総務委員会速記録第十六号

平成十三年十二月十七日(月曜日)
   午後一時二十六分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部知事本部長事務代理次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋 和志君
選挙管理委員会事務局局長南 靖武君
次長橋本  剛君
人事委員会事務局局長高橋  功君
任用公平部長砂岡  攻君
監査事務局局長中山 弘子君
次長細渕  功君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 付託議案の審査(決定)
 ・第百六十九号議案 政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百七十号議案  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百七十一号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百九十三号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百九十四号議案 職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百九十五号議案 東京都知事等の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百九十六号議案 公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例
 ・第百九十七号議案 職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 さきに理事会にご一任いただきました意見書中、お手元配布の横田基地・多摩サービス補助施設の返還に関する意見書につきましては、案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

   横田基地・多摩サービス補助施設の返還に関する意見書(案)
 東京都内には、横田基地を始め八か所の米軍基地があり、その返還は地元住民の長年の願いである。
 もとより、米軍基地の返還は、日米安全保障条約及びこれに基づく、いわゆる「日米地位協定」において、日米両政府間の重要課題である。
 しかしながら、米軍基地が現実に存在する以上、基地の周辺において、航空機騒音等の問題や地域のまちづくりに対する大きな障害を引き起こしている。また、今日、米国で発生した同時多発テロなどに関連した、米軍基地への報復テロが心配されることなど、周辺住民の安全についても特段の配慮が求められている。
 東京都は、従前から米軍基地対策の推進を国への要望の最重点事項として位置付け、これら基地の返還を求めてきたところである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、横田基地・多摩サービス補助施設の返還とそれまでの間、少なくとも多摩サービス補助施設の都民開放のために必要な措置を講ずるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十三年十二月 日
         東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣
防衛庁長官
防衛施設庁長官  あて

○坂口委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。ご了承願います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百六十九号議案から第百七十一号議案まで及び第百九十三号議案から第百九十七号議案までを一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。

○樺山委員 この際、動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案は、質疑終了となっておりますが、このうち第百九十四号議案は、さらに調査を必要といたしますので、閉会中の継続審査とされるよう望みます。

○坂口委員長 ただいま樺山理事から動議が提出されました。
 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。

○樺山委員 採決に当たりまして、我が党の意見を述べさせていただきます。
 現下の日本経済は、ますます厳しさを増し、民間企業の相次ぐ倒産、過去最悪の失業率など、不況の中で都民の生活は厳しさを増し、中小零細事業者の経営は深刻な状況にあります。
 さらに、今後の経済見通しにつきましても、アメリカの同時多発テロや狂牛病問題などの影響もあり、二年連続のマイナス成長が確実視されております。
 このように、今の社会経済情勢は、職員給与の一部削減措置が施行された当時に比べ、格段に厳しい状況下にあることは言をまちません。
 一方、現在の都財政も逼迫しており、しかも、来年度の都税収入は大幅な減収が予想され、今後の経済動向いかんによっては下方修正され、さらなる税収の落ち込みも十分考えられるところであります。これからの都の財政運営は、全く予断を許さない状況にあります。
 こうした中で、労使の交渉がまとまり、当初のような議案が提出されました。しかしながら、最終交渉でも担当副知事や局長が外され、談合を思わせる極めて不明瞭な経過も漏れ聞いております。
 また、妥結の内容が問題になると、都側が変な文書を出したから、あるいは、自分も不満だなど、知事の言動も一貫しておりません。
 いずれにしろ、今回の提案に至るまでの経過を見ますと、都は労使交渉がすべてであり、都民を代表する議会の存在の意識もなく進められてきたといわざるを得ません。労使の交渉のみを根拠に職員給与削減措置を終了することは、断じて都民の納得を得ることはできません。
 ところで、職員の給与等の勤務条件は、地方公務員法の規定により条例により定められるものであり、それは主権者たる住民、納税者たる住民の意思に根拠を置かなければならないとするのが立法の趣旨であります。すなわち、都民の負託を受け、都民を代表する都議会の同意なしには決定できないものであります。
 都議会は、都政を都民の視点で運営することが基本であります。こうした視点に立てば、現在、都民の生活より労使の確認を優先しなければならない状況には断じてありません。
 したがって、平成十四年度も引き続き一般職員も含めた給与削減措置を継続するよう強く求め、我が党の意見を終わります。

○馬場委員 第百九十四号議案、職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について意見を述べます。
 改めて述べるまでもなく、地方公務員にあっては、労働基本権に対する制約に係る代償措置として人事委員会が設けられ、その勧告は尊重しなければならないことになっております。
 この二年間、都職員の給与削減措置が実施し得たのは、地方自治法、地方公務員法の規定にかかわらず、当該都職員と知事との合意がなされたためであります。当該当事者が合意している以上、給与削減措置にかかわる特例条例を制定しても違法性を問われることがないため、これを制定したものであります。
 今回、当初の二年間という労使合意のため、一般職員との間で合意が成立せず、一般職員に係る特例条例が提案されなかったのは、関連法の規定上、当然の措置でございます。
 第百九十四号議案が、一般職員を除いた管理職職員の給与削減措置を盛り込んでいることは、当事者との合意について若干の疑義はありますが、管理職がみずからの給与を削減するとの提案でありますので、これを尊重したいと思います。
 また、都財政と一般職員給与との関係では、既に知事と職員団体との間で、知事が、都財政の状況いかんによって、給与削減措置等の内部努力策については再度相談すると述べたのに対して、職員団体代表も、今後、知事から再び相談を受けたときは協議に応じると述べ、合意が成立しております。私たちはこれを尊重したいと思います。
 以上、都議会民主党としての意見とさせていただきます。

○織田委員 第百九十四号議案について申し上げます。
 この条例案は、都の管理職に対して二年間行ってきた給与削減措置を一年間継続する内容でありますが、ここには一般職については含まれておりません。
 しかしながら、現下の状況を考えますと、長引く不況の中、中小企業の倒産は戦後最大、失業率も過去最悪、リストラのあらしもおさまる気配も見えないありさまであります。給与削減、ボーナスカットなどは当たり前という状況の中で、納税者である都民は必死の生活防衛を強いられております。
 一方、都財政も、来年度は約五千億円の財源不足が指摘されている中で、今後もより厳しい財政運営を強いられることは必至であります。
 こうした状況のもとで、今回の、一般職員に対して給与カットを解除し、年間三百四十億円もの予算を支出することに対し、都民の心情を思うと、理解が得られるのか、私たちは懐疑的であります。
 今回、労使交渉がぎりぎりまで行われたことは理解するものの、今議会や今委員会でも明らかになったように、知事の答弁からは、労使交渉の経過等について十分成熟していない旨の真意が伝わってくるように思います。
 この問題に対しては、こうした状況を踏まえ、都民の心情、そして都の財政状況の今後の推移、景気の状況等も織り込んで判断すべきであると考えます。
 以上をもって意見といたします。

○木村委員 いうまでもありませんけれども、公務員の賃金については、民間企業と違い、労働者による争議による方法が認められていないということから、国の人事院が第三者機関として勧告を行う、地方自治体は、政令市なども含めて人事委員会が同様に設けられて、そして労使の合意が行われるというルールが確立しているわけであります。
 ですから、賃金の決定に当たっては、まずこの人勧を尊重するというルールをきちんと守るというのが大前提でなければならないと思います。
 今回の議案は、二年前の特例的な賃金カット、これを回復するものでありますが、今回回復するに当たっても、労使の交渉が重ねられ、労使合意が行われた。したがって、人勧尊重という点と労使合意を尊重するという点で、二重、三重にこうした結論は尊重されなければならないものと考えます。
 二年前の特例的な賃金カットの労使合意の際に、都側は、この東京都の財政難は、都の職員に責任があるのではなく、東京都の財政運営の失敗にその責任があるということを認めました。労働組合は、このことを確認した上で、みずからの犠牲を払っても財政再建に協力をするという苦渋の選択をのんだことは明らかであります。
 しかし、その後二年、こうした職員の苦渋の選択が生かされたかといえば、この二年間、新たに福祉十事業を中心とする都民の犠牲が押しつけられました。そして、都が財政運営の失敗とみずから認めた、財政難の真の原因であった大型開発を優先するという関連事業には、この二年間も大盤振る舞いが行われていたことは事実であります。
 したがって、こうした二年間の経緯を厳しく総括することなしに、安易に再び職員にしわ寄せをするというようなことは、認めることはできないのはいうまでもありません。
 民間大企業のリストラなどが行われていることを理由に、公務員も我慢すべきだという論調がございますけれども、今の日本の経済の不況の真の原因は、国民の消費不況、消費が減退しているということにあることは、多くの一致した見方がありますが、大企業は、もうけているのであり、今行われている大型のリストラこそ政治の力で食いとめていき、そして経済を立て直すべきであって、公務員の生活を切り詰めるということをはかりにかけるなどというのは、全くの筋違いだといわなければなりません。
 したがって、提案されている継続の動議には反対であり、この議案は採択すべき、賛成だという立場を表明して、日本共産党の発言とします。

○大西委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表し、本委員会に付託されました第百九十四号議案、職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について賛成、継続審議を求める動議に反対の立場から意見を述べます。
 今回の条例提案は、これまで続けてきた一般職員の給与四%カットを二〇〇一年度で終了、管理職のみが継続するものです。いうまでもなく、これは、知事と労働組合のもとで合意された内容が提案されたものにほかなりません。
 公務員労働者の給与などの労働条件については、労使対等の原則により自主的に決定できる民間労働者と異なり、労働基本権が制約されているため、その代償措置として、人事委員会勧告制度によって運用されています。
 こうした制度趣旨を踏まえるならば、二〇〇〇年から始まりました給与カットは、ある意味で人事委員会勧告制度の趣旨から外れた労使合意ともいえます。しかし、私たち都議会は、社会情勢を踏まえた合意として、労使の自主決定として承認してきました。
 したがって、こうした経過から見ると、制度趣旨を議会の側から逸脱して、さらにカットを要求するというのは、制度の根幹を崩すものであり、公務員労働者の労働基本権の制約をなくす提案とセットでなければ筋が通らないと考えます。むしろ政治的な取引の材料とされている嫌いがあります。
 一般職員の給与カットの継続の主張の一つに、都の財政危機が根拠として上げられています。私たちは、都政における見直すべき経費や使い道が数多く存在することを指摘しておりますが、こうした見直しと職員の生計費につながる改定は全く異なると考えます。こうした見直しは、議会にとっても、応招旅費の見直しなど、議員の給与カットの継続によって免罪されない事項がまだまだあるということを強く申し上げ、生活者ネットワークの意見とさせていただきます。

○坂口委員長 発言は終わりました。
 樺山理事からの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○坂口委員長 起立多数と認めます。よって、本動議は可決されました。
 第百九十四号議案は、閉会中の継続審査とすることに決定いたしました。
 これより採決を行います。
 第百六十九号議案から第百七十一号議案まで、第百九十三号議案及び第百九十五号議案から第百九十七号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認めます。よって、第百六十九号議案から第百七十一号議案まで、第百九十三号議案及び第百九十五号議案から第百九十七号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○坂口委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○坂口委員長 この際、所管五局を代表し、大関総務局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○大関総務局長 お許しをいただきまして、当委員会所管の五局を代表いたしまして、一言ごあいさつさせていただきます。
 このたびの議会におきましては、ご提案を申し上げておりました議案等につきましてご審議を賜りまして、まことにありがとうございます。この間にちょうだいいたしました貴重なかつ厳しいご意見、ご要望につきましては、今後の都政運営の参考とさせていただきたいと思います。
 今後ともよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。

○坂口委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十四分散会

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