財政委員会速記録第十五号

令和二年十月二日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長上野 和彦君
副委員長田村 利光君
副委員長ひぐちたかあき君
理事池川 友一君
理事森村 隆行君
理事山田ひろし君
けいの信一君
成清梨沙子君
細田いさむ君
鈴木あきまさ君
清水ひで子君
小山くにひこ君
大津ひろ子君
三宅 正彦君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長潮田  勉君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務古川 浩二君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
利活用調整担当部長小泉 雅裕君
建築保全部長佐藤 千佳君
主税局局長砥出 欣典君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務川上 秀一君
税制部長丹羽恵玲奈君
課税部長萱場 明子君
資産税部長池田 美英君
徴収部長菊澤 道生君

本日の会議に付した事件
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
財務局関係
付託議案の審査
・第百六十三号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第十号)中、予算総則、歳入、歳出-財務局所管分、都債(質疑)
・第百八十六号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第十一号)中、予算総則、歳入(説明・質疑)
・第百七十六号議案 東京消防庁国分寺消防署庁舎(二)改築工事請負契約(質疑)
・第百七十七号議案 環二築地虎ノ門トンネル(二)遠隔制御設備工事請負契約(質疑)
・第百七十八号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十八)請負契約(質疑)
・第百七十九号議案 小名木川護岸耐震補強工事(その六)請負契約(質疑)
・第百八十号議案 中川護岸耐震補強工事(その二百五)請負契約(質疑)
・第百八十一号議案 土地の信託の変更について(質疑)
報告事項(質疑)
・「令和元年度東京都年次財務報告書」について

○上野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、主税局及び財務局関係の付託議案の審査並びに財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百七十六号議案から第百八十号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○上野委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十三号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分、都債、第百八十六号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十一号)中、予算総則、歳入及び第百七十六号議案から第百八十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案のうち、追加提出されました第百八十六号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十一号)中、予算総則、歳入について理事者の説明を求めます。

○山田主計部長 それでは、追加提案いたしました令和二年度九月補正予算(案)(追加分)についてご説明申し上げます。
 資料第1号をごらん願います。
 まず、1の補正予算の趣旨でございますが、新型コロナウイルスの感染症防止と経済社会活動との両立を図りながら、都内観光産業の早期回復に向けた取り組みを実施していくものでございます。
 次に、2の財政規模でございますが、補正予算の規模は、一般会計で二十三億円でございます。
 続きまして、補正予算の財源でございますが、財政調整基金繰入金が二十三億円でございます。
 一ページおめくりいただき、二ページをお開きください。今回の補正事項でございます。
 都内の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえつつ、観光産業の早期回復を図るとともに、東京観光への都民ニーズにも応えるため、国のゴー・ツー・トラベル事業とも連携し、感染防止対策を徹底した旅行商品への定額の支援を実施してまいります。
 また、観光関連事業者等が連携して実施する、旅行雑誌やバナー広告、SNSなど多様な広報媒体を活用したキャンペーンを後押しすることで、東京観光の魅力と都内事業者による感染防止に向けた具体的な取り組み等を効果的に発信してまいります。
 補正予算の内容は以上でございます。
 次ページ以降でございますが、こちらには補正予算案の議案を添付してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古川経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私からは、議会局及び財務局所管の令和二年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号、令和二年度補正予算説明書をごらんください。
 今回の補正は財務局分のみでございます。
 二ページの令和二年度補正予算事業別説明でご説明をいたします。
 番号1、一般歳入は、財政調整基金からの繰入金を二十二億九千二百万円余計上するものでございます。
 次に、三ページをごらんください。
 財務局合計の歳入予算は、表の右端、下から三段目の特定財源計欄にございますとおり、既定予算額と合わせまして、一兆六千七百二十六億六千百万円余となります。
 なお、歳出予算は変わらず、表の右端、上の方にお戻りいただきまして、上から五段目の歳出計にございますとおり、七千六十七億八百万円余でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○古川経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況です。
 こちらは、各種基金の九月補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
 説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ひぐち委員 改めて申し上げるまでもありませんが、今、社会を覆うコロナ禍のもとで、多くの都民の皆さんが、先行きに不安を感じ、日々大きな困難に直面しておられます。しかし、私たちは、へこたれるわけにはまいりません。必ずや困難に打ちかち、明るい未来を切り開いていかねばなりません。
 我が会派では、皆様方からお寄せいただいた声をもとに、小池知事へ重ねて要望した結果、二月以降、本補正予算も合わせれば、累計一・六兆円ともなる東京都独自の緊急対策が策定され、実施されています。
 小池都知事は、未曾有の事態にリーダーシップを発揮し、まさに都財政を預かる当局が全力で支えてこられました。私の地元でも、また、まち場でも、こうした都の積極的な姿勢、機動的な財政出動は高く評価されています。
 しかし、一部からは、都の財政は大丈夫なのかと、また財政危機に陥るのではないか、不安の声も聞こえており、あろうことか築地市場跡地売却の話まで出ています。
 都では、過去、財政再建時に、平成十二年度から十八年度で、財産利活用総合計画に基づき、都有地の売却などを行ったと聞いていますが、それでも総額二千百億円でありましたし、また、そもそも都の財政状況は、当時と今とでは異なると私は認識しています。都民の財産である貴重な都有地、これについては、今の財政状況と過去との違いを認識した上で、利活用を図るなど最善の対応をしていくことが必要ではないでしょうか。
 本日は、今回の補正予算案の質疑において、都の財政対応力として重要である財政調整基金や特定目的基金、この現状などを確認しつつ、都民の皆さんに今の都財政の状況を少しでもわかりやすくお伝えする、そのことで不安を払拭し、今後の財政運営についても考えていきたいと思います。
 まずは、その前提として、今回の補正予算も含め、これまでコロナ対策として実施してきた令和二年度補正予算、この財源について、内訳や特徴について確認しておきます。

○山田主計部長 都は、新型コロナウイルス感染症対策として、本定例会でご審議いただいている分も含めまして、総額で一兆六千億円規模の補正予算を編成してまいりました。
 この財源の主な内訳といたしましては、財政調整基金繰入金が八千六百二十六億円、地方創生臨時交付金や厚生労働省の包括支援交付金を初めとする国庫支出金が五千四百二十九億円、都債が一千四百七十三億円となっております。
 この間の新型コロナウイルス感染症対策の財源の特徴といたしましては、これまで培ってきた財政対応力の一つであり、令和元年度末時点で過去最大の九千三百四十五億円の残高を確保した財政調整基金を積極的かつ機動的に活用してきたことや、知事みずから都の財政需要の大きさや対策の必要性を国に対して強く訴え、国からの財政支援の獲得に全力を挙げることで、国庫支出金を可能な限り確保してきたことが挙げられると考えております。

○ひぐち委員 今伺いましたとおり、まさにコロナ対策は、財調基金、国庫支出金、そして発行余力が十分にある都債の活用により成り立っているわけであります。これを可能にしたのは、東京都が二十年間、地道な自助努力を重ね、築き上げてきた健全な財政運営があればこそであります。
 私は、これからも、命や健康、暮らし、経済など、さまざまな場面で苦しむ都民、事業者の皆様へ、でき得る限りの支援をしていくべきと考えていますが、冒頭申し上げたとおり、財調基金の残高が急激に減少したことに焦点を当てて、不安をあおるかの報道が一部あったことも事実です。
 財務当局におかれましては、現時点、健全な運営をしてきたからこそ、東京都の財政力、安心だと、自信を持って、しっかりとその懸念を払拭していくべきであります。懸念を払拭すべくわかりやすく答弁いただきたいと思います。
 具体的に、財政調整基金については、今現在、一千七百十八億円の残高とのことでありますが、二月以降、補正予算により財調基金の残高はどう推移してきたのか伺います。

○山田主計部長 令和二年度当初予算時点では、財政調整基金の令和二年度末残高見込みは九千三百四十八億円となっておりましたが、この間の補正予算による取り崩しに伴い、第二回定例会補正予算の段階では、年度末残高見込みが四百九十三億円まで減少することとなりました。
 一方、七月の第二回臨時会補正予算において、それまで財政調整基金を財源としていた事業に、新たに獲得した国庫支出金を充当し、財政調整基金への積み戻しを行うことなどにより、八百七億円まで回復をしたものでございます。
 また、今回の第三回定例会補正予算案においては、これまで発行余力を培ってきた都債を財源として活用するなど、財政調整基金の取り崩しを抑制しております。
 加えて、例年、最終補正予算で行っていた決算剰余金の義務積み立てを前倒しで実施することによりまして、財政調整基金の残高を確保することといたしました。
 これらの取り組みを通じまして、今回補正後の財政調整基金の年度末残高は一千七百十八億円と見込んでいるところでございます。

○ひぐち委員 これまで私が質疑を重ねてきましたのは、施策展開の基盤となる健全な財政運営についてであります。
 都は、平成八年に、財政健全化計画を策定しましたが、平成十年度には、過去最悪一千六十八億円の赤字計上をするなど、財政再建団体転落の危機に直面したわけであります。
 その後、内部努力の徹底、施策の見直し、再検討、再構築、全庁挙げて取り組まれて、歳出や都債発行の抑制を続け、積極的に償還を進め、二次にわたる財政再建推進プランを遂行することで、ついに財政再建に区切りをつけたわけであります。
 そうしたこの苦い経験、過去の苦労が生み出した教訓の一つが、今、答弁にあった財調基金の義務積み立てではないでしょうか。
 では、もう少し詳しく伺いたいと思います。
 財調基金の義務積み立て制度について、その内容、設立に至った経緯を伺うとともに、今回の義務積み立ての前倒しについて、その見解を伺います。

○山田主計部長 財政調整基金は、税収が増加している際などに積み立て、経済情勢の変動等により財源が不足する場合などに取り崩すことで、年度間の財源を調整し、長期的視点から健全な財政運営を図ることを目的とする基金でございます。
 地方財政法では、地方公共団体に対しまして、決算剰余金の二分の一以上を積み立てておくことなどを義務づけているところでございます。
 今回の補正予算案の義務積み立ては、地方財政法に基づくもので、例年、最終補正予算において積み立てを行っていますが、今後の新型コロナウイルス対策など、引き続き機動的な対応が必要となることも想定されることから、積立時期を前倒しすることで、早期に残高を確保することとしたものでございます。
 また、都は、法に基づく義務積み立てに加えて、急激な経済変動に弾力的に対応できる財務体質の確立に向け、独自の制度として、昭和五十五年に、税収増が見込まれる場合に、その一部を基金に積み立てることをみずから義務づける制度を設けているものでございます。
 さらには、その後、バブル経済崩壊後の景気低迷の中で、基金の取り崩しが続き、財政調整基金が枯渇したことから、平成九年に、都税収入の伸びが低水準であっても確実に基金積み立てを実施できるよう、積立基準を変更する制度改正を行い、着実に財政調整基金を積み立てる仕組みを都財政に備えたものでございます。

○ひぐち委員 今回の義務積み立ての前倒しについては、法律に基づくものでありますが、都は、平成九年、都税収入の伸びが低くとも、確実に積み立てられるように、まさに都庁の先輩方、先人たちが過去の教訓から生み出した仕組みを条例として設け、財調基金が枯渇することがないよう工夫を図ってこられたということだと思います。
 一方で、基金は財調だけではありません。特定目的基金も含めて、都民の皆さんに、来年度以降も、命、暮らし、経済を支える施策展開に支障がないんだと、この点もわかりやすくお伝えすべきです。
 財政不安を和らげ、施策展開も着実に行えることを示すために、特定目的基金についても、現在の残高や今後の使い道を明らかにし、効果的な活用をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山田主計部長 都はこれまで、財政調整基金以外にも、都政の重要施策の推進に要する財政支出に備え、特定目的基金を設置し、積み立て、活用することで、安定的かつ機動的な施策展開に取り組んでまいりました。
 特定目的基金のうち、三つのシティー実現に向けた基金の令和二年度末残高見込みは七千七百五十二億円となっており、そのうち主な基金といたしましては、社会資本等整備基金が三千二百一億円、防災街づくり基金が一千三百十八億円、スマート東京推進基金が四百四十一億円となっております。
 今後も、新型コロナウイルス感染症対策のさらなる強化はもとより、大規模災害への備え、人口減少やさらなる少子高齢化への対応、我が国の経済を力強く牽引していくための取り組み、ソサエティー五・〇やゼロエミッション東京の実現など、多岐にわたる都政の課題に対し、施策を着実に進めていく必要がございます。
 そのため、今後の財政運営においても、これまで積み立ててきた特定目的基金の残高や使途を明らかにするとともに、戦略的かつ計画的に活用していくことで、都がなすべき施策の実現につなげてまいりたいと考えております。

○ひぐち委員 都の財政フレーム全体の視点に立てば、福祉や社会資本整備、環境対策に充当できるこの基金や都債、こうしたものを戦略的に活用していくことが非常に重要であります。
 改めて、若干触れておきたいんですが、私、資料を取り寄せまして、大阪府、国と財政状況を比較してみました。今回の補正予算案などを踏まえた後でも、起債依存度、いわば借金への依存度は、大阪府が九・四%、国が五六・三%に比べて、東京都は三・九%と非常に低く、起債残高、これは借金の残高も同じ傾向にあります。また、都の基金残高も、今のとおり、特定目的基金は合計で約一兆円あります。
 こう考えますと、東京都は、施策を着実に推進していくために、想定される都税収入の減収局面に備えても、都債を追加発行できる体力も保有していますし、また、基金も確保しているわけであります。要するに、よそ様のことまでは余り申し上げませんけれども、少なくとも東京都の財政力は不安がないという実態にあり、健全な財政運営をしているといえるのではないでしょうか。
 こういった点からも、私は、堅実な都財政の根幹は揺るがないと確信をしておりますが、一方で、基金の残高の減少や都債の発行によって、これまでに比べればという意味ですが、一時的な悪化は避けられません。
 今まで申し上げたとおり、財政を見るに当たっては、さまざまな指標があります。今後も、まさにモニタリングのように、複数の財政指標を示して、健全な都財政の状況を絶対値ではなく、都民の皆さんにしっかりと明らかにしていただきたい。それとともに、多面的な分析や検証を行い、将来の景気回復局面で財政基盤を再び強化していくしるべにすべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○山田主計部長 これまでも都は、東京都年次財務報告書や予算案の概要などで財政状況を明らかにするとともに、さまざまな財政指標を用いた分析を行うなど、都財政に関するアカウンタビリティーの確保、充実に努めてまいりました。
 具体的には、今回の財政委員会でご報告申し上げました年次財務報告書においては、普通会計決算や健全化に関する指標の掲載にとどまらず、過去からの財政指標の推移や財政再建期以降の取り組みなども含めて分析、検証を行い、都財政が健全な状況であることを明らかにしております。
 例えば、財政構造の弾力性をあらわす経常収支比率は、令和元年度決算で七四・四%となっており、近年一〇〇%を超えている都道府県平均と比べても、弾力性が高い状況となっております。
 また、当初予算発表時においては、起債依存度について、国の予算や地方財政計画との比較を行い、都の数値が低いことを明らかにしているほか、基金や都債の残高、事業評価の財源確保額などについても、グラフなどを用いて丁寧に説明をしております。
 今後、財政環境が厳しくなる中で、都財政の状況をより具体的かつわかりやすく発信することで、都民の理解が一層進むよう努めるほか、さまざまな数値や財政指標を用いた多面的な財政分析を引き続き行うことで、財政基盤の維持強化につなげてまいりたいと考えております。

○ひぐち委員 今求められているのは、この国難ともいえる有事への対応であります。その陣頭指揮をとられるのが潮田局長であります。局長は、平成二十年リーマンショックの折、経済が急激に縮小し、税収も大きく減る中で、緊急雇用対策、公共工事制度融資などあらゆる対策が講じられた中、財政課長としてかかわられたと仄聞しております。
 今は、当時をもしのぐ事態でありまして、感染症対策と税収減という極めて難しい眼前の課題に対処するとともに、その余の都政の重要課題解決に向けて、ぜひ各局と連携し、取り組んでいただきたいと思います。
 僣越ながら、そのご経験が、さまざまな気づきや危機感となっているのではと推察いたしますが、現下の厳しい局面、今後の財政運営についてどのように取り組んでいくのか、その決意をお伺いいたします。

○潮田財務局長 副委員長より、今、るるお話がございました。都財政の歴史は、まさしく景気の荒波との戦いでございまして、これまでも幾度となく厳しい財政再建に取り組んでまいりました。
 また、平成二十年度から二十一年度にかけましては、リーマンショックと国による不合理な税制見直しの二つの影響により、都税収入が一年で一兆円減少するなど厳しい局面にも直面してまいりました。
 こうした経験をもとに、都においては、事業評価の取り組みに磨きをかけまして、自己改革の強化、徹底を図ることで、みずから財源を生み出すとともに、基金や都債といった財政対応力を強化することで、時代に応じて求められる戦略的な施策展開を実現してまいりました。
 現下の都政には、今後の税収減という厳しい財政環境が見込まれる中にありましても、現在直面しております感染症への対応だけではなく、大規模災害への備え、人口減少、少子高齢化への対応、成長戦略の実現、デジタル化の推進など、都民生活の質の向上、都政の構造改革、さらには、来年予定されております東京二〇二〇大会の成功とレガシーの継承など、さまざまな課題に対しまして施策を着実に実行していくことが求められております。
 そのため、財務局では、都政がなすべき役割を果たせますよう、各局との緊密な連携関係のもと、創意工夫を凝らして、より一層無駄をなくすなど賢い支出を徹底するとともに、これまで培ってきた財政対応力を最大限に発揮するなど、財源確保に向けたさまざまな手だてを講じることで、戦略的な施策展開を財政面から下支えしてまいります。

○ひぐち委員 ありがとうございます。今、局長からしっかりとご答弁いただきました。
 最後に、中長期的な財政見通し、このことだけ一言触れさせていただきます。
 財務局は、我が会派昨年第二回定例会の代表質問を踏まえ、昨年末に、未来の東京戦略ビジョンの策定に合わせ財政収支の長期推計を発表しましたが、私は、もちろん、このコロナの影響により、今後の税収動向は極めて不透明、今は難しいと承知しておりますけれども、それでも、年度末に発表される新たな長期戦略を着実に実行するためには、限られた資源の最適配分機能を中長期的な視点から検討しつつ、予算政策を決定する必要があります。財務局には、時期を捉えて、ぜひとも財政収支の長期推計を策定されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○田村委員 私からは、補正予算について幾つかお聞きします。
 このたびの補正予算は、総額三千四百三十六億円、全三十六事業で構成されていますが、このうち支出が最も大きい事業が、中小企業制度融資です。今回の補正予算では、この中小企業制度融資のうち、預託金を対象に都債を発行するとの説明を受けました。しかしながら、見かけ上、都民にはわかりにくい部分があります。今回補正した制度融資のうち、預託金は幾らなのか、正確な金額をお聞きしたところ、九百三十五億円とのことでした。
 これに対し、都債の発行額は千四百七十三億円です。また、支出する預託金の全額に都債を充当することはできないとも聞いております。都債の発行額が預託金の支出額よりも大きく、一見すると矛盾するように見えますが、確認の意味を含めまして、改めてこの理由について伺います。

○山田主計部長 今回の補正予算案は、今後の財政運営を見据え、財政調整基金を極力確保することを基本に編成いたしました。こうした考えのもと、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響の長期化に伴い、追加で相当規模の支出を行うことといたしました中小企業制度融資については、財政調整基金を取り崩すことなく対応することとしたものでございます。
 このため、今回の中小企業制度融資の補正予算額一千五百二十億円のうち預託金九百三十五億円に対しまして、七百一億円の都債を充当するとともに、これまでの補正予算で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策として、財政調整基金を財源に予算を措置してきた制度融資の預託金についても、財源更正を行い、七百七十二億円の都債を充当することとしたものでございます。この結果、九月補正での都債発行額は、合わせて一千四百七十三億円となったものでございます。

○田村委員 過去の預託金に対してもさかのぼって適用したとのことですが、そうしますと、率直な疑問が一つ出てきます。今年度の制度融資を確認したところ、当初予算発表後の追加補正、四月の臨時会、第二回定例会と、これまでに三度補正予算に計上され、いずれも財政調整基金を財源としてきました。さかのぼるのであれば、最初から都債を財源としていてもよかったのではないかと思う人もいるかもしれません。
 今回さかのぼって都債を発行するのであれば、最初から発行するという選択肢もあったと思いますが、なぜ当初の段階では財政調整基金を財源としたのか、その理由について伺います。

○山田主計部長 ことし一月の当初予算発表以降、都財政を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症への対応により日々刻々と変化し、先行きを見通すことが困難な状況にございます。
 こうした中にあっても、時期を逸することなく新型コロナウイルス対策に取り組むためには、基金や都債など、その時々の都が有する財政力の状況を総合的に勘案しながら、戦略的に財源を手当てしていくことが重要であると考えております。
 こうした観点から、中小企業制度融資のこれまでの予算措置におきましては、都財政が有している基金の残高水準を考慮の上、まずは財政調整基金を機動的に活用することにより対応することが適切であると判断したところでございます。

○田村委員 今のお話を聞くと、都債を発行する前に、まずは手持ちの基金を活用したとのことだと思います。理にかなった考え方だと思います。
 一方で、今回の預託金は、全額が数年後確実に返還されると聞いております。いいかえれば、複数年で見た場合、今回預託金に充当した都債は、事実上返済資金の負担が生じないものといえます。そうした意味で、まだ発行できる余地が残っているのかどうかについても、この際、事実関係として押さえておく必要があります。
 今回の都債で、これまでの預託金に全て充当したことになるのか、それとも、まだ発行できる余地はあるのか、あるとすればどの程度残っているのか、教えていただきたいと思います。

○山田主計部長 今回の補正予算で計上いたしました都債は、今回補正分の中小企業制度融資の預託金とともに、これまで予算措置した預託金の一部に充当しておりますが、仮にこれまでの補正予算で計上した中小企業制度融資の預託金全てを対象に発行するとした場合には、さらに約一千四百億円程度の発行が可能となるものでございます。

○田村委員 今後、さらなるコロナ対策が求められる可能性は十分あります。いざというとき、やむを得ないときには引っ張り出すことのできる財源として頭の片隅に入れておいてもよいのではないでしょうか。
 地方交付税が配分されない都財政にとって、都債は基金と双璧をなす重要な自立財源です。ここ数年は税収が好調のため、たまたま発行額が少なくて済みましたが、我々は、節度を持った上での計画的な都債の増発を否定するものではありません。むしろ、都債の本来の役割と機能に鑑みれば、来年にかけた厳しい局面では、バランスに留意しつつ最終的には増発することも手段の一つであるとは思います。
 しかしながら、都債も万能ではありません。仮にこうした場合も、都債で賄える財源には限りがあります。現に、この間のコロナ対策において、都債を充当できた事業は、今回の制度融資の預託金しかありません。都債だけでは、今、都財政が抱える財源確保問題を解決し得ないのです。
 では、もう一つの財源となる基金はどうでしょうか。財政調整基金は別として、この間のコロナ対策で活用した基金名と活用した金額、そして、残高を具体的に伺います。

○山田主計部長 新型コロナウイルス感染症対策として、財政調整基金以外に活用した基金は、福祉先進都市実現基金がございます。これまで取り崩した金額は五百八十億円、取り崩し後の今年度末の残高は六百九十三億円となる見込みでございます。

○田村委員 都の特定目的基金の数を確認したところ、全部で二十七基金あります。このうち、コロナ対策で実際に使われた基金は、今、答弁にあった福祉先進都市実現基金の一つのみとのこと。コロナ対策についていえば、ほかの基金は、使いたくても使えない塩漬け状態にあります。確かに特定目的基金は、合計で九千億円残っていますが、だから大丈夫といわれても説得力に乏しく、都財政への不安は払拭されません。
 非常時の財政運営では、機動性と柔軟性の確保こそが求められます。見かけ上の合計残高よりも、その内訳、中身の方が重要ではないでしょうか。
 やはりここは、今後を見据え、基金の統廃合を検討すべきと考えますが、改めて見解を伺います。

○山田主計部長 都財政は、新型コロナウイルス感染症対策はもとより、豪雨災害、首都直下地震など直面する諸課題への対応や、デジタル化の加速を初め、東京が進化を図るための取り組みなど幅広い分野にわたり多くの財政需要に対応することが求められております。
 こうした中、防災街づくり基金や社会資本等整備基金、ゼロエミッション東京推進基金などの特定目的基金は、都政の重要課題に的確に対処し、安定的かつ機動的に施策展開を行っていくため、それぞれの設置目的に応じ、活用を図るためのものでございます。
 今後、景気悪化に伴う税収減が想定される中、来年度予算も含め新型コロナウイルス感染症対策のさらなる強化など喫緊の課題に的確に対処するとともに、インフラ整備や気候変動対策など都政が取り組むべき中長期的な重要課題についても、着実かつ計画的に実施していけるよう特定目的基金を貴重な財源として最大限活用してまいりたいと考えております。

○田村委員 特定目的基金は、来年度予算でも活用するとのことですが、昨年度新規につくられたスマート基金、緑あふれる東京基金、そして、ゼロエミッション基金の三つの基金だけでも、今現在合計一千億円以上の残高があります。
 一方、先ほどご答弁があったとおり、コロナ対策に活用してきた福祉先進都市実現基金は、この半年間で既に約六百億円を使いました。残高は、あと七百億円も残っていません。
 今後求められる財政需要と対応すべき特定目的基金の残高を比較しても、現状は明らかに偏りがあり、バランスを欠いているのではないでしょうか。我が党は、今後も引き続き、基金の統廃合を求めていきます。
 最後に、先ほどのお答えに関連しますが、いよいよ来年度の予算編成が本格化します。大きく目減りした財政調整基金、確実に訪れる税収減、山積する財政需要など、来年度予算の編成には実に多くの乗り越えるべき難題が立ちはだかっております。財政当局の皆さんは、少なくともリーマンショック以降、この十年間で最も厳しく困難な予算編成に臨まれるに違いありません。
 そうした中、最後に一つ申し上げたいのは、コロナ対策も来年度予算も重要ですが、その先も都政は続くということであります。今も大事ですが、将来も大事です。
 財政は、常に将来のことを考え、将来から逆算して今どうあるべきかを考えるべきです。いかに厳しい状況であっても、中長期的な観点から、将来に余力を残し、健全な財政を守り抜いてもらいたいと思いますが、今後の予算編成に当たって、将来に対する責任をどう考え、どう果たしていくつもりなのか、見解をお聞きします。

○山田主計部長 都は、地方交付税の不交付団体であることに加えまして、歳入の大宗を占める都税収入が景気の荒波の影響を受けやすい特徴を有していることから、他の自治体以上に将来に向けた安定的な財政基盤を備えておくことが重要であると考えております。
 財政環境が厳しくなることが想定される中、来年度予算編成に当たっては、事業評価の取り組みを強化し、必要な見直しは確実に行うなど、より一層無駄をなくす取り組みを徹底した上で、中長期的な視点に立ち、基金や都債を計画的かつ戦略的に活用してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、現在、都が備えている財政力を可能な限り維持することに努め、将来の都財政に対する責任をしっかり果たしてまいりたいと考えております。

○田村委員 都政にとって都財政は裏方にも見えますが、都政の課題解決は、都財政の安定があってこそなし得るものです。都財政だけではありません、契約制度、都有地の方針、工事の基準など、都政の中で財務局が担っている役割は大変に大きなものがあると実感しております。財務局の皆さんが、都民のため、都政のため、この先も全力を尽くし、ご活躍されることを強く期待いたしまして、私の質問を終わります。

○細田委員 私からも質問をさせていただきます。
 本定例会に提案されました補正予算案には、中小企業支援のための無利子、無保証料の融資目標額の引き上げや、高齢者施設や介護関連施設、障害者施設などに対するスクリーニングを含みますPCR検査費用への支援など、都議会公明党が一貫して求めてきた施策が随所に盛り込まれており、まずは高く評価いたします。そして、これらが着実に、早期に施策実施することを期待しています。
 一方で、今後に目を向けますと、医療提供体制のさらなる強化、感染拡大防止と社会経済活動の両立、セーフティーネットの強化など長期化が想定されるコロナ禍への対応に加えまして、東京のデジタル化のおくれや格差の拡大など、コロナ禍において浮き彫りになりましたさまざまな課題への対応など、引き続いて東京では大きな財政需要が求められることが想定されます。
 また、直近のGDPが年率二八・一%の減、戦後最悪の落ち込みとなるなど、経済活動への影響も甚大でありまして、都税収入の落ち込みも確実視される中、長期化が予想される感染症との闘いを見据えますと、財政運営の一層の配慮と工夫が重要になってまいります。
 こうした財政運営の工夫、配慮という視点から今回の補正予算を見ますと、これまでのコロナ対策に関する補正予算にはなかった着目すべき点といたしましては、都債を活用していることが挙げられます。
 そこでまず、都債を財源として活用できる事業はどのような事業があるのか、東京都の見解を求めます。

○山田主計部長 都債は、地方債の一つでございまして、基本的には、地方財政法第五条の規定によりまして、公共施設の建設事業費等や貸付金の財源とする場合など充当できる事業が限定されているものでございます。
 主に道路や河川の護岸あるいは都立学校の整備といった長期にわたり使用される施設等の建設事業に都債を活用しており、その恩恵を受ける将来世代にも負担を求めることで、世代間の負担の公平性を図るほか、年度間の財源調整を行う役割を果たしております。
 また、貸付金についても、将来的に回収が可能なものであることから、都債を財源とすることができるとされておりまして、今回の補正予算では、中小企業に対する制度融資を拡充するために、都が金融機関に対して貸し付けを行う預託金の財源として都債を活用することとしており、過去にも充当実績があるものでございます。

○細田委員 ただいまご答弁をいただきましたとおり、都債は、地方財政法の規定により財源として活用できる事業が限定されています。今回の補正予算における中小企業制度融資や当初予算などにおけるさまざまなハード整備の関係の事業の財源として活用することができるわけであります。
 それでは、次に、中小企業制度融資の預託金に対して、今回都債を充当することにした理由について、これは何なのか、この答弁を求めます。

○山田主計部長 今後、都税収入の減少が想定される中、新型コロナウイルス感染症対策を初め、今後も必要な施策を積極的かつ継続的に講じていくためには、より一層戦略的に財政運営を行っていくことが重要でございます。
 こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響の長期化に伴い、中小企業制度融資の融資額が、当初の想定を大きく上回る見込みとなり、さらなる追加対策として、預託金の積み増しの必要性が生じました。
 このため、本事業の補正予算の財源といたしましては、将来にわたる持続可能かつ安定的な財政運営を見据え、財政調整基金を極力確保することを基本に、低い水準にある起債依存度など都財政の状況を踏まえ、これまで培ってきた発行余力を有効に活用し、都債を充当することとしたものでございます。

○細田委員 これまで培われてきた発行余力を有効に活用し、都債を補正予算の財源に充当することとしたとのご答弁でございます。
 都は、この間、都債の発行額を抑制して、着実に都債残高を減らしてしてきたことは確かですけれども、負債であります都債の発行額が増加することに対しては、一部に懸念を示す声があることは事実であります。都が認識していますこれまで培ってきました都債の発行余力は、具体的に、客観的に、どの程度の水準といえるのか、冷静な分析が必要であると思います。
 そこで、都債の発行余力とはどの程度の水準なのか、複式簿記・発生主義による公会計手法や具体的な数字などを用いまして、ご説明願います。

○山田主計部長 令和元年度決算における公会計手法を使った分析を見ますと、主に、都債の発行額と償還額の現金収支を示すキャッシュ・フロー計算書における財務活動収支差額はマイナスの二千八十一億円で、八年連続のマイナスになっております。このことから、順調に都債の償還が進んでいることがわかります。
 次に、その年度の一般財源全体の中で、どの程度の割合が地方債の償還に充当されているかを示す公債費負担比率は、都道府県平均では、近年約一九%程度と、税収等の約二割を地方債の償還に充てておりますけれども、都では、令和元年度決算時点で五・六%でございまして、他の道府県と比べても、健全な財政状況を堅持できております。
 また、ストックの状況を見ますと、貸借対照表における負債合計は、前年度と比較して二千二百五十八億円の減、七年連続の減となっており、都債残高などの負債は着実に減少をしております。都債残高がピークでありました平成十三年度と比較いたしますと、都債残高は約四割減少、都民一人当たりの残高は六十三万円から三十四万円へと約五割減少しております。
 このように、都債の発行抑制基調を継続してきたこの間の財政運営を通じて、都債を追加発行する余力が着実に培われてきたものと考えております。

○細田委員 ご説明で、まさに今、公債費負担比率も全国平均が約二割、これが東京都では五・六%ということで、三分の一以下である、都財政は弾力性が高い状況にある、このようなご説明であると思います。
 我が党が推進して、全国に先駆けて導入しました複式簿記・発生主義によります公会計手法による分析でも、都はこれまで、着実に都債の発行余力を培ってきており、健全な財政状況を維持してきたことがわかります。
 ですが、一方で、財政、弾力性が高い状況にありましたとしても、都債は負債としての性質を持ちますから、この活用に当たりましては、将来世代に大きな負担を負わせないという観点、これに対して、引き続いてよくよく配慮していただいて財政運営を行っていただきたい、このように思います。
 こうした都債の財源としての特性をしっかりと踏まえながらも、コロナ禍において都に求められる役割を確実に果たしていくためには、都債を含めましたさまざまな財源を組み合わせて、複合的な目で財源の工夫を行っていくことが重要であると思います。
 コロナとの闘いは、長期化が想定されて、また、都には課題が山積をしています。難しい財政運営のかじ取りが求められるわけでございますが、今回の質疑の分析で明らかになった都債の発行余力の活用も含めて、今後の財政運営についての局長のご決意、これをお尋ねしたいと思います。

○潮田財務局長 委員お話しのとおり、現下の都政におきましては、さまざまな課題が山積しております。最優先課題であります新型コロナウイルス感染症への対応はもとより、豪雨災害あるいは大規模地震などへの災害への備え、そして、人口減少や少子高齢化への対応、さらには、先を見据えた東京の構造改革あるいはデジタル化の推進など、新しい社会をつくり上げていくためのさまざまな施策展開が求められているところでございます。
 また、来年には、東京二〇二〇大会の開催も控え、ある意味、なすべき取り組みにしっかりと対応していかなければいけないと、かように考えている次第でございます。
 一方で、新型コロナウイルス感染症につきましては、いつ落ちつくのかと先行きがなかなか見えない状況もございますし、また、経済全体に深刻な影響をもたらしているという状況もございます。こうした景気悪化に伴います税収減など財政環境が厳しさを増すことも想定しておかなければいけないというふうに考えております。
 こうした中にありましても、山積する都政の課題に迅速かつ的確に対応していくためには、財源確保に向けまして、予算の執行段階におけます歳出の精査に加えまして、予算編成過程におけます事業評価の取り組みの一層の強化、基金の戦略的な活用などに加えまして、都債を有効に活用することも重要な選択肢の一つであると、かように考えてございます。
 このため、財政運営に当たりましては、今後の財政環境をしっかりと見きわめながら、これまで培ってきました都債の発行余力を戦略的に活用することも含めまして、各局の施策展開を財政面から下支えするという財務局に課せられた使命を確実に果たすべく、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○細田委員 まさに今、局長から答弁いただきましたように、このコロナとの闘いに万全を期すことはもちろんですけれども、将来にわたって都民一人一人の質の高い暮らしを実現していく、こうした視点も決して忘れてはいけません。胸に刻んで前に進んでいただきたいと思います。
 災害大国の日本におきまして、地震や風水害などの自然災害も、都民の命や暮らしを脅かす大きな脅威であります。コロナの影響も踏まえながら、子供から高齢者まで誰もが安心して暮らせる社会をつくっていくことが重要な取り組みであります。
 財政環境の悪化など、今後の先行きもしっかりと見据えながら、都民の暮らしを守る都政、そして、都政の大黒柱である財政運営に万全を期していただくことを改めて強く求めるものであります。
 そして、本補正予算に組み込まれた一つ一つの施策も、支援を必要としている都民、事業者のもとへ届かなければ、意味がございません。現実に、私のもとには、こうした支援策があることを知らなかったという声、多くあります。金融機関の窓口の混雑化、そして、貸し渋りにより必要な融資を受けられない中小企業の事業者の状況など、小規模零細事業者の人のお声など現場からさまざまな声が届いております。
 コロナ感染症の対応にかかわるこの制度融資については、中小企業、小規模事業者に対しての融資については、製造業の方々の資金繰り融資が増加していると仄聞もしています。しっかりと支えなければなりません。経済再生への状況は予断を許さない状況に至っております。
 都は、実質無利子、無担保のこのコロナ対応にかかわる中小企業制度融資について、四月の臨時会補正予算で、この時点で六千億円、第二回定例会の補正の時点で二兆五千億円、そして、本定例会における補正予算で三・八兆円まで目標額を拡大してまいりました。
 三定の我が党の代表質問では、まさにその求めに応じまして、今後も展開として、さらなる継続を含めて必要な金融支援を行っていくという東京都産業労働局長からの答弁もございました。
 ぜひ、このための元手となる預託金、これも大変苦労しながらやっていらっしゃると思います。けれども、この預託金の効果というものは、呼び水の効果、金融機関に対しての原資を低く提供すること、そして呼び水にしていく、積極的に使いやすくすること、また、貸し出しの金利を抑制していくという、そういう効果があると認知しております。
 このことを信用保証協会や金融機関、また、東京都がしっかりと連携して、高い目標額を、さらに預託金より高い目標額を設定して取り組まれているんだと、これにそのような努力を重ねていらっしゃると、こういうふうに思います。
 ぜひ、しっかりと知恵を絞って継続していただいて、けれども、貸し渋りはもちろんのこと、遅滞なく進めることをまさに実行していっていただきたい。主体的で積極的な、都が一丸となった取り組みで実現を進めていただきたいと思います。
 今回の補正予算を編成して終わりにするわけではなくて、どうぞ現場にしっかりとした支援を届けていく、こうした意識を改めて再認識していただきまして、コロナ禍に対峙していただくことを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○池川委員 私から、また補正予算について質問いたします。
 補正予算第十号、第十一号の二つを合わせて、総額三千四百三十六億円となり、一般会計の総額は九兆円を超えました。
 今回の補正予算では、高齢者や障害者の入所施設へのPCR検査実施の予算や六十五歳以上の方などがインフルエンザ予防接種を無料で受けられるための予算など、都民の命、暮らしを守るための重要な予算が計上されております。
 財源構成を見ると、国庫支出金、財政調整基金、また、福祉先進都市実現基金とともに都債の活用が行われています。
 都債の活用については、これまでも本委員会で計画的な活用が重要だと提案をしてまいりました。
 今回の補正予算では、中小企業制度融資の預託金部分について都債活用をしておりますが、その考え方について伺います。また、今後の都債活用についてはどう考えているかについてもお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響の長期化に伴い、中小企業制度融資の融資額が当初の想定を上回る見込みとなり、これに対応するため、相当規模の預託金を追加で積み増す必要が生じました。
 一方、今回の補正予算案は、今後の財政運営を見据え、財政調整基金を極力確保することを基本に編成することとしており、今回補正分の預託金とともに、これまでに予算措置した預託金の一部にも都債をさかのぼって充当することとし、合わせて一千四百七十三億円を発行するものでございます。
 都債は、年度間の財源調整と世代間の負担の均衡を図る重要な機能を有しており、今後、財政環境が厳しさを増すことが想定される中、財源として都債を有効に活用することも重要な選択肢の一つであります。
 今後とも、その時々の財政状況や事業の動向等も踏まえながら、適切に判断をしてまいりたいと考えております。

○池川委員 七月の臨時会のときにも、都債の計画的な活用について求めました。そのときには、都債についても、その時々の事業の動向等も踏まえながら、さまざまな選択肢を検討し、適切に判断していくという答弁でしたので、そのとき、一歩前進だなと、それ以前と比べて一歩前進だなというふうに、私、述べましたが、今回、そのさまざまな選択肢の一つの手段として都債の活用をするということがわかりました。そういう意味で、今回、中小企業の制度融資の預託金部分について都債を充てることは重要だというふうに思います。
 同時に、困難さを増している中小企業、小規模企業の皆さんに光を当て、きちんとそのお金が手元に行くように支援をしていただきたいですし、廃業させないための支援を都として行うことを強く求めておきたいと思います。
 今回の補正予算で、昨年度の決算剰余金のうち半分の七百二億円は、地方財政法の規定に基づいて、今回速やかに補正予算で財政調整基金に積み立てるとされました。これは重要だというふうに思います。
 残りの剰余金については、どう活用していくのかお伺いいたします。

○山田主計部長 決算剰余金は、財政運営の成果として生じたものでございまして、今回の補正予算におきまして、地方財政法に基づき、その二分の一を財政調整基金へ積み立てることとしたものでございます。
 残高の決算剰余金につきましては、都民のために有効かつ適切に活用する観点から、今後、その取り扱いについては適切に検討してまいりたいと考えております。

○池川委員 適切に検討していくということです。
 今年度中の予算、これから組む補正予算でも活用することができるし、基金に積み立てることも可能と。また、減収の部分に充てるなどさまざま選択肢はあるというふうに思いますが、この決算剰余金の残りの残額分についても、ぜひ、計画的に戦略的に活用していただきたいというふうに思います。
 都税収入がどうなるか、確固たる見通しがあるわけではありませんが、来年度の税収が厳しいということについては、共通の認識だというふうに思います。予算の執行についての依命通達の中では、予算の執行過程においても、徹底した見直しを不断に行うことを強調されています。
 新型コロナ対策とともに、必要な都民施策を進めることができるよう、今年度実施予定の事業についても、不要不急のものは、中止、延期に思い切って見直すことが必要だというふうに代表質問でも私たち述べました。財務局長からは、確実に見直すんだという趣旨の答弁がありました。当初から一・八倍になり、さらに総事業費が膨らむことが指摘をされている外環道の問題や住民の強い反対がある特定整備路線の問題などについても、私たちとしては確実に見直してほしいということを改めてこの場でも求めておきたいと思います。
 同時に、決算剰余金、先ほどいった決算剰余金の残額分や特定目的基金、これ、以前にも求めましたが、条例改正も含めて活用すること、さらに、都債の活用も含め都民の命と暮らしを守るための財源をつくっていただきたいということを求めておきたいと思います。
 次に土地信託、新宿モノリスの土地信託の問題について質問をいたします。
 新宿モノリスは、一九八七年に信託契約を結び、一九九〇年に竣工いたしました。その後、二〇一〇年、二〇一五年、それぞれ五年間の信託期間の延長を行い、竣工してから三十年ということになります。
 基本的なことから確認をしたいと思いますが、今回の信託期間を変更する理由は何か、また、どのような検討が行われたのかについてお伺いをいたします。

○小泉利活用調整担当部長 今回の信託期間の延長に当たりましては、信託を継続することのほかに、土地建物を売却することや、土地信託を終了し都が直接土地建物を所有することを検討いたしました。
 まず、売却につきましては、都庁に近接する貴重な都有地であり、直ちに売却することは適切でないと判断してございます。また、都が直接所有することになった場合、土地建物だけでなく、賃貸借契約も承継するため、テナント募集や資金管理等を直営で行うこととなり、課題が多いものでございます。
 一方、土地信託を延長した場合は、引き続き健全な資産運用が可能であり、信託を当面継続することが、現時点においては最も有効と判断してございます。

○池川委員 前回、第二回定例会では、コスモス青山の信託契約の延長がありました。その際にも、社会経済状況の変化や都の行政需要を踏まえ、都にとって最も有効な土地の利活用方策を引き続き検討するから、引き続き信託なんだと。実は、今回のモノリスも一言一句同じ文書で継続していくんだということが書かれています。
 土地信託について、どういう形で終了に向かっていくのか、現時点では明確ではないということだというふうに思います。
 話は少しさかのぼりますが、新宿モノリスの場所で、土地信託をなぜ始めたのか、当時の議事録に当たってみました。当時、鈴木知事の時代でしたが、本会議での質問に対して、民間に売却することは、周辺地価の高騰を招く可能性が極めて高いことと、将来の行政需要に備えて、可能な限り収益を上げる必要があることなどを考慮して、土地信託を始めたんだという趣旨の答弁をされています。また、この信託から生ずる配当は、大規模な公共用施設の財源として有効に活用してまいる所存だということも答弁されています。
 つまり、土地信託にすることは、最終的には総合的に判断したといういい方でしたが、信託配当を大規模な公共施設用の財源として活用する、そのために土地信託を進めるんだということを、当時、知事が述べられているわけです。
 確認も含めて伺いますが、信託配当は、当初幾らの計画だったのか、また、現状幾らになっているのか、あわせて伺いたいと思います。

○小泉利活用調整担当部長 信託配当につきましては、昭和六十一年当時の予想配当は約二千四百十六億円でございます。
 バブル崩壊により賃料相場が大きく落ち込み、テナント収入が大幅に下落したことが最大の要因となりまして、令和元年度決算での信託配当の合計額は約六百四十九億円となってございます。

○池川委員 当初の予想配当は二千四百十六億円、当時、二十年間の信託期間でしたが、その二十年間が終わった時点では約五百二十億円でした、二割だったわけですね。
 そして、バブル崩壊が起こったことが原因だとしていますが、信託を導入したときの知事が、大規模な公共用施設の財源として有効に活用するとまでいっていたわけで、実際には、ここのモノリス以外も含めて、信託をやってそうした財源を確保するということに至らなかったという点は厳しく検証されなければいけないというふうに思っております。
 都有地を活用して信託を行うことがどうだったのか。私、土地信託について、どのような形で終わりにしていくのかをきちんと考えていく必要があると思っています。
 今から十年前、最初に土地信託の延長が行われた際、我が党のたぞえ議員が、土地信託の契約書では、信託期間の満了の日の三年前から契約の更新または信託財産の返還方法について協議を行うというふうに書いてあるのに、専門家による検討に入ったのは一年前からで、検討していなかったんじゃないかという指摘をしています。
 これは常に検証していくんだというふうにいわれると思うんですが、やっぱり東京都が主体的に考えていくことが必要ではないかというふうに思います。
 社会経済状況の変化や都の行政需要ということが信託期間の延長の理由とされていますが、重要なのは、都有地は都民の利用に供する用途として活用する、この視点が重要であり、都民の財産としてどうしたら活用できるかという角度で検討すべきだというふうに思います。
 我が党は、この都有地活用の手法としての土地信託には一貫して反対をしてまいりました。今回の信託契約の変更についても認められないというふうに思っています。また、第二回定例会のコスモス青山のときにも厳しく指摘しましたが、管理会社が東京都の幹部職員の天下り先となっている問題についても、いまだ都民の理解を得られていないというふうに考えております。最後にそのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○上野委員長 次に、報告事項、令和元年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十二分散会

ページ先頭に戻る