財政委員会速記録第十六号

令和五年十二月四日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長林あきひろ君
副委員長清水やすこ君
副委員長和泉なおみ君
理事吉住はるお君
理事清水とし子君
理事慶野 信一君
かつまたさとし君
阿部祐美子君
長橋 桂一君
石川 良一君
藤井とものり君
菅野 弘一君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務五十嵐 律君
契約調整担当部長須藤  哲君
主計部長遠松 秀将君
調整担当部長佐伯  亮君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長金子 陽子君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
技術管理担当部長小林 秀行君
庁舎運営担当部長鈴木 光祐君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務井村  琢君
収用委員会事務局局長杉崎智恵子君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
報告事項(説明)
・令和五年度公金管理実績(上半期)
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・都立桐ヶ丘高等学校(五)改築及び改修工事請負契約
・都立城南職業能力開発センター大田校(五)改築工事請負契約
・都営住宅五H−一一六東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
・都営住宅五H−一〇一西(国立市北三丁目)工事請負契約
・東京消防庁国分寺消防署西元出張所(仮称)庁舎(五)改築工事その二請負契約
・晴海ふ頭客船受入施設(仮称)(五)改築工事請負契約
・当せん金付証票の発売について

○林委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承を願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の事務事業に対する質疑、財務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに会計管理局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、事務事業については、要求資料を含め、質疑をそれぞれ終了まで行い、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承を願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○有金管理部長 令和五年度公金管理実績の上半期分につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料第1号、令和五年度公金管理実績(上半期)の表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。
 初めに、1、全体でございます。
 令和五年度上半期の平均残高は六兆一千八百二十一億円で、対前年同期比三千四百四十一億円増加をしております。また、利回りは〇・〇三二%で、前年同期と比べ〇・〇〇一ポイント上昇しております。この結果、運用収入は十億二百九十七万円で、前年同期と比べ一億八百六十二万円増加をしております。
 次に、2、内訳でございます。
 まず、(1)の歳計現金等でございます。
 平均残高は一兆六千百五十六億円となっております。都税収入の増加等により、前年同期と比べ二千九百三十七億円増加をしております。また、利回りは〇・〇〇二%で、前年同期と比べ横ばいで推移をしております。この結果、運用収入は一千二百五十六万円で、前年同期と比べ二百五十九万円増加をしております。
 次に、(2)の基金でございます。
 平均残高は三兆六千八百四十五億円となっております。東京強靱(じん)化推進基金等の積立てにより、前年同期と比べ七百三十九億円増加をしております。また、利回りは〇・〇五二%で、債券割合の増加等により、前年同期と比べ〇・〇〇五ポイント上昇しております。この結果、運用収入は九億五千六百六十五万円で、前年同期と比べ一億四百五十二万円増加をしております。
 次に、(3)、準公営企業会計資金でございます。
 平均残高は八千八百二十億円となっております。病院会計の廃止に伴う資金の移管等により、前年同期と比べ二百三十五億円減少しております。一方、利回りは〇・〇〇八%で、定期性預金の金利の上昇により、前年同期と比べ〇・〇〇一ポイント上昇しております。この結果、運用収入は三千三百七十六万円で、前年同期と比べ百五十一万円増加をしております。
 二ページをお開きください。運用商品別内訳でございます。
 表頭の期中平均残高の構成比の欄をご覧ください。
 表側の一段目、歳計現金等及び三段目、準公営企業会計資金につきましては、預金が一〇〇%となっております。
 表側の二段目、基金につきましては、預金が七二・三%、債券が二七・六%、その他が〇・一%となっております。
 三ページをご覧ください。ここでは、平均残高及び利回り推移についてグラフでお示しをしております。
 四ページをお開きください。金融機関種別預金内訳でございます。
 表頭の期中平均残高のうち、構成比をご覧ください。
 表側の一段目、歳計現金等につきましては、都市銀行が一〇〇%となっております。
 表側の二段目、基金及び三段目の準公営企業会計資金につきましては、都市銀行、信託銀行、地方銀行等、外国銀行に、記載の割合で預金をしております。
 五ページをご覧ください。基金と準公営企業会計資金の金融機関種別預金内訳推移についてグラフでお示しをしております。
 六ページをお開きください。債券種別内訳でございます。
 保有がありますのは基金のみでございます。
 表頭の期中平均残高のうち、構成比をご覧ください。
 国債が四・〇%、地方債が三七・〇%、政府保証債が〇・七%、財投機関債等が四二・二%、金融債が一五・一%、外債が一・〇%となっております。
 このほか、参考として、八ページから一〇ページにかけまして、それぞれについて、第一・四半期及び第二・四半期の状況をお示ししております。
 最後に、公金管理につきましては、引き続き、安全性を最重要視し、流動性を十分に確保した上で、柔軟かつ効率的な保管、運用を行ってまいります。
 以上をもちまして報告事項の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

○林委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 ないようでしたら、資料要求はなしと確認をさせていただきます。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○林委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○林委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○五十嵐経理部長DX推進担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をご覧ください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のございました資料は、記載してございますとおり六件でございます。
 それでは一ページをお開き願います。要求資料第1号、第二次主要施設十か年維持更新計画の実績及び第三次主要施設十か年維持更新計画の進捗状況でございます。
 こちらは、平成二十七年度から令和六年度を計画年度とした第二次主要施設十か年維持更新計画における平成二十七年度から令和三年度までの概算事業費の実績と、令和四年度から令和十三年度までの十年間における第三次主要施設十か年維持更新計画の概算事業費を、一ページから二ページにかけてお示ししたものでございます。
 続きまして、三ページをお開き願います。要求資料第2号、各種基金の年度別推移でございます。
 こちらは、令和元年度から令和五年度までの五年間における各種基金の年度別推移を三ページから四ページにかけてお示ししたものでございます。
 五ページをお開き願います。要求資料第3号、財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積でございます。
 こちらは、平成三十年度から令和四年度までの五年間における財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積をお示ししたものでございます。
 六ページをお開き願います。要求資料第4号、財務局所管普通財産(土地)の活用実績(一般会計)でございます。
 こちらは、平成二十五年度から令和四年度までの十年間における財務局所管普通財産のうち、土地の活用実績をお示しするものでございます。
 七ページをお開き願います。要求資料第5号、都内の公契約条例等制定自治体でございます。
 こちらは、令和五年十月十九日現在における都内の公契約条例等を制定している自治体をお示ししたものでございます。
 八ページをお開き願います。要求資料第6号、省エネ・再エネ東京仕様の実績でございます。
 こちらは、平成三十年度から令和四年度までの五年間における財務局が施行する都有建築物の改築等のうち、改修及び解体を除く省エネ・再エネ東京仕様の導入実績をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○たきぐち委員 それでは、財務局の事務事業質疑に当たりまして、私からは、予算編成の取組について伺いたいというふうに思います。
 来年度の予算編成に当たりまして、現下の社会情勢に目を向けますと、昨日、知事がCOP28から帰国されましたけれども、世界的な気候変動の問題に加えて、国内では、少子化、自然災害の激甚化などに直面しておりまして、日本の成長を牽引する東京が取り組むべき課題は、まさに試練そのものであると感じます。
 三年数か月に及んだコロナ禍から脱し、社会経済活動は、本格的に再開しているものの、長引く原材料高、エネルギー高、そして物価高などは、都内の中小事業者や都民に大きな影響を及ぼしており、厳しい環境が続いています。先日も知事に緊急要望を出させていただきました。
 幸い、大企業を中心とした好調な企業収益を背景に、税収は堅調に推移しているところでありますけれども、新型コロナの感染拡大後の一年目は、約四千億円の減収となったほか、近年では、リーマンショックの際に、一兆円規模の減収も経験するなど、社会経済の動向によって、税収は大きく変動するところであります。
 今後の課題に着実に対応するためには、各事業の無駄を排除し、必要な施策に財源を振り分けるという、まさにワイズスペンディングの取組が不可欠であることは、言をまたないところであります。
 三定の我が会派の代表質問でも取り上げ、また、先日の財政委員会でも、都税調の報告の質疑の際にも申し上げましたが、都は、国によるいわゆる偏在措置によって、本来であれば、都民に使われるべき税金が国に奪われている状況であります。その減収額は、十五年間で七・九兆円に上り、今年度予算ベースでは、都民一人当たり換算九万円以上のマイナスとなっていることは、繰り返し申し上げているところであります。加えて、一部の知事から、さらなる偏在是正措置を求める声が上がっていることは、到底容認できるものではないと、このことも先日の委員会でも申し上げたところであります。
 こうした状況の中でも、しっかりと財源を確保し、都政の課題解決を着実に進めていかなければなりません。
 都は、予算編成の一環で、政策評価、事業評価を実施し、PDCAサイクルを徹底していると理解をしています。
 そこでまず、今年度、令和五年度予算編成における政策評価、事業評価の取組について、その成果とともに伺います。

○遠松主計部長 令和五年度予算編成では、無駄をなくす取組の徹底に加え、データ分析の強化や事業展開のスピードアップの検証など、政策評価、事業評価の取組を強化し、施策の効率性、実効性の向上に取り組みました。
 具体的には、政策評価について、教員の働き方改革など十一の事業ユニット、二十の成果指標を設定し、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえまして、施策全体の方向性の評価を行いました。
 評価に当たりましては、行政管理等の専門家から助言を受け、行政データの統計分析を行うなど、客観性を高めながら見直しを行うことで、既存事業四十一件の見直し、再構築や、十五件の新規事業の構築につなげました。
 また、事業評価では、終期が到来する事業の事後検証を徹底し、千二百七件の見直し、再構築を行い、千百四十一億円の財源を確保しました。
 加えて、事業の効果を早期に都民に還元する観点からも検証を行い、事業の早期着手や債務負担行為の活用に積極的に取り組むことで、事業執行の迅速化につなげております。

○たきぐち委員 五年度予算においても、前年度を上回る一千百四十一億円という一千億円を超える財源を確保したということであります。
 政策のマネジメントサイクルであるPDCAを働かせるために、必要性、効率性、有効性、そして、公平性という観点からの評価が重要であると考えています。
 また、事業を決定しても、執行開始までが遅いということは、知事が度々言及をされていたところでありますけれども、財源確保の観点だけではなく、事業展開のスピードアップを図る評価の取組を強化しているということでありました。
 こうした評価制度を着実に運用するとともに、適宜バージョンアップさせていかなければならないと考えますが、令和六年度予算編成における評価制度について、主な見直し内容について伺います。

○遠松主計部長 令和六年度予算編成では、都民サービスの最前線を担う政策連携団体の取組について、都庁グループ全体のアウトカムを重視したグループ連携事業評価を新たに導入します。
 具体的には、都と政策連携団体が協働で目指すべき目標を設定し、都の事業と団体の取組を一体的に評価することで、より成果重視の観点から、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフの向上につながる見直しを推進します。
 また、デジタル関連事業における事業評価では、デジタルサービス局と連携することで、プロジェクトの工程ごとの管理を適切に実施し、企画段階からユーザー目線で、政策サービスをつくり上げるデザイン思考を徹底するなど、品質確保、向上の視点からも検証を行います。
 こうした取組により、評価制度の充実を図り、施策の新陳代謝を一層高めてまいります。

○たきぐち委員 これまでの我が会派の要望によって、政策評価と事業評価の一体的な実施、政策評価におけるデータ分析の強化など、評価制度を充実させてこられたことは評価したいというふうに思います。
 加えて、グループ連携事業評価を新たに実施するということであります。縦割り行政の弊害をなくし、組織内、組織間で、協働することの必要性がいわれて久しいわけでありますけれども、デジタルサービス局や子供政策連携室など、局横断的に取り組むべきテーマの重要性が増している中で、都庁内組織間でしっかりと横串を刺すと同時に、今ご答弁がありましたようなDX施策におけるデジタルサービス局との連携や、環境、産業、福祉施策等々、所管局と政策連携団体の取組を一体的に評価することが重要であります。新たな取組によって、都民サービスが向上するような見直しが図られるよう要望しておきたいと思います。
 最後になりますが、これからいよいよ予算編成が本格化してまいります。令和六年度予算編成について、これまで以上に創意工夫を凝らし、ワイズスペンディングを徹底した予算案をつくり上げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○遠松主計部長 都は、社会保障関係経費や老朽化が進む社会資本ストックの維持更新経費の増加など、避けることのできない財政需要を抱えております。
 加えて、東京が、日本の成長、発展を牽引し、持続可能な都市へと発展するため、人が輝く、国際競争力の強化、安全・安心の確保の観点から、都市力を磨き抜く施策を積極的に展開していくことが求められております。
 限られた財源の中、こうした都政の諸課題に的確に対応していくためには、従来にも増して政策の課題や成果、事業の妥当性や有効性を根本に立ち返って検証し、施策の新陳代謝を高めていくことが重要であります。
 こうした考えの下、令和六年度予算編成では、事業実績が目標を大きく下回るものなど、さらなる見直しが必要な事業について、原則としてマイナス一〇%のシーリングを継続するほか、施策の効率性、実効性の向上に向け、評価制度の充実を図るなど、さらなる創意工夫を凝らすことで、ワイズスペンディングの取組を徹底してまいります。

○たきぐち委員 目まぐるしく変化する社会情勢の中で、課題に的確に対応していくためには、施策の新陳代謝を高め、必要な取組を大胆に進めていくことが必要であります。
 これまでも、例えば、私たちが提案をいたしました赤ちゃんファースト事業における十万円の出産支援は、今年から全国での十万円クーポン支給につながりましたし、また、今年度の新規事業である〇一八サポートや介護事業者への介護度改善報奨金制度、これ、ちょうど今日の新聞にも載っていましたけれども、都が先鞭をつけることで、国をリードしていく取組も求められてこようかと思います。我々も、引き続き、積極的に様々な提案をしてまいりたいと思います。
 また、一方で、事業実績が目標に達していないものについては、マイナス一〇%シーリングを継続するということでありますが、その事業の方向性は、都民ニーズと合致しているものの、申請方法が煩雑だったり、その対象設定や使い勝手が悪いなどで執行率が上がらないという例も散見されるところであります。評価制度の充実とともに、しっかりとそうした観点からの見直しにも、都として取り組んでいただきたいと思います。
 令和六年度予算は、要求段階で八兆四千億円と過去最高額ということでありますが、積極果敢に施策構築に取り組んでいるところであると認識をしております。
 これから本格化する予算編成においても、評価制度をはじめとするワイズスペンディングの取組を徹底することで、要求内容をしっかりと精査をし、未来への投資に、積極果敢に財源を振り向けていただくことを強く求めまして、質問を終わります。

○吉住委員 私は、まず、都有地について伺います。
 都有施設の維持更新に限らず、都政を取り巻く喫緊の課題の解決に当たって、都民から負託を受けた貴重な財産である都有地を最大限、効果的、効率的に活用していくことは重要だと考えています。
 そうした中、私の地元にある旧都立市ヶ谷商業高校は、平成二十年度末に閉校し、跡地には、いまだ校舎や体育館が残ったままですが、この土地や施設を、これまで新宿区が、建て替え中の小学校や保健センターの仮施設として有効に活用してきたところであり、都有財産をうまく地元の利用にも生かすことができた好事例だと思います。
 このように、地元区市町村のニーズにも合った形で都有地を有効に活用し、地域の課題を解決することができればよいのですが、そうではなく、次の利用が決まるまでの期間が空いてしまう土地もあるかと思います。
 そのような土地は、その間、有効に利用できるようにすることも重要だと考えますが、見解を伺います。

○小泉財産運用部長 都や地元区市町村による本格的な行政利用までの間も、都有地を可能な限り活用することは重要でございます。
 このため、財務局では、所管する土地のうち、次の行政利用までに一定の期間がある土地などについては、地域課題の解決に向けた地元の意向なども踏まえながら、公共工事の資材置場などで事業者へ一時的に貸し付けるなど、活用を図っております。

○吉住委員 ところで、未利用となっている都有地について、その情報を知りたいと思い、財務局のホームページを見たところ、都有地活用推進本部のページで、区市町村に情報提供した都有地がリストアップされ、公開されていました。このリストは、もともと都内における保育所の整備を都有地の活用によって支援するという目的の下、作成され、区市町村に情報提供を行い、あわせて、ホームページにも掲載してきたものだと思います。
 このリストを見ると、対象となる土地は、現段階で具体的な活用や処分が決まっていない百平方メートル以上の土地とのことであり、今年の八月三日現在、財務局だけではなく、公営企業局も含む各局の合計百八十五件の都有地が載っています。
 さきの答弁で、次の行政利用までに一定の期間がある土地などについては、地域の公共工事の資材置場などの公共的利用で事業者へ一時的に貸し付けているとのことでしたが、私としては、このリストを有効に活用し、このような利用も積極的に進めることは、地域課題の解決にも役立つと考えますが、見解を伺います。

○小泉財産運用部長 理事ご指摘のとおり、都有地活用推進本部としてホームページに公開されているリストは、保育所等の整備をはじめ、都と区市町村が連携して取り組む広域的な行政課題等の解決に資するため、区市町村に情報提供しているものでございますが、これまでにも、このリストに掲載されている土地について、保育所以外での利用意向が寄せられた際には、土地を所管している各局を通じて適切に対応してまいりました。
 一方、都有地の有効活用の観点からは、公共工事の資材置場など事業者による一時的な公共用途での利用についても可能な限り行っていくことが重要と認識しておりまして、その上で、情報提供の方法などについても、利用する側の目線に立った配慮を一層図っていく必要があると考えてございます。
 このため、ホームページにおける表記の工夫も含め、分かりやすい情報提供に向けた改善を今後も引き続き行っていくことで、利用者の利便性を高め、都有地の活用による地域課題の解決につなげてまいります。

○吉住委員 最初に述べたように、都政の課題の解決に当たって、都有地を最大限、効果的、効率的に活用していくことは重要だと考えます。しかしながら、都政の課題のみならず、地域の課題に対して、都有地を有効に活用するという観点もしっかり持つべきだと私は考えます。
 今後とも、財務局には、都有地の有効活用を通じて、地域の様々な課題解決に向けた取組への支援、協力に努めてもらいたいと申し上げて、次の質問に移ります。
 労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制が見直され、平成三十一年四月から施行されています。建設業においては、適用が五年間猶予されていましたが、来年四月から適用されることになります。都としても、公共工事の発注者の立場から、この猶予期間に取組を進めてきたと思います。
 建設業の現状については、国の資料によると、他の産業に比べて、年間の総実労働時間が長く、休日の取得も少ないということです。また、就業者数の推移は減少しており、高齢化が進行している状況です。
 建設業は、都民生活や社会資本を整備する公共工事の担い手として重要な役割を果たしています。
 こうした建設業を将来にわたり持続可能とするために、公共工事の発注者として、担い手確保に向けた働きやすい環境づくりといった働き方改革に取り組んでいくことが重要ですが、これまでの財務局における取組について伺います。

○小林技術管理担当部長 公共工事の発注者として、担い手確保に向けた働きやすい環境づくりは重要でございます。
 このため、工事の発注に当たりましては、工事に直接必要な日数のほか、施工条件等を考慮した日数を加え、適切な工期を設定するとともに、工事の分散化を図るため、施工時期の平準化に取り組んでいます。
 また、工事現場の生産性を高めるため、工事関係書類の提出等をインターネット上で行う情報共有システムの活用などを進めております。

○吉住委員 財務局において、様々なことに取り組んでいることが分かりました。
 建設業の働き方改革を推進していくためには、デジタル技術の活用により、工事現場の生産性を高めることが重要と考えます。
 発注者として、デジタル技術の活用に一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○小林技術管理担当部長 工事現場において、デジタル技術の活用により生産性を高めることは、工事受注者の負担軽減につながり、建設業の働き方改革を推進する上で重要でございます。
 財務局では、令和四年度から、一部の工事においてウエアラブルカメラ等を活用し、工事の各種確認行為をリモートで行う遠隔臨場を進めております。
 今後、導入効果の検証や受注者の意向を踏まえ、対象工事の拡大に取り組んでまいります。
 引き続き、デジタル技術の活用を推進し、建設業の働き方改革を後押ししてまいります。

○吉住委員 リモートで工事現場の確認を行う遠隔臨場の対象工事を拡大していくとのことでした。工事現場の生産性を高めるためには、このようなデジタル技術の活用は大変重要だと考えます。
 しかし、一方で、工事受注者の中には、遠隔臨場の経験の有無だけではなく、進展するデジタル技術への対応力に差があることも事実だと思います。
 デジタル技術の活用に当たっては、受注者の意向に十分に配慮した丁寧な対応をお願いして、私の質問を終わります。

○かつまた委員 私からは、未利用都有地について質問させていただきます。
 都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産であり、都民の暮らしを支える都有施設はもとより、都民生活向上のために最大限に活用されるべきであります。
 都の財務局では、各局において行政目的を終えた土地を引き継ぎ、普通財産として未利用の状態で管理していると聞いております。
 財務局が所管する普通財産の土地のうち、未利用地となっているものはどの程度あるのかお伺いをいたします。

○小泉財産運用部長 未利用都有地とは、財務局所管の普通財産のうち、現に各局における行政的な利用に供していない土地でございまして、明治、大正時代から借地権等が設定されており、事実上、都が利用することが困難な長期の貸付財産や島しょ地域の緑地など保有すること自体を目的とする土地等を除いたものでございます。
 こうした財務局所管の未利用都有地は、令和五年三月末現在、合計で二百九十五件、面積は約百七十七ヘクタールとなってございます。

○かつまた委員 ただいまの答弁で、財務局では二百九十五件、約百七十七ヘクタールの土地を管理していることが確認できました。
 これらの土地を今後いかに有効に活用していくかということが大変重要な課題であります。
 こうした未利用地の活用について、財務局ではどのような取組を行っているのかお伺いをいたします。

○小泉財産運用部長 庁内各局における行政利用を終えて財務局に引き継がれた土地につきましては、まず、都の行政施策における利活用を検討するため、庁内各局に利用意向を照会いたします。
 照会の結果、庁内に具体的な利用計画がある場合には、当該利用局に所管換えを行い、引き続き行政利用に供します。
 庁内での利用見込みがない場合には、地元区市町村に情報提供を行いまして、公用、公共用途での活用意向を確認いたします。
 こうした取組により、土地の立地や形状を踏まえた効果的な都有地の利活用を推進しております。

○かつまた委員 未利用地は都有地であるので、都として活用をまず考えるのは当然のことであるというふうに考えますが、都として行政利用しない場合は、地元区市町村に情報提供をして、活用意向を確認しているということを理解させていただきました。
 都内の各地域には、それぞれ様々な課題があると思いますが、その解決には、都の協力も得ながら、地域の区市町村が主体的に取り組むことが重要であり、そうした取組の中で、区市町村自らが都有地を取得して、活用を図るというケースもあるのではないかというふうに考えます。
 そこで、財務局に引き継がれた土地のうち、行政利用の用途で区市町村が取得して地域の課題解決に役立たせようとした例について、直近三年の状況をお伺いいたします。

○小泉財産運用部長 財務局が庁内各局から引き継いだ土地のうち、令和二年度は五件、三年度は七件、四年度は六件を区市町村に売却してございます。
 これらの売却された土地につきましては、公園用地や学校用地のほか、区役所の建て替え用地や図書館等複合施設の建設用地など、地域の行政ニーズを踏まえた用途で有効に活用していただいております。
 今後とも、庁内における利活用が見込まれない都有地につきましては、地元区市町村の意向を踏まえまして、連携しながら地域の課題解決に向けて有効に活用してまいります。

○かつまた委員 都として行政利用しない場合でも、地元区市町村に活用の意向があれば、地域の課題解決に向けて有効に活用されていることであり、今後も、こうした取組をさらに進めていただきたいと考えます。
 しかし、そうした上でもニーズがない場合や、利用に制約があるなどの事情により、行政利用が難しいケースなどがあると思います。
 都や地元区市町村の行政利用が見込まれない場合、民間の利用にも供することができるような取組が必要であるというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。

○小泉財産運用部長 都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産でございまして、可能な限り活用を図りながら、財産価値の最大化を図っていくことが重要でございます。
 一方で、庁内における行政利用がなく、情報提供を行った地元区市町村からも行政利用の意向が示されず、その時点で、都として公用、公共用途での活用見込みがないと判断した場合には、将来の活用可能性も検討の上、一般競争入札などによる民間への貸付けや売却を行っております。

○かつまた委員 今、都や区市町村で行政利用しない土地は、民間への貸付けや売却を行っているというご答弁がありましたが、どのような考えに基づき、民間への貸付けや売却を進めているのか、見解をお伺いいたします。

○小泉財産運用部長 次の行政利用までに一定の期間がある土地については、民間に対して期間を区切って貸付けを行うなどの活用を図っております。
 貸し付けた都有地は、時間貸し駐車場等の様々な用途で利用されており、昨年度は延べ八十一件、契約金額では約二億二千六百万円となってございます。
 また、将来的にも行政用途での活用が見込まれない土地のうち、狭小地や不整形地などについては、隣接地権者に売却交渉をするほか、宅地等として活用可能な土地につきましては、一般競争入札を行っておりまして、昨年度は十二件、約二億百万円の売却を行ってございます。
 役割を終えて財務局に引き継がれた土地につきましては、本来の目的である行政利用としての活用のみならず、将来の行政需要を見極めながら、民間の暫定的な利用も含め、有効活用を図っております。

○かつまた委員 都として利用予定のない土地のうち、可能なものは貸付けや売却を行い、収入にもつなげていることで、都財政にも貢献していることを理解いたしました。
 冒頭にも述べましたとおり、私は、都有地は、都民生活向上のために最大限活用されるべきものと考えております。したがって、民間の活用なども含め、少しでも活用を進めることが都有地の価値を高めるという点で有効であることから、今後とも、果断な努力で有効活用に努めていただきたいことを最後に要望しまして、質問を終わります。

○和泉委員 日本共産党都議団の和泉なおみです。
 日本共産党は、昨年の第三回定例会の代表質問において、都の工事請負契約のスライド条項について、短期間で資材の値上げが繰り返されている下で、契約締結後九か月経過しないと、資材の物価上昇におけるスライド請求ができない、その仕組みを改めるよう求めました。
 その後、都は、同年十二月二十八日に、賃金上昇がなくても、資材の値上げに即応してスライド請求ができるよう、インフレスライドの運用を変更するとともに、変更の発表をして、今年一月十六日以降の運用以降、この運用に基づくスライド請求ができるようになりました。これは、非常に重要な変更だったというふうに思います。
 そこで伺いますが、スライド条項の制度の変更後、インフレスライドの請求件数について、今年度の上半期と昨年度の上半期の実績を教えてください。

○須藤契約調整担当部長 インフレスライドの請求件数でございますが、令和五年度上半期は、速報値で百五十五件、令和四年度上半期は百十二件でございます。

○和泉委員 上半期の比較で、前年度上半期よりも増えているということが分かりました。
 この運用の変更によって、実勢価格に見合った契約金額の変更が行われているかどうかということも大事だと思いますが、インフレスライド条項に基づいて契約金額の変更が行われる場合に、一%以上の変更があるかどうか、これは何を基準にして算出をし、判断するんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 インフレスライドは、残工期が二か月以上ある工事を対象としておりまして、残工事部分の工事費が一%を超えて変動した場合に適用しております。
 変動後の残工事費につきましては、労務費や資材価格等の単価を受発注者の協議により定めた時点の最新単価に入れ替えて算出し、その差額が一%を超えて変動しているか判断しております。

○和泉委員 賃金については、年一回、設計労務単価が見直されていますけれども、資材については、経済調査会、建設物価調査会、ここが、月ごとに各資材の取引の実態に即して、資材ごとの価格の動向を公表していて、スライド請求があったら、その価格に基づいて最新単価で算出をし、判断しているということだというふうに思います。
 ところが、現場からは、実際の契約の金額との間に差があり、結局、その差額を受注者が持たざるを得ないという話が聞かれます。
 厳しい物価高騰の中で、都の仕事を請け負っている事業者にしわ寄せが行くようなことがあってはならないと考えますが、都の認識と対応について伺います。

○須藤契約調整担当部長 スライド額の積算に当たりましては、可能な限り実勢を反映することが重要であり、賃金の支払い実態調査を基にした国の労務単価や市場動向を反映した最新の資材単価等に基づき積算を行っております。
 急激な物価高騰に対応するために、これまでもインフレスライド条項や単品スライド条項の見直しを行ってきておりまして、こうした制度を適切に運用しながら、今後とも発注者としての責務を果たしてまいります。

○和泉委員 インフレスライドは、もともと賃金水準の上昇が生じた場合に契約内容を変更できるようにつくられていました。けれども、資材の値上がりが短期間に繰り返されている下で、資材の上昇分も含めて速やかにスライド請求できるように改めたものです。可能な限り実勢を反映することが重要だという認識の下で運用を変えたわけです。発注者の責務を果たしていくという都の姿勢の表れであり、大事な答弁だというふうに思います。
 また、インフレスライドが、そもそも賃金水準の動向を契約金額に反映するようにする仕組みとして運用されてきた点も重要です。賃金水準の適切な反映もまた、発注者の責務であると認識をされているというふうに受け止めました。
 そこを押さえた上で、都の契約制度についてお聞きしたいと思います。
 ダンピングや契約不履行の防止など、都の入札方式の改革の課題について、都はどのように取り組んでいるんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 契約の適切な履行の実現に向け、過度な低価格での契約を防止し、品質確保に取り組むことは重要であると認識しております。
 都におきましては、工事請負契約などにおいて、最低制限価格制度や低入札価格調査制度等を導入し、ダンピング受注の防止を図っております。

○和泉委員 工事請負契約などでは、最低制限価格制度、低入札価格調査等を導入して、ダンピングの受注の防止を図っているということでした。
 業務委託には、工事の基準単価のような基準がありません。こうした事業の積算は、どのような考え方に基づいて行われているのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 業務委託契約の品質確保のためには、業務の履行を担保する適切な予定価格の設定が重要であり、種類や内容が多岐にわたっております業務委託におきましては、各案件の性質に応じ、実勢を踏まえて予定価格の設定を適切に行っております。

○和泉委員 業務委託契約の品質確保のために、適切な予定価格の設定が必要だという認識が示されました。そのこと自体は重要です。
 しかし、そうした手だてだけで、契約の品質確保が本当にできているかという問題があると思います。
 地方自治法では、行政が行う契約について、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売りの方法により締結するものとなっています。
 競争入札においては、総合評価方式という手法で行われることがありますが、この総合評価方式とはどのようなものでしょうか。ご説明ください。

○須藤契約調整担当部長 総合評価方式は、原則として価格競争によることとされている地方公共団体の入札の例外として、価格点と技術点を総合的に評価するものでございまして、都におきましては、確実な履行や品質の確保が特に必要な案件に導入しております。
 価格点と技術点は、原則として、工事では一対一、業務委託では一対二の比率で設定しており、技術点につきまして、技術者の資格や過去の実績など企業の技術力に加え、障害者雇用や災害協定の締結実績など企業の社会性、信頼性についても評価項目に設定しております。

○和泉委員 工事で総合評価方式を取る場合には、価格点と技術点が一対一、業務委託では一対二の割合で、技術点の方を重視しているという答弁です。やはり、様々な観点から評価を行わなければいけない業務委託契約においては、総合評価で技術点の占める割合が高くなっている。
 加えてお聞きしますけれども、都では、一定規模以上の予定価格の案件については財務局契約とし、それ以下の案件については各局契約となっています。
 入札契約制度全般について、各局の契約となる場合であっても、全庁的に同様の対応がなされるようにすることが重要だと思いますが、都の認識を伺います。

○須藤契約調整担当部長 公平性、公正性の確保の観点からは、庁内において、入札契約制度の統一的な運用がなされることが重要と認識しております。
 業務委託契約等につきましては、これまで総合評価方式や企画提案方式に係る手引や仕様書作成の際に参考となるモデル例文集及び参考仕様書等の策定、周知を通じ、適切な事務処理が図られるよう取り組んでおります。

○和泉委員 公平性、公正性の確保の観点からは、庁内において、制度の統一的な運用がされることが重要だと認識をされていて、そして、業務委託契約等については、総合評価方式についても手引などを作成しているということです。
 一つ前の質問で、総合評価方式において、確実な履行、品質の確保のために、価格点だけではなく技術点も評価する、その技術点について、企業の社会性、信頼性についても評価するというのは重要な点だというふうに思いますが、どのような基準で、社会性、信頼性、これを評価するんでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 総合評価方式における社会性、信頼性につきましては、障害者雇用や災害協定締結の実績などに加え、東京都女性活躍推進大賞の表彰を受けていることなど、都が推進する施策に自発的に取り組む事業者について、認定、認証の有無などを確認し、評価しております。

○和泉委員 今ご答弁いただいたような評価は大変重要だというふうに思います。同時に、社会性、信頼性の判断基準は、そこで働く人たちについて、そもそも労働基準法に定める最低基準が守られているかどうかという基本的な観点も加える必要があるというふうに思います。
 例えば、主税局の所管である都税事務所の収納、証明書手数料徴収事務、これを受託している企業が、就業規則未作成の疑い、さらには、仕様書に記載されている適正な業務を行うための手引書の作成、提出もされていなかったことを今年三月の本委員会で池川議員が明らかにしました。雇用契約書が未交付であったことも分かっています。そして、この事業者は、都立学校の給食についても受託をしていましたが、今年四月の受託開始以降、一度も給食を提供していなかったということが分かり、競争入札参加禁止になっています。
 法令を遵守しない、そもそも受託業務を履行しない、このような事業者が、複数の所管局で業務を委託していたわけです。都政の信頼を著しく損なう事態だというふうに思います。
 工事のように基準単価の設定が明確でない業務委託契約において、それぞれの事業が適切に行われるためには、総合評価方式を積極的に活用するべきだと思います。財務局として、仕様書作成など業務上の援助だけでなく、各局が同方式をより積極的に活用できるようなイニシアチブの発揮を求めるものです。
 あわせて、社会性、信頼性の判断基準は、そこで働く人たちに対する責任を果たしているか、労働基準法に定める最低基準が守られているかどうか、これも評価できる仕組みの構築を求めておきます。
 都の事業に必要なものを民間の事業者から購入することや、工事や事業を行わせ、それに対して報酬を払うという双務関係になるものは、物品の購入であれ、工事請負契約、業務委託契約であれ、公共調達を図るための行政契約です。
 公共調達は、障害者雇用、賃金や労働条件、環境への配慮など、社会的な責任に対する配慮が求められると考えますが、都の認識と今年度の取組について伺います。

○須藤契約調整担当部長 都は、先ほどご答弁申し上げました総合評価方式におきまして、企業の技術力に加え、障害者雇用や環境配慮など、各局が推進する施策に自発的に取り組む事業者について評価し、加点しております。
 また、SDGsの目線で政策を展開するという「未来の東京」戦略の方向性を踏まえた調達に係る指針を新たに策定することを目的といたしまして、本年二月に社会的責任に配慮した調達に係る有識者会議を設置し、現在検討を進めております。

○和泉委員 社会的責任を都が発注者として果たしていく、そのことは、受注する企業だけではなく、都にも求められている基本的な姿勢だというふうに思います。
 正当な賃金などを積算した予定価格を設定しても、その賃金が支払われる仕組みになっていない、むしろその人件費を削減することで受託企業の利益が生み出されるという構造が一方にあります。
 都は、賃金水準や労働条件の保障についてどのような認識を持っているでしょうか。
 あわせて、公共工事や委託事業に従事する労働者に適正な労働条件を確保する目的で、公契約条例を制定する自治体がありますが、都は、公契約条例についてどのような認識を持っているでしょうか、併せて伺います。

○須藤契約調整担当部長 賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などの労働関係法令による下支えの上で、各企業において対等な労使間での交渉により、自主的に決定されるべきものと認識しております。
 都の契約制度も、そうした考え方に立脚しておりまして、公契約条例により労働報酬下限額を定めることにつきましては、労働関係法令との整合や入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保などから、課題があるものと認識しております。

○和泉委員 確かに労働基準法は、民法の契約の自由の原則を踏まえて、第二条に、労働条件は使用者と労働者が対等の立場において決定すべきものと書かれています。
 けれども、実際には、使用者と労働者では、経済的にも、社会的にも、賃金を払う側の使用者が圧倒的に有利であり、答弁されたような対等な労使間の交渉により、自主的に賃金や労働条件を決定するのは極めて困難です。そのために、労働基準法は、守らなければいけない最低限度の基準を設けた。本来であれば、民法の契約自由の原則にのっとれば、お互いの自由意思に基づいて、契約の中身も自由に決めていい、けれども、それでは労働者を守れないから、労働基準法が最低基準を定めているんです。
 いまだこの最低限の労働基準すら守っていない民間事業者も少なくありません。そして、そういう事業者が、都の公共調達に入ってきている事例があるということは、先ほど述べたとおりです。
 さらに、建築工事は、下請重層構造の中でさや抜きが行われ、末端の建築労働者の工賃が低くなってしまう状況があるということも先ほど述べました。
 公共調達において、適正な賃金水準や労働条件、良好な労働環境が、価格算定や評価の仕組みに反映をされて、それが一番末端の労働者まで徹底して行き渡るよう、契約金額を積算する仕組みとして公契約条例があるんです。
 都の事業に関わって働く人たちに、生活の必要を満たす賃金が行き渡ること、労働条件の法令遵守がされている下で、より良好な労働環境が確保されることは、都民に提供する行政サービスの質に直結します。この観点からも、都の発注者としての責任、社会的責任が問われていると考えます。
 改めて、公契約条例について導入に向け真剣な検討を行うことを求めて、私の質疑を終わります。

○藤井委員 私からは、財政運営についてお伺いをいたします。
 先日、十一月八日に、令和六年度の予算要求の状況が発表されました。これらは、各局からの要求段階のものでありますが、過去最大であった令和五年度当初予算八兆円と比べまして、四千二十三億円増えているということであります。昨年も過去最大の歳出予算であったわけでありますけれども、今年は、さらに四千億円余の金額が膨れ上がったというわけでございます。
 これは、以前から私も不思議だったんですけれども、これは都庁だけの話ではなくて、一般の市区町村でもそうだと思うんですが、まず、支出ありきと、そして、各局に要求させて、支出額から、支出の方から固めていくと。その後に税収があって、足りなければ、起債等々をしてファイナンスをするというような行政の考え方だと思います。
 一方で、民間企業なんかですと、まず、売上収入があって、原価があって、販管費があって、そして、法人税も払ってということで、まず、収入があって、次に支出を考えるという順番だと思うので、ある意味、真逆な予算の考え方なのかなというふうに見ているわけであります。
 今回、予算関係についてお伺いをしていきたいと思うわけでありますけれども、まず、令和六年度の予算要求の内容についてお伺いをいたします。
 過去最大の令和五年度から、先ほども申し上げましたけど、四千二十三億円増えたということになるわけでありますけれども、このような各局からの要求に対して、今後の予算編成に向けて、財務局は、どのような方針で臨んでいかれるおつもりなのか、また、今、持っておられる問題意識等々ございましたら、まず、ご答弁をいただきたいと思います。

○遠松主計部長 各局からの予算要求を取りまとめた結果、令和六年度の一般会計予算要求の総額は、前年度当初予算と比較して四千二十三億円増の八兆四千四百三十三億円となっております。
 この要求総額は、各局が予算見積りの依命通達に基づき、都政の諸課題解決に向け、積極的な施策構築を図ったほか、物価高騰等による影響を反映した結果であると認識しております。
 今後、一つ一つの事業について各局と議論を重ね、社会的要請や事業の必要性はもとより、有効性や費用対効果など様々な角度から検証を行い、明るい未来の東京の実現に向け、必要となる予算を適切に計上してまいります。

○藤井委員 物価高騰等々というご説明があったと思います。この間も、国もそうだと思うんですけれども、好調な企業業績に基づく税収が増えていくという中で、大盤振る舞いといったらあれですけど、かなり大きな予算がつくられてきたわけであります。
 今後、やっぱり税収がどうなっていくか見えないというのは現実としてあろうかと思います。財務局としては、決して手綱を緩めることなく、都が、中長期的に将来に向けて持続可能な財政運営を行っていけるように、令和六年度の予算を編成していただきたいなと思うわけであります。
 そこで、都は、そうした持続可能な財政運営を進めるため、予算編成において、どのような工夫を行っておられるのか、編成の流れを含めましてお伺いをいたします。

○遠松主計部長 都の予算編成は、予算見積り方針の通達に始まり、各局からの予算要求、財務局による調整、知事査定などを経まして、予算案を発表しております。
 令和六年度予算編成におきましても、各局の方には、予算見積り方針という通達を出しておりまして、そういった中で、要求段階の取組といたしまして、原則ゼロシーリングを継続する一方、「未来の東京」戦略に係る新規事業や物価高騰による所要額などについては、シーリング対象外としております。
 加えて、無駄をなくす取組を一層強化する観点から、見直しが必要な事業については、原則マイナス一〇%シーリングを設定しております。
 また、予算編成過程におきまして、多面的な検証を行う取組として、一つ一つの事業を検証し、効率性、実効性を向上させる事業評価と、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえ、施策全体の方向性を評価する政策評価を一体的に実施するなど、施策の新陳代謝を高め、無駄をなくす取組を徹底しております。
 こうした取組を通じまして、めり張りをつけた予算編成を行ってまいります。

○藤井委員 ぜひ、今、答弁あったとおり、めり張りのある予算をつくっていっていただきたいなと思います。
 やはり、過去にも、バブルが崩壊をしたり、リーマンショックを経験したり、そして、コロナ禍における厳しい財政運営を強いられたりということでございまして、こういったことは、予算をつくっていく中の工夫というのは、生かされてきたのかなと思っているわけであります。
 この財政規律を守るために大切なこと、ぜひ、今年の予算でも、磨きをかけていただきたいなと思います。
 コロナは、我々にとってまさに未曽有の事態であったわけでありますけれども、都は、コロナへの対策について、これまでトータルで七兆円を超える金額のお金をかけてきており、都の財政に与えた影響は甚大であったと思います。
 コロナ対策費は、この間どのように推移をされてきたのか、また、財源については、どれだけの国費で賄われてきたのか、その内訳についてお伺いをいたしたいと思います。

○遠松主計部長 新型コロナウイルス感染症対策経費につきましては、一般会計決算ベースで、令和元年度は三百九十六億円、二年度は一兆七千四百六億円、三年度は二兆五千六百二十八億円、四年度は一兆一千二百四十九億円となっております。
 コロナ発生当初は、国による財政支援がない中、都の財源を活用することで全国に先駆けて対策を講じてきました。
 その後も、感染の波が続く中、全国共通で行うべき取組については、国に対して財源措置を求める要望を行い、国からの財源をしっかりと確保しました。
 その結果、国からの財源の比率は、令和元年度は六%、二年度は四五%、三年度は八四%、四年度は七一%となっております。

○藤井委員 コロナの対策経費は、国の財政支援が出るようになってからは、国の交付金を活用しながら対応をされたということであります。
 都が独自のコロナ対策を打ち出していく中では、これまでに積み立ててきた財政調整基金が果たしてきた役割が大きかったと存じます。
 そこで、財政調整基金についてお伺いをいたします。
 この財調基金は、コロナ対策を通じて、一時的にはかなり減少したわけでありますけれども、コロナ前、コロナ後を通じ、どのような推移をたどってきたのかお伺いをいたします。

○遠松主計部長 財政調整基金の残高については、税収の増加局面での継続的な積立てなどにより、令和元年度末には九千三百四十五億円でございました。
 令和二年度は、感染拡大防止協力金を全国に先駆けて創設するなど、突発的な財政需要に機動的に対応するために活用し、年度末の残高は五千三百二十七億円となりました。
 令和三年度以降も、ワクチン接種の促進などの感染拡大を阻止する取組や中小企業者等への給付金などに活用し、一時は残高見込みが二十一億円まで減少したものの、その後の税収増に伴う積立てなどにより、四年度末残高は六千四百九十八億円となりました。
 今年度も、五類移行後の対応方針に基づき、平時の医療体制への円滑な移行や感染拡大時に機動的に対応できる体制の確保に活用しておりまして、年度末残高は五千八百四十一億円を見込んでおります。

○藤井委員 財調基金、一時的に底をつきかけて、その後の財政運営が懸念される場面もあったと思いますけれども、現在は六千億円まで回復をしているということであります。
 いうまでもありませんけれども、都の税収は、景気変動の影響を受けやすく、都は、過去にも何度も税収が大きく減少する局面を経験しているわけであります。将来起こり得るかもしれない、そうした突発的な事態に対処するために、しっかりと財調基金の残高を確保すべきだというふうに考えるわけであります。
 こうしたコロナ禍のような突発的な事態に対応するために必要な財政調整基金の適正額は幾らなのかについて都の見解をお伺いいたします。

○遠松主計部長 都は、景気動向の影響を受けやすい不安定な歳入構造にあることに加え、地方交付税の不交付団体でもあることから、突発的な財政需要の発生や税収減のリスクへの備えとして、財政調整基金は、都財政において重要な役割を担っております。
 刻一刻と変化する社会情勢、先行きが不透明な景気の動向、いつ起こるとも知れない自然災害など、都を取り巻く環境を踏まえますと、基金残高の適正水準を具体的に設定するということは困難でございますが、令和五年度末の基金残高見込額は、リーマンショック前とほぼ同水準の五千八百四十一億円であり、一定の残高を確保しているものと認識しております。

○藤井委員 コロナやリーマンショックといった想定できない事態が、いつどれだけの規模で起こるのかというのは、まさに想定できないというような答弁で、具体的な額は分からないということでありましたが、そうであるからこそ、中長期的な財政見通しをしっかり持って、財政運営のかじ取りを行っていただきたいなと思います。
 東京都は、私たちの会派の要望に基づきまして、令和元年に、財政収支の長期推計というものを発表されておられるわけでありますが、これは、コロナ前のものでありまして、そこでは、たしかそれなりに努力をすれば、何とか都財政、健全に維持できるというようなシナリオが示されていたと思います。
 長期推計につきましては、策定の当時と状況がかなり変わっております。例えば、出生率、出生数がかなり減少しているわけでありまして、それによって、医療費、介護費、福祉費などに影響を与えるのは必然であろうかと思います。
 改めて推計を見直す必要があると思いますけれども、都の見解を伺いたいと存じます。

○遠松主計部長 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しに基づいた財政運営を行っていくため、令和元年度に推計したものでございます。
 推計に当たりましては、生産年齢人口の減少や老年人口の増加などを踏まえた上で、経済成長率について一定の前提を置きシミュレーションを行っておりまして、今後の財政運営において、基金残高の確保や施策による成長が財源を生む好循環が大切であることなどが示されております。
 このように、この推計は、中長期的なトレンドを把握することを目的に行ったものであり、大きなトレンドが変わっていない中、各年度の推計値と乖離があることをもって直ちに見直すべきものとは考えてはおりません。
 今後とも、本推計の結果を踏まえつつ、社会情勢の変化等も注視しながら、計画的かつ戦略的な財政運営を行ってまいります。

○藤井委員 トレンドは変わっていないというご答弁でありましたけれども、例えば、出生率なんかも一・二だったものが、今、一・〇二まで下がってございますので、かなり状況は変わっていると思いますので、ぜひ今後とも、この推計については再検討をしていただきたいなということ、これは改めての要望とさせていただきたいと思います。
 先ほど言及をいたしました社会保障費とともに、都にとっての一番の支出を増やす要因の一つが、公共施設の改修、改築経費があろうかと思います。
 社会資本ストックの維持更新経費として、今後三十年間で三・九兆円のコストが増加するという試算をかつて都は公表されていると思います。昨今の物価高の影響を踏まえますと、その費用は、さらにかなり高騰しているというふうに想像されるところであります。
 そのほかにも、コロナや災害対応、未曽有の少子化の進行など、まさに課題は山積みになっておりまして、それらがいつ潮目が変わるか分からないというのが、私の認識でもあるわけであります。
 一方で、円安によるメーカーを中心とした財務状況の改善、空前のインバウンド需要等々により、税収は好調であり、それらに支えられた今は、まさに都財政は健全に維持をされているというふうに思うわけでありますが、一方では、いつ国による財源の収奪が行われるとも限らないというわけであります。
 これ、繰り返しになりますけれども、法人関係の税収に依存する都財政は、景気に左右をされやすいということでありますので、ぜひ、だからこその健全財政を維持していただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 これは、子育て施策を中心に、ややもすると、この都財政というひもが緩んでしまっているようにも映ってしまうような面もあろうかと思います。この豊かな税収に甘え、そして、必要な歳出削減に対する改革を怠ることなく、しっかりと、都として、今後とも努力をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 これから、六年度の予算編成も佳境を迎えていかれると思います。中長期的な財政運営の視点を持った上で、六年度予算編成に取り組んでいただきたいと思いますが、最後に、都の決意を伺い、質問を終わらせていただきます。

○遠松主計部長 都は、老朽化する社会資本ストックの維持更新など、避けることができない財政需要への対応に加え、一人一人が輝く明るい未来の東京の実現に向けた取組を積極的に推し進めていかなければなりません。
 都政の諸課題の解決に向けまして、各局の施策展開を財政面から下支えしていくためには、将来に向け、強固な財政基盤を堅持していくことが不可欠であります。
 こうした考えの下、令和六年度予算編成に当たりましては、無駄をなくす取組を徹底するとともに、評価制度のさらなる充実を図ることで、施策の効率性、実効性を一層高めていくとともに、中長期的な視点に立ち、基金や都債を戦略的かつ計画的に活用することで、持続可能な財政運営を行ってまいります。

○清水(や)委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まず、建設業の働き方改革についてお伺いいたします。
 令和六年四月から、いよいよ建設業についても、時間外労働の上限規制について罰則適用となります。五年間の猶予措置が取られていましたが、まだまだ時間外労働が多い業種であります。一日の時間外労働は減少傾向にあるものの、休日が取れないケースが多いと聞いています。四週間で八日の休みを取るという目標があるものの、国土交通省の資料によると、四週間当たりの休日の平均は五・五九日とのことで、平均は週に一・四三日、実際には、週に一日も休めない週もあるとのことです。そこで、建設業者の努力ももちろん必要ですが、発注者側の協力は不可欠です。
 これまで建設業の働き方改革対策として、どのような取組をされてきたのかお伺いいたします。

○小林技術管理担当部長 財務局では、工事の発注に当たりまして、直接必要な日数のほか、休日等を考慮した日数を加え、適切な工期の設定に努めております。
 また、工事現場の週休二日につきましては、平成二十八年度からモデル工事を実施しており、国に準じて労務費を補正し、実態に即した経費を計上しております。このモデル工事を通じまして、様々な施工現場の実態把握に努め、対象を小規模な工事にも拡大するなど、実施件数を増やしてきました。
 来年度からは、原則として、全ての工事で週休二日を実施してまいります。

○清水(や)委員 都の工事を請け負う事業者は、建設局、財務局、水道局など、それぞれ発注していることが多いわけですが、内容が同じでも書式が違う書類があったとのことで、都では、各局担当が集まる技術会議において、書類の削減や共通化について検討し、事業者の負担軽減を行ったと聞いております。
 よい取組であると評価をいたしますが、現場監督員によっては、不要な書類の提出を求められることがあるようです。せっかく書類の削減を求めても、運用面で統一されていなければ意味がないと思います。
 そこで、書類削減の取組を進めるためには、現場監督員の理解促進が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○小林技術管理担当部長 工事関係書類の削減、簡素化につきましては、関係局が連携して、令和三年二月に、削減、簡素化が可能な工事関係書類を選定し、これを踏まえ、財務局では、工事受注者等提出書類処理基準を改正し、令和三年度から運用をしております。
 基準を適切に運用するため、これまで監督員に対して説明会を開催してきました。引き続き、監督員への研修などを活用して、周知徹底に取り組んでまいります。
 また、各局の工事実務者で構成される協議会などを通じまして、提出書類の適切な運用について、各局と情報共有を図ってまいります。

○清水(や)委員 ぜひ周知徹底をお願いいたします。
 書類の削減や共通化について検討してから三年ほどたっておりますので、改めて効果検証を行い、さらなる書類の削減や手続の簡素化について検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小林技術管理担当部長 工事関係書類の削減、簡素化に当たっては、様式の利用状況を確認することが重要であることから、工事が完了した案件の工事受注者や監督員に対し、様式の利用頻度や記載内容の重複などについてヒアリングを実施することとしております。
 今後、ヒアリングを踏まえ、公共工事の品質確保に留意しながら、さらなる書類削減、簡素化について検討してまいります。

○清水(や)委員 書類の削減や手続の簡素化をより一層進めて、働き方改革を進めるためには、施工時や検査時において、手続のデジタル化を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○小林技術管理担当部長 財務局では、工事受注者の負担軽減を図るため、施工時における関係書類について、令和二年度から、情報共有システムにより、インターネット上での提出等を可能としています。また、検査時においても、このシステムで提出された書類など、電子データで対応できるようにしております。
 一方、現在システムを利用していない工事受注者もいることから、こうした受注者に対して意向調査を行うとともに、操作講習会の開催準備を進めるなど、システムの利用促進に努めております。
 引き続き、建設業における働き方改革を進めるため、手続のデジタル化に取り組んでまいります。

○清水(や)委員 ありがとうございます。
 例えば、操作講習会の開催準備を進めるなど答弁をいただきましたけれども、できれば、どこどこに集まって講習しますというのも大事だと思いますし、その技術者とか担当者が受けやすいような環境、私は西多摩地区なんですけれども、こっちに来るまでに二時間以上かかるということもあるんですね。だから、ズームとは申しませんけれども、少しでも受けやすくなるような工夫をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、次の質問に移ります。
 都有地について、これまでほかの委員からも質問がありましたが、まず、今後の活用可能性の観点に基づく考え方を整理していく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

○小泉財産運用部長 都では、財政再建時の平成十二年度から、財産利活用総合計画を策定し、未利用都有地を積極的に売却することで、計画期間中には約二千百億円に上る財源の確保に貢献したところであるが、その後、財政再建を達成した都財政や社会経済状況、関係法令の改正といった諸環境の変化を背景に、平成十九年六月に、今後の財産利活用の指針を策定いたしました。
 そこには、従来の考え方に加えまして、施策連動型の財産利活用の推進や各局の主体的な利活用の推進、財産価値の保全、向上といった新たな指針も示され、この方針は、平成二十九年二月に策定されました都有施設等総合管理方針にも基本的な考え方は引き継がれて、現在に至っております。
 今後とも、都財政の状況や社会経済状況も踏まえながら、都有地ごとに、将来の活用可能性を検討の上、都の行政需要のみならず、区市町村の行政課題などにも資するよう、都有地の利活用を図ってまいります。

○清水(や)委員 ありがとうございます。
 次に、都民などに対する都有地の情報発信について見解をお伺いいたします。

○小泉財産運用部長 都有施設等総合管理方針にも示された施策連動型の財産利活用の取組などを進めていく上で、都有財産に関する情報を積極的に公開することは必要であり、また、情報公開は、都民への説明責任を果たし、都政運営の透明性を高めるために不可欠でございます。
 こうした観点から、財務局では、局ホームページに、東京都の公有財産という項目を設けまして、各局が所管している個別の公有財産情報を、土地建物及びその他財産の別に表形式で掲載しており、財産名称、所在地、面積といった基本情報のほか、所管部署や土地の種目なども掲載してございます。
 今後とも、これらのデータにつきましては、利用者の立場に立って、より利用しやすいよう、画面や検索方法の充実等を図ることで、都民をはじめ区市町村や民間事業者等に対して、より積極的に情報を提供して、都有地の一層の利活用につなげてまいります。

○清水(や)委員 ありがとうございます。
 私も実際に拝見しました。地元西多摩の都有地など、大きいところは、クリックすると、クリックする前から大体分かるんですが、ちょっと細かい面積のところになると、こっちかな、こっちかなというのが、地図は表示されるんですが、ちょっと分からなかったので、これは要望なんですが、押すと写真もつけていただけると、もっと皆さんが利用しやすいのかなと思いましたので、ぜひご考察、よろしくお願いいたします。
 では、最後、多摩産材の利用促進について伺います。
 西多摩地区では、非常に多摩産材を使おうという気流がある中で、まだまだそれ自体を東京都で使おうとか、住宅政策で使おうとか、まだまだ伸びしろが、取り組むことはあるのかな、課題はあるのかなと思っています。
 そこで、公共施設においては、積極的に多摩産材を活用していくことが大切だと思います。
 この多摩産材の活用について、都有施設整備では、これまでどのような取組を行い、その成果がどうだったのかお伺いいたします。

○小野寺施設整備担当部長 都では、東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針におきまして、施設の特性を踏まえ、積極的に多摩産材を使用することとしております。
 財務局では、都有施設の設計、工事におきまして、多摩産材を室内の壁や天井などの仕上げ材、家具やベンチなどの造作材、床の下地材などに使用しておりまして、平成三十年度から令和四年度までの直近五年間におきましては、約一千立方メートルの使用実績となってございます。
 今後とも、都有施設の整備に当たりましては、施設の用途や法令、構造、工期、コストなどを総合的に勘案いたしまして、多摩産材の最大限の活用を図ってまいります。

○清水(や)委員 ありがとうございます。
 実は、産業労働局の多摩産材を使っていこうという方針では、二万立米から三万六千立米だったと思うんですけれども、使っていこうと旗を立てながらも、その先の各局の連携が取れていないような、まだまだかなという感じがしています。
 これからも積極的に取り組んでいただきたいことを要望して、私からの質問を終わりにいたします。ありがとうございます。

○菅野委員 私から、今日は、契約制度について伺いたいと思います。
 まず、人権侵害を理由とした製品やサービスの不買運動の発生など、近年、企業の事業活動の中で生じる人権問題というのは、重大な経営リスクとなります。
 昨今の企業活動と人権に関する社会的要請の高まりを受けて、我が国においては、昨年九月に、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインが策定されました。本年四月には、政府の実施する調達で、入札する企業に対し、本ガイドラインを踏まえた人権尊重の取組についての努力義務を課す方針が打ち出されています。
 また、激甚化する自然災害など気候変動がもたらすリスクが、日々深刻化する中で、環境への配慮も、人権と同様に、企業にとっての重要な経営課題となっています。事業活動における脱炭素化や生物多様性保全などへの取組が不十分であることは、企業のレピュテーションリスクにつながります。
 このように、現代企業は、自らの活動が人権や環境面などに及ぼす影響に対して、責任ある行動、いわゆる社会的責任が求められている状況にあるわけです。
 都は、行政機関として、人権尊重や環境配慮に関する政策を進める立場にありますが、社会を構成する一事業主体として、企業以上に自らの事業活動に対する社会的責任を果たしていく必要があることはいうまでもありません。
 特に、都が行う調達は、その対象が多岐にわたり、多様なサプライチェーンを構築していることから、人権尊重や環境配慮など、社会の持続可能性に配慮した製品やサービスの調達に努めることは、都にとっての社会的責任の一環であると考えます。
 こうした中で、東京都財務局は、現在、社会的責任に配慮した調達について、専門家会議を立ち上げて検討を開始していると聞いていますが、まず、この取組について確認をしたいと思います。
 初めに、本有識者会議を設置した目的を伺います。

○須藤契約調整担当部長 都は、SDGsの目線の取組を都庁から世界に広げ、持続可能性の社会に貢献することを「未来の東京」戦略において掲げております。
 こうした中、同戦略を踏まえ、公共調達を通じてSDGsの理念を踏まえた社会的責任を果たすため、調達に係る指針を新たに策定することを目的といたしまして、本年二月に、社会的責任に配慮した調達に係る有識者会議を設置いたしました。

○菅野委員 公共調達を通じてSDGsの理念を踏まえた社会的責任を果たすための調達に関する指針を新たに策定することが目標ということでした。
 SDGs、すなわち持続可能な開発目標とは、社会、経済、環境の三つの側面から構成される持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための国際目標でありますけれども、都は、このSDGsの理念をどのように調達に組み入れることを検討しているのでしょうか。新たな調達指針の現在の検討内容について伺いたいと思います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針は、東京二〇二〇大会において策定された持続可能性に配慮した調達コード等を参考として、近年の社会動向や都における調達の実態を踏まえながら策定することとしております。
 現在検討中の調達指針案におきましては、環境、人権、労働、経済の各分野につきまして、法令遵守を基本としながら、国際的な合意や行動規範を尊重したあるべき方向性としての持続可能性に関する基準を定めるとともに、当該基準の遵守を担保するため、都及び受注者等が行うべき取組について検討を進めております。

○菅野委員 東京二〇二〇大会では、組織委員会が、大会の準備、運営段階の調達プロセスにおいて、経済合理性のみならず持続可能性についても配慮した調達を行うことを目的として、持続可能性に配慮した調達コードを策定していました。
 今回の都の調達指針は、この東京二〇二〇大会における調達コードをベースに、都の調達の実態に合わせて策定するとのことです。
 また、ただいまの答弁にあったとおり、指針の中では、環境、人権、労働、経済の各分野における持続可能性に関する基準を定めるとのことでした。
 こういった視点は、これまでも、総合評価方式での評価の中に取り入れられていたものの、一部分にとどまっていると認識しています。
 本格的に持続可能性の確保を調達の中に組み入れるに当たっては、入札契約の公平性、そして、公正性を確保する上でも、グローバルスタンダードを踏まえながら、都民、事業者の理解、納得感を得られる内容にする必要があると考えます。
 現在設置中の有識者会議において、どのように検討を進めているのか伺いたいと思います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針に定める取組は、都と受注者等との共同の取組として位置づけており、その検討に当たりましては、多様な主体を巻き込み、理解を得ながら進めていくことが重要と認識しております。
 このため、有識者会議につきましては、環境、人権、労働等の専門家を委員に迎えるとともに、各回の会議におきましては、委員からの意見に加え、関連する分野のステークホルダーからも意見を聴取しながら、指針の方向性について議論を進めております。

○菅野委員 多様な意見を取り入れながら議論を進めていると伺いました。会議において、専門家の委員やステークホルダーから出された意見をしっかり受け止めながら、公正に今後の検討を進めていただきたいと思います。
 ところで、今回の調達指針は、一体どこまでを対象にすることを検討しているのでしょうか。調達指針の適用範囲について伺いたいと思います。

○須藤契約調整担当部長 検討中の調達指針案におきましては、知事部局等が行う調達の全てを対象として、当該調達契約の相手方と当該履行過程の各段階を担う事業者、いわゆるサプライチェーンに対し、指針の遵守を求めることとしております。

○菅野委員 サプライチェーンを含め、都の調達全般を対象にしていくとのことでした。
 先ほども述べたとおり、都の調達には、工事から物品の買入れ、業務委託まで多様なものがあり、その調達の過程も、極めて多彩なパターンがあると推測します。どれだけ立派な指針を定めたとしても、定めた指針の内容について、サプライチェーンを含む全ての受注者に取り組んでもらわなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。
 そこで、実効性をどのように確保していくのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針に定める基準の遵守を担保するため、事業者に対し、調達指針の内容を周知し、理解促進を図った上で、調達指針の遵守に向けた取組状況について、チェックリストの提出を求めるとともに、契約締結に際しましては、調達指針の遵守についての誓約書の提出を求めていくこととしております。
 加えて、都としては、調達指針の不遵守またはその疑いに関する通報を受け付ける窓口を設置し、必要に応じて、不遵守の状況改善に向けた働きかけを行う、いわゆるグリーバンスメカニズムの構築を図ることにより、調達指針の実効性の確保に努めてまいります。

○菅野委員 苦情を受け付けて救済に取り組むグリーバンスメカニズムの構築は、国の責任あるサプライチェーンなどにおける人権尊重のためのガイドラインにおいても、企業が設けることを求められているものであり、都自らがこうした仕組みを設けることは重要と考えます。今後、具体的な検討を進めるに当たっては、国のガイドラインに沿った窓口が構築されることを期待しています。
 ここまで、現在検討を進めている調達指針の内容についての確認をさせていただきました。
 都がこうした取組を進めること自体は、昨今の社会情勢に合わせたものであり、賛同するものであります。しかし、民間企業であれば、環境配慮や人権尊重の取組がしっかりしている事業者のみと取引をしていればよいかもしれませんが、公平、公正を旨とする公共調達の世界では、そういうわけにはいきません。
 グローバル企業をはじめ大手企業では、持続可能性への配慮は、既に一定程度進んでいるところでありますが、中小零細企業は、まだまだこうした意識は不十分であり、どう取り組んでよいか分からないという事業者も多いと思います。検討されている調達指針は、そのような事業者を締め出すのではなく、底上げを図っていくようなものであるべきだと考えます。
 そこで、調達指針の策定に当たっては、中小企業への配慮が必要と考えますが、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 調達指針に定める基準は、義務的事項と推奨的事項に区分することとしておりまして、義務的事項は、法令遵守を基本としながら、都発注契約の大半を受注する中小企業のポテンシャルを見据えて設定し、推奨事項は、国際的合意や行動規範等を尊重し、目指すべき水準として設定することを検討しております。
 義務的事項は、契約時の誓約書により受注者等に遵守を求める一方で、推奨的事項は、持続可能性の観点から、望ましい慣行を促進していくため、契約制度上のインセンティブを付与することなどを検討しております。
 基準につきましては、持続可能性の確保に十分留意しながらも、中小企業の受注機会の増大を図るという公共調達での特徴を踏まえた内容となるよう検討してまいります。

○菅野委員 改めて、中小企業への配慮の視点をしっかりと盛り込んだ内容としていただきたいというふうにお願いをいたします。
 最後に、今後、有識者会議を通じた検討の予定を確認しておきたいと思います。
 調達指針の策定に向けたスケジュールはどのようなものになるのでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 本年四月から、これまでに五回の会議を開催し、調達指針案について議論を深めてまいりました。
 今後、来年二月頃を目途に調達指針案を取りまとめ、パブリックコメントを経て、五月頃の策定、公表を予定しております。

○菅野委員 五月頃の策定、公表に向けたスケジュールであるということを確認しました。
 調達指針の策定作業も、これから取りまとめのフェーズに入ると思います。本取組を有効に機能させていくためには、都民、事業者の理解が不可欠であります。取組についての情報発信を今後一層丁寧に行っていただきながら、策定作業を進めていただくことを求め、質問を終わります。

○阿部委員 私からは、初めに、都庁舎についてお伺いをいたします。
 現在の都庁舎が竣工して三十年以上が経過をいたしました。この間、CO2の削減ですとか、利便性向上、そして、長寿命化等々の観点から、都庁舎改修プロジェクトを進めてこられました。都庁機能を保つために、居ながらで進めてきたプロジェクトも、ようやく来年度中に一旦終了の見込みと聞いておりますが、今後も、機能向上は必要であると考えております。
 展望室などは、また多くの方でにぎわうようになってきておりますけれども、都庁舎全体で見れば、都民との接点が少ないと感じています。基礎自治体では、一階に窓口があり、区役所によってはカフェなどもあって、区政を身近に感じる場の一つともなっております。
 都庁にも、飲食店エリアはあり、障害者の作業所の品を売るショップなどもありますが、外からは、あるいは建物内部に入っても、なかなか存在が分かりにくい構造となっています。また、特に一階正面の玄関付近は暗く、大変殺風景で、都民が入りやすい雰囲気にもなっておりません。せっかく広いスペースがあるのだから、有効活用ができるのではないかと感じております。
 そこで、都庁舎一階、二階について、ここは都民により開かれた空間とすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎の一階、二階は、入庁手続をすることなく利用できる場所となっており、庁内の案内コーナーのほか、観光PRセンターやカフェ、コンビニ、運転免許センターなどを設置しております。
 また、今年度末には、第一本庁舎一階、中央南側の元喫茶コーナーに、休憩に加え、作業も可能なフリースペースを設置することとしており、引き続き、都庁を訪れる方々が、より快適に過ごしていただけるよう努めてまいります。
 今後とも、都庁舎の一階、二階については、多様な人々が気軽に立ち寄り、活動、滞在することができる都民やまちに開かれた空間となるよう、関係局とも連携して対応してまいります。

○阿部委員 ぜひよろしくお願いいたします。特に、この玄関付近、大変暗くて、この新宿の一等地の中で、極めて未活用の状態であるというふうに感じております。福祉的な観点から、あるいは地域活動、その他様々な活動で、より活用ができるようにご検討いただければと思います。
 ところで、都庁舎は、内装が割と単一の白い壁で、内部にいても、自分がどこにいるのか分かりにくい。特に、議会棟については、見当識がつけにくくて、初めて来た人は、大変迷いやすいような内装になってしまっています。
 そこで、議会棟をはじめ庁舎内が、都民の方に分かりやすい、そうした表示、あるいは工夫が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎の案内サインについては、利用者の視点に立ってデザインし、誰に対しても正しい情報が伝わるよう、色の使い方などに配慮したカラーユニバーサルデザインによる表示方法で整備してまいりました。
 また、各フロアの案内サインを利用者の目につきやすい場所に設置するとともに、海外からの観光客が多い場所には、多言語表記の案内サインを拡充するなど、都庁を訪れる方々が分かりやすい庁舎となるよう取り組んでおります。
 委員のご指摘のありました議会棟につきましては、建物を管理する議会局とも連携して、訪れる人に分かりやすい案内サインを検討してまいります。

○阿部委員 既に一定の工夫がなされているなというふうには感じております。ただ、ちょっとイメージしていただきたいんですけど、例えば、災害時、照明が落ちて暗い中で、ひょっとして煙なんかも出ているときに、どこを見ても白い壁と白い扉、これ、自分が建物のどこにいるのかというのが、その状態で分からないというのは非常に危険な状況なんですね。そうしたことを考えていただいて、おしゃれで小さな案内サインだけではなくて、非常時にも分かりやすい、そんな表示という表示、あるいはもう内装といってもいいかもしれないです、そうした視点もぜひ取り入れていただければと思います。
 ところで、近年は、窓口業務にも、聴覚障害や外国の方々に対応したユニバーサルコミュニケーション技術が大変進化をしているところです。例えば、先日視察したある場所では、窓口での会話がリアルタイムで文字化されて、そして、外国語との翻訳も同時にできる透明ディスプレーが展示をされておりました。
 都庁舎でも、各種障害などに対応した最新の技術を活用していくことが必要であるかと考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎は、障害者の方や高齢者など、誰もが利用しやすい場所となるよう、東京都福祉のまちづくり条例等の基準に基づき、音声案内や点字表示、バリアフリー設備など、ハード面の整備を進めてまいりました。
 また、第一本庁舎一階の総合案内コーナーでは、手話のできる案内員を配置するとともに、その他の案内コーナーでは、筆談対応やタブレットによる遠隔手話サービスを実施するなど、ソフト面での対応も進めております。
 一方、現在、これらの手法に加え、新しい技術開発も進んでおり、それらの最新技術の活用については、関係局とも連携を図りながら、検討してまいります。

○阿部委員 ぜひ、最新技術の活用ということも検討していただけるということですので、よろしくお願いいたします。都庁に来れば、こうしたコミュニケーション技術の最新のものが体験できるというような状況をぜひ目指していただければと思います。
 ところで、都庁舎は、都民の財産であるとともに、都の職員の方々が毎日働く場所でもあります。学校などでも、内装に木材を多用することで、子供たちの気持ちが落ち着くというような研究結果もあります。
 フロア内への木材使用を都庁舎でも積極的に取り入れてはいかがでしょうか。見解を伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 木材は、柔らかで温かみのある感触を有するとともに、居住空間の快適性を高める性質を備えており、リラックス効果やストレスの緩和など、心理、情緒、健康面での効果も期待できます。
 都庁舎においては、観光客が訪れる展望室内に、多摩産材を利用した展望デッキやベンチを整備するとともに、一階、二階の案内コーナーの横には、木製のパンフレット棚を設置するなどしてきており、今後とも、木材を適切に使用していくよう努めてまいります。

○阿部委員 観光客や都民にリラックスしていただくことも大切なんですけれども、本音をいえば、職員の皆様方にぜひリラックスしていただきたい、職場環境としての都庁舎ということも、ぜひ大切にしていただきたいと思います。
 ご答弁にもあったように、ストレスの緩和ということも期待ができますし、都民のためによい仕事をしてもらうためには必要な投資だと思いますので、ぜひ前向きに検討してください。
 ところで、都庁舎の内外には、多くのアートワークがあります。私の大好きなイサム・ノグチをはじめジャン・アルプ、その他、多くのすばらしい作品です。
 こうしたアートワークについて、もっと活用してもいいのではないかなと日頃感じておりますが、見解をお伺いします。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎には、日本の現代美術を代表する作家や外国の作家に加え、若手作家による公募作品など、彫刻やレリーフ、三十八点のアートワークを、庁舎内外を散策しながら楽しめるよう設置しております。
 アートワークについては、都庁見学のホームページで紹介するとともに、昨年度は、新宿まちフェス実行委員会が実施したまち周遊型の謎解きイベントにおいて、謎解きスポットの一つとして設定するなど、子供にも喜んでいただきました。
 今後とも、多くの方に都庁アートワークを楽しんでもらえるよう、作品のPRに工夫を凝らすとともに、庁舎見学の際には、作品の紹介を組み込むなど、関係局とも連携し、アートワークの活用に努めてまいります。

○阿部委員 アート作品も大切な都有財産ですので、都民の財産でもあります。ぜひ活用していただければと思います。
 次に、指名停止措置等についてお伺いをいたします。
 官公庁が競争入札などにおいて、特定企業に対して入札に制限をかける措置として、指名停止と競争入札参加禁止があります。指名停止と競争入札参加禁止、それぞれの根拠規定、適用範囲、そして、効果についてお伺いをいたします。

○須藤契約調整担当部長 指名停止措置は、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱に基づき実施しており、契約履行上の事故や法令違反など、あらかじめ措置要件を定め、当該要件に該当する事実を発生させた入札参加資格を有する者に対して、一定期間講ずるものでございます。
 一方、競争入札参加禁止措置は、地方自治法施行令第百六十七条の四第二項及び同施行令第百六十七条の十一第一項に基づき実施しており、都では、事業者が、正当な理由なく契約を履行しなかった場合に、二年間の措置を講じております。
 効果でございますが、指名停止措置と競争入札参加禁止措置のいずれも、措置期間が満了するまで、公営企業局を含む都の競争入札等への参加のほか、都の契約における下請としての参加も認められないこととなります。

○阿部委員 まず、指名停止は都の要綱で、そして、競争入札参加禁止は地方自治法施行令に基づく措置であるということですけれども、その効果は、いずれも競争入札等への参加を認めないというほぼ同一のものかと思います。
 では、指名停止と競争入札参加禁止の公表内容、あるいは時期、公表時期ですね、これがどうなっているかお伺いします。

○須藤契約調整担当部長 指名停止措置につきましては、原則として、毎月下旬に開催される庁内会議体である東京都契約事務協議会での協議を経て、財務局が決定しております。
 公表に当たりましては、事業者名のほか、措置の原因となった契約の発注者名、措置理由、措置期間、根拠規定を一覧にし、毎月一日時点における指名停止中の事業者リストを電子調達システムのホームページに掲載しております。
 一方、競争入札参加禁止措置につきましては、措置の原因となる事実を把握した時点で財務局が決定し、契約事務協議会において庁内に周知しております。
 公表に当たりましては、事業者名のほか、措置期間、根拠規定を一覧にし、契約事務協議会開催日の翌日時点における競争入札参加禁止中の事業者リストを電子調達システムのホームページに掲載しております。

○阿部委員 いずれも、決定後に、対象事業者のリストを電子調達システムのホームページに掲載するということで、毎月公表が行われております。
 ただ、公表の日がずれるといいますか、別の日に行われる、また、公表の内容も若干違いがある、このことが、公表の効果を損なうとまではいいませんけれども、第三者から見てちょっと分かりにくいという面も生んでおります。
 そこで、指名停止と競争入札参加禁止の事業者一覧を一体的に分かるようにまとめるべきではないかと思いますが、都の見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 指名停止措置と競争入札参加禁止措置の公表方法につきましては、根拠規定や措置に至るまでの手順が異なることから、現在の運用としているところでございますが、措置がもたらす効果に共通性もあることから、引き続き検討を行ってまいります。

○阿部委員 そうですね。公表というのが、何のために行われているかということも含めて、ご検討いただければと思います。
 ところで、指名停止等の情報、これは政策連携団体や他の自治体とどのような形で共有をされているのか教えてください。

○須藤契約調整担当部長 指名停止措置につきましては、法令違反等を措置要件としており、制度のより適切な運用を図るため、国が設置する連絡協議会が運営するメーリングリストを通じ、国及び自治体間で情報共有を行っております。
 一方、競争入札参加禁止措置につきましては、都との契約の不履行に対し講ずるものであることから、情報共有は行っておりません。
 また、政策連携団体につきましては、各所管局において、その事務を所掌しているものと認識しており、財務局から、指名停止措置及び入札参加禁止措置の情報共有は行っておりません。

○阿部委員 競争入札参加禁止措置、これは契約不履行ではあるわけですけれども、特に直接住民サービスに関わるような業務委託などは、契約不履行といっても、都民生活に多大な影響が出ることもあり得るわけです。そうした意味では、決して不履行だから情報共有はしなくていいというようなものではないかなというふうにも思っております。
 また、政策連携団体においても、少なくとも指名停止などについては、情報共有の仕組みが必要ではないかなと思っております。ご検討いただければと思います。
 最後に、大井競馬場に関してお伺いをいたします。
 東京都は、戦後の復興財源確保のために、東京都競馬株式会社を設立し、現在は、東京都競馬株式会社が所有する施設、設備において、特別区競馬組合が、大井競馬場において競馬事業を行っております。
 現在、大井競馬場の厩務員宿舎を含む厩舎、関係施設は、大変老朽化をしているのが現状です。日常の点検管理の状況や大規模改修等の計画について、どのような対応を行っているのか、教えてください。

○小泉財産運用部長 大井競馬場の厩務員住宅や厩舎などの施設は、東京都競馬株式会社の所有施設であり、主催者である特別区競馬組合を通じ、厩務員や調教師など関係者に貸し付けてございます。不具合等があった場合には、会社に対して修繕依頼があり、その都度対応していると聞いてございます。
 それらの施設につきましては、老朽化が進行しており、今後の計画的な改修等に向けて、東京都競馬株式会社と特別区競馬組合とで検討を進めていると聞いてございます。

○阿部委員 今、厩舎についてご答弁をいただきましたけれども、特に深刻なのは、厩務員さんたちの宿舎の老朽化であろうかと思っております。
 大井競馬場の厩務員の労働環境というのをご存じでしょうか。午前一時か二時には仕事が始まります。馬の世話が始まります。馬の世話をして、そして、運動をさせて、馬房の手入れをして、終わるのは朝九時ぐらいになります。一旦、これで仕事が終わるんですけれども、調教師さんが調教を終えたら、また昼には仕事が始まります。それからまた、午後から夕方、もうずっと、生きている馬相手ですから、本当にこうした形で働いていて、かつ、ナイトレースがあれば、その仕事が夜まで続くんです。また、午前一時から始まります。
 競馬事業というのは、こうした厩務員さんたちの、ある意味果てしない労働に支えられています。このことをぜひ認識していただきたいんですけれども、二十一世紀にこんな仕事の仕方があるのかと思うんですが、都として、この労働環境の改善、どのように、改善を働きかけるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小泉財産運用部長 昭和四十八年に都営競走事業が廃止されて以降、都と東京都競馬株式会社との事業との直接的な関係はなくなり、競馬事業の主体は、特別区競馬組合となってございます。
 厩務員と、それを雇用する調教師との間に生じる様々な問題につきましては、当事者間で解決すべき事柄でございます。
 お話のようなことで、競馬事業の実施に支障となる場合には、特別区競馬組合において対応するものと認識してございます。

○阿部委員 形の上では、確かに直接的な関係がないというのは、そうかもしれません。しかし、今のご答弁だけで済むのでしょうか。その東京都競馬株式会社の社長さん、前の副知事さんですよね、東京都のね。東京都は単なる株主というだけではない、そういう関係ではないでしょうか。そうした中で、こうした労働状況が続いているということに、まずは関心を持っていただきたい。そして、問題意識を持っていただきたいと思います。
 このやり方の中で、競馬事業が今後も続いていくということは、やはりこれは、現代の社会通念には合わないものではないかなというふうに思います。
 いろいろと複雑な仕組み、これは、東京都が大変複雑な仕組みにした後で、事業としての廃止をしたわけですけれども、だからといって、全然関係ないですよというわけではないのは、今の人事にも示されていることではないかと思います。この場では、ここまでにしておきますけれども、ぜひ問題意識を持っていただきたいと思います。
 私の質問は以上です。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 ご異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○林委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山下財務局長 第四回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしております資料、令和五年第四回東京都議会定例会提出予定議案件名表をご覧いただきたいと存じます。
 今回提出いたします議案は七件でございまして、内訳は、契約案六件、事件案一件でございます。
 初めに、契約案につきましてご説明申し上げます。六件いずれも建築工事でございます。契約金額の総額は約百六十三億円でございます。
 次に、事件案でございますが、当せん金付証票の発売についてでございます。
 以上が提出を予定しております議案の概略の説明でございます。
 詳細につきましては、それぞれ所管の部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○五十嵐経理部長DX推進担当部長兼務 お手元の資料第1号、令和五年第四回定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをご覧ください。
 一ページをお開き願います。工事請負契約議案一覧でございます。
 1の総括表をご覧ください。今回ご審議いただきます契約議案は、右側の計の欄のとおり、合計六件、契約金額の総額は百六十二億九千八百五十九万円でございます。
 次に、2の案件別の表によりましてご説明いたします。
 番号1は、北区赤羽北三丁目地内におきまして、都立桐ヶ丘高等学校の改築及び改修工事を施行するものでございます。
 番号2は、大田区本羽田三丁目地内におきまして、都立城南職業能力開発センター大田校の改築工事を施行するものでございます。
 番号3及び番号4は、いずれも都営住宅を建設するもので、番号3は、江東区辰巳一丁目地内、番号4は、国立市北三丁目地内におきまして、それぞれ建築工事を施行するものでございます。
 番号5は、国分寺市本多一丁目地内におきまして、仮称東京消防庁国分寺消防署西元出張所庁舎の改築工事を施行するものでございます。
 番号6は、中央区晴海五丁目地内におきまして、仮称晴海ふ頭客船受入施設の改築工事を施行するものでございます。
 次に、契約の方法でございますが、提出予定の六件につきまして、いずれも一般競争入札によるものでございます。それぞれの契約金額及び契約の相手方は、表の右側に記載のとおりでございます。
 一枚おめくりいただきまして、二ページから四ページにかけまして、案件ごとの件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載しておりますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 また、各案件の入札経過等につきましては、五ページ以降に記載しておりますので、併せてご覧いただきたいと存じます。
 以上が今回提出を予定しております契約議案の概要でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○遠松主計部長 お手元の資料第2号、当せん金付証票の発売についてご説明申し上げます。
 これは、当せん金付証票、いわゆる宝くじの令和六年度の発売に関する議案でございます。
 議案の中ほどの記書きの発売の目的にありますように、公園整備等の費用の財源に充当するために発行するものでございまして、令和六年度の発売限度額を一千七百二十六億円と定めるものです。
 裏面に参考に条文を掲載してございますが、当せん金付証票法第四条第一項の規定に基づきご提案するものです。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○林委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時八分散会

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