委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
理事 | 池川 友一君 |
理事 | おときた駿君 |
理事 | 石川 良一君 |
つじの栄作君 | |
清水やすこ君 | |
大場やすのぶ君 | |
秋田 一郎君 | |
小磯 善彦君 | |
山田ひろし君 | |
清水ひで子君 |
欠席委員 一名
出席説明員財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長財政企画担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 初宿 和夫君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 山田 忠輝君 | |
財産運用部長 | 山根 恭子君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 小野 幹雄君 | |
技術管理担当部長 | 飯泉 洋君 | |
庁舎運営担当部長 | 後藤 徹也君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
主税局 | 局長 | 目黒 克昭君 |
税制部長 | 副島 建君 | |
税制調査担当部長 | 栗原 哲治君 | |
会計管理局 | 局長 | 土渕 裕君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 野口 一紀君 | |
警察・消防出納部長 | 加藤 政弘君 | |
会計制度担当部長 | 斎田ゆう子君 |
本日の会議に付した事件
会計管理局関係
報告事項(説明)
・平成三十年度公金管理実績(上半期)について
財務局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入
・警視庁志村警察署庁舎(三十)改築工事請負契約
・都立久留米特別支援学校(仮称)(三十)改築及び改修工事その二請負契約
・都営住宅三十CH-一一〇東(江東区辰巳一丁目・江東区施設)工事請負契約
・産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築電気設備工事請負契約
・産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築空調設備工事請負契約
・産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築給水衛生設備工事その二請負契約
・綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十四)請負契約
・小名木川護岸耐震補強工事(その四)請負契約
・北十間川護岸建設工事(その三)請負契約
・神田川整備工事(その二百十一)請負契約
・当せん金付証票の発売について
報告事項(説明・質疑)
・地方法人課税の「偏在是正措置」に関する東京都の見解について
○大松委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに会計管理局及び財務局関係の報告事項の聴取を行います。
なお、提出予定案件及び会計管理局関係の報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、財務局関係の報告事項については、説明聴取の後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
これより会計管理局関係に入ります。
理事者から平成三十年度公金管理実績(上半期)について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年度公金管理実績の上半期分についてご説明申し上げます。
お手元の資料第1号の表紙をおめくりいただき、一ページをごらんください。
1、全体でございます。
三十年度上半期の平均残高は五兆九千五億円で、これは、二十九年度上半期と比べ、対前年同期比で五千六百六十一億円増加しております。一方、利回りは〇・〇四〇%で、前年同期から〇・〇〇五ポイント低下しております。この結果、運用収入は十一億六千九百十四万円で、前年同期と比べ三千二百万円減少しております。
2、内訳でございます。
(1)、歳計現金等につきましては、平均残高は一兆三千百八十四億円となっており、これは、都税収入の増加等により、前年同期と比べ一千九百七十七億円の増加となっております。一方、利回りは〇・〇〇八%と横ばいで推移してまいりました。この結果、運用収入は五千三百十四万円で、前年同期と比べ五百五十五万円増加しております。
(2)、基金につきましては、平均残高は四兆七百六十四億円となっており、減債基金等の積み立てにより、前年同期と比べ三千四百四十一億円増加しております。一方、利回りは〇・〇五四%で、市場金利の低下等により、前年同期から〇・〇〇六ポイント低下しております。この結果、運用収入は十億九千七百八十三万円で、前年同期と比べ三千三百二十二万円減少しております。
(3)、準公営企業会計資金につきましては、平均残高は五千五十七億円となっており、土地の売却収入等により、前年同期と比べ二百四十三億円増加しております。一方、利回りは〇・〇〇七%で、市場金利の低下等により、前年同期から〇・〇〇二ポイント低下しております。この結果、運用収入は一千八百十八万円で、前年同期と比べ四百三十一万円減少しております。
二ページをお開きください。運用商品別内訳でございます。
表頭の期中平均残高の構成比の欄をごらんください。
表側の一段目、歳計現金等及び表側の三段目、準公営企業会計資金につきましては、全て預金で運用しております。
表側の二段目、基金につきましては、預金が七八・一%、債券等が二一・三%、金銭信託が〇・六%となっております。
次に、三ページをごらんください。ここでは、平成三十年度第一・四半期及び第二・四半期の状況をお示ししてございます。
四ページをお開きください。ここでは、平均残高及び利回りの推移をグラフでお示ししてございます。
次に、五ページをごらんください。金融機関種別預金内訳でございます。
表頭の平成三十年度上半期のうち、期中平均残高の構成比をごらんください。
表側の一段目、歳計現金等につきましては、これまで同様、都市銀行が一〇〇%となっております。
表側の二段目、基金につきましては、都市銀行が五六・七%、信託銀行が一七・四%、地方銀行等が一二・〇%、外国銀行が一三・九%となっております。
表側の三段目、準公営企業会計資金につきましては、都市銀行が五四・〇%、信託銀行が二五・二%、地方銀行等が一一・三%、外国銀行が九・四%となっております。
次に、六ページをお開きください。ここでは、基金と準公営企業会計資金についての預金内訳の推移をグラフでお示ししてございます。
七ページをごらんください。債券種別内訳でございます。
債券の保有があるのは基金のみでございます。
表頭の平成三十年度上半期のうち、期中平均残高の構成比をごらんください。
国債が二一・二%、地方債が三一・六%、政府保証債が七・八%、財投機関債等が二八・三%、金融債が一〇・一%、外債が一・二%となっております。下段には債券内訳の推移をグラフでお示ししてございます。
最後に、公金管理につきましては、引き続き安全性の確保を最重要視した上で、あわせて流動性、効率性の確保に万全を期してまいります。
以上をもちまして報告事項の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○大松委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で会計管理局関係を終わります。
○大松委員長 これより財務局関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○武市財務局長 第四回定例会に提出を予定しております財務局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます資料、平成三十年第四回東京都議会定例会提出予定議案等件名表をごらんいただきたいと存じます。
今回、提出いたします議案は十二件でございまして、予算案一件、契約案十件、事件案一件でございます。
初めに、予算案についてご説明申し上げます。
資料第1号、平成三十年度十二月補正予算(案)についてをごらん願います。
まず、1の補正予算編成の考え方でございますが、今回の補正予算は、昨今の地震、風水害や猛烈な暑さを受けて、前倒しが必要な施策に速やかに着手するために、予算上の必要な措置を講じるものでございます。
次に、2の財政規模でございますが、今回の補正予算の規模は、一般会計で九十二億円、また、債務負担行為につきましても、一般会計で四十億円でございます。
恐れ入りますが、最初の件名表にお戻りをお願いいたします。
契約案でございますが、今回、提出いたします十件の内訳は、建築工事が三件、設備工事が三件、土木工事が四件でございます。契約金額の総額は約二百三十七億円でございます。
最後に、事件案でございますが、当せん金付証票の発売についてでございます。
以上が提出を予定しております議案の概略の説明でございます。
詳細につきましては、それぞれ所管の部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山田主計部長 それでは、資料第1号によりまして、今回提案をしてございます平成三十年度十二月補正予算案についてご説明申し上げます。
1の補正予算編成の考え方と、2の(1)、補正予算の規模につきましては、ただいま局長から説明いたしたとおりでございます。
一ページ目最下段、(2)の補正予算の財源でございますが、内訳といたしまして、防災街づくり基金繰入金が九十二億円でございます。
続きまして、二ページをお開きください。ここからが補正予算の内容でございます。
まず、二つの柱の一つ目、防災対策でございます。
区市町村立小中学校のブロック塀対策に四億円を計上しております。地震発生時のブロック塀等の倒壊による人的被害を防ぐために、独自に補助制度を新設し、区市町村立小中学校のブロック塀等の撤去、設置に係る経費への補助を行ってまいります。
私立学校のブロック塀対策には五億円を計上しております。私立学校のブロック塀等の撤去、設置に係る経費への補助を行ってまいります。
民間所有のブロック塀対策には一千万円を計上しております。民間のブロック塀等の撤去や新設等を行う者に補助金を交付する区市町村に対して、独自に補助を実施してまいります。
これらの区市町村立小中学校、私立学校及び民間ブロック塀対策の中で、木塀の設置に係る経費への補助も実施してまいります。
また、最下段でございますが、区市町村庁舎の非常用電源の設置等に一千万円を計上しております。外部からの電源の供給なしに非常用電源が七十二時間以上稼働できるようにするため、災害対策本部が設置される区市町村庁舎の非常用電源の設置等に係る経費への補助を行ってまいります。
一ページおめくりいただきまして三ページをごらんください。二つの柱のうちのもう一つ、暑さ対策でございます。
都立高校の屋内体育施設への空調設備の設置に債務負担行為十億円を計上しております。来夏までに空調設備を稼働させるため、年度内から都立高校の屋内体育施設の空調設備工事を開始いたします。
区市町村立小中学校の屋内体育施設への空調設備の設置には八十一億円を計上しております。区市町村立小中学校の屋内体育施設の空調設備工事に係る経費への補助を行ってまいります。
区市町村立小中学校の特別教室への空調設備の設置には一億円を計上しております。区市町村立小中学校のうち、前倒しが可能な施設を補正予算に計上し、空調設備工事に係る経費への補助を行ってまいります。
また、東京二〇二〇大会に向けた暑さ対策に債務負担行為一億円を計上しております。年度内からテストイベントにおける対策の実施や、東京二〇二〇大会における暑さ対策の検討を開始いたします。
このほか、都有地を活用した社会福祉施設建替え促進事業に債務負担行為二十九億円を計上しております。設備工事に係る契約期間の延長を行ってまいります。
補正予算の内容は以上でございます。
次ページ以降でございますが、こちらには局別総括表及び補正予算案の議案を添付してございますので、後ほどご参照願えればと存じます。
あわせまして、事件案につきまして、お手元の資料第4号、当せん金付証票の発売についてご説明を申し上げます。
これは、当せん金付証票、いわゆる宝くじの平成三十一年度の発売に関する議案でございます。議案の中ほどの記書きの発売目的にございますように、宝くじは、公園整備等の費用の財源に充当するために発行するものでございまして、平成三十一年度の発売限度額を一千七百四十五億円と定めるというものでございます。
提案の理由でございますが、裏面に参考に条文を掲載してございますが、当せん金付証票法第四条第一項の規定に基づきご提案するものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私からは、まず、議会局、財務局所管分の補正予算案につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、資料第2号の一ページをお開き願います。平成三十年度一般会計補正予算議会局・財務局総括表でございます。
今回の補正は財務局分のみでございまして、補正予算額は、特定財源で九十一億六千五百万円余を計上するものでございます。
一枚おめくりいただきまして、二ページをごらんください。今回の補正予算の事業別説明でございます。
番号1の特定財源充当歳入でございます。これは、財務局の歳入中、他局の特定事業に充当する財源となるものでございまして、防災街づくり基金からの繰入金九十一億六千五百万円余を増額しております。
次に、三ページをごらんください。財務局分の合計でございます。
今回の補正により、財務局の歳入予算は、下から三段目の特定財源計欄の一番右端にございますとおり、三千九百十四億六百万円余となります。
なお、歳出予算は変わらず、上段、上から五段目の歳出計の一番右端にございますとおり、七千四百三十七億四千九百万円でございます。
以上、簡単ではございますが、平成三十年度補正予算案についての説明を終わらせていただきます。
引き続き、お手元の資料第3号、平成三十年第四回定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてご説明を申し上げます。
一ページをお開き願います。工事請負契約議案一覧でございます。
1の総括をごらんください。今回ご審議いただきます契約議案は、表の右側の計の欄のとおり、合計十件、契約金額の総額は二百三十七億三千三百十九万二千二百四十円でございます。
次に、2の案件別の表によりまして、概要についてご説明申し上げます。
番号1は、板橋区東坂下二丁目地内におきまして、警視庁志村警察署庁舎の改築工事を施行するものでございます。
番号2は、東久留米市野火止二丁目地内におきまして、仮称都立久留米特別支援学校の改築及び改修工事を施行するものでございます。
番号3は、江東区辰巳一丁目地内におきまして、都営住宅江東区辰巳一丁目、江東区施設の建設工事を施行するものでございます。
番号4から番号6は、八王子市明神町三丁目地内におきまして、仮称産業交流拠点及び八王子合同庁舎の新築工事に伴う設備工事を施行するもので、番号4が電気設備工事、番号5が空調設備工事、番号6が給水衛生設備工事でございます。
番号7が、足立区青井三丁目地内から同区青井四丁目地内にかけまして、綾瀬川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
番号8が、江東区白河二丁目地内から同区森下三丁目地内にかけまして、小名木川の護岸耐震補強工事を施行するものでございます。
番号9が、墨田区吾妻橋二丁目地内から同区吾妻橋三丁目地内にかけまして、北十間川の護岸建設工事を施行するものでございます。
番号10が、杉並区和泉二丁目地内におきまして、神田川の整備工事を施行するものでございます。
次に、契約の方法でございますが、提出予定の十件につきまして、いずれも一般競争入札によるものでございます。それぞれの契約金額及び契約の相手方は表の右側に記載のとおりでございます。
一枚おめくりいただきまして、二ページでございますが、以降六ページにかけましては、案件ごとに件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法及び工事概要等を記載しておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
また、各案件の入札経過等につきましては、七ページ以降に記載しておりますので、あわせてごらんいただきたいと存じます。
以上が今回提出を予定しております契約議案の概要でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大松委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○大松委員長 次に、理事者から地方法人課税の「偏在是正措置」に関する東京都の見解について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○山田主計部長 それでは、お手元の資料第5号をごらんください。
平成三十年十一月十五日に公表いたしました地方法人課税の「偏在是正措置」に関する東京都の見解についてご説明させていただきます。
この見解書は、東京都を標的とした不合理な税制度の見直しの動きに対する都としての考察や問題提起、そこから導かれる地方分権の実現や地方税財政制度の抜本的改革の必要性などについて考え方をまとめたものでございます。
一ページ目をごらんください。冒頭では、まず、都といたしましては、地方法人課税における新たな偏在是正措置に対して反対であることを表明しております。
次に、(1)についてでございます。ここでは、地方法人課税における偏在是正措置は決着済みであるとしております。
平成二十八年度の税制改正では、消費税率一〇%段階において法人事業税の暫定措置を廃止し、あわせて法人住民税の交付税原資化の拡大を行うことを決定しております。いいかえれば、消費税率を一〇%に引き上げる際の地方税制のあり方は既に決定されていると認識しております。仮に、国が新たな措置を講じるのであれば、これまで行ってきた措置が地方にどれだけの効果をもたらしてきたのかという論点も生じると考えております。
次に、四ページをごらんください。(2)では、東京からの税源移転は日本の成長にプラスにならないとしております。
将来にわたる膨大な財政需要への対応や激化する国際競争など厳しい環境変化の中でも、東京が国際的な都市間競争を勝ち抜いていくためには、羽田空港の機能強化や外かく環状道路の整備など、国際競争を見据えた施策をさらに積極的に講じていく必要があります。東京の国際競争力を高める投資を進めることにより、日本のGDPは、現在の約五百五十兆円から二〇二一年以降には約六百十兆円まで拡大する一方、投資が進められなければ、約五百三十兆円に縮小してしまうと推計しております。
こうしたことを踏まえれば、日本経済の牽引役である東京の活力をそぐような税制度の見直しは、日本の成長にプラスにはならないと考えております。
次に、六ページをごらんください。(3)では、目指すべきは都市と地方の共存共栄であるとしております。
日本全体の持続的成長の実現に向けて今必要なことは、東京と地方が限られたパイを奪い合うのではなく、いかにパイを拡大していくか、その方策を考えていくことであります。そのためには、東京は、地方と世界の結節点の役割を果たし、世界から人、金を呼び込み、日本経済全体のパイを拡大する。地方は、東京の持つエントランス機能や大消費地としての購買力を活用しながら、それぞれが持つ強みを発揮して地域経済を活性化していく。このように首都東京と地方がおのおのの役割を十分に果たし、ともに成長する共存共栄こそ目指すべき方向性だと考えております。
次に、七ページをごらんください。(4)では、偏在是正措置では根本的解決につながらないとしております。
日本を再興させるためには、産業を支え、人々の暮らしに密着した施策を行う地方自治体の発展が不可欠であります。しかし、現行の地方税財政制度は制度疲労を来し、社会情勢の変化に対応できない状況に陥っているのではないかと危惧をしております。この三十年間、一部の都府県から巨額の財源を再配分し続けたにもかかわらず地方経済に改善が見られず、また、地方交付税の不交付団体の数がリーマンショック以前と比べて半分強の水準にとどまっていることが、何よりもその証左であると考えております。
こうした状況を踏まえると、現在講じられております偏在是正措置が、地方自治体の発展や地方が抱える問題の根本的な解決につながっていないのは明らかであります。交付団体とのバランスという観点から偏在是正措置を行う必要があるとする主張も見られますが、だとするならば、これまで行われてきたような対症療法的な措置を繰り返すのではなく、本来あるべき地方税体系の構築に向けて正面から取り組むべきと考えております。
次に、一〇ページをごらんください。(5)では、地方分権の実現に向けた地方税財政制度の抜本的な改革を行うべきであるとしております。
日本全体の持続的な成長の実現に向けては、地方自治体がみずからの権限と責任で、自主的、自立的な行財政運営を行い、おのおのの個性や強みを発揮することが重要であり、そのためには地方分権のさらなる推進が不可欠であります。
しかし、日本の地方自治制度は、国と地方で歳入と歳出の比率が逆転していることからも明らかなように、国から地方への財源の移転を前提として成り立っております。地方が自立して行財政運営を行う地方分権を実現するためには、国と地方の役割分担の大幅な見直しや税財源の配分の見直しなど、地方税財政制度の抜本的な見直しに本腰を入れて取り組むべきであります。
なお、一三ページの後に追加のページをつけさせていただいております。これは、十一月二十日に国が公表いたしました地方法人課税に関する検討会報告書に対しまして、十一月二十一日付で、都の見解を追補版として公表したものでございます。
例えば、地方税の充実確保を図る前提として地方税源の偏在是正が必要という意味で、両者はいわば車の両輪として常に考える必要があるとの国の主張に対しましては、地方税の充実確保と地方税源の偏在是正が車の両輪であるとするならば、偏在是正措置のみを先行して行うとする議論は妥当性を欠くとしております。
資料のご説明は以上でございます。
引き続き、都議会の皆様方のご協力を賜りながら、都の主張をご理解いただけるよう、しっかりと訴えを展開してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○大松委員長 報告は終わりました。
本件につきましては、関係する主税局の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○おじま委員 先週の二十一日に、与党税制調査会の議論が本格スタートをいたしました。きょうも、自民党と公明党の各党で検討が行われているようでございます。
こうした中で都は、今回の見解を発表いたしまして、まずは、この内容について改めて伺いたいのと、なぜ、このタイミングでこの見解を発表した、その趣旨と目的を伺いたいと思います。
○山田主計部長 副委員長お話しのとおり、現在、国は、平成三十一年度税制改正に向けまして、東京一極集中の是正を掲げ、地方法人課税のいわゆる偏在是正措置を新たに講じることで、東京の財源を地方に配分すべく議論を加速させているところでございます。
都民生活や日本全体の成長に大きな影響を及ぼすこうした動きは、都として断じて看過することができるものではなく、国の主張における個々の問題点を具体的に指摘し、理論的な反論を展開することで、都の考えに対する理解を求めていくことが必要と考えております。
こうした考え方から、先月取りまとめられました東京と日本の成長を考える検討会の報告書や、東京都税制調査会の答申を踏まえまして、東京を標的とした不合理な税制度の見直しの動きに対する考察や問題提起、そこから導かれる地方分権の実現や地方税財政制度の抜本的改革の必要性などについて都としての考え方を取りまとめまして、今月十五日に発表したものでございます。
さらにその後、今月二十日に総務省が、地方法人課税に関する検討会報告書を公表し、新たな偏在是正措置に関する具体的な方策などを示したことを受けまして、翌二十一日に、国の報告書における幾つかの論点につきまして、都としての見解を追補としてお示ししたものでございます。
○おじま委員 理論的な反論というのは大事だと思います。東京は豊かだから、お金持ちだから、だからそのお金を地方に上げるべきという、この根拠のない感情論で来られているわけですから、これも根底にあるんだと思うんですけれども、その土俵で闘っても、これはしようがないですから、東京はあくまで理論で闘っていくということだと思います。
先日は、知事が見解書を持って大阪に出かけていって、そこで松井知事から賛同を得られたということで、それも報道されまして、それ自体に意味があったのではないかと思っております。
今回の見解書も、都庁側と、この都議会と、その議論の中で積み上げてきて、あるいは東京と日本の成長を考える検討会も、都税調も経てまとまってきた結晶だと思います。
こうして財政委員会でやりとりをしていくというのも、意味がないとおっしゃった会派もありますけれども、この都議会で、財政委員会で、どういうやりとりをしていくかというのは、これは国も見ているわけですから、決してそれは意味がないということはないと思っております。
報道されていることには、今回の見直しによる都の税収のダメージ、これは数千億規模ということでありました。合わせて五千億という話もございます。これまでの最高が平成二十年度の税制改正、法人事業税の暫定措置のときが、これが二千五百億ということでしたので、それを振り返っても、今回いかに大きな問題に直面をしているかということは、先週の主税の事務事業でもあったと思います。だからこそ、知事がこれほど今、立場も政党も関係なく奔走しているわけでありまして、おかげさまで、今この税制改正の件、事この東京都の見解書の件がメディアに取り上げられるようになってまいりました。
その中で気になった報道について一つ伺っておきたいのが、先月、知事が安倍総理と面会をいたしました際の発言なんですけれども、この話はオリ・パラの後にしてほしいという発言でありました。これを取り上げられて、二〇二〇年より後でなら、あたかも東京からお金を取っていいですよと東京都の小池知事がいったというような報道もありましたけれども、この発言の趣旨というのはどういうものだったのか、真意がどうだったのか、財務局の認識を伺いたいと思います。
○山田主計部長 都財政におきましては、二〇二〇年以降の社会経済状況の変化を見据えるということは重要な課題であると思っております。都の財政環境の趨勢を大きく左右する景気動向が、オリンピック・パラリンピックという世界的一大イベントの後にどのように推移していくのか、十分留意する必要があると思っております。
また、少子高齢、人口減少社会の到来という側面におきましては、二〇二〇年を境に七十五歳以上の人口が六十五歳から七十四歳の階級を上回り、団塊の世代が全て七十五歳を超える二〇二五年をピークに人口は減少に転じる見込みであります。これに伴いまして、社会保障関係経費は、毎年平均で約三百から四百億円のペースで増加することが見込まれております。
副委員長からお話のありました知事の二〇二〇年の後に議論をすべきとの発言は、東京二〇二〇大会の後であれば税を渡してもよいとの趣旨ではなく、税制を見直すのであれば、現下の税収にのみ着目するのではなく、二〇二〇年以降の社会情勢、社会経済状況の不確実性や見込まれる変化も踏まえた上で議論がなされるべきとの趣旨からなされたものと認識をしております。
○おじま委員 二〇二五年以降の人口減少のお話もいただきましたけれども、この二〇二〇以降を見据えるというのはすごく大事な話だと思います。これも都議会で議論が尽くされてきたことですけれども、二〇二〇以降の方が大変になるということは、今もう目に見えているわけであります。だからこそ、今、税収があるから、今、東京がこうだからということで決めつけてしまうのは非常に危険だと思っておりますし、それに反論して世論を味方につけていくことがまさに大事だと思っております。これも、大義と共感だと思っております。
もう残された時間も少なくなってきているんですけれども、今回の税制改正とオリ・パラ大会の後、二〇二〇後に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、局長のご答弁をいただきたいと思います。
○武市財務局長 都財政をめぐりましては、少子高齢、人口減少社会への対応を初めとする膨大な財政需要を抱える一方で、歳入面におきましては、米中貿易摩擦の激化など国際情勢が混沌とする中、都税収入の安定的な確保が脅かされかねない懸念もございまして、不確実性が増している状況にございます。
こうした中で、首都東京の活力をそぎ、都民生活に大きな影響を与えかねない不合理な税制度の見直しがとり行われることは、足元の都財政のみならず、二〇二〇年以降の東京、日本の将来を見据えたときに、決して賢明な選択肢とはいえないものでございます。
現在国において議論されております地方法人課税のいわゆる偏在是正措置のように、限りある財源を取り合い、成長の可能性を失う袋小路にみずから入り込むような取り組みを進めるのではなく、あまねく地方の活性化を通じて日本が将来にわたり発展し続けられるよう、国、地方間の税財源の配分の見直しなど、地方税財政制度の抜本的見直しに踏み出すことこそが重要であると考えるものでございます。
平成三十一年度税制改正に向けた議論は、いよいよ大詰めを迎えようとしております。都議会の皆様のご協力をいただきながら、あらゆる場面で都の主張を展開し、最後の最後まで全力を尽くしていく所存でございます。
○おじま委員 今のご答弁でも、都議会の皆様のご協力をいただきながらとおっしゃっていただきました。このオール東京、オール都議会でやっていきましょうというのは、決してきれいごとじゃなくて、これは都民益に何が一番資するかということで、今回は一丸となってやっていきましょうというのが一番効率的だし、これが理にかなっているから申し上げているわけであります。これは、東京都の事業についてのるか反るかの議論をしているわけではなくて、向くべき方向は、今回、東京対国ですから、ここにいらっしゃる皆さん、東京都の側ですから、向くべき方向は同じということでこの議論もしていかなくてはならないのではないかと思っております。
前の定例会では、意見書も全会一致で可決をさせていただきました。粛々と自分たちのできることをやっていくというのが我々の仕事であって、あくまで主役は都民ですし、目的は都民の税金ですから、誰がやったとか、誰がやっていないとか、そういうことも関係ありませんし、しかも、この議会の場で批判をし合うというのは、それは物すごくナンセンスだと思っております。誰も得しないですから、この場で批判をおっしゃっても。(発言する者あり)本筋は、この都民がどうやって税金を守っていくかということであります。
だからこそ、知事とも、局とも、ほかの会派とも、連携をさせていただきながらやっていかなくてはならないと申し上げているわけで、先週も、何もやっていないというご指摘もいただきましたけれども(「何やったんだよ、何をやるんだよ」と呼ぶ者あり)自民の都連の所属の先生にもお会いしてますから、聞いてみてください。
けさも、また、与党税調のスケジュールとにらめっこをして、今後どういうところに働きかけていけばいいというのも、きょうも頭を悩ませてきたところですから、これはもうぜひご指導もいただきたいし、どうやったらいいのか、ノウハウは先生方の方があると思いますから、これはぜひご指導をいただきたいということもお願いを申し上げますし、この課題については、改めて、この都議会一丸となって超党派で取り組んでいきたいということを、やっていくべきということをどうかこれは皆さんにもお願いを申し上げまして、私からの質問を終えたいと思います。
○早坂委員 国政では、税制改正をめぐる議論が活発になっています。さきの委員会でも申し上げましたが、東京の将来に禍根を残しかねない国対東京都の一兆円戦争、すなわち偏在是正措置に関する議論もいよいよ政治の場で大詰めです。こうした場面で、あらゆるチャンネルと知恵を総動員しながら事態を動かし、少しでも状況を好転させるために具体的な行動をとることこそが私たち東京都議会議員の使命であります。我々都議会自民党は、都民の与党として、東京のため、都民のために全身全霊をかけて政治の場で最後まで頑張り抜く、このことをまず申し上げておきます。
いわゆる偏在是正措置については、かねてよりさまざまな問題が指摘されていますが、私たちは、何も東京だけのことを考え、危惧しているわけではありません。
例えば、鉄道、道路、空路網です。首都圏で最も混雑率が高いのが東京メトロ東西線の木場駅から門前仲町駅間です。千葉方面からの通勤者にとっては、東京メトロ有楽町線の豊洲駅から住吉駅間が整備されれば、東陽町駅で乗客が分散し、混雑解消につながります。現在取り組んでいる外かく環状道路の完成が、首都圏全体の経済波及効果と雇用効果に大きく資することはいうまでもありません。また、全国の空港から乗り入れがある羽田空港と東京駅をつなぐJR東日本の羽田空港アクセス線が実現すれば、全国の皆さんの利便性が一層高まります。
以上は、東京に投資することがひとり東京の利益だけにとどまらず、首都圏あるいは全国の皆さんにその利益が及ぶことのほんの一例です。
しかるに、そもそも国が検討を進める地方法人課税の国税化は、地方の自立と活性化の芽を摘みかねず、こうした制度では、自治体の企業誘致努力も報われません。この点について東京都のご認識を伺います。
○山田主計部長 現在、国が検討を進めておりますいわゆる偏在是正措置は、地方分権の観点からさまざまな問題をはらんでいると認識しております。その一つといたしまして、地域の活性化に向けて頑張る地方自治体ほど報われないという点が挙げられると思っております。
地域経済の活性化に伴い発生する税収増は、その地域で頑張る企業や人々の経済活動の成果であることはもちろんでありますけれども、企業誘致に取り組む地方自治体の努力の結果でもあると思っております。
しかしながら、偏在是正措置によりまして地方税の一定割合を国税化するということとなれば、地方の税収が拡大すればするほど国税化される額も拡大することとなります。その結果、地方自治体の頑張るインセンティブは阻害され、地域経済の活性化、ひいては日本経済の成長の芽も摘み取られてしまうと考えております。
こうした仕組みは、地方自治体がみずからの権限と財源で地域の実情に即した施策を行い活性化を目指す地方分権の理念とも逆行するものであると認識しているところでございます。
○早坂委員 地方法人課税の国税化が引き起こす問題は何もこれだけではありません。この間、幾度となく繰り返し行われてきた国のいわゆる偏在是正措置は、根源的には地方自治の本旨をもゆがめかねないものであります。端的に申し上げれば、地方税の国税化は、自治体の課税自主権の侵害そのものであります。自治体の課税自主権は、憲法で保障された地方自治に不可欠な要素です。にもかかわらず、自治体が集めた地方税を国が奪うことは、地方自治の根底を揺るがす大問題だといえます。
こうした点も含めて、国が検討する新たな偏在是正措置の問題点について、課税自主権の観点から主税局に伺います。
○副島主税局税制部長 地方分権の目的は、住民に近い地方自治体がみずからの権限と財源により、自主、自立的な行財政運営を実現していくことでございまして、税制改革につきましても、こうしたことを踏まえて進めていくべきと考えます。
国におきまして検討されております新たな偏在是正措置は、現在都道府県が課税しております法人事業税を一旦国税化するという点におきまして、地方の課税権を縮小させるものでございまして、さらに、譲与税等により税源の所在地とは異なる他の自治体に一方的に配分するという観点からは、受益と負担という地方税の原則に反するものであります。
都といたしましては、地方の自主財源としての性格を失わせ、財政調整の手段として用いるこうした措置は、広い意味での地方自治体の課税自主権を侵すものであり、分権改革に逆行するものと認識しております。
○早坂委員 この十年の間に、法人事業税の暫定措置、法人住民税の交付税原資化が導入されました。そしてまた、新たな偏在是正措置なるものが設けられようとしています。東京都は平成元年以降、既に累計六兆円もの財源を国に奪われています。今回、新たな偏在是正措置なるものが現実のものとなれば、東京都への影響額は何と毎年一兆円以上にも及ぶといわれています。
そこで、私はこの事態を、国対東京都の一兆円戦争と名づけました。しかし、たび重なる地方税の国税化は、何も東京都だけの問題ではありません。課税自主権の侵害はおろか、地方自治そのものを問われかねない状況なのです。
こうした深刻な事態に対して、全国の自治体全てが声を上げるために、東京都は、他の自治体の賛意を求めるべく行動を起こすべきと考えます。主税局の見解を伺います。
○副島主税局税制部長 地方分権の推進に向けて必要なことは、地方の課税権を縮小させるような限られたパイの奪い合いではなく、国から地方への税源移譲など、地方税財源の拡充であります。
こうした認識のもと、これまで都におきましては、全国知事会議や九都県市首脳会議などの機会を捉えて都の考え方に理解を求めてまいりました。また、今月中旬には、大阪府知事と意見交換を行いまして、地方法人課税の偏在是正措置に関する見解を連名で発表したところであります。
今後とも、地方税財源の拡充に向け、地方が目指すべき方向性の理解が広がるよう、引き続き、大都市自治体や都内区市町村との連携も図りながら、国等への要請活動を行ってまいりたいと考えております。
○早坂委員 このたびの国の議論には、ほかにも疑問に思うところがあります。地方の窮状がクローズアップされる一方で、あたかも東京には何ら課題が見当たらないかのような議論が進められてきました。
しかしながら、東京ならではの特殊事情があります。首都直下地震への備えは万全にしておかないと、その影響は我が国全体に及びかねません。国際競争力を保つためには、首都のさまざまな魅力あるいは機能の向上が求められます。
東京都が抱える財政需要はこれだけではありません。例えば、外国の賓客が国賓として来日した際、本来は国が持つべき警備の人件費は、警視庁、つまり東京都が負担しています。このような首都としての東京都が抱える特有な財政需要にはどのようなものがあるか、今申し上げた警備に関することも含めて具体的に伺います。
○山田主計部長 副委員長お話しのとおり、東京は、他の道府県とは異なる首都特有の財政需要を抱えております。まず、都の警視庁は、首都東京の治安を守る役目を担っておりまして、皇室関係の警備、国会や外国公館の警戒、大臣などの要人警護など、本来国の責務で行われるべき業務を行っております。
しかしながら、この経費に対します国の財源措置は、昭和五十五年度以来、十五億円に据え置かれております首都警察特別補助金のみでありまして、都は、首都警察に要する経費の大宗を自前の財源で担っているのが実情であります。
また、区部におきましては、三百十八万人にも及ぶ昼間流入人口を抱えておりまして、その活動を支える下水道、清掃、消防などの分野におきまして、膨大な財政需要が存在をしております。このほか、道路整備等を行う際には地価に起因した高額な用地取得費の支出を余儀なくされていることなども、都ならではの特徴であると考えております。
○早坂委員 東京のみならず全国の自治体が超高齢社会に直面し、そして、老朽化した道路、橋梁や上下水道の更新が喫緊の課題となっています。こうした中、東京都が将来の負担となる社会保障関係費やインフラの整備、更新費用の増大だけを幾ら訴えても、全国の自治体からすれば、それは東京に限った話ではないと考え、理解が得られにくいだろうと思います。
首都東京が抱える特殊事情、すなわち都民以外の方々のためにも必要な都税を使っているのだという事実をもっとPRし、かつ東京への投資が我が国の発展に不可欠であることを、東京以外の皆様にも納得できるような説明をすべきと考えます。ご見解を伺います。
○山田主計部長 東京を標的といたしました税制度の見直しが繰り返される中にありまして、東京特有の財政需要や首都東京が果たしている役割などにつきまして、都民のみならず他の道府県の方々のご理解を得ることは極めて重要であると考えております。
こうした認識のもと、都はこれまで、全国知事会議を初め国の地方法人課税に関する検討会や経済団体との意見交換会、国への提案要求などの機会を活用するとともに、東京都ホームページやリーフレットなどの広報媒体を用いまして、東京をめぐる実情に対する理解を求めてきたところであります。
また、普通交付税の算定結果の公表に当たりましては、交付税算定上、大都市特有の財政需要が割り落とされているということなど、ともすればわかりづらいトピックについても、図表やイラストを積極的に活用しながら、親しみやすくわかりやすい説明に努めるなど、公表資料におけるPRの工夫を行っております。
まさに大詰めを迎える平成三十一年度税制改正に向けて、引き続き、首都東京ならではの実情を含め都が直面する実情をご理解いただけるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
○早坂委員 いわゆる偏在是正をめぐる問題について、国を親、東京都を長男、他の道府県を弟、区市町村を孫と例えまして論を進めたいと思います。
長男は働き者で、親からの仕送りを受けることなく、みずからの仕事で得た収入により自立した生活をしています。一方で、弟や孫たちは、それぞれの事情を抱えているため、みずから仕事をしながらも日々の生活をしていくためには親からの仕送りを頼りにしています。頼りにされる肝心の親は、最近、借金が積み重なっており、満足できる仕送りができないため、長男の財布に何度も手を突っ込みながら弟や孫たちに配っています。
現状を例えていうならこうした状況にあり、国に頼った解決策を見出すことはもはや困難です。だからといって、知らぬ間に地方税収が増加することを期待することも現実味がありません。
こうした現実に直面する中、我が国の活力の源であり、稼ぎ頭でもある東京都は何ができるのでしょうか。東京が我が国を引っ張っていくため、全国の自治体の活性化と発展に向けて、どのような立場で、いかなる貢献ができるかご見解を伺います。
○山田主計部長 国際競争の激化や少子高齢、人口減少社会の到来など、日本をめぐる状況が厳しさを増す中で、日本全体の持続的発展を実現するためには、東京と地方が限られたパイを奪い合うのではなく、日本経済全体のパイの拡大を目指すことが重要であると考えております。
こうした中、東京は、羽田空港の機能強化を初め、国際競争力強化に向けた取り組みを積極的に行い、国際都市としてのプレゼンスをより一層高めた上で、地方と世界の結節点となり、世界から人、金を呼び込むことで、日本経済全体のパイの拡大につなげていく役割を担っていると思っております。
加えて、東京と地方がともに成長する共存共栄を実現するため、地方の豊かな資源を東京の購買力や発信力と結びつけ、需要を喚起することも、東京が果たすべき重要な役割であると思っております。
現在、都では、他の地方自治体と連携し、外国人旅行者が東京と日本各地双方を訪れるよう観光ルートを設定する取り組みや、官民の調達情報を全国の企業に提供し、受注機会の拡大を図るポータルサイトの運営などを行っております。
首都東京が日本経済の牽引役としての役割を果たし、地方がおのおのの個性や強みを生かして地域を活性化する共存共栄の実現に向け、都と地方が互いに高め合い、日本経済の活性化につながる取り組みを展開できるよう、財政当局としては、財政面からしっかりと支えていきたいと思っております。
○早坂委員 東京都の税収が国に奪われ、それがほかの自治体に配分されそうになったときにだけ、思い出したかのように共存共栄を訴えるだけでは、全国の自治体からの信頼など得られるわけがありません。東京都の、そして知事の常日ごろからのスタンスや振る舞いが問われているのです。
我々都議会自民党は、このような地方との共存共栄を目指す立場や膨大な財政需要を初めとした東京都の置かれている実情について、先週も、自民党税制調査会のメンバーである額賀小委員長、細田副会長、塩崎副会長など皆様に直接会って説明をしてまいりました。そして、都議会自民党所属の全議員が手分けをして、日ごろから信頼関係の深い国会議員の方々に、東京の主張をしっかりと発信してくださるよう強く要望してまいりました。本日も、私たちの仲間が首相官邸をこの件で訪問しています。
さきに行われた十一月二十二日の財政委員会で、私は、都議会第一党に対して、都議会の場で理論武装しているだけではだめで、政策決定権者である国会議員の理解を得られるような具体的な働きかけこそが必要だと申しました。
しかるに、昨日、都議会第一党の幹事長が、私ども自民党東京都連所属の国会議員の事務所を要請文を持って回られたようであります。私が親しくしているある国会議員の事務所から連絡があり、こんな紙を置いていったよと教えていただき、そのことを知りました。
その国会議員がおっしゃっていたのは、何のつき合いもない人が急に来て、秘書にこんな紙を一枚渡していかれてもね、自分たちも努力したというアリバイづくりじゃないのとの印象を強くしたとのことでありました。
いずれにしても、税制改正の議論は山場を迎えています。都議会自民党は、最後まで諦めることなく、東京のため、都民のために、少しでもダメージが解消されるよう、引き続き努力いたしてまいります。具体的行動をいたしてまいります。
以上です。
○小磯委員 地方法人課税の偏在是正措置に関する東京都の見解についてお伺いをしていきたいと思います。
現在、与党税制調査会において、平成三十一年度税制改正の議論がまさに山場を迎えているということでございます。地方法人課税における新たな偏在是正措置についての議論も、まさに正念場を迎えているわけであります。
せんだっての当委員会でも申し上げたところでございますが、山口那津男公明党代表も、この偏在是正措置については、東京に税収が偏在しているのは悪いことだとレッテルを張って議論するのはおかしい、角を矯めて牛を殺す結果を招いてはならないといっておりまして、いわゆる小さなことに惑わされて、そして本質的な議論をなおざりにしてはいけないんだと、牛を殺すような結果を招いてはいけない、このような記者会見をしているわけでございます。
十一月二十一日には、私も同席をしておりましたが、太田昭宏前代表、そして高木陽介国対委員長に、小池知事からの要請という形をつくらせていただいたわけでございます。
その中で、高木陽介国対委員長がいっていた中で印象的なことは、結局、東京から持っていったことによって、地方が活性化していますかと。地方創生と銘打って千七百の自治体に移して、本当に自立してやっていくという実態がない中で、小手先のことをやってもしようがないんじゃないですかと、このような議論を今、必死でやっていますということ。それから、結局、水平にやっても何の意味もない、財政で全体をどう、ちゃんと大きくしていくかということを考えないと、本当に先細りしてしまうということをいっておりました。残念ながら総務省はドラスチックな全体像をつくるという発想をしていないということもいっておりました。
太田前代表は、災害のレベルは、一旦同じ災害が起きても、東京の場合は、そのダメージというのは相当、数倍になると。荒川とか多摩川だとか、水が来ないというところまで持っていかないと、この事業というのは急速度にやる必要がある、オリンピック・パラリンピックも急速度にやらなければいけない、そういうことをしっかりといいながら今回闘っていきたい、こういうふうにいっておりました。
また、高木国対委員長は、東京の足を引っ張って地方が伸びるのかというと、そうではなく、東京が伸びて地方を伸ばすという発想をしなくてはならない、とにかく、国を正していきながらメスを入れてやらないと、本当に共倒れになってしまうと。
それから、太田前代表は、防災に対する意識が、ことしの夏の関空と北海道のことがあったから、経済的な被害が大きいなという意識がことし初めて生まれたと思います、いわゆる災害というのは経済的な被害が大きいということを改めて国民のみんなが感じたというふうに思う、東京の防災というのは絶対に被害をさせない、復旧をするという意識が出てきたところが大事なんだということで、やはり東京というところがいかに大事かということと、それから東京から水平に財源を移動しても、それは何の解決策にもならないんだという認識でありました。
その中で、市長会の会長の長友さんがこういうふうにいってました。東京都と地方がともに繁栄するような策をぜひ国会でつくっていただきたい、我々が主体となって地方との関係をよりよくして、そういうことを率直に話し合うことを並行してやっていくというのは、決して徒労ではないと。自分も全国市長会に行くと、やっぱり周りはもう全部、地方の市長会の皆さんで、なかなか意見をちゃんといえない、でも、そういう下地を我々がだんだんだんだん地方の市長さんとつくることによって、やがてそういう国をも動かしていけるという長友さんのご意見ももっともだというふうに思いました。
また、西川特別区長会会長は、全国連携運動の中で地方から、いろんな災害がある自治体からSOSをいただいて、罹災証明書の発行は、そんなに被災していない二十三区がお手の物で今も東に西に職員を延べ六百人ぐらい派遣している、そういうところで本当に全国のお役に立っていますと。それを別に自慢するわけじゃなくて、そういう地方と、また東京、大都市との間柄というのは、こういうのはやっぱりしっかり大事にしていかなきゃいけないんじゃないか、そういうところの下地というのをしっかりとやっていくことが大事なんだと。そういう観点で東京都もぜひお願いしたい、また、公明党に対してもぜひお願いしたい、そんな意見がありました。
そういったことで、本当に今、東京は少子高齢また人口減少社会で、都市災害への備えなど、本当に膨大な財政需要があるのは間違いないことでございます。政治、経済、行政の中枢機関が集中している東京で、一たび災害が発生すれば、人的被害に加え都市機能の麻痺など、東京のみならず全国への重大な影響が懸念をされるわけであります。大都市の財源を地方に再配分するという小手先の対応では、日本全体の持続的な発展につながらないということであります。
制度疲労を来し、社会情勢の変化に対応できない状況に陥っているのではないかと危惧される地方税財政制度の抜本的な改革こそが今求められております。大都市から地方への税の再配分でない、本来目指すべき方向性というのを東京はどのように思っているのか見解を伺います。
○武市財務局長 私も、ただいまの委員のご意見、また、ご紹介をいただきましたご意見に全く同感するところでございます。
日本全体の持続的な成長を実現するためには、地方自治体がみずからの権限と責任のもと、おのおのの個性や強みを最大限に発揮して、地域の課題解決と発展に向けて取り組んでいくことが重要でございます。
一方で、我が国の財政は、国民が負担する租税収入の割合が国税と地方税で六対四であるのに対し、国の歳出と地方の歳出の割合は四対六となってございます。歳入と歳出における国と地方の比率が逆転しており、国から地方への財源の移転を前提として成り立っているという状況にございます。
地方が自主的、自立的に行財政運営を行う地方分権を実現するためには、国から地方への権限移譲を進め、地方が果たすべき役割と権限に見合った財源を一体不可分のものとして確保することが重要でございます。
こうした中にありまして、国が新たに講じようとしておりますいわゆる偏在是正措置は、地方税の一部を国税化するものでありまして、地方の自主財源を充実させるどころか、むしろ国への依存財源の割合を高めることとなるものでございまして、地方分権の動きに逆行することは明らかであります。
国は、これまでと同じような対症療法的な措置を繰り返すのではなく、国と地方の役割分担の大幅な見直しや国、地方間の税財源の配分の見直しなど、地方分権の実現、そして日本の持続的発展に資する地方税財政制度の抜本的な見直しに本腰を入れるべきであると考えるものでございます。
○小磯委員 我が党の税調会長の西田参議院議員にも、都知事にお会いをしていただいて、この問題については、しっかりと都議会公明党としてもあらゆる手段を通じてやっているところでございます。
これまで繰り返されてきた不合理な偏在是正措置がさらに拡大されれば、本当に東京が抱えるさまざまな課題への対応に支障を来しかねません。東京がやっぱり全国のモデルのような政策を先に、国からどうだろうかというようなことを東京都が承って、しかも東京都独自に全国でやっていないような政策をいろいろやって、それが本当にうまくいけば、全国の道府県とか市町村がそれを見ながら、あっ、いい取り組みだ、うちでもやってみようという、そういう政策のトップランナーのような、何というか使命が東京都にはあるんだというふうに思います。
そういった意味で、東京の財源をしっかり確保していくというのは、これはまた東京にとって大事であるし、そういうトップランナー的な東京都の財源をよそに持っていくというのは、これはやっぱり先ほどいったような角を矯めて牛を殺すという、そういう結果になってしまうと私も本当にそう思っております。
もう時間がない中でありますけれども、しっかりと東京都も最後まで働きかけをしていただき、我々もどんどん使っていただいて、これをやっていきたいというふうに思っておりますのでどうかよろしくお願いします。
○池川委員 これまでも国は、東京都と地方の財政格差を埋めるとして、法人住民税を地方法人税として国税に取り上げ、地方交付税で地方に配るとしてきました。消費税増税で自治体の財政格差を広げておきながら、これを是正するとして、地方の自主財源を取り上げるやり方は本末転倒であると思います。
そもそも地方財政の確立は、消費税増税に頼るのではなく、内需の拡大と累進税制の強化で行うべきだというのが私たちの基本的な立場です。そして、社会保障費を初め地方が必要とする財源を十分に確保するために国が果たすべき役割は、地方交付税の法定率を抜本的に引き上げ、地方交付税の持つ保障機能と財政調整機能を発揮させるということが重要ではないかと考えます。
今回の見解についてでありますが、財政需要予測として社会保障関係経費、社会資本ストックの維持更新経費、防災に係る経費、東京二〇二〇大会に係る経費などが列挙をされています。東京二〇二〇大会の一兆四千億円についてはさらなる経費の削減と透明化が必要でありますが、その他の課題については、しっかりとその財政予測を行うことが求められていると思います。
同時に、これらの問題は、東京特有の課題という側面とともに、他の地方自治体とも共通する課題であり、地方税全体の問題として捉える視点も重要だと思います。
主税局の事務事業質疑の際にも紹介をいたしましたが、東京が抱える主な財政需要を考える視点として、例えば高齢者福祉の視点で見ると、二〇一六年度ベースで介護老人保健施設は、全国で東京は四十七位、認知症対応型共同生活介護は四十六位、小規模多機能型居宅介護は四十六位、通所リハビリテーションは四十七位等々、低い水準となっています。東京が、六十五歳以上の人口増加率が二〇四〇年に全国の一・九倍になるという試算もあり、安心して住み続けられる高齢社会への対応が求められていると思います。
また、子育て、保育需要についても、認可保育園を柱とした増設計画を考えれば、さらなる取り組みが必要となります。来年度までに待機児童をゼロにする計画でありますが、本当にこれで十分なのかも今後しっかりと精査をしていく必要があります。
こうした財政予測、需要予測を丁寧に行うこと、そして、それを発信していくことが必要ではないかと思いますが、今後の財政需要について、東京都が、全国平均よりもおくれている社会保障関連部分を引き上げていくこと、これをしっかりとどうやっていくのか、また、この問題について、社会保障にとどまらず、この間、財政需要予測の変遷についてもお示しいただきたいと思います。
○山田主計部長 現下の都政には、少子高齢、人口減少社会の到来や都市インフラの老朽化、大規模災害への備えなど、直面する課題への着実な対応が求められておりまして、こうした財政需要を把握することは、財政運営上の重要な視点であることから、外部調査機関を活用しまして将来推計を行っているところでございます。
まず、社会保障関係経費につきましては、平成二十六年度に、高齢者や子供家庭など各分野の事業につきまして、決算額をベースに人口推計等の変数や物価上昇を反映いたしまして推計を行っております。その後、直近の決算値や実行プラン事業を含む新たな施策の展開、国勢調査に基づく人口構造の変化、保育サービス利用者数や要介護者数の将来見込みなどを盛り込みながら、二十八年度、二十九年度と推計値の改定を行っております。
また、社会資本ストックの維持更新経費につきましても、平成二十六年度に、ストックの取得価格に建設工事費デフレーターや物価上昇率を乗じるなどして推計を行い、以降、都有施設等総合管理方針の策定などに合わせまして、二十八年度、二十九年度と改定を行っております。
さらに、東日本大震災以降、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化など、防災に係る財政需要が高まったことから、平成二十九年度に新たに防災に係る経費につきましても推計を行っております。
今後とも、社会構造の変化に対応し得る持続可能な財政運営を行っていくために、適切な対応を行っていきたいと思っております。
○池川委員 今後とも適切に対応していくということでありました。
このほかにも例えば、教育人口等推計によると、二〇二〇年度を境にして、公立中学校卒業予定者数が増加の一途をたどることとなっており、その数は、二〇二〇年度と二〇三〇年度を比較すると一万一千七十二人の増加となるという試算があります。一万人高校生が新たにふえるということにどう対応するか、これもまさに新たな財政需要の一つの観点ではないかと考えます。
また、都営住宅の問題については、東京に本社を構える大企業が、現在、過去最高の利益を更新している一方で、非正規労働者の数が大きく増大をしています。新自由主義経済の中で、東京の成長の陰で、一方で貧困と格差が拡大をしているというのも、東京の現実だと思います。こうしたゆがみを正す政策も都財政には強く求められていると思います。
国は、公営住宅を除く借家に住んでいる世帯で、収入分位二五%以下の低所得者世帯数を、七百二十七万世帯以上いると試算をしています。都内の公営住宅を除く借家に住んでいる世帯は、全国の二割近くを占めている現状があり、百数十万世帯もの都民が、低所得者でありながら公営住宅以外の借家に住んでいるということになります。ところが、現状では、都営住宅の新規建設は二十年以上近くとまったままであり、そうした問題についても対応が必要です。
公営住宅の応募倍率を見てみても、最新の二〇一六年度では、全国平均が四・四倍のときに、東京は二十・七倍にも上ります。近県でも、埼玉県が四・二倍、千葉県が五・一倍、神奈川県が九・〇倍ですから、東京が突出をしているということになります。
こうした全国でも突出をした住まいの貧困の問題を克服するという視点も重要で、そうしたときに公営住宅の新規建設と財政的な保障が必要であり、こうした問題についても対応していくことが必要ではないかと思います。こうした貧困と格差の問題は、どの自治体も抱える問題であり、他の自治体、国民からも共感を得る財政策をしっかりと考えていく上での重要な施策ではないかと思います。
改めてになりますが、他の地方自治体とも共通する課題をしっかりと捉え、地方税全体の問題としてこの問題を捉え、理解を広げていくことが必要ではないかと思います。見解の中には政策的に意見を異にするものもあるわけですが、今回の不当な偏在是正措置については反対し、実行させないために、東京都と都議会が共同して取り組むことが必要です。都民の暮らしのために我が党も力を尽くしていくことを申し上げまして、質疑を終わります。
○おときた委員 私からも、新たに発表されました地方法人課税の偏在是正措置に関する東京都の見解について、意見を簡潔に申し上げます。
十一月十五日に発表し、また、二十一日にも追補した東京都の見解は、至極もっともな正論というべきものであります。理不尽な偏在是正措置は、我が会派としても当然に看過できるものではなく、都の主張については強く支持をするものです。
しかしながら、現在、都の主張は世論の理解を得られているとはいえず、率直にいって大変に厳しい結果が予想をされています。この原因の一端は、あらゆる点で都の本気度が伝わっていないことにあると考えております。
一例を挙げれば、豊洲市場移転問題で莫大な財源を消費してしまい、さらには、いまだに都最大の資産である築地市場跡地の活用方法が決まっておらず、数千億円と予想される売却を行う予定もないとすれば、他の自治体や都民、国民が、東京都の財政には余裕があるのだ、ならば偏在是正をするべきだと、そういった印象を持ってしまうのも、これはやむを得ないことでもあると考えます。
また、都政改革にしても、特に特別顧問が退任された四月以降、目に見えてその改革のスピードも、迫力も欠けています。徹底した行政改革を先送りしながら、財源への懸念を主張しても、受け入れてもらうことは難しいといわざるを得ません。PR方法も功を奏したとはいいがたく、他の委員からも再三の指摘があったように、例えば税金一兆円戦争など、わかりやすい言葉で都民に危機感を伝えることが残念ながらできなかった点は、知事及び都として真摯に受けとめる必要があるのではないでしょうか。
引き続き、継続して正論を主張することは重要です。しかしながら、それだけで現状を打破する見通しは持てません。であるならば、例えば、夕張市に都が職員を派遣しているように、今後は、都が独自に地方自治体を支援する政策などを打ち出し、地方を味方につけていく大胆な方針を展開、主張するべきではないでしょうか。
残された時間でできることは限られていることは承知をしておりますが、ここから逆転するためには、発想の転換や大きな話題となる目玉施策の打ち出しが必要だと考えます。主張するべき正論は主張しながら、偏在是正措置の見送りを条件とした地方への大胆な独自投資策などを同時に考案、発表するべきだという点を指摘いたしまして、私の発言を終わります。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時十八分散会
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