総務委員会速記録第十七号

平成十四年十一月十四日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長名取 憲彦君
副委員長大西由紀子君
理事山下 太郎君
理事藤井  一君
理事松本 文明君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
酒井 大史君
古館 和憲君
野田 和男君
鈴木 一光君
山崎 孝明君
木村 陽治君

 欠席委員 二名

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
次長森澤 正範君
技監石河 信一君
企画調整部長渡辺日佐夫君
秘書部長今里伸一郎君
政策部長村山 寛司君
政策担当部長石井 恒利君
企画調整担当部長中田 清己君
特命担当部長高島 茂樹君
危機管理調査担当部長金子正一郎君
国政広域連携担当部長熊野 順祥君
首都調査担当部長関口 栄一君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
国際共同事業担当部長高橋 道晴君
監査事務局局長藤堂 義弘君
監査担当部長鈴木  襄君

本日の会議に付した事件
 知事本部関係
  事務事業について(質疑)
 監査事務局関係
  事務事業について(質疑)

○名取委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、知事本部及び監査事務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより知事本部関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 田邊外務長は、公務出張のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 これより事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○渡辺企画調整部長 去る十月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしている総務委員会要求資料、七都県市首脳会議における広域的課題への取り組み状況をごらんいただきたいと存じます。
 1の主な広域的課題及び取り組み状況でございますが、〔1〕首都圏問題、〔2〕廃棄物問題、〔3〕環境問題、〔4〕広域的な防災対応力の向上、〔5〕地方分権の推進の五項目を記載しております。
 例えば、〔3〕環境問題におきましては、自動車排出ガス対策に共同して取り組み、指定低公害車の普及やディーゼル車に関する粒子状物質減少装置の普及拡大に向けた取り組みを進めていることなどを記載しております。
 次に、2の首脳会議における主な決定事項でございますが、平成九年以降の各年の開催担当県市名と主な決定事項を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○名取委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢島委員 知事本部関係では、政策部に参与が六人おられます。都政の課題についての進言、助言を得る制度と伺っておりますが、具体的にどのように機能しているか、お伺いいたします。

○村山政策部長 参与は、都政のさまざまな課題につきまして、それぞれの専門的な立場から知事に進言、助言をいただくためのものでございまして、現在、国際関係、航空政策、災害対策、文化行政、危機管理、ITの各分野について、六人の方に委嘱をしてございます。
 おのおのの参与には、その専門的見地から知事に助言をいただくとともに、必要に応じて関係諸機関との多面的な調整などにも尽力いただいておりまして、都政の課題解決に向け、大きな役割を果たしていただいているというふうに考えてございます。
 例としてお一方だけ紹介させていただきますと、志方参与には災害対策をご担当いただいておりまして、自衛隊の本格的な参加を得た実践的な総合防災訓練であるビッグレスキュー東京二〇〇一の企画、実施に当たりましては、それまでのご経験を生かして助言、指導をいただくなど、都の危機管理能力の向上に大きな貢献をいただいているところでございます。

○矢島委員 政策課題に合わせて参与がいらっしゃるわけですから、今のお話以上に、都政のそれぞれの場面において知事に助言をして、政策判断に大きく寄与しているな、こういうふうに想像いたします。この件については、これで結構です。
 知事本部の役割は、都民の生活の安定と安心、都市構造、都市経済、都市機能など、東京の将来にかかわる事業に総合的、戦略的に取り組む司令部であると私は考えますし、この存在は、縦割り行政という現実の中で、しっかりした課題、目的のもと、問題解決に総合的に取り組むための時代の要請でもある、ですから、生まれるべくして生まれた機能であると私は思っております。知事本部の主要事業の一つである重要施策も、この観点からの取り組みであると思います。
 そこで、お伺いいたしますが、昨年から始まる重要施策策定方式の今年度の特徴、昨年と比べてどこが変わったか、お伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 まず、知事本部の役割でございますが、知事本部が都政運営におきまして総合的、戦略的な取り組みを進めるための中心的な役割を期待されているということは十分承知しております。
 今回の重要施策でございますが、こうした観点に立ちまして、単に翌年度に重点的に実施すべき優先度の高い施策を選定するだけではなく、都政の中長期的な方向を示すとともに、仕事の仕方、仕組み自体の改革を進め、都政の構造改革を総合的に推進していく具体的な戦略を示す指針として策定するものであると考えております。

○矢島委員 都の重要施策決定は、都政の課題の中にあるとしておりますが、単に課題の評価だけで決定されているのではないと私は思います。例えば、課題で問題が認識されて、明確化されて、調査が行われ、処方せん、代替案の検討がなされて、ここで政策評価あるいは事業評価の後、選択をされる、こういう方法もあろうかと私は思います。実際上、重要施策の決定はいかなる手順を踏んで行われておるのか、お伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 重要施策の手順でございますが、行政は、社会の利害関係が錯綜する中で経常的に事務事業を執行しておりまして、そのプロセスの中で、議会や都民の皆様からさまざまな問題が提起されてきております。その中から、知事の立場からの政策判断、議会の皆様のご意見、都民からの声、世論、こういったことを総合的に勘案しながら取り組むべき課題を見出し、方向性を定めて、施策として実現していくものでございます。今回の重要施策もこうしたプロセスを経て作成してきておりまして、七月に知事から基本方針が示された直後から、知事本部と現場を抱えます各局が意見交換を積み重ねながら、相互にフィードバックを繰り返しながら、共同作業によってつくり上げてきたものでございます。

○矢島委員 重要施策の提案があって、それを課題に照らして選択をするというだけではなくて、局との共同作業というところに大きなポイントがあるということは、大変重要なことだと私は思います。知事本部自身の持っている大きなパワーというのは、結果的にソフトの部分しかありませんし、洞察力、企画力、課題認識と調整力、これしかないと思いますので、この共同作業を通して、より広い観点からの都政の取り組みにしっかり頑張っていっていただきたい。一つの緩み、そして、それに対する取り組みの弱さというのは、自分の立場と東京都の施策の内容に深みと広さを与えるものではなくなっていくと思いますので、これはぜひ頑張っていただきたいと思います。
 重要施策が十分な検討と評価の後、決定される、共同作業ということでありますが、当然ながら、どういう方法であってもそうなろうかと思います。そうなると、選択されなかったものについての理由がその中で明らかになるんではないかと私は思います。評価は、当然ながらブラックボックス化してはいけませんし、全体として、その内容についてはわかりやすく、そして、その後に、その理由を含めて公表すべきではないか、こういうことが必要ではないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 ご案内のとおり、自治体は、住民により選出されます知事と議会という二つの機関が存在しております。自治体の政策は、知事が執行機関の長としてみずからの政策理念に基づきまして明確に示し、議会が意思決定機関としてそれを議論した上で実現されることとなります。それらの過程でさまざまな検討が行われるわけですが、重要施策につきましても同様というふうに考えております。

○矢島委員 私が伺ったのは、知事部局内の手順について伺いました。意味は十分おわかりだと思います。ですから、手法というのは割と重要なことになってくると思います。東京都の所管として十分に発明をしていただいて--システムマネジメントとかいろいろな考え方、たくさんあるでしょうから、その中から発明をしていただいて、その中でよりよいものをつくり上げていっていただく、そして、その立場を確保していただく、そういう努力をぜひしていただきたいと思います。
 次に、重要施策方式の今後の運用は、政策過程を大きく塗りかえるだけではなくて、都政組織全体の設計に大きな影響を与えるんではないかと、私は、この考え方と行き方を進めていくと、そのように思います。この点についてどう考えるか、そして、今後どのように対応していくか、ここをお伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 重要施策は、仕事の仕方や仕組み自体の改革を進めまして、都政の構造改革を総合的に推進する具体的な戦略を示す指針として作成するものでございます。ご指摘のとおり、都庁の組織改革それ自体にも取り組んでいくものでございます。

○矢島委員 知事本部が事務局として総合的な観点から重要施策の策定に取り組むとき、そこの壁は、当然ながら所管ということになろうかと思います。これまでも各局所管の土地の活用が検討されてまいりましたけれども、本来の必要を超えて、所管がその全体について取り組んでいるのが現状ではないかと私は思います。つまり、しょせんは所管なのだから、その理由は本来業務の範囲で私はいいんじゃないか、全体活用、オール東京の立場からの活用は、知事本部が主体的、積極的に取り組むべきまさに重要施策ではないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。

○中田企画調整担当部長 各局の所管をまたがりまして、都政全体で総合的、横断的に取り組むべき課題につきましては、知事本部が主体的にかかわりまして、局横断的な対応を図る必要があるというふうに考えております。ご指摘のとおり、都有地の活用につきましても、例えばまちづくりへの貢献が見込まれるなど、さまざまな政策的視点から総合的、戦略的に活用方法を検討すべき土地につきましては、用地を所管する局のみに任せるのではなく、局横断的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。

○矢島委員 大きな取り組みの成果を期待いたします。
 現在、東京都は、都政改革ビジョンⅢの策定に取り組んでおられます。この前身である都政改革ビジョンⅠは、平成十年十二月に上梓、その中に、平成十五年までの改革可能な実施計画として、IT化の推進、コスト管理の徹底、組織の見直し、監理団体の改革、人事給与制度の見直し、都と民間の役割分担、都と区市町村との役割分担、事業のあり方、行政評価制度を具体的に掲げておりますが、改革が実際にこの線に進んでおりますので、いわば都政改革の案内図と、私はこのような認識をいたします。
 ビジョンⅠのときは、総務局行政改革推進室が所管し、現在もその実行に取り組んでいるようでありますが、平成十三年四月に設置された知事本部がビジョンⅢの策定に現在入っておりますけれども、いずれ発表される報告、これは東京都として行うものなんでしょうか、お伺いいたします。

○幡本自治制度改革担当部長 現在進めております都政改革のビジョンについては、直ちに取り組むべき当面の改革である都政改革ビジョンⅠと、東京の将来像を見据えた中長期的視点に立った改革であるビジョンⅢとに分けまして、二段階で進めることとしております。
 ビジョンⅢにつきましては、現在、都として策定に当たっての検討作業を行っておりますが、東京を取り巻く自治制度全般にわたり検討を要するということで、都議会を初め、各方面の意見も取り入れながら、十分に議論を重ねる必要がございます。このような位置づけから、都議会でも、行財政改革基本問題特別委員会を設置しまして、平成十三年の十月から、これまで九回にわたり報告、質疑が行われてきたところでございます。

○矢島委員 簡単にいえば、都として報告を行う、そして、各議論をしっかり認識をしながら進めていく、このようなお答えだろうと思います。都政改革ビジョンⅠの内容が都政改革の骨格をなしておりますが、ビジョンⅢを所管している企画調整部の取り組みは、大変重要な役割を、その意味で、より大きな意味で担っていると私は思います。
 また、このことは、都の知事本部の組織自身を--都の職員の方々、皆さん優秀だろうと思いますので、組織自身の力を強化する、取り組みと成果のあらわし方によって随分違うものになっていくかと私は思っております。大いに期待します。
 ビジョンⅢの策定の方法、進捗状況、今もお話、一部ありましたけれども、発表時期についてお伺いいたします。

○幡本自治制度改革担当部長 ビジョンⅢの策定については、行財政改革基本問題特別委員会において今年度決められました審議事項に沿って、知事本部が議会のご議論を踏まえて作成しました自治制度改革の論点整理を参考にして、これまで審議が進められてきたところでございます。現在までのところ、今後の大都市自治体のあり方についてなど、三つの審議項目について議論を行いまして、今後は、都市づくり、地方自治制度、税財政制度の三分野にわたって有識者から意見を聴取することを予定しております。こうした議論の状況も踏まえまして、公表の時期や方法について検討していく考えでございます。

○矢島委員 事業概要の知事本部の三五ページに、地方自治制度のあり方に関する研究、都政改革ビジョンⅢの策定というのが入っております。この中に、検討項目の一つに、住民自治の活性化ということが入っております。政策決定への都民参加は、東京都が行政組織である以上、民意の反映のためには不可欠だろうと思いますし、この場合の中核になるのは、制度そのものだろうと私は思います。この意味で、直接請求、住民投票、政策形成の住民参加のあり方の検討は、当然ながら避けて通れない。
 しかし、問題は、議会制度のかかわりだと私は思います。現在、議会側では、行財政改革基本問題特別委員会、先ほどもお話がありましたが、で協議されておりまして、自治制度改革の論点整理にも記載がありますが、東京都としてこれらの部分については慎重に扱うべきではないか、これを確認させていただきたい。行財政改革特別委員会の審議の中でそういうことがあろうかと思いますけれども、一応確認をさせていただきたい。その上で具体的に、位置づけと議会とのかかわりを、東京都として--報告は東京都がすると、先ほどお話がありましたので、どのように考えるか、お伺いいたします。

○幡本自治制度改革担当部長 直接請求制度や住民投票などと議会とのかかわりということでございますが、自治体の運営は代表民主制によることを基本としまして、それを補完するため、直接民主制の活用を図るということとなっております。
 先生からご指摘のありました直接民主制的な仕組みのうち、例えば住民投票について申しますと、条例による独自の実施が各自治体で試みられておりますが、対象事項や拘束力、さらには議会との関係などが問題点として指摘をされております。
 なお、大規模な自治体である東京都で活用できるかどうかにつきましては、慎重な検討が必要であると考えております。
 これからの地方自治の充実に当たりましては、住民自治の活性化は重要な課題でありますので、都議会での議論を踏まえまして検討してまいります。

○矢島委員 今、特別委員会で審議をされておりますので、私は確認だけにとどめさせていただきます。以上、終わり。

○酒井委員 それでは、私の方から横田基地の日米軍民共用化について何点かお伺いしたいと思います。
 まず、東京都としての横田基地の将来像について、初めにお伺いしたいと思います。

○高島特命担当部長 酒井委員の横田基地に関しますお尋ねにつきまして、お答え申し上げたいと思います。
 都としての横田基地の将来像についてでございますけれども、これは、都が策定いたしております計画、構想等において幾つか明示させていただいております。例えば、東京構想二〇〇〇におきましては、横田飛行場につきましては、全面返還を求めつつ、返還までの対策として民間航空利用の実現を図ることにより、首都圏西部地域の空港の利便性の向上及び多摩地域の活性化を図るというふうにさせていただいております。
 それからまた、多摩の将来像二〇〇一におきましても、民間航空利用によりまして広域的交通ネットワークが強化され、地域経済が大きく発展していくとの将来像をお示ししているところでございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁にもありますように、将来の返還までの過渡的な政策として日米の軍民共用化があると思うわけですけれども、東京都としては、この横田基地の軍民共用化の具体的なメリットといったものはどこにあると考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 横田基地の軍民共用化の具体的なメリットについてのお尋ねでございます。
 私どもは、この横田基地の民間航空利用におきます共同利用の実現は、あくまで返還に向けたステップの一つ、また、返還に対する一つの大きな促進剤となるというふうに考えております。
 その中で、特に共用化の当面の具体的なメリットといたしましては、一つは、多摩地域の経済振興を初め首都圏の経済活性化が図られること、二つとしまして、多摩地域など首都圏西部の広範囲な地域での空港利用の利便性が高まること、三つ目としましては、この横田飛行場という、四千メートル級の滑走路でございますけれども、この施設を有効活用することにより、首都圏の空港機能を補完することができること等々の点が挙げられるのではなかろうかと思っております。

○酒井委員 ただいまのご答弁にあるように、メリットを認める横田基地の軍民共用化への具体的なプロセスについてはどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 軍民共用化の具体的なプロセスということでございますが、先般、議会でもご報告させていただきましたが、知事が訪米いたしまして、その結果、横田基地の問題につきまして、政府間の協議の重要な問題として登録されるべき問題であると、アメリカ政府の要人にも理解を得たというところでございます。
 これを受けまして、都といたしましては、国が積極的にこの問題に取り組み、政府間交渉を始めるよう、強く働きかけていきたいと思っております。

○酒井委員 軍民共用化へのプロセスの一つとして、石原東京都知事の訪米が行われたと思うわけですけれども、今回のこの訪米について、都としてはどのように総括されているのか、確認のためにお伺いをしたいと思います。

○高島特命担当部長 知事の訪米につきましての都としての総括というお尋ねでございます。知事の訪米後、十月十五日の本会議でご報告させていただきましたけれども、この問題につきましては、政府間の問題として認識するが、同時に、今後、日米関係の発展のためにも、当然これは政府間の協議の重要な問題として登録されるべき問題であるという理解をアメリカ政府にも得たのではなかろうかと思っております。そういう意味では、横田基地の問題が日米間の正式な問題として登録できたのではなかろうか考えております。

○酒井委員 繰り返しになりますけれども、ただいまご答弁をいただいた中で、十月十五日の本会議での知事の報告の中では、アメリカのどなたに会い、また、どなたがいったのかわかりませんけれども、政府間の協議の重要な問題として登録されるべき問題と表現をされておりました。このニュアンスだと、知事も、この報告の中で、登録ができたと確信をしているといっている程度で、相手方が登録をするとまではいっていないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 また、登録をするということは、具体的にどのようなアクションを今後行っていくということなのか、お教えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 知事訪米の相手方、米政府要人との会談の相手方の発言内容の詳細につきましては、これは外交交渉という性格上、必ずしもすべて明らかにできないということはご理解賜りたいと思いますが、知事のご報告にもございますように、政府間の協議の重要な問題として登録されるべき問題であるという理解、認識を米政府、米政府要人にも得たものと認識しております。
 今後の具体的なアクションでございますけれども、今申し上げましたように、日米政府間で協議すべき問題ということでございますので、国において積極的にアメリカ政府と交渉するよう働きかけてまいりたいと思っております。

○酒井委員 私自身、今回の訪米、どの程度の成果があったのかということについては、なかなかはかり知れないところなんですけれども、今、ご答弁にもありましたように、国が積極的にこの問題に取り組むよう強く働きかけを行っていくということですけれども、今後、具体的に国へどのような働きかけを行っていくのか、お伺いしたいと思います。

○高島特命担当部長 今後の国への働きかけでございますが、既にご案内のとおり、十月十五日、議会に訪米結果をご報告させていただいたその日に、知事みずから小泉総理のところに足を運びまして、訪米結果をご報告し、政府においての取り組みを要請したところでございます。
 また、私ども事務方といたしましても、十一月に入りまして、北米局の政府高官、また、防衛施設庁、北米局のそれぞれの課長級の担当者等にも、この問題について、知事の訪米結果の報告とともに、強く、今後、国において取り組みをしていただけるようお願いし、働きかけてきたところでございます。引き続き努力してまいりたいと考えております。

○酒井委員 今、働きかけを行い、今後も努力をしていくという答弁でございましたけれども、都知事が総理大臣に働きかけを行ったということですけれども、それに対する国の反応といったものは、具体的に出てきているのでしょうか。

○高島特命担当部長 国の反応ということでございますけれども、知事の訪米結果の報告につきましては、国の政府当局においても十分ご認識していただいたものと考えております。しかしながら、具体的に、それに対する対応といいますか、反応というのは、現在、国の方からまだ返ってきておりません。

○酒井委員 先ほどのプロセスについてのご答弁の中では、地元自治体等についての話がありませんでしたけれども、地元自治体に対しては、この間どのように対応を行ってきたのか、お伺いしたいと思います。

○高島特命担当部長 地元自治体への対応というお尋ねでございます。これにつきましては、例えば平成十一年度、都が行いました横田基地に関する調査、これは経済的な波及効果、それから、騒音問題等々を総合的に調査したものでございますが、この中で、民間航空利用の内容につきまして、地元自治体、関係者、首長さん等々にご説明申し上げ、ご理解いただけるようお願いしたところでございます。
 また、多摩の将来像二〇〇一におきましても、先ほど申しましたように、横田飛行場の民間航空利用を位置づけるなどのことも行っております。その際に、あわせて地元自治体での理解を求めてきたところでございます。

○酒井委員 繰り返しになりますけれども、この軍民共用化の問題について、地元自治体に対して具体的な提案ですとか、また説明といったものは行っているのでしょうか。

○高島特命担当部長 具体的な提案、説明ということでございますが、先ほど申しました平成十一年度の横田基地に関する調査、これは、民間航空利用によりましてどの程度の経済効果が上がるかとか、それから、利便性が向上するとか、また騒音の影響等々、総合的に情報を整理しまして、その情報につきまして具体的に地元自治体等に提供し、その内容について理解をいただけるよう説明を行ってきております。
 それからまた、その内容につきましては、(資料を示す)こういうパンフレットですとか、それから、ホームページなどによりまして、一般住民の方にも幅広く情報提供を行うように努めてきたところでございます。引き続き努力してまいりたいと思います。

○酒井委員 ただいまのご答弁の中で、総論としてはわかるのですけれども、個別具体的な課題について、調査研究といったものを過去どのように行ってきたのか、また、これからどのように行うのかといった点についての言及がちょっと乏しかったと思いますので、何点かお伺いしたいと思います。
 まず初めに、メリットの一つとして、「国の予算編成に対する東京都の提案要求」という冊子が、先日、控室のテーブルの上に置いてあったわけですけれども、この冊子の中でも、周辺地域の経済の活性化といったことに言及をされておりますけれども、この経済の活性化について、どの程度の経済効果が上がるのか、試算を行っているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 具体的な経済波及効果の試算でございますが、これも繰り返しになりますが、先ほど来から申し上げております平成十一年度の横田基地に関する調査の中におきまして、具体的な数字を提示いたしております。これによりますと、横田飛行場の民間航空利用によりまして、経済波及効果が約一千三百八十億円、それから、雇用創出効果は約八千三百人と推計しているところでございます。

○酒井委員 今、メリットについてのお話を聞きましたけれども、一方、デメリットとして、進入路直下の住民にとっては、さらに騒音が進むと心配をされるのではないかと考えますけれども、軍用機と民間機の離着陸距離の違いであるとか、また、エンジン性能の違いなど、住民に説明できるだけの情報収集やシミュレーションといったものは行っているのでしょうか。

○高島特命担当部長 一般的に民間航空機につきましては、エンジンの消音装置ですとか、それから、運航方法、飛び方の問題、こういう問題の解決によりまして、かなりの低騒音化の工夫がなされているところでございます。騒音の影響範囲は、そういう意味では、軍用機より相当狭くなっているということが報告されております。このことにつきまして、都といたしましては、先ほどお話ししましたパンフレット、それから、ホームページ等によりまして、住民の方々にその情報を広く知っていただけるよう努めているところでございます。

○酒井委員 今の騒音の問題については、先ほどお示しをいただいた、こういったパンフレットの中で、どの程度の騒音があるのかといったことが示されているわけですけれども、当該地域、具体的には昭島市であるとか瑞穂町といった、その地域の実情で、軍用機とか民間機の騒音の範囲の違い等も明示をしながら説明する必要があると思います。この点については要望とさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ都民、住民に知ってもらう努力の中で検討していただきたいと思います。
 もう一点、横田基地の施設内に民間航空機用の施設をつくった場合、当該自治体については、現在、交付をされている基地交付金等の算定の仕方等にも影響があると思いますけれども、それらの点について試算を行っているのでしょうか。

○高島特命担当部長 民間航空機用の施設をつくった場合の基地交付金等のお尋ねでございます。これにつきましては、米軍基地内に、仮に例えば民間航空ターミナルが設置された場合、その基地交付金、もしくは、民間事業者でいえば固定資産税ということになりますが、これにつきましては、施設の所有のあり方、それから、具体的な利用形態によりまして、その取り扱いが異なってまいりますので、現段階において確たることを申し上げられませんので、ご理解を賜りたいと存じます。

○酒井委員 今の点については、現状において試算をすることは難しいということは承知をしておりますけれども、当該自治体に提案であるとか、また説明をする上で、財政上の影響についても、その内容を明らかにし、理解を求めていく必要もあると思いますので、ぜひ準備を進めていただきたいと思います。
 次に、既に軍民共用化を行っている三沢基地の状況については、調査をされているのか、具体的な共用化のプロセスや、現状どのようになっているのか、お調べになっていればお教えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 三沢基地におきます軍民共用化についてのお尋ねでございます。これは、昨年、私どもの職員を地元の三沢の方に派遣いたしまして、調査を行ったところでございます。その経緯につきましては、昭和四十年代後半、航空需要の増大に対応する必要があったということで、八戸空港におきましてはジェット化が困難であるというような周辺事情もございまして、三千メートル級の滑走路である三沢飛行場の共用化が促進され、具体的には昭和四十九年の日米合同委員会で民間機乗り入れで合意に至ったというふうに聞いております。

○酒井委員 この三沢基地については、当時、海軍が利用していて、今は空軍が利用しているということですので、そのあたりについて、横田基地とストレートに当てはまるわけではないかもしれませんけれども、ぜひ今後も研究、検討をしていただきたいと思います。
 この横田基地の軍民共用化実現への道のりといったものは、この横田基地の性格が、航空機を百四十機擁する太平洋空軍最大の部隊である第五空軍の司令部があり、また、在日米軍司令部も所在をすることからも、まだまだその道のりは遠いと思います。そこで、知事も提案をしているもう一つの課題である横田空域の返還について、若干お伺いしたいと思います。
 まず初めに、横田空域の返還について、この間どのようなアクションをとってきたのか、お答えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 横田空域の返還についてのお尋ねでございます。この問題につきましては、横田基地の共同利用の実現とあわせて、私ども、かねてから国に対して強く働きかけてきたところでございます。国、また全国知事会、渉外知事会とも連携し、この問題については国に働きかけております。そういう意味では、今後とも、国において米当局と断固とした交渉を行うよう強く求めてまいりたいと考えております。

○酒井委員 この横田空域の問題については、先般の知事の訪米の際には議論をされたのかどうか、お伺いいたします。

○高島特命担当部長 知事が十月十五日、議会で報告させていただきましたが、その中で、横田問題と表現させていただいていますが、その中には、横田飛行場の共同利用のみならず、今お話ございました横田空域の問題も含まれているというふうに認識いたしております。

○酒井委員 この横田空域の問題については、今後どのような働きかけを展開していくのか、お伺いしたいと思います。この問題は、日米地位協定、第六条にもかかわるものでありますので、現状における国の反応等も含めてお答えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 横田空域の返還の問題につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたように、国において断固とした交渉を行うよう強く求めていきたいと思っております。
 国の反応でございますが、これにつきましては、扇国土交通大臣が国会審議の中で、そのままちょっと読ませていただきますと、横田等について進入管制業務の我が国への移管が実現するよう引き続き粘り強く交渉していきたいという旨の積極的な答弁もされております。そういう意味では、国において積極的に取り組まれるよう、さらにお願いしてまいりたいと考えております。

○酒井委員 この空域の問題については、石原都知事もよくご存じで、その著書の中において、空域返還を主張している元米国外交問題評議会上席研究員の長島氏の著書によりますと、例えば、羽田空港の西側においては、羽田空港を離陸した航空機といったものは横田基地の管制下に入るために、横田から飛行許可が出なければ、その航空機は地上ないしは空中で待機をしなければならないといったことや、また、大島周辺から日光に至る幅十六キロの米軍専用空域があるために、民間航空機はそれを大きく迂回しなければならないなど、安全性のみならず利便性の点でも問題があると思います。戦時はともかくとして、平時においては、国土交通省に返還するよう、一九九九年に嘉手納の管制権といったものが旧運輸省に返還をされることが決まっているという例もあり、強く働きかけていただきたいと思います。
 本日質問をした横田基地の軍民共用化並びに横田空域の返還の問題は、本来、国が率先して行うべき問題であると思いますが、今後、東京都としてどのような決意と計画を持って対応していくのかお伺いをするとともに、もしご存じであれば、石原東京都知事は国会議員時代に運輸大臣、環境庁長官といった政府の要職も務められておりましたけれども、当時、これらの問題について提起をしたことがあるのか、お教えをいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 先ほど来から申し上げておりますが、知事の訪米結果を受けまして、この横田問題につきまして、政府間で協議すべき問題であるという登録ができたという認識を持っておりますので、国において米政府と積極的に交渉していただけるよう強く働きかけてまいりたいと思います。
 また、あわせて、地元自治体、都民の皆さん方にご理解いただけるよう、啓発普及等に努めてまいりたいと思っております。
 それから、知事の国会議員時代のお尋ねでございますが、これにつきましては、知事がかねてからお話し申し上げていますように、国会議員時代から、知事としましては、横田基地問題につきまして、さまざまな場で問題提起をされてきたというふうに承知いたしております。

○酒井委員 今、都知事がいませんので、この場ではこれ以上お聞きいたしませんけれども、国会議員時代、政府の要職にあられたときに、具体的にアクションを起こされたような記憶が、私はまだ若輩者ですので、知らなかったのかもしれませんけれども、ないように思います。きょうは問題提起だけにしておきたいと思います。
 では、最後に、本日の質問に対する答弁をお聞きする中で、国等への働きかけを行っていくということについては十分理解ができたわけですけれども、この計画の発表当時、ほとんどの首長さんが賛意を示さなかった地元自治体への説明や、特に地域住民への説明といったものがまだまだ足りないように思われます。この地元自治体や地域住民に対する誠意ある説明、対応を求めるところでございますけれども、どのような手順で地域住民等の理解を得ていくのか、都としてのお考えをお聞きし、本日の質問は終わりにさせていただきたいと思います。

○高島特命担当部長 地元自治体、地域住民との関係についてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、横田飛行場の民間航空利用の実現のメリット、これは、地元のまちづくり、さらに経済振興、そういうものに対して大きな影響を与えるということを申し上げたところでございますが、そういうことと密接に関係しますので、この問題につきまして、都としては地元の住民、また自治体の方々に十分説明し、理解を得ながら、そして、国に対して積極的に働きかけていきたいと思っております。
 それから、具体的に今までどのようなことをやってきたかということにつきましては、先ほど申しました、私どもがまとめました調査報告書を地元の方々にご説明し、理解をいただく、また、パンフレット、ホームページ等でそういう情報について幅広く住民の方に提供する、そのような努力をしてまいりました。
 今後とも、いろいろな機会を利用しまして、委員ご指摘がございましたこの課題の重要性にかんがみ、地元自治体、地元住民の理解が得られるよう努力してまいりたいと、かように考えております。

○古館委員 それでは、私の方も横田基地の、私は返還について幾つか質問させていただきたいと思います。
 第三回定例会中の十月六日から十二日まで、知事が、今お話がありましたけれども、訪米しました。このことによりまして会期が延長されるという異例の事態になったことは、ご承知のとおりです。既に我が党は、都議会議長が出席を求めているにもかかわらず、知事が本会議を欠席することは地方自治法にも反し、かつ議会を軽視するもので、猛省を促すとの談話も発表しているところであります。さらに、三田議長が二度とないよう知事に申し入れを行って、これは記録にも残したわけですが、私どもも、こうしたことが二度とあってはならないと、このことを強く最初に申し述べておきたいと思います。
 きょうは、帰国後の本会議での知事の発言にかかわって、幾つか最初に聞きたいと思います。
 知事がこの問題といっている、いわゆる横田の問題についてですが、やっと日米間の正式な問題として登録ができたと確信をすると。この問題について、先ほどのやりとりの中で、登録ができたと確信をするという知事の一方的な確信なんですが、この正式な問題として登録ができたとはどういうことをいっているのか、知事本部はこの詳細についてどのように聞いておられるのか、まずお答えいただきたいと思います。

○高島特命担当部長 知事が十月十五日の本会議でご報告したとおりでございますが、具体的には、先ほど来から引用いたしておりますけれども、政府間の問題として認識するが、同時に、今後、日米関係の発展のためにも、当然これは政府間の協議の重要な問題として登録されるべき問題であるという米政府要人の認識を得たという理解を持っております。

○古館委員 今も、結局、知事が本会議で答弁したことから出ていないんですよね、一歩も。ですから、登録するとは、アメリカの方がいったとは、このご答弁の中でも聞かれないわけですね。アメリカの高官との対話の中で、アメリカ当局が横田基地の役割についてはどのように認識をしておられたのか、それらについてはどのように聞いているでしょうか。

○高島特命担当部長 横田基地の役割に対する認識でございますが、これも十月十五日の本会議で知事がご報告させていただきましたが、横田基地の問題は、単に空港問題ではなく、社会工学的にも、そして文明工学的にも、経済を含めた日本の国力を左右する問題であるという説明をし、理解を得た、そういう米政府要人に横田の問題については理解を得たというふうに確信しております。

○古館委員 これも、はっきりいって、あの発言から何も出てないわけですよね。だから、今、どなたかおっしゃいましたが、聞いていないということを答弁の中で具体的に明らかにしているというふうに思います。非常に気になっているのは、知事の、横田の問題は社会工学的にも文明学的にもという発言が、私、これはどういうことなのかなということを感じているんですが、こうしたことについても聞いてはいないんでしょうか。

○高島特命担当部長 個々の文言につきまして、知事にその意味を確認はいたしておりませんが、これは、先ほど申しましたように、民間航空機の共同利用の実現によりまして、いろいろメリットがあるということを申し上げましたが、そのことであろうというふうに思っております。一つは、ですから、先ほどいいました多摩地域の経済振興を初め首都圏の経済活性化、それから、多摩地域を含む首都圏西部の広範囲の地域での空港利用の利便性の向上、それから、首都圏における空港需要を十分満たすための空港機能の補完等々を、このことによってお示ししているというふうに理解いたしております。

○古館委員 今、そういう答弁があったんですけれども、それはそのように理解しているというだけの話なんですね。そうすると、何か今の答弁を聞いていて、そうかなと思っているんですが、訪問の報告書なり訪問記録なりというのを作成するかどうか、このことについては、知事には聞いてないでしょうか。

○高島特命担当部長 知事の訪米結果のご報告につきましては、これは文字どおり、十月十五日の本会議におきまして、都議会議員の先生方、それから、都民の皆様にその結果をご報告させていただいたところでございます。

○古館委員 だから、あの発言以外は何も知らないんですよ。知事本部も知らないんですよね。我々都議会も知らないんですよね、今のお話の中で。それで、こういう答弁ですから、知事と知事本部とのありようが何となく透けて見えるような思いなんですけれども、この知事発言を何度か読み直してみたんですね、私。そこで、知事の発言の中で、全くない言葉があるんです。それは、返還というのが何もないんですよ。この問題、この問題ばっかりなんですよね。だから、この問題というのは一体何の問題なのか、返還というのは一言もこの発言の中にはないんですが、これが大きな特徴なんですね。
 そこで、軍民共用化の問題についてもう少し聞きたいと思うんですけれども、いわゆる軍民共同の使用、これに関連する公共投資ですけれども、例えば、膨大な調査、横田基地に関する現況調査報告書というのがありますけれども、ここでは、例えば国内線、国際線のターミナルビルをそれぞれつくらなきゃならない、ビルだけで百四十四億円予定していると。この中に書いてあるんですが、しかもこれを書いた計画書では、本調査の想定では、飛行場に附帯した駐車場整備も必要ですよ、アクセス等のインフラ整備も必要ですよ、それから、CIQ、すなわち出入国管理業務を行う施設も必要です、さらに、空港関連諸施設だとか貨物ビル建設及び周辺の宿泊施設なども想定しなきゃならない。
 ところが、この問題について、これだけかかると総工費は幾らかと、私、実は昨年の十月三十一日の決算委員会で聞いたんですが、この質問に対しては、経済効果がいたずらに多く試算されることを防ぐ意味で、ターミナルビルの建設費のみに限ったというのが知事本部の見解だったんですね。これは、経済効果を、裏を返せば、都の財政負担が物すごい巨額になるということを表に出すことを避けたと考えられても仕方がないものであります。石原都政が考えている軍民共用というのは、このような構想なんですね。
 そこで、聞きたいと思いますが、しかし、横田基地の最大の問題というのは、文明学的とかなんとかという経済的な効果という以前の問題として、何がこの出発点だかというと、横田基地の最大の問題は、騒音問題を初めとする、横田基地の持っている戦略的な機能、安全性の問題など、周辺市民の生活権、生存権にかかわる問題だから、基地の全面返還問題が俎上に上ってきたわけですよね。ですから、これらの問題を抜きにして、安易に民間利用を考えることがあっては絶対ならない、したがって、これら騒音、安全、市民生活の保持を基軸に据えて、総合的な評価、判断をすることが横田問題の重要な責任だと考えますが、いかがでしょうか。

○高島特命担当部長 この軍民の共同利用によりまして、先ほど来から申し上げておりますが、経済効果が認められる、特に民間航空利用によりまして、先ほど来申し上げました地域の経済振興ですとか、住民の利便性の向上ですとか、それから、首都における航空需要に対する対応等々が考えられます。また、あわせまして、今ご指摘ございました騒音対策、安全対策、こういうことにも万全の配慮をしながら進めていかなければならないだろうと思っております。いずれにしましても、住民にとって、多摩にとって、東京にとって大きな振興につながるような形で、この共同利用の実現に向けて努力してまいりたいと、かように考えております。

○古館委員 今の答弁とか先ほどの委員の質問に対する答弁を聞いていますと、軍民共同利用が最優先の政策課題という印象を非常に強く持ちます。そこで、騒音だとか環境面だとか安全面などは、この軍民共同利用の中で付随的に考えるという印象を非常に強く受けざるを得ません。
 そこで、聞きますけれども、知事が就任して軍民共用を打ち出して以降、反対なり見直しを求めている市町村は、どこの自治体で何自治体に上っておりますか。

○高島特命担当部長 反対を表明している市町村でございますが、立川市、昭島市、瑞穂町の三市町でございます。

○古館委員 つまり、横田基地を抱えている自治体なんですよ。そこがこの軍民共用の計画に対して反対というのを打ち出しているんですね。このほかに、十四年度に向けての東京都への予算要望で、多摩の町村会、町村議長会が反対という意向をこの要望書の中できちっと明記しているんですよ。それだけじゃないですね。都議会では、全面返還に関する意見書というのを十三年度の十二月十九日付で政府関係機関に出しているんですね。ここでは、「米軍基地が現実に存在する以上、基地の周辺において、航空機騒音等の問題や地域のまちづくりに対する大きな障害を引き起こしている。また、今日、米国で発生した同時多発テロなどに関連した、米軍基地への報復テロが心配されることなど、周辺住民の安全についても特段の配慮が求められている。東京都は、従前から米軍基地対策の推進を国への要望の最重点事項として位置付け、これら基地の返還を求めてきたところである。よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、横田基地・多摩サービス補助施設の返還とそれまでの間、少なくとも多摩サービス補助施設の都民開放のために必要な措置を講じるよう強く要請する。」これが都議会の全党の賛成の中で上がった意見書であります。
 昨年十二月十九日の私の質問で、私は全面返還のアクションプランをつくるべきだということを求めましたが、この点については進んでいるでしょうか。

○高島特命担当部長 返還の問題でございます。横田飛行場の民間航空利用の実現でございますけれども、これはあくまで私どもも、返還に向けたステップの第一歩であるということでございます。東京都におきましても、都内の米軍基地につきまして、都民の生活を守り、そして、地域のまちづくりを推進するため、できるだけ整理、縮小、返還が促進されるということは、重点要望に入れておりますし、また、あらゆる機会を通じて国に対して強く求めているところでございます。
 しかしながら、先ほど申しましたように、直ちに返還させるということに、なかなか現在、向かうことは困難でございますので、そのために、返還に向けたステップの一つ、そして、返還までの対策として、地元住民の方々がこの横田基地によって利便性が享受できるような形が追求できないかということで、共同使用を促進し、周辺住民の方々の利便性の向上、経済の活性化に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 いずれにしましても、この横田飛行場につきましては、民間航空利用の実現を通じまして、基地の返還の歩みを進めるとともに、そして、地元の住民の方々がこの横田基地によって一歩でも利便性を感じていただけるような形で使っていただけるような方向で、国に強く働きかけ、私どもも努力してまいりたいと、かように考えております。

○古館委員 先ほどからの質問に対する答弁では、民間航空利用の実現を強く国に要請しているということは、もう本当に何回もいうんですよね。私は、じゃ、聞きたいんだけれども、軍民の共同利用が進んだから米軍基地が撤去されるという根拠はどこにあるんですか。

○高島特命担当部長 ただいまのご指摘は、よくお話を受けるんですが、共同利用の実現が基地の恒久化につながるんじゃなかろうかとご心配になる方がいるんですが、そういう方にはこういうご説明を申し上げております。横田基地の共同利用を実現することにより、米軍関係者、米政府関係者との信頼関係を積み、話し合いの場を持つことが徐々にできていく、そしてさらに、横田基地を共同利用することを通じて、基地の機能、軍事基地としての機能がかなり形骸化してきている。実態的には、これは知事も申し上げておりますけれども、横田基地は、空軍基地というよりは兵たん基地、ロジスティクス、要するに輸送基地として使われている、そういう実態を明らかにすることにより、軍事機能が事実上軽減している、そういうことを通じて、本当にこの基地がここに必要なのかということの問題提起もできるのじゃなかろうかと思っております。
 これは、共同利用の長い間の実績を踏まえ、信頼関係を醸成し、基地が返還される例が、実は近々出てまいります。これはフランクフルトのアメリカ空軍基地が、長い間の共同利用の実現を踏まえて、今般返還されることに相なっております。そういう意味では、私どもも、先ほど来から申し上げておりますように、あくまで最終目標は返還でありますが、それまでの一つのステップとして、この共同利用の実現により、今申し上げたような段階を踏んで、最終的な目標に到達したい、かように考えているところでございます。

○古館委員 話し合いの内容だとかそういう問題では、私は、この米軍基地の撤去というのは、事横田基地の問題についていえば、考えられない。なぜかといったら、話し合いして仲よくなったからという、そういう問題じゃないんですよ、横田基地という位置づけは。これは後で述べますけどね。そういう点から見ても、本当にこれは全面返還のアクションプランをきちんと確立する、そして、軍民共用化だけが先行しているという今の事態、この問題については、本当に、逆に全面返還をおくらせる。あるいは困難にする。なぜかといったら、不一致点を強引に持ち込んできているんですから。
 私は先ほど、基地の周辺の自治体が反対して、町村会や町村議長会も、この軍民共用化の問題について反対という意思表示をしている、地域住民もそういう意向を持って、騒音の問題、何とかしてくれ、墜落事故の問題、何とかしてくれ--墜落というか、物の落ちてくる問題なんかも何とかしてくれとか、落下物の問題とか、そういう問題というのは、毎年毎年大きな課題になっているわけですね。そういう肝心かなめのところで軍民共用は反対ですよという問題があって、それに対して軍民共用をやっていくということは、逆に都民の世論を、全面返還という方向ではなくて、その運動自体を非常に困難にしていく、不一致点を拡大するものだというふうにいわざるを得ないものであります。
 改めて聞きますけれども、全面返還のアクションプランをつくること、そして、返還後の復興計画を関係する市町村が主体的に作成する、都や国はそのために協力、支援を惜しまない、こうした立場こそ都民的一致点だし、都民が願っている方向だと考えますが、いかがでしょうか。

○高島特命担当部長 横田基地問題に関します地元の住民の方々の反応でございますが、ただいま委員の方からは、消極的なご意見の開陳がございましたが、知事が提唱されています共同利用の実現、ぜひやるべしだという声も、実は多々ございます。武蔵村山市からも出ております。それから、民間の商工会連合会、各種商工会、それから、東京商工会議所等々から出ております。そういう意味では、逆に私どもが考えなくてはいけないのは、反対されている方々のご心配、ご懸念の点をどう払拭していくかだろうというふうに思っております。その点では、一番やはり、先ほどお話ございました騒音問題ではなかろうかと思っています。そういう意味では、共同利用を実現する過程の中におきまして、そういうご懸念、ご不安の点は払拭できるように努力してまいりたいと思っております。
 繰り返しになりますが、私ども東京都の行政の目的も、あくまで最終的な目標は返還、整理、縮小でございます。しかし、そのための第一歩、また、それを促進するための手段として、この共同利用の実現を図り、そして、今持っています横田の空港機能、これを地元の住民の方々に開放していただきまして、もって地域経済の振興、そして多摩地域全体の大きな発展につなげさせていただくことが住民の方々の福祉の向上につながっていくのではなかろうかと、かように考えております。

○古館委員 今、現実に、今の米軍基地ですら騒音だとか、落下物の事故だとか、学校なんかも勉強ができないとか、さまざまな形で、これは党派を超えて、この都議会では取り上げられている問題なんですね。現実に今のそういうことが解決できないで、今度は民間航空機も一緒に飛ばしましょうということで解決できるなんて、私は思いません。そういう点で、いうまでもなく、横田基地というものの持っている機能なんですけれども、これは、ご存じのとおり、首都東京のど真ん中にあります。世界でも、全くこうした首都のところに外国の基地があるなんていうのは、希有な存在でありまして、外国の基地でこんなところというのはありません。横田基地には、二十九室の弾薬庫のうち十七室は、核兵器の貯蔵も可能な危険一というマークがつけられているものであります。米軍の司令基地であり、大量輸送機能があります。中継拠点でもあります。こうしたところを、返還を全面に出さずに、今回の答弁にあるように、民間利用というのを政策方針の中心に据えて、そのための国際、国内のエアターミナル建設や道路建設、それらに付随する諸施設の建設、用地の買収、さらには多摩の将来像の中で、都市計画局の検討課題だとされているんですが、圏央道と外郭環状道路の間に、核都市広域幹線道路、さらに中央自動車道と関越自動車道路の中間に多摩新宿線を走らせる、こういう計画になっております。
 ちなみに、圏央道と外郭環状道路の間には、現在、国道一六号線というのが走っているんですね。(資料を示す)これは道路地図なんですけれども、これが国道一六号線という、このピンクのやつが--ちょっと私、そそっかしいもので、間違っちゃって、バツしていますけれども、これが国道一六号線なんですよ。この上にでっかい道路をつくろうと。で、この出発点はどこかというと、横須賀なんですよ。国道一六号線が走っている始まりは横須賀なんですね。それで、ずっと座間の例のキャンプ地を走り、それから、相模の貯蔵庫のところを走って、最後には横田に隣接するところにつくりましょうと。それから、もう一つの関越自動車道と中央高速道路、そこの中間といいますと、どこに高速道路が行くようになるかというと、東京港から横田の基地にまるっきり隣接されるというような構造上でつくられている。だから、横須賀のところでのいわゆる施設そのものに対して、私は、アメリカに行って、じゃ、何を知事が話したのかなということは、余計聞きたい話だというふうに思っているわけであります。
 いずれにいたしましても、環境を破壊し、かつ都財政のさらなる投入を進めようとする、こういう軍民共用化は、都民が願う全面返還では決してありません。東京構想二〇〇〇も多摩の将来像も、計画期間は二〇一五年までの計画でありますけれども、都の軍民共用化構想は、明らかに長期にわたって米軍横田基地の存在を容認し、さらなる環境被害、安全への脅威を広げることは明らかであります。東京都の役割は、市民の平和、生活の安寧を保障し、地方主権に基づく地域経済の発展を、関係市町村の主体を大事にしながら、その実現に向けて支援を惜しまないことだと確信をいたします。
 質疑の中でも明らかにしましたけれども、横田基地問題での市町村、市民、都民、都議会、都の全体が一致している横田基地の全面返還をこそ都政の基本に据えることを強く申し述べて、質問を終わります。以上です。

○大西委員 要求しました七都県市首脳会議の資料に基づいて、ちょっとお聞きしたいと思います。
 私どもネットでは、地方自治においては、基本的に基礎自治体を重視すべきとの立場なんですが、そうはいいましても、一方で大都市特有の、自治体を越えた広域的な解決すべき課題がたくさんあるわけです。そういうわけで、このような首都圏サミットに期待するところも大きいわけなんですけれども、昨日、都が事務局を東京で務めた会議が行われたと聞いております。その様子や、それから、今後、サミットの事務局を常設化し、事務能力を強化する動きや都における考え、そういうものをお聞かせいただきたいと思います。

○熊野国政広域連携担当部長 環境あるいは防災問題など、首都圏におきましては広域的課題が山積しております。こういった問題を解決するためには、各団体個別ではなくて、七都県市首脳会議等々、協調した取り組みを進めることが重要である、今後ともそうした取り組みを行うことによりまして広域的課題の解決に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
 事務局の常設化でございますが、先ほど申しましたように、協調した取り組みを行っていくためには、事務局を常設化して機能的に発揮していくことも有効な方法の一つであると考えております。こうした観点から、昨日開催いたしました七都県市のサミットにおきましては、首都圏の危機管理体制の強化を図るということから、広域防災・危機管理対策会議、これは仮称でございますが、こういった会議を組織いたしまして、東京都に常設事務局を置くことを決定したところでございます。七都県市全体の事務局の常設化につきましても、今後とも機会をとらえて働きかけを行ってまいりたいと考えております。

○大西委員 環境問題は、本当に七都県市ともに取り組みやすいというところから、ディーゼル車、交通公害対策等を進めると思うんですけれども、今回のサミットでのその協力体制はどうだったんでしょうか。

○熊野国政広域連携担当部長 大気汚染対策につきまして、昨日開催されました七都県市のサミットにおきましては、首都圏の住民の生命と健康を守るために、ディーゼル車規制が円滑に開始できるように、さらに連携を強化することで意見が一致したところでございます。
 具体的には、平成十五年の十月に予定されておりますディーゼル車規制の実施に向けまして、PM減少装置の装着、あるいは低公害車、最新規制適合車への買いかえを促進するほか、関係業界への要請あるいは事業者への事前指導等を実施することとしております。このため、都に七都県市で構成いたします七都県市ディーゼル車対策推進本部を設置いたしまして、これらの対策を集中的に行い、条例の実効性を高めていきたいと考えております。

○大西委員 昨年出されました国土審議会基本政策部会の中間報告では、自発的広域計画の作成が提案されております。そういう意味で、先ほどから取り組みが進んでおりますディーゼル車対策等も非常に自発的な中に入ると思うんですけれども、そのほかにも、例えば食品の問題等もいろいろ、そういうところで連携して対策がとっていける問題じゃないかと思っております。特に食品はわかりやすいですけれども、それがとれるところが東京じゃなくて郊外になったり、それから、つくるところも埼玉や千葉にあったりしますよね、それで市場は東京にあるというようなことから、規制におきましても、安全の規制をかけるにしても、国でなくても関東圏でやっていけるというようなことがあります。そういう意味で、今後、こういうのに非常に期待するわけなんですけれども、七都県市をカバーする計画をつくり、共同プロジェクトを進める考え、東京都ではどういうふうに考えていらっしゃいますか。

○熊野国政広域連携担当部長 お話しの自発的広域計画の必要性につきましては、十分認識をしているところでございます。このために、先ほどご答弁申し上げました危機管理体制の強化を図る観点から設置いたします常設事務局におきまして、今後、広域被害想定に基づきます広域地域間総合防災計画の策定等も視野に入れて検討を行うこととしております。
 また、計画とはいえないかもしれませんが、先般、広域的な地域間の連携強化を図る観点から、東京、横浜、川崎市と共同いたしまして、東京湾岸地域における経済特区構想を取りまとめまして、国に対し提案を行ったところでございます。
 今後とも、必要に応じまして、こうした取り組みを強化してまいりたいと考えております。

○大西委員 いただいた資料によりますと、環境問題、廃棄物問題というものが五項目ほど並べてありますが、たしか七都県市の広域的な取り組み課題という中に、食品の問題も入っていたと思いますが、ぜひこれも強力に進めていただきたいと思います。そういう意味で、足並みがそろって対応していくことは、首都圏の自治体連携の大きな成果だと思っております。しかし、一方、地方分権が進めば、各自治体の自主性、自立性を発揮するため、独自条例制定の動きも、今後、こういうことの中から活発になってくると思われます。そのような傾向を助長させることは非常に大切だと考えます。しかし、半面、自治体は、他の自治体とのさまざまな関係の中で成り立っていることも配慮しなければならないわけです。
 そこで、条例には外部効果というものがあり、そして、一方で、一つの自治体でそういう条例で規制など行えば、近隣する他の自治体にも影響を及ぼすことにもなります。例えば、ある一つの自治体だけが厳しい規制を実施すると、条例違反を避けて他の自治体で事業活動や規制対象行為を行ったりするおそれがあるわけですが、その結果、近隣自治体が迷惑するということも非常に考えられるわけで、なかなか難しいところがあるわけですけれども、このように考えてくると、自治体の自主性、そして自立性の確保と自治体同士の連携、協力ということの両立を図るということが、これからの分権社会における非常に大きな課題になってくると思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 分権ということでお答え申し上げますが、一般的に申し上げることになるかと思いますが、地方分権の時代にふさわしい自己決定、自己責任の原則に立って考えますと、他の自治体との関係も考慮しつつ、それぞれの地域の実情や必要に応じて条例を定め、住民ニーズに的確に対応できる施策を実施していくことが自治体の基本的な責務であるといえます。一方で、首都圏のように市街地が連檐し、一体として大都市圏を形成している地域におきましては、人々の活動も広域化し、従来の都県の枠では対応できない問題が数多く存在しております。このため、条例の制定に当たり、他の自治体との連携、調整を図っていくことが効果的な課題もございます。首都圏の共通の課題に対して共通の条例制定も視野に入れながら、これからも他自治体との連携や調整を図っていくことは重要と考えます。

○大西委員 今回、サミットでは、広域防災・危機管理対策会議の組織を東京都に常設事務局として設置するということが決まったようですが、ぜひそういう総合的な事務局の常設化に向けて、ますます取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 次に、地方自治制度関係に移りたいと思いますけれども、知事本部では、地方分権の推進や広域的自治体のあり方、大都市行政のあり方、税財政制度のあり方など、地方自治制度のあり方に関する調査研究を行っていらっしゃるわけで、何点か伺いたいと思います。
 地方分権に関する国の動向としましては、さきの十月三十一日、地方分権改革推進会議から、事務事業のあり方に関する意見が出されました。この意見は、国と地方の役割分担に応じた事務事業のあり方について、社会保障、教育、文化、公共事業、産業振興、治安その他の五分野に分けて、国の関与や国庫補助負担金のあり方などの改革案を示してありますが、新聞報道などでは、共済費や退職金にかかわる五千億円の義務教育費国庫負担金の削減がクローズアップされ、肝心の税源移譲については踏み込まず、改革にはほど遠い内容などといった否定的評価がされております。また、地方六団体なども、財源措置を伴わない国庫補助負担金の削減は受け入れられないとの態度を明らかにしているわけですけれども、そこで、この事務事業のあり方に関する意見についてどのように評価なさっているのか、伺います。

○幡本自治制度改革担当部長 これからの地方分権を進める上で最も重要なのは、いうまでもなく税源移譲でございます。地方分権改革推進会議の事務事業のあり方に関する最終報告では、税源移譲、国庫補助負担金、交付税を合わせた三位一体の改革につながる国庫補助負担金の見直しを予定しておりました。ところが、新聞等でも報道されたように、政府内部の代理戦争をしているというような指摘がございます。結局、今回出された意見では、見直しは、ご指摘の義務教育費国庫負担金のほか、わずかにとどまっておりまして、削減にかわる財源措置も示されないなど、極めて不十分なものであるといわざるを得ません。都としましては、国の財政事情から国庫支出金の削減だけを先行させることなく、三位一体の改革の趣旨に沿って速やかに地方への税源移譲の実現を図るべきであると、今後も強く主張してまいります。

○大西委員 この地方分権改革推進会議の意見では、補完性の原理に基づいて分権を進めようとしております。その考え方によれば、まずは身近な基礎的自治体に事務権限を移譲すべきであり、ということは、すなわち市町村の仕事がふえるということになるわけです。このため、国においては、受け皿となる市町村の合併も大きな課題とされております。自主的合併といいながら、国は市町村合併を強力に推進しようとしております。現在、合併特例法が平成十七年三月までの時限措置としてありますが、その後は強制合併に移行するなどの話が出てきております。市町村合併については総務局が所管しているわけですが、中長期的な首都圏自治体のあり方については、先ほどからありましたビジョンⅢにあります。
 そこで、関連づけてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、この問題に関しては、十一月一日に地方制度調査会の西尾副会長が「今後の基礎的自治体のあり方について」の私案を出されました。この私案では、町村をなくし市に再編という大胆なものが提示されているわけですけれども、住民自治強化のための自治組織の検討の必要性や、合併特例法期限までに再編されなかった地域における、より強力な合併推進の考え方について述べられています。平成十七年四月以降一定の期間、さらに強力に市町村合併を推進し、その後、それでも再編されなかった地域については、権限を都道府県などに吸い上げてしまい、仕事を窓口事務などに限定してしまうといった内容がこの私案なんですけれども、これについてどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 ご指摘のありました西尾私案では、地方分権改革を新しい段階に進め、自己決定、自己責任という地方分権の理念を現実のものとして実行できる基礎的自治体とするため、その規模をさらに大きくし、それに応じた事務権限を可能な限り移譲していくべきであるという認識に立っております。
 また、これにより、充実した自治体経営基盤を持ち、住民等と協働し、新しい公共空間を形成する基礎的自治体をつくることが可能となるとしております。
 問題となると思われますのは、合併特例法の期限までに、分権の担い手にふさわしい規模の基礎的自治体に再編されなかった地域について、ご指摘がありましたように強力に合併を推進し、自治権を制限するような例外的な取り扱いを考える必要があるかどうかということでございます。地方自治にとって大きな問題でございますし、都も山間、島しょ地域を抱えておりますので、こうした国の議論の動向も注視しながら、このような小規模町村を含めた基礎的自治体のあり方や広域的自治体としての都の役割などについて検討していく必要があると考えております。

○大西委員 冒頭に申し上げましたけれども、やはり地方自治においては、基本的には基礎自治体を重視ということの立場を持っておりますので、ぜひ、合併はいうまでもなく、当事者の決めること、そして、都は余り関与すべきではないということで、これからも自主的合併に任せるべきであるのじゃないかなと思っております。市町村合併については、都は一応案を出していらっしゃいます。しかし、特別区については示してありません。現在、総務局で策定中との話も聞いているのですが、さきの四月には、行財政改革基本問題特別委員会に提出されました自治制度改革の論点整理が出されました。その中では、再編、統合を三類型に整理して示してあります。特別区の区域については、中長期的にどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 特別区の統合、再編につきましては、まず、特別区みずからが考えるべき問題ですが、都としても、東京という大都市の特性を踏まえ、大都市地域における広域的自治体と基礎的自治体との役割分担や税財政制度のあり方などについて検討していく考えです。検討に当たりましては、特別区の自治権の拡充と東京の大都市行政の充実強化とを矛盾なく両立させる観点から考えていく必要があると考えます。

○大西委員 いずれにしましても、市町村合併を進める上で住民自治が軽視されないようにお願いしたいと思っております。さきの西尾私案の中でも、大胆な合併がいわれているわけですけれども、基礎的自治体における自治組織の考え方も、一方では示されております。市町村合併によってどうしても行政が住民から遠くなってしまう、それを補完する意味で、住民の発意によるコミュニティ組織というような、そういうものもいろいろ考えていく必要があると考えます。よく近隣政府の考え方とかそういうものも議論されるようになってきましたけれども、合併の有無は別として、議論にそれは値すると思います。
 この近隣政府の考え方なんですが、ことし三月発行の日本都市センターの報告書によりますと、四つの案が示されております。自治会のような住民参加型、協働型のコミュニティ組織、それから、法令により一定の権限を付与された地区協議会のような組織、三番目としては、政令指定都市の行政区のように、行政組織内分権としての単位、それから、四番目は、選挙などによる住民代表の仕組みを、決定機能のあるイギリスのパリッシュのような近隣政府の類型等が挙げられているわけですが、どれが日本の行政にふさわしいのか、東京にふさわしいのか、いろいろ検討される課題がたくさんあると思います。我々は、単なるこれまでの町内会や自治会の延長であってはならないと考えていますので、ぜひこの辺もしっかりと検討していただきたいと思います。
 そこで、最後に、都政改革ビジョンⅢの中間段階案の、近隣政府について、東京都のお考えをお聞きしたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 近隣政府といいますか、狭域の自治単位というふうにもいわれますが、それにはいろいろなものが考えられます。その中のコミュニティ組織の形成に関しましては、これまで政府の地方制度調査会においても数々の検討がなされております。平成十二年十月の第二十六次地方制度調査会答申でも、我が国にふさわしいコミュニティレベルでの自治組織の検討の必要性について触れているほか、ご指摘のとおり、西尾私案におきましても、基礎的自治体内部における住民自治を確保する方策として、内部団体としての性格を持つ自治組織について検討する必要があるとしております。
 今後、住民自治の実効性ある仕組みとして、市町村合併の進展に伴い、狭域の自治単位を設けることが重要な課題になると考えますので、海外の事例や国内の区市町村における取り組みを参考にしながら、国の検討も踏まえまして、東京にふさわしい住民自治の活性化について検討してまいります。

○大西委員 いずれにしましても、住民自治の視点を忘れずに、それを充実強化する方向でビジョンⅢの内容を検討していただきたいという要望をしておきます。
 以上です。

○木村委員 私も事業概要の三五ページに関連してお聞きしたいんですが、アクションプランが発表されたのは、もうおととしの十二月ですね。その中のビジョンⅠについては、そのときに発表されて、我々は賛成じゃありませんけれども、さまざまな都民施策の切り捨てなどが容赦なく行われてきたというふうに認識されております。そのときに、ビジョンⅢの方、新たな自治体像を発信するというビジョンⅢの方向があわせて発表されたわけです。もうそれはおととしの話で、ことしももう年末を迎えようとしているわけですが、このビジョンⅢがいまだに発表されない。なぜおくれているのかという点について、最初にお聞きしたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 ビジョンⅢの策定につきましては、昨年度の行財政改革基本問題特別委員会等の議論を踏まえまして、本年度は、この特別委員会において決められた審議事項に沿って、また、知事本部が議会の議論を踏まえて作成いたしました自治制度改革の論点整理を参考にして、これまで審議を進めてきたところでございます。
 現在までのところ、今後の大都市自治体のあり方についてなど三つの審議項目について議論を行い、今後は、都市づくり、地方自治制度、税財政制度の三分野にわたり、有識者から意見を聴取することを予定しております。こうした議論の状況も踏まえまして、公表の時期や方法について検討していく考えでございます。

○木村委員 今の答弁は、まるで都議会の委員会の議論が進んでいないからおくれているかのような、そういうようなお話に聞こえるんですね。昨年の予算議会、二月二十一日の所信表明で、石原知事は、近く策定に着手する都政改革ビジョンⅢでは、東京圏における自治体のあり方について、地方自治制度の根幹にまで踏み込んだ検討を行いますというふうに、所信表明で明確にいっているんですね。これが去年の二月の段階です。その後、いろいろ経過があったんでしょうけれども、私は、議会で議論する、論点整理に従っていいものに確定していくというのは大いに大事だけれども、そのことは否定しませんけれども、一つは、ビジョンⅢの方向性を、このアクションプランで出した中身を改めて読んでみますと、これは自治制度の、ある意味では組織論ですね。道州制を視野に入れて都内の区市町村の再編成もやっていく、そういう方向性が出されているわけですね。ところが、その後の石原都政の現実の動きというのは、先ほどもありましたけれども、七都県市首脳会議における広域的な現実的な課題等を解決して広域行政を進めていくという方向にシフトが移っているということも明らかだと思うんです。きのうもそういう会議が行われた。
 つまり、知事自身の考えも変わったんじゃないですかね。そういう自治制度のあり方について、道州制も視野に入れて広域的な自治体をつくっていくんだという組織論をまず策定して発信していくという考えから、七都県市首脳会議における現実的な課題を一つでも追求していくことでアプローチしていこうというふうに、明らかに石原都政のスタンスが変わったと私などは感じるんですけれども、その点が大きな原因じゃないでしょうか。お考えを聞きたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 都政改革ビジョンⅢにつきましては、はっきりしたスケジュールは、当初から示していたわけではございませんし、都議会との議論を十分踏まえてということを当初から申し上げてまいりました。行財政改革基本問題特別委員会で議論が行われておりますけれども、それを踏まえて今後も検討するということでございます。

○木村委員 確かに、そのときに、今後、都議会の皆様と幅広く議論を重ねながら問題提起をしていきたいというふうにもいっていますけれども、それが特別委員会に出された論点整理ですというだけでは、アクションプランが出されたときの経過からいって極めて不十分、知事本部としての説明責任はいささか果たしていないんじゃないか、私はまずそのことを申し上げたいというふうに思います。しかし、なぜ丸二年近くたってもビジョンⅢというものの、中間的な方向でもいいですから、まとめられないのか。
 これは、私なりに考えると、理由は二つあると思うんですよ。一つは、アクションプランで示したビジョンⅢの方向性が、道州制を視野に入れて基礎自治体の広域化を図っていく、この首都においても、という展開の方向が、やはり首都の現実に合わないといいますか、これは行財政改革特別委員会で私自身が既に取り上げましたので、繰り返しませんけれども、実際にはそんな簡単な組織論を展開できるような現実ではないというのが一つあると思うんですね。それが一つ。
 しかし、もう一つの要因として、私は、今の小泉内閣、現政権がとっている地方自治制度に対する非常に乱暴な、ずさんなさまざまな政策スタンス、これと無関係に新しい自治制度の発信を東京都がやるというのはなかなか困難だという現実があると思うんです。この二つの要因があると。
 一つは、行財政改革特別委員会でいいましたから、きょうは繰り返しませんけれども、もう一つの小泉内閣による現在の地方自治制度に対するスタンスというものについて、きょうはちょっとただしておきたいんです。ことしの六月に経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二というのが出ましたね。いわゆる骨太の方針第二弾というものです。これでいっている国と地方との問題で、骨太方針ではどういうことをいっているかということを紹介していただきたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 国のいわゆる基本方針第二弾の中では、地方行財政改革については、強力かつ一体的に推進するとしまして、国の関与を縮小し、地方の権限と責任を大幅に拡大するとしております。また、地方財政の改革に関し、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、それらの望ましい姿とそこに至る具体的な改革工程を含む改革案を、今後一年以内を目途に取りまとめるとしております。

○木村委員 いわゆる三位一体論ですよね。国庫補助負担金、交付税、それから、税源移譲、これを三位一体で検討していると。しかし、よく見ると、三位一体とか国の関与を縮小するとかいうけれども、それらの望ましい姿とそこに至る具体的な改革工程ではというふうに展開して、国庫補助負担金については数兆円規模の削減を目指す、ここだけがまず具体化する方向で述べられているというのが、骨太方針のこの部分を見ると、私なんかは非常に感じたんですね。嫌な感じがしたんです。果たせるかな、先ほど出ましたけれども、この十月に出されました地方分権改革推進会議の事務事業のあり方に関する意見という最終報告、これでは、この三位一体は、具体的にはどういう形で進められようとしているんでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 地方分権改革推進会議の今回出された事務事業のあり方に関する意見では、税源移譲、国庫補助負担金、交付税を合わせた三位一体の改革につながる国庫補助負担金の見直しを予定しておりました。しかし、結局、今回出されました意見では、見直しは義務教育費国庫負担金のほかわずかにとどまり、削減にかわる税源移譲などの財源措置も示されないなど、極めて不十分なものといわざるを得ない内容となっております。

○木村委員 つまり、三位一体どころじゃないんですよ。まず具体化されたのは、国庫補助負担金の削減、義務教育費補助の五千億円というものだけが出ている。税源移譲なんていうのは先の先、私が議会でよく取り上げる直轄事業負担金なんかも先の先ですよ。今後検討すると書いてあるだけ。これは、今の地方自治制度に対する骨太方針から始まって、結局何が方向として示されているかというのは、非常に明らかだというふうに思うんですね。これに対して、もちろん地方自治体側は、いろいろ意見を上げざるを得ない。地方六団体がこの問題について意見を上げておりますけれども、それはどういう点で上げているんでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 地方六団体の要望の中では、地方分権改革推進会議の意見に関しまして、多くの分野で国庫補助負担金の廃止、縮減について提言されているものの、首相の指示する三位一体の改革につながる税源移譲を含む税源配分のあり方についての視点が取り入れられていないことを遺憾であるとしております。
 また、約五千億円に上る義務教育費国庫負担金を負担対象経費から外すとの提言に関しましては、地方財政に甚大な影響を与えるものとして、到底受け入れることができないと述べております。全体として、税源移譲を伴わない国庫補助負担金の廃止、縮減に反対であるとの趣旨でございます。

○木村委員 つまり、地方財政に与える影響も甚大であるにもかかわらず、どのように地方の自主性が向上するのか明示されずに、税源移譲による財源措置も明確に示されずに、到底受け入れることはできないというのが全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会、六団体そろっての声明であり、緊急要望なんです。
 それで、そうしているうちに、これはまだ新聞報道ですけれども、財政制度審議会、財務省の諮問機関ですけれども、これが来年度予算の編成に関する建議というのをまとめたという報道がありました。今度は地方交付税、これは財源保障を廃止する、つまり、地方交付税が地方自治体の基準財政需要額を一つ一つ積み上げて、そして財政収入額から足らんものについては、これを保障して、全国どんな貧しい自治体でもナショナルミニマムが保障されるように財源調整をするというのが地方交付税の本来の姿である。ところが、今度は、それを政府は、公共事業をやりなさい、起債も交付税で認めてやるよというので、どんどん借金をさせて、結局、結果として借金が地方財政にたまるような仕組みをつくっていってしまったという運用の政府責任はあるんですが、それを棚に上げて、今度は、財源保障は廃止しますよということを打ち出したということじゃないんでしょうか。財制審の建議については、まだこれから正式発表があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 今月二十日に出される予定と聞いております財政制度等審議会の建議の原案でございますが、新聞で報道されている内容によりますと、地方自治体の歳入不足を国が補てんする地方交付税の財源保障機能に関して、地方のモラルハザードをもたらしているために廃止するべきとの方向性を打ち出すとのことになっております。
 また、住民の受益と負担の関係を明確化することが必要であるため、住民数と税収などを基準に、地方自治体間の財政格差を調整する制度に変えるべきとの内容も盛り込まれると報じられているところでございます。

○木村委員 モラルハザードしているのは、私は国の方だと思うんですね。今の地方交付税制度でもって、借金すれば勝ちだよというような形でどんどんどんどん運用していって、私どもがよくいいますように、公共事業には五十兆円、社会保障には二十兆円という税金の使い方の逆立ちぶりというのに地方も巻き込んで、そして、いろいろな問題を山積させた。私は、交付税制度だって、何も今のまま絶対見直すなとはいわないですけれども、しかし、ナショナルミニマムをどんな山間僻地でも保障する意味での財源保障というものまで崩したら、これは、地方自治としては根本から危機に立たざるを得ないというふうに思うので、この点も非常に重大だと思うんです。
 ですから、骨太方針が三位一体論を唱えましたけれども、実際にやったことは、結局、国庫補助、国庫負担金の削減から手をつけ、そして、地方交付税の財源保障廃止論に進んでいく、税源移譲は結局いつになるやらわからない。(「最後までないかもしれない」と呼ぶ者あり)わからない。そういう事態です。これは、地方財政制度にとっては、やっぱり大変な危機になっているというふうに思うんですね。
 もう一つ、私は、今の小泉内閣が進めている地方自治制度の問題の大きな柱は、市町村合併だと思います。一応建前では、市町村合併は住民が主人公になって協議していくんだということになっていますけれども、やはり政府が考えるようなスピードで、はかばかしく進んでいないというのも現実だと思うんですね。先ほど大西委員の質問も出ましたけれども、平成十七年に今の特例制度が切れる、切れた後の合併をどうするかというのが、来年春予定されている第二十七次地方制度調査会に向けての答申づくりのアドバルーンといいますか、よくある手なんだと思うんですが、非常に重要な方向にカーブを切っていくときに、いきなりカーブを切れないから、副会長クラスの大学の先生の名前を借りて、何とか私案というのを打ち出すというのが、これまでもあるんですが、今度は西尾勝教授の西尾私案というものであるわけですね。先ほどちょっと説明がありましたけれども、私、これは非常に重大な内容だと思うので、もう一度問題点をご説明願いたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 西尾私案は、地方分権改革を新しい段階に進め、自己決定、自己責任という地方分権の理念を現実のものとして実行できる基礎的自治体とすることが必要だという認識のもとに、その規模をさらに大きくし、それに応じた事務権限を可能な限り移譲していくべきであるとしております。
 しかし、この地方分権の担い手にふさわしい規模に至らない、再編されない場合の自治体について、今回示されているものは、財政支援を盛り込んだ現在の合併特例法が失効する平成十七年四月以降は、市町村の人口規模を基準として法律で示し、財政支援によらず強力に合併を推進するとしているものでございます。それでもまだ基準に満たない団体に対しましては、事務権限を縮小するか、または近隣の市町村へ編入する案などを検討する必要があるとしているものでございます。

○木村委員 基礎的自治体はいかにあるべきかという議論は、またこれはこれで別のところでやりたいと思うんですよ、それをやっている時間がちょっとないから。問題は、やり方だと思うんですね、西尾私案に示されるような。平成十七年三月の合併特例法の期限までに、目指すべき規模の基礎自治体に再編成されなかった地域が残る場合はどうするか、違う方法によって強力に市町村合併を推進して、目指すべき基礎自治体に再編成をやると。それでもだめだ、それでも国が考えている人口以下のものがまだ残っているということになったら、もうそこの自治体は、これまでの町村制度とは異なる特例的な制度を創設して、近隣の基礎自治体に仕事を委託するか、広域連合により処理するか、直轄で処理するか、あるいは、どこかの基礎自治体の内部団体に移行してもらう、組織や職員については、例えば首長と議会は置くけれども、議員は原則として無給として、助役、収入役、教育委員会、農業委員会などは置かないというものにするということなんだよね。
 この西尾私案そのものについては、人口幾ら幾らというのは、丸丸とか三角三角とかとぼかしてあるんですけれども、新聞報道によると、十七年三月以降でまだ残っているものを強制的に合併させる規模は、人口一万以下、それで、自治体としては扱わないというふうにするのは、人口三千人以下はもう扱わないということが新聞報道で発表されています。これが、具体的には日本の地方自治、町村にどういうことになるのかということを、私、聞きたいと思うんですね。全国の町村の中で、人口一万以下の町村はどのぐらいを占めているのか、人口三千人以下の町や村はどのぐらいあるか、全国と、それから、東京都ではどうなのか、これをちょっと教えていただきたい。

○幡本自治制度改革担当部長 人口一万未満の町村は、平成十二年三月三十一日現在、全国では千五百三十五団体あり、全国町村に占める割合は約六〇%でございます。都では十一団体あり、都内町村数の八四・六%を占めております。
 また、人口三千未満の町村は、全国では三百十六団体あり、全町村数の約一二・四%、都では五団体で、都内町村の三八・五%でございます。

○木村委員 東京都も人ごとじゃないですよ、こうなるとね。東京の町村のうちの八四%は一万以下の町村、三千以下の町村も五つあるんですよ。町とか村とかという名前は残すと書いてあるんですよね。名前は残してやる。が、しかし、もう権限も仕事も、収入役も助役も要らない。これは、戦前は、二級町村制という制度が北海道にはあったんだそうですね。町村会の権限がいろいろ制限されて、北海道はまだ今でも支庁制度がありますが、支庁の監督のもとに置かれるということが、戦前はあった。しかし、戦後、現憲法のもとで、町村の事務にこのような形の特例が置かれたという例はあるでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 戦後においては、そのような例はございません。

○木村委員 結局、憲法が許さないんですよ、憲法に定められている地方自治の本旨、私はそういう意味で非常に重大だというふうに思います。この問題について、全国町村会はどのようにいっているでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 全国町村会は、今月十二日に西尾私案についての意見を発表いたしております。その中では、次のように述べております。「財政効率、経済効率、規模の論理を優先することで貫かれており、地方自治・地方分権の理念に照らしても問題があるばかりでなく、総じていえば、人口規模の少ない町村を切り捨てるという横暴極まりなき論旨であり、絶対容認できない」という意見を述べております。

○木村委員 私、そのとおりだと思うんですよ。横暴きわまりない話であると思うんですね。強制的合併手法についても、地方自治の本旨にそぐわない。国が一方的に住民サービスの権限を縮小、制限したり、他の基礎的な自治体への編入を法律によって義務づけるなどということは、まさしく自治の否定そのものにほかならないというふうに、これは全国町村会の会長山本文男、福岡県の添田町町長の名前でいっているんですね。
 私、こういう流れ、これは町村の問題であると同時に、先ほどいいましたように、東京も人ごとでないですね。私は、東京都としても、この流れについては異を唱える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 西尾私案につきましては、分権改革を一層進めるという立場から考えておるわけでございまして、地方分権のこれまで進められてきた理念を現実に担い得る自治体にしなくてはいけないという基本的な考え方がございます。東京都と申しますか、私ども、自治制度改革を検討しておりますが、自治体の立場といたしまして、国に対し、単に制度の改革を要求するだけではなくて、自治体みずからも効率的な行政体制の整備や行財政基盤強化のための努力を行っていく必要があるというふうに考えております。
 これまで進められてきた合併特例法による自主的な合併につきましても、自治体の自助努力の有力な方法の一つとして、これまで位置づけをされているわけでございますが、今までのところの達成状況という点ではまだまだ不十分である、自治体の自治を担える能力という面で不十分であるという認識に立っているものと思われます。まだ西尾私案については私案ということでございますが、そういう問題認識に立っているということで理解をしておりまして、今後さらに論議、検討がされていくというふうに思いますので、その動向に注意をしてまいりたいと思います。

○木村委員 動向に注意するというのは別に悪いことじゃないですけれども、私は、東京都は東京都の腹構えがあってしかるべきだと(松本委員「先生、あっち向いて話してくださいよ。こっちの方を向いちゃ……」と呼ぶ)現政権のこともいっているんでね。
 私は、最後に、前川本部長にその点は聞きたいんですよ。今、骨太の第二弾から始まって西尾私案まで、幾つかの問題を触れさせてもらいました。これは、ことしの六月からきょうの時点までのわずか半年の間の地方自治制度と政府との関係の流れです。まあ、あれでそのまま行くかというと、塩川財務大臣と片山総務大臣が大げんかしたり、ひっちゃかめっちゃかしていますけれども、しかし、実力はどうも財務省の方があるから、全く予断を許さないというふうに思うんです。そういう意味で、地方財政制度も、それから、地方自治制度そのものも、私は今、政治的には一つの危機に直面していると、そう認識せざるを得ないと思うんですね。
 ビジョンⅢから話を始めたんですが、仮にこの東京から新しい自治制度について発信をするという場合に、首都圏をどうするか、それは東京都政だから、東京のこと、首都圏をどうするかというのが問題意識の大きな部分を占めるのは、これは当然かもしれないけれども、その前に、日本の自治制度そのものがこういう形でもって政治的に大きな困難と混乱に突き落とされていいものかどうか、全国知事会、全国地方六団体、町村会も含めて、この流れにはノーという答えを既に上げているわけですけれども、私は、東京都が新しい自治制度について、アクションプランⅢの方向性で東京都から発信していくという以上、全国の自治制度を守れ、全国の自治体、団結せよという、より大きな立場に立った上で、東京のビジョンⅢの発信というのはなされるべきじゃないかというふうに思うんです。また、そういうふうに立って初めてビジョンⅢというのがつくれますし、それと無関係で何かまとめようとすると、永久にまとまらないという感じもするんですよ。その点、知事本部長の答弁をいただきたいと思います。

○前川知事本部長 今お話がありましたように、我が国の将来を考える上で、地方自治を守るというよりむしろ発展させる、それが不可欠である点については、だれしも異論がないだろうと私も考えております。問題はその内容でありますが、今、木村委員のご指摘があった中で、小泉政権が一貫した方針に基づいて、例えば地方分権に逆流していこうとしているという--そこまではちょっといえないのではなかろうか、私はむしろ、いろいろな利害関係が錯綜する中で、極めて流動的な状況にあると、その中で、いろいろな駆け引き、綱引きが展開されているわけでありますが、現在、一番懸念されるのは、どちらかというと財務省主導型で、あるいはまた国の官僚制、中央集権制が変わらない中でこういう議論がされている、それが問題であろうというふうに考えております。
 そこで、今後の方向を考える場合に、私は二点あるだろうと。一つは、これは木村委員と意見が違うかもしれませんが、やっぱり現状維持はおかしいだろう、地方自治制度が戦後五十数年たって、こういう中で、いろいろな意味で制度疲労も進み、例えば都市化の進展一つとっても時代は激変したわけであります。そういう中で、今の自治制度が本当に住民が求めるサービスを提供できているか、そこについては、やはり多々議論があっていいだろうと思っております。それが一点であります。
 もう一点は、現状を変える場合には、当然ながら地方分権を充実強化するという視点に立つ必要がある、特に東京という大都市、日本最大の都市、また、首都であるわけでありますが、しかもそのヒンターランドとしては三千三百万の首都圏があるわけであります。こういう中で、この地域、東京にふさわしい自治制度は何か、それをやはり真剣に考えなくちゃいけないというふうに考えております。
 したがって、今後、私どもとしては、決して現状維持ではなくて、日本再生をしていく、そのかなめとなる首都東京あるいは首都圏の再生を図るためにも、人材あるいは多様な資源が集積する東京のポテンシャルを真に生かしていけるような大都市経営を行っていく必要がある、また、それを支える自治制度を実現する必要があるだろうと考えております。
 今、ご指摘のあったビジョンⅢの検討に当たっても、さらにまた日々の行政の実践に当たっても、こういった視点から取り組んでいきたい、こう考えている次第であります。

○木村委員 これは一回のやりとりで結論が出るようなたぐいの話じゃないから、これ以上の議論はしませんけれども、私がいいたいのは、例えば、さきの二定の自民党代表質問に対する石原知事答弁でも、地方分権の確立に向け、地方交付税や国庫支出金に依存する現行の制度を抜本的に改め、思い切った税源移譲を図ることが必要でありますと、一言で簡単にいい切っているわけですね。それは、地方税源の移行を図ることが必要だということはみんな一致しているわけです。ただ、地方交付税や国庫支出金に依存する現行の制度となると、これは全国の町村の利害にかかわってくる。さっきいいましたように、西尾私案から見れば、人口三千というところはもう自治体としても認めないという流れが来るときに、それと交付税を抜本的に、財源保障も廃止しますということになると、もう地方自治そのものは、その部分では、つまり全国の小さい町村では、もう頭から否定されるというぐらいの危機に陥る。そういうこともきちっと視野に入れた上で東京からの発信をするということが、やはり求められる、ますますこれからそういうふうに求められる政治状況になっているんじゃないかということが、きょう私がいいたかった点なんです。これはいずれまたじっくりと議論をしたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○名取委員長 ほかに発言がなければ、お諮りします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本部関係を終わります。

○名取委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動により監査事務局長に交代がありましたので、局長からあいさつがあります。
 監査事務局長に就任いたしました藤堂義弘君をご紹介します。

○藤堂監査事務局長 去る十一月一日付で監査事務局長を拝命いたしました藤堂義弘でございます。
 微力ではございますが、名取委員長初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りまして、所管しております監査事務の適正な執行に全力を尽くしてまいる所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○名取委員長 紹介は終わりました。

○名取委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際、資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○松本委員 応急給水槽の建設、維持管理事業についての監査事務について、何点か質問をいたします。
 この事業は、総務局が東京都震災予防条例に基づきまして、震災が発生した場合の都民の飲料水を確保する事業として、昭和五十一年度からスタートいたしております。今日、コンパスで二キロの円を描いた中にこの応急給水槽を設けることによって災害時の飲料水を確保しよう、こういう計画になっております。五十一年度から今日まで整備をされた実績でありますが、二十三区で九十カ所、そして、多摩地域で百九十カ所が整備をされました。結果的に、充足率というんでしょうか、応急給水充足率というのが約九五%に達している、こういう事業であります。この事業をおおむね一〇〇%にするために、あと数年、十八年くらいまで毎年一カ所ずつ整備をするということであれば、そのくらいかかるのかなと、こう思っておりますが、板橋区が一カ所、足立区が一カ所、私の選挙区であります中野が三カ所、町田が三カ所、計八カ所でしょうか、この八カ所が完成すればおおむね一〇〇%の充足率になる、こういう計画であります。
 この計画、全部で二百数十カ所、三百カ所になんなんとする計画の中で、あとわずか七、八カ所整備をすればおおむね完成、こういう時期に、この計画について監査が行われました。その監査結果が、新しい応急給水槽の建設計画、残された七、八カ所については、廃止を含めた見直しを行うべきである、こういう監査結果を出したのであります。九五%の充足率ということですから、残された充足率、単純にはいきませんけれども、人口比で五%、こういうことになりますと、大体五百万前後、五百万を超えるんでしょうかね、それぐらいの、都民にとっては、災害時、飲料水は供給できない、こういう事態が発生するわけであります。
 そこで、監査事務局に伺いたいのでありますが、廃止を含めた見直しということでありますから、監査結果としては、どう字面を読んでも、廃止してもいいですよ、こういうふうに読み取れるわけでございますが、東京都民五百万、六百万程度のことだったら、災害時に水の供給は必要ない、こういう監査結果としか読みようがないんですが、素直にそう読んでよろしいかどうか、ご答弁をいただきたい。

○藤堂監査事務局長 ただいまご指摘のございました行政監査につきましては、平成十三年度の行政監査で、応急給水槽の建設事業について事業計画が適切に見直されているかなどの観点から検証を行ったものでございます。その結果、応急給水槽の建設に当たっては、ただいまご指摘ございましたように、都民の居住場所から半径二キロの範囲内に給水地点がない地域に建設をしてまいりましたが、建設が容易な箇所から整備を行ったために、狭い空白地帯が点在する状況となってございます。空白地域を効率的に解消できる建設場所の確保があわせて困難になるなどの問題が生じているところでございます。このような状況を踏まえまして、監査結果で、先ほどご指摘ございましたように、建設計画について廃止を含めた見直しを検討すべきであるとしたものでございます。
 もとより都民の生命を守る災害時の飲料水の確保は重要な課題でございまして、監査の前提であるというふうに考えております。ご指摘のような地域での水の確保はぜひとも必要でございまして、決してそういう趣旨を否定する趣旨ではございませんので、ご理解いただきたいと存じます。

○松本委員 それこそ絵にして示せば実にわかりやすいわけでありますが、二キロ圏内で円を描くものですから、円と円が重なったところというのは、右に行っても左に行っても二キロ圏内で水にありつける、こういう場所は三カ所でありつける、こういう話なんですね。ところが、円と円が離れた地域のちょっとしたところが二キロよりちょっと遠くなっちゃう、これが不合理だ、非効率である、こういう監査結果なんですね。ところが、あと残された七、八カ所というところは、円が一つなくなっちゃうわけですから、七カ所ぐらいはなくなっちゃうわけですから、どかっとそこが穴があいちゃうんですよね。それで、新しい建設場所については、それを廃止を含めて見直せ、こういう文言ですと、じゃ、そこについては別途どうやって水の確保をするのか、これは総務局の災害対策部の責任で、監査の所管するところではありませんというようなニュアンスでとられるような監査文言を使用することは、誤解を招く。これは中学生に読ませても高校生に読ませても、そういうところを含めて廃止すべきだというふうにしか読み取れない。ぜひ日本語をしっかり勉強していただいて、今後は誤解のないように、あくまでも災害時における水の確保というのは絶対に必要なことなんだ、その絶対に必要な確保をもっと効率的にやれよというのが監査の目指したところなんだろうと思うんですが、こういう文言使用というのは、僕は間違っていると思いますので、事務局長、もう一回、総務局は計画年次に従って、方法はともかく、災害時における水の確保だけは絶対に必要だと、そのことをこの監査結果が否定をするわけではないということを重ねてご答弁をいただきたい。

○藤堂監査事務局長 今回の監査結果につきましては、ただいまご指摘をいただきましたとおり、さまざまな問題から非効率になっている応急給水槽について、さらに効率よく飲料水の確保を図るべく、飲料水の確保対策のやり方の再検討をしていただきたいということで意見を付したものでございます。災害時などにおける水の確保は、先ほど申し上げましたとおり監査の前提でございます。飲料水は確実に確保されるべきと考えております。よろしくお願いいたします。

○松本委員 あと一つ、監査委員が監査結果について本会議場で報告をされます。私たちはその報告を聞きながら、それにいつもなるほど、なるほどと思いながら、我が自由民主党は、この監査結果を否定したことは一度もありません。が、しかし、逆に、委員報告は、非常に多くの監査結果の中の抽出でしかない。したがって、膨大な監査結果については、各議員、関係者に配られる。配られるんですが、あれを全部ずうっと読むという話になりますと、それで本会議場へ出ていくという話になりますと、大変に時間を食っちゃって、こんな分厚いやつを届けていただくのが半年ぐらい前でないと追いつかないという話なんですよ。ですから、関係者、例えば、今回の例であれば、少なくとも中野、町田、練馬、板橋、足立、こういった関係区にかかわる部分については、事前に、本会議場で監査結果を承認するかしないかという前に、懇切丁寧な説明ぐらいは今後していただきたい、こう思うんですが、鈴木さん、どうですか。

○鈴木監査担当部長 監査結果の報告についてでございますが、第一回定例都議会におきまして、監査委員によりまして口頭報告を毎年行っております。
 また、監査結果につきましては、監査結果がまとまった後の直近の定例都議会に報告をさせていただいているところであります。
 そういう中で、関係者に対しましても、報告書の送付あるいは事業概要、タイムズ等におきまして、広く公表させていただいているところでございます。

○松本委員 確かに、形としては郵送で送られてくるんですよ。しかし、あの中でわずか数行の監査結果を見つけるのは大変なんですよ。このことについて、どういうことになっているのか、計画は計画どおり進捗しているのか、事業局であります総務局に確認をした時点で初めて、こういう監査結果が出ているんですよということを--わずか五行ですよ。この五行を見つけるという作業、結構大変なんですよ。ですから、やっぱりここの部分については、関係するところにきちっと事前に、中野区選出の都議会議員は四人ですよ、それぐらいのところには、関係区の議員に対して何らかの方法で、ここのところだけはしっかり読んで、本会議場で承認するかしないか決めてくださいよぐらいの事前の説明、話があってもいいと思うんだけれども、藤堂局長、答えてください。

○藤堂監査事務局長 報告の形態でございますが、ただいま、形の上では、鈴木部長からご報告申し上げたとおりでございます。
 なお、監査の公表につきましては、議会に報告する前に、各局に対して講評というものをやってございます。その中身の中から内容というのが明らかになってございます。そういう意味からは、建前を申し上げて申しわけないんですが、それぞれ所管の事業をするところから関係のところにそういうようなご報告をしていただければというふうに考えておりますので、ぜひご理解いただきたいと思います。

○松本委員 よくわからないけれども、どうも不満でありますけれども、膨大な監査をやっていただけるんだろうと思うんですよ。しかし、監査委員というのは、各局を監査するということではあるんですけれども、監査委員がどういう監査結果を出すかというのは、局に対して説明をされるべき当然のことですよ、事業局を監査するんですから、その事業のやり方について監査するのは当たり前なんですから。しかし、だれにかわってだれのために監査をするのかという話になると、都民にかわって都民のために監査をするんでしょう。各局のためにやるわけじゃない。だから、都民の代表たる東京都議会にも--それは、形としてはやられていますよ。しかし、もうちょっと懇切丁寧な報告があってもいいんじゃないか。それは、議員の先生方、私たち、関係ない話だから、事業局に説明しておきますから事業局から聞いてください--ちょっと投げやり過ぎるんじゃないの、局長。
 我々は、本当だったら、議会ですから、四人の監査委員から直接答弁をもらいたい。それを監査委員の代理である局長に僕は求めている。そうしたら、局長が、それは事業局に報告しておきますから、事業局から、議員の人は、申しわけないけれども、聞いてください、それで、本会議場で承認するとかしないとかというのは勝手にやってください、こういうふうに聞こえるんだけれども、そんなことでいいの。もう一回答弁してください。

○藤堂監査事務局長 事業局を通じてというお話をさせていただきましたけれども、今、理事ご指摘のとおり、いろいろ関連する部分があるかと思いますけれども、正直申しまして、関係といいますか、間柄というのが、監査の立場からはなかなか把握しにくい部分がございます。そういうことを含めて、より適切な情報体制という意味からは、各局にお願いした方がいいのではないかという趣旨でございますので、ぜひご理解いただきたいと思います。

○松本委員 素直な答弁をもらえないから、だんだん長くなっちゃう、申しわけないと思うんだけれども。
 監査項目については、監査事務局で選んでいるのか、それとも事業局で、ここのところを監査してくれというところを選んでいるのか、四人の監査委員が選んでいるのか--全部が全部について、監査は毎年できないと思うんですよ、これだけ膨大な事業について。これは抽せんでやっているのか、具体的にどうやっているのか教えてください。

○藤堂監査事務局長 監査項目、例えば、今ご議論いただいているような行政監査項目につきましては、まず、私ども事務局でございますので、幾つかの素案をたたきながら整理をさせていただきまして、それを委員の先生方の委員審議という形でご議論いただいた上で内容を決定しているものでございます。

○松本委員 そうすると、事務局がことしの監査項目として百挙げるのか、二百挙げるのか、五百挙げるのか知らないけれども、メニューを用意して、この中のどれを監査するか、四人の監査委員の先生方に選んでください、こういうわけでしょう。選ばれたときに、どういうことを監査するかというプログラムができるね。そのプログラムについて、中身がばれちゃったら、ああだこうだ横やりが入っちゃ具合が悪いから、その中で監査をする、こういうことになっているんだろうと思うんです。だから、監査項目になったとき、ことしはこれだけを監査しますよということを説明してもらう必要はないけれども、監査をした項目というのはわかるわけで、その監査結果については、当然、報告をするわけだ。だけど、こんな膨大な資料の中に紛れ込ませて、四、五行の監査結果がその事業の行く末に大きく影響するということは、それぞれの地域の都民要望に対してどう行政をやっていくかということで、影響があるんですよ。
 例えば、これをこのまま読んで、総務局が最初に読んだとおり、これは廃止を含めてということになっているから、議員、この事業はそう簡単なわけにいきません、こういわれた。だけど、そこに防火水槽を設けるために、その地域の人たちが何回集まって会合をやったのか、何回署名活動をやってきたのかということを考えれば、それはやっぱり監査の結果がこうなったからというだけではなくて、監査の趣旨がきちっと伝わらなくちゃいかぬ部分があると僕は思うんだ。そうだよね。それを事業局は、一番最初に僕にいってきたのは、廃止を含めて見直しということだから、事業をそう簡単に進捗させるわけにいきません。かわりに水の確保が必要だとか必要じゃないとかということは、何の説明もしなかったよ、事業局は。何の説明もしなかった。監査結果のこの何行かを、地元で何回も何回も会合を開いた人たちに、町会長や婦人部長や、町会の防災担当何とかという会がある、そういうところへ行って、監査結果の五行目、廃止を含めた見直しを行うべきである、これが監査結果ですと、ぱんと投げちゃう。みんな納得できると思う、都民が。そんなこと納得できるわけがないです。だから、監査結果について--きょう初めて水の確保が前提ですと、こういわれたんです。きょう初めてだよ。総務局がこの監査結果を読んだときに、水の確保が絶対に必要なんだという前提条件なんか一言もいわないよ。そうでしょう。
 だから、地元に対してきちっと説明できるような監査でなければ、だれのための監査だかわからぬでしょう。結果、じゃ、廃止しますとなったときに、主計部長、東京都は財政難だからちょうどいいや、やめちまえとなったときに、その地域の人たちの水の確保についてはだれが責任を持つんだい。総務局にいったら、監査結果がこうですから仕方がありませんと、こういわれたら--監査委員というのは相当な影響力を持っている。そうでしょう。そういう重要なことを、事業局に説明してあるんだから、事業局から説明を聞いてください、あとは議員に送り届けてあります、そんな程度のことで議会が納得できるかい、局長。都民が納得できるかい。事業局からは、水の確保が最重要課題ですなんていう話は全然来なかったよ。この監査結果の裏にあるものは、水の確保が絶対重要条件なんですなんていう話は、総務局からは何も僕のところに来なかったよ。
 局長、僕はきょう、局長から水の確保が最重要課題ですということを聞いたから、貯水槽をつくっても監査趣旨には反しないよ、この答弁書を読んでみればわかるだろう、こういうことをいえるけれども、僕がきょう質問しなかったら、そういう趣旨なんかどこにも出てこない。そんな監査でどうするんだよ。今後はちゃんと、こういう誤解を招きやすい表現は使わないし、そういうケースの場合には、そういうおそれのある場合には、地元に、関係をする、影響が出てくるであろうところについては、きちっと誠意を持って説明します、これぐらいの答弁できないのかい、局長。

○藤堂監査事務局長 理事ご指摘の趣旨は十分理解できるものでございます。何回も繰り返して申しわけございませんが、私どもとしては、関係者に対して具体的にどういう形--その実態を踏まえながら、どこが関係者かというのは、なかなか把握しづらい部分もあるかと思います。そういうことを含めまして、監査のご指摘する内容だとか趣旨については、これはより中身的に理解しやすいような表現を考えていきたいというふうに考えていますが、関係者の方々にその趣旨を直接説明するということについては、私どもとしてはなかなかできづらい点がございますので、ぜひご理解いただきたいというふうに存じます。

○松本委員 委員長、納得できないよ。議会に対してちゃんと懇切丁寧に説明できないのね。議会に対して、議員に対して説明できないならできないといってよ、その根拠もあわせて。

○藤堂監査事務局長 ご指摘の趣旨というのは十分わかります。そういう意味で、私どもとして、どういう形で関係の方々を把握するかというのはなかなか難しい問題もございますので、少し検討させていただければというふうに存じます。

○松本委員 以上で質問を終わります。

○名取委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十三分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る