総務委員会速記録第四号

平成十四年三月十五日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時七分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長大関東支夫君
理事石山 伸彦君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
主席監察員古河 誠二君
行政部長反町 信夫君
島しょ・小笠原振興担当部長高橋 敏夫君
災害対策部長岡部 恒雄君
参事矢島 達郎君
勤労部長尾井 幹男君
法務部長小林 紀歳君
統計部長早川  智君
人権部長関  正子君
人事委員会委員長眞仁田 勉君
人事委員会事務局局長高橋  功君
任用公平部長砂岡  攻君
試験室長川田 明良君
審査担当部長須々木亘平君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 人事委員会事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
 総務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
  ・第二号議案 平成十四年度東京都特別区財政調整会計予算
  ・第四号議案 平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第三十三号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
  ・第三十四号議案 職員の再任用に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三十五号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三十六号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三十七号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三十八号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三十九号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十号議案  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十一号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十二号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十三号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
  ・第四十四号議案 東京都石油コンビナート等防災本部条例を廃止する条例
  ・第百四十一号議案 包括外部監査契約の締結について
  ・議員提出議案第一号 職員の給与の特例に関する条例
  ・第百九十四号議案 職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例(継続分)
  報告事項
  ・平成十二年度東京都監理団体経営実績報告について(質疑)
  ・平成十四年度都区財政調整について(質疑)
  ・給与削減措置に関する第四回定例会以降の労使交渉経過について(質疑)
  ・給与削減措置に関する最近の労使交渉経過について(説明・質疑)

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、理事会の協議結果についてご報告いたします。
 本日の理事会におきまして、本日の委員会に人事委員会委員長の出席を求め、質疑を行いたいとの申し出がありましたので、この取り扱いについて協議した結果、本日、人事委員会事務局関係の予算調査を行う間、人事委員会委員長にご出席を願うことといたし、ただいまご出席いただいております。
 ご承知の方も多いかと思いますが、東京都人事委員会の眞仁田勉委員長をご紹介いたします。

○眞仁田人事委員会委員長 眞仁田です。
 よろしくお願いいたします。(拍手)

○坂口委員長 ありがとうございました。

○坂口委員長 この際、予算の調査について申し上げます。
 平成十四年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十四年三月十四日
         東京都議会議長 三田 敏哉
総務委員長 坂口こうじ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(水)午後五時

(別紙1)
総務委員会
 第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 総務委員会所管分
 第二号議案 平成十四年度東京都特別区財政調整会計予算
 第四号議案 平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

○坂口委員長 次に、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件、決議二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局及び総務局関係の予算調査並びに総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する説明聴取及び質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○臼井委員 本日は、人事委員会の眞仁田委員長さんのお越しをいただきまして、まことにありがとうございます。ご出席をいただいた中で、職員の給与削減問題について質疑をさせていただきたいと存じます。
 私たちは、この平成十四年度を迎えるに当たりまして、財政の危機が相変わらず大変逼迫しておるということと、都民生活が大変危機的な状況にあるという認識を持って臨んでいるところでございます。
 そんな中で、先般、我が党は、職員の給与削減を二年継続する特例条例を提案しております。これは、十二年の前回よりも、今日の社会経済情勢は一段と厳しくなっている。失業、倒産、そしてリストラ問題は、都民の生活を恐怖に陥れているのが実態でございます。そこで、私どもは、第四回の定例会で、この削減措置をするための決議をいたしました。そして、議会の意思を明らかにしたわけでございます。
 しかしながら、今日ここに至りまして、人事委員会から一つの意見をいただいたわけでございます。人事委員会が、職員の勤労者の基本権、こういうものの中での団体交渉あるいは労働争議だとか、そういうものについて禁止されている部分についての代償措置として、職員の立場に立った機能を持っておられるということはある程度理解をしているわけでございますけれども、今回、第一回定例会に当たりまして--十一年の第四回定例会では、時限的な措置であるからやむを得ないという見解をお示しになりました。そして、十三年第四回定例会においても、やむを得ないと考えていますというご意見でございました。しかし、この第一回定例会に対する議長からの意見聴取に対して、人事委員会は、本措置がこうした制度の趣旨と異なる特例的なものであることを十分勘案し取り扱われるようにということをいわれているわけであります。
 そこで、人事委員会がこのような意見に立ち至ったという--中立的立場でなければならないと考えているけれども、一歩踏み込んで、議会に対してこのような勧告ともとれるご意見をいただいたのは、どの辺にお考えがあるのか伺いたいところでございます。
 知事の意見に対しては、これは管理職は削減をするという知事の提案でございましたが、管理職と一般職、そういう立場からすると、どこに異なるものがあるのか。管理職はよくて、一般職は今回はもう打ち切りだと、なぜそういうことがいえるのか。その辺のことについても不可解に思っているところでございます。知事の意見のときには、時限的措置でやむを得ないといいながら、議会に対してはどうしてこのように異なった見解をお持ちなのかお聞かせ願いたい、このように思っているわけでございます。

○眞仁田人事委員会委員長 ただいまのご質問の趣旨は、一つは、昨年の第四回定例会におきまして知事が提案した条例案に対して私どもがなした意見と、今回議会で提案された条例案についての私どもの意見と違うではないかと、こういうお尋ねだと思います。
 端的にいえば、二年前に東京都の職員に対して四%の削減措置をとった、これはもうご案内のとおりであります。それは、当時、全国で最も厳しい水準のものであったと思います。私どもは、四%のカットが二年、さらに二年引き続くということは、余りにも影響が大きいのではないかということを考えた次第であります。
 さらに、二番目のご質問の趣旨は、知事の意見に対して、やむを得ない、議会の意見に対して、要するに慎重に検討する。
 これは、私どもの意見は--皆様方ご存じのように、地公法の五条によりまして、法律上、議会で職員の勤務条件について審議をする場合には人事委員会の意見を聞くことという制度になっております。私どもは、そういう制度にのっとって私どもが勧告をするという立場から意見を申し上げているわけでありまして、最終的には、これは議会で条例で決める事柄であります。議会が大所高所に立ってご判断をされる、私どもは勧告をした立場から物を申し上げている、こういうことでありまして、私どもの意見が法的な拘束力を持つということではございません。大所高所から最終的には議会がご判断なさることである、こういうふうに思っております。

○臼井委員 最終的には、議会の権能において、職員の待遇、給与等が決定されるということについては異存ないわけでございますが、管理職はよくて、一般職についてはだめというような、そういう見解にとれるわけですね。管理職と一般職と、給与の今回の扱いにおいて、どうしてそういう差をつけていいのか、その辺のことについてちょっと明確にしてほしいと思います。

○眞仁田人事委員会委員長 昨年十二月に知事から提出されました条例案と今回の議員提出条例案を比較いたしますと、一つは、知事提出条例案が削減対象を職責の重い管理職に限定しているのに対しまして、議員提出条例案はその対象を職員全体に広げているということであります。そして、知事提出条例案が期間を一年間に限定しているのに対しまして、議員提出の条例案はその期間が二年になっているということであります。私どもの勧告との乖離が大きく、職員の処遇に少なからぬ影響を与えると、これが私どもの判断の基本であります。

○臼井委員 今日の社会経済情勢ですが、今、中小零細企業で働く人たち、また、経営されている町の工場の社長さん方、この人たちが本当に悲鳴にも近い状況で頑張っている。こういうことからして、私たちは、都民感覚からいたしますと、今日的状況は、財政再建を進める東京都の立場で職員の協力を求めなければ、とてもじゃないけれども都民のこれからの支持は得られないということを考えているわけですが、人事委員会として、従業員百人以上の企業調査に基づいての勧告を過去ずっとなさっておりますね。しかし、今日的なこの状況は極めて異常事態なんですね。このことについて、私たちと共通認識を持てないものなのでしょうか。

○眞仁田人事委員会委員長 お尋ねは、事業所規模五十人、百人の基準はどこで決まっているかということが一つであります。職種別民間給与実態調査は、人事院及び全国の各人事委員会との共同調査として行われておりまして、したがって、調査対象事業所の基準については、人事院及び各人事委員会で同一の扱いとしております。
 この調査の対象となる事業所の規模につきましては、昭和三十九年の公共企業体等労働委員会の仲裁裁定に当たりまして、当時の池田総理と太田総評議長の会談において、企業規模百人以上の企業の給与水準を参考とすることとしたことを、非現業の公務員給与決定のための調査においても取り入れることといたしまして、昭和四十年以降、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上の基準で調査しているところでございます。

○臼井委員 私たちは、職員の給与を決定するに当たって、あくまでも都民の理解が仰げなければ、これはできないことだと。というのは、当然ながら、都民の納税においてこの財源は確保され、大変膨大な資金が必要とされるわけでありますから。
 そういたしますと、今回、一部労使合意だけが突出して事が進められた、議会に対しても十分な考え方の表明が得られなかった、そういうような経過の中で、この労使合意というものだけ、人事委員会で、これを尊重していけという立場なのでしょうか。労使合意万能なのでしょうか。この辺の人事委員会の立場を披瀝していただきたいと思います。

○眞仁田人事委員会委員長 のどを傷めておりまして、お聞き苦しいことがあろうかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
 私どもの意見の中で述べましたように、公務員の給与は、労働基本権制約のもとで、人事委員会の勧告を踏まえて決定されるという原則にかんがみまして、あくまで勧告の趣旨が尊重されることが望ましいと考えております。
 勧告に当たって、私ども人事委員会は、職員給与と民間給与等の比較に基づきまして、客観的かつ正確なデータをもとに、公務員である都職員の給与水準を示しておりますが、一方では、都の財政状況、都民生活の実態などすべての状況を反映できるものではなく、こうした面は、知事及び議会において判断されることと考えております。
 このため、人事委員会といたしましては、勧告尊重を基本とする立場から、その取り扱いに意見を述べた次第であります。勧告の取り扱いに対しての労使協議は、任命権者の責任において行われるものでありまして、人事委員会はこれに関与する立場ではございません。

○臼井委員 どうもありがとうございました。
 以上で質問は終わります。

○馬場委員 私からも、人事委員会、今回の給与、議員提出の条例に関しても大きく影響があるということで、大きく二点にわたって質問させていただきたいと思います。
 まず、今もお話がありましたが、この人事委員会制度という中で、昨年の秋、現状、社会のこうした変化が激しい状況の中で、人事委員会の立場というのは大変重要なものである、働く者にとっても、また全体の中でも、この報告や勧告、人事委員会での全体を見通した意見というものが大きく重要視されなければいけないというふうに、そういう点から質問させていただきました。
 今回、この中で一つ、今もご質問がありましたけれども、民間企業の給与実態調査というところをもう少し詳しく質問をさせていただきたいというふうに思います。
 地方公務員法の中で、この人事委員会が出す職員の給与に関する報告と勧告、こうしたものの意味は大変大きいのですが、この企業規模百人以上で、かつ事業所規模五十人以上の事業所と、対象をされておりますが、このような規模の民間企業が選定をされた経緯並びに理由について、今ご質問がありましたけれども、私の方からももう一度、確認も含めてご答弁いただきたいと思います。

○高橋人事委員会事務局長 いわゆる民間企業の従業員の給与の調査の対象事業所あるいは規模の関係でございますけれども、ただいま眞仁田委員長の方からご答弁申し上げましたように、昭和三十九年にこの方式について合意がなされまして、昭和四十年以降の民間調査の対象として、この規模で実施をされております。企業の規模が百人以上で事業所の規模が五十人以上ということで調査をさせていただいております。
 この基準の設定に当たりましては、こうした基準にすることによりまして、一つは、行政の組織の規模の大きさという観点がございます。職層ですとか、職務の性格ですとか、そういうものを、役職、年齢、経験、学歴、こういったものと突合して比較をしますので、こういう組織の規模としての適合性と、職務の内容を含めてという観点が一つと、それから、この対象範囲によりまして民間の常勤の従業員の方の過半数以上をカバーできるという状況がございまして、こういう基準になったものというふうに考えております。
 この調査の方式につきましては、先ほどのご答弁にありましたように、長い経緯を経ているわけですけれども、国の人事院と、それから、人事委員会を置きます都道府県、大都市を中心とした、こういった全国の自治体共通の方式としまして定着をしてきております。
 現時点におきましては、調査対象事業所の従業員数、それから民間事業所における常勤の従業員数の過半数をカバーしているということ等を総合的に勘案しまして、民間給与の実態を適切に反映できているものではないかというふうに考えておるところでございます。

○馬場委員 今のお答えで、全国共通の方式、人事院でやっているということも含め、それから、東京の中でも、二十三区は特別区人事委員会という組織を持っていらして、そこでもデータを集めたり、また、勧告をするにおいてその基礎資料としている。市部についてはこの人事委員会がないということで、市部については、東京なり全国共通、人事院との関連の中で、このデータが出てきている。つまり、大きく、人事委員会が勧告するためにはこの調査というのが大変重要な役割をしているとともに、東京だけでなく、全国的にも、このデータがある意味で使われているという状況にあると思います。
 今、最後にお話しいただきましたように、この形で今までやってきて、民間給与の実態を十分反映したものと認識なさっているということでありましたけれども、それでは、先ほどの質問にもありましたけれども、昨年の勧告に際して、特別に、事業所規模十人以上五十人未満の事業所について調査をなさっていらっしゃいますね。このことは、勧告のところに、米印のような形で、こういう調査をしましたというふうに書かれていますけれども、それでは、このような調査を、あえて、どのような理由からなさったのか、それをお尋ねいたします。

○高橋人事委員会事務局長 お話のいわゆる特別調査でございますが、これにつきましては、十三年の勧告に向けた調査の段階で、全く東京都独自の問題意識で行っております。
 これは、従前から、人事委員会の勧告に対しまして、より信頼性の高いもの、民間との均衡をきちっと図るべきものというご指摘をいただいてきた経過がございます。また、私どもとしましても、いわゆる都内の中小企業の実態がどうなっているのか、こういったところについては、私どもなりの問題意識を持ってきちっと把握しなければいけないということで、八百社の事業所を対象に、サービス業、製造業を調査させていただきました。
 こういった事業所の給与の改定の実施状況、それから給与制度の実情、こういったものを把握したわけでございますけれども、いわゆる東京都の人事委員会の勧告をするに際しての一つの参考資料として、きちっと把握をしていきたいということで調査をしたものでございます。

○馬場委員 この調査を参考にしたいということでございますが、それでは、この調査した結果はどんなことになったのでしょうか。

○高橋人事委員会事務局長 調査をしました事業所につきましては、先ほどお話ししましたように、事業所の規模が十人以上五十人未満の都内の事業所で、八百事業所を無作為に抽出いたしました。都内で構成の大きいサービス業と製造業を対象としてございます。
 この調査結果の内容でございますが、これは、十三年の勧告及び報告の中にも記載させてもらっておりますけれども、ベースアップを行った事業所の割合は、いわゆる本調査の民間給与実態調査の対象事業所等と比べまして低いという状況が判明しております。それから、ベースアップを中止した事業所とベースダウンを行った事業所を合わせた割合は半数を超えていたという状況も判明してございます。それから、特別給の支給割合につきましては、いわゆる本調査の対象事業所と比べて低いという状況も出てございます。それから、入社する際の初任給につきましては、ほぼ同水準という結果が判明しております。総じて申し上げますと、本調査の結果と比較しまして厳しい状況ということが判明しております。
 また一方で、役職の段階が非常に少ないといいますか、いわゆる係員の方、担当の方から役職までの、そういった職層が少ないということ、それから、採用に関係しまして、中途ですとか、あるいは縁故の採用が多いという状況がございます。また、賃金表のない事業所があるということなどから、直ちに公務員比較の対象とするのには制約があるということもまた一方で認められたところでございます。
 また、この個人給与の調査結果の中では、申し上げましたように中途採用が多いということなどから、比較をするに当たりまして、役職、それから同年齢、こういった従業員の給与水準にかなりばらつきがあると。都の職員の年齢、役職、学歴等に比較いたしまして、なかなか正確な比較が、この調査の限りでは困難であったということが判明しております。
 こうしたことから、小規模の事業所の調査結果は、昨年の勧告におきまして、公務員比較に直接的には反映できておりませんけれども、民間企業における厳しい現状をきちっと認識するという観点で貴重なデータとなっているものというふうに認識をしております。

○馬場委員 調査の結果、今まで対象にしている部分よりも水準は低いことはわかって、それを参考にしたいけれども、比較するデータとしてはとても使えないというふうに今答弁いただいたと思うんですが、これ、一度だけの調査で判断をなさるのかということも含めて、またさらに、方法も含めて、十四年度も調査をなさるのか、今後どうするのかということについてお伺いいたします。

○高橋人事委員会事務局長 小規模事業所の調査結果につきましては先ほどご答弁申し上げたとおりでございますが、十四年度行うかどうか、これは、現在のところ、いろいろな角度から、さらに継続してもう一年やるかどうか、人事院の調査につきましてもいろいろ調査の見直しの動きも若干出ていることがございますので、そういったこと等を勘案しながら事務局でよく検討しまして、また人事委員会の方にお諮りさせてもらいたいというふうに考えております。

○馬場委員 先ほど、この調査は都独自の問題点から調査をしたというふうにご答弁がありましたけれども、私が聞いておりますところでは、国の人事院でもかつてこの小規模企業の調査をなさって、ただし、二年でやめられたというふうに伺っています。国も問題意識は持っているということなんでしょうか。国、人事院がどういうことを考えて、こういう調査をなさり、その結論といいましょうか、このことについて、現在、人事院としてどういうふうに見解を持たれているのか伺います。

○高橋人事委員会事務局長 人事院におきましては、現在と比較をしますとどうかという、またご議論があろうかと思いますけれども、当時、例年にない厳しい雇用情勢あるいは春闘情勢ということにかんがみまして、平成十一年、十二年でございましたけれども、この時点で、企業規模につきましては三十人以上百人未満、この民間事業所から無作為に抽出をした事業所につきまして、給与の改定状況、雇用情勢の実態等を特別に調査をしたという経過はご指摘のとおりでございます。
 この調査の結果につきましては、人事院の方で分析をしたわけでございますけれども、先ほど東京都の特別調査でご紹介申し上げましたような、そういう状況が同様に認められたという報告を人事院の方でされております。
 今後、国において同様な小規模の事業所の調査を行うかどうか、これは現在のところ特に聞いておりません。

○馬場委員 この民間の実態調査というのは、公務員の皆さんのお給料を決める勧告をするに当たって、最初に申し述べましたように、大変大きな指標になるというふうに思っております。
 今、何点かの質問の中で、その対象を広げて、小規模の企業も入れていくということについては、二つ考え方があるというふうに思っていますが、まず、これを入れて考えるべきなのかどうか。公務員の皆さんのお給料を決めるのに、全体としてやるべきだというふうに考えていらっしゃるのかどうか。それから、一方では、この方法ができるか、できないか。つまり、東京でも昨年調査した結果、比較が難しいという結論に達したというふうに聞いておりますが、この方法を、例えばほかの調査の方法をとるとか、人事院等ほかの動向を見ながら、ほかの方法を考えながら対象にしていくのかどうか。そこのところは大きく問題だというふうに思うんですね。
 なぜかというと、参考にするということは、ただ、民間の小規模がこのくらいの給与ベースなんだということを、単なる参考意見、つまり、議会や任命権者の知事等に対しての参考のための資料づくりのために提出するということで、人事委員会さんとしてはいいのかどうか。そのことも、きちんとこの民間の給与の中に含めて考えていくべきだというふうに考えていらっしゃるのかどうか。その点も含めて、基本的な考え方についてお伺いさせていただきます。

○眞仁田人事委員会委員長 調査対象の企業規模につきましては、長年の経緯を経て、全国一律の調査基準として定着してきているところでございまして、公務の職務内容、組織状況及び人材確保上の必要性などから見ても妥当なものと私どもは考えております。
 本委員会としては、社会環境の変化を踏まえ、人事院と協議しながら、幅広い検討を今後行っていきたいと、このように考えております。

○馬場委員 参考にしていきたいのであれば調査を続けなければならないと私は思いますし、そうでないのであれば、費用やさまざまな点でもう必要ないと。今の委員長のお言葉のように、現状では今までの調査の方法でいいということであれば、もう今後する必要はないというふうに考えていいのかどうか。
 その点も含めて、それからまた、働き方が多様化している中で、民間との比較をどんな方法でしていくのかとか、これからたくさん、人事委員会として問題点はあるというふうに思いますので、きょうお答えいただくというのは難しいことなのかもしれませんが、その辺を考えながら、人事委員会としての基本的な考え方というのをぜひこれからも積極的にご検討いただきたいというふうにお願いをして、次の質問に移ります。
 次の質問なんですが、先日、三月の八日の日に、教育委員会で、都立学校の管理運営に関する規則というのが改正をされました。主幹職という新しい、管理職と一般職の間のようだというふうに聞いているんですが、その設置が決まったということで聞いております。
 今後具体的な検討が進む中で、人事委員会として、このことについて対応していくという運びになると思いますが、私は、これもそうですが、二十年ぶりの大きなこうした制度の改正ということが行われる中で、全体の、人事委員会として、こうした新しい制度に対してどのようなかかわりを持っていらしたのか。この決定はもうされてしまったわけですが、人事委員会として、この教育委員会の決定を受けて今後どのように検討なさるのか伺います。

○砂岡任用公平部長 ただいまの先生のお話にもございましたけれども、教育長の諮問機関でございます主任制度に関する検討委員会、この検討結果を踏まえまして、教育委員会におきまして、東京都立学校の管理運営に関する規則、これに主幹の規定が設けられたところでございます。
 主幹制度の導入、これは来年の四月一日とされております。したがいまして、今後、制度の詳細、あるいは人材育成など、残された課題について整理をしていくことになろうかと思っております。
 人事委員会といたしましては、教育委員会におけます今後の検討状況を踏まえまして、具体的な職責を見きわめた上で、主幹にふさわしい適切な給与処遇の検討を進めてまいりたいと考えております。

○馬場委員 ありがとうございます。
 教育委員会が教育委員会としてこうした新しい制度を決めていくということは、それなりに当たり前のことなんですが、そこで、人事委員会さんとして、東京都全体の人事、職務、また全体のバランス等も含めて、第三者の立場として置かれているこの人事委員会として、決められた後、要するに給料表をつくる職務だけというのは、私からすると、この人事委員会の役割からすると不十分ではないかなというふうに思われてなりません。
 教育委員会さんでこうした制度をつくりたいということ、それぞれの委員会が独立しながら、人事委員会ともう少し、この決定の前に、お互いにその立場から意見の交換をし、その上でこの決定をするというふうな手順が行われてくれば、人事委員会の職責も含めて明確になってくるのではないかと思いますし、その役割も、大きく全体の都政に対して貢献できるのではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、この問題について人事委員会として、任用、給与制度全般に関する専門的な人事機関、第三者機関としての役割をきちんと果たしていくべきだというふうに考えますが、この点についていかがでしょうか。

○砂岡任用公平部長 一般の行政職につきましては、人事委員会といたしまして、任用、給与制度全般にわたりまして関与していくということでございますけれども、教員の任用制度につきましては、これは教育委員会が所管しておりまして、人事委員会として直接に関与する権限というものはございません。ただし、給与制度そのものにつきましては、知事部局と同様、地方公務員法が適用されますので、当委員会の関与が及ぶということでございます。そうしたことから、任用制度と給与制度というのは相互に関連する制度であるということもございまして、これまでも教育委員会との情報交換に努めてきております。
 今後も、教育委員会と連携しながら、主幹の職責にふさわしい処遇のあり方について検討を進めて、人事委員会としての役割をきっちりと果たしていきたいと考えております。

○馬場委員 教育委員会だけではなく、知事部局についてもですが、人事委員会としての一つの見識を持って、常に、新しい制度へ変わるときの諮問、また勧告等をすべきであるというふうに私は思っておりますので、きょうは委員長お見えいただきましたけれども、ぜひこの点について、これからさらに人事委員会として積極的な役割を果たしていただけますように最後にお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○木内委員 さきに、自動車、鉄鋼など主要業種で春闘の結果が明らかになっておりまして、トヨタ、ホンダなど、日本を代表する優良企業さえも、ベアゼロ決着をしておりました。また、一部大手企業におきましては、定昇制度そのものの廃止に踏み切るなど、今日的、特徴的な新しい流れというものを見ることができるわけであります。このように厳しい経営環境を背景に、民間企業の賃金制度というものは今大きな転換期を迎えている、こういうふうに認識をしているわけであります。
 そういう社会的な状況の中で、依然危機的な都財政状況はもとより、都民の置かれている厳しい状況というものをしっかりと受けとめ、その上で、職員の給与のあり方も、いわば内部的な論理ではなく、申し上げているような社会経済情勢の変化に応じた、都民の目線でとらえる考え方というものが極めて重要になってきている、こう思うわけであります。
 さて、職員の給与は、本来、人事委員会勧告を尊重し、労使協議を踏まえて決定すべきであります。私ども、これまで、この過程において労使合意となった事項につきましては、議会の立場で一貫して協力をしてきた歴史があるのであります。しかし、今日の混迷は、都民の感情から遊離し、労使双方にとっても不幸なゆゆしき事態である、こう受けとめております。
 したがって、我が党としては、労使双方がこうした事態を真剣に受けとめて、速やかに協議を進めて、早期に都民の納得を得られる合意を促すため、自由民主党の皆さんとともに議員提案に踏み切った、こういう経過があるわけであります。
 さて、そこでお伺いするわけでありますけれども、人事委員会は、自民党と我が党の議員提案に対する議会からの意見聴取に対して、先日意見を述べておられますけれども、その真意とするところは何なのか、改めてご説明願いたいと思います。

○眞仁田人事委員会委員長 給与勧告は、地方公務員法に基づきまして、国、他団体、民間従業員等の賃金と均衡を図るという均衡の原則のもとで、客観的で正確な公務員給与の比較に基づいて行っておりまして、人事委員会の立場としては、給与勧告を尊重していただきたいというふうに基本的に考えているわけであります。
 この勧告の取り扱いにつきましては、知事及び議会が、勧告を踏まえつつ、都政全般との関連を総合的に勘案し、判断されるものであります。
 そこで、今回の議員提案による職員の給与削減条例案につきましては、当委員会として、昨年十二月の都議会での決議等の経過に対する認識を示すとともに、地方公務員法による給与決定原則の趣旨を踏まえ、削減措置が制度の趣旨と異なる特例的措置であることを十分に勘案して取り扱われるよう希望する旨申し述べたところでございます。

○木内委員 私どもが、早期に労使協議を進めまして、そして労使間で結論を得ることが重要だと考えますのは、不況に苦しむ納税者である都民の苦しみを労使双方がしっかりと受けとめて、組合員も、財政再建のため都民と痛みを共有し、都職員として誇りを持って協力できる体制を築くことが何よりも肝要である、こう考えているからであります。
 職員の皆さんとの個人的な話し合いの中でも私は聞いたわけでありますけれども、前回のこうした話のときには、厳しい都財政を再建するために苦しみを分かち合うんだという誇りがあった。しかし、今回のこの議論の経過というものを見ていると、そうした私たちの使命感や誇りというものが破壊されるような寂しさを覚える、こんなふうな真情を吐露していたのが極めて印象的であったわけであります。
 基本的なことでありますけれども、私は、こういう意味からも、中立的な専門機関である人事委員会の勧告の持つ意義というのは極めて大きいと思うのでありますけれども、公務員の給与水準を適正なものとしていく上で、人事委員会勧告の果たすべき役割について見解を確認したいと思います。

○眞仁田人事委員会委員長 地方公務員法の均衡の原則によりまして職員の給与を定めなければならないとされているところであります。すなわち、給与勧告におきましては、人事委員会が中立的専門機関として、給与の制度、水準両面にわたり、国、他団体との均衡や生計費を考慮しながら、民間従業員と職員の給与を正確に比較いたしまして、必要な場合に是正を勧告することにより、均衡の原則を実現し、職員の給与を都民の納得が得られるものとしていく重要な役割を果たしているものと考えております。

○木内委員 また、公務員の中には、そもそも組合もつくれず、労使協議すら保障されていない中で、じっと職務に精励している方々もおられる。例えば、都民の生命と安全を守る職務に日々精励しておられる警察、消防職員の人たちでありますが、こうした職員にとって、勧告はどのような役割を果たしているとお考えですか。

○眞仁田人事委員会委員長 地方公務員のうち、警察職員と消防職員については労働三権が一切認められていないということはご指摘のとおりでございます。こうした職員は、職員団体を結成し、当局と交渉することができないことから、私どもの行う勧告は、ほとんど唯一の勤務条件の維持向上の機会として重要な役割を果たしている、このように考えております。

○木内委員 こうした職員の皆さんの勤務条件を確保する上でも、勧告尊重ということをベースに、労使合意を含む関係者の合意をきちんと踏んで給与を決定していくということが大事であると思います。こうした観点から、これからも、人事委員会の勧告が、きちんと民間との比較を行い、公務員給与の適正な水準を設定していくことが、公務員給与や公務員の労使関係に対する納税者の理解と納得を得ていく上で極めて重要であると思います。
 先ほども、馬場さんとの質疑の中で、さまざまな調査方法、実態をどう掌握するかについて言及があったわけでありますけれども、まさにこうした民間との比較においては、正確を期し、正鵠を得た、そうした調査というものを行っていく必要があるであろう、こういうふうに思うわけであります。
 今回は、都民と痛みを共有するために、給与の時限的な削減を提案しているわけでありますけれども、社会経済状況の変化をしっかりと受けとめ、これに的確に対応していくためには、こうした緊急避難的な措置だけではなく、中長期的な観点から人事給与制度を見直していくことが一層重要であると思います。すなわち、能力と業績をきちんと反映し、働く者がより報われ、そうでない者の処遇は厳しくしていく、そうした制度をつくり上げていくことがぜひとも必要であるとも考えているのであります。
 知事は、さきの第四回定例会において、今後、人事給与制度の抜本的な見直しを行うという、その所信を表明されました。私どもとしては、ぜひこうした取り組みを積極的に進めるべきと考えているわけでありますけれども、関連して、人事委員会としては、今後の都の人事給与制度の見直しについて、この点でどのようにかかわっていくのか、お尋ねします。

○眞仁田人事委員会委員長 社会経済が大きく変化していく中で、都の職員の給与水準とともに、人事・給与制度についても、社会一般の情勢に適応させ、都民の信頼と納得を得られる仕組みを構築していくことが大変重要だと考えております。このため、中立、公正な第三者機関、人事行政の専門的機関としての立場から、人事行政の適正化を図っていくことがますます必要であると認識しております。
 これまでも、民間の状況、国における改革の動向等を十分把握しながら、人事・給与制度のあり方につきまして意見の申し出を行ってきたところでございます。今後とも、ご指摘のように、能力と業績を的確に反映し、職員の能力を最大限発揮し得る人事・給与制度の構築、とりわけ給与構造の見直しなど、専門的機関として培ってきた蓄積と経験を生かしまして、今後の人事・給与制度の抜本的な見直しを積極的に提言してまいりたい、このように考えている次第であります。

○木内委員 以上で終わります。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 今回、一般職給与ですが、本来の給与を、これまで二年間にわたって四%カットしてきたと。これをもとに戻すということに対して、私ども日本共産党は、妥当なものだと、こういう立場でこれまでも臨んでまいりました。労使合意のみならず、今回の予算案の中でも、四%カットをやめてもとに戻す、こういう提案がなされています。
 それで、先ほど自民党の委員さんからも、人事委員会からの意見について、職員の労働基本権が、あるいは争議権が制約されている代償措置として、職員の立場に立った機能を持っていることについて理解を表明されたということは、非常に重要だと思います。
 そこで伺いますけれども、人事委員会は、地方公務員法に基づき条例によって設置された法令上の必置機関であり、任命権者から独立した専門的な人事行政機関であると理解をしておりますけれども、念のためお聞かせいただきたいと思います。

○眞仁田人事委員会委員長 地方公務員法第七条によりまして、都道府県には人事委員会を置くよう定められ、設置は条例で定めることとされております。都では、昭和二十六年六月に、東京都人事委員会設置条例を制定しているところでございます。
 この人事委員会の位置づけは、地方公共団体の人事機関として、任命権者と別個の専門機関とされておりまして、また、地方自治法百三十八条の四及び百八十条の五に基づきまして、地方公共団体の執行機関の一つとして設置されているところでございます。
 人事委員会の権限は第八条に定められており、人事行政に関する事項全般にわたって幅広く事務処理を行うこととされております。

○古館委員 地方公務員法から少し取り出しただけでも、人事委員会の設置が、地公法第七条、ここで設置ということが規定され、そして、地公法の第五の二で「人事委員会の意見を聞かなければならない。」こういうのが規定され、そして、人事委員会の権限として、第八の一の三で「人事機関及び職員に関する条例の制定又は改廃に関し、地方公共団体の議会及び長に意見を申し出ること。」それから、同条一の九で、職員の給与、勤務条件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置をとること、このように規定されております。
 そこで、この薄緑の、これですね。この十三年の報告と勧告についてちょっとお伺いいたしますが、地方公務員法第八条の第一項第二号及び第二十六条で規定している、議会もしくは長に提出した報告と今回の一連の勧告ですね。私は、これ自体、そういう法に基づく報告であるというふうに思います。念のためこれも確認をしておきたいと思いますが、いかがですか。

○砂岡任用公平部長 法的な確認でございますので、私からちょっとお答えさせていただきますけれども、地方公務員法には、第八条第一項第二号に「給与、勤務時間その他の勤務条件、厚生福利制度その他職員に関する制度について絶えず研究を行い、その成果を地方公共団体の議会若しくは長又は任命権者に提出すること。」と規定して、また、第二十六条に「人事委員会は、毎年少くとも一回、給料表が適当であるかどうかについて、地方公共団体の議会及び長に同時に報告するものとする。給与を決定する諸条件の変化により、給料表に定める給料額を増減することが適当であると認めるときは、あわせて適当な勧告をすることができる。」と定められております。
 今お話のありました報告と勧告は、これらの規定に基づき、昨年十月四日に、議会と知事に対して行ったものでございます。

○古館委員 そういう点では、地公法の中の規定に基づいて、これが報告と勧告ということで出されているということですね。
 それで、先ほど、十人以上の従業員調査については、今後もどうするかということも含めて、研究をぜひしてほしいというふうに私は思っておりますけれども、十三年の都職員の給与と民間従業員の給与の比較がこの中に出ております。どんな差があったのか、具体的にお聞きしたいと思います。

○砂岡任用公平部長 十三年度におきましては減額をされているわけでございますが、本則であります減額前の金額について比較してみますと、都職員が四十四万七千七百八十円、民間企業従業員が四十四万八千百八十二円となっておりまして、民間従業員が、四百二円、率にいたしまして〇・〇九%上回っているという結果となっております。この格差は過去最低の金額でございました。

○古館委員 この状況の中で、この報告によると、減額前の金額について比較してみても、いわゆる民間従業員の方が、若干ですけれども上回っている、こういう結果になっております。
 それで、四%カットされておりますね、今、二年間。この四%カットされていると、その差はどれぐらいになっておりますでしょうか。

○砂岡任用公平部長 特例条例によります四%の減額後の都職員の給与は四十三万三千二十二円でありまして、民間従業員の給与は、先ほどの数字でございます四十四万八千百八十二円でございますので、その差は一万五千百六十円となっております。

○古館委員 この四%カットによって、一カ月の都の一般職員の給与が、ならしてですが、大体一万五千百六十円ぐらい減っているということになっていますね。ですから、あの報告の、四%カットされる以前の都の職員給与も低かった、さらに四%カットされて、ならすと、一カ月一万五千何がし減っている、これが現状であるというのが、今のご答弁で明らかになっていると思います。
 四%カットをもとに戻しても、一般職の職員給与は民間企業よりも少ないということを今の数字で示しているのではないかと思うんですが、この点についてはいかがですか。改めてお聞きします。

○砂岡任用公平部長 削減前の本則による公務員格差につきましては、民間従業員の方が都職員を四百二円上回ったことは、先ほど申し上げたとおりでございます。この格差は、職員の平均給与の〇・一%にも満たない、過去最低のものでございまして、公務員の給与はおおむね均衡していると判断できる水準でありますことから、当委員会といたしましては、給料表及び諸手当の改定を行わないことが適当であると判断したところでございます。

○古館委員 それで、職員給与についてですけれども、私ども、職員給与については、低ければ低いほどいいというのは、法から見ても不適切だと考えています。
 地方公務員法第二十四条には、職員給与の条例主義。おっしゃっている、条例で決めるということが、地方公務員法第二十四条にありますけれども、さらに、この第二十四条では、その職務と責任に応ずる給与というふうになっております。つまり、東京都の一般職員としての職務と責任に応ずる給与とともに、さらに、この二十四条では「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」と規定されております。同じ第二十四条です。
 今回の人事委員会の意見は、こうした法の規定にも合致するものと考えますが、いかがでしょうか。

○眞仁田人事委員会委員長 地方公務員法は、公務員の給与に関する原則として、職務給の原則、均衡の原則、条例主義の原則を定めているところであります。
 人事委員会は、中立的専門機関の立場から、職務給の原則、均衡の原則にのっとり、正確な民間給与調査の結果に基づきまして、給与に関する報告と勧告を行ってきているところでございます。
 意見は、こうした公務員の給与決定に関する法の趣旨にのっとりまして、本措置が特例的なものであることを十分勘案し、取り扱われることを議会に対して要望したものであります。
 なお、人事委員会の意見は、人事行政の専門機関として申し述べているものでありまして、給与については、意見を聞いた上、議会が都政全般を考慮の上、大所高所から判断され、条例により決定されるものと理解しております。

○古館委員 終わります。

○矢部委員 眞仁田委員長にせっかくお越しいただいておりますところで、それこそ大所高所からお尋ねをしたいと思っております。
 先般、都議会の調査団で、シンガポールとベトナム、ホーチミン市に行かせていただきました。当時ホーチミン市では、日本の企業が進出をして、特区をつくって、そこで工場を運営しているわけですが、様子を見ておりますと、また、町の中の様子もそうですが、四十年前の東京の町のにぎわいを感じさせる感じというか、体感してきたんです。
 この中で、たまたま行きました工場は電機部品の製造工場でございますが、部品は、日本あるいは台湾、あるいは韓国でつくって、送りまして、向こうのホーチミンの工場の中で組み立てをする。その中でも工場が幾つかあって、お互いに部品の供給もしているんですが、できたものは、何とこれ、電機部品ですから、JISの規格を受けるために日本に来て、メード・イン・ジャパンとして出されてしまうんですね。
 メード・イン・ジャパンだから日本でつくっているのかと思ったら、もう全部向こうでつくって、でき上がったものにJISの規格を受けるために、ここを通っている。これも今、世の中のカウントでは日本製になっているわけです。そういうふうに表現されていってしまったときに、本当にメード・イン・ジャパンというのはどこまでなんだろうということを、ふと疑問に持ちました。
 それと同時に、物価水準から見ますと日本の百分の一ですね。だから、賃金水準も当然のごとく低いわけです。さらに、極めて器用。手先が器用で、目が何と二・〇。これが当たり前という世界ですから、不良率も極めて少ない。それこそ日本の四十年前そのまんまでございまして、この活気がある限り、日本はつぶされてしまうのかなというふうに思えてならぬのですね。
 これは、もう一面考えますと、今、この人事院の制度もそうですけれども、基本的には右肩上がりという経済構造の中で生まれたものだろうと思います。なおかつ、日本が、先ほどの池田総理、太田総評議長ですか、の当時を考えれば、追いかけて追い越せという目標がほかにあって、そこに向かっていた時代につくられたものですし、その時代と今とはまさに違ってきている。
 ましてや、今、日本は賃金水準からいくと世界一になってしまっているわけでして、こういう状況が当たり前かというと、決してそうではないと思うんです。中国なんかはだんだん賃金水準が上がってきています。いずれベトナムも上がるでしょう。しかし、地球上を見ると、これから東欧へ進出しようとか、アフリカへ進出しようとか、まだまだ賃金のそのバランスの中ですべてのことが成り立つこの構造が続く限り、日本がすぐによくなるというふうには当然いかないと思うんです。
 そういう観点に立ってよくよく考えたときに、購買力平価というんでしたっけ、例えばマクドナルドのハンバーガーの値段が幾らだとか。あるいは、ニューヨークでコーヒーは一ドルで普通飲めますし、高級なのを飲むと二ドルとかなりますけれども、コーヒーの値段というのは大体そんなものでしょう。一ドルでホットドッグが食べられる。
 日本は、今、価格破壊といわれ始めて、牛どんが二百二十円。これでやっと手が届くようになっているけれども、これはデフレでも何でもなくて、正常に戻ろうとしている力じゃないかなという気もするんですね。
 新聞をここ連日にぎわしているのは、民間においては春闘ゼロ回答、ベースアップだけ。あるいは、けさあたりは、電機関係は五%マイナス、ベースアップ二%プラスで、都合マイナス三%というような数字が出てきておりまして、これは、やっと正常な方向に動いているんじゃないかなというような気もする次第なんです。
 こういうふうに申し上げますと、今のすべての機構が必ず上がっていくという前提でつくられている仕組みに、下がっていくということは入っていない概念、感じがするわけですけれども、やはり日本国内の賃金水準だけを見ている。それでも、今、変化してきていますけれども……。
 それをずうっと続けちゃって、逆に、公務員の給与に対して人事院が勧告を出し続けたものだから、民間もそれに合わせざるを得ないというようなことがあって、本来、日本の国の仕組みすべてが、土地本位制といったら恐縮ですが、土地の価格がベースに動いてきて、バブルではじけたけれども、今、もとへ戻るか、それより下がっているのに、給与の勧告だけはどんどん、どんどん上がってしまう。このずれがますます海外進出を促進しちゃって、この十年間が、極めてつらい日本の国になってしまったのではないかという感じがするんです。
 大変大きなとらえ方をしていますから、お答えが難しいとは思うんですが、これを根本から見直しをしないと--それは、だから、日本国内の賃金水準だけを見ている時代ではない。国際的にどうなんだと、日本はどういう位置づけにあるんだということを踏まえて考えていかないとならぬ時代に入っているというふうに私は思うんですが、いかがでございましょうか。

○眞仁田人事委員会委員長 非常にスケールの大きいお尋ねでございまして……。
 私どもの行っている民間調査というのは、さまざまな民間の諸活動、経済的な諸活動はかなり正確に反映されていると思います。それで、私ども、民間の調査を行うに当たりましては、当然のことながら、調査の結果に対して行政上の裁量というのは一切ないわけです。数字の世界なんです。
 今、先生は、私どもの勧告が過去、一貫して右肩上がりで来ているのではないか、こういう趣旨のご質問が一つありました。これは、少なくともこの何年間かの私どもの勧告を見ていただきますと、少なくとも、公務員の、職員の年間総収入においては、毎月の給料のほかに、特別給、ボーナスもあるわけです。既に、五・二五カ月から四・七カ月まで落ちてきているわけです。
 要するに、私どもが調査する民間が、今先生がおっしゃられた、国際競争なり何なりのいろいろな要素を入れて、そして、その改善を加えているのがあれば、私どもの調査の中に端的にあらわれてきているというふうに思っておりまして、今、電機その他の具体的なことしの春闘の動きもお話がございましたけれども、私どもも来月から民間の調査に入るわけであります。大きな春闘のうねり、変革のうねりが、新聞にあるようだとすれば、それは、来月行うあれの中に端的に出てくるのではないかというふうに思うんです。
 ちょっと迂遠な回答になったかもしれませんが、決して右肩上がりでずっと来ているわけではございませんので、ご了承いただきたいと思います。

○矢部委員 大変お答えしにくいところでございましょうけれども、私は、極端に申し上げれば、人事委員会の役目は終わったのではないかというふうにもいえなくはないかなと思っているんですね。委員長に対して過酷なことを申し上げていますが……。
 どうしたらいいかということがありますけれども、結局、五十人、百人という数字、それから、十人、五十人について、また別途調査をされたということがあります。もう一面、例えばILO等々の動きがあって、週四十時間労働というようなことが世の中ではいわれているわけですね。けれども、要するに、五十人以上百人規模のところの企業は、その四十時間できちっとされているでしょうけれども、それを補完している、要するに十人未満の企業がめちゃくちゃしているために帳じりが合っているというような部分もあるんですね。そのめちゃくちゃというのは、言葉が適切じゃないかもしれませんが、逆にいえば、十人未満の方が、東京の中の町工場から始まって、商店もそうですし、東京都内の企業といったときには、ほとんどそこに入っちゃうんじゃないかと思うんです。ですから、そことの差が明らかに出ちゃう。余計つらさがあると思うんですね。どのぐらい厳しいかというと、もうぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう締められて、総額から決められて、ともかくこの金額でやれと、こういうような話になってしまって、材料費から賃金から全部インクルーズで幾らだと、こういう話でやらされてしまうという結果においては、日給に換算していいのかどうかわかりませんが、一日働いて八千円もらえるかもらえないかというようなことにもなってしまうというようなケースが現実です、建築関係でいえば。また、町工場からすれば、そこそこの工場を構えている、固定資産税が捻出できないんじゃないか、というような話にもなっちゃうというような現実もあるわけです。
 そういうことが、今までのこのカウントの仕方には全然入ってこないんですね。だから、十人、五十人というところまで広げられたということ、ただ、これは別にされていますけれども、これは大変大事なことだと思うんですけれども、それ以上に--実態としては、東京都という企業とすれば、そうした企業と比較するというのは正しいんですけれども、今、東京の町の中というか、世の中というか、の実態ということもどこかで押さえておかれる必要はあるんじゃないかと基本的に思うんですが、いかがでございましょうか。

○眞仁田人事委員会委員長 大変難しいお尋ねでございまして、要するに、地方公務員法で、職員の給与について職務給の原則というのがうたわれているわけであります。これは、職務の種類と責任に応じたものでなければならないということで、いいかえれば、地方公共団体にどれだけ尽くしているかということが基本だということになっているわけであります。
 いろいろな給与の調査の仕方があるわけでございますけれども、その職務と責任の度合いに応じた形で民間との対比を、比較をするということになりますと、やはり一定の規模以上のものでないと比較にならないわけです。例えば、単に、非常にパートの多い職場の平均給与と、そうじゃない大手町のホワイトカラーの平均給与と比べても意味がないわけです。
 要するに、どういう仕事を、どういうポストで、幾つと幾つの年齢の方が民間でやると幾ら支給しているかという調査をやるわけでありまして、都民感情として、今、矢部先生がおっしゃられたような、多くの零細企業までを含めるべきだというようなことを、先生方は代弁されているわけでありますが、私どもも、去年、先ほど部長がご答弁申し上げましたように、実際に調査をしてみて、結局、賃金台帳がない、あるいは、ほかに、初任給はいい線いっているけれども、その間の階層がなくて、すぐ経営者になってしまうとか、公務員の組織機構となかなか対比できない。今の地公法の給与決定原則の職務給の原則と、どうしてもそれに合わせることができない、こういったような事情があります。この辺をひとつごしんしゃくいただきたいというふうに思います。

○矢部委員 委員長おっしゃるとおりだと思うんです。ですから、それをこの中に反映しろということではなくて、資料というのか、今、この時点で、例えば平成十四年度時点では、それぞれこういう背景が東京都にあるんですという押さえ方というか、それをこの中に使うんじゃなくて、やっぱり全体は変化があるということもにらみながらいく必要があるというふうに思っておるわけです。同じルールにはなっていませんから、それを全部、同じ土俵に上げるというのは限界があるでしょうけれども、でも、その実態がわからなければ、倒産件数はどんどんふえていく一方だし、そうしたことについて、やはり東京都も痛みはわかっていると、連動しているというようなイメージがどこかに表現されないと、なかなか都民の理解が得にくいなというふうに思っているから、申し上げたわけでございます。

○眞仁田人事委員会委員長 先ほど私どもの部長からご答弁申し上げましたように、昨年、私どもは、十人以上五十人未満の規模のいわば中小零細企業に対して調査を行ったところであります。もちろん、具体的なこの官民格差の中に取り入れて、今すぐにわかにやれるというようなことではないというのは、先生のご指摘のとおりでありますが、私どもは、去年の勧告の中で、こういうところはこういう状況でしたということを報告の中できっちり載せております。
 ですから、先ほどの説明にもありましたように、そういう五十人未満十人以上のところでは、四三・何%しか実際にはベアをやっていないんです。それに対して、私どもがやった五十人、百人のところでは、四九%前後の--それも、それしかベアをやっていない。大変民間の厳しい状況が映っておりますが、ご指摘のような、要するにこういう十人以上五十人未満のところではこうでしたということを、私どもは去年の報告の中に具体的に記載させていただいているところであります。どうぞご了承いただきたいと思います。

○矢部委員 もう最後にいたしますけれども、東京都の中でも一番大変なのは、東京のそれこそ地場産業といわれるような、すそ野の産業でございます。昨日、一昨日、予特の中でも出ていましたけれども、そうした企業、それこそ必死に努力をしていただいているわけです。それがなくなってしまったら、それを新たにつくるというのは大変なことなわけでして、それらに目を向けるというか、という観点がぜひ必要だということで申し上げた次第でございます。
 人事委員会勧告のこの仕組みがあって全体が成り立っているわけですから、否定をするのはしにくいところですけれども、でも、世の中がもう右肩上がりの時代は完全に終わって、それこそ右肩が下がりっ放しになっているという時代でございます。そういう中において、なおかつ国際的な観点に立つというのは、東京都ですることではなくて、国のベースですることでありましょうけれども、そういう観点を持たない限り根本解決にはならぬということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

○松本委員 眞仁田委員長には久しぶりでありますが、私にとりましては、いつまでたっても副知事と、こういうイメージが大変強いわけでありまして……。
 人事委員会の委員長にこの都議会で答弁に立っていただくという機会は大変まれであると。このことは大変異常なことだと思うわけでありまして、ぜひ本会議場で、年に一回ぐらいは、東京都の給与状況がどういうことになっているのか、東京都の人事行政がどういうことになっているのか、ましてや、こういうような新たな条例案が提案をされた場合には、みずから進んで発言の機会を求める、これぐらいの情熱を持って東京都の人事委員会、都政に臨んでいただきたいと、強く要望を申し上げておきます。
 今回、私たちが議員提出条例案を提出するに当たりまして、第四回定例会から今日に至るまでの間、労使合意に基づかない条例案の提出はいかがなものか、あるいはまた、人事委員会勧告を否定するのか、あるいはまた、もしこういうことになれば労働権の侵害にもなりかねない、あるいはまた、裁判に訴えられる可能性があると、ありとあらゆる忠告らしきものが、いろんなところから飛び込んでまいりました。
 そこで、我々も、さはさりながら、都民に選挙で選ばれてきた議会人として、やはり都民感情をしっかり東京都の人事行政の中に生かさなきゃならぬ、こういう思いの中で勉強をして、条例提出までこぎつけた、こういう経緯がございます。
 眞仁田委員長は、東京都で長らく総務局あるいは副知事等、人事行政に深く携わっていただいた、東京都政屈指の人事行政マン、専門家だ、こう考えておるわけでございまして、ぜひ忌憚のないご意見を伺いたい。
 そこで、東京都職員の給与を決定する法的な制度というのがどういうふうになっているのか、まず整理をして、都民にご理解いただきやすい、そういう説明をいただきたい、こう思うわけでありますが、先ほどの議論の中で、給与に関する三原則、最も重要な三原則がある、こうご説明がありました。その三原則が給与決定の原則で、職務給の原則であり、均衡の原則であり、条例主義だ、こういう話であります。
 この三原則の中の、特に均衡の原則を維持、実現をしていくための制度として、人事委員会勧告制度がある、人事委員会制度がある、こう理解をしているわけでありますが、間違いありませんでしょうか。

○眞仁田人事委員会委員長 ご案内のとおり、地方公務員の給与は、情勢適応の原則、職務給の原則、均衡の原則、条例主義の原則に基づいて決定すべきことが定められているところであります。
 人事委員会の給与勧告制度は、人事委員会が中立的専門機関として、給与の制度、水準両面にわたり、国、他団体との均衡を考慮しながら、民間従業員と職員の給与を正確に比較して、必要な場合に是正を勧告することで、地方公務員の均衡の原則を実現し、職員の給与を社会一般の情勢に適応させていく役割を果たしており、職員の給与決定に大きな影響を及ぼすという意味において、その意義は大変大きいというふうに思っております。

○松本委員 眞仁田人事委員会委員長、要するに、いろいろ法律、条例、規則、たくさんあるんですが、地方公務員の給与決定に当たって憲法にも匹敵する大原則が、この三つの原則が基本中の基本である、こうとらえてよろしいでしょうか。

○眞仁田人事委員会委員長 よろしいと思います。

○松本委員 この三原則の中の均衡の原則を維持するための制度として人事委員会制度がある、こう考えてよろしいですか。

○眞仁田人事委員会委員長 今のお尋ねは、地公法上の給与決定原則である均衡の原則を実現するために人事委員会はあるのかというお尋ねでありますが、人事委員会という専門機関が置かれて、その人事委員会が給与の決定に当たってまず基本に置くべきことの一つが均衡の原則である。ですから、私からあえて申し上げれば、逆になるわけであります。要するに、人事委員会があって、人事委員会が給与を決定するに当たって持つべき原則は、均衡の原則なんだ。均衡の原則を実現させるために人事委員会があるのか、こういうお尋ねでありますけれども、そこは逆じゃないかなと思います。

○松本委員 ちょっとそこが考え方が違うんですが、そうすると、人事委員会が給与を決定する、こういうふうにとられるわけなんですが、私どもが考えたのは、均衡の原則だけで給与決定ができるわけではない。ましてや、情勢適応の原則というのが十四条に規定されておりまして、「地方公共団体は、この法律に基いて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。」この情勢適応の原則があるわけでありますが、人事委員会勧告の中には、社会一般の情勢、これが必ずしも数値にきちっと出てくるような内容のものでないものが含まれてくる。
 先ほど、矢部先生の質問の中にもありましたとおり、人事委員会の調査の中では、中小零細企業の状況というのは提示されてこないわけですね、勧告の中には。そして、ここに平成十二年の給与所得者の収入額推計、これは総務省の課税状況調の中から出てきているわけでありますが、これを見ますと、課税標準額の段階が幾つかに刻まれております。課税標準額が四百万円の課税標準になったときに、収入、夫婦で子ども二人、四人家族で、給与所得者が一人の場合、初めて七百七十万、こういう数値になるわけであります。では、七百七十万円以上の収入というか、三百万円ですから、年収六百三十三万円以上の収入をされている人が何%ぐらいいるのか、こういいますと、三一・九%にしかならない。そうすると、東京都の人事委員会が勧告をするに当たって調査をしている方々、納税者というのは、四〇%を金額的には切る。東京都職員の給与以下の収入の方が、労働者の中の少なくとも六割を占めているという状況がある。このことは、人事委員会勧告の中にはあらわれてこないわけであります。
 ここにも、東京都生計分析調査報告というのがある。これで平成九年、都民勤労者の平均は六百八十万六千円、四十六歳二カ月の方。それに比べて、東京都の職員は四十二歳三カ月、約四歳年下でありながら七百五十五万三千円。これは平成九年です。
 平成十二年でこの調査報告書を見ると、都民勤労者は六百六十万七千円に対して、東京都職員、四%カットした上でもなお七百二十七万三千円、こういう数字が出ている。
 もし、人事委員会の勧告が給与を決定する上ですべてだ、これがまず先だよ、人事委員会がこの三原則に基づいて勧告をする、それが重要なファクターになるんだよという話になれば、この情勢適応の原則の中、社会一般の情勢に適応するように必要な措置を講ずる義務、これが地方公共団体に課せられている。こういった考慮、すべての考慮を、人事委員会はきちっと数値をもって勧告、意見書の中に、都民にわかりやすく、納税者の理解を得るべく出してこなくちゃいかぬ。
 ところが、人事委員会というのは、決められた五十人、百人という社員を抱えた、そういう企業だけの調査をもって、民間との比較考量はこうなんですよと。それがあたかもすべてであるような誤解をしている方々がたくさんいらっしゃる。そうじゃない。むしろ人事委員会の調査から外れている勤労者の方が多い、こう認識しているわけでありまして、もし、この三原則適応が人事委員会の調査にすべてゆだねられているんだという、先ほどの委員長の答弁ということであるならば、議会が考慮する必要もないし、知事が考慮する必要もない、こう考えるんですが、どうですか。

○眞仁田人事委員会委員長 先ほどのご質問に対する答弁が十分であったのかどうか、今、再度のお尋ねで、もう一度お答えさせていただきたいと思います。
 私どもは、情勢適応の原則というのは大前提でありまして、絶えず情勢に適応するべく、調査を行って、必要な措置をとる、これがこの人事委員会の基本的なスタンスの一つであります。その上に立って、先ほどお話がありましたように、均衡の原則あるいは条例主義、こういったものがあるわけであります。
 それで、均衡の原則につきましては、私どもはこのように考えているわけです。一つは、公務員の、私ども都の職員の給与につきましては、まず納税者の立場があります。そしてまた、財政に第一義的に責任を持つ知事の立場もあります。しこうして、日々働いている職員の立場があります。
 納税者は、税金の使われ方がどうなっているかという関心もお持ちだろうと思います。そして、財政に責任を持つ立場というのは、できるだけ人件費を抑制したいという気持ちが働くだろう。加えて、働いている職員からすれば、できるだけ高く労働力を売りたい。いってみれば、この三者の立場に通ずる公務員の給与の決定基準というのは、まことに難しいわけでありまして、そこで、要するに、その三者の思いを完全に満足させることができなくても、三者それぞれに不満は残しながらも、できるだけ、まあ、この辺でしようがないかという線を考えなければならない。いってみれば、民間との均衡をきちんと図って、民間以上でもない、あるいは以下でもない、民間の水準に給与水準を置く、これが一番納得を得やすい方法であるというふうに考えて、私どもばかりではなくて、全人事委員会で、三十五年以降、官民格差を調べて格差を埋めるという方式は、まさにそういう発想から来ておるわけであります。
 私、先ほど、どういうお答えの仕方かわかりませんが、その官民比較を丹念に、周到に調査をして、そしてその調査の結果を--先ほども申し上げましたけれども、まさに裁量の余地が入るあれじゃございません。要するに、民間だったらどれだけのものを支給するか、こういったものの調査をずっと積み上げて、私どもは勧告に至っているわけです。
 私どもとすれば、例えばどういう例がいいか--バブルのときに、財政が非常によかったと申しますか、税収がたくさん入った時期もあります。あのとき、財政の状況がいいからといって、私どもは、国公均衡あるいは民間均衡で、それ以上の措置をしておりません。要するに人事委員会勧告というのは、財政の状況がよくても、民間に準拠して、それを超えない、あるいは悪くても下回らない。これが私どもの均衡論の原点なんです。
 さはさりながら、もう一方で、とても支払えないような財政状況になれば、団体が破産したりなんかしたら、それは私どもとしては望むところでもないし、職員も望むところではない。いいかえますと、私どもは、財政に対して、全く自分で査定をしているわけでも、税収の見込みを立てているわけでも、政策の比較考量を行ってプライオリティーをつけているわけでもない。それはすべて、財政に責任を持つ立場の知事の立場だろう、こういうふうに考えているわけであります。
 逆にいいますと、私どもの勧告の中には、財政に対する具体的な配慮がなされていないんです。ただ、公民比較というのは、極端な場合を除いて、要するに、財政が多少よくても、これ以上の水準のものは払わない、あるいは悪くてもそれだけは保障してやる、こういう中でおさまることを期待しているわけでありますから、それを超える事態になれば、おのずから財政に責任を持つところの出番になるといいますか、私どもにはそこの部分は欠けている。
 さらに申し上げれば、先ほど来先生が強調されておりますように、あるいは先ほどの質問にもありましたけれども、例えば、非常に少ないところで、あるいは地場産業の一部で壊滅的な打撃を受けている、ここに対して、私どもがやったのは、十人以上五十人未満はどうなっているか。そのことは、給与改定に当たって加味することはできなかったけれども、少なくともその結果を公にして、それで、あれは職員も読むわけでありまして、民間では、四三%程度の--低いところではベアができていないといったような状況を、一方では明らかにしているわけであります。
 しかし、先生のいわれたような、そういう実際に、今るるお話しされたようなところに及んで、だから勧告は、公民比較はこうだけれども、ちょっと下げるよとか、ちょっと上げるよというふうには、私どものあれとしてはならない。
 それは、いろいろな状況、財政も、あるいはそういう状況も踏まえて、条例主義というのは、そこで大所高所から議会がやるものだ、こういうふうに思っているわけでありまして、先ほどの質問にどうお答えをしたかも覚えていないんですけれども、その辺はひとつ……。

○松本委員 眞仁田委員長、要するに、納税者の数からいきますと、人事委員会勧告、人事委員会の調査に入らないで納税をしている人の数の方が圧倒的に実態としては多いわけです。そういう納税者の理解も我々は得なくちゃいけないわけですね。
 したがって、人事委員会はみずから正しいと思って勧告をされているわけですから、その勧告どおりにやってください、こうおっしゃる立場は全くそのとおりであります。しかし逆に、人事委員会は、その勧告どおりにやって財政が破綻をしたからといって、それは人事委員会の責任じゃありませんよ、こういう世界。
 そしてまた、今、五・六%、職を失っている方々がいらっしゃる、こういう話。ただ、その五・六%の計算をするに当たっては、職を失う心配のない公務員あるいは外郭団体の人たちも計算の中に入っているわけですから、純粋に民間の中でどういう状況なんだ、こういいますと、職を失っている方々は一〇%を超えているんじゃないか。こういう厳しい環境にある。
 そういう厳しい環境にある方々の感情や思いを反映するについて、人事委員会は、その職責というか、責任を負う立場にない、こういう話ですわな。だから、わかりやすくいえば、人事委員会は、民間の五十人、百人の規模の会社、今きちっと営業をしている会社、生き残っている会社の社員の給与実態がどうなっているんだということをきちっと調べ上げて、それを議会並びに知事に報告をしている。この人事委員会勧告を生かした上で、どう料理するかといいましょうか、どういう条例案を出して、どう決めるかというのは、知事と議会側にゆだねられている、給与を決定する制度というのはそういうものなんだ、こう認識してよろしいですか。

○眞仁田人事委員会委員長 質問の最後のところが真意に当たると思います。おっしゃるとおりだと思います。

○松本委員 ありがとうございます。
 人事委員会の委員長として聞くのが妥当かどうかわからないんですが、眞仁田副知事は非常に人事行政に詳しい方でありますから、この際あえて伺うわけであります。
 労働基本権が制約をされているという話がたびたび登場してまいります。その制約を受けている労働基本権の代表的なものは争議権、スト権だろう、こう思うんですね。ストをやっちゃいかぬ、こういうふうに法律に書いてある。ところが、過去十年間調べて、二十年間調べて、都職労といわれるところが、東京都の職員団体がストを計画しなかった年は一回もないんですよね。ストを計画しなかった年は一回もない。高橋事務局長、あったら教えてください。

○高橋人事委員会事務局長 少なくとも、給与の確定闘争の関係で、凍結あるいはカットの際にはストが計画をされていたという状況はございます。

○松本委員 去年は。

○高橋人事委員会事務局長 去年は、計画はされました。

○松本委員 給与のカット云々というような話が出る年も出ない年も、コンスタントにストは計画をされているんですよね。ストは計画をされている。そして、ストをやっちゃいけない、制約をされているといいながら、ストが毎回毎回計画をされている。おかしな話なんですが、計画をするということに対して、人事委員会が職員団体に対して、ストは違法ですよ、やっちゃいかぬのですよ、計画まではいいですよ、そういうような指導、意見交換というのはやられたことがあるんですか。

○高橋人事委員会事務局長 いわゆる具体的な交渉をめぐっての労使関係につきましては、責任ある任命権者として、当事者としまして、労働組合とそういう関係にあるわけでございまして、人事委員会がいわゆる独立をした第三者の行政機関として、そういう労使の関係に関与すべきかどうかという点については、これは距離があるというふうに考えております。関与すべきではないというふうに考えております。
 ただ、もちろん、人事委員会としても、勧告をさせていただき、またそれを尊重していただくという立場にあるわけでございまして、当然のことながら、公務員としての全体の奉仕者としての自覚の上に職務に精励してほしいという趣旨の意見は、勧告の都度、報告書の中で申し上げております。

○松本委員 眞仁田委員長に個人的に伺うんですけれども、毎年ストが計画をされますよね。そうすると、人事部長とか総務局長というのは、ストをやめてくれよ、こういうようなことで交渉に臨んでいるんだろうと思うんです。行政の実態としてそういうことがあるんだろう、こう思うんですよね。
 ことしも、総務局のある人から、先生、あすのストは回避されましたなんていう連絡が入るんですよね。それが終わった後、処分というのはあったんですかと聞きますと、ことしも、ストを計画しただけで処分を受けている方がいらっしゃる。しかし、それは行政処分という処分であって、法を破った、あるいは破ることを--法はストをやっちゃいかぬ、こうなっているわけですから、未遂ですわな、ストをやらなかったという話になると。未遂の場合、あるいはストをやっちゃったという場合に、行政処分ではなくて、例えば交通違反をやったときには、免許停止という行政処分とあわせて、罰金という刑が科せられるわけですが、東京都において、労使の関係の中で、そういう罰則が適用になった事例、行政処分じゃないですよ、罰則が適用になった事例というのは、高橋事務局長、あるんですか。

○高橋人事委員会事務局長 都の職員で、過去十年間の間で、地方公務員法で禁止されている争議行為のいわゆる企てなどを行ったことで刑罰を受けたという事例はございません。

○松本委員 局長、それで、法律には刑罰規定、罰則規定というのがあるんですか、ないんですか。

○高橋人事委員会事務局長 地方公務員法の六十一条にございます。

○松本委員 これは総務局長によくいっておかなくちゃいけないんですが、やっぱり、そういうとんでもない企てをしたときにはきちっと告訴してくれないと、毎年違法のストが計画をされている。それで、片方で、労働基本権が制約を受けていると。実態としては何にも制約を受けていないんですよ。むしろ職場は守られ、安心して働いて、安心して、ながら条例で給与をもらいながらストを計画し、ストをしろ、ストをしちゃうぞ、こういいながら実現をしたことしの労使合意だ。こう認識をしているんですよ。
 法律によると、そういうストをやっちゃいかぬと。こういうことがみんなわかっていて、ストを計画する。で、罰則規定、罰則にかかった人は一人もいなくて、行政処分というのが、何日間の停職程度のことがある。ところが、ストを企画し、計画をした、あおり行為の禁止に抵触をした都職労の委員長というのは、どういう罰則、どういう行政処分をここ数年間で受けていますか、受けていませんか、局長。

○高橋人事委員会事務局長 平成十三年の二月から平成十四年の一月までに行われました職員団体等の一連の争議行為に対する処分としまして、各任命権者が、知事部局、交通局、水道局、下水道局、教育庁、この組合役員三百一名に対しまして、停職十三日を最高とする処分は行われたというふうに、これは任命権者の方でそれぞれ処分したわけですけれど……。(松本委員「都職労の委員長は」と呼ぶ)今、都職労は直接交渉団体ではございません。都労連という団体が統一交渉団体とされておりますが……。(松本委員「都労連の委員長は」と呼ぶ)都労連の委員長は、都の職員の身分を離れておりますので、直接行政処分の対象にはなりません。
   〔松本委員「法的処分は」と呼ぶ〕

○坂口委員長 手を挙げてからにしてください。

○松本委員 例えば、あおり行為をやっちゃいかぬという一番の責任者が、東京都の職員の身分を持っていないから、行政処分はないんですよ。それで何にも、お巡りさんにとっ捕まるわけでもないし、調書をとられるわけでもないし、何にもない。これだけ身分保障がある中でストができるなんていうのは、民間の団体じゃ考えられない。
 こういう状況の中でもなお、労働基本権の制約がこの都庁の中である、こういう認識をお持ちですか。眞仁田委員長、個人的で結構です。

○眞仁田人事委員会委員長 個人的と申しても、なかなか難しい立場でございまして、当然のことながら、人事委員会は三人の合議制の機関でありまして、そこで話し合って決めたことをここで申し上げている。先ほど来の意見なんかまさにそうです。今は、お尋ねについては、三人の委員で相談したわけでもなんでもありませんので、そういう意味で個人的な立場でお話を申し上げたいと思います。
 ちょっと済みません。

○坂口委員長 速記をストップしてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○眞仁田人事委員会委員長 失礼いたしました。お答え申し上げます。
 まさに今、きょう話題になっている、例えば職員の給与改定について、私どもが民間の調査をやって、知事が財政的な考慮を加えて条例化をして、議会で審議を仰ぐ、例えばこの流れは、労働基本権があればなくなると、私は思います。それは労使が自主的に話し合って--これはもう憲法二十八条に基づいて、自主的に話し合って、そして争議も何も処分の対象にならない、そういう形に戻るんじゃないかというふうに思います。ですから、お答えになるかどうかわかりませんが、裏返したいい方をすれば、まさにそういう形になるということです。

○松本委員 何だかよくわからない答弁でありますけれども、眞仁田委員長、労使の……。(「質問の意味がわからないよ」と呼ぶ者あり)質問の意味がわからない--わかるでしょう。(「無理があるんだよ」と呼ぶ者あり)無理があるな、ちょっと。それはわかる。でも、ちょっとこれは聞いておきたい話なんですよ、プロだからね。
 労使、こういう話なんですが、東京都の場合は、都労連委員長と東京都知事が会って、書類にサインをして、労使合意ができた、こういわれるわけ。ところが、東京都の職員というのは、さっきお話に出ているように、警視庁職員、消防庁職員、これは職員団体を組むことさえできない。そして、交通局だとかそういうところは、労働組合を組織し、協約という、法的に守らなければならないという協約を結ぶことができる団体。それから、一般職といわれる方々は、労使協約を結ぶことはできないけれども、交渉権はある。こういうふうに実にわかりにくい話になっているんですね。それを、それぞれの団体が、矢澤委員長だか団体だか僕はよくわからないけれども、そこに交渉権を委任して、交渉した結果、労使合意なるものができた、こういうふうに聞いているわけだ。
 その労使合意なるものは、一体、団体協約なのか、単なるお互いの決めたことを書いて、それを守るように努力しようじゃないか、こういう性質のものなのか何なのか、そこら辺、法的根拠のあるものかどうかということについて、ちょっと説明をわかりやすくしてほしいんですが。

○眞仁田人事委員会委員長 都労連の代表者と知事が交渉が終わって書面を交わす、これは労働法上の労働協約に当たるのか、それとも法律上どのような効果があるのか、こういうお尋ねだと思います。
 これは、労働協約、いわゆる労働組合が使用者と交わす労働協約ではありません。それとは明らかに違う法律上の効果があります。
 地公法の五十五条では、職員団体は、その長に対して交渉の申し入れはすることができるわけで、一定の交渉を法律も容認しているわけであります。その結果、書面で合意に達したものについて、書面で確認を双方がする。これはいってみれば、その確認をしたことに対して、任命権者は、議会に条例案を調製して出すまでの一つの義務はあると思いますが、今度は、給与条例主義で、議会で判断をするわけですから、議会で違う、異なる判断が出ても、それは任命権者の責めにはならない。要するに責任をとることはない。いわば双方真に誠実に約束事を守るけれども、法律上はそれに違反する結果になってもとがめられない、こういうことであります。

○松本委員 その労使合意なるものが、議会の条例制定権に対しては何らの制約にならない、こういうことを表明いただいたわけでありますが、あわせてもう一点、答えにくいかもしれないんですけれども、法律で禁止をされている違法ストを、一年だけではなく、毎年、毎年、毎年、計画をし、まさに確信犯ともいっていいような、そういう代表責任者だ。いってみれば犯罪者かもしれない、法律を最初から守る意思がないんだから。守る意思がない。その代表者と、都民の代表たる東京都知事が会って、何だかわからないけれども、談合にサインをすることさえ、私はもういかがわしいと思っている。それが、何というんだろう、労使合意。もし、これが世の中通っちゃうんだったら--ストをやっちゃいかぬぞ、こういいながら、ストを計画して、おれたちのいうことを聞かなきゃストを決行するぞ、そういう環境の中で行われた労使合意というのが、給与決定に大変大きなインパクトを与える。ストを計画した人は、自分の部下は行政処分を受けているけれども、自分は何にもない。守られている。こういう環境の労使合意が、人事委員会勧告を尊重すべきだなどというのは、人事委員会が一生懸命調べてきた勧告を単に利用している、不愉快千万だと、こう思うんですが、眞仁田委員長、不愉快だとはっきりいってください。

○眞仁田人事委員会委員長 使用者たる任命権者、知事が、働いている職員の結成する職員団体とどのような労使関係を持つか、これはまさにすぐれて使用者たる任命権者の姿勢の問題であって、また同時に、どういう労使関係を持つかというのは、労働側にもそれについての一定の考え方があってしかるべきだと思います。
 今、ちょっと蛇足になるかもしれませんが、先生、個人的なということもございまして、申し上げたいと思います。
 人事委員会あるいは人事院が、要するに公民比較を綿密にとって勧告をする、格差を出して勧告をするというのは、昭和三十五年からであります。そして昭和四十年前後は、まさに非常に労使関係が荒れた時期であります。それは、ILOという国際舞台でも、日本の公務員労働のスト権についての論議がいろいろなされたような時代。一方では、一般の公務員よりもはるかに緩い労働基本権の制約でしかない公労協の関係は、公労委の裁定に、昭和三十二年から完全に実施しているわけです。これで、当時の、いわば普通の役人が結成する職員団体は、やはり労働基本権があれば守られて、労働基本権がないのは、そのかわりに出している人事委員会勧告が守られないじゃないか。これが、昭和四十五年ごろまで続いた一連の争議の一つの根っこにあるわけです。
 それで、人事委員会の勧告がようやく四十五年に五月実施、四十七年に四月実施となりまして、その後、勧告は守られるようになってきたわけです。
 その後、五十年代に一回、五十年代の終わりから六十年にかけて、財政上の理由で勧告が完全に守られない時期がございました。また最近はそういう状況がありますが、しかし、押しなべて、勧告は守られてしかるべきだという一つの雰囲気が社会的に醸成されたんじゃないかと思います。
 長い目で見ますと、四十五年を境にして、全体として労使関係は、それまでと比較をいたしますと、かなり安定している、そういうことがいえると思うのです。それは、一番大きな目標であった、人事委員会勧告完全実施が、世間の大方、もちろん政治も含めてでありますが、首肯するというか、認める状況になって、それで労使関係が安定した。
 これはいってみれば、私どもからすれば、要するに、適正な人事行政を行うことによって、その団体の高能率に大きく寄与するというふうに考えているわけであります。労使関係が従前のようにならない、もっと正常化の道を歩んでほしい、こういう思いを先生はお持ちなんだと思いますが、長い目で見ると確実にその方向にある、こういうふうに思います。

○松本委員 毎年、当然のようにストが計画をされ、東京都民は東京都職員労働組合がある、こう意識をし、有名な組合というのはいっぱいあるわけでありまして、労働三権が制約をされているという実感というのは持ってないんですよね。逆にいえば、東京都の職員がストをしたって、別に東京都民は、ああ、そんなものかと思っているような話でありまして、労働基本権が制約をされているという実態は、今はそんなにないんだよということ、これはやっぱり異常なことだと僕は考えております。
 それから、先ほど臼井委員の、今回の我が党、公明党の出しております、自公にかかわる条例案についての意見、これは明らかに、知事が出した条例案とは、文字数も多いし、違いがある。明らかに違いがあると思うんです。それについて、委員長の答弁は、二年間だったらいたし方なかったんだと。そして、幹部職員だけ引き続いて一年間も、これもいたし方がない。がしかし、一般職を含めて四年連続ということになると、影響が大きい。だから慎重に取り扱ってほしいという意見になりました。これは期間の問題なんですよね、答弁は。
 そうしますと、一年半だったらいいのか、一年三カ月だったらいいのか。いいというか、いいわけはないんですよ。いたし方がないのか。そこら辺はどういうことなのか。そこまで詰めて聞いちゃっちゃぐあいが悪いなと、こう思うんですが、押しなべて、人事委員会が、先ほども明らかになったように、限られた一般の勤労者との比較、限られた方々の民間との比較であって、すべての比較ではないということ。この谷間を、知事と議会は条例をもって埋めていかなくちゃいけない。条例をもって埋めていかなくちゃいけないという責任があるわけですよね、社会一般の情勢に適応するということですから。
 したがって、人事委員会の限られた民間との比較だけで、その数字どおりにぱちっと決めちゃうということは、必ずしも正しいことでもないし、法はそれを求めていない。委員長がいわれるとおり、大所高所から議会で条例で定められるべきもの、こうなったわけですよね。
 過去も、人事委員会を無視したことはないけれども、人事委員会勧告一〇〇%というわけにはいかなった事例というのは、何例かあるだろうと思うのです。これも眞仁田さんの個人的感覚でいいですから、人事委員会勧告から一〇%の上下とか、五%の上下とか、大枠のところで、ここら辺までの上下は許容範囲ではないだろうか、こういうものがあったらちょっとおっしゃってください。

○眞仁田人事委員会委員長 お尋ねは二点あったかと思います。
 一つは、先ほどの臼井委員に対する私の答弁の中で、四%四年というのはきつい、職員への影響が大変大きいというふうに私どもは判断しましたということを申し上げました。今のお尋ねは、それは、期間が、あと二年延ばして都合四年になるからだめなのか、あるいは四%じゃなければいいのか、こういうお尋ねでありますけれども、私は、四%をさらに二年続けるということは大変影響が大きいということを申し上げているわけであります。(松本委員「そこはいいんですよ」と呼ぶ)そういうことなんです。
 それから、今の後段のお尋ねは何だったか……。

○松本委員 トータルで何%ぐらいの上下が許容範囲か。

○眞仁田人事委員会委員長 それは、先生、申し上げられようがないですね。

○松本委員 じゃ、いたし方がないという意見になるのかならないのか。

○眞仁田人事委員会委員長 いや、それは……。先生、ちょっと待ってください。

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○松本委員 財政が大変厳しかった二年前に、四%二年間の給与カットを決めたわけですね、条例で。その条例を提出したときに、人事委員会からちょうだいした意見というのが、そのときにいただいたのが、特例条例による職員給与の削減措置は、人事委員会勧告の趣旨と異なり残念ではありますが、都を取り巻く諸般の状況にかんがみれば、二年間の緊急避難的な時限措置であり、やむを得ないものと考えます。要するに、やむを得ない、こういう判断。あのときは、二年間四%というのはやむを得ない、こういう話なんですね。管理職の給与だけ今後も継続をしますよということについても、やむを得ない、こういう話なんですね。
 四%を二年間やりますよ、こういう部分については、本措置がこうした制度の趣旨と異なる特例的なものであることを十分に勘案し、取り扱われるように望みますと。やむを得ないじゃなくなっているわけですよ。そうですよね。やむを得ないという意見を出せるというのは、それは取り巻く諸条件はあると思いますよ。取り巻く諸条件はあるんだろうけれども、大体何%ぐらい、何年ぐらい、どの程度の影響まではやむを得ないけれども、これ以上はだめよというところの考えがあったら、個人的意見で結構ですから、述べてほしいと思います。

○眞仁田人事委員会委員長 私どもは勧告をする立場でありまして、当然のことながら、大変な調査をやるわけです。その過程では、何回も申し上げているように、裁量を入れた形ではなくてやっているわけであります。
 私どもは、財政の状況が悪くてもよくても、基本的には、勧告は守られてしかるべきだと。ところが、極端に財政が悪くなれば、そのときには、諸般の情勢を見て、やむを得ないといったケースはあります。しかし、基本は、やむを得ないじゃなくて、勧告を守ってください、ここにあります。それは誤解のないようにお願いいたします。

○松本委員 人事委員会勧告の調査というのは、いろいろ法律等々で決まっているわけでありますし、先ほど、昭和四十年代の初めでしょうか、三十年代後半でしょうか、五十人、百人の人たち、職員というか、社員を抱える会社に限定をして行われておりました。
 ところが、一方において、東京都民の収入状況を見るときに、先ほど私が引き合いに出したのは総務省の課税状況調であります。そしてまた一つは、東京都生計分析調査報告書であります。また、今回の勧告の中には十二分に生かすことはできなかったけれども、今の調査の枠外に枠を広げて調査をしていただいた、こういう人事委員会の意欲的な取り組み、これについては評価をするわけですけれども、もうそろそろここら辺で調査方法を変えて、なるほどと都民が納得をする方向へ大きくかじを切っていただきたい、こう思うわけであります。
 一つは調査内容、それから人事委員会の組織であります。
 事務局長に伺いますが、人事委員会の事務局職員は何人でありますか。

○高橋人事委員会事務局長 六十九名でございます。

○松本委員 事務局長に伺いますが、眞仁田委員長を初め委員の方がお三方、そして事務局員が六十九名。その中で、東京都に二十年以上奉職経験のない人は何人いらっしゃいますか。

○高橋人事委員会事務局長 まず、人事委員会委員でございますけれども、ご案内のように、委員長は東京都の大先輩でございます。それから、人事委員会委員あと二人おりますけれども、お一人は、札幌高裁の長官でおやめになりまして、弁護士の先生でございます。それから、もうお一方、昨年ご選任いただきまして、経済団体連合会の事務総長をやられた、純粋な民間人でございます。
 それから、六十九名の職員でございますけれども、入都間もない職員から、私みたいな者もおりますので、ちょっと二十年以下というのは今すぐには出せません。

○松本委員 眞仁田委員長、これは決して嫌みでいうわけじゃないんですけれども、三人の人事委員会の委員が現場へ行って、あんたの給料幾らですか、なんて調べる作業はされていないんですよね、現実には。調査をして数字を上げてくるのは、東京都の現職の職員なんですよね。自分たちの給与を決定する資料を集めるのに、自分たちが聞いて歩いているわけですよね。調査して歩いている。
 その職員の勤務態度を疑うわけでも何でもないんですよ。皆さんが一生懸命やっていると思うんですよ。がしかし、時代はそうではなくて、調査手法、組織、これはやっぱり民間委託、民間の力をどう入れるか、こういう方向に流れているんだろう、こう思うんです。
 私は、東京都に外部監査制度を入れた、都政の大きな進歩だろう、時代の要請だ、こう考えております。調査方法についても、東京都の人事委員会という、事務局という職員が決めるのではなくて、有識者から、もうちょっと幅広い意見の中で調査方法を考えたらいい。
 会社の名前を挙げたらまずいけれども、帝国データバンクなんていう会社は、結構かなり詳しい資料を集めている。それが社会できちっと生かされている。こういうことを考えれば、人事委員会の調査機能あるいは勧告の制度といったようなものを、もうちょっと都民に開かれた、わかりやすい形に、今すぐじゃないんだけれども、とりあえず変える方向で検討を眞仁田委員長在職中に始めていただきたい、こう思うんですが、委員長、やりますと答えてください。

○眞仁田人事委員会委員長 今のお尋ねは、私どもの民間調査に、外部委託その他、今までにない斬新な発想をもって臨むことはできないかと。
 一つは、私どもの調査員は、東京都内の事業所に参りますときに、人事院、特別区、私どもと共同でやるわけです。一人一人行って、担当者と面接をして丹念にやるわけです。民間の働いている人すべての、こちらと見合う人のすべての個人情報が入ります。それで、調査をされる民間と私どもとの信頼関係と申しますか、要するに、私どもも、個人情報が入って、それを集積するわけですから、その情報管理には大変力を入れているところでありまして、私どもが調査をするということに対して、少なくとも民間の事業所は信頼を置いてくださっている、こういうふうに思います。
 それともう一つは、今のそういうあれも含めて、いろいろな調査手法を考えないかということでありますが、民間給与の実態を的確に反映して、国等との均衡も含め、職員の給与を社会一般の情勢に適応させていくという勧告制度の意義を改めて認識して、調査方法など研究をしてまいりたいというふうに思いますけれども、いずれにせよ、信頼性を高めたいということで対処していきたいと思います。
 なお、私どもの人事委員会は、少なくとも、人事あるいは給与についての専門家集団であります。この点もぜひお忘れのないようにお願いいたしたいと思います。

○松本委員 委員長にお言葉を返すようで大変恐縮ですが、専門家集団と、こういわれるけれども、人事委員会の職員として東京都に採用された方はおりませんで、東京都の一般職で採用されて、やっぱり二年ぐらいたったら違うセクションへ行かれるんだと思うんですね。高橋事務局長も、これからずっと十年間人事委員会から動かないよ、こういうわけじゃないわけで、確かに専門集団ではあるかもしれないけれども、都民の目から見れば、自分たちの給与にかかわる調査を自分たちが、それも五十人、百人という--中野の事業所の中でそれだけ抱えているところが何人いるかわかりませんが、地元の沼袋商店街には、そんなお店一軒もないんですよ。だから、そういうきちっとしたところの人たちと自分たちだけでお互いに調査をして、そして、それぞれの調査結果は、プライバシーに基づく、こういうことの中でオープンにはならない。そして、出した調査結果だけは、我々は専門集団で、間違いのないものであります、こういわれたって、なかなか時代は、そんなに人のいい人ばっかりじゃないですから、まゆつばで見られたって仕方がない。こういう制度になっている。
 だから、斜めから見ても、縦から見ても、ここまでオープンになったら、これはしようがないよ、こういうような人事委員会にするためには、やっぱり今のままじゃいけないんだろう、こういうふうに思うんですよ。
 だから、もうちょっとオープンにしていただきたいし、あわせて、人事委員会がもうちょっときちっきちっと、この間のストの未遂行為に対して人事委員会はこう考える、こういうようなことを、議会、議長に意見書を出してほしい。
 それから、例えば、この間、予算委員会で我が党の議員が、ながら条例というのをやっていましたよ。ながら条例、給料をもらいながら勤務しているという状況で、給料をもらいながら違法ストの準備をどこかでしているんですよね。こんなばかな話はない。こういう問題。あるいはバスの運転手さんが、運転するたびに手当がつく。どういう手当かわからぬけれども、特勤手当。こういったものに対して、議会で、予特でも委員会でも、時折々に議員が質問するんです。人事にかかわることですよ、これは。職員の給与、身分にかかわることですよ。二、三カ月に一回ぐらい、眞仁田さん、本会議場に来て、そういうことについてとうとうとご意見を述べてほしい、こう思うんですが、ご感想を聞いて、私の質問を終わります。

○眞仁田人事委員会委員長 るる貴重なご意見を拝聴いたしまして、できるだけよく服膺してまいりたい、このように思います。
 きょうは、いろいろなお話がございました。先ほどの馬場先生のところで、お答えすべきかなと思ったことが一つございます。お許しを得て、一言感想を述べさせていただきたいと思います。
 私は、都庁に三十八年在職しておりました。その私が見て、都政の幅というものを思いますし、奥行きも感じますし、なすべき行政課題がたくさんあります。こういう中で、間もなく四月に入り、五月、六月となりますと、来年卒業する若者がいろいろな職業の選択をするようになります。要するに、労働市場で、民間に行くか、公務員になるか、あるいは他へ行くか、こういう選択の時期に入るわけであります。
 私どもは、均衡の原則と先ほど申し上げておりますけれども、民間の以上でもない、下でもない、ちょうど平均なんですよと。こういうことをぜひ実現したいと思うのは、その労働市場で、よし、一生をこの都政にかけてみようという若い情熱と才能のあるやつが、そういう若い人たちが来てくれることを大変強く希望しておりまして、それはどういう条件かと申せば、民間並みなんだ、これが公正な労働市場での民間との競争にもなるんだろうと。
 きょうの答弁の中で、その部分が欠落しておりましたし、話題にならなかった点を、私がお答えをもっと早く申し上げればよかったと思いますが、一言、大変僣越なことを申し上げました。
 どうもありがとうございました。(拍手)

○坂口委員長 ご苦労さまでした。
 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 なければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わりますが、眞仁田人事委員会委員長には、大変長時間にわたりましてありがとうございました。

○眞仁田人事委員会委員長 どうもありがとうございました。

○坂口委員長 それでは、以上をもって終了いたします。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時三十四分休憩

   午後三時四十五分開議

○坂口委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査並びに報告事項に対する説明聴取及び質疑を行います。
 第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第三十三号議案から第四十四号議案まで及び第百四十一号議案並びに報告事項、平成十二年度東京都監理団体経営実績報告について及び平成十四年度都区財政調整についてを一括して議題といたします。
 本案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋総務部長 二月十四日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の三枚目、一ページをごらんいただきたいと存じます。包括外部監査人の選定についてでございます。
 包括外部監査人の選定に当たりましての資格要件、主な欠格事由、手続につきまして、それぞれお示ししてございます。
 二ページをごらんいただきたいと存じます。東京都監理団体についてでございます。
 (1)の監理団体の法的設置根拠でございますが、団体の区分別に、それぞれの団体数、根拠法令をお示ししてございます。
 次に、(2)、監理団体への都の出資金などでございますが、都からの出資金、出損金は千九百八十八億円でございます。
 次に、(3)の監理団体への都財政支出でございます。
 公益法人、株式会社の団体区分別に、平成九年度から十二年度までは決算値を、平成十三年度は予算値をそれぞれ掲げてございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。(4)、監理団体への土地・建物の無償貸付でございます。
 表に掲げてございますとおり、土地につきましては三十件、建物につきましては五十九件の無償貸付を行ってございます。
 続きまして、(5)の、都OBが常勤役員に就任していない監理団体でございますが、ここに掲げてございます八団体でございます。
 最後に、(6)、民営化の観点からの監理団体の分類でございます。
 東京都監理団体五十八団体のうち、アにございますとおり、二十一団体が株式会社でございます。
 イの公益法人三十七団体でございますが、このうち、東京国際交流財団など二団体が、平成十五年度の株式会社化へ向けて準備中でございます。
 また、特別法や地方自治法など、法制上、民営化が難しいものが六団体ございます。
 このほか、行政の代替、補完を目的としており、事業の内容が民営化になじまないものが二十九団体ございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いします。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 資料を要求しておりまして、お出しいただきました。順次これに従いましてお尋ねをしたいと思うんですが、包括外部監査人の選定について、というところでお尋ねをしますが、資格要件、弁護士、公認会計士、公務精通者として政令で定める者、税理士ということだけでございまして、欠格事由はあるんでしょうけれども、幅広く求められているわけですね。東京都民は千二百万人おりますけれども、千二百万人の中には、この要件に適合する人はなかったんですか。

○古河主席監察員 東京都内におきます公認会計士の数でございますが、こちらは四千八百人ほどいると聞いております。

○矢部委員 公認会計士じゃなくてもいいんでしょう。弁護士、税理士も入るようですから、そういう人たちのうち東京都に住所を持っている人は、公認会計士四千八百人はわかりましたけれども、そのほかもまだ大勢いらっしゃると思うんですね。
 そういう中で、住所要件は課していないんですけれども、千二百万人都民の中にこれに該当する人がいないというのならともかく、いるかいないかわからないなら、いるかどうかという努力をして、まずは都民から選ぶべきだと私は思うんですけれども、私の考えは間違っていますか。

○古河主席監察員 自治法上、包括外部監査人につきましては、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理等にすぐれた識見を持つ者ということが要件となっております。その観点から、東京都におきましては、公認会計士とすることが適切と判断しました。その関係で、日本公認会計士協会の東京会に推薦の依頼をしました。
 そういうことに基づきまして、推薦の依頼に当たりましては、東京都の包括外部監査を実施するにふさわしい識見、能力等を有する方を推薦してほしいという形で、推薦の依頼をしたところでございます。

○矢部委員 四千八百人の公認会計士の中には、識見に適合する人がいなかったということですか。

○古河主席監察員 四千八百人のうちから、公認会計士協会の方で選考等をしていただきまして、予定者の方が推薦をされたということがございます。
 予定者につきましては、日本公認会計士協会の公会計委員会の副委員長や、公会計監査専門部会長などを歴任するなど、公会計分野の一人者であるということで、東京都の包括外部監査を実施するにもふさわしい識見、能力を有するものと認めたところでございます。

○矢部委員 私が申し上げたいのは、今の方がいいとか悪いとかという話ではなくて、どこの局へ行きましても、こういう外部の民間の方を依頼するに当たっては、まず都民から選ぶ努力をするべきだという主張をずっとしているんですね。その一環でここでも申し上げているわけです。
 特に、東京は日本国の人口の一割が住んでいるわけですから、住所要件を課すことができないわけがないと思うんです。課したって全然問題なく選べると思うんですね。そういうふうに制約すると選べない地域はともかくとして、東京はそういう例外ではないと思うんです。そういう中で、たまたまいないから他県の方をということはあってもいいとしても、別に何が何でもということじゃないんですけれども、やはり東京都に税金を納め、東京都に住み、また東京都の生活をするということがなかなか大変だという中で努力をしている人をぜひ選ぶ仕組みにしていくべきだと私は思っておるんですが、いかがですか。

○古河主席監察員 自治法上、都内在住などの住所要件については特段の規定がございません。その関係と、包括外部監査人の独立性、専門性の見地から、広く人材を求めたいというふうに考えたところでございます。

○矢部委員 このことについては、もうこれで終わりにしますけれども、そうじゃなくて、住所要件を課しても全然問題がないと思うんです。東京を稼ぎの場として、住むところはもっと広くて、楽に住めるほかへ住むというような発想になっていってしまうと、東京という町そのものが、それこそドーナツ化、スプロール化しちゃうわけで、東京都の施策の中でもそういうものをとっているということが問題だと私は思っていまして、東京都に住むという努力。これは、選ばれたら東京都に住まなきゃいけないと思ってくれていいんだと思うんですよ、戻ってくればいいんですから。
 今、どんどん東京に都心回帰をしているというこの時代になっても、なおかつ都外から選ばなきゃいけないという理由はないわけで、住所要件を課しても、それが何が何でもじゃなくて、その先、よんどころないときはしようがないとしても、そういう決め方をしても、何ら支障なく適任者が選考されてくると私は思うんですが、局長、いかがですか。

○大関総務局長 今までは、何となく都内という意識がなかったんじゃないのかという気がします。やっぱり、首都圏という中で、公認会計士だとかそういう方たちが活躍しています。それで、都心に住んでいるということもありまして、全国の役員なんかもやっている方が大変多いんですね。そういう中で、大変大きな信頼性もあるということで選んでいきますと、やはりその中にノミネートされてしまうということで、結果的にこの方が選ばれたのかなという気がしております。
 今、矢部先生の方からご指摘がありましたように、確かに、できることなら都内の中から、そういう視点から、大した差がなければ選ぶという努力も必要なのかなという気がいたします。
 今回につきましては、余りそういう深い意識もなくて、首都圏の中で活躍していて、日常的な都内での商売をやっているから、ここでいいだろうというような感覚で選ばれたんだと思っております。

○矢部委員 ぜひお願いしたいと思うのです。東京に住まなくてもよくなって、それでもう都民と同じだというイメージになっていけば--私たち議員は、住所要件がなければ議員になれない。でも、東京都の職員は、今は住所要件なしに東京都の職員になれる。どんどんどんどん、東京都に住むことはもうかなわないんだということで進めていっちゃうと、東京が住めない町になっちゃう。まさに職員の皆様を含め、オール都庁の中でそれを認めちゃうことになるわけですから、そうじゃないと、みんなが住める町が東京だというふうにしていくという観点からも、ぜひお願いをしたいと思います。
 続きまして、監理団体につきまして資料をいただきました。大変多くの団体があります。どういうふうにお尋ねしていこうかなと思っているんですが、(1)ですね、監理団体の法的設置根拠、この中で法律の体系が書かれていますけれども、財団法人というのは、そもそもどういうことでございますか。

○島田行政改革推進室長 財団法人の定義は、内閣総理大臣官房管理室監修の「公益法人の設立・運営・監督の手引」によりますと、民法三十四条からその要件がございます。財団とは、財団としての一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集まりであり、それに法人格を与えると財団法人ということになるということでございます。
 なお、その要件でございますが、公益に関する事業を行うこと、営利を目的としないこと、主務官庁の許可を得ること、こうなってございます。

○矢部委員 これは東京都にかかわる外郭団体的な位置づけですけれども、財団法人というのは民間でございますね、法的な位置づけは。

○島田行政改革推進室長 民法でございます。

○矢部委員 法人格を持っているんですから、民間団体ですよね。--公益法人、財団法人、社団法人、社会福祉法人、特別法人、こういろいろありますけれども、この下の三番目の表ですが、この公益法人のところへの財政支出の合計をいたしますと、九千九百億円くらいになるようですけれども、この内訳、教えていただけますか。

○島田行政改革推進室長 九千九百億円の内訳でございます。委託料が五千三百三十七億円、五四・一%。補助金が約三千二百六十七億円、三三・一%。貸付金が約一千二百六十四億円、一二・八%となってございます。

○矢部委員 次に、社会福祉法人、これはいろんな意味合いがあるでしょうけれども、地方自治体と民間との関係を保つという中でできた仕組みだというふうに理解しているんです。根拠が社会福祉法ということですが、この位置づけについての認識というのはお持ちですか。

○島田行政改革推進室長 社会福祉事業法二十二条におきまして、社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことを目的とされた法人ということで、先生おっしゃるように民間法人となってございます。

○矢部委員 それが、要は、福祉事業等々を行うに当たりまして、民間の団体に対して直接東京都から補助金等を交付できない。そういう中で、この社会福祉法人というか--これはあれか、社会福祉協議会というような組織があって、そこを経由しているというふうに思うんですが、この社会福祉法人はそういう位置づけではないんですか。

○島田行政改革推進室長 ここにおきます東京都社会福祉事業団というのは、主に福祉局の福祉施設、ここの管理運営を受託しているという事業団でございます。

○矢部委員 先ほど、補助金三千二百六十七億円、公益法人三十七団体に補助金が出されているというお話でしたが、補助金というのは東京都から一方的に行きっ放しのお金ですね。これは法的には、受け取る側が、公益法人ではありますけれども、民間団体ですね。その辺はどういうふうにクリアしているんですか。

○島田行政改革推進室長 公益法人、東京都監理団体におきましては、あくまでも東京都の行政の補完並びに代替事業を行うという位置づけでございますので、そこのところに補助金が入っていくということになってございます。

○矢部委員 一昨年ですか、監査委員をしておりました。私は、議会におりますと、監査委員がこうした団体の監査を当然しているんだと思っていましたら、監査事務局に行きますと、議会でやることでしょう、こういわれてしまって、どっちも結局のところ手つかずの感じかなと思ったりしておりますものですから、そういうことであえて触れさせていただいているんです。
 幾つも団体があるので、なかなかわかりにくいとは思うんですけれども、東京都駐車場公社、一つここを取り上げるとして、これは建設局の団体ですけれども、いろんな土地を建設局から借りています。土地は無償で借りているのだそうです。それで、そこへも都から補助金が出ているんですが、補助金なのか委託料なのかわかりませんが、どういう形になっているんですか。

○島田行政改革推進室長 先生ご指摘のとおり、駐車場公社の運営いたします駐車場に関しましては、都の未利用地もしくは病院などの駐車場、そういったところでございます。それの代金でございますが、これは支払っております。ただし、東京都の方で減免をしていただいた上で、お支払いしているということでございます。(「ただで貸しているんだろう」と呼ぶ者あり)ただでなくて、土地の使用料を減免していただいた上で、お支払いしてございます。東京都の方にお支払いしてございます。

○矢部委員 その駐車場公社へも財政支出をしていますよね。五億四千百万、平成九年。大体四億平均ぐらい、もうちょっとかな、四億五千万平均ぐらいで、ずっと五年間出ていますけれども、これは何が出ているんですか。(「一人前の駐車料取っているんだろう」と呼ぶ者あり)そうです。

○島田行政改革推進室長 都営駐車場の受託事業に対してお金が出ております。

○矢部委員 採算性のないところの受託をしているということなのかなとは思うのですけれども、結局全体では、今、駐車場公社、大黒字の会社だと私は思うんです。大黒字の会社ですが、こちらから向こうへ支出もしていますけれども、上がった利益というのは、その土地代しかないんですか。ほかのものは全部その中で消費というか、使い切っちゃう仕組みですか。

○島田行政改革推進室長 駐車場公社の上がりました利益、黒字については、中に剰余金として積み立ててきてございます。

○矢部委員 どのぐらいの単価で貸されているのか、なかなかこれも難しいところでしょうけれども、例えば、車一台分の駐車場スペースを五万円で借りたとします。十台分借りました。五十万、月額払いますね。そこへコインパーキングの機械を設置します。最初、一台分、百万かかるそうです。一千万かかりますね。なおかつ五十万が乗っかっているわけですね。その中で、大体一台分当たり十万、収入があるんだそうです。だから、半分は駐車場代として、土地代として消えますけれども、残りの半分を積み立てていきますね。二年で機械代がなくなって、三年目からはそっくりそれが利益になるという、極めてアバウトな話ですけれども、仕組みのようです。
 だから、物すごい大黒字の会社だと私は思っているんですが、それを安く地代、貸している。まさか坪五万、坪というか、一台分のスペースは一坪以上ありますけれども、そういう金額で貸してはないと思うのですが、それはおかしくないですか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○島田行政改革推進室長 まことに申しわけございません。細かいデータはございませんが、一年間の黒字が四億円となっております。先生おっしゃるように、一台当たり幾ら幾らというのは、申しわけございません、データとしてつかんでございません。

○矢部委員 何台分あるのか、知りたくなるところですけれども、ともかく、恐らくもっと利益率は高くて、もっと黒字ではないかと思うのです。それで、すべて人件費も何も使って、その残りで、そっくり黒字の数字が出るんだと思うんです。
 もう一つお聞かせいただきたいのですが、交通局だったと思うんです。交通局の東京トラフィック開発株式会社。ここの会社は、交通局の土地を時価相場の八掛けぐらいで借りて、正常な賃料で又貸ししているんですね。いや応なく、毎回、毎月ですか、その二〇%が地代としてどんどんどんどん入っちゃう会社なんですが、ご存じですか。

○島田行政改革推進室長 東京トラフィック開発株式会社に関しましては、その仕事の内容といたしましては、業務用ビルの建設及び賃貸、並びに都営バスの車両整備をしているというところでございまして、年間の当期利益は二億五千万程度ということで認識しております。

○矢部委員 交通局は大赤字なわけですよ。外郭団体はその中で大黒字なわけですが、こういう団体はまだそのままずっと東京都で抱えている必要があるんでしょうか。
 要は、民間になじむものがあるのかないのかと問いかけますと、株式会社化が可能なものは二つで、これも合併をするんでしょうか、それで一つという答えなんですけれども、そうではなくて、もう十分独立独歩歩んでいけるものがこの中にはいっぱいあるんじゃないかと思うんです。すべて、そろそろ解き放した方がいいんじゃないかと私は思っているんですが、そういう観点でこれを眺めたことはないんですか。要するに、都からの財政支出のない団体というのはそれが可能ということでしょうし、逆にいえば、物すごくずっと財政支出を続けているところは、もうやめた方がいいんじゃないかというのをはっきりしなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○島田行政改革推進室長 都はこれまで、民間企業に渡しますとなかなか採算性がとれないといった分野に関しまして、公共的な立場から、また民間の資金も活用しながら、第三セクター、公益法人をつくって事業を行ってきたところでございます。
 私どもも、先生おっしゃるように、もうそろそろ独立させていいというところにつきましては、例えば、今回、国際フォーラムだとかビッグサイト、こういったものは公益法人でございますが、一つのステップとして株式会社化をさせているというところでございます。
 ただ、現在、多くの公益法人並びに株式会社につきましては、ここにもございますが、地代、建物については減免もしくは無償で貸与させていただいて、何とか収支均衡もしくは黒字といったところもございますので、ここすべて民間に流してしまうというのは、また判断の要るところではないかというふうに考えております。

○矢部委員 もう少し申し上げれば、建物はただで借りて、それで黒字じゃなきゃとんでもない話で、それでも黒字じゃないところがあるんですか。

○島田行政改革推進室長 後ろで今捜しておりますが、なかなか出てきませんので、思いつきで申しわけございません。
 例えば、テレポートという株式会社がございます。ここにつきましては、東京都の方から地代七五%減免、それから百億円程度の無利子貸付を受けておりますが、現在のところ毎年赤字が出ているという状況でございます。

○矢部委員 今、株式会社と財団等の公益法人と一緒に議論しちゃっておりますので、無理もあるかというふうに思うんですけれども、少なくとも株式会社にしたというのは、将来的には独立ができる、あるいはさせるべきだということだったんだろうと思うんです。それが現実は、不動産業を始めて、それがバブルがはじけて、みんなそれこそ不良債権の山みたいな会社になっている。民間ならとっくにつぶれているわけですが、つぶさないで、そのまま引っ張っているというところに、これはもう無理のある会社もいっぱいあると思うんですね。東京都がそれを丸抱えという約束なのかもしれませんけれども、それなら株式会社にする必要はないわけですし、株式会社になった以上、それこそ会社更生法をどんどん適用して処理するものもあっていいんじゃないかというふうに思うんですが、そういう考えはないんですか。

○島田行政改革推進室長 会社の整理というお話もございましたが、今年度でございますが、多摩ニュータウン開発センター株式会社におきましては民事再生法を適用してございます。

○矢部委員 そのほかはないんですか。それ一つで終わりなんですか。

○島田行政改革推進室長 現在のところ、会社を整理したのはそれだけでございます。
 ただ、現在、公益法人並びに株式会社について、十二年十一月につくりました監理団体改革実施計画、これに基づきまして団体の統廃合をしてございます。例えば、十四年度当初ですと、三団体ほど統合することになりますが、そういったことを含めまして組織の再編をしていくといったことも一つの手ではないかというふうに考えております。

○矢部委員 統廃合も一つの方法だと思うんですね。ただ、合併をして、その合併の経済的な効果があるのか。なかなかそういうふうなものがあるとは思えないものがほとんどだというふうに私は思っております。
 そういう中で、今、所管局がみんなあって、局の系列、系統でできていますけれども、その局を超えて合併というのはないんですか。

○島田行政改革推進室長 十四年度当初に予定しております、都市計画局の所管の株式会社首都圏建設資源高度化センター、そして港湾局所管の株式会社沿岸環境開発資源利用センター、これが合併するということで、これは局をまたいでございます。

○矢部委員 同じような仕事を幾つものところでやることはないので、そういうことはどんどんやっていただきたいというふうに思います。
 また、どこで線を引くかはありますけれども、最終的に、言葉としてこれは適切ではないかもしれませんが、東京都が後ろにある、親方日の丸的な発想で気楽にやられたのでは困りますし、いろいろそれぞれの団体、株式会社の中では、株式会社なんだから構わないということで、財テクに、いろんなところに資金を投入してえらい赤字をつくっているところもあったり、ちょっと目に余るものもあると思うんです。
 時代が変わって、今それがしにくくなったかもしれませんけれども、証券化というような話もあります。ただ、それに乗るもの乗らないものあるでしょうけれども、もうどうやってもだめなのが随分あるんじゃないかと私は思うんです。思い切って改革をしていかない限り、これは、ずっと引っ張っていれば、税金をどんどんどんどんつぎ込むしかなくなってしまうわけで、どこかの時点で整理をする必要があると私は思っております。
 監理団体のさっきの改革実施計画に基づいて、それを進めているんですけれども、その中での作業進捗状況はいかがでしょうか。

○島田行政改革推進室長 平成十二年の十一月につくりました監理団体改革実施計画がございます。この中で、まず統廃合でございますが、十一年度から十五年度までに六十二団体を四十七団体にするということがございます。そういった中で、平成十四年度は三件ございますが、それについては現在のところ計画どおり統廃合できる見込みでございます。
 また、団体に対する都の財政支出でございますが、平成十五年度二千二十一億円まで、平成十一年度からやってまいりまして、二千二十一億円まで落とすことを目標としておりますが、十四年度予算案では、それに一億円多い二千二十二億円となっておりまして、一年前倒しで何とか達成したい、できる見込みであるということでございます。
 さらに、団体の職員数でございますが、十一年度、九千五百五十二人おりました。それを、十五年度には、おおむね一割でございます九百五十人を削減することを目標としておりますが、十四年度で九百三十八人まで減らすことができました。今後も着実にこの計画を一歩一歩進めていきたいというふうに考えております。

○矢部委員 それと同時に、東京都から出向している職員はもう全部戻す方向ということですか。

○島田行政改革推進室長 いろいろな歴史の経緯がございまして、確かに先生おっしゃるとおり、十一年度で九千五百五十二人のうち四千五百九十人、おおむね五〇%近くが都の派遣職員でございました。それを十五年度には約二割減らそうということでございまして、東京都の派遣職員を三千六百五十まで持ってくる。九百五十人、全体で減らしますが、その中の九百四十人は都の派遣職員を減らすということでございます。いろいろな経緯もございますので、一歩一歩やっていきたいというふうに考えております。

○矢部委員 それは、将来的にゼロを目標にしていますか。

○島田行政改革推進室長 正直申しまして、私の段階で今のところゼロということはなかなかいえないのですが、この改革計画をきちんと一歩一歩進めた上で、また次のステップがあるんだろうというふうに考えています。
 ただ、これからは、民間が人材派遣センターだとかいろんなNPOだとか、いろんな形態が出てまいりまして、そういった方々が、この公益法人や株式会社で力を発揮していただくことができると思っております。そういう中で都の派遣職員を減らしていけるのではないかというふうに考えております。

○矢部委員 大変大事なところが出てきたかなというふうに思うんです。NPOという組織ができて、仕組みができて、まだ三年か四年目でございますけれども、物すごい数が誕生しているわけですし、そうしたものも大いに活用してほしいなというふうに思います。
 それと同時に、正直なところ、この委託料で何とか成り立っている会社もあるんでしょうけれども、その委託料の単価そのものが妥当かどうか、民間に委託していればもっと安いものもあるんじゃないかという感じもするんです。高く委託して、なおかつ補助金も出してなんてやっているんじゃ、東京都はどうやったってこれは赤字になってしまいますから、そういうところもそれこそ含めて、厳しいときだからということじゃなくて。時代の要請でできたものもあるでしょうけれども、役目をもう終わったものはどんどんやめて、そして徹底して、やはり都民の税金なんでございますから、それを有効に、なおかつむだのないように、そしてまた都民に理解してもらえるように、東京都の監理団体を指導監督、また思い切って取り組みをして改革をしていただきたいと思いますが、最後に局長にご意見をお聞きいたします。

○大関総務局長 ご案内のように、東京都の場合は、東京都が直接やるよりは公益法人で効率よくやろうということの流れの中で、監理団体というのは大変多く設立されたわけでございます。それが今日の時代を迎えますと、設立当初までさかのぼって見直してみますと、現実には、本当にそんな団体つくるのかというようなものもあったわけでございます。あるいは、こんなにいっぱいあるのか、これも統合すればいいじゃないかというようなこと。あるいは、仕事そのものが、今はNPOなどもどんどんできておりますし、民間企業でも代替できるものがたくさん出てきているという時代が来ているわけでございます。
 そういう意味で、いわば外郭団体がたくさんあるがゆえに、このことを改革しませんと本当の都政改革にならないと思っていますので、ここを、今いったような視点の中で、少なくとも、直接やった方が効率がいいんだみたいな外郭団体はまず要らないわけでございます。それから、今やっている中身も、NPOや民間企業がやった方がいいというもの、あるいはやれるもの、その方が都民サービスが向上するもの、こういうものについては当然のごとくスピードを速めて改革していく必要があろうかと思っておりますので、今後とも一生懸命やっていきたいと思っております。

○矢部委員 よろしく。

○山下委員 今日の日本の社会経済のIT化の流れの中で、東京都も各区市町村もIT化への対応が求められております。こうした中で東京都にも懇談会が設置をされ、検討が進んでいるということですので、本日は何点か伺っていこう、そのように思っております。
 昨年の十一月、電子都市構築に関する懇談会が設置をされておりますが、この懇談会設置の目的は何か、まずお伺いいたします。

○木谷IT推進室長 電子都市構築に関する懇談会の設置目的でございますけれども、東京から日本経済を再生し、新しい文明社会を築くためには、ITを経済や暮らしの中に最大限活用しました三千三百万電子都市を実現することが不可欠だと考えています。
 東京都としましては、民間それから他の自治体などと密接に連携をし、三千三百万電子都市の実現に向けた行政として取り組むべき方向性について検討するため、情報基盤の整備、ITの活用及び自治体連携の三つを主なテーマとして、懇談会を設置しました。
 懇談会では、それぞれのテーマで部会を設けて、今年度末までの半年間で集中的に検討を行い、報告書を取りまとめる予定でございます。

○山下委員 この懇談会は、今のお話にもありましたように、半年間程度の期間で集中的に検討を進めるということでございますが、既に昨年十二月二十五日には、各部会の論点整理と中間のまとめというものが出されております。それらの概要はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。

○木谷IT推進室長 懇談会の各部会の取りまとめの概要ですけれども、基盤整備部会では、情報通信基盤の整備促進のための大幅な規制緩和と支援策、IT活用部会では、災害対策、産業振興、教育などの分野でのIT化の方策、自治体連携部会では、電子自治体の構築に向けたシステムの共同開発、共同運営の方策などを中心に中間の取りまとめを行いました。

○山下委員 この懇談会での検討と並行して、宿泊施設のIT化支援事業が実施されることになるなど、IT化に向けた事業も速いテンポで進んでおります。
 自治体連携部会の中間のまとめで示された連携によるシステムの共同開発、共同運用の促進についても、二月に開催された都区市町村IT推進協議会で進め方が示されたと聞いておりますが、その内容は一体どうなっているのでしょうか。

○木谷IT推進室長 都区市町村IT推進協議会では、電子都市構築に関する懇談会の提案を受けまして、利用者の利便の向上と開発コストの低減を図るとともに、自治体が直面していますいろいろな問題、情報化の進捗度が各区市町村によって大分違う、あるいは人材確保が困難である、それぞれが非常に厳しい財政状況にあるということを考えまして、これを克服するために、東京都と区市町村が共同でシステムを開発、運営することを提案いたしました。
 システムの形態としましては、電子申請と電子調達を主たるサービスとしまして、ネットワーク上で各種サービスを提供する、いわゆるASPという方式がございますけれども、このやり方を最大限に活用することを考えております。

○山下委員 IT化の必要は理解をしていても、財政的にも人材の面でも厳しい状況にある区市町村においては、共同開発、共同運用を図ることとは、システム管理の手間と人件費を大幅に抑えることができ、大変メリットがあることだと考えております。
 しかし、各自治体によって業務形態も異なり、これをすり合わせていくことは大変な作業だと思いますが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

○木谷IT推進室長 自治体によって業務形態も本当にさまざまに異なっておりまして、調整すべき問題がたくさんございます。その点でいろんな難しさがあるということについては、先生のご指摘のとおりでございます。
 それから、電子自治体システムの導入といっていましても、単に紙から電子に変わるというだけではなくて、やはり自治体内部での業務改革を徹底的に進めるということがありまして、そういう意味では、さまざまな問題をこれから解決しながら進めていかなければいけない。今後、東京都と区市町村で共同運営協議会を設置する予定でございまして、その中で、こうした問題点を十分に踏まえ、問題を解決するために十分な検討をしていきたいというふうに考えております。

○山下委員 困難な作業を伴うにしても、私はこれは有意義な取り組みだと考えております。ただいまのお答えの中でもございました、共同運営協議会を設置して取り組んでいくということなんですが、この協議会はどのような構成で、いつを目途に設置するのか、お伺いいたします。

○木谷IT推進室長 共同運営協議会ですけれども、東京都が入ることは、もう私どもは決めておりまして、あとは、協議会への参加を希望する都内の区市町村、これがどれだけになるか今の時点でわかりませんけれども、参加を希望する区市町村とでつくりたいというふうに考えています。
 今後のスケジュールですけれども、十四年度早々にも立ち上げたいというふうに考えております。そして、十四年度内には運営方針や利用基準などを策定し、十五年度にはシステムの設計と開発を行い、十六年度から運用を開始したいと考えております。

○山下委員 この共同開発、共同運用は、ネットワーク時代にふさわしい東京都と区市町村との新しい連携を創造していくものであり、高く評価をしております。私は、今後より有効なシステムが導入されることを望んでおります。
 最後になりますが、局長の強い決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○大関総務局長 都民にとりましては、自分たちの仕事といいますか、課題が、これは国の仕事か、都の仕事か、区市町村かということは余り意識しないんだと思います。やっぱり自分たちの悩んでいることが、課題が一カ所で解決されるというシステム、これを一番求めているんだと思います。
 特に東京都の場合は、東京都が今まで基礎的自治体だということがありまして、市町村長みたいなことをやってきたことがありまして、恐らく全国でも一番わかりにくい自治体になっているんじゃないかなと思っています、都民から見ますと。
 これは、これからネットワークをつくる場合も、やはり都と区市町村、これ一緒のものをつくらないと全く意味がないと思っております。そういう意味で、今回共同開発するということは大変重要なことでございまして、早速国の方もかぎつけてきまして、これいいじゃないか、早速取り組んでモデルにしてくれよというようなことでいわれておりますので、私どもといたしましても、ぜひこれを全国のモデルになるような形でつくっていきたいと思っております。

○谷村委員 初めに、東京都総合防災訓練について伺います。
 昨年そして一昨年のビッグレスキューで、自衛隊との連携強化、そして米軍横田基地の初めての使用など、世紀をまたいで、東京の防災機能の向上に大変に大きな成果を上げました。
 そこで、平成十四年度の東京都総合防災訓練では具体的にどのようなものを予定されていますでしょうか。

○矢島参事 練馬区と合同で実施する、平成十四年度の総合防災訓練でございますが、この訓練は、二年間にわたるビッグレスキューでの取り組みを踏まえて、地域住民、地元自治体の役割をより一層重視し、東京都はそれを広域自治体として支援をする、自助、共助、公助が連携した実践的な訓練としていく必要があると考えております。
 具体的な訓練内容につきましては、現在、区を初め関係機関と協議を進めておりますが、小中学校など、住民に身近な避難拠点を中心として、区や住民が主体となった訓練としていきたいと考えております。

○谷村委員 特に初動対応におきましては、区市町村との連携は大変に重要な課題であり、十四年度の総合防災訓練は、過去二回の総合防災訓練、ビッグレスキューにまさるとも劣らない大事な訓練だと思います。万全の準備を進めて大きな成果を得られるよう念願するものであります。
 そこで、平成十四年度の東京都総合防災訓練では、昨年初めて使用いたしました米軍横田基地等の継続的使用を進めていくべきと考えますが、どうなっておりますでしょうか。

○矢島参事 昨年九月のビッグレスキュー東京二〇〇一では、全国に先駆けて米軍横田基地を使用した訓練を実施し、横田飛行場が羽田空港と並んで災害時の広域輸送拠点として非常に重要な役割を果たすことが実証できたと考えてございます。
 米軍基地の災害時の使用については、現在国に対して、その使用の枠組みの構築ということを求めておりますけれども、実際に訓練を積み重ねて、各機関が横田基地使用に習熟しておくことも非常に重要でありまして、来年度の合同訓練での使用についても、今後関係機関と調整をしてまいりたいと考えております。

○谷村委員 毎年また毎回、まずは米軍横田基地を使用することによって、東京都の防災における横田基地の位置づけと、横田基地を使用するに当たっての諸課題の整理、そして解決に向けて着々と取り組んでいただきたい、このように思います。
 昨年の第四回定例会で、私の一般質問に対する知事本部長事務代理次長は「今後、七都県市や自衛隊も加わった大規模かつリアリティーの高い図上訓練を共同で実施することを検討しております。」このようにご答弁されました。その後、七都県市合同の図上訓練の実現に向けて、状況はどうなっておりますでしょうか。

○矢島参事 七都県市合同の図上訓練についてでございますけれども、この訓練につきましては、昨年十一月、七都県市首脳会議で知事が提案をしたわけですけれども、その後協議を進めまして、先月その実施が合意をされ、現在、七都県市防災対策委員会の中に臨時の組織を設けて、東京都が事務局となって検討を開始したところでございます。都としては、できるだけ早期に実施ができるよう、国や他県市と協議を進めてまいります。

○谷村委員 ぜひとも近隣六県市のご理解をいただき、平成十四年度実施を実現していただきたいと思います。
 そこで、七都県市合同の図上訓練では--昨年は、七月の二日間にわたり大規模な図上訓練が行われました。この成果を踏まえ、どのようなものを予定されているのでしょうか。また、具体的な訓練の形態、項目、実施時期はどうなっていますでしょうか。

○矢島参事 昨年七月に実施をいたしました大規模な図上訓練は、災害時の活動マニュアルの習熟が図られるなど、災害対応力を高める上で大変有効な訓練であることが示されたというふうに考えてございます。
 七都県市合同の図上訓練は、この経験を生かしまして、大規模な地震災害に対して、首都圏自治体あるいは防災機関が共同で対処する実践的な訓練とする予定でございます。
 具体的な訓練内容につきましては、今後検討してまいりますけれども、各都県市の災害対応能力の向上を図ること、それから、七都県市相互間の情報ネットワークの強化を図っていくこと、さらには国や防災機関との連携強化に結びつく、そういった課題を持った訓練としていく必要があるのではないかと考えてございます。

○谷村委員 その際、相互応援協定の実効性を検証するような訓練も実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○矢島参事 七都県市合同の実践的な訓練は、七都県市相互応援協定の有効性を確認する上で絶好の機会となるのはご指摘のとおりであるというふうに思います。訓練を通じて検証を行い、相互応援協定の実効性をさらに高めていきたいと考えてございます。

○谷村委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、東京都地域防災計画について伺いたいと思います。
 地域防災計画において、テロ事件などを含む大規模事故等の対策計画を定める風水害等編につきましては、昭和三十八年八月に作成され、その後三十年間で十五回の修正が行われております。ほぼ二年に一回の修正が行われてきました。
 しかし、平成六年八月以降、八年間にわたり修正が加えられておりません。第一編、総論、第三節では、「この計画は、災害対策基本法第四十条の規定に基づき、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、修正する。したがって、各防災機関は、関係のある事項について、毎年防災会議が指定する期日(緊急を要するものについては、その都度)までに、計画修正案を都防災会議に提出するものとする。」とあります。特に、その後平成七年三月には地下鉄サリン事件が起こり、その際修正を行うべきだと考えますが、これは答弁を求めません。
 災害対策部の皆様の、三宅島を初めとする伊豆諸島の災害復旧事業の取り組み、またご活躍状況を拝見するに当たり、そのご苦労とご貢献を高く評価するものであります。私は、これから首都圏FEMAの創設、またその大前提となる東京の危機管理の体制強化も視野に入れますと、マニュアルの充実、そして実動体制を強化していくためには、災害対策部の人員増加、体制強化はぜひとも進めていくべきと考えております。大関総務局長に強く要望いたしておきます。これは私はぜひ要望したいと思っております。
 そこで、平成七年三月の地下鉄サリン事件以降、風水害等編に修正を加えるべき災害、事故等はどのようなものがありましたでしょうか。また、地域防災計画の修正を含めて、都の対応を伺いたいと思います。

○岡部災害対策部長 風水害、大規模事故に関しましては、ご指摘の平成七年の地下鉄サリン事件以降、平成九年の東京湾の「ダイヤモンドグレース号」油流出事故、十二年の三宅島噴火災害などの経験をしてきております。
 今回、これらの災害の経験を踏まえまして、災害により一層適切に対応するために、地域防災計画の風水害等編の修正作業を現在行っているところでございます。修正の時期につきましては、決定は四月中の予定を考えております。

○谷村委員 その修正作業の基本方針と主な内容につきまして、明確にしていただきたいと思います。

○岡部災害対策部長 地域防災計画の風水害等編につきましては、前回の修正から八年の年月が経過しているというご指摘のとおりでございます。今回の修正の基本方針としましては、社会情勢の変化や情報通信技術の活用などを考慮しまして、予防対策や初期の応急対策活動の強化に重点を置き、修正を行っているところでございます。
 主な修正内容としましては、風水害対策としましては都市型水害対策を明記すること、火山災害対策では火山観測体制を強化すること、そして、大規模事故対策としましてNBC対策の明記などの内容を予定しておるところでございます。

○谷村委員 今、NBC対策というお話がありましたけれども、その中で特に、その後の地下鉄サリン事件、そして我が党が今定例会の代表質問に取り上げましたNBCテロ対策として、具体的にどのような記載が盛り込まれる予定でしょうか。

○岡部災害対策部長 都としましては、地下鉄サリン事件などの経験を踏まえまして、大規模事故対策の中に、NBC対策を視野に入れた新たな項目を設ける予定でございます。具体的には、警視庁の化学防護部隊を配備したこと、東京消防庁に化学機動中隊を配備したこと、病院等の設備の整備を行うということの内容になっております。

○谷村委員 大変に重要な修正作業であり、次代の要請にこたえる地域防災計画となることを期待いたしております。
 もう一つの地域防災計画であります震災編につきましては、昭和四十八年から九回にわたり、ほぼ二年に一回の割合で修正をされておりますが、こちらは、平成十年以降、四年間にわたって修正をされておりません。今度の修正作業はいつから行われるのでしょうか。

○岡部災害対策部長 平成十三年四月に施行されました震災対策条例を受けまして、震災編につきましては、平成十四年度に即、修正作業に入る予定でございます。

○谷村委員 その修正に当たってのポイントを明確に述べていただきたいと思います。

○岡部災害対策部長 震災編につきましては、震災対策条例の理念でございます自助、共助、公助を基本としまして、平成十年以降発生しました鳥取西部地震や芸予地震の教訓や、国の中央防災会議の動向を踏まえまして修正を行う予定でございます。

○谷村委員 これまで、地域防災計画の修正作業につきまして伺いました。風水害等編、震災編、それぞれが、これまでの大災害や大規模事故の教訓を生かしてその内容を充実していく、こういうことでございますが、今後あらゆる大規模災害に即応するための万全の体制を整えていくに当たり、大関総務局長の決意を伺いたいと思います。

○大関総務局長 今後あらゆるという点が大変難しゅうございますけれども、災害というのは予測しがたいわけでございます。そういう中で備えていくためには、少なくとも最小限の自助努力といいますか、自分のことは自分で守る、それからお互いに助け合う、その中で公の自治体がそこに助けに入るという、その仕組みを徹底しなくちゃいけないかと思っております。
 それは、やはりいろんな実践的なマニュアルをつくって、それを周知して、何が起きても驚かない、対応できる、そういう都民にしていきたい、こんなふうに感じております。

○谷村委員 ありがとうございました。
 次に、多摩の市外局番についてお伺いをいたします。
 昨年九月二十八日、私は、初当選後初めて本委員会の質疑に立たせていただきました。多摩の将来像二〇〇一の議論の中で、多摩の市外局番の抱える諸課題につきまして、私が具体的な問題提起をさせていただき、そして、我が党の政調会長であります木内委員の提案によって、都に、三多摩地域における市外局番検討会が設置されました。これは、三多摩格差の象徴の一つである多摩の市外局番の格差是正に向けて、歴史的な、また大きな一歩であります。
 大関総務局長は、多摩の将来像二〇〇一を二年間にわたり局を挙げて取り組んでおられました。そして、練りに練って、議論に議論を重ねて、多摩の発展に向けての今後の課題であるチャレンジテーマを十に絞り込まれたわけでありますが、私どもの問題提起に対しまして、多摩の市外局番の問題を十一番目のチャレンジテーマとして取り組む、このようにご答弁をされ、そのお約束どおり、三多摩地域における市外局番検討会を都に初めて立ち上げられました。その大英断に深く感謝をいたすものであります。
 この多摩の市外局番の統一化が実現をいたしますと、大関総務局長のお名前は長年、三多摩格差の是正に議員生命をかけて取り組んできた多摩の都議会議員の名前と同列に、いや、それ以上に輝きを持って刻印される、このように信じます。また、私自身、この歴史とご功績を語り続けてまいりたい、このように思っております。
 そこで、昨年十一月十五日に行われました、東京都と多摩の三十市町村の代表者とNTT東日本が、多摩の市外局番の統一化に向けて初めて同じテーブルに着いた、歴史的な第一回目の検討会でございますが、これにつきましてどのような報道がなされておりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 十一月十五日に行われました検討会に関する報道でございますが、私の今手元にあるものでございますけれども、十一月の九日に読売新聞「変な市外局番 なくしたい」という見出しで報道が行われています。
 それから、終わった後の十一月十六日の東京新聞「同一市内で複数市外局番 多摩地区番号で検討会」というタイトルの記事、それから、十一月十七日の読売新聞で「多摩地域の市外局番 わかりにくい 十一市で混在 改善目指し都が検討会」このような内容の報道が行われております。

○谷村委員 多摩都民の思いを大変代弁するような記事になっております。また、歴史的な検討会への大きな期待がうかがえます。
 問題点を簡単に整理しておきたいと思いますが、一つは、多摩の三十市町村の中で、同一自治体の中に市外局番が複数存在する市が十一市もあるということ。そして二つには、市外局番が同じであっても、単位料金区域、いわゆるMAが異なるため、同じ〇四二番であっても市外局番からかけないと通じないところが複雑に存在している。これは、立川MA、国分寺MA、そして町田などの相模原MAであります。この第一回検討会では、こうしたそれぞれの問題につきまして、NTT東日本から、どのような解決方法があるとの説明があったのでしょうか。

○木谷IT推進室長 NTTの説明によりますと、まず、一つの行政区域の中に複数の市外局番が存在する場合、例えば狛江の場合ですと、〇三と〇四二四が混在しておりますが、これについては電話番号の変更、それから料金が変動する、そのことを含めて住民が了解しているということを前提にして単位料金区域の変更を行い、不一致を解消することが可能であるということでございます。
 それから、一つの単位料金区域の中で複数の市外局番があったり、同じ市外局番でもなかなか通じない、そのような場合については、平成七年度からの--これは総務省の所管になっておりまして、関係するすべての市町村から、市外局番の変更が住民の総意であるという旨の要望書が総務省に提出されれば解決することが可能である、そういう見解が出されております。

○谷村委員 今お話がありました二つ目の方ですが、一つの単位料金区域MAの中に複数の市外局番が存在する場合については、関係するすべての行政市から、市外局番の変更が住民の総意である旨の要望書が総務省に提出されれば解決することが可能である、このようにありましたが、住民の総意である旨の要望書というのは、行政の判断、すなわち市町村としての意思が何らかの形で確認をされ、決定をされ、それを受けて、関係するすべての市町村長からの要望書が提出されれば解決するということですか。

○木谷IT推進室長 総務省のそこのところの規定を見る限りは、行政機関である当該市町村長、関係するすべての当該市町村長が、これが住民の総意であるということでもって要望を出すことが要件になっておりますので、先生のおっしゃることでよろしいのではないかと思います。

○谷村委員 この場合、通常、議会の議決を持った上での要望書という意味になりますでしょうか。それとも、行政主体の判断で出せば通るということになりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 総務省の規定の中ではそこは明確ではありません。ただ常識的には、村長なり市長の独断でもってこれが総意であるということは、これは至難のわざでありまして、これが本当に住民の総意であるということを証明するために、何らかの、これが本当に総意なんだということがなければ、なかなか要望ができないのではないかという気もいたしますが、正直そこの法的な問題についてはよくわかりません。

○谷村委員 議会の重みが改めて確認をされたような思いで、よかったと思いますが、〇四二二と〇四二四という二つの市外局番の存在する武蔵野、三鷹の単位料金区域内の市外局番を、〇四二に統一するということが考えられます。
 このケースでは、清瀬市、東久留米市、狛江市、西東京市、武蔵野市、そして小金井市の一部、また三鷹市、調布市、府中市の一部、狛江市の一部と十市が関係しておりますけれども、個別の市の努力では解決できないことは明らかでございます。こうした課題こそ、広域自治体としての東京都が強力な指導力を発揮して、また東京都の責任で、関係十市と協力しながら取り組んでいくべきと考えますが、どうでしょうか。

○木谷IT推進室長 ご指摘のあったケースについては、〇四二二と〇四二四という二つの市外局番、これが武蔵野、三鷹にありまして、十市が関係しております。広域自治体としての東京都を考えますと、個別の市町村の領域を超えたことについての役割は、これは広域自治体の仕事ですので、ご指摘のあった広域的自治体としての課題については、関係市町村と協力をしながら、問題の解決に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。

○谷村委員 今後、東京都の進められていく過程におきまして、まずこの点を優先させて、関係十市と東京都で重点的に協議を進めるべきと考えますが、どうでしょうか。

○木谷IT推進室長 この間、市町村がどんなふうな意見を持っているか、それから住民がどういう要望を持っているかということを我々把握をしてまいりまして、それを踏まえて、四月に次回の検討会を開催しようというふうに考えております。
 ご指摘のあった問題、我々も検討いたしましたけれども、住民にとっての負担といいますか、それが余りないというふうに我々も考えております。それから、事業会社、通信会社の方でも余り負担がふえないというふうに判断いたしまして、この問題を一つの重要なテーマとして、関係市町村と協議していきたいと考えています。

○谷村委員 昨年の第三回定例会での総務委員会での質疑、そして第四回定例会での一般質問でも触れましたが、現在、市外局番が〇四二番というのは二十市町村あります。これは、多摩の三分の二が現在でも同じ〇四二番ということになります。で、今申し上げました、この〇四二二と〇四二四という二つの市外局番の存在する武蔵野、三鷹の単位料金区域内の市外局番が〇四二に統一化されると、実は多摩の市外局番の統一化に向けて大きな前進をするわけでございます。
 確認をいたしますが、現在、〇三番という地域は、これは利便性が高く、長年多摩都民の間でも評価されてきましたので、この地域をカウントから除きますと、この武蔵野、三鷹単位料金区域の市外局番が〇四二になったといたしますと、同一市内に複数の市外局番が存在する地域はどこになりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 〇三地域を除外してというふうにおっしゃっていたと思いますので、狛江の〇三というものを除きますと、八王子に〇四二六と〇四二という二つの市外局番がありまして、これ一つではないだろうかと思います。

○谷村委員 厳密にいいますと、狛江以外の調布とか、三鷹もそうでしょうか。一部、〇三との複数市外局番が存在するという点は残りますけれども、この八王子の〇四二六と一部〇四二というこの地域を除いて、同一自治体の中で市外局番が複数存在するという問題点が解消をするわけでございます。今、八王子市の方のご意見としては、この〇四二六地域において〇四二地域はわずかな地域でもあり、その生活圏も〇四二なので住民の方は不便をさほど感じられていない、このようなご意見が出ているやに伺っております。
 では、一応確認しますが、三十市町村の中に、〇四二番になる地域は幾つになりますでしょうか。

○木谷IT推進室長 まず、先ほど私、八王子と申し上げましたけれども、そのほかに町田と稲城が、若干でありますけれども、複数残ります。それから、〇四二になる市町村ですけれども、ちょっと数える時間をいただけますでしょうか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○木谷IT推進室長 慌てて数えましたので、ちょっと間違えているかもしれませんが、二十九ですか……。(「二十六」と呼ぶ者あり)六ですか。ちょっと計算がうまくできませんで、申しわけございません。

○坂口委員長 もう一度速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○谷村委員 同一市内の複数の市外局番が残るというのは町田と稲城というご指摘がありましたが、〇四四が残るということで、それが正確でございます。私が間違っておりました。
 この三鷹、武蔵野地域の市外局番、〇四二四、〇四二二地域が〇四二になりますと、二十六市町村が〇四二ということになります。これは多摩の八七%、約九割が〇四二番で同じ市外局番になります。多摩の市外局番の統一化が九割実現するということになります。
 逆に、多摩の中で〇四二番でない地域というのは、八王子、青梅、奥多摩、あと狛江の〇三というのがありますけれども、そういう地域になります。あとは、その地域の方々がどのようなご見解を持たれるかであると思います。何が何でも多摩地域の市外局番を統一化しなければならないということはないと思います。ただ、その地域を除いて多摩地域では、市外局番なしで通話できるようになる時代まであと一歩ということになりますと、こうした地域の方々の意識、ご要望も大きく変わってくる、このように期待をしています。
 こうした大変すばらしい、この九割実現まで、さほど難しい手続なく実現する可能性をはらんでいるという展望を、まずは多摩の三十市町村に対して、もっと明確に、そして精力的に説明をするべきだと思いますが、どうでしょうか。
 これまでの第一回検討会から今日までの取り組みを踏まえて、ご答弁いただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 武蔵野、三鷹の単位料金区域内の市外局番統一化という、これは我々もどうなんだろうかということで考えまして、確かに先生ご指摘のように、これは関係市町村に働きかけていくことによって、糸口が、糸がほぐれてくるという可能性があります。そういう意味では、この多摩の市外局番の統一、これはもう長年の多摩住民の強い願いでもありますので、広域自治体としての東京都としての立場から、関係市町村と精力的に取り組んでいきたいと思います。

○谷村委員 同じ〇四二番であれば市外局番なしで通ずるようにする、多摩地域の九割で市外局番が必要なくなる、あるいは市外通話料金を払わなくてよくなる、そのための課題は、あと何が残るでしょうか。

○木谷IT推進室長 これまでの議論は、当該市町村あるいは当該市というところで、住民の総意として、こういう方向に進むべきだと、これがまずどれぐらい淡々といくのかについては、まさにこれからの話でありますけれども、それがすべてできたとして、先生がおっしゃるように〇四二での統一ができたということを前提にいたしまして、なおかつ単位料金区域同士で市外局番を使わずにできるようにするために何が問題になるかという趣旨だと思いましたけれども、これについては、最終的には事業会社の方で経営的にどうなんだろう、市外局番がなくなることによって減収になるやもしれない、そういうような問題が既に指摘されていますので、その問題が最終的に解決しなければいけない問題ではないかというふうに考えています。

○谷村委員 この課題につきましても、市町村との協力は前提として、東京都の全責任で解決に向かって努力するべきと考えます。検討会が行われておりますそこには、東京都とNTT東日本と三十市町村の代表者が出席しておりますけれども、この問題解決は、市町村というよりも、むしろ広域自治体である東京都の責任で、MA制度の解決。三つに分かれている今の〇四についてのMAの問題を解決する第一義的責任は、東京都の責任で進めていくべきだ、このように考えますが、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

○木谷IT推進室長 最終的には、通信事業者がどう判断するかという問題がありまして、我々が決定するというわけにいきませんけれども、我々と市町村との関係でいいますと、これは明らかに広域的な課題でありますので、広域的自治体として、行政としては東京都が責任を持って取り組んでいく、そういうものであると思っています。そういう方向でやりたいと思っております。

○谷村委員 NTT東日本との交渉について、東京都が責任を持って取り組んでいただきたい、こういう意味で申し上げました。ありがとうございました。
 最後に、多摩の発展の歴史にさん然とお名前が輝くであろう大関総務局長の力強い決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。

○大関総務局長 この多摩の電話番号の問題、これは前々から自民党さんからもいろいろ提案を受けていたんですが、これはなぜこれまで解決しなかったか。それぞれの問題があったと思うんですね、課題が。
 これは端的にいいますと、一つは住民の意思。局番は一緒になったにしても料金は高くなってしまうということで反対という人もいると思うんです。それから、もう一つの問題はNTTの採算の問題。これがやはり大きいものがあったんだろうと思っております。これを、例えば〇三局に全部しちゃったとすれば、当然安くなるわけですから、その収入面では大変大きな痛手といいますか、なるわけでございます。
 ただ、状況としますと、だんだんインターネットや何かが普及してきている時代ですから、いろんな時代の中でこれを総合的に判断して、何か抜本的な解決、やれるところからやるという順番もあるでしょうし、あるいは一気にやっちゃうという方法もあろうかと思いますが、総合的に検討していくことだと思っております。
 とりあえず、今の課題がだんだん整理されてきておりますので、どういう突破口が開けるのかなということで、また皆さん方とも相談しながらやっていければと思っております。

○古館委員 それでは、三宅島島民支援について何点かお尋ねします。
 火山予知連が二月一日に開かれましたけれども、その見解によりますと、三宅島の火山ガスの量は、この一年で三分の一まで低下しているといいます。しかし、帰島に際しては、島民の安全を考えると、発生するガスの量だけでなく濃度のこともあり、全員帰島はまだ時間がかかるとのことのようであります。このような状況の中で、島民の多くが望んでいた個人財産の保全、修繕、財産の運用、運び出しを目的とした帰島について、四月から日帰り帰宅事業が行われると聞いております。
 そこで質問ですけれども、日帰り帰宅の渡航費用は自己負担ということでありまして、大体一人、例えば八王子市から往復で一万円超かかるといわれております。三人で行ったら三万円をはるかに超えるという運賃になります。多くの島民は、生活が苦しい中で、希望しても経済状況で帰島がままならない人もいると思います。都として費用の支援を考えてはどうでしょうか。

○岡部災害対策部長 今年度実施しました一時帰島は、被害状況等の確認等、行政上の必要から行ったものであります。全島民を対象としました一時帰宅は、三月十二日で一巡いたしました。四月以降のお話の日帰り帰宅は、島内における個人等の個人資産の保全、修繕、財産の持ち出しを希望する島民を対象としまして、一世帯当たり三名以内を限度に、三宅村において実施するものであります。
 一時帰宅が一巡していること、島民のニーズに応じて世帯ごとの帰宅者数が異なることなどから、三宅村におきましては、運賃について自己負担をお願いしたものでございます。

○古館委員 この問題は、先ほどもいいましたけれども、希望してもなかなか経済状況で帰島がままならない方もいると思います。そういうことも踏まえて、今後ともぜひ鋭意村とも協議をしながら、検討していただきたいと思います。
 次に、二つ目でございますが、全員帰島のめどがいまだにはっきりしておりません。こういう中で、島民のもう一つの心配というのは、火山ガスによる屋根の被害、それから、シロアリ、ネズミ、泥流の被害などで、とりわけ家屋がどうなっているかということが心配です。特にシロアリの場合は、かなりかむ力の強いアリが生息しているようでありまして、島民の方々は、帰島した後、畳やふとん、サッシ、それから電気器具等や車の買いかえなど、すぐ対応しなければならないことを考えると気が遠くなる、このように話している方もいらっしゃいます。
 この家屋に対する補修に対して、先日の村議会で、我が党議員の補修をという質問に対して、住宅補修での住民負担が軽減できるように努力すると、村の方では答弁をいたしました。
 そこでお尋ねいたしますけれども、災害が継続している中での屋根など家屋の補修は、帰島後の本格的補修に対して臨時的補修の性格を持っております。しかし、今やらなければ、大事な財産が崩壊の事態になりかねません。島民の経済的負担を軽減するために都としても支援を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 私有財産の保全につきましては、都が直接的な支援を行うことはできませんが、三宅島商工組合の組織化やボランティア企業による資材の提供などのあっせんなど側面的な支援を行い、格安というふうな努力をしておるところでございます。

○古館委員 今もそのように側面的な支援ということでいわれました。これをさらに積極的に進めていただきますと同時に、シロアリに被害を受けたところというのは、本当に家としても存在価値がなくなってしまうというか、それこそ崩壊してしまう、こういう状況で、一刻も猶予のならないものだと思いますので、この点についても鋭意村の方とも協議しながら、必要な支援をぜひ要望しておきたいと思います。
 次ですけれども、全島避難が行われて一年半になりますが、島民の皆さんのなれない都会での生活、これは私たちが考えている以上に本当につらくて苦しいものがあると思っています。三宅の土を踏むことなく避難先で亡くなられた方が、避難後からことしの一月末までで五十五人に達しております。災害による避難とはいえ、さぞ無念だったと思います。人口の三割が高齢者で、生活苦は深刻であります。
 先日、三宅から避難され、社会福祉関係の仕事をしている方が、朝日新聞の声欄に、三宅に帰る夢をつなぐ支援を、と投稿されていたのを読んで、私自身改めて気持ちを引き締めたところであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、三宅村が全島避難して二回目の生活実態調査を行いました。この調査結果を踏まえて、三宅島民の生活実態をどのようにとらえておられるか、お答えいただきたいと思います。

○岡部災害対策部長 昨年三月に行いました前回調査と比較しますと、就労者がいる世帯は三六%から五一%と大幅に増加しており、生計の状況で見ますと、何とか暮らせる、避難前と変わらないというのが六一%となっております。しかし一方、生活が苦しいと答えた人は三二%で、前回の二九%に比べ、やや増加しております。
 島民の避難生活は長期化し、生計の困難、コミュニティの分散など、引き続き厳しい状況にあるということは十分認識しておるところでございます。

○古館委員 今、引き続き生活状況が厳しいという認識が示されました。生活が悪くなっている人が三割を超えており、生活費が不足している世帯がさらにその数を上回っております。雲仙や有珠山の災害でも食費などが支給されました。被災者に継続的な生活費を支給する、災害保護という考えもあります。こうした考えを取り入れた支援策がどうしても必要だと考えております。国や村とともに、都がリーダーシップをとって、ぜひとも実現をしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 東京都は、都営住宅の提供、就労対策など、島民が自立した避難生活を営むために必要な支援を行ってきております。また、国に対し、村民が安心して生活ができるよう、関係法令の弾力的運用や新たな制度の整備など、特段の措置をとるよう要望しているところでございます。
 都としましても、先ほど申し上げました村の調査結果を踏まえ、世帯主が五十歳以上の世帯を中心に、その実情把握に努めており、これらをもとに、必要な支援策につきまして、村と連携して検討していきたいと考えております。

○古館委員 今、必要な支援について村と連携して検討していきたいという、大変前向きのご答弁がありました。本当に切に願っているところでありますので、至急にこの問題についても結論を出し、支援策に踏み切っていただくように心からお願い申し上げまして、質問を終わります。

○木村委員 私は、第二号議案、第四十号議案、報告事項にもありますが、平成十四年度都区財政調整についてまず一言お尋ねしたいと思うんです。
 都区財調の協議が大もめにもめたのは十二年度財調のときで、そのときは、五項目の協議事項を引き続き課題として残して政治決着をするということで過ぎました。私どもはやっぱりあの政治決着については大変不満で、反対だという態度を表明しましたけれども、今日でもその点は変わりがございません。
 あのときの五項目の残された協議事項のうちの一つはこういうことでした。今回の配分割合、つまり五二%と四八%の配分割合は、清掃事業について一定の期間特例的な対応を図るということなどを踏まえたもので、都区双方の大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方については今後協議していくと。大都市事務の変更などについては、財源配分で協議していくということであったわけであります。
 さて、ことし、十四年度の財調協議の場合、児童扶養手当の支給に関する事務が、平成十四年の八月から法定受託事務として区市に移譲されるということになり、この権限移譲によって区や市が取り扱う事務の範囲は、児童扶養手当の支給、受給資格及び手当の認定、支給に関する異議申し立て、支給に関する不正利得の徴収、支給に関する必要な書類の閲覧などなどふえるわけです。
 それから、手当の支給に要する費用については、従来国が四分の三、東京都が四分の一を負担していたのが、これからは国が四分の三、区や市が四分の一というふうに変更されるわけであります。
 ことしの財調協議の中で、この点を、あの十二年度財調協議の約束どおり、区側の大都市事務がこのようにふえてくるわけですから、財源配分の変更も含めて協議をするのが、これまでの経過からいえば当然であろうかと思うんです。
 特に児童手当の問題については、この平成十二年度財調協議が行われたときから、移管が既に予定をされていたことなので、そのときに、移管の時期までに協議をする、そのとき改めて協議しましょうということにもなっていたわけであります。
 しかし、財調協議そのものは、従来どおり五二%と四八%で変わらずということで決着を見たようですが、私は、これは、区側の要望をいわば抑え込んだ形で決着をしたということになると思いますが、いかがでしょうか。

○反町行政部長 都区制度改革に伴いまして、特別区の財政運営の自主性、計画性を向上させるため、都区財政調整制度にも大きく改正がされまして、都区間配分は中期安定的なものとされております。十四年度財調協議では、この都区間配分を前提に、新規算定項目の追加、それから現行の算定内容の見直しなどにつきまして、都区双方が対等、平等の立場に立って協議を行いまして、合意に達したものでございます。
 児童扶養手当事務や高齢者インフルエンザ予防接種など、法令改正により新たに区の事務となった事業につきましても、この間の協議において、現在の配分割合の中で新規算定するということでございます。

○木村委員 都区協議が調ったから、議案として、予算としても提案されているわけで、そのことは承知の上なんです。対等、平等の立場に立って協議を尽くしたとは、いつも説明がありますが、私が発言するのは、いつもそういうことを聞かされた上で、区側からのいわば異議申し立て、本当は不満が残っていますよという発言として、性格上ならざるを得ないんですけれども、今回、児童扶養手当事務費だけじゃなくて、法改正によって大都市事務として区側がふえたのは、例えば高齢者インフルエンザ予防接種事業とか幾つかあるんですね。しかし、一たん決めた五二%の枠は中期安定的な枠組みだから、そういうことで、その枠の中で処理をするということで区も合意したんだ、こういう話なんですよ。しかし、私は、その経過からいって、何でも一たん決めたその五二%の枠組みの中へ、そういう新たに起きた需要について組み込んでいくということでやるというのは、特別区の住民にとって、結局そのほかの事業や何かにも少しずつしわがいくという関係にならざるを得ないんだというふうに思うんです。
 今度の財調協議について、東京都と区側でどういう協議をしたかという資料を、私拝見しましたけれども、区の要望は非常に多岐にわたっております。都の考えも非常に多岐にわたっております。
 そういう中で、例えば区の重点要望の一つに、福祉タクシー事業について、区の考え方としては、財調算定と実態との乖離を改善するために、これをふやしてほしい。あるいは、放置自転車対策事業も実績額との乖離を改善してほしい。図書館管理運営費についても、区側の主張としては、財調算定と実態とに大きな乖離があることから充実を図るべきだというふうに、区側の主張として述べている。
 そういうことも論議をされた上で、結局、この枠組みは中期安定的なものであって、その枠内で処理をすべきだということで合意をした。私にいわせれば、のまされたということになるのではないかというふうに思うのです。これは、今回そういうことで意見をいっておくということにしたいと思います。
 ただ、いつも区の自主性を--今も出ましたね。区の自主性を尊重し、対等、平等の立場でこれからやっていくんだ、都区財調の協議もそういう立場でやられているということをいわれましたので、あえて申し上げますけれども、今回の固定資産税の減税措置というのは、知事が所信表明で二月二十日に公表したものです。しかし、その時点ではもう財調協議は終わっているわけですね。財調協議の中で、調整税の財源の減額について新たなことが起きようという間に、区と都が協議をしている最中、一言もそういう話は出ていないということであります。これで、区の自主性を尊重して、対等、平等に運営されているのかということは、これはもう幾らここでもって答弁されても、信用できないというふうに私は思うんですよ。
 誤解のないようにいいますけれども、減税そのものは私も賛成です。土地基本法が制定されたときに、私も都議会の委員会で、もうそのときから減税ということを要求していますから、長年私どもが願っていたことが、一部でありますけれども実現した。そのことは私も賛成です。賛成ですが、だれもが反対できなかろうということについて、やり方はどうでもいいということにはならないと思うんですね。
 私は、この財調協議は結局、区の自主性を十分に尊重して協議が尽くされたとはとても思えないことの一つの事例として、この問題について伺うものですけれども、いかがでしょうか。

○反町行政部長 今回の固定資産税等の減免措置につきましては、都議会の決議や特別区在住の都民からの要望などを踏まえまして、不況にあえぐ個人や中小零細企業を支援するために、今定例会開会直前に決まったものでございます。このため、直ちに区長会事務局に連絡を入れたところでございますが、情報提供としては必ずしも十分でなかったことから、本日開催されている区長会において、主税局が減免措置の概要の説明を行っているものでございます。
 今回のような財調交付金の財源に影響を及ぼす施策につきましては、特別区に対してできる限り情報提供に努めることを都区間で確認をいたしております。今後とも、減免措置の具体的な事務処理等の準備の進みぐあいを見ながら、必要な情報の提供に努めてまいります。

○木村委員 申しわけないんだけれども、これが今回だけの話じゃないんですよ。この前のやはり固定資産税の新築住宅に対する減免のときも、大荒れになった十二年度協議のときに全くなくて、そして協議がああいう政治決着でおさまった後に、やはり突然発表になったんですよ。ですから、十三年度財調協議のときには、このことが大問題になった。ひどいじゃないかということで議論があって、そのときは都側は、それは申しわけなかったということで、今後は情報提供など十分にして協議をしますと約束をしたんです。これが十三年度協議。で、十四年度協議でまたあった。
 いいですか。事は、都区制度改革が行われて、特別区が基礎的な自治体として出発をする、その財政的な裏づけとして重要な財政調整の協議です。これからどんどんどんどん特別区が自主的な自治体として成長していく上で、この協議が本当に対等に行われるということが大事だと思うんですが、それが毎回こういうことが繰り返されるということなんですよ。
 そこで、きょう説明が行われているといいますけれども、区長会でも当然さまざまな要望が出されると思います。私は、こういう経過から見れば、減税の税源については、財調の区側の財源にしわ寄せをすべきでなく、都側の持ち分で補てんするということを当然すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○反町行政部長 今回の固定資産税の減収額は約二百十億円とされておりますが、現在、主税局において減免措置の具体的な事務処理等を検討中でございまして、現段階では、都区財政調整への実際の影響は明らかになっておりません。今後、都区財政調整での実際の影響が明らかになった段階で、特別区と対応を協議してまいります。

○木村委員 二百十億、これをこのまま例えば五二%ってやれば、百億のオーダーですよね。そういっちゃ悪いけれども、私の区なんてのは、計算すると五億から六億ぐらいの影響を受ける。大変ですよ、貧乏な区は。いいですか、それが、協議が終わってからいきなり出されるというようなことになれば、区の自治体としての自主的な判断も自治もないですよ。予算も編成が進んでいますしね。
 ですから、影響額が確定してから改めて協議するというようなことをいいますけれども、私は一番先に、特別区の自主性を尊重して、対等、平等に協議を尽くしたということが本当ならば、きょう開かれていたであろう区長会からの要望を十分に尊重するという立場に立っていただきたいということを強く要望しておきます。
 続いて、もう一つの問題、先ほど矢部委員が述べられましたが、第百四十一号議案、包括外部監査契約の締結についてに関連してお尋ねしておきたいというふうに思います。
 この包括外部監査は、制度発足以来、東京都の場合は筆谷さんが三年間連続して外部監査人に契約されたわけであります。法律によると三年が限度。限度いっぱい同じ人が契約されたということなんですが、これは最初から少し異例なことじゃないかなというふうに思いますけれども、なぜ同一人と三年も連続して契約したのでしょうか。

○古河主席監察員 包括外部監査契約は、地方自治法上、三回までは連続して同一の者と契約ができるということになってございまして、平成十一年に初めて東京都に外部監査制度が実施されました。それで、十一年度と十二年度の包括外部監査の成果を踏まえまして、議会の同意をいただきまして、三年間、同一の者との契約をしたところでございます。

○木村委員 何で三年間以上はだめですよというと、それはやっぱりいろいろなれ合いとか、そういうものが起きるだろう。だからある意味では、三年が限度ですよというのは、もっと短い方がいいよという意味合いだと思うんですね。それが、同一人物が三年間続いた。筆谷勇さんは、この三年間いわば精力的に監査をして、三年で十の監査テーマに取り組んで、そして合わせて指摘が百四十四指摘、意見が二百五十二、提言が十という、それが包括外部監査報告書。こういうのが四冊かな、まとまったということですね。
 今度は別の公認会計士さんとかわるわけなんですけれども、この筆谷さんの外部監査が、いわば東京都にとっては最初の実例ということになるわけですから、これからこの制度がずっと続いていくとすると、この三年間筆谷さんがやった外部監査が一つの最初の実例、一つの基準といいますか、そういう意味で非常に大きな影響を今後及ぼすんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○古河主席監察員 包括外部監査は、一人の独立した個人としての監査人が責任を持って監査を実施するものでありまして、それぞれの監査人がそれぞれ独自の判断で実施するものでございます。

○木村委員 それぞれがというと、人がかわればまた違う監査があるかもしれない。それは一般的にはそうでしょう。しかし、最初の実例ですから、次の人は必ずこれを参考にするなり、あるいは、都民も行政当局も最初のイメージとしては、こういう監査報告がイメージとしてインプットされるということですから、それは大きな影響を与えるというふうに思うんですね。
 私は、そういう意味で、この三年間の筆谷さんの外部監査はどうだったのか。新たに議案として新しい人と契約することを審議するに当たっても、この三年間の監査はどうだったのか、筆谷さんがどういう基準に基づいて仕事をして、どんなやり方で監査を進めたのか、そのことを受けて、新しい人に当局としてはどういうことを期待するのかということを、これまでの総括を踏まえて説明していただきたいというふうに思います。

○古河主席監察員 私どもは、包括外部監査の内容につきまして評価するような立場にはございません。しかしながら、これまで指摘されました事項等につきましては、それを真摯に受けとめまして必要な措置を講じてきたところでございます。

○木村委員 それじゃ、さっきもちょっと出ましたけれども、外部監査人というのは、自治法上、公認会計士だけじゃなくて、弁護士あるいは行政経験者で監査事務に精通している人とか、場合によっては税理士ということがなれることになっていますね。なぜ公認会計士、次も公認会計士というふうになったのか、その説明をお願いします。

○古河主席監察員 包括外部監査人は、地方公共団体の財務、事業の経営等にすぐれた識見を有することが求められております。そのため、財務監査等を業とします公認会計士とすることが適切と判断したところでございます。

○木村委員 これは例えば、三年間、筆谷さんが一人でやった仕事じゃないですね。法律上も、外部監査人の補助者というものを認めていますし、実際に報告書を読みますと、テーマごとに、これは二十何人でやった、何十人でやったという人数が報告されています。その外部監査人の補助者、これはどういう人といいますか、財務監査の専門の公認会計士がふさわしいと思ったから選んだというふうにいっていますが、しかし、弁護士さんが持っている専門性も、あるいはそのほかの学識経験者の持っているさまざまな知識も大いに必要で、両々相まって幅広い、深い監査というのができると思うんですが、そういう意味で、この外部監査人の補助者については何か基準のようなものがあるのでしょうか。

○古河主席監察員 補助者の選任につきましては、それぞれの監査人の責任におきまして、監査の実施に必要と判断した者を選任するということになってございます。今までの実績からいきますと、医者とかシステム監査とか大学教授等が入ってございます。

○木村委員 そういう基準というのはあらかじめはないんだ、そのとき必要な人を、監査人がこの人が必要だと思えば補助者として使うということですね。ですから、そういう専門的な人もいるでしょうが、ちょっと学生アルバイトのような人も雇ったりするというようなことも行われているんだろうというふうに思うんですね。
 これは包括外部監査という名前なんですが、そうしますと、なぜ公認会計士かというと、財務監査に精通しているから、先ほどこういうお答えがありましたが、包括外部監査の監査対象、対象範囲というものは何らかの限定があるんですか。

○古河主席監察員 監査の対象は東京都の財務に関する事務や経営にかかわる事業等でございまして、実際の監査テーマにつきましては、監査人がその責任と判断で決定しているところでございます。

○木村委員 特に限定はないということですね。
 それで、さっきいいましたように、三年間で何百という指摘事項があり、何百という意見がつくという仕事をされたわけです。私は監査事務局に、監査委員の監査でもやはり指摘とか意見とかありますから、お尋ねしたんですが、監査委員の監査は、法に反しているとか、明らかにむだだとか、すぐ直した方がいい、直さなきゃならないというものについては指摘、意見というのは、今直せるかどうかは別にして検討した方がいいよ、このままほうっておくと大きな問題になるよ、というふうに分けて、指摘と意見というのに区別しているというふうに伺いました。
 そういう立場で包括外部監査報告書を読みますと、どうも必ずしもそうでないように思うんです。包括外部監査報告で指摘、そして意見--提言というのは新しく出てきた概念ですから、これは政策提言なんでしょうけれども、この包括外部監査報告の指摘と意見はどういうふうに違っているのか、その基準を明らかにしてください。

○古河主席監察員 監査報告の表現につきましては、それぞれの監査人がその責任で決定するところでございますが、指摘というものにつきましては、適正性、妥当性等の観点から早期に是正すべきと認められる事項、また、意見というものにつきましては、経済性、効率性等の観点から検討が必要だと認められる事項と聞いております。

○木村委員 何か適正性とか妥当性とかという一般的な言葉。やっぱり具体的な基準というのは非常にあいまいといいますか、読んで、意見と指摘の違いというものが全然、意見でも指摘でもどっちでも同じというようなものがかなりありました。
 つまり、こういうことになると思うんですよ。補助者というのは結局監査人が選ぶことであって、どういう構成にしなきゃならないとかそういうのは、その人が判断してどうぞやってください。監査対象も、別に監査人が決めることですから限定はありません。公認会計士だから財務監査をやってくださいというのではない。業務監査も含めてすべてやる。
 しかし、三年間も公認会計士だし、これからも公認会計士を選ぶという都側の提案ですが、公認会計士は確かに会計の手続とか動きとか、そういう財政上の会計問題については専門家でありますけれども、東京都の行政のそれぞれの事業について、事業の社会的な意義とか、置かれているそうした事業の、行政の役割とか、そういうものについては必ずしも公認会計士が専門的に詳しいということではないということになるわけですね。
 そうしますと、今まで包括外部監査のアウトラインをいろいろ確かめてきましたけれども、だれが外部監査人になるかによって、その人の固有の考え、その人固有の問題意識というものが、ある意味では非常にもろに出てくる、意見として。それは必ずしも公認会計士のフィールドだけじゃなくて、すべての行政の分野で、私はこう思うよというものが出てくる、そういう性格のものだということが大分明らかになってきたんじゃないかというふうに思うんです。
 ですから、これは非常に大きな問題なんですね。例えば、大学が外部監査を受けました。その大学の外部監査報告書を読んでいきますと、監査結果の指摘の第一番に、最初にこう書いてあるんですよ。東京都の大学事業は四大学で行っているけれども、平成十一年度については収入が四十八億円、大学事業の支出が二百十四億円、差し引き百六十六億円の支出超過だと、したがって大幅な赤字経営事業だと、そういうくだりから指摘が始まっているんですよ。
 大学をいきなり大赤字の事業だとなるわけですね。大学とは何かというところから出発するわけじゃないわけだ、これは。税を投入すべき事業について、殊さら終始、公認会計士ですから、その物差しを当てて、これは赤字ですと。当時、新聞報道も、大学、赤字という記事がいっぱい出ました。
 しかし、大学を赤字という言葉が果たして適当なのかどうかという問題があると、私は思うんです。税金を投入しなきゃならない事業というのは、行政ですから当然いっぱいある。監査ですから、税金を百円投入してやるのを何とか九十円で効率よくやれるのは、こういうやり方があるじゃないかというならいいですけれども、百円投入されています、収入が三十円です、七十円赤字ですと。効率性と採算性がごっちゃごちゃになっているというふうに思うんです。
 これは一例なんですけれども、包括外部監査のこれが指摘ですよ。指摘の最初のくだりです。そうすると、やっぱり監査人のそういう--大学教育とか福祉とか試験研究機関とか、いろいろ大事なものはいっぱいありますね。それに対する監査人の理解の仕方が、物差しを当てて、これは税金が幾ら使われている、赤字だという物差しでやるということになっているのじゃないかと思うんですね。そういうものとして、この三年間かなりたくさんの指摘が行われた。
 私は一通り読ませてもらいました。大分頭が痛かったけれども、それはうなずける指摘は当然ある。しかし、いかがかと首をひねらざるを得ない意見も、今挙げましたような指摘がたくさんあります。問題は、法定の監査ですから、監査を受けてご意見をもらえば尊重するというのは建前、立場ですね。しかし、そうはいっても、先ほどいいましたように、監査人の固有の考えが極めて表に出やすい。何らかの基準があるわけじゃなくて、何でもありの監査になりますと、首をかしげざるを得ない意見をもらったときにどうするかということが問われると私は思うんですね、行政の側としても。また、職場の現場、仕事をやっている職員にとっても、あるいは、ひいては都民にとってもです。そういう基準といいますか、外部監査に対する対応の基準というものをどのようにつくられていますか。

○古河主席監察員 監査の指摘、意見につきましては、会計処理にかかわるものとか、事務事業のあり方とか、また組織にかかわるものといろいろとございます。それらの指摘、意見につきましてどのように対応するかにつきましては、特段のルールというものはございません。しかし、これらの指摘、意見に対しましては、それぞれの所管の部署が真摯に検討し、その結果、改善すべきものについては、着実な改善に努めているところでございます。

○木村委員 全然わからないような答弁なんですが、結局ルールはないという話なんですよ、そうすると。外部監査の意見を受けて尊重しますと。つまり、これをこう変えなさいといわれたら、首をかしげながらも、何かそのように現状を変えなきゃならないということになるわけです。
 そうしますと、包括外部監査から指摘や意見を受けて、今までやっていたことをやめたり、小さくしたりいろいろするという対応のプロセスですね。この中に果たして現場の意見、民主主義といいますか、また都民の意見というものをどう反映させるのか。そこでどう決着つけるのか。この意見だけはお返ししますという結論になる場合だってあると思うんですけれども、そういうものについてのルールがないと、まさにこれは、外部監査報告でいわれたらやらなきゃならないというので、行政の側は振り回されるということになるんじゃないでしょうか。その点いかがでしょうか。

○古河主席監察員 包括外部監査の制度というものにつきましては、やはり専門家の、また外部の者としての目から見て、こういう形での監査制度というものがつくられているところでございますので、私どもの方としましては、それぞれの所管部署がそれらの内容につきまして真摯に検討し、その中で改善すべきものについては着実に改善するということでございます。
〔「今回はたまたま共産党と違う意見が出てるんだな」と呼ぶ者あり〕

○木村委員 ちょっと黙ってろ。(笑声)
 我々は、本当の意味での行政改革というのは必要だというふうに考えています。絶えず改革は大切だと考えています。しかし、鈴木都政から石原都政に至る流れの中で、改革と称するものは、結局は都民施策をどう切り捨てて、そして大型開発中心の、公共事業偏重の路線を引いていくかということに従属させられて、犠牲になっているのは、いわれたように福祉とか教育とか、あるいは、さまざまな都民施策が切り捨てられるということが進んできたというふうに思うんです。現に石原都政が掲げているアクションプランⅠも、私たちはそういう目で見ています。
 そういう都民施策切り捨てのいわゆる改革の手段として、私は無視できないと思いますのは、それを、内側からは、先日本格実施になりました行政評価。その一次評価で事業局が大事だといっているのも、二次評価で知事本部が、これはもうだめというので、五段階評価で廃止というので、ことし廃止になったのも随分たくさんあるということです。これは内側から。
 そして今度、包括外部監査。今度は外の目から見て、あれは要らない、これは考え直せというのが出てくると、それはいかがかと思っても尊重しなきゃならないという形になっている。
 現に、一番最近の包括外部監査報告の試験研究機関の監査については、こういう実験は国がやっているんだからやめたらいいんじゃないかとか、よそもあるから、薬用植物園とかそういうものが要らないよとかいうことが出されています。まるで外から判決が持ち込まれる。それに首をかしげても、現場が幾ら、それはもっとこんな大事な意味があるんですといっても、もうそれは尊重する建前になっていく。現場からどういう声を上げてそれを是正するかというルールはないんです、ということになりますと、まさに今日の改革はいずれも都民不在、現場無視、議会軽視という手法の一つとして、要は、外部監査報告がその外堀を埋める役割を果たすということになると私は思うんです。
 しかし、外部の目から見るということが大事だというふうに今いいました。一番最近の、試験研究機関で監査の留意点というのが、文書があります。それは、筆谷さんが昨年の七月に、東京都の試験研究機関の外部監査着眼点ということで、文書をそれぞれの試験研究機関に直接送りつけたと思われる文書があります。こういう点に目をつけてしっかり監査してほしいということなんですが、これを読みますと、最後に、個別の試験研究機関の機関別の主な改善策については、平成二年行政監察報告書、六〇ページから最後までを参照してくださいということが、筆谷さんの文書の中にありまして、そして、この着眼点の中にもところどころ、この報告書を参照して仕事をしなさいと書いてあるんです。
 私は、こういう平成二年行政監察報告書なるものを知りませんでしたが、読ませていただきました。この報告書そのものは、実際はいわばお蔵入りになった。つまり、一たんはつくられたけれども実行されなかった報告書のようなものですが、それを読みますと、その報告書の、改善の方向というところがあるんですが、それはそっくり筆谷さんの外部監査の着眼点です。見出しの立て方、都の試験研究機関の見直し、都の試験研究機関として備えるべき要素、行政性、実用性、地域性、全部そっくり同じです。
 文章も、例えば技術の指導を主とする機関の見直しという項目、これもそっくり同じです。民間普及事業だけでなく、現行の試験検査、研究事業の必要性や実施方法等について慎重に検討を行っているか、という着眼点が示されていますが、都の報告書は、民間普及事業だけでなく、現行の試験検査、研究事業の必要性や実施方法等について慎重に検討を行うべきである、と書いてある。行うべきである、と書いてあるのが、行っているか、に変わっただけなんです。こういうことが所々方々に出てきます。
 外部監査というけれども、外部じゃないじゃないですか。内部の監査。つまり、包括外部監査といいますけれども、包括の中には何の基準もない。そして、外部だというけれども、外部も怪しいということになるんじゃないですか。そういう意味で、この三年間、筆谷さんが最初の実例ですから、これからそれなりの影響を持つものだと思います。包括外部監査制度が今のままでいいのかどうかということも十分ありますが、これまでの延長線上で、また公認会計士協会に依頼して新しい人と契約するというようなことについて、そのままオーケーするわけにいかない。こういうことがまかり通れば、それはもうまさに議会軽視、都民不在のまま、どんな意見が出ても、はい結構ですということになって、結局は都民施策切り捨ての外堀を埋める道具に使われるということになりますので、私はそういうことを見解として明らかにして、終わります。

○坂口委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後六時九分休憩

   午後六時二十八分開議

○坂口委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 この際、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○尾井勤労部長 それでは、給与削減措置に関する最近の労使交渉経過につきましてご報告申し上げます。
 二月十三日の部長級による小委員会交渉以降、副知事、総務局長からも、都労連に対しまして、新たな給与削減措置を十四年度から実施することを含め協議していきたい旨、繰り返し申し入れを行ってまいりましたが、去る三月八日に開催いたしました団体交渉の場におきまして、都労連委員長から、給与削減措置について新たな交渉に入る旨の発言がなされました。
 都側の交渉責任者であります福永副知事からは、現在実施中の給与削減措置については今年度で終了し、新たな給与削減措置については、今定例会に議員提案されている条例案の内容、具体的には、十四年度、十五年度の二年間、給料の四%を削減するという範囲内で改めて提案し、労使合意の上、今定例会の会期末までに都議会への条例提案を行っていきたいという考え方を表明いたしました。
 この三月八日の団体交渉は、いわば給与削減問題に関する仕切り直しの団体交渉でございますが、これを受けまして、現在、具体的な提案を行うための準備を、公式、非公式を含めまして鋭意進めているところでございます。
 来週以降、早期に団体交渉を開催いたしまして、提案を行い、労使合意に向け全力を挙げていきたいと考えております。
 以上、給与削減措置に関する最近の労使交渉経過につきましての説明とさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。

○坂口委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、この後の質疑の中で一括して行います。ご了承願います。

○坂口委員長 第百九十四号議案、職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例及び議員提出議案第一号、職員の給与の特例に関する条例並びに報告事項、給与削減措置に関する第四回定例会以降の労使交渉経過について及び給与削減措置に関する最近の労使交渉経過についてを一括して議題といたします。
 これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。
 発言を願います。

○馬場委員 大変遅くまでご苦労さまでございます。いよいよきょうの詰めになりましたが、私からは、議員提出議案第一号、職員の給与の特例に関する条例についてお伺いいたします。
 今回、自民党提案の条例案についてお伺いしますが、その前に、今までの幾つかの論点を整理するために、総務局にまずお伺いいたします。
 時間も迫っておりますので、余り前置き等長くしないで単刀直入に伺わせていただきますので、よろしくお願いします。
 まず、現在実施中の給与削減措置を決めたときの平成十一年度の労使合意の内容を確認したいのですが、お願いします。

○尾井勤労部長 平成十一年度の労使合意の内容についてでございますが、給料削減に関してでございます。平成十二年度から十三年度までの二年間、給料の月額を四%削減するというものでございます。

○馬場委員 その合意に基づいて、特例条例案が平成十一年第四回定例会に提案をされ、全会派一致で可決されました。議会も同意をして決定されたということになっております。すなわち、そこで労使と議会との約束事が成立をしたわけです。
 次に、昨年の労使合意を確認したいと思います。お願いします。

○尾井勤労部長 昨年の労使合意の内容についてでございますが、現在実施中の給与削減措置は今年度で終了するが、都財政の状況いかんによって再度協議することを確認いたしました。これが一点でございます。
 それと、成績率の導入や五十五歳昇給停止を実施すること、さらには、人事給与制度の抜本的な見直しの協議を確約したことなどでございます。

○馬場委員 今の第一点目、三年前の労使合意並びに平成十一年第四回定例会の議決どおり、給与削減措置を一たん終了することを確認した、そういうことでよろしいでしょうか。

○尾井勤労部長 今回の労使合意内容は、前回の労使合意を踏まえまして、現在実施中の給与削減措置は今年度で終了するが、都をめぐる厳しい状況にかんがみ、今後、都財政の状況いかんによって、給与削減措置については再度協議することとしたものでございます。
 また、現行の特例条例でございますが、これは、平成十二年四月一日から平成十四年三月三十一日までの間における給料の月額について定めたものでございます。

○馬場委員 約束事は約束事ということで、約束は守らなければなりません。労使と議会との信頼関係は崩れてしまうと考えます。約束は、重ねて申しますが、守るのが当然であります。
 しかし、私どもでも、都民生活は苦しく、都財政も先行き不透明、だからこそ、都財政の状況いかんによって、給与削減措置などの内部努力策については再度相談をするという労使合意がなされたと理解をしておりますが、いかがでしょうか。

○尾井勤労部長 都財政が長期にわたって厳しい状況に直面することは確実な見込みでございます。こうしたことから、今後、全庁一丸となって改めて都政の危機に対処していくためには、ここで一たん仕切り直しをすることもやむを得ないと判断し、都財政の状況いかんによって、給与削減措置について再度協議することを条件といたしまして、労使合意による解決を最終的に選択したものでございます。

○馬場委員 昨年の労使合意では、五十五歳昇給停止や成績率の導入を実現し、中長期的な人事・給与制度の見直しの協議にも道を開いたというふうに思っております。このことは今後の都政運営にどう寄与していくのか、伺います。

○山内人事部長 人事・給与制度の見直しは、都政の効率的な運営を人事・給与制度面から支え、都職員に対する都民の信頼を確保するためにぜひとも実施しなければならないと考えております。こうした観点から、今回、長年の懸案でありました、一般職員の成績率の導入や昇給停止年齢の五十五歳への引き下げを実施することといたしました。
 また、昨年の都人事委員会勧告におきまして、給料表構造の見直しを軸とする給与制度の見直しについて言及されておりますが、今後は、こうした視点も十分に踏まえつつ、人事・給与制度の抜本的な見直しを進めていきたいと考えております。
 こうした一連の取り組みは、年功的な要素を縮小し、能力、業績に応じた人事・給与制度の確立を図るものでございまして、職員の意識改革などを通じて都政運営の効率化に大きく寄与するとともに、長期的には総人件費の抑制にも資するものと考えております。

○馬場委員 一たん仕切り直しをし、そして、これからの給与制度の見直し、昇給停止や成績率の導入というようなことを一方で考えながら労使合意ができた。その昨年の労使合意というのは、いわば短期、中長期、両面の内部努力策について労使で確認を取りつけたものであり、私ども民主党としては、これは評価すべき内容と考えております。
 総務局として、この点、どうお考えでしょうか。

○山内人事部長 現在実施中の給与削減措置は二年間の時限的措置でございますが、都財政の状況や社会経済状況を勘案いたしますと、来年度も継続すべきであると考え、ぎりぎりまで労使交渉を行ってまいりました。
 しかし、これからは、人事・給与制度の見直しなどを通じまして長期的に総人件費を抑制していくことが最も大切であり、また、今後とも全庁一丸となって都政の危機に対処していくためには、ここで一たん仕切り直しをすることもやむを得ないと判断いたしまして、今後の都財政の状況いかんによって、再度、給与削減措置について職員団体が協議に応じることを前提に、労使合意による解決を選んだところでございます。
 今回の労使合意は、今後の財政危機等へ対応するための体制を確保するとともに、年功制の賃金体系を極力抑制する人事・給与制度見直しの口火を切るものと考えておりまして、労使合意に基づくぎりぎりの判断であったと考えております。

○馬場委員 ところが、なんですよね。ここからが問題なんですが、総務局としてはぎりぎりの交渉を行い、これからの体制へ向けて労使ともに頑張っていきたいというような状況の中で、知事と矢澤委員長でのトップ会談でこの合意がなされ、団体交渉でも認められたという経過になりました。それで出されてきました昨年の第四定での条例提案に対して、本会議場での代表質問、一般質問、また、総務委員会でのこの条例の審議の中で、総務委員会では継続、また、本会議場での知事のご答弁の中で、さまざまな状況が出てまいりました。
 その後の収拾も含めて、これから後でまた質問いたしますが、自民党からの議員提出条例という形で……。(「公明党さんも参加していますよ」と呼ぶ者あり)失礼しました。共同提案ということですが、四%、二年という条例案が出てまいりました。これをめぐっていろいろまた労使交渉再開へということになったわけですが、先ほどの報告をいただきましたように、三月の八日、給与削減措置について労使が再交渉することとなりました。
 職員団体側は、約束は守っていただけなかったと述べておられますし、理事者側は、昨年の合意は合意として、それを超えた合意に向けてというような表現をなさっておりますが、この昨年の労使合意の取り扱いは今後どのようになるとお考えでしょうか、質問させていただきます。

○尾井勤労部長 これから都労連と協議をしていくわけでございますが、その中で、その取り扱いを労使間で決めていくことになると考えております。

○馬場委員 労使間で決めていく。理事者側は、新たな給与削減措置について会期末までに合意を得たいと、先ほどの報告もいただきました。このことを都労連に申し入れているということですが、それでは、この見込みはどうなんでしょうか。

○尾井勤労部長 ただいまようやく実施に向けた具体的な協議に入ったところでございまして、何としても合意を図りたいというふうに考えております。

○馬場委員 大関局長にお伺いしたいのですが、今回の交渉再開に当たって、矢澤委員長は、全力を傾けて都当局と交渉を行っていきたいという発言がありました。都側として、一度労使合意という形、また今回、先ほど述べましたように、昨年の合意は合意として、それを超えた合意に向けてというような表現の仕方でありますが、今回の労使合意というのをどういう形で、交渉の方法、どういう方法で合意を考えていらっしゃるのか。
 前回は知事とのトップ会談で決められたということがありますが、再度こういうことも含めて、知事みずからも、トップ、自分が関与して決めていきたいというような議会での答弁がありますが、局長としては、この辺を、トップ会談も含めて、どのようにお考えでしょうか。

○大関総務局長 前回は、ご案内のとおり知事とのトップ会談で決まったわけでございます。残念ながら守られていなかったわけでございます。したがいまして、これは私どもの気持ちとしては、総務局としてといいますか、交渉担当者が前面に出て、組織としての信頼といいますか、その中で労使合意というものを組み立てていかないとできないであろう、このように思っております。

○馬場委員 お気持ちというか、取り組みについてのご決意というふうに受け取らせていただきますが、先ほどの報告にもありましたように、例えば合意ができたとして、その条例案を議会に提案した場合に、現在出されている議員提案による条例案と競合することになるというふうに思いますが、その点はどうなさるおつもりでしょうか。

○尾井勤労部長 基本的には議会でお決めいただくことでございますが、私どもといたしましても、議会のご理解をいただけるよう努力してまいりたいというふうに考えております。

○馬場委員 それでは、これから、今回の議員提出議案第一号につきまして、まず提案者でいらっしゃいます自民党さんにお伺いしていきたいというふうに思います。(「公明党さんも提案者です」と呼ぶ者あり)はい。とりあえず、提案者の一方である自民党さんにお伺いいたします。
 述べれば長くなるんですが、こういう経済状態の中で都政運営をやっていくということは、私たち議会にとっても責任のあるということを考えなければならないと思います。そういう意味で、今回の条例提案というものは、議会としてももっと責任を持っての条例提案でなければならないというふうに私たちは思っていますので、今回のそういう、公明党さんもおっしゃっている、労使合意を進めるための条例提案というような、そういう形のものはおかしいのではないかというふうに思っています。
 まず自民党さんに伺いたいのは、公務員の給与に関して、地方自治法、地方公務員法に基づく人事委員会勧告制度というルールがあります。先ほど、人事委員会の質疑もさせていただきました。この人事委員会勧告制度についてどのようにお考えか、まず伺います。

○樺山委員 人勧制度をどう考えているかということのご質問でございますが、先ほどこの場で、人事委員会の眞仁田委員長さんをお招きして、さまざまな議論を実は尽くしたところでございます。
 それはそれ、私どもも、人事委員会勧告制度の趣旨というものについては、一定の理解はもちろんさせていただいております。しかし、いわゆる人勧制度は、公務員の給与を決める際のあくまでも一つのサジェスチョン、指標軸だというふうに私たちは理解をしております。したがって、この人勧に絶対に従わなければならないというルール、これは厳密にいえば、議会が存在しないというふうに解釈をいたしております。
 また、公務員の給与決定の原則は、給与条例主義という大きな柱が一方である。これらを総合的に勘案して給与は決められるべきものだというふうに、私どもは理解をしております。
 また、勧告制度の趣旨を尊重するということであれば、その内容、これはもう先ほど来いろいろ議論になっていますけれども、また、さまざまな批判が出ている民間企業とのいわゆる比較方法、これを徹底的に改めて、都民の納得が得られるように見直していく、そちらの方がむしろ筋であり、先決ではないかというふうに実は理解をしてございます。

○馬場委員 先ほども、人事委員会、民間でできるのではないかという幹事長のお話もありましたけれども、人事委員会勧告制度そのものは従わなければならないものではない。しかし、これに基づいて長年、今まで給与制度を守ってきたというか、そのルールで今まで長年来たという経緯があるというふうに思っています。
 そういう意味で、勧告制度そのものを否定するのではなく、私どもも、今までやってきたルールということについて、この条例案はこのルールを破るものではないのかというふうに思っています。この当事者である労使の合意と異なる、つまり、労使合意でない部分の条例制定をするということについては、人事委員会勧告制度そのものを否定していらっしゃるのではなく、そのルールを破ることになるというふうに思っていますが、その点、いかがでしょうか。

○樺山委員 人勧制度、いわゆる人事委員会勧告を否定することはルール無視というふうなご質問だと思うんですが、私たちは、否定することになるというふうには全く思っておりません。先ほどもいいましたけれども、人事委員会勧告というのは給与決定の際の一つの指標軸だという理解でございますから、これに拘束力はないという考え方なんですね。もし拘束力があるとすれば、これは否定するということになるんでしょうけれども、そうではないという考え方ですから、否定することになるということについては、私たちは考えていない。
 勧告が都議会の議長に出された。だからといって、議会はただこれを受け取って、これを尊重すればいいというような、あえていえば安易な対応、これが今までのある一定の筋道だというのであれば、給与条例主義の定める住民監視による公務員の給与決定の理念と原則、これを軽視するものになるというふうに考えております。
 それから、もういい尽くされた感がありますけれども、現在の大変厳しい深刻な社会経済情勢、この中で納税者たる都民が苦境にあえいでいる。このことを私たちは思わざるを得ないわけで、その都民の貴重な血税によって成り立っている東京都の職員の給与、幾ら勧告制度に守られているからといって、これが、この部分だけが聖域であってよいということにはならないというふうに理解をしてございます。
 また、厳しい都財政の中で、使用料や手数料や、あるいはさまざまな費用の値上げを初め、都民に大変な負担をお願いしていくというのであれば、徹底した内部努力で姿勢を示すことはこれまた当然であるとの基本的な考え方に基づいて、繰り返し申し上げますけれども、給与条例主義のもとで議会の権能を行使したのが、今回の私たちの行動でございます。
 また、労使合意との関係ということになりますと、これはもうそもそも給与決定において労使合意が不可欠なものなのかどうか。率直に申し上げて、考えれば考えるほど疑問がわいてくるところなんです。したがって、今回の我々の条例案の提案というものは、人勧制度と同じく、地方公務員法に定める給与決定原則である給与条例主義に基づくものでありまして、はっきり申し上げれば、全く問題はないものだと理解しております。

○馬場委員 今お答えがありましたが、人事委員会勧告制度について安易な対応というような答弁がありましたけれども、それをしていたのは議会みずからではないでしょうか。この長年、四十年以降、こうした対応をしてきた。つまり、当事者の合意を尊重して、議会はそれを認めてきた。そのことを議会みずからが否定するということにはならないでしょうか。それが今回おっしゃっている議会の権能ということにならない。逆に、今までは何だったのかというようなことになると私は思っています。
 このことについて、これから変えていこうというのであれば、この人事委員会勧告制度は尊重し、認めていらっしゃるわけですから尊重し、これから変えるルールについて、やはりきちんと当事者同士、労使とともに議会もそのルールづくりをしていく、そういう努力が先にあるべきであると私は考えております。
 今のお話で、人事委員会勧告制度のもう一つ大事なところ、先ほども出ましたけれども、公務員の労働基本権が制約されている、この代償措置として人事委員会勧告制度があるということは先ほども述べられました。松本委員も先ほどこのことをご質問されました。そのご質問の逆を、裏返していわせていただければ、労働基本権をきちんと守るということで、今まで人事委員会勧告制度をそれぞれがそれぞれの立場で守ってきたという経緯があるわけですから、今回条例を提案なさる、一方の公務員の労働基本権に対する制約を解除するということになると思いますが、このことについてどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

○松本委員 整理をして申し上げますけれども、我々が人事委員会勧告に基づいて、基本的な東京都職員の給与を議会で可決をして決めたところであります。そこから四%カットさせていただくという、これは特例法であります。特例法が二年前に全会派の賛成をもって可決された、こういう経緯があります。したがって、我々は基本的に人事委員会勧告を否定しているわけでもない。きちっと人事委員会勧告に基づく給料表を議会で決定をして、そこから、二年前に、四%カットするという特例条例、これも議会の責任で全会派賛成で決めた、このことをまず念頭に置いていただきたい。
 そこで、先ほどから出ている労使合意というものが労働基本権との関係の中で語られるわけでありますけれども、先ほどから申し上げているように--ちょっと理事者側への質問を含めて、お答えをしたいと思うんですが、昨年の第四回定例会の前後にストが計画されていたはずでございますけれども、いつストが計画をされておりましたか。何月何日に。

○坂口委員長 ちょっと……。

○松本委員 いや、それが質問の答えだから。日にちを聞いているわけだ。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○松本委員 労働基本権で認められていない、そういわれるストが、昨年に計画をされておった。で、あすのストが解除された。まさしくスト解除のかわりとして、この労使合意が成立をしているんです。違法なストだとか、そういう部分を全部抜きにして、この労使合意が成立しているわけじゃない。
 そして、その労使の協議を進めるに当たって、東京都は、社会経済情勢や都財政の状況を勘案し、来年度継続を念頭に都労連と交渉を始めているんですよ。したがって、知事は、来年度も引き続き四%カットの継続を目指して都労連との協議を始めた、この事実。そして、涙をのんだ裏には、違法ストが計画をされていた。違法ストとの絡みの中で取引されてできた労使合意。こういった制度が、都民の税をもって行われる給与決定に大きなインパクトを与えるということに対して、我々は大変腹立たしい思いを持っております。
 労働基本権の制約ということでありますけれども、先ほどの人事委員会の委員長との質疑の中においても、労働基本権が具体的にどれだけ実態として制約をされているのか、馬場理事の方から説明を受けたい、それぐらいの思いなんです。基本的に給与を決める三原則に基づいて、そして、きちっとした第三者機関である人事委員会。人事委員会の調査の対象になっていない多くの都民、その多くの都民の思いもきちっとのせて、給与決定に第三者機関が関与してくる、このこと。そういう人事委員会であってほしい、こう思っているんですよ。
 ところが、そうではなくて、違法ストをして、その引きかえに労使交渉をかち取った。労使合意をかち取った。こういう労使合意。そして、知事は、違法ストを計画したその人と合意のサインをしているんですよ。違法なストを計画した人とサインをしているんですよ。そういうことはやっぱりよくないんですよ。わかりますか、いっている意味が。そういう立場で今回の条例提案をしているんです。

○馬場委員 今いろいろ出ました。ちょっと話を戻しますが、特例法を全会派一致で可決をいたしました。それは、私たち議員としていわせていただければ、労使合意があって、今までのルールにのっとって、それは皆さんもそうだというふうに思いますが、このときに、今の松本委員のようなお話が出ていたわけではありませんね。そのときは、議会全員でこの特例法を可決したということはよろしいですね。そのときに、今のようなお話はありませんでしたね。

○松本委員 二年前は全会一致で可決をされたわけであります。そのときに、労使合意というのは、我が党、都民が期待をした、その形で合意が成立をしたということですから、我々が特にそれについてああだ、こうだという話ではない。
 ただ、労使合意というのは、東京都のような大きな組織を運営していく上において労使合意というのは大切だ、我々はそう考えているでしょう。労使合意は大切だ。しかし、それにも増して、納税者である都民感覚をきちっと議会に反映をする。条例主義の基本に返って、都議会議員としてその責任を果たすということがさらに大切だ、こう考えているわけですね。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○馬場委員 それで問題点が出てきたというふうに思うんですが、今のお話、認められていないストが計画され、その違法ストと取引をする形でというふうなお話が出てきたんですが、それはいつ、どこで、そういうお話が出てきたのかということをお聞きしなければいけなくなりました。
 今回の条例を提案するに当たり、今のお話の前の労使合意のところですが、昨年の労使合意、知事と矢澤委員長のトップ会談の後の労使合意、ありましたけれども、そこで行われた労使合意、知事の責任というものは大変大きいというふうに思います。これは公明党さんもそうおっしゃっていらっしゃいますが、任命権者として、知事が今回、その合意をした当事者でありながらこういう状況を招いてしまったという、その当事者責任というのがあるんですが、今回、条例提案を自公さんでなさるときに、任命権者としての知事と、この条例を出すことについての調整、それから、今のお話のような、知事がトップ会談で合意をするその理由とか、そういうことについて、それから、今後の動きについて調整があったのでしょうか。協議はあったのでしょうか。(松本委員「それは自民党が答えるの」と呼ぶ)そうです。はい。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○馬場委員 昨年の労使合意の一方の当事者が石原知事ですね。さっきお話ししたように、今回の自公さんの条例提案に至るまでの間の知事の態度等を拝見し、そして、それを見ながら、質疑等の中で、今回、自公さんが提案をしていらした。そういう中で、この条例を出してくるということは、任命権者としての知事の立場があるわけですから、それから、先ほど出たように、なぜ合意をしたのかという事実。違法ストというようなお話、取引というようなお話がありましたが、そういうことがあって、あるにもかかわらず、昨年の十一月二十日でしょうか、労使合意をしたのかということについて、自民、公明さん、今回の条例提案者が知事と協議はありましたかということです。

○松本委員 昨年の違法ストが計画をされたということは、スト自体がご承知のとおり禁じられているわけですから、計画をされたストというのは、これ、違法であることは間違いないですね。わかりますね。そうですよね。で、ストについて、我が党は、組合からもどこからも何らの相談も、何らの打ち合わせも受けていない。皆さんもそうでしょう。当たり前の話ですよ。ただし、予定をされたストが解除された日に労使合意ができているという事実をもって、私が先ほどの推測をしている、こういう話であります。
 そして、合意をするに当たって、我が党に対して、労使でこういう話し合いをしていて、こういうことで合意をしたいと思っているんだけど、どうだかこうだかというような情報は全く皆無であります。全くありません、そんなものは。そして、第四回定例会において提案理由説明があって、東京都の幹部職員についてのみ四%カットを継続しますよということが、条例提案をもって議会に説明をされたわけであります。
 我々は、それは都民の納得を得ることができないという趣旨で、ご承知のとおり、実にわかりやすい決議を可決させていただいた。可決をするに当たって、知事提案にかかわる条例案を継続審議にした。これは、労使合意を早期に促して、そして、第一回定例会までに、議会の承認を得られるような新たな条例案の提出を求めたわけであります。それは、我が党からの知事への申し入れにもはっきりしているところであります。ところが、いまだにその新たな条例案の提出がない。この事態をもって議員提案になった、これが経過であります。

○馬場委員 わかりました。
 今のお話からしてもですが、昨年の労使合意の一方の当事者は石原知事ですね。石原知事が合意をした労使合意と異なる条例を今回提案していらっしゃる。こういうことは、石原知事の当事者能力を剥奪することになるのではないか。ある意味では、石原知事に対する不信任の表明ではないかということでありますが、このことについていかがでしょうか。

○樺山委員 当然そういうご質問があろうかというふうには思っておりましたけれども、知事の本心というのは、これは知事の胸の中に聞いてみないと本来わからない。ただ、昨年の四定、それから、ことしの今の一定等々で、さまざまな局面でご発言をされる知事のこの問題に対する態度からすると、少なくとも私どもの考え方を非常にご理解いただいている、このように私たちは認識せざるを得ないわけです。
 したがって、今、知事の合意した労使問題、それと異なる条例を制定するということは石原知事の当事者能力云々というお話があったんでございますけれども、石原知事の不信任どころか、私たちはむしろ、石原知事から私たちにエールを送っていただいている、このように理解をしておりますし、今お話があったとおり、お互いが、この問題は同じ認識で処理しなきゃならぬという共通項を持ち合わせているというふうに実は理解をしております。

○馬場委員 今のお話ですと、労使合意をした石原知事、またもう一度、これから再開するわけですから、先ほども局長にお尋ねしたように、どういう交渉になるか、今、大事なところなんですが、しかし、今回の提案によって、結果的には知事は、労使合意、約束を守れなかった知事として、あえていえば、守ろうとしなかったということもいえるのかもしれませんが、そうした知事として都政史にその評価を残すことになるのではないかというふうに思いますが、そういうことも含めて、自民さん、公明党さんもご了解でしょうか。

○樺山委員 労使合意を守れなかった知事として、石原知事が汚名を冠せられるということでしょうか。

○馬場委員 そうです。

○樺山委員 それはもう知事に聞いてもらうしかないだろうと思うんですね。私たちはただ、あくまでも都民の代表である都議会議員の立場として、都民のために議会の権能を行使したということに尽きるわけでございますから、このことと、知事がこうむるであろうこの後の問題というのは、これは全くリンクできない。

○木内委員 いいですか。関連答弁。今、自民と公明ということで聞かれたんで、よろしゅうございますかね。
 まず、個別具体の今のご質問に対しましては、今回の知事の行動、リーダーシップは、幅広い都民の皆様の的確な判断がいずれ下されるでしょう。また、後世の歴史の歩みの中で一定の評価が行われるものと思っております。
 今回の共同提案については、全く本質的に、それは私どもが関知することではありません。これまでの事実経過について、知事への評価は、私どもはさきの代表質問でも明確に主張しているところでございますし、今のご質問については以上の答弁とさせていただきます。
 ちなみに、先ほど来、共同提案者である公明党に質問がありませんでした。答弁をさせていただいていよろしいでしょうか、関連して。委員長、馬場さん、いいですか、今までのことを踏まえて。--それじゃ、待ちましょう。明快にいいますよ。

○馬場委員 またそれは、ほかの委員さんから質問があるかもしれませんので……。
 今のお話で、知事の当事者能力を剥奪することにならないかということがあるんですが、やはり交渉の責任者として、理事者側の、都のトップであるということも含めて、このことの重みというのは、また、信頼関係において大変大きなものがあるというふうに思うんです。
 なぜかというと、これからまだまだ交渉しなければならないわけですから、そのことについて、きちんとした知事のお考えとその立場というものを議会も尊重しなければなりませんし、そのことで都政上の労使関係がきちんといかなくなるということは、混乱をもたらす。そういうことについて責任をとるということ、いかがでしょうか、自民党さん。

○樺山委員 要するに、今回の結果によって生じる都政上の責任をどのようにとらえるかということだろうと思うんですけれども、ちょっとおっしゃっている意味がにわかに理解できないんですが、労使関係における知事の当事者能力がなくなるということはどういうことなのか。というのは、都政のトップは石原知事であることには変わりないわけですね。もう二十万都庁をぐいぐい引っ張っておられるナンバーワンの方。その方が、今回の件をもって都政が混乱してしまう、しかも責任云々とおっしゃる理由が、私どもよく理解できない。
 問題は、都庁において相変わらず旧態依然とした労使関係を続けてきた、あえて申し上げれば、当局にその責任があるといわざるを得ないわけです。仮に、このことによって都政に何らかの支障を生じせしめるということであるならば、その責任は、あえて申し上げますけれども、理事者側にあるということをはっきり申し上げておきたいと思うんですね。
〔木内委員「委員長、答弁ですよ、これ。させてくださいよ。関連ですもの、今の質問に対して」と呼ぶ〕

○坂口委員長 速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○木内委員 今、樺山理事から質問に対する答弁がありました。その点については全く同感であります。
 加えて申し上げるならば、おっしゃるように、石原知事の当事者能力を剥奪する、こういう文言がありましたが、これは、何によって剥奪されるとご発言になっているかといえば、今回の議員提案の位置づけというものが石原知事の当事者能力を奪うことになるのではないか、こういうご趣旨であったように思います。
 しかしながら、私どもは、今回の共同提案によって、石原知事が行政のトップとしてリーダーシップを発揮し、同時に、これまで閉ざされていた労使協議の扉を開くために、環境づくりをするということも一つの大きな意味がある、こういうことで共同提案をさせていただいたわけであります。
 その意味では、石原知事のリーダーシップを剥奪するということには断じてなっておりませんし、特に、先ほど来お話のございました、三月八日の仕切り直しの新たなスタートから今日に至るまでの経過を見ておりますと、まさに私どもが意図していたこの方向に向かっているのではないでしょうか。
 最後に一言付言するならば、この共同提案、議員提案に対する議論というものは、二つ意味があると思う。一つは、この議員提案者におけるその発想の確認、具体的な事実の認証、そしてまた同時に、質問する側の主張性というものがあってよろしいのではないか、こう思いますけれども、今までの質問を聞いている限り、あれはどうなんだ、これはどうなんだ、我が民主党としてはこうするという主張性が感じられない。
 したがって、私は、観念論の議論というのは、今、都民生活が日々塗炭の苦しみの中で、この給与の問題がどうなるかということを凝視しているときの政党会派の姿勢としていかがなものか、こんなふうなことを実感しております。これは付言させていただきます。

○馬場委員 まだ私は質問中でありまして……。(木内委員「質問に対する答弁だよ」と呼ぶ)いえ、そういうことはお聞きしておりません。(木内委員「いや、質問に対する答えですよ、今のは。リーダーシップのところは」と呼ぶ)その答弁の中にありました閉ざされていたというふうな……。(木内委員「そうですよ。あいていましたか」と呼ぶ)閉ざされていた労使合意というふうにいわれましたが、本来、昨年にこの合意はできているはずだということで、そのことを含めて、この議員提案の前に質問をさせていただきました。
 ですから、先にそのことを質問し、そして、今回の議員提案というものがそのルール、つまり、今まで合意をしてきた、きちんとルールにのっとってやってきたことについて、その当事者である知事がみずから今回それを認めないという、そのこと自体がまずおかしいのではないかということと、それから、それをさらに混乱させたのは、その合意をほごにしたのは、議員提案条例の提案であるわけです。そのことでまた再開しなければならなくなり、やっと道筋がついたということですので、私からすると、今回の議員提案ということそのものがルール違反だということを申し述べたいわけです。その中身について云々ということではありません。今回のこの条例の提案は、とにかく今までのルールに外れているということを、私たちは申し述べております。
 先ほどもいいましたように、四%が云々とか、二年が云々ということではありません。今までの労使で話をしてきた、そういうルール、今まで、議会も含めて全員一致で認めてきた労使の雇用問題について、ここで違うルールを出すのであれば、議会としても、そのルールをきちんとつくってからやるべきだというふうに私は思っております。そのことが今回の混乱を招いたというふうに私は思っています。(発言する者多し)
 質問を続けますが、先ほどの人事委員会委員長との質疑の最後の委員長の答弁に、民間との競争というような言葉がありました。都政を運営していく上で、いい人材を、そして、安心して働いていただく職場をつくっていくためにも、また、いい人材を求めるためにも、民間との競争というのがあるというふうなお話でございました。これらのことについても労使が、つまり当事者、知事側、理事者側、それから労働者側がきちんと話をしていく、そこで基本を決めていくということについてはきちんと守るべきだというふうに思っていますが、そのことについて自民党さん、いかがでしょうか。

○樺山委員 もう一回ちょっとおっしゃってください。

○坂口委員長 馬場理事、論点を明確に。質問の趣旨を明確に。

○馬場委員 労使合意ということを含めて、これからの都政を運営していく上で、雇用の問題というのは大変大切なものであり、そういう意味では、いい人材をきちんと雇用し、そして働く場をつくっていく、そういう労働環境。つまり、労使、それに議会も含めての合意をしていくべきだというふうに考えております。
 そういう意味で、今までしてきたルールを、ここで議会が議員提案ということで新しいルールをつくっていくということについて、どういうふうに考えているかということです。

○松本委員 質問が二点あったと思います。
 まず第一点は、四%の給与カットを続けることによって、東京都の職員、新たに就職をされる方々が、都政に、都庁に魅力を感じなくて、すばらしい人材を集めにくくなるのではないか、それが質問の第一点だと思います。
 今、都民勤労者と都職員の年収の推移、これは、東京都生計分析調査報告によりますと、平成十二年度で、都民勤労者の平均一世帯当たり六百六十万七千円、これに対しまして東京都職員、四%カットをした後なお七百二十七万三千円、こういうことでございます。あわせて、東京都職員の採用試験の応募者数等々の推移を見ても、東京都の人材枯渇につながるような、そういう提案ではない。これが第一点であります。
 第二点目は、今までとルールが違うんじゃないか、こういうお話でありますが、我々は、法律に基づいたルールに従って議会で条例提案をしていることでありまして、新しいルール提案だとは思っておりません。議会は、いかなる知事であろうとも、どの知事が出してきたら賛成だ、労使合意が成って出てきたら、中身がどうでも賛成だ、こういう立場はとりません。主体的に賛成、反対、あるいはまた、みずから提案をするということは、常に我々はあり得ることだ、こういうことでございます。ご理解をいただきたい。

○馬場委員 自民、公明、それぞれにお伺いをして、最後の質問にしたいのですが、それぞれの提案の理由の中にも、また、それぞれの質問等の中でも、本来、職員の給与は労使の合意を得て決定すべきものだというふうにいっていらっしゃいます。一日も早く労使協議を行い、合意に至ることを促すために、この条例提案を行ったというふうにいっております。
 ですので、新たな労使合意というものを期待するのであれば、この条例は取り下げて、そして、今までのルールも含めて、労使合意がきちんとできるように見守るということをすべきだというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。

○松本委員 ちょっと馬場理事、誤解をされているようでございますが、我々は、給与決定過程において、不当な労使合意というファクターが入ってくることに反対であります。人事委員会勧告制度ということは尊重をしなければなりませんが、労使合意がなければ給与決定ができないんだという考え方は毛頭持っておりませんので、この点はぜひご理解をいただきたい、こう考えております。
 労使合意が必要だという文言は、どこの法律を読んでも出てこない。給与を決定するに際しての法体系の中に、労使合意というのは組み込まれていないということを、ぜひこの機会にご認識いただきたい。これが第一点目であります。
 第二点目は、我々は、今出されている、我々が出している条例案、ぜひ皆さんの賛成をいただいて可決していただきたい、こういう強い思いで出しているわけでありまして、今から労使合意の内容はどうだかわからないけれども、新しい労使合意で、どんな内容のものでも出してくれば、我々はそれを引き下げますなんていうことは到底考えておりませんので、この点もあわせてご理解いただきたいと思います。
 以上です。

○木内委員 今の問題一つだけ取り出してお答えするわけにはまいりませんので、先ほど来、自民党さんに対する質問はありましたが、答えたいテーマなのにそのチャンスがありませんでしたから、まず、私どもの基本的な考え方から申し上げます。
 人事委員会勧告制度の趣旨については、十分我々は理解しておりますし、これも樺山理事が先ほどいわれたとおりでございます。と同時に、公務員の給与決定原則には、給与条例主義という、また一方で大きな柱があるわけであります。
 翻って、私は、政治に携わる者の責任として、現実的にこの問題をどう解決すべきかということが極めて重要な本質である、こういうふうに思っておるのであります。抽象論や概念論で解決できない。だから、一定の解決に向けての具体的な環境づくりをすべきである。その意味で、本当に都民の合意を得られる労使合意を経て、この給与というものの問題が解決されることが望ましいと思っております。そして、この環境づくりのためには、議会の持つ一つの権能である、申し上げた給与条例主義という一方の担保というものを軸足にしながら環境をつくっていく必要があるであろう、こういうふうに私どもは考えているわけであります。
 なるほど、それでは発想が違うじゃないかというご指摘をさっきされたと思うんですけれども、実は松本委員も樺山理事もいわれたと同じ本質的な、条例の本質、意義というものがあって初めて、この環境づくりに資しているわけでありますから、このいわゆる法律的概念、あるいは条例に対する認識は全く同じです、自民党さんと我々は。結果として、今この共同提案をすることが問題解決に極めて重要なキーポイントである、こう判断をして、共同提案に名を連ねたわけであります。
 何度も申し上げるように、私どもが描いた、期待する方向に動きつつあるのではないかという期待も今持っているわけでございます。その意味で、政治は現実論である、解決するための責任ある行動というものが求められているのではないか、こういうふうに思っております。できれば、民主党さんのこの解決に向けての具体的な施策もお聞きしたいのでありますけれども、きょうはこういう質疑の場でありますから、失礼をさせていただきます。

○馬場理事 おっしゃっていることはわかります。これからの時代に対応していく新しい条例、給与条例主義、結構だと思いますが、しかし、今回のやり方については、やはリ私はルール違反だというふうに思っております。
 皆さんに納得のいくその機関、例えば議会の中で一つの改正をするのであれば、きちんとそのことを協議--新しい制度をつくっていくということは、そのルールをつくっていくということになりますから、そのことを合意した上でやるべきだというふうに思っていますので、今回、議会がこの短い期間で提案をしてきたということについては、私は納得できないという言葉で締めくくらせていただきます。
〔木内委員「委員長、ちょっと答弁漏れがありましたので、済みません。ちょっと大事なこと。恐縮ですが、これだけは。さっきの二つのうちの一つ、この条例案をどうするのかということについて、済みませんが……」と呼び、その他発言する者あり〕

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○木内委員 先ほど、馬場理事のご質問にありました後段にお答えしておりませんので、この条例案の私どもの取り扱いについてでありますけれども、問題は、都民が納得する形で解決するか否かでありまして、この労使の協議というものが進む中で、不明確な状態である今の段階で、仮定の話にはお答えすることはできません。その段階で、党としての討議を重ねて決定をしていくべきもの、こう考えております。

○古館委員 それでは、通告をしているんですけれども、馬場理事とダブっているところについては、質問じゃなくて、おさらいのようにちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 現在実施中の給与削減措置は、平成十一年度の労使合意に基づいて実施をしております。その当時、給与の削減措置の実施について、この労使合意ですね、これは、十二年度から十三年度までの二年間、給料の四%を削減するというのが基本的な中身でありました。そのときに提出した条例案の内容、それに対する議会の議決状況は、いわゆる給料の四%を削減するということについては、労使合意という立場で、同条例案について、私どもも含めて全会一致で可決を見たところであります。
 それで、この三年前の議決どおりにいけば、これは今回、知事と労働側で合意した復元をする、これが本来の姿であるというふうに、私どもは、日本共産党としては確信しておりますし、その立場で実行すべきだ、これが私ども日本共産党の基本的な見解であります。
 それで、この十一年度の労使合意内容、条例案についての都議会の議決状況を踏まえますと、やはり労使合意、今回提案されているものですね、それらが、基本的にはその労使合意の内容に沿ったものだ、このように理解をしているところであります。
 それで、この問題について、労使合意というのを、この経緯を踏まえれば、私どもは当然、今回、議会側もぜひ賛成をして、これを可決する、これが本来のあり方だと私どもは確信をしているわけであります。
 なぜかといいますと、知事もこの提案に対しては合意をして、どういう経過があったかとかなんとかというのは置いておいても、結論は、労使が合意しているということは紛れもない事実なんですね。そういう中で、来年度予算にもちゃんと予算として盛り込まれている提案がされてきている、こういうふうな中身になっております。ですから、通常ならば何も問題ないはずなのに、なぜ今回このような事態に至ったのか。その責任はどこにあるんでしょうか。

○坂口委員長 質問は……。

○古館委員 私は別に自民、公明といっていませんから、理事者に聞きます。

○尾井勤労部長 二年間という時限措置ではございましたが、最近の厳しい社会経済情勢のもと、給与削減措置を継続すべきという判断もございまして、ぎりぎりまで労使協議を行い、最後の最後まで合意点が不透明であったということでございました。こういうことから、議会への説明が十分とはいえず、私どもとしても反省しているところでございます。

○古館委員 別に議会への説明ということで質問をしているんじゃなくて、今回労使合意があって、その事実として予算計上されている。ところが、この問題が今のような状態になってきた、その責任はどこにあるのか、その問題を聞いているんですよ。(「責任の問題じゃないよな」と呼ぶ者あり)責任の問題ですよ、まず。

○尾井勤労部長 この給与削減問題につきましては、ぎりぎりのところまで労使協議を行ってきたため、合意点が最後の最後まで不透明な状況にありました。そのため、議会へのご説明が十分なものとはいえず、ご迷惑をおかけしました。この点について深く反省しているところでございます。

○古館委員 この間の代表質問で、ある党が、その一端の責任は知事にある、こういうふうにもお示ししていたところがありましたけれども、私どももそういう認識では一致しております。
 それで次に、この労使合意の重要性を当局はどう考えているのかという点に、非常に大きな問題があるのではないかというふうに私は思っております。そもそも勤務条件について労使協議を行う法的根拠、また、労使協議の結果について当局はどのような義務を負うんでしょうか。この点について明快にお答えいただきたいと思います。

○尾井勤労部長 地方公務員法におきまして、勤務条件に関する適法な交渉の申し込みに対する応諾義務が当局にはあることが規定されております。地公法上、労使は書面協定を結ぶことができますし、その協定につきまして、双方は「誠意と責任をもって履行しなければならない。」こういうふうに規定されております。
 当局としては、その範囲で義務を負うものと認識しておりまして、そのことが円滑な都政運営に資するものと考えております。

○古館委員 おっしゃるとおりです。その履行が円滑な都政運営に資するんですよね。
 それで聞きますけれども、労使協議は何回やられましたでしょうか。

○尾井勤労部長 正確な数字は手元にございませんが、さまざまなレベルの交渉を含めまして、六十数回にわたって交渉を行ったというふうに記憶しております。
   〔「それはどういう形で……」と呼ぶ者あり〕

○古館委員 さまざまな形で労使協議として--それはどういう形かという質問がありましたけれども、それは、当局が労使協議として認知しているということを今答弁されていますから、私は、その前提でお話を進めさせていただきます。
 それで、労使協議の意義についてですけれども、「逐条地方公務員法」これは鹿児島重治さんの著でありますけれども、労使協議の意義について、「労使が正常な交渉を積み重ねることは、両者間の意思疎通を円滑にするものであり、そのことによって相互の理解が深まり、職員の士気が高まり、さらに公務能率が増進することに資するものである。」このように書いております。
 それで、地公法の問題で少しお話をさせていただきたいと思うのですけれども、労使協議の法的な位置づけも、地公法の中できちんと示されております。具体的には地公法の第五十五条です。一つは、当局の交渉応諾の義務です。知事部局等の職員、それは地方公務員法の規定によって--地方公共団体の当局は、勤務条件等に関し、これには給与も入りますが、適法な交渉の申し入れがあった場合、職員団体と協議しなければならない。義務規定ですね。これが地公法の五十五条の第一項です。
 そして、交渉事項については、先ほどいいましたけれども、給与を含めたそういうものが、適法な活動にかかわる事項と定められています。これも同五十五条の一項であります。
 で、労使協議の効果についてですけれども、これは地方公務員法の規定によって、職員団体は、法令、条例、規則、規程に抵触しない限りにおいて、地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる。
 それで、お聞きしますが、書面による協定をやっていますか。

○尾井勤労部長 交渉が妥結した段階で、書面による協定を行っております。

○古館委員 そして、この協定は書面によって行っているということであります。この協定については、五十五条の十項でこのように書かれています。「当局及び職員団体の双方において、誠意と責任をもって履行しなければならない。」
 このことについて、自民党さんに代表して回答していただきたいんですが、労使合意についてどのように認識されておられるか。また、この立場、この第五十五条十項に基づいて誠意と責任を持って履行しなければならない、こういう立場に立たれないでしょうか。いかがですか。

○松本委員 残念ですが、立ちません。同じ地方公務員法の逐条、同じ鹿児島重治さんの著であります。この条例主義のところに「給与を条例という地方公共団体における最高の法規、最高の意思決定で保障することは、代償措置の中心となるものといってよいであろう。いま一つは、給与の決定を住民の意思に基づいて公明正大に行うことである。給与の支給がややもすると放漫に行われる地方公共団体がないわけではないが、給与は人件費の大部分を占め、かつ地方財政の中でも大きな比重を有しているので、納税者である住民の十分なコントロールが必要である。給与は必ず条例によらなければならないとすることにより、住民の代表である議会が条例制定を通じて給与をコントロールすることが期待されているのである。」また、「条例そのものの取扱いについては、本法第五条第二項の規定によるほか、地方自治法の原則によって解釈、運用される。給与条例の提案権は長、議会の双方にあると解され」る。こういう逐条解釈が載っているわけであります。これは条例主義ということでありまして、基本的に給与を決める際の話であります。
 一方、今、古館委員が述べられた労使交渉、これは、労働基本権の中で交渉権が認められている。(古館委員「法律です」と呼ぶ)法律で認められている。しかし、そこで交わされた約束というのは、先ほどの人事委員会委員長との質疑の中でありましたように、議会の条例制定権に制約を加えるものではない。まして、条例によって決定され、その約束が果たされなくなったからといって、それは特別にどうということではなくて、給与を決める、そのことを条例で行うということが大切なんだということは明らかになっているところであります。

○古館委員 条例主義を否定はしておりません。これは、人事委員会のところで私も質問したとおりであります。
 ちょっと質問が後先になりますけれども、給与条例主義は、給与を住民のコントロール下に置くという趣旨であるけれども、一方で、職員の給与を条例で守るという趣旨もあると思うが、いかがでしょうか。これは当局に聞いております。

○尾井勤労部長 給与条例主義の趣旨でございます。大きく分けて二点あるというふうに認識しております。第一点目は、職員の給与については、住民自治の原則に基づいて、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって同意が与えられるということでございます。
 二点目は、公務員は労働基本権が制限されているため、労働基本権にかわって勤務条件を保障する制度が必要であり、この代償措置の基本となるものとして、法令により職員に対する給与を保障することである、こういうふうに認識しております。

○古館委員 ですから、条例主義というのは、何か四%カットを引き続きやろう、そういう意味での条例主義としてどうも提案をされているというふうに感じます。(「全く違います」「そうじゃない。それは違う」と呼ぶ者あり)
 それならば、その問題について、条例主義というのは、逆にいえば、先ほどいいましたけれども、知事部局なら知事部局の提案に対して、議会としてちゃんとした意思表示をする。それは、労使の関係でいえば、働いている人の権利もきちっと保障するという点での条例主義として、一般的に解釈されているんですよね。(松本委員「当然です」と呼ぶ)そのとおりです。
 私は、それで聞きますけれども、当局に質問しますが、都職員の給与水準でありますけれども、全国四十七都道府県の対比で、現在、東京都の職員は何位に位置していますでしょうか。

○尾井勤労部長 総務省が発表いたしました平成十三年度のラスパイレス指数でございますが、ここでは東京都は一〇〇・一でございまして、四十七都道府県中四十六位でございます。

○古館委員 今ご指摘のとおり、四十七の都道府県のうち四十六位。下から二番目というのが、今のこの都の職員の給与水準だということなんですね。
 この問題については、東京都の広報の中にも書かれているんですね。これは去年の十一月一日発行した「広報東京都」です。その中で、都職員の給与の状況ということが書かれていて、ここでも、地方公務員の給与は、地方公務員法により、生計費、国や他の地方公共団体の職員、民間企業の従業員の給与などを考慮して定めることとされています。都には、法律に基づき、専門的で中立的な人事機関として人事委員会が設置されており、人事委員会は毎年、都内の民間企業--これはちょっと省略しますが--の給与の実態を調査して、都の職員の給与について勧告を行っています。この人事委員会勧告に基づき、都議会の審議を経て条例により決定されます。このため、都の職員の給与は、民間企業の給与水準を適正に反映する仕組みになっています。このように書かれています。
 同時に、給与水準についても書いておりまして、この当時は四十七都道府県のうち、たしか四十四位だと思いましたけれども、今はさらに低くなって四十六位、こういう状況にあるということですね。
 そこで聞きますが、人件費比率がどのようになっているか。この問題については時点をどういうふうに--昭和五十四年から現在に至る推移を伺いたいと思います。人件費比率です。

○尾井勤労部長 人件費比率でございますけれども、昭和五十四年度には三九・八%でございました。その後の推移を申し上げますと、おおむね減少傾向で推移をしておりまして、平成十二年度におきましては二六・六%という数字になってございます。

○古館委員 つまり、人件費比率もかえって下がっているんですよ、かなりの部分で。
 それで、財政的に厳しい、厳しいとおっしゃるんですけれども、我々も、その財政的な厳しさというのは否定はしません。しませんが、財政再建推進プランと、この間出た今後の収支見込み、これとの対比でいいますと、むしろ財政再建推進プランのときの方が厳しいといえるんですね。
 なぜかというと、お金が足りないよというふうにいっていたのが、五千億とか六千億。ところが、今は、この収支見込みの中でも大体二千億とか三千億。それで、都税収入なんですけれども、財政再建推進プランのときの都税収入が、三兆九千九百億円を予定しておりました。平成十四年。ところが、今回は四兆を超えている都税収入になってきて、プラス四百四十二億円。こういうのが今の状況であります。ですから、財政再建推進プランのときよりも--そういう都税収入の問題だとか、財政状況、厳しいことは私もわかっていますけれども、しかし、そのときよりも事態は一歩前進して、好転をしている。これが都税収入の状況であります。
 それで、いうまでもなく、地方自治体職員の給与は、勤労者の生活を守るために憲法が保障している労働基本権を公務員に対しては制約することの代償として、人事委員会の勧告に基づき労使合意によって決定されているというのは、ご承知のとおりであります。民間の給与水準を反映する、第三者機関としての人事委員会の勧告が出されれば、自治体はこれを最大限尊重するというのが法の要請であり、確立されたルールであります。その勧告に反し給与削減措置を行うことは、たとえ二年間という期限つきであれ、極めて異例な超法規的措置というべきものであります。しかも、四%削減というのは、全国にも例のない大幅なものであります。したがって、この異例な措置を実施するに至る過程でつくられた労使の合意は、決して軽いものではありません。また、期限が切れて、勧告を尊重するという本来の立場に戻すということでの労使合意も、同様の重みを持つものであります。
 今、仮に、議会の多数を占める一部会派が、職員給与に関する法とルールを無視して、労使合意も無視して、給与削減などの決定を強行すれば、私は、その影響ははかり知れないものがあると思います。
 第一に、今後の都政運営に重大な支障を来すということでありま に対する信頼を逆に著しく損なうことになると思料いたします。
 第三に、民間準拠の勧告をさらに切り下げることによって、民間労働者の賃下げ、リストラの口実を公的に提供することになり、このことが現下の不況をさらに深刻にしていくものだ、このように確信をいたします。
 こうした中で、四%をもとに戻すという方針に立ち返ることを強く求めまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○大西委員 幾つかお聞きいたします。
 まず、総務局に伺うのですけれども、公務員の給与決定における人事委員会勧告制度及び労使協議の位置づけについて、再度説明してください。

○尾井勤労部長 人事委員会勧告制度は、地方公務員法の規定に基づきまして、現在の給料表及び諸手当について、民間との比較の結果、改定が必要である場合に、人事委員会が知事及び議会に対して勧告する制度でございます。公務員の労働基本権制約の代償措置の一つであることから、都としても尊重すべき立場にあると認識しております。
 また、同じく地方公務員法によりますと、地方公共団体の当局は、勤務条件等に関し適法な交渉の申し入れがあった場合、職員団体と協議をしなければならないということとなっております。

○大西委員 今の大演説もありましたので、(笑声)そこで、提案者側にお聞きしたいと思いますが、これまでも提案者側には、先ほどの樺山理事のご答弁にもありましたけれども、人事委員会勧告制度を一定程度理解している、そして労使のルールを尊重する、その辺がちょっとあいまいだったと思うんですけれども、これまでもこういうことがあり、いつも人事委員会勧告制度に理解を示しながら労使の合意を尊重してきた経緯があると思いますが、そういうふうに思っていていいんでしょうか。

○樺山委員 歴史的に我が国の公務員の給与決定というものは、いわゆる人勧を経て労使合意、最終的に議会がそれを、あえていえば追認するという形が一つの大きなテーゼなわけですね。それは私たちは否定しない。これはそのとおり認めざるを得ないというふうに思っております。
 ただ、今回の場合は、もう意見が出尽くしておりますけれども、考え方がね、もう既にそれにゆだねる状況は過ぎた。こういう大変な危機的な社会経済情勢の中で、いよいよ議会が率先して職員給与をあえていえば決めていく、そういう状況をとらざるを得ない。あえて私たちが特例措置を講じざるを得ない状況になってきた、こういうことだと思うんです。

○大西委員 共同提案者である公明党さん、それでよろしいですね。

○織田委員 結構です。

○大西委員 では、次に総務局に伺います。
 これまで、人勧制度が尊重されなかった例があったと思うのですけれども、その際も労使合意を経て行われたのかどうか、お聞きします。

○尾井勤労部長 一般職員について、人事委員会勧告の内容と異なる内容で給与改定が行われたケースでございますが、最近の例といたしましては、平成十年度におきまして給与改定を一年凍結したケースがございますが、その際も労使合意を経て実施をしております。

○大西委員 また提案者側にお聞きしたいと思います。
 給与に問題がある、もう今はそういう時代じゃないんだと、先ほどの樺山理事からの説明もありましたけれども、もしそれが問題があるというのであれば、やはり先ほどから問題になっております労働基本権の回復などの制度改革、これを先にやらなければならないのじゃないかと思うんですけど、そこはどうでしょうか。

○樺山委員 おっしゃることはよくわかります。時代も変わった。さまざまな社会環境も変わった。公務員を取り巻くもろもろの状況も変化している。二十一世紀にもなった。したがって、制度改革して、労使間の関係をもう一度新たな形で見直すということは、これは否定できないことだろうというふうに思うんですね。
 ただ、それを、じゃ、お願いしますといって、そのお答えを待っていたんじゃ、どうもいかにも今回は時間がないんです、はっきり申し上げて。時間がない。したがって、現在の都民感情や都民感覚に照らして、あえて繰り返し申し上げますけれども、議会の権能を発揮せざるを得ない状況になってきた、このようにご理解いただきたい。

○織田委員 争議権、労働三権が制約をされているということから人事委員会制度ができて、今日の状況があるわけでございますけれども、そういう中で、それを先にやらなければ何も動けないということでは、これは現実の中で対応ができない、そうだろうと思うんです。
 私たちは、労働三権の制約のかわりに人事委員会制度等があって、それを担保しているという状況については、それをどうこうしようという考えは今のところありません。これは国の問題ですしね。しかしながら、今回の状況を見ておりますと、労使合意等も含めて、極めて脆弱な労使合意であったということだけは、ちょっと否めない事実だなというふうに感じております。
 そういった意味で、私たちは労使合意を大切にいたします。絶対不可欠なものというふうにはいい切れないと思いますけれども、この十八万都庁の職員が本当に気持ちよく仕事ができる、その前提として、そのフリクションを少なくするということについては、労使合意というものがあった方がいいに決まっている。できるだけそういったものをきちっとした上で、この気持ちのいい職場環境というものをつくっていくということは大事なんです。ですから、そういう前提に立って、私たちは共同提案者にもなりましたし、そういう立場から、今、見守っている最中でございます。

○大西委員 今回の混乱の原因といいますか、確かに一昨年、私たちは特例で二年間四%カットということで合意をして、これが進んできました。それは、約束の中で、二年間で一度区切るということで、その後の労使合意をやってきました。その後の状況で再度交渉ということを明快にしなければ、これから先、労使の信頼関係はやっぱり回復しないというところは、どうしてもひっかかります。その辺を総務局の方にお聞きしたいと思っております。その辺をどのようにとらえて、そして、やはりここをしっかり踏まえなければ、次へ進めないんじゃないかということがあると思うんですけれども、その辺はどのように考えていらっしゃるのか。

○坂口委員長 ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 じゃ、再開。

○尾井勤労部長 ちょっと改めてご質問の趣旨を確認させていただきますが、今回の労使合意の意義ということでよろしゅうございましょうか。

○大西委員 いいえ、違います。

○坂口委員長 ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開してください。

○大関総務局長 昨年ああいう結果でまとめたわけでございます。先ほど何度も申し上げているような中身でまとめたわけでございます。ただ、正直申し上げまして、私どもの努力不足もございまして、成績率であるとか、あるいは五十五歳昇給停止のことであるとか、あるいは人事制度の抜本的見直しであるとかということがなかなかわかりにくい中身であったのかなということもございます。
 これはよく中身をご理解いただければ、あの段階でも二百二十億の人件費といいますか、単年度ベースで実現させておりますし、これからの退職金や何かも考えますと、かなり大きな効果がありますし、人事制度や給料表の見直しまでこれからまた踏み切りますれば、理解していただける部分が多分にあったであろう、こう思っているわけでございます。
 しかし、これはなかなかそのことを、じゃ、数値でどのくらいであるとか、どれだけだということを都民の方に理解していただくには、なかなか時間的に余裕もなかったわけでございます。わかりやすいのは何%何年ということ、これが一番わかりやすいわけです。ただ、これは単年度で見ると三百何億ということで、これは一年で限ればそれだけなんですね。
 恐らく都の職員も非常に残念だと思うのは、この二年間、ほかの全国、ないものの中で、協力してきたという経緯があるわけでございます。これ、前回も申し上げましたけれども、泣き言ではなくて、国もやっていない。他の自治体もやっていない。東京都から補助金や交付金をもらっている立場の区市町村もほとんど何もやっていない。二年前に協力した立場の都の職員が今回継続できなかったことは、あたかも都の職員が、何といいますか--そのことが非常に残念でございます。

○坂口委員長 速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開してください。

○大関総務局長 まずそのことをわかっていただいた上で、今回の提案された内容、それから社会状況、これらを踏まえて新たな解決を目指す、これが私どもの思いでございます。

○大西委員 確かにそういう状況、信頼関係というのは職場において本当に大事なことだと私は思っておりますので、やはりそこで、一応二年間で終わったんだということをはっきりし、そして、その後の状況で再スタートする、この辺をしっかりとけじめをつけて進んでいってもらいたいと私は思っております。
 次に、議員提案された方々に伺いたいと思いますけれども、まず公明党さんから。
 漏れ聞くところによりますと、労使交渉の開始促進剤が今回の提案の目的としてあったのではないかと思うんですけれども、組合の方の委員長の決断で、交渉が今開始されました。そういう意味では、既に状況が変化したわけですけれども、この辺でそろそろ政治的な決断の時期が来ているのではないかと考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。

○木内委員 それは先ほどもご答弁申し上げたところであります。いわばこの議員提出の条例案の持つ意味、全体の構図の中での労使協議打開に向けての大きな位置づけというものがあるわけであります。現実に、三月八日以降、仕切り直しでスタートをした。そして、今恐らく着々とさまざまな協議が行われているのではないかと推測をするわけでありますけれども、まさに環境づくりが、こうした条例提案によって今可能となってきている。
 したがって、今質問のご趣旨、今こういう状況の推移の中で、条例提案はここで引っ込めるべきではないかというご指摘だったと思いますけれども、これも先ほど申し上げたように、まだまだ不透明であり、不明確である。今、大関局長から声涙下る答弁がありましたけれども、懸命に今、それぞれがそれぞれの立場で汗を流して努力をしている。こうした環境をこれまでつくり上げてきた。さらに、今後もこうした環境の中でご努力いただいて、都民が納得する結論が出るように、私たちは期待をするところでございまして、今この段階で、ご指摘のような条例提案を白紙に戻すということは考えておりません。

○大西委員 自民党さんにも同じ質問です。

○松本委員 大関局長のお話を伺いながら、本当にそうだな、こういう思いを大変深くいたしております。労使合意、労使交渉を重ねていく過程というのは、議会には全く見えていない。都民にも全く見えていない。労使交渉を重ねる席に、一人といえども一般都民は参加させていただいていない。議会代表も入っていない。
 そういう中で、労使合意がある日突然でき上がりましたよ、そして、その労使合意を、あたかも、労使合意ができたら、これを議会や都民は理解するのが当たり前だ、こういう形の中で議会に提案をされても、それはなかなか難しいと思うんですよ。だからこそ、我々は第四回定例会で、知事提案にかかわる条例案を継続審議にして、そして、労使の再交渉を求めたわけであります。
 が、しかし、かたくなに、労使の労というんでしょうか、都労連の側、こういうんでしょうか、一度決めた合意は改めてやる必要は全くない。話し合いのテーブルにさえ着いていただけない。都民の代表の思い、議会の思いというのは、労使交渉の中に反映させる道が全くない。だから、みずからの提案権に従って条例を提案したという経過でありますから、そこはぜひご理解をいただきたい。

○大西委員 再度確認したいんですけれども、提案者側においても、人事委員会勧告制度と労使のルールを尊重する認識はある。しかし、今の時点、今日の都民感情で、そういうことをいっていられない時代になったということがあるんですね。
 これまでの議論、今回の議員提案は、端的にいいまして、今の状況から、不況の中で公務員の給料をカットしなさいということ、それから、給与条例主義だから議会が決めることであるということが、大きなメーンテーマだったと思います。それであれば、もう一回いうように、労働基本権の回復などの制度と一緒に--いや、一緒というか、それを先行させた中でやっていくということの手続、これをやっぱり外すことはできないと私は思います。
 それからもう一つ、私ども生活者ネットワークは、都の財政危機が今後深刻になるのであって、都政に税金のむだをなくしていくことや、それから、事業の見直しについて、今後これまで以上に問われていくことと考えておりますけれども、基本的なところで、提案者側の皆様とちょっと違うと思っております。
 ネットは、やはり行政評価とバランスシートをさらに展開して、都民参加と職員参加を進めて、細かく事業ごとに施策原価を出し、第三者機関のチェックを担保して、事業者の代替案と比較するなどして、事業を徹底して見直していくこと、やはりここに基本があると思っております。安易に職員給与の中へ求めるというのではなくて、やはりここを外すべきじゃないと思います。
 そして、労働条件にかかわる細部については、法的に労使協議が保障されているのであるし、実態としまして、議会はやっぱり最後まで責任はとれないんじゃないかと思います。そういう意味で、先ほどの総務局長の答弁もありましたけれども、今後のためにも、労使協議を尊重することが大切ということを再度確認、強調させていただいて、質問を終わりたいと思います。

○木村委員 時間も遅いことで、簡単に質問を、議員提出議案の提出者に対してお尋ねをしておきたい。せっかくですから。ただし、共同提案、どちらかで結構です。(「いや、そっちで指名してもらった方がいい」と呼ぶ者あり)いやいや、縺 ?いわば暗黙の前提にして、時限立法ということで決めたわけです。その二年では終わらないよ、さらに二年ということは、いわば時限立法を決めた議会としての責任といいますか、約束違反。約束とは違う結果になるわけです。
 二年前に時限立法として二年間ということで決めた責任は感じておられますか。

○樺山委員 ご存じだろうと思うんですが、地方公務員法に再三出てきていますけれども、給与条例主義と並んで情勢適応の原則というのがございます。そのときどきの社会情勢の変化に即応すべきだ。今回は明らかにそのケースに該当する。議会としての権能を正当に行使した行為である。したがって、何のそごもなければ不備もない正当な行為である、このように理解しております。

○木村委員 情勢に適応するというのは、今回の新たな労使の合意の中でも、二年ということだから、二年で回復するけれども、情勢によって再度協議する、それは結構ですよと労働組合も合意をしていたということなんです。二年間で一度も切れずにゴールまで来たら、さっとまた向こうへやるというのが情勢適応主義じゃ決してない。それは、議会で決めた信義というものがある。その責任を感じているのかと聞いているんです。

○松本委員 我々は、三月三十一日までの二年間にわたっての四%削減措置を、条例によって議会の責任において決めたわけでありまして、それを施行するという限りにおいては、三月三十一日ということでその条例は終わるわけですね。今、我々は、四月一日以降どうするかということの審議をやっているわけです。
 我々は、我が党は二年前に、二年間なのかと、こういう質問をしているはずです、委員会においても、本会議においても。二年後の東京都の財政状況は大丈夫なのか、こういう話もしております。そのときはそのときの状況によって考える。一言半句の文言は違うかもしれませんが、そういう趣旨の説明が理事者からあったと記憶をいたしております。
 我々は、四月一日からのことを今決めようとしている。財務当局も都財政の厳しさを、議会に対してこれほど強く鮮明に説明をしているわけですよ。日々の新聞、マスコミを通じて、社会状況の厳しさは毎日ひしひしと議会に伝わってくる。それを受けて、四月一日から以降のことについて、今、条例案を提案しているわけです。我々は二年前、平成十四年の四月一日以降はもとに戻しますという約束はどこにも書いておりません。
 以上です。

○木村委員 三月三十一日までのことは決めた。その先のことは決めていないというんだったら、その先のことについて改めて協議しましょうという労使の合意があれば、まずそれを尊重するというのが普通の、お互いの信義則としては当たり前だと思う。
 だから、そういう意味では、時限立法で二年先のことが心配だというふうにいったかもしれないけれども、二年ですよというものを決めたという議会の責任というのはあるんです。ですから、全く一日も置かずに続けなければ、労使の合意も何も認めないよというやり方は、ゴールまで来たら、勝手にというか、さらにゴールを延ばした、約束違反じゃないかということになるんです。そういう意味で責任が生じている。そのことは感じていないのかと聞いているんであって、いろんな見解の相違じゃないんですよ。感じているかどうか。

○松本委員 この案件だけではなくて、例えば都市計画税の減免措置であるとか、あるいは上下水道料金の減免措置であるとか、東京都が時限立法で施策展開をしている条例案というのは幾つかあります。それはそれぞれの時限の中であるけれども、その時限が切れる前において、この立法を継続すべきであるかどうかということについて、我々は責任を持って議論をするわけです。
 ましてや、今回の労使合意というのは、三月三十一日に約束の日付が来る。それが終わらなければ話し合いのテーブルに着かないというのは、都民に対してその責任を果たしているとは私は思えない。三月三十一日以降、四月一日からの予算審議が今行われているわけです。予算の審議は、年度が終わって四月一日から始めよう、そんな話じゃないと思う。
 労使合意を求めての協議が、じゃ、いつ始まるんですかと聞いたって、約束をされていないですよ。四月一日から始まるのか、四月の十日から始まるのか、五月に始まるのか、六月に始まるのか、十五年に始まるのか、何の明示もされていない中で、我々は、木村委員のいわれるような議会人として無責任な対応はとれない、こういうことです。

○木村委員 労使の協議はもう昨年から続いていて、そして結論が出たんですよ。それをまた、新たな労使協議がいつ始まるかわからぬとかいっているのは、別の次元の話。また、都市計画税と一緒にするっていうのも、全くそれは次元の違う話です。
 つまり、私は、責任を感じているかどうかだけ聞いている。それは責任を感じていない。聞いている私の方が無責任だという返事があったから、まあ、お互いそういう関係かということにしましょう。(笑声)責任を感じてないんだ、そちらはね。私の方は責任を感じます。違うんです。普通の議会人として、時限立法で二年間に賛成した者としては、二年で一たんは終わるというのが、普通の人間の感覚として責任の感じ方だと私は思います。これはもう見解の相違だ。
 さらに、先ほどから給与条例主義云々のことが大分議論になりました。そして、松本さんから、その給与条例主義の根拠は、ともすれば賃金が放漫になることを防ぐために住民のコントロールが必要だから、そういう条例になるんだというような、そういう著書を紹介して説明がありました。
 だから、聞きますけれども、四%をカットした、それを、人事委員会が勧告したとおりに戻すということが放漫に当たるのかどうか。労使が合意をしているにもかかわらず、議会が条例主義という権能を使ってその労使合意を認めない、コントロールしなきゃならないと考えるほどの放漫に当たるのかどうか、そのことだけ。

○松本委員 我々は、放漫に当たるから、この条例案を提案しているわけではありません。

○木村委員 つまり、長年のルールとして人勧制度を尊重し、その人勧の実施に当たっての労使合意というふうにつくられてきたこのルールをこの際認めないという意味で給与条例主義を持ち出すのは、決してこれが放漫だからだというのではないということですね。放漫には当たらない。
 それでは、聞きます。きょう、総務局の前に、人事委員会の委員長眞仁田勉氏がいろいろ、松本さんからも聞かれて重要な答弁をされた。私は非常に印象に残ったんですが、あと二年続けて四年間カットするというのは余りにも影響が大き過ぎる、そう思います、こういいましたよね。私もそう思うんです。あの人事委員会委員長の、あと二年続けるのは影響が大き過ぎるという、第三者機関の責任者としての判断をどう思いますか。

○松本委員 正直に、二年間継続することの影響縺 の影響の大きさ、個々人の職員の暮らしも大変ですけれども、社会的に与える大きな影響というものも十分考えるだけの視野を議会は持たなきゃいけないというふうに、私もきょうは思いました。
 具体的に、あなた方が提案している条例が通りますと、公営企業関係の職員には及ばないという問題があります。区役所で働く人に対しても及ばない。当然格差が出る。一月や二月じゃなくて四年間続くという問題があります。東京都の職員のモラール低下といいますか、筋が通らないなと思いながら、不当なカットを受けているという思いを持つ人も少なくないはずです。そのことのモラール低下、そういう影響も当然具体的には考えられるわけです。
 そういう具体的な影響にももう一回思いをいたして、そして、条例を提案したことの問題提起といいますか、きょうは、これだけ真剣な議論が、こういう前例のない議論まで行われたんだから、問題提起としてのインパクトは十分果たし得た。しかし、さっき提案者自身がいったように、この影響についてはよく見定めていかなきゃいけないなと思っているんだったら、ここは、提案をして、さらにこれを押し通すかどうかは再検討するということが、責任政党としては求められているのではないでしょうか。

○松本委員 一見説得力があるように聞こえてくるわけでありますけれども、いみじくも木村幹事長、おっしゃっていただいたとおり、今、一般社会の中で職を失う人が多い、ボーナスをカットされる方が多い、就職できないで悩んでいらっしゃる方が多い、その中で、東京都の職員の給与だけは、何、四%カットじゃなくて上がっちゃうの、もとに戻っちゃうの、こういう都民の意識というものが、都政に寄せる信頼、東京都が財政再建計画を推し進めようとしていることに対して、どういう影響、インパクトを与えるかということを思うときに、職員の皆さんには、それは苦しい。苦しくはあるけれども、都民の皆さんとその痛みをともにするんだよ、その姿勢こそが今都政に求められている、こう思うのであります。
 したがって、特に、その給与を決定するに当たる労使合意というのが、全く都民に見えない中で行われている。そして、都民が気がついたときには、東京都の職員だけ給与もとに戻っちゃってるのかよ、四%上がっちゃってるのかよ、東京都の職員の給与って平均的に幾らなの、一世帯当たり七百二十七万三千円、これが四%も上がっちゃうの、こういう思いを多くの都民に持たれたときには--そういう話なんだな。だから……。(木村委員「もういいよ」と呼ぶ)わかった。(木村委員「いやいや、わからないけどさ」と呼ぶ)ぜひ理解をしてほしいんです。(木村委員「つまり、取り下げるつもりはないのかと聞いているんですから、簡単に答えてくださいよ」と呼ぶ)

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○松本委員 簡潔にいいます。ただいまのところ新しい提案は何もないわけでありますから、今の時点で取り下げなど毛頭考えておりません。

○木内委員 責任政党としてこれを取り下げたらどうかという話でありますが、責任政党として、現在のこの提出した条例に対する対応のあり方というのが、最も責任を果たす形である、こう思っておりますので、それは見解の違いであります。
 以上。

○木村委員 じゃ、もう質問はやめます。
 今お二方から、取り下げるつもりはないという答弁がありましたけれども、松本委員がいわれるような都民感情というか、そういうことをいう都民もいるということは、私も知っています。同時に、国会で同じような問題が起きたときに、国会議員の歳費は削減するけれども、国家公務員の給与を削減するのは余りにも影響が大きいと、あの政府でさえそういう判断に立たざるを得なかったというのは、やはり、今あなたがいわれたような深刻な不況、消費不況、国民の購買力がどんどん下がっていく、そして、スパイラルのようにいろいろな指標が下降線をたどっていく中で、さらに公務員の賃金も決められたルール以下に特例的に下げるということの影響の大きさを心配したからなんですね。
 そういう意味では、公務員よりも、東京都の職員よりも苦しい生活や危機に立って暮らしている人はたくさんいますよ。いますけれども、だからこっちを下げろというのはやはり違う。事態をもっと悪化させることになる、という意味で、取り下げたらどうかといったまでなんだから、まあ、取り下げないと、きょうのところはそういう答弁ですから、私も終わります。

○坂口委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十八分散会

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