総務委員会速記録第十七号

平成十六年十二月十日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長中村 明彦君
副委員長吉原  修君
副委員長藤田 愛子君
理事樺山たかし君
理事坂口こうじ君
理事中嶋 義雄君
真鍋よしゆき君
古館 和憲君
中屋 文孝君
桜井良之助君
服部ゆくお君
藤川 隆則君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長前川 燿男君
儀典長伊藤  誠君
次長前田 正博君
企画調整部長三枝 修一君
秘書部長松田 二郎君
政策部長宮川  昭君
参事升 貴三男君
横田基地共用化推進担当部長河島  均君
調整担当部長上田 洋平君
参事藤井 芳弘君
参事新行内孝男君
国政広域連携担当部長首都調査担当部長兼務野澤 直明君
国際共同事業担当部長大村 雅一君
治安対策担当部長久保  大君
参事高嶋  明君
青少年育成総合対策担当部長白石弥生子君
総務局局長赤星 經昭君
危機管理監中村 正彦君
理事馬場 正明君
理事人事部長事務取扱大原 正行君
総務部長大塚 孝一君
行政改革推進室長前田 信弘君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁推進担当部長永田  元君
主席監察員相上 孝司君
行政部長荒川  満君
多摩島しょ振興担当部長清宮眞知子君
三宅島災害復興対策担当部長渋井 信和君
都区制度改革担当部長島  博文君
総合防災部長中村 晶晴君
情報統括担当部長八木 憲彦君
局務担当部長竹内 直佐君
勤労部長志賀 敏和君
法務部長中村 次良君
統計部長須々木亘平君
人権部長和田 正幸君

本日の会議に付した事件
意見書について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十一号議案 東京都行政手続条例の一部を改正する条例
・第二百十二号議案 東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例
・第二百十三号議案 東京都統計調査条例の一部を改正する条例
・第二百十四号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十五号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十六号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十七号議案 職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十八号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十九号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十一号議案 職員の結核休養に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十二号議案 東京都職員の公務災害補償等に伴う付加給付に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十三号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・小笠原諸島振興開発計画について
知事本局関係
報告事項(説明・質疑)
・平成十七年度重点事業の策定について

○中村委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○中村委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑並びに知事本局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百十一号議案から第二百二十三号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○中村委員長 次に、報告事項、小笠原諸島振興開発計画についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○中村委員長 ただいまより知事本局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 秋山自治制度改革推進担当部長は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○藤井参事 それでは、平成十七年度重点事業の策定についてご報告申し上げます。
 知事本局では、十一月三十日に平成十七年度重点事業を策定、公表いたしました。お手元の資料によりましてご説明させていただきます。
 冊子の一ページをお開きいただきたいと思います。第1章、政策の方向性と重点事業でございます。
 一ページは、重点事業策定の基本的な考え方について記述いたしております。
 まず、重点事業の役割でございますが、都は、平成十四年十一月、都政の構造改革を推進する戦略指針として、重要施策を策定いたしました。重要施策では、都政の各分野における課題と取り組みの方向を明らかにするため、七つの戦略的取り組みを示し、これに基づき重点事業を選定する取り組みを二カ年にわたり実施してまいりました。十七年度においても、重点事業の方式を継続して、局横断的、総合的に取り組んでいくこととし、平成十七年度重点事業を策定したものでございます。
 中段(2)では、都政を取り巻く状況として、経済のグローバル化、高度情報化の進展など国内外の状況変化や人々の意識の変化といった重点事業策定に当たっての背景を、そして下段(3)では、このような状況を受けての事業選定の視点を示させていただいております。
 都政には、社会経済環境や都民ニーズの変化に的確に対応し、新たな発展を目指す都民、企業の努力を支援するとともに、主体的にみずからの改革に取り組むことが求められております。
 恐れ入りますが、二ページをお開きいただきたいと思います。
 こうした基本的な考え方のもと、重点事業の選定に当たって、七つの戦略的取り組みの分野ごとに施策の方向を明らかにした上で、水色の枠囲みで三点掲げてございますが、時代の変化を見据え、新たな行政ニーズを先取りする、都民不安の解消などに緊急に取り組む、課題解決に向け、これまでの取り組みをさらに進める、という三つの視点から事業を選定したものでございます。
 また、二ページ中ほどから三ページにかけまして、七つの戦略的取り組みの分野ごとの施策の方向を記述いたしております。
 以上が第1章の概要でございます。
 五ページをお開きいただきたいと思います。第2章、東京の新たな発展を目指す三十四のプロジェクトでございます。
 先ほどご説明いたしました三つの選定の視点に従いまして、時代を先取りする取り組み、緊急課題への対応、課題解決に向けた着実な取り組みとして、三十四の事業を選定いたしました。
 七ページをお開きください。時代を先取りする取り組みでございます。
 丸の内地区の再生や品川駅周辺の広大なエリアを魅力ある拠点として整備していく、東京の新たな魅力を創出する拠点の形成、一定エリア内でICタグなどの技術を活用した観光情報の提供に実験的に取り組み、その実用性と効果を検証していく情報新技術を活用したまちづくりの推進など、六つの事業につきまして、次の八ページ以降一七ページまで、その内容を記載しております。
 一八ページをお開きいただきたいと思います。緊急課題への対応でございます。
 ヒートアイランド対策の推進、自然災害対策、青少年育成総合対策など、緊急課題に対応するため選定いたしました六つの事業につきまして、次の一九ページ以降三二ページまで、その内容を記載しております。
 三三ページをお開きください。課題解決に向けた着実な取り組みでございます。
 これまで重点事業として選定し、取り組んできた事業などをさらに発展させていくため、平成十七年度の重点事業として選定したものでございます。木造住宅密集地域の整備促進以下二十二の事業につきまして、まちづくり、住まいなどの分野ごとに、次の三四ページ以降六四ページまで、その内容を記載しております。
 六五ページをお開きください。
 先ほどご説明いたしました重点事業選定に当たっての三つの視点と七つの戦略的取り組みの分野との関係につきまして記載し、一覧表として掲載させていただきました。
 六六ページをお開きください。第3章、政策展開を支える取り組みでございます。
 ここでは、重点事業などの新たな政策展開を行っていくために、都みずからの改革を推進していくとともに、国を動かし、国の改革を先導していくべきことを記載しております。
 まず、都みずからの改革の推進でございますが、いわゆる三位一体改革の政府・与党合意の内容は、地方分権の実現にはほど遠いものとなっております。都は引き続き、真の地方分権改革の実現に向け全力で取り組むとともに、都みずからも自己改革を進めてまいります。都みずからの行政改革はもとより、大都市行政の充実強化や首都圏全体の広域的課題への新たな対応など、困難な課題に立ち向かっていくことが都の責務でございます。
 こうした課題に対処していく上で、財政基盤の確立や効率的な執行体制の構築が重要であり、第二次財政再建推進プラン、第二次都庁改革アクションプランの取り組みとともに、都が担うべき守備範囲を見直す、仕事の仕組みを根本から変える、強固な執行体制を確立するといった、都政の構造改革をさらに進める取り組みを行ってまいります。
 六七ページをごらんください。国を動かし改革を先導するについてでございます。
 東京や首都圏の潜在力を生かす基幹的インフラの整備や、都民のサービスの向上を妨げる制度、規制の改革を国に求めてまいります。
 また、課題を共有する首都圏など大都市の自治体と連携し、具体の取り組みを積み重ねていくことにより、国を動かしてまいります。
 法人事業税の分割基準など、不合理な財源調整措置の速やかな是正や、三位一体改革において新たに不合理な財源調整措置が行われないよう、国に強く働きかけてまいります。
 六八ページをお開きください。
 最後に、参考資料として、平成十七年度重点事業を一覧表として掲載させていただきました。全体で三十四事業、事業費の総計は百九十一億円でございます。
 以上で、平成十七年度重点事業の策定について、ご報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中村委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し、何かご質問がございましたら、発言を願います。

○中屋委員 それでは、平成十七年度の重点事業の策定につきまして、何点か質問させていただきたいというふうに思います。
 先ほど説明がありました、平成十四年十一月に重要施策、重点事業を策定して以来、今回の重点事業は三回目となったわけであります。思い起こしますと、一年目の重点事業は、局ごとの縦割り行政、また、広域的な視点の弱さを克服するための構造改革を強く打ち出したような気がいたします。二年目は、政策展開、財政再建、行政改革を一体的に進めることを前面に出しまして、都政の構造改革をさらに推進していくことを目指したわけであります。
 そこで伺いますけれども、今の第1章の重点事業の役割のところにもありますが、今回、分野を限定しまして、重点的、集中的に取り組む重点事業の方式を継続することとした、その理由は何なのか、お答えをいただきたいと思います。

○藤井参事 重点事業の方式を継続することとした理由ということでございますが、右肩上がりの経済成長の持続が過去のものとなり、大きな時代の転換点のただ中にあるという状況認識は、昨年、一昨年と大きな変化はいたしておりません。このような状況の中にあっては、これまでのような網羅的に事業のメニューを示す中長期的計画では十分な対応ができなくなってきております。こうした考えから、課題のある分野に限定して、重点的、集中的に取り組む重点事業方式を採用し、二カ年にわたり実施してきたものでございまして、十七年度においても同様の取り組みを継続することといたしたものでございます。

○中屋委員 今、右肩上がりの経済成長が過去のものとなったというふうにいいましたね。まさに社会経済状況につきましてのお答えだったと思いますけれども、最近の経済状況を見ますと、ようやく長いトンネルから出口が見えてきたかなというような感じがいたします。これは、先日の我が党の野村有信議員が代表質問の中でも述べておりますように、民間企業がまさに血のにじむような努力を重ねたわけであります。その結果、体力増強を行って、今の結果があるというふうに思うわけであります。今こそ東京の中小企業、都民に再び活力を呼び戻す明るい展望を開く施策がまさに求められているものだというふうに思います。
 今回の重点事業では、新たな発展を目指す都民、企業の努力を支援する、主体的にみずからの改革に取り組むように求められておりますけれども、その基本的な考え方のもとで策定したという説明があったというふうに思います。これはまさに都政に今求められているものであって、我が党の主張するところであると思います。
 そこで伺いますけれども、今回の重点事業、どのようにして都民、企業、その努力を支援していくのか、具体例を示していただきながら、ご答弁をお願いしたいというふうに思います。

○藤井参事 具体例をということでございますので、冊子をごらんいただきたいと思います。例えば、一〇ページの東京の発展を支える新たな産業への支援では、東京に集積いたします高い技術力を持った中小企業等への支援として、ナノテクノロジーセンターの運営や、あるいはアニメ・映像産業への支援などの取り組みを進めることといたしております。
 また、一二ページの東京の産業を活性化する高度技術者の育成では、産業技術大学院の開設などによりまして、産業界のニーズにこたえた人材を育成していくこととしております。
 また、冊子四二ページをお開きいただきたいのですが、四二ページでは、東京港のサービスアップ・コストダウン作戦ということで、これを実施いたしまして、コンテナ輸送の効率化、コンテナターミナル管理のシステムの統合やICタグの活用により、東京の国際競争力の強化を図るため、東京港のサービス向上とコスト低減を両立する取り組みを推進していくことといたしております。
 このような取り組みを進めることによりまして、新たな発展を目指す都民や企業の努力を支援し、都民サービスの充実と東京の再生につなげていきたいと考えております。

○中屋委員 今、答弁にもありましたけれども、この重点事業が都民サービスの向上に結びついて、その再生に現実にまさにつながっていくようなことを私は強く期待をしております。
 今、重点事業の策定の基本的考え方についていろいろと質問をいたしましたけれども、個別の事業にも幾つか注目すべきところがあります。残念ながら、時間の関係ですべて挙げられませんけれども、一つが、一四ページにあります、東京の水辺空間の魅力向上をという事業であります。
 私は、水の都東京の復活をたびたび訴えてまいりました。第一回定例会の一般質問でも、東京ベイエリアの活性化を質問いたしました。知事からは非常に積極的な答弁をいただきました。この事業が重点事業に取り上げられたということは、少なからず私の思いが伝わったというのが、私の感想であります。
 そこで、事業実施に当たりまして、注文がございます。かつて、江戸時代、運河を活用しまして、人や荷物の輸送を行ってきたのがまさに運河、今でいえば水辺ラインのようなものであります。東京港内の運河を結びます現在の海上バス、これも大変魅力あるものでありますけれども、どちらかといいますと、もっと狭い運河を利用した小型の船を運航させますと、私はさらに東京の新しい顔が見えてくるのかなと。まさに観光にとっても大きな目玉になるんではないか、都民にとっても新しい足となるのではないかというふうに思っているわけであります。
 例えば、私の地元は文京区でありまして、小石川の後楽園がございます。ここを散策しました後に、飯田橋の付近から神田川に出まして、その船に乗りまして、お茶の水を通って隅田川に出ますと、臨海副都心、また浅草に至るという、そういうコースがあるわけでありまして、この全体的な構想の策定、事業実施に当たりましての詳細は、今後、産業力強化会議のもとで設置されました観光施策連携推進会議、こういうのがありますね、ここで検討して詰めていくことになるというふうに思っておりますが、ぜひともこの事業の対象のエリア、これは隅田川だけではなくて、神田川なども含めました都内の中小河川にも対象を広げていただきまして、東京の豊かな水辺を最大限に生かす事業としていただきたいというふうに強くお願いをするわけであります。
 そして、四〇ページをごらんいただきたいと思いますが、ここには渋滞対策が取り上げられております。この東京の慢性的な交通渋滞が、都民の生活、また企業の活動に大きな損失を与えていることはいうまでもないわけであります。今回、ここに載っておりますけれども、渋滞対策のラインナップに、「スムーズ東京21 拡大作戦 」こう書いてありますが、その新たな交差点対策に、交差点周辺先行整備事業というのが加わったわけでありますが、この事業は、都の働きかけによりまして、国が都市計画事業認可の要件を緩和したというふうに聞いております。そして、まさに実現が可能になったというふうに聞いております。
 この第3章には、政策展開を支える取り組みとしまして、「国を動かし改革を先導」とあります。まさしくこの取り組み、国を動かす、都民のサービス向上をさせるということになったのではないかというふうに私は思っております。
 私の地元で、湯島天神下というところにも今度実施されるというふうに書いてございます。ぜひこうした東京の活力を最大限に高める取り組みというものを推進していただいて、都民のサービス向上につなげていただきたいというふうに思います。
 一つ、九ページにも載っておりますけれども、秋葉原、上野でICタグを活用しました、観光情報の提供に活用できるというふうにここに載っておりますけれども、これについても、どのような形で便利になるのかということもお答えいただきたいと思います。
 今までいろいろと述べてまいりましたけれども、こうした事業、各局がそれぞれ実施をしていくことになるわけでありますけれども、先ほど、一番後ろについている一覧表の関係局の数をざっと数えてみましたら、事業費を計上している局のみという限定についても、十六の局が関係をしているわけであります。これだけ多くの局がかかわっておりますと、都庁全体の総合調整、重点事業の進行管理を担う知事本の役割というものが大変重要になってくるわけであります。せっかくこのようなすばらしい事業が絵にかいたもちにならないようにお願いをしたいというふうに思います。
 そこで、最後に、この重点事業実施に当たりましての決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。

○藤井参事 ご質問は、先ほど、ICタグの実験をして、どのように便利になるのかということも含めてというふうに、それでお答えさせていただきますと、ICタグと申しますのは、九ページに書いてございますように、超小型の集積回路のチップにアンテナをつけて、読み取り装置などに接触させることなくデータのやりとりができるという新しい方式でございます。巷間いわれておりますいわゆるユビキタス社会を実現するということの一つのツールというか道具になっておるものでございまして、この実用性と、それから、その提供する情報による効果を検証いたしまして、その検証の中身として、施設の観光情報ですとか、来訪する都民にいろいろな情報、店舗の情報ですとかを提供するという取り組みを行いまして、今申し上げました実用性、その効果を検証していくことで、ユビキタス社会の実現に対処していくというような考え方で進めていくものでございます。
 それから、二点目でございますが、重点事業実施に当たっての決意ということでございますが、申すまでもなく、重点事業の策定に当たりましては、知事本局と各局とが議論を積み重ねながら事業案を作成してまいりましたものでございます。この方式が三年目ということになりまして、各局の中にも、この重点事業の意図、意味が浸透してきたのではないかと考えております。こうしたことが、現状を打開していくだけの事業ではなくて、先ほどご説明申し上げました、時代を先取りする取り組みといったものにも反映してきているのではないかと考えております。
 お話のように、知事本局の役割は、ともすればライン化しがちな各局の仕事を総合的、横断的に調整して、都庁の潜在力を十分に発揮させるというところにございます。今後、重点事業が実施の段階に入りますので、各局を総合調整する知事本局の役割を十分果たしていくことで、重点事業の実施はもとより、都政にさまざまな重要課題がございますが、その解決のために各局と力を合わせて全力で取り組んでいく所存でございます。

○桜井委員 私も、重点事業の策定に関連して質問させていただきたいと思います。
 まちづくりや都市基盤の整備、産業の振興、福祉・医療など、七つの分野から三十四事業を選定しているわけでありますが、資料を見させていただきますと、新しい政策の切り口にしていこうというものや、これまであった事業を、時代の移りというんですか、変化に基づいて転換をしていこうと思っているもの、また、これまで成果が上がってきたものを他の分野へ広げていこうというものなど、一つ一つに何かのねらいを持たせているなと、こんな感じがしたわけでありまして、この重点事業を契機として、都庁全体の政策面における改革が具体的に現実的に進めばいいなと、こんな思いを持っているものでございます。
 私が聞きたいことは、これからの東京をどうしようかという基本的な考えがあって重点事業が考えられたんではないかなと、こう思うわけであります。いわゆる東京像といいますか、東京のあるべき姿、そういうものをしっかりと練り上げた上で重点事業が出てきたのかなと、こういうふうに思っているわけでありますが、マイタウン東京とか、青島さんは生活都市といったし、石原さんは千客万来の世界都市と、こういっていますが、何となく抽象的でよくわからないんですが、重点事業を掲げた以上は、目指すべき東京像というものは十分皆さんの認識の中にあった上で三十四を選定したんじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、どのような東京像を描きながら重点事業の策定に当たったのか。この重点事業策定の際に描いた東京のあるべき姿について伺いたいと思います。

○藤井参事 東京のあるべき姿というご質問だと思いますが、東京は、千二百万都民が生活する場であると同時に日本の政治経済の中心であり、さまざまな人々が活動する場であるということでございます。
 このため、居住空間だけでなく、自然環境、治安、福祉・医療なども含めまして、快適で安心して暮らせる魅力ある都市としていくことは当然ながら必要である。あわせて、都市のインフラの整備を進めるとともに、新たな分野を含めた産業の振興や観光にも配慮し、東京が活力と魅力にあふれた都市としていくということが求められていると考えております。このことを念頭に置いて重点事業を策定してきたということでございます。

○桜井委員 三位一体の議論がされていますけれども、そういう意味では、地方に対しても東京の役割というものもあるものでありますし、国に対する役割もある、そういう視点からの東京の姿もあるでしょうし、政策的に見て、国際都市、文化都市、教育都市、福祉都市といろいろな項目があって、まさに東京はトータルシティーというか、日本の総合都市的な機能を持っているわけでございます。
 しかし、東京の役割というのは、日本全体の発展を先導するという役割を、いい意味でも悪い意味でも持っていると思いますね。今は経済が低迷しておりまして、この原因は、東京発の不況から、日本全体がこれに覆われたという議論もありますし、いずれにいたしましても、さまざまな分野でのいわゆる東京発が日本の国を決定づけていくものがあるのではないかと思います。
 そういう意味で、ナノテクノロジーやアニメ・映像産業など、今後成長が期待されるものを支援していくということについては、東京の産業力が高まって、それ全体が日本の経済力をさらに活気づけていく意味において、非常に意義があると思いますし、東京マラソンなんかも非常に大きいものでありまして、男子なんか、何か記録が出るようなコースを選ぶと書いてありますが、ぜひ日本選手が二時間を切るようなコースを設定することも考えてほしいなと、これは余談ですけれども。
 その中で、観光というのも非常に大事だと思います。それで、水辺の空間の魅力向上という事業が書いてありまして、中屋先生からも今話が出たわけなんですが、この事業の目的、それから全体構想のポイントなど、何といいますか、事業のコンセプトについて改めて示していただきたいと思います。

○藤井参事 東京の水辺空間の魅力向上のコンセプトということでございますが、隅田川や運河など、東京の水辺周辺には新旧の魅力ある観光資源が数多く点在しております。これまでも、隅田川にかかる橋梁など、観光資源の発掘と活用に取り組んできたところでございますが、しかしながら、観光スポットという活用で申しますと、これまではどちらかというと点という視点だけで進んできたということがございまして、この点という視点だけでは、東京の水辺空間が持っているポテンシャル、可能性が十分発揮できないのではないか。このため、河川、運河などの水辺空間を一つの面としてとらえて、観光、景観、回遊性なども重視した全体構想を策定することといたしたものでございます。この構想に基づきまして、ハード、ソフト両面からの取り組みを行いまして、東京の水辺空間を観光資源として再生していく考えでございます。

○桜井委員 観光資源として水辺に着目したということは、非常に卓見だと思います。
 問題は、現状立っている、今、都政が立っているところから先を見ながら水辺を考えているのかなという感じがしまして、私は、水辺となったら、後ろにも目をつけて、歴史も振り返る必要があるんじゃないかなと、こういうふうに考えるわけでありまして、そういう意味からしますと、水辺といっても、単に水辺だけではなくして、後ろに目をつけて歴史を振り返りますと、陸域にも観光の重要なポイントとなるものもあるんではないかなというふうに思いまして、そういう意味で、陸域にある観光資源も活用を検討すべきじゃないかなと、こんなふうに思うわけでございます。そういう意味で、陸域の観光資源としてもし考えているものがあれば、どんなものがあるか、お示しいただきたいと思います。

○藤井参事 先ほどコンセプトを申し上げましたが、一五ページに、主な河川・運河と周辺の観光資源という、これはあくまでも例示でございますが、出させていただいております。
 例えば、芭蕉記念館ですとか、あるいは海の方に参りますと浜離宮恩賜庭園など、先生のご指摘のとおり、陸域にもいろいろな観光資源が存在しているかと考えておりまして、ここも含めまして、回遊性ですとか景観にも配慮した構想にしていきたいと考えておりますが、これから全体構想を練っていく過程でいろいろと検討していくということになると思います。

○桜井委員 地図を見たので、ちょっとお話なんですが、先ほど、中屋先生からも、都内全体の中小河川というので、私や中嶋先生等は多摩川に近いところがあるものですから、ぜひ多摩川も今後検討してもらいたいなと。
 というのは、あそこは雨が降ると水の危険が、最近では都内で一番大変なことで、田園調布や二子玉川も洪水になるんじゃないかと思っておりますが、ふと思い出したのは、アメリカにサンアントニオという町があるんですね。あそこはしょっちゅう洪水に覆われていたんですけれども、町にリバーウオークという、川から運河を引いたわけです。こういうふうに引いて、何本も運河をめぐらすことによって、洪水を免れる都市にしたという経過もありまして、ぜひそういうことも参考にして、現場では、まちづくりや再開発の計画もありますので、ぜひリバーウオークということを頭の中に入れていただきたいなと思うわけでございます、これは余談でありますが。
 今いろいろと見たんですけど、その中に、由緒のある庭園がたくさんありますよね。私の友達が文京区にいまして、中屋先生にも大変お世話になりながら運動をやっているということなんですが、NPOをつくって、小石川の後楽園の庭園の保存を一生懸命やっている人たちがいるわけです。小石川後楽園は水戸徳川家の上屋敷であった庭園でありまして、単なる庭園だけじゃなくて建物もありまして、由緒あって、確かに観光の名所にこれからなっていくんじゃないかなと思うんですが、地元の人たちがいろいろやっている運動、そういう意思とは反して、マンション用地になったり、いろんなことをしているわけでありまして、ぜひこれは十分に活用していくことが大事だなと、こういうふうに思っていますので、ぜひ小石川後楽園のことも念頭に置いて、陸域への広がりを考えてもらいたいと思っているわけですが、そうした陸域の観光資源を水辺空間の魅力向上の事業と関連させてどのように活用していくのか、お伺いしたいと思います。

○藤井参事 陸域の観光資源をどのように活用していくかということでございますが、河川、運河などの魅力を高めていくことと並行いたしまして、先ほど申し上げました、例示で申し上げましたような陸域の観光資源というのの活用もやはり大きなテーマではないかと考えております。
 産業労働局が中心になって策定いたします全体構想においても、このような視点を大きなテーマの一つとして考えていきたいと考えておりまして、点在する観光資源を連携させまして、特色ある観光ルートの構築をするなど、全体構想の策定の中で関係局と十分協議をしながら検討を進めていきたいと考えております。

○桜井委員 最後なんですが、この前も、観光については産業労働局がお答えになったような感じがするんですが、この水辺空間の魅力だけ取り上げても、やっぱり局と局の横断的な、また総合的な取り組みが必要になってくるんじゃないかなと思います。
 それで、港湾局だとか、運河ですから水質の向上もありますので、下水道局なども当然絡んでくるでしょうし、そういう意味では、やはりこれは、知事本局が重点事業の策定をしたわけでありますので、具体的な事業についても調整機能を発揮するのは知事本局じゃないかなと私は思うわけでありまして、局間の調整をしなきゃいけないというふうにはきのうの本会議等でも出ておりましたけれども、専管的な機能を発揮して、それを調整していくのは知事本局じゃないかなと私は思うわけでございますので、その辺の所見をお伺いしたいと思います。

○藤井参事 水辺空間の魅力を向上させていくためには、ご指摘のとおり、局横断的、総合的な取り組みが重要であると考えております。全体構想の策定は、ただいま申し上げましたように産業労働局が中心になって取りまとめていくわけでございますが、河川及び都立公園を所管いたします建設局、あるいは今お話にございました運河を活用していく検討をしております港湾局、それから水質の向上のお話もございましたが、下水道局など、多くの局がこの事業には関連しております。
 知事本局といたしましても、調整機能を十分に発揮して、東京の貴重な財産であります水辺空間の再生に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○古館委員 それでは、私も重点事業について質問させていただきます。
 ダブりは省きたいと思いますけれども、最初に、この重点事業の始まりというのが、重要施策及び重点事業ということで組み立てられてつくられたものだと理解をしています。この重要施策の中では、冒頭に制度疲労という規定が盛り込まれていまして、この制度疲労ということについて、現在、この制度疲労というのはどういう中身で規定をしていて、今も変化はない、こういうふうに考えていいのかどうか、最初にちょっとお伺いしたいと思います。

○藤井参事 十四年度の重点事業の策定ということで、重要施策の考え方の中の制度疲労ということでございますが、重要施策につきましては、都政の構造改革を推進する戦略的な指針として、都政が直面する課題を解決していくための指針となって策定したものでございますが、従来の計画とは性格を異にいたしておりまして、ねらいとしては大きく二つございます。
 一つには、都政の取り組みの方向を戦略的に示すことでありまして、このため、活力ある都市活動や豊かな都民生活を実現していくための課題を取り上げております。
 もう一つには、これらの政策課題は、ライン化いたしました縦割りの体制では十分に対応できないことから、課題解決に向けて全庁で横断的、総合的に取り組むことといたしております。
 このような重要施策を実現していくための戦術として、特に重点的、集中的に実施すべき事業を重点事業として選定して、その取り組みを二カ年にわたり進めてきたものでございまして、いわゆる七つの戦略的分野につきましては、制度疲労が顕著であるということでございまして、二カ年の取り組みの中で、そこの部分については少しずつ変化はしておりますが、依然としてその状況は大きく変化はしていないと認識しております。

○古館委員 ですから、制度疲労という点から見てどうなのかということについても、どこかで検証をぜひしてほしいと思っているんですね。
 それで、その当時の制度疲労という考え方というのはかなり幅広くて、国全体の社会の仕組みそのものがまず制度疲労している、こういう位置づけが正面に座っていて、それで、そういう国の制度疲労に対してどうするかというのが一つの大きなテーマでもあったわけですよね。
 それから、もう一つは、今いった、ライン化、ライン化といっているわけでありますけれども、安住する職員の体質だとかということもその当時随分いわれました。そういうようなことについて、その中からそれぞれ重点事業というのが位置づけられて、出されてきたんだというふうに思っています。
 それで、今回、十七年度の重点事業ですけれども、これはそういう視点に立って出されているのか。同時に、この問題については、各局からは、先ほどの話ですと、それぞれすり合わせしているというようないい方をしているんですけれども、それぞれ各局から今回の重点事業について幾つぐらい事業として上がってきているのか。それについてはどういう構成でやられているんでしょうか。

○藤井参事 冒頭もご説明申し上げましたが、いわゆる状況の変化という意味では、大きく変化をしてきているとは認識しておりません。また、国を動かしていくという取り組みについても、十七年度重点事業第3章で述べさせていただいておるところでございます。
 また、もう一つのご質問でございます、各局からどのような形でというお話でございますが、重点事業を策定する過程において、各局との緊密な調整を行った上で、形として予算要求につなげておるわけでございまして、予算要求の内容が各局からの重点事業の調整結果とご認識いただければと考えております。

○古館委員 私が最初になぜ、各局からどれぐらいの事業が上がってきて、全体でどれくらいの事業数かということを聞いたのは、知事本局がこういう重点事業をまとめているわけですから、知事本局としても、この政策提起、重点事業に対する提起というのは、やはり大きな責任を持っているということを冒頭に確認をさせてほしかったわけですね。
 そのことを確認した上で次に進みたいと思うんですけれども、八ページで、東京の新たな魅力を創出する拠点の形成ということで、今回、品川駅の周辺地区の整備が取り上げられております。この品川駅周辺の開発構想というのが重点事業としてなぜ出てきたんでしょうか。

○藤井参事 八ページの取組2、品川駅周辺の整備についてでございますが、東京のいわゆる南の玄関口ともいえる品川駅周辺には、新幹線の開業を契機といたしまして、東口の再開発ですとか、そのようなことがございまして、今後、多くの開発が予想されております。
 ただ、この地区の貴重なポテンシャル、可能性を十分発揮させていくためにも、この開発の主体となっております、かなり多くの民間企業が含まれておるわけでございますが、それぞれのプロジェクトを個々で進めるのではなくて、この地域を全体としてとらえ、計画を進めていくことが必要と認識したわけでございます。
 さらに、この地域につきましては、鉄道で東西が分断されているということや、あるいは生活利便施設が不足していることなど、大きな課題もまた一方にはございます。この地域の課題を解決するとともに、多くの民間開発を適切に誘導していくことによりまして、品川駅周辺の広大なエリアを魅力ある拠点としていくために、国や地元区などと協力して全体構想を策定し、景観や緑の空間の確保などにも配慮しながら、開発と都市基盤のバランスのとれた整備を目指すこととして、十七年度重点事業として選定いたしたところでございます。

○古館委員 結局、上の方に丸の内の再生というのがあって、これはこの間、私どもも調査視察をしたんですけれども、とにかく容積率なんていうのは、東京駅の低いのをプラスさせて、どんどんどんどん高くつくっている。物すごい開発がやられているわけですね。それと同列の中で描かれているということが私にとっては--それでなくても、これは臨海部に近いところでもあって、確かにおっしゃったように、新幹線が関西から来て、東京に入ってきて一番先にとまるのは品川ですから、それは東京の玄関口ともいえるかもしれないんですけれども、ただ、臨海部の問題から絡みますと、やっぱりヒートアイランド、その後にも質問しますけれども、そういうことも十分に想定した上で、こういう構想というのがつくられていく必要があると。
 その際には、ここの黄色い部分がこれから構想していく用地だというふうになっているわけで、その黄色い部分の最大のものからいいますと、車両基地なわけですよね。今、東京で考えると、当たり前のようにこういうところには超高層ビルができる。果たしてそういう発想で、それこそ、そういうものこそ制度疲労しているんじゃないかなと思うぐらいに、何かこういうところがあると必ず高層ビルが生まれてくる。そういう中でもってさらにヒートアイランドを激しくしている。
 そうじゃなくて、東京都なら東京都がこういうことに対して、いわゆる重点事業として掲げたのであれば、思いっきり、この車両基地なんていうのは緑地帯にしてしまって、それこそ東京の玄関口は緑で囲まれてますよと。そのことが臨海部とも絡むと、本当の意味でのヒートアイランド現象に対しても解消していく。そういう意味での、ある意味での東京都としてのイニシアルキックといいますか、そういう先導というのが必要なんじゃないかと思うんですが、その点についていかがですか。

○藤井参事 ただいまご説明申し上げましたように、品川駅周辺の整備につきましては、このエリアを一体として考え、個々の事業がそれぞれのプロジェクトで乱立しますと、それぞれがそれぞれのプロジェクトの中で、これが一番の方策ではないかという対策をとるということになり、全体の地域を一つのエリアとして考える全体構想ということになかなか結びつきづらいということがございます。そういう意味で、国、地元区などとも協力して、このエリアを開発していこうという考え方でございますので、特に個々の、先ほどのお話ではございませんが、容積率云々というお話は余り当たらないのではないかと考えております。
 また、ヒートアイランド対策が必要であれば、都市再生そのものを見直すべきじゃないかというお話でございますが、このヒートアイランド対策は、緊急対策として一九ページに掲げてございますが、まず視点といたしましては、ことしの夏の記録的な猛暑、これを受けてヒートアイランド対策に緊急に対応する必要があるということで取り組みを進めておるものでございます。
 これまでも、例えば、各種のモニタリング等に基づきましてシミュレーション解析を行うことなどによりまして、ガイドラインを策定して取り組みを進めてきております。このような取り組みの成果を普及させていくとともに、特に十七年度につきましては、このようなシミュレーションの中から、対策が必要な地域をヒートアイランド対策推進エリアとして設定して、エリア内で、保水性舗装を初めとした壁面緑化ですとか、あるいは路面散水等を集中的に行うというような計画でございますので、これについても緊急対策としては十分意義があると考えております。

○古館委員 私の質問には答えてないんですけどね。要するに、せっかく東京都がそういう形で音頭をとるというのであれば、緑を中心とした、そういうこの品川駅の、やっぱり緑豊かな公園だとか、東京の緑地のシンボルという都市にしてもいいんじゃないのかと。
 今いろいろおっしゃいましたけれども、この図面を見ると、黄色い部分がこれから構想中のところで、あとは、青は整備が完了していて、赤だって今事業中のところだから、いろいろ乱開発がどうだこうだ、どうだこうだといってますけれども、その一番の大きなところというのは、この黄色でいっている車両基地が一番大きなところなわけですよ。だから、こういうところにこそ、それこそもっと緑のスペースみたいなものを、きちんと東京都としてリーダーシップをとって、そういうような構想にしましょうよということぐらいは、特に臨海部が大きな開発の問題になっているわけでありますから、そういうことについてもぜひやってほしいと私は思うんですが、その点についてどうですか。もう一回答弁していただきたいと思います。

○藤井参事 品川駅南口につきましては、繰り返しになりますが、ここの地域の課題というものがございます。例えば、先ほども申し上げましたように、鉄道により分断されている東西交通の問題、あるいは、これからいろいろとこのエリアに出てきます民間のプロジェクトの問題、そういうもの等々がございます中で、地元区も入った中で全体構想を策定していこうと。地元にとって何が一番必要となり、この地域にとって何がベストであるかということを考えながら全体構想を策定していこうという考え方でございますので、先生のご指摘は、都の側から立って、ここを緑地にすべきではないかという、逆にいうと、地元にとっては若干の押しつけというような印象を与えかねないのではないかと懸念いたします。

○古館委員 緑地をつくるということで、そんなに反対するところはないと思っているんですね。車両基地ですから、地元区が、地元区がといいますけど、では、地元区のいい分がどれだけ通っていくのか。お言葉ですけど、先行まちづくりのときだって、地元区は賛成したかというと、当初は、そういうようなことはやらないでほしいということも含めて、地元区では異議ありということをいっていたわけですよね。ところが、それを計画どおり進めてきたのは東京都じゃありませんか。だから、私がこういえば、そういうことをいうということじゃなくて、緑なら緑を中心の基軸として据えるというような構想だってあったっていいというふうに私は思っていますので、その点についてはぜひとも私どもの意見としても、それこそインプットしておいていただきたいなと思っています。
 ヒートアイランドの対策についてですけれども、これは別に保水性舗装そのものを否定するものではありませんが、ヒートアイランド対策という問題でいえば、一番の問題は、超高層ビルが建ち並んでいるというところに、このヒートアイランド現象の最大のものがあるわけですよね。なぜかといったら、二酸化炭素の排出量だとかというのは、今は業務部門が一番大きく、どんどんどんどんふえて、広がっているわけですよね。それはどこから出るかといったら、ビルから出る。例えば、コンピューターの発熱であるとか、ビルが多くなると自動車が入ってくる。そういう中でもってヒートアイランド現象というのが起こってくるわけだから、そういう問題では、やっぱり都市構造として根本的な見直しをするべきだと。ですから、ヒートアイランドを本当に解消しようと思ったならば、先ほどちょっとおっしゃいましたけど、都市構造、都市再生の計画そのものを根本的に見直しをしていく、そういう必要があると思いますけど、いかがでしょうか。

○藤井参事 東京を活力ある、魅力ある都市として、世界から東京が今後も注目される都市として開発していくということは一方で必要なことだと考えております。都市再生の取り組みもその一環としてなされていくものだと思っております。
 また、一方で、ヒートアイランド対策につきましては、先ほど来申し上げておりますように、特に対策の必要なエリアについては、十七年度、重点的、集中的に対策を講じることによりまして、ヒートアイランド対策の推進を進めていきたいと考えております。

○古館委員 それではお聞きしますが、今まで、ヒートアイランド対策って重点事業に据えられましたけど、どれぐらい実効性が上がったんでしょうか。

○藤井参事 これも先ほどちょっと答弁を申し上げたところでございますが、各種のモニタリング等を実施いたしまして、シミュレーション解析を今行っておるところでございます。これに基づきましてガイドラインを策定する。いわゆる東京モデルというような、ヒートアイランド対策の指針を策定することによりまして、これを民間も含めて普及していくことによりまして、ヒートアイランド対策を推進していこうと考えております。
 また、先ほど申し上げましたとおり、十七年度は重点地域に対する取り組みを進めていくという考え方でございます。

○古館委員 誤解しないでほしいんですけど、こういうことをやることに私ども反対しているわけではありません。ただ、ヒートアイランドという場合は、かなり広域的なことを含んでいまして、東京の都市、そこでのヒートアイランドという場合には、大きな、それなりの効果を要する対応策というのがどうしても求められていると思うんですね。その場合には、それこそ大きなビルが汐留のような形のところでどんどん建ち並んでいく、こういうようなことを根本的に見直しをしていかないとならないし、さっきの私の質問もそういう延長線上にあるということだけお伝えをして、これは本来、都市再生そのものを見直しをしていくということを改めて求めておきたいと思っています。
 次に、二〇ページにある自然災害対策についてお聞かせいただきたいと思うんですが、自然災害対策についてですが、緊急水害対策として十五の河川を補修するとのことです。私は、必要なんですから、緊急に実施すべきだと思います。しかし、これは、何かせっぱ詰まってやるということであって、重要施策が示す重点事業としてはいかがなものかなと、こういうふうに思っているんです。
 どうしてかというと、こういうのは、別に重点事業にしなくたって、やらなきゃいけない話なんですよ。もともと余りやらないで、今回、大雨がいっぱい降ってきたから、だから集中してやりましょうと。これは逆にいうと、重点事業なんていうものじゃなくて、後からそれがくっついてきた事業という形になっちゃうというのは、私は重点事業は--これはやっちゃいけないということをいってるんじゃないですよ。こんなのは、河川の問題についてはもともと計画的にちゃんとやらなきゃいけない話で、それが今回は、十五も一緒になってやりましょう、これが重点事業だということには、私はちょっと、重点事業という形からいうとどうなのかなというふうに思うんですが、その点についていかがですか。

○藤井参事 二〇ページ、自然災害対策でございますが、本来、河川の改修というものにつきましては、それぞれの年度、年度で限られた河川の区域についての本格補修を行い、その他につきましては、土のう積み等によります応急補修を繰り返しているというのが今の取り組みでございます。
 それでも、治水安全度という面では問題はないとは思いますが、ただ、今、委員ご指摘のとおり、本年の台風の影響等によりまして、中小河川の護岸の部分がかなり傷みが激しくなっております。これにつきましても、当然、土のう積み等の応急対策は施しておりますが、やはり都民を水害から守るという観点から、この十五河川を、さらに緊急点検で変容が見られたところにつきまして、一気に一年程度ですべて補修をしてしまおうと。このことによりまして、治水安全度は飛躍的に向上するものだと考えておりまして、重点事業に選定したものでございます。

○古館委員 私は、そのこと自体を否定してはおりません。これは、重点事業とは別でも、やらなきゃならないものだから、やる必要があります。ただ、重点事業ということで、自然災害対策ということであるならば、やっぱり東京都として、超高層ビルだとか、あるいは地下構造物とか、それから高層マンションとか、そういう耐震化のための取り組みなど、首都東京特有の災害問題というのがあるわけで、そういうところに集中対策として選定すべきだし、河川は河川でちゃんとやる、予算化すると。しかし、重点事業としてだったらば、やっぱり首都東京の迫り来る大地震に対して、どう災害として極力未然に防いでいくのかという方向にこそ、この重点事業というのはきちんと光を当てるべきだと思いますけど、その点についていかがでしょうか。

○藤井参事 まず、重点事業の取り組みでございますが、重点事業の取り組み、この事業の選定に当たりましては、当然ながら、所管の局と十分な調整を行った上で、この事業につきましては特に緊急性のあるものとして選定を進めてきているわけでございます。
 また、そのすべてを網羅的に対策を講ずるということではなく、重点事業につきましては、分野を限定して、重点的、集中的に事業を行うというコンセプトがございます。先ほどのお話のように、例えば地震災害等に対しても、ことしの取り組みとしては、住民共助の仕組みをさらに進めていくのと同時に、島しょ部におきます地震時の津波対策にも取り組むなど、すべてでないにしても、対応としては、自然災害対策については十分な配慮を重点事業の中ではさせていただいていると考えております。

○古館委員 中央防災会議のことで、今回は随分、代表だとか一般でも震災問題が質疑されましたけれども、やっぱり首都東京としての特有の震災問題というのがあるわけですね。ですから、そこの問題についても、正面切って東京都の重要な施策、重要事業としてきちんと位置づける、このことは強く求めておきたいと思います。
 それで、もう一つだけ、具体的な個別事業で聞きたいんですが、二二、二三、二四ページに、より効果的な救急活動の実現、民間事業者の患者搬送の拡大ということがあります。この問題で、これが来年度の状況の中で出てきていると。
 まず質問からさせてもらいますけれども、十月から来年三月までは、今、試行期間だと思うんですよね。これは、具体的には、民間が患者さんを搬送するというようなことを今試験的にやっているわけですね。これがどういう状況になっているかといいますと、例えば通常の搬送でも、それこそウン万円かかっちゃう。大体、通常、七万から八万円ぐらいかかってしまう。この間いわれた例は、どれぐらいかかったかというと、全部で十万円、料金がかかったんですね。この方は現実にそういうふうになったわけですが、通常の搬送で三万六千円。このケースの方は、対象者が結核患者だったわけですね。車両が一日利用できなくなるということで、一日分の借り上げ料金として七万七千円の搬送料が請求されて、さらに、この方は結核患者ですから、搬送後の消毒料金だということで二万三千円で、合計十万円の料金となった。そうすると、こんなにとられるんだったら、とにかく病院にも行けなくなっちゃう、頼みもできないというような、それが来年四月からの状況として出てきている。
 そこで質問しますけれども、これをよく読んでみますと、そのまま十七年度の重点事業として盛り込まれてきているんですが、生命と健康にかかわる問題、負担増の問題など、解決すべき問題が非常に多いと思っています。それで、仕組みの構築というふうに書かれていますから、ここは私も慎重に質問させていただきますけれども、仕組みの構築というのはどういう意味合いなんでしょうか。
 そして、患者の搬送は、消防庁による救急搬送こそが主体でなければならないと私は思うし、その問題について、むしろ消防庁による救急搬送、これの十分な拡充といいますか充実、これこそが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○藤井参事 まず初めに、ただいま委員のお話がございました十万円という額なんでございますが、民間救急コールセンターが紹介する民間の救急搬送の料金につきましては、タクシー料金と同様に、国土交通省の認可料金となっております。かなり遠距離ということであれば、確かにおっしゃるところはあるかと思うんですが、例えば、例を挙げさせていただきますと、七・五キロまで、三十分程度であれば、税込み三千八百九十円ということになっております。ただいまの事例のお話ですと、例えば消毒ですとか、そういうようなことが必要となったというケースだと考えられます。
 それにつきましても、今、このコンセプトということでございますが、考え方といたしまして、先ほど委員のご質問の中にもございましたが、救急の件数というのは非常にふえてきている、年間三万件ずつ増加してきているという状況の中で、救急車が現場に到着する時間がだんだんだんだん延びてきているというのが現実でございます。高齢化の進展によりまして、今後も救急搬送の件数というのはさらに増加していくのではないかと思うわけでございますが、平成二十七年度には百十六万件に達するというような推計もございます。
 その一方で、この救急患者の大体六割が軽症者であると。先ほど委員のご指摘だった部分については軽症者か否かは定かではございませんが、実際の統計としましては、六割が軽症者であると。さらに、医師の同乗が必要でないというような軽症者のケースでは、二万四千件といわれております。
 緊急性を有しないで救急車を利用するということは、結局のところ、本当に救急車が必要であるという患者さんのところに到着する時間がおくれるということでございまして、やはり真に救急車を必要とする傷病者の命を救うためにも、都民みずからが救急車の利用とかマナーについて十分ご認識いただくことが必要かと考えております。
 このため、民間救急コールセンター、先ほどご紹介ございましたが、本年十月から試行で開始しておりますが、来年から本格開始ということになりますが、このような取り組みをするのと同時に、都民や医療機関などにも普及啓発を進めていくというようなことで重点事業に取り上げさせていただきました。

○古館委員 私は、慎重ないい方をさせていただいたというのは、要するに、今、軽症者が六割だというのは、統計でわかるんですよ。統計だから六割だってわかるけれども、その患者さんが軽症であるのか、重症であるのかというのは、だれが判断するのか。そういうことなんかも、これからそういうふうに民間に頼もうとなると、そういう場合のとっさの判断というのは、特に、こういう救急車の場合は必要だから、私がいっているわけであって、したがって、こういう問題を急いでやるべきではありませんということについて私は先ほどからいっていて、慎重にいい回ししますがといっているのは、ここで書かれているのが、仕組みの構築というのはどういう意味だということをいっていて、患者の搬送は消防庁の救急搬送こそ主体だというふうに思うがどうかというふうに聞いているんです。だから、その点についてはお答えがないんですよね。これは慎重であるべきだと思いますが、いかがですか。

○藤井参事 仕組みの構築ということでございますが、先ほどご説明いたしました中に、医師の同乗がなくても転院できる件数、二万四千件とご紹介申し上げました。これは、医師が判断をして、同乗が必要でないというような、トリアージをするということでございますが、その上で、民間救急を使った方がいいんではないかという、そういう判断が一つ入って、何でもかんでもここでやるというわけではなくて、そういう判断をした上で民間救急コールセンターを活用していくという考え方でございます。

○古館委員 だから、医師の判断といいますけど、医師が足りなくて乗れないという場合だってあるんです。だから、そういうことも含めて、慎重に、これは十分な考え方、人の命がかかっているんだから、そのことは強く求めておきたいと思います。
 重点事業はあくまでも、都民の暮らしとか福祉・医療、営業を守り、どう支えていくかが基本的視点でなければならないと思っています。私は前にも提案して要求したんですが、このことを検証するという観点で、これで三年目になります、これまでの重点事業がどうなっているか、その状況報告があってしかるべきだと思いますが、この状況報告を今後こうした総務委員会などにするという、そういうことについてはいかがお考えでしょうか。

○藤井参事 重点事業に限らず、事業の実施につきましては、それぞれ所管局が責任を持って執行しているものでございます。その実績につきましても、所管局を通じて行われてきております。改めて申し上げるべきでもないんでしょうが、重点事業に限らず、都の事業はすべて決算特別委員会の審議を通じて議論がなされ、決算認定の上、議決が行われるものと認識しております。

○古館委員 そういう形で逃げないで、やっぱり私は、知事本局として、こういうふうにして委員会でも重点事業の報告があって、きょうだって議論をたくさんしているわけですよね。そういう部分でどうなっているかと。確かに決算といわれますけれども、今、決算でということになると、先ほどの冒頭に私が確認をしたのは、各局との調整でもってやりますと。リーダーシップは知事本がとっていますということもいわれているから、私は、そういうんだったら、きっちり、どういう状況ですよということも報告をしてほしいし、そのことについては大いに検討してもらいたいというふうに思います。
 それで、最後に、また後年度負担についても、財務局と協力してでもいいですから、示してほしいと思います。これは、例えば、十六年度に未完の環状道路の整備促進というのがありましたけど、そのときに張りついたお金はたったの二千万円であります。それで、今回、北新宿地区の市街地再開発事業というのが芽出しでありますけれども、これだって一億円ですよね。じゃあ、これが一体、本格的に出ていったら、どれだけの財政出動があるのかということも含めて、これは後年度負担についても、私はぜひ示してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○藤井参事 重点事業に限らず、事業を実施していく上で、後年度負担への配慮は当然のことだと考えております。ただ、重点事業を選定するに当たっては、負担の問題はもちろんでございますが、それも含めまして、事業を実施することによる経済的な効果、波及効果も含めました経済的な効果も考慮した上で総合的に検討し、真に必要な事業を厳選して重点事業としたものでございます。

○古館委員 最後になりますけど、当然のことという割には、東京都の借金財政というのは、都債は今ふえているわけですよ。それで、もう間もなく七兆円になりますよね。最初は六兆円からいってたけど、どんどんどんどん上がって、もう少しこのまま続いていったら八兆円になっちゃう。これは、結局、後年度負担そのものに対してもどういう配慮があるかといったら、私はそんなふうに配慮があるとは思えない。
 今、私が提案をして求めたのは、後年度負担についても財務局と協力して示してほしいということですから、そういう努力はぜひしてほしいと思いますが、もう一回ご答弁をお願いしたいと思います。

○藤井参事 ご指摘の後年度負担についても、この重点事業策定の過程に当たっては、事業所管局との調整はもとよりですが、当然ながら財務局とも調整しながら進めてきておるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、重点事業の策定に当たりましては、その負担の問題も当然のことですが、そのほかにも、やはり経済波及効果などを考慮して、総合的に判断して重点事業としてきているわけでございまして、その中で厳選して事業を選定しておるものでございます。

○古館委員 これは、今あくまでも、いいことやっているんだからいいじゃないかと、簡単にいえばね、そんなような雰囲気なんですが、ただ、議会に対しては、それがどういうふうになっているかということについては、やっぱりきちんと示してもらいたい。このことを強く求めて、私の質問を終わります。

○藤田委員 それでは、私も何点か質問させていただきます。重複があったりしますので、少し横へそれたりいたしますけれども、よろしくお願いをいたします。
 先ほど、この重点事業はどんなふうに総括をして今年度もやるということを決めたのかという質疑がありましたけれども、中長期的計画は難しい、変化の激しい時期である、だから優先的に、集中的に予算を配分すべきと考えて、そしてまた、局横断的に、総合的に実施をしていくのだというようなお話、そして、それがこの中にも書かれているわけでありますけれども、私も、昨年の質疑の中で、ぽんぽんぽんぽん、アドバルーンのように上げていって、行政の継続性ということはどういうことかというようなこともお話をさせていただいた記憶がございますが、今年度のこの重点事業について、知事の公約との関連はどういうふうになっているのかをまず伺いたいと思います。

○藤井参事 今、公約ということでございますが、例えばでございますが、首都大学東京が来年の四月に開学いたします。これは知事の公約として掲げておるものでございます。また、新銀行東京も来年のオープンということでございまして、これも同様でございまして、両者ともこの重点事業の中で記述をさせていただいておるところでございます。

○藤田委員 そして、ことしはその部分が幾分減っている感じといいますか、行政の継続性の方が少し色濃く出ているなというふうに私は思っているわけですけれども、重点事業の選定に加えて、一番最後のところに、いわゆる政策展開を支える取り組みとして、都みずからの改革を推進していこうということと、それから、国を動かして改革を先導していくんだということが書かれています。
 これまでの第二次の財政再建推進プランと、昨年の十一月に出ています第二次都庁改革アクションプランとその他三点の構造改革を推進していくというふうにしているわけなんです。その中には、都と区市町村の役割分担を明らかにするとしているわけです。ことしの知事会と国との話し合いと同じように、やはり区市町村と都の役割分担をどういうふうにしていくかというようなことを書かれております。そして、もう一つは、既得権益化した補助金改革が書かれているわけでして、第二次財政再建推進プランの中にも、補助金の一覧というものを出されています。
 実は、この問題は、昨年度の--きょうは三冊持ってきましたけど、十六年度重点事業、それから十七年度の重点事業にも全く同じように入っているわけなんですけれども、それでは、十六年度の重点事業ということでできたことはどういうことで、そして、十七年度で実施しようとしていること、都みずからの改革を今後どんなふうに進めていくかということ、十六年度と十七年度についてお伺いしたいと思っています。

○藤井参事 今お話しのように、政策展開を支える取り組みにつきましては、昨年度と方向感については大きく変わっておりません。重点事業に選定された施策を実施していくためには、都政における財政基盤や効率的な執行体制の確立というのは、これはもう不可欠でございます。この認識は依然として変わっているわけではございません。そのために、今お話しのように、第二次財政再建推進プランや都庁改革アクションプランに掲げましたそれぞれの事業を着実に実施していくのと同時に、今お話しのように、都と区市町村の役割分担の見直しや補助金の個別検証なども進めていくという必要性はあると考えておりまして、知事本局としては、局横断的、総合的な見地から調整を図り、都政の構造改革を進めていくという考え方は変わっておりません。
 例えば、都がみずから担うべき守備範囲を見直すものといたしましては、大久保病院の公社化ですとか、そういうようなことに取り組んでおるのと同時に、痴呆性グループホームの株式会社の参入拡大推進ですとか、そのようなことにも取り組んできております。あるいは補助金の見直しの中では、民間サービス推進費補助制度の見直しなどにも取り組んできておるところでございまして、これらの取り組みを進めていく中で、十七年度についても、今後、取り組みをさらに進めていきたいと考えております。

○藤田委員 今、東京都の中の話として、公社化の話を具体的な例としてお出しになりましたけれども、やはり区市町村との役割分担というのはもう少し大々的に大きく、もちろん十八年度に向けて、二〇〇〇年度の積み残しの部分がありますから、協議の場を持っていらっしゃるとは思いますけれども、やはりこれを掲げるならば、新たな区市町村との協議の場といいますか、もう少ししっかりとしたものをつくっていく、これが必要ではないかというふうに思っています。
 そして、例えば補助金の改革についても、一律、例えば二分の一にしてしまおうとか、そういうことは財務局はもちろんそのときにはいっておりませんでしたから、では、それをどうするかというふうにしていえば、やはり手順を明らかにして、公開をしていきながら、お互いに、それこそあそこにも書いてありましたけれども、その補助金を出した経緯がある、だから一概にということはなかなか難しいわけでありますから、これについても手順をしっかりと情報公開をしていく。
 そして、東京都の場合にはちょっと大き過ぎますから、なかなか難しいわけですけれども、我孫子市がやりましたような、一度とにかく補助金については全部見直す。そして、もう一度プレゼンテーションをして、自分たちがどういう意味合いを持ってこの補助金が欲しいのだという、そのことを確実に、三年間だったと思いますけれども、それを補助金を得て、そして、それはまた三年後にはしっかりと全部見直すという、こういうようなやり方が、ある意味では市区町村の場合には有効になろうかと思いますけれども、それも含めて、やはり東京都としてもどういうふうにして手順を決めていくのかということを情報公開していく必要があると思います。昨年、ことしと同じように書いてございますけれども、なかなかこれが目に見えて、ああ、こういうことなんだというふうにはなっていないと思いますけれども、もう一度、これをどういうふうに進めていくのか、伺いたいと思います。

○藤井参事 ただいま申し上げましたとおりでございますが、知事本局といたしましても、関係局、財務局、総務局等とも十分調整の上、局横断的、総合的な見地から調整を図り、都政の構造改革を進めていきたい、あるべき姿の方向に持っていきたいと考えております。

○藤田委員 個々のテーマについては、何を取り上げたかということは、私はこの中では余り議論をするということではないのですけれども、喫緊の課題としてヒートアイランド対策、それから自然災害対策、そして、時代を先取りする取り組みとして自然環境保全などということを取り上げているというふうに、そしてまた、環境ビジネスを支援していこう、こういうふうに取り上げられているわけでありますけれども、東京都は、やむを得ずといいますか、昨年のこの暑さのために、みんながもう我慢できない、こういうことの中で、知事も、もう都市計画、そんなことやって無理じゃないかというような話までありましたけれども、やむを得ず、環境重視にかじを切ったと考えてよろしいのでしょうか。

○藤井参事 ご質問の環境重視にかじを切ったのではないかというお話なんですが、重点事業におきましては、改めて申し上げるというのもあれなんですけれども、これまでも、例えば大気汚染対策ですとか、地球温暖化対策、ヒートアイランド対策、あるいは自然の環境の保全などにも取り組んでおりまして、改めて環境重視に転換したというような色彩は余りないかと思っております。

○藤田委員 そうですよね。そこまでとてもといいますか、それで、一番最初に出ているのが、先ほどちょっと話がありましたけれども、丸の内の再生であったり、品川駅周辺の整備であるわけでありますけれども、私は、これで施策の矛盾がないのかな、皆さんの頭の中で矛盾は起きないのかなというのが、非常に心配するわけであります。やはり私たちの考えている基本は、いわゆる都市構造が、震災ということも全部含めれば、これは行き過ぎた東京のあり方だというふうに私は思っておりますけれども、せめて、この開発、こういう新たな魅力を創出する拠点の形成ということであれば、ここの中でどういうふうに環境問題を解決していこうとしているのか。屋上緑化だけやりますということじゃなくて、例えば丸の内の場合には、みゆき通りの向こう側には全部松が植わって、そして皇居があるから、こっち側に緑があるから、もうこれで勘弁してよねというのではなくて、この開発の中でどういうふうにこの環境の問題を考えていくのか。
 そして、先ほどの品川の中では、ビルは地元の地域との話し合いがありましょうから、それはそうですけれども、どれだけ環境に配慮した施策ができるのか。例えば、東京と同じような規模のところでも、風道はきちっと通しておくよと、この環境の問題が第一に考えられて、ビルのつくり方も考えるよと。こういうようなことが、これからの東京にあってはまず第一に考えられるべき問題だと思いますし、それから、昼間は暑くても、夜涼しかったら、みんな我慢できるんですよね。うちへ帰ってすっと寝られれば、みんなそんな文句をいわないと私は思うんですけど、やっぱりどうしても道路とビルに蓄熱してしまう。
 この状況を考えたら、やはりそこでどうしていくのか。環境に配慮した、そして風道が通れば、海から川を伝わって、そして緑につながっていくというような、そういうつくり方の都市にすれば、これはかなり変わってくるはずでありますし、いわゆる昔のグリーンベルトのことが再生されるような状況であれば、ここのところはまた変わってくるんだろうと思いますけれども、この大規模開発のままでということではなくて、環境の配慮、ことし特に喫緊で必要だと思った、その環境の配慮ということはどういうふうに考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

○藤井参事 開発につきましては、先ほど申し上げましたとおり、東京の活力を高め、都民生活を向上させていくためには、やはりまちづくりですとか都市基盤というようなものも、施策として進めていかなければならないんだろうと思っております。
 今の八ページの丸の内と品川でございますが、これは、いずれも区あるいは国、それから民間事業者等が入りまして、ここのあるべき開発の姿という全体構想を策定する、あるいはトータルデザインを検討していくというものでございまして、その中で、そういう部分も含めて、検討していく必要があれば検討がなされると考えております。

○藤田委員 ぜひ検討していただきたいと思っておりますが、先ほど、どのような東京都を描いたかというので、快適で安心、活力と魅力にあふれた都市だというふうにまずおっしゃいました。そこのところをどういうふうにしていくのかだというふうに思いますから、日本の経済を牽引していく首都としての役割という、このことだけで終わってしまってはしようがないわけで、環境と経済はバランスさえとれば両方とも進んでいく、進められるというふうに現状では思っております。
 今までは、どちらかといえば一極集中して、それですべて日本を引っ張っていくためにということ、それだけが大命題のようでありましたけれども、やはり他の国からもこの東京へ来てもらうためには、東京に住んでいる人が本当に快適だと思わなかったら、絶対来てくれません。どこへ行っても暑くて暑くて、もうとてもかなわないというふうになったら、だれも、まちを見て歩こうなんて思わないわけですから、そういうことを考えれば、やはりここは環境の問題を、環境ビジネスまで支援していこうということが芽出しでも出ているわけでありますから、ぜひともバランスということを第一に考えて、これは十分できるはずでありますので、しっかりとここに提案をしていただきたいというふうに思っています。
 それから、選定された事業は予算を優先的に配分するということでこれまでやっていらっしゃいました。例えば、この重点事業に出された事業が何点か、後ろの方にも、骨格をつくるというような道路事業なんかはまた載っているわけでありますけれども、十八年度も継続するという事業は、例えば次年度については一〇%のシーリングがかかるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○藤井参事 十八年度の事業選定ということでございますが、事業選定に当たりましては、やはり全体の中身を、それぞれの事業を再検証いたしまして、必要性が真にあるという事業を選定していくわけでございます。この中でシーリングの適否についても考えていくべきものと考えております。

○藤田委員 例えば、一三ページにあります東京大都市マラソンの開催に向けた取り組み、まだこれはもちろん予算の前でありますから、これからの審議でございますけれども、一億円というふうにあります。これは、教育庁の中で、ハーフマラソンが行われていたのをスクラップして、そしてまたビルドしたという大きな事業だというふうに思います。しかし、これは多分十八年度もやっていくんですよね。いかがですか。

○藤井参事 先ほど申し上げましたように、すべての事業はもう一度再検証の上、重点事業とすべきかどうかも含めて検討をして、その結果で重点事業として掲上されれば、継続という形になっております。

○藤田委員 重点事業じゃなくても多分やっていくんだと思いますよね、これはね。そうなると、一〇%カットしていくと、毎年毎年、毎年毎年そうなると、なくなっちゃうのかなと、普通に考えると思うんですけども、そうはならないと思いますけれども、過大な予算の投入ではないのかというのが一点あります。
 それから、もう一つは、本当に一〇%のシーリングをかけていくというこのやり方がどうなのかということもあります。ここのところは、もちろん、例えば事業をやり始めると、それに対しては、係ができて、課ができて、部ができる。なかなかこれを完全にやめてしまうというのは、本当に皆さん方のこの組織の中では難しいことでありますから、そういう意味では本当に厳しいことだと思いますけれども、やはり何か新しいことを始めるときには、今のこの経済状況の中で、右肩上がりでないという中で、どういうふうにこれをスクラップして、次の新しいものを出していくのかというところにもっとしっかりした目を配っていく必要があるんだというふうに私は思っているわけです。
 ですから、このマラソンを次やめろというような、そういうことではなくて、事業の一つのものとして今後どういうふうにしていくかということも含めまして、予算のあり方をもう一度考え直す時期でもあるというふうに思っております。すべてに薄く広く、ざあっと一〇%かければ、全部これがおさまるはずではないということを申し上げたいというふうに思います。
 それから、先ほどもちょっとあったんですが、重点事業から外れた事業の追跡はどんなふうにしているかをお伺いいたします。

○藤井参事 今年度もそうなんですが、重点事業の選定に当たりましては、前年度選定した重点事業のうち、所期の成果を上げて既定の事業化されたものについては、当然ながら除いております。それで、さらにこの重点事業に取り上げることによりまして、これまでの取り組みを発展させるというような事業については継続しているということで、当然ながら、前年度事業につきましては、検証の上、所期の事業の目的を達成したものについては検証して外すというような取り組みを行っております。

○藤田委員 公会計制度改革が十八年度に実施されるというふうになって、バランスシートの導入が予定をされているわけです。このバランスシートを入れるに当たっては、行政評価をきちっとしていなかったら、これを幾らかけてもどうにもならないというふうにいわれてもおりますし、私もそういうふうに思っております。意味がなくなるというふうに思います。
 この行政評価について、毎年、こんなふうにしましたというときにもお話をしていますけれども、せめて重点事業については追跡して、行政評価をして、そして、その中で、この問題はどういうふうになったのかということが公表されなければ、重点というこのやり方について、昨年上げたけれどもどうなったのと--今おっしゃいましたけれども、もう当初の役割を終わったものはそれで終わりというふうにいいますけれども、その選定が本当にある意味では正しかったのかどうかも含めて、きちっと行政評価をかけて、そして十八年度から始まるバランスシートの導入に向けても、ここは行政評価をやるべきだというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

○藤井参事 繰り返しになりますが、例えばでございますが、十六年度の重点事業で取り上げました事業のうちでも、しごとセンターの設置のように、既に十六年七月に開設して順調に事業実施しておるものについては、当然、重点事業からは外し、経常の事業としているような取り組みを行っております。このように、個々の事業につきましては、それぞれ必要性を十分検証し、今後につきましても対応していきたいと考えております。

○藤田委員 行政評価をしてほしいということを申し上げました。
 一万ほどの事業がある中で、なかなか全部行政評価することは難しいわけでありますから、何をするかの選定のときに、まずこの重点事業ということを考えていただきたいと思いますし、そして、それが上手にできてこそ初めて、今お話ししたような公会計制度改革も有意義になるわけでありますので、ぜひそのことは取り上げていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○吉田委員 私からも何点か質問させていただきます。
 我が党の古館委員からも質問がありましたけれども、個々の施策については、各局の直接的な守備範囲でもありますから、意見はありますけれども、ここでの質疑は控えさせていただきます。ただ、全体の取りまとめの考え方などについて質問させていただきます。
 やはり重点事業の選定ということは当然あり得ると思うんですが、その出発点は、都民の実態であり、また都民のニーズであるということであらなければならないと思いますし、同時に、全体的な課題を総合調整するという知事本局の本来的な使命という点で見れば、長期的な視点あるいは将来展望というものを見据えて、今、何に重点を置くことが、都民にとっても、都政にとっても求められているのかということが貫かれていかなければならないと思いますし、また、先ほどから議論がありましたが、やはり財政の大枠というものがあるわけですし、また、高齢化社会のますますの進行という将来予測がある中で、どういうふうに適切な形で事業の優先度というものを設けるのかということが当然検討されなきゃならないし、当然検討されてきていると思うんですね。
 それで、私がきょう主に質問したいのは、投資的事業における、この重点事業でも上げられております、社会基盤の今後の維持更新費の増大に対してどう対応するのかということと、その一方で、重点としても示されている、あるいは重点としては示されておりませんが、都市再生は緊急、最優先の課題ということで、既に三環状を初めとする事業への優先的な財政投入が進められる。果たしてそのことが真に両立して進行でき得るものなのかというのが、私の一番のきょうただしたい点なんです。
 そこで、重点事業の冊子の三七ページに、今後の維持更新費用のイメージ、事業効果ということが出されております。この図を対比しますと、今何もしなければ、東京都の維持更新費用というものは、何年か後で、この目盛りで見ていきますと、十倍ぐらいに膨れ上がりますよと。それが、この提案されている予防保全型ということをやりますと、今よりは二倍か、ないしは高いときには三倍ぐらいに上がるけれども、ほぼ毎年平準化して維持更新費は進むであろうというふうに見られているんですが、ただ、イメージ図というふうなことになっているわけですよね。一体これはどこまで認識として、大まかそういう認識でいいのか、それともこれはあくまでもイメージであって、二倍とか、三倍とか、十倍とかということはそもそも全く根拠がないんだというものなのかをまず説明していただきたいんです。

○藤井参事 ご質問の三七ページの予防保全型管理の推進でございますが、この考え方、いわゆる施設の維持更新について、例えば橋であれば、従来の劣化したらばかけかえるというような、そのような取り組みを進めることによると、かなりな経費がかかってくるだろうと。これはイメージのとおりでございます。ただ、このイメージが、例えば額的な裏打ちがあるのかというお話でいけば、金額的な裏打ちというのは正確な部分ではないだろうと。であるからこそ調査点検が必要であり、現在価格に置きかえてどの程度の投資が必要なのかということを精査していく必要があるだろうと考えております。

○吉田委員 私がなぜこの図にこだわったかといいますと、山形が、頂点が一つあるということも、そもそも現時点での推計としても適切ではないんではないか。少なくとも、維持更新費が高まった時点が、一年でピークで、あとはぐっと下がるというんじゃなくて、今の現状というものは、オリンピックの集中的な投資がその後も、経済成長によって七〇年代までずっとある程度続くわけですよね。したがって、ピークの山は一年や数年程度ではなくて、かなり長期にわたるそのことが起き得るだろうという意味で、このイメージ図について疑問を持ったんです。
 かつ、たとえ一定の手直しをしたとしても、このような低い状況を予測することはかなり困難ではないのかという意味で、このイメージ図について疑問を持って質問をした次第です。
 そこで、そういうことがあるから、今後、調査研究するために二億円をかけるんだということだと思うんですが、ただ、現時点でも既に、これは、この知事本局のいわば前身であります政策報道室が一九九八年に推計値を発表しているわけですよね。その後、調べてみましたが、これにかわる推計値は発表されてないんですが、このときに推計をした道路、橋梁、上下水道、都営地下鉄、都営住宅などの維持更新費の将来推計というのは、大まかにどの程度の規模のものが推計されていたのか、ご説明願いたいんですが。

○藤井参事 今、委員がお持ちの資料は、平成十年に公開された調査報告書、東京都が管理する社会資本の維持更新需要額の将来推計というものであろうと思いますが、これは、ごらんいただければあれなんですが、前書きのところにもありますように、更新サイクルや新規整備計画等に関する一定の、本当に仮説というものを立てた上で、将来の技術革新ですとか、あるいは社会資本需要などについては全く考慮しないという前提で、そういうようなさまざまな条件を付した上で推計したと。さらに、私どもの前身でつくったものでございますが、前書きを正確に申し上げますと、決して推計結果が正確性を誇るものではなくて、データや推計方法の妥当性についての検討も含めて、一つの踏み台というか、これから議論を進めていく上の踏み台にしてほしいという前提でなされたものというふうに前書きには記載してございます。したがいまして、今の時点でこの数値をどう評価するかというのはまた別の話だろうと考えております。
 ただ、内容について参考までにご披露いたしますと、今ご指摘の橋梁でございますが、橋梁ですと、維持更新経費は一兆七千四百億とこの推計ではなっております。

○吉田委員 橋梁しか例に出されませんでしたけれども、私が読んだものでは、道路、橋梁、上下水道、都営地下鉄、都営住宅など合わせて、これまでの延長線上で推計すれば、単年度の維持更新費が年間で七千二百億円という記述があるわけですよ。もちろん、私はこれが正しいか否かということをお聞きしたわけじゃなくて、ただ現実的に、こうした土台であり、もちろん、これを正確なものだと断定して私たちは見るべきではないかもしれませんが、では、これ以外に何か最近の推計数値はあるんですか、具体的な維持更新費の将来予測について。

○藤井参事 私ども、今回三七ページで選定をいたしましたアセットマネジメントという取り組みの中で、現段階で、道路、橋梁部分についての現在価値への再試算というのを実験的に試みの案として試算しております。それによりますと、おおむね、取得時価格が八千億程度であるとすれば、これが現在価格に置きかえると二兆円を超えるというような試算はございます。ただ、これもあくまでも、それぞれの施設につきまして、調査点検、劣化予測あるいは今後の投資分析などを行った上で正確な数値が出てくるものと考えております。

○吉田委員 私もこれにこだわるわけじゃありませんが、少なくとも、これが計算をした、東京都が所有し管轄をする社会基盤の六事業について、単年度の維持更新施設が、二〇〇一年から二〇三〇年の間の平均で出すと七千二百億円という数字が現実としてあります。確かに、そのために努力をすることは当然のことでありますけれども、かといって、イメージ図のように、これを大幅に削減できるかどうかというのは、まさにこれからの研究課題ですよ。しかも、これは架空の話をしているわけじゃなくて、私も改めて決算書を見たんですが、昨年度の例えば道路、橋梁の、これは更新費じゃなくてあくまでも維持補修費ということで見ますと、建設局が所管する二つの分野だけで、何と四百五十億円かかっているわけですよ、二つだけでね。それ以外に、都立高校があり、都営住宅があり、また都庁自身もあるわけですよね。そうしたことが、今の話だと、結論的には、将来需要がかなりのものになるということは明白なんですが、アセットマネジメントを導入することによって、どのぐらいになるかということは、少なくともまだ見通しが立っていない。
 しかし、その一方で、先ほど古館委員が質問したように、例えば、今度の重点になっている未完の環状道路を初めとする事業、さらに、あえて出されておりませんけれども、三環状、今度の重点に出されている多摩地域の都市計画道路、既に昨年具体化が進められた区部の都市計画道路、こういうものが片やそれぞれいろんな理由をつけて進められているということで、果たして東京の将来の財政的な対応能力というものがどう検討、考慮されているのかということが極めて疑問になるわけです。先ほど、当然そういうことはちゃんと財務局とも調整しているんだというお話だったんですが、そこでお伺いします。
 明示はされておりませんし、今後出す出さないについても明言を避けられたんですが、三環状及び今度出された未完の環状道路、それと区部の都市計画道路、多摩の都市計画道路、これら合わせて、将来的にどのぐらいの財政需要が発生するというふうにお考えなんでしょうか。

○藤井参事 社会資本の整備につきましては、メンテナンスのコスト、今、先生がご指摘のように、毎年の予算で、査定の中で行われていくものだというふうに思っております。この予防保全型の取り組みというのは、このような山になるのかどうかは別にして、やはりこういう取り組みを進めていくことによって、施設の延命化ですとか、あるいは事業費のピーク抑制などを図るという取り組みが今後とも必要であろうという考え方に基づいて、重点事業に策定したものでございます。
 一方、都市計画道路の整備など都市基盤の整備につきましては、渋滞の解消等を行うと同時に、これは環境負荷の軽減にもつながりますでしょうし、ひいては経済全体の発展にもつながるだろうということがございまして、単に財政負担だけではなくて、税収の増にも寄与するだろうと。当然、その税収の増については別の事業にも振り向けられるだろうと考えております。
 例えばの話で、今お話のありました圏央道、外環というような三環状道路について、どの程度の事業費がかかるのかというお話でございますが、これは、かつて知事も所信表明演説で申しておりますが、国の負担も含めてでございますが、総事業費としては三環状で九兆円と申しております。ただ、この経費の九倍に相当する経済の波及効果がある、整備効果があると、同時にその所信表明の中では申しております。
 同様に、区部の都市計画道路についても、おおむね八兆四千億ではございますが、区部につきましてはさらに経済効果は上がるのではないかと考えております。

○吉田委員 経済効果が上がるということを強調されましたけれども、そのことをもって財政的な総合調整の理屈にはなりませんし、また経済効果なるものについても、私は極めて重大な疑問を持っているところです。
 今いわれた、例えば三環状で総事業費九兆円と。ただ、単純にそれで都負担がどうなるのかということは推計できません。しかし、一般的には、この間のやり方は、たとえ道路公団の事業であったとしても、いわばそれを促進するために、国道事業に切りかえて、そのことによって三分の一の地方自治体負担が生み出されるという手法がほとんど使われていますね。千葉県も調べてみましたけれども、外環道路は公団事業でありながら、国直轄事業負担金という形で千葉県が出さざるを得ないという仕組みがされております。
 もちろん、首都高の場合には、ご承知のとおり、出資金、貸付金ということで、これも事業費に応じて一定割合を東京都が負担する。これ自身が現在既に東京都の予算上でも極めて大きな比重を占めるという事態になっていますけれども、例えば三環状九兆円の事業費ですよといったときに、三分の一ということになれば、三兆円ということになるわけですよね。それ以外に、まさに国直轄事業じゃない東京都に固有の区部の道路計画を計画どおりやるということになれば、プラス八兆円という、極めて膨大な財政的な負担というものがのしかかってくる。もちろん、全部これをやめるべきだなんていうことを私はいいませんけれども、やはり当然必要性と財政的な問題を見ながら、都市計画決定されたものであったとしても、どうそれぞれ進めていくということは、私たちの代表質問でも強調しましたけれども、今、周辺の県ではみんなそういう手法に切りかえつつあるわけです。
 そういうことから見れば、片や、今後維持更新需要が増大するということが、幾ら一定の対応策をとったとしても明白なときに、これまでを超えるような莫大な、こうした環状道路を初めとする事業を基本的な都のスタンスにし、かつ、そこから重点事業を選んで進めていくということは、私はやはり総合調整をするという知事本局の本来の使命から見たら、その責任が果たし得ないのではないかということを感じます。
 もう一つ、別な角度で、こうした社会基盤の整備の問題について質問をしておきたいんですが、いわゆる東京構想二〇〇〇の中でも、将来的な人口推移がどうなるのかということが書かれています。いうまでもなく、ある年を経て、東京の人口、夜間人口も昼間人口も後退するということがいわれておりますし、さらに、もう一つ注目をすべきことは、今盛んにいわれているのが、団塊の世代が退職期を迎えると。二〇一〇年問題ですね。そのことによって、オフィスで働く人の数がかなりの数減るし、そして、そのことによってまた、オフィスの床面積そのものがかなり需要減になるだろうということが予測されています。
 片や、人口減やそういう事態が社会現象としてわかっていながら、社会基盤の整備の方は、国際的な競争力の名のもとに、ますます急ピッチで進めようとするというのは、やはり長期戦略を真剣に考えたときに相矛盾することではないのかなと思うんですが、それで、いわゆる二〇一〇年問題といわれている問題について、知事本局としてはどのように事態を認識しているんでしょうか。

○藤井参事 先ほども申し上げましたところですが、重点事業の選定に当たりましては、都市の活力ですとか魅力の向上といった視点もあり、その中で重点的に必要な事業を選定しているものでございますので、そのような取り組みを進めておるところでございます。
 今のお話で、二〇一〇年問題というのは、オフィス需要の減退期というようなイメージで考えて、という認識でよろしいでしょうか。(「はい」と呼ぶ者あり)
 オフィスの需要というものについては、さまざまな分析が巷間なされておりまして、例えば、ある民間の研究所の予測によれば、二〇〇〇年から二〇一〇年までの十年間で三百七十万平方メートルが不要になるといわれてもおります。ただ一方で、二〇〇三年の新規のオフィス需要、大量供給があったわけでございますが、その中でも空室率は低下が続いておりまして、結局、千代田区では五%回復するというような需要の好転があるような状況でございます。
 また、単に昼間人口だけに着目した場合で考えても、総務局の統計によれば、昼間の就労者については、平成十二年が六百九十九万人だとすれば、十年後の二十二年、二〇一〇年には六百八十九万人ということで、全体として一・五%程度の減少ではないかというようなことがございまして、オフィス需要についてはさまざまな見方があると認識しております。

○吉田委員 結論的には、さまざまな見方があると。もちろん私はその一つをいったわけであって、しかしそれは、客観的には非常に重視をすべき現実的なデータの一つだと思うんですよ。
 そうした明らかに人口減少が将来的に予測をされ、かつ高齢化社会の到来が予測をされるという中で、片や都心部でのビル開発ラッシュや、あるいは三環状を初めとする幹線道路の推進ということは、全くそういう将来像などというものとは相反する方向で、とにかく基盤整備だけは進めていくというもののツケが、先ほど古館委員も指摘しましたけれども、結果的には莫大な都債残高として、それこそ将来世代にのしかかっていくというようなことについては、今だれが考えたって--それは幅はありますよ、予測の幅は。しかし、そういうことはもう明白な、判断し得る時点に立っていると私は思うんですよ。そういうことを総合的に真に検討して、都政の政策のあり方というのは決めていくべきではないかということを改めて述べまして、私の質問を終わります。

○中村委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時六分散会

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