委員長 | 上野 和彦君 |
副委員長 | 田村 利光君 |
副委員長 | ひぐちたかあき君 |
理事 | 池川 友一君 |
理事 | 森村 隆行君 |
理事 | 山田ひろし君 |
けいの信一君 | |
成清梨沙子君 | |
細田いさむ君 | |
三宅 正彦君 | |
大津ひろ子君 | |
宇田川聡史君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 初宿 和夫君 | |
契約調整担当部長 | 新田見慎一君 | |
主計部長 | 山田 忠輝君 | |
財産運用部長 | 五十嵐 律君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 佐藤 千佳君 | |
技術管理担当部長 | 飯泉 洋君 | |
庁舎運営担当部長 | 後藤 徹也君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
主税局 | 局長 | 塩見 清仁君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 大久保哲也君 | |
税制部長 | 副島 建君 | |
税制調査担当部長 | 長田 稔君 | |
調整担当部長 | 菊澤 道生君 | |
課税部長 | 萱場 明子君 | |
資産税部長 | 池田 美英君 | |
徴収部長 | 川上 秀一君 | |
特別滞納整理担当部長 | 蓮沼 正史君 | |
会計管理局 | 局長 | 佐藤 敦君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 松丸 俊之君 | |
警察・消防出納部長 | 加藤 政弘君 | |
会計制度担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 斎藤 真人君 |
本日の会議に付した事件
会計管理局関係
報告事項(説明)
・令和元年度公金管理実績(上半期)について
財務局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、債務負担行為-財務局所管分、都債
・東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
・法人事業税国税化対策特別基金条例を廃止する条例
・警視庁本部庁舎(三十一)大規模改修工事請負契約
・都営住宅三十一H-一〇五東(足立区竹の塚七丁目)工事請負契約
・中川護岸耐震補強工事(その二百四)請負契約
・綾瀬川護岸耐震補強工事(その三十)請負契約
・当せん金付証票の発売について
報告事項(説明)
・都民の城(仮称)改修基本計画中間のまとめについて
収用委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
主税局関係
報告事項(説明・質疑)
・令和元年度東京都税制調査会答申について
事務事業について(質疑)
○上野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑、財務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに会計管理局、財務局及び主税局関係の報告事項の聴取を行いたいと思います。
なお、提出予定案件並びに会計管理局及び財務局関係の報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより会計管理局関係に入ります。
理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度公金管理実績の上半期分につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料第1号、令和元年度公金管理実績(上半期)についての表紙をおめくりいただき、一ページをごらんください。
初めに、1、全体でございます。
令和元年度上半期の平均残高は六兆三千二百二十一億円で、対前年同期比、四千二百十六億円増加しております。一方、利回りは〇・〇三六%で、前年同期から〇・〇〇四ポイント低下しております。この結果、運用収入は十一億四千九百七十七万円で、前年同期と比べ千九百三十七万円減少しております。
次に、2、内訳でございます。
まず、(1)、歳計現金等でございますが、平均残高は一兆二千七百四十三億円で、準公営企業会計資金への資金異動等により、前年同期と比べ四百四十一億円の減少となっております。一方、利回りは〇・〇〇七%で、定期性預金の割合の減少等により、前年同期から〇・〇〇一ポイント低下しております。この結果、運用収入は四千三百四十万円で、前年同期と比べ九百七十四万円減少しております。
次に、(2)の基金でございます。
平均残高は四兆百二十三億円で、社会資本等整備基金等の取り崩しにより、前年同期と比べ六百四十一億円減少しております。一方、利回りは〇・〇五三%で、市場金利の低下等により、前年同期から〇・〇〇一ポイント低下しております。この結果、運用収入は十億七千六十七万円で、前年同期と比べ二千七百十六万円減少しております。
次に、(3)の準公営企業会計資金でございます。
平均残高は一兆三百五十六億円で、歳計現金等からの資金異動等により、前年同期と比べ五千二百九十九億円増加しております。また、利回りは〇・〇〇七%で横ばいで推移しております。この結果、運用収入は三千五百六十九万円で、前年同期と比べ千七百五十一万円増加しております。
二ページをお開きください。運用商品別内訳でございます。
表頭の期中平均残高の構成比の欄をごらんください。
表側の一段目、歳計現金等及び三段目、準公営企業会計資金につきましては、預金が一〇〇%となっております。
表側の二段目、基金につきましては、預金が七六・三%、債券等が二三・四%、その他が〇・三%となっております。
三ページをごらんください。ここでは、令和元年度第一・四半期及び第二・四半期の状況をお示ししてございます。
四ページをお開きください。ここでは、平均残高及び利回り推移についてグラフでお示ししてございます。
次に、五ページをごらんください。金融機関種別預金内訳でございます。
表頭の令和元年度上半期のうち、期中平均残高の構成比をごらんください。
表側の一段目、歳計現金等につきましては、これまで同様、都市銀行が一〇〇%となっております。
表側の二段目、基金につきましては、都市銀行が五〇・〇%、信託銀行が二〇・四%、地方銀行等が一三・二%、外国銀行が一六・五%となっております。
表側の三段目、準公営企業会計資金につきましては、都市銀行が七一・四%、信託銀行が一五・四%、地方銀行等が四・二%、外国銀行が九・一%となっております。
六ページをお開きください。ここでは、基金と準公営企業会計資金についての預金内訳の推移をグラフでお示ししてございます。
恐れ入ります、七ページをごらんください。債券種別内訳でございます。
債券の保有があるのは基金のみでございます。
表頭の令和元年度上半期のうち、期中平均残高の構成比をごらんください。
国債が一六・二%、地方債が三三・〇%、政府保証債が四・四%、財投機関債等が三五・五%、金融債が九・八%、外債が一・一%となっております。下段には、債券内訳の推移をグラフでお示ししてございます。
最後に、公金管理につきましては、引き続き、安全性の確保を最重要視した上で、流動性及び効率性の確保に万全を期していきます。
以上をもちまして報告事項の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○上野委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で会計管理局関係を終わります。
○上野委員長 これより財務局関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○武市財務局長 第四回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料、令和元年第四回東京都議会定例会提出予定議案等件名表をごらんいただきたいと存じます。
今回、提出いたします議案は八件ございまして、予算案一件、条例案二件、契約案四件、事件案一件でございます。
初めに、予算案についてご説明申し上げます。
資料第1号、令和元年度十二月補正予算(案)についてをごらん願います。
まず、1の補正予算編成の考え方でございますが、今回の補正予算は、本年九月から十月における台風被害の復旧、復興対応や今後の防災対策並びに東京二〇二〇大会の確実な成功に向けて、準備作業において浮かび上がってきた課題に対応するために、予算上必要な措置を講ずるものでございます。
次に、2の財政規模でございますが、今回の補正予算の規模は、一般会計で百四十四億円、また、債務負担行為につきましても、一般会計で六十九億円ございます。
恐れ入りますが、最初の件名表にお戻り願います。
条例案でございますが、東京都事務手数料条例の一部を改正する条例及び法人事業税国税化対策特別基金条例を廃止する条例でございます。
契約案でございますが、今回提出いたします四件の内訳は、建築工事が二件、土木工事が二件でございます。契約金額の総額は約七十八億円でございます。
最後に、事件案でございますが、当せん金付証票の発売についてでございます。
以上が提出を予定しております議案の概略の説明でございます。
詳細につきましては、それぞれ所管の部長からご説明いたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山田主計部長 それでは、資料第1号、資料第3号、資料第4号及び資料第6号についてご説明申し上げます。
まず、資料第1号、令和元年度十二月補正予算(案)についてご説明申し上げます。
1の補正予算編成の考え方と、2の(1)、補正予算の規模につきましては、ただいま局長から説明したとおりでございます。
一ページ目最下段、(2)の補正予算の財源でございますが、内訳といたしましては、国庫支出金が七億円、防災街づくり基金繰入金が五十四億円、都債が九億円、繰越金が七十四億円でございます。
続きまして、二ページをお開きください。今回の補正事項の一覧でございます。
二ページ目上段のⅠ、防災対策の推進には百三十四億円、債務負担行為八億円を計上しております。
三ページをごらんください。三ページ目上段のⅡ、東京二〇二〇大会成功に向けた追加対策等には八億円、債務負担行為六十一億円を計上しております。
下段のⅢ、その他の課題に対する取組には二億円を計上しております。
一ページおめくりいただきまして、四ページをごらんください。ここからが、具体的な補正予算の内容でございます。
まず、台風被害に対する迅速な対応に八十億円、債務負担行為八億円を計上しております。
台風による災害に起因する緊急かつ特殊な財政事情について、市町村を支援するとともに、国制度の対象となっていない一部損壊住宅の補修工事を行う方に対して、区市町村を通じた支援を新たに行ってまいります。また、道路や河川施設の被害に対し、災害復旧を推進してまいります。
五ページ目中段をごらんください。観光復興の取り組みとして、多摩・島しょ地域への誘客に向けた観光PRを実施するとともに、被害を受けた観光施設等の整備を支援してまいります。
続きまして、五ページ目下段をごらんください。災害時における電源等の確保に五十四億円を計上しております。
都立一時滞在施設において、帰宅困難者がスマートフォン、タブレット端末等を充電できる環境を整備するほか、六ページ目の上段でございますけれども、家庭に対する蓄電池等の導入補助を実施してまいります。また、ブルーシートなどの養生シートや土のう袋などの災害対策用物資を追加配備することで、被災者に対して速やかに物資を提供できる体制を確保してまいります。
六ページ目下段をごらんください。災害時におけるドローンの活用に一千万円、債務負担行為三千万円を計上しております。
災害時等における情報収集体制の強化を図るため、カメラつきドローンを島しょ部に導入するとともに、東京消防庁に、風雨に耐える全天候型ドローンの配備等を行ってまいります。
七ページをごらんください。Ⅱ、東京二〇二〇大会成功に向けた追加対策等でございます。
まず、円滑な大会運営に資する取り組みに、債務負担行為四十二億円を計上しております。
これまで実施してきたテストイベントの状況等を受けた暑さ対策の強化や、児童生徒が安全に競技を観戦できる体制を整えるための運営体制の構築等を行ってまいります。
七ページ下段の、大会期間中の交通混雑緩和に資する取り組みには八億円、債務負担行為十二億円を計上しております。
交通需要マネジメント、いわゆるTDMの取り組みを強化するため、エリアごとの混雑情報等を、ウエブ等を活用して周知するとともに、物流に関係する中小企業に対し、TDMについての周知や理解を促すため、仮称でございますけれども、二〇二〇物流TDM実行協議会を新たに設置し、サプライチェーン全体での協力を求めてまいります。
一ページおめくりいただき、八ページ目下段をごらんください。東京二〇二〇大会を契機としたショーケーシングに三千万円、債務負担行為七億円を計上しております。
東京都メディアセンターにおいて、東京が有する先端技術をショーケース化し、国内外に発信するとともに、東京二〇二〇ライブサイト代々木公園会場において、5G通信環境の仮設整備を行い、5Gを活用した会場運営等を実施してまいります。
九ページをごらんください。Ⅲ、その他の課題に対する取組として二億円を計上しております。
都民の安全・安心の確保に向け、地域の防犯カメラの設置支援を行ってまいります。
補正予算の内容は以上でございます。
次ページ以降でございますが、こちらには会計別総括表、局別総括表及び補正予算案の議案を添付してございます。
続きまして、お手元の資料番号第3号、東京都事務手数料条例の一部を改正する条例についてでございます。
行政手続のオンライン化を促進するため、郵送料等に係る手数料の規定を設ける必要があることから、改正を行うものでございます。
続きまして、資料番号第4号、法人事業税国税化対策特別基金条例を廃止する条例についてでございます。
こちらは、法人事業税国税化対策特別基金について、所期の目的を達成したため、法人事業税国税化対策特別基金条例を廃止するものでございます。
あわせまして、事件案につきまして、お手元の資料第6号、当せん金付証票の発売についてご説明申し上げます。
これは、当せん金付証票、いわゆる宝くじの令和二年度の発売に関する議案でございます。議案の中ほどの記書きの発売の目的にございますように、宝くじは、公園整備等の費用の財源に充当するために発行するものでございまして、令和二年度の発売限度額を一千七百六十三億円と定めるものでございます。
裏面に参考に条文を掲載してございますが、当せん金付証票法第四条第一項の規定に基づきご提案するものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○初宿経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私からは、まず、財務局所管分の補正予算案を、資料第2号、令和元年度補正予算説明書によりましてご説明を申し上げます。
今回の補正は、議会局分はなく、財務局分のみでございますので、資料第2号の二ページをお開き願います。
令和元年度補正予算事業別説明、財務局の番号1、事業名、特定財源充当歳入でございます。
中ほどの計上説明欄にございますように、この事業は、財務局の歳入中、他局の特定事業に充当する歳入といたしまして、防災街づくり基金からの繰入金五十四億一千三百万円余を計上してございます。
次に、三ページをごらんください。番号2、事業名、一般歳入でございます。
計上説明欄にございますように、この事業は、財務局の歳入中、前年度からの繰越金七十四億一千七百万円余を一般歳入として計上し、今回の補正予算における各局の事業の財源に充当するものでございます。
次に、四ページをごらんください。財務局合計でございます。
今回の補正により、財務局の歳入予算額は、既定予算額と合わせまして、下から三段目の特定財源計の欄の右端にございますとおり、五千五百五十二億四千八百万円余となります。
なお、歳出予算額は変わらず、上から五段目の歳出計の右端にございますとおり、七千三百五十九億八千八百万円でございます。
次に、五ページをごらんください。債務負担行為の内容をお示ししてございます。
都庁舎駐車場管制設備改修工事の債務負担行為として、期間を令和二年度まで、限度額一千九百五十万円を計上しております。
この工事は、都庁第二本庁舎及び都議会議事堂の駐車場管制設備の経年劣化に対応し、当該設備の改修を目的とした工事でございます。東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和に向け、来年度に予定しておりました工事発注時期を、今年度に前倒しすることを予定しており、工期が二年度にわたることから、債務負担行為の設定を行うものでございます。
簡単ではございますが、令和元年度補正予算案についての説明は以上です。
引き続き、お手元の資料第5号、令和元年第四回定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてご説明を申し上げます。
一ページをお開き願います。工事請負契約議案一覧でございます。
1の総括をごらんください。今回ご審議いただきます契約議案は、右端の計の欄のとおり、合計四件、契約金額の総額は七十八億一千六百六十万円でございます。
次に、2の案件別の表によりまして、概要についてご説明を申し上げます。
番号1は、千代田区霞が関二丁目地内におきまして、警視庁本部庁舎の改修工事を施行するものでございます。
番号2は、足立区竹の塚七丁目地内におきまして、都営住宅の建設工事を施行するものでございます。
番号3は、葛飾区青戸一丁目地内から同区青戸二丁目地内にかけまして、中川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
番号4は、足立区南花畑一丁目地内におきまして、綾瀬川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
次に、契約の方法でございますが、提出予定の四件につきまして、いずれも一般競争入札によるものでございます。それぞれの契約金額及び契約の相手方は、表の右側に記載のとおりでございます。
一枚おめくりいただきまして、二ページから三ページにかけまして、案件ごとに件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載しておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
また、各案件の入札経過等につきましては、四ページ以降に記載しておりますので、あわせてごらんいただきたいと存じます。
以上が今回提出を予定しております契約議案の概要でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○上野委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○上野委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○五十嵐財産運用部長 お手元の資料第7号、都民の城(仮称)改修基本計画中間のまとめの概要及び本文がございます。
本日は概要によりご説明させていただきます。
本資料は、国より取得いたしました旧こどもの城の既存建物を、誰もが利用できる複合拠点へと改修するに当たり、その改修基本計画の検討状況を公表し、パブリックコメントに付すことで、広く都民の皆様のご意見を伺うために作成したものでございます。
まず、Ⅰの旧こどもの城の概要でございます。
当該地は、青山通りに面した約九千九百平方メートルの土地でございます。その上の建物は平成二十七年に閉館しており、現在は築三十四年を経過しております。この土地建物の双方については、本年九月に、東京都が国より取得したものでございます。
次に、Ⅱの都民の城改修基本計画策定についてでございます。
下線部にございますように、改修後の目指す姿や整備方針、施設利用イメージ、今後の事業スケジュールに関する意見を募集することとしてございます。
次に、Ⅲの改修後の目指す姿についてでございますが、目指す姿としては、遊び、学び、仕事を通じて子供を初めとした都民が交流し、成長できる場としております。
遊びの機能として新たな体験や仲間づくりにつながる遊びの場、学びの機能としてシニア向け学習講座、仕事の機能として企業の働き方改革の相談支援などを備える予定でございまして、これらの機能が相互に連携することにより、訪れる人々の交流が生まれ、成長が実現できるような施設を目指すこととしております。
裏面をごらんください。続きまして、Ⅳの整備方針・施設利用イメージでございます。
改修に当たっては、都民の城が中期的に当面の間活用する予定としていることから、改修工事費を最小限に抑えることを前提としております。そのため、既存建物を可能な限り生かすとともに、旧劇場部分の機能、設備の簡素化やプールの廃止等を検討いたします。
整備の方針としては、先ほどの遊び、学び、仕事を三つの柱とし、遊びを入り口に社会を生き抜く力を身につける場、あらゆる世代に対応した学びを提供する場、これからの時代に向けた仕事を応援する場となるような施設づくりを目指すこととしております。
その際、右側の図にございますとおり、かつてこどもの城で主に子供の活動スペースとして使われていた三階から五階の部分を、遊びを中心としたエリアに、かつてホテルやオフィスなどに使われていた高層部を、仕事と学びを中心としたエリアとして再整備してまいります。
そのほか、旧青山劇場及び旧青山円形劇場につきましては、舞台芸術の創造、発信地としての劇場から、芸術文化活動に幅広く応える多目的ホールに改修する予定としております。さらに、にぎわい施設として、レストラン、カフェの設置、広場の活用を図ってまいります。
次に、Ⅴの概算工事費でございますが、今後、工事費抑制や技術的な検討を行った上で、パブリックコメント終了後、今年度内に基本計画の中でお示ししてまいります。
ここでは、かつて厚生労働省が試算いたしました当施設の大規模改修、平成二十三年当時の工事費の百十七億円を参考としてお示ししております。
最後に、Ⅵの今後の事業スケジュールでございます。
基本計画で想定する事業スケジュールは、今年度中に基本計画を策定し、来年度より設計に着手、令和五年度の供用開始を目指すこととしております。
なお、都民の城としての供用期間は、周辺都有地との一体活用の検討状況を踏まえ調整することとしており、最短の場合は令和十一年までの予定となっております。
なお、本資料及び次ページ以降の中間のまとめ本文に関するパブリックコメントは、十一月二十二日より開始しており、十二月二十一日まで募集する予定となっております。
以上、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。
○上野委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で財務局関係を終わります。
○上野委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたします。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○上野委員長 これより主税局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○長田税制調査担当部長 先般、東京都税制調査会において取りまとめられた答申について、その概要をご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料第1号、令和元年度東京都税制調査会答申の概要をごらんいただきたいと存じます。
初めに、Ⅰ部、税制改革の視点でございます。
今回の答申は、1、基本的視点といたしまして、(1)、少子高齢・人口減少社会、(2)、将来を見据えた分権改革、(3)、財政の持続可能性の確保、(4)、地方税体系のあり方といった視点から、次に、2、時代の変化に対応した視点といたしまして、(1)、デジタル経済と税制、(2)、税務行政のデジタル化の推進、(3)、所得格差に対応した税制、(4)、税制のグリーン化といった視点から提言をいただいております。
次に、Ⅱ部、デジタル経済と地方税財政制度でございます。
1、デジタル経済に対応できない国際課税原則では、現在の国際課税原則のもとでは、国は国境を越えて活動する企業に対し、営業所や工場のような恒久的施設がその国になければ課税することができない、一方、インターネットを通じてデジタルサービスを提供する企業は、恒久的施設なしで直接、消費者にアクセスできるとしております。
2、OECD及び各国における検討状況では、OECDは、恒久的施設にかわる課税根拠案を三案に整理し、新たな課税ルールを検討している、一方、欧州諸国を中心に、各国が独自に実施するデジタルサービス税の導入や検討は広がりつつあるとしております。
3、デジタル経済に対応した税制のあり方では、OECDが今後定める新たな課税ルールにより法人の所得が増加する場合、地方法人課税の課税ベースも拡大する、これによる税収の増収分は地方に帰属すると考えられるが、これまでの分割基準を適用することが妥当でないなどの課題がある、そのため、国際課税に関して、各国から提案されている着眼点も参考に、地方へ配分する仕組みを今から検討しておく必要があるとしております。
あわせて、我が国におけるデジタルサービス税の導入についても、新ルールの策定に向けた議論が国際的な合意に至らなかった場合に備え、検討を始める必要があるとしております。
恐れ入りますが、一枚おめくりいただき、二ページをごらんいただきたいと存じます。
Ⅲ部、社会経済の変化に対応した所得課税でございます。
1、個人所得課税のあり方では、個人所得課税の所得再分配機能を強化するため、所得控除方式となっている控除項目について、税額控除方式へ移行するべきとしております。
また、ライフコースの多様化などの観点を踏まえ、私的年金制度における年金受け取りと一時金受け取りの税負担公平化など、公平な税負担を確保する制度の構築を目指すべきとしております。
2、金融所得に係る税制のあり方では、所得層間の税負担の公平性という観点から、金融所得における分離課税の税率については、主要先進国の税率も参考にしつつ引き上げることを検討すべき、ただしその場合、中低所得者の資産形成に与える影響を配慮することが必要としております。
3、個人住民税の現年課税化では、適正、公平な税負担の観点から、所得発生の時点と税負担の時点をできるだけ近づけることが望ましい、現年課税化に向けては、特別徴収義務者などの事務負担を軽減する仕組みが不可欠であり、マイナンバーカードの普及、企業のIT化などの状況などを踏まえつつ、早期実現に向けた検討を進めていくべきとしております。
次に、Ⅳ部、環境関連税制でございます。
1、グリーン化に向けた取組では、税制の一つの基軸に環境を据え、税制のグリーン化を推進していくことが不可欠としております。
2、「地球温暖化対策のための税」の将来像では、諸外国と比較して日本の税率水準は極めて低い、人々の行動、投資を低炭素なオプションに転換させるために、中長期的な税率の引き上げ見通しなどを示すべきとしております。
次にⅤ部、都市と地方の共存共栄を支える税財政制度でございます。
我が国財政の健全性が懸念される中において、将来を見据えた国、地方を通じた税財政制度の見直しは急務となっており、時代に合った税制度の見直しを通じて、国、地方の税財源の拡充を図るとともに、国と地方の税源配分を含め、地方税体系の望ましい姿の実現を目指すべきとしております。
また、ふるさと納税は、受益と負担との関係をゆがめる制度であり、抜本的に見直し、寄附金税制の本来の趣旨に沿った制度に改めるべきとしております。
そして、地方の固有財源である地方交付税について、財源保障機能及び財源調整機能を適切に発揮させていくためには、交付税原資となる国税の充実、地方交付税の法定率引き上げなどを行うとともに、地方の実態に見合った財政需要を地方財政計画に反映するべきとしております。
令和元年度東京都税制調査会答申についての説明は以上でございます。
なお、お手元に資料第2号として答申の本文をお配りしておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
○上野委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、事務事業に対する質疑とあわせて行いますので、ご了承願います。
なお、事務事業につきましては、既に説明を聴取しております。
これより事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○ひぐち委員 まず、都税収入について質問いたします。
先日、令和元年度の国の税収見通しを一兆から二兆円規模で大幅に引き下げる方針を政府が固めたとの報道がありました。米中貿易摩擦の影響で、製造業を中心に中国向けの輸出が落ち込み、企業業績が悪化したことから、法人税収が伸び悩んでいるとのことであります。
政府は、令和元年度当初予算では、過去最高を記録した昨年に引き続き、二年連続で最高を更新する見込みでありましたが、四月から九月の法人税収は、昨年同期の水準を約一割下回っています。
そこでまず、東京都の令和元年度の税収見込みについて伺います。
○副島税制部長 令和元年度都税収入の四月から九月までの上半期の実績でございますが、二兆九千百八十三億円、対昨年同期比で六・三%の増加となっております。
今年度の都税収入の見込みにつきましては、税収の四割弱を占めます法人二税の今後の申告等の状況に大きく左右されるため、現時点では確たることは申し上げられませんが、上半期の実績を踏まえますと、今年度当初予算額五兆五千三十二億円は確保できるものと考えております。
○ひぐち委員 ありがとうございます。
上場企業では、今年度上半期決算で減益となったことから、今年度の業績予想を引き下げているところが多いようです。こうしたことからも、国では、法人税収の持ち直しは難しいとしているわけであります。
一方で、ご答弁のとおり、今年度の都の税収は、昨年同期を上回るなど好調とのことでありますが、今年度の国と都の税収見通しで差があらわれる、その理由について伺います。
○副島税制部長 報道によりますと、国の税収見通しの引き下げは、法人税収が伸び悩み、昨年の水準を約一割下回っていることが大きな要因とのことでございます。
国と都の税収見通しの差でございますが、国と都で税収の帰属する会計年度が異なる場合がございまして、例えば、法人税収におきましては、令和二年三月期決算法人の場合でございますけれども、国は令和元年度収入となりますが、都は翌年の令和二年度収入となります。現時点では、こうしたことが一つの要因であると考えるところでございます。
○ひぐち委員 ありがとうございます。
こうして伺いましても、改めて危機感を強くするわけであります。国と都で差があらわれるのは、収入の会計年度が一年ずれているためであり、このことで都は当初予算額を確保できています。都の法人二税について影響が表に出てくるのは令和二年度になってから、さらに令和二年度には、地方法人課税における新たな偏在是正措置の影響も出てきます。
そうしたことを踏まえますと、令和二年度の都の税収見込みについて伺います。
○副島税制部長 令和二年度の都の税収見込みでございますが、平成二十八年度税制改正における消費税率一〇%引き上げ時の法人住民税の交付税原資化拡大に加えまして、令和元年度税制改正で、法人事業税の一部を再び国税化し、特別法人事業税を創設するなど、都の財源を標的といたしました不合理な措置が行われまして、これにより、地方譲与税を含めると、巨額の減収が見込まれております。加えて、法人二税は企業収益の影響を受けやすく、景気の動向に左右されやすい構造となっております。
今後の景気につきましては、緩やかな回復基調にある一方で、中国経済の先行きや英国のEU離脱などの海外経済の動向の影響など不透明な部分も多く、予断を許さない状況にございます。
令和二年度の税収見込みにつきましては、今年度の税収状況を踏まえ、このような今後の経済見通し等を総合的に検討し、精査してまいります。
○ひぐち委員 我が国の経済は、十一月の月例経済報告によれば、緩やかに回復しているものの、輸出を中心に弱さが長引いている、さらに企業収益については、十月の、底堅く推移から、製造業を中心に弱含んでいると下方修正しています。
このように、今後、企業業績の低迷も懸念されており、景気の動向に左右されやすい税収構造であることを踏まえますと、決して楽観視できる状況ではありません。
一方で、都政を取り巻く状況を見れば、本格的な少子高齢、人口減少社会への対応、防災力のさらなる向上、老朽化した都市インフラの更新など、さまざまな政策課題を抱えており、その解決に向けて都の政策立案能力が求められています。
税制でいえば、収入における自主権のうち、課税自主権の活用もその一つであります。これまでも都は、課税自主権の行使として、平成十四年、法定外目的税である宿泊税の創設など、税収をふやすものに加え、特定の政策目標を達成するために税を軽減する政策支援税制をさまざま導入してきました。
そこで、課題解決に当たっては、都は財政支援や規制緩和に加えて、引き続き、政策支援税制も積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
○副島税制部長 主税局の基本的な使命は、都税収入を確保し、その税収によりまして都の事務事業を支えていくことでございますが、都政の重要課題の解決に向けまして、税制面から支援していくことも重要な役割でございます。
こうしたことから、これまで都は、災害に強い東京を実現するための耐震化促進税制や、都の温暖化対策を支援するための中小企業者向け省エネ促進税制などを創設してまいりました。
税制の活用に当たりましては、政策の重要性はもとより、公平性とのバランスやインセンティブ効果、税収への影響や課税実務上の課題など、さまざまな観点から検討することが必要であると認識しております。
○ひぐち委員 確かに、都民の信頼を確保する上で、税の公平性を保つことは重要なことでありますが、保育や防災、環境など、都は解決すべき多くの重要課題を抱えていることからも、また、安定した収入確保の観点からも、都独自の税制の活用も選択肢の一つとして、引き続き、積極的に検討すべきと申し述べておきます。
さて、先ほども申し上げたとおり、景気の先行きも不透明な中、本格的な少子高齢社会の到来により、都の財政需要が高まっていくことを踏まえますと、各種事業の裏づけとなる都税収入の安定的な確保が不可欠であります。
そこで、今後、大変厳しい状況であります都税収入の減収が見込まれる中、都税収入確保に向けて、歳入所管局としての所見を伺います。
○塩見主税局長 主税局はこれまでも、さまざまな創意工夫を凝らした取り組みと、積極的な実践行動により、税負担の公平性の確保と納税秩序の維持を図り、着実な税収確保を目指してまいりました。
例えば、法人事業税や事業所税などの申告税目に関しましては、法人の事務所等に出向き、帳簿等を確認する実地調査を行い、着実な税収確保に努めてきております。
また、納税に関しましては、納税手段を拡充し納税環境の整備に努め、納税者の利便性向上を図っております。さらに、滞納となった事案に対しましては、電話や訪問による納税催告を行うほか、誠意の見られない納税者には、差し押さえなどの滞納処分を行っていくことで、徴収率の向上に努めており、平成三十年度は徴収率が九九・一%と、過去最高を更新しております。
都の歳入の七割強を占めます都税収入は、都財政を支えるまさに基幹的な財源であります。都の膨大な財政需要を支えるため、徴税努力を重ねるなど都税収入の安定確保に向けまして、主税局職員が一丸となって、歳入所管局としての責務をしっかりと果たしてまいります。
○ひぐち委員 ありがとうございます。
過去、リーマンショックの影響で、一年間に一兆円もの減収に見舞われたように、都の税収構造は大変不安定である上、税制見直しによる不合理な措置、激動する世界経済の動向など、都税収入の先行きは予断を許しません。
先日も、財務局からもご答弁いただきましたが、大きな社会変化の中でも、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていくためには、中長期的な財政見通しと計画的かつ戦略的な財政運営が重要であります。
現在、新たな長期計画の策定に合わせ、長期的な財政収支の推計について具体的に作業が進んでいます。いわずもがな、歳出と歳入は表裏一体でありますし、歳入庁である当局としても、ぜひとも、都税収入の確実な確保と同時に、中長期的な見通しも両輪になって進めていただくようお願いいたします。
次に、税務広報における各種団体との連携について伺います。
我が国の税制度を見てみますと、例えば、所得税や個人住民税では、納税者がみずから税法に従い、所得金額と税額を正しく計算し納税する申告納税制度を採用しています。申告納税制度は、納税者みずからが税法を正しく理解し、正しい申告と納税を行うという民主的な制度であり、戦後のシャウプ勧告以降、経済の民主化の一環として採用されたものであります。
青色申告制度は、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする事業者については、所得金額の計算などで有利な取り扱いが受けられるものでありますが、この制度の普及促進に当たっては、青色申告会の存在が大変大きいと考えています。
適正な申告は、国税だけではなく地方税にとっても、住民税、個人事業税の適正な課税にとって不可欠な要素であり、都にとりましても大変重要な制度であります。
そこで、青色申告会の果たしている社会的役割について、都の認識を伺います。
○萱場課税部長 青色申告会は、地域で活動する個人事業者への記帳指導や税に関する啓発活動を通じ、我が国の税制の中核をなす申告納税制度の推進に大きく貢献なさっています。個人事業者による適正な申告が、所得税はもとより、地方税である個人住民税や個人事業税の適正課税の基礎となっており、青色申告会のたゆまぬ活動が、地方税にとっても重要な役割を果たしていると認識しております。
○ひぐち委員 ありがとうございます。
おっしゃられたとおり、青色申告会は、地域の方々に向けた税への理解促進に積極的に活動されており、事業者の方々に対する記帳指導などの働きかけを通じて、適正な確定申告の推進に大きく貢献されています。
正確な記帳と誠実な申告納税を行うという青色申告制度の精神は、まさに民主主義の根幹をなすものでありますし、青色申告会の積極的な活動が、一層こうした制度を普及促進していくということで、納税秩序の維持向上--大変重要な役割を担っておられると考えています。
都も、さまざまな媒体を通じた広報活動により、税に関する情報を発信されていますが、地域に密着して活動する青色申告会とより一層協力していくことで、さらなる相乗効果が期待できると考えます。
そこで、都と青色申告会とがこれまで以上に連携し、広報活動を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○萱場課税部長 都のさまざまな施策を財政面から支えていくためには、副委員長ご指摘のとおり、税に関する情報発信により、都民の皆様に、税に対する理解を深めていただくことが極めて重要でございます。
これまでも都は、地域で着実な活動をされている青色申告会の皆様と連携し、納税キャンペーン等の広報活動を展開してまいりました。これらの取り組みは、青色申告会員である個人事業者を初め、地域住民の方々へ直接訴えかける効果が期待できることから、今後も、さまざまな機会を捉えて青色申告会と連携し、わかりやすい税情報の発信に努めてまいります。
○ひぐち委員 ありがとうございます。
令和二年度税制改正に向けた議論が本格化していますし、都民一人一人に、何が議論され、生活がどう変わるのか理解していただくためにも、都の税務広報に期待される役割は大きいものであります。
私も、青色申告会の皆さんとお話ししていましても、そうした広報--各種団体と都が連携することで効果的に発信すると同時に、皆さんが現場で感じておられる、そうした税に対する課題や認識をぜひともまた意見交換できるような形で進めていただくことを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○三宅委員 東京都税制調査会の答申について伺いたいと思います。
今回の都税調では、デジタルプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業に代表されるデジタル経済と地方税財政制度との関係について取り上げ、答申をまとめたとの報告をいただきました。
デジタルプラットフォーマーといえば、我が国においても、インターネット検索大手のヤフーと通信アプリ大手のLINEが経営統合で合意とのニュースがあったばかりでございます。こうした動きをよそに、世界を見れば米国のGAFA--グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、この四企業や中国のBAT--バイドゥ、アリババ、テンセントの三企業、これら巨大IT企業の社会や市場への影響力、存在感は桁違いになってきています。
デジタル市場で独占的な地位を占める巨大IT企業は、中小企業に対し、圧倒的に有利な立場にあります。また、日々利用者から集めている膨大な個人情報を活用し、事業活動を行っています。
こうした状況に対しては、国も都もしっかりと監視を行い、公正な取引環境の整備や個人情報の保護及び適切な管理の一層の促進を図るべきであるということはいうまでもありません。そして、これらの取り組みとともに重要なのが、今回の都税調で提言のあったデジタルプラットフォーマーに対する適正、公平な課税であると認識しております。
そこでまず、ご報告いただきました、デジタル経済に対応できていない現在の国際課税原則のもとで、毎年、どの程度の法人税収が失われているのかお伺いいたします。
○長田税制調査担当部長 OECDの試算によれば、市場国に恒久的施設を設置せずに事業展開するデジタル企業の活動などにより生じる、いわゆる税源浸食や、タックスヘイブンに無形資産を移転することなどにより租税を回避する利益移転により、全世界で毎年少なくとも一千億ドルから二千四百億ドル、日本円にして約十一兆から二十六・四兆円の法人税収の逸失が生じているといわれております。
なお、我が国を含めた各国の逸失額については明らかになっておりません。
○三宅委員 毎年、世界中で莫大な額の法人税収が失われていることがわかりました。
こうした実態に対し、OECDでは現在、国際課税の新たなルールの策定に向けた議論を行っているとのことですが、その直近の検討状況、今後の合意に向けたスケジュール、税収への影響見通しはどのようになっているのかお伺いいたします。
○長田税制調査担当部長 OECDは、二〇一九年十月九日、市場国に営業所や工場などの物理的な施設がなくても、当該企業の売上規模などが一定の基準を超えている場合に、市場国が課税できるようにするデジタル課税の枠組み案を公表いたしました。このOECD事務局案では、新たなルールの適用対象を、巨大IT企業の事業を想定した、いわゆる高度にデジタル化された事業に限定せず、米国案をベースに、広く消費者向けの事業としている点が特徴となっております。
OECDによれば、今後二〇二〇年一月に参加国間で大枠合意、その後二〇二〇年中に最終合意し、最終報告書を公表とのスケジュールとなっております。
なお、国際課税の新たなルールが施行された場合の、地方税収を含めた我が国税収への影響については、現時点では明らかになってございませんが、都税調答申では、新ルールの制度設計に当たっては、我が国税収への影響を慎重に見きわめるべきとしております。
○三宅委員 ご答弁にありましたOECD事務局案では、巨大IT企業が展開するデジタルビジネスに限定せず、消費者向け事業全般を対象としていることがわかりました。
このように対象を広くとった場合、我が国の製造業も新ルールの適用対象になる可能性があります。
また、報道によれば、一定の利益率で課税対象事業や企業の線引きをするとも伝えられていますが、データで稼ぐ巨大IT企業と、研究開発で付加価値を生み出す従来型の事業会社に、同じルールを適用するのはいかがなものでしょうか。
国に対しては、ぜひ、OECDのルールの策定に積極的にかかわり、我が国及び地方の税収確保を念頭に、しっかりと働きかけていただきたいと思います。
ここまで、主に世界の巨大IT企業を前提に話を進めてきましたが、国内大手IT企業による過度な節税策も無視できないところに来ています。莫大な利益を上げている企業による海外子会社との株式取引を利用した節税策には、国の来年度の税制改正に対応策が盛り込まれていると聞きますが、事後的な対策には限界もあると思います。
法人税の減収は地方税にも大きく影響することを踏まえれば、来年度以降の都税調の検討の中で、国内大手IT企業の節税実態の検証などを行うことも必要ではないかということを一言申し上げておきます。
次に、ふるさと納税についてであります。
平成二十年の創設から十年が経過し、定着してきております。一方、一部の自治体では、住民税収の落ち込みが深刻な問題になっているところもあると聞いております。
最初に、ふるさと納税によるこれまでの都と都内市区町村の影響額についてお聞きいたします。
直近の影響額及び制度創設からのその累計額はどのくらいでしょうか。
○副島税制部長 ふるさと納税によります令和元年度の影響額でございますけれども、総務省の見込みによりますと、東京都で約三百四十七億円、都内市区町村で約五百二十億円、合わせて約八百六十八億円でございます。
また、制度創設からの影響額は増加傾向にございまして、平成二十一年度から令和元年度までの累計額は、東京都で約九百六十一億円、都内市区町村で約一千四百四十四億円、合わせて約二千四百四億円となっております。
○三宅委員 ふるさと納税で、都と都内市区町村の税収に多大な規模の影響が出ているということは、改めて驚かされております。
そのほかにも、ふるさと納税の問題点として、行き過ぎた返礼品競争があります。
この点、令和元年度税制改正において、制度の一部見直しが行われたということですが、その概要を伺います。
○副島税制部長 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方自治体等に対して、感謝の気持ちからなされるものと認識しておりますが、ここ数年は返礼品競争が過熱しており、制度本来の趣旨に沿った運用がなされていないとの指摘があったところでございます。
こうした状況を受けまして、国は、平成二十七年四月以降、過度な返礼品を送付している地方自治体に対しまして、繰り返し見直しを要請してまいりました。
しかし、依然といたしまして、一部の地方自治体が過度な返礼品によって多額の寄附金を集める状況が続きましたことから、国は、令和元年度税制改正におきまして、制度の健全な発展の観点から見直しを行ったところでございます。
具体的には、総務大臣が基準に適合する地方自治体をふるさと納税の対象に指定するもので、その基準として、返礼品は返礼割合が寄附額の三割以下であることや、地場産品に限ることなどが定められております。
○三宅委員 返礼割合の見直しなど、過熱する返礼品競争を抑えるような税制改正があったとはいえ、高額納税者ほど控除額が大きいことなど、さまざまな問題が残っていると思います。
税制度の面で好ましいものといえるのか、都税調はどのような評価をしているのかをお伺いいたします。
○長田税制調査担当部長 都税調の答申では、ふるさと納税は、寄附者の年収が高いほど、所得税と個人住民税から控除される年間上限額が高くなる仕組みとなっており、高所得者ほど多くの返礼品を受け取ることができ、事実上の節税対策ともされているこの制度は、垂直的公平の観点で大きな問題があるとしております。
また、ふるさと納税を受けた地方自治体では、当該寄附の金額が歳入となるのに対し、寄附を行った者が住所を置く地方自治体が不交付団体の場合は、控除額全額が減収となり、交付団体の場合は、控除額の七五%が地方交付税で補填されることになります。すなわち、ふるさと納税は、主に不交付団体の税収と交付団体が受けるべき地方交付税を減収させることにより、寄附を受けた地方自治体の歳入を増加させる制度であるということができるなどとしております。
○三宅委員 このふるさと納税、税制度の面からも問題があるというふうに私は思います。特に、寄附者が住む地方自治体の税収に減収が生じることで、多発する自然災害への備えや子育て支援、高齢者福祉施策の充実など、当該自治体において、行財政運営にさまざまな形で影響が生じかねないといったことは、十分に知られてはいないのではないでしょうか。こうしたふるさと納税の具体的な問題点につきましては、都民、国民に対し、より一層しっかりと周知していく必要があると思います。
また、近年、激甚化する台風などの自然災害により被害を受けた被災地への支援や、過日、火災により焼失した沖縄県の首里城の再建に向けた支援など、最近ではふるさと納税を通じて、返礼品なしで全国から復興支援等のための寄附金が集まるケースも少なくありません。こうした側面も踏まえつつ、ふるさと納税を寄附金税制の本来の趣旨に沿った、あるべき姿に近づけていくことが重要であると思います。
最後になりますが、今回の都税調では、デジタル経済に対応した税制について、国際的な検討状況を踏まえつつ議論し、国税はもとより、地方税収の確保の必要性等を強調するなど、地方自治体が設置する税制調査会として、かなり踏み込んだ検討と先駆的な問題提起をしていただいたと思います。
都税調は、平成十二年の地方分権一括法の施行とほぼ同時に設置され、地方分権の時代にふさわしい税制の実現に向け、これまでもさまざまな提言を行ってきたと思います。
設置二十周年を迎えた今年度、真の地方自治の確立に向け、都税調がデジタル課税問題で地方の存在感を高める意義ある問題提起を行い、また、全ての地方自治体の財源拡充を図る諸提言を行ったことは、評価したいということを申し上げて、質問を終わります。
○細田委員 私からは、まず、個人都民税の徴収対策についてお尋ねします。
先般、事務事業説明において、主税局長から、区市町村と連携した個人都民税対策強化の推進などにより、平成三十年度の都税徴収率は過去最高となる九九・一%を記録したとの説明がございました。
個人都民税の都税に占める割合は、平成三十年度で一七・一%、金額にしますと九千二百九十八億円です。法人二税、固定資産税、都市計画税に次ぐ割合でありまして、都税における重要な基幹税目になっています。
また、個人都民税は、区市町村が区市町村民税と合わせて個人住民税として課税、徴収して、都に払い込んでいるものであるために、都は区市町村と連携して、個人都民税の徴収対策に積極的に取り組んでいく、そういう必要がございます。
都はこれまで、個人都民税の徴収率向上のため、徴収困難な事案を区市町村から引き受けて処理を行う、そのほか、区市町村の職員を都の滞納整理部門に研修生として受け入れる、このような人材育成につながる支援も行ってきていますが、区市町村から滞納整理部門に受け入れている研修生について、過去三年分の実績及びその成果についてはどうだったんでしょうか、説明を求めます。
○蓮沼特別滞納整理担当部長 主税局ではこれまで、区市町村の職員育成を目的として、実務研修生の受け入れを行ってきました。実務研修生は、半年または一年の期間で、区市町村から引き受けた困難事案を都職員と共同で処理しております。具体的には、文書や電話、訪問による積極的な納税催告を行うとともに、納税資力を把握するために財産調査を着実に実施するなど、都で行っているきめ細やかな滞納整理ノウハウを実践的に習得するものでございます。
その実績は、平成二十八年度は十七自治体から十九名、平成二十九年度は十八自治体から二十四名、平成三十年度は十八自治体から二十一名を実務研修生として受け入れまして、派遣元自治体に戻った際、職場の中心的な立場となる人材の育成を図っております。
今後とも、実務研修生の受け入れを通じて、区市町村の滞納整理技術の向上に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。
○細田委員 主税局は、実務研修生を多数受け入れて、区市町村の滞納整理部門のスキルアップに努めているとのことです。しかし、区市町村は、規模や人事サイクルなどがさまざまでありまして、徴収業務に関する知識や経験が豊富な人材を確保することは難しいという状況にあります。
区市町村が滞納整理のスキルを蓄積して、承継をしていくためには、さらなる人的な支援策、また人的交流、これを講じる必要があると私は考えますが、研修生受け入れのほかに、区市町村に対してはいかなる人的支援策を行っているのか、この点について都の取り組みの説明を求めます。
○蓮沼特別滞納整理担当部長 主税局では、研修生の受け入れのほかに、都職員を区市町村に派遣する取り組みを行っており、平成三十年度は四自治体へ二名ずつ都職員を派遣してまいりました。具体的には、都職員を週一回程度、約一年間にわたり派遣し、派遣先自治体の職員と共同して滞納整理に当たることで、都の滞納整理ノウハウを提供しているところです。さらに、派遣先では、自治体の個別課題に対応するため、要望に応じた研修を実施するほか、制度改正の概要説明などを行ってまいりました。
以上に加え、職員を都に派遣することが難しい島しょ地域においても、平成三十年度は二自治体へ二名ずつ都職員を五日間派遣し、課題を解決するための支援を行ったところでございます。
今後とも、区市町村との人材交流を通じて、納税者の実情に即したきめ細やかな対応を初めとする都の滞納整理ノウハウを提供するなど、区市町村との連携を強化してまいります。
○細田委員 都は、区市町村の状況を踏まえながら、さまざまな取り組みを通じて人的支援を積極的に行ってきているとのことですが、人的支援、そしてこの交流を継続することで、区市町村に都の滞納整理のノウハウが定着して、その結果、個人都民税の徴収率が向上していくのではないかと考えます。
引き続いて、都民に寄り添うという姿勢を堅持しながら、個人都民税の徴収対策に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
続いて、外国人に対する徴税について伺います。
私の地元の江東区では、平成十年以降、一貫して人口が伸び続けていまして、人口の統計資料によりますと、三年前の平成二十八年に五十万人の人口を突破しまして、本年二〇一九年の初頭には約五十二万人、こういう人口になりました。
この間、当然ですが、外国人の住民もふえてきています。近年は、さらにその割合が都内において拡大している、皆様もよくご存じのとおりです。
三年前の平成二十八年の外国人登録人口は、江東区では二万四千人、約五%でしたが、ことしの一月の時点では二万九千人、五・七%になっています。
東京都全体で見ても、都内に居住する外国人の方々は五十五万人、四%を占めています。こうした外国人の方々も、都民としてさまざまな行政サービスを享受されており、当然のことですけれども、きちんと納税をしていただかなければならないわけです。
そこで、外国人に対する徴税の実態と、主税局としてはどのような取り組みを行っているのでしょうか、説明を求めます。
○川上徴収部長 都税の課税対象は、不動産や自動車などの物件や事業活動でありまして、外国人に関するものも日本人の場合と同様、登記や申告により捕捉し、課税しております。主税局ではその際、日本語が読めない方にも伝わるよう、納税通知書の封筒の表面に英語、中国語、韓国語の三カ国語で、重要な納税通知書である旨の表示をしております。
また、国外居住者が不動産を取得した際には、本人にかわって納税手続を行う納税管理人を設定するよう呼びかけております。
都税が滞納となった場合には、三カ国語の催告書で自主納付を促しておりますが、それでもなお納税されない場合には、日本人の場合と同様、滞納者の所得や財産の状況を踏まえた滞納整理を行っております。
これらに加えまして、各都税事務所においては、地域特性を踏まえた多言語対応のチラシを作成するなど、創意工夫を凝らして取り組んでいるところでございます。
○細田委員 現状のご説明はわかりましたが、今後、東京の国際化がさらに進んでいくわけであります。外国人がふえていくことは当然のこととして、さらなる取り組みが必要になってまいります。
例えば、多言語対応についても、今の三カ国語だけでは不足してくるのではないでしょうか。また、郵送する通知書だけではなく、個別の問い合わせにもきちんと対応していける、こういう体制が必要となってくると思います。
外国からの方々も、納税の義務を正しく理解していただいて、きちんと納期内納税ができるよう現状をよく注視して、また動きを確認しながら、引き続き、工夫をして取り組んでいっていただきたいということを要望しておきます。
続きまして、不燃化特区について伺います。
不燃化特区の支援税制についてなのですが、ことしは台風の十五号、十九号による風水害にも見舞われましたけれども、大規模な地震、これについての対策も喫緊の課題であることはいうまでもありません。今から三十年以内に、東京に七割の確率で大きな地震が来る、こういうようなことになっています。
個々の家屋の耐震化に加えて、まち全体を燃えにくくする、燃えない、燃え広がらないまちづくりを推進していく不燃化特区の取り組みは重要でして、政策を後押しする減免措置も大変に意義は大きなものになってまいります。
私の地元でも、北砂の三、四、五丁目という地区がこの不燃化特区に指定されていまして、ここでは不燃化相談ステーション、この運営や専門家による個別の相談などを行っています。
この三、四、五丁目地区に、不燃化相談ステーションの委託を受けたプロの方々が全戸訪問を行って、セミナーで住民に会い、状況を説明し、そして地域にその状況をわかってもらった上で、不燃化を進める問題を喚起しているということを、もう五年間やってきているわけですけれども、この不燃化を進めるためには、耐火性能の低い木造家屋を建てかえていくことが重要でありまして、そして、そのために費用関係、権利関係、建築基準法の制約から難しいケースが現実としては存在しています。
このような場合には、家屋を取り壊して一時的に更地にするということも選択肢になってまいりますが、固定資産税が三倍から四倍に上がってしまう、こういうことがネックになっています。一時期、六倍に上がるなんていうことも新聞報道で結構、印象的に出ていましたから、そのような記憶も皆様方お持ちだと思います。この老朽住宅の除却土地の減免は、そうした障壁を取り除くものであると私は認識をしています。
そこで、不燃化特区内で老朽住宅を除却した場合の減免について、どの程度活用されてきているのか、その実績についてお尋ねします。
○池田資産税部長 老朽住宅を除却した土地に係る減免は、不燃化特区内において、区が防災上危険であると認定した老朽家屋を除却し、防災上有効な空き地として所有者等により適正に管理していると区が認定した土地について、除却した翌年度から五年間、税額の八割を減免するものでございます。
主税局では、ホームページへの掲載や公共交通機関におけるポスター設置など、都の広報媒体を初め、各区における区報掲載や不燃化特区の住民説明会等を通じて、減免制度の周知を図っているところでございます。
こうした中、減免の適用実績を直近で申し上げますと、令和元年六月の定期課税時点で、件数百十件、減免税額約二千百八十二万円となっております。
○細田委員 老朽家屋、もちろんまだまだたくさんあるわけで、このせっかくいい制度が用意されても、この特区内の区民が知らなければ活用のしようがありません。この北砂の不燃化相談ステーションでも、減免制度を案内していまして、江東区も努力を重ねてきています。引き続いて、二十三区とも連携して、しっかりと周知に努めていってほしいと思います。
私の地元で複数の相談を受けていることなんですが、不燃化特区内の所有者が高齢である場合に、費用の問題もありまして、私の場合はこのまま、もうずっとこのままでいいんですという、こういう声もあったりしました。建てかえが進まないという、こういうこともあります。
不燃化特区の制度は来年までになっていますが、この燃えない、燃え広がらないまちづくり、不燃領域率の七〇%、ここはまだまだゴールに届いていないと、こういう現状です。これがなくなっちゃうんじゃないかなって心配する自治体もあると思うんです。
でもこの間、例えば私も、この特区内の住民と、全ての町会の住民と意見交換をしてきましたけれども、また、ワークショップも一緒にしてきましたけれども、それなりに、数字にはすぐにあらわれていないけれども、確実に意識が向上されて、不燃化特区進めていこうよと、燃えないまちやっていきましょうよというような意識は間違いなく前に進んでいると、このように確信しています。
これを踏まえて、今後も、この都内にある不燃化特区なんですが、確実に継続していくべき、このように思いますけれども、東京都の見解を伺います。
○副島税制部長 不燃化特区支援税制は、木造住宅密集地域のうち、特に重点的、集中的に改善を図るべき地域の不燃化を税制面から支援するため、平成二十五年度に創設したものでございます。
軽減の対象でございますが、先ほど答弁のありましたように老朽家屋を除却した土地のほか、不燃化特区内で建てかえられた家屋でございまして、それぞれ令和二年十二月末までの除却及び新築に適用されるところでございます。
令和三年以降の取り扱いにつきましては、不燃化の進展の状況や、改定が予定されております防災都市づくり推進計画等を踏まえつつ、政策効果と公平性とのバランス、税収への影響等を十分に検証した上で判断してまいります。
○細田委員 ぜひ、災害に強い都市づくりの観点から、前向きに、積極的に検討していっていただきたいと思います。
また、この不燃化特区制度では、所有者がかわって建てかえる場合に減免が適用されない、こういう事実、こういう課題もあります。
例えば、私の地元の江東区の不燃化特区内の住宅について、私も相談を受けたんですけれども、所有者の知り合いが建てかえようとしたんですけど、建てかえた住宅に減免の適用がないということがネックになったと、こういう事例もありました。結局、その高齢化している所有者の方々は建てかえないんだけど、じゃあそれが更地になった段階で自分が建てたいというときに、その後に、先ほどおっしゃっていた五年続く土地の八割の減免制度というものは引き継がれない。
大事なことは、燃えない、燃え広がらないというこの政策が進むために税の減免制度があるわけですから、それが、公平性が担保された上でちゃんと支援をしていくと、こういう措置にならなくちゃいけないのに、こういうような状況は改善しなくちゃいけないって私は思っていまして、不燃化のさらなる促進に向けて、減免をこういう場合でも適用する制度の拡充を図るべきと考えますが、東京都はいかに考えておりますでしょうか。見解を求めます。
○副島税制部長 不燃化特区支援税制は、不燃化特区内におきまして、家屋を除却した土地や同一の納税義務者が建てかえた家屋に対しまして、減免を適用しているところでございます。
ご指摘いただいた事例のように、現在の家屋の所有者が別の人に当該家屋を譲渡し、その後建てかえを行うというケースでございますけれども、旧家屋を取得した方が一旦納税義務者となりまして、その後家屋を除却し、建てかえた場合には、建てかえ後の家屋につきまして減免を適用することとしております。
こうした取り扱いでございますけれども、本税制が、老朽家屋の所有者がその家屋を除却するインセンティブとして措置しています趣旨を踏まえたものであるとともに、新旧家屋の所有者を把握する実務上の観点から設けているところでございます。
一方、仮に、建てかえ前後の家屋の所有者が異なった場合にも広く減免を適用するといたしました場合、例えば、旧家屋所有者が更地化した土地を建て売り業者等が取得し、新築して売り出すケースでは、当該家屋を購入した者が減免を受けられる一方で、旧家屋所有者は家屋を除却したにもかかわらず、税制上のメリットを受けられないということにもなりますので、公平性やインセンティブ付与の観点から一定の課題があるものと認識しております。
制度の拡充等の見直しに当たりましては、不燃化を推進していく視点はもとより、公平性の観点や助成制度とのバランス、税制措置によりますインセンティブ効果などを踏まえることが必要であると認識しております。
○細田委員 今の、私が申し上げた制度の拡充に向けて課題がある、そういうことも理解をしないわけではございませんが、先ほども申し上げましたけれども、老朽家屋の除却に関しては助成措置があるわけですよ、旧所有者にしても。そして新しい方々は、そこで耐火造、準耐火造をつくっていって、燃えないまちにしていこうという一つのまちづくりの視点があるわけで、そこにいかなる公平性を担保できるのか。だったらば、除却する前に自分が買った方がいいよねということをもっと伝えていった方がいいし、もっと、そういう制度なんですよっていうことを、税務を担当するところが、区にも、またこの不燃化の関係者にも、まちづくりのところにも発信していってほしい、ぜひ公平性を担保した上で。だから私はやめましたという人もいるんだから。買ったんだけど、そういう助成措置はもらえませんでしたという人もいるんだから。
そういうことを、より積極的に、前に進めていっていただきたいということを要望させていただきます。
最後に、固定資産税の軽減措置について伺います。固定資産税の三つの軽減措置についてです。
現在、都では、二十三区における過重な税負担を緩和する観点から、小規模住宅用地の都市計画税の軽減、小規模非住宅用地の固定資産税の減免、商業地等の負担水準の上限引き下げの三つの措置を毎年度設置してきており、都民や都内中小企業の負担軽減につながっているものと考えます。
固定資産税等にかかわる三つの軽減措置については、毎年、青色申告会からたくさんの陳情をいただきます。
来年度も継続を検討していくべきと考えますが、東京都の見解を求めます。
○副島税制部長 固定資産税等の三つの軽減措置につきましては、社会経済状況の変化や景気の動向、都の財政状況などを踏まえまして、税負担の公平等の観点から、毎年度、継続の可否を判断しているところでございます。
今年度も、お話のありました青色申告会連合会などから、措置の継続についてご要望いただいているところでございます。令和二年度の取り扱いにつきましては、都民や中小企業等の税負担感、二十三区の地価水準等を考慮いたしまして、今後判断してまいります。
○細田委員 この軽減措置は、土地の所有者だけではなく、土地や建物を借りている都民の全てに恩恵が及ぶものであります。
また、それにより、安全・安心な生活と安定した事業の経営、ひいては地域社会の活性化に結びつくものであり、ぜひ、継続に向けた検討を要望して、質問を終わります。
○池川委員 最初に、都税調答申について質問をします。
今回の都税調答申では、デジタル課税を初め、新しい分野にも切り込んでいます。答申には、所得格差に対応した税制という項目があり、所得格差は社会経済の活力と安定を阻害しかねない問題であり、解決に向け、社会保障、教育、労働政策など総合的な取り組みが必要だと認識が示されています。この認識については、以前の答申でも示されているところでありますが、私は、今日的な課題としてとても重要だと考えています。
そこでお伺いをいたします。都税調答申では、税制においても所得再配分の機能を適切に発揮することが求められるとしていますが、都としてはどのように認識をされているでしょうか。また、応能負担、生計費非課税の原則を強化する必要性があると思いますが、あわせてお伺いをいたします。
○副島税制部長 所得再分配機能は応能的な性格を有し、累進課税となっております所得税において発揮されるべきものと認識しておりまして、これまで、平成二十五年度税制改正では最高税率の見直し、平成三十年度税制改正では基礎控除や給与所得控除の見直しなど、その強化が図られてきたところでございます。
今後の方向性といたしましては、平成三十一年度与党税制改正大綱では、個人所得課税につきまして、所得再分配機能の回復等の観点から各種控除のあり方などについて検討すると明記されております。
都といたしましても、税負担の公平性を確保しつつ、所得再分配機能が発揮されることにより、社会経済の活力を維持していくことが重要であると認識しております。
また、生計費には課税すべきではないとの考え方につきましては、個人所得課税において、最低限度の生活を維持するために必要となる部分を課税対象外とする趣旨から、基礎控除などの人的控除が設けられているほか、低所得者層の負担を考慮し、一定の所得以下を非課税とするとしているところでございます。
○池川委員 都としても、税の公平性を確保しつつ、所得再配分の機能が発揮されることにより、社会経済の活力を維持していくことは重要であるという認識だったと思います。
ただ、この答申の中では、若者と高齢者の世代間格差が顕著だと記されており、世代間対立をあおるということが見られる--こういうことでは根本が解決しないと思います。
都税調の議論の中でも、我が党の曽根はじめ団長がこの問題を指摘したところ、ほかの委員の方から、今の曽根特別委員のご発言、全くそのとおりかと思って聞いておりました、特に、世代間の対立にならないように議論していく、高齢者に行っている財源を削って若年世代にということになりますと、確かに世代間の対立ということになりますので、世代間が対立しないようにするという視点は大変重要なことだと思いましたという発言もあったところであります。
都として、この世代間対立を助長する、あおるということではなく、しっかりと所得再配分機能を発揮させるような議論をしていただきたいということは、これ要望しておきます。
また、今回の答申の中でも、所得循環の中で生産、分配、支出という、課税の三つのポイントがあるんだと、それをバランスよく課税していくことが望ましいとしています。具体的には、生産局面としての事業税、分配局面としての住民税、支出局面としての地方消費税なんだということが書かれているわけです。
これまで財政委員会の中では、繰り返し、消費税がいかに低所得者にとって重い、逆進性の税制なのかということを指摘し、実際に所得格差の拡大にもつながっているではないかという指摘をしてまいりました。消費税が導入され、税体系が大きく変わったわけです。
過去三十年の消費税収は三百七十二兆円になりますが、同じ時期には、法人税は地方分を含めて二百九十兆円、所得税、住民税も二百六十七兆円減少してしまいました。消費税が法人税減税の穴埋めに使われてきたと同時に、富裕層の所得税や住民税の減税にもつながっているというのが実態だと思います。本気でこの所得の再配分をやろうと思えば、税金のあるところにきちんと課税をする仕組み、大企業、富裕層への課税が必要だと思います。
そうした意味で、今回の答申には注目すべき記述があります。答申の中では、金融所得への課税について、高所得者の負担税率が低くなっていることを、先進国の税率も参考にして引き上げを検討すべきだと提言しています。
都としてはどのように認識されているでしょうか。
○副島税制部長 金融所得に対する課税のあり方についてでございますが、平成三十一年度与党税制改正大綱におきまして、家計の安定的な資産形成を支援するとともに、所得階層別の所得税負担率の状況も踏まえ、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、経済や市場等への影響も踏まえつつ、総合的に検討すると明記されており、都としては、国の動向を注視してまいります。
○池川委員 都税調が金融所得への課税について、高所得者層の税率負担が低くなっていることを、先進国の税率も参考にして引き上げを検討すべきだと答申を取りまとめたのは初めてだと伺いました。実際に、答申の四二ページには、申告納税者の所得税負担率のグラフが示されています。これは、所得が一億円を超えると税率が下がっていくという仕組みを示したものです。これを正すことは急務だというふうに思います。
国の動向を注視するという答弁でありますが、都税調が、ここに踏み込んで引き上げを検討すべきだということを答申したわけですから、都としても、この問題について、国に対してぜひ、真正面から意見をいっていただきたい、このことは求めておきたいと思います。
次に、都税の徴収問題と情報バリアフリーについてお伺いをいたします。
都税の徴収問題については、繰り返しこの委員会でも質問をしてまいりました。きょうの質問では、実際に滞納せざるを得ない状況になった場合、使える制度についてどのように対応しているのか、周知をしているのかについて聞いていきたいと思います。
その一つが、申請により納税を猶予し延滞税が軽減される、換価の猶予の制度です。実際に換価の猶予が行われた件数や額については、公表されているデータはないということですが、制度の開始以来、その活用が広がっているんだという話はお伺いをしております。
また、滞納処分をすることによって、その生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに行われるのが滞納処分の執行停止であります。
これは、東京都税務統計年報に都税の滞納処分の執行停止が記載されており、一番最新の年報の中では、二〇一七年度が五万三百三十八件、六十七億四千七百三十二万八千円、二〇一六年度は六万七千三百二十件で九十一億八百七十三万七千円、そして、二〇一五年度は七万七千円八百七十二件で、百二十三億五千八百六十六万円というふうになっていると。これは、徴収猶予も含めて、こうした制度を税務行政に携わっている方、また、それに精通している方なら別として、ほとんど多くの都民は知らないといっても過言ではないと思います。
そこで、二点あわせて伺いたいと思うんですが、換価の猶予や滞納処分の執行停止についてはどのように周知をされているのか、また、あわせて、都税事務所に相談に来た方に対しては、換価の猶予等の制度については、どのように説明をし、また、どのような資料を用いて説明をされているのかについてお伺いをいたします。
○川上徴収部長 平成二十七年度の税制改正におきまして、納税者の申請に基づく換価の猶予制度が創設されたところでございます。これを受けまして、主税局では、制度の創設趣旨を踏まえた周知を的確に行うため、主税局ホームページ上に、制度概要の案内や納税者向けの手引を新たに掲載をいたしました。
一方、滞納処分の執行停止につきましては、滞納者の収入や財産の状況などを詳細に調査した結果、滞納処分できる財産がないと認められるときなどに職権で行うものであるため、制度について特段の周知は行っておりません。
もう一点の、換価の猶予等について都税事務所でどのように説明しているかという点につきましては、都税事務所に納税に関する相談があった場合、納税者の事業、生活の状況などを聞き取った上で、利用可能な制度を案内するなど、納税者に寄り添った対応に努めております。
制度説明の際は、先ほど紹介いたしました納税者向けの手引のほか、ポイントをわかりやすくまとめたリーフレットを用いております。
申請に当たりましては、申請書の記入や必要な添付書類など、一般の納税者には難しい点もございますため、必要に応じて都税事務所職員がサポートを行ってございます。
○池川委員 滞納処分の執行停止については、特段の周知を行っていないということです。また、換価の猶予については、ホームページに制度概要の案内、また手引について掲載をし、実際に、事務所にポイントを書いた説明用のリーフをつくっておいて、それも活用しているということであります。そして、今の答弁の中でも、一般の納税者には難しい点もあり、サポートする必要がある、職員がサポートもしているということでご説明がありました。
私も、手引やリーフについて見ましたが、なかなかこれを読み解くのは難しいなと感じたのが率直な印象です。そういった意味で、状況を丁寧に把握し、使える制度がある、そのことを周知していくことが極めて重要だというふうに思います。
今の答弁では、滞納処分の執行停止については、職権で行うものだから特段周知をしていないということですが、国税庁のホームページでは、この制度についてきちんと周知がされています。
都としても、何も載せない、紹介しないということではなく、きちんと制度があるわけですから、この制度があるんだということを紹介することは意義のあることだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○川上徴収部長 国税庁のホームページ等に執行停止の記載があることは承知してございます。一方で、先ほども答弁いたしましたように、執行停止につきましては職権で行うものでありまして、納税者への理解等を進める必要があると思っておりますので、今後の検討課題とさせていただきたいと思っています。
○池川委員 実際に、滞納処分の執行停止を求める直接の請願を税務署等に提出して、その窮状を訴えた結果、執行停止になったケースもあるというふうに伺っています。そして、実際にそうなった方からもお話を伺ったことがございます。
そういう制度を知らなければ、そもそもこうした動きにはならないわけでして、今ある制度をお知らせするというのは、何か特段難しいことを求めているわけではありませんので、先ほども今後の検討だということでご答弁いただきましたので、わかりやすい制度周知を行っていただくよう改めて求めておきたいと思います。
また、滞納してしまった多くの方が、都税事務所から督促や催告について送られてきた場合、その内容についてなかなかわかりづらいということも多く、不安や心配を抱えているというケースもお伺いしています。その方の状況を把握し、丁寧に相談を受けることが、この点では極めて重要だと思います。
事業概要の中には、丁寧な納税相談や財産調査により個々の納税者の実情を把握しという記載がありますが、丁寧な納税相談の具体的な内容について、取り組みを伺いたいと思います。
○川上徴収部長 都税が滞納となった場合、催告書を郵送するとともに、電話や訪問等により納税者との接触を図りまして、納税者の事業、生活の状況を確認いたします。その後、必要に応じて財産調査を行い、収入や財産の状況をより的確に把握した上で、納税者の納税資力や事業、生活の状況を踏まえた滞納整理方針の検討を行っております。災害や病気、事業の休廃止等、一時的に納税が困難な場合などは、その状況に応じて利用可能な制度を案内するなど、きめ細かな対応に努めているところでございます。
○池川委員 納税資力等、事業、生活の状況を踏まえて滞納整理方針を検討するということであります。
さきの決算特別委員会の分科会でも紹介をした、新国税徴収法の改正作業に当たった租税徴収制度調査会の会長を務めた我妻栄氏が国税徴収法精解の中で、よく切れる刀を持つ者が、必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である、不必要に切ってみたい誘惑さえ感ずるものであると、この公権力の行使について厳しく戒めを行う、この必要があるんだということを書いています。
税務行政は極めて強い権限を持ち、公権力の行使を行っているわけであります。滋賀県野洲市では、ようこそ滞納いただきましたと、滞納は生活状況が変化したシグナルだと捉えて、相談に当たっています。こうした姿勢が滞納者の不安を取り除き、行政との信頼をつくり出すというふうに思います。都として、納税はシグナルなんだという視点を持って対応していただきたいと思います。
そして、このシグナルを受けとめ、区市町村初め他の機関とも連携をして、生活再建型の滞納整理を行っていただきたい、そのための情報提供もしていただきたいということを求めておきたいと思います。
次に、情報バリアフリーについて質問をいたします。
都が作成している情報バリアフリーガイドラインには、情報を得ることが困難な人たちから意見を聞きながら、誰もが容易に情報を入手し、発信できるための配慮を行うことで平等な社会参加を可能にする、それが、情報バリアフリーに向けた取り組みの目的だと明記をされています。これをどうやって各局で具体化していくのかが問われています。
主税局でも、都税事務所等からさまざまな情報発信を行っているところでありますが、都税における情報バリアフリーについて、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後どのように推進をしていくのかについてお伺いをいたします。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局では、視覚障害者の方に納税通知書の記載内容を理解していただくため、二十三区内の固定資産税、都市計画税、個人事業税及び自動車税について申請をいただいた方に対しまして、点字で税金の種類や税額、納期限などのご案内を同封しております。
また、平成三十年八月の個人事業税の定期課税分から、全ての納税通知書の封筒に音声コードを添付いたしまして、希望者に対して税額などの情報を音声で案内する取り組みを開始しました。今年度は、五月の自動車税、六月の二十三区内の固定資産税、都市計画税の定期課税分においても実施をしたところでございます。
加えまして、都民向けに都税を易しく解説した「ガイドブック都税」につきまして、英語版、中国語版、ハングル版を作成し、都税事務所への配布や主税局ホームページへの掲載などによりまして、外国人にも理解をいただく取り組みを行っております。
さらに、来年度から、便利でわかりやすい相談を実現するため、二十四時間三百六十五日対応可能なチャットボットの活用による税務相談を実現するよう、現在、検討を進めているところでございます。
今後も、こうした取り組みを継続して進めていくとともに、障害の有無や国籍などにかかわらず、誰にとっても理解しやすく、きめ細かい税務広報に努めてまいります。
○池川委員 必要としている方のところにしっかりと情報が届くよう、今の答弁でも、誰にとっても理解しやすく、きめ細かい税務広報に努めていくという答弁がありましたので、関係機関とも連携をし、情報弱者の当事者の声を直接聞いていただくことも含めて、取り組みを進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、都税事務所における窓口及び郵送業務の委託の問題について質問をいたします。
いうまでもなく、都税事務所の行う固定資産評価証明、納税証明などの発行は、極めて高いセキュリティーが必要な個人情報を有し、取り扱う業務となっています。これらの業務にかかわって、東京都は、今年度から、板橋都税事務所の総合窓口と都税事務所の郵送業務についての業務委託を始めています。総合評価方式によって、一年契約で株式会社パソナが落札をしています。委託化をするということはリスクを伴うというふうに思います。
そこでお伺いをしますが、この都税事務所における総合窓口と郵送センターは、委託化ありきで進めてきたんですか、いかがですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで都税事務所における窓口業務や郵送による証明発行業務の多くを担ってきた一般職非常勤職員の大幅な担い手不足が見込まれる中、これにかわる新たな運営体制の確立が喫緊の課題となってございます。また、窓口業務につきましては、年間を通じた繁閑差を考慮いたしますと、業務委託による柔軟な対応が最も効率的でございます。
さらに、事業所間のサービスレベルの均質化や、接遇の向上などを総合的に勘案いたしまして、業務委託が最も効率的であると判断したところでございます。
将来にわたって安定的に窓口業務や郵送による証明発行業務を実現していくため、他自治体の例なども参考にいたしまして、業務委託が最適であると判断したところでございます。
○池川委員 とにかく今の答弁は、最適であると判断したということであります。
二〇一七年十二月に行われた第十三回都政改革本部会議で、当時の主税局長は、非常に幅広い領域となりますので、税務行政においてマンパワーの比重が大きいことに鑑みまして、人的コストをいかに抑えるかという視点から委託化の検討をすると述べています。担い手不足の対応というより、むしろ最初からこの人的コストの削減、委託化そのものを推進する、委託化ありきだったんじゃないかとも思える、そういう発言であります。
しかも、現状は、将来にわたって安定的に業務が行われる、その最適の選択だといえるような状況にはなっていないと思います。きょうは、その点について明らかにしていきたいと思います。
初めに、総合窓口の委託化からお伺いします。総合窓口の業務委託の目的は何でしょうか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどもご答弁申し上げましたところでございますけれども、これまで、都税事務所におけます証明発行等の窓口業務は、都のOBを中心とする非常勤職員が担ってきたところでございますが、今後、これら非常勤職員の大幅な担い手不足が見込まれております。また、非常勤職員の経験に依存した事務所間の窓口サービスの不均質や、業務繁閑の大きな偏差の存在などの問題も指摘をされております。
こうした中で、非常勤職員にかわる新たな窓口運営体制を早期に確立し、将来にわたって安定的に窓口サービスを実現していくために、窓口業務のうち、公権力の行使にかかわらない部分を委託することとしたものでございます。
○池川委員 これまでは都の職員のOBが行ってきた事業だけれども、これからは減っていくので委託化しないといけないんだという話だったというふうに思います。
非常勤として働いてきた都税事務所のOBの職員の皆さんは、率直にいって専門的知見を有しています。本来は、公権力の行使、つまり決定に責任を負うことが伴う仕事は、非常勤ではなく正規の職員が行うことが必要だと思います。ただ、現状では、都職員のOBにお願いをしているということです。
将来にわたって安定的に窓口サービスを実現するというのであれば、その分の定数について改善し、必要な職員確保を行い、対応することが最も安定的だというふうに思います。一旦委託をすれば、業者がかわれば、ノウハウはリセットされてしまいます。また、委託によって、都職員が業務の中で習熟してきたノウハウも継承できないことになり、公権力の行使を行う職員自体が業務の内容について習熟できない可能性も生まれてきます。これでいいのかが問われていると思うんです。
具体的に聞いていきたいと思います。
総合窓口には何を委託されたのでしょうか。また、委託の内容を具体的に伺います。業務量についてはどのくらいを見込んでいるのかについても、あわせてお伺いをいたします。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主な委託業務は、固定資産評価証明書や納税証明書等に係る受け付け、端末発行操作、申請者への証明書の受け渡しなどに関する業務、法人二税などに係る申告書をお預かりする業務、都税に係る現金収納業務などでございます。
令和元年度に委託を実施している板橋都税事務所における年間の業務量についてでございますが、証明書に関する業務が約三万七千件、申告書のお預かりに関する業務が約五千件、都税に関する現金収納業務が約五千六百件と見込んでおります。
○池川委員 板橋都税事務所を選んだのは、都税事務所の中でも比較的小規模だということを理由にされたと伺いました。
委託仕様書の中には、都民サービスを向上し、かつ効率的な税務行政を推進するために実施するものということが書かれています。都税事務所における都民サービスの向上といった場合に、例えば証明書の発行スピードが上がること、これはとてもわかりやすい例だというふうに思います。
それでは、具体的にどうか伺いますが、総合窓口を委託化し、証明書発行までの待ち時間にはどんな変化があったんですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 従来は、職員が受け付けから交付まで一連の流れで処理してまいりましたが、業務委託化後は偽装請負等を回避するため、受け付けや端末発行操作など、定型的な業務分のみを受託事業者が担当し、証明書の発行審査など、公権力の行使に係る部分は職員が担当するという制度設計となってございます。
こうした業務フローの見直しによりまして、特に、委託稼働当初の四月から五月にかけまして、一部の来庁者より、従来に比べて待ち時間が長くなったというお声もいただいたところでございますが、運営の習熟とともにそうした声も減少し、現在ではむしろサービス面や接遇面において好評をいただいているところでございます。
今後、来庁者サービス、来庁者満足度をさらに向上させていくため、来庁者アンケートによるニーズの把握や、それに基づく窓口改善の実施などの工夫を凝らしてまいります。
なお、来年度に向けましては、これまでの実施の結果を踏まえまして、十分に課題の整理を行い、窓口システムの導入や長期継続契約の実現を目指し、所要の予算を要求しているところでございます。
○池川委員 いろいろと聞いていないことにもお答えいただいたと思うんですけど、実際に、今の答弁では、一部で長くなったという声があるという話でしたが、単なる一部の話ではないというふうに思います。そういう人たちが何か受けとめて、声を寄せたということではないというふうに思うんです。
きょう、寄せていただいた資料をパネルで持ってきました。ちょっと字が小さいので済みません、見えにくいんですけど、これは、板橋都税事務所における総合窓口化委託化に係る第一・四半期のまとめという、主税局がまとめられたという文書です。
この中には、具体的に、証明書発行交付時間が直営時の二倍程度までに長時間化したということが書かれているわけです。これ、はっきり書かれているわけですね。局としても、証明書の発行までの時間が長くなったと認識をされているわけです。私たちのところにも、二時間以上かかったという事例も寄せられているところであります。これは、明らかに委託による弊害だと考えます。その最大の理由は、委託業者に発行権限がないということにあると思います。
(パネルを示す)これは、聞いた話をちょっとイメージにしたので、かなり簡略にしているものではありますが、窓口に証明書が欲しいという方が来た場合に、この委託窓口でまず受けることになります。この委託窓口の権限でできるところまで発行して、この後ろに控えている都税事務所の職員の方に一度、エスカレーションという、要はここにきちんとお願いをして、この人たちが最終的には発行権限を持っているわけですが、この人たちからオーケーをもらって初めて、委託の人はこの窓口で渡すことができると。この委託窓口の中でその処理ができない場合には、この都税事務所の職員が別のカウンター、横にあるカウンターだそうですけど、別のカウンターのところで対応に当たると。
すなわち、この後ろの都税事務所の職員に対して、一度お伺いをしなければならないという関係になっていて、これは、業務委託だからこういうことが必要になるということだというふうに思うんです。
これは、先ほども答弁ありましたが、委託前であれば、都の職員が一括でやっていた作業を、委託後は受け付けや発行操作は業者がやる、そして審査は都の職員がやる、作業を分割することになって、そのことが時間が延びた要因だというふうに思うわけです。
先ほど紹介したこの第一・四半期のまとめという文書の中にも、局としてまとめたものの中に、委託と非常勤で作業工程を分化したことによる分割損ということまで書かれています。委託化をすることによって、こういう事態となったわけです。
しかも、四月から五月というのは繁忙期、これはやる以前からわかっていた話であります。だから仕様書の中にも、委託の基本的な考え方として、スムーズかつ安定的な業務の実施とあり、履行当初期間より都民や業務の混乱を招かず、スムーズかつ安定的に業務を実施するというふうに書いてあるわけです。履行期間当初から混乱を招かないようにするんだと書いてあるわけです。実際に、先ほどの答弁、何となくそういう声があったという話ではなく、実際二倍になったということを局としても受けとめている、これは四月、五月の話だというふうに思います。
しかし、これは明らかに委託仕様書の違反に当たると考えますが、その点についてはいかがですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度、この四月から委託を新たに開始したものでございまして、委託の開始に当たっては、さまざまな課題を検討した上で委託仕様書を定め、委託業務をスタートしたわけではございますけれども、なおそこの中でさまざま十分に考慮し切れなかった事情、そういったものを局の中で、委託実施後の状況について現状や課題の把握をし、その問題点の整理をして対策を検討してきたものが、まさに今、理事がごらんになった、主税局でこの間の業務の成果を分析した資料でございます。
委託当初に混乱をしたということは事実ではございますけれども、その混乱に対する対策を十分にとってきた結果、現在は安定をしてきているものと認識しているところでございます。
○池川委員 しかも、このまとめの中には、都税事務所の運営体制の現時点の評価として書かれているわけですけど、非常勤二名に負担が集中しているとか、休務日や混乱時の所内応援が業務の運営上の負担になっているとか、当初想定していなかった管理職による閉庁後の待機が発生など、率直にいって何一つ評価できる項目はなく、実際に新たな負担が発生しているということが列挙されています。
さらに、本庁からも、四月から六月まで二名の派遣をしていたというふうに伺いました。板橋都税事務所の所員の皆さん、職員の皆さんにしても、本庁の職員にしても、本来業務に支障を来すような事態が生まれていたというのは事実なわけであります。とても、仕様書の目的にある都民サービスを向上し、効率的な税務行政を推進するために実施するためのものどころか、むしろ待ち時間が長くなり、都民サービスは低下する、さらに、応援業務がふえて都税事務所の職員や本庁職員に負担がかかる行政の非効率が生まれているという二重の問題があるというふうに思います。本当に問題が山積しているというふうに思うんです。
さらに、委託の仕様書の目的には、税務行政におけるサービスの質の向上ということが書かれており、そこには、都税事務所での窓口受け付けのワンストップ化により行政のサービスの質の向上を図るという趣旨のことが書かれています。
このワンストップの需要というのは実際にどうだったんでしょうか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委託業務の内容といたしまして、先ほど申しましたとおり、証明の発行のほか都税の収納業務ですとか、申告書の受け付け業務なども集約化をして委託化をしたところでございます。そうすることによりまして、複数の目的を持って窓口にお見えになった納税者の方が、一つの窓口で用務を終えることができる、いわば、まさしくワンストップサービスという実現を目指して、このような委託化を図ったものでございます。
この間のアンケート調査をした結果といたしましては、複数の用務を持って窓口にお見えになった納税者の方が現状、わずかであったということは、アンケートの結果、把握をしているところでございます。
○池川委員 今、アンケートの結果、紹介がありましたが、実際に、このアンケートは百五十件、来庁者にとったアンケートですが、この中で、ワンストップのサービスを利用したというのはわずか二件でした。実際に、このことをもって、先ほど示したまとめの中でも、複数の手続を一カ所で済ませることができるという点での総合窓口のニーズは低いというふうに、局として評価をされています。
しかも、主税局が先日、十一月に発表した文書の中では、一つの窓口に集中したことで、受け付け業務が煩雑化し、総体としての待ち時間の長時間化といった問題が新たに発生したと書いてあります。このやり方も、待ち時間の長時間化という都民サービスの低下を生み出しているというふうに思います。これ、目的そのものが破綻しているというふうに思います。都民ニーズを踏まえたものではなく、やはり最初から委託化ありきで方針を決めたから、こういうことになるのではないでしょうか。証明書発行までの時間が長くなるなど、委託化によって都民サービスの質は向上するどころか、率直にいって低下をしています。
ところが、来年度の予算要求では、さらに台東、墨田、練馬の都税事務所で委託化を行い、二〇二五年度までに、全ての都税事務所での窓口業務の委託化を行うという方針が示されています。
では、待ち時間や発行時間の長時間化という課題は解決できるといえるのかということでありますが、課題の解決を図った上でということで、先ほども今後やっていきますという話ありましたけど、どんな解決方法なのかというふうに見てみると、来庁者の待たされ感の軽減、待たされる時間の軽減じゃなくて、待たされ感を軽減するんだと。処理時間、処理状況がわかる番号札や、待ち時間がわかるモニターの導入、電話やメールによる自動呼び出しサービス、ホームページやSNSで窓口混雑情報を適時提供していくなどのことが列挙されています。
この待たされ感の軽減自体は意味ある取り組みとはいえ、待ち時間の長時間化という問題は、根本的に解決が図られないということになるわけです。業務委託契約を拡大すれば都民サービスの低下が生じる、しかし、気分は和らげるということで対策するというのは、とてもお粗末だというふうに思います。
ほかにも、今後の改善方法には、審査時間の短縮化というものがあります。これは、先ほど紹介したように、委託業者の社員が証明書を発行し、後ろに控えている都の非常勤職員が公権力の行使を行う、このチェックを受ける時間を短縮するというものでありますが、これらは正確さが求められている業務であり、発行権限は都の職員にしかありません。極めて高度なセキュリティー情報の業務を行うわけですから、しっかり審査をすることが必要です。
もともとダブルチェックの対応などの仕組みがあったとしても、これ、発行権限のある職員間同士で行ってきたわけですから、委託化に伴い、審査時間そのものの時間増がこれによって解決される、つまり、そのチェック自体はなくすことはできないわけです。
さらに、後ろにいらっしゃる非常勤職員の負担軽減を行うために、委託業務の範囲の拡大まで検討しているということが、先ほど紹介したまとめの中では明記をされているわけです。
さらに、発行時間の短縮化として、TACSSという端末が利用されていると思うんですけど、この習熟の拠点として、窓口ではなくて、都税証明郵送受付センターを使うということまで書いてあります。これはつまり、この郵送受付センターと都税事務所の窓口、全部一括で委託をしていかなければ成り立たない話に、一括前提だという話につながっていくわけで、本当にこれでいいのかということが問われると思います。
そこで、次に、この郵送受付センターの問題について伺っていきたいと思います。業務委託の仕様書には、証明書等の請求先を一元化することにより、行政サービスの質の向上を図るというふうにあります。
この郵送受付センターの業務委託を行ったことで、具体的に郵送期間に変化があったのか、委託前との比較も含めてお伺いをしたいと思います。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、先ほど板橋都税事務所における窓口についての、私どもで総括をした文書の中から、窓口業務が倍になっているとか、非常勤職員に非常に業務が集中しているといったことが書かれているというご指摘ございましたけれども、これは、表のタイトルに書いてございますとおり、総合窓口化委託化に係る第一・四半期の状況を整理したものでございまして、四月から六月の状況をこのように分析して、その後対策をとった結果、現在では安定をしてきているというふうに、最初に答弁を申し上げたとおりでございます。
失礼いたしました、お尋ねにありました郵送受付センターの業務委託でございますけれども、従前より、郵送によりご請求をいただく場合には、証明書の発行までにおおむね一週間程度お時間をいただく旨、ホームページでお知らせをしているところでございます。
一方、案件の内容にもよりますために、一概に申し上げることはできないわけですけれども、委託化後は委託化仕様書におきまして、原則として、申請書等を受理した日から四開庁日以内に交付を完了することを要件としておりまして、申請書類の不足や一時に大量の請求が集中するなど特殊な例を除きましては、現状でおおむね仕様書に定めた期間を実現できているものと考えております
○池川委員 第一・四半期が大変だったんだという総括なんだということで、第一・四半期は大変だったことは事実でありまして、その繁忙期に対応できなかったことは重大だというふうに私は思います。
今の答弁では、特殊な例を除いては、おおむね四開庁日で実現をしているということでありますが、実際に届くのが遅くなったという趣旨の声は直接届いております。また、直営でやっていたときと比較して長くなったという声も寄せられているところであります。
今の答弁は、委託仕様書では四開庁日で返すことを基本としていると。これが以前と比較をしてどうなのかというのは、書類の種類や審査の内容によってまちまちだということは、理解はしているところでありますが、実際に、ここにも公権力の行使という、都税事務所の職員がチェックをするということが追加をされてくるわけであります。申請はたくさん来る、一方で、発行は追いつかないということになれば、今度は滞留していくということになります。
そこでお伺いしますが、郵送受付センターにおける郵送未処理件数というのは、今どのくらいになっているのか、また、その未処理件数は最大でどの程度になっていたんでしょうか、いかがでしょう。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 郵送受付センターにおきましては、現在の未処理件数、本年十一月末の現在で五百四十三件となってございます。ある一時点において発送作業が完了していないなどの事情で滞留しておりました最大の数につきましては、本年四月の時点の千六百五十三件が最大でございました。
○池川委員 特殊な例を除いては、現在おおむね実現できているという、先ほど一個前の答弁がありましたが、今、四月当初は極めて重大な未処理件数が残されていたということが明らかになったというふうに思います。
これ、板橋都税事務所の総合窓口のときと同じ仕様書が使われているわけですが、繰り返しになりますが、履行期間当初より都民や業務の混乱を招かず、スムーズかつ安定的に業務を実施するということができていなかったということだと思います。
しかも、そのフォローのために、郵送受付センターに都の職員がサポートに入られていたということです。
この郵送受付センターに、都の職員が業務のサポートに入ったことはあるのか、あるとすれば、最大何人で、どのような立場の職員が行かれていたのか、また、どのような業務を行っていたんでしょうか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 郵送受付センターの安定的な運営を図る観点から、随時、局内の職員が業務サポートを行っております。サポートは基本的に本庁指導部門職員が中心に実施をしておりますけれども、最繁忙期でございます四月から五月にかけましては、都税事務所職員も対応したところでございます。サポート内容は、郵送受付センターの非常勤職員が実施をいたします発行可否の審査業務などでございます。
これまで、一日当たり最大のサポート人数は、本年四月における本庁職員十二名、事務所職員五名、計十七名でございます。なお、運営の安定化とともに、五月をもって事務所のサポート体制は終了しているところでございます。
○池川委員 最大十七名も応援に入っていたということです。
この数からも、とてもスムーズに運営されていたと、効率化だったということはいえないというふうに思います。しかも、郵送受付センターも、当初の目的と比較をしても、四月、五月、これ忙しいということは局の皆さん、重々承知だったわけですから、その時期に、実際にこれだけ応援体制を入れて何とかしたというのが実態なのではないでしょうか。
この郵送受付センターについて、今、四月の時点では十七名の応援体制があって、千六百を超える文書が滞留をしていたと、これ事前にお伺いしたときには、板橋都税事務所の総合窓口については、第一・四半期の検証、まとめはやったということですが、この郵送窓口センターについては検証をやっていない、まとめをやっていないということでありました。これ本当にやっていないんですか、いかがですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局で、この第一・四半期のまとめとして、窓口業務の集約化、委託化をした後の状況につきまして、やはり同様に、郵送受付センターの委託化につきましても、第一・四半期のまとめを行っております。
○池川委員 つまり、事前にこれ、あるかないかとお伺いしたときには、ないんだということだったんですが、あるということでよろしいんですか、もう一回確認します。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 事前のご説明が不十分であった点があったかどうか、ちょっと承知しておりませんけれども、私の手元に今、第一・四半期のまとめの資料を持ってございます。
○池川委員 極めて不誠実だと思います。あるかないかを確認したのに、事前にはないというふうにお伺いをしましたが、今、手元にはあるということですね。これ、つまり虚偽の説明をしていたということになるんだというふうに思います。
具体的にお伺いします。じゃあそれは、どのようなタイトルの資料で実際に出されているんでしょうか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全体としましては、窓口業務及び郵送証明書発行業務の集約化、委託化に係る第一・四半期のまとめとした資料でございまして、その中でタイトルのとおり、都税証明郵送受付センターの委託化に関しても、第一・四半期の取りまとめの分析を行っております。
○池川委員 それ、今の話は、一つづりの文書の中に両方入っていたということですか。私は、つづりを全部出してほしいというふうにお願いしたんですけど、板橋の分しかありませんというふうに持ってこられたんです。
これ、今の話は、一つづりの文書の中に、今の板橋の話も郵送受付の話も、両方一体のものとしてあったということなのですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局で作成した文書は、ご指摘のとおりでございます。
○池川委員 つまり、持ってきた資料は、その中から抜いて板橋の分だけ持ってきたということでよろしいですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先生との事前の打ち合わせについて、どのようなやりとりがあったか私は承知をしておりませんけれども、結果、そのような先生のご認識であれば、今、にわかに私がここで否定する材料は持ってございません。
○池川委員 これ、だって総務部がつくった資料でしょう。それを責任者である部長が知らなかったっていうのは、私の方がにわかに信じがたいです。だって、あるものを出してくださいねといったのに、ありませんという話だったわけです。ここで、あるないの話をしても、それ真実がどうだったかってわからないわけですけど、実際に、窓口業務については板橋のがありますよと、もう一つの郵送受付センターについては、そういうものはありませんという話だったけど、今の話だと、一つづりの中に入っていたところからわざわざ抜き出して、板橋のだけ持ってきたという話になるわけですから、これ、本当に重大な問題だというふうに思います。
具体的に、その中には、窓口の方ではなく、郵送受付センターの方には、どのようなことが書かれているんでしょうか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 初動対応--先ほど来ご指摘ありましたとおり、四月から五月の大量発生時並びに四月からこの委託を開始したということに伴って、開始時に大幅な滞留が生じたわけでございます。その遅滞発生の原因分析を行っておりまして、四点にわたってその原因を分析し、今後の対応策について検討を行ったものでございます。
○池川委員 これは、やっぱり四月、五月が深刻だったから、そういうことをやらなければならなかったということだと思います。実際にお伺いをして、今、千六百件、四月には滞留をしていたと、十七名の応援体制があったという話も、その中に書かれているということですか、それ確認させてください。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 四月、五月は、そもそも証明の、特に固定資産評価証明書の申請が大量に発生する時期でございまして、そこのタイミングに合わせて委託化をスタートするため、事前の準備も十分に行ってきたところではございましたけれども、この郵送分だけを一カ所に集約をして処理をするといったところの中で、なお十分に想定し切れなかった点があったところでございまして、この中で、申しましたとおり、初動対応のおくれとなった原因の分析をするとともに、その滞留案件の処理をするために、局内でとった体制についても整理をしておりまして、お話のありましたとおり、この間にどれだけの職員が対応したかといったことについても整理をして、今後の対応策の参考としているところでございます。
○池川委員 そもそも四月、五月というのは、最も忙しい時期だと、繁忙期だということは局の皆さんが一番よく認識されていたというふうに思うわけです。今の話でいくと、事前の準備はしてきたけれども、結果として足りないから十七名もの職員が応援に入ったと。
これは、もともと応援を前提に委託をかけたっていうことなんですか。今の話だと、結局、委託の仕様書には最初からちゃんとやれるということが書いてあったにもかかわらず、結局、四月、五月、繁忙期だから仕方なかったんだという認識なんですか。最初から委託業者の応援体制としてサポートに入る、そういう計画だったということでよろしいんですか。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度、新たな取り組みとして、主税局として、この窓口業務の委託化、集約化等含めて郵送受け付けについても、委託化をするという新たな事業を開始したわけでございます。
ご指摘をいただいているとおり、四月から委託化をスタートさせるというときに、まして四月から五月の間というのは、年間の間でも最も業務が集中する時期であるということを承知の上で、これをスタートさせたわけでございまして、事前の準備に万全を期したつもりではございましたけれども、結果としてこのような事態になったという中で、どのような点が十分考慮されていなかったかといったところを、十分な分析を行ってきたわけでございます。
新しい事業を起こすときに、十分な体制、十分な予算措置といったものを準備することが、もちろん我々としては責務ではございますけれども、なおそういった想定し得ない--新たな業務の中では起こってくるといったことも、またこれは事実でございまして、そういった当初の混乱というものを、どのように局を挙げて処理をしていくかという中で、やはり納税者の方に迷惑をかけてはいけないという観点から、職員の応援体制を緊急に組んだものでございまして、当初から応援ありきということでこの委託化をスタートしたものでは当然ないわけでございます。
○池川委員 最初にも紹介しましたが、都政改革本部会議の席で、当時の主税局長は、税務行政においてマンパワーの比重が大きいことに鑑みまして、人的コストをいかに抑えられるかという視点から委託化の検討をするんだと述べられています。主税局は、この間の取り組みの中で、多摩の都税事務所の統廃合や個人事業税のブロック化など、既に職員数が大きく減っています。そうしたことが今回の担い手不足につながっていることは明らかだと思います。
調べたところによると、二〇〇八年度と二〇一八年度を比較すると、東京都全体では職員数が九三・二%なのに対して、主税局は九〇・五%と、さらに減っているわけです。実際に、この間は減らした分を都税事務所OBの一般職非常勤職員でカバーをしてきたということだと思います。それでは今後の対応ができないということで、委託化の話も出てきたのかなというふうに感じざるを得ません。
そこでお伺いしますが、委託化に伴い、板橋都税事務所の職員体制がどうなったのか、あわせて郵送受付センターの委託を行うことで、各都税事務所の職員体制に変化があったのか、板橋と郵送窓口の方と両方あわせて伺いたいと思います。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、板橋都税事務所でございますけれども、委託開始前は、窓口対応要員として一般職非常勤職員八名体制であったのに対しまして、委託化後は、公権力行使に係る業務のみの対応要員として、一般職非常勤職員二名を配置しているところでございます。
一方、郵送受付センターでございますけれども、二十五都税事務所に分散をしておりました証明の郵送請求業務に係る対応要員としまして、一般職非常勤職員十名相当の体制であったのに対しまして、都税証明郵送受付センター移行後は、証明書の発行審査など公権力の行使に係る業務のみの実施体制として、一般職非常勤職員三名を配置しているところでございます。
○池川委員 板橋都税事務所では非常勤職員六人、また、郵送受付センターをつくったことにより、各都税事務所で七名相当の職員が減ったと。実際に、その方々が残りの仕事に今、従事されているというふうなことだと思います。
東京都の一般職非常勤職員給与十三人分を足し合わせると、年間で約三千万円となります。これに事業所として支払う社会保険料や交通費手当等がありますが、今回、株式会社パソナが落札した金額は、消費税を含めて三千八百二十三万二千円であります。
しかも、先ほどのまとめの中には、予算積算上の想定人数を超過とあり、今後、入札する場合に予定価格に影響するような記述もあります。そもそも計画自体、落札したパソナ以外は、入札価格が予定価格を超過しています。落札したパソナも、総合評価の価格点は二百十点満点中三・五点、つまり局の見積もりが極めて甘く、この予算積算上の想定人数の超過という事態になったということだと思います。
パソナは、価格点が三・五点であるのに対して、技術点は四百十点中三百七十六・四点を獲得しています。評価項目及び評価基準を見てみると、一番点数が高いのが業務実施方法で重みが三十点、次に業務の正確性で重みが二十五点、その次が人員配置体制で重みが十五点というふうになっています。その評価の際も、最も高い特典が与えられるAに当たる評価を受けるためには、過去に類似の受託事務において適用実績があることが条件となっています。結局、そうなると、総合評価によって過去に実績があるかないかが大きな評価基準となり、そうした場合には、極めて限られた企業が有利に働くことになります。
しかも、実績があると評価されたパソナであっても、総合窓口でも郵送受付センターでも、直営時と比較して当初、都民サービスが向上したとはいえない結果となっています。こういう状況になっているにもかかわらず、来年度さらに三つの事務所を委託化する、どうしてこういう方針になるのか。対策が出されているものも結局、委託化をして時間が延びてしまう、それに対する苦肉の対応だというふうにいわざるを得ません。
それでも委託化を推進する大もとにあるのは、見える化改革報告書です。この報告書を作成する過程で、当時の特別顧問が強烈に委託化を推し進めていたことは、火を見るよりも明らかです。特別顧問が連名で発表した税務行政の今後についてという文書の中では、納税窓口ありきという発想を転換する必要がある、例えば、将来的にはAI、ICTの技術革新によって、都税事務所や窓口が不必要となる状況も想定すべきであるとまでいっています。
これは、税務行政を理解している発言とはとても思えません。プロフェッショナルとして税務行政に携わっている皆さんに対して、全くリスペクトがないというふうに思います。しかも、この委託化そのものも、都民ニーズから出発した政策ではなく、こうした顧問政治のゆがみが今回、こうした形であらわれたといわざるを得ません。
もう一ついうならば、窓口業務の委託は偽装請負になる可能性も極めて高いということであります。これは、足立区の戸籍窓口をめぐる問題でも明らかです。業務委託契約の場合、委託業者に対して直接、指示や命令はできません。足立区の戸籍窓口では、足立区と委託業者である富士ゼロックスとの間で行われるエスカレーションについて、事実上の指揮命令となっていると、東京労働局から指摘をされています。実際に、板橋都税事務所でも、偽装請負ではないかという場面に遭遇したという声も聞いております。窓口業務の委託、特に専門性が必要な業務を担う場合、偽装請負というのは極めて起こりやすいということになります。
しかもさらに、十月八日付の報道でありましたように、大阪府八尾市で、市民課などの住民票証明発行の窓口業務を委託している--ここもパソナに委託をしておりますが、ここの社員が手数料約一千四百万円を着服していたということが発表されました。
市とパソナによると、市民から受け取った手数料を管理するレジの責任者を二〇一六年から務めており、二〇一七年十月から二〇一九年九月まで四百回にわたるレジ操作をして、証明書申請を改ざんして少なく見せかけ、差額分について現金着服をしていたということであります。二年間こういうものが見過ごされていたと。窓口委託というのは、こういうリスクもあるということを指摘しておきたいと思います。
最初の答弁で、業務委託が最適であると判断したといわれましたが、とても最適とはいえないというふうに思います。来年度、さらに三つの都税事務所を委託化し、さらには二〇二五年度までに全ての都税事務所で委託化をすることはやめるべきだというふうに思います。これだけ問題が山積をしているわけですから、一旦直営に戻し、この間減らしてきた職員を、減らし過ぎた反省に立って、新たな職員も採用し、都民の期待に応えていくべきではないでしょうか。
改めて、都税事務所の窓口委託、郵送の一元化をやめることを求めて、質問を終わります。
○上野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十五分休憩
午後三時五十分開議
○上野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大津委員 都政には、防犯、防災、福祉、環境等、都民の命と安全を守るあらゆる東京都政策があり、その原資は税金で行っているものです。都民一人一人から納税された血税が財源であります。
私からは、主税局における人材教育についてお伺いをいたします。
主税局は、公平、適正な納税秩序の維持とともに、歳入所管局として、都税収入の確実な確保、高い徴収率の実現が求められているところでもあります。ここ数年、徴収率は上昇を続け、平成三十年度決算では九九・一%と過去最高を更新しました。
以前、平成七年度までさかのぼりますと、徴収率約九〇%、滞納繰越額は約二千四百億円と苦しい時代もございました。こうしたときに主税局は、組織風土の抜本的な転換、構造改革推進、一人一人の能力向上を図ってきたと聞いておりますけれども、こうした結果、そうした状況を改善し、結果的に昨年度決算では徴収率九九・一%という成果を出し、全国の中でも順位が上がってきたということは、現場の皆様の地道な活動を高く評価したいと思います。
税務にかかわる職員には、高度な専門性と専門知識や課税実務を身につけることを求められ、加えて、進行管理、人事管理、管理監督者に必要な能力のほか、ICT活用をする力、そして人権意識やコンプライアンス意識の醸成など、多角的な視点を踏まえた育成も重要であると考えます。
まず、主税局では、どのような職員像を描いて、具体的にどのように人材育成に取り組んでいるのかを伺います。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局が歳入局としての使命を果たすためには、税務という極めて専門性の高い職務におきまして、現場を担うことができる人づくりが最重要の課題と認識しております。
主税局が独自で策定している主税局人材育成方針では、税務のプロとして高い気概と専門性をあわせ持ち、適正、公平な賦課徴収を実現できる職員を求められる職員像としております。
人材育成の一つである研修につきましては、毎年度、主税局研修実施計画を策定しておりまして、その体系は実務研修、職層研修、課題研修の三つの区分に分類され、実務研修は、税務のプロを育成するために、各税目の専門知識、技術を習得させるものでございます。新任職員から中堅職員まで段階的な育成を図るため、基礎科、応用科などのコースを設定して実施をしております。
次に、職層研修は、課長代理級職員、主任級職員など、各職層に求められる役割と責務を果たすために必要となる知識を習得させるものでございまして、管理監督者を対象としたマネジメント研修や、若手職員を対象とした問題解決力強化研修などを実施しております。
最後に、課題研修は、職員に必要な基本的知識などを習得させるもので、ICT基礎力向上研修、公務員としての規範意識等倫理感を養うコンプライアンス研修を初め、主税局の約半数を占める女性職員の活躍も後押しするライフワークバランス実践研修などを実施しております。
これらの実施に当たりましては、座学といわれる講義だけではなく、グループでのディスカッション、ロールプレーイングに加え、現場視察や調査を取り入れることによりまして、研修効果の向上に取り組んでおります。
○大津委員 都政を取り巻く社会情勢は大きく変化もしてきています。今後とも、専門知識のみならず、こうした社会情勢の勉強、そして研修の中では、ほかの局の事務事業、事務内容の最新動向などを知ることのできる研修も必要かと思います。税の使われ方を知ることでもあり、一円の重さを知り、徴収事務にもいい効果が期待できるからです。
さて、パソコンの普及、メール等を初めとしたデジタル技術の発展に伴って、主税局を含めた都庁の仕事の進め方も、効率化という点でさま変わりをしてきております。特に、ここ数年は加速度的に通信技術が向上しており、主税局においても、これまでは電話などで問い合わせをしていたことをホームページ上で簡単に調べることができるAIチャットボットの導入など、税務事務のデジタル化に向けた検討を進めていると聞いております。
しかし、忘れてはならないことは、税務行政も人が担っていることであります。また、ご敬老の方々がAIチャットボットをすぐに操作をできるとは考えにくいところもあります。電話の重要性も引き続き大切にしてほしいと思います。
税務事務のデジタル化、効率化を進めることは重要ですが、あくまでも補完機能でありまして、その一方で、人がこれらを操作することを忘れてはなりません。都民である納税者等とのフェース・ツー・フェースの重要性は変わらないと考えます。
そこで、ある意味、客先最前線の現場を持つ主税局では、納税者の方たちとの面談能力や接遇の向上に向けてどのような育成を図っているのかもお伺いします。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民からの信頼確保は税務行政の基本でございます。そのためには、納税者との意思疎通と、親切できめ細やかな対応が不可欠でございます。
このため、主税局では、説明力向上研修、接遇研修等を実施しておりますが、とりわけ接遇研修につきましては、全ての職員が必ず受講する研修として重点的に取り組んでおります。この研修では、挨拶や言葉遣いだけではなく、相手の意思を尊重し、正しく聞く力を醸成するために、納税通知書を送付した後の問い合わせ対応など、実例をもとにしたロールプレーイングを取り入れているところでございます。
このような実践的な研修で身についたスキルは、納税者と接する場面において十分に生かされていると考えております。
○大津委員 これらの専門知識を身につけることも大変大切であります。あわせて、社会性や人間性を意識していくことも重要でありますし、両輪で育成を図っていっていただきたいと存じます。
先日、主税局千代田都税事務所職員がチケット不正転売容疑で逮捕されたという報道がございました。職場を離れても、一都民、県民として、法令を遵守して生活をしていかなくてはなりません。公私の私の部分でも、こうしたことにより一瞬にして冷たい視線で都民から見られ、信頼が損なわれてしまいます。信頼回復というのは大変時間がかかるものでもあり、こういうときだからこそ、逆に信頼回復に地道に努めるべきでもあります。
税の徴収現場で真面目に一生懸命頑張っている職員たちにしてみれば、やるせない気持ちで全体の士気も低下をします。それだけでなく、対都民に対しても信頼を損なうことになりますので、信頼回復ということで、人材育成、研修は、さらに今こそまた必要となってくると考えます。
デンマークに在住をしていた人に、このようなことを聞いたことがありました。どうしてそんなに高い税金を、国民は皆しっかりと納税をしているんでしょうかと。
そのとき、在住のデンマーク人はこのように答えました。私たちは国を信頼しているんですよ、そこに公僕として仕える職員を信頼しているんですよと、着服なんかあり得ないんですと。だから高い税金を納めています、しかし我々は、それらをまた老後に使おうとか、そういうことは考えておらず、自分で自分の老後はしっかりとやっていけるように、自分でいろいろと体制をとって努力をしているんだと、あくまでもこの税金は万が一のときのセーフティーネット、保険としても納入をしているので、かといって、自分たちは自己責任で頑張るんだと、それが基本だということを話していました。
国は、特に増税のとき、増税じゃなくても、やはり国民から信頼をされることで、初めて税金について議論ができるものだと感じたものです。
さて、私は約二十年間、ものづくりの会社で勤めておりました。その会社員のときに、やはりものづくりですから、新入社員全員、まず、その現場である工場を体験させていました。そこの場で、安全と品質、技術をもって社会に貢献するということをたたき込んで教育をするためのものです。ですから、溶接をしたり、流れ作業でいろいろな作業をしていたりということをしておりました。
同様に、東京都庁でも、まずは税金をいただく方たちとの接点、それが現場でもありますので、そういうふうに主税局に最初配属をされて、そこで学んでいくというのは、一生涯都庁マンとして生きていく中で重要な観点で生きていくということを期待しているところでもあります。
主税局では、毎年百人を超える新規採用者が配属されています。都庁全体に採用される事務職の約二割は税務部門に従事することとなります。未来の都政において活躍する若手職員の多くを抱える主税局は、その人材育成を担っており、責任も重大であります。
主税局に配属された職員についても、都民から頂戴をいたす税金の大切さを感じるよう育成することが大切ですし、同時に、新人であっても、納税者にとっては同じ税務職員の一人であり、税務のプロを目指して、段階的に専門知識や実務を身につけていっておられます。
そこで、新規採用職員を一日でも早く一人前の税務職員に育成することが求められますが、主税局では、具体的にどのように育成をし、どのような人事配置の考え方も含めてお伺いいたします。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、人事配置の考え方でございますが、税務の現場である都税事務所等は、都税の賦課徴収を通じて都民の暮らしの実情や納税者の気持ちを知ることができ、また、こうした経験は、税務の職場から離れても、都庁職員として長く働く中で必ず生かされるものでありますことから、主税局では、全ての新規採用職員を都税事務所に配置し、課税、徴収といった実務を担当させております。
次に、人材育成の取り組みでございますが、まず、採用直後に実施する新任研修によりまして、主税局職員に必要な基礎的知識、電話対応技術を習得させるほか、各職員が担当する税目の実務研修を受講させ、基礎的な知識、スキルを身につけさせております。
また、日々の業務を通じた実践的な育成を図る観点から、一人一人の職員に対しまして、実務経験が豊富な先輩職員を専属のインストラクターとすることによりまして、効果的なOJTに取り組んでいるところでございます。
○大津委員 教育ということの重要さを感じます。都庁の長い歴史の中では、石原知事の時代に都庁改革アクションプランということを位置づけて、あの当時、全体的に窓口サービスの接遇が社会問題にもなっていたところでもありました。それを、やはり意識改革をしていこうということで、高いサービスを提供するため、来訪者への声かけや不快感を与えないなど懇切丁寧な対応をしようと、さまざまな取り組みが行われてきたこともありました。
一方、昨今では、体罰教師がいろいろと取り上げられたときには、教育庁の中では、体罰教師が繰り返すというところに着眼しまして、アングリーマネジメントという、どんなに腹が立っても六秒間とにかく黙ってこらえると、そういうことで、怒らない、手を出さない、そんな教育をしてきたところも非常に興味深いところでもありました。
さまざまな局がさまざまなことをしている中で、新人は、基本的に主税局の場合、都税事務所という現場最前線に配属をし、実務研修、OJTの段階的な育成、また、都庁内の他局と比べても、主税局は、昔から非常に研修に重きを置いてきた局だと認識をしています。
都庁職員にとっては、都民のために働くという考え方が基本であり、新規採用職員はぜひ、都民とのやりとりを通して、税務知識、税の重み、また都民感覚、都民としての意識も養っていくことでありましょう。
さて、この接遇でありますけれども、こうしたさまざまな研修の結果、どのように生かされ、どのように実際の窓口、客先最前線で接遇に生かされているのでしょうか。
都税事務所の徴収部門には、滞納者に厳しい滞納処分を行うだけではなく、納税者の実情に寄り添った丁寧な対応も行ってほしいと考えています。さまざまな事情や不安を抱えて相談に来る納税者にも温かい対応をすることで、一人一人の生活、その背景にあるものが見えてくるところから、まことの納税業務ができるからであります。
そこで、こうした人材育成の成果が、都税の最前線である徴収の現場でどう生かされてきたのかお伺いします。
○川上徴収部長 委員のお話にあったとおり、徴収部門では、都税が滞納となった納税者に催告書を送るだけではなく、電話や訪問などにより接触を図り、納税者の実情を把握するように努めてございます。その際には、職員が高度な専門知識を持つことに加えまして、納税者の気持ちに寄り添った温かいマインドも重要でございます。こうしたところに、接遇研修などで学んだ成果が生かされると考えてございます。
また、都税の現場には、税務経験が長く、高度な専門知識や高いコミュニケーション能力を持った職員もおりまして、ベテランと新人をペアで行動させることなどにより、研修だけでは学べないノウハウの継承にも努めております。
こうした人材育成の成果は、納税者の実情に寄り添ったきめの細かい滞納整理の実践を支え、高い徴収率の実現につながっているものと考えてございます。
○大津委員 こうした納税者の個々の事情にも丁寧に対応しながら、都税だけでなく都全体のイメージアップにつながると思いますので、ぜひ、そういう意識のもと、現場の人材育成に取り組んでほしいと思います。都民にしてみれば、納税事務所の窓口の応対も、建設局の建設事務所の応対も、全部が東京都一つであるからです。
さて、都庁では、新規採用職員をマンツーマンで育成するため、先輩職員を仕事の進め方などの相談役となるチューターに指名するという制度を導入していると聞いていますが、主税局が全庁に先駆けて独自に導入をされてきました。若手職員を初めとした後輩職員の育成に関しましては、これまで都政の中枢で活躍もされてきた塩見主税局長ご自身としても、熱心にこれに取り組んできたと思っています。
そこで結びに、局長の人材育成にかける思いをお伺いしまして、質問の結びとさせていただきます。
○塩見主税局長 人材育成に当たりましては、るる今、先生からもいろいろお話がありましたとおりに、私ども先輩職員が、どのように若手の後輩職員に、いろんな仕事あるいは人間性も含めてそれを伝えていくかということが非常に重要であるというふうに思っています。早期に一人前の税務のプロとして育成していくということはもとより、将来の都政を支える有用な人材として、幅広い視野の涵養、人間性の醸成も図っていかなければならないものと考えているところであります。
この人間性の醸成という点におきましては、先生からもお話がありましたが、都としては、いまだに事実関係を正確に把握していないといいますか、事情聴取ができていないわけでありますが、先日、主税局の職員がチケット不正転売禁止法違反の疑いで逮捕されたということにつきましては、まことに遺憾な事態でございます。法令を遵守すべき職員が都民の信頼を裏切る結果となり、公務員としての自覚に欠けた行為であり、私としても痛恨のきわみでございます。
人材育成に関しましては、主税局は多くの現場を持っているわけであります。都税事務所といった現場を持っているということであり、税務職員としての専門性を発揮することは、納税者に安心感、信頼感を持ってもらう上で大切なことでありますが、それが余りに専門性に徹し過ぎて、納税者の理解を得られないような仕事ぶり、そういうことをするようなことであってはならないというふうに思います。
まさに、都民目線での仕事の実践が必要であり、主税局の新規採用職員や他局からの転入職員も、納税者と直接現場で接することで、都民の思いをじかに感じ、そこで都税が都の事業の財源として貴重なものであるかということがわかるとともに、各局の事業を自分なりに勉強する機会として、幅広い視野の涵養に資するものとなり、公務員としての意識の向上にもつながっていくものと思っております。
これらの人材育成をさらに進めていくため、現場のトップである所長を集めた所長研修におきましては、今年度、人材育成をテーマに研修を行い、各所長とも思いを共有したところでございます。
いずれにいたしましても、職務の遂行に当たっては、職員一人一人が公務員の原点である全体の奉仕者の立場に立ち、コスト意識や成果重視の経営感覚を持って、自分が主税局、ひいては都庁を代表する顔であるとの自覚のもと、都民の幸福追求をみずからの使命として職務に全力で取り組む都庁のスピリットと申しますが、都庁魂といったものが、そういうものを職員一人一人がしっかり持つということが、人材育成に関しましては非常に重要であると、非常に長くなって恐縮でございますが、私はそんなふうに考えている次第でございます。
○田村委員 私からは、災害が発生した際の税制措置について伺います。
ここ数年、地球温暖化の影響もあるためか、記録的な大雨による大規模な水害が頻発しています。特にことしは、九月、十月と超大型の台風が立て続けに日本を直撃し、断水や住宅の損壊、停電など、都内を含めた広範囲の地域に大きな被害が発生したところであり、被災者の方々にはお見舞いを申し上げます。
こうした甚大な災害の対応に当たっては、被災者生活再建支援法等に基づいた被災住宅への補助制度や激甚災害の指定による復旧事業への財政支援など、さまざまな制度を十分に活用しながら、被災者に寄り添って進めていくことが大切です。
そこで、税制面、中でも地方税には、水害などの自然災害により被災した場合、どのような措置があるのか伺います。
○副島税制部長 被災者に対します税制上の主な措置といたしましては、災害や火災等により申告書の提出や税金の納付を定められた期限までにできない場合、告示または申請により当該期限を延長する措置がございます。
また、被災者が税金を一括して納付できない場合には、申請によりその徴収を猶予する制度がございます。
さらに、被災の程度に応じ、申請により税を減免する制度もございまして、例えば、固定資産税の場合ですが、床上浸水をいたしました家屋等につきましては、一定の軽減が図られております。
○田村委員 税制面でも被害内容に応じていろいろな制度が用意されていることがわかりましたが、主税局では、台風十九号への対応策として、都税においても納期限を延長すると報道発表しています。
一定の地域を指定した上で、納期限等の延長をしたと聞いていますが、その概要や実施理由について伺います。
○副島税制部長 都では、令和元年台風第十九号による被災地域のうち、住宅等の被害状況や国税の取り扱い、都税の対象件数等を踏まえまして、国と同一地域を告示により指定いたしまして、対象地域に住む都税の納税者に対しまして、納期限や申告期限の延長を行ったところでございます。
指定した地域といたしましては、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、長野県の一部地域となっておりまして、対象件数は、固定資産税を中心に約三千件程度でございます。
該当者は申請を行うことなく納期限等が延長されますが、延長後の期限は今のところ未定でございまして、災害復旧の状況等を踏まえまして、今後検討してまいります。
○田村委員 告示により、指定地域に居住する都税の納税者は、都税事務所に申請を行わなくても、自動的に期限が延長されるということがわかりました。
被災により、納期限内に納税したくても、それが難しい納税者の方々の事情を酌んだ取り組みとして必要な対応がとられたものと考えます。
しかし、自動的に期限が延長されても、そのことが納税者の方々に適切に周知されることが極めて重要です。例えば、固定資産税など、被災よりも以前に納税通知書を受け取っている納税者の方々は、別途、何かしらの手段をとらなければ、延長の事実を把握することは困難だと考えます。
納期限等の延長の告示に伴い、こうした納税者への制度周知や未納の方への対応など、さまざまな実務上の課題も発生するものと思いますが、都では、具体的にどのような対応を行っているのか伺います。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 告示による指定地域に居住する納税者のうち、既に納税通知書を送付済みの方に対しましては、被災日以降に到来する納期限を自動的に延長する措置を講ずるとともに、その旨を確実にお知らせする観点から、文書を個別に送付いたしました。
また、口座振替利用者で、今後、都税の口座引き落としが予定されている方につきましては、当初の期日で引き落としを希望される方を除きまして、一律、引き落としの期日を延期する対応を行ったところでございます。
一方、告示による指定地域に居住する納税者で、被災した時点において既に納期限が過ぎ、未納状態となっていた方に対しましては、納期限自体は延長とならないものの、個々の事情把握に努めるとともに、状況に応じて納税の猶予制度など他の緩和制度をご案内するなど、きめ細かな対応を行っているところでございます。
○田村委員 指定地域に居住する都税の納税者の方々に対しては、申告期限や納期限の延長を初めとした対応がとられていることがわかりました。
しかし、台風十九号による被害は、私の地元である西多摩の奥多摩町や日の出町を初め、今回の指定地域とされていない都内各所でも発生しています。指定地域に限らず、被害に遭われ苦しんでいる方々に対しては、それぞれの被害の実情に応じた対応を図ることが極めて重要です。
そこで、今回の指定地域とされていない都内の被災者に対しては、どのように対応しているのか伺います。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 奥多摩町の日原地区や区部の大田区などを初め、今回、地域指定がされていない都内各所の被災地域にお住まいの都税納税者につきましては、税の種類や現在の納付状況など、納税者個々の実情に応じまして、納税の猶予等の制度案内を行うなど、きめ細かな対応を実施したところでございます。
また、都が固定資産税を課税している区部におきましては、家屋の床上浸水や一部損壊などに伴いまして、固定資産税の減免が適用となる可能性があることから、地元区役所と連携いたしまして、区の罹災証明書発行窓口におきまして、浸水、損壊した家屋に係る固定資産税の減免制度の案内チラシを配布するなど、確実な制度周知を図っているところでございます。
今後とも、地域指定以外の地域にお住まいの都税納税者に対しましても、被害の実情に応じ、丁寧な対応を図ってまいります。
○田村委員 ちなみに、「奥多摩チョウ」ではなくて、「奥多摩マチ」だと思います。
都内で被災した方々に対しても、納税の猶予や減免などの制度周知を初めとした対応が漏れなくとられていることが重要です。税の賦課徴収については、公平、適正になされるべきだということはいうまでもありませんが、今回のように災害等により被害を受け、苦しんでいる方々に対しては、それぞれの事情に応じた、納税者に寄り添った対応が強く求められます。
主税局においては、引き続き、被災者の実情を踏まえ、きめ細やかな対応と適切な周知、広報を図っていくことを求めます。
次に、森林環境税について伺います。本年度から交付の始まった森林環境税の創設の目的を伺います。
○副島税制部長 森林環境税及び森林環境譲与税につきましては、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、令和元年度税制改正において創設されたものでございます。
森林環境税は、国内に住所を有する個人に対して課税する国税でございまして、市町村が住民税とあわせ賦課徴収し、森林環境譲与税として、一定の基準で都道府県及び市区町村に譲与されるものでございます。
なお、森林環境税は令和六年度からの賦課徴収となりますが、森林環境譲与税は森林現場におけます諸課題にできる限り早期に対応いたしますため、今年度から譲与されているところでございます。
○田村委員 創設の目的についてご説明いただきました。
答弁にあったとおり、森林環境譲与税は、我が国の温暖化ガス排出削減目標の達成のために創出されました。これは、整備された森林がCO2をより多く吸収し、温暖化ガス削減の効果が高いことから、目標にカウントされたものであり、つまり森林整備に充てる財源であります。
一方、東京都の面積の約四割が森林であり、その恩恵を受けるべきは東京都民自身です。将来的には、都と区市町村に毎年二十億円を超えて交付される譲与税は、東京都の森林整備に有効に活用されるべきだと考えます。
一方、譲与税の基準に人口割が入ったため、森林の少ない自治体へも譲与税が交付されますが、森林関係専門の担当者がいない区市の多くでは、譲与税の活用について戸惑っているのが現状です。そういった自治体への支援は、まさに東京都の役割です。このたびの森林環境譲与税の創設を契機に、東京の森林整備を強力に推進していただくことを強く要望し、私の質問を終わります。
○けいの委員 大きく二点にわたってお尋ねいたします。
初めに、私道や土地に係る固定資産税の取り扱いについてお伺いいたします。
特に、私の地元であります荒川区をサンプルにして細かくお伺いさせていただきますが、荒川区は、昔から下町風情の残る地域、そして古くからの地主さんが所有する土地が多いといったことが特徴であります。まち並みも長屋や小規模な住宅が残り、密集した地域が多く残っております。
私の住んでいる荒川区町屋四丁目は、東京都のお墨つきで、ハザードマップ、数年間連続で東京都内で最も危険な地域に指定されておりまして、先ほど細田委員からも質疑ありました、特区を利用した木造住宅密集地域の建てかえ、不燃化を進めていかなければならない。それから、車が通れない細い道が多い、特に私道が多くて消防車も通れない。消防団の皆さん、一生懸命訓練していただいております。
そうした中で、全ての地域に広くて立派な公道を整備することは難しいため、地主さんが所有している土地を、地域の公共性を保つために私道として提供し、使用されている所が多いのが実情であります。こうした私道は、地域住民にとって生活のために不可欠であり、ぜひ維持してほしいと思っておりますが、所有者に負担があると難しいという、こういう観点もございます。そこで、私道に対する固定資産税の課税がどのようになっているのか確認してまいります。
まず、荒川区の課税面積についてお伺いいたします。
○池田資産税部長 荒川区の行政面積は約一千十六万平方メートルでございますけれども、そこから国や自治体が所有する土地、学校及び寺院など、用途非課税となっている土地などを除いた約五百八十九万平方メートルが課税面積となっております。
○けいの委員 ありがとうございます。
一千十六万平方メートルに対して五百八十九万ですから、課税面積は四五%ほどになるかと思います。荒川区の全体のうち半分近くが非課税になっている。
その中で、借地の割合についてお伺いいたします。
○池田資産税部長 固定資産税におきましては、地方税法の規定によりまして、資産を所有している方を納税義務者として登録し、課税することとされております。個々の資産につきまして、所有者がみずから使用しているか、あるいは他者に貸しているかといった使用の状況については把握してございません。
○けいの委員 所有者が使用しているか、他者に貸しているかは、主税局、東京都ではわからない、これ当然のことなんですね。ここに問題があって、不燃化特区、解体費や建築費の助成を来年度までという、先ほどもございましたけれども、これが荒川区内でなかなか進まない事情が、実はここに隠されております。私も何件か相談を受けました。実態はわからないとはいえ、荒川区の課税面積は四五%ほどで、そのうちの、恐らく--ちょっと根拠のない数字なのでここで申し上げるのが正しいかどうかわかりませんけれども、昔からまことしやかに先輩方も話しておりますけれども、六割強、六割以上が借地なんじゃないかと。
そして、私が住んでいる町屋四丁目、何年たっても木造住宅密集が解消されません。近隣を歩いて、お一人お一人、お話を聞きます。ご高齢者の単身家庭、独居、たくさんあります。古い家に住んでいる、十坪程度の小さな家や長屋だったところが分割されて、まだその一部分が残っている、そういうお宅に建てかえをいうと、細田委員からあったとおりのお話であったり、実は、建てかえようとすると、商慣習で地主さんの判こが要ります。借地ですから、勝手には上物は建てかえられません。
この助成金を活用して、燃えにくい新しい家を建てようと思って、地主さんに相談に行きます。どうでしょう、荒川区内でどれほどが相場か、はっきりとしたことは申し上げられませんが、例えば、三千万円の家を建てようとすると、住宅ローン組むときは一割は頭金を入れましょうと銀行とお話しします。そしてもう一割、地主さんが判こ代として持ってきてくださいと、こういうことになるんですね。
せっかく助成金を利用して、家を建てかえよう、不燃化の役に立とう、そういうふうに考えると、接道していない部分がたくさんあります。だから建てかえられない、ぐうっとセットバックが必要です。もともと狭隘な土地なのに、さらに三分の一ほど削られて、建築費用の一割、頭金をやっと用意したら、地主さんからもう一割要求されて、三千万のうち三百万、三百万、六百万も用意できるような人がなかなかいないのが下町の実情です。
ですので、来年中に建てかえを完了しなきゃいけない、手続を完了しなきゃいけない、不燃化特区、木密地域の対策だ、道路拡幅だと。全く進みません。中には、幾ら出したら判こを押してもらえるんですかと、直談判何度も繰り返して、それでも、そもそも地主さんが判こを押してくれないという、これは主税局さんにいってもしようがない話なんですけれども、だから全く建てかえられなくて、結局、外壁だけ、中だけリフォーム、こういうお宅を何軒も知っています。そして、地主さんが判こを押してくれないということで、我々のところに相談に来る方たくさんいます。
こういう状況の中で、まちがなかなか強靭化しない。それは、荒川区特有なのかもしれません。半分が課税面積です。しかし、その六割は借地なんです。全く建てかえが進まない。いい制度がある、解体費用二百万、二百五十万出しますよといっているのに、壊せない。壊したら建てかえなきゃならない。建てかえるお金、判こ代も用意できない、こういった古い商慣習もたくさん残っている中で、ただ嘆いていてもしょうがありません。
こうした個々の資産状況、わからないといいますけれども、先ほど来、さまざまな先生方からのお話出ているように、主税局の皆さんが最前線にいて、顔が見える、納税者がどういう方かわかっているのは、まさに皆さん方です。どこが地主さんなのか、住んでいる人からしたら当たり前のようにわかっています。お一人のお名前でたくさん土地持っているの、住んでいる人はみんなわかっています。でも、税の側からしたらそれはわからない。そして、税金を納めている人が誰なのかわかるけれども、そこに誰が住んでいるのかわからない--基礎的自治体はわかっています、住民票があるから。いろんなアイデアを総合すれば、強いまちづくり、進めていけるのかもしれません。
ちょっとこの話をしていると長くなってしまうので、次に、荒川区内の道路のうち、私道について、私道の状況、どの程度なのかお伺いします。
○池田資産税部長 都では、固定資産税に係る土地の評価額を算定するために、客観的に道路と認められる形態を有する土地に対して、路線価を付設しております。
荒川区内で路線価を付設している土地は、五千七百八十二路線であり、うち私道であるものが二千六十七路線、全路線数に対する私道の割合は三六%となっております。
○けいの委員 ありがとうございます。三六%が私道になっているわけです。
私たちの多くが、私道というのは、まさに文字どおり公道じゃなくて、公に使っているわけではないんだけれども、旗ざお地やコの字型、そこに私道がなければ生活できないという実態がある、だからここには課税しないでもらっているという、こういう実態があるわけですけれども、私道に対するこの固定資産税の非課税の取り扱いについてお尋ねいたします。
○池田資産税部長 公共の用に供する道路につきましては、地方税法の規定により非課税とされております。私道においても、何ら利用上の制約を設けず広く不特定多数人の利用に供されており、また、一定以上の道路幅員を有するなど、客観的に道路として認定できるものは、公共の用に供する道路として非課税の対象となります。
また、幅員が四メートル未満の建築基準法上の道路である、いわゆる二項道路のセットバック部分につきましても、何ら利用上の制約がなく不特定多数人の利用に供されている場合は非課税としております。
非課税の適用には、道路部分の面積を特定するため、原則として非課税申告書の提出が必要であり、年内に土地の所有者から申告があり、都税事務所で利用状況を確認したものについて、翌年度から非課税としております。
○けいの委員 今ご答弁あったように、非課税申告書の提出が原則として必要で、さまざまな生活状況から、家建て直しました、二項道路でセットバックしました、こうしたことで土地部分が、用途が若干変わってきた場合、原則としてその申告書が必要で、申告をしなかった場合、今までどおり課税持ち分として課税をされ続けている、私道とするために下がったのに、そこにお金がかかり続けている、税がかかり続けているという、そういう実態が、これだけ荒川区の課税面積、そして私道が三六%もあるという中で、実は幾つも散見されております。
発言力のある、ある大きな地主さんから、私もたくさん苦言をいただきました。都税事務所は何やっているんだと。五人いる荒川都税事務所の職員は荒川のことを全然知らないと叱責を受けました。もっと何年も長くわたって荒川都税事務所に勤めてもらって、日々、自転車で歩いてもらいたい、歩いてもらえれば、ああ新しい家ができた、セットバックしてくれたんだ、ここは申告すれば非課税になる部分ですよというのをぜひご案内してもらいたい、そのために過去十数年間にわたってお金を取られ続けた、こんなことがあって立腹されている方もおられます。
この件については、あくまでも個別な案件ですので、ここでどうこうするつもりはございませんけれども、それでは、私道で課税されているのはどのような場合なんでしょうか、お尋ねします。
○池田資産税部長 先生もご指摘いただいたとおり、先ほどお答えいたしましたように、非課税の申告書を都税事務所に提出していただいていない場合など、課税されている場合がございます。
また、申告書を提出していただいている場合でも、車どめや通行禁止の表示などを設置して利用上の制約を受けている道路や、一定の道路幅員に足りない、道路と宅地等の区分が明確でないなど、客観的に道路として認められない状態のものは課税となります。
○けいの委員 荒川区内、多くの路線のうち三六%が私道でございますので、そしてこれは、建てかえが進んでいくたびに--また、地主さんの中には、一度伺ったことがありますけれども、年配の方が住んでいた小さなお宅がいろんな事情でいなくなる、お隣がいなくなる、それでも手をつけずに、売らずにまとまった土地にした方が資産の最大化ができるので、そのままほっておくなんていう声もあります。
ですので、地域によって事情はあるかもしれませんけれども、ぜひ、こちらから案内をして、こういうふうにしたらここは非課税になるよ、古い建物は除却してもらったら、この期間に限っては減免しますよといったことをぜひ、積極的にご案内いただいて--また、区によって、私の自宅も実は借地ですけれども、地主さんが区外の方で、荒川区の役所と連携が余りとれていない。ご高齢なんですね。地主さんって、えてしてご高齢で、相続されるまではずっと年配の方が持っていることが多くて、役所の方もなかなか連絡がとれないんですと、そんなことをおっしゃっておりました。
積極的に地域の顔として、局長おっしゃっていました東京都の顔として、最前線の責任者として、ご案内をいただければと思います。
私道に対して適切に非課税の適用が行われるように、都ではどのような取り組みを行っているのか、また、今後行っていただけるのかお伺いいたします。
○池田資産税部長 都では、納税者への公平、公正な課税を期すため、平成十八年度に私道の悉皆調査を行いまして、その結果、非課税の認定をされていない私道について、土地の所有者に一斉に非課税申告を慫慂しております。また、その後も、定期的な現地調査の中で新たに非課税となり得る私道を捕捉した際は、所有者に連絡し、非課税申告をお願いしております。
このほか、区の道路関係部署と連携し、狭隘道路の拡幅事業においてセットバックを行った土地所有者に、非課税申告の案内を行うとともに、チラシや主税局ホームページなどで周知するなどPRに努めております。
○けいの委員 ありがとうございます。
しっかりと土地所有者にご案内していただいている、道路関係部署、自治体とやりとりしていただいているということで、私が認識しているのはあくまで個別の事案だということでありますけれども、何度も申し上げるように、私の認識では、荒川区内の六割は借地であって三分の一は私道である、こんな状況ですので、これからもずっと、この事案は繰り返し起こり続けます。そうした中で、今回の不燃化特区の期限が迫っていて、なかなか進まない事情もぜひ、皆さんには認識しておいていただきたいと思います。
どんなにいい制度をつくっても、利用されなければ、ただの絵に描いた餅になってしまいますので、実効性のあるいい制度だからこそ、よその話になりますけど、商慣習がどうやって今の時代に即したものにしていけるのか、こんなことも取り組んでいきたいと思います。
私道は住民にとって生活に不可欠であり、これを維持し、地域の公益性を保つためにも、主税局は私道に対する非課税を適切に適用していただきたい。
また、一般の都民にとって税金の制度は非常にわかりにくい。都税事務所の職員が積極的に区内を歩いて、歩いて、現場を熟知して、非課税となる私道があれば、都税から所有者に対してぜひ申告を働きかけていただきたいと思います。
次に、自動車の税制についてお伺いいたします。
この十月に、消費税率の引き上げと同時に軽減税率制度がスタートしたほか、自動車の税制も大きな転換点を迎えることになりました。
最も大きな変化は、自動車取得税が廃止されるとともに、自動車税と軽自動車税において環境性能割が創設されたことであります。
そこでまず、自動車取得税の廃止と環境性能割の創設に係る趣旨についてお伺いいたします。
○副島税制部長 自動車取得税は、消費税率引き上げの前後における駆け込み需要及び反動減などの経済情勢に配慮する観点から、消費税率八%時点で税率を引き下げ、一〇%時点で廃止することとされました。
自動車税及び軽自動車税における環境性能割は、自動車取得税のグリーン化機能を維持強化する観点や、地方の財源を確保する観点から、自動車取得税の廃止と同時に導入されました。
○けいの委員 ありがとうございます。
今ご答弁あったように、こうした見直しによって、都の税収はどのように変化があったのかお伺いします。
○副島税制部長 令和元年度当初予算をベースといたしまして影響額を試算いたしますと、自動車取得税の廃止につきましては、平年度で百九十億円の減収、自動車税環境性能割の創設につきましては、平年度で百四十億円の増収を見込んでおります。
○けいの委員 環境性能割で百四十億円の新たな税収が見込めると同時に、取得税廃止で百九十億円、この減収が起きてしまうというご答弁でした。
今、この自動車取得税というのは、増税時に駆け込み需要というお話ありましたけれども、自動車取得税、我々も車を何度も買うときに支払いをします。新車を買うときに、新車の価格に対してのパーセントで一律かかってまいりますけれども、実はこれ、車両価格が減価償却されていく中で、中古車として売買するときにも、高額であったり高年式であったりすると、陸運局での名義変更の際に、そこで課税されてきました。
例えば、一千万円ぐらいの車を買って、五十万、百万という取得税を最初の購入者が払ったわけですけれども、三年ぐらいして売買をして、次の購入者、セカンドオーナーが登録するときにも、そのときの価額に応じて課税されてまいりました。
ですから、この自動車取得税というのは、新車販売だけじゃなくて、中古車の流通においても、しばらくの間は、高額な車であればあるほど、そして高年式であればあるほど、そのときに税として徴収するチャンスがあったわけです。そう考えると、今--自動車業界で、ディーラーに行ってお話を聞いてきました。多くの車の購入者が--特に今、車が相対的に価格が上がってきています。
平成に入ったころ、私なんか大好きでしたけれども、世界を席巻するようなスポーツカー、スカイラインGT-Rとか、NSXとか、そして高級車セルシオとかいうものが、平成になってばあっと出てきて、あのときは割と、スカイラインGT-Rなんか四百万円だったんですね。
ところが今、スカイラインの一番グレードの高い、スカイラインというか、GT-Rと呼ばれているスポーツカー、今、二千万円ぐらいします。なかなか庶民では手の出ないような価格になってきたのと同時に、今はやりの、あんまり固有名詞を出して話す話じゃないですけれども、大きなミニバン、高級車なんかは五百万とか七百万します。ところが飛ぶように売れている。
どうやって購入しているかと、その営業マンに伺ったら、残価設定のリースをしている方が実は四分の三ぐらいだということです。新車を購入するときに、三年後に売り渡す前提で半分ぐらい残価を残して、残りの半分の部分だけをローンで払っていって、三年後には車を返す、もしくはローンを延長するかどうか、そのときに検討すると。
そして、中古車市場の中では、三年落ちぐらいの車がぼんとたくさん、一回目の車検が切れる三年目に流通してくるそうです。高級車で三年落ちの高年式車ですから、それを登録すると、そのときに、今までであれば自動車取得税というのがかかってきたんです。
今、平年度では百九十億円の減収ということでしたけれども、車の価格は上がる一方、高級車はどんどん売れていく。景気がいいのか悪いのかは別として、二千万、三千万といわれるような欧州車が、スポーツカー、スーパーカーのようなものが今、過去最高で売れ続けている。こんな状況の中で、特に、動産価値として売買されるようなヨーロッパのスポーツカーなんかは、所有期間が平均で一年半ぐらいだそうです。どんどんどんどん売り買いをしながら、その資産価値に応じて自動車取得税が、都税として徴収できていたものが、今後なくなっていく。この流れはどんどんふえていくはずなのに、ここがなくなっていくというのは、実は大きなポイントになるのかなと思います。
ちょっと話長くなりました。自動車取得税の廃止に伴う減収が自動車税環境性能割の創設によった増収を上回っており、トータルで税収減となっていくことが確認できました。
環境性能を重視した制度に見直すとの趣旨は理解できるものの、その中で、地方の税収が失われることとなってしまったことは残念です。都民にとって、減税になるのは皆さんユーザーにとってありがたいのかもしれませんけれども、今後、東京都として、この減収をどういうふうに乗り越えていくのか。国において制度の見直しが見込まれる際には、地方の財源に影響を及ばさないよう、国にしっかりと主張していくことが必要になってくると思います。
環境性能割は燃費性能に応じて課税する仕組みになっておりますが、自動車の購入を検討している方にとっては、より燃費のよい自動車を選択するインセンティブの一つとなってまいります。とりわけ水素自動車や電気自動車など、最先端技術を用いた自動車は非課税とされており、税の優遇を最大限に受けることができます。しかし、都民の生活実態から見れば、水素自動車や電気自動車などは、まだまだ価格が高く、一般的に、選択する際にその俎上にも上がることはないと思います。
こうした中で、販売シェアを伸ばしているのが軽自動車です。地方においては生活の足として購入され、一人一台というケースも多いかもしれません。その選択においては、税制面のメリットも影響が多いものと思います。
定められたサイズ、排気量、こうした中で差別化を図っていくために、軽自動車は、日本特有のガラパゴス的な成長を遂げてきました。しかし、最近の軽自動車は、そうした差別化の中で、ワゴンタイプのもの、室内空間を広くとるものが多くなってきました。豪華な装備もついております。重量が重く、結果として燃費が悪くなっているものもあります。
しかも、今、小型コンパクトカーよりも軽自動車の方が実は高い。税金が安いよということで購入を検討するんです。維持費が安いよということで軽自動車を買おうとすると、新車価格、軒並み二百万を超えてまいります。こうした軽自動車、価格も上昇して小型車より高い軽自動車と登録車、かつてほど差がなくなってきております。
こうした現状を踏まえると、軽自動車と登録車の税負担の格差は見直される時期になってきていると思いますけれども、都の見解を伺います。
○副島税制部長 現在、自家用乗用車の税率につきましては、軽自動車税は年一万八百円、自動車税種別割のうち最も排気量の小さい一千cc以下の自動車は年二万五千円となっております。
軽自動車と登録車の税負担につきましては、平成二十六年度税制改正におきまして、軽自動車税の税率が引き上げられたほか、令和元年度税制改正において、排気量が小さい自動車を中心に自動車税種別割の税率が引き下げられるなど、近年、その差は縮小傾向となっております。
具体的には、これら二回の改正によりまして、自家用乗用車の軽自動車と一千cc以下の登録車の税率の倍率でございますけれども、平成二十六年度以前には四・一倍であったものが、二・三倍まで縮小しております。
軽自動車と登録車の税率水準のあり方につきましては、税の基本原則の一つでございます中立性に加えまして、軽自動車が公共交通機関の不便な地域を中心に生活の足として利用されている実態も踏まえまして、今後、国において適切に検討されるべきものと認識しております。
○けいの委員 さて、さきに、この十月は自動車関係税制の転換点と申し上げましたけれども、変わらなかったものの一つとして、新規登録、初度登録から十三年を経過した自動車に対して自動車税種別割の負担を重くする負担がございます。
この制度は、古くなった自動車を廃車して、新しく環境によい自動車に買いかえることを促進するものと聞いておりますけれども、この廃車に伴う環境負荷は当然発生するものであり、頻繁に自動車を買いかえるようになれば、かえって環境負荷が大きくなるという場合もあるのではないかと思います。
そうした観点から、長く大事に自動車に乗ることを、本来であればもっと評価するべきだと思います。古くからある制度なので、十三年たったときの自動車税の重加算というのは、決して悪い制度ではなかったと思いますけれども、今から考えれば、十三年前というのは既にもう初代プリウスが長らく販売されていて、そして、もう二代目が間もなく発売されるという時期です、今から十三年前。こうしたものを買いかえていくということは、例えば、ハイブリッドカーに必要な蓄電池、こうしたもの--レアメタルは取り除くにしても、電池の廃棄物がどんどん出てきて、これから環境問題としてまた取り組まなければいけない大きな課題の一つであると思います。
長く乗れば乗るほど、本来であれば環境に優しい車であるはずなのに、税金が二・三倍でしたでしょうか、自動車税が高くなるから買いかえようということで、経済は動くので、一面、いいことはあるかもしれませんけれども、ずっと乗っていくことで購入価格を金額の面でいえばペイできるという、こういう報道も多くされます。割り増しなハイブリッドカーを買うことで、それがガソリン代とペイできるのは十年、十三年乗ってからだという話なのに、その手前で買いかえを促進しなければいけないような税制に現在ではなってしまっている、そういう状況です。
自動車の税制は、こうした環境面の課題に加えて、大きく進展しつつある安全性能や自動運転技術への対応、先ほども触れた軽自動車と登録車の税負担の違いなど、さまざまな課題が内包されております。
そこで、こうした自動車税制全体について、東京都税制調査会における議論の状況をお伺いいたします。
○長田税制調査担当部長 東京都税制調査会では、自動車関連税制の将来像についてさらに検討を深め、具体化させるために、昨年十二月、自動車関連税制のあり方に関する分科会を設置いたしました。
分科会では、電気自動車を初めとした次世代自動車の普及など、自動車をめぐる環境の変化を見据えつつ、地方税財源に与える影響を考慮しながら、将来にふさわしい自動車関連税制のあり方を議論しております。また、委員からお話のございました軽自動車と登録車の税負担など、現行の税制度の課題についても議論をしているところでございます。
なお、東京都税制調査会は、一期三年として審議を行っており、自動車関連税制につきましては、今後も議論を重ねた上で、来年度の最終答申に具体的な提言を盛り込む予定でございます。
○けいの委員 ありがとうございました。
自動車を取り巻く環境は、私たちの想像以上のスピードで変化しております。カーシェアリング、それから自動運転、こんなことも出てきていたり、運送業で使うものも、ドローンを使って運んでいく時代が来るかもしれない、車の所有に関して形態が大きく変わってまいります。
主税局におかれましては、自動車税制の現場を持つという強みを生かしながら、こうした将来的な変化を捉え、自動車税制のあり方について積極的に提案して、私たちとまた議論を交えながら、時代に合ったユーザーに、都民のための税制を構築してまいりたいと、このように思います。ありがとうございました。
○森村委員 私からも、東京都税制調査会の答申について伺います。
今回の答申では、国境を越えたサイバー空間で活躍するGAFA等、巨大IT企業への課税、いわゆるデジタル課税の問題について取り上げていただきました。
国境を越えて事業を展開する、これらデジタル企業が提供するサービスは、既に日本に住む私たちの生活にもすっかり浸透していますが、GAFAがサービスを提供し始めたのは西暦二〇〇〇年前後であり、わずか二十年で世界の姿を変えてしまったといっても過言ではありません。
しかし、見方を変えれば、今や世界の企業の時価総額ランキングでトップを占めるGAFAも、少し前までは有望なスタートアップ企業の一つにすぎなかったということです。現在、世界では、次のGAFAを狙うIT関連のユニコーン企業が次から次へと生まれており、間もなく五百社に届く勢いです。企業価値の合計は十六兆ドルを大きく超え、また、その後に続くネクストユニコーンといわれる企業群も続々と育っております。
技術革新やテクノロジーの進展により、これまで実現できなかった事業が、これからも地球規模で生まれていく。ソサエティー五・〇に向かうさなかの世界は、今後も大きな変化を続けていくことでしょう。
今世紀に入り、インターネット上のサイバー空間に生まれたこの新たな市場を、いかに育て、適切に制御し、そして現実社会の発展に役立てていくか、これは、まさに各国が直面しているグローバルイシューであると認識しています。
今回の答申で取り上げたデジタル課税も、こうした取り組みの一つと考えています。
報告により、現在の国際課税原則がデジタル経済に対応できていないということはわかりましたが、そもそもこのデジタル課税問題の背景、そして本質とは何なのか伺います。
○長田税制調査担当部長 デジタル課税の背景には、近年の急激なデジタル化による経済の質の変化がございます。
企業活動による利潤の源泉が、天然資源、工場、機械などの有形資産から、データ、ノウハウ、知識などの無形資産にシフトしております。無形資産は移動が容易であり、また、事業展開に当たり、必ずしも市場国や地域に物理的な拠点を設置する必要がないなどの特性もございます。
そのため、デジタル経済のもとでは、多国籍企業が無形資産をタックスヘイブンにある子会社に置くことなどにより租税を回避することや、巨大IT企業は市場国に営業所や工場などの恒久的施設を置かずに国際展開し、現地国の法人税課税を免れることが容易になっております。
デジタル課税の本質とは、無形資産を核としたビジネスモデルを有するデジタル企業が、国際展開することで形成されるデジタル経済に対し、国際的な課税権を各国にどう配分するかということと認識しております。
○森村委員 デジタル課税問題の背景や本質についてわかりました。
そもそも現在、世界の主流となっている国際課税原則は、一九二八年に採択された国際連盟モデル租税条約に端を発するものであり、いわば二十世紀のルールであるといえます。
産業のあり方が大きく変わる中、急速に拡大するデジタル経済を想定してつくられたものではありません。ソサエティー五・〇の時代に適合した国際課税の新ルール策定と具体的な新しい枠組みについての国際的合意形成を早急に行うことが必要ですが、こうしたIT事企業が集積する都としても、知見を活用して意見を発信することは重要です。
先ほど、三宅委員に対するご答弁にかぶりますが、十月にOECDがまとめた案の中では、売上高が七億五千万ユーロ以上の企業を対象として、利益率が一〇%を超えた部分を各国に配分する原資とする方針が示され、G20財務相・中央銀行総裁会議に報告されました。
現在は、年明け一月の大筋合意に向けた調整が鋭意行われているものと聞いております。
OECDで検討されているデジタル課税とは、具体的にどのようなものなのか伺います。
○長田税制調査担当部長 OECDでは、市場国の課税権の配分を拡大する観点から、従来、市場国の課税権の根拠としてきた恒久的施設のかわりとして、米国が提案するマーケティング無形資産案や、英国が提案する利用者参加案などを軸に、デジタル課税の新たな根拠を検討しております。
米国案は、企業がブランドや顧客リストなど、マーケティングを通じて市場国に無形資産を有していれば、その無形資産が生み出された国に課税権を認めるというものであるのに対し、英国案は、検索エンジン、オンラインマーケット、SNSなどに対する利用者の貢献に着目し、その利用者がいる国に課税権を認めるというものでございます。
そのほか、企業が現地通貨で行う決済や、現地語で作成されたウエブサイトなどを重要な経済的存在と捉え、その現地国に課税権を認める新興国案もございますが、現在、OECDで検討されているデジタル課税案は、米国案をベースに、英国案などを統合する形で進められております。
また、OECDのデジタル課税案の中で提案されている市場国への新たな利益配分方法は、全世界の売上高が一定水準を上回る多国籍企業を対象とし、その売上高に占める利益を通常の利益と無形資産による利益に分割した上で、そのうちの無形資産による利益の一部を、各国売上高の比率に応じて市場国に分配する案となっております。
○森村委員 詳細なご説明どうもありがとうございます。OECDで検討されているデジタル課税案の枠組みについて理解できました。
その上で、確認のためにお伺いいたしますが、報告にもあったとおり、今回の都税調の答申ではデジタルサービス税についても言及されています。これは、OECDで検討中のデジタル課税と何が違うのかお伺いいたします。
○長田税制調査担当部長 英仏を初めとした欧州諸国やカナダなどで導入や検討の進むデジタルサービス税は、通常の法人税と異なり、法人の所得ではなく売上高に課税するものであり、また、一国の独自措置であることから、通常の法人税のように複数の国から課税される二重課税を排除する仕組みがないなどの問題点もございます。
その一方で、OECDにおける検討が国際合意に至るまでの税収の逸失を防ぐ暫定措置として、デジタルサービス税の導入や検討を進める国がふえてきております。
OECDで検討中のデジタル課税は、法人の所得に課税する通常の法人税について、その国際課税のルールを見直す議論である点で、デジタルサービス税とは異なるものでございます。
○森村委員 デジタルサービス税については、売上高に課税される外形標準課税の類型であるものと理解しました。
このような課税方式が持つ二重課税のリスクについては、ご答弁いただいたとおり、税負担の公平性に抵触するもので、また、法人の事業意欲や成長意欲をそぐことにつながりかねませんので、慎重に検討すべきであるものと考えます。
一方で、タックスヘイブンを活用した租税回避行為や、恒久的施設を持たずともサイバー空間でビジネス展開が可能な実態に鑑みますと、各国の税務当局をもってしても取引の実態把握は極めて困難で、巨額の法人税収の逸失につながっております。その結果、デジタルサービス税の導入や検討を行う国が増加しているものと受けとめておりまして、早期の課題解決を望むものです。
さて、こうした国際課税分野における議論につきまして、従来は、国において行われてきたものだと思いますけれども、今回の都税調の答申では、今ご説明いただいたデジタルサービス税とOECDで検討中のデジタル課税の双方について提言をされています。
国際課税分野のこのテーマを東京都の税制調査会で取り上げ、東京から問題提起を行った趣旨はどこにあるのかお伺いします。
○長田税制調査担当部長 都税調の答申では、地方がみずからの責任と権限において、時代に即した、住民に真に必要な施策を実施するためには、強固な財政基盤が必要であり、そのために地方税財源の確保、拡充が必要であるとしております。
OECDを初めとした国際社会において、デジタル時代に合った適正、公平な税制度の実現が図られることにより、初めて地方の税財源も確保されるという意味では、デジタル課税の問題は地方の問題であるとも認識をしております。
こうした認識に立ち、東京都を含む全ての地方自治体の税源確保や財源拡充を図り、都市と地方が共存共栄し、持続的に発展できる社会を支える税制を実現するため、今回の問題提起がなされたものと考えております。
○森村委員 デジタル課税は、世界の問題であると同時に地方の問題でもあるという答弁をいただきましたが、まさにそのとおりです。今回の都税調の答申を契機に、我が国においても、多くの国民が日常的にサービスを利用するGAFA等、巨大IT企業へのデジタル課税のあり方について、国民的議論が活発に行われることを期待したいと考えております。
さて、都税調の答申では、デジタル課税のほか、所得課税や環境関連税制についても、時代の変化に対応した適正、公正な税制度の実現に向けた提言をいただきましたが、都税調が東京都のためだけでなく、全ての地方自治体のために提言し、国に対し問題提起を行ったというものと受けとめております。
都としては、地方との共存共栄の観点から、こうした国際課税にかかわる地方としての考え方について、今後も引き続き、先導的、積極的な発信を行いながら、地方税財政制度のあるべき姿についての議論の中でリーダーシップを発揮していくことを求めるものですが、この観点からも一点懸念されるのは、都税調が提言する税制度の見直しは、地方全体として税源が拡充されるものの、その効果は東京都のような一部の大都市に偏るのではないかということです。
結果として、都市と地方の財政力格差が広がり、さらなる不合理な措置が行われる口実を与えてしまうのではないかということで、都の見解をお伺いいたします。
○長田税制調査担当部長 都税調の答申では、地方税による自主財源の拡充や国から地方への税源移譲だけでなく、地方交付税の原資となる国税の法人税や所得税の拡充、すなわちデジタル課税や金融所得課税などに係る諸提言を実施することで、全ての地方自治体の財源拡充を図ることが可能になるとしております。
また、あわせてデジタル課税については、国際課税に関して各国から提案されている着眼点も参考に、地方へ配分する合理的な基準を検討すべきことを提言し、地方交付税についても、地方の実態に見合った財政需要を地方財政計画に反映すべきであると提言をしております。
○森村委員 改めて、都市に偏るものではなく、地方にもその効果がしっかり及ぶことを考慮した提案であることが確認できました。
地域間のパイの奪い合いのような対立を生む構想ではなく、地方全体の財源拡充につながる提言であり、将来にわたり日本全体が輝くための都市と地方の共存共栄を、地方税財政制度から支える改革案であると受けとめます。
改めて申し上げるまでもありませんが、地方自治体は医療や子育て、介護など、多くの社会保障サービスを担っています。また、多摩や島しょの自然など、地域資源を最大限に生かした都市づくりや観光政策、教育、就労など、地域の持続的発展に資する政策も欠かせません。
変化の激しい時代の中、住民の要請に応え、住民の将来への不安を取り除き、豊かな社会を実現していくため、財源をどのように賄っていくのか。将来を見据えた税財政制度の改革を進めるためには、都税調が提言したような本質的な議論の積み重ねが重要だと考えます。
最後に、都として、地方税財政制度の抜本的改革に向け、都税調から出された答申を活用し、国に強く働きかけるべきだと思いますが、主税局長の見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
○塩見主税局長 本格的な少子高齢、人口減少社会の到来、また、経済のグローバル化やデジタル化の進展など、社会経済情勢が急速に変化する中で、それぞれの地域の課題解決と持続的発展に取り組むべく、地方自治体の役割は今後ますます大きくなってまいります。
こうした地方の役割に見合う地方税財政制度改革を進める上で欠かせない視点は、まさに中央集権型から分権型への変革でありまして、先生からもご指摘をいただきましたが、将来を見据えた本質的な議論の積み重ねが必要だと考えております。
本年度の答申では、国税及び地方税について、国際課税というより広い視点も含め、税制が直面する諸課題に対し、適正、公正な税制度のあり方、そして地方分権にふさわしい地方税財政制度の姿について、時代の変化も見通してご提言をいただいたところでございます。
都といたしましては、地方分権の理念のもと、引き続き、この都税調の答申も活用しながら、しっかりと我が国の将来像を踏まえた税制のあり方を、みずから検討を進めるとともに、都議会の皆様ともご協力をいただきながら、真の地方分権の改革の実現に向け、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
○成清委員 税務の現場におけるICT活用、税務行政のデジタル化について伺います。
行政サービスにおいて、AIやICTといった先端技術を積極的に活用していく意義は極めて大きく、必要不可欠ともいえます。
主税局では、平成三十年度に、AIを活用したチャットボットによる問い合わせ対応に着目し、実証実験を行っております。昨年度の財政委員会の質疑にて、実証実験の結果はおおむね好評だったと伺っております。
この結果を踏まえ、本年度の本格導入に向けた準備をしていただいているところかと思いますが、AIチャットボットサービスの導入により、どのような効果を見込んでいるのかお伺いします。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現状では、都民、納税者が都税に関する問い合わせを行う場合には、平日の都税事務所の開庁時間に合わせて、電話または来庁いただく必要がございます。
また、平日に時間を割くことができない都民、納税者の方は、ホームページなどを検索し、みずから調べていただく必要がございますが、専門用語がわからないと目的の情報にたどり着けない可能性がございました。
AIチャットボットサービスの導入によりまして、都民、納税者は二十四時間三百六十五日、時間、場所にとらわれず、自然な言葉で手軽に税務に関する問い合わせを行うことが可能となり、納税者サービスの向上が見込まれております。
主税局における業務効率化の点からも、これまで電話などによる問い合わせ対応のうち、その一部をAIに分任することで、職員は個別の税務相談や調査業務に、より多くの時間を割くことができるようになるなど、業務全体の効率化に寄与するものと考えております。
○成清委員 都民、納税者にとっても、また業務の効率化にとっても大きな利益がもたらされるとのことであり、本格導入に向けた取り組みを進めていただきたいと思います。
ICT活用に関連して、ショートメッセージサービスによる納税催告の取り組みについてもお伺いします。
これは、職員による事業提案制度により、今年度予算に反映されたものと伺っております。
そこで、このショートメッセージサービスを活用した納税催告がどのような成果を上げているのかお伺いします。
○川上徴収部長 都税が未納となった場合、督促状を郵送するほか、文書、電話、訪問等による納税催告を行っております。しかし、日中は仕事等で電話を受けられない納税者や、平日に自宅を訪問しても不在の納税者もございまして、接触機会の確保が課題となっていたところでございます。
こうした方々へのアプローチをする新たな手段として、今年度、ショートメッセージサービスを活用した納税催告を導入いたしました。これは、催告対象者の携帯電話やスマートフォンへ、都税事務所へ連絡をいただきたいといった短いメッセージを送信するものでございます。
システム環境整備などの準備期間を経まして、十月末までに納税者へ送信した件数は二百三十五通でございます。そのうち納付につながったものが五十四件、折り返し連絡のあったものが四十三件でございました。まだ送信件数は少ないものの、現場からは、従来の催告のみの場合と比べて二倍程度の反応があったとの声が上がっているところでございます。
○成清委員 現場の発案から、システム整備を行い、実際の現場を変えていっているというサイクルは、まさにICT施策を磨き上げる好事例として評価できるものと思います。
AIチャットボットサービスやSMSによる納税催告等、税務行政そのもののデジタル化はもとより、都民、納税者による税務情報へのアクセシビリティーの向上を図ることは、税そのものへの理解を深める観点からも重要です。
そこで、今後、ICT技術を活用して、税のアクセシビリティーをどのように向上させていくのか見解をお伺いします。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 AIチャットボットサービスの導入によりまして、都税に関する一般的な問い合わせを行う場合におきましては、一定のアクセシビリティーの向上が見込まれますが、その先には、都民、納税者個々の実情に応じた個別対応のニーズがございます。これをどのように実現していくかが今後の課題であると認識をしてございます。
一般的な問い合わせに対する回答やお知らせとは異なりまして、納税者お一人お一人の個別の状況にデジタル対応するためには、重要な個人情報であります税務情報の安全確保の観点から、確実な本人確認を可能とする強固な認証基盤が確立されなければ、その実現は困難でございます。
主税局では、今後、ICT技術を最大限活用し、将来的には、単に一般的な質問に答えるというだけでなく、個別の税務相談に対応して、AIチャットボットから職員への連携を可能としたり、個々の実情に応じたプッシュ型の通知や情報提供を実現するなど、都民、納税者一人一人とのコミュニケーションを可能とするための基盤構築を図り、時間や場所を選ばずに税務行政とつながることができる環境を提供してまいりたいと考えております。
○成清委員 都民にとって、東京都との接点で一番に思い浮かべるのが税の窓口という方も少なくないと思います。ICTの活用により、効果的かつ効率的に都民それぞれのニーズへ対応することも可能になるのではと思いますので、主税局においては、施策を着実に進めていただきたいと思います。
税務行政のデジタル化については、第三回定例会における都民ファーストの会東京都議団の代表質問に対して、知事からは、若手を中心に世界の先進都市の状況を調査するなど検討を進めているとの答弁があったところです。
そこで、この調査の結果はどのようなものだったのかお伺いします。
○菊澤調整担当部長 これまでの調査によりますと、例えば、韓国では電子納税の利用率が八〇%を超えておりまして、また、ほとんどの行政手続がオンラインで処理可能で、データ連携により、行政機関間での証明書の提出が不要であるほか、転出入の際には住民登録、運転免許証書きかえ、転校など、十七の手続が一括処理されております。実際に現地調査に赴いた若手職員によりますと、我が国での現状と余りに違うことに愕然とし、今後取り組まなければならない仕事の大きさを痛感したと述べております。
ほかにも、エストニアなど、いわゆるICT先進国では、税を含めた公的手続の多くが電子手続で処理可能であること、これらの国では、電子的な本人認証手続などを工夫していることがわかったところでございます。
○成清委員 知事の答弁にもあったように、行政のデジタル化は税務行政に限らず、もはや世界の潮流であります。都は、こうしたデジタル先進国にキャッチアップするにとどまらず、東京が世界をリードすることを目標としていただきたいと思います。
ICTを用いた国際的な競争も激化する中、国もソサエティー五・〇の実現に向けてさまざまな動きを加速させていると聞いており、都を取り巻く情勢も刻一刻と変化していることと思います。
そこで、都の税務行政をめぐる外部環境は具体的にどのように変化してきているのかお伺いします。
○菊澤調整担当部長 まず、国税におきましては、おおむね十年後の税務行政の姿として、ICTを活用した納税者の利便性の向上などを柱に、スマート税務行政に進化していくことを将来像として示しているところでございます。
また、地方税の税務手続のデジタル化につきましても、本年十月から、地方自治体が共同で運営する地方税共同機構が開発、運用する地方税ポータルサイト、eLTAX上で地方税共通納税システムが始まり、全ての地方自治体へ一括で電子納税するということが、初めて可能となったところでございます。
また、本年五月に成立したデジタル手続法が掲げる、行政のデジタル化に関する基本原則も踏まえまして、行政機関などが有する基幹システム間のバックオフィス連携なども、今後、強化されていく見込みでございます。
さらには、金融機関、行政機関がともに参加する情報連絡検討会が開催されるなど、官民を挙げてデジタル化を推進する動きが加速しております。
○成清委員 国と地方、または官と民、そういった垣根を越えて取り組みが進められていくのは、まさにデジタル化の特徴であります。
行政は、長きにわたって紙による事務処理が基本とされてきたため、デジタル化に向けた取り組みの中には多くの課題があると考えますが、税務行政を取り巻く変化に対応し、デジタル化を推進していく上でどのような課題があるのかお伺いします。
○菊澤調整担当部長 税務行政のデジタル化におきましては、それによって一回の手続で同時に多くの申告、納税、届け出、申請などを済ませられる、いわゆるワンスオンリー化や、ペーパーレス化を実現していくことを目指しております。
このため、国税と都税など官公庁間や、行政と金融機関など民間との、いわゆるバックオフィス連携をさらに強化、推進していく必要がございます。
また、電子手続による場合の本人認証を安全、確実に行うため、マイナンバーカードを用いたマイナポータルの活用なども検討してまいります。
さまざまな技術的、制度的課題がございますが、これらを一つ一つ着実に解決し、税務行政のデジタル化を積極的に推進してまいります。
○成清委員 税務行政のデジタル化には、まだまだ多くの解決すべき課題がある一方、今、まさに社会全体でデジタル化に向けた取り組みが加速化しております。
国税庁や法務局だけではなく、地方公共団体や銀行などの関係機関でデジタル化の動きが加速する中で、先ほども申し上げましたが、最大の地方自治体である都には、その最先端を行っていただきたいと思っております。
また、少子高齢化、人口減少社会に東京が直面する中で、都税の現場においても、さらに少数精鋭が求められていくこととなります。
納税者の利便性向上という観点からも、また、適切な執行体制の確保という観点からも、税務行政のデジタル化を着実に進めていくよう求めまして、質問を終わります。
○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時二十二分散会
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