総務委員会速記録第六号

平成十四年三月二十日(水曜日)
第一委員会室
   午後二時二分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部本部長田原 和道君
次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋 和志君
選挙管理委員会事務局局長南  靖武君
次長橋本  剛君
人事委員会事務局局長高橋  功君
任用公平部長砂岡  攻君
監査事務局局長中山 弘子君
次長細渕  功君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 予算の調査(意見開陳)
 ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務委員会所管分
 ・第二号議案 平成十四年度東京都特別区財政調整会計予算
 ・第四号議案 平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
 付託議案の審査(決定)
 ・第三十三号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
 ・第三十四号議案 職員の再任用に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十五号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十六号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十七号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十八号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三十九号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 ・第四十号議案  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
 ・第四十一号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第四十二号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第四十三号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
 ・第四十四号議案 東京都石油コンビナート等防災本部条例を廃止する条例
 ・第四十五号議案 東京都監査委員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百四十一号議案 包括外部監査契約の締結について
 ・第百九十四号議案 職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例(継続分)
 ・議員提出議案第一号 職員の給与の特例に関する条例

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 さきの委員会で理事会にご一任いただいた意見書、決議中、お手元配布の首都移転の即時撤回に関する意見書につきましては、調整がついた旨、その他の意見書、決議につきましては、調整がつかなかった旨、それぞれ議長に報告するべきであるとの結論になりました。ご了承願います。
 案文の朗読は省略いたします。

   首都移転の即時撤回に関する意見書(案)
 東京都議会は、平成十三年十二月四日、「首都移転の白紙撤回を求める決議」を行い、国民世論の合意形成もない中で、国会において首都移転を前提とした審議だけが進められている状況に強い懸念を表明し、深刻な景気低迷と国・地方共に厳しい財政状況の下で、あえて二十兆円を超すとも言われる巨費を投じて首都移転を行うことの不当性を訴え、その白紙撤回を強く求めたところである。
 しかし、依然として国会においては、拙速にも本年五月を目途として、移転先候補地を一箇所に絞り込むための審議が続けられている。
 昨年十月に東京都が行った首都移転の再検証によれば、仮に首都移転が行われても、一極集中の弊害は解消されないこと、東京の災害対応力は強化されないこと、我が国の実質国内総生産は減少すること、移転先に大規模な自然環境破壊をもたらすことなどが具体的かつ詳細に明らかにされている。
 もはや首都移転は、国民にとって百害あって一利なしの計画であることが明白になっている。また、首都移転と矛盾する首相官邸や中央省庁の建て替え及び国会議員会館の建て替え計画が政府・国会自身の手で進められていること自体、理解に苦しむものである。
 首都移転によって、我が国と首都圏の活力を共に喪失させ、国の行く末を危うくする過ちを犯してはならない。首都の機能は、引き続き首都圏が共同して担っていくことこそが最良の選択である。今こそ、諸状況を冷静に見極め、首都移転白紙撤回の英断を下すべき時である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、首都移転を即時撤回するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年三月 日
         東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣 あて

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算調査、付託議案の審査並びに閉会中における請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務委員会所管分、第二号議案及び第四号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○臼井委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十四年度予算関係議案についての意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 現下の都財政は、三年連続の財政赤字や七兆円を超える都債残高に加え、一兆円を超える隠れ借金など、大変厳しい状況にあります。さらに、十四年度は景気が一段と悪化することが予想される中で、都税収入についても大幅な減少が見込まれております。財政再建道半ばにある今日、都財政の構造改革に一層の進展がなければ、都政のさまざまな施策の実行に支障が生じかねません。
 その一方で、東京は、国内外の厳しい都市間競争にさらされており、この中で生き残っていかなければ、東京だけでなく、我が国自体の衰退につながるものであります。都市基盤の整備や少子高齢社会への対応、景気対策、環境危機や治安悪化への対応など、都政の重要課題への取り組みが急がれております。
 こうした取り組みを通じて、首都東京を何としても再生し、都民一人一人が夢や希望を持ち続けられるような輝かしい社会をつくり上げていくことが、我々の責務であります。新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の実行がますます重要になっております。
 知事は、平成十四年度予算案を、東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけ、編成されました。
 内容を見ますと、歳出面においては、財政再建推進プラン三年目の予算として、引き続き職員定数の削減など内部努力や、施策の見直し、再構築に取り組んでおります。また、都民生活の不安に対しては、緊急地域雇用創出特別基金事業や中高年リストラ対策などの雇用対策や、中小企業制度融資の充実や商店街活性化事業などの中小企業対策を迅速に進めることとしております。
 首都圏再生に向けては、区部環状道路や多摩南北方向の道路など幹線道路の整備に取り組むとともに、りんかい線などの公共交通網の整備を進めることとしております。また、交通渋滞の解消策として、新たに効果満点道路事業に取り組むとともに、鉄道の連続立体交差を推進することとしています。
 環境面では、東京の森再生プロジェクトに新たに取り組むとともに、自動車公害対策についても充実させております。さらに、我が党が強く主張してきた福祉改革について、認証保育所の一層の充実や、暮らしの福祉インフラ緊急整備など、きめ細かい対応をされております。
 このように、厳しい財政状況にあっても、首都東京の再生に向けて、ハード、ソフトの両面からしっかりと対策が組まれております。
 一方、歳入面においては、都市基盤の整備を推進するため、国庫支出金の確保に努めるとともに、都民間の負担の公平を図る観点から、使用料、手数料について必要な見直しがなされております。
 しかしながら、税源の移譲など地方税財政制度の改善については、この予算案では具体的な改善が図られませんでした。今後も引き続き、税財源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方主権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 景気の先行きについて速やかな改善が期待できない中、都財政の運営に当たっては、常に財政再建の初心に立ち返り、引き続き財政再建推進プランに基づき、財政構造改革へのなお一層の取り組みを行い、明るい展望が得られるよう、努力を積み重ねていただきたい。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも一層効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく最大限の努力を積み重ねられるよう、強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、知事本部関係について申し上げます。
 一、首都機能移転問題については、本年五月に向けた国の移転先候補地絞り込みの動きに対し、都として移転先候補地との比較考量調査を機動的に実施するとともに、首都移転は日本全体に大きな不利益をもたらすことを広く都民、国民に広報し、国が首都移転を撤回するよう、断固たる反対活動を展開されたい。
 二、都財政は、来年も依然として厳しい状況が予想されるわけでありますが、施策の立案、企画調整、重要施策の選定などを通じて、都市基盤の整備、環境対策の充実、産業の活性化、福祉・医療改革の推進などに努め、東京の再生に邁進されたい。
 三、東京とアジアの大都市が連携協力し、アジア大都市ネットワーク21事業を着実に推進することにより、国際社会におけるアジアの存在感を高め、東京を初めとしたアジア全体の発展に大きく貢献されたい。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、都政改革ビジョンⅠに掲げた改革に着実に取り組むとともに、都民の信託にこたえ、さらなる内部努力の徹底に努められたい。
 二、市区町村の振興については、行政水準の維持向上を図り、地域の均衡ある発展を促進するため、施策の一層の充実に努められたい。
 多摩、島しょ地域の振興に当たっては、都市基盤整備を着実に推進するとともに、市町村合併への支援や市町村の創意と地域特性を生かした諸施策の推進に努められたい。
 三、特別区は、今後の事業執行に支障を生じることなく、自主的、計画的に財政運営を行えるよう、今後の財源配分の割合については、柔軟に対応するよう努められたい。
 四、震災対策については、実践的な総合防災訓練の実施や応急給水槽の建設を推進するとともに、都民の防災意識や対応能力の一層の向上を図るなど、総合的な震災対策の確立に努められたい。
 五、電子申請や電子調達など、ITの成果を都行政に取り入れた電子都庁の実現に努められたい。
 以上をもちまして、私の意見開陳を終わります。

○山下委員 私は、都議会民主党を代表いたしまして、当委員会に調査を依頼された平成十四年度予算にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 平成十三年度予算は、企業収益の改善や銀行業等に対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算となりましたが、平成十四年度予算案は、アメリカ経済の急減速の影響もあり、法人二税の大幅な減収を見込むマイナス予算となっています。
 そうした中にあっても、既存の施策を聖域なく見直すととも、重要施策を選定し、財源を重点的に振り向けることによってめり張りのある予算編成を行っている点は評価できるところでございますが、重要施策の選定基準や財源が不明確であったため、選定された事業が総花的な嫌いがあります。今後も同様の手法を講じられる場合は、目標、基準、財源を明確にして取り組まれるよう求めるものであります。
 また、政策的経費である一般歳出を四兆三千七百六十三億円確保し、福祉と保健に七千六十七億円、教育と文化に九千七百五十八億円を充て、それぞれ構成比を高めるなど、限られた財源を都民福祉の向上に重点的に投じていることは、評価されてよいと考えます。
 しかし、さまざまな工夫にもかかわらず、二千五百七十七億円の財源不足が生じ、減債基金の一部計上見送り七百二十三億円、基金の取り崩し一千三百五十四億円、借入金の返済繰り延べ三百億円などを余儀なくされております。この結果、減債基金の積み立て不足額四千六百七十四億円を初めとした隠れ借金が一兆円を超えることとなっています。
 十四年度予算案では、都職員一千四百十七人削減、管理職給与削減、五十五歳昇給停止、八十八事業の廃止、休止など、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などの財政再建の取り組みを進めていますが、事業評価にバランスシートが活用し切れていないなど、十三年度から本格的に実施された行政評価制度の活用が不十分で、施策の見直し、再構築に的確に反映できたとはいえません。
 今後、施策の見直し、再構築を都民とともに考え、実行していくためにも、事業ごとに行政コスト計算書や貸借対照表などの事業別バランスシートを作成し、行政評価制度に取り組んでいくことが必要だと考えます。
 いずれにしても、東京都の財政は、都税収入の主要な部分を法人二税が占めるため、景気動向に大きく左右されています。地方税財政制度の抜本的改革が強く求められるところですが、同時に、今後の都政の安定的運営を確保するために、バブル崩壊以降のこれまでの経験を総括し、財政運営の基本原則を定める条例の制定をも視野に入れるべきであります。検討を求めるものであります。
 以上、私たちの総括的な見解を述べ、以下、各局にかかわる事項について述べます。
 まず、知事本部関係について述べます。
 一、道州制の実現に向けて、七都県市の連携を強めるとともに、共通する事項の統一条例化、広域連合制度の活用などを検討すること。
 一、都民の平穏で安全な生活を守り、地域のまちづくりを進める立場から、騒音やまちづくりの障害などの基地問題の解決に努めるとともに、米軍基地の整理、縮小、返還に積極的に取り組むこと。
 一、首都機能移転に関する比較考量に必要な調査、分析を行い、都民が首都機能移転問題について判断するために必要な情報提供を図ること。
 一、小中学校の土地建物等の将来の需給を推計し、防災、福祉、NPO等の拠点としての活用について、都としての指針を作成すること。
 一、行政評価に貸借対照表、キャッシュフロー計算書、行政コスト計算書による事業別バランスシートを活用するとともに、行政評価モニター制度の整備や第三者機関としての行政評価委員会の設置を検討すること。
 次に、総務局関係について述べます。
 一、各区市町村の自治能力の強化、行政コストの削減を図るための広域連合の活用や区市町村合併について積極的に働きかけること。また、合併後の新自治体の融和とその後の発展を促進するため、首長の在任特例などの制度改正についても検討すること。
 一、二十一世紀の多摩、島しょ地域の特性を生かした振興、発展のために、財政フレームや組織のあり方を含めて、施策の総合的な実施を図ること。
 一、都庁の電子化を促進し、事業の効率化と迅速化、都民サービスの向上を図るとともに、情報技術を効果的に活用できるよう、事務処理体制を整備すること。
 一、三宅島避難島民の生活支援対策を充実するとともに、伊豆諸島の災害復旧対策に万全を期すこと。
 一、人権施策推進指針を踏まえ、複雑化、多様化する人権問題に対して、都民、NPO、企業等と連携し、人権侵害への直接的な対処のみならず、社会的な機運の醸成や、住民、企業等の意欲を生かすための基盤づくりなど、人権問題に共通する観点による総合的な取り組みを展開すること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見陳述を終えます。

○谷村委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十四年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 長引く経済不況のもと、都税収入が前年度に比べ三千六百億円減少するという厳しい財政状況下で編成された平成十四年度東京都予算案は、一般会計で五兆九千七十八億円、前年度比四・八%マイナス、施策経費である一般歳出も、前年度比二・四%のマイナスという緊縮予算となった。
 こうした中、都は、本予算を、東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけ、今日の最大課題である雇用、中小企業対策、都市再生などの重要施策には新たな編成手法を導入し、財源を優先的に配分する一方、都民生活を守る観点から、生活環境分野では四・七%増、保健福祉分野では、〇・三%減ながら構成比においては過去最高の一二%となるなど、評価できるものである。
 また、投資的経費については、十年連続のマイナスながら、効果の高い事業に重点化し、めり張りをつけており、努力の跡がうかがわれる。
 行政改革においても、千四百十七人の定数削減を初め、監理団体の統廃合、団体職員の削減など、我が党の主張に沿う形で推進され、その結果、財政再建推進プランの取り組み目標を八割達成している。
 今後も引き続き都の財政改革を進めなければならないし、とりわけ税財源の移譲は、これまで以上に取り組みを強めなければならない。
 都財政は、今後さらに厳しい事態が予想されており、都債の実償還額も急増する。そうした中にあって、予算案では、減債基金の積み立てを本来額の四分の三にとどめた。事情を理解するものの、予算本来のあり方として、今後の課題と位置づけるべきである。
 今後、予算案の執行に当たっては、より一層都民の期待にこたえられるよう、丁寧に、スピーディーに行われるよう強く要望する。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、知事本部について申し上げます。
 一、国が進めている首都機能移転に対し明確に反対するため、都と移転先候補地との比較考量調査の実施、国や候補地等の動向把握などに努めるとともに、広報活動を一層活発に行い、反対の声を結集し、国会決議の形骸化を図ること。
 一、アジア地域の繁栄と発展のために、アジア大都市ネットワーク21事業を強力に展開し、新技術の開発、環境対策の推進、産業の振興などの分野において、アジア地域の首都及び大都市との連携強化に努めること。
 一、本年度に東京で開催される七都県市首脳会議において、交通ネットワークや環境問題、防災、物流の効率化などの課題に対し、幅広い視点から解決に向けた取り組みを実施し、効果的な広域行政を推進すること。
 一、首都圏版FEMAの創設に向け、七都県市での協議を進めていくとともに、都の危機管理を強化していくための体制の充実を図ること。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、スリムで柔軟な行政体質の確立を目指し、組織、定数の見直しや一層の事務改善に努めるなど、徹底した行政改革を進めること。
 一、東京都監理団体については、監理団体総点検のための基本指針に基づき、統廃合や民営化を推進するとともに、団体の経営評価結果等を踏まえ、一層着実な改革を進めること。
 一、都民生活と深くかかわる情報提供を行っている都のホームページにおけるセキュリティーを確立すること。
 一、電子都庁の基盤構築に当たっては、ブロードバンドネットワーク時代の到来に対応できる体制を目指すとともに、セキュリティーをも含め、万全の体制の確立を図ること。さらに、都民サービスのための行政手続のIT化等についても、都民の利便性の向上を最優先課題として取り組むこと。
 一、地方分権については、国に対し着実な実施を求めるとともに、地方財源の充実確保を働きかけること。また、事業の性格を考慮し、区市町村への権限移譲を促進すること。
 一、基礎的な地方公共団体としての特別区の事業実施に支障を生じないよう、必要に応じて都区財政調整の配分割合について適切に対応すること。
 一、区市町村との役割分担の明確化に努めつつ、行政水準の維持向上を図るための適切な財政補完を行うこと。特に多摩地域については、多摩の将来像二〇〇一を踏まえ、自立化と活性化のための諸施策を推進すること。
 一、大震災から都民の生命と財産を守るために、平素から警視庁、消防庁、自衛隊との連携強化を図る体制をつくり上げ、情報連絡、避難誘導、救出救護など総合防災対策の強化に努めること。
 一、三宅島災害対策については、島民の方々の避難生活が長期化している実情を踏まえ、各分野にわたる施策の充実を図るとともに、復旧、復興対策に積極的に取り組むこと。
 一、長年の懸案である多摩の市外局番の統一化を目指し、より一層のリーダーシップを発揮するとともに、関係市町村と協力をし、実現に向け取り組むこと。
 一、練馬区と合同で実施予定の総合防災訓練はもとより、初めての試みである七都県市合同の図上訓練を成功させ、各都県市の災害対応能力の向上、七都県市間相互の情報ネットワークの強化、国や各防災機関との連携強化、そして相互応援協定の実効性を高めること。
 以上をもちまして、意見の開陳を終わります。

○古館委員 日本共産党都議団として意見を述べます。
 平成十四年度東京都予算案の最大の問題は、全体として、石原知事が推し進めている大型公共事業中心の都市再生に重点的に予算が配分され、福祉や教育などの切実な都民要求には冷たい予算となっていることです。
 重要施策、行政評価、包括外部監査の導入などがこの間本格的に実施され、大型の都市開発などに都財政が一層投入される仕組みができ上がり、そのもとで、都民への痛みは、福祉十事業のさらなる切り刻み、都立病院の半減の具体化など、さらに深く広くなってきています。
 今、都政に求められているのは、首都の自治体として、都民とともに地方自治の本旨に基づく行財政運営を確固として進めることであるにもかかわらず、民間企業にゆだねるなど、都自身が全体として手を引いていく方向になっています。また、時代の大きな流れに逆行して、大型公共事業や巨大開発を加速させようとするものであり、これらの転換こそ、今強く求められております。
 それでは、知事本部関係について述べます。
 東京構想二〇〇〇、メガロポリス構想、都市再生など、都心再生をねらう大型開発計画は、町の破壊、環境破壊とともに、都財政難を一層進めることになるものであり、計画そのものを抜本的に見直すこと。
 行政評価は、都民福祉の増進という観点を基軸に据え、都民ニーズの把握、関係都民の声に基づき、各局評価を第一義的に尊重すること。
 大型開発など公共事業に偏っている重要施策の選定を抜本的に改め、福祉、医療、環境など都民ニーズの高い施策を重要施策として選定すること。
 首都移転計画に反対を貫くこと。
 横田基地、多摩サービス補助施設など、すべての米軍基地の全面返還を引き続き求めること。また、横田基地などの軍民共同使用計画は撤回すること。
 地元町会や住民が長年にわたって反対している後楽園競輪の復活は絶対にしないこと。
 総務局関係。
 公正で民主的な行政を効率的に執行する見地で、都政機構や運営の改善と職員の適切な配置を行うこと。財政難を理由に職員定数などにしわ寄せしないこと。
 包括外部監査制度については、外部監査報告に対して、公共団体としての使命をどのように果たすかという立場から、それを受けとめる基準をつくること。
 外郭団体の組織と管理運営は、公益性、効率性の立場から抜本的に見直すこと。
 職員給与については、全国で最も厳しい賃金水準にあることにかんがみ、労使合意を尊重する立場に立って誠実に履行すること。
 三宅島民への生活支援制度を速やかに確立すること。また、家屋などの補修、修理を初め、個人住宅の再建のための支援を一層強めること。
 都区財政調整については、特別区が、住民に身近な基礎的自治体として、それにふさわしい財政権が確立できるよう、都区の対等、平等の立場を貫き、協議を尽くすこと。
 市町村調整交付金、市町村振興交付金の増額など、多摩格差是正のための財政支援を強めること。
 区市町村振興基金を増額し、貸付枠の拡大、貸付利子の減免、借りかえ制度などの拡充を行うこと。
 区市町村合併や多摩の将来像をどうするかということについては、それぞれの自治体の自主性に基づくものとすること。
 人権啓発センターについては、同和偏重ではなく、憲法の基本原則に基づき、すべての人権擁護を課題として施策を展開すること。
 同和事業が今年度に廃止され、一般施策に移行しましたが、依然として総合相談員、関係諸集会支援が、それぞれ人権という名を冠して事業が引き継がれております。これらの事業の廃止を含む抜本見直しを行うこと。
 以上で意見開陳を終わります。

○大西委員 都議会生活者ネットワークを代表して、意見の開陳を行います。
 一般会計の予算規模は五兆九千七十八億円で、歳出規模で四・八%の減となりました。いうまでもなく、都税は、法人二税の落ち込みが大きく、前年度に比べて約三千六百億円の減収でした。このため、総額で七兆円、十五年度より約六千億円を超える都債返還のピークを迎えるにもかかわらず、財政調整基金の取り崩しや、都債返還のための積み立てを先送るなどの対策を余儀なくさせられています。
 本年度は、通常編成に先立ち、重要施策が決定されました。この方式については、時期的なおくれなど再考すべき課題はありましたが、一定の創意工夫として評価できます。この中で、厳しい財政の中でも、歳出の面においては、化学物質についての子ども基準の策定やグループホーム等が予算化されたことは、評価されます。
 しかし、一方で、都市再生の名のもとに、開発型の投資的経費がかなり予算化されております。こうした傾向は、都債の発行にも影響せざるを得ませんでした。将来の公債費負担の軽減を図るため、抑制基調を保ったと位置づけておりますが、結果として約二百億円もの都債を増加させておりますし、今回の最終補正を見ても、問題は明らかです。
 総じて、従来の右肩上がりの幻想から脱却しておらず、いまだ都の借金体質が変わっていないといわざるを得ず、この体質の改革こそ重要な課題です。
 こうした都債発行は、将来世代へのツケとして、将来の政治選択の幅を狭くするものにほかなりません。返還する都債も事実上の投資的経費であり、短期、中期的にも、環境や福祉などの分野が多い経常経費を圧迫する危惧があります。
 こうした間接的な影響は、現に知事査定以前の局段階での一律カットや予算化見送りとなるなど、施策に影響を与えております。
 また、もう一つの財政改革課題としては、監理団体等の整理統廃合の問題があります。
 バランスシートを事業ごとに展開することや、施策原価を明らかにするための行政コスト計算書をつくるなどとともに、行政評価を参加型に変革することは急務です。ただでさえ一般会計以外の予算が余りにも膨大でわかりにくいことを踏まえれば、都政に関係する本格的な連結決算を導入することにより、都民への説明責任を果たすとともに、改革を進めていく必要があると考えます。
 以上を踏まえ、各局別に意見を申し述べます。
 まず、知事本部についてです。
 一、首都圏における広域連携の推進に当たっては、これまでの分権を推進し、東京への集中を是正する取り組みを踏まえ、七都県市の共同を進めていくこと。また、共同については、環境、廃棄物だけでなく、消費者行政などについても拡大すること。
 一、都市再生については、環境優先の立場から、関係自治体及び関係住民との合意のもとに進めること。
 一、横田基地など米軍基地の整理、縮小、返還を積極的に進めること。
 一、包括まちづくり予算補助制度を検討すること。
 一、都政改革ビジョンⅢについては、関係自治体と都民の間での開かれた議論を行うこと。
 次に、総務局についてです。
 一、都区制度の抜本的見直しを行い、改革を進めること。また、市区町村の合併については、当該住民の意思を尊重すること。
 一、地方分権をさらに進めるため、政策法務室を設置するなど、自治体立法のための能力を形成していくこと。
 一、行政評価についての都民参加及び職員参加を進めていくこと。また、第三者機関のチェックシステムを確立すること。さらに「機能するバランスシート」による行政コスト計算書の活用や、予算編成との連携を積極的に進めること。
 一、三宅島避難島民の生活支援対策を充実すること。
 一、人権推進指針を踏まえ、NPO等とのパートナーシップ事業を展開するなど、総合的に施策を展開すること。
 一、住民基本台帳システムの運用に当たっては、自治の視点で検討を進めること。
 以上です。

○坂口委員長 以上で、予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長まで提出しますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○坂口委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第三十三号議案から第四十五号議案まで、第百四十一号議案、第百九十四号議案及び議員提出議案第一号を一括して議題といたします。
 本案に対する質疑は、既に終了しております。

○樺山委員 この際、動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案中、第百九十四号議案及び議員提出議案第一号につき、昨日、福永副知事より三田議長あて、来る二十二日までに一定の結論を出すべく、労使間において最大限の努力を続行中であるので、当該二議案については、この労使の交渉にご配慮を願い、休み明けの二十五日以降に結論をお出しいただきたいとの要望が提出されるに至りました。
 本来であれば、これまでの白熱した論戦を踏まえ、本日、本委員会において、議会の権能に基づき、粛々と決定を見なければならぬところではありますが、副知事名議長あてという異例の要望の重大性にかんがみ、また、去る十五日の当委員会における大関総務局長の涙の答弁に象徴される、この問題に対する理事者各位のまさに不眠不休の必死のご努力にもあえて配慮をいたし、ただいま議題となっている関連二議案については、本日は決定を行わないことを望みます。

○坂口委員長 ただいま樺山理事から動議が提出されました。
 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。

○馬場委員 ただいま、第百九十四号議案及び議員提出議案第一号について本日は決定を行わない旨の動議の提出がございましたので、意見を申し述べます。
 私たちは、人事委員会の勧告と異なる措置をとるには、当事者である労使の合意が必要であるとしてまいりました。しかし、自民党、公明党は、議会の権能を行使するとして、条例案を提案されました。提案の具体的柱は、本年四月以降も給与削減措置を継続するというものであります。
 先日の質疑の際、条例案の取り下げを求めましたが、自民党、公明党はこれを拒否されました。
 本日、付託された議案を議決することは、あらかじめ確認された日程であります。提案者の主張する本年四月を目前にした現在、提案者自身が議決保留を求めるということは、これまでの質疑の中での自民党、公明党の答弁と相反する主張と思います。
 このような動議が提案されたということは、そもそも提案者にこの条例案に責任を持つ意思があったのかどうか、疑わざるを得ません。
 私たちは、労使合意を尊重するべきと主張してまいりましたが、労使の都合に合わせて議会日程を変更するなどという、議会の主体性を放棄するような意見には同調できません。議会の権能を行使するとした主張はどこへ消えたのかといわざるを得ません。
 したがって、あらかじめ確認された日程どおり、第百九十四号議案並びに議員提出議案第一号は、議決に付すべきと考えます。
 以上です。

○木内委員 これまでの本委員会での議論の経過を踏まえて、意見を申し上げます。
 ただいま馬場副委員長から、これまでの議論を全く認識していない、そうした意見の開陳がありまして、極めて残念でございまして、私どもは、あくまでも労使協議、労使合意を尊重しながら、この労使協議が円滑に進むような、そうした環境づくりに向けて、また、それを促すという意味からこの議員提案をしてきており、また、議会における給与条例主義の存在というもの、この本質的な意味合いについての認識については、共同提案者である自民党、そして公明党は、全くその基本認識を軌を一にするものでありますから、その点についてのご指摘は全く当たらないということを、まずここで申し上げておくものであります。
 こうした環境づくりの私どもの努力によって、三月八日の仕切り直しの労使協議が具体的にスタートしたことは、関係者各位どなたもが明らかに認識をしているところでありまして、こうした現実的な経緯を無視するただいまの反対のご意見には、全く承服しかねるものであります。
 重ねて申し上げますけれども、三月八日にいわゆる仕切り直しの労使協議がスタートしており、こうした事態を踏まえて、ただいま樺山理事からお話のあった経過をたどることができているわけでありまして、さらに、このたび議長からのお話がありまして、ただいまの動議になった、こう思料するものでございます。
 すなわち、議会における決議及び議員提出の条例案の重みを真摯に受けとめて、現在、労使間で鋭意協議が重ねられているということを聞いております。こうした労使の交渉状況に配慮をしていただいて、現在審議中の、この下記の二議案に係る取り扱いをよろしくという、こういう話でございます。
 一方、政治に与えられた使命と役割は、いかに都民の期待に現実的、具体的にこたえるかということであります。政治は決して抽象論や観念論ではありません。具体的な結果責任として、この議会がいかにその役割を果たし得るかということを、今、都民の皆様、また関係者の方々は、かたずをのんで見守っているのでございます。
 この、いわばそうした都民の負託と期待にこたえる私ども自民、そして公明党の方針というもの、また、ただいまの動議に示された指針というものは、都民の皆様の期待に唯一こたえる方途である、こういうふうに思っているのであります。
 この意味から、さらに鋭意進められるという労使協議の推移を見守るとともに、その環境を担保することは極めて重要であると考えます。
 さらに、議長からのお話を尊重するという立場から、私どもは本動議に賛成することを表明するものであります。

○古館委員 先ほど私も意見開陳の中で述べましたけれども、職員給与につきましては、全国で最も厳しい賃金水準にあることにかんがみて、労使合意を尊重する立場に立って誠実に履行することという意見は、先ほど表明させていただきました。
 さまざまな条件を乗り越えて、今回、労使協議が始まったところでありまして、日本共産党として、その推移を見守っていきたいと考えております。
 したがいまして、第百九十四号議案及び議員提出議案第一号について、本日は決定を行わないという旨の動議に賛成です。

○大西委員 生活者ネットワークを代表して、ただいま上程されました動議について、反対の立場から意見を述べます。
 提案は、職員の給与にかかわる議員提案と、知事側が提出した継続となっている議案について、本日採決する予定であったにもかかわらず、保留とする動議です。
 問題の第一は、焦点が、労使ルールを無視した内容とはいえ、議員提案の扱いであることです。こうした会派間の政治的スタンスをめぐる扱いについて、議会として、議長なり、幹事長会などの議論を経ずして、知事側から延期の要請を受け、ただ実務的に常任委員会に落とすということは、議会の権能として極めて問題があります。逆にいえば、手続的質疑を終了、採決目前の議案を動かすには、それなりに政治的な説明責任が問われるということです。
 第二に、こうした事態について、議員提案者側の説明責任の問題です。
 みずから提案しているわけですから、採決を望むのが常識というものです。そこに何の説明もなく保留に乗るということが、不思議でなりません。提案者側は、みずから労使が合意すべき内容を、あえてルールを超えて示しているわけですから、提案した以上、採決を延期する理由について、都民への説明責任があるといわなくてはなりません。
 私たちは、従来から労使の合意が進むことについて歓迎する立場です。このことを再度強調して、生活者ネットワークの意見といたします。

○坂口委員長 発言は終わりました。
 樺山理事からの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○坂口委員長 起立多数と認めます。よって、本動議は可決されました。
 第百九十四号議案及び議員提出議案第一号は、いずれも本日は決定を行わないことにいたします。
 これより採決を行います。
 初めに、第三十三号議案、第四十号議案及び第百四十一号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○坂口委員長 起立多数と認めます。よって、第三十三号議案、第四十号議案及び第百四十一号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第三十四号議案から第三十九号議案まで及び第四十一号議案から第四十五号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認めます。よって、第三十四号議案から第三十九号議案まで及び第四十一号議案から第四十五号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で、第百九十四号議案及び議員提出議案第一号を除く付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十七分散会

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