総務委員会速記録第十号

平成十六年九月三十日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時六分開議
 出席委員 十二名
委員長土屋たかゆき君
副委員長藤田 愛子君
理事富田 俊正君
理事長橋 桂一君
理事山田 忠昭君
真木  茂君
古館 和憲君
星野 篤功君
大山  均君
橋本辰二郎君
大西 英男君
吉田 信夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
総務局局長赤星 經昭君
危機管理監中村 正彦君
理事馬場 正明君
理事人事部長事務取扱大原 正行君
総務部長大塚 孝一君
行政改革推進室長前田 信弘君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁推進担当部長永田  元君
主席監察員相上 孝司君
行政部長荒川  満君
多摩島しょ振興担当部長清宮眞知子君
三宅島災害復興対策担当部長渋井 信和君
都区制度改革担当部長島  博文君
総合防災部長中村 晶晴君
情報統括担当部長八木 憲彦君
局務担当部長竹内 直佐君
勤労部長志賀 敏和君
法務部長中村 次良君
統計部長須々木亘平君
人権部長和田 正幸君

本日の会議に付した事件
 意見書について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百九十号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十一号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第二百八号議案 地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
報告事項(質疑)
・平成十五年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績 平成十六年度東京都監理団体経営目標の設定状況について
・監理団体改革-東京都における改革の実績と自立に向けた取組の方向性-について
・小笠原諸島振興開発計画(素案)について
・三宅島帰島支援対策について

○土屋委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○土屋委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百九十号議案、第百九十一号議案及び第二百八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○土屋委員長 次に、報告事項、平成十五年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績、平成十六年度東京都監理団体経営目標の設定状況について外三件に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、私は、監理団体改革に関する一連の報告に関してと、小笠原諸島振興開発計画素案、二件について質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、監理団体改革に関する一連の報告に関して質問をいたします。
 我が党は、これまで危機的状況にありました都の財政状況にかんがみ、徹底した行財政改革の必要性を訴えてまいりました。これを踏まえ、石原都知事も就任以降、財政再建推進プラン及び都庁改革アクションプランという大改革を敢然と遂行されてきたわけであります。特に都の外郭団体、すなわち監理団体につきましては、これら行財政改革の重要な柱の一つとして、この間、設立趣旨にまでさかのぼって見直しが進められ、十五年度末までに団体数にして十七団体、都の財政支出にして一千億円弱もの削減が図られたことは大いに評価をするものであります。
 そこで本日は、これまでの監理団体改革によって各団体の経営改善が実際に進んだのかどうかを確認するという視点で、今回報告にありました監理団体経営目標の達成状況を中心に何点かお尋ねをいたします。
 まず経営目標の達成度評価制度の導入目的とその仕組みについて簡単にご説明いただきたいと思います。その上で十五年度の評価結果につきまして、都としてはどう受けとめているのかをまず伺います。

○前田行政改革推進室長 経営目標の達成度評価制度は、団体の経営責任を明確にするということと、目標による管理を徹底するため、成果、財務などに関する経営指標を団体みずからに設定させまして、これを都が評価、公表を行うものでございます。
 この目標達成に向けたインセンティブとして、結果によって役員報酬を増減させる仕組みとなってございます。今回でこの評価、三回目となりますが、十五年度の評価結果では、九〇%以上達成できた団体が全体の七割でございます。前年度は四割でございましたので、三割分増加してございまして、団体の経営改善は着実に進んでいると考えております。

○山田委員 全体の七割の団体が合格というんですか、そういう達成状況であるということでありまして、都としても、総じて良好な結果だったという受けとめ方だと思います。
 それはそれで大変結構なことだと思いますけれども、肝心なのは目標の水準であります。この制度では、目標は団体側がみずから定めておりまして、目標数値が低目に設定されれば、評価はおのずとよい点数になります。逆に積極的な目標を立てて、高い目標を立てた団体につきましては、高い目標に到達しないということによって、厳しい評価結果になってしまうというわけで、そのことは、あるいは団体の間のアンバランスになってしまうのではないかという、そういう感じもするわけでありますけれども、それについて、どうでしょうか。
 経営目標というのは、監理団体の経営改善を着実に前進させるものでなければならないと思います。都の水準をどのように担保しているのか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。

○前田行政改革推進室長 経営目標の設定につきましては、まず団体みずからが設定するということを原則にしてございますけれども、都といたしましても、前年度の実績や翌年度の見込みを精査いたしまして、より一層の経営改善を図るため、その目標の水準が各団体の適切なものとなるよう調整を行っております。

○山田委員 それでは、今回の評価で目標達成とされた団体の中で特に成績が良好であった団体、いわば他の団体の模範となるような、手本となるような団体があれば、具体的にお示しを願いたいと思います。

○前田行政改革推進室長 十五年度の経営目標の達成度で九〇%以上達成した団体の中で、例えば、昨年度よりこれまでの財団から株式会社化を図りました国際フォーラムでございますけれども、積極的な経営を行いまして、初年度の営業利益、経営目標の時点では五千万の赤字と見込んでございましたが、決算では五億五千万という大きく上ぶれした結果を達成してございます。また、住宅供給公社でございますけれども、全国の地方公社としては初めて、公募の債券ですけれども、ダブルAマイナスという格付を取得しまして、自立的な取り組みを行っております。そうした結果、目標を上回る二十三億円の事業利益を十五年度確保しております。

○山田委員 今、二件の例をお答えいただきました。東京国際フォーラムは、当初経営目標が五千万円の赤字が決算では五億五千万円の黒字ということで、大幅な黒字を獲得できたということ、あるいは東京都住宅供給公社においては、目標を上回る二十三億円の余剰利益を上げたということを見ますと、やればできるというような感じもいたしました。監理団体みずからに経営目標を掲げさせて、その評価結果を都民に公表すると同時に、役員の報酬に反映させるというこの制度が、監理団体の自主的な経営改善を促すために有効な方法であるということは理解できました。
 一方、先ほどのご答弁では、安易な目標を設定させないように、東京都としても目を光らせているとのことでありましたけれども、制度というのは一たんつくれば、常に形骸化をしてしまうという危険性を持っております。続けていくうちに経営改善という本来の目的ではなくて、目標をつくることが目的化してしまうということになってもいけません。私は、都と監理団体とは常に一定の緊張関係にあるべきだと考えております。したがって、この制度も随時見直しをしていただいて、厳しく運用していただく必要があると考えます。
 そこで、東京都は本年度から達成度評価制度について改正を行ったということでございますけれども、その概要と改正理由をお示しいただきたいと思います。

○前田行政改革推進室長 評価制度につきましては、これまでの実施経過を踏まえまして、お話にもありましたように、団体の自立設計を一層促進するために、まず、より高い目標に取り組むこと、また、団体ごとの特性に応じた経営改善を図ること、これを主眼としまして、今年度改正を行いました。具体的には、団体の改革の方向性に合わせまして、配点ウエートですが、財務重視型、サービス重視型、複合型というものから選択させるとともに、新たに意欲的な団体は戦略目標というものを設定できるようにいたしました。また、役員報酬で五%増額可能となる場合につきましては、経営目標の達成と同時に戦略目標の達成も条件といたしまして、要件の厳格化を図ったところでございます。

○山田委員 より高いハードルをつくってやっていこうという今回の改正趣旨には賛成をいたします。が、今回の改正の目玉となっております戦略目標というものはどういうものなのか、そのねらいや仕組みなどをもう少し詳しくご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○前田行政改革推進室長 監理団体の経営改善を進めるに当たりまして、これからは団体みずからがより高い目標にチャレンジすると、こういうことを誘導する必要がございます。戦略目標はこうした観点から、各団体が今後の経営戦略を展望しまして、新たな課題あるいは困難な課題に対する団体の主体的、先駆的な取り組みを促進するために目的として導入いたしたものでございます。この戦略目標を設定するかどうかということにつきましては団体の任意でございますが、評価に当たりましては、一般の公表とは別枠に、加点方式、できればプラスをするという方式で評価することとされます。

○山田委員 この戦略目標に対して、今回は二十二の団体がチャレンジしたとのことでございますけれども、そのうちで代表的なものにはどのようなものがあるのか、ご紹介をいただきたいと思います。

○前田行政改革推進室長 十六日の報告で申し上げましたけれども、株式会社国際フォーラムにおける国際音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の誘致などのほか、東京都高齢者研究福祉財団では、その財団が有する介護予防に関するノウハウを他の自治体や民間に提供して展開するという介護予防ビジネスモデルの事業化、また、財団法人東京都公園協会では、民間の資金を公園施設の改良等に充てる、仮称ですけれども、都立公園サポーター基金の設立、また、株式会社東京スタジアムでは、地元と一体となった開業五周年記念イベントの実施を戦略目標として掲げてございます。代表的なものとしては、こういうものがございます。

○山田委員 戦略目標につきましては、達成状況をこのたびご説明いただきましたように、これからも議会に対してぜひご報告をいただければと思います。
 以上、戦略目標に絡めて、監理団体改革について伺ってまいりました。石原都政となって以降、監理団体については大変厳しい改革が行われてきたと思っております。いわば現在ある団体は、その厳しい改革の試練をクリアしてきた団体であると思います。しかし、私は、行政改革というものについては、これでよしという到達点ではなくて、常にその時々の社会経済情勢への対応が求められるものと考えております。まして都の財政状況は、依然として楽観できる状況ではございませんし、監理団体につきましても、不断の見直しが今後も必要であると考えます。と同時に、監理団体は単なる都の受託マシンということではなくて、都からいわれたとおりのことをやっていればいいということではないと思います。今後、自主、自立的な経営を積極的に進めていかなければいけないと思います。
 そこで、最後に総務局長にお尋ねいたしますけれども、監理団体改革はこれで一段落ということではなく、引き続いて強力な取り組みが必要と考えますけれども、今後の改革の方向性と進め方について、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

○赤星総務局長 監理団体でございますけれども、私ども、行政改革の最重要課題の一つとして全力を挙げて取り組んだ結果、先ほども先生からご評価いただきましたけれども、団体数や財政支出など、数値目標につきましては計画を上回って達成することができました。しかし、ご指摘のように、これで監理団体改革が達成されたとは考えておりません。私どもいまだ、まだまだ経営改善が十分でない団体もございますし、依然厳しい都財政の状況を踏まえるならば、より一層の経営改善が必要不可欠でございます。このため、第二次都庁改革アクションプランに掲げました都の財政支出四百五十億円削減などの数値目標の達成に向けまして、引き続き改善を進めてまいります。
 また、先生ご指摘のように、監理団体みずからが改革の必要性を認識し、意欲を持って取り組むことが最も重要であると思います。都といたしましては、今後とも経営目標の達成評価制度の充実を初め、団体の改革に向けた取り組みを強化してまいります。

○山田委員 どうもありがとうございました。
 次に、小笠原諸島振興開発計画素案についてお伺いいたします。
 小笠原諸島は第二次世界大戦中、島民の方たちが強制的に本土へと移住させられ、その後四半世紀にわたって帰島できなかった歴史を有しております。昭和四十三年の復帰当初は、住宅や道路や上下水道など生活に必要な設備もなかったそうでありますけれども、島民や村の方々の努力の結果、あるいは国や東京都などの関係機関の協力を得て復興を続けた結果、今日におきましては、二千人を超える島民の方が暮らしているということでございます。
 一方、小笠原は世界じゅうのダイバーがあこがれる美しい海に囲まれまして、ホエールウオッチングやマリンスポーツなどが盛んなところでもあります。島の産業は、何といってもこのような観光業が中心と思われます。観光客がふえることによって島内の消費が進み、また、観光客が会えた小笠原のよさや特産品などが全国に広がっていくと私は期待いたしております。
 私は、このように観光は島内産業の育成にとって大変大事な柱となるものであると考えます。そこで、小笠原の観光につきまして、観光客の現状と課題についてまずお尋ねいたします。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 観光客の現状でございますが、平成十五年度の小笠原諸島の観光客数は、父島と母島の両方合わせまして約二万二千人となってございます。特徴としましては、二十歳代から三十歳代の青年層が中心であること、東京を中心とした関東地方からの観光客が大半を占めていること、季節は春先の三、四月と夏のシーズンの七月、八月に集中していることなどが挙げられます。
 このように訪れる季節や年齢に偏りがあることなどが観光振興上の課題ともなっております。

○山田委員 今ご説明をいただきましたけれども、小笠原諸島には平成十五年に約二万二千人の観光客が来島しております。しかし、その多くが春休みとか、あるいは夏休み中の二十代の若者だと思います。私はこうした点を改善していくことが、今後の小笠原を訪れる観光客をふやす上で大変重要であると思います。
 しかしながら、書店に行きまして、旅行のガイドブックのコーナーを見ますと、他の離島に関する資料はございますけれども、小笠原諸島に関するガイドブックというものはまだ少ないというのが現状であると思います。今後、国内、海外の観光地などの競争の中で、小笠原の観光客をふやすことが本当に可能なのかどうか、私は懸念するところであります。
 そこで、お尋ねをしますけれども、今後どのように観光客の増加を目指すのか、その取り組みをお尋ねいたしたいと思います。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 観光客の増加の取り組みについてお答えいたします。
 来年にはテクノスーパーライナーの就航が予定されています。東京-父島間の所要時間が約二十五時間半から十七時間に短縮され、就航回数もふえるなど、交通アクセスの向上が図られる予定でございます。計画素案では、引き続き東京都版エコツーリズムを推進するとともに、最大の地域資源である恵まれた自然を生かした観光振興に取り組んでまいります。
 また、観光客の増加に対応するため、小笠原村が取り組む宿泊施設の増改修などの受け入れ体制の充実や、若者だけでなく、ファミリー層や高齢者にも楽しんでもらえるよう、新たな観光ルートの開発を行ってまいります。さらに、首都圏のみでなく、多様な地域から小笠原を訪れてもらえるよう、国内外に対してPRの強化を図り、小笠原諸島の観光情報を広く発信、提供してまいります。

○山田委員 小笠原諸島には小笠原諸島でしか見られない動植物や、あるいはすぐれた景観というのがあります。訪れる人々に対する魅力や神秘を教えてくれる、そのような小笠原諸島であります。しかしながら、観光に偏った振興開発ばかりでは、こうした都民の貴重な財産でもあります小笠原諸島の観光資源としての重要な自然が観光客によって損なわれるなどの悪影響があってもいけません。その点についても心配をするところであります。
 自然の保護と観光との両立は、古くから尾瀬や上高地などの観光地で課題となってまいりました。観光客が増加することは喜ばしいことでありますけれども、小笠原諸島の自然の保全を図りながら、どのような観光振興を行っていくのか、その方策をお尋ねいたしたいと思います。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 小笠原諸島の貴重な自然環境の保全を図るため、平成十五年度から東京都版エコツーリズムを実施しているところでございます。例えば南島と母島の石門地域では、決められた通路以外の地域への立ち入りを禁止するとともに、利用できる時期や時間、一日当たりの利用人数を制限してございます。また、東京都が認定した自然ガイドの同行を義務づけ、適正な利用を指導してございます。今後、こうした東京都版エコツーリズムを小笠原村とも協力して、さらに推進してまいります。
 また、観光客の増加に結びつけていくため、小笠原諸島の存在をインターネットなどを活用し、日本はもとより世界に発信してまいります。さらに、道路や河川工事の際の既存樹木の保全や自然石による護岸整備など、小笠原らしいまちづくりを進めてまいります。
 このようにして観光振興と自然の保全の両立を図ってまいります。

○山田委員 それでは、最後に、このたび東京都が公表いたしました素案は、この秋には計画として決定される予定であると聞いております。この計画の策定が小笠原諸島の新たな発展のスタートとなって、今後、小笠原諸島がその持てる能力を十分に発揮をして、地域の活性化と自立的発展への実現とつながっていくよう、都としても積極的な取り組みをぜひ期待をしたいと思います。それを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○富田委員 私は、三宅島の帰島支援対策と監理団体改革の二点についてお伺いをさせていただきます。
 初めに、三宅島帰島支援対策についてお伺いをさせていただきます。
 都議会民主党は、九月十四日、石原知事に対して、三宅島島民の一斉帰島に対する申し入れを行い、福永副知事、赤星総務局長、渋井三宅島災害復興対策担当部長と懇談をさせていただいたところでございます。そのことを踏まえて、三点の確認をさせていただきたいと思っております。
 全島避難から四年が経過をして、ようやく来年二月に避難指示が解除され、三宅島島民の一斉帰島が実現することになったわけですが、三宅島島内の様子はといえば、東京都のこれまでの取り組みにより島内のインフラは整備されつつありますが、島民の住宅や産業基盤は荒れ果てて、火山ガスの放出も続いており、避難指示が解除され、帰島しても生活が成り立つのか、不安と戸惑いがあることは否めません。島民が将来への希望を持ち、安心して帰島できるよう、東京都としても三宅村に協力をし、考え得る施策を早急に実現し、万全の対策を講じられるよう要望するものでございます。
 火山ガス対策等の安全対策、居住場所の確保、教育施設の復旧、生産基盤施設の整備など、三宅島帰島プログラム準備検討会報告書に盛られた各種施策を着実に実施することが肝要であると考えております。東京都のこのことの認識について、まずお伺いをさせていただきます。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 三宅島帰島プログラム準備検討会報告書は、帰島に際しての課題や対策について検討したものでございまして、その中で、各種対策の準備を遅滞なく進めることと提言されております。都といたしましては、この提言を踏まえまして、本年五月にこのプログラムを各局が事業計画として具体化するための調整、また、都の全体計画として取りまとめ及び計画実施の進行管理を行うために、各局の企画担当課長をメンバーといたしまして、三宅島災害復興連絡会議を設置いたしまして、報告書に盛られた取り組みに対する全庁的な体制を整えました。さらに、本年七月二十日の三宅村における帰島方針の決定後は、村民の帰島への取り組みを支援するために、直ちに副知事を本部長といたします東京都三宅島帰島支援対策本部を設置いたしまして、各局の支援事業を取りまとめ、去る九月十七日には平成十六年度の都の緊急支援事業として実施を決定いたしました。今後とも国や村とも連携しながら、三宅島帰島緊急支援事業を着実に実施をしてまいります。

○富田委員 阪神・淡路大震災、直近では新潟の集中豪雨など復旧を見ますと、行政の支援だけでは対応し切れない課題も多くありまして、ボランティアの活力の導入などが不可欠だといえるというふうに思います。
 三宅島におきましても、噴火直後の降灰の除去などにボランティアが活躍したことは記憶に新しいものがあります。多くの都民の中には、社会貢献を考えて、三宅島島民のために働きたいと考えられる方も多くあるかというふうに思います。しかし、三宅島は周囲を海で囲われており、宿泊場所や食事などの確保も容易でなく、希望するだれでもがウエルカムといえない状況にあるのも事実だというふうに思います。
 ボランティアの受け入れについては、三宅村との協議のもと、居住場所の確保、生活環境の整備など、ボランティアの受け入れにかかわる指針を定め、内外に周知徹底するとともに、その受け入れ体制を整備することが必要だと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 住民の帰島に当たりましては、高齢者に対する支援などの分野でボランティアの役割が期待されておりますが、三宅島は離島であることに加えまして、いまだ火山ガスの放出が続いております。ボランティアを迎えるに当たりましては、このようなことを考えながら慎重な対応が求められております。
 村の帰島計画におきましては、ボランティアについては、村と社会福祉協議会が中心となりまして、受け入れ窓口対応や活動調整等を行うというふうにされております。現在、三宅村では、ボランティアを受け入れるに当たりましての基本的な考え方を取りまとめておりまして、都といたしましても、村の基本的な考え方を踏まえまして、生活文化局を窓口といたしまして村を支援し、協力してまいりたいというふうに考えております。

○富田委員 いざ帰島となりましても、全島避難以前の生活へ戻ることは容易でないことが想像されます。まずは住居一つをとっても、家財道具の搬入から始まり、生活環境を整えることも大変でございます。一たん落ちつけば、今度は生活費の確保策としての第一次産業の復活と雇用の課題が生じてまいります。さらには、子どもの教育の問題など、その時点時点で課題も変化するとともに多様化するわけでございます。こうした島民の課題につきまして、きめ細かく、かつ柔軟に対応することが必要となります。三宅島民が避難していた多くの自治体では、三宅村だけでは対応し切れないさまざまな事柄について、行政ならではの手を差し伸べてきた実態がございまして、帰島開始後も引き続き、しばらく避難生活を続ける方々に対するケアをと考えている自治体や、自治体に働く労働組合などもあります。こうした支援の輪を柔軟に活用することが必要だと思います。避難指示解除後に都内で生活する三宅村の相談体制の整備はどうなっているのでしょうか、お伺いをさせていただきます。
 また、避難指示解除後、六カ月以内である生活再開期まで、帰島する意思がありながら、その期間内に帰島するまで都内に残って生活する三宅村島民に対して、都内の各市町村が側面支援するという場合も考えられるかというふうに思います。都が必要に応じて、三宅村と当該区市町村との連絡調整を行うことが必要だと思いますが、この点についても都の見解をお伺いさせていただきます。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 帰島する意思のない村民につきましては、避難指示解除後におきましては、新たに生活の本拠地となる自治体の住民となることが原則というふうにされております。一方、避難指示解除後は三宅村役場の機能は、都内に連絡事務所だけを残しまして、三宅島に移されていくことになりますので、都内に残った三宅村村民の相談業務につきましては、この三宅村連絡事務所が対応することになるというふうに聞いております。
 また、住宅が再建中であるなどの特別な理由によりまして、避難指示解除後から生活再建期までの六カ月の間に帰島する意思がある三宅村村民につきまして、期間いっぱい都内に残って生活をするということも考えられます。都内で生活するこのような三宅村の村民に対しましては、都内の区市町村が側面支援を行うような場合には、都といたしまして、必要に応じて三宅村と当該区市町村との連絡調整などを行って支援をしてまいりたいというふうに考えております。

○富田委員 三宅村の帰島は、石原知事がいうように、三宅村の判断を尊重したもので、かつ島民みずからの判断で行うことが原則であると思います。しかし、三宅村だけでは到底なし得ない事業であることも事実でありまして、ボランティアの活動の場をしっかりと構築することや各自治体との協力などが相まって、安心して帰島ができ、生活再建ができるものと思います。その意味でも、東京都が果たすべき役割は大きいと思っております。取りまとめ局としての総務局の活躍に期待するとともに、我が会派としてもしっかりと応援をさせていただきたいというふうに思っております。
 続いて、監理団体改革についてお伺いをさせていただきます。
 今回報告がありました監理団体経営目標の達成状況に関連し、これまでも私が取り上げてまいりました東京都交響楽団の問題について、総括の意味を込めまして質問させていただきたいと思います。
 都響については、いわゆる契約楽員制度の導入に関して、都議会の付帯決議を踏まえ、現在も労使協議が続いているわけですが、その一方で、楽員の夏のボーナスがやっとこの九月になって支給されるという事態が生じています。これは、財団の財政状況が厳しいことから、楽員の夏のボーナスについては所定の五〇%を支給するとした事務局の提案をめぐって労使間で交渉が行われていたもので、最終的には暫定的に六五%を支給するということでおおむね了解を得られたということでございます。
 私は、都響といえども、独立した法人である以上、財政状況によっては職員の給与が影響を受けることは一定程度やむ得ないものと思いますが、これまでも補助金のカットや、これに伴う人員や給与の削減を受け入れてきた楽員とすれば、今後、演奏活動に専念していく上で、財団経営に不安、不信を感じるのももっとももだというふうに思います。事実、今回のボーナス交渉の中でも楽員から、経営状況の開示や支給率引き上げにかかわる財源確保策の提示を求める意見が出されたと聞いています。
 私は、契約楽員制度にかかわる一連の問題を円滑に解決するためには、その前提として都響が自立的、安定的な経営を確立すること、そしてそのための抜本的な改革やビジョンについて、事務局と楽員とが一体となって検討していくことがまず必要であるというふうに考えます。
 そこで、以上のような観点から、四点にわたってお伺いをさせていただきます。
 平成十五年度の経営目標の達成状況では、都響は達成率が七五%未満であるという達成不十分の団体と評価されているようですが、具体的にどのような目標がクリアできずにこの低評価となったのか、お伺いをさせていただきます。

○前田行政改革推進室長 平成十五年度の東京都交響楽団の経営目標の達成率が低かった理由でございますが、演奏会の入場者数、それから、自主公演におけます有料入場率、あるいは演奏事業等の事業収支など、主に事業の成果とか財務に関する指標が目標に届かなかったことによるものでございます。

○富田委員 オーケストラの経営上重要な指標が目標に届かなかったということですが、都響の現状や課題を明らかにするために、もう少し掘り下げてお伺いをさせていただきます。
 今ご答弁のあった有料入場者率は具体的に何%だったのか、さらに、演奏事業の収支について、例えば自主公演一回当たり収支はどうなっているのか。また一方で、都からの補助金は幾らで、全収入に対する割合はどの程度なのか、お教えいただきたいと思います。

○前田行政改革推進室長 まず自主公演の有料入場率、これは全客席数に対しまして、お金を払って聞きにいらっしゃった方の割合でございますけれども、十五年度六八%でございました。また、自主公演一回当たりの収支につきましては、楽員の方の人件費を除いても平均で約百五十二万円の赤字となってございます。さらに、東京都からの補助金ですけれども、人件費等を対象としまして、約十億円を受け入れておりまして、財団全体の収入の五八%となってございます。

○富田委員 お聞きしたお話を要約するとすれば、都響の演奏は全体の七割程度しかチケットが売れないため、開催するごとに百五十二万円ずつ赤字が膨らむ構造になっており、その結果、収入の六割を都からの補助金に頼らざるを得ないという状況になっているといったところでしょうか。
 このような経営体質のままでは、都の補助金の動向いかんによっては、今後もまた楽員数や給与の見直しが必要になるおそれがないとはいい切れません。一定の補助金の確保は前提としつつも、都からの補助金のみに依存しない体質へ改善をしていく必要性があるというふうに思います。これは契約楽員制度を入れれば済むといった問題ではなく、したがって、都響の改革については、単に楽員の給与制度見直しだけの問題に矮小化すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

○前田行政改革推進室長 補助金に過度に依存することなく、自立的な経営を確保していくということがすべての監理団体に求められておりまして、お話にもありましたように、東京都交響楽団もこの観点からさらに経営改善を進めていく必要がございます。したがいまして、この改革に当たりましては、楽員の給与制度等の見直しはもとより、営業努力による収入増の取り組みなどを幅広く検討して、明確なビジョンのもとに実施していくということが重要であると考えております。

○富田委員 楽員の皆様も都響の発展のためならば、方法は別としても、給与制度を見直していくことをすべて否定されているわけではございません。ただし、その前提として、楽団の今後の運営のあり方、経営改革の道筋が明確に示されることを強く求めているわけでございます。
 そこで、伺います。監理団体改革を進める総務局として、今後の都響改革の方向性をどのように考えているのか、また、そのための具体的な方策としてどのようなものが考えられるのか、例示で構いませんが、お示しをいただきたいと思います。

○前田行政改革推進室長 都響改革の柱は、これまでも本委員会で当局が申し上げてまいりましたが、経営の自立、プロの楽団としての質の向上、都民に顔の見えるオーケストラ、交響楽団の三点でございます。そのためには、営業広報活動の積極化や企業協賛の充実等によって財団の経営基盤の確立を図るとともに、楽団の演奏の質をさらに向上させ、都民の期待にこたえるということが必要であります。また、民間から理事長を迎え入れ、民間のノウハウの導入を図っていくということも必要であると考えております。
 以上の観点から、今後さらに改革が進められるよう、所管の教育庁とともに団体を指導してまいりたいと思います。

○富田委員 ただいま都響について、都の指導のもと、総合的、抜本的な改革を進めていくとの力強い答弁をいただきました。私は、楽員の質の向上、都響の地位向上のためならば、楽員の皆さんの意見を十分に聞いた上で、公務員に準拠した現在の給与制度をプロのオーケストラにふさわしいものへと改革していくことは否定はいたしません。しかし、そのためには、さきの答弁にもありました積極的な営業、宣伝活動、協賛金の獲得など経営改革を実施し、安定した財政基盤を築くことがその前提条件です。また、都響は、有料の演奏活動のほかにも、小中学生のための音楽鑑賞教室、障害者のためのふれあいコンサート、施設、病院への出前コンサートなど多様な活動を行っており、音楽芸術の普及という楽団の使命を積極的に果たしていくためには、今後も都からの一定の補助金は必要でございます。しかも、過去、補助金の削減に伴って、楽員数や給与削減が実施されてきた経過を踏まえれば、都響に対する補助金は当面予算のマイナスシーリングの対象外とし、楽員が安心して都響改革に協力できる環境をつくることが契約楽員制度をめぐる問題の円滑な解決につながるのではないかと考えるものでございます。都の指導、支援のもとに都響改革がよい方向に進められ、楽員の皆さんが安心して演奏活動に専念できるようになることを切にお願いして、私からの質問を終わります。
 これをもって総務委員会の質問は一たん終止符を打つということになりますが、土屋委員長の公平、公正な委員会運営に感謝を申し上げ、また、皆様方にも同じく感謝申し上げて、私の質問ということにさせていただきます。
 ありがとうございました。

○長橋委員 今、富田理事からもお話ありました。私も総務委員会の質疑をここで締めくくらせていただきますけれども、私の方からは、監理団体改革、その実績と取り組みの方向、それから、三宅島村民の帰島支援対策について、二つについてお伺いをしたいと思います。
 まず監理団体改革でございますけれども、その方向性ということで、これについては、平成十二年の十一月に監理団体改革実施計画が策定され、そのもとに今、山田理事の質問にありましたとおり、着実に取り組みをし、その目標を上回る実績を残されてきたわけでございますけれども、これが平成十二年から十五年の計画であったわけでございます。石原知事が平成十一年四月に都知事に就任されて、監理団体改革、早速取り組みをされたわけでございます。今回の冊子の中にも、平成十一年七月に監理団体総点検の実施を決定したと。八月にはプロジェクトチームをつくり、平成十一年十二月には東京の問題を考える会、特に監理団体については外郭団体専門部会を設置した。そういう流れを通して、平成十二年十一月に監理団体改革実施計画が策定されたわけでございます。そして、策定に当たっては、今お話ししました東京の問題を考える懇談会、アサヒビールの樋口名誉会長を座長にして画期的な実施計画が策定されたわけでございます。
 そして、今回、監理団体改革の取り組みの方向性を見ますと、冒頭に本書を作成した趣旨が四つ書かれております。その中の一番目に、監理団体改革への取り組みとこれまでの実績を都民に明らかにすること、二番目に、他団体に監理団体改革を広く普及していく、三番目に、民間との比較、課題、それから四番目に、提言というようなことで書かれているわけでございます。
 まず初めに、今回の実施計画を明らかにするということでございますけれども、今回の策定に当たっては、第一弾目の監理団体改革実施計画においては、樋口会長等の民間のご意見を参考に取り入れたわけでございますけれども、今回の取り組みの方向性については、都民の評価、外部の方の評価をどのように反映して考えているのか、お伺いいたします。

○前田行政改革推進室長 監理団体改革は、都の行政改革の柱の一つでございまして、十二年から十五年までの計画期間終了後、その成果を速やかに都民に明らかにすることは重要と考えております。この冊子「監理団体改革」は、改革の実績と成果を取りまとめ、図表、グラフ等を活用して、都民にわかりやすく示しましたいわば白書としての性格も有しております。今回の発表によりまして、これから都民の理解と評価をいただくことになるというふうに考えております。

○長橋委員 そうしますと、今回の冊子「監理団体改革」、白書という性格であるので、これから都民の方の評価を得るということでお話がありましたので、その評価について、わかりましたら、またお知らせいただきたいと思います。
 次に、昨年の十一月に第二次都庁アクションプランを作成しましたけれども、その中で監理団体改革について触れられておるわけでございます。第二次都庁アクションプランの中における監理団体改革については、一つは現状と課題、二番目に改革の方針と、こういう中身になっております。
 そこで、アクションプランに示された監理団体改革と今回の監理団体改革の取り組みの関係についてお伺いしたいと思います。

○前田行政改革推進室長 第二次都庁改革アクションプランは、全庁的な行財政システムの改革に関する実施計画として、十五年度から十八年度までに取り組むべき具体的な改革策を掲げてございます。この中で監理団体の改革につきましても数値目標を掲げ、具体的な実施施策、それから、実施年度を定めてございます。
 今回報告した冊子の策定もそこに掲げた施策の一つでございまして、アクションプランに掲げた改革をより実効性を持って進めていくため、これまでの改革の実績や具体的な取り組みを明らかにしまして、今後の各団体における改革に生かすということも目的にしてございます。

○長橋委員 アクションプランに示された内容をより具体的に、さらにどう活用していくかということが今回の監理団体改革であるかと思います。
 そこでまた戻るんですが、今回本書を作成した趣旨、四つのうちの二番目、ここには、東京都や監理団体の具体的な取り組みを他団体に広く普及していくというのがねらいの二つ目に書かれております。よく読みますと、一つは、東京都の監理団体改革の取り組みをどう普及していくのか、もう一つは、監理団体の具体的な取り組みをどう他団体に広く普及していくのか。
 私も本書を読ませていただきまして、監理団体改革の実績は大変すばらしいものがありますし、評価をするわけでございます。特にそれぞれの監理団体、それぞれ経営目標を掲げて、職員一同知恵を出しながらの改革、また、活用がされてきているわけですけれども、私も先日、老人総合研究所に視察に行ってまいりました。介護予防におきましては、国を上回るノウハウと大変先進的な取り組みをされているのを見まして、老人総合研究所の成果といいますか、ノウハウをもっともっと生かすべきではないかなと、こういうふうに思ったわけでございますし、また、医学研究機構、私も審議委員をさせていただきました。非常に高度な、また、非常に先進的な研究をされている。難しいことは、医学のことなので私もわかりませんでしたけれども、これをもっともっと普及すべきじゃないのかな、こういうふうに思ったわけで、そういった意味で、今後監理団体の改革とあわせて、それをほかの団体にどう生かしていくのか、都と監理団体、それぞれお知らせいただきたいと思います。

○前田行政改革推進室長 今回の冊子の策定趣旨の一つは、今お話もいただきましたように、監理団体改革実施計画の計画期間終了を節目といたしまして、この間の都や各団体の具体的取り組みと成果を取りまとめまして、監理団体相互やその他の団体に広く普及し、その改革に生かすことにございます。このため、各団体の先駆的取り組み事例を、冊子の巻末になりますが詳しく紹介するとともに、各監理団体はもとより、他の道府県、政令市等に冊子を送付したところでございます。また、インターネットのホームページでも公開し、広く閲覧に供してございます。
 また、介護予防技術のお話をちょうだいしましたが、こうした監理団体が持つすぐれたノウハウを生かして新たな事業を展開することは、都民サービスの向上に資するものでございます。都としても、すぐれたノウハウが広く活用されるよう、各団体の一層の取り組みを促してまいります。

○長橋委員 本書の第4章に他都市における外郭団体の取り組みということで、東京都は任意に調査を行って、他県、他都市(道府県、政令市)における取り組み状況を調査した、そしてその比較検討を行ったというふうにあります。外郭団体に関する改革の実績、ここにおいても、他都市に比較して、東京都がさまざまな改革、例えば団体数、役員数、職員数等、財政支出も含めて道府県の平均を上回る改革をなし遂げてきた、こういうふうに書いてあります。
 そして、あわせて、他都市との取り組みの比較を調査したということは、他都市において、東京都にはない先駆的な取り組みがされているところもあるんじゃなかろうかという意味で調査をしたのではないかと思うわけでございます。それもきちっと書いてあります。その中には、外部専門家を活用した外郭団体の経営評価をやっているところがあるとか、それから、共同作業、共同研究、また、人事交流をやっている中で監理団体改革を進めているところもある、こういうふうに記載をされております。
 そこで、他都市、他団体における先駆的な取り組みをどのように東京都は取り入れていくのか、お伺いいたします。

○前田行政改革推進室長 冊子では、都がこれまで進めてまいりました監理団体改革の実績と成果を明らかにするために、団体数や財政支出などの指標につきまして、他の道府県、政令市の取り組みとの比較を行うとともに、今お話しありましたように他都市が行った先駆的な事例を調査し、紹介しております。このような先駆的な事例のうち、必要なものについては、なお詳細な情報の収集に努めまして、今後の改革の参考にしてまいりたいと考えます。

○長橋委員 今回の冊子、前半は実績が書いてあるわけですけれども、それは自己評価ということであったわけですけれども、他都市との比較もして、東京都の監理団体改革はどうだったか検証をされているということで、東京都がこれだけ監理団体改革をやったということがこの冊子、恐らく他県、他都市にもお知らせしてやっているかと思いますし、また、東京都も、ほかのところで先駆的な取り組みがあるということはわかったわけでありますので、ぜひそういったものは積極的に取り入れて進めていただきたいと思います。
 次に、今後の課題、そして、提言の中で書いてありますけれども、ここに大きく指定管理者制度の導入、そして公益法人制度の見直しと、制度の導入に当たって、さらに監理団体改革を進めていかなければならない、こういうふうに書かれているわけでございます。指定管理者制度が導入されることによって、民間事業者、民間企業、NPO、そういった団体との厳しい競争に監理団体はさらされるわけでございます。平成十八年の九月に導入、九月ということですから、平成十八年の四月にはどこに委託をするか決めるということになると思います。そうすると、平成十七年度じゅうに決めなければならない、こういうふうになりますし、十七年度じゅうに公募がされるということになるわけであると思います。
 そうしますと、民間事業者との比較検討、この「監理団体改革」の中にも料金の問題とか、時間設定の問題等、民間はこういうところは工夫しているよというふうにも書かれているわけでありますけれども、この監理団体改革、指定管理者制度が導入されるに当たりまして、平成十七年度は民間事業者に負けないような、また、上回る、そういった改革を進めていただかないと、このように思うわけでございますけども、民間事業者、NPOと比較検討するということになるかと思いますけども、どのように行っていくのか、お伺いいたします。

○前田行政改革推進室長 指定管理者制度は、多様化する都民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、広く民間のノウハウを活用しつつ、サービスの向上とともに経費の節減を図るということを目的としてございます。監理団体は、この制度のもとで民間事業者と競い合うことになりますが、これまでの実績に加えまして、民間事業者が提供するサービスの内容やコストの管理、市場動向等を十分に研究し、みずからのサービス改善、コストの低減などを図る必要がございます。こうして競争力を高めて、事業者の公募に当たって提案をしていくと、こういうことが必要になると考えております。

○長橋委員 ぜひ民間がさまざま運営している施設等をもう一度検証して、都にはない細かなサービスをやっているところもあるかと思いますので、ぜひそれを上回る監理団体の改革を進めていただきたいと思います。
 次に、民間企業、NPOとの競争とあわせて、ここには連携、活用ということも書かれております。共同提案もするというようなことも書かれておりますので、具体的に共同提案になった場合には、中身はケースとしてメリットはどういうものがあるのか、お伺いをいたします。

○前田行政改革推進室長 指定管理者の選定に当たりましては、団体の管理能力あるいは管理コストなどのほかに、いかに充実したサービスを提供できるかというのが重要な要件になります。監理団体は、これまでの実績を通じて、豊富なノウハウを持っておりますけれども、事業の性質や状況によっては、これに加えまして、施設管理や顧客サービスなどにすぐれた人材や能力を持っています民間事業者やNPOと連携することによりまして、一層充実したサービスの提供を図ることができるようになると、このように考えております。

○長橋委員 最後に、監理団体改革についてお伺いいたしますが、山田理事からもお話しありましたとおり、今までは経営目標ということで進めてきたわけですけれども、今回プラスして戦略的目標を加えたと、こういうふうに書かれております。今話した時代の流れの中で、民間との競い合いの中で、ただ単にコストの削減、人員の削減、組織の統廃合というだけではなくて、サービスの向上やさらなる先駆的な取り組みを行うと、さらに監理団体改革をもっと活用していこうと、こういうことを戦略的目標の中に掲げるのではないかと思うわけでございます。
 しかしながら、時代の大きな流れの中で、民間事業者との競合の中で、競い合っていく中にあって、自立に向けての努力をさらに引き続きしていかなければならないと思うわけでありますけれども、どうしても都民から見ると、お役所の仕事というのはなかなかスピードがない、こういうふうに見られがちでございます。東京都がさまざま取り組んできたものについて、後で話しますけれども、三宅島については早速手を打っていただいた緊急支援事業等もありますし、そうでないところもあるわけですけれども、やはり監理団体改革、戦略目標とあわせて、スピードということが改革の重要な視点であるかと思います。そういったことで、ぜひスピード感覚を持って、時代を先取りするような取り組みをぜひお願いいたしたいと思いますが、ご意見をお願いします。

○前田行政改革推進室長 監理団体改革につきましては、職員数や財政支出の削減など計画を上回って達成してまいりました。しかし、冊子で民間との比較を行っておりますとおり、今後、民間事業者と競い合っていく上では、なお改革が必要な面が多くございます。
 一方、監理団体を取り巻く環境は急速に変化しております。現状に甘んじれば時代に取り残されてしまいます。大切なのは、監理団体みずからが改革の必要性を認識し、意欲を持って取り組むことでございまして、ご指摘のとおり、スピードを重視してみずからの経営改革を進めていかなければなりません。都といたしましても、総務局が所管局と密接な連携をとりまして、監理団体が行う改革の取り組みを指導、支援してまいります。

○長橋委員 監理団体改革、それぞれの団体は各所管局にあるわけでございますけれども、今、前田室長がお話しになったとおり、総務局がリーダーシップをとって、赤星局長が監理団体改革のリーダーであるかと思います、ぜひ強力に各局に監理団体改革の進展について、リーダーシップを発揮していただきたい、このようにお願いして、三宅島の帰島支援についてお伺いしたいと思います。
 三宅島村民の帰島について、本年七月に三宅村長が避難指示を解除して、明年二月を目途に一斉帰島を行うと、こういうふうに発表したわけでございます。これを受けて、我が党も七月には小泉首相に要望書を出しましたし、九月六日には三宅島帰島準備事業に早急に取り組めということで、石原知事あてにも要望書を出しましたし、また、九月十七、十八日、私も総務委員会で視察に行かせていただきましたけれども、我が党としても、国会議員も連れて、三宅島に都議会の代表を含めて視察させていただきました。特に、知事に対する緊急要望を行ったところ、早速、都は三宅島緊急支援事業を発表されまして、約百五十億、こういった素早い対応に高く評価いたしますし、また、感謝するわけでございます。
 しかしながら、緊急支援事業の中の生活基盤施設の整備に約十五億示されているんですが、ここには三つありますけれども、漁港災害復旧、漁港整備事業、漁港基盤施設応急復旧、こういうことですべて漁港の整備のみになっているわけでございます。いわゆる農業者、農地復旧だとか農道復旧などの事業がこの緊急支援事業には入っていないわけであります。噴火による降灰、土壌の酸性化等、大変に農地も荒れているわけでございます。資料をもらいましたが、三宅村のそれぞれ産業別の就業人口を見ますと、これは国勢調査のあれなので古いわけですけれども、農業は二百十九人、漁業は七十八人、農業の方が三倍ぐらい従事者は多いわけでございます。そういった意味で、緊急支援事業に農地復旧を含めた農業に対する支援というのが入らなかった理由についてお伺いいたします。

○竹内局務担当部長 農業は、帰島後においても三宅島の基幹産業の一つであると十分に認識しております。農地の復旧が重要であるとも考えております。帰島後に農業を再開するに当たっては、まずそれに先立って、住宅の復旧など居住の安定を確保することが必要であると考えております。その後に行われます農地復旧事業につきましては、三宅村が速やかに取り組めるよう、都は既に国に対し災害復旧の早期査定を働きかけております。

○長橋委員 農地復旧事業等についても、都は国に対しても早期査定を働きかけているということでございますので、そうしますと、三宅村が九月十七日に帰島計画を発表されたわけであります。そこに生産基盤施設の整備ということで載っております。ここにはきちっと農地復旧、農道復旧等、漁業も含めて基盤整備が書かれているわけであります。そして帰島計画について、九月十八、十九日、住民説明会を開いた。新聞によりますと、さまざまなご意見があって、非常に帰島に対する不安というのがここでいろんなご意見として出たと、こういうふうに新聞にも書いてありました。
 ところが、農業者意向調査というのを既に村としてやっているわけですね。農業者意向調査、帰島計画を発表する前に、住民説明会をする前に農業者の方々に意向調査をされているわけです。農業者意向調査が行われたのは、この日付だと八月十六日になっておりますけれども、返送期間が八月二十六日になっているわけです。この内容を見ますと、避難前の農業はどうだったんですかと、そして次に、営農の再開、帰って農業をしますかと、こういう質問、そしてあとは、農地の復旧、災害復旧を希望される方は今後受け付けを予定している農地災害復旧実施申請書を提出する必要がありますと、こう書かれて、申請しますかどうしますか、こういう意向調査をされているわけでありますけれども、島民にとって、帰って、自分が畑を耕していた、これがもう一回無事に、将来にわたって、すぐにじゃないけれども、きちっとまた農業ができるのかどうか。こういう不安の中で、帰島計画も発表される前に、説明会も発表される前にどうしますかと聞かれても、島民の方は、もちろん帰ってもう一回農業をやりたいと。だけれども、帰った後どれだけ村として、都として、国として支援があるのかということがわからないうちに、これはなかなかお答えできないんじゃないかと。八月十六日にいって八月二十六日、わずか十日間の間にお答えをくださいと、こういっているわけでありますけれども、いわれた方は大変に困ったのではないかなと、こういうふうに思うわけであります。
 帰島計画を発表する前にこういった意向調査をしたということは、農地をどれだけ復旧するかというのは、この意向調査に基づいて、何人の方が帰って農業を再開したいとかということを把握しなければ、今お答えになった農地復旧計画が立てられないと思うわけであります。ところが逆転しているということがおかしいのではないかと私は思うわけでありますので、それはどのように認識されているのか、お伺いいたします。

○竹内局務担当部長 いろいろな考え方があるんだと思います。私は土木という技術を担当しておりますので、土木の技術の場合には、現地、現場で起こった現実の課題を個別、具体的に対応するというような思考回路を持っております。そういう意味でいきますと、具体的な意向調査を初めにやって、それで帰島計画を立てていくというのが本来の姿かなと、僕自身はそういうふうに考えております。
 ただし、今回の場合には火山ガスがあるということで、かなり微妙な問題があったということで、村の中で非常に議論があったと思います。村長がそういうことで、七月二十日の村の方針を出した後に、八月に農民の方々に意向調査をやったんだろうというふうに思います。
 帰島後の営農再開の意向につきましては、三宅村は去る八月に、先生おっしゃったとおり、農業者の意向調査を行い、その結果を踏まえて住民説明会を開催したところでございます。現在、村はより詳細に意向を把握するため、農業再開に向けた農地の具体的な復旧箇所の把握と農地復旧事業の国の災害査定を受けるのに必要な復旧計画書の作成のため、農業者から農地復旧申請書の受け付けを行っているところです。こういうことを踏まえて今後対応していくことになりますけれども、都は今後とも、農業の再開を希望する農業者の農地復旧が早期に進むよう、三宅村の取り組みを支援してまいります。

○長橋委員 意向調査返送期間が八月二十六日になって、書類的には意向調査は二十六日までとなっているわけですけれども、恐らく実際は集まっていないと思いますし、今お話のあったとおり、引き続き意向調査については行っていくと、こういうことでよろしいわけですね。この意向調査というのが今後の三宅島支援、農業者の方々の判断の大きな材料になるわけで、帰って農業をしたいというような支援計画をきちっと都も村も含めて明らかにして意向調査を引き続き行っていただきたいと、こういうふうに思うわけであります。
 次に、帰って、農業の再開には大変時間がかかるわけであります。私も地元の方にお伺いしましたら、三宅島は焼畑農業を伝統的にやってきていると。私は農業をやったことがないので、詳しくはわかりませんけれども、オオバヤシャブシという木が非常に有効で、畑を耕すに当たって、根粒菌というのが非常に効果があると聞いておりまして、農業再開には時間がかかる、帰ってすぐには農業ができない。これに対して、本会議の代表質問でも答弁がありました。我が党も質問させていただきました。大変すばらしい答弁があって、帰農者の就労の確保も視野に、火山灰及び雑木の除去や酸性土壌の改良などに取り組んでいくと。農民の方々も就労して、そうやって雇用の確保を図りながら、農業再開に向けていくと、こういうことでございます。そういった意味で、非常に勇気づけられた答弁だったと思いますし、ただし、今、冒頭話したとおり、時間がかかるわけでございますので、帰って農業で収入が得られるまで、ぜひ就労事業を続けていただきたいと思うわけですけれども、ご意見をお願いします。

○竹内局務担当部長 農地の復旧は道路や治山ダムなどの復旧工事と性格が異なっております。実際に農地を営んだことのある農業者が経験や知識を生かして、再開後の営農形態に適するよう実施することが重要であると考えております。このため、農地を所有する三宅村の農業者が農地復旧事業の従事者として雇用されるよう、村、関係各局と連携し、取り組んでまいりたいと思います。

○長橋委員 雇用されるよう取り組んでいくのではなくて、雇用し、さらに支援をしていくと、こういう答弁が欲しかったんですけれども、ぜひお願いをいたします。
 最後に、農業についてお話を聞いてきたわけでありますけれども、その他、三宅島に帰島できるにもかかわらず、例えば火山ガスの影響で居住禁止となった高濃度地区の村民から私のところに、都営住宅に引き続き居住できないかという相談も来ておりますし、また、特別養護老人ホームもぜひとも早期再開をしていただきたい、こういう声も来ております。
 これは撮った写真ですけれども、三宅島の高濃度地区の住宅、これだけ荒れ果てているわけで、とても住めるような状況じゃないわけです。それから、今話した特養老人ホーム、これはボイラーのところです。ボイラーがこうなってしまっていると、もう使えないと、早く再開してもらいたいと。場所も含めてどうするのか。それから、総務委員会の皆さんは視察に行ったので見てきたわけですけれども、こういった島の状況になっているということで、こういうものを見ますと、さまざまな課題があるかと思うわけであります。
 特に都営住宅については、お話だけしますが、三宅村の住居はガス高度地区にあり、居住禁止となった場合には三カ月間猶予すると、一時使用を継続すると、こういうふうにやっていただいて、都営住宅についても早速手を打っていただいたわけですけれども、条件として、帰島を断念した世帯のうち、高濃度地区とありますので、高濃度地区でも、今は帰ったら体の影響があるわけで帰れないけれども、断念はしていない、断念はしたくない、ぜひ帰りたい、こういう方もたくさんいらっしゃるわけで、ぜひこういったことも配慮をお願いしたいと思います。
 そういうことで、これから島民の方々が新たなスタートを切れるようにするために、この間の住民説明会を聞いても、本当に村へ帰って新たにスタートが切れるんだろうか、こういう不安は依然として残っているわけであります。我が党も質問で都独自の支援策をぜひお願いしたい、それに対して前向きなご答弁もあったわけでございます。帰島支援本部、赤星局長は副本部長という大事な立場でございますので、ぜひリーダーシップをとって新たなスタートが切れるよう、関係各局に働きかけて--赤星局長のリーダーシップに期待をするわけでございます。局長、ぜひご決意をお願いいたします。

○赤星総務局長 三宅島の噴火災害は、村民が四年以上もの長期にわたって避難生活を余儀なくされたという、過去に例のない災害でございます。東京都は、平成十二年の全島避難以来、四年間にわたりまして、道路、砂防ダムの整備やライフラインの整備、避難生活への支援など、ハード、ソフト両面にわたり支援に全力を挙げてまいりました。また、本年七月には三宅村におけます帰島方針の決定後に、村の帰島への支援取り組みを支援するため、直ちに東京都三宅島帰島支援対策本部を立ち上げました。各局の支援事業を取りまとめ、先ほど申し上げました、去る九月十七日には帰島に備えました平成十六年度中に都が実施する緊急支援事業を決定したわけでございますが、ご承知のように、この間四年間、私どもの職員、東京都総務局だけでございませんが、そして村に赴任された職員が、現地でまだまだガスが放出される中、これらの仕事に積極的に取り組んでまいりました。また、八月には既に東京都の職員、女性二人を含む二十二人がこのガスの中に赴任しております。全力を挙げてこの仕事に当たっていただいて、これらの職員に私も感謝いたしますし、こういう職員を持てたということは、総務局としても誇りに思っております。
 先生ご指摘の生活再建支援につきましては、自助努力を基本といたしますけれども、国の被災者生活再建支援制度を初めとする既存の制度を十分に活用しながら進められるものと考えておりますけれども、三宅村民に対する都独自の新たな支援制度の創設につきましても、所管局でございます福祉保健局と緊密な連携を図りながら、適切に対応してまいります。
 今後とも、帰島支援対策本部の事務局を預かる者といたしまして、来年二月には三宅村民が円滑に無事帰島できるよう、関係各局だけでなく、国や三宅村とも連携しながら、職員とともに必要な調整を行い、帰島に向けた取り組みを全力で支援してまいります。

○長橋委員 以上で質問は終わるわけですが、今、赤星局長からお話があったとおり、火山ガスの中で職員も大変な思いをして復旧支援に当たられていると。火山ガスの影響で体調も崩されたという職員もいらっしゃる中で、一生懸命三宅島帰島の方々のためにご努力されていることを最大限感謝し、そして、さらに今ご決意もありましたとおり、赤星局長、関係各局、そして国、村とのかなめのところでございますので、さらにご努力をいただくようお願いしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○古館委員 それでは、最初に、簡潔に小笠原諸島の振興開発計画素案についてお尋ねします。
 特別地方ということになっていますが、改正内容について最初に簡単にお答えいただきたいと思います。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 今回の改正の主な内容でございますが、第一に法律の目的に、小笠原諸島の自立的発展に資することの追加でございます。第二に、国内及び国外の地域との交流の促進に関する事項及び小笠原諸島の振興開発に寄与する人材の育成に関する事項の追加でございます。第三に、これまでの振興開発計画は、都が作成した案をもとに国が振興開発計画を策定しましたが、今回は国が基本方針を定め、都は小笠原村が作成した計画案の内容をできる限り反映させるよう努め、国の同意を得て策定するものでございます。

○古館委員 今、大変大事なことをいわれたと思います。今回の場合、国が基本方針を定めるんですが、小笠原村が計画案を作成しというところが新たな方向として出されてきているということで、小笠原村並びに村議会の意向というのがきっと反映されていくのではないかと思っているんですが、その点での策定の経過について、ここに書かれているような方向で小笠原村の方からも計画の概要案が出されて、それが生きてきているということで私ども解釈してよろしいんでしょうか。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 今回の策定の経過でございますが、ことしの五月二十八日に国土交通省が小笠原諸島振興開発基本方針をまとめ、六月十六日には小笠原村が振興開発計画案を都に提出いたしました。都は、小笠原村の計画案を受けまして、振興開発計画案の内容を検討しまして、八月二十六日に自然環境の保全と観光振興の両立による自立的発展を目指すことを基本理念としました計画素案を公表したところでございます。

○古館委員 改めて聞きますけど、島の自立的な発展ということがたびたびいわれているし、この文言にも書かれているんですが、島の自立的発展という意味合いについて、もう一回お答えいただきたいと思います。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 自立的発展という文言のことでございますが、小笠原諸島振興開発特別措置法第一条の目的に記載されているものでございます。この法律に基づく今回の東京都の素案におきましても、先ほど申し上げました自然環境の保全と観光振興の両立による自立的発展を目指すということを基本理念といたしております。その実現のために、施策の方向としまして、エコツーリズムを機軸とした島内産業の振興やテクノスーパーライナーの就航を契機とした観光客数の増加を目指すことなどということを考えてございます。

○古館委員 これは後で意見とさせていただきますけれども、今の島の自立的な発展という意味合いなんですけれども、自然と観光ですよね。そういうことでとても大事なのは、そこに住んでいる小笠原諸島のいわゆる村民の人たちが生活しやすい、よい環境の中で生活すると。観光産業だとかいろんなことをやろうとしても、それがベースになければだめだというふうに私は思うんですね。
 どうしてかというと、特に小笠原村の場合は要望なんかにも、それから、この計画書の案の中にも出されているんですけれども、医療とか福祉のことだとか--医療なんかは父島の診療所の建てかえとかという形で、例えば観光客が行った場合でも医療施設がきっちりしていないと、なかなか観光に行こうというふうにもならないとかですね。だから、そういう意味でいうと、自然と観光という場合には、そこに住んでいる人たちが本当に住みやすくて、そこが基本になって初めて観光客もたくさん行くんじゃないかなというふうに思いますので、そのことは押さえながら、今後も村の意向にしっかりと根差した計画になるように、この問題は要望させていただきたいと思います。
 私は、主として、これから三宅の問題について質問させていただきます。
 ご承知のとおり、三宅村が来年二月をもって噴火災害による避難指示を解除して帰島の方向を定めたことは、島民にとっては待ちに待った朗報だというふうに思っています。私も本当にうれしく思っています。しかし、三宅島民の現実というのは、先ほども局長おっしゃっていましたけれども、海を隔てた遠隔地で、四年にわたって長期避難を余儀なくされて、心身ともに枯渇してきているというのが現実だと思います。実際に村が開いた村民への説明会、これは私も直接聞かせていただきました。ある女性は、避難生活で蓄えを使い果たしてしまった、夫の年金だけでは生活できません、生活の支援をぜひお願いします。また、ある男性は、家屋の修繕に二、三百万円かかる、農業も漁業も帰島後すぐには収入にならない、生活の糧をどのように得たらいいのかなど、せっぱ詰まった声がたくさん寄せられておりました。
 今、最も行政がしなければならないことは、気力を振り絞って帰島しようとしている島民に対して、都として生活支援を含めた効果的な援護策を積極的に行うことだと確信しています。そうしてこそ自己責任が全うできるんだろう、私はこのように思っています。災害史上でも前例のない噴火災害は、島民に何の責任もありません。ふるさとの島で暮らしてきた人たちが帰島を願うのは身勝手ではなくて、当然の思いだと思います。
 今、史上空前の災害に苦闘している島民が現実にいて、その中で火山などの災害と闘いながら自然の恵みを生かして共生して、そしてそこで定住の地を広げて、かけがえのないふるさと三宅村を再び再生させよう、こういうときにやっぱり行政の責任というのが問われているんじゃないかと思います。
 こうした立場から、私たち日本共産党都議団は、九月九日に知事に対して、三宅島災害復興と帰島支援のための緊急要望を行いました。各党もそれぞれ申し入れを行ったわけでありますけれども、我が党はインフラの整備だけではなくて、帰島に当たっての生活支援、住宅の再建、高齢者の帰島支援、産業の復興と雇用の確保、未帰島者への生活支援、三宅村への支援など、二十七項目にわたって申し入れをさせていただきました。これらは三宅島民の切実な声をもとに緊急要望としてまとめたもので、赤星総務局長や渋井部長がそろって対応していただき、島民が帰島を決めたので全力で応援する、こういう力強い言葉も受けました。これらを前提として、きょうはその中の何点かに絞ってお尋ねしたいと思います。
 まず国の被災者生活再建支援金についてであります。
 国の被災者生活再建支援金につきましては、本年四月から適用される分について、避難指示等が解除されないまま三年以上避難し、その解除後二年以内に従前居住地に戻る場合には、長期避難世帯の特例として七十万円支給されることとなりました。しかし、長期避難世帯の特例は、被災者生活再建支援法に定められている年齢とか収入等の支給条件によって支援が受けられません。ただ、二〇〇〇年の十一月支給のときには、この問題について都が特別の配慮をしていただいたということも大変特筆すべきことだったと思います。
 そこで、七十万円という額を東京都独自の制度で増額するとともに、所得制限及び年齢制限によって国の被災者生活再建支援金が支給されない村民に対して、都として独自に支援すべきであると考えますけれども、いかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 村民の生活の再建につきましては、みずからの生活はみずからの努力で再建していくという自助努力を基本といたしまして、公助といたしまして、国の被災者生活再建支援制度を初めとする既存の制度を活用しながら進めていくべきものというふうに考えております。

○古館委員 今までずっと聞いた言葉がずっと並んだんですけれども、私は、こういう中でもどういうふうにしたら本当に島民を後押しできるかという、こういう考えに立った支援が一番求められていると思うんですね。その際に、年齢でもって決めて、それ以上年齢が達したりするとだめだとかということではなくて、やっぱり年齢制限だけでも取り払うとか、そういう弾力的な運用、どういうふうにしたら本当により島民に支援できるような手だてが出るかというようなことも考えていただきたいと思うんですけど、その点についてはいかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 ただいまも申し上げましたが、村民の生活の再建につきましては、自助努力を基本といたしまして、それに加えて公助といたしまして、国の被災者生活再建支援制度を初めとするさまざまな既存の制度ございますので、そういったものを活用しながら村民の生活再建を進めていくべきであるというふうに考えております。

○古館委員 この問題は引き続き、私ども、さらなる拡充についても皆さんに提案もしていきたいと思いますし、島民の皆さんと一緒にそうした方向性で頑張っていきたいと思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
 次に、住宅支援についてお聞きしたいと思います。
 本年四月から、生活再建支援法に定められている年齢と収入等の支給条件に応じて、住宅の被害状況によって、全壊世帯には長期避難世帯特例分を含めて二百万円限度に支給される、これは国の制度ですが、居住安定支援制度というのがあります。しかし、この制度は、家屋の解体費、撤去費、それからローンの利子などが対象でありまして、住宅本体には使えないこととされております。東京都独自の制度でぜひ増額をしてほしい。それと同時に、所得制限及び年齢制限により国の支援金が支給されないこととなる村民に対しても、都として独自に支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 ただいまも申し上げましたが、住宅再建も含めまして、村民の生活の再建につきましては、公助といたしまして国の被災者生活再建制度を初めとしまして、既存のさまざまな制度を活用しながら進めていきたいというふうに考えております。
 村民の生活の再建につきましては、先ほど総務局長がお答えいたしましたが、今後、関係局である福祉保健局などと密接な連携を図りながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。

○古館委員 今の住宅の問題で、ちょっと続いてお聞きしたいと思うんですけれども、我が党はこれまでも何度も質問もして求めてきたのが、住宅の再建のときの支援なんですね。長期の避難生活の中で、本格的に手をかけることがままならなかったんですね。四年余にわたって島に行けなかったんですから。その場合の全壊、半壊などの被害を受けた島民の住宅の支援、この再建支援、建て直しとか改修などの支援を都としてぜひ決断していただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 今回の三宅島の噴火災害につきましては、ただいまお話がありましたとおり、村民が四年以上の長期にわたりまして避難生活を余儀なくされているという過去に例がない災害でございまして、住宅等の生活基盤も甚大な被害を被っていることは事実でございます。そういったことを含めまして、村民の生活再建につきましては、先ほど申し上げましたとおり、関係局と緊密な連携をとりながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。

○古館委員 今のご答弁と先ほどの答弁なんですけれど、この問題についてもうちょっとお聞きしたいと思います。
 先ほどの答弁では、私の質問は、国の生活再建支援法によって住宅の解体、撤去費などが所得制限や年齢制限で外されてしまう村民への都の独自支援を求めたことに対しての答弁だったんですね。どういう答弁だったかというと、今後、関係局と緊密な連携を図って適切に対応していく。問題はこの意味合いなんですね。すなわち、今後、関係局と緊密な連携を図って適切に対応していく、このご答弁。私は今の答弁を聞きまして、直近の私の質問の答弁、質問はどういう質問だったかというと、住宅を改修したり建て直す費用を都が独自に支援すべきだというふうに求めたことに対して、ここでもやはり関係局と緊密な連携を図って適切に対応していく。先ほどの答弁というのは、法に基づいて適切に対応されるべきだという、法に基づく対応ということが先ほどまでいわれたんですけれども、ここではちょっと意味合いが違って、住宅の建てかえ費用の問題も含めてですが、関係局と緊密な連携を図って適切に対応していく、私はここに非常に大事な部分が含まれているというふうに考えています。住宅の撤去などの費用の都としての上乗せや横出し、さらに住宅の建てかえや改修費用での都としての支援策についてのご答弁だというふうに私は理解しています。すなわち、住宅の撤去、建てかえなどへの都としての独自支援などについて、適切な対応をしていくという意味合いを持ったものと理解をしてよろしいんでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 私が先ほどお答えしたのは、村民の生活再建についてということでございまして、村民の生活再建全般につきまして、今後適切に対応していきたいというふうに考えております。

○古館委員 私は改めて、これ以上いいませんけれども、私が最初に村民の経済的な生活支援のことを聞きました。改めて同じ生活支援制度の中でも建物に対して聞いたときには、二度同じように、この問題については、適切な対応、つまり関係局と連携をしてと。私は、これ以上いいませんけれども、そこの持つ意味合いというのは極めて重要なご答弁だというふうに理解しております。そういう点でも、ぜひ積極的で前向きな東京都としての支援についてご検討いただければ、このように思っているところです。
 同時に、国に対して、先ほど述べました生活再建支援法に基づく支援制度の居住安定制度についてですけれども、これは家屋の建てかえ、改修にも使えるように--先ほど私はいいました、国の居住安定制度は実はローンの利子を返すとか、それから、撤去だとか、そういう費用には使えるんだけれども、建てかえだとかには使えないんです。同じ居住安定制度というのは国に制度としてあるんですから、これは建てかえとか改修にも使えるように、私は拡充を国に求めるべきだというふうに思いますけど、この点についていかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先ほど私が先生の質問にお答えしたのは、建物の損壊だとか全壊ということではなくて、村民の生活再建についてということでございますので、その点お断りしておきます。
 ただいまの質問でございますが、国における居住安定制度におきましては、住宅本体に対する建てかえや改修経費が支給対象として認められていないと、こういった点につきましては、ただいま先生ご指摘のとおり、必ずしも十分な制度とはいえないというふうに考えておりますが、今回の法改正に当たりましては、知事会等におきまして、さまざまな議論を経た上で合意をされ、決定したものでございまして、従来の制度よりは前進したものというふうに考えております。

○古館委員 そういうことについて一歩前進ということは私も認めます。ただし、この問題について、せっかくそこまでちゃんとした制度として二百万円までとなっているんですから、単なる撤去だとかそういうようなものだけに限定しないで、それが建てかえに回っていく、こういうようなことを引き続いて求めていくということが本来あるべき姿だと思っています。
 鳥取県にしても、あるいは私この間、福井県にあの大水害の視察に行ってまいりました。そこで西川知事は、住宅再建の支援、やっぱりそこに県民が住んでいて本来のまちだという立場から、今回の災害対策は、被災者の立場に立ち、本県として可能な限りの災害対策を実施すること、対策を早期に実行して復旧を目に見える形で実現する、こういう立場から全壊した世帯に対して、建てかえ費用として四百万円、半壊世帯で二百万円、こういう支給を臨時県議会を開いて決定しました。
 福井県ではそれだけじゃないんですね。越前漆器とか越前和紙、この伝統工芸品の産地被害に対しても、より踏み込んで、一件当たり三百万円を限度に、これは直接の一部助成です。こういうことにも踏み切りました。しかも、中小企業への融資ですけれども、十年は返済は猶予しますよ、十年間で返してくださいと。東京都の融資制度と見たら雲泥の違いです。こういうふうにして、やっぱりそこに住んでいる人がいるからこそまちなのであって、そういう対応を今、東京都としてはしなきゃならないんじゃないかというふうに私は思っているところであります。
 ですから、そういう点でも、先ほどいろいろと生活の再建についていったんだとおっしゃいましたけれども、住こそが基本なんですよ。そこに住む、だから、村営住宅だってすごいお金を出すでしょう。それはそれで結構です。だけど、同時に、そういう村営住宅にたくさんの費用をかける。自前でもって自分は何とかしてそこに家を再建させたい、こういう人に対して支援を考えるというのは当然のことじゃありませんか。私はその点でもぜひとも前向きな検討を心からお願い申し上げたいと思います。
 次に、火山ガスの噴出という特別な状況を考慮した場合に、空気清浄の有効性が既に検証されている脱硫装置活用をどうするかが重要になっています。
 去る十八、十九日の三宅住民説明会でも、個人の住宅については、高感受性者を有する世帯に限って、脱硫装置の設置を村が支援することとされています。就寝後、風向きが変わり、知らないうちに個人の住宅が火山ガスに覆われ、高濃度状態になることもあり得る、こういうことが考えられるんですね。一式四十五万円ほどで脱硫装置は設置可能です。すべての住宅に脱硫装置を設置すべきだし、そのための東京都として必要な支援をぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中村総合防災部長 三宅村の火山ガスの状況や村民の意向、安全確保対策などを総合的に判断の上、帰島を決定し、今月には帰島計画を定めたところでございます。この計画では、場所によって火山ガス濃度の違いがあるため、立入禁止区域、危険区域、高濃度地区を定め、居住を禁止し、その上で火山ガスからの安全確保として高感受性者世帯に対する脱硫装置の設置だけでなく、監視観測体制の整備や情報伝達、避難体制の整備など、総合的に対応するとしております。
 こうした総合的な対応が必要であると考えております。都といたしましても、帰島計画に基づく村の安全対策を促進してまいります。

○古館委員 ぜひこの点は、一戸に機械的にということを私はいいません。ただ、例えばそういうふうに求める人がいたならば、どういうふうにしたら脱硫装置なんかが設置できるかということでも、ぜひ真剣な検討をしてほしいと思っています。
 さらに、公共施設については、不特定多数の村民が集まる場所であって、すべての公共施設について脱硫装置を設置すべきじゃないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○中村総合防災部長 公共施設でございますが、既に脱硫装置が設置されている診療所のほか、今後三宅村等では、小中学校など必要な施設に脱硫装置の設置を予定しております。このほか、島内には勤労福祉会館を初めとした十八カ所の防災関係者用クリーンハウスに脱硫装置が設置されております。火山ガスからの安全確保につきましては、ただいま申し上げましたように、監視観測体制や情報伝達、避難体制の整備など、総合的に対応していくことが必要だと考えております。

○古館委員 この点でも引き続いて、村や島民等の声もよく聞きながら、脱硫装置の有効性というのは、この間もマスコミでも取り上げられていましたから。さっき私いいましたけれども、寝ているときには風向きなんてわからないんですよね。そういう状況の中で風向きが変わると、そういう場合だってあるわけで、私はぜひその点でも、それこそ真剣に検討してほしいと。
 先ほどお話ししましたが、去る九日に我が党都議団が知事に対して行った三宅島災害復興と帰島支援のための緊急要望の中で、東京都は産業の復興と雇用の確保についても要望させていただきました。その中で中長期の展望を持った三宅島産業復興計画をぜひ策定して、次の世代を担う島民が展望を持って帰島できるようにということを要望させていただきました。
 その要望の内容は、産業の復興のために農地の堆積土砂や降灰の除去などによる森林や農業の復興、漁業災害に向けた冷蔵倉庫や荷さばき場などの漁業関係施設の整備、二百海里漁業や栽培漁業などの漁業の開拓などの産業復興に対する支援を積極的に行っていくべきである、こういうふうに提案させていただきました。この具体化を強く求めたいと思いますけど、いかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 去る十七日に東京都は、森林復旧のための枯損木対策や漁業基盤施設の復旧など、こういったものを含めまして、三宅島帰島緊急支援事業を実施していくことを決定いたしました。また、農業では、農家の営農再開の意向を踏まえ、火山灰や雑木の除去、酸性化土壌の改良などに取り組んでいくことを考えております。
 都といたしましては、今後とも三宅島の災害復興に対しまして、必要な支援を行ってまいります。

○古館委員 その場合に、村民を優先的に雇用するという点についてはいかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 村民が自立した生活を営んでいくためには、村民がみずから就労いたしまして所得を得ていくということが、生活の再建にとっては大変重要でございます。このため、帰島後当面の間におきましては、島内で実施される災害復旧事業や産業基盤の整備事業等に積極的に島民を雇用するなど、村民の就労の場の確保に努めてまいります。

○古館委員 その点はぜひ積極的にお願いしたいと思います。
 最後に、さまざまな事情によって帰島を断念せざるを得ない島民についてですが、避難指示解除をもって被災者支援を打ち切らないことも強い要求となっています。
 実は、住民説明会の中でもこういう声がありました。子どももあと一年で中学を卒業する、何とか子どもが卒業するまでは東京にいたいと訴える島民がおりました。この島民も、今のままだと来年二月の避難指示解除後、原則三カ月までの期間延長とする、この都の方針に率直にいって戸惑いを隠しておりませんでした。期間を一年間延長して、その間に帰島を判断できるようにすべきだ、こういう声も島民連絡会の会長からじかに住民説明会の会場で上げられておりました。
 先ほど私は一番先に、生活再建支援の国の制度のことをいいましたが、あれは二年間という期間になっているんですね。それで最高七十万円の補助。つまり国の制度の猶予期間というのは二年間なんです。ところが都営住宅は三カ月。つまり国の制度でもどれぐらいをスパンで考えるかというと、二年間。ですから、そういう点でいえば、三カ月という短い期間、全体で六カ月ですけれども、この延長というのは非常に切実な声だし、国のそういう制度なんかの考え方も勘案すれば、もっと大幅に延長してもよろしい、こういうふうに私は思っています。
 都営住宅の継続入居と家賃減免、さらには生活扶助などの施策については、生活が再建できるまで従前の支援を大幅に延ばして、施策の継続が図られるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○中村総合防災部長 島民の避難生活は、避難指示の解除をもって終了いたします。このため、避難生活の支援としての住宅の提供等につきましては、これをもって原則として終了することとなります。村の帰島計画では、避難指示解除後三カ月以内に村民が引っ越しをするという本格帰島期としております。都といたしましては、本格的な帰島期に特別な事情のために帰島できない世帯につきましては、さらに三カ月を限度として都営住宅等の無償使用を延長したところでございます。その他につきましては、今申し上げたとおり、原則として終了することとなると思います。

○古館委員 それだけですか。つまりそういう意味で、例えばさっきいったように、一年間は子どもさんの学業だとか、そういうケースだとかさまざまなケースについて相談に乗る、あるいはそういうことに対しての積極的な援助や対応、こういうことも当然あってしかるべきじゃありませんか。その点についていかがですか。

○中村総合防災部長 村の方といたしましては、事情があって帰島されない村民の方につきましては、さまざまな相談を受けるということになっております。支援策といたしましては、ただいま申し上げましたように、避難に伴う支援ということと帰島に伴う支援ということで考えておりますので、個々の事情でお残りになる方々につきましては、村が相談を受けながら各自で判断していただくということになろうかと思います。

○古館委員 その場合でも東京都はちゃんと支援の対応をするということでよろしいんですか。

○中村総合防災部長 今お話しの件でございますが、都営住宅等の所管につきましては、都市整備局でございますので、ご趣旨につきましてはお伝えしたいというふうに思っています。

○古館委員 最後に、先ほど局長も、四年余にわたる三宅での、その点については私も率直に認めているところです。皆さんの努力についてもね。ただ、その場合に、やはり一番そこで困っている、それから、それこそ行政の援助が欲しいといっているのは島民なんですよね。そこを外さないで、先ほどの住宅再建の問題もありますし、生活問題もありますし、さまざまなことについて、積極的な支援を、それこそ今、大事な時期ですから、全力を挙げて支援をしてもらいたいと、そのことを最後に強調させていただいて、私の質問を終わります。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先ほど古館先生の方から福井県の四百万というお話ございましたので、誤解のないように私の方から若干補足的に説明させていただきますが、現在、福井県の制度につきましては、私どもも資料を取り寄せて調べております。私どもの現在の調査の段階ですと、四百万は確かに四百万なんですが、これはあくまでも国の制度が活用できる方については、国の制度の三百万を活用した上で四百万ということで、残り百万円になります。残り百万円につきまして、福井県で二分の一の五十万、福井県の中の市町村で残りの四分の一、それから、残りの四分の一は個人負担ということで、金額で申しますと、福井県が五十万、市が二十五万、個人が二十五万というふうな負担になっておりまして、県で負担するのは、国の制度の対象になっている方については、県は五十万円しか負担しないというのが現在の私どもの調査結果でございます。

○土屋委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時十三分開議

○土屋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○藤田委員 三つの報告がありまして、少しずつですけれども、それぞれについて質問させていただきたいと思っています。
 まず、小笠原の問題でございます。
 振興開発計画の素案が出されておりまして、丁寧におやりになっていること、よくわかりますけれども、私たちの仲間が、台風がありまして一週間ほど延びた中で、ことしの夏に小笠原に行ってまいりました。その中で、いろいろ見聞きしたことから少しお話を伺わせていただきたいと思っています。
 昨年五月に、国の世界自然遺産候補地に関する検討会に小笠原が手を挙げようと候補地の一つとされたわけですけれども、残念ながら、惜しくも指定をされませんでした。理由は、動植物ともに外来種がはびこっていて、なかなか難しいという状況でございました。そして、東京都では、移入種の駆除と在来種の保護に本格的に取り組み始めているわけですけれども、アカギやモクマオウなどの樹木やノヤギ、ノネズミ、アノールトカゲといった移入種の生き物退治が非常に難しいというような状況になっているようでございます。そして、この駆除に対して、実際には環境省が関与していないといいますか、国、都、村の連携が非常に必要だというふうに思っているわけなんですが、この連携性について、そして環境省の問題はどんなふうになっているのかをまず伺いたいと思います。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 小笠原の土地は、国有地と都有地、村有地、民有地などがございまして、例えばアカギの駆除について申し上げますれば、それぞれの所有者であります国と都、村などが連携して行っているところでございます。小笠原の土地の約七割が国有林で占められていることから、アカギのことにつきましては、林野庁が中心となって対策を検討し、実施しています。
 今後とも、東京都では環境局が移入種対策の所管局ではございますが、関係機関と協力しながら、世界的にも貴重な動植物を保護するため、移入種対策を推進することと考えております。

○藤田委員 一つは、今の移入種の問題がありますが、もう一点は、いわゆる亜熱帯農業センターの役割を見直すことが必要なんじゃないかなということでございます。
 一つは、その中で植物園と農業試験場を、これはまさに労働の部分でございますので、産労局が直営で行っているわけであります。実際に植物園は大変広い地域で、そして我々が行ったときには台風で非常に荒れてしまったので、植物園の職員六人がすべて非常に働いていただいてきれいにしたというような話も聞いております。その植物園は、一部は農業試験場と同じような立場でやらなければいけないところはあると思いますけれども、いろんな意味で、NPOに任せて特産品のブランド化など、そちらの方に力を進めるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 今回の計画素案では、地域特産品の開発や地産地消体制の強化など、観光業と他産業との連携を強化し、島内産業の振興を図ることとしてございます。お話しのございました小笠原亜熱帯農業センターは、小笠原における農業生産振興の拠点として、熱帯、亜熱帯園芸産物の導入、育成と生産技術の開発、改善等に努めているところでございます。また、来島者に小笠原の自然を紹介するため、展示園、展示温室、ヤシ園を一般公開してございます。
 計画素案におきましては、今後ブランド農産物の生産技術開発をさらに進めるとともに、観光客が年間を通じて楽しめ、高齢者や障害者が親しめるよう、センター内の展示スペースを環境学習や自然観察機能を付加した施設に再整備し、機能拡充を図っていくことにしてございます。

○藤田委員 今、地産地消の体制を強化するというようなお話があったんですが、実は小笠原諸島における消費の野菜というものは、内地産がほとんどであって、地元産というのが少ないということでありました。せめて地元で食べるぐらいのものはつくっていく、あるいは振興していくということが重要かと思いますけれども、これについては、どのようにお考えでしょうか。

○清宮多摩島しょ振興担当部長 村内で生産される野菜類は、トマトやシカクマメなど、その種類が限られたものが多く、一般的な野菜は内地で生産されたものがほとんどでございます。生産規模が小さく、地力が劣り、その上後継者不足など、農業振興に関する課題はございますが、計画素案におきましては、観光業との連携を強化し、島内流通体制など、地産地消の仕組みづくりや本土における販路拡大を図るとともに、特産品のブランド化を推進することとしてございます。
 なお、ご提案の趣旨につきましては、所管局に伝えてまいりたいと考えます。

○藤田委員 もう一点、なぜ地元の農業がもっと振興しないかという中で、地元の方が税が高くて農業をやっていられないというようなお話があったようでございます。というのは、返還後も実際には宅地並みの課税をされているというようなことだそうでございますけれども、お聞きしたところ、もちろん村が現状をもってかければよいというようなことでありますけれども、直接お伺いするとそのようなお話もありましたので、ぜひ調べていただきまして、また、これも残念ながら総務局マターではないようでございますけれども、ぜひ所管の局へお尋ねいただけたらというふうに思っています。そして、まさに自分たちのところで食べるものぐらいは最低自分たちでつくっていこうという気構えはおありになるようでございますので、よろしくお願いいたしたいと思っています。
 それでは、三宅について、もう既に皆さん方からお話がありましたので、間を省きながら、でもプラスしながらという状況でお話しさせていただきたいと思っています。
 二月を目途に帰島することになったわけでございますけれども、四年以上にわたる長期の避難生活のために帰島もままならないというようなことがあるかと思います。そして、八月六日の調査では、八五%が回答して、七〇%が帰島を望んでいるという状況、九月十八日、十九日、帰島説明会、そして世帯詳細調査というところになっているわけでありますけれども、だんだんだんだん少なくなっていらっしゃるので、三千二、三百人の方でございましょうか、それぞれ、お一人お一人がどんなふうに考えているかということをしっかりと把握する必要があると思いますし、お一人お一人に対してどう対応していくか。帰りたいというふうに思われるに決まっているわけですけれども、じゃあ、そこにどういう条件がついたらというようなのがいろいろ--毎日毎日模索をしながら、そのときには丸をつけたけれども、子どもたちのことも考え、あるいはおじいさん、おばあさんのことを考えたら、きょう一日の決定だけではないというようなことがたくさんあろうかと思いますけれども、一人一人についての対応、どんなふうに考えているかをまずお伺いしたいと思います。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 ただいま先生おっしゃいましたとおり、三宅村におきましては、今月の十八、十九日に三宅村の住民説明会を開催いたしまして、三宅島帰島に関する基本方針、また、三宅島の帰島計画などについて説明をしております。さらに、十一月には具体的な帰島手順説明会を開催する予定であるというふうに伺っております。
 島民に対する一人一人の対応でございますが、十八、十九日には住民説明会終了後に質問会等を設けまして、大勢の方からさまざまな質問を受けて、それに対して細やかな対応をしたというふうに聞いております。また、三宅村では、総合相談窓口を設けまして、火山ガスの危険性に関するリスクコミュニケーションや、農林漁業に関する災害復旧などにつきまして相談を受けているというふうに伺っております。
 都といたしましては、三宅村が村民に対してさらにきめ細かな行政対応をとることができるように、今後、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

○藤田委員 十八、十九の説明会のときにお配りになったという「帰島・生活再開の手引き」というものがありますけれども、ここに詳細調査に関して、帰島希望者数などについて九月に発表しますというふうにありますけれども、発表がなされましたでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 十八、十九日の住民説明会の際に、詳細計画の結果ということで当日出席した全島民に対してお配りするとともに、そのほかの島民に対しては文書で郵送しております。

○藤田委員 二四ページに書いてあるのは、希望者数については九月に発表しますというふうになっているんですが、きょうは三十日ですけれども、もう発表がありましたか。二四ページの左の一番下です。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 十八、十九日に発表しております。マニュアルにつきましては、その前に書いておりまして、急遽十八、十九日に発表するということが間に合っておりますので、発表しております。

○藤田委員 それでは、帰島希望者の人数を教えてください。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 千六百五十五名の対象世帯のうち、回答した世帯は千四百四十四世帯でございまして、このうち帰島の意思があるというふうにいっている世帯は千百七十八世帯でございまして、回答した世帯のうちの七一・二%でございます。

○藤田委員 世帯ですが、人数ということはわかりますか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 済みません。先ほど七一・二%といったのは、対象世帯の七一・二%でございまして、回答した世帯の千百七十八でいきますと、率としては八一・六%でございます。次に、帰島の意思があるという個人でございますが、二千五十二人が帰島の意思を示しておりまして、これは回答した二千八百七十二人のうちでいきますと七一・四%でございます。

○藤田委員 帰島するといった途端に、これはすべて暮らしということになるのではないかというふうに思っています。実際に今まで住宅が主体になるべきであるというふうにお話がありましたけれども、私ももちろんそういうふうに思っているんですが、ただ、実際には、家財の問題や車の問題、電気製品の問題など、それこそあっという間に、どんなふうにしたらいいのかなというのもありますし、それから、お聞きするところによると、島という土地柄、どの家庭も大変大きな冷凍冷蔵庫をお持ちで、何日も物が来なくても済むように冷凍しておくというようなことで、生活再建ができるかどうかというのは非常に難しいところもあるようでございます。
 そして、さらに先ほどの住宅の話でございますけれども、これは阪神・淡路大震災の後、すぐに兵庫県が実際に住宅という問題について、我々としては住宅再建に、個人の資産といえども何とかできるようにしたいんだということで、副知事級の方が全国を駆けめぐられたようでございますけれども、どうしても個人の資産については支援することはできないというようなことで、国会の中でも意見が分かれていたようでありますけれども、大方がそうなっているわけです。
 先ほど被災者支援制度について、知事会が提案したものは妥当と考えるというふうにお答えがありましたけれども、都はどんなふうに発言をしたのかをお伺いしたいと思っています。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 私、先ほど知事会の決定が妥当であるといったのではなくて、知事会においてさまざまな議論をされて合意を経て法律が決定されたというふうに申し上げました。東京都といたしましては、知事会の原案に賛成をしていたものというふうに考えております。

○藤田委員 難しいということは、私もよくわかるんですね、個人の資産に対してどれだけというのは。ただ、そうなりますと、じゃあ、どうしたらいいのかということを提案してあげなくちゃいけないわけですよね。崩れました、なくなりました、あと勝手にどうぞやってくださいという話では、なかなか難しい。そのときに私たちが提案していたのは、要するに新築の住宅に千円ずつかけて、それをもってプール金にしていこうというような話をずっとさせていただいたんですが、それは兵庫の方々がいっていたことでもあるんですけれども、それも実はさたやみになってしまいまして、なかなか難しいというところがあるんですけれども。これからまさに東南海地震が近いうちに来るんじゃないかと、もちろん予測だけでございますけれども、そういうときに三宅島の二千人の方々が安心して自分のところへ戻れるというようなことにならなければ、とてもとても東京の状況は難しいだろうなというふうに思っているんですけれども、東京都として、新たな提案というものを持ってしないと難しいと思うんですけれども、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

○赤星総務局長 先ほど部長が申し上げまして、若干修正させていただきたいと思いますけれども、全国知事会にさまざまな意見があったことは事実でございまして、詳細は中の議論でございますので、申し上げにくいんですが、私どもとしても三宅村を抱えているということで、それから将来のことを考えますと、国が半分、全国自治体の十分の一を東京都が納めるわけでございますので、私どもとしては、いうべきことはすべていったつもりです。先生がおっしゃったような議論もさせていただきました。結果として、ただし、全国でこの制度がなくていいかどうかという最後の結論になったわけでして、最後の段階で私どもとしても、なければ三宅村に行かないということになってしまいましたので、弾力的運用というのは、別の意味で弾力的運用をお願いしました。それはやっていただきましたけれども、そういうことで、最後の段階で制度をつくらなくていいかどうかという話になりましたので、制度としてはつくっていただきたいということで、妥協したということでございます。

○藤田委員 国の提案だけではなくて、いろんなところで発言をしていってくださっていると思いますけれども、まさに東京都が、これからのことを考えますと、ぜひいろいろな意味で弾力的な考え方をしていただきたいというふうに思っているわけです。
 それで、このマニュアルの中には非常に細かく書いてあるんですが、帰島するかどうかの判断、する世帯、特別の事情により帰島しない世帯というところで、帰島しない方々については、三カ月の猶予を持って都営住宅にも入れるというふうにしているんですが、実はなかなかそれも期間的な問題、すべて保障するということは決していいませんけれども、もうちょっと弾力的に、例えば今、帰島しないといっているんだけれども、とにかく一遍は行ってみようよ、あるいは向こうに行ったら、やっぱり体が調子悪くなったよと、いろいろいらっしゃると思うんですけれども、そういうときに一定期間延長するなど個別に対応していかなきゃいけないところはあると思うんです。そんなところはぜひ対応していただきたいというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 三宅村の避難指示解除後の都営住宅等の取り扱いにつきましては、村と所管の都市整備局との間で十分話し合いが行われまして、ほぼ村の要求どおりの内容で決定されているというふうに聞いております。
 それから、一回島の方に行ってからまた戻ってくる方に対する対応でございますが、現在、私ども帰島支援対策本部といたしましては、村と協力いたしまして、現在避難している方々をいかに無事に円滑に来年の二月に帰すかということに全力を注いでおりまして、一回帰ってからまた戻ってくる方も当然考えられますが、今後そういった方につきましては、どうするかということについて村と相談していきたいというふうに考えております。

○藤田委員 三宅の問題で最後に、生活ということでいいますと、総務局が担当しているところはまとめ役というところになろうかと思いますけれども、福祉があり、医療があり、住宅があり、産業がありというようなことで、本当に各局にわたっているんですけれども、身近に支援している方々が、だれか一人に何かいったら全部つながっていくような、全然話は別ですけど、オンブズマンに何かいったら、その人が全部丁寧に振り分けてくれて、あの人に頼っていけば大丈夫だよというような形が、もちろん村長さんはそうなんだろうと思いますし、それから、東京都の体制として、実はさっき私もがっかりしちゃったんですけど、住宅局にいっておきますって、これはやっぱりまずいですよ。総務局の中で、私たちは責任を持ってこういうふうにしますといってくださらないと、実質やるのはもちろんそれぞれの局だと思いますけれども、ここで全部ができるというような、総合的なコーディネーターをする人はだれなのか、そういうふうにちょっと気になるところがありますので、ぜひそこはしっかりと、だれにいったらちゃんとつながるぞというのがわかっていただけるような、そんなところを押さえていただければというふうに思っています。
 もちろん所管している副知事がいらっしゃることも存じ上げておりますけれども、実践する部隊がきちっとそこを把握していくというようなことをやっていただければというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○赤星総務局長 先ほど来いろいろお話しございますけれども、私ども、村とも接触しておりますし、村にもいうべきことはいわせていただいております。一番大事なことは、島民のことを一番よく知っている村に私ども大分早くから総合相談窓口を早くつくってほしいと申し上げて、なかなかできなかった状態でございます。
 それから、いろんな問題ありますけれども、東京都の三宅支庁が前面に立つような場面が多かったものですから、これでは帰島に当たって村の状況がつかめない。一人一人の顔が見えているのは村でございますので、現在百数十人そこにいるわけですけれども、この方々が真剣になって考えていただかないと、帰島というのは個々の人々の生活がかかっているわけで難しいと思います。私はもっと小さな島、利島村という三百人の島の助役をやりましたので、島民とその方たちの関係というのは非常に深いものですから、一人一人の顔が見えているわけですね。そこが本気になって動いていただかないと、全体がよく見えてこないと。
 もちろん東京都としては、あらゆる支援を惜しまないつもりでございますし、ただ、先生いわれた過去の細かい内容まで、窓口はうちで受けますけれども、個々の内容をすぐその場で全部答えるといいますと、それぞれの局の所管がございますので、私たちがすぐにオーケーとできない部分がございますので、私たちが窓口となって受けてお答えいたしますけれども、まず島民窓口がしっかりするように、きょうもこれから私、ご趣旨を受けて村長とも話したいと思いますけれども、ぜひその辺をしっかりしてもらいたいとこれからも申し上げたいと思いますし、我々は逃げませんので、窓口でしっかり受けて立ちます。よろしくお願いします。

○藤田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、最後に監理団体のことについてお尋ねいたしたいと思っています。
 監理団体改革は、非常に素早くしっかりとおやりいただきまして、私たちは望まない、外郭団体もつぶれました、という経緯もありますが……。その中で公の指定管理者制度と監理団体との関係について、ちょっとお伺いしたいと思っています。
 監理団体というからには、直営ではないわけでありますので、それなりの理由を持って、東京都がやるよりもよいであろうということで監理団体をつくってきたと思いますけれども、平成十八年度にはこれらすべての監理団体、指定管理者制度を導入する予定かどうかについてをまずお伺いしたいと思っています。

○前田行政改革推進室長 地方自治法の改正によりまして指定管理者制度が導入されまして、これまで地方自治体が管理委託をしてきました公の施設については、法律上、経過措置期間である平成十八年九月までに指定管理者制度を導入しなければならないとされております。したがいまして、現在都が監理団体に管理を委託している施設につきましては、直営に変更しない限り、すべて該当することになります。

○藤田委員 直営の施設に管理を委託しようというふうに思ったときには、財政的にどういうメリットがあるか、あるいはデメリットがあるのかというようなことは、シミュレーションした上でもちろんやったと思うんですけれども、そういうシミュレーションをもっとしっかりと公開をすべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○前田行政改革推進室長 公の施設の管理につきまして、これまで監理団体を活用してまいりましたのは、都が直接実施するよりも効率的、弾力的なサービス展開や事業実施が可能となるということでやってきました。今後、指定管理者制度の導入によりまして、管理者を公募、公に募集することになりますが、応募者からサービス内容やコスト等を明示した事業計画の提出を求めまして、選定委員会で選定することとなります。そして、最終的には議会の議決を経て指定をするということになります。

○藤田委員 実は公開ということをなぜいうかといいますと、もう既に指定管理者制度が入っているというところがあります。そして、これまでと同じような考え方といいますか、どういう意味で指定管理者制度を導入したのかということを非常に疑問に思うぐらい選定基準を曲げてしまって、ある手を挙げたところが参入できるようなやり方をしてしまうというようなのが事実ございました。こういうことになってしまっては、本来の意味が全くわからないというような状況になるかと思います。指定管理者を入れることによって、都民にとってこういうメリットがあるんだということをぜひとも公開を義務づけていただくなどしていただきたいというふうに思っています。
 それから、今回の冊子の中で、都の関与と支援のあり方の項を設けて、監理団体の自立を促進するために団体に対する都の関与を縮小していくということが書かれています。指定管理者制度を例にとった場合に、今後、公の施設の管理運営に対する都の役割、すなわちなぜ今まで公がやってきたかといえば、例えば一番簡単な例は、採算が合わなくても都営バスを通すというようなことも含めて、公のかかわりというのがあるわけでありますけれども、これについては、どんなふうに考えているのかをお伺いしたいと思います。

○前田行政改革推進室長 公の施設は、都の場合、都が設置したものでございまして、指定管理者制度はその効果的、効率的な運営を図るために、だれにどの範囲で管理させるかという管理の手段でございます。したがいまして、都はそれぞれの施設につきまして、求めるサービス水準や管理の基準、そういうようなことを明示しまして、それに基づいて監理団体や民間事業者は事業計画を提案するということになります。

○藤田委員 実際には東京都が、私たちの思いはこういうことでこの施設を持っていますということをきちっと明確にした上で、そこに参入していくということを徹底していただかなければいけないわけでありますけれども、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。
 本来ですと、一つ一つ、公のあり方、この施設が要るのか要らないのかまで含めて議論しなければいけないというふうに思いますけれども、今あるものについては、特にその点を配慮していただきたいというふうに思っています。
 それから、順次利用料金制度を拡充していきたいというようなことがありまして、この中には、いかにも駅から徒歩ゼロ分は使用料が八十何万円台なのに、徒歩十分でも百六十万円もかかっているんだぞというようなことで書いてありまして、今後利用料金が高くなるんじゃないかというようなのを示唆している考え方が書かれておりましたけれども、この利用料金制について、施設そのものも含めて、いかにも民間施設に近づけなければいけないと誘導しているような表現があるんですけれども、公の施設そのものの意義をどういうふうに考えるかということについて、もう一度お尋ねをします。

○前田行政改革推進室長 繰り返しになりますけれども、公の施設は都が設置し、幅広く都民にサービスを提供する施設でございます。お話しの利用料金制、ちょっと誤解をいただいているのかなと思いますけれども、利用料金制や指定管理者制度は、広く民間のノウハウを活用することによって、公の施設のサービスの向上と効果的、効率的な運営を図っていくことを目的としたもので、公の施設そのものの存在意義をより有効に生かすための手段であるというふうに理解しております。

○藤田委員 もちろんそれはわかっておりまして、そこに手を挙げた人たちがさらに意欲を持ってやるために、一部を自分たちのところに取り入れていいよという制度でありますから、そこのところは十分に活用していただきたいというふうに思っています。
 それから、監理団体に関してもう一つ大きな改革に、国が進めています公益法人の制度改革があるというふうに思います。ここにももちろん書かれているわけですけれども、実施されれば、現在の公益法人やNPO法人の活動に対する課税の強化につながる大変大きな問題だというふうに思っています。これは三月三十一日に中間の発表がなされておりまして、本年末までには基本的枠組みが具体化されて、法令化される予定というふうに聞いています。
 そして、公益法人には、株式会社における民事再生のような、いわゆる放漫経営に対して破綻のルールがないというのが現実で、例えば千葉の住宅公団でしたっけ、あそこもだめになった、つぶれた、終わりという、本当にルールがないわけなので、一件つぶれてしまうというのはそういう状況になっているわけなんです。
 こういうことを考えますと、公の施設の管理を行っているのは財団など公益法人たる監理団体であって、都がこの改革に対してどういうふうに対応していくのか。さきにも最初の監理団体改革を行ったときにつくりました、いわゆる東京の問題を考える懇談会のようなものを設けて、きちっとこのことについて議論していくぐらい大きな問題だというふうに私は思っているわけですけれども、この点についてはどのように考えるかをお伺いいたしたいと思います。

○前田行政改革推進室長 お話しの公益法人制度改革につきましては、国において検討中でありまして、今後その内容が具体化されると聞いております。この公益法人制度そのものにつきましては、生活文化局が所管しておりまして、今後所管局を通じて法改正の動きを把握し、改革の詳細が明らかになった場合には、監理団体である財団などに与える影響等を見きわめた上で、その対応を検討してまいります。

○藤田委員 総務委員会というか、総務局が担当しているところがそういう性格を帯びているのだと思いますけれども、各局との連携をしなければいけない。まとめはここでやるけれども、それぞれ実施するのは各局というようなことがたくさんあります。
 私もいつも申し上げるのは、私はきょうは総務局で生きています、あしたは産労局で生きていますというふうにはなりません。有機的に生きていますし、皆さん方も一個人になったときはまさにそうだと思いますけれども、やはりその点がなかなか難しいところでございまして、ぜひとも連携をよくして、それが実質しっかりと反映ができるようにお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

○真木委員 私からは、三宅島の問題に絞りまして質問させていただきたいと思います。
 まず議論を整理する上で、前提質問的なことをさせていただきたいと思いますが、来年二月の帰島という事態、これは四年前の避難指示ということから端を発しているわけであります。この避難指示という指示、これはだれが出したものなのか、そして、どういう性格のものなのかを確認したいと思います。

○中村総合防災部長 避難指示でございますが、法律上の行為でございますので、少し法律で申し上げさせていただきたいと思います。
 災害対策基本法では、第六十条第一項に基づきまして、区市町村長が避難指示を行うこととされております。この避難指示は、被害の危険が目前に切迫している場合に発せられまして、避難を勧める避難勧告よりも拘束力が強く、居住者等を避難のため立ち退かせるためのものでございます。

○真木委員 この避難指示を出すに当たっての都の権能というんですかね、指示を出すに当たっての都の役割について確認をします。

○中村総合防災部長 区市町村長は、避難指示を行った場合には災害対策基本法第六十条第三項に基づきまして、知事に速やかに報告することとなっております。また、同法第六十八条第一項に基づきまして、区市町村長が知事に応援やあるいは避難先の確保など応急措置の実施を要請した場合には、知事は直ちに広域的に受け入れ先などの調整を行うこととなっておりまして、こういうふうに応援の要請あるいは応急措置の実施の要請などございましたら、知事が役割を負うということになります。

○真木委員 東京都が出したものではないことはわかりましたが、一方これは、村民の立場から見て、島民の立場から見て、避難勧告と避難指示という二種類のものがあって、避難指示の方が拘束力が強いということでございますが、これは、おれは残りたいよ、おれは残るんだということが可能なものなのかどうか、どの程度の強制力を持つものなのかどうか、島民の立場からお答えしていただきたいと思います。

○中村総合防災部長 災害対策基本法の趣旨でございますけれども、災害対策基本法では、被害の危険が目前に切迫している場合に、住民の生命、身体保護の観点から、区市町村長が避難指示を発することとされております。災害の切迫性から、住民も避難指示に従うものというふうに想定されているものでございます。
 三宅島の場合も噴火が断続的に続く中、火砕流や噴石、泥流あるいは火山ガスによる被害が差し迫っていたことから、村長が避難指示を出しまして、村民もこういう状況を理解した上で避難指示に従ったと考えております。

○真木委員 今の三つの質問から二つのことがいえるのかなと思います。一つは、避難指示というものは都が出したものではない、第一義的には都の責任でやったものではないということは確認できるかと思います。しかしながら、一方、村民の方にとってみれば、幾ら罰則はないというものの、半ば強制的に出ざるを得なかった。残った方が実際にいらっしゃいましたよね。でも説得を受けて、最後は一人残らず全員が出たということでございます。半ば強制的に出された。
 そうしてみますと、今、一部新聞報道等でございます、出るときは強制的に出されて、戻るときだけ自己責任というのはないだろうというような島民のお気持ちは私はよくわかる感じがいたします。この自己責任という言葉、ちょっと知事もいわれておりましたが、ひとり歩きしているかなという気がいたします。若干語弊があるかなと。知事のいわれる自己責任という言葉は、自己判断という言葉の方が適切なニュアンスが伝わってくるのかなという気はいたします。しかしながら、そうした島民の気持ちがわかった中で、私はこのことから二つのことをちょっといいたいなと思います。
 一つは、東京都ほど活火山に人が住んでいる島を有している都道府県というのは、日本の中でも屈指だと思います。そうした中で、避難勧告、避難指示、国の法律に基づくものは二種類あるわけでありますが、今後多分にこうしたことが予想される。初めてのケースだという答弁が続いておりますけれども、以前青ヶ島の問題などもあったわけでございまして、東京都においても今後近いうちに避難指示--大島もございました。多分にあり得ることなんですね。そのときにどういった権限で避難を指示するのか、どういったところまで強制力を有するのか、そして戻るときの責任はどうするのか、そうした東京ルールというものをある程度整理して議論する必要があるかなというぐあいに思っております。
 このことを議論したかったわけでありますけれども、国の法律に基づくものでもありますので、今回はやめておきますけれども、三宅島が今回落ちつけば、それで避難指示という事態が終わるわけではないと思います。近いうちにきっとそういったことがまたあるんじゃないかと思いますので、避難指示の東京ルール--客観的にいえば、三宅島は二十年に一度噴火を起こしているわけでありますし、そうしたルールについてぜひ議論を深めていただきたいというぐあいに思います。
 そして、もう一つは、噴火したのは島民の責任ではありません。しかしながら、活火山である三宅島に安全に暮らしていた方々が改めて三宅島に住もうというのは自己責任であると、自分の判断であるということは確認をしておかなければならないと思います。
 先ほど赤星局長から、あらゆる支援を惜しまないという力強いお言葉をいただきました。しかしながら、その支援という中にも、自由主義、資本主義のルールを守った上で--我が国は自由主義国家、資本主義国家であるわけですから、そのルールを守った上でのできる限りの支援を私からもお願いしたいと。理屈を曲げるべきでないということは一つ思いながら、国と都と村の役割を整理して、ちょっと私が気になったことにつきまして質問させていただきたいと思います。
 視察をさせていただきましたときに二つ気になりました。一つは廃棄物の問題、もう一つは、山が枯れているということであります。山が枯れている中で、一つは倒れている木がたくさんございました。もう一つは立ち枯れしている木がたくさんございました。木が倒れていれば、それは危険だなというのはよくわかるわけでありますけれども、砂防ダムとかも大分完成しております。その対策もまた進められているということでございます。もう一つわからないのが、立ち枯れしている木が、今既に立っているんだから別に大したことないじゃないかというご意見と、立ち枯れしているのは非常に危険なんだという見方と二つあるようでございます。この立ち枯れしている--枯損木というようでございますが、枯損木の中の立ち枯れ部分ですね。立ち枯れしている木の危険性について、東京都はどのように認識しているのかを確認いたします。

○竹内局務担当部長 噴火による降灰、噴石や火山ガスの放出によって三宅島の森林、先生方ご存じのとおり四千ヘクタールのうち約六〇%に当たる二千五百ヘクタールが被害を受けております。立ち枯れした樹木、これいわゆる枯損木といっておりますけれども、枯損木は根も弱っておりますので、倒れたり流れたりしやすくなっております。このため、現状のまま放置しますと、新たな土砂流出や道路遮断などの要因の一つになると考えております。

○真木委員 倒れた後に新しく大きな穴があいた、その大きな穴からまた新たな土砂流出を呼び起こす可能性があるということで、立ち枯れしている木についても対策が必要だという認識を持っているということがわかりました。その立ち枯れしている木に対して、どのような対策をとるのか、確認をいたします。

○竹内局務担当部長 都は、これまでも治山ダムの整備に伴う枯損木対策や泥流対策のための砂防ダムの整備を行い、流木もせきとめてきました。また、三宅島災害対策技術会議で本年一月に三宅島緑化ガイドラインを定めております。緑化を図る中で枯損木対策を進めていくことにしております。これに基づき、処理した枯損木を有効利用するため、試行的に島内の都道においてガードレールのような、歩行者の横断を抑止するさくとしての活用を図ったところでございます。
 今後も枯損木対策を全庁的に推進するため、森林復旧のための枯損木対策や道路の安全確保対策などを三宅島緊急支援事業として、去る十七日に決定いたしました。治山事業、林道事業、砂防事業、道路事業等、東京都の各局またがっておりますので、連携しながら、また、村と関係機関とも連携しながら、枯損木対策を今後とも積極的に進めてまいります。また、時間はかかりますが、先ほど申し上げました緑化による緑の回復が非常に重要ですので、時間をかけて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○真木委員 枯損木というのは立ち枯れしている木、また倒れている木、両方含めていうということでございますが、これは帰島支援、国の仕事、都の仕事、村の仕事、それぞれ分かれるかと思いますが、都の役割は大きいのかなという気がいたします。倒れてしまっている木であれば何とか頑張ればという気がいたしますが、立ち枯れしている木の対策というのは相当な仕事量だというぐあいに思います。ぜひ立ち枯れしている木の対策、そしてその上での緑の回復に向けて、東京都としてしっかりと果たすべき仕事をお願いしたいと思います。
 その上で、私はもう一つ気になりましたのは、自動車を初めとする今後の廃棄物の問題であります。
 行きましたところ、自動車がたくさん、そのままの状態で残っております。その数は三千四百台に上るということでございました。これはもう動かないと。動かせばボディの下の部分が抜けてしまうというようなことも聞いております。村が島民に対して配りました三宅村民用帰島マニュアルを見ると、どこまで村が面倒を見てくれるのか、行政が面倒を見てくれるのかというのははっきりいたしておりませんが、漏れ聞くところによれば、行政が車の処理を無償でしてくれるような方向で今議論が進んでいるということで聞いております。
 しかしながら、どこまでの車を無償で行政が面倒を見てくれるかということについては明らかになっておりませんし、現在も処分費の半分を見る国と村とで協議中ということでございます。ぜひ村を応援する立場で、東京都としてより広範な車が廃棄補助の対象となるように、自営業者と自家用車との区別とかで議論があるようでございますので、より広範な車が補助の対象となるように村を応援し、都としても取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先生お話しのとおり、国の方では基本的には廃自動車を災害廃棄物として認めて、国の国庫補助をするというふうな意向を示しておりますが、具体的にどういった内容でやるのかということについては、まだ決まっておりません。今後ともこういった災害廃棄物の実態を踏まえまして、生活環境の保全上特に必要とされております廃棄物の処理が幅広くできますように、村と協力をいたしまして、都としても国に働きかけていきたいというふうに考えております。

○真木委員 私はごみの問題をお尋ねしておりますのは、ごみの問題は基本的には役割分担としては村の仕事だというぐあいに認識をしております。しかしながら、補助を出す国の方との折衝にぜひ都も応援してもらいたいということとともに、今後ごみの補助が適切に行われなければ、不法投棄が島じゅうの問題となってくるんじゃないのかなという懸念を強く持っております。
 その観点から、東京都としてもぜひ取り組んでもらいたいということでございますが、今ありましたように、範囲がまだ明確でない。営業車と自家用車との接点、ダンプは認められるのか、ブルドーザーは認められるのか、これからまだ議論があるところだと思います。ただ、営業車といってしまえば、民宿の送り迎えの車も営業車でございますので、こうしたものもぜひ取り組んでいってあげたいなと。確かに営業車は税制では大変な優遇を受けております。国税における自動車重量税も五百キログラム当たり六千三百円のところを二千八百円、都税であります自動車税も自家用車が三万九千五百円のところを九千五百円と大変な優遇を受けているわけですから、それぐらいのことは当たり前だという理屈もわかるのでありますけれども、しかしながら、ぜひ広く認めてもらえるように東京都としても取り組んでいただきたいと思います。
 その上でもう一つ気になっておりますのが、家電リサイクル法でございます。こちらのマニュアルを見てみますと、家電リサイクル法の対象となる廃家電、これはどのようになるのかということについて、まだ具体的に村からは示されておりません。家電リサイクル法のテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、これは廃棄に当たってお金がかかるわけであります。この費用はどうなるのか、また、無料の期間とかについてはどのように検討されているのか、確認をします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 家電製品につきましては、災害により使用できなくなったものについては、災害廃棄物として国庫補助の対象となるとともに、これを処理する場合には、村民個人の負担は求めないというふうに村からは聞いております。また、島民の帰島後におきましても、一定期間におきまして、災害廃棄物として村が処理をするというふうに聞いております。

○真木委員 村の考えでは、帰島が始まる前にぜひ準備を徹底してもらって、捨てるものは捨ててもらいたいと。二月に帰島が始まって年度内ぐらいまでに、三月三十一日ぐらいまでに処理するものは処理してもらいたい。その間はいいよと、処理代も面倒見るよみたいなこともちょっと漏れ聞いているわけでありますが、家電リサイクル法の中でいえば、私は特にエアコンが気になります。エアコン、もう既に取り外している人というのはいないと思うんですね。穴があいてしまいますから、今でもつけたまま。そして、帰島に際して相当なお金がかかるわけです。それが一通り落ちついて、生活が始まってみて、暑くなった。暑くなったところで、お金も何とかなると。七月、八月ごろになってエアコンを取りかえようというときに家電リサイクル法がまたかかってしまうということでは、どうせならそこの辺に関しては、容赦をしてあげたらいいんじゃないかなというぐあいに思いますので、期間の問題等につきましても、これも村と国との折衝等があるのかもしれませんが、ぜひ東京都としても期間の問題、応援をしていただきたいというぐあいに思います。
 さらに、ごみの問題で申し上げますと、島の中を走っていてボロボロになった自動販売機等が目につきました。自動販売機というものは産業廃棄物だよということで、行政からの補助が得られにくいところがあろうかと思います。しかしながら、大量のごみを有するのは個人ではなくて、業者でございまして、個人は何とか島を汚したくない、何とかお金を頑張って処理しようとかいうことになるのかもしれませんけれども、業者が、大変なコストがかかる、今までも営業できなかったというときに、大量の不法投棄をするのは業者でございます。そうしたことにもできる限りの補助をしていくにこしたことはありませんし、それとともに、不法投棄対策というものをしっかりとやっていかなければならない。産業廃棄物の不法投棄対策ということに関しては、都の仕事も結構出てくるんじゃないかと思うんですが、不法投棄対策についてお尋ねいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 産業廃棄物につきましては、設置者等が適正に処理をする責務を有するものでございます。このような中で、産業廃棄物が島の中で不法投棄につながらないように、今後、都と村で緊密に連携しながら、産業廃棄物の処理方法等につきまして業者を指導するとともに、徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

○真木委員 帰島は実現したはいいけれども、国立公園である三宅島があちらこちらで不法投棄の山となったなどということのないように、ぜひしかるべき適切な行政をしていただきたい。そのために、基本的にはごみの問題は国と村の問題でありますけれども、東京都としても村を応援し、適切な行政をしていただきたいというぐあいに要望しておきたいと思います。
 続きまして、先ほどから問題になっております具体的な資金援助の問題についてお尋ねいたします。
 先ほど来、被災者生活再建支援法が問題になってまいりました。既に百万円はほとんどの方がもらっていて--というか、全世帯がもらっているわけですね。残り二百万円を上限に支給されるということでございました。問題は、この制度とともに、これ以外に現金支給的なものは一切ないのかどうかを確認いたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 現時点におきましては、公的支援といたしまして、現金を支給するような制度はほかにはございません。

○真木委員 その中で先ほど来東京都としての新たな枠組みというか、都独自の新たな支援制度について、一昨日の本会議以来、答弁が続いております。東京都の新たな支援制度の中に現金支給というんでありましょうか、利子補給とかそういったものではなくて、現金支給的な補助も視野に入っているのかどうか、ご質問します。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先ほど申し上げました生活再建につきましての都独自の支援制度につきましては、今後、福祉保健局等の関係局と密接に連携しながら適切に対応していきたいというふうに考えておりまして、現時点においてはまだ具体的には決まっておりません。

○真木委員 先ほど来出ておりますが、国の制度があくまでも利子補給であったり解体であったりということで、私有財産の蓄積につながるものには公金を投入しないという国の考え方、私はこの考え方については、日本の国のルールとして、この国の形として大切にすべき考え方だなというぐあいに思っております。
 そうした中で問題となりますのは、一方で公金の投入とは別に、義援金がございます。避難生活が四年にわたる中で義援金を今までも集め、そして配分をしてきました。今残りはどうなっておりますでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 義援金につきましては、十六年の八月末の現在で東京都における義援金の残りが現在一億七千万円でございます。また、三宅村におきます義援金の残りが七億四千万円ということになっておりまして、合わせて九億一千万円が義援金の残でございます。

○真木委員 何とも心もとない、少ない額といわざるを得ません。今まで過去四回にわたって分配しているわけでありますが、平成十二年の九月に避難が始まって、十月に一回目の支給、そして同じく十二年十一月三十日に二回目、翌年十三年の一月に三回目、十三年十月に四回目を支給して以来三年間もう既に支給はありません。今までの支給総額は、二人世帯で想定しますと百万円ちょっと、一回当たり三十万円前後支給されているだけでございまして、噴火直後に支給された三十万円ずつぐらいのお金はもうとっくに使い終わってしまった。これから帰島するに際して--帰島だけじゃありませんよね、生活再建をするに当たって、大変な資金がかかるわけであります。
 しかしながら、三宅島の方の義援金は今まで受け入れ総額は、私の手元の資料では二十九億円しか集まってきておりません。同じ時期に噴火のありました雲仙普賢岳におきましては、二百三十四億円集まっております。三宅島では二十九億円しかない。さらに、具体的に申し上げますと、二百三十四億円のうち百七十三億円が県とかに集まっておりますが、そのうちの二十一億円だけを住民に直接配分をいたしました。家が全壊した世帯には二百万円ずつ支給をしている。百七十三億円のうち二十一億円だけ使って、そして二百万円支給しているというような大変手厚い。残りの百五十億円はもっともっと具体的な形で、家を建てるときにはまたこういった形で補助しましょうとかいう形で、住民の方々、被災者の方々に生かされているわけであります。
 私は、この国の形を守っていく上で、行政として公金の投入ということに関しましてのルールというものはあるだろう。一方、そうはいうものの、被災者の方々には現金が必要であることは間違いありません。義援金が三宅島に関しては少ないということをもっとPRをして、東京都としても義援金を--今、相当努力をされております。つい先日の東京都の広報でも募集されていたことは知っておりますけれども、もっともっと努力をして、義援金が島民の方々に渡るように努力をしていただきたいと思いますが、局長の決意を伺いたいと思います。

○赤星総務局長 義援金でございますけども、私ども八月から、義援金を改めて集めるように運動を展開しております。この間、「広報東京都」はもちろんのこと、インターネットのホームページ、それから、区市町村長にじかに働きかけを行いましたし、また、報道各社にいろいろお願いいたしまして、テレビ、新聞等で大々的に展開させていただきました。またさらには、都庁内の各局、東京都の職員、これはこれから集めますけれども、もう既にお願いしてございまして、目標額を定めておりますけれども、残念ながら、前は二十数億集まりましたけれども、現在までのところ、村と私どもの基金に集まったのは二千五百万円でございます、八月、九月の二カ月で。これはやはり四年間という期間、相当皆さんの意識から遠のいているんだなと思います。私ども、さらにこれを強力に展開しなきゃいけないと思いますけれども、私どもはやりますし、また、報道各社、テレビ等相当派手にやっていただいたんですが、それでもなおかつ二千五百万でございますので、若干けたが違うと思います。我々も何とか職員だけでも一億円集めようということで、職員に働きかけを行っております。これらを通じましてさらに努力をいたしたいと思いますが、一つお願いがございまして、都議会の皆様にも、若干風化されつつあるこの状況を、ぜひされないように、地元に強くこういう状況にあるということと、二千五百万円しか集まっていなというこの状況をぜひお伝え願いたいと思います。我々も全力を尽くして努力してまいります。ぜひ都民、それから、お知り合いの方にも広くこの実態をお伝えいただければ幸いでございます。よろしくお願い申し上げます。

○真木委員 三宅島の復興に際しましては、視察の際にお伺いした数字では、四百二十億円から四百三十億円ぐらい復興が始まってから三年間で使っているということでございます。私の隣の多摩市という人口十四万の市がございますが、人口十四万の多摩市の十六年度予算の総額が四百二十六億円、十四万の人口の多摩市の一年間の予算を復興のために三年間使っているという現実もあります。そうした中で、公金にも限界があるかと思いますのでぜひ--民主党は富田政調会長が中心となってボランティアの申し入れもしております。民間の善意が三宅島に向かうように私たちも努力をいたしますし、ぜひ行政もさらなる努力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○吉田委員 私も三宅島には特別の思いがありますけれども、既に議論がされております。ぜひこれからも大いにこの問題、お互いに三宅の復興、帰島支援に全力を尽くすというのは同じ立場であり、局としてもそれぞれご努力をされてきていると思いますけれども、大いに率直な立場で、また、党派を超えた課題として議論をすることができればなというふうに思っております。
 ただ、その際に、先ほどから住宅に対する支援問題、繰り返しそれぞれ議論がありますけれども、都として現時点でなぜそれを踏み切ることができないのか。法的な判断によるものなのか、あるいは東京都の財政的な判断によるものなのか、従来の経過なのか、そういうことを大いに率直に議論し合いながら、乗り越えるべきものは乗り越える努力をして、少しでも支援をすることができればというふうに私は思いました。
 私が質疑をしたいのは、監理団体をめぐる二つの報告に関してであります。
 監理団体の改革をめぐっては、既に第二回定例会の第二次都庁改革アクションプランの実施状況報告について質疑をさせていただきました。そのときに私述べた基本的な見解というものは、いわゆる社会教育だとか、あるいは芸術文化の振興にかかわるような事業を委託されている監理団体に対する補助金の削減は相当額の削減がされている一方で、私からすれば、既に公的な支援としての存在そのものが問われるし、かつ経営状況から見ても破綻が明らかな東京テレポートセンターを初めとする、いわゆる臨海のビル三セクなどについては、本来メスが入れられていないではないかというのが私の主張でありました。
 今回改めて監理団体をめぐる二つの報告書を見させていただきましたけれども、やはりその感は否めません。例えば、全体の目標達成の状況の中で、目標達成七五%未満としてテレポートセンターなどが例示をされています。しかし、いわゆる白書ともいえる文書の提言のところを見ますと、株式会社の経営改革の方向については極めて抽象的なんですよね。現状分析についても、債務超過など厳しい経営状況にある一部の団体については、現在進めている経営改善計画を着実に実行するとともに、東京都も常に監視をしていくという文言にとどまっていて、具体的な改革の提案などについては、私が見た限りではなかなか見当たらないという印象であります。個々の事業については、この委員会で具体的に踏み込んで質疑をするのはふさわしくありませんから、総務局としての認識にかかわって何点か質疑をさせていただきたいと思うんです。
 まず現状認識なんですけれども、問題は、経営改善計画なるものが順調に進んでいるのかどうかという認識をまずはっきりさせなきゃならないと思うんです。テレポートセンターなどでいえば、平成九年から経営安定化策ということで支援が進められてきました。それから既に五年余が経過しているわけですから、当然一定の判断をすべき状況だと思うんですけれども、報告書を見ますと、例えばテレポートセンターで見ると、三社合体で見た場合に収支は改善傾向にあるという分析をしているんですが、どういう根拠でこういう分析なのか、果たしてこういう分析が現状把握として妥当か否かという疑問を持つんですが、いかがでしょうか。

○前田行政改革推進室長 港湾局所管の臨海三セクにつきましては、平成十年度から十年間の経営安定化策を実行中でございます。それに基づく経営改善を進めておりまして、既に営業黒字を達成しておりますが、当期損失につきましても、経営安定化策実施前の平成九年度は百五十五億円の損失だったものが平成十五年度には二十億円の損失と大幅に損失幅が圧縮されるなど、一定の改善が見られると考えております。

○吉田委員 しかし、状況を見れば、単年度で見てもビル三セクの場合には赤字を生み出すという基調は基本的に変わっていないわけですよね。しかも、テレポートセンターで昨年度から一昨年度の推移で見れば、営業利益そのものも減少している。したがって、当期利益そのものの赤字も拡大している。累積の赤字ももちろんふえていると。もし赤字収支から黒字収支に変わったというならば、収支が改善されたということがいえるかもしれませんけれども、要するに赤字が若干減ったというのが現状だと思うんですよね。しかも、約百億赤字額が目減りしたよというご説明が根拠だということなんですけれども、これは後からも触れますが、経営安定化支援によって、いわば地代は七五%、金額でいえば百三十三億円のてこ入れがあって初めて成り立っているわけで、このてこ入れがあと三年後に外れたときに、真に自立的な収支の改善といえるのかということが、私は正確に見て、若干の数字だけで収支改善ということをもし公式に判断するとすれば、事態の判断が誤るのではないのか。
 しかも、例えばテレポートセンター一社だけを見ても、累積の赤字はさらに拡大しているということがあるんですけれども、例えばテレポートセンターだけで累積が二百二十四億から二百三十六億に増大していますよね。三社全体でも増大していると思うんですが、累積赤字の推移はどういうふうになっているでしょうか。

○前田行政改革推進室長 臨海三セク三社合計の累積欠損額でございますけれども、平成十三年度が八百四十五億円、十四年度が八百七十七億円、十五年度が八百九十七億円となってございます。

○吉田委員 いずれにしても、累積が現実にこれだけ赤字を抱えているという状況を私は正確に見ておく必要があると思うんです。
 それで、焦点である経営安定化策、これが基本的に順調に進んでいるという判断なのか、それとも順調ではないという判断なのか、そこはどうですか。

○前田行政改革推進室長 臨海三セクは株式会社でございますので、経営安定化策につきましては、東京都、それから、金融機関、それら関係者の合意でもって進めてございます。これまでのところ経営安定化策、細かい部分では出っ張り引っ込みありますが、全体として計画に沿って進んでいると考えておりますし、また、関係者の認識もそのようなものと港湾局から聞いております。

○吉田委員 しかし、細かいことをいうわけじゃ決してないと私は思っていうんですが、経営安定策の東京都の支援は総額二百七十億円、これは随時支援しているわけですよね。その一方で、会社側の内部努力ということがありまして、これは年間賃料収入を平成十六年度までに--というのは、すなわち今年度ですよね--平成九年度に比べて約五〇%ふやしますと。賃料収入でいえば、約八十七億円ふやしますということを経営安定化策の基本的な柱に据えているんです。しかし、第二回定例会のときもいいましたけども、入居率は逆に、テレポートの経営しているテレコムセンターで見れば悪化しているじゃないか。賃料収入もふえているということはまずあり得ない。逆に減っているんじゃないかというふうに思うんですけども、細かい数字は把握していないかもしれませんが、認識はどうですか。

○前田行政改革推進室長 ただいまお話のありました計画で、りんかい線開業後に賃料収入の増加等を見込んできたのは事実でございますし、実際は必ずしもそうなっておらないところがありますが、株式会社の経営というのは生き物ですから、収入がふえなければ経費を減らすというようなことを当然行うわけです。その結果として、会社の現在の経営状況が、先ほど申し上げましたように、全体として経営安定化策を順調に消化して進んでいるという認識にあると考えております。

○吉田委員 しかし、ビル経営の場合は、ビルの入居率、ビルの賃料が最大のウエートを占めていると思うんですよね。テレポートの決算を見ても、ビル事業の収益というのが九割方なんですよ。その他若干東京都の支援策として、公園その他の管理委託で収益を上げていますが、これは総体的には極めてわずかです。しかし、問題は、ビルの賃料収入そのものがどう推移していくかということが経営の改善をする上で決定的なんですけども、私は詳しい賃料収入についてのデータがありませんから、あくまでも決算書のビル事業の利益がどのように推移しているかということをテレポートセンターに限って見ましたが、第十三期、第十四期、第十五期と比べたときに、ビル賃料を中心とした営業利益というものは、第十三期が二百五十三億円、第十五期が二百三十七億円と確実に減少しているんですよね。したがって、部分的に例えば金利、利払いが若干減っただとか、それこそ若干の出たところと減ったところあるかもしれませんが、一番基本のところでこういう事態になっている。
 さらに、もう一つ深刻なのは、これは現時点ですけども、今後の見通しなんですよ。テレコムビルでいえば、最も大きな比重を占めているNTTドコモが、既に自社ビルが品川、さらにたしか錦糸町の方にできて、基本的に撤退する方向で進んでいるという事態を前回お伝えしたんですが、その後も、これはインターネットでテレポートセンターのホームページをあけてみました。そうしたら、募集フロアということで一覧が出ているんですよ。もうかなり空室及び今後空室になるということが出ていまして、現在空室が五フロア、今後の空室になるというフロアが十七フロア、合わせて二万二千平米を超えるんですね。これは貸し出すオフィス床面積のどのぐらいの比率かといいますと、三七%なんですよ。空室が、このままいきますと来年の春までの間に。
 そういう意味でいえば、一番中心部門で、この間の経過からいっても、今後の見通しからいっても、非常に深刻な事態だという判断を冷厳にせざるを得ないんじゃないかと思うんですが、どうですか。

○前田行政改革推進室長 臨海三セクが持っております七つのビルのうち、一つのテレコムセンタービルについて大きな退去があるという話は港湾局から聞いております。しかし、貸しビル業ですから、退去があれば、そのままあけておくということは考えられないわけで、後継のテナントを探す努力を当然会社はしていると思っております。
 なお、誤解がないように申し上げますけれども、私ども提言にも書きましたように、臨海三セクの経営に問題がないとは思っておりません。当然、現在実行中の経営安定化策を確実に進めて、なお経営改善を図る必要がある、そういう認識でおりまして、引き続き経営を監視するということを申し上げているわけです。しかし、経営安定化策が崩れたかどうかということにつきましては、ただいまも繰り返し申し上げましたように、関係者間でなお継続しているという認識があるというふうに理解をしております。

○吉田委員 私は例としてテレコムセンターを紹介しましたけれども、その他についても、空室状況が拡大しつつあるというのがありまして、都市計画関係のちょっとした認識を持っている方はご承知と思いますけれども、東京都自身が汐留だ、東品川だ、丸の内だ、八重洲だ、大手町だというふうに次々と展開するわけですから、総体的に臨海の比重が下がることはもう明らかなんですよね。幾ら減ってもまた入るところがあるんです、生き物ですといったって、それはもう冷静に見詰めざるを得ないと思いますし、問題ないとは見てないというふうにいわれますけれども、経営安定化策を始めてから既に五年なんですよ。
 ここでこういう事態があるわけですから、ただ一般的に監視をしますよというのではなくて、現時点で突っ込んだ検討が私は必要だと思うんです。それは直接的には港湾局所管かもしれませんが、やはり総務局がこの点で必要なイニシアチブを発揮するということが私は求められていると思いますし、さらにその点で私、注目したのは、株式会社東京テレポートセンターの平成十六年三月三十一日、第十五期の決算報告の中に添付されている独立監査人の監査報告書です。
 これももちろんごらんになっていると思いますけれども、この中ではどういうふうに書いてあるかといいますと、会社は債務超過の状態にあり、継続企業の前提に関する重要な疑義が存在しているというふうに書かれているんです。調べてみたら、たしかその前の年も書かれている。テレポートだけじゃなくて、他の株式会社の三セクについても一部書かれていると。そのためにわざわざやっている独立監査の報告書がここまで書かれているわけですから、私はやはり現時点で改めてこうした第三者の方々も含めた検討というものをしないと、結局先送り先送りになってしまうという懸念があると思うんですが、いかがですか。

○前田行政改革推進室長 商法上の株式会社である以上、債務超過というのは決して褒められたことではございませんけれども、ただいまお話のありました監査における注記事項、これは三セクであるとかそういうことを問わずに、監査基準の改正によりまして、例えば債務超過であるとか、あるいは売上高を大幅に減少したとか、そうした企業につきましては、すべて監査法人の方で、いわばみずからのリスクを回避するために注記をするというふうに制度改正で変わっております。したがいまして、債務超過の団体であれば、東京テレポートセンターを初め都の三セクの中で該当するところがあれば注記がつきますし、民間もしかり。そういうところでこうした記述がされているということはご理解いただきたいと思います。

○吉田委員 いずれにしても、もうリスクを回避しなければならないところまで来ているということは明白なわけで、東京都は最大の株主ですし、かつ、さらにそれ以外の形で支援をしておりますし、同時に、二定のときもいいましたけれども、中心はビル業務なんですよ。いや、公園の管理もしています、マリーナの管理もしています、したがって、公益性、公共性がありますといいますけども、純民間的なビル企業経営に対してなぜ東京都が、当初の意図があったことは承知していますが、現時点で公共、公的な役割として支援をする意義そのものも失せている中で、やはり勇気を持ってこの問題について検討と改革のメスを入れるべきだということを述べまして、私の質問を終わります。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十九分散会

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