの課題に取り組むことを決定したところでございます。
 具体的には、新たなIT化取り組み方針の策定や情報セキュリティー対策の強化、IT利活用等による情報公開事務の見直し、業務改革を通じた超過勤務の縮減を初め、重点的に取り組む事項につきまして課題別会議を開催し、現状の把握と課題の掘り下げ、その改善に向けた取り組みの基本的方向性など、全庁的な見地から検討を進めているところでございます。

○神林委員 私がこれまで質問したとおり、ESCO事業の推進など内部コストの徹底した削減を進めるとともに、ITを活用した業務改革を全庁横断的に推進することなどにより、簡素で効率的な質の高い行政運営を実現することは、ただ単に職員定数の削減ということばかりだけではなくて、まさしく行財政改革の柱となるべき取り組みと考えております。
 私の従来からの口癖でもあるんですが、行財政改革は、これで完了したということはございません。日々変貌する行財政運営の中で、都民のために常に見直し、最少の経費で最大の効果を上げるため、今後とも、このような量と質の行財政改革を不断に実施していくことが重要と考えます。
 そこで、前にも質問させていただいたこともございますが、改めまして行財政改革を推進する上での局長の決意を伺って、私の質問を終わります。

○押元総務局長 東京都は、これまで、職員定数の大幅な削減や税収確保対策の推進など、国の改革に先んじまして一貫した行財政改革に取り組み、着実な成果を上げてきたところでございます。
 引き続き内部管理コストの縮減を初め、量の行革に徹底して取り組みますとともに、都民サービスや行政運営の一層の向上を図るために、全庁横断的な執行体制のもと、ITを活用した業務改革を戦略的に進めますなど、質の行革も強力に進めていくことが必要であるというふうに考えております。
 行財政改革に完了はないという趣旨の神林委員の言葉がございましたけれども、引き続きまして、このような量と質の両面からさまざまな先駆的な改革を推進をいたしますことにより、新たな政策展開の基盤となります、スリムで効率性の高い行政運営の実現を目指してまいりたいと存じます。

○大津委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十二分休憩

   午後二時五十五分開議

○大津委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続けます。
 ご発言お願いいたします。

○西岡委員 それでは、総務局関係報告事項、東京都地域防災計画(平成十九年修正)につきまして、簡潔に伺ってまいりたいと思います。
 今般出されました地域防災計画に関しましては、減災目標が数値として明らかになるなど、これまでの、いわゆる防災計画としては一定大いに評価できる点もありますし、一方、大変また心配をされている点もありますので、その心配をされている点二点を伺っていきたいと思っております。
 一点目が、首都直下地震が発生した場合、東京都区部の住民六十三万人が避難所に収容し切れないという調査の結果を、国の中央防災会議が発表をしました。特に葛飾区、江戸川区を初めとする東部、南部を中心に避難所が不足する。また、耐震性が不足している避難所が三割に上るということでありました。
 一方、平成十九年六月の八日には、文部科学省から、公共学校施設の耐震改修状況調査の結果についてが発表されておりまして、翌日の朝刊各紙でもかなり大きく報道されておりましたが、東京の公立小中学校で、耐震性のない建物が千九百九十六棟あるということが発表されまして、これは大変心配される事態だなと。都民の生命、財産を守る、この震災対策というのは、とても重たい施策であり、命にかかわるものでありますから、何よりも優先をしていく一つの大きな政策であるというふうに判断をしておりますが、東京都では、こういった数字が発表になっているわけですけれども、公立小中学校の耐震化を進めるために、改めて、今後どのように取り組んでいくのか、まず最初に伺っていきたいと思います。

○石野総合防災部長 都内の公立の小中学校につきましては、本年の四月一日現在の数字でございますが、その耐震化率は七二・四%であります。全国平均が五八・六%ということでございますので、相対的には高い数字にございますが、今回新たに策定いたしました地域防災計画では、今後さらに校舎の改築や補強を行いまして、平成二十七年度までに耐震化率一〇〇%を達成することとしてございます。
 このため都は、今月末には庁内横断型の戦略会議を設置する予定でありまして、この会議の中で、防災上重要性の高い建物につきまして、耐震化の推進を検討していく考えでございます。

○西岡委員 あと八年後になりますが、平成二十七年度までに耐震化率一〇〇%を達成したいということでありました。この答弁をもって、わかりましたと、はいというわけにはいかないというふうに思っておりまして、東京都の税収も堅調ですし、行財政改革の効果もあらわれていますね。わかりやすくいえば、その浮いたお金をどこに施策として振り向けるかと、都民サービスのどういった分野を向上させていくのかといったときには、いろいろな判断があるかと思いますが、私は、この震災対策というのは大変判断基準の高い、優先順位の高い施策の一つだというふうに思っております。
 現に区部では、中央防災会議の発表では、六十三万人が避難所に収容し切れないという調査結果が出ておりますと、これは大変深刻な事態だなと思っておりまして、都の、これからも引き続きもっと財政再建を行っていくわけですけれども、自由に使える、都民のサービスを向上させる、あるいは、生命と財産を守るために、その施策を向上させていく上で、この分野の優先順位は高いと思いますから、この平成二十七年という数字をどれだけ前倒ししていくことができるか、どれだけ早く耐震化率一〇〇%を達成するのかということが、極めて重要ではないのかなというふうに思っておりますけれども、ご見解をぜひ伺ってみたいと思います。

○石野総合防災部長 先ほども申しましたけれども、二十七年度までに耐震化一〇〇%を目指すとしてございますので、具体的な検討はこれからでございますが、先ほどもご答弁させてもらいました、これから今月末に設けます庁内横断型の戦略会議、これの中で防災上の重要性の高い建物について、早期の耐震化を図るということで検討することになっておりますので、その中で検討してまいりたいと思っております。

○西岡委員 少しでも早く、一刻も早く、耐震化率一〇〇%を目指して鋭意努力していただきたいということは、強く求めていきたいと思っております。
 同じ会派の伊藤ゆう委員も、この問題に大変熱心に取り組んできた同志の一人でありますけれども、文科省から発表されたこの新聞記事を見て大変心配された都民の方がたくさんいらっしゃると思うのですね。
 もう一つ要望したいのは、この新しく策定された地域防災計画が、どれだけ都民の方々に浸透するのかということが、極めて重要な一つのポイントかなと思っております。いただいた冊子を見ると、大変分厚い資料ですから、これを、都民の皆さんどうぞというわけにはなかなかいかないかもしれませんが、わかりやすく、さまざまな場を通じて、これからの震災対策の重要性や、東京都が掲げた方針について、いろいろな場を通じて都民の方々に呼びかけていただきたいということも、あわせて要望していきたいと思っております。
 さらに続きますが、また避難所は、災害によって住宅を失った場合に一定の期間避難生活をする場所で、小学校区の範囲になります。区部は人口が多い都市部のため、避難所をこれ以上ふやすことが難しく、現在では、この区部の避難生活をしなければならない方々は、多摩地域や他県に広域的な避難を行わざるを得ないということだと認識をしております。
 また、東京都の計画では、十年後までに、住宅等建築物の耐震化等、また同時に不燃化を進めて、約九十万人の避難者を減らす目標を掲げておりますけれども、この達成というのは大変高い目標だなと、本当にこれ達成できるのかどうなのかなというところが、まだ私の中では理解ができておりません。
 都のまちづくりの最終目標というのは、逃げないで済むまちづくりでありますけれども、避難所と減災対策の充実に向けた取り組みについて、伺っていきたいと思います。

○石野総合防災部長 今回新たに策定しました地域防災計画の中では、まずは避難者の数そのものを減らそうということで、避難者の減を減災目標の一つとして定めてございます。
 その避難者の減を実現するために、まず、建物の耐震化や不燃化の促進、消防力の充実強化などを図ることによりまして、避難者数の三〇%減を目指すこととしております。
 さらに、ライフラインやエレベーターの早期復旧、応急危険度判定の早期実施態勢の整備によりまして、ライフライン被害等によります避難者を、発災後七日以内に帰宅できるようにして、避難者の減を図ろうと考えております。
 一方で、新たな避難所の確保も必要になる場合もございますが、そうした点につきましては、設置者であります区市町村が、民間施設の活用も含めまして多様な手段を講ずることになりますが、都といたしましても、私立学校などに対しまして、避難所としての提供を積極的に働きかけるなど、区市町村の避難所確保を支援してまいりたいと考えております。

○東村委員 それでは、私の方から、行財政改革実行プログラムの実施状況報告について、何点かお伺いしたいと思います。
 先般、知事本局においてはこの質疑をさせていただいたんですけれども、総務局でなかなか機会がなかったものですから、きょう改めて、この機会を設けさせていただきたいと思います。
 特に、この実施報告の中に出ております都立病院改革、ここにこう書かれております。「平成十九年三月に都立病院経営委員会を開催し、今後の都立病院の経営形態のあり方について検討を開始しました。」検討が始まったということが記載されておりましたので、それを踏まえまして、何点かお伺いしたいと思います。
 この都立病院の経営形態については、行財政改革実行プログラムにおきまして、地方独立法人化などを視野に入れた経営形態の検討を行うこととしていると、こう記載がされています。
 そこで、今の都立病院というのは、都立病院改革のマスタープランから始まって、実行プログラムという段階に来ている最中なのですけれども、そういう中において、今まで、この都立病院改革というのがずっと積み上げでやってまいりました。特に、私の地元は都立八王子小児病院があった関係で、この統廃合されることによる、大きな穴があくという問題があった関係で、本当にこの問題については断腸の思いで、府中に小児総合医療センターという、よりよいものができるということで、断腸の思いで、そのあいた穴をどうするかということを、また行政の皆さんと検討もさせていただいてきたわけなんですけれども、ここに来て、いわゆる地方独立行政法人化を視野に入れたということが、新たにこの都立病院改革実行プログラムとは別のところで、この行財政改革実行プログラムの中でこういうことが盛り込まれて、今、検討されているわけなんですけれども、まず、なぜ現在の運営主体ではだめなのか、これについてお伺いしたいと思います。その上で、多分この現在の経営主体を、ここに書いてありますように、地方独立行政法人化っていうことを視野に入れていますから、独法化を視野に入れて検討されているんだと思います。それがだめな場合には恐らく、今は一部適用の公営企業法の都立病院になっていると思いますけれども、恐らく全部適用という次の段階の検討に入るんじゃないかと思います。
 そこで、まず、先ほどいいましたように、現在の運営主体ではなぜだめなのかということと、この地方独立行政法人と公営企業法の全部適用、この違いについて伺いたいと思います。

○松崎行政改革推進部長 まず、現在の都立病院でございますが、お話にもございましたように、地方公営企業法の財務規定などの一部を適用した地方公営企業でございます。
 この形態におきましては、医療環境が刻々と変化していく中で、公営企業管理者が設置されておりませんで、人事給与制度などが、また一般行政組織と同様に定められるなど、変化に適合した合理的で迅速な対応を行っていく上で、制度面の課題があるものとされております。
 こういった中で、地方独立行政法人と地方公営企業法の全部適用の制度についての相違点でございますが、地方独立行政法人につきましては、地方公共団体から独立した法人格を有するのに対しまして、地方公営企業の場合は、地方公共団体の一組織であること、また、独立行政法人では、中期目標、中期計画の枠内で、単年度予算主義に縛られずに複数年契約など弾力的な予算執行が可能であること、さらに、独立行政法人では、独自の人事給与制度の構築が可能となるのに対して、地方公営企業では、事実上困難であることなどが相違点として挙げられるわけでございます。
 なお、財務面では、企業会計原則の採用や不採算経費の一般会計による負担など、公営企業型独立行政法人の場合、両者に基本的な相違はございません。

○東村委員 今、なぜだめなのかという話で、一つは、人事給与制度などの弾力的な運用ができないという話がありました。特に公営企業法との違いということで、独立行政法人のいい部分しかお話にならなかった。つまり、公営企業法はだめで、独立行政法人の方がいいんですよというお話しかなかったんですけれども、地方独立行政法人の最たる特徴というのは、私は経営の自由裁量だと思っているんですね。
 これは、ある意味から見れば、今おっしゃったように、独自の人事給与制度ができたり、さまざまなトップダウンで経営改革ができ、いろんなことができるという部分ではメリットがあると思うんですけれども、実態は、既に今、国立病院が独立行政法人化されております。
 例えば、相模原病院というのも、これも独立行政法人化されたんですけれども、実はここの最大の特徴は、アレルギー疾患に対する研究が進んでおりまして、アレルギーに対するさまざまな対応という部分では、東京で、恐らく関東でも有数の病院だと思われていますし、研究も行われています。
 化学物質過敏症というのがありますけれども、これについても都立病院ではなかなか対応されておりませんけれども、ここの相模原病院では、クリーンルームを用意して治療が行われているわけなんですね。
 ところが、確かに独立行政法人になっていいお医者さんも集まってきたでしょうし、給与の差もついたかもしれないのですけれども、どうしても自由裁量がゆえに、独立採算というのがやっぱり求められるわけでありまして、独立採算が厳しくなってくると、やはり不採算医療という部分にしわ寄せが来る。特にこのアレルギー疾患対策というのは予算が余りつかなくなってきたと、非常に現場は困っておりました。こういう実態もあるということを、検討の中で認識をしていただければと思うわけでございます。
 そこで、先ほどもいいましたように、東京都はこの都立病院改革の積み上げをずっとやってきた中で、この経営の効率化ということでPFI手法というのを最後提案されて、今、既に府中病院は実施されておりますし、癌研の方は契約という段階になっていますし、松沢病院、ここもそういう形で改修を行っていこうとしています。
 このPFIというのは、とかく建設のコスト削減の手法という認識をされているんですけれども、事実、このコスト削減がメーンじゃなくて、それ以外の、何十年という運営主体を民間等に委託することによって、コスト削減だけじゃなくて、よりよいサービスを提供するということでこのPFI手法が導入されてきたんですけれども、そこまで都立病院はPFIの手法でやりますよということを明らかにされて、ここに来て、この行革実行プログラムが突然つくられて、その中で独法化を視野に入れると入ってきたわけなんですね。
 確かに、PFIの手法だと、コアの部分、つまり医療と看護の部分については行政がやらなければいけない。独法化になると、全体を独立行政法人化にして、全体の経営マネジメントができるっていうことはわかるんですけれども、なぜここに来て、地方独立行政法人を視野に入れるという手段を、方法を検討会の中でとるようになったのか、これについて伺いたいと思います。

○松崎行政改革推進部長 第二次都庁改革アクションプランにおきましては、改革の柱である行政サービスのあり方の見直しの中で、民間との協働を進めるため、PFIなど施設整備及びその管理運営における民間の活力をさらに活用していく取り組みを示しております。
 病院事業のPFIは、病院施設の建設や維持管理、医療関連サービスなど、診療業務を除く広範な業務につきまして、民間事業者の提案を受け、最適任と考えられる事業者に委託することにより、効果的で効率的な運営を行い、サービスの向上を目指すものであります。
 一方、病院事業の地方独立行政法人制度は、地方公共団体から独立した法人を設立し、病院マネジメント機能と診療業務を含めたすべてを実施するという制度でございます。
 このように、両者はその内容を異にする別の制度でございまして、独立行政法人がPFI手法を活用すること、もしくは、地方公共団体がPFI手法を活用した後、独立行政法人化することも可能でございます。アクションプランのもとでPFI導入を検討していた段階では、地方独立行政法人制度が確立していなかったわけでございますが、行革プログラム策定時点では同制度が確立され、PFI手法を導入し得る経営形態の選択肢の幅が広がりましたため、独立行政法人制度も含めて検討することとしたものでございます。

○東村委員 今、アクションプランの段階では、この地方独立行政法人というのはまだ手法として確立されていなかったんだけれども、確立されるようになったから、このPFIと地方独立行政法人、これを、法人制度を一緒にあわせて検討していこうと、こういうご答弁がありました。
 よくわかるんですけれども、ただ、本当に、先ほどいいましたように、理念とこの実態の違いというのをよく調べていただきたいと思うんですね。私はまだ都議会に入って六年ですけれども、東京都さんがいっている理念というのは本当にすばらしいなと思うのはよくあるんですけれども、時折その理念が実態とかけ離れているということが、多々あるわけなんです。大変つらい思いをしてきたこともあります。
 石原知事が、東京都のすごいところは現場を持っているからなんだという話をよくされるのですね。私は、まさに市や区、そして都、国という中で、一番この現場を持ちながら、大きな視点で物事を進められる東京都の行政というのはすごいなと思っているんです。そういう意味で尊敬もしております。
 そういう中で、やはり実態というものをよく調査した上で、机上の、よくいろんな専門家の人を集めて、専門家の人の意見を聞いて、専門家の人がまとめていますけれども、専門家に任せることも大事なことなんですけれども、何よりも皆さん現場を持っていますから、現場の実態をよく調査をしていただいて、その上で、こういった病院改革の結論を出していただきたいなと思うわけであります。
 そこで、都立病院経営委員会、ここで今検討の開始が始まったという話が先ほどありました。この結論はいつまでに出すのか、これについて伺いたいと思います。

○松崎行政改革推進部長 行財政改革実行プログラムにおいては、都立病院経営委員会の検討を踏まえ、平成十九年度中に、第二次都立病院改革実行プログラムが策定されることとなっておりまして、それまでに都立病院経営委員会の報告がまとめられるものと考えております。

○東村委員 そうすると、十九年度中ということですから、あと期間がそんなにあるわけじゃないんですね。ぜひとも、先ほどいいましたように、今、独立行政法人化された国立病院、国だからなかなか手が出せないとおっしゃるかもしれませんけど、実態を見て、いい部分、悪い部分、果たして都立病院にこの独立行政法人化が本当に合うのかどうか、よく実態に照らし合わせて検討していただきたいということと、既にPFIは高知の医療センターが始まっておりますし、見に行かれたとは思うのですけれども、日本で今、いわゆるPFI手法で病院が行われているのは、高知と近江市の二カ所しかありません。特に、最初に走り出したのが高知ですから、高知のPFIの状況なんかももう一度、メリット、デメリットを精査されて進めていただきたいと思います。
 そこで、最後の質問になるんですけれども、私は今、この東京都の幹部職員の皆さんの中で、都立病院の実態、そして、さまざまな改革のプロセスも含めて、だれよりも詳しいのが実は押元総務局長だと思っております。押元さんは、まさに、この改革のマスタープランの段階から、部長の段階からこれにずっと携わってこられて、そして、病院経営本部長をされて、恐らくその手腕を買われて、総務局長として、またこの行革というところに入ってこられたんだと思うのです。やはり、単なる行革ありきではなくて、病院の実態、現場の実態をだれよりもご存じだと思います。そこで、総務局長として聞くのは酷かもしれませんけれども、この都立病院改革のあるべき姿、これはどうなのか、ここについて押元局長にお伺いしたいと思います。

○押元総務局長 都立病院では、一貫して東京都の保健医療政策としての行政的医療を担ってきたところでございますが、医療環境が刻々と変化をしてまいります中で、病院経営には、やはり変化にうまく適合した合理的で迅速な対応が必要となってきていると思います。
 こうした中で、先ほどもご質問に出ました昨年七月に策定をいたしました行財政改革実行プログラムでは、都立病院に関しまして、将来にわたり都民に対して安定的かつ継続的な行政的医療を提供できるよう、地方独立行政法人化などを視野に入れて、経営形態の検討を行うこととしているわけでございます。
 所管局でございます病院経営本部では、今後の都立病院改革の具体的な計画となります第二次の都立病院改革実行プログラムの策定に当たりまして、都立病院経営委員会での議論も含めて、幅広い観点から検討を行っていくことが必要となっているだろうと認識をしております。
 総務局といたしましても、医療サービス、あるいは患者サービスも同様でございますけれども、そういった医療サービス、患者サービスの向上と、その継続的かつ安定的な提供、これを通じまして都民の安心・安全を守っていく、そういうことを常に念頭に置きながら、より一層効率的な経営形態のもとで、都立病院のあるべき姿を追求していく改革、都立病院改革でございますが、これが重要であるというふうに認識をしております。

○東村委員 今、局長の方から、行政的医療については、安定的、継続的に提供されるように、これから考えていくという話もありましたし、さらには、幅広い視点から--局長の立場で、独立行政法人化だけではなくといういい方はできないんだと思いますので、幅広い観点からも検討を行っていくと、こういうお話もいただきました。
 さらには、何よりも都民の安心と安全を守るということ、この目的を常に念頭に置く、ここが大事だということで、今おっしゃってくださいました。そういう意味で少しは安心をしたわけなんですけれども、やはり私は公会計制度改革を提唱した人間として、特に独立行政法人になれば複数年度予算を組むこともできるし、複数年度の契約もできるから、そういう意味では非常に一歩前進するかなとは思うんですけれども、ただ、あの改革も、単なる不採算を切り捨てるという意味ではなくて、都民にとって本当に必要なものについて、特に命や安心・安全にかかわるものについては、そういう中においても集中的に取り組んでいかなきゃいけないということを常に申しているわけでございます。
 そこで、こういった地方独法を視野に入れた都立病院改革においても、まずは、この行政的医療、都民にとってこの行政的医療を継続かつ安定的に提供していかなきゃいけないものについては、やはりしっかりと提供していかなければいけない。そのためにはどういう形態がいいのかということを、もう一度、先ほどもいいましてくどいようですけれども、今ある実態をよく調査された上で、単なる専門委員会だけに任しておくのではなくて、現場を持っている皆さんがやはり情報を提供して検討していただきたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

○古館委員 それでは私も、最初に、第二次都庁改革アクションプラン実施状況報告について、お話と、ただしていきたいと思います。
 この評価ですけれども、全施策二百八十九のうち二百六十施策について、プランに掲げる目標を達成したと。今後二十九の施策については、行財政改革実行プログラムへ引き継いだと。そして、昨年の七月には行財政改革実行プログラムが出されて、官から民と、小さな政府の方向を一層全面的に推進をしてきたわけです。
 さらに、今、〇六年から〇八年までの追加実施計画というのが発表されたわけですね。これらは、いうまでもなく、前にも私ども何度も提起していますけれども、これらの方向性っていうのは、経団連などの財界が強く今日まで、官から民への路線を忠実に求めてきたわけですね。そのルーツというのは、いうまでもありませんが、イギリスのサッチャー改革でした。こうした英国では、今、サッチャー改革で雇用の破壊、格差拡大、こういうのが問題化しまして、この根本的な見直しが現在進んできていると、こういう状況にあるわけですね。
 我が国ではどうかというと、〇一年の年頭に、経済同友会が、政治の役割として、国民に対しては最低限の生活水準にとどめることと、このことをはっきりと指摘をしながら、地方自治体は、福祉を初めとする住民サービスから撤退していくことと、こういうことを露骨に求めて、地方自治体がやることとして、教育、警察、消防、公共事業と、このことに限定する必要があると。こういう提案を、実は経済同友会が既に自治体などに対して、各種の文書で求めているところであります。
 そこで、まずお尋ねしたいんですが、第二次の都庁改革アクションプラン、行財政実行プログラムが、こうした考え方と同一のものと、こうした方向に沿って動いてきていると、こういうふうに私は感じるんですが、その点についてどのような認識を持っているでしょうか。

○松崎行政改革推進部長 都におきましては、平成十一年の石原知事の就任以来、国の改革が一向に進まない中、直面する危機を克服するため、東京から日本を変えるという考えのもと、危機意識の徹底とスピードの重視を基本理念に、さまざまな都政改革を推進してまいりました。
 行財政運営につきましては、財政再建推進プランや都庁改革アクションプランを策定し、都財政の健全化を達成するとともに、職員定数の大幅な削減や監理団体の統廃合を実施するなど、国の改革に先んじて、効率的な都政の実現に向け、着実に成果を上げてまいりました。
 行財政改革実行プログラムは、こうした改革をさらに推進するため、官民の役割分担を原点から見直し、スリムで仕事ができる効率的な行政の実現に向けた新しいマネジメントの仕組みの確立を目指し、策定をいたしたものでございます。

○古館委員 私は、都民の生活が豊かであって、そのことが実は都政そのものをも豊かにしていくと思っているんですよ。なぜかというと、いろいろいろいろやりましたけれども、現実に都財政っていうのは極めて多くの税収が、それこそ東京というのはナンバーワンの財政力を持っていると。
 それは、知事なんかは、そこの中に行政改革もあったというふうにいいますけれども、その主たる要因というのはそこにはなくて、逆にいえば、東京都特有の税収が入ってくるという、そういうところに今の最大の特徴があるということを私はまず指摘をしておきたいなと思っているんですね。
 第二次都庁改革アクションプランにしても行財政改革実行プログラムにしても、都民の要求、目線から出たものではないと。これは、先ほどちょっと東村理事と私、認識が共通してるんですけれども、トップダウンと、こういう形なんだと思うのですね。
 都民の世論と運動の中で、例えば、豊洲新市場構想だとか、豊島病院、これは私の、板橋区ですが、それから、老人医療センターもそうですね。これを統合民営化するという方針が出されたわけですよね。これは、ちゃんと少しでも医療に精通した人であれば、こんなナンセンスな話はないんですよ。だけど、そういうものがトップダウンの中で出てきたということも、これまた事実の話なんですね。
 それで、大体私もあれをずっと読んでいましたけれども、最初の経過は、これと統合しようなんて計画なんかなかったんです。途中から出てきたんだから、統合というのが。そういうような、はっきりいえば実態がどうなっているのか、この施設についてはどうした方がいいのかということなんかはなくて、どっちも都立だなと、隣同士であるなと、こういう考え方の中で、じゃあ統合しようやと。
 つまり、こういうことでは、本当の意味での都民の責任ある立場というふうにはとれないんですよね。私は、これらは計画自体が、先ほどからいっていますけれども、トップダウンで進められることで、都民の願っているものとは全く乖離して出されてきたんだと。だから、今回こうした中で一定の見直しが進められてきたわけですね。
 その結果、私どもは引き続いて、やっぱり都立病院という役割というのは、これはかけがえのないものなんですよ。これは、医師会の先生方も、都立で存続をしていることが、その地域を初めとする医療水準を引き上げているんだということは、これは医師会の先生方も共通で認めていることなんですね。
 だから、改めて、やっぱり都立の持っている役割、とりわけ都立の老人医療センター、これは老人総合研究所と分離したということがありました。これは、押元局長が一番よくご存じのとおりだと思いますけれども、大体、老人医療センターと、それから都立総合研究所、これを分離するということ自体がナンセンスなんですね。
 大府の、それこそ国立長寿医療センター、今は独立行政法人になりましたけれども、そこだって、この都立の養育院を学んで、研究機関と実際のそういう老人医療センターと絶対に分離してはならないという立場で、今だって進んでいるはずなんですね。
 だから、そういうことの先駆性というのは、やっぱり都立の老人医療センター、養育院といわれていたところが担っていたわけで、そのことを国の方が後から学んだというのが、この都立老人医療センターを初めとする都立養育院の役割でした。
 環境問題も大きな問題になっているんですが、豊洲の新市場構想なども絶対に許されないと、こういう立場で、引き続き、都民の皆さんも運動を進めていますし、我々、我が党もその立場で頑張っていきたいと思っています。
 今、格差社会といわれ、高齢者や若者を初め、都民の生活不安が広がっていく中で、やっぱり東京の財政力っていうのを都民の暮らし第一に振り向ける、こういう都政運営に転換していくことを強く求めて、次に進みたいと思っています。(発言する者あり)ええ、これは経過報告ですから、今後の問題として、先ほどいいましたが、都立ということを改めてきちんと私どもは求めていきたいというふうに思っています。(発言する者あり)後でいうでしょう。
 次に、東京都地域防災計画の震災編十九年の修正について、あわせて本年度に予定している主な防災訓練にかかわって質問したいと思います。
 今年度に予定しているものの中で、実は九月一日に防災計画、訓練名称が、東京都・昭島市・福生市・武蔵村山市・羽村市・瑞穂町合同総合防災訓練となっているのですが、ここでは、首都の直下地震を想定したものとして出されております。
 昨年は足立会場などをメーンに、晴海埠頭には自衛隊の艦船のほかに、米軍の第七艦隊所属のフリゲート艦が出動いたしました。私もこの晴海埠頭で見させていただいたんですけれども、晴海埠頭ではさながら軍事演習のような感じで、自衛隊の戦艦と、それから、アメリカの米軍のフリゲート艦が並んでいるんですね。その場所は、私は何か軍事演習でもしているのかなと錯覚を覚えるような、そういう状況でありました。
 当事、石原知事が六月十五日に、知事から、在日米軍司令官及び米海軍第七艦隊司令部に対して要請をして、この米軍のフリゲート艦が晴海に横づけされたというのが、私の文書質問の中で、後で明らかになりました。
 そこで、質問しますけれども、今回の場合は、対象市町が横田基地周辺自治体ということからしますと、横田基地とかかわりが不可欠な演習になるのかなと、このように考えますが、どのようなかかわりになるのか。また、晴海埠頭への米艦船も、昨年のような配備などを予定しているのか、お答えいただきたいと思います。

○石野総合防災部長 まず、横田基地でございますが、横田基地は、羽田空港と並びまして、災害時には広域輸送拠点として、非常に重要な役割を果たすことが期待されております。これまでの総合防災訓練では、この横田基地を使いまして、重篤患者の広域搬送や応援物質の輸送、広域緊急援助隊の受け入れなどの訓練を行っております。今年度の訓練におきましても、これらの実績を踏まえまして、横田基地を活用してまいりたいと考えております。
 また、昨年度の総合防災訓練では、米軍の艦船を使って帰宅困難者の輸送訓練を行い、米軍の緊急時における後方支援としての役割を十分確認しております。
 今年度の訓練におきましても、昨年度と同様に、米軍に対して艦船の参加を求めております。

○古館委員 米軍基地の、ある意味でそういう使用というのは考えられることです。ただ、そのことと、米軍をそういう中に参加させるということとは、全く異質のものだというふうに私は思っております。
 それで、昨年のように、また晴海埠頭に米艦船も配備を予定するというような形で、帰宅困難者の輸送だというようにおっしゃいましたけれども、昨年は、あれに乗ったのは東京都の職員なんですよね。足立からずっと歩いている人は、あれに乗ったわけじゃないんですよ。それで、乗ったのは、石原知事がちょっと乗って、それでおりて、その後に都の職員が乗っかって、それで出かけていった、出航したという関係なんですね。だから、別に、帰宅困難者の輸送というような形で連結していたかというと、私は全然そう思いませんでしたね。
 この米軍艦は石原知事のために来たと。はっきりいってそうです。なぜかといったら、全然時差ですから、全く違うんですから。石原知事が来たらだあっとそこのところまで、横まで全部車が入って、乗っかって、おりて。だから、別に帰宅困難者のためにこのいわゆる米軍艦が来たということではないということは、はっきりしていました。
 昨年、そういうことでは、やっぱり米軍艦を呼ぶという、私は、そういう必要性は全く感じないと。逆に、晴海では石原知事の到着時間が最優先されて、それで一般参加者とは無縁のやり方があったと。これを、またことし、そのようにするかどうかというのは私は知りません。しかし、また、昨年、米軍のヘリコプターが医薬品の輸送を行ったんですけれども、これらの仕事は、本来、消防庁などが、災害対策用のヘリコプターなんかでやっていることなんですね。本来任務というのが、そういう消防庁が訓練でしっかりやっているわけで、本来任務に基づいた訓練こそが、こういうときだからこそ、私は求められているんじゃないかって思います。
 医薬品の取り扱いは、とりわけ専門的な、そういう知識を初めとする消防庁が日常的にやっているわけですから、そのことが求められているんじゃないかと思いますが、この点についてはいかがですか。

○石野総合防災部長 災害時には、あらゆる手だてを使いまして被災者の救援を行うことが必要であります。救援活動に必要な人員や資機材、輸送力を有します米軍に対し、人的、物的支援を求めることは当然のことでございます。
 このため、警察、消防などが災害時の救助・救急活動で他に手が回らない、そういう事態も考えられますことから、昨年度の訓練では、米軍のヘリコプターを使いまして、医療品の輸送、搬送を行っております。そのことによりまして、米軍の後方支援としての役割を確認しております。

○古館委員 つまり、消防庁というのは、そういう意味での災害があった場合とか事故があった場合という形で、それに対応して動く部署なんですよ。ところが、米軍というのは戦争する軍隊ですから、つまり、そこが一気に--起こっても、そこで対応できるということではないんですよ。それが、やっぱり軍隊なんですよね。
 そこにもって、日常的にそこにいるかといえば、そんなことはないんですよ。だから、そこの部分で……(発言する者あり)いいや、そうじゃない、それは、訓練だから来てるっていう話なんですよ。(発言する者あり)だから、違うの。実際にやれなかったら、これは意味がない話なんです。
 それで、米軍が当日は防災訓練ということで関連して、今年度修正した東京都地域防災計画震災編というのがあります。昨年までは、米軍の出動というのは一切想定していなかったんですが、今年度、第3章で、応援協力・派遣要請のところにわざわざ節まで設けて、第5節として、在日米軍への支援要請が事細かに書き込まれました。
 これまで長い間、在日米軍が存在していても、こうした方針は出されなかったわけですね。在日米軍は戦争のために駐留しているんで、横田基地がその最前線とされて、これから米軍再編の中で横田の位置づけがさらに高まっているんです。こうした在日米軍を防災活動に位置づけて、東京都地域防災計画に位置づけることなど、絶対にあってはならないことだと考えます。
 これこそ東京都が米軍基地の恒久化政策を積極的に受け入れているっていうことを意味するものであって、地域防災計画震災編での当該箇所の削除を私は求めたいが、いかがでしょうか。

○石野総合防災部長 訓練だけでなくて、実際に昭和三十四年、いわゆる伊勢湾台風がございましたが、その際には、米海軍が人命救助とか救援物資の輸送などを実施してございます。
 また、東京都は、これまで訓練を通しまして、災害におけます横田基地など米軍施設や後方支援としての米軍の有効性が検証されたことから、本年五月に策定しました地域防災計画では、米軍への支援要請を新たに盛り込んでおります。したがいまして、この記述を削除する考えはございません。

○古館委員 私は、そういう点では本当になじまないと思っていますので、その点は見解の違いですが、引き続きこの問題は注視していきたいと思っています。
 また、都が計画している十一月上旬の大規模テロ災害対処訓練、すなわちこれは国民保護計画に基づく訓練なんですね。今回の想定が、爆弾化学剤の散布等を想定したものとして計画されているんですけれども、はっきりいえば震災も、それから爆弾化学剤散布ということを想定した、いわゆる国民保護計画による訓練も、実は性格的にはよく似たものなんですね。
 なぜ性格が似ているかというと、震災という地震の災害と、爆弾という部分でいう、この違いはあるんですけれども、いわゆる発生箇所というのが、ある意味で両者とも特定されていると。つまり、震災って、起こったところ、地点というのははっきりしている。もう一つの、爆弾のそういう災害が発生したっていう部分についても、どこがっていうことが特定されると、この点では共通しているんです。
 私が、これは心配だなと思っているのは、国民保護計画というのが、実は戦争する準備のための国民保護計画……(発言する者あり)いいや、それはそうなんですよ。だって……(発言する者あり)いや、そうじゃなくないんですよ。国民保護計画の中に、ちゃんとそこの中が書かれているんです。
 むしろ、こういう爆弾とか化学剤散布とかというものというのは、この国民保護計画の中では一番下のランクの計画なんですよ。最も大きな計画というのは、いわゆる相手から攻められてきた場合にどうするかというのが、国民保護計画の主たる中身なんです。だから、そういう点でいえば、例えばどっかから攻めてこられたというのは、どこからというのは、これは動的なんですね。ところが、私がいいたいのは、震災というのも、爆弾のそういう場所っていうのも、特定しているという点でいえば、やっぱり訓練という性格からいうと共通しているんですね。
 私は、こんなに何回も連続して、こうした大規模なものをやらなきゃいけないのかなということを素朴に思うんですけれども、この点について見解を伺っておきたいと思います。

○石野総合防災部長 国民保護計画に基づきます訓練でございますけれども、大規模テロ災害等が発生した場合に、関係機関と連携して迅速かつ的確に事態に対処し、都民の生命及び財産を守るための平素からの取り組みでございます。
 具体的には、サリンなどの化学剤、天然痘などの生物剤、放射性物質・爆弾によるテロ等を想定しまして、原因物質の特定や警戒区域の設定、専門医療の確保、広域的な避難誘導、汚染物質の除染、連続テロへの警戒対応などの訓練を実施するものでございます。
 このように、テロ災害等では、地震や風水害など自然災害とは、発生原因、被災状況、対応などが異なることから、特有の対処訓練が必要でございます。このため、今年度も防災訓練とは別に国民保護を実施してまいります。

○古館委員 私は、その問題について問題提起をしました。それで、やはり私は首都における防災訓練というのは、あくまでもそこの住民と自治体を中心にきちんと据えるということが、とても大事だと思うんですね。そのための都としての第一義的任務というのは、住民と自治体の知恵と力をどのように十全に発揮できるようにするか。そのことを積極的に援助するということが、私は東京都の大きな役割だと思っています。
 東京都が有しているさまざまな能力をフル活用すること、そうした中で、この防災訓練が本当に効果的に発揮できるようにすることが第一だと思っています。
 首都警察としての警視庁はもとより、首都東京の防災、これを行政目標に掲げている東京消防庁などの役割、ここに正当な光をきちんと当てることが重要だと考えていますけれども、その点について最後に質問をさせていただきます。いかがですか。

○石野総合防災部長 都は、住民によります自助・共助と、これを支えます防災機関による公助を基本とし、総合的な災害対応能力を高めることを目的に、これまで防災訓練を実施してまいりました。
 昨年度の訓練におきましても、町会、自治会、事業所、レスキュー隊など、地元住民のほか、警察、消防、自衛隊はもとより、米軍等の海外支援隊も加わり、二万七千四百人の参加による実践的な訓練を実施いたしました。今年度も、これまでと同様の考え方に基づきまして、四市一町と合同で訓練を実施してまいります。
 なお、ご指摘をまつまでもなく、災害時に重要な役割を担います警察、消防につきましては、十二分に機能を発揮するよう訓練で位置づけております。

○後藤委員 とりあえず私からは、地域防災計画の震災編なんですけれども、できたらば確認をさせていただこうと思います。
 部長が先ほどおっしゃったのは、震災編の二三八ページにあります避難所についてなんですが、四月一日現在で、耐震の値が満足できていないのはどのぐらい--耐震補強の満足できているのが七二・四%というふうにおっしゃったということは、耐震補強ができていないのが二七・六%ということになるわけですが、ここで部長が、今月末にここで検討会を行って、例えば具体的な計画を立てるとおっしゃったのですけれども、ここで今部長がおっしゃった具体的な計画というのは、どのような計画を立てようと考えられているのか、ちょっと教えていただけますか。

○石野総合防災部長 先ほどご答弁した関係でございますが、耐震化を二十七年度まで一〇〇%達成するということで、今月末に予定されておりますが、庁内横断型の戦略会議を設置しますので、この中で、防災上重要性の高い建物につきまして、耐震化の推進について検討していくということでございまして、その中でどういう方策をやるかは、その中で検討して計画していくということだろうと思います。

○後藤委員 今月末に庁内の戦略会議をやられるということならば、例えば耐震診断の値、例えば耐震診断をやったかやらないか。仮に耐震診断をやっているんだとしたらば、例えば耐震診断でしたらばIs値というふうな形で出てくると思うんですけれども、ここいらのデータは既にもうお持ちになっているのか、いないのか。

○石野総合防災部長 小中学校の関係でいいますと、先ほどご答弁させていただきましたが、耐震化については七二・四%でございます。残り約二八%弱が、耐震化がまだされていないということでございます。
 その残されております二八%弱につきまして、耐震診断を現在行われているのが、そのうちですが、十八年度末現在で九八・二%、今年度末には全体で九九・五%ですから、ほぼ残った部分については耐震診断が終わるという予定になっております。

○後藤委員 そうしましたら、部長の方が例えば具体的な計画を立てるというのでしたらば、確かにパーセントはわかりました。確かにパーセントはわかりましたけれども、具体的な計画を立てるんだとしたらば、この約二八%の、耐震補強がまだできていないやつの数字というのを、例えばこの学校だったらばIs値は幾つぐらいだと、この場合は、補強をしなければいけない学校であったとしても、例えばIs値の高い部類から、低くて危ない部類までというのが出ているはずなんですけれども、ここのところで部長が具体的な計画を立てるというならば、そのぐらいのデータは既にお持ちになっているのかどうかということだけ、ちょっと確認したいんですよ。
 例えば具体的な計画を立てるというのに、数字も何も持っていないんだとしたらば、大至急集めなければいけないだろうし、ならば今回の市区町村というのは、確かに小中学校の耐震診断ですとか補強というのは、各市区町村がやらなければいけないということはわかりますけれども、例えば具体的な数字を持っていて検討に入るのか。で、検討をするんだとしたらば具体的な数字もまた持っていなければ、これは机上の空論になってしまうおそれがあるんで、ここのところをはっきりと聞かせてください。

○石野総合防災部長 まず、先ほど申し上げました戦略会議、これは、まず都の施設も含めて検討することになってございます。
 あと、区市町村のデータにつきましては先ほども申しましたが、耐震化率であるとか、また診断も含めてでございますけれども、各区市町村別にどうなっているかと。そうしたそれぞれの全体を示すデータは把握してございます。
 ただ、避難所個々そのものは、今委員ご指摘のとおり、避難所の指定、開設、管理運営、これはまさに、住民等の生命、身体、財産の保護については第一義的責任を有します区市町村の役割になっています。でありますので、その個々の施設の耐震化状況、これらについては設置管理者である市町村が把握すると、その役割になります。

○後藤委員 できたらば要望ということでもいいんですけれども、例えば耐震の値の場合は、〇・三以上例えば〇・六というふうな数字があるわけですけれども、例えば〇・三よりも低いのがどのぐらい、〇・三から〇・四までがどのぐらい、四から五までがどのぐらいとかいうふうに、このぐらいの把握はできたらば持って検討をしていただきたいと思います。
 簡単にいえば、お役所さんがやるときに、例えば言葉でいえばすごい簡単なんですけど、例えば民間の場合ですと、必ず数字を持って検討します。六年間議員をやらせていただいていますけれども、都庁の幹部の方たちと今までやり合うときに、言葉はすごくいいんですけれども、例えば数字の裏づけを余りにも持っていないのがあるので、この辺は本当に気をつけていただきたいと思います。(発言する者あり)今度は、あくまでも耐震の件ですから、今度はあくまでも耐震の件ですから、できる限り例えば数字を持って検討していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○上野委員 それでは、私からは、震災対策について、五点ほどお伺いいたします。
 このたび東京都地域防災計画が改定されましたが、死者の半減などの減災目標の設定や、都市型災害対策の強化など、その計画内容を見てみますと、かねてより我が公明党が主張してきた事柄が多く盛り込まれておりまして、今回の改定は、抜本的な見直しが行われたものとして高く評価するものでございます。
 そこで、さらに震災対策を万全なものにしていくためにということで、外出者対策についてお伺いいたします。
 都の被害想定によりますと、首都直下地震が発生した場合、鉄道などのほとんどの交通機関が停止し、約三百九十二万人の帰宅困難者が発生するとしております。東京駅、新宿駅などの主要ターミナル駅では、約十万から二十万人もの滞留者の発生が想定されております。駅周辺には人があふれ、混乱が混乱を呼ぶ危険な状況が容易に想像できるわけでございますが、発災直後は、都や区市町村、警察、消防は、救命救助や消火などの応急対策活動に重点を置かざるを得ませんし、したがいまして、彼らが駅周辺の混乱防止を行うことは困難でございます。このため、地域防災計画にも、鉄道事業者や駅周辺の事業者などで構成する協議会が主体となり、混乱防止対策を推進することを新たに定めております。この実現に向けて、都は、ターミナル駅のある地元区市と共同で、協議会の立ち上げや協議会における避難誘導訓練等を内容とする重点事業を、十九年度から二駅ずつ三年間実施することとしております。
 そこで、既に六月上旬に、第一号として新宿駅周辺の事業者と協議会を立ち上げたと聞いておりますが、新宿駅の協議会に参加した事業者はどれほどあるのか。また、協議会での今後の具体的な取り組み内容についてお伺いいたします。

○石野総合防災部長 現在この協議会には、JR東日本などの鉄道事業者、伊勢丹などのデパートに加えまして、西口や東口の商店街、工学院大学など、約四十の事業者、団体が参加しております。
 今後の取り組みといたしましては、一時収容施設の選定を行うほか、滞留者が適切な行動を選択できる情報の提供方法でありますとか、安全に避難するための誘導方法などを取り決めまして、さらには、これらをもとにした避難誘導訓練などを行いまして、その結果の検証を予定しております。

○上野委員 滞留者があふれている状況下で混乱を防止するには、今のご答弁にもありましたように、情報の提供が何よりも重要でございます。この情報提供の一つとして、我が党がこれまで提案してまいりました駅前の大型ビジョンの活用を、これはぜひとも新宿駅の訓練に取り入れるべきであると、このように思います。
 また、本年三月には、災害時にも広く情報を伝えられるよう、災害情報提供システムを稼働させ、携帯電話にも対応した防災ホームページを新しく立ち上げたわけですが、こうした取り組みを訓練で活用し、その有効性を検証すべきと考えますが、あわせて所見をお伺いいたします。

○石野総合防災部長 災害時におけます駅周辺の混乱を防止するためには、滞留者に対しまして適切な情報を提供することが重要であります。
 駅前滞留者対策訓練の実施に当たりましては、大型ビジョンを活用して混乱防止の呼びかけなどを行うとともに、訓練用の防災ホームページにおきまして、鉄道の運行状況や道路状況などの情報を表示することを考えております。
 これらによりまして、提供する情報の有効性を検証したいと考えております。

○上野委員 ぜひともこの訓練を成功させていただきたいと思います。
 さらに、その成果をもとに、情報提供、一時収容施設の確保など、混乱を発生させない円滑な避難誘導方法を検証し、新宿駅以外にも波及させるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○石野総合防災部長 駅前滞留者対策を早期に他の駅に波及させるには、新宿での取り組みの成果を有効に活用することが重要でございます。
 このため、都は、訓練を通じて得られますノウハウを来年度以降の重点事業に反映させていきますとともに、区市商工会議所や既に設置されています協議会が参加する連絡会で意見交換や情報交換を行いまして、新宿駅以外のターミナル駅でも協議会が早期に設置されるよう、区市に働きかけてまいりたいと考えております。

○上野委員 ぜひこの事業の成果をほかの駅にも波及させて、実効性のある取り組みとして定着させていただきたいと思います。
 駅周辺は一時的に滞留者が発生しますが、その後、遠方からの通勤通学者は、帰宅困難者となる可能性があります。約三百九十二万人の帰宅困難者のほとんどは、近隣県からの通勤通学者と、このように考えられます。
 一方、平成十二年の国勢調査では、都内から近隣県へ通勤通学する都民が約五十万人いると報告されておりますが、こうした状況を踏まえますと、東京都単独で帰宅支援を行うには限界があり、八都県市が連携して取り組むことが必要であります。そこで、これまでの八都県市との取り組みについてお伺いいたします。

○石野総合防災部長 八都県市におきましては、帰宅困難者対策を含めまして、外出者の帰宅対策を共通の重要課題として位置づけまして取り組みを行っております。
 徒歩で帰宅可能な人につきましては、これまで、コンビニエンスストアやファミリーレストランなどとの間で、水やトイレ、各種情報の提供などを行います帰宅支援協定を、八都県市連名で締結し、徒歩帰宅訓練を実施しております。
 また、帰宅困難者につきましては、総合防災訓練におきまして、都内から近隣県への船舶により輸送しまして、その後、近隣県市が受け入れるという訓練を実施しております。

○上野委員 最後に、減災目標に関して質問をいたします。
 新しい地域防災計画では、外出者を四日以内に帰宅させることを減災目標にしております。都内から近隣の県へ戻る通勤通学者も、この目標に沿って対策が立てられていると考えられますが、近隣の県から都内へ戻る都民も、四日以内に帰宅できるようにすべきではないかと思います。
 そこで、この四日以内の帰宅を八都県市が共通の目標とする外出者の帰宅対策を強化すべきであると考えますが、所見を伺いまして、私の最後の質問を終わります。

○石野総合防災部長 減災目標につきましては、各県が地域防災計画で定めることとなりますが、都といたしましては、早期帰宅を実現したいと考えております。このため、八都県市においても共通の帰宅支援ルートを定め、帰宅支援ステーションの拡充を図っていくほか、船舶やバス等による代替輸送手段を共同で確保するよう努めてまいります。
 今年度の八都県市総合防災訓練では、帰宅困難者を乗せて都内から近隣県に向かった船舶が、帰りには都民を乗せて近隣県から帰る訓練を八都県市で検討してまいります。
 今後とも、外出者が早期かつ安全に帰宅できるよう、八都県市の連携を一層充実強化してまいります。

○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わり、これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時六分散会

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