財政委員会速記録第八号

令和四年六月十日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長山加 朱美君
副委員長森口つかさ君
副委員長池川 友一君
理事伊藤しょうこう君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
吉住はるお君
たかく則男君
米川大二郎君
五十嵐えり君
三宅 正彦君
長橋 桂一君
石川 良一君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱山田 忠輝君
経理部長五十嵐 律君
財産運用部長小泉 雅裕君
運営・調整担当部長佐藤 直樹君
建築保全部長渡辺 正信君
主税局局長小池  潔君
総務部長上林山 隆君
税制部長丹羽恵玲奈君
税制調査担当部長小林 孝幸君
調整担当部長齋藤 栄一君
課税部長櫻井 幸枝君
資産税部長辻谷 久雄君
徴収部長原島 幸男君
特別滞納整理担当部長小野  誠君
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長磯貝  宏君
会計企画担当部長井村  琢君

本日の会議に付した事件
意見書について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・令和三年度公金管理実績(年間)
・令和四年度公金管理計画
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十六号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・諮問第一号 地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入
・第百五十六号議案 都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約
・第百五十七号議案 都立あきる野学園(四)増築及び改修工事請負契約
・第百五十八号議案 都営住宅三H-一一五西(村山)工事その二請負契約
・第百五十九号議案 都営住宅四H-一〇八西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
・第百六十号議案 新砂水門(再整備)(四)建設工事請負契約
・第百六十一号議案 呑川防潮堤耐震補強工事(その二百八)請負契約
・第百六十二号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百十一)その二請負契約
報告事項(質疑)
・都民の城(仮称)及び周辺都有地について

○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○山加委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査並びに会計管理局及び財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百五十六号議案から第百六十二号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、令和三年度公金管理実績(年間)外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 本委員会に報告のありました令和四年度公金管理計画に関連して幾つか質問を行います。
 本計画によりますと、令和四年度における公金全体の年間平均残高見込みは、昨年度より減少するとはいえ、四兆八千四百億円と巨額なものとなっております。
 都は、年間を通じて、これだけの資金を金融機関等への預け入れ等により管理をしていくわけであり、公金の管理は、社会経済情勢等に十分な目配りをしながら、基本的な考え方を示した上、着実に実施していくことが必要であります。
 そこでまず、令和四年度公金管理計画では、景気動向や金融情勢をいかに捉え、どのような考え方で策定されているのか伺います。

○有金管理部長 令和四年度の公金管理計画におきましては、景気動向について、昨年度に比べて持ち直してきてはいるものの、新型コロナウイルス感染の拡大やウクライナ情勢などの影響から、不透明感が増しているとしております。
 また、金融情勢につきましては、日銀の金融緩和方針の継続によりまして、国内金利は引き続き低い水準で推移していくことが想定をされ、多くの金融機関で新たな預金の受入れ回避傾向の継続が見込まれるものとしております。
 これらの経済金融環境を踏まえまして、様々なリスク要因が金融機関等の経営に与える影響につきましても注視していく必要性、こちらも示しております。
 こういった状況認識の下、今後の社会経済動向や金融情勢の先行きに特段の注意を払いつつ、迅速かつ的確なリスク対応を行いながら、安全性を最重要視し、流動性を十分に確保した上で、柔軟かつ効率的な保管、運用を目指すという考え方により策定をしたものでございます。

○森口委員 公金管理計画の基本的な考え方を確認いたしました。答弁にもありましたが、公金管理においては、安全性と流動性の確保を図っていくことが極めて重要であると考えます。
 公金管理計画では、流動性確保のため、日々の支払いに充てる資金である歳計現金等について収支想定を行い、運用方法等を定めていますが、社会経済情勢は刻々と変動しており、実際の保管、運用においては、計画策定後の状況変化に合わせた対応が必要となります。
 現状では、ウクライナ情勢、原材料費の高騰、新型コロナウイルス感染拡大など様々なリスク要因があり、それらへの対応のため、今後、収支が当初想定どおりとならない事態も生じるのではないかと考えられます。本定例会でも、対策事業の補正予算案が審議されているところであります。
 そこで、リスク要因等への対応が資金繰りに与える影響と、歳計現金等の流動性確保に向けた取組について伺います。

○有金管理部長 リスク要因の対応等、今回の補正予算案でいえば、支出面におきましては、ウクライナ危機を発端とする原油、原材料価格、物価高騰等の対策など、当初の計画を超えた支払いの発生が想定をされます。
 一方、収入面といたしましては、国からの国庫支出金等が見込まれますが、これは、対象となる事業経費の支出後に措置される可能性が高く、日々の資金繰りに影響を与えることとなります。
 そのため、歳計現金等の管理に当たりましては、各局と綿密な連携を行うことで、収支予定の迅速かつ正確な把握に努めてまいります。その上で、資金不足が見込まれる時期につきましては、基金からの一時的な繰替え運用にて支払い資金を手当てすることなどにより、流動性を確保してまいります。

○森口委員 都では、公金管理計画において、想定されていない状況に直面したとしても、歳計現金等が不足する事態とならないよう対応をしていることが確認できました。
 今後とも、必要な支払いが滞るような事態を招かぬよう、流動性の確保について万全を期していただくようお願いをいたします。
 一方、公金管理計画の基本的考え方において、最重要視するとされている安全性確保についても、いかなる経済動向、金融情勢の変化があったとしても、揺るぎないものとしていかなければなりません。
 先ほどの答弁では、ウクライナ情勢などリスク要因が金融機関等の経営に与える影響を注視する必要性について言及がありましたが、都では、経済金融環境の急激な変化など、預金先金融機関が受ける影響をどのように把握し対応していくのか、最後に伺います。

○有金管理部長 日々変化する経済金融環境がもたらす金融機関への影響につきましては、多角的視点から経営状況等を的確に把握し、適切な対応を行っていくことが極めて重要でございます。
 そのため、都では、預金先金融機関につきまして、決算期ごとに行う財務分析に加え、日常的に世界の経済動向や金融情勢、金融機関の社債利回りや株価などの監視や分析、これを行っております。
 これらの取組を通じまして、万一、預金先金融機関の健全性に著しい低下のおそれがあると判断した場合には、東京都公金管理アドバイザリー会議委員など専門家の意見も聞きながら、運用金額や期間の上限変更や新規預金の停止等の措置を迅速に行うこととしており、公金の安全性確保に万全を期しております。

○森口委員 公金は、税金など都民の皆様から一時的にお預かりした資金であり、都のサービス提供のための大切な原資となるものであります。
 経済動向、金融環境の不確実性は高まっており、リスク管理についても、対応が複雑化、困難化していると思いますが、引き続き万全の体制を取っていただき、万が一でも公金を毀損することがないようお願いをして、私からの質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○山加委員長 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十六号議案及び諮問第一号、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○丹羽税制部長 去る五月二十六日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の財政委員会要求資料の表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は一件でございます。
 東京都都税条例の改正(令和四年三月専決処分)に伴う影響でございますが、この表は、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき、三月に知事が専決処分いたしました東京都都税条例の改正について、対象事業者数と影響額をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米川委員 私からは、諮問第一号、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づきます審査請求に関する諮問について伺います。
 まず初めに、審査請求の理由によりますと、審査請求人は、懲戒処分となっており、現在、東京地裁で係争中とのことですが、この処分が取り消された場合、今回の諮問の審査にも関係があると考えております。
 そこで、そもそもこの審査請求人が懲戒免職処分になった理由について伺います。

○上林山総務部長 審査請求人は、令和元年九月に上司の足を蹴り、傷害を負わせるとともに、上司に対して繰り返し暴言を吐き、特定の職員を誹謗中傷するメールを局内外の職員に送信するなどして、職場の秩序を著しく乱しました。
 さらに、度重なる上司からの業務上の指導に従わず、与えられた業務を行わなかったこと等により、地方公務員法に基づき懲戒免職となったものでございます。

○米川委員 諮問の経緯によると、都は、令和二年八月に請求した返納金額を令和三年三月に変更しております。
 その理由や考えを伺います。

○上林山総務部長 審査請求人は、逮捕されました三月十一日から三月十九日までの休暇申請書を提出しておりますが、年休の申請が事後であったため、私事欠勤として取り扱い、三月十一日から三月三十一日までの支給済みの給与について返納を求めたものでございます。
 その後、請求人の代理人弁護士からの通知を受けて、その取扱いを、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則に基づき再検討した結果、請求人の意思としては、年休申請の終期を勾留期間の終期と考えていたと判断し、三月二十五日から三月二十七日までの年休申請を承認することとしたため、改めて返納金額を再計算したものでございます。

○米川委員 職場内の非違行為で懲戒免職処分となっておりますが、懲戒処分までの間、職場ではどのような指導を行ってきたのか伺います。

○上林山総務部長 審査請求人に対しましては、上司を蹴って傷害を負わせたことに関し、八王子都税事務所長から指導を行い、上司に対する暴言や特定の職員に対する誹謗中傷のメールの送付、さらには、業務上の指導に従わない等の行為がある都度、速やかに所属課長もしくは八王子都税事務所長から厳正に指導を行っておりました。

○米川委員 令和元年九月に職場内で非違行為があり、その後も勤務態度が悪い状況が続いていましたが、懲戒処分まで半年近くかかっております。この間、上司による指導も行われてきましたが、地方公務員法上の分限処分も行われていません。
 特に懲戒処分についてなんですが、私は平成十年から三年ほど、総務局の人事部人事課服務班で、この懲戒分限審査委員会の事務局の仕事もしておりました。当時よくいわれていたのは、事故があってから、できるだけ速やかに処分をするようにという考えがあったのですが、今回、主税局だけではなく、総務局のコンプライアンス部や人事部による制度の適用が、いろいろと課題があったのか、それによって時間がかかってしまったのかと考えております。
 このことによりまして、令和元年十二月の期末勤勉手当、そして、毎月の給料も支払われております。都民の信頼を失うことになると考えております。
 また、この元職員と同じ職場の職員の立場になってみて考えますと、物すごいストレスや、業務を行うことがとても困難を極めていたと考えております。さらには、都庁職員は、この程度でも給料がもらえるのかな、そんな考えの都庁職員が出てこないかと危惧をしております。
 平成三十年三月の予算特別委員会でも私は質疑しましたが、指導を繰り返しても勤務実績が著しく悪い状況が続く場合には特別指導を行い、それでも改善されなければ、分限処分を行うこともあるとして、総務局長が答弁されました。既に東京都には、分限処分、これを行う仕組みがつくられております。今回のように、あまりにも時間がかかるため様々な弊害が生まれていることがよく分かりました。
 ぜひ、この件を基に、総務局のコンプライアンス部、人事部とともに、同じようなことが起こった際には、素早い対応ができるよう取り組むことを主税局には強く求めておきます。
 また、今回の諮問については、見解に問題はないと考えますので、しっかりと元職員からお金は徴収するよう、よろしくお願いいたします。
 以上で質疑を終わります。

○米倉委員 私からは、専決処分された都税条例の一部改正について伺います。
 条例改正の内容の一つは、ガス供給業の法人事業税について課税方式の見直しを行い、税率を改めるものです。
 まず初めに、ガス供給業に関わる税制改正の趣旨と概要を伺います。

○丹羽税制部長 ガス供給業につきましては、小売全面自由化や、導管部門を分社化する法的分離の制度改正がなされたこと等を踏まえ、製造、小売事業に係る法人事業税の課税方式が見直されました。
 具体的には、導管部門の法的分離の対象となる法人等について、改正前は収入割のみ課していたところ、その四割を見直し、付加価値割及び資本割を組み入れ、それ以外の法人について、一般の事業と同様の課税方式としたものでございます。

○米倉委員 これまでは収入割だったものを、今後、六割は収入割、残りの四割を付加価値割と資本割とするということです。
 資料を作っていただきました。ありがとうございます。
 この資料を見ますと、対象となるのは五社で、東京都への影響額は十二億円の減収となる見込みだということです。
 この東京都における十二億円の減収ですが、対象企業は五社ということです。金額としては、ほとんど東京ガスということでよろしいですか。

○丹羽税制部長 個別の法人の納税額については、お答えすることができません。

○米倉委員 ほとんどかどうかということで、ですから伺ったわけです。
 減税対象となる五つの企業ですが、今、お答えなかったんですが、東京で事業を展開している規模からしまして、東京ガスが圧倒的なわけです。法人事業税額も、ほとんどの部分を東京ガスが占めているということは明らかです。つまり、東京ガス一社に大きな減税をしてあげるのが実際のところだと思います。
 国は、今回の税制改正により、都道府県税が八十一億円減収になると見込んでいますが、影響額の七分の一は都が占めるということなので、とても大きいと思います。
 国は、地方交付税で減収分に対応するとしていますが、都は対象になりますか。

○丹羽税制部長 地方交付税のうち普通交付税は、基準財政需要額から基準財政収入額を控除した財源不足額を基準に算定されます。
 一般的に、税制改正による減収が生じた場合、交付団体においては、基準財政収入額が減少し、地方交付税の額が増加するため、減収分の一部が実質的に補填されることとなります。
 東京都は不交付団体であるため、地方交付税により補填されることはありません。

○米倉委員 交付団体は減収分の補填があるけれど、東京都は不交付団体であるため、地方交付税の補填はないということです。十二億円の減収は、丸々東京都の減収につながるということです。
 地方財政審議会は、今回の税制の改定ですが、これについてどういう意見を出していますか。

○丹羽税制部長 令和四年度税制改正等に関する地方財政審議会意見におきましては、近年、電気、ガス供給業に関する制度が大きく変わり、小売の自由化が進んでいる状況であっても、料金や事業規模、特に大手の電気、ガス供給業の地域的な独占の状況には大きな変化はないとした上で、ガス供給業に関して、外形標準課税である収入金額課税を堅持し、地方税収を安定的に確保すべきであるとしております。

○米倉委員 地方財政審議会は、これまでの収入金額課税を堅持して、地方税収を安定的に確保すべきだということです。
 実は、全国知事会も同様の立場を表明しています。全国知事会は、令和四年度税財政等に関する提案で、法人事業税におけるガス供給業の収入金額課税制度の堅持を提案しています。
 この提案では、地方税収の安定化にも大きく貢献していることを指摘し、収入金額で課税されるのは、経営基盤が安定している大法人が中心であることから、自由化によって直ちに経営状況には大きな影響を及ぼすとは考えにくく、これらの大法人は、地元自治体から多大な行政サービスを受益している状況は変わらない状況を踏まえれば、大法人に係る収入金額課税制度を堅持し、地方税収を安定的に確保することと述べています。
 確認したいのですが、東京都も当然同じ立場だったんですよね。

○丹羽税制部長 東京都も全国知事会に入っておりますので、この件のガス供給業に関する地方税収を安定的に確保すべきであるという提言については賛成をしております。

○米倉委員 質疑で分かったことは、今回専決処分された都税条例の一部改正で、ガス供給業への課税を見直すことは、全国知事会も、東京都も含めてですけれども、そして、地方財政審議会も、課税の見直しはしないよう反対していたということです。
 都税においては、ほとんど東京ガス一社のために十二億円の減税をするものとなっているということ、そして、東京都には国からの減税分の補填はなく、そのまま都税の減収につながるということが分かりました。
 そもそも、今回の税制改正は、経団連が、ガス事業の自由化による公平な競争環境を理由にして、収入割から外形標準課税の導入を求めてきた中で行われるということで、大手ガス会社への減税でしかないという状況です。
 この間、国は、大企業減税を進めるために、外形標準課税を拡大し、中堅企業に増税をしてきました。外形標準課税は、赤字であっても課税をされるという仕組みです。今回の改正を契機として、外形標準課税へ全面移行をするということも懸念されています。
 アベノミクスで、大企業は法人税減税が進められてきました。その結果、百三十兆円もの内部留保が新たにため込まれました。東京ガスも一兆円の内部留保があるとされています。
 こうした体力のある大企業にさらなる減税となる都税条例の改正は到底認められるものではなく、専決処分は承認できないと表明をして、質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○山加委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入及び第百五十六号議案から第百六十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○五十嵐経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をご覧ください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況です。
 こちらは、各種基金の六月補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
 説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米川委員 それでは、補正予算について伺います。
 我が会派はこれまで、幾度にもわたる緊急要望を行い、引き続くコロナとの闘いに加えて、ロシアのウクライナ侵攻を発端とする原油価格や物価高騰に苦しむ都民や事業者への支援策を早急に講じるとともに、電力需給の逼迫を契機とした省エネ、再エネ対策を加速するよう様々な対策の具体化を求めてきました。また、ウクライナ避難民の皆様と直接意見交換を行い、生活に困っている生の声を小池都知事へ直接届けるなど、具体的な支援策を提言してきました。
 先日、我が会派の代表質問に対し、小池都知事から、今回の補正予算に盛り込んだ対策について答弁があったところですが、本日の委員会では、それを補足する観点から質問いたします。
 今回の補正予算には、都民や事業者への支援や電力需給の逼迫への対応、ウクライナ避難民への支援など、多岐にわたる施策が盛り込まれていますが、その結果、総額四千二百八十三億円と、感染拡大防止協力金を計上していないにもかかわらず、ここ最近のコロナ禍での補正予算と比べ、規模が大きくなっております。
 昨今の厳しい情勢が、都民や事業者へ与える影響の大きさを考えると、対策も大規模にならざるを得ないと思いますが、今後の都財政を考える意味で、財源確保の観点は重要と思っております。
 そこで、改めて、今回の補正予算を編成した目的と、財源充当の考え方について見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、ウクライナ危機を発端とする物価高騰や電力需給の逼迫などの影響から都民や事業者を守るための経費等といたしまして七百二十三億円を、また、新型コロナウイルス感染症に対する万全の備えを講じるために、おおむね四か月分の予算といたしまして、三千五百五十九億円を計上し、総額四千二百八十三億円となる補正予算を編成したところでございます。
 今回の補正予算における財源充当の考え方といたしましては、まずは国庫支出金の確保に努めた上で、都独自の対策を実施していくための財源などとして、基金の有効活用を図っております。
 具体的には、国から交付される地方創生臨時交付金を活用いたしまして、区市町村と連携した生活応援事業や中小企業制度融資の拡充を行うなど、都民生活や東京の経済を守るための対策を積極的に講じております。
 また、コロナへの対応といたしまして、緊急包括支援交付金を活用し、医療提供体制の確保などに取り組んでいるところでございます。
 その上で、都の財源であります財政調整基金につきましては、影響を受ける事業者に対する重点的な支援や、都民生活を支えるためのきめ細かな取組、さらなる省エネ、再エネに向けた取組などに積極的に活用しているところでございます。

○米川委員 国庫支出金の確保だけではなく、これまで培ってきた財政対応力を生かすことで、我が会派が要望していた取組を盛り込んだ補正予算となったことを評価しております。
 一方で、都税収入は回復傾向にあるものの、これまでの歴史を振り返りますと、都は、バブル期を経て、平成十年度決算に過去最大の実質収支赤字を計上し、財政再建団体転落の危機に直面するなど、厳しい財政状況を経験してきました。私も当時、都の職員として、職員の給与カット等も経験しております。
 また、常に都財政について思うのは、私は、平成四年の採用試験で合格したんですが、そのときの秋に、内定予定者の交流会というのがありました。総務局の人事部が主催、二泊三日、大型客船を借り切ってというのがあったんですね。その後、私、人事部の庶務担当になったときに、その当時幾らかかったのかなと思うと、ここではちょっといえないんですけど、わあ、こんな額がかかって、もう民間ではバブル崩壊で厳しいというときにもかかわらず、東京都というのはこんな予算を使うのかなというのが、すごく当時の印象に残っていまして、今でも、何が起こるか分からないということで、常に厳しく厳しく皆さん方にいろんな質問をしているところでございます。
 そして、財務局としては、財政を取り巻く状況が、このようにどのような場合にあっても、各局の予算要求に盛り込まれている一つ一つの事業について、常に、僕は無駄という観点よりも、見直すべき点はないかといった意識を持って、財政運営に当たっていくべきと考えております。
 さらに、ロシアによるウクライナ侵攻は終息の様子を見られず、この先も都として対応が必要な状況も危惧されております。
 また、東京も、既に梅雨に入りましたが、気候変動に伴う豪雨の増加や台風の大型化、首都直下地震など、いつ起こるかもしれない不測の事態が発生することも考えなくてはなりません。
 不測の事態に時期を逸することなく対策を講じるため、その裏づけとなる財源が不可欠であり、しっかりと備えていくことが重要です。
 そこで、今回のウクライナ情勢をはじめ、自然災害などの不測の事態にもしっかりと対応していくため、今後どのような財政運営を行っていくのか、局長に見解を伺います。

○吉村財務局長 今回の補正予算におきましては、刻一刻と変化する社会情勢を踏まえまして、国庫支出金や基金を活用しながら、機動的かつ積極的に対策を講じたところでございます。
 感染症への備えはもとより、お話にありましたように、ウクライナ情勢の長期化や激甚化する自然災害など、都政を取り巻く環境の変化に対し、迅速かつ的確に対応を講じつつ、東京の未来を切り開く施策を継続的に実施していくためには、その裏づけとなる財政基盤の確保が不可欠でございます。
 こうした考えの下、予算の執行段階における歳出の精査を徹底するとともに、予算編成過程におきましても、評価制度を駆使して、事業の効率性、実効性を高め、施策の新陳代謝を一層促進してまいります。
 また、税収の減少や突発的な財政需要の発生に備えまして、基金残高の確保、また、都債の発行抑制など、財政の対応力の強化にも努めてまいります。
 こうした努力を積み重ね、機動的かつ積極的な施策展開を財政面から下支えしてまいります。

○米川委員 この先も、都財政のかじ取りに当たっては、ワイズスペンディングの観点から、不断の見直しに努めるとともに、財政対応力を強化し、持続可能な財政運営の実現に向けて取り組み続けることを求め、質問を終わります。

○池川委員 私からも、補正予算について伺います。
 深刻な物価高騰から都民の暮らしと営業を守り抜くことは、緊急課題だと考えます。東京都区部の消費者物価指数は、五月の速報値で、前年同月比で、生鮮野菜、魚介ともに一五%、電気代が二三%、ガス代が二五%も上昇しております。
 先日、中学生から話を聞きました。少し前まではお菓子を何とか買うことができたけれど、日常生活に必要なものの値段が高くなったことで、お菓子を買うことを諦めなきゃいけなくなったと、こういう話でした。
 貧困と格差が拡大する中で、困窮している人たちほどインパクトが大きいことは明らかだと思います。
 そこで伺いたいと思います。
 コロナ禍に加え、広範囲に及ぶ物価高騰が、暮らしや営業に影響を与えていると、どのように認識しているのか伺います。

○山田理事 感染症の影響による厳しい状況が続く中、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行に伴いまして物価の高騰が続くなど、都民生活や東京の経済への影響の拡大が懸念されていると思っております。
 こうした状況を踏まえまして、今回、東京の経済、都民生活を守る取組などを実施するために、総額四千二百八十三億円となる補正予算を編成したところでございます。

○池川委員 影響の拡大が懸念されると、私、このコロナの下で長期化していることによる影響は本当に大きいと思います。そして、そういう認識があるならば、やはりもっと大胆な予算編成をしてもらいたかったなというのも思いがあります。
 さきの代表質問では、知事が提出した補正予算案は、大事な前進もありますが、深刻な実態に照らせば、暮らしと営業の支援も、コロナ対策も、極めて不十分だと我が党の代表質問で述べて、何が必要かということを具体的に提案もさせていただきました。やはり直接支援を行っていくことが今必要だということを改めて強調しておきたいと思います。
 物価高で暮らしが深刻な事態になっているのは、賃金が上がらず、年金が貧しく、教育費が高いことがあると思います。さらには、消費税の連続増税で、家計と景気が大きく傷んできたことが、この根底にはあると。先ほどの答弁の中でも、円安の進行について言及がありましたが、アベノミクスにより異次元の金融緩和がこの大きな引き金となっていることは明らかだというふうに思います。
 こうした政策から、やっぱり転換することが求められているということも併せて申し上げておきたいと思います。
 補正予算の財源構成について伺います。
 今回の補正予算は、原油、原材料価格、物価高騰等と、新型コロナウイルス感染症対策というふうになっていますが、それぞれ国庫支出金と財政調整基金繰入金の内訳についてお伺いします。

○山田理事 今回の補正予算では、原油、原材料価格、物価高騰等対策の財源といたしまして、国庫支出金を三百七十六億円、財政調整基金繰入金を三百四十七億円充当しております。
 また、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国庫支出金を二千七百八十九億円、財政調整基金繰入金を七百七十三億円充当しているところでございます。

○池川委員 国庫支出金のうち、地方創生臨時交付金は新しいメニューも加わっております。例えば、学校給食費について、都立特別支援学校では、一食当たり三百九十円のうち、主食分を価格上昇分として三・五円、平均すると、今回計上していると。しかし、これはあまりにも小さ過ぎるんじゃないかと思うわけです。主食だけでなく、野菜も果物も魚介類なども値上がりをしていると。特にあの万能野菜であるタマネギなどは、天候不順などの影響もあり、この間、二倍になっているなど驚くような価格になっているものも散見されます。
 地方創生臨時交付金を使って、学校給食費の価格上昇を抑えるために活用している区市町村もあります。例えば、私の地元町田市では、食材費の七%分、これで何とか価格上昇分を抑えようじゃないかとやっていますが、東京都の三・五円というのは一%、あまりにも少ないんじゃないかなと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、このそれぞれの事業は、各局が直接は対応するということになると思うんですけど、財務局として、この地方創生臨時交付金の使い道についてはどのような検討を行ったんでしょうか。

○山田理事 国は、本年四月に、原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定いたしまして、その中で地方創生臨時交付金の新たな枠を創設しております。
 今回の補正予算におきましては、地方創生臨時交付金につきましては、国が示した交付限度額や交付対象事業も踏まえまして、東京都生活応援事業や中小企業制度融資の拡充といった都民生活や東京の経済を守るための対策などを積極的に行うための財源として有効に活用しているところでございます。

○池川委員 有効に活用したということですが、やはり手当が必要なところに十分行き届いているのかなというふうには思うわけです。同時に、交付金の枠自体はいっぱいに使ったというふうに聞いていますので、足らざるところは財政調整基金も活用して対応していく、さらには、国に働きかけて、国にちゃんと役割を果たしてもらうことも必要だと思います。
 コロナ禍の補正予算編成の中では、財政調整基金で充当していた事業に対して、国庫支出金が充てられる場合は、その次の補正予算で財源更正を行うなど、対応してきたと伺っています。今回でいえば、ウクライナ情勢対応緊急融資などは、一定の追加補正でやったものを、国庫支出金の対象となって財調に戻すなどの対応も行ったということでありました。
 財政調整基金を活用した分のうち、今後、国庫支出金、国費が入ってくる可能性があるものについて、現時点でどういうふうに考えているか伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、国から通知されました地方創生臨時交付金など、現時点で可能な限り国庫支出金を充当しております。
 今後、国による追加の財政支援が行われるかにつきましては、現時点では確たることは申し上げられませんが、東京の経済と都民生活を守るために、引き続き、国への要望などを通じまして国庫支出金の確保に努めるとともに、基金や都債を戦略的に活用しながら必要な対策を着実に実行してまいりたいと思います。

○池川委員 都民の命と暮らし、営業を守ることが、都政の最も大事な仕事だと考えます。
 東京都の財政力も発揮するとともに、国に対して、きちんと財源を確保するよう求める、そのことによって、命と暮らしを守るための取組を重ねて求めて、質問を終わりたいと思います。

○中村委員 それでは、最初に、補正予算案について質問します。
 今年度が始まってまだ二か月余りしかたっていませんが、早くも今回の第二回定例会での補正予算の編成となりました。
 今年の第一回定例会の財政委員会でも質問しましたが、補正予算は、地方自治法において、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加や変更を加える必要が生じた場合に編成できることとされており、都においても、この規定に基づき対応しているとの答弁がありました。
 今回の補正予算の柱立てを見てみると、新型コロナウイルス感染症対策は、感染状況が予測を立てにくいため、感染状況に応じた医療資源の確保のために、定例会ごとに補正予算を組むのは必要なことだと思います。
 また、ウクライナ情勢による原油、原材料価格、物価高騰等対策は、これは、あってはならないロシアのウクライナ侵攻が原因となっているため、当然予測ができず、中小企業や都民生活への緊急での支援策は必要です。
 しかし、この原油、原材料価格、物価高騰等対策の項目の中に、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組が含まれているのは違和感があります。
 省エネ、再エネの推進は当然必要なことですが、当初予算において環境施策は大幅に強化されており、今年度の既定の予算に変化や変更を加える必要があるのか、必要があるなら当初予算に入れるべきではなかったのかと疑問が残ります。
 また、必要だとしても、確かに、原油価格高騰と省エネ、再エネの関連はあるかもしれませんが、気候変動への喫緊の対策として別の柱立てで打ち出して、都民に明確に示すべき項目ではなかったでしょうか。
 そこで、今回の省エネ、再エネ等に向けた取組を補正予算で対応しなければならなかった理由と、原油、原材料価格、物価高騰等対策の一環として取り組むとした考え方について見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、ウクライナ危機を発端とする原油価格や物価の高騰に加えまして、電力の需給の逼迫など都政を取り巻く状況を踏まえ、東京の経済と都民生活を守る取組や、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組を実施するために編成したものでございます。
 このうち、省エネ、再エネ等に向けた取組につきましては、昨今の深刻化するエネルギー危機を克服するために、電力を減らす、つくる、ためるの観点から、事業部門、家庭部門の両面において、当初予算から一歩踏み込んだ対策を講じることとしたものでございます。
 補正予算に盛り込んだ施策を当初予算に計上した対策と一体的に実施することで、省エネ、再エネの推進と脱炭素社会の実現に向けた取組を一層加速させていきたいと思います。

○中村委員 繰り返しになりますが、省エネ、再エネの取組は極めて重要だと思っています。
 以前、昨年の第四回定例会での補正予算の際に、脱炭素の取組が計上された際にも、原油高などにかかわらず取り組むべき事項であり、抱き合わせにすべきではないと指摘をさせていただきました。ただ、新型コロナウイルスの感染が始まってから二年、繰り返し補正予算が編成され、異常な状況に慣れてしまってはいないのかということです。
 当初予算でしっかりと財政フレームの中でも議論することが重要です。原則はきちんと踏まえた上で行うとともに、都民に誤解のないような打ち出し方をしていただきたいと思います。
 さて、コロナの長期化やウクライナ危機により、立場の弱い方々がさらに厳しい立場に追い込まれており、対策を講じていくためには、そのような方々に手を差し伸べるような、誰一人取り残さない視点が重要だと考えます。
 その観点からこの補正予算を見てみると、経済対策や都民生活を守る取組への配分が少ないのではないかと感じます。総額四千二百八十三億円の予算のうち、新型コロナ対策が三千五百五十九億円と大半を占め、残り七百二十三億円のうちの省エネ、再エネが二百九十一億円で、経済対策は二百八十四億円、都民生活の支援は百四十八億円となっています。
 同様に財源配分を見ても、財政調整基金を千百二十億円取り崩していますが、そのうち省エネ、再エネの取組については、二百六十四億円を活用する一方、都民生活を守る取組は九億円にとどまっています。
 より立場の弱い方々を支援する取組に財源を配分すべきと考えますが、見解を伺います。

○山田理事 今回の補正予算では、生活必需品や光熱水費など物価高騰の影響を踏まえ、都民の生活への支援を充実するとともに、雇用情勢の悪化も見据え、就労支援を拡充しております。
 具体的には、キャッシュレスによるポイント還元などの取組を行う区市町村への支援や、都立学校における給食費支援、ひとり親の就業の支援、求職者に対する短期集中型の資格取得訓練など、都民生活を守るための取組を幅広く盛り込んでおります。
 これらの財源には、財政調整基金に加えまして、物価高騰の影響を受けた生活者等の負担軽減に向け、新たに措置された国の地方創生臨時交付金を活用し、積極的に事業化を図っているところでございます。
 今後とも、都民が安心して暮らせる社会の実現に向け、必要な施策に的確に財源を振り向けてまいりたいと思います。

○中村委員 今回の定例会は、物価高から都民の生活を守るのが最大の論点だと思います。
 こうした状況は、必ずしもウクライナ情勢だけによるものではなく、政府による大幅な金融緩和策と雇用の非正規雇用化により、物価だけが上がり賃金が上がらないという悪循環に陥ってしまったことにもよるものです。もとより、政治がつくり出してきた格差や貧困等、立場が厳しいところに、より一層しわ寄せが行っています。都政においても、さらに都民に寄り添った施策が必要になります。
 今後も、変化に対応した迅速な対応を求めて、質問を終わります。

○五十嵐委員 私からも、補正予算編成の考え方について質問をしたいと思います。
 二〇二〇年よりコロナ感染症が流行し始めて、東京都はこれまでに、四十一回、五兆八千百九十九億円を超える補正予算を編成してきました。コロナ前にはここまで頻繁に補正予算を組んでいない。例えば過去五年遡っても、年平均三、四回程度でございますので、財政当局としても異例の対応となっているものと考えられます。
 その上で、今回の補正予算編成で疑問に思える点もございます。例えば、今回事業化されている育休取得によるパワーアップ応援事業でございますけれども、育児・介護休業法の改正を契機にして構築されたとあり、この法律の改正は昨年度の六月です。今年の四月一日以降、段階的に施行されるものですけれども、今回の事業は、そのうちの今年の十月一日に施行される育児休業の分割取得を見据えた支援事業だと思いますけれども、この改正内容は既に昨年度の六月に決まっていたものでございます。なぜこの補正予算のタイミングだったのかというところがちょっと疑問に思います。
 もちろん、育児休業取得というのを柔軟に行うという取組自体を否定するものではございませんし、個々の事業の内容については各常任委員会で審議されていると思いますけれども、計上されている事業が補正予算の編成として適切だったのかどうか、その予算を調製する立場にある財務局として、補正予算編成に対してどのようなプロセスを踏んできたのか、確認していきたいと思います。
 そこでまず、今回の補正予算編成のプロセスについて確認をしたいと思います。
 五月二十四日の補正予算の発表に至るまでの編成の日程についてお伺いいたします。

○山田理事 今回の補正予算につきましては、ウクライナ危機を発端とする物価高騰の影響や新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえまして、必要な対策を迅速に実施するため、四月二十二日に知事より補正予算編成の指示を受け、五月二日に各局からの要求を受けたところでございます。
 また、四月二十六日に国が原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定したことを踏まえまして、都として実施することが必要となった事業につきまして、五月十一日に追加の要求を受けております。
 その後、財務局による予算の調製を経まして、五月二十三日に知事査定を行い、翌二十四日に補正予算案の発表を行ったところでございます。

○五十嵐委員 補正予算編成のスケジュールは、当初予算に比べて非常にタイトなスケジュールで行われているようでございます。
 当初予算の編成では、予算編成プロセスの一環として政策評価や事業評価を実施するなど、事業の必要性を財務局として評価しています。
 一方で、先ほど事例に挙げた事業一つ取ってみても、当初予算ではなく補正予算に計上することで、その手続が省かれてしまって、補正予算の目的と合致しているかなど、妥当性の検証や財務局としての査定が緩くなってしまっているのではないでしょうか。
 そこで、補正予算編成において、今回の補正予算において、財務局として予算の妥当性を担保するために、局の要求に対して具体的にどのような調製を行ったのか、ご見解を伺います。

○山田理事 予算の編成におきましては、一つ一つの事業について各局と議論を重ね、社会的要請や事業の必要性はもとより、有効性や費用対効果など様々な角度から分析と検証を行い、必要な予算を計上しております。
 今般の補正予算におきましても同様の姿勢で編成に臨んでおりまして、当初予算議決後の社会経済情勢の変化や国の総合緊急対策の内容を勘案し、見積りの妥当性等の観点から経費の精査を行うとともに、必要性を見極めた上で新たな事業に係る予算を計上するなど、所要の調製を図ったところでございます。

○五十嵐委員 我々都議会立憲民主党も、長期化するコロナ禍と厳しい経済情勢の対策として、補正予算編成を含めたもろもろ対応を要望してまいりましたけれども、さきの代表質問でも指摘いたしましたように、生活危機に瀕する都民の方々に十分に寄り添った内容といえるのか、疑わしいと思います。
 補正予算を編成する大きな目的があり、それに関連する事業を予算化するに当たっては、その妥当性をしっかりと財務局として検証するとともに、その検証を通じて、立場の弱い都民の方々にしっかりと寄り添える事業にこそ財源の配分をしていくことを求めて、私の質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○山加委員長 次に、報告事項、都民の城(仮称)及び周辺都有地についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 私は、旧こどもの城跡地について伺います。
 このたび、都では、神宮前五丁目地区まちづくり検討会の設置に伴い、仮称都民の城改修基本計画の実施を見送ることを表明されました。
 旧こどもの城の土地建物の利用については、都の対応が二転三転しているといわざるを得ません。
 そこで、まず初めに、このことに至るまでの経緯を振り返りながら、幾つかお伺いしたいと思います。
 平成二十七年にこどもの城が閉館し、平成二十八年度当初予算において、当時は舛添知事の下、仮称首都災害医療センター整備のため、国有財産取得費三百七十億円が計上されました。
 同年八月に小池知事が新たに就任し、同年同月の三十一日に第一回目の首都災害医療センター基本構想検討委員会が設置、開催され、その後、翌年平成二十九年の七月二十四日まで、計八回委員会が開催され、同日に委員長試案が出されました。同年九月には、広尾病院を現在地で建て替え整備するとした基本構想案が発表され、議会で審議され、議決された首都災害医療センター案が事実上消滅しました。
 しかし、財務局としては、旧こどもの城の立地条件がよく、将来の都の施策実現にも資する都心に残された重要な土地ということで、用地取得に向けて、公共的な用途での活用について改めて検討を進める必要があると判断し、平成二十九年八月に、財務局が国有地を所管する内閣府や関東財務局に出向いて、病院用地としての取得を断念した経緯などの説明を行うとともに、改めて国有地を取得するとした場合の手続などについて確認を行ったということです。
 そして、約一年半後の平成三十一年二月に、旧こどもの城活用の基本的考え方を委員会に報告し、平成三十一年度当初予算に国有地取得に要する経費を計上し、同年九月に、旧こどもの城の土地建物を五百二十五億円で取得したという流れです。
 ここでまず大きな問題となったのが、平成二十八年時点では三百七十億円だったものが、令和元年には五百二十五億円と、約三年間で百五十五億円値上がりしてしまったということです。
 これは、土地の評価額が上昇したことが大きな理由だと思われますが、このことについては、財務局としては当初から想定していたことなのか、また、場合によっては土地の取得を諦めるという選択肢もあったと思いますが、そのような議論、検討はなされたのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 まず、地価につきましては、財務局が毎年公表してございます基準地価格の動向により、上昇傾向にあったことについては把握をしてございました。
 用地の取得に当たりましては、売買契約時における適正な時価によることとしておりまして、旧こどもの城の土地建物等においても同様の考え方により取得したところでございます。
 本敷地は、青山通りに面し、周囲の都有地との一体的な活用により都の様々な施策実現にも資する可能性を有した土地であることから、これを取得することは東京の未来にとって重要な意味を持つとの結論に至り、令和元年九月に取得したものでございます。

○吉住委員 用地取得について適正な時価というのは、改めておっしゃるまでもなく当然なことだと思います。
 令和元年の財政委員会で、当時の財務局長は、国有地の取得に当たっては、きちんと目的を持ってお願いをしない限り国とは随意契約できない、そういう制約があり、そうした使い方をどう考えていくのかというのを一年程度かけて私どもで検討し、それをもって、財産運用部から主計部の方へ予算要求もし、平成三十一年度当初予算で購入するというスケジュールを立てて、平成二十九年九月から動いてまいりましたので、そういう意味では、そのスケジュールどおり、私どもとしてはスケジュールに沿った形で検討を進めてきたつもりだと答弁されています。
 地価が上昇傾向にあると把握していたのにもかかわらず、なぜ一年以上もかけて検討する必要があったのか。また、当初の首都災害医療センター案が消滅するまでの一年間というのは検討会の議事録などで一定の経緯が分かりますが、その後の旧こどもの城活用の基本的考え方が出されるまでの一年半は、どのような検討がなされ、なぜこんなにも時間がかかってしまったのか、都民には分かりづらいようにも感じます。
 改めて、その辺の経緯についてご説明ください。

○佐藤運営・調整担当部長 平成二十九年九月に広尾病院を現地建て替えするとの方針が示された後、庁内関係各局の意向を確認し、活用ニーズのある事業内容等について調整を重ねてまいりました。改めて公共的な用途での活用可能性について検討するとともに、地元区への情報共有や国への確認なども行ってまいりました。
 これらを経て、平成三十一年二月に旧こどもの城活用の基本的考え方を取りまとめたものでございます。

○吉住委員 平成三十一年に出された旧こどもの城活用の基本的考え方では、旧こどもの城の土地建物を、短期的には東京二〇二〇大会に役立て、中期利用として当面の間は既存施設を誰もが利用できる施設へとリノベーションし、仮称都民の城として複合拠点化し、長期利用としては、隣接する国連大学の権利関係が更新期を迎える令和十一年を最短のターゲットとして、国連大学、コスモス青山、青山病院跡地、そして、旧こどもの城の四敷地での一体的な活用を図り、都の様々な施策を実現していくとしています。
 そこで、この基本的な考え方の短期、中期、長期を時系列に沿って幾つか伺いたいと思います。
 まず、東京二〇二〇大会での利用ですが、皆様もご存じのとおり、大会開催が一年延期となりましたが、令和三年開催の大会では、当初の予定どおり、ボランティアの研修会場やスタッフなどの待機、休憩場所などとして同土地建物を活用されたと思います。
 このことにかかった経費と一年延期された影響などについてお答えください。

○佐藤運営・調整担当部長 東京二〇二〇大会におきましては、建物の一部を活用するため、約八億六千万円で必要最小限度の改修工事を行い、シティキャストの研修会場や大会運営に要する物品の保管場所などとして活用いたしました。
 大会が一年延期され無観客開催となりましたが、この変更に伴う追加的な改修は発生せず、当初の予定どおり活用できたことから、特段の影響は生じてございません。

○吉住委員 東京二〇二〇大会は一年延期されましたが、旧こどもの城の短期利用を行った時点では予定どおりであり、特段の影響がなかったことが確認できました。
 次に、令和二年に出された仮称都民の城改修基本計画についてです。
 改修計画では、旧こどもの城を、誰もが利用できる複合拠点、仮称都民の城として、令和五年供用開始を目途に改修するとし、これもいろいろありましたが、合わせて百三十六億円という改修工事費の概算が示されました。
 首都災害医療センター案が消滅し、その後、旧こどもの城活用の基本的な考え方に基づき同土地建物を都が取得するまでに、国からの取得費用が百五十五億円も値上がり、その上、都民の城への改修経費がさらに百三十六億円かかるということになりました。将来的な一体的利用を令和十一年に目指すならば、僅か七年しか利用しない施設に百三十六億円もの経費をかけることに対し、これまで私ども会派として大いなる疑問を呈してきたところです。
 この間、新型コロナ蔓延に伴い、事業を一時休止したり、同施設を酸素・医療ステーションとして利用するなど、計画当初想定していなかったようなこともありましたが、都として同計画が重要と考えるのであれば、実施を見送るのではなく、一体利用を先延ばしするという考え方もあるように思いますが、なぜ今回このような結論に至ったのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城の土地建物等につきましては、周辺都有地との将来の一体的な活用を前提に、当面、仮称都民の城として活用する目的で、令和元年九月に国から取得をいたしました。
 その後、新型コロナウイルス感染症対策による事業の一時休止や酸素・医療提供ステーションでの活用など、取り巻く環境が大きく変化するとともに、都民の生活意識や行動、求められる行政ニーズも、改修基本計画策定当時と比べて変化が見受けられる状況にございます。
 こうしたことに加え、経済面等の効率性や都有財産の有効活用の観点から、今回改修基本計画の実施を見送り、都有地の一体的な活用に向けて、先延ばしすることなく、できる限り早期に取り組む方がよいと考え、今回の結論に至ったところでございます。

○吉住委員 今回、計画を断念し、早期の一体利用を目指すとした決定は、かねてからの私どもの会派の考えに沿うものでありますが、あれだけ都が重要性を訴えていた計画を、ポストコロナで都民の行政ニーズが変わったからとあっさりと断念したというのでは説得力に欠けていると感じていますし、一、二年ほど計画が先延ばしになったことで断念するような計画は、当初より無理があったのではないかとも考えるところです。
 また、都では、新型コロナ禍の緊急事態宣言下の令和三年二月に、都民の城改修工事の基本設計を実施しています。
 まず、この基本設計のためにかかった経費と期間を教えてください。
 加えて、コロナ禍にあっても基本設計を行ったということは、この時点では計画どおり事業を進めるつもりであったのだと思いますし、事業実施を急いでいたようにも感じます。
 この基本設計を行ったことで、さらに経費がかかるなどの指摘などがあったのではないか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城の改修工事につきましては、令和三年二月から同年十月まで、九千六百八十万円で基本設計を実施いたしました。当初基本計画において約百三十六億円であった概算工事費は、基本設計において精査をした結果、約百三十四億円と試算されたところでございます。

○吉住委員 百億円以上の経費を要する工事の基本設計において、僅か二億円の経費精査が行われたとのことでありました。
 改めて申し上げますが、今回、都では計画の実施見送りを表明しましたが、実態は断念したのだと思います。先ほど引用しました財務局長の答弁では、国有地の取得にあっては、きちんと目的を持ってお願いをしない限り国とは随意契約できない、そういう制約があり、そうした使い方をどう考えていくのかというのを一年程度かけて私どもで検討したとして、一年以上の検討期間を経て、仮称都民の城計画を含む基本的な考え方を示し、国に説明してきたのだと思います。
 今回の実施見送りにおいては、事前に国へ説明を行い理解を得ているのか、また、今回の計画変更で国との契約において何か影響があるということがないのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 当該土地建物等を取得するに当たりまして、事業の公共性や必要性、関係法令との整合などを国にお示しするとともに、その後の状況につきましても適宜情報提供してございます。
 今回の発表内容につきましても、国とは情報共有をいたしておりまして、ご理解いただいていることから、現時点で特段の影響はないと考えているところでございます。

○吉住委員 これまでの質疑で、都民の城計画を断念しても、同土地の一体活用を早期に実現させたいという都の方針が改めて明確になったと思います。同土地周辺の都有地も含め一体的に活用した方が、土地の有効利用や経済面の効率性の観点から都民にとって有益だということは、私ども会派がかねてから主張してきたことでもあり、異論はありません。しかし、これまでの間、あまりにも遠回りをしてきた感が否めません。
 かつて都では、旧こどもの城について、将来的には、周辺都有地との一体活用を目指す一方で、一体活用開始までの間も有効に活用していく必要がある、一体活用を令和十一年を最短ターゲットとしている中で、早期の事業化を図ることができるという意味においては、建物の撤去、新設を伴わない、既存建物を改修して活用する都民の城が有効であると考えていると、当委員会で発言されています。
 私どもとしては、当初より、仮称都民の城計画には無理があると主張してまいりましたし、結果として、これまでの間、多くの無駄な予算と労力を費やしたといわざるを得ません。しかしながら、このあらゆる意味でポテンシャルの高い同土地を、都民のために無駄なく有効活用していこうという考え方自体は同じです。
 これまで質疑してきたとおり、旧こどもの城の土地建物については広尾病院の移転改築先となる予定でした。それがなくなり、仮称都民の城として中期利用も、今回見送りというか、断念することになりました。紆余曲折がありましたが、現在旧こどもの城の敷地と周辺都有地の長期的な一体活用に向けたスタートラインに立っています。
 都心のまちの変化は目まぐるしく、これが東京の活力の源にもなっています。私の地元であり都庁のある新宿区においても、複数の市街地再開発事業などが進んでおり、近い将来、新宿駅周辺も大きく変わり、まち全体のさらなる活性化が期待されています。
 こうした効果が生まれるからこそ、まちづくりは丁寧、円滑、速やかに行われることが肝要です。これからは、手戻りすることなく、都有地の一体活用に向けて、都民、とりわけ地元の理解も得ながら、速やかに将来の絵姿を描くことが求められています。
 また、それまでの間の財産の有効活用の観点も忘れてはなりません。例えば、青山病院跡地については、渋谷区の学校建て替え用地として貸借する予定になっています。旧こどもの城については、今は酸素・医療提供ステーションで使用していますが、今後何年もこの状況にあるとは限りません。その後について、現在の敷地を一時的に別の用途に活用するとか、次の活用方法を早く決めて速やかに建物の解体に着手するとか、都民のニーズ、コスト、期間など様々な要素を考慮しつつ、今から考え、実行するべきです。
 旧こどもの城とその周辺都有地は、山手線の内側にある都心の一等地という貴重な都民の財産です。この財産を、ただ保有するのではなく、持つポテンシャルを最大限に引き出して有効活用してこそ、都民の負託に応える都政であると考えます。
 そこで、最後に、この旧こどもの城の敷地及び周辺都有地について、今後に向けてどのように対応していく予定なのか、局長に伺います。

○吉村財務局長 旧こどもの城の敷地は、青山通りに面します一等地でございまして、周辺都有地と併せ活用することで、都の様々な施策実現にも資する可能性を有する都民の貴重な財産であることから、長期的な一体活用に向けて取り組む必要がございます。
 今回新たに設置する検討会では、ポストコロナのまちづくりについてご議論をいただく予定でございまして、この内容も参考にしながら、今後、旧こどもの城及び周辺都有地について多様な都民ニーズに応えていけるよう、しっかりと将来像を描いてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、都議会におけるご議論もしっかりと踏まえながら、持ち得る価値を早期に最大限発揮できるよう、スピード感を持って取組を進めてまいります。

○米川委員 それでは、仮称都民の城について伺ってまいります。
 都は、令和元年九月、国から土地及び建物を購入し、将来的に周辺都有地と併せて一体的に活用するまでの間、建物を改修し、仮称都民の城として活用するため、これまで基本設計を行うなど準備を進めてきました。一方、第一回定例会でも質疑しましたが、昨年八月から旧こどもの城建物は、新型コロナウイルス感染症対策として、酸素・医療提供ステーションとして有効活用されています。
 こうした中、先月、都は、仮称都民の城改修基本計画の実施を見送り、ポストコロナのまちづくりに向けた新たな視点を取り入れながら、仮称都民の城が目指す理念を生かしつつ、具体的なまちづくりについて検討するとして、新たなまちづくり検討会の設置を表明しました。
 そこで、この間、仮称都民の城として改修するため、何に幾ら要したのか、主な事項の金額とその内容について伺います。また、これまで神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議ではどのような議論が行われてきたのかも併せて伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 令和元年九月に旧こどもの城の土地建物等を国から取得して以降、建物を中期利用に向けて改修するため、九千六百八十万円で基本設計を実施いたしました。この基本設計におきましては、詳細な施設の劣化状況や改修範囲などの把握、改修に係る図面作成及び改修経費の精査を実施しております。
 また、神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議におきましては、地域特性や都市を巡る環境の現状及び変化などを踏まえ、ポストコロナのまちづくりの視点や、この地域で想定されるイメージなど、今後のまちづくりの大きな方向性についてご議論いただいたところでございます。

○米川委員 東京都は、この一億円近くの費用をかけまして改修工事に係る基本設計を行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延という想定外の事態の中で、今回、改修基本計画の実施を見送り、周辺都有地と一体で長期利用に向けた検討を進めることとしたことがよく分かりました。
 まだ建物が使用できるのでは、また、基本設計の費用をかけたのだからそのまま進めるべきではという考えもあるかもしれませんが、一度決めたことであっても、社会情勢をしっかりと見定め、比較検討し、環境の変化に柔軟に対応していくことも大切と考えております。
 今回の都の判断は、現在、建物を酸素・医療提供ステーションで活用し、先々の確たる見通しが立たない中、比較検討した上で、一度立ち止まり、改修工事を取りやめたことは、都民目線で柔軟に対応したものであり、評価しております。
 今後、周辺都有地と一体で長期利用に向けた検討を進めることになりますが、仮称都民の城の目指した理念が今後の計画にしっかりと生かされていくことを求めます。
 このように、動き出した事業を止めるという判断にはとても勇気が必要であると考えますが、都庁内のあらゆる部局が自律的にこうした適時適切な判断を行っていくことが重要であり、そのような選択が行われた場合には、理由がしっかりとしていれば、しっかりと支えていきたいと考えていることをお示ししまして、質問を終わります。

○たかく委員 私の方からも、都民の城及び周辺都有地について何点か伺います。
 東京都は、令和元年九月に旧こどもの城の跡地を取得いたしました。旧こどもの城を含む神宮前五丁目地区は、旧青山病院跡地や国連大学の敷地など、四・五ヘクタールに及ぶ広大な土地であります。これらの敷地は、都心部に残された東京の成長を支える重要な用地であると考えます。
 令和二年二月に、仮称都民の城改修基本計画が策定されました。しかし、新型コロナ感染症の拡大で、仮称都民の城は、現在、酸素・医療提供ステーションとして活用中であります。
 さきの第一回都議会定例会において、我が党は、仮称都民の城について、改修に百三十六億円もかかることを勘案し、暫定的な改修を取りやめ、都政課題への対応や地元地域の発展にかなう本格的な整備を備えるべきと求めました。そこで、先月、都は、仮称都民の城改修基本計画の実施を見送り、具体的なまちづくりに向けて新たな検討会を設置することと表明したところであります。
 そこでまずは、この判断に至った理由を改めて伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城につきましては、令和三年八月より、新型コロナウイルス感染症対策として酸素・医療提供ステーションで活用してございます。
 あわせて、この間の新型コロナウイルス感染症の流行により都民の生活意識や行動に変化が見られ、行政ニーズの変化にも的確に対応する必要がございます。また、現在の利用状況を踏まえ、経済面等の効率性や都有財産の有効活用の観点から、都有地の一体的な活用に向けて速やかに取り組む必要もございます。
 こうした改修基本計画策定当時からの状況変化などを踏まえ、計画の実施を見送り、ポストコロナのまちづくりに向けて新たな検討会を設置し、具体的なまちづくりについて検討することとしたところでございます。

○たかく委員 今回の都の判断は、さきの第一回定例会で我が党が求めてきたとおりであり、当然のことと考えます。
 大切なことは、今後、神宮前五丁目に有する合計約四・五ヘクタールもの都有地を都政課題の解決などにしっかりと有効活用していくことであると考えます。
 そこで、このたび設置される検討会の設置目的は何か、また、これまで実施してきた有識者会議との違い、検討会の今後の予定等について伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 先月まで実施してまいりました神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議は、新型コロナウイルス感染症による状況の変化に対応するため、地域特性や都市をめぐる環境の現状及び変化などを踏まえたポストコロナのまちづくりの大きな方向性について、専門家の自由な意見を得ることを目的として設置したものでございます。
 今後行います神宮前五丁目地区まちづくり検討会は、ポストコロナのまちづくりに向けた新たな視点を取り入れながら、旧こどもの城及び周辺都有地の一体的な活用に向けたまちづくりにつきまして、有識者会議の委員に行政委員も加わり、具体的に検討することを目的として設置するものでございます。
 まちづくりを所管する都市整備局とも協力いたしまして、今後、委員への委嘱などの手続を行った上で検討会を進めてまいります。

○たかく委員 客観性のある施策を練り上げる過程では、有識者の意見を適宜取り入れていくことは確かに有効な手段の一つであると考えます。都は、今後、有識者会議の委員に行政委員も加わった検討会を有効に活用し、まちづくりの具体的な検討を進めていっていただきたいと要望いたします。
 神宮前五丁目地区のまちづくりに向けた上位計画では、一に、国際競争力強化、そして、緑豊かな都市環境や景観形成、環境負荷軽減、防災対応力強化の四項目が取り組むべき事項として挙げられております。
 これらの上位計画を受けて、東京都は、今後四つの敷地を一体的に活用していくことを目指すとしておりますが、仮称都民の城及び周辺都有地について、今後、一体活用に向けてどのように検討を進めるおつもりか、お聞かせいただきます。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城の敷地につきましては、青山通りに面しておりまして、周辺都有地と一体的に活用することによって都の様々な施策実現に資する可能性を有した土地でございます。
 一体的な活用に向け、あらゆる視点から価値の最大化を図ることが重要でございまして、今後設置する神宮前五丁目地区まちづくり検討会におきましては、まちづくりなど複数の分野の専門家から意見を聴取する予定でございます。
 この議論も参考にしつつ、都の施策実現を図るとともに、地域のニーズや周辺のまちづくりにも貢献していく観点から、具体的な方策について検討してまいります。

○たかく委員 長期的な一体活用の具体的方法については、今後の検討会における議論も参考にしつつ検討していくとのことであります。
 具体的なまちづくりに当たり重要なことは、検討過程において、地元をはじめとする様々な関係者と十分に意思疎通を図りながら合意形成をしていくことと考えます。
 そこで、関係者との合意形成に向けて、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 ポストコロナのまちづくりに向けた長期利用の検討を円滑に進めるためには、地元をはじめとする関係者の理解が不可欠でございます。
 今後、都有地の一体的な活用に向けた具体的な検討に当たりましては、関係者と必要な調整を十分に行い、理解を得ながら進めてまいります。

○たかく委員 仮称都民の城及び周辺都有地は、渋谷駅と表参道駅の中間に位置し、利便性も高く、様々な都民ニーズに応え得るポテンシャルであります。
 今後、関係者との調整を円滑に行いながら、都政の抱える課題解決や地域の発展に向けて、速やかに一体活用に向けた議論を進めていくことを期待して、私からの質問を終わります。

○池川委員 私からも、報告事項、都民の城及び周辺都有地について質問をしていきたいと思います。
 私はこれまでも、本委員会で、四敷地一体活用ありきでなく、こどもの城が担ってきた子供のための機能や劇場機能をしっかりと残し、都民の期待に応えていく必要があるということを求めてまいりました。
 今回の報告は、これまで都民や議会の意見を聞きながらつくってきた都民の城改修基本計画の実施を見送り、周辺の四つの都有地を一体活用する方向に進むという内容になっています。
 今回の検討は、先ほど来出ておりますが、神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議を一つの舞台として行われてきました。三月の本委員会で、附属機関ではない専門家会議である有識者会議が機関意思の表明を行うことは、地方自治法や総務局通知に違反する行為であるということを申し上げてきたわけです。
 改めてになりますが、地方自治法というのは、法律や条例に基づく附属機関と、それ以外の機関については厳格に分けており、それは、一部の専門家などによる恣意的な行政の介入を防ぐために重要だということで分けているわけです。
 結論として、今回の有識者会議が、提言は出すべきではないんじゃないかということを前回の委員会では申し上げたと。今回、有識者会議が出されたものは、提言集とされたということであります。
 そこで伺いたいと思いますが、この有識者会議の提言集というものはどういう性質のものでしょうか。

○佐藤運営・調整担当部長 今お話のございました有識者会議は、行政運営に必要な意見聴取、情報や政策等に関する助言を求めるため、出席者の意見の表明や意見交換を行うものでありまして、提言集は各委員からの様々な意見などを束ねたものでございます。

○池川委員 つまり、提言とは違うんだということだと思うんです。提言ではないと。
 都民の城として改修基本計画を行わないと結論を出した経緯について聞いていきたいと思うんですが、三月の委員会質疑の中で、今後について、新型コロナウイルス感染症の状況や有識者会議の議論を踏まえ、対応を検討するという答弁がありました。
 今回、都民の城を改修しないという結論は、どのようなプロセスで決めたんでしょうか。

○佐藤運営・調整担当部長 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業の一時休止や酸素・医療提供ステーションとしての活用など、都政を取り巻く環境が大きく変化するとともに、都民の生活意識や行動、求められる行政ニーズも変化が見受けられております。
 そうした状況の変化を踏まえまして、仮称都民の城が目指す理念を生かしつつ、ポストコロナの時代にまちづくりに求められる新たな視点も取り入れ、都民の利益の最大化を図ることが必要と考えたところでございます。
 あわせて、有識者会議での議論も参考に検討を行い、都有地の一体的な活用に向けて、できる限り早期に取り組む方がよいとの結論に至り、本年五月九日に発表したものでございます。

○池川委員 有識者会議の議論を参考に検討を行い、有識者会議の最終回を前に都として結論を出したということだと思います。提言集を受けて決めたとしなかったのは、先ほど申し上げたように、何か提言を受けて都が政策決定をしたと、そのこと自体が自治法との関係で抵触する可能性があると思っていたからだと考えます。
 実際に、第一回の有識者会議で示された検討スケジュールの中には、提言を踏まえ、四敷地一体活用に向けた実務的なまちづくりについて、行政も加わって検討を進めていく予定と、有識者会議の結論を受けてこれをやっていくんだというふうに書かれていたわけで、最初のやり方からは若干の軌道修正が図られたということだと思います。
 先ほどの答弁では、都民の城の理念を生かすというふうに答弁がありました。この点について伺っていきたいと思います。
 都民の城ができることへの期待は、子供や演劇などだけでなく、社会教育の分野でも注目をされておりました。
 東京都生涯学習審議会の建議、東京都における今後の青少年教育振興の在り方についてでは、現在のところ、これは昨年出された建議ですが、令和五年、二〇二三年度に供用開始となっているが、これは都民の城についてです、今後の検討過程において、東京都の青少年教育の一翼を担う場所として可能性を追求することが求められるという記述や、都民の城の教育施設においても、日常生活に悩みや困難を抱える都立高校生への支援を第一の役割として掲げており、今後は、これまでのターゲットアプローチの取組との整合性を図りつつ、事業効果の高い事業スキームを打ち出すことが東京都に期待されるということで、こういう注目と期待が述べられています。
 ちなみに、この生涯学習審議会は、いわゆる自治法に基づく附属機関であり、この建議は重く受け止められるべきものだというふうに考えます。
 そこで伺いたいと思います。
 東京都生涯学習審議会の建議、東京都における今後の青少年教育振興の在り方についてにおいて、都民の城への期待が述べられていることについて、財務局はどう考えているでしょうか。

○佐藤運営・調整担当部長 令和三年九月に出されました東京都生涯学習審議会の建議におきまして、仮称都民の城改修基本計画において位置づけられていた教育施設が取り上げられているものと承知してございます。
 仮称都民の城が目指す理念につきましては、今後のまちづくりに生かせるよう、引き続き検討をしてまいります。

○池川委員 附属機関の建議として、都として重く受け止めるべきであるというふうに申し上げておきたいと思います。
 今の答弁でも、繰り返し都民の城の理念を生かすというふうにいわれました。理念を生かすという言葉は、この間の経過を考えれば、本当に大丈夫なのかというふうに思うのが私の率直な印象です。
 こどもの城というのは、世代を超えて親しまれてきた重要な場であります。こどもの城をなくさないでほしい、そして、存続してほしいという長年の運動があって、それも一つの要因として購入が決められる、根本的な思いはここにあるんだというふうに思います。だからこそ、当時、財務局長が、長年にわたり、子供から大人まで、あらゆる世代の多くの人たちに親しまれてきた施設でございまして、その歴史や果たしてきた役割の重要性は十分認識しておりますという答弁を都議会でもされておられます。
 これは確認になるんですけど、この認識というのは今も変わっていないということでよろしいでしょうか。

○佐藤運営・調整担当部長 ただいまのご質問につきましてでございますが、都民の城の掲げた理念を生かすという観点でございますので、認識について基本的には変わりはございません。

○池川委員 歴史や果たしてきた役割の重要性については、認識は変わっていないということは確認いたしました。
 都民の城改修基本計画は、都民へのパブリックコメントを行い、意見を聞いてきたと。そして、意見は三百八十九件寄せられたというふうに資料からも明らかです。その多くが劇場に関するものであったということについては、この委員会でも何度か議論をさせていただいたことがございます。
 青山劇場、青山円形劇場の機能存続を求める演劇人声明に賛同している俳優の西田尚美さんは、あの場所だからこそできる演目がたくさんあります、アップデートしてそのまま残せないだろうかとコメントを寄せていたり、俳優の鈴木浩介さんは、円形劇場のすばらしさを知っている役者の一人として、唯一無二の劇場機構の現状維持を切望しますというコメントを出されています。
 青山円形劇場のように唯一無二の場所をなくさないでほしい、なくしてはいけないということが、この間繰り返し、このこどもの城をめぐっては出されてきたと。こどもの城が果たしてきた子供のための機能も引き継いでいかなければいけないということを、これは議論の過程の中で財務局自身も受け止めてきたというふうに思います。本委員会で、二〇一九年二月に旧こどもの城の活用の基本的考え方が報告されて以来、それは何度もこの委員会で議論もさせていただいたということです。
 そこで伺いたいと思うんですけど、都民、都議会と議論しながらつくってきた計画の重みについてはどのように認識しているでしょうか。

○佐藤運営・調整担当部長 仮称都民の城改修基本計画につきましては、庁内検討組織における検討や、これまでの都議会での議論、また、パブリックコメントの実施により頂戴したご意見などを踏まえ策定したものと認識してございます。
 こうした経緯を踏まえ、仮称都民の城が目指す理念を生かすこととし、今後、都有地の一体的な活用に向けた検討を進めることとしたところでございます。

○池川委員 先ほどの本委員会での議論を聞いていると、ニーズが変化したとか、ポストコロナのまちづくりを目指すために四敷地一体活用をまず前倒ししてやることが必要だという議論がなされていますが、私はやはり、これまで積み重ねてきたこどもの城が持っていた機能、特に子供のための機能や演劇の機能というものが本当に残るのだろうかという疑問から様々声が寄せられて、この委員会でも議論させていただいたというふうに思っています。
 小池知事は、都議会で、こどもの城の購入を決めた際、何といっていたかと、この敷地の上、すなわち今回購入されたこどもの城ですけど、敷地の上には、寿命を迎えることなく、国有の施設として役割を終えましたこどもの城の建物が今なお残されておりますと、そしてまた、これを取り壊すということは、もったいないと考えるに至ったところでございますと、当時答弁されているわけです。取り壊すことはもったいないというのが出発だったと思うんですけど、これは消えない事実だと思うんです。
 このもったいないということ、これは知事が述べた答弁ですが、これは一体どこに行っちゃったのかということについて、現時点で財務局はどう考えているでしょうか。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城の土地建物につきましては、周辺都有地との将来的な一体的活用を前提にいたしまして、当面、仮称都民の城として活用する目的で、二〇一九年の九月に国から取得をしたものでございます。その後、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受けまして、環境が大きく変化するとともに、都民の生活や行動、求められる行政ニーズも変化をしてまいりました。
 こうしたことに加えまして、経済面等の効率性や都有財産の有効活用の観点から、改修基本計画の実施を見送り、都有地の一体活用に向けて早期に取り組む方がよいと考えたため、今回の結論に至ったものでございます。

○池川委員 当時もったいないと発言されていた背景には、持続可能性や、いわゆるサステーナブル、こういう視点があったというふうに思うわけです。すなわち、国有財産の取得に当たって、最初から、建物を壊して、そして建て替えて利用するという選択肢もあった中で、これを利用しようと決めたというのは、やっぱりサステーナブルな思考があったということだというふうに思うわけです。理念として、こどもの城改修基本計画のものを引き継いでいくということをいわれますが、実際にはこれからどうするかを決めていくということなんだというふうに思うんです。
 この都民の城改修基本計画は、先ほど来申し上げたように、都民の意見を聞いて、都議会でも議論を積み重ねて、広く本当に議論をされてつくられてきたものなわけです。
 そこで伺いたいと思うんですけど、やっぱり都民の意見を聞いていくということが大事だと思うんですが、改めて都民の意見を聞きながら進めることの重要性について認識を伺いたいと思います。

○佐藤運営・調整担当部長 今後につきましてでございますけれども、改修基本計画の理念を生かしつつ、まちづくりを所管する都市整備局とも協力しながら、地元からの意見なども聞き、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 引き続き、都市整備局とも協力しながら、適切に対応してまいりたいと思っております。

○池川委員 この計画が発表された後も、こどもの城として残してほしいと運動されてきた皆さんの中からは、改めて見直してほしいという声も上がっているのは事実です。こういう声も含めて受け止めていただきたいというふうに申し上げたいと思うんです。
 当初から、二〇二九年、令和十一年を最短とすることについて、本当にこんなに短い期間で壊していいんだろうかという声は上がっていたわけです。四敷地一体活用ありきで進めることは、やはり都民の理解を得られないんじゃないかということは再三申し上げてきたところであります。
 小池都政の下では、築地市場についても同じようなことがありました。築地は守るといって、食の文化はちゃんとやるんだといっていたけれども、それが突然どっかに行っちゃうとか。
 今回も、このこどもの城の改修をしっかりとやって進めていくというふうに当初いわれていたわけですけれども、それを活用するということにはならない方向転換を今回されたと。改めて、この点については、都民の意見をきちんと聞く、そして、このこどもの城が担ってきた、先ほど答弁、変わっていない、重要性、認識は変わっていないというふうにいわれたわけですから、そこはきちんと受け止めていただきたいというふうに思います。
 私たちとしては、このこどもの城が担ってきたものを考えれば、都民の城として改修する、そして、継続的に使っていくことこそ都民の願いに応える道だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○中村委員 私からも、都民の城及び周辺都有地について質問いたします。
 質問に当たり、今週の日曜日に改めて現地を訪問してみました。渋谷駅からそれほど遠くもなく、また、国連大学の前ではバザーで多くの人でにぎわっていて、改めて立地のよさというのを認識もしてまいりました。
 さて、都民の城については、現在、新型コロナ対策として、酸素・医療提供ステーションとして活用されています。当初の計画と変更せざるを得なくなったため、これから都民の城として活用するために百三十四億円で改修工事を行ったとしても、利用可能な期間は数年にとどまるということであれば、中期利用をやめるという判断を行ったことは一定の合理性があると思います。
 しかし、本来問われるべきは、都民の貴重な財産をいかに活用するかという視点です。
 例えば民間企業であれば、土地建物を保有しておいて活用がなされなければ、現金は出ていきませんが、実質的なコストとして考えることになります。行政も同じように、もし活用していれば便益が得られたにもかかわらず、活用せずにいたとするのであれば、それは事実上のコストであり、こうしたコスト感覚が求められていると考えています。
 今日はそうした観点から質疑を行いますが、まずは何点か購入当時のことを確認したいと思います。
 まず、国が運営していた旧こどもの城について、都はどのような目的で購入したのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城の土地建物等につきましては、取得することが東京の未来にとって重要な投資であると考えたことから、将来的な周辺都有地との一体的な活用を前提に取得したものでございます。

○中村委員 購入したのは土地と建物と併せて購入したわけですが、老朽化も進んだ旧こどもの城の建物でもありますので、私は土地にも着目しています。
 近年、官公庁では、厳しい財政状況への対応として公有地の売却を進める流れにありますが、この旧こどもの城の立地が、青山病院跡地、国連大学、土地信託をしているコスモス青山と都有地に囲まれた土地であることから、将来を見据えて都心の一等地に残る貴重な土地を一体として有効活用するために確保したことは一定の意義はあると思っています。
 次に、どのような過程を経て、総額幾らで購入したのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 旧こどもの城につきましては、外部の不動産鑑定機関による鑑定評価を実施し、令和元年八月に東京都財産価格審議会による評定を経て価格を決定し、令和元年九月に国から土地建物等を合わせて五百二十五億円で取得したところでございます。

○中村委員 都は、旧こどもの城を、公共利用の目的で五百二十五億円もの費用をかけて購入したことを改めて確認しました。これだけの費用で購入したわけなので、これから貴重な都民の財産としてしっかり活用しなければなりません。
 これまで開催されてきた神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議においては、四つの敷地の一体活用による便益や、大通りに面していない青山病院跡地の未利用期間が長くなることの機会損失、立地がよいのにもったいないとの意見が見られていました。
 この四つの敷地を一体として活用できれば利用の幅が広がると思われますが、その方策はどのように考えているのか伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 新たに設置する検討会におきましては、これまでの有識者会議における議論も踏まえつつ、旧こどもの城及び周辺都有地の将来像や用途、空間形成などについて議論を行っていく予定でございまして、今後、その議論も参考にしながら、都有地の一体的な活用に向けて検討を進めてまいります。

○中村委員 都は、都有地の一体活用に向けて検討を進めていくとプレスもしていましたが、その方策はこれからとのことでした。一体活用の検討に当たっては、まちづくりに要する費用と、それにより生じる効果をしっかり見定めながら進めていただきたいと思います。
 冒頭、私は、行政における民間と同様のコスト感覚の必要性について申し上げました。
 今回、一体活用は最短で令和十一年がターゲットとされており、それまでの間についても、都有財産を活用していくことは都民の求めるところだと考えます。
 そこで、一体活用できるまでの間、暫定的にでも活用を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤運営・調整担当部長 現在、旧こどもの城につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として酸素・医療提供ステーションで活用しているところでございます。
 また、青山病院跡地につきましては、今後、渋谷区の行政需要に応じ、区立学校施設整備のための仮校舎用地として貸付けを行う予定となっております。
 今後とも、状況に応じながら適切に対応してまいります。

○中村委員 現在は酸素・医療提供ステーションで活用しているとしても、その活用が終了した後について何も考えがなければ、結果としてコストがかさんでしまうという可能性もあります。一体的活用は最短でも令和十一年とのことですから、旧こどもの城の建物を長期間そのままにしておくのでは、土地の価値を生かすことができません。旧こどもの城と土地の利活用について、早急に方向性を定めるよう求めます。
 四つの敷地の一体的活用については、相手もある話なので、令和十一年より遅れる可能性もあるのですが、むしろ都として、いつまでに、どのような目的で利用するかを早急に検討し、その期限までに利用できるように取り組むべきと考えます。
 民間では当然のコスト感覚を常に意識しながら、どのようにしていけば最も都民の利益となるか、今後、検討を進めていくことを求めて、質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後二時五十三分散会

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