委員長 | 今井 悦豊君 |
副委員長 | 吉住 弘君 |
副委員長 | 藤川 隆則君 |
理事 | 土屋たかゆき君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
理事 | 新藤 義彦君 |
木内 良明君 | |
東野 秀平君 | |
鈴木 一光君 | |
樺山 卓司君 | |
前沢 延浩君 | |
坂口こうじ君 | |
渋谷 守生君 | |
木村 陽治君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策報道室 | 室長 | 安樂 進君 |
理事 | 赤星 經昭君 | |
知事室長 | 中村 正彦君 | |
政策調整部長 | 岡田 重信君 | |
特命担当部長 | 松田 紀子君 | |
国政広域連携担当部長 | 三枝 修一君 | |
広報部長 | 中島 建夫君 | |
計画部長 | 関谷 保夫君 | |
調査部長 | 松田 曉史君 | |
首都機能調査担当部長 | 野村 寛君 | |
都民の声部長 | 浅井 憲彦君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 南 靖武君 |
次長 | 田口 正一君 | |
監査事務局 | 局長 | 久保田康治君 |
次長 | 銅谷 勝子君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
報告事項(説明・質疑)
・東京都電子投票制度検討研究会の中間報告書について
事務事業について(質疑)
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
政策報道室関係
報告事項(説明・質疑)
・首都移転の費用対効果の検証について
事務事業について(質疑)
○今井委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、政策報道室関係の報告事項の説明聴取と質疑並びに選挙管理委員会事務局、監査事務局、政策報道室関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
初めに、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○田口次長 資料につきまして、説明順序が変わりましたので、報告資料第3号よりご説明申し上げます。
先般、東京都電子投票制度検討研究会が取りまとめました中間報告書につきましては、お手元に資料第3号として報告書の概要、資料第4号として報告書の本文が配布してございますけれども、本日は概要の方でご説明をさせていただきます。
それでは、概要の一ぺージをお開きいただきたいと存じます。
第1章は、投・開票事務の現状と電子投票制度の導入への期待といたしまして、近年の投・開票に関する選挙制度改正の経緯と、その改正に伴い選挙事務にもたらされた影響について明らかにしております。
第1は、投・開票に関する選挙制度改正の経緯でございます。
第2は、投・開票事務の現状と課題として、平成十二年六月に執行しました衆議院議員選挙の状況を記載してございます。
次に、二ぺージをお開きください。
第3は、投・開票事務における電子機器利用の現状でございます。
第4では、電子投票制度導入の一般的な効果を四点にわたって掲げてございます。
次に、三ぺージをごらんください。
第2章は、電子投票制度の導入に向けた課題でございます。電子投票制度の導入の対象となる枠組みを、実務的、現実的な視点から絞り込んだ上で、求められる条件や実現に向けた課題を検討し、整理したものでございます。
第1では、当面取り組むべき電子投票制度の枠組みを、おおむね向こう数年の間に実現可能な技術を前提として一覧表にまとめ、現時点での検討対象とするものと将来的な検討課題をそれぞれの区分ごとに整理してございます。
第2では、電子投票制度導入時に求められる諸条件としまして、投票時において一人一票の原則が厳守されていること、だれもが扱いやすい投票システムであること、四ぺージに移りますが、投票の秘密が保持されていること、不在者投票への配慮が十分になされていること、セキュリティー対策が十分になされ、運用面からの体制がとられていることなどの項目ごとにそれぞれの課題を整理しております。
五ぺージをごらんください。
第3の実現に向けての課題では、おおむね向こう数年の間に実現可能な技術を前提としたシステムの構築、電子投票制度に対する都民の理解と協力、電子投票制度を適用するための法律等の整備、費用対効果に対する都民の納得の四点にわたる課題について記載してございます。
以上が中間のまとめの概要でございます。
今後、本報告書に対する区市町村の実務者からの意見などを参考にしながら、これまで整理した諸課題につきまして、それぞれ実現、解決するための具体的な方策を検討し、最終報告としてまとめる予定でございます。
大変雑駁ではございますけれども、資料の説明にさせていただきます。
○今井委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、次に行われます事務事業に対する質疑とあわせて行いたいと思いますので、ご了承願います。
次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件について既に説明を聴取しておりますが、その際、要求いたしました資料をお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○田口次長 去る十月二十四日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
それでは、第一ぺージ目をお開きいただきたいと存じます。資料第1号は、都議会・参議院議員選挙における経費について記載したものでございます。
左の欄が、都議会議員選挙における選挙期日と経費及び立候補者数を、また、右の欄には、参議院議員選挙における選挙期日と経費と立候補者数及び届け出政党数を記載してございます。
また、参考といたしまして、主な公職選挙法の改正を記載してございます。
次に、二ぺージをお開きいただきたいと存じます。資料第2号は、衆議院・参議院議員選挙における一票の較差について記載してございます。
1の東京都と他県との比較では、衆議院議員選挙及び参議院議員選挙における平成七年国勢調査の議員一人当たりの人口などを記載してございます。
2は、定数訴訟に関する最高裁判所の判決について、平成八年執行の衆議院議員選挙、平成十年執行の参議院議員選挙の判決内容を記載してございます。
以上、簡単ではございますけれども、ご要求の資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○今井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、先ほど聴取いたしました報告事項に対する質疑とあわせて、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○樺山委員 私は、来年の都議会議員選挙と参議院議員選挙の日程に関する問題、それから、今ご報告がありました電子投票制度検討研究会の中間報告の二点についてご質問を申し上げたいと思います。
早いものでございまして、都議会議員の改選も、来年の七月だと思いますが、いよいよ迫ったわけでございます。あわせて、参議院の通常選挙も行われるということで、専門家も含めて、支持者も含めて、来年の選挙は同日なのか、あるいは別個にやるのか、よく質問を受けます。各委員の先生方も同様の質問を受け、かつまたご関心をお持ちだろうというふうに思うわけでございますので、その辺からちょっと入りたいと思うわけであります。
まず、改めて確認をさせていただきたいのですが、都議会議員及び参議院議員の任期満了日は来年のいつなのか、これをお答えいただきたいと思います。
○田口次長 都議会議員及び参議院議員の任期満了日は、ともに平成十三年七月二十二日でございます。
○樺山委員 全くの同日だということで、両方とも任期満了日が全く同じということでありますが、それでは、都議会議員と参議院議員選挙の選挙日程を確定するに当たって、通例として、具体的にどういうことを基準にして決めていくことになるのか、流れをちょっとご説明いただければありがたいと思います。
○田口次長 まず、都議会議員選挙の期日でございますけれども、公職選挙法第三十三条によりますと、任期満了の三十日以内とされております。したがいまして、平成十三年の六月二十二日から七月二十一日の間に設定することになります。
次に、参議院議員選挙の期日でございますが、国会の日程に影響がなければ、都議会議員選挙と同様の条件となります。この期間は、国会の閉会日から二十三日以内にかかります場合には、公職選挙法第三十二条第二項の規定により、選挙期日は閉会後の二十四日から三十日の間とされております。通常、五年間の通常国会の閉会日を見ますと、六月中旬以降が大半となっております。その場合には、参議院議員選挙の期日は七月の中旬以降となります。
○樺山委員 そうすると、仮に通常国会が六月の中旬ごろまでに閉会するということであれば、参議院議員選挙と私どもの都議会議員選挙が同日に執行されるという可能性が非常に高まるということだろうというふうに理解をいたしますが、逆にいえば、参議院も通常国会の閉会が六月の中旬以降になる、あるいは、この五年間の流れからすると、六月の中旬から下旬になるというふうな状況が来年も起き得るとすると、同日で執行できずに物理的に分離せざるを得ないということになるだろうというふうに私は思うわけでございますが、そのこととは全く別の見方から、私自身は、いわゆる国政選挙と一地方自治体の議会選挙を同時選挙として包括して実施するということに対して二つ疑問を持っておりまして、この辺をちょっとご指摘を申し上げたいと思うわけでございます。
まず第一に、選挙の争点が明確でなくなるという心配が出てまいります。いうまでもなく都議会議員は、都の予算を審議、審査し、都の条例のよしあしを議論するために選ばれ、そして、その負託を受けて議会活動をしているわけでございます。また、今、都政においては、都の中小企業を育成して魅力あるまちづくりを推進し、都の文化を世界に誇れるものにする、そういった責任等々を含めて、実はたくさん課題を抱えております。いずれも都政の問題でございまして、これらの課題に精通している、これが都議会議員としての本分であり、また選出される基準になるべきであります。
昔、都知事の選挙にかかわらず、佐藤政権末期だったと記憶しておりますけれども、ストップ・ザ・佐藤なんということを高らかに掲げて立候補する方も大分出たというふうな時期もあったように記憶してございますけれども、首都東京の選挙は、ややもすると国政にかかわる、それが大きな争点となるということがあります。しかし、これは地方自治の原理原則からいうと、ちょっとおかしいんじゃないかというふうな疑問を私自身は前から抱いておりましたし、首都の選挙ということで、ただでさえこういう傾向はどうしても出てくるのに、参議院議員選挙と都議会議員選挙を同時に執行する、実施するということは、さらに問題の混同を招く可能性が出てくる。また、参議院議員の選挙期間中、これは国政選挙でございますから、テレビや新聞の報道も国政に関することに集中して、都政の取り扱いは極めて小さくなる。そして、都議会議員選挙の立候補者に関する報道の取り扱いも極めて矮小化されてしまうんじゃないかという心配も出てまいりますし、特に有権者は、都政のことを知らず、あるいは理解をなさらずに都議会議員選挙に臨むということも大いに考えられるわけでありまして、これが果たして適正な選挙といえることになるかどうか、この辺の疑問も当然出てくるわけであります。
そして、同日選挙とすることの私が抱いている第二の疑問、問題は、選挙の執行体制が果たしてきちっと十分に確立されるのかどうか。二つの選挙を、とりわけ参議院選挙と都議会議員選挙という極めて大きい選挙を同時に執行することになると、ポスターの掲示場や投票所等の確保、もちろん通常より広い場所を確保しなきゃならぬでしょうし、この過密都市の東京で、特に特別区二十三区内でこれらをしっかりと確保していくということは大変物理的に厳しい、困難なことがありはしないか。それと、投・開票事務に携わる人々の確保の点で、とりわけ膨大な投票用紙の開票作業に当たる職員の確保、これはかなり無理が及ぶのではなかろうかという心配もございます。
そこで、お尋ねをするわけでございますが、今回の衆議院議員選挙における小選挙区の開票の確定時刻が何時であったか、これをちょっと教えていただきたいのです。
○田口次長 今回の衆議院議員選挙の都選管における最終開票の確定時刻でございますけれども、投票の翌日の午前五時十分でございます。
○樺山委員 五時十分。五時というともう全くの朝であります。これに従事する職員は、すなわち完全な徹夜作業ということになったわけでありますが、この開票の確定時間が何でこんなに遅くなったのか、その原因等々お答えいただけたらと思います。
○田口次長 近年になりまして、我が国におきましては、有権者にとってより投票しやすい条件を整備するためにさまざまな改正が行われております。平成四年の参議院議員選挙からは、都は翌日開票から即日開票に移行しております。その後、平成十年の参議院議員選挙からは、投票時間が午後六時から八時に延長されております。また、不在者投票の事由が緩和されまして、投票時間も午後八時までとなり、不在者の投票も大幅にふえております。さらに本年の六月の総選挙からは、外国に暮らしていても投票のできる在外選挙制度が実施され、また洋上投票も導入されております。このような新しい制度によりまして、選挙事務の内容がますます複雑化、多様化したことによるものでございます。
○樺山委員 今のご答弁のとおり、かなり選挙事務の内容が複雑かつ多岐にわたってきたということでございます。そういたしますと、来年の参議院議員選挙は、これはすったもんだの末に新しい方式で選挙が実施される、すなわち比例区での政党名と個人名の併用という、実際にこれはやってみないと具体的にどういう結果が出るのかはまだまだ未知の分野の新しい選挙方式が施行されるわけでありまして、従来どおりの方式でとりあえず開票するとなると、開票確定時間は大体いつごろになると予想されますでしょうか。
○田口次長 平成十二年の十一月の公職選挙法改正によりまして、参議院比例代表選出議員に非拘束名簿式が導入されることになりました。これによりまして、投票はその数が数百に上ると予想されております名簿登載者の氏名や政党名などを記入することになります。そのため、開票時の開披分類や効力判定及び集計の作業量は膨大なものになると見込んでおります。
昭和五十五年までの参議院全国区選挙におきましては、百名程度の候補者がございまして、開票から確定までの所要時間が十数時間であったことを考慮いたしますと、非拘束名簿式の開票作業は極めて長時間になる、このように予想しております。
○樺山委員 今のお答えにもあったとおり、個人名でも立候補が認められる、有効であるという選挙制度の改正によって、巷間いろんな話があるわけでありますが、候補者が相当ふえるだろうというマスコミ等の推論もあるわけでございまして、そのような状況では、予想するだけで相当な問題が発生されるだろうというふうに思われるわけでございます。
とりわけ、地方都市と比べて自動車の通勤者が少ない東京では、午前二時や三時に仕事が終わっても帰宅の足がない、こういった現状の中で二万人もの職員に対してホテルやタクシーを用意するということになると、その経費だけで相当膨大なものになるだろうというふうに思いますし、また、聞くところによりますと、投・開票事務に携わる職員が不足して、事務職だけでは対応できない。したがって、現場の保母さんなんかも相当参加をしていただかないと通常の執行体制が整わないということで、現実に保育園の保母さんなんかが事務に従事をされる。そして、例えば日曜日の早朝の六時ごろから勤務してほとんど徹夜で働くことになるわけでございます。果たして翌日、例えば保母さんなら保母さんが、いつものとおりの笑顔で子供たちに接することができるんだろうか、こういった疑問も出てまいるわけでございます。
参議院議員選挙一つでも、そのように極めて困難な状況が想定されるわけでありますし、さまざまな不安要素を抱えるということになるわけであるのにかかわらず、都議会議員選挙を同日に執行するということは、率直に申し上げて不可能ではないのかなということを、私個人としてはいわざるを得ないと思います。
選挙管理委員会において、都議会議員選挙の選挙期日を決定するに当たって、ぜひ以上申し上げたさまざまな問題点をきちっとご整理いただいて、ご考慮いただいて、最終的な、しかるべく賢明なご判断をいただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。これは要望でございます。
そして、次の質問に入りたいと思います。さっきいいました電子投票制度検討委員会の中間報告でございます。
もう毎日、ニュースではんらんをしております、先週行われたアメリカの大統領選挙、歴史上最も接戦というべき大選挙となってしまいました。けさの報道では、フロリダ州がブッシュさんが三百票リードということで、そうはいっても二百九十万台の三百票ですから、もう本当に誤差というべき誤差でもないぐらいの誤差になっているわけでございまして、再集計をどうする、あるいは機械、手作業だと、大変な混乱に陥っているわけでございますが、ある意味で民主主義先進国、民主主義のお手本といわれるアメリカで選挙管理事務がこんなに混乱をする、本当に選挙管理事務というのは難しいものだなということをしみじみと思わざるを得ないわけでございまして、これをアメリカがどういう決着をするのか、我々もかたずをのんで見ているところでございます。
ところで、このさまざまな報道によりますと、今回の選挙、電子機器を利用した投票は全米各地で具体的に実施されたと。聞くところによると、ほとんどだということを私も把握しているわけでございますが、その実情をちょっと教えていただきたいと思います。
○田口次長 アメリカ合衆国の選挙の投票方法は、同じ大統領選挙でも、カウンティー、これは郡に当たりますけれども、郡ごとに異なっておりまして、ほとんどのところで電子機器を利用した投票が行われております。電子機器を利用した投票のうち主流となっておりますのは、パンチカード方式でございまして、これは投票しようとする候補者名や政党名をボタンを押すことなどによりまして投票用紙にパンチし、このパンチカードをカードリーダーで読み取って集計する方法でございます。また、候補者名、政党名が印刷されているマークシートを投票用紙としまして、光学式マーク読み取り装置を使って行うOMR方式がございます。この二つの方式は、主に西海岸地域の都市部で使われております。さらに最近では、ボードに候補者名、政党名を表示いたしまして、それぞれボタンまたはタッチパネルによりまして投票する方式も普及しつつございますが、これにつきましては、主に東海岸地域や西海岸地域の都市部で利用されております。
○樺山委員 要するに、一口に電子投票といっても、かなり多様な方式があるようであります。今お答えがあったそれぞれの方式について、その長所と短所、これをお述べいただきたいと思います。
○田口次長 まず、パンチカード方式でございます。パンチカード方式やOMR方式は、カード、マークシートを媒体としまして、これを電子機器を利用して読み取ることから、純粋な電子投票とはいいがたい面がございますが、この二つの方式の長所としては、利用実績が豊富であり、安定性にすぐれている点や、投票結果を用紙として保存できるなどが挙げられております。
また、短所といたしましては、二つの方式とも、投票はさほど簡便ではないために投票人に錯誤が生じやすいことや、パンチカード方式の場合はせん孔のくずによる読み取りミスが生じやすいことが挙げられております。
また、ボタンやタッチパネル方式は、投票の際、直接電子データとして記録されるため、電子投票の典型といえます。
この二つの方法の長所としては、投票は簡単であり、集計結果は極めて早く出せることがございます。短所としましては、アメリカ合衆国の場合では、個々の投票内容が保存されないため、機器に対する高い信頼性を確保しなければなりません。また、タッチパネル方式は、指先の震えなどにより入力ミスを犯しやすいので高齢者や障害者には使いにくく、ボタン式は、それより若干扱いやすいものの、候補者が多くなりますと対応が難しくなる、こういった欠点が挙げられております。
○樺山委員 先ほど参議院議員選挙の投・開票の実態を伺ったわけでございますが、近い将来、電子投票の方向に進まざるを得ない状況になるということはよく理解できるわけであります。しかし、選挙は人間の行動でございまして、機械化になじまないという問題があることを、まず私は申し上げてみたいなと思っております。
まず最初に、開票のドラマがなくなる。これはもうここにいらっしゃる各委員、経験者でございます。少しずつ開票される。午前十時現在、だれだれ何万票、何千票。少しずつ時間を追って開票されるから、もう期待と不安が交錯して、えもいわれない緊張感に実は包まれるわけでございまして、中には、四年間に一回、あの思いを味わいたいということで必死の思いで選挙運動をなさる方もいるということも伺っておりますけれども、こういう開票の微妙な経過、過程を経て当確が出たと、この喜びは、これはもう何物にもかえがたいものでございまして、これがもしいきなり、例えば正午にどかんと機械で表示されちゃうというふうな事態を想定したとき、私たちはもうなすすべがないんですね。もうその瞬間に命をかけざるを得ない。これは非常に体にもよくない。(笑声)日本人はマラソンが好きだと、このことは有名な話ですが、マラソンにも似たドラマ性が開票にあるわけです。四十二・一九五キロを、ペースを必死になって調整しながら最終的にゴールにたどり着く。この開票を一連の経過というか、テレビのショーだというふうな見方も当然あるわけでありますけれども、この何時間が、国民が政治に関心を持って、政治についてある意味でじっくりと考える、大変貴重な時間になっている。そのことをやっぱり抜きにして開票ということを考えるわけにはいかないだろうというふうに私は思うんです。
それから、投票行動自体の価値ですね、投票所に足を運んで自分で候補者の名前を自書する、そして投票箱に入れる、その行為そのものがある意味では聖域だというふうに私は思うぐらいでございまして、四年間にわたって自分たちの納めた税金の使い道のあり方を一人の候補者に託すわけでありますから、自分たちのその投票行動というものをそれぞれの有権者が誇りに思っておられるし、ある意味で一つの儀式としてもこれは大変大事なことではないんだろうかと。
例えば、携帯電話でもいいですよなんということになって、携帯電話でぱっぱっぱっと投票するというふうな事態も将来起きるとすれば、これは政治というものに対してじっくり考えていくという暇もなければ、ある意味では政治そのものに対する逃避ということになりはしないかという心配も当然のごとく出てくるわけでございまして、以上申し上げた上、電子投票の実現というものについては、恐らく都民、国民の間にさまざまな心理的な抵抗が予想される、これを単なる合理主義で割り切る、このようなことが単純になされてはならないのではないか。今後、相当大きな議論になってくると思うわけでございますが、さまざまな意見を持つ都民のコンセンサスが得られるように、最終報告に向けて十分時間をかけてご検討をいただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
○木内委員 電子投票制度についてであります。
東京都電子投票制度検討研究会の報告が今ありました。今日的な急速なIT技術の進展を考えますと、電子投票の是非も含めて議論が起こってきていることは一つの流れかなと思う一方、今も同僚委員から指摘が部分的にありましたけれども、選挙制度や選挙における具体的な執行方法というものは、いうまでもなく民主政治の根幹をなすものでありますから、したがって、この議論については十二分以上に慎重な検討が必要でありますし、断じて拙速であってはならない、こういう指摘も一方でしなければならない、こう思うわけであります。
そこで、ご報告があったことでありますけれども、電子投票制度を検討するに当たっての事務局の基本的な認識についてまずお尋ねします。
○田口次長 電子投票制度でございますけれども、投・開票事務の効率化など選挙事務の改善に資するとともに、都民の皆様にとりましても、選挙結果が迅速に得られ、有権者の投票意思が正確に反映され、投票のバリアフリー化に役立つなどの効果が期待されております。しかし、セキュリティー対策などシステム面の課題に加えまして、電子機器に対する都民の皆さんや候補者の不安など、今後検討すべき課題も多くございます。
また、現行の自書式投票に対しまして都民の高い信頼が寄せられていることを考え合わせますと、電子投票制度導入に当たりましても、自書式と同等、あるいはそれ以上の信頼性を有するものとなるよう、慎重に取り組む必要があると考えております。
○木内委員 いみじくも今答弁にありましたように、自書式と同等あるいはそれ以上の信頼性を有するものとなるよう慎重に取り組む必要があるという答弁を考え合わせますと、やはり極めて慎重な対応が必要であろうというふうに思いますし、一定の結論を得るには、一朝一夕ではこれは図られないということも実感をするわけであります。
先ほどの質疑にもありましたけれども、アメリカの大統領選挙がいまだに開票作業中でありまして、実はこの混乱というものは、我が国の選挙制度あるいは選挙の執行方法に対しましても大変示唆に富んでいる面があるんではないか、このように私は思うわけであります。
すなわち、十一月七日に選挙が実施され、きょう現在で九日が経過したにもかかわらず、いまだに次期大統領が決定をしていないという現実があります。その主たる原因は、投票総数が約六百万票で、東京都とほぼ同じ規模のフロリダ州の開票結果が確定していないというところにその原因が求められるわけでありますけれども、当初、ブッシュ氏が千八百票以上リードしたといわれていたにもかかわらず、再集計をすると三百票程度の差にまで現在縮まってきていて、最終的には海外からの不在者票の開票結果まで待たなければならない。また、大量の未開票の票が、改めて開票を行った際に見つかったりもしておりました。リゾート都市として有名なパームビーチカウンティーでは、紛らわしい様式の投票用紙のために、誤って投票したり、あるいは一万九千票もの無効票が出た、こういう驚くべき報道もなされているわけであります。
私は、かつてアメリカの大統領選挙の時期、その渦中に身を置いたことがありました。ワシントンの周辺のカウンティーでありましたけれども、当時でも既にボーディングマシーンというのが使われておりまして、日本とは非常に様子の違う投票方法が実施されておりました。すなわちボタン式でありまして、そのほかに、例えば、具体的な政策に対して賛成か反対か、その市が所有する一定の面積の土地利用について賛成か反対かを求めるというような、直接政策選択投票とでもいうんでしょうか、リフランダム制度というふうに聞いておりましたけれども、実は既にそういう選挙方法が行われていたのであります。
ところが、今日的なこの混乱の実態を考えますと、それは無謬性ではない、ヒューマンエラーともいえない、さまざまな問題も実ははらんでいるわけであります。いわばアメリカの選挙制度の問題点が、今回のこのトラブルでは一挙に噴出したように思われるわけでありまして、我が国にとっても、これはただ傍観しているだけではだめだ。今回のアメリカでのトラブルを他山の石と銘記して、そして今後のさまざまの協議検討のいわば俎上にこれを乗せるべきである、そのために十分な調査研究を行うべきである、こういうふうに思います。
先ほどのご説明にもあったように、それぞれのカウンティーや市レベルで選挙制度が異なるアメリカでありますけれども、それだけにさまざまな方法による選挙が行われております。いうところの電子投票機を初め、多種多様な投票機器が開発され、現在使われているわけであります。
そこで、お尋ねをするわけでありますけれども、東京都の選挙管理委員会事務局におきましても、今回の米国の選挙を、トラブルを中心に十分に調査し、また研究すべきであり、そのための作業も進めるべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
○田口次長 アメリカ合衆国におきましては、大統領選挙にあわせまして、先生からもご説明ございました連邦の上院議員あるいは下院議員、州の知事、議員等の公職者あるいは州の法律の改廃、その他の住民投票が同時に執行されております。このような多数の投票を一度に実施するために電子投票機を初めとする電子機器が多く導入されております。
そこで、今回の選挙におきまして、全国都道府県選挙管理委員会連合会は、電子投票等の実態把握を目的とした調査団を派遣いたしました。都もその一員として参加したところでございます。今後は調査団の報告を待ちまして調査研究を深めてまいります。
○木内委員 この電子投票の効果が、メリットの面としてこの報告書にありますし、また逆の点も指摘をされているのでありますが、一般的に喧伝されている効果というのは、マスコミ報道等にもありますけれども、人件費縮減に効果がある、こういうことも強い印象を持って迎えられているのであります。
この報告書の九ぺージにこういう指摘がありますね。九ぺージの4、投票率の向上というところに、上から五行目、「しかし一方において、電子投票制度の導入により投票率の向上が結果として実現することはあっても、投票率向上そのものを主たる目的としてシステムの構築を行うことは考えるべきではないという意見もあった。」このメンバーの中には、委員は約二十名以上の方おられますけれども、賛否両論あったというふうにいわれておりますが、続いて、「この意見は、これまでの様々な選挙制度の改正で、投票率が一定の回復が見られる中で、有権者の利便性の向上を最優先に考えるあまり、投票に伴う負担をなくしてしまうことは、民主主義の健全な発展に影響を与えかねないという懸念から出されたものである。」こういうふうに報告をされております。
これらも含め、私はこの中間報告書を読ませていただいたわけでありますけれども、これは大変大切な指摘だというふうに思いますけれども、事務当局としては、その考えの詳細をどのように受けとめておられますか、あるいは認識しておられますか、お尋ねします。
○田口次長 ただいまのお尋ねの意見でございますけれども、学識経験者の委員から寄せられたものでございまして、その詳細を紹介いたします。内容でございますが、有権者の利便性の向上を最優先に考える余り、投票所に足を運ぶという程度の負担をもなくしてしまうということは、民主主義の健全な発展を阻害しかねないという不安が内在している。したがって、電子投票制度の導入により、結果として投票率は向上することはあっても、投票率向上そのものを主たる目的としてシステム構築を行うことは考えるべきでない、こういったご意見でございます。こういった点も踏まえながら検討していかなければならない、このように考えております。
○木内委員 恐らく最終報告というものは両論併記ということになっていくのであろう、こう推察するわけであります。先ほどアメリカの例を引いたわけでありますが、ベルギーやオランダなどのヨーロッパ諸国はもとより、ブラジルやインドなどでもこの電子投票機の導入が既に見られるわけでありまして、これらの国における実態や問題点についても、先ほどのアメリカの選挙のあり方の研究と同様、今後十分な調査研究をするよう要望しておきたいと思うんですね。この中には、今指摘いたしました投票率の向上を目的とした云々という、こうした点についても十分配意をしながら研究を重ねていく必要がある。
私がアメリカで見聞をいたしましたときに非常に印象的だったのは、あえて誤解を恐れずに申し上げれば、多民族がいる国家ですから、教育のシステムから外れた方々もおられる。いわゆる識字率というんですか、そうしたレベルの問題も指摘をしていた方が現地でおられました。我が国は、ご案内のように、識字率はもう一〇〇%近いわけでありまして、いわばこうした国情の違い、あるいはまた風土というものの差異を十分に勘案をする必要もあるだろう、こういった点もまず指摘をしておきたいのであります。
さて、我が国では、選挙管理委員会が有権者を調査して、そして登録をするという方法がとられているわけでありますけれども、アメリカ合衆国では、本人からの申請によって選挙人名簿への登録が行われている。これは言葉をかえれば、投票意思の表示があって初めて選挙人となれるという、こういう基本的な考え方に基づいているのです。
我が国においても、投票行動への垣根を余りに低くすることによって、政治に対する真剣な姿勢がなく、その場限りで思いつきの投票をいたずらにふやすことは決して健全な民主主義の発展に資するとはいえないという、そういう意見も各分野であります。恐らく先ほどの投票率向上を前提に云々といったご発言をされる委員の学識経験者の中にも、そうした考え方があるんではないだろうか。電子投票機による機械化などの投票環境の整備ということの一方では、課題ではあるでしょうけれども、実は積極的な投票行動を促進できる政治環境の醸成というものは、それ以上に極めて重要である、こういうふうに思います。これは、私ども選良としてお選びをいただいた議員の立場にもいえることでありますけれども、選挙を執行し、啓発事業を行う選挙管理委員会事務局も同じ認識を持っていただきたい、そういうふうにまず私はここで申し上げたいと思います。
いずれにしても、電子投票制度導入の是非については、あくまでも都民の理解と協力が欠かせない、これが恐らく一定の結論ではないだろうかと思うんですけれども、事務局の考え方をお尋ねします。
○田口次長 都民におきましては、現行制度のなれと信頼がございまして、電子投票により選挙はブラックボックス化するのではないかと、こういった印象も持たれるおそれもございます。こうした中で電子投票制度に対する都民の理解を求めていくためには、だれでも使いやすいシステムであること、投票の秘密が保持されていることやセキュリティー対策は十分なされていることなどの諸条件を満たすとともに、本格実施に向けて試行を重ねるなど、システムの検証を積み重ねながら信頼を得ていく必要がある、このように考えております。
○木内委員 先ほどの質疑を聞いておりまして、仮に、一定の時刻ににわかに一〇〇%の開票結果がどんと出て、そこで当落が決まるという、電子投票のあるべき形になってしまうのかと考えますと、遡及して再開票の手続作業ができないというようなあり方、あるいは、ボタンは押したけれども、機械が正確に機能しているんだろうかという不信感、あるいは、中でどう処理されてきたんだという機械の機能的経過などがわかりませんと、今いわれたように、ブラックボックス化してしまうという懸念も実はあるわけでありまして、きょうは時間の関係で、さまざまな角度からの質疑は控えますけれども、そうした極めて重要な部分についてさえそうであります。細かな部分についても、都民の不安感を増幅するようなことがあってはならないし、だからこそ、これは非常に難しいことなのかなという思いも強くするわけでありまして、国においても同様の研究会があると聞いています。これはどんな動きになっていますでしょうか、その概要をお尋ねします。
○田口次長 自治省は、平成十一年七月に電子機器利用による選挙システム研究会を設置しております。その目的でございますが、有権者の利便の向上や開票の迅速化を図るため、高度情報化の進展、科学技術の進歩などを踏まえまして、電子機器を利用した投・開票などの選挙システムについて研究を行うことであるとしております。
本研究会につきましては、本年八月に中間報告書を取りまとめましたが、その中で、現行制度における選挙システムや電子機器利用の状況に加えまして、諸外国における電子機器利用の現状を把握した上で、選挙システムに電子機器を段階的に導入するイメージを提示しております。今後は、電子投票機器についての技術的な調査も行い、来年の春を目途に研究会の最終報告をまとめると聞いております。
○木内委員 ただいまご説明のありました国の研究会と並行して、都においても研究会活動が行われてきたところでありまして、これは全国の自治体では東京都だけだというふうに仄聞をしております。
そこでお尋ねしますが、都の研究会の活動は、その特徴においてどういう点があるのか。また、今後の取り組みの方法、さらに都と国の研究会との接点がいかなる形になっているのか、客観的な事実についてお聞きしたいと思います。
○田口次長 都の研究会は、選挙を執行する立場から、電子投票の精度面、技術面の実務的な検討を行うために設置したものでございます。これまで投・開票事務の現状を分析した上で、電子投票制度の導入の効果を明らかにし、実現に向けて解決すべき課題は何かという視点から検討を行い、その結果を中間報告にまとめたところでございます。
今後は、本中間報告に対する区市町村の実務者からの意見などを参考にしながら、これまで整理した諸課題につきまして、それを実現、解決するための具体的な方策を検討し、最終報告としてまとめる予定でございます。
また、国の研究会にも委員の一人といたしまして私も参加しておりますので、都の研究会の検討状況を踏まえながら、選挙を執行する立場から、実務的な視点に立った考え方について、必要に応じて国に意見を述べていきたい、このように考えております。
○木内委員 冒頭の指摘に戻るわけでありますけれども、選挙は国民が政治的意思を直接的に表明する極めて大切な機会でありまして、選挙制度のあり方は多くの都民、国民の皆さんから支持をされ、認められるものでなければならない、こう考えます。電子投票制度の検討を初め、選挙制度の見直しに当たっては、こうした点も十二分以上に踏まえて、慎重かつさらに慎重な検討をすべきである、この点を指摘して、質問を終わります。
○坂口委員 それでは、通告をいたしました内容、そしてまた、きょう資料をいただいたわけでございますけれども、それらに基づきまして、来年予定されております都議会議員選挙及び参議院議員選挙について質問をさせていただきます。
申すまでもなく、二十一世紀まであと一カ月半ということになりました。今、アメリカの大統領選挙の事例も出たわけでございますが、まさに激動の二十一世紀の幕あけを予感させるような事柄が国の内外で進んでおります。
そのような中で、私どもにとりましても大変重要な都議会議員選挙が行われる、また参議院選挙が行われるということでございまして、それだけに公正で堂々とした選挙戦をやっていきたい、そのように私どもは考えるものでございます。
ところで、この都議会議員選挙の任期満了日といいますのは、先ほども質疑がございましたけれども、参議院議員の任期満了とくしくも同じということがいわれております。この二つの選挙を同時に実施することは、先ほどアメリカの事例がありましたけれども、できれば別々の方が目的もはっきりしまして、わかりやすいとは思うわけでございますが、これからの質疑の内容からも徐々に明らかになってくるのではないかと思いますけれども、二つの選挙を同日に実施するということも可能であるというふうに考えています。
そこで、お尋ねするわけでございますが、どのようにして選挙日程が決定されるのか、確認をしておきたいと思います。また、法律上実施可能な選挙日はいつになるのか、例年どおり国会の閉会日を六月とし、また投票日を日曜日としてお答えをいただきたいと思います。
○田口次長 都議会議員選挙の期日につきましては、東京都選挙管理委員会が決定いたします。また、参議院議員選挙の期日につきましては、閣議で決定します。
そこで、都議会議員選挙の期日でございますが、公職選挙法第三十三条によりますと、任期満了の三十日以内とされておりますので、日曜日に限りますと、六月二十四日、七月一日、七月八日、七月十五日の四日のうちのいずれかとなります。
次に、参議院議員選挙の期日でございますが、公職選挙法第三十二条第二項によりますと、閉会日の二十四日から三十日とされておりますので、閉会日が六月一日から六月七日までの場合は七月一日が、また六月八日から六月十四日の場合は七月八日が、六月十五日から六月二十一日の場合は七月十五日が、六月二十二日から六月二十八日までの場合は七月二十二日が、六月二十九日以降の場合は七月二十九日以降となります。
○坂口委員 十二年に一度ということでめぐってまいりますこのような年であるわけでございますけれども、ご承知のとおり、都議会議員選挙といいますのは、多くの場合、梅雨どきでございます。さらに、前回の選挙を顧みるならば、三十九度近くの酷暑の中での投票日と、そういうようなこともございました。選挙としては、率直にいって四月ないしは十月ぐらいにできたらなという思いがあるわけでございますけれども、やりづらいこの時期に選挙をやらせていただいているということでございます。
さて、今のお答えに基づいて、次の事柄をお聞きするわけでございますが、当然のことながら、東京都選挙管理委員会が都議会議員選挙の期日を決定する、これはいうまでもないことであるわけでございますが、参議院選挙の日程が七月一日、八日、十五日のいずれかであれば、同日選挙も可能であるということが今の答弁から明らかでございます。日曜日と限定しても、前提条件が若干ありますが、三日ぐらいは可能な日があるということになりますね。
そこで、都議会議員選挙の歴史を振り返ることが若干必要かと思うわけでございますが、昭和三十八年までは、統一自治体選挙として、四月に実施をしておりました。ところが、昭和四十年にいわゆる黒い霧解散というものがありまして、七月に出直し選挙を行った。以来六月または七月に選挙をするという今日のような形がとられているわけでございますが、参議院選挙が三年ごと、都議選が四年ごと、今申し上げましたように、十二年に一回だけ同じ年に行われるようになったというのが今までの経緯でございます。
そこで、お聞きするわけでございますけれども、同じ年に選挙が行われた昭和五十二年、それから平成元年の二回のケースについて、いつ選挙日が決定をし執行されたのか。また選挙に要した経費ですとか、そして我々やはり重視をしなければならない、先ほどもいろんな議論がありましたが、国民の権利であるとともに義務でもあるのではないかと私は思いますので、そのような点から、やはり投票率というのは無視できないようになると思います。その前後に比べてどうであったのか、お聞きをしたいと思います。
○田口次長 まず、昭和五十二年でございますが、都議会議員選挙の選挙期日は、六月三日の選挙管理委員会において、七月十日に決定され、参議院選挙と同日に執行されました。また、平成元年の都議会議員選挙の期日は、五月二十八日の選挙管理委員会で決定され、都議会議員選挙は七月二日に執行されました。なお、参議院議員選挙は七月二十三日に執行されました。
次に、都議会議員選挙に要した経費についてでございますが、資料第1号のとおり、毎回増加しておりますが、脚注1にございますように、選挙制度そのものが変化しておりますので、相互の比較は困難でございます。
さらに、都議会議員の選挙の投票率でございますが、昭和五十二年は六五・二%で、前回の四十八年の六〇・七%、次回の五十六年の五四・二%のいずれをも上回っております。平成元年では五八・七%で、前回の昭和六十年の五三・五%、次回の平成五年の五一・四%をいずれをも上回っております。
○坂口委員 今、経費の問題についてもお答えいただきましたけれども、選挙制度そのものが変化しているので相互の比較は難しい、これは選管としてはそのようなお答えになろうかと思いますが、資料で出していただきました、例えば五十二年度と五十六年度を比較いたしますと、十億円違うんですね。七億九千三百万円が十七億八百万円になっているということで、十億円違います。平成元年について見ますと、前年が二十億ぐらいで、この年が二十二億、そしてバブルの時期と一部重なってきているように思われるわけでございますが、三十二億とはね上がっておりますので、この評価はなかなか難しいわけでございますが、ざっといいまして、私の見方でございます、五億円から十億円ぐらいは違うのではないかと、そのように思われます。
それから、投票率の点では、今申し上げましたように、参議院選挙と同じ年に執行された都議選の投票率は六五%または五八%という数字が出ております。前々回の五一・四%、前回の四〇・八%と比べましても、極めて高い数字だと見ることができるのではないかと思います。これもざっくりした表現でございますが、この数字だけ取り上げますと、一五%から一八%ぐらいという数字が出てまいります。
次に、同一年に二つの選挙を行う場合に、同日に実施するのと別々の日に実施するのとどちらが望ましいのであろうかという点について、先ほど別の委員からも触れられましたけれども、若干私見を交えて申し上げますと、都議選と参議院議員選挙が別々の日に行われるということになりますと、有権者は当然のことながら二回投票所に足を運ばなければならないということになります。先ほどの歴史的な経緯から、都議選は大体六月から七月の梅雨どき、そして、梅雨の晴れ間がのぞきますと、三十度を超えるような、三十九度近くの高温になることもある。当然のことながら、お年寄りや病弱な人たちには大変大きな負担ということになってまいります。したがって、選挙管理事務という視点もございますけれども、有権者の利便性というようなことから考えますと、投票所に一回行けば済むということになりますと、大変負担が軽減されるということは論をまたないですね。
また、経費の面でも、同日選挙であれば、投票所で従事する職員は一日でいいわけでございますから、人件費が削減できることは明らかでございます。
ただ、開票事務につきましては、先ほどいろんな質疑がございました。同日選挙をやった場合に、同日の開票というのは大変なことになるのではないか。これも私見でございますけれども、恐らくそういうものの場合には、今度の参議院選挙の投票方式などとも相まって、翌日開票というようなことも考えなければならないのではないか、そのように思います。しかしながら、経費の面では、今申し上げましたようなことになる。人件費の削減ができるのではないかと思われます。
したがって、都議選の選挙日を決定するに当たりましては、どういう視点からいつにするのかということがこの都選挙管理委員会でも大変重要な事柄になってくるのではないかと思いますが、重視すべき項目としてはどのようなことを考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○田口次長 選挙管理委員会が選挙の執行に際しまして特に配慮しているのは、次の四点でございます。まず第一に、選挙に当たりましては、一人でも多くの有権者が投票に参加できることでございます。第二に、選挙が適正かつ公平に行われることでございます。そのためには、実際に選挙を執行する区市町村において、適切な執行体制が確保できるようにすることでございます。第三に、投票しやすく適正かつ公平な選挙を前提とした上で、より少ない経費で執行することができることでございます。最後に、有権者の皆様が国政と都政、それぞれの選挙の目的に沿った投票行動ができるようにする必要があると考えております。
○坂口委員 一般論としては大変明快であるわけでございます。これを具体的な事象にどのように当てはめていくかというところがポイントになってくるのではないかと思います。投票率の向上、先ほど申し上げたとおりでございます。二回の投票よりも恐らく一回の投票の方が、過去の経験からしても、投票率は上がることは自明の理ではないかと思います。そして、公正な選挙--公正な選挙の中には、合目的性というようなことも入ってくるんだろうと思うんですね、厳密に考えてみますと。それが先ほど他の委員からも議論がありました、果たして一緒にやる方がいいのか、単独でやる方がいいのかということとも関連してくるように思います。公正な選挙。それから経費ですね。経費はさらに精緻な調査と研究が必要かもしれませんが、今までの経緯からいって、また私ども直観からしましても、恐らく別々にやるよりも、選挙管理委員会または選挙管理事務をとっても、単独の方が安く上がるのではないか。それから、見落としてはならないのは、有権者も時間を割いて行くということですね。一日一回の場合と二日割いて行くということの経費、有権者が九百万人いるとすれば、ある意味では、九百万人掛ける、それに要するに経費ということになってまいります。その点を見落としてはならないと思います。
そのようなことからいたしますと、投票率の向上、そしてまた公正な選挙、経費の削減、そして、論議をしていただかなければならないのは、相対的な優位性がどちらにあるかということではないかと思います。それらの点を十分検討した上で、日時の選定をしていただきたいと思います。
最後になりますけれども、都議会議員選挙または参議院議員選挙、それぞれ課題が共通するものもあれば固有の課題もある。固有の課題もあれば共通するものもある。国政が変わらないと、後の政策報道室の議論でもしたいと思うわけでございますが、例えば税源の移譲というようなことはなかなかできない部分があるわけでございまして、個別の課題もあれば国政に通ずるものもあるということは自明の理であろうかと思います。しかしながら、可能な限り我々はその争点を明らかにしていく、そのような努力が必要であると思います。
いずれにいたしましても、今出ましたような投票率や経費の削減などの論点をきちんと調べていただきまして、科学的、論理的に検討していくならば、同日選挙がいいのか、そうでない選挙がいいのかというような優位性が明らかになってくるのではないかと私は考えております。
もとより都議会議員選挙の期日の決定は、選挙管理委員会が行うことになっております。事務局は、広く都民や選挙事務を具体的に所掌いたします区市町村の意見を聞き、また経費を綿密に積算するなどして、委員会に対して適切かつ十分な資料等の情報提供に努めるべきと考えますが、その点につきまして質問し、私の質問を終わりにしたいと思います。
○田口次長 公正で公平な選挙の執行に当たりましては、実際に投・開票事務を執行しております区市町村の選挙管理委員会との連携が欠かせません。都の選挙管理委員会において、都議会議員選挙の期日を決定するに当たりましては、十分な審議が尽くせますよう、区市町村を初め都民のご意見を幅広く伺いながら、適切な情報の提供に努めてまいります。
○今井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
報告事項並びに事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 異議なしと認め、報告事項並びに事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○今井委員長 これより監査事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際、資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○藤川委員 監査委員の皆さんにこういう質問をするのは大変失礼かと思うんですが、私自身も監査委員を務めたことがありますので、そのときに自分が疑問に思ったことがあるわけです。それが、都においてどうなのかなと思っていろいろと聞いたり調べたりしたんですが、ここに、都における監査委員監査のあり方についての検討委員会の報告書があります。平成十二年七月に発行されたものですが、これを読んでいて、検討委員会の皆さんもやはり同じようなことを感じたんだなと思うわけです。それで、随分傲慢ないい方かもしれませんけれども、我々都議会議員が存在するというのは、東京都政と東京都民の皆さんのためによくあれかしということが我々の存在価値でありますが、皆さんにおかれましても、監査事務局が存在するということは、そういう理由でもって存在理由があると思うわけです。
本当に東京都は今大変な問題をいろいろなところでもって抱えているわけですが、そのときに、長いこと皆さんは監査事務局で仕事をしておられたときに、随分前にいろいろなことをはっきりと問題点であるということを指摘しておられれば、随分防げた点もあるんじゃないかなというふうに思うわけです。これは私自身の経験も含めてですが、例えば十二兆五千億というような大変大きな予算を執行しているときに、監査委員が指摘する問題点というのは非常に小さいし、根本的な問題に触れていないこともあるというふうに私、感じるわけです。
特に、第三者の客観的な指摘というのを望んでいる東京都民の方は多いと思うのですが、現在の監査事務局の職員の皆様は、ほとんどが知事部局からの出向職員であると、これも、大きな監査をしにくい、監査の障害になるようなことになるのではないかと私は思うわけです。
それで、このようにいろいろと問題点を多々含んでいるわけですが、この点に関して、平成十二年七月の検討委員会の報告書を踏まえて、これから監査事務局としては、どのようなお考えを基本的に持っておられるかということをお伺いしておきたいと思います。
○久保田監査事務局長 今回の都における監査委員監査のあり方についての報告書は、これまでの課題や方向性など、根本に立ち返って監査委員監査のあり方を検討したものでございます。報告書に示されております監査手法の充実あるいは監査の専門性の向上、さらにわかりやすい監査情報の都民への提供など、監査機能の充実強化のための提言は、いずれも積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
現在、都民の期待にこたえることのできる監査を行うことを基本的な目的として、例えば財務監査に行政監査の視点を取り入れて行うことなど提言の内容を具体的に実施するための方策全般について検討を進めているところでございます。
さらに、都民への情報提供を推し進めるため、局のホームページの創設など実現が可能なものについては速やかに実施していく考えでございます。
○藤川委員 私の質問は非常に難しい質問で、要するに微に入って皆さんに質問をし、その答えを得るということは、この時点では非常に難しいところがあると思いますので、これ以上の質問は差し控えますが、いずれにしても、皆さんの置かれている立場というのは大変な立場に置かれているわけですから、これから東京都政がすばらしい都政として二十一世紀に向かって船出をするか否かということは、皆さんの監査のあり方によって決まるわけです。だから、そういうことだと思いますので、ぜひ東京都政のために、東京都民のために、皆さんの立場は非常に難しいかと思いますが、勇を奮って、おかしいところはおかしいと、いいところはいいというような形でもって監査をシビアにやっていただきたい、そのようにお願いしまして、私の質問を終わります。
○今井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○今井委員長 これより政策報道室関係に入ります。
初めに、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○野村首都機能調査担当部長 それでは、去る十一月二日に公表いたしました首都移転の費用対効果の検証結果についてご報告をさせていただきます。
ご案内のとおり、昨年十二月には国会等移転審議会から三カ所の移転先候補地が答申され、ことし五月には、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会において、二年を目途に移転先候補地を一カ所に絞り込むとの決議がなされたところでございます。こうした状況の中で、都においては、首都移転が有効かどうかを検証するため、移転先候補地ごとに費用と効果を算定したところでございます。
なお、今回の検証で使用した費用対効果の手法は、国が公共事業を行う際に事業の適否を判断するために用いている手法でございます。
それでは、席上に配布してございます資料に基づきましてご説明申し上げます。
資料番号が前後しておりますけれども、資料第2号に基づきましてご説明申し上げます。
一ぺージをごらんください。一覧表にまとめてございますが、移転先候補地別に、新都市建設への公共投資などの費用、執務・居住空間の拡大などの効果及びこの効果から費用を差し引いた額をそれぞれお示ししてございます。
これを栃木・福島地域で申し上げますと、費用は八兆三百三十七億円、効果は三兆五千三百五十億円となっており、効果から費用を差し引いた額は、マイナス四兆四千九百八十七億円となっております。同様に、効果から費用を差し引いた額を申し上げますと、岐阜・愛知地域では、表の一番下の欄にございますとおり、マイナス六兆二千五百七十六億円、三重・畿央地域ではマイナス六兆三千二百九十億円となっており、いずれの地域におきましてもマイナスの効果が発生するという結果になりました。したがいまして、表の下にも書いてございますとおり、効果から費用を引いた額はマイナスとなり、首都移転を行うと四兆五千億円から六兆三千三百億円という巨額なむだが発生することになります。
次に、二ぺージをごらんください。ここには、ただいまご説明しました首都移転に伴う費用の具体的な内訳を示してございます。
表には、費用に算定しました各項目ごとの額を移転先候補地別に、また表の下には各項目ごとの内容の説明を掲げてございます。費用に算定しました項目は、首都移転に伴い必要となる庁舎建設費などの新都市建設への公共投資のほか、引っ越し費用、新都市訪問費用の増加及び通信費用の増加の四項目でございます。
次に、三ぺージをごらんいただきたいと存じます。こちらには、首都移転に伴う効果の具体的な内訳を示してございます。
前ぺージ同様に、表には効果に算定しました各項目ごとの額を移転先候補地別に、また、表の下には各項目ごとの内容を掲げてございます。効果に算定しました項目は、首都移転に伴い執務環境や居住環境が向上する点に着目した執務・居住空間の拡大のほか、通勤の改善、道路交通渋滞の緩和、移転跡地の利用及び公共支出の削減の五項目でございます。
以上で、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○今井委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、次に行われます事務事業に対する質疑とあわせて行いたいと思いますので、ご了承願います。
次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岡田政策調整部長 去る十月二十四日の当委員会におきまして要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料第1号、総務委員会要求資料の目次をごらんいただきたいと思います。
要求がありました資料は、目次に掲げてあります三件でございます。
一ぺージをごらんください。横田基地における米空母艦載機による着陸訓練の実施状況及び硫黄島、厚木基地との比較でございます。平成四年度から十二年度までの実績を掲載してございます。
なお、表の中の厚木基地の実績につきましては、NLPのみの数値でございます。
二ぺージをお開きください。平成十一年度に政策報道室都民の声部に寄せられた知事への提言及び苦情等の受け付け実績でございます。
このぺージには、知事への提言につきまして、件数及び主な提言趣旨を掲載してございます。
また、次の三ぺージには、苦情等につきまして、件数及び主な事例を掲載してございます。
四ぺージをお開きください。税財源移譲に関する国への働きかけでございます。
平成十一年度及び十二年度における、東京都単独及び他県市等との連携による国への提案要求の実績につきまして掲載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求がございました資料の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○今井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、先ほど聴取いたしました報告事項に対する質疑とあわせて本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 質問に入る前に、この委員会は、たまたま今井委員長を初め葛飾区選出の四人の都議会議員が所属しているわけでありますけれども、その四人が一体となって取り組んでいる問題がありまして、と申しますのは、いわゆるオウム真理教の上祐並びに幹部が葛飾区の金町--私、金町なんですが、すぐ近所に引っ越してまいりまして、地元ではもちろん初めてのことでありますし、どのように対応していいのか、大変に混乱をしています。けさも、住民側の意見がどのように対応していいか混乱をしているので、うちにも見えて大変に困っているわけでございます。私にとっても、相談を受けても、ああしろこうしろという具体的な方法というのはなかなか見出せないでいるんですが、ぜひとも東京都としてもさまざまな形でご支援をいただきたいと思いますし、かつて足立区あるいは北区でも同様のことがあったわけでありますけれども、その辺の資料の提供などもしていただいて、我々にアドバイスをいただければ大変ありがたいと思いますので、その点、まずお願いをしておきたいというふうに思います。
引き続いて、首都移転についてお伺いをさせていただきますが、今まで東京都は関係機関、いろいろなところで、挙げて反対をし、PRをしてきたわけでありますけれども、今回国に先立って、首都移転の費用対効果の検証という、移転問題に一石を投ずる大きな意味合いのある結果が出されました。移転反対を展開する立場で、調査結果について何点か質問をしたいと思います。
今回、このような試算を行った趣旨というのは、どういうところにあるのか、まずお伺いをしたいと思います。
○野村首都機能調査担当部長 国は、首都移転に係る費用は、民間の投資額を含めますと十二兆三千億とする試算を平成九年に公表しておりますけれども、首都移転そのものの有効性を判断する検証は行っておりません。都では、首都移転そのものに果たして有効性があるのかどうかを検証し、国民の間に広く首都移転についての議論を巻き起こすために、今回首都移転をした場合の費用と効果の試算を行ったところでございます。
○鈴木委員 今回調査を行った結果、今ご説明がありましたように、費用対効果の差というふうなことで、栃木・福島がマイナス四兆四千九百八十七億円、岐阜・愛知が六兆二千五百七十六億、三重・畿央が六兆三千二百九十億というふうな数字が出されたわけでありますけれども、これは東京都が勝手にやったことだと、その候補地の方々からいわせれば、そのようなことにもなろうかと思いますけれども、そういう点を踏まえた上で、今回の調査結果は、東京都としてどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。
○野村首都機能調査担当部長 先ほどご説明いたしましたとおり、また今先生の方からお話がありましたとおり、移転先候補地別に費用と効果を算定した結果、四兆五千億円から六兆三千三百億円という莫大なマイナスの効果が発生することが明らかとなりました。首都移転には、いずれの地域に移転した場合でも、経済的妥当性がないとの結論に達したところでございます。
今回の検討結果は、かねてから東京都が主張してきましたとおり、首都移転が莫大なむだ遣いであることを改めて具体的な金額で証明したものと受けとめております。
○鈴木委員 ことしの五月には、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会において、二年後を目途に移転先候補地を絞り込むという決議がなされたわけでありますが、来年はその二年目に当たります。本当に我々としても、いよいよ絞り込まれて首都が移転してしまうのかなというふうな、そういった危機感を覚えるわけでありますが、これからこの検討結果を踏まえてどのように首都移転反対に取り組んでいくのか。
そしてまた、これは都民と候補地の方々だけの問題ではなくて、日本国全体の重要な問題であるにもかかわらず、国民的議論がどうもなされているというふうには思わない。候補地以外の方々は全く関心がないような気もいたしますけれども、東京都が、この調査結果を踏まえた上で、やっぱり引き続き東京都が首都であるべきだというふうな国民的な議論というものを、東京都民だけでなく、広く広めて盛り上げていく必要があろうかと思いますけれども、室長のご見解をお伺いをしたいと思います。
○安樂政策報道室長 公共事業の有効性を検証するということで、政府は平成九年に閣議決定をいたしまして、公共事業を行うときにはその費用対効果を検証しろというふうに各省庁に対して義務づけております。ところが、この首都移転につきましては、そのような検証を政府自身が行っていないということで、それでは国に先駆けて今回東京都でやろうということでこのようなことを行ったわけであります。
今回の検討結果を見てみますと、やはり首都移転というものに何の理由もないだろうという、経済的に見ても大きなむだが生ずるということ、そういう強い根拠を与えるものであるというふうに思っております。今後、さまざまな機会をとらえまして、首都移転がいかにむだかということを広く訴えて、反対運動を盛り上げていきたいというふうに思っております。
現在、何としてでもわかりやすいようなパンフレットをつくろうということで、既に作成に入っておりますが、こういうものを利用いたしまして、十二月を首都移転反対のPR集中月間というふうにとらえております。まず、東京都の広報紙を使いまして、大きなPRをいたします。それから、テレビを通じて集中的にPRしたいというふうに思っております。そういうことによって、先ほど委員もご指摘ありましたけれども、これはひとり東京都の問題ではない、やはり国の浮沈にかかっている問題だということをこの広報紙の中でも訴え、そういう文面でこれから全国に広めたいというふうに思っております。
国は、先ほどちょっと話がありました、この首都移転のために十二兆円かかるというふうに前々から試算しておりますが、こういうむだなことにこういう巨額な財源を使うならば、その幾分かでも東京の社会資本整備に重点的に投資してもらえば、東京は非常に住みやすい、また便利なまちになるんだというふうに私たち思っておりますので、こういう強い思いを込めまして、ここのところ知事も、いろいろな形で国への働きかけを、具体的な提案を持ちまして働きかけを行っております。こういうことをこれからもさらに強めて、何とか白紙撤回まで持っていきたいというふうに、そういう強い決意でおります。
○鈴木委員 石原知事も、先般の東京体育館の大会でも、国がそういうばかな議論をしているというような表現--我々も、全く時代錯誤であり、歴史的な背景を考えると、全くばかな国会の決議だなというふうに私自身も考えております。このマイナスの費用が、栃木・福島が四兆四千九百八十七億円で一番マイナスが少ないというふうなことで、栃木・福島が有力な候補地にならないように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
○前沢委員 私は、資料も提出をしていただいております横田基地の問題につきまして質問をさせていただきます。
東京都と米軍横田基地周辺の五市一町でつくられております横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会、この連絡協議会が、去る十一月八日の協議会で、従来の横田基地の整理縮小、これに加えて基地の返還を在日米軍に、また国に要請していくと、こういうことで合意したということであります。この協議会が横田基地の返還を初めて掲げたことは、NLPを初め爆音被害に苦しんできた基地周辺の住民、そして基地のない平和の東京を望む都民の要求に合致するものだと、このように思います。
私は、一昨年の一月十三日に、無通告というか同時通告というんでしょうか、NLPの訓練等始まって、それから連絡が入るという、この横田基地のNLPを目撃いたしました。傍若無人に本当に腹が立ったわけでありますけれども、この周辺の自治体の住民が、これに対して大変怒りの声を上げました。この年に都議会は、NLPの中止を建議すると同時に、横田基地の返還についても、多摩補助サービス施設とあわせた返還の要求を意見書として採択する、こういうようなことが行われてきました。これが今までのこの数年の横田基地をめぐる周辺自治体あるいは東京都、都議会、この到達点なんですね。
そこで伺いますけれども、今回の連絡協議会で返還の合意に至った経緯と内容について、まず説明を求めたいと思います。
○松田特命担当部長 これまで横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会におきましては、騒音影響や環境問題など基地に起因する諸問題の解決を図るために取り組んできたところでございます。従来から米空母艦載機による訓練に対しましては、中止要請や抗議を行ってまいりましたが、特に本年九月に実施されました訓練では、騒音値が高く、飛行回数が多くあったために、基地周辺住民への影響が多大であり、苦情件数も従来になく多かったところでございます。また、基地の存在が周辺地域のまちづくりに障害になっているところでもございます。
このような状況を踏まえまして、協議会において基地の整理縮小、返還も含め協議、要請していくことが合意されたところでございます。
○前沢委員 今説明がありましたが、たび重なる抗議、こういう要請に全く耳をかさない。そして、ことしの九月の横田基地の夜間離発着訓練、これは資料にもありますように、実施日が五日間、その間の飛行回数が延べ千九十八回、これは先ほど私が申し上げた一昨年一月の記録にほぼ匹敵する内容なんですね。このNLP訓練に対して、福生市役所にかかった電話の数は二百八十八本、これはもう過去最高の電話です。そして、その電話の内容も、本当にうるさくて、とにかく電話口でどなるという、こういう内容だそうです。とにかく低空飛行で飛んでくるわけでしょう。そして、もう我慢も限界だという電話もあったようです。とにかく一刻も早く中止してもらいたい。そして、基地と友好交流を一切やめなさいと、こういう電話。病人がいて、体調が非常に悪くなった、子供が寝られない、ぐずって困ると、こういった内容の電話なんですね。本当に全くひどいことが起こったわけです。
この数年積み上げられてきたこのような横田基地周辺の自治体の動き、これは長年の爆音を初めとする基地被害とか、先ほどありましたように、まちづくりの障害、こういうものが基地が存在する限り続くわけですよ。そこへもってきて、こういう訓練が行われる。もう受忍の限度を超えている、こういうことをはっきりとこの実態は示しているのではないでしょうか。
東京都は、今後、こうした夜間離発着訓練、これは横須賀に空母を、母港化されてきているわけですが、こういう艦船が来るたびに行われるわけでしょう。こういうものに対して断固とした姿勢を示していくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○松田特命担当部長 これまでも都としては、国への提案要求におきまして、米空母艦載機の飛行訓練の中止を要請し、また飛行訓練の都度、国及び米軍に対し、強く中止要請と抗議を行ってきたところでございます。
今回、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会におきまして、空母艦載機訓練を全面的に中止するとともに、周辺地域住民の平穏な生活を守り、地域のまちづくりを推進するため、新たに基地の整理縮小、返還も含めた対策を国及び米軍に要請していく所存でございます。
○前沢委員 同時に行われました厚木の夜間離発着訓練、それに対して神奈川県の大和市の市長さんが、本当に怒りを込めて抗議をしました。また、青森県の三沢市の市長も、友好関係を取りやめると、こういう表明をしたんですね。大和市長のこういう厳しい抗議に、米軍はこの訓練をすぐやめたんですよ。今回の問題での教訓というのは、まさにこういうことなんですね。一国の首都である東京において、こういうことが行われていると。こういうことに対して東京都知事が、あるいは連絡協議会を構成している方々が、こういう立場をきちっと表明するということが、こういうことをやめさせていく大きな力になっていくということはもうはっきりいたしております。極めて教訓的なことだと思うんです。
福生の野澤市長さんは、もうNLPについては金輪際やめてほしいと、こういう考えに立たれています。私も、周辺自治体の五市一町の市長さんにすべて会いましたよ。こういう人たちの、住民を抱えている、しかも市街地でこういうことが行われていることに対する周辺自治体の怒りというものは大変なものですよ。そういう点で、東京都はこういう要求に本当にしっかりこたえて、断固たる姿勢を貫いていただきたいということで、重ねて答弁を求めたいと思います。
○松田特命担当部長 従来から国や米軍に対し、飛行訓練の都度、また国への提案要求において強く中止要請と抗議を行ってきたところでございますが、今後とも、全面的な訓練の中止とともに、また新たに基地の整理縮小、返還も含めた対策を米軍と国に対して要請してまいる所存でございます。
○前沢委員 次に、石原都知事が就任以来いい続けている、横田基地の民間との共同使用という方向ですね。今、この問題で、先ほど来議論しましたように、横田基地の整理縮小に返還という問題が新しく加わったということです。ですから、返還が地元周辺自治体の一致点になった、東京都も含めて。したがって、東京都と周辺市町連絡協議会のこれまでの対応は、大きく転換したものだというように私は思います。
もともと民間との共同使用というのは、連絡協議会では議題にしない、そういう扱いになってきました。今回返還が合意されたことによって、どういうことになったんでしょう。この共同使用ということが一致点ではないんだということなんですよ、周辺自治体の協議事項から外してあるわけですから。そして今、返還という問題で一致したわけでしょう。そうしますと、共同使用というものが一致点でないということが、本当に浮かび上がってきたということだと思います。返還までの間の共同使用という考えのこれは破綻ですよ。滑走路直下の昭島の市長さん、瑞穂の町長さん、どういっているんでしょうか、共同使用に対して。一致してないんですよ。一致したのは返還ということで一致したんですから。ですから共同使用という考えのこれは破綻なんですね。どう思いますか。
○松田特命担当部長 都は国への提案要求におきまして、都内米軍基地の整理縮小、返還と、返還までの対策としての共同使用を最重点項目として要望しているところでございます。都としての最終目標は、あくまで横田基地の返還であります。返還までの対策として、首都圏の航空需要や地元の振興に資するための共同使用を促進するものでございます。
今回、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会は、国及び米軍に対し艦載機訓練の全面中止を求めていくとともに、基地の整理縮小、返還を含めた対策を要請することで合意したものでございます。返還までの間、共同利用を促進することと矛盾したものとは考えておりません。
○前沢委員 矛盾しているじゃないですか、はっきりいって。地元が返還で固まっているんですから。そこに共同使用という全く違う考えを持ち込んでいるわけでしょう。(「安保条約反対しているのはそっちの方じゃない」と呼ぶ者あり)安保条約に関係ないんだ、今いっているのは。返還の問題に分裂を持ち込んじゃだめだよ。返還でもって地元が、東京都も合意をして、これから国へ要請していくというときに、別の共同使用という考え方は、この返還というものに分裂を持ち込むことじゃないですか。いかがですか。
○赤星理事 ただいま松田部長からお答えしましたとおり、最終目標としては返還でございますけれども、返還までの間、共同利用を促進するということでございまして、私どもとしては矛盾するものとは考えておりません。
○前沢委員 地元が返還で固まったというときに、こういう共同使用という全く異質なものを持ち込んでくる。そして、今答弁があったように、国への要望の最重点事項に共同使用というものを持ってきたわけでしょう。全くおかしいじゃありませんか。私は取り下げるべきだ、このように思います。いかがでしょうか。
○赤星理事 先ほど来申し上げましたように、首都圏の航空需要、あるいは地元の経済界からも強い要請がございます、これらを踏まえまして、地元の振興に資するため、返還までの間、共同利用を促進することと考えておりまして、これは先ほど来申し上げますように、矛盾したものとは考えておりません。
○前沢委員 こういう考え方は、ついこの間まではなかったんです。昨年からなんです、こういう考え方は。整理縮小、そして基地の騒音、いろんな公害、いろんな問題について、周辺自治体の問題も含めて、これが今までの流れだった。昨年石原都知事が就任されてからなんです、こういう問題が持ち込まれてきたのは。そして一方、流れとしては都議会も含めて返還、そして東京都と周辺自治体も返還で合意に至ったという流れと全く違うものを、皆さん平気で持ち込んでくる。さきに発表された東京構想二〇〇〇中間のまとめの中でも、横田基地の民間との共同使用が書き込まれました。東京構想二〇〇〇は、五十年後の東京を展望し、当面二〇一五年までの計画を立てようというものでありますけれども、基地の支配に苦しめられ、まちづくりの計画にも障害がつくり出されている横田基地に隣接する周辺自治体が、一番基地の問題については知っているわけでしょう、だれよりも。そして、この周辺自治体が、整理縮小から今度は返還を加えて合意をする、これで要請していこう、こういう合意をしたのに、一致してもいない共同使用を、地元とも何の協議もなく、東京構想二〇〇〇の中間のまとめではここに書き込んでいく。これは全くおかしいですよ。いかがでしょうか。
○松田特命担当部長 都といたしましては、国への提案要求におきまして、都内米軍基地の整理縮小、返還と、返還までの対策としての共同使用を最重点事項として要望しているところでございます。都としての最終目標は、あくまでも横田基地の返還でございます。返還までの対策として、首都圏の航空需要や地元の振興に資するため、共同使用を促進するものでございます。
○前沢委員 何回お尋ねしても、テープレーコダーみたいな返答でございますけれども、都の考えは、いわゆる返還された後も跡地を民間空港として利用する、こういう考えに立っているんだということを明らかにしたということじゃないでしょうか。これは大問題だと思うんですよ。きょうは、この問題をずっとやるわけにいきませんから、これからもこの問題、大いに我々問題にしてまいります。
今回のNLPは、基地を抱える周辺自治体、そして、今東京都と周辺自治体の連絡協議会、これが大きな変化をつくり出している、そういうことだと思うんですね。そして、神奈川県も県知事が、今回の厚木基地のこういうあり方について、友好関係をとても維持できないよと、あるいは、先ほど申し上げたように大和の市長も、米軍との友好関係、これを考え直さざるを得ない、こういうことを言明しました。そして、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会も基地の返還を掲げた、柱に据えたということでしょう。これは私は画期的なことだと思うんですね。首都圏の一角に基地問題をめぐって大きな共同の流れがつくられる、そういう可能性をこそ追求すべきなんだということを私は強調したいと思うんです。そのために、石原都知事が絶えずいうように、東京から国を変えるんだということをおっしゃるなら、まさにそのイニシアチブを発揮すべきじゃないでしょうか。
一九四五年に米軍に接収されて以来、この横田基地は、戦後五十五年、半世紀を超えて首都に巨大な外国の軍事基地を抱えるというわけです。世界に例がないでしょう、こういう国は。今、アジアではどうでしょうか。南北朝鮮の首脳が会談をして、そして話し合っていこう。アメリカの高官も北朝鮮に行って、軍事対決じゃなくて話し合いによるいろんな解決を図ろう、こういう流れが、今アジアにつくられてきているわけですよ。そうでしょう。そういうときに、この横田基地では、今全国で繰り広げられている米軍と自衛隊による合同演習、そしてつい最近行われた演習というのは、原因不明の火災が起きたということで、周辺自治体にも何の連絡もなくそういう訓練が行われる、こういう状況が行われているわけです。
こういうときに東京都が、返還で連絡協議会が一致したという、こういう合意に基づくなら、まさにそういう方向でこそこれから臨むべきであって、共同使用というような全く異質なものを持ち込むことによって、これはますます激しくなりますよ、エスカレートします、米軍の方は、こんなことをいっていたんじゃ。本当に断固とした考えを確立して、東京都と周辺自治体と住民、そして都民の世論で積み上げてきたこの横田基地返還を貫くこと、このことを重ねて強調して、私の質問を終わります。
○木内委員 首都移転の費用対効果と検証という大変に画期的な資料が出ました。こうした資料ができ上がったというのは、大変楽でありますけれども、この成案を得るまでの関係者の方々のご努力とご苦労、これは大変なものだったと思います。敬意を表しますとともに、高く評価をさせていただきます。
これだけ説得力のある検証結果が出ましたから、これに関する認識と議論というものをコップの中の議論の材料だけにとどまらせないで、大きく社会に喧伝し、国に対しても突きつけていくべきである、こういうふうに思うのであります。
候補地三カ所すべてで費用が効果を上回った、いわゆる経済的妥当性がないという明確な指数をもって発表をされたものであります。国土庁は、さっきの室長の答弁にありましたけれども、既に移転費用を民間部門を含めて十二兆三千億円としておりますけれども、効果については試算をしてないんですね。こういう試算をしていない状態であるにもかかわらず、今回の都のこの検証結果についてのコメントは、聞くところ、国土庁はこういっているんですね。東京都の試算は民間への波及効果を正しく評価していない、いわば、この検証に対する反論を行っているわけでありまして、これでは議論としては私は正しくない、こんなふうに思うわけであります。
私はかねて、この首都機能移転の問題につきましては、東京都だけが声高にこれを叫んでも、全国的国民世論というものは、東京都のエゴイズムあるいは地域的独善性という印象を与えかねないので、他の府県との連係プレーの中でこの首都移転反対の議論は喚起すべきだ、こう主張をしてきたところでありますけれども、こうした主張が反映されてか、例えば先日開催をされました七都県市首脳会議においても、国への働きかけというものが議論され、進んできている。これは徐々に大きな説得力を持ってきている一つの証左である、こういうふうに思いますし、いわば千日手のように今なってきてしまっている国と東京都の議論の経過の中に大きな一石を投ずるのが今回の検証結果である、こういうふうに思っております。
先ほどの質疑にもありましたように、この移転に関する特別委員会は、本年五月、今後二年を目途に移転先候補地を絞り込むという決議を行ったことで、こうした動きを看過するならば、これらの今日までの経過というものがひとり歩きをして、知らない間に絞り込み作業が行われる。それこそ途端にこの結論が出てしまうという懸念があるわけでありますから、したがって、今回の検証結果を最大限に使って、国はもとより関係方面に懸命な働きかけの作業を行っていく必要がある、こういう視点から、何点か準備をしてまいりました質疑の項目を圧縮してお尋ねをしてまいりたいと思います。
初めに、今回の調査というものは、申し上げているように、首都移転論議に重大な影響を与えると思うし、また与えるためのばねとしていかなければいけないわけでありますけれども、今この時期に調査結果を公表したねらいがどこにあるのか、まずお尋ねします。
○野村首都機能調査担当部長 ただいま先生からもお話ございましたとおり、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会は、本年の五月、今後二年を目途に移転先候補地を絞り込むとの決議を行ったところでございまして、今後首都移転についての論議は山場を迎えることになるというふうに考えております。
また一方、国においては、ご案内のとおり、公共事業の見直しの議論が高まってきておりまして、このような時流をとらえ、巨額な費用を伴う公共事業である首都移転の是非を世に問う、そのために今回の調査結果を公表したところでございます。
○木内委員 これは特別委員会の決議ですね、法律事項ではないという本然的特徴があるわけであります。実は私は、今回質疑をどう展開しようかということを考えましたときに思い出したことがありまして、たしか昭和五十五年だったと思うんですけれども、一たんは導入が決まりましたグリーンカード制度というのがありましたね、国民総背番号制に連動ということで議論を呼んだんですけれども、これが実は決定をした後、国民的な規模での反対が起こりまして、そうして民意を反映した形で廃止をされているという経過もあるんです。
したがって、今回はこの委員会における議論だけでなく、いよいよ胸突き八丁といいますか、正念場の時期に差しかかって、こうしたいわゆる委員会の決議というものを覆す国民的合意にこれを発展させることも可能である、こういう決意にも立ってお聞きをしているわけであります。
そこで、プレスを初め世論一般の受けとめ方、国土庁は、さっきいったように、民間に対する波及効果、経済効果が試算されていないから不十分だなどといっておりますけれども、みずから移転費用の十二兆三千億だけの試算を出している国土庁が何をいうかという気持ちもあるんですけれども、プレス一般、世論一般の受けとめ方は、反応はどうであるか。あわせて、今後予定される移転先候補地への絞り込みや、あるいは東京都の比較考量の作業に際して、大きな影響を与えられると思いますが、どうでしょうか。
○野村首都機能調査担当部長 まず、プレスに対する影響でございますけれども、公共事業の見直しの議論が高まる中で、今回の調査結果の内容がそうした時代の大きな流れに適した内容であったということから、新聞各紙に大きく取り扱われましたけれども、そのことはとりもなおさず、東京都のこれまでの主張が社会的にも認められたものだと私どもは理解しております。
また、今後の影響でございますけれども、今回の調査結果は、いずれの移転先候補地においても、首都移転には経済的妥当性がないということを具体的な金額で明らかにしたところでございます。こうした調査結果が出ましたことは、今後二年を目途として行われるとされている移転先候補地の絞り込みとか、その後の東京都と移転先候補地との比較考量が進められた場合でも、無視できない、少なからぬ影響を与えるというふうに理解しております。
○木内委員 私は、今後の課題の一つは、行政面からの対社会、あるいは対国の対応も必要かと思いますけれども、これは大きくいって政策判断、政党マターにかかる面も大きいわけでありまして、各会派、政党における国への縦の線の中で、これも作業が必要だと、こう思うんです。
そして、今回のこの検証結果の大きな意味というのは、例えば国と議論をする際でも、検証をする基本的な尺度といいますか、基準というものが違ってはならないわけでありまして、例えば相手がこれまで使ってきた基準なり、あるいは基礎資料というものが元になければならないわけでありまして、この点の普遍性といいますか、通用性というものがこの検証結果に求められると思うのであります。したがって、今、お聞きするのは、調査の基本について、その辺はどうであったか。例えば費用便益分析の手法にも言及をしていただいてお答えを願いたいと思います。
○野村首都機能調査担当部長 先生お話しのとおり、客観性を確保するということが一番大事なことでございますので、今回使用しました費用対効果の手法というのは、都が独自に開発したものではございませんで、建設省などにおきまして既に導入されているものでございます。新規事業を実施するかどうかを決定する前に、その事業そのものの有効性を判断するために用いられたものでございます。今回は、それを首都移転そのものの有効性を検証するために使用したものでございます。
また、国の方とレベルをそろえて申し上げますと、費用対効果の算出に当たりましては、できる限り客観的な立場を確保して調査結果の妥当性を得るために、人口など算出の基礎となる数値としては、国会等移転審議会が公表している資料など、国の資料に出ている数値を使用したところでございます。
○木内委員 さらに今回の調査では、効果を五項目、費用を四項目挙げて検討結果を示してありますけれども、このほかの項目については検討は行わなかったんですか。ここには報告がないんでしょうか。
○野村首都機能調査担当部長 ここに示しました項目以外にも、例えば費用としては、単身赴任者の東京都の交通費、通信費などを、また効果としては、居住人口の減少によるごみ処理費用の減少などさまざまな項目について算定を行っております。しかしながら、それらについて検討した結果、その金額が少ないものについては除外したところでございます。
○木内委員 この検証には、費用と効果の比較を挙げているわけでありますけれども、事業の妥当性を判断する基準が存在するのかどうか、伺います。
○野村首都機能調査担当部長 今回用いました費用対効果の手法におきましては、その事業が妥当とされる基準は、その事業の費用対効果の比がおおむね二・〇以上、つまり費用に対して効果がおおむね二倍以上必要だとされております。
○木内委員 非常に説得力のある中身と今の答弁だったと思いますので、このいわば検証結果というもの、何度もいうように、今後どう各方面に生かしていくかということが課題になろうかと思います。今後、国民的うねりを起こしていく、いわゆる作業論、運動論、これになってくると思うんですが、例えばこの検証結果を得て、これまで以上に国への働きかけをどう強めていくのか、この手法についてもお尋ねしておきます。
○野村首都機能調査担当部長 今後二年を目途に、国会において三カ所の移転候補地を一カ所に絞り込むとされておりますので、首都移転の議論は、現在国会に移っております。また、先日開催されました七都県市首脳会議におきましても、今後、七都県市が一体となって首都移転に強く反対していくということが合意されております。今後も七都県市や都議会とも連携しまして、首都移転反対の大きな国民的流れを起こし、国会への働きかけをこれまで以上に強めていきたいと考えております。
○木内委員 国や国会への働きかけと同時に、世論を盛り上げることも大事でありまして、先ほど来の質疑の中で、世論を盛り上げるための方策ということで答弁がありましたので、今回お答えを求めません。しかし、これはぜひ精力的に進めていただきたい。結論から申し上げて、首都移転には妥当性がない、こういうことを数量的に、数値的に明確に裏づけするよい検証結果の資料ができたと思うわけでありまして、さっきグリーンカードの例に言及したわけでありますけれども、首都移転の白紙撤回に向けて、今後議会と、そしてまた行政は両輪となって、全力投球をすべきと考えるわけでありますけれども、最後に安樂室長の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○安樂政策報道室長 平成二年に国会の移転決議がされたときと比べますと、バブルの崩壊でありますとか、社会情勢が大きく異なってきております。今の段階で、この首都移転の意義というのは根本的に失われているというように思っております。あるいは、もともと正当な移転理由があったのかどうかさえも疑問だというふうに思うんですね。にもかかわらず、過去の決議に非常に固執して、国民の合意もないままに、先ほど委員のご指摘ありましたけれども、なし崩し的に物事が運んでいる、そういう点が大問題だというふうに思っております。このことをこういう形で進められれば、東京の活力が奪われる、東京がだめになるというだけではなくて、ひいては日本の将来にも大きな禍根を残す、こういう問題になるかというふうに思っております。
今回、先ほどもご指摘いただきました職員の発案で、ある意味でちょっとなかなか気がつかないところに気がつきまして、じゃ、こういう試算をやってみようということで、それなりの非常にいい結果を得たというふうに思っております。これを最大限に活用していきたいと思っております。
政策報道室にはいろいろな形で都民からの投書といいますか、意見がいろいろ寄せられてきます。その中にこういう意見があるんですね。自分は毎日の通勤ラッシュ、あるいは交通渋滞に非常に苦しめられている。首都が移転すれば、そういうことが改善されるんじゃないかというふうに、非常に切実な意見も寄せられてくるんですね。ところが、今回、国会などの中心的な、都心にある官庁が移転した場合の効果、交通ラッシュ、どのくらい解消するのかという効果も試算しているわけですが、意外に少ないんですね。東京都の抜本的な改善のためには、東京にやはり国費を集中的に投下する、こういう非常に基本的な都市改造がなされなければいけないということがまた明らかになったというふうに思っております。そういう意味では、こういう新たになったことも含めながら、国民の広い理解が得られるように、最大限の努力をこれからもしていきたいと思っております。
○今井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十六分休憩
午後三時四十二分開議
○今井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○坂口委員 それでは、通告をし、資料を提出していただきましたものに基づきまして質疑をさせていただきます。
まずは、東京構想二〇〇〇に関連しての内容でございます。今さら申し上げるまでもないわけでございますが、先ほどの余談でも出ておりましたように、アメリカの大統領選挙を初めといたしまして、国内の政治、経済、社会、大変大きく動いております。また、流動化しております。そんな中で、東京構想二〇〇〇が具体化されようとしているわけでございますが、社会の大きな趨勢を見ますと、やはりかねてからいわれておりますような少子高齢化というものが急速な勢いで進んでいる、これは大きなトレンドであろうかと思うのです。それから、IT革命に象徴されますような、これはかねてから情報化社会、またポスト・インダストリアル・ソサエティー、懐かしい言葉でございますが、そんなふうに呼ばれていました。それから、ボーダーレスの時代というような言葉に象徴されますような国際化ということですね、これがもう急速な勢いで進んできている、そのように申し上げて過言でないと思います。
他面、私どもが生活をしております自治体について見ますと、地方分権一括法の成立というのが大変大きな出来事ではないかと思うんです。ある学者、松下圭一先生もいっておられますし、神野先生もいっておられますが、そのような専門家の言葉をかりましても、ある意味では明治以来の大改革であるという、そのような認識では一致しているのです。地方分権の時代は、地方主権の時代へと幕を変えていこうとしております。
それから情報の公開、アカウンタビリティーという言葉がかねてからよくいわれましたけれども、これもただ公開をするだけではなくて、最近の動向は、行政評価の手法などとも関連をいたしますが、プラン・ドゥー・シーまたはプラン・ドゥー・チェック・アクションということで連動するわけですね。個別のものではないと私は考えております。総務委員会でもそのような質疑をさせていただきました。そんなことからいたしますと、知る権利ですとか、知る権利からさらに提案や提言をする権利といいますか、パブリックコメント制度などというようなもので象徴されているわけでございますが、そのような方向へと移りつつあるように思います。
また、市民の参加というのも、男女共同参画という言葉に示されますように、ただ参加するだけではない。参加することに意義があるという言葉もありますけれども、参画をする。そこに身を置いて積極的に提言をしていく、提言をするだけでなくて、自分の発言した内容、結果として出てきたものについて責任を持つということまで含めて参画だと思うわけでございますが、そのような方向へと動きつつあるように思うのです。
これらは総じていうならば、地方自治にとっては大変重要な事柄でございまして、民主主義の成熟発展ということにもつながってくるのではないか、そんなふうに考えております。
そのようなことを前提といたしまして、東京構想二〇〇〇というものが本当にそのような視点から考えられているのかどうかというところが大変気になるんですね。巨視的な見方、例えばメガロポリス構想、これは否定するものではありません。市民団体の言葉に、シンクグローバリー・アクトローカリーという言葉があるんです。両面が必要なんだと思うんですね。逆にいうと、そのような視点がなければまずいというのが二十一世紀の恐らく政策になってくるだろう、そのように考えるからでございます。
そこで、早速伺うわけでございますけれども、そのような視点から見た場合に、今までのトップダウン的な物の見方考え方、これを否定するものではございません。これも大変重要であります。これはリーダーシップとも関係してくると思うんですね。重要であると思うんですけれども、やはりもう一つ、パラダイムを転換いたしまして、ボトムアップ的な視点から物事を見ていく、またはボトムアップ的な視点から見たら一体都政というものはどうなっているのか、地方自治はどうなっているのかという視点が重要であることも、これは論をまたないと思います。
そこで、お伺いいたしますけれども、まず第一点といたしまして、東京構想二〇〇〇に関連いたしまして、これからは地域の足元からも、防災やまちづくり、福祉または環境対策を含めましての、例えばごみの減量やリサイクルといったような問題を含めまして、プランを立てていくということが大変重要になってくる、そのように考えるわけでございますが、この東京構想二〇〇〇では、地域からのまちづくりということをどのようにとらえて、どのようにその中に盛り込んでいるのか、それについてお聞きしたいと思います。
○関谷計画部長 これからのまちづくりといいますか、地域からのまちづくりという視点に立ちますと、地域を基本として、都民一人一人の身近な生活圏を重視するとともに、都民、民間事業者、NPOなどの幅広い参画により、行政との協働のもとに進められていくことが重要であると認識しております。
そういう立場に立ちまして、今回の東京構想二〇〇〇の中間のまとめにおきましては、ただいまご指摘のありました、例えば防災の分野でありますと、都民や事業者の防災行動力の向上と高齢者を含めた地域での支え合いの促進、福祉の分野で申しますと、ボランティアやNPO活動を支援し、地域における連帯の意識を広め、心の支え合いや手助けが必要なときは互いに助け合える地域社会を形成していくこと。また、まちづくりの分野で申しますと、ユニバーサルデザインの思想に基づく住民と地元自治体との協働のまちづくりによる生活支援機能を備えたコンパクトな生活圏の形成。さらには、環境の分野で申しますと、都民一人一人の力で身近なところに緑を保全、回復するため、ボランティア活動を促すとともに、緑地トラスト等を活用していこう。そのようことで、さまざまな分野におきまして、そうした視点から、今後の取り組みの方向としてお示ししたところでございます。
今後とも、地域の住民と地元自治体の連携に基づく協働のまちづくりと申しますか、地域づくりが推進されるよう、都としても支援してまいりたいというふうに考えております。
○坂口委員 事務事業の説明でございますから、大きな視点だけ指摘をし、誤りなきように今後の取り組みに生かしてもらいたい、そんなふうに考えるわけでございます。
ご承知のとおり、田無、保谷が合併をいたしまして、西東京市が誕生いたします。一月二十一日のことになろうかと思います。その前の作業でいろんなことがわかってまいりました。そのモデルが、全都的に当てはまるかどうかの検証はできておりません。しかしながら、恐らくかなりの部分が当てはまるのではないか、そのような視点からお聞きをいたします。
例えば、先ほど少子高齢化ということを申し上げましたが、田無、保谷には、今二十校の小学校がございます。大体小学校といいますのは、私の計算によりますと、人口一万、一キロ平方に一カ所の割合で建設されてまいりました。ピーク時を迎えて、今空き教室や統廃合の問題が大変大きな課題になっていることはご承知のとおりでございます。最新の情報によりますと、都内には千三百八十五校の小学校と六百六十校の中学校、合わせますと二千四十五校の学校がございます。これは公立の小中学校に限定しての話です。
さて、どんなことがこの田無、保谷の合併でわかってきたかといいますと、今後十年間に二十校あるうちの七校が一クラスになる。一クラスになるというのは、現在の四十名学級を前提としてです。ですから、二十名学級にしたら、二クラス残る可能性がある、そのようにも読み取れます。そのようなトレンドがもし全都的に--多摩東部地域でございますから、恐らくかなりの汎用性といいますか、があるのではないかと私は思っての発言であるわけでございます、全都的に、仮に当てはまるといたしますと、千三百八十五校あるわけでございますが、そのうちの三分の一、四百校から五百校近くが一クラスになる可能性があるということを意味しております。
人口の推移も、繰り返しになりますけれども、他の委員会でもいいましたので、委員の皆様方にはお許しを願いたいのですが、団塊の世代--私、団塊の世代の先頭を切っているわけでございますが、二百七十万人。今、中高生は大体百五、六十万人、生まれてくる子は百二十万人。政策報道室が出しました十五年後の姿を見ますと、生まれてくる子供たちが八十万人ぐらいになるであろうということですね。大変寂しい社会になっちゃうなということを感じるわけでございます。他面で、ピンチはチャンスなんですね。我々、石拾いをした、ローラーかけをした、トンボを引いた、そのような学校が、今大分余裕が出てきているということでもあるわけです。
そのようなことからいたしますと、四百校出てくるのか五百校になるのかは今後の調査と研究にゆだねたいと思うのですが、これは新たな時代に向けての社会資本として十分活用できるものである、そのように申し上げることができると思うのです。
いうまでもなく、学校は、それぞれの区市町村の中でも大変交通の利便性に富んだ場所に建てられています。おおむね一ヘクタールぐらいあろうかと思うのですが、校舎があり、体育館があり、小学校の場合には給食室もある、プールもあるということですね。そのようなものを次の時代を展望しながら有効に活用していくというような施策があってしかるべきだと思うのです。また、そのことによって、先ほど質的な転換と申し上げましたけれども、地方分権の時代、情報の公開の時代、さらには市民参加の時代にこたえられるようなものにしていくという柱があってもいいのではないかと考えております。
既に四年ほど前の青島知事とのやりとりの中でもかなり前向きの方向が示されました。具体的には、阪神・淡路震災が、五年前でございますけれども、ありました。御蔵小学校へ参りました。もう明らかに防災の拠点であり、生活の拠点になっているんですね。卑近な例では、三宅の子供たちが今秋川高校で生活をしている。そして勉学をしているという例を見ても明らかでございます。また、京都の宇治、小倉小学校におきましては、全国に先駆けまして、あいてまいりました校舎を転用いたしまして、デイサービスセンターなどをつくった。都内でも幾つかの自治体が取り組んでいることは、ご承知のとおりでございます。
次の時代のニーズというものを見た場合に、きのうですか、参りましたら、机上に配布されていたわけでございますけれども、どのようなものがあるかといいますと、これは政策報道室の調査によるわけでございますけれども、平成十二年度の都政への要望といたしましては、高齢者施策が四四・七%、医療・衛生が三六・五%、ごみ・産業廃棄物の問題が二五・三%、環境問題が二五・二%、消費生活が一六・一%、このような都民ニーズが示されております。
このような問題に取り組んでいくための地域の拠点として、繰り返しになりますが、人口一万人、一キロ平方に一カ所、中学校の場合には人口二万人、大体二キロ平方に一カ所の割合で配置されているわけでございますが、これらの施設を、例えば防災の拠点としてきちんと位置づけて整備をしていく。それには恐らく東京消防庁もかかわるでしょうし、地域の消防署もかかわるでしょうし、消防団もかかわるでしょうし、NPOもかかわる、そんなようなイメージになってこようかと思うわけです。それから、高齢者の、例えばデイサービス施設として使う。またはショートステイの拠点として使う。これも十分できると思います。また、今、障害者の施設は逆多摩格差です。特に知的障害者の場合などには、明らかにそれがいえるかと思います。二十三区内で建設しようとすると、土地がない、建物がないというわけでございますが、私は、五年、十年の先を見るならば、土地がある、建物もある、ないのは知恵ではないか、そのように感ずるわけです。
それから、例えばまちづくりの拠点という点でも、いろんなNPOができてきております。しかし、場所がないというふうなことでいろんな訴えがあるわけです。そのようなことからいたしまして、これからの少子高齢化、そしてまた、先ほど申し上げましたような市民参加型の地域づくりを目指していく意味でも、今申し上げましたような学校の空き校舎、空き教室、または統廃合をした後の学校の土地ですとか建物ですね、建物も大体二、三十年たつと取り壊してということもありますけれども、僕は耐震診断をして、場合によっては補強をして、リフォームをすれば十分使える建物は幾らもある、そのように考えております。
そこで、この問題の最後になりますけれども、少子高齢化、これは別の言葉でいいますと、世界最長寿国になっているということでもございます。そして、地震災害国です。ヨーロッパでもアメリカの東部でも地震はありません。スカンディナビア半島もほとんどありません。いつ来てもおかしくないという地震災害国であるのは日本の特性です。また首都圏の特性です。そのような中で私どもの生命や財産を守り、生き生きとした長寿社会を築いていく。ある意味ではモデルなき世界に今突入をしようとしているのではないか、私はそのようにすら考えております。したがって、知恵は私ども都政人やまたは政策報道室等が出していかなければならない。新しいモデルをつくっていかなければならないと考えるわけでございますが、今いいましたようなところに、これからの問題を解決していくためのかぎがあるのではないか、そんなふうに考えております。
そこで、小中学校の空き教室や統合による空き校舎等を、教育の拠点として使うということはもちろんでございますけれども、地域のまちづくり、防災や福祉や、または環境問題など、地域におけるさまざまな課題を解決するための拠点として活用していくことが大変重要になってきているのではないか、そのように考えるわけでございますが、ご答弁をお願いしたいと思います。
○関谷計画部長 ただいま人口の推移等を踏まえてご指摘をいただきました。ご指摘のありましたとおり、今後、高齢化がどんどん進みまして、もちろん今回の東京構想中間のまとめの中でも、少子高齢社会に対する種々の対応策を掲げているわけでございますが、少子高齢社会という大きな構造自体は、現在の私どもの人口予測等では避けがたい状況にあるだろうという認識に立っております。そういう点では、ご指摘のとおり、公的な施設と実際の人口構成とがミスマッチと申しますか、小中学校等の余裕教室等が今後生じてくるということは十分考えられるところでございます。
小中学校の余裕教室等につきましては、これは区市町村が設置するものではございますけれども、学校教育に支障のない範囲で福祉、防災、まちづくりなど地域におけるさまざまな活動の拠点として活用されることは、地域における公的施設の有効活用といった面から望ましく、それぞれの地域の実情に応じ積極的な活用が図られるべきであるというふうに考えております。
東京構想二〇〇〇の中間のまとめにおきましても、学校の空き教室や都営住宅の敷地などを活用いたしましてデイサービスセンターなどの整備を促進していくことを、取り組みの方向として明らかにしているところでございます。
今後とも区市町村等と協力し、小中学校などの公的施設が地域におけるさまざまな活動の拠点として積極的に活用され、活力ある地域社会の形成を促進していくことが必要であるというふうに認識しております。東京構想作成に当たりましても、こうした視点に立ちまして、十分取り組んでまいりたいと考えております。
○坂口委員 いろんなやりとりの中で、どうも四年前にやりとりをさせていただきました経過がきちんと引き継ぎがされていないのではないか、そういう思想が継承されていないのではないかということを残念ながら感じざるを得ませんでした。今、部長からご答弁がございましたが、ぜひ積極的に、今提言をさせていただきましたけれども、それらの視点へのこれからの調査研究、検討を進めていただきたい、そのように要望を申し上げておきます。
それでは、次の課題でございます。先ほど申し上げましたけれども、分権型の社会、地方主権の時代をつくっていくためには、地方自治体が、当然のことながら、財源を確保いたしまして、自己決定、自己責任で地方自治を行えるようにしていかなければなりません。そのためには、今東京都もそれぞれの区市町村も努力をしておりますが、まずは内部努力ということになろうかと思います。または、課税自主権等を行使しながら税財源の確保を図っていくということが、もう一つの要素としてあるわけです。しかしながら、知事がよらしむべし知らしむべからずといいますが、日本国全体の税財源の問題に触れないわけにはいかないと思うんです。
具体的にいいますと、地方分権一括法が成立をしたわけでございますけれども、また六割の仕事が自治事務、法定受託事務として、地方の仕事ということになったわけでございますが、税財源の配分はいまだに変わらない、中長期的な課題としてたなざらしになっているというのが実態でございます。これを何とか変えていくということが必要であるわけでございまして、具体的には所得税や消費税の税源を地方に移譲するということは不可欠である。先ほども議論がございましたけれども、その場合のポイントは、東京ひとり勝ちではなくて、それぞれの自治体に恩恵がいくような形、そのような戦略でなければならないということも、今までの議論の中で明らかになってきているところであろうかと思います。
しかしながら、先ほどいいましたように、国といいますけれども、我々は政府といいたいところですね、この政府のガードは大変固いものがございまして、税財源の移譲については確約を取りつけるということができていないという状況にございます。これは東京都はもとより全国の自治体が抱えているジレンマでもある、そのように思われるわけでございますが、地方への税源移譲について、財務局の資料などによりますと、他の府県やまたは自治体と連携して取り組んでいるということを再三レポートで書いているわけでございますが、まず、国に対してどういう働きかけをしてきたのか、その経過についてお伺いしたいと思います。
○三枝国政広域連携担当部長 まず、東京都から国に対する働きかけについてのご説明でございますが、都は昨年度から、国に対する提案要求におきまして、地方分権に伴う税財政制度の抜本的改革を最重点事項と位置づけております。この中で国と地方との財源配分を見直し、消費税や所得税などの税源を移譲するよう要求しているところでございます。具体的には、知事が総理大臣及び関係大臣と面談して解決を求め、また副知事、出納長等による関係省庁への要請活動を繰り返しているところでございます。
○坂口委員 この資料でも出していただきましたけれども、十一年度、十二年度、また、今三枝部長からもご答弁がありましたように、積極的にやっていると、様子はうかがえるわけでございますが、それでは、先ほどの首都機能の移転の問題ではございませんが、各政党ですとか会派ですとか、または衆参両院議長ですとか、そういうものについての取り組みはということになると、恐らくまだできていないのではないかという気がいたします。そこで、全国的に大きな課題でございますので、ぜひこれらについてもご検討をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
そこで、第二問でございますけれども、都だけでこの問題を解決するのは、率直にいってなかなか困難なところがございます。税財源の移譲といいますのは、地方公共団体に共通する課題でございまして、都内の区市町村はもとよりでございますけれども、全国の自治体三千二百五十五でございますが、ここと連携して、政府等に強く働きかける必要がある、そのように考えるわけでございます。国に向かっての取り組みだけでなく、他の自治体や関係団体とどのように連携して取り組んできておられるのか、お聞きをしたい。
○三枝国政広域連携担当部長 直近の状況についてお答えいたしますと、まず全国知事会では、昨年度及び今年度の国への要望の中で、分権型社会に対応するための地方税財源の拡充強化といったものを取り上げております。この中で消費税や所得税などの税源移譲を求めているところでございます。また、関東地方知事会議でも同様の要望を、昨年、ことしと、政府、国会議員等に対して行っているところでございます。
また、七都県市首脳会議では、昨年度、地方財政の安定化等に関する要望を自治大臣に提出いたしました。今年度は、去る十一月七日の同会議におきまして、地方分権の推進と地方財源の充実確保を求めるアピールを採択したところでございます。
次に、区市町村との連携でございますけれども、昨年十一月、東京都と区長会、市長会及び町村長会の四団体が共同いたしまして、自治大臣と大蔵大臣に地方分権体制の確立に向けた税財政制度の抜本的改革を要望したところでございます。なお、四団体が共同して要望活動を行ったのはこれが初めての例というふうになってございます。
都は、これまでも全国知事会等の関係団体に対しまして、税源移譲の実現を国に働きかけるよう積極的に提案してきたところでございますが、今後とも他団体との連携を深めてこの問題に取り組んでいきたい、かように考えております。
○坂口委員 最後にいたしますけれども、さすが都だなという感じはするんですが、多方面にわたってかなり体系的な、組織的な取り組みがなされてきているなという感じはいたします。全国知事会、関東地方知事会、七都県市首脳会議、区市町村長会議、平成十二年度、これからやるのは区市町村長会議などにおける説明立ったアピールというようなことになるのかなという気がするのですが、もうちょっと努力をしてもらいたいという提案、提言を含めまして、これは都民にもわかるようにしていただきたい。東京都はどういう地方分権社会または税源移譲の戦略、戦術を考えているのか。具体的にいいますと、インターネットのホームページ等ですね。それから、国民にもわかるようにしていただきたい。アクセスするのは国民ですから、東京都が別に金をかけなくても、していただけるわけです。
せんだって、話は余談にそれますけれども、国際フォーラムの評議委員会がありました。九月だけで六万件のアクセスだそうでございます。こういう時代なんですね。それから、自治体議員ですね。全国でざっくりと計算をいたしますと六万人ぐらいいるんじゃないかと思います。都議会でもそれぞれの会派、東京都の分厚い予算要求に出ているイの一番に反対を唱えている政党は、私の知る限りではほとんどいないのではないかと思います。したがって、地方議員に対して、武蔵野の市長がやったような方法がいいかどうかはわかりませんけれども、パンフレットを用意するとか、またはインターネットのホームページでアピールをするとか、そんな方法があるのではないか。
別の見方をいいますと、国会議員、たったの七百人ぐらいじゃないですか。永田町、霞が関、恐れるに足りずというと、ちょっとオーバーな表現になるかもしれませんが、全国の人がこういう認識を持ったならば、つまり先ほどの知事の言葉を思い出すんですが、やっぱりよらしむべし知らしむべからずなんですよ。知られてないんですよ。知られてないから、永田町や霞が関が、ごまかしているという表現はよくないんですけれども、なかなか税源移譲をしないということであるわけでございまして、ぜひさらなる工夫と取り組みをお願いしたいと思います。
それと、最後でございますけれども、十月に出されました二十六次地方制度調査会の答申でも、地方税財源の充実確保が提言されております。今申し上げましたような内容を具体的に提示しながら、多くの国民または都民に訴えるということとともに、国に働きかけるべきであると思うのです。内容は繰り返しになって、また坂口それかといわれそうでございますけれども、現在の所得税、六九対三一を当面五〇対五〇にする。これは大変節度のある要求だと思うんですね。都民の支持は恐らく全部得られると思います。それから、消費税です。この消費税の率をめぐっては、ちょっと異論を唱えておられる会派がございますけれども、現在の五%を是認するならば、当面、四対一を三対二にする。これも大変控え目な、節度のある、良識的な要望だと思うんです。それを合わせますと、約一兆七百億から八百億ぐらいの税源移譲が可能である。国、地方を合わせての税収が八十七兆円ぐらいでございますから、一割以下ですね。しかし、それがよってもたらす効果は大変大きゅうございまして、一兆数千億の税源移譲が東京都だけでも起こる。特に財政再建管理団体になるのではないかといわれております区市町村に対しましては、そのうちの七千数百億円が移譲されるということでございますので、これは本会議の場でも確認させていただきました。
私どもの地域で恐縮でございますが、十八万西東京市でも約百億円弱の税源移譲が単年度で起こります。このようなことも知られていないというところに、私どもの取り組みの不十分さがあるのではないかと思うわけでございまして、ぜひそれらの周知徹底も含めまして、税源の移譲について、政策報道室、特に戦略を練る、または戦術を練る部局でございますので、お願いをしたいと思いますが、最後に局長のご意見と決意をお聞きしまして、私の質問を閉じさせていただきます。
○安樂政策報道室長 東京都は久しい以前から、地方自治体の責任ある自主的な財政運営をするためには、国から地方へ税財源を移譲すべきであると一貫して主張しております。このことは東京だけに何か特別な措置をしてくれということではなくて、全国知事会などとも連携しながら進めてきた地方自治体共通の課題であるというふうに思います。
その際、委員いわれるように、具体的な提案があった方が確かにわかりやすいというふうに思いますし、理解もされやすいというふうに思います。そういう努力、これまでは所得税、消費税を移譲してくれというふうな形でいっておりますけれども、なかなか具体的な形の提案をこれまで余りしていなかったということについては、もう少しいろいろな形を考えなくちゃいけないというふうに思います。
若干具体的なお話をさせていただきますと、そういう際も、東京だけが得をするのではなくて、地方全体が利益を得るような、そういう税源移譲でなければいけないということは当然でありますし、またそうしないと、合意がなければ、なかなか全体としての力、改革の力にもならないというように思うんです。
ご提案の、例えば所得税、消費税というのは、一方で地方交付税の財源にもなっておりますので、ここを地方への配分を大きくするとなると、地方交付税の方もいじっていく、当然そういう問題が生じるというふうに思います。その辺をあわせて考えていかないと、地方によっては、地方交付税の非常に恩恵を受けているところ、それから東京都のようにその恩恵をほとんど受けないところというふうにありますので、利害の不一致が出てはいけないというふうに思いますので、その辺は今後の研究課題として真剣に受け取らせていただきたいと思います。
たまたま今、都税調がいろいろな形の提言をしております。そういう中に一つの研究課題として検討をお願いしたいということ、内々にはいろいろな話もありますが、そういうことを私の方からもお願いして、こういうものについてもう少し具体的な内容を出していただきたいということを期待すると同時に要望したいというふうに思います。
いずれにいたしましても、都議会でもきょう税財源の総会もありました。そういう意味では非常にいろいろな方面での活動も盛り上がっているときです。東京都もこれに力を入れながら、最善を尽くしていきたいというふうに思っております。
○藤川委員 いろいろと横田基地のことについて議論されることが多くなったわけですけれども、私自身、横田基地について、皆さんが口角泡を飛ばすような形で議論を重ねられるのは、何か横田基地というのはよほどの基地であるのかなというふうに思ったわけです。そして、第二次世界大戦敗戦とともに接収され、今日まで米軍に使い続けられている横田基地について、敗戦までそこで働いていた人たちやその周辺に住んでいる人たちからいろいろ聞いてみたわけです。そうしたら、この基地が大変な基地であるということがわかって、新藤さんもあの地域に住んでおられるから、横田基地のすばらしさということがよくわかっていらっしゃると思いますが、まず、その滑走路の長さ等を含めて、横田基地の飛行場としての能力、それから国内の空港や飛行場と比べて、横田基地は一体どのくらいに位置するのかということをまず質問させていただきたいと思います。
○松田特命担当部長 横田基地の滑走路は南北の方向に設置されておりまして、長さが三千三百五十メートル、幅が六十メートルありまして、その両端にそれぞれ約三百メートルのオーバーランが敷設されております。滑走路を国内の空港や飛行場と比較いたしますと、成田新東京国際空港の長さ四千メートル、幅六十メートル、関西国際空港の長さ三千五百メートル、幅六十メートルに次ぐものとなっております。なお、オーバーランを含めますと約四千メートルとなりまして、成田とほぼ同規模の滑走路となっております。
○藤川委員 今、担当部長からお答えいただきましたように、滑走路に関しては大変な空港であるということがわかったわけです。飛行場及び飛行機について詳しい人が説明してくれたんですけれども、化け物みたいな、戦車やなんかを腹に据えて離着陸するすごい飛行機ありますね。あれがいとも簡単に飛来し、飛び去ることができるような空港というのは横田だけかなというようなことをいっているわけです。そのようなすごい空港なわけです。
そして、私自身の本当に卑近な例なんですけれども、青森空港から大阪の方に飛ぶ必要があって、夜、苦労しながらようやく青森空港に着いたわけです。雨は降っていませんでした。ただ、非常に濃い霧があったということなんですが、要するに我々を迎えに来る飛行機、羽田か大阪の方から飛来するというので、それが着陸できない。着陸できないということは、我々がそれに乗ることができないわけですから、結局乗れなかったわけです。そうしますと、後で聞いた話なんですが、藤川さん、大変なところの飛行場から乗ろうとしたんじゃないか。あの飛行場は霧が発生して、飛行機が飛来したり、または飛び去るということが非常にいろいろと問題を起こす空港で、もしスケジュールがタイトであれば、余り使っちゃいけない空港だというようなことを聞いてびっくりしたんです。
そのような状況が空港によってあるということを知ったわけですが、横田基地の場合、地形とか気象とか、そういういろいろなことに関してはどのような評価を得ているのか、ちょっとその辺について質問させていただきます。
○松田特命担当部長 気象や地形といった視点から、横田基地の飛行場としての優位性を示す直接的なデータは現在のところございませんが、横田基地は武蔵野台地に存在しておりまして、埋立地や新たに造成した土地よりも地盤が安定しているといわれております。また、一般的に空港を設置する場合、航空機の離着陸に影響する風向き等の気象条件を検討することとされておりますが、風速との関係では、ジャンボ機は乾いた滑走路におきまして毎秒約十五メートルの横風で離着陸は規制されておりますが、横田基地に近い福生市市役所の屋上で都の観測データを見てみますと、毎正時十分間の平均風速における最大風速が、毎秒約十二メートルというのが過去五年間の最高値となっております。
なお、横田基地の担当者に確認いたしましたところ、過去三年間は霧の発生により飛行場が閉鎖された例はないとのことでございます。
○藤川委員 いろいろなデータがあるはずなんですけれども、そのデータへのアクセスが全然ないわけです。ですから、私は、前にいいましたように、そこで働いたことのある人たちとか横田基地の周りに住んでいらっしゃる方とか、いろんな人たちから聞き込んでいったわけです。そして、これも卑近な話ですが、小金井では毎年夏の終わりのころ、台風がやってくる直前ですけれども、薪能をやるわけです。雨が降るか降らないかは、ステージをセットするのに三百五、六十万かかりますから、それについて大変な思いをするわけです。そのときに、一番正確な気象状況を把握しているのは、東京の気象庁じゃなくて横田基地の空軍だというわけですね。だから、あそこの基地に何かコネをつくって、あそこでもって今晩は大丈夫だとか雨が降りそうだとか、夕立が来るだけだから待てば大丈夫だとか、そういうような情報をとることができないのかというのを、去年あたりからまじめに話しているわけですが、横田空軍基地の航空班、気象班というものはすばらしいデータを持っているけれども、そのデータは我々に開示していないわけです。
だから、先ほど坂口さん、おっしゃいましたけれども、アカウンタビリティーだとか情報開示だとかということに関しては、自分の都合のいいことは説明するけれども、都合の悪いことは説明しない。米軍が持っている、横田基地に関する日本一を誇るすばらしいデータというものは、決して日本国民には知らせしめないわけです。知られると困るわけです。我々は日本国民でありながら、東京都民でありながら、マグロの超トロみたいなところを彼らに握られて使われてしまって、我々はその一かけらすらも利用することにならないわけで、そういう状態に置かれているわけです。だから、そういうことを考えた場合に、皆さんはそういうことを知らなくちゃいけないんですが、米軍からの基礎的なデータというものは、提供されているんでしょうか。
○松田特命担当部長 これまで飛行回数等の情報につきましては、東京防衛施設局を通じて求めてきた経緯がございますが、日米地位協定第三条の管理権に基づく米軍の基地運用にかかわる事項であるとの理由で、現在のところ、回答が得られていない状況でございます。
また、横田の飛行場としての優位性にかかわる基礎的なデータとして、気象関係の情報につきましては、軍のオペレーションのための情報であるので、外部には提供しないとの回答を得ておるところでございます。
このような中ではございますが、今後、国に働きかけるなど情報の入手に努めてまいりたいと存じます。
○藤川委員 いろいろとご説明いただいたわけですが、はっきりしていることは、米軍が持っているすばらしいデータというものが我々に開示されていないというわけです。開示されないということは、これは皆さんよくご理解いただきたいんですが、開示すると不利だから開示されないので、要するに、米軍の軍事機密に触れるかどうかということじゃなくて、そんな日本一のすばらしい飛行場を米軍が押さえているということ自体が東京都民に知られるということが非常に恐ろしいわけです。ですから、ぜひ皆さんにお願いしたいことは、正確な、客観的なデータというものを入手する努力を続けてもらいたいということです。出せというふうにいってもらいたいわけですよ。なぜ出さないんだ。これが、今後は横田基地をどのように使用するかということについては、これから皆さんと議論を重ねるにしたとしても、やはりそんなすばらしい空港が東京の西部にあるんだと、そしてあの空港があるために関東平野の西の方、それから、甲信越の管制区域というものが大変広い地域を押さえられてしまっているために、他の日本の航空会社及びそういう飛行機を飛ばす設備にとっては、非常に不便をこうむっているという事実があるらしいんですが、そういうことも踏まえて、ぜひ客観的なデータを皆さんの方に開示してもらい、それを我々に知らせてほしいと思うのです。それをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○木村委員 私も、東京構想二〇〇〇についてお尋ねしたいと思いますが、中間のまとめは九月に発表されまして、この委員会にも報告され、私も質疑をさせていただきました。中間のまとめではなくて本体の東京構想二〇〇〇、これはいつ発表になるんでしょうか。
○関谷計画部長 東京構想二〇〇〇の策定方針によりますると、年内を目途にということになっておりまして、現在、年内発表に向け、準備を進めているところでございます。
○木村委員 年内を目途にと今おっしゃいましたけれども、第二回都議会定例会の知事発言、これはこういうふうにいっています。私は、いち早く東京を危機からよみがえらせ、二十一世紀に誇れる都市をつくり出していくため、東京構想二〇〇〇仮称を十一月を目途に策定いたしますということになっていますが、十一月目途だったんじゃないんですか。
○関谷計画部長 施政方針の中で十一月を目途と知事からご発言があったというふうに承っておりますが、私どもとしては、策定方針に沿って、年内発表に向けて現在準備を進めているところでございます。
○木村委員 策定方針は、最初から年内だったんですか。十一月じゃなくて、最初から年内目途ということでお仕事をされてきて、今やっている、こういうことですか。それとも途中で変わったんですか。
○関谷計画部長 本年の当初に策定方針として各局に提示いたした内容は、年内を目途にということになっております。
○木村委員 おかしいじゃないですか、知事の施政方針ですよ、十一月というのは。それを最初から年内ということだったんですか。ちょっとはっきりしてください。すると、知事のこの発言が間違いだと。
○関谷計画部長 失礼いたしました。ただいま事実関係をちょっと確認いたしましたけれども、第二回定例会の施政方針の際に、十一月を目途ということで知事から発言がございましたけれども、第三回定例会の際に、年内にということで改めて発言をなさっております。
○木村委員 だから変わったんじゃないですか。最初に十一月目途といって、三定で年内というふうに修正をしたわけですよ。なぜ修正をしたんですか。いつ、だれが、どこでそういうふうに方針を変えて修正をしたんですか。
○関谷計画部長 もともと東京構想策定に当たりましての策定方針は、昨年の十二月に発表しているわけでございますが、その際には、本年末を目途にということで出してございます。二定の際に十一月目途ということを発言がございましたのは、進捗状況等を見て、その辺の目途ということもお考えになったということで発言があったかと思いますけれども、第三回定例会では、当初の策定方針どおり年内目途ということで発言されております。
○木村委員 今の話だと、もともと年内だけれども、進捗状況を見て知事が二定で十一月といったと。知事が勝手にいったというんですか、東京都の方針としてじゃなくて、知事の判断でそういったということですか。つまり、知事発言というのは、そういうものだということなんですか、はっきりして……。
○関谷計画部長 施政方針というのは、私の理解では、知事の発言であると同時に東京都としての姿勢をお示ししているものだというふうに考えております。
○木村委員 だから、十一月というふうに東京都の方針として本会議でいって、次に年内というふうに修正したんですよ。変わったんですよ。どうして変わったのか、いつ、だれがそういうふうに変えたのか、そこをいってください。
○関谷計画部長 最終的な判断について私は十分承知しているわけではございませんが、全体の進捗状況等を踏まえた中で、やはり当初の目標どおり年内策定が適当であろうということで、都として判断したものというふうに理解しております。
○安樂政策報道室長 二定のときには十一月を目途にといういい方をしていると思うんです。その後三定の中では、これは年内をというふうに知事もいったと思いますし、私も答弁の中でそういう答えをしたと思うんですが、これは一つの予定ですので、ちょうど十一月ぐらいに出すということでいろいろ努力はしていましたけれども、やっぱり作業もおくれていたということで、年内といういい方に変えております。これは知事が独断でいったということではなくて、事務方も含めた政策会議の中で、知事の答弁内容その他所信表明の内容も検討する中で、こういういい方をしたわけで、修正したといえばまさに修正したということでございます。
○木村委員 十一月か十二月か、なぜ私がこだわるか。この中間のまとめには「今後、さらに検討を進め、具体的な施策や事業(三か年の重点事業をまとめた推進プラン等も含む。)、政策指標の目標値等を含め、最終的に構想をまとめていく予定です。」と。つまり、最終的な構想というのは、三カ年の重点事業の推進プランも含みますよ、実施計画も入りますよということなんですよね。
しからば、これまで東京都が実施計画を発表したことが何回も何回もありますけれども、十二月に発表された実施計画というのはありますか。
○関谷計画部長 突然のお尋ねなので、過去のすべてについて承知しているわけではございませんが、ここ数年間の実施計画については、そのような例はないというふうに受けとめております。
○木村委員 私からいいましょう。マイタウン'87東京都総合実施計画、昭和六十二年十一月です。マイタウン'89、昭和六十三年の十一月です。マイタウン'91、平成三年の十一月です。青島都政になってから、「とうきょうプラン'95」東京都総合三カ年計画、これも平成七年の十一月です。それから「生活都市東京の創造 重点計画」、平成九年の十一月です。そして改訂重点計画、翌年出ました。これも十一月です。なぜ私が十一月にこだわるかというのはわかりますか。
○関谷計画部長 委員がどのようなことでこだわられるかということについては、なかなか私の方はわかりかねますけれども、従来、実施計画を含むものにつきましては、十一月に発表をしてきたことは事実でございます。
○木村委員 実施計画というのは予算が伴うんですよ、当然のことながら。構想とかビジョンとかいうのとは違って。予算編成というのは、十一月は、局からずっと積み上げていくわけでしょう。この間、既に各局の予算要望のまとめが財務局から発表になりましたよ。もう既にそういう作業が進んでいるんです。だから十一月に、来年度も含めて重点というのはこうだよという都政の計画を発表するんじゃないですか。それに基づいて、各局も予算の積み上げをやっていくんじゃないですか。それが都政の予算編成の仕組みでしょう。これが知事が一たん十一月といって、いや、仕事がおくれそうだから年内ですということになりました。しかし、今度発表になるのは来年度からの重点計画、三カ年計画です。来年の予算要求はもう各局が財務局に出していますよ。東京都の予算を各局から積み上げていって、つくっていって予算を編成する。東京都の重点はここです、そういう都政の進め方の一番の原則がここで崩れるじゃないですか。そのことをどう思うんですかと聞いているんです。
○安樂政策報道室長 木村委員、何がご心配だったのかわかりましたけれども、これは十二月にずれても、そんなに今の原則が崩れているわけじゃないんです。といいますのは、今、確かに予算編成の時期になっているわけですが、今の構想をやると同時に、先ほどいわれたように、三カ年計画の実施計画をつくっているわけですけれども、これは既に予算部局とも相談しながら作業を進めているわけです。ですから、何といいますか、通常の一番きれいな形は、十一月に計画が出されて、いろいろな形ではっきりする中で、それに対して予算要求をしていくというのが一つの形ではあると思いますけれども、作業がずれ込んだために、それを今並行した形で進めていますので、十一月に計画が出ても、その後、それを見てまた予算要求をする、そういう形じゃないんですよね。大体九月ぐらいからもう予算の作業が始まっておりますので、その中で、こういうのはほとんど同時並行で進んでおりますので、先ほどいわれたような、原則崩れたということはちょっとご心配に当たらないと思っています。
○木村委員 それはそのぐらい、東京都の部局の中ですり合わせをしながら、相談をするだろうぐらいのことはだれだってわかりますよ。が、しかし、議会と都民との関係は、それではつじつまが合わないんですよ。私がいったのは、来年度からの実施計画が十二月にずれ込むというのは初めての事態です。仮に、各局から予算が要望された。しかし、重点計画でバッティングになった。だったら、がらがらぽいになるのかということになりますよね。
特に私が気になるのは、例えば、いろんな研究所の統廃合とか、試験研究機関が廃止されるとか、今いろいろなことになっていますね。しかし、そういうことが明らかにならないうちに、もうこれは廃止ですから予算は要求しませんということにはならないですよね。ですからそういう意味では、大きな都政の中では大した大問題にならないというようないい方を室長はされましたけれども、私は原則問題だと思いますよ。もしこの重点計画と局からあらかじめ上がっている要望とがバッティングしたら、それは要望したものをがらがらぽいするということにならざるを得ないじゃないですか。また、重点事業というのは、局が予算を積み上げていった後に発表になるんですから、それに含まれていない重点事業だったら、これは知事査定でそれを査定するということになるわけですよね。
私は、トップダウンがいいとか悪いとか、石原知事の政治的な姿勢や政治家としての個性などもいろいろ問題になっています。なっていますけれども、つまり、こういう作業の進め方が、下からずっと局から積み上げていって都政を動かしていくという、そういう本来あるべき積み上げ方式といいますか、民主主義を、政策報道室がみずから崩すという前例をつくりゃせぬか、トップダウンを助長するということになりゃせぬか、そういう意味で十二月というのに私こだわったんです。だから、そんなにそごはありませんよという、そういうビジネスライクの実務上の問題じゃなくて、私は政策報道室に聞いているんですから、都政の進め方の原則の問題として、こういうのはまずくなかろうかという問題を出しているんです。その点について……。
○安樂政策報道室長 率直にいいまして、計画が十一月に出されても十二月に出されても、予算との兼ね合いでは、私は関係がないというふうに思っているんですね。むしろ私は、拙速な計画を出すよりは、時間をたくさん欲しいということで、もっと遅くしてもいいぐらいに思っていたんですが、そうなりますと、いわれたように、予算の決定とほとんど同時のことになりますので、それはやはり大きな支障が出るだろうということで、いろんな時間のやりくりの中で十二月には出そうと、最終的にはそういう形に今なっているわけです。
私も昔経験したんですが、四十二、三年でしたか、当時は計画というものがまずありまして、美濃部都政のころなんですが、計画があって、それを後は予算化するという、そういう作業が非常に長い間続けられていて、計画にない予算をつくったときに、そういうものを全部計画どおりに、私はそのとき主計部にいましたけれども、直されたような時代もあったんですね。三日か四日で全部直した覚えがあるんですが、今の考え方は、何か計画が最優先、予算がそれを追従するというようなことではなくて、計画の基本は知事のところで決定する。しかし、それにどういう経費を当てはめるかというのは、局は百億かかるといっても、財務局が専門的な立場から査定すれば、それは八十億で済むというようなことがあるわけですね。そういうことがその後は非常に一般的な認識になりまして、ある意味で計画に出す局の中身を前提としながらも、予算は予算でそれなりの専門的な立場から査定するというのが今の作業になっておりますので、一カ月ずれたことに私はそんなに致命的にはなっていない。私が考えていたように、余りにおくらせて、来年の一月ぐらいに同時発表ということになると、若干その辺については修正がきかないような部分が出ると思いますが、今のところは、委員考えられるような心配な点はないというふうに思っています。
○木村委員 私は、今そういう答弁が出されたら、また違う問題が派生するというふうに思うんです。例えば、予算編成にそういうそごはないんだ、よく打ち合わせをしてやっているんだということであれば、何が重点計画になるか、何が実施計画の中に入るかというのはもう決まっているということじゃないですか。じゃ、何で早く発表しないんだということになりますよ。
十二月か十一月かというのをこだわるのは、四定で議論できるかできないか、議員にとってはそういう問題にもなりますよ。本会議が終わってから、年末ぎりぎりに発表されて、来年の予算案が出るまで長期計画については議会は公式には物はいえないということになりますよ。そういう意味では、議会にとっても非常に重要な問題であるし、都政民主主義にとって原則にかかわる問題であるんですよ。
だから、予算編成にそごが出ないぐらいよく打ち合わせてやっているんだったら、当初計画どおり十一月に発表したらいいと思うんです。しかし、この構想はよく練らなきゃならぬ、もっとおくれてもいいぐらい練らなきゃならぬというふうにいいましたけれども、それだったら、何で中間のまとめを出したんですか。中間のまとめには、こう書いてありますよ。おおよその内容が固まってきましたので、中間のまとめとして発表しました。大事なところは固まったんでしょう。だから中間のまとめなんでしょう。後は仕上げなんでしょう。だから、中間のまとめを発表したからこそ、むしろ計画どおり早くできるはずなんです。しかも実際の実施計画は局と打ち合わせして、予算編成はそごのないようにやっていますというんだったら、何でおくらす必要があるんですか。どう考えたって、そういう意味で室長や部長の説明は私は矛盾しているというふうに思います。
○安樂政策報道室長 私もいろいろ反論しているのは、十一月から十二月にしたことに別に我々何の意図もないんですね。たまたま作業が、時間的に非常に欲しいということで、十二月になっているわけです。じゃ、中間のまとめ、どうして決まったんだったら出したのかということなんですが、これは今の東京都が持っている公開条例の中でも、長期計画を出すときには、やはり一定の段階での中間的なまとめを出して意見を聞けということになっておりますので、そういうこともあって中間のまとめを出しているわけです。一つの手順として、そういう手続を進めているわけです。
今、十一月の段階で出せるぐらいに内容が固まっているんでしたら、私も出したいと思いますけれども、それは作業的にもまだ不十分だというふうに思いますので、今、十二月ということで決めているわけです。
先ほどいわれたように、すべて決まっているなら、もう予算の査定の必要もないという、それは十一月に出しても同じことになってしまうわけですね。十一月に出しても十二月に出しても、計画を出した以上は私たちは批判を受けるつもりでそれを出しておりますし、その後、予算の中で知事の判断がまた違う判断があれば、それは変更可能だというふうに思っていますから、それは第一回定例会の中でまた議論をいただけばいい。確かに十二月議会にちょっと間に合わないということになりますけれども、手順的にはそれほど、何か意図を持って行政側がひどいことをやっているということにはならないというふうに思っております。
○木村委員 まあ手続論で余りけんかしても不毛だと思うんだけれども、私は十一月と十二月というのは、先ほどからいいましたように、対議会、対都民との関係で、何を重点にして、どういう予算をつくっていくのか、そういう都政の流れを明らかにする上では非常に大事なことだと。現に、今までの実施計画というのは全部十一月です。そういう意味では十二月という例はないんですよ。だから、重点計画が発表される、実施計画が発表される。その計画と予算との関係といえば、十二月の末に発表されれば、後は知事査定ですからね。そういう政策決定のトップダウンみたいなものを、形の上でも政策報道室が助長するような、そういうやり方はまずいというのが私の意見です。それは何か率直に伝わってないみたいだから、これから実際発表されてから予算の中身でまた議論になりますから、私が指摘したのはこういうところにあらわれていると多分指摘することになると思うんですけれどもね。
それから、中間のまとめは、あらかじめ基本のところはもうまとまったということで我々は説明を受けたんですよね。ですから、それからさらに時間が必要だとなると、なお心配になるという感じはあるんです。わざとおくらせたわけじゃない、意図はないというふうにいいましたから、それはそれで信用するとします。そうすると、中間のまとめでほぼ決まりましたというふうにいってから、なおかつ時間がかかるというのはなぜだろうという話に問題が発展しちゃうんですよね。そうすると、やっぱり中間のまとめそのものに、まとめていく上で手間暇がかかるような問題が内在していたということになりゃせぬか、私、そういう感じがするんです。
実はきょうの委員会で、改めてまた読み直してみたんですよ。そうすると、計画そのものが、これから十五年間、あるべき東京、あるべき行政、あるべき姿というものが第一章、第二章で非常に強調されていて、いわば石原都政が目指すあるべき姿という青写真がまずぼんと一つあって、その青写真の枠にはまるものを拾い上げる。はまらないものは書いてないんです。私から見れば、ああ、無残だなと思うぐらいこぼされている。だけど、それはなかなか大変な話だろう。そういうあるべきものに向かって政策を組み立てるというところが、そのあるべきものが、ある意味では、いざ実際の実施計画を組んでみると、一面的なものとか、現実に合わないものということが明らかになって、なかなか暇を食ったんじゃないか、おくれたんじゃないか、そういうふうに推測されるんですよ、今の答弁の中で。そういうふうな内在的な原因ではないですか、どうでしょう。
○関谷計画部長 中間のまとめは、施策展開の関係につきましては、基本的に取り組みの方向性を明らかにしているという内容でございますので、その後の作業といたしましては、その取り組みの方向性をどのように具体化していくかという具体的な手法等についての検討を進めること、さらに政策指標は、政策指標案として提示してございますので、種々議会ですとか都民の皆さんからご意見等もいただきながら、中間のまとめで提示した政策指標が適正かどうかも含めまして、改めて見直した上で、今度は具体的に十五年後等を中心にいたしました将来の目標数値を設定しなければいけない。それに加えて、三カ年の重点的に取り組むべき推進プラン、いわゆる実施計画に当たります推進プランを固めるという作業を現在進めているわけでございまして、ご指摘いただいたように、十一月中に発表できればよかったのかもしれませんが、現在は年内にぜひ発表すべく鋭意努めているところでございます。
○木村委員 今、答弁あったんですけれども、私の問題提起は、どうやら、いざ具体化するとなると非常に難しいということでおくれたというような話がありましたけれども、私は、第一章、第二章で展開されている十五年先の青写真というものが非常に非現実的というか、一面的というものが今浮き彫りになりつつあるんじゃないかという気がするんです。
例えば、この前の議論では、これだけ分厚い中で中小企業という言葉が一カ所しか出てこないということを指摘しました。それから、きょう改めて読み直してみたんですけれども、商業という言葉はありますけれども、商店街という言葉は一回も出てこない。だけど、実際に東京のまちづくり、東京の産業、東京の雇用は、中小企業、地域商店街抜きにあり得ないし、その地域商店街が今本当に大変な事態、二千九百ある商店街のうちの三分の二に空き店舗があるとか、あるいは工場は年に何%の割合で閉鎖していくというようなことになっているわけですよ。しかしここでは、そういう肝心の東京都民の、東京都政の計画を考える場合に抜きにはできないはずのそういう人たちが一刀両断ですよ。東京の産業が沈滞しているのは、景気の低迷による影響もあるが、より中長期的に見れば、社会状況の変化に事業経営が適応できないでいることが大きな原因である云々ということで、だから振るわないんだ、今後さらに厳しい競争にさらされていくだろうという見通しがあって、生き残っていく上では、成長産業を中心に新たな起業・創業を活発化していくことが重要であるというふうになっているんです。ここに今不況に立っている中小企業や商店街をどうするか、どう支援していくかというのはほとんどなくて、まあ世の中の動きについていけないんだ、生き残っていくためには新たな成長産業を中心にやっていかなければしようがないんだ、こう書いてある。中小企業という言葉が一回しか出てこないとか、商店街という言葉が全くないとかとなっているんですよ。
一番先に私がいったように、あるべき青写真があって、そこの枠の中に入る事業だけ選んで重点化する。そこからこぼれたものは、もう一刀両断に時代おくれと切る。そういう東京構想二〇〇〇の基本的な性格が、実は作業のおくれを生み、予算編成がずっと進んでいるのに重点計画が発表されないということになっているんじゃないかというのが、私の読み直した改めての感想ですよ。ですから、これからまだ作業を進められるということでありますので、そういう多くの都民を切り捨てるというようなことなく、しかもあんまり大言壮語することなく、東京都政の身の丈に合った都民の暮らしから出発するプランに、今から修正というのはなかなか難しいでしょうけれども、そういう方向に、どうせおくれたのならつくり直してもらいたいということを申し上げて、私は終わります。
○丸茂委員 私は、東京構想二〇〇〇と事業評価に関して二、三伺っておきたいと思うんです。
今回、政策報道室として、国に先駆けて費用対効果という側面で首都機能移転問題で事業評価されたわけです。私は、今論議されました東京構想二〇〇〇においても、五十年先の構想、十五年先の東京のあるべき姿、そういう計画を年内にもまとめる。そして三カ年の重点事業計画も策定するという段階で、非常に都政にとって重要な課題だというふうに認識しております。
そこで、まず、都民に示された構想の中間のまとめで打ち出されている、ベースになっている事業の財政試算は、今どうなっているのか。これは、都財政だとかいろんな問題を抱える中で、財政問題というのは基礎的な問題だと思いますので、その点について、まずお伺いをしたいと思います。
○関谷計画部長 東京構想の中間のまとめにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、取り組みの方向性をお示ししたものでございますので、したがいまして、事業費の積み上げを行ってございません。年内に発表を予定しております構想におきましては、構想実現のため、当面の平成十三年度から十五年度に重点的に実施していく事業について、推進プランとしてお示しする予定でございますが、その際には、事業量、事業費を含め、具体的にお示ししていきたいと考えております。
○丸茂委員 私は方向性を示すといっても、財政的な裏づけ、東京都として、今後どういうお金がかかっていくのか。それは、例えば環状高速道路一つとったって莫大なお金がかかる。それも借金、起債で賄っていく。そういう負担も一体どうなるのかということでいえば、やはり最終報告に当たっては、そのくらいのことは最低やるべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○関谷計画部長 本来構想ということで、十五年で展望を明らかにするわけでございますので、その中で、いってみれば、十五年間のタイムスケジュールということは、なかなか現在の状況では提示することは難しい。そういうことで足元の三年間について、具体的な推進プランとして、それは事業量、事業費として明らかにしていこう。やはり、社会経済情勢等今後の変化の中で、中長期的な展望を踏まえた中で着実に進めていこうというのが構想の基本的な考え方でございますので、個別の議論は別といたしまして、構想全体として、事業費がどうのこうのということは現在のところ考えてございません。
○丸茂委員 構想といいますけれども、長期計画的な性格もあるし、具体的にはそういう形で私は進んでいると思うんですよね。したがって、財政試算もきちんとやって、方向性を見定めるべきだというふうに考えております。
そういうので理屈をやってもしようがないので、別な角度から尋ねておきたいんですけれども、これまで東京都の採算というんですか、財政運営上から見て都の大規模施設のランニングコスト、こういうものは現在どうなっているのか。将来、一体負担はどうなっていくのか。こういうものもきちんと押さえておかないと、構想で計画はこういう方向でいく、しかし、それに伴う財政負担がどういう変化をしていくのか、特に大規模施設の維持管理費、こういうものが大変な重荷になっていくし、過去にもそういう検討もされたと思うんですけれども、その点について今わかっているところでお答えいただきたい。
○関谷計画部長 東京都はこの間、社会的なストックを随分蓄積してまいったわけでございまして、今後、ただいまお話のあった大規模施設等も含めまして、ランニングコストやその社会的ストックの更新コストに係る問題というのは、大きな課題になるであろうというふうに認識しております。したがいまして、東京構想中間のまとめにおきましても、十六の政策目標の一つとして、社会資本の長寿命化を図り、都市の機能を維持していくという目標を掲げておりまして、そこで、東京都の社会資本を適正に管理し、将来の更新需要に対応していくことを示しております。
その中での取り組みの方向としては、やはり今後は更新サイクルの延長ですとか、さらにはライフサイクルコストの視点からコストの縮減等を図っていく必要がある等の提起をしてございますので、今後年内に発表する構想に向けて、より具体的な議論のできるような内容にしてまいりたいというふうに考えております。
○丸茂委員 そういう議論の材料にできるような数量的な把握というのは、近々我々にも見せていただけるんでしょうか。
○関谷計画部長 ランニングコストということではございませんけれども、以前、政策報道室におきましては、今後の更新需要についての一定の試算等を行っております。かなり技術的に一律で将来予測をしている内容ではございますが、そういう調査資料等も踏まえまして、更新サイクルの延長、ライフサイクルのコストの視点からのコスト縮減等も含めまして、今後どういう形で更新需要に対応していくかということを検討しているところでございます。
○丸茂委員 ぜひそういうものも、最終のまとめ前に議会にも提示をしていただきたい、強くこれは要望しておきます。
それから、建設省でも、いろんな見直し事業がやられている。それも、長期に事業化したけれども現実に塩漬けになっている事業、これは事業計画したけれども行き詰まっているという点で、再評価制度で検討がされているわけです。東京都自身も建設局などでは、こういう建設省の指針に基づいて事業化計画したけれども、五年たっても未着手だとか、十年間、着手しても継続しているだとか、あるいは計画後とんざしている問題だとか、幾つか検討はされているようですけれども、計画段階から見直さなければならない、そういう事業についても、東京都自身が改めて全体を把握して、それも含めて今度の長期構想のベース的なものはきちんと押さえるべきだというふうに思うんですけれども、その辺の検討なりつかみは、把握はしているんでしょうか。
○関谷計画部長 未着手というのをどういうふうに理解するかということもございますけれども、事業化決定がなされた後、進捗状況がなかなか進まないというようなことを指すのかとも受けとめられますけれども、お尋ねのような数字について、現在、手元では把握してはございません。ただ、過去においても、財政再建等も含めて凍結された事業等も各種ございますし、先ほど理事からご指摘のありましたように、現在建設局では所管事業につきまして、事業の必要性等の視点から評価を行い、事業の継続、休止、または中止の対応方針を定めることにより、事業の効率性及び実施過程の透明性を図っていくということで、事業評価を実施しているところでございます。中間のまとめにおきましても、今後はストックの有効活用に努めるとともに、真に必要な公共事業を重点的に行っていくという基本的な立場に立ちまして、今回政策指標等も掲げておりますが、いずれにしても、事業評価等の意義を十分認識した上で今後の策定に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○丸茂委員 私がなぜこういう質問をしたかといいますと、今、国民の世論の中に、公共事業の見直しを求める声が大変強くなっておりますし、国もいろいろ不十分さ、欠陥はありますけれども、法整備もしていこうだとか、卑近な例でいうと、この前行われた長野県知事選挙でも、公共事業の見直しが大きな争点になって、これを見直すことを大きく打ち出した知事候補が当選する、こういう流れもあります。
つい先日、政策報道室からいただいた、都民生活に関する世論調査というのがあるんですね。これは公共事業には限っておりませんけれども、都民の意識を見ますと、税金の使われ方に対する関心が飛び抜けて第一位で、非常に高い数字を示しているわけです。したがって、私ども、これからの東京の構想を練り、計画を練っていく場合に、その点、十分踏まえていただきたいし、今議論になっている事業評価もきちんと示して都民に明らかにしていただきたい。
これまでも大型公共事業が、一つには事業の目的が定かでないとか、二つには、初めから採算が度外視されているだとか、三つ目に環境破壊の危険がある、こういうことが最初から指摘されていても、それを見直しされないというようなことが指摘をされております。そういう中で、私は、今事業評価をするに当たって、第一に、事業の必要性、採算性、環境への影響はどうか、この三つの角度から十分な吟味を行っていくべきだ。第二に、事業が始まってからではなくて、計画、事前、事後の諸段階にわたる評価を行っていく。特に、計画段階から評価、点検を重視していくことが重要じゃないか。第三に、都民の参加、これが大事だというふうに私は思うんですね。そういう点で、こういう評価も行いながら、都民に公開をして、都民の意見を求めながら計画を推進していく、そういう事業の評価をきちんとやって進めていただきたいということを強く要望して、質問を終わります。
○土屋委員 ちょっと一点だけ。さっき木村委員から質問があった中間のまとめなんですけれども、この中間のまとめの位置づけだけ教えていただけますか。
○関谷計画部長 これは、中間のまとめの最初に書いてございますけれども、東京構想二〇〇〇の検討段階におけるおおよその内容が固まったということで、具体的には、東京をめぐる長期展望と今後十五年の課題、目指すべき東京の将来像、さらには十五年間の政策の目標と取り組みの方向性について、現段階での検討状況を示すというのが中間のまとめの目標でございます。あわせて、東京都政策指標につきましても、その案を提示いたしまして、都民の皆さんとか議会等のご議論をいただき、ご意見等をいただいた上で、さらに検討を進め、具体的な施策や事業、政策指標の目標値を含め、最終的に構想をまとめていく、そういう位置づけになっております。
○土屋委員 つまり、十五年のスパンでいろいろ議論を重ねていきましょうと骨格を示したと思うんです。私もこれ読ませていただいて、さっき木村委員の方から、中小企業が一カ所しか出てこない、商店街はゼロだと。そのままやるわけじゃないですよね。ただ骨格ですから、基本的にこういう方向、本当に骨の、人間でいったら脊椎だけを出しているわけです。これから肋骨が出て、肉が出て、細胞が出て、いろいろ出るわけでしょう。この中に出てないからといって、それは取り上げないということじゃないわけですよね。
○関谷計画部長 ご指摘いただいたとおりなんでございますけれども、基本的には、ただいま例にございました中小企業という言葉が出てこないということを一つとりますと、今回、産業の分野で提起しておりますのは、現在、景気の低迷もございますけれども、なかなか今までのやり方では行き詰まりを見せている。そういう中で経営革新ですとか成長産業の成長が必要だ。ここでいっている経営革新というのは、既存の企業が経営をどうやって革新していくか、そうなったときに、それぞれの企業が頑張っていただいて、これからの二十一世紀の東京を支えていっていただく。当然、東京の産業を支えているのは、圧倒的な量が中小企業でございますので、東京の産業が活性化していくということは、イコール中小企業が活性化していくということでございますので、今回はご指摘のとおり、中間のまとめでは、いわば骨部分を示しておりますけれども、その辺の関係も含めまして、構想の中ではきちんとお示ししていきたいというふうに考えております。
○土屋委員 その答弁を聞いて、木村委員も安心したと思うんですけれども、(笑声)確かに福祉福祉といいますけれども、その基本を支えているのは中小企業と商店街ですからね。この人たちが原資を生み出しているわけですから--共産党の皆さんの質問、私は厚生委員会で聞いていると、あすにも地獄が来るような質問が多いわけです。ですから、誤解がないように、政策報道ですから、よくPRをしていただいて、都民の皆さんのご理解をいただいて、間違った宣伝があるときには、それは違うんだ、東京都というのは、中小企業を大切にして、商店街も大切にして、重点施策をこれからつくるんだということをぜひ政策報道室長、PRをしていただかないと、誤解を招くことがあると思いますので、最後に政策報道室長の決意を……。
○安樂政策報道室長 前後の文脈の中で言葉が使われておりますので、そこに一カ所しか出てないというようなことだけとらえられても、ちょっと困ると思うんですが、東京都が行っている、特に労働経済局が行っている政策の中心は、中小企業対策であります。そのために東京都は全力を挙げてやっているわけで、それが非常に弱いような感じにとられているのは非常に残念ですので、その辺はご指摘のように、我々のPR不足ということもあるのかもしれません。それはこれから私たちも努力したいですし、また、文言の使い方の中でも、この間の本会議の中でも、多摩の位置づけなんかがどうもはっきりしないというご指摘がありまして、そういうことも踏まえて、私たちがどういう施策を今まで進めてきたし、これからもどうやりたいかということがはっきりするようなことは、文章の中でも努力はしたいというふうに思っております。
○今井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
報告事項並びに事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 異議なしと認め、報告事項並びに事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策報道室関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十八分散会
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