財政委員会速記録第六号

令和三年三月十八日(木曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長加藤 雅之君
副委員長清水 孝治君
副委員長山内  晃君
理事伊藤しょうこう君
理事池川 友一君
理事入江のぶこ君
西郷あゆ美君
小林 健二君
大松あきら君
本橋ひろたか君
清水ひで子君
成清梨沙子君
森村 隆行君
宇田川聡史君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長潮田  勉君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務古川 浩二君
主計部長山田 忠輝君
主税局局長砥出 欣典君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務川上 秀一君
会計管理局局長佐藤  敦君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務副島  建君
収用委員会事務局局長斎藤 真人君

本日の会議に付した事件
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、債務負担行為、都債−財政委員会所管分
・第三号議案 令和三年度東京都地方消費税清算会計予算
・第十五号議案 令和三年度東京都用地会計予算
・第十六号議案 令和三年度東京都公債費会計予算
・第百一号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、歳出−財政委員会所管分
付託議案の審査(決定)
・第三十六号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
・第八十九号議案 有明アリーナの公共施設等運営権の設定について
請願陳情の審査
 固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
1 二第一一号
2 二第一二号
3 二第一三号
4 二第一四号
5 二第一五号
6 二第一六号
7 二第一七号
8 二第一八号
9 二第一九号
10 二第二〇号
11 二第二一号
12 二第二二号
13 二第二三号
14 二第二四号
15 二第二五号
16 二第二六号
17 二第二七号
18 二第二八号
19 二第二九号
20 二第三〇号
21 二第三一号
22 二第三二号
23 二第三三号
24 二第三四号
25 二第三五号
26 二第三六号
27 二第三七号
28 二第三八号
 固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情
29 二第九七号
30 二第九八号
31 二第九九号
32 二第一〇〇号
33 二第一〇一号
34 二第一〇二号
35 二第一〇三号
36 二第一〇四号
37 二第一〇五号
38 二第一〇六号
39 二第一〇七号
40 二第一〇八号
41 二第一〇九号
42 二第一一〇号
43 二第一一一号
44 二第一一二号
45 二第一一三号
46 二第一一四号
47 二第一一五号
48 二第一一七号
49 二第一一八号
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○加藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査及び請願陳情の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、債務負担行為、財政委員会所管分、都債、第三号議案、第十五号議案、第十六号議案及び第百一号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、歳出、財政委員会所管分を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○森村委員 都民ファーストの会東京都議団を代表し、当委員会に付託されました令和三年度予算関連議案について意見開陳を行います。
 令和三年度予算は、昨年から継続しているコロナ禍の厳しい財政環境にあっても、都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えた予算として、第一に、新型コロナウイルス感染症対策に取り組み、この間、浮き彫りになった課題に的確に対処するとともに、将来にわたって成長し続ける都市東京の実現に向け、戦略的に取り組むこと、第二に、デジタル化による都民サービスの向上など、都政の構造改革を進めるとともに、ワイズスペンディングの視点から無駄を一層なくしていくこと、第三に、東京二〇二〇大会を、都民、国民の理解を得られる安全かつ持続可能な大会として実施し、次世代へレガシーを継承していくことの三点を基本に編成されています。
 補正予算を含めた一般会計予算七兆五千六百五十一億円、特別会計と公営企業会計を含めた全会計予算十五兆二千九百九十五億円の令和三年度予算には、新型コロナウイルス感染症対策、医療体制の充実、子育て支援、新しい時代を切り開く人材の育成、高齢者の社会参加の促進、暮らしへの支援、女性の活躍推進、雇用就業支援、テレワーク等の働き方改革、悩みに対するサポート体制の強化、豪雨対策、震災に強いまちづくり、道路ネットワーク形成や公共交通の充実、国際金融都市など世界経済を牽引する都市の実現、中小企業、地域産業支援、ゼロエミッション東京、水と緑あふれる都市環境の形成、都民サービスや行政のデジタルシフトなどスマート東京の実現、東京二〇二〇大会の開催とレガシーの創出、多摩・島しょの振興など、都民生活にとって欠かすことのできない大切な施策が数多く盛り込まれています。
 都民ファーストの会東京都議団が要望し予算計上されました出産、子育ての十万円分の支援、東京版ニューディールによる二万人の雇用創出や、新しい日常に対応した雇用就業環境の構築など、五十回を超える都への新型コロナウイルス対策要望事項を初め、デジタルトランスフォーメーションの爆速的な実装、世界的な気候変動対策と連携したゼロエミッション東京の実現など、都民ファーストの視点で、未来の東京の実現に向け、東京のさらなる進化を図るとともに、都民の安全・安心を確保するため、効果的でスピード感のある政策の実現を強く要望いたします。
 それでは、各局事業について、まず、財務局関係について申し上げます。
 一、国による地方法人課税の見直し、いわゆる偏在是正措置に関しては、地方が果たすべき役割と権限に見合った財源を一体として確保できるよう、国に働きかけること。
 一、新型コロナウイルス感染症対策に必要な財源の確保のために、地方創生臨時交付金について、財政力による補正を行うことなく実態を的確に反映した配分となるよう、引き続き国に働きかけること。
 一、政策評価との連携など、事業評価の取り組みを一層強化し、財源確保に努めること。また、予算成立後の執行過程においても、最少の経費で最大の効果を生むための工夫に努めること。
 一、都債の活用に当たっては、人口減少社会を迎える中で、将来世代への負担に配慮すること。
 一、募集期間、対象者の工夫などにより、都民提案制度のより一層の普及促進や実効性の向上を図ること。
 一、公共調達に関しては、競争性、公平性、透明性を確保した上で、技術革新の促進、中小企業育成、女性活躍、就業支援、事業者の働き方改革といった政策誘導効果を発揮すること。
 次に、会計管理局関係について申し上げます。
 一、新公会計制度については、都内自治体に対して、先行自治体の活用事例も含め、ノウハウの共有を行うとともに、連携の強化を図ること。
 一、公金管理については、安全性の確保を最優先に図りながら流動性を担保し、効率的な運用に努め、適切な管理を図ること。
 一、都民の利便性向上、インバウンド対応、東京都の行政コストの削減に寄与するキャッシュレス化に向けた取り組みを推進すること。
 続きまして、主税局関係について申し上げます。
 一、税収確保と納税の公平性の確保のため、また、税の徴収率のさらなる向上のため、多様な徴収対策により滞納徴収等の強化を図り、都税収入の確保に努めること。
 一、新型コロナウイルス感染症など、国内外の情勢を踏まえた今後の税制のあり方については、引き続き都税調を活用し、検討を重ねること。
 一、都民サービスの向上、行政コストの削減につながるよう、税務の現場におけるICT活用、税務行政のデジタル化に努めること。また、費用や期間に留意しながら次期税務システムの構築を進めること。デジタルになじみにくい層に対しても丁寧な窓口業務を維持し、納税者の信頼確保に努めること。
 一、コロナ禍における経済状況を踏まえ、地方税の減免または申告納付期限の延長の措置を必要に応じて検討していくこと。また、滞納、未納に関する事業者からの相談には、猶予制度を適切に案内するなど丁寧な対応に努めること。
 以上、都民ファーストの会東京都議団としての意見開陳を終わります。

○伊藤委員 東京都議会自由民主党を代表しまして、当委員会に付託された令和三年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 令和三年度予算案は、新型コロナ感染拡大防止対策に万全を期し、ワクチン接種を迅速に進めながら、コロナ禍から立ち上がる都民、都内事業者を力強く支援するとともに、災害対策、高齢者施策、子供、子育て、障害者施策、教育環境の整備といった課題にも的確に対応し、あわせて、東京二〇二〇大会に向けた準備を着実に進めていくための予算です。
 そして、こうした多岐にわたる課題に対応しながら、コロナ禍の影響によって税収が落ち込む中で、都財政の健全性を堅持し、東京の将来に向けた長期計画をしっかりと構築していくことが求められています。
 つまり、令和三年度の予算は、コロナ禍を切り抜け、コロナ後の東京の未来に向けた道筋をつける予算です。
 その一方で、新型コロナ感染の再拡大への懸念が拭えない中、令和三年度の予算に関して、事業執行の段階で、柔軟な対応が必要になってくる事態が発生することもあると思われます。
 課題は山積し、将来見通しは不透明です。こうしたときこそ、国との連携が重要です。現に、営業時間短縮に係る都内飲食店等への協力金の九割以上は国の負担によるものです。
 そして、首都圏としてのまとまりも大事にしながら、都内区市町村の実態に目を配り、都民福祉の向上という都政運営の基本を忘れずに、計画的な財政運営に努めることが必要です。
 今後の都政を取り巻く環境の変化に適切に対応しながら、刻々と変化し、多様化する都民の声に丁寧に対応し、都民が事業効果を実感できる、都民のための予算執行に全力で取り組むことを求めておきます。
 本委員会所管事業に関する意見開陳の冒頭に当たり、まず、このことを申し上げ、各局事業について述べさせていただきます。
 最初に、財務局関係について申し上げます。
 一、新型コロナウイルス感染症対策については、刻々と変化する状況を捉え、国や区市町村とも連携して、あらゆる財政支援も含め、真に効果的な対策を展開されたい。
 一、世界で一番の都市東京の実現に向け、将来にわたり、東京がその使命を確実に果たしていけるよう、持続可能な財政基盤の堅持に努められたい。
 一、再び力強い経済成長を実現するため、都民や中小企業ができる限り早期に予算の効果を享受できるよう、円滑かつ着実な執行に万全を期されたい。
 一、入札契約制度については、公共工事における品質を確保するとともに、建設業の働き方改革が進められている中、工事の平準化などを通じ、将来の担い手確保に資するよう、都民生活を持続的に支えていく礎となる制度を構築されたい。
 一、全庁的な観点から、土地建物などの貴重な都有財産のさらなる有効活用を図られたい。
 一、安全・安心を確保するとともに、質の高い行政サービスを提供していくため、都民が利用する都有施設の維持更新を計画的かつ着実に推進されたい。
 次に、主税局関係について申し上げます。
 一、コロナ禍の中で、医療面、公衆衛生面での取り組みはもとより、経済対策、子育て、文化、スポーツ振興など、東京の活力を維持し、継続的発展につながる施策を支えるため、歳入所管局として、納税者の状況に応じたきめ細かい配慮を加えつつ、都税収入の確保に万全を期されたい。
 一、地方自治体の事務と権限に見合うものとなるよう、総体としての地方税財源の拡充を国に強く働きかけられたい。
 一、地方分権の時代にふさわしい税制のあり方について、東京都税制調査会を活用し、引き続き検討されたい。
 次に、会計管理局関係について申し上げます。
 一、公金管理においては、経済金融環境が世界的に厳しさを増している中、リスク管理をより一層強化し、引き続き公金の安定性を最優先にして取り組まれたい。
 一、新公会計制度について、円滑な運用により行政運営の効率化を推進されたい。また、都方式を採用する都内自治体に対する支援とともに、総務省の要請により新公会計制度を導入した都内自治体に対しても着実な支援を進められたい。
 最後に、新型コロナの終息に向け万全な対策を行い、その後の東京の発展を支えていくためにも、財政基盤の強化は不可欠であります。
 新型コロナなどの影響で税収が落ち込む中、事業の優先度を厳しく選別し、予算の執行に努めることを申し上げ、意見の開陳を終わります。

○大松委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された令和三年度予算関連議案について意見開陳をいたします。
 令和三年度一般会計予算案は、厳しい財政環境が続くことが想定される中にあっても、我が党のたび重なる要請に応え、東京の総力を挙げた感染症対策や、感染防止と経済活動の両立を図るための多面的な対策を事業化しています。
 また、少子高齢化への対応など喫緊の課題への対応に加え、安全・安心な東京二〇二〇大会の開催に向けた準備、新しい日常への対応など、東京、ひいては日本全体の持続的成長につながる取り組みに重点的に予算措置を行っています。
 具体的には、都議会公明党が強く求めてきた東京都出産応援事業や、東京都生活応援事業、都認可外通信制授業料軽減助成、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期予防接種補助、デジタルデバイド対策、住居喪失不安定就労者・離職者等サポート事業の拡充、東京都ドクターヘリの導入、新たな調節池の整備、都営住宅募集のオンライン化など、都民の暮らしを守るための施策が随所に盛り込まれております。
 一方、都財政は、景気変動に大きく影響を受けやすい不安定な歳入構造にある上、新型コロナウイルス感染症は、社会経済全体に大きな影響を及ぼしており、都の歳入の根幹をなす都税収入の減収が続くことも想定しておかなければなりません。
 こうした状況の中、令和三年度予算編成における事業評価の取り組みでは、コロナ禍での社会情勢の変化も踏まえ、我が党がこれまで積極的な活用を求めてまいりました複式簿記・発生主義による新たな公会計制度も活用し、いずれも過去最高となる一千三百六十件の見直し、再構築、約一千百十億円の財源確保額へとつなげています。
 また、未来の東京戦略で掲げる政策を着実に進めるための財源として基金を積極的に活用するとともに、都債を充当可能な事業に対して積極的に活用するなど、これまで培ってきた財政対応力を最大限に発揮し、必要な財源を確保しています。
 今後とも、税収動向を勘案しながら、基金や都債を計画的に活用するべきことを強く求めておきます。
 あわせて、予算の執行段階においても、さらなる創意工夫を行うとともに、事業評価と政策評価の一体的な実施により、施策の新陳代謝を一層促進し、各施策の実効性、効率性をさらに高めるなど、持続可能な財政運営に努め、都民の命と暮らしを守ることを最優先にしながら、東京の明るい未来の実現に向けて、各施策を迅速かつ的確に展開することを強く望むものであります。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、財務局関係について申し上げます。
 一、新型コロナウイルス感染症の克服に向け、総力を挙げた対策など、山積する喫緊の課題への対応はもとより、東京が世界から選ばれ、さまざまな危機にも対応できるサステーナブルな都市へと進化させるための施策を積極的に展開すること。また、事業評価と政策評価を一体的に実施し、アウトカムをより重視した評価を行うなど、施策のPDCAサイクルの強化を図り、より一層実効性と効率性の高い施策の構築につなげていくこと。
 一、基金については、東京が抱えるさまざまな課題の解決に向けた施策展開を支える貴重な財源として、税収動向を勘案しながら効果的に活用していくこと。また、都債については、将来の負担を見据えた上で、ESG債の発行拡大を含め、計画的な活用を図ること。
 一、予算編成における新たな公会計手法の活用をさらに進め、職員の意識改革を一層推進するとともに、将来の財政負担なども踏まえた中長期的な視点に立った財政運営を行うこと。
 一、感染状況を見きわめつつ、景気や国の動向も注視しながら、令和三年度予算を円滑かつ着実に執行すること。
 一、技術者不足など、都内の中小企業が抱える課題に適切に対応するため、引き続き、受注機会の拡大など中小企業の入札参加への促進を図ること。
 一、中小企業の受注機会の拡大に向けて、官公需適格組合制度の活用を図ること。
 一、品確法の趣旨を踏まえ、総合評価方式の適用拡大など、入札契約制度の活用により、公共工事だけではなく、業務委託においても、品質確保と中長期的な担い手の育成、確保を図ること。
 一、災害時などに即時に活用可能な未利用都有地を効率的、効果的に利活用すること。
 一、都民サービスを適切に提供するため、都有施設の維持更新を着実に進めること。整備に当たっては、技術革新の動向に十分注視し、省エネ・再エネ東京仕様を適宜見直し、環境負荷の少ない都市の実現に向けた取り組みを一層進めること。また、高齢化を考慮し、床の滑り防止対策を進めること。
 次に、主税局関係について申し上げます。
 一、都税収入の確保に万全を期すこと。税負担の公平を実現するため、新規滞納の発生防止に努めるとともに、納税者の状況に応じたきめ細かい配慮を加えつつ、引き続き滞納整理に努めること。
 一、地方の役割と権限に見合う財源が不足する現状においては、総体としての地方税財源の拡充を国に強く働きかけること。
 一、スマートフォン決済アプリを活用した納税手段の拡充などによりキャッシュレス納税を推進し、納税者の利便性向上をより一層図ること。
 一、固定資産税及び都市計画税における条例減額制度を継続するなど、商業地等における過重な税負担の緩和に努めること。
 最後に、会計管理局関係について申し上げます。
 一、都が全国に先駆けて導入した新たな公会計制度について、引き続き、国や他自治体との連携による情報共有、発信に努めるとともに、その成果を都の政策形成に生かせるよう、さらなる制度の活用促進に積極的に取り組むこと。
 一、公金管理に当たっては、国内外で厳しさを増す経済金融環境を的確に踏まえた上で、引き続き安全性の確保を最重要視し、万全を期すこと。
 一、多様な決済手段を施設の特性に合わせて導入することで、多くの都民や観光客等が利用する施設のキャッシュレス対応を早期に図ること。
 以上をもちまして、都議会公明党を代表しての意見開陳とさせていただきます。

○池川委員 日本共産党都議団を代表して、財政委員会に付託された二〇二一年度予算案に対する意見を述べます。
 新型コロナ危機から都民の命と暮らしを守るために、東京都の財政力を発揮することが必要です。
 しかし、コロナ対策に集中すべきときに大きな役割を発揮している都立病院、公社病院を、コスト削減などを目的に、都が直接責任を放棄して、民営化に近い運営である独立行政法人化をしようとしていることは重大です。
 さらに、医師や看護師の抜本的増員が必要であるにもかかわらず、看護職員を四名減らそうとしています。
 感染症医療を初め、小児医療、周産期医療、障害者、難病、災害医療など、不採算であっても都民に必要な医療を提供している都立病院、公社病院は、都の役割を強化し、拡充することこそ必要です。
 特別養護老人ホーム整備費補助、介護老人保健施設などの介護のための整備費予算は軒並み大幅減額です。値上げが続く国民健康保険税、保険料の負担軽減策もありません。都営住宅の新規建設は二十二年間ゼロで、都民の暮らしを支える予算は不十分です。
 一方で、重大な陥没事故を起こした東京外環道や住民合意のない特定整備路線など、大型道路建設を引き続き進めています。
 国際競争力を口実に、都心の上空を超低空飛行する羽田機能強化をさらに進めるための調査費やカジノ誘致の調査費検討予算を引き続き計上しています。
 東京二〇二〇大会は今夏は中止し、コロナ対策に集中することが必要です。オリンピック病院として都立広尾、墨東、多摩総合医療センターを初め、コロナ対策で役割を発揮している十の医療機関が指定をされ、医療スタッフは一万人といわれています。追加の都負担を含め、巨額の五輪経費が計上されています。
 小学校における三十五人学級の拡大、児童虐待防止対策としての児童相談所の児童心理司の増員、公的支援につながりにくい若い女性とつながり支援する若年被害女性等支援事業の本格実施、視覚障害者を初め都民を守る鉄道駅ホームドアの設置、防災対策としての河川監視カメラの増設、避難所の感染症対策物資の購入費補助など、貴重な前進はありますが、より一層、都民の暮らし、福祉の予算の充実を求めるものです。
 各局事業について申し上げます。
 財務局です。
 新型コロナウイルス感染症対策の影響から暮らしや営業を守るために、国の対策も踏まえながら、都としての独自対策を行うなど、機動的で迅速な対応をとること。
 道路、橋梁などの都市のインフラ整備の投資的経費について、新規、とりわけ不要不急の大規模事業は最大限抑制して、耐震強化、維持管理重視に転換すること。そのための都市インフラの維持更新の計画を改善すること。
 コロナ禍で深刻になっている中小企業、小規模企業への支援と育成にこれまで以上に取り組むこと。
 建設産業の担い手不足の解消に向けて、賃金引き上げの処遇改善策が労働者まで行き届くように徹底するよう、都として力を尽くすこと。
 都発注の工事等については、年間を通して平準化されるよう、さらなる改善を行うこと。また、都内事業者に仕事が回るように努めること。
 公契約条例について、都として条例制定の検討を始めること。
 障害者就労支援施設からの優先調達を全庁的にさらに進めるために、分離分割発注など、各局と連携して取り組むこと。
 国有地を積極的に取得し、都有地として、保育や介護、福祉施設等に提供すること。都有地の提供価格をさらに引き下げること。
 都有施設におけるユニバーサルフリーの取り組みをさらに推進すること。特に、都庁舎における視覚障害者への対応を改善すること。聞こえのバリアフリーについて、利用者の視点も踏まえ、さらなる改善に取り組むこと。
 各局と連携し、都有施設における再生可能エネルギーの導入をさらに進めること。
 次に、主税局関係です。
 新型コロナの影響に伴う税制面からの支援をさらに行うこと。
 都税の徴収に当たっては、生活を困窮されることが明白な預金口座の差し押さえを行わないこと。区市町村とも連携して生活再建型の滞納整理を進めること。
 徴収猶予となっている方々に対して、事情を踏まえて、より一層丁寧な対応を行うこと。その際、積極的な滞納整理を行い、生活再建に結びつくよう支援すること。
 税務基幹システムは、セキュリティーの確保をしっかり行うとともに、更新にかかる費用については、多面的な角度から検討を行うチェック体制を構築すること。また、都民や職員の意見を聞く機会を確保すること。
 民有地を活用した高齢者施設、障害者施設整備についても、保育所等の整備同様に固定資産税の減免を行うこと。
 都市農業の振興のために、農業用倉庫や屋敷林等について、固定資産税等の減免制度をつくり、都市農地の保全を図ること。
 固定資産評価委員会のメンバーについて、公正性、中立性の観点からも、都庁OBの起用は極力避けること。
 米軍関係者が所有する車両への自動車税の特権的な優遇措置を廃止するよう、政府と米軍に求めること。
 消費税と新型コロナウイルスによる大幅な消費の落ち込みに苦しむ都民生活や地域経済を守る立場から、消費税の引き下げを都として行うこと。
 次に、会計管理局関係です。
 公金管理について、安定的な運用を行うこと。
 最後に、収用委員会関係です。
 特定整備路線の用地取得の裁決申請に当たっては、本来は任意の買い取りが大原則であることを踏まえ、裁決処理は慎重に対応すること。
 以上で意見開陳を終わります。

○西郷委員 東京維新の会を代表して、令和三年度財政委員会予算案等について意見開陳を行います。
 都は、予算編成方針において、厳しい財政環境であることを認め、コロナ禍における税収減を見込みながらも、一般会計歳出総額は前年度から七百十億円増の七兆四千二百五十億円となり、過去二番目の大型予算となっています。
 本年度は、コロナ対策における必要とされる経費を盛り込み、積極的な財政出動をしなくてはならないことも理解いたします。
 しかしながら、コロナ以前にワイズスペンディングが果たして行われていたのか、今回のコロナ禍において厳しい財政環境となった原因は何なのか、いま一度検証し、財政健全化のため統治機構を含めた大改革を断行する必要があります。
 我が会派は、将来的には、東京都のような広域自治体の権限、役割は極小化し、地域のことは地域で、民間でできることは民間でと厳しい財政環境になる前に改革を行うことを主張してまいりました。
 具体的には、基礎自治体の権限を移譲する統治機構改革、公営企業の民営化など、小池知事就任直後には検討されていた抜本的な改革に、今まさに取り組むべきと考えます。残念ながら、令和三年度予算案には、こうした抜本的な改革姿勢がほとんど見られていないことは残念です。
 今後は、ばらまき予算となっていないか、都民の期待した真の東京大改革を推進するものとなっているのか、事業の見直しを含めた不断の努力を重ねられることを強く要望し、以下、各局の関係に移ります。
 まず、財務局について申し上げます。
 一、厳しい財政環境にあることを踏まえ、各事業において、各区市町村との二重行政が存在していないか、基礎自治体における権限移譲できるものはないか、権限移譲などで予算の縮小に努めること。
 一、都有財産については、管理、貸与、処分の適正、公正さを確保し、民間への売却を積極的に進めること。
 一、入札制度改革について、特命随意契約を減らす努力をするとともに、情報公開に一層の工夫を加えること。
 一、財政調整基金について、今後の回復策を早急に都民に提示すること。
 一、安易な都債発行に頼らず、行財政改革とコロナからの経済復興及びアフターコロナにおける東京の経済成長による都税収入で財源を確保することを目指すこと。
 一、国による不合理な偏在是正措置については、引き続き、断固たる反対の意思と、その理由をわかりやすく明確に示し、他の地方自治体とともに連携し、国に撤廃を求めていくこと。
 次に、主税局について申し上げます。
 一、税の納付方法につき、最先端の技術を常に追いかけて、利便性の高い納付方法を拡充すること。
 一、都税の徴収に当たっては、コロナ禍であることを配慮し、徴収猶予や執行期限などの延長など、柔軟な対応を行い、生活を困窮させることが明白な預金の口座の差し押さえは行わないこと。
 次に、会計管理局について申し上げます。
 一、公金管理については、コロナ禍に当たって経済金融の見通しが不透明な状況のもとでも、引き続き万全なリスク管理を行い、安全性の確保を第一とした運用をすること。
 最後に、予算執行の際、効率的、効果的な執行がされることを要望いたしまして、東京維新の会の意見開陳を終わりにいたします。

○加藤委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見については、委員長において予算調査報告書として取りまとめの上、議長に提出をいたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○加藤委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第三十六号議案及び第八十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 なお、付託議案中、第八十九号議案の民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案につきましては、事業所管の常任委員会からお手元配布のとおり調査の報告がありました。
 朗読は省略いたします。ご了承願います。

令和三年三月十五日
文教委員長 河野ゆりえ
財政委員長 加藤 雅之殿
   議案の調査について(報告)
 二月二十六日付けをもって議長から依頼のあったこのことについて、左記のとおり報告します。
     記
1 調査議案
 (1) 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案
  第八十九号議案 有明アリーナの公共施設等運営権の設定について
2 調査結果
 (1) 都ファースト、自民党、公明党、無(表現の自由)は、本議案に対し異議はありません。
 (2) 日本共産党は、本議案に対し、次の意見がありました。
  (意見)
   江東区有明一丁目に建設された有明アリーナについては、令和元年第二回定例会で、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」に基づいて、「有明アリーナの公共施設等運営権の設定について」の議案が提出され、議決された。今議会に出された議案は、令和元年六月当時の運営権の存続期間は、都が有明アリーナの所有権を取得した翌日からの二十五年後の令和二十八年三月三十一日までとなっていたものが、東京二〇二〇大会延期が決定されたことによって、運営権存続期間を令和二十九年三月三十一日に一年延ばすというものである。
   令和元年第二回定例会で、我が党は、いわゆるPFI法によるコンセッション方式での管理運営委託を行うことに反対の態度を表明した。
   その理由は、第一に、有明アリーナは、東京都が、施設整備費三百七十億円もの巨額の財政を投入して建設した施設であるにもかかわらず、都の条例上の位置づけが体育施設でも、文化施設でもなく、そもそも都立施設でないために、事業目的にスポーツ振興の促進ということが明記されていない。
   第二に、都民のためのスポーツ利用が極めて不十分であることである。「メインアリーナは、基本的に要求水準を満たす」としているものの、要求水準自体が年間六十日間としており、不十分であることは明らかである。サブ・アリーナは、利用日を一定程度増やすことや、都民のスポーツ大会の場合は優先予約を適用とのことであるが、これは当然のことである。都民のスポーツ利用がどの程度、保障されるか分からない。
   第三に、利用料金の問題である。令和元年第二回定例会の質疑では、「アマチュアスポーツや障がい者スポーツに配慮した提案にしている」とのことであったが、いまだに利用料金については、都民に示されていない。また、国のガイドラインでは、利用料金の上限や幅を規定することを示している。民間に施設の運営管理を任せれば、収益を求める料金設定になりやすいからこそ、都として上限額を定めるのは当然であるが、それすらもせずに、民間提案任せで二十五年間も運営権を売ることは、納得できるものではない。
   第四の問題は、運営権者は、必要な設備投資や賃借料も不要、大規模改修費も負担しなくて良いというコンセッション方式の導入である。
   東京二〇二〇大会は、経費削減が大きな問題で、都民も注視してきた。都が都民に約束した経費縮減の立場に反する管理運営手法である。
   第五に、施設運営に重要な変更があっても、議会が関わることはできず、都民の声を反映することができない。
   以上、述べてきたが、我が党は、繰り返し、有明アリーナの管理運営は、東京都体育施設条例に基づく都立施設として位置づけ都民利用を確保すべきと主張してきた。
   その立場から、本議案に、反対を表明する。

○加藤委員長 これより採決を行います。
 初めに、第八十九号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○加藤委員長 起立多数と認めます。よって、第八十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第三十六号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認めます。よって、第三十六号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○加藤委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(28)までの請願二第一一号外二十七件の同内容の請願及び整理番号(29)から(49)までの陳情二第九七号外二十件の同内容の陳情は、いずれも趣旨が同一でありますので、一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 お諮りいたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認めます。よって、請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(28)までの請願二第一一号外二十七件の同内容の請願及び整理番号(29)から(49)までの陳情二第九七号外二十件の同内容の陳情は、いずれも趣旨採択と決定いたしました。
 なお、本日審査いたしました請願陳情につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○加藤委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○加藤委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、潮田財務局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○潮田財務局長 所管四局を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 本定例会に提案し、当委員会に付託されました議案につきまして、それぞれご審議の上、ただいまご決定をいただきました。
 令和三年度の予算案の調査や東京都都税条例の一部を改正する条例案等につきまして、委員長を初め委員の皆様方に、さまざまな視点から熱心にご審議をいただき、ありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご指摘、ご意見につきましては、十分に尊重させていただき、今後の財政運営に万全を期してまいります。
 今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

○加藤委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十七分散会

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