財政委員会速記録第二号

令和五年二月二十七日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長ほっち易隆君
副委員長おじま紘平君
副委員長米倉 春奈君
理事うすい浩一君
理事池川 友一君
理事川松真一朗君
かまた悦子君
玉川ひでとし君
土屋 みわ君
もり  愛君
中田たかし君
宮瀬 英治君
三宅 正彦君
後藤 なみ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱田中 慎一君
経理部長五十嵐 律君
契約調整担当部長前山 琢也君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長渡辺 正信君
主税局局長小池  潔君
総務部長上林山 隆君
税制部長丹羽恵玲奈君
税制調査担当部長小林 孝幸君
調整担当部長齋藤 栄一君
課税部長櫻井 幸枝君
資産税部長辻谷 久雄君
徴収部長原島 幸男君
特別滞納整理担当部長小野  誠君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長坂東 宏之君
会計企画担当部長井村  琢君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出 会計管理局所管分
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳入、歳出 主税局所管分
・第百五号議案 令和四年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
財務局関係
提出議案について(説明)
・第百十号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入
付託議案の審査(質疑)
・第百三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、都債
・第百八号議案 令和四年度東京都用地会計補正予算(第一号)
・第三十六号議案 東京強靱(じん)化推進基金条例
・第三十七号議案 東京都防災街づくり基金条例を廃止する条例
・第三十八号議案 東京二〇二〇大会レガシー基金条例
・第三十九号議案 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金条例を廃止する条例
・第四十号議案 東京都人に優しく快適な街づくり基金条例を廃止する条例
・第七十四号議案 都立中野工業高等学校(四)改築工事請負契約
・第七十五号議案 社会福祉施設建替え促進用仮移転施設(仮称)(四)新築工事請負契約
・第七十六号議案 都営住宅四H-一〇五西(村山)工事請負契約
・第七十七号議案 都営住宅四H-一〇一東(江東区南砂三丁目)工事請負契約
・第七十八号議案 都営住宅四H-一〇九西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
・第七十九号議案 都営住宅四H-一〇四西(日野市新井)工事請負契約
・第八十号議案 都営住宅四H-一〇三東(江東区南砂五丁目)工事請負契約
・第八十一号議案 都営住宅四H-一一〇東(足立区谷在家三丁目)工事請負契約
・第八十二号議案 都営住宅四H-一二七東(北区桐ケ丘二丁目GN十二街区)工事請負契約
・第八十三号議案 都営住宅四H-一二二東(足立区東保木間一丁目第二)工事請負契約
・第八十四号議案 都営住宅四H-一一一西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
・第八十五号議案 都営住宅四H-一二三東(足立区東保木間一丁目第二)工事請負契約
・第八十六号議案 東京都江戸東京博物館(四)改修空調設備工事その二請負契約
・第八十七号議案 谷沢川分水路放流施設工事請負契約
・第八十八号議案 箱根ケ崎陸橋(四)鋼けた製作・架設工事その二請負契約
・第八十九号議案 稲城多摩トンネル(仮称)(四)擁壁築造工事請負契約
・第九十号議案 古川整備工事(その二十四)請負契約

○ほっち委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の令和五年度補正予算案の説明聴取並びに会計管理局、主税局及び財務局関係の中途議決に係る付託議案の審査を行います。
 なお、令和五年度補正予算案については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
 また、付託議案中、第七十四号議案から第九十号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、会計管理局長から紹介があります。

○須藤会計管理局長 二月二十日付で異動のありました当局幹部職員をご紹介申し上げます。
 警察・消防出納部長の坂東宏之でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○ほっち委員長 紹介は終わりました。

○ほっち委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳入、歳出、主税局所管分及び第百五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、第百十号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入について、理事者の説明を求めます。

○田中理事 それでは、追加提案をいたしました令和五年度補正予算案についてご説明いたします。
 資料第1号をご覧願います。
 まず、1の補正予算編成の考え方でございますが、都民の命と健康を最優先に、かつての日常を取り戻すだけでなく、新型コロナウイルス感染症とも共存した活気あふれる東京を確かなものとしていくため、予算措置を行うものでございます。
 今回の補正予算案には、四月から三か月分の経費を計上しておりまして、補正予算の柱といたしましては、五類移行までの間のみ実施する事業、全国一律の方針に基づき実施していく事業及び東京モデルとして当面継続すべき事業の三つの柱で編成してございます。
 2の財政規模でございますが、補正予算の規模は、一般会計で一千七百七十五億円でございます。
 続きまして、補正予算の財源でございますが、国庫支出金が千四百九億円、財政調整基金繰入金が三百五十三億円などとなってございます。
 一ページおめくりいただき、二ページをお開きください。今回の補正事項の一覧でございます。
 まず、一番上、Ⅰ、五類移行までの間のみ実施する事業には四百二十三億円を計上してございます。
 中段のⅡ、全国一律の方針に基づき実施していく事業には六百九十一億円を計上しております。
 下段のⅢ、東京モデルとして当面継続すべき事業には六百六十一億円を計上してございます。
 一ページおめくりいただき、四ページをご覧ください。ここからが具体的な補正予算の内容でございます。
 まず、Ⅰ、五類移行までの間のみ実施する事業でございます。
 一番上、濃厚接触者、有症状者への抗原検査キット配布では、医療機関への受検者の集中を緩和し、発症者を速やかに適切な医療サービスに接続するため、自宅等で検査が行える抗原定性検査キットを配送いたします。
 五ページ上段をご覧ください。
 上から三つ目でございます。自宅療養の適切な実施に向けた支援では、保健所等との連携体制を確保し、新型コロナの自宅療養者に対する適切かつ効率的な健康観察と生活面での支援を実施するとともに、自宅療養者が安心して療養できるよう医療支援体制を構築しているものでございます。
 一ページおめくりいただき、六ページ上段をご覧ください。
 Ⅱ、全国一律の方針に基づき実施していく事業でございます。
 中段をご覧ください。患者受入れに向けた病床確保料の補助でございますけれども、こちらは、入院治療が必要な患者を確実に受け入れられるよう、医療機関に対して病床確保料を補助し、必要な病床数を確保いたします。
 七ページ上段をご覧ください。
 上から三つ目、新型コロナウイルスワクチン接種促進支援事業では、希望する方への迅速な接種を実現するため、ワクチンの個別接種に取り組む地域の診療所等に対して協力金を支給いたします。
 下段をご覧ください。Ⅲ、東京モデルとして当面継続すべき事業でございます。
 その下、東京都新型コロナウイルス感染症相談センター(仮称)では、発熱相談センター、自宅療養者フォローアップセンター、うちさぽ東京の各相談機能を統合し、新たな東京都新型コロナウイルス感染症相談センター(仮称)へ移行いたします。
 一ページおめくりいただき、八ページ上段をご覧ください。
 一番上、高齢者、障害者支援施設等への集中的検査の実施では、重症化リスクの高い高齢者、障害者等が利用する施設の職員等を対象として、PCR検査及び抗原定性検査を実施いたします。
 右側九ページ下段をご覧ください。
 一番下、新型コロナウイルス感染症患者受入れ体制確保補助では、病床確保計画に位置づけられていない病院に対し、院内の感染拡大防止対策や入院受入れ体制確保等に要する経費を補助いたします。
 一ページおめくりいただき、一〇ページ下段をご覧ください。
 一番下、新型コロナウイルス感染症の後遺症対策では、後遺症患者の増加や的確な情報発信の必要性を踏まえ、都民等に対する後遺症への理解促進に向けた取組を実施いたします。
 一一ページ中段をご覧ください。
 上から三つ目、高齢者等医療支援型施設等の設置、運営では、介護度の高い高齢患者を受け入れる高齢者等医療支援型施設や酸素・医療提供ステーションを運営いたします。
 一ページおめくりいただき、一二ページ下段をご覧ください。
 下から二つ目、感染症診療協力医療機関等施設設備整備事業では、一般医療と感染症医療との両立に向け、新型コロナにも対応できるよう施設設備の整備を実施する病院を支援するとともに、外来診療を行う診療所への必要な設備の整備を支援いたします。
 次ページでございますが、こちらには局別総括表を添付してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○五十嵐経理部長 私からは、議会局及び財務局所管の令和五年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号、令和五年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。令和五年度一般会計補正予算議会局・財務局総括表でございます。
 今回の補正は財務局分のみでございまして、表中の補正予算額欄の下から三段目にございますとおり、特定財源を四百三十五億八千六百万円余計上してございます。
 次に、二ページをお開き願います。今回の補正予算事業別説明でございます。
 番号1、特定財源充当歳入は、財務局が所管する歳入のうち、他局の特定事業に充当する歳入で、国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を八十三億六百万円余計上してございます。
 次に、三ページをご覧ください。
 番号2、一般歳入は、今回の補正予算の各局事業の財源として、財政調整基金からの繰入金を三百五十二億七千九百万円余計上してございます。
 次に、四ページをお開き願います。財務局合計でございます。
 今回の補正により、歳入予算は、表の右端、下から三段目の特定財源計欄にございますとおり、既定予算額と合わせまして、四千三百八十八億二千九百万円余となります。
 なお、歳出予算は変わらず、表の右端、上から五段目の歳出計欄にございますとおり、六千九十七億六千二百万円でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○ほっち委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、都債、第百八号議案、第三十六号議案から第四十号議案まで及び第七十四号議案から第九十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○五十嵐経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をご覧ください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況でございます。
 こちらは、各種基金の残高状況について、五年度補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
 説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 最終補正予算案について伺います。
 令和四年度最終補正予算では、税収、歳出、基金など様々な事項が補正されており、今後、新年度予算を審議していくに当たって前提となる重要な論点が含まれていると考えます。
 まず、令和四年度最終補正予算案の概要をお伺いいたします。

○田中理事 令和四年度最終補正予算案の総額は八千百二十八億円であり、このうち、一般会計が五千四百五十六億円、特別会計が二千六百七十二億円でございます。
 一般会計では、税収の伸びに伴う税連動経費等の義務的な経費などを計上したほか、現時点において不用額となることが明らかな事項を減額補正するなど、歳出及び歳入の精査を行ったところでございます。
 また、税収の伸びや歳出の精査などで生まれた財源を活用いたしまして、将来の財政需要への備えとして基金への積立てを行ってございます。
 具体的には、福祉先進都市実現基金への積立てを行うとともに、既存の七つの基金の再編を行い、都市の強靱化や東京二〇二〇大会の取組をレガシーとして発展させるための基金を新たに創設してございます。

○土屋委員 既にある七つの基金を再編し、都市強靱化と大会レガシーの基金を新設するということであります。
 そこで、今回の最終補正予算案について、どのように基金の再編統合を行っていくのかお伺いいたします。

○田中理事 令和四年度最終補正予算では、基金の再編統合を図り、東京強靱(じん)化推進基金及び東京二〇二〇大会レガシー基金の二つの基金を新たに創設いたします。
 このうち、東京強靱(じん)化推進基金は、自然災害等の危機から都民の生命と暮らしを守り、強靱で持続可能な都市を実現することを目的とするもので、防災街づくり基金と無電柱化推進基金の二つの基金を統合して創設いたします。
 また、東京二〇二〇大会レガシー基金は、大会の成功に向け、ハード、ソフト両面で推進してきた多面的な取組を都市のレガシーとして発展させていくため、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金、芸術文化振興基金、おもてなし・観光基金、人に優しく快適な街づくり基金、障害者スポーツ振興基金の五つの基金を統合して創設するものでございます。

○土屋委員 防災街づくり基金や、おもてなし・観光基金といった基金を廃止するとのことですが、防災や観光振興は都が引き続き注力することが求められている政策分野でもあります。
 過去を振り返ってみますと、令和元年度の最終補正予算においては、都は、スマート東京を進めるためとして、平成二十八年度に創設したイノベーション創出基金を廃止し、新たにスマート東京推進基金を設置しました。
 その際、我が会派は、都における中小企業の支援の取組が後退することはあってはならない、優れた技術やアイデアを持つ中小企業がイノベーションの担い手として新事業に果敢にチャレンジできるよう、財源面から下支えするために新たな基金を活用していくべきと主張しました。
 基金の統合により、都政の重要課題への対応が後退するようなことがあってはなりません。また、今回、基金を新設するのであれば、統合のメリットをしっかりと発揮させていくことが必要です。
 そこで、スマート東京推進基金のその後の状況をお伺いするとともに、今回の基金の新設を都政の重要課題への対応の強化につなげていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○田中理事 令和元年度に創設いたしましたスマート東京推進基金につきましては、イノベーション創出基金で充当対象としていた中小企業への支援策に継続して活用してございまして、五年度予算におきましても、競争力強化に向けた設備投資助成などの事業に充当してございます。
 今回新設する東京強靱(じん)化推進基金と東京二〇二〇大会レガシー基金につきましても、再編前の基金における対象事業はもとより、風水害などの自然災害対策やスポーツ文化振興、バリアフリー化、観光産業の活性化に向けた取組の強化など、都政の重要課題の解決のために必要な財源として有効に活用してまいります。

○土屋委員 スマート東京推進基金が、東京の経済を支える中小企業に対する支援の財源として、継続的に活用されていることが分かりました。
 今回、ここまでの規模で基金の再編統合を行うのであれば、これを活用して複雑多様化する都政の諸課題の解決にしっかりとつなげていただきたいと思います。
 都の財政運営にとって、景気動向や都税収入の変動などに左右されることなく、安定的かつ機動的な財政出動を可能とする基金の果たす役割は大きいと考えます。
 今後とも、それぞれの設置目的に沿って、各局と連携をしながら有効に活用されることを要望して、質疑を終わります。

○おじま委員 私からも、令和四年度最終補正予算案について伺いたいと思います。
 今回の補正予算では、三つの基金の新設、七つの基金の廃止、加えて、既存の基金への積立てなどが行われているということで、本日は基金を中心に質疑をしていきたいと思います。
 ご案内のとおり、東京都は交付税の不交付団体でありまして、景気変動の影響を受けやすい中にあっても、様々な財政環境の変化に対応し、持続的な財政運営を行う必要がありまして、基金の果たす役割は大変重要であります。
 そこでまず、これまでの基金の活用状況と残高の推移について伺いたいと思います。

○田中理事 都財政は、元来、景気の変動の影響を受けやすい構造を有しておりまして、こうした中にあっても、税収動向にかかわらず安定的に施策を展開していくため、増収局面においては基金を積み立てる一方で、減収局面や突発的な財政需要が発生した際には取崩しを行うなど、基金を戦略的に活用してまいりました。
 具体的には、都の基金残高は、財政再建の取組などを経て、平成二十年度末時点で約一・八兆円まで回復いたしましたが、その後のリーマンショックによる減収局面には約四千億円の取崩しを行いました。
 二十四年度以降は増収局面が続いたことから、計画的に基金を積み立て、二十九年度末の残高は約二・八兆円となったところでございます。
 その後、東京二〇二〇大会の開催に向けた取組や新型コロナ対策をはじめとした突発的な財政需要などへの対応に基金を活用した結果、令和四年度末時点の基金残高は二・二兆円となる見込みでございます。

○おじま委員 都税の増収局面においては積極的に基金の積立てを行う。一方で、今ご答弁にもありましたように、リーマンショックやコロナ禍などの危機に直面をした際にも基金を取り崩すことで、都民の負託に応える着実な施策展開を実現してきたということであります。
 景気の荒波にさらされてきた都財政の歴史を顧みると、いつ何どき、税収の大幅な減が生じるとも分からないという不安定な税収構造にありながら、こうした膨大な財政需要への対応を着実に進めていかなければならない東京都においては、基金が、他の地方公共団体以上に重要な役割を果たしているということを改めて認識をするところであります。
 今回の補正予算では、既存基金の積み増しや単に新たな基金を設置するというだけではなくて、既存基金を再編統合しているということが特徴であります。
 そこで、今回の最終補正において、都はどのような狙いを持って基金の再編統合を行ったのか、見解を伺いたいと思います。

○田中理事 自然災害の激甚化、都民ニーズの多様化など、東京が抱える課題は一層複雑化、高度化しておりまして、より一層充実した施策や横断的な取組の展開が必要となってございます。
 こうした状況に、より一層安定的かつ機動的な対応を図ることができるよう、今回の最終補正予算では、基金の再編統合を行うことで、財政上の備えをより強固なものとしてございます。
 具体的には、昨年十二月に策定したTOKYO強靱化プロジェクトを踏まえ、無電柱化や防災まちづくりも含め、ハード、ソフトの両面からの施策を安定的、継続的に展開する財源といたしまして、東京強靱(じん)化推進基金を活用いたします。
 また、昨年六月の組織委員会による大会経費の最終報告を踏まえまして、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の残高を活用して東京二〇二〇大会レガシー基金を創設し、再編前の基金において充当対象となっていた事業をはじめ、大会に向けて進めてまいりました多面的な取組について、将来に向けてさらなる発展充実を図り、都民の豊かな生活につなげていくこととしてございます。

○おじま委員 今、るるご答弁いただきましたように、都の取組に即した形で基金を有効に活用するために、再編統合するということであります。
 先日の我が会派の代表質問でも述べましたとおり、出産、子育て、あるいはスタートアップ、ポストコロナを見据えた産業構造の転換、人への投資、再生エネルギーの利活用など、未来への投資として様々な課題に取り組んでいかなければならないわけであります。
 こうした重要課題の解決に向けては、税収の増減の影響に左右されることなく、中長期を見据えて対応していくことが求められるわけであります。
 東京の未来に向けて安定的に施策を展開していくために、今後とも基金残高の確保などによって財政基盤の強化を図ることが重要であると考えますが、見解を伺いたいと思います。

○田中理事 自然災害の激甚化などの喫緊の課題への対処に加えまして、社会保障関係費の増加など、都には、今後避けることのできない膨大な財政需要が存在してございます。
 こうした中にあっても、チルドレンファースト社会の実現、スタートアップの育成など、東京が新たな価値を生み出す都市に進化するための施策を積極的かつ安定的に展開していくためには、さらなる財政基盤の強化を図ることが重要でございます。
 こうした考えに立ちまして、改めてワイズスペンディングの視点からの無駄をなくす取組を徹底するとともに、評価制度のさらなる充実を図り、施策の有効性、効率性を一層高めてまいります。
 その上で、積極的な施策展開を支えるべく、財政環境の変化にも的確に対応し得るよう、今回の最終補正予算で新たに創設した基金を含め、残高の確保を図るとともに、都債の発行抑制を継続するなど、持続可能な財政運営に、より一層磨きをかけてまいります。

○おじま委員 ありがとうございました。社会情勢が目まぐるしく変化をする中にあっても、東京の未来につながるように様々な課題に取り組んでいただくためには、思い切った施策展開の裏づけとなる財政基盤の確保が不可欠であります。都民や都内事業者が安心して生活あるいは経済活動を営んでいただけるように、しっかりと中長期を見据えた財政運営に取り組んでいただくということが肝要であります。
 こうした認識の下、今後とも、いかなる状況の下にあっても、東京の未来、日本の未来につなげるために必要な施策を継続して展開していくため、効果的にこの基金を活用するなど、戦略的な財政運営をしていただくことを求めて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○うすい委員 令和四年度最終補正予算について伺います。
 今回の最終補正予算の規模は、一般会計で五千四百五十六億円、特別会計で二千六百七十二億円となっており、税収増などを活用した基金への積立てが主な内容となっております。
 都の歳入は、法人二税の占める割合が高く、景気変動の影響を受けやすい不安定な構造にあります。そのため、税収の増加局面において、基金への積立てを行うことで、将来の安定的な事業推進に備えることは財政運営の手法として評価できるものであります。
 一方で、今回新たに三つの基金を創設したわけでありますが、どのような目的で、どのような事業に、どのような計画で基金を活用していくのか、この点については十分な検証が必要であります。
 そこでまず、東京二〇二〇大会レガシー基金について質問します。
 この基金は、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金に加え、大会に向けて集中的、重点的な取組を図るために活用してきた、人に優しく快適な街づくり基金、障害者スポーツ振興基金、芸術文化振興基金、おもてなし・観光基金の四つの基金を統合して新たに創設するとのことであります。
 そこで、新たな基金に引き継がれる既存基金のそれぞれの残高と新たな基金の活用の考え方について説明を求めます。

○田中理事 東京二〇二〇大会レガシー基金の創設に伴いまして、廃止となる五つの基金から引き継がれる残高の見込みは、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金が一千三百四十三億円、人に優しく快適な街づくり基金が八十五億円、障害者スポーツ振興基金が二十六億円、芸術文化振興基金が十五億円、おもてなし・観光基金が十四億円でございます。これらの基金残高を引き継ぐことで、東京二〇二〇大会レガシー基金には、合計で一千四百八十五億円を積み立てることとしております。
 この基金を有効に活用し、東京二〇二〇大会に向けて進めてきた多面的な取組を都市のレガシーとして発展させ、都民の豊かな生活につなげていく考えでございます。

○うすい委員 ただいまの答弁を聞きますと、実態としては、大会経費の決算確定に伴い、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の残高一千三百四十三億円を、人に優しく快適な街づくり基金など大会に向けて進めてきた多面的な取組に使えるようにするということだと理解をしました。しかしながら、東京二〇二〇大会のレガシーという基金名ではかなり幅広い事業が対象になると考えられ、その計画的な活用が課題であると考えます。
 そこで、具体的な充当事業の考え方について、令和五年度予算での充当予定事業も含めて説明を求めます。

○田中理事 東京二〇二〇大会レガシー基金は、人に優しく快適な街づくり基金、障害者スポーツ振興基金、芸術文化振興基金、おもてなし・観光基金の四つの基金において充当対象となっていた事業を基本としつつ、大会に向けて進めてきた多面的な取組のうち、将来に向けてさらなる発展充実を図る事業や、大会のレガシーを見据えて行われてきた事業に充当していく考えでございます。
 また、令和五年度予算で充当を予定している主な事業といたしましては、鉄道駅総合バリアフリー推進事業、GRAND CYCLE TOKYOの推進、パラスポーツの振興、アール・ブリュット等の振興、東京の食の魅力発信プロモーションなどでございます。

○うすい委員 ただいま令和五年度予算での活用予定の説明を受けましたが、バリアフリーの推進、スポーツや芸術文化の振興、観光施策など、やはり統合前の基金と同じ考えだということであります。基金を廃止し統合しても、廃止されたそれぞれの基金の目的はしっかりと生きるように、何でも使える基金とならないよう、引き続き目的に即した適切な事業に対し計画的な活用を図っていくことを改めて求めるものであります。
 次に、東京強靱(じん)化推進基金について質問いたします。
 都は、昨年五月、東日本大震災を踏まえて策定した首都直下地震等による東京の被害想定について十年ぶりに見直しを行い、新たな被害想定を発表いたしました。この被害想定によりますと、私の地元である足立区は、全壊棟数、死者数ともに二十三区で最多となっており、一万棟を超える建物が全壊するとされています。
 私は、さきの事務事業質疑において、防災、減災対策は都民の命と暮らしを守るための最優先課題であると訴え、さらなる取組の強化はもとより、積極的な施策展開を財政面から支えるため、防災街づくり基金へのさらなる積立ての必要性を指摘しました。
 今回の東京強靱(じん)化推進基金の創設、そして三千億円の積立ては、こうした指摘に応えるものであり、都の対応をまずは評価したいと思います。
 そこで、東京強靱(じん)化推進基金を創設した目的と積立額の内訳について、確認の意味を込めまして説明を求めます。

○田中理事 東京強靱(じん)化推進基金は、自然災害等の危機から都民の生命と暮らしを守り、強靱で持続可能な都市を実現することを目的として設置するものでございます。
 積立額の財源の内訳といたしましては、防災街づくり基金と無電柱化推進基金の残高一千七百二十六億円を引き継ぐとともに、歳出の精査等により生み出した千二百七十四億円を活用することで、合計で三千億円の積立てを行うこととしてございます。

○うすい委員 既存の基金残高に歳出精査などにより生み出された財源を活用し、千二百七十四億円の積み増しを行うことで三千億円を確保するという答弁でありました。
 都は、昨年十二月にTOKYO強靱化プロジェクトを策定し、今後十年間で六兆円規模の施策を展開していくとしております。十年間で六兆円、これは過去十年間の一・五倍の金額ということでありますから、単純な計算では、これまでと比べて年間二千億円の追加財源が必要ということになります。今回、積み増しを行った東京強靱(じん)化推進基金を計画的に活用するとともに、引き続き、都民の生命と財産を守り抜く取組を迅速かつ継続的に進めていくため、財源確保にしっかりと取り組むことを改めて求めるものであります。
 次に、具体的な充当事業についても確認をしておきたいと思います。
 今回創設した東京強靱(じん)化推進基金の具体的な充当事業の考え方について、令和五年度予算での充当予定事業も含めて説明を求めます。

○田中理事 東京強靱(じん)化推進基金は、防災街づくり基金、無電柱化推進基金において充当対象となっていた分野も踏まえ、昨年十二月に公表されたTOKYO強靱化プロジェクトで掲げられた風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶及び感染症の五つの危機から都民や東京の経済を守る事業を中心に活用していく考えでございます。
 令和五年度予算における主な充当事業といたしましては、中小河川の整備、防潮堤の整備、耐震改修促進事業、無電柱化の推進などを予定してございます。

○うすい委員 中小河川の整備や耐震改修の促進、無電柱化の推進など、都民の命と暮らしを守るための具体的な事業に充当していくことを確認させていただきました。
 都は、TOKYO強靱化プロジェクトの策定に加え、新たな被害想定で明らかになった震災リスクを踏まえ、東京の総力を挙げて防災対策を進める上での羅針盤となる地域防災計画震災編を改定し、その素案を先月公表したところでありますが、都民の命と暮らしを守る取組は、まさに都政の最優先課題の一つであります。引き続き、創設した基金を計画的に活用することで、東京の強靱化に向けた取組を迅速かつ効果的に進めていくよう改めて強く求めるものであります。
 また、税収が上昇局面の中、基金残高を確保し、都政の重要課題への積極的かつ継続的な事業実施への備えを講じるこうした財政運営は、まさにこれまでの我が党が主張してきたものであります。
 今後とも、都民の安全・安心を確保し、都民の暮らしを守り、都民への質の高い行政サービスの提供を行っていくため、財政当局として強固な財政基盤の堅持に努めていくことを改めて求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 私からは、東京二〇二〇大会レガシー基金と、オリ・パラ準備基金の廃止などについて質問したいと思います。
 まず、オリ・パラ準備基金の問題について、確認も含めて伺います。
 オリ・パラ準備基金については、この間、条例改正などもありましたが、その変遷について、まず伺いたいと思います。
 また、その積立てを行ってきた根拠についても伺います。

○田中理事 都は、東京二〇二〇大会の開催に当たりまして、将来に負担を残さないという考えの下、平成十八年度に設定した東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金条例に基づきまして、大会開催に関連する社会資本等の整備及び仮設等の整備、輸送、警備その他の大会開催に要する資金に充てるため、基金を設置し運用してまいりました。
 具体的には、平成十八年度以降、歳出の精査等により生み出された財源などを活用して積立てを行い、平成二十九年五月に合意された大会の役割分担に関する基本的な方向や、令和二年十二月に合意された大会の追加経費の負担に基づきまして、大会開催に必要となる都の負担額を確保してまいりました。
 この財源を大会開催に向けて有効に活用する一方で、大会が一年遅れで実施され無観客による経費節減等が行われたことにより、残高は一千七百二十四億円となり、国負担分を除いた残余を東京二〇二〇大会レガシー基金に積み立てることとしたところでございます。

○池川委員 オリ・パラ準備基金を設置した経過については意見はありますが、使途としては、大会に直接関わる経費に充てられたということであり、その残高一千七百二十四億円のうち、国負担分を除いた一千三百四十三億円についてレガシー基金に積み立てるということでありました。改めて、この五輪の準備基金というのは五輪開催のために積み立てられた基金だと。
 日本共産党都議団は、この間、このオリ・パラ準備基金の残高については、これまで税を基金に積み立ててきたわけですから、暮らしと営業を守るために使う必要があるということを、本会議でも、この財政委員会でも求めてまいりました。このレガシー基金は、オリ・パラ準備基金や障害者スポーツ振興基金など五つの基金を廃止、統合して設置されるということです。
 そこで、確認も含めて伺いますが、いわゆる財政調整基金とは違うこの特定目的基金とはどういうものか、何を根拠にして設置するのかについて確認させてください。

○田中理事 特定目的基金は、都政の重要課題に対しまして、将来の財政需要に備え、安定的かつ機動的に施策を展開していくため、条例に基づき設置しているものでございます。

○池川委員 年度間の財源調整は財政調整基金が担うべきものである一方で、特定目的基金は、都政の重要な課題を進めるために条例設置をする基金だということです。
 今回、五つの基金を統合して一千四百八十五億円をレガシー基金に積み立てるということになりますが、このレガシー基金を創設するに至った決定プロセスはどういうものなのか、また、五つの基金をなぜ統合するのか、その理由について伺います。

○田中理事 都はこれまで、東京二〇二〇大会の成功に向け、ハード、ソフト両面で様々な取組を推進してまいりました。
 大会後は、大会を契機としたこれらの取組を都市のレガシーとしてさらに発展させていくことが重要であるとの考えの下、予算編成プロセスの中で検討を進め、東京二〇二〇大会レガシー基金を創設することといたしました。
 障害者スポーツ振興基金や人に優しく快適な街づくり基金など五つの基金を再編統合することで、再編前の基金において充当となっていた事業をはじめ、より充実発展した施策やレガシーの発展に向けた新たな事業の展開が可能となると考えてございます。

○池川委員 廃止、統合、再編統合することで、より充実発展したものになるということです。
 これまでの五つの基金で充当していた事業をはじめ、ほかの施策、すなわち、レガシー発展に向けた新たな事業ということがここに追加をされるということになります。すなわち、これまでの基金、オリ・パラ準備基金は五輪が終わってしまったので、もう使途はないわけですが、残りの四つの基金の範囲よりも大きく広く使うことだということだと思います。
 五輪関連経費についても、五輪を契機に施策を進めるということで、これまで五輪関連経費、オリンピック関連経費ということで、別に東京都としては見える化をして分かるようにしてきたと。しかし、この関連経費というのは、別に基金を積み立ててやったものではなく、一般財源を活用し、様々な基金を取り崩して充当した事業ももちろんありますが、別に五輪関連経費の基金として積んで何か使途を決めていたわけではなかったわけです。
 しかし、今回、このレガシーということを一つの柱にして、そこに基金を統合して、そこから財源を出していこうということですね。
 このレガシーの発展に向けた新たな事業の展開というもの、それこそ、今回、基金の廃止の提案がされている障害者スポーツ振興や文化芸術振興というのは、レガシーというよりは、それそのものの振興が必要な事業だと私たちは考えています。これらをレガシーという価値で判断することが本当に適当なのかということは疑問があるということです。
 レガシー基金は、今回の最終補正予算案に予算案として計上されていますが、来年度予算では五百十四億円、レガシー基金に充当することが示されています。具体的には何事業に適用されるんでしょうか。

○田中理事 令和五年度予算では、パラスポーツの振興など、約百五十事業に充当していく予定でございます。

○池川委員 今回のレガシー基金の目的には、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて進めてきた多面的な取組を都市のレガシーとして発展させ、都民の豊かな生活につなげていくためにこの基金をつくるんだというふうに書いてあります。
 しかし、かなり広い分野に対してこの基金を充当していく、百五十以上ということだと思うんですね。中を見ていくと、例えば体育施設等の運営とか、水素社会の実現に向けた普及促進とか、ビジネスチャンスナビとか、一つ一つの施策の評価とは別に、なぜこれらをレガシー基金を創設してやらなければならないのかと、その必要性については疑問が残るところです。すなわち、さっきいったとおりで、大会関連経費というのは、別に基金を積んでやってきたわけではないけれど、実際に事業としては進めてきたと。その関係でも、具体的にこのレガシー基金がかなり広くその範囲を適用しているのかなというふうに思います。
 そこで伺いたいと思うんですけど、このレガシー基金の充当事業については、どういう判断をするのか、また、基金の充当を判断するのはどこでやられているんでしょうか。

○田中理事 東京二〇二〇大会レガシー基金は、人に優しく快適な街づくり基金、障害者スポーツ振興基金、芸術文化振興基金、おもてなし・観光基金の四つの基金において充当対象となっていた事業を基本としつつ、大会に向けて進めてきた多面的な取組のうち、将来に向け、さらなる発展充実を図る事業や、大会のレガシーを見据えて行われた事業に充当していくものでございます。こうした取組を都市のレガシーとして充実発展させ、都民の豊かな生活につなげていくという考えに立ってございます。
 具体的な基金の充当事業につきましては、基金の目的にのっとって、各局とも連携しながら予算編成過程において検討を行い、財務局において調整してございます。

○池川委員 充当事業については、予算編成過程で財務局において調整するんだということでありました。レガシーというくくりにすることによって、相当広く基金充当していくことでいいのかということが問われるというふうに思います。
 同時に、この五輪のレガシーということをいうのであれば、都として負のレガシーについてもやはり徹底的に検証する姿勢が必要だというふうに思います。これは本会議でも厳しく指摘をしましたが、五輪をめぐる汚職、談合事件までに発展している事態は極めて重大でありまして、このレガシー、つまり、プラスの側面だけを基金に積んで、それを見えるようにしていくということでいいのかということは厳しく問われるというふうに思います。
 そして、特定目的基金というのは、これまでつくってきたものというのは使途が明確、障害者スポーツの振興、これはもう明確に使われる分野、使途は明確だというふうに思います。ところが、これ、今回のは五輪のレガシーという概念で、基金を創設するということで本当にいいのかということが私は問われているというふうに思います。
 加えて、今回、補正予算でも示されていますけど、税収増によって財政調整基金に義務的な積立ても行う、そして、様々なものをきちんと次年度予算の財源として積み立てる、そうした補正予算にもなっています。やはり、それらを踏まえたときに、この五輪のレガシーということに、今回でいうと五輪の準備基金を積み立てていくということでいいのかということが本当に問われていると思うんですね。
 その点で、この税収増、そして、この五輪の準備基金、これまであったものについては、やはり暮らしのために積極的に活用するということが必要ではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○川松委員 令和四年度の最終補正予算案について伺ってまいります。
 今回の審議対象であります最終補正予算案は、過去最大の規模となった新年度予算の案の陰に隠れている印象がありますが、今回の最終補正予算案にこそ、私、何度もこの委員会でも指摘してきましたが、税金の使い道ということを考えるという点について重要な論点が含まれているんじゃないかというふうに、まずもって言及します。
 去年の事務事業質疑において、私は、税金というのは、都庁の皆さんのものではなくて、納めていただいた都民の皆様のお金だと思うならば、例えば、今厳しい状況だからこそ、税金で予算を組んで、それで予算を執行してみて、年度末に余ったのならば都民の皆様にお返ししよう、こういう発想があって当然ではないかということを提案したわけですね。
 ところが、今日の今までの質疑を聞いていても、今回の最終補正予算案では、余ったお金は都民の皆さんに返すのではなくて、やっぱり自分たちの都合で、まず貯金にしておきましょうと、そういう印象でしかないわけです。
 誤解のないように申し上げますけれども、この今、議論してきた基金というものについて、私は、貯金すること自体、基金という存在、考え方も含めて、それを否定しているのではなくて、景気変動の影響を受けやすい、先ほども議論していました、この東京都財政において基金が重要な役割を果たしているんだということは、当然、未来に向けて、何かあったときに必要なんだという考え方は分かります。
 そういう意味でいくと、基金というとコロナ禍で注目を浴びた財政調整基金というものをイメージされる方は多いと思いますが、特定の行政課題への対応を目的とした基金もあるわけですけれども、こうした基金を特定目的基金と呼んでおりますが、東京都の財政運営において、まずもって聞きますけれども、特定目的基金はどのような役割を果たしていると認識されているのか伺います。

○田中理事 特定目的基金は、都政の重要課題に対しまして、税収の状況に左右されることなく、施策を機動的、安定的に展開していくための財源として重要な役割を担ってございます。
 三年以上にわたる新型コロナとの闘いにおきましても、医療提供体制の強化充実などを図るための取組の財源といたしまして福祉先進都市実現基金を戦略的に活用したほか、都が抱える諸課題へ的確に対応するための財源として社会資本等整備基金などを積極的に活用しております。
 財政環境の先行きを見通すことが困難な中、今後とも、施策を着実かつ安定的に実施していくための財源といたしまして、特定目的基金を有効に活用してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。特定目的基金は、都政の重要課題に対応するための貴重な財源ということで、例えば少子高齢化や感染症対策といった重要かつ長期的な課題に対応するために福祉先進都市実現基金という基金が既に設置されていて、それをしっかり活用していく、このことに誰も異論を挟むことはないと思うんですね。
 ただ、新しく基金を設置するという場合は、当然、この基金は本当に必要なんだろうかということをしっかり議論して、必要性を吟味しなければならないと思うんです。
 そこで、今回の最終補正予算案における特定目的基金の積立てについて、積立額を含めて、その概要を伺います。

○田中理事 令和四年度最終補正予算案では、首都東京が新たな価値を生み出す都市へと進化し続けるための積極的な施策展開を支えるべく、従来の財政需要への備えとして、合計で六千九百八十五億円を基金に積み立ててございます。
 具体的には、新たに創設する基金につきましては、東京強靱(じん)化推進基金に三千億円、東京二〇二〇大会レガシー基金に千四百八十五億円、新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金に千五百億円を積み立てております。また、既存基金への積み増しといたしまして、福祉先進都市実現基金に一千億円の積立てを行ってございます。

○川松委員 まさに概要を今お聞きしたわけですが、そうすると、今、冒頭お話あったように、積立額の総額はおよそ七千億円という規模感ですね。今までの質疑でも分かったように、もともといろんな基金があったんだけれども、再編によって新設した基金もありますよという答弁がございました。
 ですから、今、およそ七千億円というふうに私は指摘しましたけれども、その七千億円の一部というのは、これまであった基金の取り崩した額で、残りが今年度分の余剰分ということになります。
 ですから、今ここで私が聞きたいのは、この最終補正予算案における基金への積立金の原資という点について、七千億円、およそ七千億円の内訳はどういう構成になっているのか教えてください。

○田中理事 令和四年度最終補正予算における基金への積立額六千九百八十五億円の内訳でございますが、まず、再編により廃止する七つの基金の残高が三千二百十一億円ありまして、これを取り崩し、東京強靱(じん)化推進基金と東京二〇二〇大会レガシー基金の積立てに活用いたします。
 残りの三千七百七十四億円は税収増や歳出精査などによるものでありまして、これらの財源は、福祉先進都市実現基金、東京強靱(じん)化推進基金及び新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金への積立てに活用してございます。

○川松委員 ということは、今、私がいっていた、余った税金などはどう使うかという点でいくと、七千億円の今回出ている基金総額の中の三千七百億円をどう考えるかということになるわけです。
 では、想定よりも税収が伸びたということ、あるいは歳出精査ということで、予算額に対して実際に執行する金額が届かない見込みになったということだろうと推察しますけれども、今回の最終補正予算において、どのような歳出精査を行ったのか伺います。

○田中理事 今回の最終補正予算では、予算の執行状況の総点検を行いまして、現時点において不用額となることが明らかな事項などを精査してございます。
 具体例といたしましては、新型コロナ対策におきまして、患者の受入れ実績や契約差金等により不用額が生じることが明らかになったことから、感染症対策費を三千六十八億円減額してございます。そのほか、工事や用地取得の進捗状況等を踏まえ、街路整備費を三百億円減額してございます。
 こうした歳出精査によりまして、五千二百十五億円を減額しております。
 そして、ここから国庫支出金など歳出に連動する特定財源の減少分を差し引いた金額の一部を基金の積立てに活用してございます。

○川松委員 今ありましたように、患者さんの受入れ実績の変動があったこと、契約の差金があったこと、工事の進捗状況など、理由は様々ですが、例えば、今あった契約差金というのは、入札をしましたよと、その入札をしてみたら落札金額が見積りよりも下回ったということなんだと思いますね。この契約差金というのは、皆さん方の立場からすると、税金を必要以上に使わなくて済んだんだ、そういうふうに見るのかもしれませんが、逆の側面から見ると、それぞれの事業者の皆さんが汗をかいて経費を圧縮した経営努力の効果だったという見方もできるわけです。
 先日の代表質問においても、我々都議会自民党は、改めて個人都民税の二〇%減税というのを主張いたしました。個人都民税の令和五年度の歳入見込額はおよそ一兆円ですから、私たちが考えるこの減税の必要な財源を計算でいくと、単純計算ですがおよそ二千億円ということになります。税収増と歳出精査などで確保した三千七百億円あれば、この減税分の原資というのは十分に賄うことができるんですね。
 さらに、私たちは、これ今、減税したらずっと都民税減税してくださいといっているのではなくて、あくまで現下のコロナ禍ということの中に加えてのエネルギー高、物価高騰、これによって都民の皆様が厳しい状況に置かれているということを鑑みて、時限的に、もう本当に単発の減税政策を打って、税金を納めていただいた都民の皆さん、都内事業者の皆さんの顔を思い浮かべながら、その余ったお金を都民の皆さんに還元するべきではないかということを提案しているわけです。
 今年度中に使う予定のないお金については、法令で積立てが義務づけられるケースがあると、そういうケースもあるのは分かります。それは、当然実施しなければなりません。しかし、その法令で義務づけられるケースを超える分については、これ、都民へ還元しないで都の財布に入れちゃうというのは、相応の理屈、理由、議論が必要なんだと思います。しかも、今お話ししてきたように、かなり大きな金額の議論ですから、その基金に積むまでの政策決定過程をより詳細に都民の皆様にお示しをし、十分にご理解をいただくという、この作業が極めて大切なんだろうと私は指摘します。
 何度もいい続けてきていますが、都民の皆様、都内事業者の皆様がお納めいただいた税金は、これは、東京都の組織、都庁の職員の皆さん方のものではなくて、やっぱり納めていただいた皆さん方のものだという認識を常に考えておかなきゃいけない。ですから、年度の予算内を見てみて、精査してみたら余っていたから、じゃあ貯金しちゃいましょう、基金にしましょうという考えが、これ、皆さん方、都庁マン、公務員の皆さんを含めて、デフォルトになってはいないかということを、私は疑問なんですね。
 何度も触れていますが、コロナやエネルギー高の状況というのは、今はそれを見ると非常事態なんですよ。これだけ都民生活が苦しめられるというのは非常事態なんです。皆さんの今までの議論、今日の議論を聞いていても、言葉では危機の状況を語っています。危機を乗り越えてどうしていこうか、そのための予算案なんだということも、今日の委員会でも出ていますが、こういう余ったから基金にしちゃいましょうということの中で、プロセスをしっかりやらないということは、危機的な状況で非常事態なんだけれども、都庁職員の皆さんのやっている仕事というのは通常モードと基本的には変わらないんじゃないかということを私は思います。
 そもそも今回の新設の基金にしたって、オリンピック・パラリンピックに絡む基金だったり、あるいは小池都知事が目玉政策とした住宅用太陽光パネル義務化などにも関わってくるような基金もある中で、委員会の質疑も一日しかないんです。小池都政が掲げてきたワイズスペンディングというのは、これは、都民の皆さんにとっての知恵のある、もっと効果的なものを考えていこうというものであって、決して、この都庁の慣例によって知恵が使われるためのワイズスペンディングだと、これは都民不在のワイズスペンディングの考え方で、こうやって予算案が示されているんじゃないのかなということを私は強調しておきます。
 そこで、税収増や歳出精査などによって生まれた財源について、今回の最終補正予算で特定目的基金として積み立てることにした理由、こうしていいんだというふうに思った理由を教えてください。

○田中理事 現下の都政では、多くの分野で、これまでにない行政の対応が求められていると認識してございます。
 そのような中で、直面する諸課題への対処を図ることはもとより、東京が新たな価値を生み出す都市へと進化し続けるべく、積極的に、かつ大胆に施策を展開していかなければならないと考えてございます。
 一方で、財源保障機能を持つ地方交付税が交付されず、税収の増減がそのまま財政運営に直結する東京都にありましては、中長期的な視点に立ち、将来の財政需要に安定的に対応し得る財政基盤のさらなる強化を図ることが重要だということも考えてございます。
 こうした考えの下で、令和四年度最終補正予算案におきましては、税収の増加や歳出の精査等により生み出された財源を用いまして特定目的基金への積立てを行うことといたしまして、令和五年度予算から速やかに施策を展開するための財源として活用したものでございます。

○川松委員 極めて財政当局らしい答弁であって、今のことをまとめれば、将来に向けて財政対応力を維持するために、私たち、余ったお金は都庁として貯金しておきますよという発想ですよね。
 財政運営の持続性は確かに重要ですが、厳しい状況下で苦労されている、疲弊されている都民の生活を何とかしなければならないんだ、そういう思いは絶対的に、別に財政当局だけじゃなくて、どの局の皆さんもお持ちだと思います。
 改めてワイズスペンディングということの考え方でいくならば、今後の予算の編成や財政運営に当たっては、前例踏襲ではなく、余ったお金は都民の皆さんのものだということを念頭にしてベストな手法を取ると、これが必要なんだということを要望しまして、私の質疑を終わります。

○ほっち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四分散会

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