財政委員会速記録第十六号

令和四年十一月二十五日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長ほっち易隆君
副委員長おじま紘平君
副委員長米倉 春奈君
理事うすい浩一君
理事池川 友一君
理事川松真一朗君
かまた悦子君
玉川ひでとし君
土屋 みわ君
もり  愛君
中田たかし君
宮瀬 英治君
三宅 正彦君
後藤 なみ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱田中 慎一君
経理部長五十嵐 律君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長渡辺 正信君
主税局局長小池  潔君
総務部長上林山 隆君
税制部長丹羽恵玲奈君
税制調査担当部長小林 孝幸君
調整担当部長齋藤 栄一君
課税部長櫻井 幸枝君
資産税部長辻谷 久雄君
徴収部長原島 幸男君
特別滞納整理担当部長小野  誠君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長磯貝  宏君
会計企画担当部長井村  琢君
収用委員会事務局局長杉崎智恵子君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
報告事項(説明)
・令和四年度公金管理実績(上半期)
財務局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、予算総則、歳入
・東京都江戸東京博物館(四)改修工事請負契約
・都営住宅四H−一〇二東(江戸川区平井三丁目第二)工事請負契約
・都営住宅四CH−一〇一西(練馬区石神井台四丁目・練馬区施設)工事請負契約
・都営住宅四H−一二四東(江戸川区下篠崎町)工事請負契約
・東京都江戸東京博物館(四)改修電気設備工事請負契約
・東京都江戸東京博物館(四)改修給水衛生設備工事請負契約
・街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西−青梅三・四・四裏宿町)請負契約
・葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について
・当せん金付証票の発売について
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
主税局関係
報告事項(説明・質疑)
・令和四年度東京都税制調査会報告について
事務事業について(質疑)

○ほっち委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑、財務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに会計管理局及び主税局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、収用委員会事務局関係の事務事業については質疑を終了するまで、主税局関係の事務事業及び報告事項については要求資料及び報告事項の説明を聴取した後、質疑を一括して終了まで、提出予定案件及びその他の報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○有金管理部長 令和四年度公金管理実績の上半期分につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料第1号、令和四年度公金管理実績(上半期)の表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。
 初めに、1、全体でございます。
 令和四年度上半期の平均残高は五兆八千三百八十億円で、対前年同期比二千三百二十一億円減少しております。また、利回りは〇・〇三一%で、前年同期と比べ横ばいで推移をしております。この結果、運用収入は八億九千四百三十五万円で、前年同期と比べ五千四百五万円減少しております。
 次に、2、内訳でございます。
 (1)、歳計現金等でございます。
 平均残高は一兆三千二百十九億円となっております。都税収入の増加等によりまして、前年同期と比べ六十二億円増加をしております。また、利回りは〇・〇〇二%で、定期性預金の割合の増加等により、前年同期比〇・〇〇一ポイント増加をしております。この結果、運用収入は九百九十七万円で、前年同期と比べ二百十三万円増加をしております。
 次に、(2)、基金でございます。
 平均残高は三兆六千百六億円となっております。東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の取崩し等により、前年同期と比べ二千五百三十三億円減少しております。また、利回りは〇・〇四七%で、前年同期と比べ横ばいで推移をしております。この結果、運用収入は八億五千二百十三万円で、前年同期と比べ五千四百四十九万円減少しております。
 次に、(3)、準公営企業会計資金でございます。
 平均残高は九千五十五億円となっております。臨海地域開発事業会計に係る土地の権利金収入等により、前年同期と比べ百五十億円増加をしております。一方、利回りは〇・〇〇七%で、定期性預金の金利低下などにより、前年同期比〇・〇〇一ポイント減少しております。この結果、運用収入は三千二百二十五万円で、前年同期と比べ百六十九万円減少しております。
 二ページをお開きください。運用商品別内訳でございます。
 表頭の期中平均残高の構成比の欄をご覧ください。
 表側の一段目、歳計現金等及び三段目、準公営企業会計資金につきましては、預金が一〇〇%となっております。
 表側二段目の基金につきましては、預金が七二・七%、債券が二六・九%、その他が〇・五%となっております。
 三ページ目をご覧ください。ここでは、平均残高及び利回り推移についてグラフでお示しをしております。
 四ページをお開きください。金融機関種別預金内訳でございます。
 表頭の期中平均残高のうち、構成比をご覧ください。
 表側の一段目、歳計現金等につきましては、都市銀行が一〇〇%となっております。
 表側の二段目、基金及び三段目の準公営企業会計資金につきましては、都市銀行、信託銀行、地方銀行等、外国銀行に、記載の割合で預金をしております。
 五ページ目をお開きください。基金と準公営企業会計資金の金融機関種別預金内訳推移についてグラフでお示しをしております。
 続きまして、六ページをお開きください。債券種別内訳でございます。
 保有があるのは基金のみでございます。
 表頭の期中平均残高のうち、構成比をご覧ください。
 国債が七・三%、地方債が三九・八%、政府保証債が〇・八%、財投機関債等が三六・九%、金融債が一四・一%、外債が一・〇%となっております。
 このほか、参考資料といたしまして、八ページから一〇ページにかけまして、第一・四半期及び第二・四半期の状況をお示ししております。
 最後に、公金管理につきましては、引き続き、安全性を最重要視し、流動性を十分に確保した上で、柔軟かつ効率的な保管、運用を行ってまいります。
 以上をもちまして報告事項の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○ほっち委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○吉村財務局長 第四回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料、令和四年第四回東京都議会定例会提出予定議案件名表をご覧いただきたいと存じます。
 今回提出いたします議案は十件でございまして、予算案一件、契約案七件、事件案二件でございます。
 初めに、予算案についてご説明申し上げます。
 資料第1号、令和四年度十二月補正予算(案)についてをご覧願います。
 まず、1の補正予算編成の考え方でございますが、今回の補正予算は、物価高から都民の暮らしを守るとともに、都の環境政策を新たなステージへと導くための歩みを加速させ、希望ある未来を切り開くため、予算措置を行うものでございます。
 一ページおめくりいただき、二ページをご覧願います。
 次に、2の財政規模でございますが、今回の補正予算の規模は、一般会計で一千十三億円、公営企業会計で十五億円、合計で一千二十八億円でございます。
 恐れ入りますが、最初の件名表にお戻り願います。
 契約案でございますが、今回提出いたします七件の内訳は、建築工事が四件、設備工事が二件、土木工事が一件でございます。契約金額の総額は約二百十四億円でございます。
 次に、事件案でございますが、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について及び当せん金付証票の発売についてでございます。
 以上が提出を予定しております議案の概略の説明でございます。
 詳細につきましては、それぞれ所管の理事及び部長からご説明いたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○田中理事 それでは、私から、資料第1号、令和四年度十二月補正予算(案)についてご説明申し上げます。
 まず、一ページ、1の補正予算編成の考え方と、一ページおめくりいただきました二ページ上段の、2の(1)、補正予算の規模につきましては、ただいま局長から説明いたしたとおりでございます。
 中段の(2)の補正予算の財源でございますが、内訳といたしましては、国庫支出金が百六十七億円、財政調整基金繰入金が八百四十四億円、地域医療総合確保基金繰入金が二億円でございます。
 下段をご覧ください。以降が、今回の補正事項の一覧でございます。
 まず、Ⅰ、都民生活・事業者への支援等には五百二十七億円を計上しております。
 三ページをご覧ください。
 中段のⅡ、HTT・脱炭素化の強化には三百五十四億円を計上してございます。
 一ページおめくりいただき、四ページをご覧ください。
 上段のⅢ、新型コロナウイルス感染症対策等には百四十七億円を計上してございます。
 五ページをご覧ください。ここからが具体的な補正予算の内容でございます。
 まず、Ⅰ、都民生活・事業者への支援等でございます。
 表題の下、東京おこめクーポン事業では、物価高の影響を受けやすい低所得世帯の生活安定を図るため、お米などの食料品を支援いたします。
 一ページおめくりいただき、六ページ上段をご覧ください。
 一番上の私立幼稚園等における送迎バス等安全対策支援事業から区市町村立学校における送迎バス等安全対策支援事業まで及び都立学校における送迎バス等安全対策事業は、本年九月に発生した事故を踏まえ、送迎バスの安全装置の設置など、国の支援に加えて、都独自の対策を行うものでございます。
 七ページ上段をご覧ください。
 上から二つ目、海外展開企業の国内回帰等ニーズ発掘事業では、海外に展開している企業の国内回帰等に向けた動向を踏まえ、ニーズに応じた情報提供や支援策の提案等を行い、企業の事業継続を支援いたします。
 中段、三つ下をご覧ください。
 東京産食材の海外販路開拓では、円安を契機と捉え、海外における東京産食材のさらなる認知度向上や販路開拓に向けた魅力発信を実施いたします。
 一ページおめくりいただき、八ページ中段をご覧ください。
 Ⅱ、HTT・脱炭素化の強化でございます。
 表題の下、建築物環境報告書制度(仮称)推進事業では、新たな対応が必要となる事業者に対して、多様なビジネスモデルに適合した創意工夫を促進するため、設計、施工技術の向上等に係る取組を支援いたします。
 九ページ上段をご覧ください。
 上から三つ目、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業では、初期費用ゼロで太陽光発電設備等を設置する事業者に対して費用を助成し、利用料の減額等を通じて住宅所有者へ還元いたします。
 一ページおめくりいただき、一〇ページ下段をご覧ください。
 Ⅲ、新型コロナウイルス感染症対策等でございます。
 その下、障害者(児)の受入れ促進事業では、重度の心身障害者(児)を入院、転院により受け入れた医療機関に対し、受入れ謝金を加算いたします。
 一一ページ上段をご覧ください。
 上から二つ目、高齢者等医療支援型施設の設置・運営では、介護度の高い高齢患者を受け入れる施設を新たに開設するとともに、旧府中療育センターを活用した専用医療施設を高齢者等医療支援型施設に転換いたします。
 次ページ以降でございますが、こちらには、会計別総括表、局別総括表及び補正予算案の議案を添付してございます。
 補正予算案の説明は以上でございます。
 続いて、事件案につきまして、お手元の資料第5号、当せん金付証票の発売についてご説明申し上げます。
 これは、当せん金付証票、いわゆる宝くじの令和五年度の発売に関する議案でございます。
 議案の中ほどの記書きにあります発売の目的にございますように、公園整備等の費用の財源に充当するために発行するものでございまして、令和五年度の発売限度額を一千七百十一億円と定めるものでございます。
 裏面にご参考として条文を掲載してございますが、当せん金付証票法第四条第一項の規定に基づきご提案するものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○五十嵐経理部長 私からは、まず、議会局及び財務局所管の令和四年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号、令和四年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。令和四年度一般会計補正予算議会局・財務局総括表でございます。
 今回の補正は財務局のみでございまして、表中の補正予算額欄の下から三段目にございますとおり、特定財源を八百四十四億一千九百万円余計上してございます。
 次に、二ページをお開き願います。今回の補正予算事業別説明でございます。
 番号1、一般歳入は、今回の補正予算の各局事業の財源として、財政調整基金からの繰入金を八百四十四億一千九百万円余計上してございます。
 次に、三ページをご覧ください。財務局合計でございます。
 今回の補正により、歳入予算は、表の右端、下から三段目の特定財源計欄にございますとおり、既定予算額と合わせまして、一兆百四十六億三千百万円余となります。
 なお、歳出予算は変わらず、表の右端、上から五段目の歳出計欄にございますとおり、六千二百八十七億三千二百万円でございます。
 以上で令和四年度補正予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、第四回定例会に提出を予定しております工事請負契約議案の概要について、資料第3号によりご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。工事請負契約議案一覧でございます。
 1の総括をご覧ください。今回ご審議いただきます契約議案は、右側の計の欄のとおり、合計七件、契約金額の総額は二百十三億九千五百九十五万七千円でございます。
 次に、2の案件別の表によりまして、概要についてご説明いたします。
 番号1は、墨田区横網一丁目地内におきまして、東京都江戸東京博物館の改修工事を施行するものでございます。
 番号2から番号4は、いずれも都営住宅を建設するもので、番号2は、江戸川区平井三丁目地内、番号3は、練馬区石神井台四丁目地内、番号4は、江戸川区下篠崎町地内におきまして、それぞれ施行するものでございます。
 番号5及び番号6は、先ほどご説明しました東京都江戸東京博物館の改修工事に伴う設備工事を施行するもので、番号5は、電気設備工事、番号6は、給水衛生設備工事でございます。
 番号7は、青梅市天ヶ瀬町地内から同市裏宿町地内にかけまして、主要地方道新宿青梅線の擁壁築造工事を施行するものでございます。
 次に、契約の方法でございますが、提出予定の七件につきまして、いずれも一般競争入札によるものでございます。それぞれの契約金額及び契約の相手方は、表の右側に記載のとおりでございます。
 一枚おめくりいただきまして、二ページから五ページにかけまして、案件ごとに件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載しておりますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 また、各案件の入札経過等につきましては、六ページ以降に記載しておりますので、併せてご覧いただきたいと思います。
 以上が今回提出を予定しております契約議案の概要でございます。
 続きまして、同じく今定例会に提出を予定しております事件案の概要につきまして、資料第4号によりご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております事件案は、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結についてでございます。
 この議案は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第十二条の規定に基づきまして提出を予定しておりますもので、江戸川区臨海町六丁目地内に既存施設とは別に建築する建物に水族園機能を移すことにより、新水族園を整備し、維持管理するものでございます。
 契約の相手方は、株式会社東京シアトリエでございます。契約金額は四百三十一億四千四百三十八万六千七百六十二円でございます。
 以上が今回提出を予定しております事件案の概要でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○池川委員 予算の関係で、各種基金の残高状況についてよろしくお願いいたします。

○ほっち委員長 ほかにございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 ただいま池川理事から資料要求がありました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で財務局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより主税局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○小林税制調査担当部長 先般、東京都税制調査会において取りまとめられました報告について、その概要をご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、令和四年度東京都税制調査会報告の概要をご覧いただきたいと存じます。
 報告の構成ですが、ローマ数字Ⅰ、税制改革の視点と、ローマ数字Ⅱ、税制改革の方向性という二段構成となっております。
 まず、ローマ数字Ⅰ、税制改革の視点ですが、1、基本的視点といたしまして、(1)、少子高齢・人口減少社会、(2)、地方分権改革の推進、(3)、財政の持続可能性の確保、(4)、地方税体系の在り方、(5)、所得格差に対応した税制、(6)、税制のグリーン化、2、時代の変化に対応した視点といたしまして、(1)、新型コロナウイルス感染症による経済・社会への影響、(2)、国際情勢等による影響、これらの視点を踏まえて検討いただいております。
 次に、ローマ数字Ⅱ、税制改革の方向性についてご説明申し上げます。
 1、環境関連税制といたしまして、まず、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するため、再生可能エネルギーへのシフトや省エネ等を念頭に、カーボンプライシングの取組を推進していく必要があるとしております。
 次に、地球温暖化対策のための税について、税率水準が諸外国と比べて著しく低いことから、税率引上げの早期実現に向けた取組を加速すべきとしております。
 次に、車体課税について、CO2排出量基準の導入を速やかに検討すべきであり、中長期的な方向性として、例えば、課税標準を車体重量もしくは走行距離に、またはCO2排出量、重量、走行距離の組合せとする方法を検討する必要があるとしております。
 次に、住宅に係る税制全般について、軽減措置の対象を環境性能の高い住宅に重点化し、その普及を促進していく必要があるとしております。
 続きまして、2、税務行政のDXといたしまして、納税者の利便性を向上するために、一度提出した情報は二度提出することを不要とするワンスオンリーを実現していくことが重要であり、法令等の見直しを通じて、バックオフィス連携を推進していかなければならない。
 また、税務情報の連携のため、連携データの標準化を行うなど、具体的な取組を進めていく必要があるとしております。
 ページを一枚おめくりいただきまして、二ページ目をご覧いただきたいと存じます。
 3、個人所得課税といたしまして、まず、個人住民税について、納税者の負担感の軽減及び適正、公平な税負担の観点から、現年課税化することが望ましいため、制度そのものの在り方やデジタル技術の活用等について検討を進めていくべきとしております。
 次に、ふるさと納税について、地方税における受益と負担との関係をゆがめる制度であり、抜本的に見直し、寄附金税制本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとしております。
 次に、個人事業税について、ビジネスや働き方の多様化が進む中、法定対象事業の限定列挙方式を時代に即して早急に見直しを行うとともに、事業性の認定の仕組みを納税者に分かりやすく簡素化すべきとしております。
 最後に、4、地方法人課税といたしまして、まず、法人事業税の外形標準課税の適用基準について、中小法人の負担に十分配慮しつつ、法人の規模、活動実態等を的確に表すものとして、資本金以外の指標も組み合わせること等を検討すべきとしております。また、分社化への対応として、大法人の子法人を外形標準課税の適用対象にすることも考えられるとしております。
 次に、国際課税ルールの見直しに伴う日本国内での税収の帰属の在り方について、社会インフラの整備を進めてまちづくりを担う地方自治体に税収を帰属させる意義があるとしております。
 次に、ウェブ3・0等、デジタル技術を駆使した企業活動から生まれる所得に適切に課税を行う一方で、そうしたビジネスを展開するスタートアップが我が国で活動しやすい環境を整備することも課題であるとしております。
 最後に、国が偏在是正の名の下に講じてきた地方法人課税における国税化措置は、地方自治体の自主財源である地方税を縮小するものであり、受益と負担の対応性を重視する地方税の原則に反するため、そのような偏在是正措置を行うべきではないとしております。
 説明は以上でございます。
 なお、お手元に、資料第2号、令和四年度東京都税制調査会報告本文をお配りしておりますので、後ほどご覧いただきたいと存じます。

○ほっち委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑と併せて行いますので、ご了承願います。
 なお、事務事業については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○上林山総務部長 去る十月十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第3号、財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。
 今回要求のございました資料は四件でございます。順番にご説明を申し上げます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、資本金区分別法人数及び法人都民税・事業税額の推移でございます。
 この表は、資本金一億円未満、一億円以上十億円未満及び十億円以上の区分別に、法人数及び法人都民税額、法人事業税額の五年間の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、都税の滞納整理における差押件数でございます。
 この表は、都税の滞納整理における差押件数を五年度分お示ししたものでございます。
 続いて、三ページ及び四ページの要求資料第3号、東京都における超過課税及び主な軽減措置でございます。
 この表は、現在、都で実施している超過課税及び主な軽減措置について影響額等をお示ししたものでございます。
 次に、五ページの要求資料第4号、都税事務所(主税局単独庁舎)の床面積と年間の光熱費の一覧、各施設に導入している主な省エネ再エネ技術の内容でございます。
 この表は、主税局単独庁舎である都税事務所の床面積と光熱費の令和三年度実績及び各施設に導入している主な省エネ、再エネ技術をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○土屋委員 事務事業質疑を始めるに当たり、私からは、まず、令和三年度の都税収入に関して伺います。
 現下のコロナ禍において、令和二年度の都税収入の落ち込みにより、一時的には心配されましたが、国や都における各種政策の効果などにより、令和三年度の都税収入は五兆八千四百七十九億円と二年ぶりの増収となったわけですが、今後、万全かつ適切な感染症対策の下、この新型コロナで傷んだ暮らしや事業を支えるためにも、安定した都税収入は必要不可欠であります。
 こうした都税収入を支える税目は、法人二税のウエートが大きいとされていますが、令和三年度の税収が一兆円を超えた個人都民税も重要な基幹税目であるといえます。
 個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて徴収しているため、区市町村に対する支援が非常に重要となってくるわけですが、安定した都税収入を確保するためには、個人都民税の徴収率の向上が不可欠であり、そのため、都は、平成十六年度から、区市町村への支援を実施していると伺っています。
 そこで確認ですが、個人都民税の支援を開始してからの徴収率の推移についてお伺いいたします。

○小野特別滞納整理担当部長 都が、個人都民税対策として、区市町村の支援を開始した平成十六年度の徴収率は九一・三%、直近の令和三年度は九八・〇%であり、六・七%上昇しております。

○土屋委員 個人都民税の徴収率は、支援を開始した当初から比較すると上昇している。
 これは、これまで行ってきた都の区市町村支援が貢献しているといえるわけでありますが、そこで、都は、この間、区市町村に対して具体的にどのような支援を行ってきたのか伺います。

○小野特別滞納整理担当部長 都は、個人都民税の徴収率向上のため、区市町村の徴収困難な事案の引受けや都職員の派遣、区市町村から実務研修生の受入れなど、様々な支援を行ってまいりました。
 具体的には、令和三年度において、島しょ地域を含む四十五自治体から三百三十一事案の徴収困難事案を引き受け、都が直接滞納整理を行いました。
 また、都内の四つの自治体に職員を派遣し、十一の自治体から計十三名の実務研修生を受け入れたほか、都が持つ滞納整理ノウハウを生かした各種研修会や短期間で都の滞納整理の実務を体験する業務体験研修生を受け入れるなどの事業を行っております。

○土屋委員 様々な事業を通じて区市町村への支援を行っていることが確認できました。
 しかしながら、支援を開始してからおよそ二十年が経過し、区市町村におけるニーズも様々変化していると思われます。加えて、現下の新型コロナウイルスの影響やデジタル化の流れなど、徴収事務を取り巻く環境は大きく変化しているのではないかと思います。
 こうしたことを踏まえ、今後、区市町村への支援を強化していくためにも、区市町村のニーズを的確に捉え、柔軟に対応していくことが重要となる中、こうした観点から、現在の区市町村支援における課題と今後の取組についてお伺いいたします。

○小野特別滞納整理担当部長 平成十六年度からの都の区市町村支援等により、徴収率が上昇していることから、滞納整理に関する基準の策定や高額困難案件への解決策など、区市町村から、より専門的で、個別の課題への支援が求められています。
 加えて、コロナ禍等において、徴収困難な事案の滞納整理のノウハウの継承が難しいことや、徴収事務のDXの推進についても多くの要望が寄せられております。
 こうした様々な課題に幅広く対応するため、派遣自治体の拡充や相談体制の充実、DXに関する情報提供など、来年度に向けて、さらなる支援策を検討してまいります。

○土屋委員 区市町村における支援のニーズが様々であることが分かりました。
 今後も安定的な都税収入を確保していくため、個人都民税の徴収率を底上げすることが、都税全体の徴収率をさらに高めることになると考えますが、そのためにも、区市町村のニーズを的確に捉え、しっかりとした支援策を検討いただくことを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、東京都税制調査会の報告について伺います。
 東京都税制調査会は、国の税制調査会に伍して、東京から国の税制度を変えるという強い思いで、当時の石原知事の下、平成十二年に設置されたものであります。
 東京都という一自治体の枠にとらわれず、広く日本全体の税制度について先進的な議論を展開して、大局的な観点から提言を続けてきたのが、東京都税制調査会であります。学識経験者や区市町村長だけでなく、我々都議会の代表も一緒に議論を行い、時には国の税制度を動かすなど、大きな役割を担ってきました。
 税制度をどうするかについては、国の権限が極めて大きいものがありますが、住民サービスを実践する地方自治体が、より納税者に近い目線を持った上で、税制に関する様々な提言を行うことは極めて重要だと考えます。
 実際に、これまで東京都税制調査会が提言したもののうち、外形標準課税の導入や所得税から住民税への税源移譲など、政策として実現した例もあったりと、その時々の課題を先取りし、税制上の課題や社会経済の状況を踏まえて議論している東京都税制調査会であるわけですが、今年度の報告で、私は、特に喫緊の課題である環境関連税制や税務行政のDXの提言に注目しております。
 そこで、これら環境関連税制や税務行政のDXが検討された背景について伺います。

○小林税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会で、まず、環境関連税制が検討された背景ですが、世界的に脱炭素化に向けた動きが加速する中で、環境重視の社会経済を構築していくためには、環境負荷に応じて負担を求める、環境負荷をコスト化しその抑制を図るなど、税制の一つの基軸に環境を据え、税制のグリーン化を推進していくことが不可欠との課題認識から検討が行われたものでございます。
 また、税務行政のDXが検討された背景でございますが、政府をはじめ、これまでも税務行政のDXに取り組んできた中、新型コロナウイルス感染症の拡大により、行政のDXの遅れが浮き彫りになったこともあり、デジタル技術を活用した手続の簡素化や業務の抜本的見直しを伴う税務行政のDXが不可欠であるという認識の下、検討が行われたものでございます。

○土屋委員 環境とDXという、まさに時宜にかなったテーマであり、引き続き、東京都税制調査会での議論を深めてほしいと思います。
 さて、今月六日から二十日にかけて、エジプトのシャルム・エル・シェイクで、国連気候変動枠組条約第二十七回締約国会議、いわゆるCOP27が開催され、日本からも環境大臣が参加し、日本の気候変動対策の取組について説明を行ったところであります。
 地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、二〇一五年にパリ協定が採択されて以降、現在、百五十の国と地域が二〇五〇年までのカーボンニュートラルにコミットし、世界中で脱炭素化に向けた動きが加速している。
 そうした中、政府は、カーボンニュートラルの実現にも貢献しながら、産業競争力の向上を目指すグリーントランスフォーメーションを推進するため、今後十年間で、官民合わせて百五十兆円の投資額が必要とし、その呼び水として、GX経済移行債二十兆円を調達するとしています。
 その償還財源として、カーボンプライシングが議論されていますが、今回の東京都税制調査会では、カーボンプライシングについてどのように述べているのかお伺いいたします。

○小林税制調査担当部長 カーボンプライシングについて、東京都税制調査会の報告では、炭素に価格をつけ、排出者の行動を変容させる政策手法であり、エネルギー起源CO2排出量を着実に抑制していくためには、今後はより一層、化石燃料に対して、CO2排出量に応じた税負担を求めていく必要があるとしております。
 また、EUでは、炭素国境調整措置の創設に向けた検討が進められており、我が国がカーボンプライシングへの取組をちゅうちょしていては、日本企業の国際競争力にも影響が生じるおそれがあるとしております。
 ただし、地球温暖化対策のための税の税率引上げに当たっては、産業の国際競争力及び炭素リーケージの懸念、家計への負担増加の影響等を考慮しつつ、適切な措置を講じていく必要があるとしております。

○土屋委員 世界の流れに日本が後れを取らないよう、カーボンプライシングの取組を推し進めていくことが重要でありますが、一方で、エネルギーや原材料価格が高騰し、都民、国民の暮らしや経済活動に広く影響が及んでいることも配慮しなければならない。そうしたことからも、カーボンプライシングの手法やタイミングなどについては、国の議論が深まるよう、東京都税制調査会の提言を活用し、速やかに国に働きかけていただきますようお願いいたします。
 次に、税務行政のDXですが、納税者の立場から見ると、各種オンラインによる手続や、クレジットカード、QRコードなどによるキャッシュレス決済など、非接触型サービスにより、随分便利になってきたなと感じるところではありますが、しかし、コロナ禍において実施された各種給付金については、イギリスや韓国などでは迅速に支給されたようではありますが、日本では、行政のデジタル化が十分に進んでいなかったことにより、給付に時間を要し、改めて我が国の行政のDXが遅れていることが明るみになりました。
 DXを推進するためには様々な課題があると思いますが、関係者間でデータを連携することは重要であると考えます。
 そこで、バックオフィス連携をすることのメリットについて、今回の東京都税制調査会の報告ではどのように述べていたのかお伺いいたします。

○小林税制調査担当部長 バックオフィス連携によるメリットでございますが、東京都税制調査会の報告では、行政機関等が保有する情報をバックオフィス連携することで、納税者の利便性向上及び行政機関等の手続の効率化に資するとしております。
 例えば、現在、納税者が助成金の受給や融資の申込みをする際、納税証明書が必要となりますが、こうした証明書を入手するためには、最寄りの都道府県税事務所や区市町村に赴き、さらに、ほかの行政機関に提出するなど、手間がかかってございます。
 これが、バックオフィス連携により、行政機関等に納税データが提供されれば、納税証明書発行手続が不要となるため、納税者及び行政機関双方にとって省力化となり、メリットは大きいと指摘しております。

○土屋委員 納税者にとり、仕事や家事、子育て、介護と、毎日忙しい日中を過ごす中で、複数の行政機関に赴かなければいけないことは非常に煩雑であります。
 私自身、幼少期から様々な国に住む機会がありましたが、その多くの国では、早くから共通番号が導入され、行政手続のほとんどが一回で済むワンストップ化が実現されています。
 例えばですが、シンガポールでは、政府が提供する専用のウェブサイトで一度個人情報を登録すれば、ほかのサービスの利用時には個人情報が自動入力されるといった仕組みが普及しています。多くの行政サービスはもちろん、金融機関での口座開設やクレジットカードの申請など、民間企業のサービスでも利用ができ、大変便利なものとなっています。
 このように、日本においてもバックオフィス連携を実現することが急務であると考えます。
 そこで、バックオフィス連携を実現するために、東京都税制調査会ではどのような提言を行っているのかお伺いいたします。

○小林税制調査担当部長 東京都税制調査会の報告では、バックオフィス連携を実現するために、まず、マイナンバー法などの適用拡大が必要であるとしております。
 具体的には、現行のマイナンバー法では、マイナンバーを含む個人情報の目的外利用は厳格に禁じられ、提供が認められるのはマイナンバー法が列挙する場合に限られているため、税務情報の提供に当たっては、マイナンバー法等を改正し、範囲を拡大する必要があるとしております。
 そのほか、情報連携をタイムリーに行うことや連携データを標準化することについても提言しております。

○土屋委員 ありがとうございます。
 法制度の課題や連携データの標準化など、バックオフィス連携の実現に向けて、クリアすべきハードルを示していただいているわけでありますが、今後、法改正やシステム面での環境整備が速やかに進みますよう、国とも十分連携し、そして、国の動きを後押しすることを求めまして、次の質問に移ります。
 次ですが、主税局におけるDXを推進するに当たり、この大きな柱の一つ、次期税務基幹システムの構築は重要な取組であります。
 昨年度の事務事業質疑においても、システム構築の必要性と都民のメリットについて、我が会派からの質疑を行い、現行の閉鎖的なシステムからオープンなシステムに転換することで、納税データのバックオフィス連携を実現するなど、都民の利便性向上につながるシステムを目指していることを確認させていただきました。
 令和八年度の運用開始に向けたスケジュールとして、今年度以降、幾つかの事業者選定を行うことになっています。今年度は、そのうちの一つ、システムの根幹をなす税務アプリケーションを開発する事業者を決定し、開発作業に着手する予定と聞いております。
 そこでまず、税務アプリケーションの開発に関し、事業者選定の状況と今後の取組についてお伺いいたします。

○齋藤調整担当部長 次期税務基幹システムにおいて、重要なアプリケーション開発の事業者決定に当たりましては、総合評価方式による入札を採用し、一者から技術提案及び入札があり、九月に落札者として決定いたしました。
 今後は、アプリケーション開発事業者と連携し、税務アプリケーションの骨格となる基本設計業務を来年度上半期までに完了させ、引き続き、令和八年度の稼働に向けた開発を計画的に進めてまいります。

○土屋委員 九月に入札を実施し、税務アプリケーションの開発事業者を決定。入札に参加した事業者は一者のみということでありますが、都の税務基幹システムの規模は、国レベルのシステムに匹敵するほど大きいシステムだと聞いております。
 一般的に、巨大なシステムでは、その規模や複雑性ゆえに、入札の前提となるシステムの調達仕様の段階で、特定の事業者に受注が限定されてしまう、いわゆるベンダーロックインの状態に陥りやすい傾向にあるといわれていますが、今回の入札の結果が一者であったということから、ベンダーロックインではなかったのかと懸念するところであります。
 そこで、今回の受託事業者の選定に当たり、いわゆるベンダーロックイン対策など、競争性や透明性の確保についてどのような取組を講じたのかお伺いいたします。

○齋藤調整担当部長 税務基幹システムの構築に伴う仕様書の作成に当たり、機能を過度に盛り込むことや特定の事業者以外は対応できない要件を作成することのないよう、当該調達への参加制限を条件に契約したITコンサルタント企業による専門的かつ第三者の視点に立った助言を受けました。
 あわせて、デジタルサービス局からのセカンドオピニオンの聴取や要件定義アセスメントでの評価を受けました。
 また、入札手続前に仕様を公開して、広く一般の事業者から意見を公募いたしました。
 さらに、入札手続においては、システム開発の知見を有する学識経験者を交えて技術審査委員会を開催し、技術提案書の審査を行うなど、重層的なチェックを通じて競争性や透明性の確保を図りました。

○土屋委員 今ご答弁いただきましたように、仕様の作成に当たり、専門的なITコンサルティング企業などの支援を受け、仕様を公開して広く事業者から意見を聞き、入札の際には、技術提案書の評価に学識経験者を加えるなど、ベンダーロックインの回避をはじめ、競争性、透明性の確保に向けた様々な取組を行ってきたことは分かりました。
 税務基幹システムの再構築に当たっては、今後も事業者選定の手続があると聞いていますが、事業者の選定に当たっては、引き続き、競争性、透明性の確保に努めていただきますようお願いいたします。
 さて、アプリケーション開発事業者が決定し、本格的に開発がスタートするということですが、次期税務基幹システムの稼働は令和八年度と、完成までにおよそ四年を要するというのはかなり長期間の開発であると感じます。
 ICTの世界は、技術革新の変化が速く、今の技術で構築するシステムが、四年後には陳腐化してしまい、環境の変化に十分に対応することが難しくなるのではないかと懸念するところであります。
 そこで、税務基幹システムの構築において、日進月歩の技術革新に対しどのように対応していくのかお伺いいたします。

○齋藤調整担当部長 次期税務基幹システムの構築におきましては、今後、活用が見込まれる技術、例えば、AIを活用した税務調査支援や、入力事務等の反復作業を自動化するRPAを導入するよう検討を進めており、今後の基本設計や調達に反映してまいります。
 また、新たに開発された技術やサービスなども柔軟に取り入れやすく、今後、進展するデジタル化に対応できるシステムを構築してまいります。

○土屋委員 現在の技術や業務をそのままシステム化するわけではなく、今後、発展していく技術を導入し、また、その後に開発された技術に対しても導入しやすくする柔軟性のあるシステムを構築するとのことで、安心いたしました。
 AIなどの先端技術は、この先どのように発展していくか見えないところがありますが、そうした技術も積極的に取り入れていき、改善を図りながら、システムとしての成熟度を上げていくことは大変重要なことであります。
 今後、都が、都民や税務事務従事者にとって利便性の高いシステムとなるよう着実に開発を進めていただくことを求めますが、そうした中で、特に税務行政の最前線である都税事務所についても大きな変化が生じるのではないかと思うところであります。
 そこで、次期基幹システム再構築後の都税事務所の役割はどうなることを目指しているのか伺います。

○上林山総務部長 主税局ビジョン二〇三〇では、税務事務のDXを推進することで、各種税務手続における電子申請等を実現し、来庁不要のサービス提供を充実させるバーチャル都税事務所の実現を目指しております。
 一方で、デジタル機器に不慣れな方や複雑な相談への対応は、都税事務所の窓口において、きめ細かく行う必要がございます。
 加えて、超高齢社会における大相続時代の到来や外国人納税義務者数の増加などにより、複雑化、困難化した業務に専門性の高い調査が必要となるなど、引き続き、公平、公正な賦課徴収を行っていくため、都税事務所の役割を果たしてまいります。

○土屋委員 税務行政のDXを推進する一方で、都税事務所では、いわゆるデジタルデバイドへの対応を丁寧に行っていくことや、複雑化、困難化する業務に対して専門性の高い組織の実現を目指していくとのことで、主税局ビジョン二〇三〇、この中で主税局が目指す納税者へのQOS向上や税務行政の構造改革をしっかりと実現していっていただきたいと思いますが、近年の社会情勢は、目まぐるしく変化しているところであり、この変化に応じ、迅速に施策を展開していくこともまた求められているわけであります。
 主税局ビジョン二〇三〇に掲げている都民へのQOS向上に向けた施策の効果を早期に都民に届ける必要があると思いますが、そこで、局長の決意をお伺いいたします。

○小池主税局長 主税局では、昨年度、二〇三〇年における税務行政のあるべき姿を示した主税局ビジョン二〇三〇更新版を策定し、主税局が目指す二つの柱として、納税者へのQOS、サービスの質の向上と税務行政の構造改革を掲げ、これらを実現するためにDXを推進しているところでございます。
 都においては、本年七月に、シン・トセイ加速化方針二〇二二が公表され、事務事業をスピードアップする方針が示されるなど、デジタル技術の活用を通じて構造改革の取組を爆速で進めていくこととしております。
 税務行政のデジタル化に伴う都民へのQOS向上には、令和八年度に向けた次期税務基幹システムの再構築を進めることに加え、令和二年度からスマートフォン決済アプリを利用したキャッシュレス納税を、昨年度から証明書の電子申請を新たなサービスとして開始し、都民の利便性向上に資する取組を実現してまいりました。
 さらに、今年度は、証明書の電子申請について、新たにスマートフォンからの申請や代理人による申請のサービスを開始できるよう、現在準備を進めております。
 今後とも、都税事務所など現場を多く持つ主税局の強みを存分に生かして、現場における納税者のニーズを的確に捉えるとともに、新たなデジタル技術を積極的に活用し、都民へのさらなるQOS向上に資する取組を、スピード感を持って全力で推進してまいります。

○土屋委員 ありがとうございます。
 税務行政のデジタルトランスフォーメーションの実現のために、国や他自治体、関係団体とも連携し、納税者誰もがデジタル化で利便性向上を実感できるよう、より質の高い税務行政の実現のために、主税局一丸となって取組を進めていただくよう求めまして、私の質問を終わります。

○おじま委員 よろしくお願いいたします。
 まずは、ふるさと納税について伺いたいと思います。
 創設をされてもう十年以上がたつ制度でありまして、私もこの財政委員会で以前も質問をしたことがあるんですけれども、まずは、このふるさと納税の概要について、改めて伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 いわゆるふるさと納税は、個人がふるさとやお世話になった地方自治体を応援する仕組みとして創設された個人所得課税における寄附金控除でございます。
 納税者が地方自治体へ寄附を行った場合、寄附額のうち二千円を超える部分について、所得税及び住民税から全額が控除される仕組みとなっております。
 また、令和元年六月からは、ふるさと納税の対象となる自治体を国が指定する制度が導入され、指定の基準として、返礼品を送付する場合は、返礼割合が寄附額の三割以下の地場産品に限るなどの要件が設けられました。

○おじま委員 今のご答弁だと、個人がふるさとやお世話になった地方自治体を応援する仕組みとして創設されたということであります。趣旨としては大変すばらしいとは思うんですが、一方で、果たして本当にそうなっているんですかというところだと思います。
 私自身は、ふるさと納税というのをやったことがないので、見たこともないんですけど、ポータルサイトとかもあって、簡単な手続で、クリックをしたら返礼品が送られてくるみたいな、官製ネットショッピングなのではないかという批判もあるのが事実だと思います。
 ご答弁も、さっきあった寄附額の三割以下の地場産品に限るというふうに、今はそうなっているんですけど、ひどいときは、某サイトで使えるギフト券を返礼品にしているような自治体もあった、これも事実であります。
 ということで、かなり本来の趣旨というのとずれてきているんじゃないかと思うんですが、改めて、ふるさと納税の創設の経緯について伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 ふるさと納税の創設の経緯についてでございますが、納税者が、ふるさとに対して応援や貢献ができる税制上の方策を検討するため、平成十九年に、総務省にふるさと納税研究会が設置されました。
 当初、研究会では、個人住民税の一部を納税者の選択により、他の地方自治体に納付する仕組みが検討されておりましたが、個人住民税は、地方自治体がその住民に対して課税するものであるため、住所地以外の自治体が個人住民税を課税することはできないとされました。
 そのため、税として納付する仕組みではなく、納税者が地方自治体に寄附を行った場合に、一定割合を控除する寄附金税制を拡充する方向で検討すべきとの結論が出されました。
 その後の検討を経て、平成二十年度税制改正において、個人所得課税の寄附金税制として、ふるさと納税が創設されたものでございます。

○おじま委員 今ご答弁にもあったとおり、税として納付をするのではなくて、寄附控除もされる、しかも返礼品ももらえるということで、大変人気の制度になったんだと理解をしています。
 そこで、ふるさと納税による都と都内の区市町村の税収への影響額について伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 令和四年度分の個人都民税におけるふるさと納税の影響額は、総務省の調査によると、東京都が約五百七十一億円の減、都内区市町村は約八百五十七億円の減、合わせて約千四百二十九億円の減となっております。

○おじま委員 東京都の分と都内区市町村の分と合わせて千四百二十九億円ということで、かなりのダメージだということが分かりました。
 東京都に入らなかった五百七十一億円というのは、これは、本来都の行政サービスのために使われるべき五百七十一億円であって、あるいは区市町村に入らなかった八百五十七億円というのも、これも、本来区市町村の行政サービスのために使われるべき八百五十七億円だと思います。
 現状が税の在り方として正しいのかどうか、これは決して、私としては、あるべき姿じゃないんじゃないかなというふうに思うんですが、都としては、どういうふるさと納税に対するスタンスなのか。
 ふるさと納税に対する都の見解について伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 ふるさと納税は、個人がふるさとやお世話になった地方自治体を応援する仕組みとして創設されたものでございます。
 しかし、現状においては、地域の活性化に資する面もある一方で、より多くの寄附金を集めるための返礼品競争が続いており、寄附本来の趣旨を促す制度となっておりません。
 また、税制面から見ても、本来行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、寄附金を通じて他の自治体に移転しており、受益と負担という地方税の原則に照らしても適当ではありません。
 さらに、所得に応じて控除額の上限も高くなる仕組みとなっているため、返礼品と相まって、高所得者ほどふるさと納税を事実上の節税対策として活用することは可能であり、公平性の観点からも問題があると考えております。
 加えて、ワンストップ特例は、国税である所得税から控除すべき税額について、居住地の地方自治体の住民税から控除する制度であり、本来国が負担すべき税収減が転嫁されているという問題もございます。
 こうしたことから、都は、ふるさと納税について、寄附本来の趣旨等を踏まえた見直しを行うべきと考えております。

○おじま委員 ただいま、るるご答弁をいただきました。受益者負担の原則という観点からも、あるいは公平性の観点からも問題があるということであります。これは本当にそのとおりだと思うんですが、では、それに対する対策というのはできないのか。
 問題があると考える、あるいは見直しを行うべきと考えるだけでは、これは対策にはならないと思うんですが、今後どうしていくのか。ふるさと納税に対する都の対応について伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 都は、ふるさと納税が創設された平成二十年度当時から、行政サービスの受益関係で課税されている住民税の性格上、問題があることを繰り返し主張してまいりました。
 また、平成二十七年度からは、ワンストップ特例制度に伴う地方自治体の税収減に対する財源について、令和元年度からは、ふるさと納税制度の見直しについて、国に要求しております。
 加えて、令和元年六月から、ふるさと納税の対象となる自治体を国が指定する制度が導入されていますが、こうした問題点が解消されていないことから、都は当初から、指定を受けるための申出は行っておりません。
 ふるさと納税制度の見直しにつきましては、寄附金税制の本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとした東京都税制調査会の報告も踏まえ、今後しっかりと国に求めてまいります。

○おじま委員 実は私も今年度の都税調の委員になっていて、先日、報告がまとめられたところなんですけど、ふるさと納税に関しては、抜本的に見直すべきというふうに言及をされています。
 具体的にいうと、国が、ふるさと納税を全国一律の制度として適用するのではなく、各地方自治体が、税額控除を行うか否かを独自に決定できる制度とすることが考えられるというふうにも報告に書かれておりました。もちろん税制というのは、国マターなので、都の判断だけでは変えられないし、あるいは、ふるさと納税によってメリットを享受している地方も多いわけでありまして、それと相対すると、やはり多勢に無勢なところもあるんですけど、ぜひ都としては、踏み込んだ、さらに踏み込んだ対策を行っていただきたいということを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次、競馬に関連する税制について伺っていきたいと思います。
 まず、競馬の馬券の払戻しというのは、所得税と住民税においてどういう取扱いになっているのかについて伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 競馬の馬券の払戻金は、一般的には一時所得として取り扱われます。
 ただし、例外として、ソフトウエアを使用するなど一定の購入パターンに従って、偶然性の影響を少なくするために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間の収支で利益を得られるよう工夫しているような場合には、雑所得に該当するとされております。

○おじま委員 一般に購入するのと例外とで一時所得なのか雑所得なのかというのが決まるというご答弁だったんですけど、では、一時所得と雑所得では、競馬の馬券の払戻しに係る所得というのを算出するに当たって、どういう違いがあるのかについて伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 一時所得は、総収入金額からその収入を得るために支出した金額で直接要したものを控除するとされており、当たり馬券の購入費用は必要経費として控除できますが、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないこととなっております。
 雑所得は、総収入金額から必要経費を控除するとされており、当たり馬券だけでなく、外れ馬券の購入費用も必要経費として控除できることとされております。

○おじま委員 馬券の払戻金は、一般的には一時所得となって、当たり馬券の分しか控除ができない。けれども、専門のソフト、プログラムを使ってやるような、全部のレースを購入するとか、こういう極めて限られたケースにおいては雑所得になって、外れ馬券の分も控除ができるということだと理解をしています。
 この一時所得の取扱いというのを具体的に申し上げると、例えば、百円の馬券を十パターン買って、総額千円を支払って、そのうち一つだけが当たって千二百円戻ってきたという場合に、これは、収入は千二百円で、経費が当たり馬券の購入費だった百円だけとなるので、差引きの千百円に税金がかかってくるということになります。
 一方で、一般的に馬券を買う人というのは、購入した額と払い戻されてきた額、ここを比較して、勝ったとか負けたとかいうふうに楽しむものでありまして、さっきの例でいうと、千円買って、千二百円戻ってきているので、この差引きの二百円分が勝ったということになるわけであります。
 今日、何でこんなことを質問しているかというと、私の知人に、インスタントジョンソンのじゃいさんという芸人さんがいまして、その人は、プロとして競馬をやっていて、テレビとか、あるいはユーチューブとかで発信して人気を博しているんですけれども、この間、外れ馬券の分について経費として控除をするという確定申告をしたところ、国税庁から数千万円の追徴課税が来まして、破産寸前まで行くという事件があったんですけど、この件、メディアとかインターネット、SNSで大変話題になりまして、要は、これは二重課税なんじゃないかということであります。私もその話を聞いて、そうだなというふうに思ったんですが、これは、競馬税制の税務上の取扱いというのが、国民とか都民が持っている感覚というのとずれている、かけ離れているということなのではないかと思っております。
 この問題そのものについては、私も、今後もしっかり取り組んでいきたいと思っているんですけれども、この件に限らず、税というのは、国民、都民の理解、納得によって支えられているものでありまして、住民の納得感というのが極めて重要となっていると思います。
 東京都主税局では、都税事務所では最前線で税務行政の運用を行っていただいているわけでありまして、これら、今回の競馬の件だけじゃなくて、様々な場面において、都民の方々の納得感を常に念頭に置いていただきながら、主税局の使命である都税収入の確保に今後もしっかりと努めていただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○うすい委員 では、よろしくお願いいたします。
 私の方から、まず初めに、令和四年度東京都税制調査会の報告について質疑をさせていただきたいと思います。
 当然これは、都民の皆様の生活を守るため、また、新型コロナウイルス感染症対策や防災対策等の行政サービスを継続的に実施していくためには、その財源を安定的な税収によって支えていくことが重要であります。
 そのためには、景気変動にも耐え得る安定的な地方税制体系を将来にわたって構築していく必要があり、今年度の東京都税制調査会の報告においても、その基本的視点として指摘がされているところであります。
 こうした税収の安定化を図るものとして平成十六年度に導入されたのが、法人事業税の外形標準課税であります。
 そこで伺いますが、今年度の都税調で外形標準課税が取り上げられておりますけれども、その背景について答弁を求めます。

○小林税制調査担当部長 法人事業税の外形標準課税は、適用対象が資本金一億円超の法人とされておりますが、今年度の東京都税制調査会では、資本金を一億円以下に減資する企業が増えていることから、必ずしも資本金が法人の活動規模を表していないこと、資本金一億円超の法人が分社化し、事業の実態が変わっていないにもかかわらず外形標準課税の対象外となる場合もあることにより、公平性等の観点から問題があるため、法人の規模、活動実態等に応じた課税の在り方について検討が行われたところでございます。
   〔委員長退席、おじま副委員長着席〕

○うすい委員 ありがとうございます。
 新聞の報道によりますと、外形標準課税の対象法人は、平成十八年度に約三万社あったものが、令和二年度には三分の二に減ってしまい、こうした動きは減資によるものが多く、公平性や税収の安定性が損なわれるというふうに報道をされておるところでございます。
 先般、国の審議会は、令和五年度税制改正に向けた意見書を公表しまして、外形標準課税の見直しについて言及をしました。意見書で指摘されているとおり、大企業が形式的な減資を行うなど課税を避ける動きによって、税負担の公平性や税収の安定性が損なわれることも懸念されるわけでございます。
 一方で、二年半以上にわたるコロナ禍や長期化、深刻化する物価高騰等の影響によって、都内の中小企業は非常に厳しい状況に置かれておりまして、私の元にも、経営に苦しむそうした悲痛な声が日々寄せられております。
 外形標準課税の見直しに向けては、中小企業が置かれているこうした状況をしっかりと踏まえた上で、慎重な議論が必要だと思います。ぜひ、都においても、都内中小企業の実態を踏まえた検討を進めていただき、国に対して、必要な要望や提案を行っていただくことを求めておきます。
 次に、国際課税についてでありますけれども、GAFA等の巨大IT企業が、インターネットを通じ、国境を越えて利益を上げても課税することができないという問題があり、これまで都税調でも議論が行われてきたことは承知しているところであります。
 昨年の十月、OECDを中心に国際課税の新たなルールが策定されましたが、我が国でも、どのように税収を配分するか法整備等が進められているとのことであります。
 そこで伺いますが、都税調の報告では、地方自治体に税収を帰属させる意義があるとされておりますが、その根拠についてどのように述べられているのか、答弁を求めます。
   〔おじま副委員長退席、委員長着席〕

○小林税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会の報告では、企業の事業活動は、国及び地方自治体が整備する社会インフラを基盤として成り立っており、今後、道路、水道といった従来型のインフラのみならず、デジタルインフラなど、より拡大した概念になることが見込まれております。
 そのような新しい社会インフラの整備を進めるまちづくりは、デジタル産業をはじめとする様々な分野の企業活動に欠かせません。
 こうしたまちづくりについて、都市計画等を通じて具体的に進めていく役割を担うのは地方自治体であることから、国際課税の税収を地方に帰属させる意義があるとしております。

○うすい委員 ありがとうございます。
 答弁をいただきましたとおり、地方自治体は、企業の事業活動を様々な行政サービスで支えており、税収の配分に当たっては、地方自治体も対象にすべきと思っております。都としても、地方への税収の帰属の在り方については、さらに検討を深めていただき、国への要望や提案などをしっかりと行っていただくことを要望しておきます。
 二点、都税調の報告について確認をさせていただきました。
 続きまして、都税収入について伺います。
 我が国の景気は、円安の進行ですが、今月初めには一ドル百五十円台になり、また、物価高騰では、今月の消費者物価三・六%上昇し、四十年七か月ぶりの高水準になりました。そうした影響がさらに長期化、深刻化しているところであります。
 国際通貨基金、IMFによりますと、世界経済の二〇二三年の経済成長率見通しを下方修正するなど、世界的な景気後退も懸念されているところであります。
 そうした中で、今後、最悪の事態も想定しながら都政運営を行わなければならない、そうしたことも必要であると思っております。
 そこでお伺いをいたしますが、都税収入は、令和二年度決算では、前年度比約三千億円の減少、令和三年度決算では、前年度比約五千億円の増加と、コロナ禍で大きく増減をしております。このような増減が生じた理由について、主税局の見解を求めます。

○丹羽税制部長 令和二年度の都税の減収は、地方法人課税の見直し、企業収益の悪化に加え、元年度における例年にない高額納税の反動減等により、法人都民税及び法人事業税が前年度と比較して約四千三百億円の減となったことが主な要因でございます。
 令和三年度の都税の増収は、企業収益が持ち直したことにより、法人都民税及び法人事業税が前年度と比較して約三千七百億円の増となったことが主な要因でございます。

○うすい委員 今、答弁いただきまして、法人二税が主な要因であるということであります。コロナ禍では、業種によって影響の出方も大きく違ったものと思慮しているところであります。
 そこで、令和二年度決算、令和三年度決算の法人二税における業種ごとの影響についてはどうなのか、答弁を求めます。

○丹羽税制部長 令和二年度は、企業収益の悪化や地方法人課税の見直しにより、ほぼ全ての業種で法人二税の税収が前年度より減となり、特に、サービス業や製造業などの税収が大きく下がりました。
 令和三年度は、企業収益の持ち直しにより、ほぼ全ての業種で法人二税の税収が前年度より増となり、増収額が大きかった業種は、サービス業や製造業、卸売業などでございます。

○うすい委員 今、答弁いただきましたとおり、コロナ禍において都税収入は大きく増減したわけでありますけれども、過去に、リーマンショックの際には一年で約一兆円の税収減に見舞われた現実がございます。当時と比べますと、現在の地方税制度も変化をしておりますから、現在の都税収入について、その税目、また、構成や景気連動性などについて確認をさせていただきたいと思っております。
 まず、リーマンショック当時と現在の都税収入との構成比がどのように変化したのか、主な制度改正事項と併せて答弁を求めます。

○丹羽税制部長 都税収入における主要税目の構成比は、リーマンショック前の平成十九年度においては、法人二税が四七・五%、固定資産税、都市計画税が二二・〇%、個人都民税が一四・一%、繰入地方消費税が六・三%でございました。
 直近の令和三年度決算においては、法人二税が三六・二%、固定資産税、都市計画税が二六・九%、個人都民税が一七・五%、繰入地方消費税が一二・一%でございました。
 この間、地方法人課税の見直し等により、景気の影響を受けやすい法人二税の割合が減少するとともに、地方消費税の税率引上げにより、景気変動に左右されにくい繰入地方消費税の割合が増加しております。

○うすい委員 ありがとうございます。今、答弁をいただきまして、法人二税の占める割合が二分の一程度から三分の一程度にまで低下をし、その分、景気変動に左右されにくい地方消費税や固定資産税などの占める割合が増加をしたということでありました。
 次に、法人二税自体について、この間どのような制度変更があったのか、改めて確認をさせていただくためにお聞きしますが、平成二十年度以降の法人事業税及び法人住民税の制度変更について説明を求めます。

○丹羽税制部長 平成二十年度以降行われてきた法人二税の主な税制改正は、いわゆる偏在是正措置の導入と外形標準課税の拡大でございます。
 まず、いわゆる偏在是正措置についてでございますが、法人事業税については、平成二十年度税制改正において、一部を地方法人特別税として国税化し、譲与税として都道府県に配分する措置が導入されました。この措置は、平成二十八年度税制改正で廃止することとされたものの、令和元年度税制改正において、再び法人事業税の一部を国税化する特別法人事業税及び特別法人事業譲与税が創設されました。
 法人住民税については、平成二十六年度税制改正において、一部を国税化し、地方交付税として自治体に配分する措置が導入され、平成二十八年度税制改正において拡大されました。
 次に、外形標準課税の拡大についてでございますが、平成二十七年度及び平成二十八年度税制改正において、資本金一億円超の法人における法人事業税所得割の税率を引き下げるとともに、外形標準課税の割合が拡大されました。
 なお、偏在是正措置による影響額は、令和四年度当初予算ベースで約一兆一千億円と試算しております。

○うすい委員 ありがとうございます。今、答弁がありましたとおり、国によるいわゆる偏在是正措置と法人事業税における外形標準課税の拡大が、この間の大きな制度変更とのことでありました。地方税を国税化する、いわゆる偏在是正措置は、地方分権に反するものと思いますし、都として、引き続き、国に働きかけをしていただくことを申し添えておきます。
 円安や物価高騰など不確実性が高まる中で、大きな景気変動によって都税収入がどの程度影響を受けるのか想定しておくことは大変に重要であると思います。
 そこで、これまでの地方税制度の変更を踏まえて、平成二十年度のリーマンショック時と比べて税収増減にどのような違いがあるか、都税収入の景気連動性と併せて見解を求めます。

○丹羽税制部長 都税収入の約三割を占める法人二税は、企業収益の変動に左右されますが、国の法人企業統計調査によると、企業の経常利益は、リーマンショック時の平成二十年度が対前年度比三三・七%の減、平成二十一年度はさらに九・四%の減となり、都税収入は、平成二十一年度に対前年度比約一兆円の減となりました。
 これに対し、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた令和元年度の企業の経常利益は、対前年度比一四・九%の減、令和二年度は一二・〇%の減となり、都税収入は、令和二年度に対前年度比約三千億円の減となりました。
 このように、コロナ禍においては、リーマンショック時と比べて、企業収益の悪化の程度が少なかったため、リーマンショック時ほどの減収とはならなかったものと考えております。
 また、この間、外形標準課税の拡大や地方消費税の拡充などの制度改正が行われたことも、リーマンショック時と比較して、都税収入の増減幅に影響していると考えられます。

○うすい委員 リーマンショックの頃と比較して、景気変動による都税収入の増減幅は縮小しているものの、依然として景気に影響されやすい構造であることには変わりはないということだと思います。リーマンショック時のような一年間で約一兆円という規模の税収減とまではいかなくとも、一年間で数千億円という規模の税収減が数年続くという事態は十分に想定されるケースだと考えることもできると思います。
 そこで、最後に伺いますが、この間の税制度の変更や様々な景気変動リスク等を踏まえて、都税収入の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、局長の決意と併せて所見をお伺いいたします。

○小池主税局長 都の歳入の約七割強を占める都税収入は、都財政を支える基幹的な財源でございますが、景気変動に左右される法人二税が税収の約三割を占めるなど、依然として不安定な構造となっております。
 現在、我が国の景気は、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行等による原材料価格の上昇、新型コロナウイルス感染症の動向等により、先行きは不透明な情勢でございます。
 また、理事からのご質問にもありましたとおり、平成二十年度以降、地方自治の根幹を揺るがす不合理な偏在是正措置が講じられ、この措置による影響額は非常に大きなものとなっております。
 このような状況におきましても、都の重要施策を財政面からしっかりと支えるため、都税収入を着実に確保していくことが主税局の使命であり、様々な創意工夫を凝らした取組を積極的に推進してきたところでございます。
 引き続き、税収確保に向けたより一層の努力を重ねるとともに、あるべき地方税制の実現に向け、都議会の皆様のお力添えをいただきながら、国に強く働きかけるなど、主税局一丸となって歳入所管局としての責務を果たしてまいります。

○うすい委員 ありがとうございました。局長の決意を伺いまして、心強く感じた次第でございます。これからも税収確保に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 都は、他の自治体と比較すれば、依然として歳入全体に占める法人二税の割合が高く、景気動向に影響を受けやすいということは先ほど質疑をしたとおりでございます。加えて、都は、地方交付税の不交付団体でもありますし、景気動向等にしっかりとアンテナを張って、都税収入の動向についても様々なパターンを想定しながら、自立的な財政運営に努めることを改めて要望させていただきます。
 最後に一点、先ほども質疑がありましたけれども、ふるさと納税について要望を述べさせていただきます。
 ふるさと納税は、高所得者ほど多くの返礼品を受け取ることができ、事実上の節税対策とされていること、また、居住地の地方自治体に納めるべき個人住民税を居住地以外の地域に移転させてしまうことなどの問題も今回の報告書の中にも盛り込まれております。
 例えばなんですけれども、私の地元の足立区においては、ふるさと納税による区民税の流出額が平成二十八年度の当時は約三億円でありました。令和四年度には約二十億円となりまして、六年間で約六倍となっております。このまま財源の流出が拡大しますと、足立区のみならず、都内の区市町村、そして、東京都の行政サービスに及ぼす影響は看過できなくなる事態も想定されるわけでございます。
 今後も、都税調において、ふるさと納税の肥大化が、行き過ぎがないように、都としても提言を継続していただくことを申し添えまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○米倉委員 私からは、まず、主税局が取り組んでいる省エネ、再エネの取組について伺います。
 気候危機への対応はもう喫緊の課題です。この目標は、公共部門だけでなく、民間部門でも努力が求められていますが、とりわけ公共部門は、やはり先頭を切って、掲げている目標は達成するということにとどまらず、上回って達成していくということが必要だと思います。
 気候危機の対応が急がれているという下で、主税局は、局で管理する施設の省エネ、再エネを積極的に進めていくということの重要性をどう認識していますか。

○上林山総務部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、都は、自らの事業に伴う温室効果ガス削減などの取組を一層強化する必要がございます。
 このため、都有施設の改築、改修に当たりましては、省エネ・再エネ東京仕様に基づき、環境に配慮した施設の省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入を図っております。
 都税事務所の改築等におきましても、建築物の熱負荷の低減、最新の省エネ設備、多様な再エネ設備の導入等により、エネルギーの使用の合理化を図ることが重要だと認識しております。

○米倉委員 省エネ・再エネ東京仕様に基づいて、施設について取組を進めていらっしゃるということです。二〇三〇年カーボンハーフに向けても、一層取組を強化する必要があるということでした。
 東京都は、自らもエネルギーを大量に使う庁舎を多数持っているという自治体として、この取組を牽引するために、二〇二一年三月にゼロエミッション都庁行動計画を策定しています。この進捗を確認したいと思います。
 今、重要なのは、とりわけ建物については、断熱をしっかり行い、消費エネルギーを可能な限り削減する、高効率の空調を導入して使用エネルギーを減らす、その上で、可能な限り太陽光パネルも設置していくと。再生可能エネルギー由来の電力購入などで、CO2排出量を削減するということになっています。
 主税局が管理する建物について、どういう取組をされてきたかということは、この間、池川都議が質問で確認もしてきました。
 財務局管理の建物の取組ですけれども、先ほどの省エネ・再エネ東京仕様に基づいて取り組まれてきたということは、新築と改築時に省エネ、そうした技術を導入されてきたということです。実績として数えると、足立都税事務所、立川合同庁舎、墨田合同庁舎、渋谷合同庁舎ということになります。
 この東京仕様は、財務局に確認しますと、平均して三〇%のエネルギー消費を削減するという内容になっています。これは大事な取組です。
 ですが、去年つくりました東京都の都庁行動計画では、都有施設について、ZEBオリエンテッド、ZEBレディの水準を目指すと。つまり、三〇%から五〇%のエネルギー削減を達成するということを目標に示しています。
 その対応のために、東京都の財務局は、今年度から基本設計に着手する案件については、原則ZEB化を目指して取り組むと。同時に、それ以前に設計に着手している案件についても、可能な限り省エネ化を進めるというふうに答えています。
 大田都税事務所は、今年度設計を行っておりますが、建物の省エネで、ここにはさらなる努力が行われているのか、対応について伺います。

○上林山総務部長 お尋ねの大田都税事務所の改築に当たりましては、省エネ・再エネ東京仕様を最大限活用し、省エネ化を図った設計としておりまして、今後、工事の発注、契約を予定してございます。

○米倉委員 来年度から工事に入るということなんですが、建物の建設にはまだ時間があるわけです。目標となるエネルギー削減を今の設計で達成できるのかどうか、また、さらなる努力が必要なのかどうか、把握していただきたいと思いますし、必要だとすれば、何を取り入れていくのか、設計で、今からでも工夫できるところはあるのかどうか、そういうところを主税局としても財務局と協議していただきたいと要望します。
 新築や改築時には、一定水準のエネルギー削減が確保されるということに都庁全体でもなりましたけれども、膨大にある既存の都有施設については、取組の考え方や目標がまだ示されておりません。
 新築や改築のタイミングを待たずに、既存施設の省エネを強化することは重要ですが、主税局はどう認識しているのか。また、取組も伺います。

○上林山総務部長 既存庁舎につきましては、これまでも、照明設備のLED化などにより、省エネルギー化に努めてまいりました。
 また、既存庁舎における太陽光発電設備の設置可能性調査を現在進めているところでございまして、設置に向け、検討を進めております。
 今後も、関係局と連携し、既存庁舎の省エネルギー化に取り組んでまいります。

○米倉委員 既存の庁舎についてはLED化などを進めてこられたということです。そして、新たに太陽光パネルの設置が、既存都有施設で進められるようになっているということは重要です。このパネルのことは後で伺いたいと思います。
 今後、既存の都有施設の対策を位置づけていくということが必要なんですが、特に重要なのは、断熱改修などで省エネ化を進めることだと思います。
 その点で、福岡県久留米市が、去年、公共施設では初めて既存の庁舎のZEB化の改修を実現しています。屋根が大きいことなど、東京都が持つ施設とは条件が異なるということもあるかもしれませんが、市の担当者が、取材に答えてこういうふうにいっていらっしゃいます。空調の更新時期に合わせてZEB改修を実施すると、財政面でも効率的だ、RC建造物は、窓ガラスの性能を強化するだけで外皮性能が大幅に向上する、断熱性が高まると空調もダウンサイジングできるというふうに話されています。これは東京でも学ぶべきことだなと思います。今後、こうした実践も踏まえて、既存施設の対応を検討していただきたいと要望しておきます。
 可能な限り省エネを実施するということがあって、その上に再生可能エネルギー導入を目いっぱい拡大していくということが重要です。
 主税局が管理する施設について、再生可能エネルギー電力の導入状況を伺います。

○上林山総務部長 主税局が管理する都税事務所では、東京都グリーン購入ガイドに基づき、これまで再生可能エネルギーによる電気の需給契約を行ってまいりました。
 今年度の入札におきましては、再生可能エネルギーによる電気の需給契約が不調となったため、現在は、東京電力パワーグリッド株式会社等より電気の供給を受けてございます。
 今後は、都内で発電された再生可能エネルギー電力を活用するとちょう電力プランも活用し、使用電力の再生可能エネルギー化を進めてまいります。

○米倉委員 環境局が定めている東京都グリーン購入ガイドに基づいて、基本は電気の需給契約を行ってこられたということです。これは、水準一、二酸化炭素排出係数〇・四三四、そして、水準二、供給電力量の三〇%以上の再エネ電力を満たした電気を購入するとしています。
 環境局は、この水準を満たす電力を販売する能力を持つ小売電力事業者を含めたリストを作っています。ところが、今年度の当初は、主税局が管理する施設をはじめ、都有施設でも入札不調が複数起きています。電力の仕入価格の高騰や供給量の不足が続いていることが影響していて、今後の価格や供給量の変動を予想して、新たな契約に慎重になっているというふうにいわれています。そうなりますと、東京都のこの目標との関係で達成できるのかという懸念も今あると思います。
 都は、二〇二四年度に、再エネ一〇〇%の電力を庁舎全体が使う電力の四割に導入するという目標を掲げています。主税局が管理する施設では、どのように導入を進めているのか、導入状況も併せて伺います。

○上林山総務部長 主税局では、ゼロエミッション東京の実現に向け、都内で発電された再生可能エネルギー電力を活用するとちょう電力プランを活用いたしまして、二〇二四年には、都税事務所の使用電力の四割を再生可能エネルギーとしてまいります。

○米倉委員 基本的には、環境局のとちょう電力プランを利用して、二〇二四年の目標を達成するということです。重要なんですが、来年度の環境局の予算要求を見ましても、都庁電力の予算規模は増えていないんですよね。主税局がここに加われるかどうかというのは不透明だなと思っています。
 再エネ一〇〇%電力というのは、都庁電力でなくても、各局が主体的に選んでいくということは可能なんですね。市場の状況をよく調査していただいて、入札に参加してもらえるような予定価格、条件を設定できるように検討していただきたいと思います。この目標は、やはり確実に達成する必要がありますから、その努力を求めたいと思います。
 再生可能エネルギーの導入については、全庁で既存施設の対応が始まっています。都は、太陽光パネル設置については、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、大量のエネルギーを使う都自身が、隗より始めよという意識の下、再生可能エネルギー導入の取組を一層強化することが重要だと述べられています。
 主税局が管理する施設においては、この太陽光パネルの設置状況、取組はどうなっているのか。今後どのように進めるかも伺います。

○上林山総務部長 主税局が管理する施設におきましては、これまで、足立都税事務所、立川合同庁舎、墨田合同庁舎及び渋谷合同庁舎の改築時に太陽光発電設備を設置してまいりました。
 都は、二〇三〇年度までに、設置可能な都有施設へ太陽光発電設備を一〇〇%設置することを目標とし、加速化することとしております。
 主税局では、既存の庁舎への設置可能性等について関係局と調整し、導入について検討を進めており、立川合同庁舎に太陽光発電設備を増設する予定でございます。
 今後も、庁舎への太陽光発電設備設置について関係局が連携し、取組を進めてまいります。

○米倉委員 主税局が管理する施設は二十一と聞いています。今のご答弁で、そのうち四施設は既に太陽光発電が設置されているということです。そして、新たに設備導入を検討している立川合同庁舎には、追加の設置を検討しているということです。そうなりますと、残り十七施設のうち、条件がある施設に太陽光パネルを設置するということになります。これ、数としてもそこまで多くはないと思うんです。ぜひ、一気に進めていただきたいと思います。
 気候危機への対応は、早急に対応をしなければ、気候災害も、より年を重ねるごとに深刻になっていきます。既に今、台風だとか水害も深刻になっていて、その被害救済だとか、復興、復旧だけでなくて、事前に被害を抑えるための適用対策にも多額に税金が投入されるという事態になっています。やっぱりここでしっかり取り組みを進めていくということが、東京都の税負担自体も減らしていくということにもつながりますので、主税局として、都庁の中でも先頭に立った取組を求めたいと要望しておきます。
 次に、東京都税制調査会についてです。この報告について伺います。
 初めに、都税調の在り方についてです。
 都税調は、これまで、知事からの諮問を受けて、答申、提言を出すというやり方を重ねてきました。一方で、地方自治法は、法律や条例に基づく附属機関とそれ以外について厳格に分けています。それらは、一部の専門家などによる恣意的な行政の介入を防ぐために重要だからとなっています。
 日本共産党都議団は、東京都が条例に基づく附属機関ではない専門家会議が条例設置の附属機関と同じように扱われている問題について是正を求めてきました。附属機関ではない会議体が、諮問、答申、提言のようなやり方を行うことは、自治法違反となり、また、総務局通知にも反する内容となっています。
 そこで伺いたいのですが、東京都税制調査会について、今年度から設置目的と所掌事項の変更を行っていますが、その理由と内容を伺います。

○小林税制調査担当部長 東京都税制調査会は、設置当初から、総務局長通知で規定されている懇談会と位置づけられておりまして、このことを明確にする観点から、東京都税制調査会設置要綱の中に懇談会と明記するなどの見直しを行ったところでございます。

○米倉委員 設置要綱を昨年度までのものと今年度のものを見てみました。
 昨年度までの設置要綱では、第一の設置目的がこういうふうに書いています。地方分権の時代にふさわしい地方税制及び国、地方を通じた税制全体の在り方等に関する事項を検討するため、東京都税制調査会を設置するとなっています。
 新しいものは、地方分権の時代にふさわしい地方税制及び国、地方を通じた税制全体の在り方の参考とするため、幅広く有識者の意見の表明または有識者との意見の交換を行う懇談会として、東京都税制調査会を設置すると変更されました。事項を、検討から、参考にするため、意見の表明、意見交換を行う場にしたということです。
 さらに、質問でも伺いましたが、所掌事項も、去年のものは、調査会は、知事の諮問に応じ、以下の事項を検討し、提言するとされていましたが、今年度は、調査会では、以下の事項について検討し、意見の交換を行うという、提言という言葉がなくなりました。
 同時に、附属機関等設置運営要綱の取扱いについてという総務局長の通知では、第2、懇談会等についてというところがありますが、ここの1の(1)には、懇談会についてどういうものかと書いてあります。都政の当面する基本的問題や重要課題について、幅広く有識者等の意見の表明または有識者との意見交換を行う場として、知事が臨時に設置するもの、臨時にということなんですね。
 ここの2の(2)では、委員の意見の取りまとめについては、個々の委員の意見表明の形を取り、機関意思の表明と紛らわしい諮問、答申の形を取らないこととあります。自治法違反や総務局長通知に反しないためには、都税調を附属機関として位置づける条例を制定する方法もあると思います。これ、在り方については、さらなる検討が必要だと思います。これは要望しておきたいと思います。
 それで、内容について幾つか伺います。
 この報告では、税制改革の視点として、所得格差に対応した税制について述べられています。非正規雇用者の比率が三六・七%と高い水準にあると指摘していることは重要だと思います。
 報告では、所得格差の拡大は、社会経済の活力と安定を阻害しかねない問題とし、解決に向けては、社会保障、教育、労働政策など、総合的な取組が必要であること、また、税制においても所得再分配機能を適切に発揮することが求められると指摘をしています。
 これは大事な考えだと思いますが、都はどういう認識ですか。また、どういう対応をされてきたかも伺います。

○丹羽税制部長 今年度の東京都税制調査会報告では、所得格差の拡大の解決に向けて、税制においても所得再分配機能を適切に発揮することが求められるとしております。
 所得再分配機能は、主として累進課税となっており、応能的な性格を有している所得税において発揮されるべきものと認識しております。

○米倉委員 税の再分配は、非正規雇用労働の拡大によって利益を大幅に増やしている大企業などに社会的責任を果たさせること、また、一億円の壁に象徴されるような高額所得者に適正な負担を求めることを通じて実現される必要があると思います。所得格差に対応した税制について、都としても研究が必要だと思っています。これは要望したいと思います。
 報告では、税制改革の方向性として、環境関連税制について、複数の取組について意見が上げられています。環境負荷を減らす視点での政策支援税制の役割について、都はどういう認識ですか。

○丹羽税制部長 政策税制は、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外として設けるものであり、事業所管局における規制や補助金などの施策を後押しするものとして真に必要なものに限って活用していくべきものと認識しており、都では、ZEV導入促進税制などを実施しております。
 政策税制については、政策の重要性はもとより、税の公平性、税収への影響や課税実務上の課題など、様々な観点から検討する必要があるものと考えております。

○米倉委員 真に必要なことに税制からも後押ししているということです。今、国も都も、気候危機の対応などで税制面から政策を後押ししています。
 東京都では、今年度創設した太陽光パネル付きゼロエミ住宅減税というものがあります。この目的と概要を伺います。

○丹羽税制部長 太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、太陽光発電設備の設置を通じた再生可能エネルギーの利用促進と、東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、令和四年度に創設したものでございます。
 その概要は、令和四年四月一日から令和七年三月三十一日までの間に設計確認申請が行われた新築の東京ゼロエミ住宅のうち、一定の要件を満たす住宅を取得した場合に、当該住宅に係る不動産取得税を最大で全額減免するものでございます。

○米倉委員 今お答えがありましたが、この減税は、太陽光パネルを設置した断熱性能と省エネ性能の高い東京ゼロエミ住宅を新築する場合に税制面から支援するというものです。
 東京都は、東京ゼロエミ住宅を一層普及するために、税制面から支援するということとの関係で、周知も努力されています。新たに建築される住宅の省エネ水準を上げていく、この取組が強化されていることは重要です。
 同時に、都内には七百六十七万もの既存の住宅があります。ここの対策をどう後押しするかというのも大きな課題です。
 省エネ改修工事をした際の固定資産を減税するということも仕組みとしてあります。これはどういう経緯と考えで導入されたものなのか。また、実績も併せて伺います。

○辻谷資産税部長 地方税で規定する省エネ改修減額は、平成二十年度税制改正におきまして住宅の省エネ化を促進するため、一定の省エネ改修工事を行った住宅に係る固定資産税について、翌年度分の税額から三分の一を減額する措置が講じられたものでございます。
 令和三年度の実績は七十九件、約百七十万円の減額となっております。

○米倉委員 では、省エネ改修減税制度について、都としてどのような周知を行っているかもお示しください。

○辻谷資産税部長 省エネ改修減額に係る周知につきましては、主税局ホームページや広報紙「あなたと都税」を活用するほか、都税事務所でのチラシ配布などを行っております。
 また、都が推進している省エネへの取組であるHTT、電力を減らす、つくる、ためるに関連し、環境局など事業所管局が作成するリーフレットにも情報を掲載し、周知に努めております。

○米倉委員 省エネ改修を行った際に固定資産の減税があるということは、あまり知られていないだろうと思っています。減額の金額は大きくありませんが、省エネ改修を検討する方たちに、より周知して、既存住宅の改修を主税局としても後押しをしていただきたいと求めておきます。
 次に、インボイス制度についてです。
 政府は、来年十月一日からインボイス制度を導入しようとしています。制度が導入されると、これまでは消費税納税の義務がなかった年間売上げ一千万円以下の免税事業者の皆さんは、実質的な増税となります。商店や町工場などの自営業者だけでなく、フリーランスで働く人々も含め、経済的、事務的負担増を強いられ、厳しい状況に追い込まれるというものです。そのため、中止を求める世論が大きく広がっています。
 インボイス制度の導入により影響を受ける都内の免税事業者の方はどのくらいいるのか。また、どの程度影響が及ぶのか伺います。

○丹羽税制部長 都内の免税事業者の数は公表されておりませんが、令和四年二月十五日の衆議院財務金融委員会において、全国の免税事業者数は約四百八十八万者と財務省主税局長が答弁しております。
 また、免税事業者のうち、どの程度の方が課税事業者に転換をするかなど、インボイス制度が事業者に与える影響については、個々の取引当事者間の関係が様々であることから、一概には申し上げられません。

○米倉委員 全国で五百万者近い免税事業者が影響を受けるということです。
 ここには、商店や町工場などの自営業者だけでなく、農家や個人タクシー、大工の一人親方など、様々な業種の方が入ってきます。個人タクシーの多くは潰されると、関係団体からは、今、声が上がっています。会社勤めの人のタクシー利用や旅行会社による修学旅行のタクシー利用も、インボイスを発行できない個人タクシーとなると排除され、法人タクシーだけを利用されるおそれがあると。売上げが三百万円の場合、年間十五万円もの消費税負担がのしかかる本当に深刻な大増税だと告発していらっしゃいます。
 さらに、フリーランスの人たちも消費税法上は事業者となっています。四百万人前後といわれています。電気やガスの検針員など実際には非正規雇用労働者と同じような働き方をしていても、雇用契約によらない場合も事業者という扱いになります。全国に七十万人いるとされるシルバー人材センターの会員、そして、サラリーマンの副業、議員の皆さんの中には、雑誌に原稿を書くという方もいらっしゃると思いますが、その原稿料なども対象です。
 つまり、多くの国民に及ぶ問題で、一千万人前後になる可能性もあると指摘されます。
 今、サッカーワールドカップが盛り上がっていますが、スポーツ選手も基本的に個人事業主です。インボイス制度が導入されれば、Jリーガーの生活やクラブ経営にも大きな影響を及ぼします。
 商工新聞で掲載された記事を少しご紹介します。
 スポーツライターの中村僚さんによると、特に問題になるのは、J2以下のカテゴリーに所属する選手、インボイスが実施されれば、クラブが選手に課税事業者へ登録を促すか、消費税相当分を減額して総額年俸として提示するということが考えられる、年俸四百六十万円の新人選手でも税率一〇%で単純計算すると、最大四十一・八万円の消費税を納税しなければならなくなります、経費を控除したり、簡易課税制度を適用しても、二十万円も新たな負担が生まれるということです。新人が力をつけて、次のスター選手を生み出していくという土壌も弱まることだと思います。
 声優、アニメ、演劇、漫画の業界に関わるエンターテインメント四団体も、また、日本俳優連合も中止を求め、会見や声明を発表しています。
 インボイス制度について考えるフリー編集者と漫画家の会代表で漫画家の由高れおんさんは、インボイス制度の導入で、漫画業界に必要不可欠なアシスタントの収入の減収が加速すれば、漫画家の成り手が減り、日本の漫画産業の衰退の原因の一つになりかねないと危惧しています。世界に誇るクールジャパンを守りたいなら、一刻も早い延期、中止をしてくださいと訴えています。
 インボイス制度を考える演劇人の会代表世話人で劇作家、演出家、俳優の丸尾聡さんは、コロナ禍による公演の延期、中止、また、賃金の低迷、物価高騰の中、インボイスが覆いかぶさってきたら辞めてしまうと、人が辞めてしまう、日本の文化芸術の未来は先細ってしまうと語っています。
 フリーランスや小規模事業者に大きな増税となることは、多くの事業者が廃業に追い詰められたり、大増税につながることで、東京の経済にもこれは重大な影響をもたらすことになりかねません。
 都は、インボイス制度導入による東京への影響をどう認識していますか。

○丹羽税制部長 令和五年十月一日から導入される適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度の下では、登録を受けた課税事業者が発行した適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。
 免税事業者は適格請求書等を発行できないことから、免税事業者から仕入れを行った場合には、仕入税額控除ができず、免税事業者が実質的に取引から排除されてしまうのではないかとの懸念の声があることは承知しております。
 都といたしましては、地方消費税が消費税と併せて国に申告納付される制度であり、令和四年度与党税制改正大綱において、円滑なインボイス制度の移行に向けて、政府、与党が一体となって万全の対応を進めるとされていることから、今後の国の動向を注視してまいります。
 なお、現在、政府、与党において、インボイス導入に係るフリーランスなど小規模事業者の負担軽減制度の検討に入ったとの報道がなされているところでございます。

○米倉委員 免税事業者が実質的に取引から排除されてしまう懸念があることは承知しているということです。
 ただ、影響はそれだけじゃないと思います。このままだと、免税事業者だった方たちは、コロナ禍で受けた影響、また、物価高騰の打撃から、回復するどころか、営業と暮らしが脅かされるという状況です。このことは、本当に東京の経済、また、社会全体にとって深刻な影響につながると思います。都民の暮らしやなりわいを支える地方自治体の立場からしても、インボイス制度導入に関わる都民や都内事業者の影響を把握し、国にそれを共有していくと。来年の導入について再検討を求める必要があると思います。
 都はこれまでに、このインボイス制度に関わって、国に要望などは出しているのかも伺います。

○丹羽税制部長 令和五年度国への施策及び予算に対する提案要求において、事業所管局から、シルバー人材センターの安定的な運営のため、インボイス導入に伴う影響を緩和する支援に関する要望を行っているところでございます。

○米倉委員 日本共産党の宮本徹議員の質問で明らかになりましたが、今お話にあったシルバー人材センターのことですが、新たな消費税負担は全国で約二百億円だということです。とても支援でカバーできるというものではありません。
 インボイス制度による甚大な影響を踏まえ、国に中止を要望する必要があると思います。いかがですか。

○丹羽税制部長 インボイス制度は、令和元年十月の消費税率引上げに伴う低所得者対策として軽減税率が導入された際に、複数税率制度の下において適正な課税を確保するために導入が決定されました。
 インボイス制度を含む消費税の在り方につきましては、消費税が社会保障費の重要な財源となっていることに加え、経済や国民生活に与える影響など様々な観点を踏まえながら、国において議論されるべき問題であると認識しております。

○米倉委員 政府がインボイス制度の導入を決めた口実というのは、食料品などの軽減税率を導入したということなんですが、仕入れの税率が複数になったので、正確な控除額の計算のためにはインボイスが必要だということです。それなら、消費税率を五%に戻して、軽減税率もなくすと、インボイス導入も必要ないということが必要じゃないかと思います。
 コロナ危機以降、国民の暮らしを守るということで、多くの国が消費税減税を行っています。暮らしと営業が危機に瀕している中、緊急に消費税五%へ減税すること。また、多くの個人事業者を追い詰めるインボイスは中止するべきです。都としても、都民生活を守る立場で国に求めるよう要望して、質問を終わります。

○中田委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 私の方からは、都税の納税方法など様々な点でお伺いをさせていただきます。
 まず初めに、東京都では、現在、様々な納税方法がありますが、都税の納税方法についてどんな種類があり、また、それぞれの利用率について伺います。

○原島徴収部長 主な納税方法といたしましては、キャッシュレス納税に関するものとして、口座振替、クレジットカード収納、スマートフォン決済アプリ収納などがございます。また、現金による納税方法といたしまして、金融機関窓口、コンビニエンスストア収納などがございます。
 令和三年度における各納税方法の利用率でございますが、口座振替が全体の約二八%、クレジットカード収納が約五%、スマートフォン決済アプリ収納が約四%、その他が約七%などとなっておりまして、いわゆるキャッシュレス納税比率は四四・六%となっております。それ以外の現金による納税の比率は五五・四%となっております。

○中田委員 キャッシュレス決済が約半分を占めているとのことですが、その中でも、行政の窓口でも、最近では、スマートフォンのアプリなどを使った料金決済ができるようになっております。
 主税局では、スマートフォンをはじめとしたキャッシュレス納税を推進しておりますが、キャッシュレス納税を推進する意義についてお伺いをいたします。

○原島徴収部長 スマートフォン決済アプリ収納などのキャッシュレス納税は、金融機関の窓口等に行くことなく、いつでもどこでも手軽に納税ができることから、納税者にとって大変利便性の高い納税方法でございます。
 また、その利便性の高さから、納期内納税の推進にも寄与するものであり、滞納の発生防止につながるものと考えています。

○中田委員 様々な面で納税者の方に便利であるということはとても大切なことであると思いますし、納税期間内の納税を推進していくことによって、滞納整理業務の軽減にもつながっているのであれば、なおのこといいと思いますが、この主税局が推進しているスマートフォン決済アプリ収納の利用件数の推移についてお伺いをいたします。

○原島徴収部長 導入初年度の令和二年度は、二アプリで開始し、利用件数は約二十二万件、令和三年度は、七アプリを利用可能とし、利用件数は約六十五万件となっておりまして、納税件数全体の約四%となっております。

○中田委員 一年で三倍近く増加しているということで、キャッシュレス化の時代の流れを反映しているのではないかと思いますが、納税件数全体でいうと、まだ四%というところで、少ないのではないかと思います。
 スマートフォン決済アプリ収納における課題と今後の取組についてお伺いをいたします。

○原島徴収部長 令和二年六月にスマートフォン決済アプリ収納を導入して以降、利用者数が伸びてきておりますが、都の調査において、日常的な支払いにおけるスマートフォン決済の利用率は一二・四%であり、これに比べると利用率は低く、認知度の向上が課題であると認識しております。
 こうしたことから、主税局では、納税通知書に同封するチラシやSNS等による動画を活用したPRを行ってきました。
 今後も、様々な媒体等を積極的に活用し、認知度の向上を図ってまいります。

○中田委員 認知度の向上が課題であるということでありましたので、PRをまず積極的に行っていただきたいと思う一方、スマートフォン決済においては、事業者から払う手数料が高いというイメージがあります。また、クレジットカード決済に関しては、納税者が利用者負担を行っている現状もあります。
 DXを推進し、都民にとって利便性の高い納税環境をつくることはとても重要ではありますが、そのために際限なく費用をかけてしまうということにはならず、しっかりと費用対効果なども検証した上で、コスト意識をしっかり強く持っていただいた上で取組を進めていただければと思います。
 次に、先ほどの答弁の中にも出てきましたが、滞納整理の話をさせていただきたいと思います。
 キャッシュレス決済の推進を行うことによって、滞納の発生の防止にも寄与できるとのことでしたが、滞納整理状況については、事業概要を見ると、差押件数については、令和元年度では二万一千三十二件、令和二年度では四千百八十四件、令和三年度では一万一千三百九十五件と、令和二年度、三年度とともに減少している理由についてお伺いをいたします。

○原島徴収部長 令和二年一月からの新型コロナウイルス感染症の拡大による納税者の厳しい状況を鑑みて、国の徴収猶予の特例制度が開始されました。これに伴い、急増する猶予申請や納税相談に早急に対応する必要が生じました。
 さらに、全庁的な応援業務に対応する必要が生じたことに加えて、社会経済活動が停滞する中での滞納者の状況を見極める必要がございました。
 こうしたことから、通常業務を一部縮小したため差押件数が減少したものと考えております。

○中田委員 コロナ禍ということで、他部署への応援などがあった中、様々事情があったのは分かりましたが、差押件数は、例年約二万件あたりをずっと推移してきていた中で、令和二年が四千件、そして、令和三年が一万一千件と大きく減っていることで、問題は生じなかったのかというところも疑問であるところであります。
 実際、主税局として、新型コロナウイルスによる滞納整理業務の縮小があったというところですが、どのような影響が生じたのかお伺いをいたします。

○原島徴収部長 令和二年度、三年度については、外出自粛や接触機会の削減が要請されている状況の中で、対面での納税交渉は難しく、訪問による催告や捜索、タイヤロックを一時休止いたしました。
 こうしたことから、純滞納繰越額につきましては、令和元年度百三十六億円でしたが、令和二年度百五十七億円、令和三年度百五十四億円と、令和元年度に比較しまして増加いたしました。
 また、職員が捜索などの様々な滞納整理手法を実践的に習得する機会が減少するといった影響が生じたものと考えております。
 一方で、新たにショートメッセージサービス、いわゆるSMSを活用し、非接触の納税催告を効果的に進めてまいりました。

○中田委員 滞納繰越額が、令和元年度から比べると、令和二年度で二十億円近く増加していることで、やはり滞納整理業務を縮小した影響が出ているのではないかと思いました。
 これまでの状況を踏まえて、今年度どのような取組を行っているのか伺います。

○原島徴収部長 今年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、感染予防対策を講じた上で、対面での納税交渉や訪問による催告、捜索、タイヤロックなどの業務に重点的に取り組んでおります。
 また、これらの業務の未経験者に対しては、積極的にOJTを進めるとともに、タイヤロックの実践的な研修や捜索のロールプレーイング研修を実施し、職員のノウハウの迅速な習得を図っているところでございます。

○中田委員 納税は、国民の義務でありますから、納税期限内に納付している人たちが多くいる中で、個別の事情はあると思いますが、その点、しっかりと聞き取りをしつつも、滞納整理業務は着実に進めていただくことを改めて要望させていただきます。
 次に、主税局ビジョン二〇三〇について質問をいたします。
 国際化の発展に伴い、都内の在住外国人数は増加しており、外国住所納税義務者数も増加しているとされている中で、接触困難な外国住所の滞納者や外国人納税者に対する滞納整理業務の重要性が増大していると主税局ビジョンでは書かれております。
 そこで、外国に住所を有する納税者数の推移を伺うとともに、そのような納税者が増加することに伴う具体的な税務事務への影響についてお伺いをいたします。

○上林山総務部長 外国に住所を有する納税義務者が多い固定資産税、都市計画税におきましては、過去五年を比較いたしますと、平成三十年度は約一万六千人、令和四年度は約二万人と約三割増加してございます。
 こうした納税義務者につきましては、納税通知書や督促状等を送付する外国住所が不正確である場合などに送付物が戻ってきてしまうというケースがございます。こうした場合は、国内に住所を有する納税義務者に比べ、送付先を特定する個別調査に時間を要しており、事務負担が増加しているところでございます。

○中田委員 過去五年間で約三割増加しているということで、グローバル化が進んでいる中、先ほど答弁にあったような事例は今後さらに増えるのではないかと予測をされます。
 こうした事例に、現状でどのように具体的に取組を行っていて、また、今後どのように取組を行っていくのかをお伺いいたします。

○上林山総務部長 外国に住所を有する納税義務者に送付した納税通知書等が戻ってきてしまった場合などにつきましては、物件が所在している登記所や物件の管理会社等に対して調査を行い、連絡先の把握に努めております。
 また、納税義務者に代わり、納税に関する事項を処理する納税管理人を都内に設定することを促すなど、確実に納税通知書等が送付される取組を行っております。
 このような取組などを通じて、今後も増加が見込まれる外国に住所を有する納税義務者への対応を着実に行ってまいります。

○中田委員 納税管理人を置いていただくというところで、そもそも、まず、納税管理人を置かなければいけないということを知らない方が多いのではないかと思っています。
 不動産購入時や海外赴任時に納税管理人を置くことをしっかりと周知していただくこと、そうすることによってこの困難事案も減り、さらには、その結果、滞納者も減ることによって税務事務の負担が減り、その出発点としての問題として、この取組、しっかりとやっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 そして、次に、都税に係る各種証明の電子申請の現状についてお伺いをしたいと思います。
 今の電子申請の現状と課題と今後の取組についてお伺いをいたします。

○上林山総務部長 令和三年十二月より、東京共同電子申請・届出サービスを活用しまして、都税に係る各種証明の電子申請を開始したところでございます。このことによりまして、都税事務所に来所することなく手続を行うことが可能となりました。
 現状では、本人からの申請及びパソコンからの申請に限られており、さらなる利便性の向上を図るため、今年度中に代理人による申請やスマートフォンからの申請が可能となるよう、現在準備を進めているところでございます。

○中田委員 代理申請もできるようになるということで、便利になりつつあるかもしれませんが、まだまだ発展途上であるのではないかと思っています。現状、支払い方法がペイジーというところで、先ほども質問させていただきましたが、納税に関しては、アプリ決済などができるようになって、様々な面で利便性が向上しているというところですので、しっかりとこの点に関しても、さらなる利便性の向上を図っていただければと思います。
 そして、令和四年度東京都税制調査会報告で、税務業務のDXの項目がありまして、その中で、納税者の利便性を向上するために、ワンスオンリーを実現していくことが重要であり、法令等の見直しを通じて、バックオフィス連携を推進していかなければならないと提言をされています。
 バックオフィス連携に関する現在の進捗と、あと、庁内、区市町村、そして、民間との連携を進める上での課題及び今後の取組について伺います。

○上林山総務部長 主税局ビジョン二〇三〇では、納税者へのQOS向上の取組といたしまして、バックオフィス連携による各種手続のワンストップ化を目指してございます。
 今年度におきましては、お話のとおり、東京都税制調査会の報告で、バックオフィス連携を実現するために、まず、マイナンバー法等の適用拡大が必要であるとの提言を受けてございます。
 加えて、税務情報を活用したバックオフィス連携につきましては、税法上の守秘義務のほか、連携機関双方でシステム的な対応が必要となるなど、法制面や技術面の課題がございます。
 今後は、国におきまして策定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画におけるマイナンバー制度の情報連携の拡大に向けた議論を見据えるとともに、次期税務基幹システムの再構築と併せて、公的機関や金融機関などとの調整を進めてまいります。

○中田委員 今、様々、バックオフィス連携についての課題であったりとか、お聞きをさせていただきました。
 マイナンバーカードを使ってとの提言であるということでしたが、まずは早期にでも、ぜひ局間で連携を図っていただきたいなと考えております。例えば、様々な補助金申請をする際に、産業労働局に出すための納税証明書をわざわざ都税事務所に取りに行かなければいけないという現状もあります。個人番号でひもづけるなど、様々方法はあると思いますので、その点も、なるべく早めに利用者の方の利便性を考えて、検討していただければと思います。
 最後に、デジタルデバイドへの対応を含むバーチャル都税事務所の進捗状況及び課題、今後の取組について伺いたいと思います。

○上林山総務部長 主税局ビジョン二〇三〇におきましては、電子申請やオンライン納税等、来庁不要のサービス提供を充実させることでバーチャル都税事務所の実現を目指しております。
 これらを実現するための取組といたしまして、これまでスマートフォン決済アプリを利用したキャッシュレス納税及び都税に係る証明等の電子申請を導入してまいりました。
 一方、バーチャル都税事務所を実現する上で重要なバックオフィス連携の実現につきましては、先ほどご答弁しましたとおり、法制面や技術面の課題があり、国の議論を踏まえつつ、次期税務基幹システムの再構築と併せて検討を進めてまいります。
 また、バーチャル都税事務所が実現した後におきましても、デジタル機器に不慣れな方や複雑な相談への対応につきましては、引き続き、都税事務所の窓口において、きめ細かく行っていくことで、多様な都民のニーズに応えてまいります。

○中田委員 質問は以上となりますが、今、デジタルデバイドという言葉が普通になってきましたけれども、様々便利になる反面、それを使えない人たちへのサポートもしっかり忘れずにやっていただきたいと思いますので、それを要望させていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。

○ほっち委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十分休憩

   午後三時四十九分開議
○ほっち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○川松委員 私たち都議会自民党は、コロナ禍、あるいはウクライナ情勢に関わるエネルギー価格の高騰、そして、世界情勢における物価高などを背景にして都民生活は大変厳しい状況にある。
 その都民の皆様、あるいは都内事業者の皆様をどのように支えていくかという視点において、都民税減税ということを一つの政策の柱に掲げ、先般、この財政委員会の事務事業質疑におきましても、財務局に様々な角度から質問をいたしました。
 財務局に質問をして分かったことは、財源は確保できると。私たちが都民税減税ということについてお話をしているのは恒久的なものではなくて、少なくとも、今、厳しい状況にある中での時限的なものであったとしても、一度都民の皆様の視点に立って、様々な政策ができないかという視点でしたが、財源はあるという答えを受けて、税制面を所管する主税局の皆様に様々な質問を今日はさせていただきます。
 先ほど、我が党の土屋委員からもお話がありましたが、令和三年度の都税収入決算額というのは五兆八千四百七十九億円ということでございまして、当初予算額の五兆四百五十億円と、実に八千億円近く大きく乖離したわけでありますが、まず、その原因について伺います。

○丹羽税制部長 令和三年度当初予算額については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け厳しい状況にあった景気動向等を踏まえ、企業収益の悪化等を考慮し、法人二税などの減を見込みました。
 一方、決算額では、当初予算額に対して、総額で約八千億円の増収となり、そのうち法人二税の増が約六千八百億円でございました。
 これは、令和三年度において、我が国経済は引き続き新型コロナウイルスの影響下にあったものの、国や地方自治体の財政出動等もあり、サービス業、製造業をはじめとした幅広い業種で企業収益が持ち直したことなどによるものと考えております。

○川松委員 まず、今、最後のところで、部長の答弁であった財政出動があったと。そのことによって、思ったよりも税収というのは下がらず堅調なことを推移していったというお話でしたが、これは、各会計決算特別委員会の全局質疑でも我が党の田村議員が触れていたと思いますが、様々な面でコロナ禍で厳しくなるだろうと。でも、東京都もそうですし、国も含めて、大規模な財政出動をしたことによって、リーマンショックのときのような景気の落ち込み、厳しい状況にあることは変わりませんが、大企業の大規模な景気の落ち込みというのは、ちょっとグラフにしてみると違う形になって、何とか支えられている状況であるということです。
 ただ、これは今、財政出動というお話がありましたから触れておきますが、いつまでもこの財政出動が続くわけではありませんので、この税制の在り方も含めて、我々は、将来にわたって持続発展可能な財政運営というのもしっかり考えながら、今、国のやったこと、政府のやったこと、あるいは東京都のやったことは大きな評価をされていますけれども、その一方で、未来にわたっての責任も果たしていかなければいけないのが、この財政委員会であると思っています。
 もう一つは、本来だったらコロナの影響を受けて都の収入は減るだろうと思っていたから、皆さん方は、この見込みというのを、当初予算額という見込みを、少なくなっていたわけですよね、こんなに税収が上がると思っていなかったと。でも、結果、その分大きく乖離した結果、都財政はまた基金が増えるという形になるわけですけれども、この見込みを、毎年毎年見込みをしていく中であまりにも乖離が続いていくと、その一年だけでもこれだけ大きな金額ですから、それはプラスだろうがマイナスだろうが乖離があってはいけないと思います。
 改めて、この都税の当初予算額というのはどのように見込みを行っているのかお伺いします。

○丹羽税制部長 都税収入の見込みに当たりましては、各税目の直近の収入実績を基に、消費や所得など税収と密接な関連のある各種経済指標や、税制改正の動向等を踏まえ算出しております。
 特に、景気変動の影響を受けやすい法人二税については、算出の精度を高めるため、法人に関する国の各種調査等による企業の業種や規模別の収益予測等も勘案し、税収を見込んでおります。

○川松委員 原則はそうやって見込んでいるわけですけれども、様々な指標を見たり、様々な分析を見たりしながら見込みをつくったけれども、結果、大きく乖離したというのは、私は、その算出方法も含めて、社会情勢の見え方として、今までの手法が正しかったのかどうかということを今回見直さなきゃいけないんだろうというふうに考えています。
 それは、景気変動、少なくとも法人二税、先ほどからも議論されているように、法人二税というのは景気動向に左右されやすいということですが、それと同時に、首都東京の生活基盤というのは、やはりいろいろと物価の、今、高騰なども含めて、同じように、皆さん方が、法人二税が影響を受けると都税収入というのは非常に厳しくなることもあるだろうし、逆にプラスになれば大きく増えることもあるという話に連動して、都民生活、お一人お一人の皆さんの生活も動くわけですよね。景気に左右されて厳しくなりました、あるいは、今、景気がいいとかと、まち場でよく話が出るわけです。でも、現実的には、皆さん方が厳しいだろうと予測したように、財政出動で国は様々な支援をしましたけれども、一人一人の都民の皆さんと企業の在り方は別なんですよ。だからこそ、最初、皆さん方が厳しいと思った環境のまま都民生活を見つめていただきたいんですね。
 そこで、私たちが提案するような個人都民税二〇%というのを、もし仮に減税するということになるならば、今、税制度の面から見るとどのような感触があるのか、どういうふうに主税局としては見られているのかお伺いします。

○丹羽税制部長 個人都民税は、住民が地域社会の費用を広く負担するという考え方から設けられているものでございます。
 個人都民税の減税については、高額所得者ほど減税額が大きくなる一方で、地方税法の規定により非課税となる所得が一定以下の方に対しては減税の効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識しております。

○川松委員 それは、今の部長の答弁というのは原理原則論ですよね。私たちは、財務局に対して、様々な各種施策をしてきたと。コロナ対応にしても、医療制度にしても、今までにないくらいの補正予算を組んで、幅広い予算を組んで執行してきたけれども、残っているお金があると。財源があるわけですよ。
 これが全くない状況の中で今の部長の答弁であるならば、今のお話が通用するかもしれませんが、ですから、私は、そのお金があるんだったら、この減税という切り口ができるんだろうと思うんですが、今の原理原則ではなくて、私はできると思いますよ。
 そのときに、実際にこの個人都民税二〇%を進めていくなら、今は制度面のお話を聞きましたけれども、原理原則の答弁でしたが、一方で、実務、仮に減税をしようとすると、どのような問題が考えられるのか、教えてください。

○丹羽税制部長 個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて課税、徴収しており、個人都民税の減税を実施する場合には、都内の全ての区市町村において税務システムの改修が必要になるという課題がございます。

○川松委員 いわゆる個人都民税は、法律に基づいて、区市町村民税と併せて徴収しているから、結論からいうと、東京都が都民税を集めているのではなくて、区市町村が区市町村税と併せて都民税を集めているからシステムが難しいねというお話なんですが、では、ちょっと今のことは踏まえた上で切り口を変えますが、都税、東京都が徴収しているあらゆる税金があると思いますけれども、都税を過大に集めてしまった、あるいは間違えて、何かの手違いで都民の皆様が過大納付をしてしまったときに、どのように対応されているんでしょうか。

○原島徴収部長 都税の還付は、該当する納税者に還付金額等を通知した上で、口座振替または郵便局の窓口に持参して現金を受け取ることができる証書を送付する方法により行っております。

○川松委員 今、還付の方法、都税の過大納付があった場合の還付の方法を聞いたわけですけれども、いわゆる税を納めていただくときに徴収するシステムとすれば、都民税と区市町村税は一緒に取っているから、これはなかなか東京都ではシステム改修が大変だというお話ならば、都民税を納めていただいた分で、今、余ったわけですから、財務局が主計部も含めて、余っているということが分かった以上、今度は、都から直接、個人都民税の減税分だけ還付してみたらいかがかと思うんですが、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。

○丹羽税制部長 個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて課税、徴収しております。納税された総額は、都民税分と区市町村民税分とに案分され、都民税分が区市町村から都に払い込まれる仕組みとなっております。
 このため、個々の納税者の税額に関する情報は区市町村が把握しており、都では、その情報を保有していないため、都が納税者に対して直接還付を行うことはできません。

○川松委員 法律に基づいて、都民税が、あるいは他県もそうかもしれませんが、税金、県民税など納付していただいているわけですけれども、主税局の皆さん、それが法律で当たり前だと、こうなっているんですからといって、何事もなかったように今までやってきたかもしれませんが、冷静に考えたら、都民税、個人都民税という名目でお納めいただいているのに、東京都主税局は、どの都民の皆さんが都民税を納めたか把握できていない。僕は、こういうシステム、本当に正しいのかどうかと思いますよね。
 先般、僕は財務局にもいいましたけど、納めていただいたお金は誰のお金なんですかと。納めていただいたお金というのは、財務局主計部のお金なのか、あるいは納めていただいたお一人お一人のお金なのか、ここの視点が東京都が欠けているならば、都民ファーストの精神なんて生まれないと思っていますよ。
 今の部長のお話であれば、都民税をもらっているけど、誰からもらったか分からないなんていうシステムを、これが制度ですから、当たり前ですからといって今までやってきたというのは不思議でならないんですね。誰一人として、これを疑問に思ってこなかったのか。
 そういう意味において、改めて聞きますが、この個人都民税というのはいつ創設されたのか。あるいは区市町村民税と同時に徴収するというふうに至った経緯、これを教えていただきたいと思います。

○丹羽税制部長 個人の都道府県民税は、昭和二十九年度に、市町村民税の一部を移譲する形で創設されました。
 創設当初から、徴収事務を簡素化する趣旨で、区市町村が都道府県民税を課税、徴収する仕組みとされており、この取扱いになっております。

○川松委員 だから、昭和二十九年度ということですけど、当時は、税金の扱い方、いわゆる役所と住民の皆さんの関係性とかを常に役所側の論理で見ていたと思うんですよね。そのときのままずっと制度が変わっていないと。だんだん情報も変わり、あるいは社会も変わっていく、役所の皆さんと住民の皆さん方の関係性なども変わっていく中で、ずっと変わってこなかったと。
 今お話があったように、徴収事務を簡素化する趣旨だった、それはよく分かります。でも、誰が納めたかまでデータが分からないと、簡素化し過ぎじゃないか、これは。というふうに私は思うんですが、これ、他県についてお伺いしますけど、東京都以外も市町村が徴収して県へ払い込む方式でやっているんだと思いますが、改めて確認と、そして、県と市町村の案分方法は都と同じなのかどうかということを伺います。

○丹羽税制部長 個人の都道府県民税は、区市町村が区市町村民税と併せて課税、徴収しております。納税された総額は、都道府県民税と区市町村民税の課税額の割合により案分され、都道府県に払い込まれます。
 この仕組みは地方税法に定められており、全国で同じ仕組みとなっております。

○川松委員 ですから、全国同じ仕組みで徴収をしているということは、各都道府県が、それぞれの県民税なのか道民税なのか府民税なのかとありますけれども、みんなそれぞれの、四十七都道府県は、誰にお納めいただいているか分からないまま徴収をして、でも、集まってきたお金だからといって様々な政策を打ち込んできたわけですね、昭和二十九年から。
 じゃあどうしたら、我々のいっている減税をできるか。つまり、誰が納めたか分かっていなければ減税できないわけですけれども、じゃあ東京都は、どういうふうな作業だとか、どんなことをやれば個人都民税の分は誰が納付したのか知ることができるのかを教えてください。

○丹羽税制部長 個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて課税、徴収しているため、都では個々の納税者の情報を把握する仕組みになっておりません。

○川松委員 だから、都は、今の話だと都は把握していませんけれども、では、区市町村に聞けば分かるということですか。

○丹羽税制部長 地方税法において、税務情報は、法律に定められたものしか、ほかの行政機関に渡してはいけないということになっておりますので、区市町村から、今の法律の中でその情報をいただくということはできません。

○川松委員 ちょっと今、角度を変えてお聞きしますが、各区市町村から、区市町村単位で、私なら、墨田区なら墨田区ですけど、あるいは委員長の足立区だとか、区単位で幾ら都民税を納めていただいたかというのは把握できるんですか。

○丹羽税制部長 それについての統計情報はございます。

○川松委員 つまり、減税をするという入り口論の中で、徴収システム、東京都側から都民税を減税しようとするとシステム上厳しい問題がありますよ、ただ、システム改修すればできるということは、先ほどの答弁で分かりました。
 一方で、今の現状のシステム改修がなくても、減税をする方法の一つの方法とすれば、私は、そのお金が余っているというのは、見方を変えれば過大納付されたんじゃないかと、そういうふうな考え方で、この都民税を皆さん方にサポートするためにお返しするときに、区市町村ごとに納めていただいたお金をお返しして、自治体から自治体に個人情報が移動できないという部長の答弁であれば、区市町村からそれぞれ納めていただいた方に返していただくという方法もあろうかと思うんですが、そこで、先ほどからちょっとお話が出ていたんで、私、思いましたけど、DXを進めていくと、税務基幹システムを進めていくということになるならば、様々な面で、ここの区市町村と東京都のやり取りがスムーズになっていくとするならば、僕は今すぐに、今、DX、令和八年というお話になっていますから、令和八年の税務基幹システムを令和四年にしろとか五年にしろとか、むちゃなことをいうんじゃなくて、もう一度原点に立って、個人都民税ですから、個人都民税を東京都が扱うときに、誰が納めているかということを、もう一度、納めていただいた納税者の顔を見ながら、主税局が様々な制度に取り組んでいっていただきたいということを今日は要望しておきます。
 今日の答弁の中で、何ができる、できない、そして、何が原則で、どういうことが例外なのかということも分かりましたので、引き続き、この議論は、私たち、皆さん方に、主税局に、減税という制度を求め続けますので、一緒になって議論していただきたいと思います。
 次に、今回、令和四年度の東京都税制調査会報告というものが出ました。
 そもそもこの税制調査会というのは、私の認識であれば、二〇〇〇年六月一日に税調が設置をされて、当時の神野直彦先生を中心に、国が機動性に欠ける税調システムならば、東京都が機動性に富んだ税調を動かしていくことによって、地方税制の改善、あるいは国と地方の税源配分、あるいは、いわゆるそれに関連する租税制度というものを積極的に提案していきましょうと。この提案というのは、東京都の税調だけれども、地方という自治体が、政府に対して、こんなこともできるんじゃないか、こういうことも必要なんじゃないかということを働きかけていくような意味合いで設置されたと認識をしていたわけですね。
 ふるさと納税の話もさっきあったので、質問に入る前に少しお話ししますけど、ふるさと納税に対しての、先ほど、おじま副委員長から出てきた金額というのは、個人が納付した分だけであれだけあるわけです。
 今後、内閣府が進めていくような企業版ふるさと納税も加速をしていく、それを受け入れる自治体も加速をしていくと、先ほど部長が答弁された金額よりももっと大きな金額が東京都から流出することになります。そのときに原理原則を述べていただけでは、機動的に対応できないと思うんです。
 制度がそうある以上、その中で、当然、原理原則は、我々は述べていく、闘っていくと同時に、じゃあその環境の中で何ができるかということを、いわゆる例えば共存共栄、地方と共存共栄ということを東京都政として打ち出していっているならば、今まで私たちは、東京と地方になっている関係を、東京と地方と対立軸ではなくて、一緒になって中央と地方という、この構図に変えながら新しい方向性を導いていかなければいけないのに、何か私は、機動性に欠けているような報告書であり、機動性に欠けているような議論が展開されているような気がしてならないんですが、改めて、都税調の存在意義を教えていただきたいと思います。

○小林税制調査担当部長 東京都税制調査会は、都が直面する諸課題への対応はもとより、中長期的な課題に対して、地方全体の立場から地方税財政制度の在り方について提言を取りまとめしていただいております。
 こうした都税調の提言は、都の主張の理論的裏づけとなるものであり、極めて重要なものであると認識しております。

○川松委員 これも原理原則論ということでお答えいただきましたが、では、都税調の現在の委員構成について教えてください。

○小林税制調査担当部長 東京都税制調査会設置要綱では、委員十九人程度、特別委員六人程度をもって構成するものとされております。
 現時点の委員構成でございますけれども、学識経験者十六名、区市町村の代表三名、都議会議員である特別委員六名、合計二十五名で構成されております。

○川松委員 今いただいたような構成で、様々な分野から様々な知見を持たれた皆さんが集まって議論をされていく税調でありますが、今お話のありました都税調の提言ということについてお伺いしますけれども、この都税調の提言により実現してきた制度改正というのは歴史的にどんなものがあったのか、確認のため教えてください。

○小林税制調査担当部長 平成十二年以降、東京都税制調査会からは、幅広いテーマについて提言がなされてきました。
 これらの提言に基づきまして、都におきましては、宿泊税の創設、中小企業者向け省エネ促進税制、ZEV導入促進税制などが政策として実現しております。
 また、提言を契機に、国におきまして、法人事業税に係る外形標準課税、所得税から住民税への税源移譲などが実現されたところでございます。

○川松委員 まさに機動的な議論をして諸制度が出来上がってきたというお話なんですが、とするならば、この税調の中で減税などの議論が出てくると、都の裏づけとなるという答弁もありましたから、前に進んで、先ほどいっていた我々のテーマというのは進んでいくのかなと思うんですけど、例えば、都税調の中で、何となくその税調の中で、みんながまとまった意見というよりも、一人の委員の方が提案して実現してきたと。何かこの人、税調、今まで、今多くいるような人数の中で、ある一人の人が特別にこういうことを主張して制度が出来上がった、何かそんな事例はあるのか、教えてください。

○小林税制調査担当部長 これまでの東京都税制調査会では、個々の委員からの個別具体的な提案により、直接制度改正につながった例は見当たりませんけれども、委員の皆様から、それぞれの専門的な知見に基づきまして意見をいただいた上で、総会及び小委員会で議論を重ね、具体的な提言として取りまとめられた上で、制度として結実したものはございます。

○川松委員 そうすると、皆さん方がおっしゃるように、こうやって二十五名の委員が集まってきて議論します、でも、その中の二十五分の一の意見というのが反映されて制度改正につながったことはないということですよね。今の現状においては、そういうことはつながっていない。ただ、どういう議論の過程があったかというのは、その年度、年度によって様々な議論の深さ、テーマごとにも分かれていますし、いろいろありますが、じゃあもう一度聞きます。
 さっきは存在意義を聞きましたけど、東京都税制調査会というのは何のためにやっているのか、もう一度改めてお伺いします。

○小林税制調査担当部長 東京都税制調査会が、地方税財政に関する理論に裏打ちされた力強い提言を発信していくために、そのために、自由濶達な議論を通じて、都議会議員、学識経験者等の幅広い見識や税財政に関する知見に基づいたご意見をいただく、このために存在しているものと認識しております。

○川松委員 自由濶達な議論を通じて、委員の皆さんの知見だとか、意見を取り入れていくということですが、再度というか、念のためにお聞きしますが、東京都税制調査会の委員が個人都民税の減税等に対して都税調で検討を求めましたと。そういう場合、皆さん方、東京都主税局としては、その委員に対して、委員の意見に対してどう対応されるのか、それをお聞かせください。

○小林税制調査担当部長 東京都税制調査会の各年度の検討テーマにつきましては、知事からの意見を求められた事項を基に、その時々の税制上の課題も踏まえた事務局案を、まず総会で提示しまして、委員からの意見もお聞きした上で確定しております。
 総会において、特別委員を含む委員から、例えば個人住民税の減税をテーマにすべきと意見があった場合には、総会及び小委員会において議論が行われることとなると認識しております。

○川松委員 ありがとうございます。特別委員を含む委員から、そういう減税の提案がある、意見があった場合には議論が行われるということになるのが分かったと同時に、前段で、そもそも東京都税制調査会というのは、知事の諮問機関であると。
 ですから、各年度の検討テーマは、知事から意見を求めて税制調査会に打診していくわけですから、改めて、主税局の皆さん方が、このコロナ禍、あるいはウクライナ情勢に関わるエネルギー価格の高騰、物価高などで都民生活が厳しい状況にあると、そういうふうに認識をされているならば、都民税というものは、一度納めたら、東京都の財務局のものではなくて、納めていただいたお一人お一人の皆さん方のものだという認識をして、減税というテーマが必要なんじゃないかということを現場から知事側に上げていただいて、そして、知事から、今度は減税というのはどうだろうかと、税制調査会にテーマとして諮問していただくように、そういう働きかけをしていくことが、都民の視点に立った、都民の皆さん方の味方になった主税局になろうかと思いますので、その点を強く要望して、私の質問を終わります。

○もり委員 主税局は、都政における唯一の歳入所管局であり、少子高齢、人口減少、都民生活を支えるための社会的な政策課題は増大し、地方自治体が担うべき役割がますます高まっている中で、財源である地方税の確実な確保が求められております。
 令和四年度の都財政収入は増加しているものの、長引くコロナ禍とウクライナ危機を背景とする原油価格高騰、物価高騰等の影響は、都民生活、事業者の生活を直撃しており、コロナ禍で失業した方や転職により収入が大幅に減少した方には、前年度の収入に基づいて税額が決められていることにより、支払いが大変厳しいという声も寄せられております。
 我が会派も要望し、現在は納税が困難な方に対する猶予制度も実施をされております。最長一年間となっておりますが、長引くコロナ禍で都民一人一人に合わせた個別の対応も併せて要望し、納税者に寄り添いながら、引き続き健全な財政運営に努めていくことを求め、令和四年度東京都税制調査会の報告について質問をさせていただきます。
 都民ファーストの会は、かねてより、税制面からもサステーナブルシフトを後押しするべきと訴えてまいりました。令和三年第二定例会の代表質問では、小池都知事より、脱炭素社会の実現に向けた税制を検討する旨の答弁をいただいております。
 そこで、都税調における環境関連税制を中心に質問をさせていただきます。
 近年の異常気象、自然災害の激甚化と地球温暖化対策は人類滅亡問題ともいわれる待ったなしの状況があります。脱炭素という言葉を聞かない日がないというくらい、今や気候変動対策は、官民問わず、最優先で取り組むべき課題であり、東京都においても二〇一九年気候危機行動宣言を行い、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフを目指し、二〇五〇年度までに世界のCO2排出量を実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現の取組が東京でも加速化をされております。
 今月、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27に、小池都知事も出席をされ、二〇五〇年までに脱炭素化を目指すことを宣言し、率先して気候変動対策に取り組む姿勢を示したところです。脱炭素化を実現するためには、あらゆる政策を総動員して取り組む必要があり、税制を活用していくことも大変重要です。
 このような中、今年度の都税調においても、環境関連税制について主要なテーマの一つとして検討がなされてまいりました。
 提言では、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するため、カーボンプライシングの取組を推進していくとありますが、先ほども質疑がありましたが、確認の意味で、カーボンプライシングとはどのようなものであり、都税調の報告でどのように述べられているのかお伺いをいたします。

○小林税制調査担当部長 カーボンプライシングは、炭素ベースのエネルギーの価格を引き上げ、これに対する需要を低下させることから、炭素の排出削減に効果的であり、最小のコストで削減目標を達成するための政策手法でございます。
 代表的なものといたしまして、燃料、電気の利用量に比例した課税を行う炭素税と、排出量の上限を超過する企業と下回る企業との間で排出量を売買する仕組みである排出量取引とがございます。
 炭素税は、価格が一定であるため、納税者は負担額を予見できるが、炭素の削減量の見込みは立てにくく、一方、排出量取引は、削減量の見込みは立てやすいが、排出権の価格変動により負担額が予見できないなど、両者にはそれぞれ長所、短所がございます。
 このことから、今年度の東京都税制調査会の報告では、カーボンプライシングについて、炭素税と排出量取引のポリシーミックスにより、効果的に脱炭素化を進めていく必要があるとしております。

○もり委員 ありがとうございます。カーボンプライシングについては、都民の理解が得られるよう、丁寧な説明を行いながら、効果的な脱炭素の取組の一層の推進をお願いいたします。
 年々進む地球温暖化の対策として、脱炭素化のさらなる推進が求められ、世界に目を向けると、EUでは、脱炭素化の取組が遅れている国からの輸入に水際で課金するなどの議論もされると報道されています。
 一方で、足元の生活を見てみると、エネルギー価格や原材料価格の高騰が続くなどして、こうした都民生活の影響を考慮しなければなりません。都税調においては、多角的な視点から議論を深め、また、継続して国に働きかけていただきたいと要望いたします。
 次に、ゼロエミッション東京の実現に向けた住宅の脱炭素化についてお伺いをいたします。
 我が会派では、かねてより、住宅をはじめとする建築物における対応が非常に重要であることを、住宅政策審議会、また、本会議を通じて提案してまいりました。
 住宅の脱炭素化は、部門別のエネルギー消費量を見ると、家庭部門は、産業、業務部門や運輸部門と比較し削減幅が小さいことから、家庭部門、中でも住宅の脱炭素化がカーボンニュートラル実現のためには不可欠となっています。
 東京都は、現在、住宅等における太陽光発電設備の設置義務化を推進しているところですが、今回の都税調の報告においても、住宅に関する税制について提言がなされています。
 今回の報告では、住宅の脱炭素化を目指し、具体的にどのような提言が行われたのかお伺いをいたします。

○小林税制調査担当部長 今年度の東京都税制調査会の報告では、住宅に係る税の軽減措置につきましては、対象を環境性能の高い住宅に重点化し、その普及を促進していくことが必要であると述べられております。
 加えまして、建築物のリノベーションを行った場合には、既存建物を同規模の新築に建て替えた場合と比較し、CO2排出量と廃棄物排出量を大幅に削減できるという研究結果も示されていることから、既存住宅の活用は脱炭素化にも貢献すると考えられているため、既存住宅の流通を活性化すべきとしております。

○もり委員 ありがとうございます。CO2排出量という切り口から既存住宅を評価していることは画期的であり、全国的に増加している空き家を利活用するという意味でも、既存住宅の流通を活性化することは重要であると考えます。今後も、都税調では、既存住宅の流通の支援に資する税制等について、議論を継続していただきたいと思います。
 また、今般、都が、太陽光パネル付きゼロエミ住宅の導入促進のため、都独自の新たな減税となる不動産取得税の減免措置を取るとしたことを高く評価しております。今後も、税制を通じて都民の住宅の脱炭素化が推進されるよう、周知も併せてお願いをいたします。
 次に、車体課税について確認をさせていただきます。
 運輸部門から排出されるCO2は大きなウエートを占めており、自動車の脱炭素化を進めることは非常に重要な取組であると考えます。
 今回の都税調でも、自動車税の基準にCO2の排出量を取り入れていくことを提言していますが、中長期的には、車体重量や走行距離も基準に組み合わせるべきとしています。
 そこで、走行距離を基準とするという考え方に着目した背景はどのようなものであるのかお伺いをいたします。

○小林税制調査担当部長 主税局が行った調査によりますと、自動車の台数減少、EV化の進展などによる影響により、道路整備等の自動車に係る行政需要と自動車関連税収との乖離が今後も拡大していくことが予想され、安定的な財源確保が求められているところでございます。
 こうしたことから、今年度の東京都税制調査会報告では、CO2排出量、重量に加えまして、走行距離を組み合わせる方法などを検討する必要があるとしております。
 一方で、走行距離課税を実現するには、走行距離の長い地方部ほど負担が重いこと、課税に当たりGPSを利用して走行経路の情報を行政側が保有する場合にプライバシーに抵触する可能性が高いことなどの課題が指摘されており、今後も引き続き、議論をしていく必要があるとしております。

○もり委員 走行距離課税は、政府の税調でも議論され、自動車業界からは反発の声も聞かれます。また、EV化の進展においても、本来、再エネ由来の電気でなければ環境への効果は不透明であり、実現に向けては多くの課題もあるので、様々な意見を踏まえながら議論を進めていただきたいと思います。
 次に、都税調の情報発信についてお伺いをします。
 都の事業について積極的に情報発信をしていくことは、透明性を高めるのみならず、都民の理解と賛同を得るためにも重要です。
 今回、都税調の報告をいただいたところですが、その検討過程を含め、対外的に発信すべきと考えます。
 都税調では、会議の検討過程や報告についてどのように情報発信を行っているのかお伺いをいたします。

○小林税制調査担当部長 税務行政につきまして、税の仕組みなどを都民に分かりやすく伝え、納税に関する理解を深めていくことは重要であると認識しておりまして、東京都税制調査会の活動や提言内容につきましても、都民の皆様に理解していただけるよう、積極的な情報発信に取り組んでおります。
 具体的には、主税局ホームページで報告や会議資料を掲載するとともに、総会については、インターネット中継及びアーカイブ配信を、学識経験者が議論を行う小委員会につきましても、今年度からインターネット中継を行っております。
 加えまして、今年度は、新宿駅西口広場や渋谷のスクランブル交差点にあるデジタルサイネージを活用し、総会の開催について広く都民に向け周知を図っているところでございます。
 今後とも、東京都税制調査会について、デジタルサイネージやSNSなど様々な媒体を効果的に活用し、分かりやすい広報、周知に努めてまいります。

○もり委員 今回、主税局のホームページを拝見させていただき、AIを用いたチャットボットなどもあり、分かりやすい広報に取り組んでいただいていると感じました。
 また、平成二十五年、これは財務局になりますが、国の不合理な措置に対する東京都の主張の冊子などもとても分かりやすく、メリーちゃん、ハリーちゃんなどのキャラクターも、ぜひそういったところも加えて、都税調の活動や提言内容について、より多くの都民の皆様に理解していただくことが大変重要だと考えますので、引き続き適切な情報発信をしていただきたいと要望いたします。
 最後に、主税局として、税務行政を推進していくに当たり、都税調をどのように活用していくのか、局長にお伺いをいたします。

○小池主税局長 今年度の東京都税制調査会の報告は、気候変動、デジタル化、グローバル化といった日本の社会経済を取り巻く潮流を踏まえ、環境関連税制、税務行政のDX、国際課税等、時宜にかなったテーマについて多様な観点からの活発な議論に基づいた提言がなされました。
 都税調には、都議会議員や区市町村長、税務実務者及び財政学、租税法等の学識経験者に参画していただいておりまして、その幅広い見識と税財政の理論的な裏づけは、都税調の発信力を高める大きな強みとなっております。
 これまで都税調は、都の立場にとどまらず、地方全体の視点から提言を行っており、これらは、グリーン化税制や全国ベースの外形標準課税の実施など、国を動かす契機となり、また、都の政策にも具体化されてきたところでございます。
 今後とも、都税調には、国に先駆けて、地方分権に資する地方税制や、国、地方を通じた税制全体の在り方について活発に議論いただくとともに、主税局としては、その提言を活用していくことで、都議会の皆様のご協力もいただきながら、税制度に関する議論をリードするとともに、これを積極的に発信してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 ここに、主税局ビジョン二〇三〇の実現に向けた局長の思いなども読ませていただきました。
 ただいま局長から、首都東京として、都の立場にとどまらず、地方全体の視点から、グリーン税制や全国ベースの外形標準課税の実施など、これまでも都税調が国を動かしてきた旨の力強いご答弁をいただきました。
 スリム行政の円滑な運営には、税収の公平性が求められますが、先ほどのおじま委員のふるさと納税ですとか、また、他の会派の委員からも、外形標準課税の大企業の資本金の切下げですとか、一方で、税の役割とは公共サービスを支える原資であり、富の再分配の役割が求められておりますが、世界的に見ても、多国籍企業への富の集中と、大企業、富裕層への減税の一方で、貧困世帯層における税負担は上がっており、税制における富の再分配の機能が損なわれているのではないかと、格差が拡大している現状を危惧しております。
 先ほどは、都民税減税についての議論がありましたが、首都東京には、都市特有の財政需要が多大にあり、少子高齢化や長引くコロナ禍、ウクライナ危機等、先行きが不透明な現状において都税の安定確保は重要であると考えます。
 また、見直すべきは、本当に、国から、十年で二・二兆円ともいわれる偏在是正措置の都税の収奪を見直すことこそ、ぜひ国政与党の都議の皆様にも、国に共に訴えていただきたいと思っております。
 また、タックスヘイブンなど対抗措置がなかなか難しいというような報道もありますが、例として、オバマ大統領時代にアメリカでは、外国の銀行と国内歳入庁との間でデータの自動供与を義務化する外国口座税務コンプライアンス法が成立し、おおむねの国がこの法律に同意したという記事なども読みました。
 ぜひ、都財政のDX、バックオフィス連携を進める中で、先ほど局長がおっしゃられたように、都財政における提言を活用し、都財政に関する議論も、国をリードしていくという力強いご答弁をいただきましたので、ぜひ、税の公平性、また、格差是正の視点を持って国に働きかけていただき、納税者に寄り添う税制の実現を願い、質問を終わります。ありがとうございました。

○かまた委員 私からは、まず、防災対策における税制面の支援制度についてお伺いをいたします。
 主税局では、木造住宅密集地域の不燃化を税制面から支援するため、平成二十五年度に不燃化特区支援税制を創設し、不燃化特区内において、建て替えや老朽住宅の除去を行った際に、固定資産税、都市計画税を軽減する税制優遇措置を実施しております。
 また、住宅の耐震化を税制面から支援するため、平成二十年度に耐震化促進税制を創設し、旧耐震基準に基づき建築されました住宅を、建て替えまたは耐震改修を行った場合にも、固定資産税等を軽減する措置を実施しております。
 このような防災まちづくりを支援する制度により、都内の木密地域の不燃化や住宅の耐震化は進み、都内の木密地域は、当初の約一万六千ヘクタールから約八千六百ヘクタールとなり、住宅の耐震化率は九二%となりましたが、木密地域や耐震性が不十分な住宅はまだ残っており、引き続き、東京都の防災面における大きな課題となっております。
 そこで、不燃化特区支援税制及び耐震化促進税制について、令和三年度の実績と成果についてお伺いをいたします。

○辻谷資産税部長 お尋ねの減免制度の令和三年度の適用実績につきまして、まず、不燃化特区支援税制ですが、建て替えについては三千四十七件、約三億六千八百万円、老朽家屋の除却については二百四十六件、約四千五百万円の減免となっております。
 次に、耐震化促進税制ですが、建て替えについては九千二百七十件、約十三億二百万円、耐震改修については千二百十七件、約三千七百万円の減免となっております。
 これらの減免措置は、経済的なインセンティブを働かせて住宅の不燃化や耐震化を促すとともに、助成制度などとの相乗効果によって、防災まちづくり施策を税制面から後押しする役割を担ってきたものと考えております。

○かまた委員 実績が少ないのではないかと危惧をしていましたので、一定の水準で実績があることが分かりました。
 しかしながら、一方で、私の地元板橋区では、大山駅周辺西地区と大谷口一丁目周辺地区が不燃化特区に指定をされておりますけれども、市街地の燃えにくさを示す不燃領域率が、大山駅周辺西地区では七二・二%、大谷口一丁目周辺地区では六三・八%となっております。地域によって進捗が異なっている状況です。
 七〇%を超えると延焼の危険性がほぼなくなるとされていますが、大谷口一丁目周辺地区ではまだ目標に達しておらず、制度の需要はまだあると思われます。
 板橋区では、これら地域へ専門家の無料派遣を行うなど、区でも不燃化や耐震化への努力をしておりますが、防災まちづくりに関する政策税制は、これらの事業を進める区との協力連携が不可欠であります。
 また、こうした税制を都民に周知し、積極的に活用してもらうことが、防災まちづくりを推進する上で極めて重要であると考えます。
 そこで、制度の活用促進に向けた制度の周知における主税局の取組についてお伺いをいたします。

○辻谷資産税部長 木造住宅密集地域の不燃化及び災害に強い東京を促進するため、不燃化特区支援税制及び耐震化促進税制をより広く、分かりやすく周知していくことが重要であると認識しております。
 このため、主税局では、「広報東京都」や「あなたと都税」など、都の広報媒体を活用するとともに、減免制度についてのチラシを作成し、区の事業所管課の窓口や個別相談会で配布するなど、区と連携して広報に努めてまいりました。
 加えて、今年度は、主税局ホームページに住宅新築の際の軽減制度を総合的に案内するページを新たに作成し、住宅の新築を考えている方に向けて、不燃化特区支援税制や耐震化促進税制について幅広く効果的な広報を行っております。
 今後とも、対象となる方に必要な情報が届けられるよう、きめ細かい周知に努めてまいります。

○かまた委員 今後、さらに防災まちづくりの推進のため、制度を積極的に活用していただきますよう、期限となる令和八年三月末までには地域の不燃化が進むよう、ぜひ、関係部署と連携して、周知徹底をお願いいたします。
 続きまして、次の質問に移りたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対応での徴収猶予について、私からもお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響で納税が困難になった納税者に対しまして、国では、徴収猶予の特例制度を設け、令和三年二月一日まで適用してまいりました。
 また、都では、国の徴収猶予の特例制度終了後も、納税者の生活や経済活動を守るため、引き続き、令和四年三月三十一日まで徴収猶予の特例を継続実施し、この徴収猶予制度の適用件数は、令和二年度は一万七千九百三十三件、そして、令和三年度は七千百六十二件であったとのことです。
 令和三年度の適用件数が減少したのは、経済社会活動が徐々に正常化に向かう中で、景気が持ち直してきた影響も大きいと考えられますが、徴収猶予の猶予期間は最長で一年であり、徴収猶予の適用を受けても、猶予期間終了までには納税をしなければなりません。
 そのため、令和四年度においては、令和三年度に徴収猶予の適用を受け本年度中に猶予期間の終了を迎える納税者がおり、その中には納税困難な方も出てくるはずです。
 そこで、徴収猶予の期間が終了する納税者に対してはどのような対応をしているのかお伺いをいたします。

○原島徴収部長 徴収猶予期間終了のおおむね一か月前までには、対象の納税者に文書等で期限をお知らせするとともに、納税が困難な場合には、都税事務所に相談するよう案内をしているところでございます。
 事業の状況が改善しないなどの理由で猶予期間終了までに納税が困難な場合には、徴収猶予の延長や分割納付計画の提示などの納税相談を積極的に行い、納税者の個々の状況に応じて、きめ細やかな対応をしているところでございます。

○かまた委員 景気が持ち直してきたとはいっても、コロナ禍の影響を受け、事業や生活が厳しい状況にある方は少なからずいらっしゃいますので、納税者の置かれた状況を丁寧に把握していただき、分割納付や徴収猶予の延長など、きめ細かい相談対応を進めていただき、少しずつでも確実に納税していただきますよう、支援をお願いいたします。
 続きまして、障害を持つ納税者の対応についてお伺いをいたします。
 令和四年第二回都議会定例会において、私たち議員提案により、全会派一致で成立をしました手話言語条例が今年九月に施行されました。
 障害のある人もない人も、互いに尊重し、支え合うこと、そして、社会の様々な分野で障害者が直面するあらゆるバリアを可能な限り減らすことは重要であります。
 先日、地元の地域で、スマートフォンを活用して行っている行政サービスの手続がありまして、電話番号を入力するという過程があります。聴覚障害をお持ちの方から、自分はスマートフォンを使ってはいるけれども、聴覚障害のためにメールしか使っていない、電話番号がないというご相談をいただきました。私は、この話を伺いまして、そのことに気づいていない自分にはっとさせられました。特に、外見では判断しづらい聴覚障害の方については、円滑に必要な情報を取得し意思疎通ができるよう、様々な情報保障に関する取組が求められることを私自身も改めて認識をいたしました。
 そこで、聴覚障害を持つ方が都税事務所に来所される際にどのような対応を行っているのか伺います。

○上林山総務部長 都税事務所には、都税の申告、申請、納付や納税相談などの際に様々な納税者の方が来所されております。
 聴覚障害を持つ方への対応といたしましては、窓口において、耳の不自由な方から申出があれば必要な援助を行いますという意思表示などに用いる、いわゆる耳マークを表示しまして、ホワイトボードやアプリを活用した筆談対応のほか、遠隔手話通訳サービスのQRコードを窓口に設置するなど、きめ細かな対応を行っているところでございます。
 また、今年度から、各都税事務所で実施しております接遇研修の一部に、手話の実践として基本的な挨拶を盛り込むなど、職員の手話に対する理解の向上を図ってございます。

○かまた委員 ありがとうございます。ぜひ今後も積極的な取組をお願いいたします。
 それでは、最後に、視覚障害を持つ方への対応についてもお伺いをいたします。
 視覚障害をお持ちの方のお話を伺うと、日常、様々な場面でご苦労があることが分かります。特に書面など紙媒体から情報を取得することに大変ご苦労されており、行政からのお知らせは書面媒体が多く、苦労しているとのことでした。
 主税局におきましても、納税通知書など重要な書類を紙媒体によって都民にお届けする機会があると思いますが、視覚障害者の方に対してどのような取組を実施しているのかについてもお伺いをいたします。

○上林山総務部長 視覚障害を持つ方への対応といたしましては、スマートフォンや専用の読み取り装置などで読み取ると音声で案内する音声コードを全ての納税通知書の封筒に添付し、納税に関するご案内をしております。
 加えて、ご希望される方々には、税額などの個人情報を含む内容につきまして、点字あるいは音声コード化した案内文を納税通知書に同封して発送しております。

○かまた委員 ぜひ、引き続き、あらゆる障害を持つ納税者の声に耳を傾けながら、バリアを可能な限り解消できますよう努めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。
 質問に先立ち、先ほどから議論になっている都税調について、改めて一言申し上げたいと思います。
 答弁の中でも、説明の中でも、繰り返し、提言なんだということがいわれております。総務局長通知は、懇談会について、委員の意見の取りまとめについては個々の委員の意見の表明の形を取るというふうにされているわけですね。しかも、懇談会は臨時的に設置するものであるというふうにされています。
 先ほど来、提言、報告の基になる案は事務局がつくり、意見交換を行った上で、要綱としては諮問、答申という関係は変えたものの、実態としては諮問、答申として運営されてきたときと同じなのではないかという印象を持ちました。
 改めて、先ほど米倉副委員長からいいましたが、条例設置の附属機関とする検討を含めて、この在り方についてはきちんと主税局としても取り組んでいただきたいと。これは意見として申し上げます。
 それでは質問に入りたいと思います。
 初めに、都税事務所の収納、納税証明書手数料徴収事務などの委託について伺いたいと思います。
 主税局は、法律や条例などに基づいて税に関する正確な事務を行うことが必要です。
 一九六三年の自治省行政局行政課長通知では、徴収とは、普通地方公共団体の歳入を調定し、納入の通知をし、収入を受ける行為をいい、収納とは、調定し、納入通知のあった普通公共団体の収入を受け入れる行為をいうというふうにされました。税務行政において、本来、直営で責任を持ってこうした事務を行うことが必要だと考えています。まず、そのことは申し上げておきたい。
 多摩地域の都税事務所をはじめとした都税収納事務等は、もともと東京都の専務的非常勤職員の方々が担い、直営で実施されていたものが、二〇〇四年に委託をされ、それ以降、毎年、単年度の委託契約が行われています。専務的非常勤のときには、時給一千五百五十円でしたが、委託された初年度には、千円と大きく引き下げられました。当時、最低賃金は七百十円でしたから、最賃との差は一・四倍、当時なっていたということです。ところが、直近二〇二一年では、一千百五十円と、十八年で百五十円しか時給が上がっていないんですね。一方、最低賃金は、七百十円から昨年度は一千四十一円と、三百三十一円、この間上がっています。
 実態として、要は人件費が大きく削減されているというふうになっているのが実態ではないかと。人件費をコストと見て、やはり削減していくことではなく、賃上げを大きく後押ししていく、そういうことが今必要だというふうに思います。
 そうしたことを指摘した上で、基本的な問題から質問します。
 都税収納事務の委託、この業務内容はどのようなものでしょうか。

○原島徴収部長 本委託の業務内容は、東京都八王子都税事務所ほか十所の窓口におきまして、都税の収納や納税証明発行手数料の徴収等を行うものでございます。

○池川委員 八王子と立川の都税事務所、青梅、町田、府中、小平の都税支所、さらには、品川、練馬、足立、多摩、八王子の都税総合事務センター、自動車税事務所の都税の収納や手数料の徴収などを行っているということだと思います。
 それでは、本委託と主税局の関係というのはどういうものなのか。また、主税局の役割はどのようなものでしょうか。

○原島徴収部長 本契約では、主税局は、都税の収納や手数料の徴収を委託し、受託者に対して委託業務の履行が適切に行われているかを確認する立場でございます。

○池川委員 委託仕様書では、事務処理の条件として、事務所における窓口収納の納税者サービスの低下を招かないこと、また、納税者の利便性の維持等、効率的な都税徴収金の収納等を確保するため十分な体制を措置し、持てる技術力、経験等の総力を挙げて事務に取り組み、事務の遅延、信用の失墜行為と防止策を講じ、事務に不備がないよう事務従事者への指導を行い、必要に応じ窓口機器を用意するなど万全の体制を期すことというふうに書いてあります。
 先ほどの答弁の中で、主税局は、受託者に対して委託業務の履行が適切に行われているかを確認すると答弁がありました。
 それでは、今紹介をした仕様書どおりに委託事務が行われているかどうかについてはどのようにチェックをされているんでしょう。

○原島徴収部長 主税局は、委託契約書に基づいて、受託者より月に一度、完了届及び取扱実績報告書の提出を受けることになっておりまして、その際に、受託者に対して業務が適切に履行されているかを確認しているところでございます。

○池川委員 それでは、仕様書どおりに事務が行われていない場合はどのように是正していくんでしょうか。

○原島徴収部長 仕様書とは異なる業務遂行が行われている場合には、主税局は、受託者に対して、仕様書どおりに事務を行うよう改善等を求め、受託者は、速やかに具体的な対応等を主税局と協議の上、改善等を実施することになっております。

○池川委員 この事務が委託をされてから様々な課題が指摘をされてきましたが、実際に今年度の委託契約の中では、事業者が仕様どおりではない事務を行っているという指摘があって、主税局として改善を求めて、一部は是正されたというふうに聞いています。
 さらに、事務手続も配布されていなかったり、事務責任者が不明確であるなど、仕様書の内容との関係では不十分であるという指摘もされており、この点も含めて、仕様書にあることは確実に履行すると。それは、主体的に主税局が責任を持って対応することを重ねて強く求めておきたいと思います。
 この事務を委託した初年度に、雇用契約をめぐった事件が起き、労働委員会で争われております。二〇〇六年三月六日の東京都労働委員会で、東京都が、収納委託業務の入札に係る対応のとおり対応することと確認をされ、この申立ては取下げが行われています。
 収納委託業務の入札に係る対応という都が提出した文書には、選定に当たっては、円滑かつ効率的な収納業務が確保できるよう、本契約金額に、実績従業者数、資本の額、その他経営規模、決算状況等の経営基盤が安定していること、類似の収納業務実績があり円滑な業務処理が期待できる業者であることを要件としていますというふうに、当時、主税局側は回答して、ここにきちんと約束をした上で申立てが取り下げられたという経過があります。
 労働委員会が入って確認された収納委託業務の入札に係る対応、これは確認になりますけれども、当然今も引き継がれているということでよろしいですね。

○原島徴収部長 委員の今お話のあった件でございますけれども、現在も引き継がれているということになって、認識しております。

○池川委員 きちんと今も引き継がれているんだということです。
 ここで確認された内容、大事なことがあるというふうに思うんですね。
 そこで伺いたいと思うんですけど、都税事務所の都税収納事務等の専門性についてはどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○原島徴収部長 本委託事務の発注に当たりまして、入札参加条件として、東京都またはほかの官公庁における地方自治法施行令第百五十八条の二第一項による収納事務と同様の受託実績を求めており、一定の専門性を担保しているところでございます。

○池川委員 地方自治法施行令百五十八条の二第一項による収納事務と同様の受託実績だという話が今ありました。
 私、受託者のホームページを見てみたんですが、公共施設の清掃や維持管理、施設運営や受付業務、清掃や機器等の維持管理を行うというふうになっており、これ、同様の実績をどのように評価するのかということは疑問符がつくなというふうに思っています。
 実際に様々なミスが起きていることについて、この場では詳しく述べませんが、これは主税局自身も認識されていると思います。
 さらに、私も聞いて驚きましたが、今年度に入ってから今に至るまで、雇用契約が結ばれていない従業員の方もいらっしゃるといいます。
 労働基準法第二条には、労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定するべきものであるとして、その二として、労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実におのおのその義務を履行しなければならないというふうに規定されていますね。
 さらに聞いてみると、就業規則についても、労基法百六条で、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けることとありますが、現場では、まだいまだに就業規則が見えるところにはないという、こうした指摘もあります。
 法令遵守のことは当然だというふうに思います。こうした問題が起こっていることも、発注者である主税局は、きちんと認識をし、受託者との関係で確認等を行っていくことが必要ではないかというふうに思っています。
 同時に、毎年度、受託者が変わるという可能性があることは、業務の安定性、連続性、継続性、これらの関係で課題となっていることは、単年度契約になっていることに起因するものだと思います。様々問題が起これば、これは税務行政そのものの信頼に関わる問題になっていくわけで、ここは課題があるのではないかと思います。
 そこで伺いますが、本契約は単年度契約となっていますが、毎年、入札者が変わることの課題もあると考えていますが、どう認識されていますか。

○原島徴収部長 入札によって受託者が変わった場合には、業務に支障が生じないよう、履行開始前に必要な資料を提供するとともに、受託者と十分な打合せを行っております。

○池川委員 先ほど、今も引き継いでいるんだと確認をした収納委託業務の入札に係る対応という文書の中には、四月一日より業務が円滑にスタートできるよう事前に十分に検討していくことを事業者に求めるんだと主税局はいわれているんですね。しかし、事前の準備そのものが十分でなかったという指摘もされています。また、受託事業者が、実際には、そこで働く従業員の方々に教えてもらいながら実際の業務を行うということもあるんだと仄聞しています。
 毎年度、受託事業者が変わる可能性があるというのは、業務の安定性、連続性、継続性との関係で、やはり課題になっていると。この課題をきちんとやっぱり認識することが必要だと思います。業務に支障のないように打合せをしているといいますが、実際には問題が発生しているということを考えれば、やはり対応を変えていくことが必要ではないかと考えます。
 私は、この間、財務局の質疑の中で、業務委託の総合評価方式について質問してきました。
 財務局は、価格競争ではなく、履行の質の低下を招くおそれがあることから、総合評価を導入して対応してきた、そういう趣旨の答弁があり、より一層、質の高い行政サービスを実施するということで、実際に、二〇一六年から、業務委託等の総合評価に係る適用方針というものを出しています。
 財務局契約の中で、業務委託の総合評価は、二〇一七年度五%だったところが、二一年度には二二%まで、この間増加をしてきています。
 さらに、財務局とのやり取りの中では、業務委託の品質を確保する目的で総合評価方式を導入した場合であっても、その契約期間が単年度であると、業務の履行で事業者が得たノウハウが蓄積、継承されないこと、事業者が従事者を安定的に雇用しづらく、従事者に対する中長期的な観点から教育訓練が行えないことなど、総合評価方式のメリットを生かし切れないことがあるとして、総合評価方式と複数年度契約を組み合わせる視点についても答弁がありました。本委託についても、こうした角度からの見直しが必要ではないかと考えます。
 これまでは一般競争入札で行われてきましたが、総合評価方式や複数年度契約など、見直しを行う必要性があると考えますが、いかがですか。

○上林山総務部長 価格競争は地方自治法における入札の原則であり、本契約におきましては、多くの事業者に入札の参加機会を提供することができ、また、新規の事業者であっても参入しやすいことなどから、毎年、希望制指名競争入札を実施し、事業者を選定しております。
 一方で、複数年度契約や総合評価方式などの場合、事業の安定性、継続性の確保、担い手の習熟度、品質の確保などの点でメリットもあることから、主税局としても、その導入方法等について引き続き検討してまいります。

○池川委員 質の確保や担い手の育成確保の観点から、一層の効果が期待できるとの視点から、この総合評価方式と複数年度契約を組み合わせて実施しているという事例は、財務局契約においては、二〇二一年度、六十八件だったというふうに答弁がありました。
 財務局は、発注局それぞれが総合評価方式を適用するべき案件を適切に選定し、発注できるよう支援していくとも答弁されています。通常、一千万円を超える業務委託は、財務局契約というふうに、現状、都庁の仕組みとしてなっています。しかし、本委託は、法に基づく契約であるということで、所管である主税局契約というふうになっている。これは、だから主税局が主体的に判断をすることがより求められるということなのだと思います。
 今、答弁で、引き続き検討していくということがありましたので、主税局から、この総合評価方式、複数年度契約を組み合わせた発注について、ぜひ早急な検討を行って、そして、来年度から実施できるよう強く求めておきたいというふうに思います。
 次に、宗教法人に係る非課税の対応について質問します。
 世界平和統一家庭連合、旧統一協会の問題をきっかけとして、今、宗教法人への注目、関心が集まっています。
 被害者の救済、高額献金、二世、三世問題、政治との癒着の問題など、様々な視点から注目されていますが、その一つが、宗教法人に対する非課税への対応です。
 今日は、主税局が担っている事務事業との関係で、この点について質問していきたいと思います。
 まず、主税局が行う非課税調査の目的、調査対象となるものはどのようなものかお伺いします。

○辻谷資産税部長 主税局におきまして、固定資産税等における一般的な非課税調査は、利用状況の変更を捕捉し、非課税の認定を適切に行うために実施しております。
 そのため、調査対象は、現在非課税が適用されている、または新規で適用される固定資産でございます。

○池川委員 具体的にはどのような調査を行っているのかお伺いをいたします。

○辻谷資産税部長 一般的には、法人規則や法人登記簿、収支決算書、財産目録等の書類により活動実態を把握するとともに、所有者立会いの下、現地調査を実施し、利用の状況を確認しております。

○池川委員 主税局は、宗教法人に対して非課税が適用されている、もしくは、これから新規に適用される固定資産について、実態を把握し、現地調査を行い、利用状況を確認しているということです。
 それでは、確認を含めて伺いますが、固定資産税、都市計画税が非課税となる宗教法人の定義を教えてください。

○辻谷資産税部長 宗教法人とは、宗教法人法上の宗教団体であり、宗教の教義を広め、儀式、行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とするものとされております。

○池川委員 それでは、その宗教法人法上の宗教団体である宗教法人が、固定資産税等の非課税となる法的根拠について伺います。

○辻谷資産税部長 地方税法の規定により、宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地については、固定資産税等を課税することはできないとされております。

○池川委員 登記簿上は境内地となっている場合でも非課税とならない場合があるのか、また、それは具体的にどのような場合、どのような施設でそうなるのか伺います。

○辻谷資産税部長 登記簿上の地目にかかわらず、利用実態に基づき、宗教法人が専らその本来の用に供すると認められないものについては、非課税とはならないとされております。
 具体的には、貸し駐車場などが該当いたします。

○池川委員 具体的には、貸し駐車場ということでありました。
 敷地内にある駐車場、貸し駐車場が、固定資産税等が課税される場合は具体的にどういったケースなのか、また、料金を徴収している場合は、基本的には課税されると考えてよろしいのか伺います。

○辻谷資産税部長 宗教法人及び信者、参詣者等以外の一般の利用に供する駐車場については課税の対象になり得ると考えております。
 また、料金を徴収している場合は、一般の貸し駐車場との間に差異は認め難いことから、課税の対象と考えております。

○池川委員 料金を取っている場合は、基本的には課税対象となるということです。
 先ほどの答弁で、利用実態に基づき、宗教法人が専らその本来の用に供すると認められないものについては非課税とはならないという話がありました。
 専らその本来の用に供するとは、具体的にどういうことでしょうか。

○辻谷資産税部長 専らその本来の用に供するとは、宗教の教義を広め、儀式、行事を行い、信者を教化育成するという宗教法人本来の目的の用に専ら供することとされております。
 また、専らというのは、境内建物等を宗教法人の本来の目的のために限って使用する状態を指すものでございますが、たまたま例外的に他の目的のために使用することがあったという程度のことによって、直ちに、専らその用に供するといえないということにはならないとされているところでございます。

○池川委員 たまたま例外的に本来の目的以外で使用したということをもって、専らではないというふうにはいえないということだと思います。
 それでは、具体的に、そういうものがどういうケースなのか確認していきたいと思うんですけど、例えば、境内地内において、日曜市、朝市、骨董市など、一時的に宗教活動とは関係ない活動で利用している場合というのはどう考えるのでしょうか。

○辻谷資産税部長 使用実態を十分に踏まえる必要がありますが、境内地を、たまたま例外的に他の目的のために使用するようなことがあったという程度のことであれば、非課税と認定する場合もございます。

○池川委員 それでは、宗教法人施設内で、書道教室、絵画教室、子供食堂、無料塾などをやっていた場合というのはどうなりますか。

○辻谷資産税部長 書道教室に使用されることがある施設などにつきましても、利用実態を十分に調査した上で、宗教法人が専らその本来の用に供する施設かどうかを判断する必要があると考えております。

○池川委員 例えば、ホームページなどで、有料で生徒さんを募集してやっている場合など、これは専らに含まれるのかどうかというのは疑義が出るということだと思います。そういう意味では、利用実態を十分に調査するということが、先ほど来いわれている調査の目的だということで理解をいたしました。
 では、宗教法人、例えば、会館を有料貸室として結婚式場等に利用している場合もありますが、この場合はどうなるでしょうか。

○辻谷資産税部長 当該会館の利用実態が、市中の貸ホール等と同様に、パンフレット等を作成し、広く一般にも結婚式場等として有料で貸し出されている場合は、非課税に該当しないこととされております。

○池川委員 広く、例えば貸し会議室などとなっていた場合でも、非課税とならないということだと思います。
 それでは、料金を取って宗教法人施設を鑑賞する場合、どうなるのでしょうか。

○辻谷資産税部長 宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物及び境内地については、それが有料で鑑賞に供される場合においても、固定資産税等を課税することはできないものとされております。

○池川委員 施設の鑑賞は本来の用に供するということで、課税対象にはならないということです。
 では、墓地はどうか。墓地の永代使用料、永代供養料などの徴収については、課税なのか非課税なのか、どちらでしょうか。

○辻谷資産税部長 永代使用料や永代供養料、その他の名目の金銭を徴収している場合でも、墓地については、地方税法の規定により、固定資産税等を課税することはできないとされております。
 なお、法人税法の規定により、宗教法人が行う墳墓地の貸付けや供養は収益事業に該当しないものとされており、永代使用料や永代供養料は、法人二税の課税対象とはなりません。

○池川委員 墓地は固定資産税等の課税対象とならず、永代使用料、永代供養料については法人二税の対象外だと、課税対象外だということです。
 それでは、宗教法人が、絵馬、おみくじ、破魔矢などを販売した場合には、これは売上げとして課税をされるのでしょうか。

○櫻井課税部長 法人二税は、宗教法人が法人税法における収益事業を行う場合は課税されることとなりますが、絵馬、おみくじ、破魔矢などのように、実質的に、いわゆるお布施と認められるようなものは収益事業に該当しないものとされており、課税の対象とはなりません。

○池川委員 つまり、お正月など、おみくじを引いた場合には、それは売買という関係でなく、いわゆるお布施なんだというふうに解されるということです。
 売買ではなくお布施なんだということについては、多分ほとんどの方は知らないというふうに思うんですね。
 例えば、先ほど、冒頭に紹介した統一協会では、つぼや印鑑などの霊感商法が問題となりました。しかし、これらがお布施と認められる場合には課税対象にならないということが法律の立てつけだというふうに思います。
 また、統一協会の施設内では、選挙のための活動が行われたり、礼拝堂には、選挙はがきがどんと積まれていたなどと、元信者さんからの証言が複数出てきています。集会に政治家が来て挨拶を行うということも指摘をされているところです。
 そこで、確認を含めて伺いますが、宗教法人施設内で政治集会、選挙活動が行われている場合はどうなるのでしょうか。

○辻谷資産税部長 政治集会や選挙活動自体は、宗教法人自体の目的ではございませんが、利用実態を十分に踏まえ、宗教法人が専らその本来の用に供する施設かどうかを判断する必要があると考えております。

○池川委員 これも利用実態を踏まえた対応だということです。
 施設に政治家等のポスターを掲示している例もありますが、これは、市民から見て、宗教施設に貼ることへの疑義の声も実際に寄せられているところです。これらも実態を見てやはり判断していく必要があるのではないかということは申し上げておきたいと思います。
 固定資産税等以外に、宗教法人が非課税となるのは、ほかに何かあるのでしょうか。

○辻谷資産税部長 地方税法の規定により、不動産取得税について、宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地に課税することはできないとされております。
 また、先ほどご答弁申し上げた法人二税のほか、事業所税についても、収益事業を行わない宗教法人には課税することができないものとされております。

○池川委員 つまり、固定資産税、都市計画税、法人住民税、法人事業税のいわゆる法人二税、さらには、不動産取得税、事業所税について非課税となっているということです。それがゆえに、統一協会のようなカルト集団が宗教法人として税制優遇を受けていることについては、やはり大きな批判が集まって当然ではないかというふうに思います。
 現在、統一協会に対して、宗教法人法における質問権の行使が国会では議論されているところですが、解散命令請求、いわゆるこれは法人格の取消し、宗教法人法上の法人格の取消しということになりますが、こうしたことは、やはり直ちに行われる必要があるというふうに思います。そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。

○宮瀬委員 では、最後になりますが、よろしくお願いいたします。
 私の方からは、税の在り方について質問させていただければと思います。
 今日、報道がありましたが、東京の十一月の消費者物価指数が三・六%上昇しまして、実に四十年七か月ぶりの高水準といった報道が出てまいりました。都民の皆さんが、非常に今、物価高が生活を直撃していまして、実にその影響額が四十年ぶりといったことであります。
 実際に、生鮮食料品は変動値が高いので、それを除く食料ですと六・七%といったことで、毎日、食事ですから、お金がかかるものですが、ガス、電気代のみならず、生活に必要な、いわゆるお金、物価が、どんどん四十年以来の水準まで来てしまっているといったことです。
 一方で、私も最近、都民の皆さん、私、かまた委員と同じ板橋なんですけれども、税に関する不満といいますか、大変多く聞きます。その中で、東京都は、いわゆる中間層といわれる人ですが、一回も何も、都から何もしてもらったことがないと。確かに子育て層は何か支援金があったり、はたまた事業者の皆さん、普通の一般の都民全員が、いわゆる都民全員が恩恵を受ける政策というのは、前、ほかの局でも確認しましたが、今まで一つもコロナ禍でないと。その中で、やはり、特に先日いわれたんですが、払ってもらうべきところから、きちっと払われていないといった不満感もございます。
 先日、新聞記事、七月から出ていますが、大企業が税金を、外形標準課税だと思いますが、払っていないんじゃないかと。いわゆる資本金が八百十二億もある賃貸アパートの会社も、一気に外形標準課税を払わなくなっていく。資本金を一億にまで減らして、そういった報道が出て、やっぱり当然赤字の企業であればこれはもうしようがない。また、先ほどうすい理事もいっていましたけれども、中小企業も大変ですから、それは配慮も必要だと思います。ただ、健全な、大きな企業が、税の仕組みを、いい方悪いですけど、悪用とまではいえないんですが、応用して、大きな企業が、それに見合う税を負担していただけないといったことは大きな問題だと思っています。
 大企業といっても様々でありますので、例えば日経平均株価を構成しております二百二十五銘柄あると思いますが、そういった企業はもちろん大企業であります。都への法人二税の納税額が極端に少ない会社は、そのうちどれぐらいあるんでしょうか。

○櫻井課税部長 個々の企業の納税額については申し上げられませんが、例えば、資本金十億円以上の法人約六千社について申し上げますと、令和三年度の法人二税の平均額は約一億五千万円でございます。
 納税者である法人が申告された税額に対して、多い、少ないという判断基準は持ち合わせておりません。なお、例えば、税額が一千万円以下の法人は、三分の一に当たる約二千社でございました。

○宮瀬委員 今、数字をおっしゃっていただきましたが、資本金十億円以上の大体六千ぐらい会社がある中で、納税額が一千万円以下の会社が約二千と、三分の一に上っていると思います。
 日経平均の二百二十五社で聞こうと思ったんですが、あまり絞って聞くと、企業名、皆さんの口からいえないと思いますので、なかなかいえないところもあると思うんですけれども、ただ、東洋経済の記事を見ると、実際、二〇二〇年二月の雑誌の記事ですと、これはもう公開になっているので社名を出していいと思うんですが、例えばソニーなんかが八兆円も売上げがあって、利益も一兆円近く出ていると。ただ、税負担が四・五%しかないですとか、しっかりと利益も上がっている企業が四・五%しか払っていないところもあれば、逆に、同時期ですけれども、トヨタさんなんかは利益も上がって、税負担も二八・九%納めていただいていると。
 これは企業の会計の処理だけではないと思いますが、やはり大企業なのに、納税額、これだけ大きな売上げ規模がある中で、しっかりと分相応に、適切に税金を払ってもらうということは大切だと思います。
 大企業なのに納税額が少なくなるというのはどういうことなのでしょうか。

○櫻井課税部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、納税者である法人が申告された税額に対して、多い、少ないという判断基準は持ち合わせていないところでございます。
 資本金一億円超の法人は、法人事業税の外形標準課税の対象となり、所得に対応する税額に加え、事業規模に応じた税額が課税されます。
 例えば、所得が欠損の場合は、所得に対応する税額がゼロとなります。
 また、都における法人二税の税額は、他の道府県にも事業所がある法人の場合は、従業者や事業所数などによる分割基準の割合に応じて案分された税額となります。

○宮瀬委員 今ご答弁で欠損という単語がありました。
 赤字ならもちろんしようがないと思うんですけれども、新聞報道によりますと、先ほどもありました旅行大手のHISですとかJTB、スカイマーク、毎日新聞社などが、外形標準課税を逃れるために一億円以下に減資を行っているといったことでございます。外形で課税されるということでありますが、大企業といわれる有名企業が、資本金を減資して外形標準課税の対象でなくなる、そういったことが行われている新聞報道がございます。
 外形対象法人数が減少している理由を、改めて、都はどのように捉えているのでしょうか。

○櫻井課税部長 都において、平成二十四年度から令和二年度までの間に、外形標準課税対象でなくなった都内に本店のある法人から無作為で百社を抽出し、外形標準課税の対象外となった要因を調査したところ、減資によるものが約半数、そのほかは、合併による解散、清算結了などによるものでございました。

○宮瀬委員 百社抽出してもらって、そのうち外形標準課税の対象外になったのが、減資が、いわゆる一億円まで資本金を減らしたところが約半数といったご答弁でございます。
 では、都において、外形標準課税の対象法人はどの程度減少しているのでしょうか。

○櫻井課税部長 都における外形標準課税の対象法人数は減少傾向にあり、資本金一億円超の法人数は、平成十九年度は一万九千八百七十社であったものが、令和二年度には一万五千社と、約四千社減少しております。

○宮瀬委員 約十五年で二五%も減っていると。このままいくと、さらに十五年で半分になってしまうリスクがあるわけです。
 やはり企業は、私も勤めていましたから、税金を生み出してもらえる金の卵だと思っていますが、やはり稼いだところにはしっかり税金を納めていただくといったことが成り立たないと、おかしいと思います。
 さっきいった、企業名を出しましたけれども、真面目に税金を払っている企業が何かばかを見て、損をしちゃって、一方で、税金逃れに減資を行っている一部の企業は得をしてしまうようなことに対して、どのような認識を持っているのか。もちろん、中小企業には配慮しなきゃいけませんし、本当に赤字になっている大企業はもちろん別でありますが、健全な大企業には外形標準課税により、応分の負担をしてもらうべきと考えますけれども、都の見解を伺います。

○丹羽税制部長 外形標準課税は、法人の事業規模に応じた薄く広い課税により公平性を確保できるとともに、景気変動に左右されにくく、税収の安定化に寄与しております。
 他方、法人の事業活動規模に応じて課税するという外形標準課税の趣旨を踏まえると、必ずしも資本金が法人の活動規模を表していない例もございます。
 外形標準課税の適用基準については、中小法人の負担に十分配慮しつつ、法人の規模や活動実態等を的確に表すものとして、資本金以外の指標も組み合わせることなどを検討すべきであると考えております。

○宮瀬委員 やっぱりこれ検討すべきであると考えていると、ちょっと人ごとみたいに聞こえる部分もあるんですけれども、影響が一番大きいのが東京都ですから、都が積極的に対策を講じていかないと、十五年で二五%も法人数が減って、金額も相当上っていると思います。ぜひ、あらゆる、時には独自の対応も必要だと思いますので、国にいうだけではなく、ぜひ実効性のある対応を考えていただきたいと思います。
 次に、質問ちょっと前後いたしますが、不公平感の解消をした上で、いわゆる財源の安定確保をしっかりと、大企業、健全な大企業からしっかりいただくと。その上で、財源をしっかりと安定させた上で、都民の皆さんが、今、大変困っているというのは冒頭述べたとおりです。実際に、税の負担感が大きくなっているといった声もいただいております。
 いわゆるこの二十年、この十年と比べて、あと現在、租税の負担率、いわゆる家計の収入の中から税金を払っている、その負担率というのは、どのように推移しているのでしょうか。

○丹羽税制部長 国民所得に対する租税の負担率でございますが、財務省は、個人や企業の所得に対する租税の負担率について、平成十二年度が二二・六%、平成二十二年度が二一・四%、令和二年度が二八・二%と公表しております。

○宮瀬委員 今ご答弁ありましたように、二十年前は大体二二%だったものが、令和二年度になりますと二八・二まで、約三割ぐらいまで家計を直撃しているといった状況があります。
 この税の負担感、負担率の増加に加えまして、先ほど、四十年以来の高水準で物価が、東京上がっていると、そういった状況が起こっているわけであります。税の負担が増えて、これだけ物価が四十年ぶりにどんどん上がって、物価高と税の負担の重さに都民の皆さんは大変苦しんでおられます。
 率直に聞いて恐縮ですけれども、その中で皆さん、税金を取っていくわけですが、今の惨たんたるこの状況に対して、皆さんはどう思われているんですか。

○丹羽税制部長 ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や記録的な円安の進行により、エネルギー、原材料、食料などの価格は上昇し続けており、都民生活や企業の経営活動に深刻な影響を及ぼしております。
 こうした状況に対応するため、都は、物価高騰等に対する緊急対策を盛り込んだ補正予算を編成するなど、都民の暮らしを守るために必要な施策を講じてきたものと認識しております。
 地方税は、地方団体が地域の実情に即した行政サービスを提供するために必要な経費を賄うものでございます。
 税が行政サービスとして還元される実感を持つことができる行財政運営に努めつつ、税負担の公平と課税の適正を確保することが重要であると考えております。

○宮瀬委員 今ご答弁が分かりづらかったと思うので、私の方でちょっと翻訳といいますか、簡単にいいますと、要は、物価高で苦しんでいる、そして、今、税負担が三割近くまでいって税に苦しんでいると。どう思っているんでしょうかといったことで、答弁が二点ありました。そういうときだからこそ、困っている人たちに税金を使っていくんですよと。二点目が、行政サービスが役に立っているよと、実感してもらうよといった認識でした。
 ただ、冒頭、前半のところでいいましたけれども、実際に四十年来の大寒波が来ている中で、いわゆる中間層の方々は、ほとんど恩恵を受けていないんですよ。要は、先ほど、妊娠、出産の方であれば応援するお金をもらえたり、いろんな形で、今まで押しなべて中間層の皆さんは、税金ばかり取られて負担が増えて、しかも、今、物価高で大変苦しんでいると。それを聞いているんですが、皆さんとしては、それでもさらに税金を使っていくことで、また、使った税金でよかったと思ってもらうことでといったことのご答弁でした。
 本来であれば、私は、今、困っている皆さんに対して、一律にいただく税を下げるべきなのではないかと思っています。
 ちょっと切り口を変えますが、これまで、東京都では、都民や事業者の負担軽減のために広く一律の減税をしてきたんでしょうか。戦後約七十七年たちますが、その中で、今まで減税というのをやってきたんでしょうか、一律の。

○丹羽税制部長 都はこれまで、全国に比べ高い水準にある地価の状況に鑑み、厳しい経済状況下にある中小企業の支援を目的として、一定の要件を満たす小規模非住宅用地に対する固定資産税等の軽減措置等を実施してまいりました。
 また、防災対策や福祉施策をはじめとする都の重要施策を税制面から後押しするため、都独自の政策税制を実施しております。
 お話にありました都民や事業者の負担軽減を目的とした一律の減税措置は、これまで実施したことはございません。

○宮瀬委員 これまで一度もないと。ただ、これまで私も、財務局との質疑の中で、私は、減税基金という考えはどうでしょうかといったご提案をさせていただいているんですけれども、昔から、歴史をひもときますと、千六百年前でしょうか、四世紀、よくいわれますけれども、仁徳天皇が、民のかまどを見て、高台から見下ろして、家々から煙が上がっていないと。炊事もできないほど貧しいのかといったことで、三年間いわゆる税を免除したと。その間、宮廷は荒れ果て、衣類も新調できませんでしたけれども、三年後、ようやくかまどの煙を見て、民が富んでいるのは自分が富んでいるのだと喜ばれたと。
 一方で、東京都の税収入が、過去最高の令和三年度決算で五兆八千億であります。一千六百年前の話を出して恐縮ですけれども、その上で、もう一回お伺いいたします。
 過去前例のない四十年ぶりの物価高騰と、税負担が三割にも上昇してきて、この今の苦しい状況に対してどう思われているんですか。

○丹羽税制部長 東京都は、物価高騰等に対する緊急対策を盛り込んだ補正予算を編成するなど、都民の暮らしを守り抜くために必要な施策を講じております。
 こうした中、歳入所管局であります主税局の使命は、都税収入を確保し、都政の重要課題をはじめ様々な施策を推進するための財政基盤を支えることであると考えております。

○宮瀬委員 部長、そうおっしゃるんですけれども、財務局との質疑の中で、いわゆる不用額、予算を計上したけれども余ってしまったお金が一兆円、年度末の、こちらも不用額になると思いますが、年度末の減額です。要は、余ったお金を会計に戻していくといったことで、国からの補助金もありますが、一概にはいえないんですけれども、二兆円もだぶついていたわけですよ、二兆円。
 そういった中で、部長がおっしゃっている、適切な、そのお金をまいてとか、行政をちゃんとやっていくと、成り立たないんじゃないでしょうか。
 同じ質問をしても、多分、答え、答弁同じかもしれないのでやめますけれども、ぜひ、皆さん、おうちに帰れば、本当に帰りにスーパーに行けば物価が高くなっているなと実感をされて、税の負担も、誰よりも、皆さんのおうちに帰ればご家族も知っていると思います。
 一方で、東京都の税収入が過去最大値、東京都発足以来、過去最高税収入の中で、それを都民の皆さんを助けるために使ってほしいんですが、それが中抜きされたり、本当に効果があることに使われていなかったり。一方で、困っているのは、中間層の皆さんも困っているわけですから、その人たちに対しての行政サービス、一切ないです。そういったことを考えて、ぜひ今後、私も、減税という川松委員のお話もありましたけれども、四十年ですから、ぜひ、いろんなやり方があると思います。ぜひ都民の税負担感を減らしていただくよう、答弁は先ほど聞いていましたので、同じ答弁だと思いますが、ぜひ検討していただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十四分散会

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