財政委員会速記録第八号

令和五年六月十五日(木曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長ほっち易隆君
副委員長おじま紘平君
副委員長米倉 春奈君
理事土屋 みわ君
理事うすい浩一君
理事池川 友一君
かまた悦子君
玉川ひでとし君
中田たかし君
鈴木 章浩君
宮瀬 英治君
三宅 正彦君
後藤 なみ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務五十嵐 律君
契約調整担当部長須藤  哲君
主計部長遠松 秀将君
財産運用部長小泉 雅裕君
利活用調整担当部長運営・調整担当部長兼務吉浦 宏美君
建築保全部長金子 陽子君
技術管理担当部長小林 秀行君
主税局局長児玉英一郎君
総務部長DX推進担当部長兼務丹羽恵玲奈君
税制部長辻谷 久雄君
税制調査担当部長筒井 宏守君
調整担当部長小林 孝幸君
課税部長櫻井 幸枝君
資産税部長齋藤 栄一君
徴収部長小谷  健君
特別滞納整理担当部長小野  誠君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務井村  琢君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・令和四年度公金管理実績(年間)
・令和五年度公金管理計画
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、債務負担行為 
主税局所管分
・第百十七号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・第百十八号議案 東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
報告事項(質疑)
・宿泊税二十年間の実績と今後のあり方
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、予算総則、歳入
・第百三十五号議案 東京国際フォーラム(五)改修工事請負契約
・第百三十六号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修工事請負契約
・第百三十七号議案 駒沢オリンピック公園総合運動場(五)体育館改修工事請負契約
・第百三十八号議案 東京辰巳国際水泳場(五)改修工事請負契約
・第百三十九号議案 都営住宅五H−一三六東(足立区舎人六丁目)工事請負契約
・第百四十号議案 都営住宅五H−一〇二西(東京街道)工事請負契約
・第百四十一号議案 都営住宅五H−一三五東(足立区舎人六丁目)工事請負契約
・第百四十二号議案 都営住宅五H−一〇四東(足立区南花畑四丁目)工事請負契約
・第百四十三号議案 都営住宅五H−一〇五東(足立区南花畑四丁目)工事請負契約
・第百四十四号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修空調設備工事請負契約
・第百四十五号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修電気設備工事請負契約
・第百四十六号議案 東京国際フォーラム(五)改修電気設備工事請負契約
・第百四十七号議案 東京国際フォーラム(五)改修空調設備工事請負契約
・第百四十八号議案 東京国際フォーラム(五)改修給水衛生設備工事請負契約
・第百四十九号議案 東京辰巳国際水泳場(五)改修空調設備工事請負契約
・第百五十号議案 駒沢オリンピック公園総合運動場(五)体育館改修空調設備工事請負契約
・第百五十一号議案 駒沢オリンピック公園総合運動場(五)体育館改修電気設備工事請負契約
・第百五十二号議案 社会福祉施設建替え促進用仮移転施設(仮称)(五)新築給水衛生設備工事請負契約
・第百五十三号議案 関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事請負契約
・第百五十四号議案 等々力大橋(仮称)(五)下部工事請負契約
・第百五十五号議案 利島港(五)防波堤(北)ケーソン製作工事請負契約

○ほっち委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、去る六月六日の本会議において、本委員会委員に鈴木章浩議員が選任されました。
 この際、新任の鈴木章浩委員をご紹介いたします。

○鈴木委員 鈴木章浩です。どうぞよろしくお願いいたします。

○ほっち委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。

○ほっち委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査並びに会計管理局及び主税局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百三十五号議案から第百五十五号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、令和四年度公金管理実績(年間)外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより主税局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百十三号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、債務負担行為、主税局所管分、第百十七号議案、第百十八号議案並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○かまた委員 私からは、まず、大田都税事務所の改築工事についてお伺いをいたします。
 本定例会では、本年四月に大田都税事務所の改築工事が入札不調となったことに伴う債務負担行為の補正が提案されておりますけれども、都税事務所は、地域住民にとっても身近な施設であり、税に関する窓口として重要な役割を果たしていますので、着実に改築を進めていく必要があります。
 大田都税事務所の改築計画では、都有地の有効活用を図るために、もともと都税事務所があった場所に都と区の合同庁舎として整備する予定と伺っております。
 そこでまず、今回、入札が不調となったことで新庁舎の完成が遅れると思いますけれども、どのような影響があるのかお伺いをいたします。

○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 現在、大田都税事務所は、大田区新蒲田一丁目の区有地を借り受けて仮庁舎を建設し、業務を行っております。
 今回の不調により、工事の終期が令和七年度に収まらず令和八年度に変更となるため、新庁舎への移転が遅れることになり、仮庁舎に係る賃料について追加費用が発生するなどの影響が見込まれております。
 新庁舎は、都税事務所と区の高齢者福祉施設や地域の出張所などを併せた都と区の合同庁舎であり、新しい施設における住民サービスの提供のためにも、迅速に改築を進めていく必要があると認識しております。

○かまた委員 工事が遅れることで、仮庁舎に係る経費などに影響が出ることが分かりました。やはり不調が出ることによる影響は、いろいろなところに波及をしていくものであります。
 これまで同じようなことがなかったか局に確認をしましたところ、昨年度の主税局契約における工事契約については入札の不調は発生していないとのことですけれども、本件のような工事契約で入札が不調になると、追加費用の発生や住民サービスの提供が遅れるなど、大きな影響が出るかと思います。
 また、ほかの局の案件ではありましたけれども、二つ以上の企業が関わる工事契約で、一つの企業の契約が不調になったことから、もう一方の企業の工期が変更されまして、その会社の決算報告に影響があったということも伺っております。つまり、不調が出ますと、様々な方、また、様々な方面に影響を与えていくものであります。
 そこで、入札では不調を回避し、速やかに事業を進めていくことが非常に重要となりますので、不調が発生した場合は、なぜ入札の不調が起こったのかをしっかり検証する必要があるかと思います。
 今回の大田都税事務所の改築工事の入札におきましては、二者が入札を辞退したことも不調の要因の一つというふうに伺っておりますけれども、この二者が入札を辞退した理由についてお伺いをいたします。

○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 今回の施工現場は、都市部の狭小な土地において、隣地との境界際まで建物を建てる計画でございまして、隣地の建物との距離も近いことから、施工が難しい現場となっております。
 入札を辞退した二者にヒアリングを行いましたところ、そのような現場で施工するに当たり、東京都と事業者との間で工事手順などの考え方に違いがあったということが辞退の理由でございました。

○かまた委員 ヒアリングの結果、狭い土地で工事を進める上での工事手順などにおいて都と事業者に考え方の違いがあったということですけれども、辞退した事業者ときちんとヒアリングをしてくださっていることは高く評価をいたします。
 私は、地元の事業者の方から、都の発注工事の中で、工期と予算が実情に合わないために、受注すると赤字になる可能性があることから、入札には参加したくない工事案件があるというふうに伺ったことがあります。
 建設業法では、契約当事者は、おのおのの対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結するものというふうにありますけれども、事業者の中には、発注元の都には何もいえないと思っている、そういう業者も存在するかと思います。
 だからこそ、不調が起きたときには、発注者側の都が、改めるべき課題が潜んでいるかもしれないとの思いで、現場の声をよく聞いていただき、状況を十分に把握した上で、工事の内容に反映をさせていただきたいと思います。
 そこで、今後はどのようにこの不調対策を行っていくのかについてお伺いをいたします。

○丹羽総務部長DX推進担当部長兼務 今回、入札が不調となったことから、速やかに再発注の手続を進める必要があると認識しております。
 今後、入札を辞退した二者へのヒアリングの結果なども踏まえ、工事手順などについて再検討を行うとともに、適切な工期を確保してまいります。
 これにより、広く入札参加を促し、競争性の確保と不調リスクを低減してまいります。

○かまた委員 工事の手順などを再検討しまして適切な工期を確保するということで、具体的な再入札の不調対策が考えられていますので、安心をいたしました。
 新庁舎は、大田都税事務所だけではなく、区の地域住民にとっても重要なサービスの拠点となりますので、一日も早く新庁舎が竣工するように努めていただきたいと思います。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、東京都都税条例の一部を改正する条例についてお伺いをいたします。
 本条例案は、長寿命化に資する一定の大規模修繕工事を行ったマンションについて、工事完了の翌年度に支払う固定資産税を二分の一減額するというものであります。
 この政策減税は、高経年マンションの長寿命化工事の推進に向けて、必要な積立金の確保や工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることを目的としておりまして、国の令和五年度税制改正の大綱の、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設によって実施をされるものであります。
 国は、減税額を、二分の一から六分の一の範囲内で条例で定めるとしておりますけれども、都の条例では、減額割合を二分の一としております。
 そこで、なぜ二分の一と設定をしたのかについてお伺いをいたします。

○辻谷税制部長 マンション長寿命化促進税制は、マンション管理適正化法に基づく管理計画認定マンション等、一定の要件を満たすマンションにおいて長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合に、工事完了の翌年度分の固定資産税額から、六分の一以上二分の一以下の範囲内で条例で定める割合を減額するものです。
 マンション建て替えのハードルは高く、適切な修繕による長期使用が不可欠であること、そのためには、修繕積立金の確保や適切な工事の実施に向けて、管理組合や区分所有者の合意形成の後押しを図る必要があることに鑑み、都においては、特例割合を最大の二分の一といたしました。

○かまた委員 マンションが多いこの東京都におきましては、減額割合を高く設定していただいたことによりまして、マンションの長寿命化大規模修繕工事が推進されることにつながると思いますので、大いに期待をするところであります。
 しかしながら、この政策減税を受けるにつきましては、工事完了日の翌年一月一日までに区市町村による管理計画の認定を取得すること等が必須となっております。
 私の地元の板橋区では、マンション対策に力を入れておりまして、マンションの管理計画認定制度は令和四年四月一日からスタートをさせていただいておりますけれども、一方で、都内の中には、この政策減税を申請する際に必要な管理計画を認定する制度そのものが整っていない、そういう区市町村も多く存在をしております。
 そこで、都としましても、管理計画の認定制度が整っていない市区町村が一日も早く制度を創設するように、しっかりと後押しをしていただきたいと思います。
 そして、本条例を制定したものの、自治体側の体制が整っていないということが理由で、この政策減税を受けられる都民と受けられない都民が出るという、そういう残念な状況が起きないように、しっかりと努めていただきたいと思います。
 この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○ほっち委員長 次に、報告事項、宿泊税二十年間の実績と今後のあり方に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○辻谷税制部長 去る六月一日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。今回要求のございました資料は二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、宿泊税に係る他自治体の導入状況でございます。
 この表は、他の自治体における宿泊税の導入時期、税率、税収規模をお示ししたものでございます。
 次に、四ページの要求資料第2号、海外主要都市における宿泊税等の状況でございます。
 この表は、海外主要都市における宿泊の際に課される税について、都市ごとに税率等をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 宿泊税について質問させていただきます。
 宿泊税は、平成十四年十月に都が全国の自治体に先駆けて導入し、それから既に二十年を迎えています。
 今回、都が取りまとめた報告書では、宿泊税創設からの経緯を振り返るとともに、課税の必要性や今後の課税の在り方について都として検討を加えた結果が報告されています。
 宿泊税は、今日では東京の観光を支える重要な税として広く浸透し、定着しているものと考えますが、二十年目の節目に当たり、改めて宿泊税の意義や役割について確認し、今後の在り方について議論してまいりたいと思います。
 初めに、宿泊税創設の目的及び意義について伺います。

○辻谷税制部長 宿泊税は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、当時、諸外国の観光都市と比べ立ち遅れていたとされる東京の観光を産業として展開していく上で、必要な財源を安定的に確保するため、平成十四年度に創設したものです。
 課税自主権を活用した法定外目的税として、都が全国に先駆けて創設したものであり、自治体の自主財源を自ら確保する取組として、地方分権推進の観点から意義あるものと認識しています。

○土屋委員 当時立ち遅れていた東京の観光を振興していくため、全国の自治体に先駆けて、都が課税自主権を活用して宿泊税を創設したということでありますが、宿泊税は、この二十年間、観光振興施策の展開に必要な財源の確保という役割をどのように果たしてきたのか確認したいと思います。
 それでは、創設当初から現在までの二十年間の宿泊税の税収の推移についてお伺いいたします。

○辻谷税制部長 宿泊税の税収は、創設当初から平成二十六年度まではおおむね十億円程度で推移し、その後、訪日外国人観光客の増加を受けて、平成二十七年度以降は二十億円を超える水準で安定的に推移してきました。
 令和二年度及び三年度は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う課税停止や新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅に落ち込んだものの、令和五年度当初予算ベースでは約十七億円の税収を見込んでいます。
 創設から令和三年度決算までの累計では約二百七十三億円の税収であり、観光振興施策の展開に必要な財源の確保という重要な役割を果たしてきたものと考えています。

○土屋委員 ありがとうございます。
 大会開催に伴う課税停止や新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に大きく落ち込んだことはあったものの、おおむね安定的に推移してきているということであります。
 今後は、コロナ禍において制限されていた人の往来の回復に伴い、税収の回復も期待できるものと考えられます。
 今のご答弁の中でも触れられていましたが、都は、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に伴い、宿泊税の課税を停止したとのことであります。
 そこで、大会開催に伴う宿泊税の課税停止の概要とその理由についてお伺いいたします。

○辻谷税制部長 都は、東京二〇二〇大会の開催に伴い、令和二年七月一日から令和三年九月三十日までの間の宿泊について、宿泊税の課税を停止する措置を講じました。
 立候補ファイルにおいて、過去の事例に倣い、大会期間中における大会関係者に対する宿泊税を免除する方針が示されていたところですが、大会の成功に向け、開催都市である都として最大限の対応を行う観点から、全ての宿泊者の負担軽減を図る措置としたものです。
 なお、課税停止期間については、当初、令和二年七月一日から同年九月三十日までの三か月間を予定していましたが、大会の延期等に伴い、令和三年九月三十日までの一年三か月間に延長したものです。

○土屋委員 観光振興施策の財源を確保するという宿泊税の役割を考えれば、宿泊税を課税すべきだったという意見もあったようですが、大会の成功に向けた開催都市としての最大限の対応として、宿泊税の課税を停止したことには合理的な理由があったと考えます。
 次に、宿泊税が支えてきた観光産業振興費について確認させていただきます。
 都の観光産業振興費について、創設当初から二十年間の推移と宿泊税の税収がどのように活用されてきたのかについてお伺いいたします。

○辻谷税制部長 都の観光産業振興費は、平成十四年度の宿泊税創設以降、おおむね二十億円前後の水準で推移してきましたが、積極的な施策の展開に伴い年々増加しており、近年では百億円を超える水準で推移しています。
 宿泊税は、その税収の全額が観光振興に係る事業全般に広く充てることとされており、事業の例としては、Wi-Fiやデジタルサイネージなどの利用環境の整備や、東京観光情報センターの設置運営、都内の観光スポット等を記載したウエルカムカードの作成などがございます。

○土屋委員 宿泊税が都の観光振興施策に貢献してきたということですが、近年の観光産業振興の伸びを見ると、今後ますますその役割は重要になってくるものと見られます。
 さて、都は、今回の報告書において、創設当時と比べた状況の変化を理由に課税の在り方について見直しを検討する必要があるとしていますが、その一方で、当面は現行の課税方式を維持することが適当と結論づけています。
 報道などでは、訪日外国人客が回復状況にあり、インバウンド需要はコロナ禍前の水準に戻りつつあるとの指摘もあります。
 今回の報告書では、なぜ当面の間は現行の課税方式を維持することが適当としたのか、その理由について具体的にお伺いいたします。

○辻谷税制部長 観光産業振興費と宿泊税収との乖離の拡大に加え、高額の宿泊の増加や他の自治体における宿泊税の導入など、創設から二十年を経て、宿泊税をめぐる状況は変化していることを踏まえれば、現在の課税の在り方について見直しを検討していく必要が生じていると認識しています。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、令和元年に過去最多の一千五百十八万人だった訪都外国人旅行者数は、令和二年には二百五十二万人まで落ち込むなど、宿泊業界は厳しい事業環境に置かれてきました。
 足元では観光需要の回復傾向が見られるものの、深刻な人手不足やコスト上昇などの影響は依然として続いています。
 こうした中、課税方式を見直すことで、特別徴収義務者であるホテル等にシステム改修などの新たな負担が生じることへも配慮する必要があります。
 このような宿泊業界の状況や特別徴収義務者の事務負担なども踏まえ、現時点においては、当面、現行の課税方式を維持することが適当であるとしたものでございます。

○土屋委員 確かに、宿泊業界からは、観光客は回復しつつあるものの、まだコロナ禍前までは戻り切っていないとの声もあります。また、コロナ禍で流出した人材が戻っておらず、深刻な人手不足が続いており、施設の稼働率を上げられない状況もあると聞きます。そういった状況を踏まえると、今回の報告書において、都が、当面は現行の課税方式を維持するとしたことは理解できます。
 今後の宿泊税の課税の在り方については、宿泊業界の状況なども踏まえながら、引き続き検討していくべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。

○辻谷税制部長 宿泊税は、創設当初から安定的に税収を確保することで、都の観光振興施策を財政面から支えてきました。
 また、積極的なPRにより、都税として十分に浸透し、都の財源として重要な地位を確立してきました。
 宿泊税は、今後も課税を継続していくことで、引き続きその役割を果たしていくことが期待されているものと認識しています。
 宿泊税については、今後、観光産業をめぐる状況、都における観光振興施策の展開等を踏まえつつ、課税の在り方の見直しについて検討してまいります。

○後藤委員 私からも、宿泊税について質問をさせていただきます。
 今回、都が取りまとめたこちらの報告書でもありましたけれども、二十年間の実績と今後のあり方の概要ということで取りまとめた報告書では、課税の在り方について見直しの検討の必要性について言及しながらも、先ほどご答弁もありましたけれども、新型コロナ等の影響を受けている宿泊事業者への配慮ということもあり、当面は現行制度を維持すると、そういう方向性を出しているというふうに認識をしております。
 しかしながら、私は、一方で、宿泊税の制度そのものが創設をされてから二十年、本当に社会は変化をしていて、観光産業を取り巻く環境も大きく変わっているというふうに思っています。
 こうした中で、やはり今、この宿泊税の在り方についても見直しを行うタイミングに来ているのではないかというふうに考えています。そうした観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどもありましたように、宿泊税は、観光産業振興施策に充てる法定外目的税として、日本で初めて東京が創設をしたということであります。
 そして、この報告書では、この二十年間の状況の変化について、都が、観光産業振興費と、そして、その補填をする宿泊税収、これが乖離をしていると、そういうことがこの中で挙げられているわけでありますが、そこで、観光産業振興費に占める宿泊税収の割合とその推移について伺いたいと思います。

○辻谷税制部長 都の観光産業振興費は、平成十四年度以降おおむね二十億円前後の水準で推移し、近年では百億円を超える水準で推移しています。
 一方で、宿泊税収は、創設当初から平成二十六年度まではおおむね十億円程度で推移し、平成二十七年度以降は、コロナ禍前まで二十億円を超える水準で推移しています。
 観光産業振興費に対する宿泊税収の割合は、創設当初は最大で八割を占める年度もありましたが、コロナ禍前の令和元年度では約二割まで低下しています。

○後藤委員 ありがとうございました。
 今のご答弁では、都の観光産業に係る振興費というのはどんどんどんどん増えていて、この二十年間で五倍近くに膨れ上がっているというご答弁でした。
 一方で、入ってくる宿泊税の税収というのは堅調に増えていて、二十年間で二倍近くになっているということでありますが、観光産業振興費の伸びに対してなかなか税収が追いついていないというのが現状であると思います。まさにバランスの不均衡というような課題があるというふうに思っております。
 また、この二十年間の間で、他の自治体でも宿泊税に関して導入をするという動きがあるということでありますが、他の自治体における宿泊税の導入状況についても伺いたいと思います。

○辻谷税制部長 都は、全国に先駆けて平成十四年に宿泊税を創設しましたが、平成二十九年以降、他自治体でも宿泊税の導入が進んできており、現在、都を含め九つの自治体において宿泊税が導入されています。
 都道府県では東京都、大阪府及び福岡県の三団体、市町村では京都市、金沢市、倶知安町、福岡市、北九州市及び長崎市の六団体が宿泊税を導入しております。

○後藤委員 今のご答弁では、観光産業が非常に盛んな地域を中心に九団体が宿泊税を導入しているということでありまして、全国的に見ても、こうした宿泊税を導入するということは、観光産業の振興において一定の効果があるということだというふうに思います。
 また、この宿泊税の金額というところについてでございますけれども、都の宿泊税の税率というものは、今、一人一泊一万円以上が百円、一万五千円以上が二百円ということになっているわけでありますが、他の自治体の税率がどうなっているのか伺いたいと思います。

○辻谷税制部長 宿泊税は、法定外目的税であるため、税率は自治体ごとに異なります。
 例えば、大阪府は、一人一泊七千円以上は百円、一万五千円以上は二百円、二万円以上は三百円の三段階、京都市は、一人一泊二万円未満は二百円、二万円以上は五百円、五万円以上は千円の三段階となっています。
 福岡県は、一人一泊一律二百円の税率ですが、県内において宿泊税を導入している市町村との調整を図っています。
 倶知安町では、宿泊料金の二%の定率の税率を採用しています。

○後藤委員 ありがとうございました。他の自治体の税率についてご答弁をいただきました。
 いずれにしても、大阪については二万円以上の三段階ということで、一つ税率が高いものが設定をされていたり、ましてや京都に至っては五万円以上千円というような段階で宿泊税を徴収しているということでありまして、自治体によって税率の設定にかなりの違いはあるものの、いずれの自治体も、都の宿泊税より高い税率を設定しているということであります。こうした意味からも、まさに首都東京の観光を盛り上げていくという意味では、この都の宿泊税の税率は、私はもっと上げてもいいのではないかなというふうに思っています。
 また、税率の在り方、取り方というところでありますけれども、今ご答弁をいただいたように、倶知安町では定率で課税するということを手法として取っておりまして、こうした定率で取るということも宿泊税徴収の一つの方策であるというふうに考えております。
 そこで、倶知安町が定率の税制を採用している理由について伺いたいと思います。

○辻谷税制部長 倶知安町の公表資料によると、地域の特性として、日によって宿泊人数の変動が想定される戸建て一棟貸しの宿泊施設が多く、その日の宿泊人数によって一人当たりの宿泊料金が異なることがあるため、定額による場合は特別徴収義務者の徴収手続が複雑になることから、定率を採用したとされています。

○後藤委員 倶知安町では、戸建ての一棟貸しの宿泊施設が多いということで、まさに地域特性ということを理由として定率による課税方式を採用したということであります。
 ただ、一方で、海外を見てみれば、要求資料の中にもありましたけれども、多くの他都市、海外の先進都市では定率の宿泊税を課しているという事実もあると思います。
 そこで、都が定額の税率を採用している理由について伺いたいと思います。

○辻谷税制部長 宿泊税の税率について都で定額を採用した理由は、同様の課税方式を採用していた諸外国の例も参考に、納税者等にとって過度な負担にならないよう、簡素で分かりやすい制度としたものでございます。

○後藤委員 過度な負担にならないよう、簡素で分かりやすい制度としたというご答弁でありました。
 確かに、分かりやすいというものは大事な要素の一つであるとは思いますけれども、やはり先ほどご答弁をいただいたように、この観光産業振興費と、そして、宿泊税の税収の大きな乖離というものを考えていけば、実効性が高く、しっかりと宿泊税を徴収できる仕組み、こうした形も考えていくべきなのかなというふうに思っています。
 海外に目を向けてみれば、ニューヨークは宿泊料金の約五・八%、ベルリンでは五%、そして、高いところでいえば、ハワイなんかは約一三%ということで、定率の課税方式を採用しているということでありまして、あとは要求資料など拝見しますと、ホテルのグレードによって、五つ星と一つ星なんかで宿泊の税率を変えるなど、やはりグラデーションを持って、他の自治体、多くの海外都市は税率を課しているということであります。
 インバウンドの増加や、まさに今、東京では、この二十年の間でラグジュアリーホテルなども非常に増えているという現状もあると思います。こうした社会状況の変化というものを踏まえれば、特に負担能力の高い宿泊者に対しては、負担能力に応じた課税という、まさに定率というものを採用した方がより公平な課税の方式になるのではないかなというふうに思います。
 特に、さきに挙げたハワイなんかでは、定額の方式と定率の方式で、どう税収が推移するのかというものを試算したシミュレーションがありまして、二〇一〇年から八年間の間、現行の定率ではなく、定額の方にした場合に幾らぐらい税収の変化があるか試算したところ、二十二億円の減収となっていた可能性があるということも示されています。
 まさに先ほど述べたような昨今の東京都の観光産業を取り巻く状況を考えれば、この施策に見合った財源を確保していくための課税の方式の在り方についても見直しを行う時期ではないかというふうに考えています。
 そこで、今後、宿泊税の見直しに当たっては、税率を定額から定率に変更することで、負担能力に応じて税負担を求めていくことも検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○辻谷税制部長 税率水準や課税方式を含めた宿泊税の在り方については、観光産業をめぐる状況、観光振興施策の展開等を踏まえつつ、宿泊料金の動向等も十分に検証した上で、東京都税制調査会も活用しながら、見直しを検討してまいります。

○後藤委員 課税の水準や課税方式についても、現状を踏まえながら見直しを検討していくというようなご答弁がありました。
 新型コロナも、この五月で五類に見直しになりました。まさにこのポストコロナの東京のまちづくりを、これから東京都としても、強靱に、強力に推し進めていくに当たって、こうした宿泊税の在り方、そして、こうした観光産業をめぐる課題解決を税制面で支えるということは、まさに喫緊に解決をしていくべき課題であるというふうに思っております。
 先ほどのご答弁では、東京都税制調査会なども活用して見直しを検討していくというご答弁がありました。速やかにこうした議論を前に進めていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○うすい委員 よろしくお願います。
 今定例会におきまして、我が党の代表質問でも、この宿泊税については質問をさせていただきましたが、具体的に私の方から質疑をさせていただきたいと思います。若干重複している部分もありますけれども、簡明に伺いたいと思います。
 宿泊税については、五年ごとに、施行状況や社会経済情勢の推移等を勘案し、検討を加えるとされていることから、今回、都は、二十年間の報告書を取りまとめたとのことでございます。その報告書にもありますとおり、創設当初と比べまして、宿泊税をめぐる状況は大きく変化をしていると考えております。
 特に、近年では、外資系高級ホテルの都内への進出が見られまして、ホテルの宿泊料金の水準も、創設当時と比べまして、かなり上がっているのではないかと思っております。
 そこで、こうした社会経済情勢の変化を踏まえた上で、宿泊税の税率の水準など、課税の在り方はどうあるべきなのか何点か伺いたいと思います。
 宿泊税の税率は、先ほどありましたけれども、宿泊料金が一人一泊一万円以上一万五千円未満の宿泊については百円、一万五千円以上の宿泊については二百円でありますが、現行の税率設定の考え方について初めにお伺いをしたいと思います。

○辻谷税制部長 現行の税率水準は、観光振興に要する費用を考慮するとともに、納税者にとって過度な負担とならないよう配慮しつつ、平成十四年度の創設当時、諸外国で実施されていた宿泊税等がおおむね一人一泊百円から二百円程度であったことも参考として設定したものです。
 二段階の税率区分としたのは、ホテルのランクや宿泊料金の多寡に応じて段階税率を採用していた諸外国の例なども参考としつつ、宿泊客の担税力を踏まえた税負担となるよう配慮したことによるものでございます。

○うすい委員 今、答弁をいただきまして、制度創設時に様々な点を考慮した上で現在の税率水準を設定したということでありまして、また、宿泊税の税率は、諸外国における制度なども参考にして決めたとのことでございます。
 その上でお伺いをしますが、海外主要都市のうち、ニューヨーク、パリ、ベルリンにおける現在の宿泊税等の税率についてお伺いをしたいと思います。

○辻谷税制部長 ニューヨークのホテル客室占有税は、宿泊料金の五・八七五%に、宿泊料金の水準に応じて、一室一泊当たり〇・五ドルから二ドルを加算した額とされています。
 パリの滞在税は、ホテルのランクに応じて、一人一泊一ユーロから五ユーロの定額による課税とされています。
 ベルリンの宿泊税については、宿泊料金の五%の定率による課税とされています。

○うすい委員 最近、私が泊まったホテルですね、余り高いところには泊まれませんので、一万二千円の料金のところに泊まりましたが、百円の宿泊税もお払いしました。
 そこで、ニューヨーク、パリ、それから、ベルリンの三都市について、仮に宿泊料金が一人一泊当たり円に換算して、私が支払った料金と同じ一万二千円相当のホテルである場合、税負担は概算で幾らになるのかお伺いをしたいと思います。

○辻谷税制部長 例えば、宿泊料金が一人一泊一万二千円相当のホテルに二人で泊まった場合の一人当たりの税額は、今年五月末の為替レートを基にいたしますと、ニューヨークでは約八百五十円、パリの五つ星ホテルやベルリンでは約六百円となります。

○うすい委員 今、答弁いただいたとおり、海外の主要都市の税率は、東京都の宿泊税よりも高いわけです。また、国内で宿泊税を導入している、先ほどから質疑がありましたけれども、自治体が九つありまして、大体、東京都より高い税率を設定しているわけですね。
 こうした状況を踏まえますと、都も、税率を上げる、あるいは区分を再設定して税率を見直すなどの考え方もありなのかなと思うわけでございます。
 今回の報告書を取りまとめるに当たりまして、有識者の意見も勘案したとされております。
 そこで、有識者からは、税率の水準についてどんな意見があったのかお伺いをしたいと思います。

○辻谷税制部長 ヒアリングを行った税財政の有識者からは、税率の水準について、観光産業振興費と宿泊税収の乖離が拡大している、あるいは、高級ホテルなど高価格の宿泊が増加していること等を踏まえ、高額の宿泊に対し、担税力に応じた負担を求めてもよいのではないかといった意見がありました。

○うすい委員 今、答弁いただきました。有識者からも、高額の宿泊に対し、担税力に応じた負担を求めてもよいのではないかという意見があったということでございます。
 本会議で、我が党の質問に対しまして、宿泊料金の動向等も検証しながら、宿泊税の見直しについて検討を深めていくという答弁がございました。
 今後、具体的にはどのように検討を進めていかれるのか、この点をお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、おじま副委員長着席〕

○辻谷税制部長 宿泊税の在り方については、観光産業振興費と宿泊税収との乖離の拡大や、外資系高級ホテルなど高額な宿泊の増加、他の自治体における宿泊税の導入などの宿泊税をめぐる環境の変化に加え、新たな観光振興施策の展開等も勘案しながら、見直しについて検討を進めてまいります。
 具体的には、都内のホテル等の宿泊料金の動向や、他の自治体における課税事務の状況等についての調査が必要と考えています。
 また、東京都税制調査会において宿泊税の在り方について議論いただき、見直しの検討に当たっての参考としてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 最後になりますけど、先ほどからあるように、創設から二十年を経過して大きく状況が変化をしているということが、みんながそう思っていると思っております。
 我が党の代表質問でも申し上げましたとおり、一泊五万円以上の高額な宿泊料金を支払うことが可能な富裕層については、宿泊料金の三%の定率課税方式を導入するとか、または一万五千円未満は免除するとか、そうしたことを、ぜひとも宿泊税の見直しをすべきであるということを申し上げまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
   〔おじま副委員長退席、委員長着席〕

○池川委員 私からも、宿泊税二十年間の実績と今後のあり方について質問をしたいと思います。
 宿泊税は、東京都税制調査会の答申が基となり、当時の石原知事が、海外からの来訪者向けの観光案内、国際会議の誘致、海外でのキャンペーン費等に充てるなどを理由にして導入をされました。
 日本共産党都議団は、目的税であるにもかかわらず、目的、その使途が曖昧であること、来訪者に課税をすることは安易であること、反対の声が上がりにくい、すなわち、宿泊する方というのは都民に限らず様々なところからいらっしゃいますので、そういう方々は反対の声が上がりにくいこと、また、本来は一般財源や企業負担でやるべきことなどの整理をしながら、当時、導入のときには、議会の中でも論戦をして追及しています。
 同時に、導入から二十年が経過をし、当時とは様相が違うものもあるというふうに認識はしておりまして、こうした観点も踏まえながら質問していきたいというふうに思います。
 まず、この報告書を作成されるに当たって、主税局だけでなく有識者からも意見を聞いたというふうに記載があります。具体的に、有識者の意見というのは誰から聞いたものでしょうか。

○辻谷税制部長 今回の報告書の取りまとめに当たっては、第三者の意見も検討の参考とするため、有識者への個別のヒアリングを実施しました。
 具体的には、宿泊税をはじめとした地方税や税財政制度に関し幅広い知見を有する五名の学識経験者から意見を聴取いたしました。

○池川委員 五人の有識者からヒアリングをしたということです。有識者に参考として意見を聞くというのは、必要な場合に実施することはあると思います。
 同時に、これ導入当時は、都税調の諮問、答申の中で出てきた議論。本会議でも、先ほど来の質問の中でも、都税調を活用して参考に意見を聞くという話がされています。
 私、この間、この委員会でも、都税調の在り方についてきちんと諮問、答申できる附属機関にすべきだという提案をしてきました。こうやって意見を聞いて、それに基づいて政策を進めようと思ったときには、知事の附属機関にすることがやっぱりふさわしいというふうに、この議論の経過を聞いていても思うわけです。大体、当時は、諮問、答申の中で宿泊税、当時ホテル税といわれていましたけど、それを導入すべきだという議論があって、それを受けて実際には具体化されていったという経過を考えても、現在、知事の懇談会となっている都税調の在り方にも関わる問題として、ぜひご検討もいただきたいというふうに思います。
 同時に、意見を聞くのであれば、広く都民、事業者からも、この点について意見を聞くことを重視していただきたいということは求めておきたいと思います。
 厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国のホテル総数は、二〇一〇年に五万六千六百十六施設だったのに対して、直近二〇二一年の統計では五万五百二十三施設に減少しています。
 一方で、東京都は、二〇一〇年、千九百七十二施設から、二〇二一年には三千六百五十四施設へと激増している、全国とは別の流れになっているということです。
 さらに、宿泊税の登録施設数というのを見ると、二十年間でホテルは二・六一倍、旅館は五・三五倍に増えていますが、宿泊税に係る特別徴収義務者の事務負担について、この間、これだけ増加をしているわけですが、主税局としてはどう考えていますか。

○櫻井課税部長 特別徴収義務者の事務負担軽減と効率化の観点から、毎月申告納入すべきところ、一定の要件を満たす場合には、三か月ごとにまとめて行うことのできる特例制度を設けているほか、電子申告も導入しております。

○池川委員 通常は一泊一万円未満というホテル、旅館が、年末年始、大型連休などには一泊一万円を超える場合、またさらには、旅行会社によって宿泊料金が変わる場合とあると思います。
 こういう場合には、どのような対応になっているのか確認させてください。

○櫻井課税部長 宿泊料金が一人一泊一万円以上の場合は、宿泊税の課税対象となるため、申告納入をしていただいております。

○池川委員 通常は一万円にいかないホテル、旅館であっても、時期によっては超えるところは課税して申告してもらうようにしているということです。
 これは、ホテルの事務負担、旅館の事務負担の軽減について、様々取組を行っていただいているということは認識をしていますが、大手資本のホテルは別として、やはり小さい事業者の皆さんにとっての事務負担は、様々ご意見もいただいているところです。引き続き、負担軽減については検討していただきたいというふうに、これは求めておきます。
 先ほど紹介したように、東京では、ホテル、旅館の数が大きく増えています。都内のホテル、旅館の一泊当たりの料金の推移についてはどうなっていますか。

○辻谷税制部長 総務省の消費者物価指数によりますと、区部における一泊当たりの宿泊料は、宿泊税が創設された平成十四年から平成二十五年まではおおむね横ばいで推移した後、令和元年までは上昇傾向で推移していました。
 新型コロナウイルス感染症が拡大した令和二年以降の宿泊料は、不規則な変動が見られるところでございます。

○池川委員 コロナ禍までは基本的には上昇傾向、コロナオフのとき以降は様々で不規則だという表現が今ありましたけど、要因としては、報告書でも指摘されているとおり、外資系ホテル、高級ホテルの増加や、さらには、物価高騰、人件費の増加など、一泊当たりの料金が上がってきているということだと思います。
 私、調べてみたんですけど、宿泊税が導入された二〇〇〇年は、東京の最低賃金というのは七百三円でした。今、千七十二円なので、当時と比べても、賃金という点でも最低賃金が三百円以上上がっていると。当然一泊当たりの単価が上がっているだろうなというふうに思うわけです。
 さらに、資料を出していただいて本当にありがとうございます。
 この中で、宿泊税の導入自治体について、東京都以外には、二府県、五市一町というふうになっています。
 それぞれ自治体ごとに違いはありますが、一泊当たりの金額の多寡にかかわらず、課税している自治体の方が多くなっていると。すなわち、東京都でいうと、一人当たり一泊一万円未満は課税免除としていますが、そうではなくて、低料金であっても課税しているところが増えていると。
 東京都がこの制度を導入して以来、一人一泊一万円未満の宿泊について課税免除としてきたわけですが、その理由について伺います。

○辻谷税制部長 一人一泊一万円未満の宿泊に対する課税免除は、担税力を考慮して、低廉な宿泊施設への宿泊は課税の対象とせず、また、修学旅行生やビジネス客が利用するような施設の宿泊客には課税しないよう配慮したものでございます。

○池川委員 担税力、つまり税金を負担する力を考慮して、一人一泊一万円未満については課税しないと、当時決めたということです。
 この考え方は、今後の見直しでも重要な視点だと私思っています。さらに、修学旅行生やビジネス客に配慮するということではありますが、実際には、目的によって課税免除を決めているわけではないため、修学旅行生であっても、仮に一人一泊一万円未満とならない場合は、現在課税対象となっている仕組みになっています。
 一方で、東京と同様に修学旅行が多い京都市では、修学旅行生とその引率者については課税しないということを明確にしていて、つまり修学旅行については課税しないんだということをしているわけです。
 導入当初の議論の中で、修学旅行生、ビジネス客に配慮ということがありましたが、少なくともこの修学旅行生については、一泊当たりのホテル料金が上昇傾向にある中で、課税にならないように対応する課税免除について、ぜひ検討していただきたいということを求めておきたいと思います。
 一人一泊一万円ということは、先ほども紹介したとおり、二十年前に宿泊税ができた当初とすれば、一泊当たりの料金が上がっている現状を踏まえて、やっぱり対応していくことが必要だというふうに思います。
 一泊数十万円もする富裕層しか泊まれないホテルが増えている現状を考えれば、課税するラインについて、現状一万円未満を課税しない、課税免除にしているわけですが、それよりもラインを引き上げていくこと、これは検討すべきことではないかということも申し上げておきたいと思います。
 さらに、この宿泊税について、使途、目的としては、観光産業振興費に充てるということで先ほど来議論もありますが、当初から、目的税であるにもかかわらず目的が不透明だということについて、私たち厳しく批判もしてきました。しかもこの間、観光政策はインバウンドに偏重し、観光産業振興費は大きく増加していると。
 今年度の予算を見ても、この費目では、例えば、富裕層向けプロモーションとか、MICE誘致のための経費とか、さらには、プロジェクションマッピングのための経費など、こういうものに多額の支出をする内容で計上されていて、こうした歳出の在り方も見直していく必要があるし、これを逆に、そのまま、放置したまま乖離しているという議論は、やはり目的をさらに不透明にしていくことにつながるのではないかというふうに思うんです。
 そこで伺いたいと思うんですけど、観光産業振興費は急激な増加となっていると説明もありましたが、宿泊税は、そのための法定外目的税としてどの程度確保することが適当だと考えているんでしょうか。

○辻谷税制部長 観光産業振興費の額や宿泊税の税収は、様々な要因により変動することが見込まれるため、宿泊税をどの程度の割合で確保すべきという具体的な基準は設けておりません。
 近年、観光産業振興費と宿泊税収との乖離が続いている状況や、観光振興施策を財政面から支えるという宿泊税の役割を踏まえますと、税収規模も考慮しつつ、課税の在り方について見直しを検討する必要が生じていると認識しているところでございます。

○池川委員 どの程度宿泊税を確保すべきかと、基準はないということなんですね。一方で、乖離があるという話はされるということです。
 資料で、実は宿泊税の事業別使途について出していただけないだろうかという話をさせてもらったんですけれども、観光産業振興費に充てるということで、一つ一つの事業とひもづいているわけではないんだというご説明がありました。
 例えば、多言語表示の看板をつけるためにこの宿泊税が充てられていますというんだったら、観光産業のために本当に役立っているなと実感できるわけですけど、なかなかそういうひもづけはない。ただ一方で、この観光産業振興費は大きく増えているということです。
 やっぱりどの事業に充てていくのかということを明確にする、すなわち目的を明確にするということが当初から様々議論があるところですので、やはり宿泊税を財源とするこの観光産業振興費の使途の在り方についても議論を行う。これは直接主税局ではなく、都庁全体で行うべきものだというふうに思いますが、そうした検証も、この宿泊税の見直しに当たっては行うべきだということも強く求めて、質問を終わりたいと思います。

○中田委員 よろしくお願いします。宿泊税について質問させていただきます。
 ここまで様々議論が出てきているので、重複しないところで質問をさせていただければと思います。
 宿泊税が導入されて二十年間という今回の報告というところで、宿泊税をめぐる状況、この二十年間でどのように変化しているのか、具体的に、まずお伺いをしたいと思います。

○辻谷税制部長 宿泊税は、法定外目的税として、平成十四年度の制度創設当初から令和三年度までの累計で約二百七十三億円の税収を確保しており、都の観光振興施策の推進に財政面から貢献してきたと認識しているところでございます。
 宿泊税創設当時と比べまして、観光産業振興費の増加に伴い、宿泊税収との乖離が拡大しているほか、最近では、外資系高級ホテルの都内進出などにより、高額な宿泊の増加が見られます。
 また、都は、全国に先駆けて平成十四年度に宿泊税を創設しましたが、近年では、他自治体でも宿泊税の導入が進んできているところでございます。

○中田委員 ありがとうございます。
 今、答弁にもありましたけれども、宿泊税収との乖離が拡大していると、観光産業振興費との。今回の報告書の中でも、グラフの推移を見ると、乖離が拡大している状況は明らかでありますけれども、局として、そもそもこの観光産業振興費と宿泊税の乖離が大きくなっていることについてどのように認識しているのか伺います。

○辻谷税制部長 宿泊税の税収は安定的に推移してきた一方で、近年の観光産業振興費の増加に伴い、宿泊税収との乖離が拡大しています。
 こうした宿泊税をめぐる状況の変化や、観光振興施策の推進を財政面から支えるという宿泊税の役割を踏まえますと、税収規模も考慮しつつ、課税の在り方について見直しを検討する必要が生じているものと考えております。

○中田委員 先ほど来話がありますけれども、財政面から宿泊税が都の観光振興施策を支えているといっていましたけど、今、現状そういうような状況ではなくなってきているのではないかと思っています。
 観光産業振興費、先ほど来の議論にもありますけれども、どこまで入れ込んでいって、それをどこで支えていくのかというところの議論はあると思いますけれども、今後、宿泊税収の見込みについて、さらに確認をさせていただきたいんですが、コロナ禍で落ち込んでいたインバウンドなどの観光客も戻り、私の地元でもある渋谷区でも多くの外国人観光客がまちにあふれ返っているという状況になっています。
 旅行需要が回復している中で、宿泊税収の今後の見通しについてどのように考えているのか、見解を伺います。

○辻谷税制部長 令和五年度当初予算における宿泊税収は、コロナ禍における水際対策や行動制限の緩和等により、訪日外国人客数や国内旅行者数の増加が見込まれることなどから、令和四年度当初予算比一〇三・三%増となる約十七億円を見込んでいます。
 今後も、訪日外国人客数等の増加により課税宿泊者数の増加が続けば、それに伴い、宿泊税収も増加するものと考えています。

○中田委員 今後、訪日外国人等の増加が続けば宿泊税収の増加が見込まれるとのことでしたが、観光振興費に比べて、大幅に今、乖離が続いている中で、観光客が少し増えて税収が上がったからといって、これが埋められるほどのものになるとは正直考えられないというのが現状で、こういうような今お話をしていくのであれば、今後、宿泊税の税率を引き上げるなど、課税の在り方を見直していくべきであると私も考えます。
 先ほど来、東京都税制調査会も活用しながらということでありましたけれども、今後、仮に税率を引き上げるとした場合、どのような手続が必要になるのか伺います。

○辻谷税制部長 宿泊税の税率を引き上げる場合には、まず、東京都宿泊税条例を改正する必要がございます。
 また、法定外目的税について、税率を引き上げる変更を行う場合、条例可決後に総務大臣に協議し同意を得る必要があり、この同意に係る標準処理期間はおおむね三か月程度とされています。
 総務大臣の同意を得た後、納税者や関係業界への周知や準備の期間を確保した上で、条例を施行することになります。

○中田委員 実際に見直すとなると、見直し決定から、そこに至るまで一定の期間を要するというところで、先ほどからも指摘させていただいておりますけれども、コロナ禍からのインバウンド需要の回復、そして、税収との乖離が拡大となっている中で、様々見直しが必要な時期に来ていると考えますので、早期の見直しに向けて速やかに検討に着手していただくよう私からも要望させていただきまして、質問を終わります。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百十三号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、予算総則、歳入及び第百三十五号議案から第百五十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○五十嵐経理部長DX推進担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をご覧ください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況です。
 こちらは、各種基金の六月補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
 説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○おじま委員 よろしくお願いいたします。補正予算について伺います。
 先日の我が会派の代表質問では、感染症の再拡大防止と物価高騰対策を盛り込んだ今回の補正予算について質問をして、知事から、都民の暮らしと経済を守り抜き、サステーナブルリカバリーの実現に向けた歩みを進めていくという答弁をいただきました。
 今日の委員会では、事大きな転換点を迎えましたコロナ対策について、焦点を当てて質問していきたいと思います。
 都のコロナとの闘いは千二百日を超えたわけですが、先月、五月八日に感染症の類型が五類に変更されたというタイミングで、この後は、コロナ禍で得られた知見や経験を生かしつつ、社会経済活動を、元の状態、コロナ禍の前の水準に戻していく、かつての日常を取り戻していく、それだけではなくて、ポストコロナの東京を実現するという新たなステージへ歩みを進めていくこととなります。
 五類移行では、感染者数というのも定点報告となって、数は見えにくくなったわけですが、当然、分類が変わったからといってコロナが消えてなくなったということではありません。
 特に、高齢者、基礎疾患保有者、あるいは妊婦にとっては、いまだにハイリスクな感染症であることには変わりはなくて、この構えというのはしっかりと維持をしつつ、これまでの有事の体制から平時の体制へと円滑に移行をしていかなくてはなりません。
 そのような中で、今回の補正予算では、コロナ対策について、全国一律の方針に基づいて実施をしていく事業と、東京モデルとして当面継続すべき事業の二つを柱に編成をしているということであります。
 そこでまず、今回の補正予算のコロナ対策のうち、全国一律の方針に基づき実施していく事業について、この予算額と具体的な取組について伺いたいと思います。

○遠松主計部長 今回の補正予算では、全国一律の方針に基づき実施していく事業として二百二十九億円を計上しております。
 具体的には、医療提供体制を確保する取組として、患者受入れに向けた病床確保料の補助や感染症法に基づく医療費等の公費負担に要する経費を計上しております。
 また、ワクチン接種体制を確保する取組として、大規模接種会場における集団接種事業に加え、ワクチン接種後の副反応に係る相談センターや専門診療相談窓口の運営経費などを計上しております。

○おじま委員 病床確保料だったり医療費の公費負担、この二百二十九億円は、全国一律の方針に沿って計上されている、いわゆるファンダメンタルな予算ということであります。
 一方で、後者、これは、東京都がこれまでの長い闘いの中で築き上げてきた東京モデルに対して計上されている予算、オリジナルの予算ということで、私、個人的にもこっちの方がより重要だと考えております。
 そこで、この東京モデルとして当面継続をすべき事業について、これも予算額と具体的な取組について伺いたいと思います。

○遠松主計部長 東京モデルとして当面継続すべき事業については一千七百九十五億円を計上しております。
 具体的には、平時の医療体制への移行に向け、相談センターの運営や、より多くの医療機関で診療、検査が行える体制の確保、後遺症対策などを継続して実施するための経費を計上しております。
 また、ハイリスク層を守るため、高齢者等医療支援型施設の運営などに係る経費を計上しております。
 さらに、感染拡大時に備え、感染疑い患者等を受け入れる医療機関への支援事業など、医療逼迫を回避するための体制確保に要する経費を計上しております。

○おじま委員 今後のコロナとの共存に向けて、より多くの医療機関で患者を受け入れるための体制整備を進めるとともに、ハイリスク層への支援や、あるいは感染再拡大時の体制確保など、万全の備えが講じられているということであります。
 これ、あまり踏み込み過ぎると、財政委員会としては所管外ということに、厚生委員会の範疇になってしまうので、ここまでにしておくんですが、コロナ対策というのは、いずれにせよ、これで終わりということではなくて、今後の平時の体制というのを見据えながら、都民の命と健康を守るための対策がしっかりと盛り込まれているということが確認をできました。
 次に、この補正予算の対象期間についてなんですが、さきの定例会で議決された補正予算では、四月から六月まで、この三か月間分の経費を計上しておったのですが、今回の補正予算では、この三か月は切らなくて、七月から来年三月までの九か月間分を計上しております。
 そこで、今回の補正予算において、年度末までの九か月間の経費を計上した考え方について伺いたいと思います。

○遠松主計部長 さきの定例会でご議決いただきました補正予算では、感染症法上の位置づけの変更等を踏まえ、都民の不安や医療現場の混乱を招かないよう、段階的に体制を移行していくとの考えの下、四月から三か月分の予算を措置しております。
 七月以降の対応につきましては、国が示す方針などを踏まえて検討することとしておりました。
 その後、国の移行計画が公表され、病床確保への支援などについては九月末で終了する一方、相談窓口の運営や高齢者施設等における対応などについては当面継続するなど、方向性が示されました。
 都としても、こうした五類移行後の国の方針を踏まえまして、平時の医療体制への移行を見据え、相談体制の確保やハイリスク層を守るための取組など、東京モデルとして当面継続すべき事業につきましては、原則、三月末までの予算を計上することといたしました。

○おじま委員 この後は、第九波が拡大するのではないか、あるいはもうしているのではないかという中で、年度末までの予算、しっかりこれ二千億超を確保して万全な体制となっているということを評価したいと思います。
 引き続き、各局が取り組むポストコロナの施策としっかり財務局としてバックアップをしていっていただきたいと思います。
 また、本日は質問しませんけれども、今回の補正予算のもう一つの柱として非常に重要な物価高騰対策というのがあります。電気、ガソリンはじめエネルギー、あるいは食料品などの物価高騰というのは、今年度に入っても続いておりまして、都民、事業者への負担、家計へのダメージも蓄積をしていると思うんですけれども、国の臨時交付金というのを活用した支援の強化を図っているということであります。
 四月三日の我が会派からの緊急要望において、都民の生活と中小企業の経営の安定を図るべく、きめ細かく、かつスピード感を持って対策を実施するということを求めてまいりました。コロナ対策と併せて、必要なところに必要な支援がしっかりと届くように積極的に事業を展開していくことを求めまして、私からの質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○うすい委員 私からも、補正予算案について質問をさせていただきます。
 初めに、コロナ対策についてお伺いをします。
 先月八日、新型コロナウイルス感染症の位置づけが五類に変更をされまして、実に三年半の長きにわたるコロナとの闘いが一つの大きな転換点を迎えました。
 五類移行から一か月がたちまして、都内各地でも人出が増えまして、また、まちは、かつてのにぎわいを取り戻しつつあります。しかし、コロナウイルス感染症が完全になくなったわけではございません。定点把握の対象となっている都内の医療機関では緩やかに感染者が増加しており、引き続き、感染の再拡大などに備え、万全の体制を構築しておくことが必要でございます。また、今なおコロナの後遺症に苦しんでいる方や、コロナに対して不安を抱いている方がいることも忘れてはなりません。
 平時への移行と併せ、こうした方々への支援の継続にもしっかりと取り組んでいくことが重要であります。
 そこで、コロナとの闘いが転換点を迎える中、今回の補正予算はどのような考え方で編成されたのか、具体的な取組と併せてお伺いをいたします。

○遠松主計部長 今回の補正予算では、五類移行後の対応方針等に基づき、平時の医療体制への円滑な移行促進や、感染拡大時に機動的に対応できる体制の確保を進めることとしております。
 具体的には、相談体制の確保や後遺症対策に加え、介護度の高い高齢患者を受け入れる施設の運営などハイリスク層を守るための取組のほか、臨時のオンライン診療の実施など感染拡大時の医療逼迫回避のための取組に係る経費を計上しております。

○うすい委員 ただいま答弁をいただきましたとおり、都民の不安解消に向けた相談体制の確保や、ハイリスク層を守るための取組など、我が党が主張してきた事業を継続して実施することをまずは評価したいと思います。
 引き続き、感染動向を見極めながら、都民の健康と安全を守るために必要な対策や支援を迅速に講じていくことを改めて求めておきます。
 次に、物価高騰対策についてお伺いをいたします。
 エネルギー価格や飲食料品等の生活必需品の値上がりが続くなど、物価高騰等の影響は長期化をしておりまして、都民の暮らしや中小企業の経営に深刻な影響を及ぼしております。
 こうした中、国政においては、公明党の強力な推進によりまして、自治体が物価高騰対策に活用できる臨時交付金が増額をされるなど、総額二兆円を超える追加の物価高対策が三月末に決定をされたところでございます。
 都としても、こうした国の動向を踏まえながら、追加配分された交付金をしっかりと活用し、苦しい立場に置かれている都民や事業者への支援を着実に実施していかなければなりません。
 そこでまず、都民生活、中小企業者等への支援について、今回の補正予算における基本的な考え方をお伺いいたします。

○遠松主計部長 都はこれまでも、物価高騰等により苦境に立たされている都民や事業者に対して支援が行き届くよう、機動的に対策を講じてきました。
 令和五年度当初予算におきましても、様々な困難を抱える方々へのサポート体制の強化や、中小企業者の経営改善、安定化に向けた取組など、重層的な支援策を盛り込んでおります。
 今回の補正予算においては、国からの臨時交付金のうち、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が追加配分されたことを踏まえまして、この交付金を全額活用し、都民生活、東京の経済を下支えする取組の強化を図ったところでございます。

○うすい委員 今回の補正予算では、国の重点交付金を全額活用して、さらなる取組の強化を図ったとのことでございます。
 この重点交付金は、公明党の粘り強い主張により昨年九月に創設され、都においても、令和四年度九月補正予算の中で、低所得のひとり親世帯に対する支援などに有効に活用してきたわけでございますが、この間の物価高騰の影響を踏まえ、国は、交付金の推奨事業をさらに強化拡充しております。
 そこで、重点交付金の推奨事業について、これまでどのような拡充が行われてきたのか、改めて確認の意味も含めてお伺いをしたいと思います。

○遠松主計部長 物価高騰の影響が長期化、深刻化する中、国の交付金につきましては、地域の実情に応じたきめ細かい支援に、より重点的、効果的に活用されるよう、推奨事業の拡充が図られてきました。
 具体的には、昨年九月の制度創設以降、日常生活に密接なエネルギーの価格上昇が続いていることを踏まえ、LPガス利用者に対する支援が明記されたほか、国の激変緩和措置の対象となっていない特別高圧電力を受電している企業への支援などが新たに盛り込まれております。

○うすい委員 ありがとうございます。
 ただいまの答弁にもあったとおり、国は、重点交付金の増額に加え、推奨事業の拡充を図ることで、各自治体の物価高騰対策を力強く後押しをしてきたわけでございます。とりわけ、LPガスをはじめとしたエネルギーは、都民の暮らしに欠くことのできないものでありまして、都としても、国が拡充を図った推奨事業の内容を十分に踏まえまして、必要な支援の拡充を図るべきでございます。
 都議会公明党は、四月の緊急要望において、これまで負担軽減が行き届かなかった方々への支援の拡充を都に対して訴えてまいりましたが、今回の補正予算において、具体的にどのような支援の拡充が図られているのか、改めてお伺いをいたします。

○遠松主計部長 今回の補正予算におきましては、国から示された推奨事業を踏まえ、LPガスを利用する家庭の負担軽減に向け、販売事業者を通じた使用料金の値引き支援を行うこととしております。
 また、中小企業者の負担軽減に向け、特別高圧電力を受電する事業者や、受電する施設に入居するテナント、また、工業用LPガスを使用する事業者に対しまして支援金を支給することとしております。
 さらに、医療機関等への支援におきましては、入院施設のない無床診療所や歯科診療所等を新たに支援対象に加え、高騰する光熱費等の負担軽減に向けた支援金を支給するなど、支援の拡充を図っております。

○うすい委員 LPガスの利用者をはじめ、これまで支援の対象になっていなかった方々への直接的な支援を新たに盛り込むなど、都議会公明党の要望を踏まえた対応は、一定程度評価するところでございます。
 しかしながら、先日公表された四月の実質賃金は、物価高騰の影響で十三か月連続のマイナスとなっておりまして、都民の暮らしはさらに厳しさを増しております。また、民間の調査によれば、今後も多くの品目で値上げが行われる見通しでありまして、今後の先行きは予断を許さない状況でございます。
 こうした社会経済情勢の変化を適切に見極めながら、機を逸することなく、苦境に立たされている方々への支援を着実に進めていかなければなりません。都民の暮らしと東京の経済を守るために、財務局として各局と連携をし、必要な対応を行っていくことを強く求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 私からも、補正予算について伺います。
 小池知事は、所信表明で、物価高騰に一言も触れませんでした。代表質問でも指摘をしたとおり、知事が提出した補正予算案は、都民生活支援が貧弱で、財源は全額国の交付金、都は一円も出していない、これはまさに小池知事の姿勢が問われるということを提起しました。
 十三か月連続で実質賃金が下がり、同じく十三か月連続で倒産件数は前年同月比を上回っています。こうした状況を踏まえた対策こそ、今、求められていると考えます。
 補正予算の中で、都民生活や中小企業等への支援を臨時交付金の範囲内と判断したのはなぜですか。

○遠松主計部長 都はこれまでも、物価高騰等に苦しむ都民や事業者を守るため、機動的に対策を講じており、令和五年度当初予算におきましても、セーフティーネット支援や事業者に対する前向きな支援など、重層的な支援策を盛り込んでおります。
 今回の補正予算におきましては、国が推奨する支援などを実施する趣旨で措置された臨時交付金を全額活用し、都民生活や東京の経済を下支えする取組の強化を図るものでございます。

○池川委員 当初予算でも支援をしたと。だから今回は、補正予算、臨時交付金全額を活用した、その範囲でやったんだということですが、暮らしや営業を守る支援、様々ほかにもやるべきメニューがあるのではないかと思います。
 例えば、昨年九月、補正予算で実施をした飼料価格高騰等に伴う畜産経営緊急支援事業、大変喜ばれたと、これ代表質問でも紹介しました。
 私も地元に畜産農家の方がいらっしゃいますが、実際に話を聞きました。飼料代が上がり過ぎていて価格に上乗せせざるを得ないと思うが、全部価格転嫁することはとてもできない。その点で、この支援、本当にありがたかったということを話されていましたが、これは途中で終わってしまうわけですね。連続して、今後続いていくことはないということです。こういうケアをきちんとしていく必要があるんじゃないかと思います。
 その点で、やっぱり今回の補正予算が物価高騰対策臨時交付金の範囲内というふうにされてしまっている。実際に、では、各局から補正予算に対して要求があった内容について、メニューは全て反映するものになっているんでしょうか。

○遠松主計部長 今回の補正予算におきましては、国の臨時交付金を活用し取組の強化を図ることとしており、一つ一つの事業について各局と所要の調整を図った上で予算措置を行っております。

○池川委員 実際に要求のあった事業が取り入れられたのか否か、つまり取り入れられなかったメニューがあるのか否かについて、今の答弁だと、まあ調整があったということです。臨時交付金の範囲内で対応するということで、実際には、金額やメニューについての調整をやったということだと思います。
 資料にも出していただきましたが、今、財政調整基金は五千億円を超えてあります。やはり、その一部を活用してでも対応することがあってしかるべきではないかと考えます。
 コロナと物価高騰に対応して、暮らしや営業を守り抜くための支援を強く求めたいと思いますが、いかがですか。

○遠松主計部長 都はこれまでも、コロナ禍や物価高騰など目まぐるしく変化する状況に応じ、都民や事業者を守るための取組を先手先手で進めてきておりまして、令和五年度当初予算などにおきましても、重層的な対策を講じております。
 今回の補正予算では、コロナ対策として、五類移行後の対応方針等に基づき、平時の医療体制への円滑な移行促進や、感染拡大時に機動的に対応できる体制の確保を進めております。
 また、国の臨時交付金を活用し、物価高騰の影響の下で、都民生活や東京の経済を下支えするための取組の強化を図っております。
 こうした取組を通じ、都民生活と東京の経済を守るため、必要な対策を着実に実施してまいります。

○池川委員 冒頭でも触れましたが、小池知事の所信表明に物価高騰対策が一言もなかったことは、やはり姿勢を表していると思います。都民生活と東京の経済を守るというふうに今ご答弁いただきましたので、年度途中であっても、ためらうことなく予算措置を行っていただきたいということを重ねて求めておきます。
 最後に、今回補正予算で提案をされている都立学校における給食費支援事業について、一言申し上げておきたいと思います。
 都立学校の給食費については、主食だけでなく副食も含めて一食当たり三十円を補助し、給食のある都立学校に通う全員分五千万円、補正予算に計上すると予算の説明でお伺いいたしました。しかし、私たちが教育庁に詳細を確認したところ、補助対象は、今年度給食費を値上げした学校の児童生徒だけというご説明があり、この点について、我が党代表質問でただしたところ、最終的には、当初予算案の説明があったとおり、給食を提供している都立学校の児童生徒一万九千八百三人と、食材費の物価高騰に伴う学校給食費一食当たり平均増額分三十円と、給食提供予定日数九十日を掛け合わせて積算したという答弁がありました。
 私は、このやり取り、様々通じて深刻だなと思うのは、財務局に対して予算の積算根拠として説明しているものと、実際に事業が執行しようとしている内容というのが全く別物であったという事実です。予算が決まり、事業執行する過程の中で見直しをすることはあり得ることだというふうに思いますが、予算審議に付されている時点で、既に予算の積算根拠と全く違う事業執行を想定しているというのは、やはり到底認められないというふうに思います。実際にそういうことをされてしまっては、予算審議の意味がなくなるというふうに思うんです。
 財務局との調整をどう乗り切るのかとか、議会で答弁してしまえば既成事実化されるとか、そうしたことはあってはならないというふうにやはり思います。
 今回の事態は、私たちが事前に予算案の積算と実際の執行が違うということを把握したことによって発覚しましたが、こうした事態が常態化をしていないのか、予算編成を行う財務局としては、各局に対してきちんと対応を求めるべきだということを求めておきたいと思います。二度とこうした事態が起こらないよう対応していただくことを申し上げて、質問を終わります。

○中田委員 よろしくお願いします。今回の補正予算、特に編成のプロセスについて幾つか質問をさせていただきます。
 まず、本補正予算にはコロナ対策と物価高騰対策が盛り込まれていますが、コロナ対策については、本年三月に成立した令和五年度補正予算の考え方のとおり、今回は七月以降の経費が計上されているものと認識しています。
 物価高騰対策については、臨時交付金を活用した都民生活、中小企業者への支援が盛り込まれています。物価高騰対策に関しては、物価高騰の影響が長期化、深刻化する中で、都民や中小企業者を守っていくことは、我が会派としても、都の最重要課題の一つであると考えています。そのため、その時々の状況を踏まえて必要に応じて補正予算で対応していくことも必要であることは、もちろん理解をしています。
 一方で、補正予算については、当初予算と比較して短期間での編成となります。また、今回、当初予算の執行が始まって間もないタイミングでの補正でありますから、今回の補正予算を編成するに至った背景や事業の必要性、経費の妥当性に加え、適切な編成過程を経ているかという点について確認をさせていただきます。
 今回の補正予算では、国の臨時交付金を活用した都民生活、中小企業者等への支援の予算が計上されていますが、本補正予算の編成の背景とプロセスについて伺います。

○遠松主計部長 今回の都民生活、中小企業者等への支援についてでございますが、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、国が推奨する支援などを実施する趣旨で、本年三月二十九日、国から臨時交付金が措置されました。
 これを受け、本交付金を活用し、都民生活、東京の経済を下支えする取組を強化するよう、四月二十一日に、知事より補正予算編成の指示がありました。
 その後、各局からの要求を踏まえ、一つ一つの事業について各局と所要の調整を図った上で、五月十八日に知事査定を行い、翌十九日に補正予算案を発表したところでございます。

○中田委員 本補正予算における物価高騰対策は、国の臨時交付金の増額、増強を発端として予算編成を開始し、その後、各局から要求を経て編成プロセスを行ったということを確認させていただきました。
 先ほども話にありましたけれども、この臨時交付金に関しては、昨年九月に、国が電力・ガス・食品等価格高騰重点支援地方交付金を創設しているもので、本年三月に、重点交付金の新たな推奨事業メニューが示されていると認識をしています。
 そこで、国が示した推奨事業メニューの具体的な内容について伺います。

○遠松主計部長 国は、支援の効果が生活者や事業者に直接的に及ぶ事業のうち、効果的と考えられるものを交付金の推奨事業メニューとして提示しております。
 具体的には、生活者支援としてLPガス使用世帯への給付などが、事業者支援として特別高圧電力などのエネルギー価格高騰の影響を受ける中小企業の負担緩和などが示されております。

○中田委員 生活者支援や事業者支援として複数のメニューが提示されているとのことでありました。
 今回の補正予算の内容を見てみますと、推奨事業メニューに記載されているもののうち、LPガスや特別高圧電力の価格高騰対策などについては補正予算に盛り込まれていますが、一方で、細かく見ていくと、例えばヤングケアラーに対する配食支援は補正予算に盛り込まれておらず、今回の補正予算だけ見れば、必ずしも推奨事業メニューの全てが網羅されているわけではありません。
 そこで、今回の補正予算における国の臨時交付金を活用した都民生活、中小企業者等への支援について、多くの推奨事業メニューがある中で、どのような考え方で編成を行ったのか伺います。

○遠松主計部長 都はこれまでも、ウクライナ危機など変化する状況に応じて、都民や事業者を守るための取組を先手先手で進めてきており、当初予算においても、様々な困難を抱える方々への支援を講じております。
 こうした中、国の臨時交付金を活用し、物価高騰の影響の下で、都民生活、東京の経済を下支えする取組の強化を図るため、補正予算を編成することとしました。
 当初予算の施策に加え、今回の補正予算に盛り込んだ施策を実行することで、都民生活と都内経済を守る取組を着実に進めてまいります。

○中田委員 今回の補正予算の施策だけでなく、当初予算の施策と併せて、都民の皆さんや事業者の皆さんを支えているとのことでした。
 国の臨時交付金には交付限度額があることから、交付金を全額活用しても全ての事業を網羅することはできないことは理解をしますが、一方で、ヤングケアラーへの支援や中小企業の賃上げ環境の整備などの支援も重要でありますから、こうした支援については、当初予算に盛り込まれていますが、より一層拡充すべきであることを要望させていただきまして、質問を終わります。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十一分散会

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