委員長 | 大津 浩子君 |
副委員長 | 西岡真一郎君 |
副委員長 | 倉林 辰雄君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 古館 和憲君 |
後藤 雄一君 | |
伊藤 ゆう君 | |
神林 茂君 | |
宇田川聡史君 | |
上野 和彦君 | |
近藤やよい君 | |
遠藤 衛君 | |
田中 良君 |
欠席委員 一名
出席説明員知事本局 | 局長 | 山口 一久君 |
次長 | 河島 均君 | |
企画調整部長 | 秋山 俊行君 | |
秘書部長 | 長谷川 均君 | |
政策部長 | 升 貴三男君 | |
調整担当部長 | 角南 国隆君 | |
参事 | 瀧本 裕之君 | |
参事 | 小林 清君 | |
参事 | 鈴木 賢二君 | |
国政広域連携・首都調査担当部長 | 吉田 長生君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 川澄 俊文君 | |
参事 | 中村 長年君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 舟本 馨君 |
総合対策部長 | 百合 一郎君 | |
参事 | 小島 昭君 | |
治安対策担当部長 | 八木沼今朝蔵君 | |
参事 | 保坂 俊明君 | |
参事 | 内藤 泰樹君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 高橋 道晴君 |
任用公平部長 | 川村 栄一君 | |
試験室長 | 長谷川 登君 | |
参事 | 堀江 正敏君 |
本日の会議に付した事件
知事本局関係
事務事業について(質疑)
青少年・治安対策本部関係
事務事業について(質疑)
人事委員会事務局関係
報告事項(説明・質疑)
・平成十八年「職員の給与に関する報告と勧告」について
事務事業について(質疑)
○大津委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、知事本局、青少年・治安対策本部及び人事委員会事務局関係の事務事業に対する質疑、並びに人事委員会事務局関係の報告事項の聴取を行います。
これより知事本局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
多賀儀典長は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○宇田川委員 アジア大都市ネットワーク21についてお伺いいたします。
現在のアジアは、世界の中で六割の人口を有し、経済成長においてもアメリカやEU諸国をしのぐ勢いを見せております。昨今の北朝鮮問題が世界に大きな波紋を広げていることを別にしても、我が国はもとより、アジア地域の各国が国際社会においても重要な地位を確保し、存在感を示してきていることに異存はないと思います。
そうした背景の中、アジア地域の首都及び大都市が、新技術開発、環境対策、産業振興など共通の課題に取り組むため、異なる政治的立場を乗り越え、共同して事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげていくことを目的として立ち上げたのが、このアジア大都市ネットワーク21でございます。
石原都知事も本年の第二回定例会におきまして、アジア地域の大都市が強固に連携することにより、世界に対してアジアのプレゼンスを高め、二十一世紀がアジアの時代であることを鮮明に示していきたい、こう力強く語っておりました。現在、そして将来に向けて、各主要都市が密接にネットワークを結び、相互発展に寄与し、国際社会における確固たる地位を築き上げ、EU同様の発言力を高めていくべきとの考えには、私も大いに賛同するものであります。また、東京がそのイニシアチブをとり、リーダーシップをしっかりと発揮することにより、各種取り組みの成果を着実に上げていくことを期待しております。
そこでお尋ねをいたしますが、改めて、アジア大都市ネットワーク21の理念がどのように結実しているのかをお伺いさせていただきます。
○中村参事 アジア大都市ネットワーク21は、二十一世紀においてアジアが国際社会でより重要な役割を担うことを目指し、アジアの頭脳部、心臓部である大都市の連帯と協力を強化することを目的として設立されました。
毎年開催される総会では、アジア各国をリードする大都市の首長が、その時々の喫緊の課題について議論を深めることにより、国だけでは解決できない課題に共同して取り組む素地がつくられるとともに、アジアの一体感を醸成しております。また、危機管理ネットワーク、アジア遠隔教育プロジェクトなど十八の共同事業の具体的な取り組みを通して、現場レベルでの情報交換が活発に行われ、協力体制が築かれるなど、都市と都市とのネットワークが一層強固になってきております。
○宇田川委員 今のご答弁の中に十八の共同事業が行われているというお話がありましたが、個別に幾つかお尋ねをいたします。
今お話があった危機管理ネットワークを推進していくという事業であります。北朝鮮におけるミサイル発射実験や核実験などの暴挙によって、アジア地域の緊張感は一層高まりを見せてきております。ほかにも、近年の異常気象による自然災害へのおそれや大規模テロなどへの不安は募るばかりです。近年報じられてきたSARSや鳥インフルエンザなどの感染症が流行したことを受け、アジア感染症対策プロジェクトを立ち上げたり、本年九月に行われた都の総合防災訓練において、ソウル市のレスキュー隊が参加しての合同訓練が行われたことなどは、この危機管理ネットワーク事業の一環であると伺っております。
安全・安心への関心が非常に高まっている今日、こうした事業への期待は膨らむ一方であります。今後ますます強化していくべきだと考えますが、これまでの成果とこれからの方向性、今申し上げた事業強化への取り組みなどがありましたら、教えていただきたいと思います。
○中村参事 アジアの大都市は、テロや自然災害などさまざまな危機にさらされており、十一の全会員都市が危機管理ネットワークに参加するなど、危機管理に関する各都市の関心は非常に高いものとなっております。
危機管理ネットワークでは、災害発生時の情報連絡手段として、インターネットを活用した危機管理連絡網を整備するとともに、会議を毎年開催し、各都市の危機管理に関する先進事例の紹介や情報交換を行っております。
ご指摘のとおり、本年九月の総合防災訓練では、この危機管理ネットワークを通して、海外から初めてソウル特別市のレスキュー隊が参加して合同訓練を行いましたが、このことにより、災害時における国際協力がいかに有意義であるかを確認することができました。
今後は、危機管理連絡網による情報通信訓練の実施や各都市が実施する災害訓練へ相互に参加することなどを通して、都市の連携をさらに深め、アジア地域における一層の安全の確保に取り組んでまいります。
○宇田川委員 一層強化をしていただきたいと思います。
次に、アジア遠隔教育プロジェクトについて伺います。
この事業は、都市間の教育交流などを通じて、人材育成や労働力の国際化への対応、教育関連産業の振興などを図るために実施されているものです。具体的な取り組みはまだ実験段階の域を脱するところまで来てない、そんな印象なんですが、相互の文化交流などにも役立つ大変意義のあるものだと受けとめております。
将来に向けての我が国において、少子高齢化に伴う労働力の減少は深刻な社会問題です。介護士などの人材を海外から積極的に受け入れるべきではないか、そうした議論も活発になされております。そうした課題の解決のためにも、充実した事業展開がなされることを望んでおります。
そこで、このアジア遠隔教育プロジェクトの成果並びに今後目指している計画などをお伺いいたします。
○中村参事 アジア遠隔教育プロジェクトでは、時間的、地理的制約を受けない有効な学習手段として、インターネットなどの情報通信技術を活用した教材の開発や配信実験を行ってまいりました。この配信実験の成果を踏まえ、本年九月から、首都大学東京から台北に向かってテレビ会議やインターネットを利用した日本語講座を本格的に開始したところ、応募者が多数集まるなど、高い評価を受けております。今後さらにハノイやシンガポールに向けて講座の拡大を計画しております。
また、アジア各都市の大学間において、大都市に共通する課題の共同研究を行っておりますが、その中に遠隔教育の手法を取り入れることで、研究が活性化する動きも見られます。今後とも、これらのプロジェクトを通してアジアにおける人材の育成に貢献してまいります。
○宇田川委員 さまざまに拡大をしていただいて、有意義な事業になるように進めていただきたいと思います。
このアジア大都市ネットワーク21、昨年の北京脱退により若干のとんざがあったんですが、ことしも四月に台北市で総会が開催されまして、より密接な連携と実のある議論がなされたというふうに聞いております。私も同時期に自民党日台友好議員連盟の一員として台北へお伺いいたしまして、展示会場にも足を運びました。大変なにぎわいで、成果の一端に触れた思いがいたしました。
その台北総会における共同宣言では、ITの活用による機能の充実と市民サービスの向上について合意があったというふうに伺っているんですが、この共同宣言を踏まえて、新たに取り組んでいくべき共同事業の検討などが行われているのであれば、お伺いをしたいと思います。
○中村参事 台北総会では、ITの活用について、市長による直接討議が行われ、ICタグを利用した観光案内など、各都市からさまざまな事例が報告され、活発な議論が行われました。総会の共同宣言では、ハード、ソフトにわたるアジアの高い情報通信技術のポテンシャルを生かし、市民レベルまで情報通信技術の効果を享受できるようにしていくことを確認いたしました。この宣言を受け、今後、先端的な情報通信技術の活用などを検討するために、各都市の代表や専門家が参加する新たな共同事業を立ち上げる予定です。
このように、新たな課題に対応していく一方で、これまで行ってきた事業についても、時代の推移に合わせて見直しを行い、アジア大都市ネットワーク21の活動を一層活性化することにより、各都市の連帯と協力を深めてまいります。
○宇田川委員 冒頭申し上げたんですが、アジアは今や国際社会において大きな注目の的となっております。その意義をとらえているからこそ、各都市が連携を強固にし、友好性ある共同事業を推進してきたということだと思います。
危機管理、教育といった分野のほかにも、今月知事がシンガポールに行って議論をするようなんですが、中小型ジェット旅客機の開発促進ですとか、ウエルカムアジアキャンペーンと題した各都市間の観光促進協力、自動車排ガス対策やヒートアイランド対策などなど、多岐にわたる分野での共同事業を展開しておりますが、その一つ一つに着実なる成果を上げられるよう力を尽くしていただきたいと思います。
加えて、国際都市東京がアジア地域のトップランナーとしてその役目を全うしていくことを願っております。
今後も、このアジア大都市ネットワーク21が、アジアにおいてはもちろんでございますが、世界をも牽引するような発展を遂げていただき、国際社会の平和と繁栄に大きく貢献するといったワンランク上の目標を掲げていただいて、それを目指して力強い前進を続けていただくことを期待させていただきます。
以上です。
○古館委員 それでは、質問させていただきます。
最初に、横田基地に関する質問、何点かお伺いをいたします。
横田基地の軍民共用化の問題で、それぞれマスコミが、軍民共用化で日米の両政府が検討を開始したと、こういう記事が配信されております。読売では、横田基地の軍民共用化で日米協議ということで、軍民共用化に関するスタディーグループの第一回会合をワシントンで開き、本格的な検討を開始したと、このように報道されておりますけれども、このことについてわかっていることがあれば、まず最初にお聞かせいただきたいと思います。
○瀧本参事 お尋ねのスタディーグループでございますが、本年五月に日米間で合意した再編実施のための日米のロードマップに基づきまして、日米両政府間の協議の場として設置をされてございます。この十月十二日に第一回会合が行われたところでございます。
スタディーグループでは、横田飛行場のあり得べき軍民共同使用の具体的な条件や態様に関する検討を実施することとなってございまして、このスタディーグループによる日米協議が開始されたことによりまして、横田基地の軍民共用化の進展が図られるものと考えてございます。
なお、協議の詳細につきましては、外交交渉にかかわるものでございまして、公表しないこととされてございます。
○古館委員 今の点で、申しわけないんですけど、再度質問しますけど、外交交渉にかかわるので公表されないというのは、東京都自身がそういうことに対して全く情報が入っていないのか、それとも、入ってるんだけれども公表しないよという前提のものなのか。
それから、先ほどの答弁だと、軍民共用化が進展するものと考えるということをいわれましたが、そういうふうにいい切れるんでしょうか。
○瀧本参事 協議の詳細の部分でございますけれども、これにつきましては、外交上の問題であるということが日米協議でございますので、外交上の問題であるということと、それから、これは日米間の中でそういうものは公開しないで進めていくこととなってございまして、その旨は私ども東京都の方でもそういうことで承っているところでございます。
その内容につきましては、私ども東京都の方に情報をいただいているものと、あるいはいただいてないもの、いろいろあろうかと存じますけれども、いずれにしましても、東京都としましては、国の方からの、公表しないということを踏まえまして対応していくということになるかと存じます。
それから、このスタディーグループでございますが、これがいよいよ始まりまして、今後、その共用化へ向けて、これはロードマップでも示されてございます、実務的な協議というものが始まってまいるということでございまして、この軍民共用の具体的な条件、あるいは態様についての検討が進んでいくということでございまして、これはこの軍民共用化の進展に結びついていくものであるというふうに私どもとしましては考えているところでございます。
○古館委員 公表されないというのはちょっといまいち、何か説明もう少し簡略にしてもらいたいんだけど、東京都としては、そういうものが全く日米の国家間の問題なのでわからないのか、それとも、わかっているんだけど一部公表しないのか、どっちなんですか。
○瀧本参事 東京都の方に情報をいただいている部分もございます。その上で、日米協議につきましては外交上の問題であるということで、国においても公表しないということでございまして、私ども都にもそういうことで伝わって、承っているところでございます。
○古館委員 我が党は、この横田基地については、全面返還を一貫して求めています。軍民共用化については、基地の恒久化につながると、こういう立場からであります。一貫してそのことを求めて、全面返還を求めてまいりました。今でも、基地に隣接している自治体では、基地があるために被害を受けている住民、自治体が、一日も早い返還を望んでおります。
そうした中で、都は軍民共用化への行動を強めてきておりますけれども、都の一連の動きは、基地の存続前提そのものであって、全面返還という立場のものではないというふうにどうも考えたいんですね。
そこで、全面返還という態度を変えたのかどうか、改めて伺いたいと思います。
○瀧本参事 米軍基地に対します東京都の基本的立場は整理、縮小、返還の促進でございます。そうした中で、横田基地につきましては、これを取り巻く情勢等を勘案いたしますと、直ちに返還がなされる状況にはないものと考えるところでございまして、そこで、この横田基地については、返還までの対策として、軍民の共用化について実現を目指しているものでございます。
○古館委員 私もずっとこの横田基地の全面返還問題やってきたんですけれど、東京都のスタンスというのは変える必要があると思ってるんですよね。整理、縮小、返還という、だからいつまでたっても返還されないんだと思うんですよ。だから、全面返還ということをまず大前提に置いて、その上でどうするかということが必要なんだというふうに私は思っております。そのことだけちょっと指摘をしておきたいと思います。
それで、実は日本経済新聞社、日経新聞ですね、十月二十九日の一面でこういうニュースが配信されているんですね。在日米軍がミサイル防衛の中核をなす地対空誘導弾パトリオット3ミサイルを首都圏の米軍基地に配備する検討を始めたとする記事が配信されています。日本政府の非公式な連絡というふうにこの記事で書いているんですが、その候補地に横田基地、横須賀基地が入っている、こういう報道ですが、この問題についてはどのように承知しているんでしょうか。
○瀧本参事 お尋ねの報道についてでございますが、東京防衛施設局を通じまして防衛庁に確認をいたしましたが、防衛庁では本情報については承知していないということでございました。
○古館委員 それで、この問題については承知していないとのことだと。ということは、これはなかった話なんですかね。そういう形ではなくて、恐らくここは報道されているんだと思うんですね。
それで、私がなぜこの問題を気にしているかといいますと、いわゆる地対空誘導弾のパトリオット3ミサイル、こういうのを配備していくと、はっきりいって軍民共用化という話も、安全が前提でもってそういう点というのはあり得る話なんですよね。ところが、こういうものが新たに危険要素として付加されていくと。こういう点でいうと、横田基地だとか横須賀への配備というのは、この軍備機能をさらに強めるということになってしまいます。首都圏の安全にとっても重要な問題を持っております。
仮にこの記事が事実だとしたら、我が党としては基地の全面返還で一貫しているわけですけれども、同時に軍民共用化を進めようとしている東京都としても、黙過できない問題だと私は思うんですね。安全の面からいうと危険要因がさらにふえるということになりますので、このパトリオット3ミサイルを配備しないように、国に対してあらかじめいっておく必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○瀧本参事 この新聞の記事の情報でございますけれども、事実として確認できていないということでございまして、東京都といたしましてコメントするということはできかねることと存じます。
○古館委員 この問題は、東京都としても知り得るような形で、調査する必要があると思うんですよ。そうじゃないと、この問題は、東京都が推し進めようとしている軍民共用化の問題にだって重大な影響を及ぼすということは明らかなんですね。したがって、こういう危険要因が増していこうという動きに対して、軍民共用化という都の方針から見ましても、どのように一般市民の生命と安全を守るのか、この問題が厳しく問われてくることになります。
市民の安全を二の次にして、軍民共用化の方針まずありきでは、知事の全面返還と全く矛盾していくものになりかねない。したがって、横田基地の全面返還という課題について、石原都政の最重要の問題として全面返還をしっかり据え直すということを強く求めておきたいと思います。
次の質問に移りたいと思うんですけれども、次は、政府が、先月の二十七日に地方分権改革推進法案というのを閣議決定をして、衆議院に同法案を提出いたしました。そこでこの問題については、マスコミもいろいろ報道しております。その概要について、まずお答えいただきたいと思います。
また、九五年、平成五年ですが、そこで成立をした地方分権推進法と、今回、この地方分権、改革という名前が入ったんですが、こことはどういう点で違いがあるのか、まずこの点を明確にお答えいただきたいと思います。
○川澄自治制度改革推進担当部長 今回の地方分権改革推進法案は、まず、基本理念といたしまして、国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる社会を実現することの緊要性にかんがみ、地方分権改革を総合的かつ計画的に推進するために、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本とし、地方公共団体がみずからの判断と責任において行政運営することを掲げております。また、国及び地方公共団体の責務などを明らかにしてございます。
新たに加えられたものといたしまして、まず、国の役割を国家存立にかかわる事務等に限定する。また、いわゆる三位一体改革の目標として掲げられた国庫補助負担金、地方交付税及び国と地方の税源配分のあり方などを検討すること、こういったものがつけ加えられておりますほかは、講ずべき財政措置等を定めた推進計画の作成など、おおむね前回の地方分権推進法と同じ内容となってございます。
また、分権改革を集中的かつ一体的に実施するため三年の時限立法とした点も、五年であった前回の地方分権推進法とは異なってございます。
○古館委員 この法案、閣議決定をして、それで、これから衆議院の方の審議に入っていくわけですけれども、この法案の中身でいいますと、行政の簡素化及び効率化の推進という形で、いいたいことは、この基本方針の中に書いている、事務の処理またはその方法の義務づけの整理及び合理化、その中に何が入っているかといったら、国庫補助負担金とか地方交付税のあり方を検討すると。あり方というのは、大概これは減らしていくとか、なくしていくという、そういうものが今までの慣用句のような感じになっているんですけれども、そこで、今違いという点でいうと、この方針をスピードアップさせるという形で、五年を三年の時限立法としたということなんですね。
そこで、お尋ねしますけれども、このねらいは、道州制だとか市町村合併などを自治体に押しつける、それをスピードを上げてやろうと。その中身は、国の地方への財政支出を減らして、あわせて税源移譲と引きかえに国庫補助負担金の廃止、縮減を進めていこう、こういうねらいを持ったものじゃないでしょうか。どうですか。
○川澄自治制度改革推進担当部長 右肩上がりの時代が終えんをいたしまして、国と地方を合わせた長期債務がGDPの一・五倍に達するなど、現行の中央集権の統治システムは、その歴史的な役割を終えたことはだれの目にも明らかだろうと認識しております。
今何よりも大切なことは、新たに生み出される富に限りがある中で、地方の自主性、自立性を最大限に発揮できる体制へと転換することが必要だと考えております。地方がみずからの判断と責任において行政を運営することを可能とするためには、国の地方に対する過剰な関与を廃止、縮小した上で国庫補助負担金の廃止や税源移譲を行う地方分権改革は不可欠であるというふうに考えております。
○古館委員 私は、そういう考えに立って今答弁がありましたけれども、これは東京都だからいえる話なんだと思うんですね。例えば、この中で、地方の自主性、自立性を最大限発揮できる、これは財源確保が保障されない限り、自主性とか自発性とかといったって、できない話なんですね。地方がみずからの判断と責任において行財政運営することが可能だと。そのことが一番可能なのは、この首都東京であることは間違いないんですね。だから、税収が一極集中に入ってくると、こういう東京都だからいえる話で、私は他の自治体はそんなに甘いものじゃないと思うんですね。
いずれにしましても、この法案が目指す新分権一括法は、地方分権の名のもとで、国民の基本的な生活と権利にかかわる国の責任、これを制度的にも財政的にも後退させる危険をはらんでいる、こういう性質のものだと、厳しく指摘しないわけにはいきません。
そこでお尋ねですが、ところで、今回の閣議決定で道州制については何か言及されたんでしょうか。
○川澄自治制度改革推進担当部長 道州制を含めた都道府県の区域を超える広域の地方公共団体のあり方の検討につきましては、今回の地方分権改革推進法案には盛り込まれておりません。担当大臣のもとに道州制を検討する懇談会を設置し、三年以内に道州制ビジョンを策定する予定と聞いてございます。
○古館委員 この道州制、三年以内に道州制のビジョンの策定をねらっていると。これは、全く主権者のあずかり知らない問題だと思うんですね。大体、今質問しないとわからないという要素が、私はこういう自治制度をどうするかという問題の性質なんだというふうに思うんですね。主権者が全くあずかり知らないところで、道州制をどうしますとかという、いわゆる国と地方自治体のありようそのものを変えようという動きが今起こっているわけですね。
道州制の導入に積極的な安部総理の発言を受けて、財界を中心にして道州制を国の財政再建だとか行政改革の手段として利用しようとする動きが今強まってきています。具体的にいいますと、どういう動きがあるのか、ちょっと教えていただきたいと思うんですが。
○川澄自治制度改革推進担当部長 主な財界の発言でございますけれども、まず、経済財政諮問会議の民間議員に就任いたしました御手洗冨士夫日本経団連会長は、日本経済新聞のインタビューに答えまして、県会議員や県庁職員は膨大な数がいるが、道州制になれば三分の一でいいとの発言がございます。
また、出井伸之経団連副会長は、本年五月の会合で、日本の競争力を向上させる観点から、道州制も含めた地方行政単位の再検討など、硬直的な行政システム改革の必要性ということを強調しております。
また、全国経済同友会は、地方公務員制度改革への十の提言の中で、道州制への移行を前提に、最終的に地方議員の議員数を半減するとして、分権改革とあわせたその効果を、国の歳出を十兆円削減、地方歳出を二十兆円削減と計算しております。
○古館委員 私がさっきいったとおりなんですよね。まず、歳出は十兆円、国がこれで削減できる、地方歳出も二十兆円削減できると。なぜ財界がこういうかといったら、そうやれば財界が助かるからなんですね。
それで、ここでいっているとおり、御手洗氏は、県会議員だとか、まあ都議会議員もこの中に入るんでしょうけど、県庁職員なんかは膨大な数がいるから、道州制によって三分の一ぐらいまでに県庁職員なんかも減らして、議員もそれぐらいでいいと。それから、最終的には地方議員は半分ぐらいに減らそうと。歳出も今いったように十兆円、二十兆円という規模で減らしましょうと。
それで、日本経団連の奥田ビジョンというのがありますけれども、ここはさらにすごいことをいってるんですよね。中央と州の両政府と広域自治体という形。中央と州の両政府、こういうふうにいってるんです。つまり、道州制の州は中央と同列で、中央と州の両政府というふうにいってるんですね、これは奥田ビジョンです、それと広域自治体。
だから、市区町村なんていうのは全然もう視野にも入ってないという形で、でっかいものをつくって、しかもそれは、州というのを地方自治体扱いしてないんですよね。はっきりいえば、アメリカなんかの州みたいな感じの、そういう形でもって、国は全部責任は棚上げにして、そういうところに持っていかして、地方自治体に全部そういうものは財政的にも仕事の上でも考えているというのが、いわゆる財界が考えている、二十一世紀目指している国家像であり地方自治体像なんだと。これは私がいってるんじゃなくて奥田ビジョンでそういっているわけですね。
だから、道州制の発信元は財界で、そのねらいは、いかに財政負担を減らしていくのか、いかに地方に住んでいる方々の声を--先ほど議員数を減らすとか、職員数を減らすとかといってましたけれども、そういうものをどんどん縮小していくのか。これがこうした一連の地方分権推進改革や、あるいは道州制がねらっているねらいなんだっていうこと、このことをきちっと指摘をしておきたいと思います。
ところで、ことしの二月二十八日に、第二十八次地方制度調査会が道州制のあり方に関する答申というのを出しましたけれども、この内容について簡潔にお示しをいただきたいと思います。
○川澄自治制度改革推進担当部長 今回の答申は、まず、道州制の導入は国と地方双方の政府のあり方を再構築するものである。また、国は、国の役割を本来果たすべきものに重点化する。また、地方は二層制とするなど、地方自治を取り巻く現状や道州制の必要性、方向性について示しております。
しかし、この報告は、地方への事務配分を地方支分部局の役割に矮小化していること、道州間の規模の均衡を目的とした区割りなどが議論されるばかりで、問題が多いと認識しております。
○古館委員 それで、今、東京都自身は、いわゆる道州制というのは考えているんだけれども、今回、二月の地方制度調査会が出した案というのは、道州の区割りなどの問題が多いんで、うちとしては、先ほどの答弁でいうと問題が多いと、こういう認識だというふうに押さえていいんですね。
私ども日本共産党は、改めて--今、政府、財界というのは、国から地方にかけて官から民へと、このスローガンの一色なんですね。市町村合併の押しつけということと地方財政への締めつけ、これが一体として進んできているというのが特徴であります。これも、長い間財界がずっとこうしろといい続けてきたことなんですね。
平成の大合併という形で国が強力に進めてきた市町村合併によって、全国の市町村数は、一九九九年三月末は三千二百三十二自治体がありました。これから、今は、〇六年の三月末の現時点では、三千二百三十二から千八百二十二まで、約六割に減らされております。政府は、引き続き新たな合併特例法に基づいて推進しようとしているんですね。
財界の要望を受けとめて始まった道州制導入、この検討の中では、一層の市町村合併の促進がねらわれているんですね。地方財政をめぐる三位一体の改革では、税源移譲と引きかえに、国庫補助負担金の廃止縮減、地方交付税の削減を進めつつあります。地方自治体が担う教育だとか福祉だとか、そういう仕事の財源を保障する制度の改悪であって、住民の暮らしと権利を切り詰めるというふうに私ども指摘せざるを得ません。
そうした点でも、我が党は、市町村が合併するかしないかというのは、あくまでもそこの市町村の、とりわけ住民が自主的に判断することであって、道州制についても同じことがいえると思っております。日本共産党は、憲法の地方自治の本旨を尊重する立場から、国がこれ以上の市町村合併だとか道州制、これを押しつけることに対してきちっと反対を貫いていく、このことを述べて、質疑を終わります。
以上です。
○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大津委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本局関係を終わります。
○大津委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○遠藤委員 飲酒運転に関して何点かお尋ねをいたします。
本年八月、皆さんもご存じのように、福岡市の職員が飲酒運転の上、交通事故を起こし、しかもそれによってとうとい三人の幼児の命が奪われるという大変悲惨な事故が起きました。この事故を契機に飲酒運転に対する厳しい世論が上がり、社会問題化しているのはご存じのとおりであります。
また、平成十一年、東名高速で飲酒運転のトラックが乗用車に追突し、幼児二人が死亡した事故を契機に、平成十三年には、危険運転致死傷罪が新設されるなど、飲酒運転に対する罰則等が強化されてきましたが、同様な事故は後を絶っておりません。
そこで、まず都内の飲酒運転による人身事故の発生状況についてお尋ねします。
○内藤参事 都内の飲酒運転による人身事故の発生状況をこの三年間で申し上げますと、平成十五年が発生件数二千百件、十六年は千五百九十六件、十七年は千二百八十八件でございます。また、飲酒運転の事故に絡んで亡くなった死亡者数でございますが、平成十五年が二十二人、十六年が二十五人、十七年が三十二人という状況でございます。事故発生件数については減少傾向にございますが、死者数についてはここ三年間ふえる傾向にあるという状況でございます。
○遠藤委員 今答弁がありましたように、事故の発生件数は減少しておりますけれども、死者は増加しているとのことでありますけれども、これは重大な飲酒運転事故が増加していると私は考えております。
先月十六日から二十二日までの一週間、飲酒運転させないTOKYOキャンペーンが展開されたところでありますけれども、私の知っている居酒屋さん、たまに飲みに行くんでありますけれども、「飲酒運転をさせない宣言の店」のステッカーが掲示してありました。店主の話では、このステッカーがあるとお客様に飲酒運転の注意が喚起しやすいといっておりました。また、居酒屋さんから、こういったポスター、ステッカーはいただけないものかというふうなことから、私も何枚か、幾つかの店に届けたことがありますけれども、改めて、どんな団体が協力しているのかを含め、十月のキャンペーンの具体的な内容についてお聞きいたします。
○内藤参事 十月のキャンペーンについてでございますが、警視庁では街頭での取り締まりを初めとするドライバー対策を進めておりますことから、都では、大手チェーン店の加盟する団体はもとより、個人の飲食店等でつくる東京都飲食業生活衛生同業組合など十五団体に働きかけまして、都内全体で約五万四千店の飲食店、あるいは酒の小売店などと共同いたしまして、飲酒運転させないTOKYOキャンペーンを先月十六日から一週間、警視庁と連携しながら展開したところでございます。
具体的には、「飲酒運転させない宣言の店」ステッカーを店内に掲示するとともに、飲酒した客が車を運転することのないように、飲食店の従業員が声をかけるなどの取り組みを行ったところでございます。また、あわせまして、都のホームページに「飲酒運転根絶の窓」というところを開設いたしまして、飲食店における飲酒運転させないための接客マニュアルを掲載するとともに、運転代行業者の情報提供などを行ったところでございます。
○遠藤委員 飲酒運転をさせないための接客マニュアルを都が提示したことは、これまで対応に苦慮していたお店、飲食店等にとっては大変よいことであったと思っております。
そこで、酒を飲む機会が多くなる十二月、都は再度、一カ月間キャンペーンを展開するとのことでありますが、参加団体や店舗をふやすなどして広範な運動を展開すべきだと考えていますが、今後どのような運動をしていこうとしているのか、お尋ねいたします。
○内藤参事 十二月は忘年会などお酒を飲む機会が大変多くなりますことから、今お話あったとおり、一カ月間の年末キャンペーンを実施したいと考えております。十二月におきましては、引き続き酒類を提供するお店や企業、団体等と協力いたしまして飲酒運転させないための取り組みを行いたいと思っておりますが、さらに、ゴルフ場ですとか、ホテル旅館事業者などにも働きかけ、参加するお店などを拡大するとともに、駐車場事業者にも働きかけるなど、今お話あったとおり、より広範なキャンペーンを展開してまいりたいと考えております。
また、現在ホームページに掲載しております接客マニュアルは、主として飲食店における店内での対応を示したものでございまして、今後、駐車場における対応についても掲載するほか、お店や企業等が独自で実施し効果が上がっている事例の紹介を行うなど、飲酒運転をさせないための普及啓発の充実に努めてまいります。
○遠藤委員 自動車についてはもちろん飲酒運転は禁止されているところでありますけれども、自転車についても道路交通法が適用されるわけですから、この四月に警察庁より、警視庁及び都道府県警察本部に対して、自転車の取り締まり強化の通達が発せられたということであります。自転車も飲酒運転をしてはいけないことが都民には余り知られてないというふうに思っております。自転車の飲酒運転に対する普及啓蒙を行うべきと考えていますが、所見をお聞かせください。
○内藤参事 自転車は、道路交通法によりまして軽車両というふうに位置づけられておりますので、この道路交通法によりまして飲酒運転することが禁止されております。しかしながら、ご指摘のとおり、このことについては必ずしも都民に広く理解されているとはいえない状況にございます。
このため都といたしましては、今回の年末キャンペーンにあわせまして、飲酒して自転車を運転することが禁止されていることを、ホームページ「飲酒運転根絶の窓」、あるいは都の広報紙などにより普及啓発を図ってまいります。
○遠藤委員 十月二十日の産経を見た方おるかもしれませんけれども、飲んだら自転車はタクシーで運搬という大きな見出しが出ておりますけれども、やはりこういうことをよく踏んまえて、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。
あわせて、都庁の職員の飲酒運転に対しては、既に罰則が規定されておりますけれども、ここで改めて、どのような処分が定められているのか、お聞かせください。
○内藤参事 都庁の職員の飲酒運転に対する処分についてでございますが、この基準については、総務局が平成十五年三月に定めた懲戒処分の指針についてというものに基づいて現在行われているところでございます。具体的には、都庁職員が飲酒運転した場合は免職または停職とするというふうに規定されてございます。
○遠藤委員 さきにも述べましたけれども、飲酒運転による重大事故については、危険運転致死傷罪が適用されれば、最高刑期で二十年が適用される。一方、人身事故を起こした場合は、救護義務違反、いわゆるひき逃げについては最高刑期五年、刑法の業務上致死傷罪を合わせると、最高刑期七年六ヵ月ということであります。逃げ得というような面もある。こういったことを踏まえて、都議会第三回定例会で刑罰等の強化等の意見書を国に提出したところでありますけれども、罰則強化についてはぜひとつ必要だろうというふうに考えております。
しかし、刑罰の強化だけで飲酒運転が追放できるものではないというふうに考えております。飲酒運転がなくならないのは、日本人の酒に対する甘さもあるのではないか。運転をする人には酒を出さない。酒を飲んだら絶対運転をさせないといった飲酒運転に対する厳しい都民の意識や態度を醸成していくことが、あわせて大変必要だろうというふうに考えております。
そこで最後に、これまでの取り組みを踏まえ、飲酒運転追放に向けた本部長の決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○舟本青少年・治安対策本部長 飲酒をして車を運転することはもちろんあってはならないことであります。取り締まりの強化や運転者の自覚を促すよう働きかけるなど、ドライバー対策の重要性ということは申し上げるまでもありませんけれども、委員ご指摘のような日本人の酒に対する甘さを断ち切っていくためには、飲食店など酒を提供する側、あるいは駐車場など車を運転する際に利用する施設の側など、社会全体が足並みをそろえて、飲酒運転をさせない、許さないという包囲網を形成していくことが極めて重要であると考えております。
今後とも、さまざまな業種、業界に飲酒運転をさせない取り組みへの参加を働きかけるなど、警視庁を初め関係機関などと連携をし、飲酒運転根絶に向けた取り組みを全力で推進してまいります。
○遠藤委員 大変強い決意のほどをお聞かせいただいたところでありますけれども、ぜひこの決意のもとに、飲酒運転撲滅のために全力で取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。
○田中委員 私は、ことしの六月に、警視庁が交番の統廃合について発表されたということで、それに関連をして少しご質問をさせていただきたいんですが、治安対策本部、この組織が設置されたのはいつですか。
○百合総合対策部長 当本部の設置でございますけれども、昨年八月一日付で設置をしたところでございます。
○田中委員 ということは、それ以前は、今、治安対策本部でやっている仕事というのはどういうセクションでやっていたんですか。
○百合総合対策部長 それ以前につきましては、治安関係につきましては知事本局内に緊急治安対策本部というような形で臨時の組織を立ち上げ、実施をしていたところでございます。
○田中委員 なぜこんなことを冒頭伺うかというと、自治体として、警察と違う自治体としての仕事の中で、いわゆる今治安対策本部が行っている仕事というのがあるわけですよね。将来、この治安対策本部という組織がどういうふうに発展をしていくか、あるいはどういうふうな変化をしていくかというのはこれまたわかりませんし、時の知事がどう考えるかということも影響があることだと思います。しかし、今やっている仕事というのは、これは自治体の仕事として、過去やってきて、今取り組んで、さらにまた、時代状況によってその仕事がふえていったりしていくこともあるんだろうというふうに思っているんです。
さて、そういうことを念頭に置いてお伺いするんですけれども、警察が交番の統廃合を発表したのは六月の下旬ですよね。そこに至るまで、いわゆる東京都という自治体の治安防犯対策の役割を担う皆さん方に説明がきちっとなされてきたのか、あるいは事前の協議というのがあったのか、その点についてちょっとお尋ねしたいんです。
○百合総合対策部長 交番の統廃合につきましては、あくまでも警視庁の所管ということでございますので、その以前に特段に私どもの本部に対して相談、協議等はございませんでした。
○田中委員 さて、交番が統廃合されるというのは、警視庁が交番の有効な活用ということを進めていく上で考え出したプランだと思うんですね。その是非はここで議論することは適当でないと思いますので、それはそれとして、いいでしょう。で、今、警察はその統廃合のプランを出したと。
その次に、私どもも当時、警視庁からご説明を伺いましたけれども、交番でなくなるところ、つまり空き交番を解消するとか、あるいは統廃合によって、ある交番を機能強化をして、廃止しても、その地域に、いってみれば影響のないようにというような配慮をしながら統廃合を進めていくということなんですが、廃止する予定のその交番について、それについては、自治体と相談をしながらとか、地域の住民の皆さんと相談をしながら、その後の活用について考えていきたいと、当時、こういう説明を私たちはされたわけなんですね。
私がこの問題をあえて取り上げさせていただくのは、いわゆる治安防犯対策というふうに一言でいうと、非常に抽象的な言葉なんですけれども、具体的に、警察の仕事と自治体の仕事というのは、一体どういう違いがあるのかということについて、こういう機会に改めて考えてみる必要があるんじゃないか、将来のことも視野に入れたときに。そういうふうに問題意識を持っているわけなんです。
そこで、あえて伺うのも大変僣越でありますけれども、警察の仕事と治安対策本部の仕事というのは、一体どういう違いがあるのかということについて、どういうご認識を持っているのか、お聞かせをいただきたいんです。
○百合総合対策部長 治安と一言に申し上げるのは確かに幅の広い話になると思いますし、一方で警察行政の中で、例えば警察署が防犯協会等と協力しながら地域の防犯に活動しているという部分と、また私どもが、いわゆる治安対策としてさまざまな施策を実施しているということで、明確にその線引きがどうなっているかということについては、実態としてそれぞれ役割分担しながらやっているというのが現実だと思いますけれども、根拠的に申し上げますと、例えば安全・安心まちづくり条例という中では、東京都が区市町村ないしは関係機関と協力しながら、安全・安心なまちづくりを進めていくというような規定もございます。そういったことで、基本的に目標として治安をよくしていく、ないしは犯罪を少なくする、ないしは安全なまちづくりをしていくという視点からは、それぞれの役割分担をしつつ、連携をしながらやっていくというのが現在の状況でございます。
○田中委員 いろいろご説明もあったんですけど、よくわかるようでわからないんですよね、はっきりいうと。後で議事録になって、振り返ってよく読んでみますけど、実際にはできるだけ具体的に、こういう仕事は警察で、こういう仕事は行政の仕事なんですよと。あるいはまたがるものもあるかもしれないし、当然連携が必要なものもあるでしょうけれども、しかし、こういうものは主にこっちだとか、あっちだとかですね、これは警察ではやれるけど、これは行政ではやれないんだとか、やはりそういう具体的な説明をもう少しわかりやすくいただけるとありがたいんですけど、どうでしょう。
○百合総合対策部長 私も実は行政、いわゆる一般行政の立場でございますので、警察行政に関してつまびらかではございませんけれども、私、この場でお答えできるといいますか、考えられるのは、一つは、警察行政というのは、犯罪が起きたときに、それを取り締まる権限を持っていると、犯罪者を逮捕する権限を持っていると、いわば警察権を持っている。一方で、実は犯罪が起きた後の対応だけではなくて、当然警察のあり方として、犯罪が起きない状況をつくっていくということも一つの使命かというように思います。ただそこら辺は、一般行政とどこがどう違うのかというと、それほど明確な区分があってやっていることではないだろうと思います。
ただ、これはいろんな歴史や地域の状況だとかを踏まえて、犯罪が起きたときに、それに対処する担当の警察の行政の中で、犯罪の手口だとか犯罪情報について詳しいところが犯罪を抑止し、防止するための対策もあわせてやってきているという部分と、地域の中で実際に治安をよくしていくとか、犯罪を少なくするとかということは、単に警察署だけでやるよりも、やはりいろんな方々が、地域の方々が一緒になってやるということが、より効果が上がっていくという発想も、また昔からある発想だというふうに思います。そういう意味で、今現在、治安の状況が都民の方々から非常に不安視されているという中で、都の一般行政も、警察行政と連携をしながら治安の回復に努めていくというのが今の現状でございます。
○田中委員 いろいろ今、またご説明いただきましたけれど、こうでなくちゃ絶対いけないとか、そこまで私は突っ込んで申し上げるほど知識もないし、決めつけたりするつもりもないんですけれども、今おっしゃったように、何かあれば警察権力というか、逮捕できる、取り締まりをできるんだというような仕事の、一つの地域の拠点としての交番ということと、例えば防犯の啓発とか防犯思想の普及とか、あるいは地域住民がいろんなパトロールをやったり、今、大変そういうことで取り組んでいる人たちがふえていますよね、PTAや町会や何かと。そういう自治体が取り組むことの一つの拠点なのかというのを、一度きちんと話し合って、将来の方向をどういうふうにするのかということを協議する必要があるのではないかというふうに思っているんです。
つまり、今の交番を統廃合して、いわゆる警視庁としては交番としては必要ないと。必要ないというよりも、現行の勢力では、むしろこういう形で再編をした方がいいということで、当面そういうことの中では必要ないと。そういういい方が一番--あればあるにこしたことはないのかもしれないけれども、それは人や予算の制約の中でということですから、そういう意味ではここは切らざるを得ないだろうということで、廃止するというふうに決めた交番の使い道は、じゃあ警視庁がその使い道についてずっと考えていくのか。あるいは、自治体の行政の中で、それについて活用を考えていくのかということについての基本的な話し合いとか将来のプランというのをきちっと協議する必要があるんじゃないかと。そういう研究を始める必要があるんじゃないかということなんです。
当面、我々の印象ですよ、警視庁が交番の統廃合をすると。だけれども、例えば地域で来年から交番がなくなってしまいますよというところについては、その地域の住民の皆さんは、非常に不安に思ったり、これで大丈夫なのかとか、なくなってもちゃんと治安が悪くならないようにやってくれと。あるいはなくさないでくれと、いろんな要望が当然出てくる。これは恐らく予想されたことだと思うんです。そのことの一つの政治的な配慮というか、地域に対する配慮ということで残しておきましょうかという面があるのかなと。
それについて、ただ警察官がいなくなって、そのまま箱を残しておいても、これまた意味がないので、地域の自治体とか地域の皆さんと協議をしていきましょうということで、当面、そういう対応でいくしかないという判断の中で、例えばOBの警察官を配置する安全連絡所というんですか、それから安全・安心ステーションとか、そういう呼び方をするんですか、そういうものを残そうということになってきたんだろうかなという印象なんです。
だけど、それを、もしきちんと理念づけて、将来それを仕事の上で、組織の仕事の上できちっと位置づけて機能させていくためには、それは要するに、主に警察の範疇、警察がきちっと仕切る仕事なのか、一般行政の自治体がやっていく仕事なのかということを早い時点で話し合っておく必要があるんじゃないかということなんです。
今の状態でいくと、交番に、こういう表現をすると適切かどうかわかりませんけど、正規の交番と認証交番というかな、未公認の交番みたいな、こういうふうに幾つかできてしまうという状態になると思うんですね。そうすると、別に認証交番とか、まあ名称は別ですけれど、その未公認の交番がいいとか悪いとかじゃなくて、それならそれで都内の全域の中で、そういう認証交番みたいなものはどういうふうな仕事を中心に担っていただいて、それはどういうふうな全体構想を持つべきなのかというようなことのプランも必要になってくるんじゃないかと思うんですよね、仕事として考えたときに。
だから、もし警察がそのままそれをやっていくというなら、警察はそういうことをやっぱりつくっていかなきゃいけないんじゃないかと思うし、そうじゃなくて、自治体の行政がそれを自治体の治安防犯対策の中で空き交番を活用していこうと。あるいは活用する必要がないという判断が出る空き交番もあるかもしれませんよね。だから、そういうことを自治体の仕事の中でやっていこうというなら、それは早い時点で、その交番の--借りているところもあるし、自分で持っているところもあるかもしれないけれども、そういう財産の帰属も含めてどういう活用の仕方、どこが主体でやっていくかということについて、自治体が考えていくということであっていいんじゃないかと思うんですよね。
そこら辺が今非常にあいまいでいるということが、これ、毎年、その問題を協議しないでずっと行っちゃうというのは、私はいかがなものかなと。こういう問題が出たら、やっぱりそこから、例えば警察OBの方の再雇用をして、ある交番にはその方を配置するとかいうことも提案されていると聞いていますけれども、そうすると、それは予算の問題からいっても、自治体行政で必要だという人材、その人材を、できれば警視庁OBの方を採用していきましょうという、財務の体系もそういう形で考えていくのか、警視庁の予算の体系でそういうことを考えていくのかと、全部これ、つながってくる話だと私は思うんです。
だから、来年そういう統廃合をするということで、それはそれで結構だと思うけれども、この後の空き交番の活用の仕方とか、それを考える主体、責任も持ってやっていく主体というのが、今の状態がいいのか。今の状態がいいとして警察の枠の中でやっていくなら、警察は、交番の格付とともに、それぞれの格付の仕事の役割と、それから将来の全体の構想というものを考える責任を負っていかなきゃならないし、自治体の行政がやるなら、自治体の行政が、自治体の仕事の中でそういう財産の活用というものを含めて自治体の仕事としての構想というものを考えていかなきゃいけないと思うんです。その辺のところの区分けというか、話し合いというのをきちんと--事前に何も話が、相談がなかったとか、そういうことは先ほどお話があったけれども、しかし、これからはちゃんとそういう話をしていくということが私は必要だし、もう来年度の予算案の要求も大体出てきているし、その流れで行くんでしょうけれども、その後のことを考えると、早くそういう話を私はしておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、本部長のご答弁をいただければと思います。
○舟本青少年・治安対策本部長 委員、ご指摘いただきました交番の見直し、それから、それに伴う廃止される交番の扱いの関係ですけれども、この具体的な問題につきましては、現在警視庁が地元自治体、また地元住民の方々と協議中のことでありまして、まずはその推移を見守っていくべきであるというふうに考えております。
ただ、いずれにしましても、犯罪の捜査とか、そうした警察官の権力行使はもちろん、警察の、いわば独壇場であろうと思いますけれども、防犯活動、あるいは犯罪の抑止というのは、行政の立場から、あるいは警察の立場から、あるいは地域住民の立場からという、それぞれの立場からの特色を生かして連携をし、複合的に取り組んでいくのが住民の安全・安心により効果があるというふうに認識しております。
ちなみに東京都の安全・安心まちづくり条例の例えば第六条でございますけれども、その第六条の一項では、都は、区市町村及び都民等と協働して、安全・安心まちづくりを推進するための体制を整備するものとすると規定されつつ、その第二項では、警察署長は、その管轄区域において、区市町村及び都民等と協働して、安全・安心まちづくりを推進するための体制を整備するものというふうに規定されてございます。まさにこうした、議会で制定していただきました安全・安心まちづくり条例の趣旨を踏まえて、これまでも警視庁等との関係機関と、そうした都民の安全の確保のために力を尽くしてまいったわけでございますし、今後とも、そうした趣旨で警視庁と連携をさらに密にしながら取り組んでまいりたい。交番の統廃合の問題につきましても、それは同様のことであるというふうに思っております。
○上野委員 私からは、まずインターネットによる有害情報対策についてお伺いいたします。
インターネット上には青少年の健全な育成にとって有害な情報や犯罪を助長するような情報が多数存在しております。子どもでも簡単にパソコンや携帯電話からアクセスできてしまうという状況にあるわけでありますが、こうした問題に対処するため、東京都はこれまで、青少年にとって有害な出会い系サイトやポルノ、犯罪手口を紹介するホームページなどにアクセスできないようにするフィルタリングサービスの提供をインターネット関連事業者に対して要請したり、また平成十七年三月にはプロバイダーや携帯電話事業者に求める青少年健全育成条例の改正を行い、十月一日から施行したところでございますが、改正条例の施行から約一年余りが経過いたしましたが、条例の成果並びに実効性についての検証はいかほどか、実態調査の結果を踏まえた所見をお伺いいたします。
○小島参事 東京都は条例の施行前から、インターネット関連事業者等に対しまして、フィルタリングサービスの開発、提供等を求めるなどの要請を行ってまいりました。現在、いわゆるプロバイダーの多くはフィルタリングサービスを月額数百円程度で利用できるオプションとして提供しております。
また、子どものインターネット利用につきましては、携帯電話からの接続が拡大しております。条例の施行後、本年三月までに、主要な事業者はフィルタリングサービスを開発いたしまして、無料で提供するようになりました。その一方、携帯電話のフィルタリングサービスにつきましては、総務省のモニターアンケートによれば、知らない者が約六割であるという状況でございます。
こうした中で、実際の利用者の認知度、利用率を高めていくことが今後の課題であるというふうに考えております。特に、本年五月に都がまとめました携帯電話販売店に対する調査によりますと、販売店の多くが条例についてまだ知らないと回答するなど、今後のフィルタリングサービスの利用拡大に向けまして、販売店の協力を確保していくことが課題であるというふうに認識しております。
○上野委員 今のご答弁にありました携帯電話販売店の協力確保が課題であるということでございますが、なるほど都の実態調査の回答を見てみますと、今後のフィルタリングサービスの提供について、約二割が消極的であると。中でも携帯電話部門の店では約三六・四%、またインターネットカフェなどでは二五・四%が、今後も提供しない、特に考えていないと回答しております。そこで東京都は、販売店などに対し、もっと利用率の向上に向けて積極的に働きかけていくべきであると考えますが、所見をお伺いいたします。
○小島参事 携帯電話におけるフィルタリングサービスの利用率を高めていくためには、子どもが携帯電話を購入するなどの契約の機会をとらえまして、保護者に対し、フィルタリングサービスの勧奨を行うことが有効でございます。そのためには、実際の契約手続に当たる販売店の取り組みが不可欠であることから、本年七月には、都内の大手携帯電話販売店のほか、PTAの代表やインターネット関係団体など幅広く集めた会議を開催いたしまして、販売時に店頭でフィルタリングサービスの説明と利用の勧奨を行うよう要請するなど、一層の普及啓発に取り組んでおるところでございます。
今後とも、フィルタリングサービスの利用率の向上のために販売店への働きかけに努めてまいります。
○上野委員 販売店を含めた事業者の協力を求めることも必要でありますが、一方で、家庭内でインターネットの利用についてのルールをつくっていくことも重要であると考えております。都の所見をお伺いいたします。
○小島参事 インターネットの有害情報から子どもを守るためには、親がインターネットの危険性を認識し、子どもの使用状況を把握するとともに、家庭内で利用に関するルールをつくることが有効であるというふうに認識しているところでございます。そのために東京都では、本年七月にインターネット、ゲームに関する家庭のルールづくりプロジェクトチームを設置いたしまして、各家庭でルールづくりができるよう、教材の開発に取り組んでいるところでございます。
今後、心の東京革命推進協議会と連携いたしまして、教材の作成にあわせて、少人数形式で行うグループワークの進行役になるボランティアを養成するとともに、また来年一月からは小学生の保護者を対象としたグループワーク中心の講座を実施するなど、家庭内でのルールづくりを支援してまいります。
○上野委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
次に、子どもの安全を守る対策についてお伺いいたします。
最近、子どもたちをねらった痛ましい犯罪が後を絶ちません。不審者による声かけも、我が江戸川においても数多く発生しているところでございます。そうした中で、子どもがみずから犯罪から守る方法として、地域安全マップづくりが注目を集めているところでございますが、都は、子どもがみずから守る力を高めるため、この地域安全マップづくりに力を入れていると聞いておりますけれども、この地域安全マップづくりの取り組み状況についてお伺いいたします。
○保坂参事 都は、平成十七度から、都民ボランティアなどを対象といたしまして、地域安全マップづくり講習会を実施して、マップの作成指導者を養成し、学校などへ派遣してまいりました。昨年十二月、広島、栃木など、子どもの痛ましい事件が相次いだことを受けまして、都は、地域安全マップづくりを小学校の授業で実施できるよう、教員向け研修会を初め教育系大学生に対する地域安全マップ講習会、小学校での公開モデル事業などを実施してまいりました。
○上野委員 皆さんもご存じのように、池田小学校事件がありました。その後も小中学校への侵入事件が幾つか発生いたしました。その意味で、授業中の学校の安全についても大きな課題と考えております。都は今年度、公立小中学校などへの防犯カメラの設置補助事業を実施しているところでございますが、都内の小中学校の防犯カメラ導入の現状と見通しについてお伺いいたします。
○保坂参事 昨年度の時点でございますが、七割の公立小学校、約八割の公立中学校におきまして防犯カメラが未設置でございまして、学校の侵入事例が報告されていることから、今年度、区市町村に対しまして、防犯カメラ設置の補助事業を行っております。現在、すべての公立小中学校での防犯カメラ設置を目指して区市町村と調整中でございます。
○上野委員 防犯カメラは、いわゆる侵入を企てる者に心理的圧力を与えるということもありますし、また、犯行を断念させるなどの犯罪の抑止効果が大きいと思います。防犯カメラにより、警察への通報、児童生徒の避難など、迅速な対応も可能であります。その意味で私は、特に、弱く、幼い児童が学んでいる小学校すべてに防犯カメラを設置することが望ましいと考えておりますが、どうも区や市によっては学校の防犯設備についてさまざまな事情があるかに聞いております。
そこで、小学校に防犯カメラを設置しないとする区や市の事情とは何であるか、お伺いいたします。
○保坂参事 都は、小中学校での犯罪、侵入抑止のため、すべての小中学校への防犯カメラ設置を目指して、十八年度、区市町村への補助事業を実施し、多くの区市町村に協力をいただいているところでございます。しかしながら、一部の区市は既にインターホンつきのオートロックシステム導入を計画決定しておりまして、一定の防犯効果が上げられるとする独自の判断に基づきまして、防犯カメラの設置を今のところ見送るというように聞いております。今後、こうした区市町村に対しても、調整に努めてまいります。
○上野委員 学校の安全を確保するためには、防犯カメラの設置というハード面の充実のほか、防犯体制の整備など、ソフト面の取り組みも重要でございます。そこで都は、小中学校での防犯訓練の実施や、侵入者に対する連絡体制の整備に努めるべきであると考えますけれども、所見をお伺いします。
○保坂参事 今回、防犯カメラ補助の条件といたしまして、都は区市町村に対して、防犯カメラを活用した学校での防犯訓練や、侵入者に対する学校内や警察署などとの連絡体制の整備計画の作成を求めております。防犯カメラ設置というハードの力だけに頼ることなく、都は区市町村とともに防犯カメラ設置を契機としまして、学校防犯体制の充実強化に努め、ハード、ソフトの両面から子どもを守る体制をつくってまいります。
○上野委員 少子社会を迎えまして、かけがえのない子どもの命を守ることは何よりも大切でございます。子どもの安全は、学校だけでなく、地域や社会の力で守るという考えの上に、さまざまな施策を重層的に講じていくことが必要でございます。都が、自主防犯パトロールなど、地域の方々と協力して、子ども一人一人をしっかり守り、安全・安心なまちづくりを推進することを大いに期待しているところでございます。
そこで、子どもを犯罪から守るための本部長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○舟本青少年・治安対策本部長 子どもを犯罪から守るために、保護者や学校だけではなく、警察や自治体はもとより、町会、自治会を初め地域の方々の力を結集することが極めて重要であると認識しております。都は、各学校におきまして地域安全マップづくりを授業で取り入れることや、防犯カメラ設置補助事業を行っており、また地域で子どもたちを守るため、子ども安全ボランティア活動や「動く防犯の眼」ステッカー活動を推進するなど、さまざまな対策を現在講じております。
ちなみに、今月を子ども安全ボランティア推進月間とするとともに、地域のきずなを強めるため、あいさつ運動推進月間とも位置づけております。
今後とも、子どもを犯罪から守るため、重層的、複合的な取り組みを関係機関、団体とともに強力に推進してまいります。
○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大津委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
○大津委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○川村任用公平部長 本年の人事委員会勧告等につきましては、去る十月十三日、都議会議長並びに都知事に対しまして、職員の給与について勧告するとともに、人事制度等について報告を行ったところでございます。
お手元には、この勧告等に関する資料として、資料第1号、平成十八年人事委員会勧告等の概要、資料第2号、職員の給与に関する報告と勧告を配布させていただいております。
本日は、このうち資料第1号の概要に従いましてご説明をさせていただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをごらんいただきたいと存じます。
まず1の特徴でございますが、三点ございます。
一点目は、都の職員の給与と民間従業員の給与との比較調査を行った結果、職員の給与が民間給与を千三百五十七円、率にして〇・三一%上回っておりましたので、これに相当する給料月額と配偶者に係る扶養手当の額の引き下げというマイナス勧告となったことでございます。
二点目は、職員の給与と民間従業員の給与の比較調査における比較方法の見直しを行ったことでございます。国は、この給与の比較方法を四十二年ぶりに見直しておりますが、都も同様の見直しを行っております。枠のすぐ下の2、職員と民間従業員の給与の比較、(1)、比較方法の見直しのアとイにお示ししておりますように、比較対象企業規模を従来の従業員百人以上の事業所から従業員数五十人以上の事業所に改め、小規模の事業所も比較対象に加えることといたしました。
また、比較対象従業員も、例えばラインの部長職の部下数は、これまで三十人以上であったものを二十人以上とするなど、部下数要件を緩和するとともに、ライン職と同等のスタッフ職も比較対象に加えることといたしました。
このように、公民給与の比較方法を見直したことにより、民間従業員の給与をより広く都の職員の給与に反映させることができることとなり、(3)、比較の結果の表にお示ししておりますように、例月給がマイナス勧告となったものでございます。また、特別給、いわゆるボーナスでございますが、職員、民間従業員ともに四・四五カ月分で、均衡する結果となっております。
なお、今回の勧告により、職員給与は平均年収で二万二千円の減収となるものでございます。
次に、特徴の三点目、地域手当の支給割合の変更でございます。この地域手当につきましては、昨年の勧告で引き続き検討することとしておりますが、本年の勧告では、国などとの制度的均衡を図るため、支給割合を最終的には国と同様に一八%とすることとし、平成二十二年度までの間、段階的に引き上げることといたしました。
また、この地域手当の具体的な取り扱いについてでございますが、恐れ入りますが、ページを一枚おめくりいただきまして、二ページの3、給与の改定、(1)、改定の考え方、イの二行目末尾から四行目にかけてお示ししておりますように、地域手当の支給割合は島しょ地域を除いて区部、多摩の地域ともに一八%といたします。また、その下の(2)、改定の内容の二つ目の表、諸手当の地域手当の内容の欄にお示ししておりますように、今回の改定における支給割合は現在の一二%から一ポイント上げて一三%といたします。
次に、本年の勧告に伴う具体的な給与改定の方法及び手続についてでございますが、すぐ上の表のア、給料表の中の行政職給料表(一)の内容欄の二つ目の黒ポツにお示ししておりますように、地域手当の一ポイント引き上げに伴い、本給の給料月額を〇・九%引き下げることとなります。今回の勧告により、給料表における給料月額は、公民較差相当分と地域手当の支給割合の引き上げに伴う引き下げ分とを合わせて、平均で約一・一%引き下げることとしております。
これらの行政職給料表(一)の改定内容は、各給料表の欄でお示ししておりますように、警察、消防、教員等の給料表においても同様に改定することとしております。
次に、イ、諸手当の扶養手当でございますが、今回の調査では、配偶者に係る扶養手当の額は、民間の家族手当の支給状況を上回っておりましたので、千円引き下げて一万三千五百円といたします。
次に、(3)の実施時期等についてでございますが、給料表及び諸手当の改定には給与条例の改正が必要でございまして、例年第四回定例会で条例の審議をお願いいたしておりますが、仮に本年十二月中に給与条例の公布ができるとした場合には、来年一月一日からの改定となるものでございます。
三ページをごらんいただきたいと存じます。4、給与構造・制度等の改革でございます。
まずアでは、管理職手当について、職責、能力、業績を適切に反映できるよう、これを定額化するよう勧告しております。イでは、部長職に係る新たな職務の級の設置について意見を申し述べております。ウでは、少子化対策や民間の家族手当の支給動向を考慮して、三人目以降の子等に係る扶養手当の額を千円引き上げるよう意見を申し述べております。これらの実施時期は平成十九年四月から行うことが適当であるとしております。
引き続きまして、5、その他の給与制度でございます。教員や医師の給与、退職手当制度につきましては、今後の検討の方向性などについて意見を申し述べております。
最後に6、人事制度等に関する報告(意見)についてでございます。(1)の今後の人事制度のあり方につきましては、都政の課題解決に取り組める人材の確保、育成に向け、人事管理の着実な推進の重要性などについて意見を申し述べております。
次の四ページになりますが、(2)の職員の勤務環境の整備等では、仕事と子育ての両立支援、服務規律の確保などについて言及しております。
以上をもちまして本年の勧告等の概要についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○大津委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑とあわせて行います。ご了承願います。
なお、事務事業につきましては既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はありませんでしたので、これよりただいまの報告事項及び事務事業に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○古館委員 最初に、質疑するのが一人というのもちょっと残念なんですけれども、今も報告が……(「じゃあやめちゃいなよ」と呼ぶ者あり)そうじゃないんです。そういう意味じゃないんですよね。やっぱり大事な一人一人の職員の給与だとかのあり方については議会としてもきちっと議論をする必要があると、こういう意味でいったわけであります。
そこで最初の質問ですけれども、勧告どおり実施されるとすると、全体の所要経費はどれくらいマイナスになるんでしょうか。私はマイナス勧告というふうになること自体に納得できないものですけれど、まずこの点、お答えいただきたいと思います。
○川村任用公平部長 本年の給与勧告がそのまま実施されるとした場合の給与費の減は、総務局の試算では約五十七億円と聞いております。
○古館委員 職員の総数も、この間、どんどんどんどん減り続けておりまして、その分、人件費の比率も、昭和五十六年が三九・八%、約四割だったのが、今は二六%ぐらい減ってきて一三・八%減になっています。
それで、職員の総数は約十七万人、正確にいうと十六万九千二百九十九人が軒並み減収になるということなんですね。それで五十七億円という、十六万九千人余の方が減収になっていく。いろいろ考えますと、オリンピックの積み立てで毎年一千億。一千億のお金の五十七億円というと大体十八分の一ぐらいでしょうか。十六万人余の、約十七万人の職員が、その積み立てるための一千億円の十八分の一、そういう形でなっているという……(「そういう計算はないよ」と呼ぶ者あり)いや、そういうことを私はいっているんです。やっぱり職員のあり方というのは、東京都政の全体においても極めて重要な位置を占めているわけですから、そのことを今、申し述べました。
これもですね、また経済同友会の話ですけど、私、総務局との質疑、知事本局との質疑、全部経済界の、どういうことをいっているかということを取り上げた、それぐらいに、はしを持つぐらいまで、何でもかんでも国や自治体に対してこうしろああしろと、こういっているんですね。
そういう点でいうと、例えば経済同友会が去年の十一月四日に出した地方公務員制度改革への十の提言、ここでどういうことをいっているかというと、二〇一〇年初頭までに、地方公務員職員数は二割削減せよと。それから給与一割引き下げろと。このことによる職員数は六十一・四万人の削減になる。人件費は、このことで八兆一千八百億円などの地方政府のスリム化になっていくと、こういうふうに、つまり年次まで区切って、それぞれがそれぞれに対して、地方自治体の給与のあり方についてまでいっているというのが今の現実なんです。
日本経団連が〇五年に、そういう中でも同じことをいっているんですけれども、さらなる行政改革に向けてという文書を出しているんですけれども、その補論の中で、私としては注目したんですが、地方公務員の給与は、主要大都市圏を除き、各地域の民間企業の賃金と比較して高い水準にあると見られる。つまり地方公務員の給与は、主要大都市圏を除いて大体高い。主要大都市圏に東京が入るものと私は考えていますけれども、東京都の職員の給与水準は都内民間の給与水準と均衡しているということでしょうか。
○川村任用公平部長 東京都は毎年、民間企業実態調査等に基づき、正確な比較を行い、職員給与と都内民間給与の水準とを均衡させております。
なお、東京都以外の道府県は国家公務員の給料表を用いているため、地域の民間企業に均衡しない場合もございますが、東京都は都道府県で唯一独自の給料表を作成しており、民間給与との均衡を図るよう、給料表の改定を行っております。
○古館委員 だから経団連が去年の四月に、主要大都市圏を除きといったのは東京都、都道府県ではね。それから政令市の中でもそういう形でやっているのが幾つかあるようですけれども、つまりここでいっている主要大都市圏というのは、都道府県では東京都だけなんですよ。私がここに資料として、ここに東京と丸している。これが東京の、こっちの黒い棒の方が民間だと思います。こっちが公務員なんですね。ほとんど横並びなんですよ。ところが、神奈川にしてもどこにしても、もうはっきりいって、こっちの薄い方の、灰色の方が、があんと突き出しているのが公務員の賃金ですね。だから東京というのはもうずっと、そういう意味では括弧づきで経団連のいっているとおりにやってきた、あるいは経済同友会がいってきたようにやってきたという感じで、ある意味ではそういう点での役割を果たしてきたんですね。
私はだから、そういう点からいうと、百人に据え置いたってよかったんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。大して変わらないんだから。
○川村任用公平部長 公務員の給与と民間従業員の給与の比較につきましては、賃金を引き上げる、引き下げるという立場で実施しているわけではございませんで、公務員の給与を適正に民間の従業員の給与に引き直すと、こういう目的でやっているところでございます。
○古館委員 私がさっき日本経団連のをいったのは、去年の日本経団連の状況をいったんですが、去年で既にもう大都市圏を除いて--いわゆる大都市圏は、だから給与水準と均衡しているということなんですよ。それを経済界も認めてるんです。だから百人で据え置いても十分よかったというのが私の意見であります。
今、大企業の多くが六期連続で経常増益となっていますね。本年の春季賃上げ状況で見ますと、連合や日本経団連の集計でも、率、額ともに増加傾向となっておりまして--収益ですよ、経常増益--事実、この十月二十六日の国税庁のまとめでは、ことし六月までの、いわゆる大企業などの一年間の全国の法人の申告所得額は、前年比で見て一六・七%増の、何と法人所得としては五十兆円を超えているんですね。五十兆三千九百七十四億円増益になっている。五十兆円を超えたというのは実は十四年ぶりで、バブル期の水準に急回復したとまで現実に今いわれているところであります。これらについて承知しているんでしょうか。
また、企業収益が賃上げに反映されていないことについて、人事委員会としてはどのような認識をお持ちでしょうか。
○川村任用公平部長 ただいまご指摘の点につきましては、事実として認識をいたしております。
また、企業の収益増を従業員の賃金引き上げに回すか、株主への配当に回すか、あるいは投資に回すかは、それぞれの企業の経営判断であると考えております。
人事委員会といたしましては、民間賃金の動向につきましては鋭意把握に努めておりますが、企業収益そのものや企業収益と賃上げの関係について調査分析をしておりません。また、それらについてコメントすべき立場にもないと考えております。
○古館委員 いろいろ、後段の方は余り私の意に沿うた答弁じゃありませんが、ただ、五十兆円を超える増益を上げているということについては認めましたね。
それで、今、答弁は……(発言する者あり)いやいや、お認めになったというのは大事なんですよ。企業が収益をふやしているということを前提とした答弁であったと思います。
企業判断と簡単にいいますけど、賃金を引き上げる要素というのは、今のお認めのとおり十分にあったはずなんですね。ところが、そういう形では、企業側の方はいつも民間は据え置いてきたと。こういう形の中で今度はどうしたかというと、先ほどの説明では、今回、公民比較方法の見直しという形で、すなわち民間事業の企業規模を百人以上から五十人以上にしたんですね。なぜ四十二年ぶりにこんな見直しを行ったんでしょうか。
○川村任用公平部長 職員と民間従業員の給与の比較は、同種同等の者同士を正確に比較するという原則のもとで、ラスパイレス方式、つまり対象職種といたしまして、都の事務、技術職員と同種の仕事についている民間従業員といたしまして、四月分の給与支給月額について、主な決定要素であります役職、学歴、年齢を同じくする者同士で行っております。こうした原則のもとで民間従業員の給与をより広く職員の給与に反映させることが適当であるとの観点から、人事院における見直しの内容も踏まえ、比較検討について検討したところでございます。
人事委員会はこれまでも独自に民間の実態を幅広く把握するため、五十人未満の事業所についても調査を行ってきた経緯がございます。今回、企業規模五十人以上百人未満の民間事業所に対しても給与実態調査を行ったところ、同種同等の比較を行うに必要な適正なサンプルが得られましたことから、見直しを行うこととしたものでございます。
○古館委員 そうはいうけど、さっき私が示したこの公民の賃金、こんなにほかの府県は較差があるんだから。東京はほとんどそれを忠実にやってきた。今、人事院における見直しの内容も踏まえといいましたけれども、そういう形の人が、都を除いたところの人たち、こういう結果なんじゃないんですか。もう一度ちょっと答えていただきたい。
○川村任用公平部長 公務員の給与と民間従業員の給与につきましては、地公法二十四条三項によりまして、生計費との均衡、あるいは国や他団体との均衡を考慮すべき必要がございますので、東京都としては、従来からこうした均衡に留意しながら給与の決定を行ってきたところでございます。
○古館委員 結局は、東京都は経済界のいうようなことをまじめにやってきたということなんだと思うんです。
それで東京都自身が、私も感じているんですが、日本経団連だとか財界の代表、あっちこっちで任用しています。私の知るところではこの人事委員会もそうだと思います。経済界の、人件費抑制を自治体に求めているということは先ほど述べたとおりであります。
そこで伺いますが、今回の見直しは、公務員の給与を引き下げることは、私は公務員給与ばかりか民間給与をさらに低賃金にしていく、そういうてこになっていくというふうに考えております。さらに、公務員と比較する民間従業員の範囲についてもパートなど非正規社員などを含めるべきとする意見もあるやに聞いていますけれども、この考え方というのはどういう見解をお持ちですか。お答えいただきたいと思います。
○川村任用公平部長 今回の比較方法の検討に当たりましては、先ほども申し上げましたとおり、公務と民間の同種同等の者同士を正確に比較するという原則を踏まえながら、民間従業員の給与をより広く職員の給与に反映させるという考え方のもとに行ったものでございます。
また、非正規社員等につきましては、短期雇用を前提に時給制が多く、雇用形態、賃金形態が公務員のような常勤職員とは明確に異なっている例が大半であると認識しております。この非正規社員を比較対象に含めることにつきましては、同種同等の者同士を比較するという原則に基づくラスパイレス方式にはなじまないものと考えております。
○古館委員 今の答弁、当然であります。今回の見直しでは百人以上を五十人以上というように、大変な賃金引き下げの見直しというふうになります。長い目で見たら本当に大変な引き下げになっていくと思うんですね。この見直しは、国の骨太方針だとか日本経団連など財界の要求そのものを実行しているだけではないかというふうに私は先ほどから指摘をしていますが、国の骨太方針でも人件費の削減がいわれてまして、さきに紹介した日本経団連、さらには経済同友会など、さらなる行政改革に向けてという中で、公務員の総額人件費の抑制という形で強く、強烈に求めております。これら財界や国の方針に沿って実施したことは明白だというふうに思いますけど、この点についてご見解いかがですか。
○川村任用公平部長 人事委員会は労働基本権の代償措置としての給与勧告を行っておりまして、その根幹をなす公民比較方法の見直しは、中立の第三者機関として検討し、判断したものでございます。公務と民間の比較の正確さを損なわない限りにおいて、比較対象の民間企業を広くするということは、それに均衡させた職員給与に対する都民の理解や納得性を高めることができるものと考えております。今後も公民比較方法につきましては、情勢の変化に適応するよう、そのあり方について検証するなど、人事委員会機能を適切に果たしていく所存でございます。
○古館委員 今、答弁ありましたけど、人事委員会というのは、労働基本権の代償措置なんですよね。財界の代償措置じゃないんですよ。労働基本権の代償措置として給与勧告が行われていることは明らかです、今の答弁のとおり。中立第三者機関というけれども、私はそういう意味からいえば、労働者にはスト権などもない。そういう点からいって、労働者、公務員ですよ、公務員の労働者、その立場を十分に尊重するというのが、私は人事委員会の持っている本来の役割だというふうに確信しています。
公務員労働者は、一九四八年七月に、アメリカ占領軍の事実上の命令、政令二百一号によって労働基本権を奪われました。それと抱き合わせで押しつけられたのが人事院勧告制度です。これらの特徴というのは、一方で公務員労働者の賃金などを低く抑えることで民間の労働者全体の賃金を切り下げるという側面があります。
また同時に、この勧告制度について、実は都政新報社で都財政用語事典というのが出されていますけれども、ここでこの人勧制度についてどのように書いているかというと、この勧告は、任命権者によって法的な拘束力はないが、地方公務員の労働基本権にもかかわる重要な問題であり、最大の配慮が払われる事柄であろう、このように記されています。
我が党は、今回の人事委員会勧告については、公務員労働者の賃金を低く抑えるということで、同時に今後、民間の労働者の賃金をも切り下げていく、こういう側面が強く出たものとして極めて問題があるということを厳しく指摘をしておきます。したがって、本人事委員会勧告については、これから総務局の扱いとなりますけれども、労使協議を十分尽くして解決を図ること、そして労の側と十分な協議と、その合意と納得のできることを強く求めて、私の質問を終わります。
以上です。
○大津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
報告事項及び事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大津委員長 異議なしと認め、報告事項及び事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時五十五分散会
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