財政委員会速記録第十一号

令和四年九月三十日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長山加 朱美君
副委員長森口つかさ君
副委員長池川 友一君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
理事伊藤しょうこう君
吉住はるお君
たかく則男君
米川大二郎君
五十嵐えり君
成清梨沙子君
長橋 桂一君
三宅 正彦君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱田中 慎一君
経理部長五十嵐 律君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長渡辺 正信君

本日の会議に付した事件
財務局関係
付託議案の審査
・第百七十三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、予算総則、歳入(質疑)
・第二百四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入(説明・質疑)
・第百九十号議案 東京都瑞江葬儀所(四)改築工事請負契約(質疑)
・第百九十一号議案 都営住宅四H−一二九東(足立区鹿浜五丁目)工事請負契約(質疑)
報告事項(質疑)
・「令和三年度東京都年次財務報告書」について

○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百九十号議案及び第百九十一号議案の契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、予算総則、歳入、第二百四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入、第百九十号議案及び第百九十一号議案を一括して議題といたします。
 本案のうち、追加提出されました第二百四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、予算総則、歳入について理事者の説明を求めます。

○田中理事 それでは、追加提案をいたしました令和四年度九月補正予算案(追加分)についてご説明申し上げます。
 資料第1号をご覧願います。
 まず、1の補正予算編成の考え方でございますが、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきまして、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の特別区に対する交付限度額が決定したことに伴い、所要の経費を計上するため、補正予算を追加提案するものでございます。
 2の財政規模でございますが、補正予算の規模は、一般会計で百七億円でございます。
 続きまして、補正予算の財源でございますが、国庫支出金が百七億円でございます。
 一ページおめくりいただき、二ページをお開きください。今回の補正事項でございます。
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(特別区分)でございますが、エネルギー、食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に応じ必要な事業を実施できるよう交付された臨時交付金のうち、特別区分を計上してございます。
 補正予算の内容は以上でございます。
 次ページ以降でございますが、こちらには補正予算案の議案を添付してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○五十嵐経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をご覧ください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
 それでは、一ページ目をお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況です。
 こちらは、各種基金の九月補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
 説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 それでは、補正予算について伺います。
 感染状況が改善傾向にある中、全数届出の見直しなど、コロナ対策も新たな段階に移行しつつあります。一方で、物価高の影響拡大や円安の進行、電力確保への懸念などにより、都民生活や事業者の経営は深刻な影響を受け続けています。
 このような中、都は、六月補正予算の約一・五倍となる総額六千百三十五億円の補正予算を編成しましたが、今回は、原油、物価高騰対策、脱炭素化の強化、コロナ対策、重要施策のスピードアップという四つの柱が示されています。このうち、原油、物価高騰対策と脱炭素化の強化は、今年三月と六月の補正予算に引き続き、今回で三回目となります。
 そこで、原油、物価高騰対策と脱炭素化について、どのような考え方により、今回、補正予算を編成したのか伺います。

○田中理事 今年度の当初予算では、コロナ禍により大きな影響を受けた事業者や都民の支援策に二千五百七十三億円を、再エネ、省エネの推進など脱炭素化の取組に一千八十億円を計上してございます。
 その後、ウクライナ情勢を発端とする原油価格高騰や厳しいエネルギー情勢等の状況を踏まえ、二回にわたり補正予算を編成するなど、機動的にその時点で必要な対策を講じてまいりました。
 一方、足元では、歴史的な円安などにより物価高騰の影響が長期化し、都民生活や事業者の活動に深刻な影響が生じていることに加え、今年の冬も電力需給が逼迫することが懸念されています。
 そこで、都民や事業者が直面する危機への対策を一段と強化するとともに、環境確保条例の改正に向けて取り組む中、将来の脱炭素化も見据えた対策を加速化させるとの考え方に基づき、補正予算を編成したものでございます。
 これにより、令和四年度における当初予算と補正予算を合わせた予算の総額は、物価高騰等対策では三千五百九十一億円、脱炭素化の取組では千八百九十二億円となっておりまして、これらの施策を一体的に講じてまいります。

○伊藤委員 基本的には、これまでの対策を強化して取組を充実させるということでした。今回の対策も含め、様々な支援策が速やかに都民や事業者に行き届くよう、財務局からも各局に働きかけていただきたいと思います。
 続いて、もう一つの大きな柱であるコロナ対策については、今回の補正予算全体の八割を占めていますが、重要なのはその内容です。
 そこで、今回の補正予算におけるコロナ対策の特徴について伺います。

○田中理事 コロナとの闘いが続く中、六月の補正予算では、医療提供体制の確保や検査体制の確保など、原則として今年十月までの予算を確保してございます。
 今回の補正予算では、年度末までの予算を確保するとともに、現下の感染状況を踏まえた、きめ細やかな対策を実施するなど、質と量の両面で万全のコロナ対策を講じてまいります。
 具体的には、新たな取組といたしまして、季節性インフルエンザとの同時流行を見据え、高齢者等にインフルエンザの定期予防接種の負担軽減を行う区市町村への補助や、今後の抗原検査キットの不足に備えた対策を実施してまいります。
 さらに、国の緊急包括支援交付金も活用し、医療提供体制等の充実に努めてまいります。
 引き続き、状況を注視しつつ、社会経済活動との両立を図りながら、感染終息に向けた取組を進めてまいります。

○伊藤委員 都民の命を守ることを第一に、社会経済活動との両立に向けて着実に対策を進めていただきたいと思います。
 さて、コロナ対策も物価高対策も長期戦となる中、都は、十分な対策を今後も打ち出せるかどうかは、財源、いい換えれば都財政次第です。
 今回の補正予算では、財源の大部分を国庫支出金が占めているため、内容別に財源を確認します。
 今回の補正予算の柱のうち、原油、物価高騰対策、脱炭素化、コロナ対策の三つについて、それぞれ財源の状況、特に国庫支出金の占める割合についても伺います。

○田中理事 今回の補正予算のうち、原油、原材料価格、物価高騰等対策の予算三百七十億円の財源は、内閣府所管の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が二百七十四億円、その他国費が四億円、財政調整基金が九十二億円などであり、国庫支出金の割合は七五%でございます。
 次に、脱炭素化の強化の予算四百八十六億円の財源は、臨時交付金が八十三億円、財政調整基金が四百三億円であり、国庫支出金の割合は一七%となってございます。
 また、コロナ対策の予算五千二百十三億円の財源は、臨時交付金が三百七十億円、厚生労働省所管の緊急包括支援交付金が三千六百八十二億円、その他国費が百七十一億円、財政調整基金が九百八十億円、その他財源が十億円であり、国庫支出金の割合は八一%となっております。

○伊藤委員 ご答弁によりますと、コロナ対策に対する国の交付金が大きく、補正予算全体における国庫支出金の規模を押し上げており、原油、物価高騰対策も国の交付金が積極的に活用されています。
 このうち地方創生臨時交付金は、正式には新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金であり、もともとは新型コロナ対策として創設されたと認識していますが、現在では制度が随分と変わってきています。
 それでは、これまで地方創生臨時交付金の制度はどのように変わってきたのか、それに合わせて都がどのように活用してきたのかについても伺います。

○田中理事 地方創生臨時交付金は、感染拡大の防止や地域経済、住民生活の支援など、各自治体が地域の実情に応じて必要な事業を実施するための交付金として令和二年四月に創設され、医療機関への臨時支援金や事業者に対する家賃等支援給付金などの財源として積極的に活用してまいりました。
 令和二年十一月以降は、臨時交付金の中に協力要請推進枠交付金等が創設されたことによりまして、感染拡大防止協力金についても、その財源の大部分を国の交付金で賄うことが可能となりました。
 令和三年度も、事業者支援交付金及び検査促進枠交付金の創設といった拡充が図られ、これらを活用し、酒類販売事業者等への月次支援給付金の拡充やPCR検査の無料化の取組などを実施してまいりました。
 今年度は、物価高騰の影響を受けている生活者、事業者への支援に充当できるものとして、四月にコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分、そして、九月に電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が創設されております。
 都では、六月及び九月の補正予算におきまして、都民向けにキャッシュレスポイント還元を行う区市町村への支援や価格転嫁が困難な事業者に対する燃料費の支援など、物価高騰等対策にこれらの交付金を活用してございます。

○伊藤委員 臨時交付金の変遷は、自治体とコロナとの長い闘い、そして、物価高への対応と密接に連動しているように感じます。現在の危機的な事態においては、臨時交付金の役割は重要です。
 さて、補正予算では、今月に国が創設した価格高騰重点支援地方交付金を活用し、運輸事業者など価格転嫁が困難な事業者に対する燃料費の支援などを対象として二百五十億円を歳入予算に計上しています。しかし、その後、二十日に国から重点交付金の配分額の内示があり、東京都分は百九十一億円ですが、予算に計上した二百五十億円には六十億円ほど届いていません。
 議会審議の確保、充実という観点からは、定例会開会前の今月九日に補正予算を発表したことは評価しますが、予算額と内示額との差が生じることにより、重点交付金を充当した事業の執行に支障を来すことはないのか、確認のため伺います。

○田中理事 先月中旬の国の物価・賃金・生活総合対策本部におきまして、地方創生臨時交付金を増額する方針が示されました。
 これを踏まえ、今月九日に発表した補正予算では、前回の四月と同程度の二百五十六億円程度の配分があると想定し、二百五十億円を物価高騰等対策の財源として計上いたしました。
 一方、地方への配分総額が前回の八千億円から今回は六千億円に減額されたことから、今月二十日に国から示された都分の交付限度額は百九十一億円となってございます。
 何よりも重要なのは、今回の補正予算に盛り込んだ都民や事業者向けの支援策を確実に前に進めることであると考えておりまして、財源の種類によって事業の執行に支障を来すことのないよう万全を期してまいります。
 なお、各事業に充当する財源につきましては、事業の執行状況等を踏まえながら、決算などにおいて整理してまいります。

○伊藤委員 事業の執行に影響が出ないように万全を期すことを確認いたしました。必要な支援を、滞ることなく、着実かつ速やかに講じるよう改めて求めておきます。
 一方で、各事業の執行率や今後の税収の動向次第では交付金以外の財源を必要とする可能性もゼロではなく、そのための財源の一つとして基金があります。特に機動的に活用できる財政調整基金については、六月補正後の残高は三千億円弱ほどでしたが、不測の事態に備えるためには財政調整基金の十分な確保が重要です。
 今回の補正予算の財源でも財政調整基金が活用されていますが、その残高はどうなっているのか伺います。

○田中理事 令和三年度決算が確定する前の令和四年度六月補正予算編成後の財政調整基金の今年度末残高見込みは二千六百億円でございました。その後、決算の反映によりまして、残高は三千七百五十一億円増額となる一方、今回の補正予算で脱炭素化の強化の取組などに財政調整基金を千四百七十九億円活用した結果、九月補正予算編成後の残高見込みは四千八百七十一億円となってございます。
 引き続き、基金残高の確保にも配慮しながら、持続可能な財政運営に努めてまいります。

○伊藤委員 五千億円弱の残高を確保と確認しましたが、世界経済の失速や円安の長期化などが懸念されており、都財政の試練はしばらく続くと思います。
 国は来月、大型の経済対策を策定すると聞いています。引き続き、経済情勢などの動向には常に注意を払いながら、財政基金や国の交付金など様々な手段を活用して機動的に対策を打っていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○成清委員 補正予算案について伺います。
 我が会派は、これまでの緊急要望において、円安の進行に伴う物価高によって影響を受ける都民、都内事業者への支援策を充実させるほか、電力不足問題の解消と脱炭素化の加速に向けた各種の取組をきめ細かく実施することなどを強く求め、先日の代表質問で、小池都知事より、これらの対策について答弁があったところです。
 今回の補正予算では、目下の課題である原油、原材料価格、物価高騰等対策の予算が補正予算総額に占める割合が数パーセントにすぎないとの議論もあり、まずはこの点について、過去との比較を含めて確認していきたいと思います。
 コロナ禍における補正予算について、一年前の令和三年九月補正予算及び直近の令和四年六月補正予算の規模と主な内訳について、確認のため伺います。

○田中理事 一年前の令和三年度九月の一般会計補正予算は総額五千七百五十億円でありました。主な内訳といたしましては、感染拡大防止協力金が二千二百八十三億円、国の月次支援金への都独自の加算等に係る経費が百三億円、その他、感染再拡大を阻止する対策などが三千三百六十三億円となってございます。
 また、直近の令和四年度六月補正予算は総額四千二百八十三億円でございます。主な内訳といたしましては、医療提供体制の確保や感染終息に向けた取組などのコロナ対策が三千五百五十九億円、物価高騰等の影響から東京の経済を守る取組が二百八十四億円、都民の生活を守る取組が百四十八億円、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組が二百九十一億円となってございます。

○成清委員 いずれもコロナ対策に係る経費が大半を占めているとの答弁でした。
 コロナと同様に、過去、日本経済に大きな影響を与えたものといえば、平成二十年度のリーマンショックが想起されますが、都は、その際も経済対策のための補正予算を編成しております。
 そこで、リーマンショックがあった平成二十年度以降における都の年間補正予算合計額の推移について伺います。

○田中理事 年間補正予算の合計額につきましては、財政環境や年度当初に想定し得なかった事情の変化により大きく変動することがありますが、平成二十年度におきましては、リーマンショックに際して中小企業制度融資等の対策を講じたことに加え、税収減を踏まえた歳出の洗い直しを行ったことなどによりまして、年間補正予算の合計額は一千百億円の増額となってございます。
 平成二十一年度以降は、最終補正予算による減額や基金の積立て、災害への対応などにより、幅はあるものの、約一千億の減額から約五千億の増額の範囲で推移しております。
 コロナ禍への対応が本格化した令和二年度以降は、年間を通じて大規模な補正予算を編成しており、その年間の合計額は、令和二年度で二・三兆円、令和三年度では三兆円の増額となったところでございます。

○成清委員 コロナ禍での補正予算の規模の大きさが際立つ答弁内容でした。
 今回の補正予算総額に占める物価高騰等対策の割合は確かに小さいですが、要因は、コロナ対策経費が総額を押し上げ、相対的に割合が低下したのではないかということが分かりました。
 また、今年度の物価高騰等対策は、当初予算で二千五百七十三億円、一定の追加補正で二百十七億円、二定で四百三十二億円、そして、今回で三百七十億円と、総額三千五百九十一億円を計上しており、過去との推移で見ても特段少ないわけではないとの印象です。
 補正予算編成で大切なことは政策の中身でありまして、刻一刻と変化する情勢を踏まえながら、それまで想定されていなかった必要な対策を、適切なタイミングで、スピード感を持って的確に講じることだと考えます。
 先日の我が会派からの代表質問においても、防災対策などの重要施策のスピードアップを図るとの答弁がありました。単年度予算主義の考え方だけでは、必ずしもスピードアップが図り切れないケースもあり、スピードアップに向けた取組を進めることは重要です。
 そこで、今回の補正予算に盛り込まれた防災対策などの重要施策のスピードアップに向けた具体的な取組を伺います。

○田中理事 時代の変化するスピードが一段と加速する中、これまでにない危機的な状況に立ち向かっていくためには、施策の効果をこれまで以上に速やかに発現させ、都民に還元させなければなりません。特に、激甚化する自然災害に対する備えに加え、東京の成長を生み出し、様々な社会課題の解決にもつながるイノベーションの創出は喫緊の課題であります。
 そこで、今回の補正予算におきましては、スピード感のある対応が求められるスタートアップとの協働を戦略的に展開する取組に加え、各局の進める防災対策を重要施策として迅速化を図っております。例えば、スーパー堤防の整備におきまして、債務負担行為を活用することにより早期の事業着手が可能となり、工事の完了時期を六か月短縮することができます。
 こうした取組をより多くの事業に波及させていくことで、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスの向上につなげてまいります。

○成清委員 防災対策やスタートアップへの支援など、前倒しの具体について確認をさせていただきました。
 我が会派はこれまでも、多岐にわたる課題に対し必要な対策を時期を逸することなく講じるよう要望してまいりました。
 改めて、大きな影響を受ける都民や事業者の皆様の不安や負担の解消に向け、各局が必要な対策にスピード感を持って取り組めるよう、財政面から下支えすることを要望し、私からの質問を終わります。

○たかく委員 令和四年度九月補正予算について質問いたします。
 ロシア、ウクライナ情勢や円安の進行に伴い、燃料高騰、物価高騰等の影響が長期化、深刻化しており、都民の暮らしや事業者、特に生活が苦しい方々に、より深刻な影響が出ております。
 総務省が九月二十日に発表した八月の消費者物価指数では、変動の大きい生鮮食料品を除く総合指数が一〇二・五となり、前年同月比二・八%上昇しました。消費増税の影響を除くと、一九九一年九月以来、三十年十一か月ぶりの上昇率でありました。
 住民税非課税の高齢者世帯、低所得のひとり親世帯、燃料高騰や物価高騰の影響を大きく受ける事業者の方、資金繰りが苦しい中小企業など、我が党は、現場の苦しい声に耳を傾け、都に対し、繰り返し支援の必要性を訴えてまいりました。
 我が党の代表質問でも指摘しましたが、今回の補正予算では、特別区への交付金を除けば、総額六千二十九億円のうち五千二百十三億円が新型コロナウイルス感染症対策とのことであり、原油、原材料価格、物価高騰等対策は二百六十三億円、補正予算全体の約四%とのことであります。予算額の多い少ないだけで評価するわけではありませんが、物価高騰で苦しんでおられる方々の立場に寄り添った支援策がますます重要であると考えます。
 そこで、今回の補正予算におけるコロナ禍や物価高騰等を踏まえた生活者支援の具体的な内容についてお伺いいたします。

○田中理事 都ではこれまでも、当初予算におきまして、コロナ禍で困難に直面する都民へのきめ細かな支援を行うとともに、六月の補正予算では、生活必需品などの高騰に対する施策として、ポイント還元事業や都立学校の給食費への支援を行うなど、機を逸することなく対策を講じてまいりました。
 今回の補正予算では、これらの対策に加え、物価高騰等の影響が長期化、深刻化している状況を踏まえ、都民生活を守るための対策をさらに強化充実しております。
 具体的には、医療機関や運輸事業者などの価格転嫁が困難な事業者等に対しまして燃料費等の直接的な支援を実施するなど、都民生活に不可欠な社会基盤を支えるための対策を講じております。
 さらに、低所得のひとり親子育て世帯等に対する給付金やフードパントリーへの緊急支援を行うなど、生活に困窮している方々を支えるための対策を一層強化しております。

○たかく委員 燃料高騰に対する緊急的な支援や子育て世帯への支援など、我が党の要望を踏まえた対応は一定程度理解するものでありますが、我が党の代表質問でも指摘したとおり、苦しんでおられる方々の立場に立ったさらなる対策の強化が必要と考えます。
 先月の消費者物価指数は二・八%の上昇と、先ほどご案内したように三十年ぶりの歴史的な上昇幅であり、金融緩和の継続や政府の為替介入などの動きもありますが、依然として社会経済情勢の先行きは不透明な状況であります。コロナ禍で、弱い立場の人々により大きなしわ寄せが及んでいるところを、物価高騰がさらなる追い打ちをかけており、苦しい立場の方々の暮らしがますます苦しくなるという切迫した状況があります。都民の暮らしや命を守るために、待ったなしの状況であるといわざるを得ません。
 こうした状況を踏まえ、また、今後の社会情勢もしっかりと見極めながら、財務局としても、各局と連携を取り必要な対応を行っていくことを改めて求め、私からの質問を終わります。

○池川委員 私からも、補正予算案について質問をさせていただきたいと思います。
 日本共産党都議団は、コロナ禍が始まって以来、その時々の課題になっている問題を提起し、都民や事業者への直接支援ということを繰り返し求めてきました。コロナ禍の長期化とウクライナ危機と物価高騰によって、都民生活の厳しさは増していると思います。
 ただ、この前提として、それまでの経済状況も、賃金が上がらず、日本が成長が止まった状態にあった中で、この二つの危機が訪れているということは、この日本社会の中で極めて深刻だというふうに思います。同時に、そういう中で、住民の福祉の増進が目的である地方自治体として、東京都の役割発揮が強く求められているというふうに思います。
 今回の補正予算案では、物価高騰から都民生活を守るための直接支援というのが入っていると思います。都民生活や事業者への直接支援の必要性について認識を伺いたいと思います。

○田中理事 都ではこれまでも、刻一刻と変化する状況に応じ、機動的に予算措置を講じてまいりました。
 今回の補正予算では、物価高騰等の影響が長期化、深刻化している状況を踏まえ、都民生活、事業者を守り抜く観点から対策をさらに強化しております。
 具体的には、国の臨時交付金を活用し、医療機関や保育所など価格転嫁が困難な事業者に対し、燃料費や食料費の高騰を踏まえた直接的な支援を行うなどの対策を講じることで、物価高騰の影響を受ける都民、事業者の負担軽減を図っております。

○池川委員 刻一刻と変化する状況に応じて機動的に対応されてきたと。ただ、今の答弁の中で、対策をさらに強化というふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、これはつまり、これまでの対策から大きく一歩踏み込んだということでいいのか、これ確認をさせていただきたいと思います。

○田中理事 燃料費や物価の高騰に伴うコスト増につきましては、本来、価格転嫁により対応を図ることが基本であると考えておりますが、昨今の急激な物価の上昇により価格を十分に転嫁することが困難な状況が生じていることは認識してございます。
 物価高騰の影響に対する直接的な支援につきましては、こうした状況を踏まえ、緊急的な対策として、国の地方創生臨時交付金を財源として特例的に実施するというふうに考えたものでございます。

○池川委員 補正予算の説明をいただいた際には、一歩踏み込んだ対応だったんだということをおっしゃっていたと思うんです。この直接支援に踏み出したということは極めて大事だし、やっぱりこれは、都民生活の実態との関係で必要な対策だというふうに思います。
 今ご答弁あったとおりで、直接支援に踏み切った一つの要因として、地方創生臨時交付金があるというふうに思います。これは確認も含めてですが、直接支援について、今回は基本的に地方創生臨時交付金を活用していますが、この活用方針はどういうものか伺いたいと思います。

○田中理事 国は今般、エネルギー、食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援を実施するため、地方創生臨時交付金に電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設いたしました。
 今回、補正予算では、燃料費、物価高騰等の長期化の影響から都民生活や東京の経済を守るための対策などを積極的に行うための財源として、この交付金を有効に活用したところであります。

○池川委員 地方創生臨時交付金を都民生活などを守るために積極的に活用したんだという答弁だったと思います。
 今年度に入って、物価高騰が本当に大きな影響があり、十月以降でも食料品で七千品目以上という報道もあります。やっぱりそれだけ長期化するコロナの上に、この物価高騰が本当に襲いかかっているというのが今の実態であり、複合災害といっていいのではないかと思います。都として、やはりさらなる取組が必要だというふうに考えます。
 日本共産党都議団には若者チームというのがありまして、コロナが始まって以来、折に触れて学生の皆さんからお話を聞いてきました。この九月に聞いた声の中には、コロナでバイトがなくなり、その後、今、物価高騰による値上げでお客さんが減ったことによってバイトのシフトが減らされるという事態が起こっているという話でした。深刻な経済的な困難とともに、精神的な影響も極めて大きく、人との関わりが絶たれ、未来を担う学生が希望を抱くことができない状況を折に触れてお話を伺ってきました。
 都政が学生の困難に目を向けて、やはり寄り添い、そして支援をしていく重要性について、この定例会の本会議代表質問でもそのことを求めましたし、その時々に求めてきたところであります。
 このコロナ禍での都民生活の困難について、学生など都民の一定を占める属性の人たちの暮らしや学びの支援というのは、この間、どのような対策を行ってきたのか、確認も含めて伺いたいと思います。

○田中理事 都はこれまでも、当初予算におきましてはフリースクール等に通う児童生徒に対する授業料等への支援を、六月の補正予算におきましては物価の高騰に対応して都立学校の給食費への支援を行うなど、時期を逸することなく対策を講じてまいりました。
 今回の補正予算におきましても、物価高騰等の影響が長期化、深刻化している状況を踏まえ、フードパントリーへの支援の拡充や低所得のひとり親の子育て世帯等に対する給付金など、都民生活を守るための対策をさらに強化充実しております。

○池川委員 六月の補正予算で都立学校の給食費への支援を行ったと。これは今までなかったものを一歩踏み込んだ一つの対策だったと思います。ただ、主食のみ、一食当たり三・五円にとどまっていて、ほかの自治体では、さらなる踏み込んだ対策を給食でもやられているところがある。そういう意味では、さらなる拡充が必要だと思います。
 学生に対する様々な具体的支援、今、言及はなかったと思うんです。学生の深刻な状況について改めて紹介もしたいと思うんです。
 これは、都内で一人暮らしをする、ある大学三年生から伺った話です。この間の状況についてどうですかとお尋ねをしてみたら、スーパーの食料品がとにかくめちゃくちゃ値上がってしまった。サラダ油も、買えないような値段になってしまって、本当に心配だという話でした。さらに、バイトも、飲食店でバイトをされているんですけど、値上げをしたらお客さんが減ってしまって、その影響か、バイトが三分の一に減らされてしまったということもお話をされていました。
 今の大学三年生というのは、入学したときからコロナ禍だったわけです。お話を聞いた方の場合は、一年生から本当は東京に出てきて一人暮らしを始める予定だったんですけれども、オンライン授業が基本ということで、地方にある実家からオンライン授業を二年間受け続けてきた、二年生のときも基本的には対面が再開されず、オンライン授業だったという話でした。三年生になって、やっとキャンパスでの学生生活が始まった、そして、一人暮らしをするためにバイトの収入を当てにしていたところで、今、バイトの収入が減ってしまっているという話でした。三年生の後期からは、さらに就職活動をやってくださいと大学からはいわれる中で、本当に学生生活をまともに送れる期間がほとんどない中で大学生活を送られていると。本当に厳しい状況だなというふうに、改めて私も認識を新たにしたところです。
 これは、今の方の話は特別な話じゃないと思うんです。東京は、六十七万人学生がいて、全国の四分の一が集中しています。同じような状況の中で学生生活を送っていることに、やはり目を向けなきゃいけないし、学生が最も集中する東京だからこそ、そうしたところにきちんと様々な支援が行き届くようにしていく必要があると思います。
 この間、地方創生臨時交付金の中で、都が学生支援を実施することができる仕組みとなっているのかについても確認をしたいと思います。

○田中理事 国は、物価高騰の影響を受けた生活者等の負担軽減に向け、本年四月と九月に、地方創生臨時交付金の新たな枠を創設いたしました。
 この交付金は、地方自治体が実施する学校給食費等の支援など、生活者や事業者の支援を主な目的とする地域の実情に応じたきめ細かな取組を対象とするものであり、都においては、都立学校の児童生徒の保護者に対する給食費の支援などに活用しております。

○池川委員 地域の実情に応じたきめ細かな取組を対象にするのが、この地方創生臨時交付金の目的だと。これはとても大事なことだと思うんです。
 東京都は、この間、私たち、学生の支援をやった方がいいんじゃないかと求めると、各局が連携してきめ細かく対応していると、同じことをいうんですよね。きめ細かく対応しているんだと。しかし、具体的な直接支援というのはやられていないし、コロナ禍での、さらにその物価高騰の中での大学や学生に対しての直接支援は具体的に踏み込まなかったわけです。
 一方で、代表質問でも紹介しましたが、同じ都道府県である京都府では、コロナ禍で、大学や学生に対する支援だけで六度の補正予算が組まれているんですね。先ほど紹介のあった地方創生臨時交付金を基本的には財源として活用しています。さきの六月の補正予算では、京都府が大学に対して、学食の割引、食料品などを学生に配布する際の全額補助。一方で、京都市とも連携をして、京都市は、大学が大学独自の奨学金や教科書代の割引、学生の家賃支援を行うことなどに全額の補助をするという補正予算を組んで、学生生活をとにかく都道府県として支えようということで、まさにきめ細かく対応してやっているんですよね。
 そういう視点で、東京で暮らし、学ぶ学生たちへの支援をやっぱり考えるべきだと。これは各局連携でやっているというわけですから、ぜひ財務局もその中で役割を果たしていただきたいというふうに思います。
 今回の補正予算を組んだ後、先ほどご説明ありましたが、財政調整基金で、年度末残高というのは四千八百七十一億円ということです。
 今後、学生を含めた都民生活を支えるための支援に取り組む必要があるというふうに考えますが、いかがですか。

○田中理事 都はこれまでも、コロナ禍や物価の高騰などにより苦境に立たされている都民、事業者への支援など、状況の変化に即応し、国の交付金等を活用しながら、きめ細かな対策を講じてまいりました。
 今後とも、都民の暮らし、東京の経済を守るため、国の動向を踏まえながら、状況の変化を適切に見極め、必要な施策を機動的かつ的確に講じてまいります。
 先ほど財政調整基金というお話もありましたけれども、世界の経済は、ロシアのウクライナ侵攻やインフレの拡大に伴う諸外国の利上げなどにより、景気後退に陥るリスクが高まっております。
 今後、我が国も景気後退が懸念される中、一般財源や財政調整基金を緊急的な対策に活用することは、持続可能な財政運営の観点からは、慎重な判断が必要だと考えているところでございます。

○池川委員 先回りして答弁してもらったんですけど、私、この学生の生活こそ緊急事態だと思うわけです。もちろん、地方創生臨時交付金の活用ということが選択肢にあったのに、それをやられなかったということが、まず、どうなんだろうというのがありますし、それが地方創生臨時交付金の枠内でできないのであれば、一般財源、財調も使って対応することはぜひやっていただきたいというふうに思うんです。
 これは同時に、国がもっと役割を果たさなきゃいけないという側面もあって、地方創生臨時交付金をはじめ、様々な暮らしを支える支援策に使える交付金などの増額要求もぜひ東京都からしていただきたいというふうに思います。
 長期化するコロナと物価高騰の問題というのは、学生はもちろん、広い都民生活への甚大な影響をもたらしています。
 今回の補正予算というのは、低所得のひとり親世帯への給付金などは入っていますが、こうした直接支援をやはり広げていくことが、重層的に対策を講じることにつながるんじゃないかというふうに思います。そのためにも、先ほども申し上げましたが、財政調整基金も活用して、一般財源も投入して思い切った対策をしていただきたいということを求めて、質問を終わりたいと思います。

○中村委員 それでは、補正予算について質問いたします。
 今般、追加分を合わせると六千百三十五億円の補正予算が提案されました。コロナ以前の年間予算の総額がおよそ七兆円であったことを考えると、約一割弱もの補正が一度で組まれるのは異常な状態です。コロナも第七波が収まりつつある中で、第八波への備えは当然するとして、都民の最大の関心事は、物価高から都民生活を守ることだと思います。
 これまでのコロナ禍では、産業でいえば、飲食や観光などの特定の分野以外は、ICTや製造業を中心には堅調ではあったと思いますし、都民生活も厳しかったとはいうものの、生活保護の世帯や年金受給世帯、公務員など、収入そのものは変わらなかったわけです。
 ところが、この急激な物価高騰は、多くの企業が原材料費の高騰で厳しい状況にあり、都民生活も収入が変わらなくても物価が上がったとのことで、相対的に収入が減り、厳しい状況にあるともいえます。
 政府の極端な金融緩和策が長く続いたのですが、結果的には急激な円安となり、これまでにはない厳しい状況になっています。
 こうした背景において、都民の最大の関心事は物価高騰への対策であり、今こそ都政が都民に寄り添ったものでなければなりません。
 今回の補正予算は、都民生活を改善するものになり得るのか、見解を伺います。

○田中理事 今回の補正予算では、燃料費、物価高騰の影響が長期化、深刻化している状況を踏まえ、都民生活、事業者への支援を一層強化しております。
 具体的には、燃料費高騰等の影響を受けるにもかかわらず価格転嫁が困難な医療機関等への直接的な支援など、一歩踏み込んだ対策を講じているほか、低所得のひとり親子育て世帯等に対する給付金の上乗せ、フードパントリーへの支援など、都民生活への支援を盛り込んでおります。
 さらに、資材高騰の影響を受けている農林水産業への支援や、中小企業等の賃上げに結びつく取組を支援するなど、幅広く細やかな施策を展開しているところでございます。
 今後とも、状況の変化に応じ、必要な対策を時期を逸することなく積極果敢に講じていくことで、都民生活を全力で支えてまいります。

○中村委員 都財政は法人二税が中心で、一部の大手企業の業績が堅調でも、収入が確保され得るものです。反面、税収が堅調だから景気がよいとか、都民生活が安定しているわけでもありません。改めて、都民生活の状況をしっかり把握し、それに対応した取組を行うことを求めます。
 また、今回の補正予算の当初提出分六千二十九億円は、大きく四つに分かれます。一つには、HTT、脱炭素化の強化が四百八十六億、二つ目、原油、原材料価格、物価高騰対策が二百六十三億、三つ目の新型コロナウイルス感染症対策が五千二百十三億円、四つ目の防災対策など重要施策のスピードアップ等が六十七億円です。
 財源は、国庫支出金が四千五百八十三億円で、財政調整基金繰入金は千四百七十九億円、その他特定財源が七十三億円となっています。
 そこで、この四つの区分ごとに、国庫支出金の金額と財源に占める割合を伺います。

○田中理事 まず、HTT、脱炭素化の強化につきましては、歳出額四百八十六億円のうち国庫支出金は八十三億円で一七%。原油、原材料価格、物価高騰等対策については、歳出額三百七十億円のうち国庫支出金は二百七十八億円で七五%。新型コロナウイルス感染症対策につきましては、歳出額五千二百十三億円のうち国庫支出金は四千二百二十二億円で八一%。防災対策など重要施策のスピードアップ等については、歳出額六十七億円のうち国庫支出金の計上はございません。

○中村委員 それぞれ数値を聞きましたが、コロナ対策は、金額が大きいだけではなくて、国庫支出金の割合が高いといえます。年度当初では予測がつかず、緊急性も高く、何よりその必要性を国が認めているからです。本来、行政の予算は年度予算が原則で、補正予算はあくまで例外だという原則を改めて認識する必要があります。
 脱炭素化や防災対策の項目だけ見れば必要な事業だと思いますが、財政の視点から見れば、なぜ当初予算に入れていなかったのかということになります。当初予算に入れるのであれば、限られた財源なので、何かを入れれば何かを削らざるを得ない、それこそが財政規律につながります。ましてや、持ち直したとはいえ厳しい状況にある財政調整基金を取り崩さなくてもよいわけです。
 そもそも、この脱炭素化や防災対策の事業については、なぜ当初予算ではなく補正予算に計上しているのでしょうか。必要な事業を迅速に行うことは必要ですが、コロナ禍以降、補正予算が常態化して、年間総合予算の原則を崩してはいないのでしょうか、見解を伺います。

○田中理事 都では、当初予算を年間総合予算として編成することを基本としておりまして、一年間の歳入を全て見積もるとともに、その年度に必要な施策全般を計上してございます。
 一方で、当初予算編成後に新たな事由が生じ、特に緊急性や必要性が高いと認められる場合には、適時適切に施策を追加すべきものと考えておりまして、コロナ禍以前にも、こうした考え方に基づいて補正予算を編成してまいりました。
 お話の脱炭素化に向けた取組については、電力需給の逼迫などを踏まえ、この冬の確実な電力確保に向けた対策に加え、環境確保条例の改正に向けて取り組む中、将来も見据えた対策を強化する必要があること、また、防災対策については、関連する法改正や事業執行の迅速化に係る全庁的な方針を受け、事業着手の前倒しが可能となったことなどから、今回の補正予算に計上したものでございます。

○中村委員 時代の変化も速く、スピード感を持った取組は重要だと思います。ただ、今後は都財政も楽観できる状況ではないため、常に財政規律のことは念頭に置いた予算編成になることを求めたいと思っています。
 以上で質問の方を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○山加委員長 次に、報告事項、令和三年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 年次財務報告書について伺います。
 令和三年度の健全化判断比率はほぼ横ばいとなっており、おおむね健全と考えられますが、一方で、歳入、歳出ともに過去最大となり、また、令和三年六月には財政調整基金の残高が一時二十一億円まで枯渇するなど、これまでにない一年でした。
 コロナの影響に加えて、ロシアのウクライナ侵攻が勃発するなど、都政を取り巻く環境が激しく変化する中で、柔軟な対応が求められる難しい財政運営だったのではないでしょうか。
 将来にわたって健全な財政運営を維持していくためには、決算をしっかりと振り返ることが重要です。
 そこでまずは、令和三年度にどのような財政運営を行ったのかについて伺います。

○田中理事 令和三年度の財政運営では、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響から都民生活や都内経済を守り抜くため、機動的に対策を講じたことに加え、税収増などを活用し、財政対応力の確保に取り組んだことが特徴として挙げられます。
 具体的には、国庫支出金や財政調整基金などを活用し、累次の補正予算を編成し、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金や医療提供体制の確保など、時期を逸することなく対策を講じてまいりました。
 さらに、都税収入の増加に伴う財政調整基金への義務積立てのほか、各種基金の取崩しの抑制、都債の発行の抑制など、将来を見据えた財政運営を行ってまいりました。
 これにより、令和三年度決算時点での基金全体の残高は二兆一千八百七十二億円、都債残高は三兆九千百九十四億円となってございます。

○成清委員 取り巻く環境が刻一刻と変化する厳しい状況にあっても、柔軟に必要な対策を行ってきたこと、また、基金や都債など、将来を見据えた取組がなされたことを確認しました。
 決算を振り返るに当たり、新公会計制度を活用するなど多角的に検証していくことも必要です。例えば、定年の引上げに伴い、足元では退職者の減少により退職手当の支給額が大きく減少する見込みですが、将来的には確実に経費として発生するため着実に備える必要があります。
 都は、退職手当に係る将来負担を負債として明らかにするとともに、退職給与引当金をコラムとして掲載することなどに取り組んでおり、こうした取組は重要です。
 今後の安定的な財政運営に向け、新公会計制度による財務諸表を作成する意義と、令和三年度の普通会計財務諸表の特徴について伺います。

○田中理事 複式簿記・発生主義による新公会計制度の財務諸表を作成することで、土地建物などのストック情報や引当金などの正確なコスト情報を把握し、財務状況を多面的に分析することが可能となり、説明責任の充実やマネジメントの強化につながるものと認識してございます。
 今回の年次財務報告書では、将来に向けた負債となる退職給与引当金の増加について、職員の年齢構成や勤続年数等も含めて解説を行うなど、説明の充実を図っております。
 令和三年度決算の主な特徴を挙げると、まず、貸借対照表では、東京二〇二〇大会の終了に伴う基金積立金の減により資産の増加幅が圧縮された一方、負債については、税収増を活用し都債の発行抑制を図ったことなどにより減少し、資産と負債との差額である正味財産は前年度に比べ千九百八十六億円増加しております。
 また、キャッシュ・フロー計算書につきましても、税収増などにより、行政サービス活動収支差額が四千二百六億円の収入超過となる一方で、都債の償還額が発行額を上回ったことなどから、財務活動収支差額は六百九十八億円の支出超過となってございます。
 行政コスト計算書につきましては、コロナ対策により費用が増加する中にあっても、都税や国庫支出金などの収入の増加が反映され、通常収支差額が二年度のマイナス六百九十五億円に対しまして、三年度は千二百億円とプラスに転じております。

○成清委員 財務諸表を見ても、令和三年度決算時点で、都の財政状態に問題がないことを確認しました。
 新公会計制度の肝は、財務書類をつくって終わりではなく、その分析をすることが重要です。将来にわたって健全な財政運営をするためにも、勘定科目別、事業別など着実な決算分析に取り組むことを求めておきます。
 さて、こうした財政情報は、作成、分析することもさることながら、都民の皆様に分かりやすく伝わるということが極めて重要です。
 都は、普通会計決算や普通会計財務諸表をダッシュボード上で公表し、情報公開の取組として評価をしておりますが、率直にまだブラッシュアップの余地があるように感じております。
 そこで、アンケート機能の活用や掲載する財政情報の充実など、より分かりやすい財政情報の発信に向けた取組が重要ですが、都の具体的な取組について伺います。

○田中理事 都はこれまで、年次財務報告書や主要施策の成果などの冊子に加えて、普通会計決算や財務諸表などの主要データをダッシュボードに掲載するなど、都財政を分かりやすく伝えられるよう創意工夫を凝らしてまいりました。
 ダッシュボードにつきましては、公表後も随時、掲載内容の充実を図るなど、ユーザビリティーの観点から改善を重ねており、昨年度は、利用者からのご指摘も踏まえ、専門的な用語に解説を付け加えるなどの見直しを行ってございます。
 また、今年度は新たに、TOKYO補助金サーチ見える化ボードを作成し、約千五百件ある補助金に関する情報をダッシュボードに集約して公表したことにより、全ての補助金について検索や情報の取得を容易にするなど、都民の利便性の向上に努めておるところでございます。
 今後とも、さらなるデジタルツールの活用やユーザー目線によるきめ細やかな情報発信を行うことで、より多くの都民の皆様に理解を深めていただけるよう、都財政の見える化に取り組んでまいります。

○成清委員 今後とも、利用者のニーズに柔軟に対応しながら、都民目線で分かりやすい情報の発信に努めていただきたいと思います。
 また、情報発信の充実という観点では、答弁のあったTOKYO補助金サーチ見える化ボードなど、実施している施策を分かりやすく伝えるとともに、税金を投入している以上、事業の成果をきちんと分析し公表することも重要な視点です。この点、我が会派は、かねてより政策評価と事業評価の一体実施を求めてきました。
 そこで、昨年度から取り組んでいる政策評価と事業評価の一体実施において、効果的な事業を構築していくため、より成果重視の視点から政策評価の取組を強化していく必要があると考えますが、これまでの政策評価の取組状況と今後の方針について伺います。

○田中理事 政策評価は、昨年度から予算編成の一環として事業評価と一体的に実施しておりまして、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえて、施策全体の方向性を評価することで、施策の新陳代謝を図る取組となってございます。
 令和四年度予算編成におきましては、九事業ユニット九十七事業を対象に政策評価を行い、三十三件の見直し、再構築や十八件の新規事業の構築につなげております。
 令和五年度予算編成に向けましては、事業ユニットの選定段階から外部有識者の声を反映するとともに、評価様式を見直し、新たに個別事業ごとの実績や効果を記載する欄を設け、個別事業における成果指標の達成の寄与度を分析可能にするなど、評価制度のさらなる充実を図っています。
 また、ユニット選定段階の外部有識者の主な意見や選定した事業ユニットをホームページ上で公表するなど、評価プロセスを段階的に公開していくことで、取組の見える化も推進しているところでございます。
 引き続き、各事業の成果指標への効果や課題等を可能な限り定量的に把握するよう各局へ促すなど、評価制度の実効性が高まるよう取り組んでまいります。

○成清委員 一層のワイズスペンディングに向け、より成果重視の視点で施策を評価することで事業の質の向上を図るとともに、しっかりと都民の皆様にも発信するよう求めておきます。
 最後に、これらを踏まえ、これから本格化する令和五年度予算編成について伺います。
 長引くコロナや物価高騰など、都政を取り巻く環境は厳しく、社会の変化も激しい中ではありますが、このような状況だからこそ、この危機を機会に転換し、都民が希望を持てる持続可能な未来を切り開いていくことも都の責務だと考えます。
 イノベーションの発想を大胆に取り込み、東京を成長軌道に乗せるよう戦略的に施策を展開していく必要があると思いますが、来年度予算編成に向けて、局長の決意を伺います。

○吉村財務局長 時代の変化のスピードが加速する中にありまして、東京が将来にわたり成長と成熟が両立した光り輝く都市へと進化していくためには、まずは直面する危機へしっかりと対処していかなければなりません。その上で、明るい未来の東京に向け、脱炭素社会へのシフトやGX、DXを生み出すスタートアップの育成など、従来の発想を打ち破る大胆な施策を積極的に展開していくことが重要でございます。
 これから本格化いたします来年度予算編成におきましては、施策の実効性、効率性を一層高めるため、評価制度を活用したPDCAサイクルを推進するとともに、持続可能な財政運営にも留意した上で、今後の税収動向も注視しつつ、基金や都債などの財政対応力も有効に活用するなど、東京の持続的な成長につながる取組に的確に財源を振り向けることで、都政に課された使命を着実に果たしてまいりたいというふうに考えてございます。

○成清委員 東京の持続的な成長に向けた財務局長の決意を伺いました。
 山積する都政の課題に対処し、安全・安心な都民生活や経済活動を都として支えていけるよう、施策の実効性を高める取組なども進めながら、積極的な施策展開を図るよう要望し、私からの質問を終わります。

○たかく委員 令和三年度東京都年次財務報告書について質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、感染拡大の予防と社会経済活動を両立させていくためには、非対面、非接触での生活様式を可能とするデジタル技術のさらなる活用が重要な鍵を握っております。このデジタル化は、事務の効率化や生産性の向上に資することはもとより、都民一人一人がゆとりや安心感を得ながら生活できる社会を実現する上でも、極めて重要なものと考えます。
 一方で、さきの予算特別委員会で、我が党が指摘したとおり、デジタル化の取組は、その成果が目に見えないものも多く、失敗しても一般の人には分かりづらいという特徴があります。しかし、一たび失敗すれば多額の税金が失われることになります。
 デジタル化の取組については、専門家の視点も取り入れながら、しっかりと検証を行い、意義のある事業へ見直しを図っていくことが重要であると考えます。
 そこで、私の質疑では、年次財務報告書にも記載されている政策評価と事業評価について、デジタル化の取組に関する評価の視点から、これまでの成果と今後の方向性についてお伺いいたします。
 まず、財務局では、政策評価や事業評価の中で、デジタル化の取組について、これまでどのように検証を行ってきたのか、改めて確認させていただきます。

○田中理事 都では、平成二十二年度予算編成から、情報システムの開発運用について、庁内の関係部署と連携しながら、その有効性や積算の妥当性等に関する評価を行い、一つ一つの事業の質の向上へとつなげてまいりました。
 また、令和二年度予算編成からは、情報システムの開発運用に加え、ICTを活用して新規の事業展開を図る事業についても新たに評価対象に加えるなど、制度の改善に努めてまいりました。
 さらに、令和四年度予算編成では、政策評価においてデジタル化に関する取組も含め、施策を構成する各事業の効果や今後の課題などを分析、評価し、施策単位での見直しを行うとともに、事業評価においては、DXによる業務効率化などの視点も踏まえながら、幅広い事業について見直しを図り、施策の実効性、効率性の向上へとつなげたところであります。

○たかく委員 今の答弁にありましたとおり、東京都ではこれまで、デジタル化に関する取組について、政策評価や事業評価を通じて検証を重ねてきたとのことです。
 しかし、こうした検証は、ただ行うだけでは意味がなく、検証した結果が具体的な事業の見直しや効果的な施策の実現にしっかりとつながっていることが重要であります。
 そこで、令和四年度予算編成における政策評価、事業評価の具体的な見直し等の成果について伺います。

○田中理事 政策評価では、デジタルを活用した教育の推進につきまして、施策単位での評価を行い、効果的な新規事業の構築などへとつなげております。
 具体的には、令和二年度中にデジタル端末の配備が進んでいた小中学校に加え、高校段階においても学習の中で端末が活用できるよう、一人一台の端末整備に向けた支援を新たに実施するなど、デジタル化に関する施策の充実を図っているところでございます。
 また、事業評価では、道路の損傷や不具合を通報できる道路通報システムにつきまして、令和三年度までの試行状況を検証し、令和四年度から、都道全域において本格的に導入することといたしました。
 具体的には、これまで電話等で行っておりました都民からの道路損傷状況等の連絡につきまして、スマートフォンを活用したアプリを導入することで、通報機会の拡大や情報把握の迅速化などへとつなげております。

○たかく委員 今の答弁では、令和四年度編成において、政策評価や事業評価を通じて具体的なデジタル化に関する事業の見直しや政策の充実を図ってきたとのことであります。
 しかし、デジタル分野の発達は目覚ましく、我々の想像を絶するような速さで高度化、複雑化が進んでいます。少し前には考えられなかったような技術が次々と実用化される中、行政内部だけで事業の課題や成果を把握、分析し、具体的な見直しへとつなげていくことには限界があります。
 さきの予算特別委員会で、我が党が指摘したとおり、デジタル化の取組についてしっかりと分析し、より効果的な取組へ見直しを行っていくためには、デジタルの専門家など、第三者の視点を取り入れながらチェックを行う体制を構築していくことが重要と考えます。
 令和三年度東京都年次財務報告書によれば、事業評価におけるデジタル関係評価など、第三者の意見を取り入れて評価の内容を充実させるとしておりますが、具体的な取組の方向性について伺います。

○田中理事 今後、デジタル化をさらに加速させ、都民に質の高い行政サービスを提供していくためには、専門的な知見を踏まえながら、一つ一つの事業の妥当性や有効性を検証していくことが重要でございます。
 こうした認識の下、令和五年度予算編成では、デジタル関係の事業評価におきまして、第三者の意見を反映する仕組みを新たに導入いたします。
 具体的には、情報システムやデジタル技術を活用した取組につきまして、デジタル分野に精通する複数の外部有識者から意見を聴取し、具体的な事業の見直し、再構築、拡充へと反映させてまいります。
 事業の効率性や費用対効果に加え、有識者による専門的な知見から、事業の妥当性などについて評価することで、より実効性、効率性の高い施策の実現へとつなげてまいります。

○たかく委員 今の答弁ですと、これまでの取組に加えて、新たに事業評価のプロセスにおいても、外部有識者の意見等を取り入れていくとのことであります。
 第三者によるチェック体制の拡充を求めてきた我が党の要望に応える対応については評価するものでありますが、重要なことは具体的に見直し、意味のある見直しへとつなげられるかどうかであります。目に見えづらいデジタル化の取組を適切に評価し、事業の見直しや再構築を一層促進できるよう、引き続き、関係局とも連携しながら、外部有識者の意見を反映する仕組みの強化に取り組んでいただくことを求めます。
 今日の質疑では、事業の見直し、再構築の重要性について改めて確認してきました。
 こうした取組は、平時から重要でありますが、今の東京都を取り巻く環境に目を向けると、消費者物価指数が三十年ぶりの上昇率となるなど、物価高騰の影響が長期化、深刻化しており、多くの都民が非常に苦しい立場に立たされております。こうした中で、全ての都民が安心して暮らせる社会をつくっていくためには、都が実施する一つ一つの事業の成果がより重要であり、また、個々の事業について不断の見直しを行い、真に必要な支援を都民や事業者の下に迅速に届けていくことが重要であります。
 令和五年度予算編成に向けては、これまで以上に施策の新陳代謝を促し、無駄をなくす取組を一層強化していくことが重要と考えますが、財務局長の見解を伺います。

○吉村財務局長 ウクライナ情勢の長期化や歴史的な円安の進行などによる物価の上昇、感染症の動向による経済の下振れリスクなど、都財政を取り巻く環境が不透明さを増しております。
 こうした中にありましても、様々な危機から東京の経済と都民生活を守る取組を着実に進めるとともに、東京を強靱で持続可能な都市へと変革させていくため、脱炭素化やDXの推進など、将来を見据えた取組を一段と加速させていかなければなりません。
 そのためには、従来にも増しまして、政策の課題や成果、事業の妥当性や有効性を改めて検証し、事業の再構築を行うなど、施策の新陳代謝を高め、無駄をなくす取組を徹底していくことが重要でございます。
 こうした考えの下、令和五年度予算編成におきましては、一体的に実施しております政策評価と事業評価の取組について、事業の迅速化やデジタル化の加速といった視点を強化するとともに、外部有識者からの意見をさらに有効に取り入れるなど、都民目線に立った視点から評価を行い、一層効率的で実効性の高い施策を構築してまいります。
 この自己改革の取組にさらに磨きをかけまして、必要な事業に的確な財源を振り向けることで、山積する諸課題への対処を図り、東京の持続的な成長につなげてまいる考えでございます。

○たかく委員 今、局長からご答弁いただきましたように、今まさに、物価高騰など苦しんでいる都民や事業者の方々に必要な支援を着実に届けるとともに、将来にわたって都民一人一人が安心しながら質の高い暮らしを過ごせる社会を実現していくことが重要と考えます。そのためにも、事業の見直しに向けた取組を徹底して、施策の新陳代謝を一層加速させることで、財政運営に万全を期していただくことを強く求めて、私からの質問を終わらせていただきます。

○米倉委員 私からも、二〇二一年度東京都年次財務報告書について伺います。
 二〇二一年度は、コロナにより緊急事態宣言が一年のかなりの部分を占めるという年でした。そうした中で、都の報告には、各種基金や都債の活用に加え、国の交付金などの財源確保に力を注ぎ、新型コロナとの闘いなど、都民の安全・安心の確保と東京の経済の再生、回復に全力で取り組んだとまとめられています。
 コロナはいまだに長引いていまして、物価高騰やウクライナ危機の影響も加わる中、都民の命を守るための医療提供体制の強化や、また、都民の暮らしやなりわいを守るために、都としてさらに役割を果たすことが求められています。そのためにも、不要不急の事業を削り、都としての役割に集中することが大切になっています。
 報告書では、来年度の予算編成に当たり、都は、事業実績が目標を大きく下回るなどの事業について、各局の判断でマイナス一〇%のシーリングとしたというふうに書いています。
 今年度の予算編成に当たって、対象になった事業の縮減額はどうなっていますか。

○田中理事 今年度、令和四年度予算編成では、各局がそれぞれ主体的に事業の見直しを行うことで、事業の質の向上を図る仕組みといたしまして、マイナス一〇%シーリングを導入いたしました。
 この取組による縮減額は二百五十億円程度でございます。

○米倉委員 約二百五十億円縮減されたということです。
 ただ、実際は、今年度の予算を見ますと、例えば、執行率が低くて、住民の反対が強い特定整備路線などの大型幹線道路の予算を見ますと、今年度より増えて一千億円に膨らんでいたりします。東京都の役割が重要な今、こういう事業は厳しく精査することを来年度予算の編成に当たっては求めておきたいと思います。
 同時に、必要な医療や福祉、暮らしの取組で一律の削減となることはまずいと思っています。
 来年度予算の編成に当たっては、事業実績が目標を大きく下回るなどの事業は、原則、総額でマイナス一〇%シーリングとすると都は掲げています。
 この考え方について確認したいんですが、これは今年度の予算編成時と同じということでいいでしょうか。また、全ての事業に一律にかけるものではないということでいいか、確認します。

○田中理事 今回のマイナス一〇%シーリングの考え方につきましては、令和四年度予算編成と同様でありまして、一律の経費削減ではなく、事業実績が大きく目標を下回るなど、さらなる見直しが必要な事業を対象としておりまして、施策の新陳代謝を促進し、実効性、効率性を一層高めることを目的としているものでございます。

○米倉委員 来年度予算編成に当たって、新しい取組も入っているので、それも伺いたいと思います。
 まず、事業評価にデジタル評価を入れるということが入りました。具体的には、どういう考え方となるのか、お示しください。

○田中理事 情報システムやデジタル技術を活用した取組などのデジタル関係予算の評価に当たりまして、令和五年度予算編成では、新たにデジタル分野に精通する外部有識者からの意見を聴取し、具体的な事業の見直しなどに反映させていくこととしてございます。
 事業の効率性や費用対効果に加えまして、有識者による専門的な知見を踏まえ、事業の妥当性などについて評価を行うことで、より実効性、効率性の高い施策の構築につなげてまいります。

○米倉委員 事業執行の迅速化も位置づいています。
 事業の迅速化を債務負担行為で進めるということが位置づいていますが、これもどういう考え方で行うものなのか伺います。

○田中理事 債務負担行為は、会計年度独立の原則の例外として、複数年度にわたる契約を可能とする制度であります。
 令和五年度予算においても、債務負担行為を活用することによりまして、例えば、事業開始前の年度に契約手続を前倒しして、年度当初から事業着手を可能にするということで、事業の執行を迅速化し、施策の効果を速やかに都民に還元していくことを考えてございます。

○米倉委員 原則は会計年度独立だということです。債務負担行為は例外だという認識は大事だと思います。その立場で進めていただきたいと思っています。
 債務負担行為は、次年度以降の予算にも関わるものになりますので、有効性や妥当性をそれぞれの事業で確認して取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 ジェンダー平等や気候危機に本気で取り組むということは、地球を守り、持続可能で公平な社会を実現する上で大事な課題となっています。これは、直接担当する部局だけが取り組むというものではなく、あらゆる分野や施策、また計画をつくる際に、ジェンダー平等や気候危機を打開する観点で点検されて、施策をブラッシュアップすることが重要となっています。
 来年度の予算編成に向けては、明るい未来の東京の実現に向けた取組を果敢に進めると記載されていますが、このためにも、ジェンダー平等や気候危機の視点を持って予算編成を行うことが必要だと考えます。
 来年度の見積りに当たっては、どのような考え方で臨みますか。

○田中理事 令和五年度予算の見積りに当たりまして、多様性にあふれた社会の実現に向けた施策や社会を脱炭素型へとシフトさせるための取組を推進することとしてございます。
 そのため、予算編成作業におきましても、ジェンダー平等ですとか気候危機の視点も踏まえながら、実効性の高い事業の構築に向け、各局と議論を重ねてまいります。

○米倉委員 ジェンダー平等、そして、気候危機の視点も踏まえるというご答弁で、これは大事だと思います。
 コロナの影響は全ての属性の人に深刻な影響を与えていますが、特に女性に深刻に表れたということは、これも共通の認識だと思います。特にコロナが広がった初めの頃には、女性の失業が特に深刻に広がったという状況があります。これは、非正規雇用の多くが女性ということや飲食やサービス業に女性が多いということが背景にありました。
 また、学生の五人に一人が大学の退学を考えているという調査結果も社会に衝撃を与えました。
 東京都が、気候危機の対策のために、省エネや再エネを進める事業の強化のために、この間、予算を積極的につけているということは重要ですが、一方で、都が容積率を緩和して超高層ビルを次々建てていくことを進めるという事態があって、都民の努力を相殺するというより超えていると思うんですけれど、そういうレベルで新たにCO2排出を増やしているという事態も起きています。
 来年度の予算編成に当たって、これまで以上にジェンダーや気候危機の観点でもチェックをしていただくよう、それで進めていただくよう改めて求め、質問を終わります。

○五十嵐委員 私からは、令和三年度年次財務報告書について質問したいと思います。
 この年次財務報告書を拝見させていただいて、令和五年度予算編成にも向けて、より政策、より成果重視の視点から実効性、効率性の高い施策構築に向けて取組を強化しますなどというふうに記載がございます。
 今年の三月十六日の財政委員会でも指摘させていただきましたけれども、令和四年度から新たに始まった一体的評価の効率と効果については、住民の福祉の増進につながるものであるべきという観点から評価すべきだということを指摘させていただいています。
 それで、令和四年度の東京都予算案の概要の中にございます事業ユニット、九つ事業ユニットを設定されているんですけれども、まず、この令和四年度の予算において、どのように事業ユニットを設定したのかについて改めて考え方を伺います。

○田中理事 政策評価の対象となる事業ユニットは、各施策の成果や進捗状況等を踏まえ、さらに踏み込んだ見直しが必要と考えられるものや関連する計画が改定時期にあるものなどについて、事業所管局と財務局とで見直しの必要性などの課題認識を共有しながら評価対象として設定しているものでございます。
 こうしたプロセスを踏まえ、令和四年度予算編成における政策評価では、パラスポーツの推進など九つの事業ユニットを設定し、評価を実施いたしたところでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。今、九つ事業ユニットを組まれたというふうにおっしゃいました。そのうち、三月十六日の委員会でも指摘させていただきましたけど、MICEの誘致の推進というのがありまして、ここで主な成果指標として、例えば、二〇一九年に国際会議開催件数が三百五件だったものを、二四年に三百三十件を目指すなどというような記載がございます。
 これだけだと、このMICEの国際会議の件数が増えたことによって、住民の生活がどのように向上したのかというのが分かりにくいなというふうに思っています。
 例えて今、MICEを出しましたけれども、このMICEの誘致のユニットで定めた成果指標については、住民の福祉の増進という観点とどのような関係があるのかというのを具体的に教えていただけますでしょうか。

○田中理事 MICEの誘致では、事業所管局とも議論を行いながら、二〇二四年までに国際会議開催件数三百三十件、二〇三〇年までに会議件数順位、世界第三位以内を目指すという成果指標を設定したところでございます。
 こうした成果指標の目標達成に向け取組を進めることによりまして、高い経済波及効果や産業力の強化、東京のプレゼンスの向上などに貢献いたしまして、それが都民の暮らしの向上へとつながるものと認識してございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。MICEの誘致の推進によって、都民の暮らしが向上するということを、今、はっきりとおっしゃっていただきました。
 今、MICE、質問いたしましたけれども、ほかにも令和四年度の事業ユニット一覧の中には、例えば、世界で活躍するアーティストの育成というのがございまして、Tokyo Contemporary Art Award受賞者の海外展覧会への出展数が、二〇二〇年度でゼロ件だったものを、二〇三〇年度十二件を目指すというふうに書いてあるものもございます。これ、ゼロが十二になって、どれぐらい都民の住民の福祉が向上するのかなというような疑問点もあるんですけれども、今ご答弁で、都民の暮らしが向上するようなものということをはっきりおっしゃっていただいたので、その観点で政策の評価というものをしていっていただきたいと思います。
 そこで改めて、どのような考え方で成果指標を設定して分析していくのかについて伺いたいと思います。

○田中理事 政策評価における成果指標につきましては、幅広い都政の中で様々な位置づけを持つ各施策分野におきまして、それぞれの事業ユニットが目指すべき目標のうち、原則として定量的に把握することができるアウトカム指標を設定してございます。
 評価の実施に当たりましては、関連するデータの分析を深めることにより、事業ユニットを構成する各事業の成果指標への効果や政策目標の達成に向けた課題等を可能な限り定量的に把握し、事業ユニット全体の方向性や個々の事業の実績を評価することとしてございます。
 こうした指標の分析評価を通じて施策を見直すことで、一層効果的で実効性の高い施策を構築し、都民のQOL、こちらはクオリティー・オブ・ライフを高めていくということとしてございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 令和五年度の予算編成に向けて、新たに第三者の意見を取り入れて評価の内容を充実させるということが盛り込まれております。この理由についてと、令和五年度予算編成において今後どのように進めていくのかについて、ご答弁をお願いします。

○田中理事 まず、ユニット選定に外部有識者の意見を取り入れるとした理由でございますが、政策評価をさらに充実させ、より成果重視の視点から、実効性、効率性の高い施策の構築につなげていくため、令和五年度予算編成におきまして、政策評価のユニット選定の際にも外部有識者の意見を取り入れ、より客観性の高い評価に取り組むこととしたものでございます。
 また、今後どのように進めていくかということでございますが、ユニット選定に当たりましては、外部有識者から都政を取り巻く状況の変化や目標の達成状況等を踏まえまして、対応が必要になる施策など、社会的必要性の高いものから選定すべきなどのご意見をいただいたところでございます。
 こうした意見を踏まえまして、事業所管局と財務局とで課題認識を共有しながら、今年度は、都市、まちのスマート化や帰宅困難者対策など、都政の各施策分野から社会情勢の変化など、節目を迎えている十一の事業ユニットを選定したところでございます。
 現在、各事業ユニットにおける課題の分析や見直しの方向性につきまして、各施策分野の専門家の方々などに意見を伺いつつ、令和五年度予算の見積りを行っているところでありまして、今後、事業所管の評価、財務局の評価もした上で、評価結果の公表につなげてまいります。

○五十嵐委員 ありがとうございます。令和五年度については、十一の事業ユニットが策定されて選定をされております。確かに拝見いたしますと、教員の働き方改革とか介護人材の確保とか、より都民の生活の向上という観点を想像しやすいものになっているのかなと思います。
 地方自治法第二条の十四項には、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと書いてあり、やはり最大の効果というのが住民の福祉の増進という点になるということを、その視点を持って引き続き政策評価と事業評価の一体的な実施、取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。私の質問を終わります。

○中村委員 それでは、年次財務報告書について質問します。
 令和三年度決算は、歳出、歳入ともに過去最大の規模となりました。令和元年度末からコロナの流行が始まり、その対策に追われた一年になったことが財政面にも表れています。
 そのような中でも、実質収支はほぼ均衡となったということで、都財政を大きく悪化させるような状況には至っていないようにも見えます。しかし、都財政の置かれた状況は決して楽観できるものではないと思います。
 そこで、令和三年度決算を踏まえ、都財政の状況について、財政当局としてどのような認識なのか、見解を伺います。

○田中理事 令和三年度は、長期化する新型コロナウイルス感染症との闘いの中、都民の安全・安心の確保と、東京の経済の再生、回復に全力で取り組んだ一年となりました。
 各局の機動的かつ積極的な施策展開に万全を期すため、財政調整基金をはじめとする各種基金の活用に加え、国庫支出金の確保に努めるなど、財政面からの下支えに力を注いでまいりました。
 また、都税収入の増加に伴い、財政調整基金への義務積立てを行ったほか、各種基金の取崩し抑制や都債の発行抑制を行うなど、将来を見据えた堅実な財政運営を行ってございます。
 その結果、令和三年度の決算時点では、基金残高は二・二兆円を確保しているほか、都債残高も減少に転じるなど、都の財政対応力は一定程度維持できていると認識してございます。

○中村委員 一定程度の財政対応力を維持しているということですが、コロナの第八波への備えもさることながら、物価高騰の苦しみにあえぐ都民や事業者への支援など喫緊の課題は山積しており、さらなる財政出動が求められるところです。また、首都直下型地震、少子高齢化、そういった将来的な財政需要も当然見通しておくべきです。
 突発的な財政需要に対応するためには財政調整基金が重要な財源となります。昨年、財政調整基金の残高見込額が二十一億円まで落ち込み、都財政は大丈夫なのかという声がありました。しかし、今回の令和三年度決算では、財政調整基金残高の確定値が七千二百七十二億円となったということです。令和二年度決算の確定値が五千三百二十七億円でしたので、確定値の比較においても回復していることが分かります。
 令和三年度の税収が上向くことが明らかになったときに、将来的な財政需要に備えるためにも財政調整基金の任意積立てをすべきであると、この委員会でも主張してきましたが、都は、義務積立てのみで対応してきました。
 任意積立てを行うことなく、ここまで残高が回復した要因としては何が挙げられるのか、見解を伺います。

○田中理事 コロナ対策を含めまして、各種施策の予算執行過程におきましては、一つ一つの事業について効果を最大限発揮させるとともに、経費の節減に取り組むなど、効率的な執行を各局に求めております。
 こうした予算の執行過程における歳出精査を徹底したことなどにより、当初予算及び補正予算編成時に予定していた財政調整基金の取崩し額を下回ることとなってございます。
 さらに、都税収入が増加したことによりまして、財政調整基金の義務積立てを行うなど、将来に向けた財政対応力の強化を図った結果、令和三年度決算時点での残高は七千二百七十二億円まで回復したものであります。

○中村委員 様々な要因があって残高が回復した財政調整基金ですが、この七千二百七十二億円という残高も、既に二定の補正、三定の補正で活用されており、現在の令和四年度残高見込額は四千八百七十一億円と、既に目減りをしているところです。
 財政調整基金については、令和元年度末に一兆円近くの残高があったことを考えると、その水準としては引き続き心もとないのではないでしょうか。
 長引くコロナ禍で財政調整基金が底をつきかけたとき、他の特定目的基金を安易に転用してよいとは思いませんので、既成の予算の執行見直し、徹底等での対応を求めてきました。真に必要な補正に絞るべきで、安易に取り崩してはならないとも思います。
 今後の財政調整基金の残高を確保していくため、どのような取組を行っていくのか、見解を伺います。

○田中理事 財政調整基金は、税収の減収局面や突発的な財政需要の発生などに対応するため、年度間の財政調整としての機能を果たすものでございます。
 都では、過去の景気変動に伴う税収低迷などの経験を踏まえまして、税収増が見込まれる場合などに、その一部の積立てを義務づける都独自の積立制度を設けまして、財政再建期以降、着実に積立てを行ってまいりました。
 こうして培ってきた財政調整基金は、東日本大震災後の緊急対策やコロナ対策において活用したほか、今回の補正予算でも有効に活用しているところでございます。
 今後とも、執行段階における歳出精査の徹底はもとより、都独自の積立てなどを通じて残高確保を図りまして、継続的な施策展開を支える財政基盤の堅持に努めてまいります。

○中村委員 さて、令和三年度もコロナ対策に明け暮れた一年となったわけですが、その対策のための財源が、都費から国庫支出金にシフトされたことが示されています。
 地方創生臨時交付金に協力要請推進枠が創設されたことで、多額の感染防止対策協力金の支払いに活用できたことで、都財政としては大きく痛まなかったようです。
 確かに、全国共通の感染症対策については、国がしっかりと役割を果たしていくべきですが、その財源の出どころを広く捉えると、都費であろうと国庫であろうと、都民、国民の税金を原資としていることに変わりはありません。
 そうした観点から、今後のコロナ対策を講じるに当たっては、実効性の高いものを継続し、低いものは確実に見直すことが重要で、無駄な取組に財源を投下すべきではありません。
 そうしたことを見極めるためにも、これまでも何度も主張してきたように、コロナ対策の検証が必要であると考えますし、第七波が落ち着いてきつつある今だからこそ、しっかりと検証すべきだと思います。
 この検証については、事業を所管する各局がしっかりやるべきですが、予算編成をつかさどる財務局として、今後のコロナ対策に向け、どのような姿勢で臨んでいくのか、見解を伺います。

○田中理事 コロナ対策に当たりましては、新たな変異株の発生など、日々刻々と変化する情勢に的確に対応するため、既に実施した対策の実績や感染状況等を総合的に勘案し、より実効性の高い対策となるよう、取組のブラッシュアップを図ってきたところでございます。
 例えば、今回の補正予算では、第七波相当の感染状況にも対応できるよう、宿泊療養施設や高齢者向け施設等の確保を行うとともに、オミクロン株の特性も踏まえ、自宅療養者への支援体制の強化を図っています。また、秋冬の季節性インフルエンザとの同時流行を見据え、インフルエンザワクチン接種に係る支援を行うなど、きめ細かな対策を実施してございます。
 引き続き、各局等と連携しながら、状況に即した効果的な対策を講じることで、感染終息に向けた取組を進めてまいります。

○中村委員 ぜひコロナ対策については、これまでの取組の検証を改めて求めていきたいと思います。
 令和五年度予算編成に向けた考え方の中で、事業執行の迅速化について触れられています。三定補正予算の中でも、債務負担行為を活用し、防災対策などを前倒すための予算が計上されています。
 債務負担行為は単年度主義の例外であり、財政規律の維持という面から乱発を避けるべきだという指摘もあります。
 そこで、事業執行迅速化に向け、債務負担行為を積極的活用することにより、都財政への影響をどのように考えているのか、見解を伺います。

○田中理事 債務負担行為は、会計年度独立の原則の例外として、複数年度にわたる契約や支出を可能とする制度でありまして、その限度額を後年度の負担額として予算書上明示することとされております。そのため、後年度の予算を拘束する側面があるものということは承知してございます。
 一方、債務負担行為を活用することで早期の事業着手が可能となり、施策の効果を速やかに都民へ還元することにつながると認識してございます。
 そのため、債務負担行為の活用に当たりましては、必要性や効果などを精査した上で積極的に活用することで、事業執行を迅速化させ、都政のQOSを向上させていくということとしてございます。

○中村委員 単年度主義にこだわり過ぎると年度の区切りが生じてしまい、継続的な事業執行ができないことは理解しますが、他方で、財政規律をしっかりと守るということも大事です。債務負担行為は、翌年度以降の財政を拘束することにもなります。シン・トセイに方針が定められてはいても、財政規律が崩壊しては都民に真に必要な取組が積極的に届けられなくなりますので、そうした面も配慮しながら進めてもらいたいと思います。
 先ほども述べたように、都財政は楽観できる状況ではありません。長く続いた政府の金融緩和策も出口戦略を見失い、極端な円安を招いてしまいました。それに伴う物価高は多くの都民を苦しめています。
 来年度の予算編成に向けての基本的な考え方の中で、今後の景気動向の不透明を踏まえると、都の財政環境の行く末を見通すことは困難な状況にあるとしています。しかし、困難だから見通さないのではなく、厳しい状況を前提とした財政見通しを立てていく必要があると考えます。
 令和元年度に公表した財政収支の長期推計を見直し、厳しい状況を覚悟しつつ、その対応をする予算編成を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○田中理事 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しに基づいた財政運営を行っていくため、都財政を取り巻く環境変化を見据え、令和元年度に今後の財政収支を推計したものでございます。
 推計に当たりましては、今後の生産年齢人口の減少や老年人口の増加などを踏まえた上で、経済成長率について、上位、中位、下位の三つのシナリオを設定いたしまして、収支ギャップの振れ幅を推計しているものでございます。
 今後とも、本推計の結果を踏まえつつ、社会情勢の変化等も注視しながら、計画的、戦略的な財政運営を行ってまいります。

○中村委員 これまで都財政の状況を見てまいりました。
 現時点では一定程度財政対応力を維持できているということですが、コロナ禍や物価高の状況を鑑みると、今後も積極的な財政出動を行わなければいけない状況が続くのだろうと思いますし、今回のような補正予算での対応が続くことが考えられます。それぞれの対策を検討し実行するのは各局となりますが、都財政をつかさどる財務局としては、これまでも指摘したように、安定的な都財政運営という観点から、財政規律という面もしっかりと目配りしていただきたいと思います。
 そうした考え方をベースにした上で、追加対策を講じる際には、真に必要な事業、私たちの会派としても、これは都民や事業者をしっかりと支える取組だと考えていますが、そうした取組に財源を配分してもらいたいと思います。
 今年度の予算委員会でも述べましたが、知事の目玉予算の中には執行率が上がらないものも多くあります。制度や政策と補助金のベストミックスで成果を上げるべきです。予算をつける段階でしっかりと検討して、成果を上げていただきたいと思います。
 そこでまた、気候変動対策も重要な取組ですので、都の財源を使うなというわけではありませんが、都民や事業者がコロナ禍、物価高騰に苦しんでいる状況を考えると、都民を支える取組に財源を重点配分すべきだと考えますが、財務局長の見解を伺います。

○吉村財務局長 二年半にわたりますコロナとの闘いや長引くウクライナ情勢などによります物価高騰に対しまして、都はこれまでも、迅速に予算措置を講じるなど、都民の安心・安全の確保と経済の回復に向け全力で対応してまいりました。
 今年度におきましても、当初予算における都民や事業者に対する支援策に加えまして、追加補正予算、六月補正予算、そして、今回の九月補正予算と、刻一刻と変化する状況に応じまして、必要な対策を時期を逸することなく講じているところでございます。
 今後も社会経済情勢の変化やさらなる支援の必要性などを見極めた上で、都民、事業者を支えるための施策を各局が機動的に実施できるよう、財政面から下支えしていく考えでございます。

○中村委員 都財政をつかさどる財務局として、しっかりとした財政運営に取り組んでいただきたいと思いますし、そうした強固な財政をバックボーンとして、苦しい生活を強いられている都民や事業者の方々に手を差し伸べるような施策を積極的に展開していただき、皆様が希望を持てるようにしていただくことを要望して、質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後二時四十六分散会

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