財政委員会速記録第五号

令和六年三月十八日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長林あきひろ君
副委員長清水やすこ君
副委員長和泉なおみ君
理事吉住はるお君
理事清水とし子君
理事慶野 信一君
かつまたさとし君
長橋 桂一君
阿部祐美子君
藤井とものり君
菅野 弘一君
たきぐち学君

欠席委員 一名

出席説明員
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務五十嵐 律君
契約調整担当部長須藤  哲君
主計部長遠松 秀将君
調整担当部長佐伯  亮君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長金子 陽子君
庁舎運営担当部長鈴木 光祐君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長坂東 宏之君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務井村  琢君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出 会計管理局所管分
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、債務負担行為-財務局所管分、都債
・第十六号議案 令和六年度東京都用地会計予算
・第十七号議案 令和六年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十六号議案 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十一号議案 工作物の買入れについて
報告事項(質疑)
・東京都社会的責任調達指針(素案)について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

○林委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び財務局関係の予算の調査並びに財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いします。

○吉住委員 私は、公金取扱費について伺います。
 今回の予算案において、例年五億円程度である公金取扱費が、前年度に比べて五億七千万円程度増加し、十億六千万円余りと大幅に増加している状況にあります。
 そこで、まず初めに、今回、公金取扱費が大幅に増加した理由について伺います。

○有金管理部長 今回、公金取扱費が大幅に増加をいたしました理由は、主に二点ございます。
 一点目でございますけれども、振込件数が大幅に増加をしたことでございます。例年の振込件数は五百万件弱のところ、〇一八サポート事業におけます年三回の支払い分のため、新たに六百万件を計上したことで、五億円程度の増加を見込んでおります。
 二点目につきましては、振込手数料単価を引き上げたことでございます。送金元の銀行が送金先の銀行に対して支払う内国為替制度運営費、本年の十月から公金にも適用されるとともに、指定金融機関でございます、みずほ銀行から、振込業務コストに見合うよう手数料の引上げ要請があり、見直しを行ったところでございます。この手数料単価の引上げにより、八千八百万円程度の増加を見込んでおります。

○吉住委員 公金取扱費の大幅な増加は、〇一八サポート事業による振込件数の増加が大きな要因ではあるものの、振込手数料の単価を引き上げたことで、一億円弱もの相当な経費増となった旨の説明がありました。
 そこで、現行の振込手数料単価は幾らで、今回幾らに見直したのか伺います。

○有金管理部長 現行の振込一件当たりの単価でございますけれども、みずほ銀行の行内を振込先といたします本支店宛ての振込は無料、他行宛ては給与振込が税込み三十三円、給与以外の振込が四十五円でございます。
 見直し後の単価は、これらを一律五十八・三円とした上で、給与以外の他行宛て振込に内国為替制度運営費相当分六十八・二円を加算いたしまして、百二十六・五円といたしました。
 なお、見直し後の単価は、本年の十月から適用することといたしております。

○吉住委員 ただいま手数料の引上げについて、具体的な金額の説明がございました。この間、各金融機関においては、長引く超低金利の状況により、厳しい経営を余儀なくされてきたことと思います。
 そこで、今回、手数料単価の引上げを検討するに至った背景について伺います。

○有金管理部長 令和二年閣議決定の成長戦略実行計画等を踏まえて定められました内国為替制度運営費につきまして、令和六年十月から、公金の他行宛て振込にも適用されることから、指定金融機関にとって、公金振込業務に係るコストが増加する見込みとなっております。
 また、令和四年三月に、総務省は、公金収納等事務につきまして、コスト構造を互いに見える化するよう努めること等により、現時点における適正な経費負担となるよう、見直しを行うことを全国の自治体に対して通知をしております。
 こうしたことを契機に、指定金融機関のみずほ銀行からも、振込業務に係る手数料につきまして、単価引上げの要請があったため、都におきましても、見直しを検討するに至ったものでございます。

○吉住委員 手数料引上げを検討するに至り、様々な背景があるということについて分かりました。
 そのうち、国の方針を踏まえて定められた内国為替制度運営費については、措置せざるを得ない経費であると考えますが、今回の見直しに当たっては、内国為替制度運営費以外の部分での単価の引上げも行われています。
 そこで、振込手数料について、現行の単価を引き上げる理由について伺います。

○有金管理部長 みずほ銀行からは、長年にわたり据置きとなっております現行の手数料単価では、実際の振込業務に要しているコストをカバーすることができていないとの理由で、振込単価引上げの要請がございました。
 そこで、都は、みずほ銀行に対しまして、振込業務についての詳細なヒアリングを実施するとともに、コストについての精緻な分析、検証を行ったところ、現行の手数料単価では、実際の業務コストをカバーできていないことが判明をいたしました。
 こうしたことから、みずほ銀行が、今後とも、都の膨大な振込業務を確実かつ円滑に遂行していくためには、コストに見合った合理的な経費負担が必要と考え、妥当な単価は五十八・三円と判断し、振込手数料単価を引き上げることといたしました。

○吉住委員 指定金融機関が、今後も、確実かつ継続的に振込業務を行っていくためには、今回の手数料引上げについてやむを得ないものと理解をいたしました。
 一方で、手数料を引き上げる以上、都は、指定金融機関に、より公金取扱業務が適切に行われるよう、しっかりと指導監督していくべきと考えます。
 そこで、今後、指定金融機関へどのように対処していくのか、見解を伺います。

○有金管理部長 みずほ銀行は、東京都の指定金融機関として、都の公金取扱業務を適切に行っていく責務がございます。
 これまでも、みずほ銀行とは、日々連携を密にいたしまして、公金の振込に際して、誤支給や遅延などの事故が生じないよう、事務手続等の確認を入念に行ってまいりました。また、支払いに支障が生じるおそれのある場合には、緊急連絡網等を使用いたしまして、速やかに情報を共有し合い、状況に応じて適切な対応を協議し、対策を講じてまいりました。
 今後とも、みずほ銀行が指定金融機関業務を適切に継続していけるよう、都は、みずほ銀行と日々円滑な連携を図るとともに、的確な指導監督を着実に行ってまいります。

○吉住委員 引き続き、指定金融機関による適切な公金取扱業務が展開されることをお願いして、質問を終わります。

○和泉委員 私からも、この指定金融機関の公金取扱費について伺います。
 先ほど吉住理事がお話をされましたとおり、新年度予算には、公金取扱費十億六千三百万が計上されています。前年度の四億九千四百万円から二倍以上の増額になっています。
 この公金取扱費のうち、大幅に増えているのが支払い手数料で、それは先ほどの吉住理事の質問に対する答弁でも、その要因は二点あると。一点は、〇一八サポート事業が年三回の振込に増えている、もう一点は、振込手数料単価を引き上げたことによるものだと、そういう答弁でした。
 質疑を効率的に進める上でも、なるべく重複した質問、実務的な、重複する質問は避けたいというふうに思いますが、他行宛て総合振込が四十五円から百二十六円五十銭に、そして、他行宛て給与振込が三十三円から五十八円三十銭に、そして、本支店総合振込と給与振込は、無料だったものが五十八円三十銭に引き上がるということです。
 これは、内国為替制度運営費が適用されるに至った、みずほ銀行からも、手数料単価引上げの要請があったということが答弁にありましたけれども、さらには、令和四年三月に、総務省通知も出ているということでしたね。
 私も、この総務省の通知と公金収納等事務に要する経費負担に関する調査結果、これは総務省が出したものですけれども、それから、あわせて、全国銀行協会が会員に向けて送付した通知、それと、全国銀行協会が調査をした税・公金収入に関するコスト・手数料に係る調査結果報告書をいただいて、目を通しました。
 総務省通知の方では、互いの公金収納等事務に要するコストを地方公共団体、金融機関、互いに見える化に努めることが望ましいというふうにされています。先ほどご答弁があったとおりです。
 銀行協会の調査報告書では、窓口収納に要するコスト、地方公共団体から徴収している一件当たりの手数料などが報告をされています。コストの平均額は四百一円三十九銭というふうになっていますけれども、その分布は、一円以上百円未満の一番低いランクから千円以上まで、かなりのばらつきが見られる分布となっています。
 都は、総務省通知にあるように、実際にコストがどのぐらいかかっているのか、みずほ銀行に対して詳細な聞き取りを行ったと。これが要するに、みずほ銀行に対して、見える化を求めたというふうに理解をしていいんでしょうか。

○有金管理部長 今回、みずほ銀行の方からも、手数料引上げの要請がございました。
 我々といたしましても、その中身についてしっかりと検証していかなきゃいけないということで、みずほ銀行に詳細なヒアリングを行いまして、その中身を確認した結果、非常に今の現状のコストとみずほの要求、現状のコストが実際の単価に見合っていないというところも、ある程度確認はできましたので、現状のコストに見合った単価に、今回引上げをするということで要求をしているところでございます。

○和泉委員 総務省通知は、コスト構造の見える化によって、地方公共団体は、住民への説明責任を果たす。そして、金融機関は、地方公共団体の求めに応じて必要な情報を提供する。これを求めているわけです。
 今、お話を伺って、答弁いただいて、見える化についての検証については行ったという答弁です。それを行ったんであれば、総務省通知にあるように、住民に対しての説明責任を果たすためにも、そのコスト構造は公表されるべきだというふうに考えます。また、調査報告書では、地方公共団体が支払う手数料の平均は八・八円と、八円八十銭というふうになっていて、その分布は、ほぼ四十円未満までに集中しています。そう考えると、これまで都の手数料設定は、これほど大幅な引上げが必要なほど低いものだったというふうには思えません。
 ほかの地方公共団体の手数料については、調査検討を行われたんでしょうか。

○有金管理部長 各自治体が、直接指定金融機関とそれぞれ契約といいますか、それを結んで行っているということですので、それぞれの団体ごとの多分事情が違ってくると思っています。
 都はこれまで、かかってきた費用をみずほ銀行の方から、確実に内容を確認いたしまして、現在見合った費用という形で、今回設定をしているところでございます。

○和泉委員 先ほど申し上げたように、住民に対して説明責任を果たさなければいけない、そういう立場からいえば、ほかの自治体はどうしているのかということは、きちんと詳細な検討が必要だというふうに思います。
 みずほ銀行だけを長年にわたって取扱金融機関としてきた特段の理由があるんでしょうか、伺います。

○有金管理部長 昭和三十九年に、みずほ銀行の前身であります富士銀行が、議会の議決を経て都の指定金融機関になって以来、長年にわたり、都の公金に係る事務を円滑かつ確実に処理をしてきており、事務処理能力や経営規模、財務の健全性などを確認の上、指定を続けております。
 なお、平成十四年に三行が合併をして、みずほ銀行となった際にも、議会の議決を経ております。

○和泉委員 議会の議決があったとはいえ、みずほ銀行の指定が、昭和三十九年から一度も変わることなく続いてきたということに、ちょっと私自身も驚いていますけれども、先ほども述べたとおり、都がこれまで、みずほ銀行に支払ってきた手数料、この単価は決して低いものだとは私は思いません。
 今回、みずほ銀行から引上げを要請されたときに、ほかにもっと低い金額でできる銀行はないのかという検討や、ほかの銀行への具体的な打診はされたんでしょうか。

○有金管理部長 公金を取り扱う指定金融機関には、膨大な事務を処理する能力、多額の公金の取扱いに対応できる経営規模、財務の健全性などが必要でございます。
 みずほ銀行は、こうした要件を満たしていることから、指定金融機関に指定をしております。
 みずほ銀行は、東京都の指定金融機関として公金を取り扱う専門部署を設置し、例年五百万件弱の膨大な振込業務を着実に行ってきており、適性を有していると認識をしております。

○和泉委員 みずほ銀行が適正に行ってきたかどうかということを聞いているんではないんです。
 今回の引上げを要請されたときに、ほかにもっと低い金額でできるという銀行はないのか、ほかの銀行への具体的な打診はしたのかということを伺いました。
 もう一度ご答弁願います。

○有金管理部長 先ほど申し上げましたけれども、公金を取り扱う指定金融機関には、膨大な事務を処理する能力、多額の公金の取扱いに対応できる経営規模、財務の健全性などが必要でございます。
 みずほ銀行は、先ほど申し上げたとおり、昭和三十九年に指定金融機関に指定をして以来、こういった要件を満たし、着実に業務を行ってきておりますことから、今回も、みずほ銀行と調整いたしまして、単価の引上げという形で、今回、予算計上したところでございます。

○和泉委員 それでは、日本中のどこにも東京都の公金を扱えるような規模、適正な公金処理を行える銀行はないというふうにお考えなんでしょうか。
 ほかの銀行への打診はしたんですか。

○有金管理部長 先ほど申し上げましたけれども、みずほ銀行はこれまでも、着実に業務を行ってきております。引き続き、その業務を処理する能力があるというふうに我々は考えておりますので、みずほ銀行を指定金融機関ということで、今回、調整をしたところでございます。

○和泉委員 何遍聞いても同じ答弁しか出てこないということです。恐らく、ほかの銀行への打診はしなかったと、ほかの銀行でもっと安くできるかどうかという検討もしなかったということなんだというふうに受け止めました。
 公金の出入りを管理する会計管理局が、都民の税金を適切かつ厳格に管理する、その責任を十分に自覚して、日々の業務に当たっておられることと私も認識しています。
 金融機関に支払う手数料もまた、都民の大事な税金ですから、住民の理解が得られるような説明責任をしっかり果たすとともに、一つの金融機関にこだわることなく、指定金融機関を変更することも含めて、支出を抑えるための検討を行っていただくよう求めて、質疑を終わります。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○林委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十六号議案、第十七号議案、第四十六号議案、第百三十一号議案及び報告事項、東京都社会的責任調達指針(素案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○清水(や)委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まず、令和六年度予算編成について伺います。
 現下の東京、日本は、少子高齢社会、激甚化する災害、気候変動、気候危機、国際的なプレゼンスの低下、デジタル化の遅れなど、まさに危機というべき状況に直面しています。先日の財政委員会の中でも申し上げたところですが、こうした課題に対し、東京がしっかりと対策を進めていくためには、見直すべきものを見直し、必要な施策に財源を振り分けるワイズスペンディングの取組が非常に重要だと考えています。
 そこで、本日は、ワイズスペンディングの取組である評価制度について深掘りしていきたいと思います。
 初めに、事業評価についてです。
 我が会派が知事と共に強力に進めてきた東京大改革では、事業評価の取組を通じて、この八年間で約八千百億円の財源確保につなげ、新たな施策の構築などを実現してきました。令和六年度予算編成では、過去最大となる千二百六十六億円の財源確保につなげることができたとのことです。
 そこで、令和六年度予算編成における事業評価について、具体的にどのような検証や見直しを行ったのか伺います。

○遠松主計部長 令和六年度予算編成では、終期が到来する事業の事後検証を徹底するとともに、様々な手法を用い、事業スキームの見直しを行うなど、一つ一つの事業の効率性、実効性の向上を図り、一千二百十四件の見直し、再構築につなげました。
 例えば、工事の工法を比較し、コスト削減を図った事例として、急傾斜地の崩壊対策が挙げられます。これまで採用してきた斜面にコンクリート等を吹きつける工法よりも、強度が高いネット等を用いた工法の方が、三割程度コストが低く、工期でも優位性があることを確認しました。導入可能な現場では、新工法を採用することで、経費削減につなげております。
 また、民間事業者との役割分担を見直した事例として、東京高速道路、いわゆるKK線に係るまちづくりが挙げられます。
 具体的には、KK線再生後の姿を体感するイベントについて、都の主催から東京高速道路株式会社との共催へと見直しました。その上で、交通規制、安全対策等については都が、イベントの企画、運営等については同社が担うなど、役割分担を整理しました。
 このように、民間の活力や創意工夫を活用することで、広報やイベント内容の充実を図るとともに、都の負担の縮減につなげております。

○清水(や)委員 千二百六十六億円という財源確保額は、決して一朝一夕で実現したものではなく、一つ一つの事業をじっくりと検証し、地道に見直しを積み重ねていることでなし得るということだと思います。私も税理士として、ふだん関与している会社にコストカットはいっているんですが、これほど難しいことは本当にありません。こうした積み重ねこそが、都民が必要とする施策の実現を支える重要な取組です。事業の原資は貴重な税金ですので、今後もしっかりと取組を推進していただくようにお願いいたします。
 次に、政策評価についてです。
 都の抱える課題は複雑かつ多様化しており、多岐にわたる課題に的確に対応していくためには、データを活用し、エビデンスに基づいて取り組むべき施策を見極めていくことが重要です。令和五年度予算編成からは、我が会派の提案を受け、統計的手法を用いた分析も取り入れるなど、分析の質の向上に取り組んでいると認識しています。
 そこで、令和六年度予算編成における政策評価で、データを活用して、どのような評価を行ったのか、具体的な例を伺います。

○遠松主計部長 政策評価においてデータ分析を行った事例として、廃プラスチックの焼却量削減に向けた取組が挙げられます。
 具体的には、プラスチックの分別収集の拡大に向けた区市町村への補助制度の効果検証を行いました。補助制度を利用した自治体と利用していない自治体の分別収集量の変化を分析し、両者の間で統計的にも有意な差が示されたことから、補助制度は、プラスチックの分別収集量の増加に一定の効果があることを確認しました。こうした検証も踏まえ、これまでの取組の規模を拡大するなど、プラスチックの焼却量の削減に向けて分別収集、再資源化をさらに促進していくこととしました。
 このように、データ分析を通じ、事業の効果などを定量的に把握することで、より客観性の高い評価に取り組んでおります。

○清水(や)委員 ただいま客観性の高い評価という答弁がありましたが、客観的なデータに基づく分析は、都民にとっても効果を分かりやすく伝えられる重要なツールです。ぜひ分析結果や分析に使ったデータを公表するなど、都民の方への情報発信を強化し、こうしたよい取組を一層進めて広めていってほしいと思います。
 次に、グループ連携事業評価についてです。
 我が会派の提案により、今年度新たに開始されました。私自身も、昨年度所属していた総務委員会の質疑において、政策連携団体の取組について、都民や利用者の方にその効果が一層還元されるよう取組を進めるべきとの思いから、定量的な目標設定やアウトカムの視点などを求めてきました。
 そこで、令和六年度予算編成において、グループ連携事業評価を新たに実施した意義を改めて伺います。

○遠松主計部長 都民サービスの最前線を担う政策連携団体の取組について、都庁グループ全体で事業効果や効率性を高めていくため、令和六年度予算編成から、都と団体の取組を一体的に評価するグループ連携事業評価を新たに実施することとしました。
 評価に当たっては、都と団体が協働で目指すべき目標やその達成に向けた定量的な事業目標を設定した上で、現場目線での分析や外部有識者の意見も踏まえて、事業の方向性などを評価することで、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフの向上に直結する見直しにつなげております。

○清水(や)委員 都が直面する様々な課題に対処していくため、政策連携団体も一体となった評価を新たに構築し、都庁グループ全体としての施策展開につなげるとのことです。
 このグループ連携事業評価について、どういった事業の見直しに結びついたのか、取組の成果を確認したいと思います。
 今回のグループ連携事業評価の取組が、どのように予算編成に反映されたのか、具体的な事例を含め伺います。

○遠松主計部長 今回のグループ連携事業評価では、三十三あります全ての政策連携団体を対象に、九十の協働目標と二百二十三の事業目標を設定し、事業の見直し等の方向性について評価を行い、八十八件の評価結果を都の予算に反映しました。
 例えば、東京都教育支援機構では、外部人材の確保、紹介を通じた教員の負担軽減を協働目標として掲げ、その達成に向けた具体的な数値目標として、学校に外部人材を紹介する事業の登録者数等を設定しました。進捗状況を分析したところ、登録者数は着実に増加しているものの、地域や活動内容によっては、学校の求める人材を紹介できないケースもあるなど、登録者数のさらなる拡大が課題となっていました。
 そこで、機構において募集活動を強力に推進するチームを編成し、登録者の少ない地域において自治体広報紙を活用するなど、戦略的な広報活動を展開していくこととしました。加えて、教員を志す大学生等の認知度向上が必要との外部有識者の意見を踏まえ、大学への訪問数を拡大するなど情報発信を強化しました。都としても、機構のこうした取組を後押しするため、補助を拡充し、令和六年度予算に反映しております。
 このように、都と団体が協働で目指すべき目標を設定し、成果につながる施策に重点的に財源を振り向ける仕組みを新たに構築したことで、ワイズスペンディングの取組を一層強化しております。

○清水(や)委員 都と政策連携団体が目標や課題を共有し、都庁グループとして効果のある事業構築を進めていることを確認しました。実施初年度ということで、手探りのことも多かったと思いますが、都庁のQOL、クオリティー・オブ・ライフの向上に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。変化の激しい時代にあって東京の未来を切り開くためには、ワイズスペンディングの手を緩めることはできません。
 私は、長年税に携わってきた者として、こうした評価の取組により、事業の見直しに取り組んでいることを高く評価しております。今後も、評価制度の内容のブラッシュアップを常に行い、不断の見直しを一層促進していくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、社会的責任調達指針の素案について伺います。
 財務局は、令和五年四月から社会的責任に配慮した調達に係る有識者会議を立ち上げ、これまで計六回の有識者会議を開催して、本調達指針の検討を進めてきたと聞いています。会議での議論を経て、先月、東京都社会的責任調達指針(素案)を公表されましたが、都庁においては公共調達を通じて、持続可能な社会、SDGsの実現を目指すことは、極めて重要な取組であると考えます。
 そこで、まず初めに、この社会的責任調達指針の策定目的と、これによりどのような効果を見込んでいるのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 社会的責任調達指針は、経済合理性のみならず持続可能性にも配慮した調達を都が行うことを通じ、環境、人権、労働等の視点から望ましい慣行が定着するよう働きかけることで、持続可能な都市の実現に寄与することを目的としております。
 本指針に基づいた調達を行うということが、都としての社会的責任を果たすことにつながるとともに、調達に参加する企業においても、社会からの信用獲得、ひいては企業価値の向上につながるものとして意義のあるものと認識しております。

○清水(や)委員 昨今の国際社会の動向を踏まえれば、企業の事業活動において、環境配慮や人権尊重に取り組むことが重要であることはいうまでもありません。東京二〇二〇大会や大阪関西万博で策定された、持続可能に配慮した調達コードのような一過性のイベント向けではなく、継続的な取組として指針を打ち出していくことは、ほかの自治体に対するモデルともなるべきものです。
 しかし、環境配慮や人権尊重などのいわゆる持続可能性確保に対する意識は、大企業と比べ、中小企業では、まだまだ十分でないのが現実です。足元の景気動向は、令和六年度予算案における法人二税の動向からもうかがえるように、経済全体で見れば、上向きといえるところですが、中小企業においては、人材不足や長引く物価高の影響も受けて、厳しい経営環境の中にあります。
 こうした中で、この指針をどのように中小企業に対しても進めていこうとしているのか、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針を適用していくに当たりましては、持続可能性の確保に留意しつつ、都の契約の大半を受注する中小企業の理解と協力を得ながら進めていく必要があると認識しております。
 このため、今後、指針の趣旨や意義、具体的な取組例について記載した解説版を作成し、ホームページやSNS、業界団体等を通じた周知などに丁寧に取り組んでまいります。
 加えて、持続可能性確保に向けて目指すべき水準として設定している推奨的事項につきましては、公平性の確保に留意しながら、総合評価方式による競争入札における加点など、契約制度上のインセンティブ付与について検討を進めてまいります。
 こうした取組を通じ、調達における望ましい慣行の定着を図ってまいります。

○清水(や)委員 公共調達では、官公需法や中小企業基本法などにおいて、中小企業の受注機会を確保することが求められており、今、答弁があったとおり、都の契約の大半を中小企業が占めています。解説版を作成して、ウェブサイトなどを通して丁寧に周知していくとのことですが、有識者会議においても、東京商工会議所の委員の方から指摘があったとおり、環境や人権などに十分に対応できていない企業を除外するのではなく、中小企業が前向きに取り組んでいけるような環境づくりを都としてしっかりと進めていただくよう強く求めておきます。
 次に、指針の具体的な運用について確認します。
 指針では、持続可能性確保に向けた視点として、環境、人権、労働、経済などの分野ごとに義務的事項と推奨的事項を定めています。推奨的事項は、ただいまの答弁にもあったとおり、公平性の確保に留意しながら、総合評価競争入札における加点など、インセンティブの付与を検討していくとのことでした。一方、義務的事項については、事業者の方々に遵守を求めるとされています。多数ある都の契約の全てで、義務的事項の遵守状況を一つ一つ確認していくことは、受発注者双方の負担が大きく、現実的ではありません。
 そこで、調達指針の実効性を確保するため、どのように取り組んでいくのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針の遵守に向けた取組は、都と受注者及びサプライチェーンを担う事業者の共同の取組として位置づけており、指針の実効性確保に向けては、発注者と受注者双方からの取組を進めてまいります。
 都は、発注者の立場から、調達指針の趣旨や意義について事業者の方々に丁寧に周知を行い、取組に対する理解促進に努めるとともに、指針の不遵守に関する通報を受け付ける通報受付窓口を設置いたします。窓口で受け付けた通報につきましては、その内容を踏まえ、持続可能性のリスクの高さに応じて必要な確認やモニタリングを都と受注者等が協力して実施し、不遵守の事実が確認できた場合には、受注者等に対し、改善に向けた取組を促してまいります。
 こうした取組を通じ、調達指針の実効性確保に取り組んでまいります。

○清水(や)委員 通報受付窓口、いわゆるグリーバンスメカニズムを設置し、受け付けた通報に基づき不遵守の事実を確認していくとのことです。
 そこで調達指針の不遵守が判明すると、罰則の有無や当該契約の取扱いはどうなるのでしょうか。都と直接の契約関係にないサプライチェーンにおいて不遵守が判明した場合と併せ、具体的に説明を求めます。

○須藤契約調整担当部長 受注者等に調達指針の不遵守が判明した場合には、不遵守により発生した持続可能性に対する負の影響の軽減を目的として、改善に向けた取組を求めてまいります。調達指針の重大な不遵守があるにもかかわらず、適切に改善に取り組んでいないと認められる場合には、契約解除も含めて検討いたしますが、サプライチェーンを担う事業者における不遵守に関しましては、受注者が同事業者に対し、改善に向けた適切な働きかけを行っている限り、契約解除の対象とはならないこととしております。

○清水(や)委員 本指針が、何か問題のあった事業者にペナルティーを科すことを目的とするものではなく、受発注者双方でよりよい方向性に向けて取り組むための仕組みであると理解しました。
 公共調達は、工事、物品、各種サービスなど多岐にわたり、業種業態によって受注構造や経営環境などが異なります。
 例えば、二〇二四年問題を抱える建設業が関わる公共工事において、私たちは現場の声を踏まえて、工期の適正化や週休二日制の確保、重層化、下請構造における賃金などの実態調査を求めてきました。今後、パブコメを経て指針を策定し、来年四月からの運用を目指していると聞いていますが、事業者の方々に正確にご理解いただけるよう、丁寧な説明と周知を行うとともに、運用開始後も、社会経済環境の変化を捉まえ、ブラッシュアップしていくことを求めて、質問を終わります。

○吉住委員 私からも、まず、先ほど質疑がありました東京都社会的責任調達指針について伺います。一部重複するようなところもあるのですが、趣旨が違いますので、よろしくお願いいたします。
 今回の指針は、経済合理性のみならず持続可能性にも配慮した調達を行うことを通じて、環境、人権、労働及び経済の各分野での望ましい慣行を敷衍させ、持続可能な社会に貢献することを都の目的と捉え、これを果たすために策定し、適用範囲は、都が行う調達全てを対象にするとのことです。
 まず、今回の指針を全ての調達に適用するということですが、文字どおり全ての調達に直ちに適用することとなると、発注者、受注者ともに手続などを含めて非常に煩雑となり、指針の運用に高いハードルになるのではないかと考えます。
 また、都は、義務的事項について受注者などに対して遵守を求めるとともに、推奨的事項については、先ほどもありましたが、総合評価方式による入札による加点など、契約制度上のインセンティブを付与するなどの取組を推進していくとしています。
 都ではこれまでも、総合評価方式などにおいては、政策目的を取り入れており、既に類似の取組があるかと思いますが、他の方式の入札もございます。今後、どのように個別の契約に指針を適用させていくのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針の素案では、公営企業局を除く都が行う調達の全てについて、契約手法を問わず適用対象としておりますが、適用に当たりましては、制度の円滑な運用を担保するため、経過措置を設けることとしております。
 具体的には、令和七年四月以降に発注する財務局契約案件から適用を開始し、運用状況を踏まえ、順次対象の拡大を検討してまいります。
 なお、調達指針の適用対象となる案件につきましては、公表時にその旨を明示するとともに、契約締結に際して義務的事項の遵守を内容とする誓約書の提出を落札者に求めていくことを想定しております。

○吉住委員 次に、都が、受注者に対して、新たにこのような指針を示し、遵守するように働きかけを拡大していくということは、事業者の皆様に、少なからず新たな負担や責任を負わせることにつながります。
 都の責務として、指針の遵守に必要となる適正な事業環境の確保を掲げていますが、本指針の策定後、新たにどのような取組を進めていくのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 都はこれまでも、契約の確実な履行と品質の確保を図るため、最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づく適正な価格での発注や適切な工期等の設定に取り組むとともに、低入札価格調査制度等によるダンピング対策や総合評価方式の積極的な活用などを進めてまいりました。
 調達指針の遵守に向けた取組は、都と受注者及びサプライチェーンを担う事業者との共同の取組と位置づけており、都は、今後、こうした取組を一層徹底し、発注者としての責務を果たしてまいります。
 あわせて、調達指針の趣旨や意義について、今後作成する解説版などを活用しながら、中小企業をはじめとする事業者の方々に丁寧に周知を図り、本取組への理解を得られるよう努めてまいります。

○吉住委員 先ほどの質疑にもありましたけれども、指針の運用に当たっては、通報受付窓口を設けることになっておりますが、どのようなケースを想定されているのでしょうか。このような窓口に実際に通報を行うケースとしては、例えば、最低賃金以下の賃金しか支払われない労働者など、労働基準監督署などもありますが、実際に不利益を被った人が、身近な都に通報するケースも想定されるように思います。事業者が指針の義務的事項に反し、そこで働く労働者が不利益を被った場合でも、その労働者が窓口の存在を知らなければ、意味をなさないと思います。
 そこで、通報の対象など、通報受付窓口制度の概要を伺うとともに、通報窓口について適切に周知を行い、窓口がサプライチェーンを担う事業者とその労働者に認識される必要があると考えますが、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 通報受付窓口は、調達指針の不遵守に関する通報を受け付け、不遵守の事実が認められる場合などには、その解決に向けて当事者間の合意形成の促進や改善に向けた取組を促すために設けるものでございます。窓口で受け付ける通報は、原則として履行期間中の契約に係るものとし、不遵守の事実を知り得たのが履行期間終了後の場合は、履行期間終了後一年以内の通報も対象といたしますが、通報内容が調達指針の不遵守またはその疑いを生じ得る具体的事実に基づくものであることを要件といたします。また、通報者は、調達指針の不遵守の結果、人権や環境等の持続的可能性を脅かす影響を受けた当事者やその代理人等といたします。
 調達指針の策定後は、指針の実効性担保に向け、指針が持つ趣旨や意義等と併せ、通報受付窓口の運用方法についてもホームページやSNS、業界団体等を通じた丁寧な周知を図ってまいります。

○吉住委員 都が、今回このような指針を策定し、持続可能な社会を目指すという考え方は、一定理解をいたします。
 素案には、都の調達指針が求める水準の考え方として、都が行う調達は、納税者の負担による調達であるという前提の下、地方自治法に基づく公正性、透明性及び経済性の確保を原則とした制度を構築しているとあります。
 しかし、一方、法令や条例以上のモラルや規範を行政が調達において求めることについては賛否両論があり、この指針の今後の運用次第では、先ほどの公正性、透明性、経済性の原則と矛盾していると取られかねない状況になるのでないかと危惧しています。
 また、今後、この指針が策定されるのであれば、事業者などの負担につながることも考えられ、円滑な指針の運用に当たっては、事業者などの皆様のご理解とご協力が欠かせません。
 調達指針の今後の運用は、中小企業の負担に十分に配慮する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 公共調達は、公正性、透明性、経済性の原則によることに加え、官公需法等に基づき、中小企業の受注機会の増大を図ることが求められております。都の契約においても、中小事業者が受注者等の約八割を占めており、入札契約制度については、中小企業への配慮とのバランスが重要と認識しております。調達指針の作成に当たっては、こうした公共調達の役割を踏まえ、包摂的で社会全体の取組を底上げするものとなるよう検討を行ってまいりました。
 具体的には、調達指針における持続可能性確保に向けた視点は、義務的事項と推奨的事項に区分することとしており、義務的事項は法令遵守を基本としながら中小企業の潜在能力を見据えて設定し、推奨的事項は目指すべき水準として設定しております。
 今後、調達指針の適用に当たりましても、公共調達における役割について十分留意しながら取り組んでまいります。

○吉住委員 中小企業の潜在能力を見据えるとのご答弁がございましたが、指針の適用を拡大するのであれば、現場で働く皆様の声もしっかりと酌み取り、行政の一方的な思い込みを押しつけるようなことにならないようにお願いをいたします。
 都ではこれまでも、全庁的にこの指針素案に掲げるような持続可能な社会を目指すため、各局において様々な補助事業などを展開しています。指針の適用に合わせて、こうした事業の充実を図るとともに、それらの事業を今回の指針とひもづけて、事業者に分かりやすく、利用しやすく工夫するなど、指針の運用に当たっては、事業者などの皆様のご理解、ご協力をいただくよう、しっかりと取り組むよう強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、都庁周辺の再整備の取組についてお伺いをいたします。
 新宿駅周辺は、新宿グランドターミナルへの再編に向けて長期間にわたって工事が進められ、二〇四〇年代の完成を目指しています。都庁舎がある西新宿地区も、民間街区や道路空間の再整備に加え、都庁周辺の再整備を新宿のまち全体の再整備と併せて進めることとしています。そして、今年度末には、都庁周辺の空間再編計画を策定し、まずは、都が率先して都庁周辺の再整備に取り組んでいくと聞いています。
 都庁舎はこれまで、行政拠点や防災拠点の役割を担うとともに、年間二百万人を超える観光客が訪れる展望室を有するなど、西新宿地区を代表する象徴的な建物として親しまれてまいりました。一方、都庁舎には、都民広場をはじめオープンスペースが存在しますが、気軽に座れるところがないなど、人が憩える場が少ないという課題もあります。
 今後は、都民広場を含む都庁周辺を誰もが居心地よく過ごせる憩いの空間にしていくとともに、国内外から訪れる人々へ東京の文化や活動を発信したくなる空間としていくことが重要です。
 都が率先して都庁周辺を魅力ある場所とし、周辺ビルに先駆けて行動を起こすことは大切であり、そのような認識の下、確認も含めて何点か質問をしてまいります。
 まず、都庁周辺の再整備の進め方について伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁周辺の再整備は、西新宿地区全体の再整備を先導する取組として、都民が思い思いに憩える場の提供など一層魅力的な空間を整備するものであり、早期に効果を発現し、都民に体感してもらうことが重要であります。
 そのため、検討が深度化したエリアより順次再整備を実施し、迅速に事業を進めるとともに、工事中における来庁者への影響を最小限とするため、整備範囲を段階的に設定することといたしました。
 まずは、回遊性の向上や憩いの空間の早期実現に向け、新宿駅と新宿中央公園を結ぶ四号街路沿いと都民広場の再整備から優先的に実施し、令和八年度までに利用開始ができるよう整備を進めてまいります。

○吉住委員 新宿駅から新宿中央公園を結ぶ四号街路は、西新宿グランドモールとして今後整備していく西新宿地区のメイン通りであり、四号街路沿いは、都庁の玄関口となる大変重要なエリアでもあります。また、四号街路沿いからつながる都民広場も、都民が憩い、交流する場として、大きなポテンシャルを有しており、優先的な整備に取り組んで、にぎわいを早期に創出していただきたいと思います。
 そこで、優先的に再整備する四号街路沿いや都民広場の具体的な整備内容について伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 四号街路沿いは、都庁の玄関口として人々を迎え、まちのにぎわいと一体化する空間とするため、街路を歩く人を都民広場へと誘導するスロープを整備するとともに、居心地のよい滞在スペースや緑が連続したテラスを整備してまいります。
 また、都民広場については、人が座ったり、寝転がれる芝生を全面的に敷くとともに、思い思いに過ごすことができるデッキテラスや、都庁舎を眺める憩いの場となる段々テラスを、バリアフリーにも配慮しながら整備してまいります。
 さらに、都民広場下のサンクンプラザにおいては、壁面を緑化するとともに、既存のスペースを利用して植栽帯を新たに設けるなど、来庁者の方が、より身近に緑を感じ、憩い、くつろげる空間を整備してまいります。

○吉住委員 都民広場に芝生が敷かれて、訪れた方々が食事をしたり、寝転んだり、憩いの場所となることは大変楽しみであります。都民が憩いを体感できるよう、ぜひともスピード感を持って事業に取り組んでいただきたいと思います。
 また、スピード感という点でいえば、財務局から、本格的な再整備に先立ち、今年度、都民広場や都庁低層部において、先行的に整備を行ったと聞いています。できることから先行的に整備していくことは大変いいことだと思います。
 そこで、今年度に実施した先行整備とはどのようなものか、お伺いをいたします。

○鈴木庁舎運営担当部長 来庁者が滞在し、憩える空間を早期に創出するため、本格的な再整備に先立ち、今年の二月から三月にかけて、四号街路沿いや都民広場に多摩産材のベンチや一部芝生を設置したほか、サンクンプラザに椅子やテーブルを配置いたしました。
 また、第一本庁舎一階中央南側の元喫茶コーナーには、休憩に加え、作業も可能なフリースペースを設置し、都庁を訪れる方々が、より快適に過ごしていただけるようにいたしました。
 先行で整備したベンチや芝生などは、使われ方や維持管理方法などを検証しており、来年度実施する設計に反映させて本格整備に着手してまいります。

○吉住委員 現在、都民広場のベンチには、人がよく座っておられますし、効果も出ていると思います。これらの取組により、来庁者が早期に憩いを体感していただき、まち全体で再整備の機運が高まることを期待しています。
 ここまでは、ハード的な整備について確認をしてまいりましたが、にぎわいを継続的に創出するためには、ハードの整備のみならず、ソフト面である管理運営の取組を進めることも重要です。
 都民広場についても、単発のイベント会場の場から、日々都民が憩える場へと転換していくこととしていますが、再整備の管理運営面における今後の取組について伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都民広場については、公共性や公益性を担保しつつも、空間再編を契機に、より広く都民が憩える場とするため、使用可能な事業の範囲を拡大するとともに、民間活力を生かした持続可能な管理運営を検討してまいります。
 また、長期的には、道路や他の街区の公開空地などのオープンスペースとの一体的な管理運営をエリアマネジメント団体と連携協力するなど、西新宿全体の再編整備を運用面でも進めてまいります。
 さらに、都庁舎の低層部については、店舗などの配置の見直しや効率的な管理運営方法を関係部局と連携して検討するとともに、民間活力の活用によるマスターリースによる管理運営も検討してまいります。

○吉住委員 都庁周辺だけでなく、西新宿地区全体を魅力的な空間としていくためにも、管理運営面からも再編の取組を進めていただきたいと思います。
 さて、これまでは、短期的に行う取組について質問してまいりましたが、長期的には、第一本庁舎と第二本庁舎の二階部分をつなぐふれあいモールや都庁舎の一階正面の通りである十一号街路下の整備にも取り組んでいくと聞いています。
 最後に、都庁周辺の空間再編に向けた長期的な取組について伺います。

○金子建築保全部長 都庁周辺の空間再編につきましては、今後進められる街路空間等の再編との連携を図りながら、誰もが居心地よく過ごせる憩いの空間となるよう、段階的に充実していくことが重要でございます。
 このため、四号街路沿いと都民広場の整備に引き続き、憩いの空間となるふれあいモールや交流、発信の場となる十一号街路下を、まちに開かれたロビー空間として整備を進めてまいります。
 これらの整備を積極的に進めることで、西新宿地区の再整備を先導し、西新宿のまち全体の魅力向上につなげるよう取り組んでまいります。

○吉住委員 都庁周辺の空間再編については、財務局だけでできるものではなく、関係局や新宿区、エリアマネジメント団体とも連携を図り、新宿中央公園とも一体となった魅力ある空間にしていただきたいと要望して、私の質問を終わります。

○長橋委員 よろしくお願いいたします。
 私の方からは、財政運営について伺いたいと思います。
 令和六年度予算案においては、都議会公明党が一貫して求めてまいりました授業料、実質の無償化の所得制限撤廃や給食費の負担軽減など、人への投資が積極的に予算化されておりまして、評価するところでございます。
 一方で、人の力を引き出し、活発な都市活動を支えるためには、基盤となる安全・安心の確保が不可欠であります。とりわけ、都議会公明党がかねてより訴えてまいりました防災、減災対策は、都民の命と暮らしを守るための最優先の課題であります。
 我が党は、さきの代表質問や予算特別委員会の総括質疑においても、本年一月の能登半島地震などを踏まえた施策の充実や、さらなる対策のスピードアップを求めてまいりました。
 そこで、本日の質疑では、令和六年度予算について、防災、減災という観点から伺ってまいりたいと思います。
 まず初めに、令和六年度予算編成における施策展開の考え方を確認するとともに、防災、減災対策をどのように予算に反映しているのか伺います。

○遠松主計部長 急速に進展する少子高齢化や熾烈化する都市間競争、いつ起こるとも知れない大規模災害への備えなど、東京は待ったなしの課題に直面しております。こうした中において、東京が日本の成長を牽引し持続可能な都市へと発展するため、令和六年度予算では、人が輝く、国際競争力の強化、安全・安心の三点を軸に、都市力を磨き抜く大胆な施策に財源を振り向けております。
 そのうち、安全・安心の観点から、防災、減災対策について施策の充実を図っており、能登半島地震も踏まえた地震対策の強化や激甚化する風水害への備えなど、TOKYO強靱化プロジェクトを着実に推進するための予算として、前年度に比べて二百五十一億円増となります七千六百九億円を計上しております。

○長橋委員 都議会公明党の要望を踏まえて、都民の安全・安心の確保に向け、防災、減災対策にしっかりと財源を振り向けている都の姿勢を評価するところでございます。
 一方で、こうした施策を継続的に展開していくためには、施策の裏づけとなる財源の確保が必要であり、そのためには、さきの予算特別委員会でも指摘した都債や基金の戦略的な活用を図ることが重要でございます。
 今回の予算案を見ますと、都債の発行額は、前年度から増加しているわけでありますが、都財政の健全性を確保する上で、都債の発行抑制に努めることが重要であることはいうまでもありません。一方で、この発行が妥当といえるかどうかは、単純な発行額の増減ではなく、歳入に占める都債の割合や世代間の負担の公平という観点から、多角的に検証していかなければなりません。
 そこでまず、令和六年度予算において、都債の発行額が増加した理由と歳入に占める都債の割合を示す起債依存度は、どのような水準であるといえるのか伺いたいと思います。

○遠松主計部長 令和六年度予算では、都市の強靱化など、東京の将来を見据えた施策を積極的に盛り込み、その財源として都債を計画的に活用した結果、発行額が二百十八億円増加しました。
 一方、六年度予算における起債依存度は三・七%と、直近三十年間で最も高い値であった平成八年度予算と比べ八ポイント低く、引き続き低い水準を維持しております。
 これに対し、国や地方財政計画の起債依存度は、それぞれ三一・五%、六・七%となっておりまして、国や地方と比べても、都財政は健全な状態にあるといえます。

○長橋委員 将来を見据えた施策に都債を計画的に活用する一方で、起債依存度については低い水準を維持しているということでございます。
 ただいまの質疑で、都債の発行がフロー面から問題ないことを確認したわけでありますが、私が都議になった平成十三年度を思い起こしますと、当時はバブル崩壊後に行われた都債の大量発行により、ストック上の負債に当たる都債残高が膨張し、都財政にとって大きな負担となっていたわけであります。将来世代にこうした過度な負担が生じることのないよう、ストック面の状況についても、しっかりと検証しておきたいと思います。
 そこで、令和六年度末における起債依存度はどのような水準にあるのか、バブル経済崩壊以降の推移と併せて説明を求めたいと思います。

○遠松主計部長 今、ご質問がございましたが、起債依存度でございますけれども、先ほど申し上げた六・七%でございます。
 都債残高については、平成三年度末時点で一兆六千九百四十一億円であったところ、バブル経済崩壊後、国の経済対策に呼応する形で、投資的経費を維持するために都債の大量発行を続けた結果、平成十三年度末には七兆六千三百八十四億円まで急増しました。都は、平成十二年度以降、都債の発行抑制を続けるとともに償還を進めたことで、都債残高を着実に減少させており、令和五年度末の残高は四兆七千三百七十二億円を見込んでおります。
 六年度予算では、都債を計画的に活用する一方で、その残高をさらに減少させており、六年度末時点の都債残高は、前年度から四十八億円減となります四兆七千三百二十四億円を見込んでおります。これは、ピークであった平成十三年度末の約六割の水準となっております。

○長橋委員 ただいまの答弁によりますと、都債の残高ベースは、来年度分のみならず、中長期的なスパンを見ても、着実に減少傾向にあることを具体的な数字をもって確認することができました。
 その時々の社会経済情勢や税収動向により、たとえ単年度の発行額は増えることがあっても、長い時間軸で見れば、継続的にしっかり残高を増やす方向となっていることは、まさに、歴代の財務当局が将来世代のことを考えて財政運営を行ってきたことを実証するものであり、評価するものであります。
 しかしながら、この先を展望すると、やや気がかりな点がございます。それは金利、すなわち利払い費の動向であります。世界を見渡せば、米国やヨーロッパでは、一足先に金利が引き上げられ、マイナス金利政策を維持している最後の国は日本だといわれております。そして、その日本でも、日銀が今年の春闘の影響を見極めた上で、早ければ、明日の金融政策決定会合で政策変更が決定されるのではないかという報道もあるわけであります。
 そこで、まず初めに、都債の発行金利の最近の状況について伺いたいと思います。

○遠松主計部長 都債の期間年限でございます十年債の発行金利は、令和三年度は平均〇・一四%、令和四年度は平均〇・四六%であったことに対しまして、今年度は、二月までの発行分で、平均〇・七六%となっております。
 これは、昨年七月及び十月の日本銀行の金融政策決定会合における長期金利の上限の修正でありますほか、会合以降のさらなる政策修正観測などの影響によるものであります。

○長橋委員 近年の十年債の発行金利は低い水準を維持しているわけですが、日銀による金融政策の変更の影響など、今後の金利動向は依然として不透明な状況にあります。
 また、国の一般会計の利払い費が増額され、今後も、利払い費の増加は、近年になく注目されているわけであります。
 こうした中、来年度の都の利払い費の見込みがどうなっているのか、過去との比較を含めて伺いたいと思います。

○遠松主計部長 令和六年度の利払い費につきましては、一般会計ベースで四百十二億円、このうち、新たに発行する都債分は二十六億円を見込んでおります。
 なお、一般会計の利払い費のピークは、平成十二年度の二千四百六十二億円であり、これまで都債残高を着実に減少させてきたことなどによりまして、このような環境下におきましても、来年度の利払い費は、当時と比較して、約六分の一の水準となっております。

○長橋委員 現在の利払い費が、ピーク時の六分の一まで減少しているのは、やはり、都債残高を着実に減少させてきたことの成果なんだろうと思います。今後の金利動向は不透明なわけでありますが、引き続き、都債残高の減少に努めることで都債の発行余力を確保し、防災、減災対策を着実に推進していくよう求めておきます。
 さて、防災、減災対策を支える財政運営上の工夫として、もう一つ忘れてならないのが基金の活用であります。この点、都は、令和四年度最終補正予算において、防災街づくり基金と無電柱化推進基金を再編統合し、東京強靱化推進基金を創設したわけであります。
 そこで、改めて、東京強靱化推進基金を設置した目的と令和五年度末時点の積立ての状況について伺います。

○遠松主計部長 気候変動の影響で激甚化する風水害や、いつ起こるとも知れない首都直下地震、火山噴火など、東京は様々な脅威に直面しております。こうした自然災害等から、都民の生命と暮らしを守り、強靱で持続可能な都市を実現するため、令和四年度最終補正予算において、東京強靱化推進基金を創設しました。
 令和五年度最終補正予算においては、歳出精査や税収の伸びにより生まれた財源を活用することで一千五百億円の積立てを行い、五年度末の基金残高は三千三百億円を確保しております。

○長橋委員 激甚化する風水害をはじめ、東京が直面する脅威にしっかりと対応するため、財政基盤の強化に取り組んできたことは、まず、評価したいと思います。一方で、重要なことは、着実に積み立ててきた基金を真に必要な施策に、ハード、ソフト両面からしっかりと活用していくことが重要であります。
 そこで、令和六年度予算において、東京強靱化推進基金をどのように活用しているのか、具体的な充当事業と併せて伺いたいと思います。

○遠松主計部長 令和六年度予算においては、直面する様々な脅威から都民を守るため、東京強靱化推進基金を積極的に活用し、施策の充実強化につなげております。
 具体的には、基金を一千九百三十億円取り崩し、中小河川の整備や耐震改修の促進など、ハード面の対策に加え、防災教育の充実や地域防災力の向上支援など、ソフト面の対策にも有効に活用しております。
 今後とも、中長期的な視点に立ち、将来の財政需要などをしっかりと見極めながら、都市の強靱化に向けた施策に戦略的に活用してまいります。

○長橋委員 これまで着実に積み上げてきた基金をハード、ソフト両面から有効に活用して、中小河川の整備など、我が党のリードしてきた施策の充実につながっていることを評価します。
 さきの予算特別委員会において、小池知事は、基金や都債などの財政対応力を最大限に活用し、都政に課せられた使命を着実に果たしていくと、こう力強く答弁をされたわけであります。
 都は、昨年十二月にアップグレードしたTOKYO強靱化プロジェクトを踏まえ、計画的に防災、減災対策を進めていかなければなりません。基金や都債という財政上の備えを戦略的に活用することで、いかなる財政基盤にあっても、都民の命と暮らしを守り抜いていく、このことを改めて強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

○清水(と)委員 私からは、東京都の社会的責任調達指針(素案)についてお伺いしたいと思います。
 公共事業は、公正性、透明性、経済性の確保を原則とし、特に最少の経費で最大の効果を上げる経済性にこれまで重きが置かれてきました。しかし、過度な価格競争は、資質に欠ける事業者の受注を招き、事業が適正に履行されない、こんな事態も起きています。また、環境や人権などに関わる意識が高まる中で、都の事業には、民間企業に率先して社会的な課題への配慮が求められるようになってきました。
 また、規制や罰則によって事業者を政策的に誘導する、このことには限界がありますが、都の発注する工事や事業の契約条件に社会的な課題を解決するための項目を盛り込んでいく、こういうことをすることによって民間事業者を誘導していく、これは効果が期待できます。
 こうした観点から見て、東京都社会的責任調達指針が策定されるということはとても重要だというふうに思います。
 最初に、社会的責任調達指針を策定する目的、趣旨について、都の説明を求めます。

○須藤契約調整担当部長 社会的責任調達指針は、経済合理性のみならず持続可能性にも配慮した調達を都が行うことを通じ、環境、人権、労働等の各分野での望ましい慣行が定着するよう働きかけ、持続可能な社会に貢献することを目的として策定するものでございます。

○清水(と)委員 この指針の適用範囲についてお伺いしますが、工事や委託事業の元請だけでなくて、現場で働く、仕事をする末端の下請事業者まで含まれるのかどうか、ご説明をお願いします。

○須藤契約調整担当部長 調達指針では、受注者に対し、サプライチェーンを担う事業者も含めて、調達指針の遵守を求めることとしております。
 本指針において、サプライチェーンとは、受注者に供給するまでの製造や流通等の各段階を指すものであり、下請や再委託先を含んでいます。

○清水(と)委員 今、規模の大きな公共工事や委託事業では、重層下請、つまり、幾つもの下請があることによって引き起こされる、そういうことが問題になっています。都が、適切な算定に基づいて賃金を積算して予定価格を設定しても、幾つもの下請や再委託先を経る中で、現場で働く労働者にはそれが届かず、低い賃金や処遇で働いている、こういう状況があっては意味がありません。
 そこで伺いますが、都の発注する委託事業、工事について、重層下請の現状は、今どのようになっていますでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 都は、工事契約においては、監督員を通じた施工体制台帳による下請企業の確認を行っております。
 また、委託契約においては、受託者が再委託を行う場合には、都の承諾を必要としており、日々の業務履行に当たっては、事業所管局において、契約内容に応じた履行確認を行っております。

○清水(と)委員 工事契約においては、施工体制台帳による下請企業の確認を行っているという答弁でした。
 施工体制台帳にはどのようなことが記載をされているんでしょうか。そこで働く方々の賃金というのも明記されているんですか。答弁をお願いします。

○須藤契約調整担当部長 施工体制台帳には、賃金に関する項目は掲載されてございません。

○清水(と)委員 もう一つ、委託契約についても、再委託を行う場合には、都の承諾を必要としている、こういう答弁でした。
 再委託を受けた事業者が、さらに、もう一つ再度委託をする際に、東京都への届出というのは義務づけられているでしょうか。また、再委託先で働く方々の賃金というのは、東京都の承諾を必要としているんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 委託契約においては、受託者が再委託を行う場合には都の承諾を必要としている旨、記載してございまして、再々委託につきましても同様の取扱いというふうに認識をしてございます。
 なお、委託契約において賃金の記載はございません。

○清水(と)委員 つまり、今、工事や委託について、東京都はどこまで再委託、下請があるのかということは分かるんだけれども、そこで働く人たちの処遇、そういうものはどういうふうになっているのかということは、まあ社会保険、そういうものは分かるということですけれども、賃金については分からない、こういうことだというふうに思います。
 これでは、なかなか重層下請の一番肝腎なところ、東京都が積算して、これぐらいの人件費は必要だろうというふうに思って発注しながら、それが末端までいっているかどうか、この一番大事なところの確認が取れていない、実態がつかめていないということだというふうに思います。
 都として、この重層下請の実態調査をすべきと考えますが、いかがですか。

○須藤契約調整担当部長 都はこれまでも、担い手確保等の観点から、元請事業者団体に対し、書面による契約締結など、下請契約の適正化について要請を行っております。
 また、都発注工事における施工体制の実態を把握することを目的として、今年度、都が発注する工事を対象に、下請次数等に関する状況調査を実施しております。

○清水(と)委員 都発注工事における施工体制の実態を把握することを目的として、今年度、都が発注する工事を対象に、下請次数等に関する状況調査を実施している、このことはとても大事だというふうに思います。
 今回の調査では、どのような項目が調査をされたのか、調査の件数などについてはどうだったのでしょうか。お尋ねいたします。

○須藤契約調整担当部長 下請次数等に関する状況調査は、稼働中の都発注工事の一部を対象に、土木工事については三次以上、建築工事、機械電気工事については四次以上の下請契約があるものについて、施工体系図の提出を求め、重層化が発生しやすい業種や工種の把握を目的に実施しております。件数については、現在集計中でございます。

○清水(と)委員 東京都が発注している工事の中でも、三次以上、四次以上、そういう下請契約が工事の案件の中にあるということです。
 今、こういう重層の問題で出てきているのは、中抜きをしてしまう、実際には仕事をしないのに。例えば、末端で働く現場の事業者、小さな請負業者を集めるだけで仕事をしている、そういう人たちが、委託料の中からいろいろ抜いていくので、現場の人の手に渡るものが少なくなってしまう。こういう問題がありますので、やっぱりそこで賃金がどういうふうになっているのか、これはとても重要なことであるというふうに思います。今、調査が始まったということですが、ぜひこの調査の結果、公表していただきたい。
 それから、調査の結果によっては、今、どれぐらいの構造になっているのかということは調査をしているけれども、賃金まではしていないかもしれないというか、賃金を把握するような仕組みになっていないということですので、賃金は一体どうなっているのか、こういうことも含めて、詳細な調査を行うことを求めます。
 次に、重層下請構造の中で、末端まで公正な取引が行われていくようにする、このことはとても重要だというふうに思います。
 都は、この重要性について、どのように認識をしていますか。また、調達指針の素案では、どのような形で対応していくのでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 建築工事における重層下請構造は、工事の高度化等に伴う専門化、分業化などの合理的な理由に基づいて構造化してきたものと認識しておりますが、施工に関する役割等が不明確になりやすいなどの弊害も指摘されております。
 調達指針の素案においては、公正な取引慣行の観点から、独占禁止法や下請法などの取引関係法令等を遵守し、ダンピングや買いたたきなどの不公正、反競争的な取引を行ってはならないことを義務的事項として設定しております。こうした義務的事項については、遵守に係る誓約書の提出や不遵守に関する通報受付窓口の設置等により、実効性の担保を図っていくこととしております。

○清水(と)委員 法的な縛りをかけることとともに、法的な縛りまではかけられないものについても、誓約書に明記をして守らせる、それから、実際に守っているかどうかということも、通報受付窓口を設置して実効性を担保していくということでした。とても大事なことだというふうに思います。
 次に、賃金、報酬についてお伺いします。
 調達指針素案にある義務的事項である最低賃金、そして推奨的事項の労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金、報酬、この違いは何でしょうか。

○須藤契約調整担当部長 最低賃金は、所在国における賃金関連法令で定められた労働者に支払うべき賃金の最低額のことであり、労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金、報酬は、いわゆる生活賃金を指すものでございます。

○清水(と)委員 最低賃金だけではなくて、労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金、報酬の支払い、これをあえて指針の項目に設定した理由、意義についてお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 法定の最低賃金とは別に、企業等の自主的な取組として、いわゆる生活賃金の考えを導入する例があり、適正な労働環境の確保の視点から、これを推奨事項として設定しております。

○清水(と)委員 今、企業等の自主的な取組としてというご説明でしたが、こういう賃金の設定というのは、国際的な水準だと思うんです。日本の法律ではありませんけれども、国際的にはこういう水準に来ている、それはILOが、公の機関と事業者で結ぶ公契約の中に、法的に定められたものより--つまり最低賃金のことだと思うんです、法的に定められたものより有利な賃金、報酬を労働者に支払うという労働条項を入れることというふうに定めているんですね。うたっているんです。これが、いわゆる、この指針でいう労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金、報酬の支払いということだというふうに思うんです。
 また、具体的にいいますと、例えば、具体的な事例では、全国の自治体で取り組まれている公契約条例の賃金下限額もその一つだというふうに思います。特に、今、非正規雇用で働く方々をはじめ、低賃金で働く人たちが、その賃金では生活していけないという実態、また、そういう低賃金の処遇が蔓延している業界では、人材不足が大変深刻になっていて、サービスの提供が維持できなくなる事態が起きかねない、こういう状況が生まれています。最低賃金を超える、八時間働けば普通に暮らせる賃金、生きがいを持って働ける賃金、これを求める声が大きく広がっています。
 東京都が発注する工事、委託事業で働く人々全てに、こうした賃金、報酬を保障することは大変重要だというふうに思います。
 都は、この労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金、報酬について、具体的な調査、指標、数値、こういうものを想定していますか。

○須藤契約調整担当部長 いわゆる生活賃金について、その定義は使用する団体によって様々であり、統一された定義はないものと認識しており、具体的な指標等は想定しておりません。

○清水(と)委員 それでは、東京都として、労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことができる賃金、報酬の水準に関する調査、実施すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○須藤契約調整担当部長 いわゆる生活賃金につきましては、その定義は使用する団体によって様々であり、統一された定義はないものと認識しており、生活賃金に係る調査を行うことは困難であると認識しております。

○清水(と)委員 様々だというふうにおっしゃいましたけれども、生活賃金というのは、例えば、実際に消費された、生活する上で消費されたもの、額、そういうものを基に出す実態生計費、それから生活に必要なものを積み上げて出していく理論生計費、様々な方法が既に確立をされておりますし、総務省の家計調査、こういうものもあります。それこそ、今おっしゃったように、労働組合などで最低生活賃金、こういうものの調査も行っているところです。
 これは、それぞれの団体がやっているというよりは、国も研究者も、同じようにこういうものをこういうふうな方式でというものが確立されたものでもあるというふうに思いますので、ぜひ、こういうことはきちっと調査をしていただきたいというふうに思いますし、東京都として、東京都で働く人たち、これから発注していく現場で働く人たちが、ちゃんとこういう賃金をもらうべきだという指標すらない、これでは困ると思うんです。やっぱりそういうものは東京都としてきちっとした裏づけを持って、そういう数値を持っていただきたいというふうに思いますから、様々な手法がありますので、ぜひ、調査をしていただくように強く求めておきたいと思います。
 この生活賃金は、実は、指針の中では推奨的事項に入っているんですね。推奨的事項というのは将来的に義務的事項に移行していく、こういうことは想定していますか。

○須藤契約調整担当部長 義務的事項の範囲などについては、社会動向に応じた適切な水準を設定するとともに、中小企業の受注機会の増大などの公共調達の役割を踏まえながら、適宜見直しを実施し、取組の強化を図っていくこととしております。

○清水(と)委員 まずは義務的事項の範囲について、社会動向に応じてだんだんと水準を上げていくということでした。その範囲についても、つまり推奨的事項の中から義務的事項に移す、そういうものについても、適宜見直しを実施し、取組の強化を図っていく。取組の強化を図るということですから、前へと進んでいくということですので、ぜひこれはやっていただきたいというふうに思います。
 社会的責任調達指針の有識者会議、会議録を読ませていただきましたけれども、労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことのできる水準の賃金、報酬を義務的事項に移すべきである、こういう提案がされています。そういう提案が参考人から出されていて、議論になっています。
 賃金の下限を設定したら事業者は大変になるんだと、そういう不安の声に対して、それは、都が発注する予定価格を、末端の労働者での労働の価値に見合った、生活に必要なものを賄うことのできる水準の賃金、報酬、これが受け取れる予定価格に引き上げること、また、末端の下請まで、賃金、報酬が行き届いているか確認できる仕組みをつくること、こういうことで解決できる。さらに、公契約で賃金下限額を設定したことで、民間事業者が発注する委託事業の賃金も同様に上がって、地域経済が活性化する効果が生まれている、こういう実態も紹介をされています。
 東京都の社会的責任というのは、こういう機能を発揮するということではないんでしょうか。ぜひこれを機会に、公契約条例の制定についても真剣に取り組むことを強く求めておきたいと思います。
 次に、通報受付窓口についてお伺いします。
 下請業者からの通報は、匿名という場合も十分に考えられます。匿名による相談でも対応をしていただけるのでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 受付窓口への通報につきましては、通報内容の信頼性を担保し、その後の処理プロセスの実効性を確保する観点から、通報者には氏名等や該当する契約に関する情報、不遵守の具体的事実などの必要事項を記載して、専用のメールアドレスに送信または都の指定する場所へ郵送していただくことを想定しております。

○清水(と)委員 氏名を明らかにすることを前提としているということなんですけれども、例えば、都の福祉サービスに関する苦情申立て、これは、名前などを教えてもらうことが原則だとしながらも、事情によって、匿名を希望する方にもきちんと対応はしているんです。下請企業や労働者は、元請や雇用主に知られたら仕事を失ってしまうかもしれない、こういう弱い立場に置かれています。安心して相談してもらえるように、都の既存の窓口、相談窓口との対応に違いがある、これもまずいというふうに思いますので、そうしたことときちっと相違が生まれないように、匿名でも受け付けることを求めます。
 最後に、調達指針の実効性を担保する上で、改善措置、これが重要ですが、どのように実効性を担保されるのでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 調達指針の素案では、受注者やサプライチェーンを担う事業者に指針の不遵守があることが判明した場合、都は、当該受注者に対し改善措置を要求し、一定期間内に改善計画書の提出を求めることとしております。
 受注者が調達指針の重大な不遵守があるにもかかわらず、適切に改善に取り組んでいないと認められる場合は、都は、契約の解除も含めて検討いたしますが、サプライチェーンを担う事業者における不遵守に関しましては、受注者が同事業者に対し改善に向けた適切な働きかけを行っている限り、契約解除の対象とはならないこととしております。

○清水(と)委員 この調達指針では、物品を調達するところから、最後に工事などを行う、そういうところまで通して、きちんと管理をする、それから、不遵守があったら、きちっと当事者間の話合いを基にそれを改善していく、そういう仕組みがつくられていること、どうしても悪質な場合には、契約解除の対象、こういうことも考えているというふうなことが確認できました。
 この社会的責任に配慮した調達指針、これから本当に多様化していく、そういう社会のニーズに応え、少なくとも都発注の工事や委託事業、そこで働く人たちには、環境や労働や人権、様々なものが守られる、そういう職場をつくっていく、そういう仕事をつくっていく、そのことによって、そこで関与していく企業から東京全体にそういう風土が広がっていく、とても大事なことだというふうに思います。
 ただ、そうはいっても、まだまだ今日、皆さんの質疑を聞いても、まだまだ課題も残っている。実効性を担保するためには、まだまだ一歩も二歩も先に進まなければいけない部分もあるというふうに思っています。
 今、ちょうどパブリックコメントが二十一日まで募集をされていて、それを受けて五月に策定をされるということですので、ぜひ、そうした都民の意見も踏まえ、議会の指摘も踏まえて、よりよいものにしていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

○藤井委員 令和六年度予算案につきましては、我が会派が求めてきた〇一八サポートや各種子育てに係る無償化といった施策が盛り込まれているところであります。
 他方で、先日の代表質問で申し上げましたが、こうした施策について、いっとき気前よく実施をすればよいというものではなく、継続して行うことが重要であるかと思います。そのためには、堅実でめり張りある財政運営が不可欠であり、その取組の一つとして事業評価があるものと認識をしております。
 事業評価について、令和六年度の予算においても、知事は、過去最高の一千二百六十六億円の財源を確保したというふうに声高に説明をされておられるわけでありますけれども、財源確保額には、単純に事業が終了したものも含まれているものと伺っております。本来は、工夫や努力によって事業費を縮減した金額を財源確保額としてカウントすべきと考えるものであります。予定どおりに工事が終了した案件や当然に終了した事業の金額を財源確保額に含めている現在のやり方に対しましては、疑問を感じざるを得ず、これまでも、財政委員会で我が会派から繰り返し指摘をしてきたところであります。
 そこで、事業評価における財源確保額の考え方についてお伺いをいたします。

○遠松主計部長 事業評価の実施に当たっては、見直し、再構築や移管終了など、翌年度の事業の方向性について判断するとともに、評価の取組を通じて生み出した財源を財源確保額として集計しております。事業の規模や単価の精査など、見直し、再構築で生み出した財源はもとより、適切な進捗管理の下で終了させた事業の財源についても、翌年度予算の新規事業などに生かされていることから、財源確保額に含めております。

○藤井委員 適切な進捗管理の下で事業を終了させること自体は必要なことであると思いますが、それはもう当たり前のことであって、それをもって財源確保額としてカウントするのは、やはりおかしいのではないかと思うわけであります。
 事業評価の取組が重要であることに誰も異論はなく、都が徹底した事業評価の実施と主張するのであれば、工夫や努力によって見直しを図ったものを財源確保額としてカウントすべきであって、ぜひその中身が適切なものであるのかどうか、都民から疑念を抱かれないようにしていただきたいと思います。
 次に、私も、さきの第四回定例会の本委員会の中でも、行政が事業を実施するに当たっては、施策の効果を確認すべきであると指摘をしたのでありますが、事業評価を行うに当たっては、いわゆる定性的な分析だけで判断するのではなく、数値やデータに基づいた分析をすることが重要であると考えます。
 そこで、事業評価において、定量的な分析を行っているのかどうか、見解をお伺いいたします。

○遠松主計部長 事業評価の実施に際しては、客観的な指標による分析を含め、多面的な検証を行っております。
 令和六年度予算編成における評価の一例としては、警視庁における交通事故対応について、システム導入による業務改善を分析した事例が挙げられます。事故現場において、これまでは、実況見分後、手書きでメモを作成し、警察署に戻ってから現場見取図を作成していたという業務について、タブレットで現場見取図を作成できるソフトを導入した場合の費用対効果を検証いたしました。
 具体的には、五年間で必要となる導入、運用コストは四千万円かかるものの、作業の短縮により、人件費換算で四億九千万円相当の経費削減効果が見込まれることを可視化しました。こうした分析に加え、事故当事者の負担軽減や交通規制の早期解消にも寄与することを確認し、新たにシステムの導入に係る予算を計上することとしました。

○藤井委員 今、部長のご説明の中で、単にこの経費を削減するということだけではなくて、都民の利益に資するようなことを、ぜひ進めていただきたいなと思っております。
 数値によるコストの比較検証など様々な手法を駆使されて、事業の妥当性を評価していることは、よい取組であると思いますし、今後も充実をさせていただきたいと期待をするものであります。
 ただ、他方で、こうした都の事業評価の取組は、なかなか都民に伝わっていないというのも実情であろうと思います。
 東京都予算案の概要、いわゆるグリーンブックにおきましては、新規事業や目玉事業をメインに紹介をしているわけでありますが、積極財政の中でも、見直すべきものは見直しを図っていると、めり張りをつけて財政運営をしているということをしっかりアピールをしていくということは重要なことであろうかと考えます。
 そこで、事業評価の取組について、分かりやすく発信をすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○遠松主計部長 事業評価については、これまでも、東京都予算案の概要の中で代表的な事例を紹介するとともに、表やグラフを用いて、視覚的に分かりやすい形式で閲覧できるダッシュボード、通称見える化ボードを新たに開設するなど、都民の皆様にしっかりとその成果を伝える工夫を行ってきました。
 また、今年度からは、新たにこの見える化ボードにおいて、事業見直しの取組に加え、その効果についても分かりやすく紹介した主な見直し事例を掲載し、内容の充実を図っております。
 今後とも、都民の皆様にとって分かりやすい情報発信に取り組んでまいります。

○藤井委員 今年度も、ホームページの内容など見直されていること、改善に努められていることを評価いたしたいと思います。他方で、評価制度自体がなかなか都民にはなじみがなく、難しいものであると思いますので、今後もより一層分かりやすい情報発信に努めていただきたいと思います。
 さて、歳出の精査に当たりましては、職員だけではどうしても視野が狭くなってしまい、ややもすれば、前例踏襲や表面的な見直しだけにとどまってしまうことが懸念をされるわけであります。より踏み込んだ精査、事業の見直しを行うためには、外部の目によるチェックが欠かせないと存じます。
 我が会派は、かねてより、評価制度において外部の目を活用するよう求めてまいりました。
 今年度からは、新たに政策連携団体が行う事業につきましても、その取組の方向性を評価するグループ連携事業評価が開始されたものと承知をしているわけでありますが、政策評価、事業評価、グループ連携事業評価のそれぞれについて、外部の視点をどのように活用する仕組みとなっているのか、お伺いをいたします。

○遠松主計部長 都民に質の高い行政サービスを提供していくためには、専門的な知見も踏まえながら、施策の効率性、実効性を向上させていくことが重要であります。こうした認識の下、政策評価においては、各分野の有識者等の意見を踏まえ、事業ユニットの選定や施策全体の方向性の評価を行っております。
 また、情報システムなどのデジタル関係予算の事業評価においても、デジタル分野に精通する外部有識者から意見を聴取し、具体的な事業の見直しなどに反映させております。
 加えて、六年度予算編成から新たに実施したグループ連携事業評価においては、行政評価の有識者や各団体の分野の専門家の双方の視点からの意見も踏まえながら、団体ごとの目標設定や取組内容のブラッシュアップにつなげております。

○藤井委員 この三つの評価全てにおいて外部の目を活用する仕組みがあるということでありますが、ただ意見をもらうだけという形式的な活用にとどまることのないよう、外部の委員からいただいた建設的な意見を、適切に都の施策に反映をしていただきたいと思います。
 評価の取組につきましては、これまでも、制度の見直しや改善を図ってきていることは承知しておりますが、都の一般会計予算額が、ここ三、四年で約一兆円も増えるなど、近年、都財政が肥大化傾向にある状況を踏まえますと、事業評価の取組などを通じまして、より抜本的な事業の見直しにつなげていくことが必要ではないかと考えます。
 そこで、評価制度につきまして、今後も不断の見直しが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○遠松主計部長 限られた財源の中、都政の諸課題に的確に対応していくためには、効率的で実効性の高い施策の構築が求められます。こうした考えの下、事業の成果や決算の分析など、予算編成の過程で多面的な検証を行う取組として評価制度を実施しており、毎年度、創意工夫を凝らしながら、着実に実績を積み重ねてきました。
 具体的には、事業終期の設定による事後検証の徹底、施策全体の方向性を評価する政策評価や都庁グループ全体のアウトカムを重視したグループ連携事業評価の導入など、評価制度の充実を図っております。
 今後とも、各局の積極的な施策展開を財政面から下支えしていくため、こうした取組に磨きをかけてまいります。

○藤井委員 現在、都財政は、法人関係を中心に、税収は堅調であるわけでありますけれども、こうした状況はいつ変わるとも限らないわけであります。そうした場合に備えて、必要な政策を都としてしっかり実施できますように、事業の精査、見直しをより一層徹底をされますことを求め、質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○和泉委員 日本共産党の和泉なおみです。
 私からは、今、都教委で行われております英語スピーキングテスト、この契約の問題で、契約を所管する財務局に見解を伺っていきたいと思います。
 また、財政委員会に参りまして初めての予算調査ということになりますので、基本的なこと、当たり前だと思われるようなこともお聞きすると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 地方自治法では、行政が契約を行う場合においては、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売りの方法により締結すると、地方自治法二百三十四条で定めています。これ以外の方法によって契約を締結することは、地方自治法違反と理解して間違いないでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 地方自治法第二百三十四条においては、売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売りの方法により締結するものであると規定されてございます。

○和泉委員 冒頭、私がそれをいいました。それで、それ以外の方法によって契約を締結することは、地方自治法違反というふうに理解していいかどうかという質問でした。いかがでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 繰り返しになりますが、地方自治法におきましては、売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売りの方法により締結されているものとされており、それ以外のものというものが何を指すのか明確でございませんので、自治法においての規定は、そのような形になってございます。

○和泉委員 つまり、この地方自治法二百三十四条で、行政が契約を行う場合の手法としては、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売り、ここに限定列挙されているということだというふうに思います。
 地方自治体の予算は、いうまでもないことですけれども、単年度主義が原則です。その年の歳入をもってその年の歳出に充てる。そして、その予算について、自治体の住民の代表である議会の議決を経なければならない。このようにされているのはなぜでしょうか。

○遠松主計部長 予算につきましては、その年に見込まれる歳入、歳出を計上して、議会の議決を得るものというふうに法律上規定されております。

○和泉委員 すみません、私の聞き方が抽象的だったでしょうか。
 単年度主義が原則となっているのは、自治体の住民の代表である議会の議決が必要だということを答弁いただきました。なぜ自治体の住民の代表である議会の議決を経なければいけないか。それは、予算がしっかりと住民に周知をされて、住民に見えやすいものになって、そして、その予算に対する理解を深める、いってみれば、いわゆる財政民主主義、この観点に立って、原則、単年度主義となっているんではないんでしょうか。いかがですか。

○遠松主計部長 地方自治法等によりまして、予算につきましては、予算単年度主義の原則といったものは規定されております。

○和泉委員 予算単年度主義を取っている法理について伺いました。財政民主主義の観点からということではありませんか。

○遠松主計部長 予算につきましては、今、単年度主義といったものを原則としておりまして、その年の歳入をもって、基本的には、その年の歳出を賄うといった原則になっております。

○和泉委員 この法理は、先ほど私が申し上げたとおり、それが財政民主主義に資するからという立場から、そのような規定が置かれているということだというふうに思うんです。
 しかし、そうはいっても、契約によっては、事業の完成が複数年度にわたる、契約金額も大きくて、財政の安定性を確保する上でも、複数年度で予算計上することが必要なものもある、その場合には、債務負担行為として、あらかじめ事業期間や予算の上限額などを決めて、予算に計上しておくこととされています。当然、これもまた、財政民主主義の観点から、公正性、透明性を担保し、住民など関係者の理解を深めるために、地方自治法二百十四条に定められているところです。
 そうやって見ていきますと、今、都教委が行っている、六年間で二百十億円の支出が見込まれる英語スピーキングテストが、債務負担行為の設定がなされていないのはなぜですか。

○遠松主計部長 中学校の英語スピーキングテストの件でございますけれども、本件につきましては、二百十億円という事業費については、相手方が応募時において必要と見込んだ金額でございまして、目安であるというもので説明を受けております。したがいまして、将来の債務が確定しておりませんので、債務負担行為の設定は行っておりません。

○和泉委員 債務の負担が確定していないので、債務負担行為を設定していないというお答えでした。
 債務の負担が確定していない、これは契約として見た場合には、どう捉えればいいんでしょうか。たとえ将来的に支出が見込まれるものであっても、債務負担行為として予算に計上し、議会の議決を経なくてもいいというのが、財務局としての見解ということでよろしいんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 債務でございますけれども、契約実務上は、基本的には金銭債務というふうに捉えてございます。
 先ほどご答弁したとおり、二百十億円の事業費につきましては、中学校英語スピーキングテスト事業を実施するに当たって、事業者が応募時において必要と見込んだ金額であり、協定においては予定とされていることから、債務には当たらないものと考えてございます。

○和泉委員 では、財務局が所管する契約手続の中で、将来の支払いが見込まれるものに債務負担行為を設定しないというものがあるでしょうか。

○遠松主計部長 それは物事の内容によると思います。

○和泉委員 そうすると、財務局が所管する契約手続においても、複数年度の将来の支払いが見込まれるものに、債務負担行為を設定しないものがあるということになりますか。

○須藤契約調整担当部長 地方自治法の規定に基づき、先ほどお話がありました、予算で債務負担行為を設定した場合、または地方自治法第二百三十四条の三に定める長期継続契約に該当する場合におきましては、複数年度にわたる契約の締結は可能となっております。

○和泉委員 繰越明許費、それから長期継続契約、これ以外のものについては、債務負担行為を設定しなければいけないこととされていると私は理解しているんですが、それで間違いありませんか。

○須藤契約調整担当部長 債務の確定に当たりましては、今、副委員長お話しのとおりでございます。

○和泉委員 つまり、債務が確定しているかどうか、その判断に応じて、確定しているものについて、将来の支払いが見込まれるものについては、債務負担行為を設定しなければいけないということでよろしいですね。

○須藤契約調整担当部長 債務が確定している場合には債務負担行為を設定し、それ以外の場合には、長期継続契約に該当する場合には複数年度契約の締結が可能となっております。

○和泉委員 私、ここまで地方自治法に基づく基本的なこと、当たり前のことだと思っていたことを聞いてきたつもりであるんですが、そうではなかったようです。
 今のご答弁は、予算というのは、将来にわたる支出の見込みも含めて予算に計上し、議会の審議を通じて、公平性、公正性、透明性を担保し、議決を経て初めて執行できる、この原則に照らせば、当然のことだというふうに思います。
 債務の確定ですけれども、地方自治法逐条解説によれば、債務負担行為の設定には、支出が不確定なものも含まれるというふうになっています。そうやって考えれば、本来、英語スピーキングテストのように、六年間で二百十億円もの負担が見込まれる、こういったものについては、やはり債務負担行為は設定されなければいけないんではないですか。いかがですか。

○山下財務局長 言葉の定義がいろいろとありますので、ちょっと予算と契約にまたがるものは私の方からご説明申し上げますが、例えば、工事の請負契約のように、最終的に検査によって実績が確定をする。ただ、契約の際に、数字として、債務として、東京都が確定するものについては、副委員長おっしゃるように、きちっと単年度予算の例外の債務負担行為などの、これも予算でございますので、それをあらかじめ設定する必要があり、その債務負担行為などに基づいて契約が締結されるというものでございます。
 ただ、今の英語スピーキングテストのように、先ほど目安というふうにご答弁申し上げましたけれども、例えば、庁舎などを建て替えるときに、基本計画、そして、基本設計、実施設計、工事という形で、ある程度の事業を、流れを全体として見ていくときに、予算の査定においては、全体のトータルの数字を見るわけです。ただ、それはそれぞれの計画、設計、そして、工事というふうに、それぞれ契約が分かれていきますので、それは、計画時に全ての債務負担行為を取るというものではございません。
 今回の英語スピーキングテストは、都教委から聞いておりますとおり、六年間の目安の金額を協定で示していると同時に、それぞれの年度ごとの支払いの数字は、それぞれ当該年度の予算において支出をするというふうに書かれておりますので、単年度において予算を計上し、執行するものであるというふうに認識をしております。

○和泉委員 英語スピーキングテストの場合には、ブリティッシュ・カウンシルと六年間事業を継続するという基本協定を結んでいます。その場合に、六年間の通算で二百十億というのが、今、財務局、繰り返しお答えになったように、目安として示された。
 では、この財政民主主義の原則に照らしたら、英語スピーキングテストの場合の将来にわたる支出の見込み、たとえ目安であっても、事業者から示されたその支出の見込みを、議会や都民は何をもって知ることができると財務局は考えていますか。

○遠松主計部長 ご答弁申し上げておりますとおり、こちらについては、あくまで目安でございます。毎年、毎年のそれぞれの相手方との中で、それぞれの金額、年度ごとに、これは変動が見込まれるという前提でこれをやっておりますので、毎年、毎年のこれは予算編成の中で、ここはしっかりと議論させていただくというものでございます。

○和泉委員 今、財務局の答弁をずっと聞いていますと、そうすると、ブリティッシュ・カウンシルと都教委が最初に結んだ基本協定、六年間の事業設定をして結んだ基本協定については、都の契約に該当していないんだという認識でいいんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 都教育委員会がブリティッシュ・カウンシルと締結した中学校英語スピーキングテスト基本協定につきましては、両者の責務などの基本的事項を定めたものであり、都の債務が確定しておらず、契約には当たりません。

○和泉委員 では、都の契約に該当するのは、どのような要件が必要になるんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 契約実務上、基本的には債務の確定が必要というふうに考えてございます。

○和泉委員 民法上は、債務とは他人のために何らかの行為をする義務とされています。
 英語スピーキングテストでいえば、事業者は、テストを約束に従って実施することが債務であり、東京都は、それに係る費用を支払うことが債務ということになります。このことを決めた基本協定は、契約ではないんですか。いかがですか。

○須藤契約調整担当部長 繰り返しになりますが、中学校英語スピーキングテスト基本協定は、都教育委員会がブリティッシュ・カウンシルと締結したものでございますが、両者の責務など基本的事項を定めたものであり、都の債務が確定しておらず、契約には当たりません。

○和泉委員 そうしますと、民法の債務の概念とは違う解釈をしているということでいいんでしょうか。
 先ほどご答弁のあった両者の責務、これが本来、契約においては、民法上債務というふうに解釈をされています。六年間にわたって、毎年度分担金を支払うこと、議会で分担金に係る予算が通らなかった場合でも、既にかかった費用に関しては事業者が支払いを求める権利がある。それは、その範囲において、都の債務ということにはならないんですか。本協定は、内容としては明確に契約だというふうに思いますけど、いかがでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 中学校英語スピーキングテスト基本協定につきましては、先ほど来申し上げているとおり、都の債務が確定しておらず、契約には当たりません。
 一方で、その後に締結いたしました実施協定につきましては、当該年度分の分担金の支払いを約する内容となっており、契約に該当するものというふうに考えてございます。
 しかしながら、中学校英語スピーキングテスト事業は、都教委とブリティッシュ・カウンシル、事業者が共同で実施するものであり、一般的な委託契約とは性格が異なってございます。このため、実施協定につきましては、契約事務規則の適用がなじまない契約に当たり、この締結は、都教育委員会の所掌事務の予算執行に係ることとして、教育長の権限の下で行われていると認識してございます。

○和泉委員 要するに、基本協定は、民法でいうところの債務に、私は十分に該当すると思いますけれども、都の契約の規定には当てはまらないということなんだというふうに思います。六年間で二百十億円の事業費を示した事業者を総合評価方式によって選定しましたけれども、この事業者選定というのは、そうすると、入札にはならないということでしょうか。入札でないとすれば、何なんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 今のご質問の前に、民法の契約とのお話がございましたけれども、契約の定義というものについては、多様な捉え方ができると、そのように考えてございまして、契約実務上は、債務の確定が必要であるというようなことでございます。
 また、中学校英語スピーキングテスト基本協定は、契約に当たらないことから、相手方の選定に当たって実施した手続は、契約締結の際に用いる総合評価競争入札ではございません。ご指摘の手続は、都教育委員会が、中学校英語スピーキングテストを共同で実施する事業者を公募するに当たって、公正性などを担保するために、契約の際に行われる総合評価方式に倣って構築した手続であると認識してございます。

○和泉委員 民法上の解釈は、必ずしも債務の確定を金額に特定していないんです。私、先ほど説明したように、他人のために何らかの行為をする義務というふうに民法上は解釈をされています。ですから、基本協定は両者の責務などの基本事項を定めたものである以上、お互いに相手方に対して何かをやらなければいけないということを約束する、これは契約ではないんですかというふうにいいましたが、東京都は、基本協定において債務が確定していないという答弁でした。
 では、東京都において、債務の確定というのはどういうことでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 都教育委員会が事業者と締結した実施協定につきましては、当該年度分の分担金の支払いを約する内容、債務が確定してございますので、契約に該当するものと考えております。

○和泉委員 今、基本協定についてお答えになりましたか。実施協定のことでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 債務が確定した段階ということで、実施協定についてご答弁申し上げたものでございます。

○和泉委員 そうしますと、東京都が契約というふうにして捉える上では、債務の額が重要だということでしょうか。債務の確定ではなくて、債務額の確定、こういう解釈でいいんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 金銭債務の確定が必要と考えております。

○和泉委員 先ほど、総合評価方式で入札したものについての答弁の中では、都教委が契約の際に行われる総合評価方式に倣って構築した手続という答弁をされました。要するに、都教委が独自に構築をした手続であるということだというふうに思います。
 すみません、同じ答弁になるかもしれませんけれども、債務負担行為も設定していない、契約でもない、その上で、六年間で二百十億の事業費というのは、先ほど来、何回も繰り返されていますけれども、債務額ではなくて、あくまで目安なんだということでよろしいんでしょうか。

○遠松主計部長 あくまで目安でございます。

○和泉委員 それは財務局の判断ですか。都教委の判断ですか。

○遠松主計部長 こちらにつきましては、基本協定の中で、あくまでこれは予定である旨が明記されております。今後、変動の可能性もありますから、将来の債務という形では確定はしておりません。

○和泉委員 財務局の、やはりこれは目安であると、財務局が判断をしているということでよろしいんですね。

○遠松主計部長 あくまで基本協定の中で、その旨がちゃんと記載されておりますので、そのように我々としても認識しております。

○和泉委員 先ほど、基本協定が契約でないとすれば、何が契約に当たるのかということでは、実施協定が契約に当たるんだというご答弁でした。間違いないですね。

○須藤契約調整担当部長 実施協定につきましては、分担金の支払いを約する内容となっており、契約に該当いたします。

○和泉委員 では、この実施協定が契約なのだと、基本協定は契約ではない、東京都がいうところの契約ではない。英語スピーキングテストにおいて、契約というのは実施協定のことなのだというんだとすれば、実施協定が締結されて初めて契約に基づく予算の執行が可能になるという理解で間違いありませんか。

○須藤契約調整担当部長 そのような認識でございます。

○和泉委員 ありがとうございました。
 今日の質疑を通じていても、この英語スピーキングテストが、契約を所管する財務局のいずれのルールにも該当しない方法で、これから巨額の支出が進められていこうとしているということ、それから、財政民主主義の観点からも、極めて不透明なやり方であるという感を非常に強く持ちました。
 財務局におかれましては、いま一度、この英語スピーキングテストの協定について、基本協定、分担金要項、それから募集要項、毎年度協定を締結される実施協定、よく読んでいただいて、しっかりと精査していただくことを求めて、質疑を終わります。

○山下財務局長 端的にご答弁申し上げます。
 六年間の目安の数字も分かりつつ、単年度の予算を編成し、それを執行していくという、ほかの事業も同じようにやっておりますけれども、英語スピーキングテストについても、そのように丁寧に全体の経費、そして単年度ごとの経費も極めて精査して執行させていただいております。
   〔和泉委員発言を求む〕

○林委員長 今、質疑終わりませんでしたか。(和泉委員「質問していないのに指名されたのは委員長……」と呼ぶ)議事整理の範囲なんですけれども。まあ、いいです。どうぞ。

○和泉委員 六年間の目安も分かりつつ、単年度で執行されているのだというお答えでした。六年間の目安が分かっている以上、将来に対する支出の見通しがあるということになります。その場合には、本来であれば、債務負担行為を設定しなければいけないんではないのかというのが、今回の私の質問の趣旨でした。そのことをよく考えていただいて、ぜひご検討、検証していただきたいというふうに思います。答弁は求めません。
 以上で終わります。

○阿部委員 初めに、都民税について伺います。
 先週の財政委員会で、私は、個人都民税について主税局の考えを伺いました。主税局としては、個人都民税は、重要な基幹税の一つとして認識しているということで、私もそのように思います。けれども、財務局が作成している東京都予算案の概要では、個人都民税が、その他の税に一くくりにされています。
 都民に向けての情報発信である、先ほどもちょっと話が出ましたTOKYO予算見える化ボード、メリーちゃん・ハリーくんと学ぶ予算案まるわかりブックにおいても、同様の表現になっています。こうした資料を工夫してつくっているということは、かねてから評価もしているところですし、また、私もしばしば都民の方々への情報提供として活用をさせていただいているところです。
 しかし、一兆円を超える個人都民税が、その名称すら出てこないというのはいかがなものでしょうか。都民の皆様に向けた資料に、せっかくつくっているんですから、ちゃんと都民税の表記があれば、ああ、私たちが払っている都民税は、都政にこんなふうに貢献しているのだと一目で伝わるわけです。納税者意識の涵養にもつながります。都民向けの資料では、特に強調こそすれ、潜らせるべきものではないと思います。ここはきちんと可視化することが大切だと思います。
 東京都の予算案概要でも、かつては個人都民税が明記されていた時代もあったと聞きました。なぜ見えない化してしまったのか、財務局は、個人都民税の重みというのをどう認識しているのか、ちょっと疑問になってしまいます。
 まるわかりブック、ダッシュボードでは、重要な税目であります個人都民税が、その他の税と記載されているのが、なぜ、そのような記載になっているのか、表記の考え方について、まずお伺いします。

○遠松主計部長 都民の皆様のご理解とご協力をいただきながら財政運営を行っていくため、財務局では、東京都予算案の概要や東京都予算案まるわかりブック、TOKYO予算見える化ボードなどにより、都財政に関する情報を広く都民に公表しております。
 これらの広報資料の表記につきましては、限られたスペースの中で都民の皆様に分かりやすく伝えるという観点から、それぞれの資料において、ポイントを絞って説明しております。例えば、令和六年度東京都予算案の概要の一八、一九ページ、歳入の状況でございますけれども、歳入の全体像をお示ししておりまして、そのうち都税の内訳については、金額や増減の大きい事項などを掲載しております。

○阿部委員 ありがとうございます。
 増減が多いというと、大体、法人二税に毎回なってしまうんですよね。この資料の中で、グラフに個人都民税という五文字を入れるのは、全然、このスペースの中で十分可能ですので、もしできましたら、デザインのご担当者と意見交換をされることを大変お勧めいたします。
 個人の、しかも特定の資産の有無にかかわらず、東京に暮らしていることをもって賦課される個人都民税は、より広い都民にとって最も身近な都税の一つであって、都税の内訳に明示すべきと考えますが、改めて見解を伺います。

○遠松主計部長 個人都民税も含めまして、都税収入は歳入の大宗を占めております、財政運営上、重要な役割を果たしているものと十分にこれは認識しております。
 令和六年度東京都予算案の概要の一九ページ、歳入の状況における都税の内訳、先ほどもご説明いたしましたが、金額や増減の大きい事項など、都財政全体の説明をする中で、そういった項目について、限られたスペースの中で掲載しております。
 同じ資料の中で、これ別のページでございます、一七二ページのところで、しっかり都税収入、税目別内訳というものがございまして、個人都民税の金額や対前年度の増減なども、そこで個人都民税について、また、ほかの税目につきましても、そこで明記をしております。
 今後とも、より多くの都民の皆様に、都財政についての理解を深めていただけるよう的確な情報発信に努めてまいります。

○阿部委員 前に書くか、後ろに書くかというのは、結構大きな問題ではあるんですけれども、財務局というところが、お金の出入り、入りと出を動的に把握していく部署であって、全体像を数字として捉えていく、その視点は当然必要だと思います。でも、それらの数字は、ただの数字ではない。特に、税収というのは、都民一人一人の暮らしの積み上げですから、その数字の向こうに、ぜひ人の顔が見えているかどうか、ここが問われると思います。
 どういう発信をすれば、都民がどう受け止めるのか、ぜひ納税者の目線、さっきもおっしゃいましたけれども、都民の目線、ぜひ、さらに意識をしていただければと思います。
 次に、指名停止について伺います。
 先日から始まった都庁のプロジェクションマッピング、いろいろな意味で注目が集まりました。あわせて、受託会社が、現在も五輪汚職で入札停止中である電通が一〇〇%出資する会社であったことも話題になりました。このことに関し、少なからぬ都民の方から、当該企業のみならず、都政に対しても、疑惑の目で見られるに至りました。
 確認します。指名停止措置の対象範囲はどこまで及ぶのでしょうか。親会社、子会社などのいわゆるグループ会社にも及ぶのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 指名停止措置は、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱に定める要件に該当する事実を発生させた都の競争入札参加有資格者に対して行うものでございます。お話のグループ会社は、措置対象の有資格者とは別の法人であり、措置対象となる有資格者が合併等により当該グループ会社に移行する場合などの特別な場合を除き、指名停止措置の対象とはなりません。

○阿部委員 確かに現在のルールでは、一〇〇%出資の子会社といえども別法人であって、無制限に援用することはできません。
 電通ライブは、電通が指名停止に至った五輪汚職の際に、家宅捜索対象になっただけではなくて、コロナの持続化給付金あるいは同じ経産省の家賃支援給付金事業でも、電通本体と共に観光庁の事業をめぐる様々な問題に関わってきたことが報道されている企業でもあります。
 談合や収賄といった重大な案件で、本体が指名停止をされても、親会社と同様な事業を行う子会社が官公庁から事業を受託し続けることができるのであれば、指名停止措置を行うことの効果が有名無実となってしまいます。グループ会社全般に自動的に指名停止が及ぶというところまでは必要ないにしても、一定の枠内の子会社、関連会社において、例えば、総合評価などの際に差をつけるというようなことが考えられるかもしれません。
 そこで伺います。グループ会社等にも、一定の効果が出るような制度を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 地方公共団体の入札契約制度は、公平、公正である必要がございます。指名停止措置を受けた事業者のグループ会社に対し、入札制度上の制限を課すことなどにつきましては、適用させる会社の範囲やその把握方法など、制度化に当たって、公平性、公正性の確保の面から検討すべき課題が多いと認識してございます。
 なお、現時点におきまして、グループ会社への指名停止措置を制度化している道府県はないものと認識してございます。

○阿部委員 私も、一律の指名停止の援用を求めたわけではありませんので、ご留意いただければと思います。
 課題が多いというご答弁がありました。課題が多いということは、つまり、一方で、既に内部では、非公式ながら一定の検討ないし話をした、その結果、テクニカルな課題がいろいろと見つかって、実施には踏み出していない。でも、問題意識はあるよということではないかと思います。ぜひ引き続き、どうすれば行政としてより正しいアプローチなのかということを考えていただきたいと思います。
 先ほど、電通とその子会社の話を例に取りましたけれども、それだけではなくて、例えば、契約不履行や雇用関係での不誠実な対応、そうした問題が多々ありながら、各局の仕事を受託している企業、こうしたこともあります。こうした企業に発注を続けることは、現場での様々な業務の遂行に支障を来したりもするものであり、より現実に即したルールづくりが必要だと思います。
 近年、企業の中で、また金融庁などの省庁の中で、エモーショナルコンプライアンスという考え方が広まっていることをご存じかと思います。従来のコンプライアンスは、法令遵守、すなわち法令に反していなければ、ある意味オーケーという考え方です。しかし、法令を遵守するのは当たり前であって、それだけではリスク管理として十分ではない。そこから一歩進んで、悪いことをするなというものではなくて、エモーショナルコンプライアンス、すなわち、いいことをしようという考え方、コンプライアンスの内容が広がることで、企業においても組織的な体制の強化をしています。
 行政にあっても、世の中の基準の変化に遅れることのないよう、組織強化を図ることを求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。

○林委員長 次に、議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○和泉委員 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例の提案理由を説明させていただきます。
 本条例案は、二〇二四年六月に支給される東京都議会議員の期末手当を、二〇二三年第四回定例会で改正される前の支給割合に戻すという内容です。
 都議会議員の期末手当は、東京都議会議員の議員報酬及び費用弁償に関する条例に規定がありますが、その支給割合については、職員の給与に関する条例が規定する期末手当と勤勉手当の支給割合を合算した支給割合で支給することとされています。職員の期末手当の支給割合が上がれば、条例を変えなくても、連動して自動的に上がる仕組みになっています。
 しかし、議員の期末手当を職員の手当の支給割合に自動的に連動させる考え方は適切ではないと考えます。
 また、物価高騰が続く中で、都民の暮らしと営業に深刻な影響が出ていることなどを考え、議員の期末手当については、従前の支給割合に引き下げることを提案するものです。
 以上、各会派の皆さんのご賛同を心から呼びかけます。

○林委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十三分散会