委員長 | 坂口こうじ君 |
副委員長 | 大西由紀子君 |
理事 | 織田 拓郎君 |
理事 | 馬場 裕子君 |
理事 | 樺山 卓司君 |
谷村 孝彦君 | |
山下 太郎君 | |
古館 和憲君 | |
臼井 孝君 | |
木内 良明君 | |
松本 文明君 | |
矢部 一君 | |
三田 敏哉君 | |
木村 陽治君 |
欠席委員 一名
出席説明員知事本部 | 本部長 | 田原 和道君 |
外務長 | 田邊 隆一君 | |
次長 | 三宅 広人君 | |
企画調整部長 | 渡辺日佐夫君 | |
政策部長 | 山口 一久君 | |
外務担当部長 | 浅野 秀治君 | |
特命担当部長 | 南雲 栄一君 | |
企画調整担当部長 | 荒川 満君 | |
参事 | 熊野 順祥君 | |
首都調査担当部長 | 野村 寛君 | |
自治制度改革担当部長 | 幡本 裕君 | |
参事 | 金子正一郎君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 南 靖武君 |
次長 | 橋本 剛君 | |
監査事務局 | 局長 | 中山 弘子君 |
次長 | 細渕 功君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十五号議案 東京都監査委員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
知事本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出 知事本部所管分
○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、監査事務局及び知事本部関係の平成十四年度予算の調査並びに監査事務局関係の付託議案の審査を行います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○矢部委員 簡単にお尋ねさせていただきたいと思うんですが、昨年、都議選、参議院選があって、それ以降というか、電子投票ということが国の中でも議論をされて、それについて、新見市でしたかが採用するというような意向が出されてきましたけれども、そのほか全然声が上がっていないわけですね。東京の中ではどんなことになっていますでしょうか。
○橋本次長 私どもで把握している限り、現在のところ、都内の区市町村で導入を検討したり、あるいは導入の意向を固めたりというところはございません。
○矢部委員 選挙は毎年何らかであるのかもしれませんが、基本は、統一地方選挙を四年に一度ということが原則でありますね。そういう中で、やるときは一斉になる。少しずれているところも幾つかはあるんでしょうけれども、一斉になるという以上、やるならば、全部がやらなければできないということでもあろうかと思うんですね。
例えば国政選挙なんかのときはそうでしょうし、そういう中では、国の意向がどうなのかということが極めて大事だと思うんですが、国はいうだけで、それに対しての裏づけを伴っていなければ現実は進まないでしょうし、東京都は途中ですけれども、実際は市町村が事務を行うという中では、そこでなかなか東京都が主導権を持って発言をするという立場にはならぬのでしょうけれども、国に対しての働きかけをするとするならば、東京都からしなくちゃならないと思うんですね。そういう意味では、どんなことをされていますでしょうか。
○橋本次長 国におきましては特例法を定めたわけですけれども、その場合、地方がいわゆる記号式投票ということで先行というか、記号式投票が導入可能になっているということだとか、地方の方でやりたいという団体もあるというようなことで、それならば地方に導入する道を開いていこうというのが特例法の趣旨でございます。
国といたしましては、聞いておりますのは、そういったやりたい団体の地方の導入の道を開いて、試行してもらうことによって、どういう問題があるかといったようなことについてよく精査をした上で、国政についても今後考えていこうという趣旨のようでございます。
ただ、現段階で、国の方で、国政選挙においていつどのような時期に導入できるかというようなことについては、いまだはっきりとした考えは持っていない。あくまでも試行の結果を見て考えようというようなことだというふうに聞いております。
○矢部委員 日本の選挙の特質というか、記名式の投票という形、それは、もう一面、識字率が高いという国民性と組み合わさってできていることだと思うんです。
そういう中で、去年も何かは電子式の開票をやりましたね。要するに、投票から電子投票ではなくて、開票事務の部分を機械で処理をしたというところがあったと思うんですが、どっちの方向でいくべきなのか。
電子式というのは、だから、今も記号といいましたけれども、何らかで--番号なのか何かわかりませんが、投票そのものまで電子にしてというイメージ、それと、今はその前段で、記名式の投票用紙をOCRで読み込む、読んで分類する、いろいろあると思うんですけれども、でも、方向が定まれば、二重投資にならないように、やはりレールを敷いていった方がいいんだろうと思うんですよ。それぞれ投資したものがむだになってしまうというのも大変なことですから。その辺はどういうふうに調整されますか。
○橋本次長 先ほど、記号式投票の導入というか、やっているところがあると申し上げましたけれども、それは、法律上そういうことが可能であるということで決めていることでございまして、実際、地方ではそういうふうにやっているところもあるようでございます。ただ、東京都内では、記号式投票は導入しているところはございません。
そういうことで、開票事務にOCRなどを使っていわゆる読み取りをしているところはございますけれども、それも、OCRで読み取っても、疑問票、読み取れない部分もあったりなんかいたしまして、若干は、それでは完全ではないというようなこともございます。
それと、あと電子投票、直接電子機器に投票するというようなやり方とどちらがというようなことでございますが、国の方で電子機器利用による選挙システム研究会というのをつくっておりまして、それでは、いわゆる投票機に直接記録する形で投票するということにある程度方法を絞って、例えばその課題についてまとめているところでございます。
それから、先ほどちょっと答弁漏れいたしましたけれども、東京都はそれに対してどういう要望を出しているかということでございますが、東京都においても電子投票の研究会をつくっておりまして、それは区市の選挙担当者も入った研究会ですけれども、その中で出された実務的な意見や何かについて、適宜、国の研究会に投げているといったようなことで、実務サイドからの要望を伝えるようにいたしております。
○矢部委員 実務サイドからの要望というのはどういう要望か、教えていただきたいと思うんです。
もう一つは、来年の統一地方選挙に向けてということで、都が動けば、全部やるかやらないかという話になってしまうというか、なかなかこれも、いうのは簡単ですけれども、いった以上、その財政負担をどうしてくれるんだという話になるんでしょう。この辺をどうするかということもあると思うんです。
もう一面、見方を変えますと、統一なんですが、ずれてきている。首長さんの関係だとか解散をしたとか、ずれてきている自治体もありますね。そういうところは、逆にいえば、ずれたところが選挙をする、それで統一のときにこの機器を貸し出すというようなこともできるんじゃないかという気がするんですね。だから、何回使うと償却できるかということになってくるんでしょうけれども、そういう意味では、それが可能かどうか。全部でなければならぬから、ずれた選挙だけはいいけれども、国政選挙のときはまた別のやり方になってしまう、これも大変なことになってしまいますがね。
ただ、でも、やるに当たって、ここでやってみて、それで、ずれたところでそれが使えるとなれば、半分までいかなくても、負担が少し、三分の一でも減っていく勘定になる、あるいはリース等の機器ならば、回収がしやすくなるというようなこともあるんじゃないかなと思うんですね。
そういう意味では、いろいろ東京都が間に入ってできるところがあるとするならば、そんな試みというようなことをしてみることはできないだろうかと思っているんですが、いかがですか。
○橋本次長 実務サイドからの国に対する提言ということですけれども、例えば、有権者が投票機の操作を混乱なく容易に行うためにはどういう方策を講ずべきかとか、セキュリティー対策も含めていろいろな問題が予想されるわけですけれども、そういう問題に対してどう対応するのかとか、あるいは費用対効果の点ではどうなのかとか、それから、不在者投票制度は今度の特例法では含めておりませんけれども、一割ぐらいに不在者投票が今なっておりますから、それを入れないで電子投票をやると混乱するんじゃないかとか、それから、何よりも有権者の理解と信頼をどうやって得ていくのかといったような点について、適宜意見をいってきているところでございます。
それから、共同利用、相互利用ということですけれども、確かに、共同利用あるいはリースして相互利用するというのは、導入費用を低く抑えるという意味では有効な方策の一つだと考えます。しかしながら、そのためには、幾つかのクリアしなければならない条件があると思います。
それは、先ほど先生のお話の中にもありましたけれども、電子投票の対象とするすべての選挙について、それぞれの団体間で執行の時期が重なるものがないということが一つ、それから、有権者数がほぼ同じ規模の団体、いいかえれば、投票機の必要台数がほぼ同じ程度の団体でなければいけないんじゃないか、それから、採用する機種の機能面、ハード、ソフトの機能面で、それぞれの団体が双方に満足しないといけないんじゃないかといったようなことがあると考えられますので、非常に有効な方策の一つではありますけれども、それを採用するかどうかについては、具体的な導入の検討をする中で、東京都としても考えていくべき問題であろうというふうに思います。
○矢部委員 当該自治体の意思が最大限尊重されなくちゃいけないことですから、押しつけるわけにいかぬでしょうけれども、やらないを前提に理屈を並べれば幾らでも並ぶわけで、結局、日本がこんなに世界から十年もおくれちゃっているというのは、やはりやる気がないんではないかと思うんです。
それは、すべてのことにそうですが、今回シンガポールへ行ってつくづく思ったのは、裁判まで資料は全部フロッピー提出ですから。そうすると、それをまたしゃべったのを、速記を起こして文章にするなんていうような手間が一切省けちゃうということでしょう。
だから、そういうことを考えただけでも、合理性のあることは、やる気になってやればできるので、やればできるって、じゃどこがやっているんだといえば、全部日本の企業がやっているわけでしょう。だから、日本の今底力というか、それぞれが持っているノウハウの中には、大概のものを克服するものが今もうすべて育っていると思うんですね。あとはやる気で臨むか臨まないか。
それと、費用対効果というのは、これはどうしてもぬぐえないことでしょうけれども、いつからとか、まあ国との関係があるので都だけで突っ走るわけにいかぬでしょうけれども、国へも積極的にいっていただかなくちゃいけないので、局長、そういう会議も当然あるんだろうと思うんですよ。その中で、やはり一番、人口比で一割、東京都は日本の国の一割いるわけですから、その選挙を行うに当たって、東京都がやるといえば、ほとんど日本じゅうやるという話になっちゃうことでもありましょうし、逆に難しいのかもしれませんけれども、そんなことをいっていないで、もう二十一世紀に入ったんですから、二千何年までには電子投票を実現する、そのくらいの勢いで臨んでいただきたいと思うんですが、いかがですか。
○南選挙管理委員会事務局長 社会の情報化、IT化が急速に進展しております中で、有権者の投票しやすい環境づくりや選挙執行事務の迅速化、効率化を図るためには、電子投票制度の導入は有効な方策でございます。
このため、都といたしましても、平成十一年に、先ほど次長が申し上げました研究会を立ち上げまして、今年度末には報告書として取りまとめる予定でございます。また、平成十四年度の、今ご審議いただいております予算案の中にも、制度を導入する区市町村に対しまして、財政的支援策として四千万円計上させていただきました。
また、国に対しての発言でございますけれども、国会議員で超党派から成る研究会がございまして、その研究会から要請を受けまして、前回の参議院選挙の問題点とか、あるいは投開票所の実務的な反省点がどこにあるかというふうなレクチャーをしてくれということで私も説明しましたけれども、その際にも私ども申し上げましたのは、選挙の効率化なり電子投票制度を導入するに当たっては、地方選挙だけでは財政効果、費用対効果があらわれない。これはやはり国政選挙もあわせて一括してやらない限りは、地方自治体としては二の足を踏むであろうと。特にこの厳しい財政状況の中では、地方自治体独自でやること自体は非効率的であるから、速やかに国政選挙も視野に入れた制度化というものを検討されたいということを強く申し上げました。
この電子投票特例法案が成立しました後で説明会がありましたけれども、その際に、選挙部長が、今までは国の方は余り国政選挙のことについては触れておりませんでしたけれども、これから国政選挙も視野に入れながら検討しなくちゃいけないというふうな説明もあったそうでございます。
そういうことを踏まえながら、電子投票という新しい制度を円滑に導入するためには、何よりも都民、ここにいらっしゃる候補者となる方々も含めての都民の皆さん方の理解を得ることが極めて大切であるというふうに考えております。
このため、私どもは、最終報告書を受けた後、電子投票制度導入のねらいを都民の皆さんにわかりやすくお伝えするととも、都民に信頼される制度づくりに取り組んでまいりたいと思います。
また、実際に選挙を執行する区市町村の実態を十分に踏まえたものとしなければなりませんので、引き続き、区市町村との相互の情報連携を緊密にいたしまして、できる限りの支援を行うとともに、区市町村の意向を踏まえまして、国に対しましても主張すべき点はしっかりと主張して、より望ましい制度として導入されるよう努めてまいりたい、このように思っております。
○坂口委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○坂口委員長 これより監査事務局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第四十五号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○坂口委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○坂口委員長 これより知事本部関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
橋本秘書部長は、公務出張のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
これより予算の調査を行います。
第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、知事本部所管分を議題といたします。
本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○馬場委員 まず、首都移転問題についてお伺いいたします。
首都移転反対活動の展開に一億五千万円の予算が計上されておりますが、この具体的な使用目的についてまずお伺いいたします。
○野村首都調査担当部長 首都移転反対活動を展開するための経費といたしまして、新聞広告の九千万円を初め、広報に要する費用として一億三千二百万円、今後の移転先候補地との比較考量など首都移転に関する調査に要する費用として一千八百万円を計上しているところでございます。
○馬場委員 新聞広告に九千万、その他広報で一億三千二百万、この十三年度は、ラッピングバス等、都民へ向けての広報活動もそれなりにあったかなというふうに私も思っておりますが、新しい予定でしょうか、新聞広告に九千万円という経費を予定していらっしゃるということですが、この九千万という金額、経費、費用対効果という意味では、金額からしても都民の理解が得られないような金額ではないかというふうに思いますが、この点について、もう少し経過も、新聞の広告、どういうふうにするということも含めて、具体的にお答えください。
○野村首都調査担当部長 まず、新聞による意見広告でございますけれども、今、先生のお話しの形態でございますけれども、時期は、まず第一点として、移転先候補地が一カ所に絞り込まれたときに間髪を入れず掲載するというふうに予定しておりまして、そういう意味では、時期的に非常に効果的な時期を選んでやりたいというふうに思っております。
第二点目でございますけれども、掲載の範囲でございますが、これは、関東圏にとどまらず、全国を予定しておりまして、首都移転にこれまでほとんどかかわりのない地域におきましても、首都移転反対の運動を大きく掘り起こすということができるかと思っております。
それから、三点目でございますけれども、都が明確に反対の意思を表示しないということになりますと、我々の試算では二十兆円を超す首都移転経費がむだ遣いされるということになりまして、日本の将来に大きな禍根を残すことになるだろうと考えております。
こうしたことを考え合わせますと、全国的な新聞広告を出すということは、費用対効果という面からいいましても、大きな効果を持っているだろうというふうに考えております。
○馬場委員 九千万円、一億円に近いような出資ということになりますが、都民がこの費用を持たなければならない、税金で使わなければならないというのは、その効果の点でも、私なんか見ると、全国に、いってみれば砂漠に水をまいてしまうような、そんなような気がするんですね。
この首都移転というのは、私も含めてなんですが、やはりおかしいということは都民は思っていると思いますし、このことについて、もう少し費用を使わない活動というのは都として検討できなかったかなという思いがどうしてもあるんですが、この辺の経過も含めて、税金を使わないPR活動ということについてどのようにご検討されたのか、伺います。
○野村首都調査担当部長 今、経費のかからない移転運動ということでございますけれども、私どもは、これまでも、一都三県選出の国会議員の先生方を対象にいたしまして、首都移転反対への理解と協力を求める運動を強力に行ってまいりました。また、商工会議所とか町会など民間団体が自主的に行っております署名活動、それから集会などへの協力支援に取り組むなど、幅広く反対活動を展開してまいりました。
ご案内のとおり、三カ所を一カ所に絞り込むという非常に緊迫した状況になっておりますので、今後は、こうした決定権を握る国会議員の先生方の動向がかぎを握ることになると考えておりますので、衆参両議院のすべての国会議員の先生方に働きかけ、さらにはまた、候補地を除きます他の道府県への行脚などを我々で行いまして、首都移転がいかに日本の将来を誤るものであるかということを強く訴えまして、首都移転反対運動を全国的なものとしていきたいというふうに考えております。
○馬場委員 皆さんが活動を知事も含めてされてきているということは、私たち都民は理解を深めているというふうに思うんですが、いかにもこれは東京が決めることではないということで、その点が何とも歯がゆいところなんですが、この新聞の意見広告、これほどの大きな--大きくなければ意見広告も意味がないかもしれませんが、こういう試みは、都としては初めてなんでしょうか。もしおわかりになれば。
○野村首都調査担当部長 都といたしましては、以前に、審議会の答申が出る前でございますけれども、一回、首都移転反対ということで五段の広告を出したことがございます。
○馬場委員 広告、効果がなければ、これだけの費用を使ってするということ、費用対効果の問題が出てきてしまうわけですので、今の一回の結果がどうなったのか、それから、ほかに方法がないかということも含めて、さらに検討をぜひ、お話がありましたように、一カ所に決まらないうちにとにかく対応する、できるだけのことをするということが大事なことだと思うんですが、私はやはり広告の方法で、こういう費用をかけて広告をするということ、これがなぜ起こったのかなということを、実は質問をさせていただくに当たって考えました。
できれば本部長にお答えいただきたいんですが、国の政策等について、それぞれ、東京も含めて各自治体で問題があるときに、どういうふうにその自治体が自分のところの意見を--まず国に今まででしたらいっていく。国がそれでも聞き入れないようだというようなときに、今回は、東京がみずから一億円近いお金を使って全国の国民にじかに訴えるという方法だというふうに思うんですが、こういうことは、今回の首都の問題は、ある意味では自治体間の、それぞれ、来てほしいというような自治体もあり、自治体間の競争の中で、東京が、一点に絞られたときにどういう意見広告を出すかということも大きな問題なんですが、そういう国政の決定のある問題に対して、自治体がお金を使って全国に意見広告を出すというようなことが、あえていってしまえば、東京のようにお金があるところはできるかもしれませんが、そうでないところは、じゃどういう方法がとれるんだろうかということも含めて、フェアなのかどうなのかなというのが一つ私は感じました。
それから、まだたくさん、例えば今度東京が政策等決定をする場合、各自治体、東京の中の区や市とか、それから、都以外のほかの県で、例えば東京のダムの建設のような問題等あったときに、そういう政策的な問題にそれぞれ反対の意見というものをどういう形でいっていったらいいのか、どういう形でまとめて、当事者同士の話し合いでなく、ほかのところへ広告をするということがどういうことなのか、自治体としてそれを行うということが、これからどういうことを意味するのか、自治体がそれぞれの、これから自分たちのことを考えていく場合に、自分たちの意見を申し述べるということは本当に必要だなというふうには思ったんですが、その方法として、こういう一般の新聞を使っての意見広告という形でしかできないんだろうかというのをすごく疑問に感じました。
そういう意味で、今度のことが、単に簡単に新聞の意見広告ということでされるということを、ぜひ慎重に扱うべきではないかなというふうに今回考えたんですが、その辺、首都移転だけの問題ではないという意味で、知事本部として、こうした広報的な東京都としての意見を、どんなふうに自治体や国へ向かっていっていったらいいのかというようなことも含めてご検討なさった経過があれば、それから、本部長としてこのことにご意見があれば、ぜひ聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田原知事本部長 今回の首都機能移転につきましては、極めて異例な状況だと思います。といいますのは、ご承知のとおりでありますけれども、高度成長あり、一極集中の議論があり、その中で土地問題等々の解決をするにはどうすればいいかの一つの手段として国会でこういうような決議がされ、それから話がずっと進んできている、こういうふうに理解をしておりますけれども、この場合には、異常な事態なりに対応しなければいけないと思いますし、特に、今つくられている委員会が、二十五名の委員のうちに移転候補地出身議員が八割強を占める、こういうような状況で議論がされているわけでありますので、それに対応するためにはどうするかということで、我々としては、世論を喚起をする、それから、国会議員も含めて働きかけをする。こういうような状況にありまして、新聞というのは一つの大きな効果のあるものだと思っておりますし、これは使わなければ使わないで一番いいんですけれども、その事態が、候補地が一つに絞られた場合に、一番効果的なときをとらえてやっていかなければいけないと思っております。
一般的にといいましょうか、自治体としてというお話になりますと、例えば、国の制度に対して東京都としてどういう態度を示していくかということにつきましては、毎年、国への提案要求等々の制度がありますし、そういうことでねばり強く働きかける、あるいは力を込めて働きかけるということになろうかと思いますし、いろいろな手段も考えられると思いますけれども、自治体としてある一つのやり方があるというのではなくて、そのときそのときに応じた対応をできる限り効果的に、しかも、税金を余り使わない有効な方法を考えていくべきだというふうには考えております。
○谷村委員 首都圏版FEMAについてお伺いいたします。
昨年九月十一日のアメリカ同時多発テロの直後に開かれました第三回定例会におきまして、私ども公明党は、代表質問の中で、東京版FEMAの設置を提唱いたしました。東京における総合的、一体的危機管理体制の設置をするべきだという主張でございます。危機管理の基本が、災害時の情報収集の一元化、そして強力な指揮系統のもとでさまざまな行政組織を有機的に運用することにあるからであります。
公明党のこうした提案に対しまして、石原都知事は直ちに賛意を示されまして、首都圏版FEMAの創設を約束され、昨年の十一月七日の七都県市サミットでその創設を提案されました。
石原都知事が七都県市サミットで提案されたのは三項目で、一つが道路特定財源、そしてもう一つが、大気汚染対策や産業廃棄物対策の共同実施と法定外目的税の導入、そして、首都圏版FEMAの創設でありました。中でも、とりわけこの首都圏版FEMAの提案につきましては、大変多くの関心と期待を内外から集めていたようでございます。私は、石原都知事のFEMA、米国連邦緊急事態管理庁に対する共通認識とその後の迅速な対応を高く評価するものであります。
そして、昨年、第四回定例会におきまして、私は一般質問に立ちまして、首都圏FEMAの確立を目指す上で、常設の事務局の設置などを初め五つの提案をさせていただきました。その結果、知事を初め関係各局の皆様のご理解をいただき、知事答弁、そして知事本部長事務代理次長の答弁の中で、危機管理の調査検討のための専管組織を立ち上げることをお約束いただき、本年一月一日付をもって知事本部に危機管理調査担当の金子正一郎参事、堅多副参事の誕生を見たわけでございます。首都東京の、そして首都圏全体の危機管理の調査検討を進められるという歴史的にも意義深く、また大変に重要なお役目と、その取り組まれるお姿に深く敬意を表するものでございます。
そこで伺います。この危機管理調査担当の分掌事務はどのようなものでしょうか。
○金子参事 危機管理調査担当の事務分掌でございますが、首都圏における危機管理体制の構築に係る調査及び連絡調整を行うことでございます。
○谷村委員 昨年の七都県市サミットでの石原提案を受け、早速首都圏版FEMA創設に向けての具体的検討が始められているようですが、その検討状況はどうなっておりますでしょうか。
○金子参事 七都県市、各都県市の実情にいろいろ差があるわけでございますが、その中でも、共同した取り組みの第一歩といたしまして、二月二十八日に防災対策委員会地震研究部会で事務レベルの検討を開始したところでございます。
部会に対しましては、検討内容として、一、首都圏において危機管理体制を強化していく上での広域的な課題の洗い出し、二、改善すべき事項や条件の整理、三、相互応援協定の見直しや他機関との連携など七都県市で検討すべき事項、そして四、首都圏レベルでの危機管理の体制・組織づくり、この四段階に分けて進めていくことを提案いたしまして、現在、課題の洗い出しから開始したところでございます。
○谷村委員 四段階で検討を確認され、そのうち、七都県市の間で抱える課題の洗い出しを行うということでございますが、この洗い出しとは具体的にはどのようなことをされているのでしょうか。
○金子参事 課題の洗い出しは、具体的には、戦後最大の被害をもたらしました阪神・淡路大震災をモデルにいたしまして、自治体間の相互の連携や、国や防災機関との関係など広域的な課題、その中で、現在までまだ改善の余り進んでいない事項の把握、それから、首都圏での広域的な危機管理上の課題の把握、アメリカのFEMAの分析と今後活用できる仕組みの検討、そして、各都県市で考えている広域的課題の把握などでございます。
○谷村委員 東京も東京としての課題を洗い出され、それを取りまとめられるという作業は大変な労力だと思います。次回の七都県市での打ち合わせはいつ行われるのでしょうか。また、首都圏版FEMA創設に向けての七都県市での打ち合わせというのは、月に一回程度、毎月のように定期的に開催されるという認識でよろしいでしょうか。
○金子参事 次回は四月十一日に行う予定でございます。それから、部会は、月一回程度、定期的に行ってまいります。
○谷村委員 次に、FEMAに対する認識についてお尋ねいたします。
首都圏版FEMAといっても、アメリカの連邦機関であるFEMAを、日本の首都圏という地方自治体の広域連携でそのまま受け入れるわけにはいかない点も多いと思います。そこで、アメリカのFEMAの役割で評価されている点のうち、首都圏版FEMA創設の上で参考になる点、直ちに受け入れられるという点は何でしょうか。現状の調査段階のものでお答えいただければと思います。
○金子参事 アメリカのFEMAは、大統領直属の連邦行政機関でございまして、長官は閣僚の一人にも位置づけられております。職員が約二千五百名、防災、テロ、毒ガスなどのエキスパートを擁しております。
大規模災害が発生いたしますと、直ちに現地に入り活動を開始いたしますが、その主な業務は、現地で直接救助活動に当たることよりも、被災した州に対して連邦政府のいろいろな機関が支援業務を行いますが、そういった各機関の間の活動を調整いたしまして、迅速、的確に被災地に人、物資、資金を配分していくことでございます。
また、平常時には、さまざまな訓練プログラムを開発いたしまして、自治体の職員、一般市民を対象に訓練を実施したり、自治体に対する防災計画策定などの各種支援、アドバイスを行っております。
この中で特徴的な点が、高い専門性、強い調整権、自治体への支援機能、それから独自の予算の確保などでございまして、これらが首都圏で直ちに受け入れられるかどうかは今後検討が必要でございますが、大いに参考になる点だと思っております。
○谷村委員 平常時に、また災害発生時にわたる危機管理、危機対応の専門家集団という存在が大変に重要になってくるわけでございます。
そこで、今後の課題と問題点を整理していきたいと思いますが、我が党は、アメリカのFEMAをモデルにした危機管理体制の創設に当たり、まずは、東京版のFEMAを提唱した経緯があるわけでございます。まず第一義的には、東京の危機管理体制を強化し、広域連携の必要性が生じる点などで、状況に応じて、必要性に応じて、首都圏版への拡大も視野に入れるべきと考えるからであります。
まして、首都機能を抱える東京と近隣の県市で、危機管理に対する重要性の認識が同じであってほしいという期待とは裏腹な面があることも一方ではあります。また、七都県市という予算執行権の伴わない地方自治体の広域連携で、どのような配分で費用負担をしていくのかという大きな課題も残ります。
そこで伺いますが、首都圏版FEMAを創設するに当たり、拠点設置、人員配置、資機材配備などで、立ち上げに係る費用はどのくらいかかりますでしょうか。また、年間の運営費は試算されていますでしょうか。
○金子参事 現在は七都県市で検討を開始した段階でございまして、今後検討が進み、組織体制がある程度明らかになった段階で試算を行う予定でございます。
○谷村委員 今後、これはぜひとも出していただきたいと思いますけれども、では、アメリカのFEMAの年間予算はどのくらいかかっておりますでしょうか。
○金子参事 一九九九年の予算でございますが、日本円に換算しまして約三千七百億円でございます。このうち、州など自治体への災害財政支援が、全体の四分の三に当たります約二千七百億円でございます。
○谷村委員 三千七百億円、州への分担金を除くと、一千億円ということでしょうか。七都県市での費用負担とその負担割合の検討などを考えますと、こういった側面も一つのハードルになってくる心配も出てまいります。
そこで確認ですが、昨年の十一月の七都県市サミットでの石原都知事の首都圏FEMAの提案に対し、検討をすることの合意は得られ、六県市で持ち帰り、検討をしていただいているところと思いますが、首都圏FEMAを創設するかどうかの六県市の意思表示がなされるのは、一番早い時期の想定でいつになるでしょうか。
○金子参事 本年の十一月に次回の七都県市首脳会議が行われる予定でございます。その場で、それまでの検討結果をもとに、一定の成果を取りまとめて報告する予定でございます。
○谷村委員 ということは、首都圏版FEMAの創設に向けまして七都県市の合意が得られるのは、早くてもことしの十一月の七都県市サミットということになります。この七都県市サミットの開催原則は年に一回というふうに伺っておりますので、仮定の話で恐縮ですけれども、もしことしの十一月に合意に至らなかった場合は、次に合意を得るまでさらに一年かかってしまうというおそれもあるわけでございます。何としても、ことしの十一月に六県市の合意を得られるように努力を重ねていただきたいと思いますが、決意をお聞かせいただきたいと思います。
○金子参事 七都県市が共同して検討を進めて合意に達するまでには、さまざまな課題が予想されるわけでございますが、可能な限り早期に合意が得られるように努力してまいります。
○谷村委員 六県市の合意が得られれば、速やかにこの首都圏版FEMAを立ち上げられるよう、事務レベルでの調査検討も精力的に進めていただきたいと思います。
また、まず東京でFEMAをモデルにした危機管理専門スタッフの養成、配置や、総務局災害対策部などと連携したタスクフォースを先に立ち上げる、また、そうした中で六県市の理解も深まってくるという点もあると思います。
また、FEMAは、危機管理、危機対応の専門家集団であり、平常時、災害発生時ともに、その専門性を生かしてさまざまな支援機能を果たしております。都では、災害対策本部を設置し、全庁的に対応するもの以外の未然防止や被害軽減策などの危機管理については、各局で対応することになっているようですが、各局対応に任せたままで果たして十分な対策が現在講じられているのかどうか、大変に心配でございます。
そこで、各局の行っている対策の是非を見きわめ、不足する点については的確な指示ができる専門家やその組織を都庁内に配置することも、FEMA創設の前提として必要であると考えますが、どうでしょうか。
○金子参事 ご指摘のとおり、的確な判断、指示を行うことのできる専門家の存在は重要なことと認識しております。専門家やその組織の配置に当たっては、庁内で組織する方法とか外部の専門家を活用する方法、あるいは既存の組織との関係など多岐にわたる検討が必要でございまして、今後、効果的な体制のあり方について調査検討してまいります。
○谷村委員 昨年十二月、アメリカ・カリフォルニア州の政府高官が都議会公明党を訪問されました。懇談の中でFEMAが話題に上った際、都議会や都庁のセキュリティーの低さを指摘され、大変に心配をしておられました。この場での具体的な指摘は、逆にセキュリティー上あえて避けますけれども、都政のさまざまな分野について危機管理という観点から専門的に関与し、各局に対して指示、助言を行い、都の危機管理能力そのものを高める体制を整備することが必要であると思います。
こうした組織や体制も早期に実現できるよう、積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、知事本部長の所見を伺い、質問を終わりたいと思います。
○田原知事本部長 都の危機管理体制強化をしていくということでありまして、これは、日ごろから各局がまずは連携をして、高い問題意識といいましょうか、そういうものを持って業務をやっていく、これが第一であろうと思っております。
ただ、危機管理といいますのは、これまでの役所の一番弱いところの一つかなというふうに思います。お話しのような専門的立場からの指導助言をする機能を充実する、これは非常に重要なことだろうと思っております。
災害対策の点につきましては、今、参与が一人、それから防災専門員、これも外部の方ですが、これをお願いしまして、非常に効果的、有益な助言をいただいております。図上訓練等々、東京都の防災対策を進める上で非常に有益であります。
こういうものを危機管理自体に全体に置くということもこれからやっていかなければならないことだと思っておりますので、課題もありますけれども、効果的な体制のあり方について鋭意検討してまいりたいと思っております。
○古館委員 それでは、重要施策について幾つか質問させていただきます。
この重要施策ですけれども、今度の予算案に百二十五事業、額にして四千十七億円、三カ年の計画でいいますと、一兆二千六百億円ほどこの重要施策に予算を投入するという予定になり、今回は四千十七億ということでございます。
最初にお尋ねしたいんですけれども、重要施策のねらいというのはどこにあるんでしょうか。
○荒川企画調整担当部長 今年度から重要施策の仕組みを導入したわけでございますけれども、重要施策といいますのは、東京や都民生活が抱える緊急的な課題に対しまして効果が大きく、優先度の高い施策を指しまして、そう呼んでいるところでございます。
こうした重要施策を予算査定に先立ちまして選定することによって、効果的な予算編成を進め、都民の切実な要望にこたえていくことをねらいとして導入したものでございます。
○古館委員 重要という位置づけですから、それ以外の事業が一般的あるいは軽いということではないと思うんですけれども、この重要施策のねらいについて、今、答弁で、都民の切実な要望にこたえていくというふうに答えられました。
いうまでもなく、都民の切実な要望にこたえるということは、その尺度は、地方自治法がいう福祉の増進であり、都民ニーズの反映が最重視されるべきではないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。
○荒川企画調整担当部長 今、地方自治法の福祉のお話が出ましたけれども、地方自治法に書いてあります福祉といいますのは、高齢者や障害者、子どもなどに対するいわゆる福祉医療問題ということだけではなくて、都市基盤整備あるいは環境対策、産業振興なども含めた総合的な概念としてとらえるべきものであろうというふうに思っております。
都民要望に対する世論調査で、いろいろと都民ニーズを図っておるわけでございますけれども、そこでは、確かに高齢者対策ですとか、医療、環境対策、最近は防犯対策なども上位に占めておりますけれども、こういったことは当然十分配慮しなければならないというふうに思っております。
重要施策選定に当たっても、切実な都民ニーズを踏まえまして、首都圏の再生と都民生活の不安解消のための施策事業を厳選したところでございます。
○古館委員 今、地方自治法でいう福祉というのは非常に解釈が広いと。一般的にそういうふうに最近いわれているようですけれども、今までの地方自治法の本旨というのは、そこに住んでいる人の安全や福祉をどう守っていくのか、ここがやはり基本であるということは動かせないというふうに思うんですね。
そういう中で、今もご答弁がありましたけれども、都政の要望というのは、軒並み、福祉だとか医療だとか健康、環境、防災、こういうところが非常に高いわけですよ。都民生活に関する世論調査という生活文化局が出しているこの調査でも、断然トップで高齢者対策が--都民の皆さん、何を都政に望みますかということについて、答えている半数が高齢者対策と。それから、医療・衛生対策というのが四割近い方ですね。次いで環境対策というのが四人に一人という形でずっと来るわけですね。
そういうような状況というのが、いわゆる今、切実な都民の要望、ニーズにこたえるという点でいえば、これこそが本来きちっと据えていかなければならないものだ、こういうふうに理解するんですが、その点についてはいかがですか。
○荒川企画調整担当部長 ただいま先生の方から、都民生活に関する世論調査の統計のお話が出ましたけれども、当然私どもも、重要施策を選定するに当たっては、先ほども申し上げましたけれども、それを踏まえて選定しているところでございます。
ただ、都民要望のランクあるいはそのパーセンテージと重要施策あるいは都の予算の配分とは、必ずしもやはり連動するものではないというふうに思います。といいますのは、ソフト、ハードそれぞれ事業の単価というものが違うことから、ランクどおりの予算配分をすること自体、事業の性質を無視するというようなことで、論外ではないかというふうに思いますし、この点については、当然、先生の方もご了解いただけるのだろうと思います。
重要施策の選定あるいは予算配分に当たりましては、当然、今申し上げましたけれども、こういった世論調査結果に十分配慮しながら、福祉医療、それから環境、都市づくりなど、各事業が有する事業の性質、あるいは都民生活、都市活動に対する現在あるいは将来にわたる効果なども勘案しながら、いわゆる自治法で書いてございます都民福祉の向上を目指して、バランスよく決定してきたというふうに認識しております。
○古館委員 私は、そういう意味で十分に認識をするかどうかという問題について、少しこれから質問したいと思っているんです。
今回選定事業とされた予算額の四千十七億円の財源内訳はどうなっているんでしょうか。さらに、一般財源や都債発行などの後年度負担がどのようになっておりますか。知事は、基本的には、常々、まず財源ありきではないスタンスでいく、こういうことをこの重要施策については位置づけているわけでありまして、しかし、私は、限られた財政の中で、財源問題はとりわけ重要な位置を占めなければならない、そのように考えています。
こうした財源内訳についてあいまいにすることはできないと私は考えていますが、今回の予算額四千十七億円の財源内訳についてお答えをいただきたいと思います。
○荒川企画調整担当部長 財源の問題といいますのは、都民からどの程度のいわゆる税金、一般財源を投入するか、あるいは将来にわたってどの程度の資金を投入するか、つまり起債をどの程度導入するかということでございまして、これは東京都全体の問題としてとらえるべきものでありまして、予算説明書をごらんになっていただきますと、いわゆる重要施策も含めたものとして、局別、課別に財源内訳が示されているところでございます。
先生からお話のあった選定した百二十五事業につきましては、この内訳につきましては、現在、そういった予算書の方からピックアップする作業がございますので、現在、知事本部の方で整理中でございます。
もう一つ、後年度負担でございますけれども、確かに、まず財源ありきではなくて、斬新といいますか、創意工夫したアイデアで重要施策を出してほしいというところから始めましたけれども、実際選定するに当たって、やはり現在の財政状況を勘案しなくちゃならない。特に後年度負担ということは重要でありまして、選定の際にも、重要な要素として後年度負担が増加しないように配慮したところでございます。
例えば、申し上げますと、新規事業が重要施策の中にございますけれども、この中で、効果満点道路事業あるいは暮らしの福祉インフラ整備事業などは新規事業として選定いたしましたけれども、こういった事業につきましては、道路については三カ年で完成、あるいは福祉のインフラ整備では土地助成をしたわけでございますけれども、それも三カ年に限るということで、期間限定の事業としております。
それから、新規事業ではないんですが、重要施策の主要な部分を占めます三カ年推進プラン事業につきましても、中には確かに認証保育ですとか交差点すいすいプランなどのように、三カ年推進プランの計画を前倒しして事業を選定したものもございますけれども、多分ご懸念のところは都市基盤整備だろうと思いますけれども、そういった整備につきましては、おおむね三カ年の推進プランを上回ることなく選定してございます。
三カ年推進プランの十四年度予算化状況を見ましても、今回の予算資料にも出しておりますけれども、計画額に対する予算化率は九一・七%であり、この点について新たに後年度負担はふえていないというふうに考えてございます。いずれにしても、現在整理中でございます。
○古館委員 調整中というご答弁なんですよね。それで、平成十四年度の政策課題が、最初はいわゆる基本方針の中では、明確に六つの柱というのはなっていなかったんですけれども、後から事業が具体的に出てきてから六つに分類したのかなというのは、これは私の観測でもあり、また、荒川部長の「都政研究」でしたか、載っていたものをちょっと読ませていただきましたが、それにもそういう流れとして私は読み取ったわけでありますけれども、そうすると、この六つの柱の財源内訳も調整中ということなんですが、わからないということではないんですね、この財源内訳が。
○荒川企画調整担当部長 まず、政策課題についてでございますけれども、確かに六月の時点で立案方針を各局に示しましたときには、明確な六つの政策課題ということは設定しておりませんでしたけれども、そこの大きな目標でございます首都圏の再生と都民生活の不安解消という柱のもとに--二つの大き柱がございますけれども、それぞれ立案方針なりに記載をしてございます。
実際に選んだ政策課題といいますのも、そういったことが前提となって六つの政策課題を設定し、それに必要な事業を選んだと。事業を選んで政策課題を束ねたというよりも、逆でございまして、やはり何が都民のためにあるべきかということでまず政策課題を設定して、それから事業を選定したものでございます。
それから、六つの政策課題ごとに財源内訳といいますか、後年度負担といいますか、それについては、現在、先ほど申し上げましたように、予算書の方から財源--実は、重要施策自体がいろいろな束ね方をしておりまして、少しわかりにくくなっておりますので、それぞれの予算書の方からそれをピックアツプしながら整理して、それを六つの政策課題あるいは二十二の重要施策ごとに整理したいというふうに考えておりまして、現在整理中でございます。
○古館委員 今のお話を聞きましても、それから、私の財源内訳の答弁あるいは後年度負担の答弁にしても、調整中という答弁しかできなくて、(松本委員「調整中じゃない、整理中」と呼ぶ)六つの柱の問題も、後から六つの柱として分類をしたということなんですよね。
これは、実際に、お尋ねしますけれども、知事本部は、各局から重要施策を上げてもらう際に、財政規模がどうかとか財源内訳まで求めていたんじゃないですか。この点はいかがですか。
○荒川企画調整担当部長 確かに、各局から重要施策立案の案をもらうときには、資料として財源別の内訳を提出してもらっております。
○古館委員 ですから、今、整理中とか調査中、今、松本さんが整理中といったので、整理中でもいいんですけれども、要するに、いわゆる財源内訳とか財源規模とかいうのは、各局からもらうときには、ちゃんとそれを出しなさいと。はっきりいって、これ自体がすごい至難のわざなんですよね、通常は。なぜかといったら、予算査定の段階で、起債をどうするかとか、一般財源はどれだけ張りついてきて、国庫補助がどうなるかとかというのは、最終の予算の段階の中で初めてわかってくる話なんだけれども、でも、その事業を重要施策として位置づける場合に、どのような予算規模になるか、どのような財源内訳になるかということまで求めたわけですよ。そこまで求めて、出してきているはずなんですね。だから、それが、いわゆる整理中だか調査中だかということ自体が、ちょっと私には解せないというか、非常に疑問なわけですよ。
そこがまた同時に、非常に今後の財政運営がどうなっていくのかということに対するポイントにもなる部分だというふうに思うんです。これは、うがった見方でいうと、知事は、余りお金のことは心配しないで、とにかくダイナミックに前衛的にやらなければいけないということをいっていましたよね。そういうことがあって、こういうふうに、なかなか財源内訳がどうなんだということがおくれているということではないんですか。その点はどうでしょうか。
○荒川企画調整担当部長 済みません、幾つか申し上げさせてください。一つは、各局から財源内訳をとるときに、各局は至難のわざではないかということでございますけれども、これは、確かに簡単なものでないことは事実なんですが、予算資料をとる場合には、当然財源内訳をとりますけれども、先ほど申し上げましたように、知事本部あるいはその前身の政策報道室がつくりました三カ年推進プラン、いわゆる実施計画におきましても、やはり財源内訳を各局からとって作業をしてもらっております。それも、予算査定に先立って夏から秋にかけて提出してもらうということで、そういった形で今まで実施計画をつくってまいりましたので、今回の重要施策を知事本部が検討する場合にも、同じような手続を踏ませてもらったわけでございまして、確かに難しいことは事実なんですけれども、全く経験のないということではなくて、各局は二、三年に一回は協力していただいているということでございます。
それから、財源が、せっかくとっているのになぜ出せないんだということでございますけれども、これにつきましては、ちょっと事務的な話なんでございますが、私どもが各局からとるものは、各局が考えているいわゆる要求段階の数字でございます。起債が幾らですとか、あるいは一般財源を幾ら投入したいですとか、特定財源をこうしたいといったようなものを各局の案が出してきます。それはあくまでも各局の案でございまして、その後、我々なりに事業の中身を見ながら、知事本部としてもこの事業を選んだ方がいいのかどうかというところを検討いたします。
知事本部がやるところはそこまででございまして、今回の場合はそこまででございまして、査定権は財務局にございますので、それじゃその起債はだめよと。今の総務省との中ではそういった財源は認められない、今の状況ではここまでですとか、あるいは都税収入は当初ここまで予定していたけれども、今の段階ではそんなに都税収入は伸びないから、一般財源はここまでしか投入できないとかいったようなところは、残念ながら知事本部ではまだできなくて、それは主計部の方でやっているものですから--最終的な財源内訳といいますのは、主計部の方で査定したものを、我々が要するにピックアップ、整理して、各局が出してきた要求といいますか、財源内訳要求と財務局が査定しました査定による財源内訳を比較しながら分析をしていかなくちゃならないということでございまして、そういったことも含めて現在整理中というふうに申し上げたわけでございます。
○古館委員 つまり、最初は知事本部がこの重要政策はやりましょうといっていて、結局は、やはり主計部というんですか、これは財務局ですね。だから、本来的には、そういうものを全庁的にどういうふうにするかという問題がやっぱりきちっとしていないとだめだし、財政をどのようにして、財源内訳なんかも含めるか、私は、なぜこの検証が極めて重要だと思っているかといいますと、知事は、都市再生の事業なんかについては国費を投入するから大丈夫だという発言をされていたのを私は記憶しておりますけれども、その後は、国が、国の事業であっても、東京都に直轄事業負担だとか、つい最近のニュースでも、たしか羽田沖の空港でしょうか、それも東京都が四分の一ぐらい出せとかというのが新聞記事に出ています。つまり、国の事業で、国に出させるからというふうにいっても、それが地方負担、東京都の負担という形になってどんどんあらわれてくるということですね。
したがって、この問題について速やかに財源内訳は積算をしてもらいたいし、出た時点でまたこれは議論をさせてもらいたい。この問題をなぜ財務局でいわないかというと、知事本部が重要施策ということを所管していますので、この問題、あえてここまでちょっとお話をさせていただいたところです。
続きまして、もう一つ質問させてもらいたいんですが、政策課題六の首都圏を再生するというところに、総事業費の約六割が充てられております。このことは、重要施策が公共事業に偏っていることを意味しているのではないですか。知事本部として、そうした点について、公共事業に六割近い予算がなぜ投入されていったのかということについて見解を問いたいと思います。
○荒川企画調整担当部長 これは、いろんな機会でこういういい方をずっとしておりますし、そういった考え方でやってきたわけでございますけれども、今日の東京を見ますと、経済の低迷と失業率の増大によりまして多くの都民が生活を脅かされ、このまま放置いたしますと、国際競争力のみならず、都市そのものの活力が低下して、都市の存立さえ危うくなりかねないという状況にあると思います。
今最も求められていますのは、首都圏の自治体や国、都民、企業、まさに首都圏を構成する人々が力を合わせまして、経済を活性化し、国際競争にも打ちかつ首都圏を再生することにあるというふうに思います。また、そうしますことが、福祉や医療、教育など都民生活を支える財源の確保にもつながるというふうに考えているところでございます。
したがいまして、重要施策の選定に当たりましては、六つの政策ガイドの一つに首都圏の再生を取り上げまして、環境、雇用、産業、福祉、医療などとともに、重点的に取り組むことといたしました。
首都圏の再生に関する具体的な施策では、道路や公共交通、空港整備、電子都市づくり、市街地整備など、都民の活動を支える基盤整備が主な事業になるため、他の分野に比べまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、事業単価の問題がございまして、事業費は相対的に大きくなり、お話がありましたように、全体の六割を占めているところでございますけれども、都政の重要施策として都市再生だけを重視したものでないことを申し上げたいと思います。
○古館委員 今都市再生だけを重視したものでないという答弁が最後にありました。しかし、いただいた資料の参考1ということで、重要施策の各局別の立案状況というのがあります。ここにちょっとアンダーを引いたのが、上が建設局で、事業数も決して少なくはないんですよ。それから、とにかく事業費となると、もうぶっち切りですよ、抜群ですね。それで、次の方の都市計画局の点ですね、これも金額的にも非常に高いという状況ですから、これは、今いったように、確かにいろんなことをいっていらっしゃるんですけれども、結果というか、後からちょっとお話ししますが、そういう方向に、重要施策そのものがそういうふうになっていくような形でつくられているというふうに私は思うんです
そこで、私はお尋ねしたいんですが、じゃ、逆に、選定された重要施策に、経済給付的事業はあるんでしょうか。あるとすれば、何の事業ですか、お答えいただきたいと思います。
○荒川企画調整担当部長 今お話しの経済給付的事業といいますのは、多分福祉手当ですとか医療費助成のことだろうと思いますけれども、今回選んだ重要施策の中には入ってございません。
○古館委員 つまり、重要施策というのは、先ほど都民ニーズの話をさせていただきましたけれども、都民が一番何を願っているのかということに対して、どのようにそれに重要施策としてこたえていくかということが、本来のあり方だと思うんです。それで、この経済給付事業は入っていないとおっしゃいました。福祉や医療など、都民に密着した施策が極めて少ないというふうに私は思っております。こうした理由は何でしょうか。
○荒川企画調整担当部長 今回の重要施策は、都の施策事業の中でも創意工夫を凝らしました新規事業、二番目が、重点事業に位置づけられております三カ年推進プラン、三カ年推進プランといいますのは、それを発表したときに、都の重点事業ということで位置づけをしております。そういった三カ年推進プラン事業を中心に選んだものでございます。
都の施策の事業の中には、確かにこれだけではなくて、福祉、医療、中小企業対策などに見られます現行制度に基づいた継続的な事業ですとか、道路、河川、公園、あるいは建物の管理ですとかいったような維持管理的な事業といったようなものもございまして、それらも当然、重要施策という名前はつけていませんけれども、都政にとって不可欠な事業であり、それらについても、今後着実に推進していく必要があるというふうに思っております。
そして、それが全分野にわたった共通的なものでございまして、継続的な事業については原則として除くといったようなことが一点の理由でございます。
もう一つは、今度は福祉の問題でございますけれども、福祉手当などの都独自の経済給付的事業につきましては、福祉局からもいろんな機会に説明があると思いますけれども、国の政策が不十分であった時代に創設されたものでございまして、当時に比べまして現在は国の社会保障制度が充実して、都が独自に行ってきた経済給付的事業を見直して、むしろ福祉サービスの基盤整備を重点的に進めるべきである、そういう形で転換すべきであるという考え方に立って、今回の重要施策を選定したものでございます。
しかしながら、重要施策では、地域での自立を支える福祉、医療、安心できる生活を実現するとか、あるいは子どもが健やかに成長し、未来に希望の持てる、こういったようなことを政策課題に設定しまして、福祉でいえば、痴呆性高齢者グループホーム設置促進、あるいは認証保育所の推進などを選定することで、福祉施策の充実を目指しているところでございます。
○古館委員 今そういういろんな説明があったんですけれども、なぜ、この福祉施策だとかということが厳しいかといいますと、財政再建推進プランの今後の取り組みの方向を示したものがありますね。その中で経常経費の見直しというのがありまして、ここでこういうふうに指摘していると思います。施策の見直し、再構築を徹底して行い--経常経費です。その場合は、施策の見直しというんですから、福祉十事業なんかもそうなんですが、そういう再構築を徹底して行って、次がこう書いてあるんです。重要施策実施のための財源を捻出する。つまり、経常経費の見直しで、施策の見直し、つまり、福祉事業なんかの見直しをしながら、重要施策実施のための財源を捻出する、こういうような考え方というのが根強くあるわけですよ。だから、こういう点で、福祉だとか密着医療、都民に密着した施策が少なくなってきている、こういうふうに指摘せざるを得ません。
財政再建推進プランの今後の方向として、今指摘されてまいりましたけれども、重要施策の財源を捻出するために、今いったような徹底した見直しが行われる。結局知事が目指した重要施策というのは、財源ありきではなく政策主導でということを本会議の所信表明でも訴えておりますけれども、お金の問題というよりも政策主導でという、つまり、知事が考えている公共事業、そちらに向かって政策的に誘導していく、こういう方向に今回の重要施策が流れたんじゃないでしょうか。その点についてはいかがですか。
○荒川企画調整担当部長 今、そういう知事の目指す方向にといいますか、重要施策が公共事業の方に流れたんではないかというご指摘がありましたけれども、現在都政がどういう状況にあるか、あるいは今この東京に何が求められているかということが大事でございまして、それにどうこたえていくかというところから、やはり重要施策あるいは都政全体を考えていかなくちゃならないんだろうというふうに思います。
これも、先ほど申し上げましたように、東京はかつてない危機に今瀕しておるわけでございまして、魅力も低下している、国際競争力も低下しているというような状況でございまして、そういった中で何をするかということを考えれば、おのずとわかってくると思います。
そうした中で、都民の暮らし自体も厳しい状況を迎えている。先ほどいいましたように、経済の低迷ですとか失業率の増大というようなことがある。そういうことから、首都圏の再生と都民生活の向上という、都民生活あるいはそれを支える都市基盤、両方相まってバランスよく対応していかなくちゃならないということから、今回重要施策を選定したものでございます。片方に寄っているといったような、あるいはどちらかの方向に誘導していくというようなご指摘は当たらないというふうに考えております。
○古館委員 もう一つ聞きますけれども、福祉などの都民生活密着の施策については、いわゆる知事本部の今の重要施策の中で、こういう考え方があるんじゃないでしょうか。つまり、そういう福祉の補助だとか経済給付的事業だとかとやると、補助の恒久化が懸念される、こういうような考え方というのがありませんか。そういうものについては、極力事業としては振り落としていきたいという考え方はないですか。いかがですか。
○荒川企画調整担当部長 一つ一つの事業を当たらないといけないと思うんですが、補助が恒久化してしまうからやらないという、ある意味では短絡的といいますか、そういったような考え方でやっているものは特にございませんけれども、やはり補助事業と、今回新たに、先ほどの福祉のインフラ整備を入れましたけれども、あれも確かに新たに土地に対する助成ということでやったものでございます。
そうしますと、確かに一たん補助というものはやりますと、なかなかやめられないという面はございますけれども、ただ、そのやっている事業の効果、あるいはそれによって都民あるいは関連する事業者がどういった施策をやるかをよく見きわめた上でその補助事業をやるべきでありまして、単に補助事業を新たに設定するから、それが恒久化してしまうので、補助事業はやめてしまうといったような考え方、ある意味では短絡的な考え方をとっているつもりはございません。
○古館委員 短絡的な考えはないといいつつも、一定程度そういう方向性というか、福祉だと、補助だとかという恒久化の懸念というのは、今表明されたわけです。
私は疑問を持っていたんですが、選定された重要施策について、予算編成で優先的に財源の張りつけがされるということは、私は知事本部が財務局の領分に入り込んでいるのではないかというふうに思うんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
○荒川企画調整担当部長 重要施策の選定におきましては、知事本部は、各局から立案してもらいまして、その内容を知事本部なりに分析、詳細に検討いたしまして、結果として六つの政策課題、二十二の重要施策のもとに百二十五の事業を選定したわけでございますけれども、これは、今年度は自己選定ということでございまして、具体的な予算額、事業費等につきましては、財務局が予算編成作業の中でさらに事業を精査して予算案をつくり、それを知事査定にかけて予算原案としてまとめたものでございます。
したがいまして、財務局とは適切に役割分担をしているというふうに考えております。
○古館委員 それで、その方向性は当然そういうふうになっていくというふうに思います。私どもは、重要施策という考え方はあり得ないことじゃないと思っています。そういう状況の中で、今年度実施を踏まえて、来年度もどうするのかという問題が問われているわけですけれども、そういう場合の、今回やった反省点とか、その上に立った改善、こういうものをどのように構築するということを今考えているんでしょうか。その点ちょっとお伺いしたいんです。
○荒川企画調整担当部長 どういう点を反省しているかということでございますが、確かに今年度初めてやったというところで、試行的なものがございますけれども、一つは、各局の立案の締め切り日を延ばしたということがございます。これは、国の概算要求が延びたことに伴いまして、それに関連する事業が多うございますので、東京都といいますか、重要施策につきましても、一月ほど延ばしたということがございます。そういった延ばしたことによりまして、予算査定スケジュールとの関係がきつくなった点がありまして、これについては、もう少し、来年度実施する場合には円滑にする必要があるというふうに思っております。
そうでありますが、各局創意工夫を凝らして、積極的にいろんな立案、取り組みを出してもらいましたので、私としましては大きな成果があったというふうに考えております。
厳しい財政状況下にありましても、都民の切実な要望にこたえるために、効果の高い事業を峻別して実施するというこの重要施策事業は、ますます都政にとっても、仕組みとして重要になっていくんだろうと思います。各局の創意工夫を引き出しながら、その長所を伸ばして、来年度以降も継続していきたいというふうに思っております。
○古館委員 来年度以降といった解釈については、私はそうは思っていないんです。とりあえずは三カ年となっているわけですね。それで、これまで平成十三、十四と、大体四千億円前後オーダーで財源がつぎ込まれました。仮に十五年も同様のペースとしたら、三カ年で一兆二千億円に上ることになります。福祉施策などについては、財源張りつけの恒久化が懸念される--先ほどちょっと、直接的なそういう答弁ではないんですが、結局、そういうような補助の恒久化ということを懸念するんですが、じゃ、公共事業はどうなのかということについて、私は改めていつも思うんですけれども、公共事業もやったらそれで終わりということでは絶対ないんですね。後年度負担という形で必ず都債発行があるわけです。それに対しては、返すときは必ず一般財源が投入されていくんです。だから、都財政難とかいろんなことがいわれますけれども、そういう中で、公共事業が今の東京都の財政、非常に厳しくしている、財政難の一つの要因でもある、こんなふうに認識を私しているんですが、その点についてはいかがですか。
○荒川企画調整担当部長 今、公共事業が都財政危機の原因ではないかというようなお話ございましたが、財政危機についてはいろいろな原因を考えておりますけれども、大きく二つに分けて、歳入と歳出面で考えてみますと、歳入面につきましては、バブル崩壊によりまして経済が長期的に低迷して、都税収入、都財政は都税収入に依存するところが非常に高うございますので、バブル崩壊の影響、長期経済低迷の影響を受けて大幅な減収になっているということが一点でございます。
もう一つ、財政面、運営面では、税収が大幅に減少する中で、確かに起債を活用して投資的経費に充当する一方、その分、一般財源を経常経費に振り向けて経常経費の水準維持を図りまして、福祉などの都民サービスの維持に努めてきたというところがあると思います。結果的にそういったことが財政危機をもたらしたというふうに考えております。
しかしながら、手をこまねいて見ているわけではございませんで、今日に至るまでの間、例えば平成十一年七月には財政再建推進プランを出しまして、内部努力、それから施策の見直し、歳入確保、税財政制度の改善などに取り組んでいるところでございます。
公共事業、投資的経費のお話がございましたけれども、これも平成十四年度予算を見ますと、六千二百三十六億円で、昭和六十一年から六十二年度予算、ちょうど十六年ぐらい前の水準まで、投資的経費については縮減を図っているところでございます。
○古館委員 私がなぜこの問題、財務局にかかわるような話をしたかというと、いわゆる知事本部でこうした重要施策を考える。その場合には、確かに普通都民生活に密着した経常的なものに対しても予算というのは使われますけれども、公共事業に対しても、必ずその後の後年度負担というのはあるんだ、そこの問題を押さえた上でどのようにして重要施策の展開を図るかということが、今後とも非常に大事な要素を持っているというふうに思いまして、このように質問させていただいているわけであります。
重要施策について、昨年の第二回定例会で、知事は、重要施策の選定を通して、都政がどのような分野に重点を置くのか、東京の進む方向を明確にいたしますというふうに述べましたけれども、今、福祉十事業を初めとして、都立の病院を半分に減らす問題とか、都民の福祉、医療、健康などの施策に力を入れてほしいという都民の強い願いはなかなかかなえられない。いい回しを変えながら、結局は重点施策の中に従来の公共事業がより強力に進められていっている、こういう方向に向かっているのではないか。
基本方針の中でも、東京構想二〇〇〇、環状メガロポリス構造、都市再生などが重要施策の軸に据えられておりますけれども、このように誘導され、それが重点施策として計画されてきたと考えざるを得ません。
重要施策という手法を引き続きとるのであれば、公共事業偏重ではなくて、真に都民が望んでいる福祉、暮らし密着の施策にこそ光を当てる方向へと、抜本的、根本的な転換を求めますが、最後にこのことをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
○荒川企画調整担当部長 今、知事が都政の方向を重要施策をもって明確にするというふうに話したことを引用されましたけれども、まさに重要施策の大きな目標が、首都圏の再生と都民生活の不安解消ということで、現在東京あるいは都民が直面している問題を取り上げて、それに対して対応していかなくてはならないということを、この重要施策の中で明確にしているものでございます。
そのための政策課題として、雇用、産業、環境、福祉、医療、それに首都圏の再生など六つの政策課題を明らかにして、それに必要な百二十五の事業を選定したところでございます。
何か、公共事業重視で、将来負担がふえるというお話がございますけれども、確かに将来負担については、過度にふやしてはいけないと思いますが、公共施設あるいは公共事業そのものの効果が、福祉のように、現在の都民だけではなくて、将来の人々にも効果をもたらすということであれば、都債を活用することは、何らそれ自体は問題があるわけではないというふうに思います。適切に都債を活用して公共事業を進めていくことは、これからの東京の活力を向上させていく上でも必要だというふうに考えております。
抜本的な転換を図るということは、何もハードからソフトへですとか、そういうどちらかを選ぶということではないと思います。やはり今都民が求めているのは、都市の再生、都市の活力、それと自分たちの生活の安定、安心ということだろうと思いますので、今回の重要施策もそういった観点から選んだものでございます。
○古館委員 今、都市の再生とかといっていますけれども、繰り返し私はいいますが、この間ずっと何年にもわたって、都民生活の調査の中で要望の第一は、連続して六年間、平成八年から、高齢者施策に力を入れてくれというのが第一位なんですよ。医療というのが第二位なんです。だから、繰り返しいいますけれども、都民のニーズを大事にしたいということであれば、そこをやはり重点施策の中として、どのようにしてそれを重点施策に据えるかということをきちんと据えてもらいたいと思っているんです。
今部長が答弁されましたけれども、私の質問に対してかみ合わない部分があったんです。何がかみ合わないかというと、財源内訳はどうですかといったら、それはまだこれから、今整理中であると。それから、後年度負担についても、わからない中で--私は今乱暴にいっていませんからね、公共事業、悪だなんていっていません。公共事業をする場合に必ず後年度負担がついて回る。そういう場合に、どの程度の後年度負担であるかということも含めてやっぱりお互いに検討しなきゃらならないという立場で私は話をしているんです。
そういう点でも、やはり都民が願うような方向での重点施策ということについては、これからも大いに、私ども日本共産党としても関心を持って論議をしていきたい、このように思っています。以上です。
○大西委員 私も都市再生について何点かお聞きしたいと思います。
都の都市再生政策の検討は、小渕政権時代に首相の発案で建設省に設置された都市再生推進懇談会に始まっておりまして、それ以来二年経過しております。小泉内閣でもその政策を踏襲し、都市再生本部ができ、政策が立案され、今、都市再生特別措置法が国会で審議されているわけです。
そこで、都市再生特別法の評価を含めた小泉内閣の都市再生の政策の評価についてお伺いしたいと思います。
○田原知事本部長 時の内閣を私が評価をするのは少々面映ゆいようでありますけれども、お答えを申し上げます。
東京都は、ご承知のとおりでありますが、東京を再生しようということで、首都圏、それから日本再生へ東京が再生することが早道である、こういう観点から、五カ年十兆円プロジェクトを提案いたしました。これを受けまして、国の都市再生本部が、環状道路体系の整備等々プロジェクトを決定いたしました。ただ、プロジェクトの推進についてのその後の議論では、従来の国庫補助制度等の枠組みにとらわれている等々、緊急課題として国を挙げて踏み出すような姿勢が乏しいように思っております。どうも腰が引けているといいましょうか、そういう状況があろうかと思います。
ただ、都市再生のために都の提案したプロジェクトを取り上げた、それから、十四年度予算編成に際しまして、都市再生を重点七分野の一つに位置づけたこと、このことは率直に評価をすべきものだろうと考えております。
○大西委員 今のお答えから、東京の提案を受け入れたということもありますが、一見確かにメニューは多様ですけれども、費用の点からいえば、事業費の額からいって旧来型の公共事業を超えていないということは、国費があっても都の裏負担はかさむということでもあるわけです。そういう意味では、補助方式は従来と--今、そこから一歩も出ていないというお答えもありましたけれども、その辺をしっかりと、先ほど投資的経費の問題も出ておりましたけれども、後年度負担のことも見きわめて、どのように判断なさったのか、お聞きしたいと思います。
○山口政策部長 先ほど本部長ご答弁しましたけれども、現在のところ、一部に新規の貸付制度、これは都市再生緊急整備地域における民間プロジェクトに対する金融支援として、例えば公共施設の整備に対する無利子貸付、こういう制度を今設けようとしております。一部そういう新規の貸付制度の創設が見られますけれども、従来の事業執行による方法が多いというふうに考えています。
いずれにしましても、東京都としては、国費を重点的に、集中的に都市に集中するのが基本的スタンスでございますので、国に対しては、これからも粘り強く要求してまいります。
○大西委員 確かに、貸付制度の創設なども今検討されて、無償でということもありますが、これが単に都の負担が丸々なくなるというわけではないわけです。さらに、十四年以降から、つまり、来年から都債の返還もピークを迎えていく。さらに平成二十一年からは臨海の転貸債の返還が一千億ベースでやってくるということを考えれば、このような都債を増加させるような今回の都市再生の問題も、財政的にも非常に危険なものがあるんじゃないかということは否めないと思っております。
都市再生本部のプロジェクト提案は、ごみゼロとか、持続的な発展が可能な社会など、新しい時代のニーズにつながるような提案が含まれている反面、道路整備関係のプロジェクトが強調されたり、土地の流動化が強調されたり、従来型の景気対策型プロジェクトの面も色濃く残っているわけです。
特に不良資産化した土地への対策など、地価を下支えするような政策が持ち込まれているのは、そういう意味でも非常に危険があるなと、どうしてもその辺が気になるところです。
都市再生本部が想定しているような国際競争が激化する時代、こういうものにならなければいけないからこそ、今これは我慢するんだというような先ほどからの答弁ですけれども、そういう時代には、世界の大都市が同一の市場で競争する関係になってくることもあるわけです。例えば、各都市でオフィス利用にどれくらいの費用を要するのかも、競争を左右する条件になってくるわけです。そういう意味では、日本の高い地価とか高賃貸料が明らかに足かせとなってくる現状があると思いますが、その辺についての分析、そして対策はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○山口政策部長 先ほども首都の整備についてお話をしてきましたけれども、海外との指標を幾つかご紹介したいと思います。例えば、高速道路の整備率では、東京では二〇%、ロンドンでは一〇〇%、パリでは七四%、ベルリンでは九六%。それから、国際会議につきましても、平成二年には世界で第十四位でございましたけれども、現在では三十三位になっている。その他電線の地中化率の指標とか、いろいろ見ましても、国際都市の東京の魅力というのは欠けているところにありまして、先ほど申し上げましたように、財政的な厳しさもありますけれども、着実に魅力を高めて進んでいこうというのが我々の基本的なスタンスでございます。
○大西委員 ある意味、どんなに頑張っても、この今の日本の土地の地価の高さとか、オフィス利用の賃貸料、その辺が本当に勝っていけるのかということは、今の答弁の中にもしっかりとお答えいただいているとは思っておりませんが、これ以上の追及は避けたいと思います。
都市の再生は、投資効果の点で東京の方が効率がよいという視点が一方にあります。このことは、東京への一極集中の弊害を加速させることだともいえるわけですけれども、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。
○山口政策部長 先ほど申しましたように、都市再生の基本的な考え方は、都市というものが活力の源泉であるという基本的な認識でございますから、現在景気が低迷している我が国経済を再生するためには、活力の源泉でもある都市についてその魅力と国際競争力を高めてその再生を実現することが必要だというふうな基本的な考え方でございます。
そのためにも、七都県市全体で首都機能を担うべき都市の再生にこれまでも取り組んでございまして、当初に都が提案した首都圏再生五カ年十兆円プロジェクトも、一連のそういう考え方の中であるものでございます。
今後とも、こうした考え方によりまして、環状道路の整備だとか都市の再生に向けて努力していきたいというふうに思っております。
○大西委員 そんな中、今回、都市再生特別地区ということが出ています。これは、これまでの都市計画やまちづくりの枠組みを大きく変えるものでありますけれども、前回の予特でもいいましたけれども、この特別措置法、そして特別地区の指定は、いわゆる分権改革の流れに反する、そして本当に時代錯誤的なものだなと私はどうしても感じてしまいます。そういうふうに思っているんですが、その辺はいかがでしょうか。
○山口政策部長 分権の流れに反するというお話なんですが、今回の都市再生特別措置法にあります地域整備方針あるいは都市整備の緊急整備地域は、当然に国が定めるものでございますけれども、その際に、あらかじめ関係地方公共団体の意見を聞いて、その意見を尊重しなければならないとされてございます。
また、緊急整備地域ごとにつくられます都市整備緊急整備協議会というのがございますけれども、これは国並びに関係地方公共団体が対等の立場で組織するものでございまして、こういうことから、都市再生特別措置法においては、地方公共団体の意見を十分に反映できるものでございます。
○大西委員 さらに、都市再生の課題の中には、市民と地元基礎自治体の協議が不可欠なものであるのではないかと考えています。今一部お答えもいただきましたけれども、今後の対応について、さらにお聞きしたいと思います。
○山口政策部長 都市再生に当たりましては、都市再生特別措置法の仕組みが、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これの中で関係地方団体の意見を聞いて推進していく必要がございまして、この実効性を上げていくことというふうに考えてございます。
今後とも、都市再生特別措置法に関する取り組み、その他の都市の再生プロジェクトの推進に当たりましては、東京都としての考え方の意見を十分に反映していきたいと思っております。
○大西委員 十分に関係団体、対等な立場で意見を反映させたいということがありました。今回法案が検討されました都市基盤整備審議会には、東京都からも委員が選出されておりました。しかし、今回こういう法案が中間の取りまとめとして出されましたが、これまでは、一応の流れとして、前回の地方分権一括法の場合など、中間の取りまとめが行われた後にパブリックコメント等が行われて、その中身にかなり影響を与えたようにも聞いております。
今回の場合も、私たち市民にとってかなり影響を受けるという意味では重要なものだと思うんですが、今回はパブリックコメントはありませんでした。なぜ行われなかったのかと勝手に考えてみれば、小泉内閣の重要施策だったからかとか、あるいは景気対策として民間開発事業者に金融支援を行い、土地の流動化を図りたいからなのかとか、いろいろ考えるわけですけれども、何といっても、この問題は、開発特区を設けて、さまざまな形で民間開発事業者を優遇し、大幅に規制緩和を行うことは、繰り返しになりますが、市民の生活の場であるコミュニティに深刻な影響を及ぼすのは確実です。したがって、市民へ十分に情報を提供し、意見反映のための手続を行うことが重要だと考えるわけです。
しかし、もとに戻りますが、この審議会に委員も出ていたにもかかわらず、こういう手続もとられていなかったという意味では、ちゃんとやりますという答えがある中でも、ちょっと心配な部分が大きいんです。やはり都としては、市区町村の立場に立って、向こうからじゃなくて、市民の側に立って国に対してしっかりと物をいっていく必要があると考えるんですけれども、防波堤となって頑張っていただけるものなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○山口政策部長 今回の法は、ご承知のように、先ほどいいましたように、都市の再生をするために民間の活力を導入しましょう、そのためには、十年間という期間の中に集中的に投資をしましょうと考えていますので、そのために特別措置法ができたというふうに考えてございます。したがいまして、今までもそうですけれども、そのためには、先ほど申し上げましたように、関係自治体の意見も十分に聞いていきますので、それを踏まえて、場所それから時間を含めて、できるだけ早く再生するように、地元の意見を聞きながらやっていきたいというふうに頑張っています。
○大西委員 どちら側の立場に立って進めていらっしゃいますか。都民のためにという……。
○山口政策部長 東京都の職員としてやっていきたいと思っております。
○大西委員 都市再生推進懇談会、そして都市再生本部ともに、人口減少社会の到来による大都市の変化の見通し、具体的には大都市の土地利用とか土地需要や都市施設の需要の想定は存在しないような形で進んでいるように思います。現在のような都市社会を揺るがす変動期に、都市の人口や土地利用の見通しを持たずに、準備、事業、供用に長期間を要するブロジェクトを提案することは、先ほどからいろいろ質問し、お答えいただいたけれども、なかなかその中に明確な回答が出ていませんけれども、そういうことを考えれば、無謀ではないかなという部分を否定することはできないと思います。
大都市といえども、つくってみたら需要がなかったということになる可能性が十分にあると思うわけです。その意味では、この両案とも、人口減少社会を迎えて、日本の都市政策が大きく変わらざるを得ないことにあえて目をつぶっている見通しの暗いものであるのかもしれません。そういう意味では、この都市再生関連二法案、今審議されておりますが、都民の立場、この経済へのカンフル剤かもしれませんけれども、その影響は、十分にそこに暮らす住民、そして外国から来る人たちにも影響を与えますので、慎重に、都民の立場からの発言でしっかり防波堤となって活動してくださることを望んで、質問を終わりたいと思います。
○織田委員 私は、東京構想二〇〇〇のエリア・コンセプトに関連して若干質疑をしたいと思います。
十二年の末に策定されまして、東京構想二〇〇〇には十三年度から十五年度までの三カ年計画がぶら下がっているわけですけれども、この構想の中では、エリア・コンセプトというのが示されております。地域の特性を踏まえて九つのエリアに分けましたということなんですけれども、まずこのエリア・コンセプトを策定したねらいと、それによる利点、メリット、どんなことがプラスになるのか、そんな点、お伺いをしたいと思います。
○荒川企画調整担当部長 今お話しのエリア・コンセプトでございますけれども、これは、東京全体の魅力を高めるというためには、それぞれの地域の特色を生かした都市づくりが必要である、あるいは重要であるという考え方のもとにつくったものでございます。東京構想二〇〇〇におきましては、九つの地域に区分しまして、それぞれの地域の将来像をエリア・コンセプトということで示したものでございます。
そのメリットでございますけれども、一つは、区市町村が計画を策定する場合に、この将来像を参考にして作成することが、都の計画との整合性が図れるということが一点と、もう一つは、地域におけるまちづくりの基本的方向、将来像を示すことで、行政だけではなくて、都民あるいは企業などが一体となった取り組みを促進することが期待できるというようなことをメリットとして期待してつくったものでございます。
○織田委員 今お答えにありましたように、都の計画と区市町村の策定する計画との整合性を確保する、都が示さなければ区市町村だってわからない、こういうような意味合い、それから、それが広く知られることによって、民間の方々もこういうまちづくりを進めていくんだなというようなことがわかって、それに沿った形でプランニングすればいいのかなということがメリットとして挙げられております。
しかし、それにしては--そういうことがきちっとわかるというためには、相当明確な形にならなきゃならないと思うんですが、そういった観点からすると、今回のエリア分けというのはかなり大ざっぱ、大くくりにしたというふうにおっしゃっているんです。確かに大くくりだと思うんです、東京を九つに分けるわけですから。
私の住んでいる板橋区は区部東部・北部で、板橋、北、足立、葛飾、江戸川と、こちらの方がずっとなるわけです。埼玉県境の板橋区と海に面している江戸川区と、私はとても共通点があるとは思えないぐらい離れているわけでございまして、こういうような、大くくりにしたとはいえ、大くくりにし過ぎて、エリア自体がぼけてしまっているんではないかというような印象を受けるわけですが、どんな考えで今回九つにエリアを分けたのでしょうか、お伺いします。
○荒川企画調整担当部長 エリアを九つに分ける場合に、現在の状況だけではなくて、将来のことも考えながら実は分けたものでございまして、東京構想二〇〇〇では、将来の骨格的な都市構造として、環状メガロポリスということで、真ん中にセンター・コア・エリアがありまして、その周辺に水と緑の創生リングということで、環七、環八を周辺にずっと配置して、さらに多摩の方が分かれていく、こういったような環状型をイメージしております。それをベースにしまして、産業分布ですとか、土地利用ですとか、地形上の特色など地域特性を加味してエリアを設定したものでございます。
お話の板橋と江戸川が離れているじゃないかという、区部東部・北部エリアでございますけれども、これも環状メガロポリスの環状の部分の水と緑の創生リングに位置するものでございまして、ちょうど荒川が貫いておりますけれども、そういう豊かな水辺と住と工の混在といった共通の要素に着目して、一つのエリアとさせていただいたものでございます。
○織田委員 今お話を伺っていると、それなりに理屈というのはつくものだなと思うわけです。こういうふうに離れている自治体が今回一緒のエリアになるというので、古い話で恐縮ですけれども、地元自治体の意向というのはお伺いしたんですか。
○荒川企画調整担当部長 当然これはつくる前に二度ほど、地元といいますか、全区市町村からヒアリングあるいは意見交換をいたしました。具体的には、出したのが十二月ですけれども、平成十二年の四月に構想策定に当たっての意見交換会を区市町村別に実施しまして、それからエリア・コンセプトを含めた中間まとめを九月に出しましたので、それをもとに、十二年の十月に同じように意見交換会を、先ほどのは個別ですけれども、今度はブロックごとに実施いたしました。
その中で、区市町村の方からの意見としましては、自分たちのまちづくり、それぞれ基本計画を持っておりますので、そのまちづくりの方向を反映してほしいというような要望が出ておりましたけれども、エリア分けにつきましては、基本的にはおおむね妥当というふうな回答をもらっています。
○織田委員 このエリアに分けるという、そういう考え方、何といっても今までに結構いろんなエリア分けがされてきているわけです。例えば、鈴木知事の時代、マイタウン東京というのがありました。二十年前に。そのエリアは十一ブロックでありました。区部が五つ、多摩が五ブロック、島しょが一ブロックというような形でブロック分けがされていたわけです。
その後長期計画ができまして、このときに区部が七ブロックになって、多摩が同じ五ブロック、島しょが一ブロックというふうに変わりました。第二次長期計画になると、この十三ブロックに加えて、今度は八つのゾーンをいわゆる設定する、ゾーンとブロックの併存というか並立というか、そういうような考え方で地域というものをくくっています。
第三次東京都長期計画になると、今度はブロックが消えまして、八つのゾーン、これは第二次東京都長期計画、昭和六十一年の計画ですけれども、それを踏襲した形で、八つのゾーンに今度は変わってきている。青島さんの時代になって、生活都市構想のときには、今度は七つのエリアにこれが再編されている。
そして、今回東京構想では、これが九つになった。この流れをずっと見てきていますと、エリアって一体何なんだという、非常に素朴な疑問が起きてくるわけです。
それとあわせて、それぞれのゾーンあるいはブロックに分けていたときには、地域の将来像ということとともに、事業計画といったようなものがある程度示されていたわけでありますけれども、取り組むべき事業、今回一体どうなんだろうなというふうにして見ると、この東京構想の中の記述には、エリア別の事業というようなもので、具体的なことでこうこうこうですよということは載っていないわけです。
過去の計画が、それぞれ濃淡はありましたけれども、エリアあるいはまたブロックやゾーンということの中で、具体的な事業はこういう方向にもありますよということがあったわけですけれども、今回はない。この理由というのはどんなふうにお考えなんですか。
○荒川企画調整担当部長 ただいま、最初の方に、計画が変わるたびといいますか、政権が変わるたびにブロックの数が違ってくるじゃないかというご指摘を受けたんですが、たまたま昔からこの仕事にかかわっているもので、ちょっと申し上げますと、一番最初につくったマイタウン東京’81の十一ブロックといいますのは、初めて東京都としてこういうブロックの計画をつくりまして、そのときにはやはり地元区市町村との連絡、連携を密にしようということで、既に区市町村が持っている、いわゆる行政連絡のブロックを使って、地図に事業として都民にわかりやすく示していこうというところから始めました。
それが、最近になりまして、先ほど申し上げましたように、今回の場合には九つのエリアといういい方をしておりますけれども、そういう行政連絡的なものよりも、むしろ都市構造といいますか、将来像をにらみながら、ゾーン分け、エリア分けをしていこうということが鈴木都政の長期計画の後半ぐらいから出てきまして、それが前回の生活都市東京構想、それから今回の東京構想二〇〇〇という流れになっております。
そういう意味では、実務的、事務的なものから、少しは中身のある将来像を見たブロックへと、ブロック分けも徐々に洗練はされてきているんではないかと私としては思っております。
もう一つ、取り組むべき事業が掲げてないじゃないかというお話でございますけれども、確かに従来はこれは掲げてきたわけでございます。今回エリア・コンセプトを策定した趣旨は、それぞれのエリアの魅力ある将来像を示すことで、都、区市町村、都民、企業などが連携、協力しまして、地域の特性に即したまちづくりを促進していくということにございます。
東京構想二〇〇〇でとった手法といいますのは、将来像をまず示しまして、東京都はこれをやるぞということではなくて、むしろ個々の事業につきましては、この九つのエリアをもとにした個別計画、具体的に申し上げますと、環境基本計画、住宅マスタープラン、都市づくりビジョン、多摩の将来像二〇〇一などでこのエリアをもとにして地域の将来の取り組みを示しておりますので、こういった個別計画において具体的な取り組みを明確にしているものでございます。
○織田委員 確かに、そういう個別計画、各局別の計画といいましょうか、もっといえば、縦割りというふうにいいましょうか、例えば住宅マスタープランなんかに取り入れられているエリア像、土地の用途別の色分けから出されているエリア像というものを見てみますと、あれが一番くっきりして、エリア分けにぴったり符号しているのかなというふうに思いますけれども、その他の計画でいわゆる添付をされているやつを見ると、何の説得力もないなというような、非常に跛行的なつかまり方になるのではないかなというふうに思うんです。
例えば私は区部東部・北部エリアということなんですけれども、あの記述を見ますと、環境共生のまちづくり、震災計画の提言、成長、既存産業の高付加価値化、水と緑の創生リング、いろんなキーワードがありますけれども、そういう点では、簡潔過ぎるといいますか、あるわけです。それについて、課題というものがきちっと出たならば、具体的にいえば、そういう目標に向かってどんな取り組みを進めていくのか、それは個別計画を見てくださいよというのは余りにも不親切だなというような気がしますので、この目標の実現に向かって、今いったような、例えば震災への提言とか、そういったことについてはどういうふうに取り組みを進めていこうとしているのか。
○荒川企画調整担当部長 今の、例えば区部東部エリアでは、環境ですとか、震災ですとか、成長、既存産業の高付加価値化といったようなところを目指すとしておりますけれども、今先生お話がありましたように、水辺を生かした潤いやにぎわいのある空間の創出ですとか、木造密集地域の改善による災害に強いまちづくり、あるいは高付加価値化といったようなことを掲げてございます。
具体的には、このために、都政では、河川空間の緑化、周辺の公園整備、骨格幹線道路の整備に合わせた延焼遮断帯の形成などを図っていくものでございます。
それから、このエリアは中小企業が集積いたしますとともに、健康、福祉関連産業など、今後成長が期待される産業が立地しておりまして、その活性が課題でございます。このために、経営革新、技術開発に対しましてワンストップで支援が行える総合支援機構の構築、あるいは空き庁舎、都有地の活用によるベンチャー企業等の育成などを進めていくというものでございます。
○織田委員 いろいろお答えをいただいたんですけれども、そういわれればそうかなということですね。確かに、これについて三カ年計画を見ても、例えば、いわゆる水と緑というようなことでいえば、隅田川の要するに整備というようなことは、また別個の計画で一応そういうものは示されている。だけれども、地域エリア、あるいはまたこういうエリア・コンセプトということで、地域でまとめてどうですかというようなことになると、全然わからないわけですね。個別に全部聞いて初めてああそうなのかということになるわけで、これは都民への発信力という面では非常に弱いのではないかなと思うんです。
それで、私も一番ぱっと目についたのが、ここの記述を見ていますと、本当にエリアごとに記述の量が違う。これを見ますと--字数を今スペースで考えてみる。私どもが所属している区部東部・北部エリア、五百四十スペース。この区部東部・北部エリアというのは、実に大きなエリアなんです。同じように区部西部・南部エリア、これも同じ五百四十です。じゃ、センター・コア・エリアって何字あるのか。千六百六十字、三・三倍。臨海、千五百十二字、三・〇倍。三分の一。それで、多摩中央部北--多摩は優遇されています。八百六十四字、一・七倍。じゃ、島しょはどうだ。六百五十字、一・三倍。この東京の真ん中の周辺部ですよ。東京都二十三区でいえば一番たくさんの人が住んでいる。その人たちのところへ発信する記述は、見てください、これだけ。これでわかりづらいのは当たり前の話じゃないかなというふうに思うんです。
ですから、もう少し具体的に、そこに住んでいる都民にわかりやすいということをやっぱり考えなきゃいかぬですね。ですから、都の取り組みに、これを見ている限り、どこかがいっているように、センター・コア・エリア中心なのかといわれると、皆、なるほどそうかと思われちゃう。そうではないと思いますけれども、そういうふうなことがありますので、その辺のところはどうなんですか。
○荒川企画調整担当部長 まさか先生が字数を数えるとは思わなかったものですから、鋭い指摘にあわてているところでございますけれども、私も知事本部に来ましてといいますか、あれができたときに見て、一瞬ちょっと戸惑ったところが実はあるんですが、今は担当でございますので、それなりの答弁をさせていただきます。
センター・コア・エリアとか臨海エリアについては確かに記述が詳しく書いてありますけれども、これは、現在喫緊の課題となっております都市再生に向けまして、民間開発の促進という観点からクローズアップされている部分で、その点が少し詳しく書いてあるというところでございます。
都市としては、これらのエリアにおける民間開発だけじゃなくて、当然今お話のございました区部東部・北部エリアなど周辺のエリアにおきましても、例えば三環状道路を初めとする環状道路の整備ですとか、連続立体交差事業やすいすいプランによるボトルネック箇所の解消、それから、幹線道路整備とあわせた木造住宅密集地域の改善といったように、同じように都市再生に資する事業への重点的な取り組みを実際は行っているところでございます。
ただ、九つのエリアというのは広うございますので、都市再生に限らず、環境対策、防災対策、産業振興などの面も含めまして、東京全体の発展を図っていく必要がございます。その点からこの九つのエリアを見ることは重要でございますので、できるだけ都民に理解してもらえるように工夫しながら、今後ともエリア・コンセプトで示した将来像の実現に向けた取り組みを進めていきたいと思います。
○織田委員 なぜこういう質問をしたのかというと、エリア・コンセプトというのは一体何なんだろうなというのが素朴な疑問です。実際、これをずっと読んでみて思ったのは、やっぱり飾りかと。失礼ないい方をすると、飾りなのかと。本当にやる気ないんじゃないのというふうに受けとめられるほど、僕は、エリア・コンセプトというものについては説得力が薄いのではないかなという率直な思いがいたします。
確かに将来像を示すということであれば、それはそれで結構だと思いますし、それを一番最初にお答えいただいたように、他の市区町村、基礎的自治体と整合性を図っていくということは、これは当然必要なことでありますから、必要です。しかしながら、そういうエリアを決めた、東京という広域自治体があって、区市町村という基礎的自治体があって、それの中間的な、あるいは幾つかの基礎的自治体をまとめるような形でのエリアというものを設定するとするならば、一体何が必要かということをやはり考えなければいけないんだろうというふうに私は思うんです。
中間的なところでエリアを決めました、その中間的なところでのエリアの課題というものを、エリアを決めるからにはきちっと確定というか、措定するというか、そういうことがどうしてもなければ、あんまり意味がない。
ここのエリアは、将来像、こうですよ。ここへ向けていくためには、やっぱり超えていかなきゃならない、整備していかなきゃならないという、大くくりで結構ですから、そのことについてはこういうことですよという課題をきちんと書き込まないといけないと思います、そして、その課題をきちんと書き込んだ上で、これに対して東京都はどういう考えで取り組んでいきますよ、もとより、区市町村の枠を超えているわけですから、そういうことを示さなければ、区市町村だって考えのしようがないし、あるいは民間だってそれに対してどうこうしていこうということにもなってこないんだろうというふうに思います。
それは、東京都がこういう考え方を持っておりますよということを都民に対して広く発信していくということにほかならないわけでありますから、そういった観点から考えますと、今回のエリア・コンセプトを見ているだけでは、その道筋というのはなかなか見えてこないというのが実情なんじゃないでしょうか。
ですから、まずエリアごとに何が最重要の課題であるのかということを明らかにして、その上でその実現のために広域自治体としての東京都はどう取り組んでいくのか、そして、区市町村や都民などとどう連携をして進めていくのかということを、細かい実施計画みたいなものでなくて結構ですから、そういうものをきちんとわかりやすく、ざっくりとした形でやはり示していくことが、このエリア・コンセプトをどうせ設定をする、飾りじゃないというのであれば、そういうことをおやりになった方がいいんではないかというふうに思うわけですけれども、ご答弁いかがですか。
○荒川企画調整担当部長 私どもは、今回のエリア・コンセプトにつきましては、エリアごとの将来像を示しまして、その実現に向けて、都、区市町村、都民、民間企業などが連携して一体的に取り組んでいくことを目指すということで設定したものでございます。
飾りではないようにしろというお話でございます。まさに都民あるいは区市町村から見て一番関心のあるところが、自分の地域がどうなるかということであろうと思います。そういう意味では、この将来像をベースにしたエリア・コンセプトというのは、ある意味では新しい形を示しているというふうには思っております。
しかしながら、今先生のご指摘のありました、今後は将来像実現に向けた課題をざっくり、あるいは明確に示せ、あるいは取り組みを具体的に示せというご指摘は理解できますので、三カ年の推進プランの改定を行う場合などの機会をとらえまして、検討していきたいというふうに考えております。
○坂口委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○坂口委員長 なければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本部関係を終わります。
これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
午後三時二十四分散会
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