委員長 | 土屋たかゆき君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
副委員長 | 藤田 愛子君 |
理事 | 長橋 桂一君 |
理事 | 山田 忠昭君 |
東野 秀平君 | |
真木 茂君 | |
古館 和憲君 | |
橋本辰二郎君 | |
星野 篤功君 | |
大山 均君 | |
大西 英男君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 一名
出席説明員知事本部 | 本部長 | 前川 燿男君 |
次長 | 只腰 憲久君 | |
企画調整部長 | 高橋 道晴君 | |
秘書部長 | 松田 二郎君 | |
政策部長 | 三枝 修一君 | |
政策担当部長 | 河島 均君 | |
参事 | 野口 宏幸君 | |
参事 | 新行内孝男君 | |
参事 | 岩井 壯三君 | |
国政広域連携担当部長 | 野澤 直明君 | |
首都調査担当部長 | 関口 栄一君 | |
自治制度改革推進担当部長 | 平田 章君 | |
治安対策担当部長 | 久保 大君 | |
参事 | 高嶋 明君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 高橋 和志君 |
任用公平部長 | 松田 曉史君 | |
試験室長 | 星川 敏充君 | |
参事 | 矢島 達郎君 | |
監査事務局 | 局長 | 松澤 敏夫君 |
参事 | 北村 晴史君 |
本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
知事本部関係
事務事業について(質疑)
○土屋委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、委員の退職について申し上げます。
去る十月二十八日付をもって中西一善委員が公職選挙法第九十条の規定により議員を退職した旨、議長から通知がありました。
なお、議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
○土屋委員長 次に、本委員会の今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、監査事務局及び知事本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○真木委員 民主党の真木茂でございます。本日、極めて基本的なことをお尋ねさせていただきたいというぐあいに思っております。
それは、私が今回、総務委員会初めてで、人事委員会にご質問をさせていただくのが初めてであるということもあるかもしれませんが、それ以上に、現在、人事委員会勧告制度というものが、この間の東京都の給与決定のあり方を見るに、危機に瀕しているんじゃないかという危機認識のもと、改めて基本的なことをお尋ねさせていただきたいというぐあいに思っている次第でございます。
改めて確認をいたします。人事委員会、きょう妥結をしたというような、労使合意もできたというような情報も聞いておりますけれども、先月、二年連続の月給の引き下げ、そして五年連続のボーナスの引き下げを提示されました。また、勧告とは別に職員給与の現在二%減額が実施されております。さかのぼると切りがありませんので、この五年間程度の都職員の給与改定や給与減額の経過について確認をしたいと思います。
○松田任用公平部長 過去五年間の給与改定などにつきましてのご質問でございますが、例月給と期末勤勉手当とに分けてご説明いたします。
まず例月給でございますが、いわゆる公民較差が、平成十一年〇・二九%、十二年〇・一三%、十三年〇・〇九%となり、十四年は初めてマイナスの一・六四%、本年も昨年に引き続きマイナス〇・八〇%の較差となっております。これに基づきまして、人事委員会は、較差が〇・〇九%と、〇・一%に満たなかった平成十三年を除きまして、給料表や諸手当の改定を勧告し、十四年までは勧告どおり条例化をされております。このようにして決定をされました給与に対し、知事及び都議会のご判断により特例的な減額措置が講じられておりますが、その内容は、平成十二年四月から平成十四年三月までは給料の四%減額と管理職手当の減額でございました。
また、平成十四年八月から平成十五年七月までの予定で、再度、給料の四%減額の措置が講じられましたが、平成十四年度の給与のマイナス改定が本年一月から実施をされるのに伴いまして、同月からの減額の率を二%に下げるとともに、実施期間につきましては、平成十六年三月まで延長をされております。
次に、期末勤勉手当の方でございますが、民間の支給状況の調査を踏まえ、平成十一年から十四年までで支給月数を合計で〇・六月引き下げており、十五年は支給月数を〇・二五月引き下げる勧告を行ったところでございます。
○真木委員 全体で大くくりで聞きましたので、今のご説明だけじゃちょっとわかりづらいところもあろうかと思いますが、今のご答弁の前段は、人事委員会勧告に基づいて給料表は改定されましたよと。しかし、特例的な措置として、知事並びに議会等の判断によって給料表を変えたものからさらに二%や四%下げられましたよというのが後段のご答弁だったかと思います。ということは、人事委員会勧告以外のもので給料が決定されていて、基本的には減額措置が数年間にわたって繰り返されているという状況であります。
私は、人事委員会勧告制度というのは、公務員の方々が労働三権を制約されるかわりに与えられた重要な制度であるというぐあいに認識をしております。そうした重要な、極めて重い制度が、大変深刻な財政難という状況ではありますけれども、継続してそれ以外の要因によって決定されているということは、決して好ましいものではないというぐあいに考えるところであります。
改めて人事委員会勧告の見解を確認しておきたいと思いますが、公務員給与決定の原則、議会、知事、人事委員会の三者の関係について整理をしたいと思います。
○松田任用公平部長 公務員の給与につきましては、民間給与との均衡を図ることが原則と考えられております。人事委員会は、地方公務員法によりまして、給料表が適当であるかどうかにつき調査研究をし、必要がある場合には、議会及び知事に勧告をする権限を与えられております。この権限に基づきまして、人事委員会は第三者機関として、正確な民間給与の調査に基づき、職員給与との精緻な公民比較を行い、公務員給与が適正な水準となるよう勧告を行っているところでございます。
給与につきましては、条例で定めることとされておりまして、人事委員会勧告を踏まえて知事が給与改定の条例案を議会に提案し、議会において議決をするという形になっております。
○真木委員 今、法律上の建前というか法律上の原則を改めて確認をしていただきました。人事委員会は勧告する権限が与えられているという法律上の文言、さらには、給与は条例で定めるべきものであり、議会で定めるんだということになっておりますけれども、しかしながら、極めて大切な労働三権の制約の代償として与えられている人事委員会勧告制度。これはやっぱり、この間守られていないということについて、私は変則的な事態、正常ではないというぐあいに考えております。
最終的な権限を議会が持つのは当然でありますけれども、しかし人事委員会勧告が守られていない、そのとおりになっていないということについては決していいことではないというぐあいに考えておりますが、人事委員会としての見解を問います。
○松田任用公平部長 人事委員会が行います勧告につきましては、法律上は強制力を有するものではございませんが、公務員の給与決定における中立性の確保や、労働基本権制約の代償措置などの勧告制度の趣旨にかんがみますと、議会及び長においては勧告を尊重していただけるものというふうに理解をしております。
このため、人事委員会が勧告等を行うに当たりましては、議会及び知事に対しまして、人事委員会勧告制度の趣旨に深い理解を示され、勧告を速やかに実施されるよう求めているところでございます。
現在実施をされております給与減額措置は、議会及び知事が都財政の状況などを総合的に勘案し、高度な判断として決定をされ、時限的、特例的に実施をされているものというふうに受けとめております。
○真木委員 今、人事委員会としての見解でございましたが、精いっぱい、この数年間の給与改定に当たって知事原案が提出された際に、人事委員会の意見を問うものというもので議会が人事委員会の見解を求め、人事委員会としては異例の不満表明みたいな形で意見表明をされております。それなりに、与えられた権限の中で意思表示をされていることは承知しておりますけれども、このような事態がいつまでも続くと、そもそも人事委員会不要論みたいなものも出てきやしないかということを懸念するものであります。
最後に局長から、私はどうしても、労働三権のかわりに与えられている人事委員会勧告制度というもの、勧告が守られるかどうかということは大切ですけれども、制度を断固として守っていってもらわなければならないというぐあいに思うわけでありますが、局長として、この人事委員会制度を守っていくという決意をお聞かせいただきたいと思います。
○高橋人事委員会事務局長 人事委員会による給与勧告制度は、一つには社会一般の情勢に適応した適正な職員の給与を確保するという面がございます。また一方、今先生からいろいろご意見の中にありましたように、職員の労働基本権の制約に対する代償措置としての機能を果たすということで、非常に重要な意義を有しております。
また、民間給与の精緻な実態調査を行うことによりまして、いわゆる均衡の原則というものを実現いたしまして、都職員の給与について都民の納得を得られるものとしての役割を果たしているというふうに考えております。
民間企業の給与はその時々の経済雇用情勢を反映したものとなっておりまして、ご案内のとおり、本年の勧告では、引き続く都内の厳しい経済雇用情勢を反映いたしまして、職員の平均年収では五年連続の減少、また過去最大の減少という内容になっております。このような厳しい経済社会情勢の中ではございますけれども、人事委員会といたしましては、今後とも勧告制度の果たすべき役割を踏まえまして、広く都民の皆さん方に信頼と納得が得られるよう、民間企業の実態をより一層的確に把握し、職員の給与に反映できるよう努力してまいりたいというふうに考えてございます。
○古館委員 それでは私も、東京都における給与勧告と給与の減額措置にかかわって何点か質問させていただきます。
都におきましては、給与勧告と給与減額措置の状況、都の職員にとっては極めて、この二重の措置が厳しい状態、実態となっています。そこでまず、先月、人事委員会が都職員の給与勧告を発表しましたけれども、改めて、そこでの職員給与と民間給与の公民較差について確認をさせていただきたいと思います。
さらに、人事委員会によって給与勧告がされましたけれども、この勧告に加えて、先ほどもお話しありましたが、給与の減額措置が実施されておりますけれども、この減額後の給与の較差について、あわせてお伺いしたいと思います。
○松田任用公平部長 人事委員会は、本年十月七日、知事及び議会に対しまして、職員の給与に関する報告と勧告を行ったところでございます。
勧告の基礎となります公民較差は、都職員のあるべき給与水準を示すということから、減額措置をしない給与条例本則に基づく職員給与と民間給与とを比較したところでございまして、額ではマイナス三千五百四十二円、率にいたしますとマイナス〇・八〇%でございます。昨年に引き続き、都職員給与の方が民間を上回っております。
また、特例条例によりまして、平成十五年一月から二%の給与減額が行われておりますが、この減額された職員給与と民間給与とを比較した場合の較差は、額でプラス三千八百三円、率で〇・八七%となりまして、逆に民間給与の方が都職員を上回っております。
○古館委員 今の答弁は、人事委の勧告のとおりで考えると、いわゆる給与条例本則に基づくと、比較したらマイナス三千五百四十二円という、このマイナスというのは民間の方がちょっとマイナスになっている。ところが、減額措置で合わせて計算していきますと、どうなるかというと、それが逆転して、民間の方が逆に三千八百三円、公務員給与よりも高くなっている、こういうご答弁だということでいいんですね。
そのことを確認した上で、この人事委員会が行った給与勧告は、平成十三年まではプラス勧告でした。それが、十四年、十五年と、二年連続してマイナス勧告となっております。加えて、平成十二年度より給与の減額措置が実施されておりまして、現在も月給の二%カットが継続中ですね。職員にとってはマイナス勧告による給与の減と、減額措置による給与の減とで、いわばダブルで給与削減がなされている。非常に苦しい生活を強いられております。
そこでお伺いしますけれども、勧告による給与減と、減額措置による給与の減少によってどれほど都の職員の年収がダウンしているか。このことをわかりやすく説明をしていただければと思います。
○松田任用公平部長 ご答弁に入ります前に、今のお話の中で、十三年はプラスの較差が出ておりますけれども、勧告そのものはしておりませんので、その点だけ申し上げておきます。
そこで、本年の給与勧告の中で資料として報告をしておりますけれども、勧告による職員の年収に与える影響額につきましては、勧告ベースで試算をしてみますと、行政職給料表(一)適用職員の平均年収で、平成十四年度は約十四万七千円の減収、十五年度は約十六万九千円の減収となります。また、特例条例による給与減額の影響について試算をしてみますと、同じく行政職給料表(一)適用職員の平均年収で、平成十四年度は約十一万八千円の減収、十五年度は約八万八千円の減収でございます。
○古館委員 数字が並んでいるのでちょっとおさらいしますけれども、人事委員会の勧告によって職員の年収がどれくらい減収になったかというと、平成十四年度で平均年収では約十四万七千円が減収になって、その上に特例条例によって給与の減額というのがダブルで来ていますので、その影響額の減が十一万八千円と、こういうことですよね。だから、ダブルで減収が来ている。十五年はどうなるかというと、勧告による減収が十五年で十六万九千円。あわせて、この年も給与の減額という特例条例が行われましたので、これで約八万八千円の減収。だから、ある意味では、深刻な職員の減収になってきているということがわかるかと思うんですね。
そこで質問しますけれども、この減額措置は、平成十二年度から四年間継続していて、四%カットで始まって、今は二%カットとなっています。きょう、職員団体との交渉の結果で給与減額措置は十五年度末で終了するということとなったようですけれども、勧告による減額とは別に、この四年間での減額措置による給与の減額、この合計は幾らになるでしょうか。
○松田任用公平部長 四年間の特例条例によります給与減額の影響について試算をしてみますと、単純累計でございますが、平均的な行政職給料表(一)適用職員では、約五十五万九千円の減収となります。
なお、委員が今おっしゃいましたダブル削減ということでございますが、実際には両方が重なって減額をされた形にはなっておりませんで、昨年の例でいいますと、四月から十二月までの改定分につきましては、それまでの特例措置による減額の部分とほぼ見合うというような形で、実際には二重にはなっていないという状況でございます。
○古館委員 ですから私は足して合計これだけの減額というのはいっていませんので、それぞれのあらわれ方を示したということで理解をしているつもりでありますが、それにしても、今の質問でも、勧告による減額とは別で、四年間で特例条例の減額というのが大体五十五万九千円ぐらいの減収になっているという点でも、本当に都の職員の皆さんの減額というのは非常に大きなものだということがこれでもわかると思うんですね。
今回の勧告の中に、職員の給与に関する報告と勧告という人事委員会で出していただいた資料を私も興味深く読ませていただいたんですけれども、この参考資料の六二ページに、東京都と全国の給与水準の比較が示されております。東京都と全国の給与水準の比較ですね。それによると、総務省の十四年度地方公務員実態調査によりますと、国家公務員の給与指数一〇〇に対して、都の職員は一〇四・四というふうになっているんですね。若干上回っているかなと。ところが、一方で、厚生労働省の賃金構造基本統計調査というのがありまして、この厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、全国ベースの民間企業を一〇〇とすると、東京都内の民間賃金指数が一二〇・二ポイント。つまり、公務員較差は、先ほど国家公務員の給与指数一〇〇に対して東京都の職員は一〇四・四ポイント。ところが民間の指数は、全国ベースを一〇〇とすると、東京都内の民間賃金指数が一二〇・二ポイント。公務員の較差よりも、民間賃金の較差の方が非常に大きいという結果となっております。
両調査を単純には比較できませんけれども、民間賃金の地域比較一二〇・二ポイントから見ても、東京都の公務員の一〇四・四ポイントという都職員の給与は、全国で最も生活費の高い東京の賃金レベルに届いていないんじゃないか、このように思われますが、その点、人事委員会としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
○松田任用公平部長 ただいまのご指摘の総務省の調査は、国と地方公共団体の職員につきまして支払われた給料月額を比較するために指数化をしたものでございます。また厚生労働省の調査は、従業員十人以上の民間企業の所定内給与を調査し、これをもとに全国と地方を比較したものでございます。このように、ベースとなる給与データのとり方も異なるなど、両調査を単純に比較することはできないと考えております。
しかしながら、全国ベースで見ますと、民間の賃金水準の低い地域におきまして、公務員給与との間に均衡がとれていないとの指摘もこれまでなされておりまして、国の人事院でも地域における公務員給与を初め、給料構造全般の見直しの必要性について、本年の勧告において言及をしているところでございます。
都人事委員会におきましては、これまでも精緻な民間給与実態調査に基づき、都内民間企業に準拠した職員の給与水準を勧告してきているところでございます。
○古館委員 ちょっとこれ、ご苦労いただいて人事委員会の事務局の方につくってもらったグラフなんですね。この黒い棒が先ほどの民間の、この一番上が東京なんですけれども、こちらの一番下が沖縄なんですね。つまり、こんな黒い棒がこういうふうにだあっと、較差が非常に大きいというのがこの棒でわかるかと。これは民間の賃金の較差なんですね。ところが、公務員の場合は、ちょっと見づらいので、こういうふうにオレンジの一本棒をばあっと引いたんですが、これが公務員の、それぞれ、東京が一番上でもって、下が沖縄。だから、民間は非常に差があるのに対して、公務員の場合は余り差がないという状況の中で、これは、私は逆に、公務員というのがある意味では全国の賃金レベルだとか生活レベルを押し上げていく上では極めて有効な効果を持っているというふうに思っているわけなんです。
そこで、先ほどもちょっとお尋ねがありましたけれども、そもそもの問題で聞きたいんですけれども、人事委員会による給与勧告制度はどのような意義と効力を有しているのか。どのような手続をもってなされるものなのか、伺いたいと思います。
○松田任用公平部長 地方公務員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないとされております。
人事委員会は中立的専門機関として、毎年、民間企業における給与水準を精緻に調査をいたしまして、職員の給与との厳正な公民比較を行い、国や他団体の状況などを踏まえながら、必要な場合には給与勧告を行っております。
この勧告に基づき、条例改正手続を経て給与が定められるものでございまして、給与勧告制度は社会一般の情勢に適応した適正な公務員給与の水準を確保するとともに、公務員の労働基本権が制約されていることの代償的な機能を果たすものとして重要な意義を有していると考えております。
○古館委員 去年なんですけれども、私も総務委員会にいたんですが、去年の三月十五日の総務委員会で、人事委員会の委員長をされておりました--前ですね、眞仁田人事委員長さんに来ていただいて、相当真剣で深刻といいますか、その当時の人事委勧告だけでなくて、減額措置なんかをどうするかという問題が、議会でも非常に大きな問題になりました。
私は、そのときの眞仁田人事委員会前委員長の確固とした対応というか、それに非常に私自身は感銘を受けたんですけれども、そのときに眞仁田人事委員会前委員長がこのように述べたんですね。つまり、労使合意とか、労使の合意の尊重とか、人事委員会の立場、こういう立場について、人事院の勧告についてもどういう態度かということを委員から聞かれて、そこで答弁をしたのは、こういうふうに答えています。
公務員の給与は、労働基本権制約のもとで、人事委員会の勧告を踏まえて決定されるという原則にかんがみまして、あくまで勧告の趣旨が尊重されることが望ましいと考えておりますと。つまり、どういう状況、つまり減額の問題、異論が出ていた場合に、人事委員会に対して見解を求めたところ、やはり人事委員会の勧告というのは、特に東京の場合は民間の給与、そこをかなり詳細に調べた上で勧告を出しているものであって、したがって人事委員会の勧告を踏まえて決定されるという原則にかんがみても、あくまでも勧告の趣旨が尊重されることが望ましいと。このことは明快にお答えになったんですよね。私は、そういうような状況に対しても、先ほどもいいましたけれども、今でも記憶として鮮明にあります。
そこで、最後にお伺いしますが、人事委員会が減額措置についてどのように受けとめ、勧告が尊重されるべくどのように取り組むつもりか、今後の問題についてもお伺いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○高橋人事委員会事務局長 勧告制度につきましては、先ほど来から部長からるる説明させていただいておりますが、私どもが行っております給与勧告につきましては、法的強制力を有するものではございません。しかし、勧告制度の趣旨にかんがみますと、私ども人事委員会の立場としては、議会及び知事においては給与勧告を尊重していただきたいと基本的に考えております。
一方、現在実施されております給与減額措置は、勧告制度の趣旨とは異なるんでございますが、議会及び知事が都財政の状況など、なかなか勧告に反映されない諸般の情勢を総合的に勘案し、高度な判断として決定され、時限的、特例的に実施されているものと認識をしております。
私ども人事委員会といたしましては、社会経済情勢が激しく変化する中で、また公務員の人事給与に関する都民の視線が厳しさを増す中、民間給与のより一層的確な実態把握に努め、勧告制度に対する信頼を維持していけるよう今後とも努力していきたいと考えております。
○古館委員 今ご答弁がありましたけれども、公務員制度の根幹の一つが人事委員会による勧告制度であります。今の答弁でも、勧告制度に対する信頼を維持していけるように努力していくと。これはやはり私は、東京都の人事委員会が、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、先ほど答弁にもありましたが、民間給与のより一層正確な把握に努めつつ、勧告制度に対する信頼を維持していけるように努力をしていくと。ここが非常に大事な人事委員会の持っている使命ではないかというふうに思っています。そういった点で、今後とも人事委員会制度と同時に、この勧告がより都民からも、そして都の職員からも信頼ができるような、そうしたことを強く求めて私の質問を終わります。
以上です。
○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土屋委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○土屋委員長 これより監査事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○藤田委員 二、三、伺わせていただきたいと思っています。
十四年度の行政監査報告書というものが出ておりますけれども、その中に事業評価手法によるというふうに書かれておりますけれども、具体的にどういうものであって、そしてどういうふうなテーマを取り上げていくかということについてお伺いをさせていただきます。
○北村参事 事業評価手法による行政監査とは何かということでございますけれども、監査対象事業につきまして所期の目的を達成しているか、あるいは費用対効果に配慮したものとなっているかなどの観点から検証を行い、その達成度を総合的に評価するものでございます。
平成十四年度におきましては、公文書館の管理運営や、リフトつきタクシー等の整備事業などを取り上げております。また、今年度におきましては、精神障害者の社会復帰対策及び東京港を中心とした水域環境の保全を取り上げ、現在、監査を実施中でございます。
○藤田委員 今いろいろと教えていただきましたけれども、監査項目というものはどなたがどんなふうにして決めていらっしゃるんでしょうか。
○北村参事 行政監査につきましても、監査項目につきましては、その時々の東京都の都政の状況並びに都民の需要、あるいは予算の執行状況等を勘案いたしまして、監査委員の審議を経て決定しているものでございます。
○藤田委員 言葉じりで大変恐縮でございますが、都民の要求というのは、何か特にそういうものを聴取しているということがございますか。
○北村参事 失礼いたしました。特段、要望を聴取しているということではございませんで、通常の都民の要望等を踏まえてと、そういう意味でございまして、特段の調査をしているということではございません。
○藤田委員 そうすると、現在の監査をする体制でございますけれども、構成はもちろん自治法に決められていると思うのでありますけれども、どういう状況になっておりますでしょうか。
○北村参事 監査委員の構成ということでございますけれども、監査委員につきましては、地方自治法におきまして、行政運営に関してすぐれた識見を有する者及び議員のうちから選任される、こういうふうに定められておりまして、東京都におきましては、条例におきまして議員から選任される監査委員については二人と定められております。
○藤田委員 それでは、議員と、識者といいますか、そのお二人ずつということでございますけれども、もちろん議員は議会の中の選任事項に、決定事項になっておりますけれども、どのような役割を期待しているのかをお伺いしたいと思います。
○北村参事 議員のうちから選任されます監査委員につきましては、住民の代表ということで、住民の立場に立った監査を行うということで、執行機関に対しても対等の立場に立ったチェック機能を発揮していただいておりまして、監査に権威を持たせるということが期待されているというふうに考えられております。
○藤田委員 私は、議員が--今の方がどうのこうのじゃ全くございません、今、ただいま星野さんも重責を担っていらっしゃいますので。それについて個人の見識を問うものでは全くありませんけれども、議員が本来、住民の代表として執行機関と対等な立場からチェックするというのは、ある意味では、日ごろ議会の中でも十分やっていることでありますし、それから政務調査費というのをいただいておりますから、それによってでも調査をしながらいろいろ、それぞれの会派の問題提起もさせていただいているわけであります。こういうことからしますと、地方自治法の中でどんな経緯があって、それが決められたのかなというのが非常に疑問になるところなんですけれども、この自治法で議員を二人または一人ということを決めたというのが何か経緯がありましたら、お示しをいただきたいと思います。
○北村参事 地方自治法で議員を委員として選任するというふうに定められておりますけれども、これは自治法制定当時からそういう定めがございまして、今現在どのような経緯で議員がここに選任されるようになったかという経過につきましては、詳しくは承知しておりません。申しわけございません。
○藤田委員 それでは、例えば、私は、監査事務局が食糧費をプールしていたということが、実は監査をするところから問題が起こって、それから外部監査のことも始まったかというふうに、その当時のことも記憶をいたしております。もう少し範囲を広げて、議員が二人だけであるというようなことも必要はないと思っているわけでありますけれども、他県といいますか、他の道府県の状況などでわかるようなものがありましたら教えてください。
○北村参事 他県の状況でございますけれども、四十七都道府県のうち四十四の都道府県におきましては二人の議員選出の監査委員がいるというふうに調査をした結果が出ております。
○藤田委員 三道府県は一人ということでありましょうけれども、私は、今お話ししたように、個人の見識を問うものではありませんけれども、やはりいろいろな方がこの中に参加をしてくださって、そして監査というものをやっていただくということが、より事務事業も含めまして十分都民にもあるいは識者にも見ていただけるという状況になるんじゃないかと思います。もちろんこれの条例はございますから議会の中で諮らなければいけないということでありますから、すぐにどうこうせよということは全くございませんけれども、ある意味では、この監査ということは非常に重要なことでありますし、多くの方に目を通していただくというのが重要であるというふうに思っています。
またこれは、例えば議会の中の検討委員会やら何やらというところでも含めて問題提起をさせていただきたいと思っていますので、きょうはこれで終了いたします。ありがとうございます。
○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土屋委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○土屋委員長 これより知事本部関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
伊藤儀典長及び斉藤国際共同事業担当部長は公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○真木委員 民主党の真木でございます。知事本部、初めて質問させていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、地元の問題からお尋ねをさせていただきます。地元の問題ですので、ちょっと熱くなるかもしれませんが、どうぞお許しをいただきたいと思います。
まずもって、厚木基地の騒音問題であります。東京都における過去の基地問題に対する取り組みというのは、かつては都市計画局に置かれておりました。これは米軍基地問題というものが、東京都においては返還後の跡地の問題が中心であって、飛行場の騒音の問題等につきましては、次の問題としてとらえられていたということの証左であろうかなというぐあいに思います。
また、東京都における航空機騒音の問題でいいますと、昔は羽田の問題が大きな問題としてあって、横田の問題が出る。厚木基地といいますと、どうしても、神奈川県に所在をする基地でありますので、東京都として厚木基地の騒音問題というものに対する取り組みが弱かったような気がしてなりません。その点に関しましては、私は昨年の九月、本会議質問でお尋ねをさせていただいたところでございますが、改めて東京都としての認識を確認したいと思います。
東京都として、厚木飛行場の--神奈川県にある厚木基地の航空機騒音の問題に関して、東京都の問題として取り組んでいるのか、東京都の位置づけを確認したいと思います。
○新行内参事 厚木飛行場の航空機騒音の問題についての都の認識についてのお尋ねでございますが、東京都環境局におきましては、毎年、横田飛行場、厚木飛行場、羽田空港における騒音影響調査を実施しまして公表しております。
この八月に公表いたしました平成十四年度調査におきましても、町田市域の住宅防音工事助成対象区域の指定区域外の八つの測定地点のうち四地点でうるささ指数七五以上ということになっております。したがいまして、厚木基地につきましても、騒音対策の拡充が必要であると認識しております。
○真木委員 神奈川県にある厚木基地ではございますが、東京都民が厚木基地の騒音によって苦しんでいるということを認識していただき、東京都の問題として取り組んでいただいておりますこと、さらに強く取り組んでいただくことを要望しておきたいと思いますが、昨年の私の九月の質問の後に、昨年の十月、第三次厚木基地騒音訴訟が行われましたが、判決が出ました。その中でうるささ指数七五以上について被害認定がなされました。損害賠償が認められたところであります。
従来はうるささ指数八〇以上ということでありましたが、今回うるささ指数七五以上が騒音被害の損害賠償の対象になるということを裁判所でも認めたものであります。
そういたしますと、東京都内において厚木基地の騒音によるうるささ指数七五以上の地域、どの程度あるというぐあいに認識をしておりますでしょうか。
○新行内参事 現在、東京都内で住宅防音工事助成対象区域の指定区域に指定されておりますのは、町田市の金森地域の約〇・一平方キロメートルでございまして、対象戸数は約八十戸でございます。
先ほど申しました環境局の騒音影響調査によりますと、指定区域の範囲外でもうるささ指数七五以上となっている箇所がございます。この環境局の調査をもちまして、うるささ指数七五の範囲を定めるということはできないわけでございますが、厚木飛行場の滑走路延長に沿って、町田市内におきましても、うるささ指数七五以上の地域は相当広範囲にわたるものと予想されます。
○真木委員 今、東京都としての認識としても相当な範囲がこのうるささ指数七五を超えているだろうということを認識しているとご答弁をいただきました。昨年の九月の本会議質問におきまして、私はこの防音工事補助対象地域が、神奈川県内にほぼ限定されていることについて問題の提起をさせていただきました。厚木基地は完全に南北、真北に向かってというんでしょう、真北と南北に向かって滑走路ができております。そしてその滑走路の真北、本当に滑走路を一直線上に延ばしていったところに市役所があり、町田高校がある、町田の中心市街地があるというような構図となっています。
にもかかわらず、滑走路から北と南を比べたときに、神奈川県の南の方が防音工事補助対象区域が長く、北においては都県境、境川で見事に防音工事補助対象区域が区切られている、そして今ご答弁にありました〇・一平方キロ、八十戸だけというのは、川が曲がっていて説明がつかないから、その部分だけ川とは違って防音工事補助対象区域に入っているだけでありまして、基本的には境川で見事に、南よりも短いところで切られているわけですね。
川によって、都県境に防音壁があるわけでもなし、音が小さくなるわけでもないのに、都県境で切られているということは、この防音工事補助対象区域を定める神奈川県を管轄する横浜防衛施設局が線を引いているのであって、町田市や東京都を管轄する、大宮にある東京防衛施設局の力が及ばないということが要因じゃないのかということを指摘させていただきました。
東京都としての取り組み、東京都として東京防衛施設局にしっかりと働きかけること、東京都として横浜防衛施設局にしっかりと働きかけることが必要だということを強く要望し、知事本部も、私の質問のすぐ数日後に次長が、町田市役所、市長をお訪ねをしていただいた。さらに、異動があった後の只腰次長もすぐ町田市役所に行っていただいたというぐあいに聞いております。
そうした東京都としての取り組み、私の質問以降、取り組んでいただいたというぐあいに聞いておりますけれども、昭和六十一年に防音工事補助対象区域が決定されて以来、既に十七年が経過しています。早急な見直しが必要だということで指摘をしてまいりましたが、その後東京都としてどのように取り組んだのかを確認いたします。
○新行内参事 指定区域の見直しを含みます騒音対策の拡充につきましては、毎年、環境局が実施しております騒音調査結果を踏まえまして、国に要望するとともに、都から国への提案要求にも盛り込んでおります。
昨年十二月には、東京都では、町田市とともに東京都の地域を管轄する東京防衛施設局に対しまして、指定区域の見直しに当たり、神奈川県の地域及び厚木基地を管轄する横浜防衛施設局との連携を強化し、町田市の騒音被害が、国の騒音対策に適切に反映されるよう申し入れを行いました。
また、例年秋には東京都知事と町田市長とが連名で厚木基地に対しまして騒音防止対策の拡充を柱とする総合要請を行っておりまして、ことしは十月一日に実施いたしました。なお、ご案内のとおり、平成十五年一月には町田市長と東京都幹部職員がともに厚木基地を訪問いたしまして、基地司令官に直接騒音被害の軽減に向けた取り組みを要請いたしました。
○真木委員 昨年の質問以来、東京都としても随分と積極的に厚木基地の問題に取り組んでいただいてきているなということを実感しております。そうしたことが結実したものだというぐあいに私は認識しておりますが、国では防衛施設庁、この十月一日に防音工事補助対象区域の見直しに向けた調査を開始するということを発表いたしました。この調査見直し、どのようなものになるというぐあいに東京都は考えているのでしょうか。
○新行内参事 国におきましては、調査を平成十五年度中に実施しまして、平成十六年度以降に新たな指定区域を告示するという予定だと聞いております。
先ほど述べましたとおり、環境局が毎年実施している騒音影響調査におきましても、指定区域外の八つの測定地点のうち四地点でうるささ指数七五以上となっておるという状況でございますので、騒音被害の及ぶ範囲は米軍機の運用状況いかんによって変わるものではございますが、いずれにしても、騒音被害の実態が適切に反映されるものと考えております。
○真木委員 六十一年に決まって以来だというぐあいに申し上げましたが、それ以前も何回も厚木基地の騒音、防音工事補助対象区域見直しがされています。そうした中で、今回、調査を開始するということは、やはり見直す、線を引き直すということで、調査を開始したものだと理解していいものだと思います。
そういたしますと、やっぱり、このうるささ指数七五を超えている、今まではほんのちょっと、理屈がつかないから一部、東京都も入れてあげていたというだけの部分。それにはとどまらず、さらに東京都の中に相当延ばしていただかなければ被害実態というものは的確に反映されないというぐあいに考えます。
ところが、何か漏れ聞くところによりますと、神奈川県の方では横幅が狭くなってしまう。今まで対象となっているところが削られてしまう。その一方東京都が、東京都の部分に縦に南北に延びるんじゃないかというようなことがうわさされたりもしております。
そういたしますと、神奈川県の利害と東京都の利害が必ずしも一致しないわけであります。この防音工事補助対象区域の適切な見直しに向けて、東京防衛施設局、また横浜の防衛施設局に、東京都としてさらなる取り組みが必要だと考えますが、決意を聞きたいと思います。
○新行内参事 指定区域の拡大を初めとしました騒音軽減対策につきましては、都は国に対しまして提案要求をしており、今後とも取り組んでまいります。特に国が本年十月から着手した騒音実態調査につきましては、適宜、国に情報提供を求めまして、町田市の騒音被害への対応が適切になされますよう、環境局と連携しつつ、また町田市との協力関係を強化して強く要請してまいります。
○真木委員 もう一点、ちょっと問題提起をさせていただきたいんでありますが、この厚木基地の騒音被害が基地から十キロも離れた町田市にまで及ぶということに関しては、空域の問題がいわれたりもしております。この米軍を絡む問題、軍事基地を絡む問題につきましてはなかなか情報がつまびらかにされないところでありますけれども、日本の空というものは、日本が全部管理できているわけじゃなくて、この首都圏の上空の大半はアメリカ軍によって管轄をされていて、横田空域ということになっております。この町田の上空も厚木基地の上空も横田空域であって、そして厚木基地の滑走路への侵入に関しては、これは自衛隊が、厚木基地は航空自衛隊も使っておりますので--航空自衛隊でよかったかな、日本の自衛隊も使っておりますので、厚木基地の離着陸については自衛隊が管轄をする。しかし、この飛行場に、厚木基地に与えられている飛行場管制の空域が横田空域の下の低い部分でしかないがために、厚木基地への離着陸は相当低空で入ってこざるを得ないんだという説明を聞いたりしたことがあります。
町田の騒音被害に関して、この空域の問題が結構大きな要因であるんじゃないかというぐあいに思うわけであります。もう一回、ちょっとくどいですが、説明させていただきますと、飛行場管制をもうちょっと高いところまでもらえれば、厚木空域が今随分低いところまできて飛行場管制の空域は低いところしかもらっていないわけでありますが、もうちょっと高いところまで飛行場管制、つまり自衛隊が、日本がアメリカ軍の空域からもらえれば、厚木基地に入る飛行機、また飛んでいく飛行機が、もうちょっと高いところから離着陸することができるということが指摘されておりますが、この空域の問題について、東京都としての問題意識があるのかどうか、認識を確認いたします。
○新行内参事 飛行経路につきましては、米軍の運用にかかわるものでございまして、都が具体的な情報を得るということは困難でございますが、ご指摘の厚木基地の飛行場管制と横田空域の関係から低空飛行を余儀なくされる。これが市街地での騒音被害を激化させている要因の一つであるといわれていることは認識しております。
○真木委員 この問題について問題意識を持っていただき、研究をしていただけるということでよろしいでしょうか。
○新行内参事 ただいま申しましたとおり、軍用飛行機の運用ということでございますので、その辺は情報を的確にとるというところがなかなか難しゅうございます。ご指摘の点も踏まえまして、そういった問題があることを認識して今後対応していきたいと、このように思っております。
○真木委員 指摘を踏まえ、対処していただくということで、ぜひこの問題、なかなか難しい問題であることは重々承知しております。ぜひ空域の問題についても問題意識を持って東京都としても意見を申していっていただく、国に対して働きかけていただくことを要望しておきたいと思います。
続きましてというか、まだ厚木基地の問題でありますが、ここからが厚木基地の本題であります。
この十一月十三日、わずか五日前、厚木基地にFA18Fスーパーホーネットという飛行機が、最新鋭戦闘攻撃機が配備されました。まだ四機でありますが、この後九機が順次配備される予定と聞いております。
F14トムキャットが退役したことに伴い配備されたということでありますが、このFA18Fスーパーホーネット--今までは単なるホーネットといわれるものでありました。このスーパーホーネットは最新兵器で、騒音もひどく、米国内でも、カリフォルニア州のリムアー基地に配備されているだけだというぐあいに私は聞いております。大西洋岸のオシアナ基地では、地元住民の反対、地元自治体の反対で配備できない。そんな、アメリカでも配備できない飛行機が、世界で唯一、住宅密集地にF14やFA18ホーネットが飛んでいるというのは、世界じゅうでもこの厚木基地だけですね。その厚木基地に配備されたということはゆゆしき問題だというぐあいに思います。アメリカでも配備できない飛行機が世界中で最も密集地の中にある基地に配備されたということについて、東京都としてどのように認識し、対応してきたかを確認いたします。
○新行内参事 FA18Fスーパーホーネットにつきましては、従来から厚木基地に配備されておりますFA18C、Dホーネットより着陸時にエンジン音が五%大きくなると国から説明を受けております。
FA18Fスーパーホーネットの配備に当たりましては、同機が配備される見込みであるとの報道を受けまして、既にことしの十月、都は町田市とともに騒音の激化につながる航空機の配備が行われることのないよう国に要請いたしました。
○真木委員 国に要請をしていただいたことには感謝をいたしますが、しかしその要請は残念ながら無視をされてしまったという現実があります。私は何も基地反対ということをいっているわけじゃありません。しかしながら、アメリカ国内ですら配備できない飛行機が、日本の、しかも首都東京のすぐ隣、首都東京都民に被害を及ぼすところに配備されたということは、これはゆゆしき事態であるというぐあいに認識しております。
戦闘機による航空機問題、経験したことのない方にはなかなかご理解いただけないものでございまして、友達が町田に遊びに来て、僕たちからするときょうは静かだなと思っているときに、何この音というようなことで多くの方がびっくりされます。そしてこれは、羽田や、また横田の皆さんと比較するのも恐縮でございますが、大きな飛行機の輸送機の音と違って、マッハ一を超えるスピードで飛んでくる重高音、重低音も含めた、もう、ものすごい恐怖感を覚える、身をすくめざるを得ない。単に音が大きいとかいう問題じゃないんですね。ほんとに突然ゴオーという音というのは、横田基地のギャラクシーとは全く違う性格の騒音であります。この騒音がさらにひどくなる。国の説明でも五%大きくなる。そういった飛行機が飛んでくるということに関して、まずは、もう来てしまった以上、その被害の影響というものを即刻把握する必要があろうかというぐあいに思います。
騒音問題ということになりますと環境局が取り組んでおりますが、これは通常の騒音問題という問題を超えて、新しい飛行機による影響調査ということに関しては、むしろ知事本部が直轄で行ってもいいんじゃないかというぐあいに思っておりますけれども、いずれにしろ東京都としてこのFA18スーパーホーネットの騒音調査について早急に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○新行内参事 スーパーホーネットの騒音影響調査につきましては、国におきましてはこの十月に着手いたしました指定区域の見直しの調査におきまして、その配備の影響も考慮に入れるというふうにしております。ご指摘の都としての騒音影響調査につきましては、速やかに環境局と協議してまいります。
○真木委員 先ほど東京都として国に要請をしたということでございますが、しかしながらその要請は無視されたということになります。アメリカにも配備できない、それが日本で、無反対だったということではないわけだと思いますが、やすやすと配備されてしまったということは事実であろうかと思います。
要請してもだめでした。そうした中では、地元自治体東京都として、このスーパーホーネット、世界で最もうるさい飛行機が世界で最も住宅密集地にある基地に配備されたということについて反対声明を、地元自治体として、アメリカの自治体がしているように、日本の自治体である東京都も反対声明を出すべきだというぐあいに思うわけですが、いかがでしょうか。
○新行内参事 航空機の配備は米軍の運用上の問題でございまして、国として責任を持って対処すべき事項かと思います。先に述べましたとおり、都は地元自治体として騒音対策の重要性を強く認識しておりますので、既に国に対しまして騒音の激化につながる航空機の配備が行われることのないよう要請いたしました。今後とも騒音の軽減に向けて強く要請してまいりたいと思います。
○真木委員 東京都は国に対していうべきことはいっていくんだということで、強くいつも国に対して提案をしたり働きかけをしていただいております。ぜひこの問題も--安全保障は国の問題であることは重々承知をしております。しかしながら、安全保障の問題と住民の福祉の問題があるわけでございまして、これは知事本部長、前福祉局長でございますけれども、病人の方なんかが大変なんですね。あの飛行機の音を聞いていると病気が悪化する、寝ていられないということで、本当に体の弱い方ほどあの騒音には悩まされております。
国の問題だからといって地元自治体がいえないというんじゃなくて、私たち東京都民、市にも税金払っておりますけれども、東京都にも税金払っているわけですから、東京都に税金払ってよかったなと、東京都は国とは違う観点で物をいってくれたという、都に税金を払ってよかったなと思えるような対応をぜひしていただきたいなということを強く要請させていただきます。
本当に今のホーネット、ホーネットになって大変うるさくなったんです。ファントムなんてかわいいもんだったんですね。ホーネットになってすっごいうるさくなりました。それが今度はさらにうるさいスーパーホーネットということで、一体どうなるのかということが懸念されておりますので、どうぞさらなる取り組みを強くお願いをしたいと思います。
長くなりましたが、続いてもう一点質問をさせていただきます。防犯カメラの問題についてであります。
この防犯カメラの問題につきましては、我が党におきましては総務委員であります富田議員が強い関心を持って先導的に取り組まれております。今回、富田議員が海外視察ということで会派を代表して海外に行っていただいております。そうした中で、富田議員の問題意識、私の方で引き継ぎましたので、防犯カメラの問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
先週、各局から来年度予算に向けた要望、来年度予算の基本的原案について説明を受けました。知事本部におきましても、治安対策ということで五億円計上されておりました。この五億円の多くは、防犯カメラの設置に充てていきたいという、設置の補助金に向けて充てていきたいということで、今、財務局に要求をしているというご説明をいただいたところでございます。
国において、私たち民主党は、監視カメラの設置等の適正化に関する法律案を提出しております。また、さきの定例会でも民主党の代表質問の中で防犯カメラのルールについて決定をすべきだということを確認しております。さらに、今後とも東京都もそういった補助金を出すというような中では、もしその予算が確定すれば、防犯カメラ、これからどんどんふえていくことになろうかと思います。防犯カメラに関するルールづくり等が必要になってくるんじゃないかと思っておるところでございますが、その前提として、まず防犯カメラというものは一体何を指すのか、このことについて、防犯カメラの定義についてお尋ねをいたします。
○久保治安対策担当部長 防犯カメラについてのお尋ねでございますが、犯罪を発見、予防する目的で常時人の監視をするためのものから、長崎での事件におけるような結果的に犯罪捜査の役に立つものまで、さまざまな性格のものが現在、防犯カメラという名称で呼ばれておりまして、一般的には決まった定義はないようでございます。
○真木委員 これから防犯カメラについてますますふえていく社会的な風潮にございますし、また東京都もさらに補助金を出していこうということであるならば、今後は厳格な運用のルールが必要になろうかと思いますし、またその前に、現状はどうなっているのかということを把握しなければなりません。現状の把握についても取り組んでもらわなければいけないわけですが、その前提として、一体、防犯カメラってなあにと。単なるおもちゃでも、あれは防犯カメラと指すのとか、メモリーがないものでも防犯カメラなのかとか、そういったことの定義が必要であります。今、検討中であると、一般的な定義がないというお話でありましたけれども、防犯カメラの定義について東京都として定める必要があるというぐあいに考えますが、その必要性についていかがお考えでしょうか。
○久保治安対策担当部長 一定の規制なり取り扱いを定める場合には、何がその適用対象となるかを決めておくことが前提となりますので、その限りで定義のようなものは必要になると考えております。
○真木委員 防犯カメラについての定義を確認してつくっていただけるということで理解をいたしました。初めて正式な表明があったというぐあいに理解をいたしますが、まず現状把握について引き続き確認をいたします。
把握しやすいところで、都の施設についてはどのような場所に設置されているのか、また、どの程度の台数が設置されているのか、例とかもあれば挙げてください。
○久保治安対策担当部長 ただいま申し上げましたように、何をもって防犯カメラをするかというところまで現在定説がございませんので、広く監視用のカメラということでお答えさせていただきますが、業務の遂行であるとか、施設の管理のために、カメラを使った監視というものはこの社会全体で不可欠なものとなっておりまして、こうした監視用のカメラというのは、都の施設でも業務用、防災用など、さまざまな用途のために設置、活用されているわけであります。
具体的な例として、多数の方が利用する施設として、都営地下鉄のホーム、通路、改札口付近などに、交通局の調べでは約六百台ほどですが、設置されておりますほか、同様に地下通路や駐車場の出入り口、あるいはふ頭の船着き場などにも設置されています。このほかにも、病院内の窓口であるとか、エレベーターの中、美術館、博物館の展示室や、劇場、庁舎施設の出入り口などにも設置されております。
○真木委員 交通局だけでも六百台ということでございます。交通局はこの十月、防犯用監視カメラの設置運用基準を策定したというぐあいに聞いておりますが、交通局だけの問題じゃありません。本当に多くの防犯カメラがあり、私も町を歩いていて、にょきっと向こうから真っ正面から見られていて、決して気分のいいものじゃないなという感じを持っております。
そうした中で、第三回定例会の我が党の代表質問に対しまして、竹花副知事がご答弁で、現在都が管理しております防犯カメラにつきましては、それぞれの管理責任者が映像データの貸し出し等に関し、管理運営を慎重に行っているところでありますけれども、より厳格な取り扱いを行うよう、今後、専門家の意見を聞きながら、貸出手続やカメラの設置の明示などを含む運用規程の整備を検討していきたいと考えていますと答弁されております。
現在における東京都全体としての防犯カメラの運用の基準の検討状況はどうなっていますでしょうか。
○久保治安対策担当部長 防犯カメラの運用につきましては、都としての共通の基準について内部検討を進めている段階です。これが都全体の防犯カメラの運用にかかわるものであることから、現在その内容につきまして、専門家の意見や他の運用事例なども調査しながら詰めを行っている段階でございます。
○真木委員 改めて確認をいたしますが、防犯カメラの運用の基準の必要性。今検討していただいているということでございますが、基準の必要性については問題意識を共有するということでよろしいでしょうか。
○久保治安対策担当部長 都としても、防犯カメラの普及を進める一方で、都の施設を利用される方々に、ご指摘のプライバシー問題などの不安を抱かせないように、設置された防犯カメラが適正に運用されることが必要だと考えているわけであります。このことは、竹花副知事がさきの第三回定例会で答弁したとおりでございます。
○真木委員 問題意識は共有できるということで理解をしたいと思いますけれども、例えばイギリスにおいては防犯カメラの最も先進国だということで伺っております。一日歩けば三百台のカメラに映されるというようなことがいわれる社会だそうですけれども、しかし一方で、プライバシー保護については徹底した基準がつくられています。
日本においてもプライバシー保護のための運用基準、私は最終的には法律、条例等が必要になってくるというぐあいに考えておりますが、一刻も早くそういった基準をつくるべきだと考えておりますが、現在準備している運用基準は、いつごろまでに検討を終えるんでありましょうか。
○久保治安対策担当部長 現在行っております防犯カメラの運用規程の検討は、年内を目途として一定の結論を出したいと考えております。
○真木委員 防犯カメラの運用基準について年内に策定をし、その中で防犯カメラとは何かということも含めて定義をしていただくということが答弁から明らかになったと思います。東京都として明確な姿勢を示していただいたという点において大きな前進だというぐあいに考えるところであります。
防犯カメラの設置基準というものは、まず今東京都としての、東京都の防犯カメラの運用基準ということだと思うんですけれども、これからは、東京都が例えば補助金を出していこうというときには、今考えられているのは町内会ですとか自治会、そういった方々に対してもきっと出していくものになるんだろうなというぐあいにいわれております。今まではパブリックスペースをパブリックセクターが監視をしていく。公の部分を警察でありますとかが、公権力がしっかりと見ていく。ここに関しては、いろんな議論がありましたけれども、今理解されつつあります。また、自分の家の前に、自分の家のドアをあける前にドアホンで、自分の家の中から家の外を見ていく、プライベートがプライベート部分のスペースを見ていく、これについては特に問題はないんだと思います。
しかしながら、これからは、パブリックスペースをプライベートな、よりプライベートな方々がカメラで監視をしていく。そのデータを所有できるということになりますと、これは随分と次元が違った話になろうかというぐあいに思います。
また、どんどんと東京都が推奨して防犯カメラを設置していくということになれば、町に監視カメラをつけることが是であるという空気になれば、それを悪用する人間がいないとも限らないわけですね。おれは善意でうちの前をいつもカメラで構えているんだと。嫌いなあいつのうちにカメラを向けてずっと二十四時間カメラを回し続けてビデオで撮って、何時に寝て、だれが何時に家に入っていったかというものを監視できるようにしても、これはもう、おれは大きな通りの前に面していて、町の治安のためにやってあげてるんだといわれて、抵抗ができないということではやっぱりおかしいというか、そういうことを悪用する方が必ず出てくるというぐあいに思います。
そういったことからも、罰則も伴ったような条例の設置というものが、やはり、単に都の内部の運用基準だけではなくて、条例づくりというものが必要になってくるんじゃないかと思うんですが、いかがでありましょうか。
○久保治安対策担当部長 防犯カメラの普及を進めるに当たりまして、プライバシーの問題への配慮も必要であるという認識につきましては、これまで答弁してきたとおりです。この問題については、広く社会的な合意のもとに調整していくことが必要であると考えています。
例えば、第百五十六国会で議員提出されました民主党の法律案でも、その対象は、あくまでも国の行政機関が設置するカメラに限定されていますが、これも社会的合意を得るためのプロセスの一部と考えたものと、私どもは評価しております。
都としましても、このような国レベルの考え方を参考にしながら、まず都が設置するカメラの運用取り扱いを統一していこうと考えているところであります。確かにご指摘のように、今後の普及の進みぐあいによっては、新たな課題が生じることも考えられますが、それらを含めた取り扱いについての一定の社会的な合意が形成された段階では、法的規制の問題も考えられるべきものと思っております。
○真木委員 本日の質疑によって、東京都として運用基準の必要性を改めて確認できましたし、定義についても、定義を行っていくということも確認をしていただきました。そして、年内に運用基準を策定するということにつきましても、明確にお答えをいただきました。大きな前進であり、そして第一歩としては、評価という言葉は僕、好きじゃありませんけれども、取り組みについて敬意を表します。
しかしながら、次なる事態というものが、もう想定されていかなければならないというぐあいに考えますので、どうぞ、今ご答弁にありましたように、次の事態に進んだときに、法律も含めた次の段階に早急に--新たな問題が発生したときに、早急にまた次の事態に取り組んでいただきますようお願いを申し上げ、質問を終わります。
以上です。
○長橋委員 私の方からは、治安対策、特に不良外国人、不良ということはよくわからないんですけれど、不法滞在者、これによる外国人の組織犯罪の対策について、二、三お伺いをしたいと思います。
さきに発表されました警察白書によりますと、昨年一年間の犯罪件数が全国で約二百八十五万件、十年前に比べて約百万件も増加をして、七年連続で戦後最多を記録更新中と、こういうふうにいわれているわけであります。
その背景の一つとして、犯罪の組織化が挙げられているわけでございますけれども、多くの都民は、日常的に報道される凶悪事件、身近に起こっているひったくり、空き巣ねらいの横行に、東京の治安に不安を感じている、こういうふうになってきているわけでございます。確かに東京都内における犯罪件数も約三十万件と、全国で最も多いわけで、一日平均しますと八百三十件、一日に犯罪が起きていると、こういう計算になるわけでございます。我が党としましても、この治安の問題については、どんどんと都民の体感治安が低下してきていると。一日も早いこの治安の回復が、東京における最重要課題というふうに考えているわけでございます。
都としましても、この治安の維持こそ最大の都民福祉、こういうことで竹花副知事をトップとする緊急治安対策本部を立ち上げて、治安回復に向け具体的な施策に着手し始めた、こういうことで評価をするわけでございます。
ところで、この緊急治安対策本部、このような治安の悪化を招いた主な原因として、この対策本部は、少年問題と並んで、不良外国人による組織犯罪の増加を挙げているわけでございます。
しかし、警察白書によりますと、昨年の刑法犯検挙件数が約五十九万件、検挙された数が五十九万件であるのに対して、来日外国人によるものは約三万五千件、約六%弱ということになるわけですけれども、それほど割合としては多くない、こういうふうに思うわけでございます。
そこで、国際化に向けて、都民の間に外国人を排斥する、こういったムードが起きることを大変懸念をするわけでございます。不良外国人による組織犯罪をあえて取り上げているのは、どのような理由によるものなのか、具体的な例を挙げて説明していただきたいと思います。
○久保治安対策担当部長 外国人個人ではなく、その組織犯罪を問題にいたしますのは、不良外国人が日本国内で犯罪グループを組織し、あるいは日本の暴力団や外国に本拠を置く国際犯罪組織と連携して犯罪を実行するという新しい犯罪形態が、この国に生まれているためであります。このことが、従来、日本人が経験したことのないような手口の巧妙化、凶悪化、犯行の広域化につながっておりまして、ひいては、いわゆる体感治安の悪化を招く要因ともなっていると、こういう認識を持っていることによるのであります。
具体例ということで、一、二の例を挙げさせていただきますが、例えば、最近の外国人による窃盗事件の場合には、検挙を逃れつつ、より効率的に利益を獲得することを目的としてグループ化しておりまして、主犯格の指揮のもとに、組織的に防犯カメラの位置や逃走経路の確認等の入念な下見を行った上で、盗む際の実行役、見張り役、逃げる際の運転役、盗品の運搬処分役などの役割を細かく分担しているといわれています。
このため、中国人の主犯が不法残留の中国人約三十人を使って、金庫破りや空き巣ねらいをしていたある事件では、昨年逮捕されるまでに犯行件数で約五百八十件、被害総額は約五億七千万円に上ったとされております。
また、中国人の犯罪組織が日本の暴力団と結託し、偽造したクレジットカードや盗んだ銀行カードを使って多額の金銭を引き出すというケースや、いわゆる蛇頭などによる、集団密航に加担する日本の暴力団の存在も認められているところであります。
○長橋委員 外国人の組織犯罪、これは日本の暴力団とも結託して大変巧妙化、悪質化、凶悪化していると、こういうことでございます。
そういった意味で、都は、去る十月十七日に、法務省入国管理局、東京入国管理局、そして警視庁と共同で、首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言を発表いたしました。そして、相互に連携をしながら、積極的な取り組みを推進していくと、こういうふうに聞いているわけでございます。
この共同宣言の中で、一部不法滞在者の存在が、多発する外国人組織犯罪の温床となっているとの指摘があり、我が国の治安対策上、これら不法滞在者問題の解決が喫緊の課題である、こういうふうに述べられているわけでございますが、いわゆるこのオーバーステイなど不法滞在の外国人の存在が問題であると、こういう認識はどのような考えに基づくのか、お尋ねします。
○久保治安対策担当部長 我が国と近隣諸国等との経済格差を背景に、近年、日本で働けば容易に大金を稼げるという風評を信じて、就労を目的に我が国に入国することを希望している外国人が多数存在しているといわれております。
このことが、例えば、中国の民工、農村からの出稼ぎ労働者の賃金が、現在かの地では月に七千円から六千円であると申し上げれば、彼らの動機も理解していただけるのではないかと思います。
しかし、就労資格の条件を満たすことができないために、資格を偽造したり、観光や就学、留学など入国しやすい名目で入国したり、あるいはパスポートを偽造し、さらには密航してくる者も少なくありません。こうした場合、中国のケースでは、多いときは日本円で数百万円、年収の十年分から二十年分に相当する金銭を、仲介組織に支払うことが必要だといわれています。
当然のことながら、現在の日本においては、あらかじめ定められました在留期間や就学、留学の合間に働いても、なかなか工面した渡航費用を返すまでには至らないことから、そのまま滞在を続けまして、不法に就労を続けたりしている、いわゆる不法滞在者が全国で約二十五万人いると推計されています。
犯罪組織の中には、これらの総体的に弱い立場に置かれた不法滞在者を、違法な風俗店で働かせたり、犯罪に加担させたりするという例も見られます。地縁、血縁を通じて仲間に引き入れられる場合には、断れば故郷に残った家族に累が及ぶことを恐れて加わらざるを得ない、捕まっても自供をしない、こういうケースが数多く指摘されておりまして、結果的に組織犯罪に利用されているわけであります。
共同宣言において、一部の不法滞在者の存在が、多発する外国人組織犯罪の温床となっていると。こういう認識は、このような背景を受けたものでありまして、今回の取り組みの趣旨は、あくまでも我が国を脅かす犯罪組織の根を絶つための手法の一つであるということを、ご理解いただけたらと存じます。
○長橋委員 あくまでも我が国を脅かす犯罪組織の根を絶つと、まさにそのためであるということでございますので、一般に入国してくる外国人まで入れているわけではないということは、よくわかりましたけれども、善良な外国人もたくさんこの日本に入ってきておるわけでございますので、そういったところで、ぜひこの犯罪組織、日本の暴力団とも結託したこの犯罪組織が、今後ますます脅かしてくるということを考えれば、ぜひ対策は強めていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
ところで、この共同宣言の中におきまして、私の地元であります豊島区も構成員になっております、新宿・渋谷・池袋地区治安対策代表者会議、この幹事会におきましても、この対策を検討していくと。特にこの三区ですね、繁華街を抱えるこの三区の治安回復、これは東京の治安回復にも大きく前進をしているということで、大変期待を地元としてもしておるわけでございますけれども、そもそも、警視庁や入国管理局のような、逮捕、拘束する権限を持たない東京都や区などの行政組織が、この不良外国人問題についてはどのように寄与していこうとするのか、今後の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
○久保治安対策担当部長 治安の維持は、警察に任せれば済む問題なのではなく、国、都、区市町村等の行政機関や、都民、NPO、ボランティア団体等が相互に緊密に連携をとりながら、それぞれが役割を分担できる範囲で可能な限りの対策を講じていくということが、東京都が考えております治安対策の根幹であります。
お尋ねの不良外国人問題に関しましても、単に不法滞在者を退去強制すればすべて解決すると考えているわけではありませんで、不良外国人をそもそも入国させない、不良外国人に転落させない、こういう対策もまた必要だと考えています。
例えば、明確な勉学の意思を持って来日した就学生、留学生に対して、日本における生活指導や相談などを通じて、適正に活動し、犯罪に巻き込まないための支援をすることも一つでございます。
また、入国や長期滞在のための手段として、日本人と偽装結婚をすることが、犯罪組織等の新たなビジネスともなっているといわれていますことから、区市町村等の窓口で婚姻届けを受理する際の対応などにつきましても、改善の方法を工夫する必要があると思われます。
こういった都や区市町村等が行う一般行政の立場でも、可能性、可能な対策がありまして、お尋ねの不良外国人問題の解決のために、側面から支援する必要があると考えているところでございます。
○長橋委員 一生懸命勉強したいということで、日本に来られるまじめな学生も多くいるわけですし、また観光立国を目指す我が国に入国する外国人は、年々増加をしておるということで、昨年の入国者数は約五百七十七万人と、国際化を反映して過去最高を記録しているわけでございます。多くの外国人というのは、正規入国して、我が国の生活や旅行を楽しむ、または仕事をする、そういった在留資格に基づいて適正な活動を行っているわけでございます。都民一人一人が、こうした来日外国人とも手を携えて、国際化社会の実現に向けて努力をしていかなければならない、こういうことになるだろうと思います。
そのためにも、この不良外国人対策をさらに強力に進めて、治安の回復を図り、外国人一般に対して、いわれのない不安感を都民に抱かせないよう、ぜひ努力をしてもらいたいと思います。
以上で質問を終わります。
○吉田委員 では、私から質問をさせていただきます。
私も知事本部、この総務委員会で質問をさせていただくのは初めてであります。いろいろ考えたんですが、知事本部の大きな仕事というのは、事業概要にも記載されていますが、やはり東京都における政策の企画立案あるいは総合調整という仕事が、非常に大きなウエートを占めているものだと思います。この点で、私なりに素朴な要望を述べさせていただきながら、若干、必要な質問をさせていただきたいと思います。いささか釈迦に説法という面もあるかもしれませんが、ぜひよろしくお願いいたします。
私が、政策立案で改めて思うのは、当たり前のことではありますけれども、第一に、都民の要望、都民の声、そういうものが適切に反映されるという努力が、やはり貫かれること、また、その政策のスタートだけではなくて、形成の過程においても、その過程が公開をされて、適切な形で都民意見が反映をされるという仕組みが貫かれることは、当然のことだと思いますし、もちろんこれまで努力はされてきていると思いますが、さらに今日、一層の努力をしていただきたいというふうに思っております。
そこで、まず第一点なんですが、知事本部として、政策の形成、企画の立案、そうしたことに当たって、都民要望、都民の声、そういうものをどう受けとめてきたのか、そうした基本的な点について、まずご答弁をお願いいたします。
○野口参事 政策の企画立案に当たりまして、都民の声を尊重すべきであるというお尋ねだと思いますが、改めて申し上げるまでもございませんが、都政は、代表民主制に基づく自治制度であり、都民から選ばれた知事と議会における議論が、意思決定の基本であると考えております。
具体的な政策立案に当たりましては、世論調査、都政モニター、知事への提言など、さまざまな都民の声を吸収いたしますとともに、例えば審議会におけます議論等につきましては、中間のまとめを出して都民意見を求めるなど、都民の声を広く吸収するための取り組みを現在行ってきておるところでございます。
○吉田委員 我々もいろんな場で意見を述べ、質問をするに当たっては、常に都民の声、都民の実態というものに、やはり立脚をする努力をしております。当然、皆さん方も、企画提案に当たってはそういう立場を貫くというのは、当然のことだと思うんですね。
それで、各種世論調査などを行っているんだという、今ご答弁だったんですが、残念ながら、いわゆる広聴、世論調査にしても都政モニターにしても、さらに都知事への提案あるいは議論をするという場も、これは生活文化局で行われていることなんですが、そこで、ちょっと具体にお伺いしますけれど、例えば、この間の都民要望あるいは知事への提案、そういう問題で、このような形で政策立案に生かしたことがあるんですというふうなことを、具体的にご説明いただけますか。
○野口参事 具体的に、政策立案にどういうふうに生かしたかということでございますが、政策立案のプロセスで、世論調査、都政モニター、知事への提言などを注視しながら、都民が今何を求めているか常に最大限の注意を払いつつ、政策の立案をやってきているつもりでございます。
こうした認識に立ちまして、例えば、昨年、重要施策を策定いたしまして、現在の緊急課題でございます治安対策につきましても、平成十五年八月に竹花副知事を本部長とする緊急治安対策本部を立ち上げ、具体的な取り組みを始めるなど、具体的な工夫をしてきているところでございます。
○吉田委員 努力はされているんでしょうけれども、例えば具体に考えてみたときに、毎年、恒常的に都民生活に関する世論調査というものを、生活文化局が行っております。その時々によって、さまざまな調査項目がありますけれども、必ず毎年、最後のところに、都政への要望、これからの都政全体について考えた場合に、ここに挙げているもののどれに力を入れてほしいと思いますかという項目があります。近々、今年度の調査発表がされると思いますけれども、したがって、昨年発表のものに頼らざるを得ないわけですが、昨年発表の特徴は、医療・衛生対策が第一位に上がったと。三年前が第三位、一昨年が第二位、そして昨年が第一位というふうに、この医療・衛生対策が上がっているんですよ。二番目には、それとほぼ並んで高齢者対策ということが挙げられています。もちろん最近のその後の世論調査で、治安、防犯の声が上がっていることも、私も承知をしております。
この世論調査では、一位の医療・衛生対策についても、さらに、具体的にどんなことをしてほしいのかという具体的な内容についてまで、設問と回答があるんですね。それを見ますと、医療・衛生対策が第一位ですが、その中でも第一位が、安心できる医療の確保、二番目が医療施設の整備。この間ずっと高いんですが、大きな第二位になっております高齢者対策では、第一位が施設サービスの充実整備というのが挙げられているんですね。本部長は、福祉局長を経験されていましたから承知と思いますが、例えば介護保険になっても、やはり在宅重視しつつも、都民の調査を行えば、特養ホームに入所希望者が、全都でたしか二万五千人いらっしゃるというような事態から見れば、やはりこうした世論調査の結果というのは、今日の置かれた状況、そこからのニーズというものは、絶対的ではないかもしれませんが、やっぱり反映しているなというふうに思うんですよね。
では、そういうことが、先ほど重要施策で世論を反映しているんだというふうにいわれましたけれども、どんなふうに反映しているのかなという素朴な疑問を持つんですが、いかがでしょうか。
○野口参事 例えば重要施策につきましては、福祉施策として、今年度の重点事業としてオーナー改修型痴呆性高齢者グループホームの整備ですとか、障害者地域生活支援緊急三カ年プランに基づきます着実な整備ですとか、都民の要望を踏まえまして、重点事業の中で政策を立案して、その推進を図ってきているところでございます。
○吉田委員 皆さん方としては、いや、反映しているんだというふうにいわれますけれども、例えば、私が今挙げた医療・衛生対策にしても、高齢者施設の問題にしても、グループホームは我々は大いに推進すべきだということは、いってまいりましたけれども、例えば特養そのものの設置計画を見れば、これは確実に、残念ながら後退をしているという現実があるわけですよ。そういう意味から、こういう問題提起をさせていただいたんですけれども、やはり今後の施策において、改めて、これからさらに重要施策が近々発表されると聞いておりますけれども、こうしたやはり都民要望というものを、重要な立脚点として生かす努力をしていただきたいということを述べておきたいと思うんです。
そういう都民要望を、やはりその企画立案、政策立案の一つの立脚点にするという点で、私がちょっと疑問に思うのは、この企画、政策立案を行う知事本部とかけ離れて--かけ離れてというと、よいいい方でないかもしれませんが、そういう都民の意見を吸収する、先ほどいった世論調査にしても、都政モニターにしても、知事と議論をする会にしても、これを主催しているのは生活文化局なんですよね。やはり私は、広聴活動と企画立案というのは、本来ならば一体で進めるべきではないのかと。かつて、知事本部ができる前、政策報道室のときには一体だったわけですよね。その点はどうでしょうか。
○野口参事 企画立案部門と広聴部門を一体で進めていくべきだというお話でございますが、これにつきましては、過去の組織の変遷を見てまいりますと、広聴機能につきましては、昭和五十九年十一月三十日以前は、生活文化局の中に都民広聴課というものがございました。六十年一月一日の組織改正で、情報連絡室へこの機能が移行しまして、平成八年七月十六日には、当時の企画審議室と情報連絡室を統合して政策報道室ができまして、この中に、いわゆる広報部と都民の声部ができたという経過がございます。
それで平成十三年四月一日に生活文化局への再編ということで、広報広聴部ができたわけでございます。これにつきましては、都民の幅広い活動を支援する施策を担う局、生活文化局をそういった局にするために、政策報道室都民の声部の機能を生活文化局に移管したものでございます。このように、組織の上では、広聴部門は変遷を経てきております。
こうした経験を通じまして、組織機構上ではなく、機能として連携していくことが非常に大切であるというふうに考えておりまして、知事本部と生活文化局の間で十分連携をとって、施策を進めてきているところでございます。
○吉田委員 機能が連携すればいいんだというお話でしたけれどもね、例えば、秘書部の方もいらっしゃいますけれども、知事と議論をする会というのがありますよね。これはやはり知事としての活動として、私は重要な要素だと思うんですけれども、そうしたものも生活文化局が主催をしてやられているというふうなことなんかも、私としては素朴な疑問として、奇異な感じを受けました。
やはり都民世論に立脚する努力という点では、私は、この知事と議論をする会というのも、非常に重要なものとして今後重視をしていくべきではないかなと思うんですが、これは意見、要望としてだけいわせていただきますけれども、他の県で、あるいは他の県知事さんが、どのようにこうした活動に取り組んでいるのかということも、この機会に調べさせていただきましたが、東京、石原都知事の場合には、従来の経過だと基本的に年三回ですよね。極めて少ないと思うんですよ、都民の声に耳を傾けるという点でいえば。
例えば、近県だけを例にとってみますと、知事がかわったりしますから十四年度の実績だけを見ますと、埼玉県知事は七回、千葉県知事は十三回、神奈川県知事は九回、長野県知事は毎月ワングループずつ庁内で意見を聞く会があり、さらに地方に回られているという事例もありますけれども、そうしたことも含めて、知事本部としても、大いにやっぱり関心を持って検討していただきたいなというふうに思います。
次に、出発点で都民要望ということだけじゃなくて、やっぱり政策の形成過程で公開をされて都民の意見が反映できるということも、非常に重要な要素だと思うんですが、これはどのようにお考えでしょうか。
○野口参事 政策の形成過程での都民意見の反映ということでございましたが、これにつきましては、いろんなやり方があろうと思いますが、先ほどご説明も一部いたしましたが、審議会等で、いわゆる外部員をお願いして検討する場合には、できるだけ中間のまとめを出して、都民意見を反映させて、最終的な答申をまとめるというふうなことで、できるだけそういった機会もふやしております。そういった工夫をすることによって、都民意見の反映をより広くできるんじゃないかというふうに考えております。
○吉田委員 ということは、だから政策形成過程の公開や都民意見の聴取の努力というのは当然だというスタンスだと思うんですけれども、例えば具体の例でいわせていただきますと、これも知事本部の仕事じゃないですから、いうだけになりますけれども、新銀行の創設などは、都にとっては極めて重大な新たな展開なんですけれども、庁内でも極めて限られた中でしか行われておりませんし、民間の外資系の銀行ということが、具体的に買収ということが発表されましたけれども、議会に対しても極めて説明が不十分だというふうなことがあります。
知事本部にかかわることでいわせていただければ、重要施策が近く発表だというふうに聞いておりますけれども、一体どんな重要施策なるものが出てくるのか、出てみなければ我々はわからないと。先ほど、審議会などでは、大体中間まとめを出して意見をもらって、つくっていくんだというふうになっていますけれども、重要施策でいえば、全く我々は、議会であっても、出るまでわからないというような状況というのは、やっぱりいかがなものなんですか。
○前川知事本部長 先ほど来、参事の方で、るるお答えしておりますが、私ども、もうこれは当たり前ですけれども、政策的に都民が何を欲しているか、何を求めているのか、これについては、当然ながら最大限の注意を払うべきであるし、いろんな機会を通じてその情報を得たいと考えております。
ただ、具体的に、ではそれに対してどうこたえるかということにつきましては、これは都民の意見そのままに必ずしも出ているわけじゃないわけでありまして、では具体的にどうしようか。私ども、実感で申し上げれば、一番そういう場合に、現実を把握して上がってくるのは、現実に仕事をしている、現場に接している、事業局のいわばすぐれた職員の意見であり、あるいはまた専門家の方々の意見であり、あるいはまた、もっと一番実感で申し上げれば、こうした委員会もそうですが、議会の議員の皆様は、現場で、いわば選挙民の方々の意見を聴取して、吸収して我々に投げかけてこられる、そういったプロセスが一番意味が、実際の実感として申し上げれば、大きいなと思っているわけでございます。そういう意味で、両面に気を配りながらきちんとやっていきたいと。
重要施策につきましては、これはいわば行政のプランとして、内部的な検討を経て、それを一応の案として発表させていただいて、当然議会の意見もいただくし、都民の意見もいただくし、その結果を見ながら予算に、また、これも議会のご審議をいただいて反映する、これは当たり前だろうというふうに考えております。
○吉田委員 重要施策を例に出させていただいたのは、そもそも東京構想二〇〇〇は長期計画でありますけれども、十五年度までの重点事業計画しか出ていないわけですよね。十六年度以降、何を重点にやっていくかということは、東京構想二〇〇〇では新しい領域に入るわけですよ。その新しい領域に入る来年度からの重点ということになれば、当然やはり将来、単年度だけじゃなくて将来にかかわる大きな意味合いを持つんではないかと。そういう問題として、やはりその確定する過程では、いろんな意味で、議会はもちろんですけれども、意見反映の場がつくられて当然ではないのかということをいわせていただいたわけです。今の本部長の答弁だと、発表で、即それ確定ではないんだというふうな意味合いにも受けとめられますけれども、大いにやっぱりこれは意見をいわせていただきたいと思うんですね。
あと、政策形成過程の公開ということで、非常に新しい問題として、これも直接的には財務局にかかわることなんですが、予算編成過程の公開という努力が行われつつあるんですけれども、その辺は、状況の把握なり認識なりというのは、おありですか。
○野口参事 予算編成過程の公開につきましては、他局の事業でございますので正確にはわかりませんけれども、ここ近年、いわゆる予算査定の状況について、どういう状況かというふうなことで、プレスの方にも情報を流すというようなことで、秘密にやるという形ではなくて、できるだけ査定が終わった段階で、情報を流しつつ内容を固めていくという努力はされているというふうに考えております。
○吉田委員 これは意見だけ述べさせていただきますけれども、例えば、鳥取県あるいは宮城県などは、それぞれ今年度途中からですが、予算編成過程を公開するということが、雑誌やホームページなどでも見ることができます。
ある雑誌に、鳥取県の担当者が寄せている論文があったんで読みましたけれども、やはり行政にとって、予算というのは最も重要な意思決定である、それはやはり公開をすべきなんだと。しかも公開をすることによって、今までがどうこうという意味ではないと思いますが、オープンにすれば関心も高まるのではないか、我々財政当局も、公開を通じて、より説明責任が求められる、その結果、よりベターな予算編成ができるんだということを書かれているんですけれども、そうしたことも含めて、大いにやはり政策形成過程の公開と、やはり都民参加の促進ということを、知事本部として大いにイニシアチブを発揮していただきたいと思うんです。
最後に、総合調整ということにかかわって意見を述べさせていただきますが、事業概要を見させていただく限りにおいて、総合調整でどういうものをやられているのかというのが、ちょっと認識できなかったんですけれども、私は、やはり総合調整という点でいえば、例えば少子化対策ですよね、これは保育はもちろんですけれども、就労だとか、あるいは医療だとか、全庁的な必要な対策が求められているという分野があると思うんですけれども、そうしたことこそ、やられているというのかもしれませんが、私には見えないんですけれどもね、大いにやっぱり総合調整機能というものを知事本部が発揮すべきではないのかなというふうに思っているんですが、いかがですか。
○野口参事 知事本部が全庁的な総合調整機能を発揮すべきというご質問でございますが、お尋ねの少子高齢社会への対応につきましては、全庁的な課題として、これまでも長年にわたり一貫して取り組んできております。こうした取り組みを踏まえまして、具体的な対策を積み重ねることが、まさに今重要ではないかというふうに考えております。
都としては、安心して子どもを育てられる環境の整備のため、認証保育所や子ども家庭支援センターの整備、小児医療の充実など独自の取り組みを積極的に進めておりまして、知事本部が、総合的、横断的に取り組むための調整機能を発揮しているというふうに考えております。
○吉田委員 今の状況というのは、今までの延長線上じゃなくて、やはり体制的にも、少子化問題もそうですし、あるいは介護予防などという分野もそうですけれども、ぜひそういう分野で、知事本部が大いにイニシアチブを発揮していただきたいという要望を改めて述べて、質問を終わります。
○藤田委員 それでは私は、大きく二つの問題で質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、行政評価についてお尋ねをいたしたいと思います。
十四年十一月に出ました、この行政評価結果でございますけれども、政策評価ということでは、産業政策、企業等の経営革新や起業、創業を促す場を構築するということで、この問題を大きく提起をしているわけですけれども、今回のといいますか、昨年の十四年度の行政評価の項目というものについては、どのような選定をされたのかを、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
○新行内参事 事務事業評価は、それぞれ毎年、都の事務事業評価のうち、緊急性及び必要性に応じて特定テーマを設定して選んでいる、こういう状況でございます。
○藤田委員 私どもは、もちろん全事業について、この事務事業評価というものをやるべきだと思っているわけですけれども、細かくいきますと三千ほどあるという中で、なかなかそれは難しいということでありますので、私たちなりの提起では、少なくとも重要施策に挙げたものは、どうぞその事務事業評価をしてくださいというようなことを申し上げているわけでありますけれども、今のお話ですと、近々の課題であるということで、産業政策ということが選ばれたということでございますので、もちろんそれも一つであろうというふうに思います。
それでは、この評価結果を受けて、事業はどういうふうに見直されて、その予算編成にどういうふうに反映されているのかを伺いたいわけですけれども、実際には、見直しをして、このところでは点数化をして、そして具体的には、この冊子の三一ページのところに細かく全部点数化がされて、そして、それをどういうふうにしてきたかというのが、六ページと七ページに書かれているわけなんですけれども、これを最終的には予算に反映させなければいけないというのが、私が考えているこの行政評価なんですけれども、これはどんなふうになされているか、伺いたいと思います。
○新行内参事 行政評価は、まず各局が事業主管局の立場で一次評価を行いまして、その一次評価を踏まえまして、知事本部では各局との論議の上、全庁的な立場から、総合的な観点によりまして二次評価を行っているところでございます。
その後、一次評価と二次評価をあわせて公表いたしまして、都民の意見も踏まえて議会での論議を経まして予算に反映させていると、こういうことでございます。
○藤田委員 具体的には、一年間というもの、実際には一年の中で端から端までできるものではない、例えば決算などは前年度からずっときまして、六月に決算の確定が行われるということと、それから当年度の執行については、きちっと配当計画が、四回でしょうか、それぞれあって、そして出納期間も全部終わって、また決算が確定をするというような中で、そういうふうになっていると思うわけなんです。
そうすると、例えば、今回のこの十四年度の行政評価の結果というのは、いつ予算に反映されるような仕組みになっていますか。
○新行内参事 本年度の行政評価の結果につきましては、ただいま作業を進行中でございまして、それぞれの一次評価につきましては、先ほど申しましたように、各局が各局の立場でやっている。それは、現在の予算編成の中でも反映されておるところでございまして、さらに私どもがこれから先、三月の二次評価の公表に向けて、努力していく作業の過程の中で、反映できるものは反映させていきたいと、このように考えております。
○藤田委員 実質的には、一次評価といいますか、局がそれぞれ行いますのは、いつからになりますか。
○新行内参事 ご質問は、今現在の十五年度の事務事業評価の一次評価、この作業の進捗状況ということだと思いますが、先ほど申しましたとおり、今現在やっているという状況でございまして、これは私どもが二次評価をやっていく過程で、各局と調整しながらやっておるところでございますので、明定的にいつまでにという形には今現在なっていないと、こういう状況でございます。
○藤田委員 実際には、決算が確定した六月以降、この話が始まるわけですよね。そして、三月までにこの評価を知事本部が最終的にやるというところになるはずですよね。
そうしますと、結局、各局の予算要求というのは、もう七月ぐらいから始まるわけですよね。その中で、では行政評価がどうやって行われているかというのは、同時並行でこれは実際には行われているんですか。
○新行内参事 行政評価の作業と申しますのは、何度も申しますとおり、各局での一次評価、そして私どもで行う二次評価、そういったものが一連の作業として、各局と十分議論をすり合わせる、こういう作業で進んでおるところでございますので、委員ご指摘のとおり、今現在進行中ということでございまして、最終的な二次評価の発表というのは、三月を目途に行う予定でございます。
○藤田委員 二次評価は三月で、もちろんいいわけです。それぞれの局が行う一次評価というのは、実は各局の予算要求の作業というようなところの中で、七月から始めるのかどうかわかりませんけれども、実際には、一応いろいろなものが決定した九月ぐらいから、しっかりと昨年の分はちゃんとやっていくというふうにしないと、何から何まで全部できないんじゃないかと私は思うわけなんです。そして出したものを、さらに都民に向けて発信をするわけですよね。
公表して、そこから皆さんの意見をお伺いしていって--次の質問になってしまうんですが、そういうふうにやっていくとなると、やっぱりそれは時期的に、ある一定の時期、きちっとこう、どこからぐずぐずやっているんだかわかりませんけれども、そうじゃなくて、やっぱり九月ぐらいからきちっとこの一次評価をやって、そして最終の三月までに、どのくらいでしょうか、もっと細かいことまでいうと三千件じゃなくて十万件ぐらいあるというようなお話も伺っていますから、そうすると、本当にそこまでの事業を評価できるほどの、私は申しわけないけれど知事本部に人数が足りないんじゃないかと。もっとしっかりと人数を集めて、全局のものがわかるぐらい、しっかりやっていただきたいと思うぐらいなんでありますけれども、そうなると、一次評価の各事業局というのは、余りにも守りに入ってしまうというか、本当にしっかりとした目で、この事業評価というのができているかどうかというのが、なかなか私は難しいんじゃないかなというふうに思っているんですね。
ある意味では、こういうことは鳥取県以外はすべてやっているというような状況ですから、そうなると、アリバイづくりに行政評価もやっていますというようなことであってはならないし、ここの部分は、やっぱり本気でやるならば、知事本部が、先ほどおっしゃったような総合調整並びに本当にこの事業が必要かどうか、今回も五千三百億円も足りないお金を平気で出してくるというような、そういうちょっと私たちにとってみれば信じられないような状況の中で、一%税収が上がればそれはもう十分解決するんだといえばそれまでかもしれませんけれども、やはりそういうところで、本当に必要な事務事業が精査をされているのかどうかというのは、一部わからないなというような思いがあるわけなんです。
それで、都民への公表というものが行われるようになっているわけなんで、この行政評価のサイクルの中にはそういうふうになっているんですけれども、これはどんな方法を通して行われていますでしょうか。
○新行内参事 先ほどの私の答弁が舌足らずで、十分意を伝えることができませんでしたので補足いたしますと、先ほど申しましたように、一次評価から二次評価という過程で、各局と議論をすると。そういった過程の中で、各局においてはそういった私どもとの意見交換を踏まえまして、自分のところの要求としての予算編成にも反映するところでございますし、私どもの方でも、二次評価という作業を進める中で、予算編成に、予算に反映する必要があるというものについては、そういった部署、財務局との連携のもとに、時期を逸しないようにやっておるところでございます。
また、ただいまの評価結果についての都民への公表というご質問でございますが、行政評価の結果につきましては、「広報東京都」やホームページへの掲載、報告書の冊子そのものを、都民情報ルームで販売したり、あるいはまた、都立、区市町村立の図書館への配布、それによる閲覧、そういった形で都民への周知を図っているところでございます。
○藤田委員 私は、都民への公表というのは、ただ聞くだけではなく、それぞれ都民が、これって本当にやめていいの、というような思いもあると思うんですよ。具体的な例でいえば、まだしつこく思っていますけれども、女性財団を完全に切ってしまったというのは、ある意味では、あの中で自主的な研究課題が、実は東京都の施策のリードをしてきたということも事実ございましたので、そういう意味では、非常に都民にとっての大切な事業が、東京都にとっては重要性が低いというふうに思われて、その行政評価によってカットされるというようなこともあるんじゃないか、こういうふうにまず思うわけなんですが、そこについて一つお尋ねしたいんです。
私たちは、やっぱり都民に公表するだけではなくて、都民がするチェックというものもあっていいだろうというので、実は行政評価市民版というのをつくりまして、保育の部分でやったことがあります。それについては、もちろん冊子もつくっておりますけれども、やはりかなり視点が違ってくるなというのがありますので、それは公表してインターネットで出したり、あるいは都民ルームで販売しているだけじゃ、なかなか難しいのかなというふうに思うんですけれども、都民にとって重要性が低いと思われて、行政評価によってカットされるというようなことはないのかどうかを、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
○新行内参事 行政評価は、それぞれの事務事業が十分な成果を上げているか、社会経済情勢の変化を踏まえて事業を実施しているか、そういった視点で評価を行っておるわけでございまして、こういった視点は、まさに都民の視点に立っての評価というものであると認識しております。
なお、評価結果につきましては、広く都民に公表し意見を求めまして、また議会でもご議論いただいており、最終的には都民の代表である議会でご判断をされているものと考えております。
○藤田委員 それから、一次、二次の評価があってというところなんですが、実際には客観的な物差しがあるかどうかということが、一つの大きな論点になるんじゃないかと思うんです。
いろいろな自治体でこの行政評価、行われていますけれども、まだまだこの、いわゆるメルクマールというものであろうかとも思いますけれども、あるいは、もしかするとマトリックスというようなことも、評価のやり方としてはあるんじゃないかと思いますけれども、ソフト、ハードの部分からどういうふうに見るか、あるいは実施をしているのが東京都自体なのか、補助金の状況なのかというような、そういう評価の仕方、実は、この今皆さんがやってらっしゃる行政評価の中には、必要性とか効率性とか公平性という、そういう評価の基準はありますけれども、実際にはそういうメルクマールというものが、どうやってつくらなければいけないのかということは、実はなかなかまだ決め切れていないというふうに思うわけです。
そして、このメルクマールをつくることが、他の自治体からすれば、東京都が何かすばらしいものをつくってくれるんじゃないかなというのを、みんなで見ているような状況かとも思いますけれども、こんなことがこれからはどうしても必要だと思いますし、先ほどお話をしていた年間のこの事務の作業の流れの中でいえば、私はやはり実際の評価を九月ぐらいにきちっと始めて、そして四月、五月、六月というところで、やはり知事本部がしっかりと人数をそろえて、事務事業を全局のものを見ていくことができるようなところまで引き上げていただきたいと思っているわけでありますけれども、本部長、いかがでしょうか。そのように、ぜひその事務事業についてを、片方では財政再建といわれて、本当にこれが切られて大丈夫なのかなと思うようなことも切られてしまうというようなこともありますし、あるいは、こんなのはいかにももう時代錯誤じゃないかなと思うようなのが残っているというようなこともありますので、ぜひその辺で、さらにこの行政評価のアップをしていただきたいというふうに思っているわけですが、いかがでしょうか。
○前川知事本部長 今ご質問ございましたが、私どものやっている行政評価について、大きな期待を寄せていただいて、大変それはありがたいと思っております。
ただ、これはもう藤田副委員長、百もご承知でありますけれども、評価というのは本当に難しいと思います。私は福祉にいるときに、例えば特養について、全国の施設をほとんど全部回って、それで点をつけて、ここはいいとか、私は自分の所管している範囲についても教えてもらったことがあるんで、そういう市民の方がおられて、なかなか大したものだなと思った記憶があるんですが、そういうことは割と比較的やりやすいと思うんですね。
しかし、施策についての評価になると、これは当然のことながら価値判断が絡みまして、立場が変われば意見も変わると。それは私たちが日常的に経験をしているわけであります。それを超えて、何か一般的に私ども役人が客観的、科学的に、正しい評価を自動的に下せるということはないだろうということは、もうご承知だろうと思います。
その上で、ただ、今メルクマールというお話がありましたが、最終的には議会でご判断いただき、また都民の意見で決まるわけですけれども、そのための材料として、できるだけ合理的で客観的なデータをつくってお示しすべきだろうと。そういう意味でのメルクマールであれば、今もやっておりますけれども、できるだけ今後とも努力をしていって、判断の材料として役立てるようにしたいと、こう考えております。
○藤田委員 ぜひ、ご期待を申し上げますし、知事本部でやっていただければ、それぞれの局も気合いを入れてやらなければいけないという状況になろうかと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
それでは、先般行われました八都県市首脳会議について、お尋ねをしたいと思っています。
松沢神奈川県知事が提唱いたしました首都圏連合というようなものについて、新聞報道ではいろいろとなされておりますけれども、実際にはどんなふうな取り組みというふうになっておりますでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
○野澤国政広域連携担当部長 松沢知事の提唱いたします首都圏連合でございますが、これは八都県市首脳会議を機能強化し、単なる連携だけの組織ではなく、意思決定ができる広域連合体とする。その連合のもとで執行できる体制を整え、広域政策の決定、広域行政の実施や各都市間の政策調整、調査研究機能などの役割を担うようにするとしております。
一つの案として、地方自治法の広域連合の制度の活用が考えられるが、これにこだわるものではなく、八都県市首脳会議を強化するための常設事務局、あるいはそのための検討会議をつくっていきたいと提案しております。
○藤田委員 それでは、この提案を東京都はどんなふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。
○平田自治制度改革推進担当部長 ただいまの八都県市では、既にこれまでディーゼル車対策、広域防災訓練、羽田空港の国際化など、広域的な課題について共同の取り組みを積み重ね、着実に成果を上げてまいっております。
この実績を踏まえまして、首都圏におけるさまざまな広域的課題の解決のため、八都県市での連携というものを一層強化していく必要があると考えております。
なお、今話が出ました地方自治法上の広域連合制度でございますが、構成団体間の調整に時間を要するなど、利害関係の対立する政策課題等について、総合的、機動的に施策を展開することが困難であり、さきの八都県市首脳会議におきまして、石原知事も地方自治法にのっとった組織とする必要はないとしております。
○藤田委員 広域連合の連携制度の検討が不十分であるというふうにも思うわけでありますけれども、一つ確認をしておきたいのは、常設事務局は、つくるということで合意をされたんでしょうか。
○野澤国政広域連携担当部長 事務局をつくるという方向で、検討しているということになっております。
○藤田委員 それでは、割合有名なところではといいますか、北東北広域連携推進協議会というものがあるかと思いますけれども、それから東北三県も、南側の方もありますけれども、この北東北広域連携推進協議会というものと、今回の首都圏連合というものの相違あるいは合致点がありましたら教えてください。
○平田自治制度改革推進担当部長 北東北広域連携推進協議会でございますけれども、青森県、岩手県及び秋田県の三県から成る北東北地域におきまして、さまざまな主体による多様な交流、連携を通じた地域づくりを推進することを目的として、平成十二年二月に設立されたものでございます。
同協議会は、北東北三県の職員、市町村関係者、民間事業者、NPO関係者及び学識経験者等を委員とする任意協議会でございまして、これまで主に民間団体による県境を越えた交流、連携活動への支援あるいは情報提供、調査研究等を行っております。
これに対しまして、松沢知事が提唱した首都圏連合でございますけれども、これは首都圏全体で取り組むべき行政課題等について、政策の決定、事業の実施、政策間調整等を行おうとする、そういうものでございます。
○藤田委員 これのホームページなんかを見ますと、具体的に県民同士がどうやって交流をしていこうかも含めて、やっているようでありますけれども、聞くところによりますと、研究所の合併などというようなこともやっているというふうに聞いています。それも含めまして、人事交流もやっているんだというようなことも、一部聞いているのですが、実は私は石原知事に、上総の生命研究所を見てこいといわれて、うちでちょうどまだ三人の時期に行ったことがありますけれども、これはなかなかすばらしい研究所でして、千葉県にあります。こういうふうに、やはり一カ所でなかなか--衛生研究所も、それから医学系の研究所も東京都は持っていますけれども、こういうふうに大々的な新しい研究機関となりますと、それはそれなりのお金をかけなければいけないというようなこともありますので、こんなことも実はできるんじゃないのかなというので、非常に、ある意味では広域連携型の施策としては、もっと交流も含められるのではないかというふうに思っているわけであります。
それで、ちょっと視点を変えまして、第二十七次の地方制度調査会が、今後の地方自治制度のあり方に関して、答申がされておりますけれども、この中で、道州制はどんなふうに議論をされているのかをお伺いしたいと思います。
○平田自治制度改革推進担当部長 地方制度調査会の最終答申、先般出ましたけれども、広域の圏域において、戦略的かつ効果的な行政の展開が求められているとともに、市町村の規模、能力の拡大に伴い都道府県のあり方が問われている、そういう認識に立ちまして、都道府県の合併と道州制を取り上げております。
このうち道州制につきましては、国民的な意識の動向を見ながら、引き続き次期地方制度調査会で議論を進めるとしつつ、現時点での考え方を示しております。
そのうちの基本的な考え方といたしましては、現在の都道府県を廃止し、より自主性、自立性の高い広域自治体とすること、国の役割は重点化し、多くの権限を地方に移譲すること、道州の長と議会の議員は公選とすることなどを挙げております。
○藤田委員 ある意味では、こういうものにしなさいというような考え方は、上からぼんと来て、何か当たり前だみたいなことになると、本当に地域の自治というものはどういうふうになっているのかというふうに疑わざるを得ないわけでありますけれども、今回の最終答申のこの道州制の考え方について、東京都はどんな判断をされていますでしょうか。
○平田自治制度改革推進担当部長 この道州制の議論の背景には、都道府県の区割りを越えた広域的な行政課題が広がっている、こういうことがございます。こうした課題に対しましては、先ほどの八都県市等で連携いたしまして、ディーゼル車対策などさまざまな取り組みを重ねてきているところでございます。
道州制の問題は、答申の中でも触れておりますように、地方制度の大きな変革になるものであり、長期的視点に立って、国の将来のあり方を含めて論じるべき問題であるというふうに考えております。
このたびの答申は、国でのそのような検討の端緒でありますし、今後とも注視してまいりたいというふうに思っております。
○藤田委員 この最終答申の中には、実は地域自治組織というようなことも書かれているわけでありまして、片方では都道府県のさらなる組みかえが提言をされながら、片方では、もっと小さな組織を大事にしていこうというようなことも書かれていると思うんです。
私は昨年、ドイツのハノーバーとブレーメンへ行ってきました。ブレーメンの中というのは、実は昔のハンザ同盟のころにあった小さな都市を合併をしてつくったところですので、それぞれの自治体が、もう本当に小さい自治体なんですが、それぞれ議会を持って、そして小さな区域を持って、それぞれがきちっと権利を持っているといいますか、そういうふうになっています。それがハノーバーと、それからブレーメンで市をつくっていてというふうになって、それが州になっているわけなんですが、やはりどこまでを権限として、例えば教育はもう完全に地方分権であると、国がやることではないというような、そういうことが決められていますので、ドイツの場合には、かなり細かいところのその自治というものが確立をされているということでありますので、ある意味では、今回の地方制度調査会の中にも、一万人以上という自治体が一番よいのだというような形をいいながらも、でも地域自治組織というものがやっぱり必要ということは、本当の意味での自治というものをきちっと残していきたいというところのあらわれだというふうに、片方では思えるわけなんです。
私たちは、道州制というものにはくみしませんといいますか、やはり道州の長と議会の議員は公選とするというように、さらに大きなものになって、本当に住民からすれば見えなくなるということを、さらに大きくしていくのかなというのは、道州制というものについては、なかなかくみすることはできないわけでありまして、それよりも、やはり今のあり方のような広域的な連携、政策課題によって広域連携をしていこうということが、今は重要であろうというふうに私は思っているわけなんです。
その中で、もう一つ、今までも何回か提案がありました。そして私たちも提起をしておりますけれども、自治基本条例というものがあるかと思います。自治基本条例というのは、やはり分権化をされたときに、機関委任事務が廃止されて、そして同等になった。国と地方は同等になったといわれながらも、税源移譲も含めて、すべてなかなかうまくいかないというようなことの一つに自治法というものがあって、やはりそれであっても自治法で全部縛られているというところがありますので、なかなかそこは対等にいかないんじゃないかというふうに思います。
そういうことから考えると、具体的にいえば、情報公開条例のように地域の中で本当にどんどんつくっていってしまって、最終、国が法律をつくるというようなこともあります。それを考えれば、自治基本条例ということを、やはり再度、なかなか今までのお答えの中では、つれないお答えではございますけれども、やっぱり自分たちの憲法をつくっていこうという、そういう動きを活発化をさせることが、これからますます重要になってくるんじゃないかと思います。政策フォームということを含めて、きちっとそれは知事本部のところでやっていただくということが、重要になるかというふうに思います。
議会も、本来でしたら議会条例というようなものも、議会運営条例というものをつくらないといけないというふうに思っていますけれど、これも、もちろんこれからの提案でありますけれども、議長の席も二元代表制にありながら--議長じゃなくて、理事者と議員が相対するようであって、議員提案ができるような状況の議場ではないわけです。本来だったら、こういうような形で、ラウンドテーブルのような形で実践をしていくというようなのが、二元代表制の重要な観点かというふうに思っていますけれども、それもこれも含めまして、すべてが国の自治法に決められているというところから発しているわけでありますので、ぜひ、対等ということでしっかりと地方分権を進めるのであれば、そのところを考えて、地方からどんどん物をいっていくためにも、そのルールづくりをしていこうということを、ぜひ検討の課題に上げていただきたいと思います。
これで終わりますけれども、その辺について本部長のお考えを聞かせていただいて、終了させていただきます。
○前川知事本部長 基本条例ということで、藤田副委員長がどういうイメージをお持ちなのか、ちょっと今のお話だけでは十分わからないわけでありますけれども、私どもは、一つは実務的な観点では、東京が自治体としてやるべきことは今二つあるなと。
一つは、やはり全国の自治体を、口幅ったいですけれど、いわば先導する点からも、東京にふさわしいいろんな政策的な努力をしていくと。それは都市、まちづくりもそうですし、福祉もそうですけれど、そういったものについて、やっぱり努力をすべきであろうと、それが一つ。
もう一つは、やはりそれを保障する、それができるような仕組みに、例えば財政についても十分財源、税源移譲をするとか、あるいは地方交付税制度も変えるとか、そういった形で国にやはり強く要求していきたい。それが、私どもが日々仕事をしている実感の上での、自治の実現のための方法であります。
そういう観点とは、おっしゃったのは、基本条例というのはちょっと違うかと思うんですけれど、何を目的とするのかと。どういう契機をもって始めるのか、どういう内容とするのか。これは私どもは、これは私の個人的な感じでありますが、まさに住民自治として、そういうことは議会も含めてどういう自治体をつくるんだと、どういう制度をつくるんだということを、いわば運動としてやっていかないと、ただ上から条例をつくっても余り社会的にも有効でもないし、実効性がないのかなというふうに考えております。
私どもとしては、先ほど申し上げた前段の努力をしながら、今の副委員長の問題提起なんかも踏まえて勉強していきたいと思っております。
○藤田委員 もちろんそういうことでありまして、住民の中で、どういうまちをつくっていきたいのか、東京都の場合はちょっと大き過ぎますから、なかなか難しいかと思いますけれども、やはり多摩市で行われたような自治基本条例のつくり方といいますか、それぞれの地域のブロックで、住民が参加をして、どういうまちにしていくかというルールづくりをしていく、これがもちろん最適だというふうに思いますから、もしお考えの中に少しでもあるようでしたら、ぜひそういうことを含めて検討会などをつくっていただきながら、住民参加型で、それこそ自治というものの検討会をつくっていただければ幸いだと思っています。
以上です。
○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土屋委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時三十七分散会
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