総務委員会速記録第八号

平成十二年七月七日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長石井 義修君
副委員長吉住  弘君
副委員長田島 和明君
理事西条 庄治君
理事星野 篤功君
理事野村 友子君
東野 秀平君
藤岡 智明君
比留間敏夫君
萩谷 勝彦君
藤沢 志光君
川島 忠一君
河合秀二郎君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
政策報道室室長柿沼 伸二君
理事高橋 信行君
政策調整部長岡田 重信君
特命担当部長三好 勝則君
参事三枝 修一君
広報部長中島 建夫君
計画部長関谷 保夫君
調査部長松田 曉史君
首都機能調査担当部長二村 保宏君
都民の声部長浅井 憲彦君
総務局局長横山 洋吉君
理事行政改革推進室長事務取扱南  靖武君
理事早川 良躬君
理事人事部長事務取扱前川 燿男君
知事室長中村 正彦君
総務部長三宅 広人君
行政改革推進室行政改革担当部長飯山 幸雄君
行政改革推進室組織担当部長山内 隆夫君
参事中田 清己君
主席監察員砂岡  攻君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長尾井 幹男君
地域振興担当部長和田 正幸君
災害対策部長佐藤 兼信君
勤労部長高橋  功君
法務部長金岡  昭君
統計部長山本 碩一君
学事部長幸田 昭一君
人権部長田口 正一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 政策報道室関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百七号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
 総務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百八号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百九号議案 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百十号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百十一号議案 東京都統計調査条例の一部を改正する条例
  請願陳情の審査
  ・一一第一三五号の一 足立区千住三丁目に居住するオウム真理教集団への行政指導強化等に関する請願
  ・一一第一四二号 オウム真理教団の早期解散を求める意見書提出等に関する陳情
  ・一一第一五六号の一 すべての子どもたちにゆきとどいた教育の保障に関する請願
  ・一一第一五八号 私立幼稚園に対する公費助成の大幅増額要求に関する請願
  ・一一第一六二号 私立学校の四十人学級の完全実施と私学助成の拡充に関する請願
  ・一一第一六五号の二 すべての子どもに豊かな高校教育の保障に関する請願
  ・一一第一三九号 国民本位の公共事業の推進と執行体制の拡充を求める意見書提出に関する陳情
  ・一一第一四〇号 行政サービス後退と国家公務員の定員削減反対を求める意見書提出に関する陳情
  報告事項
  ・三宅島火山活動及び新島・神津島近海の地震への対応について(説明・質疑)
  ・三宅島火山活動に伴う東京都災害対策本部の設置等について(質疑)
  ・第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)について(質疑)
  ・多摩の現状分析について(質疑)
  ・東京都震災予防条例の改正(中間のまとめ)について(質疑)
  ・人権施策推進のための指針骨子について(質疑)

○石井委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○石井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、政策報道室及び総務局関係の付託議案に対する質疑、並びに総務局関係の請願陳情審査及び報告事項の説明聴取と質疑を行います。
 これより政策報道室関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百七号議案、東京都情報公開条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○木村委員 今回の情報公開条例の一部改正について質問させてもらいます。
 今回の改正は、情報公開条例に公安委員会と警視総監が実施機関として加わる。これは情報公開にとって非常に重要な前進であるということはいえると思います。問題は、この改正によって、これまでとかく秘密主義といいますか、なかなか情報が国民の目に触れないということであった分野がいよいよ公開されるわけですので、より実効性が拡大されるというためにも、幾つかの点についてただしておきたいと思います。
 最初に、念のためですけれども、実施機関として挙げられているのが警視総監というふうにいっていますので、これは、情報の現場というのは警察署でありますから、そういう国民が知りたい警察署にある情報へのアクセスは当然含まれるというふうに思いますけれども、確認ですけれども、いかがでしょうか。

○浅井都民の声部長 警察署の文書が公文書開示の対象になるかというお尋ねでございましたが、警視総監が今回実施機関になることになりますと、警察署は警視庁の組織の一部ということでございますので、情報公開の対象になると考えてございます。

○木村委員 念のために確認させてもらいました。
 それで、私ども一番重要だと思いますのは、この警察情報がどこまで公開されるのか、何が除外規定とされるのかという点で、提案されている条例も、例えば七条の四ですけれども、公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧または捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることについて相当の理由がある情報は除外ですよと。これは、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるというのを、解釈次第では除外規定が無限に広がっていくというおそれがあるわけですね。ですから、その前の段に、犯罪の予防とか、そういうことが書かれていますが、刑事訴訟法に基づく犯罪捜査とか、そういう厳格な枠をできるだけはめていくということが求められるというふうに思いますけれども、まずその基本的なスタンスについて伺いたいと思います。

○浅井都民の声部長 七条四号の関係のお話だと思います。七条四号につきましては、犯罪の予防捜査に代表されます刑事法の執行を中心としたものに適用すべき規定だというふうに理解をしております。

○木村委員 ご存じだと思いますけれども、今、総理大臣の諮問機関として警察刷新会議というのが設けられていて、論議が進んでいます。ここで、警察の情報公開に関するガイドライン、つまり除外規定をどこの線に引くのかということの論議が進められて、ガイドラインづくりが進められていますね。
 私、今持ってきたのは、その第四回の会議の議事の要旨なんですけれども、その開示の基準について論議が行われたということで、非常に大事なことが書かれているんです。この会議では三つのことが、いわば出席者の合意とされていますね。一つは、今いわれましたように、手のうちを知らせることによって現在または将来の犯罪の予防、鎮圧、捜査に支障を及ぼすおそれのある刑事法の執行を中心としたものに限定するということが一つですね。それから、風俗営業の許認可だとか、交通の規制だとか、いわゆる行政警察に関する情報、これについては開示するというふうに明確にいっているわけですね。もう一つは、警察の会計支出ですね、予算。犯罪捜査等の個別の警察活動に支障を及ぼすおそれがないと認められる財政内容、支出については、これは開示するというふうになっています。行政警察情報と、犯罪捜査に直接関係ない財政支出については開示するんだということが、この警察刷新会議の議論の結論になっている。
 先ほど答弁ありましたけれども、この三点について、少なくともこういう方向で東京都の条例もやっていくということになると思いますけれども、その点いかがでしょうか。

○浅井都民の声部長 ガイドラインにつきましては、私ども報道の範囲でしか承知してございませんけれども、今先生おっしゃいましたように、犯罪捜査等の情報の非開示規定は、犯罪の予防、捜査等に支障を及ぼすものなど、刑事法の執行を中心としたものに限定をする。それから風俗営業の許認可や交通規制など、いわゆる行政警察活動に関する情報は、非開示規定に該当する部分を除いて開示だという内容であると聞いております。また、会計文書につきましても、非開示規定に該当する部分を除き開示とされていると承知をしております。このような内容であれば、条例の趣旨に反するものではないというふうに理解をしております。

○木村委員 非開示規定というのが、またいろいろ実際の運用では問題になってくるかもしれませんけれども、個人情報にかかわる問題とか、そういうことが非開示規定にかかわってくるというふうに思いますけれどもね。したがって、原則開示ということで確認をさせてもらいたいと思うんです。
 これはまだ、警察刷新会議というのは諮問機関の議論ですから、法的に何か決まったものということではないですけれども、一連の今回の重大ないろいろな警察の不祥事その他からつくられたという経過から見て、また、この会議に参加している委員、同席している人の中には、後藤田正晴氏だとか、そういう人もいて、この会議ではやっぱり発言もしているようなんですね。後藤田さんの発言がどれだかというのはわかりませんけれども。そういう中で、大体そういう方向で行こうじゃないかということでまとまって論議が進められている。だから、恐らく結論としてガイドラインができたときにも、この方向で行くんだと思うんです。そういう意味でぜひ、実際の運用の中ではいろいろな問題が起きてくるかもしれませんけれども、今いわれたような方向で東京都の条例も運用されてしかるべきというふうに思います。
 それから次の問題ですが、非開示となった場合の不服審査ですね、これは何で第三者の審査会というのを設けないというか、そこから外すということになったんでしょうか。

○浅井都民の声部長 公安委員会等の開示・非開示決定について不服申し立てがあったときに、審査会から外すというふうな条項をしてございますが、その理由でございますが、一言で申し上げますと、今の法制度下では、公安委員会に審査会等の附属機関が置けないということが理由でございます。自治法の百三十八条の四におきまして、普通地方公共団体は、法律または条例により、執行機関の附属機関として審査会を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関についてはこの限りでないということで、政令において公安委員会だと規定されておりますということから、公安委員会には附属機関としての審査会が設けられないという現行制度になっておりますので、今回の条例からも外させていただいているところでございます。

○木村委員 東京都の情報公開条例をつくる際の懇談会のときもそのことが問題になって、これは政令そのものをやっぱり変えていくべきじゃないか、この政令があって、結局公安委員会が審査会から除外されるというのは、やっぱり筋が違うんじゃないかという指摘があったように思うんですね。ですから、こういう条例をつくる場合、政令そのものを変えていくべきだという国への働きかけのようなものを、条例をつくる上で考えなかったのかどうか。こうやって外してしまえば、不服があれば、結局あとは裁判するしかないわけでしょう。どうぞ裁判おやりくださいという話になってしまうわけなんですね。裁判というのは、もうこれは東京都の機関の話じゃなくなっちゃうわけで、やっぱり東京都政の中で自主的に解決していくという道をもっと追求すべきじゃないのかというふうに思いますが、その辺は、こういう条例改正に当たってどんな努力がされたんでしょうか。

○浅井都民の声部長 自治法の施行令の関係でございますので、私ども自治省の方といろいろと意見交換を行ってまいりました。先生おっしゃるように、何らかの第三者機関を置くために政令等の改正ができないんだろうかということも含めて意見交換を行ってまいりましたが、国の方では、まだ今のところそういうことを考えていないということで、いろいろ意見交換をしましたけれども、政令改正の運びに今回は至らなかったということ。それから、先ほど申し上げました、現行法令の枠の中で、そこら辺が整理されるまで待つのであれば、公安委員会、警視庁の実施機関としての導入がおくれますから、なるべく早く公安委員会、警視庁を条例上の実施機関にする必要があるだろうということを考えまして、今回とりあえず法改正の部分、先送りしまして、実施機関に加えることを優先させて考えたものでございます。

○木村委員 意見交換はしたという。何か要請したのかどうか、ちょっとあいまいでしたけれども、都議会の情報公開条例をつくるときも、同じことで、随分やっぱり苦労したわけですよね。やっぱり法的な壁があって附属機関をつくることはできないと。結局、それじゃお手盛りになるじゃないかというんで、議会は議会として情報公開推進委員会を議員がつくって、そこに知事側の審査会に出席されている大学の先生とか、そういう第三者を参考人として呼んでご意見を伺って、そして判断する、その過程は公開するというふうにして、議会の情報公開についての不服審査の客観性、公平性を担保するということになったのはご存じだと思うんですね。議会としても、そうやって苦労したわけですよ。
 そういうふうに一つの工夫をして決着をした。その過程で、私ども自治省にも出かけていって、議会の不服審査については、知事部局の審査会に諮問するということで、自治法違反になるかどうかというふうに自治省に聞いたら、自治法違反とはいえないということも政府側の答えとして伺って、そういうこともあり得るじゃないかというのを我が党としても提案したこともあるのです。最終的には、参考人を呼んで、その過程の意見を公表するという形に落ちついたんですね。ましてや警視庁の場合は、ある意味で行政機関ですから、知事部局の知事の諮問機関に諮問するということも、考えられなくはない。議会よりも考えられなくはないというふうに私なんか思うんですね。そういう意味で、やっぱりちょっと工夫が足らぬのやないかということは、意見としていっておきます。もうこういうことなくといってますから、あれですけれども。結局、実施されると、警察情報に関して裁判がずっと起こされる、つながるということになっていくんじゃないかという心配だけは依然として消えないというふうに思います。
 さて、この施行は、法が施行されてから一年三カ月以内というふうに実施時期がなっていますね。これは大分先の話になりますね。来年の十月。何でそんなにかかるのか。今からいえば一年三カ月以上待たされる。その必要が一体あるのか、ないのか。なぜそういうことなのかということをお尋ねしたいと思います。

○浅井都民の声部長 公安委員会と警視総監は、今回初めて条例上の実施機関になるわけでございます。膨大な警視庁の既存文書の分類整理、あるいは開示請求に適切に対応するための体制整備ですとか、職員研修等を通じた制度の周知徹底など、相当な準備期間が必要になると考えてございます。これらの要素を勘案しまして、遅くとも来年の十月までには施行することとしたいと考えてございます。
 なお、国におきましては施行までには二年、それから既に改正をした他県の例を見ましても、一年七月から二年という期間を置いてございますので、警視庁における一年三月というのは必ずしも長くないし、また必要な期間であるというふうに考えております。

○木村委員 何も二年だとかそういうところを見習わなくたっていいと思うんですけれどもね。いかに警視庁が、そういう意味では、あらかじめ整理しなきゃならない情報がたくさんあるかということを物語っていると思いますけれども。必ず一年三カ月経なければいけないということではないので、なるべく早くということを要望しておきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、ここで、先ほど確認しましたように、警察情報も含めて情報公開の対象になると。それは、例外の情報というのは刑事罰などに限っていくということなど確認されたというのは、非常に大きなことだというふうに思います。まだとかく我が国では、警察で不祥事が起きると、不祥事は漏らすべきでない、漏らすと警察の権威が失墜して、そのこと自体がこの国の秩序の維持が保たれなくなってという論理がずっと、ある意味ではまかり通ってきたという状況があるわけですね。そういうことが、この条例改正によって少なくとも大きく変わっていく第一歩になるということが明らかになったと思うんです。
 そういう意味で、私どもは、一歩前進であると同時に、これからもさらにこの国の民主主義の前進にとってより実効性が高まるように、お互いに努力していきたいというふうに思います。
 以上です。

○西条委員 基本的には、今木村先生が質問なされていたことと同じようになりますので、なるべく簡潔に、ダブらないように質問させていただきます。
 今もお話ありましたとおり、公安委員会と警察をいよいよこの対象にするということをまず高く評価しながらも、今お話のあった部分が、私も大いに疑問を感じるところ。今の木村先生との話も聞いていて、理屈をいえば、法の建前をいえばそうなんだということになってしまうんだけれども、やはり広い都民にはなかなかーーここまで来て、具体的にはこういう壁があることを、一般の都民は、法律を細かにつぶさに見てその上で判断するわけじゃないから、いよいよ都でも警視庁を対象にするんだといっておきながら、よく見るとそこに壁が大きくある。そうすると、まさに都民感情とすると、何でだろうということがやはり非常に大きくなるんじゃないかなというようなことで、ちょっと質問させていただきたいと思います。
 先ほど、木村先生の話の中で、公安委員会がなぜ情報審査会へ諮問ができないのかというのは、これはもう法がそうなんだということで、皆さんの立場からすれば、法の上でいくわけですからどうにもならないんだということで、この質問はしようと思っていたんですが、もうそれは伺っていますからいいとしまして、私は、なぜ今の法がそうなのかということにやはりちょっと言及しておく必要があるんではないかなと思うんです。
 地方自治法は、例のごとく昭和二十一年か何か、戦後の間近にできたわけですね。それ以来ここの部分は変わってないはずなんで、そうすると、もうこれだけの時代がたっています。ちょうど私の生まれた年ですからね。恐らく当時の時代には情報公開だとかこういうことは頭の中になかった。それで、警察行政という、治安を守るとかそういう非常に大きな問題があったから、この部分を政令で、まさに一点ここだけを書いたんだね。むしろ今の我々にすると不自然なぐらいにはっきり
ーー私もコピーを持ってきましたけれども、政令の中で百二十一条の四に、執行機関は公安委員会とすると、これだけを明記しているんだね。これを今ふっと見ると、何か非常に不自然な感じを私は受けます。これは都民の一般的な感情ではないのかなという気がするので、この際どうでしょう、当時にはそんな発想はなかったんではないか。むしろ治安維持とかそういう方だけが大きく危惧された。だからこう書いたんではないかなと私なんかは思うんだけれども、この点はどうでしょうか。

○浅井都民の声部長 審査会の規定から外されている理由ということでございますけれども、先生おっしゃるとおり、この除外規定、昭和二十七年の地方自治法の改正で設けられました。詳細は私どもも詳しくは承知してございませんけれども、当時の議事録等々を見ますと、理由として三点ばかりあるのかなと思っております。
 一つは、そのときの説明でいわれていることですけれども、公安委員会は合議制の機関であると。ただ、所掌事務の範囲が非常に狭いものであることから、附属機関を置くと公安委員会の権限が不明確になる、その上組織が複雑になるおそれがある。これが一点でございます。もう一つの説明では、公安委員会はそもそも警察事務の経験のない地方の住民の参与により運営管理が行われており、審査や調査のための機能を果たすことが予定されていること。そして最後に、警察の執行事務は機動性が必要であることから、附属機関を設けることは適当でなく、また、国家公安委員会からもこれらの規定を設ける旨の要望があったことと。当時の議事録等ひっくり返しますと、こういうふうな整理をされてございます。

○西条委員 今ご答弁あったとおり、まさに当時はそういうことだったんだろうと思うし、当時としたら間違ってなかったんだろうと僕は思っています。問題は、これだけ時間がたって、この今の情報公開、まさに一般の人に、民にというと怒られちゃうけれども、民に情報を出そうという時代に、これが合わなくなってきたんではないかな、こんなように私は思っているんですね。
 本来公安委員会自体が、警視庁という行政体に対するまさに審査会だったんですよね。それが、先ほどちょっと木村先生の話にもあったとおり、昨今のこういう時代の中で機能しなくなってきた。それで、やはり情報公開という一つの新たな仕組みで少しでも事をはっきりさせることによって透明性を高めようということで、ある意味では、公安委員会にまたさらに附属機関をつくることは屋上屋になることは確かなんだけれども、今の時代に、当初、昭和二十七年ですか、そのころにつくった公安委員会の機能を果たせてないから、こういう問題がむしろ起きる。本来の、いわゆる公安委員という人たちは警察の外の人間で、町場というか、一般のいわゆる見識のある識者というような人たちが本来つくって、その人たちがきちんとしたチェック機能を果たしていればそれで十分なはずなんだけれども、まあ社会がいろいろ複雑になってきて、形骸化してしまって、公安委員そのものが今度は新たな、自分たちのやっていることを住民にさらに示さなければならない、こういう時代になってくると、先ほどの、本来の地方自治法が二十七年ごろ想定したことを法がむしろカバーできなくなってきた、このように私は解釈すべきだなと。今のご答弁をいただいてもね。
 そういうことからすると、先ほど木村先生の話にも出ていたけれども、この法をやはり変えないことには、この情報公開という仕組みが、新たな完璧なものとして、より理想的なものとして機能しないのではないかなというように私は思うんです。
 そういう意味で、法は絶対のものでありません。まして社会が変われば法も変わっていく。時代の変遷に合わせて法は変えなければいけないのですから、その点ははっきり、今、政策報道室、情報公開のこの上に立たれているとしたら、そのような認識には立っておられませんか。それをお伺いしたいんですが。

○浅井都民の声部長 情報公開制度におきまして、審査会というのは極めて重要な役割を果たしていると基本的に認識してございます。現行法令等の改正につきましては、今までも関係省庁の方と意見交換を行ってまいりましたが、今後とも引き続き継続して行っていきたいというふうに考えております。

○西条委員 もうほとんど木村先生がおっしゃっていたことに、私も同じようなあれですからね。
 そうすると、まあとにかく、ぜひ私は関係省庁へ、この都議会の議論や何かも踏まえ、それから一般のまさに都民の感情も含め、この法を変えてほしいという運動はぜひしてほしい。もうこれは先ほど木村先生もいったんでね。それで、そうなった場合は、当然うちらの条例は直すんでしょうねというような、つまんない聞き方になりますが、そこのところは。

○浅井都民の声部長 今後もし法令等が改正されることになった場合には、再度条例改正を含む検討を行っていきたいというふうに考えております。

○西条委員 もうこれで終わりにします。
 要するに、もちろん、一日にしてローマは成らずというのと同じで、今はまず、この第一歩を踏み込んだことで私はよしとします。しかし、先ほども冒頭に申し上げましたとおり、まさに都民の多くの人は、時代の流れから、いよいよ警察といえども情報公開の対象にして透明性を高めていきますよということを踏み出したことの、この都の姿勢は、都民は恐らく、ああ、すばらしいなと思っているはずです。
 ですが、看板だけ見ればそうなんだけれども、中でいろいろな、先ほどもあったとおり、一つ一つにぶつかったときに、これも出てこないの、これも出てこないのというようになってしまったら、まさに都民の期待を今度裏切ることになります。だけど、いっても法がある以上、今その壁は越えられないということですから、これから室長ね、これはまさに、我々が、都も、一生懸命今いった部分を直していかなければいけないなと。そういう運動をまた広めなければいけない。また、そういうことなんですよということを都民にわかってもらうこと、これがやっぱり大事なんじゃないかなと思うんで、最後に室長にそんなところあたりを、今後の姿勢といいますか、あるいは都民への、このことの説明の姿勢をひとつお伺いしたい。

○柿沼政策報道室長 情報公開制度というもののこれからのありようを含めて、私がどんな考え方でいるのかというお尋ねでございますけれども、先生ご案内のとおり、東京都の情報公開制度は、平成十年に、民間の有識者の皆様方にお集まりいただいて、東京都における情報公開制度のあり方についての懇談会がございました。ここで、これからの時代の情報公開のありようについて随分ご提言をいただいております。その実現に私どもとしては努めてきたところでございますが、このたびの条例改正で、一応公安委員会、警視総監が実施機関に加わることになりますので、それらの提言はおおむね実現されるというふうに考えております。ただ、今ご指摘のようにいろいろな問題がまだまだあって、さらに第一歩から次のステップに踏み出すという課題はたくさん抱えているというふうに認識をいたしております。
 私自身の考え方といたしましては、今、気がつけば、あと二十一世紀まで六カ月を切るというような時期にありまして、二十一世紀というのは、キーワードといいましょうか、地方分権、地方主権というのがキーワードだというのは、多くの識者もまた指摘するところでございます。二十一世紀の地方分権、地方主権の時代を私どもが支えるとすれば、私どもの心づもりとしても、行政と市民というものができる限り情報を共有化して、そういう中でまた責任を分かち合うような新しい社会のルールを定着させる。これがなければ真の地方自治は確立できないだろうというふうな思いがございます。
 そういう意味で、情報公開制度というのは、新しい時代に向けての真の地方分権を確立するためにも、また、都政でいえば、公正で透明な都政を実現するためにも、また、都民と手を携えて進める都政を進める上でも欠かせない制度であるというふうに私は考えております。そういう意味で、今後とも、このような認識に立ちまして、東京都の情報公開制度を一層推進させていきたい、このように思っております。

○石井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 ご異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策報道室関係を終わります。

○石井委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百八号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例から、第二百十一号議案、東京都統計調査条例の一部を改正する条例までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○石井委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、一一第一三五号の一、足立区千住三丁目に居住するオウム真理教集団への行政指導強化等に関する請願及び一一第一四二号、オウム真理教団の早期解散を求める意見書提出等に関する陳情は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○三宅総務部長 それでは、請願一一第一三五号の一及び陳情一一第一四二号、以上二件につきまして、一括して現在の状況、概略をご説明申し上げます。
 お手元の資料、一ページをお開きいただきたいと存じます。
 請願一一第一三五号の一、足立区千住三丁目に居住するオウム真理教集団への行政指導強化等に関する請願は、山崎次郎氏外七十六人から出されたものであります。平成十一年十一月十六日に受理され、平成十一年十二月九日に付託されております。
 請願の内容は、千住三丁目に居住するオウム真理教集団にかかわる次のことを実現していただきたいというものです。
 内容は二つあります。一番目の請願事項は、この総務委員会に付託されており、オウム真理教の集団活動を中止させ、拠点化を防ぐよう行政指導を強めることというものです。二番目の請願事項は、千住三丁目四番所在のスズキ第二ビルを初め近隣を重点的に警戒することという内容であり、警察・消防委員会に付託されております。
 オウム真理教の集団活動について、国においては、平成十一年十二月施行の無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき、平成十二年一月三十一日に、オウム真理教に対して観察処分を行ったところでございます。
 都としても、平成十一年十月のオウム真理教対策連絡会議決定に基づき、団体の活動に対し法令を厳格に適用することで、その活動の規制及び是正を図っていくこととしております。今後とも、国等と連携を図りながら都の対応策を効果的に運用してまいりたいと考えております。
 次に、二ページをごらんいただきたいと存じます。
 陳情一一第一四二号、オウム真理教団の早期解散を求める意見書提出等に関する陳情は、相川金次郎氏外十八人から出されたものであり、平成十一年十一月二十四日に受理され、平成十一年十二月九日に付託されております。
 この陳情は、オウム真理教団にかかわる次の六項目について実現してほしいというものでございまして、順を追ってご説明させていただきます。
 1は、オウム真理教に対する団体規制法、被害者救済法の執行を徹底することなどにより、オウム真理教団の解散及び被害者救済が早期に実現するよう政府に対し意見書を提出することというものでございます。
 これについて、国においては、平成十一年十二月施行の無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき、平成十二年一月三十一日に、オウム真理教に対し観察処分を行っております。
 都といたしましては、関東地方知事会議を通じ、国に対し、十分な対策を講じるよう要望しているところでございます。
 2は、各区市町村内において、地域住民との間で問題が生じているオウム関連施設等については最優先して対処することというものでございます。
 オウム関連施設等について建築基準法または都市計画法等違反の事実が判明した場合は、法令に基づく立入調査や是正指導などを行うこととしております。
 3は、都道府県が一体的な対策を講じること、4は、各種企業、団体との連携を強化するため、都・区市町村オウム対策連絡会等を設置することというものでございます。
 これまで、他自治体とは具体的な対応策等の必要な情報交換等を行ってまいりましたが、今後とも必要に応じ相互に情報交換を行うなど、他自治体との連携を図ってまいります。
 5は、学生や児童生徒を守るため、都、区教育委員会の対策を講じることというものでございます。
 今後、オウム真理教対策連絡会議において対応策を検討してまいります。
 6は、都民の相談やオウム関連情報の収集、提供に当たるため、オウム相談窓口を設置することというものでございますが、平成八年二月から、都民相談室において来訪相談に対応するとともに、専用電話も開設しているところでございます。
 以上、甚だ雑駁ではございますが、説明を終わらせていただきます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。ーー発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、一一第一三五号の一、足立区千住三丁目に居住するオウム真理教集団への行政指導強化等に関する請願をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一三五号の一は、趣旨採択と決定いたしました。
 次に、一一第一四二号、オウム真理教団の早期解散を求める意見書提出等に関する陳情をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一一第一四二号は、趣旨採択と決定いたしました。

○石井委員長 次に、請願一一第一五六号の一、請願一一第一五八号、請願一一第一六二号及び請願一一第一六五号の二は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○幸田学事部長 それでは、請願一一第一五六号の一、請願一一第一五八号、請願一一第一六二号及び請願一一第一六五号の二、以上四件につきまして一括してご説明申し上げます。
 お手元の資料、三ページをお開き願いたいと存じます。
 請願一一第一五六号の一、すべての子どもたちにゆきとどいた教育の保障に関する請願で、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会の丸木政臣さん外の方々から提出されたものでございます。
 この請願は、次の三項目について実現してほしいというものでございまして、順を追ってご説明させていただきます。
 第一は、項番1、私学助成の拡充に関します次の四点を実現することでございます。
 その(1)は、私立学校経常費補助は、標準的運営費の二分の一補助制度を堅持し、完全実施することでございます。
 経常費補助につきましては、標準的運営費の二分の一を補助するという基本的な考え方に基づき補助を行っているところでございます。
 その(2)は、授業料一律助成を実現することでございます。
 保護者の負担軽減につきましては、経常費補助を通じて授業料の引き上げ抑制を誘導するとともに、保護者の所得状況に応じまして授業料の一部を補助する授業料軽減補助制度を実施しているところでございます。
 その(3)は、学級規模縮小のための特別補助を実現することでございます。
 学級規模など教育条件の向上につきましては、従来から経常費補助によってその向上を誘導しているところでございますが、学級規模の縮小につきましては、平成七年度から、特別補助といたしまして四十人学級編成推進補助を設け、より一層の誘導を図っているところでございます。
 その(4)は、施設設備補助の充実を図ることでございます。
 教育環境の整備につきましては、財団法人東京都私立学校教育振興会が実施しております、長期で低利の施設設備資金の貸し付けに対しまして利子補給を行っているところでございます。
 第二は、項番の6、老朽校舎を改築し、地震対策を強化して、子どもたちにとって安全で快適な学習環境を保障することでございます。
 先ほどもご説明いたしましたとおり、教育環境の整備につきましては、財団法人東京都私立学校教育振興会が実施しております、長期で低利の施設設備資金の貸し付けに対しまして利子補給を行っているところでございます。また、平成八年度からは、老朽校舎改築にかかわります特別の貸付制度といたしまして、私立高等学校老朽校舎改築促進事業を行っているところでございます。
 第三は、項番の7、長期不況下におきます子どもたちの就学保障のために、私立の児童生徒に緊急の特別措置を講じることでございます。
 都におきましては、経常費補助の特別補助におきまして、家計急変により学校が授業料を減免した場合に、その減免額の三分の二を補助する制度を平成十一年度から実施しているところでございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。
 請願の一一第一五八号、私立幼稚園に対する公費助成の大幅増額要求に関する請願で、私学助成をすすめる都民の会の坂本史代さん外の方々から提出されたものでございます。
 この請願は、次の八項目について早期に実現してほしいというものでございまして、順を追ってご説明いたします。
 1は、私立幼稚園保護者負担軽減補助の所得制限を撤廃し、制度の拡充を図ることでございます。
 この補助は、園児の急増期に、個人立等の幼稚園に対する補助制度を設けることが困難でありましたために、保護者に一律に補助する制度として発足したものでございます。その後、個人立等の幼稚園に対する補助制度が整備される中で、一律補助についての見直しが必要となり、経常費補助の拡充とともに所得制限を導入したものでございます。
 2は、教育諸条件の公私格差解消のため、学校法人立幼稚園に対する経常費補助について、標準的運営費の二分の一補助を実現することでございます。
 私立幼稚園経常費補助につきましては、現在、二分の一補助に向けて充実を図っているところでございまして、平成十二年度予算におきましては、補助率を一%引き上げ、四九%といたしたところでございます。
 3は、学校法人立以外の園に対します振興事業費補助を増額し、学校法人立幼稚園に対する経常費補助単価の二分の一補助を実現することでございます。
 この振興事業費補助は、都の単独補助となっていること、また、個人立等の幼稚園には学校法人会計基準の適用がないことなどを考慮いたしまして、経常費補助の三分の一としているものでございます。
 4は、私立幼稚園の教育、労働条件の改善に有効な配分方式にすることでございます。
 私立幼稚園経常費補助において、平成八年度から導入した標準的運営費方式では、人件費につきまして公立学校教職員の給与を準用するなど補助内容の充実を図っており、補助金の配分につきましても、予算積算と同様の考え方に立って行っているところでございます。
 5は、三歳児の保育を充実させるため、保育者の増員など補助の充実を図ることでございます。
 三歳児の就園につきましては、平成八年度から経常費補助及び振興事業費補助に三歳児就園促進補助を設け、その後も、平成十年度には補助単価を増額するなど、充実に努めているところでございます。
 6は、私立幼稚園障害児教育事業費補助を増額することでございます。
 この補助につきましては、平成九年度以降毎年補助単価を増額するなど充実に努めているところでございます。
 7は、預かり保育に対する補助は、経常費補助、振興事業費補助とは別枠とすることでございます。
 預かり保育に要する経費は主に教職員人件費であり、幼稚園の運営費に対します補助である経常費補助及び振興事業費補助において補助対象としているところでございます。また、預かり保育に対します補助につきましては、平成十二年度から、全国に先駆けまして早朝の預かり保育を新たに対象とするなど、より一層の充実に努めているところでございます。
 8は、国に対し幼稚園教育に関する予算を増額するよう要請することでございます。
 都は、経常費補助の拡充につきまして毎年国に要望しているところであり、都議会におかれましても、同趣旨の意見書を提出していただいているところでございます。
 次に、五ページをごらんいただきたいと思います。
 請願一一第一六二号、私立学校の四十人学級の完全実施と私学助成の拡充に関する請願で、私学の四十人学級の実現とゆたかな教育の創造をめざす都民連絡会の山口博さん外の方々から提出されたものでございます。
 この請願は、次の十一項目について実現してほしいというものでございまして、順を追ってご説明いたします。
 1は、私立学校に対する助成金を増額することでございます。
 都は、私学助成につきましては、従来からその充実に努めているところでございます。
 2は、私立高等学校に対する四十人学級推進特別補助を増額することでございます。
 四十人学級の推進につきましては、経常費補助において、平成七年度に四十人学級編成推進特別補助を設けまして、平成九年度及び十一年度には、その補助単価を増額したところでございます。
 3は、私立高等学校の四十人学級を推進するため、私立高等学校に対する助成金の評価項目、方法をさらに改善することでございます。
 これまでも補助金の配分につきましては改善に努めてきたところでございますが、この制度がより効果的に機能できますように、さらに研究を重ねてまいりたいと存じます。
 4は、私立高等学校の三十五人学級実現のため、制度の検討を実施することでございます。
 都におきましては、現在、四十人学級編成推進特別補助を設けるなど、四十人学級の実現に努めているところでございます。
 5は、公立学校における教職員の標準定数法に定められた教員数を各私立学校が確保できるよう助成制度をつくることでございます。
 経常費補助を算定するに当たりましては、公立学校におきます、いわゆる標準定数法に定められました教職員数を基準といたしまして所要経費を見込んでおりますが、具体的な教員の配置につきましては、各学校の自主性にゆだねるべきものと考えております。
 6は、私立学校の老朽校舎の改築、改造費の補助を拡充、増額することでございます。
 教育環境の整備につきましては、財団法人東京都私立学校教育振興会の施設設備資金貸付及び老朽校舎改築促進事業に対しまして利子補給を行っているところでございます。
 7は、私立高等学校等授業料軽減補助の増額と支給範囲の拡大に努めることでございます。
 授業料軽減補助事業につきましては、平均的な所得の都民であれば受給できるように支給基準を設定するなど、その充実に努めているところでございます。
 8は、大規模校の解消に努めることでございます。
 各学校におきましては、生徒数に応じた校舎、運動場、教員数等が必要なことは当然でございますが、学校の適正規模をどのように考えるかは難しい問題でございます。今後とも教育環境の改善に向けまして適切な指導を行ってまいりたいと存じます。
 9は、私立学校の経理公開を促進する助成制度をつくることでございます。
 私立学校の財務状況につきましては、学校法人の自主的な判断によって、可能な限り明らかにされることが望ましいと考えております。補助制度への導入につきましては、今後、幅広い観点から研究してまいりたいと存じます。
 10は、私立専修学校専門課程に対する経常費助成制度をつくることでございます。
 専修学校専門課程、いわゆる専門学校につきましては、大学、短大と並ぶ高等教育機関ということになりますので、国に対しましては、助成制度の創設などを要望しているところでございます。また、都議会におかれましても、同趣旨の意見書を提出していただいているところでございます。
 11は、文部省が行っている高校以下の私立学校に対する助成を増額するよう国に強く働きかけることでございます。
 都といたしましては、私学助成の拡充につきまして、これまでも重点事項として国に強く要望しているところでございます。また、都議会におかれましても、同趣旨の意見書を提出していただいているところでございます。
 最後に、六ページをごらんいただきたいと存じます。
 請願一一第一六五号の二、すべての子どもに豊かな高校教育の保障に関する請願で、三多摩高校問題連絡協議会の福長笑子さん外の方々から提出されたものでございます。
 この請願の趣旨は、高校教育に関しまして、私学助成の大幅増額、教育条件の充実及び父母負担の軽減を実現すること、並びに父母負担軽減の直接補助制度を復活することでございます。
 都といたしましては、従来から、私学助成の基幹的補助でございます経常費補助によりまして、教育条件の維持向上や保護者負担の軽減を図ってきたところでございます。また、これを補完するものとして、保護者の所得状況に応じて授業料の一部を補助する授業料軽減補助を実施しているところでございます。
 以上、甚だ雑駁でございますが、学事部関連の請願につきまして説明を終わらせていただきます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○野村委員 私学助成につきましては、超党派で充実に努めてきたという経過がありますし、内容については、我が党議員や私自身も今まで取り上げてまいりましたので、本日は少しだけ聞かせていただきたいと思います。
 一番初めの整理番号3、一五六号の七項、長期不況下における就学保障の問題なんですけれども、家計急変時の保障策については、昨年度から、学校の減免額の三分の二を補助するという制度が実現いたしました。これはその年一年だけの制度だったというふうに思いますが、何かその後改善されたという話なので、ちょっとそれを詳しく説明していただきたいと思います。

○幸田学事部長 家計急変に対します授業料の減免補助制度は、お話にございましたように、学校の減免額の三分の二を補助する制度でございまして、家計急変の年度のみの適用でございます。家計急変のあった年度の翌年度以降につきましては、これまでは学校の減免額の二分の一を補助するということになっておりまして、学校の減免額が同じであった場合には、学校側の負担が大きくなるということでございました。しかし、今年度からは、家計急変の翌年度以降も、急変時と同様、学校の減免額の三分の二を補助することといたしております。したがいまして、家計状況に着目をいたしました授業料減免補助については、すべて三分の二補助となりまして、学業の継続に重点を置いたものと理解をしているところでございます。

○野村委員 それでは、家計急変のための援助を受けた人は、引き続き翌年も同じ補助を、まあ安心してというか、学校側の負担を重くせずに受けられるということになるわけですよね。家計状況を理由とした授業料減免制度は、皆三分の二の補助ということになった。これは学校当局にとっても大変減免に取り組みやすくなったということになるわけで、せっかく減免制度がやりやすくなったわけですから、生徒に積極的にPRをしていただいて、大いにこれを使う、そういうふうにしていっていただきたいものだと思います。
 それにしても、この私学への授業料負担というのは、父母、生徒にとっても大変な負担になっている。やはり今でも、こういう補助があっても、やっぱり自己負担というのはあるわけですから、授業料を納められないということを理由にして退学せざるを得ないという子どもたちが存在している、そういうことからも、私はこの請願一五六号の一の(2)にもありますけれども、授業料一律助成ーー昔、私自身の子どもの時代に実現しておりました一律補助、こういうのがぜひ実現してほしいという要求もあるわけで、こうなればもっと父母の、保護者の学費負担は軽減されるわけですから、ぜひこれも実現されたらなというふうに私も思いますし、都民や父母の皆さんの願いですけれども、それについてはどうでしょうか。

○幸田学事部長 委員のお話にございましたとおり、この制度は、まず第一義的には、学校が授業料の減免を行うことが条件となるわけでございまして、各学校に対しましては、この制度を積極的に活用していただいて、生徒の就学の継続を図るよう、機会あるごとに周知を行っているところでございます。
 また、学校の負担につきましては、先ほどもご説明したところでございますが、家計状況による授業料減免の補助率を二分の一から三分の二に引き上げた。学校の負担は大幅に軽減されるというふうに考えております。
 また、保護者の負担軽減につきましては、この制度とは別に特別奨学金補助を実施しているところでございまして、所得が一定基準以下の方につきましては、年額八万三千円から十六万四千円の補助を行っておりまして、負担軽減には最大限の配慮を行っているというふうに思っております。

○野村委員 まあ、これからの課題だというふうに思います。
 もう一つ取り上げたいのは、きのうの本会議質問で、我が党議員が少子化対策として取り上げました幼稚園の預かり保育の問題です。請願一五八号の七項ですけれども、もう少し詳しく内容をお願いしたいと思います。

○幸田学事部長 預かり保育についてのお尋ねでございますが、預かり保育の拡充につきましては、今年度から全国に先駆けて行うものでございます。この内容といたしましては、これまで、十一年度まででございますが、四時間の幼稚園の教育時間終了後、二時間の預かりを行った場合に補助対象ということになっておりました。今年度から、まず第一でございますが、さらに夕方まで時間延長をした場合には補助額を加算する。これが一つでございます。二つ目が、早朝保育でございますが、一時間以上の早朝保育を実施した場合には、これまた補助額を加算する。三点目が、幼稚園、夏休みがございますが、この夏季休暇中に四時間以上の預かり保育を実施した場合には補助額を加算する。この三つが大きな変更点といいましょうか、充実点でございます。
 なお、この事業は現行の経常費補助の特別補助の枠内で実施するものでもございます。

○野村委員 全国に先駆けて行われたということで、まだ保育園待機児がいっぱいいるという中で、これは本当に役に立つなというふうに私も思います。
 それで、保育園待機している子どもたちのそういう需要というか、それを満たすぐらい規模はあるのかなというふうに思うんですが、全体でどのくらいの規模を受け入れられると考えていらっしゃるんでしょうか。必要性を満たすのかどうかと。お伺いします。

○幸田学事部長 預かり保育の拡充についてでございますけれども、今年度から、東京都私立幼稚園連合会のご理解とご協力を得て、平成十六年度までの五年間で順次拡充をしていく予定でございます。最終的な都内全体の実施数は、夕方の時間延長が六百円、それから早朝の預かり保育が百円、夏季休暇中の預かり保育が五十円というふうに想定をしているところでございます。
 なお、今年度においては、補助要件に合致する幼稚園から申請があった場合には、すべてを補助対象といたすことにしております。

○野村委員 大分これは多いのか少ないのか、ちょっと私わかりませんけれども、今までのお話し合いの中で、ことしはこういうようなという数字が出てきたわけですね。来年も再来年もだんだんふえていくということになれば、これは本当に都民にとって大事なというか、喜ばれる制度になるのかなというふうに私は思います。ありがとうございました。
 それで、きょうここにかかっております四つの請願でございますが、私どもは、一つの項目を除きましてすべて採択をすべきだという意見でございますので、これを申し述べまして、終わります。

○石井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、一一第一五六号の一、すべての子どもたちにゆきとどいた教育の保障に関する請願をお諮りいたします。
 本件中、第一項の(1)、(4)、第六項及び第七項は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一五六号の一の中で、第一項の(1)、(4)、第六項及び第七項は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、一一第一五八号、私立幼稚園に対する公費助成の大幅増額要求に関する請願をお諮りいたします。
 本件中、第二項、第四項から第六項まで及び第八項は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一五八号中、第二項、第四項から第六項まで及び第八項は、趣旨採択と決定いたしました。
 次に、一一第一六二号、私立学校の四十人学級の完全実施と私学助成の拡充に関する請願をお諮りいたします。
 本件中、第一項から第三項まで、第六項、第七項及び第十一項は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一六二号中、第一項から第三項まで、第六項、第七項及び第十一項は、趣旨採択と決定いたしました。
 次に、一一第一六五号の二、すべての子どもに豊かな高校教育の保障に関する請願をお諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一六五号の二は、保留と決定いたしました。

○石井委員長 次に、一一第一三九号、国民本位の公共事業の推進と執行体制の拡充を求める意見書提出に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○尾井地方分権推進担当部長 それでは、一一第一三九号、国民本位の公共事業の推進と執行体制の拡充を求める意見書提出に関する陳情に関してご説明をさせていただきます。
 資料の七ページでございます。
 この陳情は、横浜市の安藤廣一氏から出されたものでございまして、平成十一年十一月十九日に受理され、同年十二月九日に付託されております。
 陳情の内容でございますが、国直轄事業の役割や公共事業の本来の目的が失うことのないよう、独立行政法人個別法の制定を見送るなど、お手元の資料の要旨のところに記載してございます六点について、意見書を政府に提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、国の第二次地方分権推進計画では、個々の直轄事業等の点検と見直しについては、関係地方公共団体の意見を聞くなどの手続を経て行うこととされております。
 また、国から地方への税源移譲についてでございますが、東京都は国に対しまして、国と地方の税源配分の抜本的見直しを強く要望するとともに、国庫補助金の整理合理化に当たっては、地方交付税のみによる措置でなく、地方税の充実確保を図るよう要望しているところでございます。
 なお、中央省庁の改革につきましては、中央省庁改革関連法の成立を受けて、現在、政府の責任においてその施行に向けて準備が進められており、昨年十二月には、独立行政法人個別法が成立したという状況となってございます。
 説明は以上でございます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野村委員 意見ですが、この陳情は、直接河川管理の現場で働いている労働者の皆さんが、国民本位の公共事業が推進されるように、また、行政サービスが後退しないようにという要求をされているものであります。
 既に説明がありましたように、省庁再編関連法だとか独立行政法人個別法などが成立をいたしまして、その作業がというか、進行中でありますけれども、ここで出されております趣旨は理解できると考えまして、趣旨採択としたいと思います。
 以上です。

○石井委員長 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決を行います。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○石井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一一第一三九号は不採択と決定いたしました。

○石井委員長 次に、一一第一四〇号、行政サービス後退と国家公務員の定数削減反対を求める意見書提出に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 それでは、陳情一一第一四〇号、行政サービス後退と国家公務員の定数削減反対を求める意見書提出に関する陳情に関しましてご説明申し上げます。
 資料の八ページでございます。
 この陳情は、横浜市の安藤廣一氏から出されたものでございまして、平成十一年十一月十九日に受理され、同年十二月九日に付託されております。
 陳情の内容でございますが、国家公務員の削減を強行しないことなどを内容とする意見書を政府に提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、国は、平成十一年四月に閣議決定した、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画におきまして、今後策定する新たな定員削減計画と独立行政法人への移行により、郵政現業職員を除く国家公務員を、平成十三年から十年間で二五%削減するとしております。
 このうち、新たな定員削減計画は、平成十二年十二月三十一日の定員を、十年間で少なくとも十分の一削減するためのものであり、府省編成前の適切な時期に策定するとしております。
 簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野村委員 さきに発言いたしましたと同じ趣旨で、趣旨採択としたいと考えます。

○石井委員長 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決を行います。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方は起立願います。
   〔賛成者起立〕

○石井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一一第一四〇号は不採択と決定いたしました。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分で、執行機関に送付することを適当と認めるものについてはこれを送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○石井委員長 次に、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○佐藤災害対策部長 それでは、三宅島の火山活動及び新島、神津島近海の地震への対応につきまして、お手元に配布してございます資料第3号に従いましてご説明をさせていただきます。
 まず、三宅島火山活動についてでございますが、気象庁は、去る六月二十六日十九時三十分に臨時火山情報を、次いで十九時三十三分、噴火のおそれがありますので厳重に警戒してくださいという緊急火山情報を発表いたしました。
 これを受けまして、直ちに災害対策部職員を参集させ、庁内各局、関係機関との連絡を確保し、応急対策を始動いたしました。避難勧告等の状況から、知事は六月二十七日零時十五分に災害対策本部を設置いたしました。それ以降の対応はごらんのとおりでございます。
 また、同日四時四十五分には、三宅村長からの要請を受けて、自衛隊に災害派遣要請をいたしております。
 各局の主な対応といたしましては、総務局は災害対策本部の中枢として本部運営に当たると同時に、現地対策本部との連絡調整等に当たりました。救援物資の調達は主に福祉局が対応しております。その他、衛生局は医療救護班を派遣するなど医療面の支援を、水道局は飲料水の供給に当たっております。
 次に、各機関の対応でございますが、自衛隊は、炊き出し等の生活支援とともに、救援物資、車両等の搬送など、その総合的な機動力を存分に発揮いたしました。海上保安庁、警視庁、東京消防庁及び日赤東京都支部にも各方面でご尽力をいただいております。
 各機関のこうした迅速な対応は、防災機関との日ごろの協調体制を整備していたこと、本年九月三日の総合防災訓練、ビッグレスキュー東京二〇〇〇の実施に当たりまして緊密な情報交換を行っていたことの成果だと考えております。
 主な救援物資等でございますが、現地からの要請によりまして、飲料水を十万本、主食としてアルファ化米一万食等を搬送いたしました。このほか、ごらんのとおり避難所生活に必要な物資を搬送しております。
 避難状況についてでございますが、三宅村長の避難勧告は、六月二十六日二十一時十分の阿古地区を初めとして三地区に出されております。避難住民は、六月二十七日の時点で千七百九十人でございました。この避難勧告は、気象庁の火山噴火予知連絡会の発表や、現地に赴いた知事の意見を参考に、村長が決断され、六月二十九日十九時四十五分までに全面解除されております。これを受けまして、都の災害対策本部も、翌日の六月三十日十六時をもちまして廃止したところでございます。
 次に、被害の状況でございますが、幸いにも、三宅島火山活動においては死傷者等の人的被害は出ておりません。しかしながら、現在でも約三百八十世帯で断水が続いております。
 次に、新島、神津島近海の地震への対応でございますが、三宅島の火山活動が終息に向かい、対応も一段落つくかに見えました七月一日十六時二分、マグニチュード六・四、神津島で震度六弱、新島で震度五弱ともなる大きな地震が発生いたしました。
 東京都は、三宅島火山活動のための情報連絡態勢をとっておりましたので、地震発生後直ちに災害即応態勢をしき、災害対策部職員、災害対策職員住宅の職員を参集させ、各局とも連絡をとりながら対応に当たりました。東京都各局からは、二十二名の職員を現地に派遣いたしました。
 七月一日十六時三十七分、知事は、神津島村長からの要請を受け、自衛隊に災害派遣を要請しております。この要請により陸上自衛隊が部隊を派遣するなど、三宅島での活動に引き続きまして、各機関とも迅速に対応させていただきました。
 避難状況でございますが、急傾斜地の下にある集落七地区二百十一名の方々が避難をしており、このうち十九名の方々が福祉センターに開設された避難所に、その他の方々は島内の親類宅等に避難をされているとのことでございます。
 この地震では、不幸にも神津島で崩落した土砂に埋もれまして一名の方が亡くなっております。神津島村の調査では、斜面、山腹の崩落、落石が七十七カ所にも及んでおりまして、道路が大きく被害を受けております。現在、都建設局及び村が懸命に復旧に当たっているところでございます。
 現地ではいまだに余震が続いている状況でございますが、科学技術庁に設置をされております地震調査研究推進本部地震調査委員会からは、七月二日、今後しばらくの間、新島、神津島近海について活動の推移を見守る必要があるとの報告が出ております。
 さらに、現在接近をいたしております台風三号の暴風雨によります土砂災害の発生に備え、現地との連絡の確保のため、七月五日、職員を現地に派遣するとともに、必要な物資を搬送いたしました。神津島村では、万が一避難の拡大が必要になった場合に備え、神津高校など二カ所を避難所とする準備をしております。
 災害対策部におきましては、現在、情報連絡態勢をとりまして、二十四時間体制で職員を配置し、非常事態に備えているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 本件については、さきに説明聴取した三宅島火山活動に伴う東京都災害対策本部の設置等について外四件と一括して質疑を行います。
 本件については資料要求をいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○星野委員 私は、多摩の現状分析についてに関連いたしまして、たまたま今話題になっております、多摩地区に固定資産税等の減免ができるかどうかという問題についてお聞きをしたいと思います。
 もう二十三区については実施されているこの新築住宅に係る固定資産税等の減免措置でありますけれども、このことを受けまして、都議会自民党として、三月の予算特別委員会の中で、減免措置については、二十三区に限らず、市町村を含め都内全域で共通に行うことが必要であるという立場から、さまざまな角度で具体的な質問をしたところであります。その際、市町村が減免措置を実施するためには、都からの財政支援を行うべきであるということを強く申し上げました。その際、知事の方からは、今後の市町村の動向をもう少し見定めたいというお答えがあったわけです。
 また、第一回定例会最終日には、市町村への財政支援措置について、我が党が提案しました付帯決議がつけられるという経緯になったわけです。
 さらに、一昨日の今定例会の我が党の代表質問の中で、この問題について早期に財政支援を行うべきであるとの質問を再度行ったところであります。知事は、市町村の財政運営や課税自主権に配慮しながら、財政支援については十分検討していくといった、前回よりかなり踏み込んだお答えをいただいたところであります。むろんこの答弁だけでは、市町村への財政支援について、依然として行うかどうかははっきりとしておりませんが、この問題については前進したと受けとめております。
 そこで、しつこいようですがお伺いしたいと思いますが、この市町村への財政支援の今回の知事からの答弁について、確認の意味も含めまして、改めてお聞かせ願いたいと思います。

○松澤行政部長 都内市町村が行う固定資産税等の減免措置に対する財政支援についてでございますが、都内の市町村が二十三区内と同様に固定資産税等の減免措置を講じるかにつきましては、基本的には、課税権を持つそれぞれの自治体が判断すべきことであると考えております。しかしながら、一方で、今回の減免措置の目的は、ご案内のとおり、新築住宅の取得を税制面から支援し、もって景気対策、あるいは良質な住宅ストックの形成に資するものでございます。
 また、これに伴う市町村への財政支援につきましては、第一回都議会定例会において、特段の配慮を求める付帯決議がなされているところでありまして、これらのことについても十分考慮する必要がある、このように認識しております。
 したがいまして、都内市町村の固定資産税等の減免措置に対する都としての財政支援につきましては、厳しい財政状況にある都内市町村の財政運営や市町村の課税自主権に配慮しながら、十分検討してまいります。
 また、ただいまお話ございましたように、一昨日の本会議におきまして、知事の方から、こうした考えの答弁がなされたところでございます。

○星野委員 今改めて答弁をいただきましたけれども、そもそも固定資産税の減免措置という施策は、今部長がお答えになったように、景気回復の刺激策としてのまた一つの施策であるわけですね。そういう意味では、市町村の住民にしてみれば、多摩の方でも同じ意味で、都民感情として、市町村でも実施されることを大いに期待しているわけです。区部では、既に一月二日以降新築された住宅については、日々新たな減免措置の対象となっているわけです。その意味からは、区部が八百万人、市町村部三百七十万人という人口からすると、多摩、島しょの市町村において減免措置を行わない場合には、その効果が半減してしまうわけであります。多摩都民としては不公平感を持つのは当然であります。
 そこでお伺いしたいのですが、現在の都内市町村の減免措置についての対応はどのような状況になっているか、お聞かせください。

○松澤行政部長 都内市町村は、今、多摩、島しょ地域で四十団体ございますが、現在のところ、固定資産税等の減免措置を実施することを決定した団体はないというような状況でございます。

○星野委員 今のお話で、現段階においては、残念ながら実施をした市町村がないということですが、これは我が党が代表質問で述べたように、住民の要望にこたえるために市町村が減免措置を行いたくても、独自に実施するだけの財政的な余裕が今の市町村にはないためではないかと思います。また、都議会の付帯決議や、市長会、それから町村会、またそのほかの諸団体から強い要望があったにもかかわらず、来年度の予算要求の時期に至った現在においても、東京都の財政支援策が明らかになっていないためであると考えます。今回の減免措置が、景気対策という面から三年間という時限措置である政策目的からいえば、鉄は熱いうちに打てということわざがあるとおり、おくれればおくれるほど、その効果は薄れてしまうんじゃないかと思います。
 したがって、この問題については、早い時期に、できれば秋ごろまでに何とかはっきりしたことを、支援ができるようにお願いしたい、そういう要望をつけまして、これで終わります。

○藤岡委員 私の方からは、最初に多摩の現状分析報告書について伺います。
 東京の人口の三一・八%、三百八十二万五千人が生活している多摩地域を、どう支援し、発展と振興を図っていくかというのは、都政にとって大変重大な問題であると思います。そこで、なぜこの報告書、この時期に出されたのか、まとめられたのか、このことについて最初に伺います。

○和田地域振興担当部長 現状分析報告書をまとめた理由でございますけれども、多摩地域につきましては、大分前の話でございますけれども、高度経済成長の時期から急速な都市化が進んだということ。それから、その時期にやはり人口も非常にふえてきた。その中で行政サービスが追いつかなかったという状況がございまして、それで区部との間に、いわば都市における住民生活の利便性といった面で大きな差が生じたということがございました。このため、昭和五十年、三多摩格差八課題を設定いたしまして、都は市町村と協力して、立ちおくれた道路、下水道、学校などの課題の解決に努めてまいったわけでございます。
 しかしながら、こうした課題設定から既に四半世紀が経過いたしまして、経済の方も安定成長に移り、成熟社会を迎えようという時代になってきております。その中で、多摩地域におきましても、以前のような、さきに述べたような状況はもう既に見られなくなってきているということで、現状について改めて再検討する必要があるのではないかということが一点でございます。また一方では、社会経済状況の変化や多摩地域の変貌によりまして、新たな行政課題が生じるとともに、地域発展の可能性も高まってきているということでございます。
 こうした状況を踏まえまして、新たな視点に基づく地域づくりへの対応が求められているということから、地域の個性、独自性を生かし、多摩振興を計画的、体系的に進めるために、多摩の将来像が必要である。このため、その前提といたしまして、多摩地域の現状について分析を行い、振興上の課題を示し、多摩振興の今後の方向を明らかにするということの目的のために、本報告書を作成したということでございます。

○藤岡委員 多摩の将来像を策定していくというのは、都知事が昨年の二定のときに出した方針なんですけれども、肝心かなめの多摩の市町村が、この報告書をつくるに当たって、どういうふうにかかわってきたのかということなんです。市町村の意見を聞く場として、市長会の幹事市十市が推薦され、検討会や幹事会が開催されたんだ、意見交換がそこで行われたということになっておりますけれども、この報告書の作成に参加した市の担当者何人かから伺った話なんですけれども、期間が短く、市町村の意見が十分反映されていないんではないか、また、一律的、画一的な見解は出せないのではないかといったことで、統一的な見解を出すということには、時間的にも非常に余裕がないということが語られておりました。
 そこで私、この報告書では、市町村の意見というのが、第四章ですか、多摩格差についての市町村の認識というところでまとめられているんですけれども、このことは非常に都にとって都合のいいまとめられ方ではなかったかなということを考えておりますけれども、これについてはいかがですか。

○和田地域振興担当部長 先生お話しのように、昨年の秋から半年間かけて、都市町村検討会を設置しまして、市部の各ブロックごとに二団体ずつお集まりいただいて、部課長さん、それから都の部課長も集まりまして検討を進めてまいったわけでございます。実際には、そのもとに幹事会をつくっておりまして、その幹事会で半年の間に精力的に八回、全体会の方が三回という形で会議を開いております。さらに、各全団体に対しまして、アンケートといいますか、調査も行いましたし、そんな中で、格差の問題もそうでございますけれども、全体にわたって問題点の指摘であるとか課題の抽出についても市町村と意見交換をしながら、十分市町村の意見を踏まえて作成をしたというふうに考えております。

○藤岡委員 十分踏まえてやったということですけれども、これが多摩の将来、二十一世紀を決定づけるその土台になっているということでは、こうした意見が市町村から上がっているということに対しては、非常に警戒といいますか、注意を払わなければならないことだというふうに考えるところです。将来像策定に当たっても、市町村の意見を十分に酌み取っていく、そういう方向を要望しておきます。
 先ほど中身のことで若干説明がありましたけれども、多摩地域の急激な都市化、人口増に対応して八課題が設定されて三十年たってきているのですけれども、義務教育施設や公共下水道などの格差が解消されたのは当然のことではないかと思います。しかしこの間、格差そのものが新しい分野で広がってきている。乳幼児医療費助成では、二十三区では小学校就学前まで、しかも所得制限がなしという形でほとんどの区が実施をしている。ところが多摩は、そういう水準には到底至ってないわけであります。中学校給食も二十三区の半分ですよね、一〇〇%達成率が。そして公立学校耐震調査、補強も大きく立ちおくれています。いずれも財政力の格差、これが引き起こしているのではないでしょうか。そして、昨日、日本共産党の前沢議員が一般質問で指摘をしましたように、九〇年代に入って以降の高齢者人口の増加率、区部の一・六五倍、七一%という実態がはっきりしております。このままだと、高齢化対策や介護保険対応、こういったことで、多摩の市町村、充実をしたくてもやり切れない状況になっているんではないか、ここははっきりしております。
 しかも、公共交通網も深刻な状況であります。きのうも指摘しましたけれども、多摩地域では、武蔵野線を除くと、基本的には二十三区に向かう線ばかり。その上、頼りとしているバス路線の不採算路線の休止、廃止が実際に国の方向で進められて、今度実施されようとしています。問題となるのは、やはり二十一世紀を迎えるに当たって、少子高齢化、社会保障、公共交通網など新しい視点での格差がさらに広がっていくということを指摘しなければなりません。
 そこで、八課題が、その中身の幾つかが解消されたということをもって、現実の格差や新しい格差を見ないままで格差是正を棚上げすることは間違っているんではないか、こう指摘をしたいのですけれども、どのような見解を持っておられるでしょうか。

○和田地域振興担当部長 三多摩格差八課題につきましては、都は市町村と協力して取り組んでまいりました結果、かなりの部分で解消は図られてきておりまして、公共下水道や道路といった残された課題につきましても、多摩地域全体の課題というよりも、地域的な問題になりつつある、また、問題の質もある意味では変化をしてきているのだろうと思います。
 また一方で、社会経済状況の変化や多摩地域自身の変貌によりまして、住民生活の面であるとか、それから産業環境の面など、さまざまな分野におきまして新たな行政課題も生じておるわけでございます。
 今後、これらの課題につきましては、格差是正という観点からの画一的な対応ではなく、多摩の地域特性であるとか、地域における必要性、緊急性等を勘案しながら、多摩地域の個性、独自性を生かしていくという視点から取り組みを進めることによりまして多摩振興を図っていきたいというふうに考えております。

○藤岡委員 八課題については解消しつつあるということで、区部と多摩の比較はしないんだという方向づけを持っているということですけれども、私は、これまで多摩の市町村というのは、大変厳しい情勢のもとで、社会基盤の整備だとか、福祉、教育、医療の確立に全力を尽くして頑張ってきたんだということは、本当に評価したいんです。
 そして、この間、財政を補完する形で、都の市町村交付金、こういったものが大きな役割を果たしてきた、これも重要な要因です。
 財務局が先日発表しました「財政構造改革の推進に向けて」という冊子では、市町村に対する都の支出金は、他府県に比べて二倍の水準にあるんだ、したがって、市町村財政支援を地方分権などの視点から見直していく必要があると指摘をしています。
 この分析は、財政の視点から見てだけの指摘であり、財務局の都合のいいまとめになっていないだろうか、非常に客観性に欠けているものではないかと考えられるところであります。
 昨日の一般質問でも指摘したんですけれども、都の市町村の支出金は、歳出ベースで見るならば、他の道府県よりも少ない。他の道府県の平均が五%なんです。ところが、歳出ベースで見れば、これが三%になっているということなんですね。やはりこういうことを見ながら客観的な判断をしていくということが当然求められてくることであります。
 そこで、多摩格差是正や多摩市町村が独自の施策を展開する上で都の財政支援は本当になくてはならない、そうした仕組みになっております。市町村調整交付金や振興交付金、これを削減するとかなくしてしまう、こういうことではなくて、やはりこれを拡充していく方向こそ多摩の振興につながっていくんだと思うんです。このことについてはどういう見解を持っていらっしゃるでしょうか。

○松澤行政部長 市町村振興交付金、調整交付金についてでございますが、都はこれまで、その時々の都財政の状況や市町村の行政水準などを十分踏まえながら、市町村調整交付金あるいは振興交付金を通じて財政支援に努めまして、多摩振興に一定の役割を果たしてきたところでございます。
 ただいま担当部長から答弁がありましたが、多摩格差は現在、かなりの部分で解消しておりますが、一方で新たな行政課題なども生じてきております。また、市町村間の行政格差の是正や多摩、島しょの均衡ある発展のために取り組んでいかなければならないわけでございます。
 このため、両交付金につきましては、市町村に対する包括的な財政補完としての役割を引き続き担う必要がある、このように考えております。
 したがいまして、今後とも、市町村の行財政運営を十分考慮しながら、厳しい都財政の状況をも踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。

○藤岡委員 適切に対処をしていくということでありますけれども、先ほども述べましたように、財務局のさらなる支出金のカット、そういう方向が打ち出されようとしている。この財務局の暴走にだれが歯どめをかけられるというのでしょうか。多摩市町村と、そこに住む住民の暮らしを守ることができるのは、総務局にかかっているのではないか、このように考えているところであります。
 そして、それと同時に、市町村との協力、そうした連携が決定的に必要にもなってきているんじゃないか、こう考えられるところですけれども、総務局のこうしたことに対する決意、しっかりと伺いたいと思います。

○松澤行政部長 多摩地域につきましては、少子高齢化の進行など社会経済状況の変化や地域の変貌などにより新たな行政課題が発生するとともに、地域発展の可能性が高まってきているわけでございます。
 また、地方分権の流れの中で、都と市町村の役割分担の明確化を図りながら、都及び市町村は、それぞれの自己責任あるいは自己決定のもとで、都民福祉、住民福祉の向上に取り組んでいかなければならない、このように考えております。
 一方、都財政の方は、依然として危機的な状況でございますし、また、市町村の財政も同様に厳しい状況が続いているわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、先ほども答弁ありましたが、新たな視点に基づく地域づくりを目指して、多摩の将来像の策定に取り組んでいるところでございますが、行政部としましては、市町村への情報提供あるいは連絡調整、財政支援を行うという立場から、今後、市町村とも十分連携をとりながら、多摩の振興に全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。

○藤岡委員 ぜひ市町村との連携をしっかりととっていって、多摩の振興、そして発展につながっていく、そういった施策をとっていただきますように、くれぐれも要望しておきます。
 それでは次に、第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)について若干伺います。
 地方自治体の自主・自立性を高め、国と地方、都道府県と市町村の対等、平等、協力への関係を変えていくというのが地方分権の目的であると思います。各自治体で主体性を生かした、身近な住民ニーズにこたえていく、このことが何よりも今求められているわけであります。こうしたことは、当然のことながら否定するものではありません。
 今回、「中間のまとめ」として、より具体的な役割分担が明確化されたということであり、とかくわかりにくかった権限移譲項目、千百六十項目だそうですけれども、まとめられているようであります。
 このまとめに対しては、一定の地方分権、分権、移譲に対して、東京都の一歩前進ということはうかがえるのですけれども、まず最初に、今回の「中間のまとめ」で、権限移譲が行われ、区市町村や住民にとってどういうメリットが出てくるのか、具体的な例も出していただきながら説明を求めるところです。

○尾井地方分権推進担当部長 権限移譲に関するメリットでございますが、この計画の「中間のまとめ」で提案されておりますさまざまな権限が区市町村の権限となることによりまして、区市町村の自主性、自立性が高まりまして、住民の意見を反映した総合的な施策の展開が可能になるというふうに考えております。
 例えば、まちづくりに関して申し上げますと、地区計画などの市町村が定める都市計画と、それから、建築基準法の建築協定の許可あるいは違反建築物の是正指導など、こういったことをあわせて行うことによりまして、まちづくりの分野において総合的に施策を展開していくことが可能になりますし、また、保健所の事務を例にとりますと、住民に身近な保健福祉サービスを提供しております市が、保健所政令市になることによりまして、福祉施策と十分連携のとれた総合的な保健行政や、地域の実情に即した食品衛生、環境衛生等の施策を展開することが可能になる、こういうふうに考えられます。

○藤岡委員 ただいま説明があったわけですけれども、こうしたメリットを本当に生かしていくというためには、財政面での保障、これが当然のことながら必要になってくるわけであります。都から区市町村へ権限移譲を伴う場合、どういった財源措置がとられるのか、伺います。

○尾井地方分権推進担当部長 財源措置の問題でございますが、個別法の規定による権限移譲が行われた場合には、その執行に必要な人件費あるいは事務費、こういったものにつきましては、当該の区市町村の事務経費として地方交付税の基準財政需要額に算定されることになりますので、国が財源措置をすることになります。また、条例による事務処理の特例制度による権限移譲が行われた場合は、その経費については、東京都が交付金により財源を措置することとなるということでございます。

○藤岡委員 国からは地方交付税だとか、それから都ではという話がございましたけれども、ここに掲げられているだけでも千百六十項目あるし、法令それから条例の数だけでも百三十以上ある。こういったものがどっと自治体にかかってくるわけですよね。したがって、事務権限が移譲されたとはいっても、仕事量はふえる、しかし財政は来ないという状況があっては、これは地方分権の趣旨を大きく逸脱していくことになってしまうと思うんです。
 今、東京都では国に対して、税源移譲などで、議会もそうです、国に強力に要請、そして要望しているところ。こうしたことを東京都がやっている以上は、都としても、区市町村への税源移譲といいますか、財源移譲、どう責任を持って対策をとっていくのか、この観点が必要ではないかという意見をつけ加えておきます。
 それでは次に、個別法の権限移譲の中で、保健所や建築確認行政などの場合、地方交付税の来ない不交付団体の財源措置、これはどうなるのか、また、その移譲を十三年度以降早い時期に行っていくんだというふうに記載されておりますけれども、そうしたことをどういう形で進めていくのか、市町村との協議の中身、そういったものについて示していただきたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 一点目の、個別法の権限移譲による場合、不交付団体に対しての財源措置の問題でございますが、保健所ですとか特定行政庁といった個別法による権限移譲によって権限が移譲された場合には、先ほども申し上げましたとおり、人件費ですとか事務費などが地方交付税で国が措置されることとなっておりますため、地方交付税の不交付団体だからという理由で、都がこれらの経費について重ねて措置をする、こういうことは困難だというふうに考えております。
 しかし、権限移譲に際しましては、新たな施設の設置ですとか初度調弁など初期投資が必要となる場合がありますので、そうした場合には、区市町村への権限移譲を積極的に進めていくために、都としても、必要に応じて経過措置としての財政支援を行うことを検討していくということを考えてございます。
 次に、これからの権限移譲の進め方でございますが、今回、「中間のまとめ」を出したわけでございますが、この「中間のまとめ」に対する区市町村等のご意見をいただいた上で、九月を目途に正式な計画を策定する予定でございまして、この計画策定後は、区市町村と十分な協議あるいは調整を行った上で、順次権限移譲を進めていきたいというふうに考えてございます。

○藤岡委員 既に建築確認行政を実施している市というのも多摩では七市あるわけなんですけれども、こういった市でも、経過措置後の財政負担、これが問題になっているんですよね。このような問題を視野に入れた、そうした十分配慮した財政支援、これが求められるのではないかというふうに考えるところです。
 また、十三年度以降、できるだけ早い時期に移譲するということでありますけれども、これは当然のことながら、区市町村優先という立場を貫いていくことが大変重要ではないかと思います。十分な時間をとり、そして協議の場を設置して、徹底した協議を行った後でないと、権限移譲を行ってはならないんじゃないか。そういう意味では、東京都からの一方的な押しつけになってしまってはいけないということが指摘できると思います。
 次に、第4章で補助制度の見直しという項目が出てきているんですけれども、いわゆる補助金の統合、メニュー化、そして包括化を検討するということが結論づけられております。このことが補助金削減につながっていくのではないかという心配が、いろいろな自治体からも出されているわけであります。
 そこで、ここでいっている統合、そしてメニュー化、包括化ということはどういうことなのか、具体的に示していただければと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 まず、少額補助金の統合化でございますが、これは、同一または類似の目的を持つ複数の少額補助金を一つに統合するもので、主として補助金交付手続に関する事務負担の軽減などが期待されるというふうに考えております。
 それから、補助金のメニュー化でございますが、これは、類似ないし同一の目的を有する補助金を一本にまとめまして、区市町村がみずからの判断でメニューの中から事業を選択する方式を進めるということでございます。
 それと、この計画の中で補助金の包括化を検討するというふうに、今ご指摘のとおり、ございますが、これは、細分化された補助金を包括化して、補助金の手続や要件を緩和することを意図したものでございまして、今後、区市町村の知恵や創意工夫をより生かせるような、柔軟性のある補助金を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

○藤岡委員 そうしたことでは、ことしの予算で福祉の包括メニュー補助金、これが計上されているわけですけれども、この福祉の包括メニューの補助金なんですが、従来の補助率を下げたり、時限的な補助になっている。結果として大きな削減にもつながり、区市町村も手を出し切れないでいるというのが現実ではないか。こうした中身を持っているということであるならば、大問題であるということを指摘しておきます。
 他道府県よりも都の支出金が高い水準にあるんだということで、第4章の最初の項目で書かれているんですけれども、こうしたことで補助金の見直しが削減を目的としたものであってはならないのではないか、この4章のまとめというのは補助金の削減を目的としたものではないのか、どうなのか、ここを伺います。

○尾井地方分権推進担当部長 今回の第二次地方分権推進計画(中間のまとめ)におきます都の区市町村への補助制度の見直しでございますが、これは、都の補助制度の意義を明確にし、区市町村の自主性、自立性を尊重する観点から行うものでございまして、補助金の削減を目的としたものではございません。

○藤岡委員 自治体の主体性を尊重し、自主的な事業展開を原則とした上で、削減をする目的ではないんだということだと思います。
 そして、私、最後に、こうしたメニュー化だとか包括化の場合に、従来から出されていた総額は、当然のことながら原則として保障をしていく、このことを守ってほしいということを要望として掲げて、質問を終了します。

○東野委員 私の方からは、時間の制約もございますが、本日は、「人権施策推進のための指針骨子」について簡潔に質疑をいたしたいと思います。
 今回、東京都は、人権の指針骨子を発表されたわけでございますが、これに至るまでの経緯については、あえて申し上げるまでもなく、昨年、知事の懇談会として人権施策推進のための指針に向けてのあり方専門懇談会が設置されて、十数回ですか、議論が重ねられて、そして提言として昨年の十二月に都に出され、それをもとに今回の指針骨子が六月に発表された、こういうふうに至っているわけでございますけれども、今後、さらに広く都民の意見を聞いた上で、ことしの秋を目指してこの指針を策定するというふうに伺っておりますが、今後の具体的なスケジュールについてお伺いしたいと思います。

○田口人権部長 指針骨子につきましては、六月十九日の公表と同時に、指針骨子本文やリーフレット、これを都民情報ルームや区市町村の窓口に置いて、都民の皆さんが閲覧、入手できるようにしております。また、東京都のホームページに、都民がアクセスできるようにもしております。さらに、「広報東京都」の七月一日号に指針骨子の概要を掲載しております。
 公表から七月二十一日の金曜日まで、おおむね一カ月間になりますけれども、指針骨子について都民のご意見を伺うことにしております。その後、いただいたご意見を参考にしながら、関係各局と調整し、ことしの秋を目途に指針を策定する予定でございます。

○東野委員 今日に至るまでその広報をして、インターネット等を駆使されて、現在までどのぐらいのご意見が寄せられているか、具体的な中身ではなくて結構ですけれども、教えてください。

○田口人権部長 ホームページの関係につきましては、月末に記録をとるという形になりまして、その後、計数的な整理をいたしまして、二週間後ということでございますので、まだホームページのアクセスについては数が把握できておりません。
 また、いろいろメール等で入っている件数でございますけれども、現在のところ、十三件でございます。

○東野委員 東京という大都会といいますか、そこにはさまざまな差別や偏見を受けている人々がおるわけでございますけれども、人権が尊重される社会を築くためには、まず、差別の解消といいますか、これが基本であるというふうに考える次第でございます。
 したがいまして、今後進める指針においては、差別をなくしていくという強い意思がその指針の中にきちっと筋として通ることを望むわけでございます。示されるべきだというふうにも考えるわけですが、その点に関するご意見をお伺いします。

○田口人権部長 人権が尊重される社会をつくるためには、差別の解消は重要な課題でございます。指針骨子でも、人権施策の基本理念の中で、「性別や年齢、障害、出身、民族、国籍等を理由とする不合理な差別や偏見を受けることなく社会に参画し、その個性と能力を十分に発揮できる都市をつくる。」このようにしたところでございます。
 指針骨子の中に人権に関する現状がございますが、この中で、現実に厳しい差別がある、こういった認識を示してございます。
 今後、さまざまな差別や偏見の解消に向けて積極的に取り組みを進めてまいる所存でございます。

○東野委員 東京では多くの外国人たちが学び、働き、そして暮らしているわけでございますが、今後の都市のあり方にとって、外国人の人権にかかわる施策についても、国際都市東京にふさわしいものにしていくべきだ、このように考えるわけでございますが、ついては、指針策定に当たって、外国人に対するきめ細やかな対応も必ずしていくべきだというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

○田口人権部長 国際的に魅力ある東京をつくるためには、人権を守る、こういった都市にすることが重要でございます。
 東京には多くの外国人が生活しており、指針骨子では、人権に関する現状の中で、外国人の人権について重要な課題として取り上げております。
 現在、外国人にかかわる個別施策につきましては、関係各局で取り組んでいるところでございますが、今後、指針の基本理念を尊重しながら、人間の存在や尊厳を守ることを基軸に、総合的な観点と仕組みによって、さらに施策を推進してまいります。

○東野委員 若干細かいところへ入っていきたいと思います。
 先ほどお話ししました、昨年の十二月に出されました専門懇談会の提言によりますと、性的マイノリティーとして、同性愛者や性同一性障害の当事者や自己の性別に不快を伴う人々などを挙げまして、これらの人々の人権についても、都のなすべき施策の中に取り込むことにしたというふうになっております。
 しかし、その提言を受けまして今回発表された指針骨子の中からは、この同性愛者が落ちています。この理由をお聞かせ願いたいと思います。

○田口人権部長 指針骨子では、国の人権教育のための国連十年に関する国内行動計画や、各県の行動計画で触れていない性同一性障害のある人々などの人権を取り上げております。
 同性愛につきましては、多くの方々の理解を得るに至っていないなどの状況を考慮いたしまして指針骨子としてまとめたところでございます。

○東野委員 多くの方の同意とか理解ですか、が得られていないということなんですけれども、一つの例で、ことしの四月の新聞紙上に載りました都政モニターアンケート、これを見ますと、人権に関して、同性愛者、性同一性障害者等が尊重されていないという声が約七割、犯罪被害者の家族に対する項目の八一・五%に次いで二番目に高い数値を示しているわけですね。いってみれば、七割の方が、同性愛者、性同一性障害者の人権は尊重されていないのではないかというふうに回答されているわけですね。
 これ一つだけを取り上げて云々ということではないわけですけれども、都がみずから進めたモニターによる結果、この辺のところをどう重く見ているのか。こういった現実があるのに取り上げてないというのは、ちょっと私にとっては解せないので、逆にしっかりと取り上げるべきではないか、私はこういう意見なんですけれども、どうでしょうか。

○田口人権部長 都政モニターのアンケートの件につきましては、先生のご指摘のとおりでございます。
 同性愛者をめぐっていろいろな状況が生じているということは、十分我々も認識しております。その中で、啓発などを通じまして必要な措置は講じております。
 現在、指針骨子につきましては、先ほど申しましたが、広く都民の意見を伺っているところでございます。指針の策定に当たっては、これらのご意見も参考にしていきたい、このように考えております。

○東野委員 知事がよくいわれる、今回の議会でもよくいわれていたんですが、ニューヨークを仮想競争市としてしっかりやっていきたい、都政を進めていきたいというふうにいわれているわけですけれども、そのいわゆる知事のいわれる仮想競争市のニューヨークの同性愛者の人権に対する取り組みについては、どのようなものになっているでしょうか。

○田口人権部長 ニューヨークの人権問題につきましては、同性愛者の人権問題でございますけれども、新聞情報等では我々も拝見はしておるんですけれども、具体的な内容については、この場でちょっとお答えできない状況でございます。

○東野委員 私もその範囲でしか理解はしていないんですが、いずれにしましても、特に欧米においては、いわゆる性的マイノリティーといわれております同性愛者に対する人権擁護といいますか、人権の問題の意識は非常に高く、なおかつ、日本の場合は、今までのたどってきた歴史がそうさせているという、日本の国の成り立ちということもさまざまなことがあろうかとは思いますが、特に人権ということに関しては、まだまだこれからしっかりと取り組まなくてはいけないという状況にあることは、私は否めないというふうに思います。
 そんな中で、東京都が先陣を切って今回ーーもちろん他の道府県も、国の声かけによって今進めているわけですけれども、東京都が日本の都市の中で先頭に立つという意義は、私は非常に大きなものがあるというふうに考える次第でございます。
 その論議はまた別の機会としまして、それでは、いわゆる懇談会で出された、そこに同性愛者が載っていた。今回はそれを落とした。さまざまな理由があったでしょう、落とした。そのことに対して懇談会にフィードバックはされたのでしょうか。もしされていたとしたら、懇談会のメンバーの方々が何か感想を持たれたのか、その辺がございましたら、教えていただきたい。

○田口人権部長 専門懇談会のメンバーの先生方につきましては、公表と同時に、この指針骨子について配送してございます。
 現在のところ、まだ、具体の内容について委員の方々から私どもの方にはコメントは届いておりません。

○東野委員 コメントは届いていないということでございますが、私が聞き及ぶところによりますと、この懇談会でも、ほかにたくさん項目があるので、これだけほじくり返しているわけでは決してないわけですけれども、この点に関しましては、専門家の意見も、今、社会的に起こっている同性愛者に対する傷害の問題とか殺人の問題とか、さまざまな社会的事例をきちっと把握されながら、人権をしっかり守っていかなくてはいけないという強い思いがあったというふうに聞いております。
 そこの懇談会のメンバーに今回の指針骨子を送られて、返事がないということなんでございますけれども、恐らく彼らの中には、すべてとは申し上げませんけれども、去来するものがあるのではないかというふうに推測されるわけでございます。
 次に進みます。人権施策の理念について、骨子では、機会の平等を約束する都市、このように述べられているわけでございますが、しかしながら、今日、国際的には、機会の平等というより、むしろ一歩進んで、実質的な平等をいかに実現していくかが課題である、このような主張もあるわけでございます。
 これから指針の策定に当たりましては、国際人権規約など国際基準をしっかり取り入れて検討すべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○田口人権部長 指針骨子における人権施策が目指す方向、この中で、機会の平等を約束する都市、これに加えまして、安心して暮らせる都市、自由を享受できる都市、自律・自立性に基づく人間の存在や尊厳を守る都市などを掲げまして、人権の基本原理である人間の存在と尊厳を守るということを基本に置いております。その中には実質的な平等についての考え方も含まれております。
 国際人権規約を初めとする国際人権関係文書につきましては、指針の策定に当たりまして、引き続き十分尊重してまいる所存でございます。

○東野委員 最後になります。現実に根差した指針となるように、効果が期待できる指針とするには、差別される側の意思が反映されるように、また、実際に差別を受けている、あるいは実際に人権を侵害されているその当事者の意思をきちんと踏まえていくべきだというふうに考えるわけでございます。
 もちろん、広く都民の意見を聞くのも重要なことでございます。ですけれども、繰り返しになりますけれども、実際に差別を受けている人たち、それから、人権を侵害されている人たちの意見をぜひぜひきちっと聞きながら、今回の指針策定に向けていただきたいと思います。その辺について、ご決意と、最後に、大変恐縮でございますけれども、局長の方にご意見を賜りたいと思います。

○横山総務局長 今回の指針につきましては、基本的人権が尊重される東京を実現するというのは石原知事の強い意思でございました。そのための道しるべになる、こういう位置づけでございます。
 指針を都民の期待にこたえるものとするためにも、今お話しがございましたように、広く都民の意見や、あるいは当事者の意見を伺いながら指針の策定に当たってまいります。

○石井委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分程度休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

   午後三時三十一分開議

○石井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○西条委員 人権委員の話について、東野先生が質問していたところと大分重なるようなところがありますから、それはざっと飛ばしていきまして、簡潔にやらせていただきます。
 人権差別撤廃条約、これは一九九五年十月、批准というのかな、日本がしているんですね。この条約は、人種差別の撤廃の重要性、それから差別撤廃への最低基準を示したものだ、こういうことだと聞いておりますが、これの概略をまず説明していただけますか。

○田口人権部長 正式名称でございますが、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約でございます。一九六五年の第二十回国連総会で採択され、日本は一九九五年に加入いたしております。
 この条約は、人権侵害の目的または効果を持つ人種、皮膚の色、世系または民族的、種族的出身に基づくあらゆる形態及び表現による差別の禁止を目的とし、締約国にそのための施策を追求することを義務づけております。

○西条委員 今日の人種差別の問題というものの大もとの憲法みたいになるものは、今いったこの条約なんだろうと私は思っております。
 今ご説明をいただいたような話から、先ほど東野先生の話にも出ていたんですが、東京都人権施策推進指針対策連絡会、ここがこの骨子について一定の声明を出されている。これは先ほど出ていたので、省略するところなんですが、まさに機会の均等だ何だという話がされていて、これは先ほど東野先生が質問してご答弁いただいていますから、その部分は再度しません。
 そこで、それをさらに踏まえてなんですが、この条約の基本方針となるーー今説明いただいた悪質な差別行為や差別団体を法律で禁止することなどの措置を求めるという、この部分のところで求めているわけですよね。
 たまたま本会議の一般質問の中でも、これについて差別禁止条例をつくれという話を福士さんがなされておられた。これに対する理事者側の答弁といいますか、これが前向きではない。ということは後ろ向きになるんですけれども、現状ではというようなご答弁でありました。
 そこで、それを受けてなんですが、私は、今の日本の置かれている現状で、構成要件の明確化など表現の自由との関係で、確かに難しい問題がいろいろある。これはそういうことなんだろうと思うんですね。警告などの是正措置に結局なってしまうんだというような感じですよね。
 それならば、少なくとも普及啓発とかそういうものでない、もうちょっと実効性のあるものは求められないんでしょうかね。確かに、今いったように現状ではいろいろ難しい問題もあるけれども、当面、今やれるのは普及啓発とかそういうことでしかできないわけでしょう。少なくとも条例制定までできないのだったらば、もう一歩踏み込んだような実行段階の中で多少何かできないんでしょうかね、こんな気がするんですけれどもね。

○田口人権部長 我が国政府では、人種差別撤廃条約を批准するに当たりまして、人種差別を法律で処罰することについては、日本国憲法のもとにおける集会、結社、表現の自由その他の権利の保障の観点から、留保をしております。
 先ほど、警告などの是正の措置というお話がございましたが、こういった措置につきましても、表現の自由の保障に抵触するおそれがございますので、慎重にならざるを得ない、このように考えております。

○西条委員 確かに、なかなかこういうのは難しい問題だなという感じはいたします。
 それで、さらにそれらのことを踏まえた上で、先ほど東野先生の話からも出てきた、実際には我々も、同性愛者のグループの皆さんから、先ほどちょっと出たーーもうちょっと期待をしていたわけですよね、このあり方の方で。それが、骨子になってしまったら多少削られてしまったことに対する後退感というのを大分感じられておられるようなんですよ。
 そういう点の指摘はもう先ほどされたから、ちょっとここで、私も、この世界というか、余りよくわからないんだけれども、先ほども話に出ていた性的マイノリティー、同性愛者、性同一性障害、いろいろこんな話が出てくるんですが、これをちょっと私らにもわかりいいように説明してもらえますかね。例えば性的マイノリティーといっても、よくわからないんだね。それから性同一性障害というと、これはまさに専門用語なんでしょうけれどもね。同性愛者というところは私なりにわかるような気がするんですが、ちょっとここらの言葉の整理をしていただけませんかね。

○田口人権部長 それでは言葉の説明をさせていただきます。
 まず、性的マイノリティーといいますか、これはこういった定義というのはないわけでございますけれども、例えば、性同一性障害のある方ですとか、あるいは自分の性に不快感を感じる人ですとか、それからインターセックスの方ですとか、こういった方を指して性的マイノリティー、性的な少数者、こういったようなことでまとめております。
 その中で、まず、性同一性障害でございますけれども、自分の性についての意識と身体的な性とが一致せず、性転換手術を受けても性を変えたいと希望している人々のことをいっております。それから、自分の性に不快感を感じる人々でございますが、性転換手術までは希望しないが、自分の性について違和感を感じている人々のことでございます。それと、インターセックスでございますが、男女双方の身体的特徴を持っており、男女どちらかに区分することが困難な人々でございます。ただ、非常にこの辺の分類は難しいと伺っております。

○西条委員 何となくわかったようなあれなんですが、今ご説明をいただいた範囲内で理解をさせていただくとして、先ほども話のあったいわゆる同性愛者というところの部分だけは、この骨子の方では外してしまった。先ほどの説明でも、これはまだ多くの方々の理解を得るまではいっていないんだと。そうはいいながら、片方では、六九・一%、七〇%ぐらいの人がいるよ、こういう話がありますよね。
 私は、これはこう考えるんですがね。人権の問題ですから、考え方が、多くの人の理解がいったからいいとか、いかなかったからーーいかなかったということはないんだな、いったら、それではいいのか、本来そういう話ではないんではないですか、そういうところで線を引いて、今度は入れます、今度は入れませんというような解釈ではないんじゃないでしょうかということをお尋ねをしたいんです。
 例えば、例は悪いですけれども、ある何かを一生懸命信じている人たちの集団、まあ宗教でもいいですよ、宗教を信じている人たちがいる。その人のある一部が今いった人権侵害を受けている、この人たちを助けてあげようというとき、集団であるその宗教が、これは社会的にまだみんなから認知されていないよ、だからだめなんだよというような、例は悪いですけれども、こういう場合、しかし、ある宗教を信じているために人権侵害を受けている人たちがいた場合は、これは、本来の信じている宗教が認められているから認められていないとかいうところで判断するのではないはずなんですよ。
 そういうことからいくと、この場合の同性愛という人たちも、同性愛というものを求めている、そのときに、それは社会的に認知されてないんだ、だからといって、受けている人権侵害の部分はやはり守ってあげなければいけない、こういう考え方なんじゃないのでしょうかと。
 ですから、たまたま今度の場合、あり方と骨子の間での判断が、もしそういう社会的にまだまさにマジョリティーになっていないんだということでこのたび判断されたことは、やはりちょっと、間違いだとまではいいませんが、いかがなんでしょうかね。そのご答弁をいただきたいんですが。

○田口人権部長 同性愛者の方々を今回の骨子の中で取り上げなかった、そういった線引きといいますか、そういったことについてのお尋ねだと思いますけれども、私どもも、提言にございました同性愛者の方々についてどういう形にしていくか、この辺は十分中で議論したところでございます。
 その中で、例えば新聞社で行っている世論調査ですとか、こういった結果、二社ばかり、この同性愛の方々ーーこれだけの問題ではないんですけれども、調査を行っております。その中で、大方の方がまだこの問題について容認していないという結果がある。それから、今回の私どもと同じ形で行われております国の行動計画、この中での重点課題、また、その国の行動計画を受けた各県の行動計画、こういった中にもこの同性愛者の方々の問題については取り上げていない、そういう状況等を判断いたしまして、今回はこの中には取り上げてなかったということでございます。

○西条委員 わかりました。いろいろなまさに東京都としての立場が、国や、今おっしゃるようなそういう大きなところの中を広い視野の中から判断していったんだ、こういうように解釈いたします。
 ただ、これで質問終わりにしますが、人権、具体的に侵害を受けているかどうかというのは私もわかりませんけれども、そういうことで、いわゆる世間でいう、一般的ないい方をすれば肩身の狭い思いをしている人たちにすれば、こういうところに取り上げられて、自分たちの存在をやはりきちんとしたいという願いがあればこそ、こういう動きがあったんだろうと思うんです。ですから、まさに人権という問題なだけに、ぜひ思いを深くはせてあげていただきたいということをお願いをしておきます。
 秋ごろにはいよいよ指針を策定されるんだということでございますから、ぜひ今後とも、多くのーー今は、特定の同性愛者という方の例を出してお話をしましたが、まさに人権問題というのは、最後は一人一人が侵害を受けておられるかどうかなんで、広範な一般の人にはそんな大した問題ではないのかもしれませんけれども、人権侵害等受けられているという心配をされている方にすれば重大な問題なんですよね。そういう意味で、どうぞ広範な意見を反映させていただきたいと思っています。
 このくらいで終わりにしておきます。ありがとうございます。

○野村委員 続いておりますが、「人権施策推進のための指針骨子」について質問をさせていただきたいと思います。
 人権施策推進のための指針ということで、私も、前のあり方専門懇談会の質疑のときに、やはり人権というふうにいえば、日本国憲法と、それから世界人権宣言以来の国際的な人権規約など、そういう世界的な水準に立ったものでなければならないという意見を申し上げてきたと思うんですけれども、そういう意味で、一番初めから、人権施策推進の理念のところなんですが、そういうものが書いてないということで、何だろう、どうしてだろうというふうに思ったんですね。
 これは、平成十年につくられました、二年前につくられました人権問題ハンドブックなんですが、ここの一番初めのところに、人権をめぐる状況として、人権問題とはということで、日本国憲法は国民の基本的人権を保障しておりとか、十四条で、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という平等の原則をうたっているとか、それから、二としては、世界人権宣言という項目を起こしまして、きちっとこれをとらえているわけですよね。
 二年前に出されたこのハンドブックにこのようなことを取り上げて、人権問題を述べているにもかかわらず、今度のこの骨子に、人権の考え方として一番初めに理念というところがあるんですよね、その理念のところにさえ、この世界人権宣言の立場、それから日本国憲法のそういう立場が書かれていない。これはどういうことなのか、これは明確にすべきではないかということをお尋ねしたいと思います。

○田口人権部長 今、先生の方でお示しのございましたハンドブックにつきましては、人権問題を都民の皆さん、職員も含めて、わかりやすくということで作成したものでございますので、主要な項目についての言葉の説明が中心になっております。
 今回の指針骨子の基本理念の中で、憲法や世界人権宣言について触れられていないじゃないか、そういったようなご指摘だったと思います。
 憲法十三条では個人の尊重、また、世界人権宣言では前文の中で人間の尊厳がうたわれております。この趣旨を尊重いたしまして、指針骨子では、東京都が推進する人権施策の基本理念として、人間の存在や尊厳を守る、こういった点を明確にしております。

○野村委員 答弁ではそういうことをおっしゃるんだけれども、実際に都民に示されているのはこれなんですよね、この骨子なんですよ。これの理念というところにそれが書いてなくて、次の人権をめぐる国内外の動向というところに、こうだよというふうに書いてある。やはりこれは違うと。私は何度もいわせていただきますが、これはやはり、さらに策を展開するというこういう文章の中には、きちっとそれを入れるべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 国内外の動向ですけれども、この中に、日本政府が一九九六年、国連人権委員会に提出した報告に対して、国連人権委員会は多くの懸念事項の指摘を行ったとここに書いてありますね。これをお示しくださいというと、概要でも大変なことになると思うんですが、私は、これを読みまして、これで日本の今の人権、国のレベルですけれども、我が国の人権施策の問題点がここに出てくるというように思ったんです。
 項目が三十何項目ありますから、これはちょっと大変なんですが、その中でも、特に教育という面でしょうか、裁判官、検察官、行政官に対して、規約上の人権についての教育が欠けていることを懸念し、その教育が行われるよう強く勧告するというのがあるんですね。
 これは、裁判官とか行政官ーー国際人権規約という規約上のというんだから、国連ですから、それを指していると思うんですが、人権について教育が欠けているという、これは私は、裁判官や行政官のみならず、国民全体にこういう教育の重要性を示唆しているんだなというふうに思うんですよね。そういう意味で、教育ということは大変大事なことだと思います。
 もう一つ、特に問題に思いますのは、重大だなと思いますのは、人権侵害を調査し、不服に対し救済を与えるための制度的仕組みが欠けているということを指摘して、日本には人権擁護委員というものはありますけれども、その権限は法務省の監督下という限界があるので、これが全体の人権を見るのは不適当であるということで、人権侵害の申し立てに対する調査と救済のための独立した仕組みを設立することというのを勧告しているんですよね。
 両方あわせて伺いますけれども、これは、国に対する勧告ではありますけれども、都としてこういう施策推進の方針を出すからには、やはり国際的な水準の施策として、この調査と救済のための独立した機関、そして教育について、しっかりした国際的な規約上の人権について学ばせる、そういうきちっとした教育ということを押さえる必要があると思うんですが、この二つあわせて、どうか、お答えください。

○田口人権部長 一点は、人権教育の推進についてのお尋ねでございます。もう一点は、救済・保護の関係、こういった二点のご質問があったかと思います。
 人権教育の積極的な推進につきましては、所管は教育庁の所管になります。それではございますけれども、現在、教育庁では、生涯学習の視点に立って、学校教育及び社会教育などを通じて、人権の意義やその重要性が、一人一人、知識として確実に身につき、人権問題の全体及び本質をとらえる感性を育てることにより、日常生活におきまして人権への配慮や態度や行動にあらわれるような、そういった人権感覚がはぐくまれるような、そういった面での努力をしていると伺っております。今後につきましても、さらなる努力が必要であると考えております。
 それから、救済・保護の関係でございますが、現在、制度的な対応につきましては、国の人権擁護推進審議会の中で議論されているところでございますが、私どもといたしましても、裁判を初めとする現行法制度による人権問題には多くの時間や労力を要しております。こうした中で、複雑多様化する人権問題の迅速な解決には限界が生じている、こういった面もございます。人権侵害に対する調整あるいは調停機関の設置、具体的な救済・保護の手法、こういった点につきまして、新しい発想を持って研究する必要があるのではないか、このように受けとめております。

○野村委員 後半の調査・救済のための独立した機関の設置ということについては積極的なお答えをいただいて、都としてもそういうものをつくるということをぜひやっていただきたい。
 教育についてなんですけれども、この指針の骨子では、啓発・教育というのは、後で二度も出てきたりして大変わかりにくい。全体として、ちょっと途中で申し上げますけれども、読んでいて、よくわからない。ちゃんとまとめてすっきりとさせたらこの半分ぐらいになるんじゃないでしょうかね。そうしたらみんながよくわかるんじゃないか。これ本当にわからないんですが、その中で、啓発・教育というのが出てくるんですけれども、基本的な考え方として、思いやりの心とか、他人を、多様な考え方を認める心という、心という言葉があるんですよね。
 心といわれて、よく考えて、ああ、心という示し方をするのかなというふうに思うんですけれども、やはりきちっとした人権という認識を子どものときから、学校教育もある、社会教育もある、幼稚園教育もあるでしょうし、家庭での日常生活の中で人権感覚を育てていく、こういうことが必要だということなんだと思うんですよね。
 私、ひょんなことでいろいろな本を見ていましたら、「わたしたちの人権宣言」という、「人権の絵本」というのがあるんですね。大月書店から出ているんですけれども、その本は子ども用に、子どもの権利条約にかかわってつくられた本のようなんで、その関係者が書いていらっしゃいますけれども、大変わかりやすく、これを推奨しておりますイーデス・ハンソンさんなどは、これは子どもだけではなくて、大人が見ていても、なるほどとうなずき、ほっとするかもしれないというふうに評を書いておられますけれども、こういうようなものが子どもの周りにあるとか、いろいろな教育の形態があると思うんですよね。
 今までの同和教育ということになると、上からそういう講座をしてとか講義をしてそういうものを身につけさせるとか、そういうようなことが行われてきた嫌いがありますけれども、本当にそういう感覚を身につけるという教育というのを、日本でもきちっと考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけです。
 今、教育ということと、それから調査と救済のための独立した機関ということと二つを取り上げてみましたけれども、これを見ていきますと、行政の積極的な施策推進が求められますよね、教育についても、それから独立した調査、救済の機関というのは。
 ところが、この本の中では、行政はどういう役割を持つかというと、側面から援助することを基本にすると書いてあるんですね。側面から援助ですよ。これは違うんじゃないか。行政が真正面からそういう問題に取り組まずに、側面援助、こんなのは逃げているんじゃないかというふうに思わざるを得ません。
 一つは、人権に関するさまざまな個別課題が、五ページ以下、女性、子ども、高齢者というふうに書いて、この中に、先ほども、同性愛者の方々の意見がというか、せっかくあり方専門懇談会の中で発言されて取り入れられたはずなのに、ここに落ちているということ、私も同感です。
 本当に、この懇談会が報告ですか、提言として、こういう皆さんの意見を聞いて、なるほどそうだということで出して載せたのに、それを東京都がもとに戻して、その他の人権問題としてこういうふうにまとめて軽く扱ってしまう、これはやはり問題じゃないかと。
 それから、私は、労働者の問題というのは、今、いろいろとリストラ、合理化の中で、サービス残業だ何だと非常に問題があって、それがまた、少子化社会の中で、これらを回復させるためにも改善しなければならないという問題、去年も我が党の質問で取り上げましたけれども、そういう問題がいっぱい出ている、これも私は人権の問題だと思うんですよね。
 この中でちょっといいたいのは、女性の問題を例に挙げたいと思います。女性の問題については、東京都の生文局の女性青少年部とか女性財団とか、そういう機構が、最近特に問題になっておりますドメスチックバイオレンスの問題については、相談も行うし、それから、いろいろな問題を調査したりしながら、本もつくり立派な報告書もつくり、やっております。
 こういう場合に、私は、子どもとか女性とかという一つ一つ、相手というか侵害する方のものというのは大変多様だと思うんですよね。家庭内暴力という場合には、夫の暴力とかパートナーの暴力という場合には、夫であったりパートナーだったりした。そういう個人ですよね。それから、児童虐待が今問題になっていますけれども、それもパートナーですよね。
 ですから、そういう場合には、隔離をして、それで人権を侵害した側の教育、それはカウンセリングだとかそういうような形で、個別的な方法で治療というか教育というか、そういう形で改善していく、そういうことをやっていますよね。
 先日テレビでごらんになった方もいらっしゃるかもしれませんが、児童虐待についてアメリカの例を二回ぐらいやっておりました。これは、子どもから直ちに引き離して、別のところに集めて、そういう人たちを一緒に講習みたいなカウンセリングをするというのもあるし、個人個人のカウンセリングもあるし、そうしながら、心理的な治療も含めてやりながら、家庭に帰せるかどうかというのを、診断を見ながら戻していく、こういうことをやっていたわけなんですが、こういうような個の場合というか、家庭とかそういう場合には、被害者を避難させるための緊急避難の施設、シェルターか、被害者や加害者それぞれに対する公的なカウンセリング制度を必要とし、それから、女性が望む際には、別れたいというときには、経済的自立を支える適切な公的補助が必要だし、安全な住居の提供や職業訓練などが必要になる。まさにこれは、先ほど、行政が側面からといったけれども、全面的な支援が必要だというふうな例だと思うんですよね。
 もう一つは、目黒にありますケンウッドという有名な会社なんですが、ここの電器機器メーカーの労働者が懲戒解雇を受けました。これはもう十二年も前なんですが、三歳の子どもを保育園に預けて働いていた事務系の女性社員に、突然、八王子の工場への転勤命令が出まして、一月の二十七日にそれが出されて、二月一日から赴任せよ、そういう命令が出て、これは後でほかの方から調べたのでは、会社が八王子の工場ラインに二人増員を決定したけれども、八王子の中では条件に当てはまる人がいないものですから、その目黒の技術系の部門にいた、庶務をやっていた彼女を向こうへ配置転換する、そういう話だったんですね。
 これは、そのときでも、まだ三歳の子どもですから、帰りは、仕事が時間がかかるものだから、二次保育、お迎えにいってもらって、しばらくそこで預かってもらうというような保育をやっていた。ところが、八王子に行けば一時間も余分にかかるわけですよね。そういう意味で、とても無理だということで断ったらば、結局懲戒免職という、こういうことがあったんです。
 それ以来もう十二年ですけれども、裁判、最高裁まで行きましたけれども、ついこの間なんですよね。その間、本当に、その女性にとっても、家族にとっても、大変なロスですよね。先ほどの答弁の中に、少しそういうニュアンスかなというふうに思ったことがありましたけれども、そういう裁判とか、こういう長い時間をかけて、それでもまだ、これは敗訴ですから、認められなかったんですよね。
 ただ、最高裁で附帯意見を一人の方が出されて、無理もない面もあるというふうな非常に複雑な書き方でありましたけれども、少し正当性もないことはないみたいなことが書かれていますけれども、こういう場合に、こういう手間をかけた手続ではなくて、本当に駆け込んでいく、さっき私がいった調査と救済のための独立した機関に持ち込んで、そして、これは企業ですよね、侵害した相手というのは、企業に対して、これが本当に人権侵害だというふうに認めれば、これを救済するという措置を迫る場面もあるんじゃないか、そういうものだと思うんですよね。
 ところが、この方針の中では、企業は、民間とともに人権を守るパートナーとして位置づけているんです。私が今ご紹介したような場合には、そういう人権を侵害してはならないというーーそういうふうに認められた場合ですよね、ということをやめささせるというか、厳しく企業に対して求める場合も必要だ、そういうふうになると思うんですよね。
 民間とともに、企業をパートナーという位置づけ、どういうことなのかということを、今の事例とあわせてお答えいただきたいと思います。

○田口人権部長 指針骨子の中で、企業をパートナーとして位置づけている、しかし、中には企業が人権侵害を起こすことも考えられる、このような位置づけは適当ではないのではないか、そういったご質問の要旨かと思います。
 今ご指摘ございました、中には人権侵害を起こす企業があることは、ご指摘のとおりだと思います。ただ、指針骨子でも、企業への啓発は重要な課題、このように考えております。しかし、一方、人権に関心を持ち、積極的に人権侵害を起こさない仕組みづくりに取り組んでいる企業も中にはございます。
 人権が尊重される東京をつくるためには、人権の意義とか価値、あるいは人権に配慮した態度、行動、こういったものを共通認識として社会へ浸透させる必要がございます。そのためには、人権に関心を持ち、人権に配慮した活動を展開している企業と積極的にパートナーシップを確立しまして施策を展開することが効果的であり、重要なことだと考えております。

○野村委員 そういう場合もあるとは思います。まだまだたくさんいろいろあるんですけれども、ちょっとただしておきたいと思うのは、一つは、今いいました企業と民間が人権を守るパートナーとして位置づけられているという、その場合の民間団体ーー関係機関との協力体制の強化、これは二一ページの教育の場面にあるんですけれども、団体というのはどういうことを想定しているのかなということ。
 それから、二三ページにも、同じく教育ですが、人権尊重教育の研究推進というところで、教育研究団体に対して助成というふうに書いてあるんですが、この教育研究団体というのはどういう団体を想定しているのかということ。
 それから、ちょっと前へ戻りますが、一一ページに、三つの観点でいえば救済・保護という中ですけれども、人権侵害があった場合とともに、侵害のおそれがある場合と書いてあるんですね。このおそれというのは、いろいろな場合に心配されますけれども、この場合でも、侵害のおそれがある場合に、その段階で施策を打ち出すということになると、これは非常に問題なんじゃないか。何が差別なのか、だれがどう差別だということを判断するのかというのは、大変難しいことだと思うんですね。そのおそれということをむやみに使うということが大変おそれを感じまして、ちょっとその三つ、お答えいただきたいと思います。

○田口人権部長 まず、民間団体あるいは関係機関との協力、具体的にどういった団体が想定されているかというのが一点目の質問だと思います。
 この辺につきましては、今後、指針の策定に当たりまして具体的に取り組んでまいりたいと考えておりますが、実際に人権問題に積極的に取り組んでいる企業、先ほど申しましたそういった企業もございます。それから、NPOの中でも人権問題に一生懸命に取り組んでいる企業がございます。こういったところに働きかけをしていきたいというのが一つございます。
 それから、教育関係でございますけれども、人権尊重教育団体の助成の関係のご質問でございます。教育庁が所管になりますけれども、教育庁では、学校の種別ごとの人権教育に関する専門部会を置く各校長会を想定している、このように伺っております。
 それから、侵害のおそれということにつきましてのご懸念でございますが、これは、都民の方からの訴えといいますか、そういった観点からの救済・保護でございますので、行政の方でおそれがあるからということではなくて、都民の方からおそれがあるので救済してほしい、そういったことを想定しております。

○野村委員 特に初めの二つですけれども、関係機関、それから教育研究団体ということのご答弁ありましたけれども、何かここで私は、これまでの同和関係の団体や、人権教育を冠しての同和教育を連想せざるを得ないというか、そういうことは行われないだろうなという不安を感ずるんですよね。これは、特に教育研究団体で、今おっしゃった言葉、学校種別にある人権教育を進める研究団体、校長会とかという、そういう集団、教育団体というようなことになると、今まで進められてきた人権教育というのは、同和教育がずっとあったわけですよね。それはないよといっても、やはりそういうのがずっと底流にあったということを私は見てきていますから、そういう意味では、そういう校長会が、それからその団体が、そのまますっとここに滑り込むということは絶対にあってはならないということを申し上げたいと思います。
 これは、この間のあり方専門懇談会のときの質疑でも私、申し上げましたけれども、同和施策は、二〇〇二年ですよね、もう終結が決められている。それを、もう東京の実態はないのだから、早くに終結をすべきだということも主張したところでありますけれども、そういうことが絶対にないようにしていただきたいということを強く要求しておきたいと思います。
 最後ですけれども、先ほども質問がありましたけれども、都民からの意見聴取なんですが、この冊子ですよね。それからインターネットにも出されていて、私もアクセスしてとりましたら、見事にこれと同じものが出てきて、一番最後にちゃんと、私たちがもらわないところ、七月二十一日までに千字以内でというのがついてきたわけです。だから、こういうふうにやっているんだなというのはわかったんですが、どう考えても、六月十九日にこれが発表されて、七月二十一日には一千字以内で意見を出せという、これは幾ら何でも無理があるんじゃないか。
 さっき申し上げたように、同じようなことが何回も出てきたり、基本的な押さえ方が甘いからなんでしょうかね、心の問題とか何だというようなことで、本当に何をいおうとしているのという読み取りが大変なものを読んで、その意見をまとめて一千字、原稿用紙四百字詰めだったら二枚半ですよ。書けますか。とてもじゃないけれども書けないと思うんですよ。
 もっと本気になってこの人権施策推進のための指針に対する意見を求めるならば、長いこと書く方もいらっしゃるかもしれないけれども、みんながみんな、そんな長いこと書くわけでもないと思うんです。ですから、そういう制限なしに、本当に都民の声を真摯に求めるべきだと思うんです。
 それから、七月二十一日という期限、これもすぐに見たわけじゃない。PR版も、私は見せていただきましたけれども、なかなかきれいなのができていますけれども、それを見て、詳しいのを見たいわというので、これをもらいにいって、都のインターネットでこれをとって、それで読むということで、それでさらに意見を考えてまとめて出すというのは、これは都民にとっても大変な話で、先を急いでいるということはわからなくもないですけれども、ぜひとも期限も延ばし、そして字数もふやして、きちっとした意見を、広く都民の声を集める努力をしてほしいと思います。いかがでしょうか。

○田口人権部長 早速アクセスをしていただいてありがとうございます。
 今、先生からは、字数の問題と期限の問題、二点ご意見がございました。
 まず、字数の問題につきましては、東京都で行っております他の局の例、そういったものを参考にしてございます。
 それから、期間でございますけれども、おおむね一カ月という期間でございます。これは、ことしの秋を目途にということではぎりぎりの線でございますが、今ご意見もございましたので、この辺につきましては、既に発表しておりますので変えることはできないんですけれども、そういったご意見につきまして、慎重に受けとめまして、柔軟な対応をしていきたい、このように考えております。(「字数」と呼ぶ者あり)字数についても同じでございます。
 字数につきましては、いろいろ来ている中では、千字までいっているのは余りないんです。そこまで出していただくと非常にありがたいんですけれども、今のところはそこまでオーバーしていません。ただ、字数についてもう少し、そういった点でのお問い合わせがあれば、柔軟に対応していきたい、このように考えております。

○野村委員 柔軟にということで、結構だと思いますが、みんな一般に、あれを受け取った人は、それは知らないわけですからね。ですから、何らかの形でぜひ、何か書ける人は書いてもいいよということや、それから、少し延びてもいいよと。前に環境アセスに対する意見なんていうのも、少し延ばして意見を聞いたことがあるんですよね、東京都としても。ですから、そういうことを大いに広げていただいて、きちっとみんなの声を集約する、立派な東京都の人権施策の指針が出るように、これは骨子ですから、本物が出るように私も期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

○木村委員 私は、東京都震災予防条例の改正についての「中間のまとめ」について若干お聞きしたいと思いますが、その前に、三宅それから神津の災害に当たって、不眠不休の取り組みをされて、ご苦労さまでございました。
 一言、先ほどの報告に関連して要望を申し上げたいと思うんですが、神津島について、我が党の都議団は、地震が発生したその日に現地に山本信都議を派遣して、本会議まで何日か向こうに滞在させて、連絡をとり合って取り組むという体制をとりました。
 改めて彼の報告などを受けて思うんですけれども、ああいう小さい地方自治体に大きな災害が起きたと。東京都はもちろん支援に全力を挙げるという場合のきめ細かさといいますか、小さい自治体ですから、本当に大変なんですね。てんやわんやしているわけですね。そういう自治体の身になってもっと支援していくといいますか、当該の自治体が主人公であるわけですから、そういうものを支える、そういう支援の仕方については、幾つか、落ちついたらで結構ですが、現地の声もちゃんと聞いて、改善できるものは改善していただけたらという要望があります。
 というのは、山本議員が現地へ行って、まず聞いたのは、三宅島は東京都は対策本部をつくったじゃないか、何で神津はつくってくれないんやというのを消防団がいっている。聞いたら村会議員だという話で、電話で来て、すぐに神津も本部をつくったらどうだといったら、これは、現地の自治体がそういうふうに要請しなければいかぬというお話があって、すぐ連絡したら、いや、そんなことは知らなかったよという話だった。
 それは、一消防団、一村会議員の次元の話ですけれども、実際は、島は地震災害に対応するので手いっぱいなわけですよね。村議会の議員さんも、あらかた消防団員でもある、それで不眠不休でやっている、だから議会なんか開いている暇はもちろんないわけですね。
 災害に対応するだけで、すべてのそういう自治体の機能を挙げて対応しているんだけれども、そこにマスコミがうわっと来る、それから自衛隊から警視庁、消防庁、ありとあらゆるものが来る。その対応ということですから、村役場の中枢、総務課長さんなんかはやはりマスコミ対応でてんやわんやなんだろうということですから、連絡はし合って仕事をしているんでしょうけれども、少し大きな自治体が考えているような次元での会議とか意思統一とかいうのはなかなか難しいわけですね。
 そういうことをつぶさに拝見して、大変さがよくわかって帰ってきたわけですけれども、そういう意味で、落ちついてからで結構ですから、よりきめ細かな支援体制のあり方という意味で、改善できるところがあったら、現地の声を現地の身になってよく聞いてやっていただきたいということを一言要望させてもらいます。
 さて、本題の震災予防条例の改正中間まとめについてでありますけれども、震災予防条例の改正の第一、改正の必要性、震災対策の転換というところでは、まず、これまでの行政主導の考え方から、これからは都民、事業者、行政がそれぞれの役割を明らかにした上で震災対策の転換を図る、つまり行政主導中心の考えから転換を図るというのがまず書いてあって、それで新しい条例ではどういうふうになるのかという基本的な考えのところは四つ書いてあって、その第一が、みずからの命はみずからで守る、第二は、他人を助けることのできる都民へというようになっていて、三番目にやっと、行政の課題といいますか、より迅速な応急・復興活動を、四番目に、地震に強いまちづくりというふうになっているんですね。
 つまり、自分の命は自分で守りなさい、他人を助けられるようになりなさいというのが、新しい条例の基本の第一と第二ですよと。その前に行政主導中心から転換するんですよ、こういうふうになりますと、これからは余り行政に頼るなよ、自分の命は自分で守れというように、つなげて読めるわけですね。
 これは要するに、震災対策について、これまでの東京都の行政としての責務を、今までの位置づけよりもこれからはずっと後景にしていくんですよ、あなた方自身の努力でやるんですよということになるんではないか。この中間まとめを読んで、ここが一番重大な話だなというふうに思いましたので、そこの点についての見解をお聞かせいただきたい。

○佐藤災害対策部長 今回の条例改正の「中間のまとめ」の報告の中で、今ご指摘がありました、みずからの命はみずからが守るということで、行政が後退をするんじゃないか、こういうようなお話でございますけれども、平成七年に発生をいたしました阪神・淡路大震災、あるいは昨年のトルコですとか台湾の地震がございました。多くの人命と財産が本当に一瞬にして失われております。現在、地震は予測ができないという中で、本当に不意に襲う地震というものは大変怖いものでございます。
 地震による犠牲者というのが、ほとんどが地震発生時といいますか、発生直後といいますか、揺れて、そのすぐ後にほとんど集中的に起こっている。こういう犠牲があるものですから、そういう時点でいえば、私ども行政がその揺れているさなかに飛び込むわけにはいかない。我々は行政組織ですから、一定の人員とか資材とかそういったものを確保した上でしか、そこに入れません。そういう意味でいえば、私どもは、その瞬間をぜひ都民の方々が自分の力で命を守っていただきたい、これが基本でございます。
 ちなみに申し上げますと、阪神・淡路の大震災がございまして、六千四百三十五名の方が亡くなられております。何とこのうちの約八六%近い方が、その瞬間といいますか、あるいは直後に命を落とされております。
 こういったことで、やはり都民の皆さんが、そういう防災行動力といいますか、防災時に強くなるといいますか、そういったことをぜひ行っていただきたいというのが私どもの真意でございまして、決して私ども行政がそういう対策から身を引くとか後退するとか、そういったことは一つも考えたことがございません。

○木村委員 今いったことは当たり前の話なんですよ。揺れている最中に行政が飛び込んでいくわけにいかないというのは、これはもう何も阪神・淡路で初めてわかった話じゃないわけだし、そのさなかは自分で自分の命を守るというのは、いわれなくたってみんな必死ですよね。
 問題は、どう読んでも、そのことを強調することが、行政主導の性格を変えるということの根拠になっている、そういう叙述になっているというのは、これは筋が違うじゃないかと。命は自分で守りなさい、その瞬間はというのは当たり前のことなんだけれども、そのことをもって、これまでの行政のあり方を変えますというのは、これはいかにもおかしいんじゃないか。
 阪神・淡路のお話が出ました。国土庁の防災白書のことしのを見ますと、どういうふうに叙述をしているかといえば、やはり、いろいろ応急対策については大変だったけれども、国における被害規模の迅速な把握、官邸への情報連絡体制、自衛隊との連携体制の問題や地方自治体職員の被災や体制面云々云々とあって、そういうことがうまく機能せず、迅速な広域応援が実現できなかったことは大きな反省である。防災白書もまず、つまり行政の方のそういういろいろなことがうまくいかなかったということが大きな反省だということから防災白書をまとめていますよね。つまり行政の責任ということをまずいっているわけなんですよ。ですから、阪神・淡路の教訓からいって、自己責任をここで強調して行政の姿勢を変えるというのは、やはり違うんじゃないかというふうに思うんです。
 この間の石原知事の所信表明も、震災予防条例を変えるということに触れていますよね。これまでは行政の主導による予防対策が中心だった、今日の複雑な社会環境の中では限界を露呈しているというふうにいっていますね。私は、複雑な社会環境にだんだんなっていくとーーここにもそういうふうに書いてありますね、コミュニティが失われているとか、大都市がずっと周辺にスプロール化しているとかいう都市の変化をいっています。
 だったら、なおさら個人の責任に限界があるんですよ。だから、僕は逆だと思う。今まで、のどかな時代だったら、自分の心がけでもってともかくやりなさい、早く火を消して外へ出なさいというので済んだかもしれないけれども、石原知事もいっていますけれども、今日の複雑な社会環境の中では、なおさら個人の限界というものが明らかになり、震災対策における行政の占める責任の重みが増しているというふうに思うんですね。どうもわからぬのです。
 「中間のまとめ」の最初の、さっき引用しましたけれども、これまでの行政主導中心の考え方から、都民、事業者及び行政それぞれの責任と役割を明らかにした上で連携体制を図る考え方に震災対策を積極的に転換していくことが必要だというふうに転換の必要をまとめていますね。これは、都民と事業者と行政のそれぞれの責任、役割を区割りするという意味合いだと思うんですよ。はっきりさせなければいかぬと。
 なぜ最初に都民なのか、次が事業者で、最後に行政が来るのか、責任の線引きの上で。私、順番が逆じゃないかと思う。これまでの政策から、さらに行政、事業者、都民のそれぞれの役割をはっきりさせて、それぞれ大事だから充実していく必要がある。
 また防災白書を引いて悪いけれども、国の方の防災白書も、災害応急対策への備えということで、こういう叙述ですよ。大規模な地震等の災害が発生した場合には、国等の関係機関が被害状況に関する情報を速やかに収集し云々と国のことが書いてあって、そして次に、被災地方公共団体と周辺の地方公共団体及び国の省庁との連絡、的確な機能分担等機動的な連携によること、そして最後に、また地域の住民自身の防災力の強化も重要な課題であるというふうに防災白書はいっています。つまり、災害応急対策の備えは、国、地方自治体、地域住民というふうに白書ではいっています。
 つまり、私、そういう意味では、並べ方がやはり逆じゃないかと。これが逆になっているということが、今、部長が行政の責任の後退を意味するものじゃないとおっしゃいましたけれども、いみじくもこの並べ方が物語っていはせぬかということで、先ほどの答弁ですけれども、やはり私が一番最初に指摘したことが当たっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○佐藤災害対策部長 まず、災害といいますか、地震が起こった際に、真っ先に行動していただくといいますか、その瞬間的に行動していただくのは、私どもは、都民一人一人の方々だと思っております。
 都民一人一人の方々が、みずからの命を自分で守っていただくということで、生き延びることができれば、後は、今度は、例えば事業者の方々、百貨店とか劇場とかいろいろありますけれども、そういった方々で、例えば外へ出さないようにとか、安全な場所へ避難をさせるとか、そういう行動も出てまいります。
 そして、もちろん行政も迅速にーーいろいろな防災機関がございます、こういった機関と連携をしまして、救難、救出、救助、こういった活動も含めて災害活動に当たるわけでございますが、特に意図はございませんけれども、そういう時系列で考えれば、都民、事業者、行政ということで私どもは考えているということでございます。

○木村委員 やはり今の答弁ではちょっと、腑に落ちるというふうにはなかなかいかないですね。住民の責任の強調と事業者の責任の強調と同列に並べられていますけれども、私は、事業者の責任というのは同列には論じられないと思う。やはり事業者の責任というのはきちんと明記して、行政としては、その監督体制といいますか、そういうものが果たせる体制をどうつくるかという課題は非常に重要な課題だというふうには思っています。
 ただ、これを見ますと、行政主導型を変えなければならないということと同時に、今の条例の限界として、予防対策中心であった、これを、震災発生後の応急復興対策について不十分だから、こっちに移していくんだというので、条例改正の基本の三番目に、要するに、震災予防じゃなくて、発生後の問題にシフトしていますね。だから、都民の自己責任の強調と同時に、震災対策を予防中心から発生後対策にということが合わさって、改正理由の説明になっている。
 私は、ここから、なぜそういう仕組みで真っ先に都民の自己責任が強調されるのか。発生した後の公的個人補償などの問題を今から封殺するという計算がしたたかに働いているんじゃないか。(「考え過ぎだよ」と呼ぶ者あり)いや、これは、国際的に見ても、大災害の後で、生活再建の根底の条件が崩れていきますよね。そのときに、国なり行政なりがどうやって支援するか。これは阪神・淡路大震災で大問題になりましたし、今でも大問題。しかも、この分野については、外国の制度から見れば、日本は大きく立ちおくれているということがあるんです。
 そういう意味では、私は、これは、震災後の個人補償を求める住民の声をあらかじめ封殺するために、あなた自身の責任ですよということを強調するという政治的な意図がここに盛られているんじゃないかと。
 少なくとも、こういうことは、今、阪神・淡路で個人補償を求めて運動している人たちを不利にといいますか、おとしめるといいますか、そういう役割を果たすんじゃないかということを懸念せざるを得ないんですね。そうだとは認めないでしょうけれども、その点はどうですか。

○佐藤災害対策部長 公的個人補償を封殺する意図があるんじゃないかというご指摘でございますけれども、私どもとしては、そのような意図は全く考えておりません。むしろ私どもは、本当に心から、一人でも多くの方々が地震から命を守っていただきたいんだ、これが基本でございまして、また、補償等につきましては、当然、法律等に基づきまして適正にやっていきたいと思っておりますので、その点の考えは全くないことだけを申し上げておきたいと思います。

○木村委員 これは中間のまとめですから、こちらが心配している点について、認めなくても、いっておかないと、実はでき上がったらその辺まで詳しく書いてあったなんていうことじゃ間に合いませんから、いっておきます。
 しかし、同時に、どういう条例ができてくるのかということなんですよね。自分の命は自分で守るということをよく自覚しなさいということを義務として条例化するというふうに読めるわけですよ。だから、どういうことになるのかですね。
 そういう非常に抽象的な概念を義務として条例化するということになると、これは、都民に対して行政が非常に無限定な、際限のない義務を押しつけるということにつながりはしないのか。議会なり行政なりは、そういうことを条例化するーー例えば、心の東京革命なんていうのを条例化して子どもを指導したら、えらいことになるでしょう。そういうことは本当に慎重であらねばならぬのじゃないか。
 だから、今度の改正の方向が示しているものは、そういう意味で、行政のあり方としても大変危険性をはらんでいるのと違うかということで、この中のそうした個人の義務のようなものをなるべく明確に条例化するみたいなことが書いてありますけれども、慎重であるべきだというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤災害対策部長 慎重であるべきだというお話でございますけれども、私ども、みずからの命はみずからが守るという理想は、常日ごろから都民の方々に、自分が住んでいる建物を耐震化しておいてくださいよとか、あるいは家具が転倒しないように日ごろからきちんと用意をしてくださいよとか、そういうことをいろいろPRといいますか啓発といいますか、していくための一つの言葉といいますか、端的にあらわした言葉でございまして、都民の方々に日ごろからそういうことをぜひやっていただきたいなというのがこの言葉の裏でございますので、決してそういったことはございません。

○木村委員 行政が啓発するということはいいんですよ。ただ、それを条例化するというのは別の話なんです。しかも、今の条例を変えるということの根拠にするということは、これはどうなのか。
 例えば、自分の命は自分で守るという次の第二原則は、他人を助けることのできる都民になろうという話でしょう。これは、もう倫理の世界ですよ。道徳の世界でしょう。そういうものを条例化して義務化したら、一体ーー例えば、たまたま町会長をやっている人とか、たまたま何々をやっている人、その人が、自分の命や家族の命が危ないときに、しかし、条例の義務上はこっちへ行かなければならないとかいうような(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)いやいや、ちょっと待ってください。そういう世界に踏み込む可能性があるんですよ。
 だから、自己責任の強調ということを条例改正の主たる根拠にするということ自体に無理がある。その無理を無理やりやるとするねらいは何かといえば、やはり行政の責任の後退をしたいがため、あるいは個人補償を封殺するためということに、これはなるんじゃないかということを、私は、私の熟読玩味をした結論として申し上げておきたい。中間のまとめですから、それははっきりいっておかないとうまくないから、いっておきます。
 以上です。

○石井委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十六分散会