総務委員会速記録第五号

平成十二年三月二十二日(水曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 十五名
委員長石井 義修君
副委員長吉住  弘君
副委員長田島 和明君
理事西条 庄治君
理事星野 篤功君
理事野村 友子君
東野 秀平君
菅原 一秀君
藤岡 智明君
比留間敏夫君
萩谷 勝彦君
藤沢 志光君
川島 忠一君
河合秀二郎君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
政策報道室室長柿沼 伸二君
理事高橋 信行君
政策調整部長岡田 重信君
循環型社会づくり担当部長齊藤 建一君
特命担当部長三好 勝則君
広報部長中村 正彦君
計画部長関谷 保夫君
調査部長鳥飼 源宏君
首都機能調査担当部長二村 保宏君
都民の声部長中島 建夫君
人事委員会事務局局長中山 弘子君
任用公平部長伊藤 章雄君
試験室長阿部 尚武君
審査担当部長川田 明良君

本日の会議に付した事件
 人事委員会事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
 政策報道室関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・ 「環境配慮行動の広がりをめざして 需要者からの環境革命と資源循環」について
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 政策報道室所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第三十二号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
  ・第三十三号議案 東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例

○石井委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局及び政策報道室関係の平成十二年度予算の調査及び付託議案の審査並びに政策報道室関係の報告事項に対する説明聴取を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○石井委員長 これより政策報道室関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 国政広域連携担当の三枝参事は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 先日発表いたしました「環境配慮行動の広がりをめざして」につきまして報告をさせていただきます。
 お手元の資料第1号が「環境配慮行動の広がりをめざして」の本文でございます。あわせまして資料第2号に概要版をお配りいたしましたので、ごらんいただきたいと存じます。概要版でご説明申し上げます。
 まず、1の本書のねらいでございますが、環境の危機、すなわち深刻な自動車公害や化学物質による汚染の拡大など、都市環境や地球環境問題を克服し、住みよい東京を再生するには、環境への負荷の少ない社会経済システムやライフスタイルへの転換を急がなければなりません。それには、これからは需要者の側から供給者に対し、環境への負荷の少ない製品ですとかサービスの提供を働きかける需要者からの環境革命などを、都の取り組みを通して展開していく必要がございます。
 本書では、都の環境配慮を推進するための方策について取りまとめ、都の行動基準といたしました。その分類は2に示してございます。概要の2というところに掲げてございます。
 次に、3の重点施策をごらんいただきたいと存じます。重点施策といたしましては、五つの施策を掲げてございます。
 まず、環境に配慮した物品調達の取り組みを強化することでございます。その内容につきましては、裏面をごらんいただきたいと存じます。まず、環境に配慮した物品調達推進方針ですが、リースを含む物品調達の際に、環境面から配慮すべき観点と、その具体的な推進方法について基本的考え方を示したものでございます。その方針のもとに、環境に配慮する物品調達ガイド二〇〇〇を定めました。都で一般的に調達する主な品目、例えばコピー用紙ですとかボールペン、OA機器など五十五品目を選定いたしまして、古紙配合率など、そこにお示ししてある観点から環境配慮の仕様を決めてあります。これらの基準は、公営企業局、警視庁、東京消防庁を含む全庁を対象といたしまして、この四月から実行いたします。この取り組みによりまして環境配慮型製品の流通を拡大し、需要者からの環境革命を推進してまいります。
 前ページの中ほど、3の重点施策にお戻りいただきたいと存じます。
 二つ目といたしまして、都と取引のある事業者等に対し、契約や配送におきまして環境配慮を要請することといたしました。その具体的な検討を行っているところでございます。また、資源循環の仕組みづくりの一つといたしまして、都庁食堂などから出る生ごみをコンポスト化いたしまして、堆肥として生かす取り組みを進めております。
 四つ目といたしまして、先般、新宿都庁舎におきましてISO一四〇〇一の認証を取得いたしました。この認証のシステムを活用いたしまして、今後、各部門で環境配慮に着実に取り組んでまいります。また、他の機関におきましても認証取得の取り組みを拡大していく予定であります。
 このほか、(5)でございますが、庁内のさまざまな窓口を通しまして、都民、事業者などに環境配慮行動を働きかける仕組みづくりを行いました。
 その他、4、5にございますが、環境配慮の推進に向けて各局で既に取り組んでおります施策を紹介するとともに、百九十八事業に上る循環型社会づくり関連事業の取り組み状況につきまして記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、報告とさせていただきます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 本件に対する質疑は、予算の調査及び付託議案の審査とあわせて行いますので、ご了承願います。

○石井委員長 これより予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、政策報道室所管分、第三十二号議案及び第三十三号議案並びに報告事項を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡田政策調整部長 去る二月二十一日の当委員会におきまして要求がございました二件の資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料第3号、総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 まず初めに、一ページをごらんください。海外の都市における自動車利用の調整・抑制施策の主な取り組み事例でございます。アメリカ、ヨーロッパ、アジアの諸都市につきまして、主な取り組み事例とその内容を取りまとめてございます。
 次に、二ページをお開きください。相談窓口に寄せられたストーカー被害に関する相談状況でございます。当室の窓口に寄せられた相談件数と、主な相談事例並びに相談に対する対応などについて取りまとめてございます。
 以上、簡単でございますが、要求がございました資料につきましてご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野村委員 一番初めに、「環境配慮行動の広がりをめざして」について伺いたいと思います。
 初めに、「環境配慮行動の広がりをめざして」という文章をどういうところでつくられたのかなということをお答え願おうと思ったんですが、今のご説明の中でその辺が述べられたようでございますので、この質問はいたしませんが、私が大変気になりますのは環境配慮という言葉なんです。
 今、東京の環境というのは危機だと、これはあちこちでいろいろ書かれます、いわれます。本当にそうだと思います。この危機の中で環境を守れということなわけですから、少なくとも環境保護とか環境保全という言葉こそ使わなければいけないときに、配慮というのは、大変遠慮しているというか、消極的過ぎるんじゃないかというふうに思うわけです。こういう言葉が、私も使っておりますけれども、再生品を使ったペンであるとか、今度のこの文書もそうですが、再生紙のこういう紙を使うとか、庁内でそういう活動を、こういうものを使って配慮した活動をしていきましょうというところでは話はわかりますが、もうちょっとさらに広がりを目指して、都民に対して、事業者に対してと、そういう中では、配慮という言葉は余りにも消極的だということを私は思うわけなんです。
 中身に入りますけれども、例えば生ごみコンポスト、私も大変関心を持っておりますが、この取り組みについてお話を伺いたいと思うんですが、都庁内の食堂の残菜とかお茶がらを堆肥化すると。また、いろいろと研究をして、栽培試験の結果もいい評価が出ているそうで、これはいいんですけれども、東京港や中央卸売市場など大量発生施設での処理については、まだ完成されていないというか、途中だと思うんです。それも大いに頑張っていただきたいと思うわけでありますが、これをさらに広げて、民間にどうやっていくのかということについて、幾つかの場所というか、団体というか、市町村というか、そういうところに国庫補助事業としての財政支援が出されているということが書かれておりまして、出されておりますけれども、都としてはこのことについてどのような支援を行っているのか、実際に取り組みの実態もあわせてご紹介いただきながら、ご答弁いただきたいと思います。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 生ごみの地域リサイクル支援事業でございますけれども、この事業は、地域で発生する生ごみ等をコンポスト化いたしまして、その地域内で堆肥として活用するシステムを構築するために、区市町村、農業団体、それから生活協同組合等によりまして協議会を設置して取り組んでおるところでございます。必要な施設の整備に対する支援を行う国庫補助事業でございまして、都の事業費負担はございません。
 平成十年度には東村山市及びコープとうきょう、十一年度には世田谷区及び狛江市に対しまして、生ごみの堆肥化とリサイクルシステムの整備に関する支援を行っております。都は各地域の協議会に委員として参加いたしますほか、都の生ごみコンポスト化という新たな事業にパイロット事業として取り組んでおりまして、その取り組みで得た技術ですとか情報の提供という側面の支援を行っております。また、そういった地域でできた堆肥の成分分析なども行っているところでございます。

○野村委員 都は財政的な支援は行わず、実際的にノウハウを教えるとか、そういうことをやっているというお話でありますが、こういう生ごみの堆肥化ということになりますと、当然、効果の検証というのは時間がかかることになるわけですね、農業生産物の肥料をつくるわけですから。この事業で気になりますのは、一年ごとの補助、先ほどいわれたコープとうきょうや東村山が十年度、世田谷、狛江については本年度と、一年きりの国庫補助であるということなんですけれども、一年ではやっぱり無理だと思うんです。もっと落ちついてシステムづくりに取り組めるように、都として技術的な支援だけではなくて、フォローアップとしての財政支援が必要ではないかというふうに考えますけれども、どうですか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 生ごみのコンポスト化につきましては、新たな視点で取り組んでおるところでございまして、なかなか難しい技術でございます。そういう難しい技術につきまして、現在、東京都といたしまして技術開発に取り組んでおるところでございまして、技術、情報の提供など、これまで支援した地域のコンポストのシステムづくりについて継続して支援していくところでございます。

○野村委員 やはりフォローアップが必要だということは、私は今ご答弁を伺っていてもそう思います。ぜひそういう方向で進めていただきたいと思うわけです。
 ここに、野菜くず等資源化システムづくりを目指してと、これは三階の情報センターの中の文書で探したものなんですが、ことしの三月に出されておりますが、これは生活文化局の消費生活部が担当してつくられた野菜くず堆肥化等検討会の十年度の報告書です。ここではいろんな団体、コンポストの機器メーカーとか農業生産者、それから使っている都民とか、資材や飼料メーカーとか、そういう立場でいろいろなことが書いてあるし、目標もあるし、いろいろあるんですが、その中で調査の皆さんの意見のところを読ませていただきまして、コンポストの機器メーカーがぜひこれに期待したいというのは当然ですね。生産者団体からはいろんな意見が出されているんですが、何でも燃やしてしまうのはもったいないから、例えば都が青果市場で試験的に行うということは効果的だと、こういうふうに期待をする一方で、これまでのいろいろな経験で、十年前からというか、協力をしてきたんだけれども、都民の側で分別収集に誠意がない、まざり物が多いということだと思うんですけれども、それでやめてしまったというようなあきらめた意見とか、メーカーの機器がまだまだこれではよくない、うちの畑と合わないのではないかとか、都として堆肥の成分分析をぜひ行ってほしいというような希望を述べているわけで、まだまだ、希望しながら不安だとか期待があるわけで、私は期待にこたえた施策の展開が求められていると思うんです。
 私も、過去形でありますけれども、一時頑張ったんですが、今は忙しいのでちゃんとやられていないですけれども、なかなか難しいです。臭気が出てしまうとか、入れる期間が長くなりますと乾燥してしまうとか、いろんなことがあってなかなかうまい堆肥ができないというようなことで、ノウハウを一般的な消費者にというか、都民に広げるのはなかなか大変なことだなというふうに思っているわけなんですけれども、そういう意味でも、さまざまな取り組みを大いに都民に広げていただきたいという希望は持っております。
 それからさらに、私は教員でもありましたし、学校給食の残菜ですね。あれは本当はその日その日、大体献立がみんな一緒ですから、まとまった残菜が出る、それから質が均一だと、そういうようなことで、これを堆肥化するというのは教育的にも大変効果があるので、ぜひやったらいいんじゃないかという提起を、ほかの委員会ですけれども求めてきたことがございます。
 お話を聞きますと、世田谷では、農家の方や都民の方、そういう方々が集まって、学校給食の堆肥化ということで取り組んでいらっしゃるという話も伺いました。農家がなくても、学校であれば、学校園だとか校庭の樹木とかに有効な肥料として使える、こういう意味があるんじゃないかと思います。
 私も関心があるものですから、前からいろんな本を集めていたんですけれども、「だれでもできる生ごみ堆肥化大作戦」という本がありまして、これは有機農産物普及・堆肥化推進協会というところが出しておりますけれども、これを読んでおりましたら、先ほどもご答弁の中にありました東村山市ですね。都が一つのモデルというか、国庫も入れて取り組みを進めてきたところですが、その東村山市の環境部ごみ減量推進係長で課長補佐の方が、住民合意というよりも住民主導で、係長になった途端にこういう担当になってしまって、自分は全然わからないけれども、住民の皆さんの主導で、燃やさない、埋め立てないで資源にしてしまおうという計画のもとに堆肥化事業に取り組んできたと。二年たったら、家庭から排出するごみの総量が減り、環境問題の関心が・・これは特に団地の多いところで、関心が高まり、さらに地域の一体感が生まれて、自治意識が向上したという感想をここに述べておられるんです。本当にこういうふうになれば理想的だなと、この係長さんも感動的に書いておられますけれども、こういう活動が、まさにこの本がというか、政策報道室が目指した広がりというところの、行く先を象徴しているのではないかというふうに私も読んだわけです。これは大いに期待したいと思っております。
 次に、この中で環境に配慮した消費生活の推進というところがございます。これは都民、事業者等のパートナーシップによる推進ということで、資源循環の仕組みとしてのいろんな問題、新聞リサイクル推進会議とか家電リサイクル研究会を設置するとかというのは当然の話なんですが、その中で消費生活の推進という面がありまして、グリーンコンシューマー東京ネットですか、そういうところの会のことだとか、一つ例が挙がっております北区リサイクラー活動機構、もう一つ、多摩市も実験プロジェクトに参加をされておりますが、この北区リサイクラー活動機構というところに注目いたしまして、ちょっとお話を聞いてまいりました。皆さん、リサイクル活動に大変情熱を傾けて、ボランティアで頑張っておられますけれども、こういう活動に対して、都としてはどのような援助をしたのかということを伺いたいと思います。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 グリーンコンシューマーの地域実験プロジェクトでございますけれども、これは消費者団体ですとか商店街、区市町村が連携いたしまして、地域においてグリーンコンシューマーをふやし、環境に配慮した商品の普及を図るさまざまな取り組みを行う実験的試みでございます。現在、北区と多摩市において開催中でございますが、多摩市は来年、本格的な事業の展開に入るというふうに聞いております。
 北区の取り組みについてでございますけれども、その取り組み主体でございます民間団体が、清掃局と東京商工会議所が協働で実施している中小事業者再生品利用モデル事業、いわゆる東商エコショップというそうですが、こういったものですとか、生活文化局の生活者月間支援事業、あるいは労働経済局の元気を出せ商店街事業、こういう横の連携を持って助成を受けながら、事業を展開しているというところでございます。

○野村委員 三九ページに書いてある北区なんですけれども、私もお話を聞いてびっくりしたんですが、東京都は全然出していないんですよね。九つの地域が意向のあるところとして手を挙げて、その中から北区と多摩市の二地区を指定して、平成十一年度から取り組みを始めていると書いてあるわけで、選ばれた一つでありますけれども、北区が既にずっと前から、北区のリサイクラー活動機構・・リサイクラーというのは自分たちでつくった言葉だといっておられましたけれども、リサイクルをやろうという人間の集まりという意味で、活動機構というものをつくって、エコひろば館というようなものが、今、区内に三つあると。その中の一つの富士見橋エコひろば館というところに伺ってきました。
 これは、生活文化局関係の消費者運動の一環として、エコに注目してやっている活動ですから、いろいろと工夫をしています。「明日」と書いて「アース」と振り仮名が振ってあるんですよね。「明日基金バザール」とか、「衣料・日用雑貨がらくた市」とか、三月のフリーマーケットのお知らせとか、それから、女性たちの運動らしく、残り毛糸の手編み教室とか、生ごみからの堆肥づくりとか、ネクタイからベストづくりとか、牛乳パックでつくるいすとか、そういういろんな活動をしながら、周りの方々に働きかけて、皆さんとご一緒に活動を広げていくと、そういう活動をされているんですが、ここが近くの田端駅通り商店街というところに、広く外へ出ていこうということで、ここに書いてあるんですが、エコショップというのを開設しようということになって、いろんな活動をやっているんだけれども、お金が足りない、何とかならないのか、バザーもやったけれども、足りないといっているときに、たまたまうまく結びついたのが東京商工会議所だったと。そこで五十万お金を出してくださるというので出してもらったんだけれども、そのもとは、先ほどのご答弁の中にありましたが、清掃局の方から出ているお金だったんだということなんですね。
 それがうまく結びついて、それでエコショップを始めて、そこを起点にして商店街に少し・・衰退しかけているところなんですよなんていう話だったんですが、そこに一つの空き店舗を利用してやったけれども、それが残念ながら三月六日にもう終わっていたんです。四カ月しかやっていないんですね。そういうようなことで、お金も大変だし、これからどうするんでしょうというようなことで、ここでもこういうふうに、都民への行動が広がるようにということを目指す・・文書の中に取り上げられながら、東京都がそういう形で支援が、ぐるっと回ってきてはいるかもしれないけれども、これで終わりなんですよね。
 そういう意味では、運動しながら啓蒙していく活動というのは本当にお金のかかることでありまして、この方たちはみんなボランティアで、大体八十人ぐらいの、毎日毎日少しずつ詰めて、電話も結構あれをしたりすると・・そういうので、北区から委託を受けてエコひろば館を運営している、それが消えてしまうということで、活動をもっと広げるためにそういう支援が欲しいなというのが皆さんのお気持ちなわけです。そういう意味で、ここでもそういう活動を進めるためには、資金の援助というのがやっぱり必要なのにという感を大変深くいたしました。
 今、二つの問題を取り上げさせていただきましたが、全体の環境配慮という言葉から始まりまして、今度はこの中身ではないですが、今、東京都が本当に循環型社会を目指すという中で取り組むべきことというのは、もっと強力なリーダーシップではないかというふうに私は考えております。東京のごみ問題解決には、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムが問題だと、初めの方に三角の図が示してありますよね。その中に書いてありますが、それを都民と事業者、行政がパートナーシップを形成して、自主的に行動して解決しようというんですけれども、自主的に行動しようというだけではなかなか解決にはならない。
 そこで私が思い出すのはというか、考えなきゃいけないのは、強力なパートナーシップという意味で、ドイツの政府が出しました、私が初めてドイツの廃棄物政策に触れたのが包装廃棄物回避の政令です。私はこれを初めて聞いたときにうなってしまったんですが、すごい感覚ですよね。これを回避させると。これはたまたまそういういろんなことを調べておりましたら、在日ドイツの商工会議所で、ドイツに日本の企業も輸出をしているから、日本の企業に対してもドイツの環境政策についてわかってもらわなきゃいけないというので、講習会みたいなものを開いたんですね。そのPRを見まして、そしてまとめの本もつくったというので、それはぜひ見せてほしいということで、行って求めたのが一番初めなんですが、一番初めの九一年に出ました政令、それ以前にその前段ですか、五年前には既に廃棄物法が出されて、利用可能なものを再資源化する方向に規制を転換したというんですよね。
 そして、九一年の廃棄物回避の政令ですけれども、本当に注目することは、その徹底ぶりなんですね。九一年に決めまして、九三年一月一日までには、アルミや厚紙や紙、プラスチックは三〇%減らせ、ブリキは四〇%、ガラスは六〇%というのを、日時と量をばしっと決めまして、それで企業に求めているわけなんです。ですから、それはきちっと実行されたわけです。その次に求めたのが廃棄物規制令その後の動向ということで、こういうふうになったという結果が出ておりますけれども、それから引き続いてどんどん、電子機器の処理の問題、それから自動車の廃車の処理の方法とかということで、矢継ぎ早にこうした、まさに廃棄物回避の政策を打ち出すと、こういうことを進めております。
 そういうことからいえば、今、本当に循環型の都政を実現するという立場に立つのならば、このドイツの規制令に学んで、事業所、企業に対して厳しい規制をかぶせていく、そして厳しく遵守を求めるという姿勢が、今、東京都に必要なのではないか。そういう意味で、環境配慮という、配慮というと消極的なものという感じがするんですけれども、石原知事はディーゼル車問題でも強力な政策をばんと打ち出していらっしゃるわけで、私は、環境配慮行動の広がりという、こういう面でこれを否定するわけではないんですが、これをさらにもっと強力な立場で、本当に東京のごみ問題を解決する、循環型の社会を形成するという立場で、もっと強力な環境保全に実効ある対策を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。室長さん、よろしくお願いします。

○柿沼政策報道室長 ただいまお話にありましたように、循環型社会をつくる上で、ドイツは我々にとって大いに学ぶべき仕組みづくりを先んじてやっているというふうには十分理解いたしております。私どもとしましても、東京が引き続き持続可能な発展が図れる都市であるためには、環境の危機を克服いたしまして、今こそ、行政はもとよりのことですが、都民、事業者のすべての人が行動を起こすときに来ていると、このように考えております。
 このたび、お手元にお配りしました「環境配慮行動の広がりをめざして」という本をまとめたものでございますけれども、都内最大の需要者である東京都がまずその行動基準をお示しすることで、すべての都民、事業者の取り組みへの波及を期待しているものでございます。そうした取り組みの広がりこそ、委員ご指摘の環境の保全、保護に必ずつながるものであるというふうに私どもは考えております。環境優先の社会システムの構築というのは、二十一世紀に向けて絶対やらなければならない課題でございまして、政策報道室といたしましても、総合調整機能を十分に発揮して、全庁一丸となって実効性のある取り組みを進めてまいりたいと思います。

○東野委員 本日は、提出されております資料、海外の諸都市における自動車利用の調整、これに基づきまして何点か質問いたします。
 この提出されている資料を見ますと、各国各都市でさまざまなTDMの取り組みを行っており、都市の成り立ちとか道路事情とか、また公共機関の違いとか、そういった整備状況が異なることによっての取り組みがさまざまになっているのかなというふうに思います。東京都の場合は、TDM東京行動プランを策定されまして、幾つかの施策を効果的に組み合わせることによって、自動車本来の機能の回復とか都市環境の改善を図っていこうとしたものであろうというふうに思います。
 きょうは、このプランの中で掲げられています、重点施策が九つあるんですね。そのうち一番最初の駐車マネジメントというのと、七番目になるんですけれども、ロードプライシング、この二つに着目して何点かお伺いしたいと思います。
 まず最初に駐車マネジメントについてでありますけども、路上駐車といいますか、それの取り締まり強化といった取り組みが、従来から警視庁を中心になされていますけれども、駐車場の整備とか駐車場の効率的な利用、また、違法駐車をすることをみんなで防いでいこうというか、防止への広範な取り組みがここには掲げられて、総合的に考えられている駐車マネジメントと、ある意味では新しい視点での取り組みではないかなというふうに理解をいたします。
 まず最初に、駐車マネジメントの具体的な考え方、それと取り組みについて、簡潔で結構でございますのでお答えください。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 駐車マネジメントにつきましては、大変重要な施策だと考えておりまして、簡潔にというふうに申されましたが、ちょっと長くなるかと思いますが、駐車マネジメントの推進の具体的な考え方とその取り組みにつきましては、おおむね三つの視点に分けられるだろうと思っております。
 まず第一点といたしましては、駐車場の整備促進とその利用のしやすさのための誘導システムの整備がございます。具体的には、従来の整備支援策に加えまして、東京都駐車場公社のホームページによる駐車場情報の提供、あるいはITS、すなわちETCの技術、これはノンストップの料金徴収システムですが、こういった技術の活用などによって、未公開駐車場の活用を促すとともに、荷さばき駐車場の社会実験を行ってまいります。
 第二点は違法駐車防止対策でございます。道路は、都民、事業者の税金でつくられた貴重な財産でございます。その道路につきましては、都内全域の瞬間違法駐車台数が十万台ともいわれておりまして、この違法駐車車両によって占拠され、交通渋滞ばかりでなく交通事故をも引き起こす原因となっております。このため、お話しにございました、警視庁におきまして違法駐車の取り締まりの強化等の対策を進めてございますけれども、これにあわせまして、違法駐車を防止するために、違法駐車車両に違法駐車防止を呼びかけるステッカーを貼付することを検討するなど、より効果的な、直接的なキャンペーンを行ってまいりたいと思います。
 さらに、違法駐車車両そのものに衝突した場合だけでなく、間接的な原因となって交通事故が発生した場合でも、その駐車車両の運転手ですとか、その所有者が刑事上または民事上の責任を問われる判例が裁判では出てきてございます。このような判例等を踏まえまして、違法駐車をした運転手等に重大な責任が生じることがあることが都民の共通認識となっていくよう、地域のボランティアなどとともに、あるいは交通安全運動の取り締まりなど、機会をとらえて共同のキャンペーンを張っていきたいと思います。また、自動車学校の教習カリキュラム化ですとか、自動車免許の更新時における講習に取り入れていくことも考えてまいりたい、そのような幅広い周知の方策を展開してまいりたいと、このように考えております。
 第三点でございますが、以上のような視点に立ちまして、東京都の駐車施設対策の基本方針、これを新しい時代にふさわしい総合的な視点での見直しを検討してまいりたいと存じております。

○東野委員 概要、今おっしゃられたことはこの本に載っているところなんですけれども、今お答えの中で、駐車マネジメントにETC技術を利用したという、これはロードプライシングの方でもETC技術というのが出てくるんですけれども、共通で取り扱うみたいな、そんな考え方なんでしょうか、教えていただけますか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 ETCの技術は、自動的に料金を徴収するシステム、いわゆるとまらずに行くということですが、その間には情報のやりとりを行います。自動車と外の設備との情報のやりとりを行いますので、その情報のやりとりによりまして、例えば駐車場へ入るときに自動的に読み取ってしまう。何時何分にどの車両が入った、出ていくときに何時何分にどの車両が出ていった、ですから料金は幾らですよということになりますと、例えばビル管理と一体となりますと無人で駐車場運営ができる、こういうような技術でございます。

○東野委員 そうすると、ロードプライシングのための、車両にETCのあれを積んでいる人は、そういう装置がついた駐車場には自動料金徴収で入れるというふうに理解してよろしいですね。
 あとちょっと細かくなってしまって恐縮ですけれども、違法駐車防止に向けた取り組みを推進しますという中で、区市町村の違法駐車等防止条例の制定を促進していきますというのがあるんですけれども、ちらっと流して聞いているとわかりにくい文面でして、違法駐車というのは、そもそも駐車違反を取り締まることですね。その駐車違反を防止していくというか、そういった条例で、後ろの方に、各区で結構、既に条例が十六の自治体で定められているというふうになっていますけれども、この条例の趣旨ですか、条例で何をしようしているのか。区市町村のことなんで、都には直接関係ないかもしれませんけど、ご存じだったら教えていただきたいんです。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 区市町村が定めております違法駐車防止条例につきましては、ご指摘のとおり、これは公権力の問題でございまして、違法駐車の取り締まりは警察が行うということであります。
 しかしながら、行政体といたしまして、非常に混雑しているところに違法駐車があるということは、まことに見過ごせないことでありまして、これは最初に武蔵野市が始めたものでございますけれども、交通指導員を配置いたしまして、その指導員が違法駐車の指導をしていく。これは取り締まり権限はございません。あくまでも指導ということであります。ところが、その指導も単なる指導で終わるのではなくて、地元警察とタイアップいたしまして、その指導に従わないところは、警察がその後取り締まりをするというシステムになってございます。ですから、この違法駐車防止条例を制定するには地元警察とのタイアップが不可欠でございまして、そういうようなことで効果を上げているということがございますので、これらの促進につきましては非常に重要な施策かと考えております。

○東野委員 実際、防止条例を制定した区市においては、違法駐車が大分減っているという実例があるということなので、大いに期待したいものであるわけです。
 もう一つこの中に、駐車マネジメント推進と、それから端末物流対策のための社会実験を実施しますというふうにあるんですけども、その中で、平成十年度に荷さばきスペースの設置に関する社会実験の結果を踏まえて云々かんぬんという文章があるんですが、この社会実験の結果というのを、私は不勉強であれなんですけれども、短く教えてください。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 この実験につきましては、六本木地区で民間駐車場を借りまして、そこに路外荷さばき駐車場として荷さばきをする貨物車を誘導いたしまして、そこから必要な端末の各需要者のところへ運ぶということを行ったわけでございます。期間としては十数日の短い期間でございましたけども、その期間、違法駐車の取り締まりの強化とあわせまして非常に効果があったと。ただ残念なことに、例えば非常に長尺物とか重いもの、こういったものにつきましては余り評判がよくなかったと。ただ、近くのところ、また軽いもの、そういったものにつきましては非常に効果があったと、こういうような結果が出ております。

○東野委員 結構、これは道路渋滞の緩和には一つのポイントになるなというふうに私も常々思っております。ぜひそういったことで着実なる推進を期待するものであります。
 その次に、この資料でもございますけれども、シンガポールとかオスロは実施されているわけですね。また、ロンドンで導入を検討中だというロードプライシング、重点施策の七番目にあるやつですね。これについてお伺いしたいと思います。
 シンガポールで行われている自動料金徴収システム、ERPというふうに書いてございます。これはETC技術で、システムがERPなんですね。これは仄聞するところによると、日本の企業がつくり上げたものだというふうに聞いています。日本でまだロードプライシングが実際には行われていないんですけれども、海外で行われている事例として、それが日本の技術だというふうに聞いたんですが、それはそうなんでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 ETCとERPでございますけれども、これは英語の略でございまして、エレクトリック・ロードプライシングがERPでございまして、そのERPを支える技術がETC、エレクトロニック・トール・コレクション、いわゆる料金の自動徴収システムということでございまして、同じと考えていただいて結構です。
 今ご指摘のシンガポールでございますけれども、シンガポールにつきましては、日本の企業は三菱重工がトータルシステムの設計を行っておりまして、このほかにはフィリップスシンガポールとIBMシンガポールが、ガントリーの整備ですとかセンターのコンピューターの整備を行っております。
 それから、これはご質問にはございませんが、香港で既にフィージビリティースタディー、実証実験を行っているということがございます。ここは日本の企業が多く参加しておりまして、トヨタがERPのシステム設計、デンソーが車載器の設計、NTTデータがセンターシステムを担当いたしまして、三菱重工は経験を生かしまして技術コンサルティングをやっております。それから、三菱商事が商業ベースのマネジメントを行っております。そのほかでは、イギリスのGCマルコーニという会社が参加していると、このように聞いております。

○東野委員 日本の技術的な面では既に取り組まれていて、進んでいるというか、日本で導入する、東京で導入するとなると、技術面よりもソフトの面が非常に重要になってくるなと、そういう理解はできるわけでございます。
 予算特別委員会で質問をしている中にありますけれども、都心の交通渋滞というのは慢性化しているわけであって、道路そのものの整備ももちろん必要であると同時に、混雑地域の交通集中時間帯の交通量を抑制していく、こういうことは東京の活性化と同時に、都民の健康、それから生命を守っていくためにも非常に重要なことだというふうに考えるわけでございます。
 今、ずっと話に出ていましたロードプライシングというシステムそのものは、東京というメガロポリスで実現性があるのかどうなのか。もちろんこれはこれからやっていかなくてはわからないわけですけれども、担当室としてその実現の可能性についてどのようにお考えになっているのか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 ロードプライシングにつきましては、混雑地域における交通集中時間帯の発生交通量を抑制いたしまして交通渋滞の解消を図るというねらいを持っております。道路ネットワークの整備、これは非常に不足をしていると認識しております。また、大都市における交通規制の限界がございまして、こういったことを考えますと、東京の活力を向上させ、あるいは環境を改善して、都民の健康を守っていくと、こういう視点に立ったときには、ぜひとも必要な施策であると考えております。
 技術的な側面で申し上げますと、先ほどご答弁申し上げましたとおり、既にシンガポールでも実施されておりまして、基本的には確立した技術となっております。また、最近のETCを初めとする情報技術の進展にはすばらしいものがございまして、日本の技術がETCの世界標準として認められたということもございます。東京のような大都市でも、ロードプライシングの導入が技術的には可能となってございます。
 ただ、コードンラインの設定ですとか、課金額の決定ですとか、車種等の重要な検討課題が残っておりまして、なかなか難しい面もございますが、平成十二年度の詳細な検討の中で解決をしていきたい、このように考えております。

○東野委員 今、コードンライン、コードン線というのが出たんですけども、いろいろ検討されていると思うんです。どこをわっこにするのか、現在一番可能性のあるコードン線を、もしよろしかったら教えてください。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 コードン線の決定につきましては、いろんな要素がございまして、なかなか決めがたいところがあるわけでございますけれども、地域の分断ですとか、ガントリーといいまして、ETCの設備の設置、そういった条件を考えますと、都心地区が中心となって混雑が激しいわけですので、都心を中心に、東京には環状道路というものがございますので、その環状道路、例えば環二とか環六、環七、環八。それから河川がございます。江戸川、荒川、隅田川、多摩川。それからあとは、環状の表にあらわれている鉄道といたしまして山手線がございます。そういったケースを現在考えてございますけれども、例えば環状二号のようなところをとりますと、狭い地域で、中は非常に効果があるんですけれども、迂回交通が多く発生してしまいまして、周辺の混雑が激しくなるということがございます。また、多摩川とか江戸川とか、そういう県境という広い範囲をとりますと、都の中で動く交通が多くて、広いからいいというものではなくて、かえって効果が薄いというようなことになるわけです。
 そうしますと、あとは真ん中あたりの河川ですとか山手線ですとか環六ですとか、そういったような中庸なところでやるのがいいかなというふうにはめどはつけておるんですけれども、来年はいろいろまた検討いたしまして、何分にも日本で初めてのものでございますので、シミュレーションモデルがございませんので、この辺の開発を急ぎながら決定していきたいと、そのように考えております。

○東野委員 決定されるのはどこかということなわけですけれども、その決定に際して、余り多くの意見を聞き過ぎても、これまた迷いのもとになると思います。ただ、やはりある程度、局内だけではなくて広く意見を聞かれて、もちろん専門家の意見もよろしいでしょう。そしてまた、都民の方の意見をどう聞くかによりますけれども、聞くのもいいでしょう。そういった手順を踏んで、ぜひ最良というか、最善の地域設定を進めていっていただければと思います。
 それで、都市基盤整備にかかわるわけですけれども、都市基盤整備には都民の協力がどうしても必要だということは、再三述べているところでございます。この施策の成功を期すためにも、都民、それから事業者、そういった方々の理解と協力がどうしても不可欠であるというふうに私は思うわけでございます。都民や事業者の声を、現実に今一歩一歩進めているわけですが、今までの中でそういった一般的な声を聞いておられるのかどうか。聞いておられるとすると、その声はどうなのか。この施策に限ってでいいですよ。それからまた、理解と協力を得るために、具体的にどのような取り組みを室としてはやられているのかをお伺いいたします。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 ロードプライシングを初めといたしますTDMの取り組みにつきましては、都民や事業者の方々の理解と協力がぜひとも必要でございます。現在のところ、都民や事業者から寄せられた声といたしましては、支持する意見が大変多うございます。
 例えば、平成十一年十一月にTDMの行動プランの案を発表したわけでございますけれども、その後寄せられた意見を見ますと、本年の三月十五日までには百七十通がございます。そのうちロードプライシングに関するものが四十八件でございまして、そのうち賛成が二十六件、反対が十六件、その他、反対ではないけれども慎重な対応を求める意見が六件ございました。そのほか、平成十一年十一月に実施いたしました都政モニターアンケートの調査がございます。これは積極的導入が三一・三%、導入もやむを得ないが三〇・六%で、この二つで六割を超えているということであります。導入に反対が一六・九%でございまして、どちらともいえないが一九・三%となってございます。
 今後、施策の内容を具体的に検討していく各段階、例えば実施計画、条例化、また実用性の実証実験など、検討プロセスの機会をとらえまして内容を公表し、PRを行いながら、都民、事業者の理解と協力を得られるよう努めてまいります。

○東野委員 今の数字でもあるように、皆さん方は決してもろ手を挙げて賛成ではないわけですね。ただ、環境をつくっていく、全体から考えると、私は一つの大きな重要な施策ではないかなというふうに思うわけです。だからといって、それをただやみくもに遂行していけばいいというのは、ある意味では思い上がった部分がどうしても出てくるので、その辺はきちっと、今の時代であるわけですから、しっかりとしたコンセンサスを得ながら進めていくことが大事だというふうに思います。
 もう一つだけ聞きたいんですけれども、都の政策評価の中でベンチマークスがあるわけでございますが、そのベンチマークスの中で、都内の車の平均速度を十八・五キロから二十五キロまで上げるという、たしかそういうベンチマークスがあったような気がしますけれども、そのベンチマークスとTDMとの関連を、ごくごく簡単で結構ですのでお聞きしたいのと、TDMというのは、今度事業になるわけですが、TDMという事業評価を行うための指針、すなわちTDMの事業評価のための数値であらわした指標というか、それがあるんでしたらお聞きしたいと思います。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 危機突破・戦略プランの政策目標値との関係でございますけれども、このプランでは二〇〇五年の都内全域のものでございまして、しかも道路等都市基盤の整備を総合的に踏まえたものとなってございます。TDMの構造改善目標といたしましては、特に混雑の激しい都区内の対策を重視いたしまして、さきの政策目標値との整合性を図りながら、ロードプライシングですとか駐車防止の取り組みの展開を想定いたしまして、目標年次と速度や環境改善値につきまして示したものでございます。また、牽引目標といたしてございます。目標値は牽引目標という言葉を使っております。これは行政施策だけではなく、都民、事業者の取り組みの促進を含めて、協働して総合的に達成していくものであるということで、目標値ではなくて、努力目標という形の牽引目標にしてございます。

○東野委員 では最後にします。
 今までるる述べてきたわけでございますけれども、きょうはTDMの重点施策のうち二つしか取り上げていないわけでございますが、九つの施策をリンクさせながら、実際、実りあるものにしていければというふうに念じる一人であるわけでございますけれども、室長のTDMに対する決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。

○柿沼政策報道室長 東京の交通渋滞は、委員お話しのとおり、東京の都市活動の低下あるいは都民の健康に重大な影響を及ぼすという危機的な状況にあります。ということは、同時にまた国際的に見ても、東京という都市が、その魅力をそぐ大きな要因にもなっているというふうに私どもは認識しています。自動車交通問題に対処するためには、自動車の効率的な利用、それから発生量の抑制や公共交通の利便性の向上などによりまして、効率のよい移動ができる都市にするということが非常に重要だろうというふうに思っております。
 これからは、道路交通上の欠陥である環状道路の整備などを特に考えなくてはいかぬということや、公共交通機関の整備というようなものも、いわゆる容量の拡大、これは従来やってきたことですが、こういうものにも力を入れなければならないんですが、それだけではなくて、被害者が一方では加害者であるという道路交通にかかわる問題意識に立ちまして、TDMに取り組まなくてはいけないだろうというふうに思っております。
 今後も、都民、事業者の連携と協力を得ながら、全庁一丸となってTDM施策の推進を図っていく決意でございます。

○西条委員 私からは、政策指標の問題と、きょうご説明がありました環境配慮行動の問題と、この二点について質問させていただきたいと思います。
 まず政策指標の方なんですが、私はこんなとらえ方をしたんです。というのは、先日、総務局にかかわる総務委員会がありました。ここで私は、行政評価の問題についてお尋ねしたんです。それを踏まえて、きょう、私はこんなことをふと思ったんです。要するに今総務局が行っている行政評価というのは、いわば都という行政体がやってきた今までのこと、現在進行中のものも含めて、その問題について大きな見直しをしていこうと。それから、経済の成長期のように、ただわあっと進んでいけばいいんじゃないんだと、やっぱり振り返って見ていかなきゃいけないと。どっちかというと、過去の方へ振り返っての行政の執行のあり方を考える、こういうことなんだろうと思うんです。
 それで、今度こっちの政策評価というのは、未来に向かってこれから何をしようかというとき、今までの右肩上がりのときは、とにかく都民の求めることならばどんどん進めればいいと、そういう立場で進んできたんだろうけれども、こういう時代になったから、なかなかそうはいかないんだということ。それから、当然効率のいい都政の行政執行をするためには、目標をきちんと決めて、ここまでやりますよと。ただ施策をぶち上げればいいんじゃないんだと、ここまでやりますということを示そうということで、まさに政策報道室と総務局が未来と過去を、いわば同じような視点で分担をしているんだと、このように私はとらえてみたんです。そんな観点から二、三質問させていただきます。
 行政運営の政策指標を導入するという動きは、東野委員も触れておられましたが、欧米の世界でむしろ先進的に取り組んできたわけであります。そこで、まず最初に伺っておきたいのは、先進の事例ということで、アメリカのオレゴン州やフロリダ州、ミネソタ州のそれぞれの州政府の取り組みが一体どんな効果を生んだかという、先人の効果をまず一回示していただきたいと思います。

○鳥飼調査部長 米国におきますオレゴンとかの州の政策指標の効果についてのご質問でございますが、まずその前に、政策指標、いわゆるベンチマークスがアメリカとか英国に導入されております背景について、若干ご説明させていただきたいと存じます。
 そこには大きく二つほどの要因が掲げられてございます。一つには、英米におきましては、行政運営や行政サービスにつきまして、顧客志向に立ちまして経営指標を重視いたします企業経営の手法を積極的に活用しようとする動きがございます。また二つ目といたしまして、客観的な条件といたしまして、九〇年代半ば以降、インターネットの普及等によりまして、市民あるいは住民がホームページを通じまして詳細な行政情報を容易にアクセスできるようになったことが挙げられてございます。
 ご質問の米国の三つの州におきましては、ベンチマークスを州政府と住民とが協働してつくり上げているところに特色がございます。そして、その効果でございますが、州政府が行っております個々の行政活動が住民にとってどんな成果・・アウトカムというふうにいわれておりますが、どんな成果を上げているかという観点から、徹底的に厳しく評価されておりまして、州政府のアカウンタビリティー、説明責任がより明確になりますとともに、行政活動がより目的志向型あるいは結果志向型になったといわれております。
 また、指標が非常に悪化した場合におきましては、州政府が持っております政策資源をそこへ重点的に投入し、配分することで、経済の活性化でありますとか、環境の改善でありますとか、福祉の充実などにつきまして大きな成果が上がっているというふうに伺っております。

○西条委員 今のような話を伺って、次年度といいますか、十二年度には、東京構想二〇〇〇の中にも政策指標が全面的に取り入れられると、このように伺っております。
 そこで、昨年の八月、鳥飼部長のところで、東京都の政策指標の試みとして、東京チェックアップリスト99を提案されたわけであります。まさに担当部長としまして、この結果、都政がどのように変わっていくのか。というよりも、むしろ政策の選考をする立場で、どのように変わっていってほしいという思い入れといいますか、それがあるからこそこういうものが掲げられたわけでありますから、そのところを示していただきたいと思うんです。

○鳥飼調査部長 都はまだ政策指標を発表しておりませんので、英米の実際の事例を参考にしながら申し上げますと、政策指標の導入のねらいといたしましては、都政の課題や政策の全体像を、都民の皆様方のどなたにも理解されますわかりやすい数値目標と実績数値で示しまして、都政情報を積極的に公開することにございます。また、その導入につきましては、行政サイドの視点ではなくて、都政にとっての顧客でございます都民の視点に立ちまして、都政の活動全般を見直す契機をつくることにございまして、政策指標はいわば都政の通信簿のような性格を備えているものでございます。
 東京都は、昭和四十年代にシビルミニマムというコンセプトを提示いたしまして、当時としては非常に画期的で新しい行政手法として注目されておりまして、全国自治体をリードしたといわれているわけでございます。しかし、今日の時点でそれを見ますと、シビルミニマムは行政サイドから目標となる事業量を示すにとどまっておりまして、もはや行政活動の半ば常識化しているわけでございます。これに対しまして、新しく提案しております政策指標は、その作成に当たりまして、最初から完成版を提示するのではありませんで、都民の皆様方を初め各方面からいただく議論の積み重ねを経まして、都民生活の実感に即しまして、わかりやすい目標値を時間をかけて徐々につくり上げていくという点で、シビルミニマムをさらに進めたといいますか、超えた指標であるというふうに認識してございます。
 次に、政策指標の運用や活用についてでございますが、東京都はたくさんの施策や事業を行っているわけでございますが、それらの本来の目的は何であるのか、あるいは政策を実現するためには事業をどう効果的に進めなければならないのか、また、現在行っております事業が効果を上げていないとなりますと、代替案を求めますなど、都民サイドに立った努力を、絶えず事業を行っております所管部局に迫っていくという点におきまして、職員の意識改革を強く促すものでございます。まさに都政を成果志向に立った運営に変えていくことができるものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、新たな試みでございます政策指標、東京チェックアップリストが東京構想二〇〇〇の中で発表されますと、それがその後の予算編成、それから事業執行、進行管理、行政評価あるいは政策評価という都政運営の一連のサイクルの基本あるいはかなめとなりまして、インターネット等を通しまして、都民にとって数値目標に裏づけされました実証的でよりわかりやすい都政の展開が期待できると思っております。また、庁内はもちろんのことでございますが、議会、都民の皆様方との関係におきましても、政策論議が従前に増して、より活発になっていくことを期待しているものでございます。

○西条委員 今まさに部長がおっしゃられたように、これが実現するというか、示されれば、都民の都の行政執行に対する見方、関心の寄せ方がまず変わってくるなと。お上というのはどうしても一般都民からは遠い存在になってしまうのが、お上の方からこういうものだというものを示すわけですね。そうすると、わかりやすさがまず一つ出てくる。それから、当然、示された指標が実現できるかなというので、都民がそこに一番関心を持つ。そういう意味では、そこが今までと変わってきた。それが今、部長のいう、これからぜひそうなってほしいと、そういう意味なんですよね。
 そうなると、一番最初に申し上げましたとおり、それだからこそ、今度は総務局の方でやる行政評価の方が、それだけ都民の目にさらされている中で行政評価をするわけですから、厳しくやっていかなきゃならないということで、両方相まってうまくいくんだろうと思うわけでありますから、どちらかというと、むしろこの政策指標がどう掲げられるかによって、行政評価もおのずとうまくいくのかなと、このような感じがするわけです。
 そこで、この問題の最後にしますが、今いったように、東京構想二〇〇〇の中に政策指標をどう取り入れるかが、まさに後の方にも響いてきますよということで、室長、ぜひそういうふうにしてほしいんですが、そういう意味でのご意見をいただきたいと思います。

○柿沼政策報道室長 政策指標の効用や今後の期待は、今、調査を取りまとめた鳥飼部長からるるご説明いたしましたとおりでございまして、私どもとしても、これまで都政で不十分であったという都民への説明責任を果たすという意味と、それから、成果の重視という行政に不足していた部分をこれから重視していくという意味では、重要な政策のツールになるだろうというふうに思っております。そういう思いから、現在策定中の東京構想二〇〇〇におきましては、政策全般にわたりまして政策指標を設定したいというふうに考えておりまして、その際には、都民生活の質的な効果を的確にあらわし、都民の生活実感に即したわかりやすい指標の設定に努めまして、成果重視の都政運営の流れを確立していきたいと思っております。

○西条委員 室長、部長、ありがとうございました。ぜひそういう意味で東京構想二〇〇〇に期待してお待ちしておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、環境配慮行動の方の質問を若干させていただきます。いわゆる環境対策については、殊のほか意を寄せている我が党でございますので、それを自負しておりますので、そんな気持ちからお尋ねしたい。
 それで、私は評論家みたいなことをいうつもりもないんですが、実は、ちょうど今、ミレニアムを迎えて、僕はそんな長い、千年の話をしようとは思わないけれども、いろんな評論家もいっているとおり、この二十世紀は産業革命以来の、どちらかというと右肩上がりの中で、それ行けやれ行けという中で来た百年だったろうと思うんです。それはそれなりに、人間の生活の物の豊かさを求めるためにずっと来たわけですね。それで、ちょうど百年前は、世紀末だといって、あのときは文化の退廃がいわれた。まさにこの二十世紀末は何であるかなと思うと、環境の退廃かなと、評論家みたいないい方になりますが、この百年の反省はそんなところへちょうど来ているんじゃないかなと、こんな気がするわけです。そうすると、まさに二十一世紀は、少なくとも次の百年の前半なんでしょうけれども、環境対策をどう乗り切れるかというのが人類に問われていることなのかなと、こんなふうに私は思っているんです。そういう中で「環境配慮行動の広がりをめざして」と、こういうのをまとめられたんだろうと私は思っております。
 そんな観点からお尋ねをいたしますが、まず、今いった環境の一番大事なことは、循環型社会をつくっていくことだということが、この十年ぐらい、五、六年のときに特に強く叫ばれるようになったわけでありますが、東京都が環境配慮を推進していくという意義は、私はそんなところにあるんだろうと思っているんですが、行政側としてはその意義をどのようにとらえておられますか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 東京都の持続可能な発展を図りまして、環境の危機を克服して住みよい東京を再生していくということは、非常に重要であるというふうに考えております。こういったことがあって都民の福祉を守り育てていくことになると、このように考えております。ご指摘のとおり、環境の現在の状況を考えますと、環境への負荷の少ない社会経済システムやライフスタイルの転換が今や不可欠であると、このように考えてございます。
 そのために、行政だけでなく、都民、事業者を含めまして、それぞれの主体によりまして環境に配慮した自主的な行動を拡大するということとあわせて、これからは需要者としての立場から、供給者に対し環境への配慮を求める需要者からの環境革命などを推進する必要があるというふうに思っております。都が東京における最大の事業者、消費者として自主的な取り組みを推進するとともに、都民、事業者などとパートナーシップにより、あるいは誘導的指標により、環境配慮行動を推進していくことには大きな意義があると考えております。

○西条委員 今おっしゃっていた、要するに行政と都民と事業者と、これで全部ですけれども、ここでとにかく連携をとるんだと、こういう話ですね。まず最初に隗より始めよで、行政であるみずからがということで、この中に重点施策として、環境に配慮した物品調達の推進と、こういうことがうたい上げられているということで、そうはいいましても、これだけ大きな行政体といいますか、事業体、都内最大の事業体でしょうから、そこでの物品調達というのは、私は全然想像がつかないんです。つかみどころもないような感じなので、その現状を、もちろんこれからはこれからになっちゃうけれども、今のところの現状の取り組みというのはどんな感じなんでしょうか、教えていただけますか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 現在の都の物品調達の現状でございますけれども、物品と申しますと、日常で使う用品と備品がございます。この合わせたものを物品というふうに呼んでございますけれども、その規模でございますが、公営企業局については統計がございませんので省かせていただきますが、これを除きまして、平成十年度の種別契約高調査というのがございまして、これを見てみますと、物品買い入れが約千百七億円ございます。それから、印刷製本が約七十九億円、物品の借り入れ、リース等の借り入れでございますが、これが四百九十六億円でございます。非常に大きな額となっております。
 これまでの取り組み状況でございますけども、複写機の用紙の古紙配合率一〇〇%化や、病院レセプト用紙への再生紙の導入、それから、職員の作業服への、ペットボトルの再生ポリエステル繊維の利用などの先進的な取り組みを行ってきたわけであります。また、事務用品等の集中購入制度であります用品制度、これにおける環境対応製品の指定などが挙げられます。
 一方、これらを除く各局の物品調達におきましては、全庁的な取り組みの方針が今までございませんで、その取り組みは徹底しているとはいえない状況にございます。

○西条委員 今聞いただけでも、少なくとも東京都が購入している物品の金額たるや大変なことですね。これがもし、今いったように本当に一〇〇%できたら、その効果というのは、都だけでも、物すごい環境に対する波及効果というがあるんですね。そんな感じが非常にしたわけです。
 今、部長が、そうはいいながら、最後のところで、徹底しているとはいえないという話なんで、都はこれで物品調達の方針だとか、そのためのガイドを策定していくわけでありますが、基準だけ決めたって、今いったように、これだけの金額をいかに一〇〇%に近づけるかが問われるところなので、その取り組みをどうやって担保しようとなされるんでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 今回定めました基準につきましては、既に庁内での会議を開催いたしまして、その趣旨徹底を図っているところでございますけれども、今後の担保がやはり必要でございます。十二年度以降につきましては、全庁的な取り組みといたしまして、この二月に認証を取得しております環境マネジメントシステム、ISO一四〇〇一でございますけれども、このシステムを活用することによりまして実効性を確保することとしております。
 すなわち、これはなかなか難しい用語が使われているんですが、達成に向けて要求される定量化目標というのがございます。これを環境目標と呼んでおりますが、この環境目標を掲げまして、定期的に取り組み状況を把握するなど、実効性を担保するための各局の取り組みを促していくと、こういうことでございます。

○西条委員 わかりました。ぜひお願いいたします。
 そこで、ちょっと皮肉ないい方をしますけれども、今いったように、これはまさに二十一世紀に向けてどうしても取り組まなきゃいけない大都市の宿命だといっていますが、残念ながら現在の状況が、今度は金の面でいきますと、これだけ財政危機が叫ばれている中で、片方では財務当局は歳出削減を一生懸命求めているわけですね。とにかくこういうことをやればやるほど、環境対策のためのコストがかかる。それから、物品もそのためのものをぜひと、やればやるほど二律背反の矛盾に陥っていくような気がするんです。そうはいいながら取り組まなきゃいけないというようなことなんで、環境に取り組むことがコスト高になるかなということで、これは何も都だけではない、今いった都民も事業者も、みんなそういうジレンマの中で動いていくわけですね。それに対しては、どのように取り組まれるんでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 物品調達におきましては、適正な価格を確保しつつ、環境に配慮することといたしまして、環境に配慮した物品調達ガイド二〇〇〇の策定に当たりましても、この方針に基づいてございます。
 一般的には、リサイクル品などは非常に割高だというような声を私も聞いておりますが、そういった誤解があるようでございます。過去はともかくといたしましても、これは手前みそではございませんが、不十分ながら都の取り組みを今までも続けてまいりまして、例えば古紙なども再生品が最初は高かったんですけれども、今ではかえって割安になっているというようなことがございまして、現在におきましては、必ずしもそうではなくなってきております。
 例えば用品におきまして、十年度から十一年度にかけて環境対応製品に切りかえた八品目について見てみますと、八品目を環境対応製品に切りかえたわけでございますが、コピー用紙、テープカートリッジ、回転いす、この三品目についてはかえって値段が安いと。それから、スタンプ台、朱肉、ステープラー、これはホッチキスでございますが・・及びステープラーフラット、こういったものについては、四品目ございますが、同額でございます。価格が上がった唯一の例はスティックのりですが、これ一品のみでございました。ですから、必ずしも高くはないだろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、資源循環の大切さですとか、環境など外部不経済を考慮すると、こうした環境配慮の取り組みは重要でございまして、都の活動を通してリサイクル製品などの普及を図ることによりまして、結果として価格を引き下げていくことも大切であると、このように考えております。

○西条委員 部長がおっしゃるとおり、僕は、環境対策の面も、最後は大きな経済行動の中で考えれば、規模の経済性というのか、それから、ある意味では加速度の原理というのは絶対成り立っていくだろうと思うんです。今おっしゃった環境対応製品は少し割高であるという意識も、確かに徐々に落ちてきているとは思っています。ですから、一定のところを超えれば、今度は逆にそっちの方が安くなるんだという社会をつくっていくだろうと思うんで、初動の苦しさかなと、このように思っていますので、頑張ってください。
 次の質問は、この中にも、都の自主行動の推進だとか、それぞれの都や民間や事業者のパートナーシップによる推進、こういうことが挙げられております。たまたま私は経験したというより、ここのところでわかったこと・・ちょっと話がそれるような感じがしますけれども、実は先日の例の、フィリピンに日本がとんでもない廃棄物を輸出しちゃったという事件、あれにもちろん国が取り組んだわけですが、実際は都が委託を受けてというのも変ないい方だけれども、やったんだね。
 それで、あのときかかわった高和という、品川だったか大田かにある、あそこへも仲間とともに行かせていただきました。見に行って初めてわかったんだね。あそこへ行ってみてわかったが、あの会社は実は資本を出しているのがNECとJR東海なんだね。それで、これは何なんだろうと思った。というのは、行ってみたら、あの会社の壁にでっかく二つの会社の名前が、シンボルマークがついているんだね。
 どういうことなんだろうなと思って、本来のあのフィリピンの問題とは別に聞いてみたらば、結局はNEC、まさに情報産業社会が、物すごい量のコンピューターを世の中に出していって、会社としては、自分のところで出したものが、どうしても最後はどこかで再びごみになるわけですから、それを自分のところでやれば、つくったんだから一番わかりいいよと、効率もいいんだということで、資本を出してNECがつくった会社なんだね。
 それともう一方では、JRは自分のところで膨大な、自分の駅から何からごみを出して、それの処理に非常に困っていて、あの場合は分別もへったくれもないわけだ。めちゃくちゃになって出てきちゃうから、これを一般の廃棄物として普通の業者に渡せないから、これも自分のところで取り組むんだと、こういうことをやっていたんだね。それがあの高和という、僕は大変優秀な会社だと思います。また、優秀な会社だから、あのフィリピンの問題を東京都もあそこにお願いをしたんだろうと、このように思っているんです。こういうことは、私どもも行ってみて初めてわかる話なんだね。一定の企業は、すべて企業は悪いみたいな世の中のいい方があるけれど、そういう取り組みをしているところがあるんですね。
 それで、たまたまこの前、新聞にも、余り固有名詞をいってはいけないのかもしれないけれども、竹中や戸田も、こういう時代だから、もはや現場の中で廃材を全部資源に変えていく努力をして、再び自分のところの工事現場からごみとして出てくるものは一つもなしにするんだと、こういう取り組みをしてきているわけだね。
 もちろん先ほどいった、この計画どおりにパートナーシップを求めていくということもあるけれども、既に我々都がこれに取り組む前に、みずからの企業として、それはせざるを得なかったんでしょうね。背に腹はかえられないということから、彼らが世の中のためと思ったかどうかは知らぬけれども、自分の企業が生き残るために、既にこういうことをやってきている企業が結構あるんだということを私も知った。時たまそれがテレビの特番みたいので組まれていますから、都民も徐々には知り始めたんだろうけれども、やはりこういうことが先行して行われているところに、どれくらい行われているかということを都の方も把握をしておくべきだ。それから、そういうところが持っているノウハウをこちらに上げてもらうという努力をし、これから取り組もうという企業にそのノウハウを渡していく役、それが都のパートナーシップのかなめの役だろうと私は思うんです。それで、そういうことを今後の計画の中には入れていかなきゃいけない、私はそう思っているんですが、部長、そういうところはいかがでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 産業廃棄物につきましてはいろいろあるわけでございますけれども、特に戦後の復興期から昭和四十年代、五十年代に建てられました建物の建てかえが今後大量に発生するということで、建設廃棄物の処理の問題が非常にクローズアップされてくるだろうと思いますので、建設廃棄物の処理について申し上げますと、そういったことは環境配慮の視点から、ただいまご指摘のとおり、都民、事業者が一体となって取り組むことが不可欠であるという認識でございますけれども、これは私も全く同感でございます。
 都は平成十年に建設事業者等と協定を結びまして、この協定によりまして、廃棄物の発生、排出抑制あるいは廃棄物の資源化につきまして、事業者が自主的に目標値を定めまして、その達成を目指すなどの取り組みを進めてございます。さらに、昨年の十二月には、都の事業につきまして東京都建設リサイクルガイドラインを策定いたしまして、建設事業の計画、設計、施工、維持管理の各段階においてリサイクルを原則とした取り組みを積極的に進めてございます。
 今後は、施設の長寿命化による廃棄物の減量化、あるいはリサイクル資材を活用する建築等、環境に配慮した取り組みを進めるとともに、都の取り組みだけでなく、民間の取り組み等につきましても、インターネット等を活用して広く都民にお知らせしていくということで、準備を進めているところでございます。

○西条委員 そういう中で、例えば、このまとめの中にも触れられておりますが、環境会計の試行だとか、ライフサイクルアセスメント、環境評価手法の検討にも触れておられます。そこで、これらの東京都の取り組みが費用対効果をどのようにもたらしているのかということを都民に示すためにも、政策評価や事務事業評価等に環境評価を導入することは重要な問題であると私は考えております。そこで、環境会計の導入だとか評価手法の開発についても、絶対取り組まなきゃいけないと思っているんですが、部長、どうでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 環境会計の導入でございますけれども、現在、幾つかの府県では検討しているという話は聞いておりますが、地方公共団体において環境を導入するという例はまだ聞いておりません。都の水道局の取り組みが先駆けになるだろうというふうに考えております。企業と違いまして、行政体の場合にはなかなか難しいところもあるわけですけれども、今後は、その成果を踏まえながら、環境会計の導入拡大の可能性につきまして積極的に検討してまいりたい。
 また、その評価手法でございますけれども、環境の評価手法につきましては、ISOにおきましてライフサイクルアセスメントというのがございますが、この評価手法につきましては、現在、国際標準化機構、ISOでございますが、ここにおいても開発中でございます。都としても、その動向を踏まえまして可能性を模索してまいりたいと、このように考えております。

○西条委員 これで最後にいたします。
 いずれにしましても、ここに掲げられた需要者からの環境革命ということに向けた具体的な取り組みを示したことは、とにかく一歩の前進といいますか、まずその入り口に入ったんだろうと、このように思っております。それをどのように都民に示していくかということが、これから問われることだろうと思っております。
 最後になりますが、野村理事のいうように消極的かどうかわからないんですが、実は私自身も、「環境配慮行動の広がりをめざして」と、これだけ日本語でいわれたときに、私にもよくわからない。これは恐らく都民が聞いたら、何をするのかなと、こうなるでしょうね。日本語としてこれがいいのかなというのが正直いって・・せっかく皆さんが苦労されて、これだけ全部を読むと初めてわかるんだ。ところが、これから都民に示していって、恐らくこれを読んでくれないよね。今やろうとしていることが、やっぱり表題、新聞だって全部なんか読みはしないんだから、見出しだけ見て都民は突っ込んでいくわけだな。それが、こういう目まぐるしい時代だから一番大事なことだろうと私は思う。そこで、このネーミング等も含めて、今後少し考えた方がいいんじゃないかと私は思います。それで、まさにここでいっているところの環境革命というのは、すごく荒っぽいいい方だけれども、こういうことがわかりいい。これはこっちが主題でこっちが副題かな。下の方がまだわかりいいような気がするんです。
 そこで政策報道室として、これからこれらのことをいよいよ議会に出され、都民に向けて出していくわけですから、要は都民がぱっとわかってくれないと意味がないので、そこらに向けたところをどのようにお考えになっているか、最後に伺って終わりにいたします。

○柿沼政策報道室長 「環境配慮行動の広がりをめざして」というネーミングの問題で、どうもわかりづらいぞと、副題の方がかえっていいなという評価をいただきました。このまとめました冊子は、東京都の環境配慮を推進するための、まず隗より始めよで、東京都が都内最大の需要者でもあるわけでございますから、その東京都の行動規範をきちっとして決めて、それでみずから率先してやるということがまず第一にございます。
 そして、その行動を通じて都民や事業者の皆さんにもぜひ、需要者の側から供給者に対しまして、環境への負荷の小さい製品サービスを提供してほしいということを、需要者の声として挙げてくださいということでやっているものでございまして、これからネーミング等も、都民に広くご理解いただくという意味では、理事ご指摘の問題もございますので、十分意を用いて、都民の皆さんにわかるような、理解いただけるような広報を考えていきたいと思っております。

○木村委員 私は、TDM(交通需要マネジメント)東京行動プランについてお尋ねいたします。
 初めに、大変初歩的な物いいで恐縮ですが、このTDM東京行動プランの目指すものは、東京全体の交通需要をマネジメントするということなのか、あるいは二十三区全体をということがイメージの基礎にあるのか、あるいはもっと特定の地域、特定の箇所を設定してのマネジメントというプランとしてつくられているのか、どうもそこのところがわからないんですが、最初にその点を解説してください。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 TDM東京行動プランの対象範囲の問題ですけれども、これにつきましては、東京都全域を対象としていることは事実でございます。ただ、現在の東京の道路の混雑状況等を踏まえますと、都心を中心とした地区を重点的に取り組まざるを得ないという状況がございまして、多摩から都心まで幅広く示してあるわけでございますけれども、その施策の濃淡は、おのずと都心地区、特に二十三区に集中しているということは否めないと、こういうふうに考えております。

○木村委員 大事な点だと思うんです。濃淡というと、わかったようなわからないような、行動プランとしてはあいまいさを残すと。これは後でまた私の方でも論じたいと思います。
 それでは、このTDMでマネジメントするべき交通量、これはどのような数値でこのプランに示されているのか。特に自動車交通量あるいは自動車台数というのがどう示されているのか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 交通需要マネジメントの目標値としての自動車台数というご質問でございますけれども、TDM(交通需要マネジメント)東京行動プランにおけます目標は、区部の平均旅行速度とその環境改善の効果につきまして、牽引目標として示してございます。交通量等々、どのくらいの交通量があるかということにつきましては、交通センサス等によりまして把握をしてございます。
 それぞれの施策がどの程度の効果があるかということはなかなか難しい問題でございまして、昨年の七月に東京都交通需要マネジメント検討会議から意見報告書が出ております。この東京都交通需要マネジメント検討会議は、その構成員として、学識経験者と警察庁、警視庁も含む国の関係省庁、それと東京都の関係部局で構成する会議でございますが、この報告書でも、東京の経済活動を回復し、環境改善を達成していくための目標を設定するべきかどうかについては都民の合意が必要である。TDMは行政のみならず、都民、事業者、自動車関係業界などの参加、共同によって進めていくものであり、目標値を達成できたか否かという結果よりも、達成に向けて人々の力を結集していくための行動の牽引目標として設定することに大きな意義がある。ただ、将来的には具体的な目標値を設定して努力することが望まれるというふうにございまして、このご意見にかなり近い考え方で行っております。したがいまして、ただいまご指摘の数値目標につきましては、これから施策を具体化していく中で一つ一つ検討していくと、こういう努力が必要かと存じます。

○木村委員 私は、最初から甚だ頼りないなという感じがするんですよね。このプランの二二ページ、二三ページには目標の設定という章がございます。このプランの目標として、数値化された、数字の上で示されているものは、今説明がありましたように平均旅行速度ですよね。TDM施策の展開時は平均速度が一時間二十キロ以上、それから二〇一〇年以降、成熟期には平均速度二十五キロ以上。二十五キロというのが目標であるということで、交通量そのものをどう減らしていくのかとか、どう抑えていくのかということは、一切書いてないですね。こうなると、交通量がどんどんふえても、自動車の総量がどんどんふえても、二十五キロで流れていればいいんだというプランになるわけです。そういうことにならないでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 道路整備ですとか公共交通機関の整備というものを、TDMを支える都市基盤として位置づけておりまして、そういった都市基盤の容量が急速に拡大すれば、お話のように、交通量がふえても、二十キロなり二十五キロなり、こういった目標を達成できるではないかということは考えられるかもしれません。
 しかしながら、道路整備等々につきましては、非常に長期の、また莫大な費用を要する事業でございまして、現段階でTDMで考えておりますのは、そういったことを前提にしながら考えているわけでございまして、そういったことを踏まえますと、たくさん交通量が集まれば速度が遅くなるというようなことは経験則でいえることでございまして、交通量がふえれば時速が遅くなる、交通量が減れば速度は速くなるというようなことはいえるかと思いますが、交通量がふえても速度が上がるということは、私どもとしてはなかなか考えにくいと、このように考えております。

○木村委員 要するに道路をつくれば渋滞が解消する、このプランが目標としている平均時速も上がっていく。しかし、それだけだと金もかかる、だからTDMと、こういうふうに聞こえるんです。交通総量をどう数値化してコントロールしていくか、マネジメントしていくかということについては、できるかどうかはわからないと。できるかどうかよりも、それに向けての努力が大事だと、このような話なんですね。
 そうすると、このTDMとは一体何だと。渋滞解消が目的か。渋滞解消の第一は道路を整備することだ、容量をふやすことだということになると、TDMの主なる目標というのは、ここにもずっと書いてありますけれども、三環状を含めて道路建設であるという理屈になりますね。さっき室長が答弁したのも、そのような意味でしたね。効率よい都市をつくるために、そういう都市にしていく必要があると、環状交通など容量の拡大が非常に大事だけれども、それだけではなくてTDMというお話がありました。TDMというのは、主要な目的は要するに道路をつくることだ、渋滞解消することだというふうに、室長も部長も、これまでの答弁では聞こえますけれども、いかがでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 そのようなご印象をお持ちでしたら、私のいい方が悪かったのかもしれませんが、いずれにいたしましても、道路整備というものは必要だという観点で記載をしております。
 現在の東京の道路交通ネットワークを見ますと、都心を通過する車、これは日本を走る車が都心を通過しなければならないような道路構造が、現在、東京ではつくられております。こういったものを、道路ネットワークを構築することによりまして外側に振っていくと。例えば三環状というのは、そういう役割を持っているだろうと思います。そういったものをつくっていく。また、放射道路も未整備のところをつくっていくということは、交通の流れを円滑化し、都心から通過交通を少しでも少なくしていくという意味では大事だろうという観点に立っております。
 しかし、それだけでは交通の混雑というのは解消できないというふうに考えておりまして、都心における道路整備の状況、これはほかと違いまして、都心はかなり整備が進んでおりますが、それでも混雑しております。こういったことを踏まえますと、道路整備だけではできない交通需要マネジメントの必要性が明らかになるわけでありまして、道路整備が目標ではなくて、あくまでも道路整備という都市基盤の上に立った交通需要マネジメントが必要であるというふうな視点で、我々はこの行動プランをつくっておるところであります。

○木村委員 道路が必要か、必要じゃないかという議論をしているわけじゃないんです。ただ、道路が必要です、それだけでは足りないのでTDMというから、TDMはつけ足しかいなということを聞いているんです。目標の設定のところに、地球環境温暖防止ということが改善目標の中に入っていますよね。大気汚染、地球温暖化、それだけじゃないですよね。我々が悩まされているのが騒音であり振動であり、あるいはタイヤの粉じんとかSPMだとか、そういうことで、今の東京で暮らしていく上で、自動車交通量も含めて、どうやってこれをコントロールしていくのかという問題に直面しているわけです。
 私が今挙げたようなことは、自動車の総量がふえれば、全部相関関係でふえてくる問題ですよね。幾ら二十五キロで走ったって、総量がふえれば、地球温暖化、あるいは交通事故とか化石燃料の浪費とか、ある意味では外部不経済といいますか、人間社会が余計お金をかけなきゃならないものもふえていくということにあるわけですから、交通量をコントロールする、マネジメントするというのであれば、この東京という都市の許容する交通量がどれだけで、そしてそれをどうマネジメントするか、コントロールするかという目標がなければ、東京行動プランというに値しないのではないか。道路をつくればいいけれども、それだけでは金がかかるから、いろいろ工夫しなきゃならないというだけでは、本当にここで掲げているような地球温暖化防止も含めた東京都の計画という点では、残念なんじゃないかということを問題提起として投げかけているんですが、いかがでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 再三申し上げておりますとおり、道路整備とか公共交通機関というのは、TDMを支える都市基盤として位置づけられておりまして、交通需要マネジメントが、都市基盤が整備されたからといって必要ないという議論でないことは、先ほど都心の例を挙げて申し上げたところでございます。
 ただいまの目標値としての交通の量をどのくらいにするかということにつきましては、目標をどう設定するかということと深くかかわっておりまして、これを都民の側と行政の側、事業者を含めた都民の側ですが、こういった取り組みをどういうふうに組み合わせていくかによって、さまざまに変わってくるところでございます。
 したがいまして、現段階では混雑時の平均旅行速度という形で目標をお示ししておりますが、具体的な施策の検討が進んでいく段階で、それぞれまた、現在ご指摘の交通量等の問題についても検討していくというような観点で、できるだけ早い時期にそういったことを明らかにしていく必要があるということは、最初の検討会議の意見報告書の中でもご紹介申し上げたとおりでございまして、ご指摘については理解できないわけではないんですけれども、もうちょっと待っていただきたいと、このように考えております。

○木村委員 目標として提示されているのは、ともかく平均時速だけなんです。だから、具体的に追求されるのは交通渋滞解消だけなんです。あとはいろんな手段を組み合わせて、おいおい決めていきますということで出発しますと、結局、TDMというのは三環状をつくることが目的になっちゃうんです。私は、そういう意味で非常に甘いプランだと。総量規制という目標を数値化するという点で、極めて弱点を持っているというふうにいわざるを得ないんです。
 四六ページを見ますと、こう書いてあるんです。そういう都市基盤、道路をつくっていくということでの交通の容量の拡大ということと、都民、事業者が効率的に利用していく需要の調整と、この二つのものを効率よく組み合わせていかなきゃいかぬ。口では、便利だから効率よく組み合わせといいますけれども、今いったように、どう組み合わせたら、どのくらいの目標が可能かということもまだ決めないでいくということになれば、結局、努力したけれども、できませんでしたという程度の話になる。追求されるのは速度だけと、こういうふうになる。
 私は、その二つの、容量の拡大、つまりもっとたくさん車が通ってもいいですよということと需要の調整という二つの要素を効率よく組み合わせるために、効率よくという中身がどういうことを意味するのかという、後に引けない行政目標というものを定めなければならない。僕は、それが交通総量の規制の数値化だというふうに思うんです。これがなければ、この字句がなければ、どこへ漂っていったって、結局検証しようがない。私はそう思いますけれども、もう一度お願いします。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 道路、公共交通機関の整備につきましては、非常に重要な施策でありまして、確かに容量の拡大の一つであります。しかしながら、交通需要マネジメントというのは、ただ単に交通需要の調整をするというような表面の話でございませんで、例えば違法駐車の排除という、これも交通容量の拡大の一施策でございます。そういった中で、道路がふえれば交通量がふえるというような基本的な考え方を否定いたしまして、これからは道路の整備を行いつつ需要の調整を行っていく、いわゆる交通容量を抑制していくんだという視点に立って、この計画はできております。
 したがいまして、これからは、道路整備ですとか、この中にあります九つの重点施策にありますような中でも、交通容量の拡大策も含めてそういったものに対応していくと。そして、この交通需要マネジメントの中には、例えば自動車使用に関する東京ルールというのがございますが、この自粛を求めていくということも含め、またロードプライシングのように、経済的インセンティブを伴って交通の発生を抑制していくという施策も含んでおりまして、そういった施策を一体として行っていくことによりまして、交通の円滑化が図られるだろうということでございますので、道路が整備されれば交通がふえるということは、従来の経験則からいえるわけですけれども、それをいろんな手法をもって何とか抑制していくという視点でございますので、その辺をご理解いただきたいと存じます。

○木村委員 ここに掲げられています九つの重点施策というのは、それぞれ大事なことだと。だから、その点については私は否定するものでも何でもないです。けちをつけるものでも何でもないです。非常に重要な施策だと思います。
 ただ、道路ができて容量がふえれば、これまでの経過からいえば交通量もふえるということは、否定しがたいこれまでの経過ですね。それをどう調整するかという点については、いろんな施策の組み合わせの努力が必要でしょう。同時に、一定の目標を持たないと、容量の拡大だけ先に、道路の建設だけ先に具体化すると、調整の方のさまざまな施策は遅々として進まないということであっても、これはTDMに取り組んでいますといって、いえないことはないという程度のプランでは、やっぱりうまくないんじゃないかと私は思いますので、その点がいいたくていっているんです。
 そこで、このプランの五六ページと五七ページには、TDMがつくられる東京都の取り組みが、一九九七年からの努力が記録されております。九七年二月からこれができる二〇〇〇年二月までの間に、例えば九八年には西淀川裁判の和解が行われた。九九年には川崎裁判の判決があった。そしてついこの間、尼崎がありましたね。こういうものをつくっていく間に、本当に重要な画期的な自動車公害に関する判決が繰り返されたわけですが、そうした我が国のいろいろな流れ、動きが、このプランにはどのように反映しているんでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 お話の件は大変大きな課題でございまして、環境問題全般にかかわる事項だと認識をしております。環境問題につきましては、環境保全局が主管となりまして、大気汚染の防止対策、水質汚濁の防止対策、自動車対策についてもさまざまな取り組みを行っております。そういった取り組みに加えまして、近年では民間の自動車メーカーの低公害車両の開発等、大変な努力を払っているところであります。
 それに対応いたしまして、東京都といたしましては、都民の健康と一番密接に結びついているだろう、かなり深刻な問題となっているSPM対策といたしまして、これはがんですとかアトピーですとか、それからぜんそくですとか、場合によっては花粉症等の原因にもなっているのではないかということが強く指摘されているわけですけれども、そういうSPM対策といたしましてディーゼル車NO作戦を展開している。それから、先ほどご紹介申し上げました自動車の使用を抑制し、低公害車をなるべく使おうよという、自動車使用に関する東京ルールというのがございます。それとこのTDM、この三つをそろえて総合的に展開していこうと考えております。
 これで十分か十分でないかということは、いろいろ評価があると思いますけれども、可能な限りの努力をしておるところでございまして、西淀川ですとか川崎ですとか尼崎ですとか、そういったところの判決があるわけですけれども、それに対応するというわけではございませんが、都民全般の福祉を目指しまして、TDMの観点からも、またそのほかの、ただいま申し上げました施策も含めまして懸命に努力をいたしたいと、このように考えております。

○木村委員 TDMの中に判決のあれこれを引用すればいいというものではないですから、いろんな意味で影響を受けたんだろうと、今のお話で感じますけれども、それでも西淀川、川崎、尼崎と見てみますと、流れは非常に明確になっていますよね。そこで厳しく問われているのは、やっぱり道路管理者の責任、道路設置者の責任ということが、一つ一つの裁判で一層具体的にされてくるという流れですね。
 尼崎の場合などは、その道路の公共性よりも、身体権、自分の体が壊されていくということの方が優先するというので、その人の、交通の差しとめの権利を認めています。私は見てきたんですけれども、差しとめられた箇所で挙げられているのは・・平面の交差点があって、陸橋でそれをまたいでいて、その上に阪神高速が乗っているんです。ですから三層の道路です。だから、陸橋を上がるときにえらい排ガスを出さなきゃならないということもある。それから、下の四つ角のところにとまっているときに、やっぱり車から排ガスがたくさん出る。上は高速道路。三層になっているところというのは東京にもありますよね。板橋の大和町なんかはそういう状況です。そういうところで健康を害した人が裁判を起こして、そして、それは重要な道路だけれども、差しとめる権利があるという判決が出た、そこが画期的だといわれているわけです。だから、一般的な道路管理者責任とか道路設置者責任の問題と交通需要の問題というのは、非常に具体的に争われるという段階に入ってきたということですね。
 ところが、このTDMは、そういうことにかみ合っているのかどうか。聞いたら、東京全体ですと、濃淡で都心の方ですという程度の問題意識、組み分けですけれども、争われているのは極めて局地、特定の地域の交通問題ということも争われていますね。そうしますと、ここには地域的なプランの、地域的な設定というのは、ほとんど具体的にはなされていないですね。これからの課題だといえばそれまでかもしれないけれども、問題意識としては、そういう問題意識で進んでいかなきゃ実効性は上がらないと私は思うんです。
 そういう意味で、目標としては、何回もいうようだけれども、何キロで走れるかという効率性と道路建設ということが非常に強調されているだけに、TDMというならば、こうした今の日本の流れを踏まえて、きちっと実効性のある地域的な設定も含めて具体化すべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○齊藤循環型社会づくり担当部長 TDM(交通需要マネジメント)東京行動プランの策定に当たりましては、確かに都市基盤の整備として道路、公共交通機関の整備が掲げられておりますけれども、私自身、我々のチームとしては、その部分をとっても、この計画としては十分読める計画だと思っておりまして、殊さらそういったことを強調しているつもりはさらさらございません。
 もう一つは、局地対策でございますけれども、TDM(交通需要マネジメント)は、もうちょっと大きな視点からの包括的な行動プランでございまして、例えば環七対策ですとか大和町交差点対策ですとか、そういったところは、確かに訴訟という問題は影響を与えたかもしれませんけれども、そういった局地対策ということを視点に置いてございませんので、その辺はまた別の視点から検討が必要かと、このように存じます。確かに入っていないといわれますと、そうではないんですけれども、入っているといわれましても、入っていないというような状況でございます。

○木村委員 プランのつくり方について、私は読んだ感想として一つの批判を述べさせてもらいました。そういうつもりでつくったんじゃないといわれればしようがないけれども、全体としてはどっちつかず。東京全体のことをいっているのかと思うと、局地のことをいっているのかなというあいまいさがあって、果たして実効性があるんだろうかという疑問を私は持ったというのが率直な感想です。
 そこで、なぜ裁判の話をしたかというと、尼崎の次は東京ですよね。東京裁判があるわけです。東京裁判は、今度は東京全体の大気汚染そのものも争っているわけです。そういう中での道路設置責任とかそういうものも問われるということになると、やっぱり地球温暖化防止とか健康被害を防ぐとかということを目的に、圏央道から外郭環状道路、いわゆる三環状をつくっていくということを柱に据えるということになれば、新たな検証が必要だと思うんです。
 実は、きょう初めて私はこの委員会でTDMのことを話させていただいたんですが、四月一日から、これは政策報道室から離れて環境局の方へ移るという話も伺いました。そこで、改めて私は室長に聞きたいんですが、このTDMはこれからは環境局で、扱うべき委員会は都市・環境委員会でこれからは議論するということになるでしょうけれども、TDMとは関係なく・・関係なくというのか、幹線道路もできれば交通量もふえる。それから、都心の再開発などが行われれば、流入する交通量もふえざるを得ないということがあって、政策報道室としては、TDMをつくったから、もういいやということにはならないですよね。TDMを本当にこれから実効あるものとして都民とともに進めていくために、政策報道室としてやるべきことは何かといえば、これは、今考えられている東京の都市構想といいますか、都市計画といいますか、自動車交通の問題も含めた総体の再検討、見直しということが当然求められると思いますけれども、四月一日から、このTDMは向こうへ行っちゃうからというんじゃなくて、より大きな仕事というか、責任というのは、政策報道室に残るというふうに私は考えますけれども、その点についての見解を伺いたいと思います。

○柿沼政策報道室長 私どもが取りまとめましたTDM東京行動プランについてのいろんなご批判、確かに拝聴いたしました。
 ただいまのご質問の前に、ちょっと委員に申し上げておきたいんですが、今回、規制する数量が書いてないじゃないかというお話でございますが、いわばこれは総論でございまして、これからいろいろな各論に入ってくるということは事実でございまして、二三ページをごらんいただくと、現時点の自動車交通量を前提にするといっているんです。ご存じのとおり、今、東京都内の交通量というのは日量三百二十万から三百五十万台の車が走っていますが、それを前提にして道路の構造を変え、それから、TDMといういろんなソフトの仕組みを東京に当てはめ、都民や事業者の皆さんにも環境に優しい自動車の使い方をしていただいて、それで私どもは、目標として自動車の平均旅行速度をいうのが都民には一番わかりやすいんじゃないかという意味で、今、区部で十八・六キロを二十キロにし、二十五キロにするというのは、信号待ちでいえば三回を一回にするということです。そういうようなわかりやすい目標を定めるということが、これからの施策には絶対必要だと私は思っております。
 そういう意味でぜひご理解いただきたいと思いますし、これがもし実現できればということで、地球温暖化の問題でCO2 が年間二十万トン減る、NOx も年間二千トン減るということもちゃんと書いてあるわけですから、ぜひお読みいただいて、またご議論いただければと思っております。
 それと、この施策そのものは、今、委員からご指摘のとおり、非常に重要な、壮大な社会的な実験であると思っています。先ほどご指摘のありましたように、今、司法判断が、これまでの道路行政、環境行政に対して厳しい判断がなされてきております。これは、やはり二十世紀型の我々の行政のあり方、あるいは事業活動のあり方も含めて、都民の生活一つ一つが問われているという意味では、行政はまず率先してそういう問題に対応するための、このTDMというのは、そういう意味では全国で初めて、我が国において壮大な社会的な実験をこの大都市で行うという心意気でつくったものでございますので、都市構想の中でも、当然のことながら、これは重要な政策として政策報道室で引き継いで、これからの長期的な政策の中でも取り上げていくつもりでございますので、よろしくお願い申し上げます。

○木村委員 二三ページに、平成二十二年、二〇一〇年まで現状の水準を維持しますと書いてあるのは私も知っていますし、ちゃんと赤く塗ってあります。だからこそ、何で数字が出せないんだよと。数字を出しているのは、ゴシックで二十キロ以上、二十五キロ以上。総量の数値化をすることと、平均時速を目標として数字として掲げることとは意味が違います。さっきいいましたように、そっちだけを数値にすれば渋滞解消ということになるんです。だからそういう意味で、何で出さなかったのかということをさっき聞いたんです。
 さて、その後、行政のあり方を変えていくということも含めて、心意気を高くやっていくんだという話は結構な話です。しかし、今予定されている大規模な開発、とりわけここでぶち挙げられている都心の大規模開発、我々がかねてから批判している臨海副都心建設等々も含めて、結局、今進んでいる都市のあり方は、都心への交通量の流入増大の方向です。ですから、この都市構想の転換ということの視点を欠いたままでは、TDMは結局、渋滞解消、道路建設、あとはディーゼルの、しょせんは単体規制です。それで東京ルール、心がけの話でしょう。この三つがばらばらになって、十年たって何があったのか、交通渋滞はもっとひどくなったということになりかねないんです。そこのところを私はきちんと見据えていくべきだというふうに思うんです。
 同時に、今なぜ自動車交通量がふえているかというと、それは政策的都市政策といいますか、タクシーの自由化だとか、規制緩和によるコンビニエンスの増大でチェーン店がふえていって、ジャスト・イン・タイムでもって東京の道路がそのまま、いわば資本の倉庫みたいな、かわりになっている問題だとか、宅配便の普及だとか、そういうモータリゼーションの政策的な歯どめなき野放し状態というものも含めて、きちっとしていかないと、確かにTDMといっても極めて部分の話で終わっちゃうということになるんじゃないかということも、最後につけ加えて指摘させてもらって、私の質問は終わります。

○石井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策報道室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十二分散会

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