財政委員会速記録第十二号

令和元年九月十二日(木曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長大松あきら君
副委員長早坂 義弘君
副委員長おじま紘平君
理事池川 友一君
理事石川 良一君
理事山田ひろし君
伊藤こういち君
清水やすこ君
つじの栄作君
秋田 一郎君
小磯 善彦君
大場やすのぶ君
清水ひで子君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務初宿 和夫君
契約調整担当部長新田見慎一君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長佐藤 千佳君
技術管理担当部長飯泉  洋君
庁舎運営担当部長後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君

本日の会議に付した事件
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十七号議案 都立永山高等学校(三十一)改築工事請負契約
・第百七十八号議案 都立立川学園特別支援学校(仮称)(三十一)増築工事請負契約
・第百七十九号議案 東京消防庁北多摩西部消防署庁舎(三十一)改築工事請負契約
・第百八十号議案  中川護岸耐震補強工事(その四十七)請負契約
報告事項(質疑)
・「平成三十年度東京都年次財務報告書」について

○大松委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託されました契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十七号議案から第百八十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○つじの委員 私からは、第百七十八号議案、都立立川学園特別支援学校(仮称)増築工事についてお伺いします。
 まず、工事の目的に関しては、第二次主要施設十か年維持更新計画及び東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、児童生徒の障害の重複化を踏まえ、既存の都立立川ろう学校に知的障害教育部門を新設し、聴知併設校として改編し、令和四年度に開校させるものであるとあります。
 工事スケジュールに関しては、今後、本定例会で議案が可決された後、工事に着手し、令和四年一月に竣工予定と聞いております。また、開校後の想定規模は、聴覚障害教育部門を百九十人程度、知的障害教育部門を百四十人程度と見込んでいるとお伺いしております。
 既存校においては、今年度の在校生は百七十人程度であり、都立立川学園特別支援学校(仮称)として開校した後には、現在よりも聴覚障害教育部門で二十人、知的障害教育部門で百四十人程度の児童生徒の増員がある見込みとのことです。
 そこでまず、本計画では、立川ろう学校に知的障害教育部門を増築するものですが、異なる障害を抱える学校の児童生徒に対して、施設の建築上の注意点や配慮している点、また工事の過程について、教職員のみならず児童生徒の保護者に対して、どのように説明をし、どのように理解を得ることを都としてお考えなのかお伺いします。

○佐藤建築保全部長 聴覚障害教育部門と知的障害教育部門の併置校につきましては、それぞれの障害種別の教育の専門性と児童生徒の障害特性に応じた適切な学習環境を確保する必要があるものと認識してございます。
 そのため、増築します校舎は別棟といたしまして、渡り廊下で既存の校舎と接続するなど、できる限り各障害教育部門のゾーンを分けて計画するなどの配慮を行ってございます。
 また、工事着手に当たりましては、これまでも保護者を対象とした説明会を行ってまいりましたが、引き続きこうした説明を行う予定でございまして、工事中におきましても、教育庁及び学校とも協議を行いながら、学校運営に支障がないよう取り組んでまいります。

○つじの委員 ご説明いただきありがとうございます。
 本計画は、新しい建物を立川市栄町一丁目十五番地七の敷地に、既存校舎の隣に増築する計画ですが、既存校舎は古いものだと築三十年を超えていると聞いております。今回新校舎を増築するに当たり、仮に今から二十年経過したとすると、既存の古い建物は築五十年が経過し、経年劣化が今以上に進むと考えられます。一方、今回の増築予定の建物はまだ築二十年ほどと、同じ敷地で三十年ほどの異なる築年数を経た複数の建物が存在することになります。
 このように、同じ敷地で築年数が数十年異なる建物が共存する場合、まず古い建物に関してですが、耐震基準、建物内部の配管の劣化の進行など問題はないものかお伺いします。
 また、今の例えで、本校が二十年ほど経過した場合、既存の建物は築五十年余りとなり、今回増築する建物は築二十年になるわけですが、それぞれの建物がどのような状況であり、それに合わせてどのような改修、改築を想定しているのか、都の見解をお伺いします。

○佐藤建築保全部長 既存のここ立川ろう学校の校舎につきましては、新耐震基準にのっとってつくられたものであることを確認してございまして、耐震安全性は確保されてございます。また、設備配管等につきましては、この劣化の度合い等を勘案いたしまして、今後、必要に応じて改修することとなります。
 現在、都有施設の目標使用年数につきましては、建築物の適切な維持管理や保全の実施などによりまして、長寿命化を推進し、六十五年以上の使用を基本としてございます。このことから、施設の劣化状況や建築物の機能の特性などにもよりますが、お話の築二十年であれば設備機器を中心とした改修、また、築五十年となりましたら改築を含めた維持更新手法を想定するところでございます。

○つじの委員 ご説明いただきありがとうございます。それぞれの建物の築年数に合わせた想定がされていることが理解できました。
 このたび、質疑をするための準備として、都の資料などに目を通しますと、今回、増築と表現されているものが、私の感覚だと古い建物と新しい建物を壁でつなぐものと思っておりましたが、ご答弁にありましたように、同じ敷地に別棟を建てて、古い建物と新しい建物を渡り廊下で接続するとのことで、私としましては、同じ敷地に校舎を建て増しをするという印象を持ちました。
 最後の質問になりますが、今回の増築工事の計画のような、同じ敷地内に築年数が大幅に異なる建物が併存する場合も、都所有建築物の改修や改築の計画や手段が、都民目線で見たときに最も効率的、効果的になっているものか、都の見解をお伺いします。

○佐藤建築保全部長 施設の維持更新手法の検討に当たりましては、施設ごとの劣化状況や建物の用途、規模などを踏まえまして、長寿命化、環境負荷の低減、維持更新のコストなどを総合的に考慮いたしまして、改築や改修など最も適切な手法を選択してございます。
 ここ都立立川学園特別支援学校(仮称)の増築工事におきましては、既存棟は築二十二年から三十二年でありますが、建物の劣化の状況や機能性からも継続して使用可能でありましたため、閉舎した寄宿舎棟の跡地を活用しまして、知的障害教育部門の校舎を増築するものでございます。
 都有施設は都民の貴重な財産であり、長期にわたり良質なストックとして有効に活用されることが重要でありますため、今後とも効果的かつ効率的な施設の維持更新を進めてまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。東京都として、都民の貴重な財産である都有施設についての誠意ある答弁をいただいたと解釈しました。
 今回、都立立川学園特別支援学校(仮称)について質疑させていただきました。今回の案件では、同じ敷地に三十年ほど築年数が異なる建物が併存する状況であります。新規に増築したものが仮に数十年経過した場合、築年数の古いものはさらに経年劣化が進んでいると考えられ、その際の都の対策や対応についてお伺いしました。
 都有施設の目標使用年数については、建築物の適切な維持管理や保全の実施などにより長寿命化を推進し、六十五年以上の使用を基本とするとのご答弁をいただきましたが、数十年間単位で見れば、今後、工事技術の進化や建築素材の改良などの進歩が期待されます。
 都民の財産である都所有の建築物の価値が毀損しないよう、今後も都として維持改修などの必要なときは、そのときそのときの最善を尽くすことを期待して、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大松委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○大松委員長 次に、報告事項、平成三十年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○おじま委員 平成三十年度の東京都年次財務報告書について伺いたいと思います。
 年次財務報告書は、毎年度、普通会計決算や健全化指標など通常の決算情報を公表するとともに、さまざまな角度から都の財政状況を分析して、都政を身近に感じてもらいながら都の財政運営への理解を深めていただく有用なツールとなっていると思います。
 初めに、今回の平成三十年度決算に対する評価について伺います。

○山田主計部長 平成三十年度決算は、都税の増収に加え、基金を積極的に取り崩したことや、将来を見据えて無駄の排除を一層徹底したことなどによりまして、実質収支は一千二百七十三億円の黒字となっております。
 具体的には、歳入全体の約七割を占める都税収入が、企業収益が堅調に推移したことなどによりまして前年度比三・三%増となったほか、三つのシティー実現に向けた基金の積極的な活用により繰入金が増加したことなどから、歳入合計は前年度比七・七%増の七兆八千六百八十八億円となっております。
 歳出については、東京二〇二〇大会の開催準備を着実に進めるとともに、歳出の精査を徹底しながら、待機児童対策などの福祉施策や豪雨対策などの災害に強い都市づくりなど、都が直面する課題への対応にも積極果敢に取り組み、前年度比八・一%増の七兆三千七百九十億円を計上しております。
 また、都債残高につきましては、発行額を低水準に抑えたことなどによりまして、前年度比六・二%減の四兆三百九十四億円となり、平成五年度以来の低い水準となっております。
 このように、平成三十年度は、施策の積極的な展開と財政の健全化の確保という、二つの目標を両立させることができたと考えております。

○おじま委員 ただいま、施策を積極的に展開することと財政の健全性を確保すること、この二つを両立することが平成三十年度決算ではできたという答弁をいただきました。積極的な施策の展開というのと財政の健全性の堅持の両立というのは、とても重要なことだと思います。
 平成三十年度決算を見れば、積極的に施策を展開しながらも、都財政は実質収支が千二百億円超の黒字となりまして、また、経常収支比率はバブルが崩壊する前の平成三年度以来の低水準となるなど、弾力性が高い健全な状態を堅持しているということがわかります。
 しかし、過去を振り返れば、平成十年度の決算では一千億円を超える実質収支赤字を計上するなど、財政再建団体へ転落する一歩手前という都財政の危機も経験をしておるわけでございます。
 現在の都政を担う我々としては、過去と同じ轍を踏まないためにも、平成の三十年間という過去の財政運営から謙虚に学ぶとともに、将来に向けては、中長期を見通す視点を持って財政運営に臨むことが大事だと思います。
 都では、今後、財政収支の長期推計を作成することとしておりますけれども、平成の時代三十年間の財政運営から得られた経験を踏まえて、どのように長期推計の作成に臨んでいくのか伺いたいと思います。

○山田主計部長 平成の三十年間の財政運営から学んだことは、先を見据えた計画的かつ戦略的な財政運営の重要性でございます。本格的な少子高齢、人口減少社会の到来、激動する世界経済など、都財政を取り巻く環境が大きく変化している中で、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていくためには、中長期的な財政見通しを持ち、その上で計画的かつ戦略的な財政運営を行っていくことが重要であると考えております。
 こうした考えのもと、財政収支の長期推計の作成に当たりましては、まず歳入面におきましては、歳入所管局であります主税局と密に連携し、景気変動の影響を受けやすい不安定な都の財政構造を踏まえ、最新の景気動向なども考慮した検討を進めてまいります。また、歳出面では最新の人口推計など社会構造の変化を踏まえ、都の人口動態が財政需要に与える影響を考慮しながら、社会保障関係経費などの財政需要を推計していきたいと思っております。
 今後、二〇四〇年代を見据えた未来を切り開く羅針盤となる長期戦略の策定に合わせまして、財政収支の長期推計を明らかにしていきたいと思っております。

○おじま委員 未来を切り開く羅針盤となる長期戦略ということなんですが、この長期戦略が羅針盤であるならば、財政収支の長期推計というのは、いわば今後の財政運営の航路であると思います。今後、この進むべき航路が明らかになることは、都財政にとっても望ましいことだと思っております。
 しかし、せっかく航路ができたとしても、船の進路が航路から外れてしまっては意味がないわけでありまして、この航路に従って着実に船を進めていく上で重要なのがかじ取りであります。不透明な世界経済の動向、そして人口減少、あるいは少子高齢化など、都財政を取り巻く状況が不確実さを増す中で、財政運営のかじ取りはますます重要になってまいります。
 そこで、財政運営のかじ取りの責任者、都財政という船の船長である局長に、今後の財政運営に向けた決意を伺いたいと思います。

○武市財務局長 東京が、日本全体の発展を力強く牽引する成長と、誰もが安心して豊かに暮らす成熟、この二つが両立した都市へとさらなる進化を遂げるためには、今後策定される長期戦略に掲げる施策を着実に実施をしていく必要がございます。一方で、都の歳入の根幹をなす都税収入は、景気変動の荒波を受けやすい、そういった構造的宿命を抱えております。
 昨年度は、偏在是正という名のもとに強行されました不合理な地方法人課税の見直しがありまして、その影響が令和二年度からあらわれてまいります。加えまして、東京都は地方交付税の不交付団体でありますことから、他の自治体以上に自立した財政運営を行っていく必要がございます。このような中にありましても、財政当局といたしましては、東京が抱える課題の解決あるいは成長促進に向けまして必要な諸施策に対しまして、しっかりとした財源的裏づけを行っていくということが私どもの責務だというふうに考えております。
 しかしながら、平成の時代、その中には財政危機にも直面をいたしまして、綱渡りの財政運営を強いられた、そういう時期もあったりするなど、私ども教訓として引き継ぐべき点がございました。こうした過去に学び、その上で未来に目を向けていくことが重要でありまして、現在検討を進めております財政収支の長期推計も、こうした点を踏まえて作成していきたいと考えております。
 先ほど主計部長が、平成三十年度につきましては、施策の積極的な展開と財政の健全性の堅持、これが両立できたというふうに分析申し上げましたが、令和の時代の財政運営におきましても、平成の時代に培ってまいりました財政基盤を堅持し、都民の暮らしと東京の成長を支える積極的な施策展開を財政面から下支えしていきたいと考えております。
 治まりて乱るるを忘れず、治にいて乱を忘れず、このような言葉がございますが、この言葉を職員一同、肝に銘じておきたいと考えております。

○おじま委員 二〇二〇までも大事なんですけれども、大会自体も大事なんですけれども、その後、二〇二〇後が大事ということもこれまでも申し上げてきておりまして、大会後の明るい東京の未来をつくり上げていくためにも、財政運営の航路となる財政収支の長期推計が非常に重要であると思っております。
 今後、長期戦略の策定に合わせて作成を進めていくことになるということでありますけれども、本日、船に例えてこの質問をしたんですけれども、燃料の管理と配分というのも、これが財務局の最大の職責であると思っております。関係各局と連携して、しっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、今週月曜日に首都圏を直撃した過去最大クラスといわれる台風が、都内でも島しょ部を含めて各地域に建物被害や倒木、停電などの甚大な被害をもたらしております。
 これまでもしっかりと対応してきていただいていると思いますけれども、引き続き豪雨や猛暑対策、大規模地震への備え等々、誰もが安心して暮らすことができる社会を築くための施策に対しても、財務局としてしっかりと財政面でのフォローをしていただきますことを強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○大場委員 年次財務報告書につきまして、確認の意味も込めまして何点かお聞きしたいと思います。
 今回、報告がありました平成三十年度普通会計決算の歳出総額は七兆三千七百九十億円。バブル期を超えて過去最大ということであります。このうち、一般歳出は前年に比べて一五%もふえています。もちろん、これは大きな問題と矛盾を放置したまま、最終補正予算に詰め込まれた五千億円以上の築地市場跡地の有償所管がえ経費が含まれているからでしょうが、きょうはこの問題を取り上げるつもりはありません。申し上げたいのは、政策的経費である一般歳出も大きくふえているということです。
 では、財政状態はどのような状況かといえば、ただでさえ他県と比べて低い経常収支比率や公債費負担比率はますます改善し、その差は広がるばかりです。一言でいえば、東京は誰もがうらやむ財政優良団体です。開会まで一年を切ったオリンピック・パラリンピックの準備経費も、これまでためてきた基金で賄うわけですから、支出がふえていること自体、何も心配する必要はないのかもしれません。
 しかしながら、私は時折、将来の都財政に漠然とした不安を抱くことがあります。
 というのも、ここで特定の施策を申し上げることまではいたしませんが、最近余りにも一線を超えた補助事業や財政支援、乱暴なお金の使い方が多く見受けられるからです。他県から見れば、ますます都はお金持ちだと思われないでしょうか。再び貴重な都税が拠出を強いられる事態につながりはしないでしょうか。こうした視点も大事だと思います。終期を設けたとしても、一旦始めたものを本当にやめられるのか、こんなことが続いてこの先の都財政は大丈夫なのか、都の財政運営を一手に担う財務局の皆様方も、同じような思いに至ることがあるのではないでしょうか。
 今回の年次財務報告書における特集テーマが、平成の都財政を振り返るであります。右肩上がりの税収がバブル崩壊で一気に落ち込み、盤石であった都財政は、あれよあれよという間に危機に陥り、とうとう平成十年度には過去最悪の一千億円を超える赤字決算に転落。息も絶え絶えであった都財政を回復に導いたのは、就任直後の石原知事でありました。都財政を回復させるため、目先の人気取りに走ることなく、財布のひもをきつく縛り、長くつらい財政再建に取り組まれたのであります。
 財政再建の取り組みは、平成十八年度までとなっています。都財政の危機が叫ばれてから随分と時間がたった今、我々はこの問題がどういうものであったのかを共有すべきであります。
 そこで、確認の意味も込めまして、財政再建の取り組みはどういうものであったのか、都にとってどのような意味を持つ取り組みであったのか、詳細かつ具体的な答弁を求めます。

○山田主計部長 都では、二次にわたる財政再建推進プランを策定いたしまして、内部努力、施策の見直し、歳入確保、地方税財政制度の改善という四つの柱を立てて財源確保に取り組みました。
 財政再建を進めていくためには、都民の理解を得ることが不可欠であり、そのためには、まず、都みずからの身を切る内部努力に取り組むことが必要でありました。
 そのため、平成十二年度から十八年度にかけての七年間に、職員定数を約一万一千人以上削減するとともに、職員給与につきましても、当時全国で最も厳しい四%の時限的削減措置を実施するなど、内部努力に徹底して取り組んだものでございます。
 同時に、時代変化に即して、都の施策の範囲及び水準を見直すとの考え方のもと、投資的経費を、ピーク時である平成四年度に比べ、平成十六年度には約三割の水準にまで削減するなど施策の見直しを進めたほか、歳入面においても徴収努力を重ね、都税の徴収率を向上させるなど、積極的な取り組みを進めました。
 このような取り組みによりまして、プランで掲げた巨額の財源不足の解消という目標を達成し、平成十七年度決算では実質収支を黒字に転換させるなど、財政再建に一つの区切りをつけることができたものでございます。
 都といたしましては、この間の施策の見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後もこうした見直し努力を継続していくため、事業評価の仕組みを再構築いたしました。事業評価は、無駄の排除を徹底し、事業の効率性や実効性を高める取り組みとして、実績を積み重ねているところでございます。

○大場委員 ただいまのご答弁にございましたが、財政再建に取り組んだときの施策の見直しが、現在の事業評価につながっているとのことであります。そして、その事業評価はそのやり方自体、年々改良を重ね、財源確保額も毎年ふえていると聞いております。行政としてあるべき姿であり、その取り組み自体を否定するつもりはありません。
 しかし、その内容はどうなのでしょう。単なる上辺の金額精査にとどまってはいないのでしょうか。効果の上がらない施策は果たしてきちんと見直しされているのでしょうか。事業評価の取り組みが始まって十年以上が経過いたしました。
 そこで、現在取り組まれている事業評価の取り組みの本質は何であると考えられているのか、そのためにどのような工夫を凝らされているのか、答弁を求めます。

○山田主計部長 事業評価の取り組みの本質ということの質問でございますけれども、都における事業評価はマネジメントサイクル、いわゆるPDCAサイクルを構築することにあります。事業の不断の見直しを進めていくためのツールでございます。その本質は、みずからを改革する力、すなわち自己改革力を都庁組織に内在化させ、行政自身の体質を変革していこうとする取り組みでございます。
 こうした考え方のもと、事業評価を予算編成の一環として位置づけ、事業の成果や決算状況を厳しく検証した上で、見直し、再構築、拡大、充実などの評価を行い、効率的で無駄がなく実効性の高い施策の構築につなげているところでございます。さらに、関係部局と連携した専門的視点からのチェックや、新たな公会計手法の活用など、評価手法を充実させるとともに、全ての事業に終期を設定し、終期を迎える事業に対する事後検証を徹底するなどの工夫を重ねてまいりました。
 引き続き事業の効率性や実効性をさらに高めていくため、事業評価の取り組みを深化させていきたいと思っております。

○大場委員 今、事業評価に対するお考えについてご答弁をいただきました。
 もちろん、財政危機にあるときと現在とでは、本気度が異なることもあるかもしれません。そもそも必要な都民サービスを削減することはもってのほかでありますし、あくまでも、都財政は都政を支えるためにあるものです。
 しかしながら、安定的な政策展開は、都財政の安定があってこそなし得るものです。そのためには、基金や都債も重要ですが、本質は自己改革力、すなわち施策の見直しを自力で行う意思と力を持ち続けることだと私は思います。
 これまでも、本委員会では話がありましたが、都は地方交付税の不交付団体であります。不交付団体ということは自立経営をしなければなりません。その意味するところは、ひとえに東京都の経営は誰のせいにできるものではなく、知事、そして財政当局の皆様の手腕に委ねられているということです。
 幸いなことに、都財政において、財政危機という言葉はもはや過去の言葉となっています。あと数年もたてば、職員の皆様の大半は、いわゆる都財政の危機を経験されたことのない方々が占めることになるのでしょう。
 最初の話に戻りますが、二十年前、瀕死の状態にあった都財政を見た石原知事は、今さえよければよいという考えではなく、この道を繰り返してはならないという思い、そして誰よりも都財政の未来に対する危機意識をお持ちだったのではないでしょうか。
 翻って現在はどうなのでしょうか。都財政の今を預かる皆様はどう考えていらっしゃるのか。
 そこで、今後の財政運営における危機意識をどのようにお持ちなのか、危機管理をいかにしているのか、財政当局としての見解を伺います。

○山田主計部長 都は、法人二税の依存度が高く、景気変動の影響を極めて受けやすい収入構造を持っており、また、地方交付税の不交付団体であることから、激しい税収変動に対してみずからの力のみをもって立ち向かわなければなりません。さらには、昨今の不透明な世界経済の動向や、国際的な都市間競争の激化、人口減少や高齢化のさらなる進展、そして今般の税制の見直しの影響など外的要因も鑑みると、都財政の先行きは予断を許す状況にはないというふうに考えております。
 今から十年ほど前のリーマンショックの後、平成二十一年度の都税収入は、一年間で約一兆円もの大幅な減収に見舞われました。そのような中にあっても、財政の健全性を損なうことなく安定的な行政サービスを維持することができたのは、基金を着実に積み立ててきたことや、事業評価を初めとする自己改革の取り組みを地道に続けてきたことによるものであります。
 今後とも、個々の事業の必要性や有用性を絶えず厳しく検証し、より一層無駄の排除を徹底していくとともに、基金や都債を戦略的かつ計画的に活用するなど、強固な財政基盤を築くための取り組みを継続していく必要があると考えております。

○大場委員 皆様のご認識についてご答弁をいただきました。
 誤解を恐れずにいえば、財政危機は急激な税収減により突然起こるものではないと私は考えています。
 財政危機というものは、将来に対する危機感、危機意識が、月日の経過とともにいつの間にか失われ、意思を持つことなく漫然と流されている間にそっと忍び寄り、気づいたときには陥っているものではないかと私は思っています。
 財政は一にも二にも堅実が大事です。これから来年度の予算編成作業が本格化するとのことですが、事業の見直し、基金の備え、そして何よりも財政当局の皆様が財政当局としての矜持を持ち、真に都民のためとなる真摯な予算編成をなされることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小磯委員 平成三十年度の東京都年次財務報告書についてお伺いいたします。
 今般発表されました年次財務報告書によりますと、平成三十年度の実質収支は一千二百七十三億円の黒字と、財政の弾力性を示す指標であります経常収支比率、これは七七・五%ということで、他県と比べても健全な水準を維持しているところであります。
 その一方で、都財政は、他の道府県に比べて法人二税の割合が高く、景気変動の影響を受けやすく、交付税の不交付団体であることから、他の道府県以上に自立的な財政運営が求められているということでございます。
 加えて、今般の令和元年度税制改正において、地方法人課税の新たな偏在是正措置が導入され、これから編成が本格化する令和二年度予算から大きな税収減が見込まれるということで、都の財政状況は決して楽観視できるものではございません。
 先般、建設局の資料の中に、いわゆる道路と河川とか公園とか、いわゆるこのハード面の社会資本総合整備事業、これに対する国の交付金というのがあるんですけれども、その額そのものは徐々に伸びてはいますが、全国に占める東京の交付金のシェア、これが平成二十五年のときは一〇%、東京、大体人口が一〇%ですから、それに見合ったそれなりの交付金があったんですけれども、平成三十一年当初ではシェアが七・五%にまで減っているということで、そうした国の厳しい姿勢もここに来てあらわれているのかなと、そういうことでございます。
 政策の面では、来年に迫った東京二〇二〇大会の成功に向けた取り組みを確実に進めることはもちろんでありますが、例えば、高齢ドライバー対策などの東京が抱える喫緊の課題への対応、防災対策の強化、社会資本ストックの維持更新、社会保障関連施策の充実などと、さらには二〇二〇年のさらにその先を見据えた新たな長期計画の作成など、課題は山積をしているわけであります。
 こうした現状、そして都の財政の特徴を考えれば、積極的な施策展開を支えるその強固な財政基盤というのが、本当に重要であるということでございます。中でも、税収減などの不測の事態に備えるとともに、財源の年度間調整機能を持つ基金の戦略的な活用が極めて重要であることについては、我が党も、この基金ということについては、かねてから強く主張しているところでございます。
 今般発表された年次財務報告書では、平成の都財政を振り返ると題して、この三十年間の財政運営について分析が載っております。そこで、平成の時代における都の財政運営を、この基金という切り口から振り返って、二〇二〇年の先も健全な財政運営を行っていくための視点などについて検証したいと思います。
 まず初めに、平成三十年度決算における基金の状況、これを三つのシティー実現に向けた基金と、それから健全な財政運営のかなめともいえる財政調整基金、この二つに分けて説明をいただきたいと思います。

○山田主計部長 平成三十年度においては、社会資本ストックの維持更新や耐震化、不燃化などの防災対策、待機児童対策など、喫緊の課題の解決へつながる施策を積極的に展開し、これらの財源として、社会資本等整備基金や防災街づくり基金、福祉先進都市実現基金などを活用したところでございます。
 その結果、これら三つのシティー実現に向けた基金全体の残高は、一兆五千百八十九億円と、対前年度で三千四百七十八億円の減となっております。
 一方で、財源の年度間調整のかなめとなります財政調整基金につきましては、都税収入の増などに伴い積み立てを行っておりまして、平成三十年度末時点で、対前年度で一千二百六十三億円の増となります八千四百二十八億円の残高を確保しているところでございます。

○小磯委員 この三つのシティーの実現についての基金、これについては財源として積極的な活用、これを図る一方で、今度はこの財政の年度間調整のかなめとなります財政調整基金、これについては着実に積み立てを行っているということが理解をしたところでございます。
 二〇二〇年を見据えて、東京のさらなる成長に向けた取り組みをしっかり進めると同時に、大幅な税収減など不測の事態への備えについても、しっかりと目くばせをしているということだと思います。
 さて、今回の年次財務報告書では、平成の三十年間の一時期では、バブル経済の崩壊と財政再建団体転落の危機、二つ目の時期としては、財政再建の取り組みとその達成、三つ目の時期としては、強固で弾力的な財政基盤の構築、こういう三つの時期に区分をして、都債、財政調整基金の推移などに着目して、それぞれの時期における財政運営を分析しておられるわけでございます。
 そこで、平成のこの三十年間における財政調整基金の推移に着目して、この三つの時期との関係について、その観点からご説明をいただきたいと思います。

○山田主計部長 ただいま委員にご紹介いただきました三つの時期でございますけれども、第一の時期であります平成元年度から十年度にかけましては、バブル経済の崩壊に伴い、都税収入が三年間で約一兆円も減少する一方、国の経済対策に呼応する形で都債の発行をふやし、身の丈を超えた高い歳出水準が続いておりました。その結果、都財政は平成十年度決算で、過去最悪となります一千六十八億円の実質収支赤字を計上し、財政再建団体転落の危機に直面することとなったものでございます。財政調整基金につきましても、平成元年度末には三千五百二十二億円あった残高が、平成九年度末にはわずか十億円にまで落ち込むこととなり、ほぼ枯渇する状態に陥りました。
 その後、第二の時期となります平成十一年度からは、二次にわたります財政再建推進プランに基づきまして、職員定数の一万人以上の削減や投資的経費の大幅な抑制など、施策の見直し、再構築に全力を挙げて取り組み、また、税収回復の機会を捉えまして、基金の着実な積み立てに励みました。財政再建に一つの区切りをつけました平成十七年度末時点では、財政調整基金の残高は三千九百三十九億円まで回復したところでございます。
 第三の時期となります、財政再建を達成いたしました平成十八年度以降でございますけれども、事業評価による無駄の排除を徹底して進めるとともに、税収の増加局面において着実に基金を積み立ててまいりました。
 平成二十年のリーマンショック後に、一年間で一兆円、税収が落ち込んだ際にも、積み立ててきた基金を活用することで、安定的な行政サービスを維持することができており、それまでに培った財政対応力を発揮することができたと考えております。
 平成三十年度決算では、さきに述べましたとおり、財政調整基金に八千四百二十八億円の残高を確保するに至ったところでございます。

○小磯委員 今お話ありましたように、減収局面においても歳出を抑制するというだけでなく、税収の増加局面においては、将来に備えて基金の残高をしっかりと積み増していくと、そういう歴史がこの十年、二十年とあったようでございます。これによって、税収の減少局面においても、基金を活用しながら、都民のサービスの水準をしっかりと維持するということが可能になるわけでございます。
 税収が大きく変動するという都財政の構造的な課題に対して、このように的確に対応してきたことで、リーマンショックにおける税収減なども乗り越えることができる堅実な財政運営が実現できたのだと思います。
 そこで、今後の財政運営を支えていくために、考えていくために、この財政調整基金、これについてもう一段掘り下げてお伺いをしたいと思います。
 都財政が危機に直面していた当時、年度間調整のかなめとなるはずの財政調整基金は、枯渇寸前の状態まで追い込まれているわけであります。
 こうした状況を踏まえて、基金について、都財政はどのような対応、また工夫を行ってきたのかお伺いいたします。

○山田主計部長 財政調整基金は、税収増があった場合などに積み立て、財源が不足する場合などに取り崩すことによりまして、年度間の財源を調整し、長期的視点から財政の健全な運営を図ることを目的とする基金でございます。
 地方財政法では、長期的視点に立った財政運営の一環といたしまして、決算剰余金などの財源が生じた場合などに、地方公共団体に対しまして積み立てを行うことなどを義務づけているところでございます。
 これに加えまして、都は独自の制度といたしまして、昭和五十五年に財政調整基金条例を改正いたしまして、都税の増収が見込まれる場合には、一定部分を基金に積み立てることをみずから義務づけ、急激な経済変動に弾力的に対応できる財務体質の確立を図ってまいりました。
 その後、バブル経済崩壊後の長引く景気低迷の中で、基金の取り崩しが続き、財政調整基金の残高がほぼ底をつく見込みとなったことから、平成九年に、都税収入の伸びが低水準であっても確実に基金積み立てを実施できるよう、積立基準を変更する制度改正を行ったところでございます。
 このように、都独自の義務積み立ての制度を設けたことで、着実に財政調整基金を積み立てる仕組みを都財政に備えたところでございます。

○小磯委員 東京都は、地方財政法における積み立ての義務づけ以上の、いわゆる都独自の積み立ての制度によって、たとえ税収の伸びが低い状況にあっても、税収の伸びの一部は必ず基金に積み立てをするということをしてきたわけでございます。都財政はこうした義務をみずからに課してきたということで、こうした工夫というのは、まさにこの平成三十年間のいろいろなことを経験した中での、いわゆる財務局を初め、都の職員、また我々議会の努力と知恵の結果なんだなというふうに思うわけでございます。
 都議会公明党は、公会計制度の導入、そして定数の削減、また監理団体の削減などの行政改革、また事業評価、そしてまた議会がみずから身を切る改革などを強力に推し進めてきたわけでございます。こうした都と、そして議会と、この先見のある取り組みのおかげで、将来にわたり都民生活を守っていくための大きな安心材料が得られているのだと思います。
 今後は、東京二〇二〇大会を間近に控え、都と国、大会組織委員会などが協力して取り組んでいかなければならない事業は山ほどございます。また、さらに、長期戦略の策定に向けて先般発表されました未来の東京への論点にもあるように、東京の将来を見据えると、国際競争力の強化を初め、取り組まなければならない課題が山積をしているわけでございます。長期的にも、都政には膨大な財政需要があることは間違いありません。こうした中、将来をしっかり見据えながら、現在確保されている基金の動向について注視していく必要があります。
 そこで、都の今後の施策展開を支えるための財源である基金について、今後の見通しと考え方をお伺いいたします。

○山田主計部長 三つのシティー実現に向けた基金につきましては、東京二〇二〇大会の開催準備と二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる施策の着実な展開に必要な財源として活用することとしておりまして、今年度は五千五百七十七億円の取り崩しを予定しているところでございます。
 大会後は、防災対策など都民の安全・安心の確保や、福祉施策の充実など、誰もが生き生きと活躍できる都市の実現に向けた取り組みなどを着実に推進するための財源として、戦略的に活用してまいりたいと思います。
 また、財政調整基金につきましては、今後も着実に積み立てることで、景気後退に伴う大幅な減収局面があった際でも、安定的に行政サービスを提供していくための財源として活用することを想定しているところでございます。

○小磯委員 これからも基金の戦略的な活用を図っていくということでございますが、本当にそれは重要性を増してくると思います。
 七月には、令和二年度東京都予算の見積もりに関する通達が出されたところでありますが、令和二年度は、東京二〇二〇大会の成功とその先の成長を実現するために、大変重要なターニングポイントとなる年でございます。
 さらに、先般の我が党の、のがみ議員の代表質問に対する小池知事の答弁にもございましたように、現在策定中の長期戦略に掲げられている施策の実現のためには、強固な財政基盤の確保に向けた検討が重要であります。
 東京二〇二〇大会については、将来に負担を残さないという考え方に基づき、大会経費六千億円の財源の全額を基金で賄うこととしており、今年度、大会関連経費分を含め、基金の取り崩しはピークを迎えております。しかし、大会後の財政運営を見据えれば、都財政のターニングポイントである今、基金についてはしっかりと積み増しをしていく方向に軸足を移すべきではないかと思います。
 東京の財政構造を踏まえ、さらなる計画的、戦略的な基金の活用を進め、盤石な財政基盤を構築することで、都民生活の安全・安心をしっかりと守り、SDGsの視点をもとに、東京の未来を明るいものとする戦略的な施策を展開していくことを強く求め、私の質問を終わります。

○池川委員 報告事項の平成三十年度東京都年次財務報告書についてお伺いをいたします。
 年次財務報告書では、昨年度の決算状況を踏まえて都財政の状況が報告をされています。形式収支で四千八百九十七億円、翌年度の繰り越しを差し引いた実質収支では一千二百七十三億円の黒字となっております。三月最終補正予算で、築地市場の有償所管がえ五千四百二十三億円の歳出があるため、実態としてはさらに大きな規模の黒字であったと見ることもできます。
 また、経常収支比率は、都道府県平均が一〇〇%を超える中で、七七・五%ということであります。現時点では法人二税などの税収増があり、都債発行も減少傾向になっております。
 重要なのは東京オリ・パラ大会が終わる二〇二〇年度以降だと考えます。オリ・パラ大会に合わせて経済活動がさまざま行われており、その後の都内経済がどうなるのか、そこには不透明な部分があると感じています。
 そういう意味で、財政運営をどのような見通しを持って行うかが問われています。二〇二〇年度以降の財政見通しについてはどのように考えているのか、財務局の見解をお伺いいたします。

○山田主計部長 都財政は、歳入の根幹をなす都税収入が景気動向に左右されやすい不安定な財政構造を有しており、また令和二年度からは、いわゆる新たな偏在是正措置の導入に伴う、さらなる減収も見込まれているところでございます。
 一方、歳出面におきましては、大規模地震への備えや超高齢化への対応などの、都政が直面する諸課題の解決に向けた施策や、東京が成長を生み続ける成熟都市として進化を図るための取り組みを積極的に展開していくことが求められることに加えまして、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費など、将来にわたり避けることのできない財政需要を抱えている状況にございます。こうした状況を踏まえますと、今後の都財政の見通しは、決して楽観視できるものではないというように考えているところでございます。
 東京二〇二〇大会後の財政運営に当たりましては、これまでの行政にはない新たな発想の一層の活用を進めるとともに、戦略的視点から施策を改めて見直し、より一層の無駄の排除を徹底すること、そして、都債や基金を戦略的かつ計画的に活用することで、強固で弾力的な財政基盤を堅持していくことが重要であると認識しているところでございます。

○池川委員 今後の財政見通しは決して楽観視ができるものではないこと、今後の財政運営については、戦略的な視点から改めて見直しを行い、無駄の排除や基金戦略、都債の活用などを行い、強固で弾力的な財政基盤を堅持していくということです。
 ことし十月から消費税増税が行われれば、景気には甚大な影響を及ぼすことは明らかです。さらに、国による偏在是正措置によって財源を失うことになります。こうしたことを踏まえた財政運営が求められています。
 また、もう一つの視点として、先ほど答弁の中でも、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費など、将来にわたり避けることのできない財政需要があるという答弁がありました。今後の東京都の財政需要についてもきちんと捉え、財政運営を行っていくことが重要だと思います。
 例えば、教育人口推計によると、二〇二〇年度を境にして公立中学校卒業予定者が増加の一途をたどることとなっており、その数は二〇二〇年度と二〇三〇年度を比較すると一万一千七十二人の増加となります。一万人の高校生が新たにふえるということになり、この増加にどう対応するかというのは、まさに新たな財政需要だと考えます。
 また、代表質問でも指摘をしましたが、高齢者福祉の予算がふえていないのが実情です。介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、通所リハビリテーションなどは、全国の最下位クラスに近い整備率となっています。こうしたものもきちんと引き上げていく必要があります。東京の六十五歳以上の人口増加率が、二〇四〇年に全国の一・九倍になるとの試算もあり、安心して住み続けられる高齢社会への対応が求められていると思います。
 また、公営住宅の応募倍率は、最新の二〇一六年度で全国平均が四・四倍のときに、東京は二十・七倍に上ります。近県でも埼玉が四・二倍、千葉が五・一倍、神奈川県が九・〇倍ですから、東京が突出をしているということになります。こうした視点も持ち合わせて財政運営を行っていただきたいというふうに思います。
 この間、都財政を運営する中で、基金の戦略的な活用が重視をされてきました。東京の抱える課題解決を、とりわけ都民の暮らしや福祉を充実させるという視点で、安定的な財源を確保していくことが重要です。
 そこで改めて確認をしたいと思いますが、財政調整基金の活用を初め、各種基金の活用はどのように行っていくのか、位置づけとともに伺いたいと思います。

○山田主計部長 都の基金には、財源として活用可能な基金と位置づけております財政調整基金と、福祉先進都市実現基金や防災街づくり基金などの三つのシティー実現に向けた基金などがあります。
 財政調整基金は不安定な都税収入を補い、財源が著しく不足する場合などに取り崩すことによりまして、年度間の財源調整を図ることを目的とするものでございます。
 また、三つのシティー実現に向けた基金は、ダイバーシティー、スマートシティー、セーフシティーの三つのシティー実現に向け、施策を安定的かつ戦略的に展開していくための財源を確保することを目的としたものでございます。
 このように、基金は、景気変動に伴う大幅な税収減や将来の財政需要などに備え、東京が抱える課題の解決とより一層の成長創出に向けた施策を展開していくための財源として、財政運営上重要な役割を果たしております。引き続き、計画的な積み立てと戦略的な活用に努めていきたいと考えております。

○池川委員 基金の戦略的活用というときにも、ぜひ、都民の暮らしや福祉をどう位置づけて充実していくのかという視点で取り組んでいただきたいということを一言申し上げておきます。
 最後に、この年次財務報告書の中で、東京と日本の持続的成長に向けて掲げられているのが、羽田空港の機能強化、外環道の早期整備などになっている問題について一言申し上げます。
 羽田新飛行ルート問題は、代表質問でも我が党は厳しく追及をいたしました。都側が、地元の理解と協力が前提としてきたことを一方的に覆すなど、重大な問題があります。
 また、これも代表質問で厳しく指摘をしましたが、都市計画道路の検討途上で、専門家のアドバイザーから費用対効果について声が上がったにもかかわらず、都側が、時間や費用がかかったとしても整備は必要であるため、財政面は考慮しませんと答えた大問題があります。
 こうした問題については抜本的に見直すことを求め、質問を終わりたいと思います。

○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十九分散会

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