財政委員会速記録第十二号

令和二年七月二十日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長上野 和彦君
副委員長田村 利光君
副委員長ひぐちたかあき君
理事池川 友一君
理事森村 隆行君
理事山田ひろし君
けいの信一君
成清梨沙子君
細田いさむ君
三宅 正彦君
鈴木あきまさ君
清水ひで子君
小山くにひこ君
大津ひろ子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長潮田  勉君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務古川 浩二君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
建築保全部長佐藤 千佳君

本日の会議に付した事件
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、予算総則、歳入-財務局所管分

○上野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査を行います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、予算総則、歳入、財務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○古川経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のありました資料は、記載のとおり一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、各種基金の残高状況です。
 こちらは、各種基金の七月補正後見込みを反映させた状況をお示ししたものでございます。
 説明は以上です。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 このたびの補正予算及び財政運営について伺います。
 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に際して、感染拡大防止策、経済活動への支援、学校教育体制の充実、医療提供体制の強化など、都民生活の安全・安心の確保のために、令和二年度予算において、今回の補正予算案も含めますと、六回にわたる補正予算編成をしてまいりました。その金額は合計で約一・三兆円を超えております。
 四月、五月の緊急事態宣言期間中には、東京都のご尽力、また、多くの都民の皆様にご協力もいただき、感染拡大に一定の効果があらわれたものの、新型コロナウイルスとの闘いはまだまだ途上であり、長期化することが必然と思われる状況です。
 我々都議会のもとにも、感染を不安視する都民の声、そして、多くの事業者からの悲痛な声が届いております。
 これまでにも再三議論されてまいりましたが、都が目指すべき重要な二本の柱は、感染拡大防止、経済の回復だと思っておりますが、まず初めに、今回の補正予算は、どのような考え方で編成されたものなのかお伺いします。

○山田主計部長 先月、国の第二次補正予算が成立したことを踏まえ、経営状況の悪化が懸念されている医療機関や中小企業などに対し、国が補正予算で措置した支援策をいち早く具体化するとともに、都独自の取り組みを迅速に実行するため、補正予算を編成することといたしました。
 具体的には、医療機関等の従事者に対する慰労金や新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関に対する臨時支援金の支給など、医療提供体制の強化充実に取り組んでまいります。
 また、売り上げが減少いたしました中小企業等に対し、国の家賃支援に上乗せする形で、都独自の給付金を支給するほか、飲食事業者に対する支援や雇用の安定化に向けた取り組みなど、経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化充実を図ってまいります。
 さらには、感染症防止と経済社会活動との両立を図る取り組みなどを盛り込んでいるところでございます。
 一方、財源面におきましては、地方創生臨時交付金などの国の財政支援を積極的に活用いたしまして、都の一般財源による負担を抑えることで、都独自の施策の財源を生み出すとともに、今後の対策を見据えて財政基盤を確保するなど、財政運営上の工夫も図っております。
 今回の補正予算に掲げた施策を速やかに実施することで、都民の命を守り、東京の経済を早期に回復させていきたいと考えているところでございます。

○成清委員 国の第二次補正予算を踏まえての措置、また、国の財政支援を活用した都独自の施策を盛り込んだ予算とのことです。
 コロナとの闘いのまさに最前線である医療機関や経済的なダメージを受けている中小企業への支援というのは待ったなしの状況です。速やかな着手をよろしくお願いいたします。
 そして、施策を展開していく上で、常に我々がセットで考えていかなければならないのが、資金の調達方法であり財源であります。今回のいわゆるコロナショックが、経済、そして都財政に与える影響は、今後の感染状況や経済情勢などにも大きく左右されますが、リーマンショック以上に大きなものになる可能性も想定され、今後の都税収入の減少も懸念されるわけですが、今回の補正予算では、具体的にどのような財源を確保したのかお伺いします。

○山田主計部長 施策の財源を確保する上で、国庫支出金を初めとする特定財源の確保は重要でございます。
 そのため、都はこれまでも、財務局と各局が連携して、国からの十分な財政支援が得られるように取り組んでまいりました。
 今回の補正予算では、国の第二次補正予算において増額された地方創生臨時交付金のうち、東京都分四百六十九億円、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金二千三百四十三億円を歳入予算に計上しております。
 このうち緊急包括支援交付金につきましては、国の第二次補正予算において、従来二分の一であった補助率が全額補助に引き上げられたため、これまでの補正予算において、都の財源で賄っていた部分にも充当できることとなりました。
 こうした国の交付金の活用によりまして、これまで取り崩していました基金の一部を新たに実施する都独自の施策の財源へと振り向けることで、都の財源を総体として減らすことなく、全体で三千百三十二億円の補正予算を編成するとともに、さらに、財政調整基金の残高を、わずかでございますけれども、約二千万円積み増すなど、財政基盤の確保にも努めているところでございます。

○成清委員 これまでの五回の補正予算のほとんどは、都の財政調整基金によって賄われてきましたが、今回の補正予算は、財政調整基金の残高を減らすことなく、国庫支出金を十分に活用したものであることを確認いたしました。
 厚生労働省所管の包括支援金について、補助率が二分の一から十分の十に引き上げられました。また、地方創生臨時交付金も四百六十九億円とのことです。地方創生臨時交付金は、地方公共団体が地域の実情に応じたきめ細やかな対応を進めることを支援するため、国が総額二兆円を増額して交付するものです。
 東京の実情というと、居住者人口が最大であること、感染者数も多いこと、日本経済のエンジンであり、一刻も早い経済の回復が急務であることなどが考えられると思います。
 第一次分の交付金は、財政力が高い自治体への配分を抑える算定方式が採用されましたことで、感染者数が全国最多である都の実態が十分に反映されなかったということもあったように思いますが、国の二次補正予算で措置された地方創生臨時交付金の配分について、都の受けとめをお伺いします。

○山田主計部長 国が二次補正予算で総額二兆円を措置いたしました地方創生臨時交付金につきまして、都道府県分といたしまして八千七百五十億円が配分されておりまして、東京都には合計四百六十九億円が配分されることとなりました。この額は、大阪府の四百九十六億円に次ぐものであり、感染者数の状況など、東京の実態を踏まえた配慮が一定程度なされたものと認識をしております。
 一方で、引き続き財政力による調整が行われたことから、人口一人当たりにしますと三千四百六十九円、感染者数一人当たりにしますと九百万円にとどまっております。
 東京は、全国で累計感染者数が最も多く、直近の感染者数が再び増加に転じるなど、新型コロナウイルス感染症対策に係る都の財政需要は今後も増加が見込まれることから、財政力による調整を行わず、東京の実態、実情を踏まえた財政支援を行うよう、今後も、国に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。

○成清委員 さきの答弁にもありましたが、各局が連携して国からの財政支援を得られるよう取り組んできていただいた成果で、一定程度、東京の実情に配慮されたものとなっているようですが、まだまだ十分ではありません。
 都内のみならず、日本全体の感染拡大防止や経済回復のためにも東京の正常化は不可欠でありますので、東京都が果たす役割に見合った財源を国から確保できるよう、引き続き求めていくことを改めて要望しておきます。
 先日、都民ファーストの会東京都議団から、小池都知事へ、第三十回新型コロナウイルス感染症への対応に係る緊急要望も行いました。第二波への備えの強化、感染拡大と経済社会活動の両立、国や区市町村と一体となった対策とあわせて、聖域なき事業の見直しの強化も求めたところです。
 事業評価、これは一義的には各局が行うものではありますが、そのかじ取りを行うのは、やはり財務局であるべきと考えます。今後も都民生活を維持していくため、国庫や都債、基金といった資金調達と同様、資金の使い道も厳しくハンドリングすることが求められております。
 今後も、新型コロナウイルス感染症との闘いは続きます。こうした状況下においては、短期的かつ長期的な視点で、歳入、歳出の両面の観点から、財政運営を担う財務局の役割が非常に重要です。
 第二波、第三波の可能性も懸念される中、今後の財政運営にどのように取り組んでいくのか、局長の決意をお伺いします。

○潮田財務局長 ご案内のとおり、東京都は、地方交付税の不交付団体でございまして、なおかつ、歳入の大宗を占める都税につきましても、企業の業績に左右される法人二税の割合が高く、景気変動の影響を受けやすいという構造的な特徴を有してございまして、他の自治体にも増しまして、自立的な財政運営が求められるところでございます。
 そうした中で、新型コロナウイルス感染症が、都内経済にも大きな影響を及ぼしている状況を鑑みますと、今後、都税収入が相当程度減少していく可能性もございまして、都財政を取り巻く環境は厳しくなることが想定されます。
 このような状況にありましても、感染状況が日々増減目まぐるしく変動する新型コロナウイルスに対しまして、効果的な対策を的確に講じるため、今回の補正予算に盛り込んだ各施策を含めまして、感染拡大の防止や、都民や都内企業に対しますセーフティーネットの強化に向けた取り組み等を、時期を逸することなく推し進めていく必要がございます。
 そのため、財政運営におきましては、国庫支出金の獲得はもとより、基金や都債、決算剰余金の活用、既存事業の検証といった財源確保に向けましたさまざまな手だてを講じるなど、都の積極的な施策展開を財政面で下支えするという財務局の使命を確実に果たすべく、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○成清委員 局長から力強いお言葉をいただきました。
 都財政の現状を見れば、財政調整基金の残高も約九千億円あったものが約八百億円となり、地方法人課税の見直しによる都税のさらなる減収も見込まれ、厳しい状況にあります。
 しかし、こうしたときこそ、感染拡大防止、セーフティーネットの強化など、今必要な対策をしっかりと打ち出し、都民生活を守り、都内経済を支えていかなければなりません。
 財務局には、特定目的基金の活用はもちろんのこと、これまで培ってきた都債の発行余力の活用、さらには事業の見直しを一層強化するなど、あらゆる知恵を総動員し、各局の事業展開をしっかりと支えていただくよう期待し、私の質問を終わります。

○田村委員 私からは、補正予算に関連して幾つかお聞きしたいと思います。
 今回の補正予算は、総額三千百三十二億円とのことですが、この間、コロナ対策に幾ら投じたことになるのでしょうか。財源の内訳も含め、確認の意味で伺います。

○山田主計部長 都はこれまで、感染拡大の防止、セーフティーネットの強化充実など、新型コロナウイルス感染症に関する対策を講じるため、補正予算の編成や予備費の活用により、令和元年度は三百八十四億円、令和二年度は今回の三千百三十二億円を含めました一兆三千五百六十八億円、合計一兆三千九百五十二億円を予算措置してまいりました。
 これらの対策の財源といたしましては、国庫支出金が四千四百八十五億円のほかに、財政調整基金から八千八百三十五億円、福祉先進都市実現基金から四百三十億円を充当することとしているところでございます。

○田村委員 この半年間で一・四兆円、実に莫大な金額です。とはいえ、戦後最大の国難ともいわれる事態です。中には疑問を抱く事業も見受けられましたが、この間の財政出動そのものに異を唱えるつもりはありません。
 しかしながら、このことにより、都財政は大きなダメージを受け、この先の財政難への懸念は一気に高まり、目下の都政の重大問題の一つとなっています。
 我々は、今の都財政を本気で憂慮すべき事態にあると考えています。石原知事就任前のひどい財政状況に戻してはなりません。財政難が、都政を支える職員へのしわ寄せにつながり、再び大規模な職員削減に追い込まれる事態に陥ってはなりません。
 しかしながら、さきの委員会において、財調基金の残高が財政再建時代と同レベルまで落ち込んだことへの見解を伺ったところ、財務局からは、それ以外の基金や都債があり、財政再建期とは異なるとの答えがありました。知事も、財政についてのいろいろなカードは持っているとの発言をされています。
 我々の都財政に対する認識や感覚がずれているのでしょうか。皆さんの見解から切迫感を感じないどころか、心なしか余裕の雰囲気まで漂い、都財政への心配はご無用といわんばかりの悠長な姿勢が言葉の節々に感じ取られます。余りにも温度差が大きいといわざるを得ません。根拠があっての余裕なのか、それとも何か隠し玉でも持っているのでしょうか。
 都財政に対する懸念の声が連日のように紙面をにぎわし、財政問題は、もはや最重要テーマの一つです。いろいろカードがある、心配ご無用というのであれば、今後の財政運営に備え、具体的にどういった選択肢が残っているのか、具体的な金額も含めて伺います。

○山田主計部長 今後の財政運営に対応可能な財源といたしましては、まずは、昨年度決算見込みの実質収支額一千四百三億円が今後活用できる見通しでございます。
 また、基金につきましては、現時点での令和二年度末見込みでございますけれども、財政調整基金八百七億円に加えまして、福祉先進都市実現基金を初め、それぞれの設置目的に応じて活用を図る特定目的基金を合わせて九千九百九十四億円の残高を備えております。
 加えて、都債は、その時々の経済環境なども注視しながら適切に活用していくものでございますけれども、リーマンショックに伴い大幅な税収減となった平成二十一年度には、四千五百億円余りを発行しております。
 こうした財政の対応力に加えまして、事業評価の取り組みによりまして、歳出の精査など、無駄の排除を徹底するなど、さまざまな手だてを講じながら財源確保に努めてまいりたいと考えております。

○田村委員 今、具体的に数字が挙がった決算の黒字分、基金の残高、そしてリーマンショック時の都債、これらを単純に足すと一・五兆円程度になります。
 しかしながら、決算の黒字以外は、はっきりいって自由に使える資金ではありません。都債についても、財調以外の基金についても、使える対象は限られているのが実態です。何が起きても対応できるフリーハンドで使える資金は、財調基金と決算の黒字分のみ。せいぜい二千億円強というところが本当の実力ではないでしょうか。
 ところで、今回の補正予算は、我々都議会自民党が、何度も国政に直接足を運び要望を重ねた国の第二次補正予算を事業化するものでありますが、同時に、都独自の対策として、病院への経営支援や中小事業者への家賃支援なども盛り込まれております。
 都独自の対策というからには、当然、本来は都の財政を持ち出しで行うものでありますが、しかしながら、今回の補正予算の発表資料を見ると、都の持ち出しが生じているようには見えません。
 一見するだけでは仕組みが分からない特殊な補正予算にも思えますが、聞くところによると、都の独自対策分は、医療の交付金の追加分の範囲内で行われ、補正予算全体としては、財調基金を取り崩さずに済んだとのことであります。
 では、都の独自対策分は、本来的に必要な事業を一つ一つ積み上げた結果、たまたま今回の国から交付された財源の範囲内におさまったのか、それとも、意思をもってこの範囲内におさめ、財調基金を取り崩さないようにしたのか、特殊ともいえる今回の補正予算の財源の経緯も含め、明快な見解を伺います。

○山田主計部長 今回の補正予算の編成に当たりましては、医療機関等の従事者に対する慰労金を初め、国の補正予算の速やかな事業化とともに、感染拡大の影響に伴い、都民生活や都内経済が置かれた厳しい状況を踏まえ、中小事業者や医療機関への支援など、都独自に取り組むべき対策の検討を行うことといたしました。
 一方で、歳入面におきましては、国の第二次補正予算において、厚生労働省の緊急包括支援交付金の補助率が二分の一から全額補助に拡充され、本年四月にさかのぼって適用されたことなどにより、これまで都の財源を充てていた宿泊施設活用事業等に、国の交付金三百三億円が追加で交付されることとなりました。
 このため、昨今の財政状況と今後の対策を見据え、都の独自事業については、緊急包括支援交付金の補助率の引き上げに伴い生み出された三百三億円の財源を念頭に置きつつ対応し、財政調整基金などの財政対応力の維持を図ったところでございます。

○田村委員 今のお答えを要約すれば、都の独自対策分は、国の財源の範囲内で行うこととしたと。今回は意思をもって財調基金を取り崩さないようにしたということだと思います。
 片方では、財政再建時代とは異なると強弁しながら、一方で、この一つの事実にこそ都の財政状況に対する財務局の本音が行動としてあらわれているのではないでしょうか。
 都財政に求められるのは、このわずか半年近くで一・四兆円を費やしてきたコロナ対策だけではありません。九州中部地方に甚大な被害をもたらした豪雨災害や首都直下地震、いつ東京で発生してもおかしくはない災害対策も怠ることはできません。
 昨年までは追い風が続いた税収も、コロナの影響により一転して暴風雨に見舞われ、どこまで落ち込むのか想像もつかない状況です。どこから見ても、都財政は追い込まれつつあります。だからこそ今回、財調基金を使わないように工夫をしたのだと思います。しかしながら、財政運営をこのまま漫然と行っていては、都財政が本当にすっからかんとなるのも時間の問題です。
 客観的に見て、都財政は待ったなしの差し迫った状況にあると思いますが、財政当局として、現状認識をどう考えているか、そして、都財政を守り抜くため、今、何を重視し、どう具体的に取り組むべきと考えているか、見解を伺います。

○山田主計部長 人口減少や高齢化のさらなる進展、大規模災害への備えなど、都政が抱えるさまざまな課題への対応が求められる中、都税収入は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、相当程度の減収に直面するリスクが高まっており、今後の財政環境は、一層厳しさを増すものと認識をしております。
 景気変動の影響を避けられない税収構造を有し、国による財源保障のない都が、コロナ対策を初め、都政の諸課題に的確に対応し、安定的かつ継続的に行政サービスを行っていくためには、基金や都債といった財政対応力とともに、事業の不断の見直しを進めていくことが重要であると考えております。
 こうした観点から、今後、歳出の精査を一層徹底し、事業の成果や決算の状況を厳しく検証するなど、事業評価の取り組みのさらなる深化を図るとともに、今年度予算の執行についても、来年度の予算編成作業と一体的に見直しを行ってまいりたいと考えております。

○田村委員 都財政が対応すべきことは、コロナ対策以外にも山積しております。この先も、必要な対策にはしっかり財源投入を図らねばなりません。打つべき対策があるにもかかわらず、財源を理由に打てないという事態は無策というに等しいことです。
 都財政の危機を回避し、こうした事態に陥らないためには、財務局が、謙虚な姿勢で財政運営に臨み、予算の見直しという本来の仕事を全力で行うことが不可欠です。財務局が自らの意思をしっかり持ち、聖域を設けることなく、不要不急の事業を選別し、本気になって事業見直しに取り組めば、おのずと道は開けるはずです。
 都議会自民党は、瀕死の状態にあった都財政の立て直しに力を注いだ石原知事とともに、長くつらい厳しい財政再建を実際に経験しております。二度とあのような事態を繰り返してはならないと、諸先輩からは事あるごとに話を聞いております。我々は、足を引っ張るつもりはありません。
 都財政の安定化と真に都民のための予算の構築に向け、財務局の速やかな取り組みを要望して、私の質問を終わります。

○細田委員 本臨時会には、令和二年六月に成立いたしました国の第二次補正予算に対応した取り組みなど、さらなる新型コロナウイルス感染症対策を迅速に実施するための総額約三千百億円の補正予算案が提案されています。
 この補正予算の歳入は、先ほど来の質疑にあるとおりでありますが、ほとんどが国の交付金でありまして、内閣府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金と、また、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、これを財源として編成されたものであります。
 このうち地方創生臨時交付金については、さきの国の第一次補正予算における配分額では、我が国最大の人口、そして、企業の集積地であります東京の実情を全く勘案していないものになってしまいました。
 都議会公明党は、国の第二次補正予算編成に際して、東京の実情に即した十分な規模の家賃支援が実施できるよう、党本部を通じて、国に強く働きかけを行うとともに、先日は、小池都知事とともに、我が党の山口那津男代表及び西村康稔経済再生担当大臣に対して、地方創生臨時交付金の積み増しを要望いたしました。
 こうした公明党の強い要望、訴えを踏まえて、今般、国の第二次補正予算は、地方創生臨時交付金の東京都への配分額が増額されたところであります。
 そこで、国の地方創生臨時交付金について、第二次補正予算の配分額がどの程度の規模となったのか、また、第一次補正予算の配分の考え方とこの比較をあわせて、都の見解について求めます。

○山田主計部長 国の第二次補正分に係る地方創生臨時交付金につきましては、家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への対応及び新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化等への対応のために各自治体へ交付されることとされており、都分といたしましては四百六十九億円、特別区分といたしましては二百六十三億円、市町村分として二百四十七億円が配分されることとなりました。
 五月に通知されました第一次補正分は、人口や感染状況、医療需要を勘案して算出された額に、各自治体の財政力に基づく調整がなされておりましたけれども、今回の第二次補正分では、家賃支援や雇用維持等に対応する配分額については、財政力に基づく調整がなされてはいるものの、調整の度合いが緩和されており、都の置かれている実情が一定程度考慮されたものと考えているところでございます。

○細田委員 地方創生臨時交付金は、さきの第一次補正予算額は全体で一兆円、このうち東京都への配分額が百三億円でありましたが、今回の第二次補正予算では全体で二兆円、そのうち東京都への配分額は四百六十九億円となっており、十分とはいえないものの、全体に占める東京都分のシェアは大きく拡大をしています。
 先ほどのご答弁で、都の置かれている実情が一定程度勘案されることになった、このようなご答弁でございました。具体的には、財政力に応じた調整が緩和されたことによって、東京都の配分額が増加したわけであります。
 それでは、地方創生臨時交付金の配分額が拡大した結果、具体的にどのような施策が実現可能となったのか、この点について、都の見解を求めます。

○山田主計部長 今回の補正予算では、地方創生臨時交付金を都独自の三つの事業に財源充当をしております。
 一つ目が、感染拡大の影響により売り上げが減少した中小企業等の法人及び個人事業主を対象として、国の家賃支援に上乗せをする東京都家賃等支援給付金、二つ目が、都内飲食事業者が新たに宅配やテークアウトサービス等を開始する際の業態転換支援、三つ目が、飲食事業者が路上を利用したテラス営業等に取り組む際に必要となる経費への支援でございます。
 具体的な予算額といたしましては、東京都家賃等支援給付金に四百四十億円、飲食事業者の業態転換支援に四十三億円、飲食事業者向けテラス営業支援に四億円を計上しており、中小企業等への都独自の支援の強化を図っているところでございます。

○細田委員 我が党は、コロナ禍の影響に直面する企業や個人事業主の皆様の事業継続を力強く支えるために、事業者が支払う固定費の中でも、特に負担の大きい家賃の支援をこれまで一貫して主張してまいりました。
 今回の都が国の制度に独自に上乗せを行い、家賃支援を実施することについては評価をするものであります。しかしながら、この制度は、いまだ完全なものではありません。国の制度の支給決定者に上乗せをしていくものでありまして、また、手続が二度にわたり煩雑にならないように取り組んでいかなければならない、このような問題もあると思います。そして、創業が間もない事業者など、国のスキームから漏れてしまうところも出てまいります。これらの方々もぜひ今後救っていく、このような手だてを講じていかなくてはならない、このように思います。
 そして、本制度のスキームですが、三カ月分の家賃支援の額は、月額七十五万円までは都が十二分の一を負担することで、国の三分の二の支援から四分の三の支援になるようにした支援でありまして、七十五万円以上の月額家賃の場合は二百二十五万円まで、都が二十四分の一の金額を国の支給額にプラスした給付を行うことになっています。上限の月額二百二十五万円の場合ですと、国の家賃支援百万円と都の支援十二万五千円と合わせて、百十二万五千円の家賃支援を行い、二分の一を負担することになります。このような家賃負担の軽減は大きな前進であり、とてもよいことである、このように思います。そして、これを評価いたします。けれども、これで終わりにせずに、これからも国に交付金を求めていただいて、さらなる家賃支援の拡充を図ってほしいことを改めてこの場で要望させていただきます。
 国のスキームでは、資本金十億円未満の中堅企業も含んだものでありますが、都内の圧倒的に多くの事業者、四十五万一千の事業者のうちの小規模事業者、これが三十六万三千ということで、八一%に及んでいる、圧倒的に多くの小規模事業者、零細企業、個人事業主の方々であります。支給対象をさらに拡充して、上限額をもっと低くしても、例えば、家賃七十五万円を仮に上限にしたとしても、四分の三じゃなくて、それを全額支援していける、また、さらに長い期間行っていただきたい。今回も国は六カ月ですが、都は三カ月の支援という形になっています。さまざまな交付金等の財源の実情があるから、このような形になっているのだと思いますけれども、それは大きな前進だと、このように思います、評価しますけれども、さらに、このまま終わらせるんじゃなくて、このコロナ禍という未曽有の状況を打破して、都民を救っていくんだという、こういう強い決意を持って、今後も新たに制度を重ねてつくっていっていただきたい、このことを強く求めておきます。
 また、一方で、都独自の家賃支援や医療従事者などへの慰労金の支給、都独自の医療機関への経営支援などさまざまな取り組みも、その支援を必要としている都民や事業者の方々に速やかに届かなければ、その効果というものは減退していってしまいます。一つ一つの事業は、都民や事業者の方々の命や暮らしを守るための施策であります。こうした強い責任感のもとで、それぞれの事業を所管する局が、迅速かつ的確に、一人一人にしっかりと施策を届けていくという視点で取り組むことが重要であります。
 財務局も、予算執行や契約手続などの面から、各局に対して最大限のサポートをしていただくよう、ぜひお願いをいたします。
 さて、コロナとの闘いは長期化が想定されます。先日発表されました令和元年度一般会計決算の見込みでは、歳出の精査などの結果、財政調整基金三百十四億円分の取り崩しを見送るとともに、実質収支は一千四百億円の黒字となりました。これによって、今後の取り組みに必要となる財源は上積みされることになりますが、引き続きあらゆる手だてを講じて、都民を守るためのさらなる対策に向けた財源確保が不可欠であります。
 地方創生臨時交付金についても、事業者の皆様の逼迫している状況や東京の膨大な財政需要を踏まえれば、現状の配分額は決して十分な金額とはいえません。
 そこで、長期化が想定されるコロナウイルスとの闘いに対して、万全に備えを講じるため、国に対し、予備費を活用した地方創生臨時交付金の大幅な積み増しを求めるべきと考えますが、都の見解を求めます。

○山田主計部長 感染者が再び増加する傾向にある中での医療機関への支援や、我が国最大の人口、企業の集積地であります東京の経済を支えるための対策など、感染拡大を阻止しつつ、喫緊の課題に対応するために都が独自の施策に取り組むためには、国に対しても、都の実情を十分に踏まえた支援を行うよう、引き続き求めていくことが重要であると考えております。
 このため、先日、国が第二次補正予算で措置した十兆円の予備費を活用し、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を大幅に積み増すよう、知事みずから要請活動を行うなど、国に対して働きかけを行ったところでございます。その際には、議会の皆様、先生方のお力添えを賜りましたこと、まことにありがたく感じております。
 今後も、東京の実情を踏まえた対策が可能となりますよう、地方創生臨時交付金のさらなる積み増しなど、国に対して積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えております。

○細田委員 都議会公明党は、都民の皆様から直接いただきました声、また、ネットワーク政党として、国会議員、区市町村議員から届けられた声にしっかりと耳を傾けて、都民や事業者の命や暮らしを必ず守っていく、こうした強い決意のもと、これまで、都や国に対して数々の要望を重ねてきました。これらが、この声が実を結んで、数多くの施策が実現されてきたことを評価いたします。
 しかし、支給条件や支給対象などの制約の中で十分な支援を受けられなかった方々がいることもまた事実であります。一人一人の都民の命、暮らしを守るために、さらなる支援策や切れ目のない支援策を行うため、引き続いて、あらゆる機会を捉えて、国に対して積極的な働きかけを行うとともに、令和元年度決算における決算剰余金の活用はもとより、都債の発行や歳出の精査など、あらゆる手段を講じて必要な財源を確保すべきことを改めて強く求めまして、質問を終わります。

○池川委員 私からも、補正予算について質問をさせていただきます。
 基金に関する資料を出していただいてありがとうございます。
 コロナ危機の中で、都民の命と暮らし、営業を守り抜いていくこと、これが極めて重要です。そのためにも、政策を積極的に行っていく、東京都の財政力を最大限に発揮していくことが求められていると考えます。
 知事は所信表明で、主に国費を財源とする補正予算だということを発言されましたし、先ほど来の答弁の中でもそうした趣旨が述べられております。
 今後の財政運営について、知事は、所信表明で特に言及はありませんでした。
 直面する対応として国費を活用することは重要ですが、一方で、都民の命と暮らしを守るために、都としての財源をどうやって生み出していくのか。さまざまな選択肢を検討し、見通しを持って対応することが必要だと考えます。
 その一つが基金の活用です。財政調整基金の活用に合わせて、この間、福祉先進都市実現基金などの特定目的基金について活用されてきましたが、今後もこうした基金について、どう活用していくかが重要だと考えます。
 財政調整基金以外の特定目的基金について、今後の新型コロナ対策の財源確保の一つとして、特定目的基金の条例改正も視野に入れることを含め活用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○山田主計部長 特定目的基金は、都政の重要な課題に対し、将来の財政需要に備え、安定的かつ機動的に施策を展開していくため、それぞれの目的に応じて設置しているものでございます。
 特定目的基金については、これまでも、新型コロナウイルス感染症対策の財源として活用を図っておりまして、今回の補正予算におきましても、福祉先進都市実現基金を新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関に対する都独自の臨時支援金の支給や、区市町村が取り組む集中的な感染拡大防止対策への支援等に充当しているところでございます。
 今後とも、多岐にわたる都政の課題に対し、施策を着実かつ安定的に実施していくための貴重な財源として、それぞれの目的に応じて最大限の活用を図ってまいりたいと考えております。

○池川委員 それぞれの目的に応じて最大限活用していくということでありました。
 例えば、スマート東京推進基金、これは、昨年度末に五百億円を積んで創設されましたが、その目的には、データと最先端技術を駆使し、社会におけるサービスの高度化やイノベーションの創出を進め、東京をソサエティー五・〇の実現によりスマート東京に進化させていくというふうに書かれています。例えば、この基金を、この間、補正予算で編成されてきた都立高校等のICT機器支援、オンライン学習整備など、個々の政策について意見はありますが、少なくともこうした事業に充てることもできたというふうに考えます。
 また、福祉先進都市実現基金等の一部を活用してきましたが、ほかの基金も含めて、直面する新型コロナ対策の財源として積極的に活用を考えること、これを改めて求めておきたいと思います。
 同時に、直面するコロナ危機を乗り越えていくとともに、ポストコロナを見据えて、基金の目的を変えることも含めて対応する必要性があるということは指摘をしておきます。
 日本共産党都議団は、一貫して、自粛、休業と補償はセットだと求めてきました。先日、地元の町田市のライブハウスにお話を伺ってきましたが、家賃だけで百二十万円、その他、リース代、人件費など固定費で数百万円かかるということをいわれていて、さまざまな支援策はありがたいけれど、実際に店舗を動かしていても、動かしていなくても、営業していなくても、かかる固定費はとにかく出していかなきゃいけない、これを何とかしてほしいという本当に悲鳴の話を伺ってきました。
 全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部は、政府としても、休業等を要請するとともに、協力に応じた事業者への補償、支援の一層の充実を早急に図ること、また、こうした補償、支援を特別措置法に位置づけ、国の財源措置のもとに実施できるようにすることを知事会としても国に要望しています。
 だからこそ、今こそ本当は、国に対してきちんと改めて補償を強く求めていく必要があると考えます。同時に、都としても、コロナ禍で廃業させないという強いメッセージとセットでこうした固定費の支援を含めた施策を実施することが必要だと考えます。
 そのために検討すべきものの一つが都債だと考えます。現在、今年度予算において、一般財源を投入する予定の事業のうち、今後、減収補填債の活用や地方財政法第五条に基づく都債の追加発行を行うなど、財源更正を変更することによって一般財源を捻出していく、こういうことも必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○山田主計部長 都債は、年度間の財源調整と世代間の負担の均衡を図る重要な機能を有しておりまして、その活用に当たりましては、将来世代の受益と負担のバランスを十分考慮する必要があると考えております。
 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、今後は、都税収入の減少など財政環境の悪化が想定される中にあっても、都民の命と暮らしを守るため、引き続き、必要な対策に対して財政面からしっかりと支えていくことが求められていると考えております。
 こうした考え方のもとに、今後とも、その財源確保に当たりましては、決算剰余金や基金とともに、都債についても、その時々の事業の動向等も踏まえながら、さまざまな選択肢を検討し、適切に判断してまいりたいと考えております。

○池川委員 決算剰余金や基金とともに、都債についても適切に判断していくということです。六月の第二回定例会のときよりも、一歩、もしくは半歩、前に進んだというふうに私は受けとめました。
 現在、一般財源を投入している事業についても、一部都債の活用を行うことで、命と暮らしを守るための対策を着実に実施するための政策、このための財源をつくり出していただきたいということを改めて求めておきます。
 また、巨大道路建設を含め、不要不急の事業についても、踏み込んで見直すことを改めて求めておきます。
 緊急事態宣言のときよりも新規感染者が増加をしています。知事が、科学的知見よりも政治的思惑を優先してきたことの責任は極めて重大だと考えます。
 今回の臨時会は、知事の所信表明はありましたが、知事に対して直接質疑をする場面はありません。新型コロナ対応について、知事が現状をどう認識しているのか、どのような考え方で都政を運営していくのかについて、議会で説明することは不可欠だと考えます。第二波に備えてということがいわれますが、今がその第二波なのか、そうでないのかも含めて、きちんと議会で議論することが必要だと考えます。また、財政運営のあり方についても、議会として、知事に対して基本的な認識をただすことが必要だと考えます。
 新型コロナ対策について、小池知事に対する質疑の場を議会として早急につくること、これこそ都民の負託に応えるものだと考えます。また、そうした質疑の場を通じて、今の新型コロナにどう対応していくのか、この点については、各会派の皆様方に呼びかけるとともに、私たちとしても、全力でそうした場を設定すること、このことを改めて表明し、質問を終わりたいと思います。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十分散会

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