財政委員会速記録第四号

令和二年三月十七日(火曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長上野 和彦君
副委員長田村 利光君
副委員長ひぐちたかあき君
理事池川 友一君
理事森村 隆行君
理事山田ひろし君
けいの信一君
成清梨沙子君
細田いさむ君
三宅 正彦君
清水ひで子君
大津ひろ子君
宇田川聡史君

欠席委員 なし

出席説明員
主税局局長塩見 清仁君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務大久保哲也君
税制部長副島  建君
税制調査担当部長長田  稔君
調整担当部長菊澤 道生君
課税部長萱場 明子君
資産税部長池田 美英君
徴収部長川上 秀一君
特別滞納整理担当部長蓮沼 正史君
会計管理局局長佐藤  敦君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松丸 俊之君
警察・消防出納部長中村 佳史君
会計制度担当部長斎田ゆう子君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出 会計管理局所管分
主税局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為 主税局所管分
・第三号議案 令和二年度東京都地方消費税清算会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十二号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和二年度地方税制の改正について
・「主税局ビジョン二〇三〇」について
請願陳情の審査
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
(1)一第一五号
(2)一第一六号
(3)一第一七号
(4)一第一八号
(5)一第一九号
(6)一第二〇号
(7)一第二一号
(8)一第二二号
(9)一第二三号
(10)一第二四号
(11)一第二五号
(12)一第二六号
(13)一第二七号
(14)一第二八号
(15)一第二九号
(16)一第三〇号
(17)一第三一号
(18)一第三二号
(19)一第三三号
(20)一第三四号
(21)一第三五号
(22)一第三六号
(23)一第三七号
(24)一第三八号
(25)一第三九号
(26)一第四〇号
(27)一第四一号
(28)一第四二号
(29)一第四三号
(30)一第四四号
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情
(31)一第五二号
(32)一第五三号
(33)一第五四号
(34)一第五五号
(35)一第五六号
(36)一第五七号
(37)一第五八号
(38)一第五九号
(39)一第六〇号
(40)一第六一号
(41)一第六二号
(42)一第六三号
(43)一第六四号
(44)一第六五号
(45)一第六六号
(46)一第六七号
(47)一第六八号
(48)一第六九号
(49)一第七〇号
(50)一第七一号

○上野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和二年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和二年三月十三日
東京都議会議長 石川 良一
財政委員長 上野 和彦殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十三日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(木)午後五時

(別紙1)
財政委員会
 第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中
予算総則歳入
歳出
債務負担行為
 財政委員会所管分
都債
 第三号議案 令和二年度東京都地方消費税清算会計予算
 第十五号議案 令和二年度東京都用地会計予算
 第十六号議案 令和二年度東京都公債費会計予算
 第百三号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入
 第百七号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中
予算総則
歳入
歳出-財政委員会所管分

(別紙2省略)

○上野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び主税局関係の予算の調査並びに主税局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、会計管理局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○上野委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、債務負担行為、主税局所管分、第三号議案、第四十二号議案及び報告事項、令和二年度地方税制の改正について外一件並びに請願・陳情審査件名表に記載の整理番号(1)から(30)までの請願一第一五号外二十九件の同内容の請願及び整理番号(31)から(50)までの陳情一第五二号外十九件の同内容の陳情を一括して議題といたします。
 請願陳情について理事者の説明を求めます。

○副島税制部長 今般、財政委員会に付託されました主税局所管の請願陳情についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、財政委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 初めに、請願一第一五号から第四四号までの各号、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する請願についてご説明申し上げます。
 この請願の趣旨でございますが、小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置を令和二年度以降も継続すること、小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減額する減免措置を令和二年度以降も継続すること及び商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置を令和二年度以降も継続することを求めるものでございます。
 この請願に係る現在の状況でございますが、小規模住宅用地に係る都市計画税を二分の一とする軽減措置は、昭和六十三年度に創設し、過重となっている住宅用地の税負担を緩和するため実施しているものでございます。
 小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税を二割減免する措置は、平成十四年度に創設し、過重となっている二十三区の非住宅用地の税負担を緩和するとともに、厳しい経済状況下における中小企業への支援を行うため実施しているものでございます。
 商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の税額を負担水準六五%の水準まで減額する措置は、平成十七年度に導入し、全国に比べ過重となっている二十三区商業地等の負担の緩和を図るため実施しているものでございます。
 これらの軽減措置につきましては、都民の税負担感に配慮する必要から、令和二年度においても引き続き実施することとし、本定例会におきまして所要の改正を行う条例を提案しているところでございます。
 次に、五ページをお開きください。陳情一第五二号から第七一号までの各号、固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する陳情についてでございます。
 この陳情の趣旨でございますが、さきの請願と同じでございますので、改めての説明は省略をさせていただきます。
 本件請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 予算案、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○蓮沼特別滞納整理担当部長 去る二月十七日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第2号、財政委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。今回要求のございました資料は一件でございます。
 それでは一ページをお開き願います。要求資料第1号、滞納整理に係る都内区市町村への都職員の派遣及び実務研修生の受入についてでございます。
 まず、一ページの表でございますが、滞納整理に係る都内区市町村への都職員の派遣状況をお示ししたものでございます。
 恐れ入りますが、一枚おめくりいただきたく存じます。
 次に、二ページの表でございますが、都内区市町村からの実務研修生の受け入れ状況を示したものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ひぐち委員 まず、都税収入について伺います。
 令和二年度、都税収入は、事務事業質疑でも確認いたしましたが、米中貿易摩擦の影響による法人関連税収の伸び悩み、さらに国による地方法人課税による偏在是正措置の影響、主にこの二つの要因によって、前年度当初予算に対して五百八十五億円減少となる五兆四千四百四十六億円でありました。
 加えて、今般の新型コロナウイルス感染症であります。グローバル化した世界で人と物が動かず実体経済への影響も大きいと、いわば、このコロナショックにより世界的な経済活動の停滞、景気の減速が見られ、アメリカや欧米、東京においても、株式市場では株価が大幅に続落し、株安の連鎖がとまらない状況にあると思います。
 足元の東京都の経済においても、私も地元や業界回っておりますと、これまでにないほどの事態に大変皆さん直面しておられるということを体感しております。
 例えば、都内のある高級ホテルの稼働率は三割を切るほどでありますし、またそこに納めていた市場の仲卸からの高級な食材の供給は停滞し、学校給食用の食材供給もとまっている。また、宴席や行事などに使われていた花の需要も激減。つまり市場はもちろん当然川上にある産地も大変苦しんでおられるということであります。
 また先日、屋形船のある事業者とお話ししていましたら、前年比二、三割とおっしゃっていました。前年比二、三割減ではないんです。前年比二、三割というのがこの実態なんだと思います。
 都は引き続き、これまで経験したことのない困難に直面している都民の皆さんの不安に寄り添い、生活や経済を守ると、安全・安心の日常を取り戻すための施策をこれからも積極的に機動的に展開していかなければなりません。そのためにも、その財源となる都税収入の先行きについては当然考えておくべきであります。
 そこで、都の令和二年度の都税収入の見通しについて、都の見解を伺います。

○塩見主税局長 今後の都税収入の見通しでございますが、税収の三割強を占めます法人二税が企業の収益状況に左右されるため、都税総額も景気の変動を受けやすい税収構造となっているのはご承知のとおりでございます。
 今後の企業の業績見通しは、新型コロナウイルス感染の終息時期、終息後の経済の回復状況などの影響を受けまして、不透明な部分が多いと考えております。
 しかしながら東京外国為替市場におきましては、円高ドル安が進み、東京株式市場では、日経平均株価が、年末二万三千円台から一時一万六千円台まで大きく下落するなど、市場も混乱しております。
 こうした中、都税収入の先行きにつきましては、現在の市場の混乱が実体経済へ波及する状況、個人消費や観光、娯楽産業の落ち込み、世界経済のさらなる下振れ懸念などに留意し、景気動向を慎重に見きわめていく必要があると考えているところでございます。
 主税局はこれまでも、実地調査による適正な課税や納税手段の拡充など、さまざまな創意工夫を凝らした取り組みと積極的な実践行動により、着実な税収確保を目指してまいりました。
 都の歳入の七割強を占める都税収入は、都財政を支える基幹的な財源でございます。
 都の膨大な財政需要を支えるため、徴税努力を重ねるなど、令和二年度当初予算五兆四千四百四十六億円の確保に向けまして、こうした困難な中にありましても、主税局職員一丸となって、歳入所管局としての責務を果たしていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。

○ひぐち委員 過去のリーマンショックの影響で、一年間で一兆円もの減収に見舞われたこと、また、法人二税に頼る都の税収構造は大変不安定であるということは、かねがね、あれ以降分析され指摘されてきましたが、私は、改めてこのような事態を目の当たりにすると、本年夏ごろから見えてくるであろう税収が、いかに令和三年度の予算を直撃するのかといったところも個人的には懸念しているところであります。
 さて、厳しい経済状況が懸念される中、都は、我が会派の要望を受け、十二日には緊急対応策の第三弾を公表し、中小企業の円滑な資金調達を支援するため、緊急融資制度を創設するなど、さまざまな施策を打ち出しています。
 先ほども申し上げましたとおり、都内中小企業からは、売り上げ減少により経営状態が非常に厳しいといった声が多く寄せられておりまして、納税資金の確保もままならない状態も見込まれるところであります。
 歳入庁である主税局当局におかれましては、これまで、今、局長のご答弁でもありましたとおり、着実な税収確保に向けては大変頑張ってこられたと認識しておりますし、高い徴収率にはこれまでの皆さんの地道な努力に敬意を表するところであります。
 一方で、この景気の厳しい局面においても、真に苦しむ企業に対しては、納付時期や分納の相談など、これまで以上にぜひ丁寧な対応をしていただくよう強く求めます。お願いいたします。
 次に、都税事務所の民間への業務委託について伺います。
 今年度より、板橋都税事務所と文京都税事務所において、窓口の委託化、証明書郵送申請の集約化、委託化のトライアルを実施しています。
 そもそも都税事務所の窓口や、また、証明書の郵送請求業務などは、都民や納税者の皆さんとの接点となる大切な業務だと考えていますが、来年度の委託契約は不調だという報告を受けています。
 今回の不調というのは、今申し上げたとおり、都民や納税者の皆さんにとっての大切な接点であるがゆえに、大変ゆゆしき問題だと考えています。幾つか確かめてまいります。
 最も重要なのが、今回の不調が安定的な窓口業務の維持、この命題に影響するのか否かであります。都税の窓口を預かる主税局として絶対に避けなければならないのは、四月一日からの窓口業務の混乱により納税者の皆さんに不便をかけることであります。
 そこでまず、目前に迫った四月以降の運営に向けた対応方針について、都の見解を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 再度入札による委託契約締結を検討いたしましたが、新たな契約締結までには三カ月程度かかりますため、四月からの業務開始に間に合わないこととなります。
 このため、都民サービスの維持を第一に考え、窓口業務を維持するための緊急的な対応方針といたしまして、拡大予定三所を含む五都税事務所につきまして、令和二年度においては、予算の範囲内で会計年度任用職員を採用することといたしております。

○ひぐち委員 あらゆる手段を使って窓口業務に悪影響を及ぼさない努力を尽くすよう強く求めます。
 しかし、そもそも契約不調によって四月からの窓口業務の運営すら危うくなるということは本来あってはならないことであるわけです。
 今回の不調の原因をどのように分析し、今後、どのように対策を講じるのか、見解を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 契約不調後、入札事業者や現行受託事業者へのヒアリングを行いました。その結果、最大の要因は、直近の人件費の高騰だと認識をいたしております。
 予定価格の算定に当たりましては、同一労働同一賃金に関する制度改正などを見込み、厚生労働省賃金構造基本統計調査等を参照いたしました上で、労働単価上昇率を六%と想定いたしました。
 しかしながら、各社が人材確保のための待遇改善策といたしまして、令和二年四月以降の賃上げを予定していることに加え、四月の履行開始直後に最繁忙期を迎える事務であることから、準備期間が短く、そのことが委託費の増加に拍車をかけたというふうに考えております。
 不調のリスクは、委託を継続する上での大きな課題でございまして、今後は、業界各社への精緻なヒアリングや労働市場動向の徹底した分析などによりまして、人件費高騰の傾向を適切に捉え、必要な予算確保を行っていくとともに、準備期間確保に向けたより適切な解決方法についてもあわせて検討いたしてまいります。

○ひぐち委員 今後も、業務委託に関しては同様のリスクが想定されるのであれば、今、答弁されたとおりしっかりと解決に向けて取り組んでいただくよう求めます。
 さて、そもそも立ち返りますと、委託化の背景には、従来、窓口業務の担い手であった主税局OBを中心とする非常勤職員の担い手不足があったと伺っています。つまり、これまで窓口業務を担ってきた主税局OBの皆さんが不足するというため、これにかわって業務委託を実施したということでありますが、全ての業務が当然委託できるというわけではないと思います。
 そこで、これまで非常勤職員の方々が担ってきた業務と、民間の人材に切り出しができる業務が当然あるわけですが、具体的に見解を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 従来、非常勤職員が担ってきた業務は、固定資産評価証明書や納税証明書などの交付業務、法人二税等に係る申告書の収受業務、都税に係る現金収納業務及び税務に関する相談や質問対応でございます。これらの業務を包括的に行うためには一定の税務知識が必要となることから、従来、税務経験者であることを採用条件としてまいりました。
 主税局OBの不足を前に、改めて現行の窓口業務を分析いたしますと、必ずしも専門知識を要しない業務が含まれております。これらは公権力の行使に当たらない大量反復の業務でありますことから、民間人材の切り出しが可能と判断をいたしました。
 具体的には、窓口におきましては、申請書の受付、発行端末の操作、証明書の受け渡しなど、また、郵送におきましては、郵便物の開封や仕分け、台帳への記録、封入、封緘などの業務でございます。

○ひぐち委員 委託として切り出す仕事が、今ご答弁にあったとおり、公権力の行使に当たらない大量反復の業務であるならば、切り出して民間に委託をする、また、アルバイトを雇うといったことは世間一般的でもあると思います。また、昨今の労働力不足を考えれば、高い専門性を必要としない業務に正規職員を充てるのは余り現実的ではなく、民間委託に切りかえていくのもこれまた妥当な選択であると考えます。
 さて、委託化のもう一つの目的として、窓口業務の繁閑差への対応があると理解しています。都税事務所の窓口業務、繁忙期、閑散期のこの差をどう把握しているのか、見解を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 窓口業務の大部分を占めますのが固定資産に関する評価証明書の発行業務でございます。この評価証明書の需要は、民間の不動産取引等の状況によって各月ごとに大きく変化をいたします。例えば、最繁忙期の四月の評価証明書交付件数は、平常期に比べて二倍以上となってございます。
 一方、窓口対応職員につきましては、定数管理のもと、繁閑にかかわらず通年して一定の職員を配置する必要がございまして、状況に対応した柔軟な体制をしくことが難しいという問題点がございます。そのため、柔軟な配置が可能な民間委託によりまして、繁閑差に対応する体制構築を図ったものでございます。

○ひぐち委員 主税局OBの不足、繁閑差への対応策として、都税事務所に郵送される証明書の発行業務の集約化、委託化、また、板橋都税事務所の窓口の一元化、委託化をこの一年間、トライアルとして実施してきたということでありますが、では、このトライアルに対して、主税局が昨年九月時点で出している第一・四半期の業務委託の総括についても伺っていきます。
 この中には、証明書発行時間が直営時の二倍程度まで長時間化したとも書かれています。それは、委託前であれば都の職員が一括でやっていた作業を、委託後は、委託と非常勤で作業工程を分化したことによって、いわゆる分割損によるものだと分析されているようです。
 これらについて、なぜこのような制度設計になっているのか、また、これによる発行時間の長時間化という課題に対してどのような対策が、今、講じられているのか、見解を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 証明発行には申請書の受付、申請権限の確認、発行交付決定、手数料の受領並びに交付といった一連の流れがございます。従来は、これを全て一人の職員が担当してまいりましたが、委託化に当たりましては、税務の深い専門知識を必要としない大量反復の工程を委託職員が、その他の工程を都職員が担当いたしてございます。また、委託職員で対応できない一定要件を満たす困難案件につきましては職員対応としております。
 これら分業の過程で発生する委託職員と都職員とのやりとりに当たりましては、いわゆる偽装請負と捉えられる直接の指揮命令に当たらないよう、定型的な紙ベースでの連絡としておりまして、このつなぎに当たる部分が処理時間の長期化につながることが明らかとなりました。
 対策といたしまして、マニュアルや連絡票を修正いたしますことで、委託職員と都職員とのやりとりを効率化し、処理時間の短縮を実現いたしました。これによりまして、現時点では、安定的な運営体制を実現しているところでございます。

○ひぐち委員 どのような仕組みでも、新たに始める際には、細心の注意と準備が必要なことはいうまでもありません。今のご答弁であるような対策は、本来、委託実施前にとるべきであったと私は思います。この点についても、準備不足だったと指摘せざるを得ず、ご迷惑をかけた皆様には真摯に反省していただきたいと思います。
 一方で、とはいえ、定期的に状況を把握し、課題を見直し、必要に応じて柔軟に運用や仕組みを見直していく、これもまた、どのような制度にも共通することであります。その意味で、まさにトライアルによって課題を浮き彫りにし、今、局を挙げて改善を図り、円滑な体制を整えてきたということであるとも認識しました。
 では、改めて、これらのトライアルを経て、委託化のメリットについての総括を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、先ほど申しました業務の繁閑差に応じた柔軟な配置が可能なことでございます。
 窓口業務の特性上、都の工夫や努力で業務を平準化するには限界がございます。解消し得ない繁閑差に対しまして適切な人員配置を可能とするには、民間委託は有効な方法であると考えております。また、人材の採用、教育管理を含めてパッケージで外注をすることで、高品質の人材を継続的に確保できることもメリットと考えております。
 税務OBが不足する以上、直営とする場合にも税務の未経験者を大量雇用する必要があり、採用は教育に大きなコストを要します。委託であれば、これらを包括的に外注することができるため、人材確保の点で委託は有効な方法であると考えてございます。

○ひぐち委員 今後、二十五都税事務所の窓口を全て委託化していくと、こういった方針が示されており、委託化のメリットも私は十分理解するところでありますけれども、全ての都税事務所が委託化できるのか、これを適正な価格で受けとめる事業者がいるのかといったこともきちんと検証していただきたいと思います。そうでなければ、また同じ失敗を繰り返すということになってしまいます。
 今、民間だけではなく都庁においても少数精鋭を求められる中で、限られた人材をコアとなる業務に集中していくためには、切り出せる業務は切り出して民間に任せるという方向性は、都庁の専門性、継続性を確保していく一つの方法であると思います。委託や民間人材の直接雇用など、民間の人材とノウハウの活用に向けて、広い視点で最適な方策を検討していくことが必要であると申し述べておきます。
 では最後に、税務行政のデジタル化について伺います。
 現在、都民の納税に関しては、平日、窓口に直接出向いて手続や相談を行う、紙の証明を受け取る、また、住所変更の場合には、区役所、都税、国税にそれぞれ書類を提出するなどなど、大変な手間がかかっています。また、都税事務所の職員にとっても、大量に積まれた紙資料、情報共有や検索、ノウハウの検証など課題が多くあると伺っています。
 先日、主税局からは、十年後の税務行政のあるべき姿を示した主税局ビジョン二〇三〇の発表がありました。この中では、税務行政のデジタルトランスフォーメーションによって、納税通知書の電子化、キャッシュレス納税、バックオフィス連携による申請時の添付書類の省略などを推進するとしています。
 具体的に、デジタル化されれば、納税通知はメールなどで受け取り、納税状況もスマホなどで確認、証明書は自宅プリンターで印刷でき、住所変更も一回届け出をすれば関係機関に共有されるなど都民に大きなメリットも出てきます。また、現場の実務担当者にとっても、膨大な帳票と職員の手間を前提とした業務の効率化につながることにもなりまして、みずからは税務のプロフェッショナルとしての業務に集中する、重点化することができるというメリットも発生します。
 主税局ビジョン二〇三〇では、税務行政のデジタル化を実現するため、税務基幹システムを再構築するとしていますが、現行の基幹システムは、平成十七年に稼働したということであります。
 まず、前回のシステム開発と今回の開発では何が違うのか、所見を伺います。

○菊澤調整担当部長 現システムは、平成十三年に基本構想を策定し、平成十四年から設計及び構築を行い、平成十七年に全面稼働しております。
 平成三年から使用していた従前のシステムは、大型汎用コンピューターと専用端末という構成で、これを現行のいわゆるサーバクライアント方式に置きかえるということが主な目的でございまして、大きな業務改革を伴うものではなかったことなどから、基本構想から約五年で全面稼働することができました。
 今回の再構築では、技術刷新に加え、納税者サービスの向上や業務効率化のため、抜本的な業務改革を同時に行う必要があること、外部連携を大幅に拡充するための見直しを行うことなどから、前回よりも主に要件定義に関するプロセスを中心に長期間を要する見込みとなっております。

○ひぐち委員 ビジョン二〇三〇によれば、新しい税務基幹システムの稼働は令和八年度となっています。
 この利便性の向上が図られるということは、納税者ファーストの視点からも大変重要であります。一刻も早く実現してほしいところですが、このリリースの年度を見ますと、率直にいって時間がかかり過ぎではないかと見る人もおられます。
 そこで、稼働までの期間はさらに短くならないのか、今後の具体的な計画について見解を伺います。

○菊澤調整担当部長 現時点では、来年度の着手から約七年の期間での再構築を想定しております。
 長期にわたる開発となる理由の一つが、庁内ルールによる手続を適切に遂行する必要があることでございます。
 都がシステム開発を行う場合には、システムの機能を検討する要件定義を行い、その内容と開発に係る概算費用を算出し、戦略政策情報推進本部によるシステムアセスメントで精査を行います。その後、開発費用につきまして予算措置を行い、設計開発業務の調達という手順になります。また、調達は総合評価方式で行うため通常約一年を要します。
 さらに、税収や取り扱う税目数から見ましても、主税局のシステムは非常に大規模でございまして、これまでに行った外部機関による調査でも、開発期間には約三年から四年が必要とされてございます。
 以上のことから、要件定義に約二年、調達に一年、開発に三年から四年という期間を想定し、令和八年度中の稼働を目指しているところでございます。

○ひぐち委員 今ご答弁いただきましたけれども、やっぱり令和八年度に稼働となると、変化の早いこの時代、都民ニーズや技術的な動向に、果たしてマッチしているのかといった懸念もございます。
 こうしたさらなる都民ニーズの変化や技術動向の変化に対してはどう対応していくのか、見解を伺います。

○菊澤調整担当部長 ご指摘のとおり、日々目まぐるしく変化する都民のニーズや技術を長期にわたる設計開発の中で、どのように反映していくかは大きな課題でございます。
 まず、要件定義におきましては、ペーパーレス化やバックオフィス連携によるワンスオンリー化など、二〇三〇年の業務のあるべき姿を踏まえまして、長期的な視点から抜本的に検討してまいります。
 また、システムの中核部分につきましては、オリジナルな開発が必要でございますが、文書管理や統計ツールなどにつきましては、民間で活用されている市販のものを活用していくことで、都民ニーズや技術革新に柔軟に対応できると考えてございます。さらに、基幹システムの見直し期間中であっても対応可能な改良、改善は積極的に対応してまいります。
 こうした積み重ねによりまして、稼働時に最新のニーズに応えられるシステムとなるよう取り組んでまいります。

○ひぐち委員 システム再構築に七年もの長い期間を要するということになりますと、このプロジェクトのプロセスを適切に管理することも極めて重要であります。
 私も、前職はITベンダーにおいて営業をしておりました。当時は、お客さんが製造業でしたので、製造業の設計開発領域の基幹システム、この開発案件のプロジェクトにかかわっておりましたが、本当にこの要件定義にかかわる部分ですとか、あるいは広範求められる機能、性能、品質といったもの、当時の記憶とかその苦労を実感を持って改めて申し上げますけれども、システム開発においては、やはりユーザーである納税者や都税事務所の職員の声をどれだけ丁寧に反映していくかがかなめである。一方で、大規模なシステム開発においては、ユーザーの求めるままに行えば、必要以上のリッチな機能を実装してしまい、開発コストや保守運用コストの肥大化、期間の長期化も招くことも間々あります。
 まず、来年度着手する要件定義において、誰がリーダーシップを発揮してマネジメントしていくのか、現場の状況への正確な理解のもとで、都民の皆さん、職員の皆さんに多くの業務革新をもたらすこのシステムを導入するためには、来年度の要件定義を手始めに、今後どのような体制で挑んでいくのか伺います。

○菊澤調整担当部長 今回の再構築に当たりましては、局長をトップとする自律改革推進本部のもとに、各部門の業務に精通した課長級職員による業務見直しPTを設置して検討してまいりました。
 要件定義におきましては、このPTを活用して、現場の視点で部門間の課題を調整し、方針の決定を本部に諮ってプロセスを集約してまいります。次に、その結果を反映した要件定義案につきまして、第三者的視点からの専門機関による妥当性の検証を行います。
 さらに、全庁的立場から戦略政策情報推進本部など関係局と協議した上で、要件定義案のアセスメントを受けて決定してまいります。その後も、庁内連携を緊密にとりつつ、専門機関の助言を受けながら進めてまいります。
 こうした各種のプロセスを通じまして、専門家の意見を生かしながら、主税局自身が現場の声を酌み上げつつ、進行管理を適切に行う努力を重ねまして、主体的に検討、決定してまいります。

○ひぐち委員 さきの予算特別委員会で、このシステムの構築に当たっては、外部の第三者からの評価を実施し、システムの内容だけでなく、開発期間と経費においても適正化を図っていくと、そういったご答弁もありました。ぜひ、納税者ファーストの視点でのシステムの充実はもちろん、内容、経費の両面からもしっかりと精査をしていただくよう求めておきます。
 さて、日本の国際競争力を維持するため、国も、ソサエティー五・〇の実現に向けた行政のデジタル化を加速度的に進めています。
 国際的な動きや国の動きがある中で、都においても、この流れをリードする意気込みで取り組むべきではないかと考えますが、主税局としての決意を伺います。

○塩見主税局長 お話にありましたような、国におきましても、国税庁でございますが、既にデジタル化構想であるスマート税務行政構想を発表し、システムの刷新に向けた取り組みを開始しております。また、総務省も、地方自治体のシステムの標準化など、デジタル化を積極的に推進しているところでございます。
 主税局におきましては、バックオフィス連携のための外部機関との情報共有や、若手職員などの海外視察などによるICT先進国の事例研究等に取り組んでまいりましたところでございます。
 世界のICT先進国におくれないためには、官民問わずデジタル化による業務改革が急務でございます。主税局は、基幹システムの再構築によりまして、納税環境の向上はもとより、人材を重点配置するためにも、デジタル化による税務事務改革をなし遂げ、歳入所管局としての責務をしっかりと果たしていく決意でございます。

○ひぐち委員 最後に、一言申し上げます。
 長期視点に立ち、主税局ビジョン二〇三〇の将来像からバックキャスティングして、主税局の業務がどうあるべきなのか、どのように変わっていくべきなのかを描き出し、その中核に据えるのは、令和八年度リリースの新しい税務基幹システムの役割であります。この役割をしっかり定義していけば、おのずから、都民の皆さんにとって最も望ましい窓口業務や郵送センターのあり方も、より具体的に導き出されていくと考えています。本日、半ばで質問しました都税事務所における業務委託についても、その流れで考えていくべきだと考えています。
 当局の目的は、都民の皆さんにとってのよりよい納税環境の整備であり、また、その利便性の向上であります。それに向けてぜひ知恵と汗を絞っていただきたいと皆さんにエールを送りまして、質問を終わらせていただきます。

○細田委員 私からは、まず、令和二年度の地方税制の改正について伺います。
 昨年十二月に、与党税制改正大綱が決定されました。今回の改正内容は、例年と比べまして小粒である、こんな報道も見られましたけど、大変重要な改正も盛り込まれております。それは、子供の貧困対策という観点から、我が党が一貫して訴えてきました未婚のひとり親に対する抜本的な見直しなどであります。
 配偶者と死別、離婚した人の税負担を減らす寡婦控除を未婚のひとり親にも適用する方針が示されて、同じひとり親でも、婚姻歴の有無で税負担の理不尽な状況が改善されることとなりました。子供の貧困対策の観点から、公明党が一貫して訴えてきたものでありまして、執念が結実したものである、このように思っております。
 そこで、まず最初に、ひとり親に対する現行の取り扱いについて、都の説明を求めます。

○副島税制部長 配偶者と死別あるいは離婚した後、婚姻をしていない人で子がいるひとり親に対しましては、寡婦控除が適用されまして所得税や住民税の税額が軽減されております。
 未婚のひとり親に対しましては、令和元年度税制改正によりまして、住民税の非課税措置が講じられたところでございますが、寡婦控除の適用につきましては、与党税制改正大綱によりまして令和二年度税制改正において要否等を検討し結論を得るとされていたところでございます。

○細田委員 今、答弁にありましたとおり、これまで、同じひとり親であっても、婚姻歴の有無によって税負担が異なるという状況になっております。厚生労働省の調査によれば、未婚の母の所得状況は、母子世帯全体と比較しても経済的に厳しいという結果が出ていまして、不公平で納得のしにくい制度です。
 ひとり親家庭は増加傾向にあり、厚労省の推計では、一六年十一月の時点ですが、約百四十二万世帯に上り、このうち約五割が貧困世帯と見られています。経済的な困窮を見過ごしていては、親から子へと続く貧困の連鎖を断ち切っていくことはできません。
 この問題は、税負担の違いだけにとどまりません。寡婦控除が適用されれば、年間所得や納税額も低くなりますが、この額は、保育料の算定などの際も考慮されるなど、広く生活に影響されるものになっております。
 公明党は、以前よりこの問題を取り上げて制度改善を訴え続けており、未婚のひとり親であっても寡婦控除の対象とみなして、自治体で保育料を軽減するみなし適用を全国各地で推進してまいりましたが、今回は、公営住宅に入居する際に受けられる優遇措置の対象に未婚のひとり親を追加、そして、保育料などのみなし適用も国による全国一律の制度となりました。
 そこで、今回の税制改正では、長年の懸案であった未婚のひとり親について、税制上の見直しは行われましたけれども、その概要について東京都の答弁を求めます。

○副島税制部長 令和二年度税制改正では、未婚のひとり親に対する税制上の措置といたしまして、全てのひとり親家庭の子供に公平な税制を実現するという観点から見直しが行われたところでございます。
 具体的には、婚姻歴による不公平を解消するため、未婚のひとり親について寡婦控除を適用することといたしました。あわせて、女性の寡婦についても、男性の寡夫と同じく五百万円という所得制限を設けるとともに、子ありの男性の寡夫の控除額が女性の寡婦と同額に引き上げられることとなりました。

○細田委員 今ご答弁にありましたように、大変に意義ある改正だと思っております。今回の改正により、結婚歴の有無や性別による違いがなくなり、公平な制度となることはもとより、子供の貧困対策という観点からも非常に重要な見直しであります。
 都議会公明党、引き続き、未婚のひとり親など、真に困っている都民、国民の声を丁寧に聞き取りながら、必要な改革を推進していきたい、このように、また私どもも決意しております。
 さて、次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 今回のコロナウイルス感染症東京都緊急対応策(第三弾)におきましては、財政面からの工夫も盛り込まれており、三月が申告期限となる個人事業税について申告期限の延長が盛り込まれております。
 私ども、政府に対しても強く要望してきたことで、四月十六日までこれが延長されるわけでありますが、通常は、国の所得税の申告期限三月十五日の後で個人事業税の定期課税、八月に向けて短期間で課税業務を行っている、このように理解をしております。
 主税局のホームページでは、今回の延長に伴って、一部の方は、納税通知書の発送がおくれるとアナウンスをしておりますが、それでは今後どのように対応していくおつもりなのでしょうか、この点についてお尋ねします。

○萱場課税部長 個人事業税の定期課税は、例年八月の定期課税において、おおむね八割方の納税通知書を発送しておりまして、令和元年度の例で申せば十七万通でございました。そのうちおよそ十四万通が毎年度課税している方への納税通知書でございます。
 今般の期限延長に伴い、委員がおっしゃったとおり、課税の処理の期間が短くなります。
 しかし、毎年度定期課税している方には、令和二年度においても、八月の定期課税で納税通知書を発送するとともに、新規に課税対象となる方のうち調査が比較的容易なものにつきましては、同じく八月に納税通知書が発送できるよう処理を進めてまいりたいと考えております。

○細田委員 八月に間に合うように、通知書の発送ができるように処理を進められるということでありますが、都の情報発信を知りませんと、納期を間違えてしまったり、また納税者に不利益を与えかねない、このような懸念がございます。しっかりとした情報発信を求めます。
 短期間で全てではないにせよ、いつもより短いこの期間で、八月の定期課税に向けて作業を進めることになりますが、職員の業務負担というものは、これは過重にならないのでしょうか、この点について見解を求めます。

○萱場課税部長 個人事業税の課税事務は、確定申告期間が終了した後、税務署において決算書等を閲覧することからスタートいたします。
 今回の期限延長によって、課税事務のスタートが例年より後ろ倒しとなり、八月の定期課税までの期間が短くなりますが、新規に課税対象となる案件で綿密な調査が必要なものなどは、九月以降の随時課税の取り扱いとするなど、効率的な処理と適正課税のバランスをとりながら、年度内に全件を処理してまいります。

○細田委員 迅速かつ適正な課税、これは担保されるべきですが、職員の負担にもぜひ配慮をしていただいて、業務の見直しなども含めて適切に対応をお願いしたいと思います。
 本庁職員は、テレワークを拡大していますが、税務の分野では、税務総合支援システムなどの電子化が進んでいるとはいえ、固定資産税では、図面を確認したり、納税者の方々と折衝を行ったり、都税事務所に行かなければできない仕事、こういうものも数多くございます。
 現状で、即座のテレワーク化が難しい業務について、職員並びに納税者の感染予防にどのような対応を図っているのでしょうか、都の見解を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘のとおり、都税事務所における賦課徴収事務や調査事務は、高度なプライバシー対応やセキュリティーが必要でございまして、テレワークによる業務が困難であるため、現時点ではテレワークの対象外としてございます。
 一方、都税事務所は、都民対応の最前線でございまして、コロナウイルス対策には十分な配慮が必要でございます。そのため、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議や、総務局人事部通知に即し、手洗いや、うがいなど通常の感染症対策を徹底するとともに、所属長に対し、日常的に職員の健康状況を注視するよう指示をしてございます。
 また、来庁者への感染拡大防止の観点から、各庁舎内に手、指の消毒液を設置しているほか、主に、窓口業務を担当する職員につきましては、マスク着用の上、業務に当たるよう指示をしてございます。
 これらの対策の徹底によりまして、職員及び納税者に対する感染予防を図っておるところでございます。

○細田委員 感染予防を図っている、こういうことでございます。
 けれども、テレワーク化が難しい業務として、まさに納税相談があります。新型コロナウイルスの感染症が今、猛威を振るっていて、納税者の方は、暮らしや事業の先行きに不安を感じております。このようなときこそ、主税局は、税務のプロとして、一人一人の状況に応じた丁寧な対応が求められております。
 そこで、納税相談において、換価の猶予の制度、これ積極的に猶予制度を活用していかなくてはいけない、このように考えますが、いかに考えますでしょうか、見解を求めます。

○川上徴収部長 地方税法に基づく猶予制度には、災害、病気、事業の休廃業などによって納税が難しい場合に適用できる徴収猶予と、都税を納付することによって事業の継続または生活の維持が困難になる場合に適用できる換価の猶予がございます。
 いずれの制度を利用いたしましても、原則一年内の期間で都税を分割等で納付することができるようになりますが、延滞金について、徴収猶予では、一部または全額が免除になるのに対しまして、換価の猶予では一部免除となるものでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、都税の納付が難しい納税者の方には、そのご事情をよく伺った上で最適な制度をご案内いたします。
 主税局では、こうした制度について丁寧な説明や申請書作成のサポートなど、納税者に寄り添った対応を行ってまいります。
 なお、このような内容を盛り込んだ猶予の取り扱いに関する都税事務所宛ての通知を発出したところでございます。

○細田委員 ぜひ、この新型コロナウイルス感染症のことを踏まえた上での、今ご答弁にありましたとおり、納税者に寄り添った個別の面談を行っていただいて、また、支援制度等もさまざまに今打ち出しているところでありますから、それらも十分にご紹介をしていただいた上で、しっかりと対応していっていただきたいと思います。
 今後、税収見通しが不透明になっているからこそ、都民と直接接する機会のある現場を預かる主税局として、どうぞしっかりとした感染予防策をとっていただいて、そして、税務行政への信頼を損なわないようにしていただくことを求めておきます。
 次に、都税事務所の窓口委託と都税証明郵送受付センターについて伺います。
 先ほど詳細な質疑がございましたから、なるべく重ならないように質疑をしたいと思います。
 今回の委託は、窓口業務や郵送証明業務のうち、封書の開封や証明の発行など、公権力の行使に当たらない業務を委託して、切り出して、民間に委ねていく、こういうものであります。
 本来、常勤の職員が、直営でやるべきだと、このような主張、意見もありますけれども、労働人口の減少により、あらゆる分野で担い手が不足しているという我が国の現状、こういう状況が深刻化する中で、公務員があり余る人員を使う、こういうような時代ではありません。
 今回、契約不調になってしまいましたけれども、不足していく人員の確保においては、ぜひ改めて検討していただきたい、検討していかなくてはいけない、このように思います。
 公権力の行使に当たらない対応、反復、単純業務を民間に切り出すというこの主張、これはこれまでも行われている、もう既存のことであります。
 まず、個人事業税において、確定申告書の転写をする事務を民間委託しているということですけれども、具体的にどのような事務をするのか、そのことを確認しておきます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 個人事業税における確定申告書の転写業務でございますが、税務署に提出された所得税の青色申告決算書などのうち、個人事業税の課税に必要なものを選別し、複写する業務でございます。
 業務の流れといたしましては、決算書など税務署内の閲覧会場に搬入し、索引簿との照合や複写の対象か、対象外かの選別作業を行い、対象資料を複写して納品していただく形となっております。これらの作業は全て紙の媒体で行われております。

○細田委員 税務のスペシャリストであります職員が限られた人員で質の高い仕事を行っていくためにも、公権力の行使に当たらない業務については、民間に切り出すことが行われているということであります。
 都税事務所の業務を一元化して委託している例として、納税推進に係る業務と自動車税コールセンター、これらが挙げられると思います。これらについても具体的にはどのような業務を委託して、切り出して、どのような成果を上げているのか、都の見解を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 納税推進業務委託は、滞納整理の初動業務でございます。自主的な納付の呼びかけや口座振替申し込みの受け付けなどの委託をしているものでございます。
 これによりまして、都税事務所の職員が困難な事案などに注力することが可能となり、公権力の行使に係る滞納処分や納税猶予など、きめ細かな滞納整理の実現に寄与しているものでございます。
 また、自動車税におきましては、減免制度や住所変更、納付方法など、自動車税に係る一般的な問い合わせ対応を委託しております。
 この委託によりまして、職員が減免の審査や課税調査などに集中的に従事することが可能となったことに加えまして、電話混雑時や、夜間、休日における音声ガイダンスの充実など、納税者サービスの向上に寄与しているものと考えてございます。

○細田委員 納税の推進や自動車税にかかわる問い合わせのように、一定の専門知識が必要な業務においても、一般的な問い合わせだとか、課税内容、減免、この制度の説明、住所変更だとか、納付方法だとか、こういう点において、しっかりと民間委託においても大いなる力を発揮してもらって成果が出ている、このような見解だと思います。
 この委託によって、納税者サービスの向上と職員をコア業務に集中させていく、こういう効果が生み出されているのではと思います。
 四月から実施しました都税郵送証明受け付けなどの民間委託の狙いもこのようなところにあったわけですが、残念ながら、郵送受付センターについては、昨年の四月当初に書類が大量に滞留して発行が大幅におくれてしまった、このような事実がございます。
 主税局がまとめました第一・四半期の総括によると、最大で千六百五十三件の滞留が発生して、三十六日間、延べ四百十八人を応援として投入されて対応されたということでありました。
 ここで尋ねますが、この四月に、申請者との間での問題は発生しなかったのでしょうか、答弁を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 稼働初日となる四月一日に約四百通の申請書を収受し、仕様書の手順に沿った処理に速やかに着手すべきところ、初動対応がおくれ、開封、仕分け、進行管理表の入力といった最初の作業が大きく滞ったところでございます。
 その後も、三百通近い申請が続き、滞留が増加するとともに、徐々に申請者から進捗状況確認の電話が増加し、遺憾ながら、その対応に追われ、処理が進捗しないという悪循環に陥ってしまったところでございます。そのため、証明書発行に係る所要日数は、従来一週間程度とホームページで公表していたところでございますが、十日程度かかってしまう事態が発生いたしました。
 また、納税義務者が所有する物件のうち、申請があった物件以外の証明書を発送してしまったというケースなど二件発生し、都税事務所の職員が申請者を直接訪問し、おわびの上、回収を行ったといったことがございました。

○細田委員 証明書の発行が十日かかったということ、また、この証明書の誤発行が発生したということは、率直に振り返って反省していただいて、また、二度と起こらないように、原因を追求していっていただきたい、こういうふうに求めますが、このような事態に対してはどのように改善をされたのでしょうか、見解を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 郵送センターでは、大量の申請を紙媒体で受け付けるため、開封や封入、封緘等の作業スペースの不足や、端末台数等の不足など作業環境の整備が不十分でございました。
 そのため、速やかに広いフロアへ機能を移転し、端末を増設するとともに、工程ごとに効率的な作業ラインの構築をいたしました。また、進行管理システムを導入し、一元的に工程管理する仕組みを構築いたしました。
 この結果、それぞれの作業工程の生産効率が向上したほか、センター全体の進捗状況が可視化され、ボトルネックを解消することが可能となったところでございます。

○細田委員 初動のおくれ、制度の稼働、当初の混乱はありました。
 しかし、混乱のみに着目して、常勤の職員による直営に戻すべきのような話は、一元化、民間委託の本質的な部分を考えていないものといわざるを得ないと私は思っております。問題の本質は、都税の窓口のサービスをどのように維持していくのか、限られた人材をどう有効に活用するのか、こういうことであります。
 今回、契約不調ということで、主税局の見込みが甘かったといわざるを得ない。そこは確かに大いに反省しなくちゃいけない、反省すべきところでありますが、令和二年度に向けて、ぜひ混乱のないよう最善を尽くしていただきたいと思います。
 これまでのこの質疑で、都税の現場には、紙と職員の手作業を前提とした業務が今も多く残されている、このことがよくわかります。
 今後、こうした業務の効率化とコア業務の高度化がさらに必要でありますが、先般、主税局が発表した主税局ビジョン二〇三〇には注目しております。このビジョンの中で、先ほども話がありましたが、税務行政のデジタルトランスフォーメーションとして、納税者の利便性向上、そして、社会構造変化への対応、これが挙げられております。
 まず、今、税務行政の二〇三〇年代のあるべき姿を描いた、この目的というものはどういうものなのか、この点について、都の見解を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 デジタル化による社会変革が進展する中、税務行政におきましても、手続の電子化やキャッシュレス化など、デジタルシフトを進め、納税者サービスの向上を実現することが求められていると考えております。
 また、税務行政を取り巻く社会構造が大きく変化していく中にありましても、引き続き、適正、公正な賦課徴収を行い、歳入所管局としての使命を果たしていかなければならないとも考えてございます。
 主税局では、将来にわたって、こうした要請に応えていくため、税務行政のあるべき姿を検討してきたところでございます。
 主税局ビジョン二〇三〇は、将来の目指すべき税務行政のあり方を明らかにするとともに、その実現に向けまして、バックキャスティングにより強力に施策を推進していくことを目的に策定したものでございます。

○細田委員 さきの予算委員会総括質疑において、都議会公明党の斉藤議員の質問に対して、主税局長の答弁にありましたが、このビジョンのポイントは、デジタルで可能な業務はデジタルに任せて、限られた人材を税務調査や納税相談に重点配置をする、こういうところだと思います。
 この理念の背景にある社会経済状況の変化を、局はどのように考えているんでしょうか、見解を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 取引のグローバル化や技術革新の急速な進展など、社会構造の変化に伴い、税務事務はより複雑となってきております。
 例えば、事業や取引形態の多様化によりまして、課税対象となる法人所得や資産の把握が困難になっております。また、超高齢社会における大相続時代の到来や、外国人納税者の増加に伴いまして納税義務者の特定が困難な事例も増加しております。
 将来にわたり都税収入を確保していくためには、法人実態の捕捉や相続人の特定などの税務調査や納税者に対するきめ細かな税務相談など、人にしかできない業務に職員を重点配置し、都税に対する都民の信頼や納得感を確保していくことが必要であると考えているところでございます。

○細田委員 わかりました。今後、税務手続のデジタル化の推進によって、納税者の都税事務所への来庁負担は軽減されて、職員は、まさに複雑、混雑化する税務調査等に重点的に配置されていく、そういうことになると思います。
 そこで、この税務事務改革を進めていくことで、都税事務所での業務は、今後どのように変化をしていくのでしょうか、都の見解を求めます。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで、紙媒体を基本として行われてまいりました税務手続のデジタル化によりまして、自宅やオフィスのパソコン、スマートフォンで手続を可能とするなど、納税者が都税事務所に来庁するといった負担の軽減を図ってまいります。
 また、これによりまして、都税事務所の業務の多くを占めていた窓口業務は縮減され、都税事務所は行政手続を主とする窓口から税務相談や税務調査、資産評価など、人による対応が不可欠な業務の拠点へとシフトチェンジしてまいりたいと考えてございます。

○細田委員 今、税務行政のあるべき形、姿を答弁していただいたと思いますが、今後、さらに取り組むべきことは、示された将来像の実現のために、具体的な業務改革を着実に進めていくことであって、これがなければビジョンはまさに絵に描いた餅になってしまいます。
 二〇三〇年のあるべき姿を見据えて、今後どのように具体的な業務改革を行っていくつもりなのか、主税局長の見解を求めます。

○塩見主税局長 主税局では、主税局ビジョン二〇三〇に示した税務行政のあるべき姿の実現に向けまして、令和二年度に税務基幹システムの再構築に必要な要件定義を行う予定でございます。その要件定義の前提として、令和元年度中に現行の業務フローを一から精査し、帳票類等の紙を介して行われている処理や職員の手で行われている作業など、デジタル化に向けた課題の洗い出しを現在行っているところでございます。
 抽出した課題を踏まえまして、ペーパーレス、判こレスなどを実現し、システムで可能な業務をシステム化する新たな業務フローの検討に着手いたします。
 それと並行いたしまして、今後も人が対応すべき税務相談や税務調査などをよりきめ細かく効果的に行う体制についても検討し、基幹システム再構築後のあるべき税務執行体制について、来年度中に公表していきたいと考えております。
 デジタル化が進んでも、決して人の力が必要なくなるということはございません。むしろ、人にしかできない仕事の重要性は増すものと考えており、そういった業務に人材を重点配置することが現場のモチベーションアップにもつながるものと考えてございます。
 税務行政のデジタル化に向けた検討の中で、業務のあり方そのものについて、職員一人一人が長期的な視点のもとで真剣に議論し、みずからやりがいのある仕事を生み出す気概を持って、真に実効性の高い業務改革を局一丸として実現してまいります。

○細田委員 税務事務改革の具体的な姿、来年度、公表されることを楽しみにしております。
 窓口業務や郵送センターの運営は、委託化するか、直営でやるかといった近視眼的な観点ではなくて、都民の利便性、これを第一に検討しなくてはならないと思っています。令和八年度の税務基幹システムの再構築によって実現される主税局ビジョン二〇三〇の将来像からのバックキャスティング、これを主税局業務がどうあるべきなのか、どのように変わっていくべきなのかを長期的視点に立って描いていくことで、窓口業務や郵送センターのあり方を含めた主税局の税務執行体制が確立されていく、このように思います。
 この観点から、どうぞ、よりよい都税事務所窓口のあり方を今後ともしっかりと検討をし続けていただきまして、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○池川委員 私からは、まず、新型コロナウイルス感染症対策に伴う対応について質問します。
 日々刻々と状況は変化をしていますが、その影響は拡大の一途をたどっていることは共通の認識だと思います。
 日本共産党都議団にも直接さまざまな声が寄せられております。今回のコロナウイルスでキャンセルが相次ぎ、終息が長引くと生活が苦しくなります。休業すれば収入はなくなり、かといって、あければお客さんもまばら、ランニングコストはかかりますし、この先続けていけるか不安、せめて納税の分割払い、括弧、もちろん延滞税はなし、ぐらいのことをしてもらいたいとか、ほかに、飲食店のパート勤務の方からは、新型コロナウイルスで、昨年の消費税増税から冷え込んでいた売り上げが一層冷え込み、パート、アルバイトのシフトが大幅に削られています、コロナの影響による業績不振から勤務を減らされています、時給月給なので勤務日を減らされると収入が減りますなど、本当に切実な声がたくさん寄せられているのが実態です。
 しかも消費税一〇%への増税によってさまざまな影響が出て、それが昨年十月から十二月期のGDP、マイナス七・一%としてあらわれています。さらに、それに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響が出ているということで、ことしに入ってからの景気の悪化はさらに深刻な落ち込みとなっていることは明らかだと思います。
 そうした中で、住民税、法人税等の都税にかかわっても、災害等で被害を受けた場合に減免される規定の適用、徴収猶予、換価の猶予、滞納処分の執行停止の積極的活用を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○川上徴収部長 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、都税の納付が難しい納税者の方には、その事情をよく伺った上で、地方税法に基づく徴収猶予や換価の猶予の利用をご案内いたします。
 滞納処分の執行停止につきましては、滞納者の方の収入や財産の状況などを詳細に調査した結果、滞納処分できる財産がないと認められるときなどに職権で行うものでございまして、現在の状況では、まず、猶予制度をご案内いたします。主税局では、徴収猶予制度等について丁寧な説明を行ってまいります。

○池川委員 新型コロナウイルス感染症の影響に対しては、事情をよく聞いた上で、徴収猶予、また、換価の猶予の利用も案内をしていくということでありました。
 国税庁は、三月九日に、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い納税が困難な者への対応について(指示)という文書を出しています。この趣旨には、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い財産に相当の損失を受けた納税者、売り上げの急減等により納付資力が著しく低下している納税者等から納付相談を受けた場合は、法令等及び本通達に基づき納税緩和措置を適切に適用する。なお、納税者との応接に当たっては、その置かれた状況や心情に十分配慮して適切に対応するものとすると書かれています。
 また、この通知の中では、例えば、相当な損失を受けたかどうかの調査については、納税者から帳簿等を徴することが困難な場合は聞き取りによるほか、署内資料によって判定しても差し支えないということも書かれていて、差し押さえの解除などについても具体的に明記をされているということです。
 具体的に聞きたいと思うんですけど、今、徴収猶予、換価の猶予について答弁がありました。こうした記述もこの通知の中には書かれています。さらに、滞納処分の執行停止、先ほど職員の判断でやるんだということだったと思いますが、それについても、例えば、納税者が事業を廃止した場合については、滞納処分の執行停止の検討を行うという旨も書かれています。これは、事業を廃止または休止した場合には、滞納処分の執行停止を検討するというのは、これは国税庁の指示文書のとおりに都としても対応していくのか、これが一点目です。
 もう一つ、あわせて、滞納処分についても、今こういう時期なわけで、先ほど慎重に対応していくという話があったんですけれども、都税事務所の職員の皆さんが、基本的には同じ認識でこの問題にはぜひ取り組んでいただきたいということで、先ほど紹介した国税庁の文書も含めて、都税事務所の職員の皆さんに丁寧な対応をしていただくということで、今回の通知の周知も含めて対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○川上徴収部長 まず一点目の滞納処分の執行停止についてでございますけれども、先ほど申し上げたとおり滞納処分の執行の停止については、滞納者の収入や財産の状況などを調査した上で職権で行うものでございまして、税法上、規定にのっとって行うものでございまして、それについては適切に対応してまいります。
 それから、国税庁の通達でございますけれども、これにつきましては、先般、主税局でも、国税庁と同様の趣旨の通知を都税事務所宛てに発出をしているところでございます。引き続き丁寧な対応に努めてまいります。

○池川委員 丁寧な対応を行っていただくということで、ぜひ現場の皆さんと力を合わせて取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。
 一方で、税制面から対策を行うことも必要だと考えます。
 我が党は、新型コロナウイルスの影響から、緊急に国民の生活を防衛するあらゆる手だてをとること、外需依存がいよいよ、なかなかできないというもとで、内需、家計、中小企業支援に力を集中することが必要だと考えています。
 その一つとして、例えば、消費税五%への緊急減税を実行することを求めています。国会の議論でも麻生財務大臣から、景気対策のために減税、反対するつもりはないと発言があったり、与党からもこうした発言が出ているのはご承知のとおりです。
 そこでお伺いをいたしたいと思いますが、消費税の減税を初めとする税制面からの対応について講じるよう、都としても国にさまざまな形で要望すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○副島税制部長 国におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、所得税の確定申告期限の延長を行っておりまして、それに伴いまして、都におきましても、個人事業税の申告期限を令和二年四月十六日まで延長したところでございます。
 また、都におきましては、今月十二日に行いました国への緊急要望におきまして、医療、検査体制の確立などに加えまして、経済や産業の停滞への対策について国が果たすべき役割を的確かつ緊急に講じるとともに、観光、興行、食品、物流等の産業にさまざまな影響が生じていることを踏まえまして、しっかりとした経済下支え対策を講じるよう求めたところでございます。
 国におきましては、近く大型の経済対策を取りまとめると方針を表明しておりまして、さまざまな施策が講じられてくるということが今後考えられますところから、都といたしましては、引き続き国の動向を注視してまいります。

○池川委員 現下のこうした状況をつくった背景に、やはり消費税の増税というのはありまして、これを緊急に五%に減税することは、消費を下支えし、国民の所得をふやし、低所得者と中間層への力強い支援策となると思います。
 政府がこの経済危機に立ち向かう強い姿勢を示す上でも、有効な施策であるというふうに私たちは考えております。都としても、さまざまな形で注視をし、必要に応じては、いろいろな要望もしていただける、既にしていただいているというふうに思いますので、内需、家計、中小企業対策を軸とした税制面からの支援についても国に求めるよう、また、都としても独自に対応できることは、今後、局面を見て行っていただきたいということを求めておきたいと思います。
 それでは、先ほど来質疑が続いていますが、都税事務所の窓口委託及び報告のあった主税局ビジョン二〇三〇にかかわって質問をいたします。
 私は、この都税事務所の窓口委託の問題について、昨年十二月の事務事業質疑で質問をさせていただきました。
 その際には、主税局自身が、窓口業務及び郵送証明書発行業務の集約化、委託化に係る第一・四半期のまとめの中で、予算積算上の想定人数を超過とか、当初想定していなかった管理職による閉庁後の待機が発生とか、委託と非常勤との作業工程を分化したことによる分割損などと評価していたこと。また、見える化改革の議論においても、当時の主税局長が、税務行政においてマンパワーの比重が多いことに鑑みまして、人的コストをいかに抑えるかという観点から委託化の検討が必要だと述べていたこと。また、特別顧問が、納税窓口ありきという発想を転換する必要がある、例えば、将来的にはAI、ICTの技術革新によって、都税事務所の窓口が不必要となる状況も想定すべきであると発言してきたことなどについてただし、やっぱり委託ありきだったのではないかという点をただしました。
 今年度の第一・四半期には極めて混乱をしていたということは明らかです。委託化をしたことに伴う偽装請負が疑われる事態もあったという指摘もあります。
 まず、委託化をしたことで、業務はスムーズに運営できたのかという問題について、改めて聞いていきたいと思います。
 サービスを受けるのは都民でありますから、これは大切な問題だと思います。
 改めてですけど、今年度当初の板橋都税事務所の状況について伺いたいと思います。また、今年度の四月、管理職を含む職員の中で最も労働時間が長かったのはどのくらいであったのかについても確認をさせていただきたいと思います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 業務委託初日である四月一日は、証明書の申請者が最も多い日であることと相まって窓口が混雑をいたしました。受託業務者が最終的にこの四月一日に証明書の交付を終えた時刻は、通常の開所時間を超えた十八時十五分でございました。四月一日以降は、おおむね通常の閉庁時間でございます十七時三十分までに証明書の交付を終了しているところでございます。
 また、板橋都税事務所の四月中における窓口業務所管部署の一般職員の超過勤務時間でございますけれども、最長は、課長代理の十五時間が最長でございました。また、受託事業者が証明書の交付終了後に行う集計作業に時間を要したことから、退所時刻がおくれたことに伴う施設施錠管理のために、管理職が四月中において最長三十時間程度待機をしたところでございます。

○池川委員 四月当初は、委託化の影響によって、最大三十時間の超過勤務の状態になっていたということです。しかも、受託事業者の証明書の交付終了後の集計作業に時間がかかったことが理由だとご説明がありました。
 改めて、委託仕様書に何と書かれていたか。基本的な考え方の一つ目に、履行期間当初より都民や業務の混乱を招かず、スムーズかつ安定的に業務を実施するというふうに書いてあったにもかかわらず、当初は大混乱だったということは、先ほど来、質疑でも明らかにされていますし、私も十二月の質問でこの点については明らかにしたことです。
 これは端的に伺いたいと思うんですけど、混乱した責任の所在というのはどこにあったと現時点では考えられていますか。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 窓口事務の運営につきましては、全て主税局が責任を負っているものでございます。
 受託業者が業務を適切に行うことは、業務の執行において委託事業を行う以上、当然のことではございますが、しかし、それによって混乱した責任はどこにあるかと問われれば、それは主税局が負っているものと認識をしております。

○池川委員 私のところには、都税事務所の中では比較的小規模である板橋都税事務所、これは委託化する検討の中でも比較的小規模な板橋都税事務所で始めるということだったと思うんですけど、その板橋都税事務所でこれだけの待ち時間となり、その状態が第一・四半期の間続いていたということに、やっぱり仕組みそのものに問題があるからではないかという声も上がったと聞いています。
 では、その混乱がどこから来ていたのかという点で幾つか確認をしておきたいと思うんですけれども、実際の業務量が想定を超えた業務量だったから時間がかかったのかということについて確認をしていきたいと思います。
 板橋都税事務所及び文京都税事務所、こちらは郵送受付センターになるわけですけど、業務量は実際どうなっていたのか。また、こうした点も踏まえて、来年度の委託仕様書ではどのように業務量を見積もったのかについてお示しをいただきたいと思います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年二月末までの板橋都税事務所における業務量でございますけれども、証明発行、申請書の収受、現金収納等の各種業務件数ベースで、当初積算では五万四百五十七件であったのに対しまして、実績は三万四千六百四十一件となってございます。
 また、令和二年二月末までの文京都税事務所郵送受付センターにおける業務量は、郵送受け付け通数ベースで、当初積算は六万五千二百六十通であったのに対しまして、実績は三万三千三百五十五通となってございます。
 なお、来年度の委託仕様書につきましては、委託範囲の変更があったことから単純な比較はできないところでございますけれども、板橋都税事務所につきましては、この実績も踏まえまして四万九千五百十三件、文京都税事務所郵送受付センターにつきましては四万二千二百二十六通としていたところでございます。

○池川委員 今年度については、板橋都税事務所で、当初の見込み、積算の七割程度、文京都税事務所の受付センターでは五割程度だということが確認をできました。つまり業務量が多かったから混乱した、時間がかかったということではないということだと思います。にもかかわらず混乱が生じていた、そのものは、やっぱり委託化の問題点を端的に示していると思います。
 来年度予算では、都税事務所の窓口委託化に伴う予算として一億七百万円が計上されたといいます。窓口システムの費用と三年間の長期継続契約にかかわる予算だというふうにご説明を伺っているところであります。
 来年度から、文京都税事務所の郵送受付センターと板橋都税事務所に加え、練馬、台東、墨田の三つの都税事務所の窓口委託化を行う予定とされていましたが、仕様書の内容、また、既に行われた準備契約の入札結果について確認も含めて伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の仕様書では、四月一週目の混雑対策といたしまして、評価証明書発行申請の事前受け付けを行うサービスを仕様書の中に盛り込んだところでございます。
 また、公用照会に係る名寄せ帳や滞納処分を受けたことのないことの証明書等の発行業務を委託範囲に追加してございます。
 次に、調達手続についてでございますが、同一事業者による安定的で質の高い業務運営を確保するため、長期継続契約を行うこととし、総合評価方式による競争入札を行ってございます。
 入札には六者の参加希望がございました。うち二者から技術提案書の提出があったところでございます。この二者について技術審査委員会による審査をいたしました結果、両者とも技術水準は満たしましたけれども、本年三月四日に開札をした結果、予定価格超過のため契約不調となったところでございます。

○池川委員 予定価格の超過で入札の不調となったということです。端的にいえば、都の予算の見積もり、積算根拠が相当安い額で設定をされていたということになると思います。しかし、結果としてそんな価格でやってくれるところはなかったということだと思います。
 不調になった原因については、現時点ではどのように分析をされているでしょうか。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 契約不調後、入札事業者や現行の受託事業者へのヒアリングを行った結果、最大の要因は、やはり直近の人件費の高騰だというふうに認識をしてございます。
 予定価格の算定に当たりましては、同一労働同一賃金に関する制度改正等を見込みまして、厚生労働省賃金構造基本統計調査等を参照の上、労働単価上昇率を六%と想定したところでございます。
 しかしながら、各事業者が人材確保のための待遇改善策としまして、令和二年四月以降の賃上げを予定していることに加えまして、四月の履行開始直後に最繁忙期を迎えることから、短期間に即戦力となる能力の高い人材を確保していくことが不可欠であることから、このことが委託費の増加にさらに拍車をかけたものと考えているところでございます。

○池川委員 不調になったことは重く受けとめるべきだと思います。また、四月からの即戦力となる能力の高い人材を確保していくことが不可欠で、それが委託費の増加にも拍車をかけることになったといわれましたが、実際に誰でもできる仕事ではやっぱりないということを私は強調しておきたいと思います。かつて主税局長がいわれた、人的コストをいかに抑えるかという視点から委託化を検討するとしてきたことが、やはり大きな矛盾に直面しているというふうにいわざるを得ません。
 今回、準備契約の結果を受けて、来年度、練馬、台東、墨田の事務所は直営のまま、板橋と文京は直営に戻すということでよろしいでしょうか、確認です。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度につきましては、窓口業務を維持するため、緊急避難的な対応といたしまして、会計年度任用職員による直営とする方針でございます。
 なお、令和元年度に板橋都税事務所で実施をいたしました窓口業務の集約化と、文京都税事務所で実施をいたしました郵送による証明申請の集約化につきましては、二年度も継続をしてまいりたいと考えております。

○池川委員 定数について確認をしたいと思います。
 来年度、主税局の常勤及び非常勤の職員定数はどのように変わりましたか。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、常勤職員についてでございます。都税事務所における執行体制の見直しなどによりまして、四十一名を減員する一方、固定資産GISの導入や税務基幹システムの再構築に向けた検討などに対応するため、二十八名を増員し、差し引き十三名の減員となってございます。
 次に、会計年度任用職員の設定数についてでございます。証明書発行業務の委託化拡大などに伴いまして十三名の減員としたほか、死亡事案を抽出できる新たなプログラムの運用開始に伴う事務処理件数の増加などによりまして、所有者調査事務員九名を増員し、差し引き四名の減員とする予定となってございました。

○池川委員 常勤職員は、執行体制を見直すなどトータルで十三人の減員だということです。また、非常勤職員では、委託化の拡大で十三人減員となる一方で、死亡事案の抽出に係るさまざまな事務によって、九人の増員によって差し引き四人が減員になるということでありました。
 主税局が出した先ほど来あります第一・四半期のまとめの中には、課題一として、非常勤職員の担い手不足への対応という項目があり、非常勤職員主体の窓口運営の持続が見通せないため、民間委託による新たな執行体制の構築が不可欠などということが列挙をされているわけです。非常勤職員が減って立ち行かないから民間委託化しようという話だと思います。
 前回も指摘をしましたが、これまで、やはり採用が行われてこなかったことが原因だと思います。来年度も常勤職員を十三人減らすということでしたが、この間、常勤職員をやっぱり減らしてきた結果が、この退職後非常勤職員となる知識と経験を持った方々が減っていく要因となっていたわけです。
 先ほど答弁では、予定であったということでありましたが、具体的に直営として戻していくということで、結果的には非常勤職員を減らさず対応することだと思いますが、来年度、結果として、非常勤職員の定数はどの程度になるのかお伺いをいたしたいと思います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどご答弁申し上げましたように、緊急避難的な対応として、令和二年度の窓口業務を維持するため、会計年度任用職員による直営とする方針といたしました。このため、先ほど申しました二十八名の部分につきましては、この窓口業務及び郵送受付センターの業務を担っていくための要員として定数を戻したところでございます。

○池川委員 結果として非常勤の定数は二十八人ふやすということです。窓口業務の委託は、非常勤の担い手不足に対応するものというわけですが、その一方で、第一・四半期のまとめの中でも人的コストの最適化の実現ということが書かれています。人件費の削減をしていこうというのが実態ですし、本音だと思うわけです。
 第一・四半期のまとめの中でも、予算積算上の想定人数を超過という記述がありました。つまり、想定より窓口業務の委託の人件費は、今後上がっていくことがこの時点でも想定をされていたわけです。また、委託の契約が不調になった理由をお伺いした質問の際にも、最大の要因は、直近の人件費の高騰だという答弁も先ほどありました。こうしたことから、民間委託化をすれば人件費が減らせるのかということについても、実際はそうならないのではないかということを指摘したいと思います。
 非常勤職員の方は、月十六日の勤務で月額十九万四千四百円で今雇用をされています。このほかに、社会保険料や通勤手当などが加わりますが、率直にいって、専門的な仕事にもかかわらず、実際の賃金は高くないというのが実態です。既に主税局のいう人的コストは、削減、この間、実際非常勤職員にすることでされてきているというふうに思います。
 そこで伺いたいと思うんですけど、委託化した場合の人件費と、直営として運営した場合の人件費について、どのように比較をされているのか、実際ふえるのか減るのかについてもあわせて伺いたいと思います

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、令和二年度の予算額でございます。
 ここでは、先ほど来申しましたとおり、郵送受付センター及び窓口四所の業務を委託する経費といたしまして一億六百四十万四千円の予算を計上してございます。これを仮に非常勤代替、これからまさに委託が不調になったことに伴いまして、この形で二年度運営していくわけでございますけど、この二十八名の非常勤代替による年間経費といいますのが人件費となりますけれども、八千二百六十九万八千余円となってございます。
 また、これを仮に常勤職員で年間運営するとしました場合、常勤職員でありますと非常勤二十八人に対しましては二十二人の常勤職員の代替となりますことから、これを常勤職員で全て担うとした場合には一億六千四百一万余円の経費となるというふうに算定をしてございます。

○池川委員 さっき指摘したとおり、非常勤職員に窓口業務を担っていただいていることで、いわゆる人的コスト、これは主税局の皆さんがいわれている人的コストは既に削減をされてきたというふうに思うわけです。
 今の答弁ですと、これはさまざまほかの業務と合わせるとか、いろいろご説明は事前に伺っていますけど、人件費というところに限って見るならば、委託で今回一億六百万円余、一方で、非常勤の場合は八千二百万円余ということであります。これは、しかも今回不調に終わったということは、少なくともこの額よりは今後ふえていくことは間違いないですし、先ほど来の答弁でも、例えば、四月から高い能力の人材が必要とか、人件費の高騰があるとかということになっていけば、これは非常勤の方の賃金改定がなければですけど、少なくともその差はどんどん開いていくということになっていくわけです。
 私自身は、人件費イコールコストと見るようなことはすべきではないというふうに思いますが、少なくとも主税局の皆さんがいわれてきた人的コストの削減というロジックからも、これは率直にいって成り立たないのではないかということを指摘したいと思います。
 また、実際に、都税事務所で働く皆さんの中からも、委託化については慎重であるべきだという声が一定数上がっているということも私自身仄聞をしております。また、これだけ問題が実際に山積し、今回不調となったわけですから、この際、一度きちんと直営にして検証すること、そして、この間減らしてきた職員を、その反省に立ってきちんと採用することも含めて都民の期待に応えていくべきではないかということを求めておきます。
 改めて、二〇二五年までに全ての都税事務所の窓口の委託化、また、郵送センターの一元化、このことは行うべきではないということを求めて、質問を終わりたいと思います。

○大津委員 主税局ビジョン二〇三〇について伺います。
 ビジョンでは、令和八年度までに税務基幹システムの再構築を行い、税務行政のデジタル化により、納税者の利便性の向上を図るとしています。デジタル化の波は、生活面に急速に広がっており、国も推進しているところですが、デジタル化の長所、短所と、顔と顔のわかる対面業務の長所、短所の両面の長所を生かしていくことで、納税者がそれぞれ誰ひとり取り残されずに便利になったと実感してもらえることが重要です。
 そこで、主税局の目指す税務行政のデジタル化は、例えば、シニア層にとってどのようなメリットがあるのか伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 デジタル化が進んだ税務行政の目指す姿でございます。税務に係る相談や手続を行うに際し、そもそも窓口に出向くこと自体が不要となる仕組みの実現と考えてございます。
 例えば、来年度から開始するチャットボットは、二十四時間三百六十五日、自宅にいながら税に関する問い合わせができる仕組みでございます。また、スマートフォン等によって納税できる仕組みも来年度中にスタートをいたします。
 このように、税務行政のデジタル化は、高齢者を含むあらゆる納税者に対して税務情報や手続がバリアフリー化するメリットを提供するものと考えてございます。

○大津委員 デジタル化についてはやはりわかりやすいこと、納税するための操作や、やり方がわかりやすいことが肝心であります。今後、デジタル化の説明、宣伝においては、相当のわかりやすい親切な説明、宣伝が必要となっていくと思います。
 都税の納付方法についての平成三十年度についての比率を見てみました。例えば、対象税目の差はありますけれども、一位が三二・七%を占めるのは金融機関の窓口、二位の二九・一%を占めるのもコンビニでの現金払いでもあります。わかりやすく簡単に、いつでも、どこもという、こうした機能、これらもちゃんと検討をデジタル化の中にも入れていくことが大切かと思います。
 例えば、デジタル化がキャッシュレス納税に代表されるように、パソコンやスマートフォンを使った利便性の向上を前提としている場合には、例えば、スマホ、パソコン、キャッシュレスにどうしてもなじめない層やシニア層、また、チャットボット、もう言葉もわからない、面倒くさいと思うような人たちもたくさん多く、そして、更新も激しい情報機器を次々に買っていられないという層も多いかと思います。
 パソコンやスマートフォンの取り扱いにふなれであったり、そもそもそういった情報機器を持っていなかったりという、いわゆるデジタルになじめない人たちへの対応について、都はどのように考えているのか、所見を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘のとおり、社会全体がどれだけデジタル化し、利便性が向上したといたしましても、デジタル機器の利用が困難な納税者の方々が一定程度いらっしゃることにしっかりと対応していくことが重要でございます。
 デジタル化の実現後も、あらゆる納税者に対する窓口での納税相談につきましては、着実に実施できる体制を整えてまいります。
 また、デジタルによる申告や納税をしたいが方法がわからないといった納税者の方々に対しましても、窓口における必要な助言を丁寧に行うなど、個別のサポートを強化してまいりたいと考えております。

○大津委員 それでは、現場を見てみたいと思います。
 納税者が都税事務所の窓口を訪れる理由は多種多様で、そんなに詳しい納税者がいっぱいいるわけではなく、さまざまわからない点も抱えながらの訪問と思います。個別の税に関する相談やわかりやすい税の説明などは、やはり人と人との対面で話すことも求められています。
 そこで、地元でもあります渋谷都税事務所、ここは渋谷区役所の中にありましたが、今は恵比寿ガーデンに移転しているものの、現在、どのような目的で、どのくらいの納税者の方々が窓口に訪れているのか、現場の実態を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 渋谷都税事務所の事業税部門でございますけれども、法人事業税の申告や自動車税の減免申請などで、多い日には、およそでございますが、百名程度の方が訪れておられます。単なる申告書、申請書の提出にとどまらず、書類の記載方法などの相談も受けているところでございます。
 資産税部門でございますけれども、固定資産評価証明書の申請や土地家屋など資産の評価に関するご相談など、多い日にはおおよそ三百人程度の方が訪れております。
 また、徴収部門でございます。納税証明書の申請や納税に関する相談のため、多い日にはおよそ百名程度の方が訪れておられます。
 ご指摘のとおり、都税事務所の窓口に訪れる方々は、職員からのわかりやすい説明や個別具体的な相談を望まれる方が多く、引き続き丁寧な対応が必要であると考えているところでございます。

○大津委員 想像以上に来訪者の数は活況を帯びていると感じます。
 昨今、銀行なども次々と窓口を閉鎖し、ATMだけを残すところも見受けられます。また、地元の渋谷でも、昨年の四月から一部の出張所の窓口業務を閉鎖し、自動証明書交付機による対応に切りかえたところもありました。
 自動証明書交付機ではマイナンバーカードがないと発行できず、マイナンバーの紙の通知書ではだめで、カードじゃないとだめだということで、窓口業務のところはマイナンバーカードがなくても申し込み手続ができると。したがって、自動証明書交付機にしても、やはり職員の方に教えてもらわないとわからない、いろいろな声が上がってきているところでもあります。
 デジタル化をコストカットと考えるのではなく、そもそも全ての都民にとって何が便利なのかをよく考えてみる、そうした行政サービスの原点でもあります都民生活の優しい向上が視点として重要であります。
 例えば、引っ越しの際、手続を考えますと、区役所、都税事務所、年金事務所にそれぞれ住所変更する必要もあり、こうした煩雑な手続、行政の縦割りにより、都民に手間をとらせてしまいがちになっていたものはどんどんデジタル化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 税務行政のデジタル化におきましては、申告や納税といった納税者の方が行う手続のデジタル化だけではなく、国、地方自治体、民間企業等との電子的な外部連携、いわゆるバックオフィス連携の実現を目指してございます。このバックオフィス連携によりまして、各種の申請時における添付書類の省略が可能となります。
 また、住所変更等の届け出など、それぞれの窓口ごとに必要となっている手続が一度で済むようになる、いわゆるワンスオンリーが実現いたします。こうした添付資料の軽減や手続の簡素化などによりまして、デジタルに弱い方々も含め全ての納税者の利便性向上を目指してまいります。

○大津委員 デジタル化の推進により、デジタルになじめない方たちの利便性向上を図っていくことも煩雑化の手続解消などによりできることだとも考えます。
 デジタル化が、お年寄りや、そうした情報機器を所有していない方たちを置き去りにするようなことがあってはなりません。税務を初め行政は、つまるところ人と人との信頼関係によって成り立っており、そのためにも、職員一人一人が今以上にプロ意識を持って納税者に納税をしていただくという気持ちで向き合うことが必要です。
 そこで、デジタル化を進めることによって、窓口サービスが低下することのないよう、所見を伺います。

○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局ビジョン二〇三〇では、税務基幹システムを再構築することによりまして、システムで可能な業務はシステムに任せるようにすることを目指しております。
 これによりまして、限られた人材を、窓口における相談など人にしかできない業務に重点配置し、丁寧な窓口サービスを行っていくことによりまして納税者の信頼確保に努めてまいります。

○大津委員 主税局も今まで長年力を入れてきました人材教育、それらを継続、発展させながら、そして税に対する納税者の理解を得るために、デジタル弱者はもとより、全ての納税者に対して、誰ひとり取り残さない対応ができる窓口業務体制を構築していくことが不可欠であります。
 これらのことを踏まえ、今後、納税者に対してどのように向き合っていくのか、塩見局長の決意をお伺いいたします。

○塩見主税局長 主税局ビジョン二〇三〇は、税務行政のあるべき将来像として、納税者の利便性が向上し、社会構造の変化に対応した執行体制が構築された姿を示した上で、その実現に向けた方策としてデジタル化を推進していくこととしたものでございますが、当然にして、今お話がありましたように、納税者との信頼関係を前提としたものだというふうに考えてございます。
 また、人材育成というお話もございましたが、こうした税務手続や事務のデジタル化を進めていくに当たりましては、その先にある税務の仕事のあり方そのものにつきまして、局の職員一人一人が高い意識といいますか、その自覚を持って、みずからの仕事を効率的で生産性の高いものに改善していくという、そういった取り組みが非常に大切であるというふうに考えてございます。
 持続可能な都市東京の実現に向けましては、正確で公平な課税、徴収による安定した税収の確保が大変で重要でありますが、何といっても税に対する納税者の理解が不可欠であるというふうに思います。
 この理解を得るためにも、仕事の質と効率性を高める上で、個々の納税者の実情に応じた相談など、税務のプロフェッショナルとして、人にしかできない業務に十分に対応可能な執行体制を構築し、お話にありましたようなデジタルになじめない方々などを含めまして、一人一人の皆様にきめ細かく丁寧に対応してまいる決意でございます。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十七分散会

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