委員長 | 林あきひろ君 |
副委員長 | 清水やすこ君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 吉住はるお君 |
理事 | 清水とし子君 |
理事 | 慶野 信一君 |
かつまたさとし君 | |
阿部祐美子君 | |
長橋 桂一君 | |
石川 良一君 | |
藤井とものり君 | |
菅野 弘一君 | |
たきぐち学君 |
欠席委員 なし
出席説明員主税局 | 局長 | 児玉英一郎君 |
総務部長DX推進担当部長兼務 | 丹羽恵玲奈君 | |
税制部長 | 辻谷 久雄君 | |
税制調査担当部長 | 筒井 宏守君 | |
調整担当部長 | 小林 孝幸君 | |
課税部長 | 櫻井 幸枝君 | |
資産税部長 | 齋藤 栄一君 | |
徴収部長 | 小谷 健君 | |
特別滞納整理担当部長 | 小野 誠君 | |
会計管理局 | 局長 | 須藤 栄君 |
管理部長 | 有金 浩一君 | |
警察・消防出納部長 | 坂東 宏之君 | |
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 井村 琢君 |
本日の会議に付した事件
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
主税局関係
報告事項(説明・質疑)
・令和五年度東京都税制調査会報告について
事務事業について(質疑)
○林委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び主税局関係の事務事業に対する質疑並びに主税局関係の報告事項の聴取を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○林委員長 これより主税局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○筒井税制調査担当部長 先般、東京都税制調査会において取りまとめられた報告について、その概要をご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元資料第1号、令和五年度東京都税制調査会報告の概要をご覧いただきたいと存じます。
報告の構成ですが、ローマ数字Ⅰ、税制改革の視点、ローマ数字Ⅱ、税制改革の方向性、ローマ数字Ⅲ、直面する政策課題と税制の三部構成となっております。
税制改革の視点では、税制の検討に当たって踏まえておくべき重要な事項について、税制改革の方向性では、税制上の諸課題についてあるべき姿と改革の方向性について、直面する政策課題と税制では、二つの政策課題を取り上げ、税制との関連性について記述をしております。
これより内容を説明してまいります。
Ⅰ、税制改革の視点ですが、こちらに記載の六つの視点を掲げ、社会経済の動向や地方行財政の基本的な在り方についてまとめております。
続いて、Ⅱ、税制改革の方向性についてご説明を申し上げます。
1、個人所得課税といたしまして、まず、金融所得課税について、所得再分配の観点からは総合課税が望ましいが、税負担の急激な変動の緩和、効率的な事務処理等の観点から当面分離課税が適当とし、その税率については、中低所得者の資産形成に与える影響に配慮しつつ、諸外国の段階的課税の方式も参考にして引上げを検討すべきとしております。
続いて、ふるさと納税について、多くの問題点を有していることから、抜本的に見直し、寄附金税制の本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとし、具体的な見直しの方策として、委員から、資料記載の内容等の意見が出されております。
次に、ふるさと納税の問題を都民に提起し、理解を促進すること、問題意識を同じくする地方自治体と連携し、国に対して制度の見直しを求めていくことも重要としております。
続いて、2、地方法人課税といたしまして、国が偏在是正の名の下に講じてきた地方法人課税における国税化措置は、地方自治体の自主財源である地方税を縮小するものであり、財政調整の手段として応益関係のない他自治体に配分することは、受益と負担の対応性を重視する地方税の原則に反するとした上で、こうした手法は、地方税の存在意義そのものを揺るがし、地方自治の根幹を脅かす行為にほかならず、そのような偏在是正措置を行うべきではないとしております。
その上で、地方自治体間で限られた財源を奪い合うのではなく、地方自治体が担うべき事務と権限に見合う地方税の充実、確保が必要としております。
続いて、3、資産課税といたしまして、まず、現行の家屋評価は、公平で適正な方法として最も適当とされているが、複雑で精緻過ぎるため、迅速に評価でき、簡素で分かりやすい仕組みとする方向で、見直しに取り組む必要があるとしております。
次に、空き家対策には、空き家に対する保有税の負担を重くすること及び空き家の流通を促進するための譲渡所得課税等の負担を軽減することが考えられるとしております。
ページを一枚おめくりいただきまして、二ページをご覧いただきたいと存じます。
続いて、4、環境関連税制といたしまして、まず、住宅の脱炭素化に向けて、取得時において断熱、省エネ性能が優れた住宅の選択を促すため、不動産取得税に、環境性能に応じて税率を設定する環境性能割を導入することが有効と考えられるとしております。
次に、新築住宅に対する固定資産税の減額措置について、環境性能の観点を盛り込むべきであり、対象を環境性能の高い住宅に重点化すべきとしております。
次に、省エネリフォームに係る固定資産税の減額措置について、既存住宅の環境性能を高めるインセンティブを与えるため、減額割合及び要件の緩和等、制度の見直しを行うべきとしております。
続いて、5、宿泊税といたしまして、まず、宿泊料金の上昇、外資系高級ホテル等の高額な宿泊の増加、観光産業振興費の増加等も踏まえ、税負担水準を引き上げる方向が適当としております。
次に、高額な宿泊が増加しており、宿泊料金に応じて新たな税率区分の設定などを検討すべきとしております。
次に、税率については、一方で、社会経済の変化に順応しつつ、応分の負担を求める観点からは、定率での課税が有効。他方で、定額での課税は、分かりやすさや事務コスト等の点でメリットがあるとしております。
次に、宿泊客は、海外、国内からと様々であり、その目的も多様。応益課税の考え方から、課税趣旨及び税収使途との関係で課税対象者等を整理する必要があるとしております。
次に、公平性、応益課税の観点からは、宿泊料金による課税免除を見直すこと、民泊等も課税対象とすることが考えられる。ただし、現下の社会経済状況において相当程度の金額の宿泊に課税した場合の負担感、事務コスト等、費用対効果を勘案する必要があるとしております。
続いて、6、税務行政のDX推進といたしまして、行政機関間の情報連携は、納税者の利便性向上及び行政機関等の事務の効率化に資するとした上で、情報連携の推進に向け、地方税法の守秘義務との関係が課題となることから、提供可能な情報の範囲や場合の整理を進めるべきとしております。
続きまして、Ⅲ、直面する政策課題と税制についてご説明申し上げます。
1、子供を産み育てやすい社会と税制の在り方といたしまして、まず、経済的支援について、その実施方法は税と社会保障制度との役割分担を含めて幅広い議論を行うべきとしております。
その上で、子育て世帯への経済的支援について、所得によって給付の対象を制限する場合には、給付付税額控除の導入も有効な方策である。ただし、多くの課題があるとしております。
次に、子育てと仕事の両立について、家事育児支援サービスの利用を支援する税制措置も考えられるとしております。
最後に、2、女性が活躍しやすい社会と税制の在り方といたしまして、まず、我が国の税制、社会保障制度は男性稼ぎ手型世帯を標準として設計、構築されているが、社会状況は大きく変化しており、生き方の選択に対して中立的な制度の在り方を検討すべきとしております。
次に、社会保険上の年収の壁への対応として、本来は社会保険制度の改革が必要であるが、給付付税額控除を導入することも考えられる。ただし、多くの課題があるとしております。
なお、お手元に資料第2号、令和五年度東京都税制調査会報告本文をお配りしております。後ほどご覧いただきたいと存じます。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○林委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑と併せて行いますのでご了承願います。
なお、事務事業については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 去る十月十九日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料第3号、財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。
今回要求のございました資料は三件でございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、資本金区分別法人数及び法人都民税・事業税額の推移でございます。
この表は、資本金一億円未満、一億円以上十億円未満及び十億円以上の区分別に、法人数及び法人都民税額、法人事業税額の五年間の推移をお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、都税の滞納整理における差押件数でございます。
この表は、都税の滞納整理における差押件数を五年度分お示ししたものでございます。
次に、三ページ及び四ページの要求資料第3号、東京都における超過課税及び主な軽減措置でございます。
この表は、現在、都で実施している超過課税及び主な軽減措置について影響額等をお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○林委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○吉住委員 私は、まず、法人事業税の外形標準課税について伺います。
政府は、今月二日、デフレ完全脱却のため、事業規模三十七・四兆円程度の総合経済対策を閣議決定しました。三十年余り続いた物価や賃金の伸び悩みから脱し、消費と投資が拡大する経済へ移行するためのスタートダッシュと位置づけています。
岸田首相は、閣議決定後の記者会見で、賃上げの促進などにより、来年夏の段階で、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実につくりたいと強調し、来年の春闘に向けて経済界に今年を上回る水準の賃上げを働きかけると表明しています。
経済対策の中には、賃上げ促進税制の強化などのメニューが盛り込まれ、企業の賃上げを強力に推し進めていく政府の方針が示されたところですが、一方で、事業者からは、現行の法人事業税の外形標準課税が、企業の賃上げの阻害要因になっているのではないかといった声が聞こえてきます。
そこでまず、法人事業税の外形標準課税の概要について伺います。
○辻谷税制部長 法人事業税の外形標準課税は、応益課税としての事業税の性格を明確にする等の観点から、資本金一億円超の法人を対象として、平成十六年度に導入されました。
具体的には、報酬給与額や純支払利子などの収益配分額と単年度損益との合計額を課税標準とする付加価値割と、資本金等の額を課税標準とする資本割との外形的な基準を用いて課税するものです。
法人事業税における外形標準課税は、法人の事業規模に応じた薄く広い課税により公平性を確保できるとともに、景気変動に左右されにくく、税収の安定化に寄与するものとされています。
○吉住委員 外形標準課税には、付加価値割と資本割があり、付加価値割の算出に当たっては、報酬給与額がベースとなっているとのことです。仮に、外形標準課税の対象法人が、政府の方針に従って賃上げを行った場合、報酬給与額の増加分が法人事業税の計算に跳ね返り、税負担の増につながるのではないかと懸念されます。
報酬給与額を課税対象とする外形標準課税の付加価値割は、企業の賃上げの阻害要因となっているのではないかとの指摘がありますが、現行制度ではどのような対応がなされているのか伺います。
○辻谷税制部長 外形標準課税の付加価値割の課税標準である付加価値額は、報酬給与額が増加しても、単年度損益と相殺されることにより、全体の付加価値額は変わらず、税額が一定となるような制度設計がなされています。
その上で、報酬給与額の比率が高い法人について、負担を軽減する雇用安定控除の制度が設けられており、具体的には、報酬給与額が収益配分額の七割を超える場合、その超える額を付加価値額から控除する仕組みとなっています。
さらに、給与総額を三%以上増加させる等の要件を満たす法人については、付加価値額から一定金額を控除する措置が、令和五年度末までの時限措置として導入されています。
このように、現行の法人事業税の外形標準課税においては、賃上げを行う企業への一定の配慮が行われております。
○吉住委員 現行の制度においては、賃上げを行う企業に一定程度配慮がされているとの答弁でしたが、今年度末までの時限措置もあるとのことでした。
企業の立場に立てば、一度賃上げしたら下げることは難しいと思われます。賃上げを促進するための措置があるといっても、いつ打ち切られるか分からない短期間の時限措置では、なかなかインセンティブにならないのではないかと考えます。恒久措置とまではいわないまでも、企業が安心して賃上げをできるよう、十年くらいの中長期的な期間での税制措置を講じることも必要ではないかという意見をここでは申し上げておきます。
さて、先日、報道もされていましたが、資本金を一億円以下に減資することにより、外形標準課税の適用を逃がれようとする企業が増えていることを踏まえ、来年度税制改正に向けて、外形標準課税の基準の見直しによる対象の拡大が議論されているとのことです。
基準の見直しにより、外形標準課税の適用対象が中小企業にまで拡大した場合、賃上げには一定の配慮がされたとしても、赤字企業にも課税されることになるため、中小企業への影響は非常に大きいと考えます。
外形標準課税の適用拡大による中小企業への影響について見解を伺います。
○辻谷税制部長 令和五年度与党税制改正大綱では、減資や組織再編による対象法人数の減少等が、地方税収の安定化や税負担の公平性といった制度導入の趣旨を損なうおそれがあることを踏まえ、外形標準課税の対象から外れている実質的に大規模な法人を対象に、制度的な見直しを検討することとされています。
しかし、中小企業については、地域経済の担い手であることや財政基盤が脆弱であること、企業収益に占める人件費の割合が大企業と比べて高くなっていることなどの特性があるため、外形標準課税の中小企業への適用拡大は課題も多いと考えています。
こうしたことから、都は、外形標準課税の適用対象の在り方の検討に当たっては、中小企業の経営や地域経済への影響を考慮し、慎重に検討するよう国に提案要求しているところです。
○吉住委員 外形標準課税の対象拡大により、中小企業の負担増につながることのないよう、引き続き、国に求めるべきであることを改めて申し上げて、次の質問に移ります。
次に、政策税制について伺います。
都はこれまでも、防災、環境、子育てなど、都政における課題への対応として、税の優遇措置、いわゆる政策税制を創設してきたと思います。
そこでまず、都がこれまで創設した主な政策税制について伺います。
○辻谷税制部長 都はこれまで、都政の重要課題の解決に向け、各局の施策を税制面から支援するため、様々な都独自の政策税制を創設してきました。
主な政策税制として、災害に強い東京を実現するために耐震化促進税制や不燃化特区支援税制、帰宅困難者のための備蓄倉庫に対する減免を講じています。
また、温暖化対策を支援するためのZEV導入促進税制や、太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制、保育施設の整備促進を税制面から支援するための保育所等整備促進税制などがあります。
○吉住委員 都の課税自主権を活用し、災害対策や温暖化対策、子育て支援といった都政の重要課題の解決に向けて、様々な分野で税制を活用してきたことは確認できました。
一方で、都政において様々な政策課題が生じている状況において、こうした特定の施策を推進するための政策税制は、必ずしも全ての政策分野で設けられているわけではありません。
政策税制を創設した場合には、当然ながら、優遇を受けられる納税者と優遇を受けられない納税者が発生することになるため、何らかの統一された考え方がないと、納税者から理解を得られないケースも出てくるのではないかと思います。
そこで、都において、政策税制を設ける際の基本的な考え方について伺います。
○辻谷税制部長 政策税制は、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外として設けるものであり、事業所管局における規制や補助金などの施策を後押しするものとして、真に必要なものに限って活用していくべきものと認識しています。
税制の活用に当たっては、政策の重要性はもとより、公平性とのバランスやインセンティブ効果、税収への影響や課税実務上の課題など、様々な観点から検討する必要があると考えています。
○吉住委員 政策税制は、公平、中立、簡素といった税制の基本原則の例外であり、真に必要なものに限って活用していくべきとの考え方は理解しました。
ご答弁にあったとおり、私も、政策税制の導入に当たっては、様々な観点からの検討が必要であると考えます。とりわけ、金銭的な支援としては、補助金という手段もある中で、政策税制を設けるためには、税で措置することが政策手段として効果的といえるかといった観点が大変重要であると考えます。
そこで、税制により政策を支援するに当たり、どのような効果を狙っているのか、見解を伺います。
○辻谷税制部長 政策税制を導入する効果としては、税負担の増減による経済的な動機づけになることに加え、助成など事業所管局の施策との相乗効果や税制に対する社会的な関心が高いことによるアナウンスメント効果などが発揮されるものと認識しています。
政策税制を導入する際には、これらの効果を事前によく検討することが必要であり、また、導入後も、適用実績や効果の検証、評価を行い、施策目標の達成状況、社会経済の動向、財政的な影響等も踏まえた上で、適宜見直しを行っていくことが重要であると認識しています。
○吉住委員 政策税制については、事前に効果を十分に検討した上で、導入の可否を判断するとともに、導入後もその効果を検証し、不断の見直しを行うという視点は非常に重要です。
そこで、具体的な政策税制の効果検証について伺っていきたいと思います。
今年度、適用期限を延長した都独自の政策税制として、保育所等整備促進税制がありますが、確認のため、保育所等整備促進税制の制度概要及び導入の目的について伺います。
○辻谷税制部長 保育所等整備促進税制は、待機児童の解消に向け、民有地を活用した保育所等の整備促進を税制面から支援するために、平成二十九年度に創設したものであり、一定の要件に該当する二十三区内の土地について、固定資産税及び都市計画税を五年度分、十割減免しています。
土地の所有者が、保育所等の事業用として貸し出す場合、マンションなどの住宅用に貸し出す場合と比較すると、地方税法上の住宅用地特例が適用されないため、土地に係る固定資産税額が三倍から四倍程度になります。
そのため、保育所等への民有地の提供を促すインセンティブとして本税制を講じております。
○吉住委員 既存の税制度が保育所等の整備促進の課題となっていたことから、その課題を解消するために講じられた政策税制であると理解しました。
そこで、実際に制度の効果があったのか、保育所等整備促進税制の適用実績と、今年度、本制度を延長した理由について、併せて伺います。
○辻谷税制部長 令和四年度の適用件数は八百四十四件、減免額は約七億三千万円であり、事業所管局等における様々な施策の効果と相まって、待機児童数の減少に一定の役割を果たしてきたものと認識しています。
保育サービスの拡充に向けた様々な取組の結果、待機児童数は減少しているものの、待機児童の解消に向けて、引き続き事業所管局の施策と連携して取り組んでいく必要があることから、保育の受皿を着実に整備していくため、令和七年四月一日まで適用期限を延長することといたしました。
○吉住委員 保育所等整備促進税制については、税制支援が効果的であると確認ができました。
繰り返しになりますが、こうした政策税制は、税の公平性を踏まえれば、やはり真に必要なものに重点化すべきであると考えます。税務行政に対して、都民の信頼を得るためには、公平性の確保が大前提です。
今後とも、適用期限の延長を判断したり、新たな政策税制の創設を検討する際には、今ご答弁があったように、必要性や効果について十分に議論し、施策の達成状況なども踏まえながら、不断の見直しに取り組むことで、真に必要なものに重点化するよう、重ねて要望させていただいて、次の質問に移ります。
次に、宿泊税について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響で、海外からの旅行者は激減したものの、本年五月の五類感染症への見直し以降、随分と東京のまちにもにぎわいが戻ってきたと感じています。最近の報道などでは、インバウンド需要は、コロナ前の水準に回復しているとの指摘もあります。
こうした中、地域によっては、観光客による過度な混雑やマナー違反など、いわゆるオーバーツーリズムの問題が発生し、地域住民の生活環境に影響を及ぼしている状況もあります。
また、近年、都内のあちらこちらに、一泊五万円や十万円といった高級なラグジュアリーホテルや、いわゆるリゾート系ホテルも目立つようになってきています。区部の消費者物価指数などの統計によれば、宿泊料金の水準は明らかに上昇傾向にあります。
このような様々な社会経済状況の変化を捉え、創設から二十年経過した宿泊税について、制度が時代に即したものになるよう、見直しを図っていくことも必要と考えます。
今年度、東京都税制調査会でも、宿泊税の税負担の在り方について検討を行ったとのことですが、どのように提言しているのか、改めて伺います。
○筒井税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会の報告では、宿泊税の創設当時と比べ、宿泊料金の上昇、外資系高級ホテル等の高額な宿泊の増加、観光産業振興費の増加など、状況の変化を踏まえ、税負担水準を引き上げる方向が適当であるとしております。
また、高額な宿泊が増加しており、その宿泊料金に応じた新たな税率区分を設定することなども検討すべきとしております。
○吉住委員 今回の東京都税制調査会の報告では、宿泊税創設時からの様々な状況変化を捉え、担税力に応じた負担を求める観点から、税負担水準の引上げなどを検討すべきと提言されたことが確認できました。
魅力ある都市東京として、海外、国内の旅行者を引きつけていくためには、観光振興施策を積極的に展開していく必要があり、施策展開を財政面から支える宿泊税は重要だと考えます。
一方で、今後の宿泊税の在り方を考える上で忘れてならないのは、宿泊者や宿泊事業者に対する適切な配慮です。
現行の宿泊税においては、一人一泊当たりの宿泊料金が一万円未満の宿泊について課税が免除されており、また、一万円以上の宿泊がない場合は、宿泊業者は特別徴収義務者として登録する義務を免除されていると聞いています。
今後、仮に課税免除の基準が引き下げられることとなった場合、宿泊者や特別徴収義務者であるホテル、旅館に与える影響は大きいと考えますが、一人一泊一万円未満の宿泊について課税免除としている理由について伺います。
○辻谷税制部長 一人一泊一万円未満の宿泊に対する課税免除は、担税力を考慮して、低廉な宿泊施設への宿泊は課税の対象とせず、また、修学旅行生やビジネス客が利用するような施設の宿泊客には課税しないよう配慮したものです。
○吉住委員 現行の課税免除の基準は宿泊者の担税力を考慮するとともに、修学旅行生やビジネス客などに配慮がなされたものとのことですが、今回の東京都税制調査会の報告では、課税免除の在り方についてどのように提言されているのか伺います。
○筒井税制調査担当部長 今年度の報告では、課税免除について、一方で、応益課税の観点からは、宿泊料金による課税免除を見直し、宿泊料金の多寡にかかわらず課税することも考えられる。他方で、現下の社会経済状況において、相当程度の金額の宿泊に課税した場合の負担感、特別徴収義務者である事業者の事務コスト及び課税庁の徴税コストを勘案する必要があるとしております。
○吉住委員 宿泊料金の多寡にかかわらず、受益に応じて負担を求めるべきとの考え方からすれば、一万円未満の宿泊についても、公平性の観点から課税対象とすることも考えられます。
しかし、コロナ禍における訪日外国人旅行者数の大きな落ち込みなどにより、この間、宿泊業界は非常に厳しい事業環境に置かれてきました。足元では、インバウンド需要は回復しているものの、コロナ禍における債務の累積や深刻な人手不足などの影響が依然として続いています。
このような中で、課税免除の基準を見直し、一万円未満の宿泊も課税対象とした場合、宿泊業者に与える影響は非常に大きく、特に制度の見直しにより、新たな特別徴収義務者となる中小事業者にとっては、大きな負担となります。
今後、都として、宿泊税の見直しを検討していく際には、課税免除の基準について、中小の宿泊事業者への負担などに十分に配慮するよう強く求めておきます。
次に、宿泊税の使途について伺います。
宿泊税は、観光振興施策に充てるため、法定外目的税として創設されたとのことですが、そもそも、なぜ宿泊税は観光振興施策に充てる目的税としたのか、課税対象者を宿泊者とした理由と併せて伺います。
○辻谷税制部長 導入当時の東京は、諸外国の観光先進都市と比べて、旅行者の受入れ数が伸び悩むなど、観光施策において後れを取っている状況にありました。
そこで、都は、立ち遅れていた観光を新たに産業として位置づけ、観光振興施策に本格的に取り組むこととし、これらの施策を実施するための財源をより安定的かつ継続的に確保するため、平成十四年十月に法定外目的税として宿泊税を導入しました。
また、観光振興施策は、東京を訪問し、宿泊する旅行者等に直接、間接的にその便益が還元されるものであり、受益者と考えられる旅行者等に一定の負担を求めるという応益課税の考え方に基づき、都内の宿泊者を対象として宿泊税を課税しています。
○吉住委員 観光振興施策の受益者と考えられる都内に宿泊する旅行者などに応分の負担を求めるという考え方に基づいて、宿泊税を課税していることが分かりました。
今後、宿泊税の見直しを行う場合、宿泊税の使途について、負担をしている宿泊者や特別徴収義務者である宿泊事業者にとって、より理解を得やすいものにしていくことも重要です。
現在の宿泊税は、観光振興施策全般に広く充てられており、特定の事業に充てられているわけではないと聞いていますが、中には、宿泊者などが直接的な受益を実感しにくいような施策も含まれているのではないかと考えます。
一方で、先ほども述べましたが、いわゆるオーバーツーリズム対策のように、東京に宿泊する旅行者などが財政需要を拡大させており、応分の負担を求めていくべきものも出てきています。
具体的な施策展開については、産業労働局などの所管になるとは思いますが、宿泊税の見直しを検討するに当たっては、宿泊税の使途の在り方についても改めて検討すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○辻谷税制部長 宿泊税は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てることを目的としており、その全額を観光振興に係る事業全般に広く充てることとしています。
宿泊税の使途については、これまでも、宿泊者や宿泊事業者に分かりやすく示す工夫をしてまいりました。
宿泊税をめぐる状況の変化等を踏まえ、産業労働局をはじめ、関係局とも連携しつつ、納税者等の理解をさらに深めていくため、使途の在り方についても検討してまいります。
○吉住委員 さて、ここまでの質疑を通じ、宿泊税に関する東京都税制調査会の検討、提言内容などを確認してまいりました。
最後に、今年度の宿泊税に関し、東京都税制調査会の報告を受けて、今後、都はどのように対応していくのか、主税局長に伺います。
○児玉主税局長 宿泊税は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する経費に充当することを目的として、東京都が全国の自治体に先駆け、平成十四年度に創設いたしました。課税自主権を行使し、自治体としての財源を自ら確保する取組として、地方分権推進の観点からも大きな意義があるものと認識しております。
宿泊税は、創設当初からこれまで二十年以上にわたり安定的に税収を確保することで、都の観光振興施策を財政面から支えてきました。今後も課税を継続し、引き続きその役割を果たしていくことは極めて重要であると考えております。
創設当時と比べますと、宿泊税をめぐる環境は大きく変化しており、今回、東京都税制調査会からいただいた提言も参考に、観光産業をめぐる状況や都における観光振興施策の今後の展開等を十分踏まえ、宿泊税の在り方の見直しについて鋭意検討を進めてまいります。
○たきぐち委員 それでは、私からは、令和五年度東京都税制調査会報告について伺ってまいりたいと思います。
まず、ふるさと納税についてであります。
平成二十年度税制改正で創設されたふるさと納税制度は、導入から既に十五年が経過をいたしましたが、過度な返礼品競争によるカタログショッピング感覚での寄附が行われるなど、本来の趣旨から逸脱しているともいえます。
こうした状況に対して、これまでも、東京都税制調査会において問題点が指摘され、都も制度の見直しを国に要望してきたところであります。
しかし、全国の寄附受入額は増加の一途をたどっておりまして、令和四年度には九千六百五十四億円と、一兆円に迫る規模まで拡大をしています。
過大な寄附の使い道が決まらず、寄附受入額の多い自治体における特定目的基金の残高が前年から倍増しているとの報道がある一方で、都市部の自治体からの税収の流出額の増加が大きな問題となっていると認識しております。
そこでまず、ふるさと納税による都の影響額について、直近の減収額と制度創設以降の累計額を併せて伺います。
○辻谷税制部長 都におけるふるさと納税による減収額は年々増加しており、令和五年度分の減収額は六百七十五億円、制度創設以降の累計は三千十八億円です。
○たきぐち委員 年間六百七十五億円ということで、看過できない規模になっているかというふうに思います。
このような中、先月十月に、総務省は、行き過ぎた返礼品提供に対する対応として、返礼品の地場産品に該当するかの基準や募集経費を五〇%以下とするルールを厳格化する見直しを行ったと聞いています。
そこで、今回の国のルール厳格化の概要と、これに対する都の見解について伺います。
○辻谷税制部長 本年十月に国が実施したふるさと納税の指定基準見直しの概要は、寄附額の五割以下とされている募集に要する費用について、寄附金受領証の発行などの付随費用も加えるとともに、返礼品に係る地場産品の基準について、加工品のうち熟成肉と精米を提供する場合における原材料の肉や米を同一都道府県内産のものに限定するというものです。
国の説明では、今回の見直しは、ふるさと納税の運用の適正化を図るものとされているが、都としては、ふるさと納税制度が抱える様々な問題点の本質的な解決につながるものではないと考えております。
○たきぐち委員 本来、寄附額の半分以下でなければならない経費が、隠れ経費などの扱いで、その割合が守られていなかったり、地場産品でない返礼品が混在していたりという、こういった現状に対しての措置だということで理解をいたしますが、ご答弁がありましたとおり、特定の返礼品に限定していることなど場当たり的な印象は否めず、制度を根本から正すものではないと、私も考えております。
ただ、報道によりますと、ルールの厳格化を受けて、七割以上の自治体が、寄附金額の値上げや返礼品の取扱いの中止、変更などを実施したということであり、何かしらの対応に迫られた状況も見てとれます。
こうしたこれまでの経緯や現状において、今年度の東京都税制調査会の報告では、ふるさと納税について改めて問題点を指摘するとともに、従前より一歩踏み込んで、抜本的な見直し案についても言及されていますが、今年度の東京都税制調査会では、ふるさと納税について、どのような提言、意見が出されたのか伺います。
○筒井税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会においては、ふるさと納税制度は多くの問題点を有していることから、抜本的に見直し、寄附金税制本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとした上で、具体的な見直しの方策として、見返りを求めない寄附本来の姿に近づけるため、返礼割合を段階的に引き下げていくべき、特定の事業を応援するクラウドファンディング型への制度の変更も考えられる、垂直的公平の観点から、特例分の控除額に定額で上限を設定することが考えられる、返礼品は、所得税法における特別の利益に当たると考えられ、寄附金控除の対象となる寄附金額から受領した返礼品に相当する金額を除くべき等の意見が出されております。
また、ふるさと納税の問題を都民に提起し、理解を促進すること、問題意識を同じくする地方自治体と連携し、国に対して制度の見直しを求めていくことも重要としております。
○たきぐち委員 国に対して、制度の問題点はもちろんのこと、クラウドファンディング型への制度の変更であったり、控除対象寄附金額から返礼品相当額を除くことなど、具体的な案を示しながら、抜本的な見直しを求めていくということは重要であり、都として、こうした提言や意見を参考にしながら、引き続き、国に要望していくべきと考えます。
一方で、制度に問題があるにせよ、ふるさと納税は、今や、国民、都民に一定程度受け入れられておりまして、ニーズがあるのが現実でもあります。
ある民間の調査によりますと、ふるさと納税を行った理由として、お礼の品がもらえるからが七〇%と最も多く、住民税が控除されるからが六〇%、税金の使い方を自分で選べるからが二三%、被災地支援や自分の故郷への恩返し、思い入れのある地域への貢献が一〇%前後という結果が示されています。
これは、ネットで検索すれば、出てくる調査結果でありますが、多くの国民、都民の動機づけが寄附本来の姿ではないといえる一方で、返礼品を受け取らずに寄附する人も一定数いるということが、この調査から分かります。ちなみに、この調査によりますと、返礼品を受け取らない経験者が三割弱いて、このうち、二十代では半数以上、五五%弱がお礼の品をもらわないという経験があるということで、年代が高い層ほど返礼品を受け取る傾向にあるという結果も出ています。ここにも、高額所得者ほど、より恩恵が受けられる制度となっていることが読み取れるわけでありますし、ただ、一方では、本来の趣旨により近い活用をしている若い世代の存在も確認できる調査結果だというふうに私は感じました。
こうした国民、都民の行動や認識を把握した上で、ふるさと納税の問題、課題を都民に提起し、理解を促していくべきと考えますが、見解を伺います。
○辻谷税制部長 都はこれまで、ふるさと納税の問題点や都政への影響について分かりやすく伝えるため、都の見解を主税局のホームページに掲載するとともに、SNSや広報紙などを通じた発信を行ってきました。
これらの取組により、ふるさと納税について報道される機会も増え、課題が広く知られるようになってきたと認識しています。
今後は、都民の行動や認識を把握するため、ホームページを閲覧した方を対象としたアンケート調査を行う予定です。
また、さらなる制度見直しの機運醸成に向け、デジタルサイネージなど直接都民に働きかける媒体も活用し、効果を検証しつつ、引き続き、戦略的に広報を展開していきます。
○たきぐち委員 テレビをつければ、今、当たり前のように、このふるさと納税のCMが流れているという実態がある中で、税金を効果的に、自分の意思で納得感を持って納めたいという国民、都民感情は、理解できるところであります。
しかし、税金が他の自治体に流れることによって、自ら受けられる行政サービスに関係してくることも事実であって、今ご答弁にありましたような取組を着実に展開することによって、本来の趣旨に沿った制度への見直しへの機運醸成を期待したいというふうに思います。
先ほど、都の影響額について確認をいたしましたけれども、都内の自治体においても、住民税の流出が、行政サービスに影響を及ぼしかねない、看過できない状況となっていることは、自治体関係者からも、また、報道でも、話を聞いたり、度々目にするところであります。
こうした状況に対して、財政規模が限られている自治体にとっては、制度の可否はともかく、手をこまねいている場合ではなくて、積極的に魅力ある返礼品を打ち出そうという動きが強まりつつあります。
最も流出額の多い世田谷区では、令和四年十一月から、本格的に返礼品提供を始めて、地元の人気菓子など約百点を返礼品に追加するなどの取組を行っています。また、新宿区では、吉住委員、いらっしゃいますけれども、区長やJR新宿駅の駅長の一日体験といった体験型の返礼品だったり、中央区でも、明治座や歌舞伎座での観劇券、築地のバーベキュー場利用券など、やはり体験型のメニューを追加するなど、寄附額の増加につなげようとしています。
私と慶野都議の地元の荒川区においても、鋳物体験であったり、あらかわ遊園のチケットであったり、社交ダンスレッスンとか、こういった体験型の返礼品があって、その数も増やしているところでありますけれども、現状のふるさと納税市場で戦っても、なかなか厳しい、他の自治体の生鮮食品などにはかなわない、だとするならば、ふるさと納税をしようとしている人から、荒川区の返礼品、その商品を欲している人にペルソナを切り替える、ターゲットを切り替える、市場分析をしながら売る手法を考えていこう、そんな議論も、同僚議員が区議会の中でしているところでもあります。
一方で、特別区長会として、これまで一貫して毎年のように不合理な税制改正等に対する主張を公表し、本年七月末にも、国に対して制度の見直しの要望を行っています。今週月曜日にも、不合理な税制を是正するよう求める要望書を自民党の萩生田政調会長宛てに提出したという報道もありました。
今回の報告においても、問題意識を同じくする地方自治体と連携をし、国に対して制度の見直しを求めていくことの重要性について提言されているところであります。
こうした提言も踏まえ、特別区との連携をさらに強化するなど、ふるさと納税が抱える様々な問題点の解消に向け、都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○辻谷税制部長 ふるさと納税は、地域の活性化や被災した自治体への復興支援に寄与する面もある一方で、より多くの寄附金を集めるための返礼品競争が続いており、寄附本来の趣旨を促す制度となっていません。
また、行政サービスを行う自治体に入るべき税収が、寄附金を通じて他の自治体に移転しており、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものとなっております。
さらに、所得に応じて控除額の上限も高くなる仕組みとなっており、高所得者ほど多額の返礼品を受け取れることとなるため、公平性の観点からも問題があることに加え、ワンストップ特例を利用した場合、本来国が負担すべき税収減が自治体に転嫁されるといった課題もあります。
こうしたことから、都はこれまで、ふるさと納税について、寄附本来の趣旨等を踏まえた見直しを行うよう国に要求するとともに、ふるさと納税の対象として国の指定を受けるための申出を行っていません。
今回の東京都税制調査会の提言や意見も参考に、問題意識を同じくする他の自治体とも連携しながら、ふるさと納税制度の抜本的な見直しについて国に要求していきます。
○たきぐち委員 東京都と都内区市町村を合わせた令和五年度の減収額は、約一千七百億円と、過去最高の額に達しています。問題意識を同じくする他の自治体、とりわけ、特別区長会や市町村長会などとの連携を強化し、オール東京で制度の改善に向けて取り組んでいただくことを強く求めるとともに、税収の確保に向けては、国の指定を受けるための申出も含めて、あらゆる方策の可能性を排除せず、取り組んでいただくことをお願いしておきたいというふうに思います。
さて、都税収入への影響を考えますと、ふるさと納税もさることながら、地方法人課税の偏在是正措置の影響は極めて大きいものであります。先ほど、特別区長会が要請書を提出したと申し上げましたけれども、ふるさと納税制度と偏在是正によって、特別区全体で、二〇二三年度は約三千二百億円減収するとの試算も示されたところであります。
そもそもこの問題は、国がかつて、いわゆる三位一体改革の名の下、地方交付税を大幅に削減し、地方財政の困窮を招きましたが、これを都市対地方の税収格差の問題にすり替え、不合理な偏在是正措置を講じたのが始まりであったと記憶しています。
そこで、これまで累次にわたって講じられてきた偏在是正措置について、税制改正の経緯と影響額を伺います。
○辻谷税制部長 まず、平成二十年度税制改正では、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の暫定措置として、法人事業税の一部を地方法人特別税として国税化するとともに、地方法人特別譲与税として都道府県に配分することとされました。
また、平成二十六年度税制改正では、地方法人特別税の規模を三分の一縮小し、法人事業税に復元したものの、地方消費税率の引上げに伴い、自治体間の財政力格差が拡大することへの対応として、法人住民税法人税割の一部が地方法人税として国税化され、その全額が地方交付税原資化されました。
平成二十八年度税制改正では、消費税率一〇%段階において、長年の懸案であった法人事業税の暫定措置を廃止することとされた一方で、法人住民税については、一部国税化の規模をさらに拡大することとされました。
さらに、令和元年度税制改正において、国は、都市と地方の財政力格差の拡大等を理由に、法人事業税の一部を再び国税化し、不交付団体に対する譲与制限を設けて都道府県に配分する特別法人事業税、譲与税制度を恒久措置として創設しました。
こうした累次にわたる偏在是正措置による都の減収額は、平成二十年度から令和五年度までの累計で約七・九兆円に上っています。
○たきぐち委員 七・九兆円という莫大な金額が減収となっているということであります。
加えて、本年七月の全国知事会議では、一部の知事から、さらなる偏在是正を求める意見が出たということであります。こうした意見に対して、小池知事は、地方交付税などを含めた人口一人当たりの一般財源額で見れば、東京都は全国平均以下の水準であることなど、逆偏在が生じていることを、エビデンスを示しながら、明確に反論を行ったと承知をしております。
偏在是正措置について、東京都税制調査会の提言も参考にしながら、税制面における問題点の理論的な主張を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○辻谷税制部長 これまで国が講じてきた偏在是正措置は、法人がその事業活動を行うに当たり、自治体から行政サービスを受けていることに着目して課税されている法人二税を、財政調整の手段として応益関係のない他自治体に配分するものであり、受益に応じて税を負担すべきという地方税の応益性の原則に反しています。
また、地方の重要な基幹税の一つである地方法人課税を国税化し、地方交付税や譲与税として配る仕組みは、地方の自主財源を縮小させることにほかならず、地方の自立と活性化を目指す地方分権に逆行するものです。
自治体が自らの権限と財源により、主体的にその役割を果たすためには、限られた財源の奪い合いではなく、真の地方自治の実現に向けた地方税財源の拡充と安定的な地方税体系の構築を実現していくことが重要です。
都としては、不合理な偏在是正措置に対しては、東京都税制調査会も活用しつつ、引き続きしっかりと主張を行っていきます。
○たきぐち委員 第三回定例会の我が会派の代表質問におきましても、本年度予算ベースで一兆二千七百六十五億円、都民一人当たり換算で九万円以上のマイナスとなっていることに対して、地方税財政制度の在り方についての抜本的な見直しを求めたところでもあります。
総務省及び同省出身の知事が中心となって、新たに都から財源を奪おうとする動きが事実であれば、到底容認できるものではありません。ぜひ、都議会におきましても、この委員会でも、菅野幹事長はじめ各会派の先生方いらっしゃいますので、超党派で、声を大にして問題提起をしていかなければいけない大きな課題だと認識をしているところでありますので、お願いをしたいというふうに思います。
次に、環境関連税制について伺いたいと思います。
地球温暖化から地球沸騰化といわれる時代を迎え、私は、都民の理解を得ながら、規制措置、誘導措置、施策、税制措置、あらゆる方策を講じて、気候変動対策に取り組まなければならないと強い危機感を持っております。
こうした状況の中で、今年度の東京都税制調査会は、住宅の脱炭素化に向けた提言を行っておりますが、住宅の脱炭素化を検討テーマとした考え方について伺います。
○筒井税制調査担当部長 東京都税制調査会は、税制の基軸の一つに環境を据えて、税制のグリーン化を推進していくことが不可欠としておりまして、環境関連税制を重要なテーマとして継続的に検討しております。
これまで、大気汚染対策の観点から、排ガス性能に応じた自動車税のグリーン化、また、地球温暖化対策の観点から、温室効果ガス排出量に応じたエネルギー税制や自動車関連税制の在り方を検討するなど、社会経済の変化を踏まえつつ、環境重視の社会経済を構築していくための税制の在り方について提言をしてまいりました。
今年度は、家庭部門のCO2排出量削減が他の部門に比べ進まない中で、家庭部門の対策の中核である住宅の脱炭素化について、税制の視点から検討を行うとしたものであります。
○たきぐち委員 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、二〇三〇年までの行動が極めて重要であるとして、環境局を中心に、全庁的な取組を進めています。
都内CO2排出量の約三割は家庭部門から排出されていますが、エネルギー消費量は、産業業務部門、運輸部門が二〇〇〇年度比で減少しているのに対して、家庭部門のみ増加していることから、住宅の脱炭素化を強化していくことが重要であります。
国は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEHを推進し、都は、ZEHよりも省エネ水準が高く、建築物省エネ法で定める基準より三割省エネとなる東京ゼロエミ住宅を設定し、さらに高い省エネ性能を備えるべく、基準の多段階化を図るなど、取組を強化しているところと承知をしております。
そこで、現在、ZEHや東京ゼロエミ住宅などの環境性能のよい住宅について、優遇税制はどのように行われているのか、国制度と都制度のそれぞれについて伺います。また、都税調の報告では、住宅の脱炭素化に向けた方策として、不動産取得税に環境性能割を導入することが提言されていますが、併せてその考え方について伺います。
○筒井税制調査担当部長 環境性能の高い住宅に対する優遇税制として、所得税から借入残高の一定割合を控除する住宅ローン減税について、環境性能の高い住宅ほど借入限度額の上限が高くなる措置が講じられています。
国の措置に加えて、都は、令和四年度から、東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、太陽光パネルの設置など一定の要件を満たす東京ゼロエミ住宅の取得について、不動産取得税を最大で十割減免しております。
今年度の東京都税制調査会の報告では、住宅の脱炭素化に向けて、取得時において断熱、省エネ性能が優れた住宅の選択を促すため、不動産取得税に、環境性能に応じて税率を設定する環境性能割を導入することが有効であると提言しております。
○たきぐち委員 現在も、国の措置に加えて、要件によって、これは、太陽光発電システムを設置したり、多段階化の水準二及び三の基準を満たす等々のこういった要件によって、五割から最大十割、不動産取得税が減免される制度があります。
報告では、環境性能割、これは既に自動車税において実施されている仕組みでありますが、これを新たに不動産取得税にも導入することが有効であると提言されております。自動車税以外の税では、現状、軽減措置にとどまっており、税率そのものが環境負荷に応じて設定される環境性能割の導入は、社会的にもインパクトが大きいものと考えます。
そこで、制度の導入に当たって、どのような課題があるのか伺います。
○筒井税制調査担当部長 報告では、不動産取得税は、課税標準の特例措置等の各種控除により課税割合が小さくなっており、環境性能割の導入に当たっては、政策効果を高める観点から、課税ベースを拡大することを併せて考える必要があるとしております。
○たきぐち委員 政策効果を高める観点から、不動産取得税の課税ベースを拡大することが課題であるということであります。
環境に配慮した税制という意味では、自動車税のグリーン化が思い当たるところであります。環境によい車が増えるということは、期待する政策効果でありますが、一方で、税収は減少します。課税ベースの拡大も併せて考えられているということでありますが、政策効果の向上と税収、財政の確保という両面において、都民の共感を得ながら検討を進めていただきたいというふうに思います。
現在の住宅ストックは二百万棟で、年間四・三万棟が新たに着工されていることから、二〇三〇年までには約四十万棟、二〇五〇年には約百三十万棟が新築に置き換わると試算されています。これは、環境基本計画改定時の都の資料によるものでありますけれども、この試算どおりに推移したとしても、三分の一の約七十万棟は残存するということになります。つまり、環境性能の優れた新築住宅の選択や供給を促進することは重要なことではありますけれども、住宅の脱炭素化のためには、既存住宅へのアプローチも極めて重要であります。
コロナ禍によって、在宅勤務、テレワークが増えるなど、働き方や生活様式が大きく変化いたしました。在宅時間の長時間化によって、住環境への関心が高まって、リフォーム需要が増加基調にあるこの機会を捉えて、既存住宅の脱炭素化に向けた取組を加速させていくべきと考えます。
都税調の報告では、既存住宅の脱炭素化に向けた税制措置についてどのような提言があったのか伺います。あわせて、都として、今回の住宅の脱炭素化に向けた提言をどのように活用していくのか伺います。
○辻谷税制部長 今年度の東京都税制調査会の報告では、既存住宅を、環境性能の高い住宅へ改修するよう後押ししていくため、省エネリフォームに係る固定資産税の減額措置について、新築住宅に省エネ性能が義務化されることを踏まえ、減額割合及び要件の緩和等、制度の見直しを行うべきとの提言がなされました。
都税調報告の趣旨を踏まえ、引き続き、関係局と連携するとともに、総務省をはじめとする国の関係機関等へも働きかけていきます。
○たきぐち委員 都税調において、住宅の脱炭素化に向けて、新築住宅と既存住宅それぞれについて、税制を活用した促進策を検討し提言されていることは評価できます。
私もこれまで環境・建設委員会の中で、建物のゼロエミッション化に向けて、住宅の断熱化の重要性を繰り返し指摘をしてまいりました。仮に太陽光など自然再生エネルギーに転換したとしても、エネルギーがだだ漏れしているような構造では、HTTの効果は得られないということで、断熱性、気密性を高めるべく、その性能基準の引上げについても、業界も含めて取組が進められていると理解しているところであります。
脱炭素社会の実現に向けては、技術開発、GX、人々の意識変革、行動変革、カーボンオフセットなど、様々な分野にわたって積極的に施策を展開していくことが重要であり、税制も施策とともに役割を果たすべきものと考えています。
先ほどの答弁にありましたが、都税調においては、環境関連税制の枠組みの中で、時代の変化に応じて検討テーマを選定し、継続的に意欲的な提言を行っていると受け止めております。自動車税のグリーン化、中小企業者向け省エネ促進税制やZEV導入促進税制などの政策減税は、都税調の提言が実現したものと認識をしております。引き続き、環境重視の社会経済の構築に向けて、環境関連税制の意欲的な検討を求め、最後の質問に移りたいと思います。
都税収入について伺います。
コロナの五類移行から半年が経過し、社会経済活動は本格的に再開しつつあります。コロナ禍を振り返りますと、私たちがこれまで経験したことがない感染症の拡大防止を目的とした行動制限が行われたほか、渡航制限や国境封鎖による物流の寸断がサプライチェーンの寸断につながり、経済にも大きな影響がありました。
こうした経済の動向は、当然、都税収入にも影響があったものと思いますが、令和元年度から、コロナが終息に向かった令和四年度までの都税収入の動向について改めて確認をいたします。
○辻谷税制部長 令和元年度の都税収入は五兆六千三百十八億円でしたが、その後、新型コロナウイルス感染症の影響により企業収益が悪化したことなどから、令和二年度は、前年度から二千八百二十億円、五・〇%減の五兆三千四百九十八億円となりました。続く令和三年度は五兆八千四百七十九億円、令和四年度は六兆一千六百四十四億円と、新型コロナウイルス感染症の影響がある中においても、二年連続の増収となりました。
これは、都や国による積極的な財政出動等もあり、企業収益が持ち直し、その後も引き続き堅調に推移したことによる法人二税の増収が主な要因と考えています。
○たきぐち委員 令和二年度に前年度比で二千八百二十億円の減収となったものの、令和三年度からは回復傾向にあって、先日発表された来年度予算の各局要求総額は八兆四千億円を超える、過去最高の更新につながっているところです。これは、感染拡大防止協力金をはじめ、都として様々な手を尽くしてきたことが、税収となって表れている結果だと思います。
この間、主税局の皆様におかれましては、多くの職員が、保健所の支援であったり、一時滞在施設の運営に協力するなど、本来業務を離れて対応に尽力されてきたことに対して、改めて敬意を表したいというふうに思います。
こうしたコロナ禍を乗り越えてきた現在でありますけれども、少子高齢化の進展や物価上昇に賃金上昇が追いつかない構造など、都が立ち向かうべき新たな課題も顕在化しており、様々な施策を展開しているところでもあります。その施策を財政面から裏づけているのが都税であって、税収確保を担う主税局の役割は極めて大きいものがあると思います。
先般、福祉保健局が分割されたことによって、主税局が知事部局で最大の職員数を有する局となりました。
そこで、最後に、多くの現場を持つ組織の長として、主税局の使命である税収確保に向けてどのように取り組んでいくのか、児玉局長の決意を伺います。
○児玉主税局長 主税局の最大の使命は、多岐にわたる都政の課題に、将来にわたり都が的確に対応していく上で不可欠な財政基盤を支えるため、歳入所管局として着実に税収の確保を図ることでございます。
この使命をしっかりと果たしていくためには、都税事務所などの現場における適正、公平な賦課徴収や納税者の視点に立ったサービス向上ときめ細やかな対応により、納税者の理解と信頼を得ることが不可欠であります。
また、デジタル技術の進展と普及が飛躍的に進む中、サービスの質を高め、納税者の利便性をより一層向上させるべく、税務行政のDXを推進していくことも肝要です。
今後とも、高い専門性を有する多くの職員と都税事務所といった現場を持つ強みを存分に生かすことにより、納税者のニーズを的確に捉えたより質の高い税務行政を実現し、主税局の総力を挙げて税収の確保に取り組んでまいります。
○たきぐち委員 ご答弁ありがとうございました。
現場を持つ強みと困難さがあろうかというふうに思います。都民に納得して税金を納めていただくには、都政の信頼感が不可欠であるということは、言をまちません。私も、都税事務所に足を運ぶ都民、区民から相談を受けることがあります。
主税局の事務事業については、この後、清水都議からも質疑をさせていただきますが、ぜひ、納税者へのサービスと利便性の向上を図りながら、質の高い税務行政を推進していただくことを求め、質問を終わります。
○長橋委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
初めに、防災まちづくりの推進に関わる政策税制について伺いたいと思います。
東京都は、地震に強く、大地震が発生した場合には、被害を最小化する防災まちづくりを進めるため、不燃化特区制度の活用による木造住宅密集地域の改善や住宅をはじめとした建築物の耐震化等に取り組んできたところでございます。
主税局においても、平成二十年度に耐震化促進税制、平成二十五年度に不燃化特区支援税制を創設し、防災まちづくりを税制面から支援しているところでございます。
このような制度により、都内の木密地域の不燃化や住宅の耐震化は進んできていますが、木密地域や耐震化が不十分な住宅がまだ残っており、引き続き、都の防災面における大きな課題でございます。
私の地元でも、東池袋四、五丁目や池袋本町、上池袋など、五地区が不燃化特区に指定されておりまして、いまだ不燃化率はいずれも六〇%台であり、目標未達成の状況でございます。また、豊島区の耐震改修促進計画では、令和三年三月末現在時点で、民間住宅で必要な耐震性能を有していないものが約一万四千戸、約八%残っているとのことであり、さらなる取組が必要であります。
そこでまず、不燃化特区支援税制について、制度の概要と併せて、東京二十三区全体と豊島区の昨年度の適用実績について伺いたいと思います。
○齋藤資産税部長 不燃化特区支援税制は、木造住宅密集地域のうち、特に重点的、集中的に改善を図るべき地域の不燃化を税制面から支援するため、平成二十五年度に創設したものでございます。
概要についてですけれども、不燃化特区内において建て替えを行った住宅について、固定資産税及び都市計画税を五年度分全額減免するものでございます。また、不燃化特区内において、防災上危険な老朽住宅を除却し、その跡地が適正に管理されていると区が証明した土地について、固定資産税及び都市計画税を五年度分、税額の八割を減免するものでございます。
令和四年度の減免の実績は、二十三区全体では、住宅の建て替えが二千九百三十九件、約三億六千九百万円、老朽住宅の除却が二百三十八件、約四千七百万円でございました。このうち豊島区は、住宅の建て替えが三百八十九件、約五千四百万円、老朽住宅の除却が十四件、約三百万円となっております。
○長橋委員 ありがとうございます。
そうしたら、次に、耐震化促進税制についても、こちらも、制度の概要と東京二十三区全体及び豊島区の昨年度の適用実績について伺いたいと思います。
○齋藤資産税部長 耐震化促進税制は、災害に強い東京の実現を税制面から支援するため、平成二十年度に創設したものでございます。
その概要についてですが、二十三区内において、昭和五十七年一月一日以前から所在する住宅の建て替えまたは耐震改修を行った場合に、固定資産税及び都市計画税について、建て替えは三年度分全額、耐震改修は原則として一年度分に限り、床面積百二十平方メートル相当分まで全額免除するものでございます。
令和四年度の減免の実績は、二十三区全体では、住宅の建て替えが八千六百三十一件、約十二億八千九百万円、住宅の耐震改修が一千七百五十一件、約四千六百万円、このうち、豊島区についてですが、住宅の建て替えが二百三十九件、約四千五百万円、住宅の耐震改修が二件、約二百万円となっております。
○長橋委員 ありがとうございます。不燃化特区支援税制及び耐震化促進税制については、一定の水準の実績があることが分かりました。また、豊島区においても、こうした制度が活用され、不燃化や耐震化が進められていることは確認をできたわけであります。また、耐震改修については、まだまだ豊島区はこれからだというふうには思いますけれども、引き続き、よろしくお願いいたします。
それでは、これらの政策税制が、防災まちづくりに果たしてきた効果について見解を伺います。
○齋藤資産税部長 制度創設から令和四年度まで、不燃化特区支援税制は、延べ一万五千七百十三件、約十九億六千万円、耐震化促進税制は、延べ十七万二千八百十二件、約百九十九億円を減免しており、事業所管局等における助成事業など様々な施策の効果と相まって、住宅の不燃化や耐震化を促進し、防災まちづくりに一定の役割を果たしているものと認識しております。
○長橋委員 防災まちづくりに関する政策税制は、固定資産税の減免により経済的なインセンティブを働かせ、住宅の不燃化、耐震化を促しており、防災まちづくりに寄与していることは理解をできました。
そのためには、税制を都民に周知し、積極的に活用してもらうことが極めて重要でございます。
そこで、防災まちづくりに関わる税の周知について、主税局の取組について伺います。
○齋藤資産税部長 主税局では、「広報東京都」や「あなたと都税」など、都の広報媒体を活用するとともに、減免制度についてのチラシを作成し、区の事業所管課の窓口や個別相談会で配布するなど、区と連携して広報に努めてまいりました。
また、昨年度からは、主税局ホームページに新築住宅の際の軽減制度を総合的に案内するページを新たに作成し、住宅の新築を考えている方に向けて、不燃化特区支援税制や耐震化促進税制について、幅広く効果的な広報を行っております。
今後とも、対象となる方に必要な情報が届けられるよう、きめ細かい周知に努めてまいります。
○長橋委員 ぜひ、より一層の活用を図られ、防災まちづくりが進むよう、周知に取り組んでいただくことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。
これまで、災害に強い防災まちづくりに関わる政策税制について質問してまいりましたが、実際に災害が発生した場合、帰宅困難者への対応が、昼間人口が多い東京では大きな課題でございます。
実際に、東日本大震災時、東京は約三百五十万人もの帰宅困難者が発生し、大混乱となっており、来るべき大災害時に発生する帰宅困難者問題に対して、十分な備えが不可欠であります。
都は、帰宅困難者対策の一環として、平成二十五年度から、民間事業者の協力により、一時滞在施設の確保を推進してまいりました。協力していただく民間事業者の費用負担を補助する事業を進めるとともに、主税局でも、帰宅困難者のための備蓄倉庫に係る固定資産税や都市計画税の減免措置を創設しているところであります。
私も、以前に、東京都と豊島区で合同して行った帰宅困難者訓練に参加をいたしました。民間事業者も協力して行って、大変意義があるものだったというふうに思っております。
そこで、帰宅困難者のための備蓄倉庫に対する減免制度の概要と昨年度の実績を伺うとともに、この制度を活用してもらうためには、主税局ではどのような周知を行っているのか伺います。
○齋藤資産税部長 帰宅困難者のための備蓄倉庫に対する減免制度は、都内各区と帰宅困難者受入れ協定を締結する一時滞在施設の確保を税制面から支援するため、平成二十五年度に創設したものでございます。
その概要についてですが、都から補助金を受けて購入した帰宅困難者向けの備蓄品または都が購入し、配備した帰宅困難者向け備蓄品を保管する備蓄倉庫について、固定資産税及び都市計画税を五年度分全額減免するものでございます。
令和四年度の実績につきましては百六十件、約一千百万円の減免となっております。
制度の周知につきましては、主税局ホームページへの掲載や防災関係イベントにおけるチラシ配布等を行うほか、事業所管局である総務局を通じて、減免制度のパンフレットを民間一時滞在施設の事業者へ配布しております。
○長橋委員 東京都帰宅困難者対策実施計画では、一時滞在施設の確保を二〇三〇年までに帰宅困難者の九〇%を目標に掲げており、まだまだ民間事業者の協力が不可欠であろうかと思います。引き続き、協力していただく民間事業者の費用負担に配慮していくために、減免制度の適切な運用と都民や事業者への確実な制度周知をお願いいたします。
次に、太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制について質問をいたします。
都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、二〇一九年度から、省エネや断熱性に優れた住宅を東京ゼロエミ住宅として認証する制度を導入し、認証を受けた住宅の建築に対し、費用の一部を助成する事業を実施しております。
この東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、主税局では、昨年度から新たに、太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制を創設したところであります。
まず、この制度の概要について伺います。
○齋藤資産税部長 太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、太陽光発電設備の設置を通じた再生可能エネルギーの利用促進と東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、令和四年度に創設したものでございます。
その概要は、令和四年四月一日から令和七年三月三十一日までの間に、設計確認申請が行われた新築の東京ゼロエミ住宅のうち、一定の要件を満たす住宅を取得した場合に、当該住宅に係る不動産取得税を最大で全額減免するものでございます。
○長橋委員 不燃化特区支援税制や耐震化促進税制など、住宅に対する政策税制では、固定資産税及び都市計画税を減免する制度となっておりますが、この制度では、不動産取得税を減免する制度であります。
なぜ、今回、不動産取得税を減免することにしたのか、その考え方について伺います。
○辻谷税制部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、都全域で太陽光発電設備を設置した東京ゼロエミ住宅の普及を進めていくことが重要です。
固定資産税等の軽減措置は二十三区内に効果が限られることや、太陽光発電システムを設置した東京ゼロエミ住宅の新築の際には初期費用がかかることを踏まえて、住宅取得時の負担軽減を図る観点から、不動産取得税を減免することといたしました。
○長橋委員 市町村を含む東京都全体では、東京ゼロエミ住宅の普及を進めていくため、不動産取得税を減免対象としていることが分かりました。
そこで、これまでの適用実績についてはいかがでしょうか伺います。
○齋藤資産税部長 太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制の実績でございますが、直近の令和五年十月末までの実績は百十一件、約一千三百万円の減免となっております。
○長橋委員 制度が創設された昨年四月から直近の今年十月までに一定の実績が上げられていることが分かりました。創設されたばかりの制度であり、また、住宅が完成し、実際に税の減免を受けるには、相当の期間を要することから、実績が伸びるのは、まだこれからだと思います。
一方で、こうした税制措置は、制度を創設しただけで利用が進むというものではなく、より多くの方に知ってもらうことが大変重要であります。
制度の周知に向けた今後の取組について伺いたいと思います。
○齋藤資産税部長 本税制措置を都民の方に広く利用していただくためには、制度を広く、分かりやすく周知していくとともに、必要な方に確実に情報をお伝えしていくことが重要であると認識しております。
このため、ホームページや「あなたと都税」などの広報媒体を活用するほか、SNSを活用し、住宅の新築を考えている方にターゲットを絞った効果的な広報を実施しております。
また、環境局が行う助成事業の広報と併せて、住宅関連の業界団体等とも連携しながら、耐震化促進税制など、ほかの住宅関連の軽減措置も含め、しっかりと都民に伝わるよう効果的に周知を図ってまいります。
○長橋委員 東京ゼロエミ住宅を一層普及するには、住宅関連の業界団体等とも連携をして、税制面から支援する制度を創設し、適切に運用し、周知も努力している、これが確認できたわけでございます。
今後も、事業所管の環境局とも連携して、積極的な広報に努めていただきたいと思います。
次に、空き家に関する税制について伺いたいと思います。
人口減少、急速な少子高齢化により、全国的に空き家が増加している中で、都内には八十万戸を超える空き家が存在し、およそ十戸に一戸が空き家であるというふうにいわれております。
私の地元の豊島区では、二十三区で最も空き家率が高く、昭和四十年代以前の物件が比較的多く残っており、老朽化した空き家が多いというのは大きな特徴でございます。
空き家の中でも、適切な管理がなされず、長期間にわたり放置されている空き家は、地域の治安や衛生、景観の悪化につながる傾向がございます。地域の良好な生活環境を整えていくためには、とりわけ、長期間にわたり放置されている老朽空き家の除却や適切な管理を促していくことが大変重要でございます。
この点、国は、本年六月に、空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空家法を改正し、税制面から空き家対策を強化いたします。
そこで、確認の意味も含めて、長期間にわたり放置されているような空き家に対して、現在、どのような税制上の対策が取られているのか、本年六月の空家法の改正内容も併せて伺いたいと思います。
○辻谷税制部長 空き家であっても、人の居住の用に供する家屋の敷地には、地方税法上、住宅用地の特例が適用され、固定資産税の負担軽減が図られています。
一方、空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空家法に基づき、区市町村長が、放置すれば倒壊等のおそれがある特定空き家等に認定の上、修繕などの措置を行うよう勧告し、賦課期日までに適切な措置が実施されない場合には、翌年度の課税において、住宅用地の特例の対象外とすることとされています。
令和五年六月の空家法の改正では、区市町村長が、放置すれば特定空き家等になるおそれのある空き家等、いわゆる管理不全空き家等として勧告し、賦課期日までに適切な措置が実施されない場合も、翌年度の課税において、住宅用地の特例の対象外とすることとされました。
○長橋委員 更地よりも住宅用地の方が固定資産税が安い、だから空き家を放置しておいた方が得なんだというモラルハザードを回避するためには、危険な空き家については、税制上の特例を解除して、空き家の適正な管理や除却を促していくというのが、空家法の趣旨であると理解しております。
一方、空き家が発生する大きな要因として相続が挙げられます。空き家になってしまった家屋を相続した場合、本当なら適正な管理や除却をしたいけれども、資金が不足していて、なかなか思うようにいかないと感じている方もいらっしゃると思います。
そこで、課税を強化するばかりでなく、空き家の除却や適正管理を支援する税制面について、現状について伺います。
○辻谷税制部長 相続人が、相続した空き家を一定の要件を満たして譲渡した場合、所得税及び個人住民税の課税対象となる譲渡所得から三千万円を特別控除する制度が設けられています。
また、令和五年度税制改正において、本特例の期限を令和九年末まで延長した上で、売買契約等に基づき、空き家の買主が、譲渡後に耐震改修または除却した場合も、特別控除を適用できるよう、制度の拡充が図られています。
○長橋委員 空き家対策に関する税制は、特定空き家等に対する課税強化だけではなく、譲渡所得から特別控除という支援策も用意されていることが分かりました。
私が特別委員となっている東京都税制調査会の報告の中でも、空き家の譲渡に関する負担軽減の必要性を指摘されているところであります。
しかしながら、空き家対策としては、特定空き家等の除却や管理だけではなく、使える空き家の活用を拡大していく視点や既存住宅の流通を活性化していく視点が重要であります。
今後とも、都税調の議論なども活用しつつ、空き家対策に税制面からどのような支援を行っていくことが可能なのか、事業所管とも連携しながら研究を進めていただくことを要望いたします。
続いて、主税局ビジョン二〇三〇について伺います。
コロナ禍で明らかになった行政におけるデジタル化の遅れは、都政にとって解消するべき大きな課題であります。ポストコロナの社会を見据え、税務行政においても、デジタル化を加速していかなければなりません。
令和二年一月に公表された主税局ビジョン二〇三〇は、その後、更新版が策定されており、その中で、主税局のデジタルトランスフォーメーションを推進していくこととされております。
そこで、改めて、その概要について、まず伺いたいと思います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 主税局ビジョン二〇三〇更新版では、十年後の税務行政のあるべき姿の実現に向け、主税局が目指す二つの柱として、納税者へのクオリティー・オブ・サービス、QOS向上と税務行政の構造改革を掲げており、この二つの柱を実現するために、主税局のデジタルトランスフォーメーション、DXを推進することとしております。
主税局のDXは、令和八年度に予定している税務基幹システムの再構築が大きな役割を担うこととなりますが、再構築を待たずとも実現可能な施策については着実に実施しております。
税務基幹システムの再構築を通じてDXを推進し、納税者が都税事務所へ来庁しなくても充実したサービスを受けられるようにすることで、将来的にはバーチャル都税事務所の実現を目指しております。
○長橋委員 都税事務所を訪れなくても、様々な税務手続がデジタルで完結するバーチャル都税事務所の実現は、納税者の利便性も飛躍的に向上することが見込まれております。
一方で、個々に様々な事情を抱えて、都税事務所に相談に訪れる方も多いことに加え、公平、公正な税務行政運営のためには、必要な調査業務など、引き続き、都税事務所の役割も大きいものがあります。複雑困難化しているというふうにも聞いております。
そこで、主税局が目指す税務行政の将来像では、都税事務所の役割についてはどのように考えているのか伺います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 バーチャル都税事務所の実現を目指す一方で、デジタル機器に不慣れな方や窓口での相談を希望する納税者の方に対しては、引き続き、地域に密着した都税事務所においてきめ細かく対応してまいります。
さらに、超高齢社会における大相続時代の到来や外国人納税義務者数の増加など、税務を取り巻く環境は、これまでになく複雑化、困難化しております。
こうした中でも、高い専門性が必要となる調査業務等に職員を重点配置するなど、引き続き、公平、公正な賦課徴収を行っていくことが、都税事務所の重要な役割であると考えております。
○長橋委員 引き続き、バーチャル都税事務所の実現と都税事務所における納税者に寄り添った対応や公平、公正な税務行政運営とを両立して、納税者の税務行政に対する信頼の確保をお願いいたします。
主税局ビジョン二〇三〇更新版では、主税局が目指す二つの柱を実現するための具体的な取組が挙げられておりますが、特に、納税者へのクオリティー・オブ・サービスの向上に関する取組について、早期に多くの納税者がデジタルの恩恵を享受することが重要であります。
そこで、納税者へのクオリティー・オブ・サービス向上に資するこれまでのDXの取組について伺います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 デジタル技術の進展と普及が飛躍的に進む中、納税者へのクオリティー・オブ・サービスをより向上させるためには、税務行政においてもDXの推進が重要でございます。
主税局ではこれまでも、DXの推進に資する取組を積極的に実施してきたところでございます。
令和二年度には、AIチャットボットを導入し、各税目の納期限や各種証明等の取得方法などのお問合せに二十四時間三百六十五日対応しております。
また、令和三年度には、東京共同電子申請・届出サービスを活用し、各種証明等の電子申請を開始したことに加え、昨年度には、スマートフォンからの申請や代理人による申請を可能にする機能も追加いたしました。
今後とも、納税者のニーズを的確に捉えながら、デジタル技術を積極的に活用することで、さらなるQOSの向上に資する取組を推進してまいります。
○長橋委員 AIチャットボットの導入や電子申請の拡充など、納税者の利便性が向上する取組は非常に意義があり、主税局ビジョン二〇三〇が目指すバーチャル都税事務所の実現に向けて着実に前進していることは確認をいたしました。
次に、キャッシュレス納税の推進について伺いたいと思います。
キャッシュレス納税の推進は、主税局ビジョン二〇三〇において、局の重要施策として位置づけられていることに加え、我が党としても、議会で継続して取り上げてきたところでございます。
また、今年一月に策定された「未来の東京」戦略 version up 二〇二三において、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができるとするスマート東京の実現にもつながるものとして位置づけられております。
そこで、改めて確認になりますけれども、キャッシュレス納税を推進する意義について伺いたいと思います。
○小谷徴収部長 キャッシュレス納税は、現金を用意せずにスピーディーに納税できるだけでなく、時間の制約を受けず、自宅でも外出先でも場所を問わずに、いつでもどこでも納税ができることから、納税者の利便性の向上に大きく寄与するものであります。
また、その利便性の高さから、納期内納税の推進にも寄与するものであり、滞納の発生防止にもつながるものと考えております。
○長橋委員 納税者の利便性に大きく寄与するものというキャッシュレス納税の意義を確認したところでございます。
納税者が、窓口に出向くことなく納税できるキャッシュレス納税を推進することは、行政サービスのクオリティーを高める観点から、大変重要であろうかと思います。
そこで、これまでのキャッシュレス納税推進の取組について伺いたいと思います。
○小谷徴収部長 従前から行われている口座振替をはじめ、平成十八年度にインターネットバンキング及びATMなどを利用して納税できるペイジー収納サービスを導入したほか、平成二十一年度にはeLTAXによる電子納税の導入、平成二十三年度にはクレジットカードによる納税を導入してまいりました。
また、最近では、令和二年度にスマートフォン決済アプリ収納を導入しまして、順次、対象アプリの拡大に取り組み、現在、九アプリが利用可能になるなど、納付方法の拡充を通じ、キャッシュレス納税の推進に取り組んでまいりました。
○長橋委員 これまで、九アプリが利用可能になるということでございまして、様々な納付方法を用意することで、キャッシュレス納税を推進してきたことが分かりました。
納税者の状況に応じて、様々な納税の選択肢を活用できるのは、納税者にとってメリットが大きいものがあります。
ぜひ、多くの方に、便利なキャッシュレス納税を利用してもらいたいと考えますが、キャッシュレス納税の現在の比率と今後の目標について伺いたいと思います。
○小谷徴収部長 キャッシュレス納税比率は、令和四年度末時点において四六・二%であります。
令和四年度に策定された「未来の東京」戦略 version up 二〇二三では、都税のキャッシュレス納税比率を令和七年度までに五五%、令和十二年度までに七〇%に引き上げることを目標としております。
○長橋委員 昨年度末現在のキャッスレス納税比率は四六・二%ということで、まだ半数以上の納税が、金融機関の窓口やコンビニなど、現金であり、場所の移動を伴う方法で行われていることが分かりました。
主税局は、これを令和七年度までに五五%、令和十二年度に七〇%に引き上げることを目標としておりますが、それぞれあと九ポイント、二四ポイント引き上げる必要がございます。
目標達成に向けて、大変高い目標だと思いますけれども、目標達成に向かって、課題と今年度からの取組をどうするのか伺いたいと思います。
○小谷徴収部長 都の調査におきまして、買物等の日常的な支払いにおけるキャッシュレスの利用率に比べ、キャッシュレス納税比率はまだ低いことが分かりまして、認知度不足という課題があると認識をしております。
このため、今年度から、より多くの納税者にキャッシュレス納税を利用していただけるよう、認知度の向上及び機運醸成のためのPRに取り組んでおります。
具体的には、五月に実施した吉本興業とのPRイベントを皮切りに、納税貯蓄組合や東京法人会連合会などと連携した納税者への周知、都税事務所が行う納税キャンペーン等や様々な媒体を活用した広報などを展開し、年間を通じたキャッシュレス納税の周知を強力に進めております。
今後とも、目標達成に向けてPRに取り組み、キャッシュレス納税比率をさらに高め、納税者の利便性向上につなげてまいります。
○長橋委員 より多くの方に利用していただくため、様々な媒体を通じてキャッシュレス納税のPRに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
令和十二年度においては、キャッシュレス納税比率七〇%を目指す、大変高い目標でありますが、意欲的な目標に向けて、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、そこで、最後にお願いしますが、キャッシュレス納税比率七〇%の目標達成に向けて、局長の決意を伺いたいと思います。
○児玉主税局長 主税局ビジョン二〇三〇では、DXを推進し、納税者へのクオリティー・オブ・サービス向上と税務行政の構造改革に取り組むことを掲げております。
本ビジョンで、重要施策に位置づけておりますキャッシュレス納税の推進は、納税者の利便性を飛躍的に向上させるとともに、生産性の向上や社会全体のデジタルシフトにも寄与するものであります。
これまでも、eLTAXによる電子納税やスマートフォン決済アプリによる納付など、キャッシュレス納税の普及を図ってまいりましたが、令和十二年度のキャッシュレス納税比率七〇%という目標を達成するためには、取組を一層加速させることが不可欠であります。
そのため、本年度は、認知度向上のための取組を主税局全体で強化することとし、五月に開催したPRイベントでは、知事のビデオメッセージを会場で放映するとともに、私自身、イベントにおいて、タレントの千原ジュニア氏を東京都キャッシュレス納税委員長に任命するなど、先頭に立ってPRを進めているところでございます。
今後も、新たなツールや仕組みも積極的に取り入れることにより、さらなる納税者の利便性の向上を図り、目標の達成に向け、職員一丸となって邁進してまいります。
○清水(と)委員 それでは、私からは、多摩地域の都税の収納事務委託についてお伺いします。
多摩地域の都税の収納事務の委託について、まず、その内容、委託に至る経緯、直近の状況について説明をお願いいたします。
○小谷徴収部長 本委託の業務内容は、東京都八王子都税事務所外十所の窓口において、都税の収納や納税証明発行手数料の徴収等を行うものであります。
本委託に至る経緯としましては、平成十五年度に、みずほ銀行の収納窓口が廃止になったことに伴い、都において専務的非常勤を配置し、収納窓口を維持いたしました。
その後、地方自治法施行令の改正に伴い、平成十六年度から本業務の民間委託を開始し、年度ごとの契約により、受託者は数度の変更を経て、現在に至っております。
○清水(と)委員 八王子都税事務所外十所の窓口の都税の収納、それから、納税証明書発行手数料の徴収、こういった業務、以前は、みずほ銀行の収納窓口が行っていたと。それが二〇〇三年に廃止になって、そのときは、都直営の専務的非常勤職員が行った。翌年からは民間委託となって、以後は、単年度の契約を繰り返しながら、幾つかの事業者が行って現在に至っているということです。
銀行がこの収納窓口を設置していたということからも、この収納事務というのは、かなりの専門性が求められる、そういう業務であろうということが分かります。本来であれば、都が責任を持って行う、つまり直営で行われるべきものであろうというふうに思います。
そのことを押さえた上で、次の質問に入りたいと思いますが、多摩地域の都税事務所で働く労働者の賃金、時給について、また、都の専務的非常勤職員のとき、二〇〇三年当時ですね、今年度、それぞれどれぐらいの違いがあるのか、ご説明をお願いします。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 平成十五年度の都の専務的非常勤職員の給与でございますが、月十五日、一日八時間勤務で、月額十八万八千三百円であり、時給に換算しますと、千五百六十九円でございました。
令和五年度は、会計年度任用職員専門職の給与は、月十六日、一日七時間四十五分勤務で、月額十九万四千八百円でございます。時給に換算しますと、千五百七十一円でございます。
なお、これに加えて、在職期間等に応じて、今年度の場合は、一・二か月分の期末手当を年二回支給しております。
○清水(と)委員 もう一つお伺いしますが、都の専務的非常勤職員が行っていた二〇〇三年当時、それから、今年度の最低賃金について、それぞれお伺いします。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 東京都の最低賃金は、平成十五年十月は、時給七百八円でありましたが、今年十月は、時給千百十三円となっております。
○清水(と)委員 今の質疑で、一番最後、都の直営だった二〇〇三年時点の都の専務的非常勤職員と現在の都の会計年度任用職員のお給料、これが月額十八万八千三百円が月額十九万四千八百円へ六千五百円アップしたと。会計年度任用職員は期末手当も出るということで、年二回、期末手当も支給されると。ただ、それでも時給に換算すると、千五百六十九円から、二十年後は千五百七十一円、つまり二十年間で僅か二円しか上がっていないということが分かります。
一方、最低賃金との比較では、二十年前の時給は、最低賃金の二・二倍、高い水準であったことが分かりますが、現在は一・四倍しかないということになります。この二十年間で、政治的にも、ちゃんと最低賃金を引き上げようというふうな努力が行われているんだけれども、残念ながら、東京都の会計年度任用職員のところでは、そういう賃金の伸びに見合った伸びがないということが分かります。
もう一つ、今ご紹介があった会計年度任用職員のお給料というのは、実際に多摩地域の都税事務所で働く方々のお給料ではないんです。ここは民間委託をされていますから、もっと低いんです。民間委託された現場で働く方々の今年度の時給、僅か千二百三十円なんです。委託前に比べて、時給でも三百三十九円の減というふうになっています。最低賃金との差は百十七円しかありません。一・一倍なんです。ほぼ最低賃金なんです。
仮に、例えば、東京都が、この収納事務の委託、積算根拠、もし人件費を計算するとしたら、会計年度任用職員のお給料でやっている、そういうこともあるんじゃないかというふうに思うんですが、もしそうだとすると、東京都の人件費の積算根拠と実際の賃金との差というのは、三百四十円以上ということになるんです。本当に、こんなにたくさんのところがコストカットされているという実態があります。そして、この差が、受託事業者の収益になる、こういう構造が民間委託なんです。
こういうコストカットで、本当に、都税の収納事務、間違いがあったらいけない、税金に関することですから、そういう仕事が本当に担保できるんでしょうか。
今年度、委託を受けている事業者の下で働く方から、受託事業者が問合せの電話に出ないために、日常業務に支障を来さないよう指導を求めている、こういう声が出されています。日常業務に支障を来す事態、こういうことが起きかねないという事業者の状況について、都はどのような認識をお持ちでしょうか。
○小谷徴収部長 本件要望につきましては、受託者に伝達し、委託業務の履行に支障が出ないよう指導を行っております。
○清水(と)委員 都も、受託事業者に伝達をしているということは、そういう事実は確認をされているということです。受託事業者に伝達をして、委託業務の履行に支障がないよう指導をしている、こういうお話でした。しかし、現場の方に先日お伺いしたところ、いまだに、担当者によっては問合せの連絡がつながらない、こういう実態があるということを伺いました。改めて受託者に伝達をして、委託業務の履行に支障が出ないように指導を徹底していただきたい、そのことを求めておきます。
次に、雇用契約書が、昨年度、この受託事業者は、そこで働いている職員の方となかなか結べなくて、結局結べたのは、昨年度は年度末だったんだそうです。にもかかわらず、今年度も、やはり雇用契約書が、働いている方々に結べなくて、私たちがお話を伺った七月末の時点でも、締結がされていませんでした。
本来だったら、雇用契約書というのは、働く側、また雇う側が、どういう条件で働いてもらうのか、どういうふうに賃金を支払うのか、基本のキを定めるものですから、就労が開始するときには当然締結されている、これは当たり前のことだというふうに思うんですが、それが年度の途中になっても結べない、翌年度もそういうことを繰り返す、これで本当にいいのかというふうに思うんですが、都の認識、お伺いしたいと思います。
○小谷徴収部長 雇用契約に関係することにつきましては、委託業務とは別のものであると考えております。
○清水(と)委員 委託業務とは別ということですけれども、そこで委託をしたお仕事をされる方が、本当にきちっと働ける労働環境なのか、雇用契約を結べているのかどうか、これはとても大事なことだと思うんです。だから、別物ということではなくて、きちっと都として把握をするということが必要ではないかというふうに思います。これは決してささいなことではなくて、雇用契約が結べないというのは、普通あり得ないと思うんです。そういう事態、しっかりつかんでいただきたいというふうに思います。
もう一つ、この会社では、給与の支給日は十五日というふうに定められています。しかし、会社が振込先として指定しているゆうちょ銀行、それ以外の口座を指定している労働者に対しては、五日遅れの二十日に給料を支給しているんです。これもあり得ないというふうに思うんです。
給料が決められた日に支給されていない、このことについて都の認識をお伺いしたい。
○小谷徴収部長 雇用契約に関係することにつきましては、委託業務とは別のものであると考えております。
○清水(と)委員 確かに、雇用契約に関することについては、委託業務とは別のものかもしれませんが、こういう職場で、本当に都の大事な事務、専門性も必要とされる事務、そういうのがきちんと履行できるのかどうか、こういう観点から、やっぱりきちっと見ていただきたいというふうに思います。普通の会社が当たり前にやっていることができない、そういう会社でいいのかということが問われると思います。ぜひ、確認をしていただきたい。
現場の労働者の問合せの電話が来ても出ることがない、メールも返さない、雇用契約も結ばないまま年度末を迎え、翌年も年度途中までそうした事態が続く、給与の実質的な遅配が行われている、常識的に考えたら、あり得ない管理、雇用、こういう実態があります。
こうした劣悪な環境の行き着く先というのは、都税収納業務という専門性が求められる仕事を責任感を持って担っている職員の方々が辞めていってしまう、こういう事態につながってしまうのではないでしょうか。都税収納業務という重要な仕事を担うにふさわしい雇用環境が確保できるのかどうか、きちんと評価できる、そういう入札方式が、今、求められているのではないかというふうに思います。
確認ですけれども、今年度、委託契約を受けている受託事業者は、二〇二三年四月二十一日から競争入札参加禁止となっていますが、その理由と来年度の本事業への入札参加の有無についてお伺いします。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 委託契約の受託者である株式会社エースシステムは、財務局発注の契約を解除したため、都が行う競争入札への参加を禁止されております。
入札参加禁止の期間は、令和五年四月二十一日から令和七年四月二十日までの二年間となっているため、来年度の本事業の競争入札への参加はできません。
○清水(と)委員 現在の受託事業者は、競争入札への参加を禁止されたために、来年度の入札には参加できないということでした。となると、必ず今年度中に、次年度の事業者を決める入札が行われるということになると思います。
現在の入札の方式では、これまで述べてきたような問題が明らかになっている事業者であっても、入札参加資格があれば、また、入札の金額が低ければ、それ以外の評価基準はありませんから、入札価格が低ければ、次年度でも受注できてしまう、こういう仕組みになっています。
都税収納事務は、高い質の確保、また、担い手の育成、こういう観点から、入札の価格によってのみ評価される方式、また、専門性などが継続できない単年度の契約ではなくて、総合評価方式や複数年度契約を検討することを共産党都議団としても繰り返し求めてきました。
今年度は、どのような検討が行われてきたのかお伺いします。
○小谷徴収部長 総合評価方式等の導入につきましては、現在、他局等の類似事例の調査を進めているところでございます。
○清水(と)委員 東京都は、都税収納業務を民間に委託することによって、コスト削減が可能になる、こういうふうに導入の理由を説明されています。
しかし、収納事務というものは、そこの事務に関わる経費、また、人件費、これが経費のほとんどを占めているというふうに思いますし、収入は委託料ということになって、かなり固定的な構造になっています。
ですから、コストを削減して、受託事業者が収益を確保しようと思ったら、そこで働く労働者の人件費や職場環境に関わる経費、これを削っていく以外にない、こういう構造にあるというふうに思います。
そして、それを突き詰めていけば、こうした経費を徹底して削減することになる。いわば、人を大切にしない、そういう受託事業者だけが仕事を取っていくということになるのではないでしょうか。しかも、その受託事業者は、うまみがないと思ったら単年度でその契約を終えることができるわけで、次の年に参加しなければ、自動的に切ることができるわけです。そうしたら、経験の蓄積、こういうことも保障されない、こういう仕組みになっています。本当にこういう職場で、都税の収納事務という仕事の重要性を認識し、理解し、専門性も持っている、こういう職員が育っていけるんでしょうか。
都税収納事務の質の確保、担い手の育成確保、こういうことを考えるということであれば、やっぱりこういう事務というのは、直営に戻すべきだというふうに思います。たとえ百歩譲って業務委託する場合でも、この仕事の質が担保できるように、きちっと見極めることができる総合評価方式、また、経験が蓄積できる複数年度契約とすべきです。
そして、そこで働く職員が、仕事に見合った賃金や処遇がきちっと受けられているのかどうか、そういうことを確認し、実行する、そのためには、賃金の下限額などを決める公契約条例、この検討も必要だというふうに思います。このことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○林委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十五分開議
○林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○阿部委員 都議会立憲民主党の阿部祐美子です。よろしくお願いします。
初めに、本日ご説明のありました都税調についてお伺いをいたします。
まず、今年度の都税調ではどのようなテーマについて議論を行ったのか、そのポイントについて改めてお伺いいたします。
○筒井税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会は、今期の知事からの意見を求める事項を基に、都の税制上の課題、国、地方を通じた税制全体の在り方について議論を行いました。
具体的には、宿泊税の在り方やふるさと納税、環境関連税制をテーマとしております。また、直面する政策課題と税制の関連として、子供を産み育てやすい社会と税制の在り方及び女性が活躍しやすい社会と税制の在り方について議論をいたしました。
○阿部委員 今年度の都税調では、子供を産み育てやすい社会と税制の在り方、また、女性が活躍しやすい社会と税制の在り方をテーマにしているということです。
大変興味深いテーマですが、どのような提言となっているのか確認させてください。
○筒井税制調査担当部長 今年度の報告では、子育て世帯への経済的支援について、所得によって給付の対象を制限する場合には、給付付税額控除の導入も有効な方策である、ただし、多くの課題があるとしております。また、家事育児支援サービスの利用を支援する税制措置も考えられるとしております。
女性が活躍しやすい社会と税制の在り方に関しては、生き方の選択に対して中立的な制度の在り方を検討すべきとした上で、社会保険上の年収の壁への対応として、本来は社会保険制度の改革が必要であるが、給付付税額控除を導入することも考えられる、ただし、多くの課題があるとしております。
○阿部委員 いずれも大切ではありますけれども、なかなか都だけでは動かしにくいテーマなのかなというふうにも感じております。
給付つきの税額控除、これは諸外国でも導入されている大切な視点ではありますけれども、実施するためには、目的の明確化あるいはその実施可能にするための様々な環境整備が必要であると考えております。
また、女性が活躍しやすい社会のためには、税制だけではなくて、社会保障制度の問題が大きい。これは、私も含め、多くの女性が、今、日本の中で直面している課題だと思います。
都税調というのは、これまでも国の税制に対して直接とはいえないまでも、一定の議論を促す役割を果たしてきたと思います。このテーマでも、ぜひ推し進めていただきたいと思います。
ところで、この都税調の検討テーマ、これはどのように決定をされるのか教えてください。
○筒井税制調査担当部長 東京都税制調査会における検討テーマは、知事からの意見を求める事項を基に、総会において決定をされております。
○阿部委員 知事の問題意識がテーマに反映されているということだったと思います。
今年十月にはインボイス制度がスタートをいたしました。このインボイス制度の実施というのは、今年度の税制の私は最も重要なポイントの一つであり、かつ極めて多数の事業者に深刻な影響を与えている問題だと受け止めております。中小企業においても、経理担当の負担増が非常に大きいという悩みの声も数多く寄せられているところです。
現場での切実な声を聞くと、東京都税制調査会で議論すべきテーマであったのではないか、また、今からでも早急に実態をつかみ、納税者、事業者の視点も踏まえながら議論すべきテーマではないかと思います。
そもそも都税調は学識経験者で構成されておりますが、納税する事業者はメンバーに入っておりません。もちろん専門家による議論も、厳密な議論をしていく、これも大切なことだと思いますけれども、同時に、都税調の中に、あるいは別組織でも構いません、納税者あるいは事業者自身が委員として加われる会議体があってもよいのではないかなというふうに思いますし、また、現にそうした会議体を持っている自治体もあると認識をしております。ぜひ、これについても検討していただければと思います。
インボイス制度について質問をいたします。
インボイスの導入により、中小企業者やフリーランスの方をはじめとする事業者は、課税事業者への転換、事務負担増など多大な影響を受けています。
フリーランスの方々を中心とした団体では、インボイス導入前から制度の問題点を指摘し、導入の中止や延期を求めてきました。また、導入から一か月でどのような実害が起きているのかを調査し、その内容を基に今月十三日、国に対してインボイスの運用停止、中止、廃止を求める要請書も提出をいたしました。
調査では、十月下旬の僅か十一日間で、免税事業者、課税事業者、会社員、経営者など、多様な方々から約三千件の声が寄せられております。インボイス発行事業者であるなしにかかわらず、回答者の約七割が、事業の見通しは悪い、廃業、退職、異動も検討と、マイナスの影響がある旨、回答しています。
インボイス制度は税そのものではありません。しかし、財務省の試算によると、インボイス制度の運用によって見込まれる税収増は、年間約二千四百八十億円。一方で、それに係る作業量増加に係る人件費は約五兆円との試算もありました。
こうしたことを踏まえまして、インボイス制度に対して、東京都がどのように受け止め、また、こうした事業者に対して、主税局としてどのような対応を行っているのかお伺いをいたします。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 インボイス制度については、令和元年十月の消費税率引上げに伴う低所得者対策として軽減税率が導入された際に、複数税率制度の下において適正な課税を確保するために導入されたものと受け止めております。
インボイス制度を含む消費税の在り方につきましては、経済や国民生活に与える影響など様々な観点を踏まえながら、国において議論されるべき問題であると認識しております。
都といたしましても、事業者等に対して本制度を分かりやすく伝えていくことは重要と認識しており、制度の概要、問合せ先などに加え、国による支援措置があることについても主税局ホームページでお知らせをしております。
今後とも、納税者に必要な情報を分かりやすくタイムリーに提供するなど、都民の立場に立った税務広報の充実に努めてまいります。
○阿部委員 東京都の立ち位置というのは、大企業ではなく中小零細企業の振興が役割分担であったかなというふうに思います。目の前で、こうした事業者が血を流して苦しんでいるときに、ホームページで周知とかいうのは、あまりに現場との温度差があり過ぎるのではないかなというふうに感じました。
今もご答弁の中で、国において議論されるべき問題である。それはそうかもしれません。ただ、都税調が、そもそも平成十二年、石原都知事の時代にこれがつくられた、これは国の税制調査会に伍して、東京から国の税制度を変えるという強い思いで、勇ましく始まったものであると認識をしております。都合のいいときだけ勇ましく、目の前で都民が苦しんでいるときには距離を置く、これでいいのでしょうか。この問題こそ、国に物を申していただきたいと思います。
国の方針で、一方的に納税者が著しい不利益を受けてしまっている。そもそも日本では、納税者の権利保護を定めた法律や規定が整備をされておりません。欧州各国や米国、韓国なども、いずれも二十世紀のうちに策定済みです。諸外国に比べて二周も三周も遅れた状況です。
納税者の権利憲章、これを制定すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 納税者権利憲章は、複雑な税務手続を納税者に分かりやすい形で周知することを目的とするものとされております。
この憲章につきましては、平成二十三年度税制改正大綱において、国税を対象とした憲章の策定と地方への情報提供の方針が示されましたが、その後、憲章の策定が見送られ、平成二十四年度税制改正大綱において、社会保障、税に関わる共通番号制度の導入も展望しながら、引き続き検討を行うこととされました。
主税局におきましては、納税者の視点に立ったきめ細やかな対応を行うとともに、戦略的な広報展開や税に対する理解の促進に努めております。
○阿部委員 広報に努めることは悪いことではないと思います。いいことだと思います。ただ、主税局が納税者に理解を促す、この言葉の中に、既に両者の非対等性が含まれております。また、権利というものは、何かと引換えに得られるものではありません。納税者権利とはどういう概念なのか、ぜひ真剣に考え、国に問題提起をしていただきたいと思います。
都税調の話に戻りますが、今回は宿泊税の見直しも提言をされております。
コロナ期の数年間、旅行業界は極めて大きな痛手を受けました。業界全体の赤字は約四千八百億円、その負債を返すには四十年以上かかるとの報道での試算もありました。宿泊料金の設定は、曜日や季節、人数の違いによる一人一泊当たりの金額の変動が大きく、その計算は極めて複雑です。また、課税の免除額の設定水準は日々変動する価格設定に影響を与え、健全経営の努力を困難にする可能性さえあります。
こうしたことを踏まえまして、宿泊税を見直すこととした場合には、宿泊事業者にシステム変更などの新たな事務負担が生じることになります。それを踏まえて、こうした事業者の負担にも配慮しながらの見直しについて検討すべきと考えますが、お考えを教えてください。
○辻谷税制部長 宿泊税の在り方の見直しについては、観光産業をめぐる状況や宿泊料金の動向、特別徴収義務者等の事務負担などを踏まえつつ、引き続き検討をしてまいります。
○阿部委員 この点については、有形無形の様々な納税コストに配慮して、特別徴収義務者に過大な負担を与えないよう慎重な取扱いを求めます。
次に、都税に係る各種証明等の発行手続についてお伺いをいたします。
先ほど局長のご答弁の中で、DX化に対して強い決意が述べられました。また、バーチャル都税事務所ですとか、あるいはキャッシュレス納税というお話もあり、大変これは結構なことだと思いますが、証明書の発行を郵送で申請する場合、手数料は定額小為替で支払う必要があります。
これ、定額小為替、私も子供の頃、もう四十年以上前になりますけれども、祖母から郵送で誕生日プレゼントで定額小為替が送られてきたことがありまして、子供心に大変大人になったような気分がして、すごく思い出、ノスタルジーとしてはいいものであるかなと思うんですけれども、しかし、この行政に対する申請として、この定額小為替を使うとなると、まずは郵便局まで足を運んで定額小為替を買わなければいけない。額面がたとえ百五十円でも二百円でも手数料は二百円かかってしまう、非常に経済的な負担もあります。その上、自治体側にも事務量が大きくなってしまい、また、紛失等のリスクもあります。DXといいながら、年間十万件もの郵送申請が定額小為替対応というのは、少々これは違和感があるのではないか、改善の余地があるのではないかと思います。
郵送で申請した場合にも、手数料をキャッシュレスで支払うようにできないのか伺います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 納税証明などの都税に係る各種証明等の申請を郵送で行う場合には、申請書等とともに、手数料と同額の定額小為替を同封いただくようお願いしているところでございます。
各種証明等の申請につきましては、郵送以外にも、パソコンやスマートフォンから電子申請を導入しており、その場合はキャッシュレスで手数料をお支払いいただくことができるほか、申請時の郵送が不要となるため、交付日数の短縮や郵送費の軽減など、申請者側のメリットも大きいものと考えております。
このため、定額小為替に係るお問合せがあった場合には電子申請をご案内するほか、郵送で申請された方に証明等を返送する際には電子申請に係るチラシを同封するなど、電子申請をご活用いただけるよう周知を図っているところでございます。
○阿部委員 電子申請という選択肢もあるということですよね。確かに電子申請であれば、手数料をキャッシュレスで支払うことができます。しかしながら、四年度の申請数約八十五万件のうち、電子申請の利用は現在約三千件、〇・三%程度にすぎません。
これ、なぜかということなんですけれども、ふだんから電子申請を利用している一部の事業者さんなどではこれは便利なものかもしれませんが、個人の方にとっては極めて手続的にハードルが高い、手間とコストのかかる郵送申請を利用しているのは、そういう背景があるのではないかと思います。
そこでお伺いいたしますけれども、電子申請にハードルを感じている納税者に対しては、どのような対応をしているのか伺います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 都税に係る各種証明等の電子申請については、主税局ホームページなどで利用方法を分かりやすく説明しているほか、事務処理を行っている都税証明郵送受付センターにおいても、電話によるご相談に丁寧に対応しております。
加えて、インターネット上でアンケートを実施しており、電子申請を利用した方々からのご意見を基に、申請フォームの改善等、使い勝手の向上を図っております。
今後とも、利用者に対して分かりやすく丁寧な対応を行うことで、電子申請の活用がより図られるよう取り組んでまいります。
○阿部委員 分かりやすく丁寧な説明をされているということで、それはそれで大変大切なことだと思います。
ただ、電子申請は、本人確認のためにマイナンバーカードが必要であったり、それ以上に電子証明書、これもまた普通の方がそんなに一般的に持っているものでは、発行するようなものではないかなというふうに思います。電子申請の設計自体が、あまり利用者視点から離れてしまっているのではないか、抜本的な変更がなければ、なかなかこれ以上の普及というのは望めないのではないかと思います。
ぜひ皆さんも電子申請、トライしてみられたら、大変これが煩雑なものであるというのが、理解していただけるかなというふうに思います。
そこでなんですけれども、これ、東京都もこういう申請を受け付けていますけれども、基礎自治体の方がはるかにこうした業務は多いんですね。その中で、都内墨田区さんが昨年度、司法書士会などと協力をして、区役所発行の証明書において、この郵送請求キャッシュレスサービスのモデル実施を行いました。電子証明書が不要で、郵送申請の場合であっても定額小為替が不要で、クレジットカードで手数料を決済することができる仕組みです。また、やり取りのプロセスなども可視化されていて、いつ頃自分が申請したものがオーケーになっているかどうかということも分かるような仕組みになっています。
こうしたものが、申請者だけではなくて、自治体側にとっても非常に利便性の向上と負担の軽減、経済的な負担も含めて、手数料含めて軽減されているということが確認されて、本年度から本格導入されました。
また、墨田区さんだけではなくて、ほかの自治体でも、このシステムの導入が今、広がりつつあるという、広がり始めているというところのようです。
最終的には、東京都が進めている電子申請、こうしたシステムが大きく改善されて分かりやすくなれば普及されていくということもあるかと思いますけれども、それまでの間、いろいろなハードルがまだ多々存在している状況の中で、現状の課題に対して、こうしたサービスも活用しながら納税者の利便性を図っていく、また、自治体業務の効率化を高めていくという視点も必要ではないかなと思いますので、検討を要望しておきます。
それから、先ほども少しお話がありました不燃化特区の支援税制、私の地元であります品川区も不燃化特区が幾つもありまして、こうした税制に助けられているところであります。
全体の話は先ほどご答弁ありましたので、品川区の過去五年間の適用実績をお伺いします。
○齋藤資産税部長 品川区における不燃化特区支援税制の平成三十年度から令和四年度までの減免実績でございますが、平成三十年度が住宅の建て替えが二百十四件、約二千八百万円、老朽住宅の除却が十三件、約四百万円、令和元年度が住宅の建て替えが二百九十四件、約三千九百万円、老朽住宅の除却が二十一件、約五百万円、令和二年度が住宅の建て替えが三百七十五件、約四千七百万円、老朽住宅の除却が十七件、約四百万円、令和三年度が住宅の建て替えが四百九十八件、約六千二百万円、老朽住宅の除却が三十件、約九百万円、令和四年度が住宅の建て替えが四百五十五件、約五千七百万円、老朽住宅の除却が二十二件、約八百万円となってございます。
○阿部委員 ありがとうございました。
ちょっと数字を並べていただいて恐縮だったんですけれども、令和三年度から件数、金額とも増えているという数字だったかなというふうに思います。これ、三年度から不燃化特区の対象が広がったというのも背景にあるのだと受け止めております。
この不燃化特区なんですけれども、実は不燃化率が高いところ、低くても不燃化特区になっていなかったり、それから、大分上がってきたけれども、まだ助成じゃない、税制の優遇を受けられたりというようなことが、一つの地域の中でもいろいろ起こってきております。
ここから先は主税局というよりは都市整備局の話になってしまって、この税制自体は不燃化特区の対象になれば適用されるということだと思うんですけれども、そうしたたまにはやはり全体を見回していって、より必要性の高いところに税制でも優遇が行くというような形になると、地元に住んでいる方々としても違和感が少なくなるのかなというふうに考えております。
こうしたことについては、都市整備局の事業とセットになっていると思いますので、またそちらの局の方といろいろ意見交換をしていただければと思います。
以上で私の質問を終わります。
○菅野委員 今日は、私から二点、大きく二点質問させていただきたいと思います。
まず、個人住民税の定額減税について伺いたいと思います。
コロナ禍を乗り越えて、ようやく日常が取り戻されつつあって、そこで改善しつつある経済をさらに成長軌道に乗せていくため、先般、国のデフレ完全脱却のための総合経済対策が閣議決定されました。
この総合経済対策においては、物価高による国民の負担を緩和することを目的として、三兆円台半ばの規模で所得税及び個人住民税の定額減税を実施するとされています。
そこで、現在、主税局が把握している内容について伺いたいと思います。
○辻谷税制部長 今月二日に閣議決定されたデフレ完全脱却のための総合経済対策においては、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、令和六年分所得税及び令和六年度分個人住民税の減税を実施することとされました。
具体的には、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき所得税三万円、個人住民税一万円の減税を行うこととしています。
また、減税の実効性を高めるため、所得税、住民税の制度の連携により、所得税減税額が所得税額を上回る場合においては、翌年度分の個人住民税において残りの額を控除できる仕組みを設けることとされました。
実施時期については、源泉徴収義務者の事務負担にも配慮し、令和六年六月から減税をスタートできるよう、令和六年度税制改正において検討し、結論を得ることとされています。
○菅野委員 分かりました。
今回の減税は、税収増を納税者である国民に分かりやすく、税の形で直接還元するという考え方に基づくものであると思いますが、一方で、減税は所得が一定以下で非課税となる方に対してはその効果が及ばないのではという点において、公平性の観点から課題であるともいわれています。
そこで、今回の定額減税は、非課税世帯に対する給付などとセットで行われるとされています。詳細については今後の検討とされていますが、実施に当たっては、税と給付をうまく組み合わせることにより公平な仕組みとなるものと考えています。
ところで、所得税、個人住民税の定額減税というのは、今回が初めてではなく、過去にも実施されたと記憶しています。
そのときの個人住民税の定額減税の概要について伺いたいと思います。
○辻谷税制部長 平成十年度に実施された個人住民税の定額減税においては、納税義務者本人について一万七千円、控除対象配偶者や扶養親族一人につき八千五百円を、六月分以降の所得割額から控除することとされました。
また、定額減税の実施に伴う地方自治体の減収については、減税補填債により措置することとされました。
○菅野委員 今回の定額減税については、所得制限の有無も含めて、年末に向けて制度の詳細が議論されるため、現時点では都税収入への影響は見込めないとは思いますが、所得税、個人住民税合わせて三兆円台半ばの規模の減税がなされることを考えますと、都税収入においても相当規模の減収が生じるのではないかと考えます。
平成十年度の定額減税の際には、地方自治体の減収分は減税補填債により措置されたとのことでありますが、今回の定額減税に伴う減収に対して、国はどのような措置を講じることとしているのか伺いたいと思います。
○辻谷税制部長 総合経済対策において、今回の定額減税によって生じる個人住民税の減収額は、全額国費により補填することとされています。
なお、具体的な補填措置の内容については、明示されておりません。
○菅野委員 その減収分については、全額国費で補填されるとの方針が示されていますが、現時点では内容が明示されていないとのことであります。
現下の国民経済の状況を踏まえた減税ではありますが、一方で、地方自治体の財政運営での影響は大きいと考えます。
平成十年度の定額減税の際と同様に、減税補填債による措置ではなく、ここは不交付団体である東京都の財源も確実に措置されるように、特例交付金による補填を国に求めることが重要であるということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
次に、土地に対する固定資産税などの軽減措置について質問します。
土地に関する固定資産税等については、納税者の負担軽減を図る観点などから、地方税法において様々な措置が講じられています。
例えば、住宅用地については、住宅政策の観点から、評価額を六分の一や三分の一にする特例措置が講じられていたり、商業地については、土地の評価額に対する税負担の水準を七〇%まで引き下げる措置や、土地の評価額が上昇する場合に、税負担の水準を一度に引き上げるのではなく、毎年徐々に引き上げる激変緩和措置が講じられています。
しかしながら、国においてこうした措置が講じられているにもかかわらず、土地の税負担が重いという声が、我が会派にも毎年のように届いています。
最近、地価が上がっているとの報道なども目にしますが、現在、二十三区内の地価の動向はどのようになっているのか、また、他の自治体や全国と比較して、二十三区の税額はどの程度なのか伺いたいと思います。
○辻谷税制部長 地価の状況については、全国平均では上昇する反面、一部地域では下落を続けるなど、自治体ごとに大きく異なっており、区部の地価公示価格は、令和三年度を除き、平成二十六年度以降、上昇傾向が続いています。
令和四年度における住宅用地の一平方メートル当たりの税額を申し上げますと、二十三区平均は約八百円、都内市町村平均は約三百円、全国平均は約百円となっています。
また、令和四年度における商業地等の一平方メートル当たりの税額を申し上げますと、二十三区平均は約六千五百円、都内市町村平均は約千百円、全国平均は約三百円となっています。
○菅野委員 全国平均と比較して、二十三区の土地の税額は、住宅用地では約八倍、商業地等では約二十二倍という極めて高い水準となっているということです。
我が党はこれまでも、都議会の先頭に立って軽減措置の継続を要望しており、そうした声を受けて、都は独自に減免措置を講じてきています。
例えば、都が独自に小規模非住宅用地に対する二割減免などの措置を講じているのは、二十三区の地価が全国に比べて極めて高いため、全国一律の負担軽減措置を行ったとしても、なお過重な税負担となっていることが背景だと理解しています。
ところで、都が実施している土地に対する軽減措置の中でも、法に基づき、条例で減額割合を設定している二つの条例減額制度については、法の適用期限が令和五年度末となっています。
今ご答弁いただいたとおり、二十三区の地価は上昇傾向が続いています。その一方で、地方圏では下落傾向が続いている地域も存在し、地価の動向は自治体ごとに異なっていると聞いています。
膨大な財政需要を抱える都としては、土地価格の上昇に連動して固定資産税が増加することは、税収確保の観点から見れば望ましいことともいえますが、納税者の立場から見れば、物価上昇や原材料価格の高騰が長引く現在の経済状況において、税負担の増加は大変厳しいものがあります。だからこそ、地域の実情や、その時々の経済の状況などに応じて、自治体独自の判断が行える条例減額制度は重要ではないでしょうか。
そこで、都として、この条例減額制度の延長を国へ働きかけるとともに、現在、都が実施している土地に対する固定資産税などの軽減措置について、令和六年度も継続すべきと考えます。見解を伺いたいと思います。
○辻谷税制部長 これまで都では、二十三区の地価が全国と比べて極めて高いこと等を踏まえ、都民の税負担感に配慮する観点から、土地に対する固定資産税等の軽減措置を講じてきました。
その中でも、今年度末に法の適用期限を迎える負担水準が六五%を超える商業地等に係る固定資産税等の軽減措置及び税額が前年度の一・一倍を超える住宅用地等に対する固定資産税等の軽減措置は、課税自主権の観点からも重要な役割を果たしていると認識しており、国に対して制度の継続を要求しております。
この二つの条例減額制度に加え、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置及び小規模非住宅用地に係る固定資産税等の減免措置の令和六年度の取扱いについては、都民や中小企業者等の税負担感、国の税制改正や二十三区の地価水準等を踏まえながら、今後検討してまいります。
○菅野委員 都としても、条例減額制度の継続を国に要望しているとのご答弁をいただきました。ぜひ、引き続き、国に対して強く働きかけをしていただきたいと思います。
また、令和六年度も都独自の土地に対する軽減措置を継続するよう重ねて要望して、私の質問を終わります。
○清水(や)委員 清水やすこです。よろしくお願いします。
まず、東京版環境減税についてご質問いたします。
二〇三〇年までに温室効果ガスを半減するカーボンハーフの実現に向けては、東京版環境減税をインセンティブとして活用し、ゼロエミッション東京の取組を一層強力に推し進めていかなくてはなりません。
しかし、例えば、中小企業者向け省エネ促進税制において、そうした軽減制度を詳しく知らなかったばかりに、結果として税の減免を受けられていない納税者がいるのではないかと危惧しています。
そこで、中小企業者向け省エネ促進税制については、対象者が減免を漏れなく受けられるようにすべきだと考えます。受けていない事業者には、私の気持ちとしては、東京都が職権で減免すべきではないかという気持ちです。
そこで、減免を本来受けられるのに受けていない件数は何件なのかお伺いいたします。
○櫻井課税部長 中小企業者向け省エネ促進税制は、中小企業者が産業労働局の指定する省エネルギー設備などを取得した場合に、申請により事業税を減免するものでございます。
申請を受ける前の段階では、LED照明器具などの省エネ設備等を取得し、減免を申請する可能性のある事業者を把握することができないため、減免申請をしていない事業者数も把握ができません。
そこで、主税局では、ホームページへの掲載や関係局と連携したチラシ配布に加え、プッシュ型のお知らせとして、省エネ促進税制を含む環境減税のPRチラシを令和四年に新たに作成し、法人事業税については、各決算期末の翌月に一斉に送付いたします申告書用紙もしくは納付書用紙、年間約七十二万件、また、個人事業税については、納期初日である八月一日に一斉に送付する納税通知書約十七万件、合計約八十九万件全件に同封することにより、各納税者への周知を図っております。
今後も、関係局と連携を図りつつ、周知に取り組んでまいります。
○清水(や)委員 ありがとうございます。今後も、減免対象者にこの制度が確実に伝わるよう、引き続き、周知を徹底していただきたいと思います。
次に、不正軽油防止の取組についてお伺いいたします。
不正軽油は、ディーゼルエンジンに使われる軽油に、軽油引取税が課税されない安価な灯油や重油等を不正に混ぜ合わせたものであります。
この製造や販売は脱税行為であり、しかも大気汚染の原因にもなりますので、東京都は、全国に先駆けて、平成十二年から不正軽油の防止に取り組んできたことと思います。
そこで、不正軽油防止の軽油抜取り調査について、都は昨年度どのぐらい実施して、そのうち不正軽油はどの程度検出されたか、また、調査は抜き打ちで行っているのか伺います。
○櫻井課税部長 都では、不正軽油防止のため、事前の予告なく、幹線道路や物流施設などを中心に車両や重機などから軽油の抜取り調査を行っており、昨年度は約三千本の調査を実施し、不正軽油の疑いがある混和検出率は〇・三%でした。
このうち、都内に拠点を置く車両等で脱税行為が認められたものはございませんでした。また、拠点を都外に置く車両等につきましては、関係道府県に通報をいたしました。
○清水(や)委員 昨年度は、脱税行為が認められた事実はなかったということですが、これまでの不正軽油防止の取組の中では、悪質な脱税行為への対応もあったと思います。
そこで、仮に脱税行為で摘発された場合、事業者は税を納めればそれ以上の制裁がないのか伺います。
○櫻井課税部長 脱税等の悪質な違反行為があった場合には、都において犯則調査を行い、脱税額相当の課税処分を課すほか、地方税法に基づき罰金相当額の納付を通告する通告処分、また、検察官に刑事処分を求める告発を行います。
これまでの実績を申し上げますと、不正軽油に係る通告は十六件、また、告発については八件行ってまいりました。この告発後、懲役刑や罰金刑の刑事罰を執行された事例もございます。
また、悪質な事案につきましては、脱税を行った法人名や代表者名も含め、報道発表をしております。
○清水(や)委員 ありがとうございます。
私が何がいいたいかと申しますと、そういう脱税行為をして、外部に対して何も知らされていないという体制だとしたら、ちょっと違うのかなと思いまして質問させていただきました。今お伺いしたら、報道発表をしているということなので、確認ができました。
軽油を含むエネルギー価格の上昇は、当面引き続くことが見込まれており、軽油をめぐる脱税行為の再燃リスクも懸念されます。悪質な脱税行為を発見し、迅速かつ厳正に対処できるように、より専門性の高い税務調査に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、固定資産GISについて伺います。
主税局では、固定資産税の土地家屋台帳の情報とデジタル化された地図データを重ね合わせて表示し、評価計算や検証に利用する固定資産GISを導入して事務の効率化を図っていると伺っています。
デジタル化が強く求められる中、固定資産GISを導入して土地評価業務のシステム化を図ることは、事務の効率化という観点から非常に重要であると思います。
また、固定資産GISで使用される地図データは、災害対策の面での活用も可能であるなど、庁内で広く有効活用すべきと考えます。
そこで、固定資産GISについて、情報更新の頻度はどの程度か、また、庁内各局において都政の様々な局面で固定資産GIS情報を活用すべきと考えますが、活用可能性についてお伺いいたします。
○齋藤資産税部長 固定資産GISは、固定資産税の課税のために、毎年、賦課期日である一月一日現在の土地の情報をデータ化したものであり、情報更新は年一回となっております。
固定資産GISの情報は、防災都市づくりや都有地管理、震災復興時の基礎資料として活用することが有効であると考えており、固定資産GIS導入の検討の際、都庁ICT利活用推進委員会で、GISを活用している局に、固定資産GISのデータ提供の要望について確認を行っております。
その際、要望のあった総務局、財務局、都市整備局、環境局、建設局、計五局に現在データの提供を行っております。
今後、庁内他部署から要望があれば、随時提供を行ってまいります。
○清水(や)委員 五局と情報を共有しているということをお伺いしました。
ただ、私が単純に考えても、例えば産労局などでもニーズはあるはずです。もし重複しているならば、そこもすり合わせして、もっとプッシュ型の、お互いの局が同じ金額を払って同じ仕事をしているんではなくて、似たような仕事をしているんではなくて、重複した部分があれば、もっと効率化してほしい、積極的な活用をお願いしたいと思います。
次に、固定資産税の調査について伺います。
固定資産税の土地家屋については、課税庁側で賦課する賦課課税方式であるため、いかに的確に資産を把握するかということが重要になります。実は、私の地域、西多摩地域でも、台風が来るたびに川や畑の形状が変わるので、この年に一回というのは非常にすばらしい制度、流れだと思います。俊足な対応が必要とされていますので。
それで、土地家屋については、不動産登記簿により対象資産を把握することができるとおっしゃいましたが、未登記の家屋、増改築した家屋についてもきちんと把握し、課税処理をする必要があります。
そこで、固定資産税の課税において、家屋の捕捉に航空写真による調査を行っていると伺っていますが、航空写真による調査で何件捕捉しているのか、また、それに対応しているにもかかわらず、課税に結びつけられない件数は何件あるのかお伺いいたします。
○齋藤資産税部長 固定資産の状況調査のため、毎年一月一日前後で航空写真の撮影を行い、前年の写真と比較し、土地の利用状況の変化や家屋の新築、増改築、滅失の状況の把握を行っております。
例えば、令和五年の調査では、未登記の新築家屋二千百四十八件を捕捉し、現地調査の上、全て適切に課税処理しております。
航空写真による調査は、前年の状況との比較であるため、一年分のみ課税するケースが大半であると認識しております。
また、調査により把握した増改築二百六十六件につきましては、仮設の物置などが多く、家屋に該当しないものであることを確認しております。滅失五百三十件についても、状況の確認を行い、適切に処理しております。
ただし、航空写真で捕捉できない、例えば高架下や地下の未登記物件について、その後登記されたり、現地調査による捕捉によって課税処理を行うケースがあります。その場合、新築年月日を確認の上、地方税法の規定により最大五年遡って課税処理を行う場合もあります。
今後とも、航空写真による調査や現地調査を効果的に実施することにより対象資産の把握を確実に行い、適正に課税に努めてまいります。
○清水(や)委員 ありがとうございます。固定資産税への信頼性をしっかりと担保するためには、きめ細かく正確な調査の実施が非常に重要であり、都民の方々からの信頼の確保のため、これからも適正な課税事務に努めていただきたいと思います。今、三年とおっしゃいましたか、五年(「五年です」と呼ぶ者あり)遡れるのは。分かりました。
次に、都税のキャッシュレス納税について伺います。
キャッシュレス納税については、主税局ビジョン二〇三〇において主税局の重要施策として位置づけられており、局として力を入れている事業と聞いています。
このような中で、都税のキャッシュレス納税比率については令和三年度末時点で四四・六%であり、都と同様にキャッシュレス納税を推進している国税の三二・二%を大きく上回っており、この点については高く評価します。
そこでお伺いいたします。キャッシュレス納税の推進に関して、法人二税のeLTAXによる申告が約八割、納付が約二割の利用率で、eLTAXの活用にギャップがあるということですが、どのような対応を行っているのか伺います。
○小谷徴収部長 法人二税におけるeLTAX電子納税については、法人が納付先ごとに申告書と併せて納付書を作成するという煩雑な事務負担が生じておりましたが、令和元年十月から地方税共通納税システムが稼働し、全ての地方公共団体に一括で電子納税できるようになるなど、法人の事務負担の軽減が図られたところでございます。
しかし、認知度の不足等により、従来どおり金融機関窓口で納付するケースが多いものと認識しております。
そこで、eLTAX電子納税の認知度を上げるため、主税局ホームページでの周知や、法人会、納税貯蓄組合と共同での広報を実施しております。
○清水(や)委員 現在、eLTAX電子納税の認知度を高めていくために、ホームページでの周知や納税協力団体と連携したPR活動に取り組んでいるとのことでありますが、特に法人二税の電子納税を普及していくためには、税理士や公認会計士などの影響も大きいと考えられます。
そこで、キャッシュレス納税推進のために税理士会と今後どう連携を図っていくのかお伺いいたします。
○小谷徴収部長 税理士会との連携につきましては、各地域の税理士会を通じて、チラシ、ポスター等の配布にご協力いただいているほか、都の職員が会員の税理士にキャッシュレス納税について説明する場を設け、顧問先の方々に周知いただくようお願いするなどの取組を実施しております。
引き続き、税理士会を含めた関係団体と連携することで、eLTAX電子納税をはじめとするキャッシュレス納税の認知度向上を図り、より多くの方々にキャッシュレス納税を利用していただけるよう、積極的な取組を進めてまいります。
○清水(や)委員 次に、都税に関する証明書の申請手続についてお伺いいたします。
都税事務所の窓口で証明書の申請を行う場合には、即日発行されています。
そこで、各種証明の電子申請について、申請を行ってから証明書が届くまで郵送期間も含めて一週間以上要することもあるとのことですが、その理由について伺うとともに、その期間が改善されているのか、状況をお伺いいたします。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 都税に係る各種証明の発行の際には、都民の信頼、安心を確保するため、不正取得防止等の観点から職員による厳格な権限確認が求められます。
申請者の属性は、納税者本人、代理人、相続人など多種多様であり、権限確認の書類や方法等もこれに応じて対応しております。
電子申請の場合は、納税者からの申請を受けて権限確認を行った上で証明書等を発行し、手数料の金額を申請者に通知して、決済の確認が取れ次第、証明書等を郵送しております。
毎年四月は申請件数が特に多く、こうした手続に時間を要することから、発送までに一週間程度お時間をいただいております。
発送までに要する時間は、随時事務フローの改善等を図っており、繁忙期を含めて平均しますと、令和四年度は約二・三日、令和五年度は約二・一日となっております。
○清水(や)委員 そうすると、毎年四月、申請件数が特に多い四月だけの平均は何日となっていますでしょうか。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 電子申請の場合、繁忙期においてもほぼ同程度の日数で発送しております。
○清水(や)委員 国税では、e-Tax上で証明書に係る手続を申請から受領まで電子で行うことが可能であり、交付されるまでの日数も数日しかかかりません。
一方、都税においても、各種証明書などの電子化を実現することで手元に証明書が届くまでの期間をより短縮できるのではないかと考えます。
そこで、地方税の各種証明書などの電子化については、現在、国が関与する検討会で議論しているとのことでありますが、その検討状況をお伺いいたします。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 地方税においては、現在、総務省、地方税共同機構、地方自治体、民間団体等から構成される地方税における電子化の推進に関する検討会で、各種証明を含む地方税関係通知のデジタル化について検討しております。
昨年十一月の同検討会の取りまとめにおいては、例えば各種証明の手続など、eLTAXの活用を基本として可能なものから早期にデジタル化を実現していくことが望ましいとされております。また、今年度の同検討会実務者ワーキンググループにおいては、手数料の徴収や電子署名付与機能の実装などの課題について重点的に検討が必要としております。
同検討会の実務者ワーキンググループに主税局の所管課長も参加し、税務現場の実情に即した意見を述べており、各種証明等の電子化が早期に実現するよう、総務省や他自治体と連携してまいります。
○清水(や)委員 確かに地方税は国税と異なり、四十七の都道府県のほか、一千七百以上ある全国全ての区市町村など多くの機関との調整が必要になってくるので、実現までに一定の検討期間を要することは理解できます。
先般の第三回定例会で私から強く要望したとおり、国税がe-Taxを活用しているように、地方税においてもeLTAXを活用した仕組みを早急に実現していただきたいと思います。引き続き、都としても国に働きかけるよう、お願いを申し上げます。
次に、都税事務所における納税者対応について伺います。
質の高い税務行政を実現するためには、税務の現場における親切丁寧な納税者対応はもとより、納税者の声を拾い上げて行政に反映させていくことが重要です。
こうした観点から、主税局の事業概要を拝見しますと、税務相談などの受付件数のうち、令和二年度は、意見が八百六十九件、苦情が百七十六件、令和三年度は、意見が二百七十七件、苦情が百三十三件、令和四年度は、意見が二百四十三件、苦情が九十七件となっています。とりわけ職員の接遇による苦情は改善のきっかけとなるものがあり、しっかり対応していくことが必要です。
先ほど他党さんからもありましたけれども、私もよく都税事務所には行くんですけれども、なぜそこで素通りして話しかけてくれないのか、何でお困りですかとか、もうべらべらしゃべりながら通る、職員の人が通るなんていうこともよくあります。
そこで、こうした苦情に対する主税局としての受け止めと対応策について見解を伺います。
○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 主税局では、お客様の声取扱要領を作成し、納税者から都税事務所等に寄せられる意見や要望、苦情等を把握、集計しております。
特に、接遇に関する苦情等につきましては、本要領において、内容や処理経過等を記録した相談カードを作成し、所長まで報告するとともに、本庁の相談広報部門にも回付する旨、定めており、組織的に情報を共有しております。また、こうした事例が発生した場合は、管理職から職員に事情を確認した上で指導を行っております。
加えて、三年に一度、職員が悉皆で受講する接遇研修は、実例を基にしたロールプレーイングを取り入れて実践的なものとするほか、状況の変化に応じて研修内容のバージョンアップを行うよう見直しを図っております。
これらの取組を通じて、今後とも、都民からの声に真摯に対応してまいります。
○清水(や)委員 私が窓口で感じるのは、すごくフレンドリーさを出すかもしれないんですが、これは押していませんじゃなくて、これまた押していないよねとか、非常に何か話し方が違和感があることがたくさんあります。これは税理士の皆さんとも共有していることで、本当にそれが接遇研修を受けた後の対応なのか、所長まで報告しているとおっしゃっていますが、所長に報告が行かない方の職員はどんなふうにしているのか、どこが抜け漏れがあるのか、ちょっと気持ちを、見方を変えて、たまには覆面でも構いません、行ってみてください。忙しいときほど口調も荒くなったりしているのが、私は受け取った印象です。
納税者に寄り添った親切丁寧な対応など、より質の高い税務行政の実現に向けて業務改善を進めていただくよう求めまして、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。
○和泉委員 日本共産党の都議団の和泉なおみです。
東京都税制調査会について質疑を行います。よろしくお願いします。
まず、基本的なことから伺います。
東京都税制調査会、いわゆる都税調は、どのような組織で、いつ、どのような手続を経て設置されたんでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 東京都税制調査会は、地方分権の時代にふさわしい地方税制及び国、地方を通じた税制全体の在り方などの参考とするため、幅広く有識者の意見の表明または有識者との意見の交換を行う知事の懇談会でございます。
平成十二年に知事の決定により設置をいたしました。
○和泉委員 続けて伺います。知事の懇談会とのことですが、懇談会と附属機関の違いについて、どうなっているでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 懇談会等は、当面する基本的問題や重要課題について、幅広く有識者の意見の表明または有識者との意見の交換を行う場として設置するものとされております。
附属機関は、例えば、都市計画決定における都市計画審議会の審議など、執行機関が行政を行う前提として必要な調停、審査、審議、調査等を行うことを職務とする機関とされております。
○和泉委員 ありがとうございます。懇談会と附属機関の内容について、それぞれご答弁をいただきましたけれども、何が違うのか、これがいま一つ分かりにくいので確認させてください。
附属機関は、地方自治法第百三十八条の四第三項の規定に基づき、法律または条例の定めるところにより設置される自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会、その他の調停、審査、諮問または調査のための機関です。
一方で、懇談会等については法律的な位置づけが見当たりません。懇談会とは何をもって設置されるんでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 地方自治法の逐条解説によりますと、自治体が設置する会議体のうち、行政運営上の意見聴取、情報や政策等に関し助言を求める等の場として要綱などで設置するものは法律違反ではないとされていることから、そうしたものに基づいて設置しているところでございます。
○和泉委員 要綱によって設置されているということでした。
続けて伺いますが、この要綱によって設置された知事の懇談会に対して、知事が諮問し、懇談会が答申を出すということはできるんでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 東京都総務局長の通知によりますと、懇談会等について、諮問、答申の形を取らないこととしております。
ただ、附属機関とは別に、行政運営上の意見聴取や情報、政策等に関して助言を求める場を設置することは法令に違反するものではないと先ほど答弁したとおりでございますが、東京都税制調査会はこの範囲で、知事からの意見の求めに応じて報告を行っているものでございます。
○和泉委員 なぜ懇談会等は、諮問、答申の形を取らないこととされているんでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 総務局長通知によりますと、附属機関は、合議制機関として機関意思を表明するのに対しまして、懇談会等における意見の取りまとめについては、機関意思の表明と紛らわしい諮問、答申の形を取らないこととしております。機関意思の表明かどうかといったところかと思います。
○和泉委員 重要な答弁だったと思います。懇談会等は、合議制機関として機関意思を表明する附属機関とは異なる、つまり懇談会は機関意思を表明するようなものは出せないということになろうかと思います。
出席者の意見の表明または意見の交換の場であることに鑑み、原則として審査会、審議会、調査会など、附属機関と紛らわしい名称を用いないものであることというふうにされています。
また、ここまでの答弁で主税局は一言も触れられておりませんけれども、懇談会等は、附属機関等設置要綱でも総務局長通知でも、知事が臨時に設置するものと明確に定義をしています。これは間違いありませんね。
○筒井税制調査担当部長 総務局長通知の中で知事が臨時に設置するものと書かれております。
○和泉委員 ありがとうございます。附属機関と懇談会等との違いについて幾つか確認させていただきました。
ここまでの質疑を踏まえて、では、現在の都税調は果たして懇談会等に当たるのかという点についても質問します。
東京都税制調査会設置要綱は、その設置目的に、幅広く有識者等の意見の表明または有識者との意見の交換を行う懇談会等として設置すること。所掌事項のところでは、地方税制度の改善に関することをはじめ三つの項目について検討し、意見の交換を行うというふうにされています。
この設置要綱は令和四年に改定されています。改定前の設置要綱の設置目的、所掌事項、ここには何と記載されていたんでしょうか。伺います。
○筒井税制調査担当部長 改正前の設置要綱では、設置目的として、地方分権の時代にふさわしい地方税制及び国、地方を通じた税制全体の在り方等に関する事項を検討するためと規定されておりました。
所掌事項については、知事の諮問に応じ、以下の事項を検討し提言するとし、地方税制度の改善に関すること、国と地方の税源配分に関すること、その他これらの事項に関連する租税制度の改善に関することと規定されておりました。
○和泉委員 所掌事項について、知事の諮問に応じ、検討し、提言するとなっていたと。主税局のホームページで都税調の履歴を見ますと、諮問、答申が毎年繰り返されてきたことが分かります。要綱上は提言となっているものが、答申という形で出されてきた。つまり、答申と提言は同一のものとして扱われてきたということになると思います。
臨時に設置するものなのに毎年諮問と答申が繰り返されてきたことも懇談会の定義に当てはまらないのではないかというふうに私は思いますが、懇談会は、諮問、答申の形を取らないとされているにもかかわらず、諮問、答申という形が取られてきたのはなぜですか。
○筒井税制調査担当部長 先ほどご答弁しましたとおり、附属機関と懇談会等の違いのところは、機関意思の表明にあるということでございます。
都税調においては、実際の運営上、立場の異なる意見も併記して少数意見も取り上げるなど、合議して一つの方向にまとめることはいたしておりませんで、委員の意見を報告等としてまとめていると。実態としては、附属機関が行う機関意思の表明としての諮問と答申という関係には当たらないものというふうに認識をしております。
○和泉委員 これまでも、要するに諮問、答申という形では出してきたけれども、その中身は答申といえるようなものではなかったということ、ご答弁ですよね、趣旨としては。
以前の設置要綱にあった知事の諮問がなくなり、提言だったものが意見の交換を行うということに変わったわけですけど、なぜ要綱を変える必要があったんですか。
○筒井税制調査担当部長 東京都税制調査会につきまして、都といいますか主税局としては、総務局長通知で規定するところの懇談会というふうに位置づけておりまして、そのことを明確にするために、設置要綱において懇談会等と明記するなどの見直しを行ったところでございます。
○和泉委員 もともと附属機関ではなく懇談会だったと、そういう性質のものだったと、だけれども総務局長通知が出たので懇談会と改めて明記したと。
総務局長通知が新たに懇談会等に規定したかのように答弁されましたけれども、規定しているのは、昭和六十二年に知事決定された附属機関等設置運営要綱です。
そこでは、懇談会等は臨時に設置するものであること、附属機関として紛らわしい名称を付してはならないことが明記されています。そして、附属機関と懇談会等とは、ただ単に名前が違うとか、そういう問題ではなくて、明確にその法的位置づけや役割が違います。懇談会と明記したから、あるいは提言、答申という言葉を使うのをやめたからいいという話ではないんです。
今回、都税調報告について説明、報告がされましたが、設置要綱が変わる前の答申と、現在出されている報告とは質的にどのような違いがあるんでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 東京都税制調査会は、附属機関のように行政執行の前提としてではなく、行政運営上の意見聴取や情報、政策等に関して助言を求める場として従来から運営をして有識者の意見を取りまとめておりまして、要綱の改正の前後でこの点に違いはないというふうに考えております。
○和泉委員 附属機関ではなく、もともと懇談会だった、要綱も前後で変わったものではないと、総務局長通知が出たから改めて変えたんだということを繰り返し答弁をされましたけれども、以前、答申として出されてきたものも、そうすると、全て答申というものではなくて、あるいは提言というものではなくて、個々の委員の意見の表明だったということでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 従前のものも合議して一つの方向にまとめているものではなくて、委員の意見の表明であったというふうに認識をしております。
○和泉委員 この二十数年、都税調で議論されてきたことが、本来は附属機関の答申として、あるいは提言として出されるにふさわしいものだったという認識は、東京都にはないということでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 我々としては、報告なり答申している中身として、その質ということについて、その値するとかしないとか、胸を張って出しているものでございまして、ただ、その会の運営として合議制であって、附属機関のものかどうかといわれれば、それはそうではないというふうに申し上げたいと思っております。
○和泉委員 そうしますと、本日の質疑を通しても、どのような提言がされていますかということに対して、局長ご自身も、都税調から出された提言を受けというふうにお答えになった、これ間違いだということでしょうか。
提言と答申を同じに扱ってきた、合議制の機関意思の表明として扱われてきた、そういうことではないということでしょうか。
○筒井税制調査担当部長 諮問と答申という言葉については、ちゃんと、おっしゃっていただいているとおり、附属機関しか使えない言葉だということは認識しています。
提言という言葉については、実はその中で規定されていることだとは思っておりませんで、一般的に、意見を出すこととか、提案することとか、そういった意味で普通に、国語辞典のようなつもりで提言という言葉を使わせていただいているということでございます。
○和泉委員 では、なぜ要綱の中から提言を削除したんですか。
○筒井税制調査担当部長 繰り返しになりますけれども、どういう場なのかというところでしたので、意見交換であり、意見の表明の場であるということを書かせていただいたということでございます。
○和泉委員 所掌事項のところに、提言するものとすると書かれていたものを、新しい要綱では、それ削除したんですよ。なぜ提言するというところを削除する必要があったんですか。
○筒井税制調査担当部長 私どもとしては、提言という言葉は、そういう普通の意味で使っているものではありますが、おっしゃっているような誤解を招くようなことがあるとすればうまくないと思いますので、意見の交換というふうに書き直したというところでございます。
○和泉委員 私、本当にちょっとちゃんと考えていただきたいというふうに思うんですけれども、知事が臨時に設置するという懇談会が、平成十二年以降、二十年以上にわたって経常的に続けられてきたこと、附属機関と紛らわしい調査会という名称を付していること、本来行えないはずの諮問、答申を行ってきた、こういうことは、今の質疑を通しても分かったわけです。
そのような下で、都税調においては、専門家も含めて本当に広く意見を聞いて、税制のあるべき姿や、それから、大事な課題が議論されてきた。これ大変重要だというふうに思っているんです。
委員の皆さんは、知事から諮問を受け、諮問という形を取っていますよね。これまで取ってきましたよね。知事から諮問を受け、それに対して答申を出すという責任と自覚を持って議論を積み重ね、答えてこられたんだと思うんです。だからこそ、都税調を意見交換の場という懇談会ではなく、きちんと条例にして、その役割にふさわしい位置づけを持たせるべきだというふうに思います。
地方自治法が定めているとおり、普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算、その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則、その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負っているんです。
執行機関として、法令、規則、その他の規程に誠実に向き合うなら、都税調はこれまで果たしてきた役割を正面から受け止めて、名実ともに、附属機関として、諮問、答申、あるいは提言ができるよう、速やかな条例設置をすることを重ねて強く求めて、質疑を終わります。
○藤井委員 私から、まず、ふるさと納税についてお伺いをしたいと思います。
私の地元練馬区では、令和四年度決算で三十七億五千万円の住民税が流出をいたしました。区民税の規模自体が七百億円でございますので、率としては五%程度流出をしたということであります。令和五年度には、その金額が四十五億円にもなるといわれているところであります。これは、おおむね校舎を一校建て替える際の費用と同等の額ということであります。
練馬区では、平成二十六年度にこのふるさと納税による住民税の流出額が〇・四億円でございましたので、この十年で実に百倍以上に増えたということになるわけであります。
そこで、まずお伺いをしたいと思いますが、個人住民税におけるふるさと納税の影響額について、東京都分、そして、都内の区市町村分に分けてお伺いをしたいと思います。
○辻谷税制部長 令和五年度分のふるさと納税の影響額は、都が六百七十五億円の減、都内区市町村が千十三億円の減、合わせて千六百八十八億円の減となっております。
○藤井委員 本当に大きな、莫大な金額であるわけでありますけれども、本来、それぞれの自治体の行政サービスに使われるべき住民税が流出をしてしまうということになりますので、これは受益者負担という観点からは、かなり問題が大きいといわざるを得ませんが、都としては、このふるさと納税という制度そのものについて、どのようなご見解をお持ちになられているのか、簡単にご説明をいただきたいと思います。
○辻谷税制部長 ふるさと納税は、地域の活性化等に寄与する面もある一方で、返礼品競争が続いており、寄附本来の趣旨を促す制度となっていません。
また、行政サービスを行う自治体に入るべき税収が寄附金を通じて他の自治体に移転しており、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものとなっています。
さらに、所得に応じて控除額の上限も高くなる仕組みであるなど、公平性の観点からも問題があることに加え、ワンストップ特例を利用した場合、本来、国が負担すべき税収減が自治体に転嫁されるといった課題もあります。
こうしたことから、都は、ふるさと納税について、寄附本来の趣旨等を踏まえた制度の抜本的な見直しを行うべきと考えております。
○藤井委員 都としては、今おっしゃったようなご見解だと思うんです。私の地元練馬区でも、このふるさと納税については、返礼品を充実させたりとか、対抗措置をするというのは、あえて控えてきた面があります。これはもう制度として周知が進めば進むほど、私たち練馬区だったり、東京都にとっては、税収が流出をしてしまうというような側面があって、これもう、かえってやぶ蛇になってしまいますので控えておったわけでございますけれども、先ほど答弁がありましたとおり、ふるさと納税という制度自体が、もうかなり定着をしておりますので、これは我々の都市の自治体としては、何らかの対抗措置といいますか、そういったものをやっぱり考えていかなければいけないような時期に来ているのかなというふうに思っています。
これ、一例を申し上げますと、墨田区さんの方では、北斎の美術館で、北斎に関する建設費ですかね、これをふるさと納税の寄附として加えることによって七億円程度収入を稼いだということでございまして、私たちの都市の自治体は、他の都市のように、郊外の都市のように、何か返礼品をつくって対抗するというのはなかなか難しいと思いますので、政策ごと、事業ごとに寄附を募っていくというようなことで、これはちなみに私たち練馬区の事例なんですけど、練馬区、今度美術館を造るんですね。美術館を造るんですけど、八十億円かかるんですが、そのうちの一部の経費を、全部区民税じゃなくて、クラウドファンディングで集めていこうかというようなこともちょっと検討をしていまして、この芸術、美術の施設と、こういう寄附というのはすごく親和性も高いですし、私たちのような都市の自治体なりの、このふるさと納税の在り方というんですか、そういったものも、ぜひ発信をしていっていただきたいなというふうに思っているわけでございます。
そこでお伺いをしますが、こうした現状を踏まえて、都として今後、このふるさと納税についてしっかり対応していく、何らかの手段を講じていくべきだというふうに思うわけでございますけれども、現状のところの都の見解をお伺いしたいと思います。
○辻谷税制部長 ふるさと納税には様々な問題があることから、都はこれまで、寄附本来の趣旨等を踏まえた見直しを行うよう国に要求するとともに、国の指定を受けるための申出を行っておりません。
東京都税制調査会の提言や意見も参考に、他の自治体とも連携しながら、制度の抜本的な見直しについて国に要求していきます。
また、制度の見直しの機運醸成に向け、様々な媒体を活用しつつ、引き続き戦略的に広報を展開してまいります。
○藤井委員 今ご答弁あったとおりであると思いますけれども、なかなか都の主張をしても国は聞いてくれないというような現状もあると思いますので、ぜひ次なる手をご検討いただければなということを要望して、次の質問項目に移らせていただきたいと思います。
次に、いわゆる国による偏在是正措置についてお伺いをしてまいりたいと思います。
ざっくりこの偏在是正措置について申し上げますと、東京はやっぱり企業が多いので、企業関連の法人事業税とか住民税を国が召し上げてしまって、困っている地方に再分配するというような制度だというふうに思うわけでございますけれども、そこでまず、ちょっとお伺いをしたいのは、これまでのこの偏在是正措置の影響額について、令和五年度の予算額ベース及び平成二十年度の税制改正以来の影響額、それぞれについてお伺いをしたいと思います。
○辻谷税制部長 いわゆる偏在是正措置による都の減収額は、令和五年度当初予算ベースで一兆二千七百六十五億円です。
平成二十年度から令和五年度までの累計では、約七・九兆円に上ります。
○藤井委員 単年度のベースで一兆二千七百六十五億円ということでございまして、これはもうすごい金額であるわけでございます。都の税収自体は六兆円でございますから、その七兆二千億円ですか、七兆三千億円だったはずのものが六兆円になっているということでございます。かなりの影響額であろうかと思います。
先ほどのふるさと納税の議論ともちょっと相通ずるものがあると思うんですけれども、都として主張すべきは主張していかなきゃいけませんと。
一方で、やっぱり国から何か指摘を受けざるを得ないようなことは、やっぱり控えていかなきゃいけないなというふうに思っていまして、これ、私、予算委員会の中で申し上げたんですが、例えば今年の予算で、〇一八サポートがあると思います。
〇一八サポートは、これも私の練馬区の事例なんですけど、練馬区の大泉という地域はちょっと道を挟めば埼玉県になるわけでありまして、そういった県にお住まいの方からすれば、大泉という同じ地域の中に住んでいても、道をまたげばすぐ埼玉になったりするわけでございまして、当然、そういった区境、県境とか、埼玉県だとか神奈川県とか千葉県とか、そういった方々からすれば、東京はもうお金持ちで、裕福でいいねみたいな、当然議論になっていくわけでありますし、その近隣の自治体だけではなくて、地方の都市の人からしてみれば、当然、本来、国でやるべき仕事が、東京はたまたまお金があるからやっているんじゃないかと、そういうふうに指摘を受けないようなことを、先進的なことをやっていくというのは大切だと思うんですけれども、こういったことも考えていく必要性があるのかなというふうに思うわけでございます。
そういった、この東京富裕論というものの再燃を招かないようなこと、これをやっていただきたいなと思うんですが、それも含めて、今後、いわゆるこの偏在是正措置に対して、都としてどのように対応していこうとされているのか、見解をお伺いしたいと思います。
○辻谷税制部長 偏在是正措置についての主税局の受け止めについてでございますが、これまで国が講じてきた偏在是正措置は、地方税の応益性の原則に反し、地方分権の理念に逆行する極めて不合理なものと考えております。
自治体が、自らの権限と財源により主体的にその役割を果たすためには、限られた財源を奪い合うのではなく、総体としての地方税財源の充実と安定的な地方税体系の構築を実現していくことが重要であると認識しております。
この点につきましては、引き続き、関係局と連携して、国に強く求めてまいりたいと思っております。
○藤井委員 都として、いうべきことはしっかりおっしゃっていただいた上に、都としては、税金の使い道を含めて、公正で合理的な使い道というものをぜひお考えの中で事業執行をしていただきたいなということを申し上げ、次の質問項目に移らせていただきたいと思います。
次に、償却資産に係る固定資産の申告期限についてお伺いをいたします。
この固定資産税は、一月一日時点の償却資産にかかる税の申告期限が一月三十一日である現状であり、これはもう中小企業にとっては負担が大きいということであります。これを法人税なり所得税の申告の時期に合わせることができないかという点についてお伺いをしたいと思います。
これは毎年、税理士会からもご要望いただいていることでもあり、そして、私、実は税理士なんですけど、税理士としても実務を経験する中で、これ、実現されれば相当負担軽減されるなというのを感じながら仕事をしているわけでございますけれども、都としてはこの間、どのような検討をされてこられたのでしょうか。
○齋藤資産税部長 償却資産に係る固定資産税の申告制度につきましては、一月末日を申告期限とする現在の申告制度は、大半の事業者の法人税の申告時期と異なるため、申告時期を決算期に一致させてほしいという要望を事業者等からいただいております。
一方で、制度の見直しには法改正が必要であり、国も関与する資産評価システム研究センターの研究委員会で、平成二十九年度から令和二年度にかけて、申告時期の見直しとともに制度の簡素化、効率化について検討を行っており、主税局の職員も委員として参加しております。
○藤井委員 ありがとうございます。
今ご答弁ありましたけど、これ、賦課期日は変更しないで、申告期限のみ変更するというのが現実的な対応なのかなと思うわけでありますけれども、仄聞するところでは、法人税の決算期の二か月以内に申告するというような方策も検討されているそうでございます。
こうした検討状況について、都としてどのように把握をされているのか、また、問題の課題の解決に当たり、この問題は何がボトルネックになっているというふうに考えておられるのか、都の見解をお聞かせください。
○齋藤資産税部長 平成三十年度に資産評価システム研究センターの研究委員会で取りまとめた見直し案では、現行方式に加え、電子申告の場合に限り、申告時期を決算日から二か月以内とする新方式を選択できるとされました。
この見直し案では、導入には、納期の変動による影響や納税者、課税庁双方のシステム改修など解決すべき課題が多数あることから、直ちに見直しを行うことは難しいとの結論に至り、まずは課税庁の受入体制を整備した後に、申告期限の見直しの検討を進めるべきとされております。
○藤井委員 答弁の前段では、かなり前向きな話が出ていたんですけど、後半ではやっぱり慎重にという話でございまして、これも東京都だけでなかなかできる話ではないのかもしれませんけれども、こういった問題は、これは必ず事業者さんや納税者の方々にプラスになる話でございますので、何とか国や都としっかり連携をして、解決に導いていただきたいなということをご要望申し上げたいと思います。
次に、宿泊税についてお伺いをしたいと思います。
先ほど来あった税調でも引き上げていくというような方針を持っているということが報道等でなされているわけでございますけれども、これ、いわゆる応益負担で、観光の宣伝費用、Wi-Fiの整備の費用だとか、こういったことを、負担を一定程度、宿泊税によって負担してもらうという考え方は理解はするんですが、一方で、あまり上げ過ぎちゃうと、観光客が減ってしまうとか、消費額が減ってしまうとか、経済が冷え込んでしまうというような、やっぱりマイナスの効果もあるので、この間、都税調に聞いてくれという話かもしれませんけど、どういった整理というか、どういった検討をされてこられたのか、改めてお伺いしたいと思います。
○辻谷税制部長 税率水準を含めた今後の宿泊税の在り方については、観光産業をめぐる状況、観光振興施策の展開等を踏まえつつ、宿泊料金の動向等も十分に検証した上で、引き続き見直しについて検討してまいります。
○藤井委員 報道なんか見ると、都税調、かなり踏み込んだことをいっていて、東京都の方は引き続き検討していくということで、その両者の関係、どういうあれなのかちょっと分からないですけど、やっぱり宿泊税を上げるなら上げるなりのきちっと目的というか効果、あるいはそれに伴うマイナスの面もしっかり検証していただきたいなというふうに思います。
先ほど来ちょっと話が出ましたけれども、私、このオーバーツーリズムで、いわゆる観光公害と訳されるオーバーツーリズムでございますけれども、例えば、何かごみがぽんと捨てられていたりとか、道路清掃にお金がかかるとか、それぞれの、特に都市、都内の中でも都会のというんですか、そういった自治体の負担はすごく重たくなっていると思うので、こういったものに関しては、この宿泊税を充てていくというのは、一つの考え方としてあり得るのかなと思っているわけなんですけれども、この宿泊税、もともと石原元都知事がつくった法定外目的税ということでございます。しっかり目的をはっきりさせなければいけないというものだというふうに思うわけでございます。
このオーバーツーリズムへの対策ということは、この目的の中に含めるという考え方ができるのかできないのかお伺いをしたいと思います。
○辻谷税制部長 宿泊税は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てることを目的としており、その全額を観光振興に係る事業全般に広く充てることとしております。
宿泊税をめぐる状況の変化等を踏まえ、関係局とも連携しつつ、使途の在り方についても検討してまいります。
○藤井委員 これ、産業労働局における対策等々もあると思いますので、そういった他局さんとの連携もしっかり図りつつ、この宿泊税の在り方については、引き続きご検討いただければなというふうに思います。
最後に、他会派さんからもご質問ありましたけど、個人住民税の今回の国の減税、岸田政権における減税についてお伺いをしたいと思います。
国が、所得税を三万円、住民税を一万円減税するということでございまして、これ仮に、地方交付税で対応するというようなことになりますと、もう東京都は不交付団体で、これ大変なことになるわけであります。
これ本当、仮の話で恐縮なんでございますけれども、これは東京都並びに都内区市町村における影響額はどの程度あるものなのか、試算をされておられたらご答弁をいただきたいと思います。
○辻谷税制部長 令和五年十一月二日、デフレ完全脱却のための総合経済対策が閣議決定され、定額減税に関する概要が示されました。
この中で、所得税三万円、個人住民税一万円という減税額は具体的に示されたものの、所得制限の有無などの詳細については、令和六年度税制改正の議論の中で年末に向けて決定されることとされており、現時点では、都税収入等への影響額は申し上げられません。
なお、この減税によって生じる個人住民税の減収額は、全額国費で補填することとされております。
○藤井委員 東京都が不交付団体でございますが、地方交付税の交付団体の方も、早くも何か交付税が減らされるのじゃないかなとか、そういった帳尻合わせをする中で、東京都も実害が本当及ばないように、しっかり今後の状況をぜひ注視をしていただきたいなと思います。
これは私、自分で今、試算したんですけど、東京都で納税義務者の方が今、個人住民税、八百万人いるそうでございまして、今回、一万円でございまして、一〇%の税率のうち四%が都で、六%が市区町村ということでございますので、単純計算をすると三百二十億円近く、これは所得税のそういう、所得制限をつけないとか、そういう場合でございますけれども、これは私の試算、勝手に試算しているものでございますけれども、それだけの影響が出るものでもございますので、これは注意深く見守っていただければなと思っています。
ちょっと今の話と、私、実はちょっと矛盾するようなんですけど、実はこの都民税減税というのは、前期、宮瀬英治都議会議員もその必要性を申し上げてきたとおり、これ本当はすごいこと、すごいことというか、やっぱり国で今回やって、住民が喜ぶはずだった減税を打ち出したんだけど支持率が下がったと。何か減税というのは何か怪しいみたいに思われちゃっているんですけど、実は私、この住民税の減税、特に恒久減税というのは究極の所得対策ではないかと。かつ、行政改革を進めていくという上でも、収入をどんと下げるということは、もう行政改革、取り組まざるを得ないような状況にもなっていくと思うので、これはすごいというか、ことをやったはずなんだけど、実際、ちょっと不人気になっているという、何か変な状況だなと思って、ちょっと余談ですけど、見ていて思っているんです。
これ仮にこの二割を個人都民税減税するとすればどの程度財源が必要なのか。また、これは今の東京都の財政的な状況を考えた場合、これは可能なのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○辻谷税制部長 仮に、個人都民税を二割減税する場合には、高額所得者ほど減税額が大きくなる一方で、所得が一定以下で非課税となる方に対しては減税の効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識しております。
個人都民税は、都税収入の約二割を占めており、財政運営上、重要な役割を果たしているものと考えております。
○藤井委員 こちらも私、計算したんですけど、これ、財源としては二千百億円と、単純計算して二割とすれば二千百億円ということでございますので、今の東京都の財政を考えれば十分可能なのかなというふうに見ているわけでございます。
高額所得者ほど有利になる云々かんぬんみたいな話がありました。それはそのとおりなんだと思うんですけど、これ、私も地域で活動しておりますと、これ、もう物価高対策にしても、コロナ対策にしても、住民税非課税の方に対する対策という、そのくくりの政策が多くて、ある方からいわれたのは、私は、ささやかだけど住民税払っていますと。住民税払っているイコール別に生活が楽であるわけじゃないと。だから、こういったこの住民税の減税というのは、そういった方々の思いにも報いることにもなりますし、やっぱり働く現役世代にとって恩恵があると、元気が出ると、こういった政策も考えていくと、こういった住民税非課税の方だったり、生活保護であったりの方をお支えをする、これも大切ですけれども、今働いている、本当にど真ん中で支えていただいている方を支援していくということも重要だと思いますので、この点もぜひ考慮していただいた上で、主税局として今後しっかり取り組んでいただきますよう要望申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 ご異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時八分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.