財政委員会速記録第十六号

令和元年十月三十一日(木曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長上野 和彦君
副委員長田村 利光君
副委員長ひぐちたかあき君
理事池川 友一君
理事森村 隆行君
理事山田ひろし君
けいの信一君
成清梨沙子君
細田いさむ君
三宅 正彦君
大津ひろ子君
宇田川聡史君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務初宿 和夫君
契約調整担当部長新田見慎一君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長佐藤 千佳君
技術管理担当部長飯泉  洋君
庁舎運営担当部長後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君
会計管理局局長佐藤  敦君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松丸 俊之君
警察・消防出納部長加藤 政弘君
会計制度担当部長斎田ゆう子君

本日の会議に付した事件
会計管理局関係
事務事業について(質疑)
財務局関係
事務事業について(質疑)

○上野委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせをしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○ひぐち委員 キャッシュレスについて質問いたします。
 ここ数年、キャッシュレス化への取り組みは急速に拡大しており、都議会においても、積極的なキャッシュレス社会の推進は、水道料金のキャッシュレス決済、商店街への設備導入支援、デジタル地域通貨の導入など、さまざまな議論がなされてきました。
 そうした議論を踏まえますと、消費者である都民の利便性向上はもちろん、インバウンド対応として稼ぐ力、そして東京都の行政コストの削減にも寄与すると考えております。
 まず、都庁のキャッシュレス化に向けた、これまでの取り組みについて伺います。

○斎田会計制度担当部長 これまで都は、公金の収入支出の両面から都庁のキャッシュレス化に取り組んでまいりました。
 収入面では、都民サービス向上やインバウンド対応のため、都立施設の使用料について、これまで電子マネーやクレジットカード等の導入を推進してきました。さらに、恩賜上野動物園では、新たな決済手段として、QRコードを用いたモバイル決済の実証実験を開始すべく、今年度八月に事業者を選定し、事業開始に向けて準備をしております。
 支出面では、職員に対する旅費支給においては口座振替を活用し、今年度四月までに原則キャッシュレス化を実現しております。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 今ご答弁にもありましたとおり、収入と支出の両面において、キャッシュレス推進に取り組まれているとのことであります。
 今後もさらに深めて展開をしていくべきと考えておりますが、まず、収入面についてのキャッシュレス化、この拡大に向けた取り組みについても伺います。

○斎田会計制度担当部長 来年の東京二〇二〇大会を控え、インバウンドの利便性向上に向けて、QRコード決済を初めとするキャッシュレス化への対応は急務となっております。
 今回の恩賜上野動物園における実証実験は、国内外の都立施設入場者の利便性向上が目的の一つとなっております。そこで、インバウンド向けのQRコード決済サービスも導入することを前提として、事業者を公募いたしました。
 選定された事業者は、アリペイやウイチャットペイといった中国二大QR決済サービスにも対応しておりまして、インバウンドの中でも特に利用が多いと思われる、中国人観光客に向けたQRコード決済サービスも提供できるようになっております。
 今後も、都立施設の使用料につきまして着実にキャッシュレスを推進すべく、各局を支援してまいります。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 では次に、支出面についての、キャッシュレス化の拡大に向けた取り組みについても伺います。

○斎田会計制度担当部長 都庁におきましては、工事代金や助成金など、基本的に口座振替払いで支払われておりまして、これまで現金で支払っていた旅費や児童手当については、原則キャッシュレス化を達成したところでございます。
 今後、さらに文房具や日用品等を購入するための小口現金等の、いわゆる資金前渡についてもキャッシュレス化が必要になります。職場の物品購入等で、利用と同時に銀行口座から代金が引き落とされるブランドデビットカードを活用し、現金の取り扱いを減らすことで、職員の業務の生産性向上や現金亡失等の事故リスクが軽減できます。
 現時点で導入可能な部署につきましては、本年一月より順次導入し、本年度末には庁内約四百八十部署に導入完了する見込みです。
 引き続き、利用実態や具体的な導入効果を把握し、新たに導入可能な部署を拡充してまいります。

○ひぐち委員 今、生産性の向上や事故リスク低減といったお話ありまして、口座振替に加えて、まさにこうした新たな決済手段としてのブランドデビットカードといったものも活用されていくというお話であります。
 これからもぜひ積極に取り入れられまして、都庁における原則キャッシュレス化を早期に実現いただくよう期待いたします。
 それでは、最後に、都庁内のキャッシュレス化について伺います。
 先日、宮坂学副知事が就任され、東京都のICT戦略、デジタル東京の実現に向けて対応されるとのことでありますが、今や--先ほど二大QRのアリペイやウイチャットペイの話ありましたが、中国では、もはやスマホ決済からさらに進んだ顔認証決済という時代であります。
 こうした中で、日本の首都東京がおくれをとるわけにはまいりません。副知事には、キャッシュレス化にも大いに応援いただけるものと考えておりますが、都庁内のキャッシュレス化に向け、今後どのように取り組んでいくのか局長に伺いまして、質問を終えさせていただきます。

○佐藤会計管理局長 今、世界を見渡しますと技術の進展もございまして、ひぐち副委員長のお話のように、中国では、多くの国民がスマートフォンによるQRコード決済を利用し、顔認証決済も実用化されつつございます。
 また、スウェーデンでは、子供から大人までカード決済を利用するなど、日常生活の中でキャッシュレスは当たり前というふうになってございます。
 我が国におきましても、郵便窓口におけるキャッシュレス決済の導入や、コンビニのレジなし店舗の登場など、官民問わずキャッシュレス決済はますます拡大、浸透していくことが予想されております。
 官公庁の一つであります都庁におきましても、キャッシュレス時代に対応すべく、公金の安全性を確保しながらも、新たな決済手段を積極的に取り入れてまいります。
 今後、都の会計事務を所管する会計管理者としまして、一層の都民サービスや業務の生産性向上を図るべく、都庁のキャッシュレスをスピード感を持って強力に推進していく所存でございます。

○細田委員 私からは、会計管理局所管の主要事業のうち官民連携ファンドの適切な監視、このことについて質問をいたします。
 都は、エネルギー分野で二つのファンド事業、福祉分野では一つのファンド事業の監視に取り組んでいます。各ファンド事業においては、都のファンドへの出資を通じて、再生可能エネルギーによる発電所や、子育て支援施設を含む建物などが整備されていますが、都からの出資は、公金である以上もちろんですが、確実な回収に努めていくことが重要であります。
 都議会公明党は、かねて本ファンドの事業について取り上げてきており、この委員会の場においても質疑を重ねてまいりました。
 さて、出資金の回収状況等について質疑しますが、まず、都がそもそも各ファンド事業を始めました経緯についてお尋ねいたします。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携ファンドは、行政と民間の連携による新たな政策手法として、パイロット的に実施しているものでございまして、政策目的の促進と同時に、出資金の全額を回収することを目指して取り組んでいるものでございます。
 まず、官民連携インフラファンドにつきましては、東日本大震災後の電力の安定供給等を目的に、全国を対象として、平成二十四年度に組成いたしました。
 次に、官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等を目的に、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象として、平成二十六年度に組成いたしました。
 最後に、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献を目的に、都内を対象として、平成二十七年度に組成いたしました。

○細田委員 官民連携ファンドは、新たな手法としてパイロット的に実施しているものでありまして、政策目的の促進とあわせて、出資金の全額を回収することを目指していることを確認いたしましたが、都の出資金、ファンドからどのように回収していくのでしょうか。具体的な資金の回収の仕組み、このことについてお尋ねいたします。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにおきましては、ファンドからの投融資を通じ、発電所が整備された後、電力会社への電気の販売による売電収入等が得られ、これを原資として、出資者に対してファンドから配当が行われます。
 また、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、ファンドからの投融資を通じ、福祉貢献型建物が整備された後、テナントへの建物の賃貸による賃料収入等が得られ、これを原資として、出資者に対しファンドからの配当が行われます。
 いずれのファンドにつきましても、投融資資産を売却した場合は、その売却代金を原資として、出資者に配当が行われる仕組みとなっております。

○細田委員 都の出資金は、ファンドからの投融資を通じまして、政策目的に沿って発電所や福祉貢献型の建物が整備された上で、電気の販売や建物の賃貸、投融資の売却がなされることで回収されていくことを確認いたしましたが、この各ファンド事業について、政策目的の観点からの投融資のこの実績について、出資金の回収の立場、この視点で、ここから見て、これまでの累積回収額と回収率についてはいかがでしょうか、お聞きしたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、官民連携インフラファンドでございますが、これまで、出力の合計が約六十二万キロワットとなる計十九件の発電所への投融資を実施、出資額三十億円に対し、平成三十年度末時点での累積回収額は約三十四億七千四百万円、回収率は約一一五%となっております。
 次に、官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、これまで、出力の合計が約十七万キロワットとなる十三件の発電所への投融資を実施、出資額十二億円に対し、平成三十年度末時点での累積回収額は約六億五千二百万円で、回収率は約五四%となっております。
 最後に、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、これまで、保育所定員が合計で二百名となる三件の福祉貢献型建物への投融資を実施しておりまして、出資額三十七億五千万円に対し、平成三十年度末時点での累積回収額は約二十億四千八百万円、回収率は約五四%となっております。

○細田委員 各ファンド事業について、政策目的に即応して投融資実績が積み重なっていること、出資金の回収が着実に進んでいる、そういうことであります。
 特に、官民連携インフラファンド事業においては、既に都の出資金相当額以上の、一一五%回収できているということは、運用の評価に値するものであります。
 そこで、官民連携インフラファンドが高い回収結果となっている理由、この理由について伺いたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンドにおきましては、二つのファンドのうちの一つのファンドの存続期間が満了し、また清算も結了しており、都の出資額十五億円に対し約二十三億六千万円の回収がなされたことが、高い回収結果に寄与しております。
 また、ファンド運営事業者の持つノウハウが適切に活用されたことや、当該ファンドの組成当初は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の買い取り価格が比較的高く、収益性の高い案件が実現したことにより、回収額が出資額を上回ったものと認識しております。

○細田委員 このような高い回収の結果は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に支えられて、ファンド運営事業者のノウハウがうまく機能した結果だと、このように思います。
 他のファンドについても、ファンド運営事業者のノウハウが適切に活用されることが、出資金の回収が着実に進んでいく上では重要でありまして、都には、今後ともファンドの運営状況を適切に監視していくことが求められると思います。
 最後に、各ファンドの事業について、これまでの評価と今後の取り組みについて都の所見を求めます。

○佐藤会計管理局長 官民連携ファンドという政策手法は、出資金を回収することにより、都の実質的な資金負担をゼロで、政策目的の推進が可能でございます。
 まず、官民連携インフラファンドは、電力供給の安定化に貢献いたしますとともに、発電所の整備を通じて東日本大震災の被災地支援にも貢献しております。
 次に、官民連携再生可能エネルギーファンドは、再生可能エネルギー発電の普及促進及び東日本大震災の被災地支援にも貢献しており、これら二つのファンド事業については、いずれも投融資を完了してございます。
 また、官民連携福祉貢献インフラファンドは、待機児童数の削減への貢献という一定の成果が得られているものと認識しておりまして、引き続き、待機児童数の削減等に資するよう、新規投資案件の実現に向け、取り組んでまいります。
 都といたしましては、今後とも投融資先の運営等や都への配当が順調に行われていくよう、専門家の意見を聴取しつつ、出資者の権限でありますファンドへの質問権、検査権の活用などを通じ、各ファンドの運営状況の監視に注力をしてまいります。

○細田委員 わかりました。よろしくお願いします。
 各ファンドの事業について、政策目的の推進がされており、出資金の回収が着実に進んでいることが確認できました。特に、エネルギー分野のファンド事業については、東日本大震災の被災地支援にも貢献している点を、都議会公明党として前向きに捉えております。
 引き続いて、都は、出資者の立場からファンドの運営状況の適切な監査を行っていただき、官民連携ファンドという新たな手法が有効に機能して、その成果が上がることを期待いたしまして、質問を終わります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたします。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○上野委員長 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○初宿経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のございました資料は二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、築地跡地を移管した際の土地評価、契約書等の関連書類及び検討資料でございます。
 こちらは、築地跡地を移管した際の財務局の関係資料等につきまして、三ページから一〇九ページにかけてお示ししたものでございます。
 三ページから六ページには築地市場跡地の有償所管がえに係る検討経緯(財務局)を、七ページから一〇四ページにわたり調査報告書を、一〇五ページから一〇九ページには土地の有償引き継ぎ、引き受けに関する覚書を掲載してございます。
 次に、一一一ページをお開き願います。要求資料第2号、旧こどもの城を取得した際の土地評価、契約書等の関連書類及び検討資料でございます。
 こちらは、旧こどもの城を取得した際の財務局の関係資料等につきまして、一一三ページから二九二ページにかけてお示ししたものでございます。
 一一三ページから一一六ページには旧こどもの城の取得にかかわる検討経緯(財務局)を、一一七ページから一二〇ページには国有財産の早期取得要望についてを、一二一ページから一二九ページには未利用国有地等の情報提供等についてを、一三一ページから一三四ページには旧こどもの城活用の基本的考え方(概要)を、一三五ページから一五八ページには旧こどもの城活用の基本的考え方を、一五九ページから一八五ページには未利用国有地等の情報提供等について(回答)を、一八七ページから一九〇ページには旧こどもの城既存建物活用検討庁内プロジェクトチーム設置要綱を、一九一ページから二二七ページには不動産鑑定評価書を、二二九ページから二五五ページには令和元年度第四回東京都財産価格審議会の審議結果についてを、二五七ページから二六五ページには国有財産の取得に伴う見積書の提出についてを、二六七ページから二七六ページには国有財産売買契約書(抄)を、二七七ページから二七九ページには旧国立総合児童センター(31)改修基本計画策定業務委託契約書(鑑)を、二八一ページから二八八ページには都民の城(仮称)中期利用、館長候補についてを、二八九ページから二九二ページには都民の城(仮称)開設準備プロジェクトチーム設置要綱を掲載してございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ひぐち委員 財政収支の長期的な推計、事業評価制度、都民提案制度について伺います。
 まず、財政収支の長期推計についてです。
 私たち都民ファーストの会は、本年第二回定例会の代表質問において、国内外の情勢を見据え、新たな長期計画の裏づけとなる都財政の堅実な収支推計を示すことが必要としまして、財務局長からは、今後は新たな長期計画の策定に合わせ、財政収支の長期的な推計を明らかにすると答弁がありました。
 地方政府の支出、地方経費が膨張する中では、また、住民の生活を根底で支えており、現物給付を提供する地方自治体においては、かつてないほど所得再分配の機能の役割が増しています。その意味において、限られた資源の最適配分機能を、長期的な視点から検討しつつ予算政策を決定することは、極めて重要であります。
 まさに東京都独自の長期財政計画とも呼べるものでありますが、この財政計画の長期的な推計について、策定の意義と現在の検討状況について伺います。

○山田主計部長 本格的な少子高齢、人口減少社会の到来や激動する世界経済など、都財政を取り巻く環境は大きく変化をしております。
 こうした中にあっても、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていくためには、中長期的な財政見通しを持ち、計画的かつ戦略的な財政運営を行っていくことが重要であると認識しております。
 そのため、現在、新たな長期計画の策定に合わせて、長期的な財政収支の推計について、最新の人口推計など社会構造の変化を踏まえつつ、外部有識者からの意見も参考にしながら、順次作業を進めているところでございます。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 順次作業を進めているとのことでありますが、これから策定される二〇四〇年代を見据えた長期戦略の財源の裏づけを明確にする、また継ぎ目なくつくっていくことは、まことに大変な作業かと思います。しかし、腰を据えて、激動する社会経済における新たな課題に挑戦していくべく、また余力がある今だからこそ、長期的な推計を策定するのは大変大きな意義があると考えております。ぜひ、当局の一層の踏ん張りと、早期に明らかにしていただくことを期待いたします。
 さて、都政の歴史を振り返りますと、鈴木、青島都政においては、行政計画と財政計画をあわせて策定していたという時期もあったと伺っています。さらに、都財政が大幅に悪化し、財政危機の一歩手前であった状況において、平成十一年七月には財政再建推進プランが策定され、都税の徴収など歳入の見通しを立てる一方で、乖離のある歳出に対しては、歳出削減をするため、さまざま内部でのご努力を積み重ね、施策の見直しをされ、収支見通しを立てられておられました。その後、今日に至るまで、行政計画と財政計画がひもづかない形で策定されてきたと認識しております。
 しかし、一方、その財政再建推進の時代に徹底して取り組まれましたのが施策の見直し、これが今の事業評価制度につながっているわけであります。
 こうした経緯も踏まえ、事業評価制度のこれまでの取り組みや成果について伺います。

○山田主計部長 事業評価は、財政再建期に集中的に実施いたしました事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も改革を継続していくための仕組みとして再構築したものでございます。限られた財源の中で、都政の諸課題に的確に対応していくため、平成十九年度予算以降、予算編成の一環として事業評価を実施し、一つ一つの事業の効率性、実効性の向上、無駄の排除の徹底に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、事業の成果や決算状況を厳しく検証するのみならず、関係部局と連携した専門的視点からのチェックや新たな公会計手法の活用など、予算編成の過程で多面的な検証を行う取り組みとして、毎年度、創意工夫を凝らしながら着実に実績を重ねてきております。
 こうした取り組みの結果、令和元年度予算編成では約九百億円の財源を確保しており、事業評価の取り組みを開始いたしました平成十九年度以降の財源確保額は、累計で一兆三千億円に上っているところでございます。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 かつての二次にわたる財政再建推進プランを経て、各局が財産運営の方向性を踏まえながら、みずからの責任のもと、制度や事務事業の根本にまでさかのぼった施策の見直し、再構築を積極的に進めていく、こういった趣旨のもと、予算編成の一環として取り組んできた事業評価は、累計で一兆三千億円の財源を確保したわけであります。
 ただ、もちろんこの十三年間の間で、都財政や都政を取り巻く環境は変わるわけでありまして、社会や経済など環境の変化に応じて、事業評価の取り組みも変わっていくべきであります。
 実際に、事業評価制度でこれまで強化をしてきた具体的な取り組み内容について伺います。

○山田主計部長 事業評価につきましては、これまで、その取り組みの充実強化を図ってきております。
 具体的には、まず、平成二十九年度予算編成では、全ての事業に終期を設定し、終期が到来したものにつきまして、事業の見直しや拡充、継続等を判断するシステムを導入し、これまでの事業評価によるPDCAサイクルを一層強化しているところでございます。
 平成三十年度予算編成では、施設の整備、改修や重要資産の購入等につきまして、統計データや技術的指標などのエビデンスベースによる評価を導入し、令和元年度予算編成では、事業の実施に必要な経費とその効果をエビデンスベースで比較検証するコストベネフィットの視点を踏まえた評価を新たに実施するなど、創意工夫を凝らして取り組んできたところでございます。
 このように、評価手法を充実させながら、一つ一つの施策を厳しく検証し、その効率性や実効性を向上させる取り組みを不断に行ってきたところでございます。

○ひぐち委員 毎年度、こうした取り組みを強化されてこられたということでありますが、まさに、来年度の予算編成においても、予算の見積もり方針で出てきた新たな観点も加えていくべきと考えておりますが、令和二年度予算編成に当たり、強化する取り組みと効果について伺います。

○山田主計部長 令和二年度予算編成でございますけれども、ICT関係予算の評価を新たに導入します。ICTを活用して実施する新たな事業展開、事業の再構築等を評価に反映することとしているところでございます。
 これは、ICT関係の新技術を導入する際に、費用対効果に加えまして、戦略政策情報推進本部と連携いたしまして、事業の実現可能性等を多角的に検証することで、実効性の高い事業内容を構築するものであり、例えば、IoTやAIを活用したインフラの維持管理の高度化などを想定しているところでございます。
 こうした新たな評価手法を取り入れることで、実効性のある先端技術を活用した事業の実現につながるとともに、都民サービスの向上やコスト削減といった効果も期待できるものと考えております。
 今後とも、より一層創意工夫を凝らして事業評価に取り組み、予算の質の向上や効果検証の徹底へとつなげていきたいと考えております。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 新たな評価手法を取り入れ、先端技術を活用した事業の実現で都民サービスの向上といった効果があると、こういった答弁がございましたが、例えば、今、報道でも多くなってきました、ドローンの実証実験を通じて都民生活を豊かにしていくなど、確かに期待がございます。まさに時代に合わせて、費用対効果はもちろんですが、効果がある事業のうちでも優先度を決定していくことが大切であります。
 当局におかれましては、策定される財政収支の長期的な推計のもと、こうした事業評価の推進に加えて、計画的、戦略的に財政対応力を高めるべく、行政課題に対応できる基金や将来世代の負担を考慮した都債の活用もあわせて、施策展開の基盤となる健全な財政運営を行っていただきたいと思います。
 さて、予算は、財政について社会の構成員の合意を形成するとともに、議会を通じ、社会の構成員の決定に基づいて財政を執行する制度でありますが、そうした中、大変ユニークなのが都民提案制度でございます。都民の皆さんが直接、予算編成に参加するというこの画期的な制度には、実際に私の地元においても、都政のイメージが変わったなど反響がありました。
 一方、これまでなじみのない制度を定着させるために、認知度向上が最も大きな課題であると考えていますが、そこで、これまでの制度を普及する取り組み、そして提案数の推移について伺います。

○山田主計部長 都民提案制度の普及促進のためには、より制度を利用しやすい環境づくりや、都民の皆様に対する周知、広報が重要であると認識をしております。
 このため、初年度となります平成三十年度予算編成から、事業提案の応募に際しましては、スマートフォンやパソコンから直接、事業提案を行うことができるシステム環境を整備し、そのデザインについても、都民の皆様にとって使いやすいものとするなど、工夫を重ねてきたところでございます。
 また、「広報東京都」やSNSなどによる情報発信、ポスターやデジタルサイネージの掲出を実施しているほか、今年度新たに、都内区市町村に広報活動への協力をいただくなど、さまざまな機会を捉えて広報活動を行っているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、平成三十年度予算編成においては二百五十五件、令和元年度予算編成においては二百四十八件、令和二年度予算編成においては二百四十二件の提案をいただいているところでございます。
 今後は、十一月二十二日より開始する都民投票に向け、新たにインターネット上のリスティング広告やインフィード広告を行うなど、さらなる制度の普及に向けた取り組みを行っていきたいと思います。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 ぜひ、今後も普及に向けた取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 この制度が、従来の東京都の発想にとらわれず、都民の皆さんの経験や知恵から生まれた着眼で、新たな行政課題に迅速に応えていくこともまた重要な点であります。
 そもそも、都民提案制度は単年度事業が原則でありますが、事業の実施をきっかけに、都庁の各局において気づきや刺激となり、施策全体のレベルアップにつなげていくべきと考えますが、都民提案制度をさらに発展させるための取り組みについて見解を伺います。

○山田主計部長 都民提案制度をさらに発展させていくためには、この制度を通じて得られる、行政にはない新たな発想をしっかりと施策に取り入れ、活用していくことが重要であると考えております。
 一例といたしましては、平成三十年度事業として採択いたしました、働く人のチャイルドプランサポート事業では、不妊治療と仕事の両立について理解を深めるための都民向けセミナーの開催や、企業担当者への研修を開催するなどの実績を上げており、さらに、令和元年度には、局事業としての拡充を図るなどの好循環も生まれているところでございます。
 こうした望ましい事例を庁内で共有していくことで、都政の課題を解決するための手段として積極的に活用されるよう、制度のさらなる発展に努めてまいりたいと思います。

○ひぐち委員 ありがとうございます。
 先ほど私の地元での反応を申し上げましたが、皆さんのご意見や感想を伺っていますと、こうした行政に参加することで、納得感や満足感が高まっているのではないかと私自身考えておりました。地元千代田区においても、区民の皆さんからは、どれが区の課題で、どこからが都の範囲なのかよくわからないという方も多くおられるのが現実であります。そうしたことも踏まえますと、こうした制度は、都の行政への理解を深め、また直接参加し満足感も高める、さらには都の財政力でなければできないことからも、大変意義のある制度だと考えております。
 ぜひ、今後は、都民が行政に参加したことで課題解決に導いた好循環、好事例を、庁内でも、また都民にも共有するなど、質を向上させる、そしてより制度を発展させるよう期待いたしまして、質問を終わります。

○細田委員 私は本委員会の所属が初めてでございますが、財務局といえば契約、そして予算、都有地など、いずれも都庁の仕事の根幹にかかわる重要な制度所管局であります。であるからこそ、本日も含めて今後一年間、この場の質疑を通しまして、都民の声をしっかり都政に届けていきたいと考えております。
 そして本日は、その前にまず、本日も要求資料出ておりますが、前期の財政委員会において大きなテーマとなっておりました、築地市場跡地の有償所管がえについて、改めてこの場で振り返り、確認をしたいと思います。
 この有償所管がえにつきましては、平成二十九年三月の予算特別委員会において、都議会公明党幹事長の東村議員が、企業が経営判断をする際に重視するのはキャッシュ・フローの視点、すなわち資金繰りであり、この観点から市場会計の分析を行った結果、市場会計に有償所管がえの収入が入ることが市場会計の財政安定化に寄与するということを、いち早く明らかにして、その後も幾度となく、我が党は本会議等の場で提案を重ねてまいりました。
 また、平成二十九年八月の臨時会、そして昨年の第四回定例会におきまして、今度は、築地再開発、築地まちづくりの観点からも、有償所管がえを決断すべきであると繰り返し指摘をしてきたところであります。
 このように、市場会計を持続可能なものにすること、そして築地のまちづくりと、その両方から、築地市場跡地については、一般会計に有償所管がえをすることこそが真に都民のためであると、我が党はいち早く、そして一貫して訴えてきたところであります。
 このため、昨年度予算で都が有償所管がえを決定したことを、都議会公明党は高く評価しているところでありますが、これまで、その決定に至る過程につきましては、本委員会がスタートした今、都として一つ一つの手順をきちんと踏み、有償所管がえに至ったことを明快にすべきである、このように私は考えています。
 そこで、都が有償所管がえを決断するに至ったこれまでの経緯につきましてお尋ねをいたします。

○山田主計部長 築地市場跡地は、一昨年六月の市場のあり方戦略本部の中で、一般会計に有償所管がえをした場合と、長期貸付を行った場合の収支試算を行っております。
 その後、昨年十一月の市場移転に関する関係局長会議におきまして、中長期的な時間軸に立ってまちづくりを行う場合には、一般会計への所管がえも視野に入れて検討を進めることが必要とされ、このような視点も踏まえつつ、改めて収支試算を行い、市場会計の持続可能性に関する検証を加速化していくこととされたものでございます。
 その後、昨年十二月の第四回定例会におきまして、知事が、一般会計への有償所管がえを軸に検討を加速する旨を明らかにしております。
 その上で、本年一月の知事査定の場におきまして、当時検討段階にありました築地まちづくり方針素案の方向性や考え方に今後変更がない場合には、有償所管がえに係る経費について最終補正予算案に計上することとし、まちづくり方針の素案が確定した段階で、最終補正予算案への計上を決定することとしたものでございます。
 その後、本年一月二十三日の関係局長会議の場におきまして、築地まちづくり方針素案が取りまとめられたことから、収支試算の結果も踏まえて、一般会計への有償所管がえ及び最終補正予算案への経費計上を決定したものでございます。

○細田委員 現在でも、唐突、突然にこの有償所管がえが決められたのかというような、ちょっと誤解もあるような感じがいたしますが、今のご答弁、明快な答弁だったと考えます。
 今、有償所管がえを決めた経緯について説明がありましたけれども、決めた以上、五千億円にも上る支出をどうするかということ、これが大きな課題になります。
 この有償所管がえにつきましては、昨年度、最終補正予算で一括処理がされることになったわけですが、こうした処理を行った狙いや考え方につきまして、都の見解を求めます。

○山田主計部長 国の税制度の見直しによりまして税収減が見込まれる中、増大する社会保障関係経費などの今後の財政需要も踏まえると、将来の財政支出を可能な限り軽減することは、今後の継続的、安定的な都民サービスの提供にも資するものであると思います。
 本年一月、有償所管がえの方針を固めた中にありまして、決算剰余金や予算執行状況の精査によりまして、都民サービスに影響を及ぼすことなく財源のめどを立てられたことから、最終補正予算案に五千四百二十三億円を計上することとしたものでございます。これも、将来を見据えた財政運営の一環であると考えております。

○細田委員 私もそう思います。我が党の代表も、角を矯めて牛を殺すようなものだという国の制度改正において、東京都の地方税に手を突っ込むんじゃないということを明言いたしましたが、まさに、可能な限りこの都財政の将来の支出を軽減すること、今のご答弁の説明で明快だったと思います。
 今回の有償所管がえに関して、都財政を一手に担う財務局の腕の見せどころであったのではないかと私は思っております。一旦、有償所管がえをする、支出をすると決めたからには、将来世代の負担を可能な限り軽減する、負担のツケは先送りはしない、まさに将来を見据えた財政運営の基本であり、望ましい処理の仕方ではないのか、このように私どもは考えております。
 さて、有償所管がえすること自体は、昨年の予算で結論が出たところでありますが、都として、この先に大事なことは、築地まちづくりの具体化であります。都議会公明党は、これまで一貫して、都民に最大限の利益を還元できるまちづくりをいかに進めていくのかという前向きな視点から議論を重ねてまいりました。もちろん、このことは財務局ではなく、都市整備局が主体となって進めていくものではありますが、この原点は昨年度末の築地まちづくり方針であり、一般会計に有償所管がえをして再開発をするとしたこの考え方にあります。
 そこで、最後の質問ですけど、築地まちづくりを行うために有償所管がえを行うこととした理由、市場会計ではなく一般会計に土地を移しかえて、まちづくりを行うべきとした理由につきまして、改めて財務局の考え方をお伺いいたします。

○山田主計部長 一般会計に有償所管がえを行った場合、かねてからご指摘をいただいていましたとおり、公共的、公益的なまちづくりに留意しつつ、経済合理性を考慮しながら東京全体の価値の最大化を目指し、中長期的な時間軸に立った整備開発を進めていくことが可能となると考えております。
 仮に、中央卸売市場会計が保有して長期貸付を行う場合、市場会計は独立採算が原則とされる公営企業会計であることから、将来の資金繰りの状況等によっては、短期的な利益や採算性を重視せざるを得ない状況が生じることなどが想定されるところでございます。
 こうしたことも踏まえ、一般会計への所管がえを行った上で、再開発を進めることとしたものでございます。

○細田委員 今回の有償所管がえは、まさに我が党が要望してきたものでありまして、市場会計にとっても、そして築地まちづくりにとっても最善の策である、このように考えます。
 まず最初にこのことを申し上げまして、次に質問させていただきます。
 続きまして、個人投資家向けの東京グリーンボンドの発行、このことについて伺います。
 環境問題の改善に役立つ事業、グリーン事業に限定しているこのグリーンボンド事業ですが、国際社会ではこの債券が急速に拡大しておりまして、ことしの九月の時点で、世界全体で約十八兆円に上り、過去五年間で四倍という、驚くような増加となっています。
 十月二十八日に東京都は、今年度の個人投資家向け東京グリーンボンドの概要を公表されました。この東京グリーンボンドは、都が環境問題の解決に取り組むための資金調達の手段として、平成二十九年度に初めて発行して、そして今年度で三回目となります。
 十月に機関投資家向けを百億円発行したことに続いて、個人投資家向けには米ドル建てで百億円相当を十二月に発行する予定だと聞いています。
 我が国では、全国に先駆けて平成二十九年度に初めて発行しましたが、グリーンボンドとしては、地方自治体で唯一の--国もしていませんけど、先駆けの、まさに牽引力としての取り組みだと、このように思っております。
 ESG投資への関心の高まりから、国内外ともに、グリーンボンドの市場規模が年々と大きくなっていますが、こうした中にあって、都の個人投資家向けグリーンボンドの取り組みは、住民が環境施策に直接投資をできる機会を提供するものであります。
 そこでまず、東京都が東京グリーンボンドを発行する意義と、これまでの実績についてお尋ねいたします。

○山田主計部長 東京グリーンボンドの発行意義といたしましては、五点挙げられると思います。
 第一に、都民や企業から投資を通じた後押しを受け、環境施策を強力に推進すること、第二に、市場の活性化と他発行体の参入促進により、国内の環境対策に資金が向かう流れを創出すること、第三に、都民への投資の機会を提供することにより、事業への理解を通じたオーナーシップ意識を喚起すること、第四に、企業の環境配慮意識の醸成に寄与するとともに、社会的な評価を受けられる環境の整備を促進すること、そして第五に、新たな投資家へのアクセスを通じた投資家層の多様化を図ることでございます。
 平成二十九年度から発行を開始し、機関投資家向けに百億円、個人投資家向けに百億円相当を、それぞれ年一回発行しているところでございます。
 機関投資家向けは、今月十八日に三回目の発行をしておりまして、百億円の発行に対しまして応募倍率は約六・九倍、投資表明件数は三十六件と、どちらも過去最高の水準となっております。
 個人投資家向けにつきましては、現在、三回目に当たる十二月の発行に向けて準備を進めているところでございますけれども、過去二回の発行では、売り出し期間の初日に完売をしており、企業のみならず個人の間においても、環境施策への関心や参画意識が高まっていることが確認できる結果となっていると思います。

○細田委員 個人投資家に対してこうした機会を提供することで、都民のオーナーシップ意識、いいかえれば参画意識、これを持ってもらうことは大変に重要であると、このように思います。
 都債の発行という財務局の本来の役割の中で、これを単なる資金調達の手段のみならず、グリーンボンドという視点を加えることによって、都民が積極的に環境施策に参画できる仕組みをつくり上げたこと、これは大いに評価できるものであります。
 これまでの二回の発行に当たっては、個人向けのグリーンボンドは即日完売ということでありますが、個人投資家の方々にグリーンボンドの意義を理解してもらうためには、広く積極的に周知していく、この取り組みが大変に重要である、このように私は考えます。
 そこで、個人投資家に対してグリーンボンドの意義を伝えるために、これまで都はどのような取り組みを行ってきているのか、また今年度新たな取り組みがあるのか、この点について都の見解を求めます。

○山田主計部長 スマートシティーの実現に向けて、企業のみならず、個人においても環境配慮意識を高めていくことが重要であり、東京グリーンボンドへの関心を持っていただくことは、そのきっかけになると考えております。
 そのため、幅広い方々が投資に参画できるように、グリーンボンドを購入できる最低金額を低く設定しております。また、全ての購入者に、充当事業の一例と環境効果を紹介した東京グリーンボンドカードを送付し、さらに、抽せんで充当事業の現場を見学できるツアーに招待するなど、グリーンボンドの意義を直接PRする場を設けているところでございます。
 加えて、今年度は、若年層に対しましてグリーンボンドの意義を積極的に伝えるため、証券会社と連携した若年層向け金融セミナーを計五回開催するとともに、若年層と親和性の高いSNSを活用し、こうしたセミナーの開催告知や、グリーンボンド発行に関する情報を発信していきたいと思っております。

○細田委員 機関投資家向けの、今月の十八日の三回目の発行に続いて、そしてこの十二月の個人向けの三回目、今いわれたような周知拡大の取り組みがされてきているということで、大いに期待をするところであります。
 SDGs、いわゆる持続可能な開発目標について、国連で策定された二〇一五年以降のSDGsの実現のための資金調達の手段として、このグリーンボンドの関心、これが大きく高まったわけであります。その意味で、都の環境施策への関心を高めていく上でも、将来を担う若年層への働きかけは極めて重要であります。幅広い層の方々に購入してもらうためにも、都が発行する意義をしっかりと、今後ともPRしてください。
 また、東京グリーンボンドの充当予定の事業については、第三者機関、国際組織が--大変厳しい組織だと聞いていますけれども厳格な運用を図っている、グリーンボンドの原則に適合しているのか、あるいはSDGsの達成に貢献するものなのか、こういった観点で評価していると伺っています。投資家の皆さんのグリーンボンドへの信頼がさらに拡大、獲得できるためにも、どのような事業に活用しているのか、これを今後また明確にしていく必要があります。
 そこで、今年度の個人投資家向けの東京グリーンボンドは、どのような事業に充当する予定なのでしょうか、東京都の見解を求めます。

○山田主計部長 東京グリーンボンドの充当事業は、各局が実施する事業の中から、より高い環境効果が想定されるものを選定しております。
 今年度の個人向けグリーンボンドで調達する資金は、都有施設への太陽光パネルの設置、照明のLED化、緑地の整備など、CO2やエネルギー使用量の削減に寄与する事業や、河川の護岸や防潮堤の整備など、気候変動への適用のための事業に充当する予定でございます。
 また今年度は、新たに水辺空間における緑化の推進といたしまして、河川の老朽化したコンクリート護岸を緑化ブロックで再構築する事業も充当対象とするなど、スマートシティーの実現に向けて、充当対象の拡充にも努めているところでございます。

○細田委員 再生可能エネルギーなどのCO2削減の取り組みだけでなく、今おっしゃいました、河川整備などの気候変動への適応策にも活用されています。
 地球温暖化によって、風水害による被害が大規模になると見込まれる中にあって、災害対策を着実に進めるためにも、大事な財源にもなっております。投資家の裾野が広がり、より多くの方にグリーンボンドを購入していただくことが、都の環境施策を強力に推進されて、国内の資金が環境対策に向かう流れを確かにしていくものだと、このように考えます。
 今後も、グリーンボンドの意義がしっかり実現できるよう、努力を重ねて取り組んでいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 都有建築物における環境への取り組みについてお尋ねします。
 世界のエネルギーの多くが都市で消費される中、世界有数の大都市である東京での温室効果ガス排出削減への取り組みは極めて重要であります。
 エネルギー消費量の削減、再生可能エネルギーの普及拡大により、スマートエネルギー都市を実現していくことが急務となっています。
 このような中、都は、みずからも一事業者として多くのエネルギーを消費することから、自身の事務事業活動に伴うエネルギー消費量等を一層削減していくため、スマートエネルギー都庁行動計画を策定して、各局が一丸となって取り組んでいる、このように理解をしております。
 財務局の事業概要では、都は、スマートエネルギー都庁行動計画に掲げるエネルギー消費量削減等の目標達成に向け、都有施設の改築等に省エネ・再エネ東京仕様を適用し、スマートエネルギー化を推進しているとの記載がありますが、これまで省エネ・再エネ東京仕様の適用実績、これについてはいかがでしょうか。また、エネルギー化をさらに進めるため、どのように取り組むのか、あわせて見解を求めます。

○飯泉技術管理担当部長 都有建築物の整備に当たりましては、省エネ設備や再エネ設備の導入により、環境配慮型の施設づくりを積極的に推進していくことが重要でございます。
 このため、財務局では、平成二十三年度に省エネ・再エネ東京仕様を策定し、新築、改築等に当たっては、全ての案件に適用しており、建築物の特性や立地状況に応じて最新の省エネ、再エネ技術を取り入れるなど、環境負荷の低減に努めてまいりました。
 この結果、東京都立川合同庁舎には自然採光を、江東区の東京都立臨海青海特別支援学校では自然換気システムを導入するなど、平成三十年度までに六十二件の都有建築物に適用してまいりました。
 今後、こうした取り組みをさらに進めていくため、より高効率な空調機の導入など、東京仕様の見直しを検討し、エネルギー消費量の一層の削減に向け、取り組んでまいります。

○細田委員 省エネ・再エネ東京仕様が多くの都有建築物に適用されるということで、どうぞよろしくお願いいたします。
 今のご答弁の中で、江東区の青海の特別支援学校もやっているということで、例を挙げていただきまして、四月にオープンして、本当に立派な学校が、このような取り組みの中で行われたということ、大変うれしく思います。ありがとうございます。
 次に、大幅な省エネ化と再エネ利用により、エネルギーの年間消費量をおおむねゼロとする究極のエコ建築物として、ゼロエネルギービルディング、いわゆるZEBについてです。
 現在工事中の東京都公文書館では、ZEB化を目指していると聞いています。そこで、公文書館におけるZEB化の状況と今後の取り組みについて説明を求めます。

○飯泉技術管理担当部長 財務局では、ZEB化の実証に適した建物として、室内環境の変動が比較的少なく、省エネ効果が得られやすい東京都公文書館を選定し、現在、令和二年一月の完成を目指して建設中でございます。
 公文書館では、省エネ、再エネ技術としてLED照明を初め、屋根や外壁等の二重化による高断熱化、照明の最適な制御、大容量の太陽光発電パネルなど、さまざまな技術の導入を予定しており、設計上では、同規模の標準的な建物に比べ、約九割のエネルギーを削減できる見込みでございます。
 公文書館の竣工後は、年間を通じて、空調機や照明などのエネルギー消費量、太陽光発電量の計測等を行うとともに、空調機の風量調整や最適な運転スケジュールなどの設定を実施することにより、ZEB化の実現を図ってまいります。
 さらに、公文書館の運用時における維持管理上の課題や費用対効果等を検証し、その結果を、今後の都有建築物におけるZEB化の検討に生かしてまいります。

○細田委員 東京都公文書館での技術検証の結果を公表して、都の取り組みが民間を含めて、環境負荷の少ない都市の実現につながるよう、大いに期待をしております。
 続きまして、建設業の働き方改革についてです。
 建設業者におけます二〇一七年度の年間の実労働時間は、全産業の実労働時間と比較して三百時間以上長いという結果になっています。このため、建設業の働き方改革を進め、担い手を育成して確保することは喫緊の課題であります。
 財務局では、建設業の担い手を確保するために、週休二日モデル工事、そして女性活躍モデル工事、また若手育成モデル工事の三つのモデル工事を実施していますが、そこでまず、この三つのモデル工事における、これまでの実績についてはいかがでしょうか、お尋ねいたします。

○飯泉技術管理担当部長 建設業界では、技術者の高齢化や若手技能者の減少といった問題が生じていることから、公共工事の品質を確保していくためには、将来の担い手の育成及び確保が重要でございます。
 このため、財務局では、平成二十八年度から、週休二日モデル工事及び女性活躍モデル工事を、平成二十九年度からは若手育成モデル工事を、それぞれ試行してございます。
 その結果、平成三十年度末までの実績は、週休二日モデル工事が十六件、女性活躍モデル工事が十三件、若手育成モデル工事が五件であり、合計三十四件となっております。

○細田委員 昨年度までの三年間で、計三十四件のモデル工事が行われているというご答弁でした。
 この件数の大小は、多い少ないはともかく、このモデル工事を通じて、現場からは実際にどのような声が届いたのか説明を求めます。そして、現場からの意見を踏まえて、今後、財務局ではいかに取り組んでいくのか見解を求めます。

○飯泉技術管理担当部長 これまで試行してまいりましたモデル工事につきましては、竣工の際にアンケートを実施することとしておりまして、週休二日モデル工事の現場からは、体調を整えることができた、ほかの工事現場でもモデル工事の実施をすべきであるという声がございました。
 また、女性活躍モデル工事の現場では、技術者や作業員の間で女性を受け入れる風土が醸成された結果、やりがいを感じているという女性技術者の声や、一方で、現場見学者からは、週休二日のモデルにも取り組んだ方がよいとの意見もございました。
 こうしたことを踏まえまして、現場で働く技術者にとっては、より働きやすい環境を整備していくことが、建設業の担い手確保に向けては必要であると認識しております。
 このため、今後は、これまでの取り組みに加えまして、例えば、女性活躍と週休二日とをあわせたモデル工事を基本とするように検討するなど、取り組みをさらに進めてまいります。

○細田委員 ただいまの答弁で、現行の試行方法に加えて、モデル工事の組み合わせを基本として検討するとのことでありました。
 どうぞ現場の声を踏まえて、これからもさまざまなお声を聞いて、またいろいろな角度から工夫をしてもらいたいと思います。
 建設業は、未来をつくり、質の高い社会資本の整備に資する、このことだけでなくて、災害からの復旧、復興という、我が国が今直面しているテーマからも、極めて重要な産業であります。
 建設業の持続的発展のためにも、担い手の育成と確保にさらに力を注いでいっていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○田村委員 まず、平成三十年度予算に計上されながら使われなかった不用額についてお聞きします。
 昨年度予算におきまして、我々が反対したのは、築地市場跡地の有償所管がえです。もっとも、有償所管がえそのものに反対したわけではありません。我々が最後まで異を唱えたのは、知事の突然の方針変更ともいえる、重大な予算を、しかも五千億円という巨額な予算を、根拠が曖昧なまま最終補正予算で処理をしたことです。
 この件に関しては、予算特別委員会の審議を逃れるため、あえて最終補正予算に回したのではないかという点など、いまださまざまな疑念を払拭し切れません。
 また、財源についても、これまでの議会質疑を通して、都は、平成二十九年度決算剰余金二千三百三十三億円や、予算の執行状況の精査による不用額二千七百八十八億円により捻出したとしています。そのことにより、五千億円を超える金額が補正予算で組めること自体が驚きです。
 さらに、このたび会計管理局が公表しました平成三十年度東京都決算参考書によれば、その三十一年一月から三月までの間に、さらに二千八百五十九億円の不用額が生じています。そうしますと、平成三十年度予算全体では、単純計算すると、トータルで五千六百四十七億円が実質的に使われなかったお金、不用額だということになります。
 我々は、これまで、都が最終補正予算で処理した有償所管がえ経費は、他県の年間予算に匹敵すると申し上げてまいりましたが、都が予算に計上しながらも使われなかった不用額は、他の年間予算に匹敵するともいえるのではないでしょうか。この額は、鳥取県、徳島県、山梨県、滋賀県など、四十七都道府県中、実に十三県の年間予算を上回る金額であります。
 そこで、予算編成を行った財務局として、この不用額の大きさにどのような見解をお持ちなのか伺います。

○山田主計部長 ただいま委員からご指摘のありました不用額でございますけれども、この不用額につきましては、例えば、競争入札を行った結果、予定額を下回る金額で契約した結果生じた契約差金でありますとか、社会経済情勢の変化などによりまして、予算の計上段階で見込んでいた事業の進捗に変更が生じたことに伴い発生するもの、また、予算の執行段階における創意工夫により、効率化や経費縮減に努めた結果、生じたものなどが挙げられると思います。
 また、都政が直面する課題は多岐にわたっており、展開する事業も広範囲にわたることから、事業によっては、当初の想定どおりに進まず、結果として不用額が生じるものもあります。
 こうした事業につきましては、その要因を分析し、必要に応じて事業規模や事業手法を見直すなど、工夫を凝らしながら改善を図ることとしているところでございます。
 不用額は、各事業を行っていく上で、個々の事業に応じてさまざまな要因によって生じるものでありますことから、今後とも、一つ一つの事業について、その課題、成果、決算状況などを検証しつつ、不断の見直しを進めながら、効率的で無駄のない予算を編成していきたいと思っております。

○田村委員 年度途中で発生するさまざまな理由で不用額が発生すること自体、やむを得ない部分もあると思いますが、それにしても、余りにも巨額です。
 現在、決算特別委員会も開かれておりますので、具体的な問題点などはその場で議論されることになるのでしょうが、我が会派が指摘したように、巨額な不用額を隠し、有償所管がえという重要案件を予特で審議させなかったことを、財務当局は重く受けとめるべきです。少なくとも、有償所管がえ経費は、予算の執行状況の精査により財源を確保したと胸を張っていうべきものではないと改めて強く指摘しておきます。
 次に、基金残高について伺います。
 なぜ令和元年度当初予算ではなく、平成三十年度最終補正予算にしたのかという我々の問いかけに対して、都は、当初予算で予算措置を行った場合、有償所管がえに充てるべき財源を一旦基金に積み立てることになり、基金残高が一時的に大きく積み上がる、そのことを避けるため、いわば東京富裕論を刺激したくないためとの見解がありました。
 そもそも、都にとって基金とはどういうものなのでしょうか。基金は、税収が減ったときにおいても安定的に事業を行っていくため、将来わかっている支出に備えるため、積み立てるものだと私は理解しています。そして、他の自治体と比べ、どのように見えるかということは関係なく、あくまでも都にとっての必要な支出に備えるべきものです。
 富裕論を恐れているというのですが、そもそも、基金残高がどのぐらいあれば適正なのか、数値的に明示できるものはないとのことでした。では、幾らなら富裕論が出ないのでしょうか。そもそも、都の基金残高は、他の自治体の基金残高を参考にしながら決めていくものなのでしょうか。もちろん、残高があればあるほどよいというわけではないということは理解しています。
 そこで、都の財政運営における基金残高の望ましいあり方について、具体的な考え方を伺います。

○山田主計部長 景気変動の影響を受けやすい税収構造を有し、地方交付税の不交付団体である都が、将来にわたり安定的かつ継続的に行政サービスを行っていくためには、財源となる基金を適切に活用することが重要であると考えております。
 こうした考え方に基づきまして、これまでの間、事業評価の取り組みを通じた不断の施策の見直しにより生み出された財源や税収増を活用して、計画的に基金への積み立てを行ってまいりました。
 また、予算の編成段階のみならず、執行段階においても、徹底した経費削減や不用額の精査などによりまして、基金の取り崩しを極力縮減するように努めてきたところでございます。
 この結果、平成三十年度末段階では、財政調整基金と三つのシティー実現に向けた基金などで二兆四千九百九十五億円の残高を確保しており、一定程度の備えはできているものと認識をしております。
 しかしながら、三つのシティー実現に向けた基金については、東京二〇二〇大会の開催準備の財源として、大会終了後となる令和二年度末までに一兆円以上を取り崩し、残高が大幅に減少する見込みでもございます。
 東京二〇二〇大会後も、都民の安全・安心の確保や、東京の一層の活力向上に向けた取り組みを着実に推進することが必要であることから、これまでの国による税制度見直しの経緯なども踏まえ、他自治体の状況にも目配りをしつつ、今後とも、財源となる基金の計画的な積み立て、戦略的な活用に努めていきたいと思っております。

○田村委員 基金と同じ役割を果たすものに都債があると思います。都にとって都債とは、東京都のインフラ投資などを着実に実施していくための重要な財源であると私は理解しております。
 都の財政運営における都債発行と都債残高の望ましいあり方について、具体的な考え方を伺います。

○山田主計部長 都債には、将来にわたって便益が及ぶ事業の財源として活用することによって、世代間の負担の均衡を図る機能と、安定的な財政運営を行うための年度間の財源調整を図る機能とがあります。
 都債は、こうした機能を発揮することを前提として、将来の財政負担も見据え、都税収入の動向や投資的経費の水準、基金残高等を勘案しながら、中長期的な視点に立って活用することが重要であると考えております。
 そのため、税収が比較的堅調な時期にあっては、少子高齢化や人口減少が進行することを踏まえ、将来世代の負担を考慮して、発行の抑制にも取り組んでいるところでございます。
 基金と同様に、他自治体の状況にも目配りをしつつ、今後とも、こうした観点から戦略的に都債を活用することで、強固で弾力的な財政基盤を堅持していきたいと考えております。

○田村委員 都の財政運営における基金残高と都債発行の考え方について、それぞれにご意見、ご見解を確認いたしました。
 やはり、築地まちづくりという都の重要案件にかかわる有償所管がえの是非を、しっかりと都議会で議論するべきでありました。それを補正予算案件として処理してしまった財務局の姿勢は、容認できるものではありません。
 さらに、基金残高を少なくすることで、都財政の実態を正しくあらわさないようにするという財政運営、実態を隠して正しくあらわさないことこそがよいのだといい切る財務局の姿勢には、強い疑念を抱きます。我々は、都民に対して実直であるべきです。
 また、東京都は、地方消費税の清算基準の見直しの議論の際、今後の都財政の課題を洗い出しております。そこで予測された財政需要をどのような形で賄っていくのでしょうか。
 一方、税収は年間一兆円以上、下ぶれする可能性があることを、都はリーマンショックで経験しました。今後も、減収の可能性がある中、予測どおり財政需要が増大した場合、都はどのように対応していくのでしょうか。
 そのとき利用できるのが、基金や都債だと思います。そのときのために、幾ら基金を積み立て、都債の残高を幾らにしておくべきなのか。都は、都有資産も含め、都の財政状況全体を把握できるように公会計制度を導入したと聞いています。この公会計制度で明らかになった都の財政の実態を踏まえた堅実な財政運営こそが、将来の都財政へのリスクヘッジだと思います。
 今後、オリンピック・パラリンピックで多額の基金の取り崩しもあると思いますが、東京の将来を見据えた、効率的かつ堅実な予算編成に努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、都の発注工事における設計変更について伺います。
 工事を進めていくと、当初予見できなかった事態などが生じ、施工条件に変更が生じることが少なからずあります。その際、適切に設計変更を行い、工事を進めていくことが必要です。
 しかし、一部の現場においては、設計変更の協議に手間取り、円滑な変更がなされなかったという声も聞いています。
 公共工事の品質確保の促進に関する法律では、発注者の責務として、適切な設計変更を行うことが定められています。すぐれた品質の施設を整備していくためにも、適切に設計変更を行っていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○飯泉技術管理担当部長 公共工事の品質を確保し、都有施設を円滑に整備していくためには、工事の発注業務や監督業務とともに、設計変更業務についても適切に行っていくことが重要でございます。
 このため、都は、発注者と受注者、双方の責務や手続を明確にした工事請負契約設計変更ガイドラインを策定し、発注図書と現場の状況に差異が判明した場合などには、ガイドラインに基づき設計変更を行ってまいりました。
 また、財務局では、新規転入職員を対象とした技術研修において、設計変更を取り上げるなど、職員の育成に努めてまいりました。
 今後、研修において具体的な事例を示すなど、内容の充実を図るとともに、工事現場において、職員が受注者との信頼関係を大切にしながら、丁寧に協議を進めることを意識し、引き続き、設計変更を適切に実施してまいります。

○田村委員 今後とも適切に設計変更を実施していくとご答弁いただきました。
 しかし、本ガイドラインは財務局で策定し、財務局とともに事業局でも運用されています。事業局ではしっかりと運用されているのでしょうか。中小の現場からは、必要な変更の件数に対し、設計変更が適用されるのは一割程度という声も聞こえてきます。
 財務局は、それは各事業局の問題であり、財務局の所管ではないと捉えているように私には思えてなりません。運用主体が事業局であろうとも、財務局が策定したガイドラインである以上、その実効性には財務局も責任を負うべきです。
 確保すべき品質は、オール東京で発注する契約の品質です。各局発注事業におけるガイドラインの運用実態をしっかりと把握し、さらに、すぐれた品質の都有施設の整備が行われるよう、財務局が主導して体制を整えていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、入札制度改革についてお聞きします。
 さきの入札契約制度改革では、改革前には、一定規模以上の案件についてJV結成義務が設けられていたところ、これを、単体でもJVでも入札に参加できる混合入札に移行しました。改革前、JVの構成員として工事の受注機会を確保してきた中小企業は、改革後には、大企業と単体で競争し合わなければならなくなりました。
 これにより、中小企業の受注機会は減少してしまっているのではないでしょうか。中小企業と一言でいっても、企業規模はさまざまであり、特に、企業規模の小さい中小零細企業に影響が出てしまっているのではないでしょうか。
 そこで、入札契約制度改革における混合入札の導入による中小企業、特に小規模な企業の受注機会への影響について、その具体的な受注状況を伺います。

○新田見契約調整担当部長 入札契約制度改革の影響については、試行を開始して以来、本格実施以降も継続して状況を確認しております。その中でも、中小企業の受注機会の確保という視点は重要と認識しておりまして、混合入札の導入による、中小企業の受注状況への影響についても確認しております。
 制度改革本格実施後の一年間において、その状況を見てみると、従前にJV結成義務を設けていた価格帯の案件について、受注実績全体に対する中小企業の受注割合は、件数ベースでは、改革前が六五・三%であったのに対して改革後は六四・一%、金額ベースでは、改革前が三四・二%で改革後が四七・七%となっており、同等かそれ以上の受注実績となっております。
 さらに、中小企業の中でも従業員数が百人以下といった、比較的規模の小さい事業者に着目して、同様に受注割合を見てみますと、件数ベースでは、改革前が四九%であったのに対して改革後が四六・四%、金額ベースでは、改革前が二二・三%で改革後は二六・八%でございました。
 企業規模が小さい事業者に着目して見てみても、中小企業全体と同様、受注状況は、改革の前後において、おおむね同水準を保っていると考えております。

○田村委員 入札契約制度改革の本格実施後一年間の状況を見る限りは、中小企業、特に規模の小さい企業についても、受注実績は改革前と同水準であるとのことです。
 これらを踏まえ、JV結成義務を設けていた案件を混合入札としたことについて、改めて、都としてどのように評価しているのか伺います。

○新田見契約調整担当部長 入札契約制度改革では、入札参加者を増加させ、競争性や透明性を向上させることを目的に、財務局契約のうち、一定価格以上の工事について、単体でもJVでも入札に参加できる混合入札を導入いたしました。
 従前にJV結成義務を設けていた価格帯の案件について、改革前後で入札参加希望者数を見てみると、改革前が平均二・六者であったのに対して、改革後は平均五・七者と約二倍となっており、改革の目的が一定程度は効果としてあらわれていると認識しております。
 一方、都内インフラ施設の着実な推進や、万が一の災害時の迅速な応急対応等については、都内中小企業が果たす役割は大きく、こうした中小企業が健全に維持発展していくためには、工事の受注機会の確保を図ることは、これまで同様、重要でございます。
 先ほど答弁させていただいたとおり、制度改革の本格実施後の状況を見ると、中小企業の受注状況は、改革前とおおむね同水準を保っていることもあり、引き続き混合入札を継続していくこととしておりますが、今後もこうした状況を確認しつつ、業界団体との意見交換や都議会での議論を踏まえながら、時代時代に合わせた制度となるよう、不断の見直しを行ってまいります。

○田村委員 都民が安心・安全で快適な生活を送るために、これを支える道路や公共施設などのインフラの整備や、さきの台風十九号を初め、東京を災害が襲ったときの災害復旧など、地元の中小企業が果たす役割は非常に大きいものがあります。
 こうした地域の守り手となる中小企業が、引き続き受注機会を確保し、健全に維持発展していけるよう取り組んでいただきたい。
 さらに、中小企業にとってJV結成の果たす役割は、受注機会の確保のほかに、大企業との共同による技術研さんの機会の創出という面もあります。そういった面で見ると、混合入札では単体の入札参加がふえ、入札参加者数の増加にはつながったようですが、その反面、JVでの受注は減少してしまっています。
 中小企業からは、単体で大規模案件にチャレンジできる環境になったことで、メリットを感じているという声も聞きますが、中小企業の育成という観点からは、大企業とJVを組む機会が減少し、技術研さんの機会が少なくなってしまったのだと思います。
 そこで都は、中小企業の育成という観点で、こうした状況をどのように捉えているのか伺います。

○新田見契約調整担当部長 東京のインフラや公共施設を今後も適切に整備していくためには、都の工事契約案件における受注の約九割を占める中小企業の育成を支援し、技術力の確保、向上を図ることは大変重要であり、JV結成もその有効な手段の一つであると認識しております。
 入札監視委員会による入札契約制度改革に係る検証結果報告書でも、JV結成のインセンティブを高める取り組みや、中小企業の技術研さんの機会を確保する取り組みを検討すべきといった提言がなされたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、制度改革の本格実施においては、混合入札とあわせて、都内中小企業とのJV結成を入札参加要件としたモデル工事や、総合評価案件において、都内中小企業とJVを結成した際の加点を引き上げるといった取り組みを実施いたしました。また、モデル工事については、入札参加者をふやすため、今年度発注案件では技術者の要件を一部見直すなどの工夫を行っております。
 今後も、入札契約手続の競争性や公正性等を確保しつつ、中小企業の育成に向けた取り組みを推進してまいります。

○田村委員 繰り返しになりますが、東京が安心・安全、快適な都市であり続けるために、都内中小企業の果たす役割は非常に大きいものがあります。
 今回の台風十九号の被害でも、被災地に真っ先に駆けつけたのは地元中小建設業者です。災害時にみずからの利益を考えず、都民の生活のために動いていただけるのです。こうした災害時の対応はもちろんですが、東京の経済活動を支えているのは都内中小企業の方々です。技術革新が著しい現在、都内中小企業の育成を怠れば、都内建設業界全体の技術力は低下し、東京都の行う公共施設やインフラ整備に悪影響が及ぶことも危惧されます。
 引き続き、都内中小企業の育成という視点をしっかり持ち、よりよい入札契約制度の構築に向け、不断の取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、建設業においては、働き方改革関連法による改正労働基準法に基づき、令和六年度から時間外労働の上限規制が適用を開始され、長時間労働が常態化する中、その是正が急務となっています。
 さらに、現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化する中、限りある人材の有効活用と、若者の入職促進による将来の担い手確保が喫緊の課題です。将来の担い手を確保し、災害対応やインフラ整備等の役割を今後も果たし続けていくためにも、建設業の生産性向上や働き方改革を一段と強化していかなければなりません。
 そのためには、不当に低い価格での競争ではなく、適正な価格で契約を行うことで、都民の貴重な財産ともなる公共インフラの品質の確保を図るとともに、建設業の健全な発展を促し、将来の担い手確保につなげていく必要があります。
 さきの入札契約制度改革では、低入札価格調査制度の適用範囲が拡大されましたが、都は、低入調査については厳格に運用していくこととしています。しかし、低入調査が厳格に機能しているかどうかについては、都の運用のあり方にかかっており、一たびダンピング受注が横行すると業界全体が疲弊し、建設業の将来の担い手確保にも大きな支障が出てくるため、非常に危惧しています。
 そのため、例えば低入調査において、工事成績で平均点が七十点未満の場合は即失格にするなど、より厳しい失格基準を設定することも一つの手だという声も聞いています。引き続き、しっかりとダンピング受注の防止等にも取り組んでいただきたいと思います。
 今回は、入札契約制度改革に絡めた基本的なことを確認させていただきましたが、引き続き、状況を注視しつつ、適切な制度の設計や運用に努めていただくことを要望し、私の質問を終わります。

○池川委員 私からは公契約及び公共調達についてお伺いをしたいと思います。
 私は、契約事務が公正かつ適正に行われることを土台に、政策課題を解決していくために、契約制度が大きく寄与すると考えています。
 まず、基本的な認識からお伺いをしますが、公契約、公共調達における東京都の役割というのはどのようなものでしょうか。

○新田見契約調整担当部長 公共調達は、都民の貴重な税金を原資として、最少の経費で最大の効果を上げるという地方自治法の理念に基づき、競争性、公正性、透明性を確保して、都民の財産となるインフラの整備や都民サービスに直結する事業などについて、品質の高いものを適正な価格で調達することが必要な役割だと考えております。
 また、特に中小企業については、地元の、そして東京の雇用や産業を支え、地域の安心・安全の確保の担い手であることからも、その育成や担い手確保などの取り組みを進めていくことは重要であると考えております。
 こうしたことから、公共調達においても、中小企業に十分配慮した制度運営を行うことが必要であると考えております。

○池川委員 基本的な役割について、地方自治法の理念を踏まえて認識を述べられました。
 いうまでもなく、地方自治法の目的は住民福祉の増進であります。都の役割として、公共調達においては、中小企業に十分配慮した制度運営を行うことが必要だという答弁がありました。
 中小企業、小規模企業の振興ということを考える際に、昨年度成立した東京都中小企業・小規模企業振興条例は、その重要な導きの糸となると考えます。その条例の中の都の責務には、中小企業の人材の確保及び育成を図ることや、中小企業における働きやすい職場環境の整備の促進を図ることが明記をされています。
 公共調達等に直接言及はないものの、こうした視点を持って条例が制定されていることは、極めて重要です。同時に、取引の適正化など、中小企業、小規模企業を支援していく角度が求められていると思います。中小企業、小規模企業に配慮し、公契約、公共調達を行うことは、東京の地域経済を支える上でも大きな役割があります。
 そこでお伺いをしますが、中小企業、小規模企業振興の視点からも契約制度は重要だと考えますが、財務局はどのような認識でしょうか。また、契約制度における中小企業、小規模企業振興について、どのような取り組みをしてきたのかについてもあわせてお答えください。

○新田見契約調整担当部長 中小企業、小規模事業者が、地域社会の活力や都民生活の向上に果たす役割は重要であり、契約制度面からも、中小企業、小規模事業者振興を後押しすることは必要でございます。
 都は、中小企業などの受注機会の増大を図るため、これまでも、分離分割発注の推進、価格帯に応じた等級別の発注、発注時期の平準化並びに適正な納期、工期の設定等を実施してきました。また、原材料や人件費等の、最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づく適正な価格での発注や、ダンピングを排除した健全な競争環境の確保を図ってきたところでございます。
 今後もこうした取り組みを推進し、契約制度面から中小企業、小規模事業者振興を支援してまいります。

○池川委員 契約制度面からも、中小企業、小規模企業振興を後押しすることは必要だと認識を述べられました。この点は大変重要だと思います。
 分離分割発注、発注時期の平準化と適正な納期、工期を設定するなど、これまでの取り組みについてもご紹介をいただきました。
 発注時期の平準化については、昨年度、集中期と端境期の比較は、以前よりも短くなったものの、依然として二・五倍の開きがある現状があります。この点については、二〇二一年度を目標年度に、新たな取り組みを進めているとお伺いをしております。
 財務局として、イニシアチブを発揮していただき、各局とも連携を図りながら、工事の平準化を進めていただくことをお願いしておきたいと思います。
 先ほどの答弁の中では、中小企業について、地元の雇用や産業を支える存在であること、また、地域の安心・安全の確保の担い手であり、その育成や担い手確保などの取り組みを進めていくことが重要であるという認識が述べられました。
 公共工事を含め、建設業界は高齢化と人手不足が大きな課題となっています。建設職人の方々はプロフェッショナルとして、地域の中で産業を支える重要な役割を果たしていらっしゃいます。一朝一夕に、ノウハウと技術を習得することはできません。特に、災害時において、地域ごとに、こうした手に職を持った方々がいることがどれだけ重要かは、この間の全国での自然災害からの復旧、復興を見ても明らかです。
 人手不足の問題については、国土交通省も、若者が大きく減少する一方、高齢化が進み、このままでは熟練工から若手への技能継承がなされず、将来の建設産業自体の存続が危惧される状況と警鐘を鳴らしています。これは、東京都自身も例外ではありません。工事監理を行い、良質な公共工事を担保していくために、都庁の技術職員の質の向上も重要です。
 技術力の維持、継承ということは、以前から都庁内でも議論されていると思いますが、都の技術職員の育成についても取り組んでいただきたいということを求めておきます。
 建設労働者の育成、また技術的な継承について、都として、あらゆる視点から本腰を入れて取り組んでいく必要があります。
 そこでお伺いをいたしますが、公共工事の担い手不足などの、中長期的な構造の変化へも対応していく必要があると考えますが、都としてはどのように認識をされているでしょうか。また、どのような取り組みを行っているかについてもお答えいただきたいと思います。

○新田見契約調整担当部長 今後、建設業においては、高齢者が大量に離職する一方で、それに見合う新たな入職者が不足すると見込まれるなど、将来にわたる社会資本の整備、維持管理及びその品質確保の観点からも、建設業の担い手の中長期的な育成、確保は重要な課題であると認識しております。
 そのため都は、これまでも担い手確保のために、実勢価格に応じた適正な予定価格の設定、分離分割発注の推進、事業者団体に対する適正な賃金水準の確保の要請、さらには、低入札価格調査制度等によるダンピング対策の徹底などに取り組んでまいりました。また、施工時期の平準化の取り組みの強化、週休二日、若手育成、女性活躍のモデル工事の実施などによりまして、建設業全体の働き方改革に寄与する取り組みを推進してきました。今後も、こうした取り組みを継続してまいります。

○池川委員 実勢価格に応じた適正な予定価格の設定、分離分割発注の推進、事業者団体に対する適正な賃金水準の確保の要請、低入札調査制度等によるダンピング対策の徹底などに取り組んできたということですが、これらが実効あるものになっているかは、常に検証していただきたいと思います。
 また、人手不足が深刻になるもとで、外国人の労働者の方々が建設現場で今、多く働かれています。
 労働条件の問題、また、言葉のコミュニケーションを初めとするさまざまな課題についても、都として支援を行い、的確に対応していただきたいということを求めておきます。
 先ほどの質問に対して、適正な賃金水準の確保の要請に取り組んできたというお答えがありました。地域経済の発展にとって、働く人の賃金改善や労働条件の向上は不可欠だと思います。
 契約制度を通じて、働く人の賃金改善や労働条件の向上を行う意義について、都はどのように認識していますか。

○新田見契約調整担当部長 地域で働く方々の、賃金などの労働条件の改善を図ることは重要なことと考えております。
 一方で、賃金等の労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業で対等な労使間での交渉により、自主的に決定されるものと認識しております。
 都の契約制度もそれに立脚し、これまでも、受注者に対して契約約款により法令遵守等を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってきたところでございます。

○池川委員 労使交渉によって自主的に決定されるというわけですが、実際には、雇用形態は流動化をし、非正規が大きくふえている現実があります。また、建設現場では一人親方の方々の問題等もあります。
 公共サービス基本法では、国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適切かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保、その他の労働環境の整備に関し、必要な施策を講ずるよう努めるものとするということが規定をされています。
 先ほどの答弁で、賃金などの労働条件の改善を図ることは重要だと認識しているという答弁があったことは、重要だと思います。実際に、賃金改善が行われているかが問われると思うんです。公共工事設計労務単価は、この七年間で約四〇%の上昇をしています。
 実際に、建設労働者の賃金水準は、同水準ほど上昇していないということが問題提起されていますが、都としてはどのように認識をされているでしょうか。

○新田見契約調整担当部長 国が定める公共工事設計労務単価は、毎年国が実施している公共事業労務費調査に基づいて設定される単価であり、都においても、予定価格を算定するための単価として使用しております。
 財務局においては、国の設計労務単価が改定された場合には、速やかに新労務単価を踏まえた予定価格の設定などを行うよう、各局に周知するとともに、受注者に対しても、設計労務単価の上昇分を踏まえた適切な賃金水準の確保などを要請しております。
 なお、建設労働者の賃金は、通常、労働者一人一人の能力や経験、企業の実績、公共工事だけでなく、民間発注の工事などに従事した分の労働の対価など、さまざまな要素や個別の事情が反映されたものであり、また、法令などで下支えをされた上で、労使の交渉により自主的に決定されるものであることから、国の定めます設計労務単価の動きと一律に比較することは難しいものと認識しております。

○池川委員 いろいろといわれたわけですが、国は、若者が建設業を避ける一番の理由に、全産業の平均を二六%も下回るような給与水準の低さを挙げています。
 我が党は、本会議でもこうした問題についてただしてまいりましたが、都内建設関係の労働組合が調べた五輪施設建設の実態調査によると、新国立競技場、武蔵野の森スポーツプラザ、東京ビッグサイトの三カ所の調査では、二〇一六年の調査時、設計労務単価は十六職種平均で二万四千円ほどになっているにもかかわらず、実際の労賃は一万六千円以下という労働者が六割強を占めていたということも、一つの実態であります。ここは、やっぱり余りにも乖離が大きいと思います。
 こうした背景には、国自身が、公共工事設計労務単価には賃金以外の必要経費が含まれておらず、労働者の雇用に伴い、必要な賃金以外の経費を含んだ金額と誤解されるおそれがあるとしてきましたが、この間、公共工事設計労務単価については、労務単価と必要経費の区分を明確にする動きがありました。
 このパネル、ごらんいただきたいと思うんですが、このパネルは、上が労働者本人が受け取るべき賃金、いわゆる労務単価、この下の部分がですね、このほかに事業主が支払う人件費、必要経費ということで、例えば法定福利費とか労務管理費とか、その他安全管理にかかわるお金は別として必要経費なんですよということを明確にしている、これ、国土交通省の資料になります。
 今回、労働者本人が受け取るべき賃金である労務単価と、このほかに、この事業主が払う人件費である必要経費が明確になり、下請代金に必要経費分を計上しない、または下請代金から必要経費を値引くことは不当な行為とされたわけであります。
 都としては、このような状況についてはどのように認識をしているのか、また、どう対応してきたのかお伺いをしたいと思います。

○新田見契約調整担当部長 事業主が、下請代金に労働者の雇用に伴う必要経費分を計上しないこと、または、下請代金から必要経費を値引くことは不当な行為であると、都においても、国と同様に認識しております。
 都は、国からの下請契約の適正化等の通知を踏まえ、改めて、建設業団体などに対して、下請人等に対する契約の適正化等に関する通知を発出し、公共工事の受注者には、法定福利費や一般管理費等の必要な諸経費を適切に計上するよう、周知を要請しております。

○池川委員 労務単価と必要経費をしっかり区分することをもって、下請代金に必要経費を計上しなかったり、また下請代金から必要経費を値引くことは不当行為だと、都も国と同様、認識しているということであります。また、国の通知を受けて、都内の建設業団体の長などに対して都としても通知を出し、周知を図ったということが今、答弁で明らかになりました。
 私は、こうした内容が確実に実施されているかについて、都としてもチェックをしていくこと、また賃金実態調査を行うなど、さらなる実態把握を行うことを通じて、これらがしっかりと履行されているかチェックしていく、こうしたことを求めておきたいと思います。
 この間、公契約条例を制定した世田谷区においては、区との契約業務に従事する労働者の適正な労働条件確保等に努めることが責務とされました。その一環として、事業者が労働者に支払う労働報酬下限額を定めています。
 労働報酬下限額とはどういうものか。世田谷区が作成しているポスターがわかりやすいので、これをもとに説明をしたい、内容を見ていきたいと思うんです。
 労働報酬下限額とは、予定価格が一定額以上の公契約において、契約事業者が労働者に支払う職種ごとの労働報酬の下限、つまり最低とすべき額のことを指しております。
 今年度、世田谷区と締結した物品、委託、指定管理者協定など、予定価格二千万円以上の公契約に従事する労働者の労働報酬下限額は、一時間当たり一千七十円としています。この十月に最低賃金の改定がありましたが、この方針が出されたときの東京の最低賃金は、時間当たり九百八十五円となっていますから、その差額は九百八十五円と千七十円の、大きい、これだけ開きがあるということです。
 また、予定価格三千万円以上の工事契約については、一人工当たり最低限が定められています。例えば、これ、さまざまな業種があるんですけど、大工さんであれば二万一千五百十二円、左官であれば二万三千二百八円などとなっています。
 このポスターは、現場で働く皆様へということが書かれているとおり、各現場で周知をされているものとなっています。
 こうした取り組みを通じて、自由契約の原則に基礎を置きつつ、自治体の本旨である住民福祉の増進のために、関係者の自主性と行政の責任を明確にして実施している、これが内容となっています。
 また、労働条件の確認調査票などを用いて、チェックシートを使って状況を把握するなど、賃金や社会保険の加入と労働条件を確認する取り組みも行われています。
 これらの取り組みについて、世田谷の保坂区長は、発注者として受注者に遵守を求める以上、みずからが雇用する臨時非常勤職員に対しても波及させる必要があるということを述べ、実際に、区内公立保育園の非常勤保育士などへの波及効果もあったと聞いています。
 世田谷区が制定をした、この公契約条例の前文には、事業者の経営環境が改善され、適正な賃金の支払いなど、労働者の労働条件が守られ、また、公共工事の品質が確保され、もって区民の福祉が増進されることを目指すとうたわれ、また、条例の第一条の目的においては、公契約において適正な入札等を実施し、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保し、及び事業者の経営環境の改善を図り、もって公契約に係る業務の質の確保、区内産業の振興及び地域経済の活性化並びに区民の生活の安全・安心及び福祉の増進を図る、こういうことが目的として明記をされています。
 こうした点を踏まえてお伺いしたいと思うんですけど、都としては、この労働報酬下限額を設定することについて、現時点ではどのような認識でしょうか。

○新田見契約調整担当部長 我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において、対等な労使間での交渉により、自主的に決定されるものと認識しております。
 都の契約制度もそれに立脚しており、これまでも、我が国の法制度に従い、契約に当たり受注者に対して、契約約款により法令遵守等を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってまいりました。
 公契約条例などによる労働報酬下限額を定めることについては、労働法制との整合性や、入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保など、整理すべき課題があると認識しております。

○池川委員 最低賃金法との関係でいえば、公契約において、発注者である自治体が、限定的に契約の中で最低賃金を上回る賃金を労働者に支払うことについては、最低賃金法上問題になるものではないということは、既に質問主意書に対する政府答弁でも明らかになっています。
 また、ここで明確にしておきたいのは、公契約条例が制定された場合において、その効力が適用されるのは全ての公契約案件--ましてや民間の契約などではなく、一定水準額の予定価格や契約額において実施をされるということであります。該当案件を契約した現場で効力が発生をする、さらに公契約案件に従事する現場労働者のみ、その条例の中の案件にちゃんと含まれる労働者のみに適用されていくということであります。
 公契約条例を制定した場合でも、その適用事案以外に影響することはなく、実際には効力は及ぶことはないということであります。都がいう、労使間の交渉によって賃金が決められるという原則と、矛盾するものではないというふうに思います。
 また、この議論になると、以前から、こうした視点、同じ答弁にとどまっているわけですが、公契約条例における公契約や公共調達は、通常の公権力の行使とは異なる性質があると思います。それはすなわち、各契約ごとに公契約条例が定める規定を承認し、その上で応札し、落札すれば契約するということになるわけです。公契約条例の規定を理解した上で入札に参加をするわけですから、公正性、競争性とも矛盾するものではないと思います。
 また、これらは、これまで都が総合評価方式や、さきにも答弁があった中小企業、小規模企業の振興、これを契約制度からも後押しをしていく、振興していくという、これまで都が進めてきた手法とも矛盾しない、これまで財務局の皆さんが積み上げてきた契約制度と矛盾はしないというふうに思います。
 また、この問題の鍵となる重層構造の下請の方々が、実際には二次、三次、四次と、下請になればなるほど、極めて安い賃金で働かざるを得なかったところを、この公契約条例があることによって、そうした重層下請問題も改善をしていくことが、狙いとしては定められているということであります。
 さまざまな手法を用いて、公正かつ良質な公共調達を実現していく、これは、基本的に財務局の皆さんは、そうした視点でこの間も取り組まれてきたと思うわけです。
 そういう意味で、こうした視点や、また社会環境、常に時代時代に合わせて、契約制度のあり方については不断の見直しを行っていくということですから、労働報酬下限額等を含む公契約条例についても、ぜひ検討していただきたいということを申し上げておきます。
 東京都は、長期計画に向けた未来の東京への論点の中でも、SDGsの視点を位置づけています。SDGsの目標には、持続可能な消費と生産パターンの確保という項目があり、その中では、国内の政策や優先事項に従って、持続可能な公共調達の慣行を促進するということが明記をされています。
 この点について、都としてはどのように認識をしているか伺います。

○新田見契約調整担当部長 国連が掲げる持続可能な開発目標、SDGsについては、ことしの八月に公表された都の長期戦略の議論の出発点となる、未来の東京への論点の中でも、SDGsの目線で政策を見詰め直すことを課題の一つとして取り上げております。持続可能な公共調達も、こうした議論の一つであると認識しております。

○池川委員 SDGsの目線で政策を見詰め直すという中に、持続可能な公共調達もあるという認識だったと思います。
 東京都が、自治体としては先駆的に都庁舎版RE一〇〇に踏み出しました。二酸化炭素の削減を初めとする環境負荷の低減に、予算は一定かかっても政策的に必要だと判断をし、取り組みを開始した。このことによって、都民の理解も得るということに踏み出したわけです。
 日本では、市場に占める割合は、公共調達が、先進国の中でも比較的高い約一六%という試算もありますが、先進国の中でも比較的、公共調達の割合が高いというふうにされています。持続可能な公共調達を考えたときに、契約の中でも、例えば、総合評価方式の要件の中にSDGsの評価基準を取り入れていくことなど、SDGs目線で政策を見詰め直すという視点を持って、政策判断に取り組んでいただきたいということを申し上げておきます。
 また、こうした政策を判断する上で参考にし、生かすべき一つが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の持続可能性に配慮した調達コードだと考えます。
 この調達コードは、オリ・パラ組織委員会の調達における持続可能性の原則として、組織委員会は持続可能な大会運営を実現するために、原材料調達、製造、流通、使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体を通じて、環境負荷の最小化を図るとともに、人権、労働等、社会問題へも配慮された物品、サービス等を調達することが定められ、一、どのように供給されているかを重視する、二、どこからとり、何を使っているかを重視する、三、サプライチェーンへの働きかけを重視する、四、資源の有効活用を重視するという四つの原則を定めています。
 また、人権の分野では、女性、障害者、子供、マイノリティーへの権利尊重が掲げられ、労働では、国際的労働基準の遵守や賃金や長時間労働の禁止など、重要な視点が持続可能性に関する基準として列挙されていると思います。
 これは、組織委員会が直接はその担当に当たっているわけですが、都としても、この調達コードを遵守し、さまざまな取り組みを五輪施設等では今、行っているということであります。
 東京二〇二〇大会における持続可能性に配慮した調達コードは、このSDGsが掲げる内容とも、基本的に同様の方向だと考えます。持続可能性に配慮した調達コードに関して、東京都ではどのような取り組みをしてきたのか伺いたいと思います。

○新田見契約調整担当部長 東京二〇二〇大会、持続可能性に配慮した調達コードに係る都の取り組みとしては、都が発注する東京二〇二〇大会で、競技会場として使用する施設の整備に関する契約案件及びオリンピック・パラリンピック準備局が大会組織委員会と共同または連携して実施する事業に関する契約案件を対象に、調達コードに示された取り組みを行っております。
 具体的には、契約締結の条件として、受注者から、調達コードの遵守に向けて取り組む旨の誓約書を徴取すること、調達コードの遵守状況について通報を受け付ける窓口を、オリンピック・パラリンピック準備局内に設置することを行っております。

○池川委員 二〇二〇年のその先を見据えて、今から課題意識を持って取り組むことが必要で、その一つの指標になるのがこの調達コードだと考えます。オリ・パラ大会が終わったらリセットするのではなく、公共調達にとって重要なレガシーとして、ぜひ引き継いでいただきたいということを求めておきます。
 また、この五輪施設の建設等に当たっては、アクセシビリティ・ガイドラインという、現在の東京都のさまざまなバリアフリーの基準よりも上回る基準が採用されています。こうした視点も、今後の東京都の公共工事、また施設建設の中で、ぜひ取り入れていただきたいということを求めておきます。
 そうした調達コードやSDGsの視点も踏まえ、そのためにも公契約条例の制定が必要だということを最後に求めて、質問を終わります。

○上野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時十九分開議

○上野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大津委員 今回、財政委員会に戻ってまいりまして、これまでも、将来世代への負担に配慮し、都債残高を減らしていくべきと一貫して主張してまいりました都債について質問をいたします。
 都債を発行、つまり借金をして公共施設を整備することは、将来世代も、その施設の恩恵を受けることにはなります。このため、都債は、世代間の負担を平準化する役割も持っております。
 しかし同時に、人口減少社会を迎える中にあって、将来世代は自分で決定することができない借金の返済義務を負うことにもなることから、都債を過剰に発行して、将来の負の遺産として決して残してはいけないものでもあります。
 平成三十年度決算において、一般会計の都債残高は、約千八百億円減って約五兆円となりました。これまでの都の取り組みを理解するためにも、この五兆円という数字の意味合いをここで明確にしておきたいと思います。
 そこでまず、現状を理解する上で、都民の借金である都債残高について、平成以降のこれまでの推移を伺います。

○山田主計部長 一般会計の都債残高でございますけれども、平成元年度は一兆六千四百三十八億円でありましたけれども、その後、バブル経済崩壊に伴う税収減や、国の経済対策に伴う財政的な対応として都債を活用したことによりまして、十三年度には、最高額の七兆六千三百八十四億円となったところでございます。
 平成十四年度以降は、財政再建の取り組みを進める中で、起債の対象となる投資的経費の削減や、都債の新規発行を抑制したことで、都債残高は減少傾向となりました。
 一方、平成二十年のリーマンショックによりまして、税収が大きく減少した際には、財政再建を通じて培った都債の発行余力を活用するなどして、都民サービスの低下を来すことないよう対応を図ったことから、都債残高は一時的に増加に転じました。
 平成二十五年度以降は、税収が堅調に推移する中、将来世代の負担を考慮し、都債の発行額を抑制するなど、都債残高は着実に減少をしております。
 こうした取り組みの結果、平成三十年度の都債残高は五兆五百五十一億円となり、直近の十年間で見ても約二割減少しているところでございます。

○大津委員 景気が悪化し、税収が減少する局面で、都債を大量に発行すれば、残高はあっという間にふえていきますが、一旦膨張した残高を減らすには、長い年月がかかることがわかってきます。
 日本全体が人口減少局面を迎える中、国の借金は八百兆円を超え、毎年増加の一途をたどっています。
 都は、平成十一年度に財政再建推進プランを策定し、血のにじむような努力により借金の返済を進め、残高を着実に、堅実に減らしてまいりました。残高の総額だけを聞いても、過去と比較して、国民や都民一人一人が担う負担がどのような状況になっているのか、意外とわかりにくい点もございます。
 そこで、都民一人当たりの都債残高が当時と比べてどうなっているのか、国との比較も含めてわかりやすく伺います。

○山田主計部長 都民一人当たりの都債残高でございますけれども、都が財政再建推進プランを策定した平成十一年度と三十年度を比較いたしますと、この十九年間で、六十万円から三十六万円へと約四割減少をしております。
 一方、国民一人当たりの国債の残高は、同じ時期におきまして、二百六十二万円から六百九十二万円と約三倍に膨らんでいるところでございます。

○大津委員 人口が減少すればするほど、また残高が減らなければ、一人当たりの負担はますますふえていきます。都債残高を減らす都の取り組みは、国とは異なり、人口一人当たりを見ても着実に進んできています。
 人口でいえば、政策企画局の推計によると、東京の十五歳から六十四歳までの生産人口は、しばらくふえるものの、二〇二五年にピークを迎え、二〇六〇年にはピークから約三〇%減少すると推計されています。先日の報道では、ことしの日本の出生数が九十万人を下回ると想定されており、仮にそうなれば、推計よりも二年早く九十万人を割ることになります。ますます超高齢化社会が日本で進行することになっていきます。
 こうしたことから、担税力を持った年齢層一人一人にのしかかる実質的な負担は増加していき、私たちは、都債の活用に当たって、この点を肝に銘じておく必要があります。
 平成に入ってからは、都財政は、バブル崩壊後の都債の大量発行や基金の取り崩しによって、財政再建団体への転落の危機にも見舞われました。この危機に対して、東京都は、強い意思のもと、私たち都議会と一体となって、人件費の見直しなど財政再建の努力を重ね、現在の財政基盤を構築することができましたが、一方では、都は、景気に左右されやすい税収構造であることには変わりはありません。
 今後、社会保障関係費、社会資本ストックの維持更新経費など、膨大な財政需要を想定する中にあって、将来を見据えて財政運営をどのように行っていくのか局長に伺います。

○武市財務局長 東京都は、人口減少や、さらなる少子高齢化への対応、社会資本ストックの維持更新など、さまざまな課題に直面をしております。また、東京、ひいては日本全体の持続的成長につなげる施策を積極的に展開していく必要もございます。
 一方で、都の歳入の根幹をなす都税収入は不安定な構造にあることに加えまして、今後は、先般の不合理な税制度の見直しに伴う減収が発生をしてまいります。こうした中、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていくためには、お話にもございました都債の計画的な発行、管理など、中長期的な視点に立った戦略的な財政運営を行っていく必要がございます。
 今後とも、一つ一つの事業の効率性、実効性を高めるとともに、都債や基金を計画的に活用するなど持続可能な財政運営を行いまして、財政の健全性の維持に努め、施策展開を財政面からしっかりと支えていく所存でございます。

○大津委員 次に、旧こどもの城施設についてお伺いします。
 旧こどもの城は、地元渋谷区に所在をし、国道二四六号、青山通り沿いにあり、かつて都有地であったものを国に売却し、国立の児童センター、こどもの城として、国が整備運営をしてまいりました。それが今から四年前、惜しまれながらも、こどもの城は国が閉館をしましたが、今般、都が、今ある建物を含め都民の城として活用していくと取得をしました。四年間放置されておりまして、地元からは防犯上の危機をさまざま訴えられていました。
 こどもの城跡地につきましては、私も、予算特別委員会や一般質問においても触れてまいり、積極的に質疑を行ってきたものですが、かつてのこどもの城を都が新たな施設として生まれ変わらせるということは、非常に感慨深い思いを持っています。
 本件に関するこれまでの経緯なども含め、確認をしながら、今後の展望を明らかにしたいと存じます。
 まず、この土地を国に売却するまでの、都有地としての歴史的経緯と、国に売却した時期、理由について改めて確認します。

○五十嵐財産運用部長 本件土地につきましては、明治四十年以降、都電青山車庫、教習所として、およそ七十年にわたり利用しておりましたが、その後、昭和五十二年に交通局から財務局に引き継がれ、国に売却いたしました。
 国への売却理由については、昭和五十四年、当時の厚生省から、国際児童年記念事業の一環としてこどもの城を建設したいので、本件土地を売却してほしい旨の申し出があり、これについて検討した結果、都として売り払ったものでございます。
 なお、本件土地が交通局から財務局に引き継がれた経緯でございますが、交通局における財政再建計画に定められた処分予定地であり、その計画の実施により引き継がれたものでございます。

○大津委員 国際児童年記念事業の一環としてこどもの城を建設することを目的に、売却をしたものでした。この地区には、こうした旧こどもの城のほか、同じく、惜しまれながらも閉館をした旧都立児童会館がすぐ近くにあるなど、子供たちの生きる力育成に深くかかわってきたという歴史と土地柄がございます。
 かつてこどもの城には、愛子内親王殿下が幼少期に通われ、同年代の子供たちと交流を楽しみました。児童会館は、現上皇である当時の皇太子殿下ご成婚を記念して、都が建設、開館したものであり、開館式典には現上皇后陛下のご臨席を賜るなど、皇室とのゆかりも大きい地域でもありました。
 都には、こうした地域の歴史、こどもの城が担ってきた役割、魂というものを大切にした上で、子供だけとかお年寄りだけとか障害のある方だけとか、特定の誰かのためだけに特化することなく、誰しもが一人残らず、都民みんなのものという観点から、全世代交流もできる、現在の都民ニーズに即した新たな活用を実現してもらいたいと要望をされています。
 本年二月に、議会に対し、旧こどもの城活用の基本的考え方が示されましたけれども、都として、旧こどもの城を都民の城として活用していくための基本的な考えについて伺います。

○五十嵐財産運用部長 旧こどもの城の既存建物を活用して、都民の城としていくのに先立ちまして、まずは、短期利用との位置づけで、必要最小限度の改修を施し、来年に控えました東京二〇二〇大会において、建物の一部を活用することといたしております。
 その後の当面の間は、中期利用と位置づけまして、旧こどもの城の既存建物を活用して、誰もが利用できる施設へとリノベーションし、都民の城と呼べるような複合拠点を創出していくこととしております。中期利用におきましては、かつてのこどもの城が果たしてきた役割を十分に踏まえ、子供のための機能を大切にしながら、あらゆる都民が集い、交流し、そして成長できる場にすることを目指し、有識者のアドバイスをいただきながら、庁内検討会で活用検討を進めるところでございます。
 改修に当たりましては、既存建物を可能な限り生かすことでコストを最小限に抑えるべく、改修内容などの精査を入念に行ってまいります。さらに、将来的には、周辺都有地とも一体となって活用を行い、都の施策実現を図るとともに、地域ニーズや周辺まちづくりにも貢献していくことを目指しておりまして、これを長期利用と位置づけているところでございます。

○大津委員 ぜひ、都民のニーズがどこにあるかということを常に念頭に置いて検討を進めながら、短期、中期、長期という三段階での活用のステージを展開していっていただきたいと思います。
 また、コストに関して、都民の城においては、既存施設を可能な限り活用するということで、コスト抑制を図るということもあり、コスト意識が重要となってくると思います。
 予算特別委員会で質疑をいたしました青山劇場、円形劇場、これら今まで担ってきた機能を生かし、改修内容の精査を今後入念に行っていきますという画期的な答弁も頂戴したところですが、こうした中で、かつてのこどもの城には旧青山劇場、日本初の完全円形オープンスペースが特徴の存在でありました旧青山円形劇場など、改修するには大がかりな設備更新を伴うのではないかと思われる点もありますけれども、こうしたかつての劇場の改修に関する考え方について伺います。

○五十嵐財産運用部長 かつての青山劇場や青山円形劇場につきましては、都民の城における各種事業の推進につなげるとともに、芸術文化などの活動の場としても提供していきたいと考えております。その際、ご指摘のように、劇場の設備更新等には、大きなコストが見込まれることから、劇場についても、既存施設の有効活用を図りつつ、コストの抑制に鋭意努めてまいります。
 具体的には、都民の城で実施する各種事業に伴うシンポジウム、学会、講演会等に活用できる多目的ホールとして整備し、そのほか、誰もが幅広い用途に利用できる、自由な芸術文化活動等の場としても提供することを想定しているところでございます。

○大津委員 劇場は、都民の自由な芸術文化活動の場として、多目的ホールとして活用していくとのこと、コスト面を踏まえながらも、施設を象徴する核となるものを、都民の城においてもしっかりと活用を図ってもらいたいと思います。
 加えて、旧こどもの城には、故岡本太郎氏が制作をしました、こどもの樹オブジェがあります。これも予算特別委員会で質問をし、引き継ぎ、設置をすることを考えているとの答弁をもらいました。駅にある渋谷マークシティの中には、岡本太郎氏の最高傑作の一つ、巨大壁画、明日の神話も展示されており、いろいろな象徴的な存在として、これからも盛り上げて、公開をしてもらいたいと思います。
 さて、地元からは、こどもの城周辺地域に関してさまざまな要望を受けています。
 まずは、この辺一帯は美竹、青葉地区と呼ばれ、皇室であります梨本宮家がお住まいになっている土地で、今も末裔が一隅に居住されております。広大な邸宅の名残として、渋谷区においては極めて重要な緑と湧水を残し、たくさんの昆虫、野鳥が訪れる自然環境の中にあります。この地区は文化、伝統の薫りを伝えるたたずまいと位置づけています。皇室、宮家の児童への慈しみの心が、何らかの形で反映をされてきた特別の歴史と土地柄を大切にしてほしいということを強く、地元からは要望をされています。
 加えて、子供、そして土地、歴史を尊重するという点で、子供のテーマを必ず残した上で、児童会館跡地、旧こどもの城、青山病院跡地、これ一体活用でもあり、児童、若者、中高年のさまざまな方たちが、この三つの都有施設のどこかに行けば、人生のおのおのの時期を充実できる三つの連携コア施設、全世代間交流--もう渋谷はグルメ、雑貨、洋服、さまざまな複合施設、超高層ビルが次々と建つ中で、もっともっと心からの魂の昇華、精神的な高まりのソフトの入った施設を、ビルトインされたものを、ビルドすることを非常に望んでいるところでもあります。
 そういう中で、もう一つ、バランスのいい配置も要望をされています。このパネルは、こどもの城や児童会館を中心に、わずか直径一キロで円を描いたものであります。ここの中に起業支援、就業支援、同じような機能がたくさん入っております。
 コスモス青山、この中には産業労働局が起業支援のフロアを設けており、キャスト、以前、都営住宅でした、今は七十年の借地権で都市整備局が民間開発事業に出し、ここにも就業支援フロアが入っています。
 そして児童会館、ここも都市整備局が民間事業開発する中で、構想の一つに起業支援、就業支援を、既に一つとして入れてきています。また財務局、こどもの城の計画の中に創業支援、起業支援という項目が入っております。
 そしてきのう、渋谷の駅の上に、非常に高い、四十七階建ての新たなスクランブルスクエアというビルが、十一月一日オープンですけれども、お披露目式を迎えまして、安倍首相や知事や、さまざまな方たちも出席していた次第ですが、実は、その中にも共創施設、産官学の創業施設が既に入りました。
 そういった意味では、わずか一キロの直径の中に五カ所、都絡みで同じ施設が固まっている。これらに関しては、もっとさまざまある重要な都の政策を実現できるような、昇華できるような、バランスのよい配置も考えていく時期ではないかと考えます。
 例えば、葉っぱのビジネスなんていうのは有名でしたけれども、あれは、おばあちゃんたちが徳島県の上勝町で、もみじや落ち葉やお花を収穫して、料理のつまとして全国に出荷をするおばあちゃんたちの葉っぱビジネス、これも立派な起業でありまして、何も、渋谷だから都心だからといって、それが五つも連鎖するよりも、東京の中で、千四百万人都民のために多少の分散をしても、また新しい発想での起業が起こるのではないかと思っています。
 ということで、これらのさまざまな地元の要望もありますが、そこで、この基本計画をどういったものにしていくのか、今後どのように進めていくのかをお伺いいたします。

○五十嵐財産運用部長 来年度以降、都民の城の設計に着手する前段として、全体的な改修の方針を定めた改修基本計画を、今年度中に策定することを目指しているところでございます。その中では、これまでの庁内検討の内容を踏まえ、改修を行った都民の城が目指す姿や都民の城のコンセプト、施設利用のイメージを具体化していくことを考えており、来月にも中間のまとめとしてお示しし、パブリックコメントを行うこととしております。そうした中で、地元の方々も含め、幅広く都民の皆様の声に耳を傾けていくことが重要と認識しております。
 今後、施設のあり方についてさらに検討を深め、基本計画の成案を練り上げてまいります。

○大津委員 都民ニーズに即した活用を図る上で、直接都民の声を聞くことは大変重要であり、現場を知ることも、そうした声に耳を傾ける結果でわかってくると思います。
 実は、こどもの城と一体になったところで、都の共済組合病院でもありました青山病院跡地が今、あります。そこは立派な桜の木と湧水を、池を有していまして、今、TBSのプレハブ展示場、住宅展示場として貸し付けていますけれども、それも来年の三月までと伺っています。
 例えば、渋谷区は農地ゼロですけれども、青山病院跡地は非常に自然に恵まれておりまして、土をもう少し大切にし、その上を余り長く塞がない、土を生かした、例えばソーシャルファームですとか都市農業ですとか、その都有地を生かした都の重点政策を昇華できるようなものに、また、時代時代で変わっていけば、そうしたテーマを変えながらも、土を残しながら、そうした都政政策を実行していくこともできるので、こどもの城と一体的に、オリ・パラの終わった後を今から見据えて、計画をしていくべきだと思います。
 実は近くに、都営住宅跡地はキャスト--民間に事業等投げまして、七十年の借地権で、超高層ビルで民間に出しました。やはり、都有地は都有地として、民間が民間でできるような事業を都有地で改めて行わなくても、渋谷はもう三つも、四つも、五つも、既に開発が進んでおりますので、都有地を単に賃借料で稼ぐのが、稼げる東京ではなく、都有地から生み出せる質の高い、まことの都民の幸せのための都民サービス、これをいま一度考えていきたいと思いますし、そうしたことが地元で望んできていることでもあります。
 ここまで、この土地をめぐる経緯などから、また改修についても、いろいろときょうは確認をさせていただきましたが、結びに、この施設が都民にとって夢と希望をもたらすような、まことに都民の利益に資するものへと生まれ変わらせていくための局長の意気込みといいますか、熱意をぜひお聞かせいただきたいと思います。

○武市財務局長 本件につきまして、これまでは、まずは取得することを第一に、鋭意、国と交渉を進めてまいりまして、都議会の皆様のお力添えもいただきまして、今般、取得できましたことに、まずは御礼を申し上げますとともに、一つの区切りを迎えることができたというふうに考えております。
 しかしながら、都民の城としての活用に向けましては、これからが本番でございます。ただいま質疑をいただきましたように、今年度の基本計画を経て、来年度には設計へと着実に歩みを進めていく必要がございます。
 そのためには、関係各局が一丸となりまして、ラグビーでいえばスクラムを組み、連携することで、初めて、都民の城が都民の皆様にとって親しまれる、真に有益な施設となっていくと、このように考えております。
 庁内検討組織の事務局を担う財務局といたしまして、関係各局との協力体制を今まで以上に強固にいたしまして、全庁を挙げた取り組みの牽引役として、その役割を担っていきたいと考えております。

○けいの委員 財政運営について確認をさせていただきたいと思います。
 ラグビーワールドカップが国民的な盛り上がりを見せており、スポーツに対する都民の興奮が過熱する中で、来年には東京二〇二〇大会が控えております。この世界的なスポーツイベントの成功に向け、都はこれまでも、多くの時間とマンパワーを投じてきました。本番に向け、これからも解決しなければならない課題はまだまだ山積していると思いますが、東京二〇二〇大会の開催を支える財政基盤の視点から、何点か質問させていただきます。
 東京二〇二〇大会の開催に際して、やはり重要なことは、いかなる情勢においても都民生活に影響を与えない、強固な財政基盤を堅持していくことであり、これまでのさまざまな質疑の中でも取り上げられておりますが、先人たちの努力により、都は現在、健全な財政運営が行えているものと認識しております。
 しかし、今後の都財政を考えていく上で、避けては通れない重要な要素の一つとして、令和元年度税制改正において定められ、今月一日より施行された、地方法人課税のいわゆる新たな偏在是正措置があります。このことについて、いま一度確認しておきたいと思います。
 まず、この十月より施行された、地方法人課税の新たな偏在是正措置の内容についてお伺いいたします。

○山田主計部長 新たな偏在是正措置の内容についてでございますけれども、令和元年度税制改正では、地域間の財政力格差の拡大などを理由といたしまして、地方法人課税のいわゆる偏在是正措置について、新たな措置が導入されたところでございます。
 これまでの経緯及び内容でございますけれども、平成二十八年度税制改正及びその後の関連法案の改正によりまして、令和元年十月一日から法人事業税の暫定措置が廃止されること、そして、法人住民税の交付税原資化の規模が拡大されることが定められておりました。
 しかしながら、昨年末に決定されました令和元年度税制改正におきまして、再び法人事業税の一部を国税化し、これまで以上の規模で地方に配分する特別法人事業税、特別法人事業譲与税が創設されることとなりました。この措置が今月十月一日より施行されているものでございます。
 こうした仕組みは、地方の税収がふえればふえるほど国税化される額も拡大することとなり、地方自治体が、みずからの権限と財源で地域の活性化を目指す地方分権の理念とも逆行するものと認識しているところでございます。

○けいの委員 今回施行された新たな措置は、平成二十年度税制改正において、暫定的な処置との約束で導入された法人事業税の一部国税化を事実上、恒常化させるものであり、都の莫大な財政需要を考慮しない不合理な措置といわざるを得ません。
 そこで、この地方法人課税の新たな偏在是正措置について、平成三十年度決算における税収をもとにした影響額について確認させていただきます。

○山田主計部長 地方法人課税における偏在是正措置の影響額でございますけれども、平成三十年度決算をもとに算出いたしますと、影響額が平年度化する令和三年度以降、法人住民税の交付税原資化による減収額が五千五百四十億円、新たな偏在是正措置による減収額が四千三百十三億円などとなりまして、影響額全体では、年間九千九百九十億円程度となる見込みでございます。
 なお、経過期間であります令和二年度の影響額は、八千七百億円程度となる見込みでございます。

○けいの委員 今回の偏在是正措置の見直しにより、この影響額が拡大する見通しであることが改めてわかりました。
 この偏在是正措置については、我が公明党も一貫して問題の多い制度であると、この認識に立ち、反対の姿勢をとってまいりました。都においても、今後とも機会を捉えて、地方税財政制度の本来あるべき姿を目指して、国から地方への権限移譲や、果たすべき役割と権限に見合った地方財源の充実といった方向性を、粘り強く国に強く働きかけていっていただきたいと思います。
 都政は今、東京二〇二〇大会の先の姿を描くため、東京の持続的な成長を見据え、新たな長期計画の策定に取り組んでいます。しかし、いかにすぐれた計画をつくり上げても、そこに盛り込まれた施策を実現させるための財源がなくては、せっかくの計画も絵に描いた餅に終わることになります。
 都財政の状況を俯瞰すれば、景気の変動の影響を受けやすく、国による財源保障もない、それどころか、不合理な税制改正による影響も見込まれております。こうした構造、状況が見てとれます。
 このような状況であるからこそ、都民の安全・安心を守り、東京の持続的な成長を実現させるための多岐にわたる施策を継続的に実施していくためには、財政面においても、中長期的な視点に基づき、堅実でありながらも時代に即した、柔軟な財政運営を行っていくことが求められます。
 令和二年度予算編成についても、各局からの予算要求が出そろい、財務局内で査定業務が本格化する時期に差しかかっています。
 そこで、令和二年度予算編成及び財政運営の考え方についてお伺いいたします。

○山田主計部長 令和二年度予算についてでございますけれども、見積もり方針におきまして、東京二〇二〇大会を確実に成功させ、東京が世界で輝き続ける未来をつくる予算と位置づけまして、現在、その編成に向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 予算編成に向けた基本方針といたしまして、第一に、東京二〇二〇大会を成功へ導くとともに、次世代へと継承するレガシーをつくり上げること、第二に、都政が直面する諸課題に迅速かつ的確に対応するとともに、東京が成長を生み続ける成熟都市として進化を図るための取り組みを進めること、第三に、将来にわたる施策展開を支えるため、無駄を排除するなど、財政基盤をより強固なものとすることを掲げております。
 こうした方針のもと、現在策定中の長期戦略ビジョンの具体化を図る取り組みなどを予算面から後押しするとともに、事業評価を通じて、一つ一つの事業の効率性や実効性を高めてまいります。
 また、基金や都債を戦略的に活用することなどによりまして、中長期的な視点も踏まえた財政運営を行ってまいりたいと思っております。

○けいの委員 ありがとうございます。
 社会構造の変化はもちろんのこと、頻発する豪雨災害など、都財政が対応、解決していかなければならない課題は山積しております。米中貿易戦争やブレグジットなど、国際情勢も依然として不透明さを残しています。
 このような情勢においても、都民が不安を感じることなく、きょうよりもあすの生活に希望を感じることができる都市東京の実現に向け、先見の明を持った、的確な財政運営を継続していくことを強く求め、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○宇田川委員 まず、冒頭に申し上げます。
 十月十五日、さきの委員会において資料要求を行いました。委員長からは、委員会の要求たることを丁寧にご確認をいただいたところでございます。私個人ではなく、委員会からの資料要求です。
 しかし、一週間がたち、十日がたち、一向に理事者は調整には来られない。数日前に持参された資料は、探せばすぐに出てくるような書類のコピーのみでありました。この程度なら、要求した委員会の当日でもそろえられるものではないでしょうか。
 不足しているものを指摘しても、そういった要求だとは思わなかったとか、存在するか否かも不明であるとか、実に対応は不誠実であるといわざるを得ません。以後、スピード感を持った誠実な対応をしていただきたい、このことをまず強く求め、質問に入ります。
 まず、築地跡地について伺ってまいります。
 豊洲市場への移転が終了後、築地跡地は、来年のオリンピック・パラリンピック大会のデポ地として活用し、その後、民間等への売却をするとなっておりました。しかし、いつの間にか、都で所有をし続け、民間の活力を取り入れながら再開発をするということに変遷をしてきたわけであります。この間、どういった経緯をたどってきたのか。
 築地市場は、中央卸売市場の土地でありました。これを、環二用地は建設局へ、そして、本体部分といいますか、道路以外の部分については財務局へと所管がえが行われたわけですけれども、その手続はまるで違います。しかし、手続は違うんですが、価格は、単価でいえば同額となっているんですね。
 市場と財務局と建設局の間でやりとりがなされたことだと思いますが、価格を同額に合わせたのはなぜなのか、最初にお尋ねします。

○山田主計部長 ただいま、築地市場跡地と環状二号線予定地との価格ということでございますけれども、築地市場跡地の有償所管がえに当たりましては、中央卸売市場が主体となりまして、外部の不動産鑑定機関によりまして、価格評価を実施したものでございます。
 一方、環状二号線用地に関しましては、平成二十四年度内に、内部職員によりまして価格評価を実施いたしましたが、これはまだ概算額でございまして、所管がえの際には土地価格が確定が必要なことから、今回、中央卸売市場が実施した外部の不動産鑑定機関による価格評価を用いて、改めて算定を行ったものでございます。
 よりまして、市場跡地及び環状二号線の両者における価格算定は同じと、同一のものとなるものでございます。

○宇田川委員 後ほど旧こどもの城についていろいろ伺ってまいりますが、とりあえず一点お伺いします。
 こちらの価格は、わずか二年ほどで一・五倍に膨れ上がりました。価格が上昇した理由はどう捉えているのか教えてください。

○山田主計部長 土地の価格でございますけれども、近年の東京全体の地価、高騰をしております。その状況の中で、この二年の間でも、それだけの高騰があったものと考えております。

○宇田川委員 景気は長年緩やかに上昇を続けていて、公示価格とか基準地価とかも上昇傾向が続いています。それを考えれば、お話のとおり、地価は上昇していることは事実なんだろうなと考えます。しかし、それにしても一・五倍になるというのは、少し疑問が残りますけれども。
 それはそれとして築地に戻りますけれども、財務局と建設局、この二つの局と市場との間で行われた手続、余りにもかけ離れた手法であります。
 わかりやすくいえば、市場が売り主、財務局と建設局はそれぞれ買い主、同一の売り主から買った契約であり、なおかつ一団の土地です。一つにまとまった土地なわけであります。
 建設局との手続は、三度にわたる支払い、いわば手付を払って、中間金を払って、最後に残金を精算する、こういう契約で、残金精算と同時に引き渡しが行われた、こういう手続になっています。一方、財務局との手続はどうかと見ると、一括で総額の支払いが行われ、しかし引き渡しは、いまだになされていない。
 なぜこれほど手続形態が違うのか、まずその理由を教えてください。

○山田主計部長 建設局の部分、また財務局の部分で移管した部分で対応が違うではないかというご質問だと思いますけれども、市場会計--築地の跡地、今回の財務局に移管する部分でございますけれども、今回の対応につきましては、今般の地方法人課税、いわゆる偏在是正の影響によりまして、来年度以降、税収減が見込まれており、将来の財政支出を可能な限り軽減する必要があったということがございます。
 こうした中で、決算剰余金、また予算の執行状況の精査によりまして、財源のめどが立てられたことがあります。そのことによりまして、今回、一括で購入をしたというものでございます。
 一方で、環状二号線用地でございますけれども、協定書を締結いたしました平成二十四年度の財政状況を踏まえて、協定書におきまして分割払いをしたというものでございます。

○宇田川委員 ちょっとよくわからないんですけど、この築地跡地、先ほど申し上げましたとおり、来年オリ・パラのデポ地として利用されます。その後、土壌汚染対策工事、そして地下埋蔵物調査が行われることになっています。その分、二百億を試算した中で市場の会計に乗っけて精算すると、こういうことになっているんですが、近隣の汐留の再開発のときの地下埋設物調査を見ると、七、八年かかっているんですね。すごく近くであります。それを勘案すると、数年、もしかしたら十年以上かかるかもしれないというのがこの築地の土地であります。
 この土地の引き渡しは一体いつになるんでしょうか。移管が完了するめどは一体いつなんでしょうか。いつになるかわからないのに、なぜ、一括で既に支払いを終えてしまっているんですか。民間取引では絶対にあり得ない手続です。したがって、都民の理解を得られるとは、私は考えられません。お考えをお聞かせください。

○山田主計部長 築地の土地の実際の引き渡しでございますけれども、委員ご指摘のとおり、オリンピックが終わった後、土壌汚染対策が終わった後に引き渡すこととなります。
 確かに、その時点での明確な引き渡し時期というのは、そのときの状況に従ってということになろうかと思いますけれども、今回、その市場跡地につきまして、一つにはやはり、先ほどの繰り返しにもなりますけれども、決算剰余金や予算の執行状況の精査により、財源のめどが立てられたということもございます。
 また、市場会計におきまして、平成三十二年度より、約三千五百億円超の企業債の償還が始まるということもございまして、早期に返済資金の確保は必要な状況であったということも理由の一つかと思います。

○宇田川委員 まあ、いろんな理由を述べられましたけど、先ほど申し上げたとおり、一般の企業に照らし合わせてみれば誰も理解されない、一般の通常の取引ではあり得ないことだと思います。だからこそ、きちっと都民に説明をしなきゃいけない。だからこそ、こういう話を聞いているんです。
 建設局とは、まさに時価での取引が行われたわけですよね。そのとき、さっきお話があった、市場が調べた時価の数字で取引が行われた。
 旧こどもの城の価格変動は時間の経過によるものだと、さっき確認をさせていただきました。二年がたって、景気動向が上昇したおかげで価格が上昇した、そういう話ですよね。これは東京都と国との間の手続ですから、こういった形でやられたのかと。
 しかし、市場と財務、東京都と東京都、身内であるから、だからこそ手続が不自然でもいいということだとは、私はあってはならないことだと思うんです。引き渡し時の価格算定、これ築地の話ですよ、引き渡し時--何年後かわかりません、七年後か十年後かわかりませんが、そのときの価格算定は一切無視して、このまま取引を推し進めていくのか伺います。

○山田主計部長 土地の引き渡しによります価格の算定でございますけれども、どの時点で価格を算定し、協定書を締結して、価格を支払うということについては、いずれの方法においても適正なものであるというふうに考えております。
 今回、築地の跡地につきまして、そのときの、実際の引き渡しの時期と現在との価格の差が生じたとしても、それをさらに支払うということはないと考えております。

○宇田川委員 さっきからいっているんですけど、民間では常識の範囲内で考えられない取引なんですよ。十年後に価格がどう変動するかもわからないのに、しかも引き渡しがいつになるのかわからないのに、今の価格で決められてやっている。これは、今のお話で理由があるんだとおっしゃいますけれども、過去、東京都の中でこういう取引ありましたか。

○山田主計部長 金銭の支払いの時期と土地の引き渡しとの間で一定の期間が生じたという事例といたしましては、神田市場跡地の有償所管がえの際も同様でございました。

○宇田川委員 神田は違います。さっきの建設局と市場のやりとりと同じで、三度支払いが行われて、最後の精算をしたと同時に引き渡ししたんです。今の話は違いますよ。
 もし私が間違っているならご指摘ください。

○山田主計部長 確かに神田市場につきましては、数度にわたりまして支払いを行っているということはあると思います。築地の跡地につきましても、実際に埋文の調査等を行いまして、そのときにどれだけかかったかということは、しっかり見た上での二百億円の精算というのはあろうかと思っております。

○宇田川委員 済みません、委員長、答弁になっていないんですね、今の話ね。私の聞いたことにしっかり答えてください。
 さっきおっしゃった神田市場の取引と、今おっしゃった築地と、市場と財務局のやりとりは同じだとあなた、いったんですよ。それを三度にわたりだとか、あなたのおっしゃるとおりですとか、私には何をいっているのかわかりません。ちゃんと説明して、答弁してください。

○山田主計部長 土地の有償所管がえでございますけれども、土地の評価、覚書の締結、金銭の支払い、土地の引き渡しといった一連のステップを経て完結するものでございまして、最終的に引き渡しを行った段階で所管が変更するというものでございます。
 今回の築地の土地の引き渡し時期でございますけれども、中央卸売市場、財務局、都市整備局の三局で締結した覚書の中で、引き渡し条件を満たした後、協議の上、定めることとしておりまして、東京二〇二〇大会の以降を予定していることはお話ししたとおりでございます。
 金銭の支払いと土地の引き渡しとの間に一定の期間が生じるということにつきましては、最終的に、土地の引き渡しの履行が契約上担保されていれば、特段の問題はないと考えているところでございます。

○宇田川委員 済みません、私が今聞いたことにちゃんと答えてください。同じ形の手続で過去あったんですかって。あなた、神田がどうしたとかといわれたじゃないですか。違うなら訂正しなさいよ、そうでしょう。
 ましてや、今お話の中で、一番の基本の前提は最後の支払いと引き渡しが合致することですよ、当たり前のこと。それを、さっきから申し上げているとおり、数年、十年かかって、そんなブランクがあった事例が東京都にあるんですかって伺っているんです。あるかないか、お答えください。

○山田主計部長 先ほど神田市場の跡地の話をさせていただきましたけれども、確かに不確かな情報であったような--であると思いますので、その事例があったかどうかにつきましては、ただいま確認ができないというところでございます。

○宇田川委員 不確かじゃなくて不的確なんですよ、発言が。きちっと答えていただきたい。
 そもそも、民間等への売却で市場会計の健全化を図るとしてきました。しかし、都が所有をし続け再開発をする、五千億円にも及ぶ借金を将来にわたって都民に背負わせることとした、この経緯はしっかりと明確に都民に示すべきと考えます。
 一体いつ、どこで、誰がどのような検討を経て、どうした理由で変更がされ、決定をされたのか、改めて詳細にお示しください。

○山田主計部長 有償所管がえに至った経緯ということでよろしいでしょうか。
 有償所管がえに至った経緯でございますけれども、築地市場跡地につきましては、一昨年六月の市場のあり方戦略本部の中で、一般会計に有償所管がえした場合と、長期貸付を行った場合の収支試算を行っております。
 その後、昨年十一月の市場移転に関する関係局長会議におきまして、中長期的な時間軸に立ってまちづくりを行う場合には、一般会計への所管がえも視野に入れて検討を進めることが必要とされ、このような視点を踏まえつつ、改めて収支試算を行い、市場会計の持続可能性に関する検証を加速させるということとされたものでございます。
 その後、昨年十二月の第四回定例会におきまして、知事が、一般会計への有償所管がえを軸に検討を加速する旨を明らかにしたところでございます。
 その上で、本年一月の知事査定の場におきまして、当時検討段階にありました築地まちづくり方針素案の方向性や考え方に今後変更がない場合には、有償所管がえに係る経費について最終補正予算案に計上することといたしまして、まちづくり方針の素案が確定した段階で最終補正予算案への計上を決定することとしたものでございます。
 その後、本年一月二十三日の関係局長会議の場におきまして、築地まちづくり方針素案が取りまとめられたことから、収支試算の結果も踏まえて、一般会計への有償所管がえ及び最終補正予算案への経費計上を決定したものでございます。

○宇田川委員 我々自民党も、一般の所管がえを否定していませんでしたし、当時から進めるべきといっていた。
 もう一点聞きますけれども、さっきも申し上げましたが、一般の所管がえをしたその後、売却するという話だったんですよ、最初の前提は。それが所有し続けるってなったのは、いつ、どこで、誰がどういう検討した結果なんですか。

○山田主計部長 築地市場跡地につきましては、市場会計から一般会計に有償所管がえをするということで検討をしてまいりました。
 この土地の扱い方、一般会計に有償所管がえをした後の土地の扱い方でございますけれども、平成三十年五月二十一日に示されました築地まちづくりの大きな視点で、中長期的な時間軸で段階的に開発をしていくこととされております。また、将来の東京全体としての成長に寄与するよう、東京全体としての価値の最大化を追求することなどの提言されたことを踏まえまして、土地の扱いにつきましては、都市整備局が主管となりますけれども、築地まちづくり方針素案の検討を進める中で、定期借地権を想定して進めることにつきまして、平成三十年十二月二十五日に、都市整備局から知事に報告をした旨を聞いております。

○宇田川委員 大事なところが抜けているんですよ。三十年の五月に、築地まちづくりの大きな視点、これ検討会議で行われたって今、いいましたよね。それを、会議をつくる前の話ですよ。急に再開発の話が出てきたんですか。誰かの指示でやったんですか。都市整備が、みずからこれを再開発すべきと考え、知事に進言したんですか。誰かの指示があったから、この再開発という検討を始めたんですか。

○山田主計部長 築地市場跡地の開発につきましては、都市整備局の方で検討を進めていたかと思っております。

○宇田川委員 よくわからないんですが、誰の指示もなく、築地の跡地については、今の答弁だと、都市整備局がみずからあの土地は開発すべきだ、まちづくりすべきだということで、みずから動いてこの会議をつくり、最後知事に報告したと。間違っていたら、後で直してください。
 多額の税金を導入したことは事実であります。それも、五十年後という全く見えない将来、未来、その担保も一切なし。こうした背景での決定は、大変重いものだと考えています。
 局長、この責任は、将来にわたり誰が責任を負うんですか、お答えください。

○武市財務局長 有償所管がえの決定、さらにこの間、補正予算の手続という点に関しましては、財務局が提案し、補正予算の査定などを経た上で、東京都として決定をしておりますが、第一義的には私ども財務局、私、財務局長が責任を負うものでございます。

○宇田川委員 将来の財務局の後輩たちが負う責任と、こういうことになるんですかね。
 あくまでも私の私見なのかもしれませんが、今お話聞いていて、検討過程が明瞭に示されたとは思えません。検討過程における議事録、メモ等を資料要求しましたが、しかし存在しない、一行一文字たりとも存在しない、そういう報告がありました。これは、当事者以外全くわからないことになってしまうんですよ。こんないいかげんさでいいんでしょうか。我々も、局と議員が話をするとき、必ずメモしている人いるじゃないですか。それが一文字たりともない、こういう話でありました。
 手続についても、一般常識とかけ離れています。到底、都民の理解を得られるとは思えません。行政の皆さんが、そして我々議会も、都民に対して説明責任を果たさなければなりません。しかし、これでは説明できないですよ。将来にわたる責任の所在を伺いましたが、ぜひ全うしていただきたいと思います。
 次に、こどもの城についても伺ってまいります。
 平成二十八年三月、当時の購入経費三百七十億円を当初予算に計上されました。その後、広尾病院建てかえの議論が進まず、翌年三月、減額補正がなされ議決が行われた。なぜ減額補正をされたのか、まず教えてください。

○五十嵐財産運用部長 平成二十八年度の最終補正予算の減額につきましては、首都災害医療センター基本構想検討委員会における議論の取りまとめが年度内に終わらず、翌年の夏ごろになったことを受け、平成二十八年度中の予算執行が困難になったということを受けて、減額補正を行ったというふうに考えております。

○宇田川委員 減額補正のその後の話になりますが、いただいた資料でも、国との調整もいろいろあったと聞いております。
 改めて予算計上をし、今回購入に至ったわけでありますけれども、これについても、いつ、どこで、誰がどのような検討を経て、再度の購入を決定したのか教えてください。

○五十嵐財産運用部長 詳細の説明ということですので、本日提出いたしました要求資料の一一五ページ、一一六ページに沿って、補足しながら説明させていただきたいと思います。
 平成二十八年度の最終補正予算の減額につきましては、先ほど答弁したとおり、議論の取りまとめが夏ごろになったことを受け、平成二十八年度中の予算執行を見送ったということで、減額補正をしたものでございます。
 その後、減額補正を行ってから、平成二十九年七月二十四日に首都災害医療センター基本構想検討委員会の最終報告案が委員会に提出されるまでは、そういったこともありまして、国との交渉につきましては待っていただいて、委員会における検討の推移を見守っていたという状況でございます。
 それから、七月二十四日に、広尾病院の改築は、移転改築ではなくて現地改築が望ましいとする委員会報告が提出されて以降につきましては、八月に、財務局が国有地を所管する内閣府や関東財務局に伺いまして、病院用地としての取得を断念した経緯等の説明を行うとともに、改めて国有地を取得するとした場合の手続等について確認を行ったところでございまして、財務局として、旧こどもの城は立地条件がよく、将来の都の施策実現にも資する都心に残された重要な土地ということで、用地取得に向けて、公共的な用途での活用について、改めて検討を進める必要があるというふうに判断をしたところでございます。
 今後の土地取得やそのための利用用途の検討に当たりましては、活用コンセプトの整理などが必要となることから、財務局が中心となりまして、国の土地譲渡に対する考え方や都の考え方、スケジュールなどを整理し、平成二十九年九月七日に、今後の検討に関連してくる政策企画局や都市整備局とともに知事に報告を上げ、内容について了承を得たところでございます。
 その後の検討につきましては、旧こどもの城跡地につきましては、都有地に隣接したポテンシャルの高い土地で、多岐にわたる活用可能性を検討する必要があることから、関係三局におきまして、活用コンセプトや用途に関する検討につきましては政策企画局、国との協議につきましては財務局、まちづくりに関することについては都市整備局という役割分担を行い、検討を進めてきたところでございます。
 当初、更地化した上で、隣接する旧青山病院跡地とあわせた新たな施設を整備する案ということで複数の案、図書館、展示施設、インキュベーション施設などさまざまな案を検討してまいりましたが、最終的には、旧こどもの城の既存建物の利用可能性があることから、その建物の活用について、財務局において検討を進めることとなりました。
 その後、財務局がまとめた検討結果につきまして、平成三十年六月七日に、既存建物利用の検討に当たっての考え方、スケジュール案等について、財務局から知事に報告をし、了解を得たことで、その後、既存建物の中で事業を行う各局との調整を開始いたしまして、十月に知事の了承を得て、国に対して、国有財産の取得要望について文書を提出したところでございます。

○宇田川委員 今の答弁の中にもありましたけれども、当初、広尾病院の建てかえ用地として、取得の検討が始まったわけですけれども、その当時から、隣接した、今お話に出ました青山病院等々と一帯の土地として使うべきだと、望ましいと、こういう話がずっとされていました。この場所、土地の有効利用、利用形態のあり方を考えても、至極当然のことだと私も思います。
 しかし、このたび、取得後は既存建物を百億円を超えるといわれる多額な経費、すなわち税金を導入して改修をするとしています。一体利用の考え方は、もうなくなってしまったんですかね。
 もし将来にわたって、二十年後になるか、三十年後になるかわかりませんけれども、一体の利用も視野に入れられているのかどうか、ちょっと簡潔にお答えください。

○五十嵐財産運用部長 今回、国から取得しました国有地とともに、周辺に都有地がございます。これにつきましては、将来的には一体的な--それぞれ今活用している用途がございますが、その状況を踏まえながら、一体的に活用していくことを将来的には検討していくこととしております。

○宇田川委員 減額補正の後、国からも結論を出すようにプレッシャーをかけられて、せかされていたという話もありました。広尾病院の建てかえ用地として検討してきた際、この予算計上のときと比べて、この平成二十九年夏からの動きがですね、私には緩慢なような気がしてなりません。
 私の質疑の二回目あたりで答弁いただきましたが、時間の経過によって取得価格が上昇したこともまた事実であります。余分な時間が都民に相応の損害を与えた、そういわれてもあながち間違いとはいえない、私はそう思っています。
 この責任はどこにあるのか局長にお尋ねします。

○武市財務局長 私ども、広尾病院を現地建てかえをするというのが、一昨年の九月か、その少し前であったかと思いますが、そういう決定があり、それを受けまして、活用方針を一昨年九月から検討を始めたところでございます。
 その時点で、私どもが策定したスケジュールといたしましては、きちんと目的を持ってお願いをしない限り国とは随意契約できないと、そういう制約がございますので、そうした使い方をどう考えていくのかというのを一年程度かけて私どもで検討し、それをもって、財産運用部から主計部の方へ予算要求もし、三十一年度当初予算で購入するというスケジュールを立てて、二十九年の九月から動いてまいりましたので、そういう意味では、そのスケジュールどおり、私どもとしてはスケジュールに沿った形で検討を進めてきたつもりでございます。
 それが遅いのかというふうに聞かれますと、そこは私どもとしては、適切な時間をかけて検討してきたと考えておりますが、その結果につきましては私が責任を背負うものでございます。

○宇田川委員 ちょっと時間もあれなので、次、入札契約制度について伺います。
 一昨年三月、議会での議論から逃げ突如発表された入札制度改悪、このことも意思決定過程が実に不明瞭であると私は考えています。一体、いつ、誰がどんな検討を経た上で決定されたものなのか伺います。

○新田見契約調整担当部長 平成二十八年九月の都政改革本部会議において、内部統制プロジェクトチームの中で、特別顧問と財務局により、今後の入札契約制度のあり方を検討し、改革を取りまとめることとなったものでございます。
 PTでは、豊洲新市場や東京二〇二〇大会に係る施設の工事を中心に議論があり、一者入札かつ九九・九%落札のような入札結果があったことを踏まえ、都民に疑念を抱かせることがないよう、より多くの入札参加者を確保し、競争性や透明性を高めることを主眼に検討を行っております。
 都政改革本部会議において、四回の報告を経て、平成二十九年三月三十一日に開催された都政改革本部会議において、入札契約制度改革の実施方針を公表いたしました。

○宇田川委員 聞くところによりますと、この検討決定について、財務局は相当な抵抗を示したといううわさが耳に入ってきました。それが事実だとすれば、この決定は改悪となる、そうわかっていたからではないんでしょうか。
 今からもう十二、三年前になりますけれども、現在、特別秘書の椅子に座っている村山寛司、当時の財務局長が先頭に立ち、たしか八項目だったと思うんですが、課題の整理をし、一つずつ関係者、業界、有識者等と意見を丁寧に聞きながら、議会とも連携し、調整を繰り返し積み上げてきた制度、これが改悪前の制度です。
 この、長年にわたって積み上げてきた制度を、今は何をされているのか存じませんけれども、上山氏ほか顧問であった方々なのか、またまた知事なのかわかりませんが突き崩したと、こういうことになるわけであります。
 当時の契約担当の理事者の思いも想像がつきますし、この改悪に、多くの事業者、団体は反対の意見を多数出されました。本年度より本格実施などといっておりますが、何のことはない、改悪した大半をもとに戻しただけですよ。無意味な一年間、いえ、それ以上、国より一歩先んじていたはずが、三歩、五歩後戻りしたと私は認識しています。
 局がいう試行、我々がいう改悪、愚策、そして以前から積み上げてきた改悪前の制度、どちらが評価できる制度なんでしょうか、局の見解を伺います。

○新田見契約調整担当部長 入札契約制度改革は、より多くの入札参加者を確保し、透明性や競争性を高めることを主眼として実施しております。制度改革によって、混合入札案件における入札参加者が増加するなどの成果はあったと認識しているところでございます。
 ただし、予定価格の事後公表に伴う中小企業の積算の負担など、一年間、試行を通じて明確になった課題があり、一部見直しをした上で本格実施に至ったものでございます。
 今後も、応札者数などの応札状況を把握、分析し、入札監視委員会の場などで引き続き検証をしてまいります。また、引き続き業界団体との意見交換を行い、中小企業を初め、現場の声の把握に努めまして、都議会での議論も踏まえながら、時代時代に合わせてよりよい入札契約制度となるよう、不断の見直しを行っていく考えでございます。

○宇田川委員 異論がいっぱいあって、この議論をしたいんですが、もう時間がないので申しわけない、次へ行きます。
 制度改悪によって受注者の不信は募りました。発注者と受注者は対等、イーブンな関係だ、こういっていたのは財務局ですよ、皆さん方ですよ。中小企業育成が公共工事において後退しているという印象を受けざるを得ません。不調も増加いたしました。私の隣にいる三宅都議は、島しょ選出です。島のインフラ整備等は、資機材は船舶によって搬入されます。天候に左右をされることによって、たった一度の不調が出たとしたら、ともすれば一年以上の延期、遅延となる可能性があるんです。津波タワーなどの命を守るインフラ整備におくれが出る、これは明らかに都民の不利益ですよ。
 こうした事実を局長はどう受けとめ、どう認識されていますか。一体このツケ、誰が責任をとるんですか、局長に伺います。

○武市財務局長 先ほど部長からの答弁ございましたが、やはり入札契約制度というものは透明性、公平性、それをきちんと担保されないといけないというふうに考えております。それをきちんと担保をしていくための手法として、私ども、改革を行い、その中で一部見直しも行った上で、現在の試行を経た上での本格実施に至っております。本格実施につきましては、改革前に比べまして、透明性、公平性なども高まった制度に見直しができているというふうに、私ども考えております。
 不調などは、さまざまな要因--資材の高騰ですとか人手不足、さまざまな要因によって起きてまいります。そうしたことも踏まえながら、私ども、きちんと都民サービスが提供できるように、入札契約制度のみならず、実際の工事現場等々を踏まえながら、きちんと対応をしていきたいと考えております。

○宇田川委員 私も長年、入札契約制度の改革等々に携わってきましたけれども、やっぱり去年実施されたものは正しかったとはいえないですよ。そう認識している方、手を挙げてっていったら、いっぱいいると思いますよ。ここではいないかもしれないけれども、どっか行けば。
 そういう状況だということをちゃんと認識した上で、間違ったことは訂正するのが当然のことじゃないですか。間違っていたことは間違っていたと認識をして、よりいいものにしていくという言葉がどこにも出てこないんですね。これが残念でなりません。
 小池知事就任以来、都政の重要事項、多額な税金投入、こうしたことの意思決定に至る経緯が不明瞭なことが多過ぎる。今質問してきた築地跡地や旧こどもの城、入札改悪、その全てが説明責任が果たされているとはとてもいいがたい、私はそう思っています。
 知事サイドに間違いがあれば正す、都政が前に進むのではなく、後退するような可能性があるのなら、その思いつきにブレーキをかける、それが副知事や局長の役割じゃないんですかね。責任の所在を常に明らかにし、その責任を全う、果たしていただきたい、このことを申し上げ終わります。
 以上です。

○森村委員 国や地方公共団体が民間に発注する公共調達の契約実績は、中小企業庁の発表によれば、平成二十九年度で二十二兆円近い規模があります。その中で、平成二十九年度における都の物品や役務関係の調達は、その規模およそ五千億円と、かなりの規模感に上ります。
 欧米では、こうした公共調達を戦略的に政策目標の達成のために活用していますが、都としても、今後、取り組みを強化すべきではないかという問題意識のもとに、質問をさせていただきます。
 公共調達は、都民の税金を使って物品や役務の調達を行うわけですので、競争性、公平性、透明性を確保し、安価で品質の高い調達を行うことがまず、一義的に求められます。地方自治法でも詳細に規定されており、適切なガバナンスが求められることはいうまでもありません。一方で、恒常的に多額の資金が動く公共調達市場が持つ大きな影響力を生かすことで生じる政策誘導効果には、ポテンシャルがあります。ここに参入する事業者に、一定の社会的期待が寄せられることもまた、決して不自然なことではありません。
 公共調達にかかわるOECDのレポートの中では、最良の値段で物やサービスを調達する傍ら、技術革新を促し、中小企業を育成、発展せしめ、女性活躍を促すなど、戦略的な政策手段としても活用していくべきであることが示されています。
 こうしたいわゆるOECD勧告について、都としても積極的に推進すべきであると考えますが、都の公共調達における戦略的な取り組みについて伺います。

○新田見契約調整担当部長 地方自治体が進める政策を実現するために、公共調達における制度を通じて事業者の自発的な取り組みを誘導していくことは、政策実現のための手法の一つになり得るものと考えております。
 都の入札契約制度では、総合評価方式において、政策的評価項目として環境への配慮、女性活躍推進などを設定し、都の政策目的の実現に寄与する事業者を評価することとしております。

○森村委員 我が国でも、近年、こうした動きが少しずつ一般化しつつありますが、世界の公共市場に目を向けますと、二兆ユーロを超える規模感のEUでは、公共調達を政策目標の達成のために有効に活用すべく、EU公共調達指令の中で、十項目もの戦略を掲げています。その中で、例えばグリーン調達、イノベーション調達などが列挙されており、加盟国や都市が、その公共調達の方針として採用しているとのことです。
 都においては今後、新しい時代を築くために、行政的な視点からもさまざまなイノベーティブな取り組みが行われていくことを期待しています。
 そこで、公共調達を社会的目標達成のために、有効に活用するための体制を構築していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○新田見契約調整担当部長 公共調達は住民の貴重な税金を原資としており、競争性、公正性、透明性の確保や、品質の確保の観点が要請されております。また、地方自治体が締結する契約の方法などは法令等に規定されており、公共調達を通じて社会的目標を達成するためには、法令等の範囲内で、こうした観点とのバランスを考慮した制度運用が必要でございます。
 今後、環境や雇用などの政策目的の実現に向けて、公共調達が有効な手段となるためには、まずは事業所管局がそれぞれの事業展開の中の一つとして検討し、活用していくことが重要であり、こうした事業局の取り組みの趣旨に沿って、財務局も連携して制度運用に取り組んでまいります。

○森村委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 政策目標の達成という観点から例を挙げますと、例えば、東京からユニコーン企業を輩出することを目標に掲げた、未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクトや、現在まさに検討されている、都民の就労を応援するための新条例にかかわる基本的な考え方の中で示されましたソーシャルファームの育成など、こうしたものに対して公共調達市場が寄与できる余地があるのではないかと考えます。
 こうした、事業者にとって国や自治体と取引を行うことは、実績や信用を積むために非常に有用な手段であり、多くの事業者が望むところであるのはいうまでもありません。
 ぜひとも、こうした新規事業者の育成などにもまた、補助金等の財政的な支援に加えて、公共調達市場を活用する行政的支援を事業所管局と連携をしながら行っていただきまして、政策目標の達成に寄与いただけることを要望し、私の質問を終わらせていただきます。

○成清委員 都有地活用について伺います。
 都民の関心も高い待機児童対策は、都や都内区市町村にとって共通の課題であり、都民ファーストの会東京都議団としても重点施策に位置づけております。
 小池知事が就任後、直ちに取り組んだのが、待機児童解消に向けた緊急対策の取りまとめであり、都は待機児童解消に向けて、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の、三本の柱から成る集中的な取り組みを進めております。
 待機児童解消に向けた緊急対策では、保育所等の整備促進に向けて都有地の活用推進が盛り込まれておりますが、都はどのように取り組んでいるのか伺います。

○五十嵐財産運用部長 都は、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、平成二十八年九月に、副知事をトップとする都有地活用推進本部を設置いたしました。
 本部では、財務局所管の未利用都有地のみならず、公営企業局所管の土地も含む全ての都有地を対象に、年複数回、保育所等として活用可能性のある百平米以上の土地の洗い出しを行って、区市町村に情報提供をするとともに、提供した情報については、ホームページで広く公開しているところでございます。
 情報提供をいたしました都有地において保育所等を整備する際には、福祉インフラ整備事業のスキームを活用し、都有地を減額して貸し付けることとしており、従来は都が直接公募を行い、事業者に都有地を貸し付けてまいりましたが、区市町村の主体的な取り組みと迅速な整備を促すため、事業者への転貸を前提とした区市町村への貸付制度を導入いたしました。
 これらの取り組みを通じ、本年九月末までに、二百六十三件の都有地情報を区市町村に提供した結果、六件の新たな保育所等が開設済みで、来年度以降も八件の開設が予定されております。

○成清委員 都内待機児童数は、都有地活用推進本部設置前の平成二十八年四月には八千四百六十六名でしたが、直近の平成三十一年四月には三千六百九十名となっており、都庁挙げての待機児童対策の効果が出ているものと理解しております。
 待機児童問題の解決に向けて、保育所等の整備に都有地を最大限活用するべく、区市町村への細やかな情報提供、減額貸付、転貸制度など、全庁横断的な取り組みが進められ、成果を上げていることを確認いたしました。
 ただいま答弁のあった福祉インフラ整備事業では、都有地活用推進本部が設置される以前から、都営住宅の建てかえに伴う創出用地などの、大規模な都有地の情報を区市町村に提供して、高齢者施設や障害者施設の整備を進めてきたと聞いております。
 一方で、都有地活用推進本部の取り組みは、保育用途に特化して、比較的小規模な百平米以上の土地を全庁から幅広く洗い出したものとのことです。都心部においては、土地が足りないところも多く、比較的小規模とはいえ百平米以上の土地も重要になってきます。そのような土地が、本年九月末で二百六十三件と、先ほど答弁に出てきました。このうち十四件が保育所を開設済み、または開設予定とのことです。
 昨年の決算特別委員会でも我が会派の議員が関連する質疑をしており、その時点では、情報提供されたものが二百五十六件、保育所開設済み、また開設予定の物件が合計で九件でした。都から区市町村への情報提供件数がふえていることや、区市町村から引き合いのあった土地について保育所開設へと着実に進んでいることは理解いたしました。
 一方、都としては、細やかに情報提供していただき、都の土地をどのタイミングで保育所として活用するか、どのくらい保育所をふやしていくか、これは区市町村の判断になるわけですが、約九五%の土地が保育としての活用に至っていないことを考えると、保育以外の目的での使用可能性も考えられるのではないかと感じます。
 都や区市町村にとって目下の課題である待機児童問題に、優先的に取り組むことは当然ですが、都有地の価値の最大化を図る観点からは、時々の社会情勢や地域ごとの特性から生ずる多様な行政需要に的確に対応させながら、柔軟に利活用を図ることが都民の負託に応えることにつながると考えます。
 そこで、都有地活用推進本部で幅広く洗い出した土地について、保育を優先としつつも、保育以外の都民福祉の向上に資する施設の整備や、区市町村が抱える地域の課題解決のために、積極的に有効活用を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○五十嵐財産運用部長 都有地活用推進本部が情報提供した都有地におきまして、区市町村から保育以外の用途での活用意向が示された場合は、必要に応じて個別に対応しているところでございます。
 これまでも、練馬区の都有地において障害者施設の整備のため、事業を所管する福祉保健局が公募を行ったものや、足立区の都有地を学校用地として区に売却したものなど、本部による情報提供案件の中から、保育以外の公共用途で五件の活用実績があるところでございます。
 今後とも、多様な行政課題の解決に向けて、都有地活用推進本部の取り組みで得た都有地の全庁的な洗い出しや区市町村への情報提供などのノウハウを生かしながら、事業所管局とも連携いたしまして、都有地の有効活用を図ってまいります。

○成清委員 都が保育以外の用途でも、必要に応じて個別に都有地の活用を図っていることを理解しました。
 さまざまな行政需要に迅速かつ柔軟に都有地を活用していくためには、庁内における横の連携が不可欠であり、そのための仕組みを内在化していくことが重要です。こうした中、都は、保有不動産について、中長期戦略的活用を図るための全庁的な体制として、財産利活用プロジェクトチームを立ち上げていると聞いております。
 そこで、財産利活用プロジェクトチームの設置目的と取り組み状況について伺います。

○五十嵐財産運用部長 財産利活用プロジェクトチームは、山積する行政課題の解決はもとより、都財政の安定や将来の都市づくり等を見据えて、戦略的に都が保有する不動産等の有効活用を図るべく、全庁的なマネジメント体制を構築する目的で、本年一月に設置したものでございます。
 第一回プロジェクトチームでは、都有地情報の見える化の推進として、庁内における未利用地情報の集約化や、都ホームページにおける都有地の地図表示機能の構築の取り組みを報告したほか、中長期的、戦略的な最適活用に向けた方向性として、官民連携による新たな都有地の利活用手法の調査検討状況について、庁内の情報共有を図ったところでございます。
 今後とも、こうした体制もうまく活用しながら、庁内連携を緊密にとり、都有財産の一層の利活用に取り組んでまいります。

○成清委員 都が保有財産の最適利用を進めるため、さまざまな取り組みを進めていることを確認しました。
 財産利活用プロジェクトチームは、まだ本年一月に設立したばかりですが、都有地活用の仕組みを内在化し、ルーチンとしていくことは重要であり、全庁的に、民間とも連携しながら、都有地の最適活用がさらに深まることを期待します。
 都がこのような財産利活用の検討や取り組みを積極的に進めているものの、いまだ都有地の中には、活用が難しく、長く未利用のままとなっている土地があることも事実であります。
 こうした土地は、さまざまな土地の形状などによる制約だったり、地元との利害調整などの課題を抱えており、すぐに活用を図ることが難しいということも理解しておりますが、都民生活のさらなる向上に資する有効活用に向けて、財務局が総合調整機能を発揮し、庁内の横の連携をとりつつ、一層取り組みを進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたします。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十一分散会

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