委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 森口つかさ君 |
副委員長 | 池川 友一君 |
理事 | 伊藤しょうこう君 |
理事 | 大松あきら君 |
理事 | 米倉 春奈君 |
吉住はるお君 | |
たかく則男君 | |
米川大二郎君 | |
五十嵐えり君 | |
三宅 正彦君 | |
長橋 桂一君 | |
石川 良一君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 潮田 勉君 |
理事主計部長事務取扱 | 山田 忠輝君 | |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 古川 浩二君 | |
財産運用部長 | 五十嵐 律君 | |
建築保全部長 | 渡辺 正信君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
財務局関係
付託議案の審査
・第百五十八号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第十五号)中、予算総則、歳入、歳出−財務局所管分(質疑)
・第百九十四号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第十六号)中、予算総則、歳入(説明・質疑)
・第百七十八号議案 東京都しごとセンター(三)改修工事請負契約(質疑)
・第百七十九号議案 東京消防庁本所消防署緑出張所庁舎(仮称)(三)改築工事請負契約(質疑)
・第百八十号議案 東京消防庁福生消防署庁舎(三)改築工事請負契約(質疑)
・第百八十一号議案 都立南多摩地区特別支援学校(仮称)(三)新築工事請負契約(質疑)
・第百八十二号議案 東京アクアティクスセンター(三)改修工事その二請負契約(質疑)
・第百八十三号議案 都営住宅三H−一〇二西(村山)工事請負契約(質疑)
・第百八十四号議案 都営住宅三H−一二〇東(江戸川区西瑞江四丁目第四)工事請負契約(質疑)
・第百八十五号議案 都営住宅三H−一〇三東(板橋区板橋富士見町)工事請負契約(質疑)
・第百八十六号議案 都営住宅三H−一二七東(江東区亀戸七丁目)工事その二請負契約(質疑)
・第百八十七号議案 東京都しごとセンター(三)改修電気設備工事請負契約(質疑)
・第百八十八号議案 東京都しごとセンター(三)改修空調設備工事請負契約(質疑)
・第百八十九号議案 中川護岸耐震補強工事(その五十)請負契約(質疑)
・第百九十号議案 新中川護岸耐震補強工事(その十二)請負契約(質疑)
報告事項(質疑)
・「令和二年度東京都年次財務報告書」について
○山加委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○山加委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
なお、付託議案中、第百七十八号議案から第百九十号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
これより財務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百五十八号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十五号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分、第百九十四号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十六号)中、予算総則、歳入及び第百七十八号議案から第百九十号議案までを一括して議題といたします。
本案のうち、追加提出されました第百九十四号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十六号)中、予算総則、歳入について理事者の説明を求めます。
○山田理事 それでは、追加提案いたしました令和三年度九月補正予算(案)(追加分その二)についてご説明申し上げます。
資料第1号をご覧願います。
まず、1の補正予算の趣旨でございますが、国が給付する月次支援金の延長に伴い、都独自に加算等を行ってきた月次支援給付金についても延長するため、追加提案するものでございます。
2の財政規模でございますが、補正予算の規模は、一般会計で百三億円でございます。
補正予算の財源でございますが、内訳といたしましては、国庫支出金が九億円、財政調整基金繰入金が九十四億円でございます。
一ページおめくりいただきまして、二ページをお開きください。今回の補正事項でございます。
国が給付する月次支援金につきましては、十月まで延長されました。これに伴い、飲食店の営業時間短縮等の影響により売上高が減少した都内中小企業者等を対象に、都独自に加算等を行ってまいりました月次支援給付金につきましても、対象期間を十月まで延長いたします。
補正予算の内容は以上でございます。
次ページ以降でございますが、こちらには補正予算案の議案を添付してございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○古川経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私からは、議会局及び財務局所管の令和三年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
お手元の資料第2号、令和三年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。令和三年度一般会計補正予算、議会局・財務局総括表でございます。
今回の補正は財務局分のみでございまして、表中の補正予算額欄の下から三段目にありますとおり、特定財源を百三億五百万円余計上してございます。
次に、二ページをお開き願います。今回の補正予算事業別説明でございます。
番号1、特定財源充当歳入は、財務局が所管する歳入のうち、他局の特定事業に充当する歳入で、国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を八億八千六百万円余計上してございます。
次に、三ページをご覧ください。
番号2、一般歳入は、今回の補正予算の各局事業の財源として、財政調整基金からの繰入金を九十四億一千九百万円余計上してございます。
次に、四ページをお開き願います。財務局合計でございます。
今回の補正により、歳入予算は、表の右端、下から三段目の特定財源計欄にございますとおり、既定予算額と合わせまして三兆六千五十三億五千七百万円余となります。
なお、歳出予算は変わらず、表の右端、上の方にお戻りいただきまして、上から五段目の歳出計にございますとおり、五千八百四十八億五千八百万円余でございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山加委員長 説明は終わりました。
その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○古川経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をご覧ください。
最初に、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況です。
こちらは、各種基金の九月補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山加委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉住委員 九月十七日発表の百五十八号議案及び十月四日発表の百九十四号議案に関連して、幾つか伺います。
多くの皆様の多大なるご協力により、緊急事態宣言が解除され、コロナ禍にもうっすらと光が差してきたようにも思えます。とはいえ、この冬に再び到来しかねない第六波への備え、早ければ年内にもスタートするブースター接種、そして、大きな痛手を被った都内経済の再生など、東京都が取り組むべき課題は、いまだ多く残されています。
コロナとの闘いが長期戦となる中、この先も、質、量共に十分な対策を取り続けられるのか。その大きな鍵を握るのが、財源、すなわち都財政です。
こうした観点から何点か質問いたします。
まず、内容を改めて確認させていただきます。
今回の補正予算全体では、二つの考え方が示されました。医療面では、最大限のレベルで年度末までの予算を措置する。そして、経済面では、行動制限緩和に向けた準備として、飲食、観光業の支援を重点的に実施する。いずれも重要な取組だと思います。
では、冒頭、念のためとなりますが、医療面、経済面、それぞれどのくらいの予算額なのか、確認のため伺います。
○山田理事 さきに議決をいただきました感染拡大防止協力金の予算を除く今回の補正予算額三千四百九十億円のうち、万全な医療提供体制の確保を中心とした感染再拡大を阻止する対策に三千三百四十一億円を計上しております。
この内訳といたしましては、病床数の引上げや自宅療養者に対する支援の充実など、医療提供体制等の強化充実の取組として三千百六十五億円、ワクチン接種促進やPCR検査体制の整備など、感染終息に向けた取組として百二億円、区市町村の感染防止対策支援など区市町村と一体となった対策に七十四億円となってございます。
また、経済面の対策には百四十九億円を計上しており、主な内訳といたしましては、中小企業者等に対する月次支援給付金に百三億円、飲食事業者や観光事業者の収益増加に向けた取組への支援などに三十八億円、テレワークの定着促進に二億円、中小企業のDX推進に向けた設備投資への助成に四億円となっているところでございます。
○吉住委員 ありがとうございます。医療面が三千三百四十一億円、経済面で百四十九億円ということです。
この経済面の取組には、今週月曜日に追加された十月分の月次支援給付金が含まれています。これは、国が給付する月次支援金が十月まで延長されたことに伴い、都としても急遽上乗せ、横出しの支援の継続に踏み切ったと聞いております。
厳しい状況下にある事業者の皆様に確実に行き届くよう、今回、国も都も給付金を延長したことをしっかりと周知をお願いいたします。ぜひ、財務局からも、関係局に働きかけを行っていただきたいと思います。
さて、話を戻しますが、今回の補正予算トータル三千四百九十億円のうち、三千三百四十一億円が医療関係、歳出の金額だけ見れば、確かに医療面が圧倒的ウエートを占めています。しかし、財政サイドにとって重要なのは、都の財源、都の持ち出し額です。
では、先ほどの医療面、経済面の財源内訳はどうなっているのか。それぞれの都の持ち出し額など、具体的にお示し願います。
○山田理事 感染再拡大を阻止する対策三千三百四十一億円のうち、医療機関への空床確保料の補助や宿泊施設活用事業などに、国の緊急包括支援交付金二千八百十八億円を充当しております。また、保育所等におけるPCR検査の実施などに、地方創生臨時交付金七十一億円を充当するなど、合わせて財源の約九割が国費となってございます。
残りの約一割分につきましては、都の財源として、福祉先進都市実現基金と財政調整基金、合わせて合計三百六十二億円などを活用しているところでございます。
一方、経済面の対策百四十九億円は、全て都独自の取組でございまして、月次支援給付金と宿泊施設を活用したサテライトオフィスの提供事業に、地方創生臨時交付金を十億円充当したほか、残りは、財政調整基金百三十九億円を活用しており、財源の大宗を都費が占めているというところでございます。
○吉住委員 財源の角度から見れば、医療面は九割が国費です。改めていうまでもありませんが、病床、人員の確保から、治療、療養に至るまで、都民の命と健康を守る、そのベースとなる取組は、事実上、国の緊急包括支援交付金で全て賄われています。
今回、都が、最大限の規模で対策を講じることができたのは、国による財源の全額負担があったからこそなし得たものではないでしょうか。
一方、経済面の取組では、全十四事業のほとんどが、都の持ち出しとなる財政調整基金です。財政調整基金の動きを確認したところ、今年度に入り、この半年間で既に三千五百億円近くを使い、残りは千九百億円を切っています。
こうした中、都は、今後、経済の本格的な回復を後押しする対策を実施するとしています。
コロナ禍で疲弊した都民、打撃を受けた多くの中小事業者、そして、日々こうした方々からの窮状の声が届く我々としても、都の今後の取組に期待が高まります。
そして、本格的な経済対策となれば、相応の規模を伴うことになると考えるのが自然です。しかしながら、懐具合となる財政調整基金は、現状それほど余裕があるわけではありません。
今後の本格的な経済対策に当たり、そのよりどころとなる財源の優先順位はどう考えているのか。これまでの経済関連の財源はどうだったのかという点も含めて見解を伺います。
○山田理事 これまでのコロナ対策のうち、主に経済活動に関する施策では、財政調整基金を充当することに加え、中小企業制度融資の預託金には、都債を、将来負担も見据えながら戦略的に活用してまいりました。
また、都独自の月次支援給付金や家賃等支援給付金などには、国の地方創生臨時交付金を活用してきたところでございます。
財政調整基金は、税収の急激な落ち込みや突発的かつ巨額の財政需要の発生など財源が著しく不足する場合に活用し、年度間の財源調整を図るためのいわば虎の子ともいえる重要な基金でございます。
こうした観点から、今後の対策に当たりましても、地方創生臨時交付金をはじめとする国庫支出金の確保に努めるとともに、個々の事業の内容や性質に応じまして、特定目的基金や都債といった特定財源などを最大限活用した上で、財政調整基金により対応してまいりたいと考えております。
○吉住委員 今のお話に、地方創生臨時交付金の確保に努めるとありました。今回の補正予算でも、自治体の事業の財源にできる臨時交付金が百七十億円計上されており、先ほど答弁にあったような都独自の取組に活用されています。
では、そもそもこうした地域の実情に応じた事業に活用できる、自治体にとって大変使い勝手のよい臨時交付金は、国の全体額のうち、これまで都にどれだけの額が交付されてきたのか。今年度の交付分については、それぞれ内訳も含めてお示し願います。
○山田理事 地方創生臨時交付金のうち、地域の実情に応じた事業に活用できる地方単独事業分及び事業者支援分につきまして、今年度分も含めた累計で、都道府県分二・二兆円のうち一千二百五十億円が配分されております。
この配分の経緯といたしましては、初めての配分でありました昨年五月には、都道府県分三千五百五十四億円のうち百三億円、都道府県分全体の二・九%に相当する額が配分されておりました。今年度分には、四月に、都道府県分三千億円のうち二百四十六億円、全体の八・二%に相当する額が配分されており、八月には、都道府県分二千億円のうち百七十億円、全体の八・五%に相当する額が配分されているところでございます。
○吉住委員 今お話のあったとおり、ありがたいことに、東京都への配分割合が、回を追うごとに高まっていますが、それは、我々都議会自民党、公明党が幾度となく国に掛け合い、要望を重ねた結果でもあるということをこの場で申し添えておきます。
しかしながら、国も、全体に配る以上、都への配分額にも限界があります。コロナ禍で地盤沈下した経済の一刻も早い再生は、都政の最重要課題です。都が旗振り役となり、経済回復の足取りを確かなものとする骨太の対策が待ち望まれています。
その一方、現実問題としては、たとえ交付金の追加交付があったとしても、都財政に、目先を気にせず大盤振る舞いするほどの余裕はありません。
こうした中、今後、本格的な経済対策に向け、様々な検討がなされていくと思いますが、財務局としてどのような観点で対策を考え、対策の内容、とりわけ、都の独自事業の是非を判断していくつもりなのか、また、今後、国が行うであろう経済対策に都としてもしっかりと歩調を合わせて、相乗効果が生まれるような取組も重要であると考えますが、見解を伺います。
○山田理事 コロナ禍の影響が長引く中、行動制限等の影響を受けてきた事業者への支援は重要であり、感染防止等の両立を図りつつ、経済再生に向けた取組を段階的に実施してまいります。そして、将来的に制限が緩和された段階では、経済の本格的回復を後押しする対策を展開していくことが必要であると考えております。
今後の対策の検討に当たりましては、特に打撃を受けた飲食業、観光業など、事業者の状況を十分に踏まえた上で、事業展開や需要回復等につながる実効性ある対策を練り上げることが必要でございます。同時に、国の経済対策とも整合性を図りながら、東京の実態を踏まえたきめ細かな取組を実施することも重要であると考えております。
こうした考えの下、東京の経済の再生、回復に向け、国の経済対策等の動向にも十分留意しつつ、都として必要な対策を講じられるよう、関係局と緊密に連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
○吉住委員 よろしくお願いいたします。もちろん、本気で経済の再生、回復を図るには、相応の規模が不可欠です。ただ、ここで申し上げたいのは、規模も重要ですが、中身はもっと大事ということです。成果の高い事業、都内の中小事業者の方々がこの苦境から脱却のきっかけをつかめる、そうした理にかなった事業へ、大胆な財政出動を強く求めます。
この間、我々都議会自民党、公明党は、直接、政府、党幹部に、都の考え方や現状の課題を訴え、折衝、要請を繰り返し、医療体制や都民生活、事業者支援など、都の政策を前に進めてまいりました。
先ほど触れた地方創生臨時交付金も、都への配分拡大に向け、直接我々が何度も足を運んだ成果だと自負しております。
コロナ禍という前例のない都政の難局には、行政と政治が一体となり、それぞれなすべきことに全力を傾けなければなりません。都政は、国との連携なくして政策を前には進められません。
我々は、引き続き、国とのパイプをしっかりと構築し、全力で都民のために仕事をしてまいります。
さて、八月半ばには、来年度予算に関する見積方針が、財務局から各局に発出されました。来年度に向けた各局の予算要求作業は、今まさに大詰めを迎えていると伺っています。
先日の我が党の代表質問では、政策評価と事業評価の一体的取組など、見直しの強化に向けて、新たな方法にも取り組んでいくとのお答えもありました。
今月末からは、いよいよ財務局でも予算編成作業が本格化すると聞いています。年度の後半に向けて、コロナ対策、そして来年度予算編成と、都財政にとって正念場を迎えます。
これまでのコロナ対策を振り返りつつ、今後の対策や来年度予算の編成に当たり、何を重視しながら、どのような心構えで臨んでいくのか。最後に、財務局長の見解を伺います。
○潮田財務局長 現下の状況におきまして、コロナ対策は、都政の最重要課題であり、都は、一年半以上にわたりまして、基金や都債などの財政対応力を最大限発揮させるとともに、国の地方創生臨時交付金などを活用することにより、累次にわたる補正予算を編成し、総額六兆円を超える規模の対策を実施してまいりました。
この間、地方創生臨時交付金の確保に向けましては、御党の皆様方にもお力添えをいただきましたことに深く感謝申し上げる次第でございます。
今後のコロナ対策に取り組むに当たりましても、私どもとして、都民の健康や命を守るための取組や経済の再生、回復に向けた取組など、都がなすべき施策を着実に講じられるよう、財政面からもしっかりと各局の事業を支えてまいります。
また、来年度予算においては、限られた財源の中で、コロナ対策はもとより、都政に山積する様々な課題に積極的に対応するため、確実に成果へとつながる施策を展開していくことが重要でございます。
こうした観点から、まずは、一つ一つの事業の無駄をなくす取組を強化し、成果を重視した見直しを行うことで、事業の効率性や実効性を高めてまいります。その上で、基金や都債についても、財源として計画的かつ戦略的に活用していきたいと考えております。
今後本格化する来年度予算編成に当たりましては、感染症等の脅威を乗り越え、東京の持続的な成長につながる施策の推進に向け、財源を的確に振り向けていくとともに、財政対応力の堅持に向けて全力を尽くしてまいります。
○吉住委員 コロナ対策、そして、災害対策から少子高齢化対策まで、都政の重要課題の解決を図れるか否かは、その最後の頼みの綱は都財政であるといっても過言ではありません。
しかしながら、都財政が健全な状態でなければ、頼みの綱にはなり得ません。財政面も、今後ますます消耗戦の様相を呈し、さらに難しいかじ取りを迫られることが予想されます。
ぜひ、財務局の皆様には、コロナ対策、来年度予算編成、そして財政の安定化、このいわば三兎を追う財政運営に全力を傾けていただくことを強く要望して、質問を終わります。
○池川委員 質問に入る前に、昨日夜発生した千葉県北西部を震源とする地震で、都内でも震度五の揺れが発生いたしました。被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げます。また、災害対応、復旧に尽力されている関係者の皆様に、心から感謝申し上げます。
改めて、地震と風水害という自然災害から都民の命と暮らしを守るための取組を、さらに都政としても加速することをまず初めに強く求めておきたいと思います。
それでは、私からも、補正予算について質問いたします。
本議会には、専決処分されたもの、既に議決したものを含めて四つの一般会計補正予算が提出をされています。特に、新規感染が減少傾向になっている今、機を逸することなく対策を行うことが求められていると考えます。
日本共産党都議団は、代表質問でも、ワクチン接種と一体に大規模な検査を行うこと、医療体制の抜本的強化、事業者への十分な補償と都民の暮らしを守る支援という三つの角度から問題提起を行いました。
第六波を起こさせないための対策、第六波が起きたときへの対応という両面から積極的な財政運営を今こそ行う必要があると考えますが、いかがですか。
○山田理事 最優先であります都民の命や健康を守り抜くためには、万全の医療提供体制を確保することが重要であると考えております。
こうした考えの下、今回の補正予算では、危機管理の観点から、災害級の感染状況にも対応し得るよう、量と質の両面から医療提供体制等の強化充実を図っております。
具体的には、新たな臨時医療施設の整備など、九千二百床分の予算を措置するとともに、宿泊療養施設において、抗体カクテル療法の実施など、療養環境の充実や自宅療養者に向けたオンラインシステムを活用した遠隔診療の実施など、症状に応じてきめ細かな対応を図ることとしております。
また、一刻も早い感染の終息に向けた取組として、ワクチン接種の促進や児童生徒等の安全・安心を守るためのPCR検査体制の充実なども図っているところでございます。
今後とも、医療提供体制の確保と感染終息に向けて、必要な対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○池川委員 今後とも、医療提供体制の確保と感染終息に向けた必要な対策に取り組むということでありました。
これまで、陽性者が減った時期に感染を抑え込むことができずに、何度も感染拡大を繰り返してきた、これをやっぱり教訓にしなければならないというふうに思います。率直にいって、これまでの都の対応は、コロナ対策について、しっかりと時々の問題を反省し、検証を経て、次の対策へ行くという側面が弱かったというふうに思います。
七月に、知事が、特に一人暮らしの方々などは、自宅も、ある種、病床のような形でやっていただくことが病床の確保にもつながるし、その方の健康維持にもつながると発言をし、第五波では、自宅療養と入院等調整中を合わせて最大約四万人となる事態が起こりました。私たちは、この問題を厳しく追及してまいりましたが、代表質問では、この点について、原則入院か宿泊療養が必要だと答弁がありました。であるならば、それにふさわしい対応をどうするかということが大事になると考えます。
先ほど答弁にもありましたが、補正予算にも臨時医療施設が計上されています。具体化はこれからということでありますが、しっかりと今から備えていくことを強く求めておきたいというふうに思います。
今回の補正予算では、地方創生臨時交付金が含まれていますが、その内訳、内容について伺います。
○山田理事 今回計上いたしました地方創生臨時交付金のうち、地域の実情に応じた都の取組の財源といたしまして、事業者支援交付金を活用した事業と充当額につきましては、中小企業者等月次支援給付金の九月分に百四十億円、学校、保育所等のPCR検査の実施に合計二十八億円、宿泊施設を活用したサテライトオフィスの提供事業に一億円となっているところでございます。
○池川委員 保育園、学校へのPCR検査の予算に対しても、地方創生臨時交付金を活用しているということが分かりました。
デルタ株は、子供への感染リスクが格段に高くなっていることを踏まえれば、もっと早くやる必要があったのではないかという思いはありますが、学校や保育園の検査は、極めて重要な一歩だと考えます。
ある私立学校では、一人の方が陽性になったことが明らかになった直後に、その生徒が関わっている集団に対して検査を行ったところ、何と四十人を超える陽性が明らかになり、全員が無症状だったということもありました。改めて、集団に対して検査を行うことが重要だということを私自身も再認識をしたところです。
都はこれまで、検査は、感染状況を把握するという立場であったところから、私たちの代表質問に対して、感染を防止するために必要がある場合、現に感染した施設等に限らず、地域の関係者に幅広く検査をすることが可能なんだという答弁をした。そういう意味では、検査の枠を大きく広げる対応を、都としても取り始めているというのは大変大事だというふうに思います。先ほど答弁の中でも、一刻も早い感染終息のための枠組みの中に、PCR検査が位置づけられているということも注目をしています。検査体制についても、第六波を起こさないための対策として、対象の施設を増やしたり、一斉定期的な検査が行えるようにする、さらにはモニタリングの検査を行うなど、対応がきちんと行えるよう、引き続き積極的に予算を組むことを求めておきたいというふうに思います。
そのための機動的で迅速な思い切った対応を行うことが必要ですが、そのためには、国への働きかけを行うとともに、東京都の財政力を発揮して、命と暮らしを守る立場で取り組むことが必要だと思いますが、いかがですか。
○山田理事 都は、コロナ対策といたしまして、これまで、提案中の補正予算も含め、総額六兆四千百八十三億円を講じてきており、そのうち、都の財源として、財政調整基金や都債など合計一兆七千三百八十一億円を活用し、医療提供体制の確保をはじめとする感染再拡大を阻止する対策やセーフティーネット対策の充実など、都独自の様々な施策に積極的に取り組んできております。
同時に、東京の実情を踏まえた対策を確実かつ安定的に実行できるよう、これまでも国に対して、地方創生臨時交付金の確保に向けて要望を行ってまいりました。
今後とも、都民生活と経済活動を守るため、引き続き、地方創生臨時交付金などの国庫支出金の確保に努めるとともに、基金や都債を戦略的に活用しながら、必要な対策を着実に実施してまいりたいと思っております。
○池川委員 都民の命と暮らしを守るために、都の財政力を発揮して取り組んでいただきたいということを重ねて求めておきます。
最初にも触れましたが、今回の都議会定例会には、専決処分も含めて四つの一般会計補正予算が提案をされております。専決処分について、この間何度も私たちは、専決処分ではなく、きちんと議会の議論が必要だということを申し上げてまいりました。地方自治法第九十六条は、普通公共団体の議会は、予算を定めることを権限としております。予算の専決処分は、極めて限定的でなければならないというふうに考えます。今後、臨時議会を開いて、補正予算が出た場合にはきちんと審議する、このことを併せて求めて、質問を終わりたいと思います。
○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○山加委員長 次に、報告事項、令和二年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○森口委員 年次財務報告書が報告をされ、令和二年度の決算が示されました。令和二年度は、コロナ禍の中、累次にわたる補正予算を編成し、刻一刻と変化する感染状況に機動的に対応しながらの財政運営でありました。令和二年度だけで十九回に及ぶ補正予算を編成しており、これまでに例のない規模と頻度で財政出動を行っており、財政運営に困難な一年であったと思われます。
我が会派は、これまで一貫してワイズスペンディングの徹底を主張しており、コロナ禍における財政運営の結果をしっかりと総括し、今後へつなげていくことが大変重要であると考えております。
そこで、令和二年度決算について、コロナ対策に向けて工夫を凝らした点を中心に、その特徴を伺います。
○山田理事 都の令和二年度普通会計決算の特徴といたしましては、新型コロナウイルス感染症に対し、都民の命と都内経済を守るため、感染状況に応じ、的確な対策を講じてきた結果が、歳入歳出の両面に現れていることであります。
まず、歳出面では、全国に先駆けて創設いたしました感染拡大防止協力金や、中小企業の資金需要に即応するため、新型コロナウイルス感染症対応緊急融資の融資目標額を四兆円まで引き上げるなど、総額一兆七千四百六億円のコロナ対策を実施したことなどにより、歳出総額は八兆六千九十五億円となっております。
一方、歳入面では、新型コロナウイルス感染症による企業収益の悪化などにより、都税収入が前年度と比べ減収となった一方、コロナ対策に係る交付金などにより、国庫支出金が増額となったほか、基金繰入金、都債もそれぞれ対前年度で増額となり、総額九兆五百四十七億円となっております。
国の交付金の確保に努めるとともに、東京の実情を踏まえた都独自の取組を積極果敢に実行するため、これまで積み立ててきた基金を大胆に活用するとともに、中小企業制度融資の預託金に都債を充当するなど、都の財源を最大限に振り向けることで、機を逸することなく的確に対策を講じることができたと考えております。
○森口委員 国の交付金を活用するとともに、基金、都債といった都の財源を総動員しながら、コロナ禍の局面に対応したということであります。
未曽有の国難ともいうべき状況の中、国庫支出金の確保に努めつつ、都の独自の対策には都の財源を積極的に振り分けるなどを行った結果が、今回示された決算であり、まずは都として、こうした取組に注力してきたことを評価したいと思います。
直近では、新規陽性者数は減少傾向を見せているとはいえ、コロナとの闘いは依然続いており、今後も確実に対応し、コロナ禍を乗り越え、その先の経済の再生、回復へとつなげていかなければなりません。
そこで、引き続くコロナ対応とその先の財政需要といったことを見据え、都の財政対応力に対する認識について伺います。
○山田理事 この間の新型コロナ対策に当たりましては、単年度決算では過去最大の歳出となる中にあって、財政調整基金を有効に活用するほか、将来負担を見据えながら都債も活用するなど、財源確保に工夫を凝らしてきております。
その結果、令和二年度の決算時点では、基金残高は二・二兆円、都債残高は元年度に比べて増加しているものの、ピーク時から約五割減少しており、都は、財政対応力を一定程度維持できていると考えております。
一方、コロナ対策をはじめとする今後の財政需要や不透明な景気動向を踏まえると、都の財政状況は注視が必要であります。
引き続き、経済の再生、回復も含めた今後のコロナ対策に万全を期していくと同時に、山積する都政の諸課題の解決に向けた取組を積極的に講じていくためにも、財政対応力の堅持に努めてまいりたいと考えております。
○森口委員 一定の対応力を維持しているとのことであります。財政調整基金については、残高が減少していますが、全体としての基金残高や都債残高は健全な水準だと認識をしています。
一方、世界では、米中の動向など、国内景気にも影響を及ぼすリスクの要因が顕在化しているなど、今後の状況も注視が必要であり、こうした状況を踏まえれば、歳入の動向に予断を持つことなく、限られた予算の枠の中でも、その時々に求められるサービスを提供するという意識がとりわけ重要と考えます。
さきの代表質問で、我が会派が述べたとおり、今年度予算というのは、昨年の秋から冬にかけての状況の中で編成がされたものであり、そのときと今とで状況が変わっているとすれば、期中にも事業の見直しを図り、その時々の状況に合わせて、軌道修正をしていくことが重要であります。
代表質問に対しては、効率的、効果的な執行に向けて創意工夫を凝らすとともに、年度途中の環境変化等に即した執行となるよう、各事業について必要な見直しを行うこととしているとの答弁がありましたが、その取組について伺います。
○山田理事 令和三年度の予算執行に当たりまして、財務局は、各局に対して、施策効果の早期発現に向けて速やかな執行を図ることはもとより、一つ一つの事業について、効率的、効果的な執行となるよう、従来以上に創意工夫を凝らすことを求めております。
また、年度途中の環境変化等に即した対応として、例えば、コロナ禍において、各種イベント等をオンライン開催に変更したり実施時期を調整するなど工夫を行いながら、適切な執行に努めることとしております。
今後も、都政を取り巻く情勢変化に的確に対応し、都政に課された使命を着実に果たしていくことができるよう、各局と十分に連携しながら、現場の取組を支えてまいりたいと思っております。
○森口委員 都政を取り巻く環境は目まぐるしく変化を続けており、スピード感を持って対応していかなければなりません。こうした状況変化を捉え、事業執行に工夫を凝らす現場の努力を正当に評価し、よりよい予算執行へつなげていくことを、職員一人一人が自然に目指すような組織風土の醸成に取り組んでもらいたいと思います。
さらに、都財政は、国による偏在是正措置によって不合理に税収を奪われているということが長く続いており、財政運営上の大きな足かせとなっております。年間七千六百億円もの税収が失われているということは、都財政にとって極めて影響が多いといわざるを得ず、こうした財源を活用すれば、コロナ禍に窮する都民生活を支える給付金を実現できるということが可能であるというのは、代表質問でも述べたとおりであり、不合理な措置の撤廃に向け、国に対し声を上げることも引き続き行っていただきたいと重ねて要望いたします。
これまで質疑してきたように、コロナ対策への機動的な財政支出、財政環境の先行きの不透明性に加え、不合理な措置の影響もあり、この一年は、都財政運営にとって非常に困難な局面でありました。このような令和二年度決算において、財政の対応力を一定程度維持することができたということは、局の皆様の努力とともに、これまで組織として長きにわたって取り組んでこられた財政運営の工夫や積み重ねも大きいと感じております。
年次財務報告書においても示されているとおり、都財政の歴史をひもとけば、都は、バブル崩壊とその後の財政危機に瀕し、長く苦しい時代がありました。その後も、リーマンショックや東日本大震災など、都財政は幾度の危機に見舞われてきましたが、着実に財政基盤の強化を図り、財政運営のノウハウを総動員することで乗り越えてきたのだと思われます。
こうした都財政の歴史の中で培われた困難を乗り越える経験値ともいうべき手腕が、今回のコロナ対策においても生かされたものであり、今後の財政運営においても、引き継がれていくべきと考えます。
そこで、改めて、過去の都財政の歴史を振り返りながら、現下の都財政に対する認識と今後に向けた局長の考えを伺います。
○潮田財務局長 都財政は、バブル崩壊などの景気の荒波を受け都税収入の大幅な減収に直面した際にも、必要な都民サービスを提供していくため、様々な努力や工夫を積み重ねてまいりました。
そして、私がこれまで財務局に在籍している間にも、バブル崩壊後の財政再建やリーマンショックへの対応、不合理な偏在是正措置をめぐる闘い、東京二〇二〇大会の開催、そして、今回の新型コロナウイルス感染症への対応など、様々な課題に直面する中、財政運営の面から都政を下支えすべく局一丸となって取り組んでまいりました。
このように、都財政には、常に順風満帆な状況ではなく、その時々の都政における様々な課題に対応すべく、都議会の皆様方のご理解、ご協力をいただきながら、困難な局面をその都度打開してきたということだったと考えております。
こうした経験を通じて思いますのが、やはり税収が堅調なときに、将来への備えを強固なものとする一方、都民や都内企業が厳しい状況に直面した場面では、危機に備えて培ってきた財政対応力を遺憾なく発揮することで、都政に求められる施策の実現を財政面から支えていくということが、私どもに課せられた使命であるということであります。
こうした考えの下、その時々に都政がなすべき役割を果たしつつ、常に見直すべきものは見直すという視点をしっかりと見据えて、戦略的な政策展開と持続可能な財政基盤の堅持を両立できるよう、今後も各局と十分に連携をしながら全力を尽くしてまいります。
○森口委員 困難な状況が続く中、都政に課された使命を確実に果たす上で、引き続き、堅実な財政運営に努めていただきたいと申し上げ、質問を終わります。
○たかく委員 令和二年度東京都年次財務報告書について質問いたします。
令和二年度決算では、新型コロナウイルス感染症対策による経費等の増加により、一般歳出は前年度比一・四兆円増の六・六兆円となる一方、コロナ禍での企業収益の悪化などにより、都税収入は前年度比四千三百九十六億円の減となりました。景気の先行きを見通すことが困難な中、引き続き、状況を注視していく必要がありますが、コロナ対策などにより、歳出が増加している一方で、東京都の歳入は、景気の影響を受けやすく、歳入が不安定であることなどから、他の道府県以上に自立的な財政運営が必要であります。
また、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は減少傾向にあるものの、ここで対策の手を緩めてしまっては、感染が再拡大してしまうおそれがあります。
最優先である都民の命や健康を守るため、引き続き、医療提供体制の確保などコロナ対策にも取り組みながら、経済の本格的な回復を後押しする対策にも取り組んでいく必要があります。
加えて、コロナ対策以外にも、災害対策、少子高齢化への対応、さらにはデジタル化の推進など、東京都が抱える課題は山積しております。そのため、財源の確保に加え、見直すべき事業は見直し、無駄をなくすための取組を一層強化することがますます重要になってまいります。
都は、都議会公明党が推進し、都が全国に先駆けて導入した複式簿記・発生主義による新たな新公会計制度を活用した事業評価により、施策の不断の見直しを進め、着実にその実績を積み重ねてまいりました。
私の質疑では、この事業評価の取組について、これまでの成果と今後の取組の方向性について何点かお聞きしたいと思います。
まず、事業評価の取組の導入経緯と評価の視点について説明を求めます。
○山田理事 事業評価は、財政再建期に集中的に実施いたしました事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も見直し努力を継続する仕組みとして、予算編成の一環として、平成十八年度に再構築したものでございます。限られた財源の中で、都政の諸課題に的確に対応していくため、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取組の徹底へとつなげております。
評価に当たりましては、従来の官庁会計に欠けていた資産、負債等のストック情報、金利、減価償却費を含めた真のコスト情報を明らかにする新公会計制度を分析のツールとして活用するなど、予算編成の過程で多面的な検証を行い、着実に実績を積み重ねてまいりました。
令和三年度予算編成における事業評価では、対面からオンラインサービスへの移行など新しい日常に対応するための事業見直しなど、これまで以上に創意工夫を凝らして取り組んだところでございます。
○たかく委員 今、答弁にありましたとおり、複式簿記・発生主義による新公会計制度を活用するなど、創意工夫を凝らしながら不断の事業見直しを行ってきたとのことであります。私の地元世田谷区でも、平成三十年度から新公会計制度を導入し、事業の効率化、また、実効性の向上、そして財政の見える化に活用しております。
都においても、東京都年次財務報告書により財務諸表への解説を行っておりますが、引き続き、都民への分かりやすさを重視しながら、アカウンタビリティーの向上に努めるよう求めておきます。
次に、令和三年度予算編成における事業評価の実績について、具体的な事例を示しながら説明を求めます。
○山田理事 令和三年度予算編成における主な評価事例の一点目は、待機児童解消区市町村支援事業における補助要件の見直しでございます。
具体的には、待機児童数が平成二十九年度からの三年間で約六千人減少し、大規模保育園等の需要が減少傾向となっていたことを踏まえ、大規模な施設整備を前提としていたこれまでの補助要件を見直す一方で、地域のきめ細かなニーズを踏まえた補助要件へと再設定を行うことで、今後の保育ニーズへの適切な対応を図っております。
二点目は、都税事務所における納税者の財産調査について、業務負担の軽減を図った事例でございます。
具体的には、これまで文書の郵送で行っておりました滞納者の預貯金照会について、デジタルを活用した調査に切り替えたことによりまして、都と金融機関双方の業務負担を軽減することができました。このことによりまして、約一億円のコスト削減を図るとともに、都の執行体制を見直しまして、職員十八人分の人員を別の業務へとシフトすることができております。
こうした取組を通じまして、施策の新陳代謝を促進することで、一千百十五件の見直し、再構築を行い、約一千百十億円の財源確保、四百三十件の新規事業の構築につなげているところでございます。
○たかく委員 今お話しいただきましたように、例えば、預貯金の照会を電子化して、職員十八人分の人員を別の事業にシフトができたということは、大きな成果であると思います。このような効率化を図ることで、必要な事業に必要な財源と人材を投入していくことが、都政改革にもつながるものと考えております。
令和三年度の事業評価では、コロナ禍での社会情勢の変化を踏まえた事業見直しを行うとともに、過去最高となる一千百十五件の見直し、再構築を行い、約千百十億円の財源確保額へとつなげたとのことであります。
様々な課題に的確に対応しつつ、時代の変化に的確に対応しながら、都民目線で真に必要な事業を構築していくためには、一つ一つの事業をゼロベースで検証し直し、施策の新陳代謝を一層促進していくことが重要であります。
今後も、社会情勢の変化等を踏まえながら、これまで以上に創意工夫を凝らし、一つ一つの事業の実効性と効率性を高め、無駄をなくす取組を強化していくことを改めて求めるものであります。
次に、これまで総務局が所管し、今年度から財務局に所管が移った政策評価について伺いたいと思います。
事業評価と政策評価、似たような取組でもあり、ともすると都民からは分かりづらいものがあります。
そこで、令和元年度に導入した政策評価の狙いと、これまでの成果について、事業評価との違いという視点も含めて説明をいただければと思います。
○山田理事 政策評価は、都が、平成二十九年四月に着手いたしました仕事改革、見える化改革、仕組み改革の三つの改革から成る二〇二〇改革の一環として、各局が施策レベルで点検、評価し、事業を自律的かつ総合的な見直しへとつなげる取組を制度的に継続させていくため、令和元年度に開始したものでございます。
この取組では、施策ごとに設定する成果指標について、外部有識者の意見を反映させることで、評価制度の客観性を高めております。その上で、この成果指標に対する到達度を評価し、効果検証を行うことで事業の見直しを図ってきたものでございます。
これまで総務局で実施してきました政策評価は、複数の事業で構成される施策に着目しながら、各局が自律的に見直しを行う取組であるのに対しまして、事業評価は、一つ一つの事業に着目しながら予算編成の一環として位置づけ、財務局が最終的な評価を行う取組である点が、二つの評価制度の主な違いでございます。
○たかく委員 今、答弁ありましたけれども、二つの評価制度には違いがあるとはいえ、やはり似たような制度であるといわざるを得ません。
今年度から、政策評価と事業評価を財務局が所管し、一体的に実施していくとのことでありますが、二つの評価を一体的に実施する目的、狙いについて、改めて説明をお願いいたします。
○山田理事 都政が解決する課題がますます多様化、高度化し、求められる変革のスピードも加速する中、都が達成すべき目標を明らかにし、成果をより重視した事業見直しを行っていくことが重要でございます。
そのため、令和四年度予算編成から、同一の施策目標の単位で評価を行う政策評価と個々の事業単位で検証する事業評価の二つの制度を財務局で所管し、一体的に実施することといたしました。
これらを一体的に実施する目的は、一つ一つの事業を実効性と効率性の観点から検証することに加えまして、同一施策内の各事業が、成果指標の達成にどの程度寄与しているのかを分析し、その結果を次年度予算に的確に反映させ、施策の新陳代謝を一層促進していくことにあります。
今後、二つの評価制度を予算編成プロセスにしっかりと根づかせることで、成果重視の見直しへとつなげ、より実効性、効率性の高い施策、事業の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○たかく委員 今ご答弁がありましたとおり、政策評価と事業評価の一体的な実施の大きなメリットの一つは、財務局が所管することにより、政策評価についても、予算編成プロセスの一環として的確に位置づけられることではないかと思っております。
今月、緊急事態宣言は解除されましたが、コロナとの闘いは続いており、感染を抑え込みつつ、経済の再生、回復に向けたその取組を推進していくことが何より不可欠であります。
そのためには、施策の実施に必要となる財源をあらゆる手段を講じて確保していくことに加え、施策の新陳代謝を促し、無駄をなくす取組を一層強化することが重要であります。
政策評価と事業評価の一体的な実施は、今まさにスタートしたばかりでありますが、不断の見直しによる事業の実効性と効率性の向上、成果指標の達成に向けた事業ユニット全体の見直しなどにより、真に都民にとって必要な政策、事業が実施できるよう、しっかりと取り組んでいくことを強く求め、私からの質問とさせていただきます。
○池川委員 私からも、年次財務報告書について質問したいと思います。
新型コロナ危機から都民の命と暮らしをいかにして守るのかが問われています。同時に、これまで以上に都財政への関心が集まっているというべき、今、時期だと思います。私たちは、命と暮らし、営業を守るために、東京都がふさわしい役割を発揮することを求めてまいりましたが、今後もこの立場で取り組んでいきたいと思います。
まず初めに、来年度予算編成の依命通達が出され、報告書の二九ページにもありますが、そこでは、原則としてゼロシーリングを継続する一方で、事業実績が目標を大きく下回るものなど、さらなる見直しが必要な事業については、原則として総額でマイナス一〇%のシーリングを行うとしています。都民からは、暮らしや福祉に関わる予算などが見直されるのではないかという懸念の声が寄せられています。
来年度予算編成におけるマイナスシーリングは、具体的にどのようなものを想定しているのか伺いたいと思います
○山田理事 令和四年度予算編成においては、要求段階から事業の無駄を一層なくす新たな仕組みといたしまして、客観的な指標等に基づき、見直しが必要な事業に対して、マイナスシーリングを導入することといたしております。
具体的な対象事業といたしましては、これまで見直しが行われていない継続事業のうち、令和元年度または二年度の事業実績が目標の五〇%に満たず、かつ執行率の改善が見られない事業などを想定しているところでございます。
今回の見積方針では、感染症の影響を踏まえた喫緊の対策等を除くこうした事業について、各局が、原則として前年度予算額に対して、総額で一〇%減の範囲内で見積もることとしております。
○池川委員 今の答弁を聞くと、要求段階から事業の無駄を一掃する新たな仕組みとして、各局が、まず、要求段階からシーリングをかけていくということです。さらに、継続的に行われている事業のうち、二年間、どちらかの事業実績が五〇%に満たず、執行率の改善が見られないということを事業の対象としていくと、つまり一律の削減ではないということだと思います。
二〇二一年度の予算編成においては、自律的経費の一〇%マイナスシーリングが行われました。
具体的には、都庁内の事務経費、リース代、水光熱費、システム管理費などを対象にして、約三百億円の財源確保を目標として取り組まれたというふうに思いますが、来年度予算編成では、先ほどいったマイナスシーリングによって、財源確保目標という考え方は取らないということでいいのか、確認をさせてください。
○山田理事 限りある財源の中、都政の諸課題に積極的に対応し、将来にわたり持続可能な財政運営を図るためには、見直すべきものは見直し、無駄をなくす取組を強化することが不可欠であります。
こうした考えの下、今回のマイナスシーリングは、各局における主体的な見直しを促すための新たな仕組みといたしまして、一律の経費削減ではなく、事業実績が目標を大きく下回るなど、さらなる見直しが必要な事業を対象として、施策の新陳代謝を促進し、実効性、効率性を一層高めることを目的としたものでございます。
○池川委員 各局における主体的な見直しを行うということで、一律の経費削減がないということですし、具体的な目標額も設定されているものではないというふうに、今、確認をしました。
施策の新陳代謝を促進するということでありますが、財源確保を行おうと思えば、やはり不要不急の事業については、予算編成の時点で見直すとともに、年度途中でも見直しを図っていくことが必要ではないかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
○山田理事 今年度予算には、新型コロナウイルス感染症対策に加え、少子高齢化への対応や災害への備えなど、都政の課題解決に向け、的確に対処するための施策が盛り込まれており、施策の目的に沿って、着実に事業を実施していくことが求められております。
一方で、限られた財源を有効に活用するためには、創意工夫を凝らしつつ、経済性、効率性のさらなる向上に努めるとともに、不断の見直しを行いながら取り組むことが重要であると思っております。
このため、今年度の予算の執行に当たりましても、事業環境の変化等に応じて、必要性や緊急性などを見極めながら、見直しや経費節減に努めていくこととしているところでございます。
○池川委員 年度の途中であっても、事業環境の変化等に応じて必要性、緊急性を見極めて、見直しや経費節減を行っていくということです。
知事は、コロナ危機と気候危機を二つの危機と位置づけております。国の予算を活用することは必要ですが、都としても、やはり独自にコロナ危機にふさわしい予算を編成するために、年度途中でも様々な見直しを行い、組替えを行うことも含めて対応することが必要ではないかということは求めておきたいと思います。
年次財務報告書の三七ページ及び四八、四九ページには、東京都の貸借対照表が掲載をされています。これによると、現金や建物などの資産は三十五兆四千三百六十億円、その一方で、都債などの負債は六兆六千七百八十二億円となっています。それらを差し引いた正味財産は二十八兆七千五百七十八億円というふうに記載をされていると。
企業会計における貸借対照表と同一視して、超優良という声もありますが、この中で、どれだけ都民のために直ちに使うことができるのか、確認をしたいというふうに思います。
東京都の普通会計貸借対照表の中に示されている資産の中で、都の施策に直ちに活用していくことができるというものについてお示しをいただきたいと思います。
○山田理事 貸借対照表は、貸付金や出資金を含め都が保有している資産の状況を表すものでございます。
令和二年度末時点におきましては、都庁舎や都立学校など公共のために使用中の行政財産や道路、橋梁、港湾などのインフラ資産が全体の六五・一%、公営企業会計出資金が六・三%、長期貸付金が三・七%を占めているところでございます。
こうした中で、都政の課題解決に向けて直ちに活用可能なものといたしましては、流動資産においては財政調整基金、固定資産においては個々の設置目的に応じて活用が可能な特定目的基金がございます。
○池川委員 実際には、今の答弁を聞くと、やはり全体としてインフラ資産が大半を占めていること、その道路や都庁舎、都有施設、都立学校、都営住宅などがその中に当たり、現金にいきなり換えることができる、売却することができるというものではないというふうに思います。
未活用の土地などについては、必要に応じて処分をしていくことは必要であると思いますが、いわゆるストックがある、資産があるということだけで財源確保はできないということだと思います。
同時に、企業であれば、必要な借入れを行うその担保になるものとして捉えることはできると思いますが、地方自治体の場合は、借入れ、つまり都債、地方債を発行しようと思っても、それは地方財政法第五条の範囲内ということになっています。
交通などインフラ、この間も活用している中小企業制度融資などの貸付金の財源、地方債の借換えのための経費、災害対応、学校、保育園、道路、河川整備のための建設費及び土地購入費などに限定列挙されているのが今の状況です。
都債を発行するに当たって、一般財源を生み出していくことは極めて重要なので、この都債を活用して財源確保をしていくことは極めて大事だというふうに思います。
同時に、コロナ対応ということに考えてみると、都債を活用して対応することには様々な困難が伴うということは明らかで、それは、この間、この財政委員会の中でも議論させていただいたところです。
そのため、財源を確保しようと思えば、やはり現状の事業の中で不要不急なものを減らすことをきちんとやっていくことが必要だということは明らかだというふうに思います。毎年執行率の低い特定整備路線など、やはり見直しをしていくことが必要だということをこの場でも求めておきたいと思います。
先ほどの答弁の中で、現実的に使うことができる財源としては、財政調整基金と特定目的基金だという話がありました。財政調整基金以外の特定目的基金について、基金目的の中で積極的に活用することと併せて、国の財政支援がなくても、都独自の施策を進めていく財源として活用していくことが必要だと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
○山田理事 特定目的基金は、都政の重要課題に対しまして、安定的かつ機動的に施策を展開していくため、それぞれの目的に応じて設置しているものでございまして、この間のコロナ対策に当たりましても、医療提供体制の強化などの財源として、福祉先進都市実現基金を有効に活用しております。
一方、都財政は、コロナ対策はもとより、豪雨災害をはじめとした災害への備えなど様々な課題に対応していく必要があり、今年度予算においても、こうした取組の財源として、防災街づくり基金や社会資本等整備基金などを積極的に活用しております。
財政環境の先行きを見通すことが困難な中、今後とも、多岐にわたる都政の課題に対し、施策を着実かつ安定的に実施していくための貴重な財源として、特定目的基金を、それぞれの目的に応じて最大限活用してまいりたいと思っております。
○池川委員 この間も福祉先進都市実現基金などはコロナ対策に充てて、その都度対応していただいたというふうに思っています。ほかの基金についても、コロナ対応にどう活用できるのかについては、ぜひ具体的に研究もしていただきたいなというふうに思っています。
特定目的基金を直接、目的どおりに活用することと併せて、やはりコロナ対応にどう振り向けていくことができるのかについては、重ねて検討を求めておきたいと思います。
第一義的には、国がコロナ対策について積極的な財政支援を行っていくことが必要なことは明らかだというふうに思います。同時に、代表質問でも指摘をしましたが、国の財源の範囲内での施策ではなく、都民の命と暮らしを守るために、都財政がその役割を発揮して、対応していただきたいということを求めて、質問を終わります。
○中村委員 それでは、私からも、年次財務報告書について質問をいたします。
この間、長らくコロナ禍も続いてまいりました。例年の報告書とはまた違っていて、そういった面でも厳しい状況があるかと思っています。
こうした厳しい財政状況なのですが、コロナ禍が早く終息するよう、医療、保健体制の強化、中小企業支援などの経済対策、都民生活の下支えのために、財政出動が必要なときです。
厳しい財政状況ですが、私は積極的な施策を展開すべきだと考えますが、見解を伺います。
○山田理事 新型コロナウイルス感染症は、都民生活や経済活動など様々な面に影響を与えており、この解決に向けては、感染再拡大を阻止する対策はもとより、感染症防止と経済社会活動の両立やセーフティーネット対策など、多岐にわたる対策が必要でございます。
こうした中、今回の補正予算には、国庫支出金の獲得に努めるとともに、これまで培ってきた財政対応力を最大限に発揮することで、万全な医療提供体制の確保や感染の終息に向けた対策に加えて、経済の再生、回復に向けた取組など、必要な対策を盛り込んでおります。
財政環境の先行きを見通すことが困難な中であっても、引き続き、財源確保に工夫を凝らし、経済活動の正常化を見据えた対策などを含め、必要となる施策を積極的に展開してまいりたいと思っております。
○中村委員 コロナ禍が始まって一年半がたちました。財政出動は必要だということは述べさせていただいたんですが、だからといって、何でもよいというわけではなく、より効果のある施策を行うことが必要です。こうした点では、行ってきた施策について検証する必要があります。その上で、事業の見直しやより効果のある施策を行う必要があります。
そこで、コロナ禍に関する施策について検証を行う必要があると思いますが、見解を伺います。
○山田理事 都は、一年半以上にわたりまして、都民の命や暮らしを最優先に考え、コロナ対策に取り組んでまいりました。
対策の具体化と実行に当たりましては、日々刻々と変化する情勢に的確に対応していくため、既に具体化した対策の状況や感染状況、経済情勢などを踏まえながら、より実効性の高い対策へと取組のブラッシュアップを図ってまいりました。
例えば、医療提供体制に関しては、国と連携して病床確保を図ることに加えまして、宿泊療養施設において、抗体カクテル療法の実施などにより療養環境を充実するとともに、自宅療養者向けにオンライン診療システムを活用するなど、感染状況や症状に応じて、きめ細かな体制の構築に取り組んでおります。
引き続き、予算編成過程などを通じまして、各局と連携しながら、状況に即した効果的な対策につながるように取り組んでまいりたいと思っております。
○中村委員 私たちも、検証ということについては、度々これは求めてきたんですが、今、答弁の中では、検証という言葉はありませんでした。これは事業局がやるところだというふうには思いますが、財政当局としても、しっかりと連携しながら、本当に今やっていることが適切なのかどうか、そしてまた、コロナが終わればいいんですけど、まだ終わらない状況なので、本当に都度見直しをしていただいて、より効果のある施策をやっていただけるよう、検証をお願いしたいと思います。
さて、コロナ禍については、まだまだ第六波への懸念もあり、今後も膨大な施策を行わなければならない可能性もあり、そのための財源の確保が必要になります。不要不急の事業の見直し、国庫からの支出、基金の活用や都債の活用などもあり得ます。
今後、さらに最悪の感染状況を見通して財源を確保する必要がありますが、見解を伺います。
○山田理事 今回の補正予算におきましては、災害級の感染状況にも対応し得るよう、万全な医療提供体制を確保するための取組を盛り込んでおり、その財源については、国庫支出金や基金を活用しているところでございます。
一方で、今後の都内経済の動向など、財政環境の先行きを見通すことが困難な中、都を取り巻く状況を引き続き注視していく必要がございます。
こうした中で、引き続きコロナ対策などの喫緊の課題に迅速かつ的確に対応をしていくため、国庫支出金の獲得に努めるとともに、無駄をなくす取組を徹底するなど、基金や都債といった財政対応力の確保につながるよう取り組んでまいりたいと思います。
○中村委員 今、無駄をなくす取組を徹底するということもご答弁いただきました。
歳出も増加し、税収も減少する中ですので、財政出動を積極的にすべきですが、不要不急の事業の見直しはやはり必要です。
昨年度見直した主な事業と合計金額を伺いたいと思います。また、今年度も、必要があれば事業の見直しをすることも必要ですが、見解を伺います。
○山田理事 新型コロナウイルス感染症の拡大により、予算編成時とは大きく状況が変化いたしました令和二年度は、経済性や効率性の確保はもとより、情勢変化を踏まえ、事業規模や手法の見直しなどを行うなど、様々な観点から精査することで適切な支出に努めてまいりました。
その上で、令和二年度最終補正予算において、予算の執行状況の総点検を行い、執行しないことが明らかな事項や節減が図れたものなどについて、二千九百八十九億円の減額補正を行っているところでございます。
具体的には、執行時の工夫などによる経費の節減、契約差金、給与費の執行状況を踏まえた精査等で減額をしているところでございます。
今年度予算の執行に当たりましても、効率的、効果的な執行に向けて創意工夫を凝らすとともに、年度途中の環境変化等に即した執行となるよう、各事業について必要な見直しを図ってまいりたいと思っております。
○中村委員 今年度に関しては、予算編成時は既にコロナ禍にはあったとはいうものの、かなりコロナの感染状況が、恐らく予算編成したときは相当ひどくなっていたのではないかと思いますので、今年度についても、必要な見直しがあれば、ぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思っています。
さて、コロナ前は財政調整基金は約九千億円ありましたが、現在は二千億円まで減少しました。今後、税収は持ち直したとしても、再び九千億円まで積み増すのは、相当の時間を要するものと思います。
もちろん、こうしたときのための貯金ですから、その役割を果たせたものとは思っていますが、一方、昨晩も地震がありましたが、地震とか風水害とか、いつ起こるか分からないときのために、万一のための備えは引き続き必要です。
都においては、コロナで一時的な税収減があったものの、大企業の堅調な業績回復に伴い、都の財政は早期に回復するとの見通しもあります。こうした状況では、コロナ前のような歳出とはいかず、将来に備えて基金を積み増すことも必要かと考えます。
財政調整基金はどのぐらいをいつまでに積み戻すつもりなのか、見解を伺います。
○山田理事 財政調整基金については、都は、過去の景気変動や税収低迷に伴う基金残高の枯渇といった経験を踏まえ、法に基づく義務積立てに加えまして、都独自の制度といたしまして、税収増が見込まれる場合に、増加額の一部を基金に積み立てる仕組みを設け、着実に財政調整基金を積み立ててまいりました。
こうして培ってきた財政調整基金を、税収の減少局面や突発的な財政需要の発生など財源が著しく不足する場合に取り崩すことによりまして、年度間の財源調整を図ってきておりまして、コロナ禍においても、対策の財源として有効に活用したところでございます。
今後も、義務積立てや都独自の積立制度を通じまして、財政調整基金の残高確保に努めるなど、継続的な施策展開を支える財政基盤の堅持に努めてまいりたいと思います。
○中村委員 なかなかすぐに幾らということではないのかもしれませんけれども、少なくとも税収が少しずつ戻っていくのであれば、二千億ということでは少ないでしょうから、一定の積み戻しはしていただきたいと思っています。
さて、このコロナ禍による影響は世界中に及びますが、その影響は偏在し、非正規雇用の方やひとり親家庭など、厳しい状況の方にはより厳しくなっています。巣籠もり需要によるゲーム産業など活況を呈するものもあれば、飲食業や観光業のように大きくダメージを受けた産業もあります。これは、決して自己責任ではありません。こうしたときにこそ、行政の支えが必要です。もともとあった格差や貧困の問題が、コロナによってより深刻さを増していますが、今後のコロナ対策への予算編成においては、こうした格差の是正に向けた施策に、より注力する必要があります。
来年度の予算編成において、マイナスシーリングによって必要な事業が削られることがないようにはしていただきたいと思います。コロナは自己責任ではありませんし、厳しい状況にある方々をこうしたときにこそ支えていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。
○山田理事 令和四年度予算編成に当たりましては、感染症の脅威など大きな危機を克服し、サステーナブルリカバリーを実現するため、大胆な発想で果敢に取組を進めるとともに、都民が安心して暮らし、輝ける社会を築くための施策を推進することとしております。
一方、限られた財源の中、積極的な施策展開を推進していくためには、無駄をなくす取組を一層強化することが必要でございます。
そのため、予算の見積り段階から、各局における主体的な見直しを促す仕組みとして、事業実績や執行率が一定の水準に達していない事業など、さらなる見直しが必要な事業を対象に、原則としてマイナスシーリングを導入したものでございます。
都政に課された使命を確実に果たしていくため、こうした仕組みを活用しながら、より実効性、効率性の高い施策の構築につなげてまいりたいと思います。
○中村委員 コロナによって、都財政、厳しくなっていますが、本当により厳しい方々がさらに厳しくなっているという状況にあるかと思っていますので、そういった方々をしっかり支えるような都の財政であっていただきたいと思っています。
さて、都議会の立憲民主党からは、長期的な財政推計を示すようにということを度々求めてきて、コロナ禍の前の段階ではありますが、示されてはおりました。
しかし、コロナ禍によって状況が大きく変わったと思っています。改めて、この長期推計を見直す必要があるとは考えますが、見解を伺います。
○山田理事 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しを基に、計画的かつ戦略的な財政運営を行っていくため、これまでの都の財政運営や現在の都財政の状況、今後起こり得る環境変化を踏まえながら、中長期的な財政収支を推計したものでございます。
推計に当たりましては、人口推計や物価上昇率なども加味した上で、経済成長率について上位、中位、下位の三つのシナリオを設定し、収支ギャップの振れ幅を推計したものでございます。
財政環境の先行きを見通すことが困難な中、引き続き、状況につきましては、注視してまいりたいと思っております。
○中村委員 次は、事業評価について伺います。
これまでも、都議会立憲民主党からも指摘をしてきましたが、もともと終期のある事業を事業評価の成果にするのは、成果を過大に見せるものであり、適切とはいえません。また、全ての事業に終期を設けるとしていますが、必要な事業については、内容をほとんど変えずに名前だけを変える場合もあるようです。また、市区町村の事業への補助などでも、例えば三年間などとして期限を切ってしまうと、三年後に、補助がなくなっても市区町村の事業を継続せざるを得なければ、手を挙げることにちゅうちょしてしまいます。
適切な評価や無駄な事業の見直しは必要ですが、事業評価の成果を求めるあまり、事業そのものが行われなくなってしまえば本末転倒だと思います。この点に関して見解を伺います。
○山田理事 事業評価は、一つ一つの事業の実効性と効率性を向上させるため、予算編成の過程で多面的な検証を行う取組として着実に成果を上げてきており、平成二十九年度予算編成からは、全ての事業に原則五年以内の終期を設け、事後検証による評価を徹底するなど、取組の深化を図ってきたところでございます。
この終期の設定でございますけれども、評価時期をルール化し、終期到来後に事業を継続するのか、見直し、再構築を図るのか、あるいは拡充をしていくのか、多角的な検証を確実に行っていくために実施しているものでございます。
終期を迎えたタイミングで事業を評価することによりまして、施策の新陳代謝をさらに促進する効果が生じるなど、PDCAサイクルの一層の強化につながるものと考えているところでございます。
○中村委員 評価なわけですが、評価のための評価にならないように、事業そのものの目的が達成されていくことが大切だと思っていますので、ぜひこういった事業を行った際に、内容の検証や関係者の意見等も聞きながら、よりよい効果のあるような評価システムにしていただきたいと思います。
さて、これまで質問いたしましたが、コロナ禍で厳しい状況にあり、かつ第六波への備えをする状況では、積極的な財政出動をする必要があります。そのための財源確保のための常なる検証を行い、無駄を削減し、より効果のある施策を行うことが必要です。そして、コロナ後の都政については、再びコロナ前の財務体質に戻せるよう、引き締めを図ることは必要ですが、マイナスシーリングではなく、厳しい状況にある人に手厚く支援し、格差を是正することが必要と考えます。
コロナ禍、そしてその先を見通した都の財政運営について、財政当局の責任者である財務局長の決意を伺います。
○潮田財務局長 緊急事態宣言は解除されましたものの、コロナとの闘いは今なお続いており、引き続き、危機管理の観点から、万全の医療提供体制の確保に取り組むとともに、感染の終息に向けた取組を着実に実施していくことが求められております。
加えて、長期の行動制限等の影響を受けた事業者の皆様に対しまして、しっかりと支援をしていくとともに、今後の経済活動の正常化も見据えつつ、経済の再生、回復に向けた取組を積極的に講じていかなければなりません。
こうした考えの下、財政環境の先行きを見通すことが困難な状況ではございますが、都政が直面する課題を解決していくために、効果的な施策を継続的に展開していくことが必要でございます。
そのため、見直すべき事業はしっかりと見直し、施策の新陳代謝を促すことで、将来にわたる財政対応力を堅持しつつ、コロナ禍を乗り越え、全ての都民が安心して暮らし、輝ける社会を実現するなど、都政に課せられた使命を着実に果たすべく、積極的に取り組んでまいります。
○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山加委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時二十九分散会
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