総務委員会速記録第十五号

平成十五年十月二十三日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長土屋たかゆき君
副委員長中屋 文孝君
副委員長藤田 愛子君
理事富田 俊正君
理事長橋 桂一君
理事山田 忠昭君
東野 秀平君
真木  茂君
古館 和憲君
橋本辰二郎君
大山  均君
大西 英男君
吉田 信夫君

 欠席委員 二名

 出席説明員
総務局局長赤星 經昭君
危機管理監中村 正彦君
理事馬場 正明君
総務部長大橋 久夫君
行政改革推進室長石渡 秀雄君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁推進担当部長永田  元君
人事部長大原 正行君
主席監察員小島 郁夫君
行政部長村山 寛司君
多摩島しょ振興担当部長高橋 敏夫君
参事渋井 信和君
総合防災部長金子正一郎君
情報統括担当部長八木 憲彦君
勤労部長大塚 孝一君
法務部長中村 次良君
特命担当部長川村 栄一君
統計部長古河 誠二君
人権部長和田 正幸君
選挙管理委員会事務局局長押切 重洋君

本日の会議に付した事件
 選挙管理委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 総務局関係
  事務事業について(質疑)
  報告事項(質疑)
  ・三宅島の災害対策について

○土屋委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局及び総務局関係の事務事業に対する質疑並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○押切選挙管理委員会事務局長 去る十月十五日の当委員会でご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の要求資料、平成十五年四月十三日執行都知事選挙予算経費内訳をごらんいただきたいと存じます。
 この表は、都知事選挙の予算額を経費別に記載したものでございまして、平成十五年度の予算額は、二十八億六千四百万余円でございます。
 次に、各経費の内訳をご説明申し上げます。
 まず、選挙執行経費でございますが、予算額は五千九百万余円でございます。
 主なものといたしまして、金額の多いものから、事務費として二千三百万余円、病院等で投票した不在者投票の郵送費に二千百万余円、投開票速報に係る経費として一千百万余円などがございます。
 次に、選挙公営経費でございますが、予算額は二億六千五百万余円でございます。最も金額が大きいものは、新聞広告の掲載料で一億一千八百万余円でございます。次いで、選挙運動用通常はがきの郵送料九千五百万円、政見放送に三千三百万余円でございます。
 次に、選挙啓発経費でございます。予算額は一億六千三百万余円でございます。金額が大きいものは、テレビ、ラジオのCM放送料で、一億一千六百万余円でございます。次に、各区市町村を初め各地に掲示しましたポスターの掲出等に係る経費で、三千万余円でございます。
 最後に、区市町村交付金でございますが、予算額は二十三億七千五百万余円でございます。内訳は、まず投票所経費が、十四億五千七百万余円でございます。これは、都内全域で一千八百カ所余りの投票所に係る経費でございます。次に、開票所経費。六十二の開票所に係る経費が、二億八千七百万余円でございます。次に、選挙公報の配布費が、一億四千九百万余円でございます。次いで、ポスター掲示場費九千六百万余円ですが、これは、主にポスター掲示場の撤去に要する経費でございます。最後に、事務費三億八千四百万余円でございます。
 以上が、平成十五年度の都知事選挙の予算経費内訳でございます。
 なお、都知事選挙に係る事務は二年度に及ぶため、右の欄に平成十四年度分の予算経費内訳を記載してございますので、ご参考にしていただきたいと存じます。
 以上、簡単でございますが、ご説明申し上げました。よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

○土屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤田委員 それでは、新しい形といいますか、今の資料でもお話をいただいたのですが、なかなか時間的な問題やら、それから投票所に行ったときに簡単に投票ができるというような、そういうことも、昨今ではいろいろなところで取り組みが行われているというふうに思っています。
 それで、電子投票について少しお尋ねをいたしたいと思っています。
 お願いをいたしたのとちょっと逆さまになってしまいますが、国の電子投票特例法というようなものがありますけれども、実際に今モデルの実施の自治体というものは、どんなところでどんなふうに行われているかを、まずお尋ねをいたしたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 自治体の取り組み状況でございますが、電子投票特例法は平成十四年の二月に施行されましたが、それを受けまして我が国で初めて電子投票が行われましたのは、同年の六月二十三日の岡山県新見市の市長選挙と市議会議員選挙でございました。
 新見市に続きまして、本年に入りまして、二月二日執行の広島市長選挙におきまして、行政区の一つであります安芸区において電子投票が実施されました。
 次いで、いずれも議会議員選挙でございますが、四月二十七日宮城県白石市、七月六日福井県鯖江市、七月二十日岐阜県可児市、そして八月三日福島県大玉村におきまして、それぞれ実施され、現在までに電子投票を実施した団体は、合計六団体となっております。
 各団体での電子投票の状況は、可児市においてシステムが一時停止するというトラブルがございましたけれども、全体としてはおおむね順調に行われたものとされております。

○藤田委員 まだまだモデルの段階でございますけれども、先進的には、世界的にはブラジルが大変進んでいるというような話や、それから、聞くところによると、二〇〇四年、来年の参議院選挙には使えるのではないかというようなお話も、インターネット上ではそんなこともいわれているわけでありますけれども、それでは、電子投票について、都の取り組みについてお尋ねをいたしたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 先ほど参議院選挙でも実施されるのではないかというお話もございましたけれども、現在の電子投票特例法は、地方公共団体の長と議員に限って認めるという法律になっておりまして、国政選挙については実施の対象となっておりません。
 お話しの都選管としての電子投票関係についての取り組みでございますけれども、平成十一年より電子投票制度検討研究会というものを設置しまして検討を行ってまいりました。平成十四年三月には、その課題と対応策などから成ります研究会報告書をまとめまして、国に対し説明しますとともに、不在者投票への導入などの提言をいたしました。これは現在は、昨今の改正によりまして不在者投票における電子投票の実施も認められましたけれども、発足当初は、不在者投票については対象にならないということでやっておりました。
 次に、区市町村に対しましては、電子投票の動向とシステムの内容を周知することによりまして、情報の共有化を図ってまいりました。
 また、電子投票の導入には、現時点では多額の経費を必要としまして、導入する上での大きな課題となっております。
 このことから、都選管といたしましては、国の補助制度を踏まえまして、区市町村における電子投票の円滑な導入を支援するため、パイロット事業といたしまして先駆的に、電子投票を実施する団体に対しまして導入経費の四分の一を補助する制度を、平成十四年度に創設し、四千万円の予算措置を行ってきているところでございます。
 さらに、選挙関係者にも広く興味と関心を持っていただくために、電子投票の模擬体験などを実施してまいったところでございます。

○藤田委員 私も、ネット上では、新見市の画面が出ていまして、カードを入れてくださいとか、それによってだれのだれそれを投票しますというので投票をして、そして最後に、この人でいいですねというふうな形でやっているところを、実際にやってみましたけれども、今お話があった東京都のパイロット事業というのは、予算措置が行われたというふうになっていますけれども、実際にはどこも手を挙げたところがないということでしょうか。

○押切選挙管理委員会事務局長 各区市町村とも、電子投票システムについて関心は高くて、それぞれ、例えば実際に行われた団体への実地調査だとかあるいは模擬体験などを実施し、情報収集や検討を進めているところもございますが、現時点におきましては、導入を表明している団体はございません。

○藤田委員 もう一つ、開票機というものが、先般報道の中にも、その開票機をつくった人のことが出ていました。そして、いつでも我が市が、府中が都内でトップだというので、いつも最初に決まる都議会議員は僕なんだよなんていうような人がいらっしゃいましたけれども、そのことを聞いていましたが、どうなっているのかなと思ったら、この開票機を非常に有効に使っているということなんですけれども、この活用の状況についてはどんなふうになっていますでしょうか。

○押切選挙管理委員会事務局長 お話しの開票機は、恐らく開票時に用います投票用紙の光学式の読み取り分類機だろうと思いますが、これにつきましては、費用としては一台当たり約二百五十万円と高価なものでありますけれども、その導入効果は、とりわけ候補者数の多い選挙におきまして高いものと考えております。
 この機械が本格的に活用され始めましたのは、平成十三年の参議院議員選挙・比例代表選挙におきまして、非拘束名簿式が初めて導入されたときからでございます。
 この選挙では、開票の分類が二百を超えたために、従来の開票従事者の人数では対応が困難な、規模の大きな団体を中心に導入され、都内十一団体で、合計八十一台が使用されました。
 また、本年四月の都知事選挙におきましては、十二団体で合計七十二台が使用され、この機器十台を導入したある団体におきましては、前回選挙に比べて、開票従事者数を約二割減らすことができたとも聞いておりますし、また、導入によりまして、単純化された開票作業の一部を外部委託することができた団体もあったと聞いております。
 いずれにしましても、こうした機器の導入につきましては、区市町村選管が主体的に判断するものと考えております。

○藤田委員 先ほどの資料によりますと、選挙啓発経費というのが約一億六千万でしょうか使われているわけなんですけれども、自治体選挙そして都議会の選挙でも、我が杉並は非常に低くて四〇%足らずというような投票率で、そして、そんな中で選ばれてくるのが本当にいいのかどうかということを常々考えているわけなんですけれども、まず、投票率は、都としてはしっかりと上げたいというふうに思って活動していらっしゃるのでしょうか。

○押切選挙管理委員会事務局長 昨今、全体的な投票率の傾向を見ますと、個々ばらばらではございますけれども、全体としてやはり低下傾向にございますので、私どもとしましては、選挙は申し上げるまでもなく民主主義の根幹をなすものでございまして、投票率の向上は、都選管にとりましても重要な課題だというふうに考えて、その向上に努めております。
 しかし、投票率というのは、有権者の政治意識だとかあるいは社会経済状況など、複雑な要因によって影響を受けます。とはいっても、啓発というのは非常に大事なことですので、都選管といたしましては、これまでも投票日の周知や棄権防止などの呼びかけのほかに、日常的な啓発活動におきましても、有権者一人一人が政治に対する関心を高めて、政治意識の向上を図りますよう、各種の活動を実施し、一票の重要性、それから投票参加、政治参加の重要性を伝えてまいりましたし、今後とも精いっぱい努力したいと考えております。

○藤田委員 片方では、政治家が有効な選択肢を示すということがなければ、なかなか選挙に行っていただけないというところがあるわけでありますけれども、そのほかにも、人が集まるところに投票所ができないかなというのをよく思うんです。
 というのは、日曜日の、雨であってもあるいは晴れていても、近くの小学校や中学校に投票に行くというのが、まあ我々はやって、そしてどこかに出かけると、例えば、私の近辺ですと新宿やそういうところでは人がたくさんいる。こういうところで、実際には投票してきたのかなというふうに考えざるを得ないような方々がたくさんいるのじゃないかと思うのですが、してませんという方の方が多いような気がします。
 そうすると、投票所を固定せずに、駅前など人が集中するところで開催ができると、もっと投票率としてはよくなるのじゃないかなというふうなことも考えているわけなんですけれども、そんなことは現状の中ではどんなふうになっていますでしょうか。

○押切選挙管理委員会事務局長 現在は、ご存じのように、指定された投票所で投票するという仕組みになっておりますが、お話は、指定された投票所でない投票に関してのお尋ねかと思います。
 公職選挙法の規定によりますと、選挙人名簿は投票区ごとに編成しなければならないとされておりまして、また、選挙人はこの選挙人名簿との照合を経てからでなければ投票できないことも定められております。これは二重投票を防止する観点から設けられているものでございまして、照合ができる名簿のある投票所でなければ投票はできない、というのが現在の法の内容となっています。
 お話しの、同一区市町村内であればどこの投票所でも投票ができるようにできないかと、いわば広域投票についてのお話でございますが、投票所をオンラインで結ぶことにより、技術的には実現の可能性はあろうかとも思いますけれども、ライン化に伴う経費の負担の問題や、不正アクセスの防止などセキュリティー対策などの課題もございます。また、広域投票を実現させるためには、何よりも、先ほど申しましたように、公職選挙法の規定の改正が必要となります。

○藤田委員 先ほどから、電子投票と、それから二重投票を防止するためにというようなことでいろいろなされているわけですが、実際にはアメリカなんかでも、片方で開発していて、片方でその中に侵入していくことができるかどうかをやっていて、その中でも、非常に簡単にこの電子投票の中で侵入ができてしまうというふうな、そんな結果も出ているようでありますけれども、しかし片方では、簡便さとそして間違いがないような状況であれば、なるべく多くの人が権利としての行使をしっかりとできるように、さらに技術をいろいろと駆使をしていただきたいわけであります。
 この法改正などいろいろな点があろうかと思いますけれども、国へどんなことを提起をしているかをお尋ねをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 電子投票の導入につきましては、課題が幾つかあります。経費の面、それから国政投票で実施されていないということ、こういったこともございますので、私どもとしては、国に対しまして、自治体が導入するのにしやすいような環境を整備してほしいということ。また、国政投票と地方選挙が同時に実施されれば、経費の面も、コストも安くなりますので、ぜひ国政選挙でも導入するように検討してほしい、こういった要望を重ねております。
 また、先ほど不在者投票の話をしましたけれども、電子投票特例法ができた当時は、不在者投票が対象になっていないために、電子投票の方は非常に短時間で開票ができるのに、不在者投票分は手作業ということで、全体として開票時間の短縮化につながらなかったという面もございましたので、私どもとしても、不在者投票でもぜひ電子投票ができるようにしてもらいたいという要望をしまして、昨今改正されたところでございます。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○土屋委員長 これより総務局関係に入ります。
 事務事業及び三宅島の災害対策についての報告事項に対する質疑を一括して行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○大橋総務部長 十月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 三宅島脱硫施設宿舎、通称クリーンハウスの宿泊実績でございます。
 防災関係者等が宿泊するため、脱硫設備が整備された十八施設につきまして、一日当たりの平均宿泊者数を、平成十五年四月から九月までの実績を掲げてございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。よろしくご審議をお願いします。

○土屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○橋本委員 この後、三宅島の災害についてご質問をされる方が数多くいらっしゃるということでございますが、お許しをいただきまして、最初にご質問をさせていただきたいと思います。
 三年前の八月二十七、二十八日、私は三宅島におりました。亡くなった曽雌議員と一緒におりました。前夜から三十数回にわたる激しい地震の揺れがありまして、二人ともなかなか眠れなく、島民の方々の心配をしておりました。その翌日、記憶によれば八千メートル近い噴煙を上げて、全島島民避難のきっかけになったのであります。
 三宅島の火山噴火が、昭和十五年、昭和三十七年、昭和五十八年、平成十二年と、ほぼ二十年に一度噴火をしておりまして、私の生まれが昭和十五年ですから、私の人生で四回三宅島は噴火をしております。都議会議員にさせていただいてから二回噴火をしております。こういったいわば宿命の島というべき三宅島、もう全島民離島して四年目に入るわけであります。亡くなった曽雌議員も、その後、何とか島民の皆さんが帰れないかということを必死に心配をしながら、また考えながら、残念ながら先に逝ってしまったわけなんですが。
 そこで、三宅島が二十年の周期で噴火を繰り返しておりますけれども、今回の噴火の特徴、改めて、前回までの三宅島の噴火との違いを、ご説明をいただけますでしょうか。簡単で結構であります。

○金子総合防災部長 今回の噴火を含めて過去三回の比較でご説明させていただきますが、昭和三十七年は、雄山北東の山腹から噴火して溶岩が流出いたしました。噴火は約三十時間で終了いたしましたが、終了後から有感地震が頻発し、家屋五棟が焼失したほか、山林、耕地に被害が出ました。
 それから、昭和五十八年の噴火は、雄山南西の山腹に生じた割れ目から噴火をいたしまして、島の南部でマグマの水蒸気爆発が発生、多数の岩塊が周辺に落下いたしました。噴火から二時間で阿古地区に溶岩流が到達し、約四百棟の住宅が埋没または焼失するという被害が出ました。このときの噴火は約十五時間継続しております。
 これに対しまして、今回、平成十二年の噴火は、山頂からの小規模噴火を皮切りにしまして、数度噴火が発生し、その後噴煙を上げ、過去に経験したことのない二酸化硫黄が継続的に噴出するという状態が続いておりまして、現在も一日当たり三千トンから一万トンの二酸化硫黄を放出しております。
 このようなことから、前二回は溶岩流による被害が主なものでございましたが、今回は火山ガスが長期間にわたり放出され続けているということが大きな特徴でございます。

○橋本委員 避難生活が三年余の長きにわたっております。全島避難前の世帯数と人口数はどれぐらいだったのか。また、避難後、死亡された方や転出された方がどのくらいで、現在の世帯数と人口数はどのようになっておりますか。

○金子総合防災部長 避難前の十二年九月一日現在では、千九百六十六世帯、人口が三千八百二十九名となっております。また最近で、平成十五年九月一日現在では、千七百四世帯、人口が三千三百三十八名となっております。
 このうち、避難後に死亡された方が百二十五名、転出された方が四百四十一名となっております。

○橋本委員 亡くなった方は百二十五名、転出した方が四百四十一名、五百六十六名。その後生まれた方もいらっしゃるでしょうけれども、三年間で約五百人の方が、人口が減っているわけでありまして、これがまた三年続きますと恐らく千人ぐらいがいなくなっちゃう、そういう三宅島の状況、避難をされてきた島民の方でもそういう状況にあるわけであります。
 さらに、高齢者の占める割合が非常に強いということで、いろいろと対策を練っておられますけれども、私どもが質問してまいりました、げんき農場とゆめ農園、これは三年間で、げんき農場が九十八人、ゆめ農園が六十一人。都立大学が公園の清掃で百五人、緊急雇用事業で。十分とはまだいえないような状況でありますし、支援金、これまでの支援策ですね、義援金ですけれども、国と都で、単身世帯で七十五万円、複数で百万円、これは一回きり。それから災害保護特例事業が、これは生活保護のあれですけど、枠を五百万ぐらいに上げたと。それから生活福祉資金が、月百二十万、四十人ぐらい。こんなようなことで、私はまだまだ十分でないというふうに思っております。
 といいますのは、やはり前回の五十八年の噴火災害のときの借金が、いまだ残っている方が多いと聞いておりますし、今後ガスがおさまって帰島できたとしても、生活再建や住宅の再建が重い負担となっております。
 こういったことで、もう少し都総合防災部と三宅村との連携を密にして、基本的には、避難をしてきた島民の方々の、これは都内だけでなくて、北は秋田県から南は沖縄県まで避難をしておられるということであり、もう少し東京都の対応が、島民に目を向けられていいのではないかというふうに思っている一人でございますが、その点は、村との連携等、これまでの三年間の都の状況把握、これは、総合防災部長、どういうふうにおとりになっていらっしゃいますか。

○金子総合防災部長 ただいま先生からご発言ありましたように、三宅の全島避難以降、東京都としても村と連携して、さまざまな分野にわたって支援を続けてきたつもりでございますが、なお、十分でないというようなご指摘がございましたけれども、例えば生活の再建の関係とか事業の継続のこととか、いろいろな場面で、都と村とで、都の中でも各局が連携して、さまざまな役割分担を講じながら、私どもとしてはその時点その時点で精いっぱい続けてきたつもりでございます。

○橋本委員 九月二日に知事は、全島民避難が四年目に入ったことを踏まえたコメントで、生活再建や住む家の確保対策を含めたハード、ソフト両面からの支援策の検討を進めてまいりたいと、島民の皆さんにとっては大変力強いコメントを発表されました。
 と同時に、十六日に、三宅島帰島プログラム準備検討会が発足をいたしました。この検討会の検討の目的、検討会の構成メンバー、検討内容、項目、検討方法、検討の目途などについて、マニフェストをお示しをいただきたいと思います。

○金子総合防災部長 全島避難から三年以上が経過した三宅島の火山ガスの状況は、残念ながらいまだ改善されず、帰島のタイミングを図る時期には至っていないわけでございますが、帰島には相当な準備が必要であることから、このたび国、都、村で検討会を立ち上げまして、火山ガスに対する安全確保、インフラ整備、生活再建などについて、それぞれ三つの分科会を設けて検討することといたしました。親の本体の検討会は、東京都の部長級、それに内閣府の参事官、それに村が加わっております。分科会は、それぞれ関係の部課長で構成しております。
 十六年三月までに一定の報告を取りまとめることとしております。

○橋本委員 そこで、今回の地震の噴火の特徴は、溶岩が流れ出れば、静まれば避難をしなくてもいいし、すぐ帰れたわけでありますが、火山ガスが続いているということで三年も帰れない、こういう状況だと思いますが、このプログラム準備検討会での最大の目標は、火山ガスに対する安全確保策というふうにいわれておりますけれども、私が見るところ、火山予知連絡会の平成十三年からのこの報告を見ますと、平成十三年五月二十八日、引き続き火山ガスに対する警戒が必要、十月二十二日、引き続き火山ガスに対する警戒が必要、平成十四年二月、引き続き風下に当たる地区での火山ガスに対する警戒が必要、五月二十三日、引き続き風下に当たる地区での火山ガスに対する警戒が必要、平成十五年一月、風下に当たる地区では引き続き火山ガスに対する警戒が必要、平成十五年五月、風下に当たる地域では火山ガスに対する警戒が必要。三年間、同じ火山予知連絡会の報告に対して、どうすれば火山ガスがおさまるかというのは難しい問題だろうと思いますが、危機管理監、三宅島の風はどんな風が吹くのですか。

○中村危機管理監 私の聞いたところによりますと、三宅の場合は、西風が非常に多い、場合によって東北の風も吹くと。圧倒的に西風が、特に冬場を中心として強く吹くようでございます。

○橋本委員 危機管理監ですから、もっとたくさん何でも来いという感じで答えてもらわなきゃいけないわけでありますが、北東の風、北西の風、西風、南西の風と、ほぼ四種類が中心に風が吹くんだそうでありまして、風下に当たらない地区は--じゃあ、総合防災部長、どこが一番当たらなくて、どの辺が安心なんですか。

○金子総合防災部長 今、危機管理監からご答弁しましたように、年間を通じて比較的西風が強いわけでございまして、ガスの観測の状況からしますと、島の東側あるいは北側が継続的に低い数値を示しております。

○橋本委員 したがって、火山ガスがどの程度のレベルになれば帰れるというのか。もし島の一部に居住が困難な地域があるとすれば、村議会では、島内で他の地区に移転した上で帰島することも議論をされているというふうに伺っておりますが、風下は引き続き警戒を要するというだけの火山予知連絡会と、東京都の危機管理、総合防災部というか東京都全体で、この火山ガスに対する共通認識を持っていないのじゃないのかというふうに思います。
 したがって、火山ガスのレベルがどの程度になれば、今、帰島ができるというふうに思っておられますか。

○金子総合防災部長 初めに、先ほど、島の東側というふうに申しましたが、間違いでございまして、島の西側と北側が、観測上は比較的数値が低い地域でございます。
 それから、ただいまのご質問ですが、先ほど先生のご発言にもございましたように、予知連の見解は、相変わらず火山活動がゆっくりと低下してきているが、火山ガスの放出が当面続くと。二酸化硫黄についても、今のところ一日当たり三千トンから一万トン、おおむね横ばい傾向という状況でございます。
 それから、私どもも日ごろからガスの状況を継続的に把握しておりますが、ことしの三月に三宅島火山ガスに関する検討会というものの最終報告が示されまして、そこで、長期的影響の目安という数字が出されました。これは数字的には、年平均値が〇・〇四ppmというふうにいわれておりまして、この程度の濃度であれば、この程度の濃度を長期間にわたって吸うことによりせきやたんが出やすくなるというような、軽度の慢性的影響がある程度増加する可能性があると。こういう目安として、一つの〇・〇四という数字が出されております。
 いずれにしても、近々国の予知連からもこれまでの火山の活動状況を踏まえた見解が出されると思いますが、これらの状況を考慮した上で、一定の時期に都としての見解を示していきたいというふうに思っております。

○橋本委員 北地区の方が一番火山ガスが来ない地域。そこには三宅警察署とか三宅支庁第一、第二庁舎があります。西の方が三宅村役場があります。飛行場もあります。
 村の人たち、住民たちも、何とか帰れる者は一緒に帰って、自分の財産や土地を守りたいと。だから、月曜から金曜日までは--動けるようになると土日に、自分の財産等を守るために一生懸命修繕をしたいと、そういう思いがたくさんあるというふうに聞いております。そんな中で、三宅村の村役場を坪田地域に移動して、そしてクリーンハウスのあれを北の地域につくってというふうな、具体的な考え方を持っていらっしゃる住民もたくさんおられます。
 さらには、個人住宅を修繕する資金を国の方の制度で創設をしてもらいたいとか、災害公営住宅、国の予算でそれをつけてもらいたいとか。私も行きましたけれども、雄山からずうっと風に乗って青い煙が、雲みたいのが流れている。これは幅一キロもないぐらいなんだそうです、風の強さにもよりますけれども。そうしますと、それが流れているという通報の設置をされれば、その地域を避難すれば、ガスの影響を避けられるとか、ガスマスクをつければ大丈夫だとか、こういうことを一生懸命考えているのが、やっぱり、避難をされた三宅島全島の皆さんだというふうに思っております。
 したがって、この三宅島帰島プログラム準備検討会、来年の何か三月ぐらい、まだあと六カ月ぐらい先のような話をしておりますけれども、本当に真剣にやはりこの三宅島島民の避難された方々のことを考えて、防災対策、消防防災対策、また危機管理を中心としてやはり東京都が、東京都民なんですから、真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。局長の決意をお聞きして終わります。

○赤星総務局長 ただいま橋本先生から三宅島について、私どもの対策等についてるるお話しいただきました。私どもとしても全力を挙げて取り組んでいるところでございますが、先ほど、部長、危機管理監からもお話がありましたけれども、いかんせん島が小さいものですから、ガスが一定方向で、例えば西だけとか南東だけでしたらあれですが、一つのガスが流れ出しますと、逃げる時間帯というのが非常に少なくなっております。この同じような火山として、イタリアにもございますけれども、半径が六、七キロあるものですからガスは届かないのですが、この島の場合は非常に小さいものですから、端から端まで、上からガスが出て届くまでの時間が非常に短いものですから、やはりガスの動向というのは我々も十分考えながら行かなきゃいけないと思います。
 今、来年三月と申し上げたのは、プログラムの検討会の結果を出すということで、ガスの結果につきましては、西風がこれから吹き始めますので、十一月、十二月の状況を見て、国の報告も待たなきゃなりませんけれども、その前に国の報告が出ると思いますが、それらと合わせまして、都としてこれらに対しての一定の見解を出していきたいと、こう思っております。
 なお、我々としても、こちらへ来られている三宅島の方々には、今後も全力を挙げて生活支援に努めてまいります。

○山田委員 私は総務局に、人事管理、人材育成について質問をさせていただきたいと思います。
 都財政は依然として厳しい状況が続いており、今後も一層の内部努力が必要であると思います。これまでも徹底した事務事業の見直しを行うとともに、内部努力の一環として、平成十二年度から十五年度までの四年間で、財政再建推進プランに基づく五千人削減計画を上回る五千八百七十五人の職員定数の削減が行われました。また、先般、向こう三年間で四千人の職員定数の削減計画が示されました。
 都はこれまでも、不断の行政改革に努め、組織や職員定数の見直しあるいは人件費の抑制に血のにじむような努力を重ねてこられたわけでありますが、こうした取り組みにもかかわらず、バブル崩壊とその後の長期にわたる景気低迷により、都は未曾有の財政危機に陥っております。少子高齢化、IT革命、グローバリゼーションといった時代の新たな潮流が押し寄せてきており、環境、交通問題など、困難な課題も山積しております。財政危機を乗り切り、こうした課題を克服し、都民に信頼される力強い都庁に再生させるためにも、より一層の行政改革、内部努力に努めていただきたいと願う次第であります。
 そして、その柱となるのが、東京都の行財政を実際に動かし、実務に当たっている職員皆様方であると思います。公共部門においても民間部門におきましても、人材を得るということは、人事上さらには経営上最大の課題であります。およそ組織が効率的にその目的を達成するためには、物的、資金的、人的構成要素を有効に活用しなければなりません。その中でも、人の能力を発揮させることが最も重要であると思います。
 限られた人材で、充実した都民サービスを提供していくためには、職員一人一人の能力を十二分に活用していかなければなりません。そのためには、能力と業績に応じた人事管理を進めていくこと、あわせて人材教育に力を入れていくことが重要であると考えます。国の公務員制度改革では、能力等級制度の導入や勤務評定の充実など、数々の課題が挙げられておりますが、これも能力本位の人事管理を行うとともに、人材を育成し、職場の活性化を図ることに主眼があると思います。
 そこでまず初めに、都の職員構成について伺いたいと思います。
 都における職員構成を見ますと、団塊の世代といわれております五十三歳から五十六歳の方と、三十六歳から三十一歳の年代層が特に大きな山になっております。いびつな職員構成になっておりますけれども、そのことは、ポスト不足による人事の停滞や、将来的には中間管理職要員の不足など、人事管理の面で問題が生じるのではないかということも危惧するものであります。
 そして、都の認識と取り組み対策が、これまでどのような取り組みをされているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○大原人事部長 都における職員構成に山と谷が存在しますことは、ご指摘のとおりでございまして、昇任管理ですとかあるいはモラールの維持等の課題がございますことから、これまでも組織や昇任制度の見直しなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 また、採用につきましては、平成六年度から、民間企業等の職務経験が五年以上ある者を対象といたしまして経験者採用を実施し、平成十五年四月採用までで、事務、土木、建築等の職種で合計三百五名の採用を行っております。
 今年度からは、民間企業等の職務経験が九年以上ある者を対象にいたしまして、都の主任として採用する制度を創設いたしまして、職員構成の是正に努めているところでございます。
 さらに、主任選考や係長選考の資格基準の見直し、さらに管理職選考の見直しなど、人事制度の面でも対策を講じているところでございます。

○山田委員 組織としてのパワーを発揮するためにも、中期的な観点から人事制度の見直しを進め、問題解決に努力をしていただくことを求めておきます。
 次に、勤務評定についてお伺いをいたします。
 民間企業における人事管理が能力・業績主義を強化させていく中で、勤務評定制度の役割は一層重要性を増していると考えます。都におきましても勤務評定制度を取り入れ、人事管理に広く活用されていると思いますけれども、勤務評定制度がいつごろから取り入れられ、どのように活用されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○大原人事部長 いわゆる勤務評定制度についてでございますが、昭和四十七年に管理職を対象に、それから昭和六十一年には一般職員を対象に導入をしております。
 その後、時代の要請に応じまして、評定要素や着眼点などの改善を行いますとともに、勤務評定の結果を、昇任や昇格あるいは特別昇給の付与や勤勉手当の成績率決定などに積極的に活用いたしますことで、能力・業績に応じた人事管理に役立てているところでございます。

○山田委員 ご説明がありましたけれども、昭和四十七年に先駆的に導入をし既に実績を積み重ねているということでございますが、民間では、処遇に差をつけるだけでなく、人材育成などの多面的な活用がなされていると聞いております。都の勤務評定制度の目的は、処遇に差をつけることだけにしか活用されていないのではないかと思いますけれども、その点についてお尋ねいたします。

○大原人事部長 都の勤務評定制度でございますが、自己申告と勤務評定から成っております。職員は自己申告の中で、自己の職務の目標を、そのスケジュールとともに含めてこれを設定いたしまして、年間を通じた目標管理を行います。このことで、計画的な仕事への取り組みを促し、スピード感ある都政運営に役立てております。
 また、職員が自己申告書を上司に提出する際には、上司と面接を行いまして、職員のモラールアップを図りますとともに、個々の職員の適性や能力を把握いたしまして、人材育成にも活用しているところでございます。

○山田委員 ただいま、勤務評定制度については人材育成にも活用しているとのことではございますけれども、一般職員の人材育成という観点から見ますと、具体的な活用方法が明確でなくて、必ずしも機能をしていないのではないかと私は思っております。
 今後、業績を上げた者を評価する人事制度を徹底するとともに、職員を人材として育成していくためには、職責に応じ職員の一人一人の業績、能力、意欲、適性等の基本情報を、実態に即して、正確かつ客観的に把握をし、効果的に活用する方策を検討することが必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。

○大原人事部長 現行制度におきましても、自己申告、業績評価、上司との面接等を通じて得られた職員個々の人材情報をもとにいたしまして、実務上の具体的な指導や、適材適所の配置管理等を通じまして、人材育成に取り組んでまいりました。
 今後、人事考課制度を通じて得られましたこのような人材情報につきまして、IT化を含め、一層効果的な人材の育成に向けた有効活用を図ってまいりたいと考えております。

○山田委員 業績評価の評定結果につきましては、課長職以下の一般職の評定結果につきましては、職員本人への開示は現在行っていないようであります。職員の人材育成の観点からも、評定結果を本人に開示することが必要であると思いますが、いかがでしょうか。

○大原人事部長 評定結果の本人開示でございますが、職員の能力開発や育成を図る上でも、また、制度の公正性あるいは納得性を高める上でも重要なものであると考えております。
 一般職員への評定結果の開示につきましては、実は平成十四年度から段階的に行っておりまして、現段階では係長級職以上の職員に対しまして先行的に実施をいたしております。今後、こうした実施状況等を十分に検証いたしまして、本人開示の対象職員の範囲などを十分検討してまいりたいと思います。

○山田委員 次に、職員の研修制度についてお伺いをいたします。
 人材育成といえば、職員に対する研修は大変大事なものだと思います。東京都は職員に対する研修は現在どのように行われているのか、お聞かせください。

○大原人事部長 都における研修でございますが、総務局の職員研修所で実施をいたします中央研修と、各局が実施をいたします局研修とがございます。いわば役割分担をして実施をしているものでございます。
 中央研修は、新規採用職員に対する新任研修を初め、係長昇任時、課長昇任時など、職歴の節目節目で全庁に共通する研修を実施いたしますとともに、研修の講師等の養成に関する研修などを行っております。
 一方、局研修でございますが、局の事務事業に即した能力開発、局固有の課題に関する実務的な研修を主体に実施をしているところでございます。

○山田委員 ちなみに、ことしの新規採用に対する研修はどのようなものであったか、お尋ねいたします。

○大原人事部長 新規採用者に対する研修でございますが、仕事を進めていく上で必要な基本的知識を学ばせますとともに、東京都職員としての役割と責任を認識させ、使命感、倫理観を付与することなどをねらいとしております。
 平成十五年度は、前期後期合わせまして十六日間のカリキュラムで実施をいたしました。その内容でございますが、地方公務員制度や都政の課題など、基本的な知識を習得させるものや、現場の第一線の業務を体験させることなどでございまして、都職員としての自覚と責任を付与することに役立っているものと考えております。

○山田委員 次に、研修を受けるということのほかに、具体的に仕事を通じて育成を図ることも重要だと考えます。特に、ふだん経験していない都以外の仕事を経験させることは、長い目で見れば大変有意義なことだと思います。人材の有効活用という観点からも、区市町村との人事交流は積極的に進めるべきだと思います。
 そこでお伺いしますけれども、都の職員が、都職員以外の機関で仕事を通じて見聞を広める機会や、区市町村からの人材の受け入れを含めた人事交流などが、どの程度行われているのか。国、区、市、他県等にも派遣されていることもあると思いますけれども、どのような身分で出向しているのか。また、出向してきている職員はどのくらいの数がいるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○大原人事部長 区市町村等に対しましては、各区市等の要請に応じまして、地方自治法に基づく派遣制度を活用して、清掃事業に従事する職員を除きまして、現在、七十七名の職員を派遣いたしますとともに、九十三名の職員を研修生として受け入れております。
 このほか、国に対しましては三十二名を派遣し、十四名を受け入れていますのを初め、民間企業あるいは八都県市などとの交流も積極的に進めているところでございます。
 職員を派遣する際の身分でございますが、国への出向などで都を退職する場合には、国の職員の身分を持ちます。それから、地方自治法に基づいて派遣する場合には、都と派遣先の区市町村の職員の両方の身分を持つということになっております。

○山田委員 ご説明わかりました。
 ところで、研修や今伺いました派遣等の効果について、どのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたします。

○大原人事部長 研修でございますが、職務遂行に必要な基礎的な能力の付与や自己啓発の大切な機会となっていると認識をしております。また、職員を他団体に派遣することや他団体の職員を受け入れることは、国など他団体の政策決定過程や民間企業の経営感覚を習得することができるなど、いずれも今後の都政運営に役立つものであるというふうに考えているところでございます。

○山田委員 最後は意見で終わらせたいと思いますが、都における人材育成の取り組みについてただいま伺ってまいりました。冒頭にも申し上げましたけれども、都を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。少数精鋭で都政を支えるのは、まさしく一人一人の職員にほかなりません。こういう意味で、総務局の果たしている役割は大きいと思います。
 また、先ほど勤務評定の制度につきましても申し上げましたけれども、国の公務員制度改革で検討された能力主義にいたしましても、民間ではとうの昔に導入されたものでありまして、時代おくれの感は否めないと思います。
 研修をとってみましても、アメリカではインターネットを利用したeラーニングというのですか、が導入されております。我が国の民間企業でも普及しつつあります。また、民間では仕事への還元や社員の生涯計画の準備支援を図るためにも、資格取得のための財政援助が行われているようであります。
 こうした点で、公務員の世界、まだまだ工夫する余地があると思います。都はこれからも、国の取り組みも先導するつもりで、民間の知恵を活用し、今後とも人材育成に積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○真木委員 民主党の真木茂でございます。一年生議員でございまして、二年連続財政委員会に所属をしておりました。総務委員会は初めてでございまして、全く土地カンございませんが、一生懸命勉強をさせていただきます。赤星総務局長以下、総務局の皆さんには大変お世話になるかと存じますが、よろしくお願い申し上げます。
 さて、きょうは、三つの問題につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず第一点は、島しょ地域におけるブロードバンドの問題であります。
 私ども民主党は、富田議員が事務局長となって島しょ振興調査会というものをつくり、五月に御蔵、八丈、青ケ島に行ってまいりました。八丈では、八丈太鼓に興じながらしっかりと勉強をさせていただきまして、その中でも、八丈島の皆様の強い要望は、ブロードバンドをこの島にぜひ--まあブロードバンドという表現でありまして、具体的に光だとかそういうことではありませんでしたけれども、ブロードバンド対応をしてもらいたいということで、国なり都なりに働きかけをしていくということでございました。私も酔っぱらった勢いで、全力で頑張りますということを申し上げさせていただいたところであります。
 お伺いしますと、八丈島だったかと思いますけれども、島の皆様のブロードバンドに対する要求に、赤星総務局長が陣頭指揮で処理をしていただいたというようなことで、大きく前進をしたというぐあいに聞いております。そしてまた、五月の視察を受けて、第二回定例会におきましては、我が党の代表質問の中で田中議員も質問をさせていただき、強くブロードバンド化について、東京都としても後押しというか、公の支援をできないものかということで取り組み、ご質問をさせていただきました。民間の方で一歩進んだということでございますが、その点につきまして確認をいたします。

○高橋多摩島しょ振興担当部長 伊豆諸島地域におきましては、現在、ISDN方式によります低額のインターネットサービスは提供されておりますものの、ブロードバンドといわれます高速大容量のサービスは提供されておりません。
 このたびソフトバンク社及びNTT東日本の二社が、八丈島におきまして来年四月からADSL方式によりますブロードバンドサービスを提供する準備を始めたところでございます。
 また、NTT東日本は、大島においてもADSL方式によるサービスを導入する準備を始めますとともに、光ファイバー方式の提供も検討していると聞いております。

○真木委員 今正式に議会の中でお答えされるのはADSLの問題だと思いますけれども、聞いているところでは、また内々のことで教えていただいておりますのは、伊豆七島全体に対するADSL、そして八丈、大島に対する光ファイバー、そうしたことでもう既に準備を進めていただいているというぐあいに聞いております。
 ここまでいきますと、もう既に私どもの要求、もしそこまで現実があれだとしたら、東京都なり私たちが要求するところに、民間事業社満額回答ということになるのじゃないのかなというぐあいに私は思っております。東京都はどうとらえるのか、その辺につきましてもぜひ今後お伺いさせていただきたいというぐあいに思っておりますけれども、今のこのADSLへ準備が入った、光も検討を始めたという状況につきまして、現状を東京都はどのように認識しておりますでしょうか。

○高橋多摩島しょ振興担当部長 都といたしましては、民間の通信事業者が企業努力によりまして伊豆諸島地域のブロードバンドサービスを提供することは、島しょの発展にとって意義あることであると考えております。当地においてブロードバンドサービスが提供され、またその活用により島の振興と発展が図られるよう、今後とも関係者に働きかけを行ってまいります。

○真木委員 今ご答弁にありましたブロードバンドサービスが提供され、その活用により島の振興と発展が図られるよう関係者に働きかけを行うということでございます。
 この場合の関係者というのは、いろんな方面のいろんな関係者がいらっしゃるんだと思いますけれども、もし本当に伊豆七島全体でADSL、そして八丈と大島で光ということになれば、民間事業者における努力というのはもう限界の限界だと思います。その上で東京都としてどうするのかということにつきまして、ぜひ、一定の段階までいきましたら、ご検討をいただきたいというぐあいに思います。
 今回進んだのも、国の方の規制が--東京から島に行く光の、光に限らないですね、海底ケーブルが伊東から出ている。で、伊東までの大容量ケーブルを東日本がやる場合に、NTT東日本がNTT西日本に年間一億円の運用料金を払わなきゃいけない。これが国の規制緩和で西日本に払わなくてよくなった。そうしたことが大きな改善の原因だったというぐあいに聞いております。
 このように国のさじかげん一つで、行政のさじかげん一つで、島の皆さんが大きな恩恵をこうむることができる。民間の事業を大きく前進をさせることができるという事例でございます。
 今回、国は一円も出しておりませんけれども、島の港湾予算は、平成十四年度だけでも、八丈一島で二十四億円、伊豆諸島で百十億円、港湾整備費だけで、十四年度単年度でそれだけの費用がかかっています。また、八丈空港の拡張整備費は五十億円かかります。
 私どもの民主党の試算では、田中幹事長のときに質問をさせていただきました伊豆七島全体のADSL予算は、多分三、四億円程度でできているんだろうというぐあいに、私ども民主党の方では試算をさせていただいております。わずかこのお金で、東京都からすれば三億円、四億円程度、程度とあえていわせていただきますが、空港だけで五十億円、一年間の八丈島一島の港湾予算が二十四億円。それに比べ、伊豆七島全体のADSL化が初期投資三、四億円でできる。そういうことであれば、公としてもう一歩踏み込むこともできるのじゃないのかなという思いを持っております。
 さらには、先ほど申し上げましたように、伊豆七島全体でADSL、八丈、大島で光ということになれば、もうこれ以上は民間は絶対に無理だと思います。その上で、じゃあ、残された御蔵ですとか青ケ島の皆さんに、もう一方のものを進めていくのかどうか、公としての考え方をぜひ持ってもらいたいと思うところであります。
 と申しますのも、私は年に何回か島の議員とお会いする機会を最近持つようになりました。一人だけでございますが、その先生とお話をしておりますと、ADSLじゃ不十分だ、光が欲しいというわけですね。今ADSLで、仕事でもよっぽど動画の高度なものをやらない限り、時間は料金変わらないわけですから、物すごい高度なアニメーションをやるとしても、時間がかかるだけであって送れる、なのに何で光がそんなに必要なんですか、僕の家も光を引きたいんですけど、僕の家は光引けないんです、内地よりも高度なものを要求するんですかというぐあいに、ちょっと反論をいたしました。
 そうしましたところ、いや、島だからこそ光が必要なんだといわれました。医療とかが島だからこそ必要なんだと。あなた方のところは車で何分か、一時間か二時間行けば、高度なCTだとかMRIですとか、先生が診てくれるじゃないか。こちらは、機械があっても診てくれる先生がいないとか、飛行艇で飛んでいかなきゃいけないとか、そういった問題があるんだと。だから、光があって、先生が機械を通してくれれば、内地の高度な先生が診てくれて、島から出なくても済む。そうしたいろんな活用方法があるのだ。島だからこそ情報化が必要なんだということをいわれて、なるほどなあと思った次第であります。
 最後、一つ哲学的な問題をご質問させていただきますが、東京都がそうした島の生活を考えていく上で、私はあえて振興という言葉を使いません。産業政策としてというのじゃなくて、振興とかいうのじゃなくて、島の皆さんの安心と安全も含めた生活を考えていく上で、情報というものをどのように位置づけるのか。
 単に振興だとか、あと、本土との格差を是正する、ちょっとキャッチアップをすればいい、内地が一〇〇までいけば島は八〇までいけばいい、一〇〇に近づけばいい、そういう問題ではなくて、島だからこそ一二〇。内地が一〇〇であっても、さらに一歩高度なものをつくる必要があるということも考えられるのだと思います。
 そうした中で総務局として、東京都が島の生活を考えていく中で、情報化というものをどのように位置づけていくのか、十分に検討していただきたいと思うところでありますが、ご見解をお尋ねしたいと思います。

○高橋多摩島しょ振興担当部長 本年四月に策定いたしました東京都離島振興計画におきまして、情報の高度化は行政や産業、生活などの分野で活用することにより、島しょ地域の振興を図る手段として重点的に取り組む施策の一つと位置づけております。
 島しょ地域におけるブロードバンドサービスの活用は、まず地元町村がニーズを十分に把握し、どのように取り組みを進めていくかが重要でございますが、都としては、地元町村の取り組みの進展も見定めてまいりたいと考えております。

○真木委員 ぜひ島における、まだ小笠原が残されているわけでありますけれども、当面は伊豆七島における八丈、大島を除くところに対する情報化の位置づけというものについて、ぜひさらなるご検討をお願いしたいと思います。
 その上で、続きまして、災害対策について二点にわたりお尋ねをしたいと思います。
 まずは水の問題であります。
 宮城県北部地震におきましても十勝沖地震におきましても、断水が起きました。東京都においては、応急給水槽を設置をして飲み水の対策をされております。現在の応急給水槽の整備状況を確認をいたします。

○金子総合防災部長 東京都は震災時の断水に備えまして、居住場所からおおむね二キロメートルの範囲内に給水拠点を確保するため、浄水場や給水所に応急給水用の資機材を整備しまして、非常時の給水拠点とするとともに、これらの施設のない地域には、今お話のありました応急給水槽の整備を行ってまいりました。
 その結果、平成十四年度末での応急給水の充足率としては、九六%に達しております。

○真木委員 九六%に充足しているということでございます。一〇〇引く九六、残り四%が残っております。この残り四%の対策、どのようにされていくのでしょうか。

○金子総合防災部長 都民の住居からおおむね二キロの範囲内に給水拠点のない地域が存在しているわけでございますが、今後、地域の実情に応じまして、効率的な手法により解消に努めていきたいと思っております。

○真木委員 こういうことをお尋ねさせていただきますのも、私の地元であります町田市にはまだ大きな、ほんのちょっと二キロの円が切れるというだけならまだいいのですけれども、人が住んでいるところに、たくさんの人が住んでいるところに、大きな穴が町田市内にまだ数カ所ございます。
 今年度おかげさまで調査予算をつけていただきました。その調査予算の進捗状況について確認をいたします。

○金子総合防災部長 ご指摘のとおり、町田市内にはいわゆる空白地域が存在しているわけでございますが、今年度、町田市内での応急給水槽の調査費を確保したところでございます。市の意向も踏まえまして、整備箇所を確定し、調査、設計を実施する予定でございます。

○真木委員 場所につきましても、具体的に進んでおるというぐあいに内々聞いております。そして、予算は履行されることは間違いないわけで、調査、場所と、具体的にどんなものをつくるのか。設計まで今年度でやっていただけることは、安心をしております。
 問題は、設計された後、本当に応急給水槽ができるのか、設計だけで終わりはしないのかというのが、非常に心配であります。非常に来年度予算が厳しい中、まだ数カ所残っている中で、一カ所の町田市内の調査予算、一カ所だけでありますよね、設計ができるわけであります。一カ所は絶対、来年度つくってもらわなきゃ困るわけでございますが、その予算確保、建設具体化に向けた決意をお尋ねしたいと思います。

○金子総合防災部長 今年度調査設計を実施したものにつきましては、来年度の建設に向けまして所要の予算措置がされるよう努力してまいります。

○真木委員 最後は、意見として申し上げさせていただきたいと思いますけれども、ライフライン関係、水であり電気であり、電話でありガスであり、水以外の民間事業者は、災害対策の経費も自分たちの収支の中でやっています。なぜ公営企業だけが災害対策は税金でやって、料金から確保されないのかということに関して、ちょっとというか大いに疑問が残ります。
 実際問題として、今設計をしている、調査をしているのも、維持管理をしていくのも、東京都の水道局がやられていて、お金の出どころだけが総務局という形になっています。そうしますとやっぱり予算を、予算をというか、安く仕上げようというインセンティブは、人の財布になってしまえば働きません。もっともっとこれは、事業主体である水道局が自分たちの料金の中でやらなきゃならないということになれば、いかに安くつくっていくかということについて、またいろんなしがらみというか規制にこだわることなく、二キロというのも、もうちょっとこう、考えようによってはいろんなやり方があるかもしれません。また、細かく小さくつくっていくという--二キロという応急給水槽の考え方ですから、大きなものをぼんぼんつくっていく形になりますが、もっと小さなものをあちらこちらにつくっていくというふうなこともあるかもしれません。その辺は専門家じゃなきゃわからないことを、今、総務局の方のというか東京都のルールで、総務局の予算の方で行うということになっていて、この辺は水道局に任せた方が安上がりにいろんなことができるんじゃないか、技術改良も進むのじゃないのかという気がしてなりません。
 また、なぜ水道だけが税金で行われるのかということについても、やはり納得というか説明がつかないと存じます。
 私、本会議質問の中で、二月に、質問をさせていただきました。町田市の井戸水の水源が、クリプトスポリジウムという菌が出るという浅井戸は、一律にだめよという厚生省の通達によって廃止になりました。しかし、きれいな水だから何もろ過装置がついていなかった。だからそれは認めなきゃいけなかった。でも、水道局が五億円程度のろ過装置をつければ、その水源は復活することができる。地下水ですから災害時にはとても強い。応急給水槽は消防庁からもたしか補助が出ているんですよね。そういたしますと消防のためにも使えちゃう。目の前に火が出れば、その水は一遍でなくなってしまう。ところが井戸水であれば多分無限に出てくる。そのための予算が五億円。だけども、水道局はそれをとめてしまった。一方で応急給水槽はつくっている。応急給水槽はばかでかいものになると、たしか約十億円、町田市の中の大きなものにはかかっていたと思います。
 そういったことも含めて、やっぱり事業者がやっていった方がよっぽど安上がりで、適切なものをつくれるということもあろうかと思いますので、そうしたこともぜひご検討をいただきたいなということを、意見として申し上げておきたいと思います。もう九六%できていますので何を今さらということでございますけれども、そんなことも意見として申し上げておきたいと思います。
 続きまして、災害対策として、都庁の通信についてお尋ねをしたいと思います。
 大地震の際に都庁が停電することも多分にあり得るかと思います。都庁が停電した場合、電話はどうなるんでしょう。私はこの前、自宅の電話機が壊れて買い直しました。買い直しまして、電源を抜いたら全くだめですね。昔の黒電話は、あの電話線一つで電話かけられましたけれども、今はコンセントをつけなければ電話機自体がつながりません。都庁の交換機も同じだと思いますが、都庁が停電した場合、どういうぐあいになりますでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 地震など大規模な災害により都庁舎が停電した場合、十時間電気を供給する蓄電池や七十二時間電気を供給する発電機設備があり、電話交換機に必要な電源を供給し、支障のないようにしております。
 なお、防災行政無線により区市町村防災機関とは常に連絡がとれるようになっております。

○真木委員 蓄電池ということですので、切れることなく、停電したらすぐ蓄電池が動き出し、その十時間もっている間に自家発電を発電するということで、万全の体制をつくっていただいているというぐあいに思います。
 しかし、電話交換機が壊れるということもあろうかと思います。電話交換機が壊れた場合、どうなっていますでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 万が一電話交換機が停止した場合には、非常回線に切りかわり、非常時直通電話機と呼ばれる二百回線の電話機が、直通で外部と通話できるようになります。

○真木委員 私はこの質問を通告させていただきまして、二百回線があるということを聞いて、へえ、どこにあるのといって探しました。確かに、普通の電話機とは違う電話機が受付のカウンターの下に隠れておりました。都の職員の何人かだけが、ここにあるのがそうだよねとかいいながら探し出してくれました。
 私は参議院議員の秘書をしておりました。参議院の会館、議員会館ですね、議員会館の一部屋、一人の議員に対する一部屋について、基本的には電話回線は外線は二回線です。二回線の中の一回線が赤い表示がついていて、災害時優先電話ですよということでありました。どんな地震が起きても--どんな地震が起きてもということはないですけれども、電話が一斉にかかったときに交換機がダウンすることを避けるために、ふくそう対策として、NTTを初めとする電話事業者は遮断を、回線をつながらなくします。ただいま大変込み合っていますというアナウンスを流します。その際もこの赤い電話だけは優先的につなげますよということで、私自身勤めながらも安心をしておりました。
 今ご答弁にありました二百回線、この二百回線は災害時優先電話になっているんでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 都庁舎の場合、二百回線のうち八十回線が災害時優先電話となっており、ふくそうにより発信規制がかけられていても、優先的に通話が確保されます。

○真木委員 都庁には一万台の電話機があるということでございます。それがだめになったとき、交換機がつぶれて一万台が使えなくなったときに、二百回線の別の電話があって、その二百回線のうちの八十回線が災害時優先電話だということであります。
 そうすると、二百のうちも、百二十は優先されなくて八十だけが優先されるわけであります。そうすると、百二十と八十を明確に分ける必要があると思いますが、その点はどうなっておりましたでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 非常時直通電話機については、平成九年に「非常」の文字と電話番号が書かれた黄色いシールを電話機に張り、わかりやすくしてきました。
 しかし、そのうちどれが災害時優先電話であるかについては表示が不明確でした。委員のご指摘もありまして、直ちに対応すべきと判断し、「災害時優先電話」というこの赤いシールを受話器に張りました。

○真木委員 迅速にというか、私が質問通告をして、この問題お伺いしますよということをお尋ねをしましたら、次のときにはもう対応しましたということで、迅速な対応をしていただきました。危機管理というのは、いつまでにやりますよということではいけないわけでございまして、赤星局長以下の総務局の迅速な対応に敬意を表したいと思います。
 二百回線あるけれども、百二十回線と八十回線、全く違うわけであり、同じような機械でありますけれども、災害時の緊急電話なんだからこれはかかるはずだといって幾ら電話してもつながりませんと。横の電話が実は優先電話だったのに、全部同じだろうと思って、大変だ大変だと大騒ぎしていることがあり得たわけですから。幾ら東京都の各省庁初め保健所から市役所から全部無線でつながっているといっても、きょう休みの部長と連絡をとらなきゃいけないと。局長の家にはたしか無線がついているんですよね、ご自宅にあるんですね。だけど部長や課長の家には当然無線はありません。至急課長と連絡とらなきゃいけない、部長と連絡とらなきゃいけないというときに、それで電話するのは優先電話なわけでございまして、すぐ近くに二台あったとしても、同じだと思って、一方の優先ではない百二十回線の方から電話しまくっていた。つながらない、つながらないと何回もコールした。ますますNTTはふくそうしてしまうということになるわけですから、八十回線を明確にしていただいたということは、私の指摘を受けて迅速に対応していただきましたことに、心より敬意を表したいと思います。
 ところで、その災害時優先電話というぐあいに書いていただきましたが、その災害時優先電話というのがふくそうのときにもダウンしない電話ですよということが、都庁職員全員にわかっていなきゃいけないわけですけれども、その周知徹底はできていますでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 先ほどもご説明申し上げましたけれども、非常時直通電話機については、阪神・淡路大震災の後、よりわかりやすくするために、黄色いシールを張りまして、説明書を作成し周知徹底を図ってきました。
 災害時優先電話につきましては、今回見直しを行い、受話器に赤いシールを張るとともに、文書でその趣旨を周知徹底しました。
 職員の異動もありますので、今後とも引き続き各局に周知徹底をしていきます。

○真木委員 今いっていただきましたように異動が前提です。今の総務課長さんだけご連絡しても、総務課長さん初めどんどんかわるわけですので、全オール職員がわかってなきゃいけない。今都庁の本庁にいない方も含めてわかってなきゃいけないわけですので、ぜひその辺の周知徹底をしていただきたいなというぐあいに思います。
 私、あえてこの質問をする前に、何人かの総務課長さん、各局の総務課長さんにお伺いしました。うちの局は災害時無線電話は取り外したはずだろうというような局もありました。びっくりしたんですが、その真偽は確認しておりません。どこかにあるはずだよ、黄色いのがついているでしょうと。今は私の指摘で新しく赤いのをつけていただきましたが、二百回線については、黄色いのをつけていただいたわけでありまして、黄色いのが、課長、総務課長の近くにはあるでしょうと聞いたけど、いや、おれ見たことないというような総務課長さんが何人もいらっしゃいました。各局の総務課長が徹底して、総務課長だけじゃだめなんですけれども、とりわけこの赤い--黄色と赤の違いは徹底していなければいけません。赤の災害時優先電話の周知徹底を、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 その上で、先ほどお尋ねをいたしました都庁の停電対策というものは、徹底をしております。見事だと思います。
 そうしますと、今お話をさせていただいたのは、万が一の停電した場合の話でございました。停電する可能性というのは少ないというか、七十二時間の自家発電装置があれば、大体電気は、とりわけこういった都心の地域では、七十二時間あれば復旧するだろうというぐあいに総務局さんも試算をされていらっしゃいます。
 そういたしますと、停電しないで交換機が生きているときにおけるふくそう対策は、どのようになっているでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 交換機が生きているということは、非常回線に切りかわっていない場合になりますが、その場合、NTT回線がふくそうして発信規制がかかったときには、一般の加入回線は電話がかかりにくくなります。
 都庁舎では、災害時優先電話回線が八十回線あるので、この回線を使って外部に電話をかけることになりますが、この場合、内線からの発信混雑を避けるために、発信できる電話機を、通常の四分の一の約二千五百台までに絞ります。その結果、災害時優先電話回線が有効に利用できると考えております。

○真木委員 先日、私たちが議会にいるときですから六日の日でしたでしょうか、六日じゃないな、十五日だったかな、震度四、この辺は震度三とあれしていましたが、随分と大きな地震がどんと来ました。私たち都議会民主党の控室に十人強の議員がおりましたが、そのうちの二人ぐらいを除いてみんな、十二人中十人ぐらいが一斉に電話をしました。こういうとき電話しないとな、愛情がないといわれるんだよなあなんていって妻のところに電話したりしておりました。見事なまでに一斉に電話をするなということを痛感したところでございます。
 一万台の電話機があるけれども、電話回線自体はそんなに多くないんですね。今、手持ちのデータ、この前いただきましたけれども忘れてしまいましたが、その中でも、八十回線だけが優先電話であります。そうすると、二千五百回線から八十回線しか使えない。素人的に考えますと、二千五百回線--私のこの前の震度四の経験でも、十二人中十人が電話をしました。今の確率でいけば、二千五百人中二千回線ぐらい電話をすることになってしまいます。
 八十回線しか優先電話がないということで、八十回線をふやせということも考えなきゃいけないのかもしれませんが、二千五百までしか、四分の一までしか絞らないということについて、総務局長、総務部長、部長と総務課長までしか使えないような形、二十分の一ぐらいまで落とすようなこと、四分の一ではなくて、そういったもう一段階のふくそう対策というものを、都庁の交換機の中でする必要があるんじゃないのかなというぐあいに思うわけですけれども、統計的に問題がないか十分に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 現在は二千五百台までに絞るということで考えておりまして、不要不急の電話は避けるように徹底することによって、問題は避けられると考えています。
 もしさらにふくそうが続く場合には、手動で非常時直通回線に切りかえて、災害時優先電話回線を有効に機能させます。また、防災行政無線電話やパソコンを有効に活用していきます。

○真木委員 今、二千五百まで落とした後、二千五百で八十回線だけあるというのがちょっと難しければ、手動で二百までは落とすと。今度は十分の一以下に落とすということで、二百に対して八十ならば、これはもう十分でありますが、オール東京一万台の電話機の中で二百だけに落とされるというのは、これまた少な過ぎるというか、気がいたします。その中間というものがあっていいのかなというぐあいに思います。
 東京都の大地震の際の通信体制はどうなっていますかというぐあいにお尋ねしますと、防災無線があるんだという形で、いつも胸を張ってお答えをいただきます。立派なもので、私はてっきり特殊な通信、昔のように「どうぞ」みたいなことをいうのかなと思ったら、全くの電話と同じ状態でお話ができるということで、わあすばらしいなというぐあいに思ったところでありますけれども、しかしながら、それは役所ですとか学校ですとか--学校はつながってないですね、役所ですとか保健所とかだけでありまして、先ほど申し上げましたように、部長と連絡をとらなきゃいけない、課長と連絡をとらなきゃいけないということがたくさんあるわけですので、災害時における都庁の優先電話対策というものを、ぜひ十分にご検討いただきますことをお願い申し上げ、終わります。

○古館委員 それでは、三宅島民への支援策について何点かお尋ねいたします。
 先ほども質問がありましたけれども、一刻も早く帰りたいとの思いは、島民みんなの気持だと思います。しかし、全島避難から三年を過ぎるという状況の中で、帰るに際しても、島民のだれもが、住まいでも生活でもあるいは営業でも、再建できる環境というのをどのように行政として速やかにつくっていくのか。これが非常に大事になっていると思います。
 そういう観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、三宅島の帰島プログラムの準備検討会の設置についてでありますけれども、三項目めに、生活再建に関する事項というのがございますが、これにつきましては、避難している現在と帰島後の両面にわたっての検討になるのでしょうか。

○金子総合防災部長 この検討会は、帰島に際して必要となる火山ガスに対する安全確保、インフラ整備、生活再建に関する対策や課題を検討するために設置したものでございまして、帰島後を視野に入れたものでございます。

○古館委員 帰島後ということなんですけれども、それ自体、私は否定はしないですけれども、しかし、今の島民は現実にここに生活をしている。で、借財だとかさまざまな、家族構成がどうなっているかとか、そういう点からいいますと、今のこの生活実態から、その後帰島した場合にどうなるのかということは、連続性の問題というのは非常に大事になっているというふうに思います。
 そういう点から、三年が経過した中での島民の生活、ですから、そういう意味では、そうした現在の生活実態を帰島後に引き継いでいくことになるわけですから、そういう諸問題についても考慮されながら検討しなければならない、このように思いますが、いかがでしょうか。
 それとあわせて、第四項目めのその他というのにはどういうものが含まれるのか、あわせてご答弁いただきたいと思います。

○金子総合防災部長 この検討会自体は、先ほどご答弁しましたように、帰島後を視野に入れたものでございますが、帰島に際していろいろな課題があり、またいろんな施策が多分必要になると思います。それらは帰島後のことを視野に入れても、例えば帰島前から準備をしなければいけないというものは当然出てくると思います。現時点で、帰島の前後というふうに明確にはなかなか区分ができないものではないかというふうに、私は認識しています。
 それから、四項目めのその他というのは、あらかじめ想定した大きな事項を、今申しましたように、安全、インフラ、生活というふうに大きく三つに分けたわけでございますが、今後、検討の過程において新たに検討すべき事項が生じた場合のために入れてあるものでございます。

○古館委員 次に、現在のこちらの避難生活の中で、本当に島民から喜ばれているげんき農場、それからゆめ農園、さらにシルバー人材センターというのがありますけれども、この全島避難が三年を過ぎた中で、それこそ海を隔てて島民のコミュニティがなかなか図れない、こういうもとで、げんき農場、それからゆめ農園などが果たしている役割というのは非常に大事なものがあります。
 単に雇用確保ということにとどまらない、はかり知れない役割を担っていると考えているんですね。
 ところが、これがいわゆる雇用対策というものですから、三年という長期にわたって継続して、特にゆめ農園なんかについては、予算上の問題で、国の予算だとかいろんな関係があって、これらが継続されるのかどうかということについても極めて、三宅島民にとっては大きな重大問題なんです。
 それで、私も一度八王子のげんき農場に行かせてもらいましたけれども、あのときでも、北区から八王子の農場に行くんですね、なぜかといったら、みんなの顔を見てみんなでお互いに励まし合って元気出しているんだということがあるんです。
 したがって、この問題については、ぜひともそういう認識をお持ちいただきたいというふうに思っているのですが、その点について、東京都の総務局としての、まずこの認識についての見解を求めたいと思います。

○金子総合防災部長 この事業は産業労働局及び三宅村が実施してきたものでございますが、単に雇用の確保のみならず、営農意欲の維持あるいは島民同士の情報交換、交流の場として重要な役割を担ってきたというふうに聞いております。

○古館委員 今、重要な役割を担ってきたという認識を示されておりますので、私はぜひ継続に向けて関係局と調整をしていただきたい。それこそ三宅島民の夢をつないでもらいたい、このことを強く求めておきます。
 次に、避難島民の既往債務、それから災害復旧資金への利子補給についてですけれども、これは現在も行われておりまして、島民も本当に助かっているという声が上がっています。私はさらなる継続が強く望まれていると思っておりますし、これらの利子補給についての、果たしている役割についても、この問題についてご見解を伺いたいと思います。

○金子総合防災部長 三宅島の火山活動により被害を受けた中小企業及び農林漁業者に対する、都と政府系金融機関の災害復旧資金融資及び利子補給措置が行われているのですが、これは具体的には産業労働局が担当しておりまして、こうした方々に対する大きな力立てになっているというふうに聞いております。

○古館委員 これは、来年の三月末までこの利子補給が延長されているというのは承知をしております。私は、その後においても継続できるように、ぜひこの関係局と調整をしていただきたい。この利子補給というのは結局帰った後についてもずうっと回ってくるわけですよね。帰っていったら帰ったでまた、後ほど質問しますけれども、さらなる支出、出費が当然出てくるわけですので、この点についてもぜひ、その継続について関係局と調整できるようにしていただきたいと思っております。
 次に、生活に困窮している避難島民の現状をどのように把握しているのかということについてです。把握しているとすれば、今、島民の間から、ことしもまた年を越さなければいけないと。ぎりぎりで生活している方々から、せめてもち代程度でも越年資金をという声が去年も寄せられました。私も去年、総務委員会でそのことも提案させてもらいました。そういう声が寄せられているのですが、村から都に対してそうした越年資金あるいはもち代のようなもの、そういう相談があった場合には、ぜひその相談に応じる、そういうふうにしていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 避難島民の現状につきましては、三宅村が生活実態調査を実施しております。東京都はこれまでも三宅村や国などと協力しながら、被災者生活再建支援金の支給や都営住宅の提供など、さまざまな支援策を講じてきたところでございます。
 今後も、三宅村や国と連携して、必要に応じ生活支援に取り組んでまいります。

○古館委員 生活支援の問題と同時に、この問題は年末をどのように過ごしていけるかという点で、本当にぎりぎりの生活で頑張っている。そういう中で、残念なことに、島へ帰れないで、先ほどもお話がありましたが、亡くなっていかれるという方も、本当に少なくないという残念な結果になっていますので、そうした点でも、ぜひこのもち代だけでもという声にこたえていただければと思います。
 この十月の十八日、十九日に私ども日本共産党の寺本三宅村議が、島民の方々と一緒に三宅島に一時帰島をいたしました。その際に最も家屋被害の大きい三池地区や農地の被害状況などをつぶさに見てまいりました。そのことで、その状況などを聞く機会がありまして、寺本村議も、三池で一生懸命家の状態がどうかということを見ていた家庭の方々とお話しする機会があったんですね。
 例えば、三池の地区は七十戸ほどの住宅があるんですけれども、外見上は建っているのですが、中に入ってみると、本当にその傷みの深刻さに一様にみんな驚いたという声が上がっている。例えば民宿をされているお宅が、もう畳はぼろぼろで、もう全然家具類なんかも全部だめで、民宿やっていますから五台の冷蔵庫があるのですが、これも全部だめで、それから二台冷凍庫というのもあるのですが、これも全滅なんですね。何とか補修して住めるかなという住宅は、どう見ても十分の一ぐらいしかないということでした。
 そこで、お伺いしますけれども、三池地区などの住宅の現状について、間断なく傷みぐあいが押し寄せてくるわけですね、都として、そういうぐあいなどの実態を把握していると思うんですけれども、どのように把握されているでしょうか。その現状について明らかにされたいと思います。

○金子総合防災部長 三池地区に限らず、三宅島の家屋被害につきましては、村の状況把握によれば、島外避難の長期化により家屋の劣化が進んでいる状況にあると。特に火山ガスの影響によりまして鋼板の屋根が腐食して、雨漏りによる室内や設備機器への被害が進んでいるというふうに聞いています。

○古館委員 今、先ほどもお話ありましたが、全国で大きな地震が続発をしています。地震や火山災害などに対して、私もこれまでも何度も三宅島民の方々と一緒に、我が党の国会議員の協力を得て内閣府などに赴いて、生活や家屋被害への支援制度の創設などを求めてまいりました。国会議員の間でも今は超党派で、それこそ自民党から私どもの日本共産党まで超党派で国の制度化に向けた行動を精力的に取り組まれて、内閣府が来年度にやっと住宅の問題を初めとする予算化が図られるようにと予算要求をして、これを受けて、ここにありますけれども、全国の知事会がその確実な予算措置に向けてその実現を強く求めております。
 この中で知事会は、住宅支援制度の実現を図るため、新たに知事会として三百億円を拠出する用意のあることを、この文書の中でも、内閣府に出しているものですが、明らかにするとともに、長期全島避難を余儀なくされている三宅島民に対する支援でも、長期避難世帯に対する支援の拡大等、きちんと全国知事会が位置づけて要望しております。
 そこでお尋ねしますが、内閣府と全国知事会が自然災害被災者支援制度の創設に向けて、それぞれ予算化の方向で動き出していることは、今紹介したとおりであります。東京都としてこの確実な実現を国に働きかけるとともに、都独自でも上乗せ措置を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 東京都は被災者生活再建支援法の改正などについて、既に本年の六月、国に提案要求を行ってきたところでございます。
 それから、ただいまお話にありました被災者生活再建支援と住宅再建支援を含めた自然災害被災者支援制度の創設に向けましては、全国知事会を通じて国に積極的な働きかけを行ってきたところでございます。
 今後とも制度の実現に向けて、働きかけを行ってまいります。

○古館委員 国に働きかけていくというのは当然のことです。それで、私が今質問したのは、それとあわせて、都独自での上乗せを検討する時期に来ているというふうに、今お話をさせていただきましたが、この問題についても検討に入ってもいいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。

○金子総合防災部長 現段階は、被災者生活再建支援法の改正と、それから住宅再建支援制度の創設という基本的な部分が動いているところでございまして、これらの制度がまだ今現在は、どういう形で最終的にでき上がるかということがわからない状態でございます。この段階で上乗せをするとかしないとかということは、まだ現段階ではお答えができない状況にあります。

○古館委員 都独自の上乗せをぜひ検討していただきたいということを要望しておきます。
 次に、先ほど、一時帰島してきた方々で三池地区を見ましたら、がけが崩れてきていて、それから海岸の方も地盤沈下で、高潮が来ると堤防を越えて波が押してくる。こうした対策が非常に急がれているという声が出されています。
 こうした状況を東京都としてどのように把握しているか。こうしたことについては急いで対応すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 がけ崩れにつきましては、都道沿いの斜面において小規模な崩落が発生したものの、大規模な崩落につながるものではなく、既に処理が完了しているとのことでございます。
 それから、地盤沈下に伴う防潮堤のかさ上げにつきましても、現在工事の準備中であるという報告を受けております。

○古館委員 それで、火山噴火で私も二度ほど、本当にありがたいと思っておりますが、現地の三宅島を視察させていただきました。で、流れてきて堆積した火山灰が民家などにも物すごい厚さで積もっている。現地視察をして、目の当たりにしたところでありますけれども、三年余の歳月が過ぎてくる中で、今この火山灰が固形状でかたく固まった状態になってきている。それで、厚いのが雨でもってだんだんかたさを増してくると、体積が凝縮されていくということで、つるはしでもなかなか除去できない。これが現地に行った島民の方々が一様に、これじゃ我々民家のところでも全然除去できないと、こういう話が出ています。
 こういう状態について把握されているでしょうか。

○金子総合防災部長 堆積土砂の堆積量やその状態につきましては、三宅村で実施した調査によりますと、総量が約六万六千立方メートル、それから火山灰の性質からいってかたくなっている、いわゆる固化しているものもあるというふうに聞いております。

○古館委員 このように固まった土砂で埋まった家屋について、土砂と家屋の廃材についての撤去、これがかなり深刻な問題になってきています。だから、あしたあさって帰れますよといっても、この問題なんかが解決していかないと、とてもじゃないけどそんなことかなわないんですよね。
 そこで、こういう問題については公費で行っていただきたいという声も上がっていますが、この点についていかがですか。

○金子総合防災部長 この件に関しましては、今後、三宅島帰島プログラム準備検討会におきまして、費用負担のあり方を含めて検討してまいります。

○古館委員 ぜひそういう実態についても真剣に検討して、実現できるようにしていただきたいと思います。
 それから、今、島民の方々が帰島後に生活、営業、こういうことを再開する。しかし、ガスの問題も帰れるかどうかということのちゅうちょする要因の一つにもなっているんですが、それだけじゃなくて、帰った後に果たして、家を再興する場合でも、農業を再興する場合でも、民宿を再興する場合でも、新たにお金が必要だ、こういう状況に迫られております。
 有珠山という北海道の、私の田舎はちょっと近いんですけれども、この有珠山の爆発で避難された住民に対して、北海道は、新たな融資については北海道の信用保証協会が保証した、こういうことを伺っているんですけれども、こういうことに対して調査したことはありますでしょうか。

○金子総合防災部長 いわゆる有珠山方式というのは、火山活動によりまして経営に影響を受けた中小企業などに対して、資金の融資の円滑化により早期復旧と経営安定を目的とするもので、融資額は最高で八千万、利率は一・三%、それから信用保証料も一部減額されたものとなっていると承知しております。

○古館委員 そうしたさまざまなところで現実の被害に遭って、例えば鳥取県の場合でも、さまざまな形で独特のそうした被害住民に対する援助というのはしているわけで、私は、こうした有珠山方式というものもぜひ考えていただきたいと思っています。
 長期にわたった三宅島からの避難生活という状況を考えると、今、保証人を探すということ自体が極めて難しいということは想像にかたくありません。この有珠山方式についても、ぜひ東京都として考えていただきたいが、いかがでしょうか。

○金子総合防災部長 帰島後の生活再建に関する事項に関しましては、三宅島帰島プログラム準備検討会で検討してまいります。

○古館委員 そういう点で大事な問題で問題提起していますので、今のご答弁も帰島プログラムの中で検討するということですが、そうしたことについても、ぜひ大事な課題として議論して、そうした見るべき結果を出していただきたいと思っております。
 もう一つなんですが、避難している島民で、現在、特養ホームなどに入居している方々の帰島後の受け入れなどについての対応も必要になると思います。避難島民で、現在、特養ホームなど何らかの老人施設に入所している高齢者は何人おられると押さえているのでしょうか。

○金子総合防災部長 平成十五年七月末現在でございますが、特別養護老人ホーム五十八名、介護老人保健施設等で二十二名と聞いております。

○古館委員 先ほど私もお話したんですが、特養ホームが三宅にありまして、「あじさいの里」というのがあるんですね。定員は五十人なんです。今のお話しされたご答弁の人数はそれよりもかなり多くなっております。
 この「あじさいの里」もかなり被害が大きくなっておりまして、入る場合には大改修が必要だと。ケアハウスのようなものも建てるなど、村の対応策に対しても、都として積極的に支援をしていただきたいと思いますが、ぜひ関係局とも調整をしていただきたいと思います。どうでしょうか。

○金子総合防災部長 帰島後の生活再建に関する事項に関しましては、先ほど申し上げました検討会で今後検討をしてまいります。

○古館委員 今のようなご答弁続いていますが、本当にそういう意味での、さっきからいっていますけれども、帰りたい、だけど、さまざまなそういうことが--環境をいかに行政が整えていくのかということが大事になっている。
 もう一つは、農業を営んでいる方が行って、すごい失望して帰ってきているんですよね。なぜかというと、先ほどいいましたけれども、帰島できたらすぐに農業を再開したいんだけれども、火山灰の堆積があって、しかも、三年以上も放置されていますので、竹がやぶのように異常に繁茂していて、ススキも一面に広がっていて、火山灰はある、これじゃどうしたらいいのかということで、本当にとまどっている。こういうことについて、東京都として把握されているでしょうか。

○金子総合防災部長 農地に関する調査は、三宅村が平成十三年度及び十四年度に実施しておりますが、平成十四年度の調査によりますと、約八五%の農地で草や竹の侵入が確認されているとのことでございます。

○古館委員 八五%ということはほとんどなんですよね。農業をどうしようかという前に、こういう除去だって、農地ですから、こういうものをどうしようかという方がよほど悩みの種になるわけですよね。ですから、関係機関と調整して、帰島したら直ちに営農できるように対応する必要があると思うんですが、いかがですか。(「ますます帰れなくなっちゃうよね、ハードルが高くなって」と呼ぶ者あり)

○金子総合防災部長 インフラの整備等に関する事項につきましては、今後、検討会において検討してまいります。

○古館委員 今、隣でもハードルが高くなるというんだけれども、現実なんですよね。だけども、その問題に対しては、今までも、公共事業でガスの噴出によって火山灰がずっと流出してくることを食いとめるとか、道路だとか公共事業というのはきちんとやってきていて、そこで、人間が住むということに本当の島としての存在意義があるわけなんですね。そこのところはしっかり押さえていただきたいと思います。
 私の最後の質問ですけれども、現在、火山灰のプリント、火山灰プリントということで、三宅島の火山灰プリントというのがかなりやられている。それから、ガラスの製品で、ちょうど三宅の青い海と同じような色がガラス製品でできて、それから陶器。私は二度ほど、板橋と隣り合わせにある北区の桐ケ丘にあります東京都の産業技術研究所へ行きました。見ていましたら、本当にきれいなブルーのガラス容器とかあって、ぜひ見てもらいたいと、産技研の屋上に行きましたら、これなんですよといったのが何かというと、屋上緑化なんですよね。屋上緑化で、三宅の火山灰と土の配合で--普通の土壌と両方が屋上にあるんですよね。火山灰を利用して土壌と一定程度まぜ合わせた方が、雨水の浸透度も強くて、それから成育の度合いも早い、しかも軽いということで、ですから、私は最後に、火山灰の利用で何か産業ができないのかと。都立産業技術研究所とタイアップして、三宅島で新しい産業の育成を考えることも非常に重要な課題だと考えていますけれども、どうでしょうか。

○金子総合防災部長 帰島後の生活再建に関する事項に関しましては、今後、検討会で検討してまいります。

○古館委員 それは、そういうふうになりますよということはわかった上で、私はあえて質問させていただきました。今、そういう現状もリアルに見ながら、それに対して、やはり三宅島に帰りたいと思っている人の思いというのを、私たちがどのようにして、それを一つ一つ実現のために共同で力を合わせるか、これは、行政としても議会としても極めて重要な要件だと思っています。
 そうした点で、引き続き、今質問したことが実っていくように、継続的に私もきっちり議会の中でも取り上げていくことを表明して、質問を終わります。

○土屋委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時十八分開議

○土屋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○藤田委員 それでは、私も何問か質問させていただきたいと思います。
 まず、都庁の改革アクションプランの中間のまとめが提示されて、パブリックコメントが出されているわけでございますけれども、都民からどのような意見が出ているかを、まずお尋ねをいたしたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 都民からの意見につきましては、現在集約中ですが、その意見内容としては、例えば、現場感覚を生かした改革とあるが、現場から改革に取り組むのではないか、また、実行に移すのに時間がかからないよう改革に期限をつけて取り組むべきである、さらに、都庁職員の意識改革なくして改革の効果はないなど、貴重なご意見をいただいております。
 これらのご意見の趣旨は、今後策定していく新たな都庁改革アクションプランに生かしてまいります。

○藤田委員 まさにそうですね。
 私たち、代表質問の中で、実は、財政再建推進プランが十月に発表され、そして重点事業が知事部局から出され、そして都庁の改革アクションプランは十二月というような、そんな予定を出されていましたけれども、もちろん予算のことがあることは重々わかっているんですけれども、本当にそれでいいのかなというのが、どうしてもひっかかりがありました。
 アクションプランというのは、とにかく内部改革といいますか行財政改革は常にやらなければいけないものでありますし、それをどういうふうに、現実、財政の中で実現をしていくかというようなことがあってしかるべきだと思いましたので、まず、自分たちがどういうことをやっていくんだということを提示したらどうか。そして、それを積み上げたものが財政再建推進プランになるんじゃないのかな、初めから枠を決めて、財務局がこれだけでやってほしい--もちろん、どれだけ足りないかというのは財務局の中で出てくるわけでありますけれども、初めから財務局でキャップをかぶせたようなのはおかしいんじゃないかということを代表質問の中でもいわせていただいたのでありますけれども、今回の財政再建推進プラン、いわゆる内部努力で一千億を目標額というふうにいわれているわけでありますけれども、これは総務局の考え方を積み上げたものかどうかをお尋ねをいたしたいと思っています。

○石渡行政改革推進室長 第二次財政再建推進プランでは、財政再建の具体的な方策として、内部努力で一千億円の削減目標を掲げております。内部努力の中で掲げている給与関係費の削減や監理団体に対する財政支出の見直しなど、具体的な取り組みの方策は、都として策定したものでございます。

○藤田委員 この内部努力の中には、給与関係費の削減が五百億、コスト管理の徹底で三百億、監理団体に対する財政支出の見直しで二百億というふうに、それぞれ金額が出ているわけでありますけれども、職員定数は四千人の削減、そして、アウトソーシング、コスト管理の徹底など示している中で、実際にどうやってこれを実現をしていくのか、どういう工程でこの三年間の中で実現できるのかということを、私としては、財務局がいっちゃったから、これでみんなやるのかな、納得しているのかなというのをすごく心配を申し上げているわけなんですが、どんなふうな手法で実現していくのかを伺いたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 アウトソーシングやコスト管理の徹底などの内部努力の取り組みにつきましては、新たな都庁改革アクションプランの中でも具体的な改革策として実施してまいります。実施の状況につきましては、毎年度検証を行い、議会に報告するとともに、都民に公表してまいります。

○藤田委員 実際には、この再建推進プランの中には、人事給与制度の改革の中には業績主義の徹底ですとか、それから退職手当についても問題視されています。そして、後ろの資料についても、国がもう既に最高限度額を五十九・二八に変えたんだからというような話も出ております。それから、通勤手当などの諸手当を見直しを行う、こんなことも書かれているわけであります。そして、なおかつ、コストのところというように、コストに関しては、例えば契約の見直し、内部管理部門のお金をどうしていくかというようなことも出ているわけでありますけれども、実際に、もちろんこれは人事のことでありますから、組合との話もあろうかと思いますし、諸所のものが考慮されなくてはいけないことがたくさんあろうかと思いますが、こういうことをやりながらということが今回の見直しのベースになっていく、これは財務局がいっているんですけれども、総務局の方ではこういうことを中心にやっていこうというのでよろしいんでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 東京都の財政再建推進プランで示されておりますとおり、今後、組織の効率化や事務事業の見直し、さらにアウトソーシングの拡大など、全庁を挙げて徹底的な内部努力に取り組むことによりまして、目標達成を目指していきます。

○藤田委員 それでは、もう一つが、監理団体に対する財政支出の見直しということでありますけれども、これについては、ある意味では、十二年度から十五年度、華々しく女性財団を廃止をしたわけでありますけれども、そして、その年においては非常に監理団体のことが報道されることも多く、我々にも、やっているぞという力強い改革案が出されてきたわけでありますが、ここ一年、二年、なかなかそういうことが見えてこないなということもありますけれども、昨年度については、経営目標についての達成状況が出されているうちで、九〇%以上達成できたものが四十九団体中二十二団体というようなことがいわれているわけであります。
 そして、これらを踏まえて、二百億ですね、これについても、どういう状況で戦略を持ってできるのかということをお尋ねをいたしたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 監理団体改革につきましては、今後も、社会経済状況に応じてその存在意義を検証するとともに、事務事業や執行体制の見直しなど、経営改善への取り組みを促進することにより、都からの財政支出を削減していきたいと考えております。
 具体的には、今後策定する新たな都庁改革アクションプランにおいて施策を定めてまいります。

○藤田委員 私は、いわゆる都の三セクなどについては、株式会社でありますから、バランスシートをつくっているというところで、東京都との連結決算をやることで、どういう状況かをしっかり見たらいかがかということで連結決算を提案したものでありますけれども、今回のこの状況を見ますと、どうなのかなというのがちょっと危惧をされますけれども、監理団体のバランスシートづくりというのは現在どんなふうになっておりますでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 機能するバランスシートは、現行の官庁会計の限界を補完し、ストックの状況や行政コストの状況を明らかにすることができ、都の行財政運営に有効なツールと考えております。
 一方、監理団体は、株式会社については商法に基づき、また公益法人については公益法人会計基準により、それぞれ損益計算書や収支計算書、貸借対照表など財務諸表を整備し、企業会計に即した財務運営を行っているところであります。
 機能するバランスシートからは、これまでも、大規模文化施設や新交通システム事業などに対して、さまざまな提言や基礎データを提供していただいており、今後とも、監理団体改革を進める上で参考にしていきたいと考えております。

○藤田委員 その点は、人も、そこへ都庁の人間が行っているという状況もあるわけですから、ぜひしっかりとバランスシートの中で改革の計画を練っていただきたいと思っています。
 もう一つ、自治法の改正によって、公の施設の指定管理者制度が創設をされたというふうになっておりますけれども、どのようなものか、ご説明をいただきたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 公の施設管理の民間開放につきましては、地方自治法の改正によりまして、地方公共団体が設置する公の施設管理を、指定管理者として民間企業に代行させることを可能にした制度でございます。
 ただし、道路、河川など、個別法の規定により指定管理者制度をとることができないものもございます。

○藤田委員 大変恐縮ですが、そもそも監理団体というのをつくったメリット、デメリットを教えていただきたいと思います。

○石渡行政改革推進室長 監理団体は、民間のノウハウ、人材、資金等を活用して、都が直接事業を執行するより、より効果的、効率的にできる場合に設置することが目的でございます。

○藤田委員 そうしますと、それよりもさらに、今回は、自治法の改正によって、民間団体が管理を行うことができるというような状況になったというふうに思います。そうしますと、管理を監理団体を含めて入札をしていくというような、そんな状況になるんだと思います。
 そうしますと、今まで、金額的にはいろいろあろうかと思いますけれども、例えばの例ですが、五十億で今まで東京都からのお金でやっていた。もちろん出捐金やら何やらありますけれども。それを入札をしたら三十億で済んだというふうになったとすれば、監理団体の存在意義というものがどんなふうになるのか、存在意義が失われるのではないかというようなことも危惧するわけでありますけれども、その辺についてはどんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 この指定管理者の指定におきましては、コスト、サービスの面で最も適切な事業者に管理の代行をさせることになります。その対象に今度は監理団体も含まれているという解釈でございます。
 このため、各団体は、民間との競い合いの中で、従来のノウハウと団体活用のメリットを十分発揮するとともに、一層の事業の効率化とサービス水準の向上を図っていくなど、これまで以上の経営改革に取り組むこととなります。

○藤田委員 イギリスで、清掃行政が実はこういう状況になったことが、同じような例がありました。行政も一つの団体として他の行政と競って、でも、まだ一度も負けたことがないというようなことが書いてありましたけれども、実際には、そういうことも含めますと、本当に監理団体が必要なのかどうかということも改めて問われなければいけませんし、それから、ある意味では、本当にコストだけでそれを考えていいのかということも片方で起きてくるんじゃないかというふうに思います。
 それから、先ほどお話した財政再建推進プランの中の説明の中にもありましたけれども、実は、都市公園と海上公園の管理というようなことで、全く同じようなところに二カ所の監理団体が管理事務所をつくっているというような、そんな状況からしても、本当にこれが有効な活用なのかどうかということを含めますと、やはり監理団体を今後生かすも殺すもといいますか、どういうふうな形でやっていくかというのは、ますますプレゼンをしてといいますか、みずからがこういうことで自分たちはやっていきたいんだ、公である必要といいますか、公益団体がやることがこういう意味があるんだということを、やはりしっかりと提示をしていただいて、その中でこの監理団体のあり方というのはもう一度さらに考えなければいけないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 お話しのございましたように、監理団体を取り巻く環境というものは大変厳しいものと認識してございます。これを踏まえて、監理団体改革の実施計画の中身について、これまで以上に充実したものとして、真に都民のニーズに的確にこたえられるサービスが提供できる監理団体になるよう、行政改革推進室としても、援助、支援してまいりたいと考えております。

○藤田委員 それでは、もう一点は、いわゆる電子都庁というようなことで、行財政改革ということを考えてみたいと思っています。
 電子都庁推進計画において、効果をどう出すかということが非常に重要であると思いますけれども、現在の業務改革の進捗状況についてお伺いをいたしたいと思います。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 電子都庁における業務改革の進捗状況についてでございますけれども、現在取り組んでおります電子都庁推進計画におきましては、まず、職員一人一台のTAIMS端末の配備や、これを支える都庁スーパーバックボーンなど、情報基盤の整備を進めてきたところでございます。
 そして、これらの基盤を活用いたしまして、今年度から文書総合管理システムを稼働させまして、意思決定の迅速化や行政文書のペーパーレス化に取り組んでいるところでございます。
 さらに、スポーツ・レクリエーション施設の予約や職員採用試験の申し込みなどの電子申請受け付けを開始するなど、都政の簡素効率化を目指しました業務の抜本的な改革を推進してきております。

○藤田委員 今、お話の中に、今年度から文書総合管理システムを稼働したというふうになっておりますけれども、決裁の仕組みというのはどの程度進んでいるのかをお尋ねいたしたいと思います。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 文書総合管理システムの利用状況につきましては、このシステムは、ことしの四月から稼働を始めたところでございまして、一定の期間の試行期間を経まして、この夏からほぼ本格的な稼働を始めたところでございます。
 まだ始めたばかりでございますので、全体的にはまだ三%程度の文書の決定率ということになっておりますけれども、ただ、各局の文書によりましては、例えば図面の多い文書でございますとか、そういったものにつきましては、なかなか電子文書化になじみにくいものもございます。そういった意味で、多少各局によってばらつきはございますけれども、局によりましては、全決定文書のおよそ三八%を電子決裁で行っているところもございます。

○藤田委員 起案や決裁、承認という作業は、実際には非常に頻繁に行われているかというふうに思いますけれども、そうしますと、まだ、紙と電子とが混在をしているという状況でしょうか。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 お話しのように、文書の性質、決定の性質によりまして、紙の文書と電子決裁と、いろいろ取りまぜて今行っている状況でございます。

○藤田委員 例えば、コスト管理の問題で、削減の問題で、いろいろなところに皆さん出張なさったりするかと思いますけれども、多分、それぞれの部署にお一人そういう方がいらしてやっているのかどうかわかりませんけれども、こういうことも、例えばこういう電子決裁などでやれば、普通に考えれば、人はだんだん要らなくなるというか、なおかつ、またさらにもっと大きなあれでいけば、都庁の中には旅行業者もちゃんとそろっているわけですよね。そうすると、ノウハウを持っているそこにお願いすれば、すなわちアウトソーシングの話ですけれども、そういうこともできるのかというふうに思いますけれども、まずそれは、実際には電子都庁の話になろうかと思いますけれども、そういう旅費といいますか、出張だとかそういうことについての問題も今はどんなふうになっているんでしょうか。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 内部庶務事務の電子化ということについてかというふうに思いますけれども、この内部事務の電子化につきましては、電子都庁推進計画の中にも記載をしてございまして、現在、それに向けて取り組んでいるところでございます。

○藤田委員 今お話したのは、実は後ほど質問させていただく包括外部監査の問題で、三重県の電子県庁状況を包括外部監査をしたというのが、最新の状況でインターネットに載っています。それについては、みんな一人一台パソコン体制を整えた、これはもちろん同じですけれども、電子決裁の状況が非常に悪い。そして、やってみたら、実際は二〇%ぐらいしか--パソコンにさわったことがない人もいるような状況で、二〇%しかアクセスがなかったというようなことで、かなりシステムの利用率は悪いということで、戦略がないというようなことまで、監査人からの報告が出ているんですね。
 我々も同じでございますが、ペーパーレスになるといってパソコンがいろいろなところに導入されているにもかかわらず、やはり画面よりも紙の方がいいというような状況で、なかなか難しいわけでありますけれども、ぜひ、これらについては、計画はおありになると思いますけれども、戦略を持って電子都庁にするということに大きくかじを切ったわけでありますので、ぜひその辺はしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 それから、今回また新しく電子自治体共同運営などというのも始まっているというふうに聞いていますけれども、オンライン申請には本人確認が必要なものなど、複雑な手続もあるわけですけれども、都庁においてのオンライン申請の実現状況と、今お話した共同運営、自治体同士のネットワークについて、どんなふうになっているか、お伺いしたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 現在、都庁では、厳密な本人確認を必要としない簡易な申請を対象に電子申請を進めています。東京都と区市町村が進めています共同運営におきましては、厳密な本人確認を必要とする申請にも対応できるよう努めていきます。

○藤田委員 実は、今お話しになったのが、厳密なというのが住基ネットの話であろうというふうに思います。私も住基ネットについては、たまたま住んでいる杉並区がまだ稼働をしておりませんので、いろいろな意味で関心を持ちながら、そして、実際に私自身も、監視社会というような大きな問題になりますと非常に厳しいものがあるなということで、問題意識を持ちながらやらせていただいておりますので、それについても少しお尋ねをしたいと思っています。
 本年度中に実施される予定とされている公的個人認証サービスを利用したオンラインによる申請はどうなっているのか。なぜこんなことをいうかといいますと、今、ホームページの中に、あるいは町の中にもありますけれども、「住基ネットがさらに便利になります」というふうなことで、こんなものが出されています。そしてその中に、電子政府・電子自治体を支える住基ネットというのがありまして、本年度中の実施予定、申請のイメージはこうなりますよというのがもう実際に出ているわけなんですけれども、このことについては、今どんなふうになっているのかをお尋ねいたしたいと思います。

○村山行政部長 これまでは、住民が何か行政手続を行おう、例えば税の申告などを行おうとする場合には、自分で役所の窓口に行って、それで申請書に署名、押印をして、かつ、その署名、押印が正しいものであるということを証明するために、印鑑証明書とか住民票の写しを添付する、こういう手続が必要なわけでございますけれども、公的個人認証サービスが開始されることによりまして、住民は、行政窓口に出向かなくても、自宅などのパソコンを使って税金の申告その他の申請ができるようになるというのが基本的な効果ということになります。
 公的個人認証サービスは、いわばその際の署名、押印のかわりとなる電子証明書を発行するサービスでございます。

○藤田委員 今お答えになったのは、随分先の話ですよね。自宅からというようなお話でございましたので、さらに広がった後だと思うんですが、そして、住基ネットがさらに便利になりましたというふうに先ほどお見せいたしましたけれども、これは総務省の広報なわけですけれども、今、部長がおっしゃったのは、出向かなくても済むというようなことでありました。公的認証ということでありますが、実際に都民にとって何が便利になったのかを伺いたいと思います。

○村山行政部長 公的個人認証の場合には、さっきいったようなことなわけですけれども、いわばそれの前提となる住基ネットの方のメリットは何か、都民にとって何が便利になるのかということについていえば、一言でいえば、行政手続をするに当たりまして、住民票の写しの提出が必要なくなった、なくなっていくということでございまして、計画では、最終的には、今、副委員長もご指摘になりましたように、全部というわけではございませんけれども、二百六十四の事務手続においてそういう効果があらわれてくることになっておりまして、現在既に開始されている事務については、例えば恩給、共済年金、パスポート申請などがございまして、年度内には、厚生年金や国民年金についてもそういう形になる予定でございます。
 それから、先ほどご答弁申し上げたような、公的個人認証サービスにおける電子証明書の発行に際して、その本人の確認のベースとして住基ネットが活用されるというような形で、両々相まつということになります。

○藤田委員 いろいろ言葉といいますか、字面の中では、こういうことに使いますというんですけれども、本当に私自身が便利になったかということですよね。実際には、例えばパスポートをとりにいくのは十年に一回ですし、それから年金をもらうのに、例えば母親の現況届を出すのは、私がそこに間違いありませんといってポストにはがきを入れればいいし、そうそう住宅を転居するというのもなかなか少のうございますし、そしてその中では、実際には往復の封筒の八十円が要らなくなるという、そういうことだけ。私はそれがメリットとはとても思えないなというふうに思っているわけなんです。
 実際には、それこそ初めのころに総務庁の官僚某氏がいったように、住民票がどこでもとれるというのは、どちらかといえば端っこの話だ、実際には、今ちょっと小さいところで住基のシステムを使ってもらって、安心を植えつけてから段階的に進もうというふうに政府は考えているはずだ、そして、本当のことを隠して、土壇場になって、これですとやるような体質はやめなくちゃいけないと思うよと、国民が驚くぐらいの情報を出して、国として議論を進めていくべきだというような、そこまでいっている人がいるわけですよね。
 ですから、私も、本当に便利になった、そして、どういうことなんだということを、こういうことだけじゃないんだということを、もっとしっかりと提起をしていくということが重要だと思うわけなんです。ちょっと電子都庁の話から離れてしまうんですけれども、住基ネットに対してはどうしてもひっかかりがありますので申し上げるんですけれども、やはりそこの先の話は、七〇年代は総背番号制の話でありましたし、これを隠して今回は住基ネットというふうになっていますし、そして、住基ネットの問題についても、この住民基本台帳法の中でいわれていることが、どこを読んでも、住基ネットとの整合性を図るという、読み取るということはなかなかできないわけですよね。
 だから、本当の意味で、じゃ住民にとってのメリットは何なのだ、住民にとってさらに便利になりますというのがどういうことなんだということを、やはりもっと議論をしていくというか、出していかないと、やはり片方で、選択性だの、うちは入らないだの、そして長野のように、侵入したらどうかというような、そんなことにもなりますから、私自身はやはり、住基ネットをめぐっては、もっと本質的な議論、国の形やあり方ということも展開をしていかなくちゃいけないと思いますし、それから、最終的には、住基と戸籍の問題や、それから外国人登録の問題、そして軍事と安全保障というような、そういうようなところまですべて議論をしていって初めて、じゃ住民にとって何が必要なのか、何が便利になったのかということをいわなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

○村山行政部長 住基ネットがどう役に立つのか、個人認証がどういうふうに役に立つのかという問題というのは、実際のサービスが実際に姿をあらわしていくことの中で、都民、住民の認識もまた深まっていくんだろうと思うんですね。そのために、先ほど来説明のあったような形で、その実際のサービスをそういう形で提供する方の開発を、今、並行的に急いでいる。それができて、こちらのインフラの方がそれに乗っかって、初めてサービスというものが具体的に、自宅で何かできるとかいう話になってくる中で、幾ら言葉だけで申し上げても、副委員長ご指摘のとおり、なかなかぴんとご理解いただくということは難しいので、その辺のサービスを一日でも早く具体の形にするという形でその辺の疑問については答えていきたい、かように考えております。

○藤田委員 それにしては、八月二十五日から第二次稼働、本格稼働が始まりまして、五日間のデータでありますけれども、東京都全体で八千四百枚ですか、そんな状況でありますので、非常に皆さんから信頼を得ていないんじゃないかなというふうに私は思います。ですから、そういう意味では、なかなか難しい--最終的にこういうサービスが受け取れますよということが、都民は何にも便利になったと思っていないからこういう状況だと思いますから、そういう意味では、ある意味では、もっと知らせる必要があるんだし、本当のことをやはりきちっといっていくということが大事なんだというふうに思っています。
 それで、市区町村独自のサービス利用状況というのはどんなふうになっているかを伺いたいと思います。

○村山行政部長 都内の区市町村が、住民基本台帳カードは、それはそれとして、それの上に、それを独自で使って、条例をつくって、いろいろな自分のサービスのために使うというのが、今のご質問の趣旨かと思うんですけれども、それは、今、都内で条例をつくっているのは四団体、年内にもう一団体ふえますけれども、来年度またさらにふえるということなんですが、それについても、少ないときっとおっしゃられるだろうから、先に申し上げれば、多くはないわけでございまして、それも、実は住基カードというものは、さっき申し上げた公的個人認証とか、ほかのそういうサービスの中の受け皿がずっと広がってきて、初めて非常に汎用性の高いものになってくるわけで、現在のところは、残念ながら、まだそちらのサービスが、さっき申し上げたような幾つかの事務のところで限定されていますので、住基カードを持つことのメリットは、例えば、運転免許証をお持ちでない高齢の方が身分証明書として使うとか、そういう形のメリットが多くて、やはり実際お年寄りの方がお受けになるというケースが多うございます。
 したがいまして、そういう意味では、逆に、先ほど申し上げた住基ネットあるいは公的個人認証を使って非常に便利になるサービスがふえる中で、みんなが浸透してくると、各自治体もそれを使って、じゃ付加的なサービスにそれを活用しようではないかというふうな機運が今後広がっていくというふうに、私としては期待をいたしております。

○藤田委員 とりあえず条例も決まって動いてきているわけでありますけれども、監視社会というものについては、ある意味では、もう既に私たちの自由は、動物園生まれのライオンの感じる自由の程度ではないかというふうにいわれるほど、じわじわと、私は、しっかりと縛られてしまっているなというような感じを受けておりますし、それについては、何らかの形でもっと議論しなくちゃいけないなというようなことを考えているところでございます。
 さて、それでは、包括外部監査について、先ほどちょっと電子都庁の話をしたときにお話をいたしましたが、まず、この包括外部監査の仕組みについて伺いたいと思います。

○小島主席監察員 包括外部監査は、地方分権を推進するに当たり、地方公共団体に対する住民の信頼を確保するため、監査機能の独立性と専門性を一層充実する必要から導入された制度でございます。
 したがいまして、包括外部監査は、公認会計士、弁護士など専門知識を有する外部の者が行う監査でありまして、監査のテーマは、包括外部監査人がみずからの責任と判断で決定しております。
 また、包括外部監査は、知事と監査人が議会の議決を経て契約し実施するというものでありまして、その結果は、議会、知事、それから監査委員などに提出することになっております。

○藤田委員 都庁の中でも不祥事があって、それについて問題視をしたときに、青島さんのときだったと思いますけれども、外部監査を置く必要があるんじゃないかと、あのときにはお答えがいささか物足りなかったものですから、再質問をさせていただきましたけれども、そのときには、全くその考えはないんだ、みずからがしっかりと調査をするというようなお話だったと思います。
 ただ、それもこれも含めて、法律ができて、こういうことが実施をされているということは、大変よいことだというふうに思っています。
 それでは、監査委員の監査との違いについてお答えをいただきたいと思います。

○小島主席監察員 最も大きく異なる点は、監査委員監査が地方公共団体の執行機関である監査委員による監査であることに対して、包括外部監査は、地方公共団体の組織に属さない者との契約に基づく監査であるという点でございます。
 また、監査委員監査は、財務に関する事務の執行等、全般的な事項を取り扱うのに対して、包括外部監査は、外部監査人が当該年度に設定した特定のテーマについて監査するものでございます。
 両者には以上のように相違点はございますけれども、包括外部監査人から監査委員へ監査テーマの通知を行う、あるいは監査結果の報告を行うなど、相互に協力いたしまして、監査の充実に努めているところでございます。

○藤田委員 最近は便利になりましたというか、皆さん方にとってみればどうなのかわかりませんが、大体ホームページ上でいろいろなことが見られるようになりました。そして、この包括外部監査についても、それぞれの都道府県がどんな監査を受けているかというのが一覧表になって出ているわけでありますけれども、これは毎年毎年、もちろん、それぞれの部局、ことしは下水道局でしたでしょうか、で監査を受けているわけでありますけれども、自分のところに来なかった--包括外部監査人が今回はこれをしますというふうにいえば、ほかのところは外部監査を受ける必要はないわけですから、そうすると、ああよかったと思われるかどうかわかりませんけれども、そのときは下水道局だけが集中的に監査を受けるわけであります。ほかのところはちょっと安心かなというような感じになるのかどうかわかりませんが、私はやはり、そこで発表されたものを、自分たちに引き落として、じゃどういうふうに改善しなければいけないのかなというのをやらないとだめなんじゃないかなと思うわけです。
 全国のものもすべて出ておりますから、先ほどお話したように、これは三重県の状況でしたけれども、三重の電子県庁のあれでは、まず、ITに関して、そこでは全く戦略が見られないというようなことが監査人の報告に出ているわけでありますから、そういう意味では、いろいろなところでチェックをしながら、活用をしていくということをしないと、せっかくの大きなお金を使って外部監査をやっているわけでありますから、ぜひそういう活用を今後お願いをしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○小島主席監察員 先ほども少し申し上げましたが、包括外部監査の結果につきましては、包括外部監査人から議会、知事、それから監査委員等に提出されておりますが、なお、これに加えまして、監査委員がこれを東京都公報で公表しているということがございます。それからまた、包括外部監査結果の報告書は、全局に配布をしておりますので、各局において活用されているものと私どもは考えております。

○藤田委員 なかなか都財政が厳しい中で、そこの内部努力というところについては、総務局が中心になって、大きな改革をしていかなければいけないところだと思いますが、都民からのパブリックコメントの中にもあったような話もございます。それぞれの都庁職員が意識を持ってというところがありますけれども、ぜひ、そこを中心に、そして、ただ枠組みだけではなくて、本当の意味での、前回の財政再建推進プランの中は、ある程度、目標を持ってできたところも、今回は本当に細かいところまで丁寧にやっていかないと難しいだろうなというふうに私も思いますので、ぜひその辺のご決意を局長に伺って、終わりにいたしたいと思います。

○赤星総務局長 今、藤田副委員長からいろいろお話を伺いました。私どもも、これまでも、現実的に物事をやる場合には、細部まで詰めていくわけでございますから、外に発表された数値目標だけではなくて、手続につきましても、今、お話しいただいた指摘も含めまして、精査して、全力を尽くして都庁の改革に取り組んでまいりたいと思います。

○富田委員 時間も大分押しているようですので、簡潔に三点について質問させていただきたいと思います。
 一つは、三宅島の問題でございますが、この間いろいろ質疑もございました。はや三年余りの月日が経過したということですが、まだ火山性ガスはいつおさまるかだれにも予測できない状況だという報告を聞いております。
 そうした中、島民は長期間の避難生活を送っており、その多くは、一日も早く故郷である三宅島に戻り、避難前の平穏な生活を望みながら、ひたすら避難生活に耐えていると認識をさせていただいております。
 避難生活も長期に及んでいるため、生活は厳しさを増し、高齢者もいることから、仮に避難が解除され、やっと島に戻ったとしても、生活を避難前のレベルに戻すには多くの日数が必要であると予想されます。三宅島噴火災害には、今後も行政などによる支援なしでは、島民の生活再建が困難であるといわざるを得ません。
 そこで、都は、帰島までの準備や帰島後の島民支援をどのように行っていくと考えているのか、お伺いをいたします。

○金子総合防災部長 三宅島の火山ガスはいまだ改善されず、帰島のタイミングを図る時期に至っていないわけでございますが、東京都は、こうした中で、道路とか砂防ダムなどの基盤整備を進めるとともに、避難島民の方々へのさまざまな支援を行ってきたものでございます。
 ただ、今後の帰島を考えた場合に、帰島までに相当な準備期間が必要であることから、帰島後の安全対策、基盤整備などについて検討、準備を進めていくため、今回検討会を設置して、必要となる課題や各種対策について検討していくこととしたものでございます。

○富田委員 今回の三宅島噴火災害において、当初、東京ボランティアネットワークの方々が島にボランティアに入り、そして降灰の除去作業などに従事をされたということでございます。災害時のボランティアは、行政と十分な連携をとり活動することによって、行政対応以上のきめ細かい島民支援が可能であると考えています。
 三宅島から避難している島民の中にも、帰島に際して支援を必要とする人が多くいらっしゃると思います。ボランティアによる支援を受けることにより、円滑な帰島ができるものと考えますが、三宅島への帰島とその際のボランティアとの協力について、都はどのように考えているのかをお伺いいたします。

○金子総合防災部長 三宅島でのボランティア活動についてでございますが、今回は、都心から約百八十キロ離れました離島における火山災害という特殊性がございまして、こういった点も考慮しながら、そのニーズや活動内容について検討していくことが必要であるというふうに考えております。
 ボランティアの活用につきましては、何といっても村の意向が基本でございますので、今後、村及び関係機関とよく協議をしてまいります。

○富田委員 それでは、次の課題に移ります。都のIT資産、計画の評価及びアウトソーシングの推進についてお伺いをさせていただきます。
 第三回定例会の私の代表質問の中で触れた電子都庁に係る質問に対しての総務局長の答弁について、掘り下げて確認を行いたいというふうに思います。
 まず初めに、情報システムの効果分析と評価について、民間の事例等を参考にしながら計画全体について総合的に評価を実施し、電子都庁の推進に努めていくとの答弁をいただいております。電子都庁推進計画の文の中にも、各事業の進捗状況を明らかにし、確実な進行管理を行っていきます。開発システムの評価結果、システムアセスメントも勘案し、必要に応じた計画の見直しも行っていきます、と明記されています。
 しかしながら、現在までに公開されている進捗状況に関する情報は、これまでの取り組みの結果、ホームページ上から入手可能な申請様式数、インターネット経由での申込件数、PCの一人一台環境の実現等々のみであり、これらの取り組みにより創出された結果、すなわち都民の満足度、職員の可処分時間、経費削減などについては明らかにされておりません。
 IT化パフォーマンスレビューは、年度末実績を二年にわたり公開をしており、平成十五年度末の実績も公表されると認識はしていますが、そもそも電子都庁推進計画自体が都民、企業及び都庁にとっての具体的な効果、目標が定量的に明示されている例が少ない上、明示されているものについても、達成状況に関する評価のサイクルが存在しておらず、具体的な達成状況については、現在まで示されていないといわざるを得ません。
 推進計画では、第3部第2章の電子都庁のメリットにおいて、都民サービスの向上として二百九十万件分、千百六十二万時間分の都民の可処分時間創出、来庁に要する交通費の二十一億円削減、事務効率の向上として二百五十万時間の職員の可処分時間の創出とペーパーレス化による事務コストの十八億円削減が可能と試算されていますが、これに対する実績については、これまでのパフォーマンスレビューでは何ら示されていません。
 また、各種の取り組みの中で、数値目標が明示されている既存OAシステムの改善に関しても、維持経費の一〇%以上の削減を目標としていますが、これについても、現在までの状況については、パフォーマンスレビューの中では何ら示されていません。
 代表質問でも、その効果をわかりやすい形で公開し、評価、見直しを行うことが不可欠であると述べさせていただきましたが、これは、単に電子都庁に関する取り組みの結果を羅列するものではなく、各種取り組みにより、都民、企業、都庁、これは職員も含むわけでございますが、どのようなメリットを得ることができるのか、また、できたものなのかを明らかにすることと認識しております。
 民間企業では、IT化は手段であり目的でないことは十分に理解されており、情報化投資の決定を行う際には、この投資が企業活動においてどのようなメリットを創出するものであるのか把握した上で、優先順位の決定や取捨選択が行われます。また、実施が決定された投資に関しても、当初想定したメリットに対する現在の達成状況を継続的にチェック、評価する仕組みを構築し、必要に応じての計画の評価や見直しを行っています。
 また、本年度は、電子都庁推進計画の一たんの期限であり、本年度末時点での計画全体の評価と、次年度以降に向けた新たな計画の策定もしくは改定が必要となるわけですが、現時点では、平成十六年度以降の計画については、一部取り組みの見直し以外、公表されておらず、十六年度以降に関する総合的かつ戦略的な計画については存在していない状況だと認識をしております。
 電子都庁は、総合的な視点から計画的に取り組みを進めることが必要であり、これまで述べてきたように、費用に対する効果の観点からの施策の取捨選択、評価、見直しが必要です。
 そのためには、現在の姿を正しく把握した上で、IT化による各種業務の改革による効果を試算する必要があるため、可能な限り早急に、都庁全体のIT関連資産及びこれまでの電子都庁に関する取り組みについての現状把握と評価を行い、その結果をもとに次年度以降の取り組みに関する総合的な計画を策定することが重要だと考えられます。
 このような点を踏まえた上で、総務局長の答弁にあった総合的な評価とは具体的にどのようなものを想定されているのか、また、それをどのようなタイミングで実施をする予定であるのか、このことについてお伺いをいたします。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 まず、総合的な評価についてでございますけれども、総合的な評価とは、個々のシステム化の評価ではございませんで、ネットワークの基盤や各種の業務システムが複合的に構成されております電子都庁の効果を、都民負担の軽減、都民満足度の向上、コストの縮減、業務の効率化、職員レベルの向上などの視点から評価することと考えてございます。
 また、電子都庁推進計画は、平成十五年度をもって終了いたしますので、計画終了後の平成十六年度には、先ほどの視点から総合的な評価を実施し、その結果をもとに、さらなる電子都庁の推進を図ってまいります。

○富田委員 次に、情報システムのアウトソーシングについてお伺いをいたします。
 本会議で総務局長の答弁では、都としては、アウトソーシングの活用について前向きな姿勢であり、既にある程度の検討を進めている、もしくは今後行う予定であることを前提にしたものであると受けとめさせていただきました。そこで、より具体的なお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず初めに、アウトソーシングとは、コスト削減と業務の品質向上を同時に実現することが可能であり、非常に効果的な手段ではありますが、万能の特効薬ではありません。このため、その実施に際しては、個々の業務及び業務に係る情報システムの現状及び特性を把握した上で、アウトソーシングに適した業務、情報システムの選別を行うことが必要となります。
 また、アウトソーシングの検討の際の重要な要素の一つとして、個人情報保護が挙げられます。個人情報の保護は、アウトソーシングのいかんにかかわらず、行政サービスの重要な保証要件であり、個人情報保護条例や情報セキュリティーポリシー、規則、規程に沿って適切な措置がなされるべきものです。特に、アウトソーシングの際には、委託業者とのSLAにおいてセキュリティー保証要件や機密事項の取り扱い、監査要件などにおいて留意することが必要となります。
 総務局長の答弁の中にも、行政が行うべき部分を明確に示しつつ、民間企業が所有している高い技術力や資産を戦略的に活用することが重要であると考えているとのコメントがございました。アウトソーシングを効果的に活用するためには、アウトソースする業務、情報システムと、アウトソースしない業務、情報システムに関する明確な線引きが必要であり、何でもかんでもアウトソースするというのではなく、都としての戦略を持ってアウトソーシング対象の選別を行い、その結果によっては、アウトソースの廃止、内部化、いわゆるインソースも考えるべきであります。
 この点について、都としての認識、現在までの取り組み状況と、今後の予定についてお伺いをいたします。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 都としては、従来、運用代行を中心といたしましたアウトソーシングを活用してまいりました。しかし、これからのアウトソーシングにつきましては、高いサービス品質の確保など、ソフト的な資源を中心とした有効性の高いいわゆる戦略的なアウトソーシングを導入していく必要があろうかと考えてございます。
 このために、先ほどお話にもございましたように、セキュリティーを確保しつつ、行政が行うべき部分と、民間企業が所有している高い技術力や資源を活用すべき部分とを明確にする必要がございます。現在、都としてどのようにアウトソーシングを活用できるか、活用事例などの調査を行っている状況でございます。
 今後、これらの結果を踏まえまして、アウトソーシングする事業を明確化していく予定でございます。

○富田委員 アウトソーシングは、従来型の外注化のように、個別の作業ごとに外部委託を行うのではなく、現在、組織内部で実施されている業務、機能を包括的に民間企業に委託することにより、全体最適化を実現し、生産性や品質の向上と同時にコスト削減を目指すものであり、その効果を最大化するためには、全庁横断的な取り組みが必要となります。
 アウトソーシングに際しては、さきに述べたようなアウトソーシング対象の選別と、あわせて業者の選択、実現方法、つまりASPサービスの活用、総合事務処理センターの設置など、都と業者との間で役割分担、責任範囲の明確化が必要であります。
 これらを個別に検討していては、二重投資や、あるいは創出効果の低減、予算の肥大化などが発生するリスクが存在することになります。このため、アウトソーシングを推進する上では、計画の策定及び実行を全庁的な体制で行う必要がありますが、この点について都の認識をお伺いいたします。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 アウトソーシングの推進に当たりましては、IT推進室はもとより、各局でこれまで以上に緊密な連携を図りながら行っていくことが必要かと考えてございます。
 今後のIT化の取り組みにつきましては、アウトソーシングも含め、全庁的な視野に立ちまして検討いたし、計画的に実施していくつもりでございます。

○富田委員 この項目の最後になりますが、アウトソーシングとは、行政の全体の最適化の一手段であり、検討の際には、IT施策の現状調査とその評価に加えて、最適化後の行政モデルに基づいたアウトソーシングの基本戦略が不可欠であります。
 アウトソーシングは、それ自体が目的ではなく、あくまで行政改革の一手法であり、都庁の現状を正しく把握した上で、課題、問題点を克服するために用いるものであるとの認識に立ち、都庁の現状に関するインプットとして、さきに述べた全庁的なIT資産、電子都庁関連施策の現状調査そして評価、事前の実施が必要であると同時に、この調査においてアウトソーシング活用のメリットについても検討を行い、都におけるアウトソーシングのより具体的な方向性を明らかにすべきと考えますが、この点について都の認識をお伺いし、ITに関する質問を終わりたいと思います。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 アウトソーシングにつきましては、業務改革を推進する上で有効な手段と考えてございます。このため、都といたしましては、事業の性格や内容、それからセキュリティーに関する方針、システムのアウトソーシングの評価など、行政が行うべき部分を明確に示しつつ、民間企業が所有している高い技術力や資源を戦略的に活用することが重要であると考えております。
 アウトソーシングにつきましては、その目的が十分達成できるよう、個々の業務やシステムの状況も踏まえまして、具体的に基本方針を示してまいりたいと考えてございます。

○富田委員 最後の質問でございますが、性同一性障害について質問をさせていただきたいと思っております。
 第三回定例会の一般質問で、公明党の野上じゅん子さんが性同一性障害を取り上げ、公文書への配慮、そして職場差別問題について考え方をただしています。私は、この課題についてもう少し掘り下げて質問をさせていただきたいと思っています。
 性同一性障害とは、生まれ持った性別とは逆の性別に帰属意識があり、外見上の性を転換することを希望する人のことをいい、継続的な自己の性に対する嫌悪感、または社会的に規定された性的役割に対する不適正感、つまり身体の性別、セクシュアルと、心の性別、ジェンダーの違和感や食い違いを感じ、そのために何かの障害を感じている状態を指します。
 ニュージーランドのカータートン市では、市長が性転換者であることを有権者に公表し、そして支持を受けているという例もございます。しかし、これはまだ例外でございまして、ドイツのザクセンアンハルト州のクウェレンドルフでは、任期中に性転換を希望する村長に対してリコールの住民投票が行われ、解任四百八十二票、反対二百三十五票でリコールが成立している現状もあります。
 個人の人権という部分では、かなりマイノリティー、少数派であるといわざるを得ません。
 日本においても、ことし四月十七日に投開票された世田谷区の区議の選挙で、性同一性障害を公表した方が当選しましたが、マスコミの彼女に対する扱いを見ると、表向きは理解を示しているように見えますが、やはりまだまだ好奇な目で見ているのではないかといわざるを得ません。
 ただ、現在は、インターネットによる情報化が進み、地域差に影響されずに情報の入手可能な環境があり、一人で治療を受けるすべやWHOの疾病基準に性同一性障害が含まれていることなどを知ることが可能になっています。
 こうしたことから、今まで以上に性転換希望者がふえてくると思われます。しかしながら、それに対し治療ができる環境はほとんど整っていないというのが現状だと思っています。
 ところで、一昔前には、ゲイバーで働くニューハーフやオナベバーで働くオナベのことかと思われておりましたが、実際、このような場所で働く人たちの中に性同一性障害者は多数存在するわけでございます。しかし、ニューハーフ、オナベとして働くことを望んでいたわけではなく、経済的事情や社会の受け入れ問題のため、仕方なくその職場を選択せざるを得なかったという人が多数含まれているのが実態だと思います。
 その一方で、医師や教師、建築家、サラリーマンなどといったさまざまな職業の当事者の方もいらっしゃいますので、職業的な偏見をなくすと同時に、職場での差別や、性同一性障害であることを理由に労働条件の悪化や解雇がなく、雇用の機会についても平等に与えられるように、人権が守られるようにしていかなければなりません。
 性同一性障害の問題については、職場や学校現場で正しい理解がなされるように、あらゆる差別をなくすという理念に即して、人権教育の内容を広げていく必要があり、理解と教育が行き届かない限り、当事者は、偏見と差別により、幼いころから一生涯さまざまな苦痛を強いられることを考えなければなりません。
 性同一性障害者の名前の変更については、性再判定手術前であっても、家裁において許可されるケースが年々ふえてきてはいますが、性再判定手術後の戸籍や住民票の性別の変更などができず、性別という、人間として生活する上で基本的な部分において人権侵害ともいえる状態が続いており、早急な対策が求められていました。
 こうした状況下で、本年七月十日の衆議院本会議において、全会一致で可決、法律第一一一号として成立し、来年七月十六日より施行される予定の性同一性障害者特例法が成立しています。性同一性障害者のうち、特定の条件を満たす者に対して、家庭裁判所の審判を経ることによって、法律上の性別の取り扱いを性自認に合致するものに変更することを認め、戸籍上の性別記載を変更できるとした法律であります。
 このことを前提として、人権という視点から何点かお伺いをいたします。
 性同一性障害者は全国に多数存在しておりますが、治療を受けられる場所や地方社会の受け入れ、親族との問題、就労等の理由で、特に就労先としてニューハーフやオナベの店を選択した場合、当事者が東京の都市部に集中してしまうのが現状であります。
 こうしたことから、地方に比べ、多少なりとも理解が進んでいる東京都として、全国に先駆けこの問題を理解し、啓発するなどの取り組みを進めることが必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○和田人権部長 性同一性障害につきましては、社会的に認知されてきてはいるものの、必ずしも一般の都民の間にまで理解が進んでいるという状況ではありません。人権の視点から啓発を行っていくことは大切な課題であると考えております。
 都では、平成十二年に策定いたしました東京都人権施策推進指針の中で、性同一性障害のある方々に対する偏見や職場における差別などの問題を取り上げております。これに基づきまして、啓発冊子の中で、さまざまな人権問題の一つとして取り上げ、広く都民や企業などに配布するとともに、都の内部においても、職員研修用の指導テキストの中に記載し活用するなど、啓発に努めてまいりました。
 今後とも、さまざまな機会を通じて啓発を行うなど、理解の促進に努めてまいります。

○富田委員 東京都の取り組みとともに重要なのは、住民に身近な区市町村における取り組みでございます。地方分権の進展の中で、基本的には各自治体が自主的に取り組むべきではありますが、この課題への理解を深め、より一層の効果を上げるためには、東京都は区市町村と連携して、啓発などの取り組みを進めていくことが重要だと考えています。このことについての見解をお伺いをいたします。

○和田人権部長 区市町村との連携でございますけれども、住民の日常生活にかかわりの深い区市町村が啓発などの取り組みを進めていくことは大切なことであるというふうに考えております。
 このため、都といたしましては、区市町村と開催しております人権施策推進連絡会において情報交換などを行ってきておりますけれども、今後とも、こうした連絡会の場を活用しまして、区市町村との連携に努め、啓発などを適切に対応してまいります。

○富田委員 それでは、具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
 この課題に対する理解を進めていく上で、東京都が現在作成している啓発冊子の内容を充実し、効果的な活用を進めるとともに、広く各家庭に配布されている「広報東京都」などの広報媒体にも積極的に利用していくべきと考えています。このことについていかがでしょうか。
 また、啓発に当たっては、一般に理解を深めるだけでなく、本人が性同一性障害ではないかと悩む方々に対しても、有効なものにする必要があると思います。ぜひとも、法律が施行される以前に実施していただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

○和田人権部長 啓発の具体的な取り組みでございますけれども、私どもでは、広く人権尊重の理念を普及させ都民の理解を深めるために、毎年、各種啓発冊子を作成しております。
 そのうち、十万部を発行いたしております啓発冊子「みんなの人権」では、性同一性障害について取り上げております。この冊子は、都や区市町村の窓口などを通じまして都民に配布されるとともに、企業における研修資料としても広く活用されているところでございます。
 今年度の改定を行うに当たりましては、法の趣旨などを踏まえ、その内容の充実を図っていく考えでございます。また、法律の施行に向けまして、「広報東京都」などで取り上げることも検討いたしております。

○富田委員 性同一性障害の課題について、その定義、そして来年七月に施行される特例法に対して、準備段階として必要と思われる事柄について提言をさせていただきました。
 特例法自体についても、当事者の方々から、その条件である、現に子どもがいないとか、あるいは身体上の性に合わせて生活しようと必死になった結果として、無理やり結婚して子をなしているケースがあるというようなことが指摘されたり、いろいろな問題があります。こうした、子どもがないという事柄について、欧米の同様の法律では、こうした条件がないということなどもございます。
 さらに、婚姻をしていないことというような条件もございますが、男性から女性あるいは女性から男性へという性同一性障害者同士が婚姻しているという場合もあり、事実上結婚歴のある方が現に存在するということもございます。このような、特例法に内在した課題があることも考えていかなければなりません。
 性同一性障害という課題は、当事者やその家族、またその周りの方々にとって大変重たい課題でありながら、一般に理解しづらい課題でもあります。しかし、人間が人間として自分自身のアイデンティティーと尊厳を持って生きるための人権の課題であります。
 今後、法施行までの間に、今回の提言に限らず、専門のカウンセラーを配置するなど、東京都としてでき得る限り必要な施策を講じるよう重ねて要請し、私の質問を終わります。

○吉田委員 私も、この総務委員会に初めて来まして、総務局初めての質疑になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 私がきょうここで質疑をしたいのは、特別区に対する都市計画交付金及び市町村に対する調整交付金、振興交付金について、私もまだ不勉強ですから、あくまでも区長会及び市長会の要望に基づいて基礎的な質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 特別区に対する都市計画交付金にしても、市町村に対する調整交付金、振興交付金にしても、区市町村財政の中で非常に大きな役割を果たすだけではなくて、生活基盤の整備及び住民サービスの均衡や向上という点で大きな役割を果たしていることは、いうまでもありません。
 ただ、この間、第二次財政再建推進プランの策定の中で、「途半ば」の文章でこうしたものが事例として取り上げられたという経過もあって、区長会及び市長会からも大変厳しい批判及び懸念の声が上がってきたことは、ご承知のとおりです。やはり財源確保という角度からこうした貴重な事業が縮小されてはならないというふうに思います。
 まず、都市計画交付金について若干お伺いいたしますが、この事業概要では、特別区の行う都市計画事業の円滑な推進を図ることを目的として昭和五十六年から都市計画交付金を交付しているというふうに説明がされています。ところが、いわゆる第二次財政再建推進プラン策定に向けての、財務局の「途半ば」にある財政再建という文章では、高率補助及び長期継続補助等々という形で、ことごとくこの都市計画交付金が例示をされたという経過があります。
 これに対して、区長会及び各区から都に対して一斉に、このような扱いをすることに厳しい批判の声が上がりました。七月に区長会が来年度予算の要望書を提出する際に、区長会の代表が福永副知事に対して、この都市計画交付金の扱いに対して厳しい意見を表明したというふうに聞いておりますが、その事実経過及びそうした申し入れについて、総務局としてはどのように認識し、見解を持っていらっしゃるでしょうか。

○村山行政部長 「途半ば」にある財政再建の中でそういうような記述があったことは事実でございますし、それに関して要望活動もあったことも事実でございます。
 ただ、お話しの冊子「途半ば」にある財政再建は、財務局が発行いたしたものでございまして、したがいまして、その内容も財務局としての考え方を示したものであるというふうに私どもとしては受けとめております。

○吉田委員 「途半ば」は確かに財務局、しかし、東京都からそうしたものが出されたということで、大変懸念の声が上がったわけですよね。財務局の立場とは違うんだよということを部長は暗にいいたいのかもしれませんけれども、その申し入れに参加したある区長は、定例会の発言の中で次のように発言をしています。都市計画交付金に関しては、元来市町村の目的税である都市計画税の趣旨を踏まえ、都区双方の事業量に見合った交付金となるよう、かねてから協議を進めてきたものであり、都の任意的な補助金でないことを、私は、参加した過日の区長会の予算要望の際、副知事に強く申し入れました、というふうにありますが、極めて当然なことだと思うんですけれども、改めて都市計画交付金について確認をしたいんですが、これの財源は何なのか、どのような意味でこれが交付金として執行されているのか、ご説明をお願いいたします。

○村山行政部長 都市計画交付金は、特別区における都市計画事業の円滑な促進を図る目的で創設されたものでございまして、その財源としては、現在のところ、東京都が賦課徴収している都市計画税をもって充てているという状況はございます。

○吉田委員 大変簡潔な説明なんですけれども、都市計画税は、いうまでもありませんが、いわゆる市町村の目的税なんですよね。東京都区部だけが特例的にこれを、市を都に置きかえて都が徴収をする。したがって、市町村の固有の都市計画事業に充てるための目的税なんです。それを、区部の分については特例的に都が徴収し、交付をしている。
 そういうものについて、補助金として縮小廃止の対象であるかのような印象を「途半ば」で与えたということに、各特別区及び区長さんたちが強い批判を上げるのは、私は当然のことだと思うんですね。
 いわゆる都市計画交付金は、他の、例えば任意補助という場合には、通常の一定のベースのものに上乗せ、横出しなどの、加算の任意補助というものとは、やはり同一では論じられないものだというふうに思うんですが、行政部長としてはどのようにお考えですか。

○村山行政部長 都市計画税と都市計画交付金との関係について、いささか誤解があるかと思いますので、若干その点についてお答えを申し上げますと、都市計画税は、都市計画法に基づく都市計画事業、あるいは土地区画整理法に基づく土地区画整理事業に要する費用に充てるために、都が賦課徴収をする目的税でございまして、財調の調整三税のように、特別区に配分することが法律に定められているようなものとは全く性格を異にするものでございます。
 いささか簡潔過ぎるというので、詳しく申し上げれば、この都市計画交付金ができた、さっき五十六年というふうにおっしゃいましたけれども、それまでは都市計画交付金はなかったわけでございまして、そういう中で、東京都が都市計画事業については二十三区の区域について全部やらせていただいていたということがあります。
 そういう中で、特別区を取り巻く社会経済環境の変化の中で、特別区も、東京都が今までやってきたような、大規模な、あるいは広域的な都市整備課題にも対応することが必要であろうというような声が、あるいは認識が広まる中で、都市計画交付金ができた。
 その際に、その創設した目的は、都区合意の上で定めているわけですが、特定区に発生する臨時特例的な大規模事業について、特別区における都市計画事業の円滑な促進を図るということで、この事業は設けられたというものでございまして、本来的に特別区がもらうべきものを東京都がかすめ取っているかのようなお話にはならないかと思います。

○吉田委員 私は別にそんなことはあえていっていないものを、曲解をして批判を何かされているような印象ですけれども、そんなことはいっておりません。
 ただやはり、財源的にいえば、一般の市町村でいえば、それが丸々市町村の都市計画事業に充てる目的税として入る性格のものである。もちろん、東京都が大都市事務として、これを広域的な観点から区部の都市計画事業を執行するためにこれに充てるという経過で、こうした特例的措置が行われていることは承知もしているわけです。
 しかし、当然、区部の側からすれば、そういう本来の性格や、また経過があるものを、一方的に東京都の固有財源であるかのように判断をし、それについて一定の見直しの俎上にのせるというやり方が、やはり特別区に対する考え方や、この交付金の本来の性格からして、批判の声が上がるというのは、私はもう当然のことだと思うんですね。これからますます特別区というものが、市町村並みに役割分担を明確にしていくということが全体の流れになるときに、私は当然のことだと思うんです。
 さらに、少し具体的な話をしておきたいんですけれども、この都市計画交付金の予算配分のあり方なんですけれども、都市計画税として東京都が徴収している総額と、実際に区部に交付金として交付している金額はどの程度の金額で、比率でいうとどの程度の割合で区部に交付をしているんでしょうか。

○村山行政部長 十四年度の数字でよろしゅうございますか。

○吉田委員 結構です。

○村山行政部長 先ほど来申し上げていますように、都市計画税と調整三税などとは性格が異なるわけでございますが、ちなみにということで、都市計画交付金の額と都市計画税の収入額との比率を申し上げれば、平成十四年度で、都市計画税の収入額が千九百七十九億円、都市計画交付金の額が百四十億円で、その比率は七・一%でございます。

○吉田委員 都市計画税の全体の収入の中で、区部に実際に交付をされているのが七・一%だ、残りは東京都が大都市事務として執行しているんだということだと思うんですが、ただ、来年度予算に対する特別区長会の要望書の第一に挙げられているのが、この特別区都市計画交付金の拡充ということなんですね。
 その資料によりますと、例えば、一番最近の決算で明らかになっている平成十三年度の場合、おおむね、都市計画事業の都が執行した分と区が執行した分を対比した場合に、七対三である。すなわち、三割が実際は特別区が都市計画事業として執行しているにもかかわらず、今いったように、例えば、これはちょっと年度がずれておりますけれども、昨年度の場合には、区部に交付されているのは七・一%だと。この格差があるじゃないかということで、もっと事業の実施に見合った都市計画税の配分をすべきだ、都市計画交付金を拡充すべきだという要望が出ているんですが、これはどのようにお考えですか。

○村山行政部長 お話の数字につきましては、決算統計上の都市計画費の金額に基づくものではないかというふうに推察されるわけでございますけれども、この普通会計決算の統計上の都市計画費の中には、いわゆる、先ほど来先生もおっしゃっている都市計画事業以外のものも相当広範に含まれておりまして、そういう意味では、都市計画事業の議論をする際の事業費としては適切ではないものと考えてございます。

○吉田委員 私も若干精査を試みてみましたけれども、詳細にこの七対三を具体的に議論をするとなると、かなり膨大な時間がかかりますから、多分、七対三は必ずしも当てはまらないというご意見だと思うんですが、ただ、現実に、私も区に意見を聞きましたけれども、都市計画税はあくまでも、地方税法では都市計画事業に充てることができるということになっていますが、都市計画交付金の場合には、交付対象というものが、そこから一定の基準があるわけですよね。例えば公園でいえば二ヘクタール以上のものでないと交付対象にはならないよと。しかし、区の方は、もっと二ヘクタール以下の都市計画事業公園整備を進めているわけですよ。しかし、それは交付金の対象にならない。そういう意味では、七対三が正確か否かということは必ずしも議論が確定的にはいえませんけれども、明らかに区が行う事業が十分この都市計画交付金によって補てんされ切れていないというのは事実としてあるんじゃないですか。

○村山行政部長 その点につきましては、先ほど、この都市計画交付金の制度の由来についてご答弁申し上げた際に申し上げましたように、この制度は、特定区に発生する臨時的、特例的な大規模事業について対応していこうということで生まれたわけでございまして、したがいまして、都市計画交付金の対象事業を検討するに当たりましては、どのように各特別区がそうした大規模化する行政需要に適切に対応するのか、どうやったら、特別区の区域全体の都市計画事業を円滑に進められるかという制度の目的を踏まえて議論する必要があろうかと思いますので、そうした観点から、お話しの二ヘクタールの問題についても慎重に検討していく必要があると考えております。
 なお、蛇足でございますけれども、先ほど来、先生、財務局が発行した「途半ば」の例を出されておりますけれども、今回発表された、東京都として発表した第二次財政再建プランの中には、都市計画交付金という言葉は一カ所も出てまいりません。

○吉田委員 区部は、大規模なものだけじゃなくて、小規模なものも都市計画事業として進めるわけですよね。それで、市町村だったら、それが市町村の目的税として入るわけですから、それをもって充てることができるんですが、現実的には、今のようなものだと、臨時的、大規模な特例的なものしか充てることができないんだという、その当初の設定があるから一定の水準を切るんだよというけれども、それはもう、現状から見ればやはり乖離しているし、そういうものを是正してほしいということで、わざわざ区長会が要望書を出しているわけですよね。
 だから、過去の経過があるかもしれませんが、現実の地方分権の流れだとか、現実の需要だとか、そういうものに見合って検討していくというのは当然のことじゃないんですかね。この点で、しかも、区長会の方々が意見を上げたのは、聞いてみますと、この都市計画交付金のあり方については、都区財調協議の一環として、区と、そして東京都との今後のあり方そのものを検討しようよということで協議をされているわけでしょう。ぜひ、そういう場で、今私がいったようなことを含めた、区長会から要請されている内容について、大いに検討していただきたいと思うんですが、いかがですか。

○村山行政部長 現在、都市計画交付金のあり方につきましては、都区双方の間で検討会が設置されておりまして、その中で十分検討してまいります。

○吉田委員 いろいろやりとりすると時間がなくなるから、次に、市町村の調整交付金、振興交付金について話をさせていただいた上で、先ほど部長がいわれた二次プランでは一切書いてないぞということについても、ちょっと念を押させていただきたいと思います。
 調整交付金、振興交付金の目的について、まず簡潔にご説明していただけますか。

○村山行政部長 市町村調整交付金は、市町村間の教育、福祉等の行政水準の均衡等に要する経費を財源補完し、もって市町村の行財政運営の健全性と効率性に資することを目的としております。

○吉田委員 簡潔なご答弁、ありがとうございます。例えば、調整交付金でいえば、幾つかの目的が明記をされていて、その一つが、例えば特別区との格差の是正という問題と、もう一つは、市町村の中での行政サービスの均衡、水準をできる限り合わせていくということが、それだけじゃありませんが、大きな目的としてあると思うんです。そういう点で見た場合、個々の部分的な改善のための見直しは必要かもしれませんが、現状から見た場合に、多摩の市レベルで見ても、例えば住民一人当たりの地方税の収入を見た場合には、かなりの格差が厳然として存在しているし、また、特別区と、例えば法人住民税などを比べてみても、市町村での法人住民税と特別区での住民一人当たりの法人住民税というのは、引き続き大きな格差があると思うんですが、どのように認識していらっしゃいますか。

○村山行政部長 具体的にどのような実態を踏まえてお話しになっていらっしゃるのかがちょっとわからないので、なかなか具体的にお答えづらいところがあるんですけれども、例えば、特別区と市町村の間の法人住民税の収入額が違うということにつきましては、まず、特別区と都内市町村の間には非常に大きな本質的な違いがありまして、一つは、制度的に、先ほど来のお話のように、特別区には財調制度というのが適用されている。したがって、特別区内で入る法人住民税の約半分は東京都に入るわけでございまして、その点でも、単純になかなか比較はできないという問題が一つございます。市町村の方は、一般の市町村と同様に、地方交付税の適用がある。
 それから、地域特性の面におきましても、非常に違いがありまして、一例を挙げれば、特別区には全国の事業所の四分の一強が集中しているとか、昼夜間人口の格差が三百万人以上あるとか、そういう、ある意味では、ほかにはない事情もあり、また、そこから出てくる財政需要もあるというようなことになるわけでございます。したがいまして、財政力の問題は、収入という一点だけではなくて、収入、需要を含めた総体としての財政構造といった関連の中で論議される問題でございまして、一人当たりの法人住民税収の問題だけに着目するということは、なかなか適当ではないのではないか。
 また、市町村の中、市の中での格差の問題につきましても、地域差というものもあるわけでございますけれども、また、そういう財政需要全体として見なければいけないということもあるわけでございますが、収入だけを見ても、実際に、市の中でも一番一人当たりの税収の少ないようなところもあるわけですけれども、交付税を合算いたしますと、全体としては大体、市の中で一番一人当たりの税収額が少ないところでも、全体のアベレージとほぼ横並びになるということで、そういう意味では、地方交付税というのがしかるべく機能しているのかなというようなことも踏まえて論議する必要があろうかと思います。

○吉田委員 私の質問に素直に答えていただきたいと思うんですが、私が認識している--これは総務局からもともとは説明を受けたものですけれども、多摩の市の中でも、例えば住民一人当たりの地方税の税収額、もちろんそれをもってすべてを語るというのは不適切かもしれませんよ。しかし、一つの断面として、住民一人当たりの地方税収の格差を見れば、一番高いところと低いところと、片や一人当たり三十万、低いところは十二万、二・五倍の格差というものは現実にある。それを補うためにさまざまな、調整交付金も含めてされているわけですよね。都の法人住民税に着目をして住民一人当たりの差を比べてみますと、これは私の計算ですけれども、約四・五倍の格差が市と特別区との間である。
 そういう点でいえば、引き続き、この調整交付金にしても、あるいは振興交付金にしても、縮小廃止の方向ではなくて、より拡充の方向で努力をしていくことが非常に必要なんではないかということを述べさせていただきます。
 市長会の振興交付金についてなんですが、要望の中で、次のようなことがあります。振興交付金の対象事業として、例えば大規模改修だとか耐震補強だとか、新規の建設だけではなくて、そういうものもこの振興交付金の対象にぜひ入れてほしいという要望が上がっているんですが、これはどうでしょうか。

○村山行政部長 振興交付金についてのご要望をいただいているわけでございますけれども、それらのご要望の中身についても、既に十分な対応を継続して行っておりまして、防災対策の設備についても三十六件、そのうち小中学校の耐震対策補強についても十六件等々、しかるべく必要な対応は講じさせていただいているところでございます。

○吉田委員 そうすると、大規模改修や耐震補強、あるいは学校の耐震修繕等々についても振興交付金の対象であるということは、今、明確にご答弁されたわけですけれども、ただ、実際、市長会に改めて、こういう要望が出されているけれども、どうなのかというふうに聞いたら、いや、実際に市からこういう要望が上がっているので取りまとめたんですという声として寄せられましたし、また、私も直接、ある市の財政課長に聞いたところ、今もいいましたけれども、耐震、バリアフリー、延命、この三つの分野で振興交付金の対象にしてほしいという要望が出されておりました。
 制度としてあるんでしょうけれども、実際上の予算上の限りで、十分それが対象となり得なかったというふうなことが多分あるのか、あるいは周知徹底がされてないということもあるかと思うんですけれども、ぜひこうした点は、ちゃんとやっているよというならば、大いにこれからも、新規だけじゃなくて、これからますますニーズが高まる大規模改修だとか耐震補強だとかいうものに力を入れて支援をしていただきたいということを、これは要望として述べさせていただきます。
 最後に、部長が、いや、「途半ば」では、あれは財務局の文章で入っていたけれども、今度、東京都としての文章の中には、都市計画交付金にしても調整交付金にしても、そういう文言は一言も入ってないぞ、安心せよという意味合いかもしれませんが、ご発言がありました。
 ただ、二次プランの中は、確かに事業名というものは明記は基本的にはされませんでした。しかしながら、問題が内在をしていて、構造的な問題があって検討しなきゃならないということで、三十の例示がありましたが、その三十の例示の中に、長期継続補助、それと高率補助、すなわち補助率の高い補助というものが挙がっております。
 そうすると、「途半ば」では、高率補助、長期補助の例示として都市計画交付金なり調整交付金が出たわけですが、この二次プランで正式発表された中の長期継続補助や高率補助の対象には、私がきょう挙げた三つの区市町村に対する補助は入ってないというふうに、総務局行政部としては見ているんだというふうに判断していいんですか。

○村山行政部長 第二次財政再建推進プランの巻末にございます付表でございますけれども、これは、今後、各局が財政構造改革あるいは都政の構造改革に向けていろいろ検討を行っていく素材ということで、検討の視点を示したものでございます。
 したがいまして、お話しの長期継続補助あるいは高率補助金等についても、そうした視点の一つとして掲げているものでございまして、特定の事業をあらかじめ想定したものとは受けとめてございません。

○吉田委員 もちろん特定の事業名は書いてありませんけれども、こういう高率補助、長期継続補助というものを挙げて、あとは各局で検討しなさいということが冒頭で書かれているわけですよね。ですから、具体名は書いていません、それは、都市計画交付金以外のほかのものもすべてそうですよね。問題は、行政部として、都市計画交付金や調整交付金を、例えばこういう高率補助という観点から見直していくというふうに考えているんですかということを聞いたんですよ。財務局の判断を聞いたんじゃなくて、行政部の判断を聞いているんですよ。

○村山行政部長 改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、一般に、すべての事業とか、あるいは制度というものは、常に改善を行っていくのは当然でございまして、私どもとしては、従来もそうでございますし、これからもそういう立場で臨んでいきたいと考えてございます。

○吉田委員 見直し一般じゃなくて、この第二次財政再建推進プランは、一千二百億の財源確保をするという立場からの見直しなんですよ。そういう意味で私が心配をして聞いているんですが、そもそも高率補助という概念が、例えば都市計画交付金などは、財務局の資料では十分の十補助になっていますよね。しかし、都市計画交付金が果たして十分の十補助といえるのかということが、そもそも私は非常に疑問なんですが、これはどう思いますか。
 時間もないから、ついでに。実態的には総事業費の中のどの程度だと認識していますか、若干、個々違いはあるだろうけれども。総事業費の中の都市計画交付金が占める比率ですよ、各区の。少なくとも一〇〇%じゃないでしょう。

○村山行政部長 二つございまして、一つは、そういうものについて--済みません、もう一度ちょっと……。

○吉田委員 だから、二次プランの範疇で、ああいうカテゴリーで見直しを考えないといえばいいわけです。

○村山行政部長 都市計画交付金とかそういう交付金というものと補助金というものとの類似性というようなことにつきましては、形は、都からある団体に移転されるということですから、同じ性格は持つんですけれども、補助金はちゃんと使途が限定されていて、ある事業の特定財源という形で使われるということでございますし、交付金は多くの場合、余り使途は細かく特定されませんで、大まかな目的を示す程度でございますので、そういう意味では、いろいろ検討する際に、補助金一般のあり方を論議する場合と交付金のあり方を論議する場合とは異なるというふうに思いますね。
 それから、さっきの答弁の中で若干訂正をさせていただければ、振興交付金の中でいろいろ防災対策などへの対応ということがあるわけですけれども、その際には、それに該当するから、すべて交付金の対象になるということではなくて、やはり市町村の財政状況などとか、あるいは当然、予算の範囲ということもあった上での交付でございますので、あまねく該当事業について交付ということには必ずしもならない場合もあるということは、済みません、申し添えさせていただきます。

○吉田委員 これで終わりますけれども、だから、一般の補助金と交付金とはちょっと違うんだぞということを、少し乱暴ないい方かもしれませんが、部長いわれました。そうなんですよね。しかも、例えば十分の十だという高率補助というみなしになっていますが、私も杉並区の事例を調べたんですが、例えば、今年度の補助一三一号線その一という事業費は、事業費そのものは約四億八千八百十九万円なんですよ。しかし、これは内定か予定だと思うんですが、都市計画交付金、東京都から来る分は六千八百二十三万円、一四%ですよ。あるいは、杉並南中央公園、これは仮称ですけれども、総事業費十二億円、東京都から予定されている都市計画交付金は一億余ですよ。比率でいえば一〇%程度。
 こういう実態から見ても、高率補助というふうな枠組みでこういうものを見直すということではなくて、見直すにしても、より区長会、市長会の要望に即して、時代の流れに即して、前向きに努力をしていっていただきたいと思うんですが、局長どうですか。

○赤星総務局長 先生からいろいろお話を伺いまして、行政部長からもいろいろご説明させていただきまして、私ども、市町村の振興交付金ですとか、あるいは調整交付金と、その他の補助金イコールだとは思っておりませんが、特に調整交付金などは、全国に例がないわけでございまして、一般財源の補助ということで、東京都だけにある制度でございますので、これを全国の一律に論じるということは好ましくないんだろうと思いますが、私どもといたしましては、必要な経費につきましては、全力を挙げて確保に努めてまいります。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業及び報告事項に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時七分散会

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