財政委員会速記録第十五号

令和四年十一月一日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長ほっち易隆君
副委員長おじま紘平君
副委員長米倉 春奈君
理事うすい浩一君
理事池川 友一君
理事川松真一朗君
かまた悦子君
玉川ひでとし君
土屋 みわ君
もり  愛君
中田たかし君
宮瀬 英治君
三宅 正彦君
後藤 なみ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱田中 慎一君
経理部長五十嵐 律君
契約調整担当部長前山 琢也君
財産運用部長小泉 雅裕君
運営・調整担当部長佐藤 直樹君
建築保全部長渡辺 正信君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
技術管理担当部長金子 陽子君
庁舎運営担当部長鈴木 光祐君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長磯貝  宏君
会計企画担当部長井村  琢君

本日の会議に付した事件
財務局関係
事務事業について(質疑)
会計管理局関係
事務事業について(質疑)

○ほっち委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局及び会計管理局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○五十嵐経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をご覧ください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のございました資料は、記載してございますとおり六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、第二次主要施設十か年維持更新計画の実績及び第三次主要施設十か年維持更新計画の進捗状況でございます。
 こちらは、平成二十七年度から令和六年度を計画年度とした第二次主要施設十か年維持更新計画における平成二十七年度から令和三年度までの概算事業費の実績と、令和四年度から令和十三年度までの十年間における第三次主要施設十か年維持更新計画の概算事業費を、一ページから二ページにかけてお示ししたものでございます。
 続きまして、三ページをお開き願います。要求資料第2号、各種基金の年度別推移でございます。
 こちらは、平成三十年度から令和四年度までの五年間における各種基金の年度別推移を、三ページから四ページにかけてお示ししたものでございます。
 五ページをお開き願います。要求資料第3号、財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積でございます。
 こちらは、平成二十九年度から令和三年度までの五年間における財務局所管普通財産として引き継がれた土地の件数及び面積をお示ししたものでございます。
 六ページをお開き願います。要求資料第4号、財務局所管普通財産(土地)の活用実績(一般会計)でございます。
 こちらは、平成二十四年度から令和三年度までの十年間における財務局所管普通財産のうち、土地の活用実績をお示ししたものでございます。
 七ページをお開き願います。要求資料第5号、都内の公契約条例等制定自治体でございます。
 こちらは、令和四年十月十八日現在における都内の公契約条例等を制定している自治体をお示ししたものでございます。
 八ページをお開き願います。要求資料第6号、省エネ・再エネ東京仕様の実績でございます。
 こちらは、平成二十九年度から令和三年度までの五年間における財務局が施行する都有建築物の改築等のうち、改修及び解体を除く省エネ・再エネ東京仕様の導入実績をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○ほっち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 それでは、財務局の事務事業について質疑いたします。
 初めに、主な財源が都税収入から成る都財政は、景気変動を受けやすい構造にあり、ほかの自治体以上に自立的な財政運営に努めていかなければなりません。コロナ禍への対応をはじめ、少子高齢化への対応、大規模災害対応など、様々な課題を抱える中、激甚化、頻発化する豪雨災害など、気候変動対策への財政面からの対応についてお伺いいたします。
 私の地元世田谷区でも、令和元年度の台風十九号により、多摩川沿いの広範囲で甚大な浸水被害が発生しました。コロナ禍や物価高騰など目の前の危機にしっかりと対応すると同時に、いつ起きてもおかしくない自然災害に対し、万全な備えを講じていくことが重要であります。
 そこで、令和五年度予算編成において、都市の強靱化など危機に対する備えについては、財政当局から各局に対し、どのような方針を示しているのかお伺いいたします。

○田中理事 今年の七月末に各局宛てに発出した令和五年度予算の見積方針におきましては、持続可能な未来へと歩みを進めるため、都政の諸課題の解決に取り組むとともに、長期的な視点に立ち、従来の発想を打ち破る大胆な施策を積極的に展開していく方針を示してございます。
 この基本方針の下、危機に対する備えにつきましては、激甚化する自然災害や首都直下地震等の新たな被害想定で顕在化した課題なども踏まえ、強靱で持続可能な都市の形成に向け、政策企画局と都市整備局が取りまとめました都市強靱化プロジェクト(仮称)の策定に向けた論点に基づいて、ハード、ソフト両面からの施策の強化を図ることとしております。

○土屋委員 都民の命と財産を守る取組は待ったなしの最優先事項であります。ぜひ危機管理の取組をしっかりと推し進めていただきたいと思います。
 また、気候変動対策を進めるに当たっては、都の施策を理解し賛同してもらうことで、民間からの投資を呼び込む取組も重要であります。
 そのための一つの手段として、ESG債、グリーンボンドが挙げられます。グリーンボンドの市場は急成長を続けており、二〇〇八年に初めて発行されて以降、世界の市場規模は急拡大しています。切迫する豪雨災害など、気候変動への対策を社会全体で推し進めていくためには、都としても、こうしたトレンドを逃すことなく、グリーンボンドの活用を図っていくことが重要であると考えます。
 そこで、都は今年度、グリーンボンドを四百億円発行することとしていますが、このうち、集中豪雨など災害から都民を守る気候変動対策にどのぐらい充当しているのか、今後の考え方も含めて、見解をお伺いいたします。

○田中理事 グリーンボンドは、環境問題の解決に資する事業に使途を限定した債券でありまして、都におきましては、毎年度、各局が実施する事業の中から、その適格性を評価する第三者機関から認証を得たものを選定してございます。
 このうち、気候変動への適応策について、今年度は、環状七号線地下広域調節池の整備など中小河川の整備や中央地区の防潮堤、水門をはじめとした高潮防御施設の整備など、総額四百億円のうち、全体の四割近くとなる百五十七億円を充当しております。
 気候変動対策は、近年被害が甚大化している集中豪雨や津波、高潮の被害から都民を守る重要な取組でありまして、今後とも、都民や企業からの投資を通じた後押しにより施策を推進できるよう、グリーンボンドを戦略的に活用してまいります。

○土屋委員 気候変動対策の取組におよそ四割が充当されているとのことでありますが、ESG債発行に際しては、何より投資家の皆様に発行意義を理解してもらわなければなりません。単なる資金調達の手段だけでなく、発行体の取組を理解してもらい、これをきっかけに東京都のファンになっていただく、そのような機会でもあると思います。引き続き、東京都としても、発行体として、社会的課題や事業実施により得られる効果を十分に見極めながら、グリーンボンドなどの手段も活用し、景気変動から都民の命と暮らしを守るため、社会全体で対策を進めていただきますようお願いいたします。
 次に、東京都の入札契約制度についてお伺いいたします。
 まず、公共工事における中小企業の受注機会の確保に関わる都の取組についてお伺いいたします。

○前山契約調整担当部長 都内に本拠のある中小企業は、地域社会の活力増進や雇用の創出に加え、都民生活の向上に重要な役割を果たしているところでございます。
 そのため、財務局では毎年、官公需に関する通知を庁内各局に発出し、中小企業等の受注機会の増大に努めるよう要請するとともに、分離分割発注や人員の有効活用に資する施工時期の平準化を進めるほか、地域性や企業規模などを考慮した優先指名や事業協同組合等の活用により、都内中小企業の受注機会の確保に資する取組を行っているところでございます。

○土屋委員 地域社会の雇用、経済活動を支え、災害時の復旧活動などを担うなど、中小企業の果たす役割は非常に大きく、都内には多くの中小企業があります。分離分割発注など、引き続き契約制度面から中小企業者支援をお願いいたします。
 また、中小企業の受注を確保することと同時に、将来の公共工事の品質を確保していくため、大規模工事の経験の少ない中小企業の育成は必要だと考えます。
 そこで、中小企業育成の観点から、JV制度をさらに活用すべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○前山契約調整担当部長 東京のインフラや公共施設を今後も適切に整備していくためには、都の工事契約における受注の約九割を占める中小企業の育成を支援し、技術力の確保、向上を図ることは重要でございまして、JV結成もその有効な手段の一つであると認識しております。
 都では、混合入札の案件では、総合評価方式において、都内中小企業とJVを結成して入札に参加する事業者には加点する措置をしていることに加え、大企業と都内中小企業とのJV結成を条件とした技術者育成モデルJV工事を導入し、中小企業の技術研さんの機会を確保するとともに、JV工事の施工を通じて中小企業が習得した成果等の報告を義務づけることにより、中小企業の育成を図っているところでございます。
 今後もこうした制度を運用し、都内の中小企業の育成に寄与する取組を進めてまいります。

○土屋委員 JVは、中小事業者の受注につながるだけでなく、中小企業単体では受注できないような規模の大きな案件に、まさに元請として名を連ね、大規模ならではの現場運営のノウハウや高度な技術に触れる貴重な機会となります。このように、中小事業者の技術力向上にも資する重要なものであることから、今後もさらに積極的にJVを活用し、中小企業の受注機会の確保や育成を進めていただくことを要望いたします。
 次に、公共工事の品質確保を進める取組として、総合評価方式の活用について伺います。
 総合評価方式を採用することで、一定の品質や性能の確保、長期的なコスト削減などの効果が見込まれると聞いています。
 そこで、改めて、総合評価方式の導入の意義を確認するとともに、都における総合評価方式の具体的な運用及び運用実績についてお伺いいたします。

○前山契約調整担当部長 総合評価方式は、地方自治法における入札の原則である競争入札の例外といたしまして、技術的課題を有し、確実な履行や品質の確保が必要な案件に導入しているところでございます。そのため、一定の規模を有し、競争性のある業種での適用が効果的と考えており、具体的には、予定価格が一千万円以上、かつ建築、一般土木などの主要業種を基本的な対象として設定しているところでございます。
 こうした考えの下、工事においては、技術提案型、技術力評価型、技術実績評価型、施工能力審査型の四類型を整備しており、案件の規模や技術的課題に応じて活用を図っているところでございます。
 昨年の実績といたしまして、知事部局が発注した案件のうち、総合評価で発注したものは四百四十一件、対象となる工事全体に占める割合は三〇・四%となっているところでございます。

○土屋委員 ありがとうございます。
 総合評価方式といっても、工事案件の規模や技術的課題などによって、四つの類型で使い分けているとのことでありますが、それでは、総合評価方式におけるこれら四つの類型の概要と具体的な適用の考え方について伺います。

○前山契約調整担当部長 技術提案型総合評価につきましては、技術的余地の大きい工事を対象といたしまして、民間の持つ優れた技術を最大限取り入れられるよう、創意工夫を生かした技術提案を評価する方式でございまして、これまで、東京二〇二〇大会での恒久施設であるアクアティクスセンターの整備などの適用実績がございます。
 また、過去の実績を基にして技術力を評価する類型といたしまして、比較的大規模な案件に適用する技術実績評価型では、過去の工事成績のほか、同種工事の実績や優良工事表彰の実績などを評価するもので、技術力評価型は、こうした実績に加え、施工計画の提案も評価項目に取り入れた方式でございます。
 さらに、施工能力審査型は、主に各局発注となる中小規模の工事を対象といたしまして、より簡易に技術力が評価できるような方式となっているところでございます。

○土屋委員 事業者の技術力や確実な履行を担保する仕組みとして、これら四つの総合評価方式を活用し、品質確保に取り組んでいるとのことでありますので、引き続き、これらの取組を進めていただきたいと思います。
 一方で、担い手確保の観点からは、女性の活用も非常に重要であり、業界では、建設現場で働く女性を、けんせつ小町との愛称を定めるなど、かねてより女性活躍の取組を官民挙げて進めてきたところであります。
 平成二十五年度には、現場で働く女性技術者や技能者はおよそ九万人だったのが、昨年度ではおよそ十四万人と、この十年間で五万人増加したことから、成果が着実に出てきているのではないかと感じるものの、しかしながら、全産業に占める女性就業者の割合が四五%に対し、建設業界に従事する女性従業員の就業状況はたったの四%であり、建設業における女性の社会進出はまだまだ道半ばの状況です。
 都ではこれまでも、総合評価方式における女性技術者の活用などの評価や女性活躍モデル事業の試行など、担い手の育成確保に取り組みつつ、中長期的な観点からの品質確保を図ってきたとしていますが、こうした視点に加え、事業者の社会性などを評価し、より一層の女性活躍の取組を促していく視点も重要ではないかと考えます。
 そこで、都の政策目的の実現に向けて、女性活躍の推進など総合評価方式を活用して事業者の社会性の取組を評価することで、意欲ある事業者の背中を押して、一歩を踏み出す契機をつくるべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○前山契約調整担当部長 都が進める政策を実現するために、入札契約制度の面から事業者の取組を後押しすることは重要なことでございます。
 総合評価方式においては、さきにご説明した技術力評価型、技術実績評価型では、災害協定の締結や緊急工事の実績など、各局の事業に貢献した場合に評価することに加え、障害者雇用や環境配慮など、各局が推進する施策に自発的に取り組む事業者について、企業の信頼性、社会性として評価し、加点しているところでございます。
 お話の女性活躍の取組につきましても、東京都男女平等参画推進総合計画の改定を受けまして、今年度、加点の幅を広げるとともに、女性活躍の行動計画策定の実績を新たに加点の対象として追加したところでございます。
 今後とも、総合評価方式の本来の趣旨である品質確保が損なわれることがないよう、価格点と技術点、また、技術点における技術力と社会性等とのバランスに配慮しながら、都の政策の実現に寄与すべく、制度を適切に運用してまいります。

○土屋委員 品質確保やダンピング対策だけでなく、女性活用などの社会性のある取組に対してインセンティブを付与する手段として、総合評価方式をぜひ活用していただきたいと思います。
 公共工事の品質を確保するためには、建設業の将来を担う人材の確保が不可欠であり、現場に新たな人材を受け入れ、育成していくための取組を着実に進めていただくことを求めまして、次の質問に移ります。
 東京都公文書館におけるZEB化の実証についてです。
 気候変動問題は、私たち一人一人にとって避けることができない喫緊の課題です。そうした中、国の方では、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする二〇五〇年カーボンニュートラルの実現や二〇三〇年度に温室効果ガスを四六%削減するという目標の達成に向け、脱炭素に向けた動きが加速化しています。また、ゼロカーボンシティ宣言を行う地方公共団体が拡大しており、地方公共団体による脱炭素に向けた動きも進んできています。
 都においても、二〇三〇年を重要なマイルストーンと位置づけ、CO2排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減する二〇三〇年カーボンハーフを実現するために、ゼロエミッション東京戦略をアップデートしました。
 住宅やオフィスビルが集積する東京では、建物からのCO2排出が全体の七割を占め、大きな排出源となっています。私たちの生活や企業活動の基盤となっている建物のCO2対策は特に重要です。そのためにも、今後、建物で使用するエネルギーを可能な限り最小化するとともに、再生可能エネルギーの導入を進めることで、ゼロエミッションビルを拡大していく必要があります。
 財務局では、東京都公文書館をZEB化実証建築として整備し、運用段階においても、省エネと再エネにより七五%以上のエネルギー削減を図った、いわゆるニアリーZEBを達成したとのことですが、令和四年第一回定例会の財政委員会において、我が会派の伊藤しょうこう議員から質問した際には、データ分析や省エネチューニングを行いながら、エネルギー削減の検証を進めているとのご答弁がありましたが、その後の検証状況について確認をしたいと思います。
 公文書館の具体的な省エネチューニングの内容とエネルギーの削減結果をお伺いいたします。

○金子技術管理担当部長 公文書館は、資料等の保管に厳格な温湿度管理が求められることから、建物が消費する一次エネルギー消費量の多くが空調設備の運転によるものでございます。したがって、一次エネルギー消費量を削減するためには、室内環境を適切に保ちつつ、空調設備の効率的な運転が必要でございます。
 省エネチューニングにおきましては、外壁や屋根を高断熱化した魔法瓶のような構造を最大限に生かした空調設備の運転時間の抑制がより効果的に図れるよう、機器ごとの運転データを分析し、温度等の設定値など機器制御に関する調整をきめ細かく行いました。
 その結果、一次エネルギー消費量の削減に加え、太陽光発電によるエネルギーの創出により、直近一年間では、前回報告した約八割のエネルギー削減実績を上回る約九割の削減となっております。

○土屋委員 運用段階においてもZEB化を達成するためには、建設当初の状態のまま使用を続けるのではなく、運用状況をしっかりと分析し、把握した上で、空調機器などを調整していくことが、エネルギー削減につながることが分かりました。
 それでは、公文書館のZEB化に係る費用と費用対効果についてお伺いいたします。

○金子技術管理担当部長 ZEB化に係る費用でございますが、全体工事費の約一割に当たる五・九億円でございます。直近一年間の実績に基づきまして、ZEB化による削減エネルギーを電気料金に換算して試算しますと、約三十年で回収できると見込んでおります。
 このほか、設計時における詳細な省エネ対策等の検討に要する手間、太陽光発電パネルの維持管理や更新に伴う追加費用等が発生いたしますが、ZEB化により、建築物のエネルギー削減において大きな効果が得られるものと考えております。

○土屋委員 公文書館においては、費用対効果のあるZEB化が図れたということであります。
 公文書館は、都有施設で初めてZEB化を目指したものと聞いておりますが、都有施設全体のエネルギー削減量を高めていくためには、今後五十年以上は使われていくことになる改築する施設のZEB化が必須と考えます。
 そこで、二〇三〇年のカーボンハーフ、さらには二〇五〇年ゼロエミッションに向け、都有施設のZEB化にどのように取り組むのかお伺いいたします。

○金子技術管理担当部長 都有施設のZEB化を進めるためには、これまで以上の省エネルギー化と再生可能エネルギーの活用を図る必要がございます。
 現在、新築、改築時に標準的に導入する技術を例示した省エネ・再エネ東京仕様の見直しにつきまして、年度内を目途に行っており、より省エネ化等が見込める技術などの採用を検討しております。
 ZEB化は、立地条件や建物の特性を踏まえつつ、省エネ性能を向上させる必要がございます。
 そこで、東京仕様の見直しに合わせまして、設計段階における検討手順やより効果的な省エネ技術の組合せなどを盛り込んだ手引を新たにまとめてまいります。
 今年度から基本設計に着手する案件は、原則ZEB化を目指して取り組んでおりまして、それ以前に設計に着手している案件につきましても、可能な限り省エネ化を図っていくこととしております。

○土屋委員 原則ZEB化を目指していくということでありましたが、カーボンハーフを目指す二〇三〇年まではあと七年余りです。
 国の補助金事業において登録、公表されているZEBリーディングオーナーの最新リストによりますと、新築でZEB化された建物は、都内で二十件しかありません。そのうち公共施設は、多摩市の図書館、品川区の環境学習施設のみで、ほかは、下水道施設の上部利用で建てられたオフィスビルを含め、全て民間施設となっています。
 ゼロエミッション東京の実現には、都有施設のみならず、区市を含めた公共施設のZEB化を促進していくことが必要だと思いますが、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○渡辺建築保全部長 公文書館における取組を通じまして、建築物のZEB化に当たっては、建物の特性を踏まえ、これまで以上にきめ細やかな設計や運用後の調整を行うことにより、大きなエネルギー削減効果を得られることが分かったところでございます。
 ZEB化実証建築により得られた知見や、見直し後の省エネ・再エネ東京仕様を最大限活用した施設整備について、説明会などを通して、広く区や市などに周知するとともに、技術相談等に応じるなど、都内の公共建築物のZEB化促進に向けた取組を進めてまいります。

○土屋委員 公文書館のZEB化実証において、運用段階でもエネルギー削減の成果を得られたことが確認できたと同時に、今後の施設整備におけるZEB化に向けた取組について分かりました。
 公共施設のZEB化の拡大は、都内の建築物の脱炭素化の出発点となるものでありますので、東京都公文書館の検証で得られた知見を踏まえ、関係局とも連携をしながら、さらなる加速化を図ることを要望し、私の質問を終わらせていただきます。

○おじま委員 よろしくお願いいたします。
 まずは、都有地の活用について伺いたいと思います。
 平成二十八年の九月に、就任直後の小池知事が最優先課題とした待機児童に向けた緊急対策として、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、そして、利用者支援の充実が三本柱として挙げられました。
 その一環として、財務局としては、都有地活用推進本部というのを設置いたしました。都有地を活用した保育所整備を全庁横断的に検討していく組織という位置づけだと思います。私も、五年前にこの財政委員会にいて、できたばかりの都有地活用推進本部について質問していたということを懐かしく思うところなんですが、設置からは、今、六年が経過をしたというところであります。
 まずは、都有地活用推進本部でやっていること、取組の内容について伺いたいと思います。

○小泉財産運用部長 都有地活用推進本部は、平成二十八年九月の待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、副知事をトップとして設置されました。
 本部では、保育所等として活用可能性のある百平米以上の都有地を全庁横断的に洗い出し、年に複数回、区市町村に情報提供してございます。
 提供した都有地情報は、都のホームページにおいて公開しており、こうした情報を基にした民間事業者や区市町村からの問合せや提案に対しては、統一的な窓口であるとうきょう保育ほうれんそうを設置し、きめ細やかに対応してございます。

○おじま委員 活用可能性のある百平米以上の都有地を全庁横断的に洗い出して、年に複数回、区市町村に対して情報提供をきめ細やかにやっていただいていると、こういう答弁でした。
 これは具体的に、この六年で何件ぐらいの情報提供をしてきたのかというのも併せて伺いたいと思います。

○小泉財産運用部長 都有地活用推進本部ではこれまで、保育所等として活用可能性のある土地を、公営企業局所管の土地も含めて全ての都有地を対象に全庁的に洗い出し、区市町村に情報提供してございました。
 その回数は、平成二十八年十月から令和四年九月までの間、二十回となっておりまして、その数は、公営企業局を含む十四局等から二百八十五件となってございます。

○おじま委員 活用可能性のある土地というのを各局から上げてもらう、今、公営企業局所管の土地も含めてという答弁だったんですけど、その協力をお願いするというか、音頭取りを都有地活用推進本部の方でするというこのご苦労も当時聞いていたので、大変な努力があったんだと思います。
 とはいえ、実際肝腎なことは、どれだけこれが保育所整備につながったのかということだと思います。
 平成二十九年の、この五年前の当時の議事録を見返すと、まさにこの事務事業質疑の場で私が質問をしたことに対して、都有地活用推進本部の新たな取組として、転貸制度というのを導入したという答弁がありました。これは、事業者に貸すことを前提とした区市町村への貸付けというのを可能にした制度だと思います。
 この転貸制度を活用して、どれだけ保育所整備に結びついたのか、それ以前、つまり転貸制度を導入する前の件数と併せて伺いたいと思います。

○小泉財産運用部長 都有地活用推進本部における都有地を活用した保育所等の整備については、平成十九年度に開始された福祉インフラ整備事業における貸付けスキームに、区市町村を通じて事業者に貸し付ける転貸制度を付加して実施しております。
 転貸制度は、一部の区市町村から、自ら事業者の公募を行うなど、より積極的に関与したいとの声もあり、これにより、区市町村の主体的な取組や迅速な整備などの効果が期待できると考え、導入した経緯がございます。
 こうした中、都が直接公募して事業者に貸し付ける従前のスキームの下で整備された保育所等の件数は約九年半で十二件でございます。一方、新たに転貸制度を導入して以降整備された保育所等は、令和四年九月末までの約六年間で二十五件であり、その全てが転貸制度を活用してございます。

○おじま委員 今、従前のスキームでは、九年半で十二件だったのが、転貸制度を導入してからは、六年で二十五件とのことなので、これは効果があったということが確認できました。
 そのような取組を続けていただく中で、今年四月時点での待機児童数、都内で三百人まで減ってきました。今、答弁のあったこの二十五件については、比較的規模の大きな保育所が建てられたと聞いておるところであります。
 一方で、今後については、将来需要というのを見越しても、比較的小規模な保育施設の整備というのも重要になってくるのではないかと考えております。都有地活用推進本部の情報提供というのは百平米以上というふうになっておりますので、こういったニーズにも柔軟に対応していただきたいということも併せて要望しておきたいと思います。
 また、保育所以外のニーズもあります。
 都有地活用推進本部というのは、そもそも当初は保育所整備が設置目的となっているし、この待機児童がゼロになるまでこの役割は続いていくんだということも分かるんですが、都有地に対するニーズというのはそれだけではないわけでありまして、例えば、医療機関だったりとか高齢者施設、こういったものが用地が足りないという地域も都内にはあると思います。
 そこで、この都有地活用推進本部で情報提供をしている都有地について、保育以外の用途でも活用して、地域の課題にしっかりと応えていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○小泉財産運用部長 都有地活用推進本部を通じて情報提供している都有地につきましては、待機児童を解消するため、保育の用途で活用することを目的としているものでございます。しかし、地元区市町村から、保育での利用希望がなく、保育以外の公共用途での活用希望があった場合には、土地の状況に応じて、貸付けや売却をするなど個別に対応しているところでございます。
 具体的には、練馬区北町における障害者福祉施設の用地として、区に事業用定期借地で貸付けを行ったほか、コミュニティ施設や児童養護施設、病院などの用地として地元自治体に売却を行っております。
 今後も、保育での利用希望がない場合には、区市町村の意向を踏まえ、保育以外の公共用途での活用にも適切に対応してまいります。

○おじま委員 今、私の地元の練馬区北町の例も出していただきました。それぞれ区市町村の意向も踏まえて、個別にご対応いただけているということを確認させていただきました。
 繰り返しになりますが、都有地というのは、都民の共有財産でもあって、都施設の整備のためだけじゃなくて、地域のために役立てていただきたいという思いも私は強く持っております。今後とも、都有地の価値というのを最大限発揮できるように、この活用に努めていただくよう要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、私からも、都有建築物の省エネ、再エネについて伺いたいと思います。
 都は、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを表明しています。この実現に向けては、都民へのご協力のお願いはもちろんなんですが、まず、都自らが、この省エネ、再エネに取り組んでいくことが重要だと考えます。まさに隗より始めよであると思います。
 そのような中で、財務局が平成二十三年に策定をした省エネ・再エネ東京仕様、先ほども話題に出ていましたけれども、これを原則目指していくという答弁も先ほどあったところなんですが、まず、この概要と導入実績についても伺いたいと思います。

○金子技術管理担当部長 省エネ・再エネ東京仕様につきましては、都有建築物に導入する省エネ技術等を、庁舎、学校等、建物用途や規模ごとに例示して盛り込んでおり、新築、改築等の整備に適用してまいりました。
 財務局の施行する新築、改築における導入実績は、令和三年度までに七十八件でございます。

○おじま委員 都有建築物の新築と改築のタイミングで検討されるということなんですが、では、それ以外、つまり新築でも改築でもない既存の都有建築物というのはどうなるのかという疑問もありますし、これについても積極的に手をつけていっていただきたいということについては、これは要望しておきたいと思います。
 また、省エネ、再エネというのを導入するにしても、様々な課題を踏まえた検討が必要だと思います。この課題というのをまず認識する必要があるわけでありまして、各局が所有している都有建築物というのもあると思うんですが、これも含めて、例えば、ここはこういう省エネ、再エネができそうだよとか、あるいは、あそこはちょっと厳しそうだよとか、そういったことも含めて、しっかりと先に確認をしていただきたいということも、これもお願いをしていきたいと思います。
 例えば、環境局の取組として、東京ソーラー屋根台帳というものを公開しているんですが、これは、建物ごとの太陽光発電への適合度というのをマップ化しているものであります。ただし、これは、主に日当たりとか、設置面積とか、そういったものがメインになっていまして、耐荷重とか、あるいは周辺への影響とか、そういったものについては考慮されていないわけであります。特に、都有建築物については、そういった要素というのも大事だし、やはり隗より始めよというのを進めていく必要があるので、今のうちに各局と連携して、総点検をしておいていただきたいということも、これも併せて要望しておきたいと思います。
 なお、都庁舎については、大温度差空調方式やLEDの導入などによって、平成三年の開庁時と比べると、今、五二%という節電を実現しています。約半分になっているということであります。そのような中でも、今年の夏は、初めて政府から、東京電力管内に電力逼迫注意報が発令をされました。
 都庁舎でも、様々節電対策というのを行っていただいていたと思うんですけれども、この夏の取組の内容と効果について伺いたいと思います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎における節電行動は、まず、五月一日から、夏のライフスタイルの実践として、室温二十八度の徹底や廊下の照明を二分の一消灯することなどを実施してきました。
 次に、六月一日から、都の率先行動といたしまして、執務室の通路の消灯、窓際空調の停止やブラインド下げの徹底などを実施したほか、各職場において、都庁節電見回り隊を結成し、節電管理体制の強化を行ったところです。
 さらに、電力逼迫注意報が発令された六月二十七日から六月三十日までの四日間は、十五時からエレベーターの四分の一台を停止するとともに、十四時に執務室内の一斉消灯に加え、不在者エリアの消灯の徹底や使用していないOA機器の電源オフなどについて館内放送によるさらなる節電の呼びかけを実施したところです。
 これらの取組により、六月の電力使用量は、前月比で約三・九%削減することができました。

○おじま委員 もともとこの五二%の節電を実現しているところから、さらに三・九%ということなので、これは相当いろんなご努力をされてこうなったんだと思います。
 しかし、そのような中でも、都庁舎のライトアップというのが話題になりました。ロシアのウクライナ侵攻に当たって、ウクライナへの連帯の意というのを示すために、これは行ったものであります。これが一方で、電気の無駄だとか、ひいては税金の無駄だとか、そういったことをおっしゃる人もいたと思います。
 そこで、このライトアップによって消費される電力量と料金というのは、これはどんなものなのか、これについて伺いたいと思います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁第一本庁舎のライトアップ設備は、平成三十年五月から投光器の電球をLEDとしたことで消費電力を三分の一に削減するとともに、様々なカラー表現ができるよう整備いたしました。
 このライトアップの消費電力量は、一時間当たり約二十四キロワットアワーで四百円程度となります。なお、ライトアップの点灯時間は、おおむね午後六時から午後十一時までとなっております。

○おじま委員 そもそもこれもLEDなので、消費電力というのは少ないとは思っておりましたが、おおむね午後六時から午後十一時まで、だから五時間で、一日に五時間ライトアップしても、一日二千円、百二十キロワットアワーということなので、これについては改めて安心をいたしました。
 続いて、グリーンエネルギーについて伺いたいと思います。
 都では、太陽光パネルの設置義務化を検討しているところでありまして、これはこの後、都民、事業者にもお願いをしていかなければならないところであります。そうなると、これもまた繰り返しになるんですが、やはり隗より始めよということになろうかと思います。
 この太陽光パネルの設置の推進に当たって、財務局としてはどのように対応していくのか伺いたいと思います。

○小野寺施設整備担当部長 財務局では、施設所管局から執行委任を受けまして施設整備を行っており、太陽光パネルの設置につきましては、施設の新築、改築の際、屋上に可能な限り最大限設置することとしております。
 さらに、駐車場などの空間を活用して太陽光パネルを設置いたしますソーラーカーポートの整備も行い、建物以外の部分を含めた敷地全体で太陽光パネルの設置を拡大いたしまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、着実に取り組んでまいります。

○おじま委員 ソーラーカーポートの設置も進めていただいているとのご答弁でした。
 東京都としては、この後、都民、事業者にもお願いをしていく立場であり、率先をしていかなければならない立場でもあります。使えるところは全て使うぐらいの気持ちで取り組んでいただきたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 太陽光パネルに関連して、私からも、グリーンボンドについて伺いたいと思います。
 先ほども、気候変動対策という話が出ておりましたけれども、二〇五〇年のゼロエミッション実現には、太陽光発電も含めて、この先も都が率先して脱炭素化を推進していくことが必要なんですが、その財源というのも重要であります。
 民間企業や自治体でも、環境対策に当たっての資金調達の手段としてのグリーンボンドに注目が集まって、発行が相次いでいるところであります。
 一方で、東京都は、二〇一七年から、このグリーンボンドの取組をいち早く始めました。当時は、国内全体を見渡しても、発行事例というのはほとんどなくて、東京都が先鞭をつけたということであります。
 都が行う施策の財源という点だけで考えれば、通常の都債でも問題はなかったと思うんですが、これが何でグリーンボンドだったのか、これを最初に確認させていただきたいと思います。

○田中理事 環境問題に世界的な関心が高まり、海外ではグリーンボンドの発行が活発となる中、都においても、環境政策の推進に向けて、都民や企業の事業への理解と賛同を得ながら取り組んでいくことが重要でございます。
 同時に、国内のグリーンファイナンス市場を活性化し、他の発行体の参入促進につなげることで、国内の環境対策に資金が向かう流れを創出する効果も期待できると考えてございました。
 こうした観点から、都は、平成二十九年度に、全国の自治体に先駆けてグリーンボンドの発行を開始したところでございます。

○おじま委員 企業や都民の賛同を得ながら環境政策を進めていくというのは、非常に大事な視点だと思います。二〇一七年以来、毎年発行を積み重ねておりまして、発行額も初年度の二百億円から今年度予算だと四百億円と倍増しておるところであります。
 財務局としては、先月も機関投資家向けというのを発行していますが、この需要や購入規模はどのくらいあったのか、発行状況を伺いたいと思います。

○田中理事 今年度の機関投資家向けグリーンボンドについては、十月二十五日に五年債と三十年債をそれぞれ百五十億円ずつ、合計三百億円発行したところでございます。
 その結果、世界的な金利上昇などの影響を受けた不安定な債券市場の中にあっても、金融機関や生命保険会社、公益法人など、幅広い投資家の皆様方から購入のご希望をいただいたところでございます。
 金額ベースでは、五年債で八・九倍、三十年債では二・二倍の応募額となり、いずれも直近で発行になった他自治体の通常債の応募倍率を上回る多くの需要が寄せられております。

○おじま委員 五年債では八・九倍、三十年債では二・二倍ということでありました。
 現在、国内の債券市場は厳しい状況にあります。アメリカの利上げの先行きの不透明感もあって、投資家の需要は大きく冷え込んでいるところであります。そのような中でも、都のグリーンボンドがこれだけ好調だというのは非常にありがたいし、都の環境政策にとっても後押しになるんじゃないかと考えています。
 ちなみに、グリーンボンドには、購入した投資家を対外的に公表する投資表明という仕組みがあります。これは都も採用しているところであります。
 この投資表明というのを採用している意図について伺いたいと思います。

○田中理事 投資表明とは、ESG債を購入した機関投資家が、その発行意義に共感して投資したことを対外的に表明する行為でありまして、国内のESG市場において広がりを見せているものでございます。
 都におきましても、投資表明を通じて、都の環境施策に賛同を得ながら事業を推進することが可能となるとともに、投資家に対しましても、表明行為を通じて、社会的課題への関心や意識が高い優良投資家との評価を受ける機会を提供できることから、初年度のグリーンボンド発行時より実施しているところでございます。

○おじま委員 投資表明の意義については理解したところであります。
 先月の機関投資家向けの発行では、どのくらい投資表明というのがあったのか、また、これまで、都のグリーンボンドに、全体でどれだけ投資表明があったのかについても伺いたいと思います。

○田中理事 今回発行いたしました機関投資家向け三百億円につきましては、購入した投資家のうち、初めて東京グリーンボンドに表明を行った投資家は四十三件、また、過去に購入した際にも表明を行っていただいた投資家を含めると、全体で七十六件の投資表明が寄せられたところでございます。
 また、第一回から今回までの合計六回分、総額一千百億円に対しましては、これまでに二百二十五件の投資家から延べ三百四十六件の投資表明が寄せられ、東京グリーンボンドの発行意義への賛同をいただいているところでございます。

○おじま委員 二〇一七年からの六年、六回分で、機関投資家向けに発行した合計が一千百億円ということであります。
 このグリーンボンドは、使途を明らかにした上で発行するものでありまして、延べ三百五十件近くの投資表明がされた、つまり、都の環境施策に賛同すると表明しているということもいえると思います。
 繰り返しになるんですが、二〇五〇年ゼロエミッション実現に向けた取組は、都民や企業の共感や理解が不可欠であります。グリーンボンドは、その後押しとなる非常に意義のあるものということも確認ができました。環境と金融の好循環を目指して、財務局には、引き続き積極的に取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
 本数が多かったので長めに申告をしたんですが、ちょっとかぶりを省いて質問したところ短くなりましたが、これにて質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

○玉川委員 財務局経理部の契約事務について伺います。
 都は、シン・トセイ2 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 version up 二〇二二における都政スピードアッププロジェクトとして、契約、支出事務のデジタル化を進めております。
 その中で、財務局では、これらの取組と連携して、各局リーディングプロジェクトの一つである電子契約サービスの導入プロジェクトを進めていますが、改めて、この電子契約サービスを導入する目的について伺います。

○前山契約調整担当部長 都では、都政スピードアッププロジェクトにおいて、契約、支出事務の一連の業務プロセスをデータ連携するシステム構築を進めており、その一環として、電子契約サービスの導入に取り組んでいるところでございます。
 電子契約サービスを導入することにより、これまで、契約案件において落札事業者が決定した際に、紙で契約書を印刷し、製本、押印しておりましたが、これら契約書作成事務を電子化し、事務の簡素化、効率化を図ることとしております。
 また、契約書の印刷、製本、押印などの手間が省けるほか、印紙代、郵送費、交通費などのコストが削減できるなど、事業者にとっても多くのメリットが見込まれているところでございます。

○玉川委員 この電子契約サービスの導入によって、紙での契約書の印刷や製本、印紙の貼付や押印、ファイリングや書類保管という一連の契約書作成事務の手間や時間が省け、さらに、印紙代や郵送費、交通費などのコスト削減にもなり、多くのメリットが見込まれるものと期待をしておりますが、この電子契約サービスは、本日十一月一日から試行運用されるということです。
 そこで、この電子契約サービスの試行運用の概要について伺います。

○前山契約調整担当部長 電子契約サービスの試行ですが、本日十一月一日から来年一月三十一日までに公表する財務局発注案件のうち、契約締結依頼局が指定する案件について、試行運用を実施することとしております。
 なお、工事案件につきましては、物品案件と比較して契約書類の分量が多く、小規模零細企業が電子契約で対応することは難しいなどの課題があることや、予定価格九億円以上の議会付議案件は、契約時期が試行運用期間から外れるため、対象を、予定価格につきましては五億円以上九億円未満、業種につきましては一般土木工事、建築工事、河川工事外四業種として、円滑な試行運用の実施を図っているところでございます。

○玉川委員 本日十一月一日から来年の一月三十一日まで、指定する案件に絞って、まずは円滑な試行運用の実施を図っているとのことでありますが、電子契約サービスの試行運用後、令和五年二月以降の取組について伺います。

○前山契約調整担当部長 来年二月以降におきましては、電子契約サービスを利用した事業者及び都職員の双方から操作性などについて意見を伺い、マニュアルや業務フローなどを見直すことなどにより、利便性等の改善を図ってまいります。その上で、来年度以降は、各局による発注案件にも、電子契約サービスを展開していくこととしております。
 さらに、電子契約サービスを利用したことにより、どの程度作業時間やコストが削減できたかなど、利用によるメリットを調査し、調査結果を電子調達システムのホームページに掲載することなどにより、広く周知することで、来年度以降の電子契約サービスの利用促進を図ってまいります。

○玉川委員 試行運用で、実際に利用された皆様から、作業時間やコスト削減などの喜びの声が届くことを期待するところでありますが、電子契約サービスの利用に当たって、新たなコストが発生してしまうのではないか、また、うまく操作ができるのだろうかなど戸惑ってしまわないように、電子契約サービスを利用する事業者への配慮が必要ではないかと考えますが、見解を求めます。

○前山契約調整担当部長 今回導入いたしました電子契約サービスは、電子証明書が必要ではない簡易な方式によるものでございまして、利用者は、インターネットを利用できる環境があれば、新たなコストがなく当該サービスを利用することができます。
 試行に当たり、事業者に対しては電子契約サービスの説明会を実施しており、参加できなかった事業者の方向けに、説明会の様子を動画でホームページに掲載しているところでございます。
 また、今後、事業者が電子契約サービスの利用に当たり、操作方法などについて不明点等が発生した場合であっても、専用のヘルプセンターなどを開設し、事業者からの問合せ等に対応してまいります。
 今後とも、事業者の意見に耳を傾け、改善を重ねながら、電子契約サービスの利用拡大に向けて取り組んでまいります。

○玉川委員 利用された皆様の声を反映させ、さらなる利便性の向上や改善を図るとともに、実際に不要になった作業や作業時間、コストの削減などのメリットも具体的に広く周知をして、来年度以降の電子契約サービスの各局での利用促進が図られていくことを期待いたしまして、質問を終了いたします。

○米倉委員 私からは、まず、都有施設のZEB化について伺います。
 今年の予算質疑の際にも都の取組を伺いましたが、気候危機から地球を守るために脱炭素社会に移行するということは、世界的に各国が努力を強めなければならない局面となっています。
 都は、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロを実現すると。それに向けては、二〇三〇年までの行動が極めて重要だとして、二〇三〇年までに都内においてカーボンハーフを達成することを表明しました。そして、都庁としての取組については、二〇二一年三月にゼロエミッション都庁行動計画にまとめ、二〇二四年度までに温室効果ガスを四割削減、再エネ電力の利用割合を五割程度に引き上げると目標に掲げています。
 この中で、都有施設の建築に多く関わる財務局の役割は大きい状況です。それで幾つか質問をします。
 都は、ゼロエミッション都庁行動計画で、都有施設について、ZEBレディ、ZEBオリエンテッド以上、つまり、三〇%から五〇%以上のエネルギー消費の削減を目指しています。
 都の建築物を、新築や改築または大規模改修する際には、省エネをどの程度達成できるか状況を把握し、それぞれの指標の達成を目指す必要があると思いますが、どういう認識と対応をされているのか伺います。

○金子技術管理担当部長 都有施設の新築、改築等におきましては、ゼロエミッション都庁行動計画に基づき、省エネ・再エネ東京仕様を最大限活用し、原則ZEB化を目指してまいります。
 今年度から基本設計に着手する案件につきましては、原則ZEB化を目指して取り組んでおり、それ以前に設計に着手している案件につきましても、可能な限り省エネ化を図っていくこととしております。

○米倉委員 原則ZEB化を目指すという対応は重要です。そのために、基本設計の段階から、ZEB化に対応した設計を今年度から行っているということも大切です。既に設計が進んだものについても、取組の引上げは必要だということで、可能な限りの省エネ化を進めていくということもご答弁ありました。これも大切だと思います。
 前回お示ししましたが、今ご答弁にもありました財務局が作成している省エネ・再エネ東京仕様というものは、基本的に三〇%以上のエネルギー削減を目指しているというもので、冒頭に申し上げました都庁行動計画で掲げているZEBレディは、省エネで五〇%以上の削減、学校や病院などはZEBオリエンテッド水準で、三〇%から四〇%の省エネを進める水準です。つまり、今の東京仕様をそのまま当てはめるということだけでは、目指す指標にたどり着かないということも分かりました。
 前回の質疑の中で、省エネ・再エネ東京仕様について見直しを求めました。都は、見直しをするということをご答弁されていますが、これはどういう内容で今検討されているか、スケジュールについても伺います。

○金子技術管理担当部長 現在、学校施設のZEB化を目指しまして、導入技術項目等について、年度内を目途に見直しを行っております。
 また、設計段階における検討手順などを盛り込んだ手引についてもまとめていく予定でございます。

○米倉委員 学校などの省エネ、再エネをさらに進めていくと。そのための分かりやすい手引となるように、検討手順などを盛り込んだ、つまりポイントを示していくものをつくっていきたいということだと思います。
 学校のZEB化で、東京都がそういう役割を果たすのは大切だなと思っています。やっぱり実態としては、学校のZEB化は実践も情報も少ない状況だと思います。だからこそ、東京都が率先した取組に踏み出すということと、それを検証しながら、取組とその結果を公表していくということが、東京都だけでなく、各自治体の取組も一緒に進めていくという上で大切になっていると思います。
 日本共産党都議団は、第三回定例会の代表質問でも、学校のZEB化への対応を提案してきましたが、東京都の取組をもう少し伺いたいと思います。
 これまで、学校の省エネ、再エネの導入について、都は、新築、改築時はどういう水準を目指して導入してきていますか。

○金子技術管理担当部長 これまで、都立学校の改築等の際は、省エネ・再エネ東京仕様に基づきまして、外壁断熱や太陽光発電設備の設置など、省エネ技術や再エネ設備を導入しており、東京都建築物環境計画書制度のエネルギーの使用合理化分野におきまして、最高評価である段階三を目標として整備しております。

○米倉委員 この間、その水準で新築もしくは改築をした学校校舎について伺いますが、具体的な事例では、エネルギー消費はどの程度減っていますか。

○金子技術管理担当部長 エネルギー消費量につきましては、例えば、平成二十六年に設計に着手した光明学園の西棟では、東京都建築物環境計画書制度に基づき公表している基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量は約六割であり、約四割の削減となっております。

○米倉委員 四割、エネルギー消費量は削減されているということです。
 この光明学園は、前期の財政委員会でも視察に行かせていただきました。窓や壁だとか天井、屋上ですかね、断熱ですとか、ひさしだとか、いろんな努力が取り入れられているんだなというふうに思いました。
 学校校舎についてですが、新築、改築などの際に、ZEB化を目指した取組が必要だと思います。認識を伺います。

○金子技術管理担当部長 一般的に、学校施設は、単位床面積当たりのエネルギー消費量が事務所ビルや商業施設に比べて小さいため、省エネ計算上の削減効果も小さく、ZEB化が難しいといわれております。全国的に見ても、特に公立の学校施設のZEB化につきましては事例が少ない状況となっておりますが、省エネ・再エネ東京仕様の見直しを踏まえ、公文書館で得られた知見なども生かし、原則としてZEB化を目指してまいります。
 今年度から基本設計に着手する案件は、原則ZEB化を目指して取り組んでおりまして、それ以前に設計に着手している案件につきましても、可能な限り省エネ化を図っていくこととしております。

○米倉委員 私たちも、この間、先進的な取組をしている研究者の方などからお話を伺ってきました。今ご説明にもありましたけれども、やっぱり事務所とは使い方が違う、特質も違うということがあります。学校は窓も多いですし、教室などは、使っている時間も短いということで、庁舎などとはやっぱり違う面はありますが、ただ、断熱の効果は同じようにあるということも伺いました。
 小学校の断熱改修シミュレーションですと、何も対策がない既存施設に、ペアガラスの内窓を入れて天井壁の断熱改修を行うと、年間暖房消費電力量は約九割削減できると示しています。老朽化した学校校舎の場合ですと、一番費用が安くて効果があるのは、屋根の防水工事と併せて天井に断熱材を入れて、さらに窓に内窓を入れるというやり方だということも聞いています。
 コロナで換気が大切になっていますが、これはもう三十年ぐらい前からあるらしいんですが、全熱交換器というものがあって、これを入れた方がいいということも指摘されています。学校施設にこれがあまり入っていないということなんですが、外からフレッシュな空気を入れて、中から空気を出すと。そのときに熱交換して空気を入れ替えることで、空調の負担も減るということなども伺っています。こうした各地の知見も収集しながら、都の対応の引上げを進めていただきたいと要望しておきます。
 学校含め、公共建築のZEB化を本格的に進めるために、今、取組が始まったところです。専門性を持った職員を財務局にも、また各局にも設置するということは大切です。
 前回も、私もこのことを求めましたが、今年度から、財務局の建築保全部工務課に、都有施設のZEB化対応への技術支援体制を構築するため、課長代理を設置したと事務事業概要にも書いてあります。これは、具体的にどういう役割を果たすために設置されたのか伺います。

○小野寺施設整備担当部長 今年度、建築保全部では、都有施設のZEB化対応への技術支援体制を構築するため、組織改正を行ったところでございます。
 これにより、全庁を挙げたゼロエミッション東京への取組に参加し、技術指針の策定や、これに基づく設計、工事に当たっての技術面での助言など、全庁の取組を後押ししております。
 また、新築、改築時のZEB化に向けて、先進のZEB事例から設計業務での対応方法を検討、整理いたしまして、財務局の設計、工事案件に反映するよう取り組んでいるところでございます。
 さらに、自ら設計、工事を実施いたします各局に対しましても、これらの情報を展開し、技術支援を行っております。

○米倉委員 今年度からZEB化を全庁的に進めるポストができたということは、とても大事だと思います。
 今ご説明もありましたが、全庁的な技術の後押し、そして、先進のZEB化の事例を収集しているということです。都として、今後、この収集した情報についてですが、都庁の内部での共有にとどまらず、情報を広く公開していただきたいと要望したいと思います。
 ここについて伺いたいんですが、やっぱりほかの自治体や民間の参考になるような事例を、今、情報収集されているということもありましたが、都庁の、やっぱり調べた情報として、区市町村も含めて分かりやすく示していくということは、社会全体で取組を進めることになります。
 こういう取組を進めていただきたいと思いますが、どうですか。

○小野寺施設整備担当部長 都有施設の新築、改築に当たりましては、東京都建築物環境計画書制度に基づきまして、環境配慮の取組を示した環境計画書を作成しております。
 施設ごとの省エネの状況や再生可能エネルギーの設備の導入状況を都のホームページで公表しております。
 新築、改築を行った施設では、太陽光パネルの発電量や省エネ機器の運転状況など、都民が見える場所に表示をする取組も行ってございます。

○米倉委員 分かりました。
 ぜひ、東京都の取組として、集めた情報を分かりやすく周知していくということを広く、都庁の中だけでなくて、外に対してもやっていただきたいということと、東京都が今取り組んでいらっしゃる取組、省エネ・再エネ東京仕様での努力だとか、そこで省エネが、光明学園の場合は四割省エネが進みましたということだとか、そういうことを分かりやすく示していただけるといいなと思っています。
 やっぱり、今ご答弁で、環境局が所管している建築物環境計画書制度に基づいて、省エネの状況というのはネットに公表されているということなんですが、やっぱりこれは民間も含めて一覧になっているものなんですよね。東京都としての努力がかなりされているわけで、そこを分かりやすく示していただくと、すごくこの機運をつくっていくということも含めて大事だと思っています。
 冒頭申し上げましたが、やっぱり財務局というのは、都有建築物の大部分の新築、改築に関わっています。十か年維持更新計画なども取りまとめていらっしゃいます。最も都有施設の状況を分かりやすく都民に示すことができる立ち位置にいらっしゃる部局だと思います。
 委員会の資料も作っていただきましたが、八ページ目に、省エネ・再エネ東京仕様の実績が載っています。作成ありがとうございました。
 これを見ても、この五年の実績だけで、学校は十八件ということで、多いですよね。これがさらに増えていくということがあります。
 工事の契約の際に、それぞれの工事、建築で、どの程度の省エネや再エネが導入されているか、分かりやすく都民に示していただきたいと思いますし、十か年の維持更新計画も、進捗の報告の際に、各施設の努力が分かりやすく見える形で示していただきたいと、これ、すごく意味があるなと思います。今後の取組を求めておきます。
 次に、契約について伺います。契約制度について、業務委託において社会保険の加入について伺います。
 業務委託については、私たちは、本来東京都が直営で担う必要があるものは業務委託すべきではないと考えています。業務委託する場合には、都民の利益が守られ、現地で働く労働者の待遇や環境が保障される必要があると思います。
 都の入札に参加するには、競争入札参加資格を得るために申請が必要となっています。この申請では、社会保険の加入の状況について、加入、未加入、適用除外、この状況を聞いています。
 これは、いつからどういう考えで取り組まれて、確認することにしたのか伺います。

○前山契約調整担当部長 社会保険等への加入は、一義的には事業者における責務でございますが、働く人が安心できる労働環境の提供と将来的な担い手の確保の観点から、都としても、未加入事業者の加入促進を図っていくことは重要であると考えております。
 このため、都は、事業者における法令遵守状況を把握していくため、平成二十七、二十八年度資格登録審査時から、社会保険等への加入状況の自己申告を求めているところでございます。

○米倉委員 労働環境の確保などの観点で、都としても、二〇一五年、十六年度の資格登録審査から、社会保険の加入状況を聞くことにしたということです。
 その上で、各局が物品購入や業務委託を発注する際に、社会保険の加入を条件として求めるかどうかという判断が、次のステップとしてあると思います。
 財務局の発注では、社会保険と雇用保険に加入していることが必要ですと明記しています。これについては、いつからどういう考えで必要としたのですか。

○前山契約調整担当部長 都はこれまで、公共工事や業務委託の主な担い手である中小企業の負担に配慮しつつ、段階的な社会保険等の加入促進策に取り組んできたところでございます。
 業務委託においては、平成二十八年一月から、受託事業者に対し、周知チラシを配布して、社会保険等への加入促進の取組を開始しており、平成二十九年度から、比較的規模の大きな財務局発注契約において、社会保険等への加入を参加条件とした入札を先行的に進めているところでございます。

○米倉委員 二〇一七年度から、財務局発注の契約では、業務委託については先行的に社会保険や雇用保険の加入を参加条件としたということです。労働環境の確保などの観点だということだと思います。
 引き続き財務局発注の契約について伺いたいのですが、契約締結後に社会保険の未加入が明らかになった場合はどう対応されますか。

○前山契約調整担当部長 財務局発注の案件においては、社会保険等の加入が必要であることから、未加入であることを隠し契約を締結することはあってはならないことと認識しております。具体的な対応につきましては、個別の事情や契約の履行状況などを勘案し、適切に対応してまいります。
 都といたしましては、法令上加入義務が要請されていることからも、公共調達の発注者として、引き続き、事業者への周知を行い、加入を促進してまいります。

○米倉委員 業務委託ということは、東京都の仕事を担う現場ということになります。そこで働く方が、社会保険も加入できず、不安定な待遇で働き続けるという状況はあってはならないと思います。ですが、私も、都が業務委託する現場で、社会保険に加入させてもらえず働いているという状況を聞いています。そこで働く条件が悪いということは、東京都が良質な公共サービスを提供していくということからしても問題だと思います。
 ですから、社会保険などを業務委託において入札の参加条件とすることは、財務局発注では既にやられているということなんですが、やっぱりこの委託ということについては、各局に広げる必要があると思います。そのことは、都の信頼に関わる問題だと思います。
 各局発注においても、社会保険と雇用保険の加入を前提とする必要があると考えますが、いかがですか。

○前山契約調整担当部長 令和四年十月一日の時点で、一般事例におきまして、資格登録事業者のうち、社会保険等に未加入の事業者の割合は約二・三%ございまして、そのほとんどが中小企業でございます。
 比較的規模の小さい各局発注の契約におきましては、社会保険等の加入を参加条件にいたしますと、これらの未加入事業者の参加を制限することとなり、都といたしましても、事業の担い手を失うことにもなりかねず、都民サービスの低下の懸念もあることなどから、資格登録事業者の加入状況を注視しつつ、引き続き対応を検討してまいります。

○米倉委員 小規模な個人事業主などは、この社会保険は適用除外となりますから、加入義務が強制適用となる事業者のうち二・三%が社会保険などに未加入だということです。
 対応については、引き続き検討していくというお答えですので、社会保険などの加入を呼びかけながら、検討を行っていただきたいと要望しまして、質問を終わります。

○中田委員 それでは、よろしくお願いいたします。私も、何問か質問させていただきますが、かぶっているところは省かせていただきながら質問させていただきます。
 まず、入札に参加しやすい環境整備についてお伺いをいたします。
 他県でも、入札不調により、公共事業が二年間止まってしまっており、水力発電所の稼働が停止してしまい、住民生活に大きな影響を与えていると昨日も報道がありましたが、入札に参加しやすい環境整備や入札の競争性を高めることは、税金を原資としている公共調達においてはとても重要であります。
 入札に参加しやすい環境の整備や入札の競争性を高めるためのこれまでの都の取組についてとその効果について伺います。

○前山契約調整担当部長 公共調達は、都民の貴重な税金を原資といたしまして、最少の経費で最大の効果を上げるという地方自治法の理念に基づき、競争性が確保できるよう、入札に参加しやすい環境を整備していくことは重要な取組であると認識しております。
 そのため、都では、一定規模以上の工事におきまして、単独企業、JVのいずれも入札に参加することができる混合入札を導入するとともに、中小企業単体での入札参加を認めていなかった大規模工事への参加条件を緩和し、意欲と能力のある中小企業が単体で参加できるようにするなど、より多くの企業の入札参加を促す取組を進めてきたところでございます。
 これらの取組によりまして、財務局契約案件における平均応札者は、見直し前の平成二十八年度が三・九者であったのに対し、直近の令和三年度には五・三者に増加し、混合入札の案件では二・六者に対し、八・〇者に増加しているところでございます。
 今後とも、取組を継続し、より一層企業が入札に参加しやすい環境の整備に努めてまいります。

○中田委員 ありがとうございます。
 一定規模以上の工事においては、混合入札を導入するとともに、大規模工事へ参加の条件を緩和し、意欲と能力のある中小企業が単体で参加できるようにする等の、より多くの企業が入札に参加する取組を推進していること、さらに、平均応札者が増加していることは大いに評価するところでありますが、社会情勢の変化などによっても、今、ここ十年間の平均不調率の推移などを見ていますと、大きく波があるのが現状です。このコロナ禍の状況など様々ありますが、引き続き、入札に参加しやすい環境整備には努めていただきたいと要望をさせていただきます。
 次に、電子契約について伺おうと思いましたが、先ほど別の委員からも質問がありましたので、要望だけ伝えさせていただきたいと思います。
 本日から来年一月三十一日まで、財務局発注案件の一部で試行運用をするということでした。電子機器に不慣れで、サポートを必要とする事業者もいることが想定されますので、しっかりとそこへのサポート体制の充実を図っていただきたいと思います。様々な分野でオンラインが使われ便利になっていくことはとても重要であり、東京、ひいては日本が世界から取り残されてしまわないよう、しっかりと進めていくべきと考えておりますので、引き続きのサポートの充実をよろしくお願いいたします。
 続いて、地元であります旧こどもの城について伺わせていただきたいと思います。
 今回、このコロナ禍で、様々利用方法が変わってきました。神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議において、旧こどもの城は、都民の城(仮称)として改修するのではなく、周辺の都有地を合わせた四つの敷地を一体として活用することが提言をされています。
 そして、東京都は、本年五月に、都民の城(仮称)の改修基本計画の実施の見送りを発表しました。
 先月までは、酸素・医療提供ステーションとして活用していたこの土地の今後の利用について、どのように活用していくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○佐藤運営・調整担当部長 新型コロナウイルス感染症の流行により、都民の生活意識や行動、求められる行政ニーズに変化が見受けられるなど、仮称都民の城改修基本計画策定当時からの状況変化などを踏まえ、基本計画の実施を見送り、都有地の一体的な活用に向けて取り組むことといたしました。
 旧こどもの城につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、酸素・医療提供ステーションで活用してきたところであり、今後、高齢者等医療支援型施設に転換する予定となっております。
 今後とも、状況に応じながら、適切に対応してまいります。

○中田委員 都民の城を含めた四つの敷地、コスモス青山、旧青山病院跡地、そして国連大学の一体活用も、最短では令和十一年からとなっていることから、この土地の利用をそれまでの間どのようにしていくか、地元でも大きな話題となっています。
 さらに、この辺の周辺地域では、大規模な再開発が様々進んでいます。今、一部報道にもなっていますが、東京都の児童会館跡地などは、再開発の着手が始まりました。
 渋谷駅の周辺というとあまり人が住んでいないイメージがあるかもしれませんが、この神宮前地域には多くの方が昔から住んでおり、地域の町会活動も盛んに行われています。そうした人々の声をしっかりとここの再開発、また、開発については、声を拾い上げる仕組みをしっかりつくっていただきたいと、改めて要望をさせていただきたいと思います。有識者会議の中でも、床を増やすだけ、ただ高層ビルを建てるだけの開発にならないようにという意見も出ておりました。
 ぜひ、様々な地域の声を聞く、それを東京都としても改めて考えていただきたいと要望をさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○川松委員 まず、私からは、コロナ禍における財政運営について伺います。
 新型コロナウイルスについては、先月から水際対策が大幅に緩和されるなど、感染対策と社会経済活動の両立に向けて、ようやく明るい兆しが見えてきております。しかし、この間の感染状況を踏まえると、新たな変異株による感染の波など、冬に向けては、引き続き厳しい事態を想定する必要があろうかと思います。
 これまで、東京都では、我々都議会自民党の要望も踏まえて、幾度にわたる補正予算を編成し、機動的なコロナ対策を実施してまいりました。その財源の柱の一つである国の地方創生臨時交付金は、我々都議会自民党が、政府与党に対して度重なる要請を続けたことによって拡充してきたものと考えております。
 そこで、令和三年度の決算と令和二年度の決算におけるコロナ対策の総額と財源の内訳について、確認の意味も込めて、説明をお願いいたします。

○田中理事 令和三年度決算におけるコロナ対策の総額は二・六兆円でございまして、二年度決算額の一・七兆円と比較いたしまして、約一・五倍に拡大しております。
 その財源につきましては、地方創生臨時交付金などの国庫支出金が、令和三年度は二・一兆円と、二年度の〇・八兆円から二・七倍に拡大している一方、都の財源は、令和三年度は〇・四兆円と、二年度の一兆円から約六割減少しているところでございます。
 さらに、都の財源の内訳を見ると、令和三年度は都債発行額約三百億円以外は全て一般財源等を活用しているのに対しまして、二年度は財政調整基金を〇・五兆円、都債を〇・三兆円、一般財源等を〇・二兆円活用してございます。

○川松委員 ありがとうございます。ですから、この令和二年度から三年度にかけて、コロナ対策経費がおよそ一・五倍に拡大しましたが、東京都の財源という点で行くと、六割減少しています。そして、そのことによって、財政調整基金を活用しないで対応できたということが、今の説明から分かりました。
 この大きな要因は、まさに我々が積極的に調整を行った地方創生臨時交付金の拡充であり、国とのパイプを生かして、連携して対策に取り組んでいくことが、都財政にとっても効果的であるということは、この一端からも明白であります。
 では、次に、都の財政状況が、これ、客観的な見方をすると、どの程度の水準であるのかを確認したいと思いますが、ほかの自治体と同じ考え方で比較が可能な経常収支比率及び公債費負担比率の令和三年度及び二年度決算における数値について説明をお願いします。

○田中理事 経常収支比率は、地方税などの経常一般財源等の中で、どの程度の割合が人件費や扶助費など容易に削減できない経常的経費に充当されているかを示す指標でございまして、比率が低いほど財政の弾力性が高いことを示してございます。
 経常収支比率の都道府県平均は一〇〇%前後で推移しているのに対し、都の令和三年度決算では、都税収入の増加などによりまして、二年度の八四・九%から七・一ポイント改善し、七七・八%となっております。
 また、公債費負担比率は、年度の一般財源全体の中で、どの程度の割合が地方債の償還に充当されているかを示す指標でありまして、こちらも、比率が低いほど財政の弾力性が高いことを示しております。
 公債費負担比率の都道府県平均は一〇%台後半であるのに対し、都の令和三年度決算では、都債の元利償還金の減少などにより、二年度の五・三%から〇・三ポイント改善し、五・〇%となっております。

○川松委員 東京都は、コロナ禍において、これまで四十回を超える補正予算を編成し、対策に当たってきたわけですけれども、今のお話のとおり、経常収支比率や公債費負担比率などフロー面の指標を見ますと、ほかの自治体と比べて、現在もなお財政の健全性が高いということがいえます。
 一方で、今、フローの話でしたけど、ストック面で見ていくと、一時、財政調整基金残高の見込みが二十一億円というふうになって、枯渇寸前で大変だなんていう報道もたくさん出ていたわけですが、現在の基金残高と都債残高の水準について、財政再建達成後の平成十七年度決算、また、コロナ禍で歳出が大幅に増加する前の令和元年度決算との比較について説明をお願いします。

○田中理事 基金残高につきまして、令和四年度九月補正予算後の年度末残高見込みは一・四兆円であるのに対しまして、財政再建達成後の平成十七年度決算における残高は〇・六兆円、コロナ禍で歳出が大幅に増加する前の令和元年度決算における残高は二・六兆円でございました。
 現在の基金残高は、コロナ禍前の令和元年度決算と比較すると約半分の水準でございますが、財政再建達成後の平成十七年度との比較では、二倍以上の水準であります。
 次に、都債残高についてでございますが、令和三年度決算では三・九兆円であるのに対しまして、平成十七年度決算では七・三兆円、令和元年度決算では三・八兆円でございます。
 令和三年度決算における都債残高の水準は、平成十七年度と比較して約半分の水準となってございます。令和元年度からは微増となっているものの、これは、二年度にコロナ対策に都債の活用を図ったことによるものでありまして、令和三年度は、発行額の抑制によりまして、再び減少に転じております。

○川松委員 ありがとうございます。基金残高は、令和元年度と比較すると減少していますが、一兆円を超える水準であること、都債残高は、おおむね減少傾向にあることから、現在、東京都は、一定の財政対応力を維持できているという見え方、考えができるわけですね。
 一方で、コロナ禍の苦しい局面に加えて、円安だったり、物価高騰だったり、エネルギー価格の高騰だったりして、様々な影響が一層深刻化していて、都民の皆様の生活というのは、非常に厳しい状況に、さらにさらになっていっています。
 引き続き、国の緊急対策とも足並みをそろえて、都民の暮らしを守るための思い切った政策を検討していくことが重要になるわけです。
 そこで、各局の積極的な取組を財政面から下支えするため、今後どのような財政運営を行っていくのか、考えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。

○田中理事 物価高の影響の深刻化をはじめとした足元の危機に着実に対処するとともに、世界的な景気後退や大規模災害の発生など、今後起こり得る不測の事態に迅速に、かつ的確に対応していくためには、その裏づけとなる財政基盤の堅持が不可欠でございます。
 そのため、予算編成過程におきまして、政策評価、事業評価の取組にさらに磨きをかけ、政策の課題や成果、事業の妥当性や有効性を改めて検証し、事業の再構築を行うなど施策の新陳代謝を高め、無駄をなくす取組を徹底してまいります。
 その上で、景気の影響を受けやすい都税収入の特徴も踏まえまして、国庫支出金などの財源確保に努めるとともに、基金や都債などを戦略的かつ計画的に活用し、今後とも、各局の積極的な施策展開を財政面から下支えすべく、持続可能な財政運営を行ってまいります。

○川松委員 繰り返しになりますが、コロナ禍や物価高騰あるいは自然災害など様々な危機に対して、的確に東京都として対応していくために、引き続き、持続可能な財政運営に努めていただくことは、非常に重要なことと認識しております。
 その一方で、積極果敢な政策展開と健全な財政運営とは、トレードオフの関係にあるのではなくて、高い次元で融合させ、バランスのよい政治判断を行うことが都政に求められているんだろうということも付け加えておきます。
 この財政状態、今の東京都の現状というのをお聞きした上で、減税ということについてのお話に移りたいと思いますが、都財政への減税の影響、いろいろ、あるのかないのかということを伺ってまいりますけれども、前提として、私たち都議会自民党はこれまで、命を守る、東京を動かすをスローガンにし、新型コロナウイルス感染症対策や経済再生の特効薬としての減税など、去年の都議選で掲げた十六の政策の柱を胸に刻んで、全力で都政に邁進してまいりました。
 まず、この減税による影響額について共通認識を持っておきたいと思いますが、私たちが提案している個人都民税二〇%減税による影響額でありますが、個人都民税の令和三年度決算額がおよそ一兆円となっておりますので、私たちがいっている二〇%というのは、二千億円規模ということになります。
 そこでお聞きしますけれども、減税によって、私たちがいっている減税という手法を皆さんに取っていただいたとして、この影響額二千億円という規模については、都税収入との比較、また、基金残高や都債残高との比較で、どの程度の規模になるのか、影響があるのかということについて説明を伺いたいと思います。

○田中理事 令和三年度決算における都税収入は五・九兆円でございまして、お話の減税による影響額の二千億円という規模が都の歳入総額に占める割合は二・〇%、都税収入に占める割合は三・四%でございます。
 次に、基金につきましてでございますが、第三回定例会後における年度末残高見込みは一・四兆円、そのうち財政調整基金は〇・五兆円でありまして、都債につきましては、令和三年度決算における残高は三・九兆円でございます。
 二千億円という規模につきまして、基金残高に占める割合は一四・〇%、財政調整基金残高に占める割合は四一・一%、都債残高見込みに占める割合は五・一%になります。

○川松委員 減税というと、いつも財源はという議論になるので、今、確認のためにお聞きしましたが、都税収入はおよそ五・九兆円ということで、私たちのいっている減税による影響額というのは、都税収入全体だとおよそ三%、基金全体だと一割程度ということでありました。二千億円という金額を聞くと、莫大な額、響きになりますけれども、首都東京という点での財政規模感からすれば、今、出てきた数値からすると、対応は不可能ではない額というのは、いうまでもありません。
 また、私たちが、現時点で、今後永続的に減税を行うべきと主張しているわけではなくて、今、コロナ禍だったり、物価高騰で追い打ちをかけられている状況の中で、経済が元に戻るまでの時限でも、一度チャレンジしてみましょうよという提案が、今の減税提案でありますから、ぜひとも、この減税ということを視野に入れた検討が必要なんだと、これが、都民の皆さんのために私たちができる、そのコロナ禍における、あるいは物価高騰における支援策の一つなんだということを主張しているわけです。
 この減税を実施することによる財政の影響について、さらに深掘りしていきますが、これ、仮に減税による都の財政運営への影響の大きさということを考えると、今は単純な数値を聞きました。私たちは対応可能だと思っています。
 では、財政当局として、これは対応可能なのか、どのように受け止めているのか伺います。

○田中理事 令和三年度決算では、都税収入が前年度比六千億円の増となったものの、二年度決算では、前年度比四千億円の減収となるなど、都の歳入の根幹を成す都税収入は、景気の変動を受けやすい不安定な構造であります。
 こうした構造を有する都財政にとりまして、景気の先行きを見通すことが困難な中、年間二千億円の減収による影響は非常に大きいと考えております。
 直近でも、記録的な円安の進行などに伴い、物価高騰の影響が長期化、深刻化していることに加え、各国での金利引上げなどもあり、国際機関による経済成長率見通しが下方修正されるなど、今後の景気変動の不透明性は高まっていると認識してございます。
 財務局といたしましては、将来にわたり山積する諸課題に適切に対応していくためにも、一定の財政対応力を維持していくことが重要と考えておるところでございます。

○川松委員 今、最後に、将来にわたる山積する諸課題に適切に対応していくという話ですが、私たちがいっているのは、将来ではなくて、まず、目の前の課題をどう乗り越えるかということでこの提案をしていますけれども、今、難しくいろいろお話しいただきましたが、まとめると、物価高騰の影響であったり、景気後退の可能性など様々な懸念材料がある中で、減税という手法を取るよりも、取るよりも、一定の財政対応力を維持していくことの方が重要だ、そういうふうに捉えられるような答弁だったわけですね。
 財政運営を担当される財政当局の立場からすれば、できるだけ歳入は維持したいという発想は真っ当なんだと思いますが、しかし、私、この中で最初にいいましたけど、今の苦しい状況、社会環境であるからこそ、思い切った対策が必要だということを訴えているんです。
 減税は、単なる収入の減というその数字上の話ではなくて、そもそも我々がこのことをいってきたのは、中間世帯層の可処分所得が、四十七都道府県中四十七位であったというこの数字を基に、では、どうやって皆さん方が可処分所得を増やしていくのかという中で、一つの手法として、この減税が出てきました、私たちは。ですから、この減税を、皆さん方が決断することによって、経済活動を活性化させる、つまり、前向きな投資、今ここで減税をすることによって都民の皆さんが動く、そのことが、将来にわたって、理事たちが考える、また、税収が増えることのきっかけになるだろうというのが我々の考えなわけです。
 だとすれば、減税以外の要因は変化しない、似たような状況が、この東京都、ずっと続くとして、二千億円規模の減税を仮に二年間継続するとした場合、どのような財政運営が想定されるか、仮に二年間だったら、皆さん、どういうふうに考えますか。

○田中理事 都税収入が二年間で合計四千億円の減収となり、その他の要因が変化しないと仮定した場合でございますが、想定される財政運営の手法の一つとして、財政調整基金を活用して減収分を補うということが考えられます。
 一方で、財政調整基金の残高が減少することで、想定を上回る規模の自然災害の発生など突発的な財政需要が生じた場合に、迅速かつ的確に対処するための財政対応力が低下するという点が懸念されると考えます。
 また、既存事業の縮小や先送りにより歳出を抑制し、減収分の財源を捻出するという対応や、投資的経費等の財源として都債発行額を増やすという対応も考えられますが、それぞれ都民サービスの低下ですとか、後年度負担の増加などが懸念されると考えます。

○川松委員 これ、財政当局らしい答弁といえば答弁なんですけど、今おっしゃったのは、突発的な財政需要が発生した場合に、財政対応力をどう保っていくかというお話なんですが、都として、財政当局として、突発的な事態をどうするかということですけど、我々は今、それぞれの都民の皆さん方の各家庭の目の前の現状にどう対応していくかという中で、この減税というものを提案しているわけです。
 ですから、この皆さん方の中の発想で必要だと思うのは、私は、減税という政策による効果をどう考えるかだと思うんですね。減税によって、今いいましたけど、東京の経済を支える中間層の世帯の皆様方の可処分所得が、簡単にいえば、年間二千億円規模で増えると。可処分所得が二千億円規模で増えるんですから、この分は単なる減収ではなくて、消費拡大につながる、こういう視点で経済の波及効果が期待できるという考え、できないものですかね。
 減税という政策の効果、制度的な課題、財政運営に与える影響、こういった点を複合的に検証するとともに、このコロナの状況、コロナ禍によって、何となくまちの雰囲気が暗くなった、何かまちが動かなくなって、経済が動かなくなった状況だとか、先ほどお話があったように、円安だとか物価高騰などを含めた経済情勢を見極めながら、総合的な政策的判断が、今、求められるのが、東京都の財政当局の使命だと思っています。
 では、減収以外、今いったような、例えば、僕は時限的だとして二年間というのを仮にしていますけれども、二千億円、二千億円で四千億円という減収以外の懸念材料として、減税という制度をもし取り入れた場合、制度面の影響というのはあるんだろうか、財政当局としての見解を伺います。

○田中理事 例えば、地方債の発行に関しまして、地方財政法では、個人住民税などの普通税の税率が標準税率未満である地方公共団体が地方債を起こす場合には、総務大臣の許可を受けなければならないと規定されております。この場合、減税による減収額を上回る行政改革の取組を予定しているかどうかなどを勘案して許可が行われることが、国の地方債同意等基準に明記されているところでございます。
 都債発行が、現行の届出制から許可制に移行することで、総務省に対して、行政改革の取組を説明し、減収額を上回る行政改革の取組効果が見込めない場合には、都債発行ができないリスクがあるとともに、財政運営における地方自治体としての主体性が相対的に低下することなどが懸念されます。
 また、減税を行うことによりまして、都の現状を一切踏まえることなく、一方的に都を富裕団体とみなす、いわゆる東京富裕論という部分が国の方でも再燃するというような懸念点がもう一つあると考えてございます。

○川松委員 今、地方債の発行に関しての説明でありましたけれども、当然、制度的には、総務省とのやり取りだとか、何に使うのが目的かということは分かるんですが、財政規模からして、手法ですね、その制度の活用の中で、目的をどうするかということですから、私は、そこまで難しい話ではないと思います。
 むしろ、その後段の東京富裕論への言及がありましたが、ちょっとここは改めて触れておきますけど、平成二十年度から令和元年度にかけて、東京一極集中の是正の名の下に、東京の税収を国が奪って地方に再分配する、いわゆる偏在是正措置が導入されて、これがまさに今、都税の減収につながっているわけですよね。減税をすれば、都の財政運営に余裕があるとみなされ、国から再び財源を奪われるような事態に陥ることを皆さんとしては懸念しているということだと思います。
 確認のため、この、今おっしゃった東京富裕論について、財政当局は、この富裕論ということをどういうことだと思って捉えているのか、お聞きしたいと思います。

○田中理事 いわゆる東京富裕論は、東京の大都市特有の膨大な財政需要などを一切顧みることなく、税収規模や基金残高などの一面だけを取り上げ、あたかも東京と地方の財政力格差が地方の財源不足の原因であるかのように論じる極めて理不尽な論理であるというふうに考えてございます。
 地方自治体が、自らの権限と財源においてその役割を果たしていくためには、こうした地方間の財源の奪い合いにつながる議論をするのではなく、地方税財源の拡充をほかの自治体と一丸となって国に求めていくべきと認識してございます。

○川松委員 今お話しになった最後の部分に関しては、やっぱり、この共存共栄ということについて、しっかりと考えていかなきゃいけないし、そもそもは、中央と地方だったこの構造が、あるときから、突然、東京と地方にすり替わってしまったということが大きな課題ですから、まず、原則論というのを多くの皆様方にご理解いただくような説明は、財政当局だけではなくて、東京都政に関わる一人一人が発信していく必要があるんだと思うんですが、今おっしゃったように、首都東京には、大都市特有の膨大な財政需要があるわけですね。
 これは、自治体としての東京都の財政需要という意味で答弁されたのだと思いますが、そういう意味で行くと、都民の皆様も、大都市特有の負担を強いられているわけです。
 いわゆる、東京は豊かである、見た目は豊かであると思われていますけれども、国の資料によると、職や住関連の基礎資質の高さなどを踏まえると、東京の中間層の世帯は、他地域に比べて経済的に豊かであるとはいえないというデータがあるわけですね。これは、家賃の問題もそうでしょうし、今度は、家賃が高いから職場の近くには住めないので、ちょっと離れると。そうすると、行きも帰りも通勤時間を合わせたら、この時間をお金に換算したら相当な負担を強いられているのではないかとか、そういう総合的な指標で見ていくわけですけれども、こうなると、大都市だからこそ、大多数の都民が苦しい生活を強いられているということもできるわけです。しかも、感染者の数が最も多くて、この二年半以上にわたって一番社会活動を制約されてきたのも、またこれ、東京なわけですよね。
 そもそも今、東京富裕論といわれるおそれがあるから、余計なことは何もできないのではないかという財政当局の姿勢は、私は違うと思います。今おっしゃったように、東京は、人口も多いし、企業も多いし、収入が多いというのは誰もが分かるんですけど、それだったら、今、理事もおっしゃったように、その分支出も多いんだと、家賃だって高いじゃないか、物価だってこうなんだ、最低賃金はこうなんだということをどんどんどんどんいっていけばいいわけですね。
 ですから、一方的に、東京都が仮にここで減税という手法を取り入れたら、他県から東京富裕論でたたかれる、だから減税しないというのはおかしな話であって、私たちは、別にお金がいっぱいあるから減税しろといっているのではなくて、その中で、財源はどうだろうか、どんな工夫があるんだろうか、知恵を出しながら、支出との関係の中で減税というものを打つべきだと考えています。
 では、その都民の現状は、今、苦しい状況にあるということを前提として、大胆な手を打つにはどうしたらいいかということで、財源を確保するための知恵ということで考えますが、例えば、先ほど、その都債発行が許可制になるという答弁があったわけですけど、減収額を上回る行政改革の取組等が許可の基準になるということでありますから、これ、さらなる行政改革の取組の必要性については、十分検討の必要があると思っています。減税という手法は一つの行政改革に当たるんだというのが、私たち自民党の主張でもあります。
 また、この都債の格付に対する影響も考えられるかと思うんですけど、都は、この都債の発行に当たって格付を取っていますよね。そうすると、減税を行えば、現在の都債の格付に影響は出てくるんだろうか、こういうことは、いろんな人たちが心配するところだと思いますけど、実際に格付はどのように行われているのか、見解を伺います。

○田中理事 発行体の信用力への評価となる格付は、投資家が購入する債券の投資適格性を判断する一つの指標となっておりまして、都は、海外の格付機関でありますS&Pグローバル・レーティングから、現在、シングルAプラスという格付を取得しております。
 同社における詳細な格付手法は明らかとなっておりませんので、減税を行った場合の影響について確たることは申し上げられないのですが、各国の地方自治体の格付を行うに当たっては、法令などの地方財政制度面に加えて、各自治体の財政運営の規律性や安定性、税収などの歳入の水準などを定量的、定性的に分析しているとしてございます。
 その上で、将来を見越した、いわゆるフォワードルッキングの視点を加味し、総合的に評価しているものと認識してございます。

○川松委員 今のとおり、自治体の税収水準などを定量的、定性的に分析しているということですから、減税についても、格付の評価要因の一要素となるということなのかなというふうに認識しましたが、ただし、およそ六兆円という都税収入の規模、およそ一・四兆円という基金残高の規模を考えれば、年間およそ二千億円という時限的な減税が、私は直ちに格付に即影響を与えるというのはないのではないかなというふうに思いますけれども、そのあたりは財政当局の皆さんとまだ認識の差があるかもしれません。
 では、ここで、直近の令和三年度における予算額、決算額、それと、予算額と決算額の乖離の主な内容について説明していただきたいと思います。

○田中理事 令和三年度における一般会計の当初予算の規模は七・四兆円、補正予算の総額は三・〇兆円、二年度からの繰越額は〇・七兆円であります。これらを合計した予算現額は十一・一兆円、うち令和四年度への繰越額が〇・四兆円ございまして、これに対する歳入決算額は九・七兆円、歳出決算額は九・五兆円となってございます。
 歳出につきまして、十一・一兆円から繰越額〇・四兆円を除いた実質的な予算現額十・七兆円と決算額九・五兆円の差引き一・二兆円の主な内容といたしましては、感染拡大防止協力金や病床確保支援事業などのコロナ対策経費の減が〇・七兆円、街路整備等の土木費の減が〇・一兆円などでございます。
 また、歳入における予算現額十一・一兆円と決算額九・七兆円の差引き一・三兆円の主な内容といたしましては、都税収入が〇・二兆円の増となった一方で、コロナ対策費の減などに伴い、国庫支出金が〇・九兆円の減となったほか、各種基金の取崩しの抑制による基金繰入金〇・六兆円の減、都債の発行抑制による都債〇・一兆円の減などでございまして、将来に向けた財政対応力の維持に努めたところでございます。

○川松委員 いろんな考えの中で予算を組んで予算額を決めますが、今おっしゃったように、例えば、歳出だったら、大きな金額が残っているわけですね。当然、それはこのコロナ禍における特殊な状況ということも加味して、その数字を省いたとしても相当な金額が残っているんです。
 これまでの議論の中で、財政当局の皆さん、減税に対する様々な懸念、いや、私たちはできるだろうといっていますけれども、皆さん方からすると、できない理由というよりも、やったら怖いという心配の理由ばかりが出てきたわけですけど、この後、実際の減税という手法になると、制度所管局の主税局とも、後の委員会で事務事業の中で議論させていただくことになると思いますが、当然、私たちも、財政面での懸念を何も考えずにこういうことを提案しているわけではないんです。
 今、最後にご答弁いただいたように、決算を見れば、東京都全体ですよ、各局とかその各部とかで見るのではなくて、東京都全体で見たときに、常にお金が残っている。お金が残ると、これを、今まで基金という形で、将来に向けての貯金をしているわけですよね。何度も今日、今、質問してきましたけど、この中で私たちが求めているのは、こういうコロナ禍だとか厳しい状況の中で、中間層世帯の皆さんの可処分所得を上げる一つの手法としての減税の取り入れという仕組みを提案しているわけです。ここなんです、問題は。
 一度、主税局がお金を納めてくださいといってお金が集まってきて、皆さん方の管理下に東京都のお金が集まりました。この集まったお金は誰のお金なのかということを考えるべきだと思うんですね。今までの話だったら、集まったお金は全部東京都のものだから、決算で残ったお金も、将来にわたって財政対応力のために私たちが貯金しておきますよという発想ですよ。でも、もともとは、納めていただいた皆さん方のお金だと思うならば、余ったんだったら、例えば、今は厳しい状況だから、それをお返ししようみたいな発想にならないことが、私は、都民の皆様への優しさを感じないというところなんですね。
 この今の時点でも、エネルギー高騰に悩んでいたり、あるいは物価高で困っている人たちがたくさんいるので、少しでも手を差し伸べようと、その中で決算してみたら、お金が残ったから、納めた皆さん方に何か手助けすることができないかという減税というのは、私は当たり前の発想だと思いますけれども、そういう視点になって、都民の皆様お一人お一人の立場になることが、今、東京都に求められていることではないかなということで、この議論をまとめますが、とにかく多くの都民の皆さんが苦しんでいる、疲弊しています。
 だから、そこでできることは、私たちは、今、減税を提案していますけど、ほかの手法もあるかもしれません。できること、ありとあらゆる策を練りましょうよということを今日呼びかけたということです。さきの代表質問でも申し上げましたが、今だからこそ、大都市東京ならではの大胆な支援策を打つべきときであるということを申し上げて、次の質問に移ります。
 これは、次の質問も、同じような都民の皆様の視点に立つということでお話を聞きたいと思うんですが、先ほどから、今日は委員会が始まってから、都庁舎の省エネ化のお話が繰り返し出ておりますけれども、東京都庁舎建設時に比べれば、大規模改修などを経て、大きく省エネ化ということになったわけです。
 さらに、エネルギー問題とも向き合って、省エネ化された建物で節電に取り組んでいるわけですが、では、今現在、東京都庁舎における電気の使用量、数量としての電気使用量と電気料金について、令和三年度と四年度の上半期、どうなっているのか伺いたいと思います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎におけます電気使用量は、令和三年度上半期は約千六百二十二万キロワットアワー、令和四年度上半期は約千六百二十万キロワットアワーとなっております。
 一方、電気料金につきましては、令和三年度上半期は約二億五千万円、令和四年度上半期は約三億九千万円となっております。

○川松委員 繰り返しになりますけど、省エネ化された建物で節電に取り組んでいますから、令和三年度上半期と令和四年度上半期という単純比較を今聞いたわけですけど、電気を使用した量ということについては微減だったと、この比較では。だけれども、電気料金に関しては一億四千万円アップしているんですね。
 当然、都民の皆様、都内事業者の皆様、それぞれ電気契約は様々ですが、間違いなく負担がかかっていると。これだけ東京都庁舎で、私たちは省エネ化しました、取り組んでいます、節電していますと知事が先頭にやっている建物で一億四千万、これ上半期だけですから、一年通したら、あるいはその前と比べたら、もっと大きい金額が出てくるわけです。
 こういうことが現実的に都庁舎でもあるんだから、都民の皆様、都内事業者が、今どうやってエネルギー高騰と向き合っているかということを、十分に、特に財政当局で予算をチェックする皆さん方は、各局から都民の皆さんの財政支援が上がってきたときには、厳しい目で見るのではなくて、できるだけそこに助けてあげると、その予算は必ず確保する、むしろ少ないのではないかというぐらいの気持ちで、これから予算を、案を練っていく中で、各局と向き合っていただきたいということを強く要望します。
 さて、今度、東京都庁舎の話になりましたので、前から思っていたことをこの機会に質問させていただきますが、東京都のシンボルであるのが東京都庁舎ですよね。都民が親しみを持ち、自由に集い、楽しめる場所となってもらいたいと私は思っています。
 世界で一番の都市東京というのを目指して、私たちも様々な政策提言をしてきたわけですが、世界の様々な都市に行くと、みんなシティホールというと、それぞれのまちの皆さん方の精神的なよりどころだったり、誇りになっていますが、なかなかその東京都庁舎、新宿にあるよと分かっている人、あるいは写真で見たことある人、そういう人はたくさんいますけれども、実際に都庁舎に来たことがある人って、なかなか僕の周りにはいないわけですよ。
 こういうもっと身近な東京都庁舎になってもらいたいという視点で少しお聞きしたいと思いますが、実際に都庁舎を訪れる人々が楽しめる場としては、展望室があったり、都民広場があると思いますけれども、この展望室については、カフェや展望デッキの設置などの取組を行って、年間二百万人の入場者があると聞きました。
 一方、都民広場については、その利用状況を鑑みると、寂しいものを感じるわけです。
 都民広場は、都庁内の敷地内にあって、運用において制約があることは認識していますが、あの空間ですから、もっと利用されていいのではないかと思いますけれども、今、私が述べた思い、観点から、都民広場の利用についてお伺いしたいんですが、では、この利用の仕組みはどうなっているのかお伺いします。

○鈴木庁舎運営担当部長 都民広場は、都民が出会い、集い、楽しむことができる場、都民の参加を期待する場、都政を都民の身近なものにする場として、都民がいつでも自由に通行、散策ができる場とすることを目的とし、設置しております。
 一方、都民広場は、都市計画法の特定街区制度を適用して設置した有効空地であることや都議会議事堂と第一本庁舎の間に位置する庁舎の一部であることから、利用に当たっては、公務の円滑な遂行に支障を及ぼさないことや、公共性、公益性が求められております。
 そのため、都民広場の利用に当たりましては、都が主催、共催する行事に対しては、各局へ使用承認し、また、都民が主体的に実施する行事に対しましては、都が後援することによる使用許可とすることで、公共性、公益性を担保しております。

○川松委員 都民広場は、都庁内の敷地であるとともに、有効空地として地域に開放されておりまして、利用に当たっては一定のルールが必要であるということは理解しました。
 ただ、都庁舎をこれまで以上に魅力的な場所とするに当たっては、都民広場自体をもっと利用しやすくする取組が必要なのではないかと考えます。
 改めて、都民広場の利用状況について伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 令和二年度以降は、コロナ禍の影響もあり、都民広場の行事も減少し、東京二〇二〇大会や東京マラソンに関わるイベントのみが実施されました。
 それ以前の、例えば、令和元年度では、青少年治安対策本部共催のランナーによる見守り活動発足式や生活文化局主催のDANCE TRUCK TOKYOなど、都民の人々が参加できるイベントが実施されております。
 また、今年度につきましては、秋以降、各局のイベントも回復傾向にあり、十一月には四件のイベントが予定されております。
 そのうち、十一月十二、十三日に実施される産業労働局共催の大東京商店街まつりでは、広場内に、都内の商店街がPRブースを展示するとともに、来場者が飲食を楽しむことができるスペースを設置すると聞いております。

○川松委員 都民広場という名称ですから、多くの皆さんがそこでにぎわったり飲食ができる風景というのはよいものであって、今お話が出たようなイベントは増えていっていただきたいなと思いますが、一方、イベントに限らず、今後、都民の方が、都庁舎に、そもそもなかなか都庁舎に、いろんな行政手続する方が少ないけれども、来た方が用事を済ませるためではなくて、いや、都民広場があるから行ってみようみたいな、何かそういうマインドになるようなきっかけをつくっていくことも、私は、愛される都庁舎、愛されるこのシティホールとしての在り方を考える上で大事だと思っています。
 最後に、今後の都民広場の利用拡大に向けてどうお考えか、見解を伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都民広場の利用拡大につきましては、まず、都民の方々に向けて、財務局のホームページを活用して、都民広場の存在や利用方法をPRしていきます。
 次に、庁内各局に向けて、都民広場の使い方や注意事項とともに、これまでの利用実例をまとめて利用促進の案内を発出し、さらなる都民広場の利用を促してまいります。
 また、都民の方々が、都民広場で憩い、楽しく過ごせることができるとともに、都庁舎と周辺地域が一体となってにぎわいを創出できるよう、様々な制約はあるものの、都民や地域団体の声をよく聞き、関係局とも連携を図り、検討を進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。
 都民広場については、各局が主催や共催するイベントに利用されることもあって、各局との連携が必要になって、積極的に情報発信を行う必要もあるわけですが、様々な制約があることは理解できますけど、冒頭、部長から答弁いただいたように、円滑な公務に支障を及ぼさないことということですから、これ、土日だったらいろんなことができると思うんですよね。そういう何か工夫をしながら、様々な制約がある中でも柔軟な対応をしていただき、関係局ともよく意見交換を行って、少しでも都民広場の利用が拡大されることを願っております。
 都民の方々が、都民広場で憩い、楽しく過ごせることができるよう、そして、世界で一番の都市東京にふさわしい、都民の皆様に親しまれる都庁舎、都民広場となるよう、引き続き検討を行っていただきたいということを強く要望しまして、質問を終わります。

○ほっち委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十九分開議
○ほっち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○後藤委員 私からは、事業評価と事業のシーリングについて伺いたいというふうに思います。
 新型コロナウイルス感染症との闘いも、もう既に三年目となりましたけれども、振り返ってみれば、医療体制や検査体制の強化、あるいは協力金制度の創設など、本当に次々新たな施策というものの創設が必要となる中で、先ほど理事からも、質疑の中でありましたけれども、財政健全化の重要性というものがより一層高まったこの三年間でもあったかというふうに思います。
 そして、足元を見てみれば、この新型コロナだけではなくて、世界最速で進む高齢化や、あるいは少子化の問題、東京都なんかは出生率の二・〇七というものを目指しておりますけれども、こうした社会的な課題に対して、まさに日本の首都である東京が、まず、国に先んじてしっかりと対策を打っていくという意味では、この政策の新陳代謝を高めるとともに、このPDCAサイクルをしっかりと回していって必要な施策に財源を振り分ける、まさにワイズスペンディングの取組が非常に重要であるというふうに思っております。
 こうした意味からも、都は、事業評価という仕組みを用いて一つ一つの事業を検証しているというふうに認識をしておりますけれども、まず、この取り組む意義や実施方法などについて伺いたいというふうに思います。

○田中理事 事業評価は、財政再建期に集中的に実施した事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も見直し努力を継続する仕組みとして平成十八年度に再構築したものでございまして、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取組の徹底へとつなげるため、予算編成の一環として実施しているところでございます。
 事業評価の実施に際しては、事業の有効性やコスト分析に加え、総務局やデジタルサービス局などの関係部局とも連携し、専門的視点からチェックを行うなど、予算編成の過程で多面的な検証を行っております。
 また、原則として全ての事業に終期を設定し、終期が到来した事業について、成果や決算状況を検証し、見直しや拡充、継続等を判断することでPDCAサイクルの強化を図っているところでございます。

○後藤委員 ありがとうございました。ご答弁の中では、多面的な検証及び全ての事業に終わりの期、つまり終期というものを設定してPDCAサイクルの強化を図っているというようなご答弁がございました。特に、事業の終期に関しては、小池都政が始まってからこうした事業評価の制度を進めているというふうに認識をしております。
 こうした事業評価の終期を設定したことによって、事業評価の総件数、見直し、再構築の件数、そして、その財源の確保額の比較とともに、コロナ禍においてどのように強化充実が図られてきたのかを伺いたいと思います。

○田中理事 まず、事業評価の公表件数を比較いたしますと、平成二十八年度予算編成以前の六年間の累計は二千七百三件であるのに対しまして、事業終期を設定した平成二十九年度予算編成以降の六年間の累計は七千百七十八件と二・七倍に増加してございます。
 次に、見直し、再構築件数及び財源確保額の比較におきましても、平成二十八年度予算編成以前の六年間が累計で千四百九十八件、千六百三十四億円であるのに対しまして、平成二十九年度以降の六年間の累計は五千二百二件、五千七百三十七億円と、いずれも三・五倍に増加しているところでございます。
 また、令和二年度以降におきましては、コロナ禍により都政を取り巻く環境に変化が生じていることも踏まえ、新しい日常に対応する観点から、オンライン学習の環境整備やDXによる業務効率化などの視点も取り入れて事業評価を行っているところでございます。

○後藤委員 ありがとうございました。こうした終期の設定によって、五千二百件を超える事業の見直しと五千七百億を超える財源を確保したというご答弁がございました。
 こうした取組につきましては、今後もしっかりと進めていただきたいとお願いすると同時に、こうした多岐にわたる課題というものを的確に解決していくためには、エビデンスに基づいて投資するべき取組というものを適切に見極めていくということが非常に重要であるというふうに思っております。
 我が会派はこれまでも、EBPM、すなわち根拠に基づく政策立案というものを進めてまいりました。
 そこで、エビデンスベースの事業評価について、これまでの取組の成果について伺いたいと思います。

○田中理事 エビデンスベースによる評価は、統計データや技術的指標などの客観的事実に基づき事業の妥当性などを検証する取組でございます。
 評価に当たりましては、ほかに取り得る事業手法と比較した場合のコストや事業実施により期待できる社会的、経済的便益などを踏まえて評価を行っておりまして、これまで八十二件の評価結果を公表してまいりました。
 令和四年度予算編成における評価の一例といたしましては、警視庁の行政手続につきまして、窓口での書面による受付からオンライン申請を可能とした場合のコストと便益を検証したものでございます。
 具体的には、事業実施に必要な導入コストは八千六百万円かかるものの、移動時間等の利用者負担を軽減することで、年間五億八千九百万円相当の都民の便益が向上するということを可視化いたしまして、合計で二十九の警察手続のオンライン化につなげてございます。
 また、築五十八年を経過した小平合同庁舎の改築に当たりまして、類似の官公庁施設と単位当たりの建設コストを比較検証いたしまして、経費の妥当性を確認した上で予算措置を行うなど、事業費の適正化や客観的なデータに基づく検証機能の強化を図っているところでございます。

○後藤委員 ありがとうございました。
 エビデンスベースの事業評価については、既に八十二件の評価結果を公表しているというようなお話がありましたけれども、本来的なことをいえば、全ての事業は税金を原資に事業を運営しているということから鑑みても、今後、一つでも多くの事業をしっかりとエビデンスベースで事業評価するということが重要だというふうに思っています。さらなる評価件数の拡大というものを求めておきたいというふうに思います。
 また、エビデンスベースで評価をすると。こうしたEBPMの取組については、こうした評価を導入しようとすると、事業の開始をする前から、あるいは事業の途中にも必要なデータを一つ一つ取っておかなければいけないというものもあると思います。検証に必要な材料を集めるという意味からも、今後は、事業検討段階から必要なデータをしっかりと取って、事業の効果をエビデンスベースで把握、検証していく取組を進めていくようによろしくお願いをいたします。
 また、こうした施策を実効性高く実現していくためには、予算の執行のスピードというのも非常に重要であるというふうに思っております。特にこの三年間は、さきにも申し上げたとおり、新型コロナウイルス対策であったりとか、あるいは物価高の影響ということもございまして、こうしたところにしっかりとかゆいところに手の届く政策を実現するためには、まさに事業のスピードを上げて待ったなしの取組というものが求められているというふうに思っています。
 こうした問題意識から、今年度の予算特別委員会の代表質問でも、私の方から、いわゆる年度主義というものを脱却して、必要な事業に迅速に取り組むように都に求め、そして、小池知事からも、事業執行のスピードアップを図るという旨のご答弁をいただいたところでございます。実際に、さきの補正予算につきましても、事業を前倒しして実施するための予算措置などがされております。
 こうした事業なども踏まえまして、令和五年度の予算についても、これまで以上に事業執行の迅速化を図るべきだと考えますが、どのような事業評価を実施するのかと併せて見解を求めたいと思います。

○田中理事 令和五年度予算編成では、これまでも取り組んできた評価を着実に実施するということでございますが、先ほどお話しいただきましたとおり、迅速に取り組むということで、債務負担などを活用いたしまして事業の執行については迅速に行うということで、今回の補正予算でも、ゼロ都債などを使った迅速化を進めているところでございます。
 また、事業評価の面でいたしますと、事業展開のスピードアップを図るという観点からも評価を行うということとしてございます。
 具体的には、政策の効果を素早く都民に届けられるよう、事業の着手時期を検証し、さらなる早期着手やスケジュールの前倒しを図ることができないかなどの視点から評価を行うということでございます。
 さらに、デジタル関係の評価に第三者の意見を取り入れて、都政のクオリティー・オブ・サービス、QOS向上を図る視点からの検証も行ってまいります。
 こうした取組を通じまして、事業評価制度のさらなる充実強化を図り、政策の効果を早期に都民に還元するとともに、事業の有効性や実効性をより一層高めてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。ご答弁では、来年度予算についても、事業の着手時期を検証し、さらなる早期着手やスケジュールの前倒しを図ることができないかなどを視点に盛り込むというご答弁をいただきまして安心をしております。
 特に、今、東京都が重点的に取組を進めているデジタル化の取組であったり、あるいはスタートアップについても、新しい局をつくって、今、施策展開などを図られていると思いますけれども、こうした分野においては、本当に技術も日進月歩で進んでいく部分でもございますし、スタートアップ支援なんかについては、事業実証をやっている間にどんどん競合が出てきてしまって、競争環境も変わってきてしまうということもあるかというふうに思います。特にこうした分野においては、事業の迅速化、他の事業にも増してしっかりと取り組んでいただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 そして、最後に、各局におけるシーリングについて伺いたいと思います。
 さきに挙げた事業評価と併せて重要なのは、各局が自律的に事業評価のPDCAを回すということが重要であるというふうに考えております。こうした観点からは、来年度予算においても各局へシーリングを実施しているというふうに認識をしておりますけれども、この特徴について改めて伺いたいと思います。

○田中理事 令和五年度予算の見積方針では、令和四年度予算と同様、原則としてゼロシーリングを継続し、前年度予算額の範囲内で所要額を見積もるということとしておりますが、例外といたしまして、一部事業のマイナスシーリングとシーリング対象外経費を認めてございます。
 具体的には、一律の経費の削減を求めるのではなく、各局それぞれ主体的に事業の見直しを行うことで事業の質の向上を図る観点から、事業実績が目標を大きく下回るものや執行率が一定の水準に達していない事業など、さらなる見直しが必要な事業については、前年度予算額に対して総額でマイナス一〇%のシーリングとし、その範囲内で予算を見積もることとしてございます。なお、この取組によりまして、令和四年度の予算編成では、約二百五十億円の経費削減へとつなげてございます。
 一方、「未来の東京」戦略に係る新規事業ですとか、物価上昇による所要額については、シーリングの対象外といたしまして、都政の諸課題に対する積極的な事業案の構築を可能としてございます。
 限られた財源の中で都政に課せられた使命を確実に果たしていくため、こうした仕組みを活用しながら、各局における主体的な事業の見直しの強化と積極的な施策構築の両立に努めてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。各局から、執行率が一定の水準に達していない事業については、マイナス一〇%のシーリングを行うということで二百五十億の経費削減につなげているというようなご答弁がありました。また、「未来の東京」戦略に関わるものであったりとか、物価上昇によるものは対象外にしているというご答弁がございました。
 まさに、冒頭申し上げたような、少子化、高齢化、そして、物価高などの経済対策については、都政の重要課題であるというふうに認識をしております。不必要に減らすということではなく、しっかりとめり張りをつけていただきまして、まさに、変化する社会課題に対する新規事業というのは、都市の競争力の源泉でもあるというふうに考えておりますので、今後も、事業評価を通じて不断の事業の見直しというものを図っていただくとともに、新たな事業となるような部分に関しては、まさに事業のスピード化、スピードアップを図っていただいて、こうした価値をしっかりと都民に素早く届けていただくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 初めに、財政運営に関して質問いたします。
 百年に一度の危機ともいわれる新型コロナウイルス感染症による影響に加えて、円安の進行、物価高騰の影響がさらに長期化、深刻化しており、都民生活や企業活動に大きな影響が出ております。
 都はこれまでも、我が党の要望に応え、累次にわたる補正予算を編成し、迅速に対応を行ってまいりましたが、その際に重要な役割を果たしてきたのが基金であります。
 令和二年度当初、都は、財政調整基金を使って、全国に先駆けて営業時間短縮の要請と感染拡大防止協力金による対応を行ってきたわけでございますけれども、一千四百万人の暮らす首都東京を守っていくためには、国の全国一律的な対応を待つだけではなく、現場の状況を見極めて必要な対策を迅速に講じる、そのための基金という財源が必要なわけでございます。
 そこでまず、都の基金について質問をいたします。
 第三回定例会でも、大型の補正予算を編成したわけでございますけれども、現状の令和四年度末における基金残高見込みについて、主な基金の内訳と併せて答弁を求めます。

○田中理事 令和四年度九月補正予算後の年度末基金残高見込みは、財政調整基金が四千八百七十一億円、セーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティの三つのシティ実現に向けた基金が八千百七十一億円、その他基金が千二百十九億円、合計で一兆四千二百六十二億円となってございます。
 主な基金の内訳といたしましては、社会資本等整備基金が二千二百四十億円、防災街づくり基金が千二百九十億円、福祉先進都市実現基金が千百二十五億円、鉄道新線建設等準備基金が八百三十四億円などでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。基金全体としては約一・四兆円、うち財政調整基金が約五千億円の残高見込みであるとの答弁でありました。コロナ禍に入る前の令和元年度末における都の基金残高は、全体で約二・六兆円、うち財政調整基金は約九千億円ですから、コロナ前の半分近い水準ということになります。
 コロナ禍や物価高騰への対応に加え、今後、世界経済が景気後退に陥るとの悲観的な見通しも聞こえてきているところでございます。さらに、忘れてはならないのが、いつ起きてもおかしくはない自然災害の脅威であります。こうした点を踏まえれば、現在の基金残高の水準は十分なものとはいえません。様々な危機から都民の暮らしを守るため、基金残高の確保に努めることを改めて求めておきます。
 次に、防災対策について質問をいたします。
 都は、本年五月、十年ぶりに首都直下地震等の被害想定の見直しを行っております。建物の耐震化が進んだことなどを背景に、死者や建物被害が前回より三割程度減少している一方で、近年増加しているタワーマンション上層階での孤立化など新たな課題も浮上してきているところであります。
 また、近年被害が激甚化、頻発化しているのが豪雨災害であります。私の地元足立区は、東部低地帯に位置しておりますけれども、近年の被害の状況を踏まえ、地震に伴う津波や高潮、豪雨、台風に伴う水害などへの対策を一層強化していかなければなりません。
 こうした防災、減災対策の計画的な推進を財政面から支えていくために、都では、先ほどの答弁でも話が出ましたけれども、防災街づくり基金を設置し、財源の確保を図っているわけであります。
 そこで、この防災街づくり基金の設置目的と、これまでの積立て、取崩しの状況について説明を求めます。

○田中理事 防災街づくり基金は、東京を高い防災力を備えたまちとするための取組を戦略的に展開していくため、平成二十六年度最終補正予算において設置した基金であり、設置当初に一千億円の積立てを行ったところでございます。
 その後、災害に強いまちづくりを加速化させる観点から、木密対策、耐震対策に加え、津波、高潮対策や豪雨対策を新たに充当事業とし、令和元年度の累計で約四千億円の積立てを行っているところでございます。
 積み立てた基金につきましては、平成三十年度から活用を開始し、これまで累計で千六百九十八億円を取り崩して活用しており、令和四年度当初予算での充当額千十四億円などを含めると、令和四年度末残高は千二百九十億円となる見込みでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。これまでの累計で約四千億円を積み立て、約二千七百億円を取り崩しての活用の予定であり、令和四年度末の残高見込みは約一千三百億円との答弁でありました。
 令和四年度予算での充当額は約一千億円とのことでありますけれども、具体的にどのような取組の財源として活用の予定なのか、また、令和三年度決算ではどのような事業に活用したのかについて説明を求めます。

○田中理事 令和四年度予算におきまして、防災街づくり基金に充当を予定している主な事業は、木密地域における特定整備路線の整備推進に三百九十六億円、東部低地帯における河川施設の耐震、耐水対策に百九十七億円、調節池や分水路の整備等の豪雨対策に百三十二億円、砂防ダム、擁壁、離岸堤の整備に六十九億円などでございます。
 また、令和三年度は、当初予算では約四百五十億円の活用を想定していたものの、都税収入の増加や歳出の精査などにより捻出した財源を活用することで、事業は着実に推進しつつ、基金の取崩しについては抑制を図っているところでございます。

○うすい委員 今、答弁いただきまして、震災対策や水害対策など、まさに都民の命を守る取組のために基金が活用されているということが確認できました。
 防災、減災対策は、都民の命を守るための最優先の課題であります。コロナ禍や物価高騰対策など目の前の課題に迅速に対応しつつも、いつ起きてもおかしくない災害に対し、本基金を活用しながら、しっかりと対応していくことを改めて求めておきます。
 また、現在、都では、地域防災計画の改定に向けた議論が進んでおりますけれども、水害に対する備えも含め、さらなる取組の拡充や加速が求められております。今後の財政状況を見極める必要がありますけれども、こうした計画改定と併せて防災街づくり基金の充実についても検討が必要であることを申し添えておきます。
 次に、新たな公会計制度についてお伺いをいたします。
 様々な危機に対応できる財政基盤を維持していくためには、より効率的で効果的な事業構築に向けた見直しを行っていくことが重要であります。
 都議会公明党が推進をし、都が全国に先駆けて導入をした複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度は、それまでの官庁会計では把握できなかった資産、負債などのストック情報や金利、減価償却費などを含む真のコスト情報を明らかにする画期的な制度であります。
 私の地元足立区にある足立都税事務所は、当時、老朽化が進んでおりまして、平成二十六年五月に西新井駅駅前の新庁舎に移転をしたわけでありますけれども、この際にも、現地改築とするか、または移転改築とするか、新たな公会計制度を活用して比較検討を行いました。
 そこで、足立都税事務所の改築を事例として、事業評価における新たな公会計制度の活用について詳しく説明を求めます。

○田中理事 足立都税事務所の改築につきましては、平成二十二年度予算編成における事業評価におきまして計画の妥当性を評価しております。その際には、複式簿記・発生主義に基づく新たな公会計制度を活用した分析を行ってございます。
 具体的には、事業別財務諸表を活用して、移転改築と現地改築の両案について三十年間のトータルコストを比較し、仮設用地の確保や仮設費が必要となる現地改築に比べ、移転改築の方が一年程度の工期短縮と三割程度のコスト縮減を図ることができるとの分析を行ったところでございます。
 このように、新たな公会計制度を活用した分析も含め様々な角度から検証を行った上で、移転改築が妥当と判断し、平成二十二年度からの基本設計の着手、平成二十六年度の新庁舎移転へとつなげたものでございます。

○うすい委員 今の答弁いただきましたとおり、事業別財務諸表を活用して、三十年間のトータルコストと比較をし、そして、仮設用地の確保や仮設費が必要となる現地改築に比べ、移転改築の場合は、一年程度の工期の短縮と三割程度のコスト縮減を図ることができるとの分析を行った上での改築だったという、そういう答弁でございました。
 北千住駅西口の旧足立都税事務所、元あったところですね、旧足立都税事務所の跡地は、現在は、民間による商業、子育て支援など地域貢献施設との複合再開発プロジェクトでのタワーマンションが建設をされておりまして、駅前のにぎわいや利便性向上に貢献をしているところであります。
 こうしたまちづくりの視点も重要でございますけれども、あわせて、先ほどご答弁いただいたように、無駄をなくすという観点から、トータルコストをしっかりと分析していくことが重要であります。このことについては、公明党、我が党から、過去にも再三指摘をしてきたわけでございますけれども、今回も、たかく議員が決算特別委員会第一分科会で改めて指摘をしたところでありますけれども、公明党が推進をしてきた新たな公会計制度を分析のツールとして活用した事業評価によって、都は、これまでの十六年間で約七千六百億円もの財源確保につなげたわけであります。
 想定される様々な危機に迅速かつ的確に対応していくためにも、こうした仕組みを最大限活用し、無駄の排除の徹底に一層磨きをかけていくことを改めて強く求めておきます。
 次に、都債について質問いたします。
 為替相場では、先月、三十二年ぶりに一ドル百五十一円台を記録しました。今年に入り円安が急激に進み、輸入食品の値上げや原材料価格高騰をはじめ都民生活や中小企業の経営など、あらゆる方面に大きな影響を及ぼしております。こうしたマイナスの影響に対し、都もしっかり対策を講じるべきと考えますが、円安により都の財政運営自体にも気がかりな点がありますので、確認の意味で聞いておきたいと思います。
 具体的には、都は、外貨で都債も発行しておりますが、都債は、将来の返済時期を決めて発行するものであります。このため、過去にドルで発行した都債が、今般の円安の進行により償還のタイミングで円による返済額が増加することも考えられますが、このことについての見解を伺います。

○田中理事 外貨建ての債券を発行し、その後、元金償還金及び利払いを当該外貨で行う場合には、為替相場に連動して発行時点と比較した円ベースでの元利償還金が変動するリスクがございます。
 このため、都における外債の発行では、発行と同時に外貨建ての債務を円に転換しておきまして、あらかじめ将来にわたる元利償還額を円ベースで固定するという手法を取っておりまして、為替変動リスクを負うことはないようになってございます。

○うすい委員 ありがとうございます。外貨で発行した都債が円安時に返済額が増加しないということで安心をしました。
 しかしながら、そもそも外貨による地方債の発行自体、他の地方自治体ではあまり見受けられるものではないように思えます。
 こうした中、東京都はなぜ外貨による都債の発行を行っているのか、その理由や意義について見解を求めます。

○田中理事 都財政におきましては、歳入に占める起債の割合を示す起債依存度は、他の自治体と比べて低い水準を維持しているものの、都債の発行額といたしましては、令和三年度市場公募債、市場公募の地方債ベースで地方全体の約八%を占めている大きなものでございます。
 このような規模で着実に発行していくためには、市場環境の変動など、いかなるときも安定的かつ円滑に行えるよう、資金調達手段の多様化とリスクの分散化を図ることが必要であると考えてございます。
 こうした観点から、都におきましては、国内債だけでなく、市場動向を踏まえつつ外貨建て債を継続的に発行し、様々な市場へアクセスすることで海外投資家など多様な投資家の参入を実現しているところでございます。
 なお、今年度におきましても、六月に、米ドル建てで五億ドルを発行し、多くの海外投資家の皆様にご購入いただいているところでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。資金調達手段の多様化とリスクの分散化を図ることが目的であるとの答弁でございました。
 このことについては詳しく説明はしておられますけれども、さらに都民に分かりやすく周知を図っていくべきと考えておりますので、この点もひとつよろしくお願いしたいと思います。
 また、基金や都債、さらには新たな公会計制度などの視点から、都の財政運営について伺ってまいりましたが、財政は、各局の施策展開を支えるまさに要であります。歴史的な円安水準が続いて物価高騰が都民の暮らしに大きな影響を与えております。経済情勢の先行きも不透明性が増す中において、公明党としても全力で取り組んでいるところでございますけれども、引き続き、あらゆる可能性を視野に入れ、各局の積極的な施策展開を支えるとともに、様々なリスクにもしっかりと備える財政運営を財務局がしっかり行っていただくことを改めて求めまして、次の質問に移ります。
 次に、都有地の活用についてお伺いをいたします。
 財務局においては、過去を振り返りますと、平成十二年度に財産利活用総合計画を策定し、不用な財産の有効活用や未利用地の売却等に努め、その結果、目標の一千億円を大きく上回る約一千四百億円の売却実績を上げてまいりました。平成十五年度には、第二次財産利活用総合計画を策定して、売却だけではなく多様な活用について取組を行い、その後、平成十九年六月には、財政再建を達成した都財政の状況や地方自治法改正による行政財産の貸付範囲の拡大など、その変化に対応した視点での財産利活用の指針を策定し、都は、多様な利活用に取り組んできたところであります。
 中でも、平成二十八年九月には、先ほどもありましたけれども、待機児童解消に向けて、保育所等の活用可能性がある都有地を全庁的に洗い出して、区市町村に情報提供し、利活用を積極的に進めてきたと認識しているところであります。いうまでもなく、都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産であり、学校や警察署、都営住宅など人々の暮らしを支える都有施設はもとより、都民生活の向上のために最大限活用されるべきものであると考えます。
 こうした中、財務局では、各局において行政目的を終えた土地を引き続き未利用地として管理していると聞きます。
 そこで、まず伺いますが、財務局が所管する普通財産の土地のうち未利用地となっているものがどの程度あるのか、見解を求めます。

○小泉財産運用部長 未利用都有地とは、財務局所管の普通財産のうち、現に各局における行政的な利用に供していない土地で、明治、大正時代から借地権等が設定されており、事実上都が利用することが困難な長期の貸付財産や、島しょ地域の緑地等として保有されている土地等を除いたものでございます。
 こうした財務局所管の未利用都有地は、令和四年三月末現在、合計で二百九十八件、面積は約百八十ヘクタールとなってございます。

○うすい委員 ただいま答弁いただいたとおり、財務局では、二百九十八件、面積約百八十ヘクタールの未利用地を管理していることを確認させていただきました。
 東京ドームは広いですけど、ドームについては四・六七ヘクタールですから、おおよそドームの三十八・五個分の広さに匹敵します。問題は、これらの未利用地をいかに有効に活用していくかであると考えます。
 当局では、庁内や区市町村に行政利用の意向を照会し、その結果、都や区市町村における行政需要がなく、都として不用と判断した場合には、一般競争入札により民間への貸付けや売却を検討していると認識をしております。
 そこで伺いますが、こうして民間に一般競争入札された土地について、昨年度の実績はどうなのか、見解を求めます。

○小泉財産運用部長 次の行政利用までに一定の期間がある土地などにつきましては、民間に暫定的に貸付けを行い、具体的には、臨時駐車場や工事の資材置場等の用途で利用されており、昨年度は七十六件の貸付実績がございます。
 また、将来的にも行政用途での活用が見込めない土地のうち、狭小地や不整形地などにつきましては隣接地権者に売却交渉するほか、宅地等として活用可能な土地につきましては一般競争入札を行っておりまして、昨年度は十一件の売却実績がございます。

○うすい委員 ありがとうございます。都として利用予定のない土地のうち、可能なものはできるだけ売却や貸付けを行い、収入につなげているということを理解したところであります。
 こうした民間への貸付けにより、駐車場や資材置場として未利用地を暫定的に活用していくことも意義のあることだとは思います。しかしながら、冒頭にも申し上げたように、都有地は、都民生活の向上のために最大限活用されるべきであります。
 これまでも都では、代表的な事例として、先ほど申し上げたとおり、福祉インフラ整備事業において、保育施設、また、高齢者施設、障害者施設等の整備について民間を活用した施策連動型の財産利活用を進め、効果的に都政の課題解決につなげてきたところであり、また、課題解決のためには今後も必要なことと考えます。
 そこで、こうした都政の課題解決を図るため、民間の知恵と力を活用した庁内各局における施策連動型の財産利活用の過去の取組事例についてお伺いしたいと思います。

○小泉財産運用部長 都が直面する課題の解決への貢献の条件としまして、民間企業に対して未利用都有地を貸し付ける取組を積極的に推進し、都施策の実現と収入の確保の両立を図ることは重要であると考えております。
 具体的には、都営住宅の建て替えに伴う創出用地などの都有地を活用し、民間事業者の創意工夫を生かしながら地域特性に応じたまちづくりを進めているとともに、民間事業者による賃貸住宅の整備を通じて木密地域改善の加速を目的とする施策を展開してございます。
 また、施設更新時期を迎える都有施設が集積する地区におきまして、民間の力を活用して複数の都有地の総合的活用を図り、まちづくりを先導する都市再生ステップアップ・プロジェクトなど、都施策と連携した整備を推進してございます。

○うすい委員 ありがとうございます。ただいま答弁あったとおり、これまでも都として、施策連動型の財産利活用に積極的に取り組んでいることを確認させていただいたところであります。
 しかし、私の地元の足立区においても、長らく使われずに更地のままの状態が続いている都有地が見受けられますが、例えば、不整形地であるため行政利用が行われない土地であっても、民間の知恵と工夫により活用していくことができるのではないかというふうに考えるわけであります。
 今後、高齢化はますます進みます。例えば、フレイルや認知症の予防などの対策課題があるわけでありますけれども、フレイルの予防教室などは、遠くだとなかなか行きづらい、だけど自宅の近くだったら参加しやすいというそういったメリットもあります。不整形地であっても、そうしたフレイル予防や、また、認知症のカフェなんかも、もしかしたら近くの都有地を活用して可能になることもあるというふうに考えます。
 都有地は都民共有の財産であり、中長期的、戦略的な視点から、その財産価値を余すところなく発揮していくためには、従来の手法のように都があらかじめ条件を決めて公募するだけではなくて、例えば、マーケットサウンディング手法など民間の知恵と工夫が生かされる手法の導入も積極的に検討していく必要があるというふうに考えます。
 そこで、民間を活用した施策連動型の財産利活用をより一層推進するため、財務局として庁内各局を支援していく必要があると考えますが、見解を求めます。

○小泉財産運用部長 現在、財務局では、当面行政利用のない庁内の未利用地情報を集約化しまして庁内各局に提供してございます。
 今後は、このような取組に加えまして、マーケットサウンディング手法など民間の活力を活用した事例を収集いたしまして、庁内各局に情報提供してまいります。
 このように未利用地と民間活用の事例を併せて情報提供することで、各局において施策と都有地の活用を関連づけて検討できる機会を充実してまいります。
 こうした各局への支援を通じて、民間の力を生かした施策連動型の財産利活用をより一層推進しまして、未利用都有地の効果的な活用につなげてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。答弁いただきました。
 財務局において、各局への未利用地情報の共有だけではなくて、民間の活力を活用した手法や事例についても併せて情報提供していくという取組は、各局が民間の活力を活用していく上で大変意義のある支援策であると考えます。
 このような取組により、より多くの未利用都有地を都民生活の向上のため活用につなげていけるよう、民間の知恵と工夫が生かされる手法の導入が各局において積極的に行われることを期待しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 質問に先立ちまして、先ほどの質疑の中で、都民の暮らしが厳しい中で思い切った政策が必要だというご発言がありました。基本的には私たちも思いを共有しております。物価高騰、長期化するコロナ禍によって、厳しい状況が広がっている一方で、税収増となるなど富が集中をし、格差が拡大をしているということだと思います。
 昨年度の決算で、財政調整基金の取崩しがゼロとなり、他の特定目的基金についても、当初は取り崩す予定でありましたが、それをやめるということが幾つもの基金でありました。この点については、各会計決算特別委員会の分科会でも質問して明らかにしてきたところであります。
 これらの財政力を思い切って厳しい暮らしのために使うことが必要だという点で、ぜひこの財政委員会でも、各党、各会派の皆さんと大いに議論をし、そして、様々な提案を党派を超えてやっていくことを私からも呼びかけたいということを申し上げて、質問に入りたいと思います。
 都有地の利活用について質問いたします。
 地方自治法第二百三十八条第三項では、公有財産は、これを行政財産と普通財産とに分類するとされ、続く第四項で、行政財産とは、普通公共団体において公用または公共用に供し、または供することと決定した財産をいい、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産をいうと規定されています。
 このうち、普通財産については、基本的に財務局が所管をし、利活用について総合調整を行っているということです。いうまでもなく、都有地は都民の財産であり、公共性、公益性を最大限に発揮してその活用を行うことが基本とされるべきだと考えます。
 都民の財産である公有財産の利活用について基本的考え方を伺います。

○小泉財産運用部長 庁内各局における行政利用を終えて、財務局へ引き継がれる土地につきましては、まず、都の行政施策としての利活用を検討するため、庁内各局に利用意向の照会を行います。照会の結果、庁内に具体的な利用計画がある場合には、当該利用局へ所管替えをし、引き続き行政利用に供し、庁内での利用見込みがない場合には、地元区市町村に情報提供し、公用、公共用途での活用意向の確認をしてございます。
 その上で、区市町村における需要もなく、都として不用と判断した場合には、競争入札による民間への貸付けや売却を検討することとしております。

○池川委員 基本的な考え方について確認をさせていただきました。
 今日の質問では、足立都税事務所跡地の都有地について聞いていきたいと思います。
 足立都税事務所跡地の都有地は、普通財産への種別変更が二〇一五年三月に行われています。この変更が行われた経過について伺います。

○小泉財産運用部長 足立都税事務所は、老朽化が進んでいたことから、平成二十六年に足立区西新井地区に所在する都有地に移転いたしました。
 移転後の跡地につきましては、庁内における行政利用の予定がなかったことから、平成二十七年三月に用途廃止の上、普通財産へ変更し、財務局に引き継がれたものでございます。

○池川委員 確認になりますが、それは、主税局が行政財産を廃止して、財務局に普通財産として引き継がれたのが二〇一五年三月ということで間違いないか、確認をさせてください。

○小泉財産運用部長 間違いございません。

○池川委員 平成二十七年、つまり二〇一五年三月に普通財産への変更を行い、財務局に引き継がれたということを確認しました。
 二〇一五年六月に、日本共産党都議団の大島よしえ都議の質問に対して、足立区からの要請に基づき、都は、平成二十六年、つまり二〇一四年六月に、発起人の一員として、千住一丁目地区市街地再開発準備組合を設立し、参加いたしましたと答弁しています。
 準備組合参加に至る経過についてその詳細を伺います。

○小泉財産運用部長 本件跡地は、庁内での利用予定がなく、また、こうした中、平成二十六年六月に足立区から、地域の活性化、防災性の向上のために、市街地再開発事業への参加協力を要請され、都の施策にも一致することから準備組合に参加いたしました。

○池川委員 今、説明があった参加協力の要請というのは、足立区都市建設部長から東京都財務局財産運用部長宛てに出された千住一丁目足立都税事務所跡地に関する件という文書のことを指していると思います。
 この要請文書については、何月何日付で足立区から東京都に提出をされていますか。

○小泉財産運用部長 平成二十六年六月二十六日でございます。

○池川委員 つまり二〇一四年の六月二十六日だということです。
 では、先ほど参加を表明したとあった、都も発起人の一員として参加をした千住一丁目地区市街地再開発準備組合の設立は何月何日ですか。

○小泉財産運用部長 準備組合でよろしいでしょうか、平成二十六年の六月二十六日でございます。

○池川委員 つまり、足立区から要請のあった日と準備組合の設立の日は同じ日です。要請されたその日のうちに準備組合に参加したということになります。
 先ほどの答弁では、足立区からの要請を受けていろいろ検討して入ることにしたんだと、大島さんの質問のときにはそういう答弁をしているんですが、その設立同日に参加をしているということが今、分かりました。
 準備組合の参加というのは、事前に聞いたところ課長決裁だというふうにいわれました。要請されて、その日のうちに準備組合に参加するというのは、これ、よほど前から話があって準備をしていたということになるんじゃないか。つまり、先ほど足立区からの要請といわれた千住一丁目足立都税事務所跡地に関する件という足立区からの要請、これが六月二十六日に出されて、そのときに初めて何か考え始めたということではないということが明らかだと思います。
 それでは、加えて伺いたいと思います。
 先ほど、主税局が行政財産を廃止し、財務局に普通財産として引き継がれたのは二〇一五年三月だとご答弁がありました。つまり、この再開発準備組合ができたときには、主税局が行政財産として保有している、そういう時期だと思います。
 再開発準備組合には、東京都として財務局が参加をしていたということでよろしいですか。

○小泉財産運用部長 準備組合への参加は、財務局の方で参加してございます。

○池川委員 最初に基本的考え方を聞いた中では、庁内各局に利用意向の照会を行い、庁内の利用見込みがない場合には、地元区市町村に情報提供し、活用意向を確認すると。区市町村における需要もなく、都として不用と判断した場合には、競争入札により民間貸付けや売却を検討するんだという答弁がありました。
 しかし、行政財産として主税局が持っている土地にもかかわらず財務局が再開発準備組合に当初から参加をする。これはやはり、最初から、この主税局の足立都税事務所跡地が再開発ありきで検討されていたんじゃないかというふうに見えてくるわけです。
 二〇一五年六月に、日本共産党大島よしえ都議の質問、先ほどと同じ質問です、に対して、市街地再開発事業では、権利変換手続により、従前の土地所有者等の権利を再開発ビルの床に関する権利に等価で変換することを原則としています、都の入手する権利床は、市街地再開発組合認可後の権利変換計画の中で決まることとなります、市街地再開発事業で入手する権利床は、都民からの負託を受けた貴重な都有財産であるため、その財産価値を効率的、効果的に発揮させるよう検討してまいりますというふうに答弁しています。
 どのような検討を行ったのか、また、その結論としてどういう対応をされたんですか。

○小泉財産運用部長 先ほどの足立区の都税事務所の件なんですが、平成二十一年の段階で事務所移転の方向が固まっていまして、西新井の方に移すと。その段階で、庁内への利用照会をかけて、今後の財産の利活用、その中で庁内からの利用希望がなかったといった状況がございます。それを踏まえての財務局への普通財産への所管替えと。
 今のご質問に関しましては、都は、区からの地域の活性化、防災性の向上のために市街地再開発事業への参加協力を要請されまして、都の施策にも一致することから本再開発事業に参加してございます。
 その上で、本再開発事業により新たに建設される建物において行政需要がなかったことから、権利変換に代えて金銭で給付を受けることといたしました。

○池川委員 でも実際には、主税局が所管をしている行政財産の土地であるにもかかわらず財務局が参加したと、これは事実だと思うんです。
 二〇一五年、大島都議に答弁した時点では、市街地再開発事業で入手する権利床は、都民からの負託を受けた貴重な都有財産であるため、その財産価値を効率的、効果的に発揮させるよう検討してまいりますというふうに答弁しています。
 最初から、この権利変換を受けずに、金銭給付スキームを行うとして、都は、再開発準備組合に参加し、その後に再開発組合に地権者として参加していったのではないかということではないかと思うんです。
 東京都は、二〇一六年三月に足立都税事務所跡地の処分について、権利変換に代えて金銭の給付を希望する旨の申出を行い、補償金を受領するという決定を公有財産管理運用委員会で行っています。翌四月に再開発組合の認可が行われ、五月には権利変換を受けず金銭給付の申出というのを行っていると思います。
 確認になりますが、東京都には、このとき幾らの補償金が支払われていますか。

○小泉財産運用部長 市街地再開発事業において、権利変換に代えて金銭の給付を受ける場合、都市再開発法第九十一条第一項及び第九十七条第一項の規定に基づき算定された額となり、都は、平成二十八年度に、本地区市街地再開発組合から約十一億四千万円を受領してございます。

○池川委員 権利床ではなく約十一億四千万円の補償金を受け取ったということであります。
 これによって、ディベロッパーは、東京都が持っていた部分も事業用に活用することができ、利益を最大限に拡大することができるということにつながったことは容易に想像ができると思います。
 重ねてになりますが、この再開発事業の特徴は、東京都が地権者として参加したことにあります。組合施行の第一種市街地再開発事業に東京都が地権者として参加した事例は何例ありますか。

○小泉財産運用部長 財務局所管の保有財産において、過去五年間で組合施行の第一種市街地再開発事業に地権者として参加している事例は三件でございます。

○池川委員 五年間で三件ということなので、都が地権者として再開発事業に入るというのはレアケースだということだと思います。さらに、この再開発は、地権者として東京都がいなければ成り立たないものだったということは明らかだと思います。
 都市再開発法第十一条は、第一種市街地再開発事業の施行区域内の宅地について、所有権または借地権を有する者は、五人以上共同して定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができると定めています。
 この再開発組合の地権者というのは何者ですか。

○小泉財産運用部長 五者でございます。

○池川委員 つまり、東京都が参加しなければ、この再開発事業は成り立たなかったということだと思います。しかも、もともとこの場所というのは、東京都、第一生命、杉本興業という三者の土地であったところですね、再開発準備組合の設立前日の六月二十五日に、グループ会社であるスギモトホールディングスと杉本興業社長個人に分割譲渡をして、地権者を五者に増やしている。そういう手続の下で準備組合が設立をされています。
 こういう事実は、東京都として把握をした上で、即日、さっき足立区から要望が来た日、その即日で再開発組合に入るということを決めたんですか、そういうことを知っていて参加を決めたのかについて伺います。

○小泉財産運用部長 先ほども答弁申し上げたとおり、区からのまちづくりの協力要請に応じて再開発の準備組合に参加したというふうに認識してございます。

○池川委員 こういう事実があったか、把握していたか、把握していなかったかというご質問で、区からの要請があって、その即日に入るということは、事実上ほぼ何も検討されていないんじゃないかというふうに思うんです。こうした状況を知っていて準備組合に参加をしたとすれば、これは貴重な都有地の活用方針として公益性が問われることになる。一方で、知らないで参加したとなれば、これまた重大だというふうに思うんです。
 事業そのものについては、当初から、住民の皆さんから疑問や反対の声が上がっていたというふうに伺っています。再開発事業とすることで、国や足立区から、この再開発事業には四十億円の税金投入もなされています。加えて、調べてみると、先ほど紹介した杉本興業がこの土地を取得したのは二〇一〇年十月で、この年から足立都税事務所の移転改築の基本設計が始まっているということです。
 さらに、この間明らかになった事実では、この杉本興業の社長一族が旧統一協会と深い関わりがあることが明らかになったり、この問題は、足立区議会でも日本共産党足立区議団が追及をしているところであります。
 この問題は、本当に調べれば調べるほど不可解な点が多く、疑惑は解消するどころか膨らむばかりだと、私も改めて調べて思いました。都有地の活用方針として本当にこれでよかったのかということが問われていると思います。
 引き続き、これらの疑惑の解明と、さらには、都民共有の財産である都有地を都民のためにきちんと活用していく、このことが必要だということを強く求め、質問を終わります。

○宮瀬委員 板橋区選出の宮瀬でございます。十年都議会議員をやっていまして、初めて財政委員会の所属になりますが、一年間どうぞよろしくお願い申し上げます。
 新たな提案をしつつ、議会人としてしっかりとチェック機能を果たしていきたいと思っておりますが、私は、民間企業で十一年ぐらいいて、まさに戦略財務本部財務IR室といったところでも働いてまいりました。そこで民間とのギャップを解消していくことが少しでもできればいいかなと思っております。
 まず、民間企業に勤めていて皆さんの仕事を拝見させていただいて感じた違和感が、やはり今後、会社の収支がどうなっていくのかといったことは常に経営の方も気にしていましたが、東京都の方では、財政に収支の見通しがないことが課題であると、二〇一四年より財政長期推計を立てるべきだと訴えてまいりました。
 もちろん、未来を予測することは大変な作業でありますが、そんな中でも民間企業では、マックス、ミッド、ミニマムと三段階に分けて収支の見通しを立てていく、そこをどんどん見直していくといった作業をしておりました。
 そこで、ついに二〇一九年十二月に財務局は長期推計を立てたわけでありますが、まず、どのような考え方で、その予算規模はどのようなものだったのかお伺いいたします。

○田中理事 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しに基づいた財政運営を行っていくため、都財政を取り巻く環境変化を見据え、令和元年度に今後の財政収支を推計したものでございます。推計に当たりましては、今後の生産年齢人口の減少や老年人口の増加などを踏まえた上で、経済成長率について、上位、中位、下位の三つのシナリオを設定し、収支ギャップの振れ幅を推計してございます。
 都税収入の推計について、具体的には、令和二十二年度、これは二〇四〇年度ですけれども、これが上位で六兆三百億円、中位で五兆六千百億円、下位で五兆二千百億円となっておるほか、令和三年度、二〇二一年ですけれども、こちらが上位で五兆一千二百億円、中位で五兆八百億円、下位で五兆百億円となってございます。

○宮瀬委員 ありがとうございます。なかなか大変な作業だったと思うんですが、私の方で、二〇一九年に財政推計を出しましたので、じゃあ実際どうだったのかといったことを確認取らせていただきます。
 令和三年度は、つまり二〇二一年度は、その推計上は五・一兆円の推計を出しておりました。実際には二〇二二年度の予算は五・六兆円であり、先ほどいいましたマックス、ミッド、ミニマムの中のマックスの数字よりも五千億円も多く出ているということで乖離がございます。
 今後二十年間の推計を立てていくに当たりまして、最初の僅か二、三年でいきなり五千億ずれているといったことは、私は、いささか不安でありますが、その見込みがずれた要因と見解をお伺いいたします。

○田中理事 都の歳入は、法人関係税収の占める割合が高く、景気変動の影響を受けやすいため、推計に当たっては、こうした景気変動による影響を排するため、直近の決算額ではなく、過年度からの平均税収額を推計の起点としてございます。
 中長期的に見て中立的な水準を起点とした推計に対しまして、推計を立てた令和元年度の実際の税収は過去と比較しても高い水準にあったということが推計値と決算値とが異なっている理由であると考えてございます。

○宮瀬委員 中長期的に見ての中立的な水準ということで、振れ幅が出たんですよということなんですが、だからこそ、振れ幅があるからこそ、マックス、ミッド、ミニマムという見解を出してやっていると思います。
 私、ここで大事なポイントは、税収入というのは、やはり労働人口、人口ボーナスに大きく左右されると思っておりまして、実際に、子供もしくは労働人口がどのような推移をたどっているのかの予測が皆さんの方で正しくできていたのかといったところが気になっております。
 実際に、今、東京都では、なかなかマンションも、二十三区ですと八千五百万円と平均価格がバブル期を上回っておりまして、なかなか子育て世帯が住めない首都東京になっています。実際に近隣県に流出し、都の人口は、今年、二十六年ぶり、子供も十九年ぶりに減っております。
 財務局としては、財政長期推計に人口減は適切に見込んでいたのか、それはいつなのか、それはいつからなのかお伺いいたします。

○田中理事 東京都の人口の見通しにつきましては、総務局が平成三十一年三月に発表した東京都世帯数の予測を基に、令和七年、これは二〇二五年になりますけれども、そちらの年をピークに減少するものとして推計してございます。

○宮瀬委員 やっぱりここなんだと思います。人口がどう動いていくのかというのが長期推計を出す際に一番重要な要素の一つだと思いますが、今ご答弁ありましたように、二〇二五年から人口減を予測されていたと。しかし、実際には三年早く二〇二一年にピークを迎えて、二〇二二年から人口は減少しているわけであります。
 今、財務局が出している財政長期推計は、経済が成長していくことが前提となっていると聞いております。私は、このまま本当に、経済成長が、じゃあこの後二十年間、本当に続くのか、三十年間続くのか、それを前提に推計を出していることに危惧を覚えるわけであります。
 皆さんが出す数字というのは、都政の、都の全ての施策に連動するわけでありますから、所属のところでもうぶれ幅が五千億ですか、出ておりますから、出し直すといったことも検討すべきだと思っておりますが、見解を伺います。

○田中理事 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しに基づいた財政運営に向けまして、これまでの財政運営や現在の都財政の状況、今後起こり得る環境変化を踏まえつつ、都税収入の推計の起点を、現在の税収水準ではなく中長期的に中立な水準とし、上位、中位、下位のシナリオを設定するなど、景気変動の影響を受けやすい都財政の構造的な特徴を踏まえた推計となってございます。
 今後とも、本推計の結果を踏まえつつ、社会情勢の変化等も注視しながら計画的かつ戦略的な財政運営を行ってまいります。

○宮瀬委員 すみません、ちょっと理解力が乏しいのかもしれませんが、結局、今後二十年間、今回、二〇一九年に立てた財政推計を一切見直さずにそのままいくのか、はたまた経済成長が前提になっているということでありますが、経済が落ち込むこともあるかもしれません。人口がまた大いに下がるかもしれません。
 今、変えることはない、見直さないんですかとお聞きしましたら、社会情勢の変化等も注視しながら計画的、戦略的な財政運営を行っていくというご答弁だったんですが、結局、端的にいうと、見直す可能性はあるんですか、それとも見直さないんですか。

○田中理事 財政というのは、入りを量りていずるを制すと申しますけれども、どうしても行政の仕事といたしましては、必要な需要がベースになってまいります。
 それを基に財政運営を考えるということになってまいりまして、この需要を現在の税収で賄うことができるかという推計も当然ありますが、標準的な税収で賄うことができるのかという推計も一つあると思っておりまして、その推計の考え方はちょっと異なるものがあるのかなと。
 我々は後者の推計をつくってございまして、現在の税収が五兆円後半であったとしても、これは、税収がよいタイミングなだけでございまして、景気動向でまたすぐに五兆円前後となる可能性もあると。そのときにどのような対応をするかというのを考える意味で、推計の効果はあると考えてございます。
 そういう意味で、今後とも本推計の結果を踏まえつつ、社会情勢の変化等も注視しながら計画的、戦略的な財政運営を行っていくということでございます。

○宮瀬委員 ちょっとあれです、分かりづらかったんですけれども、ちょっと私、今、気になったのは、需要に応じて財政を組んでいくというお話もありましたけれども、やっぱり税収、要は、家庭でいえば収入があって、そこから計画を組んでいくというのがやっぱりあるべき姿ではないでしょうか。ただ、そこの、民間出身だからかもしれませんけれども、需要があるからお金をつけるんだではなくて、お金が、限りある予算の中でどうやって効率よくお金を推計していくのかというところが問われていると思います。同じ質問をすると多分また同じ答弁になってしまうと思いますので、これはもう避けますが、いずれにせよ、大切なのは、どうやって無駄なく、効率よく事業を行い、それが都民のお役に立っているのかといったところだと思います。
 そういった中で、長年、事業評価のことについて取り上げてまいりました。私の方で、二〇二〇年になりますが、財務局の行う事業評価、総務局が行う政策評価、政策企画局が行う事業実施状況レビューと、三つの部署が三つ、政策評価、事業評価、仕事に対する評価をしているわけでありましたが、それを、三つのものを一本化していいものを一つやった方が各事業部の皆さんの負担も減りますし、いいのではないかといったことで二〇二〇年の方から訴えてまいりましたが、このたび総務と財務局の事業評価が一本化といったことになっていると聞いております。
 その中で、二〇二〇年時点で約五千五百、東京都は事業があると聞いていますが、そのうち連動した評価、政策評価と事業評価が連動した評価は、発表を見ますと九ユニット、九十七事業だけだと聞いております。しかも、内容も、もちろん全て大切な事業ですが、どうして今、事業評価、合同の事業評価をかけなきゃいけないのかというところが見えてまいりませんので、その辺りを教えていただければと思います。

○田中理事 政策評価の対象となる事業ユニットにつきましては、各施策の成果や進捗状況等を踏まえまして、さらに踏み込んだ見直しが必要と考えられるものや、関係する計画が改定時期にあるものなどにつきまして、財務局と事業所管局との間で見直しの必要性などの課題認識を共有しながら評価対象として設定しているものでございます。
 今後とも、事業所管局と連携しながら事業ユニットの選定を行うとともに、政策評価及び事業評価の実施等を通じまして評価制度の実効性が高まるよう取り組んでまいります。

○宮瀬委員 九ユニット、大変、見える化ボードを見て、私もすごいなと思ったんですけれども、本当に今、国際会議ですね、MICEの会議、開催件数とかもあるんです。私としては、もちろんこういった事業も大事ですけれども、コロナ禍で自殺が増えているとか、虐待が増えているとか、そういった優先順位も当然あるのかなと思う中で、事業部との協議だからといったことがご答弁だと思います。
 ただ、やはりここは財務局が、都政の優先課題が今何なのかと、本当にMICEの、今、観光客が来ない中での会議の開催件数でいいのかと、そこはしっかりやっていただきたいと思っています。しかも、今回、五千五百事業の中で九ユニット、九十七事業ですから、電卓使いますと全体の僅か五%にすぎません。せっかく鳴り物入りで始まった事業評価の、この連結した事業評価が全体の五%といったことでは、やっぱり大きな目で見ればよくないと思っております。
 残りの九五%、どうするんですか。

○田中理事 繰り返しになりますが、事業ユニットの選定に当たりましては、事業所管局とも連携し、各施策の進捗状況等を踏まえ、さらに踏み込んだ見直しが必要と考えられるものや関連する計画が改定時期にあるものなどを評価対象としてございます。
 令和五年度予算編成におきましては、このような考え方に基づきまして、都市、まちのスマート化や帰宅困難者対策など都政の各施策分野から社会経済情勢の変化など節目を迎えている十一の事業ユニットを選定しているところでございます。
 今後とも、このような考え方や外部有識者からの意見も踏まえ、毎年度の予算編成において対象となる事業ユニットを適切に選定してまいります。

○宮瀬委員 十一ユニット、来年はやっていくということなんですけれども、このペースでいくと二十年かかってしまうわけであります。
 では、それは今、移行期間だといったことがあるのかなと思いまして、事業評価を今までやってきましたので確認させていただきました。
 これは、皆さんの方で見える化ボードの中で拝見させていただいているんですけれども、一つ読み上げますと、事業名が、ネット・ケータイヘルプデスクの運営、活用とありまして、概要が、スマートフォンの利用に伴うトラブルを相談できる総合窓口を運営、取組内容は広報充実と書いてあって、あと予算と実績が書いてあります。これが事業評価として載っています。
 要は何がいいたいかというと、数字が一個もなくて、私は、皆さんがやっていたときの昔の事業評価よりも大分退化してしまっていると感じています。これが残りの九五%、こういった状況で続いていて、事業部も、このホームページに載っている事後検証による評価のところで、こちらもやっている内容とテーマしか書いていないです。数字が一個もない。
 今、各局でどういうことが行われているかというと、例えば、名前を出して恐縮ですが、旧青治の方で、自転車用ヘルメットの普及促進事業というのがありまして、当然、私は、KPIは、ヘルメットをかぶっている人の数がどれだけ増えるかといったことがKPI指標になると思うんですけれども、各局は、ここでリーフレットを作ることが目標になっているんです。
 ほかも、振り込め詐欺も、本来、ARは、目標数値は、振り込み詐欺に遭った被害者の方を減らしていくことが政策目標になくてはならないと思うんですけれども、各局はどうやるかというと、詐欺に遭わないための講習会をやる数をKPIに乗っけてくるんです、八十何回講演会やりますと。そういうことを許してしまうと、本当に都民のための都政なのかと、仕事をやっているように見えている行政マンのための都民というあらぬ誤解を招いてしまうのではないかなと。
 そこでしっかりと事業評価を、九五%のところを見直していかなきゃいけないと思うんですけれども、どうしてこういった状況が起きているのか、見解を伺います。

○田中理事 事業評価の実施に当たりましては、数値目標以外にも事業実施に伴う成果や決算状況の検証を徹底し、必要性や有益性のほか、執行体制や将来の影響などにも十分留意した上で適切に評価しております。
 一方、予算編成に当たりましては、各事業の成果や課題等を可能な限り定量的に把握することは各局と議論を進める上で重要であると考えておりますので、各局に対しましては、具体的な目標設定を促すなど、評価制度の実効性が高まるよう、今後とも取り組んでまいりたいと考えてございます。

○宮瀬委員 ご自身が今おっしゃったように、具体的な目標設定を促すなどというご表現を用いたということは、具体的な目標設定がないといった事業が多々あることの裏返しなのではないでしょうか。今、適切に評価しているといったその評価の足跡が、今いった、やっていることしか書いてないんですよ。どうしてこれが適切に評価していると、どこを見ればこれが適切に評価していると判断できるのか、論理的に数値をもってご説明いただきたいです。やっているとおっしゃっているのであれば。
 ここはあえて答弁求めませんけど、皆さんがいっている答弁と、今行われている都民にオープンになっている現物とに乖離があるわけであります。ぜひそこの乖離は埋めていただきたいと思います。
 そして、今後、財務局の方では、経済成長することが前提で長期推計を組んでいるとお伺いしていますけれども、私は、これから人口が今後減っていくわけでありますので、日本の人口も二割ぐらい減っていくのではないかと、そういった中で東京も影響が避けられない。その中で、これからは何に予算をつけるか、満遍なくいろんなことをやるといったことから、何を削るのかの議論がまさに行われていかなければ財政がもたないと思っております。
 ただいまの財務局の、今行っているその予算要望、要求等ありますけれども、どのような観点で要望を削っているのかお伺いいたします。

○田中理事 都は、毎年度、副知事依命通達として発出している予算の見積方針を出しておりますけれども、その中で、各局が見積りに当たって留意すべき点を明らかにしております。
 令和五年度予算の見積りに当たりましては、都政の諸課題の解決に取り組むとともに、長期的な視点に立ち、従来の発想を打ち破る大胆な施策を積極的に展開するということを掲げる一方で、無駄をなくす取組を徹底し、活力ある都政を可能とする強靱な財政基盤を堅持することを目指しております。
 財務局の調整におきましては、依命通達等の趣旨を十分に踏まえながら、過去の決算状況や執行状況、事業効果などの事後検証を徹底して、必要性や実効性を精査するほか、後年度の財政負担や他自治体における類似事業との比較分析、アウトソーシングの適切な活用、都と区市町村との役割分担など、様々な角度から検証し、予算を適切に計上しております。
 引き続き、ワイズスペンディング等の視点に立ち、各局と議論の上、調整を行ってまいります。

○宮瀬委員 そこで、やはり事後検証を徹底しているんですというところですけれども、例えば、地中熱のポテンシャルマップ等を活用した地中熱の普及啓発を実施するという事業があるんですけれども、これも実績を踏まえて事業執行に係る経費の規模を見直し、必要な経費を計上していますという検証になっています。こういったことが行われている中で、事後検証を徹底して削っているんですといわれても分かりにくいので、また、ここは改めて教えていただければと思います。
 一方で、令和三年度の最終補正における減額補正額というのが出ました。都民の皆さんがコロナ等で大変苦しんでいる中で、実際に予算執行率が低かった、もしくはお金が余ったといったところで、減額補正、三月に毎年かけていますが、それが幾らで、また、令和三年度の不用額、実際にこの予算要りませんでしたといった不用額の総額を教えていただきたいと思います。
 それが全体の何%か、この不用額と減額補正の金額がどれぐらいなのか教えてください。また、そういったものは、やはり当然査定の段階で削っておくべきものも多々あったと思います。考え方をお願いいたします。

○田中理事 令和三年度最終補正予算におきましては、予算の執行状況の精査など行い、感染拡大防止協力金などにつきまして約一・二兆円の減額を行っております。
 その結果、令和三年度の一般会計歳出決算では、予算現額十一・一兆円に対し不用額は一・二兆円となり、その割合は一一・〇%となってございます。
 不用額について、最初から査定で抜くべきではないかというお話でございましたが、都政が直面する課題は多岐にわたりまして、展開する事業も広範囲にわたることから、事業によっては、予算編成時点での想定どおりには進まず、結果として不用額が生じるものもございます。
 また、競争入札において予定額を下回る金額で契約をした結果生じた契約差金ですとか、あと、予算の執行段階においても創意工夫を各局にお願いしていますので、その創意工夫による効率化や経費縮減などでも不用額が生じるということでございます。
 このように、不用額は、各事業を執行していく上で、個々の事業に応じて様々な要因により生じるものでありますことから、今後とも、一つ一つの事業について、その課題、成果、決算状況などを厳しく検証し、不断の見直しを推し進めながら効率的で無駄のない予算を編成してまいります。

○宮瀬委員 大事な数字なので改めて私の方から申し上げますと、最終補正で、予算の三月の最終補正、金額が一・二兆円、不用額が一・二兆円であります。合わせて二・四兆円と。
 私は、もちろんいろんな状況があることも一覧表をもらっていますが分かります。
 ただ、当初予算の中で、このコロナ禍で外国人が来ない中で、本当に外国人観光客誘致事業を行う必要があったのかと。そこにお金と人を張りつけて、事業部の方に聞くと、やることないですといっていましたよ。そういったところに予算をつけて、最後、補正で戻す。もちろん二・四兆円全てがおかしなものというつもりはありません。当然、コロナ対策で感染対策費用をちょっと上乗せして計上しておかなければいけない事態もあったと思います。
 でも、二・四兆円という金額はすさまじい金額でありまして、ちょっと今の円安のレートで調べると、二・四兆円というと主要百九十六か国中、三十四番目の財政規模になるとのことであります。これだけの金額が、正しく、もしくは都民のために、結果として都民のために使われていないのは事実でありますから、こういったお金の見積り方が大変甘いのではないかなと私は思っております。
 その一方で、都民が今、コロナ禍で大変つらい思いをし、原油高、物価高、また、高い税に苦しんでいると。二・四兆円、都民のために使えなかったお金がある一方で、困っている都民の方はたくさんいるわけであります。こういった状況に対して見解を伺います。

○田中理事 ウクライナ情勢の長期化や歴史的な円安の進行などに伴いまして、消費者物価や企業物価の上昇が続き、記録的な水準に達しておりまして、都民生活や企業の経営活動に深刻な影響を与えているものと認識してございます。
 こうした危機から都民や事業者を守り抜くため、さきの九月補正予算では、物価高騰等の対策として三百七十億円を計上し、当初予算などを含め総額で三千四百八億円の対策を講じており、現在、第四回定例会においても補正予算の編成を行うべく、知事から指示を受けているところでございます。
 引き続き、様々な状況の変化を見極めながら、都民、事業者を支えるための施策を各局が積極的かつ機動的に実施できるよう財政面から下支えしてまいります。

○宮瀬委員 大変深刻な影響を受けていると認識されているといったご答弁であるんですけれども、皆さん、だからこそお金を使って、そういう人たちのために、都民、事業者を支えていくんだということですが、そうなりますと、その皆さん、支援を受けられない事業者もあるわけであります。例えば、支援を受けることができない都民の皆さんも一部いるかもしれません。そういった状況の中で、深刻だと皆さんはおっしゃいますけれども、だから、お金をより使うんだ。でも、全ての都民の皆さんが、物価高ですから大変な思いをしていると。そこでいろいろ不公平感の声も聞いています。だからこそ、先ほど川松理事もおっしゃっていましたが、減税という考えが大切なのではないでしょうか。
 我が党は、消費税の時限的な五%減税を訴えておりますが、先ほどの質疑も聞かせていただいて、東京都の財政力あるじゃないですか、一度もらったら後はもう都民のために自分たちで裁量して配ればいいんだと。ではなくて、減税を考えていかなければならない時期だと私も思っております。
 過去、明治の時代には、福沢諭吉が、行政の無駄をなくし、その削減した額を積み立てて運用すれば二十年後には利子収入だけで歳出予算を賄うことができる、無税にできると時事新報で述べていますし、パナソニックを創立した松下幸之助翁も、政治や行政が在り方を根本的に改め、余剰金を積み立てていく無税国家論を述べられました。また、昨今では、以前の杉並区長が減税自治体を構想に上げるなど、この事業は半ばで国政の方に転出されましたが、減税自治体、減税国家の考えが明治のときからあるわけであります。歴史をひもとけば、税をかける、税に取られる、その行政と庶民との闘いであるわけであります。
 そこで、改めて、都の減税に対する見解をお伺いいたします。

○田中理事 福沢諭吉ですとか松下幸之助の無税国家論、また、杉並区における減税自治体構想に関する議論があったことについては承知してございます。
 一方、我々といたしましては、やはり国際機関による世界の経済成長率の見通しが下方修正されるなど、今後の不透明性が増している中にありまして、山積する諸課題の解決に向けて都の役割は重要だと考えてございます。
 都に課せられた使命を確実に果たすため、引き続き、持続可能な財政運営に努めていかなければならないと認識しているところでございます。

○宮瀬委員 結構大きな話をしていますので、なかなかすぐにとは私も思っておりません。
 ただ、先ほどの質疑で、不用額、減税補正額が二・四兆円出ていて、それを、余ったものを単に貯金に当たる財政調整基金として繰り入れる、そういったことだけではなくて、知恵を絞って、その一部を新たに目的を持った減税基金、そういったものの創設や減税への取組を、私は新たにつくっていくべきだと考えています。見解を求めます。

○田中理事 杉並区で減税基金があったことは承知してございますが、平成二十二年から二十四年までの間、設置していたものと認識してございます。
 東京都におきましては、現時点で減税基金を設置する検討は行ってございません。

○宮瀬委員 これは長い時間をかけて取り組む問題だと思っていますし、財政力のある東京都が先を見越して、今だけ、自分だけという考え方から、未来のこと、一時的なものでなく、しっかりと基金をためてそれを運用していく、低金利の時代ではありますけれども、運用の仕方によっては今一%の金利がつく商品も、元本割れをしないでできる商品も出ています。
 私がいいたいのは、今、大変な状況の中で、今どうしたら少しでも税金を、都民の皆さんからいただく税金を賢くうまくお戻しできるか、それはいろんなやり方があると思います。二千億抜いてそのまま時限的にやる方法もあれば、基金という形で積み立てて、プールして、それを運用していくという考え方もあると思います。
 大切なのは、皆さんの大前提として、自分たちのお金を使ってやっている事業が効率よく都民のために役立っているんだと、それが大前提だと思いますが、事業評価の時点で、先ほどのヘルメットの話、詐欺被害に遭った人の話、いろんな事業部が自分たちにとってやりやすいような目標設定を定めていたら都民の役には立ちませんので、ぜひ長期推計、事業評価、そして、財政をどう運用していくのか、減税という考え方もぜひ今後取り入れていただくようお願いしたいと思います。
 財政推計のときも、また、事業評価の連結の話も、最初は全くなしのつぶてのご答弁だったことを私は覚えています。でも、何年かかけてこの件はずっとやりたいと思っていることでありますので、今後ともご指導よろしくお願いいたします。
 以上です。

○かまた委員 それでは、最後に、私からは、第三次主要施設十か年維持更新計画について質問をいたします。
 現在、都有施設は約三千九百施設あるとのことですが、これらの施設は、東京都の財政運営を支える施設であり、都民が様々な行政サービスを受けることができる身近な施設でもあります。また、災害発生時には防災拠点としての役割を果たすなど、都民の安全・安心を守る施設でもあります。これらの都有施設は、良質な社会ストックとして次世代に継承していくため、維持更新を計画的かつ着実に行っていく必要があります。
 都はこれまでに、主要施設十か年維持更新計画第一次、そして、第二次と計画を策定し、都民の貴重な財産である都有施設が長期にわたって活用されるよう、長寿命化を目指して施設の維持更新を進めてきたことと思いますが、今般、第三次の維持更新計画が策定をされました。
 そこで、第三次計画の初年度となります令和四年度の進捗状況についてお伺いをいたします。

○小野寺施設整備担当部長 計画の初年度となります令和四年度の事業進捗といたしましては、第二次計画から継続いたします七十五施設に加えまして、新規に着手する小平合同庁舎など十施設を対象に約五百億円が予算化されたところでございます。
 また、新規着手の十施設につきましては、今年度、九施設が既に事業着手をしたところでございます。

○かまた委員 第一次から第二次、そして、第三次へと切れ目なく着実に進捗をしていることは分かりました。
 しかしながら、これまで地域の方から、例えば、学校の体育館だけ直しても校舎がきれいにならなければ学校全体の変化はないとか、何で部分的な改修ばかりするのかなどの声を伺っており、こうした施設では、建築年数が異なる施設が混在することが課題となっているとのことです。
 また、都有施設の維持更新に当たりましては、都政の重要課題でもある施設の環境負荷軽減にも的確に対応すべきと考えますが、こうした課題について、第三次維持更新計画ではどのような対応をしていくのかお伺いをいたします。

○小野寺施設整備担当部長 建築後の年数が異なる建物が混在する施設につきましては、建築後の年数が浅い、いわゆる築浅な建物が残りますため、搬入経路が確保できず施工計画が立てられないなどによりまして、施設の維持更新が進まない事例などがございました。
 このため、第三次計画におきましては、建物の長寿命化を図ることを基本としつつも、築浅な建物が存続することで施設全体の建物配置計画などに支障を来す場合には、築浅な建物を含めて改築の可否を判断するよう位置づけております。
 また、環境負荷の一層の低減につきましては、二〇三〇年カーボンハーフの実現のため、都有施設の改修、改築に当たり省エネ・再エネ東京仕様を適用しまして、省エネルギー化と再生可能エネルギー利用を推進してまいります。
 さらに、施設のZEB化を図るとともに、屋上への太陽光パネルの設置のほか、駐車場等へのソーラーカーポートの設置にも取り組んでまいります。
 都有施設の維持更新に当たりましては、様々な観点から、技術的な専門知識や知見を踏まえて検討していくことが必要でございまして、施設所管局が維持更新の事業計画を策定する際には、財務局が、計画を確実かつ効果的に実施できるよう支援していくとともに、課題に対応した設計、着実な工事の執行に取り組んでまいります。

○かまた委員 第三次の維持更新計画では、長寿命化はもとより建築年数が異なる建物が混在する施設でも更新計画に位置づけをしてくださったという方針です。また、環境負荷低減にもしっかり対応していくという計画になっておりまして、都有建築物の課題に対応した効果的な取組であり、この課題と向き合うという局の姿勢を高く評価いたします。
 課題への取組を生かして作成したこの計画が、都民の財産である都有施設の維持更新に成果を出していくものとなるよう、財務局におきましては、施設所管局としっかりと連携を取りながら、また、支援をし、計画に沿った着実な対応をお願いいたします。
 また、都が抱える課題をどう捉えるか、この課題の認識の仕方は、人によって、また立場によって異なるのだと私は考えております。だからこそ、財務局の皆様とは、この課題をどう捉えるのかということをこれからも一緒に議論しながら都民のための施策を展開していきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 私からの質問は以上です。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○ほっち委員長 これより会計管理局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 私からは、契約、支出関連事務のデジタル化についてお伺いいたします。
 契約、支出関連事務のデジタル化は、都政の構造改革のコアプロジェクト、都政スピードアッププロジェクトの一つとなっており、これまで対面で行ってきた事務をデジタル化することで、手続のための来庁や出勤が不要となるなど業務を効率化する重要な取組であります。そのメリットは都民や事業者、そして都の職員に広く及ぶものであり、その実現を期待しているところでありますが、昨年度の財政委員会では、我が会派の吉住議員がその進捗状況などについて質疑を行っており、私からも、進捗などに関して確認をさせていただきます。
 契約、支出関連事務のデジタル化に関して、これまでの取組と今後の予定についてお伺いいたします。

○井村会計企画担当部長 契約、支出関連事務のデジタル化は、起案から契約、支出に至る手続を一連でデジタル化するもので、文書や契約、会計事務の制度所管局等で連携して取組を進めているところであります。
 前年度については、システムの全体像や実現に向けました課題解決の方向性などを内容とした基本計画を令和三年八月に策定し、その後、基本計画に基づき、新規システムの構築やシステム間の連携など、それに向けた要件定義を令和四年三月に完了しております。
 今年度については、本年六月にデジタル化に向けた新システムの開発事業者を決定し、現在、新システムの設計、開発を進めているところであります。
 令和六年度を目途に、事業者と都の間でデジタルベースでの書類のやり取りを開始、続いて、令和八年度を目途に、内部事務を含めた一連の業務プロセスについてデータ連携をする予定でございます。

○土屋委員 当初予定どおり、令和八年度からの実施に向け、システムの要件定義など着実に進んでいることが確認できました。将来システムの不具合などが発生することがないよう、システムの設計開発を確実に進めていただきたいと思います。
 また、この取組は、関係局と密接に連携して推進することが重要でありますが、会計事務を所管する局として、デジタル化に向けて会計管理局が主導して取り組むべき課題もあるかと考えます。
 そこで、会計管理局として、デジタル化に向けて引き続きどのように取り組んでいくのか伺います。

○井村会計企画担当部長 会計管理局では、局内の関係部署で構成いたしますプロジェクトチームを設置し、事業者、職員、双方にとって使いやすいユーザー目線でのシステム構築と事務の効率化につなげるため、会計事務について業務の見直し、いわゆるBPRなどに積極的に取り組んでまいりました。
 前年度については、そのBPRの結果である審査事務のデジタル化やシステムへの入力項目の自動照合などについて、システムの基本計画や要件定義に適切に反映させております。
 今後については、会計事務を所管する立場から、要件定義の結果をシステムの設計開発に着実に反映させるとともに、システムの運用開始に向けた事務フローと規程の整備を行ってまいります。
 また、財務会計システムと関係システムのデータ連携に伴う影響調査やBPRの検討を引き続き進めてまいります。

○土屋委員 引き続き、会計事務を所管する立場として、必要な取組をしっかりと行っていただきますようお願いいたします。
 コロナ禍を契機として、テレワークや在宅勤務のための環境整備が進んできています。このデジタル化による都民や事業者への質の高い行政サービスの提供を期待して、私の質問を終わります。

○もり委員 会計管理局は、都財政において適切な会計事務の確保、リスク管理を徹底した公金管理の実施、新公会計制度の推進という大きな三点を重点事項として取り組んでいただいております。
 今般の新型コロナウイルス感染症拡大への対応やウクライナ危機といった国際情勢の影響により、不透明な社会経済動向や金融情勢に対して、公金管理はとても重要だと考えます。
 そこで、公金管理について質問させていただきます。
 都が発表している令和四年度公金管理計画によると、今年度の都の公金の平均残高見込みは、歳計現金や基金などを合わせて全体で五兆円に迫る額の公金を管理しています。この極めて多額の公金は、都民が納付した税金など一時的にお預かりしている資金が積み重なったものであり、それがどのように管理されているか確認していくことはとても重要です。
 公金の管理に当たって、都は、安全性の確保、流動性の確保、効率性の確保の三つの原則を挙げています。
 そこで、まず初めに、安全性、流動性、効率性の確保、それぞれの具体的な内容についてお伺いをいたします。

○有金管理部長 まず、安全性の確保についてでございますが、こちらは最も重視をしているものでございます。健全性に優れた金融機関への預金や信用力の高い債券で保管、運用することなどにより、資金元本の毀損を避けることでございます。
 具体的には、金融機関や債券発行体について財務分析や格付等による評価を行い、一定水準を満たすと判断したものを預金や債券購入の対象としております。
 次に、流動性の確保、こちらは、支払いや想定外の資金ニーズに備え、必要となる資金をあらかじめ準備することでございます。
 具体的には、常に適正な支払準備金を確保しておくことであり、関係各局と緊密に連携し、収支見込みを精緻に把握するなどして歳入、歳出管理を徹底しております。
 最後に、効率性の確保、こちらについては、安全性及び流動性を確保した上で運用収入の最大化を図ることでございます。
 具体的には、金額や期間など様々な条件で変動する預金等の利率などについてきめ細かに把握しつつ、日々最適な運用商品等を選択している、こういうことでございます。

○もり委員 ありがとうございます。都の公金管理における三つの原則について、内容とそれらの優先順位について確認をさせていただきました。
 昨今の円安ドル高を受けて、つい、都ほどの巨額な金額をドル建てで有していたら、物すごい額での利益が出ていたのではと、思いもよぎりますが、都の基金や公金でドル建てのものや株での運用があるか確認をしたところ、ドル建てでの運用は行っていないとのことでした。
 また、かつて小池都知事以前には、株での運用の議論も上がったとのことですが、基本的に安全性を第一として、万全に債権者にお支払いするよう、利回りが第一ではないが、安全性、流動性、効率性の中で安全性を最も重視しているとの旨のご答弁をいただきました。
 近年は、特にマーケットの動きも激しく、この三つの原則を徹底していく難度も高まっているのではないかと感じます。そのため、継続的にこの三つの原則を達成していくためには、まず、組織面からの裏づけが重要であると考えます。
 そこで、都における公金管理はどのような体制で行われているのかお伺いをいたします。

○有金管理部長 都では、金融分野における最前線の知識や実践的なスキルを活用し公金の管理を行うため、特定任期付職員として金融機関経験者を任用しているとともに、キャリア活用制度で採用されました高度な知見や経験を有する職員を複数名配置し、日々の業務を行っております。
 また、金融分野の専門家等で構成されます東京都公金管理アドバイザリー会議を設置し、委員と定期的に意見交換を行うとともに、外部有識者である専門助言員からも、金融機関の経営分析に必要な情報や助言を得ております。
 都の公金管理は、このような体制により、継続的に最新の経済金融情勢の動向も踏まえた的確な判断を行いながら、安全性、流動性、効率性、それぞれの確保に向け万全を期しております。

○もり委員 ありがとうございます。東京都公金管理アドバイザリー会議を設置しているとともに、また、金融のプロの方が在籍をされているということで大変心強く感じました。都は、変化の大きい経済金融環境にあっても継続的に組織として適切な対応を行えるよう万全の体制を整えていることを確認させていただきました。
 しかしながら、発生以来二年半以上続いている新型コロナウイルス感染症拡大の影響、また、足元では、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす資源価格の高騰やサプライチェーンの不安定化による影響など、経済の先行きには懸念材料が山積しているといわざるを得ません。
 そこで、金融経済環境の行き先に不透明感が増す中、公金管理の今後の方向性についてどう考えているのかお伺いをいたします。

○有金管理部長 新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響が、今後の企業業績、ひいては国内の景気にどこまで影響を与えていくか見通すことはなかなか困難ではございます。
 こうした中、日本銀行は、先日発表いたしました金融システムレポートにおきまして、エネルギーや原材料価格の上昇などを、金融機関の貸出先企業に対する追加的なリスクとして試算をするなど、金融機関経営の先行きに対し警笛を鳴らしております。
 このような状況におきましては、これまで以上に顕在化するリスクの兆候を早期に把握することや、金融情勢等の突発的変化への適切な対応が重要となります。
 今後とも、金融機関等の健全性をより多角的視点から分析していくとともに、株価や債券スプレッド等、経済金融指標などの日常的な監視の充実などにも取り組みながら、安全性の確保を最重要視した管理に努めてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 繰り返しにはなりますが、これだけ膨大な公金について継続的に安全性を確保していくことは、都にとって極めて重要なミッションであると考えます。
 また、公金の管理、運用を行う先である金融機関の健全性も求められる中で、金融ダイベストメント、金融機関においても企業倫理が問われ、世界ではその流れが顕著ですが、日本では、都の指定金融機関でもあるみずほ銀行も含め日本の三大メガバンクが石炭産業への融資総額でいまだ世界のワーストスリーを占めていることが国際環境NGOからも指摘をされております。
 都は、ESG投資を推進しておりますが、東京都という巨大なインパクトを持つ行政が、金融機関を選ぶ上でもダイベストメントの視点を持つことで企業側の意識変革を促すのではないかと考えますので、併せて要望いたします。
 経済金融環境は、近年特に様々な要素が複合的に影響し合い複雑化していることから、予測困難な変化が生じることも十分想定されます。
 都は、今後とも、どのような環境変化があろうとも、万全な公金管理の実施に向け、引き続き緊張感を持って取り組んでいただくことをお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。

○かまた委員 それでは、私からは、新公会計制度についてお伺いをいたします。
 この新公会計制度は、先ほど、うすい理事の質問にもありましたように、限られた財源の中で都政の諸課題に的確に対応していくために効果的な制度であります。平成十八年の四月から導入をされました。
 この新公会計制度導入により、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取組への徹底につながっていることと思いますが、改めて、新公会計制度導入の成果についてお伺いをいたします。

○井村会計企画担当部長 複式簿記・発生主義会計に基づく新公会計制度の導入により、従来の官庁会計では見えにくい土地、建物などの資産や都債などの負債といったストック情報と減価償却費などのコスト情報が明らかになります。また、日々の会計処理の段階から一件ごとに仕訳情報を積み上げているため、迅速かつ正確に事業別や施設別など多様な財務諸表の作成が可能となります。
 このように、より精度の高い財務情報の把握や多様な財務諸表の作成が可能になったことにより、都民向けに分かりやすく説明した財務諸表概要版を作成して、アカウンタビリティーを充実させるとともに、予算編成の一環として実施している事業評価の中で活用するなど、マネジメントの強化にも資するものであります。

○かまた委員 都民の皆様からお預かりしている税金をどのように活用しているのかを分かりやすく伝えることができ、また、予算編成のマネジメントを強化することもできるこの本制度、他の自治体とも連携して情報共有をするとともに、さらなる制度の活用促進に積極的に取り組むことはとても重要であります。
 都は既に、平成二十三年十二月に、新公会計制度普及促進連絡会議を立ち上げ、制度の一層の普及推進に向けた取組を進めておりますけれども、新公会計制度の活用促進に向けた自治体間の連携の取組状況についてお伺いをいたします。

○井村会計企画担当部長 都では、全国初の本格的な財務諸表を作成した実績を踏まえ、広域的な自治体間連携に取り組んでおります。複式簿記・発生主義会計による新公会計制度導入の先行自治体と、都により設置しております新公会計制度普及促進連絡会議におきまして、財務諸表の運用や活用についての情報交換を実施しております。
 この連絡会議では、自治体間比較と事業別分析の二つの検討部会を設置し、新公会計制度のメリットを生かした比較分析手法を検討しており、各自治体の資産管理や予算編成への活用を目指し、建物の老朽化比率等の指標を用いて自治体間比較を行うといった取組を進めております。
 これらの比較分析手法の検討や連絡会議の活動内容については、参加自治体だけでなく、全国の自治体に対しまして、ホームページや動画を通して分かりやすく情報発信を行い、各自治体の行財政運営に生かされるよう取り組んでおります。

○かまた委員 新公会計制度普及促進連絡会議が工夫を凝らしながら広域的な連携について取組を進めていることが分かりましたけれども、ぜひ今後も、都が引き続き各自治体の実情に応じた支援、助言を行っていくことがとても重要であると私は考えます。
 そこで、都内自治体への今後のサポートについてお伺いをいたします。

○井村会計企画担当部長 都内自治体においては、制度導入後も地方公会計の運用に当たり実務的な課題を抱えていることを認識しています。
 都内自治体のコーディネート役として、財務書類の作成と活用をテーマに実務担当者間で情報交換を行う意見交換会を年二回開催しております。今年度は、第一回目を九月に開催し、三十七団体の参加があり好評を得ております。
 今後も、こうした場を活用し、固定資産台帳の更新、システム構築など財務諸表の作成及び活用に当たり、各自治体が抱える実務的な課題について、これまで培った決算実務のノウハウを生かし、積極的に助言を行ってまいります。
 都は、新公会計制度の先駆者として、引き続き、その責任を果たすべく、各自治体のニーズにきめ細かく対応してまいります。

○かまた委員 都内の自治体が抱えます課題を基に、都のノウハウを生かしてサポートしていただいていることが分かりましたが、ご答弁にもありましたとおり、都は、新公会計制度の先駆者として、各自治体のニーズに応じたサポートを今後とも進めていただくことを要望しまして、私からの質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。

○宮瀬委員 私からは、公金管理について、まず伺いたいと思います。
 先ほど財務局との質疑の中で、三月の減額補正の金額と不用額の金額が二・四兆円出ていると。それをそのまま戻すのではなくて、その一部を減税基金みたいなその名目で、基金の設立ができるのは財務だと、基本的には財務だと聞いていますが、その中で運用をやられるのは皆さんだと、通常、基金の中の運用は皆さんだと聞いております。
 その中で、どういった形で運用が、実績があるのかまずお伺いしたいと思います。
 最近、低金利ですので、昨年度と五年前と十年前の公金管理の運用実績について伺います。

○有金管理部長 公金管理の運用実績でございますけれども、昨年度、令和三年度につきましては、公金全体の平均残高、こちらは五兆八千三百二十八億円、運用収入が十八億五千二百七十七万円、利回りが〇・〇三二%となっております。
 続きまして、五年前、平成二十九年度につきましては、平均残高が五兆四千五百十二億円、運用収入が二十三億六千七百四十二万円、利回りが〇・〇四三%となっております。
 十年前、平成二十四年度につきましては、平均残高が三兆八千九百五十億円、運用収入が七十一億四千八百万円、利回りが〇・一八四%となっております。

○宮瀬委員 やはり結構衝撃的な数字でして、私も民間企業の方で財務にいて運用をやらせていただいていまして、皆さんと違って株式もやっていましたし、いろんな債券もやっていたんですけれども、三千億ぐらいの会社で、大体、年間の営業外利益が二十億ぐらいだったですので、六兆円近く運用して、それよりも低いといったことは、私も相当厳しい状況なんだろうなと思っています。
 そこで、令和三年度の公金管理における運用状況ですとか、どのような工夫をされて十八億という金額になってしまったのか教えていただければと思います。

○有金管理部長 令和三年度の運用状況といたしましては、期中の平均残高、こちらは預金で四兆七千五百三十四億円で、債券が九千九百八十一億円となっております。預金のうち定期性預金が三兆八千二百十四億円という金額になっておりまして、債券では、地方債が三千八百四十一億円、財投機関債が三千八百八十四億円となっております。
 運用収入を高めるため、預金につきましては、金額や預け入れ期間を工夫するなどきめ細やかな対応に努め、なるべく利回りの有利な金融機関での預金を設定し、効率性を確保しております。
 また、債券に関しましては、期間十年以下の国債の利回りがゼロ%近辺で推移をしていたため、国債とほぼ同等の安全性を保ちながら比較的利回りが見込める地方債や財投機関債等での運用を行うことで収益を確保いたしました。

○宮瀬委員 いろいろご提案されて、その中で購入されてといったことだと思うんですけれども、私は、今のお話を聞いて、十年以上の国債を、債券というか国債をお持ちでないということを情報いただいています。
 改めて、現在の十年の国債と二十年の国債の金利について伺います。

○有金管理部長 財務省によりますと、直近の令和四年十月五日が発行日となります十年利付国債の表面利率は年〇・二%となっております。同じく、令和四年十月十九日が発行日となります二十年利付国債の表面利率、こちらは年一・一%となっております。

○宮瀬委員 そこで、ご提案なんですけれども、約六兆円の運用額があって、十年の国債ですと利率が〇・二%、これは元本割れするリスクはありませんので。一方で、二十年の国債ですと金利が一・一、単純に計算できませんけれども、例えば、六兆円を二十年で運用すると六百億と。途中いろんな入りが必要だったり、いろんな状況があると思いますけれども、これだけ金利が五倍も違うのであれば、民間ではやっていましたけれども、いろんなポートフォリオを組んで、十年もの、二十年もの、当然元本割れリスクがない形で、二十年だから駄目だではなくて、東京都の財政、ほかの自治体と違って安定しているといわれておりますし、不用金額も相当の金額が上がっていますから、こういった長期の金利を回すこと、商品を買うことによって十八億という運用収入が大きく改善される可能性があるのではないかなと思います。
 ただ、大切だと思いますのは、こういった状況の中でもしっかりと実績を上げている自治体があると聞いております。ほかの自治体の取組の事例を研究して、本当に今の運用でいいのかどうか比べてみる必要があると思いますが、見解を伺います。

○有金管理部長 公金管理におきましては、安全性を最重要視し、流動性を十分に確保した上で柔軟かつ効率的な保管、運用を目指しております。
 運用に当たりましては、金融分野の専門家等で構成されます東京都公金管理アドバイザリー会議の委員の意見を聞きながら策定をいたします公金管理計画上のポートフォリオ配分に基づき、その時々の金利状況等に応じて適切な運用商品や運用期間を選択しております。
 各自治体の取組につきましては、財政状況や基金等の残高、また、その構成、運用のスタイル、これが大きく異なるとともに、入手可能な情報も限られていることが想定をされます。
 今後とも、公金のより効率的な運用を図る中で、必要に応じて情報収集や分析、こちらには努めていきたいと思っております。

○宮瀬委員 いろんな自治体の情報、限られた状況の中でありますが、情報収集に努めていくといったご答弁です。ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。
 次のテーマでございます。
 私は、小池百合子都知事が就任されて本当にいい改革だなと思った改革の一つが、都の支払い先を全部公開しますと。正確には支払い先情報ですね。これは、東京都がお金を払っている情報を全て公開するわけでありますから、二〇一七年より年間七十万件、件名、金額方をホームページで公開していると。これにより支出の全貌が明らかになって、東京都が、何に、どこに、いつ、お金を払っているのかなということが、皆さんに聞かなくても分かるようになると。それが、例えば、本当にここの業者でいいのかとか、この金額で適正なのか、そういった検証が議員の立場からも十分にできる本当にすばらしい取組だと思っていました。
 しかし、確認していくと、支払い先情報を公開するとしているんですが、肝腎の支払い先が公開されていない、つまり誰にお金を払ったのかの誰にが最も大切な部分の一つだと思うんですけれども、公開されないといったことです。つまり、私も、ほかの局でありますが、例えば、東京都が一年間に最もお金を払っている企業はどこですか、お金を払っている自治体もしくは団体はどこですか、そういったことを聞いても、それを答えられる人というのはいないんです。これは確認いたしましたので。だから、東京都が支払い先トップ百、トップ二十で聞きたいといっても誰も分からない、内部の人が分からないわけでありまして、そういった部署もないのかもしれないんですけれども、それでは、やはり今の東京都の方から、都民からいただいている税金が本当に正しく使われたかどうかの検証はできないと。
 そこで、平成三十年第四回定例会の本会議におきまして、私の方でこの指摘をしました。個人情報の一部、ほかの自治体では、個人情報を除き全ての支払い先を公開しているところもありますからと。答弁が、概要のご説明があって、ご指摘の支払い先の公開については、年間七十万件に及ぶ支出が、個人情報などは非開示情報に該当するか否かを職員の手で一件一件チェックする必要があること、その上でも個人情報が誤って公開されてしまうリスクがあること、さらには、システム改修に時間とコストがかかるなど、様々な課題があります。よく分かります。今後は、これらの課題につきまして一つ一つ洗い出し、検討を進めてまいりますという私にとっては大変前向きなご答弁を四年前にいただいておりました。
 それから四年間たっているんですけれども、実際に四年たちましたが、結果、現在、支払い先名は公開されているんでしょうか。

○井村会計企画担当部長 都民に積極的に情報公開する場合も、非開示情報が誤って公開され、都民生活や事業活動に悪影響を与えないようにすることは非常に重要なことだと考えております。
 そのため、個人情報の非開示情報も含まれる可能性があるこういう支払い先情報については、各局と連携しながら公開の可否を慎重に検討してまいりました。
 検討の結果、非開示情報に該当するか否かは一律の基準で処理できず、個々の案件ごと、所管部署で慎重な確認を行い厳格に判断する必要があること、膨大な件数を処理する中で非開示情報が誤って公開されると都民の生活や事業活動に悪影響を与えるリスクがあることなど、課題が今のところまだ多いという認識に至っております。
 このため、支払い先を公金支出情報として一律に公開することについては、現時点では妥当でないと判断しております。

○宮瀬委員 公開できない理由が、先ほど私、皆さんのいただいている答弁を読み上げましたが、状況が大体同じ、状況が四年前と同じなわけであります。私はもちろん、いきなり全支払い先名をばんと出すのでなくても、合意が取れたり、個人情報は抜いたり、法人名、法人の方を先に優先するとか、段階的にでも公開していくべきだと私はそれでも思っています。今、結果として公開されていないわけでありますが、公開されていない理由が、前回いただいたご答弁の内容と同じなわけであります。これは別に、去年とかの話ではなくて、四年間あって、課題の認識のところのご答弁が同じになっていますと、四年間、あとどれぐらいかかってしまうのかなと思うわけでありますけれども、実際に、今このホームページ、どれぐらいの方が見られているんでしょうか。

○井村会計企画担当部長 直近の令和三年度実績でありますが、約十一万件のアクセスがございました。

○宮瀬委員 ユニークユーザーにすれば、どれぐらいかというのは、通告していないので、これは多分出てこないと思いますけれども、やっぱり期待値も多いと思うんです。また、企業名もしくは支払い先名が公開されていれば、もっとアクセスが伸びていると思っています。
 私、昨今の報道を見たときに本当に惜しいなという思いがあったのが、例えば、五輪の不正が今取り沙汰されておりますが、逮捕された元電通専務の高橋容疑者に対して都の公金が支払われていた実績があるのかとか、また、そのコンサルティング会社であるコモンズに支払いが、都が支払っていた実績があるのか。また、統一教会関連の団体へ都の支出があるのか。もしこの七十万件の情報の支払い先名が公開されていれば、私は、もっと大きな価値を持つ取組になっていたと思っております。そういったことを踏まえて、四年たっているわけじゃないですか、検討すると。これから先どうなるかは分からないです。
 もう支払い先名は公開しないんですか、それとも、今後時間をかければ公開するんですか、そこを教えてください。

○井村会計企画担当部長 現行のシステムにおきましては、支払い先については、非開示情報を含む可能性があるため公金支出情報として一律の公表は行っていませんが、現在でも、開示請求があった場合には、所管局で公開の可否を適切に判断し、非開示情報に該当しない支払い先については公開されることになっております。

○宮瀬委員 今は情報開示請求の話ではなくて、今、七十万件公開している支払い先情報の肝腎な支払い先名がないわけですよ。そのことを一つ一つ課題を洗い出して検討を進めていくと、四年前に答弁がありました。
 もうこの支払い先名は、四年たっていますからもう公開できないのか、はたまた今後ちゃんと公開していただけるのか、それを端的にお伺いしたわけであります。情報公開請求、個別の話ではないです。答弁求めます。

○井村会計企画担当部長 現在のところ、支出先情報の公開については非常に課題が多いということで公開できないということでございますけれども、今現在、契約、支出関連事務のデジタル化に最優先に取り組んでおります。これが平成八年度までかかるのですけれども、それの確立をもって改めて検討ができるかどうかということになるかと思います。

○宮瀬委員 今ご答弁で平成八年度とおっしゃっていますが、令和八年度ですよね(井村会計企画担当部長「令和八年度です」と呼ぶ)ですので、あと四年ぐらいかかるシステム改修のときに、また何とか頑張っていただけるようなご答弁でありましたので、ぜひ、私たち、特に私なんかは、答弁、本当に検討を進めてまいりますという答弁、本当に四年間大事にしてきまして、四年たってその課題となっている理由が同じだと。皆さんサボっていたわけではないと思いますが、ここからまたさらに四年待って支払い先がまた公開されるかどうかの議論をしないといけないと。ぜひ、四年前にご答弁されたことというのは重いと思います。もちろん検討してきたのは事実だと思いますし、ぜひシステム改修に合わせて、その前段階でも構いませんから、段階的にでも構いません、これから四年間様々なことが、五輪の不正の問題、統一教会の問題、いろんな支払いから見れば、お金の流れから見れば、いろんなことが分かることがきっと多いと思いますので、ぜひ一日でも早くご検討いただき、実現するようお願いを申し上げます。
 以上で質問を終わります。

○玉川委員 私からは、災害時における支払い対応について伺います。
 今年五月に、都は、首都直下地震等による東京の被害想定を十年ぶりに更新し、改めて震災の被害が甚大であることが浮き彫りになったところであります。
 こうした大規模災害の発生時には、被災者に配布する食料や日用品などの支援物資、救助作業に要する燃料、医薬品などを調達するため多額の現金の支払いが必要になると見込まれます。このような災害時に必要となる経費を円滑に支払うことで各局の災害対応を支えることが、会計管理局の役割として何よりも重要であると考えます。
 通常、都における支払い時の処理は財務会計システムを使用しており、災害時においても支障がないように万全の防災対策を行っていると聞いておりますが、想定外の被害が発生し、財務会計システムが停止してしまうリスクも考慮しておかなければならないと思います。
 そこで、財務会計システムが停止してしまった場合、災害時に必要な経費を支出するため、どのように対応するのか伺います。

○有金管理部長 大規模な災害が発生した場合に、万が一財務会計システムが停止をしたとしても、災害対策に必要な支払い事務を継続できる体制を確保するため、災害時の会計事務処理マニュアルを定め、関係機関に周知をするとともに、これに基づく会計事務を実施することとしております。
 具体的には、財務会計システムや金融機関側のシステムがダウンした場合、公金の支払いに必要な書類を各局の職員が手作業で作成をして当局へ持込み、当局で確認をした上で、指定金融機関でありますみずほ銀行に支払いを指示することとしております。
 また、みずほ銀行との間では、災害時における緊急連絡体制を整備しているほか、災害時に必要な資金を確保できる体制を構築しております。
 こうした体制を確保するため、随時、マニュアルの見直しも行っております。

○玉川委員 仮に財務会計システムが停止したとしても、支払い事務が継続できる仕組みが整っているということが確認できましたが、事務処理マニュアルを整備したとしても、大規模な災害時において実際にマニュアルどおりに行動することができるのかどうかということが大きな課題であります。単に、マニュアルを整備しただけでは絵に描いた餅になってしまうことも懸念されます。そのため、職員が通常とは全く異なる手書きでの支払い事務を適切に行うためには、定期的に実務を確認しておくことが必要と考えます。
 そこで、災害時における支払い事務に関して平常時から行っている取組について伺います。

○有金管理部長 平常時におきましても、職員が災害時の支払いに対する事務を習得するため、定期的に訓練を行うことが必要と認識をしており、毎年、手作業による支払い事務の訓練を実施しております。
 具体的には、事務処理マニュアルに基づき、各局の経理担当者や防災担当者等に対して、災害時における支払いの例外的手続や、手書きの支出命令書の作成方法及び支出命令書を持ち込む際の留意点等を説明し、実際に手書きで支出命令書を作成する演習も行っております。
 また、会計管理局の職員に対しましても、手書きの支出命令書の審査や、みずほ銀行に支払いを指示する書類を手書きで作成する訓練、こちらも実施をしております。
 さらに、実務を担うみずほ銀行との非常時における連絡体制を確認するため、無線機を利用した非常時連絡訓練も実施をしております。
 今後も、災害時における支払い対応訓練を継続的に実施し、あらゆる局面において適切な会計事務が行えるよう万全の対応を図ってまいります。

○玉川委員 日頃から災害時を想定し、継続して支払いの訓練を実施しているということでありますが、非常に重要な取組であると考えます。
 災害時においても必要な経費を円滑に支払うことは迅速な災害対応に必要不可欠であり、会計管理局は、会計事務の側面から、都民の生命と財産を守る使命を負っております。今後も、災害時における支払いの重要性を認識し、取組を継続していただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○ほっち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ほっち委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十九分散会