財政委員会速記録第十五号

令和六年十月二十九日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長河野ゆうき君
副委員長成清梨沙子君
副委員長和泉なおみ君
理事北口つよし君
理事清水とし子君
理事鈴木  純君
川松真一朗君
清水やすこ君
長橋 桂一君
林あきひろ君
中田たかし君
まつば多美子君
村松 一希君
竹井ようこ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務稲垣 敦子君
契約調整担当部長須藤  哲君
主計部長佐伯  亮君
財産運用部長松井  裕君
建築保全部長金子 陽子君
施設整備担当部長五嶋 智洋君
技術管理担当部長小林 秀行君
庁舎運営担当部長鈴木 光祐君
会計管理局局長梅村 拓洋君
管理部長前田  豊君
警察・消防出納部長坂東 宏之君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務菊地 顕行君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)

○河野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○林委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まず、契約、支出関連事務のデジタル化について伺いたいと思います。
 デジタル化といいますと、効率化とかコスト削減の観点から語られることが多いんですけれども、やはり利用者にとってどのようなメリットがあるかということが重要ではないかというふうに考えています。
 契約、支出関連事務のデジタル化については、いわゆるシン・トセイ4のコアプロジェクト、都政スピードアップ・制度改革プロジェクトの一つとなっておりまして、行政のデジタルシフトによって、都民、事業者の実感にこだわったサービス品質の向上を徹底するために、これまで紙書類が前提となっていた事務をデジタル化していくということで、大変意義のある取組だというふうに考えています。
 令和六年四月からは、東京都契約請求システムが稼働しまして、事業者と都の間のデジタルベースでの書類のやり取りが可能になったというふうに聞いておりますけれども、そこで、最初に、契約、支出関連事務のデジタル化によって、事業者にどのようなメリットがあるのか伺いたいと思います。

○菊地会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 契約、支出関連事務のデジタル化につきましては、起案から契約、支出に至る手続を一連でデジタル化するものでございまして、会計管理局は、支出や審査など会計事務を所管する立場から、関係局と連携して取組を進めております。
 事業者の契約請求手続につきましては、契約、支出関連事務のデジタル化によりまして、これまで紙の書類の作成や押印、対面による提出が必要だったものが、オンラインでの手続を可能とすることなど、事業者の負担軽減、利便性向上が実現いたします。
 具体的には、オンラインにより時間や場所にとらわれずに手続が可能、手続がデジタルで完結、請求書等の入力の手間や記入ミスの減少、事業者から手続の進捗状況が確認可能となるといったメリットがございます。

○林委員 デジタル化によって、これまでの紙の書類の作成とか押印、対面による提出が必要だったものがオンラインでの手続を可能とすることなど、事業者の負担軽減、利便性向上というものが実現しますと、これは事業者にとってはやっぱり大変大きなメリットだというふうに思っております。
 この取組は、関係局と密接に連携して推進することが重要となってくるわけですけれども、会計事務を所管する局として、デジタル化に向けて、会計管理局が主導して取り組むべき課題もあったというふうに思っておりますけれども、契約、支出関連事務のデジタル化において、会計管理局は、これまでどのような役割を果たしてきたのか伺いたいと思います。

○菊地会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 会計管理局では、契約、支出関連事務のデジタル化に当たりまして、局内にプロジェクトチームを設置いたしまして、会計事務を所管する立場から、業務の見直し、いわゆるBPRや、デジタル化に係る規程の整備などを実施いたしました。
 具体的には、審査事務のデジタル化やシステムへの入力項目の自動照合などにつきまして、システムの要件定義等に適切に反映させております。加えて、請求書をデジタル化により提出ができるよう事務フローの見直しを行ったほか、請求書のデジタル化に伴う会計事務規則の改正などを実施いたしました。
 令和六年四月からは、東京都契約請求システムが稼働いたしまして、事業者と都の間でデジタルベースでの請求書等のやり取りを開始しております。

○林委員 今年の四月から東京都契約請求システムが稼働されたということで、事業者と都の間でのデジタルベースでの請求書等のやり取りが可能になったということですね。
 この請求書がデジタル化できることになったということは、先ほども申し上げましたけれども、事業者にとっても非常にありがたいことだと思っております。ただ一方、契約、支出関連事務のデジタル化については、事業者だけではなく、都庁側、職員の方とかにとっても、支出事務がデジタル化されるということは、テレワークとかそういうリモートでの環境が出来上がるわけですから、そういうことが可能になってくると、都庁の働き方改革にとっても非常に大切な取組であるというふうに考えています。
 会計管理局は、支出や審査を所管する局として、今後も主体的に取り組んでいかなくてはならないと考えておりますけれども、契約、支出関連事務のデジタル化に向けて、会計管理局は、今年度どのような取組を行っているのか伺います。

○菊地会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 令和六年四月に稼働いたしました事業者と都の間のデジタルベースでの書類のやり取りに係る機能に続きまして、請求書等を受領した後に、支出事務や支出内容の審査を行う機能として、関係局と連携し、支出審査機能の構築、テストを実施しております。加えて、東京都契約請求システムとのデータ連携に向けた財務会計システムの改修や、データ連携テストの準備などを進めております。
 今後につきましては、稼働に向けて必要となる規程整備に向けた検討等を行う予定でございます。令和八年度を目途とした契約請求システムの本格稼働に向けまして、関係局と連携し、一連のデジタル化に必要な取組を着実に進めてまいります。

○林委員 ありがとうございます。当初の予定どおり、令和八年度の本格稼働に向けて着実に取り組んでいかれるということですけれども、従来、紙の書類の作成とか押印、対面による提出が必要であった手続が、オンラインでの入力や提出に変わるということで、時間や場所にとらわれずにデジタルで完結すると、入力の手間とか記入ミスも少なくなるなど、事業者の利便性というものは大幅に向上すると思います。
 システムの構築に当たっては、いろんな課題が多分生じてくると思うんですね、今までの例を見ても。不具合等が発生することのないよう、今後も関係局と密接に連携して、しっかり取り組んでいただくことを期待しまして、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 続いて、公金管理について伺います。
 現在、我が国の景気というのは、ご承知のとおり緩やかな回復が続いていくことを期待されておりまして、物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向けた機運というものが高まっております。
 本日、政府から月例経済報告が間もなく発表されますけれども、振り返りますと、デフレからの脱却と持続的な経済成長実現のために、日銀が大胆な金融緩和政策を平成二十五年に実施してからのおよそ十年間、歴史的な低金利といわれるような環境が続いてきております。
 都の公金管理については、金融商品により運用を行うことから、金融政策とか金利動向の影響を受ける部分も多くて、こうした環境下においては、運用収入を向上させることは非常に難しかったんではないかなというふうに考えております。
 そこで、過去、低金利の環境がしばらく続いてきた中においては、運用収入を高めるためにどのような取組を行ってきたのかについて伺いたいと思います。

○前田管理部長 日本銀行による金融緩和、特に、平成二十八年のマイナス金利政策導入以降、預金や国債などの市場金利は過去最低水準まで大幅に低下しておりました。そうした中、多くの金融機関は、預金の活用先に窮し、慢性的な資金余剰状態に陥ったことから、提示金利が大幅に低下したほか、新たな預金の受入れを回避する傾向も生じるなど、公金の運用にとって困難な状況が続いておりました。
 こうした環境下におきましても、金融機関の資金ニーズを的確に把握し、預金の設定金額を柔軟に検討することで、受入先の確保に努めることや新たな預金先の発掘にも注力いたしました。あわせて、基金において、預金に比べ相対的に利回りの高い債券での運用割合を、平成二十八年度の二一・一%から令和五年度の二七・五%まで引き上げるなど、機動的にポートフォリオの最適化を図ることなどにより、運用収入の確保に取り組んでまいりました。

○林委員 マイナス金利政策導入以降、市場金利が非常に、こういう最低水準までということで、今ご答弁の中にあったように、金融機関の新たな預金の受入れを回避するような傾向があったと。何ていいますか、晴れの日に傘を差し出すような、何といいますか、非常に苦しい状況であったのかなというふうに思っておりますけれども、厳しい運用環境にあっても、運用収入を、今のご答弁にあったように、高めるようにご努力されてきたことは理解いたしました。
 他方、現在の金融情勢を見ますと、日銀の金融政策変更による金利上昇が報じられていることから、金利上昇を捉えた運用収入の向上という視点が重要になってくると思っております。
 しかしながら、会計管理局が管理する資金というのはあくまで公金ですので、まずもって安全性を担保しなければならず、単に金利のみで判断してはならないということですけれども、そこで、例えば、預金先の選定に当たってはどのように判断しているのかについて伺いたいと思います。

○前田管理部長 公金の安全性を確保するためには、破綻するおそれの極めて低い健全な金融機関を選定していくことが重要でございます。
 預金につきましては、金融庁に登録されている格付機関が付与した格付をはじめ、自己資本比率や収益性などを組み合わせた厳格な基準を設定し、一定の水準を上回った金融機関のみを預け入れ対象として選定しております。
 預け入れ対象の選定に当たりましては、金融分野の専門家等で構成される東京都公金管理アドバイザリー会議の委員や、外部有識者である専門助言員から意見を聞くなど、専門家の経験や識見を活用しております。
 現在、例えば普通預金金利はほとんどゼロに近い水準から〇・一%といったような水準まで上昇しており、金融機関との引き合いに当たっては、こうした金利動向にも注意を払いながら、より高い利率を提示した金融機関に預け入れを行っております。また、その際、都市銀行や地方銀行など、様々な種別の金融機関への分散化も図っております。

○林委員 ありがとうございます。今のご答弁にあったように、ほとんどゼロに近い金利の水準から〇・一%ということで、ざっと百倍ですよね。これ、新聞等でも話題になりましたけれども、これは昨年秋の日銀の金融緩和政策の修正によるものとはいえ、今後も金利は上昇傾向に続くということであれば、やはり資金管理に当たっては、リスクを回避しつつ効率性の高い運用を目指していただきたいというふうに思っております。
 都民から負託された公金を安全に管理していただくことはもちろんですけれども、運用している資金は、いずれ活用するときのための将来の貴重な財源であることを踏まえて、金利上昇に伴う運用収入の向上にも取り組んでいただきたいと思います。
 しっかりと安全性を確保して、その上で効率的な運用に努めていただくことをお願いしまして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○北口委員 私からも、公金管理についてお伺いをさせていただきます。
 初めに、事務事業質疑でもありますので、基本的な事項の確認も含めて確認をさせていただきます。
 事業概要に記載されました令和六年度の公金管理計画によりますと、会計管理局が管理する公金は、全体で六兆円を超える大きな金額でございます。公金は、その原資が税金など都民から預かった資金ということでありますので、安全な管理が求められるというふうに考えております。
 まず、公金管理について、どのような根拠に基づいて、この運用を行っているのか質問をいたします。

○前田管理部長 公金の管理につきましては、地方自治法第二百三十五条の四第一項及び第二百四十一条第七項におきまして、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されております。
 これを踏まえ、都においては、公金管理の基本原則とその管理手法などを東京都公金管理ポリシーとして定めており、その中で、優先度の高い順に、安全性、流動性、効率性の確保を原則としております。このポリシーに基づいて、毎年度公金管理計画を策定しており、景気の動向や金融政策の先行きに注意を払いつつ、効率的な保管運用を目指しております。

○北口委員 公金管理に当たっての根拠法令、そして基本原則について確認をさせていただきました。ポリシー及び計画に基づき、安全性を最も重要視しつつ、効率性も追求するということでございます。
 令和六年度公金管理計画においては、全体の六兆円強の金額のうち半分以上を占めているのが基金であることから、公金全体の運用利回りや運用収入に大きな影響を与えるのは、基金における運用であるというふうに考えております。
 そこで、この基金の運用について、現状の取組を伺います。

○前田管理部長 基金につきましては、支払準備金としての性格を持つ歳計現金と異なり、長期運用が可能なため、預金のほか、債券などでも運用を行っております。運用に当たりましては、それぞれの基金の積立て及び取崩しの計画に沿って、運用商品や金額、期間を設定しております。
 預金に関しては、預け入れ期間を工夫するなど、きめ細やかな対応に努め、より利回りの有利な金融機関で預金を設定しております。
 また、債券については、国債とほぼ同等の安全性を持ちながら比較的利回りが見込める地方債や財投機関債などでの運用に重点を置いております。

○北口委員 これまでの公金管理の基本的な考え方と、特に大きな割合を占めます基金の運用について、その取組を確認させていただきました。
 こうした取組の結果、会計管理局の資料によりますと、令和五年度の公金管理実績は、利回りは〇・〇三四%と低いものの、公金全体の総額が平均残高六兆二千四百億円ということで、運用収入は二十一億一千四百四十万円とのことでございます。
 その上で、現在の金融環境を踏まえつつ今後に目を向けますと、本年三月には日銀がマイナス金利政策を解除し、続く七月に政策金利を引き上げるなど、金融政策は大きな転換点を迎えております。
 こうした環境変化により、公金の運用にも変化の兆しが表れるというふうに考えておりますけれども、そこで、預金や債券の運用環境が大きく変化する中で、今後の都の公金管理についての取組を伺います。

○前田管理部長 公金管理に当たりましては、資金元本を毀損することのない確実な保管、運用が何より大切であり、その上で運用収益を高めていく必要がございます。
 日本銀行は、本年三月にマイナス金利政策を解除し、その後、七月には政策金利を〇・二五%程度に引き上げたことから、預金金利についても上昇傾向が見られております。
 また、債券市場における十年国債の利回りについて、昨年末時点では〇・六%前後で推移しておりましたが、本年に入ってからは、最も高いときには一%を超えたほか、今月は〇・九%を超える水準まで上昇しております。
 こうした金融環境の変化を的確に捉えるとともに、引き続き、関係各局と情報連絡を密に取り、運用可能資金の最大化や運用期間の長期化を図ることなどにより、安全性を最重要視した上で、最大限運用収益を高められるよう取り組んでまいります。

○北口委員 金融の状況を注視し、この安全性を最重要視しながら最大限運用収益を高められるよう取り組むということでございました。引き続き、どうかその方向で取り組んでいただくことをお願いします。
 また、今後、金利が上昇していく傾向がある中で、こうした運用で生み出されました新たな資産につきましては、都民のために有効に活用していただきますよう、改めてお願いをして、質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたします。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○河野委員長 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○稲垣経理部長DX推進担当部長兼務 先日の委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をお開きいただきたいと存じます。
 最初に、一ページお進みいただきまして、目次をご覧ください。今回要求のございました資料は、記載のとおり八件でございます。
 一ページをご覧ください。要求資料第1号、第二次主要施設十か年維持更新計画の実績及び第三次主要施設十か年維持更新計画の進捗状況でございます。
 こちらは、平成二十七年度からの第二次主要施設十か年維持更新計画におけます令和三年度までの概算事業費の実績と、令和四年度からの第三次主要施設十か年維持更新計画の概算事業費をお示ししたものでございます。
 二ページをご覧ください。要求資料第2号、各種基金の年度別推移でございます。
 こちらは、令和二年度から令和六年度までの五年間における各種基金の年度別推移を、二ページから三ページにかけてお示ししたものでございます。
 四ページをご覧ください。要求資料第3号、財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積でございます。
 こちらは、令和元年度から令和五年度までの五年間における財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積をお示ししたものでございます。
 五ページをご覧ください。要求資料第4号、財務局所管普通財産の活用実績でございます。
 こちらは、平成二十六年度から令和五年度までの十年間における財務局所管普通財産のうち、土地の活用実績をお示ししたものでございます。
 六ページをご覧ください。要求資料第5号、都内の公契約条例等制定自治体でございます。
 こちらは、令和六年十月十七日現在における都内の公契約条例等を制定している自治体をお示ししたものでございます。
 七ページをご覧ください。要求資料第6号、省エネ・再エネ東京仕様の実績でございます。
 こちらは、令和元年度から令和五年度までの五年間における財務局が施行する都有建築物の改築等のうち、改修及び解体を除く省エネ・再エネ東京仕様の導入実績をお示ししたものでございます。
 八ページをご覧ください。要求資料第7号、工事における総合評価方式競争入札による契約件数及び不調件数でございます。
 こちらは、令和元年度から令和五年度までの五年間における総合評価方式競争入札による契約件数及び不調件数をお示ししたものでございます。
 九ページをご覧ください。要求資料第8号、工事における総合評価方式競争入札と価格競争入札の不調率等でございます。
 こちらは、令和元年度から令和五年度までの五年間におけます総合評価方式競争入札と価格競争入札の不調率、平均落札率、平均希望者数、平均応札者数及び工事成績評定平均点をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 本日は、一点、都有地について伺いたいと思います。
 都有施設の維持更新に限らず、都政を取り巻く喫緊の課題の解決に当たって、都民から負託を受けた貴重な財産である都有地を最大限効果的、効率的に活用していくことは重要であると考えております。
 そうした中、私の地元であります台東区にありました都の人権プラザにつきまして、平成三十年三月に閉館し、その後、解体工事が進められてきました。
 その工事も本年六月に終了し、現在は更地の状態となっています。
 今後、元の所管局であった総務局が、隣接地との境界確定など必要な確認を実施した上で財務局に引き継ぎ、その後の利活用が検討されると聞いておりますが、このように利用を終えて財務局に引き継がれた土地について、新たな活用に向けた手続はどのようになっているのか伺わせていただきます。

○松井財産運用部長 財務局に引き継がれた土地につきましては、原則として、まず、都の行政施策における利活用を検討するため、庁内各局に利用意向を照会いたします。
 照会の結果、庁内に具体的な利用計画がある場合には、当該利用局へ所管替えを行い、引き続き行政利用に供することとなりますが、庁内での利用見込みがない場合には、地元区市町村に情報提供を行い、公用、公共用途での活用意向を確認いたします。
 こうした取組を行いながら、土地の立地や形状等を踏まえまして、効果的な都有地の利活用を推進してまいります。

○鈴木委員 新たな活用に向けて、まずは庁内の利用意向を確認させていただき、意向があれば、引き続き都の施策に生かし、意向がない場合は、地元区市町村に情報提供され、公用、公共用途での活用意向を確認するということであります。
 都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産であり、可能な限り有効活用をしていくべきであると考えています。
 また、私の地元の台東区の話でちょっと申し訳ないんですが、今、特に浅草に多くの観光客が、日本の中でも来街され、地元区では、昭和四十四年から、観光バス対策に取り組んでおります。
 観光バスの来訪台数は、近年急激に増加をし、平成三十一年四月には、年間七千三百九台のバスが、区が整備した駐車場を利用しております。また、このコロナ禍、明けてからなんですけど、今年の令和六年四月では六千五百八十二台と再び増加傾向にあり、交通環境や生活環境に大きな影響が出始めています。
 さらに、日本、中国間などの国際定期便の増便が、今、予定されており、さらなる観光客、観光バスの増加が予想され、観光バス駐車場の確保は、区だけでは賄えない状況にあります。
 今後、引き続き、都の独自の施策に都有地を生かしていくということは重要でありますが、今、うちの区の一例を出しました。
 このように、区市町村がうまく連携して都有地を活用することで、地域の課題解決にも資するのではないかと考えております。
 そこで、行政用途を終え、財務局に引き継がれた土地のうち、地元区市町村の意向を踏まえて活用している状況を伺わせていただきます。

○松井財産運用部長 都としての活用が見込まれない都有地につきまして、地域の課題解決を目指す区市町村の意向を踏まえた検討を行っていくことは重要でございます。
 そうした検討の結果、地元区市町村からの要望に基づき、保健所等複合施設や、公共施設の駐車場用地など、地域の行政ニーズを踏まえた用途として売却を行ってまいりました。
 また、都として、当面利用予定がない都有地につきましては、施設建て替えの仮設用地などとして、区市町村に貸付けを行っているところでございます。

○鈴木委員 都が、区市町村が抱える様々な行政に対しまして、財政面から対応していることが分かりましたが、一方で、地元区市町村のニーズに合った形で都有地を有効に活用し、地域の課題の解決に取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、そうしたニーズもなく、次の利用が決まるまでの期間が空いてしまう土地もあると思います。そのような土地は、その間、有効に活用することも必要だと思います。見解を伺わせていただきます。

○松井財産運用部長 都や地元区市町村による本格的な行政利用までの間、都有地を可能な限り活用することは、財産価値の最大化の観点でも有効でございます。
 このため、財務局では、所管する土地のうち、次の行政利用までに一定の期間がある土地などにつきましては、地元区市町村の意向なども踏まえながら、公共工事の資材置場として事業者に一時的に貸し付けるなど、活用を図ってございます。

○鈴木委員 都政課題の解決に当たりまして、最初に述べましたように、都有地を最大限効果的、効率的に活用していくということは、本当に重要だと思っております。
 しかし、都政の課題のみならず、地域の課題に対して、都有地を有効に活用するという観点も、しっかりこれからも持ち続けるべきだと考えております。
 今後とも、財務局には、都有地の有効活用を通じて、地域の様々な課題解決に取り組み、区市町村への支援、協力に努めていただきたいと思います。
 以上です。

○成清委員 まず初めに、東京都社会的責任調達指針について伺います。
 都は、本年七月に、東京都社会的責任調達指針を策定、公表いたしました。
 本指針は、都が環境や人権に配慮した調達、いわゆる持続可能性に配慮した調達を進めていくために必要な事項を定めたものと認識しておりますが、契約の相手方との関係性だけではなくて、原材料の採取、加工から、下請、孫請など、物品や役務の調達過程にも着目している点が本制度の大きな特徴であり、かつ先進的なところといえます。
 しかし、特に中小企業の中には、こうした取組になじみがなく、戸惑いを覚える事業者がいてもおかしくはありません。こうした新しい取組を進めていくに当たっては、事業者の理解と協力が不可欠であり、制度についての丁寧な周知が必要と考えます。
 そこで、東京都社会的責任調達指針について、事業者に対し、どのような周知に取り組んできたのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 本年七月に、東京都社会的責任調達指針を策定して以降、その趣旨や背景、望ましい取組事例等を説明した解説版を八月に作成、公表するとともに、ウェブサイトや業界団体等を通じた事業者への周知に取り組んでまいりました。
 また、オンライン説明会を開催し、参加できなかった事業者向けに説明会の動画をウェブサイトに掲載するとともに、ウェブフォームにより質問を常時受け付けております。
 今後は、関係局と連携し、中小企業の経営に関するセミナー等を通じた周知を実施するなど、引き続き、調達指針の理解促進に取り組んでまいります。

○成清委員 調達指針については、来年四月に適用を開始していくと聞いておりまして、今後は、つくり上げた制度を運用していくフェーズに移っていきます。
 調達指針が示す内容が絵に描いた餅とならないようにするためには、実効性の確保が重要であり、個々の事業者に、指針の趣旨を踏まえた取組を行っていただく必要があります。
 来年四月からの適用開始に向け、事業者が適切に持続可能性確保に向けた取組を進めているのか、都が確認していくことが必要です。
 約二万者いる都の入札の有資格者の取組状況を、どのように確認していくのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針の実効性を担保するため、都は、入札参加資格審査の申請時に、全ての事業者に対し、チェックリストの提出を通じて、調達指針の遵守に向けた取組状況の開示説明を求めることとしております。
 調達指針に定める持続可能性確保に向けた視点のうち、法令遵守を基本とした義務的事項については、受注者は遵守することが前提となることから、取組がなされていないことが判明した場合には、調達指針が適用される案件には参加できないこととなります。
 チェックリストの提出に当たりましては、令和七、八年度資格の定期受付に合わせ、システムを通じた提出を可能としたほか、チェック項目には具体的取組事例を列挙することで、事業者の事務負担軽減を図っております。
 こうした取組を通じ、事業者における調達指針に対する理解を促しながら、指針の遵守に向けた取組状況の把握を行ってまいります。

○成清委員 資格審査の機会を活用し、事業者負担にも配慮しながら、取組状況の把握を行っているとのことでした。
 新しい取組でもあることから、事業者から問合せ等があった場合には丁寧に対応をしていただきたいと思います。
 この調達指針の環境分野の中には、事業者に対し、スコープ3まで含めた温室効果ガス排出量を削減する措置を実施するべき旨や、CO2排出係数のより低いエネルギーを利用すべき旨が盛り込まれています。
 気候危機が深刻化する中で、脱炭素化の取組は待ったなしであり、調達を通じて、都の政策実現に寄与する先進的な取組を後押ししていくことは、大変重要と考えます。
 調達指針の環境分野に規定されている、排出する温室効果ガスの削減や、低炭素、脱炭素エネルギーの利用などのように、事業者に一歩進んだ取組を促していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 ご指摘の排出する温室効果ガスの削減や、低炭素、脱炭素エネルギーの利用などについては、持続可能性の確保に向けて、法令上の義務を超えた目指すべき水準として推奨的事項に位置づけております。
 調達指針の解説版には、望ましい取組事例に加え、事業者における取組の後押しとなるよう、推奨的事項を中心として、都が実施している補助制度等の支援事業を事項別に一覧で紹介しております。
 今後は、公平性の確保に留意しながら、総合評価方式競争入札における加点など、推奨的事項に対する契約制度上のインセンティブ付与について検討を進めてまいります。

○成清委員 都の支援事業を紹介するとともに、今後は、総合評価での加点について検討していくとのことでした。
 インセンティブの制度設計に当たっては、事業者の意欲と成果を適正に評価できるよう検討を進めていただくことを求め、次の質問に移ります。
 続いて、都有地の活用について伺います。
 平成二十八年の九月に、就任直後の小池知事が最優先課題とした、待機児童に向けた緊急対策の一環として、都は、都有地活用推進本部を設置いたしました。
 保育所等への都有地の活用に向けた全庁的な組織体制を確立し、公営企業所管の土地を含む全ての都有地を対象にして、区市町村に対して保育所等に活用可能な都有地の情報提供を行ってきました。
 本部の設置から今年で九年が経過をしたところですが、この間の成果、実績について伺います。

○松井財産運用部長 都有地活用推進本部は、平成二十八年九月の待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、副知事をトップとして設置されたものでございます。
 本部では、保育所等として活用可能性のある百平方メートル以上の都有地を、公営企業局を含めて全庁横断的に洗い出し、年に複数回、区市町村に情報提供を行っております。
 その回数は、平成二十八年十月から令和六年八月までの間に二十四回となっており、提供した都有地情報は、二百九十五件となってございます。

○成清委員 区市町村に都有地情報を二十四回、二百九十五件、提供していただいたとのことですが、肝腎なのは、どれだけ保育所整備につながったかということです。
 区市町村に都有地情報を提供した後の対応と、どれだけ保育所整備に結びついたのか、実績を伺います。

○松井財産運用部長 区市町村に提供した都有地情報は、都のホームページにも公開しており、こうした情報を基にした区市町村や社会福祉法人等からの問合せや提案に対しては、統一的な窓口であるとうきょう保育ほうれんそうを設置して、きめ細やかに対応してございます。
 こうした取組の結果、情報提供した都有地の中で、保育事業者の公募につながった件数は、これまでに十九件となってございます。

○成清委員 都有地活用推進本部の取組を通じて、保育事業者の公募につながった件数は十九件とのことで、都内における保育所等の整備が進み、その結果、小池知事就任時の平成二十八年には八千五百人近くいた待機児童数も、本年四月時点では三百六十一人と大幅に減少している状況から見て、ただいま答弁のあった本部の取組の効果もあったものと評価いたします。
 一方、地域が抱える課題は様々であり、都有地に対するニーズというのは待機児童だけではありません。
 そこで、この都有地活用推進本部で情報提供をしている都有地について、これまで保育所等の整備を目的として区市町村に情報提供されてきたものですが、保育以外の用途でも活用して、地域の課題にしっかり応えていくべきと考えますが、見解を伺います。

○松井財産運用部長 都有地活用推進本部を通じて情報提供している都有地につきましては、待機児童を解消するため、保育の用途で活用することを目的としておりましたが、地元区市町村から保育での利用希望がない土地について、保育以外の公共用途での活用希望があった場合には、土地の状況などに応じて個別に対応を行ってまいりました。
 こうした状況を踏まえまして、都有地活用推進本部の要綱を改正し、昨年度から、都有地の活用対象を、それまでの保育所等の整備に加え、その他の都と区市町村が連携して取り組む広域的な行政課題等にも拡大し、未利用都有地を活用した都の施策実現や、区市町村支援を一層推進することといたしました。
 今後とも、区市町村の意向を踏まえ、ほかの用途での活用にも適切に対応し、地域の課題解決につなげてまいります。

○成清委員 地域が抱える課題は一律ではありませんが、区市町村が必要とする都有地の活用に当たっては、今後とも適切に対応していくとの答弁でありました。引き続き、しっかりと対応していただきたいと思います。
 都有地は、都民共通の財産であり、今後とも、都有地の活用を最大限発揮しつつ、様々な行政課題解決のため有効活用に努めていただくよう要望しておきます。
 最後のテーマとして、ワイズスペンディングについて伺います。
 私たちは、情報公開やワイズスペンディングなど、知事と両輪になって様々な改革を、都民ファーストの視点で推し進めてきました。
 こうした努力により、多くの新規施策の構築や、健全な財政運営が行われておりますが、内容が専門的なことも多く、なかなか都民には伝わりにくいのも現実です。
 都の財源確保の取組を理解していただくためには、都民ファーストの視点で情報公開を進め、都財政へのアクセスを向上させる取組が不可欠です。
 まずは、情報を公開する。そして、分かりやすい情報発信に努める。さらには、PDFの文字検索など、都民が利用しやすい形式での公表など、都民ファーストの情報公開に向け、取組には絶え間ないブラッシュアップが必要です。
 都財政の見える化について、これまでどのように取り組んできたのか伺います。

○佐伯主計部長 都民の皆様のご理解をいただきながら、都の施策を前に進めていくためには、説明責任を果たす観点から、都財政の見える化にしっかりと取り組んでいくことが重要でございます。
 こうした考えの下、都はこれまで、各局の予算要求の状況や財務局の査定結果をホームページで公表するなど、予算編成プロセスの透明性を高めてまいりました。
 また、年次財務報告書などの作成に加えまして、予算の内容をコンパクトにまとめた東京都予算案まるわかりブックの発行や、子供向けの予算説明動画の公開など、世代や年齢層に応じたきめ細かな広報を行っております。
 さらに、令和三年度予算編成からは、予算や普通会計決算などに関する情報をダッシュボードで公表いたしまして、各種データの取得を容易にするなど、都民の利便性の向上にも努めております。
 今後も、より多くの都民の皆様に都財政の理解を深めていただけるよう、予算議案等について文字検索を可能とするなど、さらに工夫を凝らしながら都財政の見える化に取り組んでまいります。

○成清委員 都財政の見える化の充実が図られてきたことを確認いたしました。
 とりわけ、小池都知事の東京大改革のレガシーともいえるワイズスペンディングの観点から力を入れている評価制度については、令和六年度予算編成において千二百六十六億円、小池知事就任以降の八年間では約八千百億円の財源を確保するなど、大きな成果につながっております。
 評価手法や視点も年々増え、公表件数も増加する中、評価結果を公表する際に、都民に効果的な発信をしていくことが重要です。
 評価の結果を分かりやすく、かつ活用しやすい形で発信するために、どのように公表しているのか伺います。

○佐伯主計部長 評価結果につきましては、東京都予算案の概要におきまして代表的な事例を紹介いたしますとともに、ダッシュボードを活用して、表やグラフを用いて視覚的に分かりやすい形式で情報発信を行うなど、都民の皆様にしっかりとその成果を伝えるための工夫を行っております。
 例えば、事業評価におきましては、ダッシュボード上で、一件別に評価結果を公表いたしますとともに、局名等によります対象事業の絞り込みや、CSV形式でのデータ取得を可能といたしますなど、ユーザビリティーの向上を図っております。
 また、政策評価におきましても、令和四年度から検証過程を分かりやすくまとめた事例集を公表いたしますとともに、昨年度からは、分析に用いたデータにつきましても公表するなど、オープンデータ化を一層推進しております。
 今後とも、都民の皆様に分かりやすく、かつ活用しやすい形で情報提供できますよう、ユーザーの意見を踏まえながら、ダッシュボードの改善など積極的に取り組んでまいります。

○成清委員 特に事業評価による財源確保額は、ワイズスペンディングの成果として関心が多く集まるところです。誰もが簡単に確認できるよう、引き続き、都民目線で改善を続けていただきたいと思います。
 こうした情報公開は、都民参画の第一歩であると考えますが、都は、都民参画の取組として都民提案制度を実施してきました。
 都民提案制度について、多くの都民の参画を促すため、これまでどのような見直しを行ってきたのか伺います。

○佐伯主計部長 都民の皆様による事業提案制度の実施に当たりましては、多くの都民の方々に参加を促しまして、従来の発想にとらわれない新たな視点を都の施策に反映していくことが重要であると考えております。
 そのため、平成三十年度予算編成におけます導入以降、募集期間等の拡大や、提案分野の制限の撤廃、対象年齢の引下げなど、より多くの都民の方々が参加しやすい仕組みとなりますよう改善を重ねてまいりました。
 また、SNSを活用した広報活動の強化や、高校生とのワークショップの開催、提案が事業化された方々への感謝状贈呈式の実施など、都民の参加意欲を高める取組も積極的に行っております。
 こうした取組によりまして、制度開始から昨年度までの合計で、二千七百五十三件のご提案をいただき、そのうち四十九件を事業化してまいりました。
 今後とも、都民が参加しやすい環境づくりや積極的な情報発信など、創意工夫を凝らしながら、制度の充実に努めてまいります。

○成清委員 様々な見直しにより都民参画を促してきたことを確認させていただきました。
 さて、これから令和七年度予算編成が本格化してまいります。少子高齢化や、激甚化する災害、AIなどの先端技術の進展など、都政を取り巻く環境は急速に変化をしております。
 こうした変化に対応していくためには、ワイズスペンディングの観点から、評価制度などの取組を通じて施策の実効性を高めていくことが必要です。
 令和七年度予算編成に向けて、事業評価の充実を図るなど、これまで以上にワイズスペンディングを徹底する必要があると考えますが、見解を伺います。

○佐伯主計部長 時代の変化するスピードが加速する中、全ての人が輝く明るい未来の東京を実現していくためには、都民のニーズや社会状況の変化に迅速かつ的確に対応していく必要がございます。そのため、従来にも増して施策の成果や事業の妥当性、有効性を検証いたしまして、徹底した見直しを行っていくことが重要でございます。
 こうした考えの下、令和七年度予算編成では、政策評価、事業評価、グループ連携事業評価を一体的に実施をし、目標や成果に対する分析を深化いたしますとともに、都民や事業者の目線に立ち、類似事業の整理といった視点を強化するなど、評価制度のさらなる充実を図ってまいります。
 これらの取組を通じまして、事業の効率性、実効性を高めながら、ワイズスペンディングの取組を一層徹底してまいります。

○成清委員 ワイズペンディングの徹底は、都民ファーストの視点からも重要です。また、その成果を分かりやすく発信し、都の財政運営上の努力を広く認識、理解してもらうことで、いわゆる東京富裕論への反論にもつながると考えます。
 引き続き、都民目線で、さらなるワイズスペンディングと、令和七年度予算編成での情報公開の徹底を求め、質疑を終わります。

○長橋委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、主要施設十か年維持更新計画、これについて何点か質問をしたいと思っております。
 三年前、同じように、主要施設十か年維持更新計画が、第二次計画から第三次計画に更新される時期に、当財政委員会において、計画更新の経緯や意義に関する質問、質疑を行ったところでございます。
 質疑を通して、平成二十七年に行われた第一次計画から第二次計画への更新、これは四年前倒ししたわけでありますけれども、東日本大震災を踏まえた防災力の強化があった結果、こうなっていると思っております。
 また、令和四年に行われた第二次計画から第三次計画への更新、これは三年前倒ししたわけでありますが、環境負荷の低減、省エネ化、再エネ化を推進する、こうした観点から、更新における大きな視点があったと明らかになりました。
 そこで、第三次の主要施設十か年維持更新計画の策定から三年目となりますけれども、まずは、この間の実績はいかがでしょうか。伺います。

○五嶋施設整備担当部長 第三次主要施設十か年維持更新計画は、令和四年度から令和十三年度までの十年間の計画期間に、施設数では二百七十八施設、概算事業費ではおよそ七千五百億円の維持更新を実施する計画でございます。
 そのうち、令和四年度から令和六年度までの三か年で事業が予算化された案件は、施設数では百十二施設、全体の約四割、事業費では約千六百億円、全体の約二割となっており、おおむね計画どおりに進捗しております。

○長橋委員 この三年間は、計画的かつ順調に進捗しているというようなことでございましたので、確認をしたところでございます。
 三年前の質疑では、第三次計画の策定に当たり、都有施設においてゼロエミッション東京の実現を目指していくという決意を当時の潮田局長からご答弁をいただいたところでございます。私もゼロエミッション化、都有施設からモデルとしてつくってもらいたいと、このように要望したところでございます。
 この間、都有施設の維持更新において、どのようにゼロエミッション化に取り組んできたのか伺いたいと思います。

○五嶋施設整備担当部長 都有施設のゼロエミッション化を目指すためには、施設整備の計画段階の早期からCO2排出削減を考慮し、ZEB化を意識することが重要でございまして、財務局では施設所管局の構想計画策定時点において技術支援体制を構築し、助言を行っております。
 また、計画初年度である令和四年度以降に基本設計に着手した改築等の案件につきましては、原則ZEB化を目指して取り組んでおります。
 これらによりまして、断熱性能の向上、空調設備の高効率機器の導入、LED照明の採用、太陽光パネルの設置など、省エネ技術、再エネ設備の導入を進め、CO2排出削減の効果が期待できる設計を行っております。

○長橋委員 省エネ性能の向上、再生可能エネルギーの導入など様々なことに取り組み、設計に反映するという答弁であったと思います。
 都は、二〇五〇年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現するとうたっております。引き続き、強力に取組を進めてもらいたいと思います。
 CO2排出を抑えるという観点からすると、都有施設は建て替えるばかりでなく、大規模改修などにより長寿命化を図ることも大きな効果があると思います。このようなことは、ライフサイクルコストの縮減による財政負担軽減にもつながるだろうと思います。
 そこで、主要施設十か年維持更新計画において、改築とするのか、大規模改修とするのか、どのような判断基準で行っているのか、選定しているのか伺いたいと思います。

○五嶋施設整備担当部長 維持更新に当たりましては、施設の劣化状況が著しい場合や、現在の規模では要求水準が満たされないなど、新たな行政ニーズに応えることが困難な場合等、長寿命化に適さない施設につきましては、改築を検討しております。
 それ以外の場合は、可能な限り大規模改修を実施し、施設の長寿命化によるライフサイクルコスト縮減や解体等で発生する廃棄物の抑制を図っております。
 都有施設の長寿命化を図るに当たりましては、行政ニーズの変化に対応しやすい間仕切り計画、メンテナンス性や省エネ性能に優れた設備機器の採用など、長期間の使用ができるよう整備を進めております。

○長橋委員 劣化状況、事業環境の変化などにより、長寿命化に適さない施設は改築をすると、そうでないものは大規模改修で長寿命化を図るということであります。また、改築をする場合は、行政ニーズの変化への対応、メンテナンス性やLED効率の優れた機器導入を行うということでありました。
 長寿命化を図る上で考慮が必要なこととして、今後三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれています首都直下地震などの対応があります。大規模改修でも壊れない耐震性を備えることはもとより、避難所になったり、災害対応活動の拠点になったりする防災機能の確保も期待されるところでございます。
 都有施設の維持更新を進めるに際しては、防災機能の向上に関し、どのような方針で整備を行っているのか伺いたいと思います。

○五嶋施設整備担当部長 将来発生することが想定される首都直下地震や近年増加している豪雨、暴風雨など様々な災害から都民等の生命を確保するため、都有施設の防災機能の向上に取り組んでおります。
 都有施設は、地震等の災害発生時には避難所や帰宅困難者の一時滞在施設としての役割を果たす場合もございますことから、施設の用途に応じて構造耐力の割増しを行っているほか、備蓄倉庫や非常用電源の確保、避難所に転用しやすい建築計画などについて考慮しております。
 また、風水害対策といたしまして、ハザードマップの想定浸水深さより高い位置への電気室等の配置や、外部仕上げ材の剥離等の飛散防止対策などに取り組んでおります。

○長橋委員 ありがとうございます。
 これまで尋ねてきた環境負荷低減、長寿命化やライフサイクルコスト縮減、防災機能向上などは、いずれも都政の最重要課題であろうかと思います。
 都民共有の財産である都有施設を適切に維持更新して、良質な社会資本ストックとして次世代に継承していくことは重要であります。都有施設の維持更新に当たり、都政を取り巻く様々な課題を乗り越えて明るい未来の東京を切り開くため、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○五嶋施設整備担当部長 都有施設は、都の行政運営を支える基本となる施設であるとともに、都民が様々な行政サービスを受けることができる身近な施設でありまして、災害発生時には防災拠点としての役割を果たすなど重要な施設でございます。これらの都有施設の維持更新に当たりましては、CO2排出削減の取組として、省エネ、再エネ設備等を積極的に導入するなど、都政の重要課題に対応してまいります。
 引き続き、主要施設十か年維持更新計画に基づきまして、施工時期や財政負担の平準化、長寿命化によるライフサイクルコストの縮減等を図ることで、実効性を担保しながら、都有施設の維持更新を計画的かつ着実に進めてまいります。

○長橋委員 都有施設の維持更新、これは今、第三次が進められているわけでありますけれども、引き続き第四次、これもつながっていく流れになってくるんだろうと思うわけでございます。ぜひ、更新に当たっては、より防災性の向上や耐震性、長寿命化、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、都有地の有効活用について、私からも伺いたいと思います。
 いうまでもなく、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、都民の暮らしを支える都有施設の整備のために活用することはもとより、地元の区市町村の意向なども確認しつつ、都民生活向上のため最大限有効に活用されるべきものであります。
 私の地元豊島区には、未利用となっている都有地がございます。その土地は、様々な事情でいまだ活用されておらず、かつて利用していた警視庁が引き続き所管していると聞いておりますけれども、既に解体も終わって更地になっているところでございます。
 財務局では、各局において行政利用を終えた土地を引き継ぎ、次の利用につなげていくということでございますけれども、行政利用を終えた土地を各局から財務局が受け入れるまでの手続、これはどうなっているのか伺いたいと思います。

○松井財産運用部長 所管局における行政利用を終えた土地につきましては、原則として、当該局が財務局に用途廃止の協議を行い、境界確認や建物の解体工事、土壌汚染対策など必要な対策を実施した上で、普通財産として引き継ぐこととなります。個々の土地の状況によっては、隣接者との調整や解体工事などに時間を要することもあり、この場合は引き続き従前の所管局が対応することとなります。

○長橋委員 財務局の引継ぎに当たっては、隣接者との調整や様々な対策が必要なことなど、土地それぞれの個別の事情があり、一律の対応でないことが分かりました。恐らく、隣接者との境界の問題なんかはなかなか解決しにくい問題だろうと、このように思っておりまして、私の地元の豊島区でも、そういった課題があるのかなと思っているところでございます。
 引き続き、地域の方々への説明など丁寧な対応を行い、より円滑な引継ぎに努めていただきたいと思います。
 さて、こうして財務局に引き継がれる土地でありますけれども、次の利用までの間、普通財産として管理していると聞いておりますけれども、そこで伺いますけれども、財務局が所管する普通財産の土地から未利用地となっているものは、どの程度あるのか伺いたいと思います。

○松井財産運用部長 未利用都有地とは、財務局所管の普通財産のうち、現に各局における本格的な行政利用に供していない土地でございまして、明治、大正時代から借地権等が設定されており、事実上、都が利用することが困難な長期の貸付財産や、島しょ地域の緑地など、保有すること自体を目的とする土地等を除いたものでございます。
 こうした財務局所管の未利用都有地は、令和六年三月末現在で二百九十二件、面積は約百七十五ヘクタールとなってございます。

○長橋委員 財務局では、二百九十二件、百七十五ヘクタールの土地を管理していることが確認できたことでありますけれども、それだけまだ管理している土地があるということであります。
 しかし、最初に述べたように、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、都民生活向上のために最大限利用されるべきものであります。したがって、これらの未利用地を今後いかに有効活用していくかが大変重要な課題であろうかと私は思っております。
 こうした未利用地の活用に向けて、財務局はどのような取組を行ってきたのか伺いたいと思います。

○松井財産運用部長 まず、都の行政施策における利活用を検討するため、庁内各局に利用意向を照会し、庁内に具体的な利用計画がある場合には、当該利用局に所管替えを行い、引き続き行政利用に供します。
 庁内で当面の間、利用見込みがない場合には、地元区市町村に情報提供を行い、公用、公共用途での活用意向を確認いたします。こうした取組により、土地の立地や形状を踏まえた効果的な都有地の利活用を推進しております。

○長橋委員 こうした未利用地は、都有地であるので、都としての活用を考えるのは当然でございます。都として行政利用しない場合には、地元区市町村にも活用の意向を確認しているということは理解できました。
 都内の各地域にはそれぞれ様々な課題があり、そうした地域課題の解決のため、都の協力を得ながら、各区市町村が主体的に取り組むことが重要でございます。
 こうした中、区市町村が、都有地を取得もしくは貸付けを受けて活用を図っていることもあると考えますけれども、財務局へ引き継がれた土地のうち、行政用途で区市町村が取得もしくは貸付けを受けて地域の課題解決に役立てた事例について、昨年度の実績はいかがだったでしょうか。伺いたいと思います。

○松井財産運用部長 財務局が庁内各局から引き継いだ土地のうち、昨年度は、公園用地や学校用地のほか、公共施設の整備計画用地などの用途で七件、契約金額では約十八億八千七百万円を区市町村に売却してございます。また、行政施設や学校施設の建て替えに係る仮設用地などとして延べ三十六件、契約金額では約三億四百万円の貸付けを行うなど、地域の行政ニーズを踏まえた用途で有効に活用してございます。
 今後とも、庁内における利活用が見込まれない都有地につきましては、地元区市町村の意向を踏まえ、連携しながら、地域の課題解決に向けて有効に活用してまいります。

○長橋委員 都として行政利用しない場合でも、地元区市町村に利用の意向があれば、地域の課題解決に向けて有効に活用されているということであります。今後も、こうした取組をさらに進めていただきたいと思います。
 しかし、そうした上で、都や区市町村の行政需要がない場合や、土地の事情により建物が建てられないなど利用に制約がある場合があります。すぐには行政利用の難しいケースもあると思うわけであります。そのような場合でも、働き方改革でも話題になっておりますけれども、資材置場や駐車場といった一時的な民間の利用を通じて少しでも活用を進めることが、都有地の活用という点で、また地域における様々な課題を解決するという点でも有効ではないかと考えますけれども、財務局の見解を伺いたいと思います。

○松井財産運用部長 都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産であり、可能な限り活用を図りながら財産価値の最大化を図っていくことが重要でございます。
 一方で、庁内における行政利用がなく、情報提供を行った地元区市町村からも行政利用の意向が示されず、次の行政利用までに一定の期間がある土地につきましては、一般競争入札などによる民間への貸付けの検討を行っております。
 昨年度は、資材置場や臨時駐車場等の用途で延べ八十四件、契約金額では約三億一千五百万円の貸付けを行ったところでございます。

○長橋委員 資材置場や臨時駐車場等の用途で使ったということでございますので、ぜひこういった取組も進めていただきたいと思っております。
 都や地元区市町村で当面の間、利用予定のない土地は、民間に貸し付けることで地域の課題解決につながり、都財政にも貢献していることが分かりました。
 都有地は、都民生活向上のため最大限活用される部分と考えております。したがって、役割を終えて財務局に引き継がれた土地については、本来の目的である行政利用としての活用はもちろんでありますけれども、将来の行政需要を見極めながら、民間の暫定的な利用も含め、今後とも有効活用をぜひともお願いしたいと思っております。
 以上で質問を終わります。

○清水(と)委員 日本共産党都議団の清水とし子です。
 私からは、社会的責任調達指針に関連して質問をさせていただきます。
 今年七月、東京都は、「未来の東京」戦略を踏まえて、経済的合理性のみならず持続可能性にも配慮した調達を行うことを通じて、東京都の調達にとどまらず、企業の調達においても、環境、人権、労働及び経済の分野での望ましい慣行を敷衍させ、持続可能な社会に貢献することを東京都の社会的責任と捉え、これを果たすための指針として、東京都社会的責任調達指針を策定しました。
 今回の質疑では、調達指針の目指す目的がどのような仕組みによって実現されるのか、またその実効性はどう担保されるのか見ていきたいと思います。
 最初に、指針と担い手三法との関係についてお伺いします。
 今年六月、建設業法、公共工事品質確保促進法、品確法ですね、それから入札契約適正化法、入契法、いわゆる担い手三法が一体的に改正されました。建設業法等の改正では、労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化し、中央建設業審議会が労務費の基準、標準労務費を作成、勧告、著しく低い労務費や著しく短い工期による見積り、見積り依頼の禁止、原価割れ契約の禁止を受発注者の双方に導入することで、適切な労務費等の確保や賃金行き渡りを担保するとしています。
 これは、公共、民間工事のいずれにも適用され、下請契約も含めて対象となり、建設業に新しい取引のルールが導入されることになりました。
 建設業法及び入契法改正に対する参議院の附帯決議には、建設技能者の賃金水準の向上の観点から、その実態把握に努め、建設工事の労務費に関する基準が適切に設定されるよう努めるとともに、下請業者まで適正な労務費が確保されるよう、民間発注者からの理解も得られるように積極的に働きかけ、周知徹底を図ること、また、そのために、建設業者による材料費等記載見積書及び労務費の基準の活用を促進することなどが挙げられています。
 そこで伺いますが、担い手三法で賃上げ等が努力義務となりましたが、これを社会的責任調達指針ではどのように反映をされていますか。

○須藤契約調整担当部長 本年六月に成立した第三次担い手三法においては、改正建設業法の中で、建設業者に労働者の能力に応じた適切な処遇の確保を努力義務化しております。
 調達指針では、工事、物品等の調達過程において適用される国内外の法令等を遵守するよう、受注者及びサプライチェーンを担う事業者に求めております。

○清水(と)委員 調達指針では、労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化した改正建設業法をはじめとする担い手三法が反映されている、それは受注業者及びサプライチェーンは労働者の能力に応じた適切な処遇の確保に努めなければならないということが義務づけられているということです。
 次に、下請業者への不払いの扱いについてお伺いします。
 下請業者への不払いは、社会的責任調達指針の不遵守に当たるのかどうかお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 調達指針においては、下請法などの取引関係法令等の遵守を義務的事項にしており、下請代金の不払いが確認された場合は、本事項に抵触する行為であると認識しております。

○清水(と)委員 では、社会的責任調達指針の不遵守の通報を受け付けた場合、東京都はどのように対応をされることになりますか。

○須藤契約調整担当部長 調達指針が適用される契約において、調達指針の不遵守に関する通報が受付窓口に寄せられた場合には、都として受注者に対し事実確認を行い、不遵守の事実が認められる場合等には、当該受注者に対し改善措置を求めることとしております。

○清水(と)委員 都として受注者に対して事実確認を行う、不遵守の事実が認められる場合などには当該受注者に対して改善措置を求めるということでした。不払いが調達指針の不遵守に該当する、東京都は受注者に改善措置を求める、こういう認識が示されたことは大変重要だというふうに思います。
 それでは、受注者は、例えば受注者本人ではなく、不払いを起こした自分の下請業者、サプライチェーンを担う事業者に対して、どのような対応を求められますか。

○須藤契約調整担当部長 調達指針の適用を受ける契約に関して、サプライチェーンを担う事業者における調達指針の不遵守が判明した場合には、都は受注者に対し、当該事業者に対する改善に向けた働きかけを求めてまいります。

○清水(と)委員 これまで、不払いは、ともすると民民の問題というふうにされてきました。しかし、調達指針では、直接の受注者ではない下請などサプライチェーンを担う事業者における調達指針の不遵守が判明した場合にも、都は受注者に対して当該事業者に対する改善に向けた働きかけを求めていく。都も、受注をした元請業者も責任を持って働きかけをしていく、これが義務的事項になっていると。
 さらに、調達指針そのものはこういうふうにうたっているんですね。この指針というのは、東京都の調達にとどまらず、企業の調達においても、環境、人権、労働及び経済の各分野での望ましい慣行を敷衍させ、持続可能な社会に貢献することを東京都の社会的責任と捉え、このたび、これを果たすための指針として、東京都社会的責任調達指針を策定しましたとあって、まずは東京都から始めるけれども、これは東京全体の企業みんなに広めて、一緒に守っていってもらうんだと、そういう指針なんだ、そういうふうにうたっているんですよ。そうだとすると、やっぱりこういうことは、ちゃんとみんなに守っていただく、とても大事なことだというふうに思います。
 次に、不遵守の通報を受け付ける通報受付対応点検委員会の構成についてお伺いします。この委員会に労働者の代表は入っていますか。

○須藤契約調整担当部長 通報受付対応点検委員会は、第三者で構成するものとしておりますが、委員の詳細については、現在検討中でございます。

○清水(と)委員 委員の詳細については、現在検討中であるということですけれども、やっぱり相談、通報の当事者となるであろう、また立場が弱い労働者については、労働者の代表を入れていただくことを求めます。
 通報受付対応点検委員会の会議、その結果というのは公表されますか。

○須藤契約調整担当部長 通報受付対応点検委員会につきましては、現在、詳細を検討中でございますが、会議の公開につきましては、調査審議を原則公開するものとする附属機関等設置運営要綱に基づき対応してまいります。

○清水(と)委員 通報受付対応点検委員会については、原則公開とする要綱に基づいて対応していくということなんですけれども、改めて、通報受付対応点検委員会、公開をちゃんとしていただくように要望をしておきます。
 社会的責任調達指針の推奨的事項は、総合評価方式による入札の加点など、契約上のインセンティブを付与する等の取組を推進していくというふうにされています。
 推奨的事項のうち、総合評価方式における加点項目とするのはどのようなものでしょうか。また、項目を決める上での考え方についてお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 調達指針に定める推奨的事項に係る契約制度上のインセンティブにつきましては、現在、詳細を検討中でございます。入札契約制度の公平性や品質の確保等に留意しながら検討を行うこととしております。

○清水(と)委員 社会的責任調達指針には、例えば、女性の権利尊重という分野があって、女性の権利を尊重し、女性のエンパワーメントや男女共同参画社会の推進、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの観点から、女性人材の登用や育業などに取り組むべきである、こういう推奨的事項があります。
 男女平等の取組のように法令で義務づけられていない、こういうものを推奨的事項として総合評価方式による入札の加点項目とすることと、法令との関係では問題はないのでしょうか。東京都の認識をお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 総合評価方式における技術点の評価項目などの落札者決定基準につきましては、入札の公平性、公正性が確保されるよう客観性が求められます。このため、地方自治法施行令では、総合評価方式における落札者決定基準の決定には、あらかじめ学識経験者の意見を聞かなければならないこととされております。
 お話の法令等で義務づけられていない事項を評価項目とすることにつきましては、こうした手続を経たものであれば可能であると認識しております。

○清水(と)委員 あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で、総合評価方式における落札者決定基準とすれば、法令などで義務づけをしていない、そういう事項であっても評価項目とすることは可能である、こういう認識が示されたことはとても大事だというふうに思うんです。
 例えば、社会的責任調達指針の賃金、報酬の分野には、労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことのできる水準の賃金、報酬の支払いに努めるべきであるという推奨的事項があります。
 こういうものについて、これまで東京都は、そういう基準がないんだと、どういうふうに出していいか分からないんだというふうなこともいわれていましたけれども、これについても、あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で、総合評価方式における落札者決定基準とすれば、総合評価方式による入札の評価項目とすることは可能であるということになります。ぜひ、評価項目とすることを求めます。
 次に、調達指針の改定について、どのような場で、誰が決定するのか、また、議会のチェック、意思の反映はどのようになるのかお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 調達指針は、義務的事項の範囲などについて、社会動向に応じた適切な水準を設定するとともに、適宜見直しを実施することとしております。見直しについては、財務局において決定することになりますが、その際は、改正すべき内容に応じ、都議会への報告や有識者の意見聴取など、適切に改正の手続を進めてまいります。

○清水(と)委員 調達指針は、条例ではありませんから、改変に際して議会の議決を必要としていません。しかし、この改変については、財務局のみで決定するものではなくて、改正内容に応じて議会に報告をし、意見も聞きながら進めていくということです。
 推奨的事項を義務的事項に変更する場合だとか、新たな推奨的事項、義務的事項を盛り込む場合などは、やはり事前に議会に報告をし、意見を反映していただくよう要望します。
 社会的責任に配慮した調達に係る有識者会議の構成委員についてお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 お話の有識者会議の委員につきましては、調達指針の内容に関連の深い、環境、人権、労働、経済、公共調達等の専門家八名により構成されております。

○清水(と)委員 社会的責任に配慮した調達に係る有識者会議には、事業者側の委員は入っているんですけれども、労働者側の代表は入っていません。労働分野の検討には労使双方がいるべきだと思います。労働者側の委員も入れていただくよう求めます。
 都の社会的責任調達指針は、環境、人権、労働、経済といった、これまでになかった分野での義務的、推奨的事項を設定し、そうした調達をすることで持続可能な社会づくりに貢献する東京都の社会的責任を果たすものです。調達指針は、受注者だけではなくサプライチェーンまで含めて対象となる、これまでの民民の問題とされてきた不払いなどについても都や受注者がきちんと働きかけを行うこと、これが明確になったことは重要だと思います。しっかり取り組んでいただくことを要望します。
 また、あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で、総合評価方式における落札者決定基準とすれば、法令などで義務づけられていない事項を評価項目とすることは可能であるという認識が示されたことも重要だと思います。労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金、報酬の支払いに努めるべきであるという推奨的事項についても、総合評価方式による入札の評価項目とすることが可能だということですから、ぜひ評価項目とすることを求めます。
 社会的責任調達指針は、大変重要なものです。ぜひ、実効性を発揮するよう努力を求めたいと思います。
 同時に、都の公契約が都の施策の質をさらに向上させる、都民の暮らしをよりよくするものとなって、また、工事や委託を請け負った事業者の経営を支え、何より働く皆さんの生活できる賃金を保障するものとなるために、公契約条例の制定など、さらに努力できることがあると考えます。この点については、改めて別の機会に取り上げたいと思います。
 次に、総合評価方式についてお伺いします。総合評価方式について、東京都はどのような方向性を持っておられるのかお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 総合評価方式は、原則として価格競争によることとされている地方公共団体の入札の例外として、価格点と技術点を総合的に評価するものでございます。
 都においては、確実な履行や品質の確保が特に必要な案件について、積極的に活用、検討するよう各局に周知しております。

○清水(と)委員 最低制限価格がない業務委託に関して、ダンピングはどのように防止をされていくのでしょうか。お伺いします。

○須藤契約調整担当部長 業務委託契約の適正な履行を確保するため、業務内容を仕様書等に明確に示すことのほか、適正な積算及び予定価格の設定を行うよう各局に周知しております。加えて、特に業務の品質を高める必要がある委託に関しましては、総合評価方式競争入札の活用を検討するよう各局に指示をしております。

○清水(と)委員 今ご説明にあった、特に業務の品質を高める必要がある委託というのは、具体的にどのようなものでしょうか。お伺いします。

○須藤契約調整担当部長 都は、業務委託等における総合評価方式の活用を全庁で推進していくことを目的として業務委託等の総合評価方式に係る適用方針を定めており、その中で、総合評価方式を原則適用していくものとして、大規模施設の受付案内など、業務内容の専門性、個別性等が高く、高度な知識と経験とが求められる業務などを例示しております。

○清水(と)委員 業務の内容の専門性、個別性が高く、高度な知識と経験が求められる業務については、総合評価方式を適用していくものというふうに例示をしているということでした。
 多摩地域の都税収納事務の委託については、専門性や知識が必要とされる、まさにこういう業務だったわけですけれども、価格競争で行われたことによって受注した業者は、不適格な業者が選ばれて、仕事を取って、日常業務に支障を来す、こういう事態も引き起こしました。こうした教訓が踏まえられて、総合評価方式、複数年度契約、こういうふうになったことは大事だというふうに思います。
 最後に、下請次数等に関する調査についてお伺いします。
 下請次数などに関する状況調査について、今年度の調査の拡充について、概要とその目的についてお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 都は、昨年度、都発注工事における施工体制の実態把握を目的に、一定規模以上で施工中の工事の一部に当たる百四十三件を対象に調査を実施いたしました。
 昨年度の調査結果では、適切な施工体制が確保されていたことを確認しましたが、調査対象が一部であったことから、今年度はより一層の実態把握に努めるため、同じく一定規模以上で調査期間中に施工中の工事、約一千件について調査を行っております。

○清水(と)委員 昨年、調査が行われたんですけれども、一定規模以上で施工中の工事の一部ということで、抽出されたものをやったので百四十三件だったと。今年については、抽出ではなくて全件ということで、一定期間中というのは変わらないんですが、それでも全件やると約千件になるということで、その全数調査をされるということです。
 この調査結果というのは、いつ公表されますでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 今年度の調査については、現在集計中でございます。結果がまとまり次第、公表する予定でございます。

○清水(と)委員 都が発注する大規模な工事、また、コロナの協力金等の業務委託などでは、多重下請の構造によって、現場で働く労働者に支払われる賃金、報酬が、東京都が予想して積算に入れていたよりも極端に低くなっているのではないか、こういうことが問題になりました。
 都発注工事の実態を明らかにするというのは、とっても大事なことだというふうに思います。速やかな公表を求めて、私の質問を終わります。

○竹井委員 私からも、まず、社会的責任を果たす東京都の公共調達につきまして、東京都社会的責任調達指針、これについて伺ってまいります。
 都は、今年二月にこの指針の素案を公表し、都民、事業者からの意見募集を経て、七月に指針を策定いたしました。公営企業を除いて、都が行う全ての調達、工事、物品調達、委託等までを対象として、サプライチェーンも含め、調達指針の遵守を求めることとしております。
 指針には、社会保険への加入など、法令遵守はもとより、私たちが求めてきた公契約条例にも通じるリビングウェイジ、生活賃金、この考え方まで入っていて、こうした都の姿勢には期待をするところであります。
 この秋から始まります令和七年度、八年度分の入札資格審査時に、指針遵守の取組状況を確認するとのことですけれども、指針の遵守について、具体的にはどのように確認をするのかお伺いをいたします。

○須藤契約調整担当部長 調達指針の実効性を担保するため、都は、入札参加資格審査の申請時に、全ての事業者に対し、チェックリストの提出を通じて調達指針の遵守に向けた取組状況の開示説明を求めることとしております。
 このチェックリストにおいて、調達指針の義務的事項に関する取組がなされていないことが判明した場合には、調達指針が適用される案件には参加できないことになります。

○竹井委員 私たちは、産業を支える方々に公平、公正な取引というのは、経済の好循環や産業、東京の発展につながるものというふうに確信をしておりますので、都内の経済、産業を支える下請企業が賃上げができる流れを公共調達の分野からもつくっていけるように、実効性のある取組を求めておきます。
 指針に係る取組としては、入札参加資格申請時のチェックリスト、今の話ですけれども、それから、通報窓口の設置とかでこの改善を図っていくということです。
 ただ、調達指針が適用される案件は、当初かなり限定されていると思います。労働基準法の改正によって、近年では大きな変更が行われたことから、この遵守状況の確認も必要かというふうに思います。
 有給休暇取得の義務化、記録の保存期間の延長、そして二〇二四年からは、建設業にも時間外労働規制が適用されるなど、働きやすい環境づくり、人手不足業界の離職防止に関するものが多数あるわけですけれども、東京都が発注する工事などの労働条件及び労働環境に関する調査を行うなど、都の発注契約に従事する労働者の適切な労働環境の確保に取り組むべきというふうに考えます。ここにはプロのご協力もいただくのがよろしいんではないかと考えておりますけれども、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 都はこれまでも、受注者に対して契約約款により法令遵守を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってまいりました。
 また、本年七月に策定した東京都社会的責任調達指針では、労働基準法を含む法令等の遵守を義務的事項として設定するとともに、調達指針の遵守に係る誓約書の提出や、調達指針の不遵守に関する通報受付窓口の設置等により、実効性の担保を図っていくこととしております。こうした取組を通じ、適正な労働環境の確保を図ってまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。労働条件調査をするということは、今の答弁にはなかったんですけれども、ぜひ専門家、社会保険労務士会の皆さんなど、ご協力もいただいて、しっかりとした調査を行っていただきたいというふうに思います。
 労働基準法は、働く人のための最低限のルールでありまして、長い目で見れば、企業にも、もちろん守ることによってメリットが生じるものであります。大規模な法改正では、一時的に企業の負担が重過ぎるというふうに感じられたり、二〇二四年問題のような事態もあるわけですけれども、財務局は、発注者として事業者に求める立場ではありますが、関係部局とも連携をして、課題を共有して、業務効率のアップによって一人一人の労働者の負担を減らす、就業規則の見直し作業を通じて法令遵守の理解と対応の検討といったところで底上げを支援する仕組みについても、ぜひ強化をしていただきたいと思っております。
 都の発注工事に関しては、もう一つ伺いたいというふうに思います。電設協会さんからの要望もあります。
 建設業界において、働き方が求められていて、四週八閉所ということがいわれています。工事の着工から完成までには、建設業法に定める二十九もの建設業の多くの専門職種が協力して工事を行っています。それぞれの業種において、働き方改革、休み方改革等々で、工期の両立に大変ご苦労をされているというふうに理解をしています。中でも、建築工事の後半を担う業者さんにとっては、前半で行うくいの工事、掘削工事、躯体工事などに遅れが生じた場合には、配線などの内装の工事に充てる後半の日程が圧迫されて、土曜日に閉所できないばかりか、最終的な竣工や引渡し時期を守るために深夜労働も発生し、労働環境、条件にも極めて大きな影響が発生しているとのお話を伺っております。
 そこで、設備業者にしわ寄せがいかないように、都の発注工事において、概成工期を適切に設定し、適切な進捗管理を行うべきと考えておりますけれども、見解を伺います。

○小林技術管理担当部長 財務局では、工事に直接必要な日数のほか、施工条件や休日等を考慮した日数を加え、適切な工期を設定しています。また、建物の使用開始に向けて、設備等の試運転や性能確認を行う期間を確保するため、仕様書に概成工期を明示しています。
 さらに、円滑に工事を進めるため、監督員は、工事現場の定例会等において関連工事の工程を確認するとともに、必要に応じて受注者に工程調整の指示等を行っております。

○竹井委員 今ご答弁お聞きして、しっかりやっているというようなご答弁だったのかなと思いますが、これも、私たちも直接要望をいただいておりますし、実際の工事現場では不測の事態もやはり起こり得ます。やむを得ない事情によって建設工事が遅れた場合には、設備工事の工期を確保するための工期延長、それから契約金額の見直しなどを行うべきというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○小林技術管理担当部長 東京都設計変更ガイドラインでは、関連工事の影響等による工期延長を可能としております。工事契約後、工期に影響を与える状況が生じた場合は、必要に応じて工期や契約金額の変更を実施しており、今後も適切に対応してまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 働き方改革、これ、急速に進んでいると思っておりますし、社会的要請があります。そして、法改正の対応、社会の隅々までそういったことを行き渡らせるために、制度を運用する一人一人の適切な対応が必要だと考えております。
 新しい対応を受注者に求めるということ等々もあろうかと思いますけれども、発注者である東京都においても、これまでの仕事のやり方や進め方を見直していただいて、受注企業やその下請にしわ寄せ、負担を負うことがないように、重々お願いをしたいと思います。
 次に、職員の技術力向上について伺います。
 これも、業界の方からも要望いただいていることなんですが、都において、入札制度改革を行い、入札において最低制限価格を設けるとともに、価格だけでなく技術力など価格以外の要素も評価して落札者を決定する総合評価方式、これを実施していると。技術力の高い企業が落札しやすくなることで、都民の財産である建築物等の品質アップや、環境配慮の推進、企業の適切な利益確保による労働条件の改善や技術力育成などのメリットがあるといわれています。
 一方で、肝腎の技術力の評価が適正に行われなければ、制度の趣旨そのものが失われてしまうわけです。関係団体の皆さんからは、都における積算や成績評定、また専門的知識に関してのご要望を伺っているところです。
 品確法では、発注者は公共工事の仕様書及び設計書の作成、予定価格の評価を適切に実施しなければならないとされております。予定価格の積算や技術力の評価を適切に実施していくためには、職員さんの方の技術力の向上、専門知識の習得などの取組も必要だというふうに考えておりますけれども、見解を伺います。

○小林技術管理担当部長 予定価格の積算や技術力の評価につきましては、東京都工事施行規程に基づき、積算基準や成績評定要綱などを定め、適切に実施しております。
 このような基準等を適切に運用するため、財務局では積算の方法や注意事項、成績評定のポイントなどについて、職員向けの技術研修会等を実施しております。引き続き、こうした取組を行ってまいります。

○竹井委員 様々伺ってまいりました。東京都も、「未来の東京」戦略においてSDGsを掲げています。こういったことは、世界的な潮流となっているわけですけれども、長いデフレ下でコストカット、それから工期の圧縮、これがすなわち善というときもありましたけれども、フェーズは変わってきて、目先のコストカットだけでなくて、長い目で見てどうなのか、さらには広く社会に与える影響まで考えていかなければならないというふうに思います。
 一般的にSDGsをうたうだけではなくて、計画策定、公開、デューデリジェンスが求められ、大企業や有名企業は、子会社、調達先であっても、非違行為が発覚すれば大きなダメージを受けるわけです。知らなかったでは済まされないということで、東京都も例外ではないと考えます。
 発注者であります東京都が、社会的責任を全うすることによって、調達先の企業において適正でよりよい事業活動が行われる、そういった好循環を生み出すものとして、しっかりと機能させていただきたいというふうに考えます。
 次に、小笠原の関係なんですが、都議会立憲民主党として、先日、小笠原村の視察をしてまいりました。ご存じのとおり、小笠原は竹芝桟橋から片道二十四時間かかるというところで、この委員会の関係局以外にも、たくさんの課題を見て、聞いてまいりましたけれども、財務局関係の課題の中から幾つか伺いたいと思います。
 小笠原なんですけれども、アメリカからの返還で今年五十六年目ということで、返還直後に整備された公共的なインフラが数多くあって、更新時期を一斉に迎えているということであります。建築資材の高騰や人手不足、これは本土でも同様なわけですけれども、島におきましては、土木の会社が多く、建設業者が限られていると。入札にかけても決まらない、職人の取り合いだ、価格が上昇している、大変困っていると、村の皆さんが口々におっしゃっていたところであります。都が建設する教員住宅も不調ということでありました。
 小笠原に限らず、離島におきましては、昨今の資材高騰に加えて、もちろん、さらに島までの運搬費がかかるわけですね。そして、気候も厳しく、老朽化の対応は待ったなしの状況だというふうに思います。必要な工事が滞ることのないように、例えば複数年度を通じて島内の工事を平準化するなどの工夫ができないのかなという思いがあります。
 また、本土から千キロという超離島であるわけで、こうした状況を反映した価格設定をしっかりとしていただくなど、島ならではの対応は十分に行われているのでしょうか。
 都においては、島しょ部における建築工事等の不調についてどのように捉え、必要な事業を進めるためにどのように取り組むのかについて伺いたいと思います。

○須藤契約調整担当部長 島しょ部の工事における不調の原因は、案件や時期などにより異なりますが、施工条件の特殊性や同時期に発注が集中し、事業者において必要な技術者等が確保できないことなどが考えられます。そのため、都では、適正な工期の設定や、年間を通じた工事量を安定させるための施工時期の平準化など、不調を防止するための取組を進めております。
 島しょ部における工事においては、渡航費や宿泊費、資材の海上運搬費など、島しょ部特有の経費についても、適切に予定価格に計上しております。

○竹井委員 具体的な施設で一つ伺いたいと思うんですけれども、私たちが視察をした中で、都の水産センター、これが私たちの目から見ても相当、施設整備の老朽化が進んでいたように思います。この施設自体は産業労働局の所管で、水産資源や漁獲量、漁獲収入増への取組、それから村民とか来島者への教育活動などの取組が行われています。
 施設の更新については、事業局の所管であるとは思いますけれども、規模が小さいので、第三次主要施設十か年維持更新計画には入っていないように思います。
 島しょ部にあるこのような施設についても早期に更新していただきたいと考えますが、老朽化した都有施設の更新について見解を伺います。

○五嶋施設整備担当部長 第三次主要施設十か年維持更新計画の計画施設は、一、おおむね築三十五年以上経過している延べ床面積三千平方メートル以上の施設や、二、おおむね築十年以上経過している延べ床面積一万平方メートル以上の施設などを選定対象としております。
 計画に位置づけていない施設につきましては、施設所管局が自ら策定する事業計画に基づき維持更新を進めておりまして、その際、財務局は必要に応じて現場調査や助言を行うなど、技術支援を行っております。計画対象外の施設であっても、各局と連携し、計画内容に応じて適切に維持更新が行われるよう進めております。

○竹井委員 ありがとうございました。
 小笠原では、土地が少なくて、資材の保管場所や宿泊施設が限られるという課題がありました。私たちが訪問したときにも、これもやむを得ないことであるんですけれども、母島については特に顕著でしたね。
 必要な工事のために、島外から建設従事者の方が来て宿泊する、これはもう離島では欠かせないことなんですけれども、宿泊施設が工事関係者で満室となって、観光客については、もう日帰りを余儀なくされる状況が続いているということ、日帰りですと、母島で滞在できるのは実質四時間ほどになってしまうということで、宿泊施設以外の観光業については大変厳しいというお声もいただきました。
 島の経済が公共事業一色になってしまうということは、現在のインフラ更新の集中期が過ぎた後のことを考えると好ましいことではないというご指摘もあったところです。
 難しい点はいろいろあると思うんですけれども、例えば、仮設でも工事関係者向けの宿舎、飯場というんですかね、つくって、観光との両立に向けて知恵を絞った対応が必要ではないかなというふうに考えるところです。
 小笠原において、道路や港湾等の建築物などの工事については、これは東京から二十四時間、およそ一週間に一便という、そういう交通事情があるので、かなり特殊な環境にあるということで、それを鑑みた対応、宿舎の確保につきましても、都の関係各局の横断で、村や民間と連携した取組が必要であるということの問題を提起しておきたいと思います。
 以上で終わります。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十四分休憩

   午後三時十四分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○川松委員 よろしくお願いいたします。
 まず初めに、入札契約制度についてお伺いいたしますが、私たち都議会自民党では、入札契約制度プロジェクトチームが、歴史的に様々な調査研究あるいは提言を行ってまいりました。私自身もいろいろな勉強会等に参加してくる中で、社会情勢は常に変化している、これがベストだと思っていた制度も、社会情勢の変化に伴って変わっていくものなんだということを強く認識しているわけであります。
 だからこそ、この入札契約制度改革の研究というのは、常に歩みを止めることなく、試行錯誤を繰り返していかなきゃいけないんだということを常に仲間内でもずっといっているわけですが、公共工事というものは、ケインズ理論を持ち出すまでもなく、社会にとって必要な有効需要の創出であり、そのことによって産業が育成されていくわけであります。だからこそ、歴史が証明してきたことでありますけれども、価格競争のみでは何も生まれないんだということを私たち都議会自民党は主張してまいりました。
 これは、品質を重視することであり、適正な見積りが必要なんだ、重要なんだと。入札の不調が繰り返されているという現状は、本当によくないなということも付け加えるわけですけれども、昨今、そういう状況の中でも、品質は二の次で、口では品質が重要だといっているけれども二の次で、都の発注工事を受注することを目的にして入札に参加するんだというふうな姿勢に思えてならないような企業の入札参加も、ちらほら目に留まるわけです。
 行く先について少し心配しているわけでありますけれども、改めて、建設工事における下請事業者も含めて従事する労働者の人件費が適切に支払われなければいけないというのは共通の認識だと思いますけれども、都の見解を改めて伺います。

○須藤契約調整担当部長 将来における担い手の確保、育成に向け、建設現場で働く労働者の適切な処遇の確保は重要でございます。
 都は、品確法の理念を踏まえ、適切な工期と予定価格の設定に努め、低入札価格調査制度や最低制限価格制度の運用など、ダンピング対策を実施してまいりました。
 また、建設業で働く労働者の処遇の確保に向けましては、適切な下請契約の締結も重要であり、都は毎年度、元請事業者に対し、適正な請負代金による契約締結など、下請契約の適正化を要請しております。

○川松委員 当然、皆さん方も、下請の事業者に対してもちゃんと行き渡ることが重要だと認識されて、当然の話なんですけれども、その中で、先ほどから質疑に出ていたように、第三次担い手三法が今年の六月に可決、成立ということになりましたが、この法改正では、建設業で働く労働者の処遇改善が主な目的の一つということでございます。
 では、具体的に、どういったことが内容として盛り込まれたのか、確認のために伺います。

○須藤契約調整担当部長 本年六月に成立した第三次担い手三法では、建設業が地域の守り手等の役割を果たしていけるよう、労働者の処遇改善に向けた取組が盛り込まれました。
 具体的には、改正建設業法において、労働者の処遇確保を建設業者の努力義務とするとともに、労務費の確保と行き渡りを目的として、国が労務費の基準を作成し、これを著しく下回る見積りや契約の締結を禁止する規定等が新設されております。
 これらの改正を受けて、国において、入札契約適正化指針を令和七年秋以降に改定する予定となっており、都としては、国の動きを注視し、適切に対応してまいります。

○川松委員 今の部長の答弁の最後で、国の動きを注視し、適切に対応していくということがありましたが、東京都の今の権限でもできることはまだあるわけで、国の動きを注視しつつも、速やかに手を打つべきことはどんどん手を打っていく、指導していくということは重要なんだと思いますけれども、都発注工事の受注者の中に、下請事業者に適切な対価を支払わない不適切な事業者もいるということが、我々のところにも相談に来るわけですよ。
 これ、第三次担い手三法の理念を踏まえると、東京都は、発注者として、下請まで人件費が適切に支払われることを確認すべきじゃないでしょうか。今までは、発注者は東京都で、受注者に対しては官民の関係だけれども、その受注者の先については民民だから私たちは関係ありませんというのが、一般的な東京都の姿勢だったと思うんです。
 さらに、買いたたき、不払いを起こす不適切な事業者は、私はそもそも入札から排除すべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 請負代金の不払いや買いたたきは、建設業法に抵触する行為であり、都はこれまで、契約約款において法令遵守を義務づけるとともに、建設業法に基づく適正な下請契約の締結を、毎年度、元請事業者に要請してまいりました。
 建設業者における不払い等の法令違反行為の事実確認は、所管行政庁の権限と責任の下で行われるものと認識しております。その上で、都の競争入札参加資格を持つ事業者が法令違反で逮捕、起訴された場合や建設業許可行政庁から営業停止処分が出された場合などにおいては、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱に定めた基準に基づき指名停止措置を講じるなど、厳正に対処してまいります。

○川松委員 繰り返しになりますけど、受注者がいて、下請事業者がいて、さらに続いていくということがあった場合に、下に行けば行くほど、この人たちは声を出しづらいんですね。仮にここで何かをいったときに、今、ここの工事では、例えば、東京都やほかの人たちが助けてくれたとしても、その次、なくなっちゃうかもしれない、ならば黙っておこうというような業者も必ずいるわけです。そういう人たちに対しても不利益が生じないように、どう東京都が--今の法律という話がありましたけれども、今の制度の中で入っていけるのかということも、しっかりと発注者として責任を持っていくことが、それぞれの産業の現場の育成に、人材育成になる、技術を育てていくということを絶対に忘れてはいけないと思います。
 その意味において、建設業で働く労働者の処遇の確保、これが重要だと私も考えますけれども、当然だと思うんですが、これはやっぱり、先ほどもいいましたが、国の動きを待つんじゃなくて、労務費の行き渡りなどは、都として今すぐこの瞬間もできることもたくさんあるので、すぐやってほしいと思いますけど、都の見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 本年七月に策定いたしました東京都社会的責任調達指針においては、公正な取引慣行の観点から、独占禁止法や下請法などの取引関係法令等を遵守し、ダンピングや買いたたき等の不公正、反競争的な取引を行ってはならないことを義務的事項と設定しております。
 また、調達指針の実効性を担保するため、受注者に対し、調達指針遵守についての誓約書の提出を義務づけるとともに、義務的事項の不遵守に関する通報を受け付ける窓口を設置いたします。
 調達指針が適用される契約において、下請事業者から請負代金の不払い等を内容とする通報が受付窓口に寄せられた場合には、都として受注者に対し事実確認を行い、不遵守の事実が認められる場合などには、当事者間の合意形成の促進を図ることとしております。
 調達指針は、令和七年四月以降に発注される契約案件から段階的に適用することとしており、こうした取組を通じ、適正な労働環境の確保を図ってまいります。

○川松委員 ありがとうございます。先ほどから、東京都社会的責任調達指針というものについては質疑が出ていますんで、この中身は、今、私は今日は聞きませんけれども、確かに調達指針は、令和七年四月以降に発注されるものから段階的に適用されていくわけですが、その中の精神というのは、別に、制度上は令和七年四月以降なんだけれども、今のところからも繰り返しになるけれども、しっかりと指導まで--役所の皆さん方が指導というと厳しい表現になるかもしれませんが、しっかりとチェックをしていくということは可能だと思いますので、泣く人が出てからでは遅いので、やっぱりしっかりと見ていくことについては、今からでも、先手先手で、この精神をちゃんと今の現場に取り入れていくべきだと私は思います。
 一方で、ちょっと視点を変えますが、適正な予定価格というのが、入札契約の中ではいろいろと言葉が出てきます。
 改めて、今の東京都が考えている適正な予定価格とはどんなものなのかを教えてください。

○須藤契約調整担当部長 法令上、予定価格は入札額等の上限額とされており、地方公共団体の調達の原則である競争入札では、予定価格の範囲内で最も低い価格を入札した者を落札者としております。
 適正な予定価格は、契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難しさ、数量、履行期間等が考慮されており、競争入札における公正な競争が実現可能で、かつ契約の確実な履行が担保される価格であると認識しております。

○川松委員 この適正な予定価格をいろいろと積算なりしていくわけですけれども、恐らくこれも、私は社会情勢に追いついていないような気がするんですね。今までの皆さん方が、こうやって適正価格を出していましたよと思っている以上に、世の中の動きが激しくて、どんどんどんどん、実際にいえば物価が上がったりとか、人件費が上がったりとか、コストがどんどん上がっていっています。だから、いろんなことの中で、もっと現場の状況に敏感になる、あるいは現場の皆さんの声を聞くという姿勢を財務局が示すことによって、より本当の意味での適正な価格というのを導いていけるんじゃないのかなと思いますので、その辺りの取組も、これは場合によっては、やり過ぎると官民の癒着だといわれるような批判があって、皆さん方も慎重にならざるを得ない場面もあると思いますが、しかし、現場の声を聞かなければ、本当の実勢価格というのは見えてこないと思いますので、それも、この法令は遵守した上で可能な取組をしていっていただきたいと思います。
 この中で、建物管理の業務委託という話をちょっとさせていただきたいんですが、価格競争の結果、毎年、契約金額が下がっていく傾向にあるわけです。こんなに世の中いろんなものが上がっていくといっているのに、この分野においては毎年、契約金額が下がっている。これは適正な価格といえるんでしょうか。皆さん方からすれば、入札でこういう金額で札を入れてきたんだから、いいんじゃないかと思うかもしれませんけれども、それが、受注者はよかったとしても、さらに、ちゃんと行き渡りという意味においては適正かどうかということを私は考えなきゃいけないと思います。
 この意味において、安ければよいという考え方、財務局の皆さんから考え直すべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 公共調達は、都民の貴重な税金を原資とすることから、最少の経費で最大の効果を上げるという地方自治法の理念に基づき、競争性、公正性、透明性を確保して、品質の高いものを適正な価格で調達することが必要でございます。
 業務委託の適正な履行を担保するためには、適正な予定価格の設定が不可欠であり、建物管理や清掃委託などの人件費割合の高い労働集約型業務の予定価格の設定に当たりましては、公定の労務単価または物価資料など業務内容に合致し、かつ実勢を踏まえて客観性のある最新の労務単価を基に積算することとし、いわゆる部切りといわれる根拠のない予定価格の減額は絶対に行わないよう、各局に周知徹底しております。
 加えまして、都民の安全・安心の確保や建物の長寿命化を図るなど、業務の品質を高める必要がある施設の維持管理業務の委託に際しては、価格のみではなく、事業者の技術力や実績を踏まえて落札者を決定する総合評価方式競争入札の活用を積極的に検討するよう、各局に指示をしております。

○川松委員 ありがとうございます。今、各局に指示をしているということでございますけれども、これ、いろんな状況が考えられますが、確かに、皆さんが納めていただいた税金をどう使うかという意味において、無駄な仕事をする必要はない。当たり前です。ところが、それが、値段が安ければよいという考えの下、結果、都の財産が毀損される、悪い仕事になっちゃうということは、また二度手間、三度手間みたいなことになると、一時的には金額を抑えられたと思っても、結果、後からお金がかかるような事態になってしまっては元も子もないので、しっかりと、今、ここは財務局の皆さん方、契約の専門の皆さん方もいるし、分かっていると思いますけれども、都庁内の全ての部署に対して、この考え方を周知徹底していただくことを要望いたします。
 私たちは、常に、公共工事、公共事業については、品質確保に資する入札制度はどうあるべきなのか、各受注をされる産業の疲弊する現状を打開するために、都の入札制度はどうあるべきなのかということを考えなければいけません。
 まず、このためには、優良な事業者の受注拡大、これは皆さん方も入札契約制度、いろんなことを改革する中で、受注の拡大をしてきました。その上で、受注産業全体の技術力が向上していくということであるならば、優良な社会資本の構築の下でしっかりと循環していくものをつくり上げるのは、まさに財務局の担当の皆さん方の責任ですよと、この使命が問われていますよということを最後にお伝えして、次の質問に移ります。
 都財政についてです。
 私たち都議会自民党は、さきの都議選から減税というものについての主張をしているわけですけれども、改めて都財政へのこの影響を伺ってまいります。
 ちょうど二年前、この財政委員会で私も事務事業質疑に立った頃は、コロナとの闘いも少しずつ明るい兆しが見え始めたところに、物価高騰の波が押し寄せるという状況でありました。コロナ禍で疲弊した方々、物価高で困っている方々、こうした多くの都民の皆さんの暮らしを守るために、少しでも手を差し伸べるべく、都民税の減税を実施すべきなんだということを申し上げてきたわけです。
 そこまでの私たちの会派の数々の質疑で明らかになっているのは、東京都において減税を行うことは不可能ではないということなんですね。でも、この減税、我々が主張することについては、反対される方もたくさんいました。それは、減税というものは、納税をされた方たちにしか恩恵がないのではないか、一方的に減税をすることによって、逆に格差を生むのではないかという反対論があったわけですね。
 そこで、私たちがいっているのは、必要なものはしっかりと政策として打ち出し、そして皆さん方に政策として投資していく、その中で、余ったお金、余った税金は、納税者に戻すべきだということを主張してきたわけです。これは、二年前のこの財政委員会の議論では、その時点でストップしていましたけれども、さらにこの二年間の間に、例えば、約千二百億円の予算組みがされている〇一八サポートなどを含め、様々な支援策、いろんな人たちへの支援策、補助策、助成策というのが出されました。これは、二年前に私たちが反対された論の中でいえば、要は、税金を納めている人たちだけが還元されても、これは不公平だよねという話でしたけれども、この二年間の間に、税金を納めている、納めていない、金額にかかわらず、いろんな人たちに行き渡る制度が、小池都知事によってなされました。
 だとするならば、私たちがいっているのは、東京の中間層世帯の皆さん方の可処分所得を上げる、このサポートの意味において、都民税の減税が必要なんだといってきたから、こういった〇一八サポートとか各種政策は減税と同じような効果がある、これはいいことだといって、都議会自民党は評価してきたわけです。その前提ですよ。
 さらに、今いったように、〇一八サポートをはじめとする様々な事業は、減税に代わるものだという評価はしてきた中で、さらに税収も堅調ですから、さらに今、お金が余っているんじゃないかと。
 だとするならば、皆さん方に行き渡るような制度をやった上での都民税減税が可能ではないかということで、今日は質問させていただきますけれども、まず、この減税議論に入る前提として、先般、先ほどからも話が出ていますけれども、財務局が公表しました年次財務報告書に基づいて、改めて、都財政がどのような状況にあるのかお伺いしたいんですけれども、令和五年度普通会計決算の状況、そして、そこから読み取れる都の財政状況について伺います。

○佐伯主計部長 令和五年度普通会計決算は、新型コロナウイルス感染症対策に係る国庫支出金の減少やそれに伴う経費の減少などによりまして、歳入総額は、前年度比八千五百六十三億円の減となる八兆八千九百八十七億円、歳出総額は、前年度比八千三百五十億円の減となる八兆三千五百三十三億円となりました。
 この結果、歳入総額から歳出総額を差し引いた形式収支は五千四百五十四億円、そこから翌年度に繰り越すべき財源を控除した実質収支は六十一億円となり、収支はほぼ均衡しております。
 また、財政状況を表す代表的な指標であり、比率が低いほど財政の弾力性が高いことを示す経常収支比率は八一・三%、公債費負担比率では四・七%となっております。いずれも前年度の都道府県平均と比べて低い水準となっておりまして、都財政は弾力性が高い状況にあると認識をしております。

○川松委員 今、主計部長からお話ありましたように、令和五年度決算においても、都の財政状況は、他の自治体と比べて、引き続き健全な状況であるということが分かります。
 こうした健全性を保てているのは、好調な税収による恩恵が大きいと私は認識しておりますが、この中で、かねてから、時限的でもいいので、この苦しい社会環境の中で、余った税金は納税者の皆さんに還元すべきである、その方策として減税を提案しているのが私たちなんですけど、では、前年度と比較して、令和五年度決算の都税収入がどういう状況にあるのか、この点についてお伺いします。

○佐伯主計部長 令和五年度普通会計決算におけます都税収入は、企業収益の堅調な推移に伴う法人二税の増などによりまして、前年度比二・六%の増となる六兆三千四百五十一億円となっております。

○川松委員 今、先ほどに比べて、都税収入という点についてお伺いしましたが、引き続き堅調に推移しているんだということが分かりました。
 私たちが提案している個人都民税二〇%減税による影響額は二千億円です。すなわち、先ほど答弁された都税収入六・三兆円と比較しますと、そのうちの占める割合は三%です。都財政の中でいえば、私は僅か三%ではないかといえます。これは、大きなウエートを占めているわけではなくて、減税に必要な財源を捻出する様々な工夫をすれば、不可能ではないということは断言できます。
 じゃ、その上で、都の財政運営上、重要な役割を果たしている都債と基金について確認していきますが、令和五年度の都債発行額を確認させていただくとともに、令和五年度末時点の都債残高は、過去と比較してどういう水準にあるのか伺います。

○佐伯主計部長 普通会計決算におけます令和五年度の都債発行額は、前年度比九十四億円の減となります二千二百九十三億円となっております。
 また、令和五年度末時点の都債残高は、前年度比一千八十四億円の減となる三兆七千九十五億円でございまして、ピーク時の平成十二年度と比べまして半分程度となっております。

○川松委員 今、都債についてお伺いしましたが、都債の残高、ピーク時の半分まで減っているということでありまして、こうした点は、現在の都財政がいかに健全であるかということが分かります。
 私たちは、東京都の財政状況を顧みず、ただ一方的に減税を求めているのではありません。こうした裏づけとなる財政上の指標を確認した上で、減税は可能なんだといっているわけであります。
 じゃ、もう一つの重要なポイント、基金です。令和五年度末時点の基金残高について、決算額が五年度当初予算における見込額よりも増加しておりますが、その要因を伺います。

○佐伯主計部長 税収の増減がそのまま財政運営に直結いたします都におきましては、中長期の視点に立ち、将来の財政需要に安定的に対応し得るよう、持続可能な財政基盤を構築していくことが重要であると考えております。
 こうした考えの下、当初予算編成以降の税収の増加や予算の執行状況の総点検を行いまして、不用となることが明らかとなった経費の精査などによる財源を活用いたしまして、最終補正予算において、基金に積立てを行ったことなどによるものでございます。

○川松委員 今のところ、ポイントでありまして、答弁にあったとおり、財政当局として当初想定していた以上に生じた税収がある。このことは、すなわち余ったお金が最終補正予算で基金に積み立てられたということだと思うんですね。
 令和五年度の最終補正予算において、じゃ、今、話になった積み立てた基金というのは、一体幾らだったのかということを確認させてください。

○佐伯主計部長 令和五年度最終補正予算におきましては、税収増が見込まれる場合に、その一部の積立てを義務づける条例に基づきまして、財政調整基金に百六十億円の積立てを行いました。
 また、歳出精査等により生み出された財源を活用いたしまして、三つのシティ実現に向けた基金に三千五百億円を積み立てました。具体的には、東京強靱化推進基金に千五百億円、スマート東京推進基金に一千億円、ゼロエミッション東京推進基金に一千億円をそれぞれ積み立てております。

○川松委員 今いったように、余った分をどうするかという考え方なんですけど、今まで財務局は、未来に向かって心配だから基金を積み立てていくんですというようなことが、総じていうと、そういう答弁でした。今もそういう理屈の中で積み立てているんでしょうが、未来に向けたことのために使うのが必要なのか、目の前で困っている皆さん方に還元するのが必要なのかというのが大きな議論なんですけど、特に、この年度末でいうと、東京強靱化推進基金に千五百億円を積み立てているんですね。私、ここについてちょっと考えさせていただきたいんです。
 もともと、この東京の強靱化というのは、昨年の末に、小池都知事が東京の強靱化のプロジェクトを進めていくんだということを発表されて、それは十七兆円なんだということで発表されて、いろんなところで十七兆円規模の強靱化が進んでいくということで、これ、やっていますけれども、そもそも、都市の機能をあらゆる災害から守るためには、こういうプロジェクトの表題がなかったとしても、やらなきゃいけない仕事だと思うんですよ。このやらなきゃいけない仕事を総じて積み上げていったら十七兆円ですから、これが今年で十七兆円を使うわけじゃないですけれども、未来に向かってずっと使っていくことによって、東京の強靱化を図っていきましょう、ハード面の整備をしていきましょうということですよね。
 ここの、皆さん方の予算のつくり方の考え方、認識を私は知りたいんですけど、千五百億円を年度末の最終補正予算で積みました。積んだら、この基金は三千三百億円になったんです。ということは、もともと千八百億円ここに基金があったんですよ。これが令和五年度末ですから、今年の三月三十一日の時点で、まあ三十一日の時点というか、最終補正予算が通った時点で、千八百だった基金が千五百積み増されて三千三百億円になった。簡単にいえば、年度末になった。これが年度始めて、三月から四月になったら、令和六年度の予算で取り崩すって、千九百億円取り崩しているんですよ。
 今、皆さん方、まさに予算編成をするということで、各局からいろんな意見を聞いて、これが必要だどうだとめり張りをつけながらやっていくわけですよね。今のこの数字だけを見ていたら、絶対にやらなきゃいけない必要な都市の強靱化に向けての仕事、ハード面、これは、皆さん方が一体どうやって財源をつくるかというのは、皆さん方の仕事ですよ。それはハード面だから、国庫の支出金もあるでしょう。都債、まだ十分余裕はあるけれども、未来に向かって都債の依存度は低くしたいんだという考え方もあるでしょう。じゃあ、基金を使おうかって、いろいろあると思うんです。でも、不用額、年度末にこれが、余ったお金で不用額というのが積まれて初めて、もともとあった千八百億円が、数字は上がるんです。皆さん方がつくられた予算で、令和六年度、始めるのは千九百億円なんです。
 これ、一般的な感覚でいったら、当初から不用額が出る、余る税金があるということを前提で、皆さん方が今、予算作成していると思わざるを得ないですよ。こういう考え方で、主計部長、常にいつも予算をつくっているんですか。これは余るんだ、だから最初から積んでおこうって、僕は違うと思いますよ。だって、各局からハード面でやるのにいろんなところから要望されているわけだから、幾ら使うかなんて分かるわけですよ、単年度ごとに。それをほかの財源を取る工夫をしないで、余ったものを最初から取ろうみたいな予算の組み方はおかしいと思いませんか。いかがですか。

○佐伯主計部長 今、委員ご指摘の強靱化基金のお話でございますが、五年度の最終補正予算において千五百億円の基金の積立てを行ったことに加えまして、その五年度の経費の精査等により取崩しの抑制を行ったその結果、令和六年度の当初予算時点における五年度末の基金残高は三千三百億円というのが事実関係でございます。
 五年度の当初予算編成以降も、その時々の財政状況、特に最終補正におきましては歳出の精査等を行って、当初予算を編成したときと財政の状況、これがまた異なってきます。そういった状況の変化を踏まえて、その時々の判断で基金の積立てを行い、その基金積立てを行ったものを財源といたしまして翌年度の予算の財源に充てていくということは、これまでも実施しているところでございます。
 つまり、都市の強靱化、これは長く計画的にやっていかなきゃいけないもの、あるいはゼロエミッションの実現なども、中長期的にしっかり継続的にやっていかなきゃいけない。こういった財政需要を踏まえまして、そのときの判断で基金の積立てを行い、それを来年度の予算の財源として活用している、そういった考え方でございます。

○川松委員 今、くしくも主計部長がこれまでも同じ考えでやってきたという話がありましたけど、それが違うんじゃないかと思うんですよ。強靱化って、都市を守るために、東京を守るためにやる予算なのに、不用額が出たら、こっちの数字が上がっていくみたいな運営って、危険じゃないんですか。それだったら、当初から不用額が出るかどうかは分からないにしても、がちっとまず固めて、これが、東京というまちを守る、都民を守る、東京に来る人たち、都内事業者の皆さん方を守るということになるんじゃないかと思うんですね。それが続いて続いて、十七兆円の総額のプロジェクトが、私は東京のこの強靱化だと思っているんですよ。
 何で今こんなことをいったかというと、うがった見方をすれば、あえて不用額を出しているんじゃないんですかっていいたくなるわけです。この不用額を、こうやって今、年度末に来て、三月にいきなり積み立てたものが四月に使われるような予算の使い方を多分僕らも今まで都民の皆さん方に広くお伝えしてこられなかったけれども、今ここから都民の皆さんに伝えたら、やっぱり財務局はちょっと考え方を変えた方がいいってなると私は思うんですね。
 だから、めり張りをつけて、固めて、さっきからいっているように、いろんな予算を使って、必要な経費を使って使って、残った余ったお金は、私は、財務局とか主計部長の考えで使うお金ではなくて、納めていただいた皆さん方に返すためのお金として、もっと大切に扱っていただきたいなと思うんです。
 余った予算なのか、余らせた予算なのかというのは、これはなかなか色はつけづらいんで分かりづらいですけれども、今の形とすると、僕は、予算編成とかハード面は、さっきからいっているように、都債の考え方もあるわけです。これは受益者負担を考えたら、都債はみんな、使う人たちは未来に対しても使っていくんだから、もう少し依存度を上げてもいいんじゃないかとか。でも僕らがいっているのは、目の前で困っている中間層の皆さん方を助けるために、この余った税金を使うべきだということをぜひ考えていただきたいと思うんですが。
 少なからずとも、今、数字を皆さん方と考えてきました。今の都債の依存度あるいは基金のことを考えると、この財政状況、主計部長、減税は対応可能であると思いますけれども、この受け止め方はいかがでしょうか。

○佐伯主計部長 先ほど、委員の方から、余らせた予算ではないかというようなご発言もあったかと思うんですが、決してわざと余らせているということではなくて、公共工事につきましては、いろいろ現地の状況ですとか、様々な事情によりまして、執行がなかなかできなかったという部分もあって、そういった歳出の不用額というものが生じるケースがございます。ですので、決してわざと余らせているとか、そういうことはないということをちょっと一言申し述べたいと思います。
 それで、減税は対応可能であるかどうかという受け止めのご質問でございますが、まず、都財政の自主、自立性の観点から申し上げますと、都は、地方交付税の不交付団体でございまして、他の自治体以上に自立的な財政運営が求められております。
 こうした中、仮に個人住民税等の普通税を標準税率未満とする減税を行った場合には、現在届出制となっております地方債の発行が国の許可制に移行いたします。これは、いわば実質的には、都債の発行が国の管理下に置かれるということでございまして、地方自治体としての財政運営の自主性や主体性を大きく損なうリスクが懸念をされます。
 次に、将来を見据えた財政運営の観点から申し上げますと、都は、社会保障関係経費の増加など避けることのできない膨大な財政需要への対応に加えまして、都市の強靱化など都政の重要課題に積極果敢に取り組む必要がございます。
 一方、過去の都財政を振り返ってみますと、バブル経済崩壊に伴います税収の低迷等の影響によりまして、財政再建団体への転落の危機に直面をし、そのときは、投資的経費などを大幅に抑制せざるを得ない状況となりました。
 こうした事態に二度と陥ることなく、都政に課せられた使命を確実かつ安定的に果たしていくためには、将来にわたり持続可能な財政基盤を引き続き確保していくことが重要であると考えております。

○川松委員 私は、減税対応可能かどうかと受け止めを聞いたわけですが、ストレートなお答えは返ってきませんでした。
 先ほど主計部長がいった、余らせたかどうかって、僕はそういうように見えちゃうよということをいっておるわけですよ。繰り返しになりますけど、年度末にこれは不用な額だといって積み立てたお金が、もう僕らは--今まで余ったお金は未来に向けて必要だから基金で積み立てておくといったのに、三月の末は積み立てたのに、四月になったら取り崩しちゃうなんていうのは、これは違うんじゃないのか。こういうことをちゃんと皆さん方が分かっていったら--財務当局の見方、都民の皆さん方がどう感じるんですかと。私が余らせているといっているんじゃなくて、余らせていると思われてしまうかもしれないので、ちゃんとこういうふうに予算を編成しているんだ、こういうふうな考えでやっているんだということは、もっと広く発信しないと勘違いされると思いますよ。
 今の部長の答弁で、都債発行に係る制限など今後の財政運営に支障を来すことへの、皆さん、主計部長の懸念は理解できるんですけど、そうはいっても、都庁の皆さん方のマインドもそうですけど、目の前で苦しんでいる都民の皆さん方に寄り添う政治判断が、私は求められているんじゃないかと思うんです。
 先ほども、これまでも同じような考えでやってきたという話がありましたけど、これ、財務局の話じゃないんですが、ほかの局でこんなことがあったんで、今日お話ししますけど、とある制度について、現代社会にマッチしていないんで、制度の改善を私は求めたんです、とある局に。そうしたら、その局の担当者は何といったか。僕は、やれるならやる、やれないならやれない、これを明確にしないと、ただ要望しているだけで議論にならないと、どこに課題があってこの制度を改善できないのか、それを明確にテーブルに出して議論しようということを呼びかけたわけです。そうしたら、そのある部局の担当者が、驚くべきことに、私たちは先輩たちから脈々と受け継いできた伝統を守らなければいけないといわれたんです。何をいっているのと。冷静に私は都庁の皆さん方の宣戦布告を受け止めましたよ。都庁の職員の皆さんは、目の前で困っている人たちを助けることよりも、自分たちの先人たちが役所の中で守ってきた伝統の方が大事だということをいったんですよ。先ほどの予算編成の考え方も含めて、これは一事が万事なんじゃないかなと私は感じてしまいました。
 余ったお金は、納税者に返すよりも、何か前もって決めていたものに貯金に回すというのは、やっぱり先ほどのとある局の考え方と似ていると思うんですよ。これって、小池都知事の掲げている都民ファーストの精神なんだろうかということを思いましたね。ですから、改めて、そんなことは山下局長はないというふうに私たちは信じています。だからこそ、都庁の肝といえる財務局、そしてその中でも特に主計部、皆さん方は先輩たちから受け継いできた伝統を守るというのは、これは重要だと思います。いろいろな健全性とか規律とかって。でも、今、この社会情勢が大きく変化している中で、皆さん方の先輩たちが昭和から受け継いできたものだとするならば、もう平成も過ぎて令和の時代に、変えるべきものは変えて、考え方を変えて、予算を編成していく。税金は誰のものかということをしっかりと考えながら、柔軟に改善していく必要性を私は感じています。
 今日こうやっていろんなことを確認してきましたけど、やっぱり都民税の減税はできるんだと。かつ幅広い支援策、反対側の皆さん方からいわれてきた支援策もちゃんとやった上で余ったお金があるんだから、これは、東京の中間層世帯の皆さん方が、満足度、幸福度でいったら、四十七都道府県中四十七位という現状は、やっぱり行政、政治が一体となって改善していかなければいけないと思います。
 ぜひ、皆さん方は、いろんな伝統とか考え方があると思いますけれども、都民税減税は可能であるというこのマインドも含めて検討していただきたいということを財務局に強く要望いたします。
 最後に、来年度の予算編成がこれから本格化してくるわけですけれども、納税者の思いというもの、都民の皆さん方の思いというものをしっかりと考えながら、都庁文化に縛られず、大胆で柔軟な予算編成が行われるべきだということを強く主張いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○北口委員 私からは、初めに、都庁舎の改修プロジェクトについてお伺いします。
 都庁舎は、この首都東京における行政や議会活動の中枢であるとともに、災害発生時における防災センターとしての機能も併せ持ちます。東京の要となる都庁舎を適切に維持管理し、将来にわたり利用し続けるということが、良好に保全していくことが大切でございます。
 平成二十一年度から開始した都庁舎改修プロジェクトでは、耐用年数を迎えた設備の更新に加え、庁舎の機能をさらに高めるため、安全・安心や環境負荷低減などを掲げて取り組んでいるというふうに聞いております。
 都庁舎を訪れる都民の皆様が日常的に使いやすく、さらには、災害時には災害拠点として十分に機能を発揮するために、改修を継続して実施することは重要でございます。
 こうした改修を、今年度末で一区切りを迎えるというふうに聞いておりますけれども、まずは、都庁舎改修プロジェクトにおける防災機能の向上と環境対策についてのこれまでの取組をお伺いいたします。

○鈴木庁舎運営担当部長 防災機能の向上につきましては、東日本大震災を踏まえた長周期地震動対策を図るため、各フロアの設備更新の機会に合わせて、オイルダンパーを用いた制振装置を設置することにより、耐震性を向上させたところでございます。
 また、震災時のスプリンクラー配管の破損防止を目的としたフレキシブル継ぎ手の設置や、つり天井の脱落防止対策などを行うなどにより、防災拠点としての機能を強化いたしました。
 環境対策につきましては、都庁舎のCO2排出量の削減を図るため、各フロアの照明のLED化に加え、動力エネルギーを低減する省エネ型空調設備である大温度差空調システムを導入したところでございます。

○北口委員 防災対策については、近年課題となっている高層建築物での長周期地震動への対策やつり天井の落下防止等を実施したということでございました。
 環境対策についても、省エネ設備の導入により、CO2の削減を進めているというふうに確認をさせていただきました。
 設備改修の中で、でき得る限り防災や環境への取組を実施してきたというふうに評価をしております。建物の環境性能や防災力の向上は、ぜひ継続して実施をしていただきますようお願い申し上げます。
 さて、都庁舎が、東京のシンボルとして、また、将来にわたって活用するに当たりましては、都庁舎を訪れる誰もが安心して快適に過ごせるようにすることも重要であろうというふうに考えております。そのためには、来庁者の利便性の向上も必要でございます。本プロジェクトにおいても、その取組を行ってきたと聞いておりますが、ここについて具体的な取組をお伺いいたします。

○鈴木庁舎運営担当部長 まずは、多くの都民が訪れるフロアにありますバリアフリートイレには介助用ベッドやオストメイト対応水洗器具、音声案内を設置するとともに、一般の方が利用できるトイレにはベビーチェアやベビーベッドを備えた広めのブースを設置することで、利用者が使いやすくなるようにしたところでございます。
 また、誘導案内サインにつきましては、海外から訪れる方など誰に対しても分かりやすいよう、カラーユニバーサルデザインの導入や多言語表記の拡充を行ったところでございます。
 さらに、多くの方が訪れる展望室におきましては、おもてなしの心を大切にし、車椅子の方がより窓に近づけるようにするためのスペースを増設したほか、眺望を楽しむことができる展望デッキを設置するなど、利便性の向上を図ったところでございます。

○北口委員 各種の制約のある中で、バリアフリーの推進やユニバーサルデザインの導入など、多様な方の利用に配慮した改修を進めてきたということでございました。ありがとうございます。
 ぜひ今後も都庁舎を適正に維持保全をし、また将来にわたり活用していくため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎におきましては、日常の点検や修繕により建物を適切に維持管理しているほか、設備等に関する中長期保全計画により更新時期を迎える設備がスムーズに維持更新できるよう、計画的に設計や工事を行っているところでございます。
 今後は、これらの計画に基づく各種設備の改修工事や日々の維持管理と並行して、竣工時から更新していない設備などの現況調査等を踏まえ、更新が必要な設備の選定や施工方法を検討していくこととしております。
 引き続き、都庁舎が安全・安心で快適に長期間利用し続けられるよう、将来の都庁舎の機能更新に向けた準備を進めてまいります。

○北口委員 都庁舎の改修につきましては、時代の要請に応じまして、求められる機能が変化していくと思われます。昨今では、防災対策、環境性能、そして多様性への配慮など多岐にわたっております。
 庁舎建設から三十年以上が経過をしております。三十年前の建物で構造上の制約もある中、これらの要請に完全に応えていくというのは難しいことと思いますけれども、設備関連技術も目覚ましいスピードで発展をしておりますし、特に環境性能については、あらゆる分野で日進月歩で進捗をしております。こうした技術革新にもぜひ注視をしながら、時代の要請に応えて、都民の負託に応える庁舎改修の取組を引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、私からも、東京都社会的責任調達指針についてお伺いをいたします。
 先ほど来、各委員からも質問がございましたが、一部かぶるかもしれませんけれども、確認させていただきます。
 都は、「未来の東京」戦略を踏まえて、経済合理性のみならず持続可能性にも配慮した調達を都が行うとともに、企業調達においても、環境、人権、労働等の視点から望ましい慣行が定着するよう働きかけ、持続可能な都市の実現に貢献することを目的として、本指針を策定したということでございます。
 近年の社会的潮流では、企業が自らの事業活動の中で、人権を尊重し、環境影響に配慮していくことは当然のことであり、取組の方向性について賛同するものですが、重要なことは、それを制度としてどう具体化していくのかということであると思います。
 持続可能性確保に向けた望ましい慣行の定着という目的を実現するために、東京都社会的責任調達指針に関わる制度をどう構築したのかお伺いをいたします。

○須藤契約調整担当部長 調達指針は、法令遵守をはじめ、持続可能性に関わる環境、人権、労働、経済の各分野の国際的合意や行動規範等を尊重して、実行可能で最良の調達を実現するための事項や運用方法等を定めるものでございます。
 調達指針では、持続可能性に配慮した調達の実現に向けて取り組むべき視点を、分野ごとに、法令遵守を基本とする義務的事項と目指すべき水準である推奨的事項に区分して設定しております。
 都は、調達指針が適用される契約の受注者に対し、履行に際して調達指針の遵守を求めるとともに、当該契約のサプライチェーンを担う事業者に対しても、調達指針を遵守するよう、受注者から働きかけることを求めてまいります。

○北口委員 持続可能性を確保するための望ましい慣行を社会に定着させるという目的を踏まえれば、受注者だけではなく、契約のサプライチェーンにおける事業者にも、この調達指針の遵守を求めていくということは必要であるというふうに思っております。
 しかし、サプライチェーンの先々まで、逐一遵守状況を確認していくということは、現実的には困難が伴うというふうに考えます。
 そこで、都は、調達指針の実効性を確保するための仕組みとして、調達指針の不遵守に関する通報受付窓口を設置するとのことです。受け付けた通報により不遵守の事実が明らかになった場合には都から改善を求めていくとされているところですけれども、調達指針の実効性を高めていくために、通報受付から事業者による改善措置の実施までの一連のプロセスが、公平な形でしっかり運営される体制を構築していく必要があるというふうに考えますけれども、都の見解を求めます。

○須藤契約調整担当部長 都は、令和七年四月からの調達指針の適用開始に合わせ、調達指針の不遵守に関する通報を受け付ける窓口を設置し、必要に応じて不遵守の状況改善に向けた働きかけを行う、いわゆるグリーバンスメカニズムを構築いたします。
 通報受付窓口の運用に当たりましては、個々の通報案件の処理について専門的見地から助言を行う助言委員会と、都が実施した通報処理について事後的に確認及び意見を行う通報受付対応点検委員会を設置し、中立性、公平性の確保を図ることとしております。
 今後、令和七年一月を目途に、これらの制度を具体的に定めた通報受付窓口の業務運用基準等を策定し、グリーバンスメカニズムの運用体制を整備してまいります。

○北口委員 専門家などを入れながら、通報受付対応の中立性、公平性の確保を図っていくとの答弁でございました。今後、詳細の検討が進んでいくと思われますけれども、事業者の納得と共感の得られる仕組みを構築するよう要望させていただきます。
 受注者またはサプライチェーン上の事業者に、環境や人権上の問題が見つかったときに、都は改善を求めていくというふうにされているところですが、その際に、その問題のあった事業者を都の調達から排除することは根本的な解決とはいえないというふうに思います。
 通報をきっかけとして、可能な限り問題の解決に向けて取り組むことが、本当の意味での調達指針の実効性を担保することにつながるというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 都は、調達指針の遵守を受注者及びサプライチェーンを担う事業者との共同の取組と位置づけており、受注者とのコミュニケーションを通じて、社会全体で持続可能性を重視する姿勢の底上げを図ることを目的としております。
 通報受付窓口を通じて、受注者における調達指針の不遵守の事実が確認された場合には、都は、当該受注者に対し、不遵守の改善に向けた取組を求めることとしており、重大な不遵守があるにもかかわらず受注者が適切に改善に取り組んでいない場合等に限り、契約解除や指名停止措置を講ずることとしております。
 また、調達指針の不遵守の事実がサプライチェーンを担う事業者において確認された場合には、都は、受注者に対し、当該事業者への改善に向けた働きかけを求めてまいりますが、都の要請等に基づき適切に働きかけを行っている限り、契約解除や指名停止措置の対象とはならないこととしております。

○北口委員 本制度が、取組が不十分な事業者を罰する制度ではなくて、改善を図るための仕組みであるということを確認いたしました。
 今後、運用していく中で、当初想定していなかったような新たな課題も生じてくるということもあるかもしれません。その際には、柔軟に制度の見直しを図り、よりよい制度の構築に向けて取り組んでいただくということを要望しまして、質問を終わります。

○和泉委員 日本共産党の和泉なおみです。よろしくお願いいたします。
 私は、今年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、プロジェクションマッピング事業の実行委員会の問題を取り上げました。その質疑の中で、都議会棟の屋上に設置された機器は、財務局が設置工事の承認をする前に事業者と契約を済ませていたという問題を取り上げています。
 プロジェクションマッピング事業における議会棟屋上への機器設置について、産業労働局が、プロジェクターや音響設備の設置ができるかどうかを技術的に判断してほしいという依頼書を財務局に出しています。調査の中身はどのようなもので、どのように調査を行ったのか、改めて伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 プロジェクションマッピング事業につきましては、事業所管局において機器設置方法を検討するに当たり、現場調査への同行や図面資料の提供等の技術協力を行ったところでございます。
 機器の設置に当たりましては、設置場所として選定された都議会議事堂屋上の荷重制限、電気の接続、音響設備の設置等について、技術的助言を行ったところでございます。

○和泉委員 じゃ、それに基づいて、財務局が設置工事の承認を出せないというふうに判断した場合には、設置工事は行えないということになるんでしょうか。いかがですか。

○鈴木庁舎運営担当部長 設置工事の承認ができない場合につきましては、工事は行いません。

○和泉委員 では、財務局が工事の承認を行うべき事案において、承認を出す前に契約が行われたというような事例はあるんでしょうか。ある場合には、どんな案件でしょうか。具体的な答弁をお願いします。

○鈴木庁舎運営担当部長 財務局では、庁舎の施設管理者といたしまして、各種設備等の工事を行うとき、都庁舎の安全性や運営などに支障がないよう工事承認申請を求めており、設置する機器の諸元や施工方法等について、技術的な観点で確認を行っているところでございます。
 承認に当たりましては、事前の計画段階から情報交換を行い、現場での作業が円滑に進められるよう手続を行っております。
 なお、具体の契約につきましては、事業所管局において適切に行われているものと認識しております。

○和泉委員 私は、どのようなプロセスを経て承認をするのかということを聞いたんではないんです。設置工事の承認が出る前に事業者と契約を先に済ませていたというような事例はほかにあるのか、あったのであれば、それはどういうものだったのかと聞きました。質問に答えていただけませんか。

○鈴木庁舎運営担当部長 庁舎の施設管理者といたしましては、各局が庁内で工事を行う場合は、都庁舎の安全性や運営に支障がないよう、事前に相談を受けながら調整をしております。
 したがいまして、工事内容の事前調整とともに、実際の工事施行日が重要であり、それらについてはしっかり確認をしているところでございます。

○和泉委員 つまり、契約がきちんと行われているかどうかっていうのは、把握していないってことなんです。先ほど、具体の契約については、事業所管局において適正に行われているものと認識しているというふうに答弁されましたが、実際には、契約がどうなっているかは把握していないと。
 予算特別委員会で私が明らかにしたとおり、産業労働局が、財務局に設置できるかどうかの依頼をしたのは、二〇二三年の十月十二日です。しかし、その前の九月に電通ライブと映像コンテンツの契約を済ませている。そして、財務局の承認が出たのは十二月二日ですが、パナソニックコネクトと機材の契約をしたのは十月です。これ、適切なんですか。この事実が明らかになって以降、財務局は、この問題で産業労働局に何もいっていないんですか。いかがですか。

○鈴木庁舎運営担当部長 繰り返しとなりますが、財務局が工事承認を行うに当たりまして技術的な確認をしておりまして、契約状況の確認は必須でないと認識しております。

○和泉委員 予算特別委員会締めくくり総括質疑が行われたのは、三月二十五日です。その時点で、財務局が設置工事の承認を出す前に契約が済まされていたという事実が明らかになっている。それなのに、財務局は、この問題で産業労働局には何もいっていない。承認を出せないものについては設置工事を行うことはできないにもかかわらず、契約が承認に基づいていようといまいと、事業所管局において適切にやっているはずですというのは、財務局としてはちょっと無責任なんじゃないでしょうか。こういうことが全庁的にまかり通っているとしたら、重大だと私は思います。
 知事が三定で発表したお台場の噴水もその一つです。都知事選挙で、プロジェクションマッピングに都民の大きな批判が広がったにもかかわらず、一顧だにせず、選挙後初の都議会定例会で、知事が今度は噴水だと発表したことに、都民から驚きと怒りの声が届いています。つくるのに幾らかかるのか、維持費に幾らかかるのか、全く議会で明らかにされていません。
 本会議で、港湾局長は、臨海地域事業会計の土地を売却したお金でつくるから税金は使わないと答弁しました。臨海地域事業会計だって、法律や政令に基づいて、都の条例で設置されている事業会計です。皆さんにとっては釈迦に説法かもしれませんけれども、地方公営企業や公営企業会計というのは、企業としての効率的、機動的な事業運営のために設けられたものですが、その本来の目的はあくまで公共の福祉の増進であって、臨海地域事業会計の土地の売却益だから何に使っても問題ないというのは全く成り立ちません。臨海地域事業会計で扱っていますが、その財産は、紛れもなく都の財産であるからこそ、予算の審議にかかり、決算の承認を受ける必要があるわけです。
 財務局は、お台場海浜公園における噴水の事業をいつ知ったんでしょうか。伺います。

○佐伯主計部長 お台場海浜公園の噴水の整備につきましては、令和五年度予算編成過程におきまして、港湾局から財務局に対して予算の要求がございました。

○和泉委員 確かに、令和五年度東京都予算案の概要、いわゆるグリーンブック、ここの七四ページを見ますと、新規で四億円がモニュメントや噴水の設置の費用として書かれていますけれども、令和五年度の港湾局の予算要求概要にも、また、予算の提案にも、この個別の記載はないんです。
 伺いますが、令和五年度のグリーンブックに記載されているのみです。令和六年度は、どのような予算要求があったんでしょうか。

○佐伯主計部長 令和六年度予算編成におきましては、港湾局からの要求は、この噴水整備に関わる設計費等の要求がございました。

○和泉委員 その設計費はどこに計上されていますか。

○佐伯主計部長 令和六年度予算におきましては、臨海会計の方に計上されております。

○和泉委員 幾ら計上されていて、予算概要あるいは予算要求のどの部分に含まれているんでしょうか。少なくとも予算の要求書、それから予算概要を見ても、この噴水の費用として特出しで載っているものはありません。どこかに丸まっているはずだと思うんですが、どこに計上されているんでしょうか。

○佐伯主計部長 臨海地域開発事業会計の費目の中に計上されております。

○和泉委員 ですから、その中のどういう費目に計上されているんですかということをお答えいただきたかった。財務局としても、それが答えられないと。私たちも、これ、調べてみたんですけど、分からないんですよ。そういう点でいったら、本当に財務局のグリップがきちんと効いているんだろうかと。たとえ公営企業の会計であっても、都の財産を預かる、管理する、その財務局として、果たしてどの程度グリップが効いているのかというふうに思わざるを得ないんです。
 今後、財務局として、この案件については、どのように把握して、どう関わっていくことになるんでしょうか、伺います。

○佐伯主計部長 先ほどの副委員長ご指摘の件に限りませんが、財務局におきましては、予算編成過程におきまして、各局からの予算要求に盛り込まれた一つ一つの事業につきまして、必要性や有効性など様々な角度から分析と検証を行っております。令和六年度予算要求におきましても、同様の分析と検証を行い、必要な予算を計上しております。
 引き続き、このような形で予算を計上してまいります。

○和泉委員 先ほどは、どこにどういうふうに数字にまとまっているんですかというふうにお聞きしましたけれども、答えられなかったわけですよね。財務局は、このお台場の噴水について、必要性や有効性、先ほどご答弁のあった費用対効果など様々な観点から、どのように分析と検証を行ったんでしょうか。これからどれくらいの費用がこの事業にかかるのか、港湾局から説明を受けているんでしょうか。
 財源となる売却予定の土地についても伺いたいと思います。
 臨海地域開発事業会計で管理する土地の性質、それから、公営企業会計に属する公有地に対して、都民の貴重な財産となる土地や建物の管理、処分を所管する財務局がどのような権限を有するのか伺います。

○松井財産運用部長 公営企業会計に属する臨海地域開発事業会計で所管する普通財産の土地の管理、処分につきましては、所管局である港湾局におきまして、東京都臨海地域開発規則に基づき適切に行われていると認識しており、東京都公有財産規則の適用の範囲外でございます。

○和泉委員 そうしますと、東京都公有財産規則の規則外だから、この事業については把握できていませんという理解でよろしいんでしょうか。所管する財務局として、そのような答弁でよろしいんでしょうか。

○松井財産運用部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、公営企業会計に属する臨海地域開発事業会計で所管する普通財産の土地の管理、処分については、所管局である港湾局において、東京都臨海地域開発規則に基づき行われており、財務局が所管する東京都公有財産規則の適用の範囲外ということでございます。

○和泉委員 これもまた先ほどの答弁で、前の答弁と同様に、所管局において適切に行われているという認識にとどまっているんです。大体、詳細が分からないのに、適切かどうかどう判断するんですか。
 スピーキングテストの契約にしても、プロジェクションマッピング事業にしても、そして、このお台場の噴水にしても、本来踏むべき手続をきちんと踏まずに所管局が行っているものについて、財務局がしっかり物をいわなくちゃいけないんじゃないんですか。少なくとも質疑の中で明らかになり、都民の批判が広がっている事業について、議会と都民にちゃんと説明できないような事態を財務局が見過ごしてはいけないんじゃないんですか。
 財務局は、その業務の執行に当たり、財政民主主義の観点をしっかり握って放してはいけない。そうでなければ、財政運営の透明性、公正性を都民に対して担保できない。その責任を十分に自覚するべきです。その立場から、それぞれの所管局の事業をしっかりチェックし、監督していただく必要があると厳しく指摘し、次の質問に入ります。
 東京都が発注する工事請負契約についてです。
 スライド制が九か月待たなければ適用できないことを、私たちは本会議で取り上げました。その後、改善されたことは、資材の高騰に苦しむ中小の建築事業者から大変喜ばれているところです。
 私は、その後、前払い金の問題についても改善を求めましたが、都が発注する工事請負契約における前払い金制度が変更されています。
 従前の制度がどうなっていたのか、どう変更されたのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 工事における前払い金とは、資材購入や労働者の確保等、工事の着工資金の確保のため、契約金額の一定割合を前払いするものでございます。
 制度改正前においては、契約金額の四割を初年度に一括で支払う対象を契約金額九億円までとしておりましたが、令和六年度の制度改正後は十八億円まで拡大いたしました。

○和泉委員 大変重要な改善だと思います。
 続けて伺いますが、このような変更を行った背景や理由はどういうものでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 都では、中小企業の資金需要に応えるため、中小企業の受注が多い価格帯、具体的には、九億円未満の工事契約において前払い金を手厚く支払う制度としております。入札契約制度改革に合わせ、中小企業単体での入札参加を認めていなかった大規模工事への参加条件を緩和し、能力のある中小企業が九億円以上の工事にも参加可能となったことなどを踏まえ、中小企業の経営の安定に一層寄与するよう制度改正を行ったものでございます。

○和泉委員 建築資材の高騰で、これまでだったら九億円未満に収まっていた工事でも、九億円以上かかってしまうということもあるでしょう。いずれにしても、中小事業者からは、契約金額九億円までだと前払い金が四割、それを超えて三十六億までの工事だと三億六千万になっている、これが資金調達が困難な状況だという声を聞いていましたから、この改善は、本当に現場から喜ばれるものだというふうに思います。
 引き続き、資材の状況や中小企業の実態に寄り添って、契約制度の改善が行われるよう求めて、質疑を終わります。

○林委員 よろしくお願いいたします。
 平成三十年の六月に、いわゆる働き方改革関連法が成立いたしまして、翌年の四月一日から順次施行されてきたところなんですけれども、建設業においても、本年四月から時間外労働の上限規制が適用されたことはご承知のとおりでございます。
 総務省統計局の労働力調査をちょっと見てみたんですけれども、令和三年度、ちょっと古いんですけれども、建設業の雇用者数は三百九十三万人と、前年度に比べて約九万人も減少しています。建設業の就労者数は減少が続いておりまして、その取り巻く環境というのは厳しいものとなっているわけなんですけれども、そんな状況の下ではあります。そんな状況の下で、先ほど申し上げた時間外労働の上限規制の適用が開始されたということですね。
 事業概要の年度別工事執行状況、一〇八ページなんですけれども、拝見しますと、令和五年度は百七十六件、四百五十一億二千百万円もの工事が実施されているということなんですが、いわゆる公共工事の受注者が提出する書類というのは相当なボリュームがございまして、特に、中小事業者にとっては非常に重荷になっているという声が私のところにも届いているわけでございます。
 そこで、建設業者の生産性を高めることにも通じますし、その働き方改革の基本となる働きやすい建設現場の労働環境の改善には、デジタル技術を積極的に活用することによって、工事の受注者の負担を軽減することが有効と考えるところなんですけれども、これまで、工事関係書類の電子化の取組について伺わせてください。

○小林技術管理担当部長 財務局では、工事受注者の負担軽減を図るため、施工時における関係書類について、インターネット上で提出を可能とする情報共有システムを令和二年度から導入し、一部の工事で実施しております。
 工事受注者からは、システムの利用により書類提出に伴う移動時間の短縮ができたなどの声がある一方、システムの操作には慣れが必要との意見がございました。このため、令和五年度には、工事受注者及び監督員向けの操作講習会を三回実施いたしました。

○林委員 令和二年度から情報共有システムを導入され、活用されて、工事受注者の負担軽減に取り組んでおられるということでしたけれども、この書類の提出のための移動時間を短縮できることとか、書類の提出がネット上で可能ということ、いつでもどこでもシステムが利用できるという環境は、受注者側だけではなくて、発注者側にもそのメリットは非常に大きいんではないかなというふうに思われますけれども、こうした取組については、ぜひとも積極的に推進していただきたいと思うんですけれども、利用の拡大に向けた今後の取組について、ご見解を伺いたいと思います。

○小林技術管理担当部長 情報共有システムの利用拡大に向けて、システムを利用した工事受注者からの意見を踏まえ、今年度も、受注者及び監督員向けの操作講習会を実施していきます。
 また、財務局では、これまでは、システムの利用を希望した受注者に対して、設計変更でシステム利用経費を追加計上していましたが、本年十一月から、起工決定する工事につきましては、当初工事費にあらかじめシステム利用経費を計上することで受注者の利用を促してまいります。
 今後、こうした取組を推進し、建設業の働き方改革を後押ししてまいります。

○林委員 ありがとうございました。
 情報共有システムの利用を拡大していくというご答弁でしたけれども、こういった建設現場の生産性を高めて、工事受注者の負担を軽減していくためには、こうしたデジタル技術の活用というのは、その効果が非常に大きいものというふうに思われることから、大変重要だというふうに考えています。
 ただ、そのシステム操作に慣れが必要ということが気になるところでして、操作講習会を実施していくとのことですけれども、システムを介して、受注者側が書類を作成して、提出して、その後、連絡もやり取りができて、資料の共有ができると。その資料については、検査にも活用できると。そういうデータもネット上でダウンロードができるということですので、その操作講習会については、ぜひとも積極的に開催を検討していただきたいと思いますし、また丁寧にご指導をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 十一月からは、今までは追加だったけれども、当初工事費にあらかじめシステム経費を計上して、受注者の利用を促すと。つまり、事実上、そのシステム利用を原則とするということは、結果的には、シン・トセイ4、さっきの質問でもいいましたけれども、実感できるクオリティー・オブ・サービスの向上につながるものではないかというふうに思っております。
 東京都が発注する公共工事が見本となって、建設業全体の働き方改革を率先して進めていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十六分散会