財政委員会速記録第十七号

令和五年十二月十五日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長林あきひろ君
副委員長清水やすこ君
副委員長和泉なおみ君
理事吉住はるお君
理事清水とし子君
理事慶野 信一君
かつまたさとし君
長橋 桂一君
石川 良一君
阿部祐美子君
藤井とものり君
菅野 弘一君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務五十嵐 律君
主計部長遠松 秀将君
調整担当部長佐伯  亮君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長金子 陽子君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務井村  琢君

本日の会議に付した事件
決議について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・令和五年度公金管理実績(上半期)
財務局関係
付託議案の審査
・第二百二十二号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入(説明・質疑)
・第二百五号議案 都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約(質疑)
・第二百六号議案 都立城南職業能力開発センター大田校(五)改築工事請負契約(質疑)
・第二百七号議案 都営住宅五H−一一六東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約(質疑)
・第二百八号議案 都営住宅五H−一〇一西(国立市北三丁目)工事請負契約(質疑)
・第二百九号議案 東京消防庁国分寺消防署西元出張所(仮称)庁舎(五)改築工事その二請負契約(質疑)
・第二百十号議案 晴海ふ頭客船受入施設(仮称)(五)改築工事請負契約(質疑)
・第二百十一号議案 当せん金付証票の発売について(質疑)
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十五号 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

○林委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、決議一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 ご異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び会計管理局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第二百五号議案から第二百十号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承をお願いします。
 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、令和五年度公金管理実績(上半期)に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○阿部委員 私からは、令和五年度上半期の公金管理実績のご報告に際し、公金管理について何点か確認をさせていただきたいと思います。
 五年度上半期の平均残高は六兆一千八百二十一億円、いまだ低金利が続く中、運用により利回りは〇・〇三二%、半年間で十億二百九十七万円の運用収入があったとのことです。一自治体がこれだけの残高を保っていることには、正直驚きもあるわけですけれども、これは貴重な税外収入ともなっております。
 六兆円を超える巨額の資金を安全かつ効果的に運用するには、金融に関する専門知識と経験も求められます。
 そこで、貴重な人材である専門人材をどのように確保しているのか伺います。

○有金管理部長 金融分野の最前線の知識や実践的なスキルを活用、共有するため、キャリア活用で東京都の一般職員として採用を行うとともに、特定任期付職員を管理職として採用の上、配置をしております。
 また、東京都公金管理アドバイザリー会議を設置いたしまして、豊富な経験や識見を有する外部の金融分野の専門家等を登用しております。

○阿部委員 キャリア活用、それから、特定任期付職員の採用並びに外部専門家により専門性を確保しているということが分かりました。
 では、この特定任期付職員の採用は公募によるものでしょうか。

○有金管理部長 金融知識につきまして高い専門性と豊富な実務経験を有する人材を、公募により採用しております。

○阿部委員 では、その際、出身金融機関のバランスというものも考慮されるのでしょうか。

○有金管理部長 公募いたしまして、応募者の中から人物本位で採用しております。
 出身金融機関のバランス等は特段考慮しておりません。

○阿部委員 ところで、特定任期付職員の任期終了後のキャリアはどのようにつながっていくのでしょうか。任期終了後の再就職先がどうなっているのか教えてください。

○有金管理部長 任用期間終了後、退職をされました、二名おりますけれども、再就職先につきましては、東京都へ採用される前の金融機関となっております。

○阿部委員 妥当といえば妥当なのかもしれないですけど、ということは、一旦金融機関を退職して任期付職員になっても、基本的には元の金融機関に戻っていく。とすると、外形的には出向ともいえるような、近い関係が当該金融機関との間で保たれることになってしまうのではないかなというふうにも思います。
 その際、業務の中立性というのは、どのように担保というのか、確保されているのでしょうか。

○有金管理部長 預金につきましては、高いレートを提示した金融機関への預金を行う引き合いというものを実施しております。
 また、債券につきましては、利回り等の条件のよい債券を提示いたしました金融機関から購入をすることとしております。
 このように、恣意的に特定の金融機関を優遇することはできない仕組みとなっております。

○阿部委員 こうした運用の世界も高度に情報戦でもありますので、ぜひ中立性ということは保って、そこは保って運用していただければと思います。
 ところで、預金において都市銀行、信託銀行、地方銀行等、また、外国銀行、それぞれの利回りについてお伺いをしたいと思います。

○有金管理部長 預金につきましては、複数の金融機関による引き合いを実施しております。高いレートを提示した金融機関に預金を行うことにより、競争性を高めております。
 一般的な店頭金利は各金融機関のホームページなどで公表されておりますけれども、東京都に提示されるレートにつきましては、各金融機関の経営戦略上のものでございます。
 公にすることにより、当該法人の競争上または事業運営上の地位が損なわれるおそれがございます。したがいまして、利回りを公表することは適当ではないと考えております。

○阿部委員 利回りを公表することは、数字で出すことはなかなか難しいということではあります。
 では、債券の方、やはり平成二十七年度に公金管理ポリシーが改定されました。その推移を見ていくと、例えば債券では、国債あるいは政府保証債の割合が減って、地方債や財投機関債、そして、金融債が増えている傾向にあるかと思います。その背景についてお伺いをいたします。

○有金管理部長 債券運営におけます割合の変化の背景でございますけれども、平成二十八年二月の日本銀行によりますマイナス金利政策導入以降、長く低金利の環境が続いておりましたため、国債や政府保証債と同等の信用力を有し、国債利回りを基準に総体的に利回りが高い地方債や財投機関債を中心とした運用に重点を移してきております。

○阿部委員 ありがとうございます。六兆円を超える巨額のお金を運用する東京都の組織ですから、ぜひ、今後も、中立性、そして透明性を確保しながら、安全かつ効率的な運用に努めていただきたいと思います。質問を終わります。
 以上です。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○林委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 初めに、第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入及び第二百五号議案から第二百十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案のうち、追加提出されました第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入について理事者の説明を求めます。

○遠松主計部長 それでは、追加提案をいたしました令和五年度十二月補正予算案についてご説明申し上げます。
 資料第1号をご覧ください。
 まず、1の補正予算編成の考え方でございますが、物価高騰の影響を受ける都民、事業者を支援するため、国の臨時交付金を活用して、都民生活を下支えし、消費を喚起するための新たな取組を講じるとともに、エネルギー価格高騰等への対策を引き続き実施するため、予算措置を行うものでございます。
 2の財政規模ですが、補正予算の規模は、一般会計で八百三億円でございます。
 補正予算の財源でございますが、全額国庫支出金となっております。
 一ページおめくりいただき、二ページをお開きください。今回の補正事項の一覧でございます。
 今回の補正予算では、国から新たに措置された臨時交付金に加え、六月補正予算で計上した事業の精査により生み出した財源も活用することとしております。
 表頭、実施規模とございますのが、六月補正予算の精査額活用分を含めた対策に要する金額、今回補正とございますのが、精査額活用分を控除した補正予算に計上している金額でございます。
 まず、上段のⅠ、臨時交付金を活用した都民生活・中小企業者等への支援には、実施規模は二百二十一億円、補正予算として百三十八億円を計上しております。
 このうち、1、都民生活への支援は、実施規模は百八十九億円、補正予算として百七十六億円を計上しております。
 中段の2、中小企業者等への支援には、実施規模は三十二億円、補正予算として三十八億円の減額を計上しております。
 下段のⅡ、特別区分の臨時交付金には、六百六十五億円を計上しております。
 三ページをご覧ください。ここからが補正予算の具体的な内容でございます。
 まず、Ⅰ、臨時交付金を活用した都民生活・中小企業者等への支援の1、都民生活への支援でございます。
 暮らし向き向上緊急サポート事業では、都民生活を下支えするとともに、消費を喚起し、経済を活性化するための緊急対策として、都内店舗においてQRコード決済により支払いを行った利用者に対し、ポイントを還元するキャンペーンを新たに実施いたします。
 一ページおめくりいただき、四ページ中段でございますが、医療機関等物価高騰緊急対策事業では、物価高騰に直面する医療機関等の負担軽減に向けた緊急対策として、引き続き支援金を支給いたします。
 下段の2、中小企業者等への支援でございます。
 五ページの上段でございますが、中小企業特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業では、特別高圧電力等を利用する中小企業者の負担軽減に向けた緊急対策として、引き続き支援金を支給いたします。
 なお、本事業については、年度末までに必要となる予算額を確保した上で、減額補正を行っております。
 中段、Ⅱ、特別区分の臨時交付金でございます。
 物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施するために交付される国の臨時交付金のうち、特別区分を計上してございます。
 次ページ以降でございますが、こちらには局別総括表及び補正予算案の議案を添付してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○五十嵐経理部長DX推進担当部長兼務 私からは、議会局及び財務局所管、令和五年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号、令和五年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。令和五年度一般会計補正予算議会局・財務局総括表でございます。
 今回の補正予算は財務局分のみでございまして、表中の補正予算額欄の下から三段目にございますとおり、特定財源を百三十八億三千二百九十二万円余計上してございます。
 次に、二ページをお開き願います。今回の補正予算事業別説明でございます。
 番号1、特定財源充当歳入は、財務局が所管する歳入のうち、他局の特定事業に充当する歳入で、国からの物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を百三十八億三千二百九十二万円余計上してございます。
 次に、三ページをご覧ください。財務局合計でございます。
 今回の補正により、歳入予算は、表の右端、下から三段目の特定財源計欄にございますとおり、既定予算額と合わせまして、五千三百五十二億二千六百七十五万円余となります。
 なお、歳出予算は変わらず、表の右端、上から五段目の歳出計欄にございますとおり、六千九十七億六千二百万円でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○林委員長 説明は終わりました。
 その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○慶野委員 ただいま主計部長から、物価高騰の影響を受ける都民、事業者を支援するため、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した補正予算を組んだ、その中身の説明をしていただきました。
 私たち公明党は、日頃から、公明党所属の国会議員と私たち都議会議員、また、区市町村議員と、常に政策協議の場を持ちながら、例えば東京都で今必要な、課題解決に必要なものは何なのか、それを国会議員のメンバーと協議をして、また、そのメンバーが国政でリードしながら、新たな臨時交付金の増額に向けて動いていく。そして、補正予算が仮に国で成立したならば、東京都を経由して今回も二十三区に落ちていく臨時交付金があるわけですけれども、これも、私たち、例えば私、荒川出身ですが、荒川の区議会議員と共に、この補正予算が通ったその瞬間、私たちは、今、荒川区ではこういう事業が必要だ、こういう支援策を講じていくべきだということで、執行機関に緊急要望を重ねていく、こういう動きをしております。
 そして、今回も、十一月二十九日に、この補正予算が成立しました。これを受けて、各自治体が新たな支援に向けて動いていくわけですけれども、今回、東京都は、都民生活への支援、中小企業への支援として二百二十一億円を計上いたしました。国から措置された臨時交付金は百三十八億円です。今回の補正予算は、この差額、どのように編成したのか、この金額、差額の内容と併せてお願いいたします。

○遠松主計部長 今回の補正予算では、物価高騰の影響を受ける都民、事業者を支援するため、国から追加措置された臨時交付金百三十八億円に加えまして、六月補正予算で計上した事業の精査により生み出した財源八十三億円も活用することで、総額二百二十一億円の対策を講じております。
 具体的には、都民生活を下支えし、消費を喚起する新たなキャンペーンを実施するとともに、LPガスを利用する家庭への負担軽減や、物価高騰に直面する医療機関等への支援など、六月の補正予算で計上したエネルギー価格高騰対策などを年度末まで引き続き実施することとしております。

○慶野委員 ご答弁いただいたように、補正予算を活用しつつ、六月補正を精査しながら、合計、今回の二百二十一億円ということになっております。
 私たちは、都議会公明党は、この補正予算を目指して小池知事に様々な要望も繰り返し行ってまいりました。医療機関やLPガスを利用する方々への支援、消費を喚起する施策等々、補正予算に盛り込まれたことを評価いたします。
 一方で、今、主計部長、六月補正予算を精査したという表現でございましたが、これは、経済・港湾委員会でやる範囲なので深掘りはいたしませんけれども、精査をしていただいた上で今回盛り込んだということは評価した上で、前回の六月補正予算も、物価高騰対策に悩む都民や事業者に対する支援だったはずなのに、未執行の部分があったという観点からすると、事業そのものに問題があったわけでなければ何が問題だったのか、もっと支援を行き届かせるために余地があったのではないかというふうに個人的には思っております。
 物価高騰対策でありながら、執行残が億単位であったということは、私たちも見逃してはいけない、こういう支援ができました、これを使っていこうと、地元の企業、生活者に伝える責任も我々にあるんだと思います。支援の手がしっかりと行き渡ること、そして、制度の円滑な利用に向けて申請時のサポートを行っていくこと、これを改めて求めたいと思います。
 今回の補正予算は、全額、精査したといっている部分も含めて、もともとは全額、国の臨時交付金の活用であるわけでありますが、都の財源ではなく、国庫を活用した、国庫のみで補正を組んでいるという理由について見解を求めます。

○遠松主計部長 物価高騰の影響が長期化する中、国と地方自治体は、国民生活や事業活動を守る取組を進めていかなければなりません。
 都では、当初予算において、都の財源を積極的に活用し、セーフティーネット支援や経済の好循環に向けた事業者支援など、都民生活や東京の経済を守るための重層的な対策を講じております。
 一方で、物価高騰は全国的な課題であり、価格転嫁が困難な事業者に対する燃料費支援など、物価高騰の影響に対する直接的な支援については国が責任を持って対応すべきという考えの下、これまで国からの財源を活用してきました。
 今回の補正予算においても、国の新たな経済対策に基づき、地方自治体に対し臨時交付金が追加措置されたことを踏まえ、消費喚起に向けた新たな取組やエネルギー価格高騰への支援など、対策のさらなる強化を図ったものでございます。

○慶野委員 今、分かりやすいご答弁でありました。都においては、国と地方の役割分担を踏まえて措置をしている。答弁、引用させてもらいますけれども、東京都の責任としては、都民生活や東京の経済を守るための重層的な対策に都の財源を積極的に活用していく、当然、当初予算でしっかり盛り込まれてもいるということです。
 一方で、国が負う責任、国が責任を持って対応すべきという考えの下、国からの財源を支出しているのは何か、それは物価高騰、全国的な課題であるから国がやっていく責任があるんだと、こういうふうに理解をします。
 これも所管外なので深掘りはいたしませんけれども、こういうと、補正予算を組むというと、国の補助金だけで補正を組んで、東京都は役割を果たしていないと、こういうことをいう人たちがすぐいるわけですけれども、これは、今、答弁していただいたように、全国的な課題であり、国が責任を負わなければいけないことと、東京都固有の課題であり、東京都の財源でしっかりとこれは当初予算から盛り込んでいきながらサポートしていかなければいけないことと、国と東京都の役割は分けなければいけない、これは私が強く思うところです。
 例えば、今回、知事の方針として、来年度から、私立高校の授業料の無償化、所得制限を撤廃しようというようなお話が、今、議論されておりますけれども、これも、全国の私立高校の多くが、二割から三割に迫る私立高校は東京都にあって、東京都の高校生の六割が私立高校に通っている。こう考えると、私立高校への授業料の援助というのは無駄なんじゃないかという声もあるし、国がやることなんだという声もあるし、様々議論はありますけれども、今、一義的に今だけを見たならば、六割の生徒が私立に通っている東京固有の課題であれば、まずは全国をリードして、東京が突破口を開いて、国の政策をこれから引っ張っていかなければいけない。
 もう一個、給食費の無償化についても様々な声が出ております。中には、東京都で条例をつくって都で支援しろなんていうふうにいっている人たちもいますけれども、これは、今のロジックから照らし合わせるならば大間違いです。なぜかといえば、給食費を無償にして支援していくということは、東京都固有の課題ではありません。全国で、子供たちには給食はしっかりと与えていかなければいけないということを考えれば、これこそ国でやっていくべきこと。だけど、財源や財政力の強弱の中で、なかなか遅々として進まない状況がある。それを区市町村が先行してやっているならば、それを、何分の一か、何%か支援していこうという、この東京都の支援の在り方は、私は妥当だと考えております。
 こうした、今、例を、私学無償化の支援と給食費の支援、今議会に議論となっているものを挙げさせてもらいましたけれども、一部では、こうした中で、近視眼的に表面的な物事だけを捉えて、東京都も補正を組め、東京都が負担をしろ、こういうふうに主張される方々もいらっしゃるわけですが、やはり中長期的な東京都の財政基盤を考えながら行っていくことというのが必要になってまいります。
 物価高に苦しむ方々への支援が重要であるということは、これはもちろんいうまでもありませんが、将来にわたって都民の暮らしを守り抜いていくためには、自然災害や新たな感染症など突発的な財政支出が生じた場合にも十分に対応できる強固な財政基盤の堅持が不可欠になってまいります。
 また、都は、都市の強靱化や待ったなしの少子化への対策などにも、しっかりと取り組んでいかなければなりません。
 こうした財政需要に着実に対応していくために、将来を見据え、財政対応力にも配慮した財政運営を行っていくべきと考えます。見解を求めます。

○遠松主計部長 都は、長期化する物価高騰など、足元の課題への対処に加えまして、社会保障関係経費の増加など、避けることのできない財政需要を抱えております。
 また、東京が持続可能な都市へと発展するため、人が輝く、国際競争力の強化、安全・安心の確保の観点から、都市力を磨き抜く施策を積極的に展開していくことが求められております。
 限られた財源の中、こうした都政の諸課題に的確に対応していくため、無駄をなくす取組を徹底するとともに、評価制度のさらなる充実を図り、施策の有効性、効率性を高めてまいります。
 また、中長期的な視点に立ち、将来に向けた財政対応力にも配慮しながら、基金や都債を戦略的に活用することで、持続可能な財政運営を行ってまいります。

○慶野委員 ありがとうございました。
 国と東京都の役割をしっかりと明確化する、東京都の課題は東京都で解決していく、全国一律の課題として国がやるべきことはしっかり国に求めていく、その上で、東京都の財政基盤を堅固にしていくために、無駄を省きながら、事業の精査をしっかりと重ねながら東京都は対応していくという。例えば、TOKYO強靱化プロジェクト、二〇三〇年代に向かって大変な金額を、東京都を強くしていくためにしなければいけない。これに合わせて、都では、国土強靱化に向けた基金を、目的基金をつくりました。これ、極めて重要です。
 景気、経済が動く、波を打ちながらも、また、様々な諸課題に対面しながらも、物価高騰だといって全てを吐き出しているような経済活動をしていては、財政出動をしていては、どんな状況であっても、景気動向や諸課題がどういう状況であっても、国土強靱化は、東京の強靱化は、粛々と進めていかなければなりません。一歩も止めるわけにはいかないわけです。
 ですから、こうした基金をしっかりと活用しながら、そして、新公会計制度、我が党が進めてきた制度や事業評価を繰り返しながら、基金、都債の戦略的な活用を図り、健全な財政運営の堅持、財政対応力の強化に努めていただきたいと、このように要望しまして、質問を終わります。

○清水(と)委員 今回の補正予算の編成に当たっての考え方についてお伺いしたいと思います。
 最初に、十二月の補正予算の編成に当たって、知事からはどのような指示が出されたのかお伺いします。

○遠松主計部長 先日、国において、臨時交付金の追加が盛り込まれた新たな経済対策が閣議決定され、対策に係る補正予算案が国会に提出されました。
 これを受けまして、物価高騰の影響を受ける都民への支援や、価格転嫁が困難な事業者への支援など、都民生活、東京の経済を下支えする取組について、国の臨時交付金を活用して補正予算を編成するよう、指示があったものでございます。

○清水(と)委員 国の臨時交付金を活用して補正予算を編成するようにという指示があったということなんですけれども、この国の臨時交付金を活用してというのは、補正予算の総額、これを国の臨時交付金の範囲内に収めるようにというふうな指示であったのでしょうか、確認をしたいと思います。

○遠松主計部長 当時の指示のお話でございますけれども、基本的には国の臨時交付金を活用して行う、国の経済対策によって交付される臨時交付金を活用して行うという指示でございます。
 その具体的な金額については、まだ当時の時点では、幾らといったような通知はまだございませんでした。

○清水(と)委員 お伺いしたいのは、その額のことではなくて、予算を編成するに当たって、そこの財源をどうするかということで、先ほども、今回の臨時交付金だけではなくて、六月の補正で出されてきた臨時交付金、これも精査して、残っているものは全部使いましょうと。つまり、国の臨時交付金については全部使う。だから、活用して全部使うということだと思うんです。
 それで足りなければ、一般会計からもちゃんと出しなさいよというふうな指示はなかったのかどうか、その点を確認したいんです。

○遠松主計部長 先ほど申し上げましたとおり、あくまで国の臨時交付金を活用して、都民生活を下支えする、エネルギーや物価高騰対策等に対処するといった形で編成を行いました。

○清水(と)委員 つまり、この今回の補正予算というのは、国の臨時交付金というキャップが決められていた、そういう中で組まれたものだということは確認できるというふうに思います。
 大企業が今、利益を増やす一方で、都内の中小企業は厳しい経営環境に直面して、倒産が増えています。働く人たちの実質賃金は長期にわたって下がり続けています。
 知事も、高齢者を含め暮らしに余裕がない、こう感じている方々がいると。私たちも多数いるというふうに認識をしています。介護や福祉の現場では低賃金で人が集まらない、こういう状況も起きています。幅広い分野で、支援を求める声が上がっています。
 都は、物価高騰によって都民の暮らしや事業者の経営に影響が出ている、こういう認識を持っているのかどうかお伺いします。

○遠松主計部長 長期化する物価高騰は、都民生活や事業活動に影響を及ぼしております。
 こうした状況を踏まえまして、当初予算において、都民、事業者への重層的な支援策を盛り込むとともに、六月補正予算や今回の補正予算におきまして、国の臨時交付金を活用することで、都民生活、東京の経済を下支えするための取組の強化を図っております。

○清水(と)委員 都は、当初予算で、都民、事業者への重層的な支援策も講じてきた。六月の補正では追加の支援も行ってきた。そういうことでしたけれども、にもかかわらず、今、都民の暮らしと営業は先ほどのような厳しい状況に置かれているんです。支援は十分ではないということだというふうに思います。
 今回の補正は、それを下支えするには規模も小さく、対策も極めて限定的です。
 一方で、一部の大企業は、莫大な利益を、このコロナや物価高騰の下でも上げています。ですから、都税収入は過去最高を更新する見込みになっています。二年連続です。
 このような偏り、これを是正する仕組みが、税の所得再配分機能です。そして、それをやるのが東京都の役割ではないでしょうか。
 都内の中小企業や都民の暮らしの実態にふさわしい支援を講じるためには、補正予算の規模を拡大することが必要です。
 なぜ、都は、独自財源を使って、こうした規模を広げるということをしなかったんでしょうかお伺いします。

○遠松主計部長 都はこれまでも、当初予算において、セーフティーネット支援や経済の好循環に向けた事業者支援など重層的な対策を講じており、取組を進めているところでございます。
 一方で、物価高騰は全国的な課題であり、価格転嫁が困難な事業者に対する支援など、物価高騰の影響に対する直接的な支援については、国が責任を持って対応すべきという考えの下、国からの財源を活用してまいりました。
 今回の補正予算では、国の経済対策により追加措置された臨時交付金、また、六月の補正予算の精査した金額などを活用いたしまして、対策のさらなる強化を図っております。
 引き続き、持続可能な財政運営にも配慮しながら、適切に財源を振り向けてまいります。

○清水(と)委員 物価高騰は全国的な課題であって、価格転嫁が困難な事業者に対する支援など、物価高騰の影響に対する直接的な支援については国が責任を持って対応すべき、こういう考えの下で国からの財源を活用してきたんだというふうな答弁でした。
 確かに、国がきちんと責任を持つ、それも大事だというふうに思います。しかし、だから都が十分な支援を行わなくていいというふうな免罪符にはならないというふうに思います。
 まず、都民の暮らしや営業を守る、都民の福祉の向上に努めるということですよね。これは自治体の本旨です。一番最初に財源を確保すべきものではないでしょうか。
 そして、財源がないというわけではないんです。先ほども紹介したように、都税収は過去最高水準、十分に財源はあるわけですね。しかも、その財源の中身というのは、やっぱり、一部の人たち、一部の企業、こういうものが莫大な利益を上げていて、しかも、それが働く人にも回っていない、都民生活全体にも流れていかない、そこの偏りが顕著になっているということだと思います。
 こういうものをきちっと再配分して、みんなの暮らしがよくなるようにしていく、そういう調整機能を果たすというのは東京都の大事な役割だというふうに思いますし、今の事態を踏まえたら、やっぱりそれをやるべきだと、そういうときだというふうに思うんです。
 さらにいえば、知事自身も、高校生の授業料の実質無償化、学校給食費の負担軽減について、国が責任を持って行うべきものだという考えを示しながらも、国に先行して行うということを表明しているんです。
 だから、これと比べても、暮らしや営業を守るための補正予算の編成が、国の臨時交付金の範囲、これは道理が通らないというふうに思うんです。
 国の補正予算の内容そのもの、これは否定はしませんよ。これをやるなとはいいません。だけれども、今の都民の暮らしと営業の実態を踏まえたら、もうちょっとちゃんと財源を東京都が投じて、規模を抜本的に広げて、内容を充実すべきだというふうに思います。このことを申し上げまして、質問を終わります。

○藤井委員 私からも、補正予算についてお伺いをいたしたいと思います。
 この補正予算は、全額、国の物価高騰対応交付金を活用したものであるわけであります。
 この交付金でありますけれども、東京都に対してどの程度の規模感の金額が配られたのか、まずお伺いをいたします。
 また、この六月補正予算措置分の精査八十三億円とあります。先ほどのやり取りでもあったと思いますけれども、具体的に、余った予算の内容はどんなものなのか、主立ったものをお伺いしたいと思います。

○遠松主計部長 先月、国から示されました追加の臨時交付金の交付限度額は、都分が百三十八億円、特別区分が六百六十五億円、合計で八百三億円でございます。
 今回の補正予算では、追加で措置されました臨時交付金百三十八億円に加え、六月の補正予算で計上した事業の精査により生み出した財源八十三億円を活用することで、総額二百二十一億円の対策を講じております。
 精査を行った主な事業としては、特別高圧電力を利用する中小企業への支援や、医療機関等における物価高騰への支援などでございます。

○藤井委員 総額で二百二十一億円ということでございます。精査を行った内容としては、特別高圧電力を利用する中小企業への支援というのが主立ったところであるということでございます。
 本来であれば、予算というのは計画ですから、計画をしっかり見込んでつくるというのは大切なことだと思いますけれども、一方では、この予算を使い切る、必要もないのに使い切ってしまうというのは、それはそれでやっぱり、これはこれで問題だと思いますので、精査をして財源を生み出したということは、いいことなのではないのかなということを申し上げたいと思います。
 やはり、この国の財源、国の交付金だからといって、やっぱり他人のポケットのごとく、安易に無駄に使ってはいけないということは思うところであります。
 この補正予算の規模、八百三億円のうち、この特別区への六百六十五億円を除き、そして、六月の補正の精査分の八十三億円を加えますと、二百二十一億円というところであります。
 そのうち、いわゆるQRコードを活用した一〇%ポイント還元という事業が百億円ということでございまして、約半額というか、半数を占めるということになります。
 この事業そのものについては、他の委員会の所管ということになると思うんですけど、詳細に立ち入るということは避けたいと思いますが、この事業は、都民生活を下支えし、消費を喚起するということを目的としてやっているわけでありますけれども、どの程度の消費喚起効果が生み出されるのか。また、この百億円の規模感というのが正しいのかどうかということについては、いささか疑問に思うところもあるわけであります。
 このような新規事業も含めまして、今回の補正予算全体において、財務局として、どのような考え方で調整を行われたのかお伺いをしたいと存じます。

○遠松主計部長 今回の補正予算では、国の経済対策に基づき、臨時交付金が追加措置されたことを踏まえまして、物価高騰の影響を受ける都民、事業者への支援を実施することとしました。
 具体的には、これまで講じてきたエネルギー価格高騰等への対策を引き続き実施するとともに、国から示された推奨事業メニューを踏まえつつ、所管局と議論を重ね、都民生活を下支えし、消費を喚起するための新たな取組を講じることとしました。

○藤井委員 今ご答弁の中で国の推奨メニューというご答弁があったと思います。私、この例示についても拝見をさせていただいたんですけれども、その消費を下支えする取組として、例えばプレミアム商品券であったり、地域で使えるマイナポイントの交付といった等々の事例が挙げられているわけであります。ある意味、かなり自由度が高いともいえるわけであります。
 そうした中、QRコード決済に対するポイント還元事業を、予算の要求をされたのは産業労働局というところでありますけれども、その要求に対して、査定をされた、そして、認めたというのは財務局というところであります。
 百億円のうち、事務コストが九億円というお話、先ほどあったと思います。九十一億円が真水のポイント還元ということでございますが、一〇%の割合で返しますと、九百十億円の消費に対して対象となるということであります。
 結果、かなりの手数料がQRコード決済事業者さんに流れるということでございまして、例えば、現金商売を、現金で決済をされているようなお店さん、どうしても中小零細企業さんが多くなるということになろうかと思いますが、そうしたお店が受益のらち外に置かれてしまうというようなことでございます。こういう予算を要求したのは産業労働局でございますけれども、査定をされたのは財務局ということでございます。
 この国の補助金の目的というのは、まさに都民の生活、国民の生活を下支えする、消費の下支えをするという目的の下で、国庫補助金が出されているわけでございますが、そういった趣旨にも、いささか合わない部分も出てくるのかなと思うわけでありますけれども、財務局としてのご見解をお伺いしたいと思います。

○遠松主計部長 国の臨時交付金は、地方自治体が、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援を実施するために交付されるものでございまして、国が推奨する事業メニューとして、消費下支え等を通じた生活者支援も例示されております。
 暮らし向き向上緊急サポート事業については、都民生活の下支えや消費喚起による経済の活性化につながるものであり、事業効果を早期に都民に還元するという観点からも、交付金の趣旨に合致しております。
 こうした対策を通じ、都民生活や東京の経済を下支えする取組の強化を図ってまいります。

○藤井委員 今ご答弁の中にありました早期にという部分では、こういう紙のプレミアム商品券を出すよりは早いと。効果がより早く出るというのは、そのとおりだろうなと思うわけでありますけれども、一方で、この補助金は、物価高騰による、先ほど来ご議論にもありました、小中学校の給食費の値上がり分の支援、こういったものにも使えたものでありまして、この給食ということであれば、消費喚起にはつながらないかもしれませんが、少なくとも都民の生活を下支えするということには、まさにつながる使い道であるのかなとも思うわけであります。
 こういった大きな意味での補助金行政というか、プレミアム商品券だったり、ポイント還元といったものは、消費の先食いというようなことも指摘をされておりまして、これまでも、さんざんこういったことはやられてきたわけでありますけれども、長期的にはなかなか効果が見られなかったというような声もあるわけでございます。
 これは、あくまでも国の財源ということでありますが、都民からすれば、都税だろうが国税だろうが税金であることには変わりがないわけであります。関係のない話でありますので、こういった今回の財務局、他の所管ということでございますけれども、査定をされたという中で、やはりこの消費喚起に本当につながるのかと、あるいは特定の事業者に利益が偏ってしまうような、中立性を欠いたようなものにならないようなことも注意されながらの査定をされたというふうに思いますけれども、こういったことにも、今後とも気をつけていただいて、公正で合理的なそういった税金の使い道、予算の計画執行と、こういったものに努めていただきたいと思います。
 以上で私の質疑を終えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○林委員長 次に、議員提出議案第十五号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○和泉委員 議員提出議案第十五号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例の提案理由を説明させていただきます。
 本条例案は、二〇二三年十二月に支給される東京都議会議員の期末手当を前年度の支給割合に据え置く内容となっています。
 都議会議員の期末手当は、東京都議会議員の議員報酬及び費用弁償に関する条例にその規定がありますが、支給割合については、職員の給与に関する条例が規定する期末手当と勤勉手当の支給割合を合算した支給割合で支給することとされています。職員の期末手当の支給割合が上がれば、条例を変えなくても、連動して自動的に上がる仕組みになっています。
 今回も、引上げは勤勉手当部分となり、連動して議員の支給割合が引き上げられることとなりますが、議員の期末手当を職員の手当の支給割合に自動的に連動させる考え方は適切ではないと考えます。また、物価高騰が続く中で、都民の暮らしと営業には深刻な影響が出ていることなどを考え、議員の期末手当の引上げを行わず、現行の支給割合で据え置くことを提案するものです。
 影響額は、全体で約七百万円、役職などで違いはありますが、単純計算で議員一人当たり平均六万円弱となります。
 ぜひ、積極的な質疑を行っていただき、議員の皆さんのご賛同を心からお願いするものです。
 以上です。

○林委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十一分散会

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