総務委員会速記録第九号

平成十四年六月二十日(木曜日)
第一委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長大関東支夫君
理事石山 伸彦君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
主席監察員古河 誠二君
行政部長反町 信夫君
島しょ・小笠原振興担当部長高橋 敏夫君
災害対策部長岡部 恒雄君
参事八木 憲彦君
勤労部長大塚 孝一君
法務部長小林 紀歳君
統計部長早川  智君
人権部長関  正子君
監査事務局局長中山 弘子君
次長細渕  功君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 監査事務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十三号議案 東京都監査委員条例の一部を改正する条例
 総務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十号議案  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百六十一号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百六十二号議案 住民基本台帳法関係手数料条例
  報告事項(質疑)
  ・都庁改革アクションプラン 都政改革ビジョンⅠ 実施状況報告(平成十四年三月末現在)について
  ・電子都市構築に関する懇談会の報告について
  ・地域防災計画(火山・風水害等編)の修正について
  ・震災対策事業計画について

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局及び総務局関係の付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十三号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○坂口委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十号議案から第百六十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋総務部長 六月六日の当委員会におきましてご要求のございました付託議案関係資料につきましてご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の三枚目、一ページをごらんいただきたいと存じます。
 1の住民基本台帳ネットワークシステムについてでございます。
 (1)、全国センターについてでございますが、これは、住民基本台帳法の規定に基づきまして、四十七都道府県が、住民基本台帳ネットワークシステムの構築及び運営を、指定情報処理機関である財団法人地方自治情報センターに共同で委任し、平成十二年三月に設置されたものでございます。
 〔1〕として組織及び構成人員、〔2〕として本人確認情報処理事務特別会計決算額、〔3〕として運営等に係る議決機関の構成をお示ししてございます。
 (2)、自治体の要する経費でございますが、これは、住民基本台帳ネットワークシステムの導入にかかわる自治体の要する経費を全国ベースでお示ししてございます。
 経費の内訳は、〔1〕導入経費、〔2〕経常経費がございます。それぞれ、全国センター、都道府県、区市町村ごとに区分し、その合計額を総費用としてお示ししてございます。
 (3)、住民基本台帳カード発行経費についてでございます。
 カード発行を全国センターに委託した場合、一枚当たりの単価は千四百円と試算されております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山下委員 住民基本台帳法に基づく事務に関する手数料について必要な事項を定めるとして、今定例会で住民基本台帳法関連手数料条例案が提出をされております。この条例案は、第百四十五回国会にて一部修正を受けた後、一九九九年六月十五日衆議院で、同年八月十二日参議院で、自民党、自由党、公明党などの賛成多数でそれぞれ可決成立し、同年八月十八日に公布された住民基本台帳法の一部を改正する法律に基づいたものであります。
 この住民基本台帳法の一部を改正する法律の改正により、区市町村と都道府県、指定情報処理機関の間にネットワークが構築され、本人確認情報といわれる氏名、生年月日、性別、住所に加え、新たに全国民に振られる十一けたの住民票コード及びそれらの変更情報をこのネットワークを通じて流通させることにより、住民票の写しの広域交付や転入転出手続の簡素化が実現し、また、国や都道府県への届け出等の際に住民票の写しを添付することが必要なくなるとされています。さらに、市町村は、本人の要請により、氏名、住民票コード、生年月日、性別などを記録した住民基本台帳カードを発行することになります。
 なお、本人確認情報をこのネットワークを通じて利用できる国の機関や事務は、法令上明確に規定された十一省庁九十三事務に限定されるとしていましたが、現在開会中の国会の中で、十五省庁二百六十四事務に拡大するという内容が審議されようとしています。
 さて、一方では、各区市町村では、八月五日の稼働に向けてのデータセットアップ作業が行われています。しかし、そもそも住民基本台帳法の一部を改正する法律の制定条件となっていた個人情報保護法案がメディア規制法にすりかえられ、成立の見込みがない状況であり、この作業そのものについても、法的な裏づけなどについて不安視する声が各自治体関係者から出されています。
 そこで、四点にわたりまして、各区市町村の住民記録事務を束ねる立場にある東京都の見解をお伺いいたします。
 初めに、仮セットアップ作業の法的根拠についてです。
 施行日である八月五日以前に、各区市町村が都道府県に、仮番号をつけた住民票コードと住所、氏名、性別、生年月日の四情報を磁気媒体に格納しての送付ないしは電気通信回線を通じた送信、仮セットアップ及び仮運用を行うこととされています。この行為について、住民基本台帳法の一部を改正する法律、平成十一年法律第一三三号第七条、市町村長、都道府県知事及び指定情報処理機関は、施行日以前においても、新法第三十条の第四章二に規定する事務の実施に必要な準備行為をすることができるを根拠とするものであると思料いたします。
 ただし、本条項は「できる」規定であり、各区市町村長等に準備行為を義務づけた規定であるとは読み取れません。
 さらに、後ほど触れさせていただきますが、幾つかの疑念がある中で、各区市町村長は、何を根拠に仮セットアップ及び仮運用の実施を行う義務が生ずると理解すべきか、伺います。
 また、住基法第三十一条に基づく国の区市町村に対する指導なのか、同条に基づく都道府県の区市町村に対する指導なのか、それとも、市町村長には仮セットアップ及び仮運用を行う法的義務はなく、区市町村長みずからの判断による行政行為として行うものと理解すべきなのか。仮に区市町村長が仮セットアップ及び仮運用を実施しなかった場合には何らかの違法状態になるのかについてもあわせて伺います。

○反町行政部長 仮セットアップ及び仮運用の実施につきましては、改正住民基本台帳法、以下住基法と申し上げますが、改正住基法附則第七条の規定によりまして、必要な準備行為として行うものでございます。
 ご質問ございましたが、義務かどうかという点につきましては、義務ではございません。しかし、仮に区市町村長が仮セットアップ及び仮運用を実施しなかった場合には、改正住基法の施行の際に、法定事務の実施が困難であることが明らかとなった時点で法律違反となるということでございまして、義務ではございませんが、施行日までにその事務を円滑に行えるように、準義務といいますか、そういった形の自主的な判断で行っているということでございます。

○山下委員 次に、仮セットアップ及び仮運用で送信される個人情報の位置づけについて、法上、住民票コードが正式に番号がつけられるのは、施行日である本年八月五日であることは明白です。したがって、仮セットアップ及び仮運用で送信、送付される個人情報、いわゆる仮本人確認情報は、法に規定する本人確認情報そのものではないと考えられます。これは、一たん番号がつけられ、都道府県に送信、送付した十一けたの数字も、当該個人が転出等をした場合には、欠番として履歴から抹消されることからも明らかだと考えられます。
 それでは、いわゆる仮本人確認情報について、法第四章の二第四節、本人確認情報の保護に規定する条項の対象となるのでしょうか。
 また、万一仮本人確認情報が漏えいした場合、漏えいした職員等については、住基法に規定するいわゆる重科罰の対象となるのか、それとも地公法上の守秘義務違反に問われるだけなのかどうか、伺います。

○反町行政部長 改正住基法における本人確認情報の保護規定につきましては、法の施行日であります八月五日に施行する規定でございまして、施行日前には適用がございません。
 しかし、施行日前の準備行為におきまして、個人情報の取り扱いを予定しております改正法の趣旨から、施行日前であっても、本人確認情報の保護規定に準じた取り扱いを行うということとされております。
 また、区市町村または都道府県の職員等が秘密保護義務違反を行った場合につきましては、住基法の中でこの条項については施行がされておりまして、住基法の罰則規定の適用がございます。

○山下委員 続いて、仮本人確認情報はだれが見られるのかという観点から伺います。
 仮セットアップの日程は各区市町村ごとに跛行的に実施され、都サーバーと各区市町村のCSとの関係でいえば、一、A市から仮本人確認情報データが送信、送付されるまでの間は、各区市町村のCSはサーバーと接続しない、二、A市から仮本人確認情報が送付、送信され、都サーバーでの処理が完了し、全国サーバーへの登録が完了したら、A市から順次、仮セットアップ以降の移動データが少なくとも都サーバーに送信される、三、都内全市区町村について、先ほど申し上げた二が完了したら仮運用フェーズになり、ほぼ八月五日の施行日以降と同様の運用となると、三段階を経てサーバー結合等がなされるものと理解できます。各市区町村の一、二の工程は相当長期間に分散して実施されるため、一部の自治体では二が完了したら、他の自治体では一も実施していないという状況が約二カ月にわたって起こるものと理解できます。
 それでは、一によりCSと都サーバーの結合を開始した区市町村にあっては、既に二が完了している他の区市町村から送付、送信された都サーバーに記録された仮本人確認情報等を検索することは可能なのか、また、全国サーバーに記録された他の都道府県の区域内の市町村の仮本人確認情報を検索することはいつの時点から可能になるのか、伺います。

○反町行政部長 セットアップ作業が完了しております区市町村におきましては、本番業務と同じように、権限を付与された者は都サーバー及び全国サーバーのデータを検索することが可能でございます。
 しかし、検索を行える範囲は、各区市町村が送信したデータの範囲内ということでございます。

○山下委員 都は、都内各区市町村のシステムセキュリティーの状況についてどこまで把握しているのか、伺います。
 区市町村内の庁内LANから仮本人確認情報が漏えいする等のおそれがないことについて検証できているのかについてもあわせて伺います。
 また、都内の区市町村から他の都内区市町村ないしは他の都道府県区域内市町村から、仮本人確認情報が漏えいしているのではないか等の照会があったとき、都として調査等を行い、報告することは想定されているのかについてもお答えいただきたいと思います。

○反町行政部長 住基ネットは全国の自治体が接続をいたしますため、各区市町村のコミュニケーションサーバーとネットワークとの接続をファイアウオールで仕切りまして、仮にある自治体の庁内で不正なアクセス等が起こった場合でも、他区市町村へ影響が広がらないような対策が講じられております。各区市町村内においても、コミュニケーションサーバーと既存の庁内システムとの間にファイアウオールを設けることでセキュリティー措置を講じてございます。
 また、セットアップ作業で扱う個人情報は、法施行日前でございましても、法施行日以降と同様の取り扱いが必要でございまして、漏えい等があったという照会に対しましては、調査等を行い、対応していくこととしております。

○山下委員 今回の質疑では、仮セットアップ作業の法的根拠、仮セットアップ及び仮運用で送信、送付される個人情報の位置づけ、仮本人確認情報はだれが見られるのか、都内区市町村のセキュリティー状況についてお伺いいたしました。いずれも十分に納得できる回答内容であったとはいいがたいものがございます。
 また、東京都の区市町村では、個人情報保護が十分とはいえないままネットの始動を急ぐ政府に対し、八月のシステム稼働を延期するよう片山虎之助総務大臣に要望書を提出した国分寺市や、住基ネット凍結を主張した杉並区を初めとして、小金井市、小平市、国立市の市議会でも同様の動きがあると聞いています。各自治体の個人情報保護条例は、情報の目的外使用などに対して厳格な制限をしているものが多く、政府の判断次第になりかねないとの疑問が指摘されているのも事実です。国分寺市条例の場合、目的外の使用をした場合、審議会に報告し、これを公表することが義務づけられており、政府案はかなり甘い印象だとの市職員の声も聞いています。
 指定情報処理機関である地方自治情報センターのデータベースが国の行政機関とネットワークで結合された場合、地方自治情報センターから本人確認情報の提供を受ける行政機関に対しては、行政機関の保有する個人情報保護法は適用されない疑いがあることは否めません。
 さらに、行政機関内及び行政機関相互間では、個人情報データベースの利用及び提供が簡単に認められる可能性が高いようです。やはり財団法人地方自治情報センターに対する特別な法規制が必要だと考えられます。
 したがって、住民基本台帳法に基づく事務に関する手数料について必要な事項を定めるとする住民基本台帳法関連手数料条例案に異議を唱えるわけではございませんが、個人情報の保護に関する懸念が払拭されないこと、今国会に提出されている行政機関の保有する個人情報保護法案は、さまざまな問題が指摘され、成立の見込みが立たないことなどから、本年八月から稼働する予定の住民基本台帳ネットワークシステムの稼働は延期されるよう、都として要請していただきたいと申し上げ、私の質問を終わります。

○大西委員 私も、住基法の手数料の条例についてお伺いいたします。
 先に、ちょっと手数料のことで伺いますけれども、今回、都では手数料として二十円を決めていますけれども、基礎自治体で手数料を決める場合の根拠と、各自治体で独自の条例をこれについてつくることができるのか、この二点をお答えいただきたいと思います。

○反町行政部長 手数料の関係でございますけれども、手数料につきましては、地方自治法に基づきまして、各区市町村が独自の条例で制定することができます。

○大西委員 各自治体の独自の条例ですか。

○反町行政部長 独自の条例で制定することができます。

○大西委員 では、一九九九年八月にこの住民基本台帳法改正によって住民基本台帳ネットワークのシステムの導入が決まったわけですけれども、その際に国会で審議された問題や附帯決議について教えてください。

○反町行政部長 改正住基法につきまして個人情報保護措置が講じられておりますけれども、国会審議の過程で、なおプライバシーの保護に対する漠然とした不安や懸念が残るとの指摘がございまして、改正法附則には、「政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」との項が追加されたものでございます。
 また附帯決議といたしまして、プライバシー保護に十全の措置を講ずること、それから、経費について地方公共団体に必要な財政措置を講ずることなど、五点にわたり決議がなされております。

○大西委員 プライバシーに対する、保護に対する漠然とした不安というお答え、今懸念が残ると指摘されているということと、それから、十全の措置を講ずるという答弁がありましたけれども、改めてこのプライバシーの問題ということが今問題になっているわけですけれども、それについての見解をお聞かせいただけますか。

○反町行政部長 私ども、この住基ネットの構築に際しましては、個人情報の保護、プライバシーの保護というものは最優先の課題であると受けとめまして、必要な、十分な保護措置を講ずるということで対応を進めているところでございます。

○大西委員 問題はないということで--最優先にしたいけれども、その問題としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。今の、問題はないのかということをもう一回お聞きします。

○反町行政部長 個人情報の保護措置につきましては、国の仕組みの中で、法令面におきます、あるいはシステム面においても、さらに運用面においても十分な保護措置が講ぜられているものと私ども考えておるところでございます。

○大西委員 では、改めてちょっとお伺いしますけれども、何度かお聞きしたんですが、ちょっと納得ができないことがありますので、もう一度確認したいと思いますけれども、この住基のメリットを、国、そして都、基礎自治体、市民にとってどのようなメリットがあるのか、それぞれ分けてお答えいただけますでしょうか。

○反町行政部長 住基ネットによるメリットでございますけれども、住民にとりましては、広域的な住民票の交付という形がとられますので、そういう意味で非常に便利になるということがございます。
 それから行政にとりましては、本人確認という公証、住民であるという公証を合理的、効率的にできるようになるという意味の行政の効率化に非常に効果がある、こういう、大きな面としては二つがあると思っております。
〔「何かよくわからないよ。解説してくれよ、大西先生」と呼ぶ者あり〕

○大西委員 ええ、ちょっとまた後でそれは。
 では、そういう中で今導入を進めようということで動いているわけですけれども、各自治体の受けとめ方、反応はいかがですか。

○反町行政部長 都内の全区市町村で構成をしております東京都住基ネット区市町村連絡会を設置いたしまして、区市町村に対する情報提供や連絡調整を行っているところでございます。
 区市町村からは、国の政省令や事務処理要領のおくれに対する意見等はございますが、ネットワークの構築や総合運用テスト、法施行前の準備行為につきましてはおおむね順調に進んでいると考えております。

○大西委員 おおむね順調にとおっしゃいますけれども、先ほども出ましたけれども、杉並区、国分寺、国立もそうですけれども、日野、いろいろなところで首長が、混乱を招くとの理由で事務手続の延期を求めていますけれども、それに対して、これがおおむね順調に進んでいるといえるのか、都としての見解と、こういう動きに対する対応をどうなさるのか、お聞きしたいと思います。

○反町行政部長 杉並区や国分寺市等を初めとして、総務大臣に対する意見書等が出されておりますけれども、国の個人情報保護法が成立していない状況で、本年八月五日の住基ネットの稼働の延期を求めるなどの内容であると存じます。
 都といたしましては、個人情報保護法の必要性は十分認識しておりますけれども、住基ネット自体に法令面、システム面、運用面において十分な個人情報保護措置が講じられております。本年八月五日の改正住基法の施行日に向けて、法的な義務でもございますので、準備を進めてまいりたいと考えております。

○大西委員 野党から凍結法案の動きがあるわけですけれども、凍結が決定した場合の対応はどうなさるんでしょうか。

○反町行政部長 改正住基法の施行日が変更になる、延期になるということになりますれば、私どもの提案しております手数料条例につきましても延期ということになるわけでございます。

○大西委員 住基法のシステム導入に当たりまして、個人情報保護法の施行が前提となるという答弁、これがやはりどうしても重要になってきます。
 それが、今出された案が不十分ということで廃案となろうとしている現在、今回手数料条例とはいえ、個人情報保護法の成立を待ってやはり進めるべきじゃないかというのが自然の考え方なんですけれども、それについてはいかがですか。

○反町行政部長 国は、個人情報保護法の成立が改正住基法の施行の条件とはなっていないとしております。また、住基ネット自体には、繰り返しになりますが、法令面、システム面、運用面において、十分な個人情報保護措置が講じられておりまして、改正法が施行されます八月五日に向けまして準備を進めてまいりたいと考えております。

○大西委員 先ほどプライバシーの保護は最優先と考えたいという答弁もありました。
 それから、この住基法を進めていく上でのメリット、これは住民、国、自治体、それぞれ分けてお答えいただきたいと思いましたけれども、行政というくくりの中で、これは行政の事務の効率化にメリットがあるということです。
 そして、市民にとってのメリットというのは、広域的な住民票とか、そういうものに対するメリットがあるという、大きくいえばそのメリットが出てきたと思うんですけれども、私たちの暮らしの中で、住民票をとるということはそうそうあるわけじゃないし、どこかよそへ行っていたときに住民票が必要になるという事態もそうそう出てきません。そういう意味では、本当に、私たちにとってメリットがこれだけなのに、何か犠牲が非常に大きいなということが考えられます。
 やはり行政はどっちに立つべきかということが問われてくると思うんですけれども、今回そういうふうに考えたときに、行政は、行政の事務の効率化をとるのか、それとも市民の、都民のそういうプライバシー、そういう不安というものを払拭することをまず優先に考えるのかということが問われてくるわけですけれども、どちらをおとりになるんでしょうか。

○反町行政部長 住基ネットにつきましては、ただいまご説明いたしましたけれども、住民の利益、並びに行政にとっても非常に効率的な行政が執行できるという二つのメリットがあると。
 住民のメリットは少ないということでございますけれども、行政のメリットはまた住民のメリットへはね返っていくものでございまして、その両方の調整を図るために、保護措置を十分に行って、そして、そういう住民基本台帳ネットシステムを安全で効率的なシステムとして運用していくという考え方でございます。

○大西委員 両方とりたいというお気持ちだと思いますが、先ほどの答弁の中にも、法的根拠--義務ではない、準義務だということがあります。そしてもう一つ、先ほどの答弁の中に、プライバシーというのはやはり最優先に考えなければいけないという答弁もあります。そういう中で、都民を守る立場にある行政としては、どちらを--どちらをというか、先に、そういう不安を取り除くということは最優先にするべきだと考えています。
 そういう中で、不十分な個人情報保護法が審議されているわけですから、それを考えると、当然、先に進めるということに対しては慎重にならなければいけないわけで、ぜひこのことを慎重に--慎重にというか、まずそこをやってからでなければ取りかかれないし、それに対して国の方にもしっかりと要望していただき、地方分権の時代ですので、東京都としての歯どめをそこで、自主的な判断で行えるということも答弁の中にありましたので、ぜひその辺を、都民優先ということで、自主的な判断、しっかりとお願いしたいと思います。
 以上です。
〔「具体的なプライバシーの中身をいってくれないと」と呼ぶ者あり〕

○木村委員 引き続いて、住民基本台帳法関係の手数料条例についてお尋ねをしたいと思います。
 戦前は住民基本台帳なんというのはなかったんですよね、戸籍法だけで。それで、戦後、昭和二十六年に住民登録法、住民登録というのができて、住民票というのができたんですね。しかし、だんだん年々行政が複雑化して、国民年金も始まるし国民健康保険も始まるし、いろいろ行政が抱えなきゃならない住民の個人情報というのがふえていくという中で、昭和四十二年、一九六七年に住民基本台帳法というふうに変わる。
 住民基本台帳法がつくられたときに、地方自治法に、各市町村は、同法の定めに従って、住民に関する正確な記録を常に整備しておかなきゃならないというような文言も法改正されたということで、行政が持っている住民の個人情報というのは、歴史に従ってだんだん詳しくなり、そして整備されるという歴史をたどってきたわけですね。
 今回の住民基本台帳法の改正によって、それがまた新たな段階に入る。これはどういう段階に入るかといえば、既に先ほどからいわれるように、氏名、住所、生年月日、性別という住民の基本的な四情報に住民票コードという番号をつけるという段階に入り、それをコンピューターに入れて、全国サーバーに入れて一元的に管理をするということになるわけです。
 ですから、住民登録もなかった時代から見れば、本当に時代は変わって、いよいよそういう時代に突入したということになるわけなんで、単なる手数料条例ですけれども、これは非常に重要な問題だということでお伺いをしたい。
 例えば、これは葛飾区の広報なんですが、最近の広報です。一面で、住民基本台帳ネットワークシステムが始まります、ネットで何が変わるんでしょう、どこへ行っても住民票がとれます、転出届は一回だけで済みます、とりあえずはことしの八月から始まりますけれども、来年の八月になりますと、どこへ行っても住民票がとれるし、転出証明書は出るところでやってもいいし、入ったところでやってもいい、そのためにそれぞれカードが配られます--ICカードですね。イメージ図ですが、住民基本台帳カードというのがありまして、顔写真も入っているんですね。これがすべての国民に配られる。おぎゃあと生まれた途端に、あなたは何番ですというコード、十けたか十一けたの番号もつくという時代になるわけであります。
 そこで、こういうことになりますと、先ほどから出ていますように、一つは、個人のプライバシーというものが一体どうなるのかというのが第一の問題になります。これは、区市町村も東京都も国家も含めてですが、行政が持っている個人情報というのは非常に膨大なものがあります。(「例えば」と呼ぶ者あり)税金の情報あるいは医療、年金、福祉、家族構成、教育、犯罪情報、すべてあります。そして、今度はすべての人に住民票のコード、番号がつくわけですから、私と松本さんは明らかに番号が違うわけで、それのカードによって検索すれば、もしこういうネットワークがそういう行政の持つすべての個人情報にオンライン化されるという事態になったときには、国民は国家の前にすべて丸裸になるということになるわけであります。(「今度そこまでやらないだろう。おれの交通違反歴も載ってるのか」と呼ぶ者あり)いえ、ちょっと待ってください。もしオンライン化されればそういうことになる、果たしてその第一歩になりはせぬかということがこの問題では一番重要な問題です。
 したがって、個人のプライバシーがどうなるか、さらに、それがこのカードの発展いかんによっては、国民が国家のもとに丸裸にされる監視国家という方向に進むのではないかという、そういう非常に重要な問題がありますので、私はお尋ねをしたいと思います。
 そこで、先ほどから問題になっておりますが、プライバシー権、プライバシーを守るということについての意義をもう一度お尋ねしたいと思います。
 今いいましたように、高度情報化社会の進行によって、行政あるいは国家権力が持つ個人情報というのは、非常にふえ続けるだけじゃなくて、民間の企業あるいは団体も、さらに電子情報によってさまざまな個人情報を持つ、そういう時代になってきただけに、プライバシー権を守るということについての行政の責務、責任というのは非常に重要になってきているというふうに思うわけです。
 同時に、国民の意識も、年々このプライバシーについては、この権利を守るという意識が高まってきて、例えば総理府は個人情報の保護に関する世論調査というのを四年に一度やるんですが、どのような場合にプライバシーが侵害されていると思うかという質問に対して、一九八一年(「昭和何年だよ」と呼ぶ者あり)、ダイレクトメールが頻繁に舞い込むようになったということで--昭和五十六年ですね。ダイレクトメールが頻繁に舞い込むということにプライバシー権が侵害されていると感じていると答えた人が一六・三%だった。それが八五年には三三・二%というふうにふえています。さらに八九年では三六%というふうにふえています。八五年の三三・二%の数字が出た後で、住民基本台帳法の改正、運用の改正が行われて、閲覧や何かの規制が強まったということがありましたけれども、引き続きダイレクトメールなどが頻繁に舞い込むということについて、自分のプライバシーが侵されていると感じている人はふえ続けている、こういう事態があります。
 したがって、私は、このプライバシー権を守るということについて、今日、これは法律は国会で決まったことですから、国に第一の責任がありますが、しかし、地方自治体が連合してこういうシステムをつくるということになっているわけですから、東京都としてもこのことの意義を非常に重く受けとめなきゃいけないんじゃないかというふうに思いまして、まず最初にそういう基本的な認識をお伺いしたい。

○反町行政部長 住基ネットワークにつきましては、居住関係を公証する住民基本台帳のネットワーク化を図りまして、本人確認情報によって、地方公共団体共同のシステムとして、全国共通の本人確認ができる仕組みを構築するものでございます。
 住基ネットワークは、法律や条例に規定した事務に限定して本人確認をする際のみに利用されるものでございまして、なお、この法律の施行に当たっては、都としても、プライバシー保護を最重点の課題として、国等の基準に従いながら、十分な対応をしてまいる所存でございます。

○木村委員 法施行に当たってはというご答弁でしたけれども、その前の基本的な認識をちょっと聞いたわけなんですけれどもね。
 プライバシーというものをどうとらえるかと先ほどからやかましくいっている人がいますが、いろいろな定義があると思うんです。それは、ひとりでほっといてもらう権利、私生活にみだりに入り込まないでほしい、私生活を公開しないでほしいという権利もプライバシーだと思うんですが、同時に、自分に関する情報をコントロールする権利というのをプライバシーの権利というふうにとらえるという考えが、この分野の学者に共通してこのごろは強調されていますけれども、そういうとらえ方は非常に重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○反町行政部長 自己情報の内容についてアクセスできる権利、そういうことは非常に重要であるというふうに考えております。今回のネットワークシステムにおきましても、自己情報の開示につきまして、閲覧あるいは公文書、印刷物で交付を受けるという仕組みが定められております。

○木村委員 前の質問もさっきの質問もプライバシー一般の考えを聞いたんですが、あくまで法施行を前提にしての心構えのようなお話でしたけれども、私は、自己に関する情報をコントロールするというのは、アクセスできるというのは非常に大事なことには違いありませんが、それは権利としてプライバシー権の重要な内容だというふうに思うんです。
 そこでお尋ねしますけれども、今回のネットワークではその点が非常に不備だというふうに思うんです。ネットワーク、今度のものが実施されて、それぞれの四情報が各行政機関からアクセスされて使用されるということがこれからたくさん行われるでしょう。そういう個人確認情報、本人確認情報に対するアクセスがどこからあったのかということは本人には通知が行くんでしょうか。それはどうでしょうか。

○反町行政部長 本人には通知は行かない仕組みでございます。

○木村委員 つまり、本人確認情報がどう利用されているのか、どういう行政機関によって利用されているのかということは本人自身は知る由もないんですよね。今は名前と住所と性別と生年月日だから問題はないにしても、将来どうなるかわからない。ともかく今の段階では、一たんこういうシステムが始まりますと、自分の、本人の確認情報がどう使われているかというのは知る由がない。
 それでは、万が一それが目的外利用されていた、今度の防衛庁のあの騒ぎなんかも見てもわかりますが、あり得ないことではない。(発言する者あり)いやいや、いろいろな行政機関で目的外に使用されていた、それに対して中止してもらいたいという請求あるいは不服だという請求、そういうものは今度の住基法の改正で、そういう手段が本人には保障されているんでしょうか、国民一人一人には保障されているんでしょうか。

○坂口委員長 速記をちょっととめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○反町行政部長 お答えいたします。
 本人にはそういう権利は直接認められておりませんけれども、いろいろな苦情等、そういったものが出てまいりましたときには、東京都の情報公開・個人情報保護審議会、こういう場でそういうものについては審議をいたしまして、しかるべく措置を講じていくということになります。

○木村委員 結局、本人にはないんですよね、そういう請求権。あるいは不服審査請求というのはない。それぞれの自治体が問題だというふうに自治体として判断したら、サーバーに送る情報をカットする、切断するというのは区市町村でもやれるし都段階でもやれるということなんですが、そういう自治体を動かさないとできないんです、これは。
 そこで、今度のネットワークが正しく使われるか、本人確認情報が正しく使われるかどうか、そういうセキュリティーは大丈夫かという問題についてお尋ねしたいんですが、セキュリティーの問題でいいますと、例えば三つのことが必要だと思うんですね。
 一つは、技術的にみだりにハッカーなどが入れないようにガードする、技術的な最高水準でやるんでしょうけれども、私、素人だから、技術論には入らないようにしますけれども、ファイアウオールとかいろいろ--だけれども、アメリカの国防総省だってハッカーが入るんだから、これは、技術的にはこんなことで大丈夫です大丈夫ですと幾らいわれたって、それはいろいろなことは当然あるだろう。
 もう一つは、やはり法整備の上でセキュリティーが保障されているかどうか。
 それからもう一つは、実際には携わる人は区市町村の担当者、東京都の担当者、それから今度の指定機関ですか、そういうところの職員や何かもすべて、一気にいろいろな人がこれに携わっていくんですから、そういう人たちの人としての運用といいますか、研修とか、そういう問題、などなどがあると思うんです。
 だから、そういう三つの面からちょっと考えていかなきゃならないんですが、(「金融機関はかかわらないよ、基本台帳に」と呼ぶ者あり)金融機関じゃないです。指定情報処理機関、センターができるわけですよ。だから、これは公務員でも何でもないんです。公益法人で、公権力は背負っているけれども、自治体でもなければ国の機関でもないというものができる。ですから、そういうところへだあっと広がるわけですから、セキュリティーというと、そういう、人による運用の問題も非常に重要だと。先ほど、そういうことで法違反したら、通常よりも重い罰をしますとかいっていましたけれども、それはセキュリティーの上でのごく一部の話だというふうに思うんですね。
 それで、法では目的外利用というのを禁止していますけれども、それだけで、データマッチングといいますか、いろいろなところへつないじゃうということを防ぐことができるかどうか。政府各省庁が指定情報処理機関にアクセスをして国民の情報を引き出す、そういう提供を受けた行政機関が、それを使った後、住民票のコードも含めて、本人の確認情報を消去するということは義務づけられているでしょうか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○反町行政部長 このシステムにおいて、いわゆるハッカーであるとか、そういった方がどこまでできるかという問題になりますと、私どももお答えがちょっと難しいわけですけれども、いずれにいたしましても、現在考えられているシステム上のセキュリティー対策というものは万全を期しておるということは、私ども、そういうふうに理解をしております。
 それから、情報センターの方の職員につきましても、これはみなし公務員ということで、一般の公務員と同じように、地公法の守秘義務違反よりずっと重い重科罰が科されるということになってございます。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開してください。

○反町行政部長 データは五情報のみでございまして、その五情報につきましては、それを使った後消すということは、ログの中に入っておりまして、それは消すことができないということでございます。

○木村委員 消さないんですよね。ですから、一たん受け取ったある行政機関が、それはどこでもいいです、防衛庁でもいいし警察庁でもいいですが、データをとったら、それは消さないで、そしてそのこと自体をデータベース化して、その行政機関の中ではデータベース化をするということが認められるという形になっているんじゃないでしょうかね。その点はいかがですか。

○反町行政部長 九十三事務について法定がされておりまして、その範囲内であればできますけれども、それ以外はできないということでございます。

○木村委員 法に決められているのは九十三事務ですが、十五省庁にまたがっていますね。ですから、そういうところへ情報が行って、そして一たんとった情報は消去しないでいい。
 これは、例えば神奈川県の個人情報保護条例というのは、必要なくなった個人情報については廃棄、消去するという規定を設けています。だから、本来ならばそういうことであるべきなんですね。それが、各省庁にそういう住民コードがデータベース化して残っていくということになっていくわけです。法で禁止されているんだから、行政機関は一切悪いことはしないという性善説に立って法が運用される、果たしてそれで本当に国民の安全、セキュリティーが守れるかということが一ついえます。
 そこで、東京都は、緊急時にそういう被害があった場合にこれを防ぐ、被害の拡大の防止を早急にやらなきゃならないという立場に立ちますが、これはどういう対応を予定していますか。

○反町行政部長 システム運用の中でそういった問題が生じました場合には、先ほども申し上げましたが、東京都情報公開・個人情報保護審議会のご意見をいただきながら、緊急時対応計画をこれから策定いたしますけれども、それに基づきまして対応をしていくということになると思います。

○木村委員 それもこれからなんですよね。
 私は、東京都もそうですし、実際に住民基本台帳の登録事務を受け付けるのは区市町村ですし、まずそこにすべての情報が集まってきて入力をするということになるわけですね。
 各区市町村も、今度こうした住民基本台帳ネットの発足に当たって大変苦慮しています。そして、杉並区、そして葛飾区は、問題が起きたと判断されるときには、区として都道府県へのサーバーを一方的に切る、区市町村の判断で切るという条例改正を既に行っています。調べてみますと、二十三区ではまだ杉並と葛飾だけなんです。いろいろこれから、この種の問題だと、全国の何千という地方自治体が、それぞれの体制も非常に差があるでしょうし、受けとめる認識の違いとか、さまざまな問題がまだまだこれから残っていく、そういう意味では非常にこれも重大だなというふうに思うんです。
 さて、幾つかお聞きしましたけれども、今度の住基ネットの発足に当たってのセキュリティーというのは、私たちから見れば穴だらけであり、住民から見れば非常に不備な、権利が保障されてないというふうにいわざるを得ないんですが、最大の問題は、これが将来のこの国のあり方、すべて国が国民の個人情報を一手に一元的に管理するという監視国家への道を開く第一歩になりはせぬかというのが非常に大きな問題として心配されます。
 お聞きしますけれども、国民総背番号制というのがありまして、これは、国民総背番号制の問題がこの日本で問題になって、反対だという運動もあって、私もかつて労働組合の役員をやっていたときにはこの運動に携わったこともありますが、あの国民総背番号と今回の住民票コードとはどう違うんでしょうか。

○反町行政部長 本システムにつきましては、地方公共団体共同のシステムでございまして、法律に基づきまして、本人確認のための住所、氏名など五つの情報だけを扱うものでございます。また、国の機関等へのデータの提供は、法律で定められた事務に限定をされておりまして、目的外使用は一切禁止されているところでございます。
 以上から、国民に付した番号のもとに個人情報を一元的に収集、管理する状況には、いわゆる総背番号制というようなことにはならないと考えております。

○木村委員 内容が限定されているというのは私も承知の上で、つまり最初から、今回は四情報です、四情報しか入っていません、しかし、一人一人に番号がつく、生まれたときから番号がついちゃう、あなた何番ということになれば、今のところ四情報にすぎませんけれども、どこに住んでいて、いつ生まれたのかというのは、来年の八月になればカードができるわけですから、その番号がマスターキーになって、ともかく、何のだれべえで、いつ生まれて、どうだというぐらいはわかる、これは即、国民総背番号の第一歩じゃないんでしょうか。質的な違いは、ただ四情報だけに限られているからというだけでしょうか。もう一度ちょっと……。

○反町行政部長 繰り返しになりますけれども、データが五つの情報に限られております。それから、法律で定められた事務に限定がされておりまして、目的外使用は一切禁止されているということから、いわゆる国民総背番号制というものとは違うというふうに考えております。

○木村委員 そうしますと、四情報に法的に限られているから国民総背番号制ではないということだと思うんですね。
 そうすると、これが四情報に限らず、ほかの情報、税務情報、犯罪情報というふうに広がっていけば、これはいわゆる国民総背番号制にならざるを得ないということになるわけなんですが、そういう理解でよろしいですか。

○反町行政部長 総背番号制というものの定義を必ずしも理解しておりませんけれども、今委員がおっしゃるような形で、国民の個人情報が広範にわたって一つのところに一元的に管理されるような状態になれば、総背番号制という状況に該当するのではないかなというふうに思っております。

○木村委員 私がそれを聞いたのは、今回の住民基本台帳法改正に至るまでの政府・自治省のさまざまな作業、これを見た場合に、四情報だけではなくて、最初から納税者番号を住民コード番号にするというようなことが、研究会報告、中間報告、最終報告等々で確認をされながら、最終的に四情報になって法改正になったという経過を踏まえているからいっているわけなんですね。
 これは、自治省の行政局長の私的研究会で住民記録システムのネットワークの構築に関する研究会というのがあって、そこがスタートなんですが、そこで中間のまとめが行われて発表になりました。それは、その中に国民総背番号制ということが非常に露骨にうたわれていたということがあって、当時マスコミでも大変問題になったんです。朝日新聞も社説を書いて、これは時期尚早だということで反対しました。読売新聞も当時、住民基本台帳番号制度は、納税者番号なども含めた行政サービス共通番号として住民番号を拡大利用することを前提にしているということで、これは非常に問題が多いという社説を書いた、これが紛れもない経過なわけです。
 その後で、そういうマスコミの人や何かも入って、もう一度、この研究会のメンバーが懇談会にかわって最終報告になったという経過があるんです。しかし、その最終報告も、この住民票コードの活用についてはいろいろ書いてあって、他の行政機関における本人確認事務への利用ということがずっと、公的年金の受給者に関する現況確認の事務の省略とか書いてある中に、納税者番号制度への活用というのも書き込まれているんです。
 つまり、住民票コード番号というのは、そのように納税者番号も含めて活用するということがずっと法改正の準備の中で、自治省の中の行政局長の研究会ですが、オープンになったさまざまな中間報告、最終報告の中に、四情報だけではないものとして位置づけられてきて、そして最終的には今日のような段階になっている。
 したがって、これがいつまでも四情報プラス住民コード番号だけという保証は私はないと思う。当然、始まれば、それぞれオンラインで行政機関同士、行政情報をつなぐとかいうことの方が経済的じゃないかとかいう議論は当然これから起こってくるでしょう。そういう中で(「法改正しなくて、それは自動的にできちゃうのかい」と呼ぶ者あり)法改正をしなければできませんけれども、流れとしてはそういう流れの中で提案されているということが重要だというふうに思うんです。
 したがって、私は、これまでのやりとりの中で明らかになりましたけれども、こういう問題を払拭して国民合意をつくり上げていくためには、やはり包括的な個人情報保護法の成立を待つ。今国会にかかっているのはメディア規制が強くて総スカンを食っていますから、なかなか成立しない。ああいう非常に法的には問題のある保護法ではなくて、きちっとした個人情報保護法を策定して後、このように具体的な住民基本台帳のネットワークを実施すべきだ、それまでは凍結すべきだというふうに思う次第であります。それは私どもの意見として申し上げて、以上で終わります。

○矢部委員 いろいろ議論をお聞きしておりまして、ちょっと確認をしたいことが何点かありましてお尋ねするんですが、住民基本台帳ネットワークシステム、こういっていますけれども、通称、世の中でいわれているネットワークといわれたときには、インターネットを想像するわけですが、それとはまるきり異質で、何か聞くところによりますと、それぞれの連結は専用線でされるということですが、その辺のところの位置づけを明確にご説明いただけますか。

○反町行政部長 住基ネットワークシステムにつきましては、各区市町村とセンターとの間は専用回線で接続をされまして、いわゆるインターネットという世界とは異なるということでございます。

○矢部委員 防衛庁の情報漏えいというのか、いろいろな個人情報が違った使われ方をしたことがありましたけれども、それと今回のこととは何かかかわりがありますか。

○反町行政部長 防衛庁の事件とはかかわりはないというふうに考えております。

○矢部委員 要は、すべて、ハッカーにしても何にしてもそうですけれども、問題は人間なわけですね。人間が意図として、意図を持って何かをしようとしたときに問題になるわけであって、今回計画されている住民基本台帳ネットワークシステム、住民票がどこへ行ってもとれるとかというようなことで考えれば、大変便利な仕組みであろうと私は思うんです。ただ、運用するのが人間である限り、このシステムに問題があるんじゃなくて、人間に問題があるということだと私は基本的に思っているんです。
 むしろそれよりも、例えば今パスポートをとる、住民票を添付しますね、その添付した住民票はどこへ行っちゃうんですか--これは生活文化局だけれども。結局どこかに行くわけでしょう、出るわけですから。今度はそれがオンラインの中で処理をされるということになれば、逆にそうした面での安全性は高まるということではないかと私は思っております。
 それと同時に、ある学生がアルバイトをしている、どこでアルバイトしているのと聞きましたら、区役所でしている、どこでやっているのといって、これは話していいのかどうかわかりませんが、学生でしたものですからいろいろ話をしていたらば、戸籍のところでアルバイトをしている、だれの戸籍でも自由に見れちゃう、こういって、だれだれさんがどこに住んでいるんですねみたいな話になっちゃうんですね。
 そういうことが現実にあって、プライバシーの保護というような話、このネットワークができるからではなく、現実はもっとそれぞれの各自治体の中にも問題があるのではないかなと思っております。
 あともう一つは、現実的にどういうところでのデータが漏えいをしたり何かするかというと、何とかデータバンクだとかあるいは金融機関だとかが持っている情報、これの使われ方というのは極めて人権を侵害するような使われ方をすることがあるわけで、こうした使われ方には大いに私は問題があるというふうに思うんです。
 そうしたことと比べてというか、比べるわけにはいかぬでしょうけれども、そうしたことを踏まえて運用されようとしているんでしょうけれども、問題が起きないことを前提に進めているでしょうが、そこにかかわる人間が、役人であっても何であっても、人間がかかわるという中で、どこまでそれができるのか。今のシステムでも限界がある、ネットワークにしたから特に問題があるというものなのかどうかということについてお尋ねします。

○反町行政部長 現在、紙の情報の世界におきましては、今委員の方からございましたように、だれでも見えてしまうということがございますが、ネットワークシステムの中では、アクセスする資格のある者を限定いたしまして、その資格のある者のみがそれにかかわることができるという形になってまいりますので、ネットワークの方がむしろそういう面では安全ということはあろうかと思います。

○矢部委員 どういう仕組みをつくっても、人間がつくるものですから、ましてやデジタル情報化すれば、それは大変いろいろな意味で扱いがやすくなってくる。しかし、逆の追跡もできる仕組みもあるわけですし、そうした被害が出たときの追跡をする仕組みであるとか、あるいは暗号化をするといっていますけれども、どんな暗号化をしても、今一番暗号化の技術が進んでいるのはイスラエルだそうですが、イスラエルの一番高度な暗号をもってしても、十二時間スーパーコンピューターを動かすと解読をされてしまうんだそうです。ですから、暗号は絶えず、今一番安全にするのには、十二時間以内に暗号を変えていく、そういうことをしていけば恐らく大丈夫だろうといわれていますが、それをしないで、意図としてスーパーコンピューターを使ってハッキングをしようとすれば、何でもできてしまうわけです。
 そういう時代にあって、意図を持ってするかしないかだし、意図を持ってしたときにそれをどうするかということを含めて、国内の法律だけではなく、電話回線でどこかでつながってしまうんだから、世界を相手に考えなきゃいけないという今の時代でございますから、その辺に対しての配慮というのは、IT推進室じゃないと答えられないのかもしれないけれども、どんなことを想定しているのか。大変難しいところでございましょうけれども、先ほど来、アメリカの国防省がハッキングされたということがありましたが、あの当時の国防省も大したセキュリティーをとってなかった時代でございますし、今とは違うだろうと思うんです。今は十二時間以内にすべて変えるというようなテクニックを使って対応しているようですが、そうした対応状況についてはどう考慮しているのか。

○反町行政部長 このネットワークにつきましては、国際基準といわれておりますOECD八原則というものを踏まえた技術上の保護措置が講じられているということでございます。
 なお、実際の運用になってからいろいろな問題が生じた場合には、また繰り返しになりますが、情報公開・個人情報保護審議会の意見を聞きながら対応策を考えていくということになろうかと存じます。

○矢部委員 これで終わりにしますけれども、都民、国民の利便がよくなり、なおかつ余計な手間が減って、住民票を一々とりに行かなくても手続ができるような方向を目指しているんだというふうに思うんですが、そういう中において、どこの中においても人間が介在する以上、犯罪性あるいは悪意を持って、あるいは何かの意図を持って取り組みをすればできないことはないというのが、これは世の中の常でもあるわけでありますから、そうしたことを十分に念頭に置いて運営を図っていただきたいと思います。

○松本委員 何点かちょっと教えてほしいんですが、住民基本台帳、こういうんですが、戸籍謄本とか戸籍抄本とか住民票とか、いろいろ種類があるんですよね、とるときに。私の本籍地は広島なんですよ。パスポートをとるときに、広島まで、謄本だか抄本だか、戸籍謄本だか抄本だか送ってくれ、こういうようなことをやらなくちゃいけないんですよ。
 部長、住民基本台帳というのは種類が幾つかあると思うんだけれども、出すときに、その種類、どういうふうになっているのか教えてください。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○反町行政部長 請求をするときに、どの部分が必要であるということを申し出いたしまして、その部分の抄本をとる。謄本は全部になりますけれども、抄本というのは、どこまでということを申請して、それでとるという形になります。

○松本委員 部長も専門家じゃないと思うんだけれども、いわゆる行政が持っている個人情報というもの、例えば犯罪記録も載っているんだろうと思うんですよ、何年の懲役に付したとかね。昔は、何か聞くと、(「それは戸籍だよ」と呼ぶ者あり)戸籍にいろいろ載っていると思うのね。それと住民票の--行政が持っている情報の種類というのは、どういう個人情報を持っているのか、ちょっと教えてください。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめておいてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○反町行政部長 戸籍につきましては、出生というものの記録、出生以来の記録が入っておりまして、住民登録につきましては、要するに住所の公証ということをするものでございまして、戸籍とは違いまして、五情報--いや、四情報ですか、四情報が入っているのが住民票でございます。住所、氏名、生年月日、男女の別、これが住民票の基本でございます。本籍地も本籍地として入っているということでございます。

○松本委員 もうちょっとわかりやすく教えてほしいんだけれども、戸籍謄本というのは、こういう行政目的を持って、こういう管理でこういう情報を掲載していますと、それに対して住民票というのは、こういう行政目標を持って--これは住民票がなきゃいけないんですよというのをちょっとわかりやすく教えてほしいんです、どういう情報を住民票で管理しなくちゃいかぬということ。

○大関総務局長 私の浅い知識で申しわけないんですけれども、少なくとも戸籍の場合は、両親の名前がまずあって、その中で何番目に生まれましたということで、まずその本人をそこで特定するわけですね。どこで生まれたというのが本籍になるわけですね、出生地ですけれども、いわゆる本籍地とあれが一緒であれば、それが掲載されると。
 そこで、犯罪歴は戸籍法の中でそこに追加されるんですが、請求しない限り表へ出てこないという性質のものなんですね。ですから、例えば東京都の職員に採用するような場合に、犯罪歴があるかどうかというのは、もちろん当然これは、執行猶予の間は公務員になれませんので、その確認をするんですが、その証明をとるというときに、身分証明書という形でとるということが出てきます。
 それから住民票は、住所を基本にして、そこの中に自分が住んでいます、だれと住んでいます、こういう、家族のそういうのが掲載されている、これが大まかな理解なんです。

○松本委員 局長の話は少しはわかりやすいんだけれども、そうすると、今度は住民票というのはどういうときに--使うところというのは、例えばいろいろな福祉関係の、補助金を配ったりいろいろなことをしたりするのに住民要件というのは必要なんだろうけれども、基本的には、行政が住民票を使う主たる目的というのは何なんですか。

○反町行政部長 そこの住所に住んでいる人間であるということを公証するという目的でございます。

○松本委員 公証ってどういう意味。

○反町行政部長 公に証するということです。

○松本委員 そうすると、さっきからプライバシーの問題、プライバシーの問題、こうおっしゃるんだけれども、そこに載っているのが、生年月日、それから男女の別、住所、住民票コードというのが新しく加わるんだね。それで、それに付随情報、記載事由、事由が生じた年月日等、こうなっているんだけれども、これは具体的に何なの。

○反町行政部長 そこの記載が生じた事由でございまして、変更があれば、その変更した内容がそこに記載されていく、転居あるいは結婚して姓が変わるだとか、そういったことがそこに付随情報として入ってくると。
   〔発言する者あり〕

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○松本委員 そこで聞きたいんですけれども、例えば有権者名簿というものは、もう閲覧がだれにでもできるという状況にあります。それから、私が他人の住民票をとろうと思っても、区役所へ行くと住民票は出してくれるんですね。友人の住民票もとれるし、必要だから出してくださいと申請をすれば、木村委員のも矢部委員のも僕は住民票をとることができるんですよ。
 ということは、例えば有権者、選挙人名簿の場合は閲覧に供せるけれども、今度のネットワークシステムの中に供される情報はプライバシーだから、人の閲覧には供しちゃいけませんよということになっているのかなってないのか、なっているとしたら、そこら辺の差はどうなっているのか。あるいは選挙人名簿の場合は男女の別が載ってないんですよとか、そういうのがあるのかどうか。全く同じだと思うんだよね。有権者名簿を見ると、氏名が載っているし、生年月日も載っているし、男女の別も載っているんですよ。それとどこが違うのか、ちょっと内容について教えてほしい。

○反町行政部長 住基ネットに出てまいります、入っておりますデータにつきましては、個人情報としてプライバシー情報に該当するということでございます。したがって、本人以外はそれを見ることができません。
 ただ、住民票につきましては、住民基本台帳法の定めの中に、正当な事由があるものについては交付をするという規定がございまして、その限りではプライバシーではないということになるわけでございます。

○松本委員 よくわからないんだけれども、同じ情報を選挙人名簿から見る場合はプライバシーではない、個人的に住民票をとって見る場合はプライバシーではない、ところが、ネットになった途端にプライバシーだと。考え方として、実態としてどうなのかというのは僕にはよくわからぬので、もうちょっとわかりやすく説明してよ。

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○反町行政部長 ネットの中に入っているデータにつきましてはプライバシー情報であるということでございます。それから、住民票のデータにつきましても、ただいまプライバシーではないといいましたけれども、一応プライバシー、個人情報ではあるわけでございます。
 それで、その個人情報については、正当な事由がある方から申請があった場合は開示する、見せるという形の個人情報になっているというわけでございます。

○松本委員 ネットの場合は何で見せるという情報にならないの、同じ情報が。

○反町行政部長 それは今回、そういうことでございまして、一応データベース上のものにつきましては、電子的にそういうものが流出する可能性もあるわけでございますので、本人がそれにアクセスするのみを認めて、その他については認めない、そういう整理がされたものというふうに理解しております。
 従来の住民基本台帳法による交付については、従来から、そういう正当な事由のある方には交付するという形に、法の定めがそうなっているということでございます。

○松本委員 例えば、僕が矢部委員なり木村委員なりの住民票が必要な事態が生じたという場合には、木村委員なり矢部委員の住んでいる区役所へ行かなきゃとれないんですよ。そうしたら、今度このネットに入ったら、本人でない私が木村委員の住民票を中野区役所で欲しい、こういったときには、それはプライバシーだからできませんよと。おかしいと思いません、局長。同じシステムをつくって、都民の利便性から考えれば、必要なものは必要なんだから、とれるようにしたらいいと思うんだけれども、どう思う、局長。

○大関総務局長 恐らく、今の住民票も正当な理由がなければ、これはとれないんだと思います。

○松本委員 正当な理由があった場合は。

○大関総務局長 あればとれます。

○松本委員 このネットでとれるかい。

○大関総務局長 ええ、これも考え方としては同じだと思います。

○松本委員 そうすると、どこでもとれるんだね、本人確認がなくても他人が。

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○反町行政部長 住民基本台帳法につきましては、ただいまございましたように、正当な事由がある方には公表というか交付がされるということでありますが、住基ネットにつきましては、電子情報である、大量の情報がネット上の中に蓄積されていくという特別の性格にかんがみて、個人情報の保護という形で、第三者が請求できないという形にしてあるということでございます。法の趣旨によって違うと。

○松本委員 これは、法の趣旨からいったら、国民、市民の利便性に供するというネットの精神からいったら、必要な人にはオープンにしますよという住民票だったら、必要なときに必要なところでとれるのが一番いいに決まっているんですよ。そんなことを、そんなかたい頭で四角四面に考えるようなことじゃだめ。もっと柔軟な脳を持ってきちっと対応していただきたい、そのことをお願いしておきます。聞いたって答えられないからね。
 それから、具体的にこの四つの情報が漏れたときに--漏れちゃいけないプライバシーだとは僕は思わない、もう既に有権者名簿で漏れっ放しなんだから。既に漏れているわけだから。それが仮に漏れた場合に想定をされる、プライバシーの漏えいに基づいて想定し得る都民、国民の被害の具体例というか、わかりやすくちょっと説明してよ。これだけプライバシー、プライバシーと騒がれて、どういう被害が想定できるのか、ちょっと教えて。

○反町行政部長 私ども、被害の具体的な想定はまだできていないわけでございますけれども、実際の運用になって、実際の被害を受けたあるいは受けるおそれがある、そういう方の申し出から始まっていくのではないかな、そういうふうに思っております。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○松本委員 それでは、質問の趣旨を変えますけれども、有権者、選挙人名簿の閲覧にかかわって具体的な被害というのは起こっているかどうか。
 そして今、住民票を必要、正当な理由がある場合は、他人の住民票を請求して、それをとることができる、そのことによる被害というのは事件案として何点かあるかないか。
 それから、先ほど矢部委員の質問の中に出たように、そういう書類が行政の窓口に全部証明書類として添付されます。された後、それが廃棄されるのかどうされるのか全くわからないんだけれども、転記されて、それ以後、具体的な被害事例、事件事案というのが今までにあったかどうか、答えてください。

○坂口委員長 では、速記ちょっととめておいてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○反町行政部長 住民票等の事務につきましては区市町村の仕事となっておりますけれども、私どもにそういった関係の問題点として上がってきたものはございません。

○松本委員 今まで、そういうことで、プライバシー、プライバシーと朝日新聞初めみんな大騒ぎする割には、事件案としてはないんだね。この四つ、生年月日が漏れた、名前が漏れた、住所が漏れたというのはないと。そこのところをしっかり確認した上で、効率的な行政システムを構築するための今度のネットワークシステムだと思うんだけれども、行政コストとしてどれくらい、税を使う上において、金額にしてどれくらいコストが縮減をされる、こういう予想を立てているのか、教えてください。

○反町行政部長 全国ベースのものでございますけれども、このシステムの導入によりまして、住民、役所が節減できる時間あるいは人件費などを積算いたしましたところ、毎年約五百十億円というものが節約できるのではないかということでございます。

○松本委員 私たち自由民主党は、効率的な都政の運営、効率的でスピード感があって、都民が便利になったなと、こういう実感できる都政を前に進めなきゃいかぬ、こう思っているわけで、そういう意味からこのネットワークシステムの稼働に賛成を--今意見をいっちゃいけないな。でも、賛成をするんですよ。だから、ちゃんと目に見えて、なるほど、このシステムが稼働したら便利になったなと実感できるようなシステムをきちっとスタートさせていただきたい、そのことを要望して、この件についての質問を終わります。

○坂口委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○坂口委員長 次に、報告事項、都庁改革アクションプラン 都政改革ビジョンⅠ 実施状況報告(平成十四年三月末現在)外三件に対する質疑を行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋総務部長 六月六日の当委員会におきましてご要求のございました報告事項関係資料につきましてご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の二ページをごらんいただきたいと存じます。
 2、情報通信ネットワークの整備状況でございます。
 (1)の全国のブロードバンドサービスの利用者数でございますが、平成十一年度から十三年度まで、年度末現在の実績をブロードバンドサービスの種類別に記載してございます。
 (2)の国のe-Japan戦略における全国のブロードバンドサービスの利用者数の目標値でございますが、平成十四年度から十七年度まで、年度ごとにサービスの種類別に記載してございます。
 (3)のブロードバンド普及状況の国際比較でございますが、経済協力開発機構、いわゆるOECD参加国のうち、上位十六カ国についての普及率を記載してございます。なお、平成十三年六月時点における日本の順位につきましては、表のとおり十二位となっております。
 恐れ入りますが、三ページをごらんいただきたいと存じます。
 (4)のインターネット普及率の国際比較でございますが、平成十二年における上位二十カ国について普及率を記載してございます。なお、この時点における日本の順位につきましては十四位となっております。
 (5)の東京都のブロードバンド整備状況でございますが、ブロードバンドの代表的サービスでございますADSLにつきまして、提供数及びその全国での順位等について、大都市の府県と比較して記載してございます。
 恐れ入りますが、四ページをごらんいただきたいと存じます。
 3、宿泊施設へのブロードバンド導入支援でございます。平成十三年度に産業労働局において実施されました宿泊施設IT化支援事業につきまして、その内容、補助件数など、実施状況を記載してございます。
 恐れ入りますが、五ページをごらんいただきたいと存じます。
 4、東京都地域防災計画火山・風水害等編に係るハザードマップについてでございます。都内の河川のうち、浸水予想区域図を公表してございます神田川、荒川、鶴見川、多摩川の四つの河川について、各河川における対象区市、ハザードマップ公表への取り組み状況などをお示ししてございます。
 恐れ入りますが、六ページをごらんいただきたいと存じます。
 5、東京都地域防災計画火山・風水害等編に係る災害を踏まえた対応策等についてでございます。新宿区での地下施設への浸水事故や、有珠山や三宅島での火山噴火災害など、過去八年間に起こりました主な災害や事故につきまして、災害を踏まえた対応策及び修正内容を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。

○矢部委員 資料をご提出いただきましてありがとうございます。
 アメリカと日本と比べて、大変国土が狭いという中、なおかつ平地と山岳地という比率でいくと、平地が二〇%、山岳地が八〇%というようなことですから、またさらに狭い国土でございますが、なおかつ都市というふうに見れば、その中でもっと集中しているわけでございますから、そういう東京あるいは東京圏、三千三百万電子都市ということを東京都は目指しているわけです。
 現実、そういう中でこの資料からも見えてきますのは、進んでいるのかと思えば、極めて進んでない。例えばブロードバンドの普及率は、サッカーの共同開催国である韓国がトップで日本は十二番目、あるいはインターネットの普及率も十四番目ということでありますけれども、よくよく中身を精査すれば、そのうちの六〇%ぐらいになるかと思うんですが、恐らく携帯電話によるものも含まれているからこういう数字になっていますけれども、現実からすればもっと低いところになるのではないかというふうに思っております。
 いっていることはいっているのに、現実が全然伴っていないと私は思っていますし、なぜ伴っていかないのか、あるいはいい出してから幾らかでも進んだのかという気持ちを持っています。いえばいいということではありませんで、いうよりも先に、現実が韓国のようにこうなっていますとなぜいえないのかという疑問を持つわけでございますが、いかがでございましょうか。

○木谷IT推進室長 今の特にブロードバンドの現状をどう評価するかという、実はこの表だけ見ましても非常に難しゅうございまして、矢部委員がおっしゃるとおり、ある指標では非常に低い、伸びでは非常に高い、こうなっています。
 一つの問題は、この一年間でこのブロードバンドの状況が劇的に変化したということであります。去年の今ごろ私たちは、なぜこんなにおくれているんだということを、特に韓国との比較で怒りまくっていた時期がございます。
 しかし、ちょうど去年六月ごろから低価格のADSLが爆発的にふえまして、この一年間で非常に局面が変わったということであります。昨年六月では利用者百万人ぐらい、人口普及率で世界十二位というこの表がありますけれども、現時点、十三年度の末になりますと、ここにありますように、四百万近い数字になってきたと。現状では、ブロードバンド全体で四百万を突破したというふうに見られています。既にこの時点で順位が相当変わってきているわけでございます。
 光ファイバーもまた低価格化が進んでいることから、急速に拡大する見込みでございまして、本年末あるいは本年度末には一千万という大台に乗るのではないかというふうにいわれております。その時点では、欧米を抜きまして、普及率でも韓国に次ぐ位置になるであろうというふうにいわれています。この見込みが確実になるという保証はありませんけれども、現実の伸び方からするならば、大いにあり得る数値だというふうに考えています。
 それから、東京がどうなのかということでありますけれども、これは明確な数値がなくて申しわけないんですが、先ほどの表の中で、世帯普及率、東京の場合には、ブロードバンド、DSLだけ見ますと、約一〇%ということでございます。全国平均は五%でありますので、委員がご指摘になったような、東京の持っているいい点がここにはあらわれていまして、全国のブロードバンド革命の牽引力になっているというふうに評価することができると考えています。

○矢部委員 大変先が展望できるというか、楽しみなお話でございますけれども、現実、何が障害だったのかと、いろいろ考えてみますと、例えば都庁ができました十年前も、ここへ移って、そういう意味でIT化の、当時はIT化とはいいませんでしたが、IT化の極めて進んだ都庁になるのかと思っていましたらば、逆に十年間とまってしまったというふうにしか思えないわけでして、それを今変えようとされているということについては評価もしますし、そうでなきゃいけないんだろうと思うんです。
 結局、一番の障害は、NTTが交換機の中にADSLの機械を持ち込むことについて大変な抵抗を示したということが大変大きくあるというふうに思いますし、ISDNなる何だかわからないものに一時移行をして、そこがなく、一気にADSLに行っていれば、もっと爆発的に進んでいたであろうというふうに思うんですが、だれが開発したか、そうしたものをつくった以上、使わなきゃいけないみたいな論でどんどん進んだためのロスというのは物すごく大きいと私は思っているんです。
 今回、ワールドカップに負けたのまでこの責任にはしたくないんですが、やはり韓国の意気込みというのはすごいと思うんですね。よくよく聞きますと、韓国のホテルどこでも、ADSLでどのホテルの部屋からでも無料で接続ができた。日本もおくればせながら少しやったようです。無料ではなく有料だったようですけれども。その辺、これは産業労働局がした仕事でございますけれども、IT化ということに臨んだという意味で、(松本委員「総務局が責任局だよ」と呼ぶ)今松本先生がおっしゃるように、総務局がどういうふうに認識をしているか。もっとこれを進めなければ、東京というものをやはり世界にアピールできない。
 国の立場というか位置づけというか、いろいろな部品だとか何かについて申し上げれば、あるいは電子機器についていえば、世界のトップクラスを行っている日本の国であるのに、それを実際に使うという面においては極めて後進国になっちゃったということではないかと思うんです。
 大変お答えにくいことではあるかというふうに思いますけれども、これからの動向も、先ほどもお話もありましたけれども、どういうふうにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

○木谷IT推進室長 日本におけるブロードバンド化のおくれと、それから都庁のおくれも指摘されましたけれども、その点について私たちが感じている思いは、今委員がおっしゃっていることと多分極めて近いと思っています。
 これだけの人口の集積があり、頭脳が集積がある中で、特に民間の力が非常に強い、そのメリットを我々がどれだけ使ってきたんだろうかと。特にこのITという面においては、東京には圧倒的に有利な条件があったにもかかわらず、おくれにおくれた。特に都庁では、この十年間は空白の十年だったわけです。それについて、どこに原因があったということについていろいろあるでしょうけれども、やはり都庁自身のこの問題に対する理解の仕方、理解をしようとする力、そこに大きな問題があったのではないかというふうに我々は率直に反省をしております。
 ご指摘のあったワールドカップに絡んだホテルの話でありますけれども、これは昨年の十一月十四日に発足をしました電子都市懇談会、座長が唐津一教授でありますけれども、唐津先生が三回ぐらいにわたって、ホテルのブロードバンド化が決定的におくれているんだ、ワールドカップに向けてやらなければ世界じゅうから笑われるんだ、怒り出すに違いないということをおっしゃいまして、初めは私は何のことかわからなかったんですが、なるほどと。例えば、韓国では無料で常時アクセスできるわけでありまして、そこに行った外国人のお客と、日本のホテルに泊まったお客では全く条件が違うことがわかる、それに対して何とかやれと檄を飛ばしていただきまして、直ちに産業労働局がそれに呼応してくれて、十三年度の補正予算で電光石火でこの措置を決めたわけであります。実際には七百から八百あるといわれる東京のビジネスマン向けのホテルの中で、百二十ぐらいブロードバンド化が進んだわけでありまして、直接な効果としても非常に大きかったし、それから、ブロードバンド化が大事なんだという機運を盛り上げるという意味においても非常に大きな意味があったというふうに考えております。これは事務局を務めた電子都市懇談会の大きな成果であったとも考えております。
 いずれにしましても、まだまだ十分というわけでは決してなくて、ブロードバンド化自体が目的ではなくて、それによって世の中のいろいろな問題を具体的に解決していくというところに最終目的があるわけでありますから、委員のご指摘のとおり、今後とも思い切って一気に加速させていきたいというふうに考えております。

○矢部委員 大変頼もしい限りであります。
 しかし、例えば防衛庁のあの事件というのは大変衝撃的でありまして、インターネットを使っていろいろなことができる反面、それをまた違う使い方をするということから、うかつに使えないなということで、それこそ水をかけられてしまったようなことに私はなっていると思うんです。極めて許しがたいことでありますし、そうしたことではないということが前提で成り立っている仕組みでなければならぬと思うんですね。このことについてはいかがでございますか。

○木谷IT推進室長 先ほどの議論を伺っておりまして、最終的にいろいろな犯罪あるいは誤った対応というのはやはり人間がやるわけであります。そういう意味では、どのような状況にあってもいろいろなリスクが考えられます。可能性が考えられます。
 問題は、いろいろなリスク、それが起きる可能性と、それがもたらす利便との比較、あるいはそれによってどれだけのコストが軽減--これも利便ですけれども、その比較を厳密にやる中で、何が適切なのか、適切でないかということについて判断していく必要があると思っております。
 防衛庁のお話がありましたけれども、私たちが進めている電子都市、電子都庁においては、日本の国民が持っている前向きな知恵をどう生かしていくのかというところに着目をいたしまして、それを伸ばすことを主眼にやっていきたいと思っています。当然起こり得るであろういろいろな問題については、我々としてもあらゆる対策を立てて、今体制を強化しております。そういう中で具体的に生まれる問題については、その場その場で我々が克服をしていくという我々の決意も込めて、今後の展開をしていきたいというふうに考えております。

○矢部委員 前にも申し上げましたが、ことしの二月にシンガポールを訪問をしてまいりました。大変IT化が進んでいる都市でありますし、よくよく聞けば、その源というか資源はほとんど日本製であります。また、アメリカが光ファイバー網の敷設を大変な勢いでしていまして、これは国策でしていますから、アメリカの国が直接しているということになっていますようですが、実際はその敷設をしているのも日本の企業のようでありますし、ほとんどが日本製の光ファイバーであります。そういうインフラというか、インフラをつくれる素地というか能力というか、潜在能力が極めて高い日本でありますけれども、それが生かされないというのは大変悲しいことだというふうに思っております。
 そういう意味で、例えばインターネットと同時にケーブルテレビというのが結構普及をして、そのケーブルテレビでブロードバンド化をしているという地域も、エリアもあるわけです。よくよく見ていきますと、全部がそうなっていればいいんですけれども、このエリアはこの区なりこの会社がやる、こういわれていますが、どうもこの道路を渡ることができないためにこのエリアには行けないというようなケースがあって、一面進んでいるけれども、その片隅というか、で極めておくれちゃう地域が併設しちゃうというようなことがあるんですね。それは許認可の関係の障害もあるようですし、東京都の中において建設局も大分考え方を改めてくれているようですが、もろもろそうした障害を減らす、一昨日でしたか、本会議での答弁では、歩道橋への添架するようなことの許可もしたいというようなお話もありましたが、大変前向きに取り組んでいただいているのはいいんですけれども、具体的にそうした障害があってブロードバンド化のできないエリアがなくなるようにしなきゃいけないと思いますし、そうした東京の実態をどのように把握しているのか、どういうふうにそうしたものを解消しようとしているのかということについてお尋ねをしたいと思います。

○木谷IT推進室長 今回の電子都市懇談会、四月八日に報告を発表いたしましたけれども、この中では、非常に具体的に何が問題なのかということについての議論が行われております。これは懇談会、分科会も含めて、通信事業者の方々が座り、都庁の建設局、下水道局、交通局等の課長が座り、そこで何が問題なんだ、これをどうして解決ができないんだという議論が行われ、また書面でそれが請求される。我々はそれをすべてその場でも公開し、インターネットにも公開しました。その中で、それぞれの局がどういう回答をしたのかということも公開をしています。
 そうした中で、実に、多分、私の実感では都庁始まって以来じゃないかと思うんですが、こういう問題について局の壁を超えて議論が行われ、そして、東京都各局が非常に前向きな反応を示し始めたということがございます。そして、それを最終的にまとめましたのが、先般お配りいたしましたこの懇談会の報告であります。
 例えば、この中の一一ページにありますけれども、どういうものについていつごろまでに解決をしてほしいということが、懇談会の立場からですけれども、明記されております。これについては、もちろん都庁がこれまでにやることを約束したものではございませんけれども、こういう形で記載することについては、関係局との間で調整し、合意をとった上で書いたものでございます。
 ご指摘にあった建設局では、七月中にこれらの内容を含めた計画を二つつくる予定でありまして、そこになりますと、実際にこれまで規制でがちがちになっていたわけですが、それが本当に動き出したんだなということがおわかりいただけるのではないだろうかと思っています。
 具体的にどこの地域がどうだということについて、私は残念ながら知識がございませんけれども、現時点での動きについてはそういう状況になっているということをご報告したいと思います。

○矢部委員 大変積極的に取り組んでいただいて、いいことだというふうに思います。
 しかし、現実、物理的にだとか、いろいろなほかの要件があって、克服しがたい地域というのは存在してしまうんですね。これはぜひ目を向けていただいて、そうしたことの解消に努めていただきたいと思うんです。
 それと同時に、いろいろなことのデータというのか、意見を聞くというのか、オール都庁の中で、インターネットに公開をして意見を広く求めていますというような表現が使われますけれども、先ほど来のように、実態からすれば、インターネットをすべての人が使える状況にはなってないと思うんです。
 それには一つには、この普及をどんどんふやすということはぜひやっていただきたいことだし、どんどんやっていただかなくちゃならぬというふうに思うんです。
 反面、シンガポールで感じましたのには、極めて進んでいるという中で、いろいろと専門家と議論をしている中で、一〇〇%ということは多分あり得ないだろう、どこまで上げられるか、でも、これは六〇%になるのか、アッパーリミットが当然あるわけで、それから先をどうするか、そういう部分と同時に、言葉としてはデジタルデバイドというんでしょうか、拒否反応を持ってしまう人もいるわけです。
 そこで、ふと私はこれはおもしろい仕組みだなと思ったのは、団地政策をとっているシンガポールだからできるのかもしれませんが、住区センターのようなセンターがあって、そこへ行くとコンピューターが据えてあって、なおかつそれを指導する人がいて、そこへ行けば、持ってない人でも、使えない人でも、教わろうと思えば教われるし、なおかつ、自分は全然使う気もないという人でも、かわってそこで手続をしてくれる、極めていい仕組みだと思うんですね。だから、ある面においてのバリアフリーのような役目も果たしているのかなというふうに私は思っているんですが、そうした仕組みがもう一面ないと、コンピューター拒否をしている人はこの世界には入り込めないというような仕組みになってしまってはいけないと私は思っているんですね。
 そういう意味で、シンガポールがやっているからそれが絶対だとはいいませんが、一生懸命一〇〇%を目指そうという中で、一〇〇%にはなり得ない、それを補うということでこうした仕組みをしている。
 もう一つは、教育の段階でどこまでしていけるかということが極めて大事だ、こういっておりました。早くから興味を持つ人、持てない人もいるかもしれませんが、そうした努力をしていくということが両面ないと、電子政府ですとかいう言葉と現実とが違ってしまうことになってしまうと私は思っているんです。そうした危惧をなくす努力をどうされているのか、どうしようとしているのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 シンガポールのお話が出まして、ちょっとそれに私の感想を申し上げさせていただきたいと思います。
 私も四月に知事と一緒にシンガポールに行きまして、世界第二の電子政府といわれていますが、非常に驚くことが多々ございました。
 知事が非常に感動されたことの一つに、高齢者向けのIT講習会を図書館等を使ってやっている、そこを見て、非常に丁寧だなということで、なぜこういうことを日本でやらないのかみたいなことをおっしゃったことがございます。
 それからもう一つ、今委員がおっしゃったような、拠点に市民が来ると、そこでいろいろなことができるという、これも非常に関心を持たれていたわけです。
 全体については、日本でも、東京でも同じようなことを実は必死にやってきたということがございまして、これが今の委員の質問に関係しております。昨年度、東京都と区市町村で約三十六万人にIT講習会をやった、これは基礎的な教育でございます。全国でも大体成人人口の五%ぐらいにやったわけでありまして、これは大変な影響を持ったというふうに考えております。
 特にこの中で、東京都の調査では、六〇%が五十歳以上なんです。これまではなかなかITへの対応が難しいといわれている方々が、わくわくしながら来ているわけです。それで、非常によくわかったという。ほとんどの方がよく理解されている。それから、障害者の方々向けの講習もございまして、そういう面ではデジタルデバイドの解消に日本も東京も非常に力を入れて、それがある面で成功してきている、それがインターネットの利用という形にもはね返っているのではないだろうかというふうに考えています。
 しかしながら、委員ご指摘のように、一体どこまで行くんだろうか、一〇〇%に行くんだろうかというと、やはり行かないというふうに思っております。
 一つは、まだまだ難しいです、インターネットにつなげるには。やはり非常に身近に支援してくださる方がいなければ、我々は若い職員たちがいますから、いつでもできるわけですけれども、そうじゃない場合にはなかなか難しい。そうした中でどれぐらいまで行くかという歩どまり自身が一つの重要な関心事であります。
 それに対しては方向が二つございまして、一つは、道具自身がもっともっと易しくなっていかなければいけないし、易しくなっているだろうということが一つ。それから、先生がご指摘の、まだまだ対応できる方々はたくさんいる、そういう方々には対応していってもらう、そして、最終的に対応できない、これはデジタルデバイドということになりますけれども、これについては、インターネットが使えないからいろいろな利益を享受できないということではなくて、それをやはり行政の責任でしっかりとサポートしていく、その一つとして、拠点をつくって、そこに来れば親切に人間が説明をしていく、手続ができるようになるというようなことも非常に大事な、意義のある方策ではないかと考えております。

○矢部委員 大変頼もしい限りでございますが、それが全部一〇〇%に機能していればもっと進むのかなというふうに思いますが、いつごろまでにどういう東京にしたいと思っているのか。希望的観測じゃなくて、努力目標でもなくて、完全実施目標をどの辺に置いているのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 東京都としての独自の目標は今のところ持っておりません。現状が非常に激しく動いていますので、むしろ今の勢いをうんと加速していって、政府が掲げている目標を達成するように貢献していきたいと考えております。

○矢部委員 政府が考えているものと、東京、石原知事が提唱されている三千三百万電子都市というのは必ずしも一致はしていないと私は思っています。この大都市圏、東京圏といった方がいいんでしょうか、三千三百万という圏域の中では、一番最初に申し上げましたように、それぞれ個々の家と家との距離が近い、極めて密集しているわけですから、ここに今いわれているADSLなんというものではなくて、光ファイバー網を整備したり、また拠点になる部分を、全体をネットワーク、それこそクラスター状になるのが理想なんでございましょうから、拠点が足りないところについては東京都が積極的に乗り込んでいくくらいの決意を持たない限り、私は、現実は進めば進むほど全体のスピードは落っこっていってしまうということになってしまうと思っておりますので、極めて大変なことですけれども、また東京都が直接できることではないのかもしれませんが、それぞれの連携とこのネットワークと、それから調整をしているようですから、大いに東京都がやるべきことについてはどこよりも早く対応していただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○坂口委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時二十八分開議

○坂口委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○馬場委員 私は、電子都市構築に関する懇談会報告について何点か伺います。
 電子都市懇談会の報告書は、首都圏のIT化により日本の経済社会の再生につなげるとともに、都民が個性的で活力に満ちた生活を目指すものであり、その趣旨には賛同するものでございます。
 また、懇談会の報告、先ほども木谷室長さん触れられましたが、基盤整備のところで、取り組むべき施策二十四項目にわたって、十四年度中が大変多いんですが、時期を明記し提案をされている。こうしたことは報告書としては画期的なものではないかというふうに私も評価をしております。
 そこで、この事業を推進する立場から幾つかのポイントについてお伺いをいたします。
 今後、近隣の県、市や区市町村を含めて官民で協働をして電子都市を構築していくためには、都として今後の事業方針、スケジュール等を明示していくことが必要であると考えます。先ほどのお話の中でも、局の壁を超えて行って、この報告書をつくってきた。また、私も室長の、できるところから、できる状況でやっていくという大変積極的なことについてもすばらしいと思いますが、それでは、まず、主体である都がこの提言に対してどのように今後取り組みをしていくのか、そこのところの決意も含めてお伺いをいたします。

○木谷IT推進室長 今回の懇談会が通常のものと少し違いますのは、懇談会の内容を検討していく過程で、各局が裏でずっと動いていたんです。表の場でも一緒に協議をしていくという中で、各局に相当変化が生まれていることがまず挙げられます。そして、報告を発表した後の五月に、部長級の東京都IT会議を開催しまして、この報告を踏まえてどういう施策を行っていくのかについて、関係各局で早急にまとめてほしい、これを緊急戦略として取りまとめて、全体の方針についてもできるだけ早期に打ち出していくということをお願いをしてあります。もちろん、直ちにやらなければいけないこと、すぐできることについてはもう方針は出ているわけですから、できることからどんどんやっていく、そういう動きをしていきたいと思っております。

○馬場委員 この懇談会そのものが半年、十三年の十一月に設置をされて、もう四月には報告を出してくださるという集中的に検討され、報告書のメンバーのところが、実は都側のメンバーとかも含めて書いてないものですから、最初はどんなようなのかなというふうに、報告書を読ませていただいたときは思ったんですが、この中身、それから一番最初に、都がみずからやらなければいけないことがかなり細かく、積極的にやらなければならないことというふうに書いてあるということで、これは私も、都側の推進室も積極的に進めたと同時に、各局もそれに対しての対応というのを考えていらっしゃるというふうに確かに受けとめました。
 そのスピードを重視をする懇談会の趣旨に従って各局全面的協力を得てというふうになっていますが、それでは、この各局の代表的な取り組みというのを聞かせていただくとよくわかるかなというふうに思いましたので、これをお願いしたいと思います。逆に、できないものはというふうな質問も考えたんですが、できないことをお聞きするよりは、まず、できるところでご説明いただけると、よろしくお願いします。

○木谷IT推進室長 いろいろな動きが庁内にございまして、公式にも非公式にもありますが、代表的なもので幾つかお答えをしたいと思います。
 まず、建設局ですが、これはこの間、新聞にも出ておりますけれども、懇談会の提言を踏まえた施策を取りまとめて、七月までに規制緩和行動計画と民間の共同事業推進計画を策定する、この予定に入っております。既に都民のパブリックコメントを聴するというところに入っていますので、これが多分計画としては一番早く出てくるものだと思います。
 それから、住宅局ですけれども、これは四月に、都営住宅をブロードバンド化していく工事をするときに、入居者全員の同意が必要だという規制があったんですけれども、これを外しました。その規制緩和を行った。これは既に四月に行っております。
 それから、総務局ですけれども、都庁舎、それから中央図書館などたくさんのところで、無線LANを利用した高速インターネット接続という、これは今のブロードバンド化の流れの中で非常に新しい、しゅんな動きですけれども、これを行政として初めて全国に先駆けてやろう、いわゆるホットスポット化ということですけれども、この実験を七月から実施する予定であります。

○馬場委員 ありがとうございます。実は私もかねて、品川でケーブルテレビを敷設をするということに立ち会いました。積極的に導入を図ったということもあって、その間で、今例を出されていたことが実は大きく障害になって、私自身も議員として相談を受けたという経験を持っていますので、そういう意味では障害が行政側に大変大きくあるなというのを改めて認識をしているんですが、例えばケーブルテレビのところでも、さっき出ていました歩道橋とか道路をまたぐということについての許可を、ケーブルテレビが直接してもなかなか許可がおりない、もう工事は支度できているのにというようなところが一件ありました。また、同じケーブルテレビを、二つ目の都営住宅の居住者全員の同意というところもありますが、都営住宅で入れたい人があるけれども、同意が得られないし、もちろん費用の問題もあって、だれがその費用を負担するのかということもあって、結果的には都営住宅にケーブルテレビを敷設できないというようなことがありました。
 こうしたこともみずから経験しているということで、今回それをどこまで具体的に、それも早く対応ができるかということは本当に大事な問題だと思っていますし、都みずからが中心になって、各区市や、また、大きくは国に対してそのことを、どんなにそのことが、行政側で大事にしていることがネックになっているかということをもっともっといっていかなければならない。そのことを都がどういうふうにクリアしていったかということも、都民や区民、つまり事業者だけでなく、住民にも、どういうふうにしたらそれが改善されて、結果、できるようになったかというその手順も含めて公表をしていく、そういうこともぜひお願いしたいと思います。議員としては、例えば私が間に入ったから早くできたなんというのは、もしかしたら一つ手柄になるようなことかもしれませんが、もうそういう段階ではありません。そのことも含めてお願いします。
 最後に、このこともなんですが、議員が窓口というようなことではもちろんいけないわけで、報告書の中に、ワンストップにより各種相談を行う窓口の設置というのが挙げられています。こういう窓口で、困っただけの相談というような、そういう雰囲気ではなく、今私がお話しさせていただいたように、つまり問題があるということをまず認識をして、その問題をどうやって解決をしていくか、そのことがわかるような、この窓口から、それを受けることによって、どこに問題があって、何が問題なのか、そしてどうそれが改善をされるのかということで、新しい方向や、やらなければいけないこと、そういうことが見えてくる。そのことを一つ一つクリアしていくことによって、また次の試みをしていく。試みをしたところでまた問題が出てくるというように、その繰り返しをすることによって、三千三百万電子都市の実現に向かっていかれるのではないかなというふうに思っていますので、この窓口の設置についてのお考え等を聞かせていただけるとありがたいと思います。

○木谷IT推進室長 懇談会を進めていますと、実は、民間の通信事業者の方々から非常に率直な要求が出てきたんですね。その一つがこの相談窓口なんです。どこに行っていいかわからない。ここに行くと、また次の局に行けというので、本当にやりにくいというんですね。それから光ファイバーの値段も民間よりも高いということもあって、東京都が何かいうんだったら、まずできることをきちんとやれと、非常に率直な要求が出ました。これを各局が真剣に受けとめてくれまして、実際にその懇談会の場でもってそういう協議が進んでいったという経緯がございます。この辺もできるだけ公表していきたいと思っています。
 ワンストップの窓口なんですけれども、やはり光ファイバーを敷設するときのルートとか接続点、それから例えば道路占有手続をどうするのかというようなことをとりあえず一カ所で受けとめる、あとは内側で調整していく、そういう総合窓口を関係部局と協議しながら設置する方向で検討していきたいと考えております。

○馬場委員 ありがとうございます。積極的な取り組みを要望して終わりたいと思っておりますが、私どもも一月から二月にかけて視察をさせていただきました。そのときに、さっきホテルのお話も出ましたけれども、ファクスを毎日送って報告をしたんですが、そのファクスを無料でやってくださるホテルと、一枚千円以上につくようなホテル、それもすごい時間がかかるとか、そういうようなことを経験をして、最後には、ついてくださったガイドさんが、私の家から送ればずっと安いですよ、私が持って帰ってやってあげましょうなんという話にもなりました。こうしたいろいろな点も、先ほども出ましたけれども、行政だけでなく、地域、各界、事業者も含めてのこうした意見、そして経験等ができるだけ集約をされ、それがまた解決に向けて各局へ分けられていく、そしてまた推進室がまとめていくというような繰り返しをして、ぜひこの懇談会の、早くつくってくださった提言を生かして、一日も早い、皆さんへのサービスができるように期待をさせていただいて、質問を終わります。

○谷村委員 私、報告事項の初めに、地域防災計画火山・風水害等編の修正につきましてお尋ねをしたいと思います。
 第一回定例会のときに、この件につきまして質疑をさせていただきました。八年間修正が行われておりませんでしたこの地域防災計画風水害編につきまして、第一回定例会でのご答弁のとおり、この四月にその修正の決定を見られたところでございます。そこでお尋ねをしたいと思いますが、この二八八ページに、鉄道施設の事故発生時の救護活動という欄がございまして、各鉄道施設の事故発生時の救護活動が一覧になっているわけでございますが、これを拝見いたしますと、例えば西武鉄道なんかでは、負傷者の救出については、旅客の中に医師や看護婦がいないかとか、まずそういう対応をし、救急車の依頼をして、そして多数の負傷者が発生した場合は臨時に救護所を設置して対応するというふうに記載をしたり、また、営団地下鉄では、二次災害、また附帯事故の防止措置を行う、それから死傷者のあるときは救出及び応急救護に努めるとともに、一一九番通報をするとか、それから救援隊を編成し、旅客の救出、応急救護、負傷者搬送、消防隊、救急隊の出動要請及び活動に協力をするとか、また、東京臨海高速鉄道では、速やかに運輸指令長または最寄りの駅長に報告し、旅客の中に医師や看護婦等を探すとともに云々と、こういうふうに救護活動について詳しく記載をしておりますけれども、例えば都の交通局なんかではたった一行で、「地下鉄駅係員及び都電乗務員は、負傷者の救護措置を行い、旅客の生命の安全を図る。」と、ごく当たり前のことしか書いてないわけでございまして、そのほかにも私鉄でも、ある鉄道会社では、「駅長は、負傷者があった場合、救出・救護等の処置を行う。」という一行で済まされているものがございます。
 これは八年前の修正を行われる前のものと、私の記憶では変わっていないように思いますけれども、この八年間、さまざまな修正をされて、この修正がなされてないことにつきましてお尋ねをしたいと思います。
 計画の修正につきましては、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、修正する、毎年防災会議が指定する期日までにそれを提出すると。また、この計画は周知をする、「関係防災機関等への周知・徹底のみにとどまらず、都民及び事業者等に対しても積極的に広く周知を図る。」と。東京都の防災会議として、鉄道での事故に対しては、各鉄道会社がそれぞれ独自に、このように救護措置をしますと、人命にかかわる問題ですから、これを都民の方々に周知をした場合に、大変関心のあるところだと思いますけれども、八年間、鉄道会社によってはこういう表記で終わっている点がございます。これにつきまして、どういうご見解かお尋ねをしたいと思います。

○岡部災害対策部長 地域防災計画は、東京都における国の機関、区市町村及び公共機関などの処理すべき事務または業務についての大綱を定めたものでございますが、各機関の計画のすべてが詳細には記載してないところでございます。このため、現行のような、各機関によりましてアンバランスな記載になっているというのは否めないものでございます。ご指摘のような記載の内容につきましては、都民にわかりやすいように記載すべきということで今後修正を加えていきたいと考えております。

○谷村委員 あわせまして、この計画の冒頭に、区市町村、都、そして指定地方行政機関、また自衛隊、指定公共機関、指定地方公共機関等の事務または業務の大綱が記載をされております。その中に、指定地方公共機関、これが先ほどの鉄道施設になりますけれども、その事務、業務の大綱に「災害時における鉄道車両等による救助物資及び避難者の輸送の協力に関すること。」と、事務、業務の大綱に記載をされているわけですけれども、では具体的にどのような救助物資及び避難者の輸送の協力をするのか、どういうときになったらそういう鉄道会社が輸送の協力に動くのかとか、どのような協力をするのか、それは無料なのか有料なのか、そういったことも一切記載されておりませんけれども、この点につきましてもあわせて修正を加える必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 この輸送の部分につきましては交通局が詳しく書いてございますが、ほかの本文中には、他の鉄道事業者については都の災害対策に協力するという義務があるというために、これの根拠によりまして、災害時には災害対策本部の要請により輸送業務を行うということにしております。しかし、鉄道事業者の協力関係が明確であるということが大切でございますので、ご指摘について今後とも関係機関と協議してまいりたいと考えております。

○谷村委員 では続きまして、三千三百万電子都市構築に向けた情報通信戦略、いわゆる電子都市構築に関する懇談会報告につきまして、お尋ねをしたいと思います。
 初めに、この懇談会報告に対する評価につきまして、総務局長の見解をお願いします。

○大関総務局長 今まで電子都市だといっておりましても、何か目標もなくやってきたような気がいたします。日本じゅうが恐らくそういう暗中模索の中で進めてきたのかなと、こう思っております。これはやはり一定の方向をきちんとさせた上で進めていきませんと、効果的なものが出ないわけでございます。そういう意味で、今回は三つの部会に分けまして、一つがインフラ整備、それから都民のITの活用、この中にはいろいろ教育であるとか防災の面であるとか産業の面であるとか、こういう面の活用を図ろう。それから自治体の連携を図っていこうということで、その自治体連携の核となるのが東京都庁ということで、東京を電子都庁にして、その核を広げることによって電子都市にしていく。それでその中に都民のいろいろな活用も図っていき、その中で三千三百万の電子都市を形成しようということで、三つの分野から、ハード面、ソフト面で検討していただきまして、そのことは大変いい、タイムリーな報告書ができたと思っております。これは私どものいわばバイブルという形でこれから進めていけるであろう、このように思っておりまして、これはぜひこの方向に沿って全庁挙げて頑張っていきたい、このように思っております。

○谷村委員 それでは、中身についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 昨年の十一月に懇談会を設置されて、半年間で報告書を出された。まさにスピーディーな対応につきましては評価をいたしますし、ただいま総務局長がおっしゃった新たな目標、一定の方向性を示されたことにつきましても高く評価をしたいと思っておりますが、その上でさまざまなご質問をさせていただきたいと思います。
 この三千三百万電子都市構築というふうにうたわれておりますけれども、この三千三百万というふうにうたわれた段階で、環状メガロポリス構造、首都圏メガロポリス構想におきましては、多摩地域が埋没をしているような嫌いがあるということで、私は一度質疑をさせていただいたことがありますけれども、この三千三百万電子都市構築に向けた戦略ということにはなっておりますけれども、私は拝見をいたしまして、一千二百万都市の情報戦略は記載をされているということは確かに感じますが、一千二百万から三千三百万都市への情報戦略というものについては、記載が余りないのではないかというふうに思うんですが、この点についてご説明をお願いいたします。

○木谷IT推進室長 この電子都市懇談会では、三千三百万首都圏の電子都市化が日本を再生していくんだという非常に明確な目標のもとに議論を行いました。現実の報告書の中の記載は、確かに委員のご指摘のとおり、東京都の施策に沿ったものが多いんです。なぜかといいますと、三千三百万、例えば七都県市で集まってどうしましょうかとやると、すごくたくさんの時間もかかりますし、何か一応のものができたとしても、現実が動いていく形になかなかならない。むしろまずできるのは東京都である、であるならば、東京都自身が突出をしよう、そのことによって首都圏全体の電子都市化の大きなうねりをつくっていこうという実は戦略に基づいて、東京都に即した叙述になっているということでございます。しかし、内容的には、ごらんいただくとわかりますように、東京だけではなくて、ほかの近県でも通用するものが実はたくさんございます。そういう意味では、この報告書が一都三県三千三百万の連携を進めていく報告書としても非常に内容のあるものだというふうに考えております。

○谷村委員 方途としては私はそれで正しいと思いますけれども、首都圏FEMAの記載もしていただいておりまして、これが私は本来東京できちんとした危機管理体制ができて、首都圏にという手順ではないかとは思っているわけですが、この電子都市構築においては確かに東京から進めていくべきことだとも思います。しかし、いろいろな記載、三千三百万というふうに戦略の表題に出ておきながら、三千三百万都市というのは本文にほとんど出てこない。これは「はじめに」の部分ですけれども、「首都圏の電子都市化によって経済活性化と都市再生に成功するならば、その影響は首都圏にとどまらず、速やかに全国に波及し、日本の経済・社会全体の再生につながることは明らかである。」原理的にはそのような気もいたしますけれども、「都政研究」の六月号に、懇談会座長の唐津教授が寄稿されておりますけれども、都庁が動き、区市町村が動けば、一千二百万都民は喜んで一緒に動く、東京が動けば直ちに三千三百万首都圏に波及する、これは日本が動くに等しいといういい方をされております。
 ところが、必ずしもそんなに簡単な話ではないと思うんですね。二十三区三十市町村、全部で六十二区市町村ございますけれども、そこで今行われているさまざまな行政の申請様式とかフォーマットといったものを、都内で統一化をしていくという作業が入ってくるわけでして、それをまず東京で構築しました。では、埼玉、神奈川、千葉に声をかけるときに、それを使ってくださいというふうな形になるのでは、それはここに記載されている対等な形での三千三百万の電子都市構築というのは私はできない、難しいと思うわけですけれども、あえてこの七都県市の連絡協議を進めてというふうに三行だけ、一千二百万から三千三百万への取り組みが記載をされておりますが、この七都県市情報化連絡会議がその一つの窓口といいますか、場になるんだと思いますけれども、ここにおける状況認識、共通理解といいますか、その進捗状況について教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 唐津先生の原稿の話が出ましたけれども、そんなに簡単にいくこともないと思っています。現実的にはたくさんの課題があり、困難がたくさんあります。そういう意味では、東京都庁が動いても、直ちに区市町村には行かないだろうし、区市町村が動いたとしても、首都圏に行くにはまた大変だということについて我々もよく認識をしております。しかし、まず初めの一歩、実はここが一番難しいわけでありまして、これが実は東京都庁自身だったと考えております。そういう意味では、東京都庁自身の変化もまだまだですけれども、しかし、数年前あるいは去年と比べてみても非常に大きな変化をした。そのことによってこういう懇談会の報告ができ、これが今実際に波及しつつあるということも事実でございます。
 首都圏の自治体とは、この間、懇談会の議論に並行しながら、課長級の職員を派遣しまして、先方のIT担当者たちと意見交換をやってきております。その中で、例えば神奈川、埼玉というところは、東京都が考えている、広域自治体が場をつくって、基礎的自治体と連携していくという方向と同じことを実は考えています。そういう意味では、一緒にやっていこうよというエールを交換し合っておりまして、現実の話し合いはこれから詰めていくことになりますけれども、どんなに困難があっても、これをやらない限りは日本が再生していかないわけですから、頑張っていきたいと考えております。

○谷村委員 東京都が先行しなければならない部分、側面と、そして東京都だけが先行して、あとの六県市にそれを強制といいますか、連携をしていくときに困難が生ずるという難しい側面があるとは思いますけれども、今の室長の意欲につきましては、よく理解ができます。
 では、まず第1章につきまして引き続きお尋ねをしたいと思いますけれども、東京の光ファイバーカバー率が六〇%を超えているという表記が出てまいりますが、これは根拠となるものはどういった資料になりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 懇談会報告の二ページに、「東京の光ファイバーカバー率は六〇%を超え、」というふうに書いてございますが、実はこれは国の総務省の資料でございまして、内部資料でございます。非公開ということで、我々はその紙を見せてもらっていますが、その中に記載されていた数値がここであります。非公開でありますけれども、大事な懇談会の報告の中でこういう表現で書かせてもらうということについては、役所同士で仁義を通して書かせてもらっているということでございます。

○谷村委員 その非公開の資料で、区部と多摩の状況につきまして、もしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 全国の各都道府県ごとの数値しかございませんで、地域的な区分はありません。

○谷村委員 引き続きまして、今東京都が電線類の地中化を進めておりますけれども、その電線類の地中化に伴う地下から地上への立ち上げ管路を確保しなければならなくなってくる。一たん電線類を地下にしたものを、今度また地上に上げなければならないという表記が出てまいりますが、これは電線の地下化をやめていかなければならないという環境を指しているんですか。それとも、一部そういう地域が生じるということなんでしょうか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開してください。

○木谷IT推進室長 全部が地中化になっていくという状況のもとでは問題がないんですが、一部架空というところが残っているところについては、委員がご指摘のあったようなものが出てくるということでございます。

○谷村委員 報告書ではそのような記載になってはおりませんで、「東京都では、電線類の地中化を進めているが、従来から架空で引込をしている地域においては、地中化の後、再度、地上へ立ち上げを行う必要が生じるケース」があるといういい方になっていますけれども、地中化を進めているけれども、せっかく地中化したものを架空に上げなきゃいけないということなのかどうなのか。そういう地域がこの基盤整備の中で生じてくることをこの報告書ではされているのかどうか、ちょっともう一度確認を……。

○木谷IT推進室長 済みません、ちょっと時間を……。

○坂口委員長 では、ちょっと速記をとめておいてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開してください。

○木谷IT推進室長 確かにちょっと紛らわしい表現になっていて、地中化そのものがどうなんだということをいっているのかということだと思いますが、先ほど申し上げましたように、全部地中化だったら架空に行かないわけなんですが、地中化は進めていくんですけれども、架空も残ってしまうところが現実に出てくる。そのときには一たん地面の中に入っても、また外に出していかなくちゃいけないというところが残ってしまうんだということを単純に指摘しただけでございます。

○谷村委員 続きまして、今度は九ページの話になりますが、都市部を除く首都圏におけるブロードバンドネットワークの利用可能なところは、環境整備をしっかりやっていかなければいけないという項目がございます。都市部を除く首都圏の地域というのは、都内でいえばどういった地域になりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 どことどこがということは一概にいいにくいんですけれども、東京の場合には、都市部のほかに、例えば島しょ地域がございますし、それから多摩の、奥多摩でありますとかというところになりますと、都市部でないところがある。そういうところについては、ここの叙述に該当していると考えております。

○谷村委員 そういった地域の環境整備に公的資金の活用をしていかなければならない。その公的資金のところに地域情報交流基盤整備モデル事業、これは総務省が進めていくというふうになっておりますが、これは対象自治体は、今ご指摘あった地域の自治体ということで認識はよろしいですか。

○木谷IT推進室長 ご指摘の、総務省の地域情報交流基盤整備モデル事業というものがあります。この対象地域ですけれども、具体的には、西多摩郡檜原村、奥多摩町、新島村、三宅村、青ヶ島村、それから大島、利島、新島、神津村、いわゆる島しょ地域ですけれども、そこが具体的に対象になっております。

○谷村委員 それでは、今回の報告書で第2章になりますけれども、都民がIT革命の成果を最大限に活用するためにということで、防災、産業、教育の三分野におけるIT活用について、具体的な問題提起あるいは提案されていることにつきましては、評価をしたいと思います。
 時間の都合上、この三分野に対して質疑はいたしませんが、なぜこの三分野に絞られて報告書が上げられたのかにつきまして、その理由を教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 報告書の中では、先ほど局長が申し上げました、インフラ、それから都民の利活用、自治体連携という大きな枠を三つつくりまして、その二番目の都民の利活用のところでご指摘の三つの課題を優先的に検討いたしました。
 その理由なんですけれども、懇談会を立ち上げるときに、今回の懇談会は速度が命である、速度の利益をしっかりつかもうではないかという座長のご発言がございまして、すべてを網羅的に検討するのではなくて、都民の生命と財産をどう防衛するか、深刻な経済状況をどう打開するか、それから将来の日本の社会をどうつくっていくのか、そこに関連をして防災、産業、教育という、この三つに絞って検討したわけでございます。もちろん、これ以外にも大変多くの重要課題があることは我々よくわかっておりまして、これらについては今後各局と連携をしながら、どうすればIT化が進んでいくのかということについて最も効果的な方法を採用していきたいと考えております。

○谷村委員 座長であられる唐津教授は、この「都政研究」に寄せられた寄稿の中で、この懇談会で都庁の電子化のすべてをやるというのだから、都の各局はこの会議に関心を持たざるを得ない、だから会議は毎回、毎回多かったというふうに文章がつながるんですね。座長は、この懇談会で都庁の電子化のすべてをやるというふうに、そういう意気込みでこの懇談会に取り組まれたというふうに語られているわけですけれども、今のお話ですと、結果的にそうなったということになるんでしょうか。ちょっともう少し、この三分野に絞られた理由というのは、迅速であるがためにほかをそいでしまったというお話なのか、この三分野になぜ絞られたのかというのをもう少しわかりやすくご説明いただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 一番大きな要因というのは、やはり速度の問題だと思うんですね。この懇談会の立ち上げができたのが十一月十四日でございます。第一回の総会が開けたのが十二月五日だったと思います。年度末までに、三月いっぱいまでに中身をまとめるということから考えますと、事実上四カ月ぐらいという中で、インフラから都民の利活用から自治体連携、それぞれ非常に難しい内容を持っています。これを単なる総論的に、ああすればいい、こうすればいいではなくて、実際に影響を与えるものまでつくっていくというのは、実は大変な作業であったわけであります。その中で、ほかにも確かにたくさんの課題がありますけれども、とりあえず何と何と何が大事だねということになると、やはり防災は欠かせない、これだけの経済の停滞の中でやはり産業は欠かせない、それから教育については、国際競争力も含めて本当にだめになってきている、この三つで優先的に絞ったというのが率直なところでございます。ほかのものを軽視したというわけではありませんが、逆に、ここで一つの方向が出れば、例えば港の話であるとか、付随していろいろな流れが起きているわけですね。これをむしろこれからフォローしながら全庁的な動きにしていきたいというふうに考えています。

○谷村委員 嫌みをいうわけじゃないんですが、「都政研究」六月号に木谷室長が寄せられている文章の初めに挙げられている問題意識、それは我が国の完全失業率の問題を挙げられて、これは産業に当たると思いますが、雇用悪化があって自殺が増えた、四年連続三万人を超えた、加えて東京直下地震、今いわれた防災ですね。それから地球温暖化、環境、福祉危機、教育危機など難問が山積しているという意味では、室長の問題意識、危機意識でいえば、福祉とか環境とかが入っているわけですね。そういったものがこの検討の視点の中では、緊急かつ重要である三分野からは外れているということがあるわけですけれども、これ以上やりとりしても、緊急性を大事にしたということではしようがないかもしれませんが、ただ、電子都庁推進計画を読んで、そして今回の懇談会報告をごらんになる都民の方からしてみれば、例えば電子都庁推進計画の第1部第2章3の(1)、都民や事業者が実感できるサービス向上の実現、また同じ表現が第2部第2章第1でも出てきます。都民や事業者が実感できるサービス向上の実現、これは一体どうなってしまったんだろうという心配、不安を抱かれる方がいらっしゃると思いますけれども、この中で、都民や事業者が実感できるサービス向上の実現、電子都庁推進計画で挙げられているもので、今回の三分野から外れているものというのは具体的に何になりますでしょうか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記再開。

○木谷IT推進室長 何と何が厳密に突合して除かれているかということについて、この瞬間に資料が出ませんので、それはちょっと勘弁していただきたいと思いますが、基本的な考え方として、私の原稿にもありますように、都庁がやっているあらゆる仕事というのはそれぞれに大変意味があると思っています。そういう意味では、このITというものを利用しながらそれぞれの施策を中身を高めていくということは、これは本当に大事だ。ただ、現実にこの懇談会の中で、限られた時間の中で、それも総論的に一般論をいうのではなくて、各局のこれまでの考え方を変えてもらいながら具体的な検討をしていくというのは大変なエネルギーが要りまして、その意味では、すべてのものを網羅的に挙げていくということにやはりならなかったという現実がございまして、それについてはどうぞ委員にご理解いただければありがたいと思っております。

○谷村委員 そういう答弁じゃ困りますよ。電子都庁推進計画で、都民や事業者が実感できるサービスの向上というのをきちんと具体例を出されているわけですから。それで今回三分野に絞られて、それは速度性、スピード性を重視したからそういうように絞られた、それはある面理解できます。けれども、電子都庁推進計画で、これだけのことをやっていくというふうに明示をしておきながら、それから漏れたことについては、これとこれとこれがあります、その項目については、この懇談会報告では対象になっていないけれども、今後こういうふうにしていくんだというものをすぐお答えいただけないようでは、やはり教育、防災、産業だけにこれからの電子都市構築が進められていくのかという疑念を抱かざるを得なくなります。少なくとも、こうやって電子都庁推進計画の中で出されているものはこういう扱いになりますというものをきちんとお答えいただきたいと思います。

○大関総務局長 手元にカンニングペーパーがありますので、それを見てやるわけじゃないんですけれども、実はこの三千三百万人電子都市の構築をやる場合に、電子都庁というのをまず核にしようということがございまして、その中で何を目指そうかということ、これは安く早く質の高い行政サービス、これを基本にしていこう、これをすべての行政の分野に対して網をかぶせていこう、こういうことで取り組んだわけです。ですから、今回の報告書の中でも、電子都庁の部分の中ではそういう表示をしているわけでございます。例えばいろいろな電子入札の問題であるとか、いろいろな仕事の業務改革ですね、それから福祉の分野であるとか病院の問題、あるいは住宅の手続の問題、こういうことにつきましても、これから業務改革をする中で、安く早く質の高い部分でやっていこう。ただ、今の段階でそれがまだ改革途上なものですから、これが先鋭的に表へ出てこなかったという状況はございます。でも、方向としては全部すべての部分が対象になっているということでご理解いただきたいと思います。

○谷村委員 では、この点はそこまでにしておきますけれども、ただ、教育は電子都庁推進計画にも出てきますよね。それで今回挙がっておりますので、今のご答弁ですけれども、例えば医療分野や福祉分野をIT化、電子都市構築を進めていくに当たっての懇談会の委員構成でそういったことを担われる方がいらっしゃらなかったのかなというふうにも感じますけれども、この電子都市構築に向けての懇談会報告に漏れたことにつきましても、引き続きしっかりやられる、こういうことで認識をしておきたいと思います。
 続きまして、第3章に「都内においては、東京都と多摩地域における連携が不十分であり、この背景には、広域的自治体としての東京都の役割が、十分果たされていないことが一因として挙げられる。」と、これは別にIT化の取り組みについての記述ではなくて、広域的な行政サービス、東京都と多摩地域の連携が不十分だというふうに明記されておりますけれども、具体的にどういうところを指してこれは記述されているんでしょうか。

○木谷IT推進室長 これは私もどういう経緯でこういうことになっていったのかとずっと記憶をたぐったわけであります。実際には、懇談会の中であるときにこういう発言がありました。これは多摩地域の方なんですけれども、やはりこれまで東京都--これは東京都の姿勢を問題にしているんですけれども、十分に支援という言葉はおかしいんですけれども、そういう意味ではつながりが薄かったんじゃないか、そういう指摘があったんですね。我々の事務局側の意図としては、事ITについていうならば、これまで、多摩地域だけではなく、区市町村とも一緒にIT化を進めるという視点は全くなかったわけです、実をいいますと。昨年の五月に、都区市町村IT推進協議会というものができまして、そこで初めてITを一緒に進めていこうという場がつくられたぐらいであります。
 私たちの率直な感想として、区市町村と一緒に連携していくという視点を正直東京都が持っていなかったということについては何回も発言をしております。それに関連をした形で、特に多摩はそうではないかという発言が出たというふうに私は記憶をしております。そういう意味では、ここではITを自治体連携でやっていくということに関連をした記述で我々は書いておりまして、表現的にそう読めないということもありまして、これは言葉足らずであったというふうに考えています。

○谷村委員 言葉足らずということであれば、それ以上確認はいたしません。
 この報告書の中の記載に、「現状では自治体によって情報化の進捗度に格差があり、多くの自治体で、電子化・情報化への対応が十分行われていないのが実情」という表現がありますけれども、二十三区三十市町村でその進捗状況につきまして簡単にご報告いただけるものがあれば、お願いしたいと思います。

○木谷IT推進室長 実際には区市町村で進捗度は本当に違います。これは東京都を考えても、例えば二年前と今とでは全く違うということと同じであると思っています。例えば、一つの指標ですけれども、都内の区市町村の情報化の進捗状況、ネットワークパソコン一台を職員何人で使っているかという指標がございます。これは非常にわかりやすい指標でありまして、それでいいますと、昨年四月の東京都の調査ですが、一台のパソコンを十人以下の職員で共有しているという自治体が六十二区市町村のうち二十五あります。一人が一台使っているところもあります。これに対して、一台を五十人以上で共有しているというところが十二残っております。そのあたりの、これはインフラの話でありますけれども、そのほかのいわゆるIT化の取り組みにおいても本当に千差万別というのが現在のところでございます。(「ちなみに東京都は」と呼ぶ者あり)東京は今--お答えしてよろしいんですか。

○坂口委員長 速記とめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開してください。

○谷村委員 東京都は二十三区三十市町村は対等な立場でこの電子都市構築を進めるというふうにいっておりますので、申しわけありませんが、東京都につきましても状況を説明してください。

○木谷IT推進室長 東京都はことしの二月の上旬までに、本庁の職員ですけれども、一人一台をようやく達成できました。それで個人パソコンだけで約一万台ということでございます。大変な投資であります。今年度、来年の一月いっぱいぐらいには事業所の職員に、やはり約一万人にパソコンが行きます。その段階で初めて東京都の職員の頭脳がつながるという実は画期的な状況が出るわけであります。直前までは本当に悲惨な状態で、私たちは原始都庁と呼んでいましたけれども、今電子都庁に向かってちょうど変革期に入っているということでご理解いただきたいと思います。

○谷村委員 では、BPRについてお尋ねをしたいと思いますけれども、BPR、BPRといいますと何のことかわかりませんので、ちょっとBPRについて簡単にご説明いただければ……。

○木谷IT推進室長 BPRというのは、英語でビジネス・プロセス・リエンジニアリングということでございまして、業務プロセス、ビジネスプロセスですけれども、これをITの力も活用しながら抜本的に変えていく、これがBPRでございます。これが強調される理由というのは、電子政府とか電子自治体といいますと、要するにコンピューター化することなんだろう、今やっている仕事を電子化で置きかえるんだろうというふうに誤解されます。そうではなくて、今やっている仕事について徹底的に見直して、要らないものはなくす。それから簡素化し、最終的に残るものについてITを使って効率化していく、これを徹底しないと、逆に弊害も出るというところでBPRが強調されております。

○谷村委員 要するに電子化というのは単に紙から電子に移るのではなく、その電子化に伴って業務改革が行われなければならない、こういうことだと思いますけれども、例えば三鷹市の企画部の情報推進室長は、基礎自治体の中心的な使命は、情報システムを構築したり運用することよりも、情報システムの機能を利用して市民の満足度を向上することにあることをいま一度想起すべきだろうと、このように書かれておりますし、練馬区職員研修所長、尾関敬二さんは、IT装備は今日的な自治体業務プロセス改革の手段である、だから手段であって、それ自体が目的ではない、むしろこの電子都市化あるいは電子都庁化によって、BPR、業務改革が進まなければならないんだ、その恩恵を市民が、都民が受けなければならないんだ。
 こういう大事な位置づけにBPRとはなるわけですけれども、そこで、この都庁内のBPRというのはどこが主体となって行われるようになりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 東京都においては今総務局の行政改革推進室、それから私どもIT推進室が中心となって業務改革に取り組んでおるところです。

○谷村委員 お尋ねしますけれども、目前のBPRが必要だということにつきまして、どういった課題が対象になるか、行政改革推進室長、お願いします。

○島田行政改革推進室長 ITの件が出ておりますので、ITでご説明したいと思いますが、今回アクションプランで、三百五十の施策のうち、二十五がITの分野で、BPRといいますか、ございます。中身は、具体的にいいますと、例えば都民の方が自分のパソコンからインターネットで電子申請とか届け出ができる。それから都庁内部の仕事がいろいろいわれておりますが、電子決裁、今は判こでございますが、電子決裁を導入する、こういったことでさらなる効率化、そういったものを進めていこうということでございます。

○谷村委員 今回、総務局から出されました住民基本台帳法関係手数料条例ですけれども、その条例の議論は既に終わっておりますし、今するつもりはございませんが、この住民基本台帳の本人の確認をするに当たって、画面で見れば無料です、ボタンを押してプリントアウトすれば、一枚につき二十円かかるという条例案を同時に出されているわけですね。その二十円の根拠は何かというふうに伺うと、基本的には人件費だと。紙代が幾らかかかるんでしょうけれども、基本的には人件費であると。(「電気代もかかる」と呼ぶ者あり)電気代もかかります。画像で都民の皆さんに見せるまでは手数料を取らないわけですね、これで本人の情報を確認するということで。その紙をくださいといって、プリントアウトのボタンを押した瞬間から手数料がかかってくる。これが要するに今回条例案で出されている住民基本台帳法関係手数料の、その手数料のあり方、簡単にいえばそういうことになると思いますけれども、私はこれはまさに、今回条例案で出されておりますけれども、出された瞬間にBPRの対象になると思いますけれども、木谷室長、もしよろしかったら見解をお願いします。

○坂口委員長 速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開してください。

○反町行政部長 住基ネットの関係につきましては、法の趣旨に従いまして手数料を取るべき対象であるということで判断をいたしまして、手数料を取るという形にしてございまして、どちらかといいますと、法的な関係から取っているものでございまして、効率化という観点からの考慮は後ろになっているということでございます。

○谷村委員 条例案の議論をするつもりはございませんけれども、二十円という価格の算出とか、一枚目までの労力と、今度は二枚目になると基本的には半額になるとか、基本的には、こういう情報確認ですから、これは受益者負担の発想ではなく、むしろ自分の情報がどのように東京都のサーバーに入っているかという確認をするという権利の行使であって、さまざまな議論ができると思いますが、ちょっと条例案の議論ではありませんので、避けたいと思いますが、この三三ページに、BPRを意識した事業の取り組みというところで、「電子化・情報化を進める上で、支障となる制度・手続について、ルールや慣行にとらわれることなく見直し、速度をあげて業務改革をすすめていく」必要がある、このように書かれております。また、木谷室長が寄稿されております、ご持論の原始都庁七つの大罪の中の残り三つですね。大変すばらしい文章、ご指摘だと思いますけれども、膨大な内部管理事務が発生しており、サービスコストが高いと、現実の都庁は。また、職員の意欲をなくさせる罪として、巨大組織のあらゆる制度、慣行が職員の意欲をなくさせている。顧客の側を向いていない罪として、これは最大にして究極の罪であるという記載がなされております。
 多摩地域から都庁に来て、自分の情報確認をする。高速道路を使えば千円や二千円かかる地域もありますし、電車でもそれなりの費用がかかる。わざわざ自分の情報確認をして、画面で見たら無料ですよといわれて、プリントアウトするんだといってボタンを押した瞬間から有料になるという、こういった都庁のあり方というのは、まさに私はBPRしていかなければいけないことではないかな。法令は法令としても、都民の皆さんが納得できる金額、あるいはあり方にしていかなければならないのではないかというふうに思いますけれども、最後に、この「おわりに」の部分で、「懇談会の提案した電子都市の構築に向けては、何よりも速度を重視し、総力を結集して実行に移すことが重要である。」、このように記載をされております。先ほどの、私の前の質疑の中で、代表的取り組みで、建設局、住宅局、総務局というふうに挙げられましたけれども、この懇談会報告を受けて、防災、教育、産業に絞られた分野以外のものも含めて、どういう取り組みをされるのか。タイムスケジュールはなかなか出ない、できるところからやるということでしょうけれども、その三分野を除いた分野も含めて、どのような取り組みをされていくのか教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 四月に懇談会の報告が出まして、それを受けて五月のIT会議という部長級の会議ですけれども、そこでこの内容の報告をし、各局に、これを受けて直ちに何をやらなきゃいけないか、十四年度と十五年度ございますが、これについての戦略を出してほしいというふうに要請しております。今その取りまとめの作業に入っていまして、一つは、それで各局が実際に何を今しなければいけないのかということを改めて把握をしようと思っております。
 と同時に、まさに速度が大事でありまして、直ちにできるものについては直ちにやろう。またそれについて新たな検討をしてとかいうことではなくて、いいことでできることは直ちにやろうよという形で、実は各局も動き出しているところがございます。例えばこの三分野以外でいいますと、港湾局、これは知事がシンガポールに行って、シンガポールの港を見て、非常に感慨を覚えたというのが紹介されていますけれども、実は港湾局でも同じような思いをずっと持っていまして、やりたかったんです。それが知事のそういう発言をきっかけにして、実際に日本じゅうの大きな港と連携しながら、物流あるいは通関手続の抜本的な見直しをITでやっていこうという機運が実は起きています。そんな形で、全部の状況をまだつかんでいませんけれども、それぞれの局が前に出ていく形で競争していくという形になりつつあるのではないだろうかというふうに考えています。我々としてはそれを全力で支援をしていきたいと考えております。
〔「知事がいわなきゃやらない、そこが一番の問題だ。局長がいったぐらいじゃやらないというのは問題だよ」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員 ちょっと今ご指摘もございますけれども、確認をさせていただきますが、ということは、この懇談会を受けて、報告を受けられて、都として、総務局としてですか、都として実施計画とか戦略計画は特にまとめられない、この報告を受けた、その報告を受けて各局がそれぞれ取り組みます、こういうものですか。

○木谷IT推進室長 済みません、言葉が足らなかったので--各局に今つくってもらっている緊急戦略、これを我々の方で取りまとめます。実際に二年度間でどういうふうにできるかと今お約束できませんけれども、全体の財政状況等も関係してくると思いますが、できるだけ前に進める方向で取りまとめをしていきたいと考えております。

○大西委員 東京都地域防災計画について、少しお聞きしたいと思います。
 都市災害に対する見方はかなり変わってきていると思います。つまり地震や洪水など、都市に大規模な被害をもたらす災害を完全に防止することはできないという前提で、できるだけ被害を少なくするために都民一人一人が役割を担うことが必要だというふうに変わってきているんじゃないかと思っています。しかし、そうはいえ、行政には防災対策が求められるわけですが、それでも完全に被害を防止するわけにもいかないというのが事実だと思います。そこで、やはりハザードマップというものがこれから非常に必要になってくると思っております。ハザードマップを作成し、公表し、どんな災害が起こり得るか、一人一人に理解を求めることが前提になってくるわけです。そして災害の防止、物的被害の軽減、人的被害の軽減など、災害の程度に応じた対策を定めて、都民の協力を得ながら適切な対応をとることがこれからの防災のポイントになるのかなと思っております。
 そんな中でちょっと質問したいんですけれども、あらかじめ聞いておけばよかったんですが、この防災会議、これをつくられた構成メンバーとか、ちょっとその辺の、これができるに至る過程を教えていただけますか。

○岡部災害対策部長 東京都防災会議というのは、災害対策基本法に基づきまして、東京都知事が会議の議長になっています。そのほか、国の関係機関、東京都庁内各局、それから先ほど谷村委員からもご指摘がありました鉄道事業者を指定地方公共機関と指定します約百を上回る防災機関があります。そこで構成している防災会議でこの防災計画を定めるということになっております。
 これの経過につきましては、昨年の九月に基本方針を定めまして、各局、各防災機関にその方針に基づきまして改正の依頼をし、その後、約三カ月の各防災機関と議論を重ねた上、ことしの四月に完成した、決定を見たということでございます。

○大西委員 資料要求の中に、ハザードマップの公開と作成している自治体とか、そういうものを要求しました。これを見てみますと、現在自治体で独自にハザードマップを作成し、公表しているところが非常に少ないように感じます。取り組みが進まない理由など、その辺の状況を教えていただけますでしょうか。

○岡部災害対策部長 河川のハザードマップの作成の取り組みが進んでない理由としましては、一つは、浸水シミュレーションの技術的な問題とか、それを支える人材、トータルとしての経費など、区市の負担が大きいことや、ハザードマップ自体の有効性や必要性につきまして必ずしも区市の理解が得られてないということが考えられております。

○大西委員 区市の負担が大きいということですけれども、どれくらいの負担が、もしそれに取り組もうとするときに要求されるのか。そして、取り組んでないところに今後どのように働きかけていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。

○岡部災害対策部長 経費的な問題は、例えばマップをつくるという、ハザードマップをつくる場合には、例えば新宿区では六百万とか、杉並では百五十万とか、そういったオーダーですが、浸水シミュレーション等、これはコンピューターを回すという非常な大作業になりますので、その経費が莫大なものになると考えております。
 そこで、東京都はあらゆる機会をとらえまして、区市としてハザードマップの有効性や必要性を説明するとともに、必要な支援を行っていくこととしております。
 また、国が作成しました浸水想定区域図に基づくハザードマップの作成に当たりましては、河川管理者である国に対しまして、区市の浸水データの提供、シミュレーション技術や人的な支援を要望しております。
 今後都は、都の管理をしております隅田川水系を対象としました浸水予想区域図の作成、公表を予定しておりまして、これに合わせてハザードマップの作成を働きかけていくこととしております。

○大西委員 水害での被害が特に深刻なのは、荒川、それから利根川も入るんでしょうか、国がシミュレーションを出したということですけれども、都としてどのように把握し、対策を立てているのかというのをお聞きしたいんですけれども、ひょっとしたらここに出していただいた資料が、国のシミュレーションが出たことによって進んでいるというふうにとっていいんでしょうか。

○岡部災害対策部長 昨年の七月に水防法が改正されまして、まさにハザードマップを公表するという状況になって、積極的にハザードマップを出すということで今事業を行っているわけでございます。特にハザードマップは、国の管理する河川は、利根川は群馬県から埼玉県、それから東京にかけての幅広いものでございますので、そういったものにつきましては国の支援をどうしても得なければいけないということで、それに基づきまして、東京都としての浸水予測図をつくりまして、それを区市町村に示して、各区市町村の実態に合わせてハザードマップをつくるよう指導しているところでございます。

○大西委員 いただいた資料の中からも、作成をし、公表している新宿区とかあると思うんですけれども、それを見た住民の反応というんですか、そういうのはどういう状況なんでしょうか。

○岡部災害対策部長 千代田区ではハザードマップをつくるに当たりまして、地元住民が一緒に参加して作成作業に携わっております。また、新宿区では、地元説明会を行いましたが、その中で、避難に活用したいという住民の意見もございます。また、文京区では、作業作成に地元が参加し、大いに有効という意見をいただいております。大いに有効だという意見が圧倒的でございます。

○大西委員 今回出されたのは、水害をもとにしたハザードマップですけれども、暮らしている中で、いつも東京に暮らす私たちは、地震というものがある意味一番の有事かというようなとらえ方もしておりますけれども、こういう都が出した水害によるハザードマップ、それから地震とかいろいろな災害をミックスしたようなものが地域の中でつくられて、そしてそれが住民に示されることが求められると思うんですけれども、そのような取り組みをしているところがあれば教えていただきたいし、ぜひ取り組むように自治体にも働きかけていただきたいし、そういうことをちょっとお聞きしたいと思います。

○岡部災害対策部長 地震は大規模な災害ですが、河川の場合については浸水する地域が限られているということで、地元区市町村では、関係の高台にある小中学校等を活用して避難所にするというふうな形で、避難路とか避難所を決めております。しかし、東京都としましては、東京都が大規模地震における広域避難広場等が活用できれば、その中に地図を盛り込むということについては積極的に支援をしていきたいと考えております。

○大西委員 確かに地震と水害というのは、どういうふうにこれを一緒にしていくかということは技術的な問題もあると思うんですけれども、やはり地域で暮らす住民にとっては、自分が住んでいるところが、地震が起こった場合はどういう危ないものがあるのかとか、洪水の場合はこうだと、ダブルで来ることもあるかもしれませんので、そういうことでぜひそのような取り組みを進めていただきたいなと思っております。
 今本当に東京に住む人たちは、都市の危機ということで、非常にそういうものに対して敏感になっていると思います。とはいいながらも、やはり防災意識というものはなかなか毎日の暮らしの中で考えていくというのは、非常につらいものがあるわけですけれども、都民の防災意識はどのようなものと把握していらっしゃるんでしょうか。

○岡部災害対策部長 水害に関する世論調査はしておりませんが、一般的に、神奈川県の玄倉川の水難事故とか、東海地方の集中豪雨による浸水事故に見られるように、風水害に対する防災意識は低いものと考えております。
 このハザードマップは自分の住む地域の危険性が認識され、災害をより具体的に感じることができ、災害に対してみずからの命はみずからが守るという自助意識を高めるという効果も期待できます。
 さらに、ハザードマップは地域特性が把握でき、地域共同体としての防災行動、いわゆる共助を一層促進するものと考えております。

○大西委員 私たちの不安はそれにプラスして、テロ、化学テロ、いろいろなこれからの新しい問題というものに対しても非常に心配があるわけですけれども、東京都の防災対策課として、これから関係自治体との非常な連携が求められるわけですけれども、どのような協議を持ってその対策を進めていくんでしょうか。

○岡部災害対策部長 今回の風水害等編につきましては、特に風水害につきましては、浸水対策を推進するためには、水防協議会や水防連絡会を通じまして、都と区市が連携して取り組んでいくということになっております。
 また、区市はハザードマップの説明会を開くなどの積極的な取り組みを行うよう指導していきたいと考えております。

○大西委員 ちょっと外れるかもしれないんですけれども、利用している者として一つ心配なのが、東京駅とか上野駅、この部分は非常に地下水が豊富で、常に地下水との戦いの中で駅が保たれているわけなんですけれども、そういうところでこういう浸水対策、地震対策というもので、大丈夫なのかなという不安がいつもあるんですけれども、それに対してお答えいただければと思います。

○岡部災害対策部長 地下街に対する浸水対策につきましては、平成十二年四月、建設局を中心に、地下空間浸水対策を取りまとめました。河川の整備や雨量情報の即時伝達などの対策を行っているところでございます。
 なお、東京駅の地下水につきましては、現在、立会川の方の浄化をあわせながら、そちらに流すという事業を進めているというふうに聞いております。

○大西委員 一方では地下水の利用というものも考えながら、その対策を十分に進めていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、やはり行政の防災対策とともに、一人一人が暮らしの中でこのハザードマップを利用しながら、自分の安全対策を考えていくということがこれから求められると思います。一たび災害が起これば、現場でそれぞれが被害を最小限に食いとめる努力をすることが必要になるわけですから、そういう意味でふだんから災害と共存を心がける必要があるために、このハザードマップをしっかりと役立てるように取り組みを進めていただきたいと思います。
 以上です。

○松本委員 総務部長、最初に伺いますが、総務局でこういう資料とか書類ですね、総務局で扱うもろもろの部分の電子化というのは大体どれくらいの割合になっていますか、電子化ができている資料というのは。おおよそでいいですよ。

○坂口委員長 速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開してください。

○高橋総務部長 今ちょっと手元にそういった資料がございませんで、はっきり答えられませんけれども、我々今お手元に資料をお配りするのに、結構ワープロ機能を持ったパソコンでいろいろな書類をつくっております。そういうものをできるだけ電子化ファイルという形で個人個人が持つと。ただ、皆さん方にお届けするような形については、こういった形の印刷媒体にしてお配りしていますが、今後、それほど大量につくるというようなことはできるだけ避けよう、こういう試みをしております。

○松本委員 私は昭和六十年に初当選をいたしました。そのときに、この庁舎をつくる、つくらないという審議が大変に熱っぽく語られたわけであります。そのときに、一つの事例として、東京都で扱う書類というのは膨大なものであります、その保管というのは、高さに積み上げると月へ届くぐらいあります、その倉庫だけでも大変な費用がかかります、それを電子化しておけば--あの当時フロッピーを見せられたと思うんですが--このフロッピーにこの程度の書類がおさまるんです、そうすると、都庁の倉庫というのはがらがらになって、その分だけでもコストは大変に安上がりです、こういう説明を、ああ、そういうものかと思いながら聞いた思い出があるんですよ。そういう作業というのは今東京で、都庁の中でどの程度進んでいるのかということをちょっと木谷さん、答えてください。

○木谷IT推進室長 先ほどの総務部長の話にダブりますが、実際に作成する書類はほとんどパソコンでつくっていることは事実なんです。しかしながら、電子的につくったものを、それを文書として認めていくということができないので、全部プリントアウトして、最終的には紙で決裁しているわけです。したがって、あらゆる文書が、年間百万件なんですけれども、これは紙の形で保管しなければいけなくて、先生おっしゃったように今から十年前にそういう話があったとするならば、それはいまだに達成されていません。

○松本委員 局長、それじゃ大うそをおれたちはつかれた。十年間だまされ続けていたわけです。約束どおりやりますと、局長、いってください。

○高橋総務部長 文書をできるだけ少なくしようという試みは、先生もご案内かもしれませんが、かつてはファイリングシステムということで、いろいろなものをみんなが共有、一人一人持つのではなくて、ある一つの特定の文書をみんなで共有しよう、そういう試みもしてきたわけですね。こういったIT化の動きの中で、今IT室長がいいましたように、フロッピーという媒体ができたわけですから、こういうものの中にどんどんどんどん文書を閉じ込めて、その都度画面を見ながらやっていこうと。例えばIT化の中で、私ども文書総合管理システムというものを今構築しているわけですが、これも今職場に行きますと、例規集、こういうものを一切なくしていこう、例規集をのぞきたい人はあくまでも端末でのぞきなさいと。あるいは今回条例案をお出ししましたが、そこで新旧対照表の改正部分も、そういったものを使って、でき上がったものをここにお出ししようと、そういうことで職場を幾らかでもペーパーレス化していこう、こういう試みはしております。

○松本委員 総務部長、ぜひお願いをしたいんですけれども、議員にこういう資料をつくっていただくんですよ。ところが、僕のところはそんな図書館を持つほどのうちを持ってないものですから、膨大な資料が一年間でこんなにたまる。それを僕がコンピューターの中に入れようと思ったら、一々また打ち直さなきゃいかぬ。こんなばかな話はないので、インターネットというのかな、メールというのかな、これで各議員のパソコンにどうして送ってくれないんですか。理由を教えてください。

○木谷IT推進室長 先ほど申し上げましたのは、この瞬間の状態を申し上げたので、実はこの瞬間に激しい変化が起きています。ことしの四月から文書総合管理システムの中の、新しい文書をつくるときに登録するというのがありますが、これは全部電子的に行われているんです。しかし、まだ文書本体は紙でやっています。先ほど総務部長が申し上げましたのは、この十四年度に文書総合管理システムをシステム化しまして、来年の四月には本体の文書総合管理システムが走りますので、その段階で基本的には我々がつくる文書は紙でなくなります。
 委員の先生の方々のところになぜまだ紙が行っているか。それはまだお互いにパソコンがなかった時代があったわけです。ことしの一月いっぱい、二月の上旬までは我々も持っていなかったわけです。私は持っていましたけれども、都庁の一般の職員は持っていなかったわけです。それから議員の方々にもことしの一月までは一人一台のパソコンがなかったがために、電子的にやりとりをするというのは非常に難しかったという現実があったと思います。そこを議員の方々からの強い要求を受けて議会局が動き、ようやくお互いが少なくともインターネットを通じて情報を送り合うことができることになったというのが、ごく最近のことなわけです。そういう中で、これからはできるだけお互いにメールを使って文書を送り合うという習慣にしていきたいと思っていますし、東京都の中でもその動きで今必死にやっております。

○松本委員 電子都庁だとか電子都市だなんて偉そうなこといっているんですが、その所管の委員会の委員にさえ、そのメリットというか、こういうものですよということが現実にできてない。これはもうゆゆしき大事でありまして、当総務委員会で質疑をするのに、ここにパソコンがあったり、画面の大きいやつをすぽんと置いて、それにさっき山下先生がやっていたような難しい質問は、きちっと視覚的に説明をするとか、質問をするとかということぐらいは早急に、木谷さん、できなきゃおかしいですよ。僕がもらったこういう資料だって、紙で積んでおくと、次見たいと思ったら、半年後に見たいと思ったときに、探すのに苦労するんだ。そうでしょう。皆さんだって、それは探すのに苦労するはずですよ。だから、やはり電子都市だとか電子都庁だというんだったら、まずこの委員会から始めてほしい、こう思うんですが、ここでパソコンが使える環境をつくるのに、木谷さん、一、二週間でできるかできないかだけ答えてください。

○木谷IT推進室長 相手があることですので、相手というのは技術的な民間企業の関係ですけれども、昨年の一月の時点でここまで回線が通っていますので、二週間ぐらいあればできそうな気がいたしますが、済みません、明確ではありません。

○松本委員 二週間あればそういう設備ができるそうですから、委員長としてきちっと申し込んでください、議会局長なり知事なり大関局長なりに。それで、ITの活用というのは議会においてはこういうものなんですよというのを見えるようにしなければだめですよ、見えるようにしなければ。能書きばかりいっていたってだめ。委員長から申し込んでください。委員長、どうですか。

○坂口委員長 速記をとめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 それでは、速記を再開してください。
 それでは、今の松本委員の発言につきまして、理事会において協議をさせていただきたいと思います。その上で対応したいと思います。

○松本委員 例えば三千三百万電子都市、こういう話なんですけれども、一都二県でしょうか、東京と千葉と神奈川ということになるのかな。例えば成田と羽田を結ぶ列車を走らせるという課題になると、これは東京だけの課題ではなくて、千葉県民の課題でもある。そうすると、今千葉県の県議会で一体どういうことが話されているのか、東京でどういうことが話されているのか。それから産廃の問題にしても、みんな一都三県の課題というのは話題になっている。ところが、電子都市、都庁、この東京で我々が発言をすることというのは、数カ月たたないと千葉県の県会議員は見ることができないんですよ。速記録を取り寄せなくちゃいけない、という世界ですよね。だけれども、たまには一緒に、半年に一回ぐらい、それぞれの県議会の議長さんとか各党幹事長がテレビ会議ぐらいはできるような都庁にしてくれなきゃ話にならぬと思うんですよ。本会議はやっと中継ができるようになったけれども、ここに広角カメラを置いて、そして、カメラマンがいなくたって、広角カメラを置いて、声を拾って、インターネットで流すなんということは、木谷さん、技術的にそんなに難しいことなのか、コストとしてべらぼうに高くかかることなのか、そこら辺、ちょっといってください。

○木谷IT推進室長 純粋に技術的な話だけで申し上げますと、今、例えばいろいろな記者会見を流したりとかやっているわけでありまして、小さなカメラをつけて、それを小さな窓でインターネットに流していくということはもちろん可能でありまして、難しいことではございません。

○松本委員 やはり所管の委員会のこの総務委員会が先頭を切ってやってもらわないと、ほかの委員会でどうするという話につながっていかないと思うんですよね。ですから、電子都庁、IT化を所管する当総務委員会において、そういった設備、この委員会室を整える、パソコンの対応を考える、そしてこうした資料というのはきちっと電子資料として、それは紙で配っちゃいかぬとはいわないけれども、少なくとも電子資料で、自分の、それぞれの委員のパソコンに送ってもらえる、それぐらいのことはやってもらわなきゃ、かつて昭和六十年にこの都庁舎を建てたときは、そういうことをやるという約束でやったんだ。十年たってもまだ委員会室が旧態依然だ、設備が旧態依然だというのはぐあいがよくないから、総務委員会からそれを始めるということを、委員長、理事会で取りまとめていただきたい。答えてください、委員長。

○坂口委員長 大変いい提案だと思います。ただ、これは議会の改善にかかわることでありまして、松本委員はご承知のとおり議運の委員長でもございますので、議運の承認がなければなかなか前へ進まないと思います。しかし、せっかくの提案でございますので、前向きに、人、物、お金、それから技術がすべて必要になります。それらを含めて理事会で検討させていただきまして、また議運にそれを提言したいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどお願いをしたいと思います。

○松本委員 確かに議会のことなんですけれども、議員というのは、能書きいったりいろいろするんだけれども、なかなかそういうことがどこまでできるのかという実感で見えないんですよ。だから、木谷室長、ここの部屋のレイアウトでもしやるとしたら、どこに大画面を置いて、委員の席をどうやって、説明員の席をどういうふうにセットして、それから今議員にそれぞれパソコン一台置いてあるんだけれども、あれを自宅へ持って帰ったりしている議員は少ないと思うんだな、控え室からここへ持ってきて、それを使うということになったときにどういうことになるのか。それぞれの議員にわかりやすく、本当の素人にわかりやすく、レイアウトというのかな、イメージをつくって、後ほど各議員個別に当たっていただきたい、こう思うんですが、室長、難しいですか。

○木谷IT推進室長 お座りになっているところがもう決まっていますので、レイアウトといっても、画面をどこに置くかというだけだと思いますので、それは私の方でご説明させていただきます。

○松本委員 やはり都庁内のIT化というのをどんどんどんどん進めて、きょういただいたこういうような資料を、関心のある都民にはオープンにしていったらいいと思うんですよ。総務委員会で速記録だけじゃなくて、委員会の資料要求にこたえてそれぞれの局がどういう資料を提示しているのかというのも情報公開の一つだと思うんですよね。こういうのを見ながら、みんなそれぞれ都民が都政に関心を持っていただけるということですから--光ファイバーなんて、おばあちゃんにいったって、光ファイバーどこにあるんだいと、こういわれたって、目に見えないようなITよりも、わかりやすくて便利になって、なるほどなと思わせるような形を都政みずからやっていかなくちゃいかぬ。議会みずからやっていかなくちゃいかぬ。
 それは議会の側の話なんだけれども、しかし、やはり議員に、こういうことなんですよという説明を、ITを推進しようとする総務局が先頭に立ってやってくれないと、なかなか前へ進まない。遠慮なく議員に、こうやるべきだという提言をどんどんしてもらわないと、議会棟だけおくれちゃう。けしからぬ、こう思っていますので、局長、よろしくお願いします。もうおれはやめるんだからなんて思わないで、最後にびしっと後任の局長にやらせますといっておいてください。

○坂口委員長 答弁の前に一言ですが、松本委員はかつて都議会の情報公開条例を制定したときの座長でもございますので、今の発言はそういう流れの中で出てきている発言だと思いますので、局長にご答弁をお願いいたします。

○大関総務局長 いろいろ私どもも、今議会の関係、正直にいって一番おくれているんです。いってみれば、ブロードバンドもここだけ配線されていなかったとか、物理的な問題もございます。それから、議会との関係で、資料を送る場合に、例えばフロッピーで送ったのでは失礼であろうとか、それからインターネットだけで送っておいて、インターネットで入っていますから、それをごらんくださいというのが失礼であろうだとか、また、議員さんによりましては、まだインターネットを開いたこともないという議員さんも多数ございます。こういう状況下の中で、私どもがどうやって誠意を持って先生方に理解をしていただけるかという部分、これはある面では文書と直接説明するのとインターネットと、三つを並行してやっていかなきゃならない時期というのが当然あるはずなんですね。これを並行で進めていきながら、最終的には完全な電子議会といいますか、そういうところまで持っていくということになるんじゃないかと思います。
 それはお互いが信頼というものの中で組み立てていきませんと、成長しないだろうと思っています。当然、その過程の中で、その流れが都民からもよくわかるような形になることが、やはり応援団としてスポンサーの都民が税を払っていこうという気持ちになるでしょうから、そういう中で議会がどんどん電子化のために金を使っていくのは結構じゃないか、こういうことになってくれば、やはり全体的に促進されるだろう、このように思っていますので、これは当然引き継いでまいります。

○織田委員 最後でありますので、できるだけ簡潔に終わりたいと思います。
 東京都の震災対策事業計画、これ報告になっておりますけれども、ITを活用した情報通信などの強化の中で、一一五ページなんですけれども、発災をしました、その後、どういうふうに情報をつかまえるのかということについて、このIT化を図って強めていこうということを検討していきましょう、こういう記述があります。阪神・淡路大震災のときでも一番問題になったのは、初動体制がうまくいかなかったこと、情報が集まらなかったことというようなことで、大変大きな被害に増幅をされたのではないのかなという気がするわけであります。この三千三百万の電子都市の構築に向けた情報戦略、これの一番最後にも載っておりますけれども、確かに二十四時間以内に救助活動の効率性を高める必要がある。生存率なんかを見ていきますと、初日の場合は七四・一%であったんだけれども、二日目には二六・五%ということで、救助の手が入らなければ入らないほど、亡くなる方が多いというような状況、これは当たり前の話なんですけれども、そういうようなことになっている。ということになると、遅滞なく被害情報なり災害情報が上がってくるような、そういうシステムを強化をしていくことが非常に大きな人命救助の力になるということであろうかと思うんですね。
 そういった意味からお伺いをしたいわけですが、現在、東京都では、災害情報の収集、これはどのように発災時から行われているのか、簡単にお答えをいただければと思います。

○岡部災害対策部長 大地震が発生しますと、東京都は直ちに都内各地に百カ所設置しております地震計ネットワークシステムによりまして、震度情報で激甚地域を推定するとともに、警視庁、東京消防庁のヘリコプターテレビを活用しました地震被害判読システムによりまして、直接映像により被害状況を把握します。また、一方では、区市町村からは、東京都防災行政無線の回線を利用しました都の災害情報システムにより、被害情報を収集することになっております。これらの情報をもとにしまして、初動体制を確保し、救出、救助などの応急対策活動に当たることになっております。

○織田委員 今のご答弁はおおむね三つありました。地震計ネットワーク百カ所ある、これから上がってくる情報で、非常に大きな被害が出たであろうというところを推測をする、揺れが激しいとかいうことですね。それから、警視庁、消防庁のヘリコプターにカメラを積んで、その被害が起きていそうだなというところ、情報が入ってきているかもしれませんが、そういう肉眼で、あるいは画像できちんとしたそれを読みとれるというようなものを加えていく。第三番目には、各自治体等から上がってくるものを無線で収集をする、この三つで大体、要するに被害の状況というのをつかんで対応してまいりましょうということだろうと思います。
 あるいはまた、それに対応する職員の方については、それについて発災後おおむね三十分程度でこの都庁の中に集まって、それに対する対応をしていく。あるいはまた、マスコミに対しても、これまた非常にやっかい--やっかいといっては怒られちゃうんですけれども、そういうような対応もあろうかと思います。それによって実際の仕事がはかどらないという実に二律背反的な悩みの中で、恐らく混乱状況の中で、そういったものが行われていくんだろうというふうに思いますが、現在のこういったことの中で、今一番これが課題ですよといわれているのは一体なんですか。それをどういうふうに認識をされておられますか。

○岡部災害対策部長 大きな被害を受けた区市町村では、その被害の大きさから、区市町村の活動体制の確保が非常に困難であること、そういったことによりまして、被害情報がなかなか把握できないなどという情報の空白の地域がございます。これは情報空白区域。それから、情報自体がなかなか伝わらないという空白期、その時間的な問題がございまして、こういった問題に対応するために、ここ数年格段に進歩、進展しました情報通信技術を被害予測にいかに活用していくかということが大きな課題として挙げられます。

○織田委員 今のお話ですと、警視庁のそういうヘリとかあるいは地震計とか、リアルタイムで上がってくるというもの以外に、区市町村がつかまえているそれぞれのエリアの被害状況というのは、被害が甚大であればあるほど上がってこないだろう。そこに情報空白区域あるいは空白の期間というのが生じるであろう。それをどこまで要するに縮めることができるのかが今大きな課題だ、こういうご答弁だったと思うんです。
 こう見ていますと、この報告の、対策の事業計画の中には、この報告をされた電子都市構築に関する懇談会での検討状況を踏まえて、初動期情報収集体制について検討していくというふうに書かれています。その部分はどういうふうになっているかというと、東京都として重点的に取り組むべきものとして、情報空白期間への対応、これは括弧して緊急課題。あるいはまた、被害予測システムの導入というようなこと。これは震度情報、ライフライン機関からの情報、統合型GIS等による被害予測システムを早急に整備し、人員、物資等の最適な配分を行われるようにすべき、等々ですね。あるいは情報収集衛星の利用促進といったようなことがこの懇談会報告では述べられております。一々もっともな話で、これはすべからく早くやっていただきたいというのが私たちの希望であるわけなんです。ここで木谷室長の方で、あるいはまた、唐津座長の方で速やかに検討していただいて、これを見る限りはかなり、これができれば、その辺の空白域とか、そういったものが縮まるのではないかというふうに私も感じます。
 阪神・淡路大震災の教訓から、兵庫県ではこの被害予測システム、フェニックス防災システムというのをつくっているそうでありますけれども、東京都としてもこれだけスピードをもってやるということでさまざま答弁ございましたけれども、スピード感のあるもの、できるものということでやっているわけでありますから、端的に、これは、この提言、どういうふうに具体化していくのか、いつごろこれについて着手をし、またできるのか、この辺のところをご回答をいただければと思います。

○岡部災害対策部長 地震が発生した場合に、直ちに被害を予測するシステムの導入は、情報空白期にいち早く対処するために大変有効でございます。現在、ITを活用した災害対策推進検討委員会を設置しまして、具体的に検討を開始しております。検討の成果を踏まえ、平成十五年度予算に予算要求をしていく方向で今一生懸命やっているところでございます。

○織田委員 ぜひ予算要求して、しっかり予算をいただいて、実現をしていただきたいと思います。
 次に、この分厚い、東京都地域防災計画の改定というのか修正ですか、これが出されました。大変ご苦労さまというふうに思うわけでありますけれども、この計画の中で、火山災害対策編というのがあるんです。これはこの中で比べると、分量が非常に少ないんですね。これに関連して、最近、六月十二日だったと思いますが、富士山のハザードマップ作成検討委員会というのが、ハザードマップを作成をして、中間報告をしたという報道がありました。新聞にも掲載をされて、かなりの溶岩が流れてくる。これを見ますと、富士山の噴火ということについては、見落としがあったかもわかりませんけれども、一行も載っていません。島しょ関連、大島、三宅その他、島しょの関連の火山の災害等についての記述はありますけれども、その記述はありません。これはどういう理由からなんでしょうかね、ちょっとその辺のところを教えていただけますか。

○岡部災害対策部長 富士山が平成十二年十月から十二月、それから十三年四月から五月に低周波の地震が発生しました。これは人間の全然感じない地震でございます。噴火のおそれがないということで、この地域防災計画の見直しの時点では、富士山を想定した地域防災計画になっておりません。しかし、万一噴火した場合には、東京に灰が降るという被害が予測されますので、現在のところ、島しょにおける降灰除去対策等を準用して対処していきたいということになります。

○織田委員 私は、今まではそうだったんだろうなと思います。三宅が噴火をし、その前に大島が噴火をし、さまざまな伊豆沖の群発地震があり、富士箱根火山帯を中心とする火山の動向というものについて、かなりいろいろなところで関心があったかと思います。今ご答弁にありましたように、低周波地震というのがかなり出てくるというようなことで関心も高まりました。そういうところから国の方では動き出したということなんでしょうけれども、東京は非常に遠いということで、そういったものが恐らく視野に余り入っていなかったんだろうというふうに思います。
 私はこれでいいのかなというふうには思わないんです。というのは、かつて私が読んだ小説の中で、小松左京さんのSF小説なんですけれども、「首都消失」というのがありました。これはどういうことかというと、何らかの形で消えちゃって、要するにアクセスがとれなくなっちゃうんですね。それで中と外の話になってくるわけですけれども、富士山が例えばこの間のハザードマップで見られたように、溶岩が駿河湾まで届くような形になった場合に、寸断をされるものは何なんだというと、新幹線であり、東名高速道路であり、東海道である。つまり相当大きな陸上輸送の部分が遮断をされるということが場合によっては考えられるかもしれないというようなことになると、この膨大なエネルギーを持つ首都東京について影響がないわけではなかろうというように思います。
 それから、例えば降灰です。灰が降ると、これは実は大変だと思います。余り経験のないことで、どんな被害が起こるのか、私も今余り想像がつきません。しかし、雪が二十センチ降っただけでも相当苦労する東京のそういった脆弱な構造が一方でありますから、こういったものについてもやはり視野を広げておかなければいけないなというような感じがいたします。
 そういうことで今回この問題を聞いてみたいんですが、この中間報告というか、富士山のハザードマップ作成検討委員会、これ、まず目的、それからいつ設置されたのか、どのような活動をしているのか、それからその協議会に東京都はどんな立場で参加をしているのか、それから今回出された中間報告の概要、まとめてお答えをいただければありがたいと思います。

○岡部災害対策部長 先ほども申しました富士山が低周波地震が多発しました。これを受けまして、平成十三年七月十一日、国及び関係する県、市町村により、富士山ハザードマップ作成協議会を設置いたしました。これは専門的な立場から検討するため、富士山ハザードマップ作成検討委員会を中に設けました。学識経験者及び自治体関係者が構成員となりまして、富士山防災対策に万全を期するために検討を重ねております。
 この協議会につきましては、東京都は当初はオブザーバーとして参加しておりましたが、本年六月十二日に開催されました第二回協議会におきまして、東京における社会、経済的な面が非常に大きいということがありますので、都も構成員として入るという発案が了承されまして、今後は協議会の正式メンバーとして加わっていくことになります。
 なお、今回の中間報告の中で示されたものは、中身は、一つは、富士山噴火についての科学的評価、本当に爆発するかどうかという問題、それから富士山が噴火した場合、溶岩流が到達する範囲を示した地図、それから一七〇七年に起きました宝永噴火が現在発生した場合の被害想定を出しているところでございます。委員が先ほどお話しになりましたように、交通等の手段、それから多くの都民の呼吸器系などの健康被害、それから羽田空港等が運航停止になりますので、飛行機が航空ができなくなる。それから、農産物や森林などの何らかの被害が生じるということで、また、東名や東海道新幹線が溶岩流によりまして寸断された場合には、物流などの社会的、経済的な影響が大きくなるということが予想されている。
 以上でございます。

○織田委員 今ずっと述べていただきましたけれども、宝永の噴火は一七〇七年というふうにいわれておりますが、その当時であると、噴火したときの状況を記した文献というのは残っていると思うんですが、念のためにどんなような文献が残っていて、どんな記述があるのか、あればちょっと教えていただければと思います。

○岡部災害対策部長 江戸時代の儒学者で新井白石の「折たく柴の記」に、一七〇七年の十一月二十三日から宝永噴火について記したものがございます。
 古文ですが、読み砕いたもので説明いたしますと、噴火の前夜に地震があり、噴火当日の十二時ごろ、雷のような雷鳴が聞こえ、雪が降るように白い灰が降ってきた。日中も薄暗くて明かりを必要としていました、地震も続いた。その後、黒い灰が十二月初めまで降り続いた、人々はのどを痛めて、せきに悩まされた、こういったことが記されております。

○織田委員 そういうような影響があった。私は特に灰の影響が東京都にとっては、物理的なものとしては大きいのかなと思うわけですけれども、先ほども「折たく柴の記」の話がありましたけれども、降灰の被害というのはいろいろ考えられるんですけれども、世界のあれを見てみると、クラカトア火山が爆発をしたようなときには、噴煙自体が一万メートルを超え、成層圏にも届いたというようなことでかなり漂って、今から考えれば、それを起因とする飛行機事故が起こっているように、そんなレポートを見た記憶がありますけれども、そういった面でいうと、富士山の噴火ということは考えられないことではないということから、国も動き出し、東京都も正式のメンバーになって協議会に参加をしているということでございますので、ぜひ関心持って、地域防災計画、これは実務的なものが多いわけでありますけれども、アンテナという面ではしっかりと張っていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 今回中間報告ということでありますが、この後、最終報告、これはいつごろ取りまとめられるというような予定になっているんでしょうか。
 それから、最終報告が出された段階で、東京都としてはどのような対応をとろうとされようとしているのか。
 以上二点、お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。

○岡部災害対策部長 今回の中間報告を受けまして、今年度末を目途に引き続き最終報告を取りまとめる予定になっております。この中には、観測体制の整備や緊急時の応急対応計画等の防災対策や、火山防災マップ、火山との共生等についての検討が最終報告の内容となってくる予定でございます。
 東京都は、この検討委員会の動向を十分把握するよう努めながら、富士山の噴火によりまして東京に被害が生じるおそれが明らかとなった場合には、必要な対策を検討し、地域防災計画の見直し等も含めてやっていきたいと思っております。

○坂口委員長 ほかに発言はございませんでしょうか。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 なお、先ほど提案のありました件につきましては、次の理事会におきましてご協議をさせていただきたいと思いますので、皆さんのご意見、アイデアをお持ち寄りいただければ幸いでございます。
 それでは、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十五分散会

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