財政委員会速記録第五号

令和四年三月十六日(水曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長山加 朱美君
副委員長森口つかさ君
副委員長池川 友一君
理事伊藤しょうこう君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
吉住はるお君
たかく則男君
米川大二郎君
五十嵐えり君
三宅 正彦君
長橋 桂一君
石川 良一君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱山田 忠輝君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務古川 浩二君
契約調整担当部長小泉 雅裕君
財産運用部長五十嵐 律君
運営・調整担当部長矢部 信栄君
利活用調整担当部長前山 琢也君
建築保全部長渡辺 正信君
施設整備担当部長飯泉  洋君
技術管理担当部長金子 陽子君
収用委員会事務局局長後藤 啓志君

本日の会議に付した事件
収用委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
財務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入-財務局所管分、歳出-議会局・財務局所管分、債務負担行為-財務局所管分、都債
・第十六号議案 令和四年度東京都用地会計予算
・第十七号議案 令和四年度東京都公債費会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計条例
・第四十八号議案 東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 租税特別措置法施行令に基づく譲渡予定価額審査に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
・第九十六号議案 土地の信託の変更について
報告事項(質疑)
・「第三次 主要施設十か年維持更新計画(案)」について

○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び財務局関係の予算の調査並びに財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○山加委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、財務局所管分、歳出、議会局・財務局所管分、債務負担行為、財務局所管分、都債、第十六号議案、第十七号議案、第四十七号議案から第四十九号議案まで、第九十六号議案及び報告事項、第三次主要施設十か年維持更新計画(案)についてを一括議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 まず、入札契約制度についてお尋ねします。
 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児や介護との両立など、働き方のニーズの多様化に直面する中、平成三十年には働き方改革関連法が成立し、順次取組が行われています。この取組には生産性の向上が重要であり、都が率先して行動すべきと考えます。
 その一方で、公共調達に関わる事業者からは、相変わらず多くの書類の提出が必要であり、時間も労力も非常に大変との声も届いています。実際に私に寄せられた都内の中小事業者の声では、約二万円余りの都との契約手続のために、二十五か所もの押印を行うことや、民間では無駄と思われる各種書類も数多く見られるとの指摘もいただきました。
 私は、昨年の事務事業質疑でも、建設業界の働き方改革に向けた工事関係書類の削減、簡素化について、モデル工事の状況などをただすとともに、事業者の意見を十分踏まえたさらなる改善を求めました。すなわち、公金支出の観点からは、必要な書類を受発注者間で取り交わし、書面で確認する必要性は理解しますが、無駄な押印の廃止や書類の簡素化など、まだ改善の余地は大いにあると考えます。
 そこで、入札契約事務に当たり、できる限り効率化する観点の下、どのような取組をしているのか伺います。

○小泉契約調整担当部長 都では、構造改革の一環としまして、判こレスなど五つのレスや、デジタル環境への転換等を進めております。
 入札契約事務におきましては、昨年度、慣習的な押印をなくす運用へと変更するとともに、現在、関係局と連携して契約支出事務のデジタル化を進めており、今後、事業者との書類の受渡しをオンライン化するなど、さらなる効率化や利便性の向上を図ってまいります。
 各局とも連携しまして、事業者、職員、両方の事務の効率化に向けて取組を推進してまいります。

○伊藤委員 入札契約事務の効率化へ取り組んできたようですが、重要なことは、財務局の取組を、各局の出先機関の隅々までしっかり進めていくことだと思います。つまり、職員一人一人が、事業者の期待や信頼に応える意識を常に持って、都庁全体で事業者の働き方改革に資する取組が進むことを期待します。
 さて、働き方改革関連法により、長時間労働の是正に向けた残業時間の上限規制が罰則つきで定められました。猶予期間がある建設業においても、適用開始まであと二年と迫り、待ったなしです。
 また、令和元年の担い手三法の改正では、働き方改革が柱の一つとなっており、特に品確法においては、平準化を進めることが発注者の責務として位置づけられました。建設業の団体や事業者からも、発注者である都に対し、平準化をさらに進めてほしいとの声が多く届いており、一昨年の事務事業質疑においてもただしました。
 さて、都では、工事及び設計等委託について、取組期間の三年間で目標を定め平準化を進めており、今年度はその最終年度となっています。年度末に工期が集中することを避ける平準化は、働き方改革に有効な取組であると同時に、事業者が受注しやすい環境づくりにもつながります。
 そこで、工事及び設計等委託を合わせた施工時期等の平準化について、目標と現状について伺います。

○小泉契約調整担当部長 年間を通じた工事量等の偏りを解消し、長時間労働の是正や休日の確保などにつなげるため、平準化の推進は重要と認識してございます。
 都では、かねてから平準化に取り組んでおり、令和三年度末での目標値といたしまして、工事では、現場の稼働状況に着目し、閑散期に当たる四月から六月の平均稼働件数の割合と年度の平均稼働件数の割合の比率である平準化率を指標とし、建築、土木は〇・九、設備は〇・八に設定してございます。
 また、設計等委託につきましては、履行期限が年度末に集中することに着目して、二月から三月に履行期限を迎える案件の割合を指標とし、設計、測量ともに四〇%以下、地質調査は三五%以下に設定してございます。
 こうした目標に向かいまして、発注の前倒しや債務負担行為の積極的な活用などに取り組んでおり、令和二年度末時点では、工事については、建築〇・八五、土木〇・八九、設備〇・七七、設計等委託では、設計五二%、測量五六%、地質調査三四%となってございます。

○伊藤委員 工事については、閑散期となる年度当初の第一・四半期の稼働を促すよう、そして、設計等委託では、繁忙期となる年度末への集中の解消を目指し目標を設定したとのことでした。そして、平準化を進めた結果、例えば、工事の土木では、目標の〇・九に対して〇・八九と、あと一歩ですが、設計等委託の測量では、目標の四〇%に対し五六%と、差が生じていることを確認しました。
 さて、設計や工事も各局の事業計画に沿って進められますので、個別の事情により簡単に時期を調整できない案件もあることは理解します。しかし、建設業の残業時間の上限規制の適用は目前に迫り、設計コンサルタント業では、そもそも猶予期間はなく、現時点でも罰則の対象となり得るものです。
 そこで、今年度は三年間である取組期間の最終年度ですが、平準化の一層の推進に向けて、今後の取組の考え方についての見解を伺います。

○小泉契約調整担当部長 来年度以降についても、目標を定め、工夫を凝らして平準化に取り組むことが重要であると認識してございます。
 取組期間につきましては、複数年度にわたる工事における取組の成果を速やかに後続の案件に反映できるよう、五年間として設定してまいります。
 また、来年度から、都全体の平準化の進捗に加えまして、新たに局ごとの目標と実績も併せて示してまいります。
 さらに、設計等委託につきましては、これまで二月から三月に履行期限を迎える割合を指標としていたものを、新たに一月を加えまして、第四・四半期全体に拡大して設定し、取組の強化を図ってまいります。
 こうした見える化等の取組を通じ、平準化を一層進めてまいります。

○伊藤委員 工事、設計等委託ともに見える化を図り、特に設計等委託では一歩進んだ取組を行うとのことでした。しかし、全庁を俯瞰すると、毎年度多くの工事を発注する部署もあれば、そうでないところもあります。すなわち、平準化を進めるノウハウの蓄積によっては、局ごとにばらつきが生ずることも懸念されますので、多岐にわたる部署の理解が必要です。
 そこで、これまで以上に平準化についての庁内での理解を深めることが重要と考えますが、どのように周知を図っていくのか、見解を伺います。

○小泉契約調整担当部長 平準化の推進に当たりましては、その重要性について、工事を発注する各局とこれまで以上に共有し、連携を強めながら取り組むことが重要でございます。
 そこで、全庁の関係者が会する連絡会を通じまして、平準化の進捗状況を見える化するとともに、効果的な取組事例を庁内で共有することにより、施策の実効性を高めてまいります。
 また、平準化を進めるには、契約だけではなく、設計や工事発注など多くの部門が関連することから、その垣根を越えた取組が重要でございまして、取組の意義や重要性について、より充実した情報発信に向けて、工夫を凝らしながら、庁内へのさらなる浸透を図ってまいります。
 これらの取組を通じまして、職員の理解促進を図ることで、全庁一丸となって平準化を推進し、建設業界の働き方改革を後押ししてまいります。

○伊藤委員 都内の建設業界における働き方改革の推進に向けては、国や都、市区町村と、あらゆる公共部門が平準化に取り組む必要があり、中でも、都内における多くの公共工事の発注者である都の取組の推進は不可欠です。
 今日の質疑において、都が全庁を挙げて取り組む姿勢を確認しました。中長期的な担い手確保のため、そして、建設業の将来のため、平準化をはじめとした働き方改革の推進に向けた取組をさらに進めることを強く要望いたします。
 続きまして、公文書館のZEB化の状況について伺います。
 快適な室内環境を実現しながら、年間に消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物をネット・ゼロ・エネルギー・ビル、通称ZEBと呼ぶそうです。気候変動対策は喫緊の課題であり、我が国は、令和二年に二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言して以降、二〇三〇年度の新たな温室効果ガス排出削減の目標として、二〇一三年度から四六%の削減、さらには五〇%の削減に向けて挑戦する方針を示しました。
 都も、令和元年にゼロエミッション東京戦略を策定し、昨年一月、知事は、温室効果ガス排出量の二〇五〇年ネットゼロを目指し、二〇三〇年のカーボンハーフを表明しました。
 さて、都内CO2排出量の七割以上は建物由来といわれています。そして、今後建築される建物は数十年使用されるため、二〇五〇年の東京の姿を形づくることとなり、ゼロエミッションビルへの移行が脱炭素型都市を目指す上で重要です。そのためにも、都有施設のZEB化促進が重要であり、特に新築、改築において、五〇%以上の省エネを実現した上で、太陽光発電等の省エネルギーにより、エネルギー消費量を正味でゼロにする必要があります。
 さて、財務局では、東京都公文書館をZEB化実証の建物として整備しています。
 東京都公文書館では、様々な省エネ技術を導入し、消費エネルギーの削減を図り、設計段階において、再生可能エネルギーを含め七五%以上のエネルギー削減とした、いわゆるニアリーZEBを達成したとのことでしたが、現在の検証状況及び運用後のエネルギー削減状況を伺います。

○金子技術管理担当部長 東京都公文書館は、令和二年四月に開館いたしまして、その後、空調設備などの効率的な運転を目指して、データの分析や空調システムの設定調整など、省エネチューニング等を実施してまいりました。
 公文書館は、歴史的な公文書など貴重な資料を保管するため、三百六十五日二十四時間、厳格な温湿度管理を求められておりまして、保管している公文書に影響を与えないよう、室内環境を維持しながら、少しずつ省エネチューニングや分析を行っております。
 現在検証中ではございますが、省エネによる一次エネルギー消費量削減と、太陽光発電による再生可能エネルギーの利用により、運用一年目の実績では約七割のエネルギー削減でございましたが、直近一年間の実績では約八割削減となり、設計時に見込んだニアリーZEBを達成したことを確認いたしました。
 引き続き、エネルギー削減状況の検証を行ってまいります。

○伊藤委員 一般的にZEBの判定は、設計段階においてエネルギー消費量算定プログラムを用い、類似用途で同規模の標準的なモデルと比較して行うと聞いています。
 公文書館において、検証途中とはいえ、完成後の運用段階においてもニアリーZEBを達成したことは、今後の都有施設のZEB化を進める上で大きな一歩であったと考えます。
 公文書館のZEB化達成に向けては様々なご苦労があったと思いますが、これまでの検証を通じてどのような知見が得られたのかも伺います。

○金子技術管理担当部長 公文書館のZEB化実証を通じまして、主に三点の知見が得られました。
 一点目として、ZEB化に当たりましては、屋根や外壁などの高断熱化や深いひさしによる熱負荷の低減など、建物自体の性能向上を最大限図った上で、設備の省エネ化を進めることが重要であることでございます。
 二点目は、エネルギー消費量算定プログラム上は評価されない省エネ技術、例えば、温度、湿度の変化に合わせて空調機の運転、停止を行う間欠運転制御などの技術が、運用段階では省エネ効果が高いことでございます。
 三点目は、特に公文書館のような厳格な温湿度管理に対応する高度な空調システムを導入した建物におきまして、設計時に想定した性能を発揮するためには、きめ細やかな省エネチューニングが必要であることでございます。

○伊藤委員 ZEB化に当たっては、高効率設備の導入だけではなく、外壁など建物計画から検討し熱負荷の低減を図ること、また、建物特性に応じた省エネ技術の導入と、さらに、実際に運用してからの省エネチューニングが重要であることを確認しました。
 それでは、二〇三〇年のカーボンハーフ、さらには二〇五〇年ゼロエミッションに向け、公文書館での知見も踏まえて、今後の施設整備にどのように取り組むのかも伺います。

○金子技術管理担当部長 都有施設のZEB化を進めるためには、これまで以上の省エネルギー化と多様な再生可能エネルギーの活用を図る必要がございます。
 このため、新築、改築時に標準的に導入する技術を定めた省エネ・再エネ東京仕様を見直し、より省エネ化等が見込める新たな技術などを反映してまいります。
 今後の施設整備に当たりましては、公文書館で得られた知見も活用し、施設の用途、特性を十分踏まえた検討を行ってまいります。
 あわせて、環境局などと連携し、各局へ東京仕様の活用方法等を共有するとともに、省エネ化や再エネ導入に係る技術的支援を行い、都有施設のZEB化に取り組んでまいります。

○伊藤委員 都有施設のZEB化は、脱炭素社会への大事な一歩ですので、その成果を、都庁全体のみならず、市区町村や民間企業と連携して、さらに推進していただくことを要望しておきます。
 続きまして、令和四年度予算の財政運営や事業執行についてもお尋ねします。
 来年度予算について最も目を引くのは、やはり過去最大となった予算額です。
 先日の予算特別委員会では、グリーンやデジタル分野に財源を重点的に配分したとの答弁がありましたが、そのほかにも、コロナや防災対策など、様々な課題への対応策が盛り込まれたと受け止めています。
 しかし、どんないい事業が盛り込まれても、実施する際に効果を発揮できなければ意味がありません。すなわち、事業の中身を都民や事業者にいち早くしっかり届けることは、予算の編成以上に重要です。
 こうした中、先般公表した令和四年度予算案の概要の中に、施策効果の早期発現に向けて、事業執行の迅速化についての記載がありました。
 そこで、令和四年度予算案の発表に合わせて、事業執行の迅速化に取り組むとした背景と狙い、そして、取組内容を具体的に伺います。

○山田理事 これまで都におきましては、予算制度等を背景に、年度単位で物事を考えてきたこともございまして、例えば、設計、工事などの各工程について、一年ごとの単位で事業計画を立案し、結果として事業完了までに時間を要する事例も多く見られておりました。
 一方、都政を取り巻く状況が刻一刻と変化する中、時期を逸することなく施策の目的を実現するためには、こうした従来の仕事の進め方を見直し、速やかに施策展開を図っていくことが必要でございます。
 このため、例えば、各種工事では、必要に応じて債務負担行為を積極的に活用し、調査、設計、工事などの一連の手順を、年度をまたいで切れ目なく実施できる体制を整え、事業期間の短縮を図ることといたしました。
 また、事業者への補助事業等につきましては、予算編成後、実施に向けた具体的な準備や関係者との調整等を速やかに行うことで、新年度当初から早期に事業着手をしてまいります。
 こうした取組を通じまして、各施策の計画的かつ迅速な執行を図り、都民や事業者に施策の成果を早期に還元していきたいと考えております。

○伊藤委員 年度にとらわれずに仕事を進めるとのことですが、民間会社からすれば特別なことではありません。しかし、これまで年度単位という思考回路に陥っていたところを見直したことはよかったと思います。
 都政のDX化など社会情勢の最先端に目を向けることも重要ですが、非効率な慣例や習慣を見直すことも都政改革の重要な視点ともいえます。
 さて、今回の見直しにより事業執行の迅速化を図るとのことですが、同時に、事業の実効性を向上させることも重要です。つまり、様々な施策の積極的な展開は、事業の見直し、再構築をしっかりと行うことで初めて成り立ちます。
 都はこれまで、事業評価を行ってきましたが、今回からは新たに、総務局で実施していた政策評価を取り込み、一体的に実施したとのことです。しかし、肝腎なのは、新しさではなく、評価制度そのものがしっかりと機能することです。
 そこで、事業評価と政策評価を一体的に実施したことで、今回、事業の見直しがどのように進んだのか、具体的に分かりやすくご説明願います。

○山田理事 政策評価と事業評価の一体的実施に当たりましては、施策ごとに成果指標を設定し、施策全体の方向性を評価した上で、これを踏まえた個別事業の評価を実施し、その結果を予算に反映させております。
 具体的には、子供の安全・安心な放課後の居場所の確保の事例では、現行の補助制度の活用が進んでいない現状を踏まえ、地域のニーズに応じた多様な取組をどう支援するのかが課題となっておりました。
 こうした状況から、令和四年度予算では、福祉保健局所管の学童クラブへの補助事業につきまして、区市町村が地域の実情を踏まえて策定する計画に基づき都に提案する取組に対して、ハード、ソフトの両面から支援する形へと見直しをしております。
 また、教育庁が所管する放課後子供教室につきましては、受入れ時間の延長に向けて支援を充実するなど、局横断的な視点を持ち、総合的に対策の強化を図ったところでございます。
 このように、施策の方向性という大きな視点を踏まえ、より成果重視の視点から、目標に対する各事業の効果を評価し、事業の見直し、再構築に向けた検討を行うことで、効果的な事業構築へとつなげるなど、評価制度の実効性の向上と施策の新陳代謝の強化を実現したところでございます。

○伊藤委員 大きな視点を踏まえ、事業の進捗をチェックし、見直しにつなげたとのことですが、目標と実績を照らし合わせて軌道修正を図ることも特別なことではなく、評価制度の一体化を図る前でも、個々に行っていたのではないかとも思います。
 しかし、今回、評価制度を改善し、こうした見直しの方法やPDCAの取組を可視化させたことで、これまでの暗黙の取組が明確化されました。今回の一体化により、木を見て森を見ずとならないよう、施策全体の方向性を評価し、その方向を踏まえて事業を検証するという考え方が都庁組織の隅々にまで根づいた結果、事業見直しの質の向上が図られます。こうした点にこそ、今回の制度変更の本当の意義があるとも思います。
 先ほど、事業執行の迅速化、そして、全体の方向性と個別事業の連動性は、予算規模の大小や新規事業の個数よりも重要な取組であると思います。こうした地に足のついた取組は、中長期的にもしっかりと改善が目に見えることを求めておきます。
 さて、来年度予算では税収が大幅に回復しましたが、足元では、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、経済の急激な変化にも直面しています。
 また、将来に増加が予想される様々な財政需要もしっかり考慮に入れなければなりません。
 こうした中で、今後とも、都として必要な施策を機動的に打ち出せる強固な財政基盤を構築すると同時に、将来世代にツケを回さないよう、責任を持った財政運営が必要と考えます。
 そこで、中長期的な歳入歳出の見通しをどのように認識しているのか、そして、将来世代に大きな負担を残さない観点から、今後どのような財政運営を行っていくのか、最後に財務局長に伺います。

○吉村財務局長 日本経済の先行きにつきましては、感染症による影響や原材料価格の高騰など様々な下振れリスクが指摘されており、税収の中長期的な見通しは楽観できないものと認識しております。
 一方、都は、コロナ対応や激甚化する自然災害への備え、世界の都市間競争に勝ち抜くための取組を始めとする喫緊の課題に加えまして、老朽化している社会資本ストックの維持更新や高齢化に伴います社会保障関係経費の増加など、将来にわたって避けることのできない財政需要を抱えております。
 こうした中にありましても、都政に課せられた使命を確実に果たしていくためには、今後も健全な財政基盤を継続的に確保していくことが不可欠でございます。
 こうした考えの下、令和四年度予算では、政策評価と事業評価の一体的実施に加えまして、DXによる業務の効率化等の視点を踏まえまして、終期が到来する事業の事後検証を徹底するなど、施策の新陳代謝を一層強化しているところでございます。
 また、財政環境の変化に対応し得るよう基金残高を一定程度確保するとともに、都債の発行を抑制いたしまして、将来に向けた財政対応力を培っております。
 今後も、不断の見直しなど無駄をなくす取組を徹底するとともに、将来負担も見据えながら、都債や基金を戦略的に活用するなど、中長期を見据えた財政運営に取り組んでいく考えでございます。

○伊藤委員 都がなすべき役割を果たすためには、財政面からの下支えが不可欠です。健全な都財政の下、こうした役割を将来にわたり果たし続けられるよう、引き続き万全の備えで財政運営を行っていくことを求め、質問を終わります。

○米川委員 私からは、まず、地方財源の確保に向けた取組について伺います。
 これまで国は、地方消費税の清算基準の見直しや地方法人課税の偏在是正措置など、意図的に都市対地方の構造をつくり出し、都市の財源を狙い撃ちにする形で都税の収奪を繰り返してきました。
 我が会派は、こうした不合理な措置に断固反対する立場から、様々な場面で主張を展開してきました。また、都に対しても、これまで定例会や予算要望などを通じ、国に対し主張すべきと訴えてきました。
 来年度予算では、企業収益の回復などを背景に、法人二税を中心に都税収入の増加が見込まれています。しかし、この反面、東京都予算案の概要には、いわゆる偏在是正措置による影響で一兆一千三百八十七億円もの税収が失われているとの記載があります。
 令和四年二月一日現在の東京都の人口は一千三百九十八万四百八十五人、都民一人当たりにしますと約八万一千四百四十九円にもなります。都財政に甚大な影響を及ぼすこのような不合理な措置の撤廃に向け、国に対し強く声を上げるとともに、都民にもこの事実をしっかりと伝え、理解を得ることが重要と考えております。
 そこで、地方法人課税のいわゆる偏在是正措置に対する都としての認識と取組について伺います。

○山田理事 これまで国は、累次にわたる地方法人課税の見直しによりまして法人二税の国税化を進めており、こうした一連の措置により、都財政は大きな影響を受けております。
 真の地方自治は、地方自治体が自らの権限と財源に基づき、主体的に行財政運営を行うことで初めて実現できるものでございます。
 そのため、都はこれまでも、国への提案要求や九都県市首脳会議を通じて、国、地方間の税財源の配分の見直しなど、地方税財政制度の抜本的な見直しについて、国に対して要望を行ってまいりました。
 また、こうした状況に対しまして、都民の皆様にご理解をいただくため、予算案発表などのタイミングで、措置による影響や都の取組について発信をしております。
 今後とも、地方税財政制度の本来あるべき姿を目指し、地方が果たすべき役割と権限に見合った財源を一体として確保できるよう、様々な機会を捉えて、国に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。

○米川委員 都市と地方が限りあるパイを奪い合う対立の構図をつくり出すことは論理のすり替えにほかならず、地方は、目先の財源に惑わされることなく、本来あるべき地方税財政制度の確立に向け、一丸となって国に対抗していく必要があります。
 また、都民一人一人がこうした状況を正しく理解し、不合理な措置によって不利益を被っているという意識の形成につなげていくことも重要です。さらなる取組の強化を求めます。
 次に、都民による事業提案制度について伺います。
 都の予算規模は一国に匹敵するものであり、こうした偏在是正の問題に限らず、なかなか都民の生活実感として身近に感じることが少ないという側面もあります。
 そうした中、平成二十九年度から実施している都民による事業提案制度は、都民が予算を自分事として捉え、予算編成プロセスに参加する有効な機会であり、また、都としても、行政にない発想を取り入れ、都政課題の解決につなげることができる貴重な機会であると考えております。
 こうしたことから、より多くの都民から提案をいただけるよう、効果的な周知とともに、参加しやすい制度へと常に改善、充実を図っていくことが重要と考えております。
 そこで、都民による事業提案制度について、この間の仕組みの改善や周知に向けた取組状況と、制度創設からの提案件数の推移について伺います。

○山田理事 都民による事業提案制度につきましては、多くの都民参加を促し、従来の発想にとらわれない新たな視点を事業の構築につなげていくことが重要であると考えております。
 そのため、平成三十年度予算編成における導入以来、提案対象となる分野の拡充や募集期間の十分な確保、多様な媒体による広報など、より多くの方々に参加していただくための仕組みへと改善を重ねてまいりました。
 また、提案が事業化された方への感謝状贈呈式を実施するなど、都民参加の機運醸成に資する取組も行っております。
 さらに、今年度は、募集する事業分野の設定を撤廃するとともに、提案や投票の参加対象を十八歳以上から十五歳以上へと拡大することで、都民の皆様により幅広く参加していただけるよう見直しを行っております。
 そのほか、SNSを活用して提案や投票を呼びかける広報活動の強化や、投票した方からの事業案に対する意見の募集、より使いやすい提案、投票フォームの構築など、都民の関心や利便性の向上を図っております。
 こうした取組によりまして、導入以来毎年度二百五十件程度でありました提案件数は、今年度には、前年度の二倍近い四百七十七件となり、投票数につきましても、前年度の三倍以上となります一万五千三百七十六票の投票をいただいたところでございます。
 今後とも、都民の皆様が利用しやすい環境づくりの観点から、事業提案制度のさらなるブラッシュアップを図り、予算に的確に反映させることで、都政の課題の解決につなげてまいりたいと考えております。

○米川委員 様々な工夫、改善を図ったその結果が、提案件数にも表れていることがよく分かりました。
 また、今、理事の答弁の中に、感謝状の贈呈式、これを行っているということで、お聞きしますと、小池都知事も参加する式典だということですので、こういったことも、ぜひ、多くの都民の方にアピールしていただくと、私も、知事に会うために、提案、いろんなことがあるんだよということを、こういった制度をいっぱい活用するようになると思いますので、うまく周知の方をお願いいたします。
 このように、都民からの提案の数々が、都にとって新たな気づきにつながり、ほかの事業にも展開されていくような波及効果、こういったことも期待できると考えております。都民からの貴重な提案をその事業限りとするのではなく、いただいたアイデアを余すことなく活用することを求めます。
 次に、財務局所管の都有財産の活用について伺います。
 現在もなお新型コロナウイルス感染症の第六波の中、都民の生命を守るため、都は、その対策に全庁を挙げて取り組んでおります。
 こうした中、都庁舎のほか、味の素スタジアムにある調布庁舎や、最近では、東京スポーツスクエアなどの都有施設において、宿泊療養など、その時々の状況に対応して柔軟に暫定活用されていると聞いております。
 財務局では多くの未利用地を管理しており、建物も一部保有しておりますが、時期に合ったコロナ対策を速やかに講じていくためには、更地に新たな施設を建設することも考えられますが、既存の建物を有効に活用した方が、より迅速な対応が可能なこともあると考えております。
 そこで、先ほど述べた活用のほかに、財務局が所管する建物において、コロナ対策のため、どのような取組を行っているのかを伺います。

○矢部運営・調整担当部長 財務局では、福祉保健局からの要請に応じまして、令和三年八月より、新型コロナウイルス感染症対策のため、仮称都民の城を活用しております。
 具体的には、当該施設の一階から四階までが酸素・医療提供ステーションとして利用されており、病床数は現在百四十床を確保してございます。

○米川委員 財務局も、自ら所管する仮称都民の城を活用して、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいることが分かりました。
 財務局の来年度の予算を見ますと、当初予定していた仮称都民の城の実施設計が未計上であるとのことですが、この状況を考えると、それもやむを得ないのではないかと考えております。いまだ感染症が終息したとはいい難い状況で、引き続き財務局も、都民の安全・安心のため、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいく必要があると考えております。
 そこで、令和四年度において、仮称都民の城で新型コロナ対策に必要な予算をどのように計上しているのかを伺います。

○矢部運営・調整担当部長 来年度も引き続きまして、酸素・医療提供ステーションの円滑な運営が可能となるよう、建物の維持管理経費等を計上してございます。
 具体的には、二十四時間体制で設備管理を行う建物管理委託や建物の老朽化に備えた修繕工事などがございます。
 こうした取組を通じまして、引き続き、仮称都民の城を新型コロナウイルス感染症対策に活用してまいります。

○米川委員 新型コロナウイルス感染症対策は全庁的な課題であり、引き続き財務局として取り組んでいくことを求めます。
 最後に、第三次主要施設十か年維持更新計画について伺います。
 主要施設十か年維持更新計画は、平成二十一年二月に策定された第一次計画から三度目の計画になりますが、今回策定された第三次主要施設十か年維持更新計画は、どのような視点で計画に取り組んでいくのか伺います。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設は、都民に良質な行政サービスを提供するとともに、都民の安全・安心を確保するものであることから、計画的に維持更新を図る必要がございます。
 このため、本計画では、改修や建て替えの効果を最大限発揮させることにより、防災対応力の強化、環境負荷の一層の低減、国産木材利用の拡大など、六つの視点から都政の重要課題等の解決に向けて取り組んでまいります。
 また、適切な維持管理や保全などを通じて将来コストの縮減を図り、長寿命化を推進するとともに、都有財産の効率的かつ効果的な活用に努めてまいります。
 こうした視点から都有施設の維持更新に取り組み、都民サービスの維持向上につなげてまいります。

○米川委員 各局の同じ施設の改修であっても、それぞれの施設周辺の開発状況などの情報を把握し、様々な視点で分析することで個別最適な整備手法を選択できれば、財政負担を抑えることにつながると考えております。
 そこで、第三次計画を策定するに当たり、各局とどのようなやり取りをして計画施設を選定したのか伺います。

○飯泉施設整備担当部長 本計画の策定に当たりましては、まず、施設を所管する各局に対して、計画を見直す必要性や策定方針などに関する説明会を実施いたしました。その上で、改修や建て替えを予定している施設の中から、本計画に位置づけを希望する施設について、各局から情報提供を受けました。
 その後、各局とのヒアリングを通じまして、それらの施設が抱える課題や整備手法の考え方などについて把握するとともに、行政ニーズや施設の劣化状況、都有財産の効果的な活用などの観点から検討し、最終的な各局の意向も確認した上で計画に位置づけております。

○米川委員 過去には、東日本大震災を踏まえて、防災力の強化や将来コストの縮減に対応するための見直しを行ったこともありますが、今回、新しい日常という視点でのテレワークやデジタルトランスフォーメーションによって、どれだけ都庁の仕事のやり方が変わっていくことになるのか、まだ見通しは立っていないと思っております。
 計画期間中であっても、必要となった際には、計画施設数や概算事業費の見直しを行い、対応していくことを求めまして、質疑を終わります。

○たかく委員 それでは、私の方から、最初に、令和四年度予算案について質問させていただきます。
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、力による一方的な現状変更を認めないという国際秩序を根底から揺るがすものであり、国際法、また国連憲章上の重大な違反行為であり、断じて容認できないものであります。ウクライナ危機の影響により、都民生活への様々な影響が懸念されておりますが、それらの課題に対し、迅速かつ的確に対策を講じていくことが重要であり、そのためには、その裏づけとなる財政対応力が不可欠であります。
 こうした観点から、都財政の現状について何点か質問いたします。
 令和四年度予算案における一般会計の一般歳出は、前年度比三千七百六十億円増の七兆八千十億円と過去最大の規模となっております。足元の税収は回復したものの、緊迫する国際情勢による経済活動への悪影響など様々な景気の下振れリスクを考慮すると、今後の財政環境は楽観できない状況であり、歳出増となった要因や大きく増となった都税収入以外にどのような財源確保の工夫を行っているのか、もう少し詳細な分析が必要であると考えます。
 そこで、都税以外の歳入の活用状況といった観点から、令和四年度予算の特徴について説明を求めます。

○山田理事 令和四年度予算では、国庫支出金が前年度の約二倍の規模となっております。
 この主な要因は、前年度は補正予算に計上いたしました医療提供体制の強化充実に係るコロナ対策経費約三千六百億円を当初予算に計上し、その財源の九割を国庫支出金で賄ったことによるものでございます。
 また、繰入金は、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金を除きますと、前年度比約一千億円の増となっておりまして、社会資本等整備基金や防災街づくり基金などの三つのシティ実現に向けた基金を活用いたしまして、積極的に施策を展開しております。
 都債につきましては、税収増を活用し都債の発行額を抑制することで、前年度と比べて約三千億円減と約半分の規模としております。
 この結果、都債残高も減少する見込みとなりまして、将来に向けて発行余力を培うことにつなげております。

○たかく委員 コロナ対策経費を当初予算に計上したことが歳出増の大きな要因の一つであり、その財源の九割、約九割は国庫支出金で賄われているとの答弁であります。
 また、税収増を活用し都債の発行抑制を行うなど、財政対応力の堅持といった視点にも考慮された予算であるとのことを認識いたします。
 一方で、この間のコロナ禍における基金を活用した機動的な対応を見ても明らかなように、都の財政運営にとって非常に重要な役割を果たすのが基金であります。先ほどの答弁では、繰入金の取崩し額は、オリンピック・パラリンピック開催準備基金の減を除くと、約一千億円の増とのことでありましたが、この結果、ストックとしての基金残高がどの程度の水準になるのか把握しておきたいと思います。
 令和四年度予算における年度末基金残高見込みは約一兆円とのことですが、これらの基金の使途と、過去と比較した基金残高の水準について説明をいただきます。

○山田理事 令和四年度予算におけます年度末基金残高見込み約一兆円のうち、全体の四割、約三千九百億円は、使途の定めのない財政調整基金でございます。残りの六割、約六千八百億円は、都政の重要課題に対応するために設置いたしました特定目的基金でございます。
 特定目的基金の内訳は、社会資本等整備基金が約二千二百億円、防災街づくり基金が約一千三百億円、鉄道新線建設等準備基金が約八百億円などとなってございます。
 また、令和四年度末におけます東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金を除きました基金残高の見込みは、財政再建達成後の平成十九年度における基金残高などと同水準となっており、持続可能な財政運営の観点から、一定の残高を確保していると考えているところでございます。

○たかく委員 特定目的基金の内訳は、都市インフラの整備や安全・安心なまちづくりなど、税収の変動にかかわらず着実に進めるべき事業の財源として積み立てられております。
 一方で、財政調整基金を含む基金全体の残高については、今答弁にもありましたように、平成十九年度などと同程度の水準であるということです。確かに、財政再建期のような状況ではなく、一定の財政対応力は堅持できていると認識するものでありますが、さきの都議会公明党の代表質問において指摘したとおり、コロナとの闘いに突入した令和元年度の半分以下の水準であり、コロナ禍での基金活用の実績を踏まえれば、現状では、財政面の備えが極めて弱いといわざるを得ません。
 一方で、ロシアのウクライナ侵攻による影響は、既に原油価格や穀物価格の上昇という形で表れてきており、状況に応じて迅速に対策を講じていかなければ、都民の期待に応えることはできません。
 そこで、目まぐるしく変化する社会情勢に的確に対応していくためにも、今こそ財政対応力を戦略的に活用していくことが重要と考えますが、財務局長の見解を伺います。

○吉村財務局長 令和四年度予算では、国庫支出金や特定目的基金を例年以上に活用いたしまして施策展開を行う一方、税収増を活用し都債発行を抑制するとともに、一定水準の基金残高を確保するなど、財政対応力の堅持にも努めたところでございます。
 一方、新たな変異株の発生や日々変化する国際情勢など、都を取り巻く環境は不透明であり、楽観できる状況にはございません。
 こうした中にありましても、都は、都内経済や都民生活をしっかりと支えていくため、時期を逸することなく必要な対策を講じていくことが重要でございます。
 このため、持続可能な財政運営の観点から、基金残高の確保など、財政基盤の強化を図りつつ、財政状況に応じて、これまで培ってまいりました財政対応力を戦略的に活用することで、喫緊の課題などに対する機動的かつ積極的な施策展開を財政面から下支えしてまいります。

○たかく委員 今、局長からご答弁いただきましたが、今後の景気変動や財政需要の増加リスクなどにも留意しつつ、都民の暮らしを守るべく戦略的な財政運営に努めていくべきことを改めて強く求めまして、次の質問に移ります。
 それでは、次に、第三次主要施設十か年維持更新計画案について質問いたします。
 世界一の都市の実現を目指して、東京都では、良質な社会ストックを次世代に継承していくために、各種インフラ及び都有施設の整備などを着実に行っていく必要があります。
 現在、都有施設は約三千九百施設あるとのことです。これらの施設は、東京都の財政運営を支える施設であり、都民が様々な行政サービスを受けることができる身近な施設でもあります。また、災害発生時には防災拠点としての役割を果たすなど、都民の安全・安心を守る施設でもあります。
 これらの都有施設は、良質な社会ストックとして次世代に継承していくため、維持更新を計画的かつ着実に行っていく必要があり、主要施設十か年維持更新計画が策定されたとのことです。主要施設十か年維持更新計画での第一次計画では、平成二十一年度から平成三十年度までの十か年の計画、第二次計画では平成二十七年度から令和六年度までの十か年の計画となっております。
 都ではこれまで、第一次、第二次と計画を策定して主要施設維持更新計画に取り組んできたとのことですが、どのくらいの施設が更新できたのか、また、どのくらいの事業費がかかったのか、お聞きいたします。

○飯泉施設整備担当部長 平成二十一年二月に策定いたしましたいわゆる第一次計画では、五百九施設を位置づけまして、このうち事業化したものは三百四十四施設でございます。
 また、平成二十七年三月に策定いたしました第二次計画では、三百五十六施設を位置づけ、うち二百二十七施設を事業化いたしました。この二百二十七施設のうち百四十九施設は、第一次計画からの事業継続施設であることから、第一次計画から第二次計画を通して事業化し、維持更新を行っているものは四百二十二施設でございます。
 次に、事業費についてでございますが、第一次計画の期間に予算化した費用は約四千九百億円、第二次計画の期間内に予算化した費用は約五千三百億円であり、その合計は一兆二百億円でございます。

○たかく委員 第一次計画から第二次計画を通して事業化し、維持更新を行っているものは四百二十二施設、事業費については、合計では一兆二百億円とのことで、多額の事業費が投入されていることが分かりました。
 それでは、第一次、第二次の維持更新計画の中から見えてきた課題はあるのか、また、そこから第三次維持更新計画案に反映されたものはあるのか、お聞きいたします。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設は都民の貴重な財産であり、長期にわたって活用されることが重要であることから、これまで長寿命化を目指して施設の維持更新を進めてまいりました。
 このことにより、建築後の年数が異なる建物が混在する施設については、建築後の年数が浅い、いわゆる築浅の建物を残した上で更新計画を検討することとなりまして、築浅の建物が残ることで、工事用車両などの搬入経路が確保できず施工計画が立てられないことなどにより、施設の維持更新が進まない事例がございました。
 このため、現在策定中の第三次計画においては、長寿命化を図ることを基本としつつも、築浅の建物が存続することで明らかに施設全体の建物配置計画や工事の動線計画に支障を来す場合には、築浅の建物を含めて改築の可否を判断するよう位置づけてございます。

○たかく委員 二月に第三次主要施設十か年維持更新計画案が示されました。検討対象施設としては、一つに、おおむね築三十五年を経過して、延べ床面積三千平米以上、二つ目に、おおむね築十年を経過し、延べ床面積一万平米以上の施設、その他、維持更新が特に必要な施設として、選定の結果、先ほどありましたように、計画施設では二百七十八施設とのことです。
 そこで、第一次から第三次の計画で、全ての施設のうち約何割程度の都有施設がカバーされているのかをお聞きいたします。

○飯泉施設整備担当部長 先ほどご答弁させていただきましたとおり、第一次計画から第二次計画を通して事業化した施設は四百二十二施設でございます。
 一方、第三次計画で位置づけ予定の施設は二百七十八施設でございますが、このうち第二次計画からの事業継続施設は七十五施設でございますので、第三次計画で新たに位置づける施設は二百三施設となっております。
 このことから、第一次計画から第二次計画を通して事業化した施設と、第三次計画で位置づけ予定の施設の合計は六百二十五施設となります。
 都有施設は、交番や消防団の施設など小規模な施設も多く、これらを含め約三千九百施設でございますので、カバー率は約二割でございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、全体で約三千九百施設のうち二割程度ということですが、そうすると、残り約八割の施設についての維持更新計画はどうなっているのか、また、本計画でカバーされていない都有施設については、誰が、どのような考え方で維持更新を行っていくのか、お聞きいたします。

○飯泉施設整備担当部長 十か年維持更新計画ではこれまでも、効果的かつ効率的に都有施設の維持更新を進めるため、築年数や規模も参考にしながら、行政ニーズや施設の劣化状況などの観点から計画施設を選定しておりまして、第三次計画も同様でございます。
 このため、計画に位置づけていない、例えば、交番や消防団の施設などにつきましては、施設所管局が自ら策定する事業計画に基づきまして維持更新を進めることになります。その際、財務局は、必要に応じて現場調査や助言を行うなどの技術的支援を行ってまいります。
 計画対象外の施設であっても、各局と連携し、計画内容に準じて適切に維持更新が行われるよう努めてまいります。

○たかく委員 今の答弁では、計画に位置づけられていない約八割の施設については、施設所管局が自ら策定する事業計画に基づいて維持更新を進めていくというようなことで理解いたしました。全ての建物等をしっかりと計画的に維持更新していくことによって、施設の機能不全や安全性の低下を招くことなく、質の高い行政サービスの提供が継続していくことができるように求めておきます。
 次に、施設の維持更新を推進していく上では、都有財産の効率的、また効果的な活用、そして、長寿命化の推進、都政の重要課題等を反映した維持更新の推進が必要とされております。
 まず、都有施設の維持更新における都有財産の効率的かつ効果的な活用について、都の考え方を伺います。

○五十嵐財産運用部長 都有施設の維持更新を着実に進めていくためには、計画的な用地確保が重要でございます。加えて、都有施設の建て替えに際しては、都有地を可能な限り有効活用し、財産価値を最大限に発揮させることが求められているところでございます。
 このため、都は、まとまった規模の都有地における改築で、建蔽率や容積率に余裕がある場合は、用地の創出や施設の利便性向上などを図るため、建物の高層化や複数施設の集約化、国、区市町村等との合同庁舎化を積極的に検討することとしております。

○たかく委員 都有財産の効率的、効果的な活用を図っていく上では、複合合築化などを推進していくことが非常に重要と考えております。
 今の答弁でも、建物の高層化や複数施設の集約化、また、国、区市町村等の合同庁舎化を積極的に検討するということでありましたが、この施設の複合合築化について、第二次計画における実績、そしてまた、第三次計画での複合合築化等の取組について伺います。

○五十嵐財産運用部長 第二次計画におきましては、近接する国有地と都有地の一体活用により、税務署や法務局、区立図書館などとの合築を進めた世田谷都税事務所や、保健所や児童相談所など福祉保健局所管の施設を集約化した立川福祉保健庁舎など、五つの施設において、施設の集約化、合同庁舎化を進めたところでございます。
 第三次計画におきましては、現時点では具体的な対象施設は定まっておりませんが、今後、庁内各局や関係機関と連携し、用地の確保や都有施設の利便性向上の視点から施設の集約化、合同庁舎化について積極的に検討してまいります。
 なお、第三次計画の対象施設ではございませんが、現時点で、江戸川都税事務所について、税務行政のワンストップ化による利便性の向上を図るため、再開発事業を活用しながら江戸川区役所本庁舎との合築による建て替えの検討を進めているところでございます。

○たかく委員 今、私の地元の世田谷区でも、税務署や法務局、区立図書館などを複合化して合築したというようなお話もありました。こういった施設の複合合築化で効率的、また効果的な運用を推進することは、将来的コスト、これを縮減、削減にもつながっていくものと思います。こういった積極的な活用をお願いいたします。
 次に、都有施設の改修、改築に当たっては、環境負荷の一層の低減が必要と考えます。二〇五〇年までの世界のCO2排出量実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を踏まえ、二〇三〇年カーボンハーフの実現のため、より一層の省エネルギー化と多様な再生可能エネルギーの利用の推進を図り、さらなる環境負荷の低減に率先して取り組んでいく必要があります。
 第二次計画では、省エネルギー化と再生可能エネルギーの利用推進が一つの方針とされましたが、第二次計画で実施した具体の事例を教えてください。また、令和二年六月に改定した省エネ・再エネ東京仕様を活用して、今後どのように推進していくのか、併せて伺います。

○飯泉施設整備担当部長 第二次計画での取組についてでございますが、世田谷区の都立千歳丘高等学校では、複層ガラスの採用による日射からの熱負荷の抑制や人感センサーの設置によるエネルギー消費の効率化を図るとともに、自然換気システムの導入により再生可能エネルギーの利用の推進を行ったことなどの事例がございます。
 次に、省エネ・再エネ東京仕様を活用した取組についてでございますが、ハイグレード高効率機器の導入により設備システムの効率化などを図るとともに、太陽光発電設備を可能な限り設置するなど、一層の取組を進めてまいります。
 また、東京仕様についても、さらなる環境負荷の低減を図る必要があることから、より省エネ化が見込める新たな技術などを反映するため、見直しを行ってまいります。
 こうしたことを通じまして、環境負荷低減の取組を加速させてまいります。

○たかく委員 最後に、都有施設の防災対応力の強化について伺います。
 将来発生することが想定されている首都直下地震や近年増加している豪雨や暴風など、災害から都民の命と安全を守るため、防災機能の向上に取り組んでいく必要があると考えます。
 現在、都有施設は、災害発生時の防災拠点としての役割を果たすなど、重要な役割を担っておりますが、今後、都では、非構造部材の耐震化やハザードマップ等を考慮した風水害への対応をどのように進めていくのか、お聞きいたします。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設は、災害発生時に防災拠点としての役割を果たすなど、都民のみならず、東京を訪れる人々にとっても重要な施設であることから、維持更新に当たりましては、防災対応力を強化することが重要でございます。
 このため、近年激甚化している風水害対策といたしまして、想定される浸水高さよりも高い位置に機械室等を設置するほか、看板などの飛散防止を徹底してまいります。
 また、一定の広さを有する室内空間では、天井の落下防止対策を講じるなど非構造部材の地震対策を実施するとともに、避難所や帰宅困難者の一時滞在施設としての利用も想定し、防災備蓄倉庫の設置や非常用電源の確保などについて検討してまいります。
 このような取組を通じまして、今後とも、災害時に機能不全が起こらないよう、維持更新に合わせて防災対策を推進してまいります。

○たかく委員 ただいま答弁がありましたように、災害時に防災拠点として、維持更新に当たって防災対応力をしっかりと強化することを求めて、私からの質疑を終わります。

○米倉委員 私からは、まず、公文書館の取組について伺います。気候危機への対応に関わって、このことを伺っていきたいと思っています。
 今、この課題は、世界や日本でも待ったなしの大問題となっております。既に世界や日本でも、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災などに襲われる非常事態という状況です。既に世界の平均気温は一・一度から一・二度上がっていると指摘をされていますが、このまま必要な対策が取り組まれずに気温上昇を許してしまうと、気候変動による影響が連鎖をして悪化が止められなくなると、破局的な事態を回避しなければならないという状況です。
 あと十年足らずで、そのためには、二〇三〇年までに全世界のCO2排出量を半分近くにまで減らせるかどうかというところに人類の未来がかかっている状況になっています。
 東京都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、これ事務事業のときにも伺いましたが、そのときに、都自らが省エネの推進や再エネの導入に率先して取り組むことが必要だと認識を述べられました。本当に大事だと思います。
 財務局は、都有施設を管理して、特に大規模な建築物の新築、改築、また改修などを行いますから、この分野で果たす役割は大きいと考えています。
 まず伺いたいのが、都は、公文書館を都有施設初のZEB化を実証する建物として改築をしていますが、その経緯や目的を伺います。

○金子技術管理担当部長 公共建築物に係るZEB化の動きといたしまして、平成二十六年四月にエネルギー基本計画が閣議決定され、国におきましては、二〇二〇年までに新築公共建築物等でZEBを実現することを目指すことが示されました。
 都では、こうした動きを踏まえまして、一層の省エネ化と再エネ設備の導入を推進するため、建て替えを検討中でございました東京都公文書館に、最新の省エネ技術の導入等を図り、ZEB化実証建築として整備することといたしました。
 あわせて、運用実績等の検証を行い、そこで得られた知見や省エネ機器の技術開発等の動向を踏まえながら、省エネ化や再エネ設備導入の取組をさらに進めていくことといたしました。

○米倉委員 では、公文書館はどういう水準の建物として建築しているのか、また、費用は通常の水準と比べてどのくらい多くかかっているのでしょうか。

○金子技術管理担当部長 ZEBの分類といたしましては四つございます。
 エネルギー消費量を基準となる建築物より四〇%以上削減したZEBオリエンテッド、五〇%以上七五%未満まで削減したZEBレディ、さらに、再生可能エネルギーと合わせ七五%以上一〇〇%未満まで削減したニアリーZEB、一〇〇%以上削減したいわゆる真のZEBとなっております。
 東京都公文書館につきましては、ニアリーZEBを目指して整備いたしました。
 屋根や外壁などの二重化による高断熱化、高効率空調機器の採用、大容量の太陽光発電設備など、ZEB化に伴う省エネ化や再エネ設備の導入に係る費用は、全体工事費約六十五億円のうち約一割となっております。

○米倉委員 今、ZEBの分類のところから説明していただきました。なかなか耳で聞くだけだと分かりにくいかなと思って、環境省のホームページの一部をコピーして、資料として配らせていただきました。
 今のご説明のとおり、今、ZEBの定義として四つあるということで、このお配りした資料でいいますと、右下の青いZEBオリエンテッドが一番省エネで減らすエネルギー量が従来の建物と比べて少ない、四割だとか、ホテルだとか病院については三割の省エネというふうになります。その次に、省エネをさらに引き上げて、五〇%以下まで削減するというものがZEBレディ、左側ですね。その上、右側、赤で囲まれているニアリーZEBというところが、従来のエネルギーと比べて二五%以下に省エネと創エネで削減すると。そして、真のZEBとおっしゃいましたが、省エネ、創エネでエネルギーをゼロ%以下にするのが、そのZEBということでした。
 公文書館はニアリーZEBということで、右上の二五%以下の水準でつくられたということです。
 東京都の情報を見ますと、この公文書館ですが、屋根は二重床スラブとして、その間に五十センチの断熱材を入れて、外壁も断熱材を取り付けた二重の壁となっているということです。いわば建物全体を魔法瓶のような構造としているということで、設計段階では、基準となるエネルギー消費量に比べて、約九〇%の削減が行われているということです。
 公文書館は二〇二〇年四月に開館しましたが、開館後、公文書館のエネルギー消費量は、従来の建物と比べてどの程度減っていると考えられるのか、また、再エネの発電量はどうなっているのか、改築後に、エネルギー消費の状況についてどのように分析しているんでしょうか。

○金子技術管理担当部長 現在検証中でございますが、直近一年間の実績では約八割のエネルギーを削減いたしました。
 再生可能エネルギーである太陽光発電につきましては、令和三年度の数値は暫定でございますが、年間三十万キロワット以上を発電しております。
 令和二年四月の開館以降、空調設備などの効率的な運転を目指して、データの分析や空調システムの設定調整など省エネチューニング等を実施しております。

○米倉委員 今まだ空調システムの設定調整などを行っている最中ということですが、既に約八割のエネルギーを削減しているということです。
 私、総務局に、太陽光発電のこの状況についても詳しく伺ってみました。公文書館の電力使用量との関係で、もちろん館で使い切れなくて売電している部分はあるんですが、そういうところを含めると、全体の電力使用量の四割以上の分を太陽光で発電しているというぐらいの発電をされているということで、やはり可能な限りパネルをつけていくということも非常に重要だなと思いました。
 公文書館のこの実証を、今後の第三次十か年維持更新計画にどう生かしていくんでしょうか。

○飯泉施設整備担当部長 現在策定中の第三次計画では、環境負荷の一層の低減を取組の一つとして掲げてございます。
 今後の維持更新に当たりましては、公文書館で得られた知見も活用し、施設の用途や特性を十分踏まえた上で検討を行ってまいります。

○米倉委員 得られた知見を活用していくということ、大切だと思います。
 この得られた知見や情報についてですが、これは、財務局内だけでなく、都庁内でも共有していただきたいと思っています。
 あわせて、都民も見られる形で共有していただきたいと思っています。広くこの実証が、知見が生かされるようにしていただきたいと要望しておきます。
 この第三次計画についてなんですが、環境負荷の一層の低減を盛り込んでいまして、省エネ・再エネ東京仕様を適用して省エネと再エネを進めるとしています。
 また、ゼロエミッション都庁行動計画に基づき、ZEBレディ、省エネで五〇%まで減らす、また、ZEBオリエンテッド、四〇%以上の省エネ、そして、さらなる省エネを導入していくということを、それ以上の削減を目指すとしています。
 第二次計画には示されていない省エネなどの目標が今回盛り込まれたことは重要です。
 この第三次計画で改築、改修することで、エネルギーの使用量は、現状の対象になっている建物から比べてどのくらい減ると見込んでいるのか、現在のエネルギーの使用量と改築、改修後の見込みについて伺います。

○飯泉施設整備担当部長 第三次計画で予定している各施設につきましては、現時点では、改築、改修後の規模などが決まっていないことから、計画ではエネルギー削減量を見込んではございません。
 なお、各施設の設計では、基準となる建物のエネルギー消費量と比較し、削減量の検討を進めていくこととしてございます。

○米倉委員 今の時点で、この第三次計画で改築、改修する施設のエネルギー使用量を把握されていないということだと思うんですが、ただ、予算規模は出していらっしゃるわけですよね。だから、具体的に、どの施設の、どの建物を改修するというような大まかな見込みは持っていらっしゃるわけで、ぜひエネルギーについても公表していただきたいなと思っています。
 今のご答弁の後段で、各施設は、設計の段階ではエネルギー削減量がどの程度になるか把握する、削減量を検討するということですから、今後、各施設の改築、改修の具体化が進むとエネルギーの削減がどのくらいの量になるか分かってくるということだと思うんです。
 今、気候危機への対応として、建築物の対策が公の施設でも民間施設でも重要になっていますから、都が具体的にこうした努力を進めているということをお知らせしていくというのは非常に重要だと思います。
 今後、今の状況でエネルギーの使用量がどうなっているかというところも把握していただいて、同時に、十か年のこの計画を通して、都有施設のエネルギー使用量がどの程度減っていくのかということも都民に向けて示していただきたいと要望しておきます。
 都は、十か年維持更新計画で、改築、改修した建物について六十五年使えるようにするということです。気候危機の対応を考えたときに、二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年ニュートラルを踏まえた、可能な限りの努力を高めていくということが求められています。
 この第三次計画では、エネルギーについて、都がこれまで取り組んできた省エネ・再エネ東京仕様と、そして、ゼロエミッション都庁行動計画で掲げている目標、一次エネルギーを原則三〇から五〇%以上削減するということが盛り込まれています。
 この省エネ・再エネ東京仕様ですが、二つ掲げられているんですよね、エネルギーについて。この東京仕様の方ですが、これは、省エネと再エネのそれぞれの技術項目について、建物の用途や規模別に、この建物だとこの技術は原則導入ですよと。一方で、この技術は、施設の特性、立地状況等に応じて導入してくださいねというようなものになっています。
 ですから、各局が、この仕様を参考に、施設の改修、改築時に導入を検討するとなりますが、これは、掲げたエネルギー削減の目標を達成するための性質のものではもともとないと思うんですね。
 それで、この目標に、東京仕様のこととゼロエミ都庁行動計画、二つのことが目標として書いてあるんですが、この省エネ・再エネ東京仕様とゼロエミッション都庁行動計画、ここで掲げる目標はどう関係しているのか伺います。

○金子技術管理担当部長 令和三年三月に策定されましたゼロエミッション都庁行動計画におきましては、都有施設の整備に当たり、ZEBレディや、規模、用途によってはZEBオリエンテッドとなる水準相当を目指した上で、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの利用を推進し、ゼロエミッション化を目指した建築物の実現に取り組むこととしております。
 一方、省エネ・再エネ東京仕様は、東京都建築物環境計画書制度の省エネ評価などにおいて、最高評価であるエネルギー消費量三〇%削減を目指して策定しております。
 これまでも、この東京仕様につきましては、省エネ技術の動向を踏まえ見直しをしてございまして、引き続き、都有施設のZEB化に取り組んでまいります。

○米倉委員 ゼロエミ都庁行動計画では、一次エネルギーが原則三割から五割以上削減ということで、今のご答弁だと、省エネ・再エネ東京仕様は三〇%削減だよということです。
 東京仕様については、省エネ技術の動向を踏まえて、見直しは今後もされるということだと思うんですが、やはり、都庁行動計画との関係でも、この東京仕様のバージョンアップ自体必要だと考えます。そこはいかがですか。

○金子技術管理担当部長 現行の省エネ・再エネ東京仕様におきましては、三千平米の庁舎モデルについてでございますが、令和二年の改定により、既に六〇%程度の削減を見込んでおります。
 また、学校モデルにつきましては、既に見直しに取りかかっているところでございます。

○米倉委員 ぜひ、都庁行動計画との関係でも積極的な見直しを進めていただきたいと要望します。
 計画では、ZEBレディやZEBオリエンテッド以上の省エネを目指すとしています。それぞれの建物を改築、改修するときに、この基準を達成するためにどういう技術の導入をするかなどの検討はどう行われていますか。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設の改築、改修に当たりましては、省エネ・再エネ東京仕様を適用し、環境負荷の低減に向けて、今後も取組を進めてまいります。
 具体的には、改築では、設計時に、施設の用途や特性などを踏まえ、建物配置などの工夫や高効率空調機器、コジェネレーションシステムの導入などについて検討を行ってまいりますが、導入する技術とエネルギーの削減効果との兼ね合いなどを確認しながら検討を進め、ZEB化に向けて取り組んでまいります。

○米倉委員 基本的に、ZEB化に向けて、つまり目標を達成するために、具体的な設計の工夫や技術を入れていくと。その際、省エネ・再エネ東京仕様で示している技術項目も参考に踏まえていくということだと思います。
 意欲的なエネルギー消費量の削減をしていくときに、今後、各局で都有施設の建築や管理に関わる職員の皆さんが、この分野、省エネ、再エネについて高い専門性を持つということは不可欠です。
 改築、改修の際に、省エネや再エネの観点で専門性を持ち助言できる役割を持つ職員が、財務局をはじめ各局に必要ではありませんか。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設の維持更新を進めていく上では、様々な観点での技術的な専門知識が必要でございます。
 省エネ、再エネの観点につきましては、環境局などと連携し、省エネ・再エネ東京仕様の活用方法などについて各局と共有するとともに、技術的支援を実施してまいります。

○米倉委員 省エネ、再エネは、二〇三〇年カーボンハーフの目標との関係でも特に急がれる課題です。財務局としても、省エネ・再エネ東京仕様の共有とともに、技術的支援をしていくということです。
 これですが、ぜひ、新たな技術について研修の場を設けるなど、支援を強化していただきたいと要望します。
 都庁全体での省エネ、再エネの取組の引上げとしては、今回目標を示されたということは重要ですが、同時に、やはりこれは目標を上回る取組も必要だと思っています。
 公文書館だけでなく、ほかの規模、用途の建物でも、意欲的なZEB化の実証的、積極的な取組を進める必要があると思いますが、いかがですか。

○飯泉施設整備担当部長 今後、公文書館で得られた知見も活用し、施設の用途や特性を十分踏まえた上で検討を行い、都有施設のZEB化に取り組んでまいります

○米倉委員 施設の用途、特性を踏まえた、意欲的なZEB化を進めるという内容だと受け止めました。
 資料でいいますと、今、東京都が取り組まれている、目標として持たれているのは下の方のZEBオリエンテッド、ZEBレディですが、ZEB化を進めていくというのは、その上の段階で取り組んでいくということです。大事な答弁だと思います。
 ぜひ、都としての取組は、都民に公表しながら進めていただきたいと要望します。
 第三次計画期間は十年ですから、一期の段階から、様々な用途、規模の建物で意欲的な取組にしていただきたいと思います。
 その知見を、ほかの建物にも、この十年の間でも生かしていくというふうにしていただきたいと要望しておきます。
 十か年維持更新計画では、新たな建物のエネルギー消費量を減らすことは、目標として盛り込まれていますが、あわせて、建築する際に使うエネルギー消費量や、また、CO2排出量、解体などに伴うエネルギー消費量、CO2についても把握することが必要ですし、削減することが重要です。
 建材そのものをつくる際のエネルギーについても考えていく必要があります。
 そこで伺いたいのですが、建築時や建材生産過程においてのCO2排出量の抑制や削減に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○飯泉施設整備担当部長 これまでも、東京都建設リサイクルガイドラインなどに基づき策定された東京都環境物品等調達方針により、温室効果ガスの削減に資する建設機械の使用や、環境負荷を低減できる機材や材料を選定するなど、CO2排出量の削減を図ることとしており、引き続き取り組んでまいります。

○米倉委員 都内のある高層ビルで研究者の方が試算されたところによると、既存のビルを壊して新築の、また新たな高層ビルを建て替えるというときに発生するCO2排出量というのは、その後のビルの年間の排出量、高効率の機器なんか入れるわけですが、それでも十数年分に匹敵するという試算も出ています。
 大量の建築部材、そして、エネルギーが投入されることによってのCO2の量も多いということで、環境負荷として放置できない量だと指摘されています。
 都としても、維持更新計画の中で、この観点でも、さらなる取組を求めて、質問を終わります。

○山加委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十六分休憩

   午後二時五十五分開議

○山加委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、来年度予算に関して質問します。
 まず初めに、都債について伺います。
 令和四年度予算では、税収増を活用して都債の発行額を抑制しています。そうした環境にあっても、都債の一種であるESG債については前年度と同規模となる一千億円程度を発行するとのことです。
 この環境改善や社会課題解決を目的としたESG債については、市場が大変大いに盛り上がっているということでございますので、幾つか質問いたします。
 まず、このESG債の発行は、発行体である都にとって様々なメリットがあるからこそ、これだけの規模を発行するのだと思います。
 メリットとしてまず思いつくのが利率などの発行条件ですが、まず、ESG債は通常の都債よりも有利な条件で発行できるかについて、確認の意味で伺います。

○山田理事 発行条件につきましては、ESG債であっても必ずしも有利な条件で発行できるわけではなく、その時々の市況や投資家の動向に左右されます。
 昨年発行いたしました東京グリーンボンド及び東京ソーシャルボンドでは、金利環境が比較的落ち着いていたことや、多くの投資家の需要が集まったことから、直近で発行された他の債券よりも低い利率で発行をしております。
 今後も、市況を見極めつつ、多くの投資家の参加を促すことで、都債による低利で安定的な資金調達に取り組んでまいりたいと考えております。

○中村委員 ESG債とすることで、市況や投資家の需要次第ということではありますが、通常の債券に比べてより低い利率で発行できる場合もあるとのことです。
 低い利率となれば、それだけ都債発行のコスト削減につながるわけですから、投資家の需要を集めることで有利な発行条件につなげていってもらいたいと思います。
 さて、都のESG債ですが、これまで東京グリーンボンドと東京ソーシャルボンドの二種類が発行されています。このうち東京ソーシャルボンドは、今年度から新たに発行を始めた債券ということですが、大変好評であったと聞いています。
 このソーシャルボンドがどういった事業に充当されているかですが、都の事業は、基本的には公共目的で実施しているものですから、いわば全ての事業がソーシャルのようにも見えるわけです。
 このソーシャルボンドの充当事業をどのような考え方に基づいて選定しているのか伺います。

○山田理事 東京ソーシャルボンドにつきましては、コロナ対応を目的といたしました中小企業制度融資の預託金や特別支援学校の整備など、都の事業の中でも特に社会的に支援が必要な都民、事業者を対象といたしました事業の財源として活用しているところでございます。
 充当事業につきましては、第三者機関から、国際的なガイドラインでありますソーシャルボンド原則に適合している旨の外部評価を取得した上で発行したものでございます。

○中村委員 社会全体で支援が必要となる人々が、対象となる事業を選定の上、充当しているとのことでした。
 こうした発行目的を訴えていけば、より多くの投資家に共感を得られるでしょうから、いわゆる機関投資家だけではなく、東京グリーンボンドのように、個人に対しても販売していっていいのではないかと考えます。
 今年度は個人向けには発行していないということですが、その理由と今後の展開について伺います。

○山田理事 近年の国内の低金利環境下におきまして地方債を発行する場合、円貨建てでは個人投資家にとって魅力的な利回りの確保が困難な状況にございます。
 そのため、個人を対象とした地方債は全国でも発行団体が減少しておりますけれども、都は、外貨建てとすることで個人向けの東京グリーンボンドの発行に努めてまいっております。
 一方で、外貨建債につきましては、内外の金利差を活用した調達コストの低廉化を発行意義の一つとして掲げておりますが、市況により、国内債と比較してコストが増加した場合は発行できない可能性もございます。
 現状、コロナの感染状況やアメリカの金融政策の転換、直近では、ウクライナ情勢の影響を受けて金利が大きく変動し先行きが不透明な市況環境にあることから、外貨建てによる新たな個人向け都債の発行には相応のリスクを伴う状況にございます。
 このため、東京ソーシャルボンドにつきましては、当面、安定的に資金調達が可能な機関投資家向けの円貨建債券として発行してまいりたいと考えております。

○中村委員 先ほどの発行条件に関する質疑でも答弁がありましたが、ESG債といえども直ちに好条件で発売されるわけではないということで、それを踏まえて、投資家への販売戦略もいろいろと練っていく必要があると思います。
 そこで、今後もESG債の発行に取り組んでいくために、投資家への情報公開と都債への信頼感を醸成していくべきだと考えますが、その取組について伺います。

○山田理事 投資家に向けましては、都の財政状況や都債に関する情報を発信するIR活動に日々取り組んでおります。
 具体的には、都債説明会や個別訪問による情報提供を行っておりまして、特にコロナの感染拡大以降は、ウェブ説明会等に切り替えることで投資家が参加しやすい環境を整えるとともに、これまで訪問が難しかった遠隔地の国内投資家や海外の投資家にもアプローチが可能となっております。
 また、説明会参加が難しい投資家向けには、PR動画を作成し、ユーチューブやツイッターなどを活用して、幅広く周知を行っております。
 今後も、都債の円滑な販売につなげるべく、あらゆる機会を通じまして丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

○中村委員 コロナの感染状況や、各国の金融政策の動向、そして、ここ最近では、ウクライナ情勢など、市場を取り巻く環境の変化が非常に大きい中ではありますから、ESG債の発行条件の追求や個人向けの発行はなかなか難しい部分があるかもしれません。
 ただ、本日ご答弁にもあったとおり、環境が整った際に、発行条件の積極的な交渉、より幅広い投資家への販売に取り組んでいけるよう、引き続き投資家への説明は真摯に行っていただき、ESG債、そして、都債への理解を深めていってもらうようお願いをいたします。
 次に、議案になっている土地の信託の変更について質問します。
 墨田区にある両国シティコアについて、五年間延長が知事から提案されました。バブル期の平成四年から期間二十年間、その後、二回にわたって五年間延長し、今回三度目の延長になります。
 賃貸ビルである両国シティコアについて、当初見込んでいた収益目標はどうだったのでしょうか。また、実際の数値と大きな差があるのですが、その原因を伺います。

○前山利活用調整担当部長 両国シティコアへの当初見込んでいた信託配当は、地価が右肩上がりに上昇していた昭和六十三年当時に見込んでいたものであり、二十年間で約八十三億円でございました。
 しかし、バブル経済の崩壊により賃料相場が大きく下落したため、実際の配当額は、同じ二十年間で約五億円となっております。

○中村委員 バブル経済の崩壊が大きく収益を変えたとのことでした。
 このバブル前の状況においては、地価の高騰に拍車をかけないように、都が所有する土地の売却をやめて信託にしていました。現在でも、都の信託物件は両国を入れて五件あります。バブルの崩壊によって大きく状況が変わりましたが、ずっと信託契約が続いています。
 今回は継続という議案ですが、仮に売却するという選択肢はないのでしょうか。それぞれの場合の収支の比較を伺います。

○前山利活用調整担当部長 両国シティコアは、両国駅から近く、都心へも至近であるとともに、まとまった面積を持つ貴重な都有地であり、引き続き、都で保有して活用していく考えでございます。
 売却と信託を継続した場合の収支の比較は困難でございますが、令和二年十二月時点の両国シティコアの資産評価額は約七十七億円となっております。
 一方で、信託を継続した場合は、令和三年度の信託利益金の配分から、年間四億四千万円の信託配当が確保できる見込みとなっております。

○中村委員 売却ではなく、都で保有、活用するとのことでした。
 他の選択肢という例で売却との比較を聞きましたが、都心における貴重な公有地ですから、都民のためにどのように利活用するかが重要だと思います。
 これまでも信託物件について、契約の延長の議案が出されるたびに、この財政委員会でも質問してきました。その際には、専門家チームを発足させて総括、評価し、出口戦略をつくるとのことでもありました。
 今後、この出口戦略はどう考えるのか伺います。

○前山利活用調整担当部長 両国シティコアの借入金は既に完済しており、今後も信託配当金を安定的に確保することが見込まれております。
 現時点で、この土地への都の行政需要はなく、その状況が変わらない限り、土地信託の継続により賃貸ビルとして運用していくことが最も有効な活用策であると考えており、専門家からも同様の評価を受けているところでございます。

○中村委員 当面、信託配当金が安定的に確保できるからということではありますが、都が不動産事業を営む必要はないわけです。むしろ、都心における貴重な公有地をどう都民のために利活用するかが重要ですから、それを検討し、その目的に向けて動いていくことが重要かと思います。
 五つの信託物件はそれぞれ判断があると思いますが、これらの契約が延長になるたびに同じような提案がされています。
 改めて、信託物件の利活用を検討する専門家のチームを設置し、検討した上、出口戦略の策定を求めます。
 次に、事業評価について伺います。
 予算編成方針として、全ての事業に終期を設けるとしています。常なる改革は必要ですが、医療費助成や私学助成のように、三年や五年で終わっては困るというよりも、本当に終了するつもりがあるのか疑問の継続事業もあります。
 改革は行う必要があるのですが、以前も指摘したように、施設の整備のように、もともと終期があるものを終期によって削減した成果として示すのは、少し違うのではないでしょうか。
 継続事業で実際に終わった事業があるのでしょうか。終期が来たときにどのような取扱いをしているのか伺います。

○山田理事 都は、一つ一つの事業の実効性と効率性を向上させるため、予算編成の過程で多面的な検証を行う取組として事業評価を実施しておりまして、全ての事業に原則五年以内の終期を設け、評価時期をルール化することで、事後検証を徹底しております。
 終期が到来した事業につきましては、事業評価による分析、検証を行い、事業の継続を判断するとともに、見直し、再構築、あるいは拡充についても検討し、予算に反映をしております。
 令和四年度予算におきましては、特殊詐欺を抑止する自動通話録音機の設置への補助につきまして、普及に向けた区市町村の取組が進展したことを踏まえまして、事業終了とした例などがございます。

○中村委員 補助事業には相手があります。補助をしても施策を進めてほしいのですが、終期があると補助を受けることをちゅうちょしてしまうのではないでしょうか。
 無駄の削減はもちろん必要ですが、せっかく予算を組んでも、手が挙がらなくて未執行になるのでは本末転倒です。
 事業の推進とのバランスをどのように考えているか伺います。

○山田理事 終期の設定につきましては、評価時期をルール化し、終期到来後に、事業を継続するのか、見直し、再構築をするのか、あるいは拡充をしていくのか、多角的な検証を確実に実施するために行っているものでございます。
 そのため、終期到来時における事業評価では、事業の執行状況や実績の分析はもとより、新型コロナやDX化等の社会情勢の変化など様々な視点から事後検証を行い、事業の終了、継続や見直しに加えまして、必要な拡充につなげるなど、評価結果を予算に反映しております。
 引き続き、事業評価による事後検証を徹底いたしまして、実効性と効率性の高い事業の構築に取り組んでまいりたいと思います。

○中村委員 終期設定ということにはよりますけれども、実態は定期的な評価をしているということなんだろうというふうに思っています。
 私たちも、常に事業の検証ということを求めてきました。答弁でも多角的な検証ということがありましたが、例えば、今はコロナ対策でいろいろ事業がありますが、検証してほしいということを求めてきても、なかなか本会議等の答弁でも、知事からは、その検証という言葉はなかなか発せられませんが、今ご答弁もありましたけれども、今後、いろんな、行われている事業についてしっかり検証していただいて、やはり、より適切な評価で、削減するときはするんでしょうけれども、増やすときもあるんでしょうし、今後の施策展開につながるような検証の方法をしっかりと行っていただきたいというふうに思っています。
 次に、第三次の主要施設十か年維持更新計画について伺います。
 第一次の計画から十年が経過します。数字では実績が示してあるのですが、具体的に施設を示すべきではないでしょうか。また、遅れたものや、その原因は何か、それは第三次の計画に含まれているのか伺いたいと思います。

○飯泉施設整備担当部長 これまでの二次にわたる計画で位置づけた施設の中には、事業進捗について、必ずしも当初の計画どおりに進まず、現在でも着手できていない施設もございます。
 その理由といたしましては、例えば、施工中の仮移転先の用地の確保に苦慮したことや、工事のために施設を一時的に閉鎖する期間等の調整に時間を要したことなどが挙げられます。
 こうした着手できていない施設のうち、現在策定中の第三次計画に位置づけている施設については、所管局と連携し、早期に事業着手できるよう取り組んでまいります。

○中村委員 都庁の方も様々な計画をつくるのですが、それが結果としてどうなったかということを検証して公表すべきだと思います。
 第一次と第二次の結果については、第三次の計画の中に数値として示されてはいます。しかし、着手できなかったものについても、老朽化をすればいつかは必ずやらざるを得ません。達成した施設だけではなくて、全ての施設について、どのようになったのかを一覧として公表すべきですし、さらに、着手できていないものは今後どのようにするのか示すことを求めておきます。
 さて、都の施設の中で、都庁であるとかビッグサイト、江戸東京博物館とか、非常に大きなものがあり、これらはバブル期の少しデザイン優位の建物であって、大規模改修には莫大な経費がかかるのだろうと思われます。
 こういった施設というのは、この計画の中に入っているんでしょうか伺います。

○飯泉施設整備担当部長 都庁舎と東京ビッグサイトにつきましては、第三次計画の対象外とする予定でございます。これらの施設は、工事期間中に建物の運用を全面的に停止することができず、施工エリアや移転先、部分的な休館期間などについて、特に柔軟な対応が必要であることから、個別に計画を作成し、維持更新を行うこととしてございます。
 東京都江戸東京博物館につきましては、施設管理者と調整し、工事期間中の全面休館が可能となったことから、本計画に位置づけております。

○中村委員 都庁やビッグサイトのように、大変大きく予算もかかるものが計画には入っていません。また、数が大変多い都営住宅も入ってはいません。小規模のものも含めると、三千九百のうちの二割しか入っていないということでした。
 工事の主体は各局だとしても、都全体の状況が分かるようにすべきですし、財務局が取りまとめる必要があるかと思っています。
 来年度の都の予算書には、社会資本ストックの維持更新経費が毎年一千百億円かかり、三十年間で三兆円と掲載されています。
 この計画と計算の仕方が違うようではあるのですが、施設の維持更新は大きな予算がかかるということが分かります。だからこそ、施設の改修、改築に実際どのくらいの予算がかかるのかを把握するためにも、計画外の施設も含めた都庁全体の施設の維持更新について明らかにし、着実に維持更新を進めることを求めておきます。
 さて、計画の中に環境負荷の一層の低減という項目があって、そこに、既存樹木の保護との記載があります。計画に記載されている施設の一例ではありますけれども、建設局の西部公園緑地事務所の建て替えについて伺います。
 これは、都立井の頭公園に隣接する場所に位置し、現地で建て替えるのですが、周辺の樹木の伐採を伴うため、地域の方々から伐採本数を減らすよう要望が出されました。
 財務局として、建て替え時に、周辺環境への影響を最小限にし、地域住民に丁寧に説明するよう求めるべきではないでしょうか。見解を伺います。

○飯泉施設整備担当部長 東京都西部公園緑地事務所につきましては、建設局からの委任を受け、現地での建て替えに向けて、現在、実施設計が完了した段階でございます。
 建て替えにより支障となる樹木の伐採本数は、基本構想では百十二本でございましたが、基本計画において工事区域を縮小することで八十六本に減らされ、さらに、現在、移植などにより六十五本まで見直されております。
 財務局といたしましても、引き続き建設局と連携し、今後開催予定の工事説明会などを通じて、丁寧に説明を行ってまいります。

○中村委員 当初の構想から伐採本数を半分まで減らしたとのことです。少しでも伐採を減らせるよう努めていただきたいと思います。
 工事の直接の担当は建設局だと思いますが、あえて聞いたのは、これまで以上に地域の方々は自然環境保護について注目されています。今回、事例として西部公園緑地事務所を挙げましたが、同様のことは他の施設の工事でも起こる可能性はあります。
 計画の中に既存樹木の保護と記載もありますので、ぜひ各局に徹底していただくことを求めておきます。
 さて、また少し個別の事例にはなりますが、消防庁関連の施設が多いので、共通する項目として質問します。
 これまでの計画の中で、私の地元の三鷹消防署の建て替えが掲載され、現在は完了しています。そして、現在は、出張所である牟礼の出張所が進められて、今後、下連雀出張所も計画をされています。
 都民の安全を守る施設が倒壊しては意味がないので早急な対応が必要です。しかし、多摩地域では、二十三区と制度が違うため、市町村が自ら土地を用意しなければなりません。そのため、建て替えるにしても、土地の確保ができなければ対応は遅れてしまいます。
 都も積極的に用地の確保に取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

○五十嵐財産運用部長 稲城市を除く多摩地域の市町村につきましては、消防事務の委託に関する規約に基づき、消防業務を東京消防庁に委託しておりますが、消防署等の土地については、委託する市町村において確保することとされております。
 こうした中で、消防署等の建て替えに伴い、近隣に建て替えの適地が存在しないため、都において活用予定のない都有地を買い受けたい旨の要望が当該市町村からあった場合には、消防業務の円滑な遂行のため、都としても、市の用地確保に協力する必要があることから、これまでも都有地の売却に応じてきたところでございます。
 今後も、市町村との適切な役割分担の下、財産の利活用を進めてまいります。

○中村委員 制度の違いは承知しているんですが、都民の安全にとって重要な施設の建て替えが円滑に進むよう、協力をお願いします。
 やはり、なかなか消防署を建て替えるとすると、その場で建て替えるか、代替の用地を用意するかということになると、市町村で探すのも大変なことがあって、土地の確保ができないと当然建物を建てられませんから、ある意味で、市町村からのこういった経過はあるにしても、やはり都の建物にもなりますし、両者協力しながら進めていただければと思います。
 さて、コロナ禍において社会が大きく変わり、IT化やテレワークへの動きがより一層進んでいます。民間のオフィスは早期に対応していますが、都有施設においても、時代への変化に対応し、働きやすい環境を整備することが必要です。
 新しいオフィスの考え方について伺います。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設を将来にわたって有効に活用していくためには、テレワークの普及やデジタル化の進展などによる施設利用の変化にも対応できるよう、維持更新を進めていく必要がございます。
 このため、庁舎であれば、都民の来庁頻度や執務室での職員の働き方、デジタル機器の使われ方などについて、施設所管局と十分検討を行い、設計内容に反映させてまいります。
 また、将来、情報通信環境の拡充が必要になる場合に備えて、あらかじめ通信基盤の設置スペースを確保するとともに、整備当初の執務空間の使い方が変化した場合に対応するため、後から間仕切りを設置しやすい構造とするなど、柔軟性を持った建築計画となるよう検討してまいります。

○中村委員 都庁でも、席を固定しないタイプの執務スペースも一部導入しています。
 将来的になると本当に全く概念が変わってくる可能性もあるのですが、今の状況で行くと、当面、この都の仕事は個人情報など秘密も多く、都庁で働くか、自宅で働くかになり、一般の方がテレワークをしているときに近くのフリースペースに行って働くということになると、個室でないと難しいのかもしれません。
 都庁の職員及び部署にかかわらず、近くにある都立施設で自由にそういったところを使いながら、都庁職員専用のフリースペースがあってもいいような形もしています。
 今のような局別の出先機関ではなくて、地域ごとにそういったスペースがあるということも、ひょっとしたら近い将来ぐらいならあるのかなというふうにも思いますが、そういった働きやすい環境の整備についても、せっかく建て替えの期に当たりますので、そういったことも工夫していただければなと思います。
 さて、施設の改修や改築の実行は各局が行うことになりますが、財務局の役割も大変重要です。
 都全体の施設を並べて、どこから優先して着手するかを決めることは大変これ重要になってきます。それぞれの部門を、ある意味対等ということで、どこかの局が一番優先なものを全部優先で同じだというのではなくて、都全体での判断で優先順位をつけるべきだと思っています。
 もちろん耐震化に問題があるものは急ぐしかありませんし、警察や消防のように、都民の安全を守る施設が、そのものの施設が崩壊してしまっては都民の安全を守れないわけですから優先すべきだと思いますが、それ以外については、優先順位について、例えば、学校など子供の安全がかかっているものなどもやはり優先すべきではないかと思っています。
 実際、保護者の方からも、特に、例えば、特別支援学校の老朽化があって早く建て替えてほしいとか、そんな要望も頻繁にいわれてきます。
 優先順位のつけ方について考え方を伺います。

○飯泉施設整備担当部長 本計画では、建築後の年数や施設の規模、建物の劣化状況を踏まえた各局における施設整備の優先順位などを基に、整備計画の熟度や維持更新の必要性などの観点から、総合的に判断して計画施設を設定しております。

○中村委員 各局がそれぞれ優先順位を決めるのだろうと思いますが、財務局の方で、都全体を眺めて優先順位を決める必要があるかというふうに思っています。
 今回、この第三次の中の第一期のところに八王子の盲学校も入っていました。毎年、これは障害者の保護者の方々から、本当に都庁に、各会派回られているのだと思うんですが、要望に来ていて、何とか早くしてほしいということで、ようやく今回入ったのはよかったと思うんですけれども、もちろんまだほかの学校とか、いろんな状況もあるんだろうと思っています。
 こういったことも、もちろん各局の事情もあると思うんですが、都庁全体の中で、どこを急いだらいいのかということの優先順位についてご検討していただければと思っています。
 さて、この計画の中には事業費の、総事業費等の記載もありますけれども、昨今では、ウッドショックによる木材の確保が困難で、さらにウクライナの危機もあり、価格も高騰しかねないという状況ではあります。また、半導体不足等もあり、これは、施設に必要な給湯器などもなかなか手に入らなくなってしまっているんではないかといわれています。
 こういった事態ということまで盛り込まれた計画ということなのでしょうか。対策はあるのでしょうか伺います。

○飯泉施設整備担当部長 本計画は、今後十年間に維持更新が必要な施設を位置づけるとともに、長寿命化の一層の推進など、計画を推進していく上での取組の方向性や概算事業費を示したものでございます。
 概算事業費につきましては、過去に実施された類似施設の維持更新費用を参考に、最近の建設費の動向も踏まえ、設定してございます。
 なお、委員ご指摘のウッドショックや半導体不足などへの対応につきましては、個々の施設の発注に際し、調達しやすい資材の活用や最新の単価を用いた工事費の積算など、市場の動向も踏まえつつ、適切に対応してまいります。

○中村委員 こういった建設の現場で働く方々から聞くと、やはり木材、半導体の確保等、大変工期も影響が出てくるという話も時々聞きます。工事費が増えることも考えられますので、発注するとき等含めて、状況は刻々と変わるので、情報収集しながら、計画が予定どおりに進むようにお願いしたいというふうに思っています。
 さて、都の施設については、適切に改修しながら長寿命化することで、施設にかかるトータルのコストの削減が大切になります。
 この計画にも一定の基準は示されていますが、改めて、この改修、改築の判断はどのようにするのか伺います。

○飯泉施設整備担当部長 改修か改築かの判断につきましては、建物の構造躯体や設備機器の劣化状況などを踏まえて、技術的な観点で総合的に検討した上で判断を行っております。
 改修と判断する施設につきましては、建築後十年以上を経て、電気や空調、給排水などの設備機器等が更新時期を迎えている建物を対象としております。
 また、改築と判断する施設は、基本的に、建築後おおむね四十年から五十年が経過し、建物そのものの老朽化や新たな用途の追加など、現在の規模では行政ニーズを満たすことができない建物を対象としております。

○中村委員 公の施設などでは、よく整備費が注目されます。幾らぐらい建設費がかかりますかということでしょうが、実際、その後の維持管理費や、そして、改修費までトータルコストを考える必要があると思っています。適切に改築を行うことで長寿命化が図られるように求めておきます。
 また、過剰な規模にする必要はもちろんありませんが、後に規模が足りずに、まだ使えるのに建て替えとなるとさらにコストが膨らみます。当初から必要な規模の適切な判断を行い、長期間使える施設を整備することを、こちらも求めておきます。
 さて、施設の集約化について質問します。
 数年前に立川市にある都の合同庁舎が改築をされました。しかし、最近になって、近くにあった下水道局の流域下水道本部の事務所が違う場所に建て替えられました。数年の差であったので、なぜ一緒にしなかったのかと思います。
 各局ばらばらで施設を整備するとコストがかかります。全庁的な視点で合同庁舎化すべきではなかったのでしょうか。見解を伺います。

○五十嵐財産運用部長 立川合同庁舎につきましては、平成二十一年二月に策定した第一次の主要施設十か年維持更新計画に基づき整備を進め、平成二十七年一月に竣工したものでございます。
 第一次計画の策定当時、お話の流域下水道本部旧庁舎は、築二十九年と比較的築浅であり、合築による建て替えの検討を進めるには至らなかったものでございます。
 なお、流域下水道本部旧庁舎につきましては、平成二十六年三月に耐震性の不足が判明したことを受け、新庁舎への移転建て替えを含め、様々な耐震化の検討を始めたというふうに聞いております。

○中村委員 個々の施設に事情があるとは思います。たまたま今、立川市の事例を挙げましたが、都の出先機関がこれだけ集中するのも、ある意味で多摩の中心的な位置でもある立川市ぐらいなので、特別な事例かもしれません。しかし、最近でも、立川の保健所と児童相談所、また、整備中の労働情報相談センターも近くにはあります。これ、会計が違うとはいっても、都庁という建物の中にも公営企業局の事務所があるわけですし、事業会計が違っても不可能だということはないと思っています。
 長期的な施設の合同庁舎化が図れないか、これ、なかなかそのタイミングが合わないと難しいところあるんですけれども、ずっと同じことが繰り返されてしまいますので、先ほど来も議論されておりましたけれども、なるべく合同庁舎等にしていただければと思っています。ただ、もちろん、あくまで行政の合同庁舎化というだけですから、例えば、保健所とか、そういう機能面で統合する必要がないものは統合してしまうのはよくないと思いますので、身近な住民サービスを提供するところは当然集約化する必要はないと思っていますけれども、できるところはやっていただきたいと思います。
 さて、施設においての環境負荷の低減というのは、当然すべき議題だと思っています。昨今では気候変動の問題への対応について大変重要になっています。
 都も、来年度の予算では、太陽光パネルの設置にかなり重点を置いていくことは理解をいたします。ただ、パネルを設置するとなると構造を強化しなければならなくなり、そのためのコストもかかります。
 環境への配慮は当然必要になりますが、コストとのバランスを考えなければなりません。その点に関して見解を伺います。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設は都民の貴重な財産であることから、施設の維持更新を機に、様々な行政課題に取り組むに当たっては、コストと効果のバランスに考慮する必要がございます。
 お尋ねの環境負荷の低減の取組につきましては、例えば、改修の際に設置する太陽光発電設備は、建物躯体への構造耐力上の補強が必要とならない範囲で設置すべきと考えております。
 また、地中熱を利用する場合は、施設の整備時に多大な費用を要することから、くいや建物の基礎躯体を有効に活用できる場合に導入を検討すべきと考えております。
 こうしたことによりまして、施策の効果と費用のバランスを図り、施設の維持更新を進めてまいります。

○中村委員 環境への負荷を減らすという点では、太陽光パネルの設置そのものというのは大きな流れで進めるべきだとは思っています。
 ただ、来年度、東京都の予算書を見ても、九十五億円をかけて二百八十一の都有施設に太陽光パネルを載せるということもありました。
 大きな流れの中でやるとなると、どっとやってしまうことがあるので、本当にそれが適切なのかどうかということは細かくは検証しなきゃいけないと思っています。大きな流れはやるべきでも、個々に、向く、向かないとかもあると思いますので、しっかりとそういった検証を行っていただきたいと思います。
 今回いろいろと十か年の計画について質問をさせていただきました。やはり都民サービスを提供する上で公共施設というのは大変重要ですから、しっかりと維持更新をやっていくということだと思うんですけれども、やはり、建てただけではなくて、その後の維持管理費等を含めて、トータルなコストの中で最適なものにしていくことが大切かと思っています。
 だからこそ、各局でやっているとどうしてもばらばらになるので、財務局でこうして計画もつくっていると思いますから、全庁的な視点で、財務局からも、この優先順位のつけ方とか、また、コストの削減等を含めてしっかりと適度に指示もしていただき、指導もしていただく中で、よりよい都民サービスができる都有施設を造っていただければと思っています。
 以上で質問の方、終わります。

○吉住委員 私は、まず、第三次主要施設十か年維持更新計画案について質問します。
 都民に対して様々な行政サービスを提供していくため、都有施設を将来にわたって良質な状態で受け継いでいく必要があります。そうした意味からも、今回で三回目となる本計画により、学校や消防署、警察署などの主要施設を対象に、計画的に維持更新を行っていくことはとても重要であると考えます。
 先ほど来、他会派から発言が続いておりますが、私は、昨年十月の本委員会の事務事業質疑の中で、第二次計画の概要や第二次計画で得た教訓を第三次計画にどのように生かしていくのかについて質問させていただきました。
 今回、新たに策定される第三次計画について、改めて何点か確認をさせていただきます。
 初めに、施設の長寿命化についてであります。
 施設の長寿命化を図ることは、建物解体までの期間を長くすることにつながるだけでなく、解体や建て替えなどに伴い生じる建設廃棄物や工事を行うことによって発生するCO2の排出量を減らすことができ、環境負荷の低減にも資するものと考えます。
 そこで、改修や建て替えを行うに当たり、長寿命化にどのように取り組んでいくのか伺います。

○飯泉施設整備担当部長 都有施設は都民の貴重な財産であり、長期にわたって有効に活用するため、また、委員ご指摘の環境負荷の低減を実現するためにも、施設の長寿命化を図ることが重要でございます。
 このため、設計段階において、将来の行政ニーズの変化にも対応できるよう、間仕切りの変更が容易な平面計画とすることや、設備機器の更新に必要な空間をあらかじめ確保するなどの工夫を行ってまいります。
 また、例えば、海に近接して整備する施設では、塩害対策として、耐久性やメンテナンス性が高い外装材を使用するなど、施設の状況に応じた材料や工法を採用してまいります。
 さらに、施工段階においては、設計図書に定められた品質の確保に向け、適切な工事監督業務を実施してまいります。
 こうしたことを通じまして、施設の長寿命化に取り組んでまいります。

○吉住委員 施設の長寿命化を推進するために、設計や工事での取組、とりわけ設計時において工夫を凝らすことが重要であることが理解できました。
 しかし、施設の長寿命化を目指す上では、施設を整備するに当たり手戻りが生じないよう、前もってしっかりと整備の内容などについて検討を行うことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○飯泉施設整備担当部長 施設の長寿命化を図るためには、設計時よりも前の段階である企画、計画段階から、長寿命化を意識しながら計画を立案することが重要でございます。
 財務局では、各局からの委任を受け設計や工事を行っておりますが、設計に先立ち、整備内容や与条件を整理するために各局が行う基本計画段階においても、技術協力として必要な助言等を実施しております。
 例えば、改修案件に対しましては、各局が行おうとしている整備内容でなくても、施設の予防保全の観点から、設備配管の更新や防水層のやりかえを提案するなど、施設がより健全で、より長く使用できるようアドバイスを実施しております。
 こうしたことを通じまして、今後も積極的に各局を支援し、長寿命化に努めてまいります。

○吉住委員 設計や工事の段階だけではなく、それよりも前の段階での検討も重要であることが分かりました。
 この段階については、施設を所有する各局が行うことになりますので、財務局がしっかりとサポートしていただければと思います。
 続いて、第三次計画は今年度末に策定される予定ですが、都民が利用する施設であることでもありますので、各施設の維持更新の状況を広く都民に示していくことが重要だと考えます。見解を伺います。

○飯泉施設整備担当部長 計画対象施設の進捗状況を見える化することは、都民の目に触れることにもなり、各施設の事業を計画的に進めていく上で重要でございます。
 このため、第三次主要施設十か年維持更新計画では、新たな取組として、事業が予算化された後、速やかに施設名をホームページに公表することとしております。
 あわせて、施設ごとに、設計中や工事中といった維持更新の進捗状況についても公表していく予定でございます。
 このように進捗状況を見える化することで、透明性と実効性を確保し、適切な維持更新につなげてまいります。

○吉住委員 ただいまのご答弁で、施設名や進捗状況についてホームページで確認できるようになるとのことでした。ぜひ、事業の進捗が順調な施設だけではなく、進み具合が変更となった施設についてはその理由を明示するなど、一層の説明責任を果たしていただきたいと思います。
 ここまで、計画の内容をベースに質問させていただきました。都有施設を整備していく上では、計画の対象外の施設についても計画に掲げた取組に準じた整備を行っていく必要があると思います。
 そこで、都は現在、防災や環境といった都政が直面する様々な行政課題を抱えていますが、施設整備に当たり、これらの課題の解決に向けてしっかりと取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○渡辺建築保全部長 都有施設は、都の行政運営を支える基本となる施設で、また、都民が様々なサービスを受けることができる身近な施設でもあります。
 このため、良質な社会ストックとして次世代に継承していけるよう、計画的かつ着実に施設を整備する必要がございます。
 行政課題への対応では、風水害対策として、想定浸水高さよりも高い位置に機械室を設置するなど、防災対応力の強化を図ってまいります。
 また、太陽光発電設備を最大限設置するなど、環境負荷の一層の低減に努めていくとともに、DXの推進に向け、情報ネットワーク等の整備を行っていきます。
 あわせて、施設の長寿命化を図るほか、地域の活性化やコミュニティの形成にも資する施設の整備に取り組んでまいります。
 こうした考えの下、施設を所有する各局への技術的支援も積極的に行いながら、都有施設の整備を推進してまいります。

○吉住委員 ただいまの答弁にもありましたとおり、都有施設は、都民が行政サービスを受けることができる施設であることから、長期にわたり良質なストックとして有効に活用されることが重要です。
 今後も計画的な都有施設の維持更新を要望し、次の質問に移らせていただきます。
 次に、土地信託について伺います。
 今回、土地信託の延長が提案されていますが、公有地の信託については、バブル崩壊により当初計画が頓挫し、建設資金の借入金を地方自治体が負担し事業を清算するケースも他の自治体では多く見られましたが、都は、配当金収入も得て、堅調に事業を進めてきたと理解しています。
 私の地元である新宿区には、都が新宿モノリス、新宿区が新宿ファーストウエストと、二棟の信託ビルが運営されており、土地信託の今後の取扱いについて関心を持っているところでございます。
 両国シティコアについては、当初の信託期間二十年間を超え、これまで二度にわたり五年間の延長を行い、今年七月に信託期間の期限を迎えようとしています。期限を迎えた後の対応については、今後の信託状況を踏まえ、様々な視点からの検討を行ったと思いますが、確認の意味も含めて幾つか質問をいたします。
 まず、土地信託を延長する理由と、延長期間の考え方について伺います。

○前山利活用調整担当部長 両国シティコアは、入居率は平成二十四年以降ほぼ一〇〇%と高水準で稼働していること、建物設備は適宜修繕して良好であること、加えて、借入金が既に完済していることなどから、今後も健全な資産運用が可能であり、信託配当金も安定的に確保できることが見込まれております。
 また、現時点で、都のこの土地の直接利用は予定されておらず、本ビルの活用としては、土地信託を継続して、引き続き賃貸ビルとして運用していくことが最も有効であると判断したところでございます。
 なお、延長期間につきましては、信託運営の状況を一定期間ごとに改めて検証することが適切であることから、五年間としております。

○吉住委員 借入金は完済し、入居率も高く、今後も健全な信託運営が可能であるということであれば、信託の継続が適切との判断は理解できます。また、定期的に信託事業を検証することは必要であり、受託銀行に全てお任せということではなく、引き続き、都がしっかりと監督し、安定した信託運営に努めてもらいたいと思います。
 次に、他の土地信託でいえば、昨年の第四回定例会で、勝どきサンスクエアの売却を議決いたしましたが、両国シティコアについては信託を継続することとしています。
 それぞれの信託ごとに状況も異なると思いますが、勝どきサンスクエアは売却し、両国シティコアは売却しない理由について伺います。

○前山利活用調整担当部長 住宅政策本部が所管いたします勝どきサンスクエアにつきましては、再開発事業としての目的を達成したことに加えまして、複数の区分所有者とで構成する区分所有物件ということもあり、信託終了後、都の意向のみで将来的な利活用を進めることが容易でなかったことも売却の要因であったと聞いているところでございます。
 一方、両国シティコアにつきましては、同じく区分所有物件でございますが、他の区分所有者も都民住宅を所有する都であり、敷地全体が都有地となっており、将来の一体としての利活用が可能となってまいります。
 両国シティコアは、両国駅からも近く、京葉道路に面するとともに、都心へのアクセスもよいなどの立地条件のよさに加え、敷地面積も約五千五百平方メートルとまとまった面積を持つ貴重な都有地であり、引き続き、都で保有、活用してまいります。

○吉住委員 両国シティコアの敷地は、立地条件もよく、一定規模の面積もある貴重な都有地であり、今後とも都が保有して利活用に努めてもらいたいと思います。
 次に、信託配当金については、平成二十九年度から一億円に据え置かれていますが、信託運営の状況は良好であるとのことであり、見直しも可能かと思います。
 先ほど、他会派の方からの質問の答弁にも少しございましたが、改めて、信託配当金の今後の見込みについて伺います。

○前山利活用調整担当部長 信託配当金につきましては、賃料などの収入からビルの管理費や修繕費などの支出を控除した信託利益金のうち、これまで一億円を配当金として交付し、残りの金額については、大規模修繕工事に備え、積立金として信託財産に留保していたところでございます。
 今般、信託期間の延長に当たり、信託配当金の配当額について見直しを検討いたしましたところ、本ビルは計画的に大規模修繕工事を実施し、おおむね今後の見通しがついたこと、また、積立金も十分な額が積み上がっていることから、令和三年度の信託利益金より配分する配当額については、これまでの一億円から四億四千万円に増額することといたしました。
 配当額の設定に当たっては、信託事業の長期的な収支を推計して、今後とも同規模の信託配当金を計画的に安定して収入できることを確認しているところでございます。

○吉住委員 信託配当の増額については大変喜ばしいことだと思います。また、その増額も、一過性のものではなく、安定して収入していくことが大切であり、今後とも長期的な視点を持って信託運営に取り組んでもらいたいと思います。
 さて、両国シティコアは、一億円から四・四億円に増額するとのことですが、財務局ではこのほかに、新宿モノリス、コスモス青山の信託も所管しています。
 これらの信託について、今後の配当額の見込みはどうなっているのか、また、信託配当金はどのように活用されているのか伺います。

○前山利活用調整担当部長 新宿モノリス、コスモス青山とも、借入金は完済し、入居率は高水準で維持しており、両国シティコアと同様に、信託運営の状況は良好でございます。
 信託配当額につきましては、新宿モノリスは、現在の年間十二億円から十九億四千万円に、コスモス青山は一億円から十億二千万円に増額することとし、三信託合わせまして、これまでの年間十四億円から三十四億円に増額する予定でございます。
 また、収入いたしました信託配当金は、社会資本ストック等の整備に活用するため、社会資本等整備基金に積み立てているところでございます。

○吉住委員 社会資本については、今後、維持更新に係る財政需要が見込まれており、これらを計画的に実施するための財源の確保はとても重要です。引き続き、三信託とも信託経営をしっかり行い、信託配当金を確保していってもらいたいと思います。
 さて、両国シティコアの敷地は、昔は両国国技館があり、その後、日大講堂として活用され、地元住民から親しまれていた土地であり、本土地信託の特徴としても、地域の活性化があると認識しています。
 両国シティコアが地域の活性化にどのように貢献しているのか伺います。

○前山利活用調整担当部長 両国シティコアの土地信託の目的といたしまして、都有地の有効活用に加えて、地域活性化の拠点になることも求められておりました。
 そのため、ビル内に貸会議室や貸展示室といった地域集会施設を設置し、地域住民が利用できるようになっているとともに、敷地中央にはセンタープラザを設け、地元の催しやイベントに活用されているところでございます。
 加えて、ビル開設当初からスポーツ施設が入居し、地域の住民に親しまれている施設となっております。
 来年度は、両国シティコア設立三十周年に当たりますので、信託事業の中で、地域集会施設のリニューアルや地域の方々が楽しめるイベントの実施など、さらなる地域活性化の取組を行ってまいります。

○吉住委員 よろしくお願いいたします。両国シティコアは、両国という地域に根差したビルであり、同じ敷地には都民住宅もございます。信託配当をしっかり確保するのはもちろん、地域の活性化も忘れることなく信託事業に取り組んでいってもらいたいと要望して、質問を終わります。

○池川委員 私からも、まず初めに、第九十六号議案、土地の信託の変更について質問をしたいと思います。
 本議案は、墨田区にある両国シティコアの土地信託の期間が満了となるため、二〇一二年、一七年に引き続き、土地信託を二〇二七年までの五年間、継続するという内容になっています。
 東京都が行う土地信託については、管理会社の代表者全て都庁のOBの天下り先となっていることなど、様々な課題について、私たち、指摘をしてまいりました。さらにそこからゼネコンへの天下りがあったことなど、とても都民的な理解は得られないということについても指摘をしたところです。
 さらに、信託配当も、当初計画と乖離が大きく、信託配当が入ってくるからこの事業はとてもいいんだということはいえない状況だということについても、この間指摘をしてきました。
 信託配当、当初計画及び現在の状況については、ほかの委員の方の発言で答弁がありましたので割愛をしますが、説明資料の中にも、信託配当を安定的に確保できるということが今回書かれています。当初の二十年間、八十三億円の配当があったところ、実際には、最初の二十年間は五億円、二十九年たった今でも十二億円、一四・四%ということになっていると。私たち信託配当が入ってくれば問題ないという立場には立ちませんが、これまでの経過から、配当が増額になるからいいということにはならないということは指摘をしておきたいと思います。
 一方で、信託銀行側は、信託報酬と借入金の利息を手にしています。
 そこで伺いたいと思いますが、これまで信託銀行に支払った信託報酬額及び借入金の利息、また、その信託報酬の算定方法について伺います。

○前山利活用調整担当部長 信託報酬につきましては、信託契約に基づき、信託財産を効率的に運用していくための対価として支払うものでございまして、両国シティコアにつきましては、賃料収入の二%となっております。
 令和二年度の信託報酬額は約千五百万円であり、これまでの累計は約六億円となっております。借入金の利息につきましては、建物の建設資金に関わる融資銀行との約定に基づいて支払うものであり、これまでの累計は約五十五億円となっているところでございます。
 なお、借入金につきましては、平成二十七年三月に完済しております。

○池川委員 信託銀行は、信託報酬、賃料収入の二%と定められていて、これまでに六億円、さらに借入金利息は五十五億円ということです。一方で、都の信託配当というのは、先ほど来答弁があったとおり、これまで二十九年間で十二億円ですから、やはりコントラストがはっきり現われていると思います。
 東京都は、一旦土地信託に踏み出せば、そこから土地信託以外の選択肢に進むことは極めて困難になっている状況だと思います。同時に、あってはならないことではありますが、銀行が信託から撤退することもないというふうにはいえない、そういうリスクも抱えていることを、改めて指摘をしておきたいと思います。
 この間、土地信託の議論をさせていただいておりますが、当面は延長するということで対応されてきている。どのような形で土地信託を終わらせていくのかという、なかなか見通しがない。これがずっと続いてきていると思います。始め方にも問題があったというふうに思いますが、この問題について、問題を先送りすることはやはり避けなければいけないというふうに思います。都民の財産である都有地を都民のために利用していくということはいうまでもありません。
 我が党は、この都有地活用の手法として土地信託を行うことについては一貫して反対をしてまいりました。その立場から、今回の信託契約の変更についても認められないということを申し上げておきたいと思います。
 次に、仮称都民の城について伺います。
 最初に、改修基本計画の中に定められている劇場について伺います。
 二〇二〇年の第一回定例会の私の質問に対して、劇場については、特にご意見が、多くのご意見があり、中でも劇場の復活を望む声が多かったことから、改めて改修内容とコストのバランスを考慮した結果、床機構の改修は見送りますが、現施設を生かし、既存の構造等を可能な限り残すことを計画に明記したところだと答弁がありました。劇場については最も意見が多かったということです。
 私たちは当時、改修基本計画の策定実施に当たり、青山劇場と青山円形劇場の劇場機能の維持について、パブリックコメントとは別に、劇団関係者、教育関係者の方々から直接意見を聞くことをつくる、このことについて知事に申入れも行いましたが、こうした様々な意見が寄せられる中で、改修基本計画がつくられたということです。
 改めて伺いますが、都民の城に劇場があることの意義についてはどのように認識をしているでしょうか。

○矢部運営・調整担当部長 パブリックコメントの中で、旧劇場の復活を望む声があったことは承知してございます。
 改修基本計画においては、多目的ホールとして現施設を生かし、既存の構造等を可能な限り残しつつ、様々な芸術文化活動や講演会、式典、発表会、展示などで活用できる施設とすることで、都民の幅広い利用に対応することを計画してございます。

○池川委員 パブリックコメントの中で、劇場の問題について声が多かったということは認識しているということです。
 答弁の中でも、文化芸術活動など都民の広い利用に対応していくという話が今ありました。
 こどもの城の劇場機能というのは、唯一無二の円形劇場と青山劇場の復活をさせてほしいと、この声が本当に根強くあったと。
 俳優の小栗旬さん、長澤まさみさん、歌舞伎役者の尾上松也さんら、そうそうたるメンバー三百三十四人と、ワタナベエンターテインメントなど三団体が賛同した青山劇場、青山円形劇場機能の存続を求める演劇人声明では、両劇場ともすばらしい機能があり、唯一無二の劇場であることを強調し、日本国内では他に類を見ない貴重な劇場である青山劇場、青山円形劇場を、どこにでもある多目的ホールへと改修することは、両劇場の持つ魅力や価値を一切失わせることにつながりかねません、ここまで指摘をされていたわけです。
 舞台や演劇関係者の思いが詰まった場所であり、都民にとってもかけがえのない場所だということを改めて認識していただきたいということをいっておきたいと思います。
 次に、こどもの機能について伺います。
 改修基本計画の議論の中では、都民の城におきましては、かつてこどもの城が子供の健全な育成に重要な役割を担ってきたことを踏まえまして、子供のための機能の充実を図っていくと、これ、繰り返し答弁されています。すなわち、子供のための機能というのが大きな柱の一つに座ってきたと。
 そこで伺いたいと思います。
 都民の城に子供たちの施設をつくることの意義についてはどのような認識をされているでしょうか。

○矢部運営・調整担当部長 改修基本計画におきましては、子供の健全な育成という、旧こどもの城の担ってきた役割を踏まえまして、子供をはじめとした誰もが利用できる施設へと改修し、ダイバーシティを実現することとしております。

○池川委員 旧こどもの城が担ってきた役割を踏まえると改めて答弁がありました。
 現在行われている神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議の中で、東京都の児童会館跡地で行われている開発との関わりで、委員から質問があって、それに対して、こどもの城は国立施設だったこともあり、都立の児童会館とはうまく役割分担できていたという発言が事務局からされた、そうした議事録が残っています。
 しかし、東京都に一つしかなかった大型児童館である東京都児童会館は、近くにこどもの城があるからという理由が廃止の理由の一つとされました。うまく役割分担ができたというのであれば、なぜ児童会館をなくしたのかという話になってしまうと思います。
 同時に、有識者会議の中では、事務局の発言として、児童会館跡地は公募による民設民営であり、都民の城は公設予定であることから、すみ分けができているとも発言があります。
 つまり、この場所に東京都が都民の城を改修して運営していくことの意義は極めて大きいというふうに思います。
 様々な都民の意見を聞いて、仮称都民の城改修基本計画がつくられたわけですが、現在は、新型コロナの対応として酸素・医療提供ステーションとなっています。
 そこで、確認も含めて伺います。
 都民の城改修基本計画の内容については、都としてどのように実現をしていくんでしょうか。

○矢部運営・調整担当部長 仮称都民の城につきましては、改修基本計画の策定に引き続き、設計及び改修工事を進めていく予定でございました。
 しかし、現在、酸素・医療提供ステーションとして活用していることなどから、実施設計の予算は計上しておりません。
 今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況や有識者会議の議論を踏まえ、対応を検討してまいります。

○池川委員 コロナの感染状況と有識者会議の議論を踏まえて対応を検討するということです。
 有識者会議というのは、先ほど私も紹介しましたが、神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議のことだと思います。
 確認も含めて伺います。
 この神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議というのは、附属機関等の設置運営要綱のどこに規定される機関ですか。

○矢部運営・調整担当部長 神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議につきましては、附属機関等設置運営要綱第八に規定される機関であり、神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議設置要綱に基づき設置してございます。

○池川委員 運営要綱、ここにも持っていますが、運営要綱の第八というのは、附属機関に類似する機関ということで規定をされている機関です。つまり、有識者会議はいわゆる附属機関ではないということになります。
 地方自治法は、法律や条例に基づく附属機関と、それ以外について厳格に分けています。それらは、一部の専門家などによる恣意的な行政の介入を防ぐために重要だから厳格に分けているということです。
 確認をしたいと思いますが、附属機関とそれ以外について明確に分ける必要があることについて、この神宮前五丁目のまちづくり有識者会議を設置する際に、明確に分ける必要があると、そういう認識はありましたか。

○矢部運営・調整担当部長 専門家会議は、行政運営に必要な意見聴取、情報や政策等に関する助言を求めるため、出席者の意見の表明や意見交換を行うものです。
 本有識者会議につきましては、ポストコロナ後のまちづくりについて自由な専門家の意見を聞くために設置したものであり、この趣旨に沿ったものと考えております。

○池川委員 今のもう一度確認をしますが、明確に附属機関とそれ以外は分けなければならないという認識があって今の答弁をされたということでよろしいですか。

○矢部運営・調整担当部長 繰り返しになりますが、専門家会議は、行政運営に必要な意見聴取、情報や政策等に関する助言を求めるため、出席者の意見の表明や意見交換を行うものとして、本委員会は、その性格に当たるものとして設置したものです。

○池川委員 では、聞き方を変えたいと思います。
 附属機関でないということは、合議体としての結論は出すことができないという認識ですか。

○矢部運営・調整担当部長 専門家会議の中で、座長が議論の過程で意見の調整を行うことは妨げられていないと考えてございます。

○池川委員 合議体としての結論を出すというふうには今いえないわけですね。
 先ほど、改修基本計画を今後どのように実現をしていくんですかという質問に対して、部長からは、有識者会議の議論、議論を踏まえて検討していくというふうにいわれました。有識者会議の設置要綱の中には、第二条の目的で、ポストコロナのまちづくりの大きな方向性について検討すると、先ほど答弁があったとおりです。
 そして、第三条の中で、検討事項として、神宮前五丁目地区まちづくりの大きな方向性に関することを検討事項とするというふうに設置要綱で定められている。
 そこで伺いたいと思うんですけど、この設置要綱に目的と検討事項が書かれていますが、これは、総務局長の通知でいわれている意見の表明または意見交換の場または個々の委員の意見表明を行うもので、有識者会議全体としての結論を何か求めている、そういうことではないという理解でよろしいでしょうか。

○矢部運営・調整担当部長 専門家会議は、先ほども、繰り返しになりますけれども、出席者の意見の表明や意見交換を行うものであると。専門家会議の中で、座長が議論の過程の中で意見の調整を行うことは妨げられていない。有識者会議の委員の意見の表明が、例えば提言という形で行われることも想定されるとは認識してございます。

○池川委員 提言を出すことも想定されるという答弁だったんです。これは、附属機関ではない有識者会議が個々の意見の表明をする、これ自体は何ら妨げられるものではありませんが、何か政策の方向について結論を出す場であってはならないということが、この地方自治法で定められている附属機関とそれ以外を明確に分けることだというふうに思います。
 今、提言も出す可能性があるんだというふうにいわれましたが、これは一回目に、小さくて済みません、一回目に出された資料です。有識者会議の進め方という中で、もう五回目に提言を出すとあらかじめ書いてあるんですよ。つまり、結論を求めているということになるんじゃありませんか。事前にいろいろ意見の調整があって最終的に何かの形になるということではなくて、あらかじめ提言を出すと。これはこの本会議の提言を踏まえて、今後実務的に議論を進めていくと。最初から提言を求めているということじゃありませんか。

○矢部運営・調整担当部長 有識者会議の座長が様々な専門家の意見を調整して取りまとめたものの意見の表明が、その形として提言があるというふうに認識してございます。

○池川委員 最初の答弁で、部長は、議論したことを踏まえて今後対応を検討していくと、提言とはいわれなかったわけですね。局長は、この前、予算特別委員会の中で明確に、有識者会議で出された提言を受け、今後の対応を検討するというふうに述べられました。これは先ほどの部長の答弁、最初の答弁とは間違いなくトーンが違います。提言を受けて対応を検討するではなく、先ほどの部長の答弁は、有識者会議の議論を踏まえて対応を検討すると、これ明確に違うと思うんです。
 つまり、有識者会議の中での結論としての提言を検討するということになれば、これは明らかに地方自治法に違反する可能性があると認識したからではありませんか。

○矢部運営・調整担当部長 繰り返しになりますが、提言につきましては、有識者会議の座長が様々な専門家の意見を調整し取りまとめたもので、様々な意見の表明の一つの形であり、意見、議論を踏まえたということと同義であると認識してございます。

○池川委員 これ局長に伺いたいと思うんですけど、明確に、提言と先ほどの議論というのは明確に違うと思うんですよね。それで、あらかじめ会議の始まる最初から提言を出すことを目的にしているじゃないですか。議論の結果として何か成果物が出てくるとか、意見の集約したものが出てくるのではなく、最初から、あらかじめ結論を求めて議論するということになっていて、これは明確に、地方自治法では、それは附属機関とそうではない機関について分けなさいとなっているわけですよね。
 この提言をあらかじめ出すということは、自治法に抵触する可能性があるのではないかということについて、局長いかがですか。

○吉村財務局長 今まで部長がご説明したとおり、我々は、議論で様々なご意見をお伺いしたいということでございます。
 また、その中で、座長がいろいろな意見を調整して、ご提言をいただくということも可能性としては十分にあるということで、私の答弁となってございます。

○池川委員 これやっぱり明確にきちんとしないと、地方自治法との関係で整理する必要があるというふうに思います。
 重ねて申し上げますが、この地方自治法は、法律や条例に基づく附属機関とそれ以外について厳格に分けているのは、一部の専門家などの恣意的な行政介入を防ぐ、これに必要だから分けているということです。
 都民の城改修基本計画というのは、都民の意見を聞きながらつくり上げてきたものです。四敷地一体活用ありきということで進めることは、私は、都民の理解は得られないというふうに思います。
 子供のための機能、そして、舞台や演劇のための機能という点でも、こどもの城はその象徴の場所というふうになっている。国連大学は、政府と国連との間の条約でも、恒久的施設とされているわけです。サステーナブルという観点からも、既存の建物を壊して新しいものを造っていくありきでいいのかということが今問われているというふうに思います。これは、長寿命化については今日の委員会でも様々議論がありました。
 改めて、四敷地一体活用ありきではなく、旧こどもの城、都民の城の改修を行い、継続的に使っていくことこそ、都民の願いに応える道だということを申し上げて、質問を終わります。

○五十嵐委員 私からは、まず、東京都の令和四年度の予算編成の考え方について伺いたいと思います。
 予算編成権は知事にあり、財務局は副知事からの毎年の依命通達によって予算を立て、施策を展開しておりますけれども、予算編成方針というものは、令和四年度の東京都の在り方、まさに知事の、令和四年度の東京都の都政の運営の方針を定める重要なものだと考えております。
 この緑の冊子、令和四年度の東京都予算案の概要、令和四年二月というものを拝見しておりましたところ、五ページの、令和四年度予算における施策展開の視点というところに、あらゆる面で段差のない共生社会を形成するというふうに書かれております。
 予算特別委員会でも、我が会派の中村委員からもちょっと触れさせていただきましたけれども、段差のない共生社会を形成するというふうに書いてございます。
 まず、冒頭確認させていただきたいんですけれども、この、財務局がつくっていらっしゃる毎年の東京都予算案の概要について、この段差のない共生社会という文言を用いたことがあるのかどうかと、あと、この段差という文言の由来について伺います。

○山田理事 都はこれまでも、セーフティーネットの強化充実や成長分野等への就労支援、子供たちの力を最大限に伸ばす学びの支援に加えまして、バリアフリー化を含む誰もが優しさを感じられるまちづくりなどに取り組んでまいりました。
 こうした中、令和四年度予算案では、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが輝ける、あらゆるバリアが取り除かれた段差のない共生社会をつくるため総合的に施策を展開しておりまして、こうした趣旨を踏まえ、来年度予算案の説明で初めて使用したものでございます。
 なお、段差のない社会という言葉につきましては、令和三年第三回定例会におけます知事の所信表明で使用されているものでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。今年というか、令和四年度の予算案の概要の中で初めて使った言葉とのことでした。
 こういう施策展開の視点について過去どうだったかというところなんですけれども、ちょっといろいろ調べましたら、例えば、重点施策方針二〇一七、人が生きる、人が輝く東京へというところでは、今手元にあるんですけど、例えば、格差のないまち東京で、誰もが活躍できる、格差のないまち東京を目指しますといったようなことが書いてございます。同じく、重点施策方針二〇一七には、次のページに、安全・安心で段差のないまち東京ということが書いてございまして、これは何を意味するかというと、道路のバリアフリー化などのハード面に加え、心のバリアフリー、ソフト面の取組もということが書いてあるんですけれども、基本的には、段差、言葉どおり、道路上にあるこの差をなくそうといったような用語で用いられてきたものだと思います。
 ちょっと過去の会議録とかもいろいろ調べさせていただいたんですけれども、純粋に段差という言葉で検索しますと、六百七十三文書で千百九発言がありました。先ほど、この文言の由来ということで、昨年、都知事が所信で、この意味での段差という言葉を初めて用いたというふうにおっしゃっていましたけれども、どの文言を見ても、基本的にはそのハード面の段差、道路の段差とか、そういった意味で使われているものでございました。
 都知事の所信表明演説、昨年の九月二十八日の所信表明演説だけ、この意味での段差ということで初めて用いられたということになっております。それまでにも、都知事は、格差という言葉も使っておりまして、基本的には、所得格差というふうに使っていたりとか、情報格差、教育格差といった意味で使うというものがございました。
 何がいいたいかといいますと、今年、令和四年度の予算の概要で初めてこの意味での段差という言葉を使ったとのことなんですけれども、一般的に格差というふうにいえば、東京というのはやっぱり一部その富裕層がいる一方で、非正規で苦しい生活をしている人がいるといったようなことがイメージできるように、東京の格差は大きいというふうに一般的にいわれますけれども、基本的にはそういう所得の格差をイメージすると。格差問題といったときには、貧困層と富裕層が社会の中で分断されていることで犯罪が起きたりとか、治安が悪化したりとか、そういう意味で、基本的な格差というものが社会問題だという認識で使われてきた用語でございます。
 何がいいたいかといいますと、今までこういうふうに社会的に合意されてきた格差という言葉ではなくて、令和四年度の施策展開の視点として、あえてこの格差ではなくて段差、変えてきたという理由について伺います。

○山田理事 格差という言葉には様々な意味が含まれておりますけれども、お話の格差が経済的な格差というような意味であるとするならば、その解消に資する取組といたしましては、多様なニーズに応じました雇用対策や就業支援、子供の貧困対策など様々な事業を令和四年度予算に計上しているところでございます。
 これらの事業は、段差のない共生社会の形成に含まれておりまして、さらに、バリアフリー化といったハード面における段差の解消をはじめ、多岐にわたる取組を盛り込んでおります。
 こうした総合的な施策展開の趣旨を踏まえまして、段差のない共生社会という表現を用いたものでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。これで確認させていただいて、ようやく非正規労働者の雇用対策だったりとか、就業支援だったりとか、子供の貧困対策とか、今まで使われてきた格差対策という意味での事業と、それに加えて、ここでの段差という意味は、物理的なバリアフリー施策も含むということが分かりました。
 しかし、突然、令和四年度予算から段差のない共生社会をつくりますというふうにいわれても、普通の都民は、段差と聞いただけだったら、バリアフリー化をするのかなというふうに思われてしまったりとか、ちょっと分かりづらいかなというふうに思っております。例えば、東京都として格差というものを認識していないのかなとか、そういう誤った認識のふうに取られてもやむを得ないのかなというふうにも思います。
 都知事も、これまで段差と格差という文言は、あえて使い分けてきています。例えば、平成二十九年の第一回定例会での都知事の所信なんですけれども、今回の予算案は、格差と段差、すなわち男女や教育機会の格差とまちの段差を解消する施策を含めというふうにいっておりまして、ここでは、男女や教育機会の格差と、まちの段差というのは、この年にはバリアフリーの事業を進めたということで、この意味での段差というのは道路の物理的な段差を意味して、あえて使い分けてきたところなんですけれども、令和四年度になって突然段差の意味が変わると。
 都知事の昨年の九月二十八日の所信に端を発したということだったんですけれども、やっぱり、法的安定性というか、行政の安定性といいますか、基本的には、議論とか施策というのは積み重ねてきているものですので、それを全部否定して、いきなり段差というふうな言葉を使うのは私はよろしくないと思います。
 内容を聞けば、格差対策も入っていますし、ハード面の対策も入っていますし、男女であることとか性差別とかも、そういった取組を解消するということで中身はいいと思いますけれども、ちょっとやや独善的であると思いますので、言葉遊びをしないような政策の方針を立ていただきたいと思います。
 続いて、財政規模について質問いたします。
 令和四年度は、当初予算七兆八千十億円、コロナ禍でも前年比三千七百六十億円と過去最大でございます。しかし、令和三年度についても、当初予算は七兆四千二百五十億円だったんですけれども、コロナ対策ということで二十回の補正を経て、結果として十兆四千八十億円まで膨らんだと。令和四年度も同じように、もう既にウクライナ侵攻に関する事業者への支援という意味での補正予算がもう想定されていますけれども、やっぱり何回かの補正を経て、当初予算よりも膨らむ可能性がかなり出てくることが想定できます。
 財政規模というものがここまで膨れ上がってきたことに対してどのように財政運営をしてきたのかということと、令和四年度も先行き不透明な中で、追加で対応が必要となった場合に財政面からどのように対応していくのかについて見解を伺います。

○山田理事 令和三年度予算では、必要なコロナ対策を迅速に講じるために、国庫支出金の獲得に努めつつ、これまで培ってきました基金や都債の発行余力を機動的に活用するなど、財源確保に工夫を凝らしてまいりました。
 令和四年度予算におきましても、事業評価の取組などによりまして、引き続き財源確保を図る一方で、持続可能な財政運営の観点から、基金残高の確保や都債の発行の抑制など、健全な財政基盤の堅持に向けて取り組んでおります。
 今後とも、歳出の無駄をなくす取組を徹底しつつ、財政対応力の戦略的な活用などによりまして、必要な対策の財源を確保していきたいと思っております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。引き続き財源の確保に努めていただきたいと思います。
 歳出についてもちょっと指摘をさせていただきたいと思います。
 令和四年度の歳出なんですけれども、このコロナ禍にあって、また、世界情勢も不安定な中で、令和四年度の特徴としては、過去最高の五百六十八件、千九百億円の新規事業を構築しております。過去数年の新規事業の数もちょっと調べましたけれども、やっぱりここ十年で一番多い数、五百超えは令和四年度のみとなっております。
 新規事業に当たって懸念されることは、やっぱり実効性の確保だと思っています。
 例えば、令和四年度の予算編成では、事業評価がなされております。令和四年度の事業評価については、千三百六十八件のうち、見直し、再構築というのが九百五十七件ありまして、やや見直しというか修正し直すという事業が千近くあったということが分かっています。
 局から上がってきた事業をきちんと評価しているという意味では数が多いこと自体はいいと思うんですけれども、新規事業については、その終期というのが一年から五年後にしか来なくて、実効性をチェックできる機会というのが一年から五年後になってしまいます。
 その意味で、新規事業の実効性の確保といいますか、その実効性がきちんと確保されていないというところがリスクかと思います。
 そこで伺いたいんですけれども、財務局は、令和四年度の予算査定の中で、これら過去最大の新規事業を、どのような考え方で立ち上げて、実効性をどのように担保したと考えているのか、見解を伺います。

○山田理事 令和四年度予算編成に当たりましては、感染症の脅威など大きな危機を克服し、サステーナブルリカバリーを実現するため、コロナ対策やグリーン、デジタルなどの分野を中心に、新規事業の構築を含め、積極的な施策展開に取り組んだところでございます。
 こうした施策の構築に当たりましては、最小のコストで最大のサービスとなるよう、例えば、政策評価を通じまして成果重視の視点から施策全体の方向性を評価し新規事業の構築につなげるなど、各事業の必要性、実効性をしっかりと検証し、必要と認められるものにつきまして予算を措置したものでございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。今、政策評価についてもちょっとおっしゃっていただきました。その中でも、必要性や実効性をしっかりと検証しということをおっしゃっていますので、この政策評価というところでもちょっと指摘したいと思います。
 政策評価も、この東京都予算案の概要という本をいろいろ見させていただきました。政策評価については、二六ページ、事業ユニットを組んで、主な成果指標ということで、アウトカム指標を立てて実効性を確保しているとのことでございます。ただ、主な成果指標というのをもうちょっと細かく見させていただきますと、例えば、MICE誘致の推進の成果指標、つまり、成果といわれる指標については、二〇二四年で三百三十件を目指すとか、下から二番目の、世界で活躍するアーティストの育成のところでは、二〇三〇年度の十二件を目指すとか、成果指標というところなんですけれども、そこで、単純な数の達成目標というようなところもあると。やっぱり、成果指標を立てるんだったら、この成果指標を立てたことによって都民の生活がどう向上したかというところの視点は必要だと思います。何か、これだけ見ていると、国際社会における東京都の地位は上がるかなと思うんですけれども、それと都民の生活がどうつながっているのかなというところが、ちょっと見えづらいところが問題だなというふうに思っています。
 地方自治法にも、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと書いてありまして、やっぱり政策の最大の効果というのは都民の生活の向上だと思っております。
 それをちょっと踏まえて、最後に質問させていただきたいんですけれども、最小のコストで最大の効果を挙げるという観点から、令和四年度予算における政策評価、事業評価の一体的実施に当たって、財務局としてどのように取り組んできたのか、また、今後の取組の方向性についてお伺いします。

○山田理事 令和四年度予算編成では、より成果重視の観点から施策全体の見直しを図るべく、新たに政策評価と事業評価を一体的に実施しております。
 この一体的な評価におきましては、まず、政策評価として、同じ施策目標達成を目指しました複数の事業から構成される事業ユニットを設定した上で、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえて、施策全体の方向性について評価をしております。
 その上で、事業評価によりまして、目標に対するこれまでの成果や決算の状況も踏まえて、一つ一つの事業を検証し、効率性と実効性の向上や新規事業の構築につなげているところでございます。
 こうした一連の取組を通じまして、自己改革の取組を徹底し、効率的かつ効果的な施策展開に取り組んでおります。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 都民の生活の向上というところについては同意していただけるものだと思っていますので、令和四年度から始まった一体的評価ですけれども、効率的かつ効果的な施策展開というのが、それが都民の生活にどうつながって、どう向上するのか、その視点を持った政策評価の運用というものを強く要望させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後四時三十二分散会

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