総務委員会速記録第四号

平成十二年三月十七日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十五名
委員長石井 義修君
副委員長吉住  弘君
副委員長田島 和明君
理事西条 庄治君
理事星野 篤功君
理事野村 友子君
東野 秀平君
菅原 一秀君
藤岡 智明君
比留間敏夫君
萩谷 勝彦君
藤沢 志光君
川島 忠一君
河合秀二郎君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長横山 洋吉君
理事行政改革推進室長事務取扱南  靖武君
理事早川 良躬君
理事人事部長事務取扱前川 燿男君
知事室長松田 曉史君
総務部長三宅 広人君
行政改革推進室行政改革担当部長飯山 幸雄君
行政改革推進室組織担当部長山内 隆夫君
主席監察員砂岡  攻君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長尾井 幹男君
地域振興担当部長和田 正幸君
参事大原 正行君
災害対策部長佐藤 兼信君
勤労部長高橋  功君
法務部長金岡  昭君
統計部長山本 碩一君
学事部長幸田 昭一君
人権部長田口 正一君
選挙管理委員会事務局局長鳴川 智久君
次長宇口 昌義君
監査事務局局長石綿 昌男君
次長銅谷 勝子君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 選挙管理委員会事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
 監査事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第五十一号議案 東京都監査委員の給与の特例に関する条例
 総務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 総務局所管分
  ・第二号議案 平成十二年度東京都特別区財政調整会計予算
  ・第四号議案 平成十二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第三十五号議案 東京都行政手続条例の一部を改正する条例
  ・第三十六号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
  ・第三十七号議案 東京都恩給条例の一部を改正する条例
  ・第三十八号議案 雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三十九号議案 東京都行政書士試験手数料条例
  ・第四十一号議案 東京都特別区財政調整会計条例の一部を改正する条例
  ・第四十二号議案 都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十三号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十四号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十五号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
  ・第四十六号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・第四十七号議案 東京都立科学技術大学条例の一部を改正する条例
  ・第四十八号議案 東京都立短期大学条例の一部を改正する条例
  ・第四十九号議案 東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例
  ・第五十号議案  東京都育英資金貸付条例
  ・第百八十九号議案 包括外部監査契約の締結について
  報告事項(質疑)
  ・平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果について
  ・都区制度改革について
  ・平成十二年度都区財政調整について
  ・東京都監理団体総点検のための基本指針について

○石井委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十二年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してございます。
 朗読は省略いたします。
平成十二年三月十六日
    東京都議会議長 渋谷 守生
総務委員長 石井 義修殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、予算特別委員長から別添のとおり調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。

1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1)
総務委員会
 第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 総務委員会所管分
 第二号議案 平成十二年度東京都特別区財政調整会計予算
 第四号議案 平成十二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

平成十二年三月十六日
    予算特別委員長 清原錬太郎
東京都議会議長 渋谷 守生殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 本委員会は、付託された議案の審査に当たって各常任委員会の意見を参考とすることに決定したので、左記のとおり調査の依頼をお願いします。

1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1、2省略)

○石井委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、ご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○石井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、監査事務局及び総務局関係の予算の調査と付託議案の審査、並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○東野委員 選挙管理委員会の事業に関連しまして、一点だけお伺いしたいと思います。
 昨年一月の産経新聞の記事で拝見いたしました、狛江市長が市議時代に貸借契約の連帯保証人となった件についてお伺いしたいと思います。
 新聞記事によりますと、狛江市の選挙管理委員会から都選管に対して文書で質問があり、都選管から文書で回答した旨の記事がありました。その内容を見ますと、どうも公職選挙法に違反しているといった内容のようでございます。そこで、書かれた新聞記事に基づいて狛江市の方から聞いてみましたけれども、私の今この手元にございます平成十一年六月一日付の狛江市の議会報を見ますと、矢野市長と市内特定業者との関係等についての調査特別委員会が設置され、平成九年一月十六日から平成十一年二月二十四日まで開催されて、二月二十四日に委員長から報告書が出されたとされております。
 この議会報に記載された報告書の概要で拝見する限りでは、調査の結果という項目がありまして、その中の(2)として、資源回収業者と市長との関係という中で、この連帯保証人の問題に関して次のように報告されています。読み上げます。
 「石井前市長と(有)多摩資源との間で締結された『土地一時使用貸借契約書』に矢野市長(当時市議会議員)が連帯保証人となっていることが明らかになり、さらにそのことは公職選挙法第百九十九条の二に違反する旨の東京都選挙管理委員会の回答を得た事実がある」、このようにされているわけでございます。
 当然のことながら、市議会の正式な調査報告書でありまして、市議会報に載っている話ですから、事実関係としては間違いのないことだというふうに思いますが、その報告書にある都選管の回答というのは、どのような経過を経て回答がなされたということなのでしょうか、文書で照会があったのでしょうか。

○宇口次長 狛江市の選挙管理委員会からの東京都選挙管理委員会あての照会の文書でございますけれども、タイトルが「公職選挙法の解釈について(照会)」ということであります。
 内容でございますが、「このことについて、下記内容の照会が狛江市議会議長よりありました。つきましては、この件についての貴選挙管理委員会の解釈をご回答くださいますようお願い申し上げます。」記としまして、「問・公職にある者が選挙区内にある者の貸借契約の連帯保証人になることは、公職選挙法第百九十九条の二(公職の候補者等の寄附の禁止)で禁止している寄附行為に当たると思うがいかがか。」と、そういう問い合わせでございます。

○東野委員 わかりました。その照会に対しまして、都選管ではどのように回答されたのでしょうか。

○宇口次長 これに対する回答でございますが、法解釈の問題でもございますし、正式に文書で回答をというご要請でもございましたので、都の選挙管理委員会に議題として付議いたしまして、平成十一年一月十一日付で、東京都選挙管理委員会委員長名で狛江市選挙管理委員会委員長あて回答したところでございます。回答の内容は次のとおりでございます。
 「回答 お見込みのとおり 理由 公職選挙法第百九十九条の二第一項では、公職の候補者又は公職の候補者になろうとする者(公職にある者を含む。)の寄附は禁止されている。禁止されている寄附とは、同法百七十条第二項で『金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。』と定められており、約束も寄附とみなしている。連帯保証人契約は、債務者がその債務を履行しない場合において、その履行を代行する旨の約束を行う法律行為であり、公職にあるものが、連帯保証人になれば、その時点において同法第百九十九条の二第一項違反にあたる。」以上の内容でございます。

○東野委員 その照会の回答を見ますと、矢野市長の行為というものは公職選挙法違反というように断定したものと考えてよろしいのでしょうか。

○宇口次長 狛江市からのご照会の内容は、先ほど照会文書を読み上げさせていただきましたが、お問い合わせの内容は、矢野市長の行為が公職選挙法違反か否かという判断についてのご照会ということではなく、あくまでも公職選挙法第百九十九条の二の法文解釈としてのお問い合わせでございましたので、照会の内容に限定して、法文解釈として回答させていただいたところでございます。
 こうしたケースについての判例はないのではないかと思われます。本件のケースが具体的に公職選挙法に違反するか否かにつきましては、具体的に告発などに基づきまして刑事当局が調査し、そうした調査に基づいて検察当局が訴えた場合に、該当するか否かが裁判所で判断されることにより明らかになるものでございますので、具体的な権限のない私どもといたしましては、判断は控えさせていただきたいと存じます。

○東野委員 確かに判例はありませんので、法の解釈や建前という観点で考えるしかないのでありますけれども、あくまでも一般論として伺いますが、告発等の訴えの提起があり、これに基づき検察当局が訴えた結果、最終的に公職選挙法第百九十九条の二に違反したとして裁判所で刑が確定した場合には、公選法の規定に基づく失職ということもあり得るのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○宇口次長 裁判所で刑が確定したとしますと、おっしゃるとおりではないかと思います。

○東野委員 以上です。

○石井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○石井委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第五十一号議案、東京都監査委員の給与の特例に関する条例を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行いたいと思います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○石井委員長 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査、並びに報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案及び第三十五号議案から第三十九号議案、第四十一号議案から第五十号議案、第百八十九号議案、並びに過日の委員会で報告のありました、平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果についてほか報告事項三件を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求した資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三宅総務部長 去る二月十七日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます資料第1号、総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんいただきたいと存じます。1から順にご説明申し上げます。
 一ページをお開きください。1、平成九年度から十二年度における東京都監理団体に対する財政支出額及び常勤職員数でございます。
 (1)におきましては、都からの財政支出額を平成九年度から十二年度までの四年間につきましてお示ししてございますが、十一年度、十二年度につきましては予算額でございます。
 (2)につきましては、常勤の職員数を平成九年度から十二年度につきましてお示しし、それぞれ主な増加事項につきましてもあわせてお示ししてございます。
 二ページをお開きください。2、震災対策事業費の推移でございます。
 これは、平成十一年二月に策定した第七次震災予防計画の計画事業につきまして、平成六年度から十年度までの五年間の事業費の決算額の推移と平成十一年度の計画額を、おのおの事業別に集計したものでございます。
 三ページの3、応急給水槽の設置数の推移でございます。
 これは、昭和五十一年度に応急給水槽の設置を開始して以来の設置数の推移をお示ししたものでございます。応急給水槽は、震災時における飲料水を確保するため、居住場所からの距離がおおむね二キロの範囲内に給水所、浄水場の給水拠点がない地域に設置するものでございます。
 四ページをお開きください。4、公立小中学校の避難所機能強化助成実績の推移でございます。
 これは、平成八年度に助成事業を開始して以来の助成実績の推移を、学校数単位でお示ししたものでございます。助成事業の内容は、区及び多摩地域の市町村が避難所として指定した公立小中学校に対し、その機能を強化するため、井戸、ろ水器、救急箱を整備する場合に、その経費の一部を助成するものでございます。
 五ページの5、都内在住高校生数等の推移でございます。
 これは、都内の十五歳から十七歳までの人口、都立高校の生徒数、私立高校の生徒のうち、都内に在住している者の数、他県の高校に進学した者の数につきまして、平成二年度から十一年度までの十年間の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。6、家計急変による授業料減免に対する都と国の補助制度の比較でございます。
 これは、対象となる範囲や補助率などにつきまして、都の補助制度、国の補助制度ごとにお示ししたものでございます。
 最後に、七ページの7、都内私立高等学校(全日制)における経済的理由による中途退学者数の推移でございます。
 これは、都内の全日制私立高等学校における経済的理由による中途退学者数及び中途退学率につきまして、平成六年度から十年度までの五年間の推移をお示ししたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤岡委員 私は、私学助成について質問いたします。
 私学は、いうまでもなく、その独創性、豊かな教育方針と教育理念で、東京における公教育に重要な役割を果たしているわけであります。東京都の施策として、この私学と、そこに通う子どもたちに、不利益があったり、公立との格差が生じるようなことがあってはならないことです。
 総務局においては、私学助成の目的として、私学助成振興法にのっとって、私立学校の教育条件の維持向上、私立学校に在籍する児童生徒などにかかわる修学上の経済的な負担の軽減、私立学校の経営の健全性を高めることによって私立学校の健全な発達に資する、こうしたことを掲げて私学助成が行われているということは承知しております。問題は、この目的がどのようにして図られているのかが問われるということであります。ところが、一九九七年まで増額されてきた私学経常費補助予算は、九八年以降、財政健全化計画による見直し等で、来年度予算案では九七年度比マイナス百九億円、八・八%の削減になっているわけであります。
 そこで、まず、財政健全化計画による見直しで、これまでの各年度、どれだけ削減されてきたのか、このことを伺います。

○幸田学事部長 財政健全化計画に基づきます見直しは、平成十年度から、五年間の経過措置期間を設けまして実施しているところでございます。各年度の影響額でございますが、平成十年度予算で約十七億円、十一年度予算では約十九億円、十二年度予算案では約二十三億円となってございます。

○藤岡委員 二〇〇〇年を含めまして、この三年間で五十九億円が削減されるということであります。五年間経過措置ということですので、最終的な再来年では、総額九十七億円削減されるというふうに聞いております。このことは、本当に私学経営を圧迫し、子どもたちの教育にも大きな影響が出てきているのではないかと私は考えるところです。
 そこで、来年度予算案は、経常費補助で前年比マイナス五十七億円ということになっております。この間の二年間の削減額、合計五十二億円を上回る大幅な削減になりますけれども、これは私学にとって本当に大変なことであります。そのマイナス五十七億円、この内訳はどうなっているのでしょうか。

○幸田学事部長 経常費補助の平成十二年度予算案は、対前年度比で五十七億の減でございます。この内訳は、先ほど申し上げました財政健全化計画に基づきます見直しの三年目として約二十三億円の減、生徒数の減少、公立学校決算値の変動などの規模増減で約二十八億円、幼稚園の補助率を四八%から四九%に一ポイントアップいたしましたことで約二億円の増、教職員人件費算定の見直しで約八億円の減となっておりまして、差し引き五十七億円の減となってございます。

○藤岡委員 二〇〇〇年度から、つまり来年度から教職員人件費算定の見直しが新たに行われるということでございますけれども、これはどういう見直しの内容になっているのか、そしてこれの削減額といいますか、影響額について伺います。

○幸田学事部長 お尋ねの教職員人件費算定の見直しでございますが、小中高におきまして、本務教職員数が公立標準法に定めますところの標準教職員数を下回り、その不足分について、臨時、非常勤の教職員を充てている場合に、現行におきまして適用しております本務教職員の単価ではなく、臨時、非常勤教職員単価として、本務教職員単価の二分の一をその単価とすると。それから幼稚園におきましては、現行では本務教職員の実人数を補助対象としているものを、新たに幼稚園教職員数補助基準を設定いたしまして、その範囲内での補助を行うという内容のものでございまして、いずれも平成十二年度から、五年間の激変緩和措置を設けまして実施するものでございます。
 また、この影響額というお尋ねでございますが、教職員人件費算定の見直しによります影響額につきましては、五年間でおおむね四十三億円と試算してございます。

○藤岡委員 ただいまの説明で、臨時講師、時間講師等々の非常勤の講師、そういった講師に対する助成を二分の一にしていくということにつながっていると思います。私は、このことは、本当に私学の子どもにも、父母にも、学校にも、大変大きな影響を与えるのではないかというふうに考えるところです。私学では、経営努力を重ねる中で、やむなく臨時や非常勤の講師を割り当てたり、最近では、多様化する生徒のニーズに合わせて、外国語だとか美術、コンピューター、こういった専門課程に講師を充てるということがどうしても必要になってくるということも聞いております。こうした必要あっての非常勤講師に対する人件費を二分の一にいきなり削減するということは、講師自身の生活保障にもかかわってくることでもありますし、学校運営にも支障を来す、子どもたちにも影響が出てくるわけであります。こうしたことは、いささか拙速過ぎるのではないかと思います。
 そこで、私学関係者との協議、意見をしっかり聞くということが私は必要だと思いますけれども、この見直しについては、いつ、どこで私学関係者に意見を聞いたり協議をすることになるのか、このことについて伺います。

○幸田学事部長 私学助成に関します予算内容やその配分方針につきましては、条例によりまして設置されておりますところの私立学校助成審議会におきまして、都議会の議員の皆様を初めとして、私学関係者や学識経験者から構成されます委員の皆様にご説明を申し上げ、ご審議いただくこととなっております。
 また、この審議会自体も昨年から一般に公開を行ってございまして、保護者の方を初めといたしまして、広く都民の皆様にもお聞きいただけるような内容になってございます。

○藤岡委員 私学関係者との協議の場である私学助成審議会、ここで十分な審議が尽くされることは当然のことでありますし、独断専行することのないように、私学関係者の意見が十分に反映される討議を進めていただくことを強く求めるところであります。
 それでは、私立高校で生徒一人当たりの経常費補助割り返し単価というのがあるんですけれども、これは、一九九七年から二〇〇〇年度、この四年間、どういう推移をたどっているのかお聞かせください。

○幸田学事部長 生徒一人当たりの補助単価、割り返し単価でございますが、数字が今手元にちょっとございませんので、後ほどまた四年間の数字は申し上げますが、ちなみに、十一年度では三十七万二千七百六十九円、十二年度予算案では三十五万七千三百五円となってございます。平成七年度が三十一万四千八百十八円、八年度が三十四万九十八円、九年度が三十五万二千四百二十七円でございます。

○藤岡委員 来年度とことしの経常費補助単価を比較すると、一挙に一万五千四百六十四円マイナスしているんですね。これは決算ベースでとらえますと、この間、年々この単価は上昇してきていたわけなんです。ところが、ことしあたりから一万五千円も予算ベースで削減される、引き下げられるということになれば、決算ベースでも下がってくる、引き下げになってしまうということにつながっていくことは十分考えられます。
 今、私学では、不況によって公立志望が増加をしている、少子化に伴って、入学者数を確保するのに大変な苦労をしていると聞いております。ということであるならば、そうそう学費は値上げできない。現に値下げを行っている学校もありますし、値上げをしたとしても最小限に食いとめていく、月額千円というところもあります。そして、多くの学校では据え置きで頑張っているわけであります。これが私学の実態であります。
 そこで、東京の私立学校の財政状況、これを示すものがあったら伺います。

○幸田学事部長 私学経営の現状をあらわします指標といたしまして、学校の財務状況を見る場合によく使われますのが、いわゆる収支係数でございます。これは学校財務の弾力性を見る指標の一つでございまして、一般的には、この比率が大きいほど教育条件向上のための施設設備への充当が可能であるといわれてございます。
 ちなみに、最近の全日制私立高校の収支係数の推移といたしましては、平均で、平成六年度が一九・二%、七年度が一四・九%、八年度が一二・〇%、九年度が一〇・八%となっておりまして、収支係数は低下の傾向にございます。

○藤岡委員 ただいまのご答弁にありましたように、九四年と九七年を比較してみますと、一九・二%が一〇・八%という数字で示されました。この四年間で、この財政状況を示す数字というのが半減したというわけであります。先ほどの説明にもありましたように、この収支係数が低いということは、教育条件向上のための施設整備などが大変厳しいということを示していると同時に、財政の硬直化を示しているのです。私学経営が全体として困難さを増している何よりの証拠ではないかと思います。
 来年度予算案で、私学経常費補助について、国では六・九%増、過去最高額になっておりますし、道府県自治体の多くも経常費補助や授業料助成を増額して頑張っている、これが姿であります。減っているのは、東京のほか、わずかの自治体だけなんです。しかも、東京は経常費補助で四・九%減額、全国でもトップの削減率となっているわけであります。財政健全化計画による見直し経過措置は、まだ三年残されております。
 そして、その上にさらに加えて、今後五年間で、教職員人件費見直しで四十三億円の削減が実施されようとしているわけです。こうした削減の方向、レールが敷かれつつあり、今後、これは一層私学経営を困難にし、私学に依存している東京の教育の根底を揺るがしかねないものにもなると思います。総務局が目指しております私学助成の目的から大きく外れていくのではないでしょうか。経常費補助は、削減ではなく拡充させていくことを強く求めるところです。
 次に、私学助成の重要な柱でもあります父母負担軽減対策について伺います。
 深刻な不況のもとで、私学の保護者も子どもも大変困難な状況にあります。昨年九月、私教連が行った調査によりますと、授業料滞納者は、生徒数に対してですが、東京の私立高校で一・八六%、一校当たり十七・七人。全国平均が十四人ということでありますから、いかに東京の滞納者が多いのか、このことでもよくわかると思います。その調査によりますと、二〇%の滞納率を持っている高校もあるといわれています。そして、滞納者の家庭状況ですけれども、自営業不振や倒産、リストラ解雇、離婚など、多くは家計急変によるもの、今日の不況の影響をまともに受けているわけであります。
 今、卒業、進級の時期でございます。ある高校では、二百七十人のうち三人の生徒が、卒業証書をもらうことができなかった。自営業不振状況であったり、離婚によって授業料未納によるものであります。この三人のうち二人の生徒は、バイトをして授業料を納入して、来年度卒業しようという決意をしているそうです。もう一人は、この時期に来て、卒業を断念したといいます。卒業を目前にして、その当の本人にとっては本当に悔しい思いであっただろう、このことは容易に想像できます。また、この学校では、一、二年生五百二十人中、学年末に学費滞納者が六十八人、一三%にもなっており、教職員の方々も本当に苦労をされていると聞いております。
 本日提示いただきました資料の中で七ページ、ここでも示してあるように、毎年、経済的理由で退学する生徒がふえている、このことは現実であります。退学する生徒の理由は、進路変更や家庭の事情などさまざまです。しかし、突き詰めてみると、経済的に大変な状況になっての中途退学ということではないでしょうか。
 現場の先生や校長先生数名から伺いましたが、会社倒産、リストラ、離婚、病気や事故で、ローンの返済、生活費に回してしまえば手いっぱいで、なかなか学費にまで手が回らない。それぞれの理由はあっても、経済的なきっかけで滞納になり、それが引き金となって退学につながる子どもが多い、このように指摘をしておられました。
 経済的理由により中途退学をしなければならない子どもたちは、授業料滞納といった中途退学予備軍ともいえる子どもたちを含めれば、はかり知れないほどの数存在することが推測できます。今、子どもたちは本当に深刻な状況に追い込まれているのではないか、私はこのようにつくづく感じているわけであります。東京都では、こうした事態に対して、今年度より、家計急変による授業料減免に対する特別補助制度を実施しておりますし、また国では、来年度より、三年間の時限措置で家計急変補助制度を行うことになっております。
 そこで、東京都の制度のもとで、現在までのこの特別補助制度、実績はどうなっているのか、この制度に基づき規程を設け、実施、運用している学校は何校あるのか、それは全私学の何校になっているのか、伺いたいと思います。

○幸田学事部長 経常費補助の特別補助におきまして、家計急変により、学校が授業料の減免措置を行った場合、その減免額の三分の二を補助する制度、これを、お話のように十一年度から実施しているところでございます。この制度は、前年度の減免実績に対しまして翌年度に補助を行うものでございまして、したがいまして、十一年度の補助は、十年度の実績に対して行うというものでございます。この実績でございますが、高校で十校の十七人、中学校で三校の五人の減免実績に対しまして補助を行ったところでございます。
 また、独自の授業料減免制度実施の学校数でございますが、高校で申し上げますと、学校数二百三十四校のうち、家計状況、学業成績、家計急変等の合計で延べ百三十七校、実績として平成十年度ございます。

○藤岡委員 今年度実績、十一年度の実績はまだわからないということでありますけれども、非常に運用率が低いということが、先ほど挙げられた数字でもわかると思うんです。先ほど、家計急変といいますか、経済的な理由で受けている子ども、高校生で十校だとありましたけれども、二百三十四校中の十校なんですよね、四%。
 そういうことを考えますと、東京都が積極的にこの制度活用を指導したり周知徹底することが、今こそ求められているのではないかと思います。制度を知らなかったがゆえに子どもの人生が左右される、こういうことだってあり得るんです。事は緊急を要することであります。東京都の制度の、学校に対する、保護者に対する、生徒に対する周知徹底、PR、これはどのように行われているのでしょうか。

○幸田学事部長 家計急変に対します授業料減免補助は、基本的には、学校が授業料減免を行った場合に学校に対して行うということになってございまして、まず何よりも、学校に対しましてご承知いただかなければならないところでございます。
 そういうことから、私ども、機会あるごとにお話をさせていただいてございますけれども、例えば補助金の説明会の場において各学校の担当者に周知を図っているということ、また、理事長、校長会というものが年間数回開かれますが、ここに私も出席いたしまして、各学校のトップに対しまして、本事業を積極的に活用して保護者の負担軽減を図られるよう、説明あるいはまたお願いをいたしているところでございます。

○藤岡委員 東京都が学校に出かけていって、説明会でトップに周知しているということだと思いますけれども、私は、それでは済まないのではないかということがいいたいわけです。例えば、全生徒に周知できる手だてとして、東京都が育英資金制度、特別奨学金制度等々、「広報東京都」で知らせていると思うんですけれども、そういう手だてをとるとか、あるいは東京都独自でパンフやチラシ、こういったものをつくって、生徒の手に行き届く、父母の手元に行き届く、そこまで行っていくことによって、今の家計急変の救済制度、そうしたものが徹底されていくのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○幸田学事部長 お話しの特別奨学金補助や育英資金など保護者負担の軽減に関する事業につきましては、これまでも「広報東京都」への掲載、あるいは東京都提供のテレビ、ラジオによる放送、また私どもの、学事部に設置してございますオートテレホンガイドなどによる情報提供、さらに各区市町村等の関係機関への周知など、現在、きめ細やかに対応しているところでございます。
 また、これらの事業につきましては、実際には、何といっても各学校の協力が不可欠でございます。各学校に対しましても、先ほど申し上げましたような説明会、あるいはまた制度の趣旨、事務手続等につきましても十分な説明を行っているところでございますけれども、今後とも、これらの事業に対します都民の皆様や関係機関等への情報提供につきましては、積極的かつ的確に対応してまいる所存でございます。

○藤岡委員 積極的かつ適正に対応していくということでございます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 これに関連いたしまして、こういう事例があったんですね。父親が建築関係の自営業で、不況で廃業せざるを得なくなった。そして、母親はパートで働いているんですけれども、家計の補充にしかならない。授業料を滞納していく。救済制度は、証明がないから受けられないということで、中途退学をせざるを得なかった子どもの話なんです。こうした子どもこそ緊急に救済が必要だということなんですけれども、この制度は、家計急変の証明を必要としているというふうにこの資料でも書かれているんですけれども、こうした自営業の場合の倒産だとか廃業は、学校が認めれば、それで証明となるのでしょうか。もしそういうことであるならば、私は、本当にたくさんの子どもがこういう苦しい状況から救われるのではないか、このように考えるのですが、どうでしょうか。

○幸田学事部長 この制度の対象といたします範囲は、保護者の失業や倒産だけに限りませんで、破産、離婚、あるいはまた死亡などによりまして生徒の修学継続が困難な状況にある場合としておりまして、可能な限り幅広くその対象といたしているところでございます。
 また、手続につきましては、各学校の規程に従いまして実際の減免を行うこととなるわけでございますけれども、各学校から都への申請の際には、それぞれの事例につきまして、家計急変の事実を確認できる資料を添付していただくことになってございます。この制度は、まず学校が積極的に減免に対応するということが重要でございますけれども、都といたしましても、これを支援するという立場から、柔軟な対応、臨機応変な対応をしていくことといたしております。

○藤岡委員 では、先ほどのような例は、学校の証明で事が済むというふうに解釈できるわけですね。

○幸田学事部長 各学校の対処のことでございますけれども、私どもは、補助金でございますので、公費でございますので、公費は適正に使われなければならない、この観点から、学校側の個々の事例をよく吟味いたしまして対処するということでございます。

○藤岡委員 わかったようなわからないような話なんですけれども、学校の証明によって吟味をしていくということですから、学校の証明があればというふうに解釈できるわけであります。私は、こういう子どもたちの救済という立場に立ち切って、こうした場合は、本当に救済を速やかにやっていくようにしてほしいと強く望むものであります。
 もう一点ですけれども、都の制度では、学校の減免制度に対して三分の二補助、学校が三分の一負担をするという説明でございました。しかも、前年度の実績に対して翌年度補助金がつくというものです。学校側にとってみれば、受けたくても二の足を踏む、そういう条件になっているのではないか。家計急変に対応する駆け込み的制度として現実的な活用が緊急に求められているのですから、私学全校でこの制度を活用できるよう、この補助率をアップしたり、学校負担を軽減していくことを図っていかなければならないと考えるところです。
 来年度から実施される国の家計急変制度、これは三年間の時限つきというものですが、都道府県補助の二分の一を補助するというもので、これを活用すれば、東京都では全額補助の可能性も出てくるのではないか。こうした制度づくりを検討できないものでしょうか。

○幸田学事部長 国が十二年度から実施を予定しております補助制度は、お話にもございましたように、当該年度における失職、倒産などの家計急変による理由で、各都道府県が小中高校に対して補助した経費の二分の一以内の額を、国がこの各都道府県に対して補助するというものがございます。また、お話のように、三年間の時限措置ということでございます。一方、都が現在実施している補助は、幼稚園を含む学校が前年に減免した授業料に対して補助を行う、こういう仕組みでございます。
 したがいまして、国の補助制度は、現在の都の補助制度では活用することができない。なお、都の補助制度につきましては、各学校が個々の生徒の事情に応じまして、柔軟な対応を行えるような仕組みとして実施しているところでございますので、現時点においては、この方式を変更する必要はないのではないかというふうに考えております。
 ちなみに、国の制度は都道府県に対する補助でございますので、仮に東京都が現行の制度を改正いたしまして国庫補助の対象となったとしても、学校に対する補助率あるいは生徒の実際の減免額について、それが直接的に影響を与えるものとはならないというふうに理解をしてございます。

○藤岡委員 制度の違いや国の対策、これらが時限つきである等々、条件がそろわないということでできないんだろうということであります。このことは、私も承知をしてないわけではありません。しかし、現実に修学の場を奪われている、そういう状態で泣いている子どもたちもいるわけですから、行政の積極的な支援が必要ではないかと思います。今後の動向、実績等を見て、東京都の方でも、制度が違うからなどといわないで、どういうことができるのだろうか、そういう研究、検討をしていただく、このことが今求められていることではないかと考えるところであります。ぜひ研究、検討をしていただきたいと要望いたします。
 次に、特別奨学金制度について質問します。
 児童生徒数が減少し、ことしは、そういうことで四千三百万円、この特別奨学金制度は削減されております。しかし、九四年度から九八年度までの五年間、特別奨学金を活用した実績、人数というのは二千十八人ふえているわけです。毎年、じりじりとふえ続けてきています。しかも、非課税世帯対象が大幅にふえてきている、これが特徴であると伺っております。今日の経済状況からして、このことは当然であります。
 この特別奨学金制度の拡充も急がれていることであります。この制度は、申請を年一回ということに限定をしております。育英資金のように随時募集などを行って、父母負担の軽減を図っていく。また、補助額も九六年増額されて以来、改定もされておりません。増額も視野に入れた拡充、改善が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○幸田学事部長 特別奨学金の補助でございますけれども、これにつきましては、平均的な所得の都民の方が受給できるような支給基準を設定しているところでございます。また、生活保護や住民税非課税の世帯に対しましては、一般世帯より補助額を増額するなど、きめ細やかな対応を行っているところでもございます。平成十二年度予算案におきましても、非常に厳しい財政状況の中でございますが、十一年度と同様の補助単価を維持しているところでございます。
 今後、私学助成の基幹的補助でございます経常費補助、また、この特別奨学金補助などを通じまして、保護者負担の軽減に努めていきたいというふうに考えてございます。
 また、もう一つのお話でございますが、特別奨学金補助の申請手続でございます。これまでも申請窓口の一本化、あるいは郵送による申請受け付けの実施、申請期間の延長ということで、利用しやすい制度となるよう、これまで改善を重ねてきたところでございます。
 ご質問の点につきましては、実際の補助金の交付手続の関係上、困難な面もございますけれども、柔軟な対応を図るという視点から、今後も可能な限りこたえてまいりたいというふうに存じます。

○藤岡委員 ぜひよろしくお願いします。
 最後の質問ですけれども、特別奨学金制度と家計急変制度、先ほども質問しましたことですけれども、これを併用していく、そして救済措置を拡大していくということは可能ではないかと思うんですけれども、これは実際に進めることができるのかどうか、その点を確認しておきたいと思います。

○幸田学事部長 特別奨学金の補助につきましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、平均的な所得の都民の方が受給できるような支給基準を設定しているということ、生活保護や住民税非課税の世帯に対しては、一般世帯より補助額を増額するなど、対応を行っているところでございますが、家計急変に対します授業料減免とこの奨学金補助と、それぞれ異なる事業の対象に該当する場合には、当然のことながら、両方の事業の対象になるというふうに考えてございます。

○藤岡委員 いろいろと私学助成について質問してきましたけれども、今、卒業、進学のシーズンを迎えております。未来を担う子どもたちが希望を持って育っていく、子どもたちが輝いていくことを保障していく、それが行政の役割だと思っております。長引く不況の中で、一人でも泣いている子どもがいたら行政の手を差し伸べていく、そうしなければならないと思います。財政難を理由とした教育の後退は、絶対に許されるものではありません。どんなに財政が厳しくても、子どもたちの教育権を保障し、東京の教育の重要な役割を果たしている私学を守り、さらに充実させていく、そうした総務局の担っている役割を十分果たしてほしい、このことを強調いたしまして、質問を終わります。

○萩谷委員 特に多摩振興の問題にのみ絞りまして、市町村問題についてお尋ねをしたいと思います。
 いろいろお尋ねいたしますが、最終ラウンドは局長にお願いしたいと思うんですね。しっかり聞いておいてください。
 今回の都区制度改革で、二十三区の財調そのものの配分率が四四から五二、このようになったということは、清掃事業の移管等を含めてやむを得ない措置かなと、私もこう考える一人なんです。ところが一方、多摩の市町村は、従来の基礎的自治体として、二十三区の皆さんと違って、人口急増に伴い、道路を初め公共交通機関など基盤整備が非常におくれております。医療あるいは文化施設の不足など、さまざまな課題が新たに指摘されております。いわゆる多摩格差という問題が、ますますクローズアップされている現状なんです。
 そこで、私は、格差というよりもこれは落差なんだと、こう三十年来の認識を変えざるを得ない、こういう思いでいるわけですけれども、まず、当初の格差の八課題の問題に絞って、現状がどのように推移してきたのか、それらを教えてください。

○和田地域振興担当部長 先生お話しの三多摩格差八課題につきましては、高度経済成長期の人口の急増や多摩地域における都市化の急激な進展に対しまして、行政サービスが追いつかなかったということから生じた問題でございます。そのため、都市生活を営むための最低条件として、義務教育施設、道路、病院など八つの課題を、都と市町村が協議の上で定めたものでございます。この八課題につきましては、都は市町村とともに積極的に取り組みまして、既にそれ以来二十数年が経過する中で、かなりの課題が解消されてきました。しかしながら、なお道路の幅員や病院など、残された課題があることも認識をいたしております。
 また、少子高齢化など社会経済状況の変化や、多摩地域の変貌などに伴いまして生じている新たな行政課題や地域発展の可能性が高まっていることなどを視野に入れて、今後の多摩振興における格差問題について考えていきたいと考えております。

○萩谷委員 部長、例えば具体的な数字を挙げて、一ないし二、例を示してください。いわゆる格差という問題は、私なりに、徐々に解消されているという認識には立っているんです。しかし、今までの指標と違って、文化施設の問題であるとか、区へ余りにも偏在したあらゆる施設の問題、都市計画道路の整備率の大きな差というものは、最近、新たな課題としてクローズアップされているのじゃないかという認識を持たざるを得ないわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。

○和田地域振興担当部長 先ほどの格差八課題の中で、まだ問題のあるというのを幾つか数字でお示しするようにというお話でございますので、一つは道路でございますけれども、道路の平均幅員につきまして、格差設定当時は、区部が七・〇メートルに対しまして、多摩が四・一メートルであったものが、現在、区部が八・二メートルに対して、多摩地区は六・一メートル、まだ二・一メートルの差があるということがございます。そのほかにも、病院等で数字の上での差があるということでございます。
 それから、先生からお話しございました文化施設の区部への偏在や都市計画道路の整備率の差など、新たな課題が指摘されているということについては、私どもも認識しているところでございます。文化施設につきましては、都と市町村の役割を踏まえ、必要性、緊急性を考慮しつつ、また都財政の状況等を勘案しながら、総合的に検討すべき課題であるというふうに考えております。
 また、都市計画道路の整備率も低いわけですけれども、現在多摩地域では、南北道路を初めとしまして、区部を上回る規模で整備を進めており、今後とも、関係局と調整、協議を図りながら、事業効果が大きく見込まれる箇所の整備を重点的に行っていく必要があるというふうに考えております。
 これらも含めまして、新たな課題につきましては、その発生要因もそれぞれ異なっていること、また多摩地域全体の課題、それから個別の課題として取り組むべきものなど、さまざまでございます。さらには、都と市町村の役割分担の問題なども検討していく必要があると。今後は、こうした点も十分に踏まえまして、市町村と連携協力しながら適切に取り組んでまいりたいと考えております。

○萩谷委員 部長、僕は少々耳がおかしいものだから、もう少しゆっくり、大きい声で答弁してください。
 今ご答弁いただいた中で、聞き取れる範囲ですけれども、都と市町村の役割を踏まえて、新たな検討を、市町村と連係プレーを密にしながら適切に取り組むというご答弁をいただいたわけでありますけれども、いわゆる格差解消のための新しい手法が求められている、こういっても過言ではないと思います。具体的には、多摩振興のために中長期的に何が課題であり、どのようにそれらを解決していけばいいのか、そのような道筋を明らかにしつつ、目標を明確にした計画もしくはビジョンを策定すべきではないかと考えるわけです。そのためには、多摩の三十一市町村の現状がどうなっているのか、その課題は何かという基本的な問題を押さえておく必要があるわけです。
 ところで、市町村の協力を得て現状分析の検討を進めているというふうに仄聞しておりますけれども、この内容と進捗状況について、できればお伺いしたいと思います。

○和田地域振興担当部長 多摩の現状分析につきましては、関係各局や市町村の参加をいただきまして検討会を設置して、少子高齢化など社会経済状況の変化、先端技術産業の集積や大学の移転などによる地域の変貌、さらには多摩都市モノレールや圏央道による地域発展の可能性といった多摩地域の現状について分析を行っているところでございます。
 また、その進捗状況でございますけれども、現在、その報告書の取りまとめ作業を行っているところでございます。

○萩谷委員 新しい味の答弁が出て、非常に期待を持っておるわけですけれども、そういう現状を踏まえて、今議会でも知事が施政方針で述べておりますように、多摩の将来像が策定されるものと思いますけれども、将来のそのイメージを、東京全体の計画の中でしっかりと位置づけを図るべきではないかと考えるわけです。
 したがって、今後策定する東京構想二〇〇〇、あるいは都市ビジョンづくりと、このような将来像との関係は現在どうなっていて、また、どう進めていくのか、わかったら教えてください。

○和田地域振興担当部長 東京構想二〇〇〇は、今後東京が目指すべき中長期的な都市像、将来像を明らかにし、その実現に向けた施策展開の道筋を、総合的、体系的に示すこととしております。また、都市づくりビジョンは、首都圏全体を視野に入れ、将来の東京のあるべき姿を明らかにするとともに、今後の都市づくりの戦略的な考え方や都市計画の基本的方向等を示すものとしているところでございます。
 多摩の将来像とこれらとの関係につきましては、危機突破・戦略プランにおいて、都市づくりビジョンと多摩の将来像を整合させるとしております。また、現在進めております多摩の現状分析の検討会には、これらの構想やビジョンを所管する局もメンバーとして参加をいただいております。
 今後も、多摩の将来像の策定に当たりましては、その検討過程において、関係局と十分連携協議を行い、その成果を、これらの東京全体を視野に入れた構想やビジョンに反映させ、整合を図ってまいりたいと考えております。

○萩谷委員 問題は、そういう計画が具体的に進められることは大変ありがたいことなんですが、要は、それを担保する財源問題がポイントなわけです。
 そこでお伺いしたいと思いますが、この五年間で、都の市町村に対する土木関係の投入額はどうなっているか、わかったら教えてください。

○和田地域振興担当部長 決算ベースで申し上げまして、多摩地域の土木関係の経費は、平成五年が二千三百六十億円、六年が二千六十億円、七年も同じく二千六十億円、八年が二千二百億円、九年が千七百九十億円、十年が千七百三十億円余ということでございまして、決算額で見ますと、この五年間で額として約六百億円、率として二六・五%の減となっております。

○萩谷委員 今、内容を伺いますと、年々スローダウンしているんですね。こういう状況の中で、経済動向が非常に厳しい状況となってまいりましたけれども、多摩地域に対して今まで交付された振興交付金、あるいは調整交付金を初めとするさまざまな財政支援がなされてきたわけでありますけれども、現在のような、このような厳しい財政状況の中で、この二つの交付金とも、調べた範囲では、ピーク時に比べて、これもまた谷底におっこちるような急変をしているわけです。この両交付金についても、もうこれが限界じゃないのか、こういう思いをせざるを得ないわけですけれども、先ほど来申し上げたように、中長期的な課題を掲げて目標を明確にした上で、重点課題に対して、それこそ重点的に財源配分を考えていく必要があると思いますけれども、その点いかがでしょうか。

○和田地域振興担当部長 事業を効率的かつ効果的に進めていくためには、ご指摘のように、重点課題を選定しまして、そこへ重点的に財源を投入していくということが必要であると考えております。都としましては、これまでも、南北道路の整備や交差点のすいすいプランによる交差点改良など、多摩地域の重要課題に重点的に取り組んでまいりました。
 今後は、先ほど申し上げました現状分析の結果を踏まえて、振興上の課題を導き出し、効果の大きさや施策の緊急性などを十分に勘案して課題の重点化を図り、市町村や関係局とも協議、調整をしながら、効率的な多摩振興を進めてまいりたいと考えております。

○萩谷委員 これで最後の質問になりますけれども、これは局長にお願いしたいと思います。
 知事は、多摩は豊かな自然と大きな発展の可能性を持つ大切な地域だと、また、区部と違った独自性や個性を明らかにした多摩将来像が必要である、このように、あらゆる機会に施政方針等含めて述べていらっしゃる。そこで、私は、新たな多摩振興の手法として、このような新しいビジョンに基づく重点的な財政支援を提案してまいりましたけれども、ぜひともこのことを踏まえて多摩の将来像を策定し、多摩振興に最大限の努力をしてほしいと思うわけです。
 そこで局長、あなたは、幸いなるかな、多摩地域に長年在住していらっしゃる。いわゆる理屈というか頭ではなくて、局長の命の中に、格差という問題の何たるかを実感として承知していただいていると思いますけれども、この問題を真摯に受けとめている局長の新たな決意を伺って、質問を終わります。

○横山総務局長 ただいま、先生の多摩に対する切々たる思いを伺っておりまして、私も多摩市民の一人として、感動を持って聞いていたところでございます。
 そこで、多摩振興についてでございますが、今後の多摩の振興を考えるときに、先ほど来議論がございましたような残された課題、あるいは新たな課題、そうしたことを視野に置きつつも、やはり多摩というのは、豊かな自然と活力がある大きな発展の可能性を秘めた地域である、こういった基本的な視点がどうしても必要だろうと考えております。
 このため、まず三多摩格差八課題、その後の新たな行政課題、こういったものを含めて、多摩地域の現状分析をまず行わなきゃいけない。そういった現状分析の結果を踏まえまして多摩の将来像を明確にしていくことが、まず多摩を考える場合の喫緊の課題だろうと考えております。
 そこで、現在、多摩地域の現状分析を市町村と協力しながら行っているところでございます。こうした検討を鋭意進めまして、その結果を、来年度策定予定の都市構想、あるいは東京の新しい都市づくりビジョン、これに反映させてまいりたい。市町村との連携を十分とりながら、多摩振興の所管局長として、最大限全力を挙げてまいる所存でございます。

○西条委員 私からは、あれこれたくさんになりますが、条例が出ていますから地方分権の話、都区制度の話、それから行政評価の問題、この三点にわたって質問をさせていただきたいと思います。
 まず、地方分権の話から質問をさせていただきます。
 いわゆる地方分権一括法案が出まして、これに従って、第一次計画に従って、条例制定の準備をずっと今日まで続けてきたわけですね。この第一次計画に基づいて、昨年の四回の定例会を目途に、それぞれの関連条例の提案をしてきた。しかしながら、当初の予定よりはおくれて、今定例会にも幾つかの条例提案がされています。聞くところによりますと、当時の第一次計画に基づいて去年で終わるはずだったのが今回に持ち越されてしまった理由は、国の政省令の制定が非常におくれているということで、そうなったんだというようなことを伺っております。
 そこで、今日ここに至って、結局国の政省令はどこまできちんと進んだのか、これをまず最初に伺いたい、このように思います。

○尾井地方分権推進担当部長 地方分権一括法に係る政省令でございますが、お話のとおり、その制定が当初の予定より大分おくれておりました。現在の状況を申し上げますと、まず政令につきましては、ほぼ一〇〇%公布されたという状況になってございます。
 それと省令の方でございますが、これにつきましては、約七〇%が現時点で公布されたところでございまして、こうした政省令に基づきまして、四月一日からの地方分権一括法の施行までに、制定や改廃が必要となる条例につきましてご提案を申し上げたところでございます。

○西条委員 四月一日、もう目前ですが、これについては、これで追いついたんだと、こういう話ですね。それで、今定例会にそれらについては出されているということですから、これが通れば、これで一応すべての準備が整うんだということですね。今議会でこれらの条例が全部可決されればと、こういうことですね。当面の地方分権については、これで一応全部段取りできるんだと、こういう話ですよね。
 ところが、もちろん今後の問題も絡めて、これだけで終わらないわけですから、結局今度は、これからの先のことに皆さんは着手していくわけですよね。そうでなければ、今度はいけないわけですからね。東京都では、これからは独自に第二次計画を策定するんだということを聞いていますので、いよいよ四月、すぐ目前ですから、これは一体どのような内容の計画なのかということの概要をお示しいただけませんか。

○尾井地方分権推進担当部長 第二次東京都地方分権推進計画でございますが、この計画は、先ほどお話にも出ました国の地方分権改革が、いよいよこの四月から実施段階を迎えると。この時期をとらえまして、区市町村の自主性、自立性を一層高め、東京の実情に応じた分権型社会を実現することを目的として策定する、こういう目的でございまして、主な内容といたしましては、一つは、都と区市町村の役割分担の問題、二つ目に、都から区市町村への事務権限の移譲、それと都の区市町村への補助制度のあり方、こういった内容を予定しているところでございます。

○西条委員 そうすると、今のお話を聞くと、今度は内なる分権。まさに今度は、都から市区町村へ向けての分権をいよいよこれからは進めていこう、ますます進めていこう、こういうのがこの第二次の主な柱だと、このように受けとめさせていただくわけですね。そうすると、今度は市区町村のそれぞれの――東京は、全国から比べれば面積は少ないんですが、二十三区もあるし、先ほどの話じゃないけれども、三多摩もあるし、それぞれ地域的な事情も当然違いますよね。それから、規模も大小それぞれいろいろありますから、一律にぱっというわけにはいかない。それぞれの市区町村の事情をよく把握しながらそれを進めていかなければ、当然無理な話だということですよね。
 そうすると、今度はそれぞれの二十三区、二十七市のところを、一つずつきめ細かく調整していくわけでありますから、この市区町村との今後の調整の段取りといいますかスケジュール、どのぐらいの時期にどうやってやっていくんだと、こういうことについてはどのように予定されておられますか。

○尾井地方分権推進担当部長 ただいま先生ご指摘のとおり、この第二次東京都地方分権推進計画の策定に当たりましては、区市町村との調整を十分に行っていくことが必要であるというふうに私どもも考えております。
 こうしたことから、本年の五月には、この二次分権計画の中間のまとめという形で計画内容を公表いたしまして、この中間のまとめに対する区市町村からのご意見を伺った上で、その後九月に、第二次計画という形で、正式に計画として策定していく予定としてございます。

○西条委員 スケジュールは、そうやって近いうちに、九月に向けてやっているとおっしゃいましたね。今度は少し中身に入りますが、これからは当然、住民自治に少しでも近づけようということで、新たな権限がどんどん市区町村の方へ移っていくと。そうすると、それぞれの市区町村は、自分の地域であります住民ニーズに合わせて行政を展開していこうと。そういう意味で、いろいろなパターンが出てくるんでしょうね。ところが実際は、いわゆるノウハウの蓄積だとか、そういうものがこれからされていかなければ、いきなり制度だけ変えてぽんと渡したところで、それぞれの自治体が動けるのかという問題もあります。
 そうしたことから、東京都が市区町村への分権を進めていくに当たっては、区市町村に対する支援策、要するに都側からどう差し伸べてやるかというような問題については、どのようになさるおつもりですか。

○尾井地方分権推進担当部長 都が区市町村への権限移譲を進めるに当たりましては、ご指摘のとおり、さまざまな支援策を講じていくことが重要であるというふうに考えております。
 こうしたことから、移譲する事務に関する専門的知識でありますとか、あるいはノウハウの提供、さらには職員研修の実施など、区市町村の要望も踏まえまして、積極的に支援策を講じていきたいというふうに考えております。

○西条委員 それでは、これの質問の最後にしますが、いわゆる市民の自治権の拡充のためにも、基礎的自治体であります市区町村が、これからは積極的にみずから事業展開をしていく。要するに、自立していくために、自分でどんどんその事業が進められるような、そういう区市町村みずからのほとばしるような積極性の中で、権限を与えられてそれを進めていくということと、今いった東京都からの支援とが――それは当然いわずもがなの話ですが、相まっていかなければ、分権は進まないと思っております。
 東京都から市区町村へという都独自の計画を策定するといっても、それは現行法のいろいろな限界があると思いますが、少なくともこの第二次計画の中では、全国の自治体に先駆けてやる。まさに東京都という、同じ地方自治体としてもちょっと格が違うわけでありますから、まずこの地方分権一括法の先端を切るような、そういう第二次計画をやはり示していかなきゃいけないんだろうと思っております。
 そういう意味で、その規範とするようなものが第二次計画の中に盛られるんでしょうねと、こういうことを最後に聞いて、この問題は終わりたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 今回の地方分権一括法による分権改革におきましていろいろな課題が残されているということは、いろいろなところでいわれていることでございますが、例えば国から都道府県の権限移譲がわずかなものにとどまったとか、あるいは国の許認可といった関与の仕組みの廃止といったものが不十分であったというふうな問題がございまして、今お話に出ました、都から区市町村への権限移譲を行うに当たっても、こういったものがいろいろと制約になってくるという事情がございます。
 ただ、こうした制約のもとではございますけれども、都といたしましては、第二次計画の策定におきまして、現行制度の中でも可能な権限移譲につきましては最大限検討をいたしまして、区市町村の一層の分権を進めていきたいと考えているところでございます。

○西条委員 都区制度の件についてお伺いしたい。お伺いというより、これは私の思い入れも少ししゃべらせてもらってね。というのは、これも一つの大きな地方分権であります。ただ、そうはいいながら、この問題は、実際は今度の一括法とは全然別の時点で――私は、ある意味では地方自治法が制定されたときからの問題なのかなと。そのときにさかのぼるような、制度改革というのは本来そこから始まっているような気が私はいたしています。
 私も、実は区議会議員を一定の期間させていただきましたから、思えば、昭和五十年のいわゆる区長公選、もう何次にもわたってこの制度改革というのは行われてきているわけですが、我々が、少なくとも私が実感としてわかっている制度改革というのは、あの昭和五十年の区長公選制の復活というのが――あれ以来の、法律も改正し、今度の大きな制度改革なんだろうと、このように思っています。
 もちろん今度の件は、一定のこれだけの長い時間をかけて、法改正もされて、いよいよ実施にあと二週間ぐらいで入るわけでありますが、ここには区議会の経験をなされた議員の先輩もたくさんおられると思いますが、私の記憶では、あの五十年の区長公選制以後、新たな次の段階の制度改革に入るというときの最大の目標、眼目は、やはり財政問題だったろうと思うんですね。その後、今日のような、財政状況がこんなふうになるとは、だれも当時思わないところで出発をしています。
 当時、我々区議会議員として思っていたことは、地方自治法の、例の特別公共団体ではなく、普通公共団体にさせてくれということが本来の出発点だったような気がします。そこに当然財源の問題。三税は自主財源なんだという方向で、当時、区及び区議会のみんなもそのように動いていたような気がいたします。もちろん、思えば、あれから二十五年ぐらいかかっちゃったわけですよね。社会情勢も変わったり、世の中のいろいろなことが変わってますから、当初の目的と徐々に変わりながら今日に来ている。で、最終的には、あのような形での法改正がなされた。
 正直、私自身、あの法改正がされたとき、条文ではいろいろ出ても、実感として見えなかった、わからなかった部分というのは結構あるような気がいたします。それは、恐らくほかの議員の皆さんもそうだろうと思うんですね。とどのつまり、いよいよ実施を目前にして、はっきり見えてきたというのが我々の感じであります。当時、区の中でも活動してきた人間から見ると、当初思っていたころとは大分違っちゃったなというのが、非常に正直な感じであります。
 もちろん都の行政部の皆さんは、確かに国を相手に――これは、もちろん区がこうしたいんだと思いを入れたって、都もいるし国もいるんだし、社会状況も変わってくるんですから、それは当初の思い入れどおりなんかにはなかなかいかないということはよくわかっておりますが、そういう意味では、都は都なりに一生懸命やっていただいたことはわかっておりますが、正直なところ、私とすれば、出発点のスタートするとき、ドンといわれて走り出したときと、今日のゴールに駆け込むときとは大分状況が違ってきたなということは、実は私の非常に強い思い入れでございます。
 先ほど例を出した、五十年の区長公選制、あのときの改正は、区長公選という非常に住民にもわかりいい形の改正だった。これは、その後もずっといわれてきましたよね。では、今度の改正は、とどのつまり一体何だったと。もし後の時代に、評価というか見るとすると、これは結局清掃事業の区移管なんだ、こんなふうな結果に、僕は最後なったような気がいたします。
 そういう意味からすると、もちろん大都市行政がどうだ、何だという議論をさんざんしてきたけれども、今いった地方自治法の二条ですか、あそこの解釈の部分のところは、何だか住民にはよくわからずに、結局いってしまったなという気が非常にいたします。しかし、社会情勢がなぜ変わったかといいますと、こういう時代で、リサイクルだとか環境に対してどうするとか、こういう問題がとにかく大きくなってしまったから、今度の制度改革は、とどのつまり清掃事業の地方分権、都から区へ移したんだという、この大きな成果が、今日デフォルメされることは、決して悪いことではなかったような気がいたします。
 しかし、本当の出発点は、特例市構想だ何だといろいろなことがあったわけですから、少なくとも区側の立場に立つと、制度改革が、当初の目標からすると、少なくとも満点で終わったとは恐らく思えなかっただろうと思うんですよね。そういう意味では、これからも、もちろん、今こうやって実施を目前にして、すぐその結果の評価をしようなんていうと、それは行政部の皆さんだって、今始まるんですから、そんなこといわないでくださいという気持ちはよくわかりますから、そんなことを求めようとは思っておりませんけれども、とりあえずこれで出発をして、またいつごろになるかわからぬけれども、都と区で、また新しい大都市行政に合わせた都と区はどうあるべきかということは、ずっと自治法の中で制約されているものを徐々に直していかなければいけない。
 先ほどは、萩谷先生が三多摩格差だといわれたけれども、制度上はむしろ区の方がおくれているので、早いところ三多摩と同じような市にしなきゃいけないと、形は。むしろ僕はそう思うんですよ。そこへ向けた新たな制度改革に、またいずれのときには着手しなきゃいけない、私はそのように思っているんですよ。
 そういう意味で、行政部長にいろいろいいましたけれども、私はそういう思い入れの中におりますと。しかし、そうはいいながら、都は都の立場で、国を相手に、ここまで無理してでも引っ張ってきたんですよという気持ちがあるんでしょうから、いよいよ実施が始まって、しばらくはこの制度改革の問題は置かれるわけでしょうね。いよいよ法改正と、実施というので、恐らくこの議会、定例会で当面一段落するんでしょうから、それの総括をしていただけないか、このように思います。

○松澤行政部長 ただいま西条理事の方から、都区制度改革にこれまでずっと前進してきた経緯、あるいはいろいろな区のお考えも含めまして、お話をいただきました。おかげさまをもちまして、この都区制度改革、都議会の皆さんを初め、皆さんのおかげで四月からいよいよスタートする、こういうようなことでございます。
 今回の都区制度改革につきましては、今、理事の方からもお話がありましたが、昭和二十七年に地方自治法が改正されて以来、昭和四十年と、それから今お話がありました区長公選、あるいは保健所の移管も含めて、昭和五十年の大きな制度改革があったわけですが、基本的には今日までやはり都の内部的な団体とされていた特別区が、これからまさに真の意味の地方公共団体となる、そういう意義を有する改革ではないかというふうに思っております。
 こうした今回の都区制度改革につきましては、ご案内のとおり、大きく今回三つの柱から成り立っておりまして、一つには、今、理事の方からもお話ありましたが、特別区が一般の市町村と同様に、基礎的な地方公共団体に位置づけされたということでございまして、これは地方自治法の中でも、明確にそういうことが規定されたわけでございます。二つ目には、清掃事業の移管や三十二の事務事業など、住民に身近な仕事は可能な限り特別区に移譲するということで、こういう点が行われているものでございます。三つ目には、大都市の一体性、統一性の確保に配慮しながら、都区財政調整制度につきまして、総額補てん主義であるとか、それから納付金制度を廃止するなど、財政運営におきましても、特別区の自主性、自立性、そういったものを強化する、こういうような観点から行われたというふうに受けとめてございます。
 そういう意味から見ますと、今回の改革はいろいろご意見もあると思いますが、基本的には平成六年に都区の間で合意いたしました、いわゆる協議案の基本的な考え方を十分に踏まえたものとなっておりまして、その意味から都区間の長年の課題を達成することができた、このように考えております。

○西条委員 ありがとうございます。これはもう質問ではありませんが、先ほどの話にもありました四四%を五二%にして、これでとにかく出発する。やってみなければわからない部分はかなりありますし、皆さんが克明な積算をして出した数字でしょうから、これがそう簡単に変わるのも、いいとも思わないのです。しばらくは固定しているという話になっていましたね。たしか六年後まではとりあえず固定して、その間に様子を見ていくという話でしょう。
 ですから、その六年後のときに果たして五二でいいのか。社会条件は、六年たつから多少変わるでしょうから、そのときまた新たな問題が起きて、そこへ向けた制度改革、当面の次の段階というのはそういうものなのかなと私は思っておりますから、むしろ六年間ご苦労さまでしたと、六年の間は行政部長も少しこの問題から静かにしていられるのかなというので、我々も様子を見ていきます。(「そんなには待てない」と呼ぶ者あり)そんなには待てない。私は私なりに、当時いろいろな話をさせていただきました。六年も固定しない方がいいという意見もありましたけれども、とりあえずこういう形で一応決着がついたわけでありますから、また六年後に向けたお互いのいろいろな意見を交わしていきたい、このように思っております。
 この件はこれで終わらせてもらって、もう一つ、最後に、行政評価制度について質問させていただきます。
 膨大な資料というか、厚いのを読ませていただきまして、本年度はいわゆる政策評価を十事業、それから事務事業の方の評価を二十七事業試行したわけであります。来年、試行はもう一年続きまして、平成十三年度にいよいよ本格導入にしたいというのが当面の計画でございます。
 その段取り上の話で聞いておきたいのですが、当面の試行を十とか二十七に、平成十二年はやるというわけですけれども、これを今日まで絞り込んできた経緯、いきなりこれとこれと、ぽんと出たからやったというのじゃないので、なぜ十やって、なぜ二十七やったのか、それはどうやって選んだのかというようなことも含めて、それからまた、今後の十二年はどのようにするのかというようなことを含めてご説明願えますか。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 まずは十一年度の試行の件でございますけれども、一つは東京の危機を克服するための政策方針に対応する課題であること、それからソフト、ハードそれぞれの分野から選定すること、関連する事務事業が複数局で実施されていること、この三つの基準によりまして政策評価の対象を選定いたしました。これが二テーマでございます。この政策評価に関連する事務事業を十、それから総務局が従来から行っております行政考査のテーマに関する事務事業、あわせて、各局におきまして緊急に改善を図るべき課題に関連する事務事業、これを合わせて二十七事業選定したものでございます。このようにいたしまして、可能な限り多くの局で取り組めるよう、幅広く事業を選定したところでございます。
 お尋ねの十二年度の行政評価制度の試行についてでございますが、十一年度の試行の結果、明らかになりました課題を検証いたしまして、あわせて本格実施に向けて、評価方法についてさらに検討していくことを主な目的として実施するものでございます。

○西条委員 ちょっと何かよくわからない。こういう数字は出ないのかなと思うのですけれども、たまたま試行で、とにかくちょっとやってみたわけですから、これを見せてもらって、こういう細かな形での評価をしているのだな、そういう意味では、中身一個一個は非常に評価するのです。
 もし、こういう形で都の事業を全部やったとしたら、どのくらい数があるのですか。恐らく何千になるのだろうと思うのだけれども、ちょっとそれはわからないかな。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 事務事業をどのレベルでとるかによりまして、大分数は違うございますけれども、いわゆる予算の三表レベルでございますと、六千事業に上ると存じます。

○西条委員 もちろん今までやってきたものを、来年の十二年は試行だから別にいいのだろうと思うのです。六千全部やる必要はないのでしょうけれども、これだけの問題のうち、さっきも緊急性だとか重要性とかいろいろおっしゃっていたから、とり方によってもまた違っちゃうのだろうけれども、すごい量、このような形の評価のペースで進めていて大丈夫なのかなという気が多少しないでもない。とはいいながら、これはやればやるほど金もかかる話だし、評価のために評価しているような話になるのじゃ、ばかみたいな話ですから、そこらのことはちょっと、うっと今思ったのです。
 話を進めるためにもう一つ聞いておきたいのは、第一次評価は担当部局でやる。これはまさに自分で自分のことを、自己評価する、これはこれで大事なことだろうと思っています。やっている人たちが、みずからやっていることを振り返ってみる。それで二次評価を担当部局である総務局がやっている、こういうことですね。そうすると、総務局の中の体制、そちらの部の体制なんだけれども、これは去年の九月から始めて、三十七事業をやるのに、専門でだれかがずっとかかっていたわけだよね。それぞれの担当局、事務事業の担当課がやっているのも、指導しながらやっていたわけだからね。そうすると、これの体制というのは、どういうふうに組んでいたのでしょうか。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 十一年度の試行におきましては、総務局行政改革推進室が、同じ総務局内の行政監察室のご協力も得まして、お互いそれぞれ仕事は持っていたわけでございますけれども、その体制の中で事業所管局や関係局と意見交換をいたしまして、また外部専門家の方の意見も聞きながら、評価を実施したところでございます。

○西条委員 まだ今、試行の段階だから、恐らく答えられないのでしょうけれども、私、先行き本格導入になったらどうするのかなと思うのは、例えばこのための総務の中への人員体制の増とか、そういうことにも絡んでくるのかなというのも、これは答えなくてもいいのですけれども、ちょっとそんな気がしているから聞いたわけです。今は試行だから臨時的な対応だろう、こんなように私は解釈しているのです。
 それで質問を進めながら、今いったようなことも絡んで聞くようになっちゃうのかなと思うのですが、今、試行ですから、これを本格導入に向けての中身の中で、ぜひいっておかなければいけないと思いますのは、試行といえども評価をやります。それは本格導入に なった後のことも含めてなんですけれども、評価をします。当然これはこういう印刷物になって回るのでしょうから、我々議会にも見せてもらって、担当の事務事業をやっているところに、この評価はまた再び戻っていってということになるのでしょうけれども、それで終わっちゃったのじゃ意味がないわけです。これは当然、一回行政評価の対象になって結果が出されたものが、また何年後かに必ず、評価どおり本当に進んだのかどうか、大変いいから、もっと拡大しろという事業もあるし、極論をいうと、この中にもあったけれども、やめてしまえというのもあるわけだ。それから、ここをこう変えた方がいいというのもあるわけです。それがいつの間にか、そちらだって、今いったように六千のものを追っかけている間に、一回評価したのだけれども、それきりどこへ行っちゃったかわけがわからないみたいなのじゃ意味がないわけですから。
 これはまだ試行の段階ですから、そういう再評価の中には入っていかないのですが、本格導入に向けて、それぞれの仕組みをやはり今からつくるのだぞというのはやっておかなければいかぬと思うので、それらについては、どのようにこの試行の中で考えておられるのか。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 この行政評価制度を有効に機能させるためには、評価結果に関しまして、一定の期間フォローしていくことが重要であると考えております。実際の仕組みにつきましては、来年度の試行とあわせて検討してまいりたいと存じております。

○西条委員 まだ試行の段階ですから、もちろんその中で考えていくことになるんでしょうね。だから、ここでさっきのお話が何となくわかるのです。六千あって、六千全部を将来に向けてやるのではないと僕は思っていますから、この中の一体どれくらいになるかということがまず一つ。
 それから、そうなってくると、かなりの量になるし、仮にこの中の千でもやるとなったら、一年に三十くらいやっていたら何年たつのだという話です。それが一巡終わったころには、前の評価の結果なんかどこへ行っちゃったのだ、こんな話になりますから、そうすると、これに向けた行政評価制度という制度を取り入れたたために、大変な都の人件費もかかるという話になって、行政改革を進めて、こういう時代だから事業を見直そうと思っているのが、逆に、ミイラ取りがミイラみたいになっちゃって、総務局が巨大になっちゃった。これじゃ意味がないので――これはいいです、今、部長がこの中で考えますというからいいのですよ。また改めて、これが走り出したらちゃんと私たちも見ていきますけれども、私が不安なのは、別にだめだといっているのじゃないですよ、これだけのことをどうやってやっていくのかというのをちょっと聞こうかな。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 ただいまお話しいただきましたことにつきましては、私どもも重々考えているところでございまして、将来、本格実施に当たりましては、評価対象を都政の重要課題に対応する事務事業や改善すべき課題が認められる事業など、こういったものに重点を絞りまして、対象を選定して評価を行っていきたいと考えているところでございます。

○西条委員 わかりました。まあ、やってください。
 それで、もう一つ大事なことは、今は試行ですから、議会には出されたけれども、これがこういうものになって、みずから東京都として、それぞれ今やっている事業をこういうように評価しています、見ていますよということを、どこの範囲まで広げていくかという話ですよね。もちろん、これは出されたら、公文書なんだから情報公開の対象になるのでしょうから、一般都民が見る気になれば、何でも見られますが、いかんせん専門的ですからね。私だって、これを渡されましたけれども、目ぼしいところしか――一個一個見たら大変ですよね。そうはいいながら、都民にはわかりやすく、これでは都民は恐らくわからないものね。事業の中身がわからない都民にすれば、わからないから、わかりやすく、都はみずからこういうように評価していますということは示さなければいけない。そのやり方も、恐らく試行の中でしていくのでしょうからね。
 それから、この前も知事がどこかでいっていた、私の周りには有能なブレーンがいて、皆さんが思うより、ずっといいのがいるのだから心配するなみたいな話をしていたけれども、都内にそれぞれ専門分野の人たちがおられますから、その人たちがこういうのを見て――かなり専門家が、我々以上に専門家が、それぞれ一個一個細かいところですから、いやこうした方がいいよとか、これはむだだよとかいうのも、上がってくることはやはり大事ですよね。
 そういう意味では、余り簡略化したわかりやすいのが都民に公開されればいいのだという話ではなくて、かなり専門的なものは、都民の専門家に見てくださいというくらいの姿勢を、都が持ってもいいと思うのです。これだけのことをやるのですからね。そういう意味では、こういう時代に合わせたようなツール、まさにそれがIT革命だなんていわれているのですから、そういうものを使って、都内にいる専門家にそれぞれ評価してもらうというような形はぜひつくってほしいのです。

○飯山行政改革推進室行政改革担当部長 行政評価制度は、都の行政活動の目標と結果を都民にわかりやすい形でお示しし、都庁内外の政策の論議を高めることを一つのねらいとしております。このため、評価結果を報告書にまとめまして、ことしも都民情報ルームや都立図書館において直接閲覧できるようにするとともに、インターネット上の東京都ホームページにも掲載するなど、広く都民に公表しているところでございます。
 ただいまご指摘のございました、わかりやすさという点につきましても、これから工夫を凝らしていきたいというふうに存じております。そして、あわせて本文自体も、今申し上げたような格好で公表いたしたいと考えております。
 ちなみに、ホームページでございますけれども、一月下旬の掲載後、二月末までに二千七百六十一件のアクセスがございました。

○西条委員 三時になってきましたから、お疲れでしょうから、最後の質問にいたします。
 もう一つここで、実は今、監査委員がいろいろな監査をしていますよね。これは皆さんが行政執行していることを、第三者機関としての監査委員が監査をしている。しかし、これは実際は、金の流れや何かが適正に執行されているかということを見るのが、監査委員の本来の仕事ですからね。それでなかなかカバーできない部分が、こうやって時代の要請を受けて、行政評価制度というのをつくって、事業そのものが、時代にあっていいのか、こんなことでいいのか、もっとやった方がいいのか、少しやめた方がいいのかという評価をするためにつくった制度ですから私は監査制度とは違っているのだろうと思っています。
 ところが、今、試行の段階ですけれども、私がちょっとあれっと思ったことが一つあったのは、第一次評価と第二次評価という、一つの事業に対して二つのチェック体制をつくっていくことはいいことなんですが、少なくとも、総務局は同じ行政体の中の構成要員なんですよ。そうすると、他の局の事業を総務局という同列の立場が評価なりチェックなり、今いった監査的な仕事をするのですよね。将来、本格導入になった後も、こういう形でいいのかなということを、私も専門家ではありませんからあれですが、ちょっと不安に思った。
 なぜそんなことをいいますかというと、これは大変例が悪いですが、たまたま今日の警察行政の問題だとか、自衛隊の問題も出てきましたよね。要するに、組織内でやると、どうしてもこういうチェックは甘くなってしまう。甘えの中でなったのが、今の警察の大きな問題、内閣ががたがた揺さぶられるほどの大問題なんです。そうすると、今、こういう時代だからいいですけれども、この行政評価制度が一定の年限がたってマンネリ化していくと、果たして他の局を総務局がチェックをするという第二次評価のやり方というのは、これでいいのかなということは、私はああいう事件を見ながら、ちょっと不安に思っております。
 総務局長だって、なかなかやりにくいですよね。ほかの局長に――やりにくくない、自信を持っておられますから、それならいいのだろうけれども、ただ少なくとも同じ行政の中に、行政評価制度を通じて、総務局が他の局より一段上になるような、こういう構図になっていくのじゃないか、こんな気がいたします。
 これは今、試行の中ですから、すぐどうしろとはいいませんが、私も議員の立場で、今この場所で、そういうことを少し危惧をしたから、そのことだけは申し上げて、本導入に入っても、徐々に徐々に、長い時間をかけて改革していくべきだろうと思います。ですから、この制度がうまくいけば、こういう財政状況が厳しくなったときに、新しい事業の見直しが、こういう行政評価制度の中から徐々に徐々に、毎年毎年、まさにチェックしながら、新しい来年の事業を構築していくという制度がつくられるわけですから、これは大事なものだろうと思っています。
 そういう意味で、まさに都が先駆的に入ってきているわけですから、東京都でこれだけ大きな組織がうまくいけば、日本国中がまねる話になりますでしょうから、先ほどいった、同じ行政体の中のチェックがそれでいいのかというようなことも含めて、最後に、本則に向けた局長の今の考え方をお示しいただければありがたいと思います。それで終わります。

○横山総務局長 ただいまるる議論がございましたが、行政評価制度は、新聞報道を見ましても、国においてもまだ検討段階である、そういった意味でも、この国内において、いまだ確立された手法がないという状況でございます。現在実施している団体でも、それぞれの目的や規模に応じまして異なる手法をとっている、いわば試行錯誤の段階であると私どもでは認識しているわけですが、私どもとしては、今後ともいろいろな課題の検証を重ねまして、他に比較しようのない膨大な事業を抱えている自治体東京都、この東京都にふさわしい行政評価制度を確立すべく努めてまいりたいと思います。
 今、先生がおっしゃった内部の者が内部という話ですが、これは数年前からの食糧費の問題を含めまして、自治体、特に公務員に対する不信感というのがある。そういう中では仕方のないことではあるのでしょうけれども、私どもとしては、非常に悲しいことだというふうに思っています。
 例えば総務局が他局の事業に対して評価をする、ただ、これまでの不信感というのは、内部の監査であっても、それが公開をされていない、その状況が外部からチェックをされていない、これが根底にあったろうかと思うのです。先ほど説明しましたように、今後の行政評価は、全貌をすべて公開しますので、そういった意味では、内部が評価をしたとしても、その評価そのものがチェックされるというシステムだから、その辺は心配ないのではないかと考えております。

○石井委員長 この際、議事の都合により五分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時十四分開議

○石井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○野村委員 私は、ここにも提案されております都立科学技術大学と短大の授業料の値上げ問題から入りたいと思います。
 今回の値上げ案というのは、来年度から授業料の二年連続の値上げ、それに加えましてスライド制の導入も入っている、そのほかに、入学金も試験料も何もかも値上げ、こういう案でございます。授業料値上げだけを取り上げてみましても、来年度の新入生は、一年先輩に比べて九千六百円高い授業料から始まりまして、次の年にはまたまた一万八千円の連続値上げになるということになります。
 そこで、なぜ値上げをするのか、この値上げは国立大学の値上げに倣うといいますけれども、国が上げたら、なぜ都立の大学も値上げをしなければいけないのかということについて伺いたいと思います。

○幸田学事部長 今回ご提案させていただいております都立科学技術大学、都立短期大学の授業料等の改定でございますが、この改定は、受益者負担の一層の適正化や、社会的公平性の観点から行うものと考えてございます。
 また、お尋ねの国立大学の件でございますが、国立大学は、我が国の大学の中で大きな位置を占め、都立の大学とも運営が類似していることから、国立大学の授業料等を参考に改定を行うとしたものでございます。

○野村委員 国が上げるから都も上げるとか、また類似しているからといわれましたけれども、これはやはり都の主体性が大事だと思うのです。
 今、国民の家計は大変厳しい状態にございます。つい先日も、昨年の十月から十二月期のGDPが、年率でいえば五・五%の大幅マイナスになったということが報じられました。このGDPは、その前、七月から九月期に続いて二期連続の大幅マイナスで、これはやはり被雇用者所得の連続大幅減少、個人消費の年率六・三%ものマイナスがその原因だとされております。これがまさに都民の懐ぐあいの現状なわけです。こういう中で、国が上げたから都も授業料値上げをするというのは、都民も納得できないのは当然ではないでしょうか。都の独自性、自主的判断で施策を実行するということを求めたいと思います。実際に都立の二つの大学の大学生たちがどういう状況にあるかを、つかんでいらっしゃるのでしょうか。
 私、ここに東京の学生自治会連合が実施をいたしました、東京の国立大学の受験生へのアンケートの結果を見せてもらっております。大学生活で不安なことという中で、学費や生活費の負担などで学生生活を続けられるのかというのが、九八年度受験生では一一・八%で四位だったのですけれども、国立大学が値上げをした後のことしの受験生、三七%でトップになっております。その記述、綿々と書かれておりますけれども、学費のために親がパートを始めたというのがたくさんあります。また、なるべく学費の安い大学にしてくれといわれた、親に申しわけない、こんな言葉も出てまいります。父親がリストラされそうで不安、もしそうなったら大学をやめざるを得なくなると思うなど、受験生の切実な声が記されております。
 都は、こういう中で授業料の減免制度も実施しておりますが、この制度の活用状況の中にも、学生の生活実態があらわれているのではないかと思います。この制度と、制度の適用状況を紹介してください。

○幸田学事部長 学生の生活実態につきましては、科学技術大学、短期大学とも、具体的な調査をするなどして把握をいたしてございません。
 二点目のお尋ねでございますけれども、授業料の減免制度は、経済的理由等によりまして授業料の納付が困難な者に対し、授業料を免除、減額、分納、徴収の猶予等を行うことによりまして、修学の機会均等を図るということが目的でございます。この中で、経済的理由等により授業料の納付ができない場合や、学生本人または学費負担者が天災その他の災害を受けた場合等に、要綱に定めます基準によりまして審査を行い、減免を行っているところでございます。
 授業料減免制度の適用を受けている者は、十年度と十一年度を比較して申し上げますと、都立科学技術大学では百二十六名から百四十名、十四名の増、都立短期大学では百三十名から百七十八名で、四十八名の増となってございます。

○野村委員 やはりここにもあらわれていますね。
 この間、科学技術大学、私も伺わせていただいたのですが、ここは航空工学などという先進的な学科がありまして、これは東大、京大、その次に位置するくらいの大変高いレベルの卒業生を輩出しているということでありますので、ふえ方が割に少ないというのも、そういうことも関係しているのかなというふうに思いますけれども、都立短大の方は減免割合が随分高くなっている、これはまさに都民の実態だと思います。こういう状況の中で、調査をしていないということでありますけれども、やはり調査をして、本当に実態をつかんで、授業料値上げをするかしないかという判断を自主的になすべきだということを申し上げておきたいと思います。
 その上に、スライド制の導入なんです。何でこういうときに制度を変えるのかということが問題なわけです。入学を決めるときに、それぞれの家庭では、大変な出費なんだけれども、子どもの将来のためにと、四年間の学費を予想して、それで何とかこれでやっていこうというふうに考えるわけですよね。さっき紹介したアンケートにありますように、親がパートに出かけるとか、そのための財政計画を考えて進学を決めるというのが実態だと思います。ところが、スライド制が導入されますと、今度の場合も連続で、次の年に値上げになれば、今度の新入生はまたその次の年に値上げになる、そういうことになるわけですよね。本当にこれは許されないと思います。
 それでは、来年入学する人たちの四年間の学費は、初めの予定の学費と比べてどれほど負担増になるのか、ご報告いただきたいと思います。

○幸田学事部長 今回提案させていただいている、平成十二年度入学生からスライド制を導入した場合の授業料を例にして申し上げますと、都立科学技術大学の平成十二年度入学生の場合で、一年次では九千六百円、二年次から四年次にかけまして、毎年二万七千六百円増でございますので、四年間トータル九万二千四百円。
 同様に、都立短期大学では二年間で二万六千四百円、負担額がふえるということになります。

○野村委員 やはり大変ですよね。四年制の大学の場合は、四年間在学している間に、これまでもそうあってはならないと私思いますけれども、二年に一遍値上げが提案されてきた、こういう経過があります。もしそういうふうに、四年間在学中にもう一回値上げがあるということになれば、これにさらに上乗せされる、そういうことになるわけですから、初めの計画からどんどん狂っていく、その間にどういうふうに学生たちが、また親たちが苦労するのかなということを考えていくと、これは絶対許せないというふうに思います。
 今回、二年連続というのが提案されておりますが、一年分の値上げとスライド制の導入というのは、既に十年の一定に出されておりました。これは、全会派が反対をいたしました。また、やはり同じ十年の第四回定例会では、一会派を除いて反対で、否決をされたものでございます。そのときに、各会派はそれぞれ、長引く不況のもとで都民は生活にあえぎ、中小企業は経営危機に瀕している折から値上げには反対だ、ある会派は、値上げについて、現下の厳しい経済情勢における都民生活への影響を考慮するなら、都民生活に影響を与える措置、値上げ案には賛成できないというように、それぞれ反対の意見を述べて否決をしているわけです。
 その後さらに、先ほどもいいましたように、経済指標は悪化しているわけですから、そしてまたそれにスライド制を導入して値上げに拍車をかけるというような提案でありますから、これは絶対に認められません。この条例案の値上げ案は、撤回をするように求めたいと思いますが、どうですか。

○幸田学事部長 授業料は、大学の施設及び教職員から提供されますところの教育サービスへの対価としての性格を持つものと理解しておりまして、受益者負担の観点からは、学生の皆さんには、これらサービスの提供にかかわりますところの経費を分担していただく必要があるというふうに考えてございます。
 今回の改定は、受益者負担の一層の適正化を図るため行うものでございまして、その改定に当たりましては、学生の教育に要する経費や、国公立大学の学費等の状況、社会的公平性の確保などさまざまな面から検討を行って、ご提案をさせていただいているところでございます。

○野村委員 世界的に見ますと、学費の無料化というのが世界の流れになっております。こういうときに大学の設置者が、その大学で学ぶ学生の勉学条件を考えていないというのは、非常に重大な問題だと思います。事は日本の未来を背負う教育なわけですから、重ねて反対を表明しておきたいと思います。
 次に、東京都の育英資金に進みたいと思います。
 東京都は、大学生、大学院生などへの育英資金貸付の廃止を今度提案しているのです。その理由として日本育英会、国の方の制度が、貸付条件が緩和されて受けやすくなって、枠がふえているといっておりますけれども、この国の制度は希望者全員を受けとめられるのかどうかということが問題なわけです。
 そういう意味で、その判断材料として国制度と都制度、その実績を示していただきたいと思います。

○幸田学事部長 国におきましては、大学、短大につきまして、平成十年度に新規採用枠を四千六百人拡大し、その結果、十一年度の新規採用枠は五万四千三百九十五人となってございます。
 また、大学院修士課程につきましても、平成五年度から十一年度までの間に新規採用枠を四千六百五十人拡大いたしております。それで、十一年度の新規採用枠は一万三千六百五人となってございます。
 このほか、平成十一年度には有利子貸付制度というものの抜本的改正が行われまして、採用規模の倍増、貸付要件の大幅緩和が図られたところでございます。
 一方、都の育英資金の実績についてでございますが、大学、短大では、平成九年度で応募者三百二十四人に対しまして採用は二百五十四人、十年度は応募者二百七十六人に対しまして採用者は百二十二人、十一年度は同様に、応募者百五十人に対しまして採用者は百三人となってございます。
 大学、短大、大学院に関します国の制度は、ただいまご説明したとおり、大幅な充実が図られており、都の事業に対します現在の需要につきましても、国の制度充実の中において対応が可能と考えているところでございます。

○野村委員 確かに、国の枠は大変にふえているということは、ここでも見えるわけですけれども、ただ、今ご報告いただきましたように、申請者全員が受けられる実態にはないわけですよね。先ほど、子どもや学生や、その家族が大変な思いをしていることを述べましたけれども、私立の大学生は、さらに厳しい負担をせざるを得ない事態にあるわけです。
 そういう意味で、さらにますます厳しさを増す経済情勢の中で、希望者が増加するということも予想されるわけですから、国の制度の充実が実態として確認される前に、早々と東京都での育英資金の貸し付け、大学生や大学院生、短大生への貸し付け分を廃止するというのは乱暴だと思います。そういう意味で、この廃止の撤回を求めたいと思いますが、どうですか。

○幸田学事部長 国におきましては、日本育英会の実施してございます育英奨学制度につきまして、地方分権の流れや育英奨学事業に関します文部省の研究会報告などを受けまして、大学、大学院等、国の所轄でございます高等教育機関への事業の重点化の方向性を打ち出しているところでございます。現在、国の大学、大学院等の育英奨学事業につきましては、このような考え方に基づきまして、質的、量的充実が図られてきているというふうに考えてございます。
 都としては、こうした状況の変化を踏まえまして、役割分担等について一定の整理を行いまして、今後は都道府県の所轄でございます、高校生等への貸し付けに重点を置いた運用を図ることが適当であると判断したわけでございます。このため、大学、短大、大学院修士課程の学生に対します新規貸付は、平成十二年度をもって終了することといたしているところでございます。

○野村委員 国の施策が拡充する方向だということは、もう認めております。しかし、それが本当に都民の子弟にとって生かされるという状況が把握される前に早々とやめるというのは、やはり問題があるという点で、都が、学生が安心して学業に励める経済環境を整えるというこの事業の精神を生かして、さらに取り組むべきだということを求めておきたいと思います。
 次に、この育英資金と同じような施策で、高等学校大学等進学奨励という同和対策事業がございます。これはどういう施策なのか。それから育英資金との違いを対比して、簡潔に説明していただきたいと思います。
 また、育英資金の方は、大学関係の廃止の提案がされているわけですが、この施策の方はどうするのかということも含めてお願いいたします。

○田口人権部長 同和対策の高等学校大学等進学奨励事業の貸付金額の単価につきましては、国の地域改善対策高等学校進学奨励費事業の基準に準じて実施しております。平成十一年度における学資金は、高校の場合、国公立が月額二万二千円、私立が四万三千円、大学、短大につきましては、国公立が四万八千円、私立が八万二千円になっております。
 これに対応いたします一般対策の育英資金貸付事業でございますけれども、高校の国公立月額が一万四千円、私立が二万六千円、大学、短大の国公立が三万八千円、私立が四万七千円となっております。
 また、入学支度金の貸し付けにつきましては、同和対策では、高校の場合、国公立が二万七千五百円、私立が七万三千四百円、大学、短大につきましては、国公立が三万六千七百円、私立が八万五百円でございます。これに対応する一般対策の私立高校等入学支度金の貸し付けでは、私立の高校等のみでございまして、二十万円となっております。
 収入基準につきましては、四人世帯のモデルで、高校の場合、給与所得ベースで比較しますと、一般対策の育英資金では六百七万円以下の世帯を対象としております。また、同和対策の進学奨励事業でございますけれども、育英資金の基準額の一割増しの六百六十八万円以下の世帯を対象としております。
 今回の見直しにつきまして、この辺の事業はどうなるかというお尋ねでございますが、同和対策の高等学校大学等進学奨励事業につきましては、平成八年の東京都の同和対策本部会議におきまして、国に準じます進学奨励事業、こういう形の位置づけの中で、九年度からの五年間の経過措置を講じているところでございます。

○野村委員 額にしても、収入額の基準からいっても、いろいろとおしゃいましたけれども、大幅な優遇策になっているわけですよね。
 先ほどもちょっと質疑をいたしましたように、育英資金の方は、大学は今度は廃止しようという提案に対して、こちらの奨励事業の方は、経過措置でまだまだ十三年度末まで続く、こういうことなわけです。
 ここら辺にも、いろいろ問題があると思うのです。これはまた後でまとめて取り上げたいと思いますが、そのほか、こういう教育関係だけではなくて、既に財政再建推進プランの中身として予算案にも組み込まれております都営住宅関係の家賃の減免制度というのが出されておりますけれども、同和向けの特別の施策、使用料の特別減額とか、特別割当とかいうのもありますが、これも対比して、なるべく簡潔にお願いいたします。

○田口人権部長 都営住宅にかかわる同和対策事業といたしましては、都営住宅同和向け割り当て、都営住宅使用料の特別減額がございます。
 初めに、都営住宅の同和向け割当と一般募集との違いについてご説明いたします。一般募集でございますが、空き家と新築住宅を対象に、公募による抽せんで決定をするのに対しまして、同和向け割り当ては、母子世帯あるいは心身障害者世帯等と同様に、空き家を対象にポイント方式で決定いたします。
 次に、使用料の特別減額と一般減額との違いについて説明いたします。都営住宅の一般減免と同和対策の特別減額は、制度の目的が違いますので、一概に比較できませんが、現行の一般減免は、政令月収六万五千円以下の居住者に対し、段階的に家賃を減額または免除するものでございます。同和対策の特別減額は、母子世帯、心身障害者世帯等と同様に、特定な条件のもとにある、政令月収二十万円以下の居住者に対し、家賃の二分の一を減額するものでございます。

○野村委員 特別割り当てというもののお話がなかったと思いますが、そういうものもある。これも先ほどの修学奨励費と同じような緩やかなというか、そういう施策が組まれております。
 そのほかにもいろいろ、たくさんあるわけですけれども、きょうは時間が余りないようですから、紹介していただくのをやめますけれども、住宅貸付とか融資とか、いろいろな面でそういう施策が組まれております。どれも一般施策よりも高い水準の施策が行われている、これを確認しておきたいと思います。
 これらの同和施策、これまでの歴史的な経過があり、今日に至っていると思うのですが、国のさまざまな方針も受けまして、東京都の実態もあるし、今後どのようにしようとしているのか、それからこれまでの動き、節々にいろいろな国の意見具申やら出ておりますけれども、それらも含めて簡潔に、よろしくお願いいたします。

○田口人権部長 まず、同和対策事業の経緯についてご説明いたします。
 東京都の同和対策は、震災や戦災、戦後の人口、産業の集中などの理由により、地域コミュニティが大きく変化したため、法律による地域指定を受けることなく、都の単独事業として実施してまいりました。このような中で、東京都は同和問題は基本的人権にかかわる重大な社会問題である、この認識のもとに、都政の重要課題として位置づけ、法律や各種答申等の精神を尊重しながら、都の実態に即して、昭和四十三年以来推進してきたところでございます。
 平成十年の三月末に、国の同和対策の根拠法でございます、いわゆる地対財特法の法期限を迎えることから、国は平成八年、地域改善対策協議会の意見具申を受けて、同和対策の見直しを行いました。これを受けまして、都も八年十一月及び九年の十二月に東京都同和対策本部会議において、それまでの同和対策事業の成果及び現状を踏まえるとともに、意見具申、閣議決定の内容等を考慮いたしまして見直しを行い、今後の方向を決定いたしました。
 この内容をご説明いたしますと、一点目に、環境改善計画を八年度末をもって終了することとし、既に着手済みの事業で、八年度末までに完了できなかった事業について、平成九年から五年間の財政措置を行うというものでございます。
 二点目が、産業労働基本計画を八年度末をもって終了するとともに、皮革関連産業の振興は、地場産業振興の観点から一般対策により対応するというものでございます。
 三点目がいわゆる属人的事業についてでございますが、事業の利用状況や国の方針等を踏まえまして、激変緩和措置を講ずる必要のある事業について、平成九年度から五年間の経過措置を設け、終了するというものでございます。
 四点目は、同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育啓発について、同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、一般対策として人権教育、人権啓発に発展的に再構築するというものでございます。
 五点目が、産業労働会館と財団法人東京都同和事業促進協会について、同和問題を初めとする人権全般の啓発等を推進するため、両者の機能を整理統合するとともに、同協会を財団法人東京都人権啓発センターに改組するというものでございます。
 現在は、この本部会議決定に基づきまして、同和問題の早期解決を目指して、同和対策事業を実施しているところでございます。

○野村委員 大変詳しく述べていただいたのですけれども、また、大変難しいことがいっぱいあるわけです。
 今ご紹介ありましたたくさんの項目を決定いたしました本部会議、これは広い分野にまたがる問題、人権という方向に発展するということからいっても、これは庁内の内部会議ですよね、そうではなくて、もっと関係者や学識経験者も集めて議論をすることが必要であったのではないかと私は思います。
 こういう中で、総務局の組織も同和対策部から人権部というふうに名前が変わったと。それは内部かもしれないけれども、とにかく人権という問題に対象を広げる、同和対策は基本的な人権問題の重要課題だと位置づける、こういうことでありますけれども、そういう広い分野に広げる問題を、こうした内部会議だけで決定したというのは、私はちょっと問題なんじゃないかなと思うのです。
 私も読ませていただきましたけれども、その後、懇談会が設置をされております。その中で九つですか、課題ということで論議をされていますけれども、その前に人権という名前がついたわけですよね、どうでしょうか。

○田口人権部長 今、理事からお話のございました専門懇談会でございますけれども、昨年の十二月に、知事に対しまして、東京都の今後の人権施策のあり方につきまして提言をしております。

○野村委員 その懇談会は昨年度設置されて、昨年の十二月には提言というものが出されておりますけれども、そのときには、それこそ学識経験者などを集めてやっていますよね。だけれども、人権というところでこういう問題を広げるのであれば、もっとその前の時点でそういういろいろな方々に集まっていただいて、また、これまで同和事業に関連のあった皆さん方にも集まってもらって、そこで皆さんの意見も聞きながら進めていくべきではなかったかと私は思うわけなんです。
 人権については、後ほど申し上げたいと思いますけれども、先ほど一端を紹介していただきました同和施策を見ましても、教育にしても、また都営住宅関係にしても詳しく説明していただきましたが、一般の施策と比べまして非常に優遇されている、差別といいますけれども、これは逆差別だといってもいいのではないでしょうか。
 東京における同和問題は、先ほどもご報告の中にありましたように、地域が指定をされていないという特殊な状況になっております。ですから、こういう事業についても、属人的事業として行われてきたわけでありますけれども、もはやその後、現在の状況といえば、こうした施策を実行する存在の意義がないのではないかと思うのです。
 そういう意味で、これまで事業を行ってきた各区がありますけれども、そういう各区の状況は調べていらっしゃらないのでしょうか。私が調べさせていただいたところ、例えば足立区は八二年に属人的事業全般を廃止しております。品川区は八九年に生業資金、同和事業振興資金を廃止しておりますし、墨田、台東、荒川区が属人的事業をその後廃止して、葛飾区の出産家庭助成と、江東区の生業資金という貸付事業がありますが、ともにこの二〇〇〇年度には廃止をする予定ということになっているそうでございます。一つ残っております生業資金貸付事業、これは大田にありますが、制度としては残っているけれども、実質借り入れはここ三年間ゼロ、こういう状況だ、まさにこれは、既に実態はないのだということを示していると私は思います。
 このような状況の中で、都としても、先ほどの説明でも十三年度末、二〇〇二年の三月には終結をする、やめるということになっているわけでありますけれども、この二〇〇二年の三月を待つことなく、早期に事業を終結するのが、今の東京の実態に照らして正しいやり方だと考えますけれども、いかがでしょうか。

○田口人権部長 二十三区の状況等でございますけれども、現時点では正確な内容については把握しておりません。
 東京都の進め方でございますけれども、属人事業を含めました都の同和対策事業は、先ほど申しましたが、平成八年、九年の同和対策本部会議決定に基づきまして、大変大きな見直しを行っております。平成八年度に九十六の事業がございましたが、そのうちの七十一の事業について事業の廃止、整理統合、一般対策への移行といったものを行いまして、現在は激変緩和のための経過的措置等を設けた二十五事業について実施しているところでございます。
 今後とも、平成八年、九年度の本部会議決定に基づきまして、同和問題の早期解決に努めてまいる所存でございます。

○野村委員 今まで九十六事業やっていたのを二十五事業に減らしたのだというので、よしとは、やはりできないと思うのですよ。先ほどもご紹介したような、最も足元の、そういう事業を今まで受けていらしたような方の住んでいらっしゃる地域の事業、これがもう実態はない、廃止もしている、こういう状況にあるわけですから、これは二〇〇二年の三月まで、減らしたとはいってもそのまま続けていくのじゃなくて、やはり終結をすべきだというのが正しいやり方だということを、もう一度繰り返させていただきたいと思います。
 それでは、一般施策としてどうなのかといえば、今、都民の中でも低所得者、生活困窮者、こういう方々は多いわけですよね。そういう中で、暮らしを助ける施策として都営住宅の減免制度をきちっと今までどおり維持するとか、高齢者や障害者の医療制度や福祉手当を廃止ではなく充実させるとか、そういう一般施策こそが本当に必要になっているのではないでしょうか。
 制度は残っているけれども、もはや実態はない、そういういわばむだのような事業は廃止をさせて、一般施策として低所得者や生活困窮者を助ける施策を充実させる、それが東京都の仕事だと思いますが、どうでしょうか。

○田口人権部長 同和対策につきましては、先ほどもご説明いたしましたが、同和問題の早期解決に向けてということで、特別対策で実施しているところでございます。
 一般対策への移行につきましては、それぞれ今現在、各局の中で施策をもって対応しているということでございますので、私どもといたしましては、早い時期にこの同和問題を解決していくという方向で取り組んでいきたいと思っております。

○野村委員 繰り返しはいたしませんけれども、本当に前倒しで実施をする勇気を持ってほしいということを申し上げておきたいと思います。
 さて、先ほどおいておきました人権施策なんですけれども、人権施策を推進する、人権施策推進のあり方専門懇談会の中で、人権の課題として九つ議論されているわけです。その九つを、一応ご紹介してください。

○田口人権部長 人権施策推進のあり方専門懇談会につきましては、国連十年の国内行動計画の中で、重要課題として出されている人権課題がございます。
 分野別に申しますと、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人びと、外国人、HIV感染者等でございますけれども、こういった課題にも触れますとともに、それだけではなくて、性的マイノリティー、あるいは医療被害者、犯罪被害者等においても、人権にかかわる、そういった要望が存在する中で、都の施策の中でそういった点に目を向けて取り組むべきだ、こういった提言がされております。

○野村委員 人権といいますと、今挙げられたそれだけではなくて、リストラ、倒産などで職場を奪われている労働者の権利の問題、それから住居の権利というか、まともな暮らしを保障する問題とか、それから先日、尼崎の道路公害裁判に私も行きまして、この判決の中に、身体権というのが人権の問題だということで出されているのです。健康にきちんと育つというか、生きていく身体を保障される権利、そういうようなさまざまな人権の概念を、これからどう都政の中に生かしていくかが問われるのだと思うのです。
 そういう意味で、都政において人権というときに、よって立つところはやはり憲法の立場であり、それから国際人権宣言などの立場だと思います。本当にだれもが真に平等に扱われて、人権を守られる東京をつくる、それを大きな課題として頑張っていってほしい。同和から出発したからといって、基本的に同和は重要だということを、さっき二、三度おっしゃいましたけれども、そこに固執するというか、とらわれるのではなくて、人権というならば、人権部の活動も含めて、広く人権を考える活動を東京に求めたいと思いますが、これは局長さん、いかがでしょうか。

○横山総務局長 東京都は、現在、同和問題の一日も早い解決を目指して、経過的措置として、各種の同和対策事業を進めているところですが、残された課題の解決のためには、なお一層創意工夫を凝らした取り組みが必要であると考えております。
 今後の取り組みとしましては、差別意識の解消が主要な課題になりますが、人権問題をめぐります国際的、国内的な動向を勘案しまして、適切に対応してまいります。

○野村委員 本当に頑張っていただきたいと思います。
 さて、非常に複雑な問題があるようでございますが、先ほどのいろいろな都の変遷というか、考え方の変化の中にも出ておりましたけれども、産業労働会館の問題がやはりあると思うのです。伺いますと、今まで産業労働会館の中にありました足立の職業訓練校の台東分室として製靴科、そういう科が置かれていたり、あるいは皮革関連の試験研究施設がここに置いてあった。それをよそに出てもらって、今度は産業労働会館を人権情報館ということにするのだというのが、今度の予算にも組まれているわけですよね。
 そういう意味では、私はこの地域にある産業労働会館は、それこそどいてもらったというか、よそへ移転させた職業訓練校の分室だとか、あるいはその地域独特の関係の試験研究施設とか、そういうものこそここに置くべきではないか。そして、人権の情報館というのだったらば、先ほど申し上げたように、人権は非常に広い分野にわたる問題ですから、それこそ限られた地域ではなしに、今までここにあったからそれを利用するというだけではなくて、やはり都民の多くが活用できやすい地域に移転をさせて、きちっとした機能を果たさせることこそ必要だったのではないか。だったと、過去形でおかしいですけれども……。
 それで、可能であれば、もっと都民に開かれた場所に移すべきだというふうに考えるものですが、いかがでしょうか。

○田口人権部長 産労会館を人権啓発の拠点として整備する、仮称で人権情報館と申しておりますけれども、今、先生からお話のございました、この産労会館に入っております足立技術専門台東分校、それから皮革技術センター台東支所、この二つの施設につきましては、十二年度末に移転するということでございまして、その後の拠点の整備ということでございますので、先ほど先生のお話の中に、本年度の予算というようなお話がございましたが、予算としては十三年度の予算ということで考えてございます。
 この経緯でございますが、産業労働会館を人権啓発の拠点として整備する理由といたしましては、一点目に、産業労働会館はこれまで人権問題の一つであります同和問題の解決のための普及啓発や相談等の実績がありまして、また人権啓発を進めていく上で必要となるさまざまなノウハウや、資料等が蓄積されております。
 二点目といたしましては、人権啓発の拠点としての機能を果たすために、講演会や映画会等を行う施設や、人権問題に関する資料展示や図書資料閲覧の施設が必要になりますけれども、そういった既存施設を有効に活用することができます。
 三点目といたしましては、産業労働関連事業の今後の展開を考えたときに、現在の施設では面積的にも、あるいは構造的にも限界がある、そういった面で別の施設が望ましい、このように考えております。
 これらを総合的に勘案いたしまして、人権啓発を進めていく上で産業労働会館の有効活用を図り、人権啓発の拠点とする、このような考えでございます。

○野村委員 今いわれたことを見ても、やはりこの場所に、一般施策の地場産業としても必要とされている皮革関連、また靴の製造関係の拠点としてここを使うというのは妥当性があるなと、私は逆に思いました。
 本当にさまざまな問題があるわけでありますけれども、今までの同和対策事業に引きずられてというか、それを重点にしながら、その回りに人権をかぶせるというようなやり方ではなくて、本当に都民の人権を重要視した施策に転換をして進めていかれる必要が、この事業にはあるのではないかというふうに考えるところです。
 先ほども申し上げましたように、今行われております同和事業、前倒しで終結をして、一般的な施策として、生活困窮者や低所得者層を助ける施策の方にそのお金を回していく、そういう考え方を進めていかれるように、特に重ねて申し上げまして、終わりたいと思います。

○木村委員 私は、財政調整条例の一部改正と、平成十二年度の財調予算についてお尋ねをします。
 この十二年度の都区財調というのは、例年の財調協議とは違って、特別の意義のあるものであることは、いうまでもありません。都区制度改革の長年の自治権拡充の運動、改革の趣旨が財調にどう生かされたか、地方分権に向かって、特別区が基礎的な自治体として第一歩を踏み出すということに足る財調協議になったかどうか、この視点から、提案されている財調を検証したいというふうに思います。
 昨年十一月の事務事業概要質疑でも、私、この問題を取り上げたのです。経過として、都と区の間での大都市事務の範囲についてはいろいろ論議がありましたけれども、結局不調に終わった。東京都の大都市事務の提案した項目が六十七項目、区と合意できたのが二十八項目。あのときもいったのですけれども、国際フォーラムだとか国際展示場、東京湾横断道路の出資金だとか、これはみんな大都市事務だというようなことを提案するということ自体が、この際、どさくさに紛れて、都区制度改革を利用して財源を浮かそうという魂胆が見え透いているというふうに、私はそのとき指摘したのですけれども、結局不調になったということを前提にして、これまで長年の四四%という調整率をスタート台、発射台として、移管される事務事業の経費をどう見ていくかという論議に入っていったわけですね。それが、昨年秋の状況だったというふうに思うのです。
 それで、どう決着がついたのかということでありますけれども、私は、一言でいうと、結局都の姿勢は直らないまま、二十三区を基礎的な自治体として第一歩を踏み出していくように、都区制度の改革の趣旨を尊重して協議を続けたとは、とてもいえないという決着になったのじゃないかと思わざるを得ないのです。
 昨年十二月十七日に区長会が副知事に要請をしました。十二月十七日というのは、千駄ヶ谷体育館で首都移転に断固反対する国民大集会というのがあったし、終わって、区長が集まって、体育館の第四研修室で副知事に緊急要請をした。そのときのメモをいただいております。
 そのときの区長会の要望の第一は、ともかく都区配分と区間配分は区別して協議してくれということが、第一の要望になっていますよね。区長会は、区の需要の見直し、区間配分というのは、必要があれば、そのこと自体は区側としても見直しますと。しかし、それは都区配分とは別次元の問題として検討してほしいという要望なんですよね。それは今度の財調が、都区制度改革を受けて、清掃事業などが移管されるということであれば、まずそうした移管経費も含めて、都と区の配分率などをしっかり協議をして決める。その後で、区としてのこれまでの需要を見直していくという作業をやればいいじゃないか。一緒にやって、区の方にもこれだけ見直す必要がある、見直したものは財源を吸い上げて、都と区の協議の中にまぜこぜにして、財源を配分するというようなことを何でやるのだということが、区側のいい分だったのですよ。
 私、このいい分はまさに当たり前な話で、あれだけ大都市事務で長い論議をして決着がつかなかったのだから、さあいよいよ来年度、十二年度の都区財調の配分率を決めようというときに、区のそうした当たり前のいい分を、まずやはり尊重してやっていくべきというのは当然だというふうに思うのです。
 そういう意味で、こうしたやり方が結局は今回の決着の中に、法改正の趣旨や制度改革の趣旨を軽んじて、ただ金の配分で、どう有利な立場に東京都が立つかということで終始したのじゃないかというふうに思いますけれども、まず、その辺のご認識を伺いたいと思います。

○横山総務局長 ただいまの先生の、今回の都区財調に当たっての都側の姿勢に対する批判をしていますが、これはとてもじゃないけれども、容認するわけにいきません。私どもは、今回の財調協議に当たりましては、特別区をまさに名実ともに基礎的な自治体として位置づける、そういった制度改革の基本に立って協議に当たってまいりました。
 財調につきましても、これは協議ですから、協議である以上、当然都区が忌憚なく意見を交換する、時には激しい議論をする、そうした中で合意に達したので、そのときにも都区で五項目の合意事項を付して合意をしているわけです。とても都の一方的な押しつけだと、こういうことはあり得ないと申し上げておきます。

○木村委員 私も結論をいって、あなたも結論をいったのですが、それでは具体的にどういう点で、私が今いったことが結果に反映しているかという点について入りたいと思うのです。
 一応決着はつきましたよね。決着がつくときには、随分すったもんだがありました。私は、あれは政治決着だという印象を持っています。しかし、四四%が五二%になった。金額にしてみれば約千二百億円くらいですか、清掃移管事務の移管費用が千二百八十七億円、別途措置するものが七百四十五億円、そのほか国保、介護保険など、いろいろな問題がありました。
 こうした決着、今、局長が色をなして反論してきましたけれども、区側の区長や何かは実際どう思っているかというと、今開かれている区議会の中で、区長などが施政方針で説明している中で、やはり現時点ではやむを得ないということで決着を図ったとか、区側としては大変不満足であるというようなこと、激しい論議があったけれども、結局不満足ながら決着せざるを得なかったということを、多くの区長が公式の場で述べています。
 そこで、一つは、清掃事業を都区制度改革によって区に移管した、清掃事業は、法律上は区の固有事務になったわけであります。区の固有事務を移管するに当たって、あらかじめ財調で移管する財源の不足を前提にして、七百四十五億円別途に措置をするというやり方がとられたわけですよ。私は、これは相変わらず二十三区を東京都の内部団体と扱うという、従来型の見地の反映だ、都区制度の改革の趣旨を軽んじている一つのあらわれだと――合意はしたかもしれませんよ、合意は、先ほどいいましたように政治的な決着を見たわけですけれども、ここにあらわれているというふうに私は思いますけれども、いかがですか。

○横山総務局長 今の特別な措置をした財源というのは、今回、財調制度を理解いただければ、あれは標準的な経費を算入するのであって、清掃職員については、六年間の都の身分を保有したまま派遣をする、こういう例外的な措置をとっているわけですから、当然人員的な増減もございまして、そういった標準的な経費をとれば、おのずから年度間によって不足分が生じる、それを別途措置したということでございます。

○松澤行政部長 ただいま別途交付金について局長からもご説明がございましたが、この別途交付金七百四十五億円の内訳について若干申し上げますと、これについては、基本的には清掃移管の人件費についてはほとんど財調の中で見ておりまして、七十六億円の不足分だけが別途交付金の七百四十五億円に入っております。それからあと大きいのは、これまで都の方が清掃工場とか、こういうものを建設してきた起債の償還費、これは都債で発行したものでございまして、これの償還費が五百二十九億円ございます。これはローンでございますから、引き続き都が間違いなく償還するということで、別途こういうふうにしてございます。
 それから退職手当が百五億円ございますが、これも都から清掃職員を六年間派遣ということでございますので、この退職金は都が予算措置して、ちゃんと間違いなく全額補てんする。それから清掃の還元施設の補助が三十五億円ということで、今、局長が申し上げましたように、標準的な財調の算定になじまないもの、そういうものを別途交付金ということで措置して、全額間違いなく、清掃移管がちゃんといくように経費を算定した、こういうことでございます。

○木村委員 なじまないものを別途措置したというものはさておいても、今度移管された経費の財調に標準算定されたもののやりとりを見ても、例えばごみの減量のトレンドが都と区の間で論争になりました。ごみが減っていく割合が、東京都の主張三・二%、区の主張は都のスリムプラン21に基づいて〇・七五%です。これはどういう違いかというと、東京都の方は、その後リサイクルの普及などによる実際の減り方のトレンドをとったのです。では、職員費の方はどうか。職員費の方は、東京都の場合は単価八百六十七万で、これはモデルの人件費だ。区の方は、いやそれは実際に払っている人件費でもらいたい、これは単価九百七万ということですね。
 結局、ごみの量の方は東京都は実態の方で迫る、区の方は、東京都の計画どおりしてくれと。人件費の方は、東京都の方は今度モデルだという、一つの計画で、区の方は実態で、ともかく今かかっているだけもらいたい。実際に、理屈としては、結局渡す金が少ない方少ない方というのが――双方の主張になっているという形なんだ、もらう方が多い方がいい、少ない方がいい、ということになっているのですよ。
 私は、やはり区の財政自主権という立場に立って、そういう意味で一つ一つ見ていくと、都のやり方が区の財政自主権をつくっていく上で本当に妥当なものであったのかどうか。先ほど既発債の償還費だとか、退職金だとか、財調になじまないから別途にしたのだというけれども、実際は退職金だとか既発債の償還費だとかというのは、今がいわばピークみたいな財源ですね。だから六年後、変わって再協議するというときには、ぐっと減っているという性格のものでしょう。今そのまま標準算定に入れてしまえば、大きいものを算定の中に入れざるを得ないという性格のものなんですよね。法的に細かいところは私もわからないけれども、しかし、結局はそういう形で法律上固有事務になっているものについて、あらかじめ明確に不足した分だけが算定になっているということは事実だと思うのですよ。そういう意味で私はいったのです。
 小学校の改築の将来需要についてはどうか。この問題の中心は、この需要がここ二十年くらいにピークになることは、紛れもない事実なわけです。ですから、区側としては、この二十年くらいのピークにどう対応するかということで、財調の算定を標準化するということは、自治体としては当然の立場だと。ところが実際は、耐用年数五十年だというので、五十年の長いスパンで、将来子どもが減るのだから、それで大丈夫だという理屈が都側の理屈で、区側の要求が二百五十八億で、都側の提示が三十七億で、七倍くらいの開きがある。
 私は、この問題も、長い間例の繰り延べの問題があって、財調の需要の繰り延べがずっと行われていて、いわば決着が政治的についたわけですね。そのときの条件は、制度改正のときの調整の見直しのときに、再度協議をするということとあわせて決着をつけたのです。ところが、結局、協議のときに、再度協議をするということになっていたのに、事実上、それを当時、整理した算定内容で対応するというのはおかしいじゃないかというのが、区長会のこの時点の要望ですね。
ですから、これ一つ見ても、都区制度改革の精神が生かされた話し合いになっていたのかということなのです。その点、ご答弁ください。

○松澤行政部長 ただいま将来需要にかかわる小中学校の改築経費等の繰り延べの問題についてお話ございましたが、この問題につきましては、区側の方と協議いたしまして、今後の児童生徒数の長期的減少傾向等を踏まえまして、十年度の二百五十五億円のベースに三十七億円を増額することで、区側の理解を得たものということでございます。
 今後の児童生徒数の減少の中で対応可能とは考えておりますが、必要に応じて、これは区側とまた今後協議していきたいということで、二月十日の、先ほど局長も申し上げましたが、都区協議会の確認事項の五項目の中でも、その項目は一項目ということで入っているところでございます。

○木村委員 二月十日の都区協議会の確認事項は知っております。局長も部長もいわれたけれども、それはそれで、これからよく協議をするということが行われるはずなんです。その行われるときに、結局、区長会の緊急要望じゃないけれども、ぎりぎりになっておかしいじゃないかという話にならないように、それこそ対等に、誠実にやるというふうにしてもらいたいから、幾つか問題点を指摘しているわけですよ。
 特に私が心配なのは、医療、保健、福祉です。今度の財調で結局どうなったかというと、国民健康保険の場合は、不足額八分の二の交付金がなくなったということになりましたよね。四項目だけの府県の補助金制度に変わった。このままだと、特別区の国民健康保険の新たな財源不足が百六十億生まれる。長い間、都の調整のもとに国民健康保険を運営してきたのに、その調整がなくなった途端に、保険料を上げろといわぬばかりに打ち切るというのはひどいじゃないか、というのは区のいい分です。区としては、今までの事業水準を住民にしわ寄せしないで維持したいのだ、だから八分の二も含めて財調で見るべきじゃないかということですね。
 それから介護保険が始まる。これは都区制度とは関係ないけれども、介護保険制度がスタートするということになって、これも都と区でいろいろ意見の対立がありました。結局どうなったかといえば、三百六億ですか、これと関連で算定が削られるということになるわけですね。これも、区にして見れば、介護保険が始まるからといって、従来の関連した事業をそのままやめるとかいうのではなくて、基礎的な自治体として、従来どおりメニュー化したいという要求です。ですから、議論を聞いてみますと、特別養護老人ホームの運営費加算、東京都は七十八億削る、区はゼロ、従来どおりにいこうと。老人福祉手当、東京都は七十一億削る、区は削らないで、何とか別のメニュー化したい。身体障害者ホームヘルプサービス、東京都は十一億削りたい、区はゼロにしたい等々いろいろあって、介護保険が導入されて、それは法定の負担を別途財調から削るというのは当然のことだけれども、関連した事業は、そのままとにかく維持してメニュー化したい、こういう意見。しかし、それは結局通らなくて、三百六億マイナスということになっている。
 そういう保健も、その他の福祉サービスも、さまざまな変化があるわけなんで、新たに福祉サービス安定化事業経費というのが二百十二億算定されたということですね。国民健康保険で百六十億、まあ単純な話ですよ。介護保険関連で、区の方は現行どおりいきたい、だから介護保険制度が始まっても、法定負担率を除いても、三十億くらいさらに需要が膨らむというふうにいっていたのが三百六億削られた。合わせると四百幾ら。今度は二百十二億、福祉何とか事業をつけるからそれでやれと、これは無理な話なんだよね。結局、これで福祉はへっこまざるを得ない。今、二十三区ですったもんだの議論をやっているのはそこなんですよ。私、国民健康保険の事業水準を維持したい、介護保険が始まるからといって、関連事業費は切るのじゃなくて、メニュー化して維持したいというのは、自治体としては当然のことだと思うのだよ。それがこういうことになった、押し切られたという格好になるわけですよね。
 そういう意味で、例えば財調についていえば、大都市事務の範囲についてはまだ決着がつかない、都議会でも老人福祉手当がどうなるかというのは、まだ三月三十日までわからないわけです。しかし、財調論議では、もう先行して決めてしまう、枠をはめてしまうというやり方、これはやはり都区制度改革、地方分権という方向からいえば、一つの大きな矛盾なんですよ。そういうふうに思わないでしょうか。

○松澤行政部長 ただいま特別区の国保事業あるいは介護保険の財調の入れ方も含めまして、いろいろとご意見いただきましたが、今回の都区制度改革に当たりましては、今回の都区制度改革の趣旨を十分尊重しまして、基本的には、都区の財源配分に関して、清掃も含めまして、移管事業等の運営に支障が生じないように、所要の事業費を積算して、都区間の財源配分に的確に反映させること。
 それから、現行の配分割合、先ほど区間配分の中では後にしてくれというようなお話もございましたが、この四四%、財源が――いろいろ出ましたが、我々といたしましては、現行の配分割合四四%を基礎にしまして、移管事業経費や将来需要等を加算して定める、こういうような考え方で今回財調にも臨みまして、五二%、それから四八%、こういう配分になったわけでございます。
 そういうことでございまして、一つだけ申し上げますと、先ほどの国保についても、区側の方からは、これについて今までどおり財源不足を補てんしてくれというようなお話もございましたが、基本的には、特別区の国保事業については、国保の改正あるいは調整条例の廃止によりまして、これから区は他の市町村と全く同様に、独立した保険者として自主的に国保事業をやっていくとういうようなことでございますので、こうした中で、都と特別区の役割分担といいますか、そういう中で、それぞれの責任、役割を明確にしてやったものがこういう結果になったというふうに受けとめてございます。
 それから介護保険につきましても、三百六億が減になったというお話もございましたが、これにつきましては、当然、新たに区が負担する介護の給付費等については、法定負担分ということで需要の中に四百六十五億円入れましたし、また逆に、介護保険ですから、これから介護報酬によって対応するようなものについては控除するという形で、結果的に三百六億円の減になったということでございます。
 加えまして、三百六億円の減といいましても、その中ではやはり先ほど木村委員の方からお話ございましたように、高齢者住宅サービス運営費であるとか、特養については、これまで区がやっていた経緯もございますので、事業のメニュー化ということで、全額これを財調から控除するのではなくて、事業運営に支障が生じないよう財源を確保した、こういうようなことになっているところでございます。

○石井委員長 先ほどの理事会で二時間という申告時間が過ぎましたので、手短にお願いします。

○木村委員 委員長からの要請がありましたので、締めたいとは思いますけれども、どうも私と総務局との間、私と局長の間には、まだ相当認識の開きがあるというふうに思われます。
 昨年、私は財調の問題、特に大都市事務の配分範囲について協議が調わなかった、さあこれから、そういう調わないということを前提にして十二年度の協議に入ろうというときに、質疑をやらせてもらいました。そのときに私が心配したのは、やはり力関係でいえば、東京都優位論のような印象が持たれる、そういう協議ではまずいという思いからいったわけです。最後に、局長にそのことを確認をさせてもらったら、いや、そういうことはない、今度の都区制度改革はかなり重い歴史的な経過の中で成立したものだ、そういう背景も含めて、その趣旨を十分踏まえて財調協議を初めいろいろな課題についての協議を、対等、平等の立場で真摯に協議をしてきたというお話がありました。
 そこできょうは、局長はこの前そういったけれども、私はそうとは思えないよということを申し上げたのです。しかし、五つの都区協議の確認事項というのがあります。これはそれぞれ、今、私が幾つか触れましたけれども、まだ都と区が意見が一致していない。しかし、後にしようということにしたわけですね。だから区もこれで満足したわけじゃないのだ。まだ徳俵のところにちょっと足が乗っかっていて、頑張っているところだということを盛んにいいますよ。局長もさっき、これからも協議するのだということをいいました。
 私は、これからの協議については、東京都の最終提案がある、その後に区長会が大もめになって、議会各党に要請に来る、そして総会を開いても、まだもめているというような中で、しかし現時点ではやむを得ないというような、いわゆる政治決着じゃないようにしていくために、昨年答弁をいただいた精神にもう一度立ち返って進めていくということをいっていただきたい、こう思います。

○横山総務局長 これまでもそうでしたし、これからも、私どもとしては都区との関係では対等、平等に立った真摯な議論を進めてまいります。
 ただ、これは協議ですから、当然おのずから対立する事項もございます。その協議の中でいろいろな激論がございます。その姿を見て、一方を批判するというのは、これはご勘弁いただきたいと思います。

○木村委員 今の局長の注文は、確かに一理はあります。しかし、私は一方のことをいって決めつけたというよりも、そういう不満として残っている、それを財調協議の中の個々の問題で検証したと。いろいろ説明がありましたけれども、私は必ずしも納得をしていません。ですから、今後の協議はしっかりと見守っていくということだけ申し上げたい。
 以上です。

○石井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石井委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十八分散会

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