総務委員会速記録第十五号

平成十三年十二月十三日(木曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部外務長田邊 隆一君
知事本部長事務代理次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
秘書部長橋本 康男君
政策部長山口 一久君
外務担当部長浅野 秀治君
特命担当部長南雲 栄一君
企画調整担当部長荒川  満君
参事熊野 順祥君
首都調査担当部長野村  寛君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
総務局局長大関東支夫君
理事石山 伸彦君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
主席監察員古河 誠二君
行政部長反町 信夫君
島しょ・小笠原振興担当部長高橋 敏夫君
災害対策部長岡部 恒雄君
参事矢島 達郎君
勤労部長尾井 幹男君
法務部長小林 紀歳君
統計部長早川  智君
人権部長関  正子君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 総務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百七十号議案  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百七十一号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百九十三号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百九十四号議案 職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百九十五号議案 東京都知事等の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百九十六号議案 公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例
  ・第百九十七号議案 職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
 知事本部関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十九号議案 政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・平成十三年度行政評価結果について

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定数は二十名でありますが、傍聴希望が定員以上でありましたので、さらに十名追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○坂口委員長 意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を三件提出したい旨の申し出がございました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局及び知事本部関係の付託議案の審査並びに知事本部関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百七十号議案、第百七十一号議案及び第百九十三号議案から第百九十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しています。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋総務部長 十一月二十九日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の三枚目、一ページをごらんいただきたいと存じます。都内及び全国の経済成長率の推移でございます。
 平成八年度から十二年度までの過去五年間における年度別の都内及び全国の経済成長率の推移及び直近の状況といたしまして、平成十二年からの四半期別の全国の経済成長率の推移につきましてお示ししてございます。
 二ページをごらんいただきたいと存じます。景気動向指数の推移でございます。
 過去一年間における月別の景気動向指数の推移につきましてお示ししてございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。消費者態度指数の推移でございます。
 平成十一年以降の消費者態度指数の推移につきましてお示ししてございます。
 恐れ入ります、四ページをごらんいただきたいと存じます。都内及び全国の企業倒産件数の推移でございます。
 都内及び全国の企業倒産件数につきまして、平成八年度から十二年度までの過去五年間における年度別の推移及び直近の状況といたしまして、平成十二年十月以降の月別の推移につきましてお示ししてございます。
 五ページをごらんいただきたいと存じます。民間賃金の推移でございます。
 平成八年から十二年までの過去五年間における都内及び全国の民間賃金水準の推移及び平成八年から十三年までの民間企業、公務員の賃上げ状況につきましてお示ししてございます。
 恐れ入ります、六ページをごらんいただきたいと存じます。完全失業率の推移でございます。
 都内、南関東、全国の完全失業率につきまして、平成八年から十二年までの過去五年間における失業率の推移及び直近の状況といたしまして、平成十二年以降の四半期別の推移につきましてお示ししてございます。
 七ページをごらんいただきたいと存じます。有効求人倍率の推移でございます。
 都内及び全国の有効求人倍率につきまして、平成八年から十二年までの過去五年間における有効求人倍率の推移及び直近の状況といたしまして、平成十二年十月以降の月別の推移につきましてお示ししてございます。
 恐れ入ります、最後の八ページでございますが、都税収入の推移でございます。
 平成八年度から十三年度までの都税収入の推移及び財政再建推進プランの都税収入見込みと現在の見込みにつきましてお示ししてございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 ただいま資料の説明をいただきましたけれども、なかなかこの数字、表というのは同じカーブを描かないで、難しい、複雑なものだなというふうに思っています。
 しかし、ことしは特に九月にテロがあった。また、東京では狂牛病なんかもあったわけでありますけれども、そうしたことがどう影響しているというふうに思っていらっしゃるのか。また、今この資料もいただきましたけれども、これらについてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、基本的な考えをまず冒頭にお聞きしたいと思います。

○尾井勤労部長 ただいまご説明いたしました資料の各種指標からでございますが、過去五年の推移を見ますと、平成十年度において景気が最も悪くなっております。企業倒産件数も過去最大の状況となっておりまして、失業率も上昇しているということでございます。これらを反映いたしまして、平成十一年度に都税収入は大幅な落ち込みを示しておりまして、都財政も非常に厳しい状況に陥ったということでございます。
 その後は、平成十一年、十二年と景気が持ち直してきておりますが、この間、民間賃金はほぼ横ばいで推移してきておりまして、また、わずかながらも毎年賃上げがされている一方で、失業率は依然として上昇傾向を示しているということで、企業が、人員削減を中心とする厳しいリストラを背景として、企業収益の改善を図ってきたということがうかがえるかと思います。
 また、最近の状況といたしましては、今、先生の方からお話がありましたような背景もございまして、景気動向指数あるいは消費者態度指数などが示すように、景気は非常に厳しい状況となってきているというふうに認識しております。

○矢部委員 石原知事のもとで、十一年度に給与カットを決めましたけれども、そのときの背景ですとか経緯、どうしてそうなったのか、ちょっとお話を伺いたいと思います。

○尾井勤労部長 平成十一年度に給与カットを決めた時点での経緯、背景ということでございますが、現在実施中の給与削減措置は、十一年度の財政再建推進プランに基づくものでございます。当時は、都が財政再建団体に陥るか否かの瀬戸際という状況でございまして、次年度の予算編成が極めて厳しい状況にあったということでございます。したがいまして、施策の見直しなどあらゆる側面からの歳出削減を行うなど、財政構造改革を本格的に実施するということで、平成十二年度から十五年度までの四年間を計画期間とした財政再建推進プランを策定したところでございます。
 この現在実施中の給与カットにつきましては、この計画に基づきまして、三年間の時限措置ということで提案をしたものでございます。一つは計画期間における臨時の財源対策という側面、もう一つは内部努力の姿勢を率先して示す必要性、この二つの側面から、今申し上げましたように三年間の時限措置ということで提案したものでございます。

○矢部委員 昨日でしたか、知事の本会議での答弁の中でも、三年間にしたかったのに、できなくなって遺憾だというような話がありましたけれども、今のお話も三年間となっているわけなんですが、それがどうして二年で終わっちゃうわけですか。

○尾井勤労部長 ただいまご説明しましたとおり、十一年度に、三年で提案して二年ということで妥結したわけですけれども、その当時、自治体の給与カットの例というのは余りほかの団体ではございませんでした。このカットはもちろん都政史上も初めてのことでございますし、地方公務員法に基づく人事委員会勧告制度というのもあるわけでございますが、これを超えて、超法規的に実施するものということでございますので、全国で最も厳しい四%カットをするというこの交渉に当たりましては、その合意期間が過ぎてもまた再提案があるというふうな前提では合意はなかったという状況がございました。
 そういう中で厳しい交渉が行われたわけでございます。当局といたしましては、カット三年間の必要性を強力に主張してきたところでございますが、厳しい交渉の結果、最終的には二年ということで合意を見たということでございます。

○矢部委員 昨日の知事のお話でも、自分は、三年間という約束だから当然やれると思っていたというような話をしているわけですね。そうなのに、なぜ、なぜ--強烈な抵抗があったというんだけれども、極めて早い時間に妥結したと聞いています。押しが弱かったんじゃないですか。

○尾井勤労部長 十一年度の状況ということでございますか。今回の決着という……。

○矢部委員 当然、今回。

○尾井勤労部長 今回でございますね。
 今回につきましては、前回、今申し上げましたような経緯の中で妥結をしたわけでございますけれども、今回の交渉では、東京都といたしましては、こういう、先ほどお話がございましたような厳しい社会経済情勢、あるいは予断を許さない都財政の状況を背景といたしまして、当然延長すべきである、こういう姿勢で臨んできたところでございます。
 ただ、前提となります財政再建推進プランについて見てみますと、二年間で七割の達成をしているという数字が公表されておりますし、また、十二年度、十三年度におきましては、一時的ではありますけれども、プランの予測を超えて税収が大幅にふえているということもございますので、当面、再建団体転落の危険性からは免れているという状況にございます。
 他団体の状況を見ますと、来年度カットを実施している団体は三県のみということでございまして、しかも、それらの団体の内容を見ますと、トータルのカットの規模はいずれも都以下でございます。
 さらに、国家公務員についてはまだ何らの動きがないということがございますので、都がさらにカットに踏み切る追い風といいますか、応援がなかったという状況もございます。
 あるいは、十四年度の四千億の税収不足という見込みがあるわけですが、これも現時点におきましてはあくまでも見込みでございまして、しかも、現在の二年間の給与カットを決めた前提となります、先ほど申し上げました財政再建推進プランの見込みでございますが、その時点での見込み税収に戻ったという状況でございます。
 そういう意味では、給与削減を延長する理由の決定打にはなかなかなり得なかったという状況がございます。
 そして、先ほど申し上げました二年前の二年間という労使合意の存在がありまして、最後まで組合とは平行線になりまして、最終段階で、特別職、管理職については削減を継続する、一般職員については都財政の状況によってまた今後協議する、同時に、意識改革につながるボーナス査定制度を導入し、今後の長期的な総人件費抑制のための人事・給与制度の改革につながる合意を得た、こういう中での決断ということでございます。

○矢部委員 何ともわからないんですが、結果としては、この二年間税収が伸びましたですね、四千億、二年続けてですか。だけれども、それもよくよく考えれば、その前の青島知事の時代に減債基金を取り崩しちゃっていましたから、その穴埋めができたという段階でございますよね。これでやっとレベルなわけでしょう。なおかつ、この交渉過程の中で、今回も、来年度の税収は四千億、もっといくかもしれないけれども、減収の見通しだ、こうはっきりわかっているわけじゃないですか。そういう中で、なぜ、なぜ、引いちゃったんですか。
 それどころじゃないですよ。これから何が始まると思いますか。世の中は、年明けてペイオフですよ。まだ銀行の倒産が幾つあるかわからない。さらに厳しくなるといわれていますよ。ましてや、けさ聞いた話ですけれども、三月期には--失業率が、このいただいた資料では五%ですけれども、今月現在だと五・四ぐらいいっております。来年の三月には六%にいくだろうという予測のようです。そういう社会経済情勢は、この中にはどう反映されているんですか。

○尾井勤労部長 もう一回申し上げます。
 平成十四年度の予算編成が大変厳しいものになるということは間違いないと思うわけでございますけれども、都財政の厳しい状況というのは来年度以降も深刻であるというふうに考えております。来年度の税収は、今年度予算に比べて三千億から四千億円の大幅な減収が想定されることに加えまして、バブル期以降大量に発行いたしました都債の償還が十四年度以降始まるほか、既存の社会資本の更新経費の増大ですとか隠れ借金の存在といったことによりまして、今後の都財政運営にとって大きな負担となりまして、都財政を圧迫するものと考えております。
 したがいまして、私どもとしましては、今後の都財政は長期にわたり厳しいという観点から、内部努力、都庁一体となって、職員一体となって内部努力に取り組んでいくという観点から、今回は労使合意による解決を選んだということでございます。

○矢部委員 今までの二年と--来年は楽勝だというふうに考えているということですか。

○尾井勤労部長 十四年度につきましても非常に厳しい状況を想定してございます。ただ、財政状況について申し上げますと、先ほどの繰り返しになりますが、十一年度に給与カットを決めた段階におきましては、都財政が財政再建団体転落の瀬戸際にあるという状況にございまして、その中で、いろいろな施策とともに、臨時的な財源の確保あるいは内部努力の姿勢という側面から給与カットを実施したということでございます。
 先ほども申し上げましたが、その後の、十二年度、十三年度の税収増等々もございまして、現時点の財政状況は、非常に厳しいことは間違いないわけでございますけれども、二年前の財政再建団体転落の瀬戸際という観点からすれば、財政再建推進プランの税収のレベルを一応は確保しているという状況にございますし、基金につきましても、一定程度の積み立てが行われたということもございまして、一応、財政再建団体転落の瀬戸際からは当面は免れているということでございます。
 そういう中で、もろもろの提案事項の課題の中で、長期的な抜本的な人事制度改革を実現するための端緒、あるいはこの給与削減措置についても、都財政の状況によって、ますます厳しくなるであろう都財政の状況によって、きちんと協議に応じる、こういう確認をとったという中で、労使合意による解決を選んだということでございます。

○矢部委員 結果として、十二年度、十三年度はそういうことだったと思うんですよ。しかし、十四年度は違うと私は思っているんですよ。私ども会派で、もうそういうことをかんかんがくがく議論しましたけれども、そういう中においてだって、十四年が一番厳しいんじゃないかと。先ほども申し上げましたように、これからペイオフですよ。銀行の倒産が出てきたり、ゼネコンの倒産も出てくるでしょう。そういうことが及ぼす社会不安というか、そういう空気の中でこのことがされるということなんですよ。その認識が全然ないと私は思うんです。
 今、年間に自殺者が何人いるか、ご存じですか。

○尾井勤労部長 自殺者の数でございますけれども、全国で、十二年度におきましては三万一千九百五十七人という数字がございます。ここ二、三年は三万人強、三万人をちょっと超えるレベルで推移しているという状況でございます。

○矢部委員 暗くなっちゃう話ですから、余り申し上げたくなかったんですけれども、中央線が毎日とまるんですよ。JR、ほかの線もしょっちゅうとまりますよ。その電車に乗っている人たち、事故があってとまる、もうわかるんですな。暗い気持ちのまま会社へ行く。こういうことがずっと世の中は続いているんですよ。極めて深刻ですよ。それまで大体平均でも二万人だったのが、ここ数年、二年、三万人というような数字が続いているんですよ。この十三年から十四年、もっと厳しいんじゃないかといわれているんです。ホームレスだってどんどんふえているじゃないですか。
 そういう状況の中で、一番近くにそういう状況が起きているのに、それを見過ごして、自分たちの給料を元へ戻すというんじゃ、そもそも当初の約束が三年ということだったのに、それも果たせない。知事もそうするべきだといっていて、それがそうならないというのは、どういうことなんですか。

○尾井勤労部長 二年前に、給与カットについては労使協議の末合意をしたわけでございますけれども、その内容は、二年間の時限的措置ということで合意をしたところでございます。

○矢部委員 きのう知事がいったことは、うそなんですか。はっきりと三年と知事はおっしゃった。そういうことを前提に決めた、当座の約束は二年だったかもしれないけれども、三年やるという前提だ、そういう認識であったと知事ははっきりいっているじゃないですか。

○尾井勤労部長 二年前の労使合意は、はっきりと二年間の時限措置ということで双方確認をしておりまして、知事が三年間というふうなお話をしておるわけでございますけれども、三年間ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、今回ぎりぎりまで、延長したい、延長する必要がある、こういう認識で交渉に臨んできたわけでございますが、そういった意味で、こういう厳しい社会情勢のもとで、やはり給与削減措置については今後とも続ける必要がある、こういう認識を知事が表現されたものというふうに思っております。
〔「三年という数字はどこから出てきているんだよ、知事の」と呼ぶ者あり〕

○矢部委員 今もありましたけれども、知事がきのうの議会の答弁ではっきりおっしゃったことですわな。三年という約束であった、それが当座は二年という組合との話になったけれども、それは当然継続されるべきものだというようなニュアンスの発言をされていました。私も会議録を--まだできているわけじゃありませんから、全部正確にというわけにいきませんけれども、私はそういうふうに受け取りました。その認識と全然違うというふうにまずは思うんです。
 そうであるとするならば、その前提が皆さんは違うようだけれども、まずは今回団交したわけだけれども、何日間、どんなふうに交渉したんですか。

○尾井勤労部長 今年度の労使交渉につきましては、節目のところを申し上げますと、六月の半ばに団交が持たれまして、そこで、給与削減措置の今後の取り扱いについて都労連側に対して、非常に慎重な取り扱いをしなければならないという問題提起をしてございます。その後、十一月になりまして、やはり団交の場で、今後の取り扱いについて内容が固まり次第提案をしたい、こういう示唆をしておりまして、その間、実務家レベルの交渉の場があるわけでございますが、それは数十回にわたって、財政論議でありますとか、社会経済情勢の厳しさでありますとか、二年前の経緯でありますとか、激しい議論を展開いたしましたところでございます。

○矢部委員 要は、都民に今、いろいろな経過があったにしろ、どういう経過、どういう中身があってこうなったということを、私が町へ行って話をできなければ、とても説得はできないわけですし、今のことをお聞きしているだけじゃさっぱりわからない。
 具体的に、では六月の半ば、だれとだれが、その次、実務家レベルで数十回やったというけれども、何回やったのか。いつ、だれがどういうふうにやったのか。十一月、これが二回目ですか、団交は。その後どうなったんですか。すべての経過をお話しいただけませんか。

○尾井勤労部長 ただいま申し上げました団体交渉というのが大きな節目の交渉でございまして、その間に、実務家レベルの小委員会というレベル、あるいは専門委員会というレベルでの交渉が進められてくるわけでございます。そういう意味で申し上げますと、交渉期間につきましては、先ほど申し上げましたように六月から始まりまして、最終決着が十一月二十日でございましたので、専門委員会交渉につきましては二十二回、小委員会交渉につきましては十八回、それから団体交渉、先ほど節目の団体交渉を申し上げましたが、決着に至るまでの団体交渉を含めまして四回、合計四十四回の交渉が行われております。
 それぞれの交渉の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、六月十四日の団体交渉におきまして問題提起をし、それに基づいて、二年前の経緯を含め、現在の厳しい認識あるいは都財政の状況、こういった議論を、小委員会、専門委員会の場でしております。
 さらに、先ほど申し上げました十一月の団交におきましては、より厳しい当局の姿勢が示されたところでございますので、それに対して都労連からは非常に厳しい反発の意見が、こうした専門委員会、小委員会交渉の場で出されまして、最終的には十一月二十日まで、当局としては削減措置の継続、それに対して組合サイドでは、二年前の経緯あるいは財政状況の問題を理由に、平行線をたどってきたということでございまして、最終的に、先ほど申し上げましたような理由で決着を見たところでございます。

○矢部委員 その一番最初、六月十四日の団交のメンバーは、都側はだれ、組合側はだれというのは、これは表に出せない話ですか。

○尾井勤労部長 団体交渉のメンバーにつきましては、当局側は、副知事以下、総務局長、各任命権者、そして人事部長、勤労部長でございます。それから組合側につきましては、都労連委員長以下、各常駐並びに傘下の各単組の委員長でございます。

○矢部委員 そのメンバーは、団交の四回に限って申せば、毎回同じ人というふうに認識していいんですか。

○尾井勤労部長 団体交渉のメンバーは、同じメンバーで行っております。

○矢部委員 都側の副知事というのは、三副知事が出て、そして総務局長と勤労部長、人事部長、それはどういう方なんですか。それは表にできない話ですか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記を再開します。

○尾井勤労部長 具体的にそれでは申し上げます。
 副知事につきましては、労使交渉担当の福永副知事でございます。それから、交渉担当である総務局長、人事部長、勤労部長、それから、先ほど任命権者というふうに申し上げましたが、教育長、公営企業の交通局長、水道局長、下水道局長、以上のメンバーでございます。

○矢部委員 都側は八人。これはずっと最終まで同じメンバーですか。

○尾井勤労部長 同じメンバーで交渉に当たっております。

○矢部委員 先ほどの最終段階でも、知事も出ないで決まったんですか。

○尾井勤労部長 今申し上げましたように、団体交渉、以下のレベルで交渉を続けておりますが、当然のことながら節目節目では知事に報告をし、判断を仰いでおりますし、最終段階におきまして、事態の打開のためということでございますが、知事と都労連の委員長と、それまでの煮詰まった交渉の中で最終的な決着を図るということで会談を持たれております。

○矢部委員 今のその知事と都労連の委員長というのは、二人で、一対一なんですか。というのは、先ほど、六月から十一月二十日まで、その間二回、都合四回会合を持たれたと。その十一月二十日の前、後、具体的に何月何日、だれとだれというふうにはいえないんですか。

○尾井勤労部長 日にちにつきましては、二十日の団交の前日、十一月十九日でございます。
 メンバーにつきましては、知事と委員長、それに浜渦副知事が同席しているというふうに聞いております。

○矢部委員 担当の副知事じゃなくて、何で浜渦副知事がそこへ出るんですか。
〔「最後の団交の前に、この幹部会で決めちゃった、三人で。最後の団交ってどういう意味を持っていたんだよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○坂口委員長 速記をちょっととめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 では、速記を再開いたします。

○大関総務局長 これは例年、すんなりいくときは、団交の席で大体決着できるんです、団交を持てる状況で。今回の場合は、ぎりぎりまで実際平行線だったわけでございます。最後の方法として、委員長と知事に会っていただこうという場面がありまして、たまたまその場所が都庁じゃなかったものですから、そこに浜渦副知事も一緒にいたということで、そこまで委員長に駆けつけてもらいまして、そこで会談してもらったというのが事実でございます。
 そのときにお話し合いになったぎりぎりの段階で、知事本人は、強行突破だぞというようなことまで思いとしてあったわけでございます。ただ、労使合意のないまま条例提案ということになりますと、これはいろいろ、地方公務員法でいわば公務員の給料というのは守られておるわけでございます。それを条例で値切るわけですから、労使合意のないまま提案をするということになりますと、これはかなり政策的な判断があるわけでございます。これは完全に労使関係も決裂するわけでございます。今後の信頼関係もそこで終わるわけでございます。そういう大変重要な節目だったものですから、その中で知事にお会いいただいて、最後の判断をしていただいたわけでございます。知事としては最後まで、まだおりていない心理状況はあろうかと思いますけれども、いわば都政のこれからの状況といいますか、運営を円滑にさせるためには、ここで一たん仕切り直しをしていただいて、それで、これから厳しい状況、これは長期になる可能性があるわけでございますが、そのために、今の段階でいろいろな--財政再建推進プラン一つとりましても、十一年度の財政再建推進プランが表に出ている数字なわけでございます。それ以外のものはすべて推測なわけですね。これは明らかに数字が出てきた段階できちんとお話をして、その中で協力を求めていくということが円滑にいく方法であろう。このような判断の中で、いわば合意のないままの条例提案ではなくて、労使合意を得て、それでその後に、次年度以降、十五年度以降となりますが、十五年度以降にきちんとしたお話をして、その中で納得のいく解決を図ることの方が得策であろう、このようなことを考えたわけでございます。そういう形で会っていただいたということでございます。

○矢部委員 今のお話だと、最終妥結というんですか、団交の十一月二十日、その前の日にはもう二十日のことはわかっていたという話ですわな。まずその点が一点と、それと同時に、きのうの知事発言はうそじゃないですか。知事の気持ちは、もう三年という前提で決めていたんだ、でも、もう自分はその枠の外にいたからしようがなかったみたいなニュアンスに私は聞きましたけれども、そうではないんですね。決めたのは、自分で決めた。そうするならば、きのうの本会議での答弁というのはうそじゃないですか。その気持ちだけいっただけで、だけれども、裏では別のことをやっていたという話になっちゃいますよ。

○大関総務局長 私どもで知事の心を推しはかるわけにはいきませんけれども、私の受けとめておる印象としますと、知事の思いとしては、やはり三年間続けていきたいという思いはまだ切れていないと思います、気持ちの中に。そういうことの強い思いが、あの場でも、自分としては三年やりたかったんだ、ただ、二年という約束の紙が出ているから、これはできなかったんだということが、あそこにあらわれた発言だと思っております。

○矢部委員 最初の交渉にちょっと戻りますと、まず、都の側は基本線はどうなんですか。二年という話はあるけれども、三年という知事の考えがあるわけでしょう。そのことを含んで交渉に臨んでいたんですか。一番最初の都側の交渉に臨む基本スタンスというんですか、私はこれは局長に聞きたい。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開して。

○大関総務局長 二点のことであわせてお答えさせていただきたいと思っております。
 委員長のお話しの点は、十一年度の段階で、最終的に決着した中身をいわば要約整理するわけでございます。その整理したものに、代表が署名をするわけでございます。その代表者の代表が、当局側は福永副知事、一方、組合の方は都労連の委員長の矢澤委員長でございます。まず、そういうことの書類はございます。それが一点。こういうことの約束がまずあったからということだと思います。
 それから、今回の臨む姿勢でございます。
 これは私どもは、二年前の約束というものは、労使関係でいえば、これは大変重要な約束事でございます。このことを破るというのが前提であるならば、労使関係というのはもう要らないわけでございます。ですから、そこはまず守るというものが前提の中にあって、しからば、今、それが守れない状況になっているのかどうか、社会経済状況、ということがあるわけでございます。それで、守れない状況というのは何なんだということになりますと、これはやはり都財政が今にも破綻をして倒れてしまうというような状況、あるいは寸前であるというような状況、あるいは国やほかの自治体、あるいは区市町村、こういうのがやはり同じような横並びといいますか、という状況にどれだけあるのかということ、こういうもろもろの状況があるわけでございます。これは私ども交渉の段階で--泣き言をいうわけではないんですが、正直なところ、今回、国の方もほとんど何もやっていない。これは国と東京都は別だろうと、こうおっしゃるんですが、例えば警視庁の組織一つ見ましても、上層部は国家公務員なわけでございます。国家公務員の方は二年間全然カットがない。そういう中におきまして、その下に働く都の職員の方は四%カットされてきたという実態があるわけでございます。それから、横並びの部分で、ほかの自治体、これを見ましても、ほとんどの自治体が、やっていても管理職、それも二%程度ということでございます。それもほとんどが十三年度で終わってしまうという状況下にあるわけでございます。それから、東京都から補助金といったら失礼ですが、そういう支援を受ける立場の区市町村、これもほとんどのところが管理職手当をちょっとカットさせるという状況でございます。
 そういう中において、都の職員だけをエンドレスでやっていくということが得策なのか。それからもう一つは、新しい仕切りをして、気持ちよく一肌脱いでもらうのがいいのか。これは重要な政策判断であったわけでございます。それで私どもとしては後者を選んだというのが実態でございます。

○矢部委員 今のお話をお聞きしていますと、ほかのところへ責任転嫁しているわけですが、国は、国会議員もやってないからもうしようがないです。あれはもう何もできないんだから、それはそれとしても、都議会は、都議会議員はもう九七年からずっと五%削減をしているんですよ。来年度についてもやるんです。それはもう、それでもまだ済まないくらい、もっと削減率を上げてもいいんじゃないかと思うくらいに世の中が厳しいからです。それをひしひし毎日感じるから、やっているんですよ。そのことは何と思っているんですか。

○尾井勤労部長 ただいまのお話のとおり、大変社会情勢は厳しいということは我々も十分認識しております。そういう意味で、今回の交渉におきましても、当初から、この給与削減措置については継続することが必要である、こういう判断のもとに交渉に臨んできたわけでございます。
 その中で、先ほど来申し上げましたような二年前の合意、あるいは都税収入の状況、こういったことを踏まえまして、一たんここで仕切り直しをすることが、さらに厳しい状況が見込まれる都財政の今後において、都庁が一丸となって内部努力に取り組んでいくということ、それと同時に、この給与削減措置についても改めて協議をして実施していく可能性を担保することができること、こういった観点から、都財政の状況によって再度協議をしようという確認をして、こういう厳しい情勢を踏まえながら、こういう結論に達したわけでございます。

○矢部委員 大変情けなくなっちゃうんですけれども、私は、厳しさの認識が足りないとしか申し上げようがないと思います。
 先ほど来資料もいただきましたけれども、現実はそれ以降まだ下がっている。またさらに、年明けて来年はもっと厳しくなるということなわけですから、そのことを何とか認識しなきゃならん。基本的には平成十四年はこのままいって、十五年以降と思っているのか。何だか組合の委員長の首が六月につながって、それから交渉しようというようなうわさもあるけれども、そんなことで取り引きしているのか、何かさっぱり明確にわからない。今が一番厳しいんですよ。今、これから三月までが一番厳しいんです。そのときを何で逃すんですか。十四年が一番厳しいと私は思うんですよ。どうしてそれがそうじゃないというんですか。この十四年を乗り切れれば何とかなるんじゃないかと思うんです。それをそうじゃなく進めちゃう、まるきり違うところで、それこそ密室談合で--私なんか余り好きな言葉じゃないですけれども、共産党の専売特許みたいな言葉だけれども、そういうところで決めちゃうから、おかしくなっちゃうんじゃないですか。何をそこで決めたんですか。密室のそういう談合で、何を決めたんですか。

○尾井勤労部長 現在実施しております給与削減措置につきましては、三月までもちろん継続するわけでございます。
 社会経済の状況あるいは都財政の状況でございますが、十四年度が一番厳しいのではないかというお話もございまして、今、いろいろな指標等からして、十四年度が厳しいことは事実だと思います。民間の経済観測におきましても、今後厳しくなるというふうにいわれておりますが、十五年度以降については、さらにいろいろな調査機関の結果を見ましても、不透明であるという状況でございます。都財政は一定のタイムラグがあるということもございますので、十四年度も厳しいという状況は事実でございますが、十五年度以降についても非常に不透明であるということで、東京都としては長期にわたって全庁一丸となった内部努力の取り組みが必要である、こういう認識を持ってございます。

○矢部委員 私が申し上げた認識はご理解いただけましたか。

○尾井勤労部長 十四年度に都財政が非常に厳しいという認識は、私も十分理解をいたしました。十五年度以降については、まだ不透明であるというふうに思っております。

○矢部委員 財政委員会じゃないので、財政のことを論じるつもりはありませんけれども、税収見通しが悪いのも、本年度の景気全体がよくないということが来年に反映するわけであります。それは、ことしの町の様子、皆様が東京都内を歩かれているのか、東京都には全然関係ないところで生活されている方々なのかわからないけれども、その認識があれば、もっと全然違うと思いますよ。狂牛病の被害を受けたお肉屋さんなんか、とても大変ですよ、どうやって年越えようかとみんな悩んでいるんだから。そういうことが片方にあるときに、平気でこういうことを決められる都庁の役人の神経がわからないということなんですよ。

○尾井勤労部長 先ほど申し上げましたように、三月までカットを継続しておりますし、今後の都財政の状況いかんによっては、この給与削減措置についても再度協議しようということですので、今後の動向を見きわめながら--税収動向につきましても、今のところまだ見込みという段階でございます。これから新年度の予算も査定をし、編成し、議会でもご議論いただくわけでございますので、そういった状況を見きわめながら、給与カットという措置は、いわば人事委員会勧告制度という地方公務員法で定められた制度のもとでは、いってみれば超法規的な措置という側面もございますので、きちんとした位置づけあるいは理由、規模、こういったものをきちんと組み立てた上で、新たな給与削減措置、これを考えていかなければならないものというふうに認識しております。

○矢部委員 昨日の議案提案の折に、三田議長から人事委員会の意見の報告がありましたけれども、特別職、管理職の削減については、今の経済情勢から判断するときにやむを得ないというようなニュアンスの発言であったわけですね、人事委員会の見解ですけれども。その見解も一致しているところじゃないですか、今違うというけれども。だから、今回上げる理由は何もない。上げる理由は何もない。下げる理由はある。で、知事がおっしゃるように、三年間というのが当初の約束。しかし、とりあえず二年が組合との話し合いで決まった線だったとして、今回、十一月二十日にストも辞さないという構えをした組合の態度というのは、そのくらいことしが大事だと思って臨んだわけでしょう、組合の側は。それを、腰砕けにさらっと知事の側から下げちゃったということじゃないですか。三年間という約束であった。でも、二年という約束があって、三年目は協議をするということになっていた。その協議を、詰めが詰まらないまま、そのまま認めちゃったのか腰砕けなのか知らぬけれども、認めちゃった。そこまで行っちゃうと、それこそ、六月に、都労連の委員長の首がつながった段階で新たに出し直すということなんですか。

○尾井勤労部長 先ほど来申し上げますとおり、今回、給与削減措置の延長という姿勢で労使交渉に臨んでまいりまして、非常にぎりぎりの交渉を重ねてまいりました。最後まで平行線だったということは、先ほど申し上げましたとおりでございます。最終的には、労使合意がないまま条例案を強行して提案する、こういう方法もあったわけでございますが、これから都財政が長期にわたって厳しい状況に直面する、こういうことは確実な状況ですので、今後全庁一丸となって改めて都政の危機に対処していくためには、やはりここで一たん仕切り直しをしていくこともやむを得ない、こういう判断をいたしまして、同時に、今後の都財政の状況いかんによっては給与削減措置について再度協議する、こういうことを条件に、労使合意による解決を最終的に選択したということでございます。

○矢部委員 それ以上いえないんでしょうけれども、それにしたって、そのまま町へ出て話したら、何いってんのって、石ぶつけられちゃいますよ。
 だから、最終、トップがこの前の日にオーケーしちゃったんなら、もうそれ以上いうすべはないんだろうけれども、何ともふがいないものだね。こういう中で、このままこのことを都民にどういうふうに説明するんですか。極めてスムーズに組合交渉が終わりましたよなんていう報告があったけれども、こっちもうっかり聞いちゃったけれども、中身を見れば、全然楽ちんな話をしちゃったんだから、それはだれでもできる話をしたっていう話じゃないですか。一番つらいとき、来年が一番つらいという認識がもしあるならば、ここはどう踏ん張ったって、ストまで構えた組合と対決しなきゃ、石原知事がいっていることも、いっていることとやっていることが全然違う。それをみずから崩したということを、自分で認めているじゃないですか。ましてや、担当の副知事じゃない副知事が入って決めた。何を談合したのかと思っちゃいますけれども、こんなことばかりやっていたら、東京都政もおかしな方向へ進んじゃうんじゃないですか。ぜひこれは局長の見解を聞きたい。

○大関総務局長 日にちにずれ、前の日ということになっておりますけれども、深夜でございまして、もうぎりぎりの段階、決着が翌朝になっていましたので、ぎりぎりに会っていただいて、その結果が私どもの方に知事から連絡がありまして、こういう形でやむを得ないというお話があったものですから、そのことで団交を開いて決めたというのが、正確な時間差でございます。だから、実態的にはほとんど同じ日に知事と会っていただいたということでございます。
 それから、都民にどう説明するんだということでございますが、これはいわば経営者責任といいますか、という形で今回の削減措置をやっていくという部分と、都民に対して姿勢を示すのは職員も一体でなきゃいかぬという評価の仕方等、いろいろあろうかと思います。私どもといたしますと、職員に対して、二年間よく協力してくれたという思いはまずあるわけでございます。そのことの感謝はまずして、それでその中で、我々管理職というのはやはり経営者責任というところで、そのことをやはり人事委員会というのも考えて、いわば管理職については経営者責任という部分もあるから、このことについては人事委員会としても、あれでよしとする部分、それから一般職員については、給与と身分に関することは労使協議事項ということになっているわけでございます。そういうことがあった場合に、合意がないまま条例でカットしていくということになりますと、これは法律違反の可能性が物すごくあるわけでございます。現に私どもも、その可能性を探るべくいろいろ検討させたんですが、これはまだそういう裁判が行われていないのでわからないんですが、かなり厳しい状況があったものですから、そういうことで、やはり一たんここで、いわば管理職は引き続き経営者責任という中できちんとあれして、組合の関係の部分では、これまでの提案であった人事制度、成績率、それから今後の給料表の改定、こういったものについていわば解決もし、テーブルに着いてもらうというようなことを、この段階で仕切りをして、それで次年度以降につなげた方が、長い目で見た場合に有効であろう、こういう判断をしたわけでございます。

○矢部委員 堂々めぐりをしていますから、もうこれ以上はやめようと思うんですけれども、どう考えたって、最終段階、同日なら同日でもいいですわ、知事とその話をして、ましてや、このことがはっきりしてきただけでもへんちくりんな感じですけれども、知事が思っていたのとは全然違っていたということでしょう。知事は勝手に思い込んでいた。町にもそう話していた。しかし、現実は、組合とは別の手続がされちゃっていた。それに従わざるを得なかったというふうに解釈すれば、知事のことを擁護するようになっちゃうけれども、でも、あれだけ頑張ってても、それができないという大きな壁があるということですよね。ましてや、その交渉の立会人が、本来当事者じゃない浜渦副知事が立会人として立っている。余計こんがらがっちゃうわけですが、そこであらぬ約束がされているというようなことになると、とんでもないことだというふうに思っております。
 いずれにしましても、私ども、この状況、委員会の審議状況を総会へ持って帰っても、とても我が会派を説得できる状況ではありません。修正案を出した例もあるようですけれども、そのことも含めて、この特別職、管理職だけということについては何としても容認できない、そういう気持ちでいっぱいでありますし、そのことを踏まえて、きょうは代表して発言をさせていただいているわけでございますから、よく重く認識をしていただいて、これからのことについても慎重に発言をしていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○織田委員 私も、この給与の削減の問題について、確認をしながらお伺いしていきたいというふうに思います。矢部委員の質問とかなり重なる部分がありますけれども、ご容赦いただきたいというふうに思います。
 こういう給与の交渉、上げるの下げるのといった交渉というのは、どちらの側にも大変ご苦労が伴うものでございますから、そういう面では、こういう努力をされている方々の立場というものもおもんぱかった上でお伺いしたいというふうに思います。
 一昨年の二年間の時限的措置ということで、今議論がありまして、どうも私も、今聞いてみて、やはり釈然としないものがあるんです。知事は三年間といい、そしてまた、東京都で決められた二年間の時限的措置。それが三年なのか二年なのか、二年たって仕切り直しをするというのか、そのときにまた改めてやるというようなことになっていたのか、なっていなかったのか、労使交渉で妥結したけれども、そこのところをもう一遍、その経過というのをちょっと整理してお答えをしていただけませんか。

○尾井勤労部長 二年前の経緯でございますが、これは先ほど申し上げましたように、十一年度の財政再建推進プランに基づくものでございまして、これに基づきまして三年間の時限措置として提案したものでございますが、交渉の中で、結果二年間ということで妥結し、現在に至っているものでございます。

○織田委員 その妥結をしたときに、この二年間というふうに決まりました。二年たった後どうなるのかということについては、一切そこでは触れられてもいないし、約束もされていないということでいいんですか。

○尾井勤労部長 二年前に、今申し上げましたように、三年間の提案に対して二年間で決着をしたということでございます。その際には、提案したこの三年間の時限措置というのは、財政再建期間中、給与削減措置を通じて臨時的な財源確保をする全体像である、この措置をとってもなお財源が不足する場合には他の方法を考えるということも表明されておりますし、それから十四年度については、協議について検討するということも確認されておりますが、これは前提が、先ほど申し上げましたように、財政再建推進プランのもとでの臨時的な財源確保ということでございますので、この二年間の臨時的措置、給与削減措置をとった上で、なお財政再建団体への転落の瀬戸際に陥るようなことがまたあれば、これについてはまた給与削減措置を考えていこう、こういう趣旨であるという意味でございます。

○織田委員 財政再建推進プランのその枠組みの中で、再建団体に転落をするおそれがあるぎりぎりのところまで来ているという状況の中で、まず二年間、給与の削減措置をとりましたと。その財政再建推進プラン、十五年度までにとにかく姿にするということでスタートしたわけですから、そうすると、もう財政再建推進のその期間、十四年度までを含めて、そのことはあったと。そして、もう一遍交渉しますよということもその中でありました、こういうことを今おっしゃったんだろうというふうに思います。
 今回、この交渉がまた、先ほどのお話を伺っておりますと、六月の半ば、六月十四日ですか、組合の方に、労働側に提起されたということだと理解をします。今回のこの交渉の中において、東京都が組合の方に対して提示したのは、この削減措置について継続をしたい、こういうことだったということでよろしいわけですね。

○尾井勤労部長 ただいまお話しのとおり、この給与削減措置について継続をしたいということで交渉に臨んできたわけでございます。

○織田委員 そのときの、その今回提起をしたときの論拠、いわゆる判断をする基準、どういうところから今回労働側に対して継続をお願いしたいというふうに至ったのか、それについてはどういうふうになっているんでしょうか。

○尾井勤労部長 私どもの主張の内容でございますが、今後、毎年度二千億から三千億の財源不足が都財政において見込まれること、あるいは、来年度以降、都税収入の減が確実視されていること、あるいは隠れ借金など、都財政の今後の負担要因が存在すること、失業率が過去最悪の水準を記録するなど、民間の賃金、雇用情勢はますます悪化の様相を示していること、あるいは、同時多発テロですとか狂牛病の発生などにより景気が非常に厳しい状況にあること、こういったことから削減の姿勢で交渉に臨んできた、こういうことでございます。

○織田委員 社会的な状況もそうでしょうし、これまでも議論になってきたそういったものを踏まえて、給与カットの四%の削減の継続を提起した。
 これは労使の話し合いですから、労働側にもやはりいい分はあろうかと思うんですね。確かに生活をしている部分から見れば、ローンのことがあったり、いろいろな困り事というのはやはり出てくるわけでございます。そうした面に経営者として配慮をしていくことは当然でありますが、今回のこの東京都の提案に対して、労働側はそれではどういう主張をされたのか。そして、その主張の論拠となるものは一体どういうものがあったのか。先ほどもぎりぎりの交渉をされたということでしょうから、恐らく交渉の中でぎりぎりの話がなされたと思うんですけれども、では、労働側の主張と論拠というのはどういうものがあったんでしょうか。

○尾井勤労部長 都労連側の主張でございますが、この給与カットの措置は二年間の約束であることが一つでございます。それから、財政再建期間中の財源不足については別の対応を検討していくというふうに、先ほど申し上げましたような確認がなされておりまして、引き続き給与削減措置を提案するということは到底納得できないということがございます。
 それからもう一つは、十二年度、十三年度には大幅な都税収入の増がありまして、基金の積み立ても行うなど、二年前のような、財政再建団体への転落の危機にあるという状況にはないということでございます。それから、都税収入が減になるとしても、財政再建推進プランで見込まれた範囲内であるということ、さらには再建推進プランの七割が達成していると東京都が公表しているということで、こういう状況でのそういった提案といいますか、そういった姿勢は納得できないということであります。

○織田委員 今、労働側として、約束が違うじゃないか、それから、財源不足については別の方策をとることもあるということが、二年前のその交渉の中であったじゃないか、こういうのが一つ論拠になっている。あるいは、十二、十三年度で都税収入がある程度ふえましたということで、減債基金への積み立てなんかも行えるようになってきたじゃないか、少し好転しているのではないか。あるいは、財政再建推進プランの目標の七割の財源確保ができたのではないか、こういうような主張がなされた、こういうことなんですね。
 そして、よくわかるわけなんですけれども、今回この労使の交渉の結果、十一月二十日でしたっけ、妥結をいたしましたということの結果として見ると、そういった理の上からいうと、今述べました、財政的な問題は若干好転をしていますよということについて、東京都がこれを認めたということになりますか。財源不足はほかのところで調達しますよということも一方であるので、今回は継続を一たん見送って仕切り直しするというふうに知事はいっているわけですけれども、都側としては、こういったものについて、これはなるほどそのとおりですということで認めた、そういう形になりますか。

○尾井勤労部長 平成十四年度以降の都財政でございますが、これについては極めて厳しいというふうに認識しております。来年度の都税収入は、今年度予算に比べまして、三千億から四千億程度の大幅な減収が想定されることに加えまして、バブル期以降大量に発行いたしました都債の償還が始まる。そのほかにも、社会資本の更新経費の増大ですとか、隠れ借金の存在ということで、大変大きな負担となって、今後の都財政を圧迫するものというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、都財政の厳しい状況は今後も長期にわたって続くという厳しい観点から、内部努力については今後とも検討していく必要があるというふうに考えております。

○織田委員 そうすると、財政的には非常に厳しいですよという認識は変わっていない。変わっていないのに、給与の問題については、この措置を一たん解除しますよということになった理由というのは、二年前の約束、これを重く見たということなんだろうと思うんですけれども、それでいいんですか。

○尾井勤労部長 私どもは、そういった厳しい経済環境あるいは財政状況のもとで、給与削減措置の延長について、延長すべく厳しく対応してきたわけでございますが、今回の交渉の中では、繰り返しになりますけれども、前提となる財政再建推進プランについて見ますと、二年間で七割達成という数字が公表されておりますし、十二、十三年度はプランの予測を超える税収増がございました。そういう意味では、財政再建団体転落の危機からはとりあえず免れているということでございます。
 それと、来年度カットを実施している他府県といいますのは三県のみでありますし、国家公務員についてはカットということについて何らの動きがないといったような、都がさらにカットを続けるという背景に対する応援といいましょうか、追い風がなかったということもございます。
 それと、四千億円の十四年度における税収減の見込み、これも現時点では見込みということでございますし、この二年間のカットを決めた前提となります再建推進プランの見込みの値に戻った、数値に戻ったということで、給与削減措置を延長する理由の決定打にはならなかったということでございます。
 それと、十三年度現在、三千億円程度の基金残高があるということで、これに加えた臨時の財源対策としての必要性、そういったものも二年前に比べれば希薄であったというふうに考えたところでございます。

○織田委員 お答えはそういうようなことしか返ってこないとは思いますが、他の自治体がやっていないからとか、国がやっていないからとかいうのは、私は判断基準が違うと思います。東京都の財政状況というのはあくまで東京都の固有の問題でありまして、東京都の運営というものを基軸に据えて、そして東京都民、そういったことでやはり判断を下していく。隣がやっているからうちもやらなきゃいけないかというのは、極めて日本的ではあるんですが、そういうことを基準にするということは、勘案していても、表立ってそういうことが理由になるというふうには思われないと思います。これは私の個人的な意見でございますので、いいんですけれども。
 さて、そしてその中で、昨日、一昨日と本会議で質問があり、これに対して知事もいろいろ答えておられますが、どうも要約をしますと、今回ここで一たん妥結をしたというのは、今後より厳しい状況になったような場合に、再度協議をして、やりますよということですね。そして労使の関係ですから、本当は強硬にいきたかったんだけれども、そういった面も考えると、ここは一たん兵をおさめてと、こんなようなニュアンスのことだったと思うんですけれども、その後、再度協議をする、複合的に協議をすることを条件に、ごく近い将来での労使合意による解決という選択をしました、こんなようなお答えを知事がされているわけですよね。これの意味するところというのは、前提がついていまして、財政の動向を見てという前提がついておりました。これは知事に聞いてみなきゃわからないことかもしれませんけれども、まず財政の動向を見て、組合側に話を持ちかけますよというふうにおっしゃっている。
 では、財政の動向のどういうところを判断して、あるいは具体的にどういうふうになったらこの協議を持ちかけるというふうに我々は受けとめればいいのか、教えていただきたい。

○尾井勤労部長 財政状況を勘案しということでございますが、これにつきましては、例えば、景気の悪化などによりまして都税収入の大幅な落ち込みが確実に見込まれると同時に、経済状況の好転が期待できない場合など、都財政が著しく悪化し、財政再建推進プラン以上にかなりの取り組みを行わなければならない必要性が明らかになったとき、こういったときなどが考えられると思っております。

○織田委員 そういうあいまいなことじゃなくて、もう少し、こういうふうになったらこうですよということをいわないと、それは交渉する側も困るんじゃないかと思いますね。
 では、もっと端的に聞きますが、ごく近い将来での、とあります。ごく近い将来というのはいつごろなんですか。どういうふうに受けとめたらいいんですか。

○尾井勤労部長 給与カットという措置でございますが、これはいわば超法規的な措置ということでございますので、実施に当たりましては、実施の理由ですとかその内容、あるいは実施に至るプロセス、特に労使協議を尽くしたかどうか、こういったことが問題になりますので、これを十分なものにしておく必要があると考えております。
 こういう状況でございますので、再度、給与削減措置を職員団体に提案するためには、職員団体と協議をいたしまして合意に持ち込めるような、給与カットが必要な合理的理由、特に財政面からの理由ですとか内容、手順、こういった周到な準備、計画が前提になると考えてございます。
 したがいまして、都財政の動向などを見据えた上で、今後の都財政の危機にどう対処していくか、財務当局を初め関係局と詰めながら、給与カットについて、その位置づけあるいは理由を明確にして、改めて職員団体と協議をしていきたいと思っております。

○織田委員 知事は、来年度にも間に合うようにということをおっしゃっていますね。来年度に間に合うって、ごく普通に考えますと、来年度というのは来年の四月から始まるわけですから、そうすると、年内にも協議しますよという意味ですか。あるいは、一月、二月、三月ということなんでしょうか。

○尾井勤労部長 給与削減措置は、ただいま申し上げました繰り返しになって恐縮ですが、超法規的な措置でございまして、実施に当たりましては、合理的理由ですとか内容、手順等、周到な準備、計画が前提となると考えております。都財政の動向などを見据えた上で、今後の都財政の危機にどう対処していくか、財務当局初め関係局と詰めながら、給与カットについて今後検討していく必要があるというふうに考えておりますので、具体的な時期については現時点では申し上げられないというふうに考えております。

○織田委員 それともう一つ。知事はいろいろなことをいっています。より厳しい提案とか、五%になるとかいうようなお話まで飛び出してくる始末でございまして、そういうことになりますと、今回一たん兵を引いて、全庁一丸となって難局に取り組んでいくためのそういう環境というものをしっかりつくっていこうという、本来の達成すべき目標というのが、知事の発言を聞いている限り、本当にできるのかなという気がしないわけでもないんです。
 私は何も、一方的にカットせいとか、あるいはするなとかいうことではなくて、三つ条件があるんだろうなというふうに個人的には思います。
 一つは、労使の問題ですから、今いいましたように、全庁的に一丸となってやれるようなそういう環境のもとでなければいけないな、これは達成するべきものの一つとしてあろうかと思いますが、同時に、都民の納得が得られるというような、納税者の納得ということも一つ重要なファクターとしてあります。
 そしてもう一つ、労使の納得ということは、恐らく東京都が経営者、労働側は働いている勤労者でございますから、そういった人たちの生活も一方ではやはり考えていかなければならないと思うんです。先ほどもお話が出ておりましたけれども、警察官なんて本当に、上層部は国家公務員で何のカットもなし、末端で汗水垂らして働いている方はどんどんカットされるというようなことがあること自体、これはなかなか我々にとっても何ともいわくいいがたいものがあるんですよ。そういうことを考えると、知事の真意というのはどうなんだろうかというふうに思わざるを得ないんですね。
 ですから、例えば四%カット継続というようなことがもし出た場合に、恐らくいろいろな声が職員団体からも上がってくると思いますよ。そういうような声が一方でそちらの方に届いているのではないかと思うんですが、そういった声はどういうものがあるのか、念のために、その辺のところをちょっと教えてくれますか。

○尾井勤労部長 今回の厳しい交渉の過程で、やはり四%カットの問題についての職員の厳しい状況というのは、私どもにも表明されているところでございます。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○尾井勤労部長 申しわけございません。具体的な例を申し上げます。
 「都政新報」という新聞のコラムのところでございますが、ちょっと読ませていただきますと、「暗いニュースが多いなかで最近の朗報である。私たち職員の率直な気持である。今年の賃金闘争は、石原知事が早いうちから、マスコミを使っての『四%給与削減延長』発言に端を発し、市町村協議会での『労使協議の変な文書』発言を含め、『労使合意』『労使交渉』否定の強硬的な態度で、五十数年間築いてきた都労連との信頼関係も『これで決裂か』と思われる緊迫した事態をむかえた。ストライキ前日まで組合役員は『一〇〇%ストライキは必至』と職場を駆け回り、新宿都庁舎移転後初めての二時間スト突入寸前の様相だった。が、スト前日の深夜に石原知事が急転直下強硬態度を翻した。何がそうさせたのかは分からない。前にこの欄で、私は都労連に『要求の正当性と闘いの大義をもって、へたな妥協をしないで、がんばってほしい』とのエールを送った。都労連が、最後まで原則的に闘い、職場組合員も信頼してがんばったからこの到達点を築いたと思う。しかし、六年越し協議の『成績率の導入』は『削減延長と成績率のセットでの解決』から、やむなきに至った。私はこの間の闘いを、次の四点で評価したいと思う。第一は、生活苦に喘いでいる職員と家族の生活の実利をなんとか復元できたこと。第二に、職員の士気に少なからずプラスの影響を及ぼしたこと。第三に、五十数年間続いた都当局と都労連の『労使の信頼関係』が守られたこと、第四に、職員や管理職も含めて懸念していた『都庁内民主主義』がかろうじて守られたことである。ただ、一言つけ加えると、人事委員会勧告制度をふまえれば、特別職を除いて管理職の給与削減継続は、極めて不当な措置であり、職員と同様に復元すべきだった。都政の第一線の職場で末端の管理職は、われわれ職員と同じように共に苦労しているのだから。『人勧制度』否定態度の石原知事のもとで、『給与削減の再提案』『成績率の拡大』など依然として予断を許さないが、この間の職場からのエネルギーは都政と職場の民主主義に、今後大きな影響を及ぼすことを期待したいものである。」こういったコラムの記事が掲載されているのが、一つの例と思っております。

○織田委員 そういうご意見も一方ではある。同時に、そうではないという意見も、これまた町へ行けばたくさんあるわけですから、そういう中での判断というものについては、理由と根拠というものをきちっと示した形でなければ、我々都議として、都民の負託を受けて議会に臨んでいるわけですから、容易に納得ができないというか、慎重に見きわめていかなければならないというようなことであろうと思っているわけです。
 ただ問題は、私、懸念するのは、例えば、今お伺いしたところでは、財政的に将来的な見通しというのはどうなるか、確たるものではありません、そういう中で今回妥結に至ったというような形になった場合に、これは、都側にとっても労働側にとっても不幸な結果しか呼ばないような気がしてなりません。やはりこういうものはもう少し明確に、双方がきちっと折り合いがつく形でのものが望ましいのではないのかなというふうに思います。
 いずれにしても、納税者である都民は、文字どおり今の冬の時代そのものであります。財政の先行きも不透明のままであります。これをそのまま、納得のできる説明がなくて元に戻すというのは、果たして都民の理解が得られるのかどうか、大いに疑問という印象を受けるわけであります。今回のこの問題につきましては、私どももよく検討をして、どういう判断を下すのか、さらにまた議論を重ねてまいりたいということを表明いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○古館委員 今、質疑があったんですけれども、私ども、今の状況というのは、本当に全国的にも、とりわけ東京都の都民の生活実態の大変さというのは、本当に筆舌に尽くしがたいような状況にあるし、自殺も本当に多くなっているというのは、この間も代表質問で質問させていただいたところです。
 それで、この給与の問題についてですけれども、最初にちょっとお尋ねさせていただきたいのは、委員会の要求資料の五ページに、民間企業と公務員の賃上げ状況の推移というのがありますが、これをもう少し説明してもらいたいと思います。

○尾井勤労部長 民間賃金の賃金水準の推移でございますけれども、ごらんのとおり、全国、都内ともほぼ横ばいで推移しているというふうにいえるかと思います。平成十一年度は、所定内給与あるいは超過勤務労働のいわゆる時間外手当、これらがともに減少しているということでございます。
 それから、賃上げの状況について見ますと、こうした厳しい社会経済情勢のもとでも、引き上げ率は下がってきておりますが、いずれの調査におきましても、民間では賃上げがなされている状況にあるということが読み取れるかと思います。

○古館委員 この中で、例えばこの間、十二、十三と非常に状況も厳しいといわれている中で、五百人以上の規模の民間を見ましても、十二年度が六千四百何がしの賃上げですね。十三年度も六千四百円近い賃上げ。それで、人事院というんですから、これは国家公務員ですが、ここも引き上げ額が非常に少なくて、幅も、民間が約二%前後の賃上げをしている中で、人事院、国家公務員ですね、ここは〇・〇八%。それで、東京都の人事委員会では、ここで資料で見ますと、横線というのはどういう意味でしょう。

○尾井勤労部長 資料の一番下のところでございますが、東京都人事委員会の勧告におきましては、十三年度につきましては、調査の結果、民間と公務員賃金の間に若干の格差が見られましたものの、非常にわずかな差であるということで、人事委員会の判断といたしましては、おおむね均衡しているという形で報告がなされております。

○古館委員 違います。均衡しているんじゃなくて、これは賃上げ率、賃上げ額ですよね。横線というのは、これはマイナスということを意味しているんじゃないですか。それはどうなんですか。均衡とかそういうことじゃないですよ、これは。賃上げ額だもの。

○尾井勤労部長 十三年度のバーのところでございますね。これは、今申し上げましたとおり、人事委員会の勧告におきましては、給与引き上げの勧告がなされておりません。その理由が、先ほど申し上げましたようなことでございます。

○古館委員 つまり、こういう状況の中で、なぜ人事委員会勧告というのがされているんでしょうか。ちょっとその基本的なことを教えてもらいたいんですが。

○尾井勤労部長 人事委員会勧告の制度は、地方公務員法に基づいて設けられている制度でございまして、公務員について労働基本権が制約されている、こういう制度上の制約の代償措置として設けられたものでございます。したがいまして、人事委員会が調査をした上で、公務員の勤務状況については必要な勧告ないし報告を行う、こういう制度であるというふうに承知しております。

○古館委員 いわゆる勧告というのは、どういうときにやられますか、人事院にしても人事委員会にしても。それを教えてほしいんです。

○尾井勤労部長 人事委員会の勧告でございますが、これにつきましては、地方公務員法の規定によりまして、現業職員のうち、監督者及び行政事務を担当する者を除く職員以外に対しては、人事委員会が職員の勤務条件や給与について勧告及び意見の申し出をすることができる、こういうことになっております。

○古館委員 これは、民間よりも格差がある場合に、例えば人事院勧告だと五%だとか、それから人事委員会の方でも、そういうふうに民間の企業と比較して格差がある場合に、是正の、というか勧告をするわけですね。それが人事院あるいは人事委員会の勧告だと思うんです。
 そういう中で、きょうの私の質問は、もう一つ質問させていただきたいと思うんですが、地方自治体で雇用されている職員は、今もご答弁がありましたけれども、労働基本権などが大幅に禁止されたり制限されています。この代償措置として、国の場合は人事院の給与勧告制度というのがあって、地方自治体にあっても、都道府県とか政令市、それから人口十五万以上のもの、特別区などには人事委員会を置くことができることになっているんですね。
 人事院も、基本的には人事委員会もそうなのですが、民間賃金との格差、例えば国家公務員の場合には、今、私いいましたけれども、民間賃金と国家公務員の給与を比較して、五%以上の格差がある場合には給与勧告をすることになっています。
 地方公務員の場合は、大体国の方のあれにならしてきているというか、そういう五%以上というふうなはっきりしたものはないんですけれども、適当な勧告をすることができるとされているんですね。こういう状況の中で人事委の勧告はする、こういうような状況になります。
 賃金の引き上げ額から見ましても、この資料から見ても、例えばほかの民間企業が六千数百円のときに、東京都の職員の賃金引き上げは、十二年度で五百九十九円、十三年度では横棒というのは、引き上げ額がないのかマイナスなのかというふうに私は理解しているんですけれども、そういう人事委勧告がされていても、なおかつ実態はマイナスの給与という形になってきているんじゃないか。そういう状況があります。
 ですから、そういうふうな人事委勧告の問題から見ても、明らかに職員の給与というのは、労働基本権が制限されている代償という中で、こういう人事委勧告制度があるわけですから、だから、知事や議会などが独断的に決めるという性格ではないという問題も、これは第一点として確認しておかなきゃならない問題だと思います。
 同時に、労使が協議して--労使のあり方というのは、今いろいろ議論があったところでありますけれども、しかし、労使合意というのはこういう中にあっては非常に大事なものでありまして、そうした合意した事項に対して、議会はそれを尊重するというのが、私ども第二点で押さえておかなきゃいけないかなと思っております。
 第三番目に、では、財政難の根本的な原因というものについてですが、根本的に、職員の給与があって財政難の原因があるのかといえば、それは、先ほどからるるご回答があるように、都債残高が八兆円近くにもなる、バブルのときに一兆円余の都債発行があって、十年償還ですから、ちょうどこれからそれを返済する時期が来る、だから年間借金返済が、七千億だとか八千億だとかというオーダーで返さなきゃならない、そういうのが非常に大きな財政逼迫の要因になっていることは明らかなんです。
 そういうような状況などを勘案して、やはりそういう総合的な視点から見ましても、職員給与については二重、三重に合意事項を尊重しなければならないということを申し述べさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
 今度の百九十六号議案で、公益法人等への都職員の派遣等に関する条例というのが出されております。
 そこで質問しますけれども、公務員とは、地方自治の本旨を全うする上で、その実現の土台をなすものだというふうに私は考えますが、この点についてはいかがですか。

○山内人事部長 地方公務員は、その職務の遂行を通じて住民サービスの向上に努める、常に努める責務がございまして、これに基づく行為の積み重ねが、地方自治の本旨の実現を支えることになると考えております。

○古館委員 今、いわゆる地方自治の本旨の実現を支えることになる、こういうふうにご回答がありました。
 それで、地方公務員法の第十五条、任用の根本基準という条項ですが、ここでは、公務員というのは、地方自治の本旨を実現するために、試験をパスして公務員になる、こういうことが書かれているわけですよね。それで、その公務員を本来業務から離すということは極力避けなければならない、私はこのように思いますが、この点についてはいかがですか。

○山内人事部長 地方公務員は、基本的には任用された地方公共団体の業務につくことになりますが、公務員だからといって、当該地方公共団体以外の業務を行ってはならないということはございません。当該地方公共団体の事業の円滑な推進を図る目的などから、職員を外部の業務につかせる必要性が生じることはあると考えております。
 今回の派遣法の制定も、こうした考え方のもとに、派遣手続の透明化やルールの統一化を図ったものと理解しております。

○古館委員 実際にそういう形でやられておりますので、そこの問題については、事実については否定しませんが、やはり東京都の職員の試験というのは非常に難しいというのが評判なんです。そういうところ、やはり公務に公僕として頑張りたいという思いでこの公務員試験をパスして、東京都の職員なら職員になる。ですから、これが本来業務だというふうに思うんですね。
 そのことを押さえた上で、次に聞きますが、全国では、第三セクターというところに対して大体どれぐらい派遣職員がいるかというと、三万九千六人というふうに現時点で出されております。こういう意味では、職務専念義務というのが公務員には当然ありますが、これを免除して公益法人等への派遣をしているわけです。東京都の中で、この職務専念義務を免除して公益法人等への派遣、これは現状どのようになっているでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○山内人事部長 これまでは、公益法人等への派遣に対応する法律がなかったため、都では、職員の派遣が必要となった場合には、その職員の職務専念義務を免除いたしまして、都の身分を有したまま派遣するという方法をとってまいりました。
 現在のその派遣の状況でございますが、平成十三年十一月一日現在で、公益法人等八十八団体、三千八百二十二人、営利法人、基本的には株式会社でございますが、二十四団体、六百一名、その他二団体、四名、合計で百十四団体、四千四百二十七名の派遣を行っております。

○古館委員 これは、ですから定数外の職員ということですね。今もご答弁がありましたけれども、百十四団体で四千四百二十七人の派遣が行われている。今回改めて、法律がなかったものを、法律化したわけですよね。その上で今、条例が提案されてきているわけですね。
 この際に、職員をそのように職務専念義務を免除して、ほかのところの団体に派遣する際に、派遣職員本人についての派遣の際の同意権というのはあるんでしょうか。あるとすると、そうした周知はどのように保障されるのでしょうか。

○山内人事部長 今回の派遣法では、任命権者は、職員の派遣の実施に当たっては、あらかじめ当該職員に派遣に関する取り決め事項を明示いたしまして、その同意を得なければならないとされております。
 なお、これまでの派遣におきましては、派遣される職員が、職務専念義務の免除申請と兼業許可申請を任命権者に行うことになっておりまして、この手続をもって、本人の同意の意思表示と見ております。
 また、今回の条例による職員の派遣でございますが、職員への周知につきましては、各局、各団体に対する説明会を実施するとともに、派遣の手続に関する規定など、庁内の電子掲示板、これはTAIMSでございますが、これなどに掲示するなどしまして、職員への周知を図る予定としております。

○古館委員 これは今までは、お答えだと、免除申請という書類、そういうものを書いたことが同意だと、意思表示だというふうに解しているわけですよ。だけど、今回、法律として、同意権というのがきちっと明記されたわけです。だから、そこの部分については、今までと違い、本人に対して、同意権がありますということはやっぱりきちっと述べるというのが最低限のあり方だと私は思いますので、このことを強く要望しておきたいと思います。
 それで、次ですが、都はこれまでも民間企業等に派遣しているんですけれども、この問題は、派遣等に関する条例ができたことによって、かえって野方図に派遣になってしまうのじゃないか。法律ができたということによって、そういうことがどんどんされていくということにはならないでしょうか。いかがですか、この点については。

○山内人事部長 今回の条例案は、職員の派遣に関する統一的なルールを確立するとともに、その手続の透明性を確保しようというものでございます。したがって、制度ができたからといって、職員の増加に直接的に結びつくことはないと考えております。
 公益法人等の業務に職員が専ら従事することにつきましては、今後とも、その必要性等について慎重に判断した上で対応していくこととなると考えております。
 また、平成十二年の十一月に策定した監理団体改革実施計画でございますが、ここでは、都の派遣職員を、平成十一年度と比べまして、平成十五年度までに九百四十人ほどの現職派遣の削減を行うということにしております。

○古館委員 それで、今回提案されている条例案の第二条の2で、どういう団体に派遣するかという項目がありまして、その中の一つに、「地方行政に資する事業を広域的に行っている団体」とあるんですよね。つまり、地方行政に資する事業を広域的に行っている団体。だからこれは、解釈のしようによっては、どうにでも解釈できるようなことになりはしないかと私は危惧をしているのですが、これは具体的にはどういう団体を指しているのでしょうか。

○山内人事部長 代表的なものといたしまして、例えば首都高速道路公団、都市基盤整備公団、日本下水道協会、全国知事会などでございます。

○古館委員 私の手元に、ちょっともらった資料なのですが、この間、平成十年度と十一年度の間で、公益法人への派遣が千四百人ぐらい多くなっているんです。何でこんなに急に公益法人への派遣職員が、二千三百八十五人から三千七百八十九人と多くなったのでしょうか。

○山内人事部長 平成十年度から十一年度までに、どうしてふえたのかというお尋ねでございますが、この平成十一年度に、直営事業であります社会福祉事業、福祉局でやっておりました社会福祉、障害者関係の施設とか、それから児童施設でございますが、そういったものが、社会福祉事業団という形で設置された団体に移りましたので、そのことによって現職派遣が大幅にふえたということでございます。

○古館委員 それで、今いわれた人数が非常に多くなった理由は、この間、社会福祉事業団へ、千数百人ほどの職員がそういう中で派遣されたわけですが、今まで全国で、あちこちで裁判がやられたんですね。それは結局、法律も何もないのに派遣をして、しかも東京都は、東京都が職員派遣のための費用まで出すわけですよ。それに対しては違法だと、全国あちこちで裁判が起こっているわけです。
 そこの問題で私が非常に気になることというのは、同一視できない業務での職員派遣、つまり公務との同一性ですね。この基準、派遣先団体の適否を判断する上で、この同一性を持っているか持っていないか、そこは非常に重要なメルクマール、いわゆる指標だと考えますけど、この問題についていかがですか。

○山内人事部長 今回の派遣法では、派遣対象団体の要件といたしまして、地方公共団体の事業と密接関連性があるもの、それと、地方公共団体から見た人的援助の必要性といったものが規定されております。これが対象団体を決める上での基本的な基準であると考えております。

○古館委員 今までも結構、三セクなんかに職員が派遣されているんですよね。ちなみに聞きますが、臨海関連の三セクには、どれだけの団体に職員を派遣しているでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○山内人事部長 平成十三年十一月一日現在で申し上げますと、四団体に百八十七名を派遣しております。内訳でございますが、東京臨海高速鉄道五十八名、東京テレポートセンター二十三名、東京臨海熱供給六名、「ゆりかもめ」百名でございます。

○古館委員 こういうような実態が--まあ、きょうは条例の問題について聞きますので、この問題のあり方については改めてご質問させてほしいと思っているんですが、つまり、そういう臨海三セクなんかに職員がどんどん派遣されていく、そういうのは、表としては、東京都の職員としてはカウントされないという部分が結構あるわけですね。
 同時に、私はどうしてもここで強調させてほしいのは、都の職員派遣状況を見てみますと、さっきいった社会事業関連もそうなんですが、都の都合だとか方針によって、従来、都の直営事業であったものが、外郭団体として派遣になったものがあります。そういうものの団体名と職員数をお示しいただきたいと思います。

○山内人事部長 都の直営事業であったものが外郭団体となったものといたしましては、昭和五十六年の東京都老人総合研究所、同じ年でございますが東京都神経科学総合研究所、東京都精神医学総合研究所、東京都臨床医学総合研究所、これは全部五十六年でございます。それから、平成十一年の東京都社会福祉事業団でございます。
 東京都神経科学総合研究所、東京都精神医学総合研究所、それから東京都臨床医学総合研究所は、その後、平成十一年に東京都医学研究機構となりまして、一つに統合されております。現在の職員数は三百十三名でございます。また、東京都老人総合研究所は現在百五十五名、東京都社会福祉事業団は千六百四十九名でございます。

○古館委員 今の、私も評議員をさせていただいていて、板橋の東京都の老人総合研究所、これが老人医療センターと一体となった。よく三位一体の施設といわれるのですが、これは世界的にも有名な研究を行っている。これは医療関係、医学関係でもそうなんですけれども、この派遣というのは、年度がありますよね。何年という派遣になっていますか。

○山内人事部長 今回の派遣法においては、基本的に三年でございます。

○古館委員 つまり、こういうところは、東京都の直営の事業であったものが、いわゆる派遣団体という形にされたわけですね。ところが、研究者ですから、得がたい職員でもあるわけです。そういう場合に、三年、あるいはちょっと長くなって五年というのがあります。そういう問題で、改めてこれはお伺いしたいんですが、先ほどの答弁で、東京都の四つの医学系の研究機関に五百名を派遣しています。こういう場合、研究ですから継続性が必要だとか、そういう部分というのはかなりあるわけですね。いろんな専門的資格を持っている職員を派遣する。ところが期限が来る。そういう場合の身分保障とか、派遣期間が切れた場合、この問題についてはどういうふうに、法律ではどうなっていて、条例ではどうなっているのか、また、そういう問題についてどのように保障されるのか、ご答弁いただきたいと思います。

○山内人事部長 公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、今回の派遣法と称している法律でございますが、この適用について、平成十二年七月十二日付で総務省から通知が出されております。
 その中で、派遣期間が満了した職員については、再度の派遣を行わないこととした場合に地方公共団体の施策推進が著しく損なわれる場合には、職員派遣の手続を改めて行った上で、再度職員を同じ団体に派遣することもあり得る、と通知されておりまして、これに基づき再度の派遣はできるものと考えております。
 なお、その際に改めて本人の同意を取りつけた上で手続を行うことになると思っております。

○古館委員 終わります。

○樺山委員 先ほど、矢部委員、それから織田理事から、今回の給与カット関係の条例についての非合理性を、かなり広範に指摘するご発言があったわけでございます。
 私は、極めて素朴な思い、この問題に対する都民感情ですね、都民の皆様方はどのようにこの問題を把握し考えておられるかという、いわば原点に立ち返って、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 もうご案内のとおり、昭和六十二年説、あるいは平成三年説、いろいろあるわけでございますけれども、構造的な不況が延々と続いて、全く出口が見えない。私たちもこれまで、いろいろな会合、集会にお招きいただくたびに、来年こそはよくなりますよ、来年こそは何とか出口を見出すために我々も一生懸命頑張りますから、皆さんも耐えて耐えて耐え抜いてくださいというようなお話をもう延々としてきたわけです。
 ところが、現実は全く出口が本当に見えない。あえていえば、都内のとりわけ商工業者、中小企業がまさに塗炭の苦しみにもがき、あえいでいる。こういった時期にこの条例が出てきたということが、すべてを物語っているわけでございます。
 ことしに入ったって、年明けの新年会から、春先も各種団体の総会等々に呼ばれて、いろんなお話を伺うわけでございますけれども、そのすべてが景気の話ですよ。もうどうにもなりませんと。どこがつぶれて、どこが危ない。そして、きのうはあの会社が夜逃げしました。だれもいなくなっちゃいました。突然いなくなっちゃいました。そんな話ばかりなわけですね、現実は。
 私たちは少なくとも都会議員として現場に出ている人間でございますから、その肌のぬくもりもわかれば、もう冷め方もよくわかる。こういった立場の私たちが、今、現実に把握している状況というものは、率直に申し上げて、皆様方が机の上で思い描いているようなこととは全く違う。このことをどうぞまずご認識いただきたいと思うんです。
 私は葛飾区が選挙区でございます。木村委員も同じ選挙区なわけでございますけれども、一つの例を挙げれば、葛飾の代表的な地場産業にメッキ業がある。これはかなり伝統的で、かつ高度な技術に裏打ちされた、葛飾区が誇るべき産業の一つなわけでございますけれども、十年前に比べると半減しているんです。半減どころかもう半分以下になる可能性すらある。それが、正直にいって、転職をしたい、あるいは引っ越したい、そう思ってもできない。というのは、土地が担保にならないんですね。あえていえば、環境基準が厳しくなっちゃって、メッキ屋さんの跡地というのは銀行が振り向いてくれないんです。価値がない。値段がつかない。要するに土壌汚染だと、こういうレッテルを張られて、それを取り戻すためには、相当多額のクリーニングをしなきゃいけない。それは途方もないようなお金がかかるようです。したがって、にっちもさっちもいかない状況の中にあって、正直いって、もうどうやって年を越していいかわからないという人が、失礼ないい方ですが、ごろごろいらっしゃるわけです。
 その方たちとお話をしていて必ず出てくるのが、このことなんですよ。お役人さんはいいですねと。もっというと、樺山さんがうらやましいなんていう話が出てきちゃう。四年間保障されちゃったと、選挙で。私たちはもう、あした保障されていないんです、この十二月、年を越せるかどうかわからないと。こういう極めて不安定な状況にあって、役人はうらやましい。役所はうらやましい。これはもういわゆる一般商工業者、零細業者、あるいは一般区民、市民、都民の偽らざる思いなわけです。
 そういった状況ですから、例えば、たった一人の都バスの運転手の募集に、三百人も四百人も応募が出てきちゃうという異常事態が現実に起きる。しかも、その大半が、大手のバス会社で現業でバスを毎日転がしている優秀な運転手さんがほとんどだというんですよ。これは、何百倍という倍率にかけて、それでも都庁マンになりたいと。
 そういう現実があって、世間はやっぱり役所というものをそういう目で見ているんです。これもいい方は悪いですけれども、親方日の丸だ、安定している、うらやましい、もう一生大丈夫だ、役人になればすべてが保障される。都民にこういう先入観があるということを、今回の問題に関して、都庁の職員はまず持たなきゃならない。したがって、このようなことが起きてくると、改めて役人や役所というものに対する都民感情というのが沸騰するわけです。私たちは歯を食いしばって頑張って、我慢して、夜明けが来るのを必死になって待っている。そこに、給与カット、二年間とはいえやられて、当然継続してくれるものだと思っていたところが、現実は、もとに戻す。全く相入れないですね、今の都民の皆様方のお気持ちとは。
 実は、おととい、私、改選後初めて、かなり大きな都政報告会をやりました。六百人ぐらいの方にお集まりいただいたわけでございますけれども、そこでこのお話をさせていただいたら、実はもう大変な反応が起こったわけです。樺山さんの話を聞いていて、これは当然、石原さんのやることだから、この話はもっともっと二年も三年も長引かしてくれるのかと思っていた、あるいは極端なことをいえば、もうちょっと下げてくれるのかと思っていた、ところがそうじゃなくて、もとに戻すと。耳を疑ったというんです。
 これは、いろんな物の見方があるんだろうと思いますけれども、とりわけ石原都政というものに熱い期待を抱いて、何かを変えてくれるに違いない、とりわけ都庁の内部努力というのを声高におっしゃっておられる知事だから、いかに約束事であるといえども、まさか、一たん決めたその条例をもとに戻すということは考えられないというお声なわけです。翌日は、事務所の電話も久しぶりに朝から鳴りづめだったようであります。いろんなご意見が来たようであります。
 そういった状況の中で、中小企業は賃金カット当たり前、ボーナスなんかほとんど出ないです。ボーナスが出るところなんていうのは、本当にみんながうらやましがっている。今はもうただひたすら生き残りをかけて必死の戦いを、各企業等が連日、この暮れに歯を食いしばって続けているわけです。倒産件数も増加の一途、失業率も過去最悪、社会情勢、経済情勢のどれを見ても、よくなっているという状況にない。むしろ状況はますます劣化、悪化の一途をたどっているわけであります。
 このように都民が本当にもがき苦しんでいるときに、都民の税金によって支えられている東京都職員の給与がこのままでいいわけはない。都民の信頼を得て都政を進めていくことを重視すれば、この都民感情にもとる行為というのは、今後の都政運営上、展開上、明らかにマイナスになるだろうというふうに思わざるを得ないわけでございます。しかも、都庁職員の給与がいわゆる条例で決まるということを考えれば、最も都民の納得する形で条例案を上げるのが都の役割であって、また、私たち議会の責任でもあるわけでございますけれども、今回の都の措置は、これを怠ったものだといわざるを得ない。
 したがって、今回の措置を決定する過程で、社会経済情勢の厳しさを反映した都民感情というものをどの程度お考えになっておられたのか。まず率直にこの点をお伺いしたいと思います。

○尾井勤労部長 今、先生の方からいろいろございましたように、過去最悪の失業率など、都民を取り巻く社会経済情勢は大変厳しいということは、私どもも十分認識しているつもりでございます。したがいまして、特別職、管理職については引き続き給与削減措置を継続するということにした次第でございます。
 一般職員の給与削減措置でございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたが、人勧制度のもとでいわば超法規的措置ともいえるものでございます。これにつきましても、今回の合意の中では、都財政のいかんによって給与削減措置について再度協議することを、組合との間で確認したところでございます。
 これに加えまして、より効率的な都政運営を推進するための、いわば質的な内部努力といたしまして、一般職員へのボーナス査定制度を導入したところでありますし、さらに、平成十五年度までの五千名の定数削減計画の確実な実行に努めてまいりたいというふうに思っております。

○樺山委員 今、人事委員会の勧告のお話が出ましたが、伺うところ、今度の勧告に当たって、調査対象事業所は、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上と限定しているということでございますけれども、これはいつからこういった取り扱いになったのか、教えていただきたい。

○尾井勤労部長 今の人事委員会の行う給与調査でございますが、これは国との共同調査でございまして、調査対象につきましては、各都道府県等の人事委員会と国の人事院とが、全国一律の基準として定めているものでございます。
 なお、現在の企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上、この基準につきましては、昭和三十九年の仲裁裁定の際に、当時の総理大臣と総評議長とのトップ会談で決まったものだというふうに聞いております。
〔「カビが生えたような話だな」と呼ぶ者あり〕

○樺山委員 要するに、今いみじくもお話がございましたけれども、かなり古い話。と同時に、倒産した企業や失業者の状況は全く反映していないわけですね。人事委員会が給与勧告に際して行う民間の給与調査というものは、いわゆる厳しい状況に置かれている中小零細企業を調査対象とはしていない。厳しい企業努力によって辛うじて生き残った商社と公務員との比較だけに基づいたものにすぎないのではないか。これで実際に公務員の給与は民間均衡だといえるのかどうか。その辺も非常に率直に疑問に思うところでございます。
 私は、現在の人事委員会制度のもとでの給与決定の方法では、真に都民が納得できる給与とは到底なり得ない、こういうふうに思っておりますけれども、ちょっとご見解を。

○尾井勤労部長 人事委員会による給与決定方式についてでございますけれども、いろいろご指摘のあるところでございますが、統計的な手法を用いました客観的な民間企業を対象とした調査に基づくものでございまして、基本的には都民の納得をいただきやすい方法であると考えております。
 ただ、時代の変化という点を踏まえれば、民間では、年功制から成果主義へと給与体系が大きく移行しているところでございますので、今後とも、都職員の給与に対する都民の理解をいただいていくためには、こうした点をより明確に反映する仕組みとしていく必要があるというふうに考えております。

○樺山委員 恐らく、これはもうやればやるほど堂々めぐりになるのだろうと思うんですが、少なくとも今後は、ほかの調査による民間企業の水準をやっぱり取り入れるべきだというふうに私は思います。ですから、このことを、この点については強く要望したいと思います。
 いずれにしても、職員給与については、議会の審議を経て条例で決まるという大原則があるわけでございまして、今回の措置を決定する過程で最も決定的に欠落していたのは、議会への説明なんですね。あるいは相談。なぜ、もっと細かに事前に各党の幹事長あるいは政調会等に説明がなかったのか。これが、問題をかなり根深く大きくしている一つの大きな根底だというふうに思うんですけれども、この点についてちょっと教えてください。

○尾井勤労部長 都政を運営していくにおきましては、当然のことながら、都民、議会の意向を踏まえまして、絶えず効率的に都民サービスを提供していくことが必要であることは、私どもとしても十分認識しております。
 今回は、給与削減措置を継続するという姿勢で、ぎりぎりまで労使協議を行い、最後まで合意点が不透明であった、こういう交渉過程でございましたので、結果的に議会へのご説明がおろそかになったというものでございまして、私どもとしても深く反省しているところでございます。

○樺山委員 私たちは、何ゆえに都議会議員として多くの都民の皆様方から都議会に送っていただいているか。一言ですよ。都民がお預けしている税金の行方、使い道、もっといえば予算の計画、執行をチェックしてもらいたい。私たちは、その負託にこたえなきゃならないという大変な責任があるわけでございまして、このことについて、今回の一連の経過を見ますと、ちょっと行政側で認識が不足しておられたのではないか、こういう思いを禁じ得ないところでございます。
 私自身は、鈴木、青島、そしてこのたびの石原、三人の知事さんに間近に接して、いろんな人となりや、あるいは物の考え方等をそれなりに理解してきたつもりでございます。特に青島、石原、この二人の知事の誕生は極めてドラスチックだったわけです。大政党の候補者をそれぞれ大差で破った。青島さんも、都民の大変な期待を背負って華々しく登場されたわけです。青島さんなら何かやってくれるかもしれない、こういう思いを都民が一心にあの人に託した。ところが結果として、青島さんは挫折をしました。その理由が那辺にあるのか。時間がありませんから、私はここでは論じませんが、そのまたかわりというと何ですけれども、青島にかけた思いを、都民は今度は石原にかけたわけです。石原さんならやってくれる。この基本認識とは、内部努力に対する期待なんですよ。都庁という大きな、もう想像もつかないような、こういういい方はまた語弊がありますが、伏魔殿に思い切ってメスを入れてくれるのは、やっぱり石原しかいないんだという思いで、石原さんに都民が熱い思いを託した。そして、我々が、あるいは都民が期待する以上の動きを、あの鋭い感覚でどんどんどんどん遂行していただいた。実は都民は快哉を叫んでおられるわけです。
 ところが現実は、この問題についていえば、ブルータスおまえもか、じゃないけれども、慎太郎さん、あんたもか、こういう思いに今都民がとらわれている。まさかと思ったけれども、一たん下げた職員の給与をもとに戻す、そういうことは石原さんならやるわけがないというのが、率直な思いなんですよ。ところが現実はそうじゃない。きのうも本会議で、知事はいろんなご答弁をされました。ちょっと不思議なお話もあったわけでございますけれども、今回の決定というものは、少なからず都民に衝撃を与えていることは事実でございます。
 そこで、きのうの知事のご発言にありましたけれども、私自身も不満だ、結果として都民がなるほどという形で必ず決着をする、こうはっきりいい切っておられる。まことに不思議なお話でございまして、最終決定した最高責任者は知事なわけです。その最終決定した最高責任者が、自分もこれをおかしいと思っている、この決定については不満だと。そして、結果として都民がなるほどという形で必ず決着するんだということを述べておられるということは、これはどういうことなのか。その整合性等も含めて、意味が率直に伝わってこないので、おわかりの範囲で結構ですから……。

○大関総務局長 実は私どもも驚いているところでございます。ただ、知事の強い思いが、やっぱり直接的なあの発言の中でああいう表現をされたのだろうと受けとめております。また、その意思がまだ強く残っているということに受けとめておりまして、これからどういう形で知事とまたお話し合いするかわかりませんけれども、調整しなきゃならないなという部分がございます。
 ただ、何といいますか、ぎりぎりまでああいう選択をするということに悩んだということ。お互いが大変激しい議論もしたわけでございます。それで、いわば来年度限りということで四%どうだということも、一つの議題としてあったわけでございます。その場合はもう再来年度以降やらないという選択肢も出てくるわけでございます。しかし、本当に大変なのは、これから先の十五年度以降であろうと、このような思い。それから、二年前に約束がある。それから、これまで懸案であるいろんな課題が残っている。人事制度の問題であるとか、給料表の改定の問題であるとか、成績率の問題であるとか、こういうものをやはりここできちんと仕切りをして解決して、新たな経営感覚のある都庁にまずして、それから、知事のもとで十八万人の職員が一つになって、一番厳しい状況に対処する、この選択の方がよいではないかと、こういうことでああいう選択をしたわけでございます。
 知事としますと、やはり四%といいますか、将来のことも大事かもしらぬけど、直接の効果のあるものといいますか、ことに対しては、やはり最後までおりていないものがあるんだと思います。
 ただ、今後は、長い目で、いわば人件費抑制のボディーブローが効いてくるような、そういう制度の仕組みですか、このことをしっかり組み立てをして、複合的という意味も、知事も恐らくそういう思いでいっていらっしゃるのだと思います。複合的な形で、単なる削減だけではなくて、定数の削減あるいは業務の見直し、そういうことを含めてしっかりした体制を組んで、みんな心一つにしてやっていこう、こういう思いであろうかと思っております。

○樺山委員 局長からご答弁をいただいたわけでございますが、要約すれば、都政の執行と遂行の根幹が、都民の都政に対する信頼がすべてだとするならば、今度の象徴的な件で、労使関係、これも大事だと思いますけれども、労使関係を重視するのか、それとも都民の感情、思いをより重視するのか、はっきりいえば、この二者択一の選択を議会も今迫られているわけです。
 したがって私たちは、このことについてはやはり都民の今の感覚、感情を第一に考えざるを得ないだろう、こういう思いで取り組んでいる。したがって、先ほど来、矢部委員、織田理事等からも、かなりその辺の懸念等も含めた鋭い質問があったわけでございますけれども、ここは、都民の負託を受けてここに席を持たせていただいている都議会議員として、当然の行動をとっていかざるを得ない。こういった思いであることを改めて述べまして、私の質問とさせていただきます。

○坂口委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時三十二分休憩

   午後三時四十五分開議

○坂口委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○臼井委員 私も、先ほどの先輩である矢部議員あるいは樺山議員と同じような質問をさせていただきたいと思います。
 石原知事は、危機に瀕した都財政の再建を大きなテーマとして、都民の絶大な支持を得て、今、行政に取り組んでくださっているわけであります。同じように、国の小泉首相も、構造改革、そして、この人ならやってくれるだろうという国民の圧倒的な支持を得て、頑張っておられるようであります。多少不人気であってもやり抜く、痛みはみんなで分かち合ってほしいと。石原さんと同じところは、両者が改革を目指して、この二十一世紀の初頭に、二十一世紀が長くもつように、大変な勇気を振り絞って今政治に取り組んでいるわけであります。
 したがって、我が東京都知事、石原知事は、財政再建、行財政の改革のために、財政再建推進プランを二年前に策定して、まず財政再建ということですから、入るをはかって出るを制すですね。したがって、その中では、最もやらなければならないことは、歳出をいかにして抑えるか。これの一番いい手は、やっぱり人件費に手をかけざるを得ない、ここに一番大きな財源が振り向けられているわけでありますから。その他、統廃合等をやられる、いろんな経常経費の削減もやる、これは当然でありますね。そして、もう間もなく、入る方の、いわゆる税制調査会の答申に基づく使用料、手数料、あるいは新税の導入、目的税の導入、こういうことも考えておられるわけであります。
 このことについては、都庁の全職員が一丸となってこれを押し上げていこう、そういうかたい決意をしているように私は承知しております。それゆえに、二年前には、職員も身を削って給与の削減条例に納得した、こういうことだと思います。石原知事のことでありますから、やっばりやるんだな、職員も本気なんだな、私はそういうふうに思ってまいりました。
 ところが、今回の特別職の条例については、我が自民党の中でもさまざまな意見があるし、異論も出てきております。これは一つ大変なことになったなあと私も思っています。石原さんともあろう人が、自分の意思を翻したですね。私は、ある文書によって翻したというふうに聞きました。先ほどの先輩の議員の聞かれた答弁の中では、労使双方で合意した文書の取り交わし、お互いに署名をした、そのことによって二年間の時限法ができたのだということは、よくわかるわけです。しかし、それだけで知事の意思が翻える文書とは思えない。知事の強いリーダーシップの意思でもって、この東京都の財政再建をやり、行政改革を進めようとし、職員の意識を変えていくんだということならば、多分この合意文書ぐらいで、当たり前の締結文書で、知事の意思が変わるはずがない。ほかに、知事の意思を変えるような文書があるんじゃないか。
 まず、一つ質問したいことは、どういう文書によって、どういう資料によって知事に説明をし、知事が、それではやむを得ないな、今回は管理職だけにしてもらおうかというような決断をしたのか。どういう資料でやったのか。先ほど説明されただけの資料で、知事がその意思を変える、自分の目的を果たそうとするその手法を変える、私はそういうふうには思えないのですけれども、いかがでしょうか。

○坂口委員長 速記をとめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○大関総務局長 若干インフォーマルの部分もあるものですから、私の方からお答えさせていただきます。
 文書というのは、先ほどの文書でございます。それで、知事は、あの文書はあるけれども、自分としては、あの文書を出す--何というんですか、二年前に、三年の計画の中での話であると。だから、一年まだ残っているはずだと。考え方としてですね。ですから、二年という約束はあるにしても、経済状況なりがよくなれば、あの約束は守れるけれども、今は厳しい状況が続いているのだから、やはりこれは守れないといいますか、約束は守れない。そのことの状況をよく説明して続けるべきではないかというのが、趣旨でございます。
 最終的には、その文書というのがやはり大きな、知事にいわせれば、がんじがらめということになりますけれども、拘束になってしまったという部分があって、知事の思いとしては無念だったということだと思います。

○臼井委員 先ほど樺山先輩が話されておりましたけれども、労使の間というのは、これは親子の関係で、かわいい部下の給与を削減するなんていうことは、全く酷だし、やりたくない話ですよね。交渉されている方も大変だと思います。
 また翻って、都民の人々の生活、現時点の今日的な苦しみというのは、またこれも大変なものなんだ。だから、どっちにスタンスを置いて意思を決定するのかということになるわけですね。
 そこで、経営責任者とさっきいわれましたけれども、経営責任者であるリーダーが決断をするということはわかります。そういうときにこそリーダーが必要で、ふだんなら、それほど強いリーダーシップなんて要らないでしょうね。しっかりした官僚組織があるわけだし、立派な仕事もできるわけですから。
 しかし、今回は、都民の情報をもう少し、知事にも申し上げなければならなかったのじゃないか。そういうことについて、まあ楽な道を選んだんじゃないかな、私はそんなふうに感じてしようがないんです。
 この今やろうとしていることは、先ほどから再々いっているようですけれども、超法規的な措置としてやるんだと。それは危機意識ですよね。東京都、ここで一発逆転、本当に足腰の強い、もう一度しっかりした都政をつくり上げよう。都の職員も、本当に全体の奉仕者として意識改革を行い、今時代的な仕事に取り組める、そういう職員になってもらおう。したがって、少数精鋭も大切だというようなことで、職員の削減もやってこられているわけですから。
 しかし、ここで私は、なぜ議会の意向も尊重しなかったのかな、都民の代表である議会と、超法規的と考えるならば、相談をすべきだったのじゃないかと。議会にも情報を、こういうことだということをやるべきだったのじゃないか。財政再建プランは三年間と、議会と合意しているわけですね。議会もそれを支持しているわけです。そういう中で、手続が間違っているのじゃないかなと私は思うんですよ。
 それは、今回の措置も、職員の信頼、職員の連携を旨として、そして東京都の行政の意思決定をしていかないと、とんだことになる。もし、イレギュラーなところで意思が決定されるようなことになれば、これは都庁はもたない。したがって、だれも、東京都がこういう重要なことをするときには、その手続を誤っちゃ困る。今回はどうも、当事者としての責任ある意思決定が少し省かれたのじゃないかな。少しどころじゃない、かなり外された部分があるのじゃないか。
 もう一つ、議会が怒っているのは、議会にまで意向を聞こうとしない。議会はもう頭から三年間の再建期間だと、こういうふうに思っていたわけですから、それをそうでなくするならば、当然議会の意向、意見も、都民の代表ですから、聞くべきだったのではないか。こういう大切な案件ですからね。都庁が本当に再建をするかどうかということですからね。それを怠ると、これは本当に都議会の車もギシギシギシギシ、何か一緒に回らなくなってしまう可能性もあるんですよね。そういうことを私は感じております。
 その手続が少し問題であったことは認めませんか。今後は正常に持っていく。どうでしょう。

○大関総務局長 先ほど勤労部長もお話ししましたように、今年度は、知事の強い意向もございまして、継続の方針ということで、六月でしたかの段階から、私どもは都労連と厳しいお話し合いを進めてきたわけでございます。そういう意味で、方針として変わらないということだったものですから、そのまま、我々としても、知事も、強行突破だというような思いも強かったものですから……。
 その点では、事前に、万に一つもできなかった場合はこういうバリエーションがあるということのご相談を、本来すべきだったと思います。これが、そういう意味で大変怠ったこと。これについて大変ご迷惑をかけたことは申しわけないと思っております。
 今後は、いろいろな場面で、そういうことの反省を込めて取り組んでいきたい、このように思っております。

○臼井委員 先ほど樺山先輩から、都内の中小企業の方々が大変な苦しみの中にあるといわれました。人件費の安い中国等へ製造業がどんどん流れて、大変優秀な日本の技術が失われようとして、もうこれは耐えられないから、もう倒れるしかないかなというような発言を聞くときに、やはり民族の技術が失われる、文化も失われていく、そういうことをひしひしと感ずるんですよ。
 都庁の人たちが助けなくてはならないと思うんですね。都庁の人が助けなければ、だれも助けてくれる人はいない。だから、自分たちもその苦しみを共有してもらわなければ困るんだ、そういうことをあえて皆さんに申し上げておきたいと思うんです。
 そういう意味では、これから我々も皆さんと一緒に、この都政の再建を、都財政の再建をやろうということでありますから、十分理解できるような、そういう手続と意思を示してほしい、こういうふうに思っております。
 あとは、松本幹事長に時間を譲ることになっていますので、お願いだけしておきたいと思います。

○坂口委員長 答弁はよろしいですね。

○臼井委員 はい。

○松本委員 先ほどから、超法規的措置、こういわれておるわけでありますが、私たちの認識は、地方公務員法第二十四条六項に基づいてきちっと条例として行っている今回の措置であって、決して超法規ではない、よど号乗っ取り犯を釈放したときのように、全く法規のない中で行われている判断ではない、こう思うのですが、それは正しいですか、正しくないですか。

○尾井勤労部長 先生おっしゃるとおり、職員の給与については条例によって決める、こういうことが法律ではっきり決められております。そういう意味では、現在の措置は、条例にのっとって行われているものですから、法規にのっとった措置でございます。
 ただ、背景として、地方公務員法に定められた給与決定の基本的な枠組みがございます。それは、人事委員会制度というものがございまして、そこで勧告をなされ、勤務条件の最たるものである給与については、労使交渉の対象にもなるという仕組みがございます。その中で、人事委員会勧告でなされた勧告のレベルを変更する、そういう意味ではいわば超法規的措置と、こういうふうに私も申し上げたつもりでございますが、厳密な意味では、先生がおっしゃるとおり、条例に基づいた措置であることは間違いございません。

○松本委員 ここに逐条地方公務員法というものが、議員の図書館の方からコピーをしてもらってあるわけでありますが、その趣旨を読みますと、地方公務員の給与は、給与決定の原則というのがあって、一つが職務給の原則であり、二つ目が均衡の原則、民間ときちっと合わせなくちゃいけませんよ、こう書いてあるんだそうであります。
 そして問題は、条例主義。職員の給与は、法律に基づく条例で決定をしなければならぬ、こういうことになっている。それが地方公務員法の第二十四条六項にそう定められている、こう理解をしておりますが、間違いありませんか。

○尾井勤労部長 都の職員の給与の決定につきましては、おっしゃるとおり、地方公務員法で幾つかの給与決定に関する原則が定められております。その中の一つに、今お話しの二十四条第六項において、給与条例主義といわれる、地方公務員の給与は条例で定めなければならないということが定められております。

○松本委員 条例主義というものを読んでみますと、職員の給与を法律に基づく条例で決定することを条例主義というと。条例に定めるということですから、これは民間とは全く違うんですよ、こういうことが書いてあります。
 この条例主義の原則が定められている趣旨は、次の二点にあると考えられる。その一は、職員の給与については、住民自治の原則に基づいて、住民の同意が必要である。したがって、住民の代表である議会が条例を制定しなきゃならぬ、こういう趣旨である。住民自治の原則に基づいて、住民の同意が必要である。これは大変重要なファクターだと思うのでありますが、どうですか。

○高橋総務部長 今、先生ご指摘の給与条例主義について少しお話をさせていただきたいわけですけれども、先ほどから議論になっておりますが、公務員は労働基本権が制約されておりまして、この代償として人事委員会の勧告制度がある、こういう制度を踏まえて、給与を権利として保障されているというところが一つございます。
 それと、今、先生からお話があったように、人件費の大部分を占める給与が放漫にならないように、過大な支出にならないように、給与決定を住民の同意に基づいて行う、こういう趣旨が導入されているという制度でございます。議会におきましても、この人事委員会の勧告につきまして、いろいろ慎重なご審議を行っていただいているわけでございますが、これを尊重していただく、こういうことが一つの大きな前提となっております。
 それで、ちょっと誤解があるといけないのですが、今回のケースのように、この二年間給与を削減しているというのは、本来の給与条例という立派な条例があるわけですけれども、二年間につきましては特例の条例というものを別に用意しておるわけでございます。この特例の条例の性格でございますが、これはあくまでも、都の極めて厳しい財政状況にかんがみまして、先ほど来議論をいただいていますが、財政再建団体への転落を防ぐ、こういう観点から、財政再建を目的として制定された条例である、このように私どもは認識しております。
 したがいまして、権利として保障された給与の削減、そのものを目的とするのではなくて、都の財政状況を考慮して、労使の誠意ある協議に基づきまして、先ほど超法規的という言葉がございましたが、緊急避難的かつ特段の措置として定めている、このように認識しております。

○松本委員 条例が特例であろうと何であろうと、給与を決定している条例であるというのは間違いない。給与を決定しているんですよ。
 この条例主義の中で、二つ目に、そのほかにもいろいろ書いてあるんですけど、地方自治法第二百四条第三項及び第二百四条の二項にも給与の条例主義がうたわれている。これも、住民に対しガラス張りの中で給与を決定し、その納得を得ることを趣旨とするものと考えられる、こう書いてある。
 今回の条例提出に当たって、このガラス張りという法の求める趣旨は、どのように生かされてきているのか。給与決定過程をガラス張りにするんだということが、どのように行われてきているのか、伺いたい。

○尾井勤労部長 今お話がございますとおり、給与は条例で定めるということは、住民の同意が必要であるという趣旨に基づくものでございまして、それがいってみれば、ガラス張りで給与を決めていくというふうに理解してございます。
 そういう意味では、先ほど申し上げましたが、給与の決定手続というのは、東京都の場合、まず人事委員会の勧告がありまして、それに基づきまして労使交渉が行われ、それに基づいてつくられた条例案を議会の中でご審議をいただく。その議会の中でのご審議は、まさに住民の同意をいただくための手続であるというふうに考えております。
 ただ、その過程において、先ほども申し上げましたが、一定程度のご報告といいますか情報提供。今回の場合、特殊といいますか、余り例のない交渉経過でございましたので、そういったことについての中途のご報告がおろそかになってしまったということには、おわびを申し上げる次第でございますが、基本的には議会のご審議の中でやっていただくということが、ガラス張りという意味の基本的な趣旨ではないかというふうに理解しております。

○松本委員 地方公務員法の第二十四条で、今いろいろ質問をしているわけですが、その解釈の中で、給与を、条例という地方公共団体における最高の法規、最高の意思決定で保障することは、労働基本権の制限にかわる保障措置としての意味が一つある。最高の法規である条例で決めるということですからね。それは労働基本権を守るという意味があるんだよと。そして、いま一つは、給与の決定を住民の意思に基づいて公明正大に行うことである。給与の支給がややもすると放漫に行われる地方公共団体がないわけではないが、給与は、人件費の大部分を占め、かつ地方財政の中でも大きな比重を有しているので、納税者である住民の十分なコントロールが必要である。給与は必ず条例によらなければならないとすることにより、住民の代表である議会が、条例制定を通じて給与をコントロールすることが期待されているのである。議会が条例制定を通じて、議会が給与をコントロールすることが期待されているのである。
 我々がしょってる責任は重いんですよ。大きいんですよ。皆さんが出してきた条例案、何だかわからないけど賛成だというわけにいかないんです。わかりますか。
 局長、ここら辺についてちょっと見解を聞きたい。

○大関総務局長 普通、自治体というのは、人事委員会があるところ、ないところがございます。それで、人事委員会があるところにつきましては、ご案内のとおり、官民格差という調査をいたしまして、その結果、公平、客観的に、その中に数字として出てくるわけでございます。そのことを条例化して出すというのが一般的でございます。
 人事委員会がないところ、これにつきましては、そういうチェック機関といいますか、第三者機関的なものがないために、ややもすると歯どめのきかない給与体系になってしまうということで、そのことは議会のチェックがより必要である、このような解釈がされていると考えております。

○松本委員 続いて、この解釈の側にはこう書かれているんですね。給与条例の提案者は、長、東京でいえば知事、議会の双方にあると解される。給与条例を出すのは知事だけに限らないよ、議会が出すこともできる、こういうふうにきちっと書かれているんです。ということは、確かに人事委勧告制度、労使交渉も大切だ、しかし、最も基本に据えておかなくちゃいけないことは、住民の理解を得なくちゃいけない、ガラス張りの中で決定をされなくちゃいけない、こういうふうに僕は読むんですが、違いますか。

○高橋総務部長 先ほど局長からもご答弁しましたように、人事委員会勧告は、民間企業の実態等を反映させるため、地方公務員法上の民間企業との均衡の原則に基づき行われております。
 今、先生ご指摘のように、職員の給与は、この人事委からの勧告に基づきまして、これまでは私ども知事の方から提案させていただき、議会で慎重な審議をいただいて可決された条例が施行されている、こういう状況にございます。
 今の現行の給与の削減、これは、先ほども申し上げましたが、あくまでも財政再建団体への転落を避けるために、緊急の措置として、労使の合意を前提に特例的に行われているというふうに私ども認識しております。
 今回新たにこの委員会に上程しております条例は、指定職、特別職について削減をするという条例を提案しておるわけでございます。結果として、一般職員の給与の削減、これについては来年の三月までで終了、ある意味では本則の条例に基づく支給という形になります。
 先ほど、放漫な給与ではないかというご指摘もありましたが、私どもは、給与の本則に基づいて支給しても、それは放漫な状態になるというふうには考えておりません。

○松本委員 今回提案されている条例案が特例であろうと何であろうと、地方公務員法の第二十四条第六項に基づいた制度にのっとってやられているということであるならば、地方公務員法第二十四条が求めているガラス張りの決定、住民の賛同を必要とする、この基本原則は何ら揺るがない。これは特例法だから、その二十四条の趣旨なんかどこかへやっちゃっておいてもいいよ、こういうことなのかどうか、そこを明確にいってほしい。

○高橋総務部長 条例を制定するという意味においては、議会のご審議を得るわけですから、きちんとしたガラス張りの中で議論をしていただいているというふうに私どもは認識しております。
 ただ、人事委員会の勧告というものがありまして、あくまでも二年間の暫定的な緊急避難的な条例を二年間設けてきたわけですね。これはある意味では幾つかの要件があるというふうに私どもは考えております。それは、極めて厳しいこの財政状況を労使の協力で乗り越える措置、労使の誠意ある協議が入ったもの、こういうものがやはり一つの大きな前提としてあるのではないか。さらに、権利として保障された給与の削減そのものを目的とするのではなくて、先ほど申し上げましたように、財政再建団体への転落を防ぐための財政再建を目的とする。こういう意味合いでこの特例条例は成り立っている、このように考えております。
 あくまでも緊急避難的な措置であり、期間の定めも二年というふうにしておりますし、削減する給与の額が、一般社会と比べて、生計費あるいは給与均衡の原則、先生からご指摘がありましたが、こういうものに照らし合わせても、やむを得ない必要最小限の範囲内である、こういう要件を兼ね備えた形でこの特例条例は成り立っている、このように認識しております。

○松本委員 人勧、人勧と。人事委勧告制度が、今すべてパーフェクトに都民感情に合致したものであるかどうか、私個人としては、大変に疑わしい制度だと。都民がこれを容認しているかどうかということに対しても、私は大変疑わしい、こう思っている立場であります。その上で、少なくとも東京都民が今の東京都の給与制度について納得する、こういう形で議会が決着をつけなければ、我々は何のための都民代表かわからぬ、こういう形になります。
 で、どうやって都民を納得させるか。少なくともその決定過程がオープンでなければならぬ、こう思うわけです。議会で議論するから、全部オープンなんだということであるならば、あの本会議場で一日、二日の議論と、きょうの数分間、数十分の議論の中で、都民が納得したよというわけにはいかない。そのために事前に関係者がしっかり打ち合わせをして積み上げてきた結果が、条例案として議会に提案をされなくちゃいけない。途中経過がばっさりなくて、ある日突然議会に出して、一日、二日で上げてくれ。議会でやったんだからオープンだよ。そんなわけにいかない。そこで、労使交渉というのがオープンでなければ意味がない。労使交渉がオープンでなければ、オープンの中で決定されたということにならぬじゃないですか。労使交渉がオープンでなければ、労使の間で何が決められたんだかわからない。
 で、今回は、伺うところによると、十一月十九日、ホテルニューオータニで、夜七時過ぎ、浜渦副知事と矢澤委員長の会談があった。その浜渦、矢澤委員長会談の中に、石原知事が登場されて、決断をされた、こう伺っている。間違いないか。

○大関総務局長 直接いたわけではありませんが、知事から聞いた感じでは、おおむねそのようなお話であったと思います。

○松本委員 十一月十二日に知事の執務室において、浜渦副知事と矢澤委員長と石原知事の、昼食を交えた会談があった、こう聞いているけれども、これも事実ですか。

○坂口委員長 ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○尾井勤労部長 そのことについては、よく承知してございません。

○松本委員 局長も、この件については聞かれておりませんか。

○大関総務局長 全く同じでございます。

○松本委員 この矢澤、浜渦副知事会談、石原知事の中で最終決定が行われた、これは質疑の中で明らかになったことでありますけれども、実に四百億とも三百七十億ともいわれる人件費の状況が、こういう労使交渉、こうしたトップ会談--トップ会談の内容が、どこにも聞こえてこない、オープンにならない、だれも知らない、そういう中で決定をされて、それに基づいて提案をされた条例案が、地方公務員法第二十四条の六項が求めている条例主義の原則に照らして正しい手続による条例をつくり上げていく過程で、正しいやり方だ、こう認識をされているかどうか、局長のご見解を聞きたい。

○大関総務局長 あくまでこれは臨時的な部分といいますか、この部分が継続できるかできないかということだと思います。いや、新しい条例をまた出さなきゃならないわけですね、継続させる場合は。そういう状況になるわけでございます。いわば本則に戻るという選択なわけでございます。
 そういう意味で、私どもといたしますと、先ほど申し上げましたように、最終的に延長するというぎりぎりの話し合いをしたわけでございますけれども、最終的に政策判断といいますか、知事に会っていただいて、それで、知事のトップとしての判断が私どもにおりてきたということで、その中での提案でありますので、確かに時期的には大変申わけないと思っております、急な提案だというふうに思っておりますけれども、今回につきましてはやむを得なかったと、このように思っております。

○松本委員 局長、局長はこの問題の担当局長なんですよね。担当副知事も外された中で、組合のトップと知事と浜渦さんが会談を持って、そこで何が話し合われたか全くわからぬという形の中で決められる。これを密室談合と、こう称するんじゃないですか。違いますか。

○坂口委員長 速記とめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○尾井勤労部長 ただいま、知事と委員長との会談がご議論になっておりますが、今回の交渉について、今お話しの知事と委員長の会談ですべて決まったわけではございませんで、それまでに、先ほど申し上げましたように、六月以降、数十回にわたる交渉が重ねられております。
 その中で、今回の交渉におきましても、給与削減の問題だけではなくて、いろいろな課題が交渉の課題としてテーブルにのっております。それについてそれぞれ議論をいたしまして、論点を詰めまして、双方の主張を整理し、課題を詰められるところまで詰めた上で、最後の決断を仰いだというのが、最終段階での状況でございます。

○松本委員 そのぎりぎりまでの交渉とか、課題を詰めるだけ詰めたとかいわれますけれども、どういう課題が今議論をされているか、都民の前にも、我々の前にも、交渉経過、会談の経過、どういう問題を持ってやったのか、ペーパー一枚配られていない。都民にペーパー一枚配られていないんですよ、資料は。何か配りましたか。

○尾井勤労部長 今申し上げました六月以降の交渉経緯につきましては、団体交渉につきましては、団体交渉直後にプレス発表をしております。それ以外の、数としてはそちらの方が多いわけですけれども、実務レベルの交渉につきましては、私ども当局といたしましては、庁内にその情報をその都度すべて流しております。それから、都労連サイドは都労連サイドですから、私どもの関知する範囲ではございませんが、いろいろな形で周知を図っているようでございます。
 ただ、先生がおっしゃるとおり、一般都民の方に対して情報提供するという点については、現在しておらないのが実情でございますので、これについては、今後私どもとしてもきちんと検討していかなければならぬと考えております。

○松本委員 とにかく都民に対しては情報全くなし。議会に対しても情報全くなし。ある日突然、知事と浜渦さんと矢澤都労連の委員長、三人が、何だかわからぬけれども、決断をされて、そして四%カットは来年の三月三十一日限りで打ち切ります、こういう趣旨の条例案が議会に出されている。この事実に間違いありませんか、結果として。

○大関総務局長 これは知事がある日突然決めたわけではなくて、最後のぎりぎりの段階まで、知事にも何度か上げておりましたけれども、もうタイムリミットになったわけでございます。
 で、先ほど申し上げましたように、このまま、合意のないまま条例提案という方法もあるわけでございます。そういう判断をするのか、それとも、今までの懸案事項を解決するのがいいのかということの選択肢を知事にお渡ししまして、その中で話し合ってほしいというお話をしたわけでございます。
 それで、その中で知事といたしましては、労使合意という形では、ここまでが合意の事項なんだということで、そちらを選択したわけでございます。

○松本委員 局長、聞いている趣旨が違うんだよ。僕が聞いているのは、労使だけでこの条例案を練り上げて、議会に提案をされたものなんですねと。事実として、議会も都民も、この条例案づくりには全く参加していないのですね、こういうことを聞いているんですよ。

○大関総務局長 形の上ではそういうことになります。

○松本委員 ところで、この四%カットを来年の三月三十一日でやめることによって、東京都の財政、人件費の部分での支出はどの程度の影響を受けますか。

○尾井勤労部長 総体で約三百四十億でございます。

○松本委員 ところで、東京都の職員の平均的年収、九百万から一千万であると、こういう話を聞いているんですが、これは当たっていますか。

○尾井勤労部長 職員の平均給与でございますけれども、十二月一日付の「広報東京都」にも掲載してございますが、職員総数十五万七百五十五人、これは十二年度の普通会計決算ベースでございます。一般の職員あるいは教員、警察官、すべて含めまして十五万七百五十五人で、一人当たりは八百五十五万五千円でございます。

○松本委員 八百五十五万。東京都民の一世帯当たりの平均年収は大体どれくらいだと認識をされておりますか。

○尾井勤労部長 総務省で行っております家計調査によりますと、平成十三年十月、全国勤労者世帯でございますが--恐れ入ります、これは年収は出ておりませんので、把握できませんが、一カ月の実収入といたしまして、四十八万五千六百五十七円でございます。

○松本委員 十二倍すると幾つになる。

○尾井勤労部長 済みません、補足をさせていただきますと、これにはボーナスは入ってございません。
 ただいま申し上げました十月の一カ月当たりの実収入を十二倍いたしますと、五百八十二万七千八百八十四円になります。

○松本委員 均衡の原則という点から考えて、どうも人勧制度というものに対して信頼が置けないというのは、ここら辺の数字がきちっと説明をできない、こういうところにもあろうかと思うわけであります。
 都民感情として、平均して八百五十五万年収を取っていらっしゃる東京都の職員が--財政が大変逼迫をして、観光行政をしっかりやっていきたい、観光の千客万来の都市にするんだ、そのために、そのお金がないから、観光税も入れて何とか協力をしてくれませんか。この金が十五億ですよ。今回影響が出るのは三百四十億。三百四十億、身内に給与ですよと配って、そして片方で、金がないから税金十五億上げさせてくださいよと。こういう理屈を都民が納得してくれると思いますか、局長。感想をどうぞ。

○大関総務局長 これは原理原則論みたいなことになりますけれども、形の上では人事委員会という制度がございまして、このいわば民間の平均給与、これは、人勧そのものがもう用をなさないという批判をされればそれまでなのですが、形の上では、実際の民間の給料をそういう形で給料表にするわけでございます。それをまた、それよりも値切るか値切らないかという話になるわけでございますから、ここにつきまして、全部の産業を見た場合に、そういう差があるじゃないかという議論になりますと、人勧制度そのものをやはり見直ししなきゃならないだろうと、このように考えております。

○松本委員 実際に今度の条例案が、労使だけで、都民の参加も議会の参加もなく条例案が練られて、つくられて、労使でつくられた条例案が議会に提出をされた。それは、東京都の財政に三百四十億円を超える大きな負担をもたらす条例案である。そして、なおかつ、それでもなお、東京都の職員が生活をするのが苦しい、やっていけない、大変だ、こういう、よく共産党さん、生き死にの話をされますけれども、それほど追い詰められているのかどうなのか。こういう観点に立ったとき、八百五十五万の収入というのは、共産党のいわれるほど悲惨な状況にはないのじゃないだろうか、そういう世帯とは違うのじゃないだろうか、こう思うと、とてもじゃないけど、我が党としては、これをこのまま右から左へ賛成というわけにはいかない、こう思うのであります。
 強く、この条例案の撤回、都民、議会を含めた改めての条例案づくり、そして議会への再提出を求めて、私の質問を終わります。

○馬場委員 今の松本さんの質問にあったのですが、この条例、提案されているので、この条例が今回取り扱い上で修正というような形、また、今のお話のように一回引き上げて出すというようなことも含めて、そういうことは可能でしょうか。修正ということはあり得ることなんでしょうか。

○坂口委員長 速記とめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○尾井勤労部長 私どもとしては、現在、条例をこういう形で提案させていただいてございますので、もちろんご議論の上ご決定いただくわけでございますが、私どもの気持ちとしては、できればご了解いただいて、成立させていただければ大変ありがたいと思っております。

○馬場委員 済みません。そうではなくて、これはもう採決しか、この条例のままでしかあり得ないんですよね。ということは、議会の修正案ということはあり得ますでしょうか。

○大関総務局長 私どもの立場からしますと、提案した条例でございます。これはぜひ傷つけずに通していただければありがたいことでございます。
 それから、今、馬場先生のおっしゃる意味は、それは議会内部の判断だと思いますので、そちらでご相談いただければと思います。

○坂口委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○坂口委員長 それでは、これより知事本部関係に入ります。
 初めに付託議案の審査を行います。
 第百六十九号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○坂口委員長 次に、報告事項、平成十三年度行政評価について質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○樺山委員 行政評価制度でございますが、平成十一年度から試行を繰り返して、いよいよ十三年度に本格実施ということになって、既に評価結果等も出ているわけでございますけれども、政策評価と事務事業評価、この二本柱が行政評価の骨子であります。つまり、都民の視点に立った成果重視の都政を確立しようという基本認識のもとに始まった制度でございまして、私たちも、これに期待すること極めて大であります。
 今回の政策評価は、道路交通の円滑化を図るということでございますので、そのことについて何点かお伺いしたいと思います。
 ご案内のとおり、道路の慢性的な渋滞によって、都民生活に極めて大きな影響が出ている現状がございます。そういう意味で、このテーマは、都民生活にとって大変重要な課題であるといえるわけであります。
 政策評価は、東京都政策指標を踏まえて、その達成度と、その政策を推進するための施策を総合的に評価するものであるとされておるわけでありますが、そこで、今回の評価で、道路交通の円滑化の目標に対する達成状況、これは具体的にどうであったか、お伺いをしたいと思います。

○南雲特命担当部長 平成二十七年度までに自動車の混雑時の平均旅行速度を時速三十キロに引き上げるという目標に対しまして、最新値を見ますと、時速二十・二キロでございます。達成度はマイナス八・九%になっておりまして、達成状況は良好ではないという評価になっております。

○樺山委員 今のご答弁にもありました、また、評価でも触れられているわけでありますが、交通渋滞、これは時間と経済の膨大な損失を招いているということと、それから、エネルギーの過剰な消費あるいは排出ガスの増加によって環境への悪影響をもたらすことから、全く看過できない課題であります。
 この課題を解決するために、まず、その要因を事細かに分析をする必要があると思うわけでありますけれども、いわゆる交通渋滞が起こる要因として、具体的にはどんなものがあるというふうに分析をしておられますでしょうか。

○南雲特命担当部長 渋滞の要因でございますが、現在の交通渋滞は、大都市におきます道路のネットワークの根幹となります高速道路整備が不十分であるために、東京の都心の、都の中心部を通過するだけの交通が発生していること、また、瞬間駐車台数が十万台を超える路上駐車、また、三百六十カ所のボトルネック踏切など、道路上の障害となるボトルネック要因が依然として多数存在していること、それから、交通量の抑制に向けた抜本的な取り組みが不足していること、こういうことがあると分析しております。

○樺山委員 今、ボトルネックの要因ということで、踏切の存在とか、さまざまご答弁いただいたわけですけれども、私のエリアといいますか、木村先生も同じでございますが、京成本線の高砂一号踏切なんていうとんでもない踏切がありまして、一時間のうち五十三分遮断をしている。いまだに、そういう本当に考えられないような踏切が都内にまだまだ点在しているわけであります。
 また、蔵前橋通りの悪名高い辰巳橋交差点。まず三百六十五日、スムーズに通行できる日、時間帯なんてものはない交差点でございますし、そういったところが、いつになったら渋滞が解消できるんだろうかという都民の率直な思いを、せっかく行った行政評価でございますから、今後、具体的な手だてを講じて一つ一つ解消していく、まずこういった迫力をぜひ持っていただきたい。
 評価結果の報告書を見ますと、都内の渋滞箇所が地図上に示されておりまして、大変わかりやすいものになっていることは事実でありますけれども、これら地図上に示された渋滞箇所を、これから具体的に現場に赴いて、どう解消、解決していくか、これは大変重要な課題だろうというふうに思います。
 そこで、これまでの分析を踏まえて、今申し上げたような課題を解決するために、どういう具体的な手だてを展開すべきだとお考えになっておられますでしょうか。

○南雲特命担当部長 今後の施策展開でございますが、まず第一には、道路ネットワークの形成という視点に立った道路整備が必要でございまして、そのためには、首都圏三環状道路を早期に整備するほか、環状八号線、放射六号線など整備効果の大きいと想定されます一般道路の優先整備。
 第二には、道路機能を最大限に活用するために、ボトルネックの解消が必要でございまして、そのためには、路上駐車の現状を踏まえた駐車場等の整備と、違法駐車の取り締まりの充実や高度道路情報システム、いわゆるITSを有効に活用した手法の導入など、そういったものの促進。
 第三には、駐車場を整備し公共交通への転換を図るパーク・アンド・ライドやロードプライシングの導入など、交通量を抑制する交通需要マネジメントの推進が必要でございまして、これら三つの方策を複合的に取り組んでいくことが必要であろうと考えているところでございます。

○樺山委員 今お答えになられたことは、おおむね我が党が従来より強硬に主張してきた内容でございまして、その着実な実施が今後必要だと考えるわけでございます。
 ところで、この行政評価は、先ほど来申し上げておりますとおり、机上の空論では意味がない。その結果を具体的に活用する、そのことによって確かな答えを導く、そのために設けた制度でありますから、とにかく現場主義、これを貫いて、一つ一つ、ある意味では気長な展開も必要、取り組みも必要だと思います。粘り強い努力が求められるわけであります。
 そこで、今後、どのようにこの評価結果を活用していくおつもりか。きょうはせっかく三宅次長さんお見えでございます。三宅次長さんの決意をお伺いしたいと思います。

○三宅次長 本来ならば本部長がお答えするところではございますが、かわりまして決意を述べさせていただきます。
 理事ご指摘のとおり、道路交通の円滑化というのは非常に重要であると思っております。特に、東京の西部に人口重心が移っておりまして、今は、都心居住ということで徐々に区部に帰っておりますけれども、東京の人口重心が西部に移っているということで、全体として西部の交通量がふえているのではないかと思っております。特に宅配便なんかのトラックターミナルを西部に求めたいといいながらも、なかなかターミナルの基地がないということで、どうしても都心を通過する交通が多くなってしまうということも聞いております。
 そういう意味で、こういった評価結果をぜひ次なる施策に活用していきたいと思っております。
 ただいま南雲部長がお答えいたしましたように、環状線、あるいはいろいろなシステムを開発していくというようなこともございますが、そういったことを大わざとすれば、小わざとしまして、ボトルネックの小さな解消、ボトルネックを解消していくというようなことをいろいろ提案しておりますし、それを今度の重要施策の中にも反映していくつもりでおります。それから、連続立体交差につきましても、大きな課題でございますので、鉄道事業者に対する無利子貸付制度について国へも要望してまいったところでございます。
 そういったことで、我々といたしましても、政策立案や予算編成に十分こういった評価を反映していきたいと思っておりますので、ぜひ皆様のご支援をいただきたいと思っております。

○樺山委員 大変内容のあるご答弁をいただきました。
 道路交通の円滑化というのは、一朝一夕で解決できる課題ではないわけでありますけれども、これからも、国に働きかけるものは積極的に働きかけを進めていただいて、都で取り組むべきものは確実に取り組んでいって、一歩でも二歩でも目標に近づける努力を展開されることを強く望みまして、質問といたします。

○山下委員 私は、まず、東京都の生活文化局さんが出された都民生活にかかわる世論調査、こちらを読ませていただきました。その中に、私が非常に関心があるなと思う部分が何点かございました。
 まず、その中の一つの問いに、都民に対しての問いに、都政に関心があるかないかという問いには、八一%の方々が関心があるとお答えしています。その中での大きい意見としては、都政情報をわかりやすく提供すること、これは四〇%の方々ですね。二番目には、都民の意見、要望をよく知ってもらうこと、これが三八%で第二位。三番目には、情報公開を積極的に進めてほしい。簡単に申し上げれば、都政情報をしっかり都民にわかりやすく提供していただいて、その上で、都民、私たちの意見を十分に聞いてほしいんだ、そんなような意見だと思います。
 その中で、この行政評価システムというのが担う役割というのは大変大きなものだと私は考えておりまして、せんだって質問させていただいたんですが、再度質問をさせていただこう、そのように思っております。
 まず、行政評価の結果によりますと、総合評価におきまして、廃止や抜本的見直しと評価された事業が幾つかあると見受けられます。今後、実際に評価の方向に沿った見直しが行われるのか、これまでの執行の例を示してお答えいただきたいと思います。

○南雲特命担当部長 事務事業の見直しについてでございますが、基本的には、評価結果を踏まえまして、議会でのご議論もいただきながら、各事業所管局におきまして行っていくことになります。
 施行時の評価結果に対する事務事業の見直し状況につきましては、現在、各局において調査中でございますが、十一、十二両年度の施行の対象事業で、今のところ状況のわかっているものとしては、廃止の例といたしまして、十一年度では、みどりの推進委員制度の運営、十二年度では、労働問題の実態把握、分析等を行っていた労働研究所の運営などがございます。
 みどりの推進委員制度の運営につきましては、十二年十二月の自然保護条例の改正に伴いまして、一年間の経過措置を設けて廃止をし、また、労働研究所につきましては、調査研究機能を本庁に統合したところでございます。
 なお、詳しい内容につきましては、先ほど申し上げましたように、現在調査中でございます。

○山下委員 先日の総務委員会でも私は質問させていただきましたし、今も実際のお話を伺いましたが、今年度から評価結果に基づく見直し調査、いわゆるフォローアップというものが行われるそうですが、実際にどのように行うことをお考えなのか。都民の声の反響状況がわかるような工夫も考えられているのか、お伺いします。

○南雲特命担当部長 行政評価につきましては、委員ご指摘のように、評価を公表するだけではなく、これをもとにして事務事業を見直していくことが大切であると考えております。そのため、評価結果に対しましていただいた都民のご意見は、事業所管局に伝えることといたしております。
 現在、各事業所管局に対して、十一、十二年度の評価結果に基づく見直し状況を調査しておりまして、その公表の際には、都民からのご意見も紹介するなど、工夫をしていきたいと考えております。

○山下委員 いずれにしましても、この行政評価制度は、評価の結果を都民に知っていただくことが大変重要であると私は考えます。都民に制度を認知していただくために、現実、実際どのような手段で公表をしていらっしゃるのか、お伺いします。

○南雲特命担当部長 行政評価の結果及び制度につきましては、「広報東京都」や東京都ホームページへの掲載、各公立図書館における閲覧などにより広く都民に公表いたしております。
 例えば、インターネットのアクセス件数を見てみますと、昨年は一年間で六千六百件だったものが、今回は、十一月二十六日の発表から二十日足らずで二千件を超えるなどの反響がございました。また、内容についても、わかりやすくなったとのご意見をいただいているところでございます。

○山下委員 まだ二十日足らずということなんですけれども、この二千件のインターネット、ホームページに対するアクセス件数の中で、意見あるいはアンケートに対する回答というのは実際何件ぐらいあったか、お答えできる範囲でお答えいただければありがたいんですが。

○南雲特命担当部長 現在のところ、六件でございます。

○山下委員 いずれにしましても、昨年度の六千六百件というものに比べますと、都民の関心が高まっているというのは私も感じられるところでございます。それであれば、今こそ、このタイミングでこそ、行政評価制度を、都民の皆様になるほどと思っていただけるものにしなければならないと私は考えます。
 そこで伺います。行政評価規則を見ますと、都民の視点に立った成果重視の都政運営ということをうたっておられますけれども、都民の視点に立つために、どのように都民の声を反映しているのか、伺います。

○南雲特命担当部長 行政評価の結果につきましては、事業所管局の行う一次評価、知事本部の行う二次評価を公表いたしまして、都民からのご意見をいただくこととしております。具体的方法としましては、電子メール、手紙、ファクシミリなどによる提案などでございます。
 いただいたご意見は、各事業所管局へ伝え、事務事業の見直しをする際などに活用することといたしております。

○山下委員 先日の私の質問でも述べさせていただきましたが、今のお話を伺って、電子メール、手紙、ファクスという形で、情報を公開して都民の方々からのご意見をお待ちする。私から見ますと、あくまで受け身の体制をとっているといわざるを得ないというふうに考えております。
 今後、行政が積極的に都民の声を聞く姿勢と、これまで以上の都民意見の反映方法に工夫が必要なのではないか、そのように考えます。すぐに大きな対応というのがとれないのであれば、例えば、政策評価でテーマを選定する際に、都民生活に関する世論調査、私が見せていただいたものもございますが、こういったものを実際にフルに活用していただく、そういう有効な手段をすべきではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

○南雲特命担当部長 都民の声を行政評価に反映するものといたしましては、今お話しのございましたように、都民世論調査や都政モニターアンケート結果などもございます。評価対象選定の際には、それらを参考にしていきたいと思います。

○山下委員 以前、インターネットによる公表について、私、質問させていただきました。昨年度の回答の中では、六千六百件のアクセス件数はともかく、実際は二十七件、アンケートや意見といったものが寄せられた。私から見ますと、非常に少ないという印象を受けました。この行政評価制度そのものへの都民の関心が十分じゃないと私は考えておりますが、広報活動のさらなる充実というのはどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。

○南雲特命担当部長 都におきましては、行政評価制度をことしから本格実施しているところでございます。また、全国的に見ましても、都道府県での取り組みはある程度進んでいるわけですが、住民にとって一番身近である区市町村ではまだ一割程度の取り組みとなっております。
 このため、東京都民にとりましてまだまだなじみのないものと考えられますので、今後とも、あらゆる機会をとらえまして、制度や評価結果について都民にお知らせしていきたいと考えております。

○山下委員 私は、今後、この行政評価制度を、行政はこう評価し、そして専門家はこう評価した、そして都民はこう考えるという、わかりやすい流れをつくる、わかりやすい制度にしていくことが、この制度の目的に合致した、また、都民の声にこたえることになると考えています。
 そしてさらに、この制度をしっかりとPRしていただくこと、そして認知していただくことが大変重要だと考えます。
 今後も、さらなる皆様方のご努力を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○織田委員 行政評価制度、今年度から本格実施ということでありますけれども、事務事業評価、それから政策評価、それぞれにやっておられるわけですが、結果を見させていただいて、私としては大変違和感があったんですよ。
 というのは、例えば道路交通の円滑化を図るということで、さまざまな事業をやられている。それを評価してみますと、達成度がマイナスになるというような数字が出てきている。こういういろいろな施策をやって、資金を投入して、時間も投入して事業をやって、それで目標とするところが達成できるどころか、マイナスになってきている。これは、普通に、単純に、形式論理から考えますと、それだけやってマイナスになるなら、一体この事業というのは、いろいろなことをやっているけれども、何の意味もないのか、やめちゃえという議論も一方で出てくるだろうし、このやり方じゃまずいから別のやり方やりましょうというような議論になってくるかもしれません。
 しかし、道路交通の円滑化を図るというようなこと、それから、もう一つのヒートアイランド現象を何とかするという、そういう面での、熱帯夜の数とかそういう指標があるわけですけれども、そういうことを見てみますと、私たちの実感と大分違うなというのが一つあるんです。
 まず、今回、本格実施ということでやってもらって、担当者としての率直な感想を伺いたい。

○南雲特命担当部長 今、理事からご指摘ございましたように、今年度は、道路交通の円滑化とヒートアイランド対策という二つの政策を取り上げまして評価をしたわけでございますが、どちらも達成度は思わしくございませんでした。どちらも重大かつ解決が困難なものでございまして、今後とも抜本的な対策が必要であると感じております。

○織田委員 事務事業評価は、構造的にいっても非常によくわかります。政策評価の基本的なねらいというのはどの辺にあるというふうに認識なさっているんですか。

○南雲特命担当部長 政策評価は、東京都の政策指標、今回ですと、自動車の混雑時平均旅行速度や熱帯夜の日数といった、都民の生活実感に即した指標を用いることで、将来の目標に対しまして、現在の状況はどうか、今後どうしていくべきかを評価しているものでございます。そうすることで、都民にとって身近でわかりやすいものとして、そのことにより都庁内外の論議が高まること、また、施策の見直し、立案等に活用していくこと、そういうものをねらいとしております。

○織田委員 今お答えいただいたように、生活実感に即した形での指標を用いて、今、現況どうなっているのかということを都民に対して発信していく。そして、それに対して、いいの悪いのという議論が起こって、方法が適切なのかというような関心も高まる。それがまた事業の改善といいますか、スクラップ・アンド・ビルドというものにつながっていく、こういうようなお答えだったわけですね。
 ただ、そういう判断をするときに、政策評価の方をずっと読ませていただきましたし、それにぶら下がっている事務事業評価の方のものも見させていただいたわけですけれども、例えば、ヒートアイランドの方の政策評価を見てみますと、初期値の値というのは後からお伺いしたいと思うんですけれども、施策が始まってから今日まで、非常に時間の短いものが多いわけですよね。対策をとり始めたというのが比較的新しい。要するに、一年ぐらいで、どんなことが行われるかというと、計画の段階であったり、あるいは屋上緑化についても、やってくださいよということを決めて、まだほとんど時間がたってなくて、そういうものを基準にして、本当に効果が出るのか、それを評価するというような段階にないんじゃないか、そういう思いもするわけなんですね。
 初めて本格実施をするということで、道路交通の方についていわせていただけば、道路交通は、我々素人が考えても、ネットワークの大枠というか、構造的なものががしっとできないと、なかなか効果を発揮しないわけですね。そういう質の事業、どこかをやれば、それだけ結果がぽこんと出ますよという事業じゃなくて、例えば、道路なんか一本通して、九九%できても、一つボトルネックがあれば、そこで全部詰まっちゃうわけですから、そういうのをもとにして評価を組み立てていくというのが果たして適切なのかどうかというような疑問も頭の中に去来してくるわけでございます。
 そういう一つ一つの事業というものも考えながら、じゃ、どういう形なら評価が行われるのかというと、私自身もそんなに明確にイメージがあるわけじゃないんですけれども、担当者として、今回この二つのテーマを選定した、その理由というんですか、東京都の政策指標六十あるわけですけれども、その中で今回、本格実施初めてやりますよというときに選んだテーマ、この二つ、理由はどういうところにあるんですか。

○南雲特命担当部長 ことしの二つのテーマの選定理由でございますが、東京構想二〇〇〇において示されました政策のうち、設定された政策指標の最新の実績数値が把握できるものの中から、複数局が横断的に取り組むべきテーマ、そういった基準から今回選定したものでございます。

○織田委員 何かよくわからないんですよ。最新のデータがあるから、このテーマを選択した。政策評価というような、大きな政策の進行状況等を見て、そしてまた、その手法が効果的なのかどうなのか、そして、それがより効率的に行われるために何が必要なのかということを考えてテーマを選ぶということであれば、私もわかるんですが、ただ単に、いわゆる最新のデータがあって、各局横断的にというような選定の基準というのは、ちょっと違うのかなという気がします、それが正しいのかもしれませんが。
 ただ、こうやって、一生懸命やってきてマイナスですよ、ヒートアイランド、一生懸命やってきてマイナスですよというふうなものを、都民がぽんと見せられたら、これは何じゃいなということになるんじゃないかと思うんですね。この評価の中の、今後の方向性とかそういう理由というのを読ませていただいても、それについてきちっとした説明が余りないように思うんです。
 例えば、よく閾値というのがあるんですね。一つの事象が積み重なっていって、あるレベルを突破しますと、いろいろな反応、効果が出てくるという。例えば道路なんかは、環状道路が一本つながってみて初めてその効果が出てくるということであるならば、閾値は、全部その環状道路がつながらなきゃ、あるいは、ある一定の区間で供用が開始されなければ、なかなかそういうのが出てこない。反応が出てこない事業を黙々と続けなきゃならないわけですよね。そういったところに、ぽんといわゆる評価の軸として、達成度とか--達成度は九八%までいっても効果の方は出ませんよという事業はいっぱいあるわけです。
 ですから、そういうものに対して、政策評価の中で、そういう質の事業だから、これがぽんと抜けたときにこれだけの効果が出てきますよというようなことがきちんと説明をされるとか、そういうふうにならないと、都民にとっては本当にわかりやすいというか--読んで疑問ばっかり起きてくるという、そういう形になれば、これは非常に不本意なことになると思うんですね。
 ですから、政策評価の政策の達成度を見るにしても、事業の効果が出るまで、ある程度のスパンを考えなきゃいかぬということになると、どういうような方法があるのかというと、例えば初期値、要するに比較する基準というものをもっと前にとることだってできるわけです。例えば、道路交通の円滑化を図るというふうにいって、初期値はたしか、これを見ますと、平成九年の速度二十一をとっているわけですね、評価の入り口として。でも、もう少し前の評価をできる初期値をとってあげて、それで、こういうところでこういう結果が出てますよということを積み上げてあげれば、この評価のやり方も非常にわかりやすく、逆にいえば、どう効果が出ているのかというのがわかりやすくなるというふうに思うんですね。
 ですから、最初のデータがあるから、これでいきますよというような形で評価をしていくのではなくて、時間の経過というのをある程度勘案したような形で評価をすることが必要なことだなというふうに私は思うんですが、要するに指標の初期値ですね、これはどうしてこういうふうなところで決められたのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 今回の初期値の設定でございますが、東京構想二〇〇〇に設定されました最新値、例えば、今回使用した自動車の交通時平均旅行速度について申し上げれば、一九九七年の値を初期値として使用したものでございます。東京構想二〇〇〇で設定されているということが一つの理由でございまして、それに合わせているというものでございます。

○織田委員 東京構想二〇〇〇でやっているということですけれども、じゃ、東京構想二〇〇〇どおりにこれからもやっていかなきゃいけないんですか。僕はちょっとそうじゃないなという気がするんですけれども、いかがですか。東京構想二〇〇〇でこういう政策指標が出ています、だからということでやるということではなくて、もう少し柔軟に見ていった方がいいように思うんですけれども、その辺のところはいかがなんでしょうか。

○南雲特命担当部長 達成度の数値につきましては、初期値、現況、目標値をもとに算出いたしまして、数値の推移については、今回でいえば、道路交通の円滑化が十五年、それからヒートアイランド対策につきましては三十年以上さかのぼりまして、一応評価票にはグラフで示しているところでございます。
 今後は、よりわかりやすい表現とするために、長期的な傾向も含めまして、理事ご指摘のように、分析をより深めるなどの工夫をしていきたいと考えております。

○織田委員 この行政評価制度、特に政策評価というのは新しい試みですし、そういうものを都民が十分にわかって、都政に関心を持ってもらって、あるいは都政にご意見をいただいて、もっといい方法がある、あるいは、これは私たちが好んでいるものではないというようなことが頻繁にやりとりされなければならない。そのためには、まず、政策評価自体がよりわかりやすいものにならないといけない。そういう面での工夫というのが本当に必要だろうと思っているわけですね。
 ですから、今回のも見せていただいて、試行のときよりも、先ほどもどなたかお話がございましたけれども、グラフとかそういった面が入っておって、絵柄的には非常にわかりやすいものになって、そのご努力は評価をしたいというふうに思うんですけれども、ただ単に、政策評価の指標にのみこだわるのではなく、むしろ、いろいろなパラメーターがあると思うんですね。例えば道路交通の円滑化であれば、円滑化に資するものとしてパラメーターが絶対あるはずなんですよ。そういったものもある程度含めた形で示していただくと、より進ちょく状況とかそういったものの判断にはプラスになるというふうに思うわけですね。そういった、政策指標のみならず、それに連動するようなメルクマール、データというものも使用しながら、達成度が悪い、あるいは効果が今のところ出ていないのはこういう理由によりますよ、これがある程度進んでくると効果的になりますよというようなことを都民に知らせる、都民にお伝えする、こういうことが大事なんだろうと思うんです。
 また、一つの政策指標を上げていくのに、さまざまな形からのアプローチというのは当然必要になってきますから、それを明確に、この政策評価の中できちんと押さえられるような、そういう改善が必要だろうというふうに私は思います。
 原因がどこにあるのか、どこを打てば大丈夫なのかということを、やはりある程度明確に政策評価の中では提示していかないと、都民としてはわけのわからないものになってしまうのではないかというふうに思いますので、今後、そういった点での改善をぜひお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

○南雲特命担当部長 大変貴重なご提言をいただきましたが、今年度は、正式に設定された政策指標を使った、そういった政策指標を使った政策評価の第一年目でございます。ご指摘のとおり、今後、さまざまなデータを使って、さらに政策評価の分析を深めてまいりますとともに、評価結果を、施策の見直しや政策立案などに効果的に反映できるようにしてまいりたいと考えております。

○織田委員 ぜひお願いしたいと思うわけですね。この政策評価、まだ始まって本当に一年目で、よちよち歩きの赤ん坊というところですが、一たん決めたから、これでずっと行くというのではなくて、年々、評価の信頼性、そしてわかりやすさというものが上がっていくようにぜひ努力をして、そして政策評価というのを皆さん方の手で、また都民の手で育て上げていくということをお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○木村委員 私も行政評価についてお尋ねします。
 十三年度行政評価結果の特徴についてまず聞きますけれども、評価対象事務事業というのが五十二事業上がっているんですね。そのうち、道路交通の円滑化関連事務事業というのが十六事業、それから都民利用施設の運営に関する事務事業というのが十事業上げられている。対象事業に対する評価というのは五段階でしたね。一番いいのが積極的推進、次が着実実施、次が見直し、次が抜本的見直し、次が廃止、こうくるわけです。
 それで、今いいました道路交通の円滑化と都民利用の施設の運営に関連する事業に対する評価を比較してみますと、知事本部による第二次評価のことですが、道路交通円滑化十六事業のうち、積極的推進、着実実施、つまり高く評価されているのが、十六のうち十二事業、七五%。一方これに対して、都民が利用する施設の運営に関する十事業、これは積極的推進、着実実施と評価されているものはゼロ、見直しが三つ、抜本的見直しが四つ、廃止が三つ、すべて低く評価されている。
 これが一つ特徴ですが、これだけ見ますと、この行政評価の特徴は、道路はどんどんいけいけ、都民が利用する施設はもうできるだけ切り捨てよう、こういう特徴が浮かび上がってきます。まず、この点について見解を伺います。

○南雲特命担当部長 事務事業評価につきましては、個々の事業につきまして、それぞれ達成度、投入費用の妥当性による実績評価を行った後に、必要性、効率性、公平性というような項目により総合評価を行っているものでございまして、その基準にのっとり厳正に評価をしているものでございます。

○木村委員 厳正に評価というのが果たして公平であるかどうかというのは、これからちょっと議論させてもらいたいと思うんです。
 五十二事業一つ一つやりたいところですが、これは時間がないですから、幾つかについてお尋ねしますけれども、まず、イの一番、事務事業ナンバーワンは首都高速道路公団貸付金となっている。これが着実実施というふうになっています。
 今、政府でさえ、特殊法人改革で、道路公団への税金の投入はやめると大騒ぎしているわけですよ。まあ中身はいろいろ、いわれているほどの話じゃなさそうですけれども、でも一応改革という名前で、税金を投入しないという方向で動いているときに、イの一番に首都高速道路公団貸付金を上げて、着実実施と。逆行しているんじゃないですか、これは。
 これは、ことしの予算特別委員会で、私、知事ともやり合いましたけれども、首都高速道路公団は自己資金を調達して仕事すべしという政府の勧告が出ていますね。首都高速道路公団に関する行政監察結果に基づく勧告、平成十一年八月。これ、なかなかのことが書いてありますよ。やはり自己資金で調達してやっていくべきなんだと、そういう経営責任というのを明確にしている。
 そこで、この評価報告書の三四ページを開きますと、貸付率というのが円グラフで出ておりまして、公団の自己資金、つまり公団が自分で借入して金をつくっているのは二〇%。残り八〇%、うち四〇%は国、四〇%は東京都。これを見ますと、国の金はNTTの資金なんですよ。自分で腹痛めているわけじゃないんだよ。腹痛めて税金投入しているのは東京都だけ。こういう形で貸付金が行われているんですね。しかも東京都は、その税金をわざわざ借金をして、起債を起こして無利子で貸している。利息は都民の負担で負担している。
 私、行政評価というならば、こういう資金の運用のあり方そのものを評価する。貸付金の意義とか一般論じゃなくて、その貸付金の行われているやり方、手法も含めて評価するのが当たり前だと思うんですよ。何が厳正にやったかということなんですね。
 そういう意味で、この場合、見直し、あるいは抜本的見直しという結論が出るのは当然だと私は思うんですけれども、何で着実実施ということになるのか、これを説明していただきたい。

○南雲特命担当部長 首都高速道路及び周辺道路の渋滞緩和のためには、都心環状線に集中しております通過交通の迂回路となる中央環状線の整備が急務でございます。しかも、首都高速道路は都道でございまして、首都高速道路公団に対し無利子で資金の貸し付けを行うことは、資金調達コストの低減、建設費総額の縮減など、現在工事中の中央環状王子線、中央環状新宿線の整備促進を図る上で有効であることから、着実実施と評価したものでございます。
 しかしながら、私どもとしても、単に現行制度の継続を前提とするのでなく、つまり、制度の上にあぐらをかくことなく、貸付金利等の市場動向等を踏まえた見直しを検討する必要もあると、評価票の中では指摘しているところでございます。

○木村委員 言葉では見直しする必要があるといっているけれども、評価そのものは見直しじゃないというわけですよね。それで見直すことができるのかどうか。まずその点が、この行政評価の効果、実効をまず疑わせるというふうに指摘せざるを得ないと思うんです。
 さらに、次のページ、三五ページ、同じ貸付金の話ですけれども、見ますと、歳出の主な内容というのが書いてあって、中央環状王子線は、工事費、用地費、その他に並んで、建設利息四十九億円。中央環状新宿線も、工事費、用地費に並んで、建設利息五十四億円。無利子で貸しているのに、何で利息というのがここへ出てくるのかですね。これ、ひょっとして、公団が自己資金で借りて工事している利息分を払っているというように読めますけれども、どうなんでしょうか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○南雲特命担当部長 三五ページでございますが、これは対象事業費の内訳を書いたものでございます。

○木村委員 この問題についていえば、問題は二つあると思うんですよ。今の無利子貸付のルールをそのままこれからも進めていくということになれば、東京都の財政負担というのはどんどんふえていく。それは、この三五ページにも東京都無利子貸付金年度末累計というのがありますけれども、平成十年、一千九百四十一億円なのが、平成十三年で二千五百十一億円にふえてますよね。ふえる一方です。三年間で五百七十億円ふえている。これからまだ幾らかかるのかということが当然心配になる。この中央環状線ですね、総事業費というのは、まだこれからどのぐらいかかるんですか。

○南雲特命担当部長 平成十三年度以降の見込みの額、総合計でございますが、千八百九十九億円であると都市計画局から聞いております。

○木村委員 いや、総事業費を聞いたんです。あと千八百億円あれば完成しちゃうの。

○南雲特命担当部長 失礼しました。現在建設中の中央環状王子線、新宿線の総事業費は約一兆四千三百億円でございますが、それに対しまして、首都高速道路公団への出資金及び貸付金は、先ほど申し上げた平成十三年度以降、東京都として千八百九十九億円払うということでございます。

○木村委員 なるべく負担額を少なく見せようと思っておられるんだと思いますが、まだ総事業費は一兆四千億からかかるんです。板橋・足立線も入れると、一兆五千億ぐらいかかるんです、総事業費は。そうでしょう。

○南雲特命担当部長 ただいま申し上げた一兆四千三百億円というのは、既に支払ったものも含んでおります。

○木村委員 じゃ、僕が都市計に確かめた数字をいいますと、中央環状新宿線、総事業費、これから一兆二百四十三億円、それから板橋・足立線で四千百三十五億円という数字があります。合わせると約一兆五千億円ですよ。ルールでいけば、その四〇%ということになれば、これは大変な話になってくる。一千八百億円というのは、これから返してもらったり、いろいろなものがあって、そういう数字ということなんでしょうけれども、実際は、そうなるかどうかというのはまだ一つわからないという点があるんです。それがもう一つの問題です。
 ことしの予算議会で、十二年度の最終補正というのが出ました。ここに首都高速道路公団の貸付出資金というのが二百十億円のったんです。年度末の補正ですよ。いきなり二百十億円。年度末ですから、起債じゃなくて現ナマですよ。しかも、繰越明許つきですよ。年度末はもう二百十億円も仕事するような暇ないんだから、繰越明許。こんなむちゃな金の使い方をなぜするかといえば、その前の年の八月に森内閣が景気対策で、予備費をいろいろな公共事業に張りつけるというような動きがあって、結局それに東京都は追随させられたということになったんですね。
 だから、こうなるともう行政評価もヘチマもないですよね。国のいいなりに金を出さなきゃならない。しかも、どんなに財政難であろうが、何百億という金を出さなきゃならないということで、こういう金の出し方のルールを抜本的に見直すというのが、今の行政評価に書き込むべき筋合いのものじゃないんだろうかというふうに思うんです。
 だから、知事本部はそういう点で、今回の行政評価について、首都高速道路公団への無利子貸付について、総務庁が出した行政監察結果に基づく勧告、こういうものは検討されたんでしょうか。

○南雲特命担当部長 総務庁の報告書の存在を知っているからこそ、今回、評価票の方には、単に現行制度の継続を前提とするのではなくて、今後、貸付金利等の市場動向を踏まえた見直しを検討することが必要であると指摘したところでございます。

○木村委員 だったら、着実実施じゃないでしょう、貸付金と出ているんだから。これが道路建設という事業の評価なら、いろいろな問題があるけれどもってなるけれども、貸付金を行政評価しているんですから。
 平成十二年度といえば、いいますけれども、シルバーパスから、マル福から、老人福祉手当から、いわゆる福祉十事業を切り捨てた年ですよ。それで、この間、決算で明らかになったのは、その切り捨てた福祉十事業で削減した財源は二百九億円でしょう、十二年度で。その年度末へ来て、二百十億円無利子貸付、繰越明許つき。これはどう考えたってないでしょうと、都民から見ればいいたくもなるんですよ。
 ところが、この評価票は、そのことをわざわざ評価しているんですね。三七ページですけれども、「平成十二年度から東京都の無利子貸付金に予算の繰越制度を導入し、公団の事業進ちょくにあわせた柔軟な予算執行を可能とした」ということをむしろ評価するということで、もう、福祉を大事にする立場からいえば、神経を逆なでされるような評価が書かれているんですよ。
 確かに、こうやれば仕事はやりやすいでしょう。しかし、二百十億円もの巨額な予算をそっくり繰り越すようなことをやれば、予算の単年度主義なんていうのは崩れるし、道路あって福祉なしという財政運営にならざるを得ないということになるんですよ。一次評価の点で、この無利子貸付金に繰越制度を導入したということがよかったと書いてありますが、二次評価の知事本部の評価には、その言葉がない。これを認めたような認めていないような表現なんですけれども、この辺はどうでしょうか。

○坂口委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記再開。

○南雲特命担当部長 私どもの評価は、評価票に書いているとおりでございます。

○木村委員 さすがにあからさまには書いてないんですけれども、しかし、これは結局認めているという感じがありますね。
 私は、この事務事業についていえば、まだまだ問題はたくさんあるというふうに思います。例えば、自動車高速道路の持つ陰の部分ですね。負の部分といいますか、これは全く触れられていない。例えば、目黒の大橋ジャンクションの日本一の大気汚染の問題とか、これから進めていけば、山手通りの下は巨大なトンネルになるわけだから、そういう道路構造の持つ危険性とか、そういうようなことには一切触れないで、ただ、東京の渋滞を解消し、都市環境の改善を図り、東京圏全体を活力ある地域にするためとか、都市の骨格をなす首都圏三環状道路の整備促進は、東京都のみならず日本を牽引する首都圏の再生のための最重要課題であるとか、要するに、石原都政の政策目標に合っているかどうかがすべてだという評価結果だということになっているといわざるを得ない。
 じゃ、軒並み見直し、抜本的見直し、あるいは廃止と評価されている都民利用施設の運営事業というのはどういう形で評価されたのか、まず聞いていきたいと思います。
 昨年の行政評価についても、こちらは、政策評価に関連してなんですが、世界に誇れる魅力ある都市文化づくり関連事務事業ということで十三事業上がっていまして、東京都庭園美術館の運営から始まって、今回評価されている都民利用施設の運営とほぼ性格を同じくする事務事業が、こちらは十三事業上がっているんですね。ですから、同じような事務事業を対象にして、二年連続行政評価を実施したということになるんです。
 結果として、去年とどうなのかというと、去年も、見直し、抜本見直し、廃止しかないんですよ。ことしもなんです。去年は十三事業、ことしは十事業です。博物館から何からみんな、二年間で総ざらいみたいな格好になっているんですよ。
 これは、結果として、社会教育や生涯教育などの分野から東京都政が撤退しますよという意思を、この二年間の行政評価で示したということになるんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 先ほど申し上げましたけれども、事務事業評価につきましては、個々の事業ごとに、それぞれ達成度、投入費用の妥当性による実績評価を行った後に、必要性ですとか効率性、そういった要素、そういう項目によりまして総合評価を行っていまして、その規則にのっとりまして厳正に評価をしているものでございます。

○木村委員 たまには正直に話してもらいたいですよ。去年十三事業、ことし十事業、すべて見直し以下の評価ですよ。たまたま厳正にやったからそうなったんですよということをおっしゃいますけれども、二年連続、何でこういう分野の事業を十も十三も並べて評価する必要があったのかということ。二年連続こういう問題だけ並べたというのは、たまたま偶然なんですか。

○南雲特命担当部長 たまたま二年連続して同じような事業が並んでいるというご指摘ですけれども、ことしにつきましては、都民利用施設ということでそういった事業を選定したものでございます。

○木村委員 これは偶然だとか、たまたまだとかいっても、だれもそんなことを信用する人はいませんよ。それは、この分野はもう切り捨てていくという東京都の意思が働いているからこうなっているんだと、そういうことが如実にここに示されているというふうに思います。
 その結果が、さっきいったような傾向なんですけれども、特に、昨年の評価で廃止が二つ、ことしは三つ、合計五つですね。東京都高尾自然科学博物館、東京都近代文学博物館、東京都青少年センター、東京都環境学習センター、そして東京都生涯学習センター、この五つが廃止です。
 これら五つの施設を並べてみましたら、これからの時代、むしろ、ますますその役割は重要になるという施設なのではないかということなんですよ。例えば、来年度から学校五日制ですよ。今、学校だけじゃなくて、地域が教育力をどうつくっていくのかということで、みんなが心配している時期ですよ。そのときに、子どもの居場所をどうつくるかということも含めて、こういう施設がこれからますます大きな役割を果たしていくということは明らかなんじゃないですか。
 現に、高尾自然科学博物館というのは、平成九年に見直しをいわれて、その後いろいろな取り組みをやって、去年の行政評価で廃止を出されて、しかし、学校五日制がもう来年度から実施されるとわかっていますから、高尾自然科学博物館は、学校五日制への対応ということで、学校・博物館協力推進委員会というのをわざわざ設置して、子どもたちと連携して、いろいろなフィールド活動をやろうという事業を始めているんですよ。これは都立では唯一の自然史博物館ですかね。これを、小さいとか、へんぴなところにあるとかいう理由で廃止ですからね。
 そういうこと一つ一つ見ても、これは、社会教育や生涯教育の分野から東京都が撤退しますよ、その東京都の役割はこの際放棄しますよということにやはりなるんじゃないでしょうか。

○南雲特命担当部長 高尾自然科学博物館につきましては、これは昭和三十四年にさかのぼるんですが、八王子と浅川町の合併時に、その合併の条件として地元から要望がございまして、昭和三十六年に八王子市立として開館したものでございます。
 その後、これは八王子市の観光課が所管しておりまして、それを観光協会に委託していたわけですが、約五年たちまして、やはり維持管理が非常に困難だということで、東京都の方に移管された。それで、四十一年から東京都立として開館されたものでございます。
 いずれにしましても、非常に地域性の強い、小規模な博物館でございまして、都としても、今後、都として所有し続ける意義が薄くなったのではないかということで、あの結果に、廃止が適当であるということに結論づけたわけでございます。

○木村委員 高尾の博物館のことをいつまでもやるつもりはありません。しかし、例えば、かわりにこういう自然史博物館ができましたとかという話なら別ですよ。だけど、小さいからとか、昔は八王子市がつくったんだとかというような理由で、この時期に廃止していいものかということは、それは評価は大いに分かれるところじゃないですか。
 高尾だけのことをいってるんじゃないんですよ。去年とことしで五つ廃止ということが出たのが、全部、多かれ少なかれ共通の問題点をはらんでいるんじゃないですか。それを全部見れば、東京都はその分野から撤退するという結果を、この行政評価の名をかりてやろうとしているんじゃないですかということを、私、聞いているんですよ。聞いていることにちょっと正面に向き合って答えてもらいたいというふうに思いますね。
 問題は、この行政評価が、東京都がこういう社会教育などの分野から、都としての広域行政の役割を後退させるということが見えるんですが、この評価票の第一次評価と第二次評価を読み比べてみますと、この点については必ずしも一致してないです。これがこの評価票の特徴ですね。
 例えば、ことし三つ廃止というのが出ましたね。第一次評価、すなわち事業局は、この青少年センターでいいますと、今、仲間づくりや異年齢の人々との交流を安心して行うことのできる居場所づくりが必要だと。これは、平成十二年の第二十三期東京都青少年問題協議会の意見具申で、中高生がコンビニや盛り場などの環境にあるということを指摘されているので、必要なんだと。
 それで、こういっているんですよ。特に青少年の相談事業について、対人関係など心の悩み全般について、三十歳未満の青少年本人を中心に行っているのは、この種の相談は、特に青少年本人の受け皿となる相談機関はほかにないんだといっているんです。ところが、第二次評価の方は、青少年の相談事業については区市で行われているので、実施し続ける必要はないという形ですよ。明らかに認識と評価が全然違う。
 それから、環境学習センターも、一次評価の方は、役割はますます重要になっているというふうに事業局がいって、NPOが実施する環境保全事業への支援など、広域自治体としての役割が求められている、こういってるんですよ。ところが、二次評価の方は、区市町村でやっているところがだんだん充実してきたので、東京都がその場を提供する必要はなくなってきているというふうにいってるんです。区市町村がやり始めたので必要なくなっているというので、どのぐらいやってるのかと思うと、この中身は十区二市です。まだ部分ですよね。
 生涯学習センターも同じです。これは、時代に即した広域的情報収集や提供機能を果たすことが求められているというのが、第一次評価の事業局の評価です。ところが、二次評価の方は、区市町村において生涯学習に関する施策が充実されているので、廃止が適当だとなるんです。
 これじゃ、行政評価の報告といっても、二つの考えが並立して述べられているというだけの話なんですよ。この一次評価から何で二次評価になるのかという、そういう論理の展開、論理の説明というのがこれにはないです、どう見たって。むしろ、ずっと読んでいくと、こういうのは一次評価の方が具体的で現実的、いろんな事業局の声が、そういうことなんですね。
 だから、何で二次評価に示されるようなものになるのか。区市町村が始めたから、始めたことをもって東京都が役割を後退させる理由には必ずしもならないんじゃないか。逆に、生涯学習センターでも環境学習センターでも、区市町村が始めたからこそ、東京都の広域自治体としての同じ機能はレベルアップして、すべての区市町村のそういう施設に対応するということが必要なんであって、区市町村が始めたから東京都はやめていいんだということには必ずしもならない。
 あるいは、さっきいったように、環境学習センターのように、まだ十区二市しかない。全部のところでやっているなら別だけれども、穴があくということになれば、その穴を埋めるという意味合いは、区市町村の部分がやり始めてからの方がより責任は大きくなるということなんじゃないですか。
 だから、そういう意味で、二次評価で述べられている、この分野から撤退する理由というのは、必ずしも撤退する理由にはなっていないというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○南雲特命担当部長 地方分権の時代におきましては、住民の身近で可能なことはできるだけ区市町村で行い、都は広域的な役割を担うということでやっていくのが本筋ではないかと思います。
 それで、今、議論になっています青少年センターあるいは環境学習センター、生涯学習センター、ともに、区市町村におきましてさまざまな会館が建設されつつありまして、今まで都がやってきた事業を区市町村が行うような時代になってきているということで、今回は、都はそういうものから撤退して、より身軽になる、そういう立場から、現在、見直しが進められているというふうに理解しております。

○木村委員 撤退して身軽になると、とうとういわれましたけれども、それが目的なんですよね。私は、区市町村が始めたら、東京都はおのずとレベルアップした役割が課せられると。例えば環境学習のリーダーとか生涯学習のリーダーなどの養成、そういう役割というのは、広域行政を担う東京都でこそ果たすことができるわけで、そういう点を一次評価の事業所評価では述べている。それを二次評価が否定するというパターンになっているということを指摘したいと思うんです。
 一次評価では必要性について、そうやって必要だといっているのに対して、二次評価で否定するという形で進んでいますけれども、これは結局、二次評価を押しつけるということになりますね。結局、行政評価ということを媒体にして、知事本部がすべての局の上に立つということになるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。

○南雲特命担当部長 東京都の事務事業評価におきましては、第一次評価、第二次評価、ともに都の評価であると考えております。であるからこそ、一次、二次あわせて公表しているわけでございます。ただ、これ、規則上もございますけれども、双方の内容が相反する場合には、二次評価の内容を踏まえて見直しの検討を行うよう、各局にはお願いしているものでございます。

○木村委員 今のはちょっと重要な答弁だと思うんですが、第一次評価も第二次評価も東京都の評価ですということですね。つまり、評価としては対等ということになりますね。それと、行政評価の規則第十条で述べている、違った場合は二次評価でいきますよというのは、ともに東京都の評価ということとは相矛盾しますよね。この点はどうなんですか。

○南雲特命担当部長 双方相反する場合には、二次評価の内容を踏まえて見直しの検討を行うようお願いしているものでございまして、廃止という評価を押しつけているわけではございません。

○木村委員 ということは、事業局の頑張りいかんでは、廃止となっても廃止しないで、二次評価の内容を踏まえて、さまざまな見直しは当然行われるでしょうけれども、事業局の頑張りと情勢の変化によっては、二次評価どおりの決着といいますか、結果にならなくてもいいということなんですね。

○南雲特命担当部長 理論的にはそういうことになろうかと思います。

○木村委員 終わりますけど、普通、都立でたった一つの自然史系博物館を廃止しますとか、あるいは、東京都の機関として、青少年の心の問題も含めて相談の受け皿になる唯一の機関ですとか、そういうものを廃止するということは、東京都として、行政として、都民にこれまで約束してきた行政の方向を大きく変えるものだというふうに思うんですね。非常に重要な問題だと思う。
 これまでだったら、そういう大きな行政の方針変更の場合、知事なり局長なりが、しかるべき、都民がわかる客観的な機関、審議会とかそういうところに諮問して、そして専門家の答申をいただいて、その答申を参考にして、新たな方向を行政として確定して、議会に諮るということがあると思うんですね。最近の都政は、こういう行政としての最低の責務を省略するということが非常に多いと、私は指摘せざるを得ない。
 そこへ、この行政評価ですよ。今度は、行政評価の名前で、はい、あなた廃止、はい、あなた抜本的見直しと。一次と二次が違ったら、二次の方でやってくださいよということになったら、この東京都政、どうなるのか。知事本部は天下を握ったかもしれないけど、都民にとっては--きょうはたまたま、都民が利用する施設がどういうことにさらされているかということをお話しさせてもらったんですけれども、やはり非常に重大なことだというふうに思うんです。
 行政評価というと、何か手続を踏んでいるように聞こえるんですけれども、中身を検討してみると、結局、特定の行政方針、この場合は石原知事の東京構想二〇〇〇ですよ。この東京構想二〇〇〇の石原構想に向かって結論が出るように評価を合わせるということでつくられているのが、この行政評価なんです。いうなりゃ、これはアワセメントだ。
 だから、私はそれを、首都高速道路公団の無利子貸付問題と社会教育分野の施設の命運と対比させて、きょうは質問したんですけれども、結局……(「みんなが一生懸命やったんだから、一つぐらい褒めてあげなきゃまずいんじゃないの」と呼ぶ者あり)いや、褒めるわけにはいかないというのが、私の結論であります。

○坂口委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後六時三分休憩

   午後六時九分開議

○坂口委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○大西委員 私も、行政評価結果のことについて質問させていただきます。
 この施策評価というものは今いろんな自治体で取り組まれているということで、試行錯誤の中だと思うんですけれども、評価には、政治評価、政策評価、そして行政評価があるといわれております。政治評価は、都民の代表である議会と知事が行うものですけれども、行政評価にはそれは含まれていないと思います。政策評価は、最終的には政治における政策評価につながるもので、議会や知事、そしてやはり忘れてならないのは、都民が政治決定するための客観的な素材の提供が政策評価なのだと考えております。
 先ほどの木村委員のお話を聞いていても、早速これを利用してご持論を述べていらっしゃるということで、そういう意味ではそういう役目を果たしているのかなということを、今、確認させていただきたいんですが、いかがでしょう。

○南雲特命担当部長 政策評価の定義は諸説ございまして、また各自治体によっても異なりまして、定まったものはございませんけれども、都におきましては、政策評価は、今、先生がおっしゃいましたように、議会や知事、さらには都民に広く示し、政策判断の材料として活用すべきと考えております。

○大西委員 確かにこのいただきました資料の最後、二五七ページの目的のところ、やはり忘れてならないのは「都民の視点に立った成果重視の都政運営に資するとともに」という、この部分だと思います。行政のための行政評価になってはいけないということがある。そこを踏まえて、幾つか質問させていただきたいと思います。
 この都の行政評価制度は、政策評価と事務事業評価に分かれていますが、通常、事後的な政策評価には、客観的な指標で設定された政策目標の達成度のほかに、政策の有効性や効率性、そして対象者の満足度、成果とコストの比較分析といった項目が上げられていると思います。というか、上げられる必要があると思っております。
 ところが、都の政策評価を見ますと、例えば二〇ページのヒートアイランド現象に関する緩和の項目のところを見ますと、目標に対する達成状況しか、評価のところには示されておりません。そのほかは、ヒートアイランドに関する現状の説明と施策の方向性が羅列されております。目標が達成されない施策上の要因や、施策のコスト便益分析、そしてそこから引き出される施策の優先順位の選択などが明快に示されていないように、これを見て思いました。
 ヒートアイランドについては、達成度は一九・二%と最悪の結果になっていると思います。それはなぜなのかという部分がないわけですね。実施した施策にもかかわらず、なぜ目標が達成されていないのかを、この評価の中から私たちがわかるように得るには、非常に困難だなと思うんですけれども、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

○南雲特命担当部長 私どもが今回実施いたしました政策評価でございますが、一応、三部構成にしてございます。まず、目標に対する達成状況をお示しした上で、例えばヒートアイランドでいえば、そのヒートアイランド現象の要因を分析し、かつ今後の方向性という構成で示しているわけでございます。
 都民にとりましてわかりやすさということ、今、確かに副委員長がおっしゃいますように非常に重要でございますので、わかりやすく、また見やすくするために、今回は図表やグラフを多用するなど工夫をしているところでございます。
 また、省エネルギー対策事業、屋上等の緑化の推進など政策評価に関連する事務事業も、その政策評価のほかに評価を行っているところでございます。

○大西委員 細かいところは事務事業評価でやっているということかもしれませんけれども、政策評価は施策の総合的な評価であるわけですから、やはりその辺ももっと工夫が要るのじゃないかなと、これを見て思いました。
 それから、政策評価のためには、政策と、それを細分化した実施プラン、施策のよしあしとか施策のパフォーマンスがはっきりしなければならないと思います。そして、そのよしあしの原因が解明されなければならないと思うわけですけれども、一方、事務事業評価を見ますと、個別の事務事業が上位目的にどのくらい寄与すべきなのかがはっきりしない部分もあります。つまり、政策評価における目標と個別の事務事業の目的とがつながっていないように見受けられるんです。
 参考にヒートアイランドに関していえば、省エネルギー対策事業と屋上緑化の推進が上げられていますけれども、それぞれがどの程度ヒートアイランドの緩和に寄与したのか、相互の関係はどういうふうに位置づけられているのかがなかなかわかってきませんが、この点はどうなんでしょうか。

○南雲特命担当部長 ただいまのご質問ですが、ヒートアイランド現象の要因分析を行いまして、人工排熱の増加、地表面被覆の人工化の集積が大きいことから、それらに対応する対策であります人工排熱の抑制、地表面被覆の改良を実現するために推進すべき事業として、建築物における省エネルギー対策の推進や屋上等の緑化をお示ししたものでございます。
 これらの事業の政策による寄与率、先生からもお話がございましたけども、そういったものにつきましては、ご提言として受けとめさせていただきます。

○大西委員 今のお答えの中で、もう一つ、一歩進めてほしいなと思うことがあるんです。これは確かに施策の寄与評価という意味では、もっともっとわかりやすくするためには、ある意味これをやることによって熱帯夜の日数がこれくらい減ってきますよというようなことがはっきりと掲げてあれば、非常にわかりやすいということで、要因分析ではなく、政策の効果分析がこの中に盛り込まれることが必要じゃないかと考えるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 貴重なご提言でございますが、寄与率の分析などにつきましては、今後検討してまいりたいと考えております。

○大西委員 政策評価では、これらの施策以外に、今後の方向性として、自動車使用の抑制、交通需要マネジメントの推進と風の道の積極的利用などが上げられています。自動車の方は、事後評価の対象ともいえますけれども、事前評価の対象となる施策という要素がまだまだ強い部分があると思います。そして、風の道の積極的利用、これは明らかに事前評価の対象だと思います。これら施策の事前評価はどういうふうになるのか。
 報告書の一ページには、そのサイクルとしてぐるっと回って、プラン、それからドゥー、Cはチェック、それからアクションという循環図が掲げられていますけれども、このうちのプラン、Pの部分は施策の事前評価が求められています。特に実現可能性、事前の政策目標への貢献度合いがアセスメントされる必要があるわけですけれども、これがなければ、PDCAのこの政策循環はつながらないんじゃないかと考えます。どうも事後評価に傾いていて、これからは、やはり最初に事前評価というものがもっともっと議論されなければ、そこに施策の透明性というものが入れ込めないと思っておりますので、その辺のところが非常にこれからの行政評価の中のポイントになってくると思うんですけど、それはいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 都が現在実施しております政策評価は、あくまで事後評価ということでやっております。PDCAサイクルでいうとC、つまりチェックの部分において行っているわけでございます。
 自動車使用の抑制や風の道の積極的利用などにつきましては、ヒートアイランド現象の要因分析を行って、人工排熱の増加、都市構造の問題などに対応する対策メニューとして提案しているものでございます。

○大西委員 事前評価の部分をもっと厚くすることが今後の課題かなと、これを見て思いました。
 次に、市民参加について伺っていきたいと思います。
 報告書の三ページを見ますと、評価結果は、公表するとともに、都民からご意見をいただきながら、政策立案、施策の見直しに活用しますという記述があります。二ページの図では、知事に報告から公表、そして公表から都民の意見までは二重線の矢印で結ばれております。ところが、都民の意見から事務事業の見直しへは点線の矢印で結ばれております。これはどういうことなんでしょうか。
 これが一番にぱっと目についちゃったものですから、お聞きするんですが、普通、実線の矢印があって点線の矢印があるときは、点線の矢印はあってもなくてもよいものと理解してしまうんですけれども、都は都民の意見をどのように理解していらっしゃるんでしょうか。

○南雲特命担当部長 線の種類につきましては、特に他意はございません。あえていうならば、二重線の部分につきましてはプロセスとして必ず存在するものであるのに対しまして、都民の意見につきましては、もし都民からのご意見があれば、事務事業の見直しにも活用していく、そういう意味で点線としたものでございます。ご希望ならば、来年度からは実線といたします。

○大西委員 ご希望です。ここは一番肝心だと思います。単なる行政の内部だけの行政評価にしていかないためには、ここをいかにシステムに入れていくかということが大事なものですので、これはやはり来年はしっかりと太線でお願いしたいと思います。
 それから、都民のご意見はどのように募集され、どのように施策に反映されるのか。先ほどもお聞きになりましたけれども、ホームページで公開するだけではなく、また単に報告書の末尾に書くだけでもなく、もっとそれをシステマチックに公募されるべきだと考えます。そして、さらに広げていけば、説明会や公聴会が企画されてもいいわけですし、また、評価過程の中に、顧客満足度の調査という形で意向が反映されるべきだとも考えます。そのような方向で規則の改定が検討されるべきだと考えますが、それはいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 先ほども山下委員のご質問にお答えいたしましたが、評価結果を、「広報東京都」への掲載、インターネットの活用、公立図書館における閲覧など多様な手段によりまして広く都民にお示ししておりまして、郵送、ファクス、電子メールなどにより意見をいただくようになっております。現在のところ、これが最も効率性の高い方法であると我々は認識しております。

○大西委員 説明会や公聴会の企画というものも、その中にちゃんとシステムとして入れていく方向も、しっかりとこれから検討すべき課題だと、ここも大きな課題があるなと、今、思いました。
 それから、施策への反映という点でもきちんと制度化されるべきだと思います。
 最近のパブリックコメントの運営では、提出された意見と、それに対する行政側の見解が報告書に添付されるようになってきてはいますけれども、行政評価についてもそのような取り扱いが必要であり、それでも、行政に都合のよくない意見がネグレクトされている節も見られるので、きちんとした応答義務を規則などに定めるべきだと思います。先ほどのお答えの中にありましたので、あえてこれはお答えはいただかなくてもいいんですが、その辺が大きな課題としてあるということだけを覚えておいていただきたいと思います。
 さらに、政策評価過程の市民参加についていうならば、市民の側で代替的な政策評価ができるように、評価に用いたすべてのデータ、技術的な手法が開示される必要があると思います。行政とは別の視点から政策評価を進めることは、政策選択の幅を広げ、より効果的な有効な政策展開を可能にするはずですし、都民や政策に関連するNPOが行政による評価を追跡できるように、それらのデータを配布するように求めるんですが、その辺はいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 紙面上の制約もございますけれども、評価の際に用いた必要なデータはできるだけ多く評価票に示し、公表しているところでございます。

○大西委員 先ほどの、都民の意見というのにこだわりますけれども、この図によりますと、二次評価が終わって、知事に報告、公表、その中に、さっきの点線の都民の意見というものがあります。私は、やはり本来は事務事業所管局が評価した第一次評価、それから第二次評価、このあたりで都民に意見を広く求めていくことが非常に必要なんじゃないかと思っております。
 本当にこれは、それぞれの自治体も大きな課題だと思っておりますし、それから、それに参加する市民も、ある意味そこで学習しながら、どのようにそれを盛り込んでいくかということをお互いに研究する価値が十分あるんですけども、東京都の場合は第二次評価のところにそういう都民の意見を求めて、そしてそれを反映しながら評価すべき、ぜひこの道を探っていただきたいと思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 現在、行っております事務事業評価は、事業所管局が自己点検の観点から実施いたします第一次評価と、できる限り客観的な評価とするとともに、都の施策全体の中におけるあり方を検証するために、私ども知事本部が全庁的な立場から実施する二次評価、それをあわせて公表いたしまして都民のご意見をいただき、事務事業の見直しに反映していくシステムとなっております。
 本制度は、今年度から本格実施を始めたばかりでございまして、当面このシステムを維持させていただきたいと考えております。

○大西委員 この行政評価が本当に生かされるためには、やはり自己点検の限界というものをもう少し認識なさって、広く都民へ公開していくということ、もっともっとその取り組みを進めていただきたいと思います。
 今回の行政評価については、十一年から試行を重ね、十三年度から本格実施に入ったということで、東京都においても今、始まったばかりだというふうに思います。そこで、今後に向けて二点提案させていただきたいと思います。
 先ほどの質問の中でも申し上げてきましたけれども、事前評価の必要性というものがこれからは問われると思います。先ほどのプラン、ドゥー、チェック、アクションでしたっけ、このサイクルがきっちり回るためには、やはり何よりも施策の透明性というのが今、問われているわけですから、この評価制度の中でもここをもっともっと研究していただきたいと思っています。
 それと、もう一つは市民参加の点です。
 先ほども申し上げましたけれども、自己点検の限界があります。二次評価の段階で、市民は多くの代替案、そして検討すべきものをたくさん抱えております。そういう意味じゃ、知恵袋ですので、それをしっかりと行政の中に取り入れていただき、そしてやはり外部評価を取り入れるための準備、そういう制度も検討していただきたいと思います。
 先ほどの質問の中にもありましたけれども、この行政評価が、単に東京都のためだけにある行政評価にならないように、忘れてならないのは都民のための行政評価だということを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○矢部委員 一番最初と一番最後に質問に立たせていただいて、大変恐縮に存じます。
 行政評価のいろいろやりとりがありました。まず最初にちょっとお尋ねしておきたいんですが、先ほどもありましたけれども、投資的経費のものと経常的経費のものと事業が並んで評価されております。まるっきり同じ形ではないというふうに思うんですが、その投資的経費により将来的に生まれるであろう利益ということについては、どういうふうにここでは評価されるんですか。

○南雲特命担当部長 先ほど来申し上げておりますが、事務事業評価は、達成度、投入費用の妥当性による実績評価を行った後に、必要性、効率性、公平性という項目によりまして総合評価を行っておりまして、ご質問の点につきましては、効率性の評価において費用対効果の状況を見ることといたしております。

○矢部委員 現実、そういうことでは、よく例に挙がるのは井荻の陸橋ですか。踏切があって、それまで七十分間踏切待ちをしていたところが、立体交差になったために五分で通過できるようになったと。こういうことは大変大きくいわれていますけれども、その工事している過程というのは、近隣からも苦情、迷惑ばかりで、そういう意味では、今のようなお話のことは想定できないと思うんですが、そういうことはどういうふうに評価されるんですか。

○南雲特命担当部長 何分にも今年度は本格実施の一年目でございまして、まだまだ未完成であるということは我々も認識しております。ご指摘いただいた点につきましては、今後、検討させていただきたいと考えております。

○矢部委員 本格実施の一年目ということでございますけれども、そういうふうなお話であるならば、完成形というのはどういうものを描いているのか、ちょっとお教えいただけますか。

○南雲特命担当部長 完成形を現時点で明確にお示しすることはできませんけれども、今後さまざまな工夫を凝らしながら、より確度の高い、よりよい制度にしていきたいと考えております。

○矢部委員 この今、都が行っている行政評価制度の体系、どういうふうになっているのか、ちょっとお教えいただけますか。

○南雲特命担当部長 都におきましては、現在、本格実施しております政策評価、事務事業評価のほか、それぞれの事業所管局、所管部署がみずからの事業を徹底して点検する自己検証システムというものを導入しております。さらに、一定規模以上の公共事業等につきまして、事前評価の制度を現在、試行しているところでございます。

○矢部委員 自己検証、これからのものについても事前に評価をするということですから、大いに楽しみだというふうに思いますし、今、五十二やっていますけれども、これからどんどんふえてほしいというふうに思うんです。
 それと同時に、これはアメリカではもう既に実施されているようですけれども、みずから判断をして取りやめたときは、次の年度は、その半分の予算を、その取りやめたところが、所管する局なりが優先的に使えるというような仕組みがあるんだそうですね。その仕組みを取り入れたら、途端に経営効率が上がって、赤字が黒字に転じた。なおかつ仕事も的確に進むようになった。全部切り捨てればいいというものじゃなくて、都営バスのように東京都が赤字路線を担わなくちゃいけないというのもあるわけですから、この辺のめり張りというのは大変難しいと思うんですけれども、そうしたところまで進んでいかなければ、本当の意味で--それぞれ自己が検証するシステムがあって、その中でやっていく。でも、それには、返ってくるものがなきゃ、そこまではやらないんじゃないかというふうに思うんです。将来構想、そういうことは踏まえてないですか。にらんでないですか。

○南雲特命担当部長 現行制度の中では非常に難しい面もあろうかと思いますけれども、貴重なご意見として、今後、研究させていただきます。

○矢部委員 当然のごとく、そうした将来構想をにらんでスタートしたシステムだと思っておりましたが、いいものはどんどん取り入れるべきですし、そういうふうになっていけば、東京のいろんなものも解決していくのではないかというふうに思っております。
 先ほどの大規模の公共事業事前評価制度という言葉の中で、私ども大変困っておりますというか、悩んでおりますことがあります。社会事業大学の跡地のことについて、いろいろ地元との協議があったにもかかわらず、違う角度で進んじゃっているんですが、こうした新規のものについても当然対象となるというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。

○南雲特命担当部長 現在、試行中の大規模公共事業等の事前評価の対象事業につきましては、例えば道路街路事業、港湾整備事業というような事業の種別によりまして、大規模と定義すべき規模が異なっておりまして、一律の基準を設定するのが難しゅうございます。具体的には、本格実施までに基準を定めていきたいと考えております。
 今お話がございましたようなものにつきましては、今後、その評価対象基準を設定していく中で、評価対象となるかどうかが決まっていくものと認識しております。

○矢部委員 知事本部が上か下かというお話がありましたが、前回の委員会でも質問させていただきましたんですけど、十四年度に向けて、重要施策という形で、今、取り組みをされているわけです。それで、それらのことは結局、ほかの局に対していろいろな意味で意見を申し述べる立場の知事本部としては、やはり範を垂れなきゃいけない立場だろうと私は思っております。この重要施策は予算に絡むことだから、ここでは論じないということになっているようですけれども、ただ、この中に言葉として、もう活字として出てきちゃって、事実と違うことがひとり歩きしているということは、ちょっと私は見過ごすわけにはいかぬというふうに思っております。
 先ほど来のお話にありますように、東京構想二〇〇〇、平成十二年十二月に、知事本部の前身の政策報道室が計画をつくったものですけれども、この所管局は知事本部にそのまま移管というか、流れているわけですね。

○荒川企画調整担当部長 東京構想二〇〇〇の進行管理といいますか、これにつきましては、私どもの知事本部の企画調整担当ラインの方でやっております。

○矢部委員 先ほど来、いろいろお話が出て、来年度の重要施策にもこれがベースになっているというお話がありました。この構想の中には、後段に、二四三ページ以降、三カ年推進プランというのが載っているわけです。長期の計画を立てて、なおかつ三カ年の推進プランを立てて、そしてそれを新規の事業なり来年度の事業なり、あるいはこれから以降の事業に盛り込んでいこうということが基本的な考えだろうし、これは石原知事が策定した初めての構想であるわけですね。
 この中に、いろいろ私も読ませていただいていますが、犯罪のこと、強まる犯罪への不安というような表現があったり、あるいは急激に増加する交通事故というようなことはありますけれども、少なくともこれを見る限り、あるいは推進三カ年プランを見る限りにおいて、留置場という言葉はどこにも一つも出てこない。その必要性があるということは、去年の十二月の時点では全然ないと私は思えるんです。いかがですか。

○荒川企画調整担当部長 東京構想で、犯罪につきましては、今、先生のお話のとおりの記述がございまして、確かにその中では留置場そのものについての記述はございません。強いていうならば、今後の犯罪に対する新たな時代の要請に的確に対応するという中で、犯罪の予防ですとか取り締まりのために組織の再編整備や人材の育成をしていくというようなところが、強いて読めるかなと思いますけれども、先生ご指摘のとおり、具体的には留置場についての記述はございません。

○矢部委員 今のお答えのとおりだと私も思うんです。これは、同じく知事本部が絞り込んだ十四年度の重要施策というものの中に、社会事業大学跡地の有効活用(留置場等の整備)と、こう明確に書いてあるんですね。これは、この東京構想二〇〇〇と整合性はないんじゃないですか。

○荒川企画調整担当部長 まず、十四年度の重要施策を立案するに当たりまして、ことしの春に各局に立案方針を示したところでございますけれども、その中で、東京構想二〇〇〇並びに三カ年の推進プランを着実に推進することということで、今回の重要施策につきましては、東京構想二〇〇〇の政策方針に沿って、その中に記載しております事業を着実に推進するということを述べてございます。
 それから、具体的な、今、先生のお話にございました日本社会事業大学跡地の利用につきましては、そのまま今回の重要施策に入れたわけですけれども、それ自体は東京構想にないわけでございます。しかしながら、犯罪をなくしていくということにつきましては、政策方針あるいは政策目標として掲げているわけでございまして、それを今回、より具体的な政策立案、事業立案をして、その東京構想で掲げた目標を達成していくということで、そのために、今回の重要施策に新たな施策として取り上げたところでございます。

○矢部委員 お話の向き、最近の知事発言、そうしたことはいっていらっしゃいますけれども、基本的な計画にはない。もし、その後気がついたとするならば、この基本計画に盛り込む努力をするべきなんじゃないですか。

○荒川企画調整担当部長 一般に計画、一般といいますか、東京都の場合には、基本構想のほかに、現在、三カ年の推進プランがございます。そういう三カ年の推進プラン、これは具体的には実施計画になると思うんですが、こういった計画をいかなる場合に改定するかということで、この場合には、期間満了の場合には当然改定ということになるんでしょうけれども、それ以前の場合で改定するといたしますと、例えば社会経済状況の変化、大きな変化が起こった場合、あるいは事業計画が実態に合わなくなった場合、あるいは政策方針が大きく転換したというような変化があった場合には、総合的に判断して改定していくということになろうかと思います。
 ただ、当初掲げた目標に対して、その時点で、計画を策定した時点ですべてが入るわけではございませんで、その後、その政策目標に沿って新たに立案した事業があった場合に、一つ一つ、三カ年計画を改定して計画に盛り込むということのそのコストと、それをやることの政策効果あるいは都民に対する説明のわかりやすさ、そういったようなことを総合的に判断しますと、直ちに三カ年推進プランを改定すべきかどうかということで、改定すべきではないのではないかというふうに考えております。

○矢部委員 当該土地につきましては、当初、渋谷区が取得希望を出していました。いろんな事情の中で、国と東京都が話し合いをして、そして利用目的を明確に決めたんですね。三項目。それは、都市災害救助隊、災害対策後方支援センター、原宿警察署、この三つを明確に決めて、そして区も全員協議会を開いて同意を得て、そしてこの三つに限定するという中で、渋谷区もこのことを東京都に譲ったという経緯がありますし、地元もそのことについては話し合いをして、了解をしてもらっているわけでございます。
 それだけじゃなくて、区と当時の財務局長なり、当時の商店会あるいはその対策協議会のメンバーとの文書も、公文書という形で交換をされているわけですね。その目的がそれ以外のものに変わるときは、当然事前に相談をしなければ、これは公文書、要するに公的な約束違反になると私は思っております。こうしたことが一切されずに、今、進んでいるわけです。
 財務局は、留置場ということは一切入れておりませんといっています。なおかつ、留置場の数も何も限定していません、今、公募している形の中でやります。しかし、この十四年度重要施策の中では、日本社会事業大学跡地利用計画ではなくて、有効活用という言葉にまずはすりかわっちゃっているんですね。なおかつ括弧して留置場等の整備と、こう書いてある。
 これはもう留置場のこと先にありきを、もうここで文書にしてひとり歩きさせて認めてしまおうということのようですが、これは私ども、決して認めるわけにいかぬ。今までの約束からも、これはすべて違反することですから、もう直ちにこの部分は、現在、現時点で財務局がそうしたものは一切触れていないといっているわけですから、この表現は訂正してほしいというふうに思うんです。いかがですか。

○荒川企画調整担当部長 社会事業大学跡地有効利用につきまして、今回、重要施策の中の個別事業として取り上げる結果となったわけでございますけれども、これにつきましては、現在の東京の犯罪の状況を見ますと、今回、知事の所信表明の中でも触れてございますとおり、刑法犯が過去最高になった、あるいは来日外国人の薬物事件がこの一年で倍増するといったように、東京の治安が急速に悪化しているという実態がございます。
 一方、都民から見ましても、今回、都民生活に関する世論調査の結果が発表されましたけれども、犯罪、防犯対策ということが、都政に対する都民の要望の第四位になっております。平成十一年が十一位、平成十二年が八位ということで、現在の犯罪、治安が急速に悪化していることを反映して都民ニーズが高まっているというような状況がございます。
 今回、重要施策の選定に当たりましては、こういった都民のニーズを踏まえまして、十四年度の政策課題として、その中に、犯罪から都民を守るというものを掲げまして、それを実現するために、重要施策といたしまして、早期に留置場を造成するということを掲げました。そして、具体的な事業の一つとして、日本社会事業大学跡地の有効活用を入れたものでございます。
 それで、今、地元とのお約束の話が出ましたけれども、これにつきましては、今後、具体的に、事業の規模、内容、それから現場での建物の建て方などを検討していく際に、地元の方々とよく相談しながら進めていくべきではないかというふうに考えております。
〔「約束破るって、今、明言したよ、矢部先生」と呼ぶ者あり〕

○矢部委員 そんなこと認めるわけにいきませんので……。
 国から払い下げを受けるときに、社会事業大学跡地の利用計画というのを東京都が出しているんですね。先ほどの都市災害救助隊八千五百平米、災害対策後方支援センター一万五百平米、原宿警察署三千平米。こういうとんでもない数字が出ています。緑地三千平米。このことをもとに契約を交わしているわけです。
 この契約を交わしている関係からして、この指定解除の手続をしているのも事実です。それは、指定用途と指定期日、要するに平成十四年三月三十一日までに、先ほど申し上げました施設を完成させるという約束ですから、それができていない。そのことで解除する。それは理解するとして、もう一つ、民活を使いたいというようなお話があって、そのことも、財政的に厳しい中では理解するとして、それ以外のことについてすべて白紙に解除されたというのは、知事は勝手に解釈されているようですけれども、それは私は違うと思うんです。
 今、荒川さんも留置場のことありきのような話をされていますけれども、そうじゃなくて、地元と、あるいは区、小倉渋谷区長と交わした文書をもとに解釈をすれば、この根本的な変更なんですから。ましてや、警察署三千平米とここに書いてあるんですよ。
 でも、今、東京都が計画しているのは、にわかに数字を聞いたところによると二万七千八百平米。十倍の規模じゃないですか、このときと。そんなことがあるのかと思っちゃうんですが、これは敷地面積だから、延べ床とはちょっと違うかもしれませんけれども、そういう表現にすりかえて、どんどん作業だけ進んでいって、その活字になっていることがひとり歩きしているから、それが事実だというのは、私は間違いだと思うんです。
 今からでも遅くないんですから、もしそういう計画を持つならば、事前の段階でやはり協議するべきだというふうに思うんですが、いかがですか。

○荒川企画調整担当部長 地元の方々といろいろ話す場合にも、一つの案を持って話していかなくちゃならないというのが現実かと思います。その案をさらに具体化する場合に、地元の方々の要望を踏まえて修正すべきは修正していくといったようなことが必要だろうと思います。
 今、先生からお話のありました、たしか平成八年ごろにつくった、その三点のプランがございますが、今、先生からお話がありましたように、財政事情などであのような大規模な施設が難しいということで、今回、見直しをして、国の解除も得たわけでございますけれども、地元の方々から出されたご要望は、その当初の案に対する要望でございまして、計画の中身の見直しを、現在、担当の財務局の方で基礎調査をやるということになっておりますが、その見直しの段階におきまして、当時の計画に対して出された要望をどの程度取り入れることができるのかどうか。それだけではなくて、その新たな都の案をつくる節目節目の段階で、地元の方々とお話をしながら中身も決めていきたいということは、財務局の方から聞いておるところでございます。ご理解願いたいと思います。

○矢部委員 知事本部は、知事の意思を一番体している組織ではないですか。そうじゃなきゃ、知事なんていう名前を冠する必要ないでしょう。財務局が考えているんだけれども、これは財務局の考えでもないんじゃない。財務局は今、白紙だといっているんですよ。で、知事本部から出てきた文書の中には載っているんです。
 これはあくまで、知事がもうすべて、要するに国とのことは手続をしましたよ、だけど、地元区なり地元のそれぞれの機関との解除の話は一向に、一切されていないんですから、そういう状況で進んでいくというのは極めておかしくないですか。自分の土地だから自分で建てる。それは勝手かもしれませんけれども、そうならば、こういう約束をしなきゃいいじゃないですか。約束を交わしてるんですよ。公文書ですよ。その公文書で交わしているものを無視して、そのまま進めていくというのならば、それはもう石原知事のファッショじゃないですか。幾ら右翼だからといって、そこまでやっていいわけはないと思うんですよ。そんなことばかりですべてのことが進んでいったら、これからの計画も何も議会も要らないじゃないですか。そういう姿勢で臨んでいくということに理解していいですか。

○荒川企画調整担当部長 先ほど、ちょっと言葉が足らなかったかもしれませんが、別に財務局が主導をとってやっているということではなくて、具体的な地元対応につきましては、事業執行局である財務局が担当しているということを申し上げたわけでございまして、基本方針につきましては、今回、重要施策の中で、まさに知事本部の方で案をつくり、政策会議の中で決定させていただいたところでございます。
 また、地元と交わした公文書につきましては、誠意を持って対応していくということが書かれていると思いますけれども、これにつきましては、まさに今後とも誠意を持って対応していきたいということでございます。

○矢部委員 もう終わりにしますけれども、その誠意を持って対応するの前があるんです。前。それは、もう、つくる施設について、これとこれとこれと特定、限定して、その前提なんです。その上での誠意です。この前提条件が崩れるならば、もう当然のごとく話し合いをしなきゃならぬ。これが当たり前の民主主義の社会のルールです。そうじゃないとするならば、それは先ほどもいいましたように、もうファッショです。
 そのことを申し上げておきたいというふうに思いますし、もう一つは、この十四年度重要施策、一四ページ、この中も全部同じ表記でありますけれども、日本社会事業大学跡地の有効活用(留置場等の整備)となっていますけれども、これは本来であるならば日本社会事業大学跡地利用計画。その中身についてはもう決まっているわけですから、それから変わるということについては、もう変えるならば、変える意思があるならば、早くに、一日も早く、一刻も早く、今はもう進んでいる作業の最中なんだから、一刻も早くしかるべき協議をされることを要望して、私の質問を終わりたいと思います。

○坂口委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五十五分散会