総務委員会速記録第四号

平成十八年三月二十日(月曜日)
第一委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長山下 太郎君
副委員長鈴木あきまさ君
副委員長増子 博樹君
理事吉倉 正美君
理事吉原  修君
理事古館 和憲君
宇田川聡史君
後藤 雄一君
高木 けい君
橘  正剛君
倉林 辰雄君
比留間敏夫君
柿沢 未途君
田中  良君

 欠席委員 一名

 出席説明員
知事本局局長山口 一久君
儀典長伊藤  誠君
次長熊野 順祥君
企画調整部長松田 二郎君
秘書部長野澤 直明君
政策部長宮川  昭君
参事升 貴三男君
参事小林  清君
横田基地共用化推進担当部長河島  均君
調整担当部長上田 洋平君
参事平林 宣広君
参事金丸 陽子君
国政広域連携担当部長首都調査担当部長兼務八木沼今朝蔵君
自治制度改革推進担当部長秋山 俊行君
参事長谷川 均君
東京オリンピック招致準備担当部長小宮 三夫君
参事谷島 明彦君
青少年・治安対策本部本部長舟本  馨君
青少年育成総合対策部長百合 一郎君
心の東京革命推進担当部長杉谷 正則君
治安対策担当部長高嶋  明君
参事保坂 俊明君
参事内藤 泰樹君
監査事務局局長高橋 道晴君
参事皆川 重次君

本日の会議に付した事件
 監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十六号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 青少年・治安対策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 青少年・治安対策本部所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十号議案 東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
 知事本局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出 知事本局所管分
報告事項(質疑)
・重要施策及び平成十八年度重点事業について
・平成十七年度行政評価結果について
・東京オリンピック基本構想懇談会報告書について

○山下委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、青少年・治安対策本部及び知事本局関係の予算の調査、監査事務局及び青少年・治安対策本部関係の付託議案の審査並びに知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案中、歳出、監査事務局所管分及び第四十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○後藤委員 私からは、本会議のときに局長がご答弁なさったと思うんですけれども、任期つきの職員の方を一人考えていらっしゃるというふうにお答えになったんですけれども、この辺のことをもう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。

○高橋監査事務局長 実は、まだそんなに深く詰めてはありません。私が着任してもう一年八カ月ぐらいになるんですが、やはりこれからは専門性が非常に大事だと思いましたので、どういう形が考えられるか、一部事務の委託を監査法人にするとか、それは実際に今やっています。それから、スタッフとして専門家を採用したらどうかと、そういうことも考えまして、公認会計士協会の方とは会っていまして、もしそういう条件が整えば派遣していただけるのかと、そういうことは詰めておりまして、それは大体可能のようです。ただ、いろいろ条件を詰めなければなりませんし、人事当局との話し合いもありますので、まだ、今そういう具体的な条件を詰めているところでございます。そういう趣旨でご答弁申し上げました。

○後藤委員 そうしましたらば、会計のシステムが変わるわけですから、変わった段階で、なるべく早い時期に検討をなさるべきだと思うのですが。この任期つきの職員のことを私が聞きましたらば、とりあえず一名ぐらいというふうに局長がお答えになったと思うんですけれども、ここのところは一名なんというふうにいわずに、例えば二名でも三名でも構いませんけれども、会計のシステムが変わっているんですから、変わった段階を契機として、できたらば入れるべきだと思うんですけれども、この辺はどうでしょうか。
 例えば、来年度の予算には、任期つきの職員の方の人件費だとかというのは一切入っていないわけですね、そうしますと。

○高橋監査事務局長 来年の予算要求の中に入っておりません。
 それで、十八年四月一日、来年度からですけれども、新会計制度になります。現在、監査委員に筆谷先生がいらっしゃいます。会計の専門家でございます。会計の専門家のもとに我々もいろいろご教示いただいて勉強して監査を進めているわけですけれども、公認会計士でなければその専門性を高められないというわけでもないと思うんですよ。我々の職員の中にもかなりベテランがいまして、長年積み重ねてきて、決して引けをとらないという職員も結構います。実際、去年から外部委託、外部というか、監査法人に事務の一部を委託しているんですけれども、公認会計士と話をしても決して引けをとらない職員もいます。
 ですから、今、後藤議員のいわれたように、どんどんふやせばいいじゃないかというふうなことまで考えておりませんで、やはり新人も大勢入ってまいりますので、その方に公認会計士のノウハウで、我々がないようなノウハウをご教示いただくとかでございますから、そういう公認会計士に実務をそんなに担ってもらうということではなくて、指導していただければいいということです。今のところは一名と考えております。

○後藤委員 そうしましたらば、次なんですけれども、代表監査委員の方は公用車が一台ついていると思うんですけれども、この代表監査委員の方に公用車をつけてくれというふうに監査事務局の方から頼んでいるのか、頼んでいないのか。

○皆川参事 代表監査委員の公用車ですけれども、そうした監査委員の職責を踏まえまして、東京都自動車の管理等に関する規則第八条に基づきまして、知事は、乗用車を専用する者として指定しております。したがいまして、その指定に基づいて公用車を配置しているわけでありまして、監査事務局の方からの依頼に基づくものではございません。

○後藤委員 そうしましたらば、識見監査委員の方でもう一方いらっしゃるんですけれども、この方も会議があるときには公用車をお使いになっていますけれども、非常勤の方には交通費は払わないというふうになっていると聞いているんですけれども、この方の公用車の考え方というのは、交通費のかわりなんでしょうか、それとも何か目的というのか理由があって頼んでいるのか、そこだけお答えください。

○皆川参事 非常勤監査委員の公用車でございますけれども、監査委員の職務は、公正な監査を実施し、行政監視を行うことであります。その職務は非常に重要なものでございまして、その職責を果たすために、委員審議等が確実に開催でき、円滑に運営されなければなりません。したがって、監査資料等の取り扱いについても機密性等を確保する必要性から、公用車を送迎に使っているという状況がございます。
 これにつきましては、専用車と違いまして一般公用車といいますか、共用車ですね、失礼しました、それを申請して、あいていれば使えるという状況でございます。
 それで、委員報酬につきましては、あくまでもこれは役務の対価と申しますか、職務に対する対価ですので、非常勤監査委員の報酬の中に交通費は含まれておりません。

○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○山下委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案中、歳出、債務負担行為、青少年・治安対策本部所管分及び第三十号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 私は、青少年問題協議会への諮問事項について、保護司との連携強化について、更生保護への取り組み強化について質問をさせていただきたいと思います。
 先日、平成十七年の非行少年情勢について明らかとなりましたが、都内で警察に検挙、補導された刑法犯少年の数は、昨年に比べて約五%減少したとのことです。刑法犯少年の減少は素直に喜びたいと思いますが、刑法犯少年の数が減ったとはいっても、犯罪が検挙されたものの二割以上が少年であり、中でも、都民が治安に対する不安感を身近に感じる大きな原因である路上での強盗やひったくりなどの街頭犯罪では、依然として少年の割合が高くなっています。しかも、検挙された少年のうちで、過去にも警察に検挙や補導されたことがある再犯者の割合は四人に一人と高く、また、この再犯者率が上昇傾向にあるということです。特に、殺人や強盗などの凶悪な犯罪を犯した少年では、再犯者率が約六割に達しているということです。その意味で、少年の犯罪や非行を防止することは、少年自身を健全に育てるという意味だけではなく、安全・安心なまちづくりという面でも重要な意味を持っているというふうに考えております。
 そして、少年の犯罪や非行の防止という課題は、ひとり行政のみならず、この社会をつくる大人たちすべてが取り組まなければなりません。社会全体で取り組むべき重要課題であります。特に、少年の再犯者率が上がっているということは、少年の再犯防止、立ち直りを果たすための取り組みを改めて強化をしていく必要性を示しております。
 私は、保護司としてこれまで更生保護の一翼を自分なりに担ってきたというふうに思っておりますが、保護司が受け持つケースの多くは一号観察というやつなんですね。一号保護観察と呼ばれる非行を犯した少年のケースです。保護司としての経験を通じて、かねがね犯罪を犯した少年の立ち直りが大きな課題であるというふうに考えてまいりました。このような観点から、少年の再犯を防止して立ち直りを果たすための取り組みについて伺ってまいりたいと思います。
 さて、東京都は平成十七年十一月二十四日に、東京都青少年問題協議会に、非行程度の進んだ少年の再非行防止について諮問をいたしております。
 保護司法第一条に、「保護司は、社会奉仕の精神をもって、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もって地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする。」とありますように、犯罪者の更生は保護司のまさに使命とするところでございます。
 特に、先ほども申し述べましたように、保護司が取り扱うケースの多くは少年です。そこで、まず、今回の青少年問題協議会への諮問事項と諮問の背景についてお伺いをいたします。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 昨年十一月、青少年問題協議会に対し、少年院等を出た子どもたちの立ち直りを、地域で支援するための方策についてを諮問いたしました。刑法犯少年の中でも、少年院に収容される非行程度の進んだ少年については、その約一五%が過去にも少年院や児童自立支援施設等に送致された経験を有しておりまして、これは、非行程度の進んだ少年の立ち直りが困難であることを示しているところであります。
 そこで、非行程度の進んだ少年の立ち直りについて、関係機関が協力して取り組むために必要な課題を明らかにするため、今回の諮問を行いました。

○鈴木委員 今回、青少年問題協議会に更生保護を正面から取り上げて諮問が出されたということは、私がかねて感じてまいりました非行を犯した少年の立ち直りに対して、やっと都が取り組む姿勢を示したものだというように評価をしたいと思っております。スピードを重視する石原都政にあって、ちょっと取り組みが遅かったんじゃないかなという感がいたしております。
 ところで、さきに触れました都内の少年非行情勢についてですが、これを詳しく見てまいりますと、十四歳から十九歳までの刑法犯少年の検挙人員は、昨年に比べて約七%減っていますが、十四歳未満の少年で見ますと、補導人員が昨年に比べて一七%もふえているということです。青少年問題協議会への諮問は昨年十一月ですが、その答申を速やかに得て、一日も早く少年の再犯防止を進めていくことが必要ではないか、そのように考えるわけですが、青少年問題協議会の今後の審議スケジュールはどうなっているのか、その辺もお伺いします。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 青少年問題協議会では現在、専門部会において諮問事項の検討をしていただいているところでございますけれども、今後、六月には中間のまとめを取りまとめていただき、秋には最終答申をお出しいただく予定になっております。

○鈴木委員 青少年問題協議会の中間答申は六月ごろまでに出されるというふうにご説明がありました。さきの答弁では、少年院などに送致された経験のある少年の立ち直りが難しくて、再び少年院に送致されるケースが多くなっているということですが、今回の青少年問題協議会への諮問の背景にまさにあったということだと思います。
 確かに、少年院を出た子どもたちの立ち直りを社会としてどう支えていくのかということは難しい問題ですし、東京都もそうですが、これまで自治体が余り取り組んでこなかった問題であると思います。東京都には、青少年問題協議会における議論の結果を、単なる議論にとどめるのではなくて、ぜひ、実際の施策として実現してもらいたいと考えております。
 ところで、警察が検挙した少年のうちで、少年院に送致される少年の割合はどれくらいあるのか、お伺いをしたいと思います。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 平成十六年に一般の刑法犯等で家庭裁判所に送られた少年の処分結果を見ますと、少年院送致は三・三%となっております。

○鈴木委員 先ほどの説明では、少年院に送致される少年の約一五%が過去にも少年院等に送致された経験があるということでしたが、少年院に送致された少年のうち、保護観察を受けたことのある少年の割合はどれぐらいあるのか伺います。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 平成十六年に初めて少年院に送致された少年のうち、前回処分が保護観察であった者は四六・八%でございます。

○鈴木委員 そうしますと、少年院に送致される少年のうち約六割が以前にも少年院に送致された経験があったり、あるいは保護観察を受けたことがあるということになります。いいかえれば、少年院に送致されるそれ以前の段階、最初の小さな犯罪や非行の段階での立ち直りが果たされれば、少年院に送致というところまでいかなくても済むのではないかともいえるわけです。少年院を出た子どもの立ち直りはもちろん重要な課題であって、東京都にはしっかり取り組んでほしいと思っております。ですが、それとあわせて、少年院に送致されるよりももっと前の段階での対応が十分になされるということも大切です。将来の重大な犯罪を予防するという意味で、小さな犯罪や非行を犯した子どもの立ち直りということにも取り組みをぜひ求めたいというふうに思います。
 そこでお伺いをいたしますが、犯罪予防活動における更生保護の役割についてどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 重大な罪を犯す少年も、いきなり重大な罪を犯すのではなく、深夜徘徊、家出等の不良行為や万引き、自転車泥棒などの初発型犯罪を繰り返していくうちに、重い罪を犯すようになっていくことも多いと考えられます。そのような初期の段階で周りの大人や地域社会、警察、行政等が早期に介入すれば、子どもを社会の輪に引き戻すことが可能であります。
 更生保護とは、まさに非行に走った少年を社会の輪に引き戻すための活動であり、非行を犯した少年自身の健全育成という点はもちろん、将来における重大な犯罪の発生を予防するという意味においても重要であると考えております。

○鈴木委員 初期の段階で子どもを社会の輪に引き戻す役割は、本来は父親、母親であり、家庭である。しかしながら、その家庭が本来の機能をしていない。父、母の不在というところに大きな問題がある以上は、うるさいおじさんとかおばさんといった地域の大人たちをふやして、といういい方は何なんですが、そういううるさいおじさん、おばさんがふえて、地域社会の力、隣同士会話のある社会をどうつくっていくのか、少年犯罪の再犯防止にとって大きなかぎになると考えています。
 親のいうことを聞かなくても、聞かない子どもも、おじいちゃん、おばあちゃんのいうことは聞くものである、そんなふうに私も認識をしているんですけれども、東京都としてもこういう取り組みには、もう既におやじの会を各地域に立ち上げて取り組んでいる、進んでいるというふうに思っているんですが、今の答弁にもあったように、更生保護は、罪を犯した少年の立ち直りのみならず、将来の重大な犯罪の発生を予防するという点でも重要な活動であると思います。
 保護観察中に再度の非行、犯罪をして処分を受けた者の割合を再処分率といいますが、平成十七年度版の犯罪白書によれば、十六年中に保護観察が終了した少年の再処分率は一八・五%となっております。十七年中の刑法犯少年の再犯者率は約二四%であって、この二つの数字はそれぞれ統計のとり方も違って、単純に比較をすることはできないと思いますけれども、少なくとも保護観察を受けることは、犯罪や非行からの立ち直りに有効に働いているというふうに考えていいと思います。
 ところで、非行からの立ち直りということについて、司法の仕組みにも見直すべき点があるのではないかというふうに私自身は考えております。
 そこでお伺いするんですが、警察が検挙された少年のうち、何の処分も受けない少年がどれぐらいいるのか、把握をしていたらお示しをいただきたいと思います。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 平成十六年中に家庭裁判所に送られた少年について見ますと、家庭裁判所の審判が行われない審判不開始、これが七四・二%、審判を行った結果、処分が行われなかった不処分が九・七%となっております。

○鈴木委員 今答弁がありましたように、検挙された少年の八割以上が、その後、自分がした自分の罪というんでしょうか、と向き合うことがないのが現実なんですね。つまり、みずからの犯した行為の責任を自覚するチャンスさえ与えられていないことが問題ではないかということを、私、保護司でございますけれども、あえて指摘をさせていただきたいと思います。
 この問題は、司法の問題でもあることですからこれ以上は申しませんけれども、改善されるべき課題ではないかというふうに考えております。
 さて、先ほどの答弁で、少年の再犯を防止するための活動の重要性について、青少年・治安対策本部としても十分に認識しているという趣旨の答弁がありました。この少年の再犯の防止という活動こそ、保護司が日夜取り組んでいる更生保護の活動にとって、まさに中核なんです。保護司の活動について、それではどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 非行少年に地域で通常の社会生活を営ませながら、更生に向け必要な指導、援助を行う無報酬のボランティアである保護司の役割につきましては、非常に重要かつデリケートなお仕事を日ごろ果たしていらっしゃるものと認識しております。そうした保護司の活動に対しては、かねがね深い敬意をあらわしているところでございます。また、保護司の皆様の熱意ある活動は、少年の犯罪防止に大きく貢献をするものと期待しております。

○鈴木委員 保護司の活動について、東京都としても高い評価をしているということは今わかりました。しかしながら、常々非常に残念に感じているのは、これまで東京都の更生保護に対する取り組みは、必ずしもその重要性に対する評価と比べて十分なものではなかったというふうに感じております。実際、私の知るところでも、東京都が保護司のかかわる活動に対して直接関与しているのは、法務省が主催し、保護司や保護司会が参加して実施されている社会を明るくする運動だけであるというふうに私自身認識しているんですが、確認の意味で、間違いないのか、また運動について、その内容について具体的にお伺いをしたいと思います。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 現在のところ、保護司の活動にかかわる活動としては、社会を明るくする運動でございます。
 社会を明るくする運動に係る内容でございますけれども、都内で社会を明るくする運動は、都知事を委員長とします社会を明るくする運動東京都実施委員会が中心になって実施しております。都は、その運動経費の一部を負担するほか、実施委員会の常任委員会に東京保護観察所や東京保護司会連合会などの他の団体とともに参加しており、毎年度重点目標、統一標語、運動計画の策定などに携わっております。
 また、毎年七月に統一街頭啓発活動を行っておりまして、十七年度は数寄屋橋外二カ所で活動を行っておりますけれども、これにも参加しております。また、区市町村を単位として地区実施委員会を設置いたしまして、各地域の実情に応じた運動を行っておりますが、こちらにも数カ所参加いたしております。

○鈴木委員 今、東京都としての社会を明るくする運動へのかかわりについてのご説明をいただいたわけですが、運動経費の負担は百万円程度であったというふうに思います。残念ながら、この社会を明るくする運動は法務省が主催する運動であって、保護司が深くかかわっているとはいえ、保護司の直接の活動に対する支援ではないわけです。保護司の活動は、保護司個人としての活動だけではなくて、地区保護司会の活動や保護司会連合会の活動など多岐にわたっております。非行少年を立ち直らせ、再犯を防止するということが非常に重要な課題であるという認識でありながら、実際に少年の再犯防止活動に極めて深くかかわっている保護司や保護司会の活動に対する直接の支援がないということに対して大変残念に思っているところでございます。
 国は、更生保護予算の経費を平成十八年度予算で九億二千二百万円ふやしております。うち民間経費としても、保護司関連経費として十二億三千五百万円と、大幅に十八年度予算はふやしているんですね。思いますに、これまで東京都が保護司や保護司会の活動に直接かかわってこなかったのは、更生保護が司法という仕組みと密接にかかわっている国の業務であるとされてきたことが大きいのではないかというふうに考えているんです。
 これに比べて、実際東京都には保護司や保護司会を担当する部局がなくて、更生保護を担当する国の省庁である法務省とも日常的に連絡をとるような仕組みにもなっていなかったんじゃないかと思うんです。本当に東京都としてこれでいいのかという思いで私はいっぱいでございます。
 ですが、都民要望の筆頭に、治安の回復というものが挙げられているわけですから、治安の回復にとって再犯の防止は避けては通れないわけです。であるならば、更生保護という仕事とも無関係ではいられないのではないでしょうか。
 そこで、東京都に要望するのですが、せっかく青少年・治安対策本部という新たな組織をつくって、青少年の健全な育成と治安の回復等を一元的に所管する局が生まれたわけですから、青少年・治安対策本部が中心となって東京都と法務省とが連携、連絡をとっていくべきではないかと考えます。保護司会、保護司を担当する部署、こういう連絡窓口を設置すべきではないかというふうに私は考えているんですが、その点、どのようにお考えになっているでしょうか。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 今回、青少年問題協議会におきまして諮問事項を検討するに当たりましては、法務省からも必要な資料の提供、関係する施設の視察等に関し、非常に密接なご協力をいただいているところでございます。
 非行を犯した少年の立ち直りは重要な課題であると考えており、今後、青少年・治安対策本部としても、国において更生保護を担当する法務省と十分連絡をとってまいります。

○鈴木委員 これからは東京都と法務省とが連絡をぜひ密にとっていただきたい、そういうふうに考えております。
 更生保護という制度は、確かに国が中心となって動いているものではありますが、犯罪を犯した者もいずれは地域の一員として迎え入れていくことになるわけです。特に、犯罪を犯した少年も、家庭のみならず地域でしっかりと支えて立ち直らせて、きちんとした大人に育てることで我が国の将来を支える立派な力となることができるはずです。
 保護司は、少年が立ち直るその手助けをして、実際に立ち直った少年がきちんとした大人になることを目にすることというのは一番の喜びにしているところです。
 実際に保護観察を受ける少年の多くは、ちゃんと立ち直っていきますし、私自身も、自分の対象者が立派に立ち直って、自分でお店を経営するようになって、そのオープンに招待をされたという経験も持っております。
 その一方で、みずからが受け持った少年が再度非行を犯したり、時に少年院に送られたりすることがあると、反面、無力感を抱くこともあります。まして、昨今は、更生保護制度の根幹である再犯防止機能に対する世論の大変厳しい批判もあって、保護司の中には、本当につらい思いをしている仲間も随分いるんです。
 ですが、非行少年の更生という課題は、保護司を初めとする更生保護にかかわる者だけが取り組めばよいというものではなくて、少年が住むところ、学ぶところ、働くところ、そうしたさまざまな少年の活動の場面場面ごとに地域がしっかりとサポートをしていかなければいけないものと考えております。
 ぜひ、非行少年の更生、再犯防止への取り組みに向けた青少年・治安対策本部長の決意をお伺いしたいと思います。

○舟本青少年・治安対策本部長 心身ともに発達途上にある少年は、周囲の影響などを受けまして容易に非行に走ってしまうことがありますが、他方で、一たん非行に走りましても、親や周囲の方たちの適切なサポートがあれば立ち直って、いわゆる更生する、可塑性に富む存在であります。また、犯罪を犯した少年をいかに再犯防止させるかということは、ご指摘のとおり、治安上大変重要な課題でもございます。
 再犯防止対策に取り組む上で重要なことは、それにかかわる機関の連携であると思いますし、中でも、ご指摘のように、国において更生保護を主管する法務省との連絡につきましては、今後、特に充実させていきたいというふうにも考えております。
 都としましては、非行に走った少年の更生、再犯防止のための活動に、関係部局はもちろんですけれども、法務省ほか国の機関や、また保護司の方々を初めとする地域で活動なさっている方々と幅広く手を携えていくことが大切であると考えておりまして、こうした考え方で積極的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 更生保護という仕組みが現在転機に立っているということは事実だと思います。そして、おのずと保護司や保護司会の役割にも限界があります。新人保護司の発掘にはどの地域も大変苦労しているというのが現実なんです。ですが、忘れてはならないのは、少年院に送致された少年であっても、約八割は多少の紆余曲折はありながらも、地域の中で更生を果たしているという事実にあると思います。今の更生保護の仕組みに欠けているところは率直に見直すとともに、よいところはさらに伸ばしていくということが必要ではないでしょうか。
 更生保護の抱える諸問題については、現在、国においても根本的に検討をしているところであります。ですが、住民により近い地方公共団体や、非行少年たちが生活をする場で、生きる地域社会で、ともに生きる個々の地域住民が、他人事はではない我が地域のこと、自分自身のこととして更生保護の活動への理解と温かい関心を寄せていただきたいと思っております。
 保護司の活動は大変デリケートな問題でして、今までどちらかというと日の当たらない、むしろ当たらないようにして活動している感がございました。しかし、これからの更生保護活動には、地域の大きな理解が必要不可欠であります。
 今回、東京都が青少年問題協議会の場に更生保護にかかわる重大な問題を諮問したことは、今後、非行少年の立ち直りという課題に対して、東京都が一層強力に取り組んでいく、その出発点となるものであると考えております。
 青少年問題の結論が、厳しい立場にある少年の再出発の支援を充実する大きな契機となることを期待するとともに、単なる答申に終わらせることなく、その内容の実現を重ねて要望をするところです。
 先ほどの青少年・治安対策本部長の答弁で、非行少年の再犯防止対策を進めるためには、さまざまな機関との連携が不可欠であり、中でも、法務省との連絡については今後充実させていきたい、保護司を初めとする地域で活動する方々と幅広く手を携えて積極的に取り組んでいくと力強い決意がございました。東京都には積極的なリーダーシップをとって、非行少年の立ち直りのため、日々地域で苦労している保護司や保護司会の活動を支援していくよう強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

○橘委員 私の方からは、外部侵入者による小中学校の犯罪の未然防止について、何点かお伺いします。
 青少年・治安対策本部の十八年度の新規事業の一つに、全公立小中学校における防犯設備の整備というのが盛り込まれております。これは、以前から外部侵入者による犯罪というのは問題になっていたわけですけれども、この十八年度に整備に取り組むとした目的、これが一点です。
 それから、事業の概要についてですけれども、一校につき一カ所設置するのか、それとも何カ所かでもいいのか。それから、監視システムはどういうふうなシステムを考えているのか、それから補助率といった概要についてお聞かせください。

○保坂参事 都内公立小中学校の多くが防犯カメラ未設置であるということを踏まえまして、平成十八年度中に未設置の小中学校への一〇〇%設置を目指しております。
 補助対象は、公立小学校、中学校、幼稚園及び養護学校でございまして、設置機器は防犯カメラ、モニターなどシステム一式でございます。
 また、補助率は一校当たり、事業費の二分の一としてございます。

○橘委員 児童生徒の学校における安全対策、これは万全にすべきだという父兄等からの要望というのは非常に強いものがありまして、既に自治体によっては防犯カメラを独自に設置しているところも結構あるようでございます。この辺の数字というのは掌握されておりますでしょうか。

○保坂参事 都内公立小学校約千三百校中、七割を超える小学校が防犯カメラ未設置でございまして、また、公立中学校におきましても、約八割が未設置であることを踏まえまして、すべての公立小中学校への防犯カメラ設置を目指して今回の補助事業を実施することといたしました。

○橘委員 今の説明ですと、未整備のところがほとんどという感じでございます。それで、既に設置している区とか市から、さらに、例えば、我が区ではもう既に設置しているけれども、正門にしか設置していない、我が区では、さらに強化するために裏門とか通用口、そういったところにも設置したいという、そういった要望もあるようでございます。そういった声も聞いております。
 それで、そういった意見を持っているところについては、また独自にやるところもあるでしょうけれども、今回都の補助事業で新たに裏門等に設置したいと、そういったところもあると聞いておりますので、そういった場合の対応はどうなりますでしょうか。

○保坂参事 防犯カメラの犯罪抑止効果などに注目いたしまして、子どもの安全確保、緊急対策の一環として予算提案したものでございます。
 防犯カメラにつきましては、もう既に設置している学校につきましては、防犯カメラの設置台数などの状況を勘案して実施することといたします。

○橘委員 今の答弁によりますと、じゃ、今既に独自に設置している、ほかにプラスアルファとして都の補助事業として設置することも、その範囲内で検討されても構わないということですね。

○保坂参事 防犯カメラの未設置のところをまず第一義的にということで設置いたしますが、防犯カメラの設置について、台数などが非常に少なくて、まだ未設置と同程度のところにつきましては実施するということで検討したいと思っております。

○橘委員 よくわかりました。
 それで、この防犯カメラの設置というのは、学校の校門に防犯カメラを設置するということは、外部からの侵入者を未然に防ぐというのが目的だと思いますけれども、その考えからすると、既に正門のところに防犯カメラは独自の財源で自治体が設置した、さらに、今回、都の補助事業がこういうふうにしてあるということは、正門をもっと固めるという観点から、正門をオートロックにしたいという、そういう考えを持っている自治体もあるようでございます。
 そうした場合に、この防犯カメラを設置する趣旨からいって、防犯カメラそのものではないんだけれども、正門をもっと侵入者を防ぐためのガードをかたくしたいという観点からオートロックにしたいといった場合に、これは対象に直接はならないかもしれませんけれども、その辺の考え方、方向性についてはどうお考えか、お答えください。

○保坂参事 学校の防犯力を高めるためには、さまざまな方法がございます。今回は防犯カメラシステムの導入によりまして、防犯力の向上を目指すものでございます。
 校門のオートロック化については要望もございますけれども、まず未設置の小学校に防犯カメラを設置するということで今回は補助対象として考えてございます。

○橘委員 この補助事業については、二分の一補助と先ほど答弁がございましたけれども、これが全自治体で、こちら東京都が考えているまだ未設置のところすべてにやっていただきたいという気持ちはあるんでしょうけれども、財政力によっては今年度はちょっとできないというところも出てくるかと思います。その場合に、予算の執行の関係で、もうちょっと概念を広げて、オートロックとかそういったものも検討の対象に加えるということは可能かと思いますので、私、ここからは要望でございますけれども、そういった幅広い観点から、児童生徒を守るということがこの趣旨でございますので、もう少し弾力的に発想を広げて考えて対応していただければと思いますので、その点を要望して私の質問を終わります。

○古館委員 それでは、私からも何点か質問をさせていただきます。
 中学生の職場体験というのがもう既に実施されてきていまして、かなりの生徒が参加しているというふうに聞いています。どのぐらい参加しているのかということと、どのような感想が参加した子どもさんたちから出されているか。また、この事業を通じて、子どもたちにとってはどういう効果というか、何が得られたか、こういう点について、かいつまんで紹介していただきたいと思いますけれども。

○百合青少年育成総合対策部長 今年度の実績でございますけれども、十八区二十二市二町村で実施をしておりまして、参加人数については約四万人程度というふうに見込んでおります。
 それから、参加されたお子さん方の感想ということでございますけれども、この二月十一日に、実はこの中学生の職場体験発表会ということで報告会を開催いたしました。そこで子どもたちからさまざまな感想や意見が発表されたわけですけれども、その中でありました意見としては、大人が誇りを持って仕事に取り組んでいる姿を見て、お金を稼ぐことだけが仕事ではないと感じたというご意見ですとか、また、時間を守ることや言葉遣いなど、仕事では甘えは許されず、社会の厳しさを感じた、こういった学校の授業では得られない貴重な体験をしたというような発表もございました。
 また、この体験後にアンケートを実施しておりますけれども、この結果からも、この事業が、将来の社会人である中学生にとって望ましい社会性や勤労観、職業観を身につけることに大いに役立っているというふうに考えております。

○古館委員 それで、私の知っている板橋で企業を経営している人が、こういうのをやっているということを余り知らないで、ああ、そうですとかといって、そんなのなら今度紹介してくださいよという話があったんだけれども、受け入れ側の商店だとか事業主の方はどういうような感想を持っているんでしょうか。

○百合青少年育成総合対策部長 受け入れをしていただいた事業主さんのご意見でございますけれども、当初は、受け入れについては不安がある、ないしは足手まといになるんじゃないかというようなことを考えていらっしゃった方もあったようですけれども、実際に受け入れてみて、とても礼儀正しくて真剣に仕事に取り組んでくれたですとか、中学生を受け入れることで自分たちの職場にもいい刺激になったですとか、企業として地域に貢献することができたと、こういった好意的な感想が多く寄せられております。

○古館委員 こういうことをどういうふうに広げていくのかというのがすごく大事なんだと思うんですよね。
 私、率直に、青少年・治安対策という、名前からいうとちょっといかめしい名前なんだけれども、どっちかというと、予算上から見るとハードな予算が多いですよね。でも、やはり皆さんの一番の生きがいというのは、支援するというか、ソフトの面というか、そういう子どもたちをどういうふうに情操豊かで、しかも、社会的な意味でもそういう素養を備えていくのかという、ここら辺が一番の仕事のかなめなんだろうというふうに私は確信をしているところでありまして、この点でも引き続き大いにまた活動していただければと、こういうふうに思っているんです。
 それで、これを見まして、私、えっとびっくりしたのでちょっと質問させてもらいますが、ひきこもり等相談事業というのがあります。その実施の意義や目的ということについて述べていただきたいと思うんですが。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 ひきこもりの人というのは、他の人とのかかわりを忌避するため、面接相談ができない場合が多く、電話相談への抵抗感も強いとされております。このため、抵抗感が低いインターネットのメール相談という方法により、ひきこもりの人への支援を充実させようというものでございます。
 それからまた、ひきこもりは、ひきこもりの実態を把握することが非常に困難でありますことから、相談事業にあわせましてメール相談を通して集まったデータを今後の対応に生かしてまいります。

○古館委員 そのひきこもりのインターネットによる相談と。何でインターネットかと聞いたら、ひきこもりの人はなかなか人に会いたがらない。だから、インターネットで自分が主体的にそれを探しながら、こういうのがあるんだというのでインターネット相談ということが、今の状況の中では結構適切かなということで、そうなっている。
 それで、十六年度がひきこもりということで相談の状況で二百四十二人で、十七年度が倍ぐらいで四百二十七人という人がインターネットの相談に来ている。驚いたのが、二十代がそのうち五五%なんですよね。それで、三十代が二五%ですから、二十代と三十代の方を足すと八割ぐらいなんですよね。この年代層にひきこもりという相談が多いというのが特徴だというのが--それでちょっと私聞いてみたいなと思ったんですが、この要因として考えられるものはどういうことでしょうか。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 ご指摘のとおり、相談のケースを年齢別に見ますと、特に二十代が全体の半分以上というふうに非常に多くを占めております。また、相談者の状況という面では、十代のひきこもりの相談は家族からの相談が多くて、二十代以降に入りますと、家族からよりも本人からの方の相談が多いという、そういう状態になっておりますけれども、正直なところ、お尋ねの二十代、また三十代が非常に多いという要因そのものにつきましては、正直いってわかっておりません。

○古館委員 それで、ああと思って私も勉強をさせていただいたのですが、東京学芸大学の教育学部の助教授で精神科医の田村毅先生などのところに今、青少年・治安対策本部が、これは委託しているんでしょうか、提携しているんですか、委託ですかね、そういう形でやられていて、やはり精神的な面というのが多い状況にあるんだなということがわかりましたけれども、これまでの相談事業の結果をどのようにして分析をされ、また、今後どのような対応をとっていかれようとしているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○杉谷心の東京革命推進担当部長 ひきこもりの相談にはさまざまなケースが寄せられておりまして、ひきこもりになった原因、ひきこもっている期間など、その対応はさまざまでありまして、個々の対象者に応じた多様な相談の道を用意することが必要であることが明らかになっております。
 ひきこもりの簡単な解決策はないというのが実態でございまして、ネット相談というのも一つの方法ですが、これだけですべてが解決するものではございません。今後は、医療機関や保健機関、ひきこもりの方の自助グループ、親の会などの関係機関、関係団体と連携しながら対応を進めてまいります。

○古館委員 私はもうちょっと予算がついてもいいのかなと思うんだけれども、こういう部分がなかなかハードな面というのは結構金額が張る。それで、心の問題とか、数量でなかなかいい切れないという部分が--でもご苦労されているんじゃないかなと思うんですね。だから、そういう点では、私はこういうような相談があるということをどういう形で--もっと広範な人に知ってもらいながら、それで、本当に実り多くしていくのかということが問われているし、知らない人は、何か青少年・治安対策本部なんといわれちゃうと、逆にいうと構えちゃうけれども、こういうことがしっかりやられている部分というのは、ある種、私ども都議会議員でこういうふうな形で、きょうはこうやって質問できているわけだけれども、やはりこれは本当に大事な仕事になっているというふうにも思うんですね。だから、改めてこうした点についても大いに実情に即した、そういう取り組みをしていただきたいと思っています。
 それで私、次に、地域安全マップづくりということについてですけれども、これについてまず、どんな内容なのかということをお知らせいただきたいと思います。

○保坂参事 地域安全マップは、子どもが犯罪からみずから身を守るため、子ども自身が地域を実際に歩きまして、入りやすく見えにくいをキーワードとしまして、犯罪が起こりやすい危険な場所を確認し、それを地図にあらわすものでございます。

○古館委員 実は、この提案は、前に私、ちょろっとしたことあるんですよ。それは、葛飾区のたしか子どもたちが集まるところの先生が、子どもの視点で、子どもの目線で見ないと、大人と子どもの危険と思っているところは違うわけですよね。もともと子どもの目線が低い。私はそういうところに今回--これは既にある事業ですね。重点事業ですよね。これは本当にすばらしいなと思って、ぜひ成功させてほしいと思っているんですが、地域安全マップづくりというのは結構欧米なんかで広く取り入れられているというふうに聞いているんですが、その理論的な根拠と効果というのはどういうふうに考えているでしょうか。

○保坂参事 地域安全マップは、犯罪は、それを犯そうとする者に都合のよい場所や状況のもとで実行されるという犯罪機会論の考え方に基づいております。犯罪が起こりやすい場所に着目いたしまして、子どもみずからが危険な場所を発見することにより、子どもが犯罪から身を守る力を高めるものでございます。また、インタビューなどを通して地域の人たちと触れ合うことによりまして、子どもの地域への愛着心をはぐくみ、一方、地域の人たちにおきましても、子どもを地域で守るという意識を高めることも十分期待できるものでございます。

○古館委員 これは本当に大事な事業で、こうしたことが子ども主体でやっていくと、当然地域のそこの親たちも関心を持っていけるというふうに相乗効果の非常に高いものだというふうにも思っていますので、ぜひこれは大いに進んでいくように、私どもも側面から援助していきたいと思っています。
 最後に、橘さんもちょっと提案していたんですが、私別の角度で、防犯カメラの設置なんですが、これはこれで大事なことなんですけれども、ぜひ、教育庁にも働きかけてほしいと思うんですが、カメラを設置したけれども、結構今学校の教職員というのは忙しいですよね。それで、やはり監視員だとかそういうような人的な配置というのが必要なんだと思うんですよ。じゃ、それまでここの青少年・治安対策本部で面倒を見るわけにいかないわけで、やはりそうした人的な配置というのは、学校としてはどうしても必要なんだというふうに思いますので、その点についてぜひ強く働きかけをしてもらいたいということを要望として、質問を終わらせていただきます。

○後藤委員 私からは、この予算書の四ページにあります子どもの安全ボランティアリーダーの養成と支援というところについてお伺いしたいんですけれども、この事業の内容の具体的なことを教えていただきたいと思います。

○保坂参事 子ども安全ボランティアリーダーの養成支援事業といたしましては、ボランティアリーダーの養成費用やボランティアに対する腕章などについて予算計上いたしました。

○後藤委員 ここで腕章というふうなお言葉を聞いたんですけれども、例えば、自治体をいろいろと調べてみますと、腕章だとかジャンパーだとか渡しているケースが多々あるんですけれども、例えば、こちらでもし腕章を渡す場合には、何かの工夫というんですかね。これは私の方で調べましたらば、腕章だとかジャンパーを買う場合には通信販売でも買うことができるんですよ。例えば、腕章などで悪用をされているようなケースか何かがあるかなというふうにもちょっと心配するんですけれども、その辺何か情報は入っていますでしょうか。

○保坂参事 腕章の悪用につきましては、具体の事例は確認いたしておりませんが、悪用されることがないように十分留意しなければならないと考えております。

○後藤委員 例えば、電話だとかで、こちらの方ですとか警察の方に、このような事件があったよとか、見たよとかいうふうな感じの電話か何かは入っていないでしょうか。

○保坂参事 悪用の防止につきましては、都民の方々のご意見を踏まえまして、そのような悪用はないように留意していきたいと考えてございます。

○後藤委員 これは私の経験なんですけれども、世田谷区でよくテレビだとかビデオだとかの回収の車がよく回ってくると思うんですけれども、あの車に防犯と大きく書いてありまして、私のところの近所を回ってきまして、一軒ずつのぞきながら走っている車があったんですよ。この車が悪い車だったというわけではないんですけれども、例えば、防犯というふうに書いてあったり、防犯のジャンパーを着ているだけで、結構周りの私たちから見ると、防犯でやってくれているんだな、ボランティアでやっていただけているんだなというふうに考えてしまうと思うんですけれども、この辺は考え過ぎだよというふうにいわれるかもわかりませんけれども、例えば、防犯の腕章をつけていたり、ジャンパーを着ていた方たちが何か問題を起こしたりする可能性もなきにしもあらずなので、この辺の対策を、例えば、起こってからでは遅過ぎますので、できたらば何か考えていただきたいなと思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。

○保坂参事 善意の防犯ボランティアの行動が悪用されるようなケースはあってはならないことと考えております。パトロールや見守りをする防犯ボランティアの方々には、身分が外観上明らかになり、デザインを模倣しにくい腕章などの着用や厳重管理の実施を呼びかけてまいりたいと思っております。

○後藤委員 この事業の中でマニュアルをつくっているというふうに聞いているんですけれども、このマニュアルの原稿を見せていただきますと、必ずパトロールをやる場合には二人以上で回ってくださいというふうに書かれていると思うんですが、これと同じように、警察の方も防犯パトロールマニュアルというのが書かれているんですよ。こちらの防犯パトロールマニュアルの方には、絶対に一人では活動をしないでくださいというふうな書き方まであえてやっているんですけれども、この考え方には二つあると思うんです。例えば、パトロールをやっている方たちに何かの事故が起こらないというふうなことと、こういうふうなことは考えない方がいいとは思うんですけれども、ボランティアで何か、例えば、悪意を持ってやられる方がもし出てきた場合に、単独なのか、悪ければ二人でも三人でも可能性はあってしまいますけれども、できましたらば、こちらのマニュアルの方にも、二人以上の複数で実施をしましょうというところをもう少し工夫して書いていただいて、これはあくまでもボランティアでやっていただいているわけですから、こうせい、ああせいということではなくて、みんなで盛り立てながら安全というふうなことを考えていただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

○保坂参事 都は、ボランティアの方々が万が一の危険を回避するため、パトロールは複数で実施するということにいたしております。こうしたことが、結果的に腕章の悪用を防ぐことにもなると考えられます。また、不測の事態を防ぐため、絶対に単独で活動しないよう関係者への呼びかけを徹底してまいりたいと考えております。

○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○山下委員長 これより知事本局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案中、歳出、知事本局所管分並びに報告事項、重要施策及び平成十八年度重点事業について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高木委員 道州制について質問をさせていただきます。
 先日、第二十八次の地方制度調査会の答申が出されまして、調査会では道州制に関する答申ということで私たちも聞かせていただいたわけであります。
 この道州制につきましては、明治以来、国民の間に浸透している都道府県の制度を抜本的に改革をして、国と地方の双方の、ある意味では政府を再構築しようというものだと思うんですが、都民の、実際の私たちの感覚に立ってみると、この道州制というのはほとんど実感がわかないといっても過言ではないと思うわけです。
 元来、都道府県自体も、住民の感覚からすれば身近な存在ということではないというふうに思いますので、この都道府県の区域をさらに大きくした、そういう道州という広域自治体というんですかね、こういうものが誕生すると、広域自治体というものがますます遠い存在になってくるんだろうというふうに思います。
 そこで、道州制が導入をされた場合に、基礎的自治体である、東京でいえば区市町村ということになると思うんですが、この区市町村の役割がさらに重要になってくるんだろうと、私はそう思っておりますが、その点についてどのようにお考えになるのか、まずお伺いをしたいと思います。
   〔委員長退席、増子副委員長着席〕

○秋山自治制度改革推進担当部長 道州が誕生した場合の基礎的自治体、区市町村の重要性についてということでございましたけれども、都といたしましては、道州ができるということで、基礎的自治体の役割につきましては、道州制の基本的な方向が、国と地方の役割分担を抜本的に見直して、国は本来の役割である国家存立事務に専念をする、内政分野につきましては、できる限り地方政府の方へ権限を移譲していくということであるというふうに考えております。
 見方を変えますと、道州の導入によりまして、地方自治体総体での役割が大きくなるということになってまいります。また同時に、地方の側では、道州がその性格上、一般的に現行都道府県の数倍の面積を有するというような圏域におきまして広域行政を行っていく、これを中心にやっていくということになりますので、必然的に基礎的自治体の役割が大きなものになってくるというふうに考えております。

○高木委員 必然的に基礎的自治体の役割が大きくなってくるということで、後ほどまた都区制度改革との関係については改めてご質問したいと思うんですが、まず、こういう道州制の議論が行われている中で、東京都は、東京都及び周辺の県の区域と合わせて一つの道州とすることが基本としながらも、東京都の区域または現在特別区の存在する区域のみをもって一つの道州とするということも考えられるというふうにしていると思うんですね。この答申の中でもそういうことだと思うんですけれども、この道州制の議論の中で、東京だけを特別扱いしたような形で、東京都を一つの道州とすることについてはどういうふうにお考えになられるでしょうか。

○秋山自治制度改革推進担当部長 今回の地方制度調査会の答申にございます現行の都の区域、または二十三区の区域など、これをもって一つの道州とするという考え方も提示されておりまして、しかしながら、この答申の中におきましても、都域などで一つの単独の道州とした場合には、単独で道州となる東京都と、その周辺の道州、これとの間での広域調整の仕組みですね、広域連合などをやはり設けなきゃいけないというようなこともいっておりまして、簡単にいいますと、道州制導入の大きな目的である広域行政課題の対応が難しくなるというふうに答申自身も認めておりますし、我々もそう考えております。その点で大きな問題があるというふうに評価をしております。
 ただ、一方で、東京自治制度懇談会からは、東京における道州につきまして、広域行政課題への対応を基本としつつも、都区制度など東京における基礎的自治体のあり方が、広域自治体のあり方に大きな影響を与えるということも含めて考えていく必要があるというご意見をいただいております。
 地方自治が基礎的自治体と広域的自治体との有機的な協働のもとに推進されているということ、とりわけ、東京におきましては、大都市を経営していく自治システムといたしまして都区制度が設けられているということを考えれば、道州の区域だけを取り出して検討するというのは適当ではないというふうに考えておりまして、道州の役割、権限とともに基礎的自治体のあり方をあわせて検討していく必要があるというふうに考えてございます。

○高木委員 今のご答弁の中で、今後、道州の役割、それから権限とともに基礎的自治体のあり方とあわせて検討をということなんですが、この東京自治制度懇談会の道州制のあり方についての意見というのを拝見してみますと、まさにそのことが極めて明確に書かれていると思うんです。特に、今私が申し上げた問題提起は、道州の圏域というんですか、どういう形で切っていくかという圏域の設定は、地域間の均衡を図るために行うのではなくて、広域的課題へ対応することを基本とすべきなんだということとはっきり書かれていると思います。
 それで、これは東京自治制度懇談会の答申になっているんですけれども、地方制度調査会で出された道州制の議論というのは、この部分が実ははっきりしていなくて、圏域の設定についてかなりあいまいにというか、ぼかして出しているように思いますね。三つのパターンを例示をして、それでどうだということですから、この部分は、やはり東京都として圏域の設定は、広域的課題へ対応することを基本とすべきなんだ、だからこそ東京だけが特別ではなくて、東京圏というか首都圏というか、今、いわゆるディーゼル車規制の対策でやっております広域的な課題への対応、そういうものはきちんと成果が評価をされて、その実績が道州制につながっていくということが東京都としてはあるべき姿の提示なんだろうというふうに私は思うんですね。
 道州制の今後の進行状況をどう見ていくかということが今後の課題になると思いますけれども、地方制度調査会の答申が出されましたので、今後は政治の世界にこの議論が移っていくんだろうなと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、東京都の場合は、それとともに都区制度改革の問題が一方にはあって、前回の総務委員会の中でも都区制度改革の検討組織を今後、都区共同で設置をして、これから議論していくということが出されておりますので、私はそのことも確認のために先日の総務委員会でも質問させていただきました。
 そのときにも申し上げたのは、道州制の議論と都区制度改革の議論のスピードが今後どうなっていくのか。つまり、どちらが先行して議論をされるべきなのかというところまで踏み込んでいいのかどうかということもあるんですけれども、やはり歩調を合わせながら道州制の問題と都区制度改革の問題というのは、ある意味で一体的に進めていかなければいけないんだろうというふうに思うんですけれども、今後の議論の、特に道州制の部分については、進行状況というのはどういうふうに進んでいくものなのか、予想も含めて教えていただければと思います。
   〔増子副委員長退席、委員長着席〕

○秋山自治制度改革推進担当部長 今回の地方制度調査会の答申でございますけれども、本来先行して検討すべきでない区域例だけが具体的に示されるという一方で、権限移譲の具体的な内容や制度改革に伴う税財政制度の検討もあいまいにされるということなどで、我々といたしましては、制度設計と呼ぶにはほど遠い内容だというふうに理解をしております。
 答申後の検討の進め方でございますけれども、これについては全く明らかにされていないということでございまして、今後の動向につきましては、正直なところ、未知数の部分も多いというふうに考えておりますけれども、実現までに少なくとも十年はかかるという、地方制度調査会の会長の答申発表後の記者会見でそういう発言があったというふうに伝えられておりまして、検討すべき課題が極めて多く残されているということから、自治体や国の各省を巻き込んで議論を進めていくというためには、なお相当の期間を要するというふうに考えております。

○高木委員 相当の期間を要するということですが、それは一般的には私もそういうふうに思うんです。
 そうはいっても、政治の世界のことなので、いつ何が起こるかわかりませんので、道州制の議論の進みぐあいというのはぜひ注視をしながら、東京としての立場と、今までやってきた実績というのをきちんとアピールをしていただきたいと思います。
 それとともに、先ほど来いっております都区制度改革とのかかわり合いというものをぜひ慎重に進めていっていただきたいと思います。
 一番の懸念は、都区制度改革の議論をしている最中に道州制の議論が先行してしまって、そこにすべてが巻き込まれてしまうというのが二十三区にしても東京都にしても問題が大きいと思いますので、そういうことにならないように、道州制の議論は今のところ知事本局の所管、都区制度改革は総務局の所管というふうになっておりますので、そこでよく議論のすり合わせをしながら、今後、地方自治制度をどうしていくのか、その制度設計をどうしていくのか。
 前回の総務委員会でも申し上げましたけれども、東京発自治論ということを知事が再三申し上げられている中で、国に対する東京発自治論というのはかなりいろいろなことをおっしゃっていらっしゃる。しかしながら、東京都内部での制度設計についての東京発自治論というのはなかなか私たちに見えてこない部分もありますので、その辺のすり合わせをよくしていただきながら、今後、道州制の議論と都区制度改革の議論を一緒になってやっていただいて、よりよい制度の構築のために、ぜひ努力をしていただきたいと思うわけであります。
 最後のところは要望ですけれども、そのことを要望いたしまして終わります。

○田中委員 私からは、オリンピックに関連をしてご質問をさせていただきたいと思います。
 去る三月八日に、都議会では、オリンピックの招致決議がなされたわけであります。この三月八日の決議については、我が会派の中でもさまざまな意見集約の中で議論がありました。もう少しじっくりオリンピックの意義なり内容について議論をしてから後に、この決議の採決に臨みたいという意見が相当数あったのは恐らくご承知だと思います。
 八日の決議という日程については、議会の中でも会派間で交渉がなされたわけでありますけれども、この決議をさらに都下の区市町村議会での決議に盛り上げていきたいと、こういう意図が提案者にあったということを聞いております。
 現在のところ、自治体の議会がもう既に会期を終了してしまったところもございますし、これからまだ会期が継続をしているところもございます。終了した自治体は十三団体、その中で六つの自治体がオリンピックの招致決議を行ったということは聞いております。
 会議を継続している自治体が四十九、その中でこれからどれだけそれぞれの地域でこのオリンピックに対する関心が高まり、決議に結びついていくか、注目をしていきたいと思います。
 比留間先生のご地元もしっかりと決議をされているということでありますが、なかなかこの数字だけを見ますと、どれだけ今の段階で盛り上がっているのかということはいろいろ異論が出てくるんだろうなと、こういうふうに私も思うんです。
 これからこの五輪の決議というのを実際に招致に結びつけていくためには、一体これからどういう議論が必要なのか、こういう観点からお話をさせていただきたいと思います。
 現在、都がご説明をされている東京開催の意義というのは、日本の存在感を示すとか、失われた十年のその中で失った日本人の自信を取り戻すだとか、それから、このオリンピックを契機にして都市の再構築を進めていくとか、新しい二十一世紀の都市のモデルを世界に示すとか、いろいろいわれておりますが、私が思うところでありますが、いま一つ世界に対するアピールというか説得力というか魅力というものが乏しいような、そういう気がしてならないわけであります。
 振り返りますと、我が国でオリンピックの招致というものが決定をされたことは過去に二度、戦前と戦後あったわけであります。戦前は、昭和十五年、東京オリンピックが決定をされました。戦争によってこれは実現をしなかったわけであります。戦前は、万国博覧会も実は月島で開催することが決定をいたしておりました。
 このオリンピックと万博の戦前の開催というのは、ちょうど今から百五十年ほど前になりますが、ペリーが浦賀にやってきて、砲艦外交で鎖国政策の転換を迫り、そして、日米和親条約を締結して世界の各国とそれ以来開国をしていった。百五十年前に開国をした当時から、我が国は欧米列強に追いつき追い越すという国家目標を掲げて、明治維新を経て富国強兵、殖産興業というスローガンのもとに近代化を強力に進めてきたわけであります。その過程で日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、三つの大きな戦いに関係をしてまいりました。
 この三つの戦争を経ていくに従って、我が国もそうでありますけれども、世界の様相というのは激変をしてまいりました。これは、詳しくは申し上げませんけれども、戦死者の数を見れば明らか。日清戦争では戦死者は一千数百人、日露戦争はおよそ十万人、第一次大戦は日本は最前線に行ったわけではありませんが、世界全体で見ますれば一千五百万人ともいわれている。そういう変化というのは、一体何をそこから我々が酌み取っていかなければならないかといいますと、産業革命以来、兵器の開発というものが著しい変化を遂げていきました。その過程で大量殺りく兵器、第一次大戦では特に戦車が登場したり、潜水艦が登場したり、飛行機が登場したりというようなことがあって、一度戦争を起こすと、その被害というものが大変なものになるということが実感されたわけであります。
 これら三つの戦いを経て、我が国としては列強にまさに対等に近代化を遂げたんだ、そういう自負心を持って、内外に近代国家としての日本の姿というものを誇示する、恐らくそういうねらいがあってこのオリンピックの招致、そして万博の招致というものが行われたんだろうというふうに私は考えるわけであります。
 ところが、この第二次大戦の勃発によりまして、東京のオリンピックは昭和十五年に予定をされておりましたけれども、これは日の目を見ることがありませんでした。
 もともと聞いてみますと、この東京オリンピックを招致するというきっかけになったのは、昭和三年にアムステルダムでオリンピックがあった。そのときに三段跳びで金メダルを取った織田幹雄さんという方が、そのときの監督さんと一緒に、時の東京市長、永田秀次郎さんという方が東京市長だったそうですけれども、その方を訪ねた。そして、その永田市長が皇紀二千六百年、つまり昭和十五年ですね、このイベントとして何か有意義なものはないだろうかと、こういう話をされたところ、この織田幹雄さんと一緒に永田市長と面会をしていた、織田さんの先生になる早稲田の教授の方であったそうですけれども、この方が、ぜひオリンピックがそれは最適ではないかと、こういう提案をされた。それがきっかけになって、それが昭和五年ということでありますから、このオリンピックの東京招致というものが動き出して、そしてベルリン大会、昭和十一年、その大会のときにこの東京の招致というものが決定をしたということだそうであります。
 さて、戦争によってこの東京オリンピックというものが開催できなくなった。第二次大戦のために、その後、昭和二十三年までオリンピックは開かれませんでした。
 昭和二十三年は、実はロンドンでオリンピック大会が開会をされました。このロンドンのオリンピックにぜひ日本は出場したい、当然こういう希望を表明したわけでありますけれども、時の日本は、戦争を起こした問題というものを世界の国々から非常に厳しい目で見られていて、日本とドイツがやった、軍人がやった忌まわしい行為、これを我々はまだ忘れることができないんだ、しばらく時間の経過が必要なんだ、こういうことで、このオリンピックの参加は断念せざるを得ないという状況があったそうであります。
 昭和二十三年のロンドンオリンピックのころというのは、日本は敗戦からいかに立ち直るかということで懸命な努力をしていた。その打ちひしがれた国民に希望を与えたのは有名な水泳の古橋廣之進さんの活躍であった。
 ロンドンオリンピックの前年、実はこの古橋さんという方は、泳げば泳ぐたびに世界記録を塗りかえていった。ところが、当時は国際水泳連盟から除名をされていたために、すべては未公認の記録となっているわけですが、それがゆえに何としてもロンドン大会には出たかった。出れば、古橋、橋爪と、当時の日本の第一線級が泳げば、金銀は独占だったろうと、こういう予想もされていたわけですから、さぞ残念なことであったろうというふうに思います。
 ところが、こういう日本人の活躍が思わぬところから未来を切り開いていくことにつながっていくわけでありますが、実は、昭和二十三年のロンドンオリンピックの当日、その同時刻に合わせて日本で全日本水泳選手権をやった。まさにロンドン大会に挑戦をするという形で、日本の第一線級の選手が泳いだわけであります。ロンドン大会の優勝タイムよりはるかに速い優勝タイムで日本の古橋さんだとか橋爪さんという人は泳いでいった。これがアメリカ人の心を打ったということで、この翌年、二十四年に今度は全米水泳選手権に招待をされるということになったそうであります。
 全米選手権に招待をされたときに、当時はまだ占領下ですから、アメリカのビザを発行してもらおうということでGHQの本部のマッカーサーを選手が訪ねていったら、ぜひアメリカをやっつけてこいと、こう激励をされて乗り込んでいって、そしてまた見事に優勝して帰ってきたということで、それをもって、いよいよ日本を世界の舞台に復帰させてやろうという世論が高まっていった。
 昭和二十七年がそのロンドンに続く大会としてヘルシンキの大会。実は、このヘルシンキというのは、日本が戦前十五年に招致をするときに、このヘルシンキと争って勝ったんですね。このヘルシンキの大会に初めて戦後日本が復帰をしたということであります。
 昭和二十七年のヘルシンキ大会にようやく日本は参加をすることができた。そして、それから昭和三十九年の東京オリンピックまで多くの関係者が努力をして、戦前実現できなかった招致にこぎつけたということであります。
 この戦後の東京オリンピックというのは、じゃ、一体どういう意義があっただろうか。第二次大戦というまさに大変な被害を出した大戦争の、まさにその敗戦国として我が国が占領され、そして経済的にも政治的にも打ちひしがれた中から、懸命の努力を果たして復興してきた。まさにその姿を、ぜひ世界の人々に見てもらいたい、そしてまた、堂々と国際社会に復帰をしていきたいんだ、そういう日本人の思いを結実した大会、これが昭和三十九年の東京オリンピックであったんだろうというふうに私は位置づけたいと思っております。
 それに次いで三度目の招致をこれからやっていこうとするときに、さて、先ほど冒頭申し上げたような、今示されているような理念で、果たして多くの日本人の共感を、あるいは世界の人々の共感を得られるのだろうかということを私は非常に心配をしているわけであります。
 そもそもオリンピックというのは何なのか。今、オリンピックといえばスポーツのイベントとして、これにまさるものはありません。巨額なお金が動く、テレビの放映権をめぐってさまざまな駆け引きが行われる。規模を考えても、先日、関係者のお話を伺いましたけれども、ホテルの部屋が八万部屋必要だというふうなこともいわれておりましたが、世界のどの国々でも、こんな大イベントを開催することはもう不可能なほど大きくなり過ぎてしまったということは事実として認めざるを得ないだろう。そういう中で、単にイベントの商業性というか、そういうものだけでこのオリンピックというものをとらえていっていいのか。そもそもオリンピックというのは何なんだろうかという原点を、今東京が手を挙げるならば、もう一度そこに立ち返って招致の理念というものを再構築するということが必要なんじゃなかろうか、私はこう思う次第であります。
 つまり、オリンピックの理念というのは平和運動だ、一言でいえばそういうことだそうであります。均整のとれた、バランスのとれた人間を、スポーツを通じて育てていく。そして、世界の平和を実現していく、こういうことがオリンピックのそもそもの理念だということでいうならば、私は、日本の置かれた歴史的な位置づけ、あるいはオリンピック史というものを振り返ったときの我が国の位置づけというところにいま一度きちんと照準を合わせて、そこから立候補する理念というものを構築していくということが大切なことなのではないか。東京がどうだとか、都市がどうだとかということの前に、私はそういう意味では、日本が三度目の招致に立候補するんだ。まず、日本でやるんだというところについて、すとんと国民にその理念が落ちるような、そういうことをきちんと煮詰める必要があるんじゃないかというふうに思っているわけであります。
 日本が目指す二〇一六年のオリンピックというのは、いってみればちょうど戦後七十年、正確にいえば七十一年、憲法が上程された昭和二十一年八月、第九十回帝国議会、そこから数えればちょうど七十年ということになります。この七十年の日本の歩み、失われた日本人の自信が云々という議論もあるけれども、むしろ大変悲惨な体験をした日本人が、どうやってそこから立ち直ってきたか、立ち上がってきたかということにむしろ自信を持って、そして、そこから我々が原点として七十年前に、我々といっても私は生まれていないわけですけれども、当時いた人たちが、あのとき一体どういう感覚でその日を迎えたかということに私たちが想像力を働かせて、そして、そこから二十一世紀に我々がどういうメッセージを世界に発信するか、こういう観点で理念を構築していくべきではなかろうか。
 戦後七十年ということでいえば、今でさえそうでありますけれども、戦争を語り継ぐ人々というのはほとんど少数派というか、ほとんど生きていないかもしれない。そういう中で一体、近代戦争というのが一度勃発をしたら、どのような悲惨なことに遭うか。
 先ごろ、毎年のことでありますが、三月十日の東京大空襲の恒例の行事が行われました。三月十日はもともと陸軍記念日、奉天大会戦のその記念日に、あの戦争中、アメリカが東京を大空襲で焼き尽くしたわけでありますが、日清、日露、第一次、第二次大戦と、この戦争史を見るだけでも、ひとたび戦争が起こったときの被害というのはどんなものであるかということは詳しく説明をするまでもないことであろうかと思います。
 日本は最後に、広島と長崎に一発で十万人の命を失う原爆を落とされて、そして降伏文書に調印をした。そのことを私たちは決して忘れてはならない。つまり、日本でオリンピックを開催するということは、世界じゅうが日本を見る。競技だけではない、日本という国を見るということになるのじゃないか。そのときに日本がもちろん競技をきちっと開催して世界に報道するということをサポートするということも大事な仕事でありますけれども、世界じゅうの人々が来て、世界じゅうのメディアが日本にいる。そのときに、日本が何を見せたいのか、あるいは何を忘れてならないと世界に発信をするのか、そのことを、三度目の招致として手を挙げるならば、私はその開催の理念にきちんと盛り込む必要があるのではないか、こういうことを申し上げたいわけであります。
 そこで、先ほど触れましたけれども、オリンピックの原則は、一つの都市による開催だということがうたわれております。しかし、それは絶対的な制約ということではなくて、IOCが同意をすれば、共同でほかの都市とも開催をすることが競技においてできるということも、またうたわれている。つまり、東京がオリンピックを招致をするということは、また開催をするということはできないと疑う人は今やもうだれもいないと私は思っています。むしろ、そうではなくて、日本でやるなら、東京が一番機能的にできる。しかし、あえて世界の注目する中で、例えば、広島であるとか長崎であるというようなところにある種の競技を共同開催を申し入れて、協力を要請して、そういう形で実現をしていくということを例えば計画の中に盛り込んでいく。こういうことがあってもいいんじゃないかなというふうに私は思うわけであります。
 単に都市の東京の問題ということだけではなくて、日本の問題、世界の平和運動の一つとしてのオリンピックという位置づけで、決議をしたからには、これからぜひ招致の実現にこぎつけて立派な大会に、また歴史に残る大会になるようにということを念願をしながら、私なりの提案を含めてお話を申し上げました。
 これから我が会派の中でも、いろいろな意見がありましたけれども、せっかくやるならいいオリンピックでやれるようにしようじゃないかという意見も相当数ありますから、そういう意味では、積極的に我々も議論に参加をしていきたいと思いますが、今申し上げたことを踏まえて、何かご所見があればお伺いをさせていただければと思います。

○山口知事本局長 オリンピックの原点は平和にあるというご主張でございます。オリンピズムの目標そのものは、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにあり、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進することというふうにオリンピック憲章にうたわれております。いろいろな歴史のとらえ方はあるかと思いますが、近代オリンピックから百年、東京オリンピックから約五十年の節目の二〇一六年にオリンピックを東京で開催することは、田中委員のオリンピックの意義、理念、そういうものをあわせた豊かで平和な二十一世紀の都市モデルを提示して、世界の大都市問題の解決に大いに貢献していくということは、東京のみならず日本、世界に対する課題であるというふうに考えております。その意味では大変貴重なご意見であり、今後招致に当たりまして参考にしていきたいと思っております。

○山下委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時四分開議

○山下委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○古館委員 それでは、最初に、石原都政の都政運営としての重点施策、重点事業にかかわって質問させていただきます。
 最初にオリンピックですが、これも重点事業の中に入っているんですが、オリンピック開催についての我が党の態度は一貫しております。すなわち、オリンピックそのものには反対ではないけれども、知事の一連の発言が、オリンピックをてこに大型開発を進めようとするもので、そこには都民とともに計画を練り上げていくという立場が見られないことからも、私どもは招致には賛成できないということを表明しております。
 きょうは、それ以前の問題として、幾つか聞きたいと思います。
 最初の質問ですけれども、そもそもオリンピック招致という意思決定は、いつ、どういう場で行われたのか、改めてお聞きいたします。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 昨年の九月、第三回都議会定例会の所信表明において、知事が東京でのオリンピック招致を正式に表明したものでございます。

○古館委員 私の質問に答えているようで答えていないんですよね。そもそもオリンピック招致の意思決定は、いつ、どういう場で行われたのかということで、私は、庁議でそういう話が決まりましたとかというのかなと思ったら、そうじゃなくて、昨年九月の第三回都議会定例会の所信表明において、知事が東京でのオリンピック招致を正式に表明した。つまり、知事がこのときに表明をして、それが意思決定であり、表明した場は本会議だ、こういうことを今答弁したというふうに考えるんですが、つまり、理事者の皆さんが正式に聞いたのが、この九月定例会の所信表明のときだったということで理解してよろしいんですね。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 正式に招致いたしましたのは九月でございます。

○古館委員 つまり、私のいうことを認めたわけですよね。九月に初めてそのような形で表明をしたことで決まったと。これは庁議などの機関としての意思決定もなかったということで私は理解しています。そういうふうにはいわないからね、そちらも。
 私は庁議というのは最初にいっているんですけれども、そういう話は全然ありませんから、庁議も議論もなしで、突然、知事が九月の第三回都議会定例会の所信表明で、はっきりいえば、これは独断専行ともいえるんでしょうかね、そういう形で表明された。
 実は、九月二十日から都議会というのは開会されました、昨年は。ところが、既に八月四日の石原知事の定例記者会見で、これは翌日の産経新聞に取り上げられたんですけれども、二〇一六年夏季五輪、東京立候補表明へと、こういう大見出しで、これが報道されたのが八月五日。八月四日の定例記者会見でそういうことを新聞社の記者が聞いたわけですね。それに対して知事は何といったかというと、いいじゃないですか、東京でやったら、やるんならやりますよ、こういうふうに、この記事によると述べているんですよね。こうした発言というのは、知事の中ではもう立候補の意思が既に固まっていた、こういうふうに理解することが自然なんですね。
 九月の第三回定例会は九月二十日開会ですから、開会まで二カ月近くもあった。ところが、庁議はその間に開かれていると思うんですけれども、そういう場でも決定していない。それで、突然第三回定例会の所信表明で理事者が正式に聞いたというのが今の答弁の中身なんです。
 今、懇談会の議事録だとか調査結果だけではなくて、基本理念、会場配置、財政計画などの情報がオープンにならないという、極めて秘密主義というべき事態が起こっていますし、これは独断専行という状況であって、私どもは決して許すことはできないし、厳しく指摘をしておきたいと思います。
 重点事業ですからいろいろ質問したいんですけれども、この中で私は特に質問をしておきたいと思っていますのが、西が丘にある産技研等についてであります。
 重点事業の5というところで戦略的産業力強化プロジェクトとして、産業支援拠点の再整備が掲げられ、同研究所の地方独立行政法人化とともに、産業研究所西が丘、駒沢、八王子の各庁舎及び暫定施設である多摩中小企業振興センターを整理統合し、区部及び多摩地域に、新たな産業支援拠点を整備する、このようにしていることであります。
 具体的に、西が丘にある産業技術研究所、これは私の板橋でありますので、北区と区境の西が丘というところにあります。実は西が丘の産業技術研究所は、同じ板橋の橘さんも予特でやっていましたね。私どもは、この西が丘の産業技術研究所、これが実にたくさんの方に利用されている。
 例えば、依頼試験の地域別延べ依頼件数というのを資料で見ますと、西が丘、駒沢、墨田、八王子、これでどれぐらい合計で依頼試験の件数があるかというと、全部で六万五千九百四十五件、そのうち西が丘がやっているのが四万四千八百四十八件ですから六八%なんですね。つまり、最大の試験の依頼を受けていて、これがある意味では産技研としての象徴的な、最もふさわしい、そういう機能を果たしているのが西が丘の産業技術研究所であるということ。しかも、とりわけ中小企業の多い板橋では、区も率先してこの産業振興の核に何を据えているかというと、西が丘の産業技術研究所なんですね。ですから、板橋区長も北区の区長も、こういう移転をどこかにしていくということについてはだめですよということを明確に述べているんですね。そういう状況があります。
 私も、こういうことがあるんだよと聞いたら、精密機器が板橋は多いんです。大田と今しのぎを削っているんですよ、一位、二位を。今、板橋の方が上回っているという状況も聞いているんです。それぐらいに大事な産業技術研究所をなぜこういう形で--矢印は臨海部の方に矢印ができているんですね。こんな話って、ない話です。
 それで、私はこの問題について、板橋区、北区あるいは八王子の中小企業からするとどう受け取っているかといったら、みんな撤退だといっているんですよ。別に移転じゃないんです、撤退なんですよ。根づいて、そこで中小企業が頑張って精密機器などを開発しながらみずから製造し、みずから売りに出て、みずから販売もやっているんですからね。こういう大事な役割を果たしている板橋区、北区あるいは八王子の中小企業からすると、撤退だ。大いに利用されて、それが地域産業の大きな知恵袋とネットワークの核となっているところをなくしていくことが、なぜ重点事業なのか、明確に答えていただきたいと思います。

○平林参事 産業支援拠点の再整備は、激しい技術革新や国際競争に直面し、厳しい競争を強いられている中小企業に対し、高度な技術支援体制を構築するためのものであります。
 具体的には、産業技術研究所の地方独立行政法人化等により運営の弾力化を図ることで、企業との共同研究など産学公連携が充実すること、新たな支援拠点における技術支援がナノテクノロジー、IT、エレクトロニクス、デザイン、環境、バイオテクノロジーなど、将来有望な分野に重点を置くことや、国際的に通用する製品の開発や迅速な製品試作を支援することなど、中小企業が国際競争に打ち勝つための支援を充実することによりまして、東京の中小企業に対する技術支援の強化につながることから、この産業支援拠点の再整備を重点事業として選定したものでございます。

○古館委員 全然答えになっていないですよ。なぜかというと、私は、板橋区や北区や八王子、そういうところの中小企業からすると撤退なんだ。しかも、これは西が丘の場合は一番頼りにされて使われている。しかも、中小企業は、そこがあるからさまざまな異業種交流もできているんですよ。だから、こういうところをなくして、臨海にという矢印は、これは何が重点事業か。今一番重点で頑張っているところをなくして、重点事業なんておかしいじゃないかという質問なんですよ。もう一回答えてほしいです。

○平林参事 新たな区部の産業支援拠点におきましては、先端技術分野への技術支援、国際的に通用する製品開発、デザイン活用や迅速な製品試作支援など、東京の中小企業が厳しい国際競争に打ち勝つための支援を充実することとしております。これらによりまして、北区、板橋区なども含めまして、東京都全体の中小企業に対する技術支援機能が一層充実すると認識しておりまして、今後とも東京都全体の産業力強化のため、鋭意努力してまいります。

○古館委員 それが臨海部なんですか。答えてください。

○平林参事 重点事業におきましては、多摩地域の産業支援拠点につきまして、昭島市の都立短大跡地に設置する予定でございます。一方、区部の産業支援拠点は、現在、所管局において拠点整備のあり方や立地について検討中と聞いております。

○古館委員 検討中というんだったらば、ぜひ、この西が丘も八王子も重点事業の核としてとらえていただいて、西が丘も存続するし、同時に八王子も存続をさせて臨海部にもつくればいいじゃないですか。そんなに国際競争力に打ち勝ちたいというんだったら、今しっかりと根を張っているところをなくする必要はないです。だから、これは臨海部にもしっかりつくればいいと思いますが、そういうような積極的な施策展開こそ求められていると思うんですね。政策部門の知事部局として改めてご答弁いただきたいと思います。

○平林参事 十八年度重点事業の産業支援拠点の再整備は、激しい技術革新や国際競争に直面し、厳しい競争を強いられている中小企業に対し、高度な技術支援を行う体制を構築するものであり、現在、所管局で基本構想を策定中でございます。
 この産業支援拠点の整備によりまして、先ほども申し上げましたが、東京都全体の中小企業に対する技術支援機能が一層充実すると認識しておりまして、今後とも東京都全体の産業力の強化に努めてまいります。

○古館委員 重点事業ですから、知事本局の、この中で重点事業として位置づけているんですよね。今、検討中だということですから、しっかりこの問題については存続をさせて、臨海部にどうしてもつくりたいというならつくってください。そういう政策判断をぜひしてもらいたい、このように思います。だって当たり前じゃありせんか。今これだけ地域の人たちが、なくなったら困るということをいっているわけですよ。こういうような状況をぜひ(「西が丘は建てかえてもらえば」と呼ぶ者あり)そうです、建てかえもすると。当然ですよ。だから、移転させるなんて話じゃありません。
 それで、この問題については(「賛成したらいいのに」と呼ぶ者あり)賛成なんかできっこないじゃありませんか。
 次に、重点事業が、今までは単年度ごとに重点事業としてとらえていましたね。ここで、今回各事業に三カ年のアクションプランを示す、そういう指標に変わりましたが、これはどういう理由からでしょうか。

○平林参事 時代の転換期にある現在、従来にも増して社会経済環境の大きな変化に的確に対応していくことが求められております。このため、十八年度重点事業につきましては、三カ年のアクションプランによって今後の施策の展開や方向性を示すとともに、毎年度検証の上改定することで、状況の変化にも柔軟に対応しながら着実に推進していくことといたしました。

○古館委員 私どもは、三カ年という形でアクションプランを示していることについて、このこと自体いいことだというふうに思っています。であるならば、私は提案したいことは、さきの代表質問でも我が党は、これからこの日本が間違いなく、あのオリンピックの時期になれば人口減少時代に突入していくことは明らかなんですね。したがって、人口減少時代での都市計画というのはどうあるべきか。身の丈に合ったものに抑制する、あるいはそのもとで環境との共生によって、これからの二十一世紀持続可能な都市づくりをどうするか。しかも、都市部に業務機能を集中するだけじゃなくて、環境に優しく、地域ごとに職住近接を目指す、地域再生にこそ取り組むことを提案しています。
 これは、我が党が提案しているだけじゃありません。東京大学の学者グループを初めとして、最近、書店に行けば皆さん気がつかれると思いますが、減少時代の、それこそ都市はどうしたらいいかとか、社会保障はどうしたらいいか、ものすごく並んでいます、今は。ですから、そういうような、いわゆる間違いなく到来する人口減少時代に東京都としてどのように立ち向かっていくのか、都民の立場に立った重要施策、重点事業として私は位置づけていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○平林参事 急速な少子高齢化やグローバリゼーションの進展など、社会経済環境の激しい変化のただ中にあっては、長期的な視点から時代の潮流をとらえ、将来展望を持つと同時に、外部環境の変化にも的確に対応する必要があります。このため、東京の将来を見据え、政策課題を明確にした上で取り組みの方向を示し、取り組み状況と効果を検証していく新たな枠組みとして重要施策及び平成十八年度重点事業を策定いたしました。

○古館委員 私、具体的に提案しているんですから、具体的に答えてもらいたいんですよね。つまり、間違いなく到来する人口減少時代をどのようにして東京都として構成していくのか、そういう研究というのはいっぱい今出ているんですね。だから、そういうものも含めて、単年度じゃないんですから、そういうのも構想の中に入れていったらいかがですか、こういう提案をしているんですが、いかがですか。

○平林参事 少子高齢化は大変長期的で大きな社会構造の変化であると思います。この十八年度重点事業におきましても、重要施策の4といたしまして、地域における自立した生活を多面的に支援という項目を挙げております。具体的には、重点事業10の、地域での暮らしをトータルサポートで、高齢者グループホームなどの整備促進をうたっております。また、このほかにも別の項目になりますが、15で防犯のところでは振り込め詐欺などに対応しまして、高齢者被害の対策を介護事業者等も含めて行うというふうに考えております。
 このように、単に高齢者対策だけではなく、大変幅広い分野にわたって対応していくものであると考えておりますので、先ほど申し上げましたように、この急速な少子高齢化に対して、将来を見据えて政策課題を明確にした上で各般の分野について取り組みの方向を示し、取り組み状況と効果を検証していくということのためにこの重要施策及び平成十八年度重点事業を策定したものでございます。

○古館委員 だから、三年間のスパンをかけてということであるから、逆にいえば、東京都の英知をもってこれからの人口減少時代、確かにそこに住んでいる人たちが--いわゆる東大の学者グループは、例えば、三多摩の各市で、その市なら市でもって一つ、その高齢者なんかが生活が可能である、そのためには、身近なところに行けるような、バリアフリーは当然ですけれども、小型バスであるとか、いろいろな形の構想の中で、いわゆる今の傾向でいうと、都心回帰という傾向というのがあるんですね。したがって、そういう問題に対しても、どうしてもついていけない層というのはあるわけです、高齢者なんかが。その場合に、全体としての少子高齢社会の中で、どういう東京をつくっていくのか、どういう市町村を誘導していったらいいのかということは極めて大事な課題なんです。
 別に私はバリアフリーだとかを否定しているわけじゃありません。環境の問題も含めて、全体としてそういう減少時代に対してどうするかということがそろそろ東京都としても--だって、いわせてもらうと、大型公共事業だけはオリンピックを見据えてやっているんですから。そのときにはちょうど高齢少子、そういう時代の到来の中でやっていくんです。そっちの方はしっかり計画しているんだけれども、肝心かなめの都民が住み、生活をしていくという点ではまだ立ちおくれているわけだから、この点について強く今後位置づけてもらうことを求めておくと同時に、貧富の格差の実態調査や少人数学級などの計画的実施、こういうものも一遍に少人数学級なんかは実施できるわけじゃありません。ですから、どういうふうな方向でやるのか。(発言する者あり)またいっているといいますけれども、ほかのことはちゃんとやっているわけだから。四十七の都道府県で、今四十六でことしになれば実施するわけですよ、少人数学級。やらないのは東京都だけですから。(発言する者あり)そういう話じゃないんだよね。ですから、私どもはそういった点でもしっかりと、三カ年というなら三カ年らしく、そういう計画を組むことを強く求めて私の質問を終わります。

○後藤委員 私からは、オリンピックについてお尋ねしようと思います。
 オリンピックといいますと、私たちが考えますと、スポーツの祭典ですとかフェアですとか平和というふうに考えるんですけれども、今回のオリンピックの流れを見ていますと、余りにも隠されていること、ただし、隠されているといいましても、具体的にまだできていないからというふうにいわれるのかもわかりませんが、例えば、開催日はいつごろかですとか、開催期間が何日だとか人数だとかぐらいというのは答えていただけますか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 今のお尋ねの点につきましても、現在検討中ですので、お答えできません。

○後藤委員 この間、議会にこの紙をお配りになっていると思うんですけれども、これに関しましては、スライドでやられているんですが、ここに書いてある選手村ですとかメディアオペレーション、このほかに、例えばメイン会場というふうな形でご説明をなさっているんですけれども、ここに書いてあります選手村、メディアオペレーション、メーン会場の地名をできたら教えていただきたいんですが。

○谷島参事 まず、メーン会場でございますが、国立霞ヶ丘競技場、駒沢オリンピック公園、晴海地区、羽田跡地、夢の島公園、大井埠頭中央海浜公園等でございます。選手村は、有明北埋立地、築地市場跡、大井埠頭中央海浜公園、それからメディアオペレーションは、築地市場跡地、晴海地区、青海地区でございます。

○後藤委員 すみませんけれども、メーン会場のところはもう少しいっぱいあったと思うんですけれども、例えば、などというふうにいわれてしまいましたけれども、できたらば、この間のスライドに出ていた名称をみんないっていただけませんでしょうか。

○谷島参事 ご説明しましたのは八カ所でございます。もう一回繰り返します。駒沢オリンピック公園、神宮外苑、築地市場跡地、晴海地区、夢の島地区、有明北地区、大井埠頭中央海浜公園、羽田跡地でございます。

○後藤委員 これを見ますと、結局十キロ圏内というふうなことでコンパクト開催というのがメーンのテーマみたいになっているんですけれども、ここでお尋ねしたいのは、選手の移動なんですが、選手村のことを今聞きましたけれども、選手村というのは海岸べりといってはおかしいですけれども、どちらかといったらば右側にあります。この選手村から選手の方たちが競技会場まで移動する場合にはどういうふうな方法を考えていらっしゃるのか、教えてください。

○谷島参事 選手等につきましては、基本的に専用の車で移動することを考えております。

○後藤委員 この間お尋ねしたときは、確かに車は専用だろうとは思いますけれども、例えば道路に関しましてはどういうふうなルートを考えていらっしゃるのか、教えてください。

○谷島参事 ルートにつきましては、これから検討いたします。

○後藤委員 これに関しては質問の意味も部長はおわかりになっていると思うんですけれども、例えば、ルートといいましても、一般道を通るのか、首都高を通るのかということでお答えください。

○谷島参事 どのようにルートをつくるかも検討でございます。

○後藤委員 これに関しましては、部長がお話しになっていたことなんですけれども、首都高を考えている。首都高を通る場合には、片側一車線をオリンピックの選手の移動の専用レーンも考えているというふうにおっしゃっていたんですけれども、これをもし仮にやりますと、例えば、首都高の場合には左右に出口があったり、合流があるわけですよね。こういうふうなことまでシミュレーションを皆さんはやられて、あえてコンパクト開催というふうなことをおっしゃっているのか、この点について聞きたいんですが。

○谷島参事 首都高速道路の使い方につきましては、関係機関と検討して考えていきます。

○後藤委員 コンパクト開催といっている以上は、例えば、コンパクトというのは、ここにも書いてありますけれども、半径が十キロだったと思いますけれども、この中というのが、例えば大平原なわけではないわけですよね。これが大平原ではなくて、すごく込み入っているところです。えらい込み入っているところで、ここでまたコンパクト開催ということになりますと、コンパクトのコンパクトということがどういうことになるかというと、すごい混雑をして、例えば、東京に住んでいらっしゃる方たちにすごい迷惑をかける。
 ここで、この間部長にお伺いしたのが、例えば、首都高がどうなるんですかというふうに聞きましたらば、先ほどいったように、例えば一車線というふうなことをたしか部長の方からお話しになったんじゃないかといっているんですけれども、こういうふうなことも何も考えないでおいて--確かにIOCというところは、こういうふうにやってください、例えば、こういうふうにやれば勝つ可能性がありますよというふうなことだと思うんですけれども、ただ単に勝つことだけを考えてオリンピックの招致に手を挙げて、東京都で本当に皆さんが喜んでやれるようなオリンピックをやるんだとしたらばいいんですけれども、何も考えないで、お祭りだからいいだろうというふうなことになってきちゃうと困りますので、これに関しましてはシミュレーションだとかというのを本当にやっていなかったんですか。例えば、やっていたのかやってなかったのか、お答えください。

○谷島参事 会場等の交通につきましては、関係機関と十分に協議をしながらやることといたしております。協議の内容については、現在お答えできません。

○後藤委員 次に、開催概要計画書というのを出さなければいけないというふうになっていますけれども、この開催概要計画書の発注というんですか、例えば、どこに頼むことになっていますか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 現在、契約事務を進めているところでありますが、まだ契約するに至っておりません。

○後藤委員 これは契約は四月からということになるんだろうと思いますけれども、現在の経過を教えていただけますでしょうか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 契約につきましては、特命随意契約で実施することを検討しております。

○後藤委員 部長が今おっしゃいました特命随意契約ですけれども、例えば、何ゆえに特命随契ということで電通に(「電通といってないじゃない」と呼び、発言する者あり)こちらに情報公開で取ったのがあるんですけれども、こちらの情報公開のを見ますと、相手の会社は電通となっています。これで電通となっていて、開催概要計画書の構成にかかわる企画デザイン及び作成業務委託というふうな形で電通さんに、部長が今おっしゃったように特命。ここにも特命理由書というのがあるんですけれども、ここの特命理由書の中で、例えば、別のところでも僕やれるんじゃないかなと思うんですけれども、電通さんに特命随契でお願いしようとしている理由を教えてください。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 特命随契の理由につきましては重ねて申し上げませんけれども、ほかにやるところ、できるところはないと思っております。

○後藤委員 できたらもう少し詳しくご報告いただけませんか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 開催概要計画書の作成に当たりましては、短い期間の中で国内選考はもとより、国際的な選考にも勝ち抜くことが可能な高い完成度が求められております。また、さらにオリンピック招致活動につきまして熟知していること、それから過去の開催都市及び立候補都市の計画内容を熟知していること、また、これまでにオリンピック等大規模な大会の運営にかかわっている実績がある、こういうような条件を満たす業者は限られていると思います。

○後藤委員 ここの特命随契の中に、東京オリンピック招致活動等に関する調査委託というのがあるんですけれども、これは十七年度で、これもやはり電通さんにお願いしているんじゃないかと思いますが、この契約に至った経緯を教えてください。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 東京オリンピック招致準備にかかわる基礎調査委託につきましては、企画提案方式をとっております。

○後藤委員 確かに部長がおっしゃっているように、企画提案方式なんですけれども、この審査委員の方たちなんですが、例えば小宮さん、谷島さん、中村さん、塩見さん、桜井さん、それから大野さんですが、この方たちを見ますと、結局皆さんのメンバーだけなんですよね。例えば、企画コンペというふうなことでこれからも多分やられると思いますけれども、外部の方たちをもっと入れてやられないと、例えばご自分たちだけでやる--確かにコンペの形はとられていると思いますけれども、こういうふうなのはちょっと考えていただきたいなと思うんですけれども、これに関してはどのようなお考えでしょうか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 一つには、オリンピック招致事務を実際よく知っている者がかかわること、さらには、当該の担当だけではございませんで、今、委員からお話ありましたように、塩見総務課長ほか、ほかの部の職員も入ってございます。

○後藤委員 確かに、例えば、コンペというのは形はすごくオープンというふうに思えるんですけれども、これが果たしてオープンか。
 例えば、部長が今おっしゃったように、私たちはオリンピック招致には詳しいというふうにおっしゃっていましたけれども、果たして、オリンピック招致に皆さんが詳しかったんでしょうか。オリンピックの招致活動だとかやられたことがあったんでしょうか。
 例えば、一般的な業務みたいに、役所の事業の中で、これに関しては詳しいですよというふうにいわれるんだったらばいいかもしれませんけれども、小宮さんが今おっしゃったように、私たちはオリンピック招致のことを熟知しているから、私たちがコンペの委員というふうな形でやったんだというふうにいわれますけれども、私はそういうふうには見えないんですけれども、皆さんは今度のオリンピックの招致に関しては初めての体験であって、確かに大変なことをやっていらっしゃるとは思うんですけれども、果たして皆さんは本当にオリンピックの招致にかけてこの時点でプロだったんですか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 現在のところ、オリンピック招致準備担当を担当している者は我々でございます。

○後藤委員 この件に関しましてはこれで終わりますけれども、例えば、コンペだとかをやる場合には、これからは本当にもう少しオープンで、だれからか突っ込まれたとしても大丈夫なようにしていただきたいと思います。
 十八年一月三十一日に「スポーツと都市」という名称で石原知事が東京ビッグトークというのをやられたと思いますが、このときのメンバーが、コメンテーターですけれども、川淵さんが出ていらっしゃいます。この川淵さんは、調べてみますと今回のオリンピックの国内の招致の選考委員の方なんですよ。例えばこのように、招致の選考委員の方を確かにビッグトークで、このときのタイトルは「スポーツと都市」というふうな名称ですから、これがあえてオリンピックのことだとしたらば不適切だと思いますけれども、確かにタイトルだけを見れば「スポーツと都市」なんですけれども、ただ、内容を見ますとオリンピックのことがすごく書かれているんですよ。書かれているということは、議事録は見ているんですけれども。今回のビッグトークを見ていまして、確かに内容はどうであったとしても、これはJOCの方から出ている紙なんですけれども、国内立候補都市選定に係る行動規範ですとか国内立候補都市の行動規範というふうなものが出ています。ここには該当するかしないかといいますと、確かに微妙なところはあるんですけれども、これから、例えば都が招致活動をやっていく上において、行動規範ですとか守らなければいけないもの、完全にバツなものはもちろんやらないでしょうけれども、例えばグレーなものについても本当に気をつけていかないと、オリンピックの招致というものはフェアとか、例えばスポーツの祭典で平和の祭典ということになっているわけですから、多少でもグレーみたいなものは気をつけていくべきだと思うんですけれども、この辺の見解をお尋ねします。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 委員お尋ねの東京ビッグトークにつきまして、川淵さんが来られていますけれども、オリンピックの副会長であるとともに、この場は財団法人日本サッカー協会キャプテンの立場で来られております。また、都市とスポーツという観点から、スポーツイベントの効用を議論したもので、個人的な接触に当たらないかと思います。
 また、我々としては、当然、招致事務に当たってはオリンピック憲章、倫理規定等を遵守しまして透明性を確保していくことは当然かと思っております。

○後藤委員 だったら提案なんですけれども、今回JOCから出されている行動規範ですね、例えば、行動規範みたいなのを各局の方たちに渡しておいた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、ご見解いかがでしょうか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 先ほど申し上げましたが、招致事務に当たっては当然透明性を確保いたしまして、関係法規、法規ではないかもしれませんが、IOCの憲章、それから倫理規定、今お話があった規範等を遵守していくのはもとよりでありますので、担当として適切に対処してまいります。

○後藤委員 だったらば最後にお尋ねします。
 開催概要計画書というのは六月三十日までに出すということになっていますけれども、これはもちろん六月三十日よりも前にできるのではないかなと思うんですが、例えば、前にできたとしたらば、議会の方には発表なさるんですか。

○小宮東京オリンピック招致準備担当部長 現在、鋭意検討中でございます。したがいまして、段階を追ってお示しするかと思いますが、詳細については控えさせていただきます。

○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 異議なしと認め、予算及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五十一分散会