財政委員会速記録第十八号

令和元年十二月十三日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長上野 和彦君
副委員長田村 利光君
副委員長ひぐちたかあき君
理事池川 友一君
理事森村 隆行君
理事山田ひろし君
けいの信一君
成清梨沙子君
細田いさむ君
三宅 正彦君
大津ひろ子君
宇田川聡史君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務初宿 和夫君
契約調整担当部長新田見慎一君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長佐藤 千佳君
技術管理担当部長飯泉  洋君
庁舎運営担当部長後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
会計管理局局長佐藤  敦君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松丸 俊之君
警察・消防出納部長加藤 政弘君
会計制度担当部長斎田ゆう子君

本日の会議に付した事件
決議について
会計管理局関係
報告事項(質疑)
・令和元年度公金管理実績(上半期)について
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案 令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中 、予算総則、 歳入、債務負担行為-財務局所管分、都債
・第百九十三号議案 東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
・第百九十四号議案 法人事業税国税化対策特別基金条例を廃止する条例
・第二百二十一号議案 警視庁本部庁舎(三十一)大規模改修工事請負契約
・第二百二十二号議案 都営住宅三十一H-一〇五東(足立区竹の塚七丁目)工事請負契約
・第二百二十三号議案 中川護岸耐震補強工事(その二百四)請負契約
・第二百二十四号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その三十)請負契約
・第二百二十五号議案 当せん金付証票の発売について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十号 東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都民の城(仮称)改修基本計画中間のまとめについて

○上野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○上野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査並びに会計管理局及び財務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第二百二十一号議案から第二百二十四号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 報告事項、令和元年度公金管理実績(上半期)についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 デフレからの脱却と持続的な経済成長実現のため、日本銀行が大胆な金融緩和政策を平成二十五年に実施してから、七年近くがたとうとしています。
 私は、この金融緩和の開始時期からちょうど四年間、財政委員会に所属をしておりまして、マイナス金利政策を初めとする未曽有の金融緩和政策の導入と、それに伴う激動の金融市場を目の当たりにしてまいりました。
 このたび、再び財政委員会の委員となり、改めて現状を確認しましたが、都の公金管理を取り巻く金融環境は、さらに厳しくなってきたのではないかと感じております。
 日経平均株価こそ二万円台前半へと回復したものの、消費者物価の伸びはいまだにゼロ%台と、目標とされる二%には届かず、九月には長期の利回り指標である十年国債利回りが過去最低レベルまで低下するなど、デフレ脱却にはほど遠い状況に思えます。また、本年十月の消費税率引き上げの影響も今後懸念されるところです。
 こうした中、都の公金の主な預け先である金融機関の経営状況は、超低金利に伴う利ざや縮小のため、三菱、三井、みずほなどのメガバンクを含め大変厳しく、特に地方銀行においてはその傾向が顕著との報道もなされております。
 東京都の公金管理は、安全性、流動性、効率性の確保が原則とされてきましたが、公金は都民の貴重な血税、税金でもあり、何よりも安全性が最重要視されることを認識しております。
 そこでまず、こうした厳しい金融情勢下における、公金の安全性を確保するための取り組みについてお伺いします。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の公金管理につきましては、委員お話しのように、安全性、流動性、効率性の確保という三つの原則に沿った保管、運用に努めておりまして、特に、最重要視する安全性の確保におきましては、預金先金融機関や都が保有する債券の発行体における経営の健全性に十分留意する必要がございます。
 まず、預金につきましては、預金先となっている金融機関の経営の健全性を分析するため、金融庁に登録されている複数の格付機関が付与した格付を初め、自己資本比率や収益性などを組み合わせた基準を設定し、この水準を上回ると判断した金融機関のみを預金先としております。
 一方、債券につきましては、運用対象を、国債を初めとする極めて安全性の高い機関が発行する債券に限定した上で購入しております。
 その上で、預金先金融機関や債券発行体の経営状況に応じて、金額や期間などに制限を設けているほか、日常的に金融機関等の格付や社債の利回り等を監視し、経営状況の変化の兆候を早期に察知できるように努めております。

○大津委員 安全性重視でお願いしたいと思います。
 過去、舛添知事のときに、収益性をアップするために株式投資はどうかと知事が言及したときがありました。結果、しないで済みましたけれども、公金の株式投資は、非常に安全性の面からも危険性が伴います。
 従来の延長線上にはない厳しい金融情勢においては、的確な公金管理のため、適時適切な状況把握や正確な判断が求められるところです。また、非常に細かく専門性の高い分野でもあることから、相応の管理体制のもとで業務を適切に執行する必要があると考えます。
 そこで、安全性を確保するための、こうした動きに的確に対応するための、現在の公金管理にかかわる組織体制について確認をし、お伺いしたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、公金管理課におきましては、キャリア活用制度で採用された、専門的知識やスキルを有する職員が複数在籍しているほか、現役の金融機関在籍者を特定任期つき職員として配置しておりまして、金融分野の最前線の知識や実践的なスキルを活用、共有できる体制となっております。
 また、外部の専門助言員から、金融機関の経営分析等に必要となる情報や助言を受けるとともに、分析の結果等については、金融分野の専門家等で構成される東京都公金管理アドバイザリー会議に諮り、委員の豊富な経験や識見を取り入れながら、金融情勢などに応じた的確な判断、対応を行っております。
 これらを有効に活用し、金融情勢の動向や金融機関を初めとする公金運用先の経営状況をきめ細かく把握して対応することにより、公金の安全性の確保に万全を期しております。

○大津委員 専門的知識を有する人材を活用した管理体制ということで、また、さまざまな研究、検討をしながら安全性、そして組織体制をこれからもしっかりとやっていっていただきたいと思います。
 一方、マイナス金利という、資金を管理、運用する立場からいえば非常に厳しい環境が続いていますが、このような環境下にあっても可能な範囲で効率性、つまり収益や利回りをさらに上げる、そういった努力も重要であります。
 例えば、一兆円を利回り〇・〇〇一%で一年間運用した場合の利息収入を計算してみると一千万になるわけで、じゃあ利回りが〇・〇〇四%だと四千万、じゃあ〇・〇一%だと一億円ということになりますので、大きな金額だと、この利息収入も相当変わってくるわけです。
 そこで、安全性を確保しつつもマイナス利回りを回避し、効率性も確保するに当たり、どのような運用方針をとっているのか、またどんな工夫をしているのか、あわせて所見を伺います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、預金での運用につきましては、資金需要の低迷から、金融機関の預金受け入れスタンスが非常に消極的である中、預け入れ期間や金額など、金融機関の個別ニーズをしっかりとヒアリングし、運用のマッチングに努めるなど、きめ細かい対応を行っております。
 一方で、債券での運用につきましては、長期金利の指標となる日本国債十年物の利回りがいまだマイナス圏で推移していることから、国債や政府保証債と同等の信用力を有し、比較的利回りの見込める地方債や財投機関債での運用に重点を置いております。
 あわせて、運用効率をさらに高めるために、預金に比べ相対的に利回りの高い債券での運用割合を引き上げるなど、機動的にポートフォリオの最適化を図ることにより、安全性を確保した上で、柔軟かつ効率的な運用を行っています。

○大津委員 先日も財政委員会がありまして、その報告によりますと、都税収入の増加等により、令和元年度上半期の公金全体の平均残高は六兆三千二百二十一億円と、対前年同期比で四千二百十六億円が増加しているところでもあります。
 マイナス金利という歴史的低水準の市場金利の中で、公金の運用先の確保と安全性が強く求められる状況下、六兆円余りの金額を預かる責任は重いものもあります。都民、そして将来世代のために、適切に管理、運用をしていっていただきたいと存じます。
 さて、国内においては、当面、日銀による金融緩和政策は継続をされ、国内金利は引き続きマイナス圏を推移すると予想されます。
 一方、海外動向に目を転じますと、トランプ政権の政策動向次第で、世界中の株式や為替などが、金融資本市場が、日々目まぐるしく変動しています。
 そこで最後に、このような環境の中で、公金管理を取り巻く金融市場の環境についてどんな認識をされているか、また、今後の公金管理の方向性について、局長に所見を伺って、質問を終わりにしたいと思います。

○佐藤会計管理局長 委員のお話にありましたように、十月に行われました日銀の金融政策決定会合におきましては、現行の大規模な金融緩和政策を維持、継続する考えが示され、同時に黒田総裁より、追加金融緩和について示唆する発言もございました。また、本日発表された、いわゆる日銀短観によりますと、大企業の景況感が四期連続の悪化となっておりまして、今後も、金利は極めて低い水準で推移していく見通しでございます。
 また、国外に目を向けますと、これまで継続的に利上げを実施してきました米国が七月より利下げに転じ、昨日には二〇二〇年の金利据え置きを示唆したほか、欧州では九月に三年ぶりの利下げを実施、さらに中国におきましても金融当局が緩和に踏み切るなど、各国とも景気減速リスクに対応すべく金融施策を展開してございます。
 このような中、国際通貨基金は、十月に二〇一九年の世界経済見通しを引き下げておりまして、日銀も十月の展望レポートで、海外経済の回復時期が従来想定よりもおくれるとの見方を示してございます。
 これらの点から、現在の金融市場の環境は、過去の経験則が通用しづらい、極めて不透明な金融環境にあると申せまして、さまざまなシナリオを想定し、あらゆるリスクに備えることが極めて重要と考えてございます。
 こうした認識のもと、今後は、これまで以上に内外の経済金融情勢や公金預け先の経営情報を適時適切に収集、分析をし、変化の激しい金融環境に対して柔軟かつ機動的に対応することで、安全性と効率性の両立という難度の高い課題の克服に向け、局一丸となって取り組んでまいります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はこれで終了いたします。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○上野委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 初めに、第百八十四号議案、令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、債務負担行為、財務局所管分、都債、第百九十三号議案、第百九十四号議案及び第二百二十一号議案から第二百二十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○森村委員 私からは、令和元年度東京都一般会計補正予算について伺いますが、個々の事業の詳細は各委員会で審議されているものと思いますので、ここでは補正予算の大枠についてお聞きします。
 今回の補正予算総額は百四十四億三千八百万余円であり、その内訳を見ると、防災対策の推進として約百三十四億円が計上されており、そのうち八十億円が多摩・島しょ地域を初めとする都内に大きな爪跡を残した台風被害に対する迅速な対応のため、その他、東京二〇二〇大会の準備作業で浮かび上がってきた課題に対応するための追加対策等として八億円が計上されています。
 台風への対応について、私たち都民ファーストの会東京都議団は、台風十五号、十九号の際に、被災状況について現地視察を行い、把握した被害状況を報告するとともに、補正予算の策定を柱とした、早期の復旧に必要な支援策について求める要望書を知事宛てに提出させていただきました。私自身も地元青梅市内の被害状況を確認し、一刻も早い復旧について求めたところです。
 そこで、まず初めに、今回の補正予算編成の意義とそこに込めた考えについて伺います。

○山田主計部長 今回の補正予算は、本年九月から十月におけます台風被害や東京二〇二〇大会の準備作業で浮かび上がってきた課題に、速やかに着手するために編成したものでございます。
 一つ目の柱であります防災対策につきましては、被災住宅の補修に係る新たな補助制度の創設や、被害を受けた市町村に対する特別交付金による財政支援などにより、台風被害からの早期の復旧を図るとともに、災害時における電源を確保するため都立一時滞在施設にスマートフォン等の充電用機材を配備するなど、今後の災害への備えを講じるための経費を計上したものでございます。
 二つ目の柱であります東京二〇二〇大会の成功に向けた追加対策については、暑さ対策やプラスチック対策の充実など、円滑な大会運営に資する取り組み、交通需要マネジメントの取り組み強化や都庁発注工事の前倒しなど、大会期間中の混雑緩和に資する取り組みなどに係る経費を計上したものでございます。
 今回の補正予算によりまして、前倒しでの実施が必要な施策に速やかに着手することで、台風被害からの復旧、復興と今後の災害への備え、東京二〇二〇大会の確実な成功に向けた課題に、迅速に対応することができると考えております。

○森村委員 被害を受けた自治体の早期の復旧に向けては、地元自治体からの被災情報や都による調査を通じた被害状況の詳細把握を行うことが、実効性確保のために重要です。
 その上で、必要な予算の積算や、復旧工事等に必要な期間や優先順位について策定することが必要ですが、今回の補正予算を策定するに当たり、どのようにして区市町村の要望を踏まえたのかお伺いします。

○山田主計部長 補正予算を実効性あるものとするためには、現場の実情を熟知している区市町村の意見や考えを踏まえた施策を展開していくことが重要であると認識をしております。
 今般の台風被害については、発災直後から関係各局が現場を訪れ、被災の状況を確認するとともに、地元自治体との情報共有や意見交換などを通じ、復旧、復興に向けたさまざまなニーズを酌み取った上で、予算要求に反映をさせているところでございます。また、特別区長会、市長会、町村会からは、今回の台風被害に対し、被災者生活支援や災害復旧、財政支援、防災情報の発信など、多岐にわたるご要望をいただいております。
 今回の補正予算では、こうした被災自治体の状況やニーズを踏まえて、ソフト、ハード両面から幅広い支援を迅速に展開するという観点から編成作業を進め、都独自の支援なども行っているところでございます。
 この補正予算の実効性を確保するため、区市町村とも緊密に連携しながら、今般の台風被害からの復旧、復興、今後の災害への備えなどに向けて、しっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。

○森村委員 地元自治体と丁寧に連携していることがよくわかりました。
 都民生活に直結する台風被害からの復旧については、ぜひとも迅速に対応いただきたいところですが、中には被害が甚大で、復旧までにかなりの時間を要する箇所もあります。
 また、被害が大きかった西多摩地域や島しょ部では、国内外から多くの観光客が訪れる東京二〇二〇大会に照準を合わせ、地域を挙げて観光資源の磨き上げや受け入れ環境の整備を行ってきた経緯がありますが、今回の台風による被害からの復旧状況によっては、東京でオリンピック・パラリンピックを開催するという、またとない大きな機会に合わせて、国内外からの観光客を呼び込むためのチャンスを逸しかねないという悲痛な声も上がっています。
 都では、台風の直後から、既に被災地域へのさまざまな支援や復旧工事等を進めていただいており、地元からは、その迅速な対応に対する感謝の声が多数寄せられております。こうした事業を今後も継続し、早期の復旧を目指すために、今年度から来年度にかけて、しっかりと切れ目のない財政支援を行っていただくよう要望するものです。
 今回の補正予算案では、債務負担行為が全体で約六十九億円、そのうち、台風被害に対する迅速な対応として八億円、東京二〇二〇大会成功に向けた追加対策として六十一億円が計上されていますが、これは、今後の復旧、復興や東京二〇二〇大会の確実な成功を見据えて計上されているものと考えます。
 そこで、今回計上されている債務負担行為の考え方について伺います。

○山田主計部長 債務負担行為は、翌年度以降の財政支出をあらかじめ約束する行為のことでございます。今回の補正予算の場合で申し上げますと、令和二年度の予算の枠をあらかじめ確保しておくことで、実際の支払いは令和二年度となるものの、契約や発注といった行為について、今年度中に行うことができるようになるというものでございます。
 今回の補正予算では、防災対策について、台風被害からの復旧、復興を速やかに進めていくため、今年度末までに完了に至らない復旧工事などに債務負担行為を設定し、可能な限り早期の工事着工を図るなど、迅速な対応を行うものでございます。
 また、来年七月に開催が迫る東京二〇二〇大会に向けて、休憩所やテントの増設等のさらなる暑さ対策などに債務負担行為を設定し、契約や発注を今年度から前倒しで行い、大会準備を円滑に進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、台風被害からの復旧、復興や東京二〇二〇大会の確実な成功などに向けて、事業の早期執行を図ってまいりたいと思います。

○森村委員 今回の補正予算では、債務負担行為の設定により、台風被害への対策について切れ目のない予算が確保され、適切に対応していただけるとともに、間近に迫った東京二〇二〇大会に向けて大詰めを迎える準備に対しても、財政的にしっかりと備えられることがわかりました。
 現在、私の地元青梅市でも市議会が開会中ですが、そこでも台風十五号、十九号による被害からの復旧のための予算、約四億八千万円を含む補正予算案の審議が行われていると聞いております。頻発する自然災害への対応については、おのおのの自治体だけでの対応は極めて困難で、都としての強力な支援が期待されています。
 このような事態に直面したときに、ぜひとも、区市町村を強力に支援する体制を、都として臨機応変にとっていただけるよう求めるものです。
 また、今後の都政においては、今回のような災害に限らず、突発的な課題や予期せぬ緊急的なニーズ、早急な対応が必要な事象が起こり得るものと考えます。
 そこで、想定の範囲を超えた問題が発生することなどを踏まえ、今後、どのように財政運営を行っていくのか、局長の考えをお伺いして、質問を終わらせていただきます。

○武市財務局長 台風、地震など、頻発、激甚化する自然災害、また本格的な人口減少、超高齢化の進展など、都政を取り巻く環境は刻一刻と厳しさを増しております。今後も、あらかじめ想定することが難しい困難な課題、その中には即時的な対応が求められる緊急的な課題も生じるということが十分に予測されます。
 このような都政が直面するさまざまな課題に的確に対応していくためには、実効性の高い施策を時期を逸することなく効果的に講じていくことが必要でございます。こうした施策展開を財政面からしっかりと支えるため、強固な財政基盤を将来にわたり堅持していくことが財務局の使命だと考えております。
 そのため、従来の発想にとらわれることなく、個々の事業の必要性や有益性を厳しく検証し、より一層無駄の排除を徹底するとともに、中長期的な視点に立って、都債や基金を戦略的かつ計画的に活用することなどによりまして、弾力的な対応をも可能とする堅実な財政運営に努めてまいります。

○細田委員 本年、いよいよ最後の財政委員会となりました。来年は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会が行われます。私たちは、迅速に、そして確実にこれが成功できるよう導いていく、その使命がありますので、そのためにちょっと質問させていただきます。
 来年の東京二〇二〇大会では、世界中から多くの方が東京を訪れることが予想されて、都民生活に大きな混乱を生じさせない、このために、交通渋滞対策は万全にしなくてはなりません。
 ことしの夏には、東京都を初め多くの民間の企業も加わりまして、時差通勤やテレワークに関しての大規模な社会実験が行われました。しかし、本定例会での都議会公明党の代表質問で高倉議員が指摘したように、その成果はまだ不十分といわざるを得ない、そういう結果となっています。
 都は、こうした取り組みを踏まえて、本定例会に提出されました補正予算においても、東京二〇二〇大会の確実な成功に向けて、これまで実施してきた準備作業において浮かび上がってきた課題にしっかりと対応するために追加対策を実施する、こういう考え方のもとで、大会期間中の交通混雑緩和にも資する取り組みとして八億円を計上しています。これらの施策は、効果が出るように確実に推進していかなくてはならない、実施しなければならない。
 その中でも特に大きな課題の一つであります、東京二〇二〇大会期間中の都発注工事の調整、これを確実に実施していくためには、工事を受注する事業者が安心して仕事ができるという、その環境を整備していくことが大切であります。
 そこで伺いたいんですが、財務局は予算、契約、工事などさまざまな視点で都庁内の各局が実施する事業をサポートする役割を担っていますが、今回浮かび上がってきた課題にはいかに取り組んでいるのか、このことについて答弁を求めます。

○初宿経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和を図るためには、工事関係事業者のご理解とご協力をいただきながら、都庁発注工事の調整を進めることが重要と認識しております。
 このため、財務局では、オリンピック・パラリンピック準備局が策定しました都庁発注工事の取り組み方針を踏まえまして、令和二年度予算の見積もりに関し、財務局長及び経理部長名で、大会期間中の一時休止等が想定されます工事における適切な工期設定と、それに伴う適切な経費を積算するよう、依頼文を各局宛て通知し、周知を図ってまいりました。
 また、各局横断の会議の場におきまして、技術的な観点から、大会に起因した工事調整にかかわる設計変更等での経費の例や、発注時に工事の夜間振りかえなどの調整手法を仕様書に明示することなど、工事調整にかかわります統一的なルールの策定を支援してまいりました。
 引き続き、各局と連携して、都庁発注工事の適切な工事調整を進めてまいります。

○細田委員 都庁発注工事の取り組み方針を踏まえて、また、各局が発注する現場の工事に対して、その工事の調整の取り組みを財務局がワンチームで下支えをしている、そのような答弁でございました。
 次に、今回の補正予算の各事業を見ると、財務局の発注する工事も計上されています。これは、発注者としての財務局が、みずから工事の調整に取り組んでいるものであります。
 そこで、今回、補正予算で財務局が計上している工事は、具体的にはいかなる内容であり、どのような効果が見込まれるのか、この点について答弁を求めます。

○後藤庁舎運営担当部長 今回の財務局発注の工事でございますが、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和に向けまして、債務負担行為を補正予算に計上しているものでございます。
 具体的な工事の内容は、都庁第二本庁舎及び都議会議事堂の地下駐車場におけます、交通を整理するための信号灯やカードゲート等の電源通信ラインの経年劣化に伴います配管、配線の更新でございます。
 当初、都議会議事堂の工事は来年夏を予定しておりましたが、今回の補正予算を活用いたしまして、第二本庁舎の工事とあわせ、前倒しで発注いたしまして、東京二〇二〇大会前に工事を完了させることによりまして、工事の施工時期の平準化を図るとともに、大会期間中の工事関係車両の削減に寄与するものと考えております。

○細田委員 先ほども森村理事の質疑で、債務負担行為についてのわかりやすい説明、質疑ありましたけれども、今回、補正予算に含まれている災害復旧のための債務負担行為、それから東京オリ・パラ大会に間に合わせるような、そういうような効果的な取り組み、そして今、さらに自局においても事業の前倒しということを債務負担行為の中で取り組んでいく、これは、東京オリ・パラ大会の確実な成功に向けて大会運営の下支え、こういう視点だけではなくて、自局発注の工事の調整にも貢献していく、こういうことであります。
 補正予算に計上した債務負担行為を活用して、前倒し工事の発注をあわせて行って、大会前の早い工期で完成をさせるというような取り組みは、最前線である現場の声を聞く貴重な機会にもなり、その意義は決して小さいものではないと私は思っています。
 現場で得られました事業者の声を都庁内の各局が共有して、全庁一丸となって工事調整を進めていくことが重要であります。このような取り組みを財務局が着実に実施していくことを求めまして、次の質問に移ります。
 宝くじについて質問いたします。
 申し上げるまでもございませんが、宝くじの収益金は、子育て支援や高齢者への対策、あるいは公園の整備など、地方自治体の事業を着実に実施するための貴重な資金となっています。
 都において、昨年度は四百七十四億円の収益金が充当されており、住民に身近で関心の高い事業を進める上でも大いに役立っています。また、市町村振興くじであるサマージャンボやハロウィンジャンボは、区市町村の一般財源、そして自主財源という重要な財源の一部にもなっています。
 このように、自治体の資金調達という宝くじの本来の目的を今後もしっかりと果たしていくためには、ジャンボを初めとした宝くじ売り上げを安定的に確保していくということは不可欠であります。
 そこでまず、直近の販売状況を含め、宝くじの全国の売上実績について説明を求めます。

○山田主計部長 宝くじの全国の発売実績でございますけれども、平成十七年度の一兆一千四十七億円をピークに減少傾向が続き、平成二十九年度には七千八百六十六億円と、八千億円を下回っております。これは、宝くじの主要購買層であった団塊世代の高齢化に伴う購買力の低下や、娯楽の多様化による若年層を中心とする顧客離れが主な原因であると考えられております。
 一方、平成三十年度は、ジャンボ宝くじの売り上げが横ばいであったものの、数字選択式宝くじやスクラッチくじの売り上げが堅調であったことから、三年ぶりの増となります八千四十六億円となったものでございます。

○細田委員 長期にわたって減少傾向が続いていたけれども、昨年度は関係者の皆様のご努力によって、売り上げがV字というか、やや回復したと、改善できたと、こういう答弁と理解いたします。
 過去を振り返りますと、宝くじは、終戦直後の昭和二十年に誕生して以来、七十年以上も国民、都民の皆様に親しまれてきました。こうして長年にわたって皆さんに親しまれてきたのも、宝くじを発行する側がファンの期待に応えるために、常に魅力のある宝くじを提供する、あるいは利便性の向上に積極的に取り組んできた結果だと考えております。
 そこで、売り上げ向上に向けて、昨年度以降、どのような取り組みを行ってきたのか答弁を求めます。

○山田主計部長 宝くじを買う際の利便性向上や新規購買層の確保等を図るため、平成三十年十月から宝くじ公式サイトでのインターネット販売を開始し、ジャンボ宝くじなどの二十四時間ネット購入が可能となっております。この公式サイトでの売り上げは、年度末までの約五カ月で八十五億円に達するなど、平成三十年度の発売実績の増に寄与をしております。
 加えて、宝くじ公式サイト会員への登録をさらに促進するため、インターネットでの購入のみに付与していた宝くじポイントを、本年五月より売り場での購入でも付与するサービスを開始するなど、既存購買層の維持にも注力をしているところでございます。
 これらの取り組みにより、公式サイト会員数は、直近の十二月十日現在で百八十七万人を超えるなど、新たな施策の効果が、徐々にではありますがあらわれていると考えております。

○細田委員 時代の状況の変化を踏まえて、ネット販売などの新たな取り組みを進めていることは大いに評価できます。
 これまでの購買層である団塊の世代の高齢化が進む中にあって、インターネットの販売が新たな購買層として若い年代への浸透につながっていると、このように期待しています。
 また一方、インターネット販売が増加しても、売り場での販売が減少してしまっては、売り上げの回復は達成することができません。お客さんにとって一番身近な宝くじ売り場での販売促進にも積極的に取り組んでいくことが、売り上げ全体の底上げに必要不可欠だと考えております。
 こうしたことから、今後は、ネットと売り場の双方の取り組みによって、新たな購買層を開拓していくことが現在求められています。
 そこで、若年層など新たな購買層の獲得に向けて、今後の取り組みについて都はいかに考えているのか所見を求めます。

○山田主計部長 今後の宝くじの安定的な売り上げ確保のためには、若年層を中心とする新規購買層の確保が重要であると認識をしております。このため、インターネット販売のメリットを最大限に活用しつつ、宝くじ購買層のさらなる裾野拡大に向けて、スマホで手軽に買え、当せん確率の高さを特徴とする新商品の開発を現在進めており、来年四月の発売を目指しているところでございます。
 さらに、売り場でのみ販売し、若年層に人気の高いスクラッチくじにつきましては、継続購入を促しつつ購入者の選択の幅を広げるため、毎週、図柄が異なる商品を投入するとともに、単価や賞金条件の異なる商品を同時に販売するなど、商品性の向上を進めてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、インターネット販売と売り場での販売が相乗効果を発揮することで、地方自治体の貴重な財源であります宝くじの売り上げ向上を積極的に図ってまいりたいと思います。

○細田委員 質疑を通じまして、宝くじの売り上げ向上に向けて積極的に手だてを講じている、このことが明らかになったと思います。
 一方で、キャッシュレスでの購入が可能になるなど、従来より購入しやすくなる、このことに関して心配もあります。ブレーキもかけられる、こういうような仕組みを今後考えていかなくちゃいけないんじゃないかと、このように思っています。
 これからも健全な娯楽として楽しんでもらえる宝くじとなるよう、十分に留意すべきであることを忘れないようにしていただきたいと思います。
 また、こうした観点からも、フェース・ツー・フェースで宝くじが買える売り場の維持発展についても、しっかりと気を配ってもらうことを求めておきます。
 折しも年末の風物詩であります年末ジャンボ宝くじが発売中であり、売り場にお客さんが並んでいる姿もよく見かけられるようになりました。
 宝くじという、国民、都民に親しまれ、かつ社会に大いに貢献している商品をより健全に発展させていくためにも、全国の宝くじ協議会の事務局である東京都の一層の努力を改めてお願いいたしまして、質問を終わります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○上野委員長 次に、議員提出議案第十号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○池川委員 日本共産党都議団、都議会生活者ネットワーク、自由を守る会を代表して、議員提出議案第十号、都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例案について趣旨説明をさせていただきます。
 本条例案は、二〇一九年十二月に支給されます東京都議会議員の期末手当を、二〇一八年十二月に決められた現行の支給割合に据え置く内容となっています。
 都議会議員の期末手当の額は、都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例第六条二項の規定で職員の給与に連動するとされています。現在、都議会では、都民の生活実態等に鑑み、議員報酬の二割削減について、ことしの第一回定例会でも継続して実施することを決めています。
 都議会議員の議員報酬は、みずから都民の負託に応える使命を果たすにふさわしく、みずから決めるべき事柄です。期末手当についても、職員の勤勉手当に連動させるべきではないとの立場から、期末手当を現行水準に据え置く条例案を提出します。
 影響額は全体で約七百五十万円、役職等によって違いはありますが、議員一人当たりにすると平均約六万円となります。
 委員の皆様方のご賛同を心からお願いいたしまして、説明を終わらせていただきたいと思います。

○上野委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○上野委員長 次に、報告事項、都民の城(仮称)改修基本計画中間のまとめについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 旧こどもの城について伺います。
 本件については、予算特別委員会でも本会議でも、事務事業の委員会でも取り上げ、基本計画について質疑を行ってまいりました。
 今般、改修基本計画の中間のまとめが公表され、現在、パブリックコメントが実施中となっています。旧こどもの城や児童会館跡地や、ウィメンズプラザやコスモス青山や旧青山病院跡地、全てが属しております地元の町会等でも、こうした都の動きに注目するとともに、ともに千四百万人都民のための城としていきたい、そのように考えて、さまざまな意見も寄せられているところです。
 初めに、本計画の内容を明らかにし、都の考え方を確認してまいりたいと存じます。
 今回の改修基本計画中間のまとめが、以前に示されました旧こどもの城活用の基本的考え方と比べて、変わった点やポイントとなる点についてお伺いします。

○五十嵐財産運用部長 今回の改修基本計画におきましては、本年二月にお示しした旧こどもの城活用の基本的考え方をベースに、庁内検討組織における検討や、これまでの都議会での議論などを踏まえ、遊び、学び、仕事を通じて子供を初めとした都民が交流し、成長できる場と位置づけるなど、改修後の本施設が目指す姿、コンセプトを改めて整理いたしました。
 具体的には、かつてのこどもの城が果たしてきた役割を踏まえ、子供の健全な育成という観点も重視し、新たに、例えば、サイエンスやテクノロジー等のいわゆるSTEAM教育の推進や、学校生活に悩みを抱える都立高校生に対する指導、支援のための施設など、ハード面における充実を図るとともに、既存事業においても子供向けのプログラムの検討を進めるなど、ソフト面からの充実を図ることとしているところでございます。
 学び、仕事の機能といたしましては、高齢者の学習意欲に応える学びの場の提供や、女性の活躍支援、障害者の職場定着支援など、特定分野に偏ることなく、幅広い層の都民の方に向けた事業について、具体的なフロアごとの利用イメージをお示ししてございます。
 そのほかに、多目的ホール舞台設備等の改修についての考え方や、にぎわい施設としての広場、レストラン、カフェの設置とその活用、おのおのの事業間の連携による相乗効果の発揮など、より多くの人々が訪れ、交流、成長をより一層促進していくことを計画に盛り込んでいるところでございます。
 概算事業費については、改修費用の抑制を前提として、年度内に基本計画を策定する段階でお示しすることとし、施設の供用開始予定時期につきましては、設計、工事に要する期間を三年程度と見込んで、令和五年度とすることを新たにお示ししているところでございます。

○大津委員 二月に示されました基本的考え方をベースに、庁内検討PTにおける検討、反映、それで今回、具体化を図ったものが基本計画で、フロア利用のイメージが示されるなど、視覚的にも捉えることがわかりやすくなってきています。
 こうしたハードの中に入れるのに重要なものが中身、魂の部分でもあると思います。東京都、オール都庁の各局の東京都政策が実現をされるためのそうしたものとして、都民の城を通して、千四百万人都民のためのものとなっていくことが検討されてきたと思いますし、これからもそのように検討していっていただきたいと思います。
 このこどもの城に関しては、子供たちの生きる力を活用してきた今までの大きな役割を大切にした上で、子供だけとかお年寄りだけとか、障害者の施設だけとかでなく、また、LGBTだけの使用といったようなものでもなく、特定の誰かのためだけに特化することなく、全ての人たちが使えるまことの城、これを望んでいるところでもあります。
 SDGsの基本でもあります、誰ひとり取り残さない、誰しもが利用できる、そして現役世代も含めた各世代交流も可能である、まさに都民のための都有地としての方向を望むところでもあります。
 東京都としては、こどもの城が児童の健全な育成ということに重要な役割を担ってきたという歴史性も踏まえながら、あくまで、あらゆる都民のための施設ということをコンセプトに捉えていることとした考え方について、改めて所見を伺います。

○五十嵐財産運用部長 都といたしましては、国が子供を対象として実施していた旧こどもの城を、単に再開するだけではなく、より一層の発展を目指し、多岐にわたる都民のニーズに応え、より多くの人に親しまれる施設としていくことが重要であると判断し、どのような事業がふさわしいか、これまで検討を進めてまいりました。
 かつてこどもの城として使われていたのは五階までの低層フロアであり、一方、六階から十三階までの高層フロアは、もともとがホテルや事務所として使われていたところでございまして、今回の改修基本計画では、こうした既存建物の特徴を生かし、三階から五階の低層階を遊びを中心とするエリアに、六階から上の高層階を仕事と学びを中心とするエリアとした上で、各フロアの事業が連携することで相乗効果を発揮し、施設総体としての価値を高めていきたいと考えております。
 かつてのままのこどもの城の復活を望む声があるということは承知しておりますが、こうしたゾーニングの考えのもと、こどもの城の魂を尊重しながらも、子供から大人まで、あらゆる都民が交流、成長していくことのできる場を創出することを目指してまいりたいと考えております。

○大津委員 方向性として、都民のためのもの、このコンセプトとしては非常に地元とも一致するところであります。
 このあたりの地区は、実は梨本宮家、皇室宮家がここに存在をし、大方の土地を所有し、今は末裔も町民としてさまざま根づいておられる、そうした歴史性のある土地ですけれども、だからこそ子供というテーマを大切にし、加えて、渋谷区内にあっても極めて貴重な緑と湧水を残していますし、たくさんの昆虫や野鳥も訪れる自然環境を有しているという特別な地区でもあります。
 加えて、児童会館跡地、旧こどもの城、青山病院跡地については、これらが連携をして、児童も若者も中高年も、全世代間が交流できる、そして人生のおのおのの時期がこうした施設を通じて充実できる、再スタートから何から就活から、充実できるものとなっていくことを望んでいます。
 実は、この半径一キロメートル以内に、児童会館跡地、ウィメンズプラザ、コスモス青山、宮下都営アパートの跡地のキャスト、そして青山病院跡地があり、例えば、いろいろな女性政策に関しても、こどもの城や児童会館の中でできることもありますが、女性政策という点では、ウィメンズプラザでやっている女性政策とも照らし合わせながらやっていくこともできるのではないかと、そういう意見もありますし、また、青山病院跡地においては、渋谷、とりわけ二十三区内は農地ゼロの区も多く、そうした意味では、今、池と立派な桜有していまして、TBSの展示場でまだ来年の三月までは土地利用をされていますが、この豊かな土地と自然をもっと生かした東京都の政策実現もあるのではないかという意見もあります。
 すぐ近くの宮下アパート跡地は、民間事業に事業計画--事業の運営を委託して、都有地が七十年間高層ビルで覆われていくということになっています。青山病院跡地に関しましては、そういう民間事業で七十年もふたをするというよりも、もっともっとその時々の都政策で活用できるような可能性を残していくべきでもあります。
 さまざまな意見がありますけれども、現在実施中のパブリックコメントでいろんな意見がございますでしょう。今後どのように扱っていくのか、どのような考え方のもとで計画に反映をしていくのかお伺いいたします。

○五十嵐財産運用部長 今回の改修基本計画についてのパブリックコメントにつきましては、改修後の目指す姿、整備方針、施設利用のエリアイメージ、今後の事業スケジュールの四点につきまして意見を伺うこととしております。
 パブリックコメントは十一月二十二日より開始しており、具体的な施設利用に関することについてなど広くご意見をいただきながら、この基本計画をより利用者ニーズに即したものとしていくことが重要と考えております。
 改修費用は最小限に抑えることを前提としておりますが、いただいた意見については、コストの抑制と両立できる範囲で、可能なことについては対応していく考えでございます。
 来年度より、庁内検討組織におきまして今後の施設利用に向けた検討を進めていくこととしておりますが、実施する事業の内容などについて、その検討の中で取り入れていくことも検討しているところでございます。

○大津委員 都民の声、また、ずっとこれを一緒になって考えてきました地元の声も、このせっかくのパブリックコメントという機会を通じて、しっかりと届けていきたいと思います。
 今後、パブリックコメントが締め切られ、集約し、年明け以降は基本計画の成案をまとめていく作業に向かっていく予定となっています。その先の展望についても伺っておきたいとも思います。
 基本計画策定後、施設の開設に向けてどのように進めていくお考えか、ずうっと主導で検討もしてきました財務局長にお伺いしたいと思います。

○武市財務局長 本件につきましては、委員を初め都議会の皆様のお力添えをいただきながら進めてくることで、当初予定どおり用地も取得でき、さらに今般、改修基本計画の中間のまとめをお示しさせていただくことができました。
 今回お示ししたものは建物改修の基本計画でありまして、これを来年度以降に着手する設計の前段となる考え方といたしまして、改修工事を進めていきまして、令和五年度のオープンを目指し、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 また一方で、施設の運営形態や具体的に実施する事業内容など、ソフトに関する検討は、施設オープンまで今後も継続していくこととしております。
 庁内検討組織の中で、アドバイザーの知見もかりながら、建物という器に命を与えるための検討を、事務局を担う財務局として率先して進めていきたいと、このように考えております。
 都議会の皆様のご意見を初めといたしまして、地元の皆様、パブリックコメントでいただく都民の皆様のご意見など、さまざまな方の声に耳を傾けながら、真に都民にとって有益な施設としていくよう、今後も全力を注いでまいります。

○大津委員 現在、渋谷かいわいでは民間の開発が次々と進んでおりますが、民間開発にはできない、まことに精神の高まりを得られるような質の高い都民サービスを求めておりますし、局長答弁にありました、建物という器に命を与える、この答弁は非常にすばらしいことであり、かつてない答弁であったとも思いますので、ぜひ、地元としてもそうした魂を吹き込むことで頑張りながら、千四百万人都民のための都民の城となるような中身を考えてまいりたいと思います。
 以上です。

○細田委員 仮称都民の城について、私からもお尋ねいたします。
 今般、改修基本計画の中間まとめが示されましたが、本件は、比較的長期スパンにわたる事業です。改めて、令和五年からの事業供用開始に向けた現在の立ち位置を確認するとともに、今後に向けてさらに発展的に議論を行っていくことができるよう、この中間のまとめの意味を明らかにする、このような質疑を行いたいと思います。
 まず、今般、改修基本計画の中間まとめを示しました都の意図、それから考え方について、これはどうなっているのか答弁を求めます。

○五十嵐財産運用部長 旧こどもの城の既存建物を今後、誰もが利用できる複合拠点へとリノベーションし、当面の間、都民の城--仮称でございますが、として活用するため、全体的な改修方針を定め、改修基本計画を策定することといたしました。
 今般、中間段階で取りまとめ、この施設が目指す改修後の姿や整備方針、施設利用のエリアイメージ、今後の事業スケジュールといった点について、都民の皆様のご意見を伺うべく、パブリックコメントを実施することといたしました。
 来年度以降、施設改修の設計に着手し、令和五年度の施設オープンにつなげていくためにも、都議会でのご議論やパブリックコメントでいただいたご意見を踏まえながら、年度内には基本計画を取りまとめてまいりたいと考えております。

○細田委員 旧こどもの城の既存建物をリノベーションして、都民の城としていくための全体的な改修方針を定めるものであって、令和五年度の施設オープンを目指す上でも、このタイミングでの中間のまとめを発表したということであると。
 この現状を踏まえて、基本計画で整理すべきことを確認したいんですが、基本計画において決定していく、これは何を決めていくのか、このことは何なんでしょうか。これは年度的には令和元年度、これ中間というんだから三月末には最終報告出ると思うんだけど、これを決定していくことは、これは何なんでしょうかという点についてお尋ねしたいと思います。

○五十嵐財産運用部長 今回お示しした計画は、建物改修のための基本計画でございまして、施設改修の設計を進めていくための前段となる考え方を整理することを主たる目的としているところでございます。
 このため、円滑に設計を進めていくことができるよう、都民の城が目指す姿、施設としてのコンセプトのほか、建物構造に大きく影響を及ぼすようなハード面の課題は、この基本計画の策定の段階で一定程度整理する必要があると考えております。

○細田委員 あくまで施設改修の基本計画であり、とりわけ建物の構造に大きく影響を及ぼすようなことは整理しておきたい、こういうことだと思います。来年度には速やかに設計に入り、令和五年度の施設開設を目指すのであれば、それは当然の方向性であろうと思っています。
 それでは、改修基本計画策定後も検討が継続するもの、すなわち、今後議論するべきものはどのようなものになっていくのか、この点について都の答弁を求めます。

○五十嵐財産運用部長 改修基本計画の策定をもちまして、ハード面につきましては一定の整理を終え、来年度以降は、運営に関する検討を本格化させていく段階になるというふうに考えてございます。
 施設の運営形態や実施する事業の内容など、ソフト面における具体的な検討は、こうした中でさらに深めていくこととしており、施設供用開始までの間、施設改修の設計工事と並行して運営に関する検討を鋭意進めてまいります。

○細田委員 資料で、報告事項にあります都民の城(仮称)改修基本計画中間まとめ、この冊子の二〇ページ、一番裏側、表のところになりますが、ここには図示されていますけれども、緑色の方が、まさにこの基本計画、それから今いわれた設計、それから改修工事、そしてそれが三年間続いて令和五年から供用開始になると。この下の段が今いわれていた運営に関する検討、これが並行して行われていくんだと、こういうふうに整理し、理解しておりました。
 ということは、この設計、改修工事、令和二年度以降、基本設計だとか実施設計だとか、この時点までにはこうしなくちゃいけないよねと、そして決まって、工事が始まっていったときには、改修工事の方の議論は同時並行とともに、運営に関しての議論もここで行われていくと、こんなふうに整理をさせていただきたいと思います。
 施設の運営や事業内容の詳細については、今いわれたように、今後検討がなされていくと。裏返せば、今、そうした議論は、今後の検討が進む中で適時適切に議論する必要があるということを確認させていただいて、この建物の構造に大きく影響するものを整理するという観点から、今回示された中では幾つか、この中でも報告の中には、地下二階のプールの施設の廃止ということと、旧劇場部分の機能縮小ということがありますけれども、この扱いが焦点になるんだと思われます。その点についても確認したいと思います。
 旧劇場について機能縮小を検討するとありますが、これは、いかなる考えのもとにこの報告に至ったのか都の所見を求めます。

○五十嵐財産運用部長 旧劇場につきましては、都民の城で行う各事業に伴って、公用、公共用のさまざまな用途に供するほか、都民の幅広い利用に応えていくことが必要であること、加えて、都民の城が当面の間の活用を想定したものであり、改修工事費を最小限に抑えることを前提に考える必要があること、こうした点を踏まえまして検討を行い、最終的に可動式床機構の廃止、照明、音響に関するスペックの調整も視野に、多目的ホールへと改修を行うこととしたところでございます。

○細田委員 今ご答弁もありました旧劇場は、当面の間という活用期間の問題、今回の報告書にも、時期については周辺都有地の利用状況を踏まえ、令和十一年を最短ターゲットとして調整を行う、この当面の間という利用期間の問題、そして、それに見合うコストの問題から多目的ホールへと改修する、そういう説明でありました。
 機能縮小という言葉だけを見れば、これまでの価値が損なわれてしまうのかという印象も与えかねないと思うんですけれども、都民の幅広い利用に応える、そういう都民の多角的な要望に応えるように拡充していく、こういうふうに変えていっていただきたいなと思います。
 先ほども大津委員から、特定の誰かのためでなくて全ての人が使えるように、そういう都民の城に仕上げていっていただきたい、そういう都民のニーズに応えていく、そういうような拡充になっていっていただきたい、このことは重要です。
 都民が幅広く、使い勝手がよく利用できるということは大事な視点です。
 多目的ホールとすることの意味、価値はどういった点にあるのでしょうか、都の見解を求めます。

○五十嵐財産運用部長 先ほど申し上げましたコストの抑制のほか、多目的ホールとすることにより、舞台芸術の創造発信地としての劇場から多目的ホールとして、より身近に都民の幅広い利用に応えるものになると考えております。
 芸術文化活動はもちろん、講演会、式典、発表会、展示会など、都民の幅広い利用に門戸を開き、より多くの方に親しまれる施設となるよう、今後、運営面などの検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

○細田委員 劇等の芸術文化活動はもちろん、より都民が幅広く利用できる身近な多目的ホールということであり、多くの都民ニーズに応えたいという都の目指す方向性、都民の城のコンセプトはわかりました。
 これまでの質疑を通じて、今後議論すべきことが何であって、今後何をすべきかということが明らかになってきたと思います。
 来年度以降は、施設の運営や具体的な事業内容に関する検討が本格化するということでありますから、都議会公明党としても、二〇二三年、令和五年からの供用開始に向けてしっかりと議論しながら、チェックと提案と要望をしていきたいと考えていますので、財務局においては、引き続いて、丁寧な説明とともに都民のニーズに応えていくよう要望をして、質問を終わります。

○田村委員 都は、旧こどもの城跡地を令和元年に五百二十五億で購入しました。
 当初は、更地化した上で、青山病院跡地とあわせて新たな施設を整備する案を検討していましたが、今回、建物を改修し、都民の城として活用する方針を示しました。
 そこで、一体活用から既存建物の再利用へ変更した理由と経緯についてお聞きします。

○五十嵐財産運用部長 旧こどもの城の敷地は、広尾病院を現在地で再整備するとの方針により、移転用地としての活用は取りやめとなりましたが、周辺を都有地に囲まれたポテンシャルの高い土地でございまして、将来の都の政策実現にも資する都心に残された重要な土地として、多岐にわたって活用可能性を検討する必要があったことから、関係局である政策企画局、都市整備局、そして財務局の三局で検討を進めてまいりました。
 当初は、建物を撤去し更地化した上で、隣接する青山病院跡地とあわせて新たな施設を整備する案を複数検討いたしましたが、あらゆる選択肢について幅広く検討を進めたところ、既存建物の利用可能性があることから、その建物活用について、財務局において検討を進めることとなったものでございます。
 こうした検討の中、広く都民のニーズに応える施設としていくことをコンセプトに据え、それが実現できると判断したことや、既存建物を活用することで、撤去、新設を要することなく早期に事業化できるといった優位性を発揮できることから、既存建物を活用することとしたものでございます。

○田村委員 都民ニーズを実現でき、早期事業化ができるということと、更地で一体化して活用するということ、これは、どこまで本当にきちんと検討されたのかは疑問が残るところであります。
 さて、土地は一体的に活用した方が利用価値が上がることは明らかだと思いますが、将来的に旧青山病院跡地、国連大学、コスモス青山と一体化しての活用を視野に置いているのか、置いているのであればいつから一体化の活用を想定しているのかお聞きします。

○五十嵐財産運用部長 都民の城の敷地は、中期利用を行った後、旧青山病院、国連大学、コスモス青山といった周辺都有地とともに、一体的に活用していくことを目指すこととしております。
 時期につきましては、周辺都有地の利用状況を踏まえ、令和十一年を最短のターゲットとして調整を行っていくこととしております。

○田村委員 一体化しての活用を最短で令和十一年から開始するということは、都民の城としての利用は、令和五年から令和十一年までの七年間ということになります。
 今回の改修で恐らく百億円を超えると思われる費用がかかることを考えると、費用対効果は非常に低いと思われますが、見解を伺います。

○五十嵐財産運用部長 都民の城につきましては、将来的には、先ほど申し上げましたように、周辺都有地との一体活用を目指す一方で、一体活用開始までの間も有効に活用していく必要があるというふうに考えてございます。
 令和十一年を最短のターゲットとしている中で、早期の事業化を図ることができるという意味においては、建物の撤去、新設を伴わない、既存建物を改修して活用することが有効であると考えております。
 改修内容を精査しコストの削減に努めるとともに、この施設をあらゆる都民が交流し、成長できる場とすることで、都民の利益の最大化につながるよう、今後、全力で取り組んでまいります。

○田村委員 次に、都民の城の活用方法について伺います。
 都は、基本計画で、就業支援や百歳まで学べる環境といったことをうたっておりますが、具体的な事業について伺います。

○五十嵐財産運用部長 お話の就業支援では、女性や高齢者に対する就業支援や、障害者の職場定着支援などを想定しているところでございます。また、百歳まで学べる環境では、首都大学東京や産業技術大学院大学による、シニア層も含む都民に向けた講座などの提供を想定しているところでございます。
 いずれにつきましても、来年度より本格化する運営に関する検討の中で、具体的な事業内容の検討を進めてまいります。

○田村委員 就業支援も教育研究施設も、本当に高齢者の方々に元気に社会で活躍をしてもらおうと思っているとは思えない内容で、都の、高齢者の方々が元気に社会参加する施策への本気度が疑われます。効果のある具体的な施策の検討を要望します。
 次に、都民の城の改修予算についてお聞きします。
 本来、総額を明確にして、その範囲で最良の内容を検討すべきではないでしょうか。都は、やみくもに都民の意見を聞き、その結果積み上がった額で、幾らかけても改修を行うということなんでしょうか、見解を伺います。

○五十嵐財産運用部長 コストの抑制を図ることは改修に当たっての前提条件でございまして、パブリックコメントでいただいた意見に対しても、コストの抑制と両立できる範囲で、可能なことに対応していくことになると考えております。
 建物の改修で通常生じる基本的な工事だけでも、こどもの城については相当額に上ることから、パブリックコメントでハード面に影響するご意見をいただいた場合には慎重な検討が必要と考えております。

○田村委員 小池知事は、ちゃぶ台をひっくり返すのが得意です。さらに、ひっくり返ったちゃぶ台をもう一度ひっくり返して、もとに戻すのがもっと得意です。しかし、幾らもとに戻しても、一回ひっくり返ったちゃぶ台の上の料理は使い物になりません。
 今回は、こどもの城跡地の当初案をひっくり返したことで、広尾病院の現地建てかえという困難と高いリスクをとることになり、また、当初三百七十億で購入できていた土地が、一平方センチメートルも広くなっていないのに五百二十五億と、百五十五億もの血税を無駄にすることになりました。
 もとに戻されたちゃぶ台の上には、今度は都民の城という料理が乗りました。これは、将来の一体化活用を十分に視野に入れ、子供から高齢者まで有効に活用できる施設になるよう、かつ費用対効果を十分に考慮して、将来、一体化で利用を終わるときには、いい料理だったと都民が本当に思うような城にしていただくことを、十分に本気で検討していただくことを財務局には要望をして、質問を終わります。
   〔宇田川委員「委員長、関連」と呼ぶ〕

○宇田川委員 今の質問の関連をさせていただきます。
 予算の規模感が全く示されておりません。パブリックコメントをやるのも結構でございますが、そうした、都が幾らのお金を使ってやるかというのを示すことも都民に知らしめた上で判断を仰ぐことが大事だと思います。
 いつ時点で予算の規模感を出すのかをお示しください。

○五十嵐財産運用部長 今年度内に基本計画を策定することといたしておりまして、基本的には、来年開催されます第一回定例議会の中でお示ししてまいりたいと考えております。

○宇田川委員 ぜひですね、今私が申し上げたとおり、都民の皆さんに全体像を示した上でご意見をいただくということが非常に大切なことだと思います。
 知事はワイズスペンディングという言葉を標榜しているわけでございますから、財務局はそのことをしっかりと胸に刻みつけていただいた上で、この事業の将来を考えていただきたい、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○池川委員 私からも、仮称都民の城の改修基本計画中間まとめについてお伺いをしていきます。
 ことしの九月、東京都は旧こどもの城の土地建物を国から取得いたしました。旧こどもの城や東京都児童会館の存続を求めてきた方々からも期待の声が寄せられているところであります。
 ことしの第一回定例会の本委員会において旧こどもの城活用の基本的考え方についてが報告をされ、私はここの中で、歴史的な経過も踏まえて子供や演劇関係者から意見を聞き、都民が参加をしてつくり上げていってほしいという趣旨の質問を行いました。
 いうまでもなく、旧こどもの城は、子供のための施設としてプログラムの開発や実践の場となっていました。特に重視をされたのが、本物を提供することです。本物というのは、一時的な満足や楽しさ、おもしろさを与えるだけのものでなく、子供が心の底から感動できるプログラムを提供すること、子供だからこの程度でよいだろうという妥協をしない努力が積み重ねられているということであります。いろいろな分野の専門家が集まったこどもの城だからこそ、多面的な遊びが深められたということであります。
 今回、基本計画中間のまとめでは、改修後の目指す姿として、子供のための機能を大切にしながら、集約されたサービスで、遊び、学び、仕事を支え、遊び、学び、仕事を通じて子供を初めとした都民が交流、成長できる場と位置づけています。
 共産党都議団は、子供のための機能を重視すべきだと一貫して求めてきましたが、目指す姿として具体的に書き込まれたことは重要だと考えています。これから具体化を図っていく中で、どのようにしていくかが問われていると思います。
 子供のための機能については現時点でどのようなものを考えているのか、また、場の提供にとどまらず、遊びのプログラムを提供していく必要があると考えますが、いかがですか。

○五十嵐財産運用部長 都民の城におきましては、かつてこどもの城が子供の健全な育成に重要な役割を担ってきたことを踏まえまして、子供のための機能の充実を図っていくこととしております。
 現時点では、最新のテクノロジーやサイエンスなどのいわゆるSTEAM教育を推進するための工房や研修室の設置、各種スポーツ体験、木育体験などのプログラムを検討しているところでございます。
 また、かつてこどもの城で主に子供の活動スペースとして使われていた三階から五階につきましては、遊びを中心とするエリアとして活用することとしており、プログラム提供等の具体的な内容やその運用については、今後、庁内検討組織において検討していくこととしております。

○池川委員 子供のための機能の充実を図っていくという答弁は極めて重要だと思います。基本的考え方のときには、子供のための機能や劇場機能などにも留意しつつ活用を検討するということだったわけですが、これを充実していくということで位置づけているということを確認いたしました。
 こどもの城は、子供の遊びのプログラムとともに、その場所自体が子供たちの想像力をかき立て、試してみたくなる、遊び心をくすぐる仕掛けがありました。家族で来ても友達と来ても一人で来ても、遊ぶことを通じて楽しむことができ、成長していくことができた、これがこどもの城の大きな特徴だったと思います。
 その象徴の一つが、プレーホールにある大型遊具であります。三階のプレーホールにある大型遊具等についてはどのように取り扱っていくのかお伺いします。

○五十嵐財産運用部長 今回の改修基本計画では、かつてのプレーホールであった部分について遊具等を設置し、子供の新たな体験、仲間づくりのきっかけとなるようなプレースペースを設置することとしております。
 お話の、現在設置されている古い大型遊具につきましては、安全性等を考慮しながら、その取り扱いを検討していく必要があるというふうに考えてございます。

○池川委員 安全性を考慮しながら今後検討していくということです。
 子供にとって遊びというのはとても大切な時間です。東京都福祉保健局が事務局を務める子育て応援とうきょう会議というものがあります。そのホームページの中で、地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みについて取り上げていますが、渋谷区にあるNPO法人東京少年少女センターの理事長のインタビューで次のように話しています。
 ミヒャエル・エンデのモモという小説があります。灰色の男たちに自由に生きる時間を次々奪われてしまう大人と子供、それに対して主人公であるモモは一人で立ち向かい、時間を取り戻すというお話です。子供の遊ぶ時間は年々減っています。しかし、遊びは子供にとってかけがえのないもので、子供の持つ権利でもあります。遊びから人生の土台が築かれるのです。私は、主人公のモモのようになって子供たちの時間を取り戻したいと思っていますと、こういう内容であります。
 これは、子どもの権利条約第三十一条にある、休息及び余暇について、児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認めるという、この条文をまさに実践する内容だと考えます。
 また、臨床心理家で立命館大学名誉教授の高垣忠一郎氏は、子供には将来のためではなく、あるがままの子供らしい自分を認めてもらいながら子供の時間を遊び切ることがとても大事ですと話しています。心理学の専門家からは、遊ぶことは最高の学習ツールだという指摘もあります。
 仮称都民の城が、遊びエリアが常に子供たちが主役であり、子供たちを通して大人も遊びを深め、子供たちの視点が大切にされるような場にしていただきたいということを求めておきます。また、ここで新しいプログラムが開発され、普及していくような取り組みを行っていただきたいと思います。
 子供たちが主役になるためには、大人が子供たちの立場に立って取り組むことは重要です。ただ、それ以上に重要なのは子供の意見を直接聞いていくことであり、意見を聞く機会、子供が参加できる場を常につくっていくことが重要だと考えます。それはパブリックコメント一般ではなく、子供の意見を聞く機会を確保するということです。
 子供の意見を聞くということの必要性については、第一回定例会では、検討の過程で適宜対応してまいりたいという答弁がなされています。
 検討経過でどのような対応が行われたのか、また、これからどのように声を聞いていくのか対応を伺いたいと思います。

○五十嵐財産運用部長 今回お示しした改修基本計画につきましては、現在、パブリックコメントを行っており、年齢を問わず幅広く意見を募集しているところでございます。今後、本施設で提供するプログラム等の具体的な検討を進めていく中で、適宜必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

○池川委員 前回聞いたときと同様、適宜必要な対応を行っていくということです。
 率直に申し上げて、パブリックコメントでは子供たちの意見ということはほとんど聞くことができないと思います。広く意見募集を行うことはとても重要でありますが、どうやったら本当に子供たちの意見を聞くことができるかを考えることが重要ではないかと思います。
 都として、子供たちの意見を聞くための仕組みをつくっているものもあります。
 例えば、東京都が現在策定中の東京都長期戦略では、広く都民から意見を募集する取り組みに合わせて、小中学生の意見をどうやったら聞くことができるのか検討が行われ、「わたしが大人になった時の東京」絵画コンクールを行っています。小学校低学年、高学年、中学生のそれぞれの作品を募集し、作品の題名と百二十文字程度の作品の説明をつけて応募するという取り組みです。
 具体的な件数等についてはまだ発表されていませんが、伺ったところ多数の応募があったということであります。作品を出すことと、それに説明文をつけて、きちんと意見として受けとめていくという取り組みです。こういう取り組みは大いに参考にすべきだと思います。
 こういうところについて、ぜひ、アンテナを高くしていただいて、財務局としてこうしたパブリックコメントをとるというのは余りないというふうに思いますので、ぜひ、都庁の中で行われているさまざまな取り組みにもアンテナを高くして取り組んでいただきたいということを求めておきます。
 また、施設の活用等については、地元の渋谷区とも連携をして、ぜひやっていただきたいということは申し上げておきます。
 また、子供の意見を聞くというのは、今回の施設に限って重要なことではなく、都政全般にとってとても重要だということです。
 何か意見を聞くというと難しく考えがちだと思いますが、都として、どうしたら柔軟に子供たちの意見を聞くことができるのか、それこそ自由な発想で、そのための仕組みについて知恵を出していただきたい。そして、この施設の取り組み自体が、今後の都政の中でそうした仕組みをつくっていく一つのきっかけとして機能していくような取り組みを求めておきたいと思います。
 中間のまとめでは、これまでオフィスやホテルだった上層階についても活用していくことが示されています。その柱として、遊び、学び、仕事が掲げられ、具体的には、遊びを入り口に社会を生き抜く力を身につける場の整備、あらゆる世代に対応した学びを提供する場の整備、これからの時代に向けて仕事を応援する場の整備というコンセプトになっています。
 教育施設の中には高校生をターゲットにしたものもあります。
 例えば、都立定時制課程や通信制課程の生徒を対象に学びのやり直し、学校生活等に悩みを抱える高校生に特別な指導、支援を提供するスペースという記載がありますが、どのようなものを想定されているのかについてお伺いをいたします。

○五十嵐財産運用部長 お話の四階、教育施設につきましては、現在、庁内検討組織において詳細を検討しているところでございます。来年度より本格化する運営に関する検討の中で、具体的な事業内容の検討をさらに進めていくこととしております。

○池川委員 来年度以降、具体的に検討していくということです。
 教育庁から少し聞いたところ、居場所のようなものをつくっていきたいということでありますので、そうした方向でこの場所が活用されていくことを期待しています。
 この施設の館長に就任予定で、現在、アドバイザーという形でかかわっていらっしゃる尾木直樹氏は教育の専門家であり、みずからも東京都内の中学校の教師として子供たちを主役にした教育を実践されてきた、この分野においては第一人者であります。
 こうした尾木さんの意見や知恵も含め、子供たちの支援を行っている団体などからヒアリングを行い、内容の検討を行っていただきたい。また、この分野においても当事者の声を聞くことを求めておきたいと思います。
 次に、旧青山劇場、旧青山円形劇場の活用について伺います。
 こどもの城は、子供の遊びとともに、第一線の演劇、舞台が行われていたということが大きな特徴です。前回の基本的な考え方の質疑の際には、都民の城で実施する各種事業に伴うシンポジウム、学会、講演会等に活用できる多目的ホールを整備し、あわせて、誰もが利用できる自由な芸術文化活動等の場としても提供するという答弁がありました。また、具体例として、子供の発表会や学芸会、あるいは子供向けの観劇などの場所ともなり得ると答弁もありました。
 そこで伺いたいと思います。昨年第四回の定例会で、知事は、我が党の質問に対して、演劇関係者などにも留意しながら検討を進めていくと答弁をしていますが、演劇関係者についてはどのように声を聞いたのか、また、整備に向けては、実際に舞台を使う方々から直接意見を聞く必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○五十嵐財産運用部長 現在、改修基本計画につきましてはパブリックコメントにより幅広く意見を募集しているところでございまして、その中で演劇関係者の意見も伺うことができるものと考えております。
 多目的ホールの具体的な運営に関する検討は来年度より本格的に進めてまいりますが、その中で必要があれば検討してまいります。

○池川委員 パブリックコメントで、ここでも一般的に聞いていこうという話なんですけれども、やっぱり直接聞いていくことがとても大事だというふうに思っています。
 質問の冒頭で本物を提供する大切さについて指摘をしましたが、その点で今、子供に本物の演劇を見てもらうことが大切だという認識が広がっています。
 ユネスコの第三十回総会事務局長アピールというものの中では、今、至るところで熟考と創造性の欠如が蔓延している、とりわけ学校の中で。芸術が我々の生活から消え、その分暴力がはびこっている。劇活動は、創造性にとって大変効果のあるものとして奨励に値する。芸術教育は、身体と精神のいずれをも刺激するものである。感覚が動き出すと、それは記憶をつくり、子供たちの感受性を研ぎ澄まし、いろいろな知識、とりわけ科学の知識を受け入れるのに、より敏感にさせる。さらに一人一人の創造的能力を発展させ、子供たちの攻撃性を彼らみずから選ぶ象徴的な対象に向かわせる。今こそ、学校に通う全ての子供たちにそのような教育を保障するときであるというふうに事務局長アピールで決められているということです。
 また、三重県立高校の校長先生が実際に舞台を高校生に見せたときのことについて、文を寄せているんですけれども、その中の文を少し紹介したいと思います。
 演劇鑑賞を実施する計画を耳にしたとき、生徒の状態がよくなっているものの、一時間を超える演劇に生徒の集中力が続くのか、ストーリーをきちんと追えるのか、観劇態度が悪くて劇団の方に迷惑をおかけするのではないかなど、今にして思えば随分生徒に失礼な懸念を抱いていました。スマホで動画に簡単に触れることができ、それが日常になっている若い世代に、演劇という芸術のインパクトがどれほどのものかとも思っていました。しかし、物語が進むにつれ、観客席が一つの目、耳となり舞台に吸い込まれ、舞台と一体になっていくような感覚に襲われました。簡単に情報が入り再生でき、一人でいることが気ままな時代だからこそ、手間暇、時間がかかる、そして一回きり、一緒に見る、このことで生の舞台の魅力が増すのだと、今回の観劇を通して強く思いました。生の芸術を見ることで、内容もさることながら、友人と共感できる経験を高校三年間で一度でも持つことによって人間性を深めることができるとも改めて感じました。次回はいつになるか決まっていませんが、生の舞台に触れる機会をぜひ持ちたいと強く思っています。
 校長先生がこういう率直なことを寄せているわけです。
 そういうことを踏まえれば、やはり実際に使う方、また演劇、劇団関係者、教育関係者などからヒアリングを行うことは極めて重要だと思います。特に、旧こどもの城や東京都児童会館は児童演劇で国内屈指の取り組みがあった場所であり、そうした知見も集めて取り組みを行うことは極めて意義のあることだと考えます。
 演劇関係者などにも留意をしながらと知事が答弁しているわけですから、都庁各局とも連携をし、直接意見を聞く機会をつくっていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 また、中間のまとめで示された劇場の活用方針についてもお伺いをいたします。
 旧青山劇場、旧青山円形劇場は多目的ホールにするということでありますが、具体的にどのような改修を想定しているのかお伺いをいたします。

○五十嵐財産運用部長 旧青山劇場、旧青山円形劇場につきましては、多目的ホールへ改修する計画としておりますが、旧こどもの城は閉館から時間が経過し、設備の老朽化も進行していることから、改めて活用するに当たっては大規模な改修が必要となると考えてございます。
 改修に当たっては旧劇場の設備更新等に大きなコストが見込まれることから、可動式の床機構は復旧せず、照明、音響に関するスペックの調整を行った上で既存施設を活用する計画としております。
 改修後の多目的ホールは、芸術文化活動のほか、講演会、式典、展示会など、より多くの都民の幅広い活用を想定しているところでございます。

○池川委員 円形劇場はほかにない特徴を持った舞台であり、ここからすばらしい作品が数々生まれました。幅広い活用ということですが、この場から新たな舞台や演劇が生まれるような運営となるよう、関係者と連携して取り組みを進めていただきたいと思います。
 子供のための機能、演劇を初めとする文化のことについて質問を行ってきました。各局との連携、プロジェクトチームでの検討は重要ですが、どれだけ所管である財務局の皆さんが、ここにまさに情熱を持って取り組むかが重要ではないかと考えます。
 どうしたらいいものになるのか、どうしたら都民の声をもっと聞いて反映することができるのか、ぜひ、そうした視点を持って検討していただくことを求めておきます。
 最後に、基本計画のその先のことについてお伺いをいたします。
 仮称都民の城は具体的にどのような運営形態となるのか、条例設置の施設となるのか、そうではないのか、施設の所管局は今後も財務局なのか、所管がえをするとすれば、いつ、どこで、どのように変えていくのか、仮称都民の城は、いつ、誰が、どのように正式な名称をつけていくのかなど、こうした点について既に質問も寄せられておりますし、実際に、今回の中間のまとめを見た方からも、そうした声をお伺いしているところであります。
 こうした点については現時点ではどのように考えているのか、その点についてお伺いをいたします。

○五十嵐財産運用部長 都民の城に関しましては、現在、旧こどもの城の既存建物改修を主とした基本計画を策定中でございまして、当委員会にもご報告している最中でございます。
 ご質問の内容につきましては、今後、具体的な運営に関する検討を来年度以降行ってまいりますが、その中で決定していくものと考えております。

○池川委員 現時点ではここもまだだということです。
 先ほど聞いた点については、私は、一つ一つ都民にオープンにして決めていただきたいと。現在、庁内検討が主な検討の場になっており、今回、基本的な考え方について、基本計画で施設の考え方が出てきたわけですけど、そうはいっても、都民の皆さんとのキャッチボールの機会がまだ少ないというのが実態だというふうに思います。
 また、都民の城は複合施設になるわけですが、それは、多くの都民との接点ができる施設ということだと思います。例えば、施設の名称等についても、子供を初め都民から募集するなどの決め方があってもいいのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、これからの検討事項だということですので、都民にわかるようにオープンな形で進めていただきたいと、そのことを要望して、質問を終わります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたします。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十四分散会

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