総務委員会速記録第五号

平成十六年三月十九日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長土屋たかゆき君
副委員長中屋 文孝君
副委員長藤田 愛子君
理事富田 俊正君
理事長橋 桂一君
理事山田 忠昭君
真木  茂君
古館 和憲君
星野 篤功君
橋本辰二郎君
大山  均君
大西 英男君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
次長只腰 憲久君
企画調整部長高橋 道晴君
総務局局長赤星 經昭君
総務部長大橋 久夫君
選挙管理委員会事務局局長押切 重洋君
人事委員会事務局局長高橋 和志君
任用公平部長松田 曉史君
監査事務局局長松澤 敏夫君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務委員会所管分
・第二号議案 平成十六年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 平成十六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(決定)
・第三十二号議案 東京都外部監査契約に基づく監査に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十六号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第三十八号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第四十号議案  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十二号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十三号議案 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 東京都知事等の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第四十五号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第四十六号議案 東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第四十七号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第四十八号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十号議案  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 職員団体の登録に関する条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十四号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百四十五号議案 東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
・第百四十六号議案 境界変更に伴う財産処分に関する協議について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○土屋委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書中、意見書一件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

公設秘書制度の抜本的見直しに関する意見書(案)
 先ごろ、前衆議院議員が、公設秘書給与約一千七百万円を詐取したとして詐欺容疑で逮捕された。詐取した金を選挙資金に充当するための蓄財や事務所費用に流用していたとの疑いが持たれている。また、以前にも、四人の元国会議員が秘書給与詐取などで立件され、司直の手により裁かれている。
 公設秘書給与の源泉は国民の税金である。このような法の網の目をかいくぐり血税を奪い取った悪質で反社会的な行為に対し、国民の怒りは燃え広がっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、国民の政治への信頼を取り戻すため、再発防止策を含め公設秘書制度の在り方自体を抜本的に検討するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年三月 日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 あて

○土屋委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○土屋委員長 次に、本委員会の今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査及び付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務委員会所管分、第二号議案及び第四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○中屋委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十六年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 景気回復に明るい兆しが見えたものの、都財政は五年連続で赤字決算を記録し、将来にわたって巨額な財源不足が見込まれるなど、財政再建道半ばの厳しい状況にあります。
 こうした中にあって、知事は十六年度予算案を第二次財政再建推進プランの初年度として、東京の将来を見据えつつ、財政再建に新たな一歩を踏み出し、東京の再生を確実に進める予算と位置づけ、編成されました。
 予算案の内容を見ると、都民が深刻に感じている治安対策への取り組みを初め、中小企業に対する金融支援策や新銀行の設立、雇用・就業支援策などが盛り込まれました。また、東京を再生し、首都機能を高めていくために、極めて重要な幹線道路網や公共交通網の整備、鉄道の連続立体交差化の推進、羽田空港の再拡張事業など、社会資本整備が、十五年度最終補正予算と一体に、いわゆる十五カ月予算として編成されました。加えて、観光振興や新・元気を出せ商店街事業などの東京の産業力の強化策、子育て支援策、教育改革のための諸施策など、東京の未来を切り開くための施策が並んでおります。
 我が党は、こうした各分野における積極的かつ果断な取り組みを評価いたします。
 一方、我々はこれまで財政再建に当たり、まず都みずからが都民の目に見える形で血を流すべきであると強く主張してまいりましたが、千四百四十四人の定数削減や退職手当の見直しなどの内部努力が盛り込まれ、財政再建と都政の構造改革について具体化が図られています。第二次プラン策定時点で見込まれていた財源不足は、財政再建に向けた全庁を挙げた取り組みの結果、圧縮され、臨時的財源対策も、前年度の二千四百九十七億円から一千七百五十一億円に縮減されました。
 なお、平成十六年度には、国の三位一体の改革が具体化し始めますが、現時点では所得税という基幹税の移譲に道筋はついたものの、中央省庁は依然として既得権に固執しており、残された課題が数多くあります。
 今後の改革で、税源移譲を初めとして、真の地方の自立につながる地方税財政制度改革が行われるよう、都は国に迫っていただきたいと思います。また、我々も、政府、党本部にあらゆる機会をとらえて申し入れてまいります。
 今まで申し上げたように、本予算は厳しい財政状況にありながらも、財政再建に向けて着実に歩みを進めつつ、都政の責任と役割をきっちりと果たすための施策を展開した積極的で前向きな予算であると評価したいと思います。
 改めて申し上げるまでもなく、東京の再生を果たすための先進的な施策を今後も継続して展開していくには、強固で弾力的な財政基盤の確立が欠かせません。あすの東京と都民の幸せのために、財政再建に向けたたゆまぬ努力が必要であると、あえてここで強調しておきたいと思います。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく最大限の努力を重ねられるよう、強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、知事本部関係について申し上げます。
 一、都政の構造改革の推進及び各局事業の総合調整など、知事本部本来の機能を十分に発揮するとともに、平成十六年度重点事業を着実に実施し、東京を含む首都圏の再生及び都民生活の向上に努められたい。
 二、都民が安全・安心な生活ができるよう早急に東京の治安を回復するため、各局の先頭に立って、治安対策を緊急かつ総合的に推進されたい。
 三、国は、年内にも地方税財政制度の三位一体改革の全体像を示すとしている。地方に国の財政破綻のしわ寄せをすることなく、地方自治のあるべき姿を踏まえた地方主権の確立のための改革となるよう、国に積極的に働きかけられたい。
 四、首都機能移転問題については、いまだ国会において移転断念の結論が出ていない状況の中、都として引き続き情報収集に努め、国が首都移転を撤回するまで粘り強く取り組まれたい。
 次に、総務局関係に移ります。
 一、第二次都庁改革アクションプランを着実に実施するとともに、行財政改革、財政再建、新たな政策展開を一体化し、総合的な改革に取り組まれたい。
 二、区市町村の振興については、行政水準の維持向上を図り、地域の均衡ある発展を促進するため、施策の一層の充実に努められたい。
 多摩・島しょ地域の振興に当たっては、都市基盤整備を着実に推進するとともに、市町村合併への支援や市町村の総意と地域特性を生かした諸施策の推進に努められたい。
 三、特別区が今後の事業執行に支障を生じることなく、自主的、計画的に財政運営を行えるようにするとともに、今後の財源配分の割合については柔軟に対応するよう努められたい。
 四、震災対策については、実践的な総合防災訓練の実施や応急給水槽の建設を行うとともに、都民の防災意識や防災行動力の一層の向上を図るなど、総合的な震災対策の確立に努められたい。
 五、自然災害やNBC災害等の重大事件、事故から都民の生命、財産と首都機能を守るため、初動体制の確保に不可欠な情報基盤の整備など、防災対策の強化に努められたい。
 六、電子申請や電子調達など、ITの成果を都行政に取り入れた電子都庁の推進に努められたい。
 都民がより利用しやすい行政サービスを提供するため、国や区市町村等との連携を図り、住民基本台帳ネットワークの着実な推進や総合行政ネットワークの充実など、広域的な情報ネットワークの整備に努められたい。
 以上をもちまして、私の意見開陳を終わります。

○真木委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成十六年度予算にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 今日の都政には、治安の回復、福祉・医療の充実、中小企業・雇用対策、都市と環境の再生など、緊急かつ重要な課題が山積しています。本予算案では、これらの課題に施策を厳選して重点的に予算を配分しており、財政状況を勘案するならば、評価できるものとなっています。
 しかし、各自治体がこうした厳しい予算編成を余儀なくされている中にあって、国の怠慢は許されざるものであります。小泉内閣の三位一体改革も、実際には裁量の余地のない国庫負担金を削減し、財源措置は国が配分権を持つ移転財源で賄うとあっては、中央省庁の官僚のいうがままであります。しかも、現場を無視した戦略なき場当たり的補助金削減が横行しており、自治体への悪影響は看過できないものとなっています。国を変えなければ自治体も生きない、このことを肝に銘じなければなりません。
 今後、迷走する小泉内閣と限られた財源のもとで、景気回復と財政再建を両立させるためには、中長期的視点に立った、より一層の財政構造改革が欠かせません。都民福祉の後退となることのないよう、知恵を出し、工夫を凝らされるように求めておきたいと思います。
 以上、私たちの総括的な見解を述べ、以下、各局にかかわる事項について述べます。
 まず、知事本部関係について申し上げます。
 一、道州制の実現に向けて八都県市の連携を積み重ね、共通する事項の統一条例化、広域連合制度の活用などを検討すること。
 一、緊急に治安回復を図るため、関係各機関、NPOなどとの連携のもと、総合的な対策を講じること。
 一、犯罪被害者救済のため、都独自の経済的支援制度の創設、犯罪被害者支援条例の制定を検討すること。
 一、都民の平穏で安全な生活を守り、地域のまちづくりを進める立場から、騒音やまちづくりなどの障害などの、横田、厚木などの基地問題の解決に努めるとともに、米軍基地の整理、縮小、返還に積極的に取り組むこと。
 一、空の安全と民間航空の円滑な飛行を確保するために、横田空域及び管制業務の返還を国などに対し強く働きかけること。
 次に、総務局関係について述べます。
 一、都庁の電子化促進のため、情報技術を効果的に活用できるよう事務処理体制を整備するとともに、八都県市広域行政情報ネットワークを構築すること。
 一、住民基本台帳ネットワークにおける個人情報保護、セキュリティー対策に万全を期すこと。
 一、各区市町村が自主的、主体的に広域連合の活用や区市町村の合併を進め得る環境を整備するとともに、都から区市町村への権限、財源の移譲を積極的に進めること。
 一、三宅島火山活動災害に伴う災害復旧・復興事業を推進するとともに、帰島対策にも万全を期すること。
 一、大地震等の自然災害のみならず、NBC災害などの危機に対応するため、全庁的な取り組み体制を構築すること。
 一、多摩・島しょ地域の特性を生かした振興発展のために、総合的な施策の実現を図ること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終えます。

○長橋委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託されました平成十六年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通について申し上げます。
 景気はようやく緩やかな回復の兆しが見られるものの、都税収入は、前年度から引き続き四兆円を下回る低水準で推移しており、その中で編成された平成十六年度予算案は、歳出総額五兆七千八十億円で、前年度比〇・四%減、政策的経費である一般歳出も四兆二千二百十四億円で、対前年比一・二%減という緊縮型予算となっております。
 しかし、こうした厳しい財政状況の中にあっても、治安の確保、中小企業支援、雇用対策、福祉・医療の充実、都市再生、環境対策など、都政の緊急かつ重要な課題には財源を優先的に配分しており、とりわけ福祉と保健の分野の予算については、予算全体への構成比にも配意するとともに、我が党の主張を反映させ、介護予防推進モデル地区重点支援事業、市町村地域保健サービス推進事業や不妊治療助成、さらには特別支援教育のモデル事業実施などの新規事業が盛り込まれ、きめ細やかに都民福祉の向上に目配りした予算となっていることを評価するものであります。
 平成十六年度は第二次財政再建推進プランの初年度に当たり、千四百四十四人の職員定数削減や退職手当の見直し、監理団体改革などの内部努力に取り組むこととしています。これは、我が党が一貫して主張している行政のむだの一掃の視点と合致するものであり、高く評価しますが、これにとどまらず、事務処理のアウトソーシングの推進やコストの縮減など、なお一層の徹底した内部努力への取り組みを求めるものであります。
 さらに、地方税財政制度の改革についてですが、基幹税である所得税の税源移譲に道筋がついたとはいえ、本来のあるべき税源移譲といまだほど遠いものであり、国に対してこれまで以上に強く働きかけていくべきであります。
 今後、都財政を取り巻く環境は不透明であり、予断を許しません。本予算案の執行に当たっては、より一層都民の期待にこたえられるよう、全力を尽くすべきことを強く申し上げるものであります。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、知事本部について申し上げます。
 一、知事本部が持つ総合調整機能を十分に発揮し、各局にまたがる事業が円滑に推進されるよう積極的に取り組むこと。特に、職と住の均衡のとれた都市づくりに必要な施策の充実を目指し、総合的に検討を進めること。
 一、都民生活に安心・安全を取り戻すため、子どもを犯罪に巻き込まない取り組み、外国人組織犯罪を抑止する取り組みなど、緊急治安対策を総合的に推進すること。
 一、地方税財政制度改革については、地方の自主性、自立性を高める方向で、真の三位一体改革が行われるよう、国に積極的に働きかけること。
 一、環境、防災などの広域的な課題に対して、八都県市の連携を強化し、幅広い視点から効果的な問題解決を推進すること。
 一、首都機能移転問題については、国がいまだ移転断念をしない中、国や候補地等の動向把握に努め、国が首都移転を撤回するまで断固反対すること。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、第二次都庁改革アクションプランの着実な実施を図るとともに、スリムで柔軟な行政体質の確立を目指し、内部努力の徹底、事務事業の不断の見直し、ITの積極的な導入による事務改善など、行政改革の一層の推進に努めること。
 一、都民サービスの向上、徹底したスリム化、わかりやすい都政を可能とする電子都庁を実現するため、電子入札やインターネットを活用した各種申請書類の電子化などを行うとともに、庁内、庁外ネットワークの開発、拡充に努めること。
 一、第二次東京都地方分権推進計画の実施に当たっては、市町村に超過負担が生じることのないよう、権限に見合った税財源の移譲等の措置を講ずること。また、事務権限の移譲に当たっては、区市町村と十分な協議を行うこと。
 一、都区財政調整制度については、特別区の自主的財政運営を促進する方向で引き続き算定方法の改善、合理化を進めること。
 一、区市町村との役割分担の明確化に努めつつ、行政水準の維持向上を図るための適切な財政補完を行うこと。特に、多摩地域については、多摩アクションプログラムを踏まえ、自立化と活性化のための諸施策を推進すること。
 一、大震災から都民の生命と財産を守るために、平素から警視庁、消防庁、自衛隊との連携強化を図り、情報連絡、避難誘導、救出救護など総合防災対策の強化に努めること。
 一、三宅島災害対策については、島民の方々の避難生活が長期化している実情を踏まえ、各分野にわたる施策の充実を図るとともに、復旧、復興対策に積極的に取り組むこと。
 一、八都県市合同の図上訓練の成果を踏まえ、今後も総合防災訓練や図上訓練を通じて、各都県市の災害対応能力の向上、各都県市間相互の情報ネットワークの強化、国や各防災機関との連絡強化、そして相互応援協定の実効性を高めること。
 以上をもちまして、意見の開陳を終わります。

○古館委員 それでは、日本共産党都議団を代表して意見を開陳します。
 大企業などによるリストラのしわ寄せで、今、勤労者世帯の収入は戦後初めて三年連続後退をしています。小泉内閣による容赦ない年金、医療などの改悪で、高齢者を初めとして、暮らしが一層厳しくなっている。このような中で、住民福祉の増進を図るべき自治体の使命がいよいよ重要になっていることはいうまでもありません。
 石原知事が、知事就任以来、一貫して進めてきた福祉の見直し、とりわけ第一次財政再建プランによるシルバーパス、マル福、老人福祉手当、障害者医療費助成などの切り下げ、廃止がここに来てボディーブローのように命と生活を脅かしてきています。
 その上、二〇〇六年を初年度とする第二次の財政再建推進プラン、都庁改革アクションプランは、私学助成や社会福祉法人補助、さらには赤ちゃんの予防接種の補助、年間わずか二十八万円の吃音者の補助の打ち切り、多摩の五カ所の保健所廃止、都立病院、都立福祉施設、看護専門学校、青少年センター、労政事務所など都立施設の縮小、廃止、そして民間への移譲などが打ち出されるなど、その影響は都民的に広がっていこうとしています。
 その犠牲は、高齢者や障害者、子どもにとどまらず、先行まちづくりプロジェクトによる上大崎再開発に見られるように、そこに住み、暮らしている人の追い出しなど、幅広い都民にまで及んできています。
 石原知事が就任して間もなく出した危機突破・戦略プランは、東京における経済活動の成否は、全国に多大な影響を及ぼし、日本の盛衰を左右することになると述べるなど、その出発から一貫して財界戦略の都政への持ち込みとして具体化されてきました。
 それが、首都圏メガロポリス構想、都市づくりビジョン、緊急整備地域の指定や先行まちづくりプロジェクトなどの都市再生であることが、この間の我が党の質疑の中でもいよいよはっきりとしてきました。
 来年度予算案での多国籍企業のための国際都市のインフラとしての羽田空港の再拡張の一千億円の無利子貸付、首都高速道路中央環状品川線大崎ジャンクション部分の再開発、臨海道路第二期工事など、いわゆる都市再生のための計画がメジロ押しとなっています。
 知事本部の重点事業、そして行政評価、総務局の包括外部監査、そして都市再生推進のための組織としての都市整備局への再編、財務局の一次、二次の財政再建推進プランなどなど、政策形成とそれを保障する組織体制、そしてそれを裏づける財源確保のための仕組みが不離一体に加速していることです。
 政治が、だれのため、何のためにあるのか、今ほどそもそも論が問われ、憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活保障への強力なアプローチが都政に求められているのではありませんか。首都の自治体として、都民とともに地方自治の本旨に基づく行財政運営への転換をこそ都民が強く求めていることを指摘し、各局関係に入ります。
 知事本部関係。
 都政運営の改革に当たっては、都市再生を中心とした大型開発などの抜本的見直しと、一兆円を超える投資的経費の見直しを最優先にすること。
 大規模公有地スペースを民間プロジェクトに提供する先行まちづくりプロジェクトは、都市再生を先導するためのものであり中止すること。
 行政評価は、施策の切り捨てではなく、都民福祉の増進という観点を機軸に据えたものへと転換すること。
 重要事業の選定については、福祉、医療、環境など都民ニーズの高い施策に大きくシフトしたものとすること。
 首都移転計画に引き続き反対を貫くこと。
 大型開発、都市開発を推進するための道州制、広域連合の導入、市町村合併の押しつけは行わないこと。
 横田基地、多摩サービス補助施設などすべての米軍基地の全面返還を正面から求めること。横田基地の軍民共同使用計画は撤回すること。
 知事交際費などの明朗化に努め、ホームページで公開すること。
 総務局関係。
 都庁改革に当たっては、都民施策の拡充を基本とし、都立施設の民営化や区市町村への押しつけなどによる廃止、縮小は行わないこと。
 都施設は直営を基本とし、指定管理者制度に基づく営利企業の参入は行わないこと。
 採算性優先など、公的立場の後退が予想される独立行政法人の導入を行わないこと。
 職員定数の削減計画先にありきではなく、福祉、健康、病院など、都民サービスの観点に立った職員配置に改めること。
 包括外部監査のあり方については、福祉の増進を図るという地方自治の本旨に基づいて、公平、公正な立場に立ったものとすること。
 職員給与など職員の処遇にかかわることについては、労使合意を尊重する立場にしっかりと立って誠実に履行すること。
 三宅島民への生活支援をさらに拡充するとともに、げんき農場、ゆめ農園などへの財政援助を初めとする支援を引き続き行うこと。帰島を視野に入れた生活再建復興計画やクリーンハウスへの支援など、必要な支援を強力に行うこと。
 震災、防災対策は、家屋の耐震補助の実施、長周期波対応策の構築など、災害に強いまちづくりを優先課題で進めること。
 都区財政調整については、平成十七年度までに配分割合の見直しなどが協議事項となりますが、清掃関連事業など五課題について、基礎的自治体としての特別区にふさわしい財源が制度として保障できるようにすること。
 多摩格差を広げる計画を直ちに中止すること。また、市町村調整交付金、市町村振興交付金のさらなる支援とあわせ、市町村振興基金の高金利貸付の低金利への借りかえに引き続き努力すること。島しょ振興にさらに力を入れること。
 同和事業に係る施策の完全な解消を進め、憲法の基本原則に基づき、すべての人権擁護を課題とした施策展開をすること。
 以上で、日本共産党の意見開陳を終わります。

○藤田委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表し、本委員会に付託された平成十六年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
 一般会計の予算規模は五兆七千八十億円で、前年度に比べ二百十五億円、〇・四%の減となり、三年連続で六兆円を下回る緊縮型予算となりました。
 歳入の側面では、都税収入は三兆九千二百六億円と、昨年とほぼ横ばいを見込んでいますが、前年度に引き続き四兆円を下回る厳しい状況となっていることに変わりはありません。
 今年度の予算編成は、引き続きの緊縮財政にもかかわらず、新銀行設立は聖域化され、一千億円という莫大な金額を計上していますが、事件案として提案することが必要と考えます。国の三位一体改革の結果として十八年度までの経過措置としての所得譲与税の行方は不透明で、一方、職員の大量退職期を迎えての退職金増、起債償還期など、財政支出が確実に膨らむ要素は多々あります。ここを考えずに借金をふやし続けることは許されません。
 今議会では、私たちが長年求めてきた食品安全条例が上程されました。現在及び将来の都民の健康の保護を図るために、未然防止の考え方を取り入れたことは評価をするものですが、さらに、国民を保護の対象としか見ない国の食品安全基本法を上回るものを求めたいと思います。
 また、福祉や教育など広範な都民生活に直結した施策については、NPOとの協働を進め、都民が真の豊かさを実感できるようなシステムを従来どおりの発想ではなく構築すべきです。厳しい財政状況の中で、財源対策は不可欠ですが、低成長時代であればこそ、都民の多様な暮らしに安定と安心をつくり出す予算の執行を求めます。
 以下、各局別に申し上げます。
 まず、知事本部について申し上げます。
 一、大規模な公共事業を伴う現行の首都移転については、問題点を明らかにするとともに冷静に対応すること。
 一、首都圏における広域連携に当たっては、これまでの分権を推進し、東京への集中を是正する取り組みを踏まえ、八都県市の共同で進めること。また、共同については、環境、廃棄物だけでなく、食の安全など消費者行政などについても拡大すること。
 一、都市再生については、環境優先の立場から関係自治体及び関係住民との合意のもとに進めること。
 一、横田基地など米軍基地の整理、縮小、返還を積極的に進めること。
 一、多摩弾薬庫跡地を地域住民に開放すること。
 一、包括まちづくり予算補助制度を検討すること。
 一、行政評価についての都民参加及び区市町村参加を進めていくこと。また、第三者機関のチェックシステムを確立すること。さらに、機能するバランスシートによる行政コスト計算書の活用や予算編成との連携を積極的に進めること。
 一、行政間の分権にとどまらず、第三の分権、市民への分権、すなわち市民参加型の政策決定ルールや住民投票制度を制度化する市民参加条例の制定を積極的に進めること。
 一、男女平等参画を推進する社会づくりに向け、アジア大都市ネットワーク21の共同事業、女性の社会参加への取り組みを積極的に進めること。
 次に、総務局について申し上げます。
 一、都区制度の抜本的見直しを行い、改革を進めること。また、市区町村の合併については、当該住民の意思を尊重すること。
 一、地方分権をさらに進めるため、政策法務室を設置するなど、自治体立法のための能力を形成していくこと。また、都から基礎自治体への分権は財源を含め積極的に進めること。
 一、三宅島避難島民の生活支援対策を充実すること。
 一、東京都人権施策推進指針を踏まえ、NPO等とのパートナーシップ事業を展開するなど総合的に施策を展開すること。
 一、住民基本台帳ネットワークシステムは、個人情報保護に努めるとともに、区市町村の自治権を尊重して対応すること。
 一、複合的な災害に備えたハザードマップについては、区市町村に積極的に情報を公開し、作成に向けた支援をすること。
 一、住宅再建支援制度の拡充、共済の仕組みづくりを国へ積極的に提案すること。
 一、NBC災害対処マニュアルや今後予定されている国民保護計画については、都及び市区町村の地域防災計画の見直しなど、十分な整備をした上で計画づくりに着手すること。
 一、監理団体については、団体の再検証と活用のあり方の見直しを行い、各団体が自立的経営を目指した、より高いレベルの改革を進めていくとともに、情報公開をより一層進めるため、格付取得に努めること。
 以上でございます。

○土屋委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長まで提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○土屋委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第三十二号議案、第三十四号議案から第五十二号議案まで及び第百四十四号議案から第百四十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 発言の申し出がありますので、これを許します。

○古館委員 それでは、付託議案について意見を述べます。
 議案第三十四号、都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部改正は、国の三位一体改革などに伴って、公立保育所補助などが一般財源化されたことに伴い、これまで都が出してきた公立保育園補助をカットし、その分、六十七億円を財調で措置するというものです。
 いうまでもなく、財調財源は一般財源であるということから、実質的に自由裁量の余地が大きく減らされるということになり、賛成することはできません。
 第四十号議案、東京都職員定数条例の一部を改正する条例については、既に中途議決での組織再編ともかかわって、都市再生の一層の推進が図られる一方で、福祉や医療、健康の分野での事業は縮小、切り捨てなどを推し進めるものとなっています。
 いうまでもなく、この分野は人こそ最大のサービスであり、先般の質疑でも明らかなように、知事部局での人員削減の実に半数の職員削減が、病院経営本部、福祉局、健康局の三局で占められているなど、石原都政の逆立ちぶりが際立ったものとなっており、絶対に認めることはできないものです。
 第百四十四号議案、包括外部監査契約の締結については、これまでの公認会計士、守屋俊晴氏を再任するというもので反対いたします。
 いうまでもなく、我が党は包括外部監査を全く認めないという立場ではありません。したがって、第三十二号議案、東京都外部監査契約に基づく監査に関する条例案が、地方自治法の改正で公の施設に指定管理者制度が導入されたことに伴い、この管理業務を外部監査の対象にする、このことについては、指定管理者制度そのものに我が党は反対ですが、法改正で導入が決まった以上は、指定管理者への外部監査は必要なものであり、それ自体に反対するものではないという立場から賛成いたします。
 問題は、包括外部監査人がどのような観点、どのような立場で事業の選定を行い、監査をするかということです。いうまでもなく、監査は時の行政側の方針からは独立し、対象となる各事業の都民サービスの質や量が、都民の要望、さらには設置趣旨にのっとっているかどうか、これらを客観的に評価するものでなければなりません。
 こうした尺度に照らすと、再任が提案されている守屋氏の観点、立場が、民でできるものは民でという石原都政と財界の意図する流れに沿ったものであり、賛成することはできません。
 以上で意見の開陳といたします。

○土屋委員長 これより採決を行います。
 初めに、第三十四号議案、第四十号議案及び第百四十四号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方は、ご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○土屋委員長 起立多数と認めます。よって、第三十四号議案、第四十号議案及び第百四十四号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第三十二号議案、第三十五号議案から第三十九号議案まで、第四十一号議案から第五十二号議案まで、第百四十五号議案及び第百四十六号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認めます。よって、第三十二号議案、第三十五号議案から第三十九号議案まで、第四十一号議案から第五十二号議案まで、第百四十五号議案及び第百四十六号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○土屋委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○土屋委員長 この際、所管局を代表いたしまして、赤星総務局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○赤星総務局長 当委員会所管の五局を代表いたしまして、一言お礼を申し上げたいと思います。
 平成十六年度予算案につきましては熱心なご審議をいただき、また、当委員会に付託されておりました議案につきましてご決定を賜り、まことにありがとうございます。
 この間にちょうだいいたしました貴重なご意見、ご提案、ご要望等につきましては、可能な限り今後の都政運営に生かしてまいりたいと思います。
 今後ともよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。

○土屋委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十二分散会

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