財政委員会速記録第十六号

令和六年十一月二十九日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長河野ゆうき君
副委員長成清梨沙子君
副委員長和泉なおみ君
理事北口つよし君
理事清水とし子君
理事鈴木  純君
川松真一朗君
清水やすこ君
長橋 桂一君
林あきひろ君
中田たかし君
まつば多美子君
村松 一希君
竹井ようこ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務稲垣 敦子君
主計部長佐伯  亮君
財産運用部長松井  裕君
建築保全部長金子 陽子君
主税局局長武田 康弘君
総務部長DX推進担当部長兼務入佐 勇人君
税制部長辻谷 久雄君
税制調査担当部長筒井 宏守君
調整担当部長小林 孝幸君
課税部長蓮沼 正史君
資産税部長齋藤 栄一君
徴収部長小谷  健君
特別滞納整理担当部長上野 正之君
会計管理局局長梅村 拓洋君
管理部長前田  豊君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務菊地 顕行君
収用委員会事務局局長有金 浩一君

本日の会議に付した事件
 会計管理局関係
  報告事項(説明)
  ・令和六年度公金管理実績(上半期)
 財務局関係
  第四回定例会提出予定案件について(説明)
  ・都立清瀬特別支援学校(六)改築及び改修工事その二請負契約
  ・東京都島しょ保健所小笠原出張所(六)改築工事請負契約
  ・新砂水門(再整備)(六)建設工事請負契約
  ・環四高輪地区基礎杭撤去工事(六高輪—一)請負契約
  ・妙正寺川整備工事(その二百四)請負契約
  ・新中川護岸耐震補強工事(その二十二)請負契約
  ・呑川防潮堤耐震補強工事(その二百六)請負契約
  ・当せん金付証票の発売について
 収用委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 主税局関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・令和六年度東京都税制調査会報告について
  事務事業について(質疑)

○河野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑、財務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに会計管理局及び主税局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、提出予定案件及び会計管理局関係の報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 理事者より報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○前田管理部長 令和六年度公金管理実績の上半期分につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第1号、令和六年度公金管理実績(上半期)の一ページをご覧ください。
 初めに、1、全体でございます。
 令和六年度上半期の平均残高は六兆二千八百四十八億円で、対前年同期比千二十七億円増加しております。また、利回りは〇・〇八〇%で、前年同期と比べ〇・〇四八ポイント上昇しております。この結果、運用収入は二十五億二千百五十九万円で、前年同期と比べ十五億一千八百六十二万円増加しております。
 次に、2、内訳でございます。
 まず、(1)の歳計現金等でございます。
 平均残高は一兆六千二百七十四億円で、前年同期と比べ微増となっております。また、利回りは〇・〇四一%で、定期性預金の金利上昇等により、前年同期と比べ〇・〇三九ポイント上昇しております。この結果、運用収入は三億三千百九十一万円で、前年同期と比べ三億一千九百三十五万円増加しております。
 次に、(2)の基金でございます。
 平均残高は三兆八千二百十八億円となっております。東京強靱化推進基金等の積立てにより、前年同期と比べ一千三百七十三億円増加しております。また、利回りは〇・一〇六%で、定期性預金の金利上昇等により、前年同期と比べ〇・〇五四ポイント上昇しております。この結果、運用収入は二十億二千三百六万円で、前年同期と比べ十億六千六百四十一万円増加しております。
 次に、(3)の準公営企業会計資金でございます。
 平均残高は八千三百五十六億円となっております。企業債の償還等により、前年同期と比べ四百六十四億円減少しております。一方、利回りは〇・〇四〇%で、定期性預金の金利上昇等により、前年同期と比べ〇・〇三二ポイント上昇しております。この結果、運用収入は一億六千六百六十二万円で、前年同期と比べ一億三千二百八十六万円増加しております。
 二ページをご覧ください。運用商品別内訳でございます。
 表頭の期中平均残高の構成比の欄をご覧ください。
 表側の一段目、歳計現金等及び三段目、準公営企業会計資金につきましては、預金が一〇〇%となっております。
 表側の二段目、基金につきましては、預金が七四・〇%、債券が二五・九%、その他が〇・一%となっております。
 三ページをご覧ください。ここでは、平均残高及び利回り推移についてグラフでお示ししてございます。
 四ページをご覧ください。金融機関種別預金内訳でございます。
 表頭の期中平均残高のうち、構成比をご覧ください。
 表側の一段目、歳計現金等につきましては、都市銀行が一〇〇%となっております。
 表側の二段目、基金及び三段目の準公営企業会計資金につきましては、都市銀行、信託銀行、地方銀行等、外国銀行に、記載の割合で預金をしております。
 五ページをご覧ください。基金と準公営企業会計資金の金融機関種別預金内訳推移についてグラフでお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。債券種別内訳でございます。
 保有があるのは基金のみでございます。
 表頭の期中平均残高のうち、構成比をご覧ください。
 国債が一・一%、地方債が三六・六%、政府保証債が〇・八%、財投機関債等が四六・二%、金融債が一四・三%、外債が一・〇%となっております。
 このほか、参考として、八ページから一〇ページにかけ、それぞれについて、第一・四半期及び第二・四半期の状況をお示ししております。
 最後に、公金管理につきましては、引き続き、安全性を最重要視し、流動性を十分に確保した上で、柔軟かつ効率的な保管、運用を行ってまいります。
 以上をもちまして報告事項の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○河野委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○河野委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山下財務局長 第四回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入ります、お手元の配布資料一覧、令和六年第四回東京都議会定例会提出予定議案件名表をご覧いただきたいと存じます。
 今回提出いたします議案は八件でございまして、内訳は、契約案七件、事件案一件でございます。
 初めに、契約案についてご説明申し上げます。
 今回提出いたします七件の内訳は、建築工事二件、土木工事五件でございます。契約金額の総額は約百五十三億円でございます。
 次に、事件案でございますが、当せん金付証票の発売についてでございます。
 以上が提出を予定しております議案の概略の説明でございます。
 詳細につきましては、それぞれ所管の部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○稲垣経理部長DX推進担当部長兼務 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、令和六年第四回定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをお開きいただきたいと存じます。
 一ページの工事請負契約議案一覧をご覧いただきたいと存じます。
 1の総括表をご覧ください。今回ご審議いただきます契約議案は、右側の計の欄のとおり、合計七件、契約金額の総額は百五十三億二千五百二十四万五千百円でございます。
 次に、2の案件別の表によりましてご説明を申し上げます。
 番号1は、清瀬市松山三丁目地内におきまして、都立清瀬特別支援学校の改築及び改修工事を施行するものでございます。
 番号2は、小笠原村父島字清瀬地内におきまして、東京都島しょ保健所小笠原出張所の改築工事を施行するものでございます。
 番号3は、江東区新砂三丁目地先から同区夢の島三丁目地先にかけまして、新砂水門の建設工事を施行するものでございます。
 番号4は、港区高輪三丁目地内におきまして、環状第四号線高輪地区の基礎ぐい撤去工事を施行するものでございます。
 番号5は、中野区若宮三丁目地内から同区白鷺一丁目地内にかけまして、妙正寺川の整備工事を施行するものでございます。
 番号6は、葛飾区奥戸六丁目地内から同区奥戸八丁目地内にかけまして、新中川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
 番号7は、大田区蒲田三丁目地内から同区蒲田四丁目地内にかけまして、呑川防潮堤の耐震補強工事を施行するものでございます。
 次に、契約の方法でございますが、提出予定の七件につきまして、いずれも一般競争入札によるものでございます。それぞれの契約金額及び契約の相手方は、表の右側に記載のとおりでございます。
 一ページお進みいただきまして、二ページから五ページにかけまして、案件ごとに件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載してございます。後ほどご覧いただければと存じます。
 また、各案件の入札経過等につきましては、六ページ以降に記載してございますので、併せてご覧いただきたいと存じます。
 以上が今回提出を予定してございます契約議案の概要でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○佐伯主計部長 恐れ入りますが、お手元の資料第2号、当せん金付証票の発売についてご説明申し上げます。
 これは、当せん金付証票、いわゆる宝くじの令和七年度の発売に関する議案でございます。
 議案の中ほどの記書きの発売の目的にございますように、公園整備等の費用の財源に充当するために発売するものでございまして、令和七年度の発売限度額を一千七百二十四億円と定めるものでございます。
 次のページに参考に条文を掲載してございますが、当せん金付証票法第四条第一項の規定に基づきまして提出するものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で財務局関係を終わります。

○河野委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたします。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○河野委員長 これより主税局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○筒井税制調査担当部長 先般、東京都税制調査会において取りまとめられました報告について、その概要をご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、令和六年度東京都税制調査会報告の概要をご覧いただきたいと存じます。
 ローマ数字Ⅰ、税制改革の視点では、税制の検討に当たって踏まえておくべき重要な事項について、六つの視点を掲げ、社会経済の動向や地方行財政の基本的な在り方についてまとめております。
 続いて、ローマ数字Ⅱ、税制改革の方向性では、税制上の諸課題についてあるべき姿と改革の方向性について記述をしております。
 1、個人所得課税といたしまして、まず、金融所得課税について、所得再分配の観点からは総合課税が望ましいが、税負担の急激な変動の緩和等の観点から当面分離課税が適当とし、その税率は、中低所得者の資産形成に配慮しつつ、諸外国の段階的課税の方式も参考にして引上げを検討すべきとしております。
 続いて、個人住民税の現年課税化について、納税者の負担感の軽減、適正、公平な税負担の観点から意義があるとした上で、課題となっている追加事務負担の解消を図るべく、税務事務のデジタル化の進展等を踏まえ、システムを活用した方式を提案しております。これにより、企業や課税庁の負担軽減を通じた人的資源の有効活用や逐次の所得情報を反映したタイムリーな給付等にも有用としております。
 続いて、ふるさと納税について、受益と負担の関係という地方税の原則をゆがめるとともに、寄附本来の趣旨とかけ離れた利用実態など、多くの問題を有することから、廃止を含め抜本的に見直すべきとしております。具体的な見直しの方策としては、委員から、資料記載の内容等の意見が出されております。
 また、ふるさと納税の問題を都民に提起し、理解を促進すること、問題意識を同じくする地方自治体と連携し、国に対して制度の見直しを求めていくことも重要としております。
 続いて、個人事業税の見直しについて、課税対象事業が地方税法に限定列挙されており、時代の変化に伴い新たに生じた事業に課税できず、公平性に問題があるとした上で、限定列挙方式を廃止し、事業性を有する原則全ての事業を課税対象とすべきとしております。
 ページを一枚おめくりいただきまして、二ページをご覧いただきたいと存じます。
 続いて、2、環境関連税制といたしまして、ハイブリッド自動車は、乗用車新車販売台数の約六割を占める中、その燃費性能には幅が生じていることから、ハイブリッド自動車に対して環境性能に応じた税負担を求めることで、より環境性能に優れた自動車の選択を促進することが重要としております。
 続いて、3、地方法人課税といたしまして、地方法人課税の国税化措置は、地方自治体の自主財源である地方税を縮小するものであり、受益と負担の対応性を重視する地方税の原則に反するとし、地方交付税により財源の不均衡は調整されているにもかかわらず、国税化措置を進めることは、地方税の存在意義を揺るがし、地方自治の根幹を脅かす行為にほかならず、このような措置は行うべきではないとしております。
 その上で、地方自治体間で限られた財源を奪い合うのではなく、地方自治体が担うべき事務と権限に見合う地方税の充実、確保が必要としております。
 続きまして、ローマ数字Ⅲ、社会保障を支える財源では、社会保障の財源確保、全世代型社会保障の構築のため、税と社会保険料を合わせた負担の在り方、世代間における負担の公平等について検討することが課題であるとしております。
 次に、社会保障を支えるこれからの財源の在り方について、委員から、資料記載の内容等の意見が出されております。
 最後に、ローマ数字Ⅳ、これからの税制及び税務の在り方では、公平の確保と効率化の観点から、税制、税務の在り方について記述をしております。
 現行の精緻、詳細な税制の枠組みでは、社会の多様化に対応して公平を維持し続けることが難しくなっており、簡素化により公平に資する場合があるとしております。また、労働力の減少が見込まれる中、税務の持続可能性も課題であるとし、簡素な税制に見直すことで、効率的な制度運用につながるとしております。
 その上で、個人事業税における課税対象事業の限定列挙の廃止を提案するとともに、家屋評価方法の見直しについて検討をしております。
 次に、税務行政のDXは、納税者の利便性向上、税務行政の効率化、高度化に加え、現行税制の課題解決にもつながるものであり、推進すべきとしております。
 その上で、納税者の利便性向上のため、バックオフィス連携の推進によるワンスオンリーの実現が重要とし、その実現に向け、課題を整理しております。
 なお、お手元に資料第2号、令和六年度東京都税制調査会報告本文をお配りしておりますので、後ほどご覧いただきたいと存じます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○河野委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑と併せて行いますのでご了承願います。
 なお、事務事業につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 去る十月十七日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第3号、財政委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次をご覧いただきたいと存じます。
 今回要求のございました資料は三件でございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。要求資料第1号、資本金区分別法人数及び法人都民税・事業税額の推移でございます。
 この表は、資本金一億円未満、一億円以上十億円未満及び十億円以上の区分別に、法人数及び法人都民税額、法人事業税額の五年間の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページをお開きください。要求資料第2号、都税の滞納整理における差押件数でございます。
 この表は、都税の滞納整理における差押件数を五年度分お示ししたものでございます。
 次に、三ページ及び四ページの要求資料をご覧ください。要求資料第3号、東京都における超過課税及び主な税制上の軽減措置でございます。
 この表は、現在、都で実施している超過課税及び主な税制上の軽減措置について影響額等をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○川松委員 私からは、先般も一部報道でも取り上げられましたけれども、ふるさと納税について、まずは伺っていきたいと思います。
 別に今年に限らず、近年、利用が拡大しているふるさと納税でありますが、原則論で行けば、本来、東京都、東京都民の皆さんのために使われるべき都税がほかの自治体に流出してしまっているという状態です。
 今回の東京都の税制調査会の報告でも指摘されておりますとおり、非常に問題がある制度だというのは、これまでも議論されてきました。
 東京都としての立場だけではなくて、俯瞰で見たことも含めて、今日は幾つか質問をさせていただきますが、ふるさと納税には、東京都としても様々な問題があるんだということで、これまで主張もされてきたと思いますけれども、では、具体的に、今の現行のふるさと納税について、どんな問題があると考えているのか見解を伺います。

○辻谷税制部長 ふるさと納税は、自らが居住する地方自治体の行政サービスに使われるべき住民税を、寄附金を通じて他の地方自治体に移転させるものであり、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものです。
 また、返礼品競争が続き、寄附本来の趣旨を促す制度となっておらず、仲介サイト手数料などの経費により、寄附先の地方自治体が活用できる額は受入額の五割程度にとどまっているなどの問題があります。
 さらに、所得に応じて控除額の上限も高くなる仕組みとなっており、高所得者ほど多額の返礼品を受け取れることとなるため、公平性の観点からも問題があることに加え、確定申告せずに控除が受けられるワンストップ特例を利用した場合、本来、国が負担すべき税収減が自治体に転嫁されるといった課題もございます。

○川松委員 ありがとうございます。特に、このワンストップ特例の利用というのは、本当に考えなければいけないというのはそれぞれの自治体も同じ思いだと思うんですけれども、今、税制部長がご答弁いただいた以外にも、地方交付税の不交付団体にとって、特に減収の影響が大きいという指摘、当然ながら我々も感じているわけでありますが、令和六年度のふるさと納税による減収額を見てみると、東京都が七百五十九億円、都内区市町村が一千百四十一億円、東京都として見ると、合わせて一千九百億円に及んでいるわけですね。
 ふるさと納税による減収というのは、特に都市部の自治体は大きくて、総務省の公表資料を見てみると、令和六年度の区市町村民税の減収額、一位が横浜市、二位が名古屋市、以下、大阪市、川崎市、世田谷区と、都市部の人口の多い自治体が上位を占めているわけです。
 しかし、自治体の財政に与える影響というのは、住民税の減収額のみで見るべきではないんですね。例えば、京都市は八十二億円、全国十位の減収額となっているんですけれども、それを上回る百億円の寄附収入を確保していて、収支はプラスになっています。これは京都市の努力なのか、様々な施策、いろんなまちと連動した京都市の取組はありますけれども、こういう実態もあると。一方で、減収額が全国五位の世田谷区は百十億円なんだけれども、寄附の受入額を見てみると三億円程度です。これはもう大きなマイナスになっているわけですね。
 こういう実態を踏まえて様々な制度設計の在り方を考えていかなければいけないと思いますが、さらに、その上で考慮しなければいけないのは地方交付税の影響です。地方交付税の交付団体か、そうではないかによって、自治体の財政に与える影響は大きく変わってくるといわれているわけですけれども、地方交付税の交付団体の場合、ふるさと納税による寄附収入や税額控除額について、交付税算定上、どのような扱いになっているのかを伺います。

○辻谷税制部長 地方交付税の交付団体の場合、ふるさと納税による寄附収入は、地方交付税算定上の基準財政収入額に算入されないため、当該自治体の地方交付税の額は減少せず、寄附を受け入れた分、歳入が増えることになります。
 一方、寄附者の住所地の自治体においては、個人住民税が減収することになりますが、減収分の七五%が基準財政収入額の減少分として反映されるため、交付税措置により補填される仕組みとなっております。

○川松委員 この今の答弁、地方交付税算定上の基準収入額には算入されないと。だから、それぞれの返礼品競争といわれるようなものも過激化してきたし、それぞれの自治体によって、ここをたくさん取ったところで、ほかから入ってくるものは変わらないと。そうしたら、一生懸命ほかの自治体から自分のところにふるさと納税を集めれば集めるだけ、自分たちの自治体は収入が増えるんだというのが、それぞれの地方の首長の皆さん方の考えだと思います。
 ここで、これは不交付団体と交付団体の差があるわけですけれども、じゃ、東京都のような不交付団体の場合は、どういう扱いになるのかを教えてください。

○辻谷税制部長 東京都を含む地方交付税の不交付団体においては、寄附受入額は歳入増となる一方、個人住民税の減収分に対する交付税措置による補填はございません。

○川松委員 一応確認のためにお聞きしましたけど、そういう当然のことですね、交付税措置による補填はないんです。
 だから、例えば横浜市というのを取り上げますけれども、横浜市は交付団体です。そして、首都圏にありますから、大きな自治体、政令市の一つでありますけれども、横浜市の場合は減収分の七五%が戻ってくるんですよと。いっぱい流出しているというランキングには入っているんだけれども、その分、七五%は補填される仕組み。でも、東京都はそのまま純減ですよね。純減になっていく。財政の影響は大きく異なっているということになっているんです。
 ふるさと納税は、そういう意味で行くと、不交付団体にとって、いろんな、不交付団体か交付団体かというのは、いろんな議論、東京都、してきましたけれども、この面にとっても、まさに不合理な制度であるということを我々は主張していかなければならない立場であります。
 このような状況を踏まえて、国に対して、財源など見直しを求めていくことなども必要だと私は思いますけれども、じゃ、東京都はこれまで、どうやって国に対して様々な意見をいったり、取組をなさってきたのか教えてください。

○辻谷税制部長 ふるさと納税には様々な問題があることから、都は、国に対し、制度の抜本的な見直しを求めるとともに、ワンストップ特例制度については廃止し、廃止までの間の税収減分について、全ての地方自治体に財源を措置することを提案要求しております。

○川松委員 先ほども触れましたけど、ワンストップ特例、この場合は、本来、国が負担すべき税収減が自治体に転嫁されちゃうんですよということですね。これを廃止を求めるべきですが、じゃ、仮に、住民の皆さん側の立場になったときには、ワンストップ特例というのはいい制度というか、これがあることによってスムーズに行政手続が進むわけですから、なかなかこれ、東京都としては難しい立ち位置ではないかなと思うんですね。
 あと、今までもいろんなところで課題になってきましたけれども、高所得者ほど多額の返礼品を受け取れるという、先ほど答弁にもあった問題について、ここも掘り下げなきゃいけないなとは思っているんですが、最近、各自治体が提供する返礼品は、もう今までは何か細かいところでいろんなものが出てきて、このまちだったらこんなたくさんもらえるんだとか、ギフトカードがもらえるんだとかありましたけれども、さらに進んでいって、驚くほど高額な返礼品が出てきています。例えば、寄附額三十万円のオーダースーツだったりとか、百万円以上する高級ジュエリーなどの返礼品があったりとか話題になっていましたけど、災害時の防災シェルター、三億円という返礼品というものも今ありますよね。
 そうすると、これ、ふるさと納税自体は、本来は最大で寄附額の三割までの返礼品を受け取ることができる制度になっていますけど、税額控除できる額というのは所得額に応じていますから、控除を超える寄附をした場合には、結果、持ち出しになって、得にはならないはずです。でも、ふるさと納税を勧める人たちはこのあたりのことを触れていないですよね。どんどんふるさと納税したら税額控除されますよ、こんな返礼品がありますよ、今いったような、この地域だったらこうです、こんなものあります、金額こうなっているけどいいですよということはいっていますけれども、実際は上限があって、それを超えたら、この税の制度においては得はないんだよということを発信しているメディアなどはほとんど見かけません。
 そこで、実際に高額な返礼品が受け取れるのは、収入が幾らくらいの人なのかということをモデルケースで今日確認させていただきますが、例えば、今いった持ち出しをしない範囲内で、寄附額三十万円程度のオーダースーツを返礼品として受け取ることができるのは、大体年間の収入が幾ら程度の人たちなのかを伺います。

○辻谷税制部長 総務省が公表しているモデルケースによれば、独身の場合は、給与収入が一千三百万円程度の方、共働きで子二人の世帯では、給与収入が一千四百万円程度の方が、お尋ねの事例の返礼品を自己負担額二千円で受け取ることができます。

○川松委員 ですから、三十万円の寄附をして得をするのは、給与収入一千三百万円程度の人ということになるわけですね。例えば、東京の中間層世帯の皆さん方を軸に、私たち都議会自民党は様々な政策を打ち出していますけれども──いろんなところへ出てくる三十万円のスーツだけれども、よく見てみたら、一千三百万円程度の人なんだと。そうすると、これが中間層の人たちにとって有利な制度なのか不利な制度なのかというのは、それぞれの判断、価値判断があると思いますが、私は決して有利な制度だとは思えないわけです。
 先日の報道ベースですけど、見てみたら、世田谷区のケースもすごいですね、これ、年間所得二千万円を超える納税者による寄附が全体の四割を占めているというデータがあるんですね。だとすると、ふるさと納税という制度は、高額所得者ほど優遇される制度である。これはもう間違いないといえます。
 今回の都税調の報告でも、控除額に一定額の上限を設けることというのを提案されているわけですけれども、制度そのものを大きく見直していかなければ、だんだんだんだん──今までは自治体側の返礼品競争みたいなのが課題になっていましたけれども、そもそも自治体の運営とか、あるいは、ふるさと納税を勧める人たちによる住民側の不利益が全く出ないまま物事が進んでいくのは、本来の行政システムの在り方ではないと思います。
 ここで、多くの問題を抱えているふるさと納税について、東京都は今後どのように対応していこうと考えているのか伺います。

○辻谷税制部長 ふるさと納税には、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものであるなど様々な問題があります。
 今後、大手EC事業者の参入等により、都民のために使われるべき税のさらなる流出など、事態は一層深刻になる懸念があります。
 都としては、今回の東京都税制調査会の報告も参考にし、他の自治体とも連携しながら、国に対して制度の抜本的な見直しを引き続き求めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。抜本的な制度の見直しを求めていくのは当然です。ただ、やはり国全体がこの制度で今進んでいる中で、本当に制度を見直しできるまでの間、それがいつになるか分かりません。じゃ、東京都としても、都内の自治体にしても、単純にどんどん出ていくのを指をくわえて見ているだけでは駄目だと思うんですね。先ほど触れましたけど、京都市なんかは、もうふるさと納税のメニューの自動販売機まであって、観光客で来た人が、ふるさと納税のシステムを自販機で買うわけですよ。それをまたみんな気軽に、ああ、こんなことが観光地に来て、京都でできるからといって、ばんばん自分たちの収入に充てていく、これが、流出額があるんだけれども、収入額も多いという自治体の工夫の一例だと思います。
 東京都も、確かにこういう税調の報告なども出てきて、机の上の議論で、国に対して税制改正を要望するだけじゃなくて、今の中でも東京都がやれること、地方は地方で様々な返礼品のいろんな魅力的なものもありますけれども、今は、物消費だけじゃなくて、事消費ということもいわれていますから、東京都全体で、この状況の中で収入が減らない工夫というのをしていくことも、税制部長をはじめ皆さん方と考えなければいけないんだなと思います。ぜひこのあたり、取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、個人都民税の減税についてですが、我々は至るところで、都議会自民党、さきの東京都議会議員選挙から、都民税の減税ということを一つの政策の柱に掲げております。先般のこの財政委員会の事務事業質疑においても、財務局に対して、改めて、この財源論、減税はできるのかどうかということの質問をしてきたわけですが、お金ということについては、現状は不可能ではないということが分かりました。
 では、税制面、この制度上の中で、一体この減税は可能なのかということを今日は確認させていただきますが、財務局から、令和五年度の都税収入決算額は前年度から増加したと伺っているわけですけれども、その都税収入はなぜ増収だったのか、どういうふうに見られているのか、増収要因を伺います。

○辻谷税制部長 令和五年度の都税収入は六兆三千四百四十三億円で、前年度から千七百九十九億円、二・九%の増収となりました。
 これは、企業収益が堅調に推移したことや土地の価格が上昇傾向であったことなどによる、法人二税や固定資産税、都市計画税の増収などが主な要因であると考えております。

○川松委員 ありがとうございます。企業収益が上がっている、今いったように、法人二税などの増収があって、こういう増収要因になっているんですけど、企業の収入が上がっているんですが、まち場の、いわゆる僕らがいっている中間層の人たちの景気高揚感あるいは可処分所得が上がった感覚というのがないわけですよね。だとするならば、やはり我が党が提案している個人都民税二〇%減税というのを実施することによって、都民の皆さん、中間層世帯の皆さん方の可処分所得を上げていこうということが自然な発想だと思うんですが、この影響というのは、試算によると、我々の試算では約二千億円程度です。
 都税収入の規模からすると、この二千億円程度というのは決して実現できない額ではないということを主税局の皆さん方にもお伝えしますが、その中で、これ、前にも主税局にお聞きしたことがありますけれども、今の状況で個人都民税二〇%減税はできるのかできないのか、都の主税局としての見解を伺います。

○辻谷税制部長 個人都民税は、都税収入の約二割を占める重要な基幹税の一つです。
 個人都民税の定率による減税については、高額所得者ほど減税額が大きくなる一方で、所得が一定以下で非課税となる方に対しては減税の効果が及ばないなど様々な課題があるものと認識しております。
 また、個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて賦課徴収しており、個人都民税の減税を実施する場合には、都内の全ての区市町村において税務システムの改修が必要になるという課題もございます。

○川松委員 今の部長のご答弁は、一つに、高額所得者ほど減税額が大きくなるんだけれども、そうではないというケースも多くて、減税という制度そのものが不公平であるという、この減税論、反対する人たちの意見を紹介されたご答弁でした。後段の二つ目が、税の徴収方法として、都民税減税は難しいんじゃないかという主張のご答弁だったと思うんですね。
 まず、その前段の一つ目のことをお話ししますけれども、私たちは、ただ単に、皆さん方から批判をされているような不公平といわれるシステムを導入するつもりがあるわけではないんです。
 これまで、どうやったらこの不公平感を減税政策でなくせるんだろうかということをいろんな角度から議論してきましたけど、さきの財務局の質疑でもいいましたが、小池知事の下では様々な支援制度を充実させてきました。分かりやすくいえば、〇一八サポートがあったり、あるいは私立の高校の実質無償化があったり、あるいは非課税世帯のサポートなどなど、こういうものがあって、いわゆる苦しい、厳しいといわれている人たちのサポートがあった上で減税を断行していくということは、決してこの不公平感は出てこないんだろうと。これがなくて、ただ減税だけシステムとして導入したら、それは高額所得者が有利じゃないかというのは分かるんですが、こういうサポートをする、底支えをするような様々な支援を小池都政で充実させてきて、これをなしてでもなお決算の不用額が出てくるんだから、私たちは、これは可能じゃないかといっています。
 今いったようなこういった支援策というのは、これまでは減税と同じレベルの評価を我々はしてきたわけですけれども、可処分所得を、より中間層の皆さん方を増やしていくためには、その上での減税断行が必要だということを唱えてきたというのは、今の一つ目の話ですね。
 二つ目のシステム上の話になりますが、個人都民税というのは、地方税法に基づいて、区市町村が区市町村民税と併せて賦課徴収しているから、まとめて取っちゃうんで、こっちの個人都民税のパーセンテージは変わるけど、この区市町村民税は、今のままでいったら、この計算方法とかシステムをゼロから作り直さなきゃいけないから大変なんだというのが今のご答弁だったと思います。これも、仮に取るとき、徴収するときのシステム変更が大変であるならば、今、財務局にもいっていますけれども、じゃ、一回、皆さん方から都民税は納めてもらいます、徴収させていただきます、でも決算してみたら、今いったように、様々な制度をしてもなお不用額が出てくるのであるならば、還付という仕組みで減税と同様の効果を打ち出していくということも可能だと思います。
 その不用額を出す前提に、ちゃんと基金に積み込んでいたりとか、あるいは未来への投資も東京都全体でしているわけですから、財務局はそういう財源論の話ですし、主税局は徴収システムが問題なんだというんだったら、今の状態の徴収システムでも減税と同じような効果を出せるのは還付だろうと。還付も、様々な──皆さん方も税金の還付、いろんなところで行われているわけですけれども、いわゆる現金の還付もそうですし、あるいはデジタルサービス局が今やっているTokyo Tokyo Pointがこれから構築されていくならば、そのポイントを使って還付をしていくという方法も考えてはいかがでしょうか。
 皆さん方は、税を徴収する立場の主税局でありますけれども、やはり税は納税された皆さん方のもの、都民税であれば、都民の皆さん方がお納めいただいたものとして考えて、余った──僕らは余ったという表現を使っていますけれども、不用になったお金というのは、納税者の皆さん方に、どんな方法であれ、お返しするというマインドを忘れてはいけないと思います。
 改めて、そういった、今日はシステム上のお話も聞きましたけれども、東京都民の皆さん方の可処分所得を増やすために、ぜひ主税局の皆さん方も、都民税減税あるいは減税に代わる還付のシステムを一緒になって考えていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○清水(や)委員 よろしくお願いいたします。
 まず、令和六年度東京都税制調査会報告について、個人住民税の現年課税化から伺います。
 個人所得に係る課税の仕組みですが、所得税は、一月から十二月までの所得を基準として、翌年三月中旬までに申告、納付を行う制度です。給与所得のみの方については、企業などの源泉徴収義務者が、毎月給与から源泉徴収した上で、十二月中に年末調整によって精算しています。
 一方、個人住民税は、同じく一月から十二月までの所得を基準とするものの、課税は翌年の六月に行われています。納税は、給与所得のみの方についていえば、翌々年の五月まで続くことになります。
 今年度の都税調の報告は、個人住民税の現年課税化について提案していますが、課税や納税の時期を早める趣旨と解釈しています。
 そこで、今年度の報告では、個人住民税の現年課税化の意義、必要性についてどのように述べているのか伺います。

○筒井税制調査担当部長 個人住民税は、前年の所得に対して翌年度に課税する仕組みになっているため、行政サービスによる受益と住民税の負担との間に時期的なずれが生じる上、退職等によって前年に比べて収入が減った場合、納税者の負担感が大きくなる等の問題があります。
 本来、個人所得課税においては、所得の発生から時間的間隔を置かず課税することが望ましいとされております。
 今年度の報告では、納税者の負担感の軽減と適正、公平な税負担を実現する観点から、個人住民税の現年課税化に意義があるとしております。

○清水(や)委員 個人住民税が翌年度課税とされているのは、所得税の手続との重複感への配慮などの理由があるものと思いますが、近年、終身雇用制度から働き方の多様化が進み、必ずしも収入が安定しているとは限らなくなっています。また、感染症や自然災害等による予期せぬ収入減のリスクも懸念されます。現年課税化の必要は高まっていると思いますが、現時点では実現に至っていません。
 そこで、報告では、個人住民税の現年課税化に向けてどのような課題があるか伺います。

○筒井税制調査担当部長 個人住民税の現年課税化につきましては、所得税と同様の源泉徴収を導入する場合、企業等における個人住民税に係る源泉徴収や年末調整の発生、区市町村における還付や追徴の増加等、事務負担の増加が実現への障壁となっております。
 今年度の報告では、現年課税化に当たり、こうした事業者、課税庁、納税者が抱えることになる追加の事務負担の解消をはじめ、従来よりも効率的な賦課徴収や税務手続を可能とする仕組みの構築を課題としております。

○清水(や)委員 追加の事務負担の解消や既存事務の効率化が図られないまま、現年課税化を実現したとしても、なかなか事業者等の理解を得ることは難しいと思います。
 先ほど答弁にあった追加の事務負担の解消等の課題を解決するため、報告ではどのような提案を行っているのか伺います。

○筒井税制調査担当部長 今年度の報告では、税務部門におけるデジタル化の進展等を見据えまして、追加事務の負担の解消や賦課徴収等の効率化を可能とするため、システムを活用した新たな課税方式を提案しております。
 具体的には、所得税と同様の源泉徴収を個人住民税に導入しつつ、所得や控除情報等をシステムに集約し、現行の年末調整を原則廃止とすることで、事業者の負担を減少させます。また、システムに集約された情報を活用し、税額の計算や確定、精算をシステムで行うことで、課税事務の効率化を実現するものでございます。

○清水(や)委員 個人住民税の現年課税化の議論は長年行われてきましたが、目立った進展がないまま今日を迎えています。その原因は、現年課税化に伴う事務負担の増加等にありました。デジタル化の進展などを踏まえて、こうした課題の解消にシステムを活用し、事務の在り方そのものから見直していく新たな切り口から具体的な提案を行ったことは、なかなか動かなかった議論を前に進めていくきっかけになるのではないでしょうか。そういった意味でも、今回の提案を高く評価したいと思います。
 私も都税調に身を置いてきてまいりました。現年課税化の実現に向けて議論が加速するよう、今回の提案をしっかりと国に働きかけていただくことを強く求めて、次の質問に移ります。
 次は、個人事業税の見直しについてです。国税にいる頃からの課題についてでございます。
 今年度の報告では、個人事業税について、課税の公平という観点から問題が生じていると述べられています。公平の確保は、税に対する国民の信頼の基礎として極めて重要であります。
 そこで、報告では、個人事業税について、公平の観点からどのような問題があると指摘しているのか伺います。

○筒井税制調査担当部長 個人事業税の課税対象となる業種は、地方税法に限定列挙されています。しかし、IT化の進展など社会経済の変化に伴い、法が想定していなかった事業が多く発生しております。
 今年度の報告では、課税対象としての事業性が認められるにもかかわらず、法定業種に該当しないため課税をされない業種があり、課税の公平という観点から問題が生じているとしております。

○清水(や)委員 私も改めて地方税法を確認しましたが、何に対しての課税か限定列挙であるため、例えば、プログラマーやシステムエンジニアといった、いわゆる情報処理に関連する業種などは、業種が法定されていないことから課税されていないことになっていました。個人が営む事業の中でも、業種によって課税されるものと課税されないものが生じるため、事業者間の公平の観点から問題だと、そして制度の見直しを行うことが必要だと考えています。
 そこで、報告では、この問題の解決に向けてどのような見直しを提案しているのか伺います。

○筒井税制調査担当部長 今年度の報告においては、課税の公平を確保するため、個人事業税の課税対象事業について、業種の限定列挙方式を廃止し、原則、事業性を有する全ての事業を課税対象とすることを提案しております。

○清水(や)委員 報告では、具体的な見直し案が示されています。私は、課税の公平の確保に資する見直しに賛同するところであり、見直しの実現に向けて取り組むべきと考えています。
 報告を受けて、都はどのように対応していくのかお伺いいたします。

○辻谷税制部長 近年、十分な事業性が認められるにもかかわらず、法定業種に該当しないことから個人事業税が課税されない業種が増加しています。
 このため、都では、課税の公平を確保する観点から、法令により課税対象を限定列挙する現行の方式について、事業形態や働き方の多様化に即して見直すことは重要だと認識しています。
 都としては、今回の報告も参考にしながら、国に対し、制度の見直しを求めてまいります。

○清水(や)委員 事業形態や働き方の多様化を踏まえて税制を見直していくことは重要であると考えます。個人事業税について、公平の確保に向けた見直しを国に強く働きかけていくようお願いし、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○北口委員 私からは、初めに、自動車関連税制について質問をいたします。
 自動車関連税は、取得時にかかる自動車税環境性能割、そして排気量ごとに決められ、毎年かかる自動車税種別割、そして車検時にかかる自動車重量税、加えて燃料関係にかかるガソリン税などがございます。こうした税制の在り方については、国において検討されるべきものと認識をしておりますけれども、自動車ユーザーにとっては、こうした自動車関連税の在り方は、注目をされているところであります。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフを目指して様々な施策を実施しておりますけれども、運輸部門の脱炭素化の一つの取組として、ZEVの普及に取り組んでおります。
 まず、このZEVの普及に向けまして、都独自の軽減措置として、ZEV導入促進税制を実施しておりますけれども、その実績と効果を伺います。

○蓮沼課税部長 ZEV導入促進税制は、環境負荷の小さい電気自動車等のゼロエミッションビークルの取得を税制面から支援するため、国のグリーン化特例に上乗せし、都が独自に自動車税種別割を六年度分免除するものでございます。
 ZEV導入促進税制の適用実績は、令和三年度は適用台数二万六千八百八十三台、免除額約六億円、令和四年度は適用台数三万三千七百五十三台、免除額約七億円、令和五年度は適用台数四万三千九百八十二台、免除額約九億円となっており、増加傾向にございます。
 都内のZEVの普及に向けて、ZEV導入促進税制が一定の役割を果たしているものと認識しております。

○北口委員 直近三年間の適用台数と免除額をご答弁いただきました。増加傾向ということで、この税制がZEV普及について一定程度の役割を果たしているというふうに考えております。
 現在は、走行時の環境負荷が少なく、脱炭素に資するZEVの普及を目指して優遇税制が行われているということは理解をしております。こうした取組は継続すべきというふうに考えておりますけれども、今後、中長期的にはZEVの普及が進んでいく中で、既存のハイブリッド車やガソリン車、それから軽自動車なども含めて、今後の自動車関連税制の在り方を検討していくことが大変重要でございます。
 この令和六年度の東京都税制調査会報告では、今後、電気自動車等のシェアが高まっていくことが考えられるが、種別割の税率は、排気量千cc以下の最低税率で課税されており、公平性等の観点から、課税の在り方の検討が必要であると指摘しています。
 また、この自動車関連税制の改革の方向性として、環境配慮へのインセンティブを高める観点や安定的な財源確保の観点などから、車体課税の課税標準にCO2排出量、車体重量、走行距離を導入する方法の検討が必要であるとも指摘をしています。
 そこで、今後の自動車関連税制の在り方について、都の見解を伺います。

○辻谷税制部長 近年、電気自動車等の普及やカーシェアリングによる保有から利用への変化など、自動車を取り巻く環境が大きく変化しており、時代に即した税制の見直しが必要です。見直しに当たっては、こうした環境の変化に加え、市場の活性化やカーボンニュートラルに向けた動きなど、様々な観点から検討が行われるものと認識しています。
 自動車関係諸税については、令和六年度与党税制改正大綱において、受益と負担の関係も含め、公平、中立、簡素な課税の在り方について、中長期的な視点に立って検討を行うこととされており、都としては、国の議論を注視してまいります。

○北口委員 国の議論を注視していくということでございますが、公平で、かつ環境的にも、そして財政的にも持続可能な税制となるよう、都としても働きかけをお願いしたいと思います。
 自動車に関連して、都は、自動運転の社会実装が見込まれるベイエリアを推進区域として設定をして、域内における社会受容性向上の取組のほか、行政手続や関係者調整等を効率化するなど、事業者が進める自動運転の取組を後押ししているところです。
 自動運転の実現には、道路側の白線や道路側に交通状況を送信する機器の設置など、道路側にも一定程度の整備が必要というふうにいわれております。
 一方で、最低税率が適用されるEV等の普及などにより、中長期的な自動車関連税収の逓減が予測されており、令和六年度の東京都税制調査会報告では、自動車に係る行政需要と自動車関連税収との乖離が拡大していくとの指摘がなされております。
 この自動車関連税は、税源が全国的に分布し、道路施設などの維持管理、更新を行う自治体にとって貴重な財源となっています。
 そこで、この自動車関連税制の見直しに当たっては、今後の道路インフラ整備需要等と地方税収とのバランスをどう考えるのかということについて、都の見解を伺います。

○辻谷税制部長 自動車の使用に当たっては、道路施設の利用や交通行政サービス等の社会的コストを伴い、これらに対応する地方自治体の財源として、自動車関係諸税の税収を安定的に確保することは不可欠です。
 こうしたことから、都は、自動車を取り巻く環境の変化等を踏まえ、自動車関連諸税の課税の在り方を見直すとともに、地方自治体に減収が生じることなく税収規模を維持するよう、国に対し要望しております。

○北口委員 自動車を取り巻く環境は、EV等の普及拡大をはじめ、自動運転技術の向上、そして自動車のICT化、カーシェアリングの拡大等といったCASEと呼ばれる大変革期を迎えております。
 自動車市場が大きく変わっていく状況下において、東京都税制調査会の報告も踏まえつつ、東京都の立場からも、あるべき自動車関連税制について、引き続き国へ要望していただくことを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、新築の東京ゼロエミ住宅に対する不動産取得税の減免について質問をいたします。
 都は、省エネや断熱性能に優れた住宅を東京ゼロエミ住宅として認証する制度を導入し、認証を受けた住宅の建築主に対し、その費用の一部を助成する事業を行っています。
 主税局では、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、この東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、一定の要件を満たす新築の東京ゼロエミ住宅を取得した場合に、不動産取得税を最大で全額減免する制度を導入していますが、この減免制度について、これまでの実績とその効果を伺います。

○齋藤資産税部長 令和四年度の制度創設から直近の令和六年十月末までの実績は、九百九件、約一億二千三百万円となっています。
 この減免制度は、事業所管局の助成に加えて、税の減免という経済的なインセンティブを付与することにより、東京ゼロエミ住宅の取得を促しており、住宅の省エネ、再エネの推進に一定の役割を果たしているものと認識しております。

○北口委員 昨年度の事務事業質疑で我が党から質問した際には、令和四年度の制度創設から間もない時期でもありまして、百十一件、約一千三百万円の減免実績という答弁でございましたが、それから約一年間経過しまして、適用実績が、件数にして約八・二倍、そして額にして九・四倍と大きく伸びておりまして、本制度が多くの方に知ってもらい、利用してもらっていることを確認させていただきました。
 本年十月から、この東京ゼロエミ住宅の取得基準が変わり、より高い断熱性能と太陽光パネルの設置などが条件となりました。住宅の断熱性の向上は、CO2削減だけではなくて、健康にもよいというふうにされております。
 今後も、東京ゼロエミ住宅、一層普及するために、事業所管局とも連携をし、適切な制度運用に努めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 続いて、防災対策における税制面の支援制度について伺います。
 主税局において、防災まちづくりを税制面から支援するため、不燃化特区支援及び耐震化促進に関する減免を行ってきております。
 まず、この不燃化特区支援については、木造住宅密集地域のうち、特に改善を図るべき地域の不燃化を支援するために、不燃化特区内における住宅の建て替えや防災上危険な老朽住宅を取り壊した後の土地に対し、固定資産税及び都市計画税を減免しているというふうに聞いておりますけれども、不燃化特区支援税制の適用実績を伺わせていただきます。

○齋藤資産税部長 不燃化特区支援税制の令和五年度の減免実績は、住宅の建て替えが二千八百二十一件、約三億七千五百万円、老朽住宅の除却が二百三十四件、約四千八百万円、平成二十六年度の制度創設から令和五年度までの累計は、住宅の建て替えが延べ一万七千四百六十件、約二十一億三千八百万円、老朽住宅の除却が延べ千三百八件、約二億四千九百万円の減免となっております。

○北口委員 ありがとうございます。
 ちょっと続けて、耐震化促進税制についてもお伺いをさせていただきます。
 災害に強い東京の実現を支援するために、都は、二十三区内において、旧耐震基準で建てられた住宅の建て替え、または耐震改修を行った場合に、固定資産税及び都市計画税を減免してきました。
 都議会公明党は、令和五年の予算特別委員会で、耐震基準が見直された平成十二年以前の新耐震基準の木造住宅についても耐震化促進税制の軽減対象に加えるべきだと主張しまして、本年の第一回定例会で、都議会公明党の代表質問に答える形で、都は今年度から、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅も耐震化促進税制の対象にするというふうにいたしました。
 そこで、まずは令和五年度までの旧耐震基準の耐震化促進税制の適用実績、これも伺いたいと思います。

○齋藤資産税部長 耐震化促進税制の令和五年度の減免実績は、住宅の建て替えが八千六十三件、約十二億四千三百万円、住宅の耐震改修が千百八十七件、約三千二百万円、平成二十一年度の制度創設から令和五年度までの累計は、住宅の建て替えが延べ十五万三千百二十八件、約二百三億円、住宅の耐震改修が延べ二万八千九百三十四件、約八億七千五百万円の減免となっております。

○北口委員 昨年度までに、累計で延べ十八万棟以上の建物が建て替えや耐震改修がなされたということを確認しました。
 今年度からは、平成十二年以前の木造住宅も軽減対象になっております。まだ実績は出ていないと思いますけれども、その意義について、都の見解を伺います。

○辻谷税制部長 住宅の耐震化に向けて、税制の活用は有効な手段の一つであり、都は、二十三区内において、旧耐震基準に基づき建築された住宅を建て替えた場合、または耐震改修した場合に、独自の固定資産税及び都市計画税の減免を行ってまいりました。
 住宅の耐震化を税制面からさらに後押しするため、令和六年度からは、平成十二年以前に建築された一定の新耐震基準の木造住宅を令和七年度末までに耐震改修した場合も、新たに減免の対象に追加いたしました。

○北口委員 これまでの質問で、不燃化特区支援税制及び耐震化促進税制が活用されてきまして、二十三区における不燃化、そして耐震化が進められていることを確認いたしました。
 それでは、これらの政策税制が防災まちづくりに果たしてきた効果について、見解を伺います。

○齋藤資産税部長 不燃化特区支援税制及び耐震化促進税制は、税を減免することにより、経済的なインセンティブとなるとともに、事業所管局等における助成事業などとの相乗効果、アナウンスメント効果によって、住宅の不燃化や耐震化の促進に寄与しており、防災まちづくりに一定の役割を果たしているものと認識しております。

○北口委員 防災対策における税制面の支援制度は、事業所管局等における助成事業など様々な施策の効果と相まって、住宅の不燃化、そして耐震化を促しており、防災まちづくりに寄与しているというふうに確認をいたしました。ぜひ今後も継続をして、取組を続けていただきたいというふうに思っております。
 私の地元葛飾区も、不燃化特区に四つのエリアが指定をされておりまして、取組が進められております。
 こうした都の税制制度や事業所管局による各種の助成などが、今後もより一層活用が図られまして、防災まちづくりが進むように、事業所管局や区とも連携をし、周知、広報に取り組んでいただくことを改めてお願いを申し上げます。
 次に、宿泊税についてお伺いをいたします。
 都議会公明党は、令和五年の第二回定例会で、宿泊税の見直しを訴えたところでございますけれども、改めて、高額な宿泊費を要するホテルなどでは定率課税方式を取るなど、見直しを図るべきというふうに考えております。
 さきの答弁では、知事から、宿泊税を取り巻く環境は変化しており、検討を深めるとの答弁があったところでございますけれども、質疑から一年が経過をしましたので、そこで、宿泊税の見直しについて、都の現在の検討状況についてお伺いをいたします。

○辻谷税制部長 平成十四年度の宿泊税創設時と比べ、近年、高額な宿泊の増加が見られることに加え、都の観光産業振興費と宿泊税収の状況や他の自治体における制度の導入など、宿泊税を取り巻く環境は大きく変化しています。
 こうした変化を踏まえ、都は、宿泊税の見直しについて検討してきており、直近の宿泊料金の動向調査を行うなど、引き続き取組を進めてまいります。

○北口委員 引き続きの取組、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、都市農地に関わる相続税についてお伺いをさせていただきます。
 都市農地の減少は、持続可能な農業を目指す都にとって大きな課題でございます。都議会公明党も、これまで本会議等で都市農地保全のための施策を訴えてきたところでございます。
 都が公表している東京農業振興プランによれば、平成二十三年からの十年間で失われた都市農地は千百九十ヘクタールにも上ります。
 農家の皆様のお話を伺いますと、農地の相続に当たり、営農を継続する意思があっても、相続税の支払い等により、農地の一部を売却せざるを得ず、結果として、別の農地を借りるなどの不都合が起きているというふうにも聞いております。
 そこで、都市農地を守るための相続税の軽減など、相続時に農地を手放さなくてもよい税制を国に訴えるべきというふうにも考えますけれども、都の見解を伺います。

○辻谷税制部長 農業を継続する相続人を税制面から支援するため、相続等により取得された農地が引き続き農業の用に供される場合、一定の要件の下に税額が猶予される相続税の納税猶予制度が設けられております。
 都市農地は年々減少しており、農地の保全に向けて、相続税納税猶予制度の適用を拡大することなどを、事業所管局から国に求めております。

○北口委員 都市農地は、東京都の大切な財産でございます。営農の気持ちがあっても、相続などのタイミングで手放さなければならないということは憂慮すべき問題だというふうに思います。都としても、こうした都市農家を守る施策を検討していただきたいということを要望しておきます。
 最後に、いわゆる百三万円の壁について質問をさせていただきます。
 政府が今月二十二日に閣議決定した経済対策の中では、いわゆる百三万円の壁については、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げると明記され、現在、具体的な内容について議論がなされております。連日の報道などもありまして、様々なお声も聞かれるところでございます。
 そこで、いわゆる百三万円の壁に関わる税制の見直しについて、都はどのように認識をしているのかを伺いまして、質問を終わります。

○辻谷税制部長 いわゆる百三万円の壁に係る税制の見直しについては、現在、国において、国民生活や経済に与える影響等を踏まえた議論がなされております。
 都としても、その効果や影響をしっかりと見極めていく必要があることから、引き続き国の議論を注視してまいります。

○和泉委員 共産党都議団の和泉なおみです。
 初めに、事務事業について質疑を行います。
 私は、第二回定例会で、北都税事務所の再開発ビル移転について質疑を行いました。保留床の買取りに係る契約案件でしたから、財務局での質疑となりましたけれども、そのときに、市街地再開発事業として行われる事業に都が参画すると、その地区にある都有地は、再開発組合に帰属し、権利変換計画によって床に変換され、結果として、土地に及ぶ権利は大幅に減少をすること、しかも、変換される価値が適正に評価されているのかどうかを審査するための情報は、民間が行う事業であることを理由に公表されないこと、そして、都の財産処分に係る問題なのに、都市再開発法の下で、財価審にもかけられないことを取り上げました。
 現在、都内で市街地再開発事業として行われている多くの超高層ビルの建設では、ディベロッパーやゼネコンが多くの保留床を得て、莫大な利益を得るものになっていること、建物が大きくなればなるほど従前の地権者の土地に及ぶ権利は小さくなること、これらも具体的に明らかにしました。
 そのような市街地再開発に都が参画することは、税金の使い方としても、また財政民主主義の原則からいっても、到底認められないと発言をさせていただきました。
 今日の質疑では、この観点から、再開発ビルへの都税事務所の移転についてお聞きします。
 建物の老朽化などに伴う都税事務所の移転で、再開発ビルに保留床を購入して移転したのは、これまで何か所で、どの事務所でしょうか。今後移転が予定されているところも含めて伺います。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 都税事務所の改築につきましては、老朽化した施設を計画的に更新するために、財務局が策定している主要施設十か年維持更新計画に基づきまして、都民サービスの維持向上、安全・安心の確保などの観点を勘案して、順次進めているところでございます。
 再開発建物の保留床を購入し、移転を行った事務所は、平成二十年の荒川都税事務所でございます。
 また、再開発建物への移転を予定しているのは北都税事務所でございまして、葛飾都税事務所につきましては移転を検討しているところでございます。

○和泉委員 続けて伺いますが、今ご答弁のあった三か所のうち、権利床を持たない移転、これは何か所で、どの事務所でしょうか。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 再開発事業区域に従前資産を持たず、保留床の購入を検討しているのは葛飾都税事務所でございます。
 葛飾都税事務所の移転に当たっては、区との一体的なサービス提供の維持や住民のアクセスのよさ、経済面などを勘案して、再開発建物へ移転する方向で検討しているところでございます。

○和泉委員 利用者の利便性向上ということでした。確かに駅前に建ちますけれども、今ある葛飾区役所、この中に都税事務所は入っていますが、駅から六、七分です。最寄りの駅からバスに乗らなければいけないとか、そういった事情はありません。区民は、ほとんどバスを使って、金町だとか新小岩だとかそういったところからバスを使って今の区役所への移動が図られている、そういう状況です。本当に保留床を丸々買ってまで移転しなければいけないのかというのは疑問の残るところです。
 今、ご答弁があったとおり、移転を検討している葛飾都税事務所については、都有地がない場所での再開発であり、したがって、床に変換される権利床は全くありません。丸々保留床を購入するという点で、三件のうちのほかの二件とは性質が異なります。
 現在、葛飾区は、立石駅北口地区に建設が進む再開発ビルに区役所を移転することになっていますけれども、地権者や賃借人などの根強い反対があってなかなか進まず、住民訴訟も行われてきました。さらに、円安や資材高騰などによって事業費も膨らんでいます。
 葛飾区が区議会に示した資金計画案では、令和四年十二月時点から令和六年四月の時点までの僅か一年半で、総事業費は九百八十二億円から千百八十六億円と約二百五十三億円増えています。葛飾都税事務所の移転に関わる保留床の取得費用も二十九億円から三十二億五千万円、三億五千万増と見積もられています。しかも、これ、あくまで今年の四月時点での試算となっていますから、四月以降、今まで、あるいは今後の資材高騰分を見越した数字ではありません。一体、完成までにどのくらい事業費が膨らむのか分かっていません。
 敷地内に都有地もなく、権利床として権利変換される床がないまま、全てを保留床で購入して移転することが果たして適切といえるのか。
 一方で、現在葛飾都税事務所が入っている葛飾区役所の建物の敷地は、三割は東京都の持分です。現在の跡地をどう利用するかは、区も都もまだ何も決まっていないとのことですけれども、区民、都民のために、公有地を生かす方針を持って、区とも綿密な協議を行って、都税事務所の現地再整備も含めて検討し直すべきだと申し上げておきます。
 また、議会の審議に必要な情報が公表できないような事業に参画することが、都民から預かる大事な税金を所管する主税局の税金の使い方として、都民に公平性、公正性を担保しているといえるでしょうか。
 物価高騰が続く中で、都民の暮らしの困難は一層増しています。それだけに、税金がどう使われているのか、都民は厳しい目で注視しています。改めて、検討し直す必要があると、厳しく指摘しておきたいと思います。
 続いて、税制調査会報告について質疑を行います。
 まず初めに、東京都税制調査会報告は、都の税務行政にどのように生かしているのか伺います。

○辻谷税制部長 都はこれまで、東京都税制調査会の報告を参考にしながら、宿泊税の創設をはじめ、ZEV導入促進税制などの政策税制を実現するとともに、地方法人課税の在り方など地方税財政制度に対する都の主張の理論的な整理に報告を活用しております。

○和泉委員 私も報告書は勉強になりましたし、大事な議論がされているというふうに思います。新自由主義、自己責任論の政治が進む中で、税の取り方の原則である応能負担と使い方の原則である社会保障による所得再分配の考え方が大きくゆがめられてきました。
 今回の税制調査会報告の中で、税金の応能負担の原則に照らして大事な視点だと感じたもののうち、二つの点についてお聞きします。
 報告書の一七ページには、申告納税者の所得税負担率と合計所得金額に占める金融所得の割合の表が示されています。この表によれば、所得一億円までは税の負担は累進して増えていきますが、一億円を超えると負担率が逆進します。金融所得の割合の表では、所得一億円を境に、所得に占める金融所得の割合は大きく右肩上がりに伸びていきます。これは、金融所得に対する課税が分離課税で一律の課税となっていることに起因していると報告書は指摘し、金融所得に対する課税制度の在り方の検討を進める必要があるとしています。
 税の賦課の公平性への疑念も示されているこの報告を踏まえ、国に対して金融所得への課税の在り方を見直すことを求めるべきですが、いかがでしょうか。

○辻谷税制部長 金融所得課税については、令和五年度税制改正において、税負担の公平性を確保する観点から、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化の措置が講じられ、令和七年分以後の所得税に適用されることとされています。
 金融所得課税の在り方については、本措置の課税状況などを踏まえつつ検討されるものと認識しており、引き続き国の動向を注視してまいります。

○和泉委員 令和七年分所得から行われる超高所得に対する負担の適正化の結果を踏まえる、そのような趣旨の答弁でしたけれども、報告書は、先ほどの表が示すような顕著な逆進性は、現在の金融資産の分離課税と一律の税率が原因だといっているわけですから、都は、この報告書を踏まえて、切り込んだ対策を国に求めていただきたいと思います。
 もう一点は、住民税の現年課税化についてです。
 個人住民税が前年所得に対して課税されている現行制度において、最も大きな影響が出るのは、収入がなくなった年における納税の負担だと考えますが、今年度の報告では、この点についてはどのような意見や提案が示されているのか伺います。

○筒井税制調査担当部長 今年度の報告では、現行の個人住民税について、所得の発生と課税、納税の時期にずれが生じているため、前年に比べて収入が減った場合に、納税者の負担感が重くなる、また、働き方の多様化が進み、収入が一定とは限らなくなっており、こうした負担感が改めて認識されているとしております。
 その上で、所得の発生から時間的間隔を置かず課税する現年課税化の実現に向けて、課税や徴収の具体的な仕組みを検討し、提案をしております。

○和泉委員 現年課税化が実現すれば、仕事を辞めて収入が大幅に減ったりした場合でも、前年の所得に基づいて課税をされる重い税負担に生活が圧迫されることもないし、応能負担の原則に照らしても、払える能力を超えて課税されている現状は解決すべきだというふうに思います。この点も、実現に向けて国に強く求めていただきたいと思います。
 以上二点に絞って質疑しましたが、都税調は要綱設置であり、あくまで懇談会としての位置づけにとどまっています。冒頭の答弁でもありましたとおり、この報告書、意見を取りまとめたものというふうにはなっていますが、実態は、法定外税の導入の参考にしたり、地方税財政制度の都の主張の理論的な整理に使うなど大きな役割を果たしています。私たちがかねてから指摘しているとおり、その果たしている役割にふさわしく、条例設置の附属機関として、きちんと位置づけるべきだということを改めて求めて、質疑を終わります。

○中田委員 よろしくお願いします。
 私からも、まず、宿泊税についてお聞きをさせていただければと思います。
 この議論が出てきてから一年近くがたちまして、先ほど現在の検討状況についてお話はありましたので、そこは割愛をさせていただく中で、まず、インバウンドもこれだけオーバーツーリズムだといわれている中で、現在の宿泊税の税収の推移がどのようになっているかお伺いします。

○辻谷税制部長 宿泊税収につきましては、平成二十七年度以降、二十億円台で推移していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和二年度には約九千万円まで減少しました。その後、訪日外国人観光客数や国内旅行者数の増加などの影響により宿泊税収は増加し、令和五年度決算における宿泊税収は四十四億円となっております。

○中田委員 今、東京都の宿泊税は、一万五千円未満で百円で、一万五千円以上で二百円というところで、宿泊料金もだんだんだんだん値上げをしているのは皆さんもご存じかと思います。ビジネスホテルに泊まるにも、なかなか今、泊まるところを東京都内で探すのが大変だというような声もある中で、今、宿泊税については、様々な都道府県でも検討をされているかと思います。
 まずもって、この宿泊税、観光事業の目的税でありますけれども、観光産業振興費と税収との乖離というか、今の現状はどのようになっているかお聞きをします。

○辻谷税制部長 令和六年度当初予算における宿泊税収は四十八億円を見込んでおります。また、令和六年度当初予算における観光産業振興費は三百六億円となっております。

○中田委員 今ありましたように、観光産業振興費が三百六億円に対して、宿泊税収は大体四十八億円ということで、かなりの乖離が見られている中で、やはりそういうところも含めて見直しが必要なのかなというところも思っているところではありますが、全国でも、やはりこの話題、連日新聞などでも見ているかと思いますけれども、各地でこれから、四十を超える自治体でも、今、宿泊税の検討を行っているということがありますが、最近の新設等を含めて、今の改正状況をどのように東京都は捉えているかお伺いをします。

○辻谷税制部長 昨年度以降の他自治体における宿泊税の導入や改正に関する条例の施行状況についてお答えいたしますと、令和六年十月に、金沢市が課税免除の基準を新たに設けたほか、令和六年十一月より、ニセコ町が宿泊税を導入しております。

○中田委員 今ありましたように、新しく導入している自治体もあれば、金額を東京都よりも幅広く設けて、段階を設けて課税をしているような自治体もあります。
 この宿泊税を導入した当初、平成十四年からもう大分時間がたっている中で、やはりその辺の物価の高騰も含めて見直しっていうのは必要なんだと思いますので、引き続き、これには取り組んでいただきたいと思いますが、この見直しも話が出てから、先ほども最初、いいましたけれども、一年近くがたっている中で、今後どのように見直しの結論というのを出す予定になっているのか、東京都の見解をお伺いします。

○辻谷税制部長 宿泊税の見直しについては、観光産業をめぐる状況や宿泊料金の動向、税への負担感なども勘案した上で、引き続き検討をしてまいります。

○中田委員 引き続き検討していくというところでしたので、繰り返しになりますが、今の物価高騰の状況や、またインバウンドの状況、海外の国では、自国の国民の皆さんと海外からの観光客の皆さんで税率を変えているというところもあったりもします。ぜひ、様々検討していただく上で、事業者の声も含めて聞いていただき、適切な料金の変更というのを求めていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 次に、個人都民税の徴収率の向上に向けた取組について、東京都の見解を伺わせていただきたいと思います。

○上野特別滞納整理担当部長 都は、個人都民税の徴収率向上のため、区市町村と連携した取組を推進しており、令和五年度には、徴収率九八・〇%と過去最高となっております。
 具体的な取組としましては、自治体からの実務研修生の受入れや都職員の派遣、地方税法に基づく困難事案の引継ぎなどの区市町村支援を実施しております。

○中田委員 今ありましたけれども、過去最高の徴収率で九八%というところです。いろいろと困難事案が今あるという話もありました。区市町村と連携をして様々取組を行っているという中でも、やはり外国の方に対する徴収というところも、取組がさらに必要ではないかなと思っております。
 都内には高級マンションがどんどん建っている中で、結構、最上階になると、高額で海外の方が買われているというような話も、皆さんも耳にすると思いますけれども、そうした外国の方に対する徴税の取組について、今、東京都はどのようなことを行っているのかお伺いをします。

○小谷徴収部長 外国に住所を有する納税義務者については、本人に代わって納税手続を行う納税管理人を都内に設定することを求めており、滞納となった場合には、納税管理人に対して督促しております。
 納付されない場合には、直接納税者に対し母国語に対応した催告書を送付するなど、自主納付に向け工夫した取組を行っております。
 それでも納付がない場合には、国内に保有する資産等の状況を踏まえ、滞納処分を行っております。

○中田委員 外国の方の徴収の取組というところで、なかなか難しいところもあるというのも理解はしつつ、やはりしっかりと税金を納めていただくというのは基本中の基本ですので、その辺の取組をさらに強化をしていただき、きっちり徴収をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、都税事務所について、様々ちょっとお伺いをさせていただければと思います。
 私も都税事務所に行くこともあるんですけれども、まず、窓口での混雑を避けるために、今行っている取組について、東京都の取組についてお伺いをします。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 都税事務所の窓口においては、特に四月当初に評価証明の申請が増加する時期など、来所者が集中する場合がございます。
 このため、窓口混雑状況配信サービスを導入いたしまして、整理番号による受付、案内を実施するとともに、窓口の混雑状況をインターネット上にリアルタイムで配信しております。混雑している事務所や時間帯を避けて来所することが可能となっております。

○中田委員 今、様々取組をお伺いさせていただきましたが、さらに、都税証明の電子申請の現状と今後の展開について、併せてお伺いをさせてください。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 都税に関わる各種証明等の電子申請は、令和三年度より開始いたしまして、自宅やオフィスから申請や手数料の支払いが可能となる仕組みを整備するとともに、スマートフォン対応や本人以外の代理人でも申請を可能にするなど、順次サービスの充実を図ってきたところでございます。
 電子申請の利用件数は年々増加しておりまして、さらなる利用促進に向けて、郵送申請者への返送時に電子申請案内のチラシを同封するほか、SNSやデジタルサイネージなどを活用した広報を展開して、利用拡大に取り組んでいるところでございます。

○中田委員 ありがとうございます。今、様々ありましたが、今のお話は、やっぱり申請のところで、いかに窓口に並ばないかというところになってくるのかと思います。
 都税事務所で納税証明書をもらって、例えば産業労働局で様々な助成金の申請をするなど、都庁内の他の部署に書類を出すのに、わざわざまた書類を取りに行って、またそれをほかの局に出してというような紙の文化というのもやはりなかなか残っているなというのを感じていて、そういう手間が事業者の皆さんにかかっているという声もちまたで聞くんですけれども、都庁内の他局の連携の現状と今後の展開についてお伺いをさせてください。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 主税局では、二〇三〇年における税務行政のあるべき姿を示した主税局ビジョン二〇三〇を策定いたしまして、バックオフィス連携による各種手続のワンストップ化を目指すこととしております。
 都庁内の各局を含めた関係機関との情報連携を図るには、税務基幹システムの対応に加えて、連携機関のシステム改修や運用面の検討も必要でございます。
 こうした課題解決に向けて、税務基幹システムの再構築に取り組むとともに、関係機関との調整を進めてまいります。

○中田委員 今、主税局ビジョン、今後のバックオフィス連携についてお話をいただきましたけれども、まずは主税局として税務基幹システムの再構築を行わなければいけないというところで、まだちょっとなかなか先が長いなというのが、今思ったところです。
 できるだけ都民の事業者の皆さんにもご負担をかけないというところで──前回も、コロナ禍のときに大分苦労をされたというような話も事業者の皆さんから聞いています。なので、そういうことが今後いつ起こるか分からないので、スピーディーに様々な事業を進めていただくというところを要望させていただきまして、質問を終わります。

○林委員 自民党の林あきひろでございます。
 私からは、まず、税務行政におけるデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの推進について伺わせていただきたいと思います。
 現在、都では、シン・トセイ戦略というものを毎年度バージョンアップしておりまして、DXの推進をてこにして、都政のクオリティー・オブ・サービス、QOSを向上させるための構造改革を推し進めているところでございます。
 デジタル技術を活用して、都政のサービスの質向上や都民の生活の向上を図る取組ということを推進しているということですけれども、このDXを推進することによるメリットやサービスの向上というものを都民、納税者が実感できることが極めて重要でありまして、そのような観点から質問を進めてまいりたいと思います。
 主税局は、各種の申告、申請や納税など都税に関係する多種多様な手続で、都民、納税者と密接に関わっておられまして、DXを推進することで様々なサービス向上が図られるものというふうに思っておりますけれども、こうしたことから、主税局では、主税局ビジョン二〇三〇ですか、策定していただいて、これまでも局としてのDXを推進してきたものというふうに考えております。
 そこでまず、これまでの税務行政におけるDX推進の取組について伺わせていただきたいと思います。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 主税局では、二〇三〇年における税務行政のあるべき姿を示した主税局ビジョン二〇三〇を策定し、税務行政のデジタルトランスフォーメーション、DXの推進に取り組んでいるところでございます。
 これまでも、地方公共団体が共同で運営するシステムでありますeLTAXを利用した電子申告等の対象を順次拡大しておりまして、例えば、法人事業税、都民税の利用率は八〇%を超えるなど、年々利用率が向上しているところでございます。
 また、都税の納付手段にスマートフォン決済アプリを導入いたしまして、順次、対象アプリを拡充するなど、キャッシュレス納税の推進に取り組むほか、各種証明等をパソコンやスマートフォンから申請できる電子申請サービスも実施しているところでございます。
 こうした取組によりまして、いつでも、どこでも申告、申請や納付ができる環境を整えることで、納税者サービスの向上を図っているところでございます。

○林委員 電子申告、電子申請やキャッシュレス納税の推進といった納税者が便利さを実感できる様々な取組を行ってきたということでございますけれども、こういった取組は、納税者や行政の双方にとってメリットがあるわけでして、着実に実現を図っていくべきだというふうに考えておるところでございますけれども、先ほど、主税局ビジョンでは、二〇三〇年における税務行政のあるべき姿が示されているというご答弁がございました。
 そこで、次に、主税局ではDX推進による税務行政の将来像をどのように考えているかということについて伺うとともに、実現した際の納税者にとってのメリットについて伺わせていただきたいと思います。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 主税局ビジョン二〇三〇では、来庁不要のサービス提供を充実させることで、バーチャル都税事務所の実現を目指しております。
 具体的には、これまで来所や電話で行っていた申告、申請、納付や問合せをパソコンやスマートフォンで対応可能にするほか、関係機関とのバックオフィス連携による各種手続のワンストップ化などを目指しております。
 こうした取組の実現によりまして、納税者は、二十四時間三百六十五日、いつでも自宅やオフィスから様々な都税に関わる手続を行うことができるようになりまして、利便性が抜本的に向上するものと認識しているところでございます。

○林委員 今、主税局ビジョン二〇三〇の中で、バーチャル都税事務所の実現によりというお答えがございました。私は、バーチャル都税事務所というのは、メタバースか何かにあるやつかと思ったんですけれども、そうではなくて、AIチャットボットとかオンライン決済とかオンライン相談とか、総合的な税務基幹システムとか、そういったところの連携により利便性を提供するというようなシステムの総称であったわけなんですけれども、こういったあらゆる手続がデジタル化することによって来庁が不要になると、こういったサービスを提供することを実現することで、納税者にとっては、利便性が大きく向上することが期待できるんではないかというふうに考えておるところです。
 一方で、やはり常にこういった課題に対して問題になってくるのが、高齢者の方をはじめとして、どうしてもデジタル機器に対して苦手意識を持つ方もいらっしゃる。バーチャル都税事務所の実現を目指すことは、本当に結構なことなんですけれども、こういった方々を取り残すことなくフォローしていくこともまた重要であるというふうに考えているところなんですけれども、そこで、デジタル機器の活用に不慣れな方への対応、いわゆるデジタルデバイドへの対応というものをどのように考えているのか、ご見解を伺いたいと思います。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 税務行政のDXを推進することで納税者への利便性が飛躍的に向上する一方、デジタル機器に不慣れな方への対応を行っていくことも重要でございます。
 このため、例えば、高齢者向けにキャッシュレス納税の利用方法を説明する機会を設けるほか、システムの構築や改善に当たって、煩雑な操作を要しないシンプルな設計にするなど、デジタル機器に不慣れな方でも利用しやすい環境を整えるように努めてまいります。
 あわせて、都税事務所の窓口においても、納税者の申告や納税などの手続に対応していきたいと考えております。

○林委員 DXを推進することは極めて大切なことでありますし、必要なことというふうに考えていますけれども、やはり納税者目線に立って、一定数、必ずいらっしゃるデジタルデバイドといわれるような方々への対応もしているということが分かりまして、一安心したところなんですけれども、引き続き、丁寧なご対応をお願いしたいというふうに思っております。
 また、DXの推進といいましても、デジタル技術の進展というものは目覚ましいところがあるわけでございまして、この主税局ビジョンを策定した数年前と比べましても、状況は日々大きく変わっているものというふうに思っております。
 例えば、最近は、いわゆるAI技術を活用した製品とかサービスの導入というものが毎日のようにニュースで取り上げられるなど、官民問わず様々な検討が進められていることはご承知のとおりでございまして、さらに、このAI技術は日進月歩で進化して、そのスピードも、もう私のレベルではないんですけれども、従来では想像できないくらい驚異的なものとなっておりまして、その可能性というものは、まさしく大きなものを秘めているというふうに思っております。
 冒頭申し上げたとおり、税務に関する手続は多種多様でありまして、この税務事務というものも専門性が高くて複雑であるわけでして、最新技術の発展の動向に日々注目しながら、税務行政にも柔軟に取り入れて活用することで、納税者サービスの一層の向上やさらなる業務の見直しを図ることができるのではないかというふうに考えているところです。
 そこで、こういった最新の技術を取り入れながら、さらなるDXを実現して、納税者へのQOSの向上や税務行政の効率化を推し進めるため、今後どのように取り組んでいかれるのかについて伺いたいと思います。

○入佐総務部長DX推進担当部長兼務 現在、主税局では、税務行政のDX推進に向けて、税務基幹システムの再構築に取り組んでおります。
 AIをはじめとする先端技術は日々加速度的に進化しておりまして、税務基幹システムの再構築を進めることに加えて、これらの活用も図ることで、税務行政の効率化、高度化をより一層進めることができると認識しております。
 今後、税務行政のDXを推進するに当たっては、BPR、すなわち業務プロセスの最適化の実施やAIなど先端技術の活用による業務見直しを進めることで、納税者が実感できるQOSの向上に取り組んでまいります。

○林委員 主税局は、現場というものを多く抱えるために、幅広い納税者の声というものに耳を傾けて、その声を基にしてDXを推進するということで、より満足度の高い、先ほども申し上げておられましたけれども、バーチャル都税事務所の実現というものを目指していけるのではないかというふうに考えております。
 業務プロセスの最適化の実施、BPRですね、こういった、あとはAIなどの先端技術の活用も図りながら、主税局のDXというものを推進して、納税者である都民がメリットを実感できるような、またQOSの向上に取り組んでいただきたいことを要望いたしまして、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 続いては、先ほど川松委員からも、ふるさと納税の質疑がございましたけれども、私からは、令和六年度の東京都税制調査会報告でも取り上げられておられましたけれども、地方創生応援税制、いわゆる企業版のふるさと納税について伺いたいと思います。
 この企業版ふるさと納税も、個人のふるさと納税と同様に、利用者にとってはメリットも多々あるわけですけれども、一方で、多くの課題、問題を抱える制度であるというふうに認識しているわけですけれども、まず確認の意味で、この企業版ふるさと納税については、どういった制度なのか、また個人のふるさと納税との違いを簡単に教えていただければと思います。

○辻谷税制部長 平成二十八年度税制改正で創設された企業版ふるさと納税は、各地方自治体が計画し、内閣府が認定した地方創生事業に対して企業が寄附した場合に、寄附額の最大約九割に相当する法人事業税、法人住民税及び法人税を軽減する制度です。
 個人のふるさと納税との主な違いは、寄附を行う法人に対し、その見返りとして経済的な利益を供与することが禁止されていること、個人の場合は自己負担額が二千円であるのに対し、法人の場合は実質的な負担が寄附額の約一割であることなどが挙げられます。

○林委員 最大で、今おっしゃっていただいたように、寄附額の約九割の軽減ということですね。
 今年度の報告では、企業版ふるさと納税にはどのような問題点があるのかということについて記されているわけですけれども、その辺について、改めて伺いたいというふうに思います。

○筒井税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会の報告では、企業版ふるさと納税について、地方交付税の不交付団体であり、かつ三大都市圏の既成市街地等に所在する地方自治体等への寄附が対象外となっており、結果として、都市から地方へ税収を移転させるのと同様の効果を生じさせる仕組みになっていると指摘しております。
 その上で、個人のふるさと納税と同様に、企業が立地していない地域への税収移転は、受益に対する負担という地方税の原則に反すること、さらに、国の認定によって実質的に地方税の納付先が変わり、自治体の課税権の侵害につながることや、交付税財源への影響などを問題としております。

○林委員 今のお話のとおり、私の地元の構成市の一つである調布市も不交付団体ということで対象外というふうになっておるわけで、東京都もそうですけれども、その影響というのは、地方自治体にとっては誠に大きいものがあるというふうに考えております。
 この企業版ふるさと納税は、個人のふるさと納税のように、返礼品、先ほど川松委員もいろいろ例示をされておられましたけれども、返礼品によるいわゆる誘引というものはございませんけれども、その実態として、都市から地方へ税収を移転させるのと同様の効果を生じさせるという構図は同じだというふうに考えておりまして、この企業版ふるさと納税による都の減収額については、最近、特に税制改正もありましたので、大きく増えているというふうに聞いておりますけれども、都における企業版ふるさと納税の影響額の推移というものと、減収額が増えている要因等についてお聞かせいただきたいと思います。

○辻谷税制部長 企業版ふるさと納税による都の減収額は、令和三年度は前年度比二十二億円増の二十四億円、令和四年度は二十九億円、令和五年度は五十五億円となっています。
 近年、影響額が増えている主な理由としては、令和二年度税制改正において、税額控除割合が最大三割から二倍の六割まで引き上げられ、損金算入による軽減効果と合わせ、最大で寄附額の九割が軽減されるなど、大幅に制度の見直しが行われたことなどが挙げられます。

○林委員 今、ご答弁あったように、令和二年度の税制改正において、先ほども申し上げましたけれども、最大で寄附額の九割が軽減されると。つまり、実質的な企業の負担というものは一割にまでその圧縮効果が期待できるということで、大幅な制度の見直しということで、この魅力が非常に高まったということによって、この企業版ふるさと納税も、個人のふるさと納税のように、今後も都税の流出というものがさらに増加するんではないかということが懸念されるわけでございます。
 先ほど、この制度の抱える問題について、都税調の報告内容というものもおっしゃっておられましたけれども、この制度利用の実態からも、問題が浮かび上がってまいります。
 今年、この制度を悪用して寄附を行った企業に対する寄附金の還流というものが疑われる事例が明らかになりましたことはご承知のとおりでありまして、その自治体の議会は、百条委員会を設置して、報告書を公表しております。今般、国は、制度が禁じる経済的見返りがあったとして、当該自治体の地域再生計画の認定を取り消したということになっているわけでございます。
 企業版ふるさと納税については、限られた財源の中で、様々なまちづくりへの課題、そして多様化する住民サービスに対応していかねばならない状況にある、財政的にもいろいろ厳しい地方自治体において、新たな財源確保の有力な手だてとなることは十分理解するところではありますし、都内においても、活用している自治体があることも十分承知しているところでございますけれども、しかしながら、極めて深刻な問題を抱えた制度であるといわざるを得ないというふうに思っております。
 都税調として、今年度の報告で、企業版ふるさと納税の今後の在り方についてどのように述べておられるのかお伺いしたいと思います。

○筒井税制調査担当部長 今年度の報告では、企業版ふるさと納税制度は税制の本質をゆがめる問題を有しており、政策的な期限付減税であることを踏まえ、令和六年度末の期限をもって廃止すべきであるとしております。

○林委員 ありがとうございました。その今年度の報告を受けて、では、都税調の報告はそのように、ご答弁のとおりですけれども、東京都としては、企業版ふるさと納税について今後どのように対応していかれるおつもりなのかについて、改めて伺いたいと思います。

○辻谷税制部長 企業版ふるさと納税は、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものであることに加えて、地方創生を推進することを名目としてはいますが、東京都や特別区などの特定の自治体を対象外としており、実質的には自治体間の財政調整の手段として用いられているものといわざるを得ません。
 真の地方創生の推進や日本全体の持続的な成長のためには、総体としての地方税財源の充実を図るべきであり、企業版ふるさと納税は、政策的な期限付減税であることも踏まえ、さらなる拡充や適用期限の延長を行うことなく、令和六年度末をもって確実に廃止すべきです。
 都としては、東京都税制調査会の報告も参考にしながら、引き続き、国に対して制度の廃止を求めてまいります。

○林委員 ありがとうございました。今、お話がございましたけれども、この都税調の報告、私も拝見させていただきましたけれども、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものであるという今のご答弁、さらには、この報告にも書いてありますけれども、結果として都市から地方へ税収を移転させるのと同様の効果を生じさせる仕組みになっているということ、こういった大きな問題があるのかなというふうに思っております。東京都も、私の地元の一つ、調布市もそうですけれども。
 この企業版ふるさと納税制度を利用する企業側としては、寄附をすることによる税の軽減効果のほかにも、自治体とつながることによる信頼度のアップとか、社会貢献をしている企業だというようなイメージアップには、計り知れない効果的なものがあるのかもしれませんけれども、そもそもの目的であります地方創生の定義というものは、地域の持続的な発展を目指して、人々がその土地で安心して暮らして、働き、育てることができる社会をつくることだというふうに定義づけられているわけでして、少子高齢化が進んで、人口減少社会の到来が足音を立てて迫る中、地方創生への取組というものは、一朝一夕には進むものではございませんけれども、中長期的な視点で取り組まなくてはなりません。
 都として、東京都として、東京都にふさわしい、本来あるべき地方創生の形を示していただくこととともに、今年度の都税調の報告を踏まえて、やはりこの企業版ふるさと納税制度については、廃止というものを国にしっかりと訴えていただくよう求めまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○竹井委員 私、最後の質問でありますので、重複を避けて質問してまいりたいと思います。
 都税の減免制度の周知の観点から伺います。
 令和五年度の都税決算見込額、過去最高ということでありますが、税目別では個人事業税は減少しているということです。
 先般、建設業者で結成されます全国建設労働組合総連合さんと意見交換をさせていただきましたけれども、資材高騰や物価高、さらに昨年十月から始まったインボイス制度によって、中小企業や個人事業者は、価格転嫁ができないということから厳しい経営状況であるということ、これが個人事業税の減少にも現れているのではというご意見をいただいたところでございます。
 全建総連さんからの要望にもあるのですけれども、まず、個人事業税の減免制度について伺わせていただきます。
 減免制度は必要とされる方々に活用されることが重要であることはいうまでもありません。そのために、広く都民に知れ渡っているということが必要であると考えます。
 納税者ご本人、または扶養親族等が障害者である場合や生活扶助を受けている方、高額の医療費の支出があった方などについては、地方税の定めや都税条例の規定などにより個人事業税の減免ができるとされておりますけれども、制度の周知に向けてはどのような取組を行っているのかについて伺います。

○蓮沼課税部長 個人事業税は、前年の所得に対して課税するため、生活状況の変化により納税が困難となった場合において、申請により減免の手続を行っております。
 都では、制度の概要、問合せ先などをホームページや広報紙「あなたと都税」により周知するほか、個人事業税の納税通知書を送る際、減免制度のお知らせチラシを同封しております。

○竹井委員 こういった減免制度を広く分かりやすく都民にお知らせをしていただきたい。また、減免対象者にこの制度が確実に伝わるように、積極的な取組を続けていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、東京ゼロエミ住宅の新築に対する不動産取得税の減免について伺います。
 都は、令和元年度から、断熱、省エネ性能の高い住宅の普及を図るために、都独自の基準を定めて、建設費用の一部を助成する東京ゼロエミ住宅事業を実施しています。
 今年度は、省エネ基準の強化や太陽光発電設備を要件化するなどの制度の見直しが行われて、環境対策には一層の強化が図られたというふうに聞いております。
 この見直しを踏まえまして、主税局では、減免要件を変更して、減免割合を新たな環境水準に応じたものとするほか、事業期間に合わせて期限を令和十一年三月三十一日までに延長をしている、事業所管局と連携した取組を行っているというふうに伺っておりますが、こうした制度の変更も広く分かりやすい周知が必要だと考えます。
 様々やっていただいているので、特に事業者の協力も得て、都民に周知していくということが重要であるというふうに考えておりますが、制度の周知についてはどのような取組を行っているのかについて伺います。

○齋藤資産税部長 事業者への周知につきましては、住宅関係団体等が参加する東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームの連絡協議会等において、助成制度の説明と併せて、減免制度について情報提供を行っております。
 都民の方には、ホームページや「あなたと都税」などの広報媒体のほか、SNSを活用し、住宅の新築を考えている方にターゲットを絞った効果的な広報を実施するなど、周知を図っております。

○竹井委員 事業所管と連携して、積極的な広報に努めていただきたいということを要望しておきます。
 キャッシュレス納税について伺います。
 先ほどからお話が出ておりますけれども、スマートフォン決済アプリ、この収納が確実に伸びているということを伺っています。
 先ほども、高齢者の方、ちょっと不慣れな方についても対策をされているんだということも伺ったところでありますけれども、令和五年度の利用実績、そして利用拡大に向けた取組について伺っておきます。

○小谷徴収部長 令和五年度の利用実績は、金額で約三百七十億円、件数で約百九万件となっておりまして、令和二年六月にスマートフォン決済アプリ収納を導入して以降、毎年着実に利用者数が伸びております。
 今年度は、メディア向けのPRイベントの実施をはじめ、納税通知書へのPRチラシの同封やユーチューブ広告を活用したPR動画の配信など様々な周知活動を展開し、利用拡大に向けた取組を推進しております。

○竹井委員 私も、三年前に、各会計決算特別委員会第一分科会で、スマートフォン決済アプリ収納の利用実績を伺ったところでありますが、そこから考えても、着実に伸びているということが分かりました。
 様々、中田委員の方からも、徴収率の向上に向けては質問もありました。都税全体の徴収率の向上、これはもちろん大切なことなんでありますけれども、最後に、都税の徴収率向上に向けて、今後はどのように行っていくのか、努力していくのかについて伺っておきたいと思います。

○小谷徴収部長 徴収率の向上に向けましては、納期内納税を推進していくことが重要であり、キャッシュレス納税の拡充をはじめとした納税環境の整備を進めることで納税者の利便性向上を図っております。
 また、併せて、滞納の早期解消を図ることも重要であり、SMSを活用した納税催告や差し押さえた財産を効果的に換価できるインターネット公売など、創意工夫を凝らした取組を実施しております。
 こうした取組を進めることで、さらなる徴収率向上に努めてまいります。

○竹井委員 分かりました。引き続き、適正、公正な課税徴収の下で、徴収率の向上などの役割を果たしていただきたいというふうに考える一方で、とりわけ物価高騰、冒頭申し上げたような影響で厳しい状況にある方も多くいらっしゃるわけでありまして、滞納を余儀なくされた方への丁寧な対応も必要だというふうに、もちろん考えているところであります。
 徴収率向上と併せて、滞納者への納税資力の把握を行って、丁寧な対応をしていただきたいということを要望して、質問を終わります。

○河野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十五分散会