財政委員会速記録第四号

令和四年三月十五日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長山加 朱美君
副委員長森口つかさ君
副委員長池川 友一君
理事伊藤しょうこう君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
吉住はるお君
たかく則男君
米川大二郎君
五十嵐えり君
三宅 正彦君
長橋 桂一君
中村ひろし君

欠席委員 一名

出席説明員
主税局局長砥出 欣典君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務川上 秀一君
税制部長丹羽恵玲奈君
税制調査担当部長三浦  仁君
調整担当部長原島 幸男君
課税部長櫻井 幸枝君
資産税部長辻谷 久雄君
徴収部長菊澤 道生君
特別滞納整理担当部長蓮沼 正史君
会計管理局局長堤  雅史君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務副島  建君
警察・消防出納部長磯貝  宏君
会計企画担当部長筒井 宏守君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 会計管理局所管分
主税局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為 主税局所管分
・第三号議案 令和四年度東京都地方消費税清算会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和四年度地方税制の改正について
・太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制の創設について
請願陳情の審査
 固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
(1)三第一五号
(2)三第一六号
(3)三第一七号
(4)三第一八号
(5)三第一九号
(6)三第二〇号
(7)三第二一号
(8)三第二二号
(9)三第二三号
(10)三第二四号
(11)三第二五号
(12)三第二六号
(13)三第二七号
(14)三第二八号
(15)三第二九号
(16)三第三〇号
(17)三第三一号
(18)三第三二号
(19)三第三三号
(20)三第三四号
(21)三第三五号
(22)三第三六号
(23)三第三七号
(24)三第三八号
(25)三第三九号
(26)三第四〇号
(27)三第四一号
 固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情
(28)三第七七号
(29)三第七八号
(30)三第七九号
(31)三第八〇号
(32)三第八一号
(33)三第八二号
(34)三第八三号
(35)三第八四号
(36)三第八五号
(37)三第八六号
(38)三第八七号
(39)三第八八号
(40)三第八九号
(41)三第九〇号
(42)三第九一号
(43)三第九二号
(44)三第九三号
(45)三第九四号
(46)三第九五号
(47)三第九六号
(48)三第九七号
(49)三第九八号
(50)三第九九号

○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和四年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
財政委員長 山加 朱美殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
財政委員会
 第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中
        予算総則
        歳入
        歳出
        債務負担行為
        都債 財政委員会所管分
 第三号議案 令和四年度東京都地方消費税清算会計予算
 第十六号議案 令和四年度東京都用地会計予算
 第十七号議案 令和四年度東京都公債費会計予算

(別紙2省略)

○山加委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び主税局関係の予算の調査並びに主税局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 私は、契約支出関連事務のデジタル化について伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、デジタル化の必要性を改めて浮き彫りにしました。従来は対面で行っていた手続などについてデジタル化することは、感染拡大の防止と経済社会活動を両立するために必要不可欠な社会的要請となっています。
 都においては、昨年度のシン・トセイ都政の構造改革QOSアップグレード戦略の策定に続き、先月にはシン・トセイ2を公表、改革を加速させるとしており、より一層のデジタル化の推進を期待しているところでございます。
 昨年の事務事業質疑でも質問をいたしましたが、会計管理局などが所管する契約、支出関連事務のデジタル化の実現は、都民や事業者、都庁職員にとって、とてもメリットが大きい重要な取組であると考えます。
 そこで、契約、支出関連事務のデジタル化について、全体スケジュールと現時点の進捗状況、来年度の予定について伺います。

○筒井会計企画担当部長 契約、支出関連事務のデジタル化につきましては、令和六年度を目途に、事業者と都との間でデジタルベースでのやり取りを開始、令和八年度を目途に、庁内の事務処理を含めた起案から契約、支出に至る一連のプロセスにおいてデータ連携することを目指し、関係局と連携して取組を進めております。
 今年度は、昨年度に取りまとめたデジタル化の基本理念や目指すべき姿などを踏まえ、必要となるシステムの全体像や実現に向けた課題の方向性などを内容といたします基本計画を八月に策定いたしました。九月からは、新規システムの構築やシステム間の連携などに向けた要件定義に着手しており、今月末までに完了する見込みです。
 来年度は、都と事業者間のやり取りをデジタル化するためのシステム構築に優先して取り組み、関係局と連携しながら、必要となるシステムの設計、開発等を進めてまいります。

○吉住委員 契約、支出関連事務のデジタル化は、起案、契約、支出といった一連の業務プロセスにおいて複数の局が関係するため、関係局が連携して取組を進めることは、課題の解決や実効性のある取組を実現する上で非常に有意義なことだと思います。
 一方で、一連の業務プロセスのデジタル化を進めるためには、関係局と連携した取組に加え、所管する会計事務について、会計管理局が主導してデジタル化に取り組まなければならないと考えます。
 そこで、会計管理局としてこれまで行ってきた取組と来年度の予定について伺います。

○筒井会計企画担当部長 会計管理局では、局内の関係部署から成るプロジェクトチームを設置し、支出事務について、デジタルベースでの事務フローや求められるシステム機能などの検討に合わせ、事業者、職員、双方にとって使いやすいシステムの構築と事務の効率化につなげるため、業務の見直し、いわゆるBPRを実施しております。
 こうした一連の検討結果やBPRにつきましては、今年度、関係局が横断的に取組を進めているシステムの要件定義に反映いたしております。
 来年度は、新規システム機能の設計などに着手いたしますが、会計事務を所管する立場から、要件定義の結果が正しく反映されているかどうか確認するとともに、デジタルを前提とした事務フローと規程の整備を進めていきます。また、他システムと財務会計システムとのデータ連携に向けた検討なども行ってまいります。

○吉住委員 来年度は、システム設計に対する確認や、他システムと財務会計システムとのデータ連携に向けた検討などを予定しているとのことでございますが、引き続き、会計事務を所管する立場から、デジタル化に必要な取組を着実に実施してもらいたいと思います。
 ただし、こうした取組に重要なことは、一連の業務プロセスを単にデジタル化することではなく、デジタル化した結果が、民間、都庁、双方にとって業務の最大限の効率化につながることであると考えます。その点、会計管理局として、ユーザーに使いやすいシステム構築や業務の効率化のためのBPRを行っているということで、行政サービスの質の向上につながるよう、今後もこうした観点を踏まえた取組を継続していただきたいと思います。
 最後に、会計事務を所管する立場から、デジタル化に向けた局長の決意を伺います。

○堤会計管理局長 令和二年八月、都政の構造改革がスタートいたしまして一年半が経過をいたしました。この間、全庁一丸となりまして取組を進めてきたところでございますが、構造改革をさらに加速させるため、先月にはシン・トセイ2を策定いたしました。
 構造改革の意義は、デジタルトランスフォーメーションをてこにいたしまして、クオリティー・オブ・サービスを向上させることでございます。そのために、デジタル環境の整備を進め、効率的でイノベーティブな都庁、都民満足度を向上させ、住民ニーズに的確に応えていく都政へと変革していく必要がございます。
 契約、支出事務のデジタル化が構造改革のコアプロジェクトに位置づけられておりますとおり、会計事務につきましては、各局が取り組む事業の円滑な遂行を支える都政のインフラというべき重要な業務でございまして、委員のご質問にもございましたとおり、デジタル化の効果は、都民、事業者の方々とともに、広く庁内にも及ぶものでございます。
 紙で行われておりました様々な手続がオンラインで可能になりますため、都民、事業者の方々の来庁が不要になるとともに、職員のテレワークも容易となってまいります。また、入力済みのデータを活用するデータ連携によりまして、庁内の相当な量の事務を削減あるいは自動化することも可能となります。
 今後とも、関係する各局と緊密に連携を図りまして、ユーザーである事業者や庁内の事務担当職員など、現場の声を聞き、対話をしながら取組を進めることで、QOSを飛躍的に高めるデジタル化を実現してまいります。

○吉住委員 契約、支出関連事務のデジタル化は、その結果として、都民や利用者の生活の質を高める大事な取組であり、社会環境の変化や現場のニーズに対応した先駆的な取組となることを期待して、質問を終わります。

○池川委員 私からは、指定金融機関について質問をいたします。
 地方自治法では、会計事務は会計管理者が行うこととなっています。しかし、その一部について金融機関に事務をお願いするというのが指定金融機関ということだと思います。
 初めに、基本的なことを伺いたいと思います。
 指定金融機関の役割というのはどのようなものでしょうか。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 普通地方公共団体の会計事務は、地方自治法第百七十条の規定によりまして、会計管理者がつかさどることになっておりますが、その事務の全てを行うことは事実上困難でございます。
 そこで、地方自治法第二百三十五条第一項の規定に基づきまして、現金の取扱いに熟達している金融機関を指定いたしまして、その事務の一部を行わせているところでございます。
 指定金融機関につきましては、法令及び知事の定める諸規定に従いまして、公金の収納及び支払いの事務並びに預金を取扱い、また、収納代理金融機関において取り扱う公金の収納事務を総括するとともに、当該自治体に責任を負うことが義務づけられております。

○池川委員 その事務の全てを会計管理者が行うことがなかなか難しいので、指定金融機関を定めて対応するということです。
 東京都では、一九六四年から富士銀行が指定金融機関となり、二〇〇二年には、銀行の合併等によりみずほ銀行を指定する議決を都議会でも行っています。
 指定金融機関をみずほ銀行としているのはなぜか、また、指定金融機関についてどういう視点で指定をするのかについてお伺いいたします。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の指定金融機関には、都の膨大な公金の収納、支払いを取り扱うための事務処理能力、多額の公金の取扱いに対応できる経営規模、財務の健全性などが必要でございます。
 みずほ銀行につきましては、昭和三十九年の地方自治法改正による指定金融機関制度創設以前から、同行の前身でございます富士銀行が、都の金庫事務取扱銀行として公金取扱いを行ってまいりました歴史がございます。また、長年にわたりまして都の公金に係る事務を円滑かつ確実に処理してきておりまして、そのために必要なノウハウ、事務処理能力等を十分に備えております。さらに、指定金融機関に求められる高いレベルの財務の健全性をこれまで維持してきております。
 これらの点を踏まえまして、東京都は、指定金融機関としてみずほ銀行を指定しております。

○池川委員 二〇〇二年に指定金融機関がみずほ銀行に決まる際、都議会では付帯決議が可決をされています。そこには、東京都に対して、都民から預かった貴重な公金が損なわれることのないよう、指定金融機関の経営状況に常に細心の注意を払い、公金の安全確保を最重要視した厳格かつ適切な対応に努めることということを求めています。この決議はペイオフ解禁に合わせて行われたものですが、今日的にも改めて重要だと考えます。
 みずほ銀行は、この間、システム障害を起こしています。昨年二月から今年の二月までに十回を超えるシステム障害を起こしており、企業の社会的責任が問われるということが今起きているということです。二〇二一年十一月二十六日には金融庁が業務改善命令を出し、その業務改善計画書が本年一月十七日に提出をされましたが、その直後にもシステム障害が発生をするという事態に立ち至っています。
 みずほ銀行によるこれらのシステム障害について、どのように対応してきたのか伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年二月以降の一連のシステム障害では、都民、事業者に不都合を生じさせてしまいましたが、一方で、都の公金収納、支払いには直接の影響はございませんでした。
 東京都は、昨年十一月二十六日に行われました金融庁の行政処分に合わせまして、当日に、その内容につきまして、みずほ銀行から直接報告を受けた上で、再発防止等の申入れを行いました。
 具体的には、指定金融機関業務に遺漏がないように行内の組織間連携に万全を期するとともに、システム等に係る改善策の進捗状況につきまして、定期報告することを文書で求めたところでございます。

○池川委員 都の公金収納、支払いに直接の影響はなかったと。だからといって、この問題を軽く扱うことはできないというふうに私は思います。システム障害を起こさせないための再発防止対策をどのように講じていくのか、まさに企業の社会的責任が問われていると思います。
 みずほ銀行は二〇〇二年に大規模なシステム障害を起こし、そのときには、都営住宅、上下水道の引き落とし等、東京都の様々な公金管理にも影響が出たということで、本委員会に、当時のみずほ銀行の副頭取らが出席をして参考人質疑が行われています。その際に、副頭取から、金融機関の社会的責任の重さを改めて痛感していると二十年前に発言があったと。
 当時、自民党の委員の方からも、指定行の変更も含めた厳しい措置を行うべきではないかという発言もなされています。
 都のメインバンクとしての責任について、再びトラブルを生じさせない自信と確信があるのか、持てるのかという質問に対して、大事なインフラ部分で二度と障害を起こさないようにすることは、我々が当然やっていかなければならないことだと副頭取がお答えいただいていると。
 さらに、システム障害について、これから再度生じた場合、このまま都のメインバンクであり続けることについて都民は納得しないと。都民への多大な迷惑と混乱を生じさせれば、重大な決意で私たちは臨まなければならないという質問に対して、当時の出納長は、みずほ銀行がそのときに残っているということを前提の話になりますけれども、そのときはやるべきことはやるというふうに思っておりますと答弁していると。
 それから二十年経過したわけですが、今日になっても度々のシステム障害を起こし、昨年二月から今年の二月までで十回を超えると。これは極めて重大だというふうに私は思います。
 先ほどの答弁の中では、昨年十一月に、指定金融機関として指定している東京都が再発防止についての申入れを行い、現在定期的な報告を求めているということでした。しかし、その後も、都度都度システム障害が起こっていると。そういう意味では、本当に対策は万全なのだろうかということを思わざるを得ないということは指摘しておきたいと思います。
 会計管理局の対応としても、都は、みずほ銀行の最大規模の預金者なわけですから、当時の出納長の発言にあるように厳しく対応していくことが必要だということを、改めて重ねて指摘をしたいというふうに思います。
 話を進めます。
 手数料について伺います。
 収納と支払い、それぞれごとに手数料が発生することが指定金融機関との間で取り決められていると。
 来年度予算では、収納取扱手数料は三億二千四百万円、支払事務手数料は一億七千万円となっていますが、この算出根拠について伺います。また、この間の実績についても併せてお答えください。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 収納取扱手数料は、金融機関窓口における収納、マルチペイメントネットワークによる収納、口座振替による収納のそれぞれにつきまして、過去の実績、その他、変動要因を加味して算出しております。
 支払事務手数料は、総合振込による支払い、給与振込による支払い、現金払い、送金払いのそれぞれにつきまして、過去の実績、その他の変動要因を加味して算出しております。
 執行実績でございますけれども、令和元年度は、収納取扱手数料が二億三千八百万余円、支払事務手数料が一億六千百万余円、令和二年度実績は、収納取扱手数料が二億三千万余円、支払事務手数料が一億七千四百万余円となっております。

○池川委員 二〇二〇年度決算で金額を件数で単純に割り返した場合、収納手数料は一件当たり約二十円、支払手数料は一件当たり約三十七円となっています。取り扱う金額、また手数料については、様々差が出ることは推察をされますが、どのような区分で決められているかというのは、実際にはオープンにはなっていないというのが実態です。
 毎年変更しているわけではないということは事前にお伺いをしていますが、それでは伺いたいと思います。
 手数料の金額、この妥当性については、会計管理局としてはどのように妥当性を判断しているんでしょうか。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 手数料の金額についてでございますけれども、指定金融機関のみずほ銀行と、取引内容ごとに個別の単価を交渉により定めているところでございます。

○池川委員 個別交渉だということなんですね。予算では約五億円、決算でも実績ベースで四億円程度、この手数料関係では支出をされている。指定金融機関にとってこの手数料収入というのは、指定金融機関業務全体の中で得る利益の一部だというふうに思いますが、法律では本来、会計管理者がやる業務を指定金融機関にお願いして、それによって発生している手数料だということです。
 二〇〇二年に指定金融機関がみずほ銀行に決まる際、都議会の質問で、これも自民党の議員から、富士銀行ありき、みずほ銀行ありき、それに後から理由をくっつけるんじゃないかというような印象を拭い去れない部分がある、指定金融機関を変える発想はないのかと発言がありました。
 指定金融機関というのは、一旦指定すれば簡単に変えることができない、そういう話かもしれませんが、実際に基礎自治体の中では、複数の金融機関を指定金融機関として入れ替えている方式を取っている自治体もあるわけです。
 さらに、二〇〇二年当時、指定金融機関をみずほ銀行に決めた際の付帯決議では、指定金融機関においては、その本来の金融機能を十分に発揮し、都の主要銀行としての位置づけを踏まえ、都の行う施策や事業、並びに地域を構成する中小企業経営支援等、地域経済社会への積極的な貢献に努めること、これも付帯決議で付されている。この内容も今日的には極めて重要だというふうに思います。
 そこで伺いたいと思います。
 指定金融機関を指定するに当たり、例えばグリーン、脱炭素など、東京都が進める政策との関係で見ていくことも必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 指定金融機関を指定するに当たりましては、繰り返しになりまして恐縮ですが、都の膨大な公金の収納、支払いを取り扱うための事務処理能力、多額の公金の取扱いに対応できる経営規模、財務の健全性などが必要であると考えております。

○池川委員 毎年、基本のチェック項目としてはそうだと思うんです。ただ、先ほどのシステム障害の問題、また、今、都政が抱えている課題に、この指定金融機関が協力をしてもらう、そうしたことから考えても、企業の社会的責任、特に金融機関の社会的責任というのが強く問われているというふうに私は思います。
 例えば、二〇一八年から二〇二〇年にかけて行われた脱石炭リスト投融資調査では、石炭産業への融資額は、みずほ銀行をトップに、日本の三大メガバンクがずらりと一、二、三位となっている実態があります。気候危機への対策を求めるフライデーズ・フォー・フューチャーの方々は、チェンジみずほ、チェンジワールド、みずほ銀行が変われば世界が変わると、そういうアクションを起こして、石炭火力などへの投融資をやめるよう求めるアクションを起こされてきたと。
 こうした様々な動きの中で、みずほ銀行は、新しい石炭火力発電のプロジェクトには融資しないということを表明し、森林破壊ゼロ方針を決めるなどの新たな対応に踏み出しているということは認識をしています。気候危機の問題に、本当に本気で取り組んでいるんだろうか。都として、今、カーボンハーフ、カーボンゼロを目指していく立場として、そういう視点からのチェックをするというのは極めて重要だと思います。
 また、オランダのNGOの調査では、核兵器や核を運搬するミサイルの開発、製造に携わる企業への投融資について、日本の三大メガバンク、それぞれが百億ドルを超えていると、そういう結果も報告をしている。同時に核兵器禁止条約が発効された今、この投融資の額が全体としては減っている中で、実際に日本の三大メガバンクが百億ドルを超えて、そこに投融資をしていると。
 都として、指定金融機関については毎年チェックを行って更新をしている。これ、会計管理局長が最後決裁をするというふうに伺いましたが、その際に、東京都の施策との関係でも、しっかりとチェックすることをぜひやっていってほしいということを重ねて求めて、質問を終わりたいと思います。

○中村委員 それでは、公金管理について質問いたします。
 新型コロナウイルスの感染が始まって二年以上たちますが、まだ終わりが見えません。その上、ロシアのウクライナ侵攻によって、世界経済情勢はより一層厳しくなっていると考えられます。公金管理については、安全性の確保が最優先ですが、そのためには、的確に世界経済情勢を把握する必要があります。ウクライナやロシアなど、紛争当事国との関係が気になるところです。
 そこでまず、公金の保管、運用先選定の考え方及び公金運用の現状について伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金の保管、運用に当たりましては、安全性の確保を最優先とするため、破綻するおそれが極めて低い金融機関や債券発行体を選定し、預金や債券の買入れを行っていくことが重要でございます。
 このため、預金先金融機関の選定に当たりましては、格付や自己資本比率、利益の推移等を組み合わせた厳しい基準を設定し、これを上回るところのみを預け入れの対象としております。現状では、都市銀行、信託銀行、地方銀行及び外国銀行等に分散して預け入れしているところでございます。
 また、債券につきましては、日本国債に準じる信用力を有するなど、極めて安全性の高い機関が発行する債券に対象を限定して運用しております。現状、比較的利回りの見込める地方債や財投機関債等での運用に重点を置いております。
 なお、こうした考え方に基づきまして、公金の保管、運用を行っておりますところから、現在、紛争当事国の金融機関への預金や、これらの国々の機関が発行する債券での保管、運用は行っておりません。

○中村委員 都の公金は、紛争当事国の金融機関などでの運用はしていないということが確認できました。
 一方、ウクライナ情勢は、国内大手銀行にも影響を与えます。都が取引する金融機関が世界経済情勢によって影響があれば、都の公金管理にも影響を与えかねません。もちろん戦争はあってはならないことですが、それ以外にも、自然災害や政変、さらには急激な経済の動向の変化など、様々なリスクがあります。国際化が進めば進むほど、より一層危機を早期に察知し、対応することが必要になります。
 そこで、都の公金管理において、突発的に発生するリスクへはいかに対応するのか伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金のリスク管理に当たりましては、刻々と変化する経済金融環境がもたらす金融機関への影響等を多角的視点から的確に捉え、預金先金融機関の経営状況等を適時適切に把握するなどによりまして、リスクの端緒を早期に捉えることが重要でございます。
 そのため、ふだんから幅広くリスク想定をした上で、金融機関のディーリングルームで採用しているものと同水準の情報端末などを活用しながら、世界の経済動向や金融情勢はもとより、金融機関の社債利回りや株価の推移などの監視、分析を日常的に行っております。
 その上で、万が一、預金先金融機関につきまして健全性の著しい低下のおそれがあると判断した場合には、東京都公金管理アドバイザリー会議委員など専門家の意見を聞いた上で、運用金額や期間の上限変更、さらには預金の停止などを検討するなど、公金の安全性確保の措置を迅速に行うこととしております。

○中村委員 都の公金については、突発的なリスクにも対応できるということが分かりました。引き続き、的確な情報収集と迅速な対応をお願いします。
 さて、昨年十一月の財政委員会の事務事業質疑で、令和三年度の公金管理計画について質問しました。毎年、新年度の冒頭に、その年度の公金計画が発表されるため、令和四年度の公金管理計画の策定も大詰めの時期だと思います。
 都の公金全体の年間平均残高は、昨年度の五兆八千六百七十三億円から減少したとはいえ、令和三年度の第三・四半期末時点で五兆三千百五億円と大変大きな規模です。どのような考え方で策定するかは非常に重要です。冒頭に述べた新型コロナに加えて、ウクライナ情勢など厳しい社会経済状況がある中、当然のことながら、安全性の確保を最優先に公金管理に努めていただきたいと思います。
 そこで、令和四年度の公金管理計画の策定に向けた基本的なスタンスを伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国内経済につきましては、昨年度と比べますと、景気は持ち直してきたものの、依然といたしまして新型コロナウイルスの感染拡大等による下振れリスクを抱えていることに加えまして、ウクライナ情勢による影響も懸念されており、不透明感が増しております。
 一方、日銀は、前回の金融政策決定会合におきまして、これまでの金融緩和方針の継続を示しておりまして、令和四年度につきましても、極端な金利上昇は見込み難く、国内金利は引き続き低い水準での推移を想定しております。こうした状況の下、多くの金融機関におきまして、新たな預金の受入れを回避する傾向の継続が見込まれております。
 令和四年度の公金管理計画策定に当たりましては、このような内外経済の不確実性の高まりや運用環境の厳しさに加えまして、金融資本市場の変動拡大が金融機関等の経営に与える影響につきましても、しっかりと注視していく必要があると認識しております。
 今後とも、迅速かつ的確なリスク対応を行いながら、安全性を最重要視し、流動性を十分に確保した上で、柔軟かつ効率的な保管、運用を目指していく方針でございます。

○中村委員 令和四年度についても、極端な金利上昇は見込み難いとのことです。厳しい状況の中ではありますが、何より安全性を最重視していただきたいと思います。そのためにも、一日も早くコロナ禍が終息し、また、ロシアのウクライナからの早期撤退を願うものです。
 不安定要素のある金融市場ですが、引き続き、安全性の確保を求めて、質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○山加委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為、主税局所管分、第三号議案、第五十号議案及び報告事項、令和四年度地方税制の改正について外一件並びに請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(27)までの請願三第一五号外二十六件の同内容の請願及び整理番号(28)から(50)までの陳情三第七七号外二十二件の同内容の陳情を一括して議題といたします。
 請願陳情について理事者の説明を求めます。

○丹羽税制部長 今般、財政委員会に付託されました主税局所管の請願陳情についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、財政委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 初めに、請願三第一五号から第四一号までの各号、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願についてご説明申し上げます。
 この請願の要旨は、小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置を令和四年度以後も継続すること、小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減額する減免措置を令和四年度以後も継続すること及び商業地等における固定資産税及び都市計画税について負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置を令和四年度以後も継続することを求めるものでございます。
 この請願に係る現在の状況でございますが、小規模住宅用地に係る都市計画税を二分の一とする軽減措置は、昭和六十三年度に創設し、過重となっている住宅用地の税負担を緩和するため実施しているものでございます。
 小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税を二割減免する措置は、平成十四年度に創設し、過重となっている二十三区の非住宅用地の税負担を緩和するとともに、厳しい経済状況下における中小企業への支援を行うため実施しているものでございます。
 商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の税額を負担水準六五%の水準まで減額する措置は、平成十七年度に導入し、全国に比べ過重となっている二十三区商業地等の負担の緩和を図るため実施しているものでございます。
 これらの軽減措置につきましては、都民の税負担感に配慮する必要から、令和四年度においても引き続き実施することとし、本定例会において所要の改正を行う条例を提案しているところでございます。
 次に、五ページをお開きください。陳情三第七七号から第九九号までの各号、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情についてでございます。
 この陳情の要旨は、さきの請願と同じでございますので、改めての説明は省略させていただきます。
 本件請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 予算案、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る二月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号、財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。今回要求のございました資料は二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、滞納整理に係る都内区市町村への都職員の派遣及び実務研修生の受入についてでございます。
 まず、一ページの表でございますが、滞納整理に係る都内区市町村への都職員の派遣状況をお示ししたものでございます。
 恐れ入りますが、一枚おめくりいただきたく存じます。
 次に、二ページの表でございますが、都内区市町村からの実務研修生の受入れ状況をお示ししたものでございます。
 次に、三ページの要求資料第2号、都税収入実績及び税目別構成比の推移でございます。この表は、平成十七年度からの都税収入実績及び税目別構成比の推移をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山加委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 東京都独自の政策税制について伺います。
 主税局は、今年一月に、環境局と連名で太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制の創設について公表されました。これは、環境性能に優れた東京ゼロエミ住宅を取得した場合に、一定の条件の下で不動産取得税を減免するものであり、課税自主権を活用した都独自の政策税制の一つであると聞いています。
 都はこれまでも、都政における課題への対応として、様々な政策税制を創設してきました。
 都がこれまで創設した主な政策税制について伺います。

○丹羽税制部長 都はこれまで、都政の重要課題の解決に向け、各局の施策を税制面から支援するため、様々な都独自の政策税制を創設してまいりました。
 主な政策税制としては、災害に強い東京を実現するための耐震化促進税制や不燃化特区支援税制、都の温暖化対策を支援するためのZEV導入促進税制、中小企業者向け省エネ促進税制等がございます。

○吉住委員 都は、災害対策や温暖化対策といった都政の重要課題の解決に向け、様々な政策税制を活用してきたことが確認できました。
 一方、こうした政策税制は、特定の施策について税の優遇措置を講じるものであり、その導入の判断に当たり、何らかの基準がないと、優遇を受けられない他の納税者との公平性の問題が生じ、理解が得られないのではないかと考えます。
 そこで、都における政策税制の基本的な考え方について伺います。

○丹羽税制部長 政策税制は、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外として設けるものであり、事業所管局における規制や補助金などの施策を後押しするものとして、真に必要なものに限って活用していくべきものと認識しております。
 税制の活用に当たっては、政策の重要性はもとより、公平性とのバランスやインセンティブ効果、税収への影響や課税実務上の課題など、様々な観点から検討する必要があるものと考えております。

○吉住委員 政策税制は、公平、中立、簡素であるべき税制の基本原則の例外であり、その導入に当たっては、一定の基準に基づき慎重に検討した上で導入の可否を判断していることが分かりました。
 答弁にもあったとおり、政策税制の導入に当たっては、様々な観点から検討することが必要であると考えますが、とりわけ税で措置することが手段として効果的といえるのかという観点については、非常に重要であると考えます。
 そこで、政策税制を導入することによる効果について見解を伺います。

○丹羽税制部長 政策税制を導入することによる効果としては、税負担の増減による経済的な動機づけになることに加え、助成など事業所管局の施策との相乗効果や、税制に対する社会的な関心が高いことによるアナウンスメント効果などが発揮されるものと認識しております。
 政策税制を導入する際には、これらの効果を事前によく検討することが必要と考えており、また、導入後も適用実績や効果の検証、評価を行い、施策目標の達成状況、社会経済の動向、財政的な影響等も踏まえた上で見直しを行っていくことが重要であると認識しております。

○吉住委員 政策税制については、事前に効果を十分に検討した上で導入の可否を判断するとともに、導入後もその効果を検証し、不断の見直しを行うという視点は非常に重要であると考えます。
 次に、環境関連の政策税制について伺います。
 昨年の第四回定例会の我が会派の代表質問に対し、都は、脱炭素化の取組を着実に進めていくためには、排出量取引や規制、補助など、様々な政策手法を組み合わせていくことが必要であり、税制の活用も有効な手段の一つであると答弁をされました。
 都はこれまで、東京版環境減税として、中小企業者向けの省エネ促進税制やZEV導入促進税制を創設するなど、都独自の措置を講じてきたと思います。
 そこで、中小企業向け省エネ促進税制とZEV導入促進税制について、効果があったのか、実績を伺います。

○櫻井課税部長 中小企業者向け省エネ促進税制は、中小企業者の省エネルギー設備等の取得を税制面から支援するため、環境局が指定する設備を取得するなど一定の要件を満たした場合に、個人事業税、法人事業税の税額から、一定の上限まで、設備の取得価額の二分の一を減免するものであり、令和二年度の実績は七十五件、約一億六千万円、平成二十一年度の制度創設からの累計は、令和二年度末現在で約一千四百件、約二十億円でございます。
 また、ZEV導入促進税制は、環境負荷の小さい電気自動車などの取得を税制面から支援するため、自動車税種別割を六年度分免除する措置で、令和二年度の実績は二万一千四百三十四件、約五億円、平成二十一年度の制度創設からの累計は、令和二年度末現在で約十二万件、約二十八億円でございます。

○吉住委員 こうした税制措置は、他の事業局の施策と組み合わせることで、より大きな効果を狙っているというものだと思いますが、今回導入することとなった太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制についても、環境局の助成事業を補完するものとして導入されるものということです。
 税制の公平性や、都民の事務手続の負担軽減の観点からは、税制措置ではなく、助成事業の増額によって対応すべきという考え方もあると思いますが、今回、環境局の助成に加えて税制措置を講じることで、どのような効果が期待できるのか伺います。

○丹羽税制部長 気候危機への対処は都政において極めて重要な課題であり、その解決に向けては、関係局が連携して、ゼロエミッション東京の実現に向けた取組を推進していくことが不可欠でございます。
 今回、環境局の助成に加えて税制措置を講じることとしたのは、経済的なインセンティブ効果はもとより、社会的な関心の高い税の仕組みを活用することで、省エネ、断熱性能の優れた東京ゼロエミ住宅の取得や太陽光発電設備の設置を促すアナウンスメント効果を発揮することができるものと見込んでいるためでございます。
 また、助成金の拡充と税制措置をパッケージとして効果的なPRを行うことで、住宅の省エネ、再エネを強力に推し進める効果が期待できるものと考えております。

○吉住委員 今回の税制措置によってアナウンスメント効果などが発揮されるとのことですが、こうした政策税制は、税の公平性を踏まえれば、やはり真に必要なものに重点化すべきものであると考えます。
 税務行政の信頼は、公平性の確保が大前提だと思います。政策税制の創設や継続を検討する際には、今、答弁があったような必要性や効果について十分に議論し、施策の達成状況なども踏まえながら、不断の見直しに取り組むことで、真に必要なものに重点化するようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○森口委員 私からは、税務行政のデジタル化について伺います。
 コロナ以前から少子高齢化等の課題を抱えている我が国において、生産性を向上させ、経済再生を図るには、デジタルを最大限活用することが必要不可欠であります。
 コロナ禍の中、社会全体のデジタル化に向けた取組はますます重要となっており、令和四年度予算案においても、デジタル分野に重点的に投資を行うとしています。
 税務行政に目を向ければ、これまで主税局は、電子申請や電子納税の導入など積極的にデジタル化を推進していますが、いまだ紙や押印、対面で行う手続が多く存在をし、申請手続のために都税事務所の窓口に出向くことを余儀なくされている納税者もいるのが現状であります。
 コロナ禍で明らかとなったデジタル化の遅れを解消していくためにも、ポストコロナ社会を見据え、行政手続のデジタル化をさらに加速させていかなければなりません。
 デジタル化の目的は、都政のQOSを高めることにありますが、都では、都政の構造改革を加速させるため、本年二月にバージョンアップをしたシン・トセイ2を公表し、その下で数々のプロジェクトを加速させ、全庁を挙げ、サービスの質の向上に取り組んでいくとしております。
 このシン・トセイ戦略には、税務行政のDXを推進するスマート都税プロジェクトが掲げられていますが、改めて、主税局における取組内容について伺います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、都政の構造改革を推進するため、七つのコアプロジェクトと併せて、各局でリーディングプロジェクトを展開し、各局事業のサービス提供の在り方や仕事の進め方そのものの見直しを進めております。
 主税局では、各局リーディングプロジェクトとしてスマート都税プロジェクトを掲げ、税務行政のDXを推進することにより、納税者の来庁負担を軽減するとともに、内部事務の効率化を進めております。
 具体的には、コロナ禍における非接触型サービスとして、昨年十二月に、東京共同電子申請・届出サービスを活用し、都税の各種証明書の電子申請を開始したほか、AIチャットボットの回答精度の向上や固定資産GISの導入事務所の拡大などに取り組んできたところでございます。
 引き続き、都政のQOS向上に資するデジタル化の取組を進めてまいります。

○森口委員 主税局では、積極的にデジタル化の取組を進めてきたことが確認できました。
 特に、昨年十二月から新たに開始をした都税の各種証明書の電子申請については、昨年の予算特別委員会にて我が会派から質問し、局長から、電子の証明申請や手数料収納について、令和三年中に導入をしていくとの答弁を受けて実現したものであります。
 コロナ禍において、都税事務所の窓口に出向かなくても、証明書の申請が自宅のパソコンでできるようになったことは、税務行政のデジタル化の取組として一歩前進したと評価するところでありますが、昨年十二月に開始をした各種証明書の電子申請の概要について伺います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局では、昨年十二月に、都と区市町村が共同で運用する東京共同電子申請・届出サービスを活用し、納税証明書や評価証明書などの都税に関する証明書の電子申請を開始いたしました。
 これにより、申請者は、自宅やオフィスのパソコンから各種証明の申請が可能となりました。また、手数料の納付につきましても、インターネットバンキング等のオンライン対応が可能となり、申請者の来庁負担の軽減につながってございます。
 また、電子申請は、二十四時間三百六十五日いつでも申請が可能であり、現在、申請件数全体の約四割が受付時間外となる休日、夜間にご利用いただいており、申請者の利便性向上が図られているものと考えております。

○森口委員 都税事務所の窓口が開いていない休日、夜間にも申請ができることは、昨年七月に公表された主税局ビジョン二〇三〇の、時間にとらわれず、いつでも、どこでも、税務手続を可能とするとした、目指すべき方向性とも一致をしています。
 今後、電子申請の利用者をさらに増加させていくべきと考えますが、そのためには、利用者の要望をしっかりと聞き、利用者にとって使いやすいサービスに改善していくことが求められています。
 主税局では、利用者にアンケートを行うとともに、広くSNSで意見を募集していると聞いていますが、どのような声が寄せられているのか伺います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 電子申請の利用者のアンケートやホームページ、SNSからは、二月末現在で約七百四十件の意見をいただいてございます。
 主な意見として、スマートフォンで申請ができるようにしてほしい、クレジットカードで手数料の支払いを可能としてほしい、代理人申請に対応してほしいなどの声が寄せられているところでございます。

○森口委員 利用者からの声を酌み取り、使い勝手のよいサービスにアップデートを重ねていくことは重要であります。
 導入済みの電子申請では、スマートフォンには対応していないとのことですが、スマートフォンの保有率は今や八割を超えており、パソコンよりも普及しています。利用者からの意見、要望にもあるように、スマートフォンからの申請を可能にすることが利便性の向上と利用者増につながると考えます。
 そこで、電子申請の利用拡大に向けて、来年度どのように取り組んでいくのか伺います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年十二月から開始した電子申請は、パソコンのみ利用可能であり、スマートフォンには対応しておりません。
 そこで、利用者からの意見も踏まえまして、来年度中にスマートフォンによる各種証明書の電子申請を可能とするスマート申請を導入する予定でございます。
 これにより、申請に必要となる本人確認からクレジットカードによる手数料決済まで、スマートフォンのみで手続が完結することになります。
 また、現在、申請は本人のみとしておりますが、代理人による申請についても導入の検討を進めてまいります。
 今後も、幅広く利用者の意見を聞きながら、より使いやすいサービスとなるよう改善を重ねてまいります。

○森口委員 多くの利用者がデジタルの恩恵を受けられるよう、利用者にとって使いやすいサービスとなることを要望しますが、このデジタルでの手続について、証明書の申請、発行に限らず、全ての手続が電子で可能となることが近い将来の理想の姿であります。
 主税局が今年度発表した主税局ビジョンにも、税務に関する全ての申告、申請の電子化の対応が最初に挙げられております。
 最後に、全ての手続のデジタル化、さらなる納税者へのQOSの向上に向けて取り組む決意について、局長に伺います。

○砥出主税局長 新型コロナウイルスとの闘いが長期化し、人々の暮らしや価値観に様々な影響が生じる中、世界ではデジタル化の潮流が大きなうねりとなっております。
 主税局でも、税務行政のデジタルトランスフォーメーション実現に向け、長年の間、紙のみでの対応だった申告、申請について、平成十七年のeLTAXによる法人の電子申告、平成十八年のペイジー収納を皮切りに、直近では、令和二年度のAIチャットボットサービスによる税務相談対応やスマートフォン決済アプリ収納の導入など、様々なデジタル化の取組を行ってまいりました。
 さらに、今年度は、都税における各種証明の電子申請を導入するなど、昨年七月に公表した主税局ビジョン二〇三〇更新版で示した税務行政のデジタル化の取組を着実に推進しております。
 今後も、主税局ビジョン二〇三〇の理念に基づき、パソコン、スマートフォンで問合せ、申請、交付、納税等の手続を可能とすることで、納税者側の手続から都の内部処理に至るまで一貫して電子的に完結するデジタルシフトの実現を目指し、誰もがデジタル化による利便性向上が実感できる、より質の高い税務行政の実現に向け、主税局、組織を挙げて取り組んでまいります。

○森口委員 利用者にとって使いやすいサービスとなり、多くの利用者がデジタルの恩恵を享受することは大変重要なことですが、こうした電子申請などデジタル化の仕組みは構築して終わりということではありません。アジャイルの発想を常に持ち、ユーザー目線に立った改革を継続していくことが、都民のQOL、サービスの質の向上につながると考えます。
 今般、アップグレードしたシン・トセイの下、将来的には、全ての税務手続が電子で可能とすることを目指すなど、デジタルの力をてこに、より利便性の高い納税者サービスを実現していくことを求めて、私の質問を終わります。

○大松委員 私からも、太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制について質問をいたします。
 東京都は、二〇一九年度から、省エネや断熱性能に優れた住宅を東京ゼロエミ住宅として認証する制度を導入し、認証を受けた住宅の建築主に対し、その費用の一部を助成する事業を行っております。
 この東京ゼロエミ住宅について、都は来年度から、これまで一種類しかなかった省エネ、断熱性能基準に加えまして、より水準の高い基準を新たに二種類増やす基準の多段階化を行うとともに、予算額を大幅に増額することとしております。
 これは、環境局が所管する事業でありますけれども、来年度からは、それに加え、主税局が新たに太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制を創設することになっております。
 まず、この制度の概要及び影響額について、都の答弁を求めます。

○丹羽税制部長 太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、太陽光発電設備の設置を通じた再生可能エネルギーの利用促進と、東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、今回創設することとしたものでございます。
 その概要は、令和四年四月一日から令和七年三月三十一日までの間に設計確認申請が行われた新築の東京ゼロエミ住宅のうち、一定の要件を満たす住宅を取得した場合に、当該住宅に係る不動産取得税を最大で全額減免するものでございます。
 主な要件は、太陽光発電設備を設置していること、より高い断熱、省エネ性能を持つ東京ゼロエミ住宅の水準二または水準三の基準を満たしていることの二つであり、減免割合は、いずれかの要件を満たした場合には税額の五割、いずれの要件も満たした場合には税額の十割としております。
 本税制措置による都税の減収額は約三億円と見込んでおります。

○大松委員 これまでにも、都は、木密地域解消に向けた不燃化特区支援税制や耐震化促進税制など、住宅に対する政策税制を講じてきましたが、いずれも固定資産税、都市計画税を減免するものであります。
 今回は、こうした固定資産税や都市計画税ではなく、不動産取得税の減免ということでありますけれども、この不動産取得税、都民にとっては、固定資産税や都市計画税に比べれば、あまりなじみがないようにも思われるわけでございます。
 そこで、不動産取得税とはどのような税なのか。また、今回、固定資産税、都市計画税ではなく、不動産取得税で減免措置を講じることにする理由について答弁を求めます。

○丹羽税制部長 不動産取得税は、家屋を建築した場合や土地または家屋を購入した場合等、不動産を取得した際にその取得者に課される道府県税でございます。新築住宅の場合は、取得した家屋の評価額から一定額を控除した額に税率を乗じて税額を算出いたします。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けた都の施策は、都全域において促進していく必要がございますが、固定資産税及び都市計画税の減免は、その効果が二十三区にしか及ばないなどの課題がございます。
 また、太陽光発電設備の設置や東京ゼロエミ住宅の新築は、初期費用の負担が大きいという課題がございます。
 こうしたことから、軽減の効果が都全域に及び、住宅の取得時に課される不動産取得税において減免措置を講じることといたしました。

○大松委員 不動産取得税であれば、軽減の効果が多摩や島しょ地域にも及ぶということから、都内全域で住宅の脱炭素化を進める上で有効な措置であるということでございます。
 それで、今回の税制措置では、環境局の施策を支援するという観点から、税を減免する要件なども、環境局の助成事業と同様の基準になるよう制度設計がなされております。
 しかしながら、環境局の助成事業については、当然、予算の枠が設けられておりまして、仮に多くの申込みがあり、予算額が上限に達した場合には、助成を受けることができない建築主が出てくることも想定されます。
 そこで、仮に環境局の助成が受けられなくなった場合、この税制措置についても減免を受けることができなくなるのか、この点について、都の見解を求めます。

○丹羽税制部長 本税制措置の対象となる東京ゼロエミ住宅や太陽光発電設備は、助成事業の対象要件を満たすものに限定しておりますが、仮に助成が受けられなかった場合であっても、本税制措置の要件に該当していれば減免対象となるような制度設計をしております。

○大松委員 予算の枠にとらわれることなく軽減が受けられるということは、税制措置ならではの利点であり、評価できるものと考えます。
 その上で、助成に加えて税制上の優遇措置を講じる以上は、先ほども吉住委員も訴えておられましたように、その効果を十分に検討していかなければなりません。
 答弁におきましても、先ほど自動車関連税制の軽減措置などの効果についてございましたけれども、今回は住宅への税制の軽減措置でございます。
 都はこれまで、こうした住宅に対する税制措置として、例えば耐震化促進税制などの措置を講じてきておりますけれども、この耐震化促進税制についての効果、実績について答弁を求めます。

○辻谷資産税部長 耐震化促進税制は、災害に強い東京の実現を税制面から支援するため、二十三区内において、昭和五十七年一月一日以前から所在する住宅を建て替えまたは耐震改修を行った場合に、固定資産税、都市計画税について、建て替えは三年度分全額、耐震改修は原則として一年度分に限り、床面積百二十平方メートル相当分まで全額減免するものでございます。
 令和二年度の実績は、住宅の建て替えについては九千七百八十九件、約十三億八千万円の減免、住宅の改修については千三百七十四件、約四千百万円の減免であり、平成二十一年度の制度創設からの累計は、令和二年度末現在で、建て替えについては延べ約十二万七千件、約百六十五億円の減免、改修については延べ約二万五千件、約七億六千万円の減免でございます。
 この減免措置は、経済的なインセンティブを働かせて住宅の耐震化を促すものであり、住宅の耐震化に向けた施策を税制面から後押しする役割を担ってきたと考えております。

○大松委員 都がこれまでに講じてきた耐震化促進税制については、一定の実績が上げられているということでございます。
 いずれにしても、こうした税制措置は、制度を創設しただけで利用が進むというものではありません。
 今回、太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制を創設するわけでありますけれども、その利用促進のためには、まず何よりも、より多くの方に確実に知っていただくことが極めて重要であります。本税制措置を、今後より一層積極的に周知していくべきと考えます。
 都の見解を求め、質問を終わります。

○辻谷資産税部長 本税制措置を都民の方に広く活用していただくためには、制度を広く、分かりやすく周知していくとともに、必要な方に確実に情報をお伝えしていくことが重要であると認識しております。
 このため、主税局では、ホームページや「あなたと都税」など都の広報媒体を活用するとともに、環境局が行う助成事業の広報と併せて、住宅関連の業界団体等とも連携しながら、耐震化促進税制など他の住宅関連の軽減措置も含め、しっかりと都民に伝わるよう、効果的に周知を図ってまいります。

○米倉委員 私からも、まず、太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制について伺います。
 これは、新築住宅を取得するときに東京ゼロエミ住宅の要件を満たすと不動産取得税を減免するという内容です。環境対策を税制からも支援するということは重要です。
 まず、この制度はどういう建物が対象となっているのか、具体的にお示しください。

○丹羽税制部長 本税制措置は、新築の東京ゼロエミ住宅を対象としておりまして、戸建てだけではなく、マンションや賃貸アパート等の共同住宅についても、床面積の合計が二千平方メートル未満であるなど、助成事業の対象要件を満たすものが対象となっております。

○米倉委員 ありがとうございます。
 それで、減免の対象の要件についても詳しく伺いたいのですが、要件として、一つに、太陽光発電システムを導入していること、また、もう一つに、ゼロエミ住宅の水準二または水準三に該当していることを挙げています。
 これはどういう考え方で二つの要件を設定されているんでしょうか。

○丹羽税制部長 ただいま委員からお話のありました二つの要件、この二つの要件になっておりますけれども、それぞれの要件がカーボンハーフの実現に寄与するものである点を踏まえ、両方の要件を満たした住宅の取得に対するインセンティブを最大限付与する観点から、いずれかの要件を満たす場合には五割、いずれの要件も満たす場合には十割減免することとしたものでございます。

○米倉委員 この不動産取得税の減免措置によって減収の見込額について三億円ということですが、これはどのぐらいの住宅がこの減免を受けると想定しているということでしょうか。

○丹羽税制部長 令和四年度における東京ゼロエミ住宅の新築数の見込み及び東京ゼロエミ住宅に対するこれまでの課税状況に基づいて試算を行い、減免見込み件数を約三千件と見込んでおります。

○米倉委員 分かりました。今回の減免措置は、新築住宅についての支援ということです。
 既存住宅については、どういう税制面の支援があるかも伺いたいと思います。
 既存の住宅の省エネ、再エネの導入を進めるというためにも、税制面からの支援は重要だと思いますが、現在、どういうものがありますか。

○丹羽税制部長 固定資産税におきましては、地方税法の規定により、既存住宅の省エネ改修工事を行った場合に、一定の要件の下、最初の一年度分の税額を三分の一減額する措置が講じられております。
 本減額措置につきましては、令和四年度税制改正において、対象となる工事に太陽光発電装置や高効率空調機などの設置工事を含めるなど、省エネや再エネをさらに促進する観点から見直しが行われることとなっております。
 また、所得税においても、省エネ改修工事や太陽光発電装置の設置などを行った場合に、一定の減税措置が講じられております。

○米倉委員 今お答えいただきました既存住宅への支援というのは、国の取組の内容ですが、大事だと思います。来年度の税制についても、再エネ、省エネをさらに進める点での見直しがあるということも大切だと思います。
 都としては、これまでも、中小企業者向け省エネ促進のために、事業税の減免を行っています。
 また、ZEV、ゼロエミッションビークルの導入促進のために、自動車税種別割の課税免除も行っています。
 今回は、新たに新築住宅の省エネ、再エネ対策が加わったということです。
 今後も、税制面からの気候危機への対策は、ぜひ検討を進めていただきたいと思っています。既存住宅への支援、これは都としても、ぜひ進めていただきたいなと思っていますし、また、東京は、やはり各地で巨大ビル建設が続いています。大幅にCO2排出量が増える状況となっています。大型開発で利益を得る大企業に対する都独自の炭素税などの検討も求めておきたいと思います。
 次に、もう一つ伺いたいと思います。
 消費税の増税に加えて、コロナが長引き、都民の暮らしや中小企業、小規模事業者が大変深刻です。都内各地の食料支援や生活相談の現場には、この都庁の下でも毎週土曜に行われていますが、五百人近い人が、今、お弁当をもらいに並ぶという状況です。支援者の方からは、この二十年で一番深刻な状況で、貧困の底が抜けた状況だと話しておられます。
 一方で、来年度の予算、東京都は、都税収入は過去二番目の五兆六千三百八億円となっています。
 都税収入が過去二番目となるのはどういう要因と考えていますか。

○丹羽税制部長 令和四年度の都税収入については、令和三年度当初予算に比べて一一・六%の増、五兆六千三百八億円と見込んでおります。中でも法人二税については、全体として企業収益が堅調に推移することから、約四千八百億円、三三・〇%増加する見通しで、都税収入の増加に大きく寄与しております。
 また、雇用、所得環境の改善による個人都民税の増や税額据置措置の終了による固定資産税、都市計画税の増なども都税収入を押し上げる要因となっております。

○米倉委員 都税収入の増加ということですが、都民の暮らしの、今、そういう困難な実態が現実に起こっていますが、そういう実態だとか、中小企業のそういう方々のお話や実感とは乖離があるなと思います。
 都税収入のこの税収の伸びは、今年度と比べて、来年度はどういう分野で幾らの税収増と見込んでいますか。法人二税の増加が都税収入の増加に大きく寄与しているということですが、具体的にはどういう内容か伺います。

○丹羽税制部長 令和四年度の都税収入につきましては、令和三年度当初予算に比べて約五千九百億円、一一・六%の増と見込んでおります。
 内訳を申し上げますと、法人二税が約四千八百億円、三三・〇%の増、固定資産税、都市計画税が約五百億円、三・二%の増、個人都民税が約七百億円、七・六%の増と、それぞれ見込んでおります。
 法人二税の増収の主な要因は、デジタル需要や海外経済回復による需要の増加を背景に、IT関連産業や製造業等の企業収益が改善していることでございます。

○米倉委員 法人二税ですが、今年度予算の見積りが、かなり厳しめに見たということかもしれませんが、製造業、電子機器、精密機器、半導体、IT関連産業が伸びたことが大きいということです。
 一方で、コロナの影響を受けた業種は極めて厳しい状況になっていまして、ここでも格差が生じていると思います。
 個人都民税についても伺います。
 今年度と比べて、来年度はどういう内容で、幾らの税収増と見込んでいますか。

○丹羽税制部長 令和四年度の個人都民税の税収は、令和三年度当初予算に比べて約七百八億円、七・六%の増と見込んでおります。
 その内訳は、均等割、所得割が約五百四十三億円の増、配当割が約六十九億円の増、株式等譲渡所得割が約九十六億円の増となっております。

○米倉委員 総務局統計部が行っている東京都の労働力調査では、就業者数の推移が、二〇二一年平均で四万二千人増加しています。コロナの感染状況に左右される面はあると思いますが、働く人の増加が個人都民税の増収の要因となっているということだと思います。
 同時に、今のご答弁では、配当割と株式等譲渡所得割を合わせて百六十五億円と増えています。つまり、株によってもうけている人が増加したということによる増収分も大きいということが分かりました。富める人がより豊かになっている一側面だというふうに思います。
 この間の所得の小さい人と大きい人の人数や納税額の変化をつかみたいと思うのですが、二〇一〇年と二〇二〇年について、区市町村民税の課税標準額二百万円以下の納税義務者の人数と所得割額、前年中の所得に応じて課税される額ですね、これは幾らなのか伺います。また、課税標準額が一千万円を超える納税義務者の人数と所得割額も伺います。

○丹羽税制部長 市町村税課税状況等の調によりますと、平成二十二年度分の個人の区市町村民税について、課税標準額二百万円以下の納税義務者数は約三百六十二万人、所得割額は約二千百十三億円、課税標準額が一千万円を超える納税義務者数は約二十一万人、所得割額は約二千八百五億円でございます。
 また、令和二年度分の個人の区市町村民税について、課税標準額二百万円以下の納税義務者数は約三百九十三万人、所得割額は約二千四百九億円、課税標準額が一千万円を超える納税義務者数は約三十万人、所得割額は約三千九百二十四億円でございます。

○米倉委員 ありがとうございます。つまり、課税標準額が二百万円以下の納税義務者が払った所得割額を一としたときに、二〇一〇年には、課税標準額一千万円の人たちの納税額は一・三二倍です。それが二〇二〇年になると、一・六二倍に増えているということです。この十一年で、高額所得者がより所得を増やしてきたということが分かります。
 増えた税収は、やはり不要不急の巨大道路や開発に注ぎ込むのではなく、東京から本気で貧困と格差を正す政策を進めることが必要です。税金の使い方の抜本的な転換を強く求めておきます。
 岸田首相は、分配なくして成長なしということも、また、金融所得課税の見直しもいわなくなって、新自由主義の根本に迫ることは全くない対応に終始しています。
 今の日本と東京の経済は、成長が止まり、危機に弱く、競争力も弱くなってしまっています。これらを転換し、貧困と格差を正していくためには、労働法制の規制緩和路線を転換して人間らしく働けるルールをつくる、社会保障を切り捨てから拡充に切り替える、富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を減税する税制改革を行う、命と地域経済の支え手である一次産業と中小企業を再生する、こういう改革を行うことが必要です。
 国に対しても、不公平な税制の在り方について、都として意見をいうことを強く求めて、質問を終わります。

○五十嵐委員 私からは、税収の見込みについて質問しようと思っていたのですけれども、さきの委員からも質問がありましたので、ちょっと割愛をさせていただきます。
 先ほどご答弁で、令和四年度の税収の見込みについて法人二税が増える見込みということと、個人都民税についても増える見込みということで、過去最大レベルの税収を見込まれているとのことでございました。
 しかし、二月二十四日にロシアがウクライナを侵攻して、原油などの資源価格が供給不安で急騰したりですとか、それに伴う企業収益や家計を圧迫する懸念が高まっている状況でございます。
 コロナ禍も長引いており、先行きも見えない中で、個人消費が本当にこのまま伸びるのかという不安は、都民の方も誰もが持っていることでもあると思います。
 最初に予算を組んだときと今の状況というのもかなり変わっていて、例えば日銀とかも、個人消費については、一月時点では持ち直しが明確化というふうにいっているんですけれども、やっぱり世界情勢を受けて下方修正を検討するというようなこともいっております。
 このままウクライナ情勢の悪化が長期化した場合に、当初見込んでいた都税の収入がかなり減少するということも想定できると思われますけれども、今後、都としてはどのように対応していくのかについて伺います。

○丹羽税制部長 ウクライナ危機が長期化した場合、原油、また、小麦などの穀物、アルミニウムをはじめとする金属等の安定的な供給が懸念されております。
 また、感染拡大による影響や供給面での制約、原材料価格の動向などの下振れリスクも指摘されております。
 こうしたことから、令和四年度の企業業績の影響を受ける令和五年度の都税収入についても、景気動向等を踏まえ、的確に見極めてまいります。

○五十嵐委員 ありがとうございます。主に、令和四年度の税収についての影響というのは、令和五年度以降というふうに考えられているのかもしれませんけれども、急速に影響が早い段階で出る、より悪化するということもございますので、随時といいますか、適時といいますか、景気動向等を踏まえて適切に迅速に対応していっていただきたいと思います。
 原油の急騰に伴いまして、総理大臣も、トリガー条項について凍結解除も排除しないなどというふうにおっしゃっていることから、トリガー条項についての凍結の解除というのも議論となっております。
 総務省の試算によると、トリガー条項が凍結解除されますと、地方自治体の税収として一年間に約五千億円減るというような試算もございます。
 当然、東京都にも影響が出ると思いますけれども、トリガー条項の凍結が解除された場合に、東京都としての減収額は幾ら程度になりますでしょうか。

○丹羽税制部長 令和四年度当初予算案では、軽油引取税と地方揮発油譲与税を合わせて約三百七十六億円と見込んでおります。
 仮に一年間トリガー条項の発動が続いた場合、試算しますと、軽油引取税と地方揮発油譲与税を合わせて約百九十億円程度の減収が見込まれます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。都としての影響は一年間で百九十億円の減収見込みとのことでございました。
 仮にこのトリガー条項が発動された場合に、百九十億円程度の減収が見込まれるということですけれども、もし、そのような措置が発動された場合、都として、国に対して補填を求めていくことを含めて、どのように対応していくのかについて伺います。

○丹羽税制部長 平成二十二年の制度創設当時の国会における質疑におきまして、総務大臣が、トリガー条項が発動された場合の地方の減収分への対応については、国において確実に財源を補填する趣旨の答弁を行っております。
 都としては、国の動向を注視しつつ、適切に対応してまいります。

○五十嵐委員 創設時の国会における答弁ということもありますし、最近、首相も、地方との調整も必要だというようなこともおっしゃっていますので、補填等を含めて対応をしていっていただきたいと思います。
 世界情勢が緊迫する中で、下方修正も含めて、あらゆる対応を臨機的に対応していってほしいということを求めまして、私からの質問を終わります。

○山加委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十分休憩

   午後二時四十九分開議

○山加委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○伊藤委員 私からも、新年度予算案の都税収入について伺います。
 都税収入は、企業収益の持ち直しによる法人二税の増や固定資産税、都市計画税の増などにより、前年度に比べて五千八百五十八億円、一一・六%の増で、令和元年度決算に次ぐ五兆六千三百八億円となったとのことです。
 昨年度の当初予算と比較した税収増は、前年度比でいえば、過去十五年で最大の増加となります。
 さて、一般会計予算七兆八千十億円の基盤となる都税収入は、様々な都の施策の裏づけともいえます。
 そこで、前年度比約六千億円の増となった要因である法人二税と固定資産税、都市計画税について伺います。
 まず、企業収益の持ち直しにより、法人二税はどの程度持ち直してきたのか伺います。

○丹羽税制部長 法人二税の税収は、令和元年度は約二兆一千八百億円でございました。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症等の影響により、約一兆七千五百億円に減少しましたが、企業収益の持ち直しにより、令和三年度補正後予算では約一兆九千三百億円まで回復し、また、令和四年度当初予算でも、三年度とほぼ同額の約一兆九千百億円を見込んでおります。
 令和四年度当初予算の法人二税の税収は、令和二年度以降の地方法人課税の見直しによる影響もあり、令和元年度には及ばない見込みでございます。

○伊藤委員 法人二税については、四年前の令和元年度で約二兆一千八百億円であったものが、翌年度はコロナの影響で約四千三百億円も落ち込み、今年度は補正予算で増額補正し、約一兆九千三百億円まで回復し、新年度はほぼ同額を見込んでいることを確認しました。
 たった三年間で、これだけの税収の増減が激変することを改めて認識するとともに、都税収入の大黒柱である法人二税が景気の動向などの影響を極めて受けやすいということを実感します。
 それでは、次に、固定資産税、都市計画税の増の理由はどのようなものなのか伺います。

○丹羽税制部長 固定資産税、都市計画税の税収が増加するのは、国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策や令和三年度税制改正により適用された措置が今年度で終了するためでございます。
 具体的には、売上げが一定程度減少した中小事業者等に対し、事業用家屋と償却資産の固定資産税、都市計画税を軽減する措置や、全ての土地に係る固定資産税、都市計画税が増加しないよう税額を据え置く措置等でございます。

○伊藤委員 固定資産税、都市計画税の増の理由は、新型コロナの経済的影響を和らげるための軽減や据置きなどの措置が終了し、一部を除き、通常どおりの課税に戻ることのようでした。
 さて、新年度の予算編成は、例年七月末から八月に予算の見積りのポイントが示され、その中では、予算の位置づけや基本方針、ポイントが示されます。
 それから、各局により予算要求の作業が始まり、十月下旬頃、予算要求の締切りとなります。
 その後、各会派からの予算要望を受けた後に、知事が年明けに査定を行い、例年一月の下旬には新年度予算が発表されるという段取りになっています。
 こうした作業を経て、各局が都民福祉向上のための様々な事業を予算に計上することになりますが、これらは、予算でいえば歳出に当たり、その実施を担保する歳入の大宗を占めるものが都税収入になります。
 それでは、予算案の編成の中で都税収入をどのように見込むのか、都税収入を見込む手法、時期はどうなっているのかも伺います。

○丹羽税制部長 都税収入の見込みに当たりましては、各税目の直近の収入実績を基に、消費や所得など税収と密接な関連のある各種経済指標や税制改正の動向等を踏まえ算出しております。
 特に景気変動の影響を受けやすい法人二税については、算出の精度を高めるため、法人に関する国の各種調査等による企業の業種や規模別の収益予測等も勘案し、税収を見込んでおります。
 令和四年度の都税収入について申し上げますと、令和三年十二月下旬に発表された国の税制改正の影響額を織り込んだ上で、最終的に令和四年一月に予算案として公表いたしました。

○伊藤委員 都税収入の見込みにつきましては、各種経済指標や税制改正の動向、さらには、企業の業種別収益予測なども踏まえ見積もっているということを確認しました。すなわち、夏から始まる予算編成作業の過程で、税収の見込みも絶えず精査していることと思います。
 さて、私は八王子市議を四期経験させていただきましたが、市税収入の約八〇%は個人、法人市民税と固定資産税で占められていたと記憶しています。
 個人市民税は前年所得への課税であることや、地価の急激な上下動が近年少ないため、税収が極端に上がったり下がったりした記憶はリーマンショックを除いてありません。
 それでは、新年度予算の都税収入は前年度比で一一・六%も上昇していますが、過去と比較しても、これだけの税収アップはあったのか、また、その理由は何か伺います。

○丹羽税制部長 当初予算の前年度比を見ますと、昭和六十三年度は約九千億円、平成元年度は約八千億円、十三年度は約五千億円、十九年度は約八千億円と大きく増加した年がございました。
 これらの増加の要因は、昭和六十三年度と平成元年度はバブル景気、十三年度はIT景気による法人二税の増、十九年度は所得税から個人都民税への税源移譲といざなみ景気による法人二税の増でございます。

○伊藤委員 バブル景気やIT景気など、過去に税収が大幅に伸びた年は、主に好景気の影響ということでありました。
 今回の税収増も企業収益の上昇などの予測を踏まえ、伸びを見込んでいるということですが、コロナ禍や原油高など不安定要素の方が大きいような気もします。
 また、確認ですが、令和四年度の都税収入の徴収率はどの程度を見込むのかも伺います。

○丹羽税制部長 令和四年度当初予算の都税収入を算出するに当たりましては、徴収率を九九・一%と見込んでおります。

○伊藤委員 税の調定見込額全体が落ちても、徴収率を上げることにより予算比での税収減を挽回しようという時代もかつてはありましたが、徴収率九九・一%といえば、ほぼ徴収率の限界に近いのかなとも感じます。
 せっかく税収が上がる予算なのにマイナスの話ばかりで恐縮ですが、シビアに見ていく視点も大事です。
 さて、四月から新年度がスタートします。先ほどお答えいただいたように、税収の見込みは予算編成作業の過程で見積もりますが、これだけ社会変化のスピードが著しく速く、また、コロナなど不確定要素がある中で、実際の税収がどうなっていくかも注意深く見守らなければなりません。
 それでは、実際に新年度が始まり、税収が予測と上下する見込みが分かる時期はいつ頃なのか、また、その理由も併せてお尋ねします。

○丹羽税制部長 都税の収入実績につきましては、年度を通じて継続的に捕捉しておりますが、四年度の都税収入総額につきましては、十一月末の法人二税の中間申告等の状況を見極める必要がございます。
 したがいまして、一月の補正後予算の発表までは確たることを申し上げることができません。

○伊藤委員 今年度の税収も、最終補正では当初比約五千六百億円の増額となりましたが、これもご答弁のようですと、十一月頃に見極め、実際には一月まで分からないということでありました。
 さて、今定例会の序盤に、都議会でも、ウクライナからのロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現に関する決議を総員起立で可決しました。
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻はいまだ停戦には至らず、原油や小麦などの穀物、アルミニウムをはじめとする金属等の供給への悪影響が出始めています。
 また、新型コロナの再拡大による影響や、物流や為替市場の混乱も相まって下振れのリスクの指摘もあり、こうした状況から、今後、企業業績が悪化した場合は税収にマイナスの影響が現れてくる可能性もあります。すなわち、国内も国際情勢も不安定なことから、引き続き、都税収入に影響を与える動向には十分注視していただきたいと思います。
 そこで、最後に、都の各種事業を支える都税収入の確保に向けて、唯一の歳入所管局として最大限努力すべきと考えますが、主税局長の決意を伺い、質問を終わります。

○砥出主税局長 長引く感染症の影響、激甚化する自然災害、脱炭素、デジタル化の潮流など、都政には重要課題が山積しており、都は、これらの課題解決に向けて、各種事業を着実かつスピード感を持って進めていくことが求められております。
 こうした中、唯一の歳入所管局である主税局は、適正、公平な課税、徴収を通じて、各局事業の裏づけとなる都税収入を確実に確保していく必要がございます。
 一方で、コロナ禍や昨今の国際情勢の影響により都民生活や事業者の経済状況は厳しさを増しており、引き続き、納税者個々の状況に応じ徴収緩和制度を適切に案内するなど、都民に寄り添ったきめ細かな対応を徹底してまいります。
 こうした取組を通じ、都民からの税務行政への信頼を確保しつつ、当初予算に計上された都税収入の確保に、職員一丸となって邁進してまいります。

○長橋委員 それでは、私からも、質疑をさせていただきます。
 まず最初に、いわゆる最近大変増えているといいますか、自転車の活用について、コロナ禍で増えているということもあるんだと思うんですけれども、自転車の活用について、主税局の観点からお伺いをしたいと思います。
 まずは、コロナ禍で、シェアサイクル、これが最近増えてきていますけれども、シェアサイクル用地に関わる固定資産税についてどうなっているのか、まずは何点かお伺いしたいと思っております。
 近年、シェアサイクルは、都内における交通手段の一つとして急速に拡大をしているわけでございまして、以前、私、議会で、車中心の社会から人中心の社会に移行していく、そうしたことが、時代は来るんだという話をしたことがありましたけれども、まさにその議論はずっとされてきておるわけでありますけれども、最近は、おしゃれにウオーカブルの時代ということで、都市づくりというのが話題になっているわけでありますけれども、本当に自転車は環境に優しい身近な乗り物でありますし、その活用によって環境負荷の低減や利用者の健康増進にもつながるというものでありまして、しかも、昨今のコロナの感染の拡大の影響によって、人との接触を低減する移動手段として自転車利用の需要が高まっているということであります。
 いわゆるデリバリーサービスなんかは特に、あちこちで毎日見かけますけれども、また、災害時の移動手段として、いわずとしても貴重でございまして、昨年十月に首都圏を襲った地震の際には、帰宅困難者になった方がシェアサイクルを活用した。通常利用の三倍あったというようなこともいっておりました。
 都においては、昨年五月に自転車活用推進計画の改定がなされ、シェアサイクル事業のさらなる普及を目指しているところであります。これは推進計画でありますけど、これは、主税局がつくったのではなくて都市整備局がつくって、やったわけでありますけれども、それを見ると、行政区域をまたいで広域相互利用が実施されて、シェアサイクルのポートとか利用回数が増えた。
 さらに、放置自転車、これも減ってきているんですね。どこの自治体も放置自転車は大変にご苦労されているわけでありますけれども、それを調べると、一番は、やっぱり効果があるのは、駅周辺の整備をしてもらいたいというのが一番なんですけれども、もう一つは自転車の撤去をしていく、もう一つが、このシェアサイクルのポートの設置、これも大きな効果があるというようなことも出ているわけでございまして、ぜひ、このためにはシェアサイクルの設置をする用地の確保が不可欠であるかと思いますけれども、最近は、公有地のみならず私有地にも設置をされておりまして、マンションの敷地にも設置をされている例も見られるわけでございます。
 そこでまず、マンションの敷地にシェアサイクルを設置した場合の固定資産税について、現行法上、原則としてどのような取扱いになっているのか、まずは伺いたいと思います。

○辻谷資産税部長 シェアサイクル用地につきましては、事業の用に供されている土地であるため、住宅用地の特例が適用される住宅の敷地の用に供する土地に該当せず、事務所ビルの敷地や賃貸駐車場などと同様に取り扱うこととされております。
 マンション等の共同住宅の敷地は、住宅用地の特例が適用されて税負担の軽減が図られますが、その敷地にシェアサイクルが設置された場合は、当該部分については住宅用地の特例の対象外となります。

○長橋委員 今ご答弁あったとおりでありまして、法令に従って適正に取り扱われるべきでありまして、シェアサイクル用地は住宅用地に該当しないということは、もうもちろんであります。
 しかしながら、今の説明では、マンションの敷地にシェアサイクルを設置した場合、住宅用地の特例が外れて税負担が多少なりとも上昇することになるわけであります。それでは土地所有者がシェアサイクルの用地提供に抵抗を感じることとなり、シェアサイクル事業の普及の妨げになるというふうにも思うわけでございます。
 シェアサイクル事業のために土地を提供する都民の方々は、都の交通政策や環境政策に理解を寄せ、善意の気持ちから協力をしてくれているにもかかわらず、土地の固定資産税が上がるというのはなかなか理解しにくいんだろうと、このように思うわけでございます。
 実際に我が党にも、私もお会いしましたけれども、税負担が上昇することに対する不満や、住宅用地の特例の適用をぜひ継続してほしいといった要望も来ております。
 こうした土地所有者の声に対して、主税局として何らかの軽減制度を適用できる場合もあるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか、所見を伺います。

○辻谷資産税部長 国や区市町村等のいわゆる非課税団体以外の者が所有する固定資産であっても、それが非課税団体によって公共の用に供されている場合は、有償で貸し出されているときを除き非課税とされております。
 シェアサイクル用地におきましても、非課税団体である東京都や特別区が事業主体であること、不特定多数の一般公衆の利用に供されていること、土地の賃借料が無料であることの三つの要件を満たした場合には、所有者からの申告を受け、非課税として取り扱うこととしております。

○長橋委員 今ご答弁ありましたとおり、この三つの要件が整えば、非課税として取り扱うということでございます。都や自治体が推進するシェアサイクル事業に対して、無償で土地を提供し、協力いただいている都民に対して、一定の要件を満たした場合には非課税の適用があることが今分かりました。
 実際に、特別区は、シェアサイクル事業者と協定を結び、主体的に事業を進める例が増えていると聞いております。また、都においても、利用者の利便性の向上に向けて、昨年十一月に、ポート用地共同利用検証事業として、複数の事業者と連携して共同利用ポートを設置していると聞いております。
 都も、都庁の第二本庁舎、これも用地に提供しているというふうに聞いておりますけれども、このように、行政が事業主体となって推進している事業に対し、善意で協力いただいている都民の皆さんの税負担が上昇しないよう、適切に非課税を適用していくよう、ぜひお願いをしたいと思っております。
 自転車活用推進やシェアサイクル事業について、都市整備局や環境局が所管であり、主税局が自ら主体的にシェアサイクル事業を推進する立場にないことはもちろん十分承知しているわけでありますけれども、都市整備局並びに環境局の両局には、シェアサイクルのさらなる普及を図るため、通行空間の整備や広域利用の促進など積極的な取組を期待するわけでありますけれども、主税局に対しても、都政の一翼を担う一員として、両局と連携した取組をぜひ行っていただきたいと思っております。
 自転車活用の推進に向けて、今後、主税局の立場からどのような取組を行っていくのか伺いたいと思います。

○辻谷資産税部長 シェアサイクル事業の推進については、ハード面や制度面などの環境整備と併せて、この事業に関わる自治体や事業者、土地の所有者に税制面の情報提供をしっかりと行い、理解を得ていくことも大切であると考えております。
 主税局では、シェアサイクル用地に対する住宅用地認定や非課税制度について、昨年六月に、自転車シェアリング検討協議会において、実施主体である特別区に説明し周知を図るとともに、個別の相談対応を行ってまいりました。
 また、シェアサイクル事業者にも、随時オンライン会議を開催するなど密接に連絡を取り、周知を図っております。
 現在は、非課税要件を満たすことが確認できた土地について、令和四年度課税に向けて現地調査を行うとともに、土地所有者へ説明の上、申告書の提出を受け、非課税の手続を進めております。
 今後とも、都市整備局や環境局と連携し、シェアサイクル事業に係る固定資産税の取扱いについて、関係者に対し丁寧に説明してまいります。

○長橋委員 ありがとうございます。
 今後、都政は、いろんな局、縦割りではなくて、もちろんもうその努力はしてきているわけでありますけれども、横串をどう刺していくのかということが今後の大きな課題といいますか、それが二〇三〇年、またカーボンハーフも含めて必要だと思っております。
 都は、自転車活用推進計画に基づいて、シェアサイクル事業の広域利用の促進や公共交通機関との連携強化を図っているわけであります。
 固定資産税についても、シェアサイクル事業の普及を後押しするような制度が構築されることが望ましいのですが、法令改正を必要とする面もあるため、必ずしも容易なことではないと思っております。
 そのような中で、本日説明のあった非課税制度の適用については、シェアサイクルポートを拡充するに当たり、民有地活用のインセンティブになると評価するものであります。
 今後も、都市整備局や環境局と十分に連携を図って、シェアサイクル事業の円滑な普及に向けて取り組んでいただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 続いて、先ほどもデジタル化について質問がありましたけれども、私の方からは、スマートフォン決済アプリの収納について伺いたいと思っております。
 納税者が窓口に出向くことなく納税できるキャッシュレス納税を推進することは、行政サービスのクオリティーを高める観点から大変重要であり、我が党としても重視をしてきたところでありますし、議会でも度々取り上げてきたところでございます。
 都は、令和二年六月にスマートフォン決済アプリによる納税手法を新たに導入しましたが、非対面、非接触で納税できることから、新型コロナウイルスの感染防止に資する納税手法であり、都民からも、便利になったと、それはそうですよね、便利になったと好評を得ているわけであります。
 また、本サービスは、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができるとするスマート東京の実現にもつながるものとして評価するものであります。
 そこで、改めて、スマートフォン決済アプリ収納に関するこれまでの取組と実績について伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 スマートフォン決済アプリ収納は、納税者の利便性の高い納税手法でございまして、積極的に導入拡大を図ってまいりました。
 令和二年六月に二アプリでスタートし、令和三年五月には五つのアプリを追加して、現在は七つのアプリで利用可能となっております。
 令和二年度の利用実績は、金額で約七十一億円、件数で約二十二万件でございましたが、令和三年度の利用実績は、四月から十二月までの九か月間で、金額が約百八十六億円、件数が五十七万件と、既に昨年度の実績を大幅に上回っており、好調に推移しているところでございます。

○長橋委員 先ほどもスマートフォンの決済については質疑がございましたけれども、ほとんど多くの方が、八割ぐらいですかね、もうお持ちになっていらっしゃるということでありまして、金額、そして件数ともに、導入初年度に比べて、年度途中で既に二倍以上に増加をしており、多くの納税者がスマートフォン決済アプリ収納を利用しているということがよく分かりました。
 一方で、都の課税件数は、自動車税種別割を一例に挙げても、約二百八十万件にも上り、利用拡大の余地はまだまだ大きいと思われます。
 スマートフォン決済アプリ収納は多くのメリットのある納税手法であり、より多くの納税者の利用に向けたさらなる取組が必要であろうかと思います。
 そこで、令和四年度の取組について伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 より多くの納税者にスマートフォン決済アプリ収納を利用していただくため、利用できるアプリのさらなる追加に向け、必要経費を予算に計上し、令和四年度中のサービス開始を目指しております。
 また、利用の拡大には納税者への広報も重要でございまして、ユーチューブなどの様々な媒体を用いて、その利便性をPRしていきます。
 今後は、改めて納税者のニーズなどの把握に力を注ぐとともに、スマートフォン決済アプリ収納を含めたキャッシュレス納税の推進に向けて積極的に取り組んでまいります。

○長橋委員 ありがとうございます。来年度もさらに対象アプリの追加を目指していくという答弁がございました。より多くの方に利用していただくため、ぜひ実現をしていただきたいと思っております。
 また、大事なのは、利用者の裾野を広げることが大変重要でありまして、十分な広報、周知が必要であろうかと思います。積極的かつ効果的に取り組んでいただき、納税者にキャッシュレス納税のメリットをぜひ様々な媒体を通して伝えていただきたいと思っております。
 聞くと、二〇三〇年度までにクレジットカードやスマートフォン決済アプリを使って七〇%まで引き上げる、このようにも資料に書いてありましたので、まさにそういう時代が目の前に来ているんだろうなと思っているわけであります。
 次に、税務行政のデジタル化に向けた税務基幹システムの再構築について伺いたいと思います。
 都は先月、シン・トセイ2都政の構造改革QOSアップグレード戦略 version up 二〇二二を発表して、デジタル化の推進による都政の抜本的な改革に全庁挙げて取り組んでいるところでありますけれども、我が会派でも従前より、申請等により行政手続のオンライン化など、都民、事業者の利便性向上の取組を強く求めてまいりました。
 主税局では、主税局ビジョン二〇三〇を策定し、十年後の主税局の姿が、シン・トセイ戦略のデジタルガバメント都庁の一環をなすべく、税務行政のデジタル化の基盤構築を進めているところであります。
 その中で、納税者へのQOS向上の取組として、バックオフィス連携や全ての電子的通知を可能にすることによって納税者の負担を軽減するとしていますが、これについて具体的に教えていただきたいと思います。

○原島調整担当部長 主税局ビジョン二〇三〇では、国と自治体や自治体間等での情報連携、いわゆるバックオフィス連携の実現を目指しております。
 これにより、ワンスオンリー、ワンストップサービスが拡充され、納税者は、これまで行政手続等において必要とされた各種証明書などの添付書類が省略できます。
 納税通知書などの電子的通知についても、マイナポータル等と連携することで、通知から納税まで全て電子化され、納税者が自宅等でいつでも内容確認や申請等ができるなど、納税者の利便性向上に資するものとなっております。
 主税局では、現行の税務基幹システムにつきまして令和八年度を目途に再構築を進めておりまして、次期システムにおきましては、常時外部との情報連携ができるネットワーク基盤を新たに整備することとしております。

○長橋委員 いよいよその本格的な取組が始まるというようなご答弁だったと思います。いよいよこのシステム開発が本格化するということでございますので、数年にわたる大規模なシステム開発となるので、優れた提案を受けることができるよう、十分に検討を尽くして、しっかり手続を進めていただきたいと思います。恐らく、いろんなところから提案があるかと思いますから、ある面ではそこがポイントで、ある面ではそこは時間かかっても、ある面ではしっかりと検討して、先ほど指定銀行のこともありましたけど、そこはないように、ぜひお願いをしたいと思っております。
 コロナ禍によって、社会全体のデジタル化の遅れが浮き彫りとなっていますが、税務基幹システムの再構築に当たっては、単なるシステムの改修ではなく、既存の仕組みを抜本的に見直して、組織や業務フローをデザインし直すことが税務行政のデジタルトランスフォーメーションの要諦であると考えるわけでございます。
 その観点から、主税局ビジョン二〇三〇で描かれている十年後の税務行政の将来像には大いに期待をしており、実現に向けて着実に取組を進めていくことを強く要望いたします。
 最後に、税務基幹システム、大変予算をかけてスタートするわけでございますけれども、この再構築と、そして、税務行政のデジタルトランスフォーメーション、これについて、これはなぜこうするのかというと、やはり複雑困難事例を、人が、人材をしっかりと育てて、それに投入していこうということだと思いますけれども、そうした意味では、局長、それに向けての決意について伺いたいと思います。

○砥出主税局長 主税局はこれまで、主税局ビジョン二〇三〇を作成、更新し、十年後の税務行政の将来像について、具体的なイメージを示してまいりました。
 この中で、税務行政のデジタルトランスフォーメーションにおいて、二つの柱を掲げました。
 一つ目は、納税者へのQOSの向上でございます。納税者が自宅やオフィスからあらゆる税務手続を完結できるようにするなど、来庁不要のサービスを充実させていくことであります。また、もちろんデジタルに不慣れな方々には、これまで以上に手厚くサポートさせていただきます。
 二つ目は、税務行政そのものの構造改革でございます。システムで可能な業務はシステムに任せ、限られた人材を税務調査など複雑困難化する業務に重点配置することで、より専門性の高い組織を目指していくことであります。
 これらを実現していくためには、現行の税務基幹システムの再構築が不可欠であり、基本設計を開始する令和四年度は、令和八年度の稼働に向けてシステム開発を加速化する、まさに重要な年であります。
 また、それを担う人材の確保、育成も急務であり、今後の税務行政のデジタルトランスフォーメーションを担う職員の育成に引き続き力を注いでまいります。
 主税局が進めるこの税務行政のデジタルトランスフォーメーションは、コロナ禍において、改めてその必要性が再認識されたところであり、デジタル化で全ての納税者がQOS向上を実感できるよう、主税局ビジョン二〇三〇で描かれた将来像の実現に向け、主税局一丸となって取り組んでまいります。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組を推し進めていくことにより、都の税務行政の姿は大きく変革するものと確信しております。

○長橋委員 局長、ありがとうございました。思いを込めたご答弁だったと私は思います。大事なのは、人材の育成だと私は思っております。
 税務基幹システムについてお伺いしましたけれども、都財政を支える都税収入を一手に管理する重要なシステムであります。システムの再構築と税務行政のデジタルトランスフォーメーションを確実に進めることで、都税収入の確保と、よりよい納税者サービス、これ大事ですね、納税者サービスの実現を求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○池川委員 私からも、新しい税務基幹システムについて質問したいと思います。
 現在の税務基幹システムは、約百六十八億円の経費をかけて構築をし、年間約七十億円の維持経費、システム更新費はこの間、約百二十億円かけて行われてきたと、これは昨年の質問で答弁がありました。超巨大プロジェクトだということが金額から見ても明らかだと思います。
 都民の税金を投入する以上、その金額が適正なのかどうかをチェックすることが極めて重要です。同時に、新しいシステムが都民にとってよりよくなり、働く職員の皆さんにとってもプラスになっていくということが重要だと思います。
 そこでまず、来年度予算の内容から伺いたいと思います。
 新しいシステム構築に向けて、これまで予算上では三十億円以上、来年度予算では四十四億円が計上されていますが、新しいシステム構築における来年度予算案の算出根拠について伺います。

○原島調整担当部長 来年度の予算では、次期税務基幹システムのアプリケーション開発委託とその工程監理委託のための経費を計上しております。
 それぞれの調達につきましては、複数のICT関連事業者に対して、システム要件や積算根拠が適切なものか、また、より効果的な技術的提案はないかなど情報提供依頼を行い、積算の精緻化を図っております。その上で、第三者機関であるコンサルタント事業者による積算情報の分析を実施するなど、多角的な視点から開発規模に見合った予算を算出しております。
 さらに、デジタルサービス局によるシステムアセスメントを受検することで、本システム開発の妥当性の検証を行い、適切な費用を算出しております。

○池川委員 来年度はアプリの開発と工程監理の予算が主だという答弁でした。予算を見積もるに当たっては、ICTの関連業者に話を聞くこと、第三者のコンサルタント事業者に分析を依頼すること、そして、都庁内にあるデジタルサービス局のアセスメントを受検する、すなわち都庁内でのチェックも受けている、こういうことを通じて予算をはじいたというか、予算を組んだということだと思います。
 これまでに例を見ない、これだけの巨大な仕組みをつくるということは容易な作業でないことは明らかだと思いますが、様々な知見やノウハウを集めながら、最終的には主税局の皆さんがチェックできる、そうしたことが重要だと考えます。すなわち、事業者の、提案をいわれて、いわれるがままでは困るということだと思うんです。二〇二六年度の稼働に向けて、これから具体化をされていくことになると思います。
 来年度から具体的な設計作業等に入っていくと思いますが、その契約方法と予算についてどのようにしていくのか伺いたいと思います。

○原島調整担当部長 次期税務基幹システムは、総開発期間が四年を超える長期プロジェクトになることから、システム構築を定められた期限までに確実に履行できる事業者を選定すること及びシステムの稼働までの間、選定した事業者と継続的な契約が締結できることを担保することが重要でございます。
 そのため、契約は複数年度契約により行い、契約方法としましては総合評価方式を採用し、入札価格を点数化した価格点と価格以外の要素を点数化した技術点とを総合的に判断して、落札者を決定する予定でございます。
 予算につきましては、システムの再構築の経費としまして、令和四年度は約四十四億円を計上し、アプリケーション開発や工程監理委託等の調達を行うこととしております。
 令和五年度以降につきましては、債務負担行為を設定しております。

○池川委員 四年間かけて開発を行うために債務負担行為を設定するということです。システム構築をしている事業者が、途中でできませんということになってしまってはならないわけで、このリスクヘッジを行うということは極めて重要だというふうに思います。
 また、総合評価方式を採用するということですが、価格点と技術点をどう配分するのか、また、この技術点の内容について、何を重視していくのかなど検討されている最中だというふうに思います。
 事前にお伺いしたところ、どのような入札で行うか、この支援業務も委託をしているということでありました。二十年に一度の大規模なシステムの入替え、その際に、最新の知見を踏まえた対応が必要だと思いますが、ここでも主税局の皆さんが担う役割は重要だと思います。入札についての課題を整理することとともに、実際の設計段階における必要性、妥当性を判断していくことがこれから重要になります。
 同時に、独占にならないためにどうするか、この対応も必要です。
 今年二月、公正取引委員会は、官公庁における情報システム調達に関する実態調査報告書を出しています。
 調査の目的は、デジタル化が進む下で、競争政策の観点から、今後の情報システム調達について、ベンダーロックインが回避されることなどにより、多様なシステムベンダーが参入しやすい環境を整備することが重要であるとの認識の下、国の機関及び地方公共団体における情報システムの調達の実態を把握すると。すなわち独占にならないようにどういう仕組みをつくっていくのか、その実態について公正取引委員会が調査をしたということです。
 ベンダーロックインとは、この公正取引委員会の調査報告によると、ソフトウエアの機能改修やバージョンアップ、ハードウエアのメンテナンス等、情報システムを使い続けるために必要な作業を、それを導入した事業者以外が実施することができないために、特定のシステムベンダーを利用し続けなくてはならない状態、すなわち独占状態になってしまうということを指しているというふうに定義をされています。
 そこで伺いたいと思います。
 このセキュリティ強化が求められている、またこのベンダーロックインの課題を解決するために、この間、どのような取組を行ってきたのか、また、来年度はどのような取組を行っていくんでしょうか。

○原島調整担当部長 次期システムの開発に当たりましては、国が策定しました地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに基づき、ネットワークを用途別に分けるなどの対策を施し、税務情報を完全に保護する万全のセキュリティ体制の構築を図ってまいります。
 また、ベンダーロックイン対策としましては、システムの仕様を作成する際に、特定の業者にしか対応できない仕様書を作成することのないよう、調達支援業者等による第三者視点のチェック体制を導入するなど、複層的な対策を講じております。
 加えて、複数のICT関連事業者から入札、調達などに必要な情報提供の依頼を行うことで、仕様の作成段階からベンダーロックインの排除に向けた対策を講じております。
 来年度は、これらの対策を踏まえたアプリケーション開発等の調達手続を年度前半に行いまして、年度後半から設計に着手する予定でございます。

○池川委員 先ほど紹介した公正取引委員会の報告書では、情報システム調達において、独占禁止法に違反にするおそれがあるものとして、例えば、特定の事業者しか対応できない機能を盛り込むこと、合理的な理由がない、仕様の開示拒否、データの引継ぎ拒否、一括発注要求、安値応札など、事例を具体的に紹介しています。そして、情報システム調達における独占禁止法違反行為に対しては厳正に対処していくと、公正取引委員会として具体的に示しているということです。
 これらの背景として、官公庁において、情報システムに関する知見や人員体制が不足していることが要因として指摘をされています。これは、都庁は、全国の自治体の中では最も大きい自治体ですが、それをデジタルサービス局という、今、専門部署が担っている側面がありますが、デジタルサービス局のみならず、各局でもきちんと知見を持ち合わせて対応していくことが極めて重要だというふうに思います。
 さらに伺いたいと思います。
 設計作業における必要性、妥当性、これについてはどのように判断していくのか、また、そのチェック体制についてはどのようにしていくのでしょうか。

○原島調整担当部長 来年度、アプリケーション開発受託事業者は、これまでに作成した要件定義書に基づいて設計案を作成いたしますが、都は、その内容が要件定義書を含む仕様書の内容と整合しているかどうかを確認いたします。
 確認体制としましては、都による判断の妥当性を担保するため、全体的なシステム構成やハードの性能面など、プロジェクトの成否や進捗に関して工程監理受託者から専門的な意見を聴取することとしております。
 さらに、その判断につきまして、ITコンサルタントから第三者としての意見を聴取することで、設計における必要性や妥当性を確実なものとしてまいります。

○池川委員 工程監理を行う事業者から専門的な意見を聞く、第三者としてコンサルタントから意見を聞く、これら重要だと思います。しかし、その専門的な業者やコンサルのいっている中身に妥当性があるのか、ここはやはり主税局の皆さんのチェック、それがなければ、ある意味でいうと、事業者間のやり取りを、報告を受けて、それを追認するという形に事実上なってしまう。そういう意味では、主税局の皆さんの知見、専門性というのは極めて重要だというふうに改めていっておきたいと思います。
 最初にも申し上げましたが、現行システムは、年間維持費も含めてこれまでに約一千五百億円近いお金が投入されています。必要な予算という側面とともに、適正な執行となる、そうした対応にしていくことは重要だということを重ねて申し上げたいと思います。
 新しいシステムを使う職員の皆さんの意見を聞かなければやはりいいシステムはできないという観点から、昨年の質問でも、職員の皆さんから意見を聞く仕組みをどうするのか、聞くべきではないかということを求めました。
 新しいシステムの導入に向けて、当時は、主税局ビジョンの中で、説明の中で、意見や要望を聴取していくんだという話がありましたが、職員からはどのような声が寄せられたのかについて確認をしたいと思います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年七月に公表いたしました主税局ビジョン二〇三〇更新版につきまして、素案の段階で都税事務所職員に説明し、意見や要望を聴取したところでございます。
 その結果、情報セキュリティ対策に万全を期すべき、バックオフィス連携に期待している、デジタルに不慣れな方への対応を丁寧に行うべきといった声が寄せられたところでございます。

○池川委員 情報セキュリティ対策というのは、これは都民との関係では最も重要な根幹の部分だというふうに思います。また、今、万全を期すということで、やってほしいという職員からの声が紹介をされましたが、これはシステム上の課題とともに様々なヒューマンエラーを防ぐ対策も含めて、今後対策を講じていただきたいというふうに思います。
 また、主税局ビジョンでは、限られた人材を複雑化、困難化する税務調査や税務相談に重点配置することが書かれていますが、この税に関するプロフェッショナルである主税局職員の削減ありきということで対応すべきではないということを指摘しておきたいと思います。
 また、今ご紹介ありましたデジタルに不慣れな人への対応、これは都民に対しても、また職員の方々に対しても重要であり、支援を強めることを求めて、質問を終わりたいと思います。

○中村委員 それでは、主税局の来年度の予算に関連して質問をいたします。
 来年度の税収については、これまで多くの議員の方からも質問がありましたので、ここでは聞きませんが、来年度の税収が堅調とのことですが、ロシアのウクライナ侵攻による下方修正については心配もあります。ここは的確に見極めていただきたいと思います。
 既に歳入増に合わせて歳出は過去最大規模になっていますから、万一、下方修正ということになると、コロナ対策の予算をはじめ都民生活に影響が出てしまうので、早急な対応が必要になります。杞憂で終わってはほしいのですが、幅広い情報収集の上、的確な見極めを求めます。
 次に、都の税収は大企業の業績が堅調で増加をしますが、一方では、新型コロナの影響で、中小企業や都民にとっては必ずしもよいわけではありません。とりわけコロナによって厳しい状況にある方々は決して自己責任として切り捨ててはなりません。ウクライナの危機により、景気が下振れすればより困窮する方が増える可能性も否定できません。
 税は公平でなくてはなりませんが、こうした状況で支払いが滞る状況については丁寧な対応が必要となります。
 数値を見てみますと、都税一般分の徴収率が令和元年の九九・五%まで着実に伸び、滞納繰越額は百三十六億円となっています。令和二年度の実績は九八・四%と低下し、滞納繰越額は百五十七億円となりました。
 都民、事業者は引き続き厳しい状況にあるので、滞納された方への丁寧な対応が必要ですが、取組を伺います。

○菊澤徴収部長 コロナ禍の影響などにより、納期内納税が難しい都民や事業者に対しましては、電話や窓口による相談、調査などにより、納税資力を正確に把握するよう努めております。
 その上で、納税の意思を有しているものの、即座にご納付いただくことが困難と認められる場合には、それぞれの事情に応じた徴収緩和制度をご案内するなど、きめ細かな対応を行っているところでございます。

○中村委員 それぞれの事情に応じた対応をするとのことでした。コロナ禍やウクライナ危機がある状況において、引き続き丁寧な対応をお願いいたします。
 次に、税務基幹システムの再構築について伺います。
 昨年七月に発表された主税局ビジョン二〇三〇更新版によれば、主税局が目指す二つの柱として、一、納税者へのクオリティー・オブ・サービスの向上、二、税務行政の構造改革を掲げ、それを実現するために主税局のデジタルトランスフォーメーションを推進するとあります。その中にこの税務基幹システムの再構築も盛り込まれています。
 来年度予算案には、税務基幹システムの再構築として四十四億円が計上されています。現在のシステムは平成十七年に稼働し、十六年が経過しているため再構築を行うといいますが、再構築のための総事業費は六百億円と膨大な予算でもあります。
 再構築の内容と総額、今後の計画について伺います。

○原島調整担当部長 税務基幹システムの再構築では、既存のプログラムコードをスリム化するなど、システム維持管理経費の低減を図りつつ、外部の行政機関等とデータ連携できるネットワーク基盤を構築することとしております。
 また、業務フローを見直すとともに、AIなど新たな技術の導入を図ることで、システムで可能な業務はシステムに任せ、限られた人材を専門性の高い業務に重点配置することで、より納税者に寄り添った対応を実現していくこととしております。
 今後の計画でございますけれども、令和四年度前半にアプリケーション開発等の調達手続を行った後、年度後半から設計開発に着手することとしております。
 令和五年度からは、設計、製造、テストの順に進めてまいりまして、令和八年度に新システムの稼働を予定しております。

○中村委員 技術の進歩も速いため、定期的なシステムの更新はやむを得ないと思います。とはいえ、IT化には膨大な経費がかかります。新システムが経費以上の効果を出すことが必要と考えられます。
 今回、再構築する税務基幹システムの導入により、どのくらいコストダウンや省力化ができるのか伺います。

○原島調整担当部長 税務基幹システムの再構築に当たりましては、平成十七年度の現行システムの稼働以降、税制改正等に対応するための改修の積み重ねによりまして肥大化したプログラムをスリム化することによりシステム改修を容易にするなど、システムの最適化を進め、維持管理経費の低減を図ることとしております。
 また、外部機関とのデータ連携におきましては、これまで行ってきましたDVDなどの記録媒体経由の連携からネットワークによる接続へと転換し、データ通信に関しても抜本的に効率化を図ります。
 また、AIを活用した税務調査対象の抽出やRPAによる入力事務等反復作業の自動化など、新技術を活用した業務支援機能を導入することで、事務の省力化が図られるようにしております。
 これらにより、現行システムを継続して使用する場合と比較して、稼働後十二年間累計で、総事業費に対し約七十億を上回る効果を試算しております。

○中村委員 都としても、システムに係るコストが妥当かどうかしっかりと見る目が必要になります。試算の数値を見れば、六百七十億円の効果があるとのことです。システムを導入した後も維持管理も大変であり、コストとして妥当かどうかを継続的に見ていく必要性があります。検証もしっかり行うことを求めます。
 また、同じ効果を出せるなら少しでも安い方がよいとは思います。行政のシステムは、他の自治体が使うシステムと似ているため、同様のシステムの導入でコストダウンを図れないのか伺います。

○原島調整担当部長 東京都におきましては、他の道府県と異なり、地方税法の規定により、道府県税のほか、特別区の固定資産税など一部の市町村税の賦課徴収を行う独自の税制を有しております。
 それに伴い、税務事務も都独自の運用を行わざるを得ない環境にございまして、税務基幹システムもそれに合わせて構築をしているため、ほかの道府県の税務システムの流用は困難であると認識をしております。

○中村委員 都は、他の道府県と違い、市町村業務を行っているため、確かに他の自治体と全く同じシステムとはいかないとは思います。しかし、他の道府県のシステムと同じ部分に追加することはできないのか検討する余地はあるのではないでしょうか。法律で決まっている業務はベースは同じですが、自治なので細かいところは違うところもあります。ただ、システム化により業務の見直しは必要であり、膨大なシステムの経費を考えると、検討していただきたいと思います。
 さて、計画の目的は都にとってのメリットであるとは思いますが、大きな予算がかかりますので、改めて、都民にとってのメリットは何なのか、また、デメリットはないのか伺います。

○原島調整担当部長 税務基幹システムの再構築による納税者のメリットといたしましては、税務手続のデジタル化が拡充することで、税務申告や納税通知、各種申請、届出から都税の納付までオンラインで一貫して行うことが可能となることが挙げられます。
 また、行政機関等との情報連携が実現すれば、例えば、これまで行政手続などにおいて求められていた各種証明書などの添付書類の省略が可能になるなど、納税者の利便性向上が期待できるものと考えております。
 なお、税務手続のデジタル化を進める一方で、デジタルによる手続を行うことが困難な納税者に対しましては、引き続き窓口におきまして、きめ細やかに対応を行う方針でございます。

○中村委員 高齢者などデジタルが苦手な人たちもいますので、答弁にあったように、きめ細かな対応を求めます。
 いつの時代か、どこかでは完全に切り替わる時代は来るかもしれませんが、まだ今の段階では取り残される人が出ないよう丁寧な対応を求めます。
 今回、外部ネットワークと接続したオープン型システムの構築ということです。これまではネットワークから遮断していたのですが、専用回線とはいえ、外部のネットワークとつなげば漏えいの危険があります。情報漏えいの懸念はないのか伺います。

○原島調整担当部長 今回の再構築では、新たに外部の行政機関等とデータ連携できるネットワーク基盤を構築することで、コアとなる税務基幹システム本体部分は直接外部と接点を持たない構成としております。
 通信に利用する回線につきましても、国が定めた特定通信や都主税局専用のキャリア閉域網等、セキュリティが確保されたネットワークを利用するため、不特定多数が利用しているインターネットとは遮断された構成でございます。
 また、国が策定した地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに基づき、ネットワークを用途別に分けるなどの対策を施し、税務情報を完全に保護する万全のセキュリティ体制の構築を図ることとしております。

○中村委員 税は最も高度な個人情報でもあり、絶対に漏えいがあってはなりません。専用回線なので問題ないとのことですが、扱うのは人です。これまでも、どれだけ高度なセキュリティを構築しても、例えばUSBを持ち出してしまい、なくす事例など、他の自治体など報道もされていますが、そういったヒューマンエラーなどが起き得ることもあります。情報が集まると漏えいしたときの被害は大きくなります。職員への教育も必要です。徹底した個人情報の保護を求めます。
 次に、太陽光パネル付きのゼロエミ住宅導入促進税制の創設について質問いたします。
 気候変動危機への対応は全世界共通の課題であり、都の積極的な取組を評価します。一方で、そうした政策を誘導する際に不公平が生じないようにすることも注意しなければなりません。
 今回、太陽光パネルを設置すれば不動産取得税が軽減されますが、立地条件によっては日当たりが悪くて太陽光が使えない状況のお宅もあります。不公平は生じないのか伺います。

○丹羽税制部長 太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制は、太陽光発電設備の設置を通じた再生可能エネルギーの利用促進と、東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため、今回創設することとしたものでございます。
 制度の検討に当たりましては、東京の地域特性により日照条件が悪い場合があることなどを考慮し、断熱、省エネ性能が一定の水準以上にある住宅については、太陽光発電設備を設置しない場合であっても五割減免することとしております。

○中村委員 東京は地価も高くて住宅事情が厳しいものもあります。経済的に厳しい人はなかなか戸建ても購入できず、賃貸のアパート等に住む方も多くいます。
 太陽光パネルの設置促進は必要ですが、もともと自らの資産で購入できる人へも負担の軽減をすることにもなります。もとより住宅ローン減税など、そもそも集合住宅に住む人に比べると持ち家優遇ともいわれてはきました。
 今回の新たな制度はそれをさらに加速させてしまわないのか、見解を伺います。

○丹羽税制部長 本税制措置は、住宅の取得者が負担することとなる不動産取得税の軽減を図ることで、太陽光発電設備を設置した東京ゼロエミ住宅を都内に普及させていくことを狙いとしております。
 再エネ利用の促進や住宅の断熱、省エネ性能の向上を図ることにより、賃貸の東京ゼロエミ住宅の入居者にも、光熱水費削減や災害時の非常用電源として活用できるなどのメリットが及ぶことになるものと考えております。

○中村委員 戸建てだけではなく集合住宅にも適用されるようですが、固定資産税と違い不動産取得税は最初だけなので、継続的な家賃の減免につながることは少し考えにくいのかなと思います。一定の効果は賃借人にも及ぶとのことですが、全体的な税制の中でバランスを取ることが必要であると申し上げます。
 また、都は二〇二二年度、都内の新築一戸建て住宅の屋根に太陽光発電設備の設置を義務づける条例制定を検討しているということです。これと一体のものなのでしょうか。今回の促進税制は、これと表裏一体のものなのか、要件は一致するのか伺います。

○丹羽税制部長 本税制措置は、太陽光発電設備の設置を通じた再生可能エネルギーの利用促進と東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援するため創設するものでございます。
 太陽光発電設備の設置義務化の詳細につきましては、東京都環境審議会において現在検討が行われているところであり、引き続きその動向を注視してまいります。

○中村委員 まだ制度はこれからとのことです。太陽光パネルの設置は望ましいのですが、必ずしも戸建てを建てる人が逆に全てが豊かでもなく、ぎりぎりでマイホームを購入して夢をかなえる人もいます。
 太陽光パネルの設置が不動産取得税の軽減なら選べるわけですが、義務化をすれば選ぶことなくやらざるを得なくなります。義務に対して、一方では、税の軽減をセットにすることには一定理解をします。ただ、時期のずれや、もしくは要件などに差異があると、後で問題が生じかねません。
 今後、動向を注視するとのことですが、同じ都庁内のことですので、環境局と十分に協議をしていただきたいと思います。
 政策減税についての意義を改めて伺いたいと思います。
 国は、税制調査会等で税制大綱を定めて行います。都にも税制調査会はありますが、国への提言が中心で、税制を決めているわけではありません。政策減税はあってもよいのですが、場合によっては恣意的に導入されるおそれもあります。税制調査会に諮問するなどチェックする必要があると考えますが、見解を伺います。

○三浦税制調査担当部長 東京都税制調査会は、地方分権の時代にふさわしい地方税制及び国、地方を通じた税制全体の在り方などに関する事項を検討するため、平成十二年に設置されました。
 その所掌事項は、知事の諮問に応じ、一、地方税制度の改善に関すること、二、国と地方の税源配分に関すること、三、その他これらの事項に関連する租税制度の改善に関することについて検討し、提言することでございます。
 都税調の提言を受けまして、これまで都は、中小企業者向け省エネ促進税制、ゼロエミッションビークル導入促進税制等の政策税制を導入してまいりました。
 このたびの太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制につきましても、令和三年度答申におきまして、家庭部門の温室効果ガス排出量を削減するためには、住宅の脱炭素化に向けた施策の推進が重要との提言がなされたことを踏まえまして、都として創設することとしたものでございます。

○中村委員 先ほど集合住宅の不動産取得税のところでも述べましたが、政策減税は政策的な意味合いを持って例外的な扱いで行うため、全体としてのバランスは保つ必要性があります。
 都の税制調査会の答申は非常によくまとめられていますが、その中にあった一項目を今回採用したわけです。盛り込まれた全てを採用したわけではないと思います。
 答申を受けてどれを採用するかは知事の裁量になりますが、全体のバランスや公平性をどこかで見なければなりません。改めて税制調査会に諮問するとか、別の第三者の機関とか、何らか必要ではないでしょうか。税は公平性が何より大切なので、恣意的な判断で行われることがないようにしていただきたいと思います。
 こういった、ただ環境を促進するためのこの太陽光パネルの促進税制はいいことだと思っていますので、今後進めていただければと思います。
 以上、質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後四時一分散会

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