総務委員会速記録第十三号

平成十三年十一月六日(火曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
知事本部本部長田原 和道君
外務長田邊 隆一君
次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
秘書部長橋本 康男君
政策部長山口 一久君
外務担当部長浅野 秀治君
特命担当部長南雲 栄一君
企画調整担当部長荒川  満君
参事熊野 順祥君
首都調査担当部長野村  寛君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
選挙管理委員会事務局局長南  靖武君
次長橋本  剛君
人事委員会事務局局長高橋  功君
任用公平部長砂岡  攻君
試験室長川田 明良君
審査担当部長須々木亘平君
監査事務局局長中山 弘子君
次長細渕  功君

本日の会議に付した事件
 選挙管理委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 人事委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 監査事務局関係
  事務事業について(質疑)
 知事本部関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・首都移転の再検証について
  事務事業について(質疑)

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、今後の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局及び監査事務局関係の事務事業に対する質疑、並びに知事本部関係の報告事項の聴取及び事務事業に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 ことしは選挙が二つ行われました。最初にありました都議選では、私どもも改選を受けたわけでございます。最近の傾向というか、一つには、時間が二時間延長された。
 そういう中で、開票の結果をいろんな意味で楽しみにしているというか、注視している人たちからしまして、どうも夜更かしになってしまうとかいうような声があるわけですよ。特に今回、私どもの選挙区の渋谷区が特に遅かったということなのかもしれませんけれども、大変に皆様からおしかりを受けました。何で候補者だった私がおわびしなくちゃいけないのかなと思うんですけれども、後援者の皆様が、夜遅く、夜中になっても結果が出なかったというようなことで、寝不足になってしまって、次の日の仕事にも差し支えたなんというようなことも含めて、いろいろなお話がありました。
 この都議選があって、その後また参議院選もありましたものですから、参議院選のときは私も開票所へ行きまして、様子をつぶさに見ました。全部の開票所を見るわけにはいきませんから、私は自分のところだけでしたけれども、どうも大変むだな動きが多いなという感じもしましたり、よくよく参議院のときなんかは、おおむね候補者が確定しちゃって、あと一人という段階になってやっと渋谷の結果が出た。だから、あと一人を決めるに当たって渋谷の結果は参考になったかもしれないけれども、それまでの確定者を決めるに当たっては渋谷の票は何にも影響していないというふうにしか見えなかったんですね。こういうばらつきがどうして起きちゃうのかなと思っているんです。
 渋谷、渋谷というと、渋谷の恥をさらしているようで申しわけないんですが、いろいろお聞きいたしますと、府中は大変早いということも聞いておりますし、また、OA化を進めたところもあるというようなことも聞いていますが、もともとこれは、都の選挙だった都議選は都費、参議院選挙は国費ですね、それぞれ出ているわけで、一定の根拠があって、それぞれに出ているわけでしょうから、差はないと思うんです。差はないというのは、予算面というか、そういう面では差はないんだろうと思うんですね。そういう中で行われている選挙で、どうしてこういう差ができちゃうのか。
 そういうことについて、東京都選管は直接開票事務には携わりませんけれども、その携わっている当該自治体が、東京都議選というふうに一つ限定したときに、やっぱり同じにやっているんだから同じに結果が出てしかるべきだと思うんですけれども、相当な差があったりするわけです。これについてどういうふうにお考えなのか、結果がどんなふうだったのか、選管としてとらまえているのか、お聞きしたいと思っているんです。

○橋本次長 開票時間のご質問でございますけれども、今回の都議選の開票確定時間で、島や多摩地域の町村を除きますと、最も早いところで二十一時五十一分、最も遅いところで二十四時三十分という状況でございました。
 お尋ねの、比較的確定が容易な投票数の報告の迅速化ということでございますけれども、開票作業を行っているそれぞれの区市町村の選管において、時間の短縮に向けて努力をしていると考えております。
 開票の迅速化につきましては、いうまでもなく開披分類、集計といった開票作業をいかに手際よく速くやるかということがまず第一でございますけれども、ただ、開票作業は正確さと速さの両方が求められるということから、例えば立会人の点検の仕方におきましても、有効票、無効票の各票束に決定付票をつけて立会人全員に回して、点検を受けて押印を求めるといった回示点検方式というのをとっているところと、それとは異なりまして、立会人の前に大きな台を設けまして、完全有効票の大票束を置いて、随時、自由に点検できるようにする随時点検方式をとっているところがございます。前者は、安全確実な点検方法ですけれども、点検に時間がかかるという方式でありまして、後者は、開票事務の迅速化と立会人の負担軽減が図れますけれども、大きな積載台を設置するようなスペースも必要だというようなことから、あるいは候補者が少なくて立会人も少ない場合についてはあんまりメリットがないというようなこともございます。
 開票の迅速化ということに向けまして、都選管といたしましては、回示点検方式から随時点検方式というふうに転換していただくようにお勧めしてきたところですけれども、いずれにいたしましても、最終的に決定するのは各自治体の判断によるというものでございます。

○矢部委員 一番早いところが二十一時五十一分、これは最終確定ですね。確定までの時間。遅いところが二十四時三十分。これを、早いところと遅いところをいうわけにいかぬですか。まず一点。
 それから、回示方式と随時方式というお話がありましたけれども、これをしたときに、例えば、府中、府中って、これも申しわけないんですが、府中は大変早いというふうにお聞きしておりますけれども、これは随時方式を取り入れているんですか。
 そういう早いところがあるとして、何か情報交換をしたりして、そういう努力はされないのかということと、まとめてお尋ねしちゃいますけれども、次は、最終確定はともかくとして、ある程度の、何というんでしょうか、もう明らかに疑問ではない、明らかなものが七〇%ぐらいまでのところというのは素早く出した方が--それは待っている人からすれば、内定にしても何にしても、当確にしても打てるわけですから、そういう作業ができた方が。最終確定は次の日までかけてやったっていいと思うんですよ、端数が出てくるまでは。その最初の第一歩をなるべく早くしなきゃいけない。
 それぞれ聞きますと、投票所まで行って、その投票所から開票所まで運ばれてくる道中があります。遠い近いあります。その開票作業に、事務に携わるといいますか、スタートする時間にも大分ばらつきがあるようですし、だから、どこをどうすればいいのか、ある程度統一をされていった方が--統一といったって、それはもう自治体の事務だから、自治権侵害になっちゃうといわれるとそうですけれども、少なくとも東京都の選挙については、東京都議会議員選挙は東京都選管がかかわってやるものですから、やはりなるべく横並びにというような協力要請はできるのではないかと思います。
 今、五点ぐらいお尋ねしましたでしょうか……。

○橋本次長 まず、開票の確定時間が最も早かったところは府中市でございます。それから、最も遅かった二十四時三十分は東大和市でございます。それで、府中市におきましては、先ほど申し上げました回示点検方式を採用しております。
 それから、疑問票などは多少おくれても、確定が容易なものについては先に確定というか、公表すべきではないかというお話でございますけれども、いかにその確定したものについて手際よく公表するかというような工夫につきましては、各区市町村において努力をしているというふうに考えております。
 それで、遅いところと早いところの調整の問題でございますけれども、都選管といたしましては、開票事務の迅速化も含めて、それらに向けての努力についてでございますけれども、選挙事務の改善や効率化について検討、協議する場といたしまして、選挙事務運営協議会というのを設置しておりまして、これは区市町村選管の担当者が構成員になっておりますけれども、その中で開票事務の迅速化の検討も行ってまいりました。
 例えば、参議院の非拘束名簿式が導入されましたことしの参議院選の前には、都と区市町村で、開票事務の迅速化を図るために開票シミュレーションというのを実施したところでございます。それによって合理的な開票方法を模索すると同時に、先ほどご指摘のありましたОCRの採用などについても、検討をその場で行っているということでございます。

○矢部委員 今も出ましたけれども、ОCRを採用したところ、していないところ、いろいろありますし、機械の価格も大分するようです。今まだ進化の過程でもあるようですから、いつ購入するのがいいかわかりませんけれども、やっぱりそれを導入したところは早くできていたのではないかなという感じを一つは持っているんです。
 だからそれは、都議選くらいの候補者数のところには向く、でも、区議選くらいの候補者になってくるとちょっと向かないとかというような、向き不向きはあるようですし、参議院の比例の方には向かないとかというようなこともあるようですけれども、でもやはり、そういう努力をしているところ、依然として今までどおりのところ、こういう差がありますけれども、これらについて、例えば都議選と限定したときに、選挙事務経費というのは、人口規模だとか有権者数とか、何かそれなりの理由はあるんでしょうけれども、早いところには余計行っている、遅いところには少ないということがあるんですか。

○橋本次長 開票費も含めた選挙費用についてでございますけれども、これにつきましては、国政選挙の場合ですけれども、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律というのがございまして、これに定められた国の基準に基づいて算定されております。
 開票所経費などにつきましては、開票の所要時間と有権者の規模に応じて定められているところでございます。
 地方選挙である都議会議員選挙におきましても、そういった国の基準に応じて交付額を算定しているということでございます。
 お尋ねの、各自治体の努力を交付額に反映するということについてでございますけれども、今申し上げましたとおり、国の法律でその基準が定められておりますことから、一定の限界がございます。しかし、経費内容の精査をする中で、そういった区市町村の努力などが反映できるものは交付額に反映させるようにしていきたいところでございます。
 今後も、区市町村への交付金の効果的な配分を進めるための努力はしていきたいというふうに考えます。

○矢部委員 国政選挙よりも都議選の方が、若干ですか、予算的には多かったやにお聞きいたしておりますが、それは、もう一面、これはどうなんでしょうね、国基準というのはどうしても地域による差が出ますから、同じ単価でいったときには超過負担をしなきゃならぬ部分があるんだと思うんですが、そういうことはしていないんですか。

○橋本次長 確かに国基準は全国一律の基準でございますので、東京のような大都市の特殊性というのは必ずしも算定上反映されていないという嫌いがございます。
 したがいまして、基準と区市町村の実際の執行経費との差、つまり超過負担の差が大きい場合については、それを埋めるべく努力をしておりまして、実際の執行経費を都の方で精査する中で、必要なものについては、国に対して、その差を埋めるといいましょうか、調整額といっておりますけれども、調整額を交付するように努力をしているということでございます。

○矢部委員 いつですか、たまたまテレビを見ていたときに、フランスの大統領選挙の開票がニュースで放送されていたんですね。あと一分で投票時間終了ですといって、これで選挙が終わるのかと、それから開票が始まるのかと思っていましたら、今投票時間終了です、どん、だれだれ当選、こう出るんですね。投票が終了と同時に、どんと当選者が出る。見ている人は大変ダイナミックですよね。フランスはそういうやり方、電子投票しているのかなというふうに思うのですけれども、日本はそうじゃなくて何時間もかかってしまう。
 これについて、基本的にこれは国でやっているんでしょうけれども、それと同時に、日本はもうこれが捨てがたいのは、記名式の投票をする。識字率の高さを世界に誇れるものでありますし、本来あるべき姿だというふうに思っているんですが、そういう中においても、今だんだんОCR等々が進んでくる中では、日本の技術でできないわけはないなというふうに思っているんです。将来構想というか、その辺のところは今どんな動きがあるんでしょうか。

○橋本次長 電子投票についてのお尋ねでございますけれども、東京都におきましても、投票事務のみならず、開票事務の効率化と迅速化を図るということでメリットが大きいということで、十一年の九月に東京都電子投票制度検討研究会というのを立ち上げまして、検討をしてきたところでございます。昨年十二年の十一月に中間報告を発表いたしまして、その中で、研究会の中ではこういうふうに整理しております。まず、投開票事務の効率化など選挙事務の改善に資するであろう。それから、都民の方々にとりましても、選挙結果が迅速に得られ、有権者の投票意思が正確に反映される。それから投票のバリアフリー、障害者の方が投票しやすくするといった意味の投票のバリアフリー化などに役立つのではないかというメリットを整理しております。一方で、セキュリティー対策などのシステム面の課題もあるだろうと。それに加えて、電子機器に対して都民の皆さんが、先ほどおっしゃったような、要するに自分の手で書くことに対する、何というか、おなじみといいましょうか、そういうものもあるという中で、都民の皆さんや候補者からの信頼をいかに得るかといったようなことなどが検討すべき課題ではないかというふうに、研究会の方では整理をしております。

○矢部委員 日本のよさを維持しつつも、今のままでいいわけはないというふうに思いますし、ITの時代は終わったといわれながら、IT未開発国の日本としては、これから大いにやらなきゃいけないなというふうに思うところです。
 少なくとも、投票率をアップするということを念頭に置いたときに、やっぱり投票行為に及んでいただいた方が、自分の投じた一票がこうだったということが速やかに表現されるということは、大変いろんな意味での効果があると私は思っているんですね。そういう観点、これは同意をされるかどうかということがありますけれども、そういう観点に立つと、少なくとも、開票を今の形でやり続けるとするならば、なるべくスピーディーに、なるべく同じ土俵で作業が進んでいるという感じが表現をされませんと、今テレビの時代で、都議選もテレビで開票速報される時代になってまいりましたので、そういうときに、それを見ている都民が、どこどこは早いけれどもどこどこは遅いと。何か投票が終わったと同時に当確の出ちゃった人もいましたけれども、そこまで早い必要があるかどうかはともかくとしまして、例えば、作業が進んで、まずは一番最初のスタート時間がどこかで合意を、調整をされて、何分後かには何%かのものははっきりわかる、それがもう時々刻々こう出ていくと。そこを全部省略して、最終確定だけ一発で出すというようなやり方というのは、正確かもしれないけれども、そういう正確さは余り要求していないで、七割方の中でどういうふうであるかということの方を、一般は要求しているんだと思うんです。それから先の確定作業は、次の日までかかったって、三日かかったって、四日かかったっていいと思うんですよ。だから、その最初のところがなるべく見えるように。今はもうショーに近い要素になっていますから、東京都民ならずとも、日本国全体で注視していたりしますので、なるべく早く載せていただきたいと思いますし、なおかつ、今インターネットで速報をされていることは評価いたしますけれども、これも各選管と連動していますから、確定が極めて遅いですね。それこそテレビの方が先に出てくるということになっています。本来こっちの数値の方が先に変化しているという、その情報のホットラインがきちっと整備をされて、要するに各開票所からのデータが都選管にもう瞬時に集まってインターネットに速報値が載っていくとか、都の中でできることについて、テレビ報道はともかくとして、ぜひ都民にわかる、見える選挙に、開票事務になるようにご尽力をいただきたいと思っているんですが、局長いかがですか。

○南選挙管理委員会事務局長 選挙の開票結果を正確かつ迅速に伝えることは、選挙事務に携わる者の重要な責務でございます。このため、実際の開票事務に携わる区市町村では、地域の実態に合わせたさまざまな工夫を凝らしまして、開票作業の進め方もさまざまでございます。
 また、都といたしましても、区市町村と一体となって事務処理方法の改善策について検討するとともに、それぞれの区市町村における、開票作業を初めとする選挙事務改善のための積極的な取り組みにつきましては、他の区市町村にきめ細かく情報提供するとともに、財政面を含めできる限りの支援を行っているところでございます。
 選挙事務の改善は、今後とも継続して取り組まなければならない課題でございますので、ただいまいただきましたご意見なども十分に踏まえながら、区市町村と連携を密にして、有権者の期待にこたえるべく一層努力してまいりたいと思います。

○馬場委員 私も、このことしの二つの大きな選挙を、六月から七月にかけて実際に候補者として、また政党の一員として選挙に携わってまいりました。今また、ちょうど今週は葛飾区で行われているという、そういう選挙の状況なんですが、投票率がやはりどうも全体的に下がってきているのではないかなという感じを受けています。このことは大きく、候補者である私たち、私といった方がいいでしょうか、にも問題点があるというふうに思います。また、政治がそのときにどんなふうに大きく問題点を抱えているかというようなこともあると思いますが、やはり大きくは選挙そのものが、それぞれの都民の皆さんに、どういうふうに考えて取り組んでおられるか、そういう大きく都民へ向けての選挙活動ということが問われなければいけないというふうに思っています。
 きょうの質問は、そういう中で前から気になっていたんですが、いわゆる明るい選挙推進運動というのが昭和三十年ぐらいから行われていまして、今現在でも、明るい選挙推進運動ということで、地域の方々が携わっていらっしゃるんですが、この事務所が東京都の選挙管理委員会の中に置かれているということで、きょうは、この明るい選挙推進運動について何点か質問させていただきたいと思っています。
 まず、この運動の概要、そして組織、仕組みなどについてお答えいただけますか。

○橋本次長 明るい選挙推進運動でございますけれども、これは、選挙が公明かつ適正に行われ、国民の意思を政治に正しく反映させる選挙を進めるための運動でございます。昭和二十七年の衆議院議員選挙での選挙違反を契機に、同年、公明選挙運動というのが始まりまして、昭和四十九年から明るい選挙推進運動と改称されて現在に至っているものでございます。
 この運動は、都や区市町村に置かれております民間団体である明るい選挙推進協議会、あるいは国の財団法人であります明るい選挙推進協会というのが中心になりまして、都及び区市町村の選挙管理委員会でありますとか、国の総務省などと連携いたしまして、それからまた青年団体あるいは生涯学習団体とも協力いたしまして推進する体制がとられているところでございます。
 また、明るい選挙推進運動の実際の具体的な活動を担っておりますのが、各地域の明るい選挙推進委員でございます。この推進委員は、都と区市町村の明るい選挙推進協議会が合同で委嘱しておりまして、都内に約四千四百名の方がいらっしゃいます。

○馬場委員 四千四百名、地域でも活動している方がいらっしゃいますので、そうかなというふうに思いました。この国の財団法人明るい選挙推進協会、そして都と区の団体、これは、それぞれのレベルでどのように分担、また連携をしてこの活動をなされているのか、伺います。

○橋本次長 財団法人の明るい選挙推進協会といいますのは、明るい選挙推進運動を行っている全国団体でございまして、全国に共通する選挙啓発のリーフレットの発行ですとか、都や区市町村の明るい選挙推進協議会への情報提供など、全国レベルの活動を行っているところでございます。
 都や区市町村につきましては、両者の明るい選挙推進協議会が委嘱いたしました明るい選挙推進委員が、民間団体としての特性を生かしながら、各地域に密着した啓発活動を行っているところでございます。

○馬場委員 地域の皆さんが民間団体としてその特性を生かしというふうに、今ご答弁がありました。この明るい選挙推進委員というのは、それではどんな活動を主にしていらっしゃるのか、伺います。

○橋本次長 明るい選挙推進委員の活動でございますけれども、中心となっておりますのは話し合い活動ということでございます。これは、推進委員の方がその地域の人たちと、日常生活の中の例えば環境問題でありますとか福祉の問題など、身の回りの話題について話し合う際に、あわせて、これらの問題と密接な結びつきのある政治と選挙に関心を深めてもらって、有権者の意識の向上につなげていこうという活動でございます。

○馬場委員 話し合い活動というご答弁があったんですが、地域で見ていると、余りこの辺は見えてきませんで、選挙の折、またいろいろなイベントのときの、投票、明るい選挙の呼びかけというようなことはよく目にします。政治と選挙に関心を深め、有権者の意識の向上につなげていこうとするというご答弁がありましたけれども、早くいえば啓発というような運動になると思いますが、それでは、この明るい選挙推進委員がなさっているこうした啓発の活動と、東京都の選挙管理委員会が行っている啓発活動、この関係はどんなようになっているんでしょうか。

○橋本次長 明るい選挙推進委員の方の活動は、選挙時における啓発活動と、日常における啓発活動というのがございまして、日常における啓発活動は、先ほど申し上げました話し合い活動などを通じて関心を高めていく、有権者意識の向上につなげていこうという活動でございます。これにつきましては、東京都との関係ということですと、東京都と連携して、例えばそういった話し合い強調月間を設定してやっていくといったような関係がございます。
 それから、選挙時における啓発活動でございますが、都選管が行っている選挙時の啓発活動は、新聞、ラジオそれからポスター、懸垂幕の掲示などによる選挙の周知でありますとか、都民参加型啓発としてのキャッチコピー、川柳などの募集でありますとか、それから、都議選のときに行いましたけれども、都民ウオーク大会の実施でありますとか、街頭における啓発グッズの配布などの実施をしたところでございます。これらの街頭啓発活動あるいは選挙時啓発活動において、明るい選挙推進委員の協力を得ながら、一緒に街頭啓発を行うといったようなことで、両者密接に連携をして活動しているところでございます。

○馬場委員 平常時の活動と、選挙のときの活動というふうに二つ大きく分かれると思います。この明るい選挙推進協議会及び推進委員は、民間の皆さん、民間団体だというふうに何度もおっしゃられているんですが、その活動において、選挙ということで、私どもには、やはりこの推進活動をする上で心しておかなければいけないことがたくさんあるということも含めて、耳にするんです。
 それでは、この明るい選挙推進委員の活動をするに当たって、こういうことはいけないというふうな、そういう制約等はあるのでしょうか。

○橋本次長 明るい選挙推進委員の役割でございますけれども、これは、国民一人一人が有権者としての自覚をしっかりと身につけ、選挙の意義を理解し、自分の意思を正しく表明するよう働きかけることでございます。
 したがいまして、推進委員として活動するときは公正かつ不偏不党であるということが求められまして、こうした推進委員の性格上、行動には一定の制約がございます。
 このため、推進協議会におきましては、推進委員の委嘱をする場合、このような制約があること、また、こうした制約が自分にとって不都合が生じたような場合には、いつでも推進委員を辞退できるというようなことを十分理解していただいた上で--区市の推進協議会に、そういうことを理解してもらってくださいよということでお願いをしているところでございます。

○馬場委員 民間団体と制約という大きな、難しいというか、問題があるんですが、実際にこう拝見していると、その活動に一生懸命になればなるほど、お互いに制約をしてしまうという傾向が見られるのではないかなというふうに思っています。それも、選挙時、選挙の最中ということだけでなく、平常時も含めて、政治活動ということについて、何というんでしょうか、近づいてはいけないというような感じに受け取られている。それが、だれかが、一般的な--私たちも、もちろん議員ですから、さまざまな集会、イベント等開きますが、そういうところへの参加ということも含めて、個人のそういうところに参加するということが、お互いに指摘される。そんなようなことも含めて、この明るい選挙推進委員という肩書が、個人の活動にとってとても判断しづらい部分と、それから、とても重い感じに受けとめられる、そんなような状況も生じているのではないかなというふうに思っています。
 清く明るく正しい選挙という、標語もいつも出ていますが、本来だれもが、自分の生活の部分をきちんと選挙という形の中で、何というんでしょうか、投票活動また政治活動という形でできるという権利でもあるわけですから、民間の団体であるこの明るい選挙推進委員の皆さんが、この辺の判断がとても難しい状況にあるというところは、何らか、私たちにも、その制約をわかりやすいものにしていかないと、政治に対して、選挙は行ってくださいという運動はしていくけれども、盛り上がりに欠ける。なぜ選挙に行くのかということも含めての盛り上がり、肝心なところの、推進委員さんの今目的としているところが伝わらないのではないかなというふうに思っていますが、この辺の、選挙に、政治に対する推進委員さん、この体制というんでしょうか、このことについてどういうふうにお考えでしょうか。

○橋本次長 本来、有権者の方ご本人がどういう政治活動をするかということにつきましては、憲法上参政権が保障されているわけですから、当然に自由でありまして、それについては問題はないわけでございます。ただし、明るい選挙推進委員として活動する場合につきましては、先ほど申し上げました運動の趣旨からいいまして、その行動によっては、特定候補の選挙運動をしているという誤解を受けるような問題が出てくるおそれもございますので、明るい選挙推進運動の先ほど申し上げました趣旨からいって、そのあたりの十分な配慮が必要ではないか、こういうふうに考えております。

○馬場委員 最後に要望というか、今の質疑の中で出てきた問題点を何点か指摘させていただいて、今後の検討課題にしていただきたいというふうに思っています。
 本来、今の答弁にあるように、個人の政治活動は規制をされるものではありません。また、民間の団体として、本来の自主的な活動というのがされているんだろうか。民間団体とおっしゃられながら、選挙管理委員会事務局の中に事務所を置き、その事務局を選挙管理委員会事務局が務めていらっしゃるのではないかと思います。そういう中で、さらに、民間団体とされる東京都明るい選挙推進協議会と区市町村の協議会で、その委員さんを委嘱するという形での今までの進め方ということ、このことももう少し検討される。つまり、民間団体として政治活動に、この明るい選挙に携わっていくのか、それとも、きちんと東京都なり公的な選挙の手伝いを、明るい選挙を執行するに当たってそのルールを守るという意味での民間団体としてやっていくのか、その辺の、この明るい選挙推進委員の役割というのをもう少し整理すべきではないかなというふうに私は思っています。選挙の方法をきちんと守る、ルールを守るという意味での活動をもう少し明確にしていくということ、そして、政治への参加等は逆に緩和をしていく、政治活動についての参加は積極的にしていく、そんなようなことができないのかなというふうに思っています。
 私も、「明るい選挙推進ノート」というのをいただきましたが、この一番最初のこの規約のところにもありますが、昭和四十九年でしょうか、五月に第五次改正がなされてから二十七年、もうこのままの形で来ています。政治の形が随分変わってきたというふうに思うんですが、この明るい選挙推進協議会、この形ももう少し今の時代に合わせたものに変えていく、そういう時期にあるのではないかというふうに思っています。
 また、この規約を読ませていただきますと、委員の組織なんですが、一番初めにある学識経験者、ここは分かります。その二番目にあります東京都教育委員会委員長の職にある者という規定、それから、三番目にあります東京都選挙管理委員会委員及び事務局長の職にある者、これはもう完全に、東京都の選挙管理委員会の委員さん全員と事務局長さん、そしてさらに東京都教育委員会の委員長。今現在では清水委員長が、この明るい選挙推進協議会の会長も務められている。全部で十二名いる委員さんの中で六名は、教育委員会委員長と選挙管理委員及び事務局長、民間の方は残りの六名というような状況にあります。これで本当に民間の団体、また各地の区市等の連携も含めて、民間のその活力を生かすような協議会になっているのかなと、そういう気がいたします。
 また、もう一点。では、国の財団、この動きと今までの動きが、改正の動きも連動してきているように思うんですが、やはり都みずからの協議会の活動として、この目的をきちんと実行される、そうした協議会にもう一度見直しをしていただきたい、このことを要望して、私の質問を終わります。

○坂口委員長 答弁はいいんですか。

○馬場委員 はい、結構です。

○坂口委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○坂口委員長 それでは、これより人事委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 久しぶりに総務委員会に参りましたものですから、お許しいただきたいと思うんですが、かつては、この委員会、総務生活文化委員会といわれた時代は、所管十何局あって、こうした事務事業の質疑は行わないという時代でございましたものですから、今は大変民主的になったなというふうに思う次第でございます。
 人事委員会に対するお尋ねなんですけれども、アウトラインをさらっとお尋ねするわけでございますから、お許しいただきたいと思うんですが、昭和二十六年に設置されたというふうにお聞きいたしましたが、ことしがちょうど五十周年に当たると思うんですね。大きな節目であると思うものです。その間、いろんなことがあったと思うんですけれども、人事委員会が設置をされた経緯、目的、当たり前のことといえば当たり前のことなんですが、まずお聞かせいただきたいと思うんです。

○砂岡任用公平部長 人事委員会は、戦後、近代的な地方公務員制度を構築するに当たって、先生のご指摘のとおり、昭和二十五年に制定された地方公務員法におきまして、都道府県と政令指定都市に設置が義務づけられております。
 設置の目的でございますけれども、地方公共団体のそれぞれの任命権者が行う人事権の行使に一定の基準を与える、それとともに、民主的、能率的な人事行政を推進するため、任命権者とは独立して人事行政を総合的に運営する専門的な機関として設けられたものでございまして、具体的に申し上げますと、一つには、人事行政に関する調査研究、あるいは議会や知事に対する報告、意見の申し出及び勧告、二つとして、採用、昇任等に係る試験、選考の実施、三つとしまして、職員からの不服申し立てや勤務条件の措置要求の審査等、こういった役割を担っております。特に、地方公務員の労働基本権が制約されているということに伴いまして、その代償機能を担うこととされております。具体的には給与勧告制度が設けられているというものでございます。

○矢部委員 平たくいえばというか、スト権がないということの裏返しというふうに理解すればいいのかなというふうに思っているんですけれども、いろいろ時代時代で、それこそニュースの中心になって、人勧凍結という言葉がそれこそ新聞の紙面を踊ったりしたこともありました。全体からすれば、経済が右肩上がり、この言葉が適切かどうかはわかりませんが、そういう表現がされていたわけですが、バブルがあって、その崩壊から、右肩下がりの時代に今入っているわけですね。だから、右肩上がりの時代は、人勧が果たした役割というのはそこそこあったのかなというふうに思っているけれども、今この時代に入ってくると、極端な話、要らないのではないかなというふうにふと思ったりもするわけですが、社会的に見て、人勧の果たした役割の中で目立ったものというか、こんなことがあったよと、存在意義のようなことをお聞かせいただければなと思っているんですが。

○砂岡任用公平部長 どのような効用があったかというようなお話でございます。
 人事委員会は地方公務員法で権限が規定されているわけでございまして、それを通じまして、戦後間もない混乱期から現在までの間、民主的かつ能率的な人事行政の確立に寄与してきたと考えておりますけれども、そうした中、具体的な例といたしましては、地方公務員の労働基本権が制約されたことに対する代償機能、先ほど申し上げましたが、給与勧告関係、また、こういった給与勧告をする、これを通じまして、公務におきます労使関係の安定性、ひいては行政の中立性に寄与しているといったこともございます。
 さらに、人事制度全般につきましても、これまでさまざまな意見の申し出等を行ってきておりまして、例えば、平成十一年度には採用試験とか主任制度、そういった関係、あるいは昇給停止年齢の引き下げ、こうしたことについても申し上げておりますし、平成十二年度、平成十三年度と、それぞれ勧告の中で必要な意見の申し出といったものをさせていただいているところでございます。

○矢部委員 ここ最近のニュースというか、電機のそれこそ大手、日本のフラッグシップとはいいませんけれども、日本を代表するような超大手の企業がリストラをいっているわけですね。私はとんでもない話だと一面思っていまして、それこそテロ便乗リストラではないかというふうに思っているんです。そういう中で、このことについてどういうことができるということではないんですけれども、世の中がそういう動きであり、なおかつその延長線というのか、民間の給与と公務員の給与、こういう見方をしたときに、一定のルールで変化をしているんですが、結果民間より公務員の方がよくなってきてしまっているという状況の中で、ワークシェアリングなんていうようなお話もありましたけれども、そういうようなことも、民間では取り入れようというような動きもあるわけです。その時代にあって、なかなか人事委員会がそこにというわけにいかぬのでしょうけれども、民間の情報を一番多くつかんでいる、ある面で東京都のシンクタンクではないかというふうに私は思っておりますが、そういう立場の人事委員会として、これらのことをどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○砂岡任用公平部長 先生のお話のとおり、今、我が国の社会経済状況は極めて厳しいということはご指摘のとおりでございまして、公務員の給与を決定するための給与勧告制度につきましても、これまで以上に厳しい目が向けられていると認識しております。
 本委員会といたしましては、これまでも、民間給与調査におきまして、ベースアップ等の実施の有無にかかわらず調査対象とし、ベースアップ中止やベースダウンをした事業所、あるいは会社更生法の適用を受けている事業所、こうした従業員の給与状況も公務員の給与格差に反映させてきております。
 また、民間におきます雇用調整等の実態把握、都内の小規模事業所の給与状況、これは十三年度で実施いたしましたが、こうした把握についても行ってきております。
 こうした結果といたしまして、民間の状況に合わせまして、特別給、これはボーナスでございますが、これが削減されたことなどによりまして、平成十一年度から十三年度まで三年連続して、職員の年収ベースではマイナスの勧告となっておりまして、プラス・マイナス両方向への調整を含めた、民間準拠の機能を果たしていると考えております。
 今後とも、民間給与の実態をより一層的確に反映し、職員の給与に反映できるよう、国等とも協力しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

○矢部委員 つらいこともされているのはよくわかるんです。しかし、世の中がこれからどういうふうに変わっていくのか、わかりません。世界同時恐慌なんといわれている時代に入り、また、そういうことにもう全然関係ないところでテロなんかが起きて、突然に変わってしまう。あるいは、金融機関の破綻が起こってきたり、またこれは、来年の三月に向けてまだまだ進んでいくであろうというふうに思っているんですね。で、失業率が五・三%なんといわれているこの時代にあって、これからどうあるべきなのか。極端なことをいって申しわけないのかもしれませんが、スト権を認めてもいいんじゃないか、そのかわり、この人事委員会をなくしてもいいんじゃないかということを申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、それが最右翼であるとして……(「最左翼だよ」と呼ぶ者あり)左翼。私、左翼じゃないものですから、右翼と申し上げましたが、国の中でも人事院制度の検討がされたりしておりますけれども、これからの、二十一世紀を迎えて、二十一世紀型の労使の制度だとか、もろもろのことについて、今どういうふうな検討作業等がされているのか、お答えいただきたいのですが。

○砂岡任用公平部長 今、先生から、人事委員会の置かれている厳しい状況についてもご指摘いただきました。
 ただ、人事委員会は、やはり任命権者から独立した、人事行政に関する公平、中立的な第三者機関としまして、地方公務員法の労働基本権が制約される中、その代償措置としての役割をこれまでも果たしてきて、その結果、行政の中立性、安定性に寄与してきたものと、これは自負しているところでございます。
 現在、国における公務員制度の検討の中で、人事院制度のあり方、公務員の労働基本権のあり方についても議論の対象となっておりまして、こうした議論は、地方公務員制度や地方の人事委員会制度にも影響を与えるものと認識しております。
 当委員会といたしましては、こうした議論の動向や民間の状況に注意を払いながら、都職員の人事、給与が社会一般の情勢に適合するよう、引き続き努力してまいります。
 また、今後、公務員の人事行政の透明性、公正性がより一層求められる中で、人事委員会が、中立的、専門的機関としてこれまで培ってきた蓄積や経験を十分に生かしていくことが重要であると認識しているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○矢部委員 最後にいたしますけれども、極論ついでに申し上げますと、アメリカのインディアナポリス市では、上下水道も民間委託をしているんですね。どうしているかというと、施設を五年間貸与するという中で、それこそ入札をしたわけですね。最初は民間の企業が落札をした。次の五年目のときに、今度、今まで下水道に携わっていたユニオンがやっぱり指名参加してきて、結局そのユニオンが落札をして、それから後五年間というから、今現在も多分そこが運営をしているようですけれども、極めてオープンだなという感じを持つんです。
 日本では今、そういうことができない、がんじがらめな状況なんでしょうけれども、消防も民間委託、映画の世界では警察も民間委託というような動きがあるわけですね。ある面で二十一世紀のあるべき姿なのかもしれません。そういうことについて、今の仕組みの中ではできないんですけれども、そういうこともこれからはにらんでいかなきゃいけないんだろうと思うんです。局長にお答えをいただくというのも大変でございますけれども、今のままでいいということではないだろうと思う。
 もう一面は、人口がふえていくという見通しは、今のところふえていますけれども、この二十一世紀の百年の中で、日本の人口は半分になってしまうのではないかといわれているわけですから、そういう中においては、それに素直に合わせれば、東京都そのものも、東京の人口はどうなっていくかがありますけれども、半分にしなきゃならぬということになるわけでしょうし、いろいろ見方が変わってくるわけです。そういう時代の東京都政のあり方というようなことをにらみ、国の動き等も含めて、これからの方向性というか、どうあるべきかということについて局長のお考えをお聞かせいただきまして、終わりたいと思います。

○高橋人事委員会事務局長 ただいま矢部委員の方から、非常に変化の激しい中で、また、公務のあり方が今後、世の中の動きに合わせてどういうふうに変わっていくのか、特に、公が担っていくそういう役割がどのように変化していくのか、またどう変化させていくことができるのか、また、それを支える公務員制度、また職員の勤務条件、これをどのような方向に持っていくべきなのかという趣旨かと思います。
 いろいろ東京都におきましても、行政改革を通じまして、民間と行政の役割の問題ですとか、もちろん行政の効率化という観点から、さまざまな検討が進められておりまして、現在、そういう方向で既に具体化されているものがあるわけでございますけれども、もう一方で、そういったことと関連しまして、民間の非常に厳しい状況も踏まえた上で、あるいは民間の人事、給与制度等のそういう状況を背景にしまして、公務員制度そのものにつきましても今大きな議論がされておるところでございまして、そういった状況につきましては、東京都といたしましても、特に人事委員会としましては、民間の状況あるいは国の状況を一番よく、敏感にそういったものについて把握をし、それを行政に反映させていくという立場にあるわけでございまして、そういう観点から、今後、国の動向なり、民間の動向なり、そういった状況も十分に把握をしながら、委員の間で活発な議論がされて、そして今後の方向を示していただけるように、そういうことに向けまして、委員会の事務局として最大限の努力を職員と一緒にしていきたいというふうに考えております。

○馬場委員 矢部委員さんはベテランでいらっしゃるんですが、私はこの総務委員会は初めてでございます。今回の事務事業、事業概要についても初めての質問となります。今のご質問に少し重なるところがありますが、お許しをいただきたいと思います。
 本年も、職員の給与に関する報告と勧告が先日、十月の四日に出されました。都の職員のみでなく、都における最大の職場というような、そうした意味からも大きく関心が持たれている、今、そんな時期にあります。そこで、今、社会経済状況が大変急激に変化をしている、民間、公務員を問わずに、構造改革、構造変革が求められている、こうした時代の転換期にあればこそ、長期的な展望のもとに綿密な制度改革というものが必要であると、私は考えています。そうした観点から、この人事委員会の意義は大きいと思っていますので、まず、その役割を問うというところから始める予定でおりましたけれども、今、矢部委員の方からの質問で、このお答えがありましたので、二問目に移らせていただきます。
 人事委員会が毎年出している職員の給与に関する報告と勧告の中で、人事制度に関する報告を行っていらっしゃいます。十三年の勧告を見ても、今後の人事制度のあり方と題して、能力業績主義の推進などの提案がされていることが見てとれます。こうした提言はどのような立場から行っていらっしゃるのか、現実の都の人事制度改革に具体的にどのように生かされているのか、まず伺います。

○砂岡任用公平部長 人事制度等に関します報告についてでございますけれども、これは、人事委員会の専門的な機能を生かしまして、人事、給与制度を社会一般の情勢に適応させる視点から行っている調査研究の成果というものを、給与勧告とあわせて報告をしているというものでございます。その内容が直ちに任命権者を縛るといったものではございませんけれども、任命権者として十分その趣旨をご理解いただき、尊重していただいていると認識しているところでございます。
 具体的には、最近の例で申し上げますと再任用制度の導入、これは昨年度でございました。業績評価、自己申告制度の充実、これは例年やっておりますが、こうしたものにつきまして、人事委員会が行った報告の趣旨を十分に踏まえていただきまして、任命権者が制度の構築を行い、職員団体との協議などの手続を経て制度化がなされているといったものでございます。

○馬場委員 給与に関する勧告がやはり大きく取り上げられていますが、私は、今質問させていただいたように、今後の人事制度のあり方というのが報告とともに毎年出されている、この人事制度についてのところが大変大きくこれからは問われてくるのではないかなと思っています。
 そういう意味で、今、再任用制度の導入等の制度化がされ、また、任命権者としてのお立場からこのことを尊重していただいているというふうにお答えがありましたけれども、例えば、先般、東京都の教育庁は、学校現場をめぐる新たな課題に的確に対応していくため、学校の組織、機能の向上を目的として、従来の主任にかわる新たな監督指導職の設置に向けた検討を始めているということがあります。こうした新しい制度の導入は、国やほかの自治体にはない都独自の取り組みとして注目されております。今後、具体的な検討が進むというふうに思われますが、こうした中で、人事委員会として、こうした新しい制度の導入に向けてどのようにかかわっていくのかというところを教えていただきたいと思います。

○砂岡任用公平部長 お話にもございましたけれども、教員の新たな職の設置につきまして、教育長の諮問機関として検討委員会が設けられまして、検討しているということでございまして、先般、中間の報告があったということでございます。
 教員の任用制度につきましては、教育委員会が所管しておりまして、人事委員会として直接的な権限というものはございませんけれども、給与制度につきましては、知事部局の職員と同様、人事委員会が給与勧告の権限がございます。こうしたことから、当委員会といたしましては、今後、職責に応じた適切な処遇のあり方の観点、これを十分検討していく必要があると考えております。現時点におきましては、教育委員会における検討状況を注目してまいりたいと考えております。

○馬場委員 先ほども述べましたように、新しい改革が行われていく中で新しい制度をつくっていく、そういう中で人事委員会が、社会的な意味も含めての提言をしていく、かかわっていく、そういうことが本来大きく取り上げられてこなければいけないのではないかなというふうに私は思っています。今例に出しました主任にかわる新たな制度、このことについても、これから東京都教育庁が進められていくと思いますが、その中で、人事委員会として適切な提言、その組み立ても含めて、この制度改正に対して、都民の利益につながるものなのかどうなのか、また、出されてきたものが適正なのかどうか、教職員がその制度を受け入れてやっていくということについて、ぜひ人事委員会としての意見を的確に出され、さらにそれを情報公開、その過程を報告いただきたいというふうに思っています。
 この事業概要を見せていただいて、労働基本権がないということで、さまざまなこれにかわるいわゆるセーフティーネットといっていいでしょうか、公務員制度の大きな変動期にあって、公平審査制度というのが一層重要になると考えます。この点についてどのように考えていらっしゃるのか、伺います。

○須々木審査担当部長 公平審査制度でございますけれども、ご案内のとおり、現在、勤務条件に関する措置の要求の制度、それから、不利益処分についての不服申し立ての制度がございます。
 まず、勤務条件に関する措置要求制度でございますけれども、労働基本権の制約の代償措置ということで設けられておりまして、給与、勤務時間、執務環境、そういった勤務条件の措置に関して、いつでも人事委員会に申し入れることができるということでございます。
 人事委員会創立後五十年たちますけれども、今までに措置要求者は約三万二千人ありました。人事委員会には、措置要求事案につきまして、関係当事者の交渉の勧奨あるいはあっせんというのを行う権限もございます。勤務条件の維持改善を求めるという意味でのよりどころといたしましての意義は大変大きいというふうに考えてございます。
 それからもう一つ、不利益処分についての不服申し立て制度でございますけれども、職員の身分を保障するということで設けられておりまして、分限、懲戒、その他不利益の処分につきまして、処分を知った日の翌日から六十日以内であれば人事委員会に申し出ることができるという制度でございます。
 いわゆる裁判の関係につきましては、こういった人事委員会の裁決が出るか、あるいは、人事委員会に不服申し立てをしまして三ヵ月を経過しても人事委員会の裁決が出ない場合に限って訴訟ができる、こういった制度でございますけれども、やはり、人事委員会創立以来、不服を申し立てた数、約八千二百名ほどあります。この制度は、行政内部におきましての身分上の救済を求めるという意味では、最後のよりどころといたしましての意義は大変大きいものと思っております。
 先ほどちょっとお話がございましたけれども、今後、公務員制度をめぐる環境がいろいろ変化してまいるというお話がございましたけれども、措置要求制度とともに一層重要になってくるというふうに認識してございます。

○馬場委員 本当に最後のよりどころという、大変大きな意味があるなというふうに改めて思いました。
 しかし、この事業概要の中の報告をいただいている結果を見てみますと、ほとんどが棄却とか却下とかという形で出てきております。結果としてこういうことであればいたし方ないというふうに思いますが、最後のよりどころとしての認識を持っていらっしゃるということで、ぜひこの公平審査制度というのが十分に生かされることを願ってやみません。
 最後に、今お話がありましたように、政府でも公務員制度改革が大きく進められています。地方自治体である東京都は、東京都としてふさわしい独自の改革を進めていくべきであり、またその際、中立、公正な立場からの人事委員会の役割は、今後も引き続き大変重要であると考えております。この確かな制度改革を進めていくに当たっての人事委員会の取り組みと決意を伺わせてください。

○砂岡任用公平部長 現在、社会が大きく変革をしていくという中にありまして、都職員の人事、給与というものを社会一般の情勢に適応させ、都民の信頼と納得を得られる仕組みを構築するためには、中立、公正な第三者機関、専門機関として、そうした立場から人事行政の適正化を図っていくということはますます重要であると考えております。
 具体的な制度改革に当たりましては、任命権者と連携しつつ、実現に向け積極的な努力をしてまいりたいと考えております。

○馬場委員 ありがとうございます。公務員の皆さんの立場からすると、頼りになる人事委員会であってほしいという思いではないでしょうか。
 また、さきに述べましたけれども、人事委員会の勧告の基準というのが、民間のそれぞれの事業所との比較ということ、大きくそこに基準を置いていらっしゃる。そこで公務員の給与が確定をし、またそのことが、民間の中小を含めてのある意味で給与の基準になっていく。そんな繰り返しで今まで参りました。これが、ある意味では大きな時代の働き方の多様化とか、価値観のさまざまな変化の中で、また、事業の実効性等、さまざまな要求の中で、この都の中でも、能力主義、また、評価をする、行政評価も含めて、人事考課等も含めての評価ということが大きく出てきました。そういう意味では、この人事委員会が公平であるということを守っていく、職員の公平性を守っていくという意味から、また、初めに述べましたように、この都という職場が大きく地域に影響するというところからも含めて、人事委員会の役目は大変大きいものがあるというふうに改めて思っております。今後も、この勧告と同時に出されている人事制度のあり方等について、具体的に、そしてさらに積極的に取り組まれ、そして、知事また知事部局も含めて、それぞれの関係所管、任命権者の皆さんにきちんとこのことが尊重され、きちんとした制度化がされるということを要望して、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○坂口委員長 ほかに発言がございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 なければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○坂口委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○馬場委員 昨年のこの委員会で、我が会派の藤川委員が、十二年の七月に出されました、都における監査委員監査のあり方検討委員会報告に関しまして質問をしております。その質問に対しまして、監査手法の充実あるいは監査の専門性の向上、さらにわかりやすい監査情報の都民への提供など、監査機能の充実強化のための提言は、いずれも積極的に取り組んでいく必要があるとのご答弁をいただいております。平成十三年度において、この観点から具体的にどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、まず伺います。

○細渕次長 監査委員監査のあり方検討報告の提言に係ります平成十三年度の取り組み状況についてでございますが、まず、監査手法の充実策といたしまして、従来主として、会計経理が予算や法令等に従って適正に処理されているかといった合規性の観点から実施してまいりました財務監査につきまして、事業の有効性、効率性の視点を加えた定例監査として実施をしております。また、新たに事業評価手法による行政監査を導入することといたしまして、現在、低公害車の普及促進事業など十の事業について監査を実施しております。
 次に、情報提供手段の充実策といたしましては、昨年十一月に監査事務局のホームページを立ち上げまして、その充実改良に努めているところでございます。

○馬場委員 監査委員監査のこの制度は、都の行財政の公平性を都民に訴えていくという意味でとても重要な制度であるというふうに理解をしていますし、また、実際に監査を行っていく上でいろいろ難しいこともおありとは思いますが、この監査ということが都政の事業の執行上に大切なことだということを、都民も含め私たちももう一度認識を新たにしなければいけないというふうに思っています。
 ところで、先日、都の平成十四年度の予算要求概要が発表され、その要求金額は、十二兆五千億もの巨額なものとなっています。このような大きな予算を執行している都の事務事業から見ますと、監査委員監査の報告書に書かれている内容は、細かいものというふうに見られます。こうした印象を受けますが、この検討委員会報告の提言を具体化していくことで、それではどのように変わろうとしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○細渕次長 監査報告書の指摘が細かいが、今後これをどう変えようとしているのかということでございますが、従来、財務監査等において、合規性の観点から会計帳票等を綿密に実地調査、実地監査しまして、多くの指摘を行ってきたことなどから、そのようなご指摘をいただいていることは十分承知しております。こういった点も踏まえまして、平成十三年度からは、定例監査において、合規性に加え、事業が所期の目的を達成しているか、あるいは投資した経費に見合ったものとなっているかなどの視点からも監査を行っております。また、事業評価手法による行政監査につきましては、対象となる事業を、有効性、効率性の観点からの検証を行い、事業個々の達成度等を評価していこうと考えております。
 このように、監査の実施方法等を工夫することによりまして、事業を執行している部局に対するチェック機能を高めていきたいと考えております。

○馬場委員 今お答えいただきましたように、その監査というものが、合規性--一般の人、合規性というふうに言葉でいってもなかなかわからないと思うんです。私も初めて聞いたときには、合規性、何だろうというふうに思ったんですが、いわゆる会計帳簿が規則、規定に合っているかどうかという観点から、合っていればいいでしょうというふうな、そういう監査が続いてきたということが大きくあるのではないかなと思っています。
 そのことが昨今問われて、また、昨年のこのあり方検討委員会の報告にも述べられていますように、これからは、そういう税金が規定どおり使われているかということより、正しい使い方、意味があるという正しい、つまり有効性を持っているかということが問われる、そういう監査、そこに主眼を置く監査方法をとるべきだ、そのことが結果的に都民にとっても有効である、税金の有効な使われ方ということになっていっているのではないかと思います。
 そういう意味では、今までの監査はどちらかというと内部、つまり、関係者にとって正しい処理がされていました、また、細かくても、違法であったものについては直していきなさいというようなことで、どちらかというと内向きの監査ではなかったかというふうに思っています。
 しかし、今お話しさせていただいたように、これからの都政のそれぞれの事業についての提言も含めて、正しい使われ方という観点で見ていく監査になっていくということになると、都民に対して情報を提供するということの意味も大きく変わってくるというふうに思っています。
 そういう意味で、一問目で、ホームページ等についての公表、都民等に対する情報提供を充実するということでお答えいただきましたけれども、今、事務局がおつくりになっている監査報告書をホームページに載せているという状況だと思いますが、結果、今は、文字、その報告書がそのまま画面に出てくるというような画面作成になっています。読んでも余りおもしろいものではないのかなと。特に、合規性の場合はそういうふうになるのかと思いますが、さらに、専門的な言葉等もたくさん出てきてわかりにくいということがあると思います。そうした都民に対する情報提供の方法について、今後工夫をして、都民が理解しやすいようなものにしていく。そういう報告書でありホームページにならなければいけないというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。

○細渕次長 監査報告書ホームページの内容を都民が理解しやすいようにできないかとのご指摘でございますが、報告書の内容がわかりにくく読みにくいものとなっているという点につきましては、報告書への記載に当たり、事実関係や関係法令等を正確に表示することに努めてきた結果であるというふうに考えております。このため、現在は、報告書の内容を要約した、わかりやすい概要を付すなどの改善に努めております。また、ホームページにつきましても、視覚的な要素を取り入れるなど、都民にわかりやすいものとなるよう、改善に努めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、情報提供機能は、都民の負託を受けた行財政運営の適正性を検証する監査委員監査の基本的な機能であると認識をいたしております。ただいま申し上げましたことを含めまして、一層の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

○馬場委員 申し述べましたように、この東京も事業も変わってくる、また推進体制も検討されている、そういう中で、この監査ということももちろん変わっていかなければなりませんし、その大きな原動力にならなければならないというふうに思っています。
 そういう意味で、新しい改革を進める監査委員、そしてその事務局としてのさらなるご努力をお願いして、要望させていただいて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○坂口委員長 ほかに発言がございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 なければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○坂口委員長 それでは、これより知事本部関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○野村首都調査担当部長 去る十月二十六日に公表いたしました首都移転の再検証について、ご報告をさせていただきます。
 ご案内のとおり、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会は、来年の五月に向けて、移転先候補地を一カ所に絞り込む作業を進めております。その一環として、今月二十一日には都知事を、その後、移転先候補地の知事を参考人として招致し、意見を聞くとしております。
 こうした中で、首都移転に関し、これまで十分な議論、検証がなされていない項目につきまして、その問題点を明らかにするとともに、首都移転が日本全体にどのような影響を及ぼすのかなどについて、都として再検証したところでございます。
 それでは、お手元に配布してございます資料に基づきまして、ご説明申し上げます。
 表紙から三枚おめくりいただきまして、一ページをごらんいただきたいと存じます。まず1、「移転費用はさらに膨らむ」と題しまして、まず、移転費用の再試算を掲げてございます。
 国会等移転審議会は、平成九年七月に、移転費用を十二兆三千億円と試算いたしましたが、今回の都の再試算では、二十兆一千億円に上ることを示してございます。
 次に三ページをごらんください。移転費用の官民負担割合の見直しについてでございます。
 国会等移転審議会では、移転費用十二兆三千億円のうち、公的負担額を四兆四千億円と試算しておりますが、これを見直しした結果は五兆六千億円となり、また、今回東京都が試算した移転費用二十兆一千億円をベースとした場合、公的負担額はさらにふえ、十兆六千億円に上りました。
 次に五ページをごらんいただきたいと存じます。移転費用以外に必要な費用でございます。
 広域交通網の整備費用、新都市周辺の都市基盤整備費用、引っ越し費用、起債の利子負担などが必要であることを示してございます。
 次に七ページをごらんください。2、「大規模な自然環境破壊」ですが、森林等の公益的機能の損失が約五千億円となり、また、失われた森林を候補地周辺に回復させるためには、八ページにございますように、約六千億円から約二兆三千七百億円必要となります。
 次に九ページをごらんください。3、「国政運営上のマイナス」として、天皇陛下の国事行為等と外交とを見開きで掲げてございます。
 国は、国会や中央官庁は新都市に移転するが、皇居は東京にとどまるとしております。新都市と東京との機能分離が国政や外交上で大きな支障となることを、天皇陛下の行事や外国賓客の接遇に関する資料で明らかにしております。
 次に一一ページをごらんください。4、「国内外へのアクセスの不便な新都市」で、まず国際空港でございます。
 どの移転先候補地も、東京に比べ、世界とのネットワークや空港へのアクセスにおいて劣ることを示しております。
 次に一三ページをごらんください。新都市における都市内交通の問題点をお示しするため、移転先候補地と東京都区部の地図を同じ縮尺で載せてございます。
 現在、霞が関を中心とする半径一キロメートル以内に中央省庁や国会等が立地しておりますが、ごらんのとおり、移転先候補地では、立法、司法、行政の各機能を小都市に広く分散配置するため、その小都市間の移動にかなりの時間と費用がかかることになり、業務の効率が低下することが懸念されるところでございます。
 次に一五ページをごらんください。5、「都市運営上問題のある新都市」として、このページから一八ページにかけ、防災などの問題点についてお示ししてございます。
 次に一九ページをごらんください。6、「効果のない首都移転」として、国が首都移転の意義として主張する東京一極集中の是正、災害対応力の強化に対して、首都移転は効果がないことを示してございます。
 次に二三ページをごらんください。日本全体へのマイナスの影響でございますが、まず、新都市の建設により、日本経済全体の実質GDP、国内総生産は、二〇二三年までの累積で最大十三兆七千億円減少いたします。
 次に二五ページをごらんください。7、「首都圏と日本の再生」でございます。
 首都圏の再生に向けて、都市再生プロジェクトが動き始めており、首都圏防災拠点の整備や、成田、羽田空港の機能の充実などが図られ、日本の活力を取り戻す効果が見込まれることを示しております。
 以上で、簡単ではございますが、説明を終了いたします。よろしくお願いいたします。

○坂口委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、次に行う事務事業に対する質疑とあわせて行いたいと思いますので、ご了承願います。

○坂口委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより、先ほど聴取いたしました報告事項に対する質疑とあわせて、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 事務事業のこともですけれども、その前に、ただいま説明のありました首都移転再検証について何点かお尋ねをしたいと思うんですが、ちょっと確認というか、特別委員会がつくられているわけでございます。本来一カ所に絞られるわけであったものが、三カ所併記のままで、選挙にらみで特別委員会に付議されて、来年の五月までに結論を出すということですけれども、そのもともとの法律の中に、私たちも一生懸命頑張って、最終段階で移転候補地が決まった、一つ絞られたとして、それと現在ある東京都と比較考量するという条文を加えたと思うんですね。その作業というのは、位置づけがどうなっているのか。今、特別委員会でまず最初に移転候補地を決めようとしていますね。それが決まった段階で、東京都と比較考量するということなんでございましょうか。というのは、来年の五月に移転候補地が決まる--そのときには決まっていないとだめなのかな。だから、来年の五月以降、東京都と比較考量するという作業が始まるということなんでしょうか。

○野村首都調査担当部長 お尋ねの件でございますけれども、法律の第二十二条には、審議会の答申が行われたときには東京都との比較考量を通じて移転について検討されるものとするとされておりまして、私どもは、これまでの解釈でいきますと、三候補地を一候補地に絞り込んだ上で、それで東京都と比較するという、これが通常の解釈かと思います。そのように解釈をいたしておりましたけれども、現在の衆議院の審議状況等を勘案いたしますと、私どもの知事を先にお呼びして、それからその後に移転候補地の知事さんを全部お呼びしてお話を聞く、それが比較考量だというふうに、衆議院の方ではどうも見ている節があるということでございます。今の先生のお話からしますと、五月までに、三候補地とうちを既に比較考量して決定するというふうなことをどうも考えていると思われる節がございます。

○矢部委員 思われる節があると。何ともこうわからないんですけれども、平たくいえば、三候補地と東京都もそこに並べられていて、四候補地の中から一つにする作業を来年の五月までにするというふうに--これはどうなんですか、いっているんですか。どこかがいっているんですか。

○野村首都調査担当部長 委員会の方も公式には申しておるわけじゃございませんけれども、今回の参考人招致の議題が、候補地と東京都の比較考量というふうに明言しておりますので、衆議院としてはそのような方向でやっているというふうに理解しております。

○矢部委員 ということは、極めて危険な状態というふうに理解せざるを得ないと思っているんですけれども、私は今まで、私どもの会派の中でも、あるいは我が党の国会議員との話の中でも、一応、移転候補地が最終的に一カ所に絞り込まれて、その後に、今ある現在の東京都と比較をするんだから、少なくとも、今の東京に勝つというところはなかなかないんじゃないでしょうかなんというような気楽なことをいっている国会議員もいるわけで、そういう位置づけでいましたけれども、今のお話のようなことであるとするならば、容易ならぬ事態ではないかなというふうに思っています。
 知事が今月行くんですか。そこで知事が発言されることが比較考量になっちゃうというふうに理解していいんですか。

○野村首都調査担当部長 今月の二十一日に私どもの知事が呼ばれておりまして、その翌週とその翌々週に、移転候補地の知事が二回に分けて呼ばれております。その発言をもって比較考量するというふうに、議会の方では申しております。

○矢部委員 大変なことだなというふうに思っております。
 それで、要は、そこで頑張れるのは知事しかいないということですよね。東京千二百万都民を代表して発言権を持っているのは知事だけということですか。そういうことですね。それで、そういうこともあって資料をおつくりいただいたようです。いわば手前みその部分も多々あるかなというふうには思いますけれども、でも、当初思っていたよりはお金もかかりそうだということはよくわかりました。
 こういう中で、私、これを見ていて、十二兆が二十兆という中で、この三ページのところからすると、要するに、公的な負担額が四兆四千億というふうに見ているけれども、東京都の試算によれば十兆六千億かかると。要するに、公的な負担額のところが全然抜けているということですよね。この中の、特筆すべきというか、要するにそれは国の側が手前みそでやっている部分ですから、向こうはどう考えているのか。国が考えているというのか、三移転候補地が考えているというのかですね。

○野村首都調査担当部長 ただいまの先生のお話にありました三ページの表は、一番上の表は、審議会の試算でいくと十二兆三千億のうち四兆四千億が公的負担だと。これが今まで公式にいわれていた数字でございます。それに対しまして、私どもは、二十兆一千億をベースにして再試算をしますと、公的負担、いわゆる税金投入の部分でございますけれども、それが十兆六千億になるということを新たに明らかにしたところでございます。

○矢部委員 金額の面はわかりましたけれども、東京都という今の状況と、移転候補地とされている三つのところ、もし、そこのどこかに移ったときに、今と比べて一番不利益というか、不便になるというか、飛行場との距離なんということもあるようですけれども、いろんなことがあると思うんです。そのデメリットが余り表現されていないと思うんですね、見えてこないというか。決定的にこうだ、この辺がもうどうしようもないんだというところは幾つかあると思うんですけれども、どうなんでしょうか。だから、知事が乗り込んでいって発言して、これがどうやったって東京の方がまさっているでしょうといえるものか。東京の売りというのでしょうか、どこなんでしょうか。

○野村首都調査担当部長 今の先生のお話からしますと、私どもは、新しい首都の構造が決定的に問題があろうというふうに思っております。具体的に申し上げますと、東京は、立法とか行政、司法の各機能が、その図にもございますように、霞が関を中心とする半径一キロ以内に立地しておりますために、極めて効率的な運営ができる、そういうふうな構造になっております。それに対しまして、どの移転候補地におきましても、各機能を小都市に、クラスターと申しますけれども、かなり広く分散配置することにしておりまして、そのため、先ほども申しましたけれども、小都市間の移動にかなりの時間と費用がかかる。また、業務の効率化が低下するとともに、都市の構造としてもいろいろな問題が生じてくるのではないかというふうに考えております。また、その小都市間を結ぶ新交通、交通手段として新交通を考えておりますけれども、これの採算を確保することもかなり難しいのではないかというふうに考えております。

○矢部委員 資料の一三ページ、一四ページのこの表、表というか地図というか、私も見て、ちょっと愕然としておりますが、今の東京でも結構大変かなと思っているのに、その十倍以上かな、面積としては二十倍とか三十倍とかに広がっちゃうわけですから、どこへ移ったって、移動から何から物すごい経費がかかってしまいそうだなというふうに思うんですけれども、それこそ結論をおじやで出すしかない。ごちゃごちゃにまぜこぜにした結果が、こういうことなんでしょうけれども、これでは、当初描いていた移転のイメージとは全然違うのではないでしょうか。

○野村首都調査担当部長 各移転候補地は、いろんな意味で、緑に沈むまちとか、要するにプラスのイメージをかなり描いておりますけれども、やはりよく精査をしていきますと、今お話ししたように、都市の構造としてはかなり問題があるのではないかということが明らかになってきたのではないかというふうに思っております。

○矢部委員 結構触れられていないというか、究極の中心というか、やはり天皇陛下の国事行為という部分については、東京には皇居がありますけれども、移転候補地に皇居を移転するという計画はないわけでしょうね。だから、そういう中では、ここなんかは大変な労力というか、時間のロスがあるのではないかというふうに思うんですが、その辺はどうなんですか。

○野村首都調査担当部長 出しました資料の九ページにも記載してございますけれども、今、先生お話しのとおり、皇居は新都市に移さないというふうに明言しておりますが、かなりいろんな行事、例えば、ここにも主な天皇陛下の行事ということで記載してございますけれども、新年から始まりましていろんな行事がある。しかも出席者が、立法、司法、行政の重立った人がほとんど出るという構造になっておりますので、そのたびごとに移動しなければいけないということは、かなりいろんな意味で国政運営上に大きなマイナスが出てくるだろうというふうに予想しております。

○矢部委員 私は首都移転反対派だというふうに、自分でいっていてもしようがないのですが、そういうことではなくて、今の日本の財政状況、あるいは、このテロが起こって以降のこと、あるいは金融関係の整備がまだ終わっていない。これが決まったのは平成二年、十一年前ですよね。その当時、要はバブルの真っただ中のときに決められたものですし、そのイメージとは全然違う、背景がですね。なおかつ、経済状況は極めて悪くなっている。今ここに来て、今移転をしなければならない大義というのは何だといっているんですか。

○野村首都調査担当部長 現在国が挙げております移転の理由としては、移転の理由がその時々でかなり変わっておりますけれども、一番最初は東京の一極集中。これは当然、今、先生からお話があったように、平成二年の時代ですから、あの土地の狂乱という中で、東京一極集中を是正するということで理由が始まりました。それが、若干バブルが落ちついてきたということの中では、その次は阪神・淡路の大震災というものを契機といたしまして、防災対応力の強化ということを理由にいたしてきます。現在は、国政改革、国政全般の改革に、きっかけにするんだということで、国政全般の改革を目玉に押し出してきておりますけれども、私どもとしては、そのいずれもやはり余り説得できる理由はないのではないかというふうに考えております。

○矢部委員 警察官の数にしたって、それこそ東京都は応分どころか超過分に対応して、それで要人の警護から何からやっているわけですよね。だから、東京にかわってできるところは、私は、財政的な面からしてもとてもあり得ないのではないかというふうに思っていますし、ましてや今の経済情勢の中では、やること自体が国を破綻させることになるのではないかというふうに思うんです。
 何をおいても移転を阻止してもらわなくちゃいけないと思うんです。知事一人で幾ら頑張ってもしようがないんですが、先日、何かラッピングバスをつくって出発したっていうけれども、一台のバスが東京都内を全域走るわけではなくて、決まった路線を走っているしかないわけです。それはやったということはわかりますけれども、世論というか、東京都だけではなくて、日本国民全体の世論がどうなのかというところがつかめて、なおかつ、そうじゃなければ、その世論を喚起するまでの動きをしない限り、これは何だか勢いで決まってしまいそうな気がしてならぬのですが、この運動というか進め方について、知事一人に任せておくだけでいいんだろうかというふうに思えてならぬのですけれども、何をされようとしておりますか。

○野村首都調査担当部長 今、先生のお話にありました広報の関係ですけれども、今回の報告書は、首都移転が、一極集中の是正とか、災害対応力の強化に全く効果がないばかりか、日本全体に大きなマイナスの影響を及ぼすということを明らかにしたわけでございまして、こうした結果を、広く都民を初め全国に周知いたしまして、広範な移転反対運動に結びつけていきたいというふうに考えております。
 また、昨年も行いましたけれども、ことしも十二月を広報強調月間と位置づけまして、「広報東京都」の十二月号の一面のトップにこの記事を掲げまして、そうした各種の媒体、テレビとかいろいろなものを使いまして、都民等への情報提供とか広報活動を広く展開していきたいというふうに思っております。

○矢部委員 ホテル税のことから、石原知事に対する他県の知事からの風当たりも強いようですけれども、やはり日本全国へ協力要請をしなきゃならぬときだというふうに思うんですね。いろんなことでの動きは慎重にしてほしいなというふうに思っております。
 ところで、衆議院の特別委員会、この中に東京選出の議員がいないんじゃないかというような感じを持っています。どういう構成で委員会がつくられているんでしょうか。

○野村首都調査担当部長 今、先生のお話のとおり、衆議院の特別委員会の構成メンバーは、九月にかわりましたけれども、現在は東京都選出の議員は入っておりません。
 ちなみに、移転候補地選出の議員さんの数を申し上げますと、栃木・福島地域が八名、それから岐阜・愛知地域が七名、三重・畿央地域が五名でございます。委員会メンバー全部で二十五名でございますが、二十名が要するに移転候補地の先生方ということになっていまして、その他は、東京はございませんので、東京近郊県、近隣県が五名、このような構成になっております。

○矢部委員 そういう構成の中で採決を行うとして、決選投票のようなことになれば、数の多いところでおのずとこの辺というのは決まっているような感じを持ってしまうんですけれども、そんな状況で、私ども自民党の国会議員が悪いといえば悪いんだけれども、そんなことをいっていられませんで、極めて穏やかじゃないんですけれども、知事本部長はどうお考えになりますか。

○田原知事本部長 先ほどからお話がございましたように、平成二年から、もう十一年になりますけれども、さまざまな議論がされております。移転に伴ういろんな問題点がございますが、それについての明確な答えが現実ありません。移転の前提としました議論、審議が先行しているという現状に、大きな疑問と危惧の念を持っております。
 また、先生のお話にもございましたけれども、日本の今の社会経済情勢等々を考えますと、首都移転などを行っている場合ではないと思います。日本の将来を考える上でも、首都移転を早く中止することがぜひとも必要である、これが当然だと思っております。
 お話に出ましたけれども、特別委員会におきまして、来年の五月に向けて絞り込みが行われる。しかも、その絞り込みの方法はいろいろ議論がありまして、さらに厳しい状況になるというようなことも考えられますので、これからのお話ですが、ぜひとも都議会各党のご協力もいただきまして、それから七都県市、これが重要だと思っております。首都圏全体で支えようというふうに考えておりますので、七都県市の連携を強めまして、首都移転の白紙撤回に向けた運動を、あらゆる機会をとらえて、あらゆる場を使って展開していきたいと思っております。

○矢部委員 私たちももう目いっぱい協力いたします。ぜひ何としても東京に首都を残す努力をしていきたいというふうに思っております。
 それで、ことしの四月から誕生した知事本部でございますね。その中で今、この首都機能移転のことについての取り組みについてはわかりましたけれども、ことしから予算の編成の仕方が大きく変わって、重点項目ですか、重点施策を各局から挙げて、それに予算をつけるという方向に今なっているわけですね。それで、知事本部がその絞り込みをするということはお聞きしております。根本、知事本部の位置づけがどうなっているのか。位置づけ、知事との関係といったらいいんでしょうかね。東京都、オール都庁の中でどういう位置づけ。だから、ほかに例えるものがあるのかわかりませんが、いってみればこういう位置づけですよというような表現ができるのかどうか、まずそれをお聞きいたしたいと思うんです。

○渡辺企画調整部長 知事本部の設置でございますけれども、先生お話しのように、本年の四月から、東京を取り巻くさまざまな危機を突破していこうということ、また、山積する行政課題に的確に対応して、機動的、戦略的な都政運営を行うことのできる執行体制を構築する、そのためには知事のトップマネジメントの補佐機構が非常に重要であるという観点から、知事本部を設置したものでございます。これは、従来の政策報道室を再編整備して設置されたものでございます。
 具体的に何かそういう機能で例えるものがあるかといわれますと、表現としては、今までの、従来の都政の中の機能から見れば、確かに政策報道室を再編して引き継いだものではございますけれども、やはり知事のトップマネジメントの補佐というところを大きな眼目としておりますので、名称も知事本部というぐあいに決められたのではないかと私は心得ております。

○矢部委員 知事は大統領ですから、大統領制の中で大統領補佐官的な立場なわけでしょうかね。
 ここのところ知事が都政に関して行っている政策は、今までの流れにめちゃくちゃに沿ったものではありませんから、ヒットしているといえばしているんですけれども、政策をどう行うかという一番先が、記者会見での発表からスタートしている。こういう状況というのは、民主的のようであって、議会との関係からすると極めて遺憾な感じを持つ部分が多くあるんですね。そういう意味で考えたときに、記者会見で発表する中身についても知事本部がすべてかかわっているわけなんですか。

○渡辺企画調整部長 知事本部の分掌事務といたしましては、報道に関することということがございまして、報道について、知事のさまざまな対外的な発信というものについて補佐していくということになりますので、ご指摘のように、知事が発言するということについては、私どももそれを支えているという立場にございます。

○矢部委員 それは答えられないんでしょうが、知事しか知らないで記者発表されることがあるようですけれども、そういうことはありませんか。

○渡辺企画調整部長 私の権限といいますか、知事本部総体として知事を支えておりますので、詳細にわたって知事の考えなり政策なりを個々のメンバーが熟知しているというわけではございません。ただ、総体として知事を支えていこうということで対応しているところでございます。

○矢部委員 全体の東京都の政策、これを決めるに当たっては、どういうプロセスで決めていますか、現在あるいは過去も。これまでの東京都政といってもいいですかね。

○渡辺企画調整部長 東京都の政策の決め方でございますが、これは、憲法及び地方自治法に基づきまして、地方自治の本旨ということで、執行機関としての東京都知事、それを支える私ども職員、それから、議会として東京都としての意思を決める都議会というものがあって、最終的には知事及び議会の両方の意思の合致といいますか、そういうところで決まっていく。私どもの知事部局、あるいは知事のもとにおきましては政策会議というのがございまして、副知事と主要な局長をメンバーにした会議の合議制の意見を踏まえて、あるいは知事の、いろんな条件によりますけれども、それらを勘案した上で、知事が責任者として決めるという形になっていると思います。

○矢部委員 大統領だから何してもいいといえば、そういうことかもしれませんけれども、今までは少なくとも長期計画というものがあって、それで短期実施計画のようなものがつくられて、そういう中で、単年度の予算編成に当たってのものがそれぞれ割り振られてきていたのではないですか。

○渡辺企画調整部長 ご指摘の予算編成でございますけれども、知事の方で知事原案を作成いたしまして、それを議会に提案して、議決を得て執行していくというような形かと心得ております。

○矢部委員 だから、知事原案をつくる過程ですよ。知事原案をつくるに当たっては、各局から上げてくるわけでしょう。今のお話じゃ、そういうこと関係なしに知事がぽんと出して、あとは全然つながりなくていいという話だけれども、そういうことではないんじゃないですか。各局だってそうやみくもに上げるわけじゃなくて、思いつきで出しているわけではないでしょう。今までの都民要望等々をくみ上げながら、そういう中で優先順位をつけたりはするんだろうけれども、そういう作業はどこかでされているんじゃないですか。

○渡辺企画調整部長 言葉足らずの点があったかもしれませんが、知事原案をつくるに際しましては、最初に各局の要求額をまとめていく。その過程におきましては、いろんな都民のご要望でございますとか、あるいは議会でのご審議の経過だとか、いろんなものを踏まえて各局は要求案をつくってくる。それを財務局の方でまとめまして、まとめたものにつきまして、それぞれ各会派の方にご説明し、ご要望を受け、その上で知事原案を策定し、その次の過程になりますけれども、その中で、政党の方のご要望があれば、復活という形で今まで流れてきた。重要施策につきましては、それに先行する形で、都としての重要施策を選定するということで、各局からまた立案を受けまして、それを集計したものをそれぞれの会派の方にご説明をし、ご要望を承った上で、政策会議で選定をさせていただくというような手順を考えているところでございます。

○矢部委員 一番至近の記者会見で、ホテル税のことが出されました。これは昨年の税制調査会の答申の内容でもあるわけです。いろいろ陳情もあって、そのことを踏まえて中身が修正されて出されているのかなというふうに思うんです。そういう前提があって出されてきているものですね。だから、それは一つの方向性ではあると思うんですが、それをどうするかということは、知事は記者会見で発表したけれども、これからどこかで審議されるわけですよね。

○渡辺企画調整部長 ホテル税につきましては、法定外目的税かと心得ておりますけれども、当然、条例案として提案をして、その上で、議会の議決を得た上で実施という形かと思います。

○矢部委員 今回、その重点要望を出すに当たって、各局、大変戸惑っているようですよね。結局これ、重点要望を出しました、知事がその中からつまみ食いというか、言葉は悪いんですが、して、これを重点にするよと決めたとして、それから漏れたものはどうなるのか。
 要するに、今までの予算の枠の中ではない、そういうつかみなものだから、今、総枠で五千億も出っ張っちゃう原案になっていますが、重点をとって残りが削られていくというような作業がされるんだろうと思うんです。その絞り込みを知事本部でするというふうに聞いていますけれども、これからそれをしていくわけですか。今、百何十出ていて、そのうち幾つに絞るんですか。

○渡辺企画調整部長 重要施策の選定ということでございますけれども、ことしの六月に、重要施策の立案に当たっての基本方針というのを、知事決定で各局の方に通知をしております。この中におきましては、東京構想二〇〇〇及び三カ年の推進プランで掲げた取り組みや施策を着実に推進する。また、首都圏を再生し、都民生活の不安を解消するための新たな政策を立案する。それから、立案に当たって、広域的な七都県市の連携の事業や、局間の垣根を越えた事業、また都民に対して効果の大きい事業の立案、それから、民営化だとかPFIの導入等、いろんな要素を勘案して決めましょうということでございます。
 ご指摘の、どの程度に絞り込むか、あるいはどういう形でということは、各局の立案を受けまして政策会議でこれから、あるいは、既に第一回の政策会議は終わったところでございますけれども、今月末の選定を目指して種々検討を加えておりますし、また、これからも検討していくという状況でございます。
 したがいまして、具体的にここまで絞ったとかそういう形のものは、現時点ではお示しするものはございません。加えて、各政党の方からのご要望等についてはこれから受けるということになっておりますので、それを踏まえた上での対応ということになろうかと思います。
 それから、ちょっと長くなって大変恐縮でございますけれども、事業の中で落ちるものがあるんじゃないかというようなことでございますが、これは予算の中の一つのプロセスでございますので、大きな基本方針を決めて、この中にのっていないものを予算として落としていくということには必ずしもならない。予算査定、予算編成の中で、その必要性、緊急性あるいは財源等の状況を踏まえて、総合的に勘案した上で予算の編成をするということになるのかなというぐあいに考えてございます。

○矢部委員 要は、重点施策として知事が、あるいは知事本部が取り上げなかったものについてはどうなんですか。

○渡辺企画調整部長 取り上げなかったといいますか、採択しなかったものについては、各局の方で予算を要求している立場ということになりますと、財務局の予算編成の中で、その内容について改めて検討していくということになると考えております。

○矢部委員 要はだから、二度査定されるということですか。知事本部がまずそこの査定をする。そのほかは財務局がやっているけれども、その知事本部がピックアップしなかった残りについては、もう一度財務局の方の俎上に戻されるということですか。

○渡辺企画調整部長 財務局の方で俎上に上げて検討していくということになると心得ております。

○矢部委員 ピックアップしたものは重点で、それ以外は重点じゃないから、平常予算の中でできるのならやれ、できなきゃやめた方がいいということなんでしょうか。全体で今、五千億出っ張っているわけだから、それをどこかで調整するんだけれども、その作業も知事本部でするんですか。

○渡辺企画調整部長 全体の事業費といいますか、予算の全体の枠の中でのお話の要素がございますので、現時点で、要するに十一月末の時点ですべての中身を決めるということは困難かと、私、思っております。と申しますのは、十一月末の時点で税収の見込みが明らかになってくる、あるいはどういう形になるかと。それからもう一つは、国の方の予算の措置状況というのは十二月末になるのではないかなと考えておりますので、その辺は、何といいますか、すべてがきちっと形として順次決まっていくという形ではないのかな。そういう点でちょっとし残した仕事が出てくるといいますか、非常に恐縮ではございますけれども、知事本部の方で五千億必要だから五千億取って、ほかの仕事、ほかのところを全部削れとか、そういう形にはならないのかな、全体の枠の中での見合いの中で、重要とすべき施策を選び、あるいは事業を選定していくというような作業も必要になってくるのかなと思っております。

○矢部委員 財務局主計部との関係はどういうふうになっているんですか。

○渡辺企画調整部長 主計部の方とは、実務的に連絡を取り合いながら、情報を交換して、中身なり、財政の枠なり、その他について検討していく、連携して作業を進めているというところでございます。

○矢部委員 今までない作業が一つふえる。だから、全部ではないけれども、一割ぐらいと思うんですが、ふえるわけですから、いろいろ全体のフレームが決まらないと決まらないわけですよね。これは、特別枠でやってくれるんなら特別枠でやってくれ、その分が、全体の各局の予算から別枠になるということなんでしょう。それから漏れたやつは各局予算の中でやるということなんですよね。ちょっとここだけもう一度確認しておいていいですか。

○渡辺企画調整部長 これは議会でもご答弁申し上げておりますけれども、重要施策として選定したものについては、予算順位を優先的に措置しようということでございますので、一〇〇%確実にという形では、これは、全体の予算の枠の問題あるいは国の対応の仕方、制度の問題等ありますので、そこまでは断言できないということかと思います。

○矢部委員 見えないんですが、だから、その分は各局予算の中なんですか、あくまで。

○渡辺企画調整部長 今回のシステムでございますが、今までのシーリング方式をとりますと、各局によって一定の事業枠がある。それを超えたような予算要求はできない。極端なことを申しますと、ある局が百億円しか予算を持っていない、しかし、ぜひとももっと大きな仕事をやりたいということで、百十億円の事業を要求しようとしても、それはできないということでございますので、そういうことを、枠を取り外して、都政として真に重要な事業については、シーリングの枠を外していこう。ただ、これは要求でございますので、要求したものがそのままシーリングなしで事業として認められるという性格のものではない。今回の場合は、例えば重要施策について予算枠を、国が昔やったように都市新生枠を一兆円等とか、五百億円とか一千億円だとか、枠がつくってあれば、その枠の中に取り込んでいくことができるわけでございますけれども、そういう手法を今とっておりませんので、最終的には、重要施策で優先順位の高い、優先的に処理すべきものとして決められていって、最後は予算で帳じりを合わせていくという形になるのかなと考えてございます。

○矢部委員 結局は財務局がやっているということですね、そういうことであるならば。

○渡辺企画調整部長 重要施策としての立案を各局にお願いして、その中で、重要な施策、重要な事業については知事本部の方で選定をして、優先的に予算順位をつけていただこうという形で整理をしていくというものでございます。

○矢部委員 何だか全然見えない話をしていますけれども、もっと明確にいえないんですか、明確に。だから、ことしからこうなったんだと、都民のどなたがお聞きになっても、去年までとことしはこういうふうに違いが出ました、その結果こういうことが出てきて、これがメリットなんですよというふうには表現できないんですか。

○渡辺企画調整部長 今回の手法というものにつきましては--予算を各局が要求する際に、今までのやり方というのはシーリング方式をとっていた。シーリング方式というのは、一定の事業の各局の枠を超えての事業要求というのはしない、できない、自主的に抑制して出てくるという話でございましたけれども、今回の特徴といいますのは、どうしても必要な事業、都民のため、東京都のために必要な事業については、各局がそのシーリングの枠を外して重要施策として要求できる。それについて、知事本部あるいは最終的には政策会議、知事でございますけれども、そこで優先順位を選択していこうという点で、その点が今までの手法とは大きく異なる手法であるというぐあいに考えております。

○矢部委員 知事の意向が相当強く反映できるということでしょう。

○渡辺企画調整部長 このプロセスというのは、ある意味、プロセスからいいますと、各局からも提案を受けて、その中で選択をする。その選択におきましては、各党のご意見、ご要望も承り、また、政策会議で議論を闘わせて決めていくということでございます。その中で、知事は執行機関の長でございますので、知事のリーダーシップが当然存在するというぐあいに考えております。

○矢部委員 もうやめにしますけれども、結局、今回の予算の全体を見ると、シーリングは相変わらずかかっているにもかかわらず、三つの局だったかな、一〇%アップしているところがあるんですね。だから、ちょっとこう理屈に合わない、全体としては、そういう構造になっていると私は思うんですよ。その中には知事の気持ちが強く出て、事前にそういう協議がされて予算要望がされているとしか思えないことを感じるんですね。そういうことはありませんか。

○渡辺企画調整部長 シーリングといいますか、前年要求よりも枠を飛び出るという形での要求方式を、今回は重要施策ということで認めておりますので、前年度金額よりも大きくなる要求があるというのも、この制度の必然といいますか、制度が機能している一つの要素であろうと考えております。ただ、それが、直接に知事の意向が個別直接的にというか、それは私もはかりかねますが、それぞれ各局で考えた重要な事業である、それぞれの予算要求の中では、必要なものをいろいろと精選して予算要求をしているというぐあいに認識しております。

○矢部委員 二日の記者会見のときに、そのホテル税もだけれども、マスコミの質問に対して、原宿に六百人の留置場をつくるというふうに知事は答えられているようですね。こういう考え方というのは、今まで都議会の中、警察・消防委員会でも、警察署の留置場が不足しているというような報告は受けていたようですが、大規模な留置場を特別につくるというような話は一切ないようですね。突然降ってわいたように出てきて、知事がこれを査定をして、つける。来年度予算にのって、できちゃう。これも今回の特質ですか。

○渡辺企画調整部長 予算編成でございますけれども、始まったというところでございますので、予算としての、どういう形でのつき方というのは、いろんな条件の検討あるいは事業としての成熟度、都民の要望あるいは都政の課題というものの中で検討され、判断されていくべきものなのかなと考えております。

○矢部委員 これは、それぞれ全部、知事の意見を聞いているわけではないので、知事にここにお出ましいただいた方がいいんですけれども、警視庁は、留置場は不足しているとはいったけれども、知事は、千人規模の留置場をつくれと、こういったようですね。警視庁はあくまでそんなものは要望していないというせめぎ合いがあって、最終的に、バナナのたたき売りじゃないんだぞというような知事の発言があって、六百人規模のものにおさまったというようなお話が、いろんなところから漏れ聞こえてきます。それで今回のことが決まっているというんですね。
 だから、各局から上げるといいながら、知事の方から無理やりつけるというか、そういう要望を出させているとしか思えない感じがしてならぬのです。こういうことなんでございますか。

○渡辺企画調整部長 留置場についての人数といいますか、これについては、私、詳細については承知しておりませんので、お答えしかねますが、行政の施策の中には、ボトムアップで上がってくるものもあればトップダウンのものもあると。ただ、行政施策として実現していくためには、きちんとした中身の確認がないと実際の事業の執行はできないということがございますので、いろんなプロセスがございまして、予算をつけるプロセスもございますし、財産の処分のプロセスもございますし、あるいは議会にご承認をいただくプロセスもあるという形で決められていくというぐあいに心得ております。

○矢部委員 その絞り込み、最終的な絞り込み作業は知事本部でするということですね。ということは、そのことについて、その作業をすることについての権限というか、知事本部に与えられているというふうに理解していいわけですね。とするならば、このことがどうこれからされていくかということについては、知事本部にお尋ねをするのが一番正しいんだろうと思うんですが、そういうことで理解していいですか。

○渡辺企画調整部長 今回の重要事項ということで、一般論で発言させていただきますと、重要事項につきましては、各局が立案をした、それを受けまして、知事本部の方で実務的、事務的に検討を加えて、政策会議の方に説明し、審議をするというプロセスをとっているわけでございます。
 そういう意味で、実務的な意味での作業を担当しているところは私どもでございますが、一方で、事業を実質上行っていくというのは、都政全般の重要事項をすべて私どもの方が実施するわけではありませんので、実施の部隊の話。それから、選定作業での一つの作業の責任を持っていく、これはあくまで、首脳部の方の知事なり政策会議メンバーで審議をし、決定いただく作業の準備であるという流れで動いておりますので、今のお話については、画然としてこれだという、白黒のようなお答えを非常にしがたいなと思っております。

○矢部委員 いろんな約束があったり、知事との約束があったりしていることでございますけれども、それとは別なところから、知事が突然思いついたように始まったことが具体化しようとしているんですね。そういうことで決まって、予算原案として出されてくる。全体の東京都の長期計画の中に、いつかはつくらなければいけないものというような位置づけがされていた、それを今この時期にやろうということならば、それはある程度どこかでコンセンサスが得られていたということでしょうけれども、そういう経過が一切ないものが降ってわいたように出てきてしまうということは、極めておかしい。これは民主主義ではなくて、もう帝国主義に近いやり方ではないかと思うんですね。大統領だからやっていいんだといえばやっていいのかもしれませんけれども、でも、やっぱり限界はおのずとあるだろうというか、あるいは議会との関係だとか、どこかでそれを審議するプロセスがなきゃおかしいだろうと私は思うんです。
 十一月末に決めるということですと、議会は十二月の三日だか四日だかに始まりますね。その中でということではなくて、その前に決めるわけですね。決めたことについて、十二月の議会で審議をしてもいいわけですか。本部長、どうですか。

○田原知事本部長 いろいろご意見をいただきましたが、重要施策の調整、決定につきましては、ご承知のとおり、今年度新たにやってみようじゃないか、来年度予算についてこういう方法をとってみようじゃないかということで始めたわけですけれども、一つは、財政再建推進プランという、昨年の十二月に決めたプランがあります。これは尊重しながら、先ほどご答弁もしておりますけれども、新たな発想がもっとないんだろうか。あるいは、これだけ激しく社会経済が動いている状況の中で、それに対応するようなものをやらなくていいんだろうか。それから、これまでのシーリングでやっておりました各局の予算、それも、何%割り込んで要求をせい、こういう話ですと、なかなか局間にまたがったような話が、やりたくてもできなかった。こういう話を今やってみたらどうなんだ。こういうことで重要施策の調整を始めておりまして、これが、お話しのように、本部が決め--決めというよりも案をつくり、それから政策会議でいろいろ議論をして決めていって、最終的には予算の全体の調整の中でやりますので、全部が全部、ここへ候補に入ったから、この金額で固定で、ほかの財政状況がどうあろうとも、その金額は決めたもので押し通していく、こういう話ではございませんで、やはり全体の枠があり、それから義務的経費があり、そういうものを考えながら、あるいはまたスクラップできるところがあるはずでありまして、そういうところを考えながら、できるものをそこの予算の編成の中で実現をしていこう、こういうことでありますので、それぞれの事業について固定をして、もう金額も査定をして、予算の査定の中で、それを確定したものとして生かすというふうには考えておりません。
 留置場の件につきましても、留置場全体が足りないという話は、先生のお話でも、前からあったというふうにございましたけれども、それにつきましても、じゃ、どういうふうにやっていこうか、新たな留置場を今つくっていくべきではないかという提案が警視庁からあります。それを重要施策として取り上げていこうということにこれからなろうかと思いますけれども、六百とか何かというよりも、まだ六百というのは決まっていないというふうに聞いておりますけれども、今までの規模の留置場では足りないぞ、十四年度予算においてもできる限りつくっていこう、こういうのを重要施策の中で取り上げていくということになろうかと思っております。

○矢部委員 警視庁の要望案の中には、原宿警察署百九億九千万円、留置場の数六百人収容、射撃場も完備したものを建設しますと明言されております。そのことだけ申し上げておきます。
 で、今の作業はこれからされるわけです。議会との関係なんでございますけれども、一月の二十日前後でございますか、知事原案が出される。そのときにはもう固まるわけでしょう。そうすると、十二月議会があって、お正月で、一月の二十日に決まる。その間には何もしようがありませんよね。そのプロセスを正確に教えていただけますか。

○田原知事本部長 これから、重要施策を政策会議で議論しまして決めます。それから、都議会の各会派のご意見を承ります。それを全部総合いたしまして重要施策を決め、それを予算編成、財務局で行います予算編成の中でどう生かしていかれるか、それから全体の予算の枠の中にどうおさめていくか、これの議論をしまして予算原案をつくり、また都議会の各会派からのご意見をいただきながら、第一回定例会に向けて予算を決めていく、こういうことになろうかと思います。

○矢部委員 極めて財政的にも厳しいとき、思い切って取り組みをいただいて、都民が結果として歓迎してくれる、これは大いにやっていただくにこしたことはないと思っております。
 しかし、地域あるいは民法というものがありまして、そういうルールがもう一面あるということもぜひご認識いただきながら、がむしゃらに、大統領がいったからといってすべて通すというのが民主主義では決してありませんから、ぜひ、十分に聞くべき声は聞き、吸い上げていただきながら、より効果的な案にまとめていただくようにお願いをしておきたいと思います。と同時に、議会とのこともお聞きいたしましたので、また別の角度でいろいろと申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。

○坂口委員長 答弁はいいですね。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時三十四分休憩

   午後三時四十六分開議

○坂口委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○山下委員 初めて質問に立たせていただきます山下でございます。今後とも、諸先輩方におかれましてはよろしくご指導をちょうだいできればと、そのように思っております。
 さて、町に出ますと、国政のことは国会議員ですぐわかりやすい。ニュースにもよく出る。市政のことは、地元の地域のことだからわかりやすい。これもあるんですが、一体都政って何をするんだという声を、私もよく聞かれまして、お答えすることがあります。それほど都民と都政の距離というのが、一般の方々にとっては遠いのではないか。この都政と都民の間を縮めていくためにも、かけ橋となる今回の行政評価システム、大変重要なシステムでございます。これについてご質問させていただきたい、そのように思っております。
 まず、これまでの都における行政評価への取り組みと、その中での反省についてお伺いいたします。

○南雲特命担当部長 都におきましては、これまで、平成十一年度、十二年度と二年間にわたりまして行政評価制度を試行し、本格実施に向けての課題を整理してまいりました。この試行によりまして、評価をするに当たって、都民にわかりやすく、かつ的確な指標の設定が必要、評価の内容が専門的にならず、都民にとってわかりやすいものにしていく必要があろう、また、明確な評価基準の設定が必要など、さまざまな課題が判明したところでございます。
 今年度からの本格実施に当たりましては、試行から得られたこれらの課題を踏まえまして、より実効性のある制度となるよう努めているところでございます。

○山下委員 行政評価の試行結果について公表し、都民の方から意見をいただいているとのことですが、一体どのくらいの問い合わせがあり、その中身はどのような意見だったか、お伺いさせていただきたいと思います。

○南雲特命担当部長 昨年十一月十七日に、平成十二年度の行政評価制度の試行結果を公表いたしましたけれども、本年十月末までの段階で、インターネットのアクセス件数が六千六百四十一件、そのうちアンケート回答件数は二十七件でございます。
 主な内容といたしましては、評価結果を区市町村立の図書館などにおいても閲覧できるようにしてほしい、評価票の内容をわかりやすくしてほしいといった、公表の方法についてのご意見を多くいただいているところでございます。

○山下委員 少し時間軸を戻してお尋ねしたいんですが、かつて東京都においては、東京都の中期計画を制定する際に、シビルミニマムという概念を導入したとお伺いしております。一体それはどのようなものだったのかということと、その点に何か反省点があればお伺いしたい、そのように思います。

○南雲特命担当部長 昭和四十年代に策定されました東京都中期計画、これは美濃部時代でございますが、それに取り入れられましたシビルミニマムは、高度成長期における都市社会の諸問題に即しまして、当時のナショナルミニマムを超えて都市生活に必要な最低条件でございまして、都民生活が目指すべき目標を示した指標として先駆的な意義を持つものでございました。
 しかし、シビルミニマムは、行政内部の目によってはかられた技術的、専門的な指標が多うございまして、必ずしも都民にとってなじみやすいものではなかった、そういう評価もございます。

○山下委員 今回の都の行政評価システムの特徴は、オレゴンのベンチマークスのように、東京都の政策指標というものが設定され、それを活用することに意義があると思っておりますが、その意義についてお伺いいたします。

○南雲特命担当部長 東京都政策指標は、目指すべき目標の水準と取り組みの成果を、都民の生活実感に即してわかりやすく示すものでございます。政策評価におきまして、この指標を用いて評価することで、評価結果を都民にとって身近でわかりやすいものとし、そのことで政策論議が高まることをねらいとしております。

○山下委員 かつてのシビルミニマムについては、行政内部の目によって、ある意味限られた分野から専門的あるいは技術的な指標が多かったという反省点が一点と、今回の東京都政策指標に関しては、都民に身近でわかりやすいものにする、そういった意義があるというのは、私、今のお答えで理解をさせていただきました。
 そうなってきますと、東京都民の声を聞くことが、聞く機会をふやすことが大切だと私は考えますが、そこで伺います。評価対象は一体どのように選定をされているのか、そして、対象事業の選定に当たって、現在、都民の声をどのように反映することが重要であるか、それをお伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 行政評価制度には、政策評価と事務事業評価がございますが、まず政策評価の対象は、東京構想二〇〇〇で示されております政策のうち、都政の重要課題で、新たな方向へ動き出した後、検証が必要な政策、また、その方向性の転換や見直しが求められている政策から、緊急性、必要性に応じまして選定をしているところでございます。
 また、事務事業評価の対象は、都の事務事業のうち、政策評価において選定した政策を達成するための事務事業、それから、年度ごとに設定する特定の課題に対する事務事業を選定しております。
 今後の選定に当たりましては、政策指標の目標と実績との乖離状況やさまざまな都民の意見も参考にしてまいります。

○山下委員 この行政評価は、評価を単に実施するだけではなく、その結果を活用しなければ全く意味がなくなってくる、そのように考えております。今回の制度において、この評価結果をどのように都政運営に反映させて、そして事業の見直し等につなげていこうとお考えなのか、また、見直しの際にどのように都民の声を反映させようとお考えであるか、お伺いします。

○南雲特命担当部長 行政評価の制度の実施に当たりましては、評価結果を事務事業の見直しや予算編成等に反映させてまいります。評価結果の公表を通じた都民からの意見につきましても、事業所管局において事務事業の見直しに活用していくことが必要と考えております。

○山下委員 私の先ほどの二点の問いについて、見直しに当たって都民の意見を活用するというお答えをちょうだいしたんですが、実際、では、どのようにして見直しに反映したか、都民から見てどのようにすればわかるものになるのか、その展望をお聞かせいただきたいと思います。

○南雲特命担当部長 私どもとしては、今後、評価結果の反映のための進行管理、いわゆるフォローアップといわれているものですが、それについても実施していく予定でございます。評価結果に対する事務事業の見直し状況について公表する際には、都民からの意見がどのようなものであったかがわかるように工夫してまいります。

○山下委員 今までお話をお伺いいたしまして、いろいろと工夫をしていただいているというのは理解できますが、現行の評価制度に関しては、十分であるとお考えでいらっしゃるか。それと、指標の見直しについて、まだまだ改良の余地があるのではないか、そのように私は考えておりますが、その辺をどのように認識されておられますか。

○南雲特命担当部長 今年度から本格実施を開始している制度内容は、過去二年間の試行におきまして実施し、検証を行い、課題を踏まえ、改善しているものでございます。今後とも、議会とのご議論を踏まえ、さらなる改善を行い、都にふさわしい制度としてまいります。

○山下委員 私がなぜ先ほどの質問をさせていただいたかと申し上げますと、実は、平成十一年度の都政モニターアンケートという調査の中では、市民参加、第三者機関の設置についての要望という形での意見が一三・二%あったと聞いておりますが、この具体的な中身、どのようなものであったかということが一点と、また、この市民参加、第三者機関というものを都民が望んでいるという声に対してどのように考えていらっしゃるか、見解を伺います。

○南雲特命担当部長 平成十一年の都政モニターアンケート調査の回答者のうち、全体の六五・五%に当たる百五十二名が自由意見を記入されておりまして、そのうち一三・二%の方から、市民参加、第三者機関の設置に関連する意見二十件をいただいているところでございます。
 その中で、主な意見としましては、指標選択、評価に当たって、行政内部だけで実行となると現状と遊離するので、外部、第三者を交えたコンセンサスが必要、民間、海外有識者、マスコミ、オンブズマン等との連携が必要、いろいろな手段を使って多くの声を聞くこと、専門家による評価があってもよい、などの意見がございました。
 これらは、都民からの貴重なご意見として受けとめまして、行政評価制度の実施の中で、必要に応じて外部専門家の意見を聴取し、その内容を生かしていくとともに、インターネットなど多様な手段を活用するなど、都民に広く公表しましてご意見をいただくなどの工夫をしているところでございます。

○山下委員 今お答えをいただいたように、アンケートの中で一三・二%という人たちが、市民参加あるいは第三者機関の設置を望んでいるという点、望む声がある中で、現在の行政評価システムという中では、私は、住民参加という点で十分ではないと考えております。この点については、今後、第三者的機関、そういったものの設置等を考える余地はございませんでしょうか。

○南雲特命担当部長 行政評価の実施に際しましては、高度な専門性や実践的な識見が必要な場合には、必要に応じて外部専門家の意見を聴取し、その内容を生かすこととしております。さらに、評価票などをわかりやすくするとともに、インターネットなど多様な手段を活用するなど、公表方法につきましても工夫をいたしまして、都民に広く見ていただき、ご意見をいただくこととしております。直接都民からいただいたご意見や、議会でのご議論を踏まえながら、実効性の高い制度に改善してまいります。

○山下委員 先ほどからお答えの中に、インターネット等で努力されるという答えが何回かございましたが、私が先ほどお伺いした中では、去年十一月十七日より今年度十月末までのインターネットのアクセス件数が六千六百四十一件、そのうち、主なアンケート回答件数が二十七件。この一千二百万を超える都民の中で、二十七件というのが都民の声というものでは必ずしもないと思っております。私は、これは十分ではないということに関して、先ほど私がお伺いした第三者機関の設置等についても明確なご答弁をいただいていないと思っております。恐らく現段階では第三者機関というものが難しいのであれば、せめて都民の声を反映する形として、インターネットだけ、一方通行の情報提供で都民の二十七件の意見を待つのではなくて、例えば、都政で実際に行われているような出前講座ですか、都政出前講座のように、積極的に行政の側から、ちゃんと都民の声を拾っていけるような、そんなような意見をもらう機会をつくるべきだと私は考えますが、その辺について考える余地はございますでしょうか。

○南雲特命担当部長 大変貴重なご提案ではございますが、行政評価制度につきましては、二年間の試行を経まして、都にふさわしい制度として今年度から本格実施を開始したばかりでございます。今後、現行制度を運用していく中におきましても検証を行い、より実効性の高い制度としてまいります。

○山下委員 お話を伺った全体を通しまして、都民の方々の意見の関与という発想がないといわざるを得ないと私は思っております。現在の行政評価システムというのは、私の目から見ますと、例えば学校の試験でいえば、自分で問題をつくって、自分で答えを出して、自分でそれを採点するといったようなものに見えてなりません。いわゆるアメリカのオレゴン州のような、住民の意見を最大限取り入れること、例えば三千人規模の市民公聴会を開くとか、そういったことを最重点としてやっているわけでございますので、東京都としても、すぐに第三者機関のような設置が難しくても、私が先ほど申し上げたように、行政の側からせめて積極的に、インターネットにこだわらず、都民の方々の意見を吸い上げていただきたいということを強く要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○木内委員 まず、今申し上げることは、答弁は結構です。
 同僚委員の方から、今回、新機軸として導入された、予算編成システムについての言及がありました。私は、議論の経過を踏まえて、率直な今回のシステムに対する認識、これを申し上げたいと思っています。
 まず、旧来のシーリングスタイルにこだわらずに、激変する社会環境や、また今日的状況の中で、都民のために必要と思われる施策を、重要な点に絞ってこれをプライオリティーをつけて施策に反映をさせていくというこの試みを、まず評価するものであります。
 しこうして、このシステムのあり方については、先ほどからるるご報告があったわけでありますけれども、知事本部はもとより、行政の側、それから私ども議会の側にとって、今その真価が問われる試み、これが今回のシステムだと思っています。
 知事本部にあっても、各局から上がってきた重要施策案なるものを、いかに都民の目線に立って、具体的、現実的な施策に吸い上げていくか、これは恐らく大変な苦労を伴う作業であると思いますし、知事本部自体が、その存在と、かなえの軽重を問われているんだと思います。
 また、そうした重要施策、十八局百八十八案に対しまして、議会との今後のスケジュール、接点の中で、今度は議会からのさまざまな意見の開陳がなされる。これはまさに議会の評価が行われるわけでありますから、大変重要な作業である、こういうふうに思っています。
 さらに、私が思いますのは、今回のシステムについてさまざまな論評があるようでありますけれども、少なくともこのシステムは、十四年度予算編成に当たって厳然と存在をしているわけでありますから、制度そのものに毀誉褒貶を与えるのではなくて、存在している制度を、いかに都民のために生かしていくか、こう認識もしているわけであります。
 私どもは、これまで党として訴えてきた生活者の視点から、あくまでも都民生活をされる現場の方々の視点から、まさに現場第一主義のこの調査を踏まえて、この作業に当たってまいりたいと思っております。
 さて、先ほど留置場の話が出ました。私はまだ寡聞にして確認をしておりませんが、各局から百八十八の重要施策の提案がございました中で、留置場の施設の整備拡充という項目があったように思いますが、先ほど来議論になっている、原宿という特定、固有の場所に、特定の人数枠、収容枠を設けたこの構想、これと警視庁の案と果たして一体であったかどうか、先ほどの議論からただいままで時間がありませんでしたので、確認をしておりませんでした。
 しかし、押しなべて百八十八の案を見てまいりますと、私どもがこれまで提案をしてまいりました、その実行を強く迫ってきたものもあれば、新しい芽出しとして各局が非常に知恵を絞って出してきたものもあります。大変局によって濃淡があるとも思うわけでありますけれども、いずれにしても、今後--先ほども、どのくらいに絞るんだとか、あるいは、予算のフレームはどのくらいなんだというような質問もあったようでありますけれども、いずれにしても、百八十八が全部そのまま、いわば実施を前提にしたプロジェクトの俎上にのるとは思われない。結局カットされるものが多くなってくると思うのであります。恐らく、そうした作業がこれから知事本部においては行われるのでありましょう。
 この際、あえて私は強く申し上げたいのは、あくまでも都民のコンセンサスを得られる、あるいは政策として整合性のある、そうして都民が納得のできる、生活者の視点からの政策の選択、議論というものがまず大前提でなければならない。総体的、包括的に申し上げる東京都全体のテーマというのは、ほとんどが個別、具体のケースにつながるわけでありまして、地域住民の方々のさまざまな意向というものも反映し、理解を得た上でのものでなければならない。これは一般論としてまず申し上げたいと思います。
 いずれにしましても、議会、行政ともに、今、二十一世紀の幕あけのときを迎えて、予算の編成というものに大きく意気込みを持って取り組んでいくわけでありまして、知事本部が、そのレーゾンデートルといいますか、存在性というものを問われるときでもありますので、大変なご苦労がこれからも続くと思いますけれども、ぜひ申し上げた視点からのご努力をされるよう、まず質問の冒頭に当たって強く要請をしておきたいと思います。本部長、答弁は結構です。
 さて、さきにアジア大都市ネットワーク21、これが知事本部の所管によりまして行われました。幾つかの課題が顕在化され、具体的な実施に向けて、その作業、また連絡調整が始まったところであります。この中で一点、私は取り上げて、かねて申し上げておりましたけれども、アジア遠隔教育プロジェクトについてまず指摘、提案をさせていただきます。
 我が国は、年間平均百五十億ドルという大変な経済援助を諸外国に行っておりますけれども、そうしたいわば数字とは裏腹に、国際社会における日本への評価というものは、実は残念ながら極めて低いといわざるを得ません。いわゆる国際協力あるいは平和な国際環境構築への努力、そしてまた、世界唯一の被爆国として持っている平和への強い希求というものがありながら、実は、外交努力や国際社会での努力のあり方によって、大きく経済効果といいますか、数字ほど反映されていないという、そういううらみがあるのであります。
 その意味では、我が国の持っております技術、ノウハウあるいは知的資産の積み重ね、こういったものを、アジア大都市ネットワークのシステムの中でどんどん輸出をしていくことが必要であるし、また、双方向の学問の交流、文化の交流というものも図っていくべきである、こういうふうに思っているところであります。
 遠隔教育事業の推進に当たりましては、東京の私立大学を初め、アジア大都市ネットワークに参加している都市の大学や研究機関などの参画を幅広く得ていくことが極めて重要である、こういうふうに思っております。こうした私立の大学まで含めた、幅広い大学、学術機関の取り組みによりまして、遠隔教育の内容の充実が図られたり、あるいは多様性を確保することができるわけであります。したがって、このためには、既に構築されている、各大学におけるそうしたノウハウというものも活用すべきである、こういうふうなことをまず提案するわけでありますけれども、いかがでしょうか。

○浅野外務担当部長 遠隔教育プロジェクトにつきましては、産・学・公連携による推進を図ることとしております。このため、先般、都立科学技術大学を中心に、企業、研究機関等により構成されましたアジア遠隔教育システム開発コンソーシアムを立ち上げたところでございます。
 一方、遠隔教育につきましては、国立、公立、私立を問わず大学間での研究が進められているということについては、委員ご指摘のとおりだというふうに思います。こうしたことから、本プロジェクトに私立大学等が幅広く参画していくことは、遠隔教育プロジェクトの内容をより充実したものにするとともに、広範な市民の利用を容易にすることになるということが予想されることから、本プロジェクトの推進に欠かせないというふうに考えております。私立大学等にも積極的に、遠隔教育プロジェクトへの参画を呼びかけてまいります。

○木内委員 この共同事業の概要の資料の中で、ナンバー6から11まで六本、資源リサイクルの促進、上下水道の管理技術や経営手法などなど、分野を設けて、アジアの実務者に東京で研修を行う事業というものが掲げられております。これは、いい出したところの都市がこれを主催するという流れになっているようでありまして、私はこれを見て、かつての中曾根内閣時代の留学生十万人招請計画、当時の議論を想起したのであります。かけ声は勇ましかったんですが、当時、留学生を日本に受け入れて、そうして一生懸命門戸は開いたんだけれども、帰るときに、その留学生は、反日家になって帰っていく人が非常に多かった。今回の事業というのも、研修生を東京に受け入れて、この六つの分野での研修、交流を行うということでありますけれども、これは、一定の期間東京に滞在して生活をしながら、いわばそういう研修を受けることになるわけでありまして、細かな配慮が必要であろうと思うんです。
 例えば、当時の議論にありましたのは、アジア諸国に比べて東京の物価は、最近安いとはいっても、当時は、大変な高さのために生活が苦しかった。買いたいものが買えなかった。訪ねてきた日本の現地では、日本人が立派なものを食べているのに、留学生は経済力の差があるために、食生活一つをとっても大変に苦しい思いをした。家賃も高い。東京で住むというのは、実はまことに大変な戦いであるともいわれました。あるいは、当時議論された中には、苦労して日本の大学に入って、四年間頑張って卒業証書を取って、学士号を取ったけれども、あるいは大学院に入ってドクターコースの博士号を取ったけれども、実は、国際社会では日本の大学や大学院の評価というのは著しく低くて、本人のその後の人生にとって、あるいはライフサイクルをつくり上げる上で余り意味をなさないものであったと。実はいろんな議論があった。これが、中曾根内閣当時の十万人留学生受け入れ計画に際しての議論であったわけであります。
 申し上げております、さまざまな東京における、日本における留学生にとっての困難な点というのは、時代の変遷はあっても、今なお変わっていないであろうと。普通ならば、例えばアメリカあたりでは、日本のいろんな分野で活躍する若い世代の人たちを選定いたしまして、最低一カ月間、できるだけ自分の言葉で、通訳を入れずに、好きなところを回ってほしい、そうして、交通費や一定の所要経費のほかに、一日何十ドルも自由に使える、そういう予算を組んで、そうして、自分が組んだプログラムによってアメリカを一カ月以上ずっと見させる、そういうプログラムがありますから、親米派、知米派になってみんな帰ってくる。ところが、日本の留学生の受け入れというのは、それがないんです、いまだに。行ってきたけれども大変なところだよ、人情は薄いよ、住まいに困っていても、だれも手当てをしてくれない、あるいは物価が高い、こういうことで反日家にして帰すような愚は避けなければいけないと思う。
 したがって、これも提案でありますけれども、こういう今回の研修系事業の展開に当たっては、制度に血が通うような、経済的に細かい配慮をすべきだと思います。またあるいは、住まいなんかにおきましても、企業の社宅や寮を使ったり、あるいはオリンピックセンター等ということがよくいわれるわけでありますけれども、本当にかゆいところに手が届くような、そういう情けのある環境づくりをして受け入れるべきだ、こういうふうに思うんですね。東京の実情に配慮したきめ細かな対応をすべきことを提案するんですけれども、どうですか。

○浅野外務担当部長 研修生が安心して、意欲を持って研修に専念できる環境を整えることは、研修効果に大きな影響を与えるものというふうに考えます。このため、研修に際しましては、事前に派遣都市と十分な調整を行うとともに、事前ガイダンスあるいは生活相談等を実施いたしまして、各研修生のニーズにきめ細かく対応した研修を効果的に実施していくよう努めてまいりたいというふうに思います。
 また、研修に要する経費でございますが、対等な立場で参加するというネットワークの理念から、研修参加都市が応分の負担をするということにしてございますが、テキスト代を含めて、研修の実施に係る基本的な経費については東京都が負担するというふうにしております。また、そのほか、安価な宿泊施設のあっせんであるとか、あるいは紹介だとか、できる限り派遣研修生の負担が軽減し、研修の実が上がるような工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

○木内委員 時間の関係で多くは申しません。本部長、この事業に対する抱負、聞かせてください。

○田原知事本部長 十月、先月でございますが、十七、十八日、本会議がございました。そこで共同事業が決定いたしまして、その場での、知事の本会議での発言をかりますと、きょうはようやく基盤ができたところだ、どのような建物をこれから建てるかは、まさに各都市、それから東京都の努力次第だ、こういうふうに本会議の場で申し上げましたけれども、これはまさに先生のご指摘のとおり、これからの取り組みの中からどのような結果が生まれるか、これによってネットワークの意義が問われることになると思っております。
 今後は、各都市と連携をいたします。それから東京都庁の中でも、全庁を挙げまして共同事業を推進していきたい、取り組みたいと思っております。それからもう一つは、会議の回数を重ねるごとに実のあるネットワークになっていけばいいと思っておりますので、全力を挙げて努力をしてまいります。

○木内委員 本部長が最後にいわれたように、回を重ねてノウハウを集積しながらいいものにしていく。一過性ではありませんから、これは継続的に、事業というのは続けていくことが、この場合は特に大事だと思うんです。継続は力でありますので、ぜひ申し上げた点も踏まえてご努力を願いたい、このことを要請しておきます。
 次に、首都移転問題であります。
 平成二年の国会決議から十年以上、十一年がたちました。いろんな議論がありました。東京都はこれまで、数字を挙げ、あるいは客観的な情勢分析を行い、反論を試みてきた。報告書が、東京都によって公表された時点で、国に、反論があるならしてみろというので、プレス等でもいっていたような記憶があるんです。国から反論はありましたか。

○野村首都調査担当部長 国からは、現在までのところ、反論は寄せられておりません。ただ、新聞に、担当課長の談話といたしまして、積算根拠など不明確な点があるので都に確認したいという談話が載っております。

○木内委員 今回の調査は、審議会が試算した移転費用に光を当てて、十二兆三千億ではなく、実は二十兆一千億円必要になることを示して、試算の甘さを指摘しているわけですね。これに対して、新聞等では、都に確認したいというようなことをいっているようであります。今、その答弁がありましたが、確認はありましたか。

○野村首都調査担当部長 確認はございません。

○木内委員 それから、平成二年以来の歳月の経過というものは無視できないわけでありまして、社会経済環境が大きく変化している。こういう首都機能移転に対する反論の議論というものが、もう既にきょうもありましたから、私はあえて、重複しますから申し上げませんけれども、都議会だけの、東京都内だけのコップの中の議論になってはいけないと、いつもいっているんですよ。これが説得力を持つためには、例えば首都圏七都県市へ、積極的な運動への参加を呼びかけるとか、あるいは全国的に遠隔地の道府県にも呼びかけて、そういったところからの反証、反論を要請するとか、こういういわゆる客観的な立場からの反論をしていただくということも非常に重要だ、こういうふうにいってきたわけでありまして、やっと、七都県市に対しては近年そういう動きが出てきたということで、これを多としたいわけであります。
 さて、一時は三万九千円台にもなっていた東証平均株価は、先々月には九千円まで下落している。また、首都移転の理由として、高騰した地価の鎮静化も理由の一つとして掲げられていたわけでありますけれども、当時に比べて現在の地価の状況というものは、ピーク時の四割、それから、商業地では二割の水準まで低下しているということがある。私は、どんなに冷静に考えましても、首都機能移転の理由というものは、バブルの崩壊によって既に達成されてしまった、こういうふうに思っているわけであります。移転には巨額な費用が必要とされるというのもありますけれども、これはあえて触れません。
 それで、一つ確認なんですけれども、衆議院の特別委員会の決議というのがありますよね。私は率直にいって、これは法的な根拠も、あるいは拘束力もないものであると。都議会の本会議で決議をいっぱいやりますよ。これは条例事項じゃないですから、中身の実施や何かは。それから、法律については法律事項というものがあるけれども、衆議院の特別委員会における決議というのは、これは法律事項ではありません。これは勧奨規定なのか、義務規定なのか、いろいろ議論は分かれるでしょうけれども、今、一番もとの特別委員会の決議なるものに焦点を当てて、これを形骸化させる闘い、これが必要だと思うんです。どうですか。

○野村首都調査担当部長 先生のお話のとおり、平成二年十一月の国会等の移転に関する決議から出発しているわけでございます。ただ、今お話しのとおり、これについては法的拘束力等々はないわけでございますけれども、すべてはこれに基づいて、この運動が構成されてきておりますので、私どもとしましても、決議を廃するということは事実上無理かと思いますけれども、事実上これが動かないような状態で持っていきたいというふうに思っております。

○木内委員 決議というのがどうもひとり歩きしてきている、こういうふうに思っているんです、私は。幽霊の正体見たり枯れ尾花で、そんなものにすぎないじゃないですかといいたい。
 ただ、これはほうっておくと、幽霊が本物の人間になっちゃうと困ると、さっきも話がありました。いろんな手法はあると思うんですが、まず、もう一回確認しますけれども、この決議というのは法律事項でも何でもないから、これは実行されなくても構わないということがある。それ以上の法的拘束力を持った、かつてグリーンカード制、国民総背番号制ですね、これ、法律で決まったんですよ。それで衆参両院を通った。だけれども、国民の総反発に遭って、事実上の廃案になったことがある。それほどの、何というか、当時の制度ほどの拘束力はないのが決議なんですよ。だから、それをまず一つは喧伝していくことが大事だと思う。これについてひとつお答え願いたい。
 それからもう一つは、さっきも、二十人以上の今の国における委員会構成の中で、二十人が移転先候補地の出身の議員だというのがありましたけれども、各党において、もう一度これを、党なんですから、縦の糸で徹底して。共産党まで珍しく入っているんだから。首都機能移転反対、これを、縦の線で汗を流して、今申し上げたような視点も踏まえて闘っていくことが必要なので、その点のアプローチ、知事本部としてはおやりになる必要があると思うんだけれども、どうですか。
〔「異議なし」「共産党はもう大丈夫ですから、あとの党」と呼ぶ者あり〕

○野村首都調査担当部長 二点のお尋ねがあったと思います。
 まず一点目の、法的拘束力がないことを宣伝するということ、これはまさにお話しのとおりでございまして、私どもも、こういうふうなものを踏まえまして、いろいろなところでやっていますので、今後、広くやっていきたいと思っております。
 それからもう一つ、二十名、これは非常に数が大きいものですから、私ども非常に苦労しているところでございますけれども、これもやはり最終的には国会の決議ということで決まるわけでございますので、この二十名の方についての説得、私どももしますけれども、移転候補地の先生方に説得は非常に難しゅうございまして、先生方にも、各党のご尽力をいただきながら、ぜひやっていただきたいと、お願いいたします。

○木内委員 どうも期せずして、この議論をすると、いつも共産党さんから同じ立場でのやじを飛ばされるんですよね。
 党としての立場で、これからも我々は、これまでもそうであったけれども、ぜひそういう汗を流していきたいというふうに思うんです。
 同時に、申し上げた視点からの、その点の根っこの部分の、決議なんていうものが何だという、そういうアピールも必要なんですよ。これは堂々と自信を持って行くべきですよ。それはもう行くべきですよ、これは、何回もいうけれども。
 それから、さっきの七都県市への働きかけ、いよいよ年末から、年が明けるわけですけれども、これからの手順、作業について具体的にお示しください。

○野村首都調査担当部長 具体的に申し上げますと、十一月の八日、あさってでございますけれども、ここで七都県市の首脳会議がございます。七都県市におきましては、去年も、首都移転に強く反対するという声明を出しましたけれども、ことしも昨年と同様に、首都移転に強く反対する意見をまとめるということになっておりまして、本年の事務局を務めております横浜市が、その決議を持って衆参両院の特別委員長に面会して、直接手渡す予定というふうに聞いております。

○木内委員 私ども都議会公明党も、きょうの質疑も踏まえて、近々、七都県市の議員を都庁にお呼びして、この議論も含めて徹底したいと思いますし、これをお聞きになる各会派においても、形は違え、いろんなご努力がこれからあると思うんです。やっぱり具体的にいかなきゃいけないというふうに思うんですね。
 三十分、私はきょう質疑をさせていただくということを申し上げました。あと一分残っております。最後に、本部長の抱負を聞かせてください。

○田原知事本部長 先ほど、お話の中に、形骸化というのがございましたけれども、まさに委員会の審議といいましょうか、中身といいましょうか、それを見ておりますと、そういう感じもなきにしもあらずという感はあります。決められたから、スケジュールに沿ってとにかく結論を出すのが我々の役目だと、こういう感じも見えるような気がいたします。したがいまして、ほうっておきますと、形骸化どころか、一つの結論が出てくるんだろうというような気がしますので、今、先生から、いろいろアイデア、ご意見をいただきましたが、我々も全力を挙げて努力をしてまいります。広範な運動にさらになりますように、全力を挙げてまいりますので、ひとつよろしくどうぞご支援のほどお願いいたします。

○古館委員 それでは、今、自民党さんからも公明党さんからも首都移転の問題が出ましたが、この問題について最初に質問させていただきます。ダブらないようにしますので、若干質問が変わりますが、ご了承いただきたいと思います。
 先ほど、何か絞り込まれたら、一緒に、東京都もそれに含まれるんじゃないかということの話が出ましたね。私は、こういうときだからこそ、法と、それこそ原則に戻るべきだというふうに思っています。
 それで、お尋ねしたいんですが、国会等の移転に関する法律が、九六年に法改正がありました。ここで具体的に決まったのは、国会等移転審議会をつくるということですね。つくって、この審議会が移転先の候補地を選定する、で、二年以内に政府に答申する。ここまで決まったんだと思うんです。この改正で決まったのは、審議会をつくって、移転先の候補地を選定する、そして政府に答申する、ここまでが決まった。これが、法律でいう、きっちりした決まり事なんですけれども、いかがですか、この問題について。

○野村首都調査担当部長 今、先生お話しのとおり、この根拠法となります移転法に基づきますと、諮問を受けて、審議会の方で答申を内閣総理大臣に出す。出した後、国会の方に報告をして、国会の方で検討した上決める。それで、先ほどお話があった改正を踏まえて、二十三条に基づきますと、移転先について決まったときについては法律で定める、こういうふうになっております。

○古館委員 それで、つまり移転先の候補地が政府に答申される。そうすると、第二十二条がありまして、その次の段階として、国民の合意形成の状況、社会経済の情勢の諸事情に配慮して、東京都との比較考量を通じて移転について検討する、こういうふうになっていませんか。いかがですか。

○野村首都調査担当部長 二十二条は、先生が今お読みになったとおりでございまして、具体的には、国民の合意形成の状況というのは、現在の衆議院では、先般二十五日に、インターネットに意見を入れた方、八人の参考人がいますけれども、その人から意見を聞くというのが、衆議院の方では国民の合意形成の状況をはかるものだと。それから、社会経済情勢につきましては、いろいろ審議をやっていまして、現在の社会情勢はどうだというふうなことを、審議を何回かやっております。で、今回の比較考量というのは、先ほどもお話ししましたとおり、十一月二十一日に私どもの知事が参りまして、その後、移転候補地の知事がお話をして、それをもって比較考量するというふうに聞いております。

○古館委員 ですから、法改正の中で決まったのは、候補地が選定されたら、それを政府に答申する。その段階で二十二条が生きてきて、国民の合意形成の状況の中で、東京都との比較考量を通じて移転について検討する。その上で第二十三条で、移転を決定する場合には、移転先についての法律を改めて国会で決定する、こういう手順じゃありませんか。いかがですか。

○野村首都調査担当部長 手続的には、先生のおっしゃるとおりでございます。

○古館委員 先ほど、自民党さんも公明党さんも、木内議員からは、この首都移転問題では、各政党がしっかり足並みそろえて、首都移転反対で運動しようということがいわれたわけですが、私は、こういう時期だから、改めて、法律に基づいたきちっとした筋を通すことが何よりも大事だというふうに思っております。
 そういう点でも、私ども日本共産党も頑張りたいと思っているんですが、きょうはいろんな政党の方がいらっしゃいますので、しっかり首都移転の反対に向けて足並みそろえて頑張っていきたい、このように思っています。
 それで、この質疑の中で、もう一つ聞きたいんですけれども、もともと首都移転というのは、ご存じのように、宇野收さんという人が、国会等移転調査会の責任者を以前しておりまして、この方は、参議院の特別委員会に参考人として出席した際に、費用がどれぐらいかかるかということの質問に答えて、余り正確な数字を出していないという現状でありますが、と答えて、その結果、十四兆が二十兆あるいは二十五兆になるかもしれないと。しかも、この試算については、空港とか道路とか鉄道とかの関連施設費用は全く含まれていないと。これらの計画全体を含めると百兆円というお金もかかるかもしれないと、別の参考人の方が、国会でそういうことをいっているわけですね。こういう壮大なむだ遣いというのは、ちょっと質問が一緒になっておりますけれども、きっちりと石原知事が、壮大なむだ遣いはやめなさいということを公聴会の中で主張すべきだ、このように思いますが、いかがですか。

○野村首都調査担当部長 これまでに東京都が行ってきました首都移転に関する調査研究でございますけれども、首都移転には効果がないばかりか、今お話しのとおり、莫大な税金のむだ遣いになることを何度か明らかにしてまいりました。今回、衆議院の特別委員会から知事の参考人出席を求められておりますけれども、当然のことながら、この特別委員会の場におきましては、首都移転の問題点、費用も含めまして主張してまいりたいと思っております。

○古館委員 そういう形で、本当に世論も広げていくし、今、政党としても足並みをそろえていかないといけないというふうに思っています。そうしないと、どこどこ代表の議員がいっぱいいるとかいないとかというのは、今の時代の中で、国民から見ると、全く支持されていないわけですよね。だから、本当に政党という筋をどういうふうに通すかということも含めて、非常に大事だと。
 私は、それとの関連で、本当に今まで、六百六十六兆円に代表されるように、公共事業の大盤振る舞いが、地方も国も財政もおかしくして、国民の暮らしも、やっぱりこのことが大きな足かせになってきたということを指摘せざるを得ません。そういう中で、私が質問させていただきたいと思っているのは、首都圏再生緊急五か年十兆円プロジェクトという計画が出されております。このことに関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 この計画は、今いったように、首都機能の移転もむだ遣いなんだけれども、私から見ますと、これも今後かなりの財政負担を強いられる、そして環境破壊をもたらすのではないかということで、非常に心配をしています。
 まず、この首都圏のプロジェクト、首都圏と銘打っておりますけれども、この計画は都としての、都単独の提案だというふうに私は理解しているんですが、いかがですか。

○山口政策部長 首都圏再生緊急五か年十兆円プロジェクトのお尋ねでございますけれども、これは、従来より七都県市が主張しておりました首都圏における都市機能の充実強化、それから、安全性の確保のための施策をまとめまして、首都圏の再生を日本全体の景気浮揚にするために、石原知事が単独で国に提言したものでございます。

○古館委員 今ご答弁がありましたけれども、いわゆるこの首都圏と銘打ったプロジェクトも、石原知事が七都県市に対して呼びかけたということなんですね。それに対して七都県市はどういう対応なんでしょうか。

○山口政策部長 その後、国の都市再生本部が五月に設置されましたが、その間、七都県市や関係省庁と個別にヒアリングを実施しておりまして、その結果、第一次、第二次のプロジェクトが選定されたわけでございまして、したがいまして、他の自治体からも十分理解されているものと考えております。

○古館委員 今のは、だから支持されているという問題では--これは違うんですね、今の話は。私の質問は、都単独で提案した、ところが、七都県市の人たちはこの計画に対して、その問題について、反応というのは返ってきてないんじゃないですか。支持されているというのは、今お答えの中でそういうふうにいわれているだけじゃないんですか。いかがですか。

○山口政策部長 最初に申し上げましたように、従前から七都県市が主張しておりましたものを取りまとめてございました。その前には、都市再生推進懇談会を東京圏で設置しておりますから、それらの意見を踏まえて提言したものでありまして、そのためには、自治体からも理解されているものというふうに考えております。

○古館委員 私はそういうふうに理解しないんですが、引き続いて質問を進めさせていただきます。
 この最大のプロジェクトが、十兆円の中で二兆五千億円という予算が見込まれているんですが、交通渋滞の解消ということで、三環状、環状二号線、晴海、第二湾岸ほかですというふうに書かれているんですね。これについて改めてもう一回聞きますけれども、来年度どのような見通しになっているでしょうか。

○山口政策部長 今回の都の要求につきましては、集中的に取り入れてほしいという国に対する強い働きかけでございますけれども、現在、国において予算編成中でございます。必ずしも楽観できない状況になっておりますが、今後とも国に対して強く積極的に働きかけてまいりたいと思っております。

○古館委員 それで、この十兆円プロジェクトは、今まで、都民に対しても我々にも、全額国費だというふうに、私は東京都から聞いているわけです。全額十兆円は国費負担、こういう考えで今までもやってこられたと思うんですが、そうですか。

○山口政策部長 首都圏を再生して日本を再生しましょうというコンセプトのもとに、都市再生本部が選定したプロジェクトが成功するために、これまでの制度にとらわれることなく、法律の改正、それから財源配分の見直し、それらを行いまして、国費の重点的、集中的な投資をして、国がみずから積極的に事業を展開することを求めているものでございます。

○古館委員 つまり国費を要求しているということですよね、全額。しかし、そういうことは、現在の国と自治体のあり方から見て、今までは、そういうことってあり得ないですよね、全額国なんていうのは。例えば、圏央道なんかも国の事業ですよ。だけど、三分の一は国の直轄事業費負担ということで負担が求められてきているじゃありませんか。だから、国費、国費といっても、現実に東京都も相当の負担をするんですよね。それが今までのあり方だったし、国だって今そのことを当たり前の状況として考えているんじゃないですか。いかがですか。

○山口政策部長 都市再生、首都を再生しまして日本を再生するといいました、先ほどのコンセプトが大変重要な課題でありまして、国がむしろ積極的にそれを進めることが国の筋でございます。産業再生と同様に都市再生が必要だというのは、国の緊急経済対策の中でも触れておりまして、したがいまして、先ほどいいましたように、これまでの制度にとらわれることなく、集中的に制度を変え、法律を変え、それで都市に集中して投資をしていただきたいということで、国に強く提言しているものでございます。

○古館委員 提言して、国費が十兆円だと。ところが、それが、国費が全部見られないということになったら、これは修正するんですか、それともやめるんですか。どうなんですか。

○山口政策部長 現在、無利子貸付や道路財源の配分など、国に強く積極的に働きかけている最中でございますので、仮の話はお答えできませんので、よろしくお願いします。

○古館委員 そういうふうにいうと、また私もいうんだけれども、仮の話をしているのは東京都ですよ。私は現実の話をしているんですよ。
 例えば、国の道路をつくる直轄事業だって、幾らでも要求されてきて、払っているじゃありませんか。それが現実の姿なんです。(「けしからぬよ」と呼ぶ者あり)そうです。だから、仮の話をしているのはそちらですよ。国費を一〇〇%使う、私は、そういうことってあり得ないということを--残念ですけどね。仮に国費が一〇〇%使われたからといって、日本共産党は、三環状を初めとして、これをやってもいいという考え方はとりませんけれども、だけど、こういうことをやっていったら、余計に都財政難に拍車をかけるんじゃないですか。いかがでしょうか。

○山口政策部長 先ほどもご答弁しましたように、今、国に道路財源の配分等も強く要求しているところでございますので、その経緯を見守っていただきたいと思います。

○古館委員 例えば、仮に十兆円プロジェクトといいますと、私は資料として七都県市の財政、予算規模というのをちょっと資料でいただいたんですが、大体予算規模、一般会計でいうと半分ぐらいなんですね、七都県市の中で東京都の実力というのは。あと半分は六つの県市ということになるんですね。その実力を単純にいいますと、十兆円プロジェクトだと、そうすると五兆円。五兆円のうち大体三分の一が国の直轄事業として請求されてきたら、一兆五千億ですよ。で、現在までどういう状況で東京都は対応しているかといいますと、例えば、十年間での国の直轄事業の負担金の合計はどれぐらいになるかというと--国の事業に対してお金を出しているんですよ、東京都が。三千七百九十七億円ですよ。それで、首都高速道路公団に対しての出資金、貸付金だって、出す義務なんかありません。ないのに、どれぐらい出しているかというと、二千八百八十億円ですよ。つまり、十兆円事業を本当にやろうとしたら、約一兆円を超える規模の財政支出が新たに東京都は求められるということなんですよね。そういう中にあって、こういう財政難の中で、福祉は、医療は削りましょうというようなことを都民に強要するということについては、私どもは、これはちょっと今の都政のあり方は違うというふうに感じざるを得ません。
 そういうことで、この十兆円のプロジェクト、はっきりいって、財政的にも国が見るなんていう保証はありません。そのいい例が、今回の十四年度の予算の各局要求に基づく、「予算の要求について」という資料がありますね。この資料の中で、国庫補助が幾らついているかというと、五千億ですよ。じゃ、前年度が幾らついたかというと、約五千億ですよ。同じなんですよ。財源は変わらないの、国庫補助は。変わらないということは、結局は、こういう事業をやっても補助がつかないということを意味しているんです。補助はつかないか、変わらないかですね。だから、そのことは今度の予算の、こういう予算書の中でもはっきりしているわけですから、やっぱりこれはきっちり都民の立場から、財政はどうなのか、福祉と暮らしをどう守るのか、この視点こそが非常に大事だというふうに感じております。このことだけ申し述べて、次に質問を移させていただきたいと思います。
 ここで、外郭環状道路、圏央道、中央環状線など三環状道路の建設計画について、その意義を、渋滞解消のためにと、災害時の輸送路の確保のためとしておりますけれども、深刻さを増す渋滞や自動車公害を解消するために、果たしてこうした幹線道路の建設が有効かどうか、改めて科学的、総合的な検討が必要だと私は思っています。
 例えば、財団法人の高速道路調査会というのがありまして、ここに「統計とグラフでみる高速道路 平成十年度版」というのがあります。この中で、首都高速道路というのもちゃんとありまして、私がこういう赤いマジックで書いたのは、高速道路、首都高の延長ですね。これも右肩上がりで上がっています。この上の黄緑の色は何かというと、一日平均の車の利用台数です。つまり、高速道路がどんどんできて延長していっても、それと並行して、同じように車の台数は多くなっていきますから、渋滞は解消しないんですよね。これが……(「経済規模はどうなっているの」と呼び、その他発言する者あり)しかも、走行の時間帯というのは全然変わらないという表までここにあるんですよ。だから、そういう問題から見ても……。
   〔発言する者あり〕

○坂口委員長 少しお静かにお願いいたします。

○古館委員 そういう問題から見ても、深刻さを増す渋滞や自動車公害を解消するためには、むしろ、大型道路の建設中心から自動車交通量を抑制する方向に切りかえること、このことも非常に大事だと思っています。
 大体、高速道路が開通してしばらくは、自動車交通量というのは一度は減少するんですけれども、またもとに戻ってきているというのは、皆さん大体感じられていることだと思います。イギリスでも、道路を閉鎖したことで自動車交通量が減ったとする研究結果も出ています。
 そこで、お伺いします。ここは知事本部ですから、私は知事本部として聞きます。この問題について建設局だとかとやると、建設局は道路をつくるという役割をしますからね。そうじゃなくて、知事本部が、こういう車の問題についても、本当に環境を守り、こういう車の渋滞というのを解消するためにはどういう方向性があるかということを、各国の状況にも学びながら、一回検討して、その調査結果をまとめてもらいたいと思いますが、いかがですか。
〔「欧米の道路事情がどうなっているか説明しろよ」と呼ぶ者あり〕

○渡辺企画調整部長 私の方は、ロンドンの状況あるいはフランスの状況、アメリカの状況についてはごくわずかの知識しかございませんが、各都市とも環状道路が既に整備されているのはご案内のとおりでございます。ロンドンとの比較でございますと、ロンドンにおきましては既に環状道路の整備率が約一〇〇%、ほぼ完成している。一方、首都圏では二〇%ということでございますので、やはり都市の形成の歴史あるいは自動車交通に対する対応等からいって、一概に東京とロンドンの現状をもって、あるいはヨーロッパの現状、アメリカの現状をもって比較するのは難しいのかなと。私どもは、やっぱり三環状道路は首都圏にとって、今、自動車渋滞の問題を解決していく中で重要な手段であるというぐあいに考えてございます。
 それで、お尋ねの自動車交通量についての調査でございますが、まずは責任ある事業主体が必要に応じて調査すべきものであると考えております。
 一方、東京都におきましては、ご案内のとおり、TDM、交通需要管理について、交通需要の管理ということで交通量の抑制を目指しまして、ロードプライシングなどの検討を進めているところでございます。
 したがいまして、知事本部でご提案の調査をやるという考えはございません。

○古館委員 いっておきますけど、車の台数調査を知事本部でやってくれなんていっているんじゃありませんからね。調査研究ができる、首都機能の移転で、あの問題に対して反論できるだけの検証ができる、そういう能力を持っているのは知事本部だから、私はいっているんですよ。そういうことも含めた検討というのはぜひ一度考えてもらいたい。
 それで、今、日本の道路の問題は、もっと世界の方が高速道路、進んでいるといいましたけれども、日本の立地状態、住める面積の中での道路、これは世界一ですからね、過密は。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)そんなことないって、統計で出ていますから。ですから、そういう点でいえば、きっちりと、この問題については一度総合的に研究をしていただきたいということを述べます。
 最後に、私、意見を述べて、質問にかえたいと思います。
 先ほど、私ども日本共産党の見解は述べました。さっきの十兆円プロジェクトというのは、本当に環境を破壊して、道路の環境を破壊して、そして都財政を一層悪化させていく、こういうものでしかないんですね。先ほどもいいましたけれども、国費だということが既にほころびてきているんですよ。それでもなおやるということは、さらなる都財政難に拍車をかけるということは疑いありません。そういう点で私どもは、今、力を入れるんだったらば--木村幹事長がいますけれども、第二回定例会の代表質問で木村幹事長が提案しましたが、こうしたお金は都民の福祉や住環境の充実、このように根本的に転換する、このことを強く求めて、私の質問を終わります。

○坂口委員長 本部長の答弁は要らないの。

○古館委員 要りません。

○大西委員 初めに、行政評価について少しお聞きしたいと思います。
 行政評価における知事本部の位置ということから教えてください。

○南雲特命担当部長 行政評価における知事本部の位置でございますが、知事本部は、行政評価制度の主管局として政策評価を実施いたしますとともに、事務事業評価におきまして、事業所管局が行う第一次評価の後に、全庁的な立場に立った第二次評価を実施しているところでございます。

○大西委員 では、知事本部自身の評価は、だれが、どのようにしてやるんでしょうか。

○南雲特命担当部長 知事本部の事務事業が評価対象となる場合におきましては、知事本部長が事業所管局として第一次評価を行いますとともに、行政評価は、主管局として全庁的な立場に立った第二次評価を厳格に実施しているところでございます。

○大西委員 みずからを厳格に評価するというお答えですが、各局の評価を知事本部として評価する場合は、だれが、どのようにしてやるんですか。

○南雲特命担当部長 知事本部は、各局事業の評価に当たりまして、事業所管局の第一次評価を踏まえるとともに、ヒアリング調査などを行いまして、全庁的な立場に立って第二次評価を行っているものでございます。

○大西委員 都民との協働の事業に対しての評価はどのようにやっていらっしゃるんでしょうか。

○南雲特命担当部長 都民との協働事業に限らず、事務事業評価では、達成度などによります事業の実績とともに、必要性、効率性、公平性の項目を踏まえまして総合評価を実施していくものでございます。

○大西委員 施策の透明性、客観性というのが、今、非常に求められております。そんな中、行政評価をするには、やはり何よりも市民の視点で考えることが必要なので、市民参加の行政評価が必要と先ほどもありましたけれども、その点はいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 行政評価の実施に当たりましては、インターネットの活用など多様な手段で、評価結果を都民にわかりやすく公表いたしまして、意見をいただくことで、施策、事業の透明性や評価の客観性を高めるように努めているところでございます。

○大西委員 今のところ、まだ、意見をいただくことということで、一方方向でしか市民参加はなっていないといえますよね。今、双方向にやることが主流となりつつあるわけですから、そういう点から考えると非常に都はおくれているんじゃないかと、私はどうしても考えてしまいます。
 そこで、第三者による行政評価が必要ですが、それについての見解は。

○南雲特命担当部長 行政評価の実施に当たりましては、より客観性を高めていくことが必要であると考えております。このため、都の制度では、知事本部が評価を行う際に、高度な専門性や実践的な識見が必要な場合には、外部専門家の意見を聴取いたしまして、その内容を生かすこととしております。さらに、インターネットの活用など多様な手段で、都民にわかりやすく公表し、意見をいただくことで、都民の視点からの客観的な評価を確保できると考えております。

○大西委員 総合的な行政評価への取り組みが今なされていると聞きましたけれども、その現状を教えてください。

○南雲特命担当部長 膨大な事務事業を実施しております東京都におきましては、全庁を通じて不断の見直しを行うために、まず、現在本格実施しております政策評価、事務事業評価におきまして、都政の重要課題を毎年、緊急性、必要性に応じて選定し、重点的に評価を行いますとともに、その他の事業につきましても、それぞれの事業所管部署がみずからの事業を徹底して点検する自己検証システムというものを導入しているところでございます。
 さらに、公共事業は、一たん事業を開始いたしますと、途中で中止をすることが非常に困難でございますので、一定規模以上の公共事業等につきまして、新たに事業に着手する前に、必要性や効果などの評価を行って、その結果を事業開始の判断材料としていくための事前評価制度の試行を行っているところでございます。
 このように、さまざまな対象、時期に対応した総合的な評価制度を構築しているところでございます。

○大西委員 特に公共事業においては、評価というものが私たちにとっても非常に見えやすいということがいえると思うんです。今、私どもも予算のヒアリングをしているわけですが、建設局の事業として、街角庭園事業というのがあったんです。街角庭園という名がついているから、どこに庭園があるのかと思って、いろいろ聞いてみましたら、小さな道の隅切りでしたか、隅切りするところのちょっとあいた部分に木を植えたりとかいうようなことでやっていますということがあって、この事業は昭和六十二年からやっておりまして、もう既に九十七カ所ぐらいやっているんですけれども、そうしたら、みんなが、ああと。みんな、それぞれの町にそういうものがあるということがわかるわけですね、あれがそうなのかと。あの評判の悪い事業がそうだったのかというのがわかりました。そういう意味では、とかく行政が陥りやすいことなんですけれども、やったことに対して自己満足をしやすいものだと思います。
 そういう意味で、今のお答えの中に、事前評価制度の評価を行うとありましたけれども、やはり事前、そしてできれば事中、そして事後、このセットでやらなければ、本当の意味の行政評価はできないと思いますので、ぜひセットで進めていただきたいと思います。(「どうして評判が悪いの」と呼ぶ者あり)いろんな危険な場所--失礼いたしました。きょうは乗らないと決めてきましたので……。
   〔発言する者あり〕

○坂口委員長 お静かに願います。

○大西委員 次に、首都機能移転について質問させていただきます。
 今、首都機能移転反対で盛り上がっている中、私は冷静に少し聞いていきたいと思っております。
 私は、今の政府提案の大型公共事業としての首都機能移転は大いに問題があると思っています。しかし、一極集中緩和や防災のために首都の機能を移転するという趣旨には必ずしも反対ではありません。
 そこで、先ほどからちょっと気になっていたんですが、今、国会で問題になっているのは、首都移転なのか、首都機能移転なのか、その辺を教えてください。

○野村首都調査担当部長 国会等におきましては、国会等の移転に関する法律ということでございますので、首都機能移転と、機能を入れてございます。ただ、私どもは、実質上、三権をすべて移すということになれば、これは機能ではなくて首都そのものだろうということで、意識的に首都移転反対ということで使っております。

○大西委員 確かに、けさ、例のラッピングバスに遭遇いたしましたら、首都移転ということになっておりましたので、ああ、そういうことかなと、今理解をしております。
 その中から幾つか伺っていきたいと思うんですけれども、このところの首都機能移転問題では、都は独善的な主張をしているように、どうしても私は感じてしまいます。世界の先進国を見ても、古くはアメリカのワシントン、カナダのオタワ、オーストラリアのキャンベラのように、新たに首都を建設した例があります。また、ごく最近では、ドイツでもベルリンの首都移転が行われましたし、イギリスやスウェーデンでも、政府機能の一部が各地に分散されています。また、オランダでは、官庁も議会も、女王もデン・ハーグにいるのに、首都はアムステルダムです。
 このように、首都の位置は変化するものだし、その機能も変わり得ることを、やはり東京都としてもっと広く柔軟に認識することも必要なんじゃないかと私は思っております。つまり、初めに東京に首都ありきという結論は正しくないんじゃないかと、あえていわせていただくんですが、この点をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○野村首都調査担当部長 首都の位置が変化することはあり得るということは、私どもも、過去の我が国の例でもあることですから、それは承知しております。
 しかしながら、今、先生がお話しになりました例は、例えば諸外国における首都移転の事例を見ますと、連邦国家の新たな形成に伴う新首都の選定とか、ドイツのように、国家の分裂、再統合に伴う首都の移転など、その多くは政治体制の大きな変革を契機としております。これに対しまして、現在我が国で議論されている首都移転論議には、日本の政治経済状況から見て、そうした外国に見られるような契機はないというふうに理解しております。

○大西委員 今のお答えの中で、じゃ、イギリスやスウェーデンはどういうふうにとらえていらっしゃるのか。実質的な中央政府の機能が全国に分散されております、その二つの国は。この点をどういうふうにお考えなのか。また、オランダは、国のすべての機能がデン・ハーグにありますが、アムステルダムが首都です。このような形態はどう考えるのか。さらに、アルジェリアやブラジルの首都移転も、政治体制に大きな変化はありませんでした。そういう意味でのことは、もっともっといろんな事例があるわけですけれども、どうでしょうか。

○野村首都調査担当部長 まず、イギリスの例で申し上げますと、イギリスは、第一次から、一九四〇年からやっておりまして、主に、いろんな空襲対策とか、あるいはロンドンの過密、それからあと、最近では行革とか、そうした趣旨から移転をやっているというふうに聞いております。ただ、これはあくまでも一部の省庁を移転してございまして、今回のように三権すべてを持っていくということではございません。
 それから、ブラジルもよく例に出されます。これはいろいろな背景がありますけれども、旧首都リオの気候とかいろいろある。それから、防衛上の問題が大きいというふうに聞いておりまして、そうした問題から新しい首都に移したというふうに理解しております。

○大西委員 確かに、失敗例とか、ちゃんとした成功した例、いろいろあるわけですが、そこで、東京の現状を考えてみますと、東京はやはり先進国で例を見ないほど巨大圏域を形成しております。連檐した市街地という点では、これほどに巨大化した集積は、先進国でほかにあるんでしょうか。

○野村首都調査担当部長 海外の事例を見ますと、パリのあるイルドフランス州は、面積一万二千平方キロメートル、人口千百万人、イギリスのグレーターロンドン地区は、面積千五百七十八平方キロメートル、人口七百七万人、ニューヨークは、面積二万六千三百二十九平方キロメートル、人口千九百七十一万人で、それに比べまして首都圏は、面積一万三千四百九十四平方キロメートル、人口三千二百五十八万人となっておりまして、確かに首都圏におきましては人口で大きな集積があるということは事実でございますけれども、首都圏におけるこの集積が、首都圏、ひいては日本の活力の源となって、日本の原動力になっただろうと。また、各国の社会経済状況等がさまざまに異なっておりますので、単純に圏域の面積とか人口で比較するのはいかがなものかというふうに考えております。

○大西委員 今のお答えのように、本当に狭い敷地の中に人口が断トツの、一生懸命集積しながら頑張っているという東京の姿がわかったと思うんですけれども、そういう意味では、諸外国と比べると十分過ぎる大きさということがいえると思います。
 そんな中、いろんな問題が出てきているわけですが、平均的な通勤時間、移動時間、宅地の地価、大気汚染、騒音、交通混雑を考えると、いまだに過密の弊害があるといわざるを得ないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 今いろいろな例がございましたけれども、まず都心の地価でございます。国会等の移転に関する決議が行われました平成二年当時と比べまして、先ほどもお話がありましたが、商業地においては二割、住宅地においては四割の程度まで下落しておりまして、その結果、ご案内のとおり、都心居住も進んできております。また、鉄道混雑率でございますが、昭和五十年の二二一%が、平成十一年実績では一八〇%になるなど、さまざまな面で改善はされてきております。ただしかし、なおやはり過密の弊害は残っているというふうに考えております。

○大西委員 地価が、土地が下落したということですが、まだまだ高いんじゃないかと私はどうしても思ってしまいます。つけ加えれば、アメリカのニューヨークで、シリコンアレーという情報産業の集積を図ったとき、インターネットの接続可の設備を施したビルを、月、坪五千円で貸し出しております。ロンドンでは、東京の臨海副都心に当たるドックランドの地価が平米当たり二万円といいます。東京はこれから、そういうところと国際都市東京として競争しようとしておりますけれども、オフィス立地のコストがかかり過ぎてとても太刀打ちできないのではないかと心配しているんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 確かに東京の地価は改善されてきておりますけれども、やはり諸外国に比べるとかなり高い数字になるだろうとは思っております。

○大西委員 まだなっていない、過密の問題は解消されないということに、答弁をそういうことにとっていいんですね。
 そういう中で、東京では一九六〇年以来、工場等の制限をし、政府の研究、教育部門のつくばへの移転、さらに、ブロック機関等の業務核都市への移転など、過度の集積を緩和する政策が政府によってとられてきたと私は承知しているのですが、その辺、都の見解はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 過度の集積を緩和する政策の一環として、政府によって、ただいまお話しのような政策がとられてきました。都としても、業務核都市の問題についてお話ししますと、首都圏を構成する他の六県市とともに、業務機能の分散して展都を進めるということが、東京圏の抱える課題の解決につながるとの共通認識のもとに、これらを推進してきたところでございます。ただ一点、工業等制限法につきましては、この結果、かなり産業の空洞化を招いたという反省がございまして、都としては、この法律の廃止を求めております。

○大西委員 確かに工場等に関しては、今また新たな空洞化ということで問題が出ておりますけれども、今ここから議論しなければいけないのは、いわゆるホワイトカラーの人たち、この人たちがどんどんふえているということで対策を立てなきゃいけないということであると私は思っております。これらの政策は、限られたものとはいえ、それなりの効果があったのではないかと評価すべきと思っているんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 工業等制限法につきましては、今お話ししたとおりでございますけれども、その他につきましては、東京圏における諸機能の適正な配置を図るために、業務核都市の整備を進めてきたところでございまして、そうした整備の進んでいる業務核都市では、業務の立地、それから諸機能の集積や進展がありまして、東京一極集中の是正に一定の効果を上げてきたというふうに理解しております。

○大西委員 首都機能移転は、政府部門としては、前に述べました筑波研究学園都市建設、そしてブロック機関の移転に次ぐ第三弾の政策といえるようですが、そうであれば、これまでの過度の集積緩和策の一環として意味を持つ部分もあるのじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 首都移転は、国家の中枢機能を担います中央省庁そのものを全部移す、要するに、それを首都圏外に移転するというものでございますので、今お話しのございましたようなブロック機関、例えば関東財務局のようなブロック機関を首都圏内の業務核都市に移すということと展都とは全く異なるというふうに理解しております。

○大西委員 私は、初めに申しましたように、今の政府提案の大型公共事業としての首都機能移転は大いに問題があると思っており、その内容には改善点があると思っております。例えば、その一つが、小規模な首都機能移転です。首都機能を移転させながらも、移転先の都市の施設や住宅を活用するなど、現計画よりも移転規模のずっと小さな首都機能移転の方法があるとも考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 これまでの日本は、政治と経済が一体となって効率的な運営がなされてきた。そのことが、その成長の大きな要因の一つであったというふうに考えております。したがいまして、首都移転によりまして、現在考えられておりますように、経済と切り離した政治都市をつくるということは、都市の規模の大小を問わず、日本の国全体の効率的な運営という面から見て大きなマイナスであろうというふうに理解しております。

○大西委員 効率的だとおっしゃいますけれども、何を根拠に日本の現状が効率的とおっしゃっているんでしょうか。先ほども申し上げましたように、一極集中の最も直接的な帰結というか、それは地価にあらわれております。バブルがはじけてもまだ高過ぎますし、そのことが高コスト構造の大きな要因です。効率的とはいえないのじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 これは一つの比喩でお話しした方がいいかと思うんですけれども、先ほどお話ししましたとおり、現在の東京は、丸の内、霞が関、大手町というところに、行政と経済というのが非常に密集しておりまして、それに比べて、例えば新都市に移るということになりますと、行政と政治も全部分けます。それから、行政と経済も分けますと、その往復にまずもって非常に時間と費用がかかるということがございますので、そういった意味で、やはり現在の方が効率的だろうというふうに考えております。

○大西委員 政治、経済の分離というものに非常にこだわっていらっしゃるんですけれども、例えば、アメリカは建国以来、ニューヨークとワシントンとに政治と経済が分離して発展してきました。そのほかにも、ロサンゼルスやシカゴを初め多くの都市が群雄割拠しています。そのことが活力の源泉とされている部分もあるわけです。ヨーロッパでも、EUを一つのまとまりとすれば、その中に枢要な都市が群雄割拠しているわけです。むしろ一極集中の弱さがこれから露呈するおそれを自覚すべきときだと私は考えております。
 そこで、規模が小さくなれば、移転による過大集積緩和という効果を上げ、なおかつ費用を切り詰めることも可能であるのじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○野村首都調査担当部長 ただいまもお答えしましたとおり、規模を縮小したとしても、経済と切り離された政治都市をつくるということは、日本にとってはマイナスであろうと考えております。
 なお、今回の調査によりましても、首都移転は、例えば鉄道混雑率とか道路交通渋滞などの解消にはほとんど効果がないということが明らかになっております。

○大西委員 鉄道混雑や道路交通渋滞が、移転をしてもまだ下がらないというのであれば、さらに経済活動も全国の主要都市へ分散させるような政策をあわせて考えていく必要もあるのじゃないかなと思ってしまいます。
 というのは、今、混雑率が一八〇%と、先ほどおっしゃいました。これは、肩はぶつかりながらも新聞があえて読めるという混雑率だと思います。そんな中で、これからまた都市再生ということで、都心へもっともっと人口を集積させようという方向を今とるとなれば、この一八〇%がキープできるかどうか、今後どうなのかなというふうな部分も思っております。そういう意味では、混雑緩和、道路交通渋滞に、首都機能を移転させることによって効果がないということがいい切れるかどうか、非常に疑問だと私は思っております。
 そういう意味で、なかなかかみ合わないと思いますが、東京都は、むしろこうした移転をある意味支持すべきで、お金のかからない、そういう移転のケースの試算というものも、この検証とあわせて行うことも必要じゃないでしょうか。

○野村首都調査担当部長 再三同じことを申し上げて恐縮ですけれども、首都移転というのは、政治都市をつくるということは、その規模の大小を問わず、やはり日本ではとるべきではないだろうというふうに考えておりますので、そうしたケースの試算を行うということは考えておりません。

○大西委員 今回の費用試算を拝見いたしますと、基盤整備費と用地取得費に問題があるということですが、その理由を詳しく教えていただけますか。

○野村首都調査担当部長 まず、基盤整備費についてでございますけれども、審議会の試算では、土地造成とか地区内公共交通機関の整備単価が低く抑えられておりますので、多摩ニュータウンとか移転先候補地の近傍の事業実績に基づいて再試算を行ったところでございます。
 また、用地取得費につきましては、審議会の試算は、東京から三百キロ圏内の首都圏の一都三県を除く十六県の平均価格に基づきまして用地費単価を算定しております。これに対しまして再試算では、平成九年度における旧建設省所管の公共事業の用地取得費から、移転先候補地八府県の中間値、これは五番目ですけれども、いわゆる岐阜県の用地費単価をもとに算定したところでございます。

○大西委員 首都機能の位置は霞が関か永田町と決めつける必要はないと思うのですが、どうでしょうか。むしろ、少ない費用で混雑緩和等の効果を上げることのできる方法を都も模索して考えることにしたらどうでしょうか。

○野村首都調査担当部長 先ほども申し上げましたとおり、霞が関を中心にして、丸の内、大手町というごく近接の地域に政治と経済の機能が存在しまして、政治と経済が一体として効率的に運営されてきたことが、日本が大きい進展をしてきた一つの要因であるというふうに考えております。また、今回の調査によりましても、首都移転は、鉄道混雑とか道路交通渋滞の改善には効果がないことが明らかになっております。
 今後は、首都圏の抱えるさまざまな問題を解決するために、都市再生プロジェクトを進めて首都圏の再生に努めていくことが不可欠ではないかというふうに考えております。

○大西委員 後半はなかなかかみ合わない議論になってしまったんですが、東京というまちは本当によさがたくさんあります。が、同時に、余りにも巨大な集積のゆえに、混雑現象や災害の危険性など、構造的な問題を抱えていることもやはり率直に認識すべきだと思っております。単に反対するばかりではなく、やはりもっと長期的、大所高所の視点で、国民的な合意が得られるような首都機能移転を考えるべきじゃないかなと私は思ってしまいます。
 昨日も、知事本部の予算のヒアリングがありましたけれども、大きな事業として、アジア大都市ネットワーク21の推進と、首都機能移転に関する調査、反対活動の広報等に要する経費として一億七千百万計上してありましたが、ある意味、もっと冷静--単に反対、反対じゃなくて、そうだったら、混雑緩和の方にこの一億七千万を回してほしいということをちょっと申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○木村委員 おととい、都市計画局の方から、「東京の新しい都市づくりビジョン-都市再生への確かな道筋-」というのをいただきまして、読みました。なかなか重要な文章でした。石原都政になって二年半たったわけですけれども、石原都政が目指している具体的な道筋が一体どういうものかということを改めて考えさせられたという意味で、きょうは、東京構想二〇〇〇について若干お尋ねをしていきたいというふうに思います。
 おととしの十一月に、石原構想、危機突破・戦略プランが出て、それで去年の十二月に、行政プランである東京構想二〇〇〇が出て、ことしの四月に首都圏メガロポリス構想がつくられて、六月に、さっき出ました首都圏再生緊急五か年十兆円プロジェクトが出されて、おととい、この都市ビジョンができた。石原都政のキーワード、都市再生、危機突破、活力を取り戻せというのは、いろいろいわれていますけれども、この流れを見てみますと、結局、活力を取り戻すというのは、都市問題に収れんしていくという流れがはっきりしているんじゃないか。知事本部長など、新しい人事異動の局長の連載が庁内紙でありましたけれども、それも、首都再生に挑むなんていうふうに格好よく出ておりましたから、やっぱりそういう方向であるということは確かである。
 そこで、東京構想二〇〇〇の中に盛られている都市像は、では一体何なのかということを若干聞きたいと思います。
 それは、環状メガロポリス構造というものですよね。その環状メガロポリス構造というのは、一番目につくのは、要するに首都高速中央環状線の中をセンター・コア・エリア、都心というふうに位置づけるというのが、いうならば最大の特徴になっているだろう。なぜ都心をここまで広げるということになるのかということをまず聞きたい。

○荒川企画調整担当部長 昨年十二月に出しました東京構想二〇〇〇の中で、東京を含めた首都圏の都市構造といたしましては、環状メガロポリス構造ということで、従来、東京都が取り組んでまいりました多心型都市構造、あるいはそれを目指す多心型都市づくりとは違った新しい概念でもって都市づくりの構造を出しているわけでございます。その中で、センター・コア・エリアということで、今、先生がお話しになった中央環状の内側ということで、従来の都心ということから見ますと、範囲は広がっておるわけでございます。今回このように範囲を広げてとらえましたのは、従来の多心型都市づくりというものが、東京都内だけで見ていたものを、首都圏まで広げて、その中の東京のあり方ということで見ますと、従来いわれております都心三区あるいは環状二号線の皇居周辺というような狭いところではなくて、従来のそういった都心も含め、下町も含め、それから従来の副都心も含めたいわゆるセンター・コア・エリアという形で、首都圏全体の首都心という形でとらえたものでございます。

○木村委員 答えになっているような、なっていないような感じなんですよね。首都圏というふうに広げると、そういうことを前提にすると、なぜこんなに広い地域を都心というふうにする必要があるのか。つまり、これだけの面積を、なぜほかの地域と違う都心、コアというふうに位置づける必要があるのかという点なんですよ。これは、ただそういうふうに呼び名を変えたというだけじゃないんですね、これを見ると。まさにそこを都心にする具体的な方法がさまざま提起されている。街区再編プログラムを法改正までしてつくっていくんだとか、あるいは、地区計画を原則として全部やるんだとか、日影規制を緩和するんだとか、そういうことで都心をつくる、コアをつくるということが具体化されていますね。なぜ必要なのかということなんです。そこをもう一回。

○荒川企画調整担当部長 従来、都市といいますと、業務機能を中心として考えておったわけでございますけれども、これからはそういうことではなくて、業務だけではなくて、文化、商業、居住、そういったものも含めて都市をとらえる必要がある。そういった中で従来の都市構造の中の中心部を見てみますと、従来は業務中心で来た面が強かったわけでございますけれども、それをもう少し、そういったような多様な機能でとらえていく必要がある。そういった場合に、現在の東京の、特に区部の都市の内容を見てみますと、先ほど申し上げましたように、従来の都心、文化を持っている下町、それから、新しい文化なり居住なり商業が育っている副都心、こういったものを一体としてとらえていく必要があるということから、センター・コア・エリアということでとらえたものでございます。

○木村委員 中央環状線の内部は、確かに東京の大都市の真ん中の、さまざまな繁華街を抱えた集積のあるところですよ。だから、それはそれで、改めて都心だなんていうことで、さまざまな手だてを通じて別の位置づけにしなくたって、あるがままでいいんじゃないかというふうに私は思いますね。
 問題は、これまでの都市づくりという命題は、一極集中の是正ということが前提であったはずなんですね。これをこういうふうにセンター・コア・エリア、大きくしていくということで、これまでの一極集中是正という方向を放棄したのか、変更したのかということをまず聞きたいと思います。

○荒川企画調整担当部長 都心の一極集中の是正ということでございますけれども、従来、何が一極集中しているかと申し上げますと、やはり業務機能ということでございまして、都心への過度な業務集中ということはこれからも避けなければならず、交通渋滞ですとか居住環境の低下を招くなど、いろいろな問題があって好ましくない、やはり業務機能については適正に配置していく必要があるというふうに考えております。
 しかしながら、昨今におきましては、経済の成熟化、いわゆる人口ですとか経済が、右肩上がりからそうではなくなってきている。こういう時代においては、業務機能の集中圧力は低下しているということがいわれますので、そういった中において東京の都市構造をどうとらえるかということで、環状メガロポリス、その中のセンター・コア・エリア、しかも、業務、商業、文化といった多様な機能の所在地ということでとらえていくというものでございます。

○木村委員 従来は業務機能中心だったけれども、多様な都心をつくるんだというふうにいいますけれども、この都市づくりビジョンでは、センター・コア・エリアのゾーンの戦略の第一は、やはり国際ビジネスセンターの機能の強化、これが挙げられているんですよね。まずこれなんです。そして、都心居住の推進とか、歴史と文化を生かした都市機能というものが加わっているという形なんですね。ですから、業務機能を中心にした都心の拡大ということがまず戦略の第一なんです。で、これまでの方向を変えたのかということを聞きたいんですよ。というのは、国土の均衡ある発展、政府の三全総以来の全総の路線では、そういう多心型都市構造に見られるような、核都市も含めて均衡ある発展をしていくというのが、我が国の国土政策の基本であるし、それはまだ現在の我が国の基本の路線であるということも確かなんですね。それと明らかに対立するところへ踏み出すというふうに思われますが、その点の見解はいかがでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 一極集中の是正を変えたのかというお話でございますけれども、先ほどから申し上げていますように、業務機能の適正配置は必要であるというふうに考えております。しかしながら、都心部に業務機能が集中している、そういった時代では、一極集中の是正といった方向が必要ですが、今のように、必ずしも一極集中の圧力が昔のように高くないわけでございまして、そういった中では、むしろ都心の国際競争力が落ちているというところに着目しまして、業務機能も含めた活性化が必要である時代に現在はなっているというふうに考えております。

○木村委員 もう、さっきいったことと矛盾しているんですよ。集中の圧力が減ったから、機能をさらに高めるために必要だということなんですよね。
 しかし、東京構想二〇〇〇の前提は、人口は日本全体で減っていく時代を迎えるということになっていますよね。全国で二割ぐらい減っていく、首都圏全体でも減っていくという中で、センター・コア・エリアについては人口は減らさない、都心居住を推進していくということになるわけですね。そのために、さまざまな規制緩和や制度を運用する。そうすると、全体で人口減の中での再集中ということが、この東京構想二〇〇〇のいわば目指すところということになるわけですね。今まで業務機能の受け皿としてつくられてきた、さまざまな業務核都市構想がありますけれども、そこは結局、再編成してコアに集中してくるわけですから、業務核都市の方は地盤沈下していくという関係に当然なっていくわけですね。これは図の上でいろいろ黒丸が書いてあって位置づけられているけれども、業務核都市を推進してきた自治体にとってみれば、これは大変な話ですよ。そういう当然予想される流れ。首都圏、首都圏といいますけれども、東京以外は違う自治体ですから、そういう自治体に当然予想される流れをつくり出していくということについて、この東京構想はどういう責任を持つのか、といういい方も酷かもしれないけれども、どう考えているのかということを教えてください。

○荒川企画調整担当部長 的確にお答えできるかどうかわかりませんが、都市はまさに人が集まって都市なわけでありまして、確かに、特に全国人口については減る。それから、首都圏の人口につきましても、しばらくはふえますけれども、その後減っていく。東京の人口についても、そういったような人口減少を迎えていくわけでございます。
 そういった中で、都市が都市であるためには、やはり人口、いろいろな才能を持った人たちが集まって都市を形成していく、そこからまた新しいものが生まれていくといったようなことが必要であるわけでございまして、今回の東京構想でいっております環状メガロポリス構造では--先生は、センター・コア・エリアのことばかりお取り上げになっておりますけれども、そうではなくて、周囲の業務核都市と連携をとっていくということで、何も、センター・コア・エリアだけが成長して業務核都市が下がっていいというわけではございませんで、相互が連携して首都圏を形成していくといったようなことを考えているわけでございます。

○木村委員 業務核都市をどうでもいいといっているわけじゃないといいますけれども、都市ビジョンまではっきりさせますと、これは、挙げてさまざまな規制緩和と新しい制度をつくりながら、どうやってセンター・コアをつくっていくかというビジョンなんです。これは返していえば、私、葛飾ですが、センター・コアに入っていないからひがんでいうわけじゃないけれども、地盤沈下ですよ、人口の趨勢とすれば。このままやられればそういうことになるという性格を持っています。したがって、改めて、東京構想二〇〇〇というものは、首都圏ということを打ち出す以上は、その辺はもっときちっと整理する必要があるというふうに思うんですね。
 じゃ、なぜ、今までの多心型都市構造ではだめなのか、環状メガロポリス構造じゃなきゃだめなのかということをいってください。

○荒川企画調整担当部長 多少繰り返しになりますけれども、従来の多心型が出てきた背景を考えますと、やはり業務中心、業務をいかにして分散していくかということで、従来の多心型都市づくりは業務中心でありました。それを、今回の環状メガロポリス構造の方では、業務だけでなくて、多様な都市機能を配置していくという考え方が一点ございます。
 それから二番目に、分散が中心であったがために、都心対周辺の業務核都市、あるいは多心型で申し上げますと都心部対副都心、あるいは都心部対多摩の五つの心しんといったような形で、都心志向の施設整備が行われる傾向にありましたけれども、環状メガロポリスは、都心ではなくて、それぞれの業務核都市が相互に結ぶ社会資本整備が必要であるということで、いわば都心集中型に対して環状型といいますか、そういった形の都市づくりを目指すということが、第二点目の違いでございます。
 それから三点目が、多心型都市づくりは、東京都内の中で考えていたものですけれども、これだけ広域的な課題を首都圏で抱えてきますと、それを都内だけで考えるのではなくて、首都圏全体で考える必要がある。そういったことから、環状メガロポリス構造といったものを取り上げたものでございます。
 ただ、東京都というのはあくまでも行政区域として厳然とございますので、一都三県だけに目を配るのではなくて、特に多摩などについては配慮していく必要があるというふうに考えております。

○木村委員 それで、そういう方向に向けるに当たって、従来の需要対応型のやり方や仕組みにとらわれない取り組みが求められるというので、今度は政策誘導型の都市づくりに向けた戦略的な取り組み、実現の方向に向かっていく。この都市づくりビジョンの方も、最初のかがみの石原知事のあいさつも、見出しが、政策誘導型都市づくりによる東京の再生というふうにうたっているわけですね。しかし、従来の多心型都市構造、副都心づくりなんかも、政策誘導型の都市づくりじゃなかったんですか。今までのは違って、これから政策誘導型だというのは、幾ら石原都政に変わったからといって、従来の都政の流れを無視しているような、そういう仕切りの仕方じゃないでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 若干個人的な見解になりますけれども、私自身も、従来の都市計画といいますか都市づくりというのは、政策誘導型であったというふうに思っております。従来もそれをやろうとしたのは事実ですけれども、しかしながら、それ以上に人口の急増ですとか高度経済成長がありまして、それを背景にして、都心への人口なり産業の集中と、それから人口のスプロールということが急激で、それに伴ってかなりの行政需要が増加し、結局それに追われて、結果的に需要追随型の都市づくりになったということでございます。
 これからは、時代が変わり、人口はそれほど増加しない時代が来るということでありますれば、そういう中にあって、たとえ集中があっても、従来とは違った形の集中というふうに考えられます。そういう意味で、今後は本来的な政策誘導型の都市づくりができるものと期待しております。

○木村委員 私は、集中が強まっていたときは分散、分散と、集中が薄くなったら今度は集中、集中ということに変わっただけであって、対応型から誘導型に理念上変わったというようなものではないといわざるを得ないと思うんですね。
 さっき答弁をもらったんですけれども、東京構想二〇〇〇に「多心型都市構造の限界」というのがありますよね、四六ページ。
   〔発言する者あり〕

○坂口委員長 お静かに願います。

○木村委員 これも結局、商業機能などを含む総合的な就業環境が重視される今日では、業務機能に特化している都心が、業務地として魅力が低下してきている、だから限界だと。それから、さまざまな機能がバランスよく配置された都市を実現するには、業務機能の効率的な配置を主眼に置いた多心型都市づくりだけでは達成できないんだと。それから、混雑現象を回避しながら集積のメリットを十分発揮させることも、環境の視点や集積相互の連携の視点が欠けている多心型都市構造ではだめなんだと。で、最後、人口減少下における社会の活力維持や、国際都市競争を勝ち抜くという観点から、社会的、経済的に一体となっている東京圏全体の機能を最大限に発揮するには、都内に対象が限定されている多心型都市構造では限界があるんだと。
 ここでいっていることというのは、必要だからそういう方向に行くんですという、政策誘導じゃなくて、従来、結果的にはそうなったという、需要対応型そのものなんですよ、今度のやつも動機はね。結局、集中圧力、つまり経済が下火になって人口が減ってきたから、慌てて集中しないと、都心としての業務機能の魅力も薄れてしまうとか、国際的な競争には勝てないとか、だから今、方向転換するんですよということをいっているだけの話なんじゃないですか。

○荒川企画調整担当部長 今、集中のお話でございますけれども、集中といいますと、通常は、ほかにあるものを、それを除いてどこかに、例えば都心なら都心に持ってくるということが集中であるというふうに、概念としては思います。先生のおっしゃっているのは、周辺にあるもの、あるいは全国にあるものを、そこの都心部に集中させるということでのお話ではないかと思いますが、そうではなくて、業務機能なり文化、商業機能、そういったような機能については適正配置ということで、都心に足らざるものについては、あるいはそれが低下してきたものについては、補いながらそれを配置していく。それ以外の、例えば業務核都市などについては、都市として成長していくために必要な機能を配置していくということで、集中で、外にあるものを中に入れるということではなくて、適正配置という形でとらえていくべきじゃないかというふうに思っております。

○木村委員 やっぱりよくわからないですね。適正配置とかいうけれども、都市ビジョンのセンター・コアの戦略の第一は、やっぱり国際ビジネスセンター機能の強化であり、第二は人口の集中なんですよ。都心居住の推進なんですよね。
 だから、私がいいたいのは、要するに、需要対応型から政策誘導型に切りかえるとこういう都市づくりになりますとか、そういうきれいなことをいっているけれども、しょせんは、経済が上向きになって業務機能が集中する、集中圧力が高いときには分散しろ、分散しろといい、そして集中圧力が薄まると、大変だというので集中しろ、集中しろという、そういう都市づくり。結局、財界、大企業のニーズを受けて、そういう方向転換をやっているにすぎないじゃないかということがいいたい。
 私は、都市政策というのは、需要対応型か政策誘導型か、あれかこれかという問題ではないと思うんです。需要対応型、的確に需要に対応する都市政策も必要ならば、二十一世紀、本当に将来を見据えて政策を誘導していくという都市政策も必要であって、両者をどう結合して東京の都市再生を目指していくかということが必要なのであって、ここでにわかに政策誘導型都市づくりによる再生と、石原知事の顔写真まで入れて、いかにも変わったようなことをいうというのは、やはりいかがであろうかというふうにいわざるを得ません。
 そして、政策誘導型というならば、都市の成長管理の目標とか、あるいは脱モータリゼーションの時代に向けての目標とか、そういう目標を設定して、それに必要な社会基盤を整備していくという目標などを設定して初めて、政策誘導型の都市計画というふうにいえるんじゃないか。東京構想二〇〇〇には政策指標が幾つかありますけれども、これはいずれも、現状から需要対応型の数字を並べているだけという感じがしないでもない。政策誘導型の都市づくりというならば、なぜ、私が今いったような成長管理などの目標を掲げて構想をつくらなかったのか、その点をお答えいただきたいと思います。

○荒川企画調整担当部長 大変難しい問題であるわけでございますけれども、成長管理の思想が東京構想二〇〇〇の中になかったかといえば、私は個人的には必ずしもそうは思わないわけでありまして、従来のような拡大志向ではなくて、何といいますか、繰り返しになりますけれども、業務だけではなくて、いろいろな機能を総合的に考えて都市のあり方を考えていく。場合によっては、生活空間あるいは居住空間を確保するために業務機能のあり方も考え直すといったような思想が入っているというふうに理解しております。

○木村委員 私は必ずしもそうは読めないし、最近出た都市づくりビジョンの流れを見ると、なお一層そういうふうには読めないという見解を申し上げておきたいと思うんです。
 ただ、こうした都市づくりということで、危機を突破して活力を取り戻すということですけれども、こうした業務機能を集中し、都市に人口を集中するということのために、センター・コアだけ規制緩和を打ち出していくというやり方で、本当に活力のある都市というのは生まれるかどうか。そこから抜けているのはやっぱり都民の生活、生活都市という視点が抜けているのではないかということを申し上げたいと思うんです。
 例えば、活力ある都市といえば、産業のある都市ということだと思うんですね。東京は世界にも有名な物づくりの都市ですけれども、この東京構想二〇〇〇の中間のまとめのときに、中小企業という言葉が一回も入っていないといって文句をいったことがありますが、結局、物づくりも含めた産業の位置づけというのが、あれだけの大きなセンター・コアの中に、ここのいろんなゾーンの中にもちゃんと位置づけられていないということが一つあります。
 それから、本当に活力のある都市といえば、環境と共生する都市であるべきです。東京は、都民一人当たりの公園面積は、主要都市の中では最低。ところが、このビジョンでは、センター・コアの中に新しい公園をつくるということは何ら提起されていない。みどり率という言葉が入っていますけれども、屋上緑化と道路の街路樹というような点になっているということ。
 子どもたちをはぐくむという活力という点でいえば、コアの中は、今度は街区再編プログラムというのでイメージ図が出ているんですけれども、木は確かに植わっているんだけれども、子どもたちが駆け回る路地裏というのは一切なくなっちゃうんだね、これを見ると。要するに路地がなくなるんですよ。
 それやこれや、本当にこれで活力が生まれる東京ができるかどうかというのは甚だ疑問である。そして、前回も申し上げましたけれども、よるべき行政像という点では、福祉の切り下げ、公的な責任の放棄という方向が、これからの行政像の中に打ち込まれているということで、これでは本当の活力ある都市という方向にはならない。ただ財界などの要望による一極集中を進めるという方向が次第次第に強まってきているというふうにいわざるを得ないということだけ申し上げて、これは私の意見ですから、以上で終わります。

○坂口委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 報告事項及び事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、報告事項及び事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十六分散会

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