総務委員会速記録第十五号

平成十六年十一月十六日(火曜日)
第一委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十二名
委員長中村 明彦君
副委員長吉原  修君
副委員長藤田 愛子君
理事樺山たかし君
理事坂口こうじ君
理事中嶋 義雄君
真鍋よしゆき君
古館 和憲君
桜井良之助君
服部ゆくお君
藤川 隆則君
吉田 信夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
知事本局局長前川 燿男君
次長前田 正博君
企画調整部長三枝 修一君
秘書部長松田 二郎君
政策部長宮川  昭君
参事升 貴三男君
横田基地共用化推進担当部長河島  均君
調整担当部長上田 洋平君
参事藤井 芳弘君
参事新行内孝男君
国政広域連携担当部長首都調査担当部長兼務野澤 直明君
自治制度改革推進担当部長秋山 俊行君
治安対策担当部長久保  大君
参事高嶋  明君
青少年育成総合対策担当部長白石弥生子君
選挙管理委員会事務局局長高橋 和志君
監査事務局局長高橋 道晴君
監査担当部長矢島 達郎君

本日の会議に付した事件
 選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
 監査事務局関係
事務事業について(質疑)
 知事本局関係
事務事業について(質疑)

○中村委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承ください。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、監査事務局及び知事本局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤田委員 これまでも選挙管理委員会に対しては、いかに投票率を上げるかというようなことでお話をさせていただいておりますが、政治に関心を持っていただいて、そして政治家や、あるいは政治そのものに信頼を持っていただかなければ、なかなか投票率は向上しないというのは、私たち自身ももちろんわかっていることでありますし、さきに行われました、昨日結果が出ました荒川区長選挙にしても、あれだけの問題があって、そして被選挙の方が六人ですか、出られたにもかかわらず、五〇%以下の投票率というようなことで、なかなかそれ以上にならない。国政選挙においてもそんな状況というので、非常にこれを危惧しております。
 そして、特に投票率が低いといわれている二十代、三十代の方々に、どんなふうにこれを啓発していくかということが問題になるのではないかというふうに思っています。
 私は、投票所ということについてちょっとお尋ねしたいのですけれども、今、期間前投票というのも行われるようになりましたけれども、通りがかりといいますか、投票がどこでも可能な、駅前やスーパーなどに簡易投票所を設置すること--私は前には、新宿のデパートなんかで、だれでもが集まるようなところでどうだろうかというような話もさせていただきましたけれども、こういう地域の中でも、駅前やスーパーなど、簡易投票所を設置することは、一つ有効かなというふうに思っていますけれども、これについて、まずお伺いしたいと思います。

○高橋選挙管理委員会事務局長 選挙当日の投票所につきましては、学校、幼稚園など、こういう場所に設置するケースが多いわけでございます。
 今お話しの、本年七月に行われました参議院選挙の際にも、都内に千八百四十一カ所の投票所がございますが、このうちの約七割の千二百七十五カ所が学校または幼稚園に設置されております。
 投票所の設営に当たりましては、投票の秘密を十分に保てる環境を整えておく必要がございます。選挙人名簿の照会、投票用紙の交付、投票の記載、投票箱への投函などを適正に行うためには、相当程度広い会場が必要となります。こうした投票に必要なスペースをまとまって確保することができる場所といたしまして、今申し上げましたような学校等、そういった投票所が選定されてきたと考えております。
 ご案内のとおり、現行法上は、一投票区一投票所という原則がございまして、選挙当日の投票は、同一区市町村の中でも、お住まいの地域によって指定されました投票所に行く必要がございます。
 今、先生からのお話にありました、居住地域にかかわらず、通りがかりの便利な場所で投票ができる、これは、よく簡易投票所ということをいわれておりますが、これは期日前投票所がなじむものではないかというふうに考えております。この七月に行われました参議院選挙に際しましても、都内におきまして、駅構内や駅前など、人通りの多い場所に期日前投票所を設けた例もございます。
 今後とも、利便性の高い期日前投票所の設置につきまして、事例の紹介あるいは情報交換などを通しまして、区市町村における自主的な取り組みを奨励してまいりたいというふうに考えてございます。

○藤田委員 次には、今お話ししたように、二十代、三十代の意識改革といいますか、実際には杉並の例ですけれども、二十代と三十代では投票率は三倍近い差になっているわけなんですね。
 そうすると、どちらかというと、政治をやる側もそちらの意向を強く反映させてしまうというような、そういうことで、若い人の施策はなかなかどうなのかなという状況にもなって、ある意味ではアンフェアというようなことにもなろうかと思いますけれども、学校教育の中で模擬投票をやろうというふうに呼びかけている団体もあるわけなんですけれども、中学三年生や高校生では、授業で取り組む可能性が十分あるというふうに思います。
 そしてまた、今では、中学生以上に住民投票をしようとか、それから、実際に後で、先般の衆議院選挙の結果を、実は学校でもやったんだけれども、こんなだったということで、それを、関心を持たせるために授業で実際にやっていらっしゃる方もいるわけですけれども、これについてどんなふうにお考えでしょうか。

○高橋選挙管理委員会事務局長 私ども東京都選挙管理委員会といたしましては、これまでも、若い方々の投票率向上を図るために、長期的な視点に立ちまして、小中高校生に対して、選挙啓発ポスターコンクールへの参加や、学校の授業で活用できる副読本を作成するなど、教育現場と協力しながら、選挙に対する関心を高める方策に努めてきたところでございます。
 ご指摘のありました模擬投票でございますが、子どもたちの政治、選挙に対する関心を高めるために有効な手段であると考えておりますが、選挙期間中に実際の候補者に投票するものであることから、その結果を公表することは、公職選挙法に定められております人気投票の公表の禁止に当たり、慎重に行う必要があると考えております。
 今後も、教育機関と連携しながら、子どもたちの選挙に対する関心を高める働きかけを行ってまいります。

○藤田委員 お話を伺ったら、直接、生徒会の役員を選ぶときに投票箱を貸してあげるとかという話もございましたけれども、それで関心が持てるかなというのは、いまいちだなというふうに私は思います。いろいろ制約はあろうかと思いますけれども、こんなことも教育庁との話し合いの中ではぜひ進めていただきたいなというふうに思っているところです。
 それから、電子投票についてですけれども、前にもどんな状況になっているかお尋ねいたしました。最終的には、機械だけじゃなくて、その機械をどうするというところで、人の手が入って、ストップしてしまうということがあったり、あるいは先般の大統領選挙でも故障したというような、そんな話もありましたけれども、この電子投票というのはぜひ進めてほしいというふうに思いますし、それから、最終的には、パソコンや携帯というところで投票を可能にすることができるかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○高橋選挙管理委員会事務局長 電子投票は、平成十三年十一月にいわゆる電子投票特例法が成立いたしまして、地方自治体が条例を制定することによりまして、あくまでも地方自治体の議会及び長の選挙で、電子投票機を用いた投票が可能となりました。
 電子投票には、開票時間の大幅短縮や、選挙人の投票意思を正確に把握できることなどのメリットがある一方、この導入経費が非常にかかるということ、それから国政選挙への導入がまだ認められていないこと、さらに、機器、システムの公的認証制度が設けられていないことなど、幾つかの課題がございます。
 私ども東京都選挙管理委員会といたしましては、こうした状況の中で、導入団体の財政負担の軽減を図るため、補助金交付要綱を定めまして、電子投票の導入経費に対する補助制度を設けるなど、区市町村への支援策を講じております。
 今後とも、電子投票の導入に必要な各種情報の提供や実務面からの助言を行い、区市町村の電子投票導入に向けた自発的取り組みを支援してまいります。
 今、先生お話がございました最後のパソコン、携帯電話でございますが、これは国の電子機器利用による選挙システム研究会報告書というものがございまして、個人の所有するコンピューター端末を用いて投票する段階、こういうものは電子投票の発展の最終段階と、国の方では第三段階というふうに位置づけておるようでございますが、こういう状況にございます。
 しかし、セキュリティーとか、あるいは情報格差の問題、個人の認証の問題、自由な意思による投票環境とか投票の秘密の保護の問題など、結構クリアしなくちゃならない大きな問題がたくさんございます。実現には相当な時間がかかるのではないかというふうに考えております。

○藤田委員 検討はされているということでございますけれども、今ずっとお話ししているのは、いわゆる二十代、三十代という、そういう若い人たちにということでありまして、選挙公報自体も、実は新聞の中に入っているなんていうのは全然わからない。駅前で新聞を買って読む人はそういうふうにするし、それから家に一つ一つ入っているかどうかというと、なかなか今入っていないというような状況があって、選挙公報をインターネット上で都や区のホームページに掲載するという、そんなこともできるんじゃないかと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

○高橋選挙管理委員会事務局長 選挙公報は、公職選挙法百七十条の規定によりまして、区市町村の選挙管理委員会が各世帯に対しまして、選挙の期日の二日前までに配布する、こういうふうに規定されてございます。したがいまして、現行法におきましては、ホームページに選挙公報を掲載することは認められておりません。
 また、国、総務省の見解でございますが、ホームページに登載した選挙公報が複製あるいは改編されて頒布された場合に、選挙の公正が害されることとなることから、適当でないものであるというふうに意見を示しております。

○藤田委員 何が公正かというのもいろいろ問題があるかと思いますけれども、非常に細かく規定されていて、現実になかなか合っていないなというふうにも思います。せめて選挙期間中は、ボードの横にでも選挙公報をつけておいていただけたらいいなというふうにも思ったりもします。
 実は、今、質問してまいりましたのは、私の生活者ネットワークの中で、若い方々に、議員の調査権、質問権を活用して具体的な提案をしてもらおうということで、政策ゼミというのをやっています。東京全体では、もう既に今、四回目をやっています。地域では、多摩、それから私の杉並、それから目黒の方でもちょっと--江東の方で、お母さん方にというか、主婦向けにそんなゼミをやっているんですが、今回、二十代の方に、ワークショップをしながら、何が問題かというのをいろいろやってもらいました。そうしたら、政治に直接かかわるということはなかなかない、でも、最低限選挙には行きたいなというか、あるいは行かなくちゃいけないよねという話になりまして、それで、じゃ、何ができるかなというのをいろいろと若い人なりに考えて、そして今のような提案といいますか、こんなことができないんだろうかというのを提示してきたわけなんです。
 それで、最後に、もう一つは、いわゆるもう賞罰の世界かねという話になりまして、行かなかったら罰金、行くんだったら賞品というようなのができないかということで、罰の方はなかなか難しいということなんだけれども、賞品の方は、今いろいろと啓発のグッズをたくさん皆さん使っていらっしゃる。それで、宣伝カーを回していらっしゃる。それから、ところによっては、自治体の中では、PR用のばんそうこうを配ってみたり、ティッシュペーパーを配ってみたり。昔は、私たちのころは風船でしたけれども、そんなようなのがありますけれども、とてもそれじゃ行かないねという話になって、で、その費用が、費用対効果として、本当に投票率を上げるための啓発になっているのかなというのが非常に疑問だということで、ある意味では邪道かもしれないけれども、そこを動機づけで何かやろうというのはいいんじゃないかというような若い人たちの話にもなりまして、行ったら、くじを引いて、そして、どこどこ旅行じゃないですけれども、そういうような賞品をもらえるというようなのも、一つ提案じゃないかねというような話がその中では出ていました。
 もちろん都選管としては、自発的に選挙権を行使するように努めていくというのが目的でおやりになっていらっしゃるのはよくわかるんですけれども、本当に若い人たちにも、行くことがメリットになるというような、そんな状況の中で啓発活動をさらにしていただきたいと思います。
 今、明るい選挙推進員というのも、どちらかというと非常に高齢の方が多かったりするので、そんなところに若い人を採用してみるとか、そんなことも具体的にはできるんじゃないかと思います。それは今、立会人に二十代の方を、私の娘のところにも、はがきが突然来まして、ぜひやってくださいというのがありましたけれども、なかなか学生さんたち、一日、そこ、難しいというのもありますけれども、ぜひそんなことで、そういう明るい選挙推進員なんかにも若い人たちが参加ができるような、そんな方法もしていただいて、そして啓発に努めていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○中村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認めます。事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○中村委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしておりました資料は、お手元に配布しております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋監査事務局長 過日の総務委員会で要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元配布の総務委員会要求資料をお開き願います。
 平成十五年度の住民監査請求のうち監査を実施しなかったものを理由ごとに区分し、おのおのの件数を掲げてございます。
 主な理由は、3の都の財務会計上の行為ではないもの、7の違法性・不当性が具体的かつ客観的に示されていないものなどで、合計で三十七件となっております。
 なお、表の下には、地方自治法第二百四十二条第一項により監査請求の対象となる都の財務会計上の行為の類型を記載してございますので、ご参照願います。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。
 よろしくお願い申し上げます。

○中村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、事務事業に対する質疑を行います。
 発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○中村委員長 これより知事本局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 伊藤儀典長及び大村国際共同事業担当部長は、公務のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしておりました資料は、お手元に配布しております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三枝企画調整部長 去る十月十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております総務委員会要求資料第1号、東京都表彰規則による表彰者数の推移をごらんください。
 平成七年度から平成十六年度までの東京都表彰規則による表彰者数につきまして、功労名別に記載してございます。
 なお、平成十五年度から功労名が変更になっておりますが、これは規則改正によるものでございます。
 次に、一枚おめくりいただきまして、資料第2号をごらんください。自治制度改革に関する都のこれまでの取り組みと成果でございます。
 国と地方のあり方や広域行政のあり方のそれぞれにつきまして、都のこれまでの取り組みと成果について記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご説明を終わらせていただきます。
 よろしくお願い申し上げます。

○中村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を求めます。

○服部委員 三位一体改革について質問させていただきますが、四点についてお伺いいたしたいと思います。
 これは、今までの経緯といいますか、この六月以降、もちろん当然のことながら、かなり急展開で今、それぞれ団体と国との話し合いがされているわけでありますけれども、国は、ことしの六月に閣議決定した骨太の方針二〇〇四ですか、これで、この秋に改革の全体像を明らかにするとして、地方に国庫補助負担金改革の具体案の取りまとめを要請しました。
 そして、これにこたえる形で、八月の下旬、地方六団体が国庫補助負担金改革案、これを提出したことを受けて、九月から大詰めの検討が行われています。
 しかし、廃止対象と名指された補助負担金を所管する各省などの反発が大変激しくて、また、各省からの対案の内容をめぐって、地方六団体側も対決姿勢を強めるなど、国と地方代表による協議、あるいは経済財政諮問会議を初めとする政府内の調整は紛糾をきわめている、これが現状だと思います。
 このような中、先週ですか、十一日に全国知事会議が開催されて、改革の実現に向けた今後の政府への対応方針について議論が交わされました。この会議には石原知事も出席されて、できる限り梶原全国知事会長をバックアップして、国との闘いに臨んでいく、こうした旨の決意を表明されたと伺っています。
 また、翌十二日、政府主催の全国知事会議では、知事はこのようなスタンスに立って、小泉首相に対し、真の分権の実現のためにリーダーシップを発揮せよ、そうした注文をつけたとのことであります。
 いずれも、知事が全国知事会と力を合わせ、断固とした態度で改革の実現に取り組んでいく姿勢を明らかにされたものであり、大変心強く感じる次第です。
 ただ、ここで気がかりなのは、都はこれまで、地方六団体案の内容に反対の姿勢を示してきたこととの兼ね合いがあって、このたびの知事の発言の真意、こういったものが、都民から見てややわかりにくい面があるんではないかな、そのように思われる点です。
 また、都は従前から、この秋を目途に、地方分権改革に関する具体的な提案を行うとしてきましたが、その検討状態がどうなっているのかについても関心のあるところです。
 そこで、全国知事会議における石原知事の発言の真意、これはどのようなものなのか、また、都としての具体的な提案はいつごろ公表される予定なのでしょうか、まずお伺いします。

○秋山自治制度改革推進担当部長 都といたしましては、真の分権改革の実現のためには、現行制度全般にわたります抜本的な改革が必要という考え方に立っておりますことから、地方六団体案の個々の内容につきましては、先ほどご指摘ございましたとおり、意見を異にするというところもあるのは事実でございます。
 しかしながら、国庫補助負担金改革に対する国の各省庁の対案といわれるものを見ますと、生活保護など社会保障の国庫負担割合の切り下げ、それから補助金の交付金化で代案の大宗が占められるということなど、改革の本旨からはほど遠い内容で検討が進められているというのが現状でございます。
 ご質問の知事の発言でございますけれども、このままでは、分権の本旨に沿った改革が進まない可能性があるという認識のもとに、今重要なことは、まず地方団体が一丸となって国に改革の断行を迫り、改革を一歩でも進めることであるとの考え方に立ったものであると考えております。
 また、都としての具体的な提案についてご質問がございましたが、国の三位一体改革の議論が、三兆円の国庫補助負担金の削減という、いわば極めて限定された範囲にとどまり、地方税財政制度の抜本的改革が議論の俎上に上っていない現状などから、この問題につきましては、政府や経済財政諮問会議における検討の進捗状況や他団体の動向などを見きわめながら、慎重に対応する必要があると考えております。

○服部委員 地方分権改革は、国と地方の関係を見直して、そして日本全体の発展を実現することにほかならないわけでありますし、関係各省などの執拗な抵抗で改革が形骸化するおそれがある今、石原知事があえて小異を捨てて大同につき、地方が結束して、国に真の改革の実現を強く迫ろうという、その決意を示されたことを私は高く評価いたしますし、これはあくまでも地方自治体、私たちと全国の地方自治体と国とのまさに闘いなんですよね。その辺を我々はきちんと踏まえた上で、これからもやっていかなければならないと思います。
 地方主権をかち取っていくためにも、全国の自治体との緊密な連携、協力のもとに、強い態度で国を動かしていかれることをこれからも期待するものであります。
 さて、今後、改革の実現に向けて国に働きかけていく上で重要なことは、東京の立場から問題と考えられることについて、正確な事実認識に基づいて、きちんとこれをただしていくことが大変大事なことだと私は思うんです。
 この点で最も問題だと考えますのは、現在の改革の議論において、税源移譲によって、何か東京だけがいい思いをするというんですか、潤って、地方は疲弊するんだというような、いわゆる東京ひとり勝ち論というんでしょうか、これが横行しているんですよ。
 これは、まさにためにする議論ですよ。と思いますが、特に最近では、地方選出の国会議員さん、そういった方々からも、いわゆる東京ひとり勝ち論を、そういったことが喧伝されるようにもなりつつあります。
 つい先日も、地方への税源移譲の手法として、国において考えられている個人住民税所得割、これの比例税率化を実施すれば、移譲額の四分の一が東京に配分されて、何か東京だけが得をして地方が損するんだなんていったような、これ、国会議員が発言しているんです。こういった報道がされたんですけれども、そこで伺いますが、個人住民税所得割の比例税率化による税源移譲で、東京だけが得をする、こういった発言は、これは正確な事実認識に基づくものといえるのかどうか、このことの真偽について伺います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 現在、全国の個人住民税所得割でございますが、この総額に占める都の割合は一六%となっておりますが、一〇%の比例税率化による三兆円の税源移譲総額に占める都の割合は一〇%と見込まれておりまして、いわば人口比例、人口割で移譲されるため、偏在性がないというのが大きな特徴になっております。
 したがいまして、三兆円の税源移譲によりまして東京だけが得をするという発言につきましては、妥当でないというふうに考えております。
 なお、本年四月、総務大臣が経済財政諮問会議に提案いたしました、いわゆる麻生プランでございますけれども、個人住民税の一〇%比例税率化に伴い、税源偏在が縮小するものというふうに説明しております。
 また、都といたしましても、本年五月に発表いたしました基本的見解の中で、税源移譲の手法の一つとして、偏在性のない個人住民税の一〇%比例税率化の導入を提案しているところでございます。

○服部委員 東京だけが得をするという答弁で、妥当でないと考えるという答弁ですけど、これは私は事実無根としかいいようがない、そのように思うんです。このような誤った認識が正されることなくひとり歩きすることは、まことに憂慮すべきであると思います。
 それにもかかわらず、昨今の改革論議の中で、事あるごとに東京は豊かだ、そういった見方がまことしやかに喧伝されているんです。しかし、実際、東京と地方を比べた場合、本当にそんなことがいえるのか、甚だ私は疑問だと思います。
 一体、東京の税収は適切に都民に還元されているんでしょうか。むしろ、逆に、国庫補助負担金や交付税という形で、東京の税収が地方に過剰に再配分されているのが実態じゃないかと私は思うんですよ。
 実際に、国庫補助負担金及び地方交付税を通じた国税の再配分によって、東京と地方の実質的な配分額、それがどのようになっているのか、確認の意味でお伺いいたします。

○秋山自治制度改革推進担当部長 租税の実質配分についてのご質問でございますけれども、国庫補助負担金と地方交付税を合計した額、すなわち国から地方へ移転された金額につきまして、平成十三年度決算ベースで見ますと、配分額上位三地域では、平均で人口一人当たり六十七万円であるのに対しまして、東京都域では人口一人当たり約九万円となっておりまして、国からの移転額の格差は約七・四倍と、極めて大きいものとなっております。
 その結果、国税と地方税を合わせた人口一人当たりの税の実質配分額でございますけれども、上位三地域の平均が八十九万円であるのに対しまして、東京都域では六十万円、上位三地域の三分の二と低くなっております。

○服部委員 今、都民一人当たりの納税額に対する国庫補助負担金及び地方交付税の額について、それぞれ説明をいただきましたけれども、東京では納税額が百八十万円ですか。一方、配分額の上位三地域では三十六万円。しかし、実質的な配分額は、その上位三地域が八十九万円で、東京都は六十万円という数字ですか、十三年度の決算ベースですが。
 そういった説明を今されているんですけれども、これもなかなかわかりづらいというか、数字というのは、もう少しインパクトのあるような数字で訴えていかないと、都民、わからないと思うんですね。
 私たち、この同じ資料で、例えば、都民は、国税、地方税も含めてですけれども、納税額は総額で約二十一兆四千億あるんですよね。国庫補助負担金及び地方交付税、要するに戻ってくるといいますか、そういったものが一兆二百億円。だから、我々都民は、税金を二十一兆納めていながら一兆しか戻らないんですよといった方が、都民にはわかりやすいと思うんですね。やはり、これは都民にもわかっていただいて、この三位一体改革、都も都議会も、そして都民も一緒になって国と闘っていくわけですから、闘っていくために、わかりやすい数字をこれからもいろいろ出していただきながら、私は闘っていくべきだと思いますよ。
 こういった今のお話で、配分のことについても伺いましたけれども、こうした事実が厳然としてあるわけですよね。でも、何か相変わらず東京だけ潤っているような誤った認識がまかり通っている。こういったことについては、ホームページもあることでしょうしさまざまな--以前は、首都移転反対で、非常にわかりやすく都民に対して説明してきましたよね。だから、また都民も立ち上がってくれたんだと思うんですよ。こういったものを非常にわかりやすく都民にも議会にも説明しながら、我々お互いに一緒にやっていくことなんですから、そういったことでお願いしたいと思います。
 東京には今、多くの課題も山積していますよ。治安の悪化、これも知事本局の大きなテーマといいますか、緊急治安対策本部を設置するとか、あるいは大気汚染の問題だとか、あるいは社会資本整備のおくれ、こうした大都市特有の課題が山積している中で、これらが東京の都市としての魅力と活力の低下をもたらしつつあるんじゃないかと私は思います。
 近年、国際的な都市間競争が激しさを増す中、今、都市の興亡が国家の命運を左右する時代だといっても過言ではないと思います。我々、都政運営を預かる者の使命は、さまざまな行政課題に的確に対応して、都民生活を向上させるとともに、東京の集積のメリットを最大限に発揮させることで、まず東京を再生させて、そして日本全体の発展を促すことだと私は思います。
 このような観点から、私たち都議会自民党は、東京ひとり勝ち論、こういったことが、大都市の実情と東京再生の意義を全く顧みない、極めて一面的な見方であるとして、これまで一貫して、その誤りを指摘し続けてまいりました。
 改革がいよいよ正念場を迎えている今日、大都市対地方の構図をあおるような、先ほど申し上げたような、ためにする議論、これに我々は惑わされてはならないと思います。今求められていることは、国と地方のあり方を抜本的に見直して、東京を初めとする大都市の発展と地方の自立をバランスよく実現することで、我が国の未来を切り開いていくことであります。それこそが真に分権改革を目指すものにほかならないと思います。
 先ほど申し上げたように、知事本局は、今もですが、首都移転反対、それから横田基地官民共有化、あるいはさまざまな課題に、東京のまさに本丸として取り組んでいるわけですよね。ですから、そういった中で、知事本局としていろいろ表現というか、やっていらっしゃるんでしょうけれども、真剣にやっていらっしゃると思いますけれども、その辺がよく都民にも伝わっていくようにやっていただきたいと思いますし、まさに地方自治体と国との闘いであれば--これも十日でしたか、首都圏サミット、八都県市首脳会議ですね、千葉で行われましたけれども、ここで石原知事は、これは新聞の見出しですけど、国にスト、三位一体改革で強硬論、こんな見出しで出ておりましたし、あるいは、地方案無視なら、国の受託事務返上、こんなことも出ていますよね。我々はやはりこういう毅然とした態度で国と闘う姿勢を示していく、こういうことが私は非常に大事だと思っております。
 そこで、こういったことも含め、都として並々ならぬ決意でこうした地方分権改革に取り組んでおられると思いますけれども、知事本局長、ぜひ今後の取り組みについても含めてお聞かせいただきたいと思います。

○前川知事本局長 ただいま、服部委員からご発言あったとおりで、全くそのとおりでありますが、私は、この問題は二面あると思っております。
 一つは、今るるご指摘がありましたように、いわゆる東京ひとり勝ち論というのは、強くいいますと、私はこれは意図的なすりかえ、悪くいえば詐術じゃないかと思っておりますが、全く根拠がない、ある場合には明白なうそをいっているわけであります。例えば、今の分権改革案が実現すれば、東京だけが受益をするとか、それから、先ほどもお話がありましたけれども、東京にいわば税源が集中しているのを移しさえすれば、地方に移せば問題が解決するかのような、何の根拠もない、しかもためにする議論、大都市と地方を意図的に対立させようとする議論を、遺憾ながら国の省庁も関与してやっていると。これが第一の、我々として大変許すべからざる問題であろうと思っております。
 ただ、同時に、この問題が大変難しいのは、東京というのは全国の自治体の中で極めて微妙な立場にあるわけでありまして、四十七都道府県の中で東京だけが唯一の不交付団体であります。東京に膨大な財政需要があることは間違いないんで、東京が豊かなんていうのは間違っているわけですけれども、それをまた余りにいい過ぎることが、東京をいわば自治体の中で孤立させるという、相手方のいわば戦術に乗る面もあるのではなかろうかと。
 それを勘案しながら、こういう改革をすることが全国の自治体のために本当に必要なんだということを納得してもらうことが必要だろうと思っております。それを考えた場合に、今の政府の対応というのは余りにもひど過ぎる。日本のために、日本の発展のために改革をしようという発想が全くなくて、補助金を交付金化するとか、あるいは補助率を引き下げるとか、これは分権に何の関係もないわけであります。しかるに、そういう形で落着しようとする動きが露骨になっている。
 そこで、我々としては、この前、知事もおっしゃっておりましたが、当面、まず、この政府の動きを押し返さなくちゃいけない。これまでもいろいろな努力をやってきました。いろいろな戦術的な配慮も含めながらやってきましたが、遺憾ながら、例えば、はっきり申し上げて、東京都選出の国会議員の方々でさえよく理解されていない、そういうのが実態であります。
 我々は、これからも機会あるごとに、いわゆる経済財政諮問会議の委員であるとか、あるいは国の各党、それからマスコミ、全国自治体に対して都の見解を訴えながら、全国知事会等と連帯してやっていこうと思っておりますけれども、ぜひ、この委員会の委員の皆様を初めとする都議会の皆様とも力を合わせて取り組むことが必要だろうと。お力添えというのは大変失礼で、一緒にやらなくちゃいけないのであって、ぜひ協力してやっていくことをお願い申し上げておきたいと思います。

○桜井委員 私も、いわゆる三位一体改革についてご質問したいと思います。
 ただいま服部委員からもいろいろ質問がありましたし、知事本局長の決意もありました。まさしくそのとおりだと思います。
 東京ひとり勝ち論は、いい議論か悪い議論かといいますと、悪い議論の最も典型でありまして、そういうものは断固粉砕していかなきゃならないと私も思っているわけでございますが、ただいまの質疑を受けながら、東京都の考え方をいま一度確認するという意味も含めまして、若干質問させていただきたいと思います。
 ご承知のように、先ほども話が出ました全体像というのが、この十八日ころまとまるといわれていまして、これはあさってなんですが、とてもまとまりそうにもありません。何よりも地方分権改革の入り口といっていいかどうか、入り口にすぎないという表現がいいかどうかわかりませんが、その国庫補助負担金改革ですら、各省庁の激しい抵抗で骨抜きにされようとしているわけであります。
 このような国の改革に対する現在の状況について、都はどのように評価しているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 国の状況でございますけれども、各省庁から提出されました地方六団体案に対します代案、これを見ましても、生活保護費、それから国民健康保険など社会保障の国庫負担率の切り下げ、それから補助金の交付金化、こういうものでその大半が占められているのが実態でございます。これらの代案は、地方の裁量拡大に何ら結びつかないというばかりか、地方への負担転嫁でもありまして、分権に逆行するものといわざるを得ないのが実態でございます。
 先生ご指摘のとおり、三兆円という限定された範囲での補助金改革の見直し、これはいわば地方分権改革のごくごく一部にすぎないというものではありますけれども、この改革ですら十分な議論が行われず、各省が抵抗する国の現状には、改革の本旨が忘れ去られているのではないかという危惧さえ覚えるところでございます。

○桜井委員 厳しく評価しているんだなと思いました。
 いわゆる内閣の足元が一番問題になっているわけでございまして、小泉総理は、地方団体案は真摯に受けとめるとおっしゃっているんでありますが、肝心の各省庁や、先ほどもお話が出ましたが、一部の国会議員が全くいうことを聞いていない、また理解していないという現状じゃないかと思うわけであります。
 先ほども出ましたが、国の代案の中で一番問題なのは、生活保護制度、国民健康保険制度、児童扶養手当制度などについての国庫負担の引き下げが検討されていることでありますし、また、東京のような、また大阪も含めまして、大都市にとって問題となってくるのは、公的住宅建設や家賃に対する補助もその検討の対象になっていることだと思います。
 私は、本来、社会保障制度、例えば介護などの問題は、国の一律の制度よりは、それぞれの地域の事情に合わせたところで、各地方がそれなりに独特の制度を、政策を施行するのが一番いいんじゃないかと思います。全国一律の制度では非常に問題も多いことも明らかになっておりまして、いわゆる大都市と地方では、その福祉や社会保障を支えるバックグラウンドが違っているわけですから、それを一律の制度でやること自体に本来は問題があるんじゃないかと思います。これは、東京の中で考えても、小笠原と二十三区と多摩の奥地では、なかなかバックグラウンドが違うと思うわけであります。
 しかし、まだ地方分権成り立たずで、十分な社会保障制度、福祉施策をそれぞれの自治体がやるについては、財源の保障が全くありませんので、そういうことから考えていきますと、やはり現状では、社会保障などの財源は、ナショナルミニマムとして国がその責任を負うのは当然だと思います。そういう観点からしますと、代案の中で生活保護費などを負担率の引き下げとして持ち上げてくること自体、これは賛成できるものではないわけであります。
 何よりも大事なことは、社会保障やほかの義務教育もそうですし、住宅についてもそうですが、地方と国とがどのような責務を負うかということを明確にする議論が全くないまま、全体像を取りまとめようとしているわけでありますから、そのような一番基本的な議論なくして、ただ三兆円ありきで調整が進められているのでは、これはやはり将来に禍根を残す。理念のないまま、つじつま合わせだけで終わってしまうんじゃないかというふうに、極めて危惧するわけであります。
 そこで、真に地方の自主性、自立性の拡大につながるという観点から国庫補助負担金改革はどういうふうに進めればいいかということを、都としてはどのような見解を持っているのか、これについてお伺いしておきたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 国庫補助負担金改革を考えるに当たりましては、委員ご指摘のとおり、現在あいまいとなっております国と地方の役割分担、これを明確化することがまず何よりも基本だというふうに考えております。
 本来、国が責任を持つべき分野でございますけれども、都が本年五月に発表いたしました基本的見解の中で明らかにしておりますが、外交、防衛、司法など、国家存立のために国がなすべき分野、並びに国家戦略に基づく投資、さらに、これとあわせまして、生活保護や義務教育など、国が国民に対して行うべき基礎的な行政サービスについては、国が財政責任を負うべきというふうに考えているところでございます。
 このように、国と地方の役割分担を整理して、国と地方がそれぞれ担うべき財政責任を明らかにし、地方の役割に見合った財源を確保した上で、補助負担率であいまいとなっている国と地方の責任関係を利用して、いわば国の地方に関する関与の手段の一つともなっております国庫補助負担金を廃止するなど、その抜本的改革を行うことが必要だというふうに考えております。

○桜井委員 今のは財政的な責任という意味ですよね。裁量権は、やはり地方を主体にして、政策を決定していくべきだと思います。
 社会保障を例にとって個別の問題を取り上げたわけですが、そもそも地方分権改革はどうあるべきかといえば、これは地方の主権を確立して、自治体にとって共感と安心を与えられるようなものでなければならないはずでありまして、そういう観点から考えても、国の取り組みは極めて不十分だといわざるを得ません。
 したがって、三位一体と称していますが、国庫補助負担金に対する取り組みは、本当に抜本的改革のほんの一部にしかすぎないわけでありまして、これで全体を論ずること自体がおかしな話であります。やはり地方の財源の中核を担うのは、国庫負担金をどうするかとか、そういう問題じゃなくて、やはり地方税でありまして、地方の財政が自立して、地域の実情に合った施策をそれぞれの地方なりに実施していくためには、やはり税源移譲が抜本的に行われることが何よりも大事だと思います。このことは当然のことでありますが、その議論が余りになくなっているわけでありまして、そういう意味では、税源移譲のあるべき姿につきましてはどのようにお考えになっているのか、基本的な考え方をお答えをしていただきたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 真の地方分権改革を実現するために抜本的な税源移譲が必要であるというご指摘については、全くそのとおりだというふうに考えてございます。
 税源移譲のあり方につきましては、現行の国と地方の歳出割合がおおむね四対六であると巻間いわれておりますが、そのことに着目いたしまして、これと同比率の四対六への税源配分の見直しを求めるという意見もかなり多くございますけれども、都といたしましては、まず国と地方の役割分担を明確にした上で、地方の役割と権限に見合う税源配分、これを所得税などの基幹税によって行うことが、真の地方分権改革の実現のために不可欠であるというふうに考えております。

○桜井委員 四対六か六対四かということは、あくまでも現状の域を出ないわけですね。将来どうあるべきかということでしっかり議論していくことが必要だと思うんですが、しかし、現実に財政力指数ということを見ますと、地方自治体の四割を超える団体が経費の三割未満しか財源を確保できない、こういうふうにいわれているわけでありまして、住民の意向を反映した地方自治を実現するためには、財政的自立が困難な自治体に対して財源を保障する制度の維持は、これは当然必要だと思うんです。
 しかし、といって、今の制度そのままでいいかといえば、これまた別だと思いまして、地方分権改革の趣旨から考えていきますと、地方交付税をそのまま引き継ぐということは、将来大きな問題になってくる。したがって、この地方交付税制度の改革というもの、抜本的な改革をするということは、当然避けて通れない道だと思うわけなんですね。
 地方交付税の特別会計によりますと、五十兆円を超す借入残高が累積しておりまして、それに、国が将来どんどん交付税で払うよと約束していたのを加えますと、もう百二十兆円にもなるといっておりまして、それも地方と国の話し合いをしないで、やがておまえたちが返すんだよといわれている額も大変な額でありますから、この交付税の特別会計が破綻しちゃったら、地方は何も仕事ができないというわけでございます。そういうことを考えると、非常にこの交付税問題は大事なことだと思います。
 しかし、都が交付税改革について意見をいいますと、先ほどの議論じゃありませんが、他の地方団体から批判を受けることがあるわけですね。しかし私たちは、都も地方の意見に耳を傾ける姿勢を持っているわけですから、今までは、国対地方という縦の議論しかやってきませんでしたが、地方同士がお互いに話し合うという横の議論をやっていくことは必要であると思います。
 石原知事はその点を認識して、まず、この首都圏からそういう議論を開始しているんだと私は思いますけれども、この交付税改革については、むしろ不交付団体である都だからこそいえるという面も強いんだと思うんですね。そういう意味で、都として、地方交付税改革についてはどのようにあるべきかと考えているのか、お答えをしていただきたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 交付税改革に対しての都の基本的考え方でございますけれども、まず、こういった財政調整制度の必要なくして、本来は、地方の役割分担に応じた基幹税による抜本的税源移譲が行われて、地方自治体の財政的自立が実現できるということが基本であろうかというふうに考えております。
 しかしながら、委員ご指摘のとおり、こうした抜本改革によりましても、なお財政的自立が困難な団体というのが存在するのは明らかでございまして、財政調整制度は必要だというふうに考えてございます。
 ただ、現行の交付税制度は、ご指摘のとおり、百二十兆円もの借入金を抱えておりまして、将来的にも解消のめどが立っていない状況にございます。このまま放置することは全くできないわけでございまして、破綻を回避するための抜本的な改革の必要に迫られているという現状にございます。
 都として考える改革の道筋でございますけれども、先ほど申し上げました抜本的な税源移譲などによりまして、地方財政の自立性が高まり、不交付団体が増加するということが一つございます。それに加えまして、過去の債務につきまして国の責任で別枠管理を行うことや、国による政策誘導の排除などで、借金体質からの脱却を目指すという方向が必要であろうかというふうに思っております。
 このように借金体質からの脱却を図った上で、簡素で透明性の高い、わかりやすい制度としていくというのが改革の方向性であろうと考えております。

○桜井委員 私は、この三位一体改革というのは非常に大事なことでありまして、これを契機に地方のあり方ということ、いわゆる地方像、ひいては国家像というまで議論をしっかりした上で、新しい地方自治のあり方を追求していくことが大事じゃないかなと。そういう基本的な議論が、最も重要な議論が棚に上げられて、単なるお金のやりとりや帳じり合わせだけの議論で終わってしまうことは、日本の将来にとって大きな問題を残すと思います。
 地方自治制度は戦後に施行されたんですが、もう六十年たっているわけで、この間にいろいろな日本の国の経過がありました。そして、右肩上がりの時代が終わって、新しい状況が、国内だけじゃなくて、世界という舞台の中で大きく広がっているわけで、その中で、国、地方ともに非常に財政的に厳しい状況にあるわけですから、将来、地方はどうあるべき、国はどうあるべきという議論をしっかりした上で、この地方分権ということを確立していくことが私は大事だと思うわけであります。
 そういうことを考えますと、先ほど服部委員からも意見が出ましたが、東京ひとり勝ち論などをいっている議論は全く次元が低い話でありまして、現実にもう六十年たっているわけですから、国対地方だけの構造で地方自治体を考えていいのかどうか。やはり、現実には人口動態や産業の分布や、いろんなことを考えても、国対地方のほかに、大都市対地方のあり方を考えていかなきゃならないと思うんですね。そこをどうするかということは、横の議論も必要なんで、先ほど来、私は、地方同士がしっかり話し合うことが必要だと、こういうふうにいっているわけであります。
 やはり国家百年の大計に立った議論を抜きにして、ただ単に財政上の問題で帳じり合わせだけの三位一体改革では、将来の日本の国に大きな問題を投げ落とすんじゃないかというふうに危惧いたします。やはり地方分権改革は、そうした国家百年の大計に立って、大所高所の観点から取り組んでいく必要があるのではないかなと私なりには考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。局長、考えがあれば、お示ししてください。

○前川知事本局長 今ご指摘ございましたが、地方自治制度を施行されて、もう六十年近くになる。この間に日本は大きく変わりましたが、現行の制度というのは、自治制度も含めた国家行財政制度は、戦後の日本の発展に大きく貢献したと思っております。戦後の復興から始まって、高度成長、それから、そのころまで、集中的に財源を目標を決めて投入して、国家全体としての発展が図られてきた。
 しかし、現在の国の対応に象徴されるように、もはやこれを変えなければどうにもならない事態に日本全体が来ているんだろうと思います。この前の知事会でも石原知事が中央分権などとおっしゃっておられましたが、縦割りが行き過ぎて、その間の調整がもうにっちもさっちもいかない、ほとんど動かない、こういう事態を変えなければ日本がもうだめになるという、いわば大局的な見地を持つことが、先生がおっしゃるとおり必要であろうと。
 そして、その上で、どういう国家にするのか。国と地方の役割分担だけではなくて、行政と民間との役割分担も含めて、根本的な議論をすべきであろうと。そして、その上で、地方の役割を決め、国の役割を決めて、それに見合った財源配分をしていくべきであろうと思っております。それが一つであります。
 それから、もう一つは、大都市対地方につきましても、東京ひとり勝ち論なんていうのは、議論のレベルとして論外でありますけれども、ただ、私ども思いますのは、あたかも国が独自の財源を持っていて、それを地方にいわば国の権力で配るのは当たり前のような錯覚をしておりますけれども、よく考えてみると、国税も地方税も、その大半はもちろん国民でありますが、その中の三大都市圏の住民がほとんど負担しているわけであります。しかもまた、そのかなりの部分は都民が負担しているわけであります。ひいては首都圏が負担しているわけであります。
 そういう負担をしていくことは、今後とも、これは日本の発展のために当然必要だろうと。東京都が自分のエゴだけを主張して、東京の必要だけに金を投入するということは、これはできないのであって、当然、全国のために使うべきであろうと思います。
 しかしながら、使う以上は、もっと有効に使っていただきたい。本当の地方の発展のために、それから日本全体のために、大都市と地方が共存共栄できるような形でぜひ使っていただきたいというのが、私どもの基本的な考え方でございます。

○桜井委員 非常に同じ意見でありますが、いってみれば、今まで私がしゃべってきたことというのは、ある程度、今までいろんな議論の中で何回も何回も繰り返されているわけでありますよね。そういうことで、大事なことは、広く日本全体の現状を十分に認識して、我が国の将来にとって望ましい姿とは、国も地方もどうあるべきかということを考えることが必要だということでありますが、これはもう長い間、私はある意味ではいわれてきたことだと思うんですね。
 そういう意味では機が熟していると思います。先ほど服部委員からも話がありましたが、そういう意味で、私は、東京から一つの何かを上げることが必要だと思うんですよね。だから、議論するというよりは、執行機関と議会がいわゆる車の両輪として、運動体として具体的に何かをやっていく必要がある、こういうふうに考えるわけでありますが、その点はどのようにお考えでしょうか。

○前川知事本局長 おっしゃるとおりでありまして、私どもはこれまでも都議会ともご相談しながら、場合によってはご一緒に勉強しながら、国へも働きかけ、経済財政諮問会議へも働きかけ、知事会へも働きかけ、いろんなことをやってきたわけでありまして、マスコミにもやってきました。
 ただ、正直いって、これを都民、国民に本当に理解してもらって、単に国と地方の税財源の配分のためのいわば内輪もめじゃないんだということをわかってもらうことが、逆にいかに難しいか、それを痛感いたしております。
 ですから、そのためには、今お話がありましたように、執行機関だけではこれは当然限界がある。当然、知事を先頭にやっていただくわけで、それは大きな力になるわけですが、あわせて、当然、都議会ともご一緒に、車の両輪のようにしてやっていくべきであろう、それも運動としてやっていくべきであろうということは十分わかっております。
 それを具体的にどうやるかにつきましては、今後の政府の対応、当面の対応は間近に迫っておりますけれども、これは決して、ことしで終わるわけではないのでありますから、多分これから何年もかかるでありましょう。そういう状況、それから全国知事会等、地方六団体の状況等も見ながら、ご相談させていただいて、取り組んでいきたい、そう考えております。

○桜井委員 そういう議論が本日あったということを、ぜひ知事にもお伝えしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

○坂口委員 私も、地方分権改革について、今まで大変貴重な議論が両委員からなされたわけでございますが、私なりにまとめる意味も含めまして、質問させていただきたいと思います。
 今、出ましたように、これからの真の地方自治、または自立改革とは一体何なのか。それから、国の姿といいますか、国の形がどうあるべきなのか、そのことにも関連する課題が提起されているのだと思います。二〇〇〇年に地方分権一括法が成立いたしまして、ちょうど四年ほどを迎えているわけでございますけれども、大きな坂道を越えまして、改革の今真っただ中にある。
 先ほど出ましたように、六十年、既に現行法のもとでたっている。いや、その前を振り返りますと、明治以来、百数十年、中央集権国家として今日の日本の社会を築いてきたわけでございますが、それが今、内外のいろんな変化にさらされまして、有効に機能しなくなっていること。それから、国の役割の特化ですとか、純化というものが今求められているのではないかということ。
 他方におきまして、地方のことは地方に任せて、多様性が発揮できるような、そういう地方自治が目指されている、そのような大きな環境の変化がある、そんなふうに私は理解しているんです。
 以下、整理する意味で質問させていただきますけれども、平成十二年四月でございますけれども、この一括法が施行されまして、一応、国と地方自治体は対等、協力を基本とした新しい関係に立つことになりました。そのことによりまして、自治体には、みずからの判断と責任で地域の行政を実施しなければならないことが期待されておりまして、分権改革がいよいよ実行の段階を迎えている。
 しかしながら、周知のとおり、税財源の移譲。私は、税財源の移譲だけではないと思うんですね。相続税の問題等でもやらせていただきましたけれども、人、物、お金、情報、それらを複合するものとして、いろいろなノウハウというようなものもあろうかと思いますが、それがきちんと分権時代にふさわしいように移譲されていかないと、本当の意味での地方分権というのは成り立たないのではないか、そんなふうに考えております。
 しかしながら、そのうちでも大きな課題に税財源の移譲があるわけでございまして、都議会におきましても、平成九年十月から行財政改革基本問題特別委員会、七年間もの長きにわたりまして、今後のあるべき自治制度について調査検討を行い、この秋に調査報告書がまとめられたことはご承知のとおりでございます。
 この報告書では、国と地方、大都市行政、広域行政など、さまざまな視点から自治制度の現状と問題点を整理して、分権型社会の実現に向けた提言を行っております。大変貴重なレポートであると思います。
 そこで、まず第一点、お伺いいたしますけれども、地方自治をめぐる現状、今、大変重要な過程にあると思いますが、この自治制度の改革に取り組む必要性を、先ほどの質問と重複するわけでございますけれども、どのように認識しているのか、基本的な認識をまずお聞きしたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 自治制度改革に取り組む基本的認識についてでございますけれども、先ほどから局長の方からも答弁がございましたけれども、現在の中央集権型の行政システム、これ自身、戦後復興期、高度成長期にかけまして、全国あまねく行政サービスを一律に行き渡らせるとかいうさまざまな点で、非常に大きく貢献したという評価はしております。
 しかしながら、近年、国際環境や社会状況が大きく変化するという中で、既に有効性を失ってきて、抜本的改革が必要だろうということを考えてございます。
 五月に発表した都の基本的見解の中でも、あくまでも一面、財政面だけからでございますけれども、国、地方を合わせて、長期債務残高が七百兆円にも上っているというようなことを見ても、もはやこの仕組みがなかなか維持できないというのが現状認識であろうかと思っております。
 したがいまして、地方分権改革の成否そのものは、地方の自主自立の確立ということ、もちろん当然でございますけれども、そのほかに、我が国の将来を左右する改革でもあるという認識に立ちまして、国と地方のあり方を含めまして、抜本的な改革に取り組むことが今、必要だろうという認識をしております。

○坂口委員 今、地方自治体の問題だけじゃなくて、国の将来も考えた上で取り組んでいかなければならない課題、そのとおりであろうかと思います。七百兆円、さらには、いわゆる関連借金を含めますと九百兆円にもなんなんとする、これをこのまま放置しておいていいということはないわけでございまして、いずれ破綻のふちに立たされるということは明らかでございます。
 先ほど、大分踏み込んだ形で、借金を別管理の、恐らく清算事業団のようなものをいわれたのかもしれませんが、そういう一歩踏み込んだ見解も出たわけでございますけれども、やはり未来への責任を果たしていく意味でも、国、地方を挙げてこの問題に取り組んでいかなければならないのではないか、その考えには全く同感でございます。
 問題は、現在、国における改革が必ずしも地方とリンクしていない。わけても東京都などの考えと大きな乖離を見せているところであるわけでございまして、先ほども桜井委員がその辺のところを大変きめ細かく丁寧に質問されたわけでございますけれども、第二点といたしまして、今いいました、国においてなかなか進まない分権改革の現状に対して、都として具体的に、先ほど局長の答弁もあったわけでございますけれども、どのような取り組みをしてきたのか。
 私、資料要求もさせていただいておりますので、これ、皆さん大変苦労されて、国と地方のあり方、広域行政のあり方等について整理してくださいましたので、若干重複が出てまいりますけれども、具体的な取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 都の具体的な取り組みといたしましては、いわゆる国の三位一体改革の具体的な内容が明らかにされました、昨年六月発表の骨太の方針二〇〇三、これが出されることに先駆けまして、八都県市や大阪府と連携いたしまして、国に対し、地方税財源の充実など、分権改革の実現を求めて共同アピールを実施するとともに、国の十六年度予算の編成時期に当たります昨年の秋から年末にかけまして、これも八都県市で連携いたしまして、分権型社会にふさわしい新たな地方税財政制度の確立を求めて共同アピールを行うなど、機会をとらえて行動してきたところでございます。
 また、本年六月には骨太の方針二〇〇四が出されましたが、その前月の五月に、先ほど来出ております都独自の取り組みといたしまして、真の地方分権改革の実現を目指しまして、東京都の基本的見解というものを発表することで、現行制度の根本かつ本質的な改革の実現へ向けた考えを提示してきたところでございます。
 さらに、直近で申しますと、十一月十日に行われました八都県市首脳会議におきましても、国の三位一体改革の全体像の取りまとめに先駆けまして、国に対し、地方分権改革の実現に向けた真摯な取り組みを求める意見を共同で表明したところでございます。

○坂口委員 今、部長が答えられましたけれども、真の分権改革というものが一体何なのか。または、その抜本的なという言葉がありますね。または、本質的なという言葉があるんですが、そこに迫っていく必要があるように思うんですね。僕は大変重要なキーワードだと思っておりまして、真の自立、自治とは一体何なのか。または、本質的な、抜本的な。または、政府は骨太の--竹中さんが大臣になりましたが、骨太のという言葉を盛んに出すんですが、本当にこれが骨太なのかですね。
 人間の体に例えますと、背骨がありまして、肋骨があるんですが、どうも私は、肋骨の議論しかなされていないんではないかという気がしてならないんですね。本当に背骨の議論がなされていない。今、背骨の議論をしないと、先ほどいいましたように大変なことになってしまう。もう、国自体が財政再建管理団体になってしまうという状況にありますね。そこのところに、我々東京で議員をやり、または行政をやる者が迫っていく必要があるんだと思うんですね。
 そこのところが私は大変重要だと思っているわけでございまして、その意味で、今行われております三兆円の補助金改革、これは、総量問題についてどうするか、与えられましたピザかパイが三兆円である、その中でどう分割するか議論してくれという、そういう大変矮小化された話ですね。
 そうではなくて、基本的な改革というものが何なのか、その理念や手法をきちんと出していくということが、今、東京都にとって大変重要だと。もちろん、具体的な生きた行政を担当しているわけですから、義務教育費の問題をどうするのか、または生活保護費の問題をどうするのか、国庫補助金の問題をどうするのか、個別、具体的な対応も必要なんですが、本質的にいうと、先ほどいいましたところに、東京が発信しなければならないテーマ、重要な課題があるんではないか。
 そこで、三番目でございますけれども、真に地方の自立を実現するためには、本来の分権改革、今、私、触れさせていただきましたけれども、どのようにあるべきと考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。先般の一般質問でも、限られた設問ではありましたけれども、聞かせていただいておりますけれども、委員会の場でございますので、お答えいただければ幸いでございます。

○秋山自治制度改革推進担当部長 真の地方分権の実現のため、どのようにあるべきかというご質問でございますけれども、現行の枠組みを前提とした改革議論ではなく、地方が担うべき役割に見合った行財政基盤の確立に向けて、現行制度全般を抜本的に見直すということが、かなり抽象的ではございますけれども、必要だというふうに考えております。
 具体的には、国と地方の役割分担を見直すということで、都におきましては、先ほど来ご説明しておりますとおり、基本的見解におきまして、その役割を、国家の存立のためになすべき分野、それから戦略的な投資の分野、それから、義務教育や生活保護など、国民に対して国が行うべき基礎的行政サービスの分野というような形で指摘しておりますが、そういった国の財政責任を負うものを明らかにし、地方の役割分担を明確にするということがまず第一かと思っております。
 その役割分担に応じまして、抜本的な税源移譲を行い、自治体の財政的自立を目指す。自治体が、創意工夫とみずからの裁量で、地域の住民のために事業を展開するということが大事かというふうに思っております。
 また、つけ加えますと、先ほど来出ております国庫補助負担金でございますが、これにつきましては、国と地方の責任をあいまいにするというだけではなくて、国が地方に関与する手段となっておりますので、こういったものも抜本的に見直し、その上で財政的自立が困難な団体に対しましては、新たな財政制度を導入すると。こうした地方税財政制度全般にわたる抜本的な改革を行うということで、地方の自立性を飛躍的に高めるということで、いわば大都市と地方の共存共栄が我が国全体の発展を支えるシステムをつくり出すということに、真の地方分権の実現があろうかというふうに思っております。

○坂口委員 二つ、重要なことがあるように思います。
 先ほど服部委員の方から出ました、一つは、わかりやすくということが大変重要だと思うんですね。それから、先ほど桜井委員の方から出ました、横の連携、連帯をどう組めるかと。もう一つの攻めていく軸が重要に思えるんですね。何回も何回も、もう数年にわたって、これ、私もやっているわけでございますけれども、その二つ、それをどう戦略的に組んでいくかということが大変重要だと思います。
 例えば、都民に対しての説明ですね。前回の一般質問で、直近のデータで計算すると、所得税、住民税、消費税、五〇対五〇にした場合に、〇・八兆円の税源移譲が起こります。そこまでなんですね。それ以上踏み込んでという答弁は、こちらは求めませんでした。その先がどうなるのかですね。国庫負担金が削減される、交付税がなくなる、真水でどれぐらいになるのかということは、やはり都民に示していく必要があるんではないかと思うんですね。
 数年前に計算していただいた数値ですと、東京都で一兆数百億円。税源移譲の総額は七兆数千億円でしたけれども、一兆数千億円。二十三区と多摩地域の割合が一対二、そんな数字でございました。ですから、〇・八兆円の内訳がどうなるのか、私も精査しているわけではありませんが、仮にその補助金等が削減された場合に、また交付税を返上した場合にどうなるのか。私、最も少ない額で仮の式を組み立てますと、一千五百億円移譲されたとした場合に、五百億円は二十三区、一千億円が多摩地域を初めといたしまして市町村ということになりますね。それだけでも、大変な地域に対しての財政的な基盤の強化につながってまいります。三千億円でも大変な額になってまいります。
 ですから、ぜひそこのところはもうちょっと、都民に対してもわかりやすいように、何らかの説明の工夫をしていただきたいと思います。
 それから、先ほどの抜本的なというか、本質的な、または真のという言葉と関連するんですが、これは、これからの地方の自立ですとか分権改革、いかにあるか。まさに地方自治の本旨にかかわってくるところであるわけでございますが、私は前回の一般質問で、五〇%というのは、昔の五公五民ではありませんけれども、一つの公的な基準になるんではないか。公のところに出しても全く恥ずかしくない、自分たちの納めた税金が半分地域で使えるというのは、ごくごく当たり前のことではないかということを申し上げましたが、公準という言葉はちょっとなじまないんではないかということで、部長にそのアドバイスを受けたわけでございますけれども、何かそのようなもの、半分は自分のところでやりましょう、自分のところで上がってきた税金の半分は使えるようにしましょうと。我々からすると当たり前のことなんですよね。だけど、それがなかなか今、理解されない状態にあるわけですから、そこのところを、横の連携、協力をとっていく際に、どのように皆様方に理解して、協力していただくか。
 税の問題でいいますと、それが神野先生などがいっている水平的な配分の分ですね。新たな財政調整制度。また、先ほどの答弁ですと、大都市と地方の共存共栄ですね。本当にそれで共存共栄が図れるのかどうかというところで、まだ疑念が払拭されていないんだと思うんですね。それが分権改革では避けて通れない、地方の自立のために避けて通れない、乗り越えなければならないテーマなんですということを、ぎりぎりのところで理解していただく努力がこれから必要になってくるのではないか。
 これは、大変時間もエネルギーも能力も要求されるところかもしれませんが、これを乗り越えませんと、本当の意味での税財源の移譲を含む分権改革というのはやり切れないのではないか、できないのではないか、そんなふうに考えております。それは私の意見でございます。
 最後でございますけれども、今申し上げましたようなことも含めまして、これからの分権改革の実現に向けて、どのような戦略を持ち、東京都として取り組んでいこうとしているのか、知事本局長にお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○前川知事本局長 今お話がありましたとおり、わかりやすくというのはもちろん大事なことでありますが、我々もこの一年以上にわたって、どうやったらわかってもらえるのかというのは常に考えてきたわけでありますけれども、正直いって、なかなか難しいというのが率直なところであります。
 これからも努力は続けるつもりでありますが、当面、私ども、強く意識しておりますのは、今の誤った東京ひとり勝ち論、特にそれが、東京から税源を地方に意図的に何の根拠もなく移そうとしているという事態がありますので、これは絶対に許してはいけない。まず、それについて大きなエネルギーをかけて押し返していかなくちゃいけないだろうと。都議会の皆様とも力を合わせながら、ぜひやっていきたいと思っております。
 それから、いわば中長期的な分権制度の改革の方向について、誤った方向にボタンをかけられると、ちょっと困りますので、それについては長期的な視点を持ちながら、最低ここだけは守るということで国を押し返さなくちゃいけない。それは、何度もこの場でご意見ありましたが、全国知事会等とも連携しながら取り組んでいきたい、こう考えております。

○古館委員 それでは、私も三位一体改革についてお尋ねいたします。
 私ども日本共産党は、真の地方分権改革というのは、今、どなたもおっしゃいませんでしたけれども、地方自治法をいかに生かして輝かせていくかということがベースになければ、話はぐちゃぐちゃになっていくというふうに私は思っております。
 いうまでもありませんが、地方自治法では、住民福祉の増進ということで、その住民が主役ということが本来、地方自治体の目的であり、そうしたことが実現できるためにどうするか、このことなんだというふうに思うんですね。
 そういう点から見ますと、小泉首相の骨太の方針二〇〇四、ここでは三位一体改革ということが盛んにいわれているんですけれども、これと我々が求めている真の地方分権というのは全く異なっていて、現実の進行というのは、地方自治、それから地方財政そのものをどんどん破壊してきている、そのことを指摘しなければいけないと思っています。
 また、そのことは後で述べますけれども、地方六団体が出した改革案をめぐって、この間、国の省庁から激しい抵抗と、この提案をよしとしない国会議員などがおりまして、加担する形で混乱をきわめているというのが今の現状であります。
 この起こりは、ご承知のとおり、骨太方針二〇〇四で小泉首相が、地方六団体に対して三兆円の税源移譲を行うということをいいながら、その前提として、国が補助金の削減リストを地方六団体につくらせる、こういうことをしたわけですよね。
 もともと、これ自体に何の政策的な、あるいは根本的な考え方があったかというと、ここでいえば、補助金をいかに削減するかという、そういう思惑しかないように私は感じるわけですけれども、それで、この問題に対して地方六団体は、義務教育国庫負担金など、国民のナショナルミニマム、これを保障すべき重要な補助金すら廃止あるいは縮小の対象とするなど、全く理論的、政策的な精査を欠いたとしかいいようのないような、驚くべき削減リストというのを作成いたしました。
 そこで、第一にお尋ねしますけれども、先週の知事会では、地方六団体の改革案と石原都政の三位一体改革とは、かなりの点で同じくしていたというふうに私は思っています。しかし、東京都は、国の責務である基礎的サービスについては国が全額負担すべきというふうにしておりました。
 ところが、石原知事がこの間の全国知事会で、小異を捨てて大同につく、このようにいいまして、地方六団体のこうした補助金の削減の方向を支持した。これは一体どうしてなんでしょうか。わかるように説明してもらいたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 都といたしましては、ただいまお話がございました義務教育国庫負担金など、国が国民に提供すべき基礎的行政サービスについては、これは国の財政負担で行うべきだというふうに考えていることについては、依然として変わってございません。そういう意味では、地方六団体案の個々の内容につきましては、意見を異にするところがあるというのも事実でございます。
 しかしながら、国庫補助負担金改革に対する各省の対案を見ますと、社会保障の国庫負担割合の切り下げや補助金の改革、交付金化などで占められているということになっておりまして、改革の本旨からほど遠い内容で検討が進められているというのが現状でございます。このままでは分権改革が進まない可能性が極めて大きいという認識のもとに、重要なことは、まず地方団体が一丸となって、国に改革の断行を迫っていくことであるという考え方に立ちまして、今こそ抜本的改革を推進すべきであるとの立場から意見を表明したものでございます。

○古館委員 私、いつも思うんですけれども、改革とかそういうものというのは、絶対譲ってはならない部分があるし、その中でどのようにして改善、改革をするかということが基本でないと、余計わからなくなるんですね。
 少なくとも、私ども、全面的に東京都のあの考え方に賛成しているわけじゃありません。かなりの部分でむしろ地方六団体の方に近いというのは、私さっき指摘をしたとおりなんですけれども、国民から見て、あるいは都民から見て非常にわかりやすかったのは、ナショナルミニマムだとか、絶対に譲っちゃいけない部分は譲っちゃいけないんだということをはっきりしたというところが、東京都としての、ある意味での都民に対するわかりやすさだったと思うんです。
 ところが、小異を捨てて大同につくなんということで、全部それをチャラにしちゃうというところが、全くわからなくなって、それで、いうことは、地方の改革をしましょうといったって、何が一体改革なのかということが全くわからない。ここのところを譲ってしまうというところが、ますますわからなくなって、混迷を深めていくんじゃないかというふうに私は思っています。
 こういう点で、知事のいっていることは、知事会では、小異を捨てて大同につくという言葉を述べる前に、義務教育の問題については全面反対だと。何が全面反対かといったら、これを削減したりするということについては絶対反対だ、こういうふうにいいながら、小異を捨てて大同につくというから、余計わからなくなっちゃうんです。
 結局は、石原都政自体が、国民のナショナルミニマムというべき生活を保障する重要な国庫負担金の国による責任すら、はっきりいえば否定してしまう。こういう点では、最後の守るべき最低保障まで国に求めないということになっていくんじゃないですか。その点について、私は絶対に容認できないものだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。再度お尋ねしたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、義務教育国庫負担金のあり方などについては、個々の内容でございますけれども、地方六団体案と意見を異にするところはあるというのは事実でございます。
 しかし、先ほどこれも述べましたとおり、国の改革をこのまま放置いたしますと、社会保障の切り下げというのは国の負担を減らすということでございますけれども、それによって地方の裁量が一切増加するものではございません。それから、社会保障につきましては、自然増で毎年一兆円ずつその負担がふえるというふうなことにかんがみますと、地方分権には一切つながらず、国の負担を地方に押しつけるというような案が進行しているという、いわば緊急事態でございます。
 そういったものに対して、国に真の分権改革を迫るということから、地方団体が一丸となって国に断行を迫っていくということで、東京都の力が極めて大きいことから、知事も、先ほどあった、小異を捨てて大同につくということで、大きな動きの中で発言をされたものだというふうに理解しております。

○古館委員 今の、社会保障を守るとか、そういうのを切り捨ててくるということに対して、我々も一緒になって頑張っていきたいなと思っておりますが、それでは具体的に聞きますけれども、今の国庫補助負担金それから地方交付税というのは、それぞれ総額では幾らになるでしょうか。

○秋山自治制度改革推進担当部長 国の平成十六年度予算におきましては、国が地方に対し義務的に負担しなければならない国庫負担金が十六・八兆円、その他奨励的な国庫補助金が三・三兆円、それから国庫委託金が〇・三兆円でございまして、地方団体向けの国庫補助負担金総額は二十・四兆円となっております。
 また、地方交付税でございますけれども、同じく十六年度予算ベースで総額十六・九兆円でございまして、これに、地方の財源不足に対して措置することとされました臨時財政対策債四・二兆円を加えますと、合計で二十一・一兆円となってございます。

○古館委員 大体国庫補助負担金が二十・四兆円、それから地方交付税が二十一兆円。
 実は、ここに、これなんですけれども、東京都が作成したものなんです。これは、国庫補助負担金二十兆円というのが今どういう内訳になっているかということです。
 先ほど部長がちょっとお答えになりましたね。国庫補助負担金というのは、国庫補助金、これが大体三兆円で、国庫負担金というのと二分されていまして、国庫負担金というのが十七兆円なんですね、大体。
 この国庫負担金というのが、地方財政法でいう十条から十条の三ということで、いわゆる国民の一定の水準を守っていく上で最低守らなきゃならないという部分で国が負担をするというふうに、大きくいえば解釈できるものでありますけれども、これが十七兆なんです。国庫補助というのは、地財法でいう、国が必要があると認める場合の補助なんですから、これは、全国の水準を引き上げるとかなんとかというんじゃなくて、国が認めていこうという場合の補助金で、これが三兆円なんですね。
 それで、先ほどいった国庫負担金十七兆円というのが、内訳をいいますと、国が全国一律の水準を確保する必要があるものというので、十七兆円のうち十四兆円が、国が全国一律の水準を確保する必要があるもの。この中に何が入っているかというと、保育所運営とか社会福祉施設整備、都市公園の整備、公営住宅の建設、義務教育職員給与、生活保護、社会保障、こういうのがあるわけです。で、国の総合的な計画に従って実施しなければならないものというのもこの負担金の中に入っているんですが、これは三兆円で、道路とか河川。それから、もう一つの区分は災害にかかわるもの、三百億円ということで、これは災害救助事業とか災害復旧事業ということになっていますね。
 そうすると、今私が述べたこの部分で見ますと、大体十七兆円ですから、国庫負担金という、社会保障だとか義務教育だとか、そういうところに使われているお金が全体の八五%なんです。だから、補助金は即だめですよ、そうやっていい切れるのかどうかということ自体、やっぱりもう一回問い直さなきゃいけないというふうに私は思うんです。
 どうしてかというと、これが何たって国庫補助負担金の八五%を占めていて、これが国民の生活水準なんかを維持していく、こういうふうになるわけですから、改めて、補助金だからだめというふうに一概にそれを全否定するということには、私どもはできないものであります。
 それで、国が全国一律水準を確保する必要があるものが十四兆円というふうに今いいましたけれども、その大体の仕事もいいました。八割以上が、今いったような福祉、教育、社会保障、こういうもので占められています。
 全国知事会は、こういう全国一律水準の国民の社会保障だとか教育にかかわる、これ自体をガラガラポンという形で見直しちゃって、三兆円の中に全部入れちゃおうというところが極めて重大な誤りではないかというふうに私は思っています。
 これに対して都は、国のナショナルミニマムというべき重要な国庫負担金は堅持すると。これは、私は一応の見識であるというふうに思っています。
 ですから、このこと自体をあくまでも知事は頑張るべきだったんですね、ここは。そういうふうに私は思っております。知事が、義務教育をなくすなんというのは反対だといいながら、やっぱりそういう形で、態度は全く違う形をとるということ自体が、余計に今のわかりやすさという点では逆になっているなというふうに思います。
 先ほど、全国一律の制度はだめだという趣旨の話があったようですけれども、この補助金の中でも、今は地方分権が進んできて、いわゆる上乗せ、横出しというのはできるんです。だから、ここまでは一定水準を保持しなきゃならないという部分の国の負担金というのは必要だと。あとは地方自治体がどのように上乗せ、横出しをするか、こういうところからまず議論を出発させていかないと、私は、本当に住民福祉の増進ということが実現できないというふうに思っています。
 そこで、お尋ねしますけれども、国庫補助負担金、とりわけ国庫負担金は、都のこれまでの見解のとおり、国民、都民にとっても必要不可欠な全国基準の事業であり、堅持するという立場をとるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○秋山自治制度改革推進担当部長 国庫負担金につきましては、地方公共団体が行う事務のうちで、国が義務的に負担するというものでございますけれども、現行の地方財政制度におきましては、負担率の統一性の欠如などに代表されますとおり、国と地方の間の財政責任が極めてあいまいになり、その結果、国庫負担金は、国の地方支配の手段の一つとして利用されているという現状もございます。
 国と地方の役割分担を明確にし、生活保護など、国民に対する基礎的行政サービスなどについては国のいわば全額負担、財政責任を明らかにした上で抜本的な税源移譲を行うことにより、地方の財政的自立を高める、実現するという、いわば真の地方分権改革を実現した暁には、国庫負担金は補助金とともに廃止されるべきであるというのが東京都の基本的な考え方でございます。

○古館委員 私は、こういうところをそれこそみんなで力を合わせて--そういうふうに統制するというようなことをいうんだったらば、だから全然だめですよとなるのか、そのことをみんなで運動して変えさせていく、そういうような運動になるのか、こういう問題だってやっぱりあるわけですよね。私は、その点についてはもっと十分な議論が必要なんだということを改めて強調しておきたいというふうに思います。
 しかも、重要なことは、昨年、十五年度と十六年度で、補助金改革ということでこの二年間で、公立保育所運営費だとか義務教育国庫負担金、それから、これに公共事業関係経費補助なんていうのもありますけれども、既に一兆六千億円が一般財源化されたんです。一般財源化というのは何かいいように聞こえるんだけれども、結局は削ったということなんです。
 ここにも、私、東京都の出してくれた資料を持っているんですけれども、今いった一兆六千億円、例えば公立保育園運営経費とか義務教育国庫負担とか足しますと、それで大体一兆六千億なんですけれども、税源移譲の予定特例交付金というので、これが二千三百九億円、それから所得譲与税ということで、これが四千二百四十九億円、足しますと六千五百五十八億円。実は、東京都などにおりてくるお金はこれしかない。つまり、一兆六千億円は、これを全部見直して税源移譲しますよと。ところが、税源移譲してきたお金が、今いったように、一兆六千億円分がなぜか六千五百五十八億円に化けちゃうんですね。
 しかも、この税源移譲の予定特例交付金も所得譲与税も、国の権限の及ぶような法律でありまして、しかもこれは十八年度になると廃止する。だから、六千五百五十八億円というお金は二つの、特例交付金と所得譲与税となっているんだけれども、これは国が完全にしっかりと権限を握っている法律で、しかも十八年になるとなくなってしまう。その後はどのように保障されているかということは定かじゃない。
 ですから、今自体、こういうふうな不安定な状況に、東京都を初めとする全国の自治体が置かれているんだという認識を、我々自身きちっとしなきゃいけない。さっきのお金はわずか四割台におっこっちゃっているんですからね。今までの補助金の一兆六千幾らというのが四割台におっこちてしまう。
 しかも、今いいましたが、所得譲与税四千二百四十九億円、予定特例交付金二千三百九億円、いずれも総務省が配付したものなんです。これが十八年度に廃止予定になる。その後どうなるかは、今いったように定かじゃないんです。これは、極めて大事なナショナルミニマムが保持されているという保障は全くないということを示しているというふうに思います。
 もともと地方分権改革がなぜ必要だとされていたかといえば、それは、先ほども出されていましたけれども、国と地方の歳出割合が、国四、地方六であるのに対して、実際の税収割合が、国六、地方が四と逆転している。真の地方分権とは、本来、この逆転現象を解消して、歳出割合に見合った税源配分とすることが出発点ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○秋山自治制度改革推進担当部長 真の地方分権改革を実現するためには、地方自治体がみずからの財源と責任によりまして、自主的、自立的な行政運営が可能となるようにすることであり、そのための抜本的な税源移譲は行うべきであります。
 国と地方の歳出割合は、今お話のあったとおり、おおむね四対六でございますが、現行の歳出比率で税源移譲を求めるということにつきましては、国と地方の現状を財政的にある意味固定化し、是認してしまうおそれがあるということでございまして、したがいまして、税源移譲に当たっては、繰り返しになりますが、まず国と地方の役割分担を明確にした上で、その役割分担に応じた地方の行政運営に必要となる税源配分を考えるべきだと考えております。

○古館委員 今の話というのは、わかったようで全くわからないんですよね。私がいっているのは、四対六という歳出配分を、それこそ歳入がそれにちゃんと見合うように、逆に国の方が四で地方が六にしなさいと。それに対して、今のお話だと、一体どれぐらいが目標になっているんですか、もう一回お尋ねしたいんですが。

○秋山自治制度改革推進担当部長 先ほど申し上げましたとおり、国と地方の役割分担をまず抜本的に見直すということで、それぞれの執行責任と財政責任が明らかになってまいりますので、その役割分担、財政責任の割合に応じた税源移譲を目指すというのが基本だろうと考えております。
 現行、六対四の割合ということでございまして、では、具体的にはそれが幾つになるんだということでございますが、都といたしましては、基本的見解の中でも明らかにしておりますとおり、国の役割を幾つかに分けまして、特に、国民に国が提供すべき基礎的行政サービスについては全額負担だといっておりますので、そういったものを今の財政割合の中で区分いたしまして、それを算出していくということになろうかと思いますが、具体的な数字については現在まだ発表してございません。

○古館委員 実は私、都税調の特別委員もさせていただいているんですが、そういう中ではいつも、今の四対六、これに見合うような歳出割合に、地方は六にしようと。しかし、当面は一対一、つまり五対五、そういうふうにしようというのが実はベースじゃないんですか。
 これは東京都としてのベースでもなくて、数字自体、今どれぐらいを目標にしているのかということ自体も全然はっきりしないんだけれども、じゃ、都税調のやっている目標というのはどういう評価なんでしょうかね、それしかちょっと聞きようがないんだけれども。

○秋山自治制度改革推進担当部長 税源移譲一対一ということについてでございますが、本年五月に出しました基本的見解の中では、やはり当面一対一の税源移譲を目指すということで、一つの税源移譲の改革の大きなステップという形で位置づけて提言をしております。

○古館委員 私は、一対一でいいとかなんとかといっているわけじゃなくて、そういうようなことが東京都の都税調の中でもきちっと出されていて、それがなかなか出てこないから、東京都としてはどうなっているのかなと。
 私はやはり、こういうようなものを厳しく見ながら、地方自治体として自立し、そこに住んでいる人たちが豊かに生活できるという保障を確固として確立すべきだというふうに思います。
 税源移譲も、今後の方向性では、先ほどおっしゃいました、所得税などの一部を住民税に移譲して、実は、ここの方針は一〇%フラット化するということなんですね。所得税を住民税に移転する際に一〇%フラット化するというのは、私は、これは低所得者に増税を求めるものだということをいい続けてまいりました。
 なぜそうかといいますと、現在、所得税は、一三%、一〇%、五%という三段階の刻みになっているのを、一〇%一律フラットにするということは、つまり、一三%の人は減税になり、一〇%の人は現状維持で、五%の税率の人は一〇%にはね上がるという、増税になる仕組みなんです。やっぱりこれは、地方分権といいながら、そこに住んでいる人の税を新たに増税するという点ではこれはいただけないということは、常に私は都税調の中でも指摘をしているところであります。
 これは所得税で若干カバーするということがよくいわれるんですけれども、今でさえ国の話がまとまらない中で、これ自体がどうなるかなんていうことは全くわからない、そういうことだけはちょっといっておきたいと思います。
 そこで、お尋ねしますが、五月の都の見解では、もう一つの税源移譲として、地方消費税率を、今の一%から、今五%が消費税率ですが、半分の二・五%とするという提案は、将来の消費税の増税をさらにエスカレートさせていくものであって、所得の低い人にとっては二重三重の税負担が強いられることになると思いますが、どのような見解でしょうか。

○秋山自治制度改革推進担当部長 都が五月に発表いたしました基本的見解の中のいわば緊急提言という章の中でお示しした内容でございますけれども、国対地方の税収割合を当面一対一となるように、所得税から住民税への三兆円の税源移譲とあわせまして、消費税においても、現行の国税四%、地方税一%という税収割合を、現行税率の五%を前提に、それぞれ二・五%となるように見直すものでありまして、お話のような消費税の増税を前提としたものではなく、また、それを意図するものでも全くございません。

○古館委員 それはいつもそういう答弁なんですよ。だけど、実際に今、四%と一%、地方消費税が一%、それを二・五にすると。今は大体政党間でも、我が党は絶対反対という立場をとっていますけれども、消費税を一〇%にしようだとか、それ以上にしようだとかということを一生懸命競い合っていっているわけです。そういう中で二・五%にしていくということは、必ずそういう声が出てくるということが現実では起こるわけですね。
 今は数字上のことをしゃべっているだけの話で、しかし、そのことをいったからといって、都民に対して責任を負うことにはなりません。なぜかといったら、五%を二・五%、二・五%にする、その枠の中だから増税という意図はありませんといったって、現実にそういうふうには絶対ならないということだけは指摘をしておきたいと思います。
 続きまして、国の改革ということですが、現在、税源移譲というのが先送りされているんです。肝心かなめは、いろいろいわれていながら、税源移譲はまだされていないということです。
 先ほど私は税源移譲の話でいいましたけれども、あれも、総務省がつくっている、二年間たったらなくなっていくものであって、本格的な税源移譲というのは何にもされていないんですよね。しかも、臨時の税源移譲も、先ほどいいましたけれども、カットした補助金の半分以下しか措置されない。これでは、国の思惑どおり、まず国庫補助負担金、そして地方交付税の削減、これが先行して行われて、一体地方にどれだけ税源移譲されるのか、全く当てにできないものじゃないでしょうか。
 こうした現実は、全く地方分権改革の名に値しないものだと考えますけれども、改めて見解を求めたいと思います。

○秋山自治制度改革推進担当部長 現在国において行われている改革の中では、三兆円の補助金削減が先行し、抜本的な税源移譲の議論が先送りされているということから、都といたしましても、真の地方分権の実現に向けまして、国に働きかけていく所存でございます。

○古館委員 今、本当に私たちは、ある意味で税源移譲というのが根幹だと思うんです。そして、もちろんそこには、国庫補助負担金、それから地方交付税、こうしたものがお互いに機能し合って、それでより地方自治体というのが前進をするし、そして、そこに住んでいる人もより豊かになっていく。今そういうことがされていないというところが問題なんだということを指摘しておきたいと思います。
 最後に、東京都として、真の地方分権改革はどうあるべきか。現在、都税調がありますけれども、この都税調は税制のあり方については提言をしていますけれども、国庫補助負担金だとか地方交付税、これを地方の立場でどうするか。市町村の代表だとか有識者などで構成をして、かつ、議会、議員もそうですけれども、意見具申ができるような調査会というのをつくる必要があると考えますけれども、これを最後にご質問して、終わりたいと思います。いかがでしょうか。

○秋山自治制度改革推進担当部長 都は、本年五月に東京都の基本的見解を明らかにいたしましたが、見解の策定過程はもちろんのこと、発表後におきましても、行財政や地方財政の専門家、国の関係機関、経済界など、幅広い分野の有識者の意見を聴取してきているところでございます。
 また、都議会におかれましても、行財政改革基本問題特別委員会を設置されまして、分権改革につながる地方行財政制度改革など、広範で活発なご議論をいただきまして、その内容につきましても十分に参考にしながら、都の基本的見解をまとめたものでございます。
 現在、地方税財政改革は、国の三位一体改革の議論がかなり具体化してくるなど、いわば実現段階に至りつつございまして、都としては、地方からの改革を進めていくため、今後とも、執行機関といたしまして、都議会と一体となって積極的に取り組んでまいります。

○古館委員 私どもも、首都移転の反対という立場、これは東京都と共同でそういうことも進めてきましたが、この地方分権の問題というのはやっぱり、地方自治法というのをいかによみがえらせていくのか、輝かせていくのか、そして、そこに住んでいる人がいかに豊かな生活を送れるのか、ここのところが基軸で出発しなきゃいけないし、私ども日本共産党としても、その点では皆さんとご一緒に頑張っていきたいし、本当の意味での真の分権、そして改革ができるように、日本共産党としても全力を挙げて頑張りたい、このことの決意を述べて、質問を終わります。

○中村委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十分開議

○中村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤田委員 私も何点か質問させていただきます。
 きょうは実は、三位一体改革については全く触れないというか、前回のときにさんざんやらせていただきましたので、ちょっとこれは除いてと思ったのですが、皆さんの議論を聞いていますと、何かやはりいいたくなってしまうというか……。
 実際に、特に地方としては、議論をしている人といいますか、制度が疲弊しているとか、あるいは経済がグローバル化してしまうということは、最終的には、サービスは現物でなければならないというようなことももちろんわかっていますし、それから、七百兆の借金をどうしたらいいのかということをもちろん真剣に考えているわけなんですけれども、しかし、実際、国の議論を見ていますと、官僚も国会議員も、自分の権力を絶対手放したくないわけです。そうしたら、やるかやらないかだけの問題になるような、この間の議論を聞いていると、私はまさにそうだというふうに思うわけです。この七百兆というのを実際に、自分のお金じゃない、これは大変だというふうに感じるかどうか。そして、制度がなかなか行き渡らない、むだもたくさんになってきている、このことを真剣に考えられるかどうかというわけなんでありますけれども、先ほど局長もおっしゃいましたけれども、やはり都民、国民にわかってもらうのは難しい。そしてこれは、分権、自治を獲得すると何がメリットかということがわかるかどうかということだとひたすら思うわけです。なぜ分権や自治が必要なのかというのを具体的に示さないと、結局は、自分の懐が痛まなければ、だれかがやってくれているのでいいかなと。そして、増税になって、まさに二極分化をしてどうしようもない状況に、みんなが、これちょっと待てよというふうになるところまで行ってしまうのかなと、片方では思うわけでありますけれども、そうさせてしまってはいけないわけなんです。
 そうすると、具体的に見せることができるかどうかという話だと思うわけです。そのときに、介護保険は一応、分権の試金石というふうにいわれるように、かなりの部分で住民が参加をして--法律にはきちっと書いてあるわけです。住民が参加をして、そこで制度をつくっていこう、こんなふうに書いてあるわけですけれども、そういうようなものとか、あるいは、先般、私の住んでいる杉並で「自治のつどい」というのがありました。北川さん初め、太田市長、横浜市長、我孫子市長、あとは志木市長というように一堂に会していましたので、かなりそうそうたるメンバーが、自分たちは何が必要なのかというようなことをお話しになったんですが、やっぱりその中でも、義務教育費国庫負担の件はいろいろいわれますけれども、国が何かをやってくれなきゃ、絶対に地方にはできないんだよというふうに思わせておいては、これはやっぱりまずいと。自分たちができることを、どれだけできるかということを示そうよというような話になったわけであります。
 東京都もやっぱり、都道府県行政の中で具体化を示して、住民に本当にわかってもらうというのが難しいのはよくわかっているんですけれども、とにかく具体性を持たせる。そして片っ方では、私が以前にお話ししたのは、国に対して分権を要求すると同時に、区市町村だって同じように東京都に求めているんだよ、だったら、区市町村に対する第二の分権をどういうふうにするか考えたらというふうに申し上げたら、今はとにかく国とのあれだから、ちょっと置いておいてというふうにいわれましたけれども、一番身近な住民のいる自治体で、分権をしたときのメリット、具体性をどれだけ見せられるのか、やっぱりここになってくるんだと思うんですね。
 そうすると、今回の知事の態度は、私は非常に、大同団結しようというのはよく決意をしてくださったと思うし、とにかく分権をするんだという一点でやることは、大変メッセージ性があると思いますけれども、一方でやはり、自分たちのところから区市町村にどういうふうに具体性を見せるか、ここの部分をやらないとならないと思います。私も、これだという有効なものが確実にあるわけではありませんけれども、考え方としてそういうふうに思っていますけれども、まず、局長のお考えをちょっとお尋ねいたしたいと思います。

○前川知事本局長 私ども、分権の改革というのは、地方自治制度も含めた国の行財政制度全体の問題である、広い意味でいうと、行政と民間との関係も含めた根本的なものだと思っております。
 そう考えますと、お話の趣旨は同じだと思うんですが、分権、自治制度をどう変えていくかという国の制度全体の問題と、それから、東京都みずから、特別区政、都政も含めて、都庁の中も含めて、あるいは首都圏も含めて、東京みずからが改革をするという問題とこれは密接不可分で、一体であると思っております。この前いただいた、この都議会の行財政改革基本問題特別委員会のああいった趣旨も、そういうことだろうと理解しておりますので、ぜひ今後ともそういう視点から取り組んでいきたいと思っております。

○藤田委員 とにかく一つ大きな山を、ぜひ国に対して、この十一月終わりあるいは十二月の予算編成の中で何らかの答えが出てくるはずでございますから、一年だけとはいわずに、しっかりと一緒になって提案をしていきたいというふうに思っているところです。
 また、最終的には、分権を約束させる国会議員を選んでいく、ここに尽きるかなとも思いますので、そういうふうに私たちは運動していきたいと思っています。
 さて、きょうは青少年育成総合対策についてお尋ねをしたいと思っています。
 昨日も、青少年の性行動について考える委員会の意見の取りまとめが出されましたけれども、もう一度改めまして、青少年育成総合対策推進本部の設置目的と具体的事業実施、どんなことをやるのかということを伺いたいと思います。

○白石青少年育成総合対策担当部長 青少年育成総合対策推進本部の設置目的等でございますが、東京都はこれまで、青少年の健全育成、児童福祉、学校教育など、子どもに関するさまざまな施策を推進してきましたが、昨今の子どもを取り巻く環境は著しく変化しておりまして、子どもが犯罪に巻き込まれる事件が多発するなど、さまざまな問題が表面化しております。そこで、関係各局の連携によりまして、総合的かつ効果的な対策を実施するために、青少年育成総合対策推進本部を本年八月に設置いたしました。
 今後も、本部と関係各局との連携のもと、不登校、ひきこもり対策、子どもがネット社会に翻弄されないための取り組み、子どもの性規範の確立、子育てに悩む家庭の支援、大人社会のあり方などについて、具体的な施策、事業を推進してまいります。

○藤田委員 八月に、非行防止、犯罪の被害防止教育に関する提言が、これも同じように知事本の方で出されているわけですけれども、この委員会はどのような位置づけになっていますでしょうか。

○白石青少年育成総合対策担当部長 八月に出されました非行防止、犯罪の被害防止教育に関する提言でございますが、この提言は、非行防止・犯罪の被害防止教育の内容を考える委員会より提出されたものでございます。
 この委員会は、昨年十月に出されました緊急提言、子どもを犯罪に巻き込まないための方策の中の、子どもに対する非行、犯罪被害防止教育の強化等の提言を受けた形で東京都が設置したものでございます。
 なお、本委員会の提言をもとに、現在、教育庁で具体的なプログラムについて検討しております。

○藤田委員 青少年問題といいますと生活文化局というふうに今までは、もちろんそこに条例もあるわけで、考えておりましたけれども、青少年問題協議会へ十一月二日、知事から諮問があって、ここにインターネット問題と性に関することが出されているわけでありますけれども、今の青少年問題協議会とこの推進本部と知事本局と生文局、関係はどんなふうになっていますでしょうか。

○白石青少年育成総合対策担当部長 青少年問題協議会は、東京都青少年問題協議会条例に基づきまして設置されております知事の附属機関でありまして、生活文化局が所管しております。
 青少年問題協議会には、要綱に基づき幹事が置かれておりますが、その幹事の一人に、知事本局青少年育成総合対策担当部長が任命されております。また、知事本局青少年育成総合対策担当部長以下二名が、他の関係局と同様に、青少年問題協議会専門部会の事務局に参加しております。
 青少年問題協議会の検討内容は青少年育成の総合対策に深いかかわりがあることから、連携を密にしているところでございます。

○藤田委員 この青少年問題協議会の中に資料が二つ出されています。一つが、参考資料として、「豊かなネット社会の形成と子どもたちの健やかな成長のために」ということと、先ほどお話ししたように、青少年の性行動について考える委員会からの資料でありますけれども、この資料は、使い方といいますか、どんなふうに使って、どこに提出するというか、だれに見せるためのものかを伺いたいと思います。

○白石青少年育成総合対策担当部長 今お話しの青少年問題協議会に出された二つの資料でございますけれども、この二つは、今回の青少年問題協議会の諮問事項でございます、インターネット、携帯電話からの有害情報に関する効果的な対策、及び青少年の性に対するかかわり方を検討する際の参考にしてもらうための資料でございます。
 まず、前者の「豊かなネット社会の形成と子どもたちの健やかな成長のために」という緊急提言は、民間団体でございますネット社会と子どもたち協議会というものが、東京都に対してこの十月二十七日に提言したものでございます。また、後者の青少年の性行動について考える委員会の関連資料は、この委員会での検討資料として用いましたものからの抜粋等でございます。

○藤田委員 ネット社会のこの緊急提言というのは、民間団体が提出したというふうにしていますけれども、どういうような関係があって青少協の参考資料としたか、東京都がどういうふうにこれにかかわってきたのかということをまずお伺いいたしたいというふうに思います。

○白石青少年育成総合対策担当部長 この緊急提言は、インターネットと子どもたちの問題に関心のあるさまざまな分野の方々が、最近の事件などをきっかけといたしまして意見交換する中で協議会を設置されまして、意見を集約し、まとめられまして、東京都に対して提出されたもので、具体的な施策の提案等もなされております。
 今回の諮問事項であるインターネット、携帯電話からの有害情報に対する効果的な対策を検討する際の参考になると考え、協議会の資料としたものでございます。

○藤田委員 この中を見ますと、問題の背景など、非常に偏った書き方であるなというふうに私は思うんです。
 具体的に何と書いてあるか。帰宅の遅い夫の支援もなく、社会的訓練を受けていない妻は、近隣との関係では背伸びし、あるいは上辺を装うしか対応策を持たず、子どもには、家のことをよその人にはしゃべらないように、○○ちゃんには負けてはだめよなどいい聞かせ、父親不在のまま、小さい、閉じた家庭を形成していきました。もちろん、これは非常に極端なものとお思いでしょうけれども、これが現実ですというようなことが書いてあるんですね。
 私は、現在の小中学校の親の子ども時代、共通一次から始まって、本当に競争、競争の中で○×式でやってきた、そういう時代の親かと思います。そして、もう一つ上の親の世代まで、その辺まできちっと状況を把握した上で、今なぜこれが起きているのかというようなことをやはり考えないと、表面だけ今いったようなのでは--これはどっちが悪いんでしょうかね。夫が悪いんでしょうか、母親が悪いんでしょうか。社会が悪いんだというふうになるんだとは思いますけれども。
 こういうような書き方をすることよりも、ITがどういう現実で、どんなことを実際に子どもたちが望んで使っているのか。あるいは性行動に関しても、子どもたちに、本来の状況がどうなっているというようなきちっとした調査、例えば、後からいろいろ出てきますけれども、性感染症の問題がどうか、それから援助交際の話がどうか、実際には被害に遭った子どもたちが何人いる、こういう結果ではいろんなことが出ています。でも、子どもたちにどういうふうに調査をしたんですか、あるいは、ITを今本当に自分たちはどういう使い方をしているんですか、こういう調査は実は何にも書かれていないというような状況だと、この資料の中では思うわけです。
 それで、民間団体から出た提言で、これを使ってくださいというのは、ちょっと私は、いかに緊急で、すぐに出さなきゃいけないとしたにしても、調査が足りないというふうに思うんですけれども、どういう調査をしていらしたでしょうか。

○白石青少年育成総合対策担当部長 私どもの本部では、ネット社会に子どもたちが翻弄されないための取り組みをこれから幅広く進めていくわけでございますけれども、今回は、この提言も参考にいたしまして、また調査につきましては、さまざま、各種の統計資料、参考文献、例えばネット社会の問題でございましたらば、PTAの全国協議会等がやっております調査等も参考にしておりまして、このような調査等を使いまして、幅広い観点から検討を行っていくという予定でございます。

○藤田委員 実際にはそういう統計資料や参考文献についても必要だと思いますけれども、やはり当の子どもたちはどういう状況なのかというのがわからないと、大人がワアワア、ワアワアいって規制をかけようが何しようが、変わらないわけですよ。
 今までずっとそれをやってきて、条例をつくって買春規定を設けました、それは大人に対しての罰則ですといって、あれからどれだけ社会がよくなりましたかということですし、それから、鈴木知事のときに、いやいや、罰則はやめようよ、もっと子どもたちに直接的な話しかけ、そして教育をしようよといったにもかかわらず、それは全部しなかった、こういう状況だと私は思います。
 だとしたら、やはり直接的な子どもたちへの調査というものをしっかりしていくことが大事だというふうに思っているわけです。
 インターネットの社会の中では、例えば、この間のライブドアなんかでも、成人向けのサイトがあるというので、これを持っているようなところはプロ野球球団のオーナーにはふさわしくないというので、それをカットするようにというので、もちろん、全然オープンなところじゃないところから行けば行かれるというような話をしていましたけれども、企業社会、経済界へは何ら提言がないわけです、このネット社会の問題、ずっとこの中を読んでいましても。売らんかなの状況に対する提言が要するに少ない。
 だって、自分たちが問題にして、子どもたちはこんなにおかしい、こんなにおかしいといっていて、片っ方で一生懸命売っているわけですから。その問題については、どこかでそっちの大人の側もストップをかけなければできないわけですよね。それが結局、消費者、利用者の非だけを声高に叫ぶのでは、なかなかこれは解決がつかないなというふうに思うんですけれども、その辺についてはどんな議論があったのか、伺います。

○白石青少年育成総合対策担当部長 先ほども申し上げましたように、この緊急提言は、民間のさまざまな分野の方が集まりまして提言をされたものでございまして、どのような議論があったかにつきましては、詳細には存じておりません。
 ただ、その緊急提言の中を見ますと、三回の集会、十一回の意見交換会のほか、メーリングリストを活用するなどによりまして活発な議論が行われたというふうに書いてございます。

○藤田委員 そして、この中には、いわゆる乳幼児のメディアの接触時間を制限しようというようなことで、小児科学会が、乳幼児のテレビ、ビデオ長時間視聴は危険ですというふうにして提言を出していますとか、いろいろ書かれているんです。
 もう一つは、田中家のインターネット七カ条というのがあるんですが、インターネットはリビングで使いますとか、何かあったら、すぐお父さんかお母さんに相談します。メールや掲示板にうそや悪口を書きません。ウェブページの履歴を消しません。連続して二時間以上使いません。勉強のためにも使います。最後に、家では必ず声に出してあいさつをします。あれというような、何なんだろうというのが出ているんですけど、それで、なおかつ、守れなかったら一カ月間毎日、家のお手伝いをします、で、子どもの名前。それから、約束を一年間守れたら遊園地に連れていきます、が大人の署名。どういう感じを持たれますでしょうか。それこそ何かでつるというような、そういう子育てをしなきゃいけないのかなというようなことなんです。
 もちろん、一例でありますというふうなあれでしょうけれども、じゃ、何でこれを東京都の資料として青少協の中につけたかというのは、私は非常に疑問があるというふうに思っています。
 そして、性行動の方について、さらにいろいろな意見が出されているのが羅列をされています。もちろん委員の名前は書かれていませんけれども、モラルや道徳を知らない世代が母親になっている。今のまちを歩いている子どもたちが年をとって母親になっているような現状がある。母親だけでしょうかね。何かもうがっかりしちゃうような文章がいっぱいありまして、女性だけに子どもの教育を任せて、責任を押しつけて、そして、実は、相手をする、買う大人がいるということ、ここは何にも書かれていないわけです。妊娠をするというのは、相手がいるんです。原因があるんです。そういうようなことが何にも書かれていない中で、やはり私はこの問題について、非常に片方の論理だけでしか行われていないというふうに思っているわけです。
 この性の問題に関する、というところでは、人選といいますか、どんなふうに決めていかれましたでしょうか。

○白石青少年育成総合対策担当部長 青少年の性行動について考える委員会の委員の人選についてでございますけれども、この委員会では、子どもの性の問題につきまして、さまざまなかかわりを持ち、現状を特によく熟知している医者、それから心理学等の専門家、小中高の教員などの方々にお願いしたものでございます。
 なお、議員がご指摘の発言は、第一回の委員会の全発言要旨のうちの二つのみを取り上げられたものでございまして、大人の社会のことについては触れられていないとおっしゃいましたけれども、例えば、環境そのものが、大人が子どもたちを食い物にする状況があちこちに見られるとか、あるいは、性産業の仕組みに利用されているとかいうような意見につきましても、ここに、発言要旨の方には掲載しているところでございます。

○藤田委員 もちろんそうでございます。その中で、大人が社会のあり方を考えようよというふうに、そして、それは最終的にきのうの提言の中に書かれているわけです。大人社会がすべきことというふうになっています。
 しかし、もう一つ大きな前回の委員の特徴では、大方の委員が、正しい知識を身につける必要があるんだ、このことをまさに皆さんがおっしゃっているわけです。
 私も実は、低年齢化している、そして、男女が交際をするということは、すなわち、そのまんまセックスのことなんだというような中学生の比率が非常に高まっているというようなことが書いてあるわけでありますけれども、その中学生であっても、実際には、保健の教師など、本当に真剣に向き合って授業をしている方々の、その子どもたちは、リスクが物すごく大きいということを十分理解して、これでもそういう行動に走りますかと聞いたら、必ずや生徒たちは、いやいや、やはり自分の体が大事なんだということを一様にみんないう、そんな先生方の話も聞きましたし、それを聞いた子どもたちの話も聞いたことがあります。
 ということは、正しい知識を身につけさせていくということをどういうふうに具体化させていくのか、ここがやはり一番問題であろうというふうに私は思っています。
 そうなりますと、知事本局が何をやるのかなというふうになりまして、先ほど、どんなことを知事本はやりますかということでお答えをいただいたんですけれども、こういう場合の知事本局の役割というものはどんなふうになるかを伺いたいと思います。

○白石青少年育成総合対策担当部長 性の問題に関する正しい知識を身につけさせることについてでございますけれども、昨日出されました委員会の意見のまとめにおきましても、青少年に対する性についての情報が、現在、非常に偏ったものが多い、あるいは無造作に提供されているというようなこと、さらに、これまでは、性の健康リスクや、性行動をとらないことのメリットなどが余り教えられてこなかったことが指摘されております。このようなことも一つの要因として性行動の低年齢化が進んでいると考えられ、大変憂慮すべき状態であると思います。
 この状況を押しとどめるためにも、今後、この委員会の意見も参考にいたしまして、具体的な取り組みにつなげていきたいと思っております。その際には、青少年育成総合対策推進本部が中心となりまして、関係各局の連携を図っていきたいというふうに考えております。

○藤田委員 子どもたちの一番身近なところということで、教育庁が最終的にはこの教育に当たるということになろうかと思います。もう十二年前に、私は委員会でいろいろと提案をさせていただいてまいりましたけれども、教育庁ではそのころは、性に関する学習はモデル校実施だけでした。男女平等施策についての勉強もモデル校だけでした。というような状況でありましたが、本当にモデルなんですか、それぞれの学校でやらなくて、こういう問題が起きる状況にあるんじゃないですかといっても、なかなかそこは理解をされませんでした。
 今の現状では、年齢に応じた性教育を実施していくというふうに教育庁はいっているんです。なるべく低学年ではしないようにというようなのが意図です。しかし、低年齢化の現実をとらえれば、健康局では、低年齢化を危惧して、早い段階での正確な教育が重要だといっているんですよね。そういうことを考えますと、政策局として全体を調整して、本当に必要なことを提言していくべきだというふうに思います。
 そして、今回、これを条例にのせようかどうかという話が、議論をされる前からこんなことがいわれているわけでありますけれども、十六歳だったかしら、十三歳だったかしら、までは性交してはいけないという条例にしようというふうにいっていますけれども、条例に書くだけで、書いたら終わりじゃ何にもならないわけであります。それをどういうふうに一緒に考えていこうかというところに立てるかどうかの話でありますので、この問題は、それをアピールするために条例に書くんじゃなくて、アピールはきちっとしてほしいし、大人の一考はきちっとしてほしいけれども、条例に書く必要はないというふうに私は思っているわけなんです。
 イギリスでは、実は、十六歳までは性交してはいけないという規則になっているそうです。たまたま行った人が、日本ではどうなっているのといったら、そんな規定は何にもないといったら、いいわねといったといいますけれども、でも、実際にそれをきっと守っているというか、そういう意識はきちっと植えついているんでしょうね。
 今のような乱れたところからやろうというのと、初めから、宗教的な問題もあろうかと思いますけれども、そういうふうになっているのとは大きな違いですし、それから、片っ方では、情報がはんらんしているといいながらも、実は、元服といわれた十五歳でもうそれなりの大人、体の方はそういうふうになっているわけですから、そこのところをどういうふうに考えていくかということも、このバランスをどうやってとっていくかということも重要なことになろうかと思います。
 まず、政策局として全体調整をして、本当に必要なことを提言すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○白石青少年育成総合対策担当部長 最初にも申し上げましたように、青少年育成総合対策推進本部の一つの対策といたしまして、子どもの性規範の確立というのがございます。本部では、昨日出されました青少年の性行動について考える委員会の意見のまとめも参考にいたしまして、青少年の性の問題を幅広くとらえまして、大人社会のあり方も含めまして幅広く対策を検討していきたいというふうに思っております。

○藤田委員 私たちは、ここ何年ぐらいでしょうか、四年ぐらいでしょうか、繁華街にユースクリニックを設立してほしいというのを予算要望でずっと掲げております。どんなものかがわからないのかわかりませんが、なかなか具体的な検討をしていただくような状況にないんですけれども、まさに今、子どもたちは、ある意味ではSOSを出していて、どこかに相談したい、一人じゃ難しいという状況に陥っているんだと思いますし、それから、もう一点は、例えば、いろいろな提言をしている国連の子どもの権利委員会、子どもの権利条約を批准した国は、そこに三年ごとの報告をして、それについて提言をしたら、それを施策に反映させなければいけないというふうになっているんですが、実はことし、日本の具体的な施策について子どもの権利委員会から提言をされたんですが、じゃ、どんなことをされて、東京都ではどういうような施策に反映をしていくのですかという質問をしましたら、実は、この条約について東京都の中で受け皿がなかった、こんな状況であります。
 私は、こういう問題を考えるときにも、とにかく本当の子どもの声を聞け、それから、子どもの最善の利益を考えてほしいということをずっと申し上げてきておりますけれども、なかなかそこに至らない。大人社会の中だけでの話になってしまうということは、やはり間違いだろうなというふうに思っています。
 ぜひこういう観点から、今回の緊急提言、私も本当に憂えています。そして、ちまたであふれている捨て看やら何かも含めて、また、私の東京の事務所が歌舞伎町というところにありますので、その間を通って毎回通いますと、本当に大変な状況にあります。何でそこを選んだのかなんていわれちゃいそうですけれども、そういう状況にありますから、どこでも目に入ってしまう。宣伝広告なんかは大分少なくなったとはいいながらも、平気で大人社会と子ども社会との区別がつかない、こういう状況が大きな問題点だというふうに思っています。
 ぜひとも、この提言を生かし切れる、そんな具体的な施策を実施していただきたいと思っていますけれども、最後に局長のご意見を伺い、終わりにしたいと思います。

○前川知事本局長 今ご質問にございました、子どもの権利条約あるいは子どもの権利委員会のいっている最善の利益とは何か。これはある意味では当然だろうと思うんですが、子どもの権利の解釈についてはいろいろあるかと思いますけれども、私どもも、そういう意味で、一般的な意味で子どもの最善の利益を図っていくというのは、これは当たり前だろうと思っております。
 そこで、問題は、いつの時代でもそうですが、子どもを自由にしなくちゃいけないという面と、それから、教育、しつけをしなくちゃいけないという面、この二つの兼ね合いをどうとるのかなと。
 私どもがこう見ていて、今、藤田委員のお話にもありましたように、国民の今の、あるいは都民の一般的な感覚として、性的な成熟というのが余り早過ぎる社会というのは好ましくないだろう。それから、露骨な性的な表現に子どもが容易に触れるのもやっぱり好ましくない。そしてまた、ネットとかそういうものを通じて子どもが犯罪に巻き込まれていくのも、これも当然やめさせなくちゃいけない。この辺は共通の認識だろうと思っております。こういう点を踏まえて、そういう中で、子どもが子どもらしく、しかも、ちゃんとしつけを受けながら大人になっていく、これを確保することだろうと。
 私どもの青少年育成総合対策推進本部を中心として、関係各局で十分議論もしながら、そして、当然、当委員会を初め都議会でも十分ご議論いただきながら方向を考えていきたい、こう考えております。

○吉田委員 それでは、知事本局の事務事業全般についての質問の機会を得ることができましたので、私は、知事本局が所管をする事務の一つであります米軍基地対策について、この機会に質問させていただきます。
 米軍基地をめぐっては、ご承知のとおり、沖縄宜野湾市での米軍ヘリの大学への墜落事件など、改めて米軍基地の存在、そして、それがもたらす国民に対する重大な危機ということが浮き彫りになってまいりました。また、そうした事故に対する対応をめぐっても、果たして日本に真に主権があるのかということが浮き彫りになるという事態もあります。さらに、いわゆるトランスフォーメーションといわれている米軍再編というふうな動きがあり、それは、基地を持つ東京にとっても非常に大きな影響をもたらす問題だというふうに考えております。
 そこで、まず、基礎的なことからお伺いをしたいんですが、改めて、この首都東京に存在している米軍の基地、その面積あるいは米軍人数などの概要についてご説明をお願いいたします。

○新行内参事 都内の米軍基地の現状等について、その面積等についてのお尋ねでございますが、東京都内には、横田飛行場、多摩サービス補助施設、硫黄島通信所など計八カ所、総面積約千六百三ヘクタールの米軍基地がございます。また、軍人の数はおよそ三千四百名、軍属というものが約八百五十名でございまして、そのほとんどは横田基地に所属しておるところでございます。

○吉田委員 もう一つ、個々の具体的な話に入る前に確認しておきたいんですが、こうした都内に存在している米軍基地に対して、東京都としてはどのようなスタンスでこの間臨んできたのでしょうか。ご答弁、お願いいたします。

○新行内参事 米軍基地に対する都のスタンスということでございますが、都内に所在します米軍基地につきましては、都民生活の安全を守り、地域のまちづくりを推進するため、整理、縮小、返還の促進を求めることが基本的立場でございます。
 この基本的立場に立ちまして、国に対する提案要求の最重点事項の一つとして米軍基地対策の推進を掲げまして、国にその取り組みを強く求めておるところでございます。特に多摩サービス補助施設につきましては、即時返還を求めており、また横田基地につきましては、返還までの対策として、民間航空との共同使用の促進を求めております。

○吉田委員 今、都民の安全を守る立場から、基本的には、米軍基地の整理、縮小、返還を求めてきたといわれました。
 冒頭述べたとおり、沖縄宜野湾市における米軍普天間基地ヘリの大学への墜落事故というものは、幸い人命に対する影響はありませんでしたけれども、東京のように、赤坂プレスセンターのように市街地にヘリポート基地があるというふうな事態を見れば、決して他人事と受け取ることはできないことだと思うんです。
 聞きましたところ、渉外知事会でこの問題について対応しているということなんですが、私、この機会に聞いておきたいのは、東京周辺における事故がこの間もありました。杉並区内の中学校に、米軍横田基地から赤坂プレスセンターに向かうヘリが、学校のたしかあれは始業式だったか何か、授業をしているときにグラウンドに不時着をするという大変驚く事故がありました。そうしたことは、このいただいた米軍基地の中でも出されているんですが、残念ながら直近の、例えばことしになってどのような航空機事故が発生しているのか、具体的にご説明をお願いしたいんですが。

○新行内参事 ことしになりましてからの都に関連いたしました米軍航空機の事故の状況でございますが、まず、五月六日のC130輸送機の部品落下事故、八月十日のS3バイキングの北硫黄島への墜落事故、八月十九日の横浜のヘリポートへのヘリコプターの緊急着陸、同じく八月二十一日のC130輸送機からのヘルメットの落下事故、そして十一月二日の沼津でのヘリコプターの緊急着陸と、五件発生しております。

○吉田委員 米軍基地の、この冊子に紹介されている、同様の東京周辺の主な米軍航空機事故一覧というものを見ますと、例えば、平成五年から平成十三年の九年間の期間で、ヘリコプターの不時着等の事故は二件なんです。ところが、今ご説明を伺うと、ことし四月以降の八カ月の間で、不時着だけでも二件。さらに、これは横田基地かどうかわかりませんが、硫黄島に墜落する。事故が従来と比べて非常に多発しているということを改めて直視しなきゃならないと思うんです。
 それで、このような事故に対して、東京都としてはどのような対応をこの間とられてきたのか、ご説明をお願いいたします。

○新行内参事 事故に対する対応でございますが、こうした事故が起こるたび、その都度、必要に応じまして、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会として、原因究明や再発防止を求めるなど、国、米軍に強く要請しているところでございます。

○吉田委員 やはり厳しく抗議をする姿勢が大事だと思いますし、同時に、原因究明なんですよね。沖縄のヘリコプターの墜落問題についても、原因究明したところ、今日のイラク情勢と密接な関係があって、かなりきつい作業の中で基礎的な修繕が見落とされていたということがあるんですが、原因究明を求めているということは今ご答弁ありましたが、何かそれについて具体的な報告というものはされたんでしょうか。受けているんでしょうか。

○新行内参事 原因の報告があったか、そういった点についてのご質問でございますが、それぞれの事故につきまして、原因がはっきりしたものにつきましては、東京防衛の方から私どもの方に説明がございました。
 例えば、先ほど申しました五月六日のC130輸送機の部品落下事故、これについては、テールパイプというものをとめていたねじといいますか、そういったものが落ちていた、こういうことのようでございます。あるいはまた、先ほど申しました十一月二日のヘリコプターの緊急着陸というものは、油圧系統のふぐあいといいますか、そういったことによって緊急着陸したというような話は聞いてございます。

○吉田委員 いずれにしても、先ほど述べましたように、わずか八カ月の間に五件も、幸い直接都民への人的な被害はなかったと思いますけれども、これだけ多発をしているということは、改めて、冒頭述べられました整理、縮小、返還ということを東京都として強く働きかけていくことの重要性を私は示していると思うんです。
 次に、具体的な基地の返還の問題について若干立ち入ってお伺いしたいんですが、その一つが、港区の六本木にあります赤坂プレスセンターであります。
 私も現地を先日見に行って、改めて、こんなところにこういう基地があるのかという思いを率直にいって新たにいたしましたが、この赤坂プレスセンターの返還問題で、東京都としてどのような態度をとってきているのか。現在の到達点といいますか、まずご説明していただきたいんですが。

○新行内参事 赤坂プレスセンターの返還にかかわる問題でございますが、これにつきましても、先ほど述べましたように、東京都の基地に対する基本姿勢ということで、整理、縮小、返還の促進を求めておるところでございますので、赤坂プレスセンターについても、この基本的立場は変わらないところでございます。

○吉田委員 先ほどの説明にもありましたし、つい先日発表された国の来年度予算に対する東京都としての提案文書を見ても、基本は整理、縮小、返還だということは明記されています。ただ、その後にわざわざ、特に多摩サービス補助施設は緊急に返還すべきだということを書かれているわけですよね。こういうことになると、赤坂プレスセンターの方は、緊急返還の対象とは東京都は考えていませんよということを逆に表明しているかのような印象を持つわけです。
 多摩サービス補助施設の返還は本当に私も緊急だと思うんですけれども、赤坂プレスセンターの場合は、かつての事態を私は見ていませんから承知していませんが、今の状況というのは、皆さんもご存じのとおり、六本木ヒルズという、六本木に次々と超高層ビルが乱立する、しかも隣には新しい国立美術館がまさに今建設が始まっている。さらに、同じように隣接しているのが政策大学院大学でしたっけ。まさに、そういう文教的な施設あるいはビジネス的な施設と米軍のヘリポート基地が隣接をした状況だということは、これまでも危険性があったんだけれども、今の状況というのはますます、一歩間違えば非常に大きな危険性をはらんでいる。そういう危険性が高まっているという認識は、どうですか、されていませんか。

○新行内参事 今現在の赤坂プレスセンターを過去と比較しまして、その状況に危険性が高まっているかどうかということでございますが、確かにご指摘のとおり、六本木ヒルズという高いビル、あるいは、すぐ隣接いたしまして国立新美術館、政策大学院大学等、建物が建ちつつある、こういう状況は確かでございます。
 さればこそ、私どもとしては、先ほど申しましたように、安全運航等について、国に、あるいは米軍に対して強く求めておるところでございますし、今後そういった事故が起こらないように、私どもも十分国に働きかけてまいりたい、このように思っております。

○吉田委員 ですから、多摩サービス施設の緊急返還を要求することは当然のことなんですけれども、やはり赤坂プレスセンターについても、ある面でいえば、直接人的な危険性という点で見れば、赤坂の危険性というのは非常に高まっていると思いますから、ぜひこれは返還の努力を強められるようにしていただきたいと思うんです。
 もう一つ、この赤坂プレスセンターに関連して、昭和五十八年ですか、米軍と防衛施設庁、そして東京都、当時建設局長が署名をされた、いわゆる道路工事に伴って一時的に拡張した部分については、道路が完成すれば原状に回復するという旨の協定が結ばれていて、既にこの道路事業が終わってからもう十年以上経過しているという状況なんですが、この協定の中身について確認をしたいんですが、ご説明、お願いいたします。

○新行内参事 赤坂プレスセンターに係る都道工事の関係での三者協定ということでございますが、在日米軍施設及び区域の共同使用に関する協定ということで、いわゆる三者協定と申しておりますが、都、東京防衛施設局、米軍の三者による協定でございまして、ご指摘のとおり、昭和五十八年八月に締結されたものでございます。
 中身的には、都市計画街路環状三号線の工事期間中に臨時ヘリポートを整備すること、及び工事完了後にヘリポートを原状回復することなどを定めております。

○吉田委員 その工事完了から十年以上経過しているんですが、原状回復はどのようになっているんでしょうか。

○新行内参事 原状回復につきましては、我々の再三の要望にもかかわらず、今現在できておりません。

○吉田委員 これは港区も含めて再三要望していることだと思うんですけれども、明らかにアメリカ側は協定を遵守していないわけです。
 これに対して、普通だったら、例えば民事裁判を起こすだとか、さまざまな法的な手段も含めて、このようなルール破り、協定違反について対抗するということが当然考えられるわけですけれども、そういうことはこの過程の中で検討されなかったのか。あるいは、もしされたとしても、何か法的な困難さがあったのか。そこはどうなんでしょうか。

○新行内参事 私どもといたしましては、先ほども述べましたとおり、原状回復ということで国に対して求めてきたわけでございますけれども、なかなかその辺の、米軍基地の提供というものが、日米地位協定及びそれに基づきます日米合同委員会での取り決めによりなされる仕組みということで、その実現に当たって課題が多いということでございます。
 原状回復につきましては、ご指摘のとおり、地元港区からの強い要望もございますので、都としても、今後とも引き続き国に強く働きかけてまいりたいと思います。

○吉田委員 もう一度確認したいんですけれども、要するに、地位協定があるために、三者の協定の違反行為が米軍にあったとしても、何らそれに対しては法的な対抗手段なりはとれないということなんですか。地位協定は、米軍の基地については、私、結んでいると思うんですよ。しかし、それは、この臨時ヘリポートで拡大して、それを原状復帰する部分は、通常の地位協定に基づいて基地として提供されている部分とは別だと思うんですけれども、法的に無理なんですか、どうなんですか。

○新行内参事 地位協定、そういった根拠に基づいて施設、区域が提供されているということと、この赤坂プレスセンターの原状回復の問題が難しい、今現在、原状回復ができていないということは別問題でございまして、それはそれで、やはり私どもの方としては、今の状況をできるだけ改善すべく今後とも働きかけていく。これが国の交渉として行われるということでございますので、やはりそこは現状を訴えて働きかけていくというほかはないと思います。

○吉田委員 いずれにしても、十年以上、協定に基づいて、本来ならば原状が回復されなければならない事態がそのまま続けられているということは、やはり異常事態だと思うんですね。もちろん努力はされてきているんでしょうけれども、ただ国、防衛施設庁に要望するだけじゃなくて、もっといろんな、世論を起こすことも含めて、それこそ、私は、この不当な、長期にわたる協定を踏みにじった占有という事態は解決すべきだということを改めて述べておきたいと思うんです。
 次に、多摩サービス補助施設の返還問題なんですが、特別に、多摩サービス補助施設については直ちに返還されるよう必要な措置をとることということで対応されているんですけれども、完全なレクリエーション施設ですよね、キャンプ場、そしてゴルフ場と。面積でいえば、たしか二百ヘクタール程度かと思うんですが、そもそも、軍事施設の関連施設として、首都東京にこんなレクリエーション専門の基地がまた存在しているということも、私はちょっと異常な事態ではないかなと思うんですが、世界的、全国的にこのような例というのはあるものなんですか。

○新行内参事 レクリエーション施設の国内的あるいは世界的な例ということでございますが、国内の米軍の福利厚生施設といたしましては、沖縄県に約五十五ヘクタールの奥間レスト・センターというものがあるということでございます。
 なお、世界的な例ということでございますが、防衛施設庁に問い合わせいたしましたが、承知していないということでございます。

○吉田委員 いずれにしても、沖縄の基地と比べてみても、四倍も広大なレクリエーション施設が米軍によっていまだに占有されているということは、本当に解決が求められると思うんですが、現時点での見通しといいますか、何か目安というものは立っているんですか。もし立っていないとしたら、どういうふうに今後していこうとしているのか、あわせてお願いいたします。

○新行内参事 多摩サービス施設の返還に向けての取り組みについてのお尋ねでございますが、多摩サービス補助施設につきましては、国への提案要求におきまして、最重点事項として、特にその施設名を掲げまして、直ちに返還されるよう必要な措置をとることを求めておるところでございます。同施設は、軍事目的とは関係ないレクリエーション施設でございますので、直ちに全面返還されまして、都民に開放されるべきものと考えております。
 ただ、見通しということでございますが、今現在、国の方で、都のそういった要望を受けて、全面返還に向けて米国と交渉しているということはないようでございまして、私どもも、今後とも引き続き粘り強く国に働きかけてまいりたいと思っています。

○吉田委員 これ、国に働きかけるだけじゃなくて、直接、米軍なり米国に対してアクションは起こされているんでしょうか。横田基地については、ちょっと性格は違いますけれども、そういう行動はされているようなんだけれども、この点はどうですか、米国、米軍そのものに直接的な。

○新行内参事 国に働きかけるだけではなくて、直接米国あるいは米軍にというお尋ねでございますが、こういった日米合同委員会に基づきまして提供されている施設というものにつきましては、その窓口は国ということでございまして、私どもの方は国を窓口として働きかけるということでございます。
 もちろん、私どものいろんな米軍基地とのおつき合いの中で、プライベートな面で情報を交換し合うということはあります。

○吉田委員 もちろん国が基本かもしれませんけれども、例えば、宜野湾市の市長は今回の問題について、米議会に対して証言書というものを提出したというニュースも聞いたんですけれども、これは、公聴会での意見表明と同じ扱いを米議会ではすることができるということなんですが、やはりそういういろんな努力が本当に今求められていると思うんです。もちろん、努力をしていないということをいうわけじゃないんですけれども。
 次に、いわゆる米軍のトランスフォーメーション、英語をわかっていっているわけじゃないんですが、書いてあるからいうんですけれども、米軍再編ということと横田基地の返還問題について若干質疑をさせていただきたいんです。
 この米軍再編の動きというものは、日本の在日米軍基地がどのようになるのか、あるいは、それに関連して、日本の自衛隊との共同がどのように進むのか、非常に大きな意味合いを持っていますし、東京都の整理、縮小、返還という取り組みにも影響をもたらすと思うんです。
 部分的には、情報として、あの基地がこっちに行く、こっちがあっちに行くということはあります、それは極めて不確定だと思うんですが。ただ、全体の方向として、今のアメリカ側の意図というのはどのような方向と特徴を持っているのか、どのように認識しているのか、ご答弁、お願いいたします。

○河島横田基地共用化推進担当部長 米軍再編につきましては、冷戦の終結後、その後の国際情勢を踏まえまして、テロなどの新たな脅威に対応するために、アメリカ政府として、海外に駐留しております米軍の再編を行っていこうとするものであるというふうにいわれております。
 この米軍再編につきましては、ブッシュ大統領が昨年の十一月に、今後、同盟国との協議を本格化させるというふうに発表しておりまして、それが今日の動きにつながっているのではないかというふうに認識しているところでございます。
 今、委員、ご質問の中で述べられていましたとおり、新聞の中ではいろいろな断片情報が出ていまして、我々その都度、国の関係機関の方に問い合わせなどをしたりしておりますが、いずれもそういう情報についてはまだ--新聞で語られているものは、具体的協議の中で正式に提案されたりしているものでは全くない、こういうふうなことで、事実確認が全く今できない、そういう状態でございます。
 自治体といたしましては、一体どうなっているのかということについて、大変不安な状況に今置かれているわけでございまして、都といたしましては、そういった意味で、在日米軍の再編について、地元自治体に多大な影響を与える可能性がある、こういうような認識をしておりまして、この八月には、全国の基地を抱える十四都道県で構成いたします渉外知事会、そして横田基地に関して、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会というものを設置しておりますが、こういった枠組みなども通じまして、政府に対しまして、在日米軍の再編に対する情報提供と、それから、自治体の具体の案を確定する前の事前の意見聴取を要請しているところでございます。

○吉田委員 情報自身は断片的だということは事実だと思うんです。ただ、個々の基地がどこにどうなるかという意味では断片的ですけれども、全体から見れば、この間のアメリカの戦略というものは非常に鮮明であると思うんですよね。中東から北東アジアをいわば不安の弧というふうに位置づけて、それに対する戦略を重視する。アメリカ本土ではなく、日本のような直接最前線となるところでの司令部機能あるいは出撃的な機能を強化する。
 さらに、それとあわせて重大なことは、日本の自衛隊もイラクに今出動しておりますけれども、より積極的に自衛隊をこれと一体化するという方向に進んでいるし、進む危険性というのは、私は高いと思うんです。
 ですから、そういう意味では、情報を求め、また意見の聴取をということだけじゃなくて、基地を抱える渉外知事会がもっと積極的に米軍の再編強化にノーという声を上げる、あるいは、改めて基地の返還という声を一致団結して上げていくということが、今の局面ではより積極的な行動として求められると思うんですが、どうでしょうか。

○河島横田基地共用化推進担当部長 渉外知事会といたしましては、かねてより、毎年、要望の第一番目に米軍基地の整理、縮小、返還を掲げまして国に要請しているところでございますが、さきに渉外知事会が行った緊急要請は、先ほどの答弁でも申し上げましたように、再編に関する報道が先行している状況を踏まえまして、地元自治体への早急な情報提供と、自治体からの事前の意見聴取を求めたものでございます。
 自治体の立場といたしましては、まず、我が国の安全保障を踏まえた在日米軍の再編に関する国の考えを聞きまして、それが自治体や住民へどう影響するかを検討し、その上で関係自治体が必要な対応をとっていくべき、そういうものではないかというふうに考えているところでございます。

○吉田委員 そこで、横田基地の問題をお聞きしたいんですけれども、横田基地の問題も基本は返還だと思うんです。ただ、この間の東京都の対応を見ていますと、あくまでも軍民共用優先という印象があるわけですけれども、肝心の横田基地の返還そのものについてはどのように対応してきているんでしょうか。

○河島横田基地共用化推進担当部長 横田基地につきましては、知事も、第一期目の選挙の公約で返還ということを掲げております。その後、返還ということを将来的に実現する、そういうことには変わりないわけでございますが、より現実的、実践的な対応として、返還までの対策として軍民共用化を目指すということが、より返還を近づける意味でも有効ではないか、こういうようなことで、知事は、軍民共用化を今ぜひ実現していく、そのことによって将来的な返還の実現を図っていく、こんなような考え方で横田への対応をしている。また、今、東京都もそういう形で全体として動いております。
 具体的にどういうことをやっているかということでございますが、国への提案要求の中で、先ほどの新行内参事の方からの答弁にもございましたように、最重点事項として米軍基地の整理、縮小、返還ということを求め、その中で、今申し上げましたように、横田基地につきましては、返還までの対策として軍民共用化を求める、こういうことを強く国に要求しているところでございます。

○吉田委員 返還までの対策といわれましたけれども、返還自身をどのように要望し、取り組んでこられたのかと私は質問したわけなんです。返還そのものが、何かある程度のめどが見えていれば、また、そういう話というのは成り立つと思うんですけれども、私は、現時点で返還の具体的な目安そのものだって決して見えている事態ではないと思いますし、かつまた、周辺の自治体としての一致点というものはやはり返還ということだと思うんです。
 とりわけ今回のトランスフォーメーションの関係で、情報ではありますけれども、横田基地に航空自衛隊の司令部を移設するということになると、かつ、横田基地の米軍完全撤退という方向が情報としてありませんから、最悪の事態になれば、それこそ米軍と自衛隊との軍軍共用というふうな可能性があるかと思うんですが、そういう危険性、可能性についてはどのように認識されているんでしょうか。

○河島横田基地共用化推進担当部長 自衛隊の航空総隊司令部というものが現在、府中にございますが、それが横田基地へ移転するというような新聞報道がなされております。ただ、都の問い合わせに対しましては、先ほども述べましたように、関係の省庁は今、具体的に協議している事実はないという回答に終始しております。
 したがって、現段階で都としてそれに対してどういう対応をするかというのは、やや時期尚早というふうな感がいたしまして、今後とも、情報把握に努め、こういった問題にも適切に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○吉田委員 確定的ではないかもしれませんが、今のアメリカの戦略からすれば、日本の自衛隊を積極的に米軍と一体化して展開できるようにするという方向にあることは、もうこれは明白なことだと思うんですね。そういう意味で、横田基地に航空自衛隊の司令部を移設するという話が出てきているというふうに推察されると思うんです。
 そういう状況だからこそ改めていわせていただきますけれども、私はやはり、新たな事態の中で、かつ、事故などの現実的な推移の中で、アメリカ、米軍に対して、東京に存在している米軍基地の早期返還ということを主張すべきだし、また、そういう立場から全国の基地を持つ県知事とも連携をすべきだし、そのことが、広い意味でいえば、アジアや世界の平和にも通ずる道なんだということを意見として述べさせていただいて、私の質問を終わります。

○中村委員長 お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会

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