総務委員会速記録第七号

平成十六年六月十日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長土屋たかゆき君
副委員長中屋 文孝君
副委員長藤田 愛子君
理事富田 俊正君
理事長橋 桂一君
理事山田 忠昭君
真木  茂君
古館 和憲君
星野 篤功君
橋本辰二郎君
大山  均君
大西 英男君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本局局長前川 燿男君
儀典長伊藤  誠君
次長只腰 憲久君
企画調整部長高橋 道晴君
秘書部長松田 二郎君
政策部長三枝 修一君
政策担当部長横田基地共用化推進担当部長兼務河島  均君
参事秋山 俊行君
参事野口 宏幸君
参事新行内孝男君
参事岩井 壯三君
国政広域連携担当部長首都調査担当部長兼務野澤 直明君
自治制度改革推進担当部長平田  章君
国際共同事業担当部長斉藤 一美君
治安対策担当部長久保  大君
参事高嶋  明君
総務局局長赤星 經昭君
理事高橋  功君
危機管理監中村 正彦君
理事馬場 正明君
総務部長大橋 久夫君
行政改革推進室長石渡 秀雄君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁推進担当部長永田  元君
人事部長大原 正行君
主席監察員相上 孝司君
行政部長村山 寛司君
多摩島しょ振興担当部長高橋 敏夫君
三宅島災害復興対策担当部長渋井 信和君
都区制度改革担当部長島  博文君
総合防災部長金子正一郎君
情報統括担当部長八木 憲彦君
局務担当部長竹内 直佐君
勤労部長大塚 孝一君
法務部長中村 次良君
統計部長古河 誠二君
人権部長和田 正幸君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十八号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百五十九号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十号議案  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・第二次都庁改革アクションプラン実施状況報告(平成十六年三月末現在)について
・三宅島帰島プログラム準備検討会報告書について
 知事本局関係
報告事項(質疑)
・地方分権改革に関する東京都の基本的見解について

○土屋委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○土屋委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案審査並びに総務局及び知事本局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十八号議案から第百六十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 それでは、私は、百五十九号議案、市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例について、若干質疑をさせていただきます。
 改正案は、本来都の事務となっていた事業のうち、障害児に対する育成医療給付など、当事者の皆さんにとっては非常に重要な事務について、市町村に移譲するというものです。
 一般的に、身近な市町村で必要な事務手続が、あるいはまた相談ができるということは妥当なことです。しかし、今回の改正は、保健所統廃合と連動したものであり、今回の事務移譲が、その対象や事務内容から見て、実際に利用されている住民の方々にとってサービスの向上となるのかどうなのかという観点から検討することが求められていると思います。
 そこで、お伺いしますけれども、形の上では東京都から市町村移譲という形になっていますが、実態的に見れば、保健所が行っていた業務が市町村に移されるというのがわかりやすい実態だと思うんですが、移譲される事業について、事務について、やはり保健所が取り扱っていたということは、それなりの必要性なり妥当性があったことだと思うんですが、なぜこれまでこうした分野が保健所によって行われていたのか、また行われなければならなかったのか、その点についてまずご答弁を願いたいんですが、どうなんですか。

○村山行政部長 本事業の直接の所管は健康局でございますので、私ども総務局でご答弁できる範囲はおのずと限度があるわけでございますけれども、健康局によりますと、近年の法律改正、地域保健法などの改正に伴いまして、地域保健サービスをめぐる役割分担というのは大きく変わってきていると。母子保健、成人高齢者保健、精神保健など、従来保健所などで行われてきたサービスのうち、基本的な対人保健サービスの多くが、住民に身近な市町村で実施されてきているという状況に今あるということでございます。
 今回の事務移譲は、こうした保健施策をめぐる大きな状況変化を踏まえまして、健康局におきまして、住民サービスの充実、あるいは事業の一体性などの観点から検討を行い、市町村と十分協議を行った上で、市町村との合意に基づいて実施するものでございます。

○吉田委員 例えば区部の場合は、現実に区の事業であったとしても、保健所がこれを担って、取り扱っているという状況があると思うんです。
 それで、事前に説明を聞かせていただいたときに、あくまでも受領事務なんだということが強調されました。しかし、受領事務といっても、この条例案を改めて見直してみましたけれども、例えば原爆被爆者の方々に対する各種事務にしても、一通の書類を受け取る程度のことではなくて、医療から、あるいは手当から、また介護に関する分野から、非常に幅広い分野にこの事務がわたっていると思うんですが、例えば移譲の対象となっている原爆被爆者の方々に対する事務としてはどのようなものがあるのか、わかりやすく説明していただきたいんですが。

○土屋委員長 行政部長、これ答えられるんですか。--ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○土屋委員長 速記を始めてください。

○村山行政部長 詳しい事務の中身については、私どもつまびらかにしておりませんけれども、原爆被害者に対する関係の事務については、新規移譲事務の規定の追加でございまして、被爆者関係各種申請受理、あるいは各種届け出の受理を新規に移譲することとなっております。

○吉田委員 たとえ直接健康局所管事業であったとしても、お示しされている条例案そのものに書かれているわけですから、説明できることだと思って私はお伺いいたしました。
 この条例そのものを見ても、先ほども述べましたけれども、医療費助成、その医療費助成も、一般的な医療費助成、そして専門的な医療費助成、また介護保険にかかわる助成、さらに手当など、非常に分野としては幅広く、かつ専門的な分野にわたるものが多いわけですよね。そうすると、当然これは、たとえ事務的な受領事務が中心であったとしても、果たして受領が妥当か否かという直接的な判断も含めて、かなり専門的な知識と、またこの間の経験の積み重ねというものが必要だと思うんです。
 しかも、やはりこれまでは保健所が行っていたという経過から見れば、ただ書類を受け取りますというだけではなくて、受領することの適否だとか、今後の対応だとか、そういう一定の相談的な機能も付随してくると思うんですが、それはどうですか。

○村山行政部長 今回の事務移譲につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、健康局といたしましては、全体として大きな地域保健事務が市町村に法律によって移っていくという状態を踏まえた上で、ある意味では住民サービスの一体性を図ることによって充実を図ろうということで今回の移譲をしようということでございますので、受理事務だから大丈夫という消極的な立場というよりは、むしろ対人保健サービスを市町村においてできるだけトータルに実施していこうという立場に立って、他のサービスと連携させながら住民ニーズを受けとめていくという積極的な意味合いとして健康局としては今回の移譲を行うものというふうに私どもとしては受けとめております。

○吉田委員 法的には、あくまでも都道府県知事の権限、仕事というのが基本的な前提だと思うんですね。それをあえて特例として移すということだと思うんです。
 それで、いや、ただ受領事務だけじゃなくて、もっと積極的なんだというお話だったんですけれども、それだったら余計、例えば、該当する方もいらっしゃるかもしれませんが、多摩地域の中で八王子とか町田とか、大規模な市だったら十分こなせ得ると思うんです。しかし、規模の小さい市町村の場合は--人数的にはわずかなんですよ。例えば、私、実績を見させていただきましたけれども、育成医療の申請などを見ても、清瀬市は年間十二件ですから一カ月一件です。羽村市は二十四件ですから一カ月二件ですよ。しかし、それであっても、そうしたことについて必要な相談なり、前向きにいろいろなサジェスチョンもできるような職員の方が配置されなければならないということから見れば、やはりなかなかこの間合意に至らなかったということも、そうした体制や、あるいは東京都からの支援ということが大きな課題だったと思うんです。
 もともとは、身近なところに保健所が存在していればこういう矛盾は起きなかったと思うんです。それが、この長い経過の中で、保健所が次々と縮小、統廃合し、あくまでも保健業務は、規模的には広い地域を所管する基幹的な保健所にするという中で、こうしたことにならざるを得なかったのが私は結論だと思います。そういう意味では、今回の事務移譲がやはり当事者の方々にとってはマイナスになり得る危険性をはらんでいるということで同意できないという旨を表明して、この質疑を終わらせていただきます。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○土屋委員長 次に、報告事項、第二次都庁改革アクションプラン実施状況報告について外一件に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、第二次都庁改革アクションプラン実施状況報告について質問をさせていただきます。
 先般、我が党の代表質問でも言及をいたしましたけれども、地方分権改革は、我が国の将来にかかわります焦眉の急の課題であります。しかしながら、国は、骨太の方針二〇〇四におきましても、改革の全体像を示すことなく、結論をすべてこの秋に先送りをいたしました。東京都は、国のこのような動きに惑わされることなく、真の地方分権の実現に向けて、全国の自治体をリードして、新たな制度の確立に努めていただきたいと思うものであります。
 私は、地方分権改革においては、移譲された権限や財源を地域の実情に合わせて効率的、効果的に住民サービスの向上につなげていくことが重要であると考えております。いわば分権の受け皿を担う自治体が、時代に即して施策や組織を見直すという行政改革が必要不可欠であると思うものであります。
 日本全体の大きな枠組みを変える地方分権改革と、そして自治体みずから変革をするという二つの改革が相まってこそ、本当の、真の地方自治体の確立が実現されるものと考えます。この意味では、行政改革は大変重要性を増している、私はそのように思っております。
 そして、都庁改革をさらに推し進めるという観点で、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、民間活力について伺いたいと思いますけれども、これまでも我が党は、東京の再生には民間の創意工夫、あるいは官民協働が不可欠である、欠かせないといった観点で、民間にできることは民間に、そして官から民へということを常々申し上げてまいりました。このたびのアクションプランが掲げております民間との協働に関する実施状況を見てみますと、今回十六項目について報告がなされております。都が行うさまざまな事業につきましては、民間の活力を活用するということは、今や前提となって推し進めておられるということでありますし、特にまちづくりについての民間のノウハウを活用するということに対しましても、大都市東京の活力と魅力を高めるためには、極めて重要なことであると考えます。
 そこで質問でございますけれども、今回の報告にあります、都有地を活用しながら民間のプロジェクトを実施するという先行まちづくりプロジェクトの推進では、今後どのようにこの事業が進んでいくのか、特に民間の活力という視点でこの点についてお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○石渡行政改革推進室長 先行まちづくりプロジェクトにおきましては、まず知事本局でプロジェクトを実施する候補地を都有地の中から選定し、都市づくりのおおむねの方向性を明示した上で、都市整備局が、その方向に基づき、都市づくりの企画から事業の立ち上げまでを一貫して担当することになっております。
 プロジェクトの内容といたしましては、生き生きとした都市生活や企業活動の展開、あらゆる世代が住まい交流する美しい住宅市街地の形成といった、それぞれの地域の課題に対応した都市づくりの誘導目標を局横断的な観点から設定した後に、民間の資金やノウハウを活用して実現させていくこととなります。

○山田委員 こうした民間の活力を活用したまちづくりについては、今後とも積極的に取り組み、そして実績を重ねていただきたいと思います。
 また、今ご説明いただきました施策で、民間企業の活力の活用ということでありますけれども、企業の活用ということだけではなくて、個々の都民の力の活用も重要な要素であると私は思っております。今回、実施状況報告につきまして、動物園サポーター制度の導入とか、ベンチなどの名入り寄附の受け入れがありますけれども、それぞれ都民と協働して進める施策であるということでありますけれども、これまでの実績と今後の展開についてお尋ねをいたします。

○石渡行政改革推進室長 動物園サポーター制度につきましては、今年度からの施策であり、五月十日現在の実績では、法人、個人合わせて二百三十八人のサポーターの応募がございました。引き続き募集を行っているところでございます。
 また、いわゆる思い出ベンチ事業では、今年度百基募集することとしており、その対象も、日比谷公園、井の頭恩賜公園に加え、新たに上野恩賜公園、代々木公園、小金井公園などに拡大すると聞いております。

○山田委員 こうした新たな視点に立ちました取り組みについては、今後とも一層取り組んでいただきたいと思います。
 また、行政改革の推進に当たっては、これらの民間活力の活用に加えて、都が持っております経営資源を最大限に活用していくということも重要であると思います。東京都では、平成十二年に財産利活用計画を策定をし、これまでの財産管理の考え方を、適正な管理から有効活用へと大きく転換をし、資産の有効活用や未利用地の売却等により、平成十二年度から十四年度までの三カ年で約千四百億円の売却実績を上げたと聞いております。
 第二次都庁改革アクションプランでも、資産の総合的な利活用の推進をうたっておりますけれども、今回の報告で進展があったかどうか、また今後どのように展開をしていくのか、予定をお尋ねをいたしたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 公有財産管理事務につきましては、手続の簡略化など、効率化、スピードアップを図ったところでございます。
 また、都の保有する資産を重要な経営資源としてとらえ、従来にも増して有効活用を図るために、新たな財産の利活用の基本的な考え方と今後の取り組みを示した第二次財産利活用総合計画を作成いたしました。今後は、この計画に基づき、全庁的に施設の必要性やスペースの利用状況等を調査し、各局相互に施設を共用化するなどのより効率的な利用を可能といたします、いわゆる資産アセスメントを実施いたします。その上で、ひり出した余剰財産につきましては、民間のノウハウなども導入しながら、多様な財産活用の推進を図ってまいります。

○山田委員 財産の利活用によって生み出された余剰財産については、今、お話がありましたように、ぜひ多様な財産活用を今後ともより一層推進されることを願う次第であります。
 さて、都庁改革のもう一つの重要な柱が監理団体改革であると思います。今回の実施状況報告によりますと、前年度に対しまして、都財政支出は三百二十一億円の削減、そして職員数については二百三十五人の削減ということで、いずれも計画を大きく上回って成果を上げておりまして、大いに評価するものであります。
 今後、さらなる監理団体改革を推進をし、効率的な経営と都財政支出の削減を図っていくには、新たな視点で取り組みを進めていくということも必要であると思います。そのような観点から、監理団体の情報システムについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、監理団体におきます情報システムの導入状況についてはどうなっているのか、お尋ねをいたします。

○石渡行政改革推進室長 監理団体における情報システムは、年間運用経費百万以上の情報システムについて申し上げますけれども、二十八団体が、事業費積算、収納金管理、予約管理など百三本のシステムを導入しております。

○山田委員 ただいまご説明いただきましたけれども、監理団体におきましても、非常に大きな情報システムが導入されていることがわかりました。したがいまして、これらの情報システムにかかわります経費の削減は、監理団体改革に大いに寄与するものと考えます。監理団体にも大小ございますけれども、システムに精通した人材、必ずしも十分にいるわけではないと思います。しかし、一方都庁では、原始都庁から電子都庁へということをキーワードに、これまで集中的なIT投資と同時に、費用対効果の検証の徹底によりまして、さらなる経費の削減に積極的に取り組んでいるわけであります。
 そこで提案でございますけれども、東京都は、これまで取り組んできたノウハウを活用いたしまして、監理団体につきましても、情報システムの経費の削減が図れるよう積極的に支援をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 都では、平成十六年度にIT推進室に専管の経費削減チームを設置いたしまして、外部のシステム監査等の専門家も活用しながら、現在、個別業務システムごとにシステムの規模、運用経費などの精査、検証を実施しているところでございます。
 ご提案の監理団体につきましても、今後所管局とも連携をしながら、都が有するノウハウと人材を活用いたしまして、経費削減のためのシステム評価など、必要な支援を行ってまいります。

○山田委員 ぜひ、今申し上げましたような部分についても経費削減が図れるよう積極的な努力、取り組みをお願いいたしたいと思います。
 また、このような経費の削減、改革も、いろいろなところから見て改革すべき点というものも出てくると思いますので、ぜひ積極的に、前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 また、今後の改革のベースとなります第二次都庁改革アクションプランについては、まだ策定いたしまして半年しかたっておりません。改革の実施につきましては、全二百八十九項目のうち、まだ五十六項目を達成したにすぎないということでありまして、平成十八年度の計画期間内にはまだまだ多くの課題、重要な施策を抱えていると思います。
 そこで、地方分権改革の推進に当たりまして、これまで以上に、都みずからの行政改革が問われていると思います。このプランの実施に向けました決意を局長にお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○赤星総務局長 ご指摘の第二次都庁改革アクションプランでございますけれども、このプランは、民間活力の活用や保有資産の利活用の推進などを施策に盛り込みまして、都政を取り巻く新たな流れや課題に対応できる都庁づくりを目指すものでございます。
 現在、プランの施策はほぼ予定どおり実施しております。今後とも、指定管理者制度の導入、あるいは資産アセスメントの実施、公会計制度改革、監理団体改革の推進などの重要な課題はもとより、プランに掲げます多くの施策を着実に実施してまいります。
 また、監理団体も含めたIT経費の削減につきましても、積極的に取り組んでまいります。
 いずれにいたしましても、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的な都政の実現と、さらなる住民サービス、都民サービスの向上に向けまして、委員のご指摘も踏まえまして、都庁改革を全力で推進してまいります。

○富田委員 初めに、今回報告がありました第二次都庁改革アクションプランの実施状況報告の中で、監理団体改革についてご質問させていただきます。
 今回の実施状況を見てみますと、ネーミングライツの導入や利用料金制度の拡充など、監理団体みずから積極的な経営改善の取り組みやこれを支援する施策などが実施されている点で高く評価をするところでございます。
 その上でここで取り上げたいのは、本年第一回定例会で集中的に取り上げられました財団法人東京都交響楽団、いわゆる都響の課題でございます。この都響改革に求められている視点の一つは、経営改善です。都響には、都から運営費の半分以上に当たる補助金が支出されています。いかに都が出資し設立した楽団といえども、今後は、さまざまな機会をとらえて演奏収入を確保するなど、みずから経営努力を行うことが必要となります。
 同時に、都響改革に求められているもう一つの視点は、都民のためのオーケストラ、税金で運営されているオーケストラとしての積極的な演奏活動ということです。一昨日行われた我が会派の代表質問でも、都響改革の課題を取り上げまして、特に都民のためのオーケストラという視点で、どのような活動を行うことがそれにふさわしいかという観点から、東京文化会館の屋外テラスで毎月行われることになったティータイムコンサートのような活動を積極的に展開すべきだと主張し、今後さらに演奏回数をふやしていきたいとの前向きな答弁をいただいたところでございます。
 私は、こうした活動の一つが、本定例会より再開された本会議初日における演奏であると理解をしているところです。これは、開かれた都議会の推進のため、平成元年の第三回定例会から実施されるということになりましたが、三宅島の噴火災害以降は一時中断されておりました。このたび、三宅島の災害復旧作業も着実に進められていることなどを踏まえ、再開されたというものでございます。
 そこでお伺いをいたします。この都議会での演奏について、経費の負担はどのようになっているのでしょうか。また、東京文化会館テラスでのティータイムコンサートはどうなのでしょうか。あわせて一般的な公演依頼に対する出演料はどうなっているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 都議会におきます演奏につきましては、当初より、出演者一人当たり約五万円の出演料が都から支払われております。
 また、ティータイムコンサートは、本拠地である東京文化会館と共催で都響の主体的なPR活動として行うものであることから、出演料、入場料とも無料でございます。
 なお、都響の一般的な出演料は、フルオーケストラの場合では、一回当たり三百万から四百五十万程度、小規模なアンサンブルでは、出演者一人当たり五万円から八万円程度ということでございます。

○富田委員 東京文化会館での演奏は都民へのPR活動だから無料で行われ、一方、都議会での演奏には出演料が支払われているということです。さて、このことを聞いて都民はどのように感じるでしょうか。営業努力を行うのは当然なのだから、都議会に出演料をもらうのは当然だと思われる方より、何か変じゃないかと思われる方の方が一般的であるように思います。
 私が聞いたところによりますと、このほかにも、触れ合いコンサートという心身障害者の方々を無料で招待するコンサートは、東京都との共催事業であることなどから無料で出演、三宅島支援コンサートについても同様の考え方で無料出演となっているということです。
 私は、単純に、都民のためのオーケストラ、税金で運営されているオーケストラという視点で、これをお手盛りではないかと批判し、都議会での演奏は無料にすべきと主張しているわけではありません。一方で、都響に課せられた経営改善という視点との線引きを明確にしていかないと、今後都響が改革を進めていく上で、都民に誤解を招くことになるのではないかと危惧しているのです。こうした線引きの問題も都響改革の大きな課題であると思いますが、監理団体改革という観点からの所見をお伺いいたします。

○石渡行政改革推進室長 現在、都響に求められている改革の大きな柱は、お話がございましたとおり、経営の自立と都民に顔の見える交響楽団でございます。すなわち、都響という看板のもとに安穏とすることなく、積極的な営業活動による演奏収入の拡大や協賛企業の獲得などによって、経営基盤の確立を図ることを基本とし、同時に、都民に顔の見える交響楽団として、幅広い都民に積極的に演奏活動を行っていく必要があると考えております。
 今後、ご指摘の点も含め、現在都響が置かれている状況と課題を十分に踏まえて改革を進めていくよう、所管局とともに団体を指導してまいります。

○富田委員 次に、三宅島についてお伺いをいたします。
 総務委員会では、四月二十日に現地を視察し、ライフラインや都道が完全に復旧している状況をつぶさに見させていただきました。帰島への障害は、報告にもありましたが、二〇〇二年から横ばいとなっている火山ガスの放出量の問題だと思われます。私は、五月九日に港区の芝浦小学校で行われた三宅島島民ふれあい集会に参加し、三宅島島民の方々にお会いをして、帰島への思いと、それが間近であるとの期待感を肌で感じたところでございます。
 そこで、視察を踏まえて何点かお伺いをしたいと思います。
 三宅島島民の方々の意見としても聞かれましたが、港の問題です。東海汽船の大型客船が発着する港としては、三池港と阿古漁港の二つの港がありますが、このうち、メインの港は噴火以前は三池港となっていました。しかし、この港がある地域は火山ガスの濃い地域であるとともに、地盤沈下が激しい地域であるという問題がございます。いざ帰島となっても、港が安心して使えないのでは困ります。この港の課題をどのようにとらえているのか、どのようになっているのか、お伺いをいたします。

○竹内局務担当部長 港湾施設の復旧は、島民が帰島した際、交通アクセスのために最も重要な施設と考えております。定期船が入港する三池港や阿古漁港は、噴火活動で沈下はいたしましたが、平成十三年度にかさ上げ工事を完了しております。二つの港は、現在も防災関係者の入島に利用されており、定期船の着岸港として利用可能であります。しかしながら、ご指摘のとおり、三池港は火山ガスの高濃度地区にあり、帰島が実現した後、島民の方々や一般の観光客などがどのように利用することができるか、安全面等から今後検討してまいりたいと思っております。

○富田委員 港と同様に空港の問題もございます。視察では、三宅島空港を利用しましたが、空港施設は相当の改修が必要な状況であると見受けられました。また、この場所も火山ガスが強い地域ですが、この空港の課題はどうなっているのでしょうか。

○竹内局務担当部長 三宅空港は、滑走路には大きな被害が見られないものの、空港ターミナルビル等が被害を受けております。現在、臨時ヘリポートとして活用しているが、再開については、空港が火山ガスの高濃度地区にあるので、今後ガスの動向を見ながら検討していきたいと思っております。

○富田委員 港と空港は島の玄関であるわけですから、島民に不安を抱かせない対応が求められていると思います。具体的には経済・港湾委員会の所管事項であると思いますが、取りまとめ役の総務局としても積極的な対応を求めておきたいと思います。
 次に、帰島後の生活再建という視点でお伺いをいたします。
 島民の方々の不安の一つに生活再建がございます。農業や漁業、そしてお店での商売、観光産業、どれ一つとっても、不安のないものはありません。日々の生活のための生活費をどのようにしたらよいのか。帰島は希望するものの、帰ってからの見通しがないと帰島できないとの思いがあるのも事実でございます。こうした島民の方々の不安を解消することが必要です。特に農業や観光業などにおいては、被害を受けたことで、すぐには軌道に乗らず、帰島後当初は収入も十分に上がってこないということが心配されます。こうした状況を踏まえ、生活再建について、現時点でどのように考えているのでしょうか、お伺いをいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先生お話しのように、今回の災害で農業や観光資源は大変大きなダメージを受けていることは事実でございます。これは、あくまでも帰島が可能となることが前提条件でございますが、帰島後の島民の生活再建についての基本的な考え方といたしまして、まず島民の安全対策や生活に必要なインフラの整備を行った上で、島民の自立した生活の実現に向けて、島民自身の主体的な取り組みと自助努力を前提といたしまして、個人の力だけでは解決が困難な課題に対して、行政や各種の公共的団体等のさまざまな主体が連携しながら支援をしていく必要があるというふうに考えております。
 現在、このような観点から、三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告において掲げられました、改正された被災者生活再建支援制度に基づく支援や各種の資金の貸し付け及び利子の補給による支援、さらに島内で実施される災害復旧事業や産業基盤整備事業等への島民の積極的な雇用による所得の確保など、各種の対策や課題につきまして、引き続き検討を行っているところでございます。

○富田委員 島内を視察させていただきまして、大きな問題だなと感じた点について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 その一つは、シロアリの被害でございます。仮に帰島した場合、島民の生活再建に大きな障害となりかねないというふうに見受けられましたが、このシロアリ対策の現状についてどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○竹内局務担当部長 平成十三年度末、三宅村が行った全島のシロアリ被害調査の結果、シロアリが異常繁殖しており、これを放置すると帰島後の生活に重大な影響を及ぼすであろうということが判明いたしました。これは、全島避難により家屋が無人になったこと、あるいは火山活動による倒木や枯れ木が増加したことなど、シロアリの生育条件が整ったことなどが原因と考えております。
 この報告を受け、三宅村では、平成十四年度からシロアリの駆除事業を実施しております。平成十五年度末までに二百七十一軒の調査を行い、百九十七軒の駆除を実施しております。その後の帰宅事業において、新たな被害報告が出されていることから、島民みずから適切な処理がとれるまで、三宅村としては駆除事業を継続していくと聞いておりますので、都といたしましては、引き続き支援していく所存でございます。

○富田委員 もう一つの課題についてお伺いをいたします。それは、枯れた木々の問題でございます。三宅島を上空から見ますと、今回の噴火による降灰や酸性雨の影響で枯れてしまった樹木が多く見られました。特にガスの濃度の濃い地域では、森林自体が枯れた森になってしまっています。これらの木々が将来、雨などに流される危険があると思いますが、その対策は進んでいるのでしょうか。
 このほかにも、森林の再生に向けた取り組みや枯れた木々の処理及び活用方法など、考えなければならない課題は多くあると思います。これら枯れた木々の対策についてお伺いをいたします。

○竹内局務担当部長 先生ご指摘の立ち枯れ状態の枯損木対策は、今後の居住地の安全確保等のために大変重要な課題の一つであると考えておりますが、次の三点から考えられると思います。
 第一は、枯損木の倒木を防止するための緑化の推進でございます。このため、本年一月に緑化ガイドラインを策定し、在来種を中心とした緑化を現在進めております。
 第二は、枯損木による二次災害の防止です。これまでも都では、砂防ダムなどを整備し、泥流対策に努めてきましたが、今後も島民の生命と財産を守るため、ふえ続ける流木の捕捉も視野に入れて砂防ダム等の建設を進めてまいります。
 第三は、枯損木の利用を促進することでございます。試行的に横断抑止さくの材料などとして利用してきましたが、今後はチップ化による活用なども検討してまいりたいと思います。
 これらの取り組みを行うために、三宅島災害対策技術会議を積極的に活用し、都の各局、村及び東京電力などが連携して、横断的な取り組みができるよう今後も努力してまいります。

○富田委員 先日の委員会視察に加え、三宅島島民ふれあい集会で、直接島民の方々から伺った不安について質疑を展開してまいりました。
 最後に、今後残された課題の検討や、帰島の時期や方法を含めた各種対策の準備を遅滞なく進める立場にある総務局長の決意をお伺いをさせていただきたいと思います。

○赤星総務局長 三宅島の島民の方々の避難生活も三年九カ月を過ぎました。間もなく四年になろうとするわけでございますが、我々東京都、できるだけのことは村役場と協力しながらやってきたつもりでございますけれども、いろいろな意味でご心労も多いだろうと思いますし、一日も早く帰島されることを我々も願っているわけでございますが、これまで私どもも、帰島に際して必要となる各種対策や課題につきまして、国及び三宅村と共同で検討を行ってまいりました。先ほど部長から申し上げたとおりでございますけれども、さらにこれまで十分な議論が尽くせなかった課題もございますので、これらにつきまして、現在関係者で鋭意検討を進めておるところでございます。
 帰島の時期や方法につきましては、島民の安全を第一に、専門家の意見をもとに検討を行う必要があると考えておりますが、今後とも三宅村や国と連携しながら、帰島可能な条件が整った場合に備えて、各種施策の準備を着実に、全力を挙げて進めてまいりたいと思います。

○富田委員 局長の力強い決意をお伺いすることができました。私が取り上げた課題以外にも多くの課題が山積していると思いますが、今後も、都民の理解を得つつ、島民の方々の不安を解消するため、我々都議会としても積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 ありがとうございました。

○長橋委員 私からも三宅島帰島プログラム準備検討会の報告についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 この検討会におきまして、帰島に際しての必要な対策や課題について取りまとめたものであります。帰島については、先月、私たちも視察に行かせていただきましたけれども、石原知事も先月の二十六日に三宅島を視察しまして、帰島が一歩手前まで来たと、地ならしとしてのライフラインが完全に修復をしたと、その上で、専門家も火山ガスの健康への影響を一〇〇%保証できないといっていることを踏まえて、島民が自分で決断し、選択される段階に来たと話をしたと聞いております。
 また、二月に行われた村長選でも、年内帰島を訴えた平野村長が当選をされております。
 そういう中で、現在三宅村では、住民に対する帰島に関する意向調査を実施していると聞いておりますけれども、まずは、この意向調査の具体的内容と現在の状況についてお伺いをいたします。

○金子総合防災部長 帰島に関する意向調査は、村が本年五月十七日に島民全世帯に発送しまして、五月三十一日を回答期限としております。その具体的な内容は、火山ガスのリスクを受容して帰島するのか、帰島するつもりがないのかという意向の確認が中心でございまして、帰島すると回答した場合には、火山ガス等健康影響に対する理解度などを質問した上で、自由意見を記入し、記名式で回答するものになっております。現在のところ、回収率が約八割、目下村で集計作業中というふうに聞いております。

○長橋委員 五月三十一日回答期限ということで意向調査が行われているようですけれども、回収率八割ということで、その集計作業中であるということで、その結果はまだ出ておりませんけれども、私の思いは、島民の過半数の方が、そういう状況であっても帰島したいということが占めるのではないかなと、こういうふうに思われるわけでございます。そしてまた島民の意向重視を打ち出した知事の発言を受けて、帰島に向けて動きが加速をしているというふうに思います。
 そこで、この避難指示の解除をするに当たって、都は村をどのように支援していくのか、具体的に、できましたらお願いをしたいと思います。

○金子総合防災部長 避難指示の解除につきましては、災害対策基本法第六十条第四項の規定によりまして、村長がその旨公示することになっております。その決定に際しましては、今お話しありましたように、島民の帰島についての意向を把握するとともに、火山ガスの状況などについて、専門家の意見も十分考慮し、島民の安全を第一に村が判断することとなりますが、都としましても、こうした判断に当たりまして、必要な支援を行っていきたいと思っております。

○長橋委員 帰ってからの生活、これがどのように再建をしていくのか、そういう意味では、産業、それから雇用、これが重要であるかと思います。火山ガスは当分の間継続をすると予想される中で、そのあり方を考えなければいけないわけでありますので、観光産業--観光プログラムを策定すると、この報告書には書いてありますけれども、そういう中で観光ということについてはなかなか、すぐに観光客が来るという状況は難しいわけでございますので、島の主な産業である農業、漁業、これらが大事だと思います。つきましては、この農業、漁業、こういう産業に従事していた人は、噴火前にはどれくらいいたのか、お伺いをいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 三宅島の噴火前の平成七年の国勢調査における産業分類別就業者数によりますと、三宅村の全就業者総数二千四十二人のうち、農業の就業者数は二百十九人、漁業は七十八人で、合計すると約三百人で、率にして約一五%に当たりますが、これに兼業者も含めますと、農業の就業人口は、平成七年の農業センサスによりますと三百十五人となり、また漁業につきましては、三宅島の漁業協同組合の組合員数、これは準組合員も含めた数でございますが、千九十人となっております。

○長橋委員 今お答えにありましたとおり、就業者数のうち、兼業も含めて過半数を超える千名以上の方が従事をしていたということでございます。そういった意味で、仮に帰島が実現をした場合でも、農業においては、噴火による降灰や火山ガスによる作物や農地、パイプハウス等の施設に対する被害がありますし、漁業においても、火山灰や土砂流入などによる漁場や漁港の被害などがあります。これらが産業に当たっての大きな問題であります。
 そこで、農林水産業の再開支援のために、農地の復旧、また漁業の復旧、こういったことについてどのように支援を検討しているのか、お伺いをいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 帰島後の復興に当たりましての基本的な考え方といたしまして、先ほども申し上げましたが、まず島民の安全対策や生活に必要なインフラ整備を行った上で、島民の自立した生活の実現に向けて、島民自身の主体的な取り組みと自助努力を前提にいたしまして、個人の力だけでは解決が困難な課題に対して、行政や各種の公共的団体等のさまざまな主体が連携しながら支援をしていく必要があるというふうに考えております。
 現在、このような観点から、都及び国、村の共同で検討を行いました三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告において掲げられました農地復旧や漁港の災害復旧などの生産基盤、施設整備などのほか、農林水産業の再開支援といたしまして、農業振興事業や海域におけるいそ根資源の回復など、島民の産業再開支援のために必要となる各種の対策や課題につきまして、引き続き検討しているところでございます。

○長橋委員 さまざまな支援策を実施をしたとしましても、産業はすぐに以前のような状態、災害前の状態になるということはありません。帰島するにしても、当面の生活は相当苦しいものになるというふうに思われます。こうした中で、国の被災者生活再建支援制度が拡充をされ、長期避難特例などの新しい支援が三宅島火山災害にも適用できることになったと聞いております。これは一定の前進であると評価するわけですが、所得や年齢要件の関係で対象外となる、こういった世帯もあると思われます。そうした世帯に対する支援についても今後検討を行っていくべきではないかと思いますし、報告書の中にも新たな法的、行政的な枠組みを検討していくと書いております。この点についてお伺いをいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先生お話しのように、国におきましては、平成十六年度より被災者生活再建支援制度が拡充をされまして、帰島後の島民の自立や当面の生活の早期安定に向けた支援の取り組みといたしまして、三宅島島民のように三年以上にわたる長期避難世帯に対しまして、避難指示解除後に帰島する場合に必要となる移転費や物品購入、補修に必要な経費といたしまして、上限七十万円の支援の実施が可能となっております。
 三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告におきましては、この制度を活用して、島民の生活再建を支援していくとともに、所得や年齢要件などでこの制度の対象とならない世帯に対しての支援が可能かどうか、この検討も行っていくこととしております。

○長橋委員 三宅島帰島プログラムの最終報告の中に、今後の取り組みということで、今回は、時間的な制約や帰島に当たっての前提条件が明らかでないなどの理由から、十分に議論を尽くせなかった、こういった課題もあるということで、今から実施できるものは直ちに取りかかるとともに、今後残された課題の検討や、帰島の時期や方法を含めた各種対策の準備を遅滞なく進めるということで、残された課題、対策、まだまだあるわけでございますけれども、この最終報告を受けた後、その後の取り組み状況についてはどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 帰島につきましての具体的な時期や方法につきましては、今後さらに慎重に検討していく必要があると思っておりますが、帰島可能な条件が整った場合に備えまして、都としての支援策を円滑に実施できますよう、三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告で示されました帰島に際して必要となる各種対策や課題につきまして、より具体的な事業計画を策定をしていくために、現在各局におきまして実務的な検討を開始したところでございます。

○長橋委員 さらなる支援をお願いをしたいと思いますけれども、災害から四年近くになるということで、帰島というのは、時期についてはまだ決定しておりませんけれども、やはり就労して、所得を得て生活できるようになって本当の帰島になる、こういうことであるかと思いますので、島民の皆さんがみずから生活できるように、さらなる支援をお願いをいたしまして、質問を終わります。

○古館委員 それでは、私も、三宅島の帰島プログラムの準備検討会について質問したいと思います。
 都の総務局が五月末に、三宅島帰島プログラムを事業計画として具体化するために、関係局の企画担当課長というふうに新聞などで書かれておりましたが、三宅島災害復興連絡会議、こういうのを設置した、このように聞いております。三宅村も国も、それぞれ事業内容をこれから詰めて、三者が調整の上で、この内容だと九月には財源の手当ても含めた全体の実施計画を策定する、こういう予定になっている。したがって、ここでの私どもの委員会の質疑が、実施計画に、ぜひ実りあるものに反映していってもらいたいなという立場で幾つか質問させていただきたいと思います。
 この計画と、それぞれの取り組み一覧というのも全部読ませていただいたんですけれども、最初に、帰島前に実施する島民の健康診断というのがあります。帰島後の島民の健康と安全の確保に非常に重要だというふうに私は考えておりまして、ただ、この場合、帰島に際して重要なこの事業を村が実施する、こういうふうになっております。村の実施ということでいきますと、結局事務費だとか、そういうのは村が負担するのかもしれませんけれども、その実費は島民が負担しなければならないという心配があります。島民に負担がかからないように実施をするべきだ、こういうふうに考えていますけれども、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 お尋ねの三宅島帰島プログラム準備検討会は、昨年の十月に設置をいたしまして、当然村も加わって、国、東京都、村、三者で検討してきております。その中で、必ずしもこの段階で、今お話しございましたようにいろいろな前提条件が明らかでなくて、詰め切れなかった課題もあるわけでございますが、当然個々に上げた、必要と思われる事業につきましては、村も加わって、村のご意見もいただきながらまとめてきたものでございます。
 あと内容的に、やはり国、東京都、村、それぞれ行政としての役割分担もございますので、現時点ではこのように整理をさせていただいたというものでございます。ただ、今後、仮に帰島が具体化する段階になりましたらば、これをもとにさらにいろいろな事業をもう少し、一歩も二歩も突っ込んで検討していかないといけません。その中で費用負担についてもおのずとまたそれなりの結論が出てくるというふうに思っております。

○古館委員 部長、前段でそういう答弁されたんですが、今、私が直接的に質問したのは、島民に対する健康診断というのがあって、島民の健康診断に対して島民に負担がかからないように実施をしてほしいと、このことについてはいかがですか。

○金子総合防災部長 健康診断につきましては、仮に火山ガスの放出が続く中で帰島する場合には、二酸化硫黄に対する感受性について、ご本人があらかじめ十分知っておくということが安全確保の観点からも重要であると思います。このため、村では、現在、帰島が実現した場合に備えまして、帰島前健康診断の実施方法等について検討を進めておりますが、費用負担につきましても、その中で一定の方針が示されるものというふうに考えております。

○古館委員 これはぜひ公費で、東京都もそういう中でぜひ援助してほしい、このように思っております。これは要望にしておきます。
 さらに、帰島後の火山ガスの状況によっては、定期的な健康診断というのをぜひ実施してほしい、こういうふうに思います。これはいろいな意味で意義がある、こういうふうに思います。島民の健康維持だとか、あるいは新たな呼吸器系の患者さん、こういうことを把握することも非常に必要であるというふうに思っていますので、この点はぜひ、定期的な健康診断ということも盛り込んでいただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 帰島が仮に実現をした後も、現状程度の火山ガスの放出が続く場合には、島民の方々の安全確保のためにも、定期的な健康診断を実施することが望ましいというふうに考えております。

○古館委員 恐らく火山ガスの噴出というのはしばらくやまないんじゃないかという学者の見通しもありますよね。ですから、この健康診断は非常に大事な部分を占めているというふうに思いますので、そういう位置づけをぜひしてもらえればいいなと、このように思っています。
 それで、今ずっと話をしております、同じような部署での質問ですけれども、帰島プログラムでは、脱硫装置に関して、ハイリスク者に限定しているんですよね。この報告書は、ハイリスク者等というふうに全体は書いているんです。ところが、帰った後に脱硫装置をつけましょうといっているのが、ハイリスク者に限定しているんですね。ハイリスク者というのをどういう形で考えているかというと、この報告書によりますと、呼吸器とか心臓に疾患のある人、それから新生児だとか乳児、妊婦、この人たちがハイリスクということですよね。「等」の中ではどういうことかと、この文書で読んでいると、要援護者という人たちが「等」の中に含まれているんですね。この「等」という方々はどういう人たちが入るかというと、幼児、児童、高齢者、障害者などと。ですから、私は、せっかく枠組みはハイリスク者等というふうにしているんですから、この要援護者の方々にも、脱硫装置については、島民の安全策として拡大をすべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 ただいまお話がありましたように、かつて出されました三宅島の火山ガスに関する検討会報告によります高感受性者と要援護者という概念を使いまして、ハイリスク者を高感受性者、ハイリスク者等の「等」には要援護者と、こういうことでプログラム準備検討会の報告では取りまとめをしております。
 それで、ご指摘の脱硫装置の整備につきましては、高感受性者、いわゆるハイリスク者は、ほかの方々とは違いまして、低濃度の火山ガスでも健康影響を受けるということから、居宅への脱硫装置の整備を検討課題として掲げたものでございます。この問題は、脱硫装置単独で考えられるものでは必ずしもございませんで、ガスが発生したときの避難体制ともかかわります。それから高感受性者以外のガスに対する感受性は、高感受性者ほどではないにしても、直ちに避難が難しい要援護者をどう考えるかというような問題もありまして、実施に当たりましてはさらに検討を重ねていかなければならないと考えております。

○古館委員 今の答弁ですと、決して「等」の、いわゆる幼児や児童や高齢者、障害者の要援護者の人たちも考えていないということではなくて、今後の検討課題だという意味での答弁がありましたので、これはぜひそうした立場で実施ができるように強く求めておきたいと思います。
 今後、三宅村が主体となって実施する事業が非常に多いというふうに、私は一覧を見ますと、率直にいって感じております。財政が余りあるわけじゃない村が、実施主体が村、村、村というのがずっとありまして、例えば私どもみんな視察して感じているのは、堆積土砂が極めて多いという、この問題なんですね。私は村だけで対応し切れる問題ではない、極めて大きな問題があるというふうに思っています。この点は、ぜひ都は支援をするということが必要だというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。

○竹内局務担当部長 宅地内に堆積した土砂の排除のことでございますけれども、島民の生活に密着した事業は三宅村が主体となって実施すべきであろうというふうに考えております。しかしながら、これらの事業を進める上では、村だけでは財政的、あるいは人的にも限界があるだろうということも考えております。都が窓口となり、国と調整を進めているほか、村職員を技術的に支援するため応援職員を派遣するなど、都としても現在積極的に支援しております。

○古館委員 今、積極的に支援しているということでありますけれども、先ほど話が出ていましたが、どうしても帰りたいという島民の人たちがやはり多いわけですよね。もちろんアンケートの結果がこれから待たれるわけですけれども、ただ、村長は、どんなことがあっても帰りたいと、帰れるようにしたいというのが、この間視察に行ったときに村長さんが決意を述べていたことでもありました。したがって、この問題は非常に重要な問題でもありますので、ぜひさらなる積極的な支援を求めておきたいと思っています。
 今後の災害復旧、復興を考えますと、廃材とか建設残土、それから先ほども出ていましたが、枯損木の取り扱い、それから廃棄物というのは膨大な量になると思います。見ても、自動車がさびついて全然動かない、家電だってそうだと思いますし、そういうことを考えていったら、本当にどれくらいの量になるかというのは、大変なものですよね。特に枯損木は、雄山を見ましたけれども、あの真っ白い、枯れて、どんどん倒れていっている、密集しているあの枯損木はどういうふうにするんだろうかというのは、最大の難問中の難問の一つかなと思うくらいであります。これを何とかして、基本は再利用すべきだというふうに思うんですけれども、この点について、私は東京都というのはいろいろな研究機関がありますから、そういうことでぜひ前向きに再利用も検討していく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

○竹内局務担当部長 立ち枯れ状態の、いわゆる枯損木のことでございますけれども、三宅島における重要な課題であるということは我々十分認識しております。枯損木の再利用について、試行的に横断防止さくの材料等として利用してきましたが、今後は関係機関が連携して、チップ化などによる活用等も検討してまいりたいというふうに考えております。

○古館委員 ぜひその点はお願いしたいと思うんですけれども、改めて三宅島ならではというようなことができるかできないかも、ぜひ東京都の持っているさまざまなノウハウというか、研究機関もあるわけですし、その辺はぜひ研究をしてほしいなというふうに強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、被災者の生活再建の支援制度の拡充ですけれども、三宅島の人々にも長期避難特例として、私は七十万じゃ少ないと思っていますが、いずれにしても七十万円の支援がされるということが書かれております。大体年収五百万といいますから、実収入で大体三百八十万円以上の人は受けられないとか、年齢要件が定まっているとか、対象にならない人も結構生じるわけです。都としては、この要件緩和などをぜひ行って、希望を持てるようなものにしていってほしいというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先生お話しのとおり、平成十六年度から被災者生活再建支援制度が拡充をされまして、三宅島のような長期避難世帯に対しましての支援が行われるようになりました。三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告におきましては、帰島後の島民の自立や当面の生活の早期安定に向けた支援の取り組みといたしまして、拡充された被災者生活再建支援制度の活用とともに、この法令改正の内容を踏まえまして、この制度の対象とならない世帯に対しての支援が可能かどうか、この検討も行っていくことにしております。

○古館委員 ぜひ積極的な、前向きな検討をお願いしたいと思います。
 個人住宅についてですけれども、例えば屋根補修ということもこのプログラムの中にあるんですけれども、これは村と書いてあるんですけれども、村は事務費のみを考えているようなんですね。あとは、結局屋根補修は個人負担になっていくんじゃないかと。結局そうすると、それでなくたって生活が非常に困難な状況にある島民にとっては大変なことになります。しかも、全壊に至っていなくても、長い避難生活の中ですから、建てかえないと住めない家もあります。そうした住宅の建てかえ、この問題、非常に大事な問題になっていますが、この支援はどのように検討されているんでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 先ほど申し上げました被災者生活再建支援制度の拡充の中で、居住安定支援策といたしまして、住宅が全壊または大規模半壊した世帯に対する支援が制度化されました。
 また、住宅の建設、建てかえ、または補修などの被災住宅の再建に対応するために、住宅金融公庫の災害復興住宅融資による貸し付けが利用できますとともに、それに伴う東京都の利子補給制度がございます。

○古館委員 私は、この問題でぜひ東京都として積極的なリーダーシップをとってほしいと思っているのは、国制度は撤去することだけなんですね。しかも再建意思のある人だけなんですよ、この制度は。そうすると、住めなくなっちゃったから解体だけにしてほしい、あと住まいについてはどこか考えるよという人に対しては対象外なんですよね。ですから、ずっとそれが対象外になっていくと、そのままそこの家はそこにあり続けるのかということにもなりますから、これはぜひ東京都としても積極的な提案をして、どういう形にせよ、具体的な対応策を検討してもらいたいと思います。
 融資制度につきましては、島の事業者には既に借入金もかなりありますね。実際には島民が借りにくいということも考えられます。据置期間とか保証人は借りられないとか、こういう問題についても、島民の立場に立ってぜひ特別適用などを検討してほしいと思いますが、この点についていかがでしょうか。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 災害の発災以前に三宅島におきまして事業を行っていた方が借り入れた既住の債務につきましては、発災以来、災害の長期化に伴いまして、都は金融機関に対しまして、元金据え置きの協力を求めてまいりましたが、島民が帰島した場合の事業活動の円滑な再開に向けまして、各種の資金融資や利子補給、また信用保証制度など、既存のさまざまな制度を活用していくことを現在考えております。

○古館委員 ぜひこれは、本当に保証人になったら借りられない。お互いに保証し合っている。そうすると、ほとんど借りられないということも実際は考えられていくんですね。そういう人たちにも安心して融資の道が開けていく、そういうことについてもぜひ積極的な検討をお願いしたいと思っています。
 最後に、帰島プログラムにおきまして、事業主体が村になっているものが非常に多くあります。私は、村だけでは実施が非常に困難ではないかと懸念をしています。そこで、東京都が積極的に村を支援していく、このことが非常に大事だというふうに思っていますが、最後にそういう決意を聞きたいと思います。

○渋井三宅島災害復興対策担当部長 仮に、今後避難指示が解除された場合には、帰島を判断してこれを実行するのは三宅村の村民自身であるということから、円滑な帰島は、村民とそれに最も近い立場にある三宅村が一致協力して取り組むことで初めて実現できるものというように考えております。したがいまして、帰島に向けて必要となる各種の対策や課題に関しまして、主体である三宅村がなすべきことは当然多くなっておりますが、都といたしましては、これに対して必要な支援を行ってまいります。
 また、今後ともこのような観点から、三宅村や国と連携しながら、帰島可能な条件が整った場合に備えて、各種の対策や準備を着実に進めてまいります。

○古館委員 今、東京都の役割というのは極めて大きくなっていると思います。島民の期待というのは一刻も早く帰りたい。だけれども、帰るに帰れないという方もたくさんおられるということを、東京都や我々政治にかかわっているものが一緒になって、この問題を、前に前に、村民の希望が持てるようにしていかなければいけない、こういうふうに思っていますので、ぜひ大きな役割を東京都が果たしていただきますように心からお願いして、私の質問を終わります。

○藤田委員 私も何点か質問させていただきます。
 今回は、第二次都庁改革アクションプランの実施状況の中で、指定管理者制度についての問題を取り上げさせていただきたいと思っています。実は、これは昨年の九月のときですので、十二月にもう既に議論をしているのですが、いよいよ始まったというところで、少し細かに聞いていきたいというふうに思っています。
 新規に開設する公の施設については、既に指定管理者制度が導入されていまして、東部療育センターについては、第一回定例会で指定の議決をしたわけであります。そして今回の定例会では、小山内裏公園での指定の案件があるわけであります。法施行以前から管理委託している公の施設については、平成十八年四月の導入が予定をされている。それは、先般出されました指定管理者制度に関する東京都の指針という中にそんなふうに書かれているわけであります。
 指定管理者制度は、株式会社、それから社会福祉法人等、そしてNPO法人と民間の創意工夫を生かした管理運営によって、施設の効率的利用や住民サービスの向上をより一層図るとともに、あわせてコストの縮減が図れることを目的としているというふうになっています。このためには、指定管理者は趣旨に基づいて適正な手続によって最適なものを選定するというようになっているはずなわけでありますけれども、公園管理などということについては、私は地域のNPOなどが積極的に参加することが望ましいんではないかというふうに考えているわけです。
 まず伺うのは、今定例会で指定議決の案件になっています小山内裏公園の選定基準というものはどんなふうになっているのか、伺いたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 小山内裏公園におけます選定基準についてでございますが、四つございます。公園の維持管理業務に相当の知識、経験があること。安定的な経営基盤を有していること。公園の効用を最大限に発揮して、効率的な管理運営が行えること。維持技術の指導執行体制があることでございます。

○藤田委員 この指針の中にも、選定基準で、必須事項として具体的な例として書かれているわけでありますけれども、私は、例えばこういう公園管理などについては、地域の担い手であるというような事項を入れますと、例えば地域のNPOが参加をしやすいというような、そんなこともあるんじゃないかと思いますけれども、この選定基準は、指定管理者制度が導入されるたびに変更をしていくものなのでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 公の施設には、公園とか文化施設とか、さまざまなものがございます。やはり先ほど先生がおっしゃった制度の趣旨を最大限生かしていくには、それぞれの施設の性格、目的に応じて、管理の基準、また業務範囲、さらには選定基準を定める必要があると考えております。

○藤田委員 ここでは、後でお答えいただく中にもありますけれども、小山内裏公園の公募にはNPOが参入したんですが、なかなかそこでは、まあコストの面ということを考えたりすると難しいなというようなところもありまして、いろいろなところが参入するというようなことが大きく行政というものを変えていく指定管理者制度だと私は思っていますので、ぜひ参入基準の中に、今お話しいたしましたような、本当に地域に精通しているような、そういうNPOを参入させていくというようなことも考えていただければというふうに思っています。
 それから、複数の施設を幾つかのグループに分けて指定させる場合に、その一部をNPOが管理することはできるのか。それからまた、一つの施設について、その業務のうちNPOが扱うことがふさわしい部分を分けて管理を指定することができるのか。それから、NPOのノウハウを有効に活用するためには、他の事業者とグループを組んで指定管理者の指定を受けるのかということについて、お伺いさせていただきたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 三点お答え申し上げます。
 一般的に想定されるのは、個々の施設ごとに指定管理者を指定するケースでございます。ただ、類似施設がある場合におきましては、一つにまとめて指定したり、または幾つかのグループに分けて指定することも可能であり、指定の方法につきましては、制度上特に制約はございません。ただ、管理のあり方等が関係するものでございますので、先ほどいった施設の目的、性格に応じて、所管の局において検討されるべきものと考えております。
 二点目は、施設の管理代行をさせるといった指定管理者制度の趣旨からいたしますと、一つの施設に複数のものを同時に指定管理者として指定することはできないと思います。
 それから三つ目でございますけれども、施設の目的、性格に応じまして、NPOを含めた事業者がグループを組んで参加し、選定の結果、指定管理者の指定を受けることは当然可能でございます。
 なお、お話がございました小山内裏公園の指定管理者の公募につきましては、全体で十七団体の応募がございまして、そのうち、NPOが団体の構成員となっているものは六団体あったと聞いております。

○藤田委員 単に価格のみで指定管理者を選定するのであってはならないと思っています。サービス内容も重要な要素というふうに考えておりますけれども、それについてはいかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 指定管理者制度は、民間のノウハウや発想を生かして、都民のサービスの向上を図る有効な手段として活用するものと考えております。しかしながら、先ほどから申しておるように、都が有する公の施設は、その目的、性格は多様でございます。そのために、指定管理者制度の導入に当たりましては、都民が安心してよりよいサービスを利用できるよう、それぞれの施設の目的や性格に応じて、指定管理者の資格や管理の基準、選定方法などを適切に定めていく必要があると考えております。

○藤田委員 私は、もちろん今のとおりだというふうに思うわけでありますけれども、これから十八年に向けて、かなりの数の施設にこの指定管理者制度が導入されていく予定だというふうに思います。どういうものが予定をされているかというのは、博物館、美術館、劇場、学校、図書館--まあ学校は法律でというところがあるようでございますから入らないかもしれません。しかし、体育館、水泳場、武道館、老人福祉施設、都市公園、動物園、水族館、いろいろあるわけです。これら、かなりの数の施設に制度が導入されるというふうに思うわけですけれども、条例化の前に幾つか課題があるんじゃないかというふうに思うんです。
 一つには、どの施設にこの指定管理者制度を導入するのかということを決めていくのが、だれがどうやって決めていくのかというのがありますので、例えば選定審議会を設置して、選定の議論を公開していくというようなことも必要なことになるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 先ほどからご答弁申し上げておりますけれども、具体的な中身につきましては、所管局の方で、施設の目的、性格に合わせて検討されるべきものと考えております。

○藤田委員 所管局なのかもしれないんですけれども、それが次のご答弁にもかかわるんですけれども、その施設のあるべき姿というようなものは、実は余り議論をされたことがないんじゃないかというふうに私は思うんです。例えば、よしあしは別にして、省庁別に流れてきたもので、本当だったら合体してもよさそうなというような施設がいろいろ出てきて、それが実はだんだん重荷になってくるというようなこともありましょうしということで、施設のあるべき姿もまず議論をしていく。そしてそれが地域性があるものであれば、地域住民と議論をするというようなことを踏まえて、選定の協議会なり何なりをつくっていくという方が--これがいきなり指定管理者になりましたというのを首長がいって、そしてこれについて指定の議論をしてください、あるいは公募したときにどなたか参加してくださいというのでありますと、本当にそれが指定管理者制度を導入するのがいいかどうかも含めて、何にも都民は考えられる場がないというように私は思うのですけれども、もう一度その点についてはいかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 改めて申し上げますと、条例改正に際しましては、当然改めて公の施設を持っている局の方で、管理の基準、業務の範囲、そういうものを定めなければなりません。そのためには、その時点で改めて施設のあり方や管理運営の方法等も再度検討することとなります。あわせて、当然よりよい指定管理者を選定しなければなりませんので、適正な手続をしかるべき形で作成していくと考えております。

○藤田委員 ぜひ議論の場を設置していただくなり何なりで、もう少し公開をしていただきたいというふうに思っております。それぞれの局にいきなりぼんと、あなたたちの持っているのをどうかというふうに決めるのではなくて、もう少し広い範囲でそれが議論されるべきだというふうに思いますので、その点についてはよろしくお願いをしたいと思っています。
 それから、例えば今回の小山内裏公園については一定で条例改正が出ているわけでありますし、それからこの指針の中にも、例えばということで条例案の作成というようなことが出ているわけです。その中には、本当に基本的なことで、指定管理者による管理、それから指定と取り消し、そして管理の基準というような、あるいは指定管理者の公表というようなものがあるわけでありますけれども、私は、一方で、これは今までもちろん委託されたものもあるわけですけれども、公共が担わないということになりますと、例えば公の方々は守秘義務というようなことがあって、個人情報の保護というようなことできちっとなされていらっしゃるかと思いますけれども、この点について、指定管理者制度を導入したときにはどういうふうになるのか。
 それからもう一点は、多分これは情報公開条例の実施機関にはならないんじゃないかと思うんですね。そうすると、情報提供義務を課すというようなことも条例の中で書いていくべきではないかというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 個人のプライバシーの保護というのは極めて重要なものと認識してございます。この制度におきましても、施設によっては個人のプライバシーにかかわる情報を取り扱う施設も多うございますので、そういうものについては十分配慮するという前提になってございます。それを担保する手段といたしましては、指定管理者になった方との契約関係とか、またはその局の判断でございますけれども、局の条例改正の中で、その辺の担保の仕方をどうするかを含めて検討していただきたいと考えております。

○藤田委員 条例の中にどれだけ書き込めるかはまた別でありますけれども、もちろん書く方がいいわけですけれども、できれば協定などきちっとした文書を交わすということが重要になろうかと思います。
 それから、東京都というよりも、区市町村の中ではいろいろな形で既にこの指定管理者制度が導入され始めています。そうしますと、ぜひ地域で担ってくれる人に参加してほしい。NPOがやってほしい。そうすると地域の人は、そんな人は知らないから、だれがやってくれるのかわからないのに嫌だというので、反対だといって、ひとしきりそんな問題が起きたり、やはりこういうときだけ公がいいという人たちが多いんですけれども、本当にノウハウを持った人たちであれば、それは十分に担えるわけであります。新しい制度でございますので、ぜひアピールをたくさんしていただいて、そして見えるような形で、これがよい方向に進んでいくように。そして、先ほどお話ししましたけれども、やはりNPOなどが大きな公園管理を担うというようなことになりましたときには、本当に地域との協働、先ほどのアクションプランの実施状況の中にも、行政のサービスのあり方の見直しの中に、きちっと民間との協働ということが書いてあって、そしてこの指定管理者制度のことが入っているわけでありますので、どういう形でそれを実施していくのか、実践をしていくのかというのを見せていただけるような、そんなよい方法を選んでいただきたいというふうに思います。
 これは以上にさせていただきまして、一言だけ三宅のことについてお話をさせていただきたいんですが、皆さん方は本当に帰りたい、まさにそうだと思います。ただ、自分一人が帰りたいといっても、じゃ産業はどうするの、生活はどうするの、そして安全性の面はどうするの、まさにそのことが全部絡んで、だから、島民がすべてもとに戻るんであれば十分そこで生活をしたいというふうに思われていらっしゃるんだと思います。そうしますと、帰りたいというアンケートは出したけれども、じゃ、実際自分の生活どうなるんだろうかといったときに、なかなかそこで踏ん切りがつかなかったり、あるいは、このことはどうなんだろうか、このことはどうなんだろうかということで、社協のところに改めて相談にいらっしゃるというような方が大勢いらっしゃるという話を聞きました。一言で、帰りたいですかといったら、帰りたいですともちろんおっしゃると思います。ぜひその辺はしっかりと、一人一人の声を十分に聞いて、そして、一人で何かじゃなくて、やはり村全体で事が解決できるようにぜひ当たっていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○吉田委員 私は、報告事項の中で、第二次都庁改革アクションプランの実施状況報告について質問させていただきます。
 第二次アクションプランの実施状況の問題点については、既に本会議などでも、大久保病院の公社化がどういう状況になっているかなど指摘をしてまいりました。この委員会で、私は、いわゆる監理団体改革という問題について若干質疑をしたいと思っていますが、ただ、その問題に入る前に、全体としてアクションプランは、先ほどからも議論がありましたが、民間委託の拡大ということが強調されているわけですけれども、もちろんそれを全否定はしませんが、ただ、そうすることによって本当に安全性が担保されるのかなとか、そういう問題については真剣に検討がされるべきだと思うんです。
 一点ちょっと気がかりな点で、報告の中で、34、高速電車事業の外注化の拡大で、新たに十駅の駅業務の外注化を実施したというふうに述べられていますが、これは一体具体的にどのようなことなのか、ご説明願いたいんですが。

○石渡行政改革推進室長 平成十六年四月から新たに浅草線の三駅、三田線の三駅、新宿線の四駅におきまして、乗車券類の販売管理、旅行案内、ホーム監視など駅業務について委託を開始してございます。委託先は、財団法人の東京都交通局協力会というところでございます。

○吉田委員 具体の問題ですから、これ以上議論はいたしませんけれども、要は、助役さんは多分都の職員の方だとは思うんですが、それ以外の券売あるいはホームでの誘導その他の業務は、外注化された企業の方がそれを担ってやっていらっしゃる。そういうことで、いざというとき、例えば災害発生時などについて本当に安全性が担保されるのかと。しかも、これは多分、今年度初頭十駅を実施したということで、さらに拡大をしていくという方向だと思うんですよね。そうした問題について、やはり一概に民間拡大、外注化即よしというスタンスはとるべきではないというふうに私は考えております。
 そこで、きょうぜひ限られた時間の中で質疑をしたい、監理団体の改革という問題についてです。
 私がこの質疑で強調したいことは、監理団体改革ということで先ほども質疑がありました。例えば目標を超える三百二十一億円の削減をしたと。しかし、その少なくない部分が、例えば病院関係だとか、あるいは都立文化施設の運営などにかかわる委託金あるいは補助金の削減が鋭くあらわれている一方で、果たして本来東京都が支援すべきかというふうに私は疑問を持っている臨海の三セクビルなどに対する支援は、全く改革のメスが入っていないのではないかという角度から質問したいわけです。
 この三百二十一億円の削減ということが報告書で出されているんですが、例えば都立の文化施設の管理運営を担っているのが歴史文化財団ですけれども、この団体だけを取り出してみたときに、東京都の財政投入の削減は、比率及び金額でどのくらいになっているんでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 東京都歴史文化財団の関係では、十六年度予算においては、前年度より十一億円減らしてございます。歴史文化財団そのものの予算が五十六億ですから、計算いたしますと二割近くでございます。

○吉田委員 単年度だけで二割の削減ということですけれども、たしか第一次アクションプラン以降の五年間にわたる削減を見れば、半額くらいにまで下がっているんですよね。それをさらに今年度二割の削減ということですから、これはどういう形で反映するのか。利用料金制度の導入ということがいわれておりますけれども、やはり利用者負担やその他の上で大きな影響を及ぼすものだというふうに推定せざるを得ません。
 その一方で、いわゆる株式会社、企業型三セクが十九社あるわけですけれども、これに対する東京都の全体の支援について浮き彫りにしたいんですが、出資金及びこの間さまざまな形で増資その他の財政支援を行ってきたと思うんですが、その全体像がどうなっているのか、お示しください。

○石渡行政改革推進室長 その前に、監理団体改革について、先生とちょっと意見が違うところがございます。それだけ申し上げます。
 もともと監理団体を設立する意義は、民間の資金、人材、ノウハウを活用して、また弾力的な運営を可能にするなど、都が直接事業を実施するよりも効率的、効果的に事業執行を行うことができるというために設立してきてございます。残念ながら五年、十年前の段階におきましては、全く経営的視点のない、何のために、直接事業をやった方が安いんじゃないかというような状況をどう変えていくかという形の中で、やはりむだを省き、積極的にPRしたり事業を展開する、また、それぞれの施設が持っている人、物、金、特に経営資源を有効に利用することによって収入も上がる、そういうことによって、都財政支出がその結果下がっていくという考え方に立って、サービスは維持しながらやっているということだけはまずご理解いただきたい。そういう考えでやってございます。
 歴史文化財団についてもそういうご説明ができますけれども、ご質問の方にお答えさせていただきます。
 まず、平成十五年八月一日現在の監理団体である株式会社十九社に対する都の出資金額の合計は一千八百三十二億円で、資本金の合計四千百四億円に対する出資比率は四四・六%でございます。
 二点目のご質問でございますけれども、公的支援ということでございます。都は、この株式会社等に対しては、本業の赤字を恒常的に補てんする等の支援はまず一切行ってございません。事業の公益性をかんがみて、その安定運営を確保するために、団体が厳しい内部努力を行うことを前提に増資等を行ってございます。

○吉田委員 いや、だから、出資金を出しただけじゃなくて、その後、新たな増資だとか財政支援だとか行ってきているわけでしょう。その全体像を出資金とあわせてお示しください。

○石渡行政改革推進室長 具体的には、例えば東京テレポートセンター等の三社、いわゆる臨海三セクに対しましては、経営安定化策の一環として、役職員の大幅削減とか経費の圧縮を行うという厳しい前提条件--それも当然並行してやらせております--にあわせまして、二百七十億円の増資等を行ってございます。
 なお、この経営安定化策は都と金融機関が一体となって行っており、金融機関側も金利の負担の軽減や元利の据え置きなどを実施してございます。
 その他、同様に厳しい経営改善とセットで、多摩都市モノレールに二百三十億円、臨海高速鉄道に十六年度予算で百十五億円の増資等を行っております。

○吉田委員 あわせて東京スタジアムについては、一たん買い取ってさらに貸し付けるという行為が行われているわけですが、これは幾らで買い取ったということになっているんですか。

○石渡行政改革推進室長 東京スタジアムは、当初、会社がこのスタジアム建設後に都へ無償で譲渡し、都は公の施設として管理運営を会社に委託するという考え方でございました。途中から、会社が独立採算でスタジアムを運営できるように、考え方を逆にいたしまして、平成十二年十二月、都が二百六十億円で施設を買い取り、会社に貸与してございます。これは、将来的な都の財政負担を明確化するとともに、会社による経営努力がより反映される仕組みをつくるための観点からでございます。

○吉田委員 今、これがすべてではないとは思いますけれども、代表的な公的な支援策を紹介されました。出資金で見れば、総額一千八百三十二億円、臨海三セクでいえば二百七十億円。これはたしか地代については、七五%までまけてあげるという措置が今もとられているはずですよね。さらに、りんかい線については百十五億円というふうにいわれましたが、これはあくまでも今年度の出資だけでこれだけであって、合わせると総額三百億円の投入ということがありますから、東京スタジアムに対する二百六十億円相当の事実上の支援策ということを合わせれば、金額的にいっても、代表的なものだけで三千億円近い財政支援が、片や都民の文化や医療にかかわる団体に対する支援策は削減がされておきながら、続いてきているということは、やはり覆い隠すことのできない事実だと思うんです。しかも、これは金額的に極めて明確に出ているものだけであって、それ以外の公的支援というのは、もっとさまざまな形で、業務委託を含めてされています。
 私は、その一つ典型的なのが、以前から私どもが指摘をしてまいりましたけれども、臨海三セク、ビル事業を進める三つの企業、とりわけその中心となるテレポート株式会社ですね。この運営しているテレコムセンタービルに、総務局にかかわる職員研修所が入所しているわけですが、移転費用及びこの間支払ってきた賃料、総額でどれだけ払われているんでしょうか。

○大原人事部長 まず移転費用でございますが、約四十二億円でございます。それから平成八年度から平成十五年度までの決算数値の合計が、賃料五十五億五千五百万円でございます。

○吉田委員 今年度の予算を含めれば、いずれにしても約百億円、移転料及び賃貸料だけで、テレコムセンター関連で公的な支援という役割を客観的には果たしているというふうにいわざるを得ないと思うんです。しかも、そういう経営支援策を、例えば臨海三セクビルの場合には二百七十億円投入が現時点でもされていながら、本当にそれで経営改善の見通しが立っているというふうにご判断されているんでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 いわゆる臨海三セクに対しましては、賃料収入の増加対策の実施、会社の内部努力を前提として都と金融機関が一体となった経営安定化策として、平成十年度から十年間で東京都は二百七十億の増資等、金融機関は金利負担の軽減や元利の棚上げなど、都と同程度の措置を実施しております。
 この経営安定化策に基づく経営改善を進めた結果、予想を上回るペースで改善が進んでおりまして、減価償却前利益の黒字につきましては平成十年度に達成し、営業利益の黒字につきましては十一年度より達成しております。当期利益は、平成九年度と比較して百二十億円の改善が図られるなど、着実な改善効果があらわれております。

○吉田委員 営業利益が上がっていますよということが強調されましたけれども、先ほどもいわれた二百七十億円の公的支援が始まって何とか営業収支で黒が出たというのが、私は現状だと思うんです。もしこれ公的支援がなかったら、出るか出ないかわからないくらいの事態なんですね。個々の営業ですから立ち入ったことは差し控えますけれども、しかし、この経営支援策の前提は、十年度に償却前黒字を達成する。じゃ、累積黒字の達成はいつかというと、平成四十八年度なんですね。ただ、その前提条件がどうなっているかといえば、入居率がほぼ一〇〇%、そして賃貸料の収益が、平成九年度対比で平成十六年度、今年度ですね、約五〇%も賃料収入が増大しているという前提で経営支援策をとって初めて、平成四十八年度に累積黒字が達成されるであろうと。
 しかし、指摘だけしておきますが、例えばこのテレコムセンタービルの場合は、東京都もついに青少年センターはことしで閉館ですよね。撤退ですよ。さらに、床面積の四七%を占めているNTTドコモ、これはオフィス部門と機械部門がありますが、自社ビルが品川駅東口、さらに錦糸町方向に完成するということで、段階的に撤退なんですよ。そうすると、テレコムセンタービルの中心的なテナントはどこかといえば、職員研修所なんですよ。この一つをとってみても、経営支援策の前提である、ほぼ一〇〇%入居で、かつ賃料収入がこの平成十六年度で五〇%も増加するなどということとは全く逆方向に進んでいるわけです。そういう事態をやはり直視しないで、経営努力がされている、されているということで支援策を続けていったときに、最後のツケがより莫大な形で東京都にはね返ってくる危険性というものを私は指摘せざるを得ないと思いますし、あえてなぜ職員研修所がテレコムセンターのあそこに入居を続けなければならないのかということも再検討する余地があると思うんです。
 ちなみに、こうした監理団体の問題をめぐっては、ご承知のとおり、昨年十二月に、第三セクターに関する指針の改定についてということで、総務省自治財政局長名で指針が出されています。その中で、とりわけ、経営悪化した場合については、やはりその状況を速やかに直視せよと、しかも、その事業が公共公益的使命を本当に果たしているのかという観点から検討すべきだということが指摘をされています。
 部長は先ほど、監理団体、第三セクターというのは、民間活用、民間のノウハウを生かすんだということをいわれましたけれども、準民間が行うビル事業のために公的資金が次々と投入されている。何が民間活用なのかというふうに私はいわざるを得ないと思うんですね。果たして準民間的なビル事業、これが、公共的な意味合い、公的資金を投入する意味合いというのはどこにあるんですか。

○石渡行政改革推進室長 基本的には所管の委員会でお答えすべき内容でございますけれども、臨海三セクのビルにつきましては、ビルの中に地域に対する冷暖房施設や変電施設、あるいは下水ポンプ場等のインフラ施設を収容しており、その建物自体が公共的役割を担っております。さらに臨海三セクは、臨海地域におけるまちづくりのモデル的あるいは先導的役割を果たすために設立され、現在も、共同溝、道路、情報通信基盤等の管理など公共性の高い事業を実施していることから監理団体が事業運営を行っているものと所管局より聞いております。

○土屋委員長 所管は経済・港湾でしょう。今みたいな伝聞でしか答えられないでしょう、こういう立ち入った意見には。質問を整理してください。

○吉田委員 私は、監理団体のあり方の極めて具体的な問題について、やはりここで議論するのは当然のことですし、一々個々の経営の内容について質疑をしているわけじゃなくて、こういうビル事業そのものに公的な援助をすることの可否、妥当性について議論しているんですから、この委員会にふさわしいものだというふうに私は思います。
 いずれにしても、今、部長いろいろいわれましたけれども、現実的には入居しているテナントが撤退をするというふうな事態があって、入居しているのは東京都、中心は職員研修所であるというふうな状況もあるわけですから、当初そういう意図を持っていたことは私も承知していますが、結果的に現時点でそういうことがいえるのかということをやはり冷厳に、真に公共的、公益的意味合いを持っているのか、財政投入の意味があるのか、このまま続けたらどうなるのかということを真剣に検討すべきだということを改めて申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時九分開議

○土屋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより知事本局関係に入ります。
 報告事項、地方分権改革に関する東京都の基本的見解についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中屋委員 それでは、私の方から何点か質問をさせていただきます。
 国は今、三位一体改革などと称して、地方分権改革に取り組んでおります。しかし、この改革は一体何なのか。三位一体の名のもとに補助金を削減するとか、税源移譲の規模を明示するとか、このような極めて狭い議論に終始しているように思います。石原知事も、我が党の代表質問で、本来、分権改革とは、行政制度、財政制度の本質的な改革でなければならないと答弁されております。私も全く同感であります。都議会議員という立場で、東京の置かれた現状を踏まえつつ、国が本来取り組まなければならない問題は何かを指摘させていただきたいと思います。
 知事はかねがね、国税の地方に対する再配分が、東京を初めとする大都市とその他の地方とで大きく逆転していると批判をしております。今回、都が発表した地方分権改革に関する東京都の基本的見解においても、現行自治制度の問題として、国による過剰な再配分が大都市圏の活力を十分に発揮させていない、このように見解を示しております。
 そこでお伺いをいたしますが、大都市圏を中心に納められた国税が、過剰に再配分されているようですが、大都市圏で納められた国税収入はどれくらいなのか、また都は、この再配分のどこが問題だと考えているのか、お伺いをいたします。

○秋山参事 大都市圏で納められた国税収入でございますけれども、平成十四年度決算では、首都圏、関西圏、中京圏の三大都市圏において納付された国税は約三十二兆円で、これは国税総額約四十八兆円のおおむね七割を占めるものとなっております。このような大都市圏を中心に納められた国税の相当部分が、国により国庫補助金や地方交付税などとして地方に配分されているというのが実態でございます。
 その結果、人口一人当たりの実質配分額でございますが、大都市圏と地方では大きく逆転をしておりまして、最大で約一・五倍もの開きがございます。このことが国の地方支配を生んでいる原因の一つでありますし、また地方の国に対する依存を助長するとともに、他方で大都市における投資を阻害し、さらに、日本経済を牽引する使命を負った大都市の活力を低下させているのではないかというふうに考えております。

○中屋委員 今お答えいただきましたように、首都圏などの大都市圏において多くの国税が納められて、それがわざわざ国庫補助金、地方交付税など国の仕組みを介して地方に再配分されているわけであります。さらにはその額が国家財政の四割にも相当する膨大な額であります。国が国庫補助金や地方交付税を通じて過剰な再配分を行ったその先では、全国画一の基準を適用するために、地域の実情を無視した実態があるものと聞いております。国庫補助の基準最低限に合わせるために、無理して必要以上の工事を行っていることもあると薄々聞いたこともあります。
 また、新聞報道では、地方のある村が、国庫補助金をもらわずに独自のやり方で道路整備をしたところ、事業費約八億円節減ができたと、国庫補助をもらう場合に比べて四分の一くらい減らせたということであります。
 国による地方への過剰な再配分の一方で、戦略的投資というんでしょうか、十分行き届いていないというふうに思います。この悪循環、国家全体として大きな損失を招いているようにも思いますし、こうした膨大なむだ遣いを今発生させているような原因になっているのではないかと思いますが、そこでお伺いいたします。
 大都市圏、特に東京におきまして、戦略的な投資が行われないため、その活力を十分に発揮させずに非効率を招いている例にはどんなものがあるのか、お伺いをいたします。

○秋山参事 大都市圏、特に東京におけます喫緊の課題である交通インフラを例にとりますと、その整備のおくれによりまして多大な経済損失が発生しているという状況にございます。首都圏三環状道路の整備率はいまだ二〇%程度にとどまっておりまして、通過交通の都心部への流入が深刻な渋滞を発生させております。この結果、自動車の混雑時における平均速度は、区部で時速十七・五キロメートル、都内全般では時速二十・二キロメートルと極めて低く、これに伴う首都圏の経済損失は、年間三・二兆円にも上るものと推計されております。

○中屋委員 三環状道路の整備を含めました首都圏の道路整備、これは喫緊の課題であると思います。これが整備されれば大きな経済波及効果をもたらすというのは前からいわれているわけであります。そればかりか、経済的損失である交通渋滞が緩和されまして、これが東京の経済活動を支えるということだけではなくて、日本全体の発展に大きく寄与するということは明らかなことであります。我々都政にかかわるものとして、大都市圏、特に東京におけるこのような戦略的な投資、これが国家全体の発展にかかわるものと思いますし、こうした認識というものが不可欠だというふうに思っております。
 知事の指摘するように、国の命運がかかっているこの時期に、国の政治家、国家全体を視野に入れて、我が国の発展にとって何をなすべきかということを日夜考えてもらって、国家運営をリードしていかなければならないはずであります。
 しかしながら、国は旧来の古いシステムの温存に終始して、政治家は相変わらず利益誘導型政治を続けまして、目先の利益の争いに終始しているわけであります。こうした抜本的な改革が一向に前に進まないのは、国の政治家の責任であるというふうに思います。
 私は、都議会自民党の立場から、この際はっきり申し上げたいというふうに思うんですけれども、自民党の国会議員、東京の出身の先生には特にこうした東京の問題を一番に考えてもらって、しっかり働いていただかなければいけないと強く思うわけであります。
 ちょっと前までは、東京出身の代議士にも、深谷隆司元自治大臣とか、本当に骨のある政治家が多かったんですけれども、ここのところ新しい方がいっぱい出てまいりまして、頼りにならない、こういうふうに申し上げたいというふうに思っています。
 地方分権改革というのは、地方税財政制度の抜本的な改革にほかならないわけでありまして、この改革が行われずして実現するはずもないわけであります。つきましては、その地方自治制度の根幹をなす地方税財政制度の改革の方向性についてお聞きしたいというふうに思っております。
 都の基本的見解も、そのシステムを抜本的に見直して、国の形そのものを変えるべきと提案をしておりますけれども、私は大賛成です。三位一体改革などという言葉だけが踊っておりまして、一向に地方財政の仕組みに手をつけられない、こうした国のやり方というものは賛成するものではありません。この地方財政制度の改革の方向、いうまでもなく、地方が財政的に自立をして、地方の知恵と力を発揮できるようにしなければ、本当の意味で豊かにならないわけであります。地方の財政的自立を図ることについて、基本的見解の中で、東京都としてはどのような提案をしているのか、お聞きいたします。

○秋山参事 都の基本的見解の提案内容についてでございますけれども、まず国と地方の役割分担を明確にした上で、基幹税である所得税、消費税を国税から地方税に移譲する抜本的な税源移譲によりまして、自治体の事務と権限に見合う財源を確保すべきであるというふうに考えております。
 また、これとあわせまして、国民生活の基盤を支える基礎的な行政サービスにつきましては、国が財政責任のすべてを負うべきであるという考え方を示しております。このような抜本的な税源移譲と国の財政責任の明確化が実現すれば、国と地方の役割分担の明確化と、国の過剰な関与が排除されるとともに、地方の財政基盤が強化されるため、多くの自治体において財政的自立が促進されるものというふうに考えております。このことが都の具体策の中で根幹となっている提案でございます。
 なお、これによっても、経済活動や財源の偏在などから、財政的自立が困難な自治体が存在するということも事実でございます。これらの自治体に対しましては、現行の地方交付税制度を抜本的に見直した新たな財政調整制度を導入すべきことを提案しております。

○中屋委員 要するに、抜本的なこうした税源移譲、基礎的なサービスに対する国の財政責任を明確にすることで、多くの自治体の自立を促進する、そして都の主張するこうした基本的なことということ、今、答弁をいただいてよく理解をいたしました。
 問題は、大都市と地方との財政基盤に大きな違いがあるのが現実でありまして、抜本的な税源移譲を行った場合、人口などの点で優位に立つ大都市は、ますます発展していくわけであります。地方は逆に、財政基盤の脆弱化につながるのではないか、そのことが地方にとっては最も気になるところだというふうに思うわけであります。
 私は、今お答えのあったような制度を構築することで、地方の懸念にこたえていくことができるものと考えておりますが、今後、全国の自治体に、都の提案しているこれを大いに示していただいて、認識をしてもらって、こうしたものを共有、連携をして、国に対して改革を迫っていくということがとても大事だというふうに思います。
 今後、こうした都の考え方を単なる提案だけにとどめずに、改革を進展させるためにどのようなアクションを起こしていくのか、前川局長にお聞きしたいというふうに思います。

○前川知事本局長 この問題は、今お話もありましたが、本来私どもは自治体でありまして、本来であれば国のレベルでいろいろな立場から意見をぶつけ合って、それを国が全体の立場でまとめるというのが当然であろうと思いますけれども、いろいろな事情があると思いますけれども、それが行われていないと。そういう中で、私どもはいわば座視できなくて、基本的な見解を発表し、またこれから対案をつくろうとしているところで、それをぜひご理解いただきたいと思います。
 ただ、それだけに大変難しい問題である。例えば内容につきましても、我々は当然まず都民の利益、利益というとあれですけれども、都民のため、東京のために当然頑張らなくちゃいけないわけでありますが、反面、それをいうだけでは何の力にもならない。当然全国の自治体の利益を守ることも必要であると。
 それからまた一方では、きちんと正論をいわなくちゃいけないわけですが、それをいうだけでは、ただいうだけに終わってしまう。具体的な対案も必要である。そしてまた、あわせて、このことを理解していただく必要がある。なかなか技術的な問題が多いものですから、どうしても都民、国民からごらんになると、国と地方の単なる争いじゃないかとか、大都市対地方の争いじゃないかという、そういう受け取り方がどうしてもされがちであると。こういういろいろなバリアがある中で、私どもは大変な問題だなと実感をしております。知事も先日、議会で、就任以来の一番難しい問題になるかもしれないとおっしゃっておりましたが、私ども行政レベルでもまことにそれを強く実感をいたしております。
 ただ、それだけに、難しいけれども、ある意味で普遍的でやりがいのある問題でもありますので、今お話がありましたように、全国の自治体とも共闘もするし、それだけではなくて、広く都民、国民に訴えて、またいろいろな各界にも訴えて、共同の戦線をつくっていこうと思っておりますが、そのためには、この委員会にご出席なさっている委員を初めとして、都議会の各会派、議員の皆様のお力添えが不可欠でありますので、この場をおかりして、ぜひご支援を心からお願いしておきたいと思います。
 以上です。

○中屋委員 今、まさに力強い答弁をいただきまして、大変なこといっぱいあると思いますけれども、いうべきことはしっかりいっていただいて、我々も微力ながらしっかり応援してまいりたいというふうに思いますので、今後ともぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

○富田委員 このたび都が示した基本的見解では、現行の地方制度の問題点を示しておられます。これによりますと、都は四十七都道府県の中で唯一地方交付税が交付されていない自治体だというふうになっております。この地方交付税については、余りなじみがなくわかりにくいものですが、地方分権改革を考える上で重要な課題でございますので、この地方交付税制度の課題を中心に質問をさせていただきたいと思っております。
 そもそも地方交付税制度は、地方団体の自主性を損なわずに、その財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することにより、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的として創設されたという経過がございます。地方交付税制度が国庫補助負担金制度などとともに、すべての国民が一定の水準の行政サービスが受けられるようにする上で大きな役割を果たし、戦後の日本の発展に貢献してきたことは評価できるものと考えています。
 しかし、近年、地方交付税総額を確保するために重ねた債務が急増し、その累積総額は膨大なものとなっております。地方交付税の総額は、所得税、消費税などの法定国税五税で所要額が確保されるべきであり、借入金は生じない仕組みになっているはずですから、この事態は問題だというふうに思います。
 そこで伺います。債務が急増しているということは、交付税制度が本来の目的から逸脱し、景気対策、減税補てん、そして政策誘導などで水膨れをし、膨大な借金を抱えることになったと指摘をされておりますが、なぜ交付税制度においてこのようなことが行われ、しかも膨大な借金を抱えるものとなったということなのか、都はそれをどうとらえているのか、お伺いをさせていただきます。

○秋山参事 交付税の借金の原因についてでございますけれども、国は、バブル崩壊後の景気対策を行うに当たりまして、みずからの財源では不足する公共事業を、平成四年から地方に割り振るということを開始いたしました。これらの景気対策や減税補てんのために、地方に借金を認めまして、その返済は後々交付税で面倒を見るということといたしました。また、国庫補助事業の地方負担分に対しましても、交付税措置を行うことで政策誘導を行ってきたという実態にございます。
 こうした交付税や国庫補助の対象となる事業は、地方の実質的負担が極めて少なくて済むことから、費用対効果の検証や、創意工夫して地域の実情を反映した施策を実施するというインセンティブが働かないというのが実態であろうかというふうに思っております。その結果、地方交付税総額が増加いたしまして、国は、交付税の原資である法定五税で賄えない分を借り入れまして、その累積の債務残高が現在約五十兆円に上っているという状況でございます。

○富田委員 本来国が行うべき景気対策を地方に押しつけて、先々の負担には景気回復で増加した税収で対処するということを考えたということですが、バブルがはじけた後、従来どおりの公共事業での景気回復をとしたところで、思うように回復するわけがなく、まさしく国の失政の結果であるといわざるを得ません。交付税制度に累積した借金は百二十兆円とされていますが、その内容はどのようなものなのでしょうか。
 また、この百二十兆円の借金を地方が抱えているといいますけれども、国民の目から見るならば、国の借金も地方の借金も、原資はともに国民の税金ではないかという見方が一般的であるように思います。都はなぜ国の責任であるといい切れるのでしょうか。この点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○秋山参事 交付税の百二十兆円の内容につきましてですが、先ほど答弁いたしましたとおり、交付税の、これ特別会計で運営されておりますので、その特別会計の借入金残高が約五十兆円というふうに答弁させていただきましたが、このほかに、既に地方債として発行された元利償還金を国が地方に将来支払いますと約束をしたものが、約七十兆円あると都では推計をいたしておりまして、先ほどの五十兆円と合わせまして百二十兆円の膨大な借金ということになっております。
 本来、交付税の総額が引き続き不足するような場合には、地方財政制度の改正または交付税率の調整を行うことと法律で定められているにもかかわらず、特別会計の借り入れが五十兆円に上るまで手をこまねいていたのは国の責任であるというふうに考えております。
 また、既に過去において国が支払うということを地方に約束したという七十兆円でございますが、これは、地方長期債務残高の約三分の一にも上る膨大な額となっておりまして、地方財政をゆがめる大きな要因ともなっております。
 交付税総額の七年分に相当する百二十兆円の債務解消なくしては、地方税財政制度の改革も極めて困難だということで、この事態を招いた国に、単に返済しろということを求めるのではなくて、具体的な解消策の提示を求めたというものでございます。

○富田委員 現在の地方交付税制度は、膨大な借金を抱え、既に制度として破綻状態であるということですが、同感だというふうに思います。
 また、全国どこへ行っても同じような施設、同じような町並みなど、地域の個性が全く感じられない現状を見るにつけ、交付税の目的である、全国あまねく一定程度の基盤整備を行うということについては、達成したというどころか、行き過ぎたのではないかと思うところでもございます。
 このような状態で、今なお地方交付税制度を維持する必要があるのか、大いに疑問があります。今求められているのは、地方がみずからの判断で地域の特性に応じた取り組みができるようにすることでありまして、真に地方の自立を図るための新たな制度の構築が必要であります。税源に偏在がある以上、基礎的な行政サービスの国全額負担と抜本的な税源移譲だけでは、財政的自立が困難な自治体が存在するのも事実であります。現行の地方交付税制度を抜本的に見直し、新たな財政調整制度を導入する必要があることは論をまちませんが、どのような制度にするのかが大きな課題です。
 そこで、都は、現在の地方交付税制度にかわる新たな財政調整制度の導入を前提としているわけでございますが、その意義と内容についてお伺いいたします。

○秋山参事 新たな財政制度につきましては、抜本的な税源移譲などを行いましても財政的に自立が困難な自治体に対して、財政的な調整を行うためのものということとして提案してございます。詳細は、今後策定する具体案の中で明らかにしていきたいというふうに考えておりますが、現在の地方交付税制度の反省を踏まえまして、恣意的な算定や政策誘導など国の関与を排除し、簡素で透明性が高く、自治体の努力が反映されるような仕組みを基本に考えていきたいというふうに思っております。

○富田委員 これまでの論議で、地方交付税制度の破綻の原因が、国の景気対策や減税補てん、政策誘導の手段として地方交付税を利用し、負担を先送りにしたことによるものだということが明らかになったと思います。新たな税財政調整制度においても、こうした国の関与の余地を残せば、やがては官僚主導で制度の趣旨を逸脱し、現在の地方交付税制度の二の舞になってしまいかねません。制度の構築に当たっては、同様な過ちを繰り返さない仕組みを、新たな制度の中に確実に盛り込んでいくことが必要であります。
 また一方で、現行制度にどっぷりとつかり、国に頼っていれば何とかなると、みずから何の努力も行わない地方自治体があるともいわれています。地方が自立するためには、単に財源を国から地方に移譲するだけでなく、住民の負託にこたえられるような効率的な経営を行う自己責任をもあわせて引き受けるという気概がなければなりません。進んで行政効率を高める取り組みに対して、インセンティブが働くような仕組みを取り入れることによって、地方が競い合うようにする必要があるように思います。
 今回、都が大きな歴史的認識に立ち、現行制度の問題点を的確に指摘するとともに、日本全体の発展のため、あるべき国の形を示したということは大いに評価するところです。地方分権改革が、現在の国の取り組みに見られるように、現行制度上の単なる数字合わせではなく、抜本的に行われるならば、薄日が差しつつも停滞している日本の将来に明るい希望を与えることになるのではないかと思っております。
 税金の取り合いや、国対東京、地方対東京という論議ではなく、この国のあり方論であることを都民にわかりやすく説明するとともに、八都県市を初めとして、多くの自治体から理解と協力を得られることで、都の目指す改革が着実に進展するよう期待し、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○長橋委員 私からも何点か質問をさせていただきます。
 我が党は、一昨日の代表質問でも述べたとおり、今回の都の基本的見解を高く評価をしております。それは、歴史的、文明的視点を踏まえて、この国の形を変えるという、単に分権改革という枠にとどまらない議論をしているだけでなく、これまでの総務省や全国知事会などの提案にない、都独自の案が随所に展開されているからであります。
 都の提案では、自治を破壊し、膨大なむだを生んでいる地方制度として、現行のシステムをめぐる問題点を厳しく指摘をしております。その一つが、全国一律の基準を国が地方に押しつけ、国庫補助負担金、地方交付税が国から再配分されることによって、国の地方支配と地方の国依存を生み出しているという問題意識であります。
 そこでお伺いをいたしますけれども、国による全国画一基準、フルセットの事業メニューが自治の発展を妨げているというのはどういうことをいうのか、説明をお願いいたします。

○秋山参事 全国画一基準、フルセットの事業メニューについてでございますけれども、現状は、高速道路などの大規模事業から地域の学校、公園など住民に身近な事業に至るまで、省庁の縦割りで国が定めた画一的な基準に従いまして、フルセットのメニューによる事業が全国一律で展開されているという仕組みとなっております。
 国は、基準に合致する事業に国庫補助金を交付いたしまして、残りの地方負担分に対しましては、先ほどと同じように起債を許可し、さらに起債の償還費に対して、後々交付税で面倒を見るということを行っております。いわば財政的に地方を丸抱えにして、地方を支配する状況をつくり出しているといっても過言ではないと思っております。
 一方で、地方は財政的な理由から、国基準に合った事業を受け入れざるを得ず、結果として国依存に陥っているという状況でございます。その結果、地方の実情を無視した事業が全国で展開され、膨大なむだの発生と、創意工夫を許さない没個性的なまちづくりが進んでいるということとなっております。

○長橋委員 基本的見解が、そのベースとなる歴史認識として示しているように、明治以降の近代において、日本が先進国へと発展する過程では、国が一律の基準と金の配分を通じて地方をコントロールする、この体制が日本経済を発展させ、国民生活の総体を底上げする上で大きな成果を上げてきた、これは時代的に間違いないことでありますけれども、そうした統治システムは、既に歴史的な使命を終えて、今やそれぞれの地方、地域が個性に応じた多様な展開を図ることで、日本全体をさらにステップアップさせることが求められている時代を迎えているのではないかと思います。
 このような時代に、現場感覚を持たない国の役人が机上でつくった基準では、全国のさまざまな地域の実情をフォローすることは到底無理なのは、だれが考えても明らかなことでございます。にもかかわらず、依然として、各地方の実態を反映できるはずのない国基準に基づいて、著しく社会的、経済的条件の異なる大都市から農村、山村に至るまで、日本じゅうの自治体が画一的なサービスの実態を事実上強いられているというのは、全く非効率だとしかいいようがありません。
 この結果、今の答弁にあったとおり、まさに国による地方丸抱えというべき状況が今も展開をされているわけであります。当然ながら、都道府県で唯一の不交付団体として財政的自立度の高い東京都にあっても、このような国による地方統制を免れるものではないわけであります。これまでも、大都市東京の地域特性を何ら顧みない国基準などによってさまざまな制約をこうむってきたものと考えます。
 そこで、都の具体的な行政サービスの提供において、国の制約が支障となった、そういった例としてどのようなものがあるのか、お伺いをいたします。

○秋山参事 都における国の制約についてでございますけれども、都市型サービスの代表例といたしまして保育を挙げれば、国の認可保育所制度は画一的、硬直的で、地域の特性を無視しており、延長保育や休日保育など、大都市の保育ニーズに的確にこたえることができないという状況にございます。このため、都は、十三時間開所やゼロ歳児保育などを義務づけた独自の認証保育所制度を創設したところでございます。
 平成十三年度に事業を開始いたしまして、ことしの四月には二百カ所を超えるほどということになっております。認証保育所が大都市のニーズにマッチし、多くの都民の支持を得たあかしであると考える反面で、国の画一的な基準の問題点を事実として浮き彫りにした事例だというふうに考えております。
 また、痴呆性高齢者グループホームの例もございます。グループホームには、介護保険上、民間企業の参入が認められておりますが、国の補助基準では、施設整備について民間企業は対象外でございまして、実質上の参入障壁となっております。都民のニーズに的確にこたえるため、都は、民間企業が設置する施設を対象にした独自の補助制度を創設したというような例がございます。

○長橋委員 あとは、これまでも、急速な少子高齢化が進行する中で、子育て支援の充実、高齢者の介護サービス基盤の整備などを重要課題として位置づけ、全力を挙げて取り組んできました。今挙げられた事例にもあるように、真に都民が求めるサービスを阻害する国のシステムに対して、知恵と工夫により独自施策を展開し、都民の切実なニーズにこたえてきた都の努力は評価をするところでございます。
 しかしながら、現行税財政システムのままでは、このような自治体独自の大胆な取り組みには限界があります。さらに、財政基盤の脆弱な自治体にとっては、東京都のような創意工夫をして独自の施策を実施していくのは困難が多いわけであります。東京を初め全国の自治体が地域の経営主体として真に住民の負託にこたえられるようになるには、分権改革により自主的、自立的な行財政運営が実現されることが不可欠であります。
 そこでお伺いをいたします。地方税財政制度の仕組みが抜本的に改革をされれば、地方の行財政運営はどのように変わるのか、お伺いをいたします。

○秋山参事 地方分権改革によりまして、地方へ権限、財源が移譲され、地方に対する国の関与が排除されれば、自治体がみずからの判断と責任でサービスを実施できるようになるということで、自治体がみずから創意工夫をして、その地域の住民が望む豊かなサービスが実現できるようになるというふうに考えております。
 また、国の関与によるむだを排除するとともに、住民の受益と負担の関係を明確にすることが可能になりますので、国、地方を通じた行政の効率化、自治体の財政規律の向上というようなものにもつながっていくものと考えております。

○長橋委員 先ほど答弁にありました、都独自に取り組んでいる認証保育所制度、このような、地域がみずから考え、地域のニーズに合った行政サービスが全国の自治体に広がっていくような改革の方向であるならば、大いに賛成をするわけでありますけれども、分権改革の断行は一刻の猶予も許されない状況にあります。ところが、昨今の国での三位一体改革の動きを見ておりますと、政府内部での改革論議は、ともすれば分権改革の本旨を見失って、各省庁の利害をめぐる対立の様相を呈しているばかりであります。
 総じて各省は、補助負担金等を通じた地方への支配力を手放そうとしない。補助負担金の削減を割り当てられた場合にも、地方の裁量に乏しいものを差し出す、こういう状況であります。改革に名をかりて、地方に財政負担を転嫁し、国の財政再建の足しにしようとする意図が露骨に感じられるわけでございます。今、地方が手をこまねいて、国での議論のみに任せておいては、真の地方の自立は望むべくもなく、我が国の将来に取り返しのつかない禍根を残すことは間違いありません。
 代表質問におきましても、我が党は、都として改革を実のあるものとしていくためには、全国の自治体が一丸となって、国に抜本的改革を求めていくべきであり、そのためには、都の提案する改革内容がほかの自治体にとってもプラスとなるものでなければならない。この点、本会議でも確認をいたしましたが、そこで、都が基本的見解において、大都市と地方が共存共栄するシステムをつくり出すことを提案しております。今後この具体案を策定するに当たって、共存共栄についてはどのように具体化していくのか、お伺いをいたします。

○秋山参事 共存共栄のシステムには、各自治体がみずからの地域の特性や個性を発揮して創意工夫を行い発展できるよう、分権改革を進めるということが前提になろうかと思っております。
 具体案の作成に当たりましては、まず国と地方の役割分担を見直しまして、地方の担う役割を明確にすることが基本であろうかと考えております。その上で、抜本的な税源移譲などを行い、自治体の財政的自由度を高めていくことが何よりも必要であると考えております。
 また、財政的自立が困難な団体に対する新たな財政調整制度につきましても、共存共栄を実現するためのシステムとして検討してまいります。
 このように、自治体全体の自由度を高めて、各地域がその特性に応じた自治を展開できるようにしていくことが、都が考えている共存共栄のシステムを構築するために必要不可欠であるというふうに考えております。

○長橋委員 そのためには、全国の自治体の共感が何よりの大きな力になることは間違いございません。しかし、さらに大きな力としていくには、とかくこの内容は難しい。また、一般的になじみが薄い分権改革につきまして、広く都民、ひいては国民に訴えて、現在の制度にどういう問題があるのか、今なぜ分権改革が必要なのか、こういうことを、役所の論理ではなく、一般の感覚にぜひとも訴える努力をしていただきたいと思います。
 とにかく公明党としても、この分権改革については大いに支援をしてまいる、こういうふうに決意をしておりますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 以上でございます。

○古館委員 それでは質問させていただきます。
 今回出されました地方分権改革に関する東京都の基本的見解でありますけれども、最初の論点が、この国の形を変えるということです。その変えなければならない形というのは何なのかということについては、それが中央集権官治のシステムというようなことで、このシステムが歴史的な使命を終えた。この使命を終えたとしているシステムが、一ページ目の二段目にあるように思います。すなわち、この一ページ目の二段目では、大都市圏を中心に生み出された富を、国が全国に再配分することによって、ハード、ソフトの両面にわたり、全国あまねく社会基盤の整備が進み、すべての国民が一定水準の行政サービスを享受できる均質な社会が形成されたのであるということのようです。
 まず、そのように私理解していますが、この点で見解をお伺いしたいと思います。

○秋山参事 古館議員がご指摘になりました、基本的見解の一ページの1の二段目でございますけれども、ここの部分につきましては、現行の地方財政システムが、これまで、戦後復興から高度成長期にかけまして、全国あまねく社会基盤整備を実現したり、国民が一定水準の行政サービスを享受するなど、成果を上げてきたということを述べた部分でございます。

○古館委員 それが結局古くなったということですよね。ここでは、基本的な考え方をそこで述べながら、次に展開していくわけですね。この問題に対して、先ほども議論がありますけれども、全国知事会はどのように認識しているかといいますと、ここに平成十七年度の三位一体改革に関する提言というのがございます。この、いわゆる全国知事会の中では、国の今進めている改革が、国の財政再建が優先されて、地方分権のための改革と呼ぶにはほど遠い内容となっていると判断した上で、改革が国と地方の役割分担を明確にして、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることで、住民の意向に沿ったサービスを行うことを可能とする、こうしたシステムへの改革ということをまず最初に求めています。これが中心です。つまり、全国知事会は、住民が中心に置かれた改革の立場を明確にしています。
 確かに都の基本的見解では、2のタイトルが「大都市と地方が共存共栄するシステムをつくり出す」として、地方との共存共栄をうたっていますけれども、一番目のところでどういうことをいっているかというと、熾烈な国際競争を勝ち抜くために、大都市圏が先頭に立って我が国の発展を促進するシステムを創造することであるとか、四番目のところでは、大都市自治体が広域的に連携して、国にかわってみずからの戦略的判断で、投資効果の高いインフラ整備を行うことができれば、日本全体の発展を著しく阻害している都市問題を解決することが可能となる、このように述べています。
 そこで質問しますけれども、ここでその次に、投資による直接経済効果と外部不経済の解消効果は、広く日本全体に波及し、新たな富を生むものである、これはどういうことをいっているんでしょうか。

○秋山参事 先ほど中屋先生の答弁でもさせていただきましたとおり、例えば大都市における戦略的な投資が不足しているということから、渋滞などの都市問題が発生しているという現状でございまして、先ほど申し述べたとおり、そこへ重点的な、戦略的な投資を行えば、直接経済効果だけではなくて、年間三・二兆円にも及ぶ外部不経済効果、これが解消されると。これは通過交通にも影響を及ぼしますので、その効果は広く全体に及んでいくということで、極めて大きな投資効果が望める、こういったことでございます。

○古館委員 これは使い古した経済理論なんですよ、今日までの。大企業が栄えれば、国民もそれの恩恵を受けて、少しずつ、ひたひたと生活がよくなる、こういう理論と全く同じなんですよね、今いっているのは。ここでいっているのは、もっと局地的なんですよ。大都市が繁栄していけば、それで地方がだんだん繁栄していくという、このことをいっているんですけれども、大都市の繁栄という問題が、即地方に反映していないということは、今までるるいっていることなんですよ。だからこそ財政調整というのが今あるわけですね。
 さらに二ページの五つ目のくだりでは、財政的自立が困難な自治体の存在を認めながら、新たな財政調整制度の創設、これ、先ほどちょっと質問しました。これは、質問ですので、どのような構想なのか、改めてお伺いしたいと思います。

○秋山参事 新たな財政調整制度につきましては、抜本的な税源移譲などを行いましても財政的に自立困難な団体に対しまして財政的な調整を行うもの、そういう制度として提案をしてございます。
 先ほども答弁させていただきましたけれども、詳細は、今後策定する具体案の中で明らかにしていくということになりますが、現在の交付税制度の反省を踏まえまして、恣意的な算定や政策誘導など、国の関与を排除して、簡素で透明性が高く、自治体の努力が反映されるような案を基本に考えていきたいと考えております。

○古館委員 それで、全国知事会の三位一体改革に関する提言に対する東京都知事のコメントというのがありまして、この二番目に、全国知事会の提言に対して、この改革は地方自治体の自主的、自立的な行財政運営を支える基盤を確立し、地方分権を促進するための行財政改革でなければならない。この点では、全国知事会の提言の目指すところとも、都の基本的認識も同じだ。
 ところで、この全国知事会は、ことしの五月二十二日に、今いったような三位一体の改革というのを出しました。ここでは、地方交付税の見直しは主張しているんですけれども、財源保障機能及び財源調整機能の両機能については、引き続き確保する必要がある、このようにしています。この全国知事会の提言ではだめなんですか。

○秋山参事 ただいま古館議員がご質問になりましたとおり、全国知事会につきましては、平成十七年度における三位一体改革に関する提言というのを五月二十五日に取りまとめをしております。
 都との決定的な違いでございますけれども、全国知事会は、現行制度の枠内での改革提案としております。都の見解は、歴史認識に基づいた現行制度を抜本的に改革するということでございまして、今先生がおっしゃった交付税制度について、大きな抜本的な改善がないというところにもその点があらわれているというふうに考えております。

○古館委員 しかし、知事のコメントは、そういうことを書いていませんよ。書いているのは、具体的内容について意見を異にする点もあると。いっているのは、地方譲与税の配分調整と、法人事業税及び法人住民税の分割基準の見直しなどについては修正をお願いしたと、こういうことは繰り返し知事もいっていたことでありますけれども、こういうことについては、この知事コメントの中にはありません。
 私どもは、ナショナルミニマムの評価について次伺いたいんですけれども、これは、今日まで主として地方交付税が担ってきたものであります。確かにこれまで公共事業の押しつけ、それによる借金漬け、これは地方交付税交付金の本来的な役割ではなくて、根本的見直しは当然のことです。ただし、地方交付税法の第一条の立場の堅持、これは非常に重要だと考えています。この地方交付税法第一条は、交付税の目的、これについて書いておりまして、それは、財政調整と財源保障の二つの機能を通じて、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化すること、これが本当に実現をしていければいいと思っていますが、このナショナルミニマムの果たす役割は重要であり、さらにこの立場での充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○秋山参事 ナショナルミニマムについての考え方でございますけれども、ナショナルミニマムの内容につきましては、時代、地域、経済状況などで大きく変動するということでございまして、特定が大変難しいというのが学識経験者の間でもいわれております。安易に使うことで混乱を招く可能性があるとも考えております。
 都の見解では、先ほど申し述べたとおり、抜本的な税源移譲と国の財政責任の明確化で自治体の財政的自立を促進させるとともに、先ほど申し上げたとおり、財政的自立が困難な団体に対して新たな財政調整制度を導入するということで、自治体の存立目的たる一定の行政サービスを確保するための財源を担保する考え方に立っております。

○古館委員 もう一回聞きますけれども、それでは、この地方交付税法の第一条の二つの機能は必要だ、このようにお認めになっているんですね。いかがですか。

○秋山参事 東京都の基本的見解で考えております新たな財政調整制度につきましては、先ほど申し上げたとおり、財政的な自立が困難な団体に対しての調整を行うという財政調整機能、それから存立目的に対して必要な財源を配布するという財源調整機能、両方の機能を持つというふうに考えております。

○古館委員 そういう点では、本当に私は、地方交付税法の第一条の立場がどのようにしっかりと堅持されているかと。今、中央の官僚のシステムとかと、こういうんですが、しかし、政治ですから、政治がそういうような状況に対して、どのような形でそれを保障するようにしてきたかということも、私はもう一つの点として問われなきゃいけないというふうに思っています。
 次に続いていきますけれども、国直轄事業負担金についてお尋ねをしたいと思います。
 この間、我が党は一貫して国直轄事業の負担金とその事務費等について、国に対して廃止するように強く求めてまいりました。この問題で、石原都政、知事との間では、私どもはこれまで意見は同じであったなと、このように思っておりましたけれども、例えばそれを裏づけるものに、二〇〇一年の三月十四日の予算特別委員会の代表総括で、我が党の木村議員が、この直轄事業の負担金について、抜本的な見直しをすべきじゃないかという趣旨の質問をした際に、石原知事はこのように答えているんですね。やっぱり直轄事業というものを考え直してもらいたい。それで、その場所も勝手に向こうで決めてきて何%持てというのは一方的な話じゃないかと。まさに首都の機能の問題でありますから、国の国事として考えてもらいたい、そういう認識を持つように、制度として改めるよう、今も強く申し入れております。これ、速記録ですから。
 つまり、国の直轄事業の負担金については、これは東京都、首都であろうが、国の仕事だから、国がちゃんと自分の国費で持てということを知事はここでいっているんですよ、明快にですね。
 ところが、この直轄事業の問題については、先日の代表質問では、知事のトーンが落ちたどころか、どんどん変わってきました。三環状道路の整備、羽田空港の再拡張及び国直轄事業などは、東京が熾烈な国際協争を勝ち抜いていく上でも極めて重要な事業だと。この際はっきり申し上げますが、私は、これまで直轄事業負担金が不合理であるといったことはない。しかし、さっきいったように、答弁の中で、速記録の中で、国直轄事業の負担金の問題に対しては、はっきりと制度として改めるよう、今も強く申し入れているということをいっております。
 つまり、知事がこのような形で、直轄負担金というのはこれからどんどん必要なんだということをこの間表明したんですね。首都高の中央環状新宿線や品川線で、負担に二千億から三千億かかるじゃないかと我が党がその点指摘し、圏央道でも、外環道でも、道路公団の民営化によって、国直轄事業となれば、さらに今でも四百億円超の、毎年国直轄事業費は東京都が出しています。これがさらに数千億円の規模に膨らんでいくと、こういうようなことですね。
 つまり、財政の問題で、東京都の問題でも重要なのは、こういうようなところに非常にお金を注いできているというところが、かなりきつい面があるんですね、財政上の問題でも。これで国の形を変えるというふうにいっているんですけれども、私はこれは、国の形を変えるということではなくて、都の形を、より財界と国の要求を受け入れる側の方に、機構に変えていく、これが本質なんだというふうに、私は、この直轄事業のあの知事の答弁を聞いて、いよいよ確信をしました。つまり、国がやる事業でも何でもやるよと。羽田空港の拡張問題もしかり、つまりそういうことをいかにしてやるかということが、実はいっていることは、国の形ということをいっているんですけれども、国の形じゃなくて、東京都がいかにそういうことがどんどんやれるようになれるかということをいっているにすぎないというふうに思っています。
 私は、国の形を変えるというのであれば、まず、対米公約である毎年五十兆円という公共事業偏重の構造、これを根本的に改めよということを、やはり東京都としても明確にいうべきだ、このように思っていますが、この点についていかがですか。

○秋山参事 大分多岐にわたるご質問だったですが、最終的には、公共事業についての必要性というご質問だと理解いたしました。
 公共事業そのものは、経済活動や国民生活を支える事業として極めて重要でございまして、効果の高い事業には積極的に投資すべきだという考え方で、この基本的見解は構成されております。特にその中で、国が責任を持って行う分野といたしまして、国家的戦略に基づいた投資を国が直接行えという主張をしておりまして、国直轄事業と、関連性でいえばその重要性は少しも変わらない、かえって重くなるかなというようなところもございます。
 また、地方の公共事業につきましては、高められた財政的な自由度で、各地方が必要と判断する公共事業を遂行していくという形になろうかと思います。

○古館委員 今の答弁は私がいったことを裏づけただけの話なんですけれども、さっきの五十兆円でも、国は二十兆円ですからね、負担は。地方に三十兆円押しつけられてくるんですよ。こういうことが知事がよくいっている七百兆円という借金に膨らんでいっているというのも大きな要因の一つなんですね。私は、国の形を変えるというのであれば、税のあり方も変える。この問題だって非常に大事な部分を占めていると思いますね。
 例えばこの十六年間、法人三税はどれくらい減税になったかというと百四十五兆円です。それで、消費税は、この十六年間どれくらい払ったかというと百四十八兆円ですね。法人事業税三税、法人三税の減税は百四十五兆円、消費税の税金を国民から吸い上げたお金は百四十八兆円ですから、三兆円しか違わない。じゃ何のための消費税だったかというと、法人三税の減税のために回ったといわれても仕方がない。例えば東京だって、法人二税は、平成十年からはどんどん減税、減税、減税です。例えば平成十年は、その単年度だけで三百十五億円の減税、それがずっと引きずってくるんですよ、ずっとね。平成十一年は法人二税だけで二千三百四十九億円の減税、それがずっと今日まで引きずってきている。そういうことが都財政の、実は逼迫したもう一つの要因になっているという状況でありますから、私は、この税のあり方そのものを変えるということをきちんと訴えるべきだし、そういうことも載せるべきだと思いますが、いかがですか。

○秋山参事 税のあり方ということでございますが、東京都が発表した基本的見解の中という範囲でお答えを申し上げますと、一つには、抜本的な改正の姿として、所得税、それから消費税による基幹的税源移譲というようなことを税の関係では述べておりますし、また、第Ⅳ章が骨太二〇〇四に向けた緊急提言ということで、当面の措置を提言をいたしておりまして、その中では、国と地方の税源配分を当面一対一にする手法として、一〇%住民税のフラット化というようなことを提言しております。

○古館委員 国の形の問題でいえば、今一対一という話が出たんですが、国の仕事が今四です。地方の仕事が六です。じゃどうして一対一じゃなくて、六対四という形を出せないのか。私は、そういうようなことをやはり戦略的にきちんと確立をしていく必要がある、このことは要望として強く求めておきたいと思います。
 都の税源移譲の案がこの中に盛り込まれております。このことについてもちょっと聞きたいと思います。
 基幹税による税源移譲というふうに書かれておりまして、東京都も、これは全国知事会も残念なことに同じなんですが、所得税、しかもそれは住民税の一〇%フラット化ですね。それから消費税、この基幹税を税源移譲として地方の方におろしましょう。私ども共産党は、所得の問題、所得税については賛成ですが、フラット化ということについては反対です。これは、今これから申し上げますけれども、あとは資産税、資産にきちんとそれにふさわしい税というのを地方税としてかけていくと、これを私どもは考えておりますけれども、先ほどいいましたけれども、所得税の個人住民税のフラット化ですね。
 これは、今は住民税はどういう税率になっているかといいますと、五%、一〇%、一三%です。これを、実は一〇%に一律、いわゆるフラットということで平準化していくんですね。一〇%にならしていくんです。そうなりますと、今五%の税金で納めている低所得者の方々は、一〇%になるんですから、非常にそれは税額としても上がっていく。私どもの試算では、大体四万八千円から五万円くらい上がっていく。それで、一三%の人はどうなるかというと、一〇%に下がります。大体どれくらいの減税効果が出るかというと三十八万から四十万円くらい減税になる。つまり、ここの中でも貫かれているのは、結局は、お金持ちの人はきちんと減税効果が強くて、それで低所得者がやはり増税になっている。今回の年金問題も同じですね。こういうようなあり方というのは、根本的に変える必要がある。所得税の税率刻み、今の住民税は三段階ですから、少なくともそういうくらいの刻みはきちんと検討していく、そういうことを東京都として強く出すべきじゃありませんか。いかがですか。

○秋山参事 ただいまのは税源移譲の話でございますので、基本的には所得税を減らして個人住民税をフラットにしていくということで、地方への税源移譲を実施すると。ですから、所得税の方は何らかの形で下げる措置をとっていくということで、基本的には負担の増減が相まうような形で考えていくというのが、いろいろな団体が提案しておりますフラット化の考え方でございますが、その課題につきましては、今後検討の中で十分に議論を深めていくという必要があろうかと思っております。

○古館委員 私は反対していますけれども、都税調の答申でも、所得税の、いわゆる最高税率の引き下げということをいっているんですよ。それから最低税率もさらに引き下げる。つまり最高税率を下げると、これだけ減税効果が強くなる。ところが、最低税率を下げると、低所得者がさらに税金を納める人がふえていく。これが実は、ここの税源移譲の中にもう一つある方針だということもつけ加えておきたいと思います。
 今さらいうまでもありませんけれども、地方自治体が行う事務について、そのイの一番に住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持する、このことが挙げられて、冒頭に述べましたけれども、全国知事会の提言でも、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねる、こうした改革を今求めております。国の事業まで自治体が乗り出して、財政まで投ずるという意図を明らかにした石原都政の方向は、多くの市民、全国の道府県が願っているものと逆行すると指摘をせざるを得ません。したがって、地方分権改革に関する東京都の基本的見解は、抜本的に都民の立場で、目線で見直しを求めておきます。
 以上です。

○藤田委員 私も何点か質問をさせていただきます。
 今回出されました基本的見解の中で示された歴史認識、それから国の中央集権・官治の統治システムの制度が疲弊をしているという話は十分理解をいたしております。
 それから、我が国が少子高齢化が進んで、きょうの新聞ですとついに一・二九ということでありまして、すべての社会保障の仕組みやら何やら、人口によっているものの最低位の状況を進んでいるというようなことが書かれておりまして、まさにピラミッド型の中でつくってきた制度が全く通用しないということが明らかであるにもかかわらず、わずかな改正、改正でやってきたことによって、いろいろなところに歪みが出ていることは、これまでも私たちが十分いってきたことでありますので、まさに今回の状況を変えていかなくちゃいけないということについては、私たちも同感でございます。
 そして、今週にも具体的な提案を行うとしていますけれども、私たちは国の役割と地方の役割の見直し、それから現在でいえば、国庫補助負担金の二十兆円のうち、社会保障を除いた八兆円すべて地方へ移譲するというようなこと、それで地方交付税の算定基準の変更、一県だけが交付税をもらっていないというようなあり方を見直して、ほぼ半分くらいの状況になるような変更というようなことが具体的に出されるのかなというふうに思っているわけであります。
 そこで、まず、先ほどもお話がありましたけれども、国の役割と地方の役割の見直し、具体的にどのようなところまで書き込むのかをお示しください。

○秋山参事 基本的見解の中では、国が責任を持つべき分野というものをあらわしておりまして、一つに、外交、防衛、司法など国家存立にかかわるもの、二つ目、将来富を生む分野、地域への重点投資など国家戦略に基づいた投資を行うこと、そして三番目に、生活保護や義務教育など国民生活の基盤を支える基礎的な行政サービス、この財政責任を持つことということでございます。
 この考え方に基づきまして、今後、国と地方の役割分担のあり方について、幅広く検討していくというふうに考えております。

○藤田委員 一昨年、ドイツへ、スタディーツアーということでネットの方から行ってまいりました。もちろん国のつくり方が違いますから、なかなか難しい点もありましょうけれども、私たちが視察したのは、一番小さな自治体の分権をどうしていくかというようなことで、その観点で行ったわけでありますけれども、ドイツの場合には、連邦で行うものは外交、財政、防衛、通貨、空港というようなことでありまして、いわゆる州の中でやるものは教育、文化、司法、警察、都市計画というような状況になっております。
 私は、教育はまさに分権化をすべきだというような考えを持っておりますけれども、今回の中では、義務教育については国の役割だというような話もありましたが、その辺については、本当にけんけんがくがくやらなくちゃいけないところがあろうかと思いますけれども、今の役割自体といいますか、どういうふうに仕事を分けていくかというところは、根本的なことをもう一回考え直す必要があると思うんですが、そこまでを書ける状況にありましょうか、あるいは今やっているものをどういうふうに国の関与を減らしていくというふうにしていくんでしょうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

○秋山参事 基本的には、先ほど申し上げました大きな三点を、今回基本的提言の中で国が責任を持つべき役割ということで考えさせていただきましたので、それを基本にと思っておりますけれども、ただ、公と民ですね、公と私の役割分担、それからその中で国と地方の役割分担というものを考えていくような方向で、秋に向けて検討していきたいというふうに考えております。

○藤田委員 実際には、財政諮問会議の最終のまとめというようなことの、ある意味で期限がありますから、それは足元のところをしっかり提案していくという必要があろうかと思いますから、なかなか難しいかと思いますけれども、やはり将来を見据えたところまでの書き込みをどれだけできるかということは、私は一つ勝負であろうというふうに思っています。今までの状況の中で見る限り、関与がないといいながらも、介護保険なんかについても地域だといいながら、やはり大もとを決めるところは全部国でやっていくというような法律の中での決め事ということになりますと、本当にその問題も含めてどう考えていくのかというのは、やはり基本的にはもう少し、今の状況を前提にしたもので国の関与と地域の役割と、というふうに考えるよりも、実際に地域の中でやるべきことは何なのかということをもう一回考えるという、少し長期的な話もぜひつけ加えていただきたいというふうに思っているところでありますけれども、これを行政の皆さんだけで考えてほしいとももちろん思っていませんから、少し何か公の会議を持つなり何なりして、先へ進めていただくような場があればいいなというふうに思っております。
 それから、もう一つは、今のと同じようなことでありますけれども、どうも局の方にも、好きだねといわれたんですけれども、やはり地域のことは本当に地域でやるんだという、そういうことをしっかりこの中で書くといいますか、いえばヨーロッパの地方自治憲章、補完性の原理というようなことをこの中で書いていく。私たちは、とにかく地域のことはちゃんとやっていくよというようなこともこの中には書けるのではないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○平田自治制度改革推進担当部長 今お話のありました補完性の原理でございますけれども、これは、行政官の役割分担を検討する上での一般的な考え方の一つでございます。この一般的な考え方だけでは、今いろいろございました具体的な役割分担を定める指針とするには困難なところがあろうかと思います。
 したがいまして、役割分担のあり方につきましては、補完性の原理にとらわれることなく、地方自治の本旨を実現し、我が国の発展を促進するという観点から検討を進めていきたいというふうに考えています。

○藤田委員 今、地方自治の本旨とおっしゃいましたけれども、これも果たして地方自治法を変えるとなると大変なことになりますから、私たちは自治基本法をつくるべきだというような思いで、そんな研究会もつくったりはしましたけれども、やはりそこで本当に地方自治の本旨ということがどうなのかというようなことも、これももう何年来ずっと続いてきた考え方で、それを踏襲しているということを考えると、先ほど最初にお話がありましたような歴史的なもの、太政官からのというようなことということも含めて、すべてが変わってきている中で、やはりこの辺も、ある意味では見直す必要があるというふうに思いますし、ここは自分たちでできるよというようなことを、やはりそれも含めて提案をしてほしいなというふうに思っているところでございます。
 それから、同じようなことになりますけれども、特に今回の改革案が地方の自治体からも一定程度認知されなければ、なかなか大きな力にはならないというふうに思っています。ただ、都の基本的な見解の中に、大都市が負けたときには国家の存立すら揺らぐというようにありますように、私は何か地方にけんか売っているような記述かなというふうにも思います。地方の認知が得られるかどうか、非常にここが重要だというふうに思います。
 そして、私の仲間が全国知事会をずっとウオッチングしていますから、野澤さんなんかが出ていらっしゃる中をずっと聞いているわけでありますけれども、基本のところはそんなに変わらない、他の自治体も。その中で、もちろん都市と地方という、今の状況が少し違うわけだから、そこのところでどうしようかというふうにいっているんだと思うんですけれども、やはり片方では、例えば全国知事会に行って、頭だけ出ていって、知事が、あんたがおかしいじゃないかというようなことで、けんかだけ売ってきて、それで帰ってくるようじゃ、やはりちょっと難しいかなと思うんですね。そこは自分のおっしゃりたいことと、地方のおっしゃりたいこととのキャッチボールがきちっとできて初めて、あっ、何だ、そんなに違わないじゃないかというのが、きっとその中で発見もするだろうし、あるいはやはりそういうことだったならそこも入れようというふうになるんだろうと思うんです。全国知事会含めて、いろいろなところで地方に理解を得ていくということが、大変大きな問題になろうかと思いますけれども、どういう働きかけをしていくのか、お伺いさせていただきます。

○秋山参事 全国には、現在三千百ほどの地方自治体がございますが、それぞれ地域の社会経済状況や、各自治体の財政力というのも千差万別でございます。そうした中で、多くの自治体の理解を得ることはなかなか難しいという問題ではあると思いますが、都としては、抜本的な分権改革を行うことによりまして、地域が創意工夫して、住民ニーズに的確にこたえる施策を展開できる、そういう仕組みを構築するということを目指しておりまして、地方の自主、自立という点で多くの自治体の共感を得られるよう、今後全国の自治体に働きかけたいというふうに考えております。

○藤田委員 東ティモールが独立したときに、独立しちゃったら財政非常に厳しくなって、存立も危ぶまれるようなところだったわけでありますけれども、しかし、やはり自治ということをどうしてもかち取りたい、それで戦争をしたわけでありますけれども、やはり自治ということがどういうことなのか、本当に自分たちの生活にとっていかに大事であるのかということがわからなければ、なかなかこの分権改革というのはわからないし、それから今回東京都がお出しになるのも、なかなかその辺までは地方に理解していただくには難しい状況になろうかというふうに思います。
 東京だけがいい目を見ているというのは、どうしてもそこの中には含まれているかと思いますから、私は、ある意味では東京が首都をもし外れたとしたら、東京がどれだけ自立できるかなというのは非常に難しいと思いますし、それぞれの地域の方がより豊かな文化と社会を持っているんじゃないかというふうにも思っているわけでありますけれども、今回の課題について、広範な議論と検討を都として十分行っていただくわけでありますけれども、知事は先般の記者会見のときだと思いますけれども、最後には、分権改革をやるのは国ですからというような、そんな逃げ道のようにいわれたことに象徴されるように、私はなかなかこれは難しいなというふうに思います。
 そこで、今後この改革の実現に向けて、どういうふうに取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○秋山参事 この秋には、また経済財政諮問会議の集中審議が行われて、国がいっておりますいわゆる三位一体改革、地方の行財政改革につきまして、全体の行程表、改革案の案などが提案されるという見込みになっておりまして、都はこれに向けて、改革案を策定する方針で望みたいと思っております。
 また、改革案には、先ほどからも再三出ておりますが、国庫補助金の改革、抜本的な税源移譲、それから新たな財政調整の仕組みというようなものなどについて、具体的な内容をなるべく盛り込んだものとしていきたいというふうに考えております。

○藤田委員 いわゆる重厚産業からITの情報の産業へと変化をしていく時代に、なかなかそこに乗り切れなかったのが、ひとつ日本の、余りそうはいいたくありませんけれども、失われた十年といいますか、そういう状況なんだと思います。
 そのときに、GDPでトップに出るような状況になって、そうすると、それを新しい産業に転換していくところにお金が使えなかったために金余りの状況が起きて、そしてだんだん円高が進む、そういう中でプラザ合意が進むという中で、さらにアメリカからの公共事業の押しつけというようなことがずっと広がってきた。そして国でできない部分を地方にお願いする。そしてそれでも足りないものを財政投融資というような、そういうところにまで全部広げてきた。そういうものの結果が七百兆ということでありますから、一概にどこを責めるということではありませんけれども、大変これは、分権の国の仕組みを変えるというのは、日本だけではなく、地方、東京都だけではなくて、外国との関連といいますか、そんなところにまで発展するような大変壮大な覚悟と創意工夫を持たなければ、そして先ほどおっしゃいましたように、利権の構造の中でやっていたんでは、もうとてもできないよということをきっちりと示していくようなことにならない限りは進まないというふうに思いますし、それはひいては、本当に日本の国民をただただいじめるだけになるような、みんな表に出てしまうような、そんな状況になろうかと思いますけれども、ぜひ議論はどうぞ壮大にやっていただきたいと思いますので、その辺のことについて局長のお考えを伺いながら、質問を終わらせていただきます。

○前川知事本局長 今お話があったのは、ある種の正論といいますか、あるべき論というのをきちんとやるということだと思いますし、それは、今回の基本的見解もそうですが、ある程度、ある意味では自治体の枠を超えて少し議論をしているつもりであります。ですから、その点についてはこれからもきちんと深めていきたいと。
 私ども実感しておりますのは、日本というのが本当にグローバリゼーションが進んでいって、今までのシステムを維持していては、本当に日本の社会全体、日本の国家全体が、言葉だけではなくて、場合によっては衰退しかねないという、そういう瀬戸際にあるときだろうと思っております。
 そこで、一方では正論もいいながら、他方では、やはりこれはある程度勝たなくちゃいけないことがあると思うんですね。ですから、その場合に、先ほどおっしゃった長期的なあり方についても、それは、例えば義務教育なんかの問題にしても、本来の分権から見てどうあるべきかということはいろいろ議論があることは十分承知しておりますけれども、当面、やはり戦術的に、ある程度成果も上げて、国に対しても勝たなくちゃいけない。そのためにはどういう問題提起をしたらいいのか。
 それからまた、全国知事会と地方との関係についても、今回はかなり注意深く書いているつもりであります。一方的に一刀両断にするんじゃなくて、やはり地方の理解を得て、地方にメリットがあるシステムをつくらなくちゃいけない。それをある程度具体的に示さないと、東京都だけが、いわば格好いいこといって終わってしまうということになりますから、そうならないように具体的な案をつくっていきたい。大変難しい課題で、いうのは簡単で、なかなか難しいのでありますが、自治を本当に、今の中央集権システムを、いわば壊して、新しい自治をつくっていきたいという点では、本来、ここにいらっしゃる、ご出席の方々、皆さん同じ志だと思っておりますので、大変僣越ですが、ぜひお力添えをいただきたいと思っております。

○真木委員 本当にご苦労さまでございます。私も、この小泉三位一体改革、まやかしだと思います。竹中さん、一体何やっているんだという感じで思っておりまして、この問題については、本当に行政と議会が手を携えて、ともに戦っていかなければならない。国難という言葉がありますけれども、これは国民生活を守っていくための本当に都難だということで、ともに手を携えながら戦っていきたいというぐあいに思います。そして、このペーパーにつきましても、石原色を前面に出しながら、行政としても整合性のある東京都としての見解を出されたことは非常に意味のあることだなというぐあいに思っております。
 ただし、一点だけちょっと気になるところがございました。この説明を受けている中で、六ページの表を見たときにちょっと気になったところでございます。今から私がさせていただく質問は、この六ページの表を見ていただかないと何もわからないかと思いますので、ぜひお手持ちの方は、人口一人当たりの実質的配分額の表を見ていただきたいというぐあいに思います。
 そして、この表に対して特に意見があるわけでありますけれども、このことにつきましても、いうなれば、ノーアウト、ランナー一塁で、二塁にランナーを送りたいというときに、送りバントをするのか、それとも単独スチールなのか、ヒットエンドランなのかという戦術の違いだけだというぐあいに思います。私は、東京都は、いうなれば送りバントを選択されたきた中で、ヒットエンドランを主張したいなというぐあいに思って、これから質問をさせていただきたいと思います。
 そしてまた、皆さんがこれから知事会等で東京都を代表して戦いをする中で、あえて、議会の中ではこういった議論があったんだという議事録を残しておきたいという意味で質問をさせていただきます。
 まず、六ページの表を見てみますと、これは租税還元率を勉強するときによく出てくる表でございます。ほうっと思いながら、ただ、数字が四つ出て、そして四つの段、四、四、十六の十六個の数字が出ております。この十六個の数字の中で、東京都としてはどの数字を見てもらいたいのか、そして何をいいたいのか、そのことについてまず最初に確認をいたします。

○秋山参事 地方税に国庫補助負担金や地方交付税など、国から地方への移転財源を含めました人口一人当たりの実質配分額、これを我々としては問題にするべきだというふうに考えております。
 配分額の上位三団体の一人当たりの平均が約八十九万円ということに対しまして、東京都域では約六十万円でございまして、その差は約一・五倍というふうになっております。面積や人口密度などによる行政効率を考慮したといたしましても、一・五倍もの格差が生じているのはいかにも行き過ぎであるというのが東京都の主張でございます。

○真木委員 都としては、十六個の数字の中で、いうなれば八十九と六十、二つの数字に注目をしてくれということだと思います。そして主張としては、一人当たりが使える税金の額ということに着目をしているんだと思います。しかしながら、今私が思いますのは、国との一種戦いである中で、私たちが払う税金、個人が払う税金の七割が国に取られていきます。地方に納めている、都民であれば都と、私であれば市に納めるのは三割程度、そして残りの七割は国に取られていく。その取られていった七割がどれだけ戻ってくるのかというのがやはり問題であって、今の議論も、そういったところに一つの議論があるんじゃないのかなと思います。
 国庫補助負担金と地方交付税、合計した金額で比較した場合、つまり移転財源で比較した場合、配分額上位三団体と東京都域ではどれくらいの格差があるのか、確認をいたします。

○秋山参事 国庫補助負担金と地方交付税を合計いたしました国から地方へ移転された金額で見ますと、配分額上位三団体は、平均で一人当たり約六十七万円なのに対しまして、東京都域では約九万円となっておりまして、その差は約七・四倍でございます。

○真木委員 鳥取県や島根県ということだと思いますけれども、そのところに人口一人当たり落ちてくるお金と、私たち東京都民が国からもらえるお金では、一人当たりに換算したところ、七倍の差があるということであります。この数字を比較した方が、この数字を出していった方がわかりやすいんじゃないかと思うんですが、なぜこの数字を用いないのでありましょうか。

○秋山参事 国庫補助負担金、地方交付税など、国からの移転財源で比較しない理由でございますけれども、地域の行政は、国からの移転財源だけではなく、地域内において徴収された地方税、これも合わせた財源総体で実施されているということから、実質配分額で比較すべきであるというふうに考えております。したがいまして、国からの移転財源だけの比較では、行政運営の原資と離れた議論となってしまうことから、大都市と地方との対立を招くおそれがあるということで、今後全国の自治体と連携して改革を求めていく上で、若干支障になるのではないかというふうに危惧しております。

○真木委員 先ほど前川局長からも、配慮した文書をつくっているということでございます。そしてそのお気持ちは十分にわかるわけであります。そして今ご答弁にもありましたけれども、今後、連携して改革を進めていく上で、余り出したくないんだということでございます。しかしながら、私はその観点からするならば、この数字に出ております一人当たり納税額、東京都民は百八十万円を納めているんだ、この数字の方がはるかに刺激的な対立をあおる、誤解のあるというか、正しい数字ではないと思うんですが、いかがでありましょうか。

○秋山参事 納税額につきましては、法人税や消費税が本店所在の税務署に納税されるということになっておりますから、東京都域を初めとする大都市圏の納税額が大きくなるという要素はございますが、都が問題として考えている実質配分額に何ら影響を及ぼすものではないというふうに考えております。

○真木委員 法人税は本店が納める。だから全部東京である。その問題が一つあります。あと、何よりもこの数字を出して、近隣からというか、他県からもクレームがつくんじゃないかなと思いますのは、法人税じゃなくて、所得税ですね。所得税は源泉徴収で事業所が納めることになります。ですから、ここにいる皆さん、議会側は全員東京都民でございますが、行政の皆さんは神奈川県民の方、埼玉県民の方も相当いらっしゃると思います。その埼玉県民の方、神奈川県民の方もここの東京都に納めている形になっているわけですね、この数字は。栃木から新幹線通勤をしている人、静岡から新幹線通勤している人も、この東京都が納めているような百八十という数字の中に含まれているわけであります。これは、地方の人が見たら、何いってんだいということで怒る数字であります。
 ですから、この数字を出す方がむしろ私としては、対立をあおるものになってしまう。むしろ私は、この数字は全く要らないというぐあいに思うわけであります。それよりも東京都は、配分額上位三地域の平均が一人当たり八十九万円になりますよ。東京都は、六十万円しか私たちはお金使えない、税金を使えないんですよ。でもその内訳をいいますと、六十万円のうち、国からもらえているのは九万円だけ、残りの五十一万円は全部自主財源なんだと。一方、地方の方々の八十九万円のうちの自主財源は二十二万円でしかなくて、六十七万円が国からもらっているんですよ。この三つの数字を出した方がはるかにわかりやすく、そして公平感ですね、情に訴えることができるんじゃないかなというぐあいに思うわけであります。確かに一・五倍--一・五倍という数字は決して公平ではありません。私も抗議をさんざん申し上げたいと思います。しかしながら、一方、人口密度が全く違うわけであります。
 私は、岐阜県の議員の秘書をしておりました。参議院議員の秘書をしておりました。私が九五年から岐阜県の議員の秘書をしておって、多分九七、八年くらいじゃないでしょうか、梶原知事が東京タコという発言をして、社会的に問題になりました。私はそのとき、すぐにうちの議員にも、また仲間の県議会議員にもその日のうちに、いかに梶原知事の発言が間違っているかということを県議会でも追及してほしいということで、資料をつくって、東京都民がいかにばかを見ているかというか、損をしているかというような資料、東京タコという発言はおかしいんだということで、資料をつくった思い出があります。
 その中で、その東京タコ発言が飛び出したときの梶原知事発言を詳細に見てみますと、道路ばかりつくっているというけれども、しかし、地方においては救急車が通る道すらがないんだと。救急車が通るための道であって、それは福祉道路でもあるんだといういい方をしていました。へえ、そういうものかななんてぐあいに思ったところだったんですけれども、選挙のたびに私は岐阜に入りました。そして結構田舎の方にというか、はっきり申し上げまして郡上郡の担当になったこともございました。そうしたら、自分で運転をしていて気持ち悪くなった道というのは、今まで、箱根とかしょっちゅう走っていますけれども、自分で運転して気持ち悪くなったという経験はないんですね。自分で運転していて気持ち悪くなった道を走っていて、ああなるほどなと、ここで救急車に乗っていたら大変だろうなというようなことを思いながら、福祉道路ねえなんてことを思ったりしたことがありました。
 そういった経験からすると、一・五倍--一キロ走ったって家一軒もないわけですよね。ところが、東京で一キロ走れば、その沿道には何万人も住んでいる、そこの間で一人当たりの差が一・五倍だよといっても、それは誤差だろうということで、むしろ対立をあおることになりはしないかなということを懸念するものであります。やはりそうはいっても、納めた税金は、基本は平等だよねと。基本は平等だよねと、だけど配分機能は当然あるよ。だから、東京は少ないのはしようがないけれども、だけど七倍はないよねと。やはりこういった情に訴えていくことも必要なんじゃないかなと思います。理屈は幾らでも、理屈同士でけんかできる。理屈は貨車でついてくると有名な政治家がいいましたけれども、理屈でけんかすると、幾らでも向こうに理屈を与えるんですね。それは、ごもっともな点もたくさんあるんです。この補助金がなければ、この村はどうなるんだ、この部落はどうなるんだ、なるほどなというようなことを本当に、ぼくも岐阜にいながら思ったことがあります。
 ですから、理屈だけじゃなくて、情に訴えるためにも、一つは六十対八十九はおかしいですよ、一・五倍、おかしいですよというこの数字を出しながら、もう一つは、そのうちの自己財源が、東京は六十のうち五十一が自己財源なんですよと。国からもらっているのは、この一と八なんていうのを出すんじゃなくて、九なんですよと。これ正式には十一なんですね。その他があって、移転財源は十一、自己財源は四十九になるわけでありますけれども、その数字を、正確な数字を出して、六十の内訳は四十九と十一なんだ。八十九の内訳は十九と六十八なんだということで出せば、一つの表、三つの数字で二つのことをアピールすることができる。そして全く誤解、正しい数字ではない百八十、東京都民がいかにも百八十万払っていますというような誤解に満ちた数字は消すことができる。情報量は多くなればなるほど訴えるものが少なくなって、情報量が少ないほど訴える力がふえてくるわけであります。私の演説も長くなればなるほど、いっていることが伝わってこなくなるかもしれませんけれども、今の四つの、四、四、十六の四つの数字から三つの数字に変えてアピールすべきじゃないかなというご意見を申し上げて、見解をいただきたいと思います。

○前川知事本局長 なかなか難しい問題をご指摘をいただいて苦慮しているわけでありますが、今ご指摘になった点は我々も十分意識しておりまして、本社所在地ということもあるし、いろいろな意味で都が税金が多いのは当たり前であろうと思います。この点については、今ほかの局ともちょっと相談しながら、詳細にもう少し分析してみようというふうに考えております。
 そして、ここでいいたかったのは、要は、国税とか地方税とか名前がついても、結局は三大都市圏の住民が七割も負担をしていると。つまり、国税といえばあたかも国がどこかから取ってきたようなんですけれども、要は大都市の住民が、結局は名前が変わっても負担しているんだよという事実が一つと、それから何ぼ何でも還元率が行き過ぎじゃありませんかということを二点訴えたかったわけですから、その辺はあくまでもどういう数字を使ったらいいかというのは、戦術の問題も絡みますので、今のご指摘も踏まえてまた検討していきたいと思います。

○真木委員 あくまで送りバントかヒットエンドランかという違いでございまして、私としては、うまくいけばヒットになればいいなと。単に、ランナーも送れて、さらに塁に出れればいいなというような気持ちでございますのと、あとさらに、皆さんは謙虚に抑えて主張したけれども、議会じゃうるさい若いのがいるぞと、こういうことで突き上げられているんだということを交渉の中で使っていただきたいという気持ちを込めて発言をさせていただきました。
 ご健闘をお祈り申し上げまして、質問を終わります。

○吉田委員 じゃ私も質疑、大変多岐にわたって論じられておりますけれども、地方分権改革に関する東京都の基本的見解に関して、一点に絞って質疑をさせていただきます。古館委員からかなり幅広い問題点をやりました。私も、例えば税財源移譲の中で、地方税のフラット化ということなど、非常に都民にとって重大な問題点をはらんだものだというふうに指摘せざるを得ません。
 私が、特にきょうこの場で質疑をしたいと思っておりますのは、国庫補助負担金については、一定の前提はありますけれども、廃止すべきだという論点についてであります。財務局のある幹部にいわせれば、要するに国が負担をすべきは国庫負担金であって、これは残す必要があるけれども、補助金というものは奨励的補助金であって、基本的に全廃であるというふうな、かなり画一的な発言を聞く機会もありました。そうではないというご意見かもしれませんけれども、この国庫補助負担金全廃という問題は、非常に慎重な検討が求められることではないのかというふうに思っております。
 なおその前に、きょうの議論の中で、中央集権化しているだとか、フルセット、画一的だというような問題について厳しい批判の声がありましたが、私はやはり一般論で中央集権とか画一とかフルセットということを強調するのではなくて、今日本と地方の政治で、何が一体政治をゆがめているのかという、やはり中心に迫っていく解明が、形式論ではなくて求められているんではないかと。したがって、補助金についても、何か補助金そのものを一色で描くのではなく、その実態について、何がどうゆがめられているのかということを解明することが、改革ということを考えるときに求められているのではないかなというふうに思う次第であります。
 例えば、国は憲法二十五条で、健康で文化的な最低限度の生活を保障するという憲法上の責務を担っているわけですね。そのためにさまざまな各種施策を行い、それが補助金という施策で行われている場合もあり、そのときに一定の基準を示すということは、それを画一的というのかどうかわかりませんけれども、国の行政としては当然の一定の責務でありますし、東京都自身も市町村に対する補助金を行うときには一定の基礎的な水準というものを求めると、それ自身をすべて悪であるというふうにいえるかどうかとなれば、具体的な検討がまさに求められていると。
 その点で、質問に入りますけれども、この基本的見解では、国の責務である基礎的行政サービスについては国がやりなさい、その他の補助金についてはすべて廃止すべきだし、廃止していいですよ。問題は、そのときに、じゃ一体、国は責任持ってやりなさいという分野をどの程度見るのかということによっては、その後の補助金廃止問題とリンクをして非常に判断が違ってくるわけですね。この中では、具体的に国が責任が負う分野として何かというと、事例として示されているのは、義務教育と生活保護と--などという言葉があるのかな。「は」ですね、これ。などでもないな。一体、じゃ国が責任を持つのは生活保護と義務教育なのかというような印象もないわけではないんですが、国が責任を持つ基礎的な行政サービスというのは、一体どこまでというふうに基本的な考え方、ないしは具体的なイメージとしてとらえているのでしょうか。あるいはとらえたらいいのでしょうか。

○秋山参事 見解の中で、国が財政責任を負うべき基礎的サービスについてのご質問でございましたけれども、基本的見解の中では、例示につきまして「など」という表示を各所にしております。したがいまして、これは、これからどういったものが該当するかということを、具体的検討の中で、秋口に向けてやっていくという意味から、例示という意味で示させていただいております。
 これは、先ほども何度も答弁しておりますけれども、国の役割を明確にした上で、国民生活の基盤を支えるということで、補助金は先ほど悪であるというお話がありましたが、基本的見解の中で悪であるというふうにはいってございませんで、補助金自身に必然的に内在する仕組みが、地方を縛りつけて国依存を生んでいると、切っても切れない関係にあるんだということで、そこの仕組みを抜本的に変えるんだということを主張してございます。
 そこで、国が直接執行する、国がやりなさいという表現がございましたけれども、国が直接やるのではなくて、国が財政責任を負担するという意味の基礎的サービスという概念を持ち出してございまして、もちろん、先ほど補助金がなくなるといろいろ大変なことが起こるんじゃないかというご質問ございましたけれども、これにつきましては、抜本的な税源移譲ということで、地方の財政的自由度を飛躍的に高めますので、そちらの方で地方が創意工夫をして行政サービスをすることが可能だということでございます。

○吉田委員 今の説明でも、じゃ改めて国が基礎的行政サービスとして責任を負う分野はどこなのかと、どういう考え方で東京都は検討していくのかということが非常に不明確なんですよね。
 それで、補助金制度についてですけれども、私たちはさまざまに解決すべき問題をはらんでいるというふうに認識をしております。特に公共事業関係の補助金負担金制度を大胆に改めて、むだな公共事業をなくし、整理削減をするということは、緊急に解決をすべき課題だと思うんです。
 また、自治体がみずからの基準と裁量で計画的、効率的に事業が進められると。国によって縛られるということが、やはりないようにしていくことは必要なんです。
 同時に、国庫補助負担金制度の基本的な仕組み、それ自体の中では、多くが福祉や教育を初め、憲法で保障された国民の生存権、基本的人権にかかわる、いわばナショナルミニマムを国が財政的にも保障する責任を明確にした側面と、そのことをやはりしっかり両面として見て、解決し、改善すべきものを改めていくということをしなければならないときに、極めて機械的に国庫補助負担金については廃止すべきという主張というものは、やはりさまざまな誤解を生むものだと思うんです。
 例えば、そこで具体にお伺いしますけれども、東京都が実際に受けている国の国庫補助金の中で、本来国が果たすべき義務的なものがかなり入っていると思うんですが、その辺の認識はどうですか。

○秋山参事 今のご質問は、国庫補助負担金のまず性質のご質問だというふうに考えております。一応国庫負担金と国庫補助金というのは、国が地方に財源を支給するということで、国庫支出金と大ぐくりされておりますけれども、性質は若干異なっておりまして、国庫負担金の方は、自治体の事務について国が責任を有するものについて、その全額または一部を国が支出すると。補助金につきましては、地方の事務について、基本的にそれを奨励するというような意味からそれを給付するというような形になっております。
 今の先生のご質問ですけれども、東京都の範囲でということございましたけれども、今、国庫負担金と補助金の総額につきましては、たしか普通会計ベースで四千八百億円とか、その程度の額が来ておると思いますけれども、その内訳については持ってございませんけれども、我々が今後国の財政責任を、国にすべて負えという範囲の検討については、国庫負担金と国庫補助金、先ほど区分があると申しましたが、実際は国のそのときどきの都合で、実態は大きく入り組んでおります。国が責任を持つという負担金の中に補助的な奨励的要素のものが混じっていたり、それからその反対に、補助金の中に十分の十、全額負担するような、国の責務にかかわるようなものも混じっているということで、形式的な負担金、補助金という概念で一気に切り捨てていくということではなくて、広くその二つについて性質別に分析しながら、どういった行政主体がそれを担うのがいいのかということから区分をしていきたいというふうに考えています。

○吉田委員 私の質問を逆に難しくお答えしていただいた印象なんですけれども、具体的に東京都が受けている国庫補助金の中でも、国の義務的な、本来果たすべきものも含めて多々入っていると、そういう現実があるときに、私は国庫補助金については廃止すべきという主張というのは現実にかみ合うものではないし、下手すれば都民サービスの後退になりかねないということを指摘したいわけです。
 例えば、今大きな問題になっておりますけれども、義務教育費の国庫負担、これは当然のことです。それと同質の問題で、私学助成に対する国の負担は、これは補助金扱いになっているんですよね。こうした問題だって当然、私は本来国が負担すべき国の責任に類する問題ではないのかなというふうに思いますが、いかがですか。

○秋山参事 ただいま私学の関係の補助金の話ということでございましたけれども、先ほども申し述べましたとおり、国が財政責任を負うべきと都の基本的見解で述べている範囲の検討につきましては、形式的な補助金であるとか、負担金であるとかいう区分にかかわらず、広く性質別に分析をした上で、どういった主体が対応したらいいかということを、この秋に向けた具体的案の検討の中で明らかにできるように検討を進めていきたいと思っております。

○吉田委員 それと関連して、問題は、基礎的なサービスについて国が負うべきものはお持ちなさいと。それ以外の補助金については廃止して構いません。そのときに、じゃ東京都が、もちろん今の国の補助金の中にはさまざまな問題もあり、あるいはまたその中で必要最低限度のものもあると思うんです。先ほど保育については画一的だというお話がありましたけれども、私どもは、保育については最低限のものを保障しているのであって、その上に、東京都が現行に加算をしていると、そういう努力というのは当然のものだと思うんですが、問題は、東京都として補助金が廃止をされた後、どういう対応をするのか。やはりこれまでの都民サービス、都民に対するさまざまな施策を維持し、さらに拡充するというスタンスにあるのか、それとも東京都も一緒になって後退をしていくということになれば、都民サービスにとっては重大な問題があるわけですが、その点はどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。

○秋山参事 基本的見解の中では、国の役割を明確にした上で、抜本的な税源移譲を行って、自治体の財政的自立が図られるということを目指しておりますので、その場合には、国と同一の保障をすべきかどうかということではなくて、どのような行政サービスを、どのような水準で実施するか否かを各自治体が自主的に判断していくと、そういう世界、そういう仕組みを構築していくということでございます。抜本的な改革が実現すれば、財政の自由度が飛躍的に高まりますので、各自治体がその自由度を活用して、創意工夫をし、地域ニーズに合った施策展開が可能になるということでございまして、補助金や交付税で縛られた自治よりも、豊かなサービスの提供が可能になるというふうに考えております。

○吉田委員 率直にいわせていただければ、財政の自由度が拡大をすると、それで緊急優先課題に投入するんだということになれば、どの分野に優先的に投入されるのかということは、前半の議論からしても、我々は極めて危惧せざるを得ない。なぜなら、首都再生を中心とする三環状、羽田などの本来国がやるべきことを、わざわざ直轄負担金OKよということで負担をすることを優先的にやるという方向に自由な財源が投入されるということになりかねないと、今の都政の状況なら。したがって、この問題について、私は非常に危惧を抱くわけです。
 しかも、この間の東京都の対応というものは、そもそも国が出している補助金の最低限に対してさまざまな各種の加算、上乗せあり、横出しをしてきましたよね。そういうものは今度の第二次財政再建推進プランの中では基本的に見直しの方向なんですよ。もう国基準だけでいいですよと。東京都が余計なことをやる必要はないと。乱暴ないい方もしれませんけれども、そういうふうに受け取られるような方向に今進みつつありますし、また、例えば経済給付事業の見直しについて見ても、我々は繰り返しこの問題を提起していますけれども、生活補助、あるいは所得格差、そういう問題については国の責任なんだ。地方自治体がやるべき責任ではないということで、経済給付事業の見直しなどを進めてきているという現状から見れば、財源が自由になるんだから、それを自由に使ってよりサービスが向上できるんだというふうに判断することは極めて困難であるという中で、我々は補助金については廃止して結構ですという主張というものは、極めて危険なものであるというふうに指摘せざるを得ないということを述べて、私の質疑を終わらせていただきます。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二分散会

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