総務委員会速記録第五号

平成十五年二月二十七日(木曜日)
第五委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十五名
委員長名取 憲彦君
副委員長倉林 辰雄君
副委員長大西由紀子君
理事山下 太郎君
理事藤井  一君
理事松本 文明君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
酒井 大史君
古館 和憲君
野田 和男君
橋本辰二郎君
鈴木 一光君
山崎 孝明君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
次長森澤 正範君
企画調整部長渡辺日佐夫君
総務局局長赤星 經昭君
総務部長高橋 和志君
選挙管理委員会事務局局長押切 重洋君
人事委員会事務局局長高橋  功君
任用公平部長松田 曉史君
監査事務局局長藤堂 義弘君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 予算の調査(意見開陳)
 ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務委員会所管分
 ・第二号議案 平成十五年度東京都特別区財政調整会計予算
 ・第四号議案 平成十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
 付託議案の審査(決定)
 ・第三十二号議案 東京都知事等の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十三号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
 ・第三十四号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十五号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十七号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十八号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十九号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第四十号議案  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
 ・第四十一号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
 ・第四十二号議案 東京都監査委員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百二十七号議案 包括外部監査契約の締結について
 ・第百二十八号議案 八王子市と町田市との境界変更について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○名取委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 さきに理事会にご一任いただきました意見書二件、決議一件につきましては、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。ご了承願います。

○名取委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査並びに閉会中における請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務委員会所管分、第二号議案及び第四号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○鈴木委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十五年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 去る十四日に発表された昨年十月から十二月期のGDPは、景気の実感に近い名目値で見ると、前期比〇・一%の減、年率換算〇・五%と、三期ぶりのマイナス成長に転じるなど、景気回復の先行きは予断を許さない状況にあります。
 一方、都財政は四年連続の実質赤字が続いており、さらに、景気低迷を受けて、十五年度の都税収入は、大幅な減となった前年度をさらに下回り、八年ぶりに四兆円を割り込むなど、大変厳しい状況となっています。
 こうした中にあっても、東京の再生と都民の安心、安全の確保に向けた力強い施策展開や中小企業、雇用対策など、東京が直面する緊急課題への万全の取り組みが強く求められております。
 知事は、十五年度予算案を財政構造改革に全力を挙げて取り組みつつ、現下の緊急課題や東京の再生に積極的に挑戦する予算と位置づけ、編成されました。
 内容を見ますと、歳出面では、我が党が特に重視している中小企業、雇用対策、ディーゼル車対策、三宅島等の災害対策などの緊急課題に積極的に取り組むとともに、幹線道路、公共交通網の整備や障害者地域支援緊急三カ年プラン、都立病院改革、観光産業の振興、ヒートアイランド対策、市町村への支援など、各分野ごとに施策の重点化を図っています。
 このように都民の期待に応じた施策展開が図られる一方で、給与関係費の削減など、内部努力や施策の見直しにこれまで以上に取り組まれ、歳出総額、一般歳出とも厳しく抑制されております。
 歳入面では、都市基盤整備を推進するため、国庫支出金の確保に努めるとともに、後年度の財政負担の軽減を図るため、引き続き都債の抑制が図られております。
 しかしながら、税源の移譲など地方税財政制度の改善については、新たな改善が図られませんでした。今後も税源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方主権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 平成十一年、財政再建団体転落の危機に直面した都は、平成十二年度から財政再建推進プランに基づき財政再建の取り組みを全力で進め、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度までに内部努力や施策の見直しなど、都独力でなし得る目標はすべて達成するなど、着実に成果を上げてきました。
 しかし、その一方で、プランの見込みを下回る都税収入や一向に進まない国から地方への税源移譲など、財政再建を真に達成するには、いまだ道半ばの状況にあります。
 東京の再生を目指す積極的な取り組みを行うためにも、財政基盤の確立が重要であります。あすの東京を切り開いていくためにも、今後とも真の財政再建に向けてたゆまぬ努力が必要であることを申し述べます。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく最大限の努力を重ねられるよう、強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、知事本部関係について申し上げます。
 一、都政を取り巻く社会経済環境は極めて厳しい状況にあるが、重要施策及び平成十五年度重点事業を着実に実施し、都政の構造改革を推進するとともに、各局事業の総合調整を図って、東京を含む首都圏の再生及び都民生活の安心、安全の確保に努められたい。
 二、首都機能移転問題については、今通常国会において移転の結論を得るという局面において、都として引き続き情報収集に努め、国が首都移転を撤回するように断固たる反対活動を粘り強く展開されたい。
 三、アジア大都市ネットワーク21については、各都市との共同事業を推進し、東京及びアジアの社会的、経済的な連帯と協力を深め、二十一世紀のアジアの繁栄と発展に大きく貢献されたい。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、都政改革ビジョンⅠに掲げた改革に着実に取り組むとともに、都民の信託にこたえ、さらなる内部努力の徹底に努められたい。
 二、区市町村の振興については、行政水準の維持向上を図り、地域の均衡ある発展を促進するため、施策の一層の充実に努められたい。
 多摩・島しょ地域の振興に当たっては、都市基盤整備を着実に推進するとともに、市町村合併への支援や市町村の創意と地域特性を生かした諸施策の推進に努められたい。
 三、特別区が今後の事業執行に支障を生ずることなく、自主的、計画的に財政運営を行えるよう、今後の財源配分の割合については柔軟に対応するよう努められたい。
 四、震災対策については、実践的な総合防災訓練の実施や応急給水槽の建設を行うとともに、都民の防災意識や防災行動力の一層の向上を図るなど、総合的な震災対策の確立に努められたい。
 五、自然災害やNBC災害等の重大事件、事故から都民の生命、財産と首都機能を守るため、新たな危機管理体制の構築に努められたい。
 六、電子申請や電子調達など、ITの成果を積極的かつ効果的に導入した電子都庁、電子議会の実現に努められたい。
 以上をもちまして、私の意見の開陳を終わります。

○長橋委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十五年度予算案について、意見の開陳を行います。
 本予算案は、長期化する不況のもと、都税収入が十四年度に引き続き約千三百億円減と落ち込み、一般歳出は四兆二千七百四十七億円で、対前年比二・三%減、このうち投資的経費は〇・五%増にとどまり、一般会計全体では対前年度比三・〇%減という緊縮型予算案となっています。
 こうした厳しい財政状況の中で、税収減と税源不足への対応、重要課題など都民サービス向上への施策の充実、財政再建と都財政の対応能力向上という命題に配慮しての予算案ともいえます。
 同時に、今日の最大の課題である景気、中小企業、雇用、福祉、教育、都市再生などの重要施策には財源を優先的に配分しており、とりわけ福祉と保健の構成比は一二・四%と、過去最高であった前年度よりも〇・一ポイントの上昇となっていることが評価できます。
 また、重要施策及び重点事業については、中長期的視点に立って、都政の重要課題に対し戦略的対応を行おうとするものであり、我が党のこれまでの主張が多く反映されており、その意欲的な取り組みを多とするものであります。
 平成十五年度は財政再建プランの最終年度に当たりますが、税財政制度の改善を除く内部努力、施策の見直し、歳入確保の分野では、おおむね財源確保目標の一〇〇%が達成されることになります。
 特に職員定数削減については、本年を含め四年で五千八百七十五人の削減を実施し、さらに監理団体の統廃合、団体職員の削減などが実施され、これまでの我が党の行政改革への強い主張に沿うものであります。
 今後、都財政を取り巻く環境はさらに厳しくなることが予想されます。地方税財政制度の改革に向けては、国に対してこれまで以上に強く働きかけていくべきであります。
 また、十五年度予算案においては、我が党の提案を受け、会計処理に複式簿記、発生主義会計を新たに導入する公会計制度改革の推進が盛り込まれ、従来型の発想を転換し、より効率的な施策展開が期されることになりました。このこととあわせ、今後、事業効果を予測、計量して事業執行に当たることが強く求められます。本予算の執行に当たっては、より一層都民の期待にこたえられるよう、全力を尽くすべきであることを強く要望するものであります。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、知事本部について申し上げます。
 一、知事本部が持つ調整機能を十分に発揮し、各局にまたがる事業が円滑に推進されるよう積極的に取り組むこと。
 特に、職と住の均衡のとれた都市づくりに必要な施策の充実を目指し、総合的に検討を進めること。
 一、交通ネットワークや環境問題、防災、物流の効率化などの広域的な課題に対して、七都県市の連携を強化し、幅広い視点から効果的な問題解決を促進すること。
 一、国が今通常国会において結論を得るとしている首都機能移転問題については、国や候補地等の動向把握に努め、国が首都移転を撤回するよう断固反対すること。
 一、アジア地域の繁栄と発展のために、アジア大都市ネットワーク21事業を強力に展開し、新技術の開発、環境対策の推進、産業の振興などの分野において、アジア地域の首都及び大都市との連携強化に努めること。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、スリムで柔軟な行政体質の確立を目指し、組織、定数の見直しや一層の事務改善に努めるなど、徹底した行政改革を進めること。
 一、東京都監理団体については、監理団体総点検のための基本指針に基づき、統廃合や民営化を推進するとともに、団体の経営評価結果等を踏まえ、一層着実な改革を進めること。
 一、都民生活と深くかかわる情報提供を行っている都のホームページにおけるセキュリティーを確立すること。
 一、電子都庁の基盤構築に当たっては、ブロードバンドネットワーク時代の到来に対応できる体制を目指すとともに、セキュリティーをも含め、万全の体制の確立を図ること。
 さらに、都民サービスのための行政手続のIT化等についても、費用対効果に十分配慮しつつ、都民の利便性の向上を最優先課題として取り組むこと。
 一、地方分権については、国に対し着実な実施を求めるとともに、地方財源の充実確保を働きかけること。
 また、事業の性格を考慮し、区市町村への権限移譲を促進すること。
 一、基礎的な地方公共団体としての特別区の事業実施に支障を生じないよう、必要に応じて都区財政調整の配分割合について適切に対応すること。
 一、区市町村との役割分担の明確化に努めつつ、行政水準の維持向上を図るための適切な財政補完を行うこと。
 特に多摩地域については、多摩の将来像二〇〇一を踏まえ、自立化と活性化のための諸施策を推進すること。
 一、大震災から都民の生命と財産を守るために、平素から警視庁、消防庁、自衛隊との連携強化を図る体制をつくり上げ、情報連絡、避難誘導、救出救護など、総合防災対策の強化に努めること。
 一、三宅島災害対策については、島民の方々の避難生活が長期化している実情を踏まえ、各分野にわたる施策の充実を図るとともに、復旧、復興対策に積極的に取り組むこと。
 一、長年の懸案である多摩の市外局番統一化を目指し、より一層のリーダーシップを発揮するとともに、関係市町村と協力をし、実現に取り組むこと。
 一、初の七都県市合同の図上訓練の成果を踏まえ、今後も総合防災訓練や図上訓練を通じて、各都県市の災害対応能力の向上、各都県市間相互の情報ネットワークの強化、国や各防災機関との連絡強化、そして相互応援協定の実効性を高めること。
 以上をもちまして、意見の開陳を終わります。

○酒井委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成十五年度予算にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 本予算案は、成長なき構造改革の小泉内閣のもとでは、都税収入は平成十四年度に引き続き落ち込み、一般歳出も前年度比一千十六億円、二・三%減の四兆二千七百四十七億円という極めて厳しい内容となっています。
 財政状況の厳しさは十二分に理解していますが、政府予算が歳出構造改革なき総縮み予算となり、脱デフレにはほど遠い予算となっている中で、こうした緊縮予算が全府県に広がるならば、デフレの負の連鎖をさらに加速しかねないと危惧するものです。
 石原知事はさきの施政方針で、制度融資については、今後の状況によっては、たとえ年度の途中であっても、さらなる融資規模の拡大に踏み込むべきとされましたが、経済動向いかんでは、都債の追加発行による投資的経費の増額も考慮すべきであると考えます。
 緊急の政策課題に対する対応として、中小企業対策、雇用対策、都独自のディーゼル車対策、食の安全対策などを打ち出しており、これらは私たちの要望にも積極的にこたえたものとして評価したいと思います。
 さらに、今日、都民の関心の高い食品安全条例の制定についても、積極的に取り組まれるよう求めるものです。
 同時に、十四年度最終補正予算で男女平等推進基金を廃止し、財政調整基金に振りかえるという措置を講じましたが、この措置が男女平等推進施策の後退を招くものではないという東京都の見解が十五年度予算執行の中で事実として示されるよう求めておきます。
 一方で、私たち都議会民主党の長年の主張であった公会計制度改革については、昨年末に発表された都立学校別バランスシートに引き続いて、平成十五年度新財務会計システム開発、十八年度本格実施と、さらに具体的に進展することになっています。このことは同時に、私たち政党の側にも法改正の責任を課すものですが、都議会民主党としても早期の法改正を積極的に働きかけていくことを表明させていただきます。
 今後、限られた財源のもとで、景気回復と財政再建を両立させるためには、より一層の財政構造改革が欠かせません。それは私たち自身にも厳しい決断を迫ることにもなりますが、都民福祉の後退となることのないよう、知恵を出し、工夫を凝らされるよう求めておきたいと思います。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にわたる事項について述べます。
 まず、知事本部関係について述べます。
 一、道州制の実現に向けて、七都県市の連携を強めるとともに、共通する事項の統一条例化、広域連合制度の活用などを検討すること。
 一、都民の平穏で安全な生活を守り、地域のまちづくりを進める立場から、騒音やまちづくりの障害などの基地問題の解決に努めるとともに、米軍基地の整理、縮小、返還及び横田空域の返還に積極的に取り組むこと。
 一、首都機能移転に関する比較考量に必要な調査、分析を行い、都民が首都機能移転問題について判断するために必要な情報提供を図ること。
 一、予算編成の分権化、簡素化に対応した業績評価制度を検討するとともに、行政評価モニター制度の整備や第三者機関としての行政評価委員会の設置を検討すること。
 次に、総務局関係について述べます。
 一、各区市町村が自主的、主体的に広域連合の活用や区市町村合併を進め得る環境を整備すること。
 一、二十一世紀の多摩・島しょ地域の特性を生かした振興、発展のために、財政フレームや組織のあり方を含めて施策の総合的な実施を図ること。
 一、都庁の電子化を促進し、業務の効率化と迅速化、都民サービスの向上を図るとともに、情報技術を効果的に活用できるよう事務処理体制を整備すること。
 また、情報セキュリティーの確保には万全を期すこと。
 一、三宅島避難島民の生活支援対策を充実するとともに、伊豆諸島の災害復旧対策に万全を期すこと。
 一、人権施策推進指針を踏まえ、複雑化、多様化する人権問題に対し、都民、NPO、企業等と連携し、人権侵害への直接的な対処のみならず、社会的な機運の醸成や都民、企業等の意欲を生かすための基盤づくりなど、人権問題に共通する観点による総合的な取り組みを展開すること。
 以上で都議会民主党を代表しての意見開陳を終えます。

○古館委員 それでは、日本共産党都議団を代表して、意見を開陳いたします。
 石原知事が知事に就任して四年になります。この就任以来、石原都政が戦略的課題として位置づけ、強力に推進してきているのが都市再生です。知事に就任して七カ月後には危機突破・戦略プランを発表し、東京における経済活動の成否は全国に多大な影響を及ぼし、日本の盛衰を左右することになるとして、都市再生を推し進めることを表明しました。その後、総合的、体系的な都市構想として、首都圏メガロポリス構想、都市づくりビジョンなどを策定し、都市再生法に基づく緊急整備地域の指定や環境アセスメントの骨抜きなど、都市再生のための地ならしを強力に推進してきました。
 平成十五年度東京都予算案の最大の問題は、センター・コア・エリアを中心とした、こうした都市再生の施策展開を新たな段階へと進めてきたことであります。重要施策の中の重点事業のイの一番に、知事本部の責任として先行まちづくりプロジェクトの推進が位置づけられましたが、その先進的取り組みとされているのが南青山一丁目団地建てかえプロジェクトで、これはPFI手法を導入し、ディベロッパーなどの大企業に七十年間の定期借地で公有地を提供し、複合施設を建設するものです。
 しかも、見逃せないのが、知事本部の重要施策、そして行政評価、総務局の包括外部監査の報告、そして、ジョブローテーション、財務局の財政再建推進プランなどなど、政策形成とそれを保障する組織体制、そして、それを裏づける財源確保のための仕組みが不離一体とした流れを形成していることです。
 そして、この流れのもう一方で、過去最悪の失業と倒産、一貫して進められてきた医療改悪、社会保障負担増、不良債権処理の加速策、それに東京都の福祉や医療などを初めとする都民への過酷な痛みが二重三重に重なって、さらに加速してきていることです。政治がだれのため、何のためにあるのか、今ほどそもそも論が問われているときはありません。都政に求められているのは、首都の自治体として都民とともに地方自治の本旨に基づく行財政運営を確固として進めることであります。こうした転換をこそ都民が強く求めていることを指摘し、各局関係に入ります。
 知事本部関係です。
 東京構想二〇〇〇、メガロポリス構想、都市再生など、都心再生をねらう大型開発計画は、まちの破壊、環境破壊とともに都財政難を一層進めることになるものであり、政策そのものを根本的に見直すこと。
 行政評価は、都民福祉の増進という観点を機軸に据え、都民ニーズの把握、関係都民の声に基づき、各局評価を第一義的に尊重すること。
 重要施策の選定については、福祉、医療、環境など、都民ニーズの高い施策に大きくシフトしたものとすること。
 重要施策の重点事業である先行まちづくりプロジェクトの推進については、大規模公有地スペースを民間プロジェクトに提供するという新たな都市再生戦略となるもので、根本的に見直すこと。
 首都移転計画に引き続き反対を貫くこと。
 トップダウン方式を改め、都民が主人公を貫くガラス張りの都政運営に切りかえること。
 横田基地、多摩サービス補助施設など、すべての米軍基地の全面返還を正面から求めること。横田基地などの軍民共同使用計画は撤回すること。
 後楽園競輪の復活は絶対にしないこと。
 総務局関係。
 公正で民主的な行政を効率的に執行する見地で、都政機構や運営の改善と職員の適切な配置を行うこと。
 財政難を理由に職員定数の削減を行っていることに対して、その見直しと必要な職員配置に改めること。
 包括外部監査のあり方については、福祉の増進を図るという地方自治の本旨に基づいて公平、公正な立場に立ったものとすること。
 外郭団体の組織と管理運営は、公益性、効率性の立場から抜本的に見直すこと。
 職員給与など職員の処遇にかかわることについては、労使合意を尊重する立場にしっかりと立って誠実に履行すること。
 三宅島民への生活支援制度をさらに拡充するとともに、一時帰島にかかわる支援、帰島を視野に入れた島民の意向調査や生活再建復興計画など、必要な支援を行うこと。
 震災、防災対策は、耐震性の強化など災害に強いまちづくりの観点をこそ優先課題とすること。
 都区財政調整については、平成十七年度までに配分割合の見直しが協議事項となりますが、清掃関連事業など五課題について、基礎的自治体としての特別区にふさわしい財源が制度として保障できるようにすること。
 市町村調整交付金、市町村振興交付金のさらなる支援とあわせ、市町村振興基金の高金利貸付の低金利への借りかえに引き続き努力すること。
 区市町村合併や多摩の将来像をどうするかということについては、それぞれの自治体の自主性に基づくものとし、国などからの強制合併の押しつけに反対すること。
 人権にかかわる事業の展開については、同和偏重をきっぱりと改め、憲法の基本原則に基づき、すべての人権擁護を課題とした施策展開をすること。
 人権総合相談員、関係諸集会支援などについては、公平の原則に基づき実施すること。
 なお、これらの事業については、今後、廃止を含む抜本見直しを行うことを求めます。
 以上、日本共産党の意見開陳を終わります。

○大西委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表し、本委員会に付託された平成十五年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 一般会計の予算規模は五兆七千二百九十五億円で、前年度に比べ千七百八十三億円、三・〇%の減となり、二年連続で六兆円を下回りました。これは、歳入の側面で、とりわけ都税が三兆九千八十六億円と大幅減となった前年度をさらに千二百五十六億円、三・一%減少させ、八年ぶりに四兆円を割り込む厳しい状況となったためです。このため、財源不足への対応として、基金の取り崩しや退職手当債の計上など、二千四百九十七億円の財源対策がとられました。
 厳しい財政状況の中で、財源不足は不可欠であるとはいえ、男女平等推進基金と国際平和文化交流基金の二基金の廃止は、極めて政治的な判断であり、到底納得できないものです。予算全体においても、女性、子ども、NPOを政策的下位にみなす傾向があることを指摘せざるを得ません。
 財政再建推進プランに基づく財政再建の取り組みが進められてきましたが、景気の低迷によって、プラン策定時の見込みを大幅に下回る都税収入であり、深刻な事態は短期的ではありません。しかし、一方で、今回都債の発行は極力抑制したとしていますが、予算編成方針にある都市再生関連のためか、四千三百五十億円で、前年度より六百三十四億円増加させており、依然高目の水準にあるといわなければなりません。過去の過大な公共投資にあらわれる財政体質の改善と自主財源の確保は、財政再建を達成するため、乗り越えていかなければならない大きなハードルといわざるを得ません。
 以下、各局別に申し上げます。
 まず、知事本部について申し上げます。
 一、大規模な公共事業を伴う現行の首都移転については、問題点を明らかにするとともに冷静に対応すること。
 一、首都圏における広域連携に当たっては、これまでの分権を推進し、東京への集中を是正する取り組みを踏まえ、八都県市の共同で進めていくこと。また、共同については、環境、廃棄物だけでなく、消費者行政などについても拡大すること。
 一、都市再生については、環境優先の立場から、関係自治体及び関係住民との合意のもとに進めること。
 一、横田基地など米軍基地の整理、縮小、返還を積極的に進めること。
 一、多摩弾薬庫跡地を地域住民に開放すること。
 一、包括まちづくり予算補助制度を検討すること。
 一、都政改革ビジョンⅢについては、関係自治体と都民の間での開かれた議論を行うこと。
 一、行政評価についての都民参加及び職員参加を進めていくこと。また、第三者機関のチェックシステムを確立すること。
 さらに、機能するバランスシートによる行政コスト計算書の活用や予算編成との連携を積極的に進めること。
 一、大規模な公共事業評価に予定貸借対照表を活用すること。
 一、行政間の分権にとどまらず、第三の分権、市民への分権、すなわち市民参加型の政策決定ルールや住民投票制度を制度化する市民参加条例の制定を積極的に検討すること。
 一、男女平等参画を推進する社会づくりに向け、アジア大都市ネットワーク21の共同事業、女性の社会参加への取り組みを積極的に進めること。
 次に、総務局について申し上げます。
 一、都区制度の抜本的見直しを行い、改革を進めること。また、市区町村の合併については、当該住民の意思を尊重すること。
 一、地方分権をさらに進めるため、政策法務室を設置するなど、自治体立法のための能力を形成していくこと。また、都から基礎自治体への分権は、財源を含め積極的に進めること。
 一、三宅島避難島民の生活支援対策を充実すること。
 一、東京都人権施策推進指針を踏まえ、NPO等とのパートナーシップ事業を展開するなど、総合的に施策を展開すること。
 一、住民基本台帳ネットワークシステムは、個人情報保護に努めるとともに、区市町村の自治権を尊重して対応すること。
 一、複合的な災害に備えたハザードマップの検討をし、市区町村に積極的に情報を提供し、作成に向けた支援をすること。
 一、住民参加で区市町村の震災復興マニュアル策定の取り組みを進めること。
 一、住宅再建支援制度の実現に向け、国へ積極的に提案を行うこと。
 以上です。

○名取委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長まで提出いたしますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○名取委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第三十二号議案から第三十五号議案まで、第三十七号議案から第四十二号議案まで、第百二十七号議案及び第百二十八号議案を一括して議題といたします。
 本案に対する質疑は、既に終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○古館委員 第三十三号議案、東京都職員定数条例の一部改正については、財政再建推進プランに基づくもので、対前年度比でも五万八百六十七人を四万九千六百九十九人へと、千百六十八人の減となっています。財政再建推進プラン四カ年計画で五千人の削減計画を打ち出しましたが、その結果は、この削減計画をはるかに上回る五千八百七十五人にもなっておりまして、このような大幅な職員の削減は、都民の福祉増進、都民サービスに日夜努力している、都で働いている職員に新たな犠牲を強めることになり、賛成できません。
 第三十五号議案、東京都職員の特殊勤務手当については、この中に都立城北福祉センター現業手当を廃止し、財団化するというものが入っております。こうした都立からの財団化、それに伴う現業手当の廃止ですので、反対いたします。
 第三十七号議案、都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部改正については、昨日も質疑させていただきましたが、十五年度都区財調は、都区双方による政治的決着とはいえ、区側には不満が残ったものであり、賛成できません。
 以上です。

○名取委員長 これより採決を行います。
 初めに、第三十三号議案、第三十五号議案及び第三十七号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方は、ご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○名取委員長 起立多数と認めます。よって、第三十三号議案、第三十五号議案及び第三十七号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第三十二号議案、第三十四号議案、第三十八号議案から第四十二号議案まで、第百二十七号議案及び第百二十八号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認めます。よって、第三十二号議案、第三十四号議案、第三十八号議案から第四十二号議案まで、第百二十七号議案及び第百二十八号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○名取委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、閉会中に、会議規則第六十条の規定に基づき、委員の派遣が必要となった場合は、その取り扱いを委員長に一任いただきたいと思います。ご了承願います。

○名取委員長 この際、所管全局を代表いたしまして、総務局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○赤星総務局長 当委員会所管五局を代表いたしまして、一言御礼を申し上げます。
 このたび平成十五年度予算案につきまして熱心なご審議をいただき、また、当委員会に付託されました議案等につきましてご決定を賜り、まことにありがとうございました。
 この間にちょうだいいたしました貴重なご意見、ご要望等につきましては、可能な限り今後の都政運営に生かすよう努めてまいります。
 今後ともよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、御礼の言葉とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○名取委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十一分散会