総務委員会速記録第十一号

平成十四年九月十七日(火曜日)
第一委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
外務長田邊 隆一君
次長森澤 正範君
技監石河 信一君
企画調整部長渡辺日佐夫君
秘書部長今里伸一郎君
政策部長村山 寛司君
企画調整担当部長中田 清己君
特命担当部長高島 茂樹君
危機管理調査担当部長金子正一郎君
国政広域連携担当部長熊野 順祥君
首都調査担当部長関口 栄一君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
国際共同事業担当部長高橋 道晴君
総務局局長赤星 經昭君
理事石山 伸彦君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁担当部長遠藤 秀和君
人事部長山内 隆夫君
主席監察員古河 誠二君
行政部長反町 信夫君
島しょ・小笠原振興担当部長高橋 敏夫君
災害対策部長徳毛  宰君
参事八木 憲彦君
勤労部長大塚 孝一君
法務部長中村 次良君
統計部長早川  智君
人権部長関  正子君
選挙管理委員会事務局局長押切 重洋君

本日の会議に付した事件
 総務局関係
  第三回定例会提出予定案件について(説明)
  ・特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・東京都地震災害警戒本部条例
  報告事項(説明)
  ・平成十三年度監理団体経営状況報告について
  ・三宅島の災害対策について
 選挙管理委員会事務局関係
  報告事項(説明)
  ・電子投票に関する最近の動向について
 知事本部関係
  請願の審査
  (1)一四第三二号 有事法制三法案反対に関する請願

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、第三回定例会中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ごらんいただきたいと思います。ご了承願います。
 次に、先般の人事異動に伴い、人事委員会事務局及び監査事務局の幹部職員に交代がありましたので、ご紹介いたします。
 初めに、人事委員会事務局長から幹部職員について紹介があります。

○高橋人事委員会事務局長 人事委員会事務局の幹部職員を紹介させていただきます。
 初めに、任用公平部長の松田曉史でございます。次に、試験室長の村松満でございます。次に、参事で審査担当の矢島達郎でございます。
 どうぞよろしくご指導のほどお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○坂口委員長 次に、監査事務局長から幹部職員について紹介があります。

○中山監査事務局長 去る七月十六日の人事異動によりまして、当局の幹部職員に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 監査担当部長の鈴木襄でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○坂口委員長 紹介は終わりました。

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、総務局関係及び選挙管理委員会事務局関係の報告事項の聴取並びに知事本部関係の請願の審査を行います。よろしくお願いいたします。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取した後、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。ご了承願います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、総務局長及び幹部職員に交代がありましたので、局長から、あいさつ及び幹部職員の紹介があります。
 総務局長に就任いたしました赤星經昭君をご紹介いたします。

○赤星総務局長 去る七月十六日付で総務局長に就任いたしました赤星經昭でございます。
 坂口委員長を初め委員の皆様方には、日ごろから総務局所管の事務事業につきましてご指導を賜り、まことにありがとうございます。
 私ども総務局職員一同、全力を挙げまして、事務事業の適切かつ円滑な執行に取り組んでまいります。今後とも一層のご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
 それでは、さきの人事異動に伴いまして交代のございました当局幹部職員をご紹介させていただきます。
 IT推進室情報企画担当部長の木谷正道君でございます。IT推進室電子都庁推進担当部長の遠藤秀和君でございます。災害対策部長の徳毛宰君でございます。法務部長の中村次良君でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○坂口委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○坂口委員長 次に、第三回定例会に提出を予定している案件について、理事者の説明を求めます。

○赤星総務局長 今定例会に提出を予定しております条例案三件につきまして、概要を説明させていただきます。
 恐れ入りますが、資料第1号、平成十四年第三回東京都議会定例会提出予定条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 表紙の次に、目次がございます。1の、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例以下、順次ご説明申し上げます。
 番号1は、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案でございます。この条例案は、関係法令の改正等が行われたことに伴いまして、所要の規定整備を行うものでございます。
 続きまして、番号2は、市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案でございます。この条例案は、知的障害者福祉法の改正が行われたことに伴いまして、所要の規定整備を行うものでございます。
 番号3の、東京都地震災害警戒本部条例案でございます。この条例案は、大規模地震対策特別措置法による地震防災対策強化地域に、新島村、神津島村及び三宅村が指定されたことに伴いまして、都が設置いたします地震災害警戒本部に関する事項を定めるものでございます。
 以上が、今定例会に提出を予定しております案件の概要でございます。
 詳細につきましては、総務部長から説明させていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋総務部長 それでは、今定例会に提出を予定しております条例案三件の詳細につきまして、説明させていただきます。
 恐れ入りますが、資料第1号、平成十四年第三回東京都議会定例会提出予定条例案の概要の一ページをごらんいただきたいと存じます。
 番号1、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案でございます。改正点は、大きく分けて二点ございます。
 まず一点目は、政令等の改正に伴い、事務、権限を移譲するものでございます。これは、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令等の改正に伴い、申請者の利便性の確保及び事務の効率化を図るため、従前の事務に、国外転出時及び国内の転入時の居住地変更の届け出受理事務等を加えるものでございます。
 次いで二点目でございますが、法改正等に伴い、所要の規定整備を行うものでございます。これは、法改正等に伴い、引用条文に変更が生じたことや、法の廃止に伴い、項を削除するもの等、規定の整備が必要になったものでございます。施行日は、公布の日を予定しておりますが、2の(1)、租税特別措置法に基づく事務の一部につきましては、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の施行日を、2の(2)、建築基準法等に基づく事務につきましては、建築基準法等の一部を改正する法律の施行日を、2の(4)、知的障害者福祉法等に基づく事務につきましては、平成十五年四月一日を予定しております。
 恐れ入りますが、二ページをごらんいただきたいと存じます。
 番号2、市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案でございます。
 知的障害者福祉法等に基づく事務につきましては、条例による事務処理の特例制度によりまして、既に市が一部を処理しているところでございます。
 知的障害者福祉法の改正に伴い、知的障害者に対する更生援護の実施に関する事務が、市町村の自治事務となるため、知的障害者の一時保護に関する事務及び居住地を有しない場合等の知的障害者に対する福祉の措置に関する事務を削除するものでございます。
 また、法定事務と密接に関係する知的障害者相談員への業務委託にかかわる事務につきまして、新たに町村へ移譲するものでございます。
 施行日は、平成十五年四月一日を予定しております。
 番号3、東京都地震災害警戒本部条例案でございます。
 新島村、神津島村及び三宅村が大規模地震対策特別措置法による強化地域に指定されたことによりまして、内閣総理大臣が大規模地震にかかわる警戒宣言を発した際に、都知事は、地震災害警戒本部を設置することとなります。この地震災害警戒本部に関し必要な事項は、法に定めがあるもののほか、条例で定める必要があるため、東京都地震災害警戒本部に関する組織等について定めるものでございます。
 以上、簡単ではございますが、本定例会に提出を予定しております案件につきまして、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
 資料要求はなしと確認させていただきます。

○坂口委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○島田行政改革推進室長 平成十三年度東京都監理団体経営目標の達成状況と経営実績について、ご報告させていただきます。
 恐れ入りますが、資料第3号、平成十三年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績報告(概要)をごらんください。
 まず、1、経営目標の達成状況についてでございます。
 (1)、目標の設定と達成度評価についてでございますが、監理団体改革の一環として、団体の経営責任及び都の指導監督責任を明確にする目的で、平成十三年度より従前の経営評価制度を見直し、団体みずからが各年度ごとに経営目標を設定し、その達成度を評価することといたしました。
 この達成度評価は、評価結果を各団体の翌年度以降の経営改善に確実に反映させ、各団体のインセンティブを高めることを目指したものでございます。評価が、より実効性のあるものとなるよう、毎年度、経営目標を厳しく見直してまいります。
 経営目標の指標は、成果、費用対効果、財務、経営改善計画達成状況の四項目でございます。
 一枚おめくりください。
 (2)、目標の達成状況でございます。対象五十三団体中、目標値の九割以上を達成できた団体は、財団法人東京税務協会など二十七団体、五一%、九割を達成できなかった団体は、財団法人東京都体育協会など二十六団体、四九%となっております。
 (3)、役員報酬でございます。目標値の九割を達成できなかった団体の常勤トップにつきましては、現在、各団体が都と横並びで実施している報酬の五%削減に加えて、十四年度の役員報酬をさらに五%削減いたします。
 次に、2、経営実績でございます。
 まず、(1)、公益法人でございます。公益法人三十七団体のうち、二十九団体が当期黒字及び収支均衡団体でございます。全体での収入合計は四千二百七億円、支出の合計は四千二百二十八億円で、収支差額は、約二十億円のマイナスとなっております。
 次に、(2)、株式会社でございます。株式会社は、二十一社中、十一社が当期黒字となっております。全体での収益合計は二千百二十二億円、費用合計は二千三百十四億円で、当期利益は、差し引き百九十二億円の赤字となっております。
 (3)、都財政支出額でございます。監理団体に対する都財政支出額は、千九百七十九億円であり、監理団体改革実施計画で設定した十三年度目標額二千百二十八億円から、さらに百四十九億円削減されております。
 一枚おめくりください。
 各団体ごとの個別の決算数値を示した一覧表でございます。単位は、百万円でございます。
 主なものをご説明いたしますと、公益法人では、財団法人東京都新都市建設公社など八団体が、当期収支差額がマイナスとなっております。これは、長期借入金の前倒し返済などによりマイナスとなったものでございまして、どの団体も、次期繰越収支差額はプラスとなっております。
 株式会社では、多摩都市モノレール株式会社、東京ファッションタウン株式会社など十社が当期赤字を計上しております。
 なお、詳細は、資料第4号、平成十三年度東京都監理団体経営目標の達成状況・経営実績報告を添付させていただいておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。
 以上で、私からの報告を終わらせていただきます。

○徳毛災害対策部長 資料5の、三宅島の災害対策についてご説明いたします。
 1の、災害対応の主な経過でございます。
 平成十二年六月二十六日に緊急火山情報が出されましてから、都は、災害対策本部を設置いたしました。その後、一たんは廃止いたしましたが、噴火活動の活発化に伴い、再び八月に本部を設置するとともに、三宅島に現地災害対策本部を設置いたしました。そして九月には、三宅村村長から全島避難の指示が発令されました。その後、神津島に現地災害対策本部を移設し、神津島から毎日船で島に渡り、復旧作業を進めてまいりました。
 その結果、昨年四月には、島内の全周の通行を確保することができました。また、火山ガス対策を施したクリーンルームの整備が完了し、工事関係者も含めた夜間滞在が可能となったため、現地災害対策本部を神津島から三宅島に移し、効率的な復旧作業を進めております。
 三宅島の火山活動は依然として続いており、災害対策本部は現在も継続中であり、いまだ帰島の目途は立っておりません。
 一ページおめくりください。
 2の、直近の火山噴火予知連絡会の見解でございます。
 本年五月の見解では、三宅島の火山活動は全体として低下途上にあり、火山ガスの放出量は、長期的には減少傾向が続いてはいるものの、引き続き風下に当たる地区での警戒が必要であるとしています。
 次に、3の、災害復旧等の進捗状況でございます。
 砂防ダムにつきましては、既に十五基が完成しており、今後、合計で七十五基を完成させる予定です。
 治山ダムは、現在、三基に着手しているところでございます。
 都道につきましては、十五年度末までに、全被災箇所を復旧完了する予定でございます。
 村道、林道は、維持補修を実施しており、村道につきましては、十四年度末までに復旧する予定です。
 住宅の屋根修繕でございますが、八月二十日現在、調査受け付け五百十三件、修繕申し込み三百件、修繕完了二百七件となっております。
 港湾、漁港につきましては、仮係留施設の設置、岸壁のかさ上げが完了しているところです。
 水道につきましては、一部地域へ給水を開始いたしました。今後、被災箇所について、十五年度末までに復旧する予定となっております。
 電気、電話につきましては、各防災関係機関の協力を得まして、設備の本格改修、復旧に努めております。
 LPガスにつきましては、各家庭等に設置されているガス容器を島内の安全な場所へ移設し、中身の詰めかえを行い、詰めかえた容器及び空の容器を島外に搬出し始めました。
 次に、4の、脱硫施設宿舎、いわゆるクリーンハウスの整備状況でございます。
 火山ガス対策を施したクリーンハウスは、現在十五施設が完成しており、約五百八十名が三宅島に夜間滞在できるようになっております。工事関係者も含め三宅島に夜間滞在して、効率的に復旧作業を進めております。
 また、三宅島民のショートステイ用のクリーンハウスにつきましては、活動火山対策特別措置法に基づき、三宅島が避難施設緊急整備地域に指定されたことに伴い、三宅村が年度末を目途に、三百人程度収容可能な避難施設を整備いたします。
 次に、5の、村民の一時帰宅でございます。
 平成十三年度は、泥流等で被災した世帯を対象とした一時帰宅及び島内における個人財産の現状確認を目的とした全世帯対象の一時帰宅を実施いたしました。
 平成十四年度からは、島内における個人財産の保全、修繕、財産の持ち出しを目的とし、希望する世帯につきましては、週一回程度、二百名から三百名規模で一時帰宅を実施しております。
 また、夏休み期間中の八月には、児童生徒の一時帰宅も実施しております。
 次に、6の、長期避難村民への主な生活支援でございます。
 まず、就労対策等でございますが、都は、公共事業の優先的雇用の働きかけや、村民の雇用のための、げんき農場や、ゆめ農園の開園、村の商工業者に対する経営相談の実施などの各種支援を行ってまいりました。
 次に、生活支援でございますが、都は、都営住宅の無償提供や義援金の支給、各種資金貸付、医療費等の減免など各種の生活支援を行ってまいりました。
 最後に、国への提案要求でございます。
 本年七月に、平成十五年度の国への提案要求におきまして、特別事項として、避難の長期化に伴う村民への生活支援など、(1)から(3)の三項目を、関係省庁へ提案要求いたしました。
 また、本年四月には、三宅島火山活動災害に対し、(4)生活保護制度の弾力的運用及び(5)早期の活動火山対策特別措置法の適用について、緊急の提案要求を行いました。
 なお、(5)早期の活動火山対策特別措置法の適用につきましては、本年七月五日に避難施設緊急整備地域の指定を受けたところです。
 以上、簡単でございますが、三宅島噴火災害へのこれまでの対応について報告させていただきました。

○坂口委員長 報告は終わりましたので、この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大西委員 監理団体の役員の退職金の支出状況がわかるものを、五年ほどお願いしたいと思います。

○坂口委員長 ほかには何かございませんでしょうか。--よろしいですか。
 大西副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。
 以上で総務局関係を終わります。

○坂口委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、選挙管理委員会事務局長に交代がありましたので、局長からあいさつがあります。
 選挙管理委員会事務局長に就任いたしました押切重洋君を紹介いたします。

○押切選挙管理委員会事務局長 去る七月十六日付の人事異動によりまして、選挙管理委員会事務局長を拝命いたしました押切重洋でございます。
 委員長を初め、各委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りながら、公正かつ公平な選挙管理委員会の運営に全力を尽くしてまいる所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○坂口委員長 あいさつは終わりました。

○坂口委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取します。

○押切選挙管理委員会事務局長 電子投票に関する最近の動向につきまして、ご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、資料の一ページをお開き願います。
 1は、電子投票特例法の概要でございます。本特例法は、昨年十一月三十日に成立しております。
 (3)にお示しのとおり、特例法の趣旨は、地方公共団体が条例で定めることにより、電子投票を行うことができるよう定めるものであります。対象となる選挙は、地方公共団体の議会の議員または長の選挙で、対象となる投票は、投票日当日の投票所における通常の投票とされております。
 次に、二ページをお開き願います。
 2は、東京都選挙管理委員会における取り組みでございます。
 (1)は、東京都電子投票制度検討研究会の設置に関することでございます。最終報告書につきましては、本年三月に発表し、既に各委員に送付済みでございますが、本日、改めてお手元に配布してございます。
 (2)では、この最終報告書の概要を六点にわたり掲げております。
 〔1〕は、導入により期待される効果で、選挙結果の迅速な公表など五点の効果が期待されております。
 〔2〕は、導入時に求められる諸条件で、一人一票の原則が確保されていることなど、電子投票制度を導入するに当たり、求められる必須条件を整理しております。
 〔3〕は、導入における課題と対応につきまして、その主なものを例示しております。アで、有権者の投票機操作面の課題と対応例をお示ししてございます。
 次に、三ページをお開き願います。
 同様に、イで、選挙執行における実務面の課題と対応及びウで、電子投票機の維持管理面等の課題と対応につきまして、それぞれ整理してございます。
 〔4〕の、導入時の所要経費は、投票機などの初期導入費用について、区部、市部に分けまして試算を行っております。
 〔5〕は、円滑な導入に向けた国への提言として、国政選挙、不在者投票への電子投票の早期導入を図ることなどに付言しております。
 〔6〕として、導入に当たっては、何よりも都民の理解と信頼を得ることについての記載がございます。
 (3)は、今後の取り組みといたしまして、区市町村に対する必要な情報提供や、導入する団体があれば、当面、パイロット事業として財政支援を行ってまいることを考えております。
 次に、四ページをお開き願います。
 3は、岡山県新見市における電子投票の実施についてでございます。ご案内のとおり、新見市では、電子投票特例法の施行後、全国で初めて電子投票が本年六月二十三日に実施されました。
 (1)では、投票につきまして投票所数、投票機配備台数などを記載してございます。
 (2)は、開票に関しまして、その所要時間は、不在者投票を含め全体として二時間でございましたが、電子投票分につきましては、二十五分で終了したところでございます。
 (3)は、投票結果を記載してございます。〔1〕で、今回と前回などの選挙との比較により、投票者数、投票率などを、〔2〕で、自書式の不在者投票者数と電子投票による当日投票者数をお示ししております。
 五ページをお開き願います。
 (4)の〔1〕で、新見市が発表いたしました、投票所において管理執行上の問題となった事例四件につきまして記載してございますが、いずれも選挙への影響はなかったとのことでございます。
 (5)は、同様に新見市が発表いたしました現行制度上の課題について、二点掲げております。
 (6)は、今回の電子投票につきまして、有権者八百三人へのアンケート調査の結果を記載しておりますが、電子投票導入については、八三・四%の人が賛成、三・六%の人が反対という結果になっております。
 最後に、4は、全国における今後の導入予定でございます。現在のところ、導入を決定している団体は、お示しの三団体でございます。
 以上、簡単でございますが、資料の説明とさせていただきます。

○坂口委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○坂口委員長 これより知事本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動により知事本部長及び幹部職員に交代がありましたので、本部長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。
 知事本部長に就任いたしました前川燿男君を紹介いたします。

○前川知事本部長 ただいま委員長からご紹介いただきましたが、先般の人事異動により、知事本部長を命ぜられました前川燿男でございます。
 委員長を初め委員の皆様方のご指導を賜りながら、各局事業の総合調整を初めとする所管の事務事業に、全力を尽くす所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、同じく、さきの人事異動により交代がありました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の森澤正範でございます。技監の石河信一でございます。秘書部長の今里伸一郎でございます。政策部長の村山寛司でございます。企画調整担当部長の中田清己でございます。特命担当部長の高島茂樹でございます。首都調査担当部長の関口栄一でございます。国際共同事業担当部長の高橋道晴でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○坂口委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○坂口委員長 これより請願の審査に入ります。
 一四第三二号、有事法制三法案反対に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高島特命担当部長 お手元の請願審査説明表に基づきましてご説明申し上げたいと存じます。
 表紙をおめくり願いたいと思います。
 一四第三二号、有事法制三法案反対に関する請願でございます。
 この請願は、東京都患者同盟会長、小島貞夫さんから提出されたものでございます。
 その要旨は、国民の生活と福祉を守るため、再軍備強化につながる有事法制三法案に反対していただきたいということでございます。
 現在の状況でございますが、武力攻撃事態対処法案、安全保障会議設置法改正案、自衛隊法等改正案の、いわゆる有事関連三法案につきましては、平成十四年四月十六日に閣議決定されまして、同月二十六日に衆議院に提出されたところでございます。
 同法案は、五月七日から衆議院特別委員会で審議が開始されましたが、七月三十一日には会期が終了し、継続審議の取り扱いとなったところでございます。
 閣議決定されました法案につきましては、四月十七日付で都に通知があり、その後、法案につきまして、全国知事会で二回の説明会が開催されました。また、政府と都道府県知事との意見交換も行われたところでございます。
 さきの平成十四年第二回定例会本会議におきまして、知事は、有事法制に関しまして、以下のとおりの答弁をしております。
 法制化は遅きに失しており、国民保護法制を含め早急に整備する必要がある。有事に対しては、無条件に国に協力する。不審船事件などは現代の有事として対応すべきである旨の答弁をしております。
 以上で、ご説明を終わります。よろしくお願いいたします。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○樺山委員 この問題については、さきの第二回定例会代表質問で、我が党の古賀俊昭議員が、会派として、また党としても、基本的な考え方を述べ、あわせて知事の基本認識もただしているところでありますので、ここでは簡略に、改めて私どもの認識を述べることとしたいというふうに思います。
 冷戦構造が崩れた今日においても、中東地域の問題や、昨年の同時多発テロを初め、残念ながら世界各地において、地域紛争はやんでいない現状であります。
 ちょうどこの時間、小泉首相が北朝鮮でのトップ会談に臨んでいるわけでありますが、近年、我が国の周辺を見ても、テポドンの発射、不審船事件など、まかり間違えば重大な有事に発展しかねない事件が起きております。このことからも、国家の非常事態である有事の事態が、日本では今後、絶対に起こり得ないとは、残念ながら断定できる状況にはありません。
 したがって、有事法制が整備されていない現状で、我が国に対する武力攻撃事態が発生した場合、国民及び国家の主権を迅速、適切に守ることはできず、また現状では、有事に対応する国民の生命、身体及び財産の保護などの規定がないことから、国民の基本的人権が侵されることにもなりかねず、いたずらな混乱が生じる可能性すら想定をされるのであります。
 有事法制は、戦争に備えるための危険な法律ととらえるのではなくして、むしろ、平和と人権を守るために必要な法律であるととらえるべきであって、国は当然、備えておかなければならないものであると認識すべきで、早急に整備しなければならないことであると考えます。
 したがって、有事関連三法案への反対を求める本件請願については、不採択とすることが適当であると思います。

○馬場委員 まず、この請願の趣旨は、軍備拡張による福祉予算削減ということで、心配をなさってこの請願を出されたというふうに受け取りました。こうした予想による反対についての質疑また採決というのは、この委員会ではなじまないものと私どもは考え、本請願については不採択とすることで態度をまず表明させていただきます。
 しかしながら、都民としての立場からは、この有事関連三法案については、国の体制を変える大変重要な問題であるという認識、また、特に地方自治体としてはこの協力が求められる立場にある。このことから何点か問題提起の意味で知事本部に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 この件では、私どもも先般の第二回定例会代表質問で林議員から質問をさせていただきました。危機管理についてということで触れさせていただきました。国と自治体の役割分担、自治体の長の責任、権限の範囲については不明確のまま推移しようとしているということで、この件については石原知事が答弁できるということで、知事に直接お尋ねをさせていただきました。
 その答弁として、最後のところですが、この請願の先ほどの状況の説明のところでも触れられているように、そういう際には無条件で国に協力をするというような答弁がございました。そういう際というのは有事の際ということで受け取らせていただきますが、そういう意味で、国が今継続審議ということになっておりますが、今述べたように、私ども自治体としてどうするかということが、大変大きな都民の皆さんからの関心があるということでございますので、もう一度このことについて何点か質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、武力攻撃事態法案の第七条に、対処措置の実施に当たって国との役割分担が定められております。この国と地方自治体との役割分担、地方自治法における国と地方の役割分担とはどのように整理をされているのか、お尋ねいたします。

○高島特命担当部長 有事関連法案につきます国と地方団体の役割分担のお話でございます。
 ただいま理事ご指摘にございました武力攻撃事態対処法案第七条の規定によりますと、国においては武力攻撃事態への対処に関する主要な役割を担い、地方公共団体においては、武力攻撃事態における当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産の保護に関して、国の方針に基づく措置の実施、その他適切な役割を担うことを基本とするとされております。地方自治法上、都道府県、市町村の自治体におきましても、当該住民の生命、身体、財産を守るということが責務になっておりますので、その範囲、またこの法律の規定を受けまして、適宜適切に対応していくということが想定されております。

○馬場委員 この措置の実施、それから適切な役割という--適切にというお答えなんですが、それでは重ねてもう一つ、戻りますが、第五条には、事態対処に関し必要な措置の実施責務を定めております。都道府県や市町村、それぞれどのような責務を負い、どのような役割を担うということになるのか、都としては、それではどのように対応していくのか、このことについて再度伺います。

○高島特命担当部長 都道府県、市町村の具体的な役割ということでございますが、これにつきましては、今後、国民保護法制が二年以内に定められるということになっておりますが、この具体的な内容を踏まえて、都道府県、市町村の役割が整理されていくだろうと思っております。今政府の方で想定しておりますのは、都道府県にありましては、地域における対処措置の総合的な連絡調整等々、それから市町村にありましては、地元住民の安全確保及び保護のための措置の実施等々が想定されております。
 いずれにしましても、有事に際しまして、国に協力し、都といたしましても、都民の生命、身体、財産を守るという都の使命を円滑に果たしていく必要があろうというふうに考えております。

○馬場委員 都の使命というところが大事な点なんですが、内閣総理大臣の指示や措置の実施についての定めと、地方自治体が規定する地方自治体に対する国の関与等、この辺の関係については、それではどのように整理されているんでしょうか。

○高島特命担当部長 地方自治体に対する国の関与等との関係でございますが、国会審議での国の答弁によりますと、内閣総理大臣の指示や代執行につきましては、国民の身体、生命、財産の保護、または武力攻撃の排除に支障があるという特定の場合、まずこれが一つある。それから二つ目は、総合調整等の段階を踏むことが必要とされております。それから三つ目としまして、要件、手続につきましては別に法律で定めるということで、国会のさらに法律事項としての審議を受けるということが決められておりまして、地方自治法に整合性がとれた形になっているというような旨の答弁がなされております。

○馬場委員 国で検討しているということなんですが、例えば、米軍への民間空港、港湾施設の一時的使用を確保するためにこういう法が必要なのではないかとか、国が米軍に約束しても民間施設の管理権は地方自治体に属している、そんな問題、地方自治体としての主権の問題とかがまだ整理をされていないというふうに思います。今後、二年以内の国民保護法制やこれからの国での検討というのがあるわけですが、それについて指示や措置の実施、その件について法律に定めるというふうにされておりますが、具体的な検討の過程で自治体の意向、特に東京としてどのように反映されるということになるのでしょうか。

○高島特命担当部長 この自治体の意向の反映につきましては、政府側の方でも一つの配慮をしなくちゃいけない大きな事項として考えておられまして、先般の国会審議におきまして、次のような国会答弁が国からなされております。
 今後制定する個別法制を詰める段階で、地方公共団体の意見を十分踏まえて中に取り組んでいかなければならないという旨の答弁がなされております。具体的な検討の過程の中で、東京都といたしましても、全国知事会等ほかの自治体と連携をとりながら、私どもの地方自治体の意見が十二分に反映されるよう、適宜適切に対応してまいりたいと考えております。

○馬場委員 最後に意見を申し述べさせていただきます。
 この第十五条では、その前の第十四条一項の総合調整を行うことができるということに基づく所要の対処措置が実施されないときはという項があるんですが、これは、総理大臣が地方公共団体の首長に対し、特に必要ならば有事対処措置の実施を指示することができ、さらに直接執行もしくは代執行することができるということでございます。これは、別に法律で定めるところによりとなっておりますが、周辺事態法の地方自治体の長に今の協力を求めるということからは、大きく自治権を制限する方向に踏み出しているというふうに考えます。周辺事態と予測事態ということが区別できないとすれば、周辺事態法の協力規定も有名無実となります。有事という場合、その矢面にさらされるのは住民であり、都民であり、自治体であります。その自治体の権限を制約するというのは本末転倒ではないかというふうに考えます。
 知事は、先般の答弁で、先ほど申し述べましたように、そういう際には無条件で国に協力するというふうにおっしゃっていますが、そういう事態の前にあらゆることを考え、自治体としての責務も含め、きちんと私どもも国に対して申し述べなければならないというふうに考えています。
 国と地方自治体は対等な関係であるというふうに私ども民主党は考え、今後もこの有事については、国においての検討も含め、各自治体でもそれぞれの立場で検討していきたいと思っておりますので、自治体としてぜひこの点の検討をさらに進められることを要望し、質問を終わります。

○織田委員 簡単に意見を申し述べさせていただきます。
 この問題、戦後、我が国は日本国憲法のもとで平和を享受してきたわけでありますが、今日の状況に見られるように、もし仮に外部からの攻撃や侵入等の万々が一の事態が生じた場合の対応、例えば、自衛隊、警察、消防などの行動ルールが定まっておらず、混乱を招きかねない状況にあることは事実でございます。
 現在、国会で継続審議となっている武力攻撃事態法案など、いわゆる有事法制といわれる三法案は、非常事態が起きたとき、国家として当然備えておくべき必要不可欠な構えをつくる法整備である、このように認識をいたしております。
 私たちは、現行平和憲法において、侵略戦争の当事者であることは断固として否定しておりますが、自分自身を守る自衛権まで捨て去ったわけではありません。日本に直接武力をもって攻撃している国家や、それに類する集団が組織的、計画的に事を起こしてくれば、国民の身体、生命、財産を守るため、それをはね返すとともに、不測の事態にどう対応するかを決めておく必要があるわけであります。
 一部に、いざというとき、いざという事態を想定してその準備をすることは、かえって事を危うくするのだという倒錯した論理を持つ人がいるのも事実でありますが、こうした無責任な論にくみすることはできません。いざというときの備え、法的整備がなければ、逆に超法規的な行為が繰り返され、かえっていたずらに基本的人権の制約などが起こりかねないと懸念されます。さきの大戦でもそのことが立証されていると思います。むしろ、現行憲法における恒久平和、基本的人権、主権在民の三原理のもとで、その枠内での対応をきちんと整備することこそ、国民の利益にかなっていると考えます。
 その意味で、我が党が強く要請し、法案中にもうたわれているように、自由と権利の制限については必要最小限としながらも整備を進めていくべきであります。この点、公正かつ適正な手続のもとに行わねばならないとして具体的な個別法での対処をしていくこととされております。今後制定される個別法で国民保護法制が具体的に検討されていくものと思いますが、そこにおいて個人の権利擁護は適切になされるよう、都としても必要に応じて国に意見を述べるべきであります。
 いずれにせよ、有事に適切に対処するため、個人の権利の制約を最小限にするよう十分に配慮した上で、早期に有事法制を整備するべきであります。したがって、有事関連三法案への反対を求める本件請願については、不採択とすることが適当であります。
 以上。

○古館委員 それでは、この有事法制三法案に関する請願について、幾つか質問もしながら発言をしたいと思います。
 今もお話しありましたけれども、第百五十四国会で小泉首相が不退転の決意で成立を図る、こういうことをいっておりましたけれども、この武力攻撃事態法案、自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案の、いわゆる有事法制三法案が不成立に終わりました。そして継続審査となったのはご存じのとおりです。
 知事は、早急なこの法制化や、それから無条件の協力などを本会議でも述べているところでありますけれども、なぜ継続審査になったのかというのがまず大変大事なことだと思っております。
 この背景は、何よりも憲法をじゅうりんするこの法案によって、アメリカの戦争に参戦する道を開くものという急速で広範な国民世論の反対があったからであります。同時に、政治家の金権政治、防衛庁の情報公開申請者個人情報調査リスト作成事件など、国民の怒りや不信を買う事件がこのときに次々に起こったことも挙げられるかと思います。
 いうまでもありませんが、憲法九条は戦争の放棄をうたっております。第一項は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」第二、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」この九条が戦後半世紀余にわたって日本の平和と安全の背骨となってまいりました。ところが、既に日本が戦争になるかもしれないことを予測してつくられた法律が存在しております。
 そこでお伺いしますけれども、九九年に成立をしました周辺事態法とはどういう法律でしょうか。

○高島特命担当部長 周辺事態安全確保法でございますが、これは、周辺事態に対応して我が国が実施いたします措置、その他実施の手続、その他の必要な事項を定めているものでございまして、日米安全保障条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的としてつくられているものでございます。

○古館委員 いわゆる周辺事態ということなんですよね。これは、今もご答弁はありましたけれども、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態だと。つまり日本でどうだという問題ではなくて、周辺の事態ということで、これはこのような法律になっているわけですね。
 この法律の核心は何かといいますと、アジアの国々がこの周辺事態なるものをつくり出すことを前提にして、そのおそれの段階から米軍とともに自衛隊が軍事干渉を行う態勢をつくることにありました。すなわち、どんな理由によって起こった事態であろうと、アメリカが引き起こした戦争にいつでも日本が参加するということであります。ところが、この周辺事態法には、(発言する者あり)国会でちゃんとそういうことは記録にも載っております。武力行使の禁止と戦闘地域には行かないと。もし米軍への後方支援中に武力攻撃されたらどうするかというと、国会でも答弁ありましたが、そこからは逃げます、これが周辺事態法でありました。
 ところが、これに大変不服な態度をとっているのがアメリカでありまして、アメリカは、この周辺事態法の成立当初から、集団的自衛権の禁止の制限をなくして、米軍と一緒に武力の行使に踏み出すことを繰り返し要求してきました。これが二〇〇〇年に出されたアーミテージレポートというものであります。
 小泉首相が、備えあれば憂いなしを繰り返していましたけれども、四月二十六日の衆議院本会議で--ここが大事なんです、周辺事態法の周辺事態と今回出されている法案の武力攻撃事態が併存することがあり得るというふうに総理本人が答弁をいたしました。つまり、併存論とは、アメリカがアジア太平洋で戦争に踏み出せば、日本は今までは逃げるというのが周辺事態法だったんですけれども、今度は戦争に一緒に参加するという併存論というのを答弁したのであります。
 このことによって、先ほどもいいましたけれども、アメリカがアジア太平洋で戦争に踏み出せば日本も参戦できる道を開いた。このことはこの国会の総理の本会議答弁でも明らかであります。しかも、武力攻撃事態とは、武力攻撃をどのように規定しているかというと、実際に発生した場合、それからおそれのある場合、予測がされるというつまりこの判断は、一に内閣総理大臣にその判断がかかっているものでありまして、何がこの武力攻撃かという事態はものすごい範囲の広いもので、予測されただけでアメリカと一緒に戦争に参加する、これが、(発言する者あり)勝手じゃありません、本会議で答弁しているといっているでしょう。そういうことで、憲法で保障された自由と権利の侵害問題でも有事法制の重大問題となっているものであります。
 ご存じのように、憲法では、すべての基本的人権を侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられるとしておりますけれども、永久不可侵の国民の権利が高度の公共の福祉というふうに--この有事三法案を出してきたときに、何度も国会で高度の公共の福祉が優先するということをいっています。つまり、これは永久不可侵の基本的人権よりも、戦争に入った場合に、高度の公共の福祉といえばそれらが制限できるということがこの国会の論戦の中で明らかになってきています。憲法で保障されている地方自治の原則も重大な危機に直面しているといわざるを得ません。
 いうまでもなく、地方自治の原則は、戦前の中央専制政治が侵略戦争推進の基盤となったことの反省から生まれた成果であります。ところが、武力攻撃事態法案は、地方自治体に国家の戦争体制の分担を強制し、第十五条では、内閣総理大臣に地方公共団体の長に対して戦争協力を強制する指示権を与えています。つまり、自治体に対する指示権なんですね。
 そこで質問をいたしますけれども、継続審議とされた有事法制三法案では、地方自治体にかかわってどのような協力、義務が想定されるのか、そのすべてを挙げていただきたいと思います。

○高島特命担当部長 武力攻撃事態対処法案に基づきます自治体の責務ということでありますが、抽象的には、これは先ほどもご答弁申し上げましたけれども、武力攻撃事態における当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産の保護に関しまして、国の方針に基づく措置の実施、その他適切な役割を担うということが基本とされておりますが、具体的な役割分担につきましては、今後の整備されます国民保護法制において具体的に定められるとなっております。想定されるものとしましては、これも先ほどお答えしましたが、地域における対処措置の連絡調整、それから避難住民の安全確保及び保護のための措置の実施等々が想定されているところでございます。

○古館委員 それだけじゃないと思うんですよね。恐らく総理大臣から東京都の職員派遣というのが来ると思うんですよ。それで、今日の戦争というのは、ITの時代ですから、そういう意味でいえば、今、総務局もIT関連とかってありますけれども、そういうことが駆使できるような職員であるとか、あるいは都の施設だとか都有地だとか、それから港湾の管理というのは東京都の権限にあるわけですけれども、そういうものについても、東京湾自体に対する権限もこれは総理大臣の指示権、これでもって必ず全部やられてしまう。
 なぜかというと、(発言する者あり)じゃお聞きしますが、自治体に拒否権というのはありますか。

○高島特命担当部長 現在、国会に提出されております武力攻撃事態対処法案におきましては、内閣総理大臣が務めます武力攻撃事態対策本部長が行います関係機関に対する総合調整、これについては自治体の方から意見を申し出るということができるとされておりますが、内閣総理大臣の具体の指示に対する拒否権は、現行法には規定されてございません。

○古館委員 物をいうことができても拒否することはできない、こういうのがこの武力攻撃関連の、いわゆる有事法三法の特徴なんですね。
 それで、拒否するとどうなるかということについてもちょっとお伺いしたいと思います。

○高島特命担当部長 指示に基づく所要の対処措置が実施されない、自治体の拒否、措置が実施されない場合は、内閣総理大臣は、別に法律の定めるところによりまして、自治体の長に通知した上で、みずから、または当該措置に係ります事務を所管する大臣を指揮いたしまして、具体の対処措置を実施することができる、いわゆる代執行ができるということをこの武力攻撃事態対処法案で規定されております。

○古館委員 それでは、今のを私ども受けまして、意見を述べたいと思います。
 政府は、有事法制が日本を外国の武力攻撃から守るための備えであるかのようにいっておりますけれども、そうでないことは、防衛庁の長官自身が国会で、日本が武力攻撃される現実的危険はないと明言されております。これからも明らかなように、有事法制の最大のねらいは、アメリカの戦争に日本が参戦し、初めて海外での武力行使に踏み切ろうとすることにあります。
 アメリカの強い要求で一九九九年につくられた周辺事態法は、先ほど指摘しましたように、アジアでアメリカが軍事介入したときに、自衛隊が米軍支援を行う法律でありましたけれども、武力行使はしないというのが建前とされてきました。ところが、周辺事態法が今度の武力攻撃事態法案との併存があることを国会で答弁いたしまして、このことによってさらにはっきりしたことは、アメリカが海外で介入戦争を始めたときに、自衛隊が武力行使を含めて参戦できる仕組みをつくるものであります。これが今回のいわゆる有事三法案のはっきりとした特長であります。日本がどこからも攻めてこられないのに、海外での武力行使に踏み込もうとしているのがこの有事法制の本質であります。
 今アメリカが行おうとしている戦争とは、国防計画でもはっきりしていますけれども、イラク戦争計画でも明らかなように、国際法を踏み破った先制攻撃、内政干渉、核攻撃をいつでも口にしているのがブッシュ大統領であります。こうした恐るべき戦争への加担は絶対に許されるものではありません。しかも、こんな戦争に国民を強制的に動員し、自由と人権まで縛ろうというのが有事法制であります。
 法案ではすべての国民に戦争協力が義務づけられ、NHKなどの指定公共機関や医療、輸送、建築、土木などの関係者も強制的に協力、動員を求められるようになります。国民は、戦争に必要だと判断された家屋、土地、物資を差し出すよう要求され、そのための調査を拒否したり保管を怠ると、犯罪者として処罰されるようになっています。政府がつくろうとしている国民保護法制は、国民保護に名を借りた国民の戦争への強制動員の具体化の一部にほかなりません。基本的人権などを守るものでは決してないということを強調させていただきたいと思います。
 加えて、有事法制を発動するかどうかを決定するのも、自治体や国民の動員を指揮するのも総理大臣であり、国権の最高機関である国家ではないのです。国家はないがしろにされ、総理大臣の独断が横行する仕掛けになっています。このもとで戦争に国民を動員する仕事、これが自治体に強制されることになることも、地方自治にかかわり、その発展のために力を尽くしている我々地方自治体にかかわっている議員としても、地方自治体の本旨によってこの問題についてはきっちりと反対をしなければならない、そのように確信をして、この有事法制三法案の請願に賛意を表するものであります。
 以上です。

○大西委員 この法案ですけれども、日本の行方を左右し、そして国民の生活に大きな影響があると考えられる有事関連法案、なぜ今つくろうとしているのかとか、その背景にあるもの、制定されれば国民生活にはどのような影響が出てくるかなど、非常に疑問が多い法案だと思います。そんな中からこの請願が出されたんだと思います。
 この請願の理由に、「私たちは、政府によって国会に提起された有事法制三法案が戦争に備えるための危険な法案ではないかと憂慮している」というふうに書いてありますが、この請願者の提案理由に関して、都の見解をまず伺いたいと思います。

○高島特命担当部長 さきの都議会第二回定例会で知事が答弁させていただきましたとおり、都といたしましては、都民の生命、身体、財産を守る責務がございます。そういう観点から、有事法制につきましては、国民保護法制を含め、できるだけ早期に完全な形で整備する必要があるというふうに考えております。

○大西委員 私どもも国の危機管理が重要な課題であることを否定するものではありませんが、テロや不審船が緊急事態として有事法制の口実にされているようにも見受けられます。これらは基本的には犯罪行為として対処すべきであり、有事イコール戦争問題とは明確に区別されるべきと考えるわけですが、都の見解はいかがですか。

○高島特命担当部長 これも先ほど冒頭申し上げましたが、第二回定例会で知事がご答弁申し上げていますけれども、テロ、不審船、こういう新しい戦争形態、有事の形態が生まれつつある、それに対しても適切に対応する必要があるという認識に立っております。
 いずれにしましても、犯罪行為であれ、有事の事態であれ、都民の生命、身体、財産を守ることが都の使命でございますので、その使命が果たせるような枠組みが必要だろうというふうに考えております。
 なお、今ご指摘がございましたテロ、不審船対策につきましては、武力攻撃事態対処法案二十四条におきまして、できるだけ迅速かつ的確に必要な措置を講ずるということが定められておりますので、今後、武力攻撃事態、それからその他の緊急事態に対しましても、対応できる態勢が検討されていくということを期待して、また考えておるところでございます。

○大西委員 この法案は、専門家からも、本土決戦とかあり得ない情景を想定した架空のものでは等ともいわれているわけですけれども、それゆえ自治体など現場を持った部分からの疑問が多いわけですよね。そういうことが非常にこの中でも問題なんじゃないかなと思っております。
 事態発生時に設置される対策本部は、首相を長とし、法的拘束力はないとしながらも、その権限として自治体や指定公共機関との総合調整権を定め、首相に強い指示権と緊急時の代替執行権を付与しています。これに対し、各自治体の反応を教えてください。

○高島特命担当部長 総理の指示権、それからそれに伴う代執行権でございますが、これにつきましては、全国知事会の方で、国に対して要望書をまとめる際に、それに対して一定の評価を下し、国に要望しております。
 その内容につきましては、基本的に国のこういう総理の指示権、それから代執行権を是認した上で、ただ、現在のところ、その長への指示の内容、それから代執行の内容については明らかになっておりませんので、できるだけ早期にその内容を明確にしていただきたいという旨の申し出を全国知事会の方からさせていただいております。

○大西委員 全国知事会でもこのような申し出があるということ自体が、やっぱり地方自治体を無視したそういう結果ではないかと考えられます。自治体側には意見陳述権を認めたものの、具体的に自治体側からの対抗措置は明らかにしておりません。これは自治体独自の平和政策を制限するもので、地方自治の観点からも容認できるものではないと考えますが、都の見解と区市町村の反応、お願いします。

○高島特命担当部長 都の見解につきましては、これも何度も繰り返しておりますが、知事が既に本会議で答弁させていただいていますが、有事に際しまして、国に地方自治体、国民が協力するのは当然であるというふうに思っておりますが、国と自治体、関係機関が協力して、国民の生命、身体、財産を守るという観点も必要であろうというふうに考えております。
 ご質問の、意見陳述につきましては、実効性のある協力体制を築くための仕組みの一つであると理解しております。
 それからもう一つ、区市町村の反応につきましては、東京都区長会、市長会、町村会におきましては、特段の意見は出されておりませんが、一部自治体の意見におきまして、その内容は多岐にわたってございますが、意見書を採択しているということは承知いたしております。

○大西委員 有事法がこのまま成立すれば、いわゆる先ほどから答弁がありましたように、各自治体の独自の平和政策、例えば非核神戸方式等が一切無効になってしまいます。自治法上、自治体は住民の健康と安全を守る義務があります。そういう意味ではこうした政策が邪魔されてはいけないと考えております。自治体は国の下請機関ではないわけですので、自治体として優先すべきこと、つまり国民の生命や身体及び財産を守ることをもう少ししっかり明確にすることが筋だと考えております。東京都は最大の自治体として、そのプライドをしっかりと見せてもらいたいと思います。国民の権利と生活への影響がこれほど明確な法案が根幹の議論もないまま決定されていくということに対して、非常に国民は不安を感じているわけですので、その辺をしっかりと自治体としての立場を貫いていただきたいと思います。
 そういう意味で、ネットとしてこの請願の趣旨に大枠で賛成しておりますので、そのことを申し述べて質問を終わりたいと思います。

○坂口委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 それでは、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決を行います。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○坂口委員長 起立少数と認めます。よって、請願一四第三二号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 以上で知事本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十分散会