総務委員会速記録第十号

平成十三年九月二十八日(金曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十五名
委員長坂口こうじ君
副委員長大西由紀子君
副委員長新藤 義彦君
理事織田 拓郎君
理事馬場 裕子君
理事樺山 卓司君
谷村 孝彦君
山下 太郎君
古館 和憲君
臼井  孝君
木内 良明君
松本 文明君
矢部  一君
三田 敏哉君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長大関東支夫君
理事石山 伸彦君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
主席監察員古河 誠二君
行政部長反町 信夫君
島しょ・小笠原振興担当部長高橋 敏夫君
災害対策部長岡部 恒雄君
参事矢島 達郎君
勤労部長尾井 幹男君
法務部長小林 紀歳君
統計部長早川  智君
人権部長関  正子君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 総務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四十八号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百四十九号議案 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百五十号議案 東京都人権プラザ条例
  ・第百六十七号議案 八王子市と多摩市との境界変更について
  報告事項(質疑)
  ・「都庁改革アクションプラン 都政改革ビジョンⅠ 」実施状況報告(平成十三年三月末現在)
  ・多摩の将来像二〇〇一について
  ・三宅島の災害対策について

○坂口委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○坂口委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の付託議案の審査及び報告事項に関する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百四十八号議案から第百五十号議案まで、及び第百六十七号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○馬場委員 それでは、今回提案されております人権プラザ条例についてお伺いをいたします。
 社会生活の多様化が進んでおります。それに伴って、人権や差別への問題意識が高まってきていると思います。差別を受けている人、差別を許さない人、差別とは何か、また人権とは何かとかいうふうに考えている人、それらの人々の多くは、人権に関する情報を入手したり、継続して活動ができる場所を確保する、そうしたことに今苦労しているという声を聞いております。今回開設する人権プラザが、そのような活動のよりどころとなる施設として新しく設置されるよう、以下、何点かお伺いをさせていただきます。
 まず、今回の条例案ですが、東京都産業労働会館を改修、整備の上、人権プラザとして設置をするためのものであります。この提案理由の中にも、「東京都における同和対策の推進に当たって東京都産業労働会館の果たしてきた役割等を踏まえ」というふうになっておりますが、まず、これはどういう意味なのかというところからお尋ねをいたします。

○関人権部長 東京都産業労働会館は、昭和四十七年七月に開設いたしまして以来、東京都の同和対策事業の推進センターとして、同和問題の普及啓発や皮革関連産業の振興などの事業を実施し、同和問題の早期解決に向けて貢献してまいりました。
 産業労働会館が果たしてきた役割等を踏まえるということは、第一に、産業労働会館では、これまで、同和問題を初めとする人権問題に関する普及啓発などの実績がございます。また、さまざまなノウハウや資料等が蓄積されております。
 第二点といたしまして、人権プラザとしての機能を果たすため、既存の産業労働会館の施設を有効に活用できるなどの点を総合的に勘案いたしまして、人権啓発を進めていく上で、産業労働会館の有効活用を図り、かつ利便性を高めて人権プラザを開設するというものでございます。

○馬場委員 お答えいただきましたように、産業労働会館は、これまで、都の同和対策の推進センターとして大変大きく役割を果たしてきたというふうに思っております。これまでの取り組みにより、同和問題に関する差別意識は着実に解消に向けて進んでいますが--が、というふうにいわせていただきますが、依然としてまだ存在し、各地でまだまだ、この取り組みについて各自治体でも検討が進められている状況にあります。
 平成十三年度末には、国の同和対策の根拠法である地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、長いですね、いわゆる地対財特法といったらいいんでしょうか、が失効しますが、今後、人権プラザでの事業を含め、同和問題についてどのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いをいたします。

○関人権部長 先生のお話のとおり、平成十三年度末にはいわゆる地対財特法が失効する予定であることを踏まえまして、現在特別対策として実施しております同和対策事業は、原則として終了いたしますが、平成十四年度以降も、同和問題を早期に解決するために、一般対策におきまして、差別意識の解消に向けた教育啓発を主たる課題といたしまして、必要な施策を講ずる考えでございます。
 人権プラザにおきましても、同和問題の早期解決に向けて、普及啓発や情報、資料の収集、提供、相談等の事業を実施してまいりたいと考えております。

○馬場委員 今お答えいただきましたように、同和問題から、今、大きく人権問題へというふうに転換の時期に来ているというふうに思います。そういう意味で、今回の人権プラザ、大変大きく役割を持つというふうに思っています。
 この人権プラザでは、さまざまな人権問題に取り組んでいく、そういう方向でご検討いただきたいと思っていますが、私のところへも、さまざまな方、人権問題に取り組んでいらっしゃる皆さんが活動をするための場所がなくて困っているという相談を受けております。アイヌの皆さん、また中国残留孤児の皆さん、人数が少ないところほど、やはりこの問題はあるというふうに私も思っておりますので、この人権プラザに活動交流室が新設されると伺っておりますが、その活動交流室はどんな使い方ができるのか、どういう人たちが利用できるのか、その利用方法や申込手続等、わかっていらっしゃったらお知らせください。

○関人権部長 お話にございますような活動交流室は、人権及び人権問題に関心を持つ都民の方、あるいはその所属する団体の方々が打ち合わせやチラシ等の作成など、さまざまな活動あるいは交流ができる空間として整備するものでございます。
 お話のように、活動する場所の確保が困難な団体を含めまして、できるだけ多くの都民や団体の方々に有効に活用していただけるよう、利用方法、申込手続等の具体的な使用基準につきまして、現在検討しているところでございます。

○馬場委員 日常的な部屋の確保ということが無理であれば、例えばロッカーを設置して共通な資料とか関係のものを保管し、継続的に人権プラザの部屋を使える、あるグループの皆さんがそこを拠点にして活動ができる、それを専用ではなくてお互いに使い合うという意味で、こんなような取り組みもぜひお願いしたいというふうに、これは要望をしておきます。
 私は、昨日の一般質問で、女性や児童に対する虐待や暴力が犯罪であることを指摘させていただきました。このような深刻な人権侵害が発生している状況の中で、都民の人権意識の高揚と多様な人権問題の解決を図るとされるこの人権プラザの役割は大変大きい、何度も申し上げますが、大きいと思います。
 とりわけ、人権に関する展示は、関心の薄い都民や小中学生などの若年層にとって、人権を考えるきっかけづくりとしての効果も期待されております。人権プラザでの展示に当たっての基本的な考え方をお尋ねします。

○関人権部長 人権プラザでは、人権に関しますさまざまな資料を常設展示いたしていきたいと考えております。展示に当たりましては、一方的に知識や事実を説明する展示とならないように留意して、来館者が人権についてより身近に感じられ、日常生活の中で人権を考えるきっかけとなるようなものにしたいと考えているところでございます。
 また、若年層が人権についての関心を高めることができますよう、展示内容は、おおむね小学校高学年から理解できる基礎的な内容としたいと考えているところでございます。

○馬場委員 この展示とともに、さまざまな人権の情報や図書資料などを収集し、提供するということは、人権問題に関心を持つ都民や人権問題に取り組んでいる団体にとって有意義なことであると思います。
 図書資料室が拡張されると伺っておりますが、どのような考えで整備をしていこうとしていらっしゃるのか、伺います。

○関人権部長 図書資料室は、これまで産業労働会館時代から収集いたしました同和問題に関する資料を提供するとともに、新たに、さまざまな人権や人権問題に関する専門図書、新聞、雑誌のほか、学術論文や人権にかかわるNPO関係の資料などを収集、提供してまいります。都立で唯一の総合的な人権資料室として、人権や人権問題に関心を持つ都民や団体の方々に大いに利用していただきたいと考えております。

○馬場委員 人権に関する相談や指導者の育成、これは今までもしてこられたというふうに聞いていますが、ここの人権プラザでもさらにこの事業については積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、所在地、場所が少し不便なところではないかと、私はまだお邪魔したことないのですが、聞いております。この人権意識の普及啓発を進めるためには、今お話が出た若年層の方、子どもさんにもここを利用していただきたいと思っております。
 そういう意味では、交通アクセス、行きやすいということ、それからもう一つは、少し不便でも行ってみたいと思わせるような、そんな人権プラザにしなければいけないというふうに思っています。そのためには、行きたいなと思うようなイベントや、さまざまな催しをぜひ考えていただきたい。この広報とイベント等の方法についてお伺いいたします。

○関人権部長 先生のお話のような点がございます。
 人権プラザの周知につきまして、開館に当たりましては、パンフレットを作成いたしまして、マスメディアや都、区の広報紙等を最大限に活用するなど、さまざまな媒体を使いまして、広く都民の方々にPRしてまいりたいと考えております。
 また、集客力のあるイベント等の開催あるいは展示室、図書資料室の充実等、魅力があるものにしていくということで事業展開を図ってまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○馬場委員 人権に関心を持つ都民、団体の方々など大いに有効利用していただきたいと思うんですが、今後都として、今回設置する人権プラザをどのように活用して、この人権問題の解決に取り組んでいこうとしていらっしゃるのか、そのことを伺います。

○関人権部長 昨年十一月に策定いたしました東京都人権施策推進指針に基づきまして開設いたします人権プラザでは、先ほどお答え申し上げましたような展示室や図書資料室の充実を初めといたしまして、さまざまな啓発等の事業の展開に工夫を凝らし、東京都における人権啓発の拠点施設としての充実を図ってまいります。こうした人権プラザの活動を通しまして、人権意識の高揚及び人権問題の解決に積極的に取り組み、都民の人権が尊重される社会の実現を目指してまいります。

○馬場委員 たくさんお聞きしました。この人権プラザを東京都人権施策推進指針に基づいて開設し、都民の皆さんにさらに人権意識を高めていただき、さらにここを拠点としてやっていくという方針について、大変期待をしております。
 指針を具体化するに当たりましては、世界人権宣言や人種差別撤廃条約、また女性差別撤廃条約、児童の権利条約などの国際人権条約を踏まえるという大きな世界的な観点から、さらに、日本での、東京での差別の撤廃を重要な課題として、まず差別されている当事者の皆さんの意見を十分に聞くという、このことも大切にしながら、この人権プラザがこれから都民の皆さんに有効に使っていただける、そういう拠点になることを願って、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○古館委員 それでは、人権プラザ条例に関して何点かお尋ねいたします。
 今、馬場理事さんからお話がありましたが、この条例案の中で、同和対策ということが最初に質問として出されたんですけれども、ここに人権施策推進指針というのが出されていまして、この中で、人権というとらえ方ですね、東京都はどのように認識をしているのか。
 私どもは、人権の施策が東京都としても重点として据えられる、これはもっとしていかなきゃいけないし、憲法がいう基本的人権という点から見て、そういう施策がますます重要になっているということを十分理解しております。
 その上で質問ですが、都が出した人権施策推進指針、これでは、どのような課題があるというふうに認識をしているのでしょうか。

○関人権部長 指針におきましては、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、犯罪被害者やその家族、その他の人権問題を取り上げております。

○古館委員 それで、今も同和ということが出されてきたんですけれども、もともと歴史的にそういう事業とかかわりが深くあったというのは、先ほどのやりとりではっきりしているんですね。
 で、この同和事業のことですが、先ほどもご指摘がありましたが、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、非常に長い法律なんですが、この同和事業にかかわる根拠法が来年の三月で期限切れになります。これは、同和事業が全国的に終結するということを意味しています。
 都の方針は、同じように来年の三月で同和事業が終結すると、このように理解してよろしいんでしょうね。これはいかがですか。

○関人権部長 ご指摘のように、平成十四年三月末にはいわゆる地対財特法が失効する予定でありますことを踏まえ、現在特別対策として実施しております同和対策事業は原則として終了いたしますが、平成十四年度以降も、同和問題を早期に解決するため、一般対策におきまして、差別意識の解消に向けた教育啓発を主たる課題として、必要な施策を講ずる考えでございます。

○古館委員 今、大変気になるんですけれども、根拠法自体がなくなって、全国的にも同和事業というのがなくなるわけですよね。ところが、今いわれた原則という言葉と、それから差別意識の解消、同和に関する差別意識の解消という、この意識の問題というのは大変難しいわけですよね。例えば、AさんならAさんにどういう意識があるかというのは、それは、あるといわれたらあるし、ないといったらない。だから、差別意識というと、これは同和問題についていうと、エンドレスにならざるを得ないんですね、この問題でいうと。つまり、まだありますよというふうにいう人がいたら、まだあるということになっちゃう。
 そこで、私は改めてお尋ねしますが、都は同和事業を三十三年間にわたって行っているわけですが、東京に同和地区というのはあるんでしょうか。

○関人権部長 東京都におきます同和問題の特質は、東京が日本の首都であるとともに、震災、戦災による二度の大きな変化と、戦後の高度経済成長期を頂点とする人口、産業の極度の集中によって巨大化し、旧来のコミュニティが急激に崩壊するなどによりまして、同和地区の明確な把握が極めて難しいことでございます。
 そのため、都の同和対策事業は、いわゆる対象地域の指定が困難な中で、直接法律の適用を受けることなく、法律や各種答申等の精神を尊重し、また、国や他府県等の動向を勘案しながら、都の実態に即した同和対策事業を進めてきたところでございます。

○古館委員 だから、実態に即してないんですよね。今のご説明でも、震災、戦災とかいろいろあったけれども、明確な把握は極めて難しいと。だから、同和地区というのはないんですよね、今のご答弁で。そういう中で、先ほど差別意識といいましたが、同和地区という実態がないのに、同和の差別意識ということをいうこと自体が非常に無理があるんです、この問題は。
 それで、この同和事業での二〇〇一年度の予算額は幾らになりますでしょうか。また、これは国庫補助がついているのでしょうか。

○関人権部長 東京都の実態に即しました同和対策を進めているところでございますが、平成十三年度の同和対策事業予算額は、環境改善事業におきます区に対する補助として十二億四千万、皮革排水対策における補助・貸し付けとして十億一千万、産業振興資金の融資として七億九千万など、総額で約三十四億五千万円でございます。また、このうち国庫補助額は約一千七百万円でございます。

○古館委員 つまり、国庫補助がほとんどつかないということは、単独事業なんですよね。単独事業というのは何かというと、東京都の都税収入で賄っているということになるわけですよね。つまり、それは、国自体が、同和地区というのを東京都では認めていないんです。ないという実態が反映しているから、単独事業でほとんど四十億近いお金、前はもっと多かった時期もありますけれども、そういうお金が支出されているわけですよね。ですから、そういう問題、先ほどの答弁だと、原則として終了するんだけれども、まだ引き続き続けていくという、ここには非常な距離があり過ぎるんですよね。私は、終結というのは完全に廃止、なくなる、こういうことだと考えています。そこで予算も全廃する、このように私は理解しているんですが、それでよろしいでしょうか。

○関人権部長 先ほども申し上げましたが、現在特別対策として実施しております同和対策事業は原則として終了いたしますことから、同和対策事業としての予算措置はなくなります。しかし、平成十四年度以降も、同和問題を早期に解決するため、一般対策におきまして、差別意識の解消に向けた教育啓発を主たる課題として必要な施策を講じてまいりますことから、一般対策としての予算措置は必要と考えております。

○古館委員 同和としてはなくなると。だけど、差別意識といっているお答えの差別というのは--私の手元に、ことしの九月の、同和問題解決のための取り組みに関する基本方針案というのがあるんですけれども、これは都が出したものですが、関係部ですね、ここにはどういうふうに書いているかというと、同和問題のいわゆる差別意識ということがちゃんと、同和問題に関する差別意識の解消ということで。だから、私どもが、みんなが考えている、都民が考えている人権というのは、そういう同和ということの問題に狭まっていないんですよね。もっと本当の意味での基本的な人権、憲法が保障している基本的な人権、そして、この首都においてそれをどういうふうに保障するか。今、そういう拠点施設というのは、私ども否定しているものではないんですよね。
 だから、いよいよそういう問題というのはこれからも大事になっていくというふうに思っているんですが、今のご答弁でいいますと、同和としての予算はなくなるけれども、一般施策としては残るというような答弁でしたね。そういうふうに私は今理解いたしましたが、この東京都の方針によりましても、同和対策事業の取り扱いについてというのがありまして、ここでは、基本的考えに基づき、現在実施している同和対策事業は平成十四年度以降次のとおり取り扱うこととするということで、必要な見直しを行って一般対策へ移行する事業と原則として終了する事業と、これも、原則としてというふうに書いているんですね。で、大まかに、原則として終了する事業の中には、都営住宅の入居の問題とか、同和対策の産業振興の資金の問題とか、医療費の公費負担だとか、いろいろ、これはかなりの厚遇措置でやられてきているわけでありますが、これもなくするとは書いてないですね。原則として終了するというふうに書いている。
 それから、括弧一番目の、必要な見直しを行って一般対策へ移行する事業ということについていいますと、この中ではこういうふうに書いてあるんですね、方針の中では。一般対策で引き継ごうとしているものに、同和問題総合相談員というのもこの中に入っているんですよね。必要な見直しを行って一般対策に移行させるという事業の中に、同和関係の諸集会に対する参加費補助と同和問題総合相談員という費用が、一般対策へ滑り込むという形で入っているわけです。これについてそれぞれちょっとご説明をお願いしたいんです。同和関係諸集会参加費補助というのは何なのか、同和問題総合相談員というのは何なのか、これについてお答えいただきたいと思います。

○関人権部長 現在、同和対策事業のご意見をいただいておりますので、その関係でお答えをしておりますが、先生ご指摘の、必要な見直しを行い一般対策へ移行する事業の中に二事業あるというお話でございました。十四年度以降、法が終了した十四年度以降、どうやって同和問題の解決に取り組むかというところで、今検討を進めているところでございますが、その中に、必要な見直しを行い一般対策へ移行する事業といたしまして、製靴科の職業訓練ですとか自動車運転科職業訓練などとともに、同和関係諸集会参加費補助、同和問題総合相談員、二事業ございます。
 現在特別対策として実施しております同和関係諸集会参加費補助は、運動団体が主催いたします研究会、協議会等に参加する参加者に対する補助事業でございます。この事業は、同和問題についての啓発活動の一環ともなり、同和対策が円滑に推進できるなどの効果も期待できることから、一定額を補助してきたところでございます。
 同和問題総合相談員は、都内の対象者の各般にわたる相談に応じ、必要な指導助言を行うことなどによりまして、対象者の地位の向上と生活の安定向上を図るために設置されたものでございます。相談員といたしましては、同和問題に深い理解と認識を有し、同和問題の解決について熱意と協力が得られる個人に対し委嘱しているところでございます。

○古館委員 今の同和関係の諸集会の参加費補助で、ここに手元に予算額があるんですが、これはどれぐらい出されているかといいますと、大体、平均的にいうと一千万ですね。同和関係諸集会の参加費補助、つまり、そういう同和関係の集会があったらそこに行く、行くと、それに対して東京都が補助をするんですね。そのお金が大体一千万前後あるわけですよね。そうですよね。(「何人参加しているの」と呼ぶ者あり)何人参加って今ご質問がありましたが、何人参加して、どういうふうな形になるのかとお答えいただきたいんです。
 それと、同和問題総合相談員という人は今何人いらっしゃって、一カ月どういう処遇になっているのか。つまり、個人に委嘱しているわけですよね。相談員だという名目で個人に委嘱しちゃう。ところが、人権啓発センターでやっている相談とは別ものの相談業務なんですよね。この人に対しては、私が手元に持っているのでは大体五千万円ですか、五千万円近い……。(「一人に五千万も払っているの」と呼ぶ者あり)いやいや、何人かいて、総額の予算が五千万ぐらい支出しているんです。だから、これはどうなっているのかということを質問したいんです。

○関人権部長 同和関係諸集会参加費補助につきましては、年間でおおむね五百人程度でございます。それから総合相談員につきましては、十二名の方に委嘱をしているところでございます。

○古館委員 ですから、今お話がありましたけれども、一人大体、日当が、二万円ぐらい払うのかな。これも税金で払う。それから、さっきの五千万近いんですから、一カ月三十万ぐらい。それが、どういう実績があるかとかなんとかということはかかわりないんですよね、この問題は。それで払われているわけです。こういうのを一般施策としてこれからも入れていきたいと、こういう中に明確に入っているんですね。これは私がいっているんじゃなくて、東京都の今後の方策をどうするかという中に、今いった二つの事業が明確に、これからの一般対策へ移行する事業という中に入っている。こういう問題について都民が知った場合に、本当にそれでいいのだろうかという疑問は当然出てくる、私はそのように思います。だって、これをやったら、では、ほかの人権団体の方に同じことをやるんですか。そういうことについてどうですか。

○関人権部長 十四年度以降につきましては、人権問題のさまざまな当事者ございますので、そういった方々により身近な相談が行えるような制度としていきたいということで、現在検討をしているところでございます。

○古館委員 私は別に石原知事の与党でもありませんし、野党ですけれども、だけど、こういう問題については、党派を超えて、やっぱりおかしいよと。しかも、税金を個々人のそういうものに対して支出するというのは、今の行政の流れからいうと逆なんですよね、だと思います。こういうものについて、もしやるなら、ほかの人権団体の方だって同じようにやってくださいという声が上がるのは、私は当然だというふうに思うんですね。三年たって、もう来年三月末で、いわゆる同和事業というのは法的にも、根拠法としても終結をして、東京都には同和地区というのがないわけですから、だから、こういうものはきっぱりとなくしていく、そういうことをしていって、本当に人権に関して積極的に考えておられる都民がよりよく参加しやすい、そういう機会をたくさんつくるというのが今強く求められているのではないかというふうに思っています。
 それで、続いて質問しますが、台東区内にある産業労働会館は、現行の条例の中に、地場産業の振興と住民福祉の向上を図るということが明記されています。この条例の名称のとおり、地場産業を初めとする地域産業の拠点としてこれはシフトしていく、発展させていく、こういう声が今あります。起こっています。そういう点で、こうした地域の地場産業の振興発展に、いよいよ今こそ力を尽くすことではないかというふうに思うんです。これこそが都政の今後向かっていく、産労会館に対して考えていく対応じゃないかと思うんです。いかがでしょうか。

○関人権部長 これまで産業労働会館で実施しておりました、お話のような皮革関連産業の振興に係る事業、皮革技術センター台東支所と足立技術専門校台東分校につきましては、会館のスペース上の制約や、時代に合いました事業展開を図る必要性等から、本年の三月、台東区花川戸に移転いたしまして、事業の充実を図ったところでございます。

○古館委員 実際に、こういう同和事業をなくしていこうと、こういう同和で進めている団体の方もいらっしゃる。やっぱりここはきっちり地場産業、そういうところの振興、そこに役割が果たせるようなものにするべきだという声が上がっていますよね。
 それで、次に聞きますけれども、台東区を初めとする周辺区などの地場産業、皮革などの振興に対して都はどのように位置づけておられるでしょうか。今の局長さんは、前、担当の労働経済局の局長をしておりましたので、この台東の地場産業については十分ご理解があると思いますが、どのように評価されていますか。

○関人権部長 東京の地場産業でございます皮革関連産業の振興につきましては、東京都が昨年七月に策定いたしました東京都産業振興ビジョンに基づきまして、一般対策として、現在、産業労働局が実施しているところでございます。

○古館委員 ここに、「都民と創る東京都産業振興ビジョン」という二〇〇〇年七月に東京都が出した産業ビジョンがありますが、ここでは、地場産業の振興に当たっては、例えば八王子の織物や台東区の皮革といったように、一定の地域で産地を構成している業種も多いので、地元の基礎的自治体との連携を強化し、その振興策を支援していきますと。これが産業振興ビジョンの方向なんですね。だから、この産業労働会館はそういう--とりわけここにはっきりと台東区の皮革というふうに明記していて、その支援策を講ずるということをいっているわけですから、この場所は、そういう地場産業の振興、そこに大きな役割を果たしていくべきだ、私はそのように思いますが、いかがでしょうか。

○関人権部長 先ほどもお答え申し上げましたけれども、履物、皮革関連の産業が集積しております浅草花川戸に皮革関連産業の振興に係る事業等は移転して、充実しているところでございます。

○古館委員 それで、人権プラザ条例にかかわってなんですが、この条例の第五条で、使用料というのが規定されております。この使用料の規定ですが、人権プラザで、会議や会合などで無料で使用できるというところがありますか。六十平方メートルの活動交流室というのは、ここの利用対象団体と利用料金はどのようになるんでしょうか、条例に沿ってちょっと質問していますが。

○関人権部長 人権プラザ条例では、利用料金の設定ということで、ホール兼視聴覚室と会議室を設定しているところでございます。人権及び人権問題に関心を持つ都民や団体の方々が打ち合わせやチラシの作成などのさまざまな活動、交流をできる空間として、活動交流室を設置することとしております。利用対象団体につきましては現在検討中でございますが、できるだけ多くの都民や団体の方々に有効に活用していただきたいと考えております。

○古館委員 つまり簡単にいいますと、「人権啓発拠点の整備について」という案がありまして、これも東京都が出しているものですが、二階に図書資料室、相談室、小会議室などがあって、ここにちゃんと、施設紹介というので活動交流室というのが書かれているんですよね。料金については、大会議室とか視聴覚室、そういうところについては千円とか、それから、それに対する減額制度とか載っているんですが、この六十平米というかなり大きな空間がある、この活動交流室については、なぜか条例上は何の決めもないんですね。ということは、これはどういう扱いになるんですか。無料なんですか。

○関人権部長 先ほどもお答え申し上げましたけれども、ホール兼視聴覚室と会議室については条例で設定してございます。この今お話しの活動交流室は、ロビーやそういったところと同様の施設として提供していくものでございます。

○古館委員 いや、先ほど、そういうものをどういうふうにするかということをこれから内部で詰めたいというふうにいっていたんですよね。この活動交流室はロビーとかという話ではなかったはずなんです、さっきの答弁ですとね。
 で、そこの問題についていうと、私がなぜ同和事業との関係でこの問題をいっているかというと、もともとこの建物がそういう同和事業のかかわりの中でやられてきて、しかもこれから、もう一回いいますけれども、年度末で終わるのに、続けていきたいと。しかも、同和相談員だとか集会参加費補助だとかというのも生きていく。そこで仕事を請け負うところも、ちゃんと条例の中に人権啓発センターということを明記しているわけですよね。そうすると、ここの活動交流室は一般的にそういうものに、人権にかかわる人に使わせたいといったって--事務室と書いてあるなら別ですよ、私は何もいいません。だけど、活動交流室と書いていて六十平米があって、そこの条例の中で、今までの人権啓発センターが請け負いますということになると、だれが考えたって、ここはだれが一番使うかということになるわけですよ。本当に人権に心を寄せる団体や都民の方が使い得るのかどうかという問題もあるし、条例上これでいいのかと、私はちょっとした疑問があります。
 この問題についてはこれ以上はいいませんけれども、私は、この問題についてはやっぱりきちっとした措置をするべきだということだけ、ちょっと申し上げておきたいと思います。
 最後になりますけれども、この人権プラザは、東京都の人権施策推進指針の中でいっている人権啓発の拠点施設というふうに理解してよろしいんでしょうか。

○関人権部長 この人権プラザは、人権尊重の理念を普及させることによりまして、人権意識の高揚及び人権問題の解決を図り、もって都民一人一人の人権が尊重される社会の実現に寄与するため設置するものでございます。先生のお話のように、指針に基づき整備するものでございます。

○古館委員 私は、先ほどからいっていますけれども、ここの問題についていいますと--ここに人権啓発センターのリーフがあります。それで、はっきりいって、ここに行くのは至難のわざですよね。とにかく一方通行でしかないんですよ。それで、道路があったと思って隣の道路を走っていくと、今度は啓発センターに行けないような、左側一方通行なんですよ。つまり、右側の一方通行の道路があったところに建っているんですが、それで、ああ、間違っちゃったといって、では、今度ここを回ってこう行くと、今度はこれも一方通行で、どこを走らされるかというと、左側に一方通行になるんです。だから、先ほどどなたかいっていましたが、タクシーで行ったって迷っちゃうというところ。都民のそういう人権にかかわる人たちがここに来るということ自体、大変難しいんですよ。
 だから、私は、本当に東京都が人権を守ります、憲法にいう基本的人権を守るという、そういうシンボル的な施設をつくるんだったら、例えば都庁だとか都庁の近くだとか、そういうだれでも集まりやすい、本当の意味で--本当の意味でというのはおかしいですね、よりよく基本的人権の方向が実る、そういう方策をやっぱり真剣に考えるべきだ。私は、こういうふうに人権プラザという形を--私ははっきりいって、安易にここを人権プラザとして決めるということに対して非常に疑問を持っていますし、それは後で、今後の対応の中で私どもの態度はきちっとしますけれども、この問題については、産業振興のための地域の拠点にすべきだし、それが地域の人も望んでいることだし、同時に、本当に東京都民の人権を守る、そういう拠点施設にするのであれば、私は、利便性からいっても、今までの経過や立地条件、そういう問題から見ても、別のところを考えるべきだ、このことだけ申し添えて、私の質問を終わります。

○大西委員 私も、人権プラザ条例について少しお聞きいたします。
 このプラザの設置に当たりまして、現在の東京の複雑多様な人権侵害、差別の実態をどのように認識し、把握しているのか、その辺をお伺いします。

○関人権部長 東京では、国際化、少子高齢化、通信技術の高度化などが急速に進みまして、都民の生活環境や人と人とのかかわり方が大きく変化しております。そうした中で、女性へのドメスチックバイオレンスや子どもへの虐待あるいはいじめ、高齢者や障害者への差別的取り扱いなど、人間の存在と尊厳を脅かすさまざまな人権問題が生じておりまして、その迅速かつ適切な解決が求められると認識しております。

○大西委員 今のお答えのような現状を踏まえまして、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画でその取り組みが求められている重要課題について、総合的かつ実効性ある施策の展開が必要であると思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

○関人権部長 東京都では、これまでも、女性や子ども、障害者、同和問題などを解決するために、それぞれの課題ごとに施策を講じてまいりました。現在の人権問題は多様化、複雑化してきておりまして、また新しい課題も生じてきております。このような課題が複雑に絡み合ったり、これまでの施策や手法で対応できない問題につきましては、救済・保護、啓発・教育、支援・助成、こういう三つの観点から総合的に人権施策を推進していきたいと考えております。

○大西委員 お答えの人権施策の中でも、とりわけ相談、救済の観点からの取り組みは緊急性が高いと考えられるわけですが、現在実施している相談機関に寄せられた人権に関する相談についての件数や、それから課題別に多いものとか、そういうものの現状を教えてください。

○関人権部長 現在、都では、さまざまな相談機関で相談業務を行っております。この中で、総務局人権部と人権啓発センターで平成十二年度に受け付けました相談件数について申し上げますと、約一千三百件でございます。その相談は、複雑で処理に時間を要するものも少なくございません。
 この相談内容を課題別に申し上げますと、同和問題、障害者問題、女性問題、外国人問題の順となっております。
 なお、相談件数を十一年度と比較いたしますと、ほぼ倍増となっております。

○大西委員 問題の根本的解決には、適切な対応、そして細やかなフォローが必要なんですけれども、相談内容に応じてどのような対応がとられているんでしょうか。

○関人権部長 先生お話しのように、人権問題に関し、相談は、適切な助言を通じて当事者によります自主的解決を促進するなど、有効な救済手法の一つでございます。このため、相談に際しましては、当事者から十分に話を聞き、一緒に問題点を整理した上で、相談者の立場に立った問題解決となるよう努めているところでございます。必要に応じまして、関係機関とも協議を行い、その問題の解決に最適なノウハウを持つ相談機関や施設を持ちます相談機関に引き継いだり、法律的な解決を要する事案につきましては、弁護士によります法律相談等を紹介したり、また、人権侵害のおそれがあります事案につきましては、東京法務局の人権擁護部とも連絡するなど、都民の人権を守る視点に立ち、適切な問題解決に努めているところでございます。

○大西委員 ことし五月に出されました国の人権擁護推進審議会の答申「人権救済制度の在り方について」にも述べられているように、単なる相談にとどまらない救済機関の整備が今後ますます必要と考えられます。都として具体的な計画はあるんでしょうか。

○関人権部長 繰り返し申し上げておりますけれども、東京の人権問題は多様化、複雑化しております。その解決に当たりましては、各相談機関相互の密接な連携を図ることが求められております。そのため、昨年十一月に策定いたしました東京都人権施策推進指針におきまして、各人権分野における相談機関及び救済保護機関を結ぶ東京人権ネットワーク、これは仮称でございますが、の構築や、各機関の対応力を強化するとともに、相互調整を支援する仕組みでありますトータルコーディネート部門の設置を掲げております。今後、こうした施策の具体化に向けた検討を行い、都民からのさまざまな人権相談に迅速かつ適切に対応してまいります。

○大西委員 今後、さまざまな人権侵害を受けた当事者が速やかに相談でき、迅速かつ適切な対応がとれるような公正中立な相談、救済システムを確立していくというお考えでしたよね、と受けとめておきますが、こうした救済システムの確立を視野に入れ、関係各機関が連携しつつ、新たな人権プラザでの相談、救済機能の充実が図られるべきですが、その辺はどうでしょうか。

○関人権部長 人権プラザでは、人権意識の高揚及び人権問題の解決を図り、都民一人一人の人権が尊重される社会の実現に寄与するため、人権に関する相談を行うこととしております。相談事業の実施に当たりましては、各人権分野の相談機関、救済保護機関との連携を強化して、都民が抱えるさまざまな人権問題の解決を支援してまいります。

○大西委員 人権問題の解決のためには、都民、NPO、企業などと相互連携した体制づくりが東京都人権施策推進指針の中でも明言されています。民間の活動支援とともに、人権プラザの運営主体としてNPOが参画することも可能ではないかと考えますが、そうした開かれた運営方法から、相互交流や連携がさらに円滑に進むものと思うんですけれども、その辺いかがですか。

○関人権部長 お話のように、人権施策推進指針では、都民、NPO、企業等の多様で多角的な社会参画を通じて、社会の連帯の力で都市社会のセーフティーネットとしての人権施策を支えていくこととしております。今後、人権施策を進めていく上で、行政だけではなく、専門知識やノウハウを備えたNPO等の相談機能の活用など、行政とNPOとの連携、協働は不可欠と考えております。NPOを人権プラザの運営の主体とするということにつきましては、難しいと考えておりますが、利用いたします都民や利用団体の意見をプラザの運営に反映していくことは必要であると考えております。

○大西委員 今のお答えの中に、運営主体にNPOの参画は難しいとおっしゃっておりますが、公益性の高い活動を続けているNPOもふえてきております。総合的な救済システムを整える上でも、先行しているNPOとの連携はやはり欠かせないんじゃないかと思います。
 さらに、答弁の中にもありましたけれども、問題、当事者の意見を反映していくことが当然でありますし、その反映がいかに生かされるかということが今後の運営にかかってくると思いますので、そういう意味では、何らかの参画のあり方というものを確保する意味でも、ぜひそういうふうに取り組んでいただきたいと要望し、そしてやはり、先ほどもおっしゃっていましたけれども、この場所、非常に本当にへんぴなところにあるなということだけを感想としてお伝えしておきます。
 以上です。答弁は要りません。

○木村委員 通告はしていませんけれども、同和問題、二十年からやってきましたから、ちょっと一言いわせてもらいます。
 さっき同和問題総合相談員が話題になりましたけれども、今何人いるんですか。

○関人権部長 先ほど申し上げましたけれども、平成十三年度、十二名でございます。

○木村委員 十二人に一月三十万ぐらい支払っているわけですよね。この三十万支払う根拠というのは一体どういうことなんですか。この相談員が勤めているといいますか、そういう勤務場所というのは一体どこなんですか。

○関人権部長 総合相談員につきましては、先ほどご答弁申し上げましたけれども、同和問題に深い理解と関心を持ち、当事者の相談あるいは普及啓発等を担う職務として、それに造詣の深い方々に委嘱をしているところでございます。
 相談場所につきましては、より相談がしやすいように、別途総務局長が定める場所ということで設定してございます。

○木村委員 その総務局長が別途定める場所というのはどこなんですか。都庁とかなんとか場所があるはずですよね。

○関人権部長 相談者がより相談しやすいということを想定いたしまして、それぞれ総合相談員が直接お訪ねしたり、それから、そこに勤務する場所で受けたり、自宅で受けたりということで、相談を身近なところでやっております。

○木村委員 要するに定まってないですよね。相談員がどこへ行って何をしようが、そういう勤務場所とか相談を受ける場所とかというのは決まってないということなんでしょう。それを総務局長が後から追認するということなんですよね。
 それでは、その相談員が受けた相談の件数、解決の中身、そういうものはどういうふうに把握して、どういう実績があるのか、お答え願いたい。

○関人権部長 総合相談員が受けました相談につきまして、平成十二年度の実績で申し上げますと、相談件数は七千五百七十件でございます。相談件数の多い順に相談内容を申し上げますと、生活の問題、経営問題、住宅問題、労働問題、教育問題、環境問題、人権問題、その他となっているところでございます。

○木村委員 相談する場所も決まってない、どこでやっているのかもわからないというので七千何ぼというのは、どうやって確認するんですか。相談員が、きょう電話一本ありましたという、そういうのも全部一件一件数えるということでも件数は数えられますよね。そういう意味で、三十万払って、勤務場所も決まってなくて、例えば件数というのは、七千五百人から七千五百件相談されたのか、一人が延々と相談しているのを延べで数えたのか、そういうようなことはどうやってつかむんですか。

○関人権部長 同和問題総合相談員の方から活動状況報告を聴取しております。

○木村委員 要するに相手のいいなりじゃないですか、それじゃ。
 だから、こういう金の支出、税金の支出というもの、さっきも出ましたように、根拠法令も期限切れ、もともと東京都は同和地区がないんだから、単独事業でやっているという、もともと根拠がないもの、それも全国的にも、一応法的な根拠があるところも打ち切りというのを、さらに来年からも続けるということは、これまで私たちは、東京都の同和行政というのは百害あって一利ない、税金のむだ遣いだということをずっといってきましたけれども、これを今度は人権というオブラートに包んでまだ続ける、性懲りもなく、そういうものにほかならないと思うんですよ。こういう事業を一つ一ついうと、みんなこういう問題にぶつかるんです。これは私はずっとやってきましたから、よく覚えています。
 集会参加だって、日当払って、宿泊費払って、交通費払って。どこへ泊まるかなんていうのは--その宿泊費の二分の一払うんだから。そういう金の使い方を、これからも人権の名前で続けていいのかということなんですよ。(「スイートルームもオーケーなの」と呼ぶ者あり)そこが問題ですけれども、それをやると長くなるからもうやめるけれども、私は、だから、今度の人権プラザというのは、建物の名前が変わるだけ、結局、これまでのそういう税金のむだ遣いを新たに人権というオブラートに包んで何とか続けようというだけにすぎないということだけ申し上げたいと思います。

○石山理事 ただいま、同和事業の地対財特法が来年の三月三十一日末をもって一応失効するという中で、現在やっております同和対策の特別事業の例として出ているわけでございますが、この法律は、五年前には翌年の三月三十一日に一応失効することになっておりましたけれども、同和問題の解決、差別意識の解消に向けた教育啓発等々、まだまだ残された課題があるということで、国におきましても五年間事業が延長されたという中で、東京都といたしましても、国の延長した事業等をにらみながら、東京都の実態に即して事業を五年間延長してきたという中の一つでございます。
 先ほど部長がるる説明いたしましたけれども、この事業につきましては、原則として、特に属人的事業につきましては終了、さらに人権全般の問題に普遍的に拡大して、他の人権問題につきましてもいろいろと課題が生じてきております中で、一体となって解決することが同和問題のそういった問題にもつながるという趣旨で、今年度末に向けてどのようにするか、現在検討をしているところでございます。
 先ほど古館委員の方から示されたのも、そういった今検討している過程の中で、我々としてどういう方向に持っていったらいいんだろうか、こういう中の一つの現在の考え方でございます。当事者の問題でございますが、当事者がやはり差別問題をどう自分の問題として取り組み、そして自分たちを核に解決していくかということになりますと、やはりこういった方々に対する、最近では、いわゆるNPOという形でいろいろな活動をされている団体がございますが、そういう方に対する一定の支援も必要ではないかというふうに考えているわけでございまして、そういう中の一環として、同和対策事業としてやってきました、先ほど来議論になっている問題につきましても、普遍化できる課題ではなかろうかというふうに、現在考えているところでございます。

○木村委員 今のは、反論だか何だかよくわからない。趣旨がよくわかりませんが、法が何回も延期されたというような話が最初に出てきました。もともとこの根拠法令は、昨年失効するということになっておったんですよ。それを、何とか延ばせ、何とか延ばせという集会もやって、そういう集会の圧力で延びていったんです。そういう集会に東京から動員されるのも日当を払って、交通費払って、宿泊費持って、税金が使われていたということなんですよ。それでもいよいよ来年はやめる、いよいよそうなったんです。にもかかわらず、こういう問題を十四年度以降もまだ延ばすから、我慢できないよといっているだけの話です。
 以上。

○坂口委員長 それでは、本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○坂口委員長 次に、報告事項「都庁改革アクションプラン 都政改革ビジョンⅠ 」実施状況報告(平成十三年三月末現在)、多摩の将来像二〇〇一について、そして三宅島の災害対策についての三件に対する質疑を一括して行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○新藤委員 多摩の将来像二〇〇一について何点かお伺いいたします。
 多摩の将来像については、行政はもとより、都民や民間企業を含めて地域を構成している主体が連携、協働して、その実現に向けて取り組んでいくということでございます。そうした意味から、今回発表された多摩の将来像二〇〇一については、一月に発表された素案に対して、市町村や都民の意見、提案がいろいろ生かされてつくり上げられたものと考えております。私も、ことしの一定におきまして、この素案に対して若干の質問をさせていただきました。
 そこで、お伺いいたしますが、多摩の将来像、最終の取りまとめに当たりまして、これらの意見、提案を踏まえて素案をどのように見直してきたのか、お伺いいたします。

○反町行政部長 多摩の将来像の最終の取りまとめに当たりまして、市町村や都民の意見、提案、都議会のご論議などを踏まえまして、本文の中に、事業名、それから地域名、実施主体など、可能な限り記述いたしました。それから、市町村の先駆的、意欲的事業の紹介など、内容をより具体的にいたしました。また、基本的コンセプトをわかりやすくお示しするとともに、チャレンジテーマを七から十項目に拡充するなど、内容の充実を図ってまいりました。

○新藤委員 全体的に見れば、取り組み方につきまして、素案に比べて大分具体化してわかりやすくなってきたと思います。
 その中でも、特に横田基地につきまして、私も、当初は騒音対策の記述が欠如しておりましたもので、これに対して質問いたしましたところ、騒音問題について十分に配慮した内容にしていきたいという答弁をいただいたわけでございます。この答弁を踏まえまして、横田基地飛行場の民間航空利用の記述について、最終の取りまとめにおいてどのような見直しを行ったのか、お伺いいたします。

○反町行政部長 横田飛行場の民間航空利用につきましては、ことしの第一回定例会における騒音対策に関します新藤副委員長からのご質問や、市町村、都民の意見などを踏まえながら、素案の記述の見直しを行っております。
 具体的に申し上げますと、第一に、民間航空利用の実現に当たっての騒音影響への対応につきまして、騒音影響に配慮した運航方法等の検討などの記述を追加いたしました。第二に、民間航空利用を契機といたします交通アクセスの確保や周辺のまちづくりへの支援、各種産業の誘導など、地域の活性化についての記述を充実いたしました。

○新藤委員 騒音への配慮と地域の活性化、この両面からの記述で充実を図ったということでございますが、特に騒音への対応、これは、地元の住民生活に大変な影響を及ぼしている極めて大事な問題でございます。
 そこで、横田飛行場の民間航空利用につきましては、既定方針として進めるのではなくて、地元市町村や住民の意見を十分よく聞いて進めていただきたい。その際には、騒音について、特に多摩の将来像で新たに示されているとおり、その影響を十分配慮しつつ今後取り組んでもらうよう、強くお願いしたいと思います。
 次に、多摩の将来像は、十五年後を目指した多摩地域の総合的なビジョンであり、このような長期的視点に立った場合、多摩地域は区部と同じようなまちづくりを進めるのではなくて、地域の特色を生かし、独自の主体性を持った地域として発展を目指すことが必要であるということでは、私、大賛成でございます。
 しかしながら、現状において、多摩格差が解消したかどうかといえば、都の説明ではおおむね解消して、残るは各地域ごとの個別の課題であるということにしておりますが、多摩に住む私どもといたしましては、道路問題とか地域に密着したいろいろな格差というのは、まだまだあるような実感がしているところでございます。今後の多摩地域の発展を目指すためにも、都の広域自治体として取り組む立場から、多摩地域における個別の課題の解消に向けて引き続き着実に取り組んでもらうよう、お願いしておきたいと思います。
 さて、多摩の将来像では、首都東京の再生に向けて、その一翼を担う多摩地域の役割はますます重要になってきているとしておりますが、このことは、多摩地域の今後の発展が、都内に限らず他地域にも影響を及ぼしていくことを視野に入れなければなりません。
 そこで、お伺いいたしますが、多摩の将来像において、首都圏全体で多摩地域の位置づけをどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

○反町行政部長 多摩地域は、圏央道や南北道路などの都市基盤の整備の進展や多様な機能が適切に配置されることによりまして、環状方向を中心に、産業、文化などの連携、交流が活発に行われ、環状メガロポリス構造を形成する核都市連携都市軸の中核となることを目指しております。そのことによりまして、首都圏全体がバランスのとれた地域構造となるよう寄与していくことが、多摩の将来の姿と考えております。

○新藤委員 首都圏全体の中で、多摩地域の存在感がますます増していかなければならないのですが、産業活動の活性化など、活力ある多摩地域をつくっていかなければなりません。
 その際、特に南北道路を初めとした都市基盤の整備は、産業や物流を支え、地域の発展を促す基本的な要因として、なくてはならないものです。また、活力ある地域づくりのためには、先端技術産業の育成など、新たな産業振興策とともに、地元に密着した、地域の物づくりを支える中小企業を支援し、その活性化を図ることが求められています。
 その意味から、多摩の将来像で示している多摩地域中小企業振興センターについては、中小企業の経営安定や技術の向上を図るための重要な施設であり、その整備を着実に進めることが求められています。
 そこでお伺いいたしますが、多摩の将来像に基づき、今後、地域の活性化に向けて、特に南北道路の整備促進、それから中小企業振興センターの整備についてはどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○反町行政部長 南北道路などの都市基盤の整備や中小企業振興センターの整備につきましては、今後の多摩振興に向けて、産業振興や地域の活性化を図る上で重要な事業であると認識しております。
 両事業につきましては、多摩の将来像において取り組みの方向を示してございますが、今後、その着実な実現に向けて、関係局と調整を図ってまいります。

○新藤委員 ぜひ、関係局と話を積極的に進めていただきたいと思います。
 多摩の将来像で示されている取り組みは、中小企業振興センターの整備などを含め、地域の活性化や快適な住民生活の創出のために欠かせないものであり、その着実な実現に向けていくことが必要です。そのためには、全体に、多摩の将来像について、構想からより一層具体的な事業や施策の取り組みへと煮詰めていくことが必要である。その際、全庁的な推進体制のもとで、市町村などの協力を得ながら進めていくことが不可欠です。
 そこでお伺いいたしますが、今後、多摩地域の振興に向けて、具体的にどのような段階を踏みながら取り組んでいくのでしょうか。

○反町行政部長 多摩の将来像の実現に向けて、将来像で示しております取り組みの方向などにつきましては、多摩振興事業を所管する各局の今後の事業展開の柱として位置づけまして、その具体化に向けて取り組んでいくことになります。
 また、特に重点的な取り組みが必要なチャレンジテーマにつきましては、今年度、今後の発展に寄与する地域資源や地域活動、住民ニーズなどの調査を行いまして、その結果をもとに具体化に取り組んでまいります。

○新藤委員 最後に要望だけさせていただきますけれども、ぜひとも多摩の将来像を絵にかいたもちに終わらせないように、構想から具体的な計画や事業施策へと段階を進めていただきたい、そして、活力と魅力に満ちた多摩の創造に向けて邁進されることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○谷村委員 多摩の将来像二〇〇一についてお伺いいたします。
 この多摩の将来像二〇〇一につきましては、二十一世紀を目前にした昨年六月に策定の着手をされ、七カ月後のことし一月、素案としてまとめられ、その七カ月後、内外の声を集大成して、ことし八月、策定されました。
 これはまさにアウトソーシングではない、行政部の皆様が事務局となり、多摩島しょ振興推進本部が全庁の総力を結集してつくり上げられたことに、新世紀の多摩の発展にかける関係の皆様の熱き思いを感じ、深く敬意を表するものでございます。
 また、特に今回まとめられました多摩の将来像二〇〇一では、多摩の自立と連携という基本理念のもとに、区部との格差是正の観点から脱却し、みずからの個性を伸ばしながら主体的な発展を目指すというものであり、これまでの格差是正という消極姿勢から、独自の個性と活力を目指すという積極姿勢への転換は確かに必要であり、その意味でも評価をしたいと思っております。
 そこで、大事なことは、この構想実現のための進行管理をどういう体制で進めていくことになりますでしょうか。

○反町行政部長 今後の推進体制につきましては、副知事を本部長といたします多摩島しょ振興推進本部のもとに、各局が連携して、多摩振興を図ることにしてございます。
 多摩の将来像は、今後の各局の事業展開の柱として位置づけられまして、その実現に取り組んでいくこととしております。

○谷村委員 構想をまとめられました責任として、引き続き、構想実現のその日まで、進行管理をよろしくお願いしたいと思います。
 さて、多摩の将来像二〇〇一では、多摩格差八課題は既に解消したと、数値を挙げられて記述してあります。数値差の残る課題については引き続き取り組むともしてあります。これまでの、この行政八課題の解消を目指し四半世紀にわたり取り組んでこられました関係各位の皆様のご苦労のたまものであり、新世紀の到来とともに、多摩新時代の幕あけであると感じております。
 ただし、昭和五十年当時に設定されました八課題の解消をもって、この多摩地域と区部との格差は完全に解消されたといっても、多摩都民の感情にそぐわないものがあることもまた事実でございます。
 例えば、昨年十二月十二日、地下鉄十二号線が大江戸線として全線開通いたしました。地下の山手線として、これによって、山手線内に住んでいらっしゃる方は、どこに住んでいらっしゃっても、歩いて十分で鉄道駅が利用できるようになったといわれております。大変な利便性の向上でございますけれども、この鉄軌道の整備における多摩と区部の格差、例えば鉄軌道が一本も通っていない武蔵村山市のような鉄道過疎市が存在するなど、鉄軌道における格差は依然として大きなものがございます。
 運輸政策審議会十八号答申による今後の鉄道計画延長につきましても、区部では八路線、八十四・二キロメートルに対し、多摩では二路線、二十・一キロメートルと、格差解消ではなく、格差拡大の傾向性もあります。
 そこで、多摩地域の山手線として、全長九十三キロメートルに及ぶ多摩都市モノレール構想の推進につきまして、所見を伺います。

○反町行政部長 公共性の高い鉄軌道などの都市基盤整備につきましては、今後の多摩の発展にとって重要な課題であると認識しております。
 今後、多摩都市モノレールの延伸などの個別の課題をいかに推進していくかにつきましては、関係局と連携しながら検討してまいりたいと存じます。

○谷村委員 多摩の将来像二〇〇一のパンフレット版の表紙を飾っておりますのも、多摩都市モノレールでございます。多摩の振興のシンボルでもあります多摩都市モノレールの、上北台から箱根ヶ崎までの延伸の実現に、私ども全力で取り組んでまいる決意でございます。
 次に、多摩の将来像二〇〇一では、東京構想二〇〇〇との整合性をしっかりと持っておられますけれども、環状メガロポリス構造、また首都圏メガロポリス構想において、センターコアとなる区部を中心に、センターコアを取り巻く諸都市の位置づけにおいて確認をさせていただきたいと思います。
 先ほど新藤副委員長からもご質問がございましたけれども、見方によっては、多摩の核となる八王子、立川、多摩の都市と、埼玉、千葉、神奈川の核となる都市が、現状では同列で扱われているように感じます。多摩地域の自立に当たって、埼玉、千葉、神奈川の核となる都市とは異なる多摩の独自性や個性、イメージはどのようなものか、見解を伺います。

○反町行政部長 多摩の将来像では、発展の可能性として、多数の大学の立地や先端技術産業の集積、豊かな自然などを掲げております。多摩の特色は、こうした人的資源、技術的蓄積と、それに隣接する自然の豊かさであると考えております。今後は、面的ネットワークの広がりの中で、多摩の特色を十分に生かして、存在感のある多摩地域を形成していく必要がございます。
 そのため、こうしたネットワークの広がりを踏まえまして、産・学・公の連携による産業の振興、ITの環境整備と活用、観光地としての多摩の魅力の増進などのチャレンジテーマの具体化に取り組んでまいります。

○谷村委員 多摩の将来像二〇〇一を、より輝くものとして構想を推進し、実現していくために、環状メガロポリス構造という大きな都市構造の中でも、多摩はこれが誇れるという、インパクトのある特色を打ち出していく必要があると思います。それができましたら、さらに希望あふれる将来像になると思いますので、今後の多摩振興の取り組みの中で検討されるよう、要望いたします。
 次に、多摩の将来像二〇〇一の中では、行政、民間、また住民の三者がそれぞれの役割分担を担う、まちづくりへの新たな仕組みづくりを提唱しております。今、IT関連というお話もございましたけれども、それに関連して伺いますが、多摩都民にとりまして、長年の懸案として、電話番号の市外局番の問題がございます。
 これまで、都議会におきましても、先輩議員の皆様が取り上げられてまいりました。そこにおける議論は、多摩都民も同じ都民なのだから、二十三区と同じように市外局番を〇三にするべきだというものでございます。
 私は、この多摩の将来像二〇〇一を掲げて、新たな多摩の自立と連携を目指した発展を進めていく上では、これまでのような二十三区と同化する、同じようになる〇三化を目指すのではなく、新たな多摩のブランドとして、〇四化を目指してはどうかと考えております。
 これは第一義的にはNTTの問題でありますが、同じ東京にありながら、二十三区内はすべて市内料金、多摩に来ると市外料金を徴収されるという格差が残っております。例えば、多摩二十六市三町一村の中で、調布市は市内で市外局番が実に四つに分かれるという状況にございます。府中市は市外局番が三つに分かれております。また、同じ市内なのに市外局番が二つに分かれている市が、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、八王子市、西東京市、町田市、三鷹市など八市もあります。同一市内の通話なのに市外局番を回さないといけない、市外通話料金が発生するという大変な矛盾が存在しております。
 また、多摩地域の同じ市外局番の〇四二や〇四二四であっても、相互に通話するには市外局番をかけないと通じないところがあるなど、複雑かつ理解しがたい状況があります。例えば、調布市役所は〇四二四-八一-七一一一番、清瀬市役所は〇四二四-九二-五一一一番、同じ〇四二四ですけれども、互いに通話をするには、〇四二四からかけなければ通じないという状況にあります。これは、市外局番〇四二番も同じ状況でございます。情報通信時代を本格的に迎えた今、多摩地域のまちづくりを大きく阻害していることは否めない事実でございます。
 行政、民間、住民の三者がそれぞれの役割分担を担うという、新たなまちづくりの仕組みを目指していく上で、NTTに対して強力な働きかけをしていくべきと考えます。
 第一に、市内における市外局番の統一化、第二に、〇四二や〇四二四など同じ市外局番の地域においては、改めて市外局番を回さなくても通じるようにしていくという、二つの課題を早急にクリアすべきと考えますが、所見を伺います。
〔「全くそのとおりだよ、それをやるのに何十年かかっているんだよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○坂口委員長 お静かに。

○木谷IT推進室長 よりよいまちづくりを進める上で、地域の住民、民間企業、それから行政が密接に連携して問題を解決していく、これは、これからの行政の極めて重要な方向だと考えております。
 今、委員からご指摘のあった問題も同様でありまして、多摩地域の電話番号にかかわります二つの問題、非常に大きな問題があると思っています。特に、同じ行政区域の中に四つの市外局番がある、これは、地域の住民の皆さんにとっては大変不便な話だというふうに思っております。
 東京都はこれまで、多摩地域の電話番号について、利用者の利便の拡大、それから行政区域との一致などの観点から見直しを図るべきだとして、総務省、NTT東日本に対して要望を重ねてきました。今回のご指摘の点を含めまして、地域住民の皆さんの利便性の向上のために一層努力するように、関係機関に要請していきたいと思います。

○谷村委員 ちなみに、現在の市外局番の〇四二の地域が統一化されるだけでも、多摩地域の二十市町村の市外局番が統一化されます。多摩都民の皆様の通信料の負担軽減に大きくつながります。
 ちなみに、大阪市の市外局番は〇六番ですけれども、大阪市民は二百六十万人、三百九十万都民を擁するこの多摩地域の新たな市外局番〇四番、ないしはその一歩手前としての〇四二番の設定は、情報通信化時代の多摩のニューブランドとなっていくことを確信いたしております。
 ともあれ、私も、この多摩の将来像二〇〇一に掲げられております一つ一つの構想の推進、実現を目指し、関係各位の皆様と手を携えて全力で取り組んでまいる所存でございます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○古館委員 私は、三宅島の災害対策の問題について質問します。
 島民の声として、この間、一時帰宅が始まりまして、まだ完全に終了したわけじゃないのですが、本当に皆さん、島を見て涙ぐんじゃったという方々もいっぱいいらっしゃいます。げんき農場に行って、幸いたくさんの方と、そうしたお話を聞く機会もありました。改めて、この三宅島の災害問題について質問したいと思います。
 そこで出ていた島民の声は、もう一回、できれば各世帯複数人で数日間、一時帰宅ができないだろうかと。なぜかといいますと、行ってわかったことは、屋根に小さな穴が、ガスなどの関係であちこちあいている。今だったら、まだ、雨漏りだとか食いとめることができる、それが、ずっと行けなくなっちゃうと、本当に家自体が腐ってしまう。外見上は何ともなく見えていても、中に入っちゃうとそうなっている。それから、ネズミとかシロアリとかという被害もあって、畳を、さあどこかによけようかと思っても、一人じゃ何もできないという声が、たくさんの方から出されております。
 したがいまして、この要望が、もう一回複数で一時帰宅をと強く出ているのですが、前向きに東京都としても検討していただけないかなと思うのです。まず第一は、この質問でございます。

○岡部災害対策部長 現在、三宅村が実施しております島民の一時帰宅は、東京都も協力しまして、島民にはガスマスクを持たせる、それから、警察官、消防官などが付き添いをするなど、十分な安全対策をした上で行っております。
 しかし、島では依然として日量一万から二万トンの大量の火山ガスが噴出しておりますので、数日にわたり滞在することは非常に困難だと考えております。

○古館委員 これは強く要望しておきますが、数日が無理なら、時間を延ばして、あるいは複数人で行ける、こういう対策を、ぜひ東京都としても前向きに考えていただきたい。これは要望でございます。
 二つ目には、一時帰宅後なんですが、三宅村としては、アンケートを皆さんにとりますということを、助役さんが船の中でお約束したそうです。島民の声をつぶさに聞くという行為は、大変評価をしております。このアンケートの結果に基づいて、都としても島民の願いを強力に支援する対策を確立してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 東京都は、これまでも、避難者を支援するため、さまざまな就労対策や生活支援策を講じてまいりました。今回の生活実態調査の結果の対応につきましては、村が主体となって検討することとなりますが、都としましても、必要に応じ村を支援していく考えでございます。

○古館委員 この総務委員さんの中でも、この間、幹事長さん、私も行かせていただいて、本当に感謝しております。委員長も行かれましたが、行って感じたのは、ライフラインの、公共事業関係は着々と工事が進んでいるのを目の当たりに見てきたのですが、民地に入ると、泥流が詰まったら詰まりっ放しという--もちろん個人財産にかかわる問題ですので、そこの部分の泥流の除去、家屋の補強、補修などをぜひ公共事業として位置づけてもらいたい、私はこのように思います。
 また、先ほど、屋根の穴とかシロアリとか、さまざま出方が違っていますので、できれば、島民の方でハウスドクターのようなことができる方がいればいいと思うのですが、そういう被災家屋を診断するハウスドクターのような方を派遣して、緊急補修とか補強のマニュアルのようなものができたら、家が全面改修だとかということで余計にお金をかけなくても住めるような方途にもなると思うので、こうした方策というのは考えられないでしょうか。
〔「持ち主の考えをまず聞かないことには、どうにもならないわな」と呼び、その他発言する者あり)〕

○岡部災害対策部長 都は、帰島が可能になった場合、住宅に被害を受けた世帯に対しましては、災害援護資金の貸し付けや、住宅金融公庫による災害復興住宅融資利用への利子補助を行うこととしております。
 現状では、なお火山活動が続いております。被災家屋につきましては、今後の状況を見きわめ、村とも連携しながら、必要な調査等を検討していきます。

○古館委員 それで、私も三宅島に行って--今いったようなハウスドクター、もちろん人の家ですから、それはその人の了解だとか含めてやるというのは当然のことですね。
 もう一つは、あそこでみんなで、実費を出してお弁当を食べたんです。あのお弁当は、どこかの業者に委託してつくっているみたいなんですね。今は、クリーンハウスというハウスで、百四十人くらい収容できるのでしょうか、泊まれる。これから作業員の方も多く行くわけで、ですから、そういうお弁当なんかも、あそこで食堂を経営しているとか、食べ物を職としてやられている三宅島の方がいらっしゃると思うのですけれども、そういうところへの雇用拡大みたいのを検討することはできないでしょうか。

○岡部災害対策部長 都は、これまでも、島内で発注いたします公共事業につきましては、三宅島避難民の雇用確保に努めてまいりました。多くの方が就労しております。今後とも、受注企業へ協力を要請していくつもりでございます。

○古館委員 ぜひお願いします。
 それで、げんき農場の件ですが、この間も代表質問で、どなたかの政党でもお話ししていましたが、私も、げんき農場に、八王子の清水都議や、我が党の、日本共産党の村議さんと一緒に行ってまいりました。たくさんの方が声を聞いてほしいということで、歓迎されたのですが、その中でいろいろいわれたのは、半年で切れちゃうと。開墾から何からいろいろなことを、みんなで力を合わせてやってきたわけですよね。六十人近い方が、あそこに行くと一番情報が--そこに行くとみんなに会えて、あの人はこうだったよと、うちへ帰ったら、かあちゃんにしゃべれると。ところが、六カ月たったら切れちゃう。もう、それを考えちゃったら、最近無口になって、夫婦、話をしなくなっちゃったと。何とかずっと続けて、あのげんき農場で働かせてほしいという声がいっぱい、そういう方から出されたんですよね。
 この問題と同時に、私は桐ヶ丘から来ていますといって、私もちょっと土地不案内で、八王子か近くに桐ヶ丘というところがあるのかなと思ったら、私の隣の北区の桐ヶ丘から来ているというんです。でも、ここに来るのが、三宅島のことを考えながら本当に元気が出るんだって。だから、文字どおり名前もげんき農場になっているわけですけれども、これをあっちこっちで、できたらつくってくれないだろうかという声が非常に多く寄せられました。
 したがって、この問題についてはぜひ増設を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。

○岡部災害対策部長 産業労働局によりますと、げんき農場は、島民の方々を雇用し、島の特産の農産物を生産しております。現在、約六十名の方々が働いており、島民の交流や情報交換の場として役立っております。
 このため、帰島できるまでの間、げんき農場が続くよう努めていくとしており、また、区部に農場を設けることを、今後、実施に向けて三宅村と相談していくというふうに、産業労働局より聞いております。

○古館委員 それをぜひ、それこそお願いいたします。
 有珠山の噴火災害に伴う支援策で、虻田町が月々の生活費の支給という制度を実施しました。私は、三宅島でも月々の生活支援というのはぜひ考えてもらいたいなというふうに思っています。
 なぜかというと、ほかのところの場合は、まだ地続きなんです。ところが三宅の場合は、一年以上にわたって帰れないなんとは思ってもいなかった。だから、行政もそういう対応をしてきたと思うのですけれども、一年が過ぎてまだガスが噴出している、そういう中で、本当に不安な毎日を過ごしているわけで、月々の生活費支給の制度というのはどうしても検討していただきたいと思うのですが、それについてはいかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 昨年九月の全島避難以来、東京都は、都営住宅等の提供や就労対策など、長引く避難生活に対する各種の支援対策を実施してまいりました。
 今後の支援策につきましては、都としましては、村の生活実態調査等も参考にしながら、必要があれば村を支援していくということに考えております。

○古館委員 最後に、先ほど私は、民地の住宅再建の問題についてちょっとお話ししたのですが、やっぱりどうしようかと逡巡している一番の理由というのは、自分の家を見て、土砂が入り込んできて、これじゃもう本当に帰りたいけれども帰れないという人の声が多いんです。
 それに対して、鳥取の西部地震のときに、鳥取県の方で、ライフラインだとか公共事業はやっても、住宅に対しての希望を与えなかったら、その村人は戻ってくれない、町の人は戻ってくれない、だから住宅支援をするという形で、住宅に対して公共的な支援に踏み切ったわけですよね。私は、三宅島の島民の方たちにもそういう方向を、希望と夢を与えるという意味でも、住宅再建支援、この問題についてもぜひ検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 住宅再建につきましては、先ほど申し上げましたように、災害援護資金の貸し付けや、災害復興住宅融資利用への利子補給を行うこととしております。また、自力再建が困難な世帯に対しましては、村が公営住宅を円滑に供給できるよう、支援体制を整えております。
 なお、都は、国民の相互扶助を基本とした住宅の災害共済制度を創設するよう、全国知事会を通じまして国に要望しているところでございます。

○大西委員 私も、多摩の将来像について少しお聞きしたいと思います。
 この多摩の将来像は、素案ができた段階で、市町村へのアンケート調査や都民からの意見というものを取り入れておりますけれども、素案の作成の段階で、どのようなメンバーで検討されて、この素案自体がつくられたのでしょうか。

○反町行政部長 多摩の将来像につきましては、素案の策定の前の昨年度十一月に、事務局の中で案を作成いたしまして、その後、市町村へのアンケート調査や市町村との意見交換を開催するなどいたしまして、それで素案を取りまとめたというものでございます。(大西委員「事務局のは……」と呼ぶ)
 事務局のものは、行政部の中で取りまとめたということでございます。

○大西委員 その後、具体的な意見交換とかを行いながらつくってきたのが今回のあれだと思いますけれども、この将来像の実現に向け何よりも欠かせないのが市町村との連携なんですが、これをどのように図っていくのでしょうか。

○反町行政部長 将来像の実現に向けまして、東京都と市町村はそれぞれの役割を担いつつ、緊密に連携しながら、今後の多摩振興を図っていく必要がございます。
 そのため、重点的な取り組み課題でございますチャレンジテーマにつきまして、市町村などの声を聞きながら、今後、その具体化に取り組んでまいります。

○大西委員 この将来像の中の二四ページに、多心型都市構造の実現に取り組み一定の成果を上げたとあります。具体的にどのような成果であって、多心型都市構造の総括、今度将来像に変わる中での総括というものはあったのでしょうか。十分になされたのでしょうか。

○反町行政部長 一定の評価といいますのは、あくまでも行政部の中で評価をしているわけでございますけれども、ある程度の都市機能は、多摩の地域にもだんだん集積をしてきておりますし、先ほど申し上げましたけれども、大学の立地あるいは研究機関、そういうものの集積が始まってきておりまして、そういう意味の機能の集積というものが見られるという評価をしているところでございます。

○大西委員 この部分、ちょっと読み返してもよくわからないし、今の返事を聞いても、なかなかうなずけるような状態じゃないのですが、これは課題としてとっておきまして、一九ページに、分権が推進され、住民に身近な行政は住民に身近な自治体で行うという理念のもと、地域に密着したまちづくりを進めるとありますが、これは、権限、財源を移譲するということがあるんでしょうか。

○反町行政部長 東京都は、第二次地方分権推進計画というものを策定してございまして、今後、市町村に対しまして、身近な事務、それから広域的な事務というものの区分をいたしまして、積極的に身近な事務は市町村に移譲いたしまして、総合的な行政を展開していただく、そういう考え方で今後進めていく考え方でございます。
   〔「財源は」と呼ぶ者あり〕

○大西委員 そうですね。ちゃんとお答えいただきたい。

○反町行政部長 財源をつけるように措置をしていくということでございます。

○大西委員 財源を移譲するというふうに受けとめてよろしいんですね。

○反町行政部長 はい。

○大西委員 では次に、九一ページから、都市基盤についての道路について展開されているわけですが、相変わらず車中心で、自転車や人の歩く道は、一四七ページの方に若干紹介されているだけです。自転車や人の歩く道も、それからここに紹介されましたバリアフリー化、これもやはり都市基盤としての道路のネットワークの中に、本当に中心に据えていく時代だと思っております。
 そういう中で、三〇ページには、多摩地域でも大気汚染の環境基準を達成していない状況も記述してあります。さらに、東京都の環境白書では、交通渋滞の解消のための新たな道路づくりがその解決策にはならないと指摘されておりますし、特に多摩の環境が、緑や水が大切ということで、何度も何度もこの文章の中にも出てきます。
 そういうことを考えたときには、そしてもう現在、多摩の生活が始まっているわけですから、そういう市民からすれば、これまでの車中心の道路づくりから本当に発想の転換をし、自転車道、歩道を中心に据え、そしてさらに街路樹などで道路が緑の道路として連なっていく、そういうものをしっかりと道路基盤、都市基盤の中心に据えていくべきだと私は思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○反町行政部長 道路などの都市基盤の整備につきましては、今後の多摩振興を図る上で重要な課題であると認識しております。
 歩行者などに配慮した道路の整備につきましては、ただいまご指摘ございましたけれども、分野別の将来像の中で、「誰もが安全に移動できるまち」という項目を立てまして、その中で、コミュニティ道路の整備支援、快適な歩行空間のネットワーク化などの取り組みの方向を示してございます。
 しかしながら、これだけでは多摩の振興ということは不十分でございまして、南北道路など主要幹線道路もあわせまして、今後、関係局とも調整しながら取り組みを図っていく考え方でございます。

○大西委員 南北道の道路振興、確かに必要な道路はつくらなければならないわけですけれども、やはり忘れてならないのは、環境への負荷をなるたけ招かない道路をつくるということが本当に大きな課題としてあるわけですから、先ほどもいいましたように、一四七ページあたりにちょろっと出すだけじゃなくて、都市基盤の中に、しっかりとこの視点を入れ込むような将来像にしてほしかったなということがあります。
 それから、多摩の魅力として、水、緑の豊かさが挙げられております。自然環境を本当に守るということは、地域では今みんな関心が高いわけなんですけれども、環境を守るために、どのような取り組みを考えていらっしゃるのでしょうか。

○反町行政部長 多摩の将来像におきましては、多摩地域の豊かな自然を、今後の発展の可能性の大きな要因の一つとして挙げてございます。
 今後、分野別の将来像でお示ししておりますが、良好な居住環境のまちや、チャレンジテーマなどに基づきまして、身近な緑地の保全や河川環境の整備、湧水の復活などに取り組み、自然環境と調和したまちづくりに向けまして、関係局とも調整しながら、その実現に取り組んでまいります。

○大西委員 また、一三六ページからはNPOについて述べてあります。特に多摩はNPOの活動が盛んであり、今後のまちづくりに大きな役割を果たしていくものと考えますが、NPOについては、単にこれを支援していくという観点にとどまらないで、もっともっとNPOが公共事業を担う新たなセクターということを認識し、事業委託等を進める、そういう方向性を出してもいいのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。

○反町行政部長 今後の多摩地域の発展のためには、都や市町村など行政部門だけではなく、NPOを含めた地域のさまざまな主体が緊密に連携、協働してまちづくりに取り組む必要がございます。
 そのため、多摩の将来像でお示ししておりますけれども、NPO活動の活性化などを図っていくとともに、地域におけるNPOの活動実態などについて調査を加えた上で、NPOを公的サービスの担い手として、住民の満足度の高いサービスの提供主体と位置づけていくことも、今後検討してまいります。

○大西委員 東京構想二〇〇〇のときも感じたのですが、今回の多摩の将来像も、策定過程における市民の参画が後退してきていると思っております。素案をつくってから意見を聞くという方法が最近とられておりますが、こういう方法は、参加の手法として余り進んでいるとはいえないのじゃないかと思います。
 確かに東京は広いし、なかなか実現が難しいこともあるわけですが、やはりこういう計画を立てて、だれが実行するのかということを考えたときに、そこに暮らす私たちですから、そういう者の意見がそこに反映されなければ絶対やれないので、素案の段階から本当に開かれた意見を聞く、市民の参画というものも、もっともっと都としても模索していただきたいと思っております。
 そういう結果なのか、庁内で検討された結果、あれもこれもと、本当に盛りだくさんにこういう構想ができております。しかし、しつこいようですが、実現するのはだれかと考えた場合は、多摩の市民の参画なくしては将来像が描けるはずがないわけですから、その辺を重ねてお願いしたいと思っております。
 また、気になることとしまして、十五年間の実質経済成長率を二%と見込んでいることや、それから人口予測が都市構想二〇〇〇から出してあります。都市構想二〇〇〇の人口予測は、国の人口予測ともまたちょっと違っていたりしております。人口は、首都圏といえども確実に少なくなるわけですから、こういう二十一世紀型の都市構想は、環境優先、そしてさらに市民の活力というものを視野に入れた計画にしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 終わります。

○矢部委員 先ほど来いろいろとご意見もありましたが、日本のIT化をおくらせている二つのNというか、一つはNECであり、一つはNTTであります。NECのためにパソコンは日本は三年おくれたと、私は思っております。また、NTTのために、今でもそれこそブロードバンドができていない、そしてなおかつ大変な負担を強いられているということ。アメリカでなぜIT化が進むかというと、いまだに一通話は受話器を置かない限り一通話なんですね。だから、パソコンにつないで、つなぎっ放しにしても料金がかからない。だれでも手軽にできる。
 それと同時に、デジタル化の道をあえて選ばずに、ADSLの開発が先に進んで、結果として、日本は余計なISDN、このための経費にほとんど日本国民の財産というか、お金が使われ、なおかつ今は携帯電話にすべて消えてしまっている。これらのことがすべてIT化をおくらせている要因だというふうに、私は思っております。
 それどころか、先ほど来出ております、げんき農場ではないのですが、ついせんだって、原宿で、げんき祭りというのを企画して、行いました。それは、経済界も挙げて日本の景気がよくない、何とかしてほしいと。いっている本人は、何してるんだ、自分たちがやらなきゃいかぬということを提唱して、そういう話をしているわけでございますが、その提唱者が、今月の十一日にたまたまアメリカにいて、ちょっと中心地でなかったものですから、そこから飛行機も何もなくなって、ひたすらにサンフランシスコを目指して三千キロ走って、三日がかりでやっとたどり着き、飛行機をやっと確保して日本に帰ってきた。その道中の話を聞きますと、この事故によって、IT化は何も役に立たなかった。パソコンからは何も情報はとれなかった。電話も通じなかった。今いわれている、描いているようなものは一切役に立たず、情報源として唯一有効だったのはラジオのみであったという、極めて衝撃的な話を聞きました。
 さらには、ビル・ゲイツがもうITの時代は終わったと宣言をして、これからはアグリカルチャーの時代だと、農地を大量に買って、食糧を供給する会社にマイクロソフトをするのだという提唱をしているようであります。
 要は、このアクションプランの中に、電子都庁推進計画をつくり、これに基づき、平成十五年度を目途に電子都庁の構築を目指します、というふうに書かれております。しかし、平成十五年は、世の中はIT化はもう終わっているのではないか、私はそのくらいに思っておるのであります。
 ドッグイヤーという言葉があって、一年が四年だといわれておりましたが、今はマウスイヤーなんで、一カ月が一年くらいのペースで進んでいるといわれているときであります。平成十五年を目指すなんていっているのではとても終わりで、今できてなきゃ、こんなものはやめた方がいいというふうに私は思っております。
 いろいろなことが書かれておりますけれども、IT推進室は何をやっているのだろう。この都庁をつくったときにIT化をしましたけれども、ちょっと早過ぎて、一台四百五十万もするパソコンを、あのときは四人に一台でしたか、入れました。結果、考えますと、えらいむだ遣いをした。今、五万もしないパソコンでありますから、今、全職員一台ずつ五万円のパソコンを入れた方が、よっぽど早い話だというふうに思っておるわけです。
 いろいろなことがここに書かれておりますけれども、三月に成果をまとめて、今、九月に議論をしているわけですね。このこと自体が、ドッグイヤーだとしても、もう二年たっている話ですから、二年昔の話を何をいってもしようがないというレベルでお考えいただかない限り、IT化というものは、むだなお金をかけるだけの作業ではないかというふうに思っております。
 大変いろいろ幅広く申し上げておりますが、そういう中におきまして、こういって答えるのは答えにくいでしょうけれども、まず、何を考えているのか、お聞かせいただきたい。

○木谷IT推進室長 非常に中身が多岐にわたっておりまして、私として何を答えるか、今考えていたのですが、まず第一に、日本がおくれた問題でありまして、これは委員がおっしゃったとおりだと思います。個々の企業の問題は別にしまして、アメリカにおくれ、シンガポール、アジアにおくれ、日本のITにおける後進性というものは非常に激しくなったというふうに考えています。特にブロードバンド、ご指摘ありましたけれども、これにおいて日本はずっとおくれました。これは、日本の活力を損なう上で非常に大きな問題があったというふうに考えています。
 農業の話はちょっと別にしまして、私が所管しておりますIT推進室のことについてご指摘がありましたので、少し私の意見を申し上げたいと思っております。
 九一年にこの都庁舎がつくられて、当時最高水準の光ファイバーが敷かれた、これは事実でございます。ところが、この十年間、都庁のIT化は、委員がご指摘のように、おくれにおくれたわけであります。インターネットにつながったのが昨年の十月十六日でありまして、見事にIT化におくれてしまった。これはひとえに都庁の責任であります。
 しかしながら、ことしの三月に電子都庁推進計画をつくりまして、非常に急ピッチに、今、IT化を進めております。出発が出発なものですから、私どもは、電子都庁ではなくて原始都庁だといっておりますけれども、そこから出発したがために、私たちも非常に頑張っておりますが、まだまだ十分ではない。これは委員がおっしゃるとおりであります。
 しかしながら、今年度においてようやく本庁に九千五百台のパソコンを配布いたします。これは初めてであります。この都庁の力を出す上で、職員一人一人の知恵と力をどう引き出すか、これがかなめでありまして、現在まだ十分でないからといって、ITが必要ではないということについては全く考えておりません。
 先生がご指摘のように、事業所の問題も含めて、これからいよいよ本気になってIT化に取り組んでいく。ネット産業の問題等々ありますけれども、それと、組織の力を高めていく上でのIT化は、やはり別ではないだろうかというふうに思っています。その点では、まだまだ日本はおくれている。民間企業もおくれているし、自治体は特におくれています。それを、東京の問題解決のために、これからやっていかなければいけない時期だというふうに思っております。
 とりあえず、私の所管していることについてはお答えいたしました。

○島田行政改革推進室長 二点、お答えいたします。
 一点は、今回の議会にまでこの報告がおくれてしまったことを、まずおわびいたします。来年は間違いなく三月いっぱいできちんとまとめまして、六月の議会に報告をさせていただきます。
 現在、十二年度から十五年度まで、三百五十の施策がございます。十三年度は五十三施策ございますが、これを、十月の末にはきちんと各局から進行状況を調べ、そして、おくれているものは促進させながら、きちんと進めていきたいと思います。
 もう一つ、IT関連でございます。十五年度までということでございます。中に、ワンストップサービスだとか、ATMを利用した電話、パソコン、それからコンビニのATM、そういったものからも税金だとかが払えるということがございます。これはやはり社会の状況、そういった流れとうまく情報の技術をつなげていくこと。
 それから、私ども、文書というのはまだ判こを使っております。これはいろいろな法律で制限がございますので、そういったものを打破しながら、きちんとIT化を進めていかなければいけないということで、十二年度から十五年度の中で、きちっと段階的にやっていこうということで考えております。
 以上でございます。

○矢部委員 大変明確にお答えいただいて、驚いておりますが、結局、おくれたことを嘆いてもしようがないわけで、もう今あるものを全部捨てた方がいい、白紙にした方がいいと私は思っております。
 どこもそうなんですが、先進的なんて、先にやったところは必ずおくれまして、これは違う例かもしれませんが、モンゴルへ十年前に行きましたときは、電話が、国際回線、二十回線しかなくて、すべてモスクワ経由でありましたけれども、去年、おととしか、お邪魔しましたときは、みんな携帯電話を持って歩いておりまして、馬の上に乗りながら携帯電話しておりますから、これはどうなったのかなと思いましたらば、日本からいろいろ技術提供しているようでありますし、変なワイヤーなんというインフラがなきゃないなりに発展するわけです。今はそういうものがあり過ぎるのでよくないわけですから、一気にいくチャンスではないかと、逆に思っております。
 ついでに申し上げますと、移動している、ゲルというテントですけれども、その中にみんなノートパソコンを置いて、役所とのやりとりは、携帯電話経由で全部パソコンでやっておりますから、郵便も何も要らなくて、日本よりはるかに進んだ町に、何もなかったがゆえになっちゃうわけでして、余計なものがあるということは、かえってよくないわけだというふうに思っております。ですから、もう概念はすべて捨てて取り組みをしていただきたいと思うのであります。
 電子都庁についてなんですけれども、ともかくおくれている理由はほかにある、しかし、いろいろなウイルス等々の関係もあって、外につなぐということの配慮もありました。しかし、ここで思いますのは、ビルの爆破で結局何があったかといいますと、次の日にもう稼働している企業もあるわけですね。それは、データのバックアップが完全にとれている。これは何があっても必要なことです。東京都も立川にあるわけであろうと思っておりますけれども、どんなことがあってもそのことに対応できるという配慮、電子都庁化をするという中では、デジタル情報として、その移動がきちっとバックアップできるということですから、このこともにらんでいただきたいというふうに思っております。
 それから申請書類関係、インターネットでとれるものは確かにありますが、ここにもありますように、契約関係だけに限られているようです。なおかつ、これも局によって様式が違うなんということもあるようですから、せっかくするならば、なるべく都庁スタンダードのようなものをこしらえる努力もされるべきだというふうに思っております。選挙の立候補に当たって、選管のページへ行けば申請書類があるのかと思ったらば、何もありませんから、そうしたことも含めて、まだまだ載せるべきものはあるのだろうと思うのです。
 ですから、何をすればいいじゃなくて、やるなら徹底的にやるべきです。やっているということが目に見えるように、ぜひ進めていただきたいと思います。
 先ほど、それぞれ各局の様子があって、出ているもの、出ていないものというお話がありましたが、どこが出ているのか、どこが出ていないのかということも見えるようにするべきですし、それこそ今、東京都庁はパブリックコメントについてはおくれておりますけれども、そういう意見も述べてもらいながら進んでいけるという体制をつくるように、努力をしていただきたいというふうに思っております。
 まとめて申し上げてしまいます。二ページの一番下のところに、建設コスト縮減検討委員会、これはある面では大事なことだというふうに思っておりますが、ここのところ私が思いますのは、建物については、イニシアルコストはこれで縮減しますけれども、ランニングコストのことが余りいわれておりません。その最たる例は、何とも建築にかかわる者として恥ずかしい江戸東京博物館。早く壊してほしいと思っておりますが、ああいうぶざまな、使えば使うほど維持経費のかかるような建物、こういうものがあっていいのだろうかというふうに思っております。
 それは、結局、発注段階での、どういうものをつくるという要求段階が明確じゃないからであるというふうに思うのです。これは財務局のことになるのでしょうけれども、トータルで考える中では、ランニングコストを最小限に抑える努力、あるいはそのことについてどういうふうな努力をしているのかというようなことが、その選考過程になければいけないというふうに思うところでございます。
 八ページにライフサイクルコストという、これは違う観点であることが書かれていますけれども、ライフサイクルコストというのは大変大事なことで、総トータルで考えて、イニシアルコストだけ下げても、その先のランニングコストが上がるのでは、結局のところ後年度負担になってしまうわけで、見せかけではなくて、やはり都民にとって何がいいのかということが、どこから見ても疑いのないように見える仕組みにして、なおかつ、今後の取り組みのところにありますけれども、定期的な進行管理ということについても、着実に進んでいるのか、おくれているのか、とまっているのか、どうなっているのかが逐一わかるように、せっかくIT化を主張している総務局ですから、ホームページにどんどん載せて、その進tちょく状況を都民にわかるようにしていただきたいというふうに思っております。
 まとめて申し上げましたが、以上でございます。

○坂口委員長 何か答弁が必要ですか。

○矢部委員 局長、お考えありますか。

○大関総務局長 一般論のような答弁になって申しわけないと思いますが、私ども、IT化を進めておりますのは、先ほどから担当部長が申し上げていることもありますけれども、やはり一番大事なのは、都庁という会社が行政サービスという商品を出すのに、余りにもスピードとコストがかかり過ぎている。それと同時に、高品質の行政サービスというのが売られていないということ。
 例えば福祉の問題一つとりましても、対象者が、その商品を買いたい人たちが自分で買えないような難しい手続になっているというようなことがあろうかと思います。これを、IT化を進めることによりまして、そういう意識革命といいますか、いろいろな意味で中の手続が簡素化されていく、そのことによって、いろいろな仕事の進め方も改革できるということで、いろいろブロードバンドの問題だとか、ハード面あるいはシステムの問題上の技術的な進歩、これは私どもではいかんともしがたいほど進み方は速いのですけれども、行政の改革といいますか、仕事の進め方の改革は、どういう技術になろうと進めなきゃならない話なんですね。
 それが、このいい時期にITの時代を迎えておるわけですから、すべてをIT化の視点の中で見直すことによって、いろいろな仕事の仕組みが改善できるのじゃないだろうか、こういうことを考えているわけです。
 今のところは、まだ、申請手続がパソコンでとれるよということで、いわばファクスがわり的な発想だと思うのですが、これが、果たしてそういう手続が必要なんだろうかと。
 例えば、一つの行政サービスを得るのに、あっちこっちに住民票を持っていかなきゃならない、印鑑証を持っていかなきゃならない、納税証を持っていかなきゃならない、そういうことをやっていると思うのです。こういうものが果たしてそこまで必要なのかということ。一つ東京都のお得意さんになった方については、もういいじゃないかということだってあり得るかもしれないし、そういう面から徹底的に見直していこうということなんですね。
 これを、今までの単なる仕事の流れを変えるということだけでなくて、この機会をうまく活用してこれから進めていきたいということですので、もうしばらくご理解いただければと思っております。

○木内委員 新しい多摩の展望の上から、我が党の谷村委員が先ほど真摯な議論を展開したわけでありますけれども、関連して、一問、提案をさせていただきたいと思うのです。
 多摩の電話局番の問題でありまして、これまで何度も議会で議論をされてまいりました。きょうまた谷村委員の方から、整合性と、極めて矛盾に満ちた多摩地域の局番の実態について言及がありました。
 私は、この議論は慢性化させてはならないと思っているんです。手あかがついているようでありますけれども、常に古くて極めて新しい問題だと思っております。先ほど、ドッグイヤー、マウスイヤーの話もありましたけれども、これだけ急角度に社会環境や都市構造が変わる中で、いわば通信というのはその生命線をなすものでありまして、すぐれて社会的な存在であるわけであります。したがって、今、新しい持代のスタートに当たって、これまで重ねられてきた議論から一歩進んだ施策と行政の努力が行われる必要がある、こういうふうにも思うわけであります。
 先ほどの答弁を聞きますと、それなりの努力で、行政としては関係事業体への要請を重ねてきたということでありますけれども、歴年のそうした経過を見てみますと、いずれもこれが一方通行の要請に終わって、一体何が問題で、技術的にどういう隘路があってこの問題が解決されないのかということが明らかにされない、また、それを克服するための方策というものが、行政の関係者を交えた形での議論の中で熟成してこなかった、私はこういううらみがあるように思えてなりません。
 そこで提案でありますけれども、長い間議論されてきた多摩の局番の問題、一点突破して全面展開するための新しい試みとして、関係事業者、行政サイドも含めた、多摩局番の問題解決のための協議会なり研究会、勉強会、こういったものを立ち上げて、そうして具体的な解決に向けての議論を進めていくべきではないか、きょうの質疑を聞いておりまして、それを痛感したわけであります。
 急な提案であり、質問でありますけれども、そうした検討も含めて、新たな展開をされるよう要請しますが、ご答弁をいただきたいと思います。

○大関総務局長 多摩のチャレンジプロジェクトがもう一つふえたような感じがいたします。今、十個、厳選して絞っておりますけれども、ご提案につきまして、十一番目にというか、十一の中の一つに入れさせていただいて、検討させていただければありがたいと思っております。しばらく時間をください。

○坂口委員長 ほかに発言はございませんでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十分散会

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